(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】デバイス送達システムのためのワイヤ管理
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536939
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021063542
(87)【国際公開番号】W WO2022132916
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール.ブロイレス
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン シー.ショート
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD53
4C160MM33
(57)【要約】
医療デバイス送達システムが、主ガイドワイヤを含有するように構成された主管腔と、二次ガイドワイヤを解放可能に含有するように構成された少なくとも1つの二次管腔とを有する細長部材を含み、二次管腔は、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、ガイドワイヤの第1部分の近くの第1長手方向位置へ前進させられると、二次ガイドワイヤの第1部分を解放するように構成され、そして、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、ガイドワイヤの第2部分の近くの第2長手方向位置へ前進させられると、ガイドワイヤの第2部分を解放するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイス送達システムであって、
主ガイドワイヤを含有するように構成された主管腔と、二次ガイドワイヤを解放可能に含有するように構成された少なくとも1つの二次管腔とを有する細長部材を含み、前記二次管腔は、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第1部分の近くの第1長手方向位置へ前進させられると、前記二次ガイドワイヤの前記第1部分を解放するように構成され、そして、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第2部分の近くの第2長手方向位置へ前進させられると、前記ガイドワイヤの前記第2部分を解放するように構成されている、医療デバイス送達システム。
【請求項2】
前記細長部材が半径方向に剛性の材料を含む、請求項1に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項3】
前記二次管腔が前記細長部材の壁内に形成されている、請求項1又は2に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項4】
前記細長部材の長手方向長さに沿って、前記二次管腔と前記主管腔との間で前記細長部材内に、前記二次管腔内への開口が画定されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項5】
前記細長部材の長手方向長さに沿って前記細長部材の外側半径方向表面を通して、前記二次管腔内への開口が画定されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項6】
前記細長部材の主管腔内に位置決めされた仕切りをさらに含み、前記仕切りが前記二次管腔を画定する、請求項1又は2に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項7】
前記仕切りが単一の材料シートを含む、請求項6に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項8】
前記二次管腔は、前記二次ガイドワイヤが前記二次管腔によって含有される二次ワイヤの長さに沿って前記主ガイドワイヤと絡み合うのを制限するように動作可能である、請求項1から7のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項9】
医療デバイス送達システムであって、
主ガイドワイヤを含有するように構成された主管腔を有する細長部材と、
前記細長部材内部に取り外し可能に位置決めされた仕切りであって、前記仕切りが前記主管腔内部に少なくとも1つの二次管腔を形成しており、前記仕切りが、前記細長部材の長手方向長さの少なくとも一部に沿って二次ガイドワイヤを含有するように構成されており、前記仕切りは、前記細長部材が前記仕切りの周りから取り外されたときに、且つ植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って前進させられるのに伴って、前記二次ガイドワイヤを前記二次管腔から自由にするように、前記細長部材の長手方向長さに沿って順次崩壊するように構成されており、前記仕切りが崩壊可能なシームを含む、仕切りと
を含む、医療デバイス送達システム。
【請求項10】
前記仕切りの一部が、前記仕切りの前記一部が崩壊させられると前記医療デバイスの管腔内へ前記二次ガイドワイヤの一部を解放するように構成されている、請求項9に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項11】
前記仕切りが、少なくとも2つの二次管腔を含むように前記主管腔をさらに分割している、請求項9又は10に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項12】
前記仕切りが材料シートを含む、請求項9から11のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項13】
前記仕切りが二次管腔を形成するように折り曲げられている、請求項9から12のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項14】
前記仕切りが、前記仕切りの第1縁部を前記仕切りの第2縁部に解放可能にカップリングするための接着剤を含む、請求項9から13のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項15】
医療デバイス送達システムであって、
