(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】可撓性シャントインプラント
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537152
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 US2021063773
(87)【国際公開番号】W WO2022133070
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジェームズ・マレー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェーソン・ノダ
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・タイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・アンドリュー・ラム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD70
4C160FF41
(57)【要約】
送達システムは、心臓の血流経路を通して送達されるように構成されたカテーテルと、開口部を通って血流経路の中への血流を可能にするために組織壁の開口部を維持し、カテーテルを介して送達されるように構成されたインプラントと、を含む。インプラントは、インプラントがカテーテルにより曲がることを可能にする可撓性材料から少なくとも部分的に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達システムであって、
心臓の血流経路を通して送達されるように構成されたカテーテルと、
インプラントであって、
組織壁の開口部を維持し、前記開口部を通って、前記血流経路の中への血流を可能にすることと、
前記カテーテルを介して送達されるように構成され、前記インプラントが前記カテーテルにより曲がることを可能にする可撓性材料から少なくとも部分的に構成されるインプラントと、
を含む、送達システム。
【請求項2】
前記インプラントが、前記カテーテルの外表面の周りに圧着されるように構成される、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記インプラントが、編組みコードから少なくとも部分的に構成される、請求項1又は請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記インプラントが、コイル状コードから少なくとも部分的に構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項5】
前記インプラントが、組織壁を通して穿刺して前記組織壁内に前記開口部を形成するように構成された穿刺要素を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項6】
前記穿刺要素が、前記インプラントを前記組織壁に固定するようにさらに構成される、請求項5に記載の送達システム。
【請求項7】
前記インプラントが、固定要素をさらに備え、前記穿刺要素及び前記固定要素が、前記組織壁の対向する側に固定するように構成される、請求項5又は請求項6の送達システム。
【請求項8】
前記インプラントが、第一の管状部分及び第二の管状部分を含み、
前記第一の管状部分が、前記第二の管状部分から離れて曲がり、前記第一の管状部分が前記組織壁の前記開口部に入ることを可能にするように構成され、
前記第二の管状部分が、前記血流経路に沿って、かつ前記組織壁内の前記開口部を超えて延在するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項9】
前記第一の管状部分及び前記第二の管状部分が別個の装置である、請求項8に記載の送達システム。
【請求項10】
前記第一の管状部分及び前記第二の管状部分が、共通する基部部分から延在する、請求項8又は請求項9に記載の送達システム。
【請求項11】
前記第一の管状部分が、形状記憶材料から少なくとも部分的に構成される、請求項8~10のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項12】
前記インプラントを少なくとも部分的に封入し、少なくとも部分的に前記インプラントを露出させて前記インプラントが拡張することを可能にするために引き込むように構成されたシースをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項13】
前記血流経路が冠静脈洞であり、前記開口部が左心房と前記冠静脈洞との間の血流経路を形成する、請求項1~12のいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項14】
シースによって少なくとも部分的に囲まれたインプラントを右心房を介して冠静脈洞に送達することであって、前記インプラントが、前記インプラントが前記冠静脈洞内へと曲がることを可能にするために、前記インプラントが編組み又はコイル状コードから少なくとも部分的に構成される、送達することと、
前記冠静脈洞の組織壁を穿刺して、左心房と前記冠静脈洞との間に開口部を形成することと、
前記シースを引き込んで前記インプラントを露出させることと、
前記開口部で前記インプラントを固定することであって、前記インプラントが前記開口部を維持するように構成される、固定することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記インプラントが穿刺要素を備え、前記組織壁を穿刺することが前記穿刺要素を使用して実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記インプラントを前記開口部で固定することが、前記組織壁を前記穿刺要素と接触させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記穿刺要素が、前記組織壁との単一の接触点を確立するように構成される、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記インプラントが、第一の管状部分及び第二の管状部分を備え、前記シースを引き込むことにより、前記第一の管状部分が前記第二の管状部分から離れて曲がることを可能にする、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
医療用インプラントであって、
心臓の組織壁を通って開口部を維持する手段であって、前記開口部が、心臓の第一のチャンバから前記心臓の血流経路への血液流路を形成する、手段と、前記血流経路及び前記第一のチャンバへの送達を容易にするために曲がるように構成される前記開口部を維持する手段と、
前記開口部で前記組織壁に固定するための手段と、
を含む、医療用インプラント。
【請求項20】
