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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】光学角度フィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20231226BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20231226BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20231226BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231226BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20231226BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231226BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20231226BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G02B5/22
G02B5/28
G02B5/18
G02B3/00 A
G02B5/00 B
H04N23/55
H04N23/54
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536173
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021082404
(87)【国際公開番号】W WO2022128337
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013151
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】デクルー,デルフィーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ウィルフリッド
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H249
4M118
5C122
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA03
2H042AA06
2H042AA09
2H042AA29
2H148CA01
2H148CA12
2H148CA14
2H148CA17
2H148CA23
2H148CA24
2H148GA11
2H148GA24
2H148GA33
2H148GA66
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA50
2H249AA55
2H249AA64
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA07
4M118CA02
4M118CA14
4M118CA40
4M118CB06
4M118CB20
4M118FB13
4M118GC20
4M118GD04
4M118GD07
5C122DA16
5C122EA07
5C122FB02
5C122FB05
5C122FB17
5C122FC06
5C122GE11
5C122HB06
5C122HB10
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、画像取得デバイス(19)のための角度フィルタ(23)に関し、角度フィルタは、異なる屈折率を有して放射光を通す媒体を含んで、入射角が第1の最大入射角より小さい放射光の光線のみを通過させる層(41)と、可視光線及び/又は赤外線を通さない壁(35)によって画定されている開口部(33)のアレイ(31)、並びにマイクロレンズ(29)のアレイ(27)とを有する積層体を備えており、開口部のアレイ及びマイクロレンズのアレイにより形成された集合体は、入射角が、第1の最大入射角より小さい第2の最大入射角より小さい放射光の光線のみを通過させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得デバイス(19; 51; 57; 65)のための角度フィルタ(23)であって、
異なる屈折率を有して放射光を通す媒体を含んで、入射角が第1の最大入射角より小さい前記放射光の光線のみを通過させる層(41)と、
可視光線及び/又は赤外線を通さない壁(35)によって画定されている開口部(33)のアレイ(31)、並びにマイクロレンズ(29)のアレイ(27)と
を有する積層体を備えており、
前記開口部のアレイ及び前記マイクロレンズのアレイにより形成された集合体は、入射角が、前記第1の最大入射角より小さい第2の最大入射角より小さい前記放射光の光線のみを通過させ、
前記層(41)の上側に不透明な層が延びていない、角度フィルタ。
【請求項2】
前記層(41)は複数のサブ層(411, 413, 415, 417)を有している、請求項1に記載の角度フィルタ。
【請求項3】
各サブ層(411, 413, 415, 417)の屈折率は、前記サブ層が覆うサブ層(411, 413, 415, 417)の屈折率と少なくとも0.15、好ましくは0.2 異なる、請求項2に記載の角度フィルタ。
【請求項4】
前記層(41)は干渉フィルタである、請求項1に記載の角度フィルタ。
【請求項5】
前記層(41)はファイバオプティックパネルである、請求項1に記載の角度フィルタ。
【請求項6】
前記層(41)は一群の光ファイバを有している、請求項5に記載の角度フィルタ。
【請求項7】
前記層(41)は、不透明な材料で夫々囲まれている一群の平行な光ファイバを有している、請求項5に記載の角度フィルタ。
【請求項8】
前記層(41)は、フォトニック結晶として構成され得る微細構造層に相当し、前記微細構造層の分解能は前記マイクロレンズのアレイの分解能より大きい、請求項1に記載の角度フィルタ。
