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特表2024-500416ボツリヌス毒素の液剤を長期保管するための薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ボツリヌス毒素の液剤を長期保管するための薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20231226BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231226BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231226BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K47/36
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/44
A61K47/10
A61K47/02
A61P21/00
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537067
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 KR2021019302
(87)【国際公開番号】W WO2022131860
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178961
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0180076
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516359207
【氏名又は名称】エーティージーシー カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ATGC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ソン ス
(72)【発明者】
【氏名】イム、イル ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ハク ソプ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン シク
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ボム ジュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076CC01
4C076CC09
4C076DD26Z
4C076DD38Q
4C076DD67
4C076EE23
4C076EE37Q
4C076EE53F
4C076FF36
4C084CA04
4C084DA33
4C084MA16
4C084NA03
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA941
4C084ZA942
(57)【要約】
本発明は、ボツリヌス毒素の液剤を低温で長期保管するための組成物に関し、具体的には、(i)ボツリヌス毒素、(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩、および(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を有効成分として含む薬学的液状組成物およびこれを用いたボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法に関する。本発明による組成物は、ボツリヌス毒素の物理・化学的安定性および三次構造の変性防止に著しい効果を示し、したがって、乾燥剤に制限された従来のボツリヌス毒素の剤形を液剤に拡大適用することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)~(iii)を有効成分として含む薬学的液状組成物:
(i)ボツリヌス毒素;
(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および
(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤。
【請求項2】
前記組成物は、全体組成物を基準としてボツリヌス毒素を5~40unit/mLで含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項3】
前記ボツリヌス毒素は、タンパク質複合体を含有しない形態またはタンパク質複合体を含有する複合体の形態であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項4】
前記ヒアルロン酸は、分子量が30,000~5,000,000ダルトン(Da)であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項5】
前記組成物は、全体組成物を基準としてヒアルロン酸を5~250mg/mLの濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項6】
前記糖類は、ラクトース一水和物またはフラクトースであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項7】
前記組成物は、全体組成物を基準として前記糖類を0.01~5%(w/v)の濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(Polyoxyethylene hydrogenated castor oil)であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項9】
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、酸化エチレンのモル比が10~60であることを特徴とする請求項8に記載の薬学的液状組成物。
【請求項10】
前記組成物は、全体組成物を基準として前記非イオン性界面活性剤を0.01~1%(w/v)の濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項11】
前記安定化剤は、グリセリンであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項12】
前記組成物は、全体組成物を基準として前記安定化剤を0.1~10%(w/v)の濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項13】
前記ヒアルロン酸は、500,000~2,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸は、500,000~2,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項15】
前記ヒアルロン酸は、2,500,000~5,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~1%(w/v)の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項16】
前記組成物は、緩衝剤として25~100mMのリン酸ナトリウムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項17】
前記組成物は、すぐに使える(ready-to-use)注射製剤であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項18】
下記(i)~(iii)を有効成分として含む薬学的液状組成物を用いて、ボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法:
(i)ボツリヌス毒素;
(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および
(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤。
【請求項19】
ボツリヌス毒素;ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を混合する段階を含む、ボツリヌス毒素の長期保管用薬学的液状組成物の製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載の液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項21】
前記神経筋肉関連疾患は、頭痛、片頭痛、緊張性頭痛、副鼻腔頭痛、頚椎性頭痛、発汗障害、脇多汗症、手多汗症、足多汗症、フレイ症候群、過運動性皮膚シワ(hyperkinetic skin line)、顔シワ、眉間シワ、目じりシワ、口元シワ、鼻唇シワ、皮膚障害、にきび、鼻炎、副鼻腔炎、弛緩不能症、斜視、慢性裂肛、眼瞼痙攣、筋骨格痛、足部痛、足部筋膜炎、足底筋膜炎、線維筋痛、すい臓炎、頻脈、前立腺肥大、前立腺炎、尿閉、尿失禁、過敏性膀胱、片側顔面痙攣、振戦、震え、筋痙攣、消化管障害、糖尿病、痛風、唾液過多症、排尿筋括約筋協調不全、脳卒中後の硬直、損傷の回復、小児脳性麻痺、平滑筋痙攣、再狭窄、局所筋緊張異常、てんかん、頸部筋緊張異常症、甲状腺障害、高カルシウム血症、強迫障害、骨関節炎、側頭下顎関節障害、レイノー症候群、皮膚伸展線条、腹膜癒着、血管痙攣、鼻水、筋肉痙縮、喉頭筋緊張異常、書痙および手根管症候群からなる群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項20に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、神経筋肉関連疾患の予防または治療方法。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物の神経筋肉関連疾患の予防または治療用途。
【請求項25】
神経筋肉関連疾患の治療剤を製造するための請求項1に記載の組成物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボツリヌス毒素の液剤を低温で長期保管するための組成物に関し、具体的には、(i)ボツリヌス毒素、(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩、および(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を有効成分として含む薬学的液状組成物およびこれを用いたボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法に関する。
【0002】
本出願は、2020年12月18日に出願された韓国特許出願第10-2020-0178961号および2021年12月15日に出願された韓国特許出願第10-2021-0180076号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書および図面に開示されたすべての内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
ボツリヌス毒素は、グラム陽性嫌気性バクテリアであるクロストリジウム・ボツリナム(Clostridium botulinum)が作り出す神経毒素である。ボツリヌス毒素は、8種の神経毒素に分類され、これらのうち7種(A、B、C、D、E、FおよびG型)は、神経のマヒを誘発することができる。それらの中でも、天然生物学的作用剤と知られた最も致命的なボツリヌス毒素は、A型であり、毒素タンパク質のサイズは、約150kDa程度であり、毒素タンパク質の他に非毒素のタンパク質複合体が結合して複合体を構成し、この際、複合体のサイズは、神経毒素の種類によって最大900kDaまで形成される。
【0004】