壁及び主管腔を有する細長部材を含み、前記主管腔が主ガイドワイヤを含有するように構成されており、前記壁が内面と外面とを有しており、前記細長部材が、前記壁の内面と外面との間に少なくとも部分的に画定された少なくとも1つの二次管腔を有し、前記少なくとも1つの二次管腔が、二次ガイドワイヤを解放可能に含有するように構成されている、
医療デバイス送達システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの二次管腔が、前記二次ガイドワイヤを順次解放するように構成されている、請求項15に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの二次管腔は、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第1部分の近くの第1長手方向位置へ前進させられると、前記二次ガイドワイヤの前記第1部分を解放するように構成され、そして、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第2部分の近くの第2長手方向位置へ前進させられると、前記ガイドワイヤの前記第2部分を解放するように構成されている、請求項15又は16に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項18】
前記細長部材の長手方向長さに沿って、前記壁の内面を通して、前記少なくとも1つの二次管腔内への開口が画定されている、請求項15から17のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項19】
前記細長部材の長手方向長さに沿って前記壁の外面を通して、前記少なくとも1つの二次管腔内への開口が画定されている、請求項15から17のいずれか1項に記載の医療デバイス送達システム。
【請求項20】
医療デバイスを送達する方法であって、
細長部材を目標部位へ前進させることであって、前記細長部材が主管腔と、前記細長部材の前記主管腔内に位置決めされた仕切りと、を有しており、前記仕切りが、少なくとも1つの二次管腔を画定しており、前記細長部材が前記主管腔内に位置決めされた主ガイドワイヤと、前記少なくとも1つの二次管腔内に位置決めされた二次ガイドワイヤとを有している、前進させることと、
前記仕切り、主ガイドワイヤ、及び二次ガイドワイヤが前記目標部位に保持された状態で、前記細長部材を前記目標から後退させることと、
本体デバイスを前記主ガイドワイヤに沿って前進させ、前記本体デバイスが前記仕切りの長手方向長さに沿って前記仕切りを永久的に崩壊することにより、前記仕切りの前記少なくとも1つの二次管腔から前記二次ガイドワイヤを解放することと、
を含む、医療デバイスを送達する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月17日付で出願された仮出願第63/126,982号の優先権を主張する。これはあらゆる目的のためにその全体を参照することにより、本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は大まかに言えば、管腔内部の複数のガイドワイヤを管理するための装置、システム、及び方法に関する。より具体的には、本開示は、枝を有するデバイス、又は管腔の枝内部に位置決めされるべき他のデバイス又は構成部分と一緒に利用可能なデバイスの送達前及び送達中に複数のガイドワイヤを管理するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
疾患又は損傷を有する管腔組織の治療、例えば血管内修復が日常的に行われる。例えば、患者の年齢、疾患、又は遺伝性素因に起因して、血液が通過するのに伴う壁の肥大化又は伸張を防止するには血管壁の強度又はレジリエンスが不十分である血管部位において、動脈瘤が発生する。動脈瘤が治療されないまま放置されると、血管壁は拡張して破裂するおそれがあり、その結果しばしば死を招く。
【0004】
疾患又は損傷を有する管腔組織のために種々の治療が利用可能である。例えば、動脈瘤の破裂を防止するために、ステントグラフトを血管内へ経皮導入し、そして動脈瘤嚢にわたるように展開することができる。ステントグラフトは、1つ又は2つ以上のステントの円筒形スキャフォールド又はフレームワークに固定されたグラフトファブリックを含む。ステントは、グラフトを管状構成で開いたままにするための剛性及び構造、並びにグラフトと血管壁の健常部分との間にシールを形成するために必要となる外方半径方向力を提供し、そして移動抵抗を提供する。血管を通る血流を、ステントグラフトの管腔表面を通してチャネリングすることにより、動脈瘤嚢の位置における血管壁上の応力を排除しないまでも低減することができる。ステントグラフトは動脈瘤部位における血管壁の破裂のリスクを低減することができ、そして血液が妨げなしに血管を貫流するのを可能にする。
【0005】
しかしながら、種々の管腔治療又は修復処置を、管腔の枝状部位で行うことができる。例えば、枝状動脈における、又はこれの近くの動脈瘤を排除するためには、ステントグラフトが血管分岐部に隣接して植え込まれることが必要となる。多くの場合、動脈瘤は枝内へ延びており、ステントグラフトが枝内へ入れられることを必要とする。これらの事例では、枝状ステントグラフトが必要となることがある。別々の本体及び枝構成部分を有するモジュール式ステントグラフトが、展開のしやすさ及び精度に基づき、これらの処置においてはしばしば好まれる。別々の本体及び枝構成部分を有するモジュール式ステントグラフトの一例として、Hartley他の米国特許出願公開第2008/0114446号明細書を参照されたい。
【0006】
枝状管腔を適正に治療又は修復するために、枝のそれぞれにアクセスすることが必要な場合がある。治療部位へアクセスするように、ガイドワイヤ及びカテーテルが施される。枝を含む管腔のそれぞれの部分へアクセスするように、複数のガイドワイヤ及びカテーテルが施されてよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数のワイヤを施すデバイスを植え込むときにガイドワイヤを維持するためのワイヤ管理デバイス。
【0008】