【請求項9】
前記層(41)は、前記放射光を通す第1の材料で形成された膜を有しており、アレイ状に配置されて前記放射光を通す第2の材料で形成された柱状体(67)が前記膜を横切る、請求項8に記載の角度フィルタ。
【請求項10】
前記マイクロレンズ(29)のアレイ(27)は、前記開口部のアレイ(31)と前記層(41)との間に配置されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項11】
前記層(41)は、前記マイクロレンズ(29)のアレイ(27)と前記開口部のアレイ(31)との間に配置されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項12】
前記開口部のアレイ(31)は、前記マイクロレンズ(29)のアレイと前記層(41)との間に配置されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項13】
透過率の半値半幅に対応する前記第2の最大入射角は10°未満であり、好ましくは4°未満である、請求項1~12のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項14】
透過率の半値半幅に対応する前記第1の最大入射角は15°より大きく、60°より小さい、請求項1~13のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項15】
前記第1の最大入射角は30°以下である、請求項1~14のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項16】
前記開口部(33)は、空気、部分真空、又は、可視域及び赤外域で少なくとも部分的に透明な材料で充填されている、請求項1~15のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項17】
各開口部(33)の上に1つのマイクロレンズ(29)が設けられている、
各マイクロレンズ(29)は1つの開口部(33)を覆っている、及び/又は
各マイクロレンズ(29)の光軸は開口部(33)の中心と整列している、請求項1~16のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1つに記載の角度フィルタと、
画像センサ(21)と
を備えている、画像取得デバイス(19; 51; 57; 65)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学角度フィルタに関する。
【0002】
より具体的には、本開示は、光学系、例えば画像化システム内で使用されるか、又は特に場合によっては導波路に連結されている有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD )若しくは発光ダイオードによる指向性照明の用途又は光学検査、例えば指紋若しくは静脈の取り込みの用途のために光源の光線を平行にするために使用されるように構成されている角度フィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
角度フィルタは、入射放射光の入射角に応じてこの入射放射光をフィルタ処理して、ひいては入射角が最大入射角より大きい光線を遮断し得るデバイスである。角度フィルタは、画像センサに関連付けられて使用されることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の角度フィルタを改善する必要がある。
【0005】
実施形態は、既知の角度フィルタの不利点の全て又は一部を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、画像取得デバイスのための角度フィルタであって、
異なる屈折率を有して放射光を通す媒体を含んで、入射角が第1の最大入射角より小さい前記放射光の光線のみを通過させる層と、
可視光線及び/又は赤外線を通さない壁によって画定されている開口部のアレイ、並びにマイクロレンズのアレイと
を有する積層体を備えており、
前記開口部のアレイ及び前記マイクロレンズのアレイにより形成された集合体は、入射角が、前記第1の最大入射角より小さい第2の最大入射角より小さい前記放射光の光線のみを通過させる、角度フィルタを提供する。
【0007】
実施形態によれば、前記層は複数のサブ層を有している。
【0008】
実施形態によれば、各サブ層の屈折率は、前記サブ層が覆うサブ層の屈折率と少なくとも0.15、好ましくは0.2 異なる。
【0009】
実施形態によれば、前記層は干渉フィルタである。
【0010】
実施形態によれば、前記層はファイバオプティックパネルである。
【0011】
実施形態によれば、前記層は一群の光ファイバを有している。
【0012】
実施形態によれば、前記層は、不透明な材料で夫々囲まれている一群の平行な光ファイバを有している。
【0013】
実施形態によれば、前記層は、フォトニック結晶として構成され得る微細構造層に相当し、前記微細構造層の分解能は前記マイクロレンズのアレイの分解能より大きい。
【0014】
実施形態によれば、前記層は、前記放射光を通す第1の材料で形成された膜を有しており、アレイ状に配置されて前記放射光を通す第2の材料で形成された柱状体が前記膜を横切る。
【0015】
実施形態によれば、前記マイクロレンズのアレイは、前記開口部のアレイと前記層との間に配置されている。
【0016】
実施形態によれば、前記層は、前記マイクロレンズのアレイと前記開口部のアレイとの間に配置されている。
【0017】
実施形態によれば、前記開口部のアレイは、前記マイクロレンズのアレイと前記層との間に配置されている。
【0018】
実施形態によれば、透過率の半値半幅に対応する前記第2の最大入射角は10°未満であり、好ましくは4°未満である。
【0019】
実施形態によれば、透過率の半値半幅に対応する前記第1の最大入射角は15°より大きく、60°より小さい。
【0020】
実施形態によれば、前記第1の最大入射角は30°以下である。
