(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】軟骨形成不全症の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20231226BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20231226BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231226BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P19/08
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/36
A61K47/42
A61K9/20
A61K47/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536825
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 US2021064033
(87)【国際公開番号】W WO2022133212
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521518068
【氏名又は名称】キューイーディー セラピューティクス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QED THERAPEUTICS,INC.
【住所又は居所原語表記】75 Federal Street,San Francisco,CA 94107,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】パニクッチ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】アランジョ,スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ダブコウスキ,カール
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロゴフ,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】モンティス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リーファ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC09
4C076DD28B
4C076DD38
4C076DD41
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4C076EE16
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4C076EE31B
4C076EE32
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4C076EE45
4C076EE45B
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA96
(57)【要約】
軟骨形成不全症又は軟骨低形成症を治療する方法であって、それを必要とする小児患者に、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を、1kgあたり約0.01mg/kgから約0.51mg/kgで毎日経口投与することを含む方法、及び1mgのインフィグラチニブ及び薬学的に許容される賦形剤を含むミニ錠剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨形成不全症又は軟骨低形成症を治療する方法であって、それを必要とする小児患者に、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を、1kgあたり約0.01mg/kgから約0.51mg/kgで毎日経口投与することを含む方法。
【請求項2】
約0.01mg/kgから約0.3mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
約0.01mg/kgから約0.15mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
約0.015mg/kgから約0.13mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
約0.016mg/kg、約0.032mg/kg、約0.064mg/kg、約0.128mg/kg、約0.256mg/kg又は約0.51mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
軟骨形成不全症又は軟骨低形成症に罹患している小児患者を治療する方法であって、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を毎日約0.1mgから約8mg経口投与することを含む方法。
【請求項7】
小児患者に約1mgから約7mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
小児患者がFGFR3突然変異を有する請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
FGFR3突然変異がG380R突然変異である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩が、0.1mg又は約1mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩をそれぞれ有するミニ錠剤として投与される請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
インフィグラチニブがインフィグラチニブ一リン酸塩としてミニ錠剤中に存在する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
インフィグラチニブ一リン酸塩が無水結晶形態として存在する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
インフィグラチニブ一リン酸塩の無水結晶形態が、15.0°±0.2°のXRPDピーク(2θ)を特徴とする請求項12に記載のミニ錠剤。
【請求項14】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者がベースラインに対して身長の伸びる速度の増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が絶対身長速度の増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される人体測定値において、ベースラインに対する増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される人体測定値の絶対的増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者がベースラインに対して体重の減少を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が体重の絶対的減少を示す、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、ベースラインに対して、頭囲の比例的な増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が頭囲の絶対的な比例的増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、ベースラインに対して、体比測定比の正常化を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が体比測定比の絶対的正常化を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記体比測定比が、上半身と下半身の身体部分比率、上腕と前腕の比率、上脚と下腿の長さの比率、腕のスパンと立位身長の比率、頭囲と立位身長の比率及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、X型コラーゲン分解断片、コラーゲンXマーカー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される骨代謝のバイオマーカーにおいて、ベースラインに対する増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、ベースラインと比較して、運動能力の増加を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が中耳炎のエピソード数のベースラインに対する減少を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者が、睡眠時無呼吸症候群のエピソード数及び/又は重症度のベースラインに対する減少を示す請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者がQOLの増加を示し、ここでQOLはPediatric Quality of Life Inventoryを用いて評価される請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
小児患者が12歳以下である請求項1から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
小児患者が3から11歳である請求項1から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
小児患者が8歳未満である請求項1から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
小児患者が8歳以上である請求項1から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
1mgのインフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤であって、
1mgのインフィグラチニブを投与する量のインフィグラチニブ一リン酸塩及び薬学的に許容される賦形剤を含むミニ錠剤。
【請求項35】
0.1mgのインフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤であって、
0.1mgのインフィグラチニブを投与する量のインフィグラチニブ一リン酸塩及び
薬学的に許容される賦形剤を含むミニ錠剤。
【請求項36】
薬学的に許容される賦形剤が、マンニトール、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項34又は35に記載のミニ錠剤。
【請求項37】
経口投与用のミニ錠剤であって、
約1%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩及び
約30%w/wから約95%w/wの充填剤を含むミニ錠剤。
【請求項38】
充填剤が、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項37に記載のミニ錠剤。
【請求項39】
充填剤が、微結晶セルロース及びマンニトールからなる請求項37又は38に記載のミニ錠剤。
【請求項40】
約5%w/wから約10%w/wの結合剤をさらに含む請求項37から39のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項41】
結合剤が、糖、ゼラチン、天然ガム、ソルビトール、マルトデキストリン、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロース誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項40に記載のミニ錠剤。
【請求項42】
約5%w/wから約10%w/wの崩壊剤をさらに含む請求項37から41のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項43】
崩壊剤が、デンプン、デンプン誘導体、クレイ、架橋セルロース、架橋セルロース誘導体、架橋ポリビニルピロリドン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項40に記載のミニ錠剤。
【請求項44】
経口投与用のミニ錠剤であって、
約1%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、
約30%w/wから約60%w/wのマンニトール及び
約30%w/wから約45%w/wの微結晶セルロースを含むミニ錠剤。
【請求項45】
約10%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む請求項44に記載のミニ錠剤。
【請求項46】
インフィグラチニブ一リン酸塩を約1%w/wから約5%w/w含有する請求項44に記載のミニ錠剤。
【請求項47】
約30%w/wから約45%w/wのマンニトールを含む請求項44に記載のミニ錠剤。
【請求項48】
約45%w/wから約60%w/wのマンニトールを含む請求項44に記載のミニ錠剤。
【請求項49】
約35%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含む請求項44から48のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項50】
経口投与用のミニ錠剤であって、
約10%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、
約30%w/wから約45%w/wのマンニトール及び
約30%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含むミニ錠剤。
【請求項51】
経口投与用のミニ錠剤であって、
約1%w/wから約5%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、
約45%w/wから約60%w/wのマンニトール及び
約30%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含むミニ錠剤。
【請求項52】
約5%w/wから約10%w/wのポリビニルピロリドンをさらに含む請求項50又は51に記載のミニ錠剤。
【請求項53】
約5%w/wから約10%w/wの架橋ポリビニルピロリドンをさらに含む請求項50から52のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項54】
約2%w/wから約6%w/wのクロスカルメロースナトリウムをさらに含む請求項50から53のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項55】
経口投与用のミニ錠剤であって、
約1.2mgのインフィグラチニブ一リン酸塩、
約3mgから約4mgのマンニトール及び
約2mgから約4.4mgの微結晶セルロースを含むミニ錠剤。
【請求項56】
約0.6mgから約0.8mgのポリビニルピロリドンをさらに含む請求項55に記載のミニ錠剤。
【請求項57】
約0.5mgから約0.7mgの架橋ポリビニルピロリドンをさらに含む請求項55に記載のミニ錠剤。
【請求項58】
経口投与用のミニ錠剤であって、
約0.12mgのインフィグラチニブ一リン酸塩、
約3mgから約4mgのマンニトール及び
約2mgから約3mgの微結晶セルロースを含むミニ錠剤。
【請求項59】
約0.4mgから約0.6mgのポリビニルピロリドンをさらに含む請求項58に記載のミニ錠剤。
【請求項60】
約0.3mgから約0.5mgの架橋ポリビニルピロリドンをさらに含む請求項58又は59に記載のミニ錠剤。
【請求項61】
約0.2mgから約0.4mgのクロスカルメロースナトリウムをさらに含む請求項55から60のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項62】
インフィグラチニブ一リン酸塩が無水結晶形態として存在する請求項34から61のいずれか1項に記載のミニ錠剤。
【請求項63】
インフィグラチニブ一リン酸塩の無水結晶形態が、15.0°±0.2°のXRPDピーク(2θ)を特徴とする請求項62に記載のミニ錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月18日に出願された米国特許出願第63/127,576号の利益及び優先権を主張するものであり、それぞれの内容全体が本明細書の一部を構成するものとして参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
骨格形成異常は、骨の発育、軟骨の成長及び神経機能に影響を及ぼす可能性がある。軟骨形成不全症(ACH)及び軟骨低形成症(HCH)を含むある種の骨格形成異常は小人症の一形態である。軟骨形成不全症(ACH)は最も一般的な非致死性の骨格形成異常であり、15,000人から30,000人に1人の割合で発症する(Horton WA, Hall JG, Hecht JT., Achondroplasia. Lancet, 2007, 370, 162-72; Waller DK, Correa A, Vo TM, Wang Y, Hobbs C, Langlois PH, et al. Am. J. Med. Genet. A., 2008, 146A(18), 2385-2389)。ACH患者は低身長で、平均身長は約4フィート(~125cm)であり、睡眠時無呼吸症候群、伝音性難聴を伴う慢性中耳炎、脊柱管狭窄症、肥満、場合によっては緊急の外科的介入を必要とする大後頭孔の狭窄などの重大な合併症を伴いやすい。HCHはACHと類似しており、身体的徴候があまり顕著でないことが特徴であるが、HCH患者は軽度から中等度の知的障害や学習障害など、より大きな神経学的問題の影響を受けることもある。
【0003】
ACHは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)3遺伝子の機能獲得変異に起因する、軟骨内骨化不全を特徴とする。これらの変異は、99%がG380R変異であり(Bellus GA, Hefferon TW, Ortiz de Luna RI, Hecht JT, Horton WA, Machado M, et al., Am. J. Hu. Genet., 56, 368-373, 1995)、受容体を構造的に活性な状態にし、成長板における軟骨細胞の増殖と分化とを破壊し、それによって線状骨の成長を阻害する(Unger S,Bonafe L,Gouze D.,Curr.Osteoporos.Rep.,2017,15,53-60)。ACHの主要な表現型は、根症(近位四肢の短縮)を伴う不釣り合いな低身長である。
【0004】
症例の約80%はde novo変異に起因する(Ornitz DM, Legeai-Mallet L., Dev. Dyn., 2017, 246, 291-309)。診断は通常出生時に行われるが、出生前超音波検査で疑われることもある。
【0005】