ボツリヌス毒素は、筋肉の一時的な弛緩性マヒを起こす効果があり、作用機序としては、運動神経末端(末梢神経のコリン性末端に結合し、神経細胞内に流入)の神経筋接合部でアセチルコリンの分泌を抑制することによって、局所的な筋肉のマヒを起こすことが知られている。ボツリヌス毒素は、筋肉の局所的マヒを誘発し、慢性的な筋膜痛、腰痛、筋肉硬直、緊張性頭痛などによる痛みを抑制する効果があり、これは、胃の作用機序で知られたように、神経筋接合部の軸索からアセチルコリンの放出を抑制することによって、神経シグナル伝達を遮断し、痛みの抑制効果が現れるとみなされている。
【0005】
ボツリヌス毒素は、1989年にアメリカ食品医薬品局(FDA)の許可を受けた物質であり、斜視および眉間シワを改善する目的で広く使用されている。治療用には、斜視、顔ぶれ、まぶた痙攣、筋硬直などに用いられており、美容目的には、シワ除去、四角顎手術などに用いられている。
【0006】
筋肉および皮膚組織に注射されたボツリヌス毒素の持続時間は、3~6ヶ月以内であり、注射効果は、3日以内に始まり、最高効果は、1~2週間の間に現れる。ボツリヌス毒素により神経筋接合部でアセチルコリンの分泌が抑制され、シグナル伝達が遮断されると、その後、新しい神経枝が生成され、ボツリヌス毒素による神経マヒ効果が軽減されるので、ボツリヌス毒素の定期的な投与は必須である。
【0007】
なお、ヒアルロン酸は、結合組織、上皮組織および神経組織の全体に広く分布しているアニオン性非硫化グリコサミノグリカン(Glycosaminoglycans,GAGs)であり、細胞外マトリックスの主要な構成要素の1つである。主に細胞増殖および移動に大きく寄与し、生体適合性が高い生体材料の1つであり、骨関節炎などの治療を目的に医薬品の主成分として使用されたり、液剤内粘性を付与するための添加剤としても使用される。
【0008】
ボツリヌス毒素のようなタンパク質医薬品は、三次構造の変性が薬物の薬理学的な活性程度に影響を及ぼすので、剤形選択の幅が非常に狭い。特に、ボツリヌス毒素の三次構造の変性に影響を与える多様な要因のうち完成品内の水分含有量は、薬効の安定性に非常に大きい影響を及ぼす。これは、従来のボツリヌス毒素を用いた製剤が完成品内水分が十分に除去された真空乾燥注射剤や凍結乾燥注射剤に限定されている原因の1つである。
【0009】
また、真空乾燥注射剤や凍結乾燥注射剤は、ユーザが直接希釈して使用しなければならないので、ユーザの希釈方法または管理状態によって主成分の投与偏差が発生する可能性が高く、安全性に問題があり、使用便宜性が低下するという短所がある。
【0010】
したがって、封入したボツリヌス毒素の薬理学的な活性を維持しつつ、ユーザの便宜性を増大させることができる液剤への開発が急務である。このような要求に応じて、ボツリヌス毒素の安定化液剤を開発するための多くの先行研究が行われているが、多くの研究結果は、ボツリヌス毒素の初期生物学的活性を維持するのに失敗した。したがって、液剤内含有されたボツリヌス毒素の薬理学的な安定性を保証するための低温保管が最も現実的な代案として脚光を浴びており、これによって、液剤内ボツリヌス毒素の薬理学的な活性を維持させることができる新規の添加剤とそれによる低温保管安定性の確保が克服すべき技術的課題として残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、(i)ボツリヌス毒素;(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を有効成分として含む薬学的液状組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、本発明による前記組成物を用いてボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法を提供することにある。
【0013】
しかしながら、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、(i)ボツリヌス毒素;(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を有効成分として含む薬学的液状組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、本発明による前記組成物を用いてボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法を提供する。
【0016】
本発明者らは、ボツリヌス毒素の液剤を低温で長期保管しても、生物学的活性が減少せず、安定した保管が可能な、ヒアルロン酸および添加剤を含む薬理学的な液状組成物を開発し、本発明を完成した。
【0017】
本発明の一具現例において、前記組成物は、全体組成物を基準としてボツリヌス毒素を5~40unit/mLで含有することができるが、これに制限されるものではない。
【0018】
本発明の他の具現例において、前記ボツリヌス毒素は、タンパク質複合体を含有しない形態またはタンパク質複合体を含有する複合体の形態であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0019】
本発明のさらに他の具現例において、前記ヒアルロン酸は、分子量が30,000~5,000,000ダルトン(Da)であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0020】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、全体組成物を基準としてヒアルロン酸を5~250mg/mLの濃度で含有してもよいが、これに制限されるものではない。
【0021】
本発明のさらに他の具現例において、前記糖類は、ラクトース一水和物またはフラクトースであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、全体組成物を基準として前記糖類を0.01~5%(w/v)の濃度で含有してもよいが、これに制限されるものではない。
【0023】
本発明のさらに他の具現例において、前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(Polyoxyethylene hydrogenated castor oil)であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0024】
本発明のさらに他の具現例において、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、酸化エチレンのモル比が10~60であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0025】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、全体組成物を基準として前記非イオン性界面活性剤を0.01~1%(w/v)の濃度で含有してもよいが、これに制限されるものではない。
【0026】
本発明のさらに他の具現例において、前記安定化剤は、グリセリンであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0027】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、全体組成物を基準として前記安定化剤を0.1~10%(w/v)の濃度で含有してもよい。
【0028】
本発明のさらに他の具現例において、前記ヒアルロン酸は、500,000~2,000,000ダルトンであり;前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含有されていてもよいが、これに制限されるものではない。
【0029】
本発明のさらに他の具現例において、前記ヒアルロン酸は、500,000~2,000,000ダルトンであり;前記糖類は、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;前記非イオン性界面活性剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含有されていてもよいが、これに制限されるものではない。
【0030】
本発明のさらに他の具現例において、前記ヒアルロン酸は、2,500,000~5,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;および
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~1%(w/v)の濃度で含有されていてもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、緩衝剤として25~100mMのリン酸ナトリウムをさらに含んでもよい。
【0032】
本発明のさらに他の具現例において、前記組成物は、すぐに使える(ready-to-use)注射製剤であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0033】
また、本発明は、ボツリヌス毒素;ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を混合する段階を含む、ボツリヌス毒素の長期保管用薬学的液状組成物の製造方法を提供する。
【0034】
また、本発明は、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を含む液状組成物のボツリヌス毒素の安定化用途を提供する。前記安定化用途は、ボツリヌス毒素の生物学的活性維持用途を含む。
【0035】
また、本発明は、ボツリヌス毒素の安定化液剤を製造するための、ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を含む組成物の用途を提供する。
【0036】
また、本発明は、本発明による液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0037】
また、本発明は、本発明による液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0038】
本発明の一具現例において、前記神経筋肉関連疾患は、頭痛、片頭痛、緊張性頭痛、副鼻腔頭痛、頚椎性頭痛、発汗障害、脇多汗症、手多汗症、足多汗症、フレイ症候群、過運動性皮膚シワ(hyperkinetic skin line)、顔シワ、眉間シワ、目じりシワ、口元シワ、鼻唇シワ、皮膚障害、にきび、鼻炎、副鼻腔炎、弛緩不能症、斜視、慢性裂肛、眼瞼痙攣、筋骨格痛、足部痛、足部筋膜炎、足底筋膜炎、線維筋痛、すい臓炎、頻脈、前立腺肥大、前立腺炎、尿閉、尿失禁、過敏性膀胱、片側顔面痙攣、振戦、震え、筋痙攣、消化管障害、糖尿病、痛風、唾液過多症、排尿筋括約筋協調不全、脳卒中後の硬直、損傷の回復、小児脳性麻痺、平滑筋痙攣、再狭窄、局所筋緊張異常、てんかん、頸部筋緊張異常症、甲状腺障害、高カルシウム血症、強迫障害、骨関節炎、側頭下顎関節障害、レイノー症候群、皮膚伸展線条、腹膜癒着、血管痙攣、鼻水、筋肉痙縮、喉頭筋緊張異常、書痙および手根管症候群からなる群から選ばれた1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0039】
また、本発明は、本発明による液状組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む神経筋肉関連疾患の予防または治療方法を提供する。
【0040】
また、本発明は、本発明による液状組成物の神経筋肉関連疾患の予防または治療用途を提供する。
【0041】
また、本発明は、神経筋肉関連疾患の治療剤を製造するための前記液状組成物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0042】
本発明は、有効成分であるボツリヌス毒素とヒアルロン酸の薬理学的な活性を維持するための添加剤を含む液状組成物を提供することによって、ボツリヌス毒素の長期保管時に安定性を顕著に増加させることができる。添加剤であるpH調節剤、糖類、界面活性剤、安定化剤などを特定の濃度で組み合わせて、これをボツリヌス毒素液剤に追加することによって、ボツリヌス毒素の物理・化学的安定性および三次構造の変性防止に著しい効果を示す。したがって、本発明による組成物を用いる場合、乾燥剤に制限された従来のボツリヌス毒素の適用可能剤形を液剤に拡大し、多様な類型の製品を開発することができる。