【0021】
実施形態によれば、前記開口部は、空気、部分真空、又は、可視域及び赤外域で少なくとも部分的に透明な材料で充填されている。
【0022】
実施形態によれば、
各開口部の上に1つのマイクロレンズが設けられている、
各マイクロレンズは1つの開口部を覆っている、及び/又は
各マイクロレンズの光軸は開口部の中心と整列している。
【0023】
実施形態は、上述したような角度フィルタと、画像センサとを備えている、画像取得デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
前述及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない例示として与えられる特定の実施形態の本開示の残り部分に詳細に記載される。
【0025】
図1】画像取得システムの実施形態を示す図である。
図2】角度フィルタを有する画像取得デバイスの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図3】角度フィルタに達する光線の入射角に応じた図2に示されている画像取得デバイスの角度フィルタの透過率を示す図表である。
図4】角度フィルタを有する画像取得デバイスの別の実施形態を示す部分的な断面略図である。
図5】角度フィルタを有する画像取得デバイスの別の実施形態を示す図である。
図6】角度フィルタを有する画像取得デバイスの別の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な図には、同様の特徴が同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的特徴及び/又は機能的特徴は同一の参照符号を有してもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。
【0027】
明瞭化のために、本明細書に記載されている実施形態の理解に有用な工程及び要素のみが示されて詳細に記載されている。特に、画像センサ、及び角度フィルタ以外の要素の形成は詳述されておらず、記載される実施形態及び実施モードは、画像センサ及びこれらの他の要素の通常の実施形態と適合する。
【0028】
以下の開示では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する文言、又は「水平方向」、「垂直方向」などの向きを限定する文言を参照するとき、特に指定されていない場合、この文言は図面の向きを指す。
【0029】
「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、特に指定されていない場合、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0030】
「全ての要素」、「各要素」という表現は、特に指定されていない場合、95%~100 %の要素を表す。
【0031】
「要素のみを備えている」という表現は、特に指定されていない場合、要素を少なくとも90%備えていることを表し、好ましくは要素を少なくとも95%備えていることを表す。
【0032】
本開示の必要性のために、媒体の屈折率は、画像センサによって取り込まれる放射光の波長領域に関する、媒体を形成する材料の屈折率として定められる。屈折率は、有用な放射光の波長領域に亘って実質的に一定とみなされ、例えば、画像センサによって取り込まれる放射光の波長領域に亘る屈折率の平均に等しいとみなされる。
【0033】
以下の記載では、特に指定されていない場合、層又は膜を通る放射光の透過率が10%未満であるとき、その層又は膜は放射光を通さないとする。以下の記載では、層又は膜を通る放射光の透過率が10%を超えるとき、その層又は膜は放射光を通すとする。実施形態によれば、同一の光学系に関して、放射光を通さない光学系の全ての要素の透過率は、前記放射光を通す光学系の要素の最も低い透過率の半分より低く、好ましくは5分の1より低く、より好ましくは10分の1より低い。本開示の残り部分では、動作中に光学系を横切る電磁放射線を「有用な放射光」と称する。以下の記載では、支持体の表面と平行に測定された最大寸法が1μmより大きく1mmより小さい、前記表面に形成された光学素子を「マイクロメートルサイズの光学素子」と称する。
【0034】
光学系の実施形態は、マイクロメートルサイズの光学素子が2つの光学的境界面で形成されたマイクロメートルサイズのレンズ又はマイクロレンズに夫々相当する場合のマイクロメートルサイズの光学素子のアレイを備えた光学系について記載される。しかしながら、マイクロメートルサイズの光学素子が、例えばマイクロメートルサイズのフレネルレンズ、マイクロメートルサイズの屈折率分布型レンズ又はマイクロメートルサイズの回折格子に夫々相当してもよい、他のタイプのマイクロメートルサイズの光学素子を用いてこれらの実施形態が更に実施されてもよいことは明らかなはずである。
【0035】
残りの記載では、400 nm~700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を可視光線と称し、この範囲内で、600 nm~700 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を赤色の光と称する。700 nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を赤外線と称する。赤外線では、700 nm~1.7 μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0036】
図1は、画像取得システム11の実施形態を示す。
【0037】
図1に示されている画像取得システム11は、
画像取得デバイス13(デバイス)、及び
処理部15(PU)
を備えている。
【0038】
処理部15は、図1に示されていない、画像取得デバイス13によって送信される信号を処理するための手段を有していることが好ましい。処理部15は、例えばマイクロプロセッサを有している。
【0039】