1実施態様(実施態様1)によれば、医療デバイス送達システムが、主ガイドワイヤを含有するように構成された主管腔と、二次ガイドワイヤを解放可能に含有するように構成された少なくとも1つの二次管腔とを有する細長部材を含み、前記二次管腔は、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第1部分の近くの第1長手方向位置へ前進させられると、前記二次ガイドワイヤの前記第1部分を解放するように構成され、そして、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第2部分の近くの第2長手方向位置へ前進させられると、前記ガイドワイヤの前記第2部分を解放するように構成されている。
【0009】
実施態様1にさらに付加される別の実施態様(「実施態様2」)によれば、前記細長部材が半径方向に剛性の材料を含む。
【0010】
実施態様1又は2にさらに付加される別の実施態様(「実施態様3」)によれば、前記二次管腔が前記細長部材の壁内に形成されている。
【0011】
実施態様1~3のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様4」)によれば、前記細長部材の長手方向長さに沿って、前記二次管腔と前記主管腔との間で前記細長部材内に、前記二次管腔内への開口が画定されている。
【0012】
実施態様1~3のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様5」)によれば、前記細長部材の長手方向長さに沿って前記細長部材の外側半径方向表面を通して、前記二次管腔内への開口が画定されている。
【0013】
実施態様1又は2にさらに付加される別の実施態様(「実施態様6」)によれば、前記医療デバイス送達システムが、前記細長部材の主管腔内に位置決めされた仕切りをさらに含み、前記仕切りが前記二次管腔を画定する。
【0014】
実施態様6にさらに付加される別の実施態様(「実施態様7」)によれば、前記仕切りが単一の材料シートを含む。
【0015】
実施態様1~7のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様8」)によれば、前記二次管腔は、前記二次ガイドワイヤが前記二次管腔によって含有される二次ワイヤの長さに沿って前記主ガイドワイヤと絡み合うのを制限するように動作可能である。
【0016】
1実施態様(「実施態様9」)によれば、医療デバイス送達システムが、主ガイドワイヤを含有するように構成された主管腔を有する細長部材と、前記細長部材内部に取り外し可能に位置決めされた仕切りであって、前記仕切りが前記主管腔内部に少なくとも1つの二次管腔を形成しており、前記仕切りが、前記細長部材の長手方向長さの少なくとも一部に沿って二次ガイドワイヤを含有するように構成されており、前記仕切りは、前記細長部材が前記仕切りの周りから取り外されたときに、且つ植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って前進させられるのに伴って、前記二次ガイドワイヤを前記二次管腔から自由にするように、前記細長部材の長手方向長さに沿って順次崩壊するように構成されており、前記仕切りが崩壊可能なシームを含む、仕切りとを含む。
【0017】
実施態様9にさらに付加される別の実施態様(「実施態様10」)によれば、前記仕切りの一部が、前記仕切りの前記一部が崩壊させられると前記医療デバイスの管腔内へ前記二次ガイドワイヤの一部を解放するように構成されている。
【0018】
実施態様9又は10にさらに付加される別の実施態様(「実施態様11」)によれば、前記仕切りが、少なくとも2つの二次管腔を含むように前記主管腔をさらに分割している。
【0019】
実施態様9~11のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様12」)によれば、前記仕切りが材料シートを含む。
【0020】
実施態様9~12のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様13」)によれば、前記仕切りが二次管腔を形成するように折り曲げられている。
【0021】
実施態様9~13のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様14」)によれば、前記仕切りが、前記仕切りの第1縁部を前記仕切りの第2縁部に解放可能にカップリングするための接着剤を含む。
【0022】
1実施態様(「実施態様15」)によれば、医療デバイス送達システムが壁及び主管腔を有する細長部材を含み、前記主管腔が主ガイドワイヤを含有するように構成されており、前記壁が内面と外面とを有しており、前記細長部材が、前記壁の内面と外面との間に少なくとも部分的に画定された少なくとも1つの二次管腔を有し、前記少なくとも1つの二次管腔が、二次ガイドワイヤを解放可能に含有するように構成されている。
【0023】
実施態様15にさらに付加される別の実施態様(「実施態様16」)によれば、前記少なくとも1つの二次管腔が、前記二次ガイドワイヤを順次解放するように構成されている。
【0024】
実施態様15又は16にさらに付加される別の実施態様(「実施態様17」)によれば、前記少なくとも1つの二次管腔は、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第1部分の近くの第1長手方向位置へ前進させられると、前記二次ガイドワイヤの前記第1部分を解放するように構成され、そして、植え込み型医療デバイスが前記主ガイドワイヤに沿って、前記ガイドワイヤの第2部分の近くの第2長手方向位置へ前進させられると、前記ガイドワイヤの前記第2部分を解放するように構成されている。
【0025】
実施態様15~17のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様18」)によれば、前記細長部材の長手方向長さに沿って、前記壁の内面を通して、前記少なくとも1つの二次管腔内への開口が画定されている。
【0026】
実施態様15~17のいずれか1つにさらに付加される別の実施態様(「実施態様19」)によれば、前記細長部材の長手方向長さに沿って前記壁の外面を通して、前記少なくとも1つの二次管腔内への開口が画定されている。
【0027】