前記組織壁を穿刺して前記開口部を形成するための手段をさらに含む、請求項19に記載の医療用インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年12月18日に出願され、「SHUNT IMPLANT DEVICES AND PROCESSES」と題された米国仮特許出願第63/199,323号に対する優先権を主張し、その完全な開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、医療用デバイス及び処置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の血管系を通して、特定の医療用インプラントデバイスを少なくとも部分的に標的位置へ送達するための経皮的送達システムでは、特定の解剖学的寸法及びデバイス寸法は、このようなシステムを使用して送達される医療用インプラントデバイスのサイズ、形状、及び/又は構成を制限し得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示を要約する目的で、特定の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書に説明されている。全てのそのような利点は、必ずしも任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことが理解されるべきである。したがって、開示された実施形態は、本明細書に教示又は示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような1つの利点又は利点の群を達成又は最適化する様式で実施され得る。
【0005】
本開示のいくつかの実装は、心臓の血流経路を通して送達されるように構成されたカテーテルと、開口部を通って血流経路の中への血流を可能にするために組織壁の開口部を維持し、カテーテルを介して送達されるように構成されたインプラントと、を含む送達システムに関する。インプラントは、インプラントがカテーテルと共に曲がることを可能にする可撓性材料から少なくとも部分的に構成されている。
【0006】
インプラントは、カテーテルの外表面の周りに圧着されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、インプラントは、編組みコードから少なくとも部分的に構成されている。インプラントは、コイル状コードから少なくとも部分的に構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、インプラントは、組織壁を通して穿刺して組織壁に開口部を形成するように構成された穿刺要素を含む。穿刺要素は、インプラントを組織壁に固定するようにさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、固定要素をさらに含み、穿刺要素及び固定要素は、組織壁の対向する側に固定するように構成される。
【0008】
インプラントは、第一の管状部分及び第二の管状部分を含み得る。いくつかの実施形態では、第一の管状部分は、第二の管状部分から離れて曲がり、第一の管状部分が組織壁の開口部に入ることを可能にするように構成される。第二の管状部分は、血流経路に沿って、かつ組織壁の開口部を超えて延在するように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第一の管状部分及び第二の管状部分は別個のデバイスである。第一の管状部分及び第二の管状部分は、共通の基部部分から延在してもよい。いくつかの実施形態では、第一の管状部分は、少なくとも部分的に形状記憶材料から構成されている。
【0010】
送達システムは、インプラントを少なくとも部分的に封入し、少なくとも部分的にインプラントを露出させてインプラントが拡張することを可能にするために引き込むように構成された鞘をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、血流経路は冠静脈洞であり、開口部は、左心房と冠静脈洞との間に流れ経路を生成する。
【0011】
本開示のいくつかの実装は、鞘によって少なくとも部分的に封入されたインプラントを右心房を介して冠静脈洞に送達することを含む方法に関する。インプラントは、少なくとも部分的に編組みコード又はコイル状コードから構成され、インプラントが冠静脈洞内に曲がって入ることを可能にする。方法は、冠静脈洞の組織壁を穿刺して、左心房と冠静脈洞との間に開口部を形成し、鞘を引き込んでインプラントを露出させ、開口部にインプラントを固定することをさらに含む。インプラントは、開口部を維持するように構成される。
【0012】
インプラントは、穿刺要素を含んでもよい。組織壁の穿刺は、穿刺要素を使用して行われてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、開口部にインプラントを固定することは、組織壁を穿刺要素と接触させることを含む。穿刺要素は、組織壁との単一の接触点を確立するように構成され得る。
【0014】
インプラントは、第一の管状部分及び第二の管状部分を含み得る。鞘を引き込むことにより、第一の管状部分が第二の管状部分から離れて曲がることが可能になり得る。
【0015】
本開示のいくつかの実装に従って、医療用インプラントは、心臓の組織壁を通って開口部を維持する手段を含む。開口部は、心臓の第一のチャンバから心臓の血流経路への血液流路を形成する。開口部を維持する手段は、血流経路及び第一のチャンバへの送達を促進するために曲がるように構成される。医療用インプラントは、開口部で組織壁に固定するための手段をさらに含む。
【0016】
医療用インプラントは、開口部を形成するために組織壁を穿刺するための手段をさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
様々な実施形態が、例解目的で添付図面に描写されており、決して本発明の範囲を限定していると解釈されるべきではない。加えて、異なる開示された実施形態の様々な特徴が、本開示の一部である追加の実施形態を形成するために組み合わせられ得る。図面全体を通して、参照番号は、参照要素間の対応を示すために再使用され得る。しかしながら、複数の図面に関連して類似した参照番号を使用することは、必ずしもそれに関連するそれぞれの実施形態間の類似性を暗示するものではないことが理解されるべきである。さらに、それぞれの図面の特徴は必ずしも縮尺通りに描かれるわけではなく、その例解されたサイズは、その発明の態様を例解する目的で提示されることが理解されるべきである。概して、例解された特徴の一部は、いくつかの実施形態又は構成で例解されるよりも相対的に小さい場合がある。
【0018】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、圧縮可能なインプラントを展開するために心臓内及び心臓周辺でガイドワイヤ及び/又はカテーテルを操作するためのいくつかのアクセス経路を示す。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態によるインプラントを展開する処置を描写する。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による可撓性シャントインプラントを示す。