デバイス13及び処理部15は、リンク17によって連結されていることが好ましい。デバイス13及び処理部15は、例えば同一の回路に一体化されている。
【0040】
図2は、角度フィルタを有する画像取得デバイス19の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【0041】
図2に示されている画像取得デバイス19は、図2の向きで下から上に、
画像センサ21、及び
画像センサ21を覆う角度フィルタ23
を有している。
【0042】
本開示では、図2,4~6に示されている画像取得デバイスの実施形態が、直接直交XYZ座標系に従った空間に示されており、XYZ座標系のY軸は画像センサ21の上面に直交している。
【0043】
画像センサ21は、光検出器とも称される光子センサ25のアレイを有している。光検出器25は、好ましくはアレイ状に配置されている。光検出器25は、不図示の保護被覆体で覆われてもよい。光検出器25は、好ましくは全て同一の構造及び同一の特性/特徴を有している。言い換えれば、全ての光検出器25は製造上の差の範囲内で実質的に同一である。画像センサ21は、導電性トラックと、光検出器25の選択を可能にする不図示のスイッチング素子、特にトランジスタとを更に有している。
【0044】
光検出器25は有機材料で形成されていることが好ましい。光検出器25は、例えばCMOS(相補型金属酸化物半導体)基板又は薄膜トランジスタ(TFT) を有する基板上に一体化された有機フォトダイオード(OPD) である。基板は、例えばシリコン、好ましくは単結晶シリコンで形成されている。トランジスタ(TFT) のチャネル領域、ソース領域及びドレイン領域は、例えばアモルファスシリコン(a-Si)、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)又は低温多結晶シリコン(LTPS)で形成されている。
【0045】
画像センサ21のフォトダイオード25は、例えば有機半導体ポリマの混合物、例えばP3HTとして公知のポリ(3-ヘキシルチオフェン)又はポリ(3-ヘキシルチオフェン-2, 5-ジイル)とPCBMとして公知の[6,6] -フェニル-C61-酪酸メチルエステル(N型半導体)との混合物を含んでいる。
【0046】
画像センサ21のフォトダイオード25は、例えば低分子、すなわち、モル質量が500 g/mol より小さく、好ましくは200 g/mol より小さい分子を含んでいる。
【0047】
フォトダイオード25は、例えばアモルファスシリコン又は結晶シリコンに基づき形成された非有機フォトダイオードであってもよい。例として、フォトダイオード25は量子ドットを含んでいる。
【0048】
実施形態によれば、各光検出器25は可視光線及び/又は赤外線を検出するように適合されている。
【0049】
角度フィルタ23は、
例えば平凸のマイクロメートルサイズのマイクロレンズ29のアレイ27と、
可視域及び/又は赤外域で不透明な(例えば吸収性又は反射性を有する)壁35によって画定されている孔又は開口部33のアレイ31又は層と、
異なる屈折率を有する媒体を含んで入射角が第1の最大入射角より小さい放射光の光線のみを通過させる層41と
を有している。
【0050】
実施形態によれば、マイクロレンズ29のアレイ27は、基板又は支持体30上に形成されて基板又は支持体30と接しており、基板30はマイクロレンズ29とアレイ31との間に配置されている。
【0051】
基板30は、ここでは可視域及び/又は赤外域の対象とする波長を少なくとも吸収しない透明なポリマで形成されてもよい。このポリマは、特にポリ(エチレンテレフタレート)(PET) 、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、環状オレフィンポリマ(COP) 、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)であってもよい。基板30の厚さは、1μm~100 μmの範囲内であってもよく、好ましくは10μm~100 μmの範囲内であってもよい。基板30は、カラーフィルタ、偏光子、1/2波長板又は1/4波長板に相当してもよい。
【0052】
マイクロレンズ29は、シリカ、PMMA、ポジ型レジスト、PET 、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN) 、COP 、ポリジメチルシロキサン(PDMS)/シリコーン、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂で形成されてもよい。マイクロレンズ29は、レジストブロックのクリープによって形成されてもよい。マイクロレンズ29は更に、PET 、PEN 、COP 、PDMS/シリコーン、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂の層上に成型によって形成されてもよい。マイクロレンズ29は、焦点距離fが夫々1μm~100 μmの範囲内、好ましくは1μm~70μmの範囲内である集光レンズである。実施形態によれば、全てのマイクロレンズ29は実質的に同一である。
【0053】
この実施形態によれば、マイクロレンズ29及び基板30は、透明又は部分的に透明な材料で形成されていることが好ましく、すなわち、画像化対象の露光中に使用される波長に対応する波長領域に亘って、意図する分野、例えば画像化のために考慮されるスペクトルの一部で透明な材料で形成されていることが好ましい。
【0054】
マイクロレンズ29の平面は開口部33に対向している。
【0055】
壁35の厚さを「h」と称する。壁35は、例えば光検出器25によって検出される放射光を通さず、例えば、光検出器25によって検出される放射光を吸収及び/又は反射する。例として、壁35は、可視域及び/又は近赤外域及び/又は赤外域の放射光を吸収及び/又は反射する。壁35は、例えば、画像化(例えば生体測定及び指紋画像化)に使用される400 nm~600 nmの範囲内の波長を通さない。
【0056】
本明細書では、層31と基板30との間の界面に位置する層31の表面を層31の上面と称する。更に、上面と反対側に位置する層31の表面を層31の下面と称する。