北米、ヨーロッパ、オーストラリアでは、ACH又はHCHに対して承認された治療介入はなく、治療に関して広く受け入れられたコンセンサスもない(Unger)。現在の治療選択肢は、ACHの合併症を予防又は治療することを目的とした非標的的、非効果的又は痛みを伴う介入である(FDA Background Document。小児科諮問委員会と内分泌代謝薬諮問委員会の合同会議。2018年5月11日。入手先:https://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/; Unger)。
【0006】
遺伝子組換えヒト成長ホルモン(r-hGH)による治療後、明確な成長効果は示されていない。成長速度の増加が認められたが(5年間で身長が標準偏差-5.0から-4.0に増加)、長期治療に対する明確な利益は確立されていない(Miccoli M, Bertelloni S, Massart F., Horm. Res. Paediatr., 2016, 86, 27-34)。一般に、ACHに対する推奨される治療選択肢ではない(Horton;FDA)。
【0007】
四肢長延長術は、15から30cmの追加身長(~20%増加した骨セグメントの長さ)を提供することができるが、処置は痛みを伴い、しばしば再手術を必要とし、合併症率が高い(Horton)。さらに、成長板の成長速度は、これらの手技によって妨げられる可能性があり、長い脚と短い腕という美容的効果は、患者によっては適さないかもしれない(FDA)。現在、四肢長延長術を考慮する臨床医は、一般的に心理学的評価を必要とし、処置に同意できる年齢の子供であることを要求している(Wright MJ, Irving MD., Arch. Dis. Child., 2012, 97(2), 129-134)。
【0008】
従って、軟骨形成不全症及び軟骨低形成症などの骨格形成異常を有する小児を治療するための新規の治療戦略を開発する必要性が依然として満たされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、FGFR阻害剤、すなわちインフィグラチニブを使用して骨格形成異常を治療する方法を提供する。
【0010】
一態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする小児患者において、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常を治療する方法であり、該方法は、一般に、約0.01mg/kgから約0.51mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に毎日経口投与することを含む。
【0011】
特定の実施形態において、本方法は、約0.01mg/kgから約0.3mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。特定の実施形態において、本方法は、約0.01mg/kgから約0.15mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。特定の実施形態において、本方法は、約0.015mg/kgから約0.13mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。特定の実施形態において、本方法は、約0.016mg/kg、約0.032mg/kg、約0.064mg/kg、約0.128mg/kg、約0.256mg/kg又は約0.51mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。
【0012】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常に罹患している小児患者を治療する方法であり、該方法は、一般に、約0.1mgから約8mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を患者に毎日経口投与することを含む。
【0013】
特定の実施形態において、本方法は、約1mgから約7mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。
【0014】
特定の実施形態において、小児患者は、FGFR3突然変異を有する。特定の実施形態において、FGFR3変異は、G380R変異である。
【0015】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、各々が約0.1mg又は約1mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を有するミニ錠剤として投与される。
【0016】
特定の実施形態において、インフィグラチニブは、インフィグラチニブ一リン酸塩としてミニ錠剤中に存在する。特定の実施形態において、インフィグラチニブ一リン酸塩は、無水結晶形態として存在する。特定の実施形態において、インフィグラチニブ一リン酸塩の無水結晶形態は、15.0°±0.2°のXRPDピーク(2θ)によって特徴付けられる。
【0017】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインに対する身長速度の増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、絶対身長速度の増加を示す。
【0018】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される人体測定値において、ベースラインに対する増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される身体測定値の絶対的増加を示す。
【0019】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、体重の減少を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、体重の絶対的減少を示す。
【0020】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、頭囲の比例的増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、頭囲の絶対的な比例的増加を示す。
【0021】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、体比測定比の正常化を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、体比測定比の絶対的な正常化を示す。特定の実施形態において、体比測定比は、上半身対下半身の身体部分比率、上腕対前腕の比率、上脚対下腿の長さの比率、腕のスパン対立位身長の比率、頭囲対立位身長の比率及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、X型コラーゲン分解断片、コラーゲンXマーカー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される骨代謝のバイオマーカーにおいて、ベースラインに対する増加を示す。
【0023】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、運動能力の増加を示す。
【0024】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、中耳炎のエピソード数の減少を示す。
【0025】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、睡眠時無呼吸症候群のエピソード数及び/又は重症度において、ベースラインと比較して減少を示す。
【0026】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、QOLの増加を示し、ここで、QOLは、Pediatric Quality of Life Inventoryを用いて評価される。
【0027】
特定の実施形態において、小児患者は12歳以下である。特定の実施形態において、小児患者は3から11歳である。特定の実施形態において、小児患者は8歳未満である。特定の実施形態において、小児患者は8歳以上である。
【0028】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、約1mgのインフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、一般に、約1mgのインフィグラチニブを投与する量のインフィグラチニブ一リン酸塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0029】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、約0.1mgのインフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、一般に、約0.1mgのインフィグラチニブを投与する量のインフィグラチニブ一リン酸塩及び薬学的に許容される賦形剤からなる。
【0030】
特定の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、マンニトール、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
別の態様において、本明細書で提供されるのは経口投与用のミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、約1%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩及び約30%w/wから約95%w/wの充填剤を含む。
【0032】
特定の実施形態において、充填剤は、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、充填剤は、微結晶セルロース及びマンニトールを含む。
【0033】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約5%w/wから約10%w/wの結合剤をさらに含む。特定の実施形態において、結合剤は、糖、ゼラチン、天然ガム、ソルビトール、マルトデキストリン、アルギン酸塩、アルギン酸塩誘導体、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロース誘導体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約5%w/wから約10%w/wの崩壊剤をさらに含む。特定の実施形態において、崩壊剤は、デンプン、デンプン誘導体、クレイ、架橋セルロース、架橋セルロース誘導体、架橋ポリビニルピロリドン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0035】
別の態様において、本明細書において提供されるのは経口投与のためのミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、約1%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、約30%w/wから約60%w/wのマンニトール及び約30%w/wから約45%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0036】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約10%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約1%w/wから約5%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む。
【0037】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/wから約45%w/wのマンニトールを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約45%w/wから約60%w/wのマンニトールを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約35%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0038】
別の態様において、本明細書において提供されるのは経口投与用のミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、約10%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、約30%w/wから約45%w/wのマンニトール及び約30%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0039】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、経口投与用のミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、約1%w/wから約5%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、約45%w/wから約60%w/wのマンニトール及び約30%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0040】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約5%w/wから約10%w/wのポリビニルピロリドンをさらに含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約5%w/wから約10%w/wの架橋ポリビニルピロリドンをさらに含む。特定の実施形態において、約2%w/wから約6%w/wのクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0041】
別の態様において、本明細書において提供されるのは、経口投与用のミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、約1.2mgのインフィグラチニブ一リン酸塩、約3mgから約4mgのマンニトール及び約2mgから約4.4mgの微結晶セルロースを含む。
【0042】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約0.6mgから約0.8mgのポリビニルピロリドンをさらに含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約0.5mgから約0.7mgの架橋ポリビニルピロリドンをさらに含む。
【0043】
別の態様において、本明細書において提供されるのは経口投与用のミニ錠剤であり、該ミニ錠剤は、約0.12mgのインフィグラチニブ一リン酸塩、約3mgから約4mgのマンニトール及び約2mgから約3mgの微結晶セルロースを含む。
【0044】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約0.4mgから約0.6mgのポリビニルピロリドンをさらに含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約0.3mgから約0.5mgの架橋ポリビニルピロリドンをさらに含む。特定の実施形態において、約0.2mgから約0.4mgのクロスカルメロースナトリウムを含む。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本明細書において一般的に記載されるように、本開示は、それを必要とする小児患者において、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常を治療する方法を提供する。本方法は、一般に、小児患者に有効量のインフィグラチニブ(例えば、1kgあたり0.01ミリグラム(mg/kg)から約0.51mg/kg)を投与することを含む。さらに、有効量のインフィグラチニブを小児患者に投与するためのミニ錠剤が提供され、例えば、ミニ錠剤は、インフィグラチニブ一リン酸塩及び1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤(例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤)を含む。
【0046】
定義
本発明の理解を容易にするために、多数の用語及び語句を以下に定義する。
【0047】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される略語は、化学及び生物学的技術分野における従来の意味を有する。本明細書に記載される化学構造及び式は、化学技術分野で公知の化学価数の標準規則に従って構築される。
【0048】
本明細書を通じて、組成物及びキットが特定の成分を有する、含む又は構成されると記載される場合又は工程及び方法が特定の工程を有する、含む又は構成されると記載される場合、さらに、本質的に引用された成分からなる又は構成される本発明の組成物及びキットが存在すること及び本質的に引用された処理工程からなる又は構成される本発明による工程及び方法が存在することが企図される。
【0049】
本出願において、ある要素又は成分が、引用された要素又は成分のリストに含まれ及び/又はそこから選択されると言われる場合、その要素又は成分は、引用された要素又は成分のうちの任意の1つであり得るか、又はその要素又は成分は、引用された要素又は成分のうちの2つ以上からなる群から選択され得ることが理解されるべきである。
【0050】
さらに、本明細書に記載される組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示的であるか暗黙的であるかにかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることができることが理解されるべきである。例えば、特定の化合物について言及する場合、その化合物は、文脈から特に理解されない限り、本発明の組成物の様々な実施形態において、及び/又は本発明の方法において使用することができる。言い換えれば、本出願内において、実施形態は、明確かつ簡潔な本出願が書かれ、描かれることを可能にする方法で記載され、描かれてきたが、実施形態は、本教示及び発明(複数可)から離れることなく、様々に組み合わされ又は分離され得ることが意図され、理解されるであろう。例えば、本明細書に記載され、描かれた全ての特徴は、本明細書に記載され、描かれた本発明の全ての態様に適用可能であることが理解されるであろう。
【0051】
冠詞「a」及び「an」は、文脈が不適切でない限り、冠詞の文法的対象の1つ又は1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本開示で使用される。例として、「ある要素」は、1つの要素又は1つ以上の要素を意味する。
【0052】
本開示において、「及び/又は」という用語は、別段の指示がない限り、「及び」又は「又は」のいずれかを意味するものとして使用される。
【0053】
「少なくとも1つの」という表現は、文脈及び使用から別段理解されない限り、表現後に記載された対象の各々、及び記載された対象の2つ以上の様々な組合せを個別に含むことを理解されたい。また、3つ以上の引用対象に関連する「及び/又は」という表現は、文脈から別段理解されない限り、同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0054】