【
図3B】
図3Bは、いくつかの実施形態による可撓性シャントインプラントを示す。
【
図4-1】
図4(
図4-1)は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図4-2】
図4(
図4-2)は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図5-1】
図5(
図5-1)は、
図4のプロセスに関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセスの態様を例解する。
【
図5-2】
図5(
図5-2)は、
図4のプロセスに関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセスの態様を例解する。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラントを示す。
【
図7-1】
図7(
図7-1)は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図7-2】
図7(
図7-2)は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図8-1】
図8(
図8-1)は、
図7のプロセスに関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセスの態様を示す。
【
図8-2】
図8(
図8-2)は、
図7のプロセスに関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセスの態様を示す。
【
図9A】
図9Aは、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラントを示す。
【
図9B】
図9Bは、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラントを示す。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラントを示す。
【
図11】
図11は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図12】
図12は、
図11のプロセスに関連する画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセスの態様を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に提供される見出しは、単に便宜上のものであり、請求された発明の範囲又は意味に必ずしも影響するものではない。
【0020】
要旨
心不全は、ヒトに影響を及ぼす一般的かつ潜在的に致死的な状態であり、最大の治療にもかかわらず、最適以下の臨床転帰がしばしば症状、罹患率及び/又は死亡率をもたらす。特に、「拡張期心不全」とは、左心室収縮機能(駆出分画)が保持された状況で、かつ主要弁疾患の非存在下で起こる心不全の臨床症候群を指す。この状態は、順応性の低下及び弛緩の障害を伴う硬い左心室によって特徴付けられ、これは拡張終期圧力の増加につながる。心不全患者の約3分の1は拡張期心不全を有し、もしあるとしても、証明された有効な治療は非常に少ない。
【0021】
拡張期心不全の症状は、少なくとも大部分において、左心房の圧力上昇によるものである。左心房圧上昇(LAP)は、心不全(HF)を含むいくつかの異常な心臓状態に存在する。拡張期心不全に加えて、左心室の収縮機能障害及び弁疾患を含む他のいくつかの医学的状態は、左心房における圧力上昇をもたらす可能性がある。保持された駆出分画を伴う心不全(HFpEF)と、低減された駆出分画を伴う心不全(HFrEF)の両方が、LAP上昇を呈することがある。HFの両方の部分集団が、左心室の収縮期前負荷、左心室拡張終期圧(LVEDP)を次々に低減させる、LAPにおける低減から利益を得ると仮定されている。また、肺循環の圧力を軽減し、肺水腫のリスクを低減させ、呼吸を改善し、患者の快適さを改善することもできる。
【0022】
肺高血圧(PH)は、主肺動脈の平均圧力における上昇として定義される。PHは多くの異なる原因から生じる場合があるが、全ての患者で死亡率を増加させることが示されている。致命的な形態のPHは、肺動脈の非常に小さい分枝に生じ、肺動脈性高血圧(PAH)として知られる。PAHでは、小さい動脈内部のセルは損傷又は疾患のために増殖し、動脈内部の領域が減少し、動脈壁が厚くなる。その結果、これらの小さい肺動脈が狭くなり、硬くなり、血流が制限され、上流の圧力が上昇する。主肺動脈における圧力のこの上昇は、根本的原因にかかわらず、全ての形態のPHに共通して関連している。これまでの試みにもかかわらず、左心房における圧力上昇、並びに肺動脈などの他の影響を受けやすい心腔を低減するための改善された方法が必要である。
【0023】
本開示は、ヒトの体内で血液を短絡するための方法及び装置(様々なインプラントを含む)を提供する。「インプラント」という用語は、本明細書では、その平易かつ通常の意味に従って使用され、ヒトの身体の様々な状態を治療する際に使用するための任意の医療用インプラント、フレーム、弁、シャント、ステント、アンカー、及び/又は類似のデバイスを指し得る。インプラントは、様々な医療処置のためにカテーテル(すなわち、経カテーテル)を介して送達され得、概して堅牢かつ/又は柔軟な構造を有し得る。「カテーテル」という用語は、その広範かつ通常の意味に従って本明細書で使用され、例えば、送達カテーテル及び/又はカニューレを含む、心房又は冠静脈洞内の位置決めなどのために、器具を滑動可能に受容するように構成された内側管腔を備える、任意の管、シース、操縦可能なシース、操縦可能なカテーテル、及び/又は任意の他のタイプの細長い管状送達デバイスを含み得る。場合によっては、インプラントは、形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成され得、及び/又は予め定義された形状及び/又は構造を有し得る。インプラントは、カテーテル内及び/又はカテーテルの周りに収まるように成形及び/又は圧縮されるように構成され得る。場合によっては、インプラントは、楕円形及び/若しくは円筒形を有し得、並びに/又は材料の織り合わせパターンを含み得る。
【0024】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、患者の体内で血液を短絡するための方法及び/又はシステムを提供する。いくつかの実施形態は、上大静脈からの冠静脈洞口(CSO)へのシャントシステムの送達を対象とし得るが、本明細書に記載の方法及び/又はシステムは、身体の他の領域にも適用され得る。例えば、本明細書に記載のいくつかの方法及び/又は装置は、有利なことに、様々な困難な心血管解剖学的構造へのシャント装置の送達のために構成されてもよい。