【0057】
図2には、開口部33がYZ面に台形状の断面で示されている。一般に、各開口部33は正方形状、矩形状、又は漏斗状であってもよい。各開口部33は、平面視で(すなわちXZ面で)円形状、長円形状又は多角形状であってもよく、例えば三角形状、正方形状、矩形状又は台形状であってもよい。各開口部33は、平面視で好ましくは円形状である。XZ面における開口部33の特徴的な寸法が開口部33の幅によって定められている。例えば、XZ面に正方形状の断面を有する開口部33の場合、幅は側面の寸法に相当し、XZ面に円形状の断面を有する開口部33の場合、幅は開口部33の直径に相当する。図示されている例では、層31の上面のレベルの開口部33の幅は、層31の下面のレベルの開口部33の幅より大きい。更に、開口部33の対称軸芯と層31の下面との交点に位置する点を開口部33の中心と称する。例えば、円形の開口部33の場合、各開口部33の中心は開口部33の回転軸芯にある。
【0058】
実施形態によれば、開口部33は行及び列に配置されている。開口部33の大きさは全て実質的に同一であってもよい。基板又はマイクロレンズ29との界面における開口部33の幅を「w1」と称し、層37との界面における開口部33の幅を「w2」と称する。開口部33の繰返しピッチ、つまり、行又は列の2つの連続する開口部33の中心間のX軸又はZ軸に沿った距離を「P」と称する。
【0059】
各開口部33は1つのレンズ29に関連付けられていることが好ましい。マイクロレンズ29の光軸はアレイ31の開口部33の中心と整列していることが好ましい。マイクロレンズ29の直径は、開口部33の(光軸に垂直に測定された)最大幅より大きいことが好ましい。
【0060】
ピッチpは5μm~100 μmの範囲内であってもよく、例えば略15μmであってもよい。高さhは1μm~1mmの範囲内であってもよく、好ましくは12μm~20μmの範囲内であってもよい。幅w1は、好ましくは5μm~100 μmの範囲内であってもよく、例えば略10μmであってもよい。幅w2は、好ましくは1μm~100 μmの範囲内であってもよく、例えば略2μmであってもよい。
【0061】
図2に示されている実施形態によれば、各光検出器25は4つの開口部33に関連付けられている(各光検出器25は、例えばX軸に沿って2つの開口部33に関連付けられ、Z軸に沿って2つの開口部33に関連付けられている)。実際、角度フィルタ23の分解能は画像センサ21の分解能より4倍以上高くてもよい。言い換えれば、実際には、光検出器25の4倍以上、例えば8倍以上の開口部33があってもよい。
【0062】
マイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31が関連付けられている構造は、図2ではY軸と平行な、アレイ27のマイクロレンズ29の光軸に対する放射光の入射角に応じて入射放射光をフィルタ処理するように適合されている。マイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31が関連付けられている構造は、フィルタ23のマイクロレンズ29の光軸に対する夫々の入射角が、第1の最大入射角より小さい第2の最大入射角より大きい入射放射光の光線を少なくとも大部分、好ましくは全て遮断するように適合されている。この構造は、マイクロレンズ29の光軸に対する入射角が第1の最大入射角より小さい光線のみを通過させるように適合されている。例えば、この構造は、入射角が45°より小さく、好ましくは30°より小さく、より好ましくは10°より小さく、更により好ましくは4°より小さく、例えば3.5 °程度の入射光線のみを通過させる。
【0063】
開口部33は、例えば空気、部分真空、又は、可視域及び赤外域で少なくとも部分的に透明な材料で充填されている。開口部33の充填材料は、好ましくはアレイ31の下面に層37を形成して壁35を覆って、アレイ31の前記下面を平坦化する。
【0064】
マイクロレンズ29は、平坦化層39で覆われていることが好ましい。平坦化層39は、可視域及び赤外域で少なくとも部分的に透明な材料で形成されている。例として、平坦化層39の屈折率は、マイクロレンズ29を形成する材料の屈折率より小さい。
【0065】
図2に示されている実施形態によれば、層41はマイクロレンズ29のアレイ27の上側に配置されている。より正確には、層41は平坦化層39の上面に配置されている。
【0066】
層41は、Y軸に対する放射光の入射角に応じて入射放射光をフィルタ処理するように適合されている。層41は、入射角が第1の最大入射角より小さい光線のみを通過させるように適合されている。言い換えれば、層41は、層41の上面に達して入射角が第1の最大入射角より小さい光線のみを通過させるように適合されている。第1の最大入射角は15°より大きいことが好ましい。第1の最大入射角は好ましくは60°より小さく、好ましくは30°以下である。
【0067】
マイクロレンズ29のアレイ27及び開口部33のアレイ31を備えている構造により、入射角が第2の最大入射角より大きい全ての光線を遮断することが理論的に可能である。しかしながら、実際には、入射角が第2の最大入射角より大きい特定の光線がそれでもアレイ31を横切ってしまうことが観察され得る。これらの光線は、入射角が第2の最大入射角より大きくマイクロレンズ29に達して隣り合うマイクロレンズ29の下にある開口部33を通過する光線である。この現象は、光学的クロストーク又は寄生結合と称され、光検出器25の分解能又は得られた画像のコントラストを低下させる場合がある。層41は、入射角が第2の最大入射角より大きく光学的クロストークを生じさせ得る光線を遮断することを目的とする。
【0068】