「含むinclude」、「含むincludes」、「含むincluding」、「有するhave」、「有するhas」、「有するhaving」、「含むcontain」、「含むcontains」又は「含むcontaining」という用語の使用は、その文法的等価物を含め、特に明記されていないか又は文脈から理解されない限り、例えば、追加の未反復要素又はステップを除外しない、オープンエンドかつ非限定的なものとして一般的に理解されるべきである。
【0055】
「約」という用語の使用が定量値の前である場合、特に別段の記載がない限り、本発明は特定の定量値自体も含む。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、文脈から特に指示又は推論されない限り、公称値から±10%の変動を指す。
【0056】
本明細書の様々な箇所で、変数又はパラメーターがグループ又は範囲で開示されている。本明細書では、このようなグループや範囲のメンバーの個々のサブコンビネーションが含まれることを特に意図している。例えば、0から40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39及び40を個別に開示することを特に意図しており、1から20の範囲の整数は、特に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20を個別に開示することを意図している。
【0057】
本明細書におけるあらゆる例又は例示的な表現、例えば「~のような」又は「~を含む」の使用は、単に本発明をより良く説明することを意図したものであり、請求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる文言も、請求されていない要素が本発明の実施に必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0058】
一般的な事柄として、パーセンテージを指定する組成物は、他に指定がない限り重量によるものである。さらに、変数が定義を伴わない場合、変数の前の定義が支配的である。
【0059】
本明細書において、「医薬組成物」又は「医薬製剤」とは、活性剤と賦形剤、不活性剤又は活性剤との組合せをいい、組成物又は製剤をインビボ又はエクスビボでの診断用又は治療用の使用に特に適したものとする。
【0060】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府もしくは州政府の規制機関又は米国以外の国の対応する機関によって承認もしくは承認可能であるか又は動物、より詳細にはヒトでの使用について米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されているものをいう。
【0061】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物(例えば、インフィグラチニブ)中に存在し得る酸性基又は塩基性基の任意の塩を指し、その塩は薬学的投与に適合する。
【0062】
当業者に知られているように、化合物の「塩」は、無機又は有機の酸及び塩基から誘導され得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。シュウ酸のような他の酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本明細書に記載の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得るための中間体として有用な塩の調製に使用することができる。
【0063】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム及びカルシウム)水酸化物、アンモニア及び式NW4
+の化合物(式中、WはC1~4アルキルである)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩などが挙げられる。塩の他の例としては、Na+、K+、Ca2+、NH4
+、NW4
+(ここで、WはC1~4アルキル基であり得る)などの適切なカチオンと化合した本発明の化合物のアニオンが挙げられる。
【0065】
治療的使用のためには、本発明の化合物の塩は薬学的に許容される。しかし、薬学的に許容されない酸及び塩基の塩も、例えば、薬学的に許容される化合物の調製又は精製において使用を見出すことができる。
【0066】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」とは、対象への活性剤の投与及び/又は対象による吸収を補助する物質であって、患者に重大な毒性学的副作用を引き起こすことなく本発明の組成物に含まれ得る物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、リン酸緩衝生理食塩水のような通常の生理食塩水、エマルション(例えば、油/水又は水/油エマルションなど)、乳酸化リンゲル、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味剤、香料、塩溶液(リンゲル液など)、アルコール、油、ゼラチン、乳糖、アミロース又はデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色料などが挙げられる。このような製剤は滅菌することができ、所望により、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色剤、及び/又は芳香物質などのような、本発明の化合物と劇的に反応しない補助剤と混合することができる。賦形剤の例については、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA (1975)を参照のこと。
【0067】
用語「AUC」は、医薬組成物投与後の時間/血漿濃度曲線下面積を指す。AUC0-infinityは、時間0から無限大までの血漿濃度対時間曲線下面積を表し、AUC0-tは、時間0から時間tまでの血漿濃度対時間曲線下面積を表す。AUC値は、当該分野で知られた方法によって測定することができる。
【0068】
投与が企図される「被験体」には、ヒト(すなわち、任意の年齢層の男性又は女性、例えば、小児被験体(例えば、乳児、小児、思春期)又は成人被験体(例えば、若年成人、中年成人又は高齢成人))及び/又は非ヒト動物、例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコ及び/又はイヌなどの哺乳動物である。特定の実施形態において、被験体はヒトである。特定の実施形態において、被験体は非ヒト動物である。用語「被験体」及び「患者」は、本明細書において互換的に使用される。
【0069】
「Cmax」という用語は、医薬組成物の投与後の血液(例えば、血漿)中の治療薬(例えば、インフィグラチニブ)の最大濃度を指す。
【0070】
「tmax」という用語は、治療薬(例えば、インフィグラチニブ)を含む医薬組成物の投与後にCmaxが達成される時間(単位:時間)をいう。
【0071】
本明細書で使用される場合、「固形剤形」とは、固形形態の医薬用量を意味し、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、小袋剤、再構成可能な粉末剤、乾燥粉末吸入剤及びチュアブル剤などが挙げられる。
【0072】
本明細書において「投与する」とは、経口投与、坐薬としての投与、局所接触、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、筋肉内投与、関節内投与、髄腔内投与、頭蓋内投与、鼻腔内投与又は皮下投与あるいは徐放性デバイス、例えばミニ浸透圧ポンプの対象への移植を意味する。投与は、非経口及び経粘膜(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、鼻腔、膣、直腸、又は経皮)を含む任意の経路によるものである。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内及び頭蓋内が含まれる。他の投与様式としては、リポソーム製剤の使用、静脈内注入、経皮パッチなどが挙げられるが、これらに限定されない。「共投与」とは、本明細書に記載の組成物を、1つ又は複数の追加療法(例えば、抗癌剤、化学療法剤又は神経変性疾患の治療剤)の投与と同時に、投与の直前に又は投与の直後に投与することを意味する。インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、単独で投与することもできるし、患者に(例えば、他の治療薬と)共投与することもできる。共投与とは、本化合物を単独で又は1つ以上の追加の薬剤、例えば1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて、同時又は逐次的に投与することを意味する。従って、製剤は、所望により、他の活性物質と組み合わせることもできる(例えば、代謝分解を低減するため)。
【0073】
「疾患」、「障害」及び「症状」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0074】
本明細書で使用される場合、及び特に指定されない限り、「治療treat」、「治療treating」及び「治療treatment」という用語は、被験体が指定された疾患、障害又は症状に罹患している間に生じる作用であって、疾患、障害又は症状の重症度を軽減するか、疾患、障害又は症状の進行を遅らせるか又は遅くする作用(例えば、「治療的処置」)を企図する。治療とは、軽減、寛解、症状の軽減又は疾患、障害もしくは症状を患者にとってより我慢しやすくすること、変性又は衰退の速度を遅くすること、変性の最終点をより衰弱しにくくすること及び/又は患者の身体的又は精神的な幸福を改善することなどの客観的又は主観的なパラメーターを含む、疾患、障害又は症状の改善における成功の指標を指す場合がある。症状の治療又は改善は、身体的検査、精神神経学的検査及び/又は精神医学的評価の結果を含む、客観的又は主観的パラメーターに基づくことができる。治療はまた、本質的に先制的であり得る。すなわち、疾患、障害又は症状の予防、疾患、障害又は症状の1つ以上の症状の発症の予防及び/又は疾患、障害又は症状の拡大の予防を含むことができる。疾患、障害又は症状の予防は、疾患からの完全な保護及び/又は疾患の進行(例えば、疾患、障害又は症状の後期への進行)の予防を含むことができる。例えば、疾患の予防は、いかなるレベルにおいても疾患に関連するあらゆる影響の完全な阻止を意味するのではなく、その代わりに、疾患、障害又は症状の兆候を臨床的に有意なレベル又は検出可能なレベルまで予防することを意味することができる。
【0075】
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答、例えば、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症のような骨格形成異常を治療するのに十分な量を意味する。当業者には理解されるように、本開示の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、治療される疾患及び被験体の年齢、体重、健康状態などの因子によって変化し得る。
【0076】
インフィグラチニブ
式(I)で示されるインフィグラチニブは、選択的かつATP競合的な汎線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤であり、3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-{6-[4-(4-エチル-1-ピペラジン-1-イル)フェニルアミノ]-ピリミジニル-4-イル}-1-メチル尿素としても知られている。インフィグラチニブは、FGFR1、FGFR2及びFGFR3のキナーゼ活性を選択的に阻害する。
【0077】
インフィグラチニブを化学的に合成する方法(本明細書に提供される実施例1を含む)、インフィグラチニブのいくつかの結晶及び非晶質形態(本明細書に記載される無水結晶一リン酸塩を含む)及び前記形態の調製方法(本明細書に提供される実施例2を含む)は、米国特許第9,067,896号に記載されており、この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
一態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする小児患者における軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常の治療のための、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩である。
【0079】
特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする小児患者における軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常の治療のための、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態において、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、一リン酸塩である。インフィグラチニブの一リン酸塩は、BGJ398、インフィグラチニブリン酸塩及びインフィグラチニブ一リン酸塩と呼ぶことができる。
【0080】
いくつかの実施形態において、インフィグラチニブの一リン酸塩は、無水結晶性一リン酸塩である。いくつかの実施形態において、無水結晶性一リン酸塩は、約15.0°又は15.0°±0.2°に2θの観点から特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。いくつかの実施形態において、無水結晶性一リン酸塩のX線粉末回折パターンは、約13.7°±0.2°、約16.8°±0.2°、約21.3°±0.2°及び約22.4°±0.2°のピークから選択される、2θの観点から1つ以上の特徴的なピークをさらに含む。いくつかの実施形態において、無水結晶性一リン酸塩のX線粉末回折パターンは、2θの観点から、約9.2°、約9.6°、約18.7°、約20.0°、約22.9°及び約27.2°のピークから選択される1つ又は複数の特徴的なピークをさらに含む。いくつかの実施形態において、無水結晶性一リン酸塩は、約13.7°、約15°、約16.8°、約21.3°及び約22.4°のピークから選択される、2θの観点から少なくとも3つの特徴的なピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態において、無水結晶性一リン酸塩のX線粉末回折パターンは、約9.2°、約9.6°、約13.7°、約15°、約16.8°、約18.7°、約20.0°、約21.3°、約22.4°、約22.9°及び約27.2°のピークから選択される、2θの観点から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11の特徴的なピークを含む。
【0081】
医薬組成物
一態様において、本明細書において提供されるのは、それを必要とする小児患者における軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常の治療のための、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
【0082】
種々の実施形態において、本明細書において提供されるのは、それを必要とする小児患者における軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常の治療のための、インフィグラチニブ及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物である。
【0083】
様々な実施形態において、本明細書において提供されるのは、それを必要とする小児患者における軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常の治療のための、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物である。特定の実施形態において、インフィグラチニブの薬学的に許容される塩は、インフィグラチニブ一リン酸塩である。
【0084】
特定の実施形態において、医薬組成物はミニ錠剤である。特定の実施形態において、ミニ錠剤は経口投与用である。
【0085】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、インフィグラチニブ一リン酸塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む、インフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤である。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約0.1ミリグラム(mg)のインフィグラチニブを経口投与する。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約1mgのインフィグラチニブを経口投与する。
【0086】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、約0.1mgのインフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤であって、インフィグラチニブ一リン酸塩及び薬学的に許容される賦形剤を含むミニ錠剤である。
【0087】
様々な実施形態において、本明細書において提供されるのは、約1mgのインフィグラチニブを経口投与するためのミニ錠剤であって、インフィグラチニブ一リン酸塩及び薬学的に許容される賦形剤を含むミニ錠剤である。
【0088】
特定の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、マンニトール、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、クロスカルメロースナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0089】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、経口投与用のミニ錠剤であって、約1%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩及び約30%w/wから約95%w/wの充填剤を含む。
【0090】