【0043】
また、本発明の組成物を活用した液状内ボツリヌス毒素の安定性増大でボツリヌス毒素の製剤化過程での安定性を保証し、徐放性や速放性形態の制御放出型注射薬物製剤に適用したり、マイクロニードルパッチなどのマイクロ構造体を用いた経皮伝達医薬品の開発などに活用することができる。また、有効成分である生体適合性に優れたヒアルロン酸による付加的な抗炎効果と完成品内粘性を付与することによって、ボツリヌス毒素の局部的治療効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、添加剤に使用された糖の種類および濃度によるボツリヌス毒素液状組成物の低温安定性を確認してグラフで示す図である(添加されたヒアルロン酸の分子量=1MDa)。
図2図2は、添加剤に使用された非イオン性界面活性剤の濃度によるボツリヌス毒素液状組成物の低温安定性を確認してグラフで示す図である(添加されたヒアルロン酸の分子量=1MDa)。
図3図3は、添加剤に使用された安定化剤の濃度によるボツリヌス毒素液状組成物の低温安定性を確認してグラフで示す図である(添加されたヒアルロン酸の分子量=1MDa)。
図4図4は、それぞれ異なる複数の添加剤をそれぞれ異なる濃度で配合して添加した後、ボツリヌス毒素液状組成物の安定化効能を比較分析してグラフで示す図である(添加されたヒアルロン酸の分子量=1MDa)。
図5図5は、それぞれ異なる複数の添加剤をそれぞれ異なる濃度で配合して添加した後、ボツリヌス毒素液状組成物の安定化効能を比較分析してグラフで示す図である(添加されたヒアルロン酸の分子量=3MDa)。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明者らは、本発明による組成物を用いると、ボツリヌス毒素、ヒアルロン酸および添加剤を含む液剤内ボツリヌス毒素の薬理学的な活性を低温で長期間維持させることができることを具体的に確認し、これに基づいて本発明を完成した。
【0046】
本発明の一実施例では、多様な種類の糖に対してスクリーニング実験を行い、ラクトース一水和物およびフラクトースを添加剤として選定し、これらを多様な濃度で添加して、ボツリヌス毒素液状組成物の安定性を評価した結果、ラクトース一水和物0.1%(w/v)含有試験群とフラクトース0.5%(w/v)含有試験群の低温安定性が顕著に向上することを確認した(実施例1、表1および図1参照)。
【0047】
本発明の他の実施例では、多様な種類の非イオン性界面活性剤に対してスクリーニング実験を行い、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を添加剤として選定し、これを多様な濃度で添加して、ボツリヌス毒素液状組成物の安定性を評価した結果、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を0.2%(w/v)の濃度で含有する試験群において低温安定性が15週目まで確保できることを確認した(実施例2、表2および図2参照)。
【0048】
本発明のさらに他の実施例では、多様な種類の安定化剤に対してスクリーニング実験を行い、グリセリンを添加剤として選定し、これを多様な濃度で添加して、ボツリヌス毒素液状組成物の安定性を評価した結果、グリセリン1%(w/v)含有試験群において低温安定性が25週目まで確保できることを確認した(実施例3、表3および図3参照)。
【0049】
本発明のさらに他の実施例では、前記実施例を基に1MDaのヒアルロン酸およびそれぞれの添加剤を多様な組み合わせで配合した組成物の安定化効能を確認し、その結果、下記の組成を満たす添加剤を配合した組成物のボツリヌス毒素の安定化効能が特に優れていることを確認した:HCO-40 0.2%(w/v)含有添加剤;フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)含有添加剤;HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有添加剤;フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有添加剤;およびフラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.05%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有添加剤(実施例4、表4および図4参照)。
【0050】
特に、前記実施例においてHCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)を含有する添加剤;およびフラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)を含有する添加剤を配合した組成物は、12ヶ月以上の長期的なボツリヌス毒素安定性維持効果を達成することができることを確認した。
【0051】
本発明のさらに他の実施例では、前記実施例を基に3MDaのヒアルロン酸およびそれぞれの添加剤を多様な組み合わせで配合した組成物の安定化効能を確認し、その結果、HCO-40 0.2%(w/v)含有添加剤;フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有添加剤;およびHCO-40 0.05%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有添加剤を配合した組成物のボツリヌス毒素の安定化効能が特に優れていることを確認し、12ヶ月以上の長期的なボツリヌス毒素安定性維持効果を達成することができることを確認した(実施例5、表5および図5参照)。
【0052】
したがって、本発明は、(i)ボツリヌス毒素;(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を有効成分として含む薬学的液状組成物を提供することができる。
【0053】
本発明の他の様態として、本発明は、(i)ボツリヌス毒素;(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を有効成分として含む薬学的液状組成物を用いて、ボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法を提供する。
【0054】
本発明による薬学的液状組成物は、好ましくは、ボツリヌス毒素の生物学的活性を12ヶ月以上、10ヶ月以上、8ヶ月以上、6ヶ月以上、または5ヶ月以上維持できるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書に使用された用語、「ボツリヌス毒素」は、細菌により生産されたりまたは組換え法により生産され得るが、公知の任意の種類のボツリヌス毒素、および操作された変異体または融合タンパク質を含む、または続いて発見され得るすべての種類のボツリヌス毒素を意味する。ボツリヌス毒素は、8種の血清型(serotype)に区分され、血清型A、B、C、D、E、F、およびG型の7種は、神経マヒを誘発することができる。本発明によるボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素A型であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0056】
前記ボツリヌス毒素は、細菌または組換えにより生成されるすべての血清型(serotype)およびその誘導体または融合タンパク質を含む。本発明において、「ボツリヌス毒素誘導体」は、ボツリヌス毒素活性を有する天然ボツリヌス毒素または組換え円形ボツリヌス毒素の一部または一部の鎖上に1つ以上の化学的または機能的変形を含む誘導体であってもよい。例えば、ボツリヌス毒素誘導体は、欠失、変形または置換された1つ以上のアミノ酸を有する変形された毒素であってもよい。
【0057】
本発明において、前記組成物は、全体組成物を基準としてボツリヌス毒素を5~40unit/mLで含有してもよい。
【0058】
前記ボツリヌス毒素1ユニット(Unit,U)は、体重が17~22gの雌スイスウェブスターマウス(Swiss Webster mice)に腹腔内注射を通した死亡率が50%であるLD50と定義することができる。マウスにおいてボツリヌス毒素血清型AのLD50は、約50ピコグラムである。
【0059】
本発明において、前記ボツリヌス毒素は、タンパク質複合体を含有しない形態またはタンパク質複合体を含有する複合体の形態であってもよい。前記ボツリヌス毒素は、複合体を含むタンパク質と含まないタンパク質とに分けられ、純粋な毒素タンパク質の分子量は、約150kDaであり、複合体の形成有無によって300kDa、500kDa、900kDaなど多様なサイズのタンパク質が生成される。
【0060】
本発明において、前記ヒアルロン酸は、分子量が30,000~5,000,000ダルトン(Da)であってもよいが、これに制限されるものではない。例えば、本発明による組成物は、30,000~5,000,000Da、30,000~4,500,000Da、30,000~4,000,000Da、30,000~3,500,000Da、30,000~3,000,000Da、500,000~5,000,000Da、500,000~4,500,000Da、500,000~4,000,000Da、500,000~3,500,000Da、500,000~3,000,000Da、1,000,000~5,000,000Da、1,000,000~4,500,000Da、1,000,000~4,000,000Da、1,000,000~3,500,000Da、1,000,000~3,000,000Da、500,000~2,000,000Da、500,000~1,800,000Da、500,000~1,700,000Da、500,000~1,500,000Da、700,000~1,300,000Da、800,000~1,200,000Da、900,000~1,100,000Da、1,500,000~5,000,000Da、2,000,000~5,000,000Da、2,500,000~5,000,000Da、2,500,000~4,500,000Da、2,500,000~4,000,000Da、2,500,000~3,500,000Da、2,700,000~3,300,000Da、2,800,000~3,200,000Da,または2,900,000~3,100,000Daの分子量を有するヒアルロン酸を有効成分として含んでもよい。
【0061】
本発明において、前記組成物は、全体組成物を基準としてヒアルロン酸を5~250mg/mLの濃度で含有することができるが、これに制限されるものではなく、例えば、5~250mg/mL、10~250mg/mL、15~250mg/mL、20~250mg/mL、30~250mg/mL、40~250mg/mL、50~250mg/mL、70~250mg/mL、90~250mg/mL、100~250mg/mL、150~250mg/mL、200~250mg/mL、5~200mg/mL、10~200mg/mL、15~200mg/mL、20~200mg/mL、30~200mg/mL、40~200mg/mL、50~200mg/mL、70~200mg/mL、90~200mg/mL、100~200mg/mL、150~200mg/mL、5~150mg/mL、10~150mg/mL、15~150mg/mL、20~150mg/mL、30~150mg/mL、40~150mg/mL、50~150mg/mL、70~150mg/mL、90~150mg/mL、100~150mg/mL、5~100mg/mL、10~100mg/mL、15~100mg/mL、20~100mg/mL、30~100mg/mL、40~100mg/mL、50~100mg/mL、70~100mg/mL、90~100mg/mL、5~90mg/mL、10~90mg/mL、15~90mg/mL、20~90mg/mL、30~90mg/mL、40~90mg/mL、50~90mg/mL、70~90mg/mL、5~70mg/mL、10~70mg/mL、15~70mg/mL、20~70mg/mL、30~70mg/mL、40~70mg/mL、50~70mg/mL、5~50mg/mL、10~50mg/mL、15~50mg/mL、20~50mg/mL、30~50mg/mL、40~50mg/mL、5~40mg/mL、10~40mg/mL、15~40mg/mL、20~40mg/mL、30~40mg/mL、5~30mg/mL、10~30mg/mL、15~30mg/mL、20~30mg/mL、5~20mg/mL、10~20mg/mL、15~20mg/mL、5~15mg/mL、10~15mg/mL,または5~10mg/mLの濃度で含有してもよい。前記ヒアルロン酸は、塩化ナトリウム溶液に溶解して使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0062】