図2に示されている実施形態によれば、層41は複数の連続するサブ層の積層体で形成されており、図2に例として4つの連続するサブ層411, 413, 415, 417が示されている。サブ層417 は、層39上に配置されて層39と接していることが好ましい。サブ層417 は層39全体を覆っていることが好ましい。サブ層415 はサブ層417 の上面を覆っている。サブ層415 はサブ層413 で覆われており、サブ層413 自体はサブ層411 で覆われている。サブ層411, 413, 415, 417は、例えば同一の厚さを有する。サブ層411, 413, 415, 417は異なる厚さを有することが好ましい。図2では、層41は4つのサブ層の積層体を有している。しかしながら、実際には、層41は4とは異なる数のサブ層の積層体で形成されてもよい。例として、サブ層の数は2であってもよい。
【0069】
図2に示されている実施形態によれば、2つの連続するサブ層の屈折率は、例えば少なくとも0.15、好ましくは少なくとも0.2 異なることが好ましい。好ましくは、2つの連続するサブ層の場合、下側のサブ層(すなわちセンサ21に最も近いサブ層)の屈折率は、上側のサブ層(すなわちセンサ21からより離れたサブ層)の屈折率より小さい。
【0070】
例として、サブ層411 の屈折率は、サブ層413 の屈折率より0.15、好ましくは0.2 大きい。更に例として、サブ層413 の屈折率はサブ層415 の屈折率より0.15、好ましくは0.2 大きい。更に例として、サブ層415 の屈折率はサブ層417 の屈折率より0.15、好ましくは0.2 大きい。
【0071】
図示されていない変形例によれば、多層構造を有する層41によりフィルタ処理する前述した機能は、層39を覆う1つの層を組み合わせることにより得られてもよい。そのため、この1つの層の屈折率は、層39の屈折率より少なくとも0.15、好ましくは少なくとも0.2 大きい。
【0072】
サブ層411, 413, 415, 417は異なる材料で形成されていることが好ましい。サブ層411, 413, 415, 417は、例えば、光線を逸らせるべくサブ層411 からサブ層417 に減少する屈折率を有して、異なる割合の同一の化合物で形成されてもよい。
【0073】
例として、層41は、窒化シリコン(Si3N4) 及び空気又はポリエチレンテレフタレート(PET) などのポリマに基づき交互に形成された複数のサブ層で形成されている。層41の厚さは例えば、10nm~10μmの範囲内であり、好ましくは50nm~1μmの範囲内である。
【0074】
層41は、対象とする用途の波長を通すことが好ましい。
【0075】
図2に示されている実施形態によれば、層41が、第1の最大入射角より大きい入射角を有する光線を反射することにより、フィルタ処理を行う。より正確には、層が変わる毎に、光線の伝搬媒体が変わる。そのため、光線は、2つの連続する層間の界面によって形成された光学的境界面と接して部分的に屈折し、部分的に反射する。層41の出力では、入射角が第1の最大入射角より大きい光線はほとんどない。言い換えれば、層41は、第1の最大入射角より大きい入射角を有する光線について最大の透過率を保証するように最適化されている。
【0076】
図2では、光線は層41の上面及びマイクロレンズ29に異なる入射角で到達する。画像取得デバイス19に入射する放射光は、
層41に対する入射角がゼロの(すなわち、層41の上面に垂直な)光線43、
層41に対する入射角αが0°より大きく、例えば略30°の第1の最大入射角以下の光線45であって、層41を横切った後、例えば略4°の第2の最大入射角より小さい入射角α21を有する光線45、
層41に対する入射角βが入射角αより大きく、例えば略30°の第1の最大入射角以下の光線47であって、層41を横切った後、例えば略4°の第2の最大入射角以上の入射角β22を有する光線47、及び
層41に対する入射角γが第1の最大入射角より大きい光線49
を含む。
【0077】
光線45, 47は、層41内に点線で示されており、点線は、層41から出るときにこれらの光線から生じる方向のみを示している。実際には、光線45, 47は、光線49に関して示されているように層41のサブ層が変わる度に屈折する。
【0078】
図2に示されている実施形態によれば、各光線43は層41及びマイクロレンズ29のアレイ27を横切って、マイクロレンズ29の1つから角度δ22で出て前記マイクロレンズ29の像焦点を通過する。実施形態によれば、各マイクロレンズ29の像焦点は、マイクロレンズ29が関連付けられている開口部33の中心で開口部33のアレイ31の下面に設けられている。層41もマイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31が関連付けられている構造も光線43を遮断しない。従って、各光線43は画像センサ21によって取り込まれて、より正確には光線43が横切るマイクロレンズ29の下にある光検出器25によって取り込まれる。
【0079】
図2に示されている実施形態によれば、各光線45は層41を横切って層41から角度α21で出る。層41は、入射角が、第1の最大入射角より小さい光線45を遮断しない。光線45は第2の最大入射角より小さい入射角でマイクロレンズ29に達するため、マイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31が関連付けられている構造は光線45を遮断しない。従って、各光線45は画像センサ21によって取り込まれて、より正確には光線45が横切るマイクロレンズ29の下にある光検出器25によって取り込まれる。
【0080】
図2に示されている実施形態によれば、各光線47は層41を横切って層41から角度β22で出る。層41は、入射角が第1の最大入射角より小さい光線47を遮断しない。光線47は第2の最大入射角以上の入射角でマイクロレンズ29に達するため、マイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31が関連付けられている構造は光線47を遮断する。このため、光線47は画像センサ21によって取り込まれない。
【0081】