1実施態様(「実施態様20」)によれば、医療デバイスを送達する方法であって、細長部材を目標部位へ前進させることであって、前記細長部材が主管腔と、前記細長部材の前記主管腔内に位置決めされた仕切りとを有しており、前記仕切りが、少なくとも1つの二次管腔を画定しており、前記細長部材が前記主管腔内に位置決めされた主ガイドワイヤと、前記少なくとも1つの二次管腔内に位置決めされた二次ガイドワイヤとを有している、前進させることと、前記仕切り、主ガイドワイヤ、及び二次ガイドワイヤが前記目標部位に保持された状態で、前記細長部材を前記目標から後退させることと、本体デバイスを前記主ガイドワイヤに沿って前進させ、前記本体デバイスが前記仕切りの長手方向長さに沿って前記仕切りを永久的に崩壊することにより、前記仕切りの前記少なくとも1つの二次管腔から前記二次ガイドワイヤを解放することと、を含む。
【0028】
先行の実施態様は一例に過ぎず、本開示によって他の形で提供される発明概念のうちのいずれかの概念の範囲を制限するか又は狭くするように読まれるべきではない。数多くの例が開示されるが、さらに他の実施態様が下記詳細な説明から当業者に明らかになる。下記詳細な説明は実例を示し記述する。したがって、図面及び詳細な説明は事実上限定的なものではなく事実上事例的なものとみなされるべきである。
【0029】
添付の図面は、本開示のさらなる理解のために含まれ、そして本明細書中に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成し、実施態様を例示し、そして記載内容と一緒に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、1実施態様に基づくワイヤ管理デバイスを示す図である。
【0031】
【
図2】
図2は、1実施態様に基づく植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用中のワイヤ管理デバイスを示す図である。
【0032】
【
図3】
図3は、1実施態様に基づくワイヤ管理デバイス及び植え込み型デバイスを示す図である。
【0033】
【
図4】
図4は、1実施態様に基づくワイヤ管理デバイスを示す断面図である。
【0034】
【
図5】
図5は、1実施態様に基づくガイドワイヤシースを備えたワイヤ管理デバイスを示す側面図である。
【0035】
【
図6】
図6は、1実施態様に基づくワイヤ管理デバイスの仕切りを調製する方法例を示す概略図である。
【0036】
【
図7】
図7は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図8】
図8は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図9】
図9は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図10】
図10は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図11】
図11は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図12】
図12は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図13】
図13は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図14】
図14は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図15】
図15は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図16】
図16は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図17】
図17は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【
図18】
図18は、1実施態様に基づく、植え込み型デバイス及び送達システムと併せて使用する際にワイヤ管理デバイスを実行する方法例を示す図である。
【0037】
【
図19】
図19は、1実施態様に基づく、壁の外面を通るアクセス部分を有する二次管腔を備えたワイヤ管理デバイスの1実施態様を示す図である。
【0038】
【
図20】
図20は、1実施態様に基づく、壁の内面を通るアクセス部分を有する二次管腔を備えたワイヤ管理デバイスの1実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれるようには意図されない。例えば、本出願において使用される用語は、当業者がこのような用語を帰属させるであろう意味に照らして幅広く読まれるべきである。
【0040】
当業者には明らかなように、所期機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって、本開示の種々の態様を実現することができる。なお、本明細書中に言及される添付の図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、本開示の種々の態様を例示するために誇張されることもある。その点において、図面は制限的なものと解釈されるべきではない。
【0041】
ある特定の相対的な用語は、構成部分及びフィーチャの相対位置を指し示すために使用される。例えば「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「左」、「右」、「水平」、「鉛直」、「上方へ向かう」、及び「下方へ向かう」という語は、相関的な意味(例えば構成部分又はフィーチャが互いにどのように位置決めされているか)において使用されるのであって、特に断りがない限り絶対的な意味においては使用されない。同様に、プロセス又は方法が示され又は記載される本開示全体にわたって、方法が最初に実施されるある特定の行為に依存することが文脈から明らかでない限り、任意の順序で又は同時に実施されてよい。
【0042】
不正確を表す用語に関しては、「約(about)」及び「ほぼ(approximately)」という用語は、表明された測定値を含み、且つ表明された測定値にかなり近い任意の測定値をも含む測定値を意味するために用いられることがある。表明された測定値にかなり近い測定値は、当業者によって理解され容易に突き止められるようなかなり僅かな量だけ、表明された測定値から逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造設備較正の差、測定値の読み出し及び/又は設定に際してのヒューマンエラー、他の構成部分と関連する測定値の差を考慮した性能及び/又は構造パラメータ、具体的には実行シナリオを最適化するために行われる微調整、人又は機械による物体の不正確な調整及び/又は操作、及び/又はこれに類するものに帰することができる。