一実施形態において、ミニ錠剤は、約1%w/wから約20%w/w、約2%w/wから約20%w/w、約3%w/wから約20%w/w、約4%w/wから約20%w/w、約5%w/wから約20%w/w、約6%w/wから約20%w/w、約7%w/wから約20%w/w、約8%w/wから約20%w/w、約9%w/wから約20%w/w、約10%w/wから約20%w/w、約11%w/wから約20%w/w、約12%w/wから約20%w/w、約13%w/wから約20%w/w、約14%w/wから約20%w/w、約15%w/wから約20%w/w、約16%w/wから約20%w/w、約17%w/wから約20%w/w、約18%w/wから約20%w/w、約19%w/wから約20%w/w、約1%w/wから約19%w/w、約1%w/wから約18%w/w、約1%w/wから約17%w/w、約1%w/wから約16%w/w、約1%w/wから約15%w/w、約1%w/wから約14%w/w、約1%w/wから約13%w/w、約1%w/wから約12%w/w、約1%w/wから約11%w/w、約1%w/wから約10%w/w、約1%w/wから約9%w/w、約1%w/wから約8%w/w、約1%w/wから約7%w/w、約1%w/wから約6%w/w、約1%w/wから約5%w/w、約1%w/wから約4%w/w、約1%w/wから約3%w/w、約1%w/wから約2%w/w、約2%w/wから約19%w/w、約2%w/wから約18%w/w、約2%w/wから約17%w/w、約2%w/wから約16%w/w、約2%w/wから約15%w/w、約2%w/wから約14%w/w、約2%w/wから約13%w/w、約2%w/wから約12%w/w、約2%w/wから約11%w/w、約2%w/wから約10%w/w、約2%w/wから約9%w/w、約2%w/wから約8%w/w、約2%w/wから約7%w/w、約2%w/wから約6%w/w、約2%w/wから約5%w/w、約2%w/wから約4%w/w、約2%w/wから約3%w/w、約3%w/wから約19%w/w、約3%w/wから約18%w/w、約3%w/wから約17%w/w、約3%w/wから約16%w/w、約3%w/wから約15%w/w、約3%w/wから約14%w/w、約3%w/wから約13%w/w、約3%w/wから約12%w/w、約3%w/wから約11%w/w、約3%w/wから約10%w/w、約3%w/wから約9%w/w、約3%w/wから約8%w/w、約3%w/wから約7%w/w、約3%w/wから約6%w/w、約3%w/wから約5%w/w、約3%w/wから約4%w/w、約4%w/wから約19%w/w、約4%w/wから約18%w/w、約4%w/wから約17%w/w、約4%w/wから約16%w/w、約4%w/wから約15%w/w、約4%w/wから約14%w/w、約4%w/wから約13%w/w、約4%w/wから約12%w/w、約4%w/wから約11%w/w、約4%w/wから約10%w/w、約4%w/wから約9%w/w、約4%w/wから約8%w/w、約4%w/wから約7%w/w、約4%w/wから約6%w/w、約4%w/wから約5%w/w、約5%w/wから約19%w/w、約5%w/wから約18%w/w、約5%w/wから約17%w/w、約5%w/wから約16%w/w、約5%w/wから約15%w/w、約5%w/wから約14%w/w、約5%w/wから約13%w/w、約5%w/wから約12%w/w、約5%w/wから約11%w/w、約5%w/wから約10%w/w、約5%w/wから約9%w/w、約5%w/wから約8%w/w、約5%w/wから約7%w/w、約5%w/wから約6%w/w、約6%w/wから約19%w/w、約6%w/wから約18%w/w、約6%w/wから約17%w/w、約6%w/wから約16%w/w、約6%w/wから約15%w/w、約6%w/wから約14%w/w、約6%w/wから約13%w/w、約6%w/wから約12%w/w、約6%w/wから約11%w/w、約6%w/wから約10%w/w、約6%w/wから約9%w/w、約6%w/wから約8%w/w、約6%w/wから約7%w/w、約7%w/wから約19%w/w、約7%w/wから約18%w/w、約7%w/wから約17%w/w、約7%w/wから約16%w/w、約7%w/wから約15%w/w、約7%w/wから約14%w/w、約7%w/wから約13%w/w、約7%w/wから約12%w/w、約7%w/wから約11%w/w、約7%w/wから約10%w/w、約7%w/wから約9%w/w、約7%w/wから約8%w/w、約8%w/wから約19%w/w、約8%w/wから約18%w/w、約8%w/wから約17%w/w、約8%w/wから約16%w/w、約8%w/wから約15%w/w、約8%w/wから約14%w/w、約8%w/wから約13%w/w、約8%w/wから約12%w/w、約8%w/wから約11%w/w、約8%w/wから約10%w/w、約8%w/wから約9%w/w、約9%w/wから約19%w/w、約9%w/wから約18%w/w、約9%w/wから約17%w/w、約9%w/wから約16%w/w、約9%w/wから約15%w/w、約9%w/wから約14%w/w、約9%w/wから約13%w/w、約9%w/wから約12%w/w、約9%w/wから約11%w/w、約9%w/wから約10%w/w、約10%w/wから約19%w/w、約10%w/wから約18%w/w、約10%w/wから約17%w/w、約10%w/wから約16%w/w、約10%w/wから約15%w/w、約10%w/wから約14%w/w、約10%w/wから約13%w/w、約10%w/wから約12%w/w、約10%w/wから約11%w/w、約11%w/wから約19%w/w、約11%w/wから約18%w/w、約11%w/wから約17%w/w、約11%w/wから約16%w/w、約11%w/wから約15%w/w、約11%w/wから約14%w/w、約11%w/wから約13%w/w、約11%w/wから約12%w/w、約12%w/wから約19%w/w、約12%w/wから約18%w/w、約12%w/wから約17%w/w、約12%w/wから約16%w/w、約12%w/wから約15%w/w、約12%w/wから約14%w/w、約12%w/wから約13%w/w、約13%w/wから約19%w/w、約13%w/wから約18%w/w、約13%w/wから約17%w/w、約13%w/wから約16%w/w、約13%w/wから約15%w/w、約13%w/wから約14%w/w、約14%w/wから約19%w/w、約14%w/wから約18%w/w、約14%w/wから約17%w/w、約14%w/wから約16%w/w、約14%w/wから約15%w/w、約15%w/wから約19%w/w、約15%w/wから約18%w/w、約15%w/wから約17%w/w、約15%w/wから約16%w/w、約16%w/wから約19%w/w、約16%w/wから約18%w/w、約16%w/wから約17%w/w、約17%w/wから約19%w/w、約17%w/wから約18%w/w又は約18%w/wから約19%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約1%w/wから約5%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約10%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む。
【0091】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w又は約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩を含む。
【0092】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/wから約95%w/w、約35%w/wから約95%w/w、約40%w/wから約95%w/w、約45%w/wから約95%w/w、約50%w/wから約95%w/w、約55%w/wから約95%w/w、約60%w/wから約95%w/w、約65%w/wから約95%w/w、約70%w/wから約95%w/w、約75%w/wから約95%w/w、約80%w/wから約95%w/w、約85%w/wから約95%w/w、約90%w/wから約95%w/w、約30%w/wから約90%w/w、約30%w/wから約85%w/w、約30%w/wから約80%w/w、約30%w/wから約75%w/w、約30%w/wから約70%w/w、約30%w/wから約65%w/w、約30%w/wから約60%w/w、約30%w/wから約55%w/w、約30%w/wから約50%w/w、約30%w/wから約45%w/w、約30%w/wから約40%w/w、約30%w/wから約35%w/w、約35%w/wから約90%w/w、約35%w/wから約85%w/w、約35%w/wから約80%w/w、約35%w/wから約75%w/w、約35%w/wから約70%w/w、約35%w/wから約65%w/w、約35%w/wから約60%w/w、約35%w/wから約55%w/w、約35%w/wから約50%w/w、約35%w/wから約45%w/w、約35%w/wから約40%w/w、約40%w/wから約90%w/w、約40%w/wから約85%w/w、約40%w/wから約80%w/w、約40%w/wから約75%w/w、約40%w/wから約70%w/w、約40%w/wから約65%w/w、約40%w/wから約60%w/w、約40%w/wから約55%w/w、約40%w/wから約50%w/w、約40%w/wから約45%w/w、約45%w/wから約90%w/w、約45%w/wから約85%w/w、約45%w/wから約80%w/w、約45%w/wから約75%w/w、約45%w/wから約70%w/w、約45%w/wから約65%w/w、約45%w/wから約60%w/w、約45%w/wから約55%w/w、約45%w/wから約50%w/w、約50%w/wから約90%w/w、約50%w/wから約85%w/w、約50%w/wから約80%w/w、約50%w/wから約75%w/w、約50%w/wから約70%w/w、約50%w/wから約65%w/w、約50%w/wから約60%w/w、約50%w/wから約55%w/w、約55%w/wから約90%w/w、約55%w/wから約85%w/w、約55%w/wから約80%w/w、約55%w/wから約75%w/w、約55%w/wから約70%w/w、約55%w/wから約65%w/w、約55%w/wから約60%w/w、約60%w/wから約90%w/w、約60%w/wから約85%w/w、約60%w/wから約80%w/w、約60%w/wから約75%w/w、約60%w/wから約70%w/w、約60%w/wから約65%w/w、約65%w/wから約90%w/w、約65%w/wから約85%w/w、約65%w/wから約80%w/w、約65%w/wから約75%w/w、約65%w/wから約70%w/w、約70%w/wから約90%w/w、約70%w/wから約85%w/w、約70%w/wから約80%w/w、約70%w/wから約75%w/w、約75%w/wから約90%w/w、約75%w/wから約85%w/w、約75%w/wから約80%w/w、約80%w/wから約90%w/w、約80%w/wから約85%w/w又は約80%w/wから約90%w/wの充填剤を含む。
【0093】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、約80%w/w、約85%w/w、約90%w/w又は約95%w/wの充填剤を含む。
【0094】
特定の実施形態において、充填剤は、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール及びそれらの組み合わせを含む。
【0095】
特定の実施形態において、充填剤は、微結晶セルロース及びマンニトールを含む。
【0096】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/w、約6%w/wから約10%w/w、約7%w/wから約10%w/w、約8%w/wから約10%w/w、約9%w/wから約10%w/w、約5%w/wから約9%w/w、約5%w/wから約8%w/w、約5%w/wから約7%w/w、約5%w/wから約6%w/w、約6%w/wから約9%w/w、約6%w/wから約8%w/w、約6%w/wから約7%w/w、約7%w/wから約9%w/w、約7%w/wから約8%w/w又は約8%w/wから約9%w/wの結合剤を含む。
【0097】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w又は約10%w/wの結合剤を含む。
【0098】
特定の実施形態において、結合剤は、糖(例えば、グルコース、スクロース)、ゼラチン、天然ガム(例えば、アカシア、トラガカント)、ソルビトール、マルトデキストリン、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)、アルギン酸誘導体、ポリビニルピロリドン、セルロース(例えば、微結晶セルロース)、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0099】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/w、約6%w/wから約10%w/w、約7%w/wから約10%w/w、約8%w/wから約10%w/w、約9%w/wから約10%w/w、約5%w/wから約9%w/w、約5%w/wから約8%w/w、約5%w/wから約7%w/w、約5%w/wから約6%w/w、約6%w/wから約9%w/w、約6%w/wから約8%w/w、約6%w/wから約7%w/w、約7%w/wから約9%w/w、約7%w/wから約8%w/w又は約8%w/wから約9%w/wの崩壊剤を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/wの崩壊剤を含む。
【0100】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w又は約10%w/wの崩壊剤を含む。
【0101】
特定の実施形態において、崩壊剤は、デンプン(例えば、ジャガイモ、トウモロコシ、及びトウモロコシデンプン)、デンプン誘導体(例えば、低置換カルボキシメチルデンプン及びアルファー化デンプン)、クレイ(例えば、ビーガム(Veegum)HV及びベントナイト)、架橋セルロース、架橋セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムの架橋体)、架橋ポリビニルピロリドン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0102】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、経口投与のためのミニ錠剤であり、約1%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、約30%w/wから約60%w/wのマンニトール及び約30%w/wから約45%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0103】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/wから約60%w/w、約35%w/wから約60%w/w、約40%w/wから約60%w/w、約45%w/wから約60%w/w、約50%w/wから約60%w/w、約55%w/wから約60%w/w、約30%w/wから約55%w/w、約30%w/wから約50%w/w、約30%w/wから約45%w/w、約30%w/wから約40%w/w、約30%w/wから約35%w/w、約35%w/wから約55%w/w、約35%w/wから約50%w/w、約35%w/wから約45%w/w、約35%w/wから約40%w/w、約40%w/wから約55%w/w、約40%w/wから約50%w/w、約40%w/wから約45%w/w、約45%w/wから約55%w/w、約45%w/wから約50%w/w又は約50%w/wから約55%w/wのマンニトールを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/wから約45%w/wのマンニトールを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約45%w/wから約60%w/wのマンニトールを含む。
【0104】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w又は約60%w/wのマンニトールを含む。
【0105】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約30%w/wから約45%w/w、約35%w/wから約45%w/w、約40%w/wから約45%w/w、約30%w/wから約40%w/w、約30%w/wから約35%w/w又は約35%w/wから約40%w/wの結晶セルロースを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約35%w/wから約40%w/wの結晶セルロースを含む。
【0106】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、経口投与のためのミニ錠剤であり、約10%w/wから約20%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、約30%w/wから約45%w/wのマンニトール及び約30%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0107】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、経口投与のためのミニ錠剤であり、約1%w/wから約5%w/wのインフィグラチニブ一リン酸塩、約45%w/wから約60%w/wのマンニトール及び約30%w/wから約40%w/wの微結晶セルロースを含む。
【0108】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/w、約6%w/wから約10%w/w、約7%w/wから約10%w/w、約8%w/wから約10%w/w、約9%w/wから約10%w/w、約5%w/wから約9%w/w、約5%w/wから約8%w/w、約5%w/wから約7%w/w、約5%w/wから約6%w/w、約6%w/wから約9%w/w、約6%w/wから約8%w/w、約6%w/wから約7%w/w、約7%w/wから約9%w/w、約7%w/wから約8%w/w又は約8%w/wから約9%w/wのポリビニルピロリドンを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/wのポリビニルピロリドンを含む。
【0109】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w又は約10%w/wのポリビニルピロリドンを含む。
【0110】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/w、約6%w/wから約10%w/w、約7%w/wから約10%w/w、約8%w/wから約10%w/w、約9%w/wから約10%w/w、約5%w/wから約9%w/w、約5%w/wから約8%w/w、約5%w/wから約7%w/w、約5%w/wから約6%w/w、約6%w/wから約9%w/w、約6%w/wから約8%w/w、約6%w/wから約7%w/w、約7%w/wから約9%w/w、約7%w/wから約8%w/w又は約8%w/wから約9%w/wの架橋ポリビニルピロリドンを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約5%w/wから約10%w/wの架橋ポリビニルピロリドンを含む。
【0111】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約2%w/wから約6%w/w、約3%w/wから約6%w/w、約4%w/wから約6%w/w、約5%w/wから約6%w/w、約2%w/wから約5%w/w、約2%w/wから約4%w/w、約2%w/wから約3%w/w、約3%w/wから約5%w/w、約3%w/wから約4%w/w又は約4%w/wから約5%w/wのクロスカルメロースナトリウムを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約2%w/wから約6%w/wのクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0112】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、滑沢剤を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.25%w/wから約1%w/w、約0.5%w/wから約1%w/w、約0.75%w/wから約1%w/w、約0.25%w/wから約0.75%w/w、約0.25%w/wから約0.5%w/w又は約0.5%w/wから約0.75%w/wの滑沢剤を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.5%w/wから約0.75%w/wの滑沢剤を含む。