本明細書に使用された用語、「ヒアルロン酸」は、アミノ酸とウロン酸からなる複雑な多糖類の1つであり、多様な分子量を有し、人体内存在するヒアルロン酸と同じ分子量を有するヒアルロン酸は、生物学的に安全なだけでなく、皮下内注射時に滑液の炎症値の減少と流動学的な回復において効果的である。
【0063】
前記「その薬学的に許容される塩」は、一般的に動物、特にヒト使用されるものと認識される塩を意味し、これには、塩基添加塩を生成させるのに使用される塩として、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウム塩のような無機塩;またはエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リシン、ヒスチジンまたはピペラジンのような有機塩;または酸添加塩として、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩またはグルコン酸塩のような有機塩;または塩化物、硫酸塩、ホウ酸塩または炭酸塩のような無機塩などが含まれ、これらに限定されるものではない。薬学的に許容可能であるという前題に、塩の特性は、重要な要素ではない。本発明の組成物のヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野によく知られた通常の方法により得ることができる。
【0064】
本発明において、前記糖類は、単糖類(2~7炭糖)または多糖類であってもよい。前記糖類の種類には、制限がないが、グルコース、フラクトース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、セルロース、および澱粉などから選択できる。好ましくは、本発明において前記糖類は、ラクトース一水和物またはフラクトースであってもよい。
【0065】
本発明において、前記組成物は、全体組成物を基準として前記糖類を0.01~5%(w/v)の濃度で含有してもよいが、これに制限されるものではない。例えば、前記糖類は、組成物内に0.01~5%(w/v)、0.05~5%(w/v)、0.1~5%(w/v)、0.5~5%(w/v)、1~5%(w/v)、1.5~5%(w/v)、2~5%(w/v)、2.5~5%(w/v)、0.01~4.5%(w/v)、0.05~4.5%(w/v)、0.1~4.5%(w/v)、0.5~4.5%(w/v)、1~4.5%(w/v)、1.5~4.5%(w/v)、2~4.5%(w/v)、2.5~4.5%(w/v)、0.01~4%(w/v)、0.05~4%(w/v)、0.1~4%(w/v)、0.5~4%(w/v)、1~4%(w/v)、1.5~4%(w/v)、2~4%(w/v)、2.5~4%(w/v)、0.01~3.5%(w/v)、0.05~3.5%(w/v)、0.1~3.5%(w/v)、0.5~3.5%(w/v)、1~3.5%(w/v)、1.5~3.5%(w/v)、2~3.5%(w/v)、2.5~3.5%(w/v)、0.01~3%(w/v)、0.05~3%(w/v)、0.1~3%(w/v)、0.2~2.8%(w/v)、0.4~2.6%(w/v)、0.5~3%(w/v)、1~3%(w/v)、1.5~3%(w/v)、2~3%(w/v)、2.5~3%(w/v)、0.01~2.5%(w/v)、0.05~2.5%(w/v)、0.1~2.5%(w/v)、0.5~2.5%(w/v)、1~2.5%(w/v)、1.5~2.5%(w/v)、または2~2.5%(w/v)の濃度で含有されてもよい。前記糖類は、リン酸ナトリウム緩衝剤に溶解して使用できるが、これに限定されるものではない。
【0066】
本発明において、「非イオン性界面活性剤」は、水にイオン化せずに溶解する界面活性剤を意味し、前記非イオン性界面活性剤は、分散、浸透、乳化などに優れた効果を有する。弱い親水基であるから、皮膚刺激が少なく、乳化力に優れていて、医薬品の賦形剤だけでなく、化粧料成分としても活用される。例えば、非イオン界面活性剤成分としては、ポリエチレングリコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、脂肪アルコール、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、ポリソルベート、コカミド、MEA、コカミドDEAなどがある。
【0067】
本発明による非イオン性界面活性剤の具体的な種類には制限がないが、ポリソルベート(polysorbate;ポリソルベート20、40、60、80など)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オクチルドデセス-16(octyldodeceth-16)、セテアレス-6オリベート(ceteareth-6 olivate)などから選択できる。好ましくは、本発明において前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(Polyoxyethylene hydrogenated castor oil)であってもよい。
【0068】
本発明において、前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、酸化エチレンのモル比が10~60であってもよいが、これに制限されるものではない。具体的には、ヒマシ油およびエチレンオキシドを反応させてエチレンオキシドが付加されたヒマシ油を使用することができ、この際、エチレンオキシドは、ヒマシ油1molを基準として10~60molを付加することができる。一具体例では、硬化(水素添加された)ヒマシ油にエチレンオキシドを40mol付加重合して得たポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油[Polyoxyethylene(40) hydrogenated castor oil]を使用した。前記用語「ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油」は、用語「HCO-40」と相互交換的に使用された。しかしながら、これは、ただ具体的な実施例の1つであり、本発明によるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、HCO-10、HCO-20、HCO-30、HCO-40、HCO-50、およびHCO-60などから制限なしで選択できる。
【0069】
本発明において、前記組成物は、全体組成物を基準として前記非イオン性界面活性剤を0.01~1%(w/v)の濃度で含有してもよいが、これに制限されるものではない。例えば、前記非イオン性界面活性剤は、組成物内に0.01~1%(w/v)、0.01~0.9%(w/v)、0.01~0.8%(w/v)、0.01~0.7%(w/v)、0.01~0.6%(w/v)、0.01~0.5%(w/v)、0.01~0.4%(w/v)、0.01~0.3%(w/v)、0.03~1%(w/v)、0.03~0.9%(w/v)、0.03~0.8%(w/v)、0.03~0.7%(w/v)、0.03~0.6%(w/v)、0.03~0.5%(w/v)、0.03~0.4%(w/v)、0.03~0.3%(w/v)、0.05~1%(w/v)、0.05~0.8%(w/v)、0.1~0.8%(w/v)、0.15~0.8%(w/v)、0.2~0.8%(w/v)、0.05~0.7%(w/v)、0.1~0.7%(w/v)、0.15~0.7%(w/v)、0.2~0.7%(w/v)、0.05~0.6%(w/v)、0.1~0.6%(w/v)、0.15~0.6%(w/v)、0.2~0.6%(w/v)、0.05~0.5%(w/v)、0.1~0.5%(w/v)、0.15~0.5%(w/v)、0.2~0.5%(w/v)、0.05~0.4%(w/v)、0.1~0.4%(w/v)、0.15~0.4%(w/v)、0.2~0.4%(w/v)、0.05~0.3%(w/v)、0.1~0.3%(w/v)、0.15~0.3%(w/v)、0.2~0.3%(w/v)、0.05~0.25%(w/v)、0.1~0.25%(w/v)、0.15~0.25%(w/v)、または0.2~0.25%(w/v)の濃度で含有されてもよい。前記非イオン性界面活性剤は、リン酸ナトリウム緩衝剤に溶解して使用してもよいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明において前記「安定化剤(stabilizer)」は、活性成分の安定性を増加させ、活性成分が任意に変化して酸化、結晶化したり、または類縁物質などに変性するのを防止するための任意の添加剤を意味する。安定化剤の安定化効能に対する評価は、温度を限定せずに行われ得るが、本発明は、特に高温より低温でボツリヌス毒素の安定化効果が長期的に維持されるものと理解される。
【0071】
本発明において、前記安定化剤は、グリセリン(glycerin)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0072】
本発明において、前記組成物は、全体組成物を基準として前記安定化剤を0.1~10%(w/v)の濃度で含有してもよいが、これに制限されるものではない。例えば、前記安定化剤は、組成物内に0.1~10%(w/v)、0.5~10%(w/v)、1~10%(w/v)、1.5~10%(w/v)、2~10%(w/v)、3~10%(w/v)、4~10%(w/v)、5~10%(w/v)、7~10%(w/v)、9~10%(w/v)、0.1~9%(w/v)、0.5~9%(w/v)、1~9%(w/v)、1.5~9%(w/v)、2~9%(w/v)、3~9%(w/v)、4~9%(w/v)、5~9%(w/v)、7~9%(w/v)、0.1~7%(w/v)、0.5~7%(w/v)、1~7%(w/v)、1.5~7%(w/v)、2~7%(w/v)、3~7%(w/v)、4~7%(w/v)、5~7%(w/v)、0.1~5%(w/v)、0.5~5%(w/v)、1~5%(w/v)、1.5~5%(w/v)、2~5%(w/v)、3~5%(w/v)、4~5%(w/v)、0.1~4%(w/v)、0.5~4%(w/v)、1~4%(w/v)、1.5~4%(w/v)、2~4%(w/v)、3~4%(w/v)、0.1~3%(w/v)、0.5~3%(w/v)、1~3%(w/v)、1.5~3%(w/v)、2~3%(w/v)、0.1~2%(w/v)、0.5~2%(w/v)、1~2%(w/v)、1.5~2%(w/v)、0.1~1.5%(w/v)、0.5~1.5%(w/v)、1~1.5%(w/v)、0.1~1%(w/v)、0.5~1%(w/v)、0.1~0.5%(w/v)、0.2~2%(w/v)、0.4~1.8%(w/v)、0.6~1.6%(w/v)、0.8~1.4%(w/v)、または0.8~1.2%(w/v)の濃度で含有されてもよい。前記安定化剤は、リン酸ナトリウム緩衝剤に溶解して使用してもよいが、これに限定されるものではない。
【0073】
好ましくは、本発明による組成物が糖類を含まない場合、前記組成物に含まれた非イオン性界面活性剤および安定化剤の濃度比は、0.01~1:1(w/v)、0.01~0.9:1(w/v)、0.01~0.8:1(w/v)、0.01~0.7:1(w/v)、0.01~0.6:1(w/v)、0.01~0.5:1(w/v)、0.01~0.4:1(w/v)、または0.01~0.3:1(w/v)であってもよいが、これに限定されない。
【0074】