【0043】
本明細書中に使用される「カップリング」は、直接であるか間接であるかにかかわらず、そして永久的であるか一時的であるかにかかわらず、接合、結合、付着、接着、貼付、又はボンドを意味する。
【0044】
種々の実施態様の説明
当業者には明らかなように、所期機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって、本開示の種々の態様を実現することができる。なお、本明細書中に言及される添付の図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、本開示の種々の態様を例示するために誇張されることもある。その点において、図面は制限的なものと解釈されるべきではない。
【0045】
図1に示されたデバイスは、ワイヤ管理デバイスの種々の態様の一例として提供される。例示されるこれらの態様の組み合わせは明らかに本発明の範囲に含まれるが、しかしその例及びその説明は、より少ない態様、付加的な態様、又は代わりの態様から、例えば
図8及び9に示されているような、これらの態様の1つ又は2つ以上に至るまで、本明細書中に提供される本発明の概念が制限されることを示唆しようとするものではない。
【0046】
図1に示されているように、ワイヤ管理デバイス20を含む送達デバイス10が例示されている。ワイヤ管理デバイス20は、ワイヤが前進させられ患者の生体構造内に位置決めされるのに伴ってワイヤを維持し、且つ管理するように動作可能である。例えば、損傷又は疾患組織に対処するのに際して、治療のため且つ/又は目標部位へデバイスを送達するために、患者の枝状血管系にアクセスすることができる。一例において、枝状血管系は大動脈弓を含んでよい。大動脈弓は大動脈の部分であり、腕頭動脈、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈内へ延びる枝を含む。他の枝の例は、腎動脈、腸間膜動脈、腸骨動脈、などを含んでよい。さらに、枝は他の動脈、静脈、又は例えばリンパ系内の他の管腔、CSF通路などに配置されてよい。送達デバイス10を使用して送達し得るデバイス(例えば植え込み型デバイス、例えばステント、グラフトなど)は、本体とデバイス枝、デバイスが送達される管腔の枝のいくつか又は全てに対応するデバイス枝を含んでよい。デバイス枝は、デバイスにカップリングされ、デバイスから延び、又はデバイスと一緒に位置決め可能であってよい。デバイスは例えば、大動脈弓へ送達され得る植え込み型デバイス100であってよい。ある特定の事例では、植え込み型デバイス100は第1枝102と、第2枝104と、第3枝106とを含む。これらの枝は、腕頭動脈、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈のそれぞれに対応する(例えば
図2参照)。植え込み型デバイス100を大動脈弓内に配置し、そして枝102のそれぞれ(例えば102a,102b,102c)を対応動脈内に配置するために、複数のガイドワイヤ110(例えば102a,102b,102c)を使用して、それぞれのエレメントをこれらの目標部位へ案内する。
【0047】
複数のガイドワイヤのそれぞれが互いにそして送達デバイス10の他の構成部分と相互作用するのを最小限に抑えるために、ワイヤ管理デバイス20を提供することにより、ガイドワイヤの相互の、そして送達デバイス10の他の構成部分との絡み合い、縛り合い、又は干渉し合いを制限又は阻止する。これらの絡み合い、縛り合い、又は干渉し合いはガイドワイヤに沿ったデバイスの前進を妨害する。ワイヤ管理デバイス20は、ガイドワイヤのそれぞれを所定の位置に維持する。ワイヤ管理デバイス20は、デバイスがワイヤ管理デバイス20の長手方向長さに沿って前進させられると、ガイドワイヤの部分を解放し、デバイス及びその枝が患者の管腔中を前進させられるのを可能にするように動作可能である。例えば、送達システム10は、複数のガイドワイヤ(例えば主ガイドワイヤ110a及び二次ガイドワイヤ110b)を解放可能に含有するワイヤ管理デバイス20を含んでよい。ワイヤ管理デバイス20は、デバイスが主ガイドワイヤ110aに沿って、ガイドワイヤ110a,110bの第1部分の近くの第1長手方向位置へ前進させられると、主ガイドワイヤ110a及び二次ガイドワイヤ110bのうちの少なくとも一方の第1部分を解放するように構成されてよく、そしてデバイスが主ガイドワイヤ110aに沿って、前記ガイドワイヤ110a,110bの第2部分の近くの第2長手方向位置へ前進させられると、前記ガイドワイヤ110a,110bのうちの一方の第2部分を解放するように構成されてよい。したがってワイヤ管理デバイス20は、デバイスが送達デバイス10に対して前進させられるのに伴って、ガイドワイヤを徐々に(段階的、少しずつ、又は順次、とも言い表す)解放する。このことは、ガイドワイヤが、デバイスの送達にしたがって、適切に位置決めされデバイスと相互作用する(例えばデバイスの内部管腔内へ入る)のを可能にする。
【0048】
ワイヤ管理デバイス20は、ガイドワイヤ110を取り外し可能に含有し得る複数の管腔22又は部分管腔を含んでよい(例えば
図4及び5にさらに詳しく示されている)。いくつかの実施態様では、ワイヤ管理デバイス20は、管腔22のそれぞれに対応するポート24を含む(
図1に示されている)。ポート24はワイヤ管理デバイス20上へ直接に組み込まれていてよく、あるいはワイヤ管理デバイス20と一緒に位置決めされてもよく、これによりポート24のそれぞれは、ワイヤ管理デバイス20の対応管腔へのアクセスを可能にする。
【0049】
図2は、植え込み型デバイス100を送達するためのワイヤ管理デバイス20を含む送達デバイス10を示す模範的概略図を示している。ワイヤ管理デバイス20は、第1端部26と第2端部とを含む。ガイドワイヤ110がワイヤ管理デバイス20の第1端部26及び第2端部28のそれぞれから延びるように、ガイドワイヤ110はワイヤ管理デバイス20と一緒に位置決めされる(
図1参照)。ガイドワイヤ110の部分は植え込み型デバイス100の種々の部分を通って延びてよい(