図2に示されている実施形態によれば、入射角が第1の最大入射角より大きい全ての光線49は、層41のサブ層の積層体によって反射する。図2に示されている例では、光線49は、第1の最大入射角より大きい入射角で層41の上面、より正確にはサブ層411 の上面に達する。サブ層411 の上面と接して、光線49の一部49' が反射して、光線49の他の部分491 は角度γ211 でサブ層411 に入る。光線491 はサブ層413 の上面に達する。サブ層413 の上面と接して、光線491 の一部491'が反射して、光線491 の他の部分493 は、好ましくは角度γ211 より大きい角度γ213 でサブ層413 に入る。この現象は、層41が有するサブ層の数だけ繰り返される。図2では、光線493 は反射部分493' 及び屈折部分495 に分割されている(光線495 は光線213 に対して角度γ215 を有する)。光線495 は反射部分495' 及び屈折部分497 に分割されている(光線497 は光線215 に対して角度γ217 を有する)。最終的に、光線497 は層39と接して大部分が反射する(光線497')。実際には、光線497 は全て反射するわけではなく、光線497 の残りは層41の出力で層39に伝搬する。光線497 の残りは層39によって逸れて、第1の入射角よりはるかに大きい入射角でマイクロレンズ29の表面に達するので、マイクロレンズ29及びアレイ31が関連付けられている構造によって遮断される。従って、光線49は光検出器25に達しない。
【0082】
そのため、角度フィルタ23の出力で、画像センサ21は光線43及び光線45のみを取り込む。
【0083】
図2の実施形態では、不透明な層が層41の上側に延びていない。このため、角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化することができる。更に、この例では、層41は、ここでも角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化し得る透明な材料のみを含んでいる。
【0084】
図3は、角度フィルタ23に達する光線の入射角に応じた図2に示されている画像取得デバイスの角度フィルタ23の透過率を示す図表である。
【0085】
より具体的には、図3は、光線の入射角(角度(°))に応じた角度フィルタ23の様々な部分における前記光線の正規化された透過率を夫々表す3つの曲線70、曲線71及び曲線73を示す。
【0086】
図3に示されている図表は、
マイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31が関連付けられている構造を横切る光線の透過率に対応する曲線70、
層41を横切る光線の透過率に対応する曲線71、並びに
図2に示されているような角度フィルタ23を完全に横切る光線の透過率に対応する曲線73
を含む。
【0087】
実際には、マイクロレンズ29のアレイがアレイ31及び層41と夫々関連付けられている構造は、入射角が第2の最大入射角及び第1の最大入射角より夫々大きい光線を完全には遮断し得ない。遮断値、つまり第2の最大入射角の値及び第1の最大入射角の値は、透過率の半値半幅、つまり曲線70及び曲線71の半値半幅とする。言い換えれば、入射角がこの値に等しい光線は50%で遮断され、入射角がこの値より大きい光線の大部分は遮断されず、入射角がこの値より小さい光線の大部分は、マイクロレンズのアレイがアレイ31及び層41と夫々関連付けられている構造によって遮断される。
【0088】
前述した大きさでは、曲線70の半値半幅、つまりマイクロレンズ29のアレイ27及びアレイ31によって形成された集合体の透過率の半値半幅(HWHM: Half Width Half Maximum)は略3.5 °であり、曲線71の半値半幅、つまり層41の透過率の半値半幅は略20°である。
【0089】
第1の曲線70は、略25°及び略-25°の入射角に二次ピークと称される2つの第2のピークを有している。入射角が略25°である光線の透過率は略0.05である。これらの二次ピークは、入射角が略20°~略40°の範囲内の光線がマイクロレンズ29のアレイ及びアレイ31を通過して、この光線が横切るマイクロレンズ29又は開口部33の下にある光検出器25に隣り合う光検出器25によって取り込まれることを意味する。
【0090】
第2の曲線71は、入射角が-20°~20°の範囲内の光線を通過させる帯域通過フィルタに特有である。
【0091】
数学的には、曲線73の値は、同一の所与の入射角に関する曲線70の値及び曲線71の値の乗算結果に相当する。第3の曲線73は、第1の曲線70と比較して二次ピークを有しない。そのため、20°を超える光線の透過率は0に近づく。
【0092】
図4は、画像取得デバイス51の別の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【0093】
より具体的には、図4は、層41が干渉帯域通過フィルタである点、つまり、所与の波長領域の波長を有する放射光のみを通過させるフィルタである点を除いて、図2に示されている画像取得デバイス19と同様の画像取得デバイス51を示す。
【0094】
本発明者らは、干渉フィルタがその角度公差のために角度フィルタとして更に機能することを実際に観察している。言い換えれば、遮断波長領域は入射角に応じて決められる。実際、干渉フィルタは、入射角毎に異なる波長領域を遮断する。
【0095】
例えば、入射角が角度θ1 より大きい場合、波長λ1 を有する光線53は遮断(反射及び/又は吸収)される一方、入射角が角度θ1 とは異なる角度θ2 より大きい場合、波長λ2 を有する光線55は遮断(反射及び/又は吸収)される。
【0096】
実施形態によれば、層41は、様々な屈折率を有する複数の層の積層体によって形成されている。例として、層41は、第1の屈折率を有する第1の材料の第1の層及び第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の材料の第2の層が交互に形成されている構造を有する。例として、層41は、フッ化マグネシウムで形成された層及びアルミナで形成された層が交互に形成されている構造、又は五酸化タンタルで形成された層及び二酸化珪素で形成された層が交互に形成されている構造を有する。変形例として、層41は、フッ化マグネシウム、五酸化タンタル、二酸化珪素、五酸化三チタン、二酸化ハフニウムから選択された一又は複数の材料で形成された層が交互に形成されている構造を有する。層41は、金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム、又は、これらの誘導体の一若しくは複数で形成された層が交互に形成されている構造を更に有してもよい。