好ましくは、本発明による組成物が非イオン性界面活性剤を含まない場合、前記組成物に含まれた糖類および安定化剤の濃度比は、1~10:1(w/v)、1~9:1(w/v)、1~8:1(w/v)、1~7:1(w/v)、1~6:1(w/v)、1~5:1(w/v)、1~4:1(w/v)、1~3:1(w/v)、2~5:1(w/v)、2~4:1(w/v)、または2~3:1(w/v)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0075】
好ましくは、本発明による組成物が安定化剤を含まない場合、前記組成物に含まれた糖類および非イオン性界面活性剤の濃度比は、1~20:1(w/v)、1~18:1(w/v)、1~16:1(w/v)、1~14:1(w/v)、1~13:1(w/v)、1~10:1(w/v)、1~9:1(w/v)、1~8:1(w/v)、1~7:1(w/v)、1~6:1(w/v)、1~5:1(w/v)、1~4:1(w/v)、1~3:1(w/v)、2~5:1(w/v)、2~4:1(w/v)、または2~3:1(w/v)であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0076】
好ましくは、本発明による組成物が糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤を全部含む場合、前記組成物に含まれた糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤の濃度比は、0.1~5:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~4.5:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~4:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~3.5:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~3:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~2.8:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~1:0.01~0.5:1(w/v)、0.2~0.9:0.01~0.5:1(w/v)、0.3~0.7:0.01~0.5:1(w/v)、0.4~0.6:0.01~0.5:1(w/v)、0.1~1:0.02~0.5:1(w/v)、0.1~1:0.03~0.5:1(w/v)、0.2~0.8:0.01~0.4:1(w/v)、0.3~0.7:0.01~0.3:1(w/v)、または0.4~0.6:0.03~0.3:1(w/v)であってもよいが、これらに限定されない。
【0077】
本発明の一具現例において、本発明による液状組成物に含まれたヒアルロン酸の分子量が500,000~2,000,000ダルトンである場合、前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含有されてもよいが、これに限定されない。
【0078】
本発明の他の具現例において、本発明による液状組成物に含まれたヒアルロン酸の分子量が500,000~2,000,000ダルトンである場合、前記糖類は、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;前記非イオン性界面活性剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含まれていることもできるが、これに限定されない。
【0079】
本発明のさらに他の具現例において、本発明による液状組成物に含まれたヒアルロン酸の分子量が2,500,000~5,000,000ダルトンである場合、前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;および前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~1%(w/v)の濃度で含まれていることもできるが、これに限定されない。
【0080】
本発明において、前記組成物は、緩衝剤としてリン酸ナトリウムをさらに含んでもよい。前記緩衝剤は、全体組成物を基準として25~100mM、25~90mM、25~80mM、25~70mM、25~60mM、30~100mM、30~90mM、30~80mM、30~70mM、30~60mM、40~100mM、40~90mM、40~80mM、40~70mM、または40~60mMの濃度で含有されてもよいが、これらに限定されない。
【0081】
本発明において、前記組成物は、すぐに使える(ready-to-use)注射製剤であってもよいが、これに制限されるものではない。前記注射剤は、ソルビトール、イソマルト、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、キシリトールおよびこれらの混合物からなる群から選ばれた1つ以上の糖アルコールをさらに含んでもよいが、これに限定されるものではなく、当業界において一般的に公知となったものであれば、制限なしで利用可能である。
【0082】
本発明の薬学的液状組成物は、神経筋肉関連疾患の治療のために使用できる。すなわち、本発明は、本発明による薬学的液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0083】
本発明において、「神経筋肉関連疾患」とは、末梢神経および/または筋肉の異常によって誘導される疾患を意味する。前記神経筋肉関連疾患は、筋肉緊張異常疾患や非筋肉緊張異常運動疾患(片側顔面けいれん、振戦、強直など)はもちろん、コリン性神経系により調節される腺(gland)の過剰分泌による疾患も含む。好ましくは、前記神経筋肉疾患は、活動亢進性骨格筋を特徴とする。
【0084】
本発明による神経筋肉関連疾患は、従来ボツリヌス毒素が治療効果を示すことが知られた疾患であれば、制限なしで含まれてもよいが、その非制限的な例示としては、頭痛、片頭痛、緊張性頭痛、副鼻腔頭痛、頚椎性頭痛、発汗障害、脇多汗症、手多汗症、足多汗症、フレイ症候群、過運動性皮膚シワ(hyperkinetic skin line)、顔シワ、眉間シワ、目じりシワ、口元シワ、鼻唇シワ、皮膚障害、にきび、鼻炎、副鼻腔炎、弛緩不能症、斜視、慢性裂肛、眼瞼痙攣、筋骨格痛、足部痛、足部筋膜炎、足底筋膜炎、線維筋痛、すい臓炎、頻脈、前立腺肥大、前立腺炎、尿閉、尿失禁、過敏性膀胱、片側顔面痙攣、振戦、震え、筋痙攣、消化管障害、糖尿病、痛風、唾液過多症、排尿筋括約筋協調不全、脳卒中後の硬直、損傷の回復、小児脳性麻痺、平滑筋痙攣、再狭窄、局所筋緊張異常、てんかん、頸部筋緊張異常症、甲状腺障害、高カルシウム血症、強迫障害、骨関節炎、側頭下顎関節障害、レイノー症候群、皮膚伸展線条、腹膜癒着、血管痙攣、鼻水、筋肉痙縮、喉頭筋緊張異常、書痙および手根管症候群などがあって前記疾患の疾患治療および美容目的などで多様に使用できる。
【0085】
本発明において、「薬学的に許容可能な塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、または塩基から誘導された塩を含む。前記用語は、過度な毒性、刺激、アレルギー反応またはその他問題点や合併症なしで恩恵/リスクの割合が合理的なので、対象体(例えば、ヒト)の組織と接触して使用するのに適しており、健全な医学的判断の範疇以内である化合物または組成物を意味する。
【0086】
好適な酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、グルコン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。酸付加塩は、通常の方法、例えば、化合物を過量の酸水溶液に溶解させ、この塩をメタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルのような水混和性有機溶媒を用いて沈殿させて製造することができる。また、同モル量の化合物および水中の酸またはアルコールを加熱し、引き続いて前記混合物を蒸発させて乾燥させたり、または析出した塩を吸引ろ過させて製造することができる。
【0087】
好適な塩基から誘導された塩は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、およびアンモニウムなどを含んでもよいが、これに制限されるものではない。アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカルリト金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物炎をろ過した後、ろ液を蒸発、乾燥させて得ることができる。この際、金属塩としては、特にナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩を製造することが製薬上適しており、また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカルリト金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得ることができる。
【0088】
本発明に開示された任意の化合物の範囲には、薬学的に許容可能な塩だけでなく、通常の方法によって製造することができるすべての異性体、水和物および溶媒和物が全て含まれ得る。
【0089】
なお、本発明による組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルムコーティング物質、および制御放出添加剤からなる群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0090】
本発明の薬学的組成物内の前記液状組成物の含有量は、疾患の症状、症状の進行程度、患者の状態などに応じて適切に調節可能であり、例えば、全体組成物重量を基準として0.0001~99.9重量%、または0.001~50重量%であってもよいが、これに限定されるものではない。前記含有量の割合は、溶媒を除去した乾燥量を基準とする値である。
【0091】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルムコーティング物質、および制御放出添加剤からなる群から選ばれた1つ以上であってもよい。
【0092】
本発明による薬学的組成物は、液状型製剤の他にも、それぞれ通常の方法によって散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射溶液、またはエアロゾルなどの外用剤などの形態に剤形化して使用することができ、前記外用剤は、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの剤形を有していてもよい。
【0093】
本発明による薬学的組成物に含まれ得る担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油が挙げられる。
【0094】
製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0095】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤としてコーンスターチ、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、ヨウ素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモジェルなど賦形剤;ゼラチン、アラビアガム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製セラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が使用でき、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コーンスターチ、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、 L-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼインおよびゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアーガム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化デンプン、アラビアガム、アミロベクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、軽質無水ケイ酸など崩解剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリエチレングリコール(PEG)4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、DL-ロイシン、軽質無水ケイ酸などの滑沢剤が使用できる。