図2参照)。ガイドワイヤの他の部分はワイヤ管理デバイス20を通って延びる。ガイドワイヤ110は、ワイヤ管理デバイス20の端部から、管腔の対応部分のそれぞれの中へ(例えば血管系の対応枝のそれぞれの中へ、
図2参照)延びてよい。植え込み型デバイス100がガイドワイヤ110に沿って前進させられるのに伴って、ガイドワイヤ110の部分がワイヤ管理デバイス20によって固定状態から解放される。ワイヤ管理デバイス20は、1つ又は2つ以上のガイドワイヤ110と一緒に使用してよい。
図3は、例えばワイヤ管理デバイス20と関連させて単一のガイドワイヤ110を施す送達デバイス10を示す図である。
【0050】
ワイヤ管理デバイス20の種々の実施態様を本明細書中に示し、それぞれについて個別に詳述する。しかしながら、下記実施態様のいずれか1つの特徴が他の実施態様のいずれかに適宜に組み込まれてよいことは明らかである。
【0051】
図4を参照すると、ワイヤ管理デバイス20aの第1実施態様が、シース30と仕切り40(例えばセプタム又は隔壁)とを含む。シース30は、シース30の長手方向長さに沿って主管腔32を形成している。主管腔32は、仕切り40とガイドワイヤ110とガイドワイヤシース120とを収容するのに十分な直径を有している。シース30は半可撓性材料から形成されている。この半可撓性材料は、生体構造管腔を通して前進させられるのに十分に剛性である一方、生体構造管腔内の屈曲部又は湾曲部では曲がることができる。例えば、シース30はポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンなどから形成されてよい。
【0052】
仕切り40は、複数の二次管腔42を形成するように動作することができる。二次管腔42のそれぞれは、ガイドワイヤ110の1つを含有するように動作することができる。仕切り40は主管腔32内に位置決めされるので、仕切り40は主管腔32を分割することにより、少なくとも1つの二次管腔42を形成する。
図4及び5は、4つの二次管腔42を形成する仕切り40を有するものとして示されている。しかしながら、仕切り40によって任意の数の二次管腔42を形成してよい。例えば、仕切りは1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ以上の二次管腔42を形成してよい。
【0053】
図6を参照すると、仕切り40は材料シートから形成されてよい。個々の管腔(例えば二次管腔42)を形成するように、材料シートを折り曲げるか又は形成してよい。例えば、
図6において、仕切り40は4つの二次管腔42を有するものとして示されている。仕切り40は、二次管腔42のそれぞれが材料シートの第1の側44に形成されるように、折り曲げられている。より具体的には、仕切り40は第1の側44と第2の側46とを含む。材料シートの第1の側44にはトラフ48が形成される。これらのトラフ48は先端49によって仕切られる。次いで、トラフ48がそれぞれ二次管腔42を形成するように、先端49のそれぞれをまとめる。先端49のそれぞれを(例えば接着剤を介して)一緒にカップリングすることができ、あるいは、先端は互いにオーバーラップするか、又は隣接して位置決めされるか、又は当接していてよい。しかしながら、材料シートの側端部50,52に接着剤を被着することにより、仕切り40の長手方向長さに沿って側端部50,52を互いに固定することができる。接着剤は材料シートの第1の側44又は第2の側46、又はその両方に適宜被着されてよい。材料シートの側端部50,52のカップリングは一次シーム54を形成する。一次シーム54が解放されて材料シートが切り開き得るように、一次シーム54は崩壊可能である。一次シーム54が崩壊されると、ガイドワイヤ110をそれらの対応二次管腔42から取り外すことができる。
【0054】
いくつかの実施態様では、一次シーム54は、材料シートを貫通する裂け目(例えば材料の薄化区分、パーフォレーションなど)が形成され得る位置を表す。このように、接着剤が施されそして崩壊されるか、又は材料シートが引き裂かれると、一次シーム54は永久的に崩壊する。このことは、付加的なステップ、例えば、ガイドワイヤ110の周り又は送達ハンドル(図示せず)からの仕切り40の裂断又は切断を実行する必要なしに、仕切り40が送達デバイス10から取り外されるのを可能にする。接着剤が先端49のそれぞれに被着される実施態様では、二次シーム56を形成することができる。しかしながら、二次シーム56が崩壊されると、互いに隣接する二次管腔42が合体するがしかし少なくとも1つの二次管腔42は無傷のままであるように、二次シーム56は位置決めされてよい。注目されるのは、各二次管腔42間の仕切り40にシールを形成することなしに、複数の二次管腔42を画定するように仕切り40を折り曲げ又は形成し得ることである。
【0055】
ここで
図7~18を参照すると、
図4及び5のワイヤ管理デバイス20aを使用する模範的方法が示されている。
図7はワイヤ管理デバイス20aを示している。ワイヤ管理デバイス20aは、主管腔32を形成するシース30と、主管腔32内に位置決めされて複数の二次管腔42(例えば
図4及び5に示されている)を形成する仕切り40とを含む。ワイヤ管理デバイス20aは、第1ガイドワイヤ110aを備えた第1ガイドワイヤシース120aと、第2ガイドワイヤ110bを備えた第2ガイドワイヤシース120bと、第3ガイドワイヤ110cを備えた第3ガイドワイヤシース120cと、第4ガイドワイヤ110dを備えた第4ガイドワイヤシース120dとを有する。ワイヤ管理デバイス20aは患者(図示せず)内へ、例えば大腿動脈内へ挿入し、そして大動脈弓へ前進させることができる。ガイドワイヤ110のそれぞれは適宜に(例えば腕頭動脈、左総頸動脈、左鎖骨下動脈内、及び大動脈弓内に)位置決めすることができる。いくつかの実施態様では、ガイドワイヤシース120のいくつか又は全てはステアリング(操作)可能である。医師がガイドワイヤ110の第2端部114(
図9及び10)をそれぞれの位置内へ適宜に操作し、そして植え込み型デバイス(図示せず)を第1端部112上へ取り付けることができ、これにより植え込み型デバイスをガイドワイヤ110の第1端部112から第2端部114へ向かって前進させ得るように、ガイドワイヤ110及び/又はガイドワイヤシース120の第1端部112は、ワイヤ管理デバイス20aから延びている(
図8)。
【0056】
図11を参照すると、いくつかの実施態様では、ガイドワイヤ110との組み合わせで、ステアリング可能なシース120eを使用することができる。