【0097】
変形例として、図4に示されている層41は、マイクロレンズアレイ29のアレイとアレイ31との間、又はアレイ31と画像センサ21との間に配置されてもよい。
【0098】
図4の実施形態では、不透明な層が層41の上側に延びていない。このため、角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化することができる。更に、この例では、層41は、ここでも角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化することができる(透明な材料で形成されるか又は透明であるように十分薄い)透明な層のみを有する。
【0099】
図5は、画像取得デバイス57の別の実施形態を示す。
【0100】
より具体的には、図5は、層41がファイバオプティックプレート(FOP) である点を除いて、図2に示されている画像取得デバイス19と同様の画像取得デバイス57を示す。
【0101】
層41は、互いに隣り合ってY軸に実質的に平行に配置された複数の光ファイバの集合体に相当する。
【0102】
図5に示されている実施形態によれば、各光ファイバはシース62で囲まれたコア61を有している。コアは、第1の屈折率を有する第1の材料で形成されており、シースは、第2の屈折率を有する第2の材料で形成されており、第1の材料及び第2の材料は入射放射光を通し、第1の屈折率は第2の屈折率より大きい。
【0103】
例として、図5に示されているように、光ファイバ間の空間には、好ましくは対象とする放射光を吸収する黒色樹脂63が充填されている。言い換えれば、層41は、光ファイバ間の孔を充填するために使用される黒色樹脂63を含んでいる。
【0104】
光ファイバの角度選択は、光ファイバのコア61とシース62との屈折率の差によるものである。従って、光ファイバは、コア61の屈折率及びシース62の屈折率に応じて決められる開口数を有する。光ファイバの開口数は、以下の式によって計算される。
[数式1]
ON=√{(コア61の屈折率)-(シース62の屈折率)}
【0105】
最大入射角は特に、光ファイバの特性及び層41の厚さに応じて決められる。
【0106】
例として、各光ファイバは、実質的に円形の基部を有する筒形状である。光ファイバの外径は、例えば6μm~25μmの範囲内である。
【0107】
図5に示されている実施形態によれば、層41はマイクロレンズ29のアレイ27の上面に配置されており、例えば接着剤によって接合されている。しかしながら、層41は、変形例としてマイクロレンズアレイ29とアレイ31との間、又はアレイ31と画像センサ21との間に配置されてもよい。
【0108】
図5の実施形態では、不透明な層が層41の上側に延びていない。このため、角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化することができる。
【0109】
図6は、画像取得デバイス65の別の実施形態を示す。
【0110】
より具体的には、図6は、層41がマイクロレンズ29のアレイとアレイ31との間に配置されている構造化された層である点を除いて、図2に示されている画像取得デバイス19と同様の画像取得デバイス65を示す。
【0111】
層41は、好ましくはフォトニック結晶などの構造化された層に相当し、つまり、層41は、Y軸に沿って延びてアレイ状に配置された柱状体67が横切って第1の屈折率を有する第1の材料で形成された層である。柱状体67は、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の材料で形成されており、第1の材料及び第2の材料は入射放射光を通す。
【0112】
柱状体67は、図6では、円形、楕円形、正方形、矩形、平行四辺形、多角形などに対応する基部を有する実質的な筒形状である。変形例として、柱状体67は円錐形、円錐台形、角錐形又は角錐台形の形状を実質的に有する。柱状体67は、変形例としてあらゆる形状を有してもよい。
【0113】
フォトニック結晶の特性、特に柱状体67の大きさ及び柱状体67のアレイ状の配置は、層41と、マイクロレンズのアレイ27及び開口部33のアレイ31が関連付けられている構造との組み合わせにより、入射角が第1の最大入射角より大きい入射光線を完全に遮断することができるように選択されている。入射角が第1の最大入射角より大きい入射光線を完全に遮断することにより、光学的クロストークを減少させるか又は抑制することができる。
【0114】
図6の実施形態では、不透明な層が層41の上側に延びていない。このため、角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化することができる。更に、この例では、層41は、ここでも角度フィルタによる光収集の有効表面積を最大化することができる透明な材料のみを含んでいる。
【0115】
様々な実施形態及び変形例が説明されている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例のある特徴が組み合わされてもよいと理解し、他の変形例が当業者に想起される。記載されている実施形態は、例えば上述した大きさ及び材料の例に限定されない。
【0116】
最後に、記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上述されている機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0117】
本出願は、法律で認められているように参照によって本明細書に組み込まれる「Filtre angulaire optique」という題名で2020年12月14日に出願された仏国特許出願第2013151 号に基づいており、仏国特許出願第2013151 号の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】