【0096】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエテール類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロラミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使用できる。
【0097】
本発明によるシロップ剤には、白糖の溶液、他の糖類あるいは甘味剤などが使用でき、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが使用できる。
【0098】
本発明による乳剤には、精製水が使用でき、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが使用できる。
【0099】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカンタ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910などの懸濁化剤が使用でき、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用できる。
【0100】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピイジー(PEG)、乳酸リンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、非揮発性油-ゴマ油、綿実油、落花生油、ダイズ油、とうもろこし油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンのような溶剤;安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヨウ素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニコチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドのような溶解補助剤;弱酸およびその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基およびその塩(アンモニアおよび酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類のような緩衝剤;塩化ナトリウムのような等張剤;重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、窒素ガス(N)、エチレンジアミンテトラ酢酸のような安定剤;ソジウムビサルファイト0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、アセトンソジウムビサルファイトのような硫酸化剤;ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムのような無痛化剤;CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムのような懸濁化剤を含んでもよい。
【0101】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウィテプソル、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスファーマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマー(Cotomar)、ヒドロコテSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコテ(Hydrokote)25、ヒドロコテ711、イドロポスタル(Idropostal)、マッサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マッサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-N、パラマウント-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビー(W、R、S、M、Fs)、テゲスタートリグリセライド基剤(TG-95、MA、57)のような基剤が使用できる。
【0102】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。
【0103】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、頻用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。
【0104】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物感受性、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られた要素によって決定できる。
【0105】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与したり他の治療剤と併用して投与でき、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与でき、単一または多重投与できる。上記した要素を全部考慮して副作用なしで最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、本発明の属する技術分野における通常の技術者によって容易に決定できる。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与できる。投与のすべての方式は、予想され得るが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄の周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通した噴霧、皮膚投与、経皮投与などにより投与できる。
【0107】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重および疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0108】
本発明において「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどの哺乳類を意味する。
【0109】
本発明において「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0110】
本発明において「予防」とは、目的とする疾患の発病を抑制したり遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により目的とする疾患とそれによる代謝異常症状が好転したり有益に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与により目的とする疾患に関連したパラメーター、例えば症状の程度を減少させるすべての行為を意味する。
【0111】
本発明は、また、本発明による薬学的液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0112】
本発明による化粧料組成物の剤形は、スキンローション、スキンソフトナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、ミスト、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ハンドローション、ファンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、せっけん、クレジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、クレンジングバーム、ボディローションまたはボディクレンザーの形態であってもよい。
【0113】
本発明の化粧料組成物は、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、およびスフィンゴ脂質からなる群から選ばれた組成物をさらに含んでもよい。
【0114】
本発明の化粧料組成物には、前記必須成分と一緒に、必要に応じて通常化粧品に配合される他の成分を配合してもよい。
【0115】
その他、添加してもよい配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機および無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0116】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコーン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂、植物油脂などが挙げられる。
【0117】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコーン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂、植物油脂等が挙げられる。
【0118】
エステル系油脂としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリール、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリール、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアル酸イソステアリル等のエステル系等が挙げられる。
【0119】
炭化水素系油脂としては、スクアレン、流動パラフィン、アルファ-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素系油脂等が挙げられる。
【0120】
シリコーン系油脂としては、ポリメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油等が挙げられる。
【0121】
フッ素系油脂としては、ペルフルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0122】
動物または植物油脂としては、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、ゴマ油、米糠油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、油菜油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ひまし油、ひまわり油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ククイナッツオイル、小麦胚芽油、こめ胚芽油、シアバター、月見草油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、卵黄油、牛脂、麻油、ミンク油、オレンジラフィー油、ホホバ油、キャンデリラワックス、カルナバワックス、液状ラノリン、硬化ひまし油等の動物または植物油脂が挙げられる。
【0123】
保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性分子保湿剤、水溶性高分子、脂溶性高分子等が挙げられる。
【0124】