図12に示されているように、ステアリング可能なシース120eはガイドワイヤ110の周りに第1端部112において挿入し、次いで第2端部114へ向かって前進させることができる(
図13)。ステアリング可能なシース120eがガイドワイヤ110上に取り付けられると、ガイドワイヤ110を適宜の位置へステアリングすることができる(
図14)。
【0057】
ガイドワイヤ110が適宜に位置決めされたら、ガイドワイヤシース120をガイドワイヤ110の周りから取り外し、シースをガイドワイヤ110の第2端部114から第1端部112へ向かって後退させることができる。ガイドワイヤシース120がガイドワイヤ110から取り外されると、ガイドワイヤシース120はワイヤ管理デバイス20aから取り外される(
図15)。
【0058】
図16及び17を参照すると、ガイドワイヤ110のすべてが適宜に位置決めされた状態で、ワイヤ管理デバイス20aのシース30を仕切り40及びガイドワイヤ110の周りから取り外すことができる。
図18を参照すると、シース30が取り外された状態で、植え込み型デバイス100はガイドワイヤ110の第1端部112上へ挿入することができる。いくつかの実施態様では、ガイドワイヤ110のすべての上に、単一のデバイスが取り付けられる。いくつかの実施態様では、ガイドワイヤ110は植え込み型デバイス100の種々の別個のフィーチャ(例えば枝状グラフトの枝)を通して位置決めされてよい。他の実施態様では、植え込み型デバイス100の種々の別個の部分が各ガイドワイヤ110上に取り付けられてよい(例えば枝を単一の管腔グラフト上に取り付けることができる)。これらの実施態様では、ガイドワイヤ110は植え込み型デバイス100の側壁を通って延びてよい。
【0059】
植え込み型デバイス100がガイドワイヤ110上に取り付けられると、植え込み型デバイス100をガイドワイヤ110に沿って前進させることができる。植え込み型デバイス100がガイドワイヤの第1端部112へ向かって前進させられるのにともなって、植え込み型デバイス100は仕切り40と接触する。植え込み型デバイスが仕切り40と接触するのにともなって、植え込み型デバイス100はシーム56を崩壊する。シーム56が崩壊するのにともなって、ガイドワイヤ110はこれらの二次管腔42から解放される(
図2)。植え込み型デバイス100が前進させられるのにともなって、シーム56は仕切り40の長手方向長さに沿って順次崩壊する。シーム56が仕切り40の全長手方向長さに沿って崩壊されると、ガイドワイヤ110はもはや仕切り40によって含有されない。しかしながら、シーム56が崩壊されていない仕切り40の部分は、ガイドワイヤ110を別々の管腔(すなわち二次管腔42)内に維持する。いくつかの実施態様では、ガイドワイヤ110の1つ又は2つ以上は、仕切り40の二次管腔42内に位置決めされないことがあり、その代わりに主管腔32内に位置決めされ、したがってシース30が取り外されると係合状態から解放される。
【0060】
仕切り40が取り外されると、植え込み型デバイス100は目標部位に、又はその近くに位置している。ガイドワイヤ110は植え込み型デバイス100の送達中には含有されているので、ガイドワイヤ110は絡み、交差、又はその他のもつれを被ることがない。このような絡み、交差、又はその他のもつれは、目標部位における構成部分の不適切な座り、ガイドワイヤ110に沿った植え込み型デバイス100の前進に対する妨害、目標部位(例えば管腔の枝)からのガイドワイヤ110の転位などを引き起こし得る。次いで植え込み型デバイス100を展開し、ガイドワイヤ110を患者から取り外す。
【0061】
ここで
図19を参照すると、ワイヤ管理デバイス20bの別の実施態様が示されている。この実施態様では、ワイヤ管理デバイス20bは、主管腔32と少なくとも1つの二次管腔42とを備えた細長部材21を含む。図示の実施態様では、主管腔32はワイヤ管理デバイス20bの長手方向長さに沿って、細長部材21の中心に、そして細長部材21を通って形成されている。二次管腔42は、ワイヤ管理デバイス20bの長手方向長さに沿って細長部材21を通して形成されている。二次管腔42は、長手方向長さを横切る断面に関して、主管腔32とオーバーラップしていない。いくつかの実施態様では、二次管腔42と主管腔32とが別個のものでありオーバーラップしないように、二次管腔42は主管腔32の周りに同軸的に位置決めすることができる。言うまでもなく、二次管腔42が主管腔32とは分離されるように、二次管腔42は主管腔32に対して任意の配列を成して位置決めされてよい。分離は細長部材21のボディ(本体)を介して提供することができ(すなわち管腔は細長部材21のボディ内部に互いに別個に形成される)、あるいは主管腔32と二次管腔42とを分離するために仕切り(図示せず)が提供される。
【0062】
二次管腔42の少なくともいくつかには、ワイヤ管理デバイス20bの長手方向長さに沿ってアクセスすることができる。このことは、細長部材21の一部を通るスリット60を形成することにより可能になる。スリットは細長部材21の外部と二次管腔42とを接続する。換言すれば、二次管腔42は、細長ボディと一体型の仕切り62によって、細長部材21内に形成することができる。仕切り62は、二次管腔42から外方へ向かう運動に対する抵抗を提供する。仕切り62は、十分な力が仕切りに対して加えられたときに、二次管腔42からスリット60を通してガイドワイヤ110を取り外し得るのに十分な力が加えられると、中立位置から外れるように撓むか又は曲がるように動作可能である。例えば、二次管腔42及びガイドワイヤ110が概ね円形のプロフィールを有する場合には、二次管腔42は、二次管腔軸線を中心として細長部材内に形成されてよい。
【0063】
二次管腔42は細長部材21及び一体型仕切り62によって、約189~約359度包囲されていてよい。一体型仕切りは、ガイドワイヤ110が第2の側で部分的に包囲されるように、180度を超えて延びる細長部材21の部分である。スリット60の幅、ひいては一体型仕切り62のサイズは、ワイヤ管理デバイス20からガイドワイヤ110を解離するために必要となる所期抵抗の関数であってよい。さらに、細長部材21の材料は、より高い可撓性又は従動性の材料を組み入れるか、又は剛性材料を組み入れることによって、種々の抵抗を提供するように変化させることができる。いくつかの実施態様(図示せず)では、一体型仕切り62は細長部材21の構造フィーチャであってよい。構造フィーチャは、ガイドワイヤ110のフィーチャ(特徴)と合体又は対応することにより、二次管腔42内にガイドワイヤ110を保持する(例えばキャップ・リッジ係合、キー溝など)。ガイドワイヤ110がスリット60を通過し、ひいてはワイヤ管理デバイス20bとのその位置での係合状態から離脱するのにともなって、ガイドワイヤが二次管腔42から連続的且つ選択的に取り外されるまで、ガイドワイヤ110はワイヤ管理デバイス20bによって主管腔32又は二次管腔42内に保持される。