【0025】
一部の公知及び/又は従来的なシャント装置は、予め成形されたステント及び/又は類似の装置を含み得る。こうした装置は、特に送達プロセス中に折り畳まれる時に、概して硬い構造及び/又は操作しにくい構造を有し得る。本明細書のいくつかの実施形態は、患者の体内の様々な経路を通した送達を容易にすることができる、可撓性及び/又は操作可能なシャント装置を有利に提供する。
【0026】
以下は、本明細書に開示される特定の発明の特徴及び実施形態に関連し、かつ本開示の特定の態様の文脈を提供するために含まれる、ヒト心臓解剖学的構造の一般的な説明を含む。ヒト及び他の脊椎動物では、心臓は4つのポンプチャンバを有する中空の筋器官であり、左心房及び右心房並びに左心室及び右心室は各々、独自の一方向弁を備えている。自然の心臓弁は、大動脈、僧帽弁(又は二尖弁)、三尖弁、及び肺動脈弁として識別され、各々、心房及び心室筋線維に直接的又は間接的に付着する高密度の繊維性リングを備える環状部に取り付けられる。各環状部は、フローオリフィスを画定する。4つの弁は、心周期中に血液が間違った方向に流れないようにすること、すなわち、血液が弁を通って逆流しないようにすることを確実にする。血液は静脈系と右心房から三尖弁を通って右心室へ、次に右心室から肺動脈弁を通って肺動脈及び肺へと流れる。酸素付加された血液は次に、僧帽弁を通って、左心房から左心室へ、最後に左心室から、大動脈弁を通って、大動脈/動脈系へ流れる。
【0027】
図1は、本出願の圧縮可能な医療用インプラント(例えば、フレーム)を展開するための、心臓1内及び心臓1の周りでガイドワイヤ及びカテーテルを操作するためのいくつかのアクセス経路を例解する。例えば、鎖骨下静脈又は頸静脈のいずれかを介して上大静脈(SVC)15、右心房(RA)5の中に上から、かつそこから冠静脈洞口(CSO)17の中にアクセスすることができる。代替的に、アクセス経路は、大腿静脈で始まり、下大静脈(IVC)14を通って、心臓1の中に入り得る。他のアクセス経路もまた、使用され得、かつ各々は、典型的には、ガイドワイヤ及びカテーテルが血管系に挿入される経皮的切開を利用し、通常は封止されたイントロデューサを通して、そこから、医師がデバイスの遠位端を身体外から制御する。
【0028】
図2は、ガイドワイヤ及び/又はカテーテル16が、鎖骨下静脈又は頸静脈を通して、SVC15を通して、冠静脈洞19の中に導入される、医療用インプラントを展開するための例示的な方法を描写する。いくつかの例において、ガイドワイヤは経路を提供するように使用することができ、その後、イントロデューサシース(図示せず)は、典型的には拡張器9及び/又は非外傷性先端の使用によって、ガイドワイヤに沿って、患者の血管系内に経路指定され得る。
図2は、SVC15からCSO17へ、及び心臓1の冠静脈洞19内に延在する展開カテーテル16を示す。展開カテーテル16は、止血弁を提供して失血を防ぐことができるイントロデューサシースを通過することができる。
【0029】
展開カテーテル16は、約30cmの長さであり得、ガイドワイヤは、使用を容易にするためにやや長くてもよい。いくつかの実施形態では、展開カテーテルは、左心房2の壁に開口部を形成及び/又は準備するように機能し得、別個の配置又は送達カテーテルが拡張可能なインプラントの送達に使用され得る。他の実施形態では、展開カテーテルは、完全な機能性を有する穿刺準備及びインプラント配置カテーテルの両方として使用され得る。本出願では、「展開カテーテル」又は「送達カテーテル」という用語は、これらの機能のうちの一方又は両方を有するカテーテル、又はイントロデューサを表すために使用される。
【0030】
冠静脈洞19は左心房2の周りで大規模に連続しているため、インプラントには様々な考えられる許容可能な配置がある。移植(例えば、シャント)の配置のために選択された部位は、CTスキャン又はX線写真撮影などの、蛍光透視又は血管内冠血管系エコー(IVUS)などの、非侵襲的診断手段によって予め決定された、特定の患者の組織が薄いか又は低密度であるエリア内とされ得る。
【0031】
LAPを低減するいくつかの方法は、左心房2と右心房5との間のインプラントを、その間の心房中隔を通して利用することを伴う。これは、2つの構造が隣接し、経中隔アクセスが一般的な方法であるため、便利なアプローチである。しかし、心臓の右側から左に塞栓が移動し、卒中のリスクが生じる可能性があり得る。この事象は、主に咳、くしゃみ、バルサルバ法、又は便通などの個別の事象中に、右心房圧が左心房圧を上回る場合にのみ起こるはずである。隔膜の解剖学的位置は、インプラントが存在し、圧力勾配が反転した場合に、自然に、塞栓が心房の間で自由に移動することを可能にするであろう。これは、インプラントの弁又はフィルタ要素によって軽減され得るが、それでも塞栓が交差するリスクがある。
【0032】
冠静脈洞19へのインプラントは、いくつかの異なる利点を提供し、いくつかの理由から、冠静脈洞19に塞栓が存在する可能性がはるかに低いことを含む。第一に、冠血管系から右心房5への血液の排出は、毛細血管を通過したばかりであり、本質的に濾過された血液である。第二に、右心房5における冠静脈洞19のCSO17は、多くの場合、テベシウス弁と呼ばれる偽弁によって部分的に被覆される。テベシウス弁は、必ずしも存在するわけではないが、心臓の>60%に存在し、右心房圧がスパイクしたときに塞栓が侵入するのを防ぐために、冠静脈洞に対して自然の「番犬」として作用することを示す研究もある。第三に、それが排出される冠静脈洞19と右心房5との間の圧力勾配は、非常に低く、右心房5の血栓は、そこに残る可能性が高い。第四に、塞栓が冠静脈洞19に侵入すると、右心房5と左心房2との間よりも、右心房5と冠血管系との間にはるかに大きい勾配が存在することになる。寒栓は、右心房圧が正常に戻り、次いで、塞栓が右心房5に直接戻るまで、冠血管系をさらに下降して移動することになる可能性が最も高い。
【0033】
左心房2と冠静脈洞19との間にインプラントを位置付けるいくつかの追加の利点は、この解剖学的構造が隔膜よりも可動性が低いこと及び/又はより安定的であることであり得、代替療法のための後の経中隔アクセスのために隔膜を保持し、他の療法上の利益を潜在的に有し得る。左心房血液を冠静脈洞19に分流することによって、洞圧が少量だけ増加し得る。これは、冠血管系の血液を、心臓を通ってよりゆっくりと移動させ得、灌流及び酸素伝達を増加させ、これは、より効率的であり得、かつ瀕死の心筋が回復するのも助け得る。HF患者はしばしば、心房細動(AF)及び僧帽弁逆流(MR)などの他の多くの併存疾患を有し、これらの状態を治療するためのいくつかの療法は経中隔アプローチを必要とするため、経中隔アクセスの保持も非常に大きい利点である。
【0034】