水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸、乳酸塩等か挙げられる。
【0125】
脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステロールエステル等か挙げられる。
【0126】
水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、デキストリン等か挙げられる。
【0127】
脂溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、高分子シリコーン等か挙げられる。
【0128】
エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステル等か挙げられる。
【0129】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等か挙げられる。
【0130】
非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ひまし油、POEひまし油、POE・POP(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等か挙げられる。
【0131】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルファ-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミン酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラゲンペプチド塩、ペルフルオロアルキルリン酸エステル等か挙げられる。
【0132】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩等か挙げられる。
【0133】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等の両性界面活性剤等か挙げられる。
【0134】
有機および無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミンおよびこれらの複合体等の無機顔料;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、ヨウ素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等の有機顔料およびこれらの無機顔料と有機顔料の複合顔料等か挙げられる。
【0135】
有機粉体としては、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウム等のアルキルリン酸金属塩;N-ラウロイル-ベタ-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-ベタ-アラニン亜鉛、N-ラウロイルグリシンカルシウム等のアシルアミノ酸多価金属塩;N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウム等のアミドスルホン酸多価金属塩;N-イプシロン-ラウロイル-L-リジン、N-イプシロン-パルミトイルリジン、N-アルファ-パルミトイルオルニチン、N-アルファ-ラウロイルアルギニン、N-アルファ-硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニン等のN-アシル塩基性アミノ酸;N-ラウロイルグリシルグリシン等のN-アシルポリペプチド;アルファ-アミノカプロン酸、アルファ-アミノラウリン酸等のアルファ-アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレン等か挙げられる。
【0136】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、桂皮酸ベンジル、パラメトキシ桂皮酸-2-エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸およびその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾル等か挙げられる。
【0137】
殺菌剤としては、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム、ウンデシレン酸等か挙げられる。
【0138】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸等か挙げられる。
【0139】
pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム等か挙げられる。
【0140】
アルコールとしては、セチルアルコール等の高級アルコールか挙げられる。
【0141】
また、その他、添加してもよい配合成分は、これに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的および効果を損傷させない範囲内で配合可能であるが、総重量に対して0.01~5%重量百分率または0.01~3%重量百分率で配合され得る。
【0142】
本発明の剤形がローション、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛等が用いられ得る。
【0143】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーが用いられ得、特にスプレーである場合には、さらに、ハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体を含んでもよい。
【0144】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶媒化剤または乳濁化剤が用いられ、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0145】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガまたはトラガカント等が用いられる。
【0146】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、リノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル等が用いられ得る。
【0147】
本明細書および請求範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてならず、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づいて本発明の技術的思想に符合する意味や概念と解すべきである。
【実施例
【0148】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0149】
[実施例]
実験材料および方法
1.ボツリヌス毒素液状組成物の製造
添加剤の種類および濃度によるボツリヌス毒素の生物学的活性維持力を評価するために、ヒアルロン酸および添加剤として糖類、非イオン性界面活性剤、安定化剤またはこれらの組み合わせを含むボツリヌス毒素液剤を製造した。具体的には、ヒアルロン酸(実施例1~4に使用されたヒアルロン酸の分子量=1MDa、実施例5に使用されたヒアルロン酸の分子量=3MDa)を10mg/mLの濃度となるように0.9%(w/v)塩化ナトリウム溶液に溶解した。次に、添加剤候補物質を単独でまたは2つ以上の添加剤を配合し、50mMリン酸ナトリウム緩衝剤(Sodium phosphate buffer,pH6.0)に溶解した後、ヒアルロン酸水溶液に10%(v/v)で添加した。前記製造されたヒアルロン酸-添加剤混合物に最終濃度が20unit/mLとなるようにボツリヌス毒素を入れた後、1時間撹拌し、混合した。上記のように製造したボツリヌス毒素液状組成物は、4℃で保管した。
【0150】
2.動物力価試験1-添加剤によるボツリヌス毒素の安定性の評価
動物力価試験は、多様な濃度で希釈した添加剤を単独または2つ以上の添加剤を配合して製造した本発明による液状組成物をそれぞれICR-マウス(5週齢、体重:19~22g、各グループ当たり10匹)の腹腔に1頭当たり0.1mLずつ投与し、3日間死亡したマウスの数を確認した。70%以上の死亡率を示したグループに対しては、統計学的に有意な生物学的活性の維持が観察されたと評価した。組成物の粘性によるサンプリング誤差およびその他実験的誤差を考慮して基準以下の死亡率を示したグループに対しては、次の周期にさらなる確認試験を行い、基準以上の死亡率を示したグループに対しては、試験を続いて行った。以下、本発明における他の動物力価試験の結果も、同じ方法により行われた。
【0151】
3.動物力価試験2-力価および特異的力価の算出
多様な濃度で希釈した添加剤を単独または2つ以上の添加剤を配合して製造した本発明による液状組成物をそれぞれICR-マウス(5週齢、体重:19~22g、各グループ当たり10匹)の腹腔に1頭当たり0.1mLずつ投与し、3日間死亡したマウスの数を確認した。このように得られたデータで統計プログラム(Combistats(登録商標)、version 4.0,EDQM)を用いてボツリヌス毒素の活性を算出した。
【0152】
実施例1.糖(saccharide)を含むボツリヌス毒素液状組成物の低温安定性の確認
従来、ボツリヌス毒素液剤の添加剤として使用されている糖を除いた多様な種類の糖に対してスクリーニング実験を行い、その結果、ラクトース一水和物(lactose monohydrate)およびフラクトース(fructose)を最終候補群として選定した。ラクトース一水和物またはフラクトースをそれぞれ異なる含有量で添加した後、前記実験材料および方法の目次2で記述した動物力価試験1を行った。
【0153】
その結果、下記表1および図1に示されたように、他の試験群と比較してラクトース一水和物0.1%(w/v)含有試験群とフラクトース0.5%(w/v)含有試験群の低温安定性が顕著に向上することを確認し、前記2つの試験群は、ボツリヌス毒素の生物学的活性が10週目まで維持されることが明らかとなった。前記試験結果は、下記複数の添加剤を配合した場合の安定化効能比較試験に反映し、各添加剤の配合濃度を決定した。
【0154】
【表1】
【0155】
実施例2.非イオン性界面活性剤(surfactant)を含むボツリヌス毒素液状組成物の低温安定性の確認
従来ボツリヌス毒素液剤の添加剤として使用されている非イオン性界面活性剤を除いた多様な種類の非イオン性界面活性剤に対してスクリーニング実験を行い、その結果、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油[Polyoxyethylene(40)hydrogenated castor oil、以下「HCO-40」]が最終候補に選定された。これより、HCO-40をそれぞれ異なる含有量で添加した後、前記実験材料および方法の目次2で記述した動物力価試験1を行った。
【0156】
その結果、下記表2および図2に示されたように、HCO-40 0.2%(w/v)を含有する試験群において低温安定性が15週目まで確保できることが明らかとなった。前記試験結果は、下記複数の添加剤を配合した場合の安定化効能比較試験に反映し、各添加剤の配合濃度を決定した。
【0157】
【表2】
【0158】
実施例3.安定化剤(stabilizer)を含むボツリヌス毒素液状組成物の低温安定性の確認
従来ボツリヌス毒素液剤の添加剤として使用されている安定化剤を除いた多様な種類の安定化剤に対してスクリーニング実験を行い、その結果、グリセリン(glycerin)が最終候補に選定された。これによって、グリセリンをそれぞれ異なる含有量で添加した後、前記実験材料および方法の目次2で記述した動物力価試験1を行った。
【0159】
その結果、下記表3および図3に示されたように、グリセリン1%(w/v)含有試験群において低温安定性が25週目まで確保できることが明らかとなった。前記試験結果は、下記複数の添加剤を配合した場合の安定化効能比較試験に反映し、各添加剤の配合濃度を決定した。
【0160】
【表3】