【0064】
ワイヤ管理デバイス20bに隣接する状態又はワイヤ管理デバイス20bを取り囲む状態で植え込み型医療デバイス100を患者管腔を通して前進させ得るように、ワイヤ管理デバイス20bは寸法設定されてよい。ワイヤ管理デバイス20bの二次管腔42のいくつかは完全に包囲されてよく、したがってガイドワイヤ110を順次解放することはしない。
【0065】
ここで
図20を参照すると、ワイヤ管理デバイス20cは、二次管腔42が細長部材のボディ内に形成されている点で、
図19のワイヤ管理デバイス20cと同様であると言える。しかしながら、
図19のワイヤ管理デバイス20bとは異なり、
図20のワイヤ管理デバイス20bは、主管腔32に対して開いた二次管腔42を含む。こうして、ガイドワイヤ110が二次管腔42から順次解放されるのにともなって、ガイドワイヤ110は主管腔内へ解放される。この実施態様では、ワイヤ管理デバイス20cは、外側支持部材(図示せず)を含んでよい。外側支持部材は、ワイヤ管理デバイスを外周で半径方向に支持する(例えばフィルム、シート、材料、ワイヤメッシュなど)ことにより、細長部材21の壁を裂断するリスクを低減する。この実施態様では、二次管腔42は、ワイヤ管理デバイス20c(図示せず)の周囲に位置決めされてよく、又は細長部材21の一部の周りに集中させられてもよい。
【0066】
より具体的には、ワイヤ管理デバイス20cは、主管腔32と少なくとも1つの二次管腔42とを備えた細長部材21を含む。図示の実施態様では、主管腔32はワイヤ管理デバイス20cの長手方向長さに沿って、細長部材21の中心に、そして細長部材21を通って形成されている。二次管腔42は、ワイヤ管理デバイス20cの長手方向長さに沿って細長部材21を通して形成されている。二次管腔42へのアクセスは、細長部材21の長手方向長さに沿って、主管腔32を介して可能になる。いくつかの実施態様では、二次管腔42は主管腔32の周りに同軸的に位置決めすることができる。言うまでもなく、二次管腔42が主管腔32とは分離されるように、二次管腔42は主管腔32に対して任意の配列を成して位置決めされてよい。分離は細長部材21のボディを介して提供することができ(すなわち管腔は細長部材21のボディ内部に互いに別個に形成される)、あるいは主管腔32と二次管腔42とを分離するために仕切り(図示せず)が提供される。いくつかの実施態様では、主管腔32の僅かな部分と二次管腔42とは、これらの管腔32,42のオーバーラップに基づき互いに開くように構成されている。いくつかの実施態様では、主管腔32及び二次管腔42は、長手方向長さを横切る断面に関して、主管腔32とオーバーラップしていないが、しかしスリット又はギャップを介してアクセスが可能である。
【0067】
二次管腔42の少なくともいくつかには、ワイヤ管理デバイス20bの長手方向長さに沿ってアクセスすることができる。このことは、細長部材21の一部を通るスリット60を形成することにより可能になる。スリットは主管腔32と二次管腔42とを接続する。換言すれば、細長ボディと一体型であるか又は細長ボディから延びる仕切り62によって、細長部材21内に二次管腔42を形成することにより、管腔32,42を分離することができる。仕切り62は、二次管腔42から主管腔32内への運動に対する抵抗を提供する。仕切り62は、十分な力が仕切りに対して加えられたときに、二次管腔42からスリット60を通してガイドワイヤ110を取り外し得るのに十分な力が加えられると、中立位置から外れるように撓むか又は曲がるように動作可能である。例えば、二次管腔42及びガイドワイヤ110が概ね円形のプロフィール(外形)を有する場合には、二次管腔42は、二次管腔軸線を中心として細長部材内に形成されてよい。二次管腔42は細長部材21及び一体型仕切り62によって、約189~約359度包囲されていてよい。一体型仕切りは、ガイドワイヤ110が第2の側で部分的に包囲されるように、180度を超えて延びる細長部材21の部分である。スリット60の幅、ひいては一体型仕切り62のサイズは、ワイヤ管理デバイス20からガイドワイヤ110を解離するために必要となる所期抵抗の関数であってよい。さらに、細長部材21の材料は、より高い可撓性又は従動性の材料を組み入れるか、又は剛性材料を組み入れることによって、種々の抵抗を提供するように変化させることができる。
【0068】
いくつかの実施態様(図示せず)では、一体型仕切り62は細長部材21の構造フィーチャであってよい。構造フィーチャは、ガイドワイヤ110のフィーチャと合体又は対応することにより、二次管腔42内にガイドワイヤ110を保持する(例えばキャップ・リッジ係合、キー溝など)。ガイドワイヤ110がスリット60を通過し、ひいてはワイヤ管理デバイス20bとのその位置での係合状態から離脱するのにともなって、ガイドワイヤが二次管腔42から順次且つ選択的に取り外されるまで、ガイドワイヤ110はワイヤ管理デバイス20bによって主管腔32又は二次管腔42内に保持される。
【0069】
ワイヤ管理デバイス20bの主管腔32を貫通した状態で、患者管腔を通して植え込み型医療デバイス100を前進させ得るように、ワイヤ管理デバイス20bは寸法設定される。ワイヤ管理デバイス20bの二次管腔42のいくつかは完全に包囲されてよく、したがってガイドワイヤ110を順次解放することはしない。
【0070】
本出願の発明を全般的に、そして具体的な実施態様に関連して上記のように説明してきた。当業者には明らかなように、開示の範囲を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を実施態様において加えることができる。同様に、本明細書中に記載された実施態様において論じられた種々の構成部分は組み合わせることもできる。したがって、実施態様は本発明の範囲の改変形及び変更形をカバーするものとする。
【国際調査報告】