【0113】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.25%w/w、約0.3%w/w、約0.35%w/w、約0.4%w/w、約0.45%w/w、約0.5%w/w、約0.55%w/w、約0.6%w/w、約0.65%w/w、約0.7%w/w、約0.75%w/w、約0.8%w/w、約0.85%w/w、約0.9%w/w、約0.95%w/w又は約1%w/wの滑沢剤を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.5%w/wの滑沢剤を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.75%w/wの滑沢剤を含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約1%w/wの滑沢剤を含む。
【0114】
特定の実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0115】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、着色剤をさらに含む。
【0116】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、経口投与用のミニ錠剤であって、約1.2mgのインフィグラチニブ一リン酸塩、約3mgから約4mgのマンニトール及び約2mgから約4.4mgの微結晶セルロースを含む。
【0117】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、経口投与用のミニ錠剤であって、約0.12mgのインフィグラチニブ一リン酸塩、約3mgから約4mgのマンニトール及び約2mgから約3mgの微結晶セルロースを含む。
【0118】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約3mgから約4mg、約3.2mgから約4mg、約3.4mgから約4mg、約3.6mgから約4mg、約3.8mgから約4mg、約3mgから約3.8mg、約3mgから約3.6mg、約3mgから約3.4mg、約3mgから約3.2mg、約3.2mgから約3.8mg、約3.2mgから約3.6mg、約3.2mgから約3.4mg、約3.4mgから約3.8mg、約3.4mgから約3.6mg又は約3.6mgから約3.8mgのマンニトールを含む。
【0119】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約3mg、約3.1mg、約3.2mg、約3.3mg、約3.4mg、約3.5mg、約3.6mg、約3.7mg、約3.8mg、約3.9mg又は約4mgのマンニトールを含む。
【0120】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約2mgから約4.4mg、約2.2mgから約4.4mg、約2.4mgから約4.4mg、約2.6mgから約4.4mg、約2.8mgから約4.4mg、約3mgから約4.4mg、約3.2mgから約4.4mg、約3.4mgから約4.4mg、約3.6mgから約4.4mg、約3.8mgから約4.4mg、約4mgから約4.4mg、約4.2mgから約4.4mg、約2mgから約4.2mg、約2mgから約4mg、約2mgから約3.8mg、約2mgから約3.6mg、約2mgから約3.4mg、約2mgから約3.2mg、約2mgから約3mg、約2mgから約2.8mg、約2mgから約2.6mg、約2mgから約2.4mg、約2mgから約2.2mg、約2.2mgから約4.2mg、約2.2mgから約4mg、約2.2mgから約3.8mg、約2.2mgから約3.6mg、約2.2mgから約3.4mg、約2.2mgから約3.2mg、約2.2mgから約3mg、約2.2mgから約2.8mg、約2.2mgから約2.6mg、約2.2mgから約2.4mg、約2.4mgから約4.2mg、約2.4mgから約4mg、約2.4mgから約3.8mg、約2.4mgから約3.6mg、約2.4mgから約3.4mg、約2.4mgから約3.2mg、約2.4mgから約3mg、約2.4mgから約2.8mg、約2.4mgから約2.6mg、約2.6mgから約4.2mg、約2.6mgから約4mg、約2.6mgから約3.8mg、約2.6mgから約3.6mg、約2.6mgから約3.4mg、約2.6mgから約3.2mg、約2.6mgから約3mg、約2.6mgから約2.8mg、約2.8mgから約4.2mg、約2.8mgから約4mg、約2.8mgから約3.8mg、約2.8mgから約3.6mg、約2.8mgから約3.4mg、約2.8mgから約3.2mg、約2.8mgから約3.0mg、約3mgから約4.2mg、約3mgから約4mg、約3mgから約3.8mg、約3mgから約3.6mg、約3mgから約3.4mg、約3mgから約3.2mg、約3.2mgから約4.2mg、約3.2mgから約4mg、約3.2mgから約3.8mg、約3.2mgから約3.6mg、約3.2mgから約3.4mg、約3.4mgから約4.2mg、約3.4mgから約4mg、約3.4mgから約3.8mg、約3.4mgから約3.6mg、約3.6mgから約4.2mg、約3.6mgから約4mg、約3.6mgから約3.8mg、約3.8mgから約4.2mg、約3.8mgから約4mg又は約4mgから約4.2mgの結晶セルロースを含む。
【0121】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約2mg、約2.2mg、約2.4mg、約2.6mg、約2.8mg、約3mg、約3.2mg、約3.4mg、約3.6mg、約3.8mg、約4mg、約4.2mg又は約4.4mgの結晶セルロースを含む。
【0122】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、約0.4mgから約0.6mg、約0.45mgから約0.6mg、約0.5mgから約0.6mg、約0.55mgから約0.6mg、約0.4mgから約0.55mg、約0.4mgから約0.5mg、約0.4mgから約0.45mg、約0.45mgから約0.55mg、約0.45mgから約0.5mg又は約0.5mgから約0.55mgのポリビニルピロリドンを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.4mgから約0.6mgのポリビニルピロリドンを含む。
【0123】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.4mg、約0.42mg、約0.44mg、約0.46mg、約0.48mg、約0.5mg、約0.52mg、約0.54mg、約0.56mg、約0.58mg又は約0.6mgのポリビニルピロリドンを含む。
【0124】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.3mgから約0.5mg、約0.35mgから約0.5mg、約0.4mgから約0.5mg、約0.45mgから約0.5mg、約0.3mgから約0.45mg、約0.3mgから約0.4mg、約0.3mgから約0.35mg、約0.35mgから約0.45mg、約0.35mgから約0.4mg又は約0.4mgから約0.45mgの架橋ポリビニルピロリドンを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.3mgから約0.5mgの架橋ポリビニルピロリドンを含む。
【0125】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.3mg、約0.32mg、約0.34mg、約0.36mg、約0.38mg、約0.4mg、約0.42mg、約0.44mg、約0.46mg、約0.48mg又は約0.5mgの架橋ポリビニルピロリドンを含む。
【0126】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.2mgから約0.4mg、約0.25mgから約0.4mg、約0.3mgから約0.4mg、約0.35mgから約0.4mg、約0.2mgから約0.35mg、約0.2mgから約0.3mg、約0.2mgから約0.25mg、約0.25mgから約0.35mg、約0.25mgから約0.3mg又は約0.3mgから約0.35mgのクロスカルメロースナトリウムを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.2mgから約0.4mgのクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0127】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.2mg、約0.22mg、約0.24mg、約0.26mg、約0.28mg、約0.3mg、約0.32mg、約0.34mg、約0.36mg、約0.38mg又は約0.4mgのクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0128】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.03mgから約0.09mg、約0.04mgから約0.09mg、約0.05mgから約0.09mg、約0.06mgから約0.09mg、約0.07mgから約0.09mg、約0.08mgから約0.09mg、約0.03mgから約0.08mg、約0.03mgから約0.07mg、約0.03mgから約0.06mg、約0.03mgから約0.05mg、約0.03mgから約0.04mg、約0.04mgから約0.08mg、約0.04mgから約0.07mg、約0.04mgから約0.06mg、約0.04mgから約0.05mg、約0.05mgから約0.08mg、約0.05mgから約0.07mg、約0.05mgから約0.06mg、約0.06mgから約0.08mg、約0.06mgから約0.07mg又は約0.07mgから約0.08mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0129】
特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.03mg、約0.035mg、約0.04mg、約0.045mg、約0.05mg、約0.055mg、約0.06mg、約0.065mg、約0.07mg、約0.075mg、約0.08mg、約0.085mg、約0.09mg、約0.095mg又は約0.1mgのステアリン酸マグネシウムを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.035mgのステアリン酸マグネシウムを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.055mgのステアリン酸マグネシウムを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.07mgのステアリン酸マグネシウムを含む。特定の実施形態において、ミニ錠剤は、さらに、約0.085mgのステアリン酸マグネシウムを含む。
【0130】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ一リン酸塩は、無水結晶形態として存在する。特定の実施形態において、インフィグラチニブ一リン酸塩の無水結晶形態は、15.0°±0.2°のXRPDピーク(2θ)によって特徴付けられる。
【0131】
本明細書で提供される医薬組成物の記載は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物に向けられているが、当業者には、そのような組成物が一般にあらゆる種類の動物への投与に適していることが理解されよう。組成物を種々の動物への投与に適するようにするための、ヒトへの投与に適する医薬組成物の改変はよく理解されており、通常の熟練した獣医薬学者は、通常の実験により、そのような改変を設計及び/又は実施することができる。医薬組成物の処方及び/又は製造における一般的な考察は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005に記載されている。
【0132】
使用及び治療方法
骨の発育やその他の機能に影響を及ぼす骨格形成異常には、例えば、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症がある。軟骨形成不全症(ACH)は、骨格形成異常の最も一般的な非致死型であり、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)3遺伝子の機能獲得変異に起因する不全軟骨内骨化によって特徴付けられる。
【0133】
1つの態様において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする小児患者において、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常を治療する方法である。
【0134】
様々な実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする小児患者において、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常を治療する方法であって、約0.01mg/kgから約0.51mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を、小児患者に毎日経口投与することを含む方法である。
【0135】
特定の実施形態において、その方法は、約0.01mg/kgから約0.51mg/kg、約0.05mg/kgから約0.51mg/kg、約0.1mg/kgから約0.51mg/kg、約0.15mg/kgから約0.51mg/kg、約0.2mg/kgから約0.51mg/kg、約0.25mg/kgから約0.51mg/kg、約0.3mg/kgから約0.51mg/kg、約0.35mg/kgから約0.51mg/kg、約0.4mg/kgから約0.51mg/kg、約0.45mg/kgから約0.51mg/kg、約0.01mg/kgから約0.45mg/kg、約0.01mg/kgから約0.4mg/kg、約0.01mg/kgから約0.35mg/kg、約0.01mg/kgから約0.3mg/kg、約0.01mg/kgから約0.25mg/kg、約0.01mg/kgから約0.2mg/kg、約0.01mg/kgから約0.15mg/kg、約0.01mg/kgから約0.1mg/kg、約0.01mg/kgから約0.05mg/kg、約0.05mg/kgから約0.45mg/kg、約0.05mg/kgから約0.4mg/kg、約0.05mg/kgから約0.35mg/kg、約0.05mg/kgから約0.3mg/kg、約0.05mg/kgから約0.25mg/kg、約0.05mg/kgから約0.2mg/kg、約0.05mg/kgから約0.15mg/kg、約0.05mg/kgから約0.1mg/kg、約0.1mg/kgから約0.45mg/kg、約0.1mg/kgから約0.4mg/kg、約0.1mg/kgから約0.35mg/kg、約0.1mg/kgから約0.3mg/kg、約0.1mg/kgから約0.25mg/kg、約0.1mg/kgから約0.2mg/kg、約0.1mg/kgから約0.15mg/kg、約0.15mg/kgから約0.45mg/kg、約0.15mg/kgから約0.4mg/kg、約0.15mg/kgから約0.35mg/kg、約0.15mg/kgから約0.3mg/kg、約0.15mg/kgから約0.25mg/kg、約0.15mg/kgから約0.2mg/kg、約0.2mg/kgから約0.45mg/kg、約0.2mg/kgから約0.4mg/kg、約0.2mg/kgから約0.35mg/kg、約0.2mg/kgから約0.3mg/kg、約0.2mg/kgから約0.25mg/kg、約0.25mg/kgから約0.45mg/kg、約0.25mg/kgから約0.4mg/kg、約0.25mg/kgから約0.35mg/kg、約0.25mg/kgから約0.3mg/kg、約0.3mg/kgから約0.45mg/kg、約0.3mg/kgから約0.4mg/kg、約0.3mg/kgから約0.35mg/kg、約0.35mg/kgから約0.45mg/kg、約0.35mg/kgから約0.4mg/kg又は約0.4mg/kgから約0.45mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。特定の実施形態において、その方法は、約0.01mg/kgから約0.15mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。特定の実施形態において、約0.01mg/kgから約0.3mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。
【0136】
特定の実施形態において、その方法は、約0.01mg/kgから約0.15mg/kg、約0.015mg/kgから約0.15mg/kg、約0.02mg/kgから約0.15mg/kg、約0.025mg/kgから約0.15mg/kg、約0.03mg/kgから約0.15mg/kg、約0.05mg/kgから約0.15mg/kg、約0.07mg/kgから約0.15mg/kg、約0.09mg/kgから約0.15mg/kg、約0.11mg/kgから約0.15mg/kg、約0.13mg/kgから約0.15mg/kg、約0.01mg/kgから約0.13mg/kg、約0.01mg/kgから約0.11mg/kg、約0.01mg/kgから約0.09mg/kg、約0.01mg/kgから約0.07mg/kg、約0.01mg/kgから約0.05mg/kg、約0.01mg/kgから約0.03mg/kg、約0.01mg/kgから約0.025mg/kg、約0.01mg/kgから約0.02mg/kg、約0.01mg/kgから約0.015mg/kg、約0.015mg/kgから約0.13mg/kg、約0.015mg/kgから約0.11mg/kg、約0.015mg/kgから約0.09mg/kg、約0.015mg/kgから約0.07mg/kg、約0.015mg/kgから約0.05mg/kg、約0.015mg/kgから約0.03mg/kg、約0.015mg/kgから約0.025mg/kg、約0.015mg/kgから約0.02mg/kg、約0.02mg/kgから約0.13mg/kg、約0.02mg/kgから約0.11mg/kg、約0.02mg/kgから約0.09mg/kg、約0.02mg/kgから約0.07mg/kg、約0.02mg/kgから約0.05mg/kg、約0.02mg/kgから約0.03mg/kg、約0.02mg/kgから約0.025mg/kg、約0.025mg/kgから約0.13mg/kg、約0.025mg/kgから約0.11mg/kg、約0.025mg/kgから約0.09mg/kg、約0.025mg/kgから約0.07mg/kg、約0.025mg/kgから約0.05mg/kg、約0.025mg/kgから約0.03mg/kg、約0.03mg/kgから約0.13mg/kg、約0.03mg/kgから約0.11mg/kg、約0.03mg/kgから約0.09mg/kg、約0.03mg/kgから約0.07mg/kg、約0.03mg/kgから約0.05mg/kg、約0.05mg/kgから約0.13mg/kg、約0.05mg/kgから約0.11mg/kg、約0.05mg/kgから約0.09mg/kg、約0.05mg/kgから約0.07mg/kg、約0.07mg/kgから約0.13mg/kg、約0.07mg/kgから約0.11mg/kg、約0.07mg/kgから約0.09mg/kg、約0.09mg/kgから約0.13mg/kg、約0.09mg/kgから約0.11mg/kg又は約0.11mg/kgから約0.13mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。特定の実施形態において、約0.015mg/kgから約0.13mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。