インプラントはまた、チャンバ及び/若しくは血管内、並びに/又は肺動脈と右心房5の間などの他の心室チャンバの間に位置決めされ得る。インプラントは、本明細書に記載の展開ツールを用いて、上から近づいて肺動脈を通り抜けるカテーテルを用いて、肺動脈の壁内にインプラントされることが望まれ得る。上で説明したように、肺高血圧(PH)は、主肺動脈における平均圧力の上昇として定義される。圧力差がその方向への流れを引き起こす場合、血液は肺動脈から右心房5にシャントインプラントを通って流れ、それにより圧力が減弱し、肺動脈への損傷が低減される。目的は、肺動脈の圧力スパイクを減弱することである。インプラントはまた、肺動脈から他の心腔(例えば、左心房2)及び/又は血管まで延在し得る。いくつかの実施形態では、インプラントは、逆流を防止するための一方向弁、又は血液が指定された圧力を超えてのみ通過することを可能にする逆止弁をさらに含み得る。
【0035】
上大静脈15からの冠静脈洞口(CSO)17へのシャント送達システム(例えば、ガイドワイヤ上の)の追跡は、CSO17の底部と右心房5の底部との間の距離を計測し得るCSOレベルの挿入(CSLI)距離を少なくとも部分的に原因として、しばしば困難であることがある。インプラントが少なくとも部分的に硬い、及び/又はカテーテル16の一部分内に硬い切片を作製する場合、外科医がCSO17及び/又は他の解剖学的構造を通してカテーテル16を追跡することが困難になり得る。一部の事例では、カテーテル16は、カテーテル16をガイドワイヤ上で追跡する際に、CSO17の下の隆起に引っかかることができ、及び/又はカテーテルは右心房5(
図2に示す)に大きな「弓」形状を形成しなければならない。一部の事例では、
図2に示すようなカテーテル16の弓状化は、例えば、ガイドワイヤが冠静脈洞19内のアクセスポイントを超えてカテーテル16から延びることから、ガイドワイヤによるアクセスの喪失をもたらし得る。
【0036】
本明細書に記載されるいくつかのインプラントは、少なくとも部分的に圧縮可能及び/又は拡張可能であり得る。本明細書に記載されるインプラントは、外科医の送達処置を簡素化及び/又は改善するための様々な特徴を有し得る。例えば、インプラントは、様々なサイズ及び/又は形状を有する送達カテーテル内/上に収まるように、必要に応じて/又は所望に応じて、インプラントを形作る及び/又は成形できるように、少なくとも部分的に可撓性、圧縮性、及び/又は弾性であり得る。
【0037】
さらに、インプラントは、様々なサイズ及び/又は形状を有する組織壁において作り出される様々な開口部に収まるように構成され得る。組織壁は、第一の解剖学的チャンバ(例えば、冠静脈洞19)と第二の解剖学的チャンバ(例えば、左心房2)との間に位置し得る。いくつかの実施形態では、開口部は、組織壁を通して作り出され得、インプラントは、少なくとも部分的に開口部内に収まるように構成され得る。開口部は、第一の解剖学的チャンバと第二の解剖学的チャンバとの間の血液流路を表し得る。いくつかの実施形態では、インプラントは、第一の解剖学的チャンバから第二の解剖学的チャンバへの開口部及び/又は血液流路を維持するように構成され得る。
【0038】
拡張可能なシャントインプラント
図3A及び
図3Bは、いくつかの実施形態による可撓性シャントインプラント300を示す。インプラント300は、様々な医学的状態を治療するように構成された様々な特徴及び/又は構成要素のいずれかを備え得る。例えば、インプラント300は、組織壁における開口部を維持する、及び/又は組織壁を通る血流を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、インプラント300は、組織壁の開口部内に少なくとも部分的に位置するように構成され得る、中央フロー部分302を備え得る。中央フロー部分302は、2つの解剖学的チャンバ間の開口部を作り出す及び/又は維持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インプラント300は、取り付けられ、接続され、及び/又は別様に接合されて単一のデバイスを形成し得る、複数の別個の構成要素を備え得る。例えば、中央フロー部分302は、組織壁における開口部の形状に近似し得る、概して管状形状を形成する複数の構成要素を備え得る。
【0039】
インプラント300は、ステンレス鋼、ニチノール、及び/又は他の金属を含み得る編組材料から少なくとも部分的に構成され得る。インプラント300の少なくとも一部分は、インプラント300の可撓性を維持しながら、送達のためにより小さな直径に折り畳まれるように構成され得る。いくつかの実施形態では、インプラント300の少なくとも一部分は、
図3Bに示すように、カテーテル16の外表面及び/又は外径上に体内に送達するように構成され得る。例えば、インプラント300は、カテーテル16の外表面に圧着されるように構成されてもよい。インプラント300は、インプラント300によって引き起こされるカテーテル16の直径の増加を最小化するために、可能な限りしっかりとカテーテルに圧着されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント300の少なくとも一部分は、インプラント300の少なくとも一部分を囲むように構成された管状鞘(図示せず)によって覆われてもよい。鞘は、インプラント300が圧着された構成から拡張するのを防止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、追加及び/又は代替的な装置及び/又は方法は、インプラント300の拡張を防止するために使用され得る。例えば、1つ以上のワイヤをインプラント300に取り付けて、体内への送達中にインプラント300をカテーテル16にしっかりと保持してもよい。
【0040】
インプラント300は、インプラント300がカテーテル16の屈曲性を妨げることを防止するために、体内への送達中に最大の可撓性を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インプラント300は、カテーテル16上に圧着される間に可撓性のレベルを維持するように構成され得る。可撓性シャントインプラント300は、ワイヤ、縫合糸、ストリング、繊維、及び/又は様々な他の細長い装置を含み得る、編組み及び/又はインターロックコード307のネットワークから構成される中央フロー部分302を含み得る。1つ以上のコード307は、織り込み/織り合わせ及び/又は編組みパターンで互いに相互作用し得る。例えば、第一のコードが、第二のコード、第三のコード、第四のコードなどを通過してもよい。したがって、1つ以上のコード307は、コード307が、他のコード307の上及び/又は下で曲がるように構成され得るように、少なくともいくらかの可撓性を有してもよい。例えば、1つ以上のコード307は、ニチノール及び/又は少なくとも部分的に曲げ及び/又は伸張するように構成され得る別の材料からなってもよい。
【0041】