【0161】
実施例4.複数の添加剤を含むボツリヌス毒素液状組成物(1MDaのヒアルロン酸使用)の安定化効能の比較確認
前記実施例1~3で行われた添加剤候補の単独添加による動物試験結果を参照して、それぞれの添加剤を多様な組み合わせで配合した後、安定化効能を確認した。ただし、例外的にフラクトースの場合、単独添加した試験群に使用された濃度の中間値である2.5%(w/v)を添加した。対照群(negative control)としては、いかなる添加剤も含まれていない試料を使用した。設定されたボツリヌス毒素の安定性維持に対する基準を満たす試験群に対する周期的な動物試験が行われた。全体試験群の組成は、下記表に示した。
【0162】
[試験群の組成]
【0163】
結果は、下記表4および図4に示した。52週間保管安定性を確認した結果、添加剤単独による試験群より添加剤を配合した試験群において平均的にさらに高い死亡率を示した。
【0164】
特に、0、3、6、10、15、20、25、36、および52週の期間中に測定されたマウス死亡率によれば、試験群1[HCO-40 0.2%(w/v)含有]、試験群2[フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)含有]、試験群4[フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有]、および試験群7[フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.05%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有]におけるボツリヌス毒素が安定性基準値(20週目までのすべての観察期間中に70%以上の死亡率を示す)を満たすことが明らかとなった。特に、試験群3[HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有]、および試験群4[フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有]は、52週目にも80%以上の高い死亡率を示したところ、前記組成を満たす添加剤を配合したとき、12ヶ月以上の長期的なボツリヌス毒素安定性維持効果を達成することができることを確認した。
【0165】
【表4】
【0166】
実施例5.複数の添加剤を含むボツリヌス毒素液状組成物(3MDaのヒアルロン酸使用)の安定化効能の比較確認
前記実施例1~3で行われた添加剤候補の単独添加による動物試験結果を参照して、それぞれの添加剤を多様な組み合わせで配合した後、安定化効能を確認した。ただし、例外的にフラクトースの場合、単独添加した試験群において使用された濃度の中間値である2.5%(w/v)を添加した。対照群(negative control)としては、いかなる添加剤も含まれていない試料を使用した。設定されたボツリヌス毒素の安定性維持に対する基準を満たす試験群に対する周期的な動物試験が行われた。試験群1~11に対して実験を行い、各試験群の添加剤組成は、前記実施例4の添加剤成分表と同一である。
【0167】
結果は、下記表5および図5に示した。52週間の保管安定性を確認した結果、添加剤単独による試験群よりも添加剤を配合した試験群において平均的にさらに高い死亡率を示した。
【0168】
特に、試験群1[HCO-40 0.2%(w/v)含有]、試験群4[フラクトース0.5%(w/v)、HCO-40 0.2%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有]および試験群6[HCO-40 0.05%(w/v)、グリセリン1%(w/v)含有]におけるボツリヌス毒素が安定性基準値(すべての観察期間中に70%以上の死亡率を示す)を満たすことが明らかとなっただけでなく、52週目にも80%以上の高い死亡率を示したところ、前記組成を満たす添加剤を配合したとき、12ヶ月以上の長期的なボツリヌス毒素安定性維持効果を達成することができることを確認した。
【0169】
【表5】
【0170】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、有効成分であるボツリヌス毒素とヒアルロン酸の薬理学的な活性を維持するための添加剤を含む液状組成物を提供することによって、ボツリヌス毒素の長期保管時の安定性を顕著に増加させることができる。添加剤であるpH調節剤、糖類、界面活性剤、安定化剤などを特定濃度で組み合わせて、これをボツリヌス毒素液剤に追加することによって、ボツリヌス毒素の物理・化学的安定性および三次構造の変性防止に著しい効果を示す。したがって、本発明による組成物を用いると、乾燥剤に制限された従来のボツリヌス毒素の適用可能剤形を液剤に拡大し、多様な類型の製品を開発することができるので、様々な産業分野において活用されることが期待される。
【0172】
また、本発明の組成物を活用した液状内ボツリヌス毒素の安定性増大でボツリヌス毒素の製剤化過程での安定性を保証し、徐放性や速放性形態の制御放出型注射薬物製剤に適用したり、マイクロニードルパッチなどのマイクロ構造体を用いた経皮伝達医薬品の開発などに活用することができる。また、有効成分である生体適合性に優れたヒアルロン酸による付加的な抗炎効果と完成品内粘性を付与することによって、ボツリヌス毒素の局部的治療効果を期待することができる。したがって、本発明の組成物は、ボツリヌス毒素を適用できる様々な治療分野においても有用に用いられることが期待される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)~(iii)を有効成分として含む、ボツリヌス毒素を長期保管するための薬学的液状組成物:
(i)ボツリヌス毒素;
(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および
(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤。
【請求項2】
前記組成物は、全体組成物を基準としてボツリヌス毒素を5~40unit/mLで含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項3】
前記ボツリヌス毒素は、タンパク質複合体を含有しない形態またはタンパク質複合体を含有する複合体の形態であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項4】
前記ヒアルロン酸は、分子量が30,000~5,000,000ダルトン(Da)であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項5】
前記組成物は、全体組成物を基準としてヒアルロン酸を5~250mg/mLの濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項6】
前記糖類は、ラクトース一水和物またはフラクトースであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項7】
前記組成物は、全体組成物を基準として前記糖類を0.01~5%(w/v)の濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(Polyoxyethylene hydrogenated castor oil)であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項9】
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、酸化エチレンのモル比が10~60であることを特徴とする請求項8に記載の薬学的液状組成物。
【請求項10】
前記組成物は、全体組成物を基準として前記非イオン性界面活性剤を0.01~1%(w/v)の濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項11】
前記安定化剤は、グリセリンであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項12】
前記組成物は、全体組成物を基準として前記安定化剤を0.1~10%(w/v)の濃度で含有することを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項13】
前記ヒアルロン酸は、500,000~2,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸は、500,000~2,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~10%(w/v)の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項15】
前記ヒアルロン酸は、2,500,000~5,000,000ダルトンであり;
前記糖類は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~5%(w/v)の濃度で含有されており;
前記非イオン性界面活性剤は、全体組成物を基準として0.01~1%(w/v)の濃度で含有されており;
前記安定化剤は、含有されていないか、全体組成物を基準として0.1~1%(w/v)の濃度で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項16】
前記組成物は、緩衝剤として25~100mMのリン酸ナトリウムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項17】
前記組成物は、すぐに使える(ready-to-use)注射製剤であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的液状組成物。
【請求項18】
下記(i)~(iii)を有効成分として含む薬学的液状組成物を用いて、ボツリヌス毒素の生物学的活性を維持させる方法:
(i)ボツリヌス毒素;
(ii)ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および
(iii)糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤。
【請求項19】
ボツリヌス毒素;ヒアルロン酸またはその薬学的に許容される塩;および糖類、非イオン性界面活性剤、および安定化剤からなる群から選ばれた1種以上の添加剤を混合する段階を含む、ボツリヌス毒素の長期保管用薬学的液状組成物の製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載の液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項21】
前記神経筋肉関連疾患は、頭痛、片頭痛、緊張性頭痛、副鼻腔頭痛、頚椎性頭痛、発汗障害、脇多汗症、手多汗症、足多汗症、フレイ症候群、過運動性皮膚シワ(hyperkinetic skin line)、顔シワ、眉間シワ、目じりシワ、口元シワ、鼻唇シワ、皮膚障害、にきび、鼻炎、副鼻腔炎、弛緩不能症、斜視、慢性裂肛、眼瞼痙攣、筋骨格痛、足部痛、足部筋膜炎、足底筋膜炎、線維筋痛、すい臓炎、頻脈、前立腺肥大、前立腺炎、尿閉、尿失禁、過敏性膀胱、片側顔面痙攣、振戦、震え、筋痙攣、消化管障害、糖尿病、痛風、唾液過多症、排尿筋括約筋協調不全、脳卒中後の硬直、損傷の回復、小児脳性麻痺、平滑筋痙攣、再狭窄、局所筋緊張異常、てんかん、頸部筋緊張異常症、甲状腺障害、高カルシウム血症、強迫障害、骨関節炎、側頭下顎関節障害、レイノー症候群、皮膚伸展線条、腹膜癒着、血管痙攣、鼻水、筋肉痙縮、喉頭筋緊張異常、書痙および手根管症候群からなる群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項20に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の液状組成物を有効成分として含む神経筋肉関連疾患の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項23】
神経筋肉関連疾患を予防、改善又は治療するための治療剤を製造するための請求項1に記載の組成物の用途。
【国際調査報告】