【0137】
特定の実施形態において、約0.004mg/kg、約0.008mg/kg、約0.016mg/kg、約0.032mg/kg、約0.064mg/kg、約0.128mg/kg、約0.256mg/kg又は約0.51mg/kgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を小児患者に投与することを含む。
【0138】
種々の実施形態において、本明細書で提供されるのは、軟骨形成不全症又は軟骨低形成症などの骨格形成異常の小児患者を治療する方法であって、約0.1mgから約8mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を患者に毎日経口投与することを含む。
【0139】
特定の実施形態において、その方法は、約0.1mgから約8mg、約0.2mgから約8mg、約0.3mgから約8mg、約0.4mgから約8mg、約0.5mgから約8mg、約1mgから約8mg、約1.5mgから約8mg、約2mgから約8mg、約2.5mgから約8mg、約3mgから約8mg、約3.5mgから約8mg、約4mgから約8mg、約4.5mgから約8mg、約5mgから約8mg、約5.5mgから約8mg、約6mgから約8mg、約6.5mgから約8mg、約7mgから約8mg、約7.5mgから約8mg、約0.1mgから約7.5mg、約0.1mgから約7mg、約0.1mgから約6.5mg、約0.1mgから約6mg、約0.1mgから約5.5mg、約0.1mgから約5mg、約0.1mgから約4.5mg、約0.1mgから約4mg、約0.1mgから約3.5mg、約0.1mgから約3mg、約0.1mgから約2.5mg、約0.1mgから約2mg、約0.1mgから約1.5mg、約0.1mgから約1mg、約0.1mgから約0.5mg、約0.1mgから約0.4mg、約0.1mgから約0.3mg、約0.1mgから約0.2mg、約0.2mgから約7.5mg、約0.2mgから約7mg、約0.2mgから約6.5mg、約0.2mgから約6mg、約0.2mgから約5.5mg、約0.2mgから約5mg、約0.2mgから約4.5mg、約0.2mgから約4mg、約0.2mgから約3.5mg、約0.2mgから約3mg、約0.2mgから約2.5mg、約0.2mgから約2mg、約0.2mgから約1.5mg、約0.2mgから約1mg、約0.2mgから約0.5mg、約0.2mgから約0.4mg、約0.2mgから約0.3mg、約0.3mgから約7.5mg、約0.3mgから約7mg、約0.3mgから約6.5mg、約0.3mgから約6mg、約0.3mgから約5.5mg、約0.3mgから約5mg、約0.3mgから約4.5mg、約0.3mgから約4mg、約0.3mgから約3.5mg、約0.3mgから約3mg、約0.3mgから約2.5mg、約0.3mgから約2mg、約0.3mgから約1.5mg、約0.3mgから約1mg、約0.3mgから約0.5mg、約0.3mgから約0.4mg、約0.4mgから約7.5mg、約0.4mgから約7mg、約0.4mgから約6.5mg、約0.4mgから約6mg、約0.4mgから約5.5mg、約0.4mgから約5mg、約0.4mgから約4.5mg、約0.4mgから約4mg、約0.4mgから約3.5mg、約0.4mgから約3mg、約0.4mgから約2.5mg、約0.4mgから約2mg、約0.4mgから約1.5mg、約0.4mgから約1mg、約0.4mgから約0.5mg、約0.5mgから約7.5mg、約0.5mgから約7mg、約0.5mgから約6.5mg、約0.5mgから約6mg、約0.5mgから約5.5mg、約0.5mgから約5mg、約0.5mgから約4.5mg、約0.5mgから約4mg、約0.5mgから約3.5mg、約0.5mgから約3mg、約0.5mgから約2.5mg、約0.5mgから約2mg、約0.5mgから約1.5mg、約0.5mgから約1mg、約1.5mgから約7.5mg、約1.5mgから約7mg、約1.5mgから約6.5mg、約1.5mgから約6mg、約1.5mgから約5.5mg、約1.5mgから約5mg、約1.5mgから約4.5mg、約1.5mgから約4mg、約1.5mgから約3.5mg、約1.5mgから約3mg、約1.5mgから約2.5mg、約1.5mgから約2mg、約2mgから約7.5mg、約2mgから約7mg、約2mgから約6.5mg、約2mgから約6mg、約2mgから約5.5mg、約2mgから約5mg、約2mgから約4.5mg、約2mgから約4mg、約2mgから約3.5mg、約2mgから約3mg、約2mgから約2.5mg、約2.5mgから約7.5mg、約2.5mgから約7mg、約2.5mgから約6.5mg、約2.5mgから約6mg、約2.5mgから約5.5mg、約2.5mgから約5mg、約2.5mgから約4.5mg、約2.5mgから約4mg、約2.5mgから約3.5mg、約2.5mgから約3mg、約3mgから約7.5mg、約3mgから約7mg、約3mgから約6.5mg、約3mgから約6mg、約3mgから約5.5mg、約3mgから約5mg、約3mgから約4.5mg、約3mgから約4mg、約3mgから約3.5mg、約3.5mgから約7.5mg、約3.5mgから約7mg、約3.5mgから約6.5mg、約3.5mgから約6mg、約3.5mgから約5.5mg、約3.5mgから約5mg、約3.5mgから約4.5mg、約3.5mgから約4mg、約4mgから約7.5mg、約4mgから約7mg、約4mgから約6.5mg、約4mgから約6mg、約4mgから約5.5mg、約4mgから約5mg、約4mgから約4.5mg、約4.5mgから約7.5mg、約4.5mgから約7mg、約4.5mgから約6.5mg、約4.5mgから約6mg、約4.5mgから約5.5mg、約4.5mgから約5mg、約5mgから約7.5mg、約5mgから約7mg、約5mgから約6.5mg、約5mgから約6mg、約5mgから約5.5mg、約5.5mgから約7.5mg、約5.5mgから約7mg、約5.5mgから約6.5mg、約5.5mgから約6mg、約6mgから約7.5mg、約6mgから約7mg、約6mgから約6.5mg、約6.5mgから約7.5mg、約7mgから約7.5mg又は約7mgから約7.5mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。特定の実施形態において、その方法は、約0.1mgから約7mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0140】
特定の実施形態において、その方法は、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg又は約8mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0141】
特定の実施形態において、小児患者はFGFR3突然変異を有する。特定の実施形態において、FGFR3突然変異はG380R突然変異である。
【0142】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、ミニ錠剤の形態で投与される。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、本明細書に記載されるように、ミニ錠剤の形態で投与される。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、各々が約0.1mg又は約1mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を有するミニ錠剤として投与される。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩は、各々0.1mg又は1mgのインフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩を有するミニ錠剤として投与される。
【0143】
特定の実施形態において、インフィグラチニブは、インフィグラチニブ一リン酸塩としてミニ錠剤中に存在する。特定の実施形態において、インフィグラチニブ一リン酸塩は、無水結晶形態として存在する。特定の実施形態において、インフィグラチニブ一リン酸塩の無水結晶形態は、15.0°±0.2°のXRPDピーク(2θ)によって特徴付けられる。
【0144】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインに対する身長速度の増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%、ベースラインに対して身長の伸びる速度が増加する。
【0145】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される人体測定値において、ベースラインに対する増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される身体測定において、ベースラインに対して1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%の増加を示す。
【0146】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される人体測定値において絶対的増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%の立位身長、座位身長、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、腕のスパンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される人体測定値において絶対的増加を示す。
【0147】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、体重の減少を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインに対して、体重の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%の減少を示す。
【0148】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は体重の絶対的減少を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、体重の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%の絶対的減少を示す。
【0149】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインに対して、頭囲の比例的増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、頭囲の絶対的な比例的増加を示す。例えば、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、胴体は頭部に比例するようになる可能性がある。対照的に、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩による治療がない場合、患者は巨頭症を有する可能性がある。
【0150】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、体比測定比の正常化を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、体比測定比の絶対的な正常化を示す。例えば、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、四肢は体幹と比較してより比例して成長し得る。対照的に、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩による治療がない場合、患者は、体幹と比較して不釣り合いに短い四肢を有する可能性がある。
【0151】
特定の実施形態において、体比測定比は、上半身と下半身の身体部分比率、上腕と前腕の比率、上肢と下肢の長さの比率、腕のスパンと立位身長の比率、頭囲と立位身長の比率及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0152】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、X型コラーゲン分解断片、コラーゲンXマーカー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される骨代謝のバイオマーカーにおいて、ベースラインと比較して増加を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブまたはその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、X型コラーゲン分解断片、コラーゲンXマーカー及びそれらの組み合わせからなる群から選択される骨代謝のバイオマーカーにおいて、ベースラインに対して1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%の増加を示す。
【0153】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインと比較して、運動能力の増加を示す。ある特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、ベースラインに対して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%の運動能力の増加を示す。
【0154】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、中耳炎のエピソード数のベースラインに対する減少を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%の中耳炎のエピソード数のベースラインに対する減少を示す。
【0155】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、睡眠時無呼吸症候群のエピソード数及び/又は重症度において、ベースラインと比較して減少を示す。特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者は、睡眠時無呼吸症候群のエピソード数及び/又は重症度において、ベースラインと比較して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%又は100%の減少を示す。
【0156】
特定の実施形態において、インフィグラチニブ又はその薬学的に許容される塩の用量を毎日投与した後、小児患者はQOLの増加を示し、QOLはPediatric Quality of Life Inventoryを用いて評価される。
【0157】
特定の実施形態において、小児患者は、2歳以下、3歳以下、4歳以下、5歳以下、6歳以下、7歳以下、8歳以下、9歳以下、10歳以下、11歳以下、12歳以下、13歳以下、14歳以下、15歳以下、16歳以下、17歳以下、18歳以下、19歳以下、20歳以下、又は21歳以下である。特定の実施形態において、小児患者は12歳以下である。
【0158】
特定の実施形態において、小児患者は2歳から21歳、3歳から21歳、4歳から21歳、5歳から21歳、6歳から21歳、7歳から21歳、8歳から21歳、9歳から21歳、10歳から21歳、11歳から21歳、12歳から21歳、13歳から21歳、14歳から21歳、15歳から21歳、16歳から21歳、17歳から21歳、18歳から21歳、19歳から21歳、20歳から21歳、2歳から20歳、2歳から19歳、2歳から18歳、2歳から17歳、2歳から16歳、2歳から15歳、2歳から14歳、2歳から13歳、2歳から12歳、2歳から11歳、2歳から10歳、2歳から9歳、2歳から8歳、2歳から7歳、2歳から6歳、2歳から5歳、2歳から4歳、2歳から3歳、3歳から20歳、3歳から19歳、3歳から18歳、3歳から17歳、3歳から16歳、3歳から15歳、3歳から14歳、3歳から13歳、3歳から12歳、3歳から11歳、3歳から10歳、3歳から9歳、3歳から8歳、3歳から7歳、3歳から6歳、3歳から5歳、3歳から4歳、4歳から20歳、4歳から19歳、4歳から18歳、4歳から17歳、4歳から16歳、4歳から15歳、4歳から14歳、4歳から13歳、4歳から12歳、4歳から11歳、4歳から10歳、4歳から9歳、4歳から8歳、4歳から7歳、4歳から6歳、4歳から5歳、5歳から20歳、5歳から19歳、5歳から18歳、5歳から17歳、5歳から16歳、5歳から15歳、5歳から14歳、5歳から13歳、5歳から12歳、5歳から11歳、5歳から10歳、5歳から9歳、5歳から8歳、5歳から7歳、5歳から6歳、6歳から20歳、6歳から19歳、6歳から18歳、6歳から17歳、6歳から16歳、6歳から15歳、6歳から14歳、6歳から13歳、6歳から12歳、6歳から11歳、6歳から10歳、6歳から9歳、6歳から8歳、6歳から7歳、7歳から20歳、7歳から19歳、7歳から18歳、7歳から17歳、7歳から16歳、7歳から15歳、7歳から14歳、7歳から13歳、7歳から12歳、7歳から11歳、7歳から10歳、7歳から9歳、7歳から8歳、8歳から20歳、8歳から19歳、8歳から18歳、8歳から17歳、8歳から16歳、8歳から15歳、8歳から14歳、8歳から13歳、8歳から12歳、8歳から11歳、8歳から10歳、8歳から9歳、9歳から20歳、9歳から19歳、9歳から18歳、9歳から17歳、9歳から16歳、9歳から15歳、9歳から14歳、9歳から13歳、9歳から12歳、9歳から11歳、9歳から10歳、10歳から20歳、10歳から19歳、10歳から18歳、10歳から17歳、10歳から16歳、10歳から15歳、10歳から14歳、10歳から13歳、10歳から12歳、10歳から11歳、11歳から20歳、11歳から19歳、11歳から18歳、11歳から17歳、11歳から16歳、11歳から15歳、11歳から14歳、11歳から13歳、11歳から12歳、12歳から20歳、12歳から19歳、12歳から18歳、12歳から17歳、12歳から16歳、12歳から15歳、12歳から14歳、12歳から13歳、13歳から20歳、13歳から19歳、13歳から18歳、13歳から17歳、13歳から16歳、13歳から15歳、13歳から14歳、14歳から20歳、14歳から19歳、14歳から18歳、14歳から17歳、14歳から16歳、14歳から15歳、15歳から20歳、15歳から19歳、15歳から18歳、15歳から17歳、15歳から16歳、16歳から20歳、16歳から19歳、16歳から18歳、16歳から17歳、17歳から20歳、17歳から19歳、17歳から18歳、18歳から20歳、18歳から19歳又は19歳から20歳である。特定の実施形態において、小児患者は、3歳から11歳である。