フロー部分302は、任意の数のコード307を含み得る。いくつかの実施形態では、フロー部分302は、それ自体と織り合わせられるように構成された単一のコード307を備えてもよい。コード307の数及び/又は1つ以上のコード307の織り合わせ量を増やすことによって、コード307及び/又は単一のコード307の異なる切片の間の間隙は、組織の内部成長の防止及び/又は低減を改善するために最小化され得る。さらに、コード307の各々は、任意の厚さを有してもよく、フロー部分302の拡張性を最大化しながら、間隙を最小化するように設計されてもよい。
【0042】
フロー部分302は、組織壁の開口部内に少なくとも部分的に位置付けられるように構成され得る。組織壁は、第一の側面及び第二の側面を有してもよく、開口部は、組織壁を通る間隙を表し得る。組織壁の「厚さ」は、組織壁の第一の側面と第二の側面との間の距離を指し得る。
【0043】
フロー部分302の1つ以上のコード307は、組織壁の開口部の形状に近似する円筒形又はその他の形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、開口部は、穿刺点からほぼ均等に全ての方向に幅を拡げて、特定の直径を有するほぼ円形の開口部を形成し得る。したがって、フロー部分302は、少なくとも部分的に丸みを帯びた及び/又は円形の形態を有してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、可撓性シャントインプラント300は、送達時にコンパクト化及び/又は別様に可撓性のある形態であり得る。例えば、送達時に、1つ以上のコード307は、1つ以上のコード307の間の間隙が最小の状態で、共に比較的近接して位置してもよい。組織壁が拡張するにつれて、1つ以上のコード307は徐々に分離及び/又は伸張して、より長い長さの可撓性シャントインプラント300を生成し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のコード307は、組織壁の拡張に応答して伸張するように構成され得る。例えば、送達時に、1つ以上のコード307は、自然な静止状態であってもよく、及び/又は単に最小限に伸張された状態であってもよい。組織壁が拡張するにつれて、1つ以上のコード307の少なくとも一部は、伸張及び/又は少なくとも部分的に分離して、より大きな長さの可撓性シャントインプラント300を生成し得る。
【0045】
可撓性シャントインプラント300は、カテーテル16及び/又は体内の組織の領域にシャントインプラントを固定するための任意の手段を含み得る、1つ以上のアンカーアーム304を含み得る。1つ以上のアンカーアーム304(例えば、第一のアンカーアーム304a及び/又は第二のアンカーアーム304bを含む)は、組織壁に/組織壁内に固定するように構成されてもよい。可撓性シャントインプラント300は、2つの対のアンカーアーム304を有することが示されているが、可撓性シャントインプラント300は、任意の数のアンカーアーム304を有してもよい。いくつかの実施形態では、可撓性シャントインプラント300は、可撓性シャントインプラント300の第一の端部に1つ以上のアンカーアーム304、及び/又は可撓性シャントインプラント300の第二の端部又はその近傍に1つ以上のアンカーアーム304を備えてもよい。アンカーアーム304は、1つ以上のコード307を含めて、インプラント300の任意の部分に取り付けられてもよく、及び/又はそこから延在してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、コード307及び/又はアンカーアーム304の各々は、共通する材料又は異なる材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コード307及び/又はアンカーアーム304のいずれかは、ニチノール及び/又は他の金属、プラスチック、ポリマー、及び/又は他の材料からなっていてもよい。
【0047】
本明細書に記載される中央フロー部分302及び/又はアンカーアーム304を含む、シャントインプラント300の様々な特徴は、本出願の他の図に説明及び/又は図示されるシャント装置に適用され得る。例えば、
図3A及び
図3Bに示すシャントインプラント300に関する任意の説明は、
図6のシャントインプラント601及び/又は
図9A及び/又は
図9Bのシャントインプラント901に同様に適用され得る。さらに、
図3A及び
図3Bに示すように、他の図に関して表示及び/又は記述された他のシャントは、コード307を含まない場合があるが、他の図に関して記述されたシャントは、コード307を含み得ることが理解されよう。同様に、本明細書の他の図に関して記述された様々な特徴は、各図に関して図示又は記述されていない場合でも、
図3A及び
図3Bのシャントインプラント300又は本明細書の他の図に追加され得る。中央フロー部分302及びアンカーアーム304の両方を含むシャントインプラント300が示されているが、いくつかの実施形態では、シャントインプラント300はアンカーアーム304を含まない場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態では、インプラント300は、拡張された構成と圧潰された構成との間で移動可能になるように構成され、カテーテルの管腔を通しての通過を容易にし得る。例えば、中央フロー部分302は、カテーテル16の外部表面の周りに収まるように圧着及び/又は別様にコンパクト化されるように構成され得る。圧着は、中央フロー部分302の直径の低減及び/又はインプラント300の長さの増加を伴い得る。インプラント300が圧着されると、インプラント300の少なくとも一部分が、圧着圧力に応答して抵抗力を生成し得る。
【0049】
中央フロー部分302は、送達デバイス(例えば、カテーテル16)からの除去の間及び/又は後に、予め定義された形状(例えば、
図3Aに示す形状及び/又はサイズ)及び/又はサイズに拡張するように構成され得る。インプラント300は、フランジ、アーム、アンカー、及び/又は他のデバイスを含み得る、1つ以上のアンカーアーム304をさらに備え得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のアンカーアーム304(例えば、第一のアンカーアーム304a及び/又は第二のアンカーアーム304b)は、中央フロー部分から概して垂直に延在する(すなわち、T字型を形成する)ように構成され得る。例えば、第一のアンカーアーム304a及び第二のアンカーアーム304bは、共通平面に沿って平坦に横たわるように構成され得る。1つ以上のアンカーアーム304は、概して平坦な、湾曲した、及び/又は波状の形態を有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のアンカーアーム304は、カテーテルの管腔を通しての通過を容易にするために、少なくとも部分的に折り畳む及び/若しくは圧縮するように構成され得、並びに/又は組織壁に接触する及び/若しくは付着するために、身体内での送達中及び/若しくは送達後に拡張するように構成され得る。インプラント300の拡張は、例えば、内側支持鞘に対するカテーテルの外側鞘の引き込みによって開始され得る。インプラント300は、概して管状構成に折り畳まれ(例えば、圧着)得る。いくつかの実施形態では、アンカーアーム304は、外側鞘の拘束が引き込む時に、ばねを開くように構成され得る。アンカーアーム304は、円形の様式で拡張するのとは対向して、共通平面において概して反対方向に拡張して、T字形状を形成し得る(