【0159】
特定の実施形態において、小児患者は、3歳未満、4歳未満、5歳未満、6歳未満、7歳未満、8歳未満、9歳未満、10歳未満、11歳未満、12歳未満、13歳未満、14歳未満、15歳未満、16歳未満、17歳未満、18歳未満、19歳未満、20歳未満又は21歳未満である。特定の実施形態において、小児患者は8歳未満である。
【0160】
特定の実施形態において、小児患者は、2歳以上、3歳以上、4歳以上、5歳以上、6歳以上、7歳以上、8歳以上、9歳以上、10歳以上、11歳以上、12歳以上、13歳以上、14歳以上、15歳以上、16歳以上、17歳以上、18歳以上、19歳以上又は20歳以上である。特定の実施形態において、小児患者は8歳以上である。
【0161】
特定の実施形態において、本明細書で提供される方法は、有効量の第2の治療剤を患者に投与することをさらに含む。
【実施例】
【0162】
本明細書に記載の開示をより十分に理解しうるように、下記実施例を示す。本願に記載の合成実施例及び生物学的実施例は、本明細書に提供される化合物、医薬組成物、及び方法を例示するために供されるものであり、なんらその範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0163】
実施例1:3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-ウレア(インフィグラチニブ)の合成
ステップA:N-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニル)-N’-メチル-ピリミジン-4,6-ジアミンの合成
ジオキサン(15mL)中の4-(4-エチルピペラジン-1-イル)-アニリン(1g、4.88mmol)、(6-クロロ-ピリミジン-4-イル)-メチル-アミン(1.81g、12.68mmol、1.3eq.)、及び4N HClの混合物を封管中で5時間にわたり150℃に加熱する。反応混合物を濃縮し、ジクロロメタン(DCM)及び重炭酸ナトリウム飽和水性溶液で希釈する。水性層を分離し、DCMで抽出する。有機相をブラインで洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、93:7)、続いてジエチルエーテル中でのトリチュレーションにより残渣を精製し、白色固体として標記化合物を与える。ESI-MS:313.2[MH]+;tR=1.10min(グラジエントJ);TLC:Rf=0.21(DCM/MeOH、93:7)。
【0164】
ステップB:4-(4-エチルピペラジン-1-イル)-アニリンの合成
MeOH(120mL)中の1-エチル-4-(4-ニトロ-フェニル)-ピペラジン(6.2g、26.35mmol)及びラネーニッケル(2g)のサスペンジョンを水素雰囲気下、RTで7時間撹拌する。反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、菫色固体として5.3gの標記化合物を与える。ESI-MS:206.1[MH]+;TLC:Rf=0.15(DCM/MeOH+1%NH3
aq、9:1)。
【0165】
ステップC:1-エチル-4-(4-ニトロ-フェニル)-ピペラジンの合成
1-ブロモ-4-ニトロベンゼン(6g、29.7mmol)及び1-エチルピペラジン(7.6mL、59.4mmol、2eq.)の混合物を15時間にわたり80℃に加熱する。RTに冷却後、反応混合物を水及びDCM/MeOH、9:1で希釈する。水性層を分離し、DCM/MeOH、9:1で抽出する。有機相をブラインで洗浄し、脱水し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH+1%NH3
aq、9:1)により残渣を精製し、黄色固体として6.2gの標記化合物を与える。ESI-MS:236.0[MH]+;tR=2.35min(純度:100%、グラジエントJ);TLC:Rf=0.50(DCM/MeOH+1%NH3
aq、9:1)。
【0166】
ステップD:(6-クロロ-ピリミジン-4-イル)-メチル-アミンの合成
この材料は、文献(J.Appl.Chem.1955,5,358)に発表された修正手順により調製された。イソプロパノール(60mL)中の市販の4,6-ジクロロピリミジン(20g、131.6mmol、1.0eq.)のサスペンジョンに、内部温度が50℃超に上昇しないような速度で、エタノール(40.1mL、328.9mmol、2.5eq.)中の33%メチルアミンを添加する。添加の完了後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、水(50mL)を添加し、形成されたサスペンジョンを氷浴中で5℃に冷やす。沈殿生成物を濾別し、冷イソプロパノール/水2:1(45mL)及び水で洗浄する。捕集材料を45℃で一晩真空乾燥し、無色粉末として標記化合物を与える。tR=3.57min(純度:>99%、グラジエントA)、ESI-MS:144.3/146.2[MH]+。
【0167】
ステップE:3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-ウレア)の合成
標記化合物は、トルエン中のN-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニル)-N’-メチル-ピリミジン-4,6-ジアミン(2.39g、7.7mmol、1eq.)の溶液に2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル-イソシアネート(1.25eq.)を添加し、反応混合物を還流状態で1.5時間撹拌することにより調製された。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH+1%NH3
aq、95:5)により粗生成物を精製し、白色固体として標記化合物を与える。ESI-MS:560.0/561.9[MH]+;tR=3.54min(純度:100%、グラジエントJ);TLC:Rf=0.28(DCM/MeOH+1%NH3
aq、95:5)。分析:C26H31N7O3Cl2、計算値C、55.72%;H、5.57%;N、17.49%;O;8.56%、Cl;12.65%。実測値C、55.96%;H、5.84%;N、17.17%;O、8.46%;Cl、12.57%。
【0168】
実施例2:3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-1-{6-4-(4-エチル-ピペラジン-1-イル)-フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル}-1-メチル-ウレアの一リン酸塩形A(BGJ398)の合成
丸底フラスコに3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-1-(6-4-(4-エチルピペラジン-1-イル)フェニルアミノール-ピリミジン-4-イル)-1-メチル-ウレア(134g、240mmol)及びイソプロパノール(IPA)(2000mL)を添加した。サスペンジョンを撹拌し、50℃に加熱し、それに水(2000mL)中のリン酸(73.5g、750mmol)の溶液を添加した。混合物を60℃で30分間撹拌し、ポリプロピレンパッドに通して濾過した。パッドを温IPA/水(1:1、200mL)で洗浄し、濾液を合わせた。この透明溶液にIPA(6000mL)を添加し、混合物を還流下で20分間撹拌し、徐々に室温(25℃)に冷却し、24時間撹拌した。白色塩生成物を濾過により捕集し、IPA(2×500mL)で洗浄し、減圧下、60℃のオーブン中で2日間乾燥し、無水結晶性一リン酸塩(110g)を提供した。収率70%。HPLCによる純度>98%。分析:C26H34N7O7Cl2P、計算値C、47.42%;H、5.20%;N、14.89%;O、17.01%;Cl、10.77%;P、4.70%。実測値C、47.40%;H、5.11%;N、14.71%;O、17.18%;Cl、10.73%;P、4.87%。
【0169】
実施例3:0.1mg及び1mg用量インフィグラチニブ一リン酸塩ミニ錠剤
下記実施例では、すべての例示投与量強度に対して製造プロセスを概説する。
【0170】
成分の対応量は、以下の実施例3.1、3.2、3.3、及び3.4の下に処方で提供される。
【0171】
ミニ錠剤の製造
実施例3.1(表1)及び実施例3.3(表3)にそれぞれ列挙される処方を有する0.1mg及び1.0mgインフィグラチニブミニ錠剤では、製造プロセスは、湿式顆粒化、ブレンディング及び圧縮からなり、5000gのバッチサイズ例で下記ステップを有する。
・容器中にディスペンスされた精製水にポビドンを添加し、ポビドンが溶解して結合剤溶液を形成するまで混合する。
・顆粒内マンニトール、マイクロ結晶性セルロース、及びクロスポビドンを#30メッシュスクリーンに通す。マンニトール及びマイクロ結晶性セルロースは、それぞれ、4つの部分及び3つの部分に分けて使用されるべきである。
・マンニトール(部分1)及びマイクロ結晶性セルロース(部分1)を高剪断グラニュレーターに仕込み、100rpmのインペラースピードで5分間混合する。
・ミル処理インフィグラチニブリン酸塩(BGJ398 API)及びマンニトール(部分2)を0.1mgインフィグラチニブミニ錠剤では#60メッシュスクリーン又は1.0mgインフィグラチニブミニ錠剤では#50メッシュスクリーンに通す。
・スクリーン処理API、上記マンニトール(部分2)、及びMCC(部分2)を高剪断グラニュレーターに添加し、100rpmのインペラースピードで5分間混合する。
・マンニトール(部分3)を高剪断グラニュレーターに添加し、100rpmのインペラースピードで5分間混合する。
・残りのマンニトール、マイクロ結晶性セルロース、及び顆粒内クロスポビドンを高剪断グラニュレーターに添加し、150rpmのインペラースピードで5分間混合する。
・150rpmのインペラースピードで高剪断グラニュレーターを「オン」にし、結合剤溶液をおおよそ1分間スプレーする。
・結合剤溶液添加の完了後、150rpmのインペラースピードで湿潤マスを30秒間混合する。
・150rpmのインペラースピード及び1500rpmのチョッパースピードで湿潤マスをさらに30秒間混合する。
・LODがNMT2%になるまでおおよそ60℃の入口空気温度及びおおよそ250m
3/hの空気体積で適切なサイズの流動床乾燥機で湿潤顆粒を乾燥する。
・2A032Rスクリーンを備えたQuadro Comilを介して約1500rpmのスピードで乾燥顆粒をミル処理する。
・顆粒外クロスポビドンを#30メッシュスクリーンに通し且つFD&Cブルー#1/ブリリアントブルーFCFアルミニウムレーキを#80メッシュスクリーンに通す(FD&Cブルー#1は1.0mgインフィグラチニブミニ錠剤に対してのみ)。
・ミル処理顆粒、顆粒外クロスポビドン、及びFD&Cブルー#1/ブリリアントブルーFCFアルミニウムレーキ(FD&Cブルー#1は1.0mgインフィグラチニブミニ錠剤に対してのみ)を適切なサイズのビンブレンダーにロードし、26rpmで5分間混合する。
・#40メッシュスクリーンに通してスクリーン処理されたステアリン酸マグネシウムをブレンダーに添加し、26rpmで5分間混合し、最終ブレンドとして排出する。
・適切なプレスを用いて最終ブレンドを圧縮し、2.2mmラウンドツーリングを用いてミニ錠剤にする。
実施例3.1(表2)の処方を有する0.1mgインフィグラチニブミニ錠剤では、製造プロセスは、乾式ブレンディング及び圧縮からなり、5000gのバッチサイズ例で下記ステップを有する。
・ミル処理APIを#50メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、スクリーン処理APIをダブルポリエテンバッグでライニングされた容器中にディスペンスする。マンニトール、マイクロ結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを#30メッシュスクリーンに通してスクリーン処理する。スクリーン処理マンニトールを3つの部分に及びマイクロ結晶性セルロースを2つの部分に分割する。
・スクリーン処理されたミル処理APIを含有するバッグ中にマンニトール(部分1)を添加し、手動で1分間混合する。
・上記混合物を適切なサイズのVブレンダーに移し、10分間ブレンドする。
・スクリーン処理マイクロ結晶性セルロース(部分1)をブレンダー中に添加し、10分間ブレンドする。
・上記ブレンドを排出し、#30メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、ブレンドをブレンダー中にロードして戻す。
・スクリーン処理マンニトール(部分2)をブレンダー中に添加し、10分間ブレンドする。
・上記ブレンドを排出し、#30メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、ブレンドをブレンダー中にロードして戻す。
・スクリーン処理マイクロ結晶性セルロース(部分2)をブレンダー中に添加し、10分間ブレンドする。
・上記ブレンドをブレンダーから排出し、ブレンドを#30メッシュに通してスクリーン処理し、次いでブレンドをブレンダーにロードして戻す。
・スクリーン処理クロスカルメロースナトリウムをブレンダー中に添加し、10分間ブレンドする。
・ステアリン酸マグネシウムを#40メッシュスクリーンに通し、それをブレンダーにロードする。21rpmで3分間ブレンドし、最終ブレンドとして排出する。
・最終ブレンドを圧縮し、2mmラウンドツーリングを用いてミニ錠剤にする。
実施例3.4(表4)に列挙される処方を有する1.0mgインフィグラチニブミニ錠剤では、製造プロセスは、乾式顆粒化、ブレンディング、及び圧縮からなり、5000gのバッチサイズ例で下記ステップを有する。
・ミル処理APIを#50メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、スクリーン処理APIをダブルポリエテンバッグでライニングされた容器中にディスペンスする。マンニトール、マイクロ結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムの顆粒内部分を#30メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、且つFD&Cブルー#1/ブリリアントブルーFCFアルミニウムを#50メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、別々に好適なラベル付きのポリバッグでライニングされた容器中に入れる。
・マンニトール、ミル処理API、FD&Cブルー#1/ブリリアントブルーFCFアルミニウム、マイクロ結晶性セルロース、及びクロスカルメロースナトリウムの顆粒内部分を適切なサイズのVブレンダーにロードし、21rpmで10分間ブレンドする。
・ブレンドを排出し、#30メッシュスクリーンを用いてブレンドをスクリーン処理し、LDPEバッグでライニングされた容器中に入れる。スクリーン処理ブレンドをブレンダー中にロードし、21rpmで5分間ブレンドする。
・ステアリン酸マグネシウムを#40メッシュスクリーンに通し、ステンレス鋼パン中で捕集する。スクリーン処理ステアリン酸マグネシウムをブレンダーに添加する。21rpmで3分間ブレンドする。
・ブレンドをローラーコンパクターに通して顆粒化し、脆性リボンの連続ストリームを達成する。ミル処理顆粒を風袋測定されたダブルPEバッグでライニングされた容器中に捕集する。
・#30メッシュスクリーンを用いてマイクロ結晶性セルロース及びクロスカルメロースナトリウムの顆粒外部分をスクリーン処理する。
・乾燥顆粒の半分、顆粒外マイクロ結晶性セルロース、顆粒外クロスカルメロースナトリウム、及び乾燥顆粒の残りを適切なVブレンダー中に仕込み、21rpmで7分間ブレンドする。
・顆粒外ステアリン酸マグネシウムを#40メッシュスクリーンに通してスクリーン処理し、Vブレンダーに添加し、21rpmで5分間ブレンドし、最終ブレンドとして排出する。
・最終ブレンドを圧縮し、2mmラウンドツーリングを用いてミニ錠剤にする。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0172】
実施例4:軟骨形成不全症の小児患者における経口インフィグラチニブ一リン酸塩(BGJ398)の試験
目的
用量漸増:一次目的:さらなる試験に使用されるように軟骨形成不全症(ACH)の子供に対して安全性及び効能評価に基づいて経口インフィグラチニブの用量を同定する。
【0173】
用量拡大:一次目的:ACHの子供における身長速度のベースラインからの変化によりアセスされる、ACHの処置に対する経口インフィグラチニブの効能の予備的証拠を提供する。
【0174】
用量漸増及び拡大:二次目的:ACHの子供において経口インフィグラチニブの安全性及び耐容性を評価し、経口インフィグラチニブの投与後に人体測定パラメーターのベースラインからの変化を評価し、且つ経口インフィグラチニブの投与後にACHの子供においてインフィグラチニブの薬動学的及び薬力学的(PK/PD)プロファイルを評価する。診査目的:ACH疾患負荷の変化を評価する。
【0175】
方法
以前に少なくとも6ヵ月間にわたりインフィグラチニブが投与されているACHの3から11歳の子供において、インフィグラチニブ(線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1-3選択的チロシンキナーゼインヒビター)の安全性、耐容性、及び効能を評価する。試験は、長期処置での用量漸増、及び用量拡大を含む。
【0176】
長期処置での用量漸増(合計で18ヵ月間の処置及びフォローアップ):
おおよそ10名の被験者の漸増用量コホートに3から11歳の適格被験者を登録する。<8歳及び≧8歳の被験者の割合をコホート間でおおよそバランスさせる。
【0177】
4つまでのコホートを計画する。各コホートは、あらかじめ具体的に示された基準に基づいてデータレビュー委員会(Data review committee)(DRC)により既往用量が安全とみなされた後で開始される(以下のコホート用量漸増及びコホート用量脱漸増を参照されたい)。米国(U.S.)では、被験者は、コホート3及び4に登録を始める(すなわち、米国からの被験者は、コホート1にも2にも登録されない)。
【0178】
各コホートの被験者をそれらの割当て用量で6ヵ月間にわたり処置及びフォローアップする。6ヵ月間の試験診察後、被験者は、継続してさらに12ヵ月間にわたり処置を受ける(長期処置期間)。効能がない又は効能が不十分な用量である可能性のある長期処置を回避するために、コホート1及び2の被験者は、安全性の懸念が同定されず且つそれらの年間身長速度がベースラインから少なくとも25%上回って増加しない場合、それらの6ヵ月間及び12ヵ月間の試験診察でその次の用量レベルに増加された用量を摂取する(最大2用量増加が許容される)(米国での該当なし)。被験者が12ヵ月間の処置に達する時までにさらなる試験に対して同定された用量が決定されていない場合、12ヵ月間で用量増加が行われる。この用量が決定される時、すべてのコホートの被験者は、さらなる試験に対して同定された用量に調整された用量を摂取しうる。すべての被験者が6ヵ月間のインフィグラチニブ処置を完了する可能性があった後、さらなる試験に対して同定された用量は、用量漸増からの効能及び安全性の知見の徹底的なレビューに基づいて選択される。
【0179】
用量拡大(合計で12ヵ月間の処置):
さらなる試験に対して同定された用量/用量レジメンを支持及び確認するために、20名の被験者は、用量拡大に登録され、同定用量で12ヵ月間にわたりインフィグラチニブ処置を受ける。
【0180】
すべての被験者:
試験活動を完了した後、すべての被験者は、ACHの子供においてインフィグラチニブの長期投与の安全性及び効能をアセスするために、オープンラベル長期延長試験に登録する機会を有しうる(別々のプロトコル下で投与される)。
【0181】
開始用量及び他のコホート用量の決定
開始用量:
この第2相試験の開始用量は、10倍安全性マージンでラット若齢毒性試験からの無観察有害作用レベル(NOAEL)に基づく。米国では、軟骨形成不全症に類似したマウスモデルで行われた試験に基づく薬理学的活性用量の推定も考慮した用量に対応させて、コホート3で試験を始める。
【0182】
他の用量コホート:
データレビュー委員会(Data review committee)(DRC)により既往コホートの安全性が確認された後、漸増用量コホートを開始する。各逐次用量は、前の用量の2倍である。米国では、コホート4用量は、コホート3で投与された用量の2倍である。
用量コホートの脱漸増は、安全上の理由であらかじめ具体的に示された基準に基づく(以下のコホート用量漸増及びコホート用量脱漸増を参照されたい)。
【0183】
被験者の数
合計でおおよそ60名の被験者:長期処置の用量漸増の40名の被験者及び用量拡大の20名の被験者を登録する。
【0184】
診断及び主要選択基準
選択基準:
1.被験者又は親又は法的認可代理人(LAR)によりサインされたインフォームドコンセント及び被験者によりサインされたインフォームドアセント(該当する時)。
2.スクリーニング時の年齢3から11歳(両端を含む)。
3.臨床的に確定された及び遺伝子検査により確認されたACHの診断。
4.試験エントリー前にPROPEL試験(プロトコルQBGJ398-001)で少なくとも6ヵ月間の成長アセスメント。
5.支援なしで歩行可能及び立上り可能。
6.少女が≧10歳の場合、妊娠検査陰性。
7.性的に積極的な場合、試験薬剤を摂取しつつ及び試験薬剤の最後の投与の後3ヵ月間にわたり高度に有効な避妊法を使用するのをいとわない。
8.被験者及び親又はLARは、試験診察及び試験手順を遵守するのをいとわない及び遵守できる。
9.経口医薬を嚥下できる。
10.グレープフルーツ、グレープフルーツジュース、グレープフルーツハイブリッド、ザクロ、スターフルーツ、ザボン、セビリアオレンジ、又はこれらのフルーツのジュースを含有する製品の摂取を止めるのをいとわない、及び試験薬剤の初回投与の前7日以内にこれらを消費していない。
【0185】
除外基準:
1.ACH以外の軟骨低形成症又は低身長病態(たとえば、トリソミー21、偽性軟骨形成不全症、心理社会的低身長)。
2.女性で初経を迎えている。
3.ACHの子供における成長に関する参照表に基づいて年齢及び性別に対して身長<-2又は>+2標準偏差(Horton 1978)。
4.スクリーニング前の期間≧6ヵ月間にわたり年間身長速度≦1.5cm/年。
5.限定されるものではないが下記を含めて、治験医及び/又は委託者の視点からインフィグラチニブの効能又は安全性のアセスメントに交絡するおそれのある有意な併発疾患又は病態。
・心疾患又は血管疾患
・有意な心電図異常、たとえば、陳旧性心筋梗塞、左室肥大、フラットT波(とくに下壁誘導で)若しくはマイナー超の非特異的ST-T波変化、QRS>90msec、フリデリシアの式を用いて補正されたQTインターバル(QTcF)>440msec、PRインターバル>170msec、又は完全右脚若しくは左脚ブロックの証拠
・甲状腺機能亢進
・少なくとも3ヵ月間にわたり療法に対して安定でなかった異常甲状腺レベル又は最近診断された甲状腺機能低下
・制御不能な(HbA1c>9%)又はインシュリンを必要とする糖尿病
・副腎不全
・自己免疫性炎症性疾患
・炎症性腸疾患
・手術又は持続気道陽圧(CPAP)機の新たな使用を必要とする重篤睡眠時無呼吸症候群(スクリーニング睡眠試験に基づく)
6.限定されるものではないが下記を含めて、スクリーニング検査室結果の有意な異常。
a.ヘモグロビン<10.0g/dL。
b.総ビリルビン>1.5×正常上限(ULN)。
c.AST/SGOT又はALT/SGPT>2×ULN。
d.計算又は測定クレアチニンクリアランス<60mL/min。
7.限定されるものではないが、眼科検査により確認される水疱性/帯状ケラトパチー、角膜擦過傷、炎症/潰瘍化、又は角結膜炎を含めて、角膜又は網膜障害/ケラトパチーの現在の証拠。
8.広範な異所性組織石灰化の病歴及び/又は現在の証拠。
9.悪性病変の病歴。
10.QT/QTcインターバルを遷延することが知られる医薬を現在使用している(スクリーニング診察の前7日以内又は5半減期以内[いずれか長い方])或いはCYP3A4の既知の強いインデューサー又はインヒビターである作用剤並びに血清リン及び/又はカルシウム濃度を増加させる医薬による処置を受けている。被験者は、ビタミンDアナログ、胃腸管のpHを改変する医薬(制酸剤、H2アンタゴニスト(たとえば、ラニチジン)、及びプロトンポンプインヒビター(たとえば、オメプラゾール)を含む)、又は酵素誘導性抗癲癇薬剤(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、及びプリミドンを含む)を摂取することが許されていない。
11.カルシウム/リンホメオスタシスの内分泌改変の以下の現在の証拠。
a.正常限界外の無機リン。
b.正常限界外の合計血清カルシウム(補正)。
12.試験薬剤のいずれかの成分に対するアレルギー。
13.過去6ヵ月間に又はいずれかの時点での長期処置(>3ヵ月間)で成長ホルモン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、又は同化性ステロイドによる処置。
14.いずれかの時点でのC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)アナログ、線維芽細胞増殖因子(FGF)リガンドトラップによる処置、又はFGFR阻害を標的とする処置。
15.超生理学的用量のグルココルチコイド療法(すなわち、>15mg/m2/日のヒドロコルチゾン若しくは等価物)によるレギュラー長期処置(≧3週間)又はスクリーニング診察の6ヵ月以内で3週間超にわたる抗炎症性用量でのグルココルチコイドによる処置(喘息用低用量継続吸入ステロイドは許容可能である)。
16.ACH又は低身長の処置のためのいずれかの他の治験品又は治験メディカルデバイスによる処置。
17.既往脚延長手術又はガイド下成長手術。
18.スクリーニングの6ヵ月以内の骨折(骨バイオマーカー及び骨形態に及ぼす潜在的影響に起因して)。
【0186】
試験品、用量、及び投与モード
以下の4つの用量コホートを使用する。
コホート1:0.016mg/kg
コホート2:0.032mg/kg
コホート3:0.064mg/kg
コホート4:0.128mg/kg
【0187】
米国以外の国では、インフィグラチニブは、非臨床NOAELの1/10に対応する0.016mg/kg QDの開始用量で経口投与に提供される(コホート1)。米国では、試験は、軟骨形成不全症に類似したマウスモデルで行われた試験に基づく薬理学的活性用量の推定も考慮した用量に対応させて、コホート3で始められる(0.064mg/kg)。
【0188】
エンドポイント
用量漸増:一次エンドポイント
用量減少又は中止をもたらす治療下発現有害イベント(TEAE)。身長速度のベースラインからの変化(cm/年単位で年換算)。(ベースラインは、PROPEL試験で6ヵ月間の観察の最小値から得られる年間身長速度として定義される。)
【0189】
用量拡大:一次エンドポイント
身長速度のベースラインからの変化(cm/年単位で年換算)。
【0190】
用量漸増及び用量拡大:二次エンドポイント
有害イベント(AE)、重篤有害イベント(SAE)の発生、タイプ、重症度、及び因果関係、検査室試験結果(検尿、化学、血液検査)、生命徴候の臨床的に有意な変化、身体検査(眼科及び歯科評価を含む)、心電図、並びにイメージングによる安全性評価。
非ACH表との関連において数値で及びzスコアとして表される絶対身長速度(cm/年単位で年換算)。
絶対量(絶対値並びにACH及び非ACH標準化小児成長曲線との関連でzスコアとして表される)並びに人体測定パラメーター(身体割合を含む)のベースラインからの変化。人体測定は、身長、座位身長、体重、頭囲、上腕及び下腕の長さ、大腿の長さ、膝の高さ、並びに腕のスパンを含みうるが、それらに限定しなくてもよい。体比測定比は、上半身対下半身セグメント比、上腕対下腕の長さ比、上腿対下腿の長さ比、腕のスパン対身長比、及び頭囲対身長比を含みうるであるが、それらに限定しなくてもよい。
PKパラメーター(たとえば、Cmax及びtmax)
PDパラメーター(X型コラーゲン分解断片、コラーゲンXマーカー[CXM]を含みうる骨代謝のバイオマーカー)の変化。
【0191】
用量漸増及び用量拡大:診査エンドポイント
疾患特異的合併症の変化、たとえば、モビリティー(肘、股関節、及び膝の運動範囲によりアセスされる)の変化、中耳炎/年のエピソード数の変化、睡眠時無呼吸のエピソード数及び/又は重症度の変化、並びにPedsQL(ジェネリックコアスケールショートフォーム、子供及び親報告)によりアセスされる生活の質[QoL]の変化。
・運動範囲及びPedsQLのベースラインをベースライン診察で得られた値に対応させる。
・PROPEL試験時に記録されたエピソード数[エピソード/年として表される]を中耳炎のエピソード数のベースラインとする。
・睡眠時無呼吸のベースラインをスクリーニング時に実施されたポリソムノグラフに対応させる[重篤睡眠時無呼吸を除外する]。
【0192】
データレビュー委員会(Data review committee)(DRC)、コホート用量漸増、コホート用量脱漸増、個別被験者に対する用量減少/中止
データレビュー委員会(Data review committee)(DRC)
この試験では、DRCを利用して、被験者の安全性及び主要効能データをモニターするとともに、用量コホートの用量漸増、脱漸増、及び/又は拡大に関する推薦を委託者に提供する。
コホート用量漸増及び脱漸増は、25%の目標毒性率でベイジアン最適インターバル(BOIN)設計(Liu 2015)に基づいてDRCにより決定される。
【0193】
コホート用量漸増
各コホートは、既往用量コホートの安全性(ECG、生命徴候、身体検査、TEAEアセスメント、及び臨床検査室)がDRCによりレビューされ確認された後で開始される。用量漸増時、新しい漸増用量コホートの開始は、少なくとも4週間の処置及び安全性アセスメントを完了した後で各コホートのおおよそ10名の被験者からの安全性データのレビューに基づいてDRCにより決定される。少なくとも4週間の処置後、≦1/10の被験者が用量減少/中止基準を満たし(個別被験者の用量減少/中止については以下を参照されたい)、他の安全性の懸念がDRCにより同定されない場合、その次の用量コホートを開始する。
【0194】
コホート用量脱漸増
コホート用量脱漸増のニーズは、個別被験者に対する安全性アセスメント及び用量減少/中止をもたらすTEAEの発生に基づいてDRCにより決定される(以下参照)。いずれかの時点で及びコホートの3名の被験者が処置を受けた後で、コホートの被験者の≧30%が用量減少/中止基準を満たした場合、そのコホート及び/又はいずれかのより高い用量のコホート(該当する場合)への登録を休止しDRCを招集する。現在若しくはより高いコホートの用量を脱漸増すべきか(すなわち、現在のコホートの被験者は効能アセスメントのためにその次のより低い用量で継続して処置を受ける)、又は同一用量で処置を継続可能であるか、及び/またその用量レベルの安全性を継続して評価するめたにコホート拡大が必要であるかについては、DRCが決定する。
【0195】
個別被験者に対する用量減少/中止
DRCは、被験者の安全性をモニターし、用量減少/中止基準を満たす被験者数を考慮し、コホート用量漸増を進めることが可能であるか又はそのコホートレベルで用量脱漸増が必要とされるかを決定するが、個別被験者における用量修正は、治験医により管理される。
下記は、個別被験者において用量低減/中止を必要とするAEとみなされる。
1.繰返し値により確認されるリンレベル>4.5mg/dL(又は報告検査室の年齢調整正常上限レベル)。
2.繰返し値により確認されるカルシウムレベル>10.7mg/dL(又は報告検査室の年齢調整正常上限レベル)。
3.グレード2以上の関連処置下発現AE(治験医によりアセスされる)。
4.グレード1以上の角膜毒性。
以上に記載のAEの少なくとも1つを経験する被験者は、以下に記載のように修正された用量を摂取すべきである。
・以下:
oリン及び/又はカルシウムレベルが正常値に戻る、又は
oグレード≧2処置関連AEがグレード2未満の重症度に減少する
o異常眼科所見が回復する
まで、個別被験者の用量を保留する。
・その次のより低い用量レベルで投与を再開する。
・用量保留をもたらしたAEが適正支持ケアで4週間以内に回復しない場合、被験者は中止されうる。
【0196】
試験又は試験薬剤からの被験者中止/離脱
試験又は試験薬剤からの早期離脱は、下記理由のいずれかで発生しうる。
・被験者(又は親/LAR)の要求又はコンセント撤回。
・用量保留をもたらしたAEが適正支持ケアで4週間以内に回復しなかった。
・試験薬剤又は試験を中止することが被験者の得策であると治験医がみなす(限定されるものではないが、不均衡成長の悪化、脛骨湾曲の発生又は悪化、骨及び成長プレートのインフィグラチニブ関連骨折の発生、及び肘関節の運動範囲の悪化を含む)。
・被験者がタナー思春期ステージ≧4及び成長速度≦1.5cm/年により定義される最終身長又は最終身長近くに達する(Marshall 1969;Marshall 1970)。
・被験者が少なくとも6ヵ月間にわたり≦1.5cm/年の身長速度を有する。
・被験者が、効能若しくは安全性のアセスメントに交絡する可能性のある又は禁止医薬、たとえば、ビタミンDアナログ、胃腸管のpHを改変する医薬(制酸剤、H2アンタゴニスト(たとえば、ラニチジン)、及びプロトンポンプ阻害剤(たとえば、オメプラゾール)を含む)、若しくは酵素誘導性抗癲癇薬剤(カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、及びプリミドンを含む)による処置を必要とする臨床的に有意な病態を発生する(セクション8.3[主要プロトコル]参照)。
・女性被験者が妊娠する。
・プロトコル逸脱(委託者の自由裁量で)。
・委託者による試験終了。
・フォローアップ不能。
【0197】
統計的方法
サンプルサイズ
用量漸増及び脱漸増ルールは、25%の目標毒性率でBOIN設計に基づく。表10のインターバル境界の選択(主要プロトコル)は、サブ治療用量で15%の最大毒性及び過毒性用量で35%の最小毒性に基づく。そのほか、用量減少又は中止をもたらすTEAE率が>25%である可能性が観測データに基づいて≧95%である場合、現在の用量コホートをトライアルから排除し、初回用量レベルが排除された場合、トライアルを終了しうるか、又はDRC推奨に従ってより低い用量を評価しうる。
用量拡大のための用量の選択は、おおよそ10名の被験者/コホートのアセスメントに基づく。真のAE発生が25%である場合、10名の被験者/コホートでは、94.4%の信頼性で少なくとも1回のAEの観察が許容される。また、10名の被験者/コホートでは、身長速度のベースラインからの変化が正規分布に従い、標準偏差が2cm/年であると仮定すると、多くとも1.5cm/年の半値幅の身長速度で95%信頼区間(CI)を得る可能性は62.5%である。
用量拡大では、おおよそ20名の被験者が選択用量レベルで登録される。≦0.5cm/年の年間身長速度増加は、臨床関連とはみなされず、帰無仮説として使用される。インフィグラチニブ処置の開始後、2cm/年の標準偏差で2cm/年の身長速度の増加を仮定すると、20名の被験者は、おおよそ88.9%の検出力を提供し、インフィグラチニブによる処置が0.025の片側有意水準で身長速度を>0.5cm/年増加可能であることを実証する。
【0198】
用量漸増
用量漸増では、解析はすべて、最初に摂取した用量及び合計に基づいて各投与コホートに対して別々に実施される。継続解析は、DRCレビューを支持するように実施される。用量拡大で診査するべき用量の選択は、すべての被験者が6ヵ月間のインフィグラチニブ処置を完了する可能性があった後、安全性及び効能データの徹底的なレビューに基づく。
【0199】
用量拡大
用量拡大に登録された被験者を安全性及び効能の両方に関して解析する。これらのデータを用いて身長速度のベースラインからの変化について推測を行う。継続解析を実施しうるとともに、すべての被験者が用量拡大で12ヵ月間の処置を完了する見込みを有した後、用量拡大の最終解析を行う。
【0200】
統計解析
安全性解析はすべて、試験薬剤の少なくとも1用量を摂取した被験者として定義される安全性解析セットを用いて実施される。成長パラメーターエンドポイントに関する解析は、ベースラインを有し少なくとも1回のポストベースライン成長パラメーターアセスメントを受けた被験者で実施される。ベースライン及びデモグラフィック変数がまとめられる。安全性のまとめは、最後の投与日+30日間にわたり記録されたAEを提示する。TEAEはすべて、まとめられ列挙される。用量減少又は中止をもたらすTEAEがまとめられる。実験室尺度、疾患特異的合併症への変化、及び外科的手順がまとめられる。
用量漸増に登録された被験者では、ベースライン及びポストベースラインでの体重、身長、頭囲、及び身体割合に加えて、年間身長速度のベースラインからの変化及びこれらのパラメーターの変化が、最初の6ヵ月間アセスメントに基づいてまとめられる。6ヵ月後に行われたアセスメントでは、最初に摂取された用量により6ヵ月間インターバルでまとめが提供される。
用量拡大に登録された被験者では、増加が>0.5cm/年であるかをアセスするために1サンプルt検定を用いて、年間身長速度に関してベースラインからの変化が試験される。95%信頼区間を含む記述統計もまた、ベースライン及びポストベースラインでの体重、身長、頭囲、及び身体割合に加えて、身長速度パラメーター及びこれらのパラメーターのベースラインからの変化に関して提供される。
記述統計はまた、バイオマーカーと身長速度との関連を探索するためにも提供される。疾患特異的合併症のアセスメントが診察ごとにまとめられる。
【0201】
参照による援用
本出願は、様々な発行済み特許、公開特許出願、雑誌記事及び他の刊行物を参照し、その全てを参照により本明細書に援用する。援用された参考文献のいずれかが本明細書と矛盾する場合は、本明細書を優先するものとする。更に、先行技術の範囲に含まれる本開示の特定の実施形態を、請求項のいずれか1つ又は複数から明確に除外することができる。そのような実施形態は当業者に知られているものと見なされるので、これらを除外することが本明細書に明示的に述べられていなくても、これらを除外することができる。本開示の任意の特定の実施形態を、先行技術の存在に関連するか否かに関わらず、任意の理由で任意の請求項から除外することができる。
【0202】
均等物
本発明は、その趣旨又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。したがって、前述の実施形態は、あらゆる点で、本明細書に記載した本発明を制限するものではなく、例示と見なすべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等な意味及び範囲を有するあらゆる変更がそこに包含されることが意図されている。
【国際調査報告】