図3Bを参照)。アンカーアーム304及び/又は中央フロー部分302上のX線不透過性マーカは、身体内での即時の位置決めを容易にするために提供され得る。
【0050】
一対のアンカーアーム304(例えば、第一のアンカーアーム304a及び第二のアンカーアーム304b)は、アンカーアーム304のクランプ(すなわち、ピンチ)対を形成するように構成され得る。一対のアンカーアーム304は、組織壁に圧縮力を印加して、インプラント300を定位置に保持するように構成され得る。圧縮力の量は、インプラント300を定位置に保持するのに十分である一方で、組織壁への損傷を回避するために相対的に小さくてもよい。例えば、アンカーアームの対を分離するギャップは、組織の過剰なクランプ及び/又は壊死を回避するために較正され得る。アンカーアーム304は、組織壁の概して反対側面及び/又は組織壁の開口部の概して反対側面にインプラント300を固定するように構成され得る。中央フロー部分302は、組織壁の両側面のチャンバ間の開放流路を維持するように、組織壁に対して概して垂直に整列するように構成され得る。
【0051】
インプラント300の構成要素は、構成要素の固有のばね性及び/又は可撓性のために自然に自己拡張するように構成され得る。例えば、様々な構成要素(例えば、中央フロー部分302及び/又はアンカーアーム304)は、ニチノールなどの弾性材料から少なくとも部分的に構成され得る。いくつかの実施形態では、中央フロー部分302は、ニチノール管をレーザ切断することによって作製され得る。
【0052】
図4(
図4-1及び
図4-2)は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセス400を例解するフロー図である。
図5(
図5-1及び
図5-2)は、
図4のプロセスに関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセス400の態様を例解する。
【0053】
ステップ402で、プロセス400は、
図5の画像500aに示すように、体内の経路にインプラント501を送達することを伴う。例えば、インプラント501は、右心房5を介して冠静脈洞19内に送達されてもよい。インプラント501は、カテーテル16の外表面上に少なくとも部分的に圧縮されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント501は、送達中に鞘及び/又は他のカバーによって少なくとも部分的に囲まれ(
図9A及び9Bの鞘を参照)、インプラント501が拡張する、及び/又は体内の標的位置への送達を別の方法で障害することを防止してもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ及び/又は他の機構が、インプラント501を折り畳む及び/又は圧着した形態で保持するために使用され得る。こうした実施形態では、インプラント501を折り畳む及び/又は圧着した形態で保持するために鞘を必要としない場合がある。
【0054】
インプラント501は、カテーテル16が必要に応じて曲げられ、インプラント501からの制限が最小限の状態で、冠静脈洞19及び/又は他の経路に入ることができるように、概して可撓性の構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル16は、様々な経路を拡張し、及び/又は別の方法でカテーテル16及び/又はインプラント501を所望の位置に誘導するように構成された非外傷性先端509を備えてもよく、及び/又は非外傷性先端509に取り付けられてもよい。さらに、ガイドワイヤ511及び/又は類似の装置は、カテーテル及び/又はインプラント501を標的位置に誘導するために送達されてもよい。いくつかの実施形態では、組織壁508(例えば、冠静脈洞19の壁)の開口部513は、インプラント501送達プロセス400及び/又は以前のプロセスの間に形成されてもよい。開口部513は、様々な方法のいずれかで作り出され得る。方法の一例は、以下の通りである。
【0055】
最初に、ガイドワイヤ511は、例えば、右心房から、その小孔又は開口部を通して冠静脈洞19へと前進し得る。カテーテル16は、ガイドワイヤを介して前進し得る。カテーテル16は、イントロデューサシースの近位端を通して体内に導入され得る。イントロデューサシースは、特定の血管経路(例えば、頸静脈又は鎖骨下静脈)へのアクセスを提供し得、その中に止血弁を有し得る。イントロデューサシースを固定位置に保持しながら、外科医は穿刺カテーテルをインプラント部位に操作することができる。鋭利な先端を有する穿刺針を有する穿刺シースは、カテーテル16に沿って前進し、壁508を通して例えば、左心房2の中に穿刺され得る。穿刺拡張器は、ガイドワイヤに沿って、かつ組織壁508を通って左心房2の中へと前進され得る。穿刺拡張器は、例えば、細長い膨張可能なバルーンであり得る。穿刺拡張器は、組織壁508を通して穿刺を広げるために半径方向外向きに膨張され得る。
【0056】
ブロック404で、プロセス400は、
図5の画像500bに示すように、インプラント501を、組織壁508(例えば、冠静脈洞19)の開口部513を通って、及び/又は開口部513へと、少なくとも部分的に通過させることを伴う。ガイドワイヤ511は、組織壁508の遠位側(例えば、左心房2内)に少なくとも部分的に位置して、非外傷性先端509及び/又はインプラント501を少なくとも部分的に組織壁508の遠位側へ誘導してもよい。インプラント501の送達は、カテーテル16がインプラント位置に送達されるときに、カテーテル16からインプラント501を変位させることを伴い得る。例えば、インプラント501が開口部513に、又はその近くに少なくとも部分的に位置付けられる場合、インプラント501を覆うシース及び/又はインプラント501を定位置に保持している1つ以上のワイヤは、インプラント501が拡張及び/又はカテーテル16から変位することを可能にするように、少なくとも部分的に引き込まれ得る。インプラント501は、カテーテル16で開口部513内に少なくとも部分的に曲がって入るように構成され得る。
【0057】
インプラント501がカテーテル16から露出されている場合、インプラント501は、少なくとも部分的に拡張し得、及び/又はアンカーアーム504は、少なくとも部分的に屈曲し得る。いくつかの実施形態では、インプラント501は、手動で拡張され得、及び/又はカテーテル16から少なくとも部分的に除去されると自然に拡張するように構成され得る。しかしながら、インプラント501の拡張は、少なくとも部分的に支援され得る。例えば、カテーテル16及び/又は別の外科手術器具を使用して、インプラント501を押す、及び/又は引っ張り、インプラント501を拡張形状及び/又は位置に向けて移動させ得る。
【0058】
ブロック406では、プロセス400は、
図5の画像500cに示すように、冠静脈洞19及び/又は他の血管の組織壁508の開口部513内にインプラント501を固定することを伴う。インプラント501は、組織壁508への付着物から挟む、及び/又は別の方法で形成するように構成された1つ以上のアンカーアーム504を備えてもよい。インプラント501は、血液がインプラント501の中央フロー部分502を通って(例えば、左心房2から冠静脈洞19へと)流れ得るように位置するように構成されてもよい。
【0059】
インプラント501は、組織壁の開口部513内に少なくとも部分的に収まるように構成された中央フロー部分502を含み得る。中央フロー部分502は、開口部513の側面に沿って延在し、開口部513を維持し、及び/又は組織の内部成長を防止するように構成され得る。中央フロー部分502は、インプラント501を通る血流を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、アンカーアーム504は、中央フロー部分502から延在し続けるように構成され得、及び/又は開口部513を維持するように構成され得る。中央フロー部分502及び/又はアンカーアーム504は、中央フロー部分502及び/又はアンカーアーム504を通る血流を可能にする適切なパターン及び/又は形状を形成するように構成されたストラット及び/又はコードのネットワーク及び/又はパターンを備え得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、第一のアンカーアーム504aは、組織壁508の第一の側面508aと接触及び/又は付着するように構成され得、及び/又は第二のアンカーアーム504bは、組織壁508の第二の側面508bと接触及び/又は付着するように構成され得る。第一のアンカーアーム504a及び第二のアンカーアーム504bは、組織壁508の第一の側面508a及び組織壁508の第二の側面508bに対してそれぞれ同時に押すことによって、組織壁508上にピンサ把持を確立するように構成され得る。
【0061】
インプラント501は、各々が組織壁508の異なる部分に固定するように構成されている、アンカーアーム504の2つのセットを備え得る。例えば、アンカーアーム504の第一のセット(第一のアンカーアーム504a及び第二のアンカーアーム504bを含む)は、組織壁508の第一の部分にピンサ把持を確立するように構成され得、一方で、アンカーアームの第二のセットは、組織壁508の第二の部分にピンサ把持を確立するように構成され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアンカーアーム504は、組織壁508を貫通及び/又はフックするように構成され得る。例えば、1つ以上のアンカーアーム504は、組織壁508を貫通して、組織壁508へのより安全な取り付けを確立するよう構成される、アンカーアーム504から延在する1つ以上のフックを備え得る。
【0063】
1つ以上のアンカーアーム504は、組織壁508における開口部513で送達されると、組織壁508に向かって自然に屈曲するように構成され得る。例えば、インプラント501が送達デバイス(例えば、カテーテル)から除去されるとき、インプラント501は、画像500cに示される形態を自然に採り得る。いくつかの実施形態では、インプラント501は、形状設定され得、及び/又は少なくとも部分的に形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成され得る。例えば、インプラント501は、組織壁508が第一のアンカーアーム504aと第二のアンカーアーム504bとの間に位置付けられる時に、第一のアンカーアーム504a及び第二のアンカーアーム504bが共に及び/又は互いの近くで押されるように構成され得るように形状が設定されてもよく、第一のアンカーアーム504a及び第二のアンカーアーム504bは、組織壁508を安全に挟むように構成されてもよい。
【0064】
図6は、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラント601を示す。いくつかの実施形態では、インプラント601は、コイル状及び/又は編組み構造を有する中央フロー部分602を含み得る。例えば、中央フロー部分602は、1つ以上のコイル状コード、ワイヤ、及び/又は他の細長い装置を備えてもよい。1つ以上のコードがコイル内に形成されて、中央フロー部分602を通る血流を可能にする内側管腔を形成し得る。コイル状の中央フロー部分602を有するインプラント601が
図6に示されているが、インプラント601は、
図3A及び
図3Bのインプラント300と同様に、追加的又は代替的に編組み部分を含み得る。さらに、
図3A及び
図3Bのインプラント300は、追加的又は代替的に、
図6のインプラント601と同様にコイル状部分を含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、インプラント601は、組織壁を通して穿刺し、及び/又は組織壁に固定するように構成された穿刺要素620を備えてもよい。穿刺要素620は、有利なことに、外科医が、インプラント601を送達する前に、別個の穿刺要素(例えば、針)を送達する必要なく、インプラント601を送達することを可能にし得る。言い換えれば、組織壁に開口部を形成し、インプラント601を組織壁の開口部に送達することは、インプラント601を送達する前に装置を体内から除去する必要なく、単一ステッププロセスとして実施され得る。
【0066】
図6に示すように、穿刺要素620は、中央フロー部分602から延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、穿刺要素620及び/又は1つ以上のアンカーアーム604は、中央フロー部分602から延在するように構成されてもよい。例えば、穿刺要素620は、アンカーアーム604を置き換えてもよく、及び/又は1つ以上のアンカーアーム604と共に使用されてもよい。穿刺要素620は、アンカーアーム604と同様に機能を実行するように構成され得る。例えば、穿刺要素620は、第一のアンカーアーム604aと共に、組織壁上のピンサ把持を確立するように構成され得る。第二のアンカーアーム604b及び/又は第三のアンカーアーム604cは、組織壁の異なる部分にピンサ把持を確立するように構成され得る。
【0067】
穿刺要素620は、様々な形態及び/又は構造のいずれかを有してもよい。いくつかの実施形態では、穿刺要素620は、一端に尖った先端621を有し、かつ尖った先端621から中央フロー部分602まで直径及び/又は幅が増大する、概して円錐形状を有してもよい。穿刺要素620は、追加的又は代替的に、概して円筒形の構造(例えば、針と同様)を有し、端部に尖った先端621を形成することができる。別の実施例では、穿刺要素620は、一般的な平坦な構造を有してもよく、及び/又は尖った先端621から中央フロー部分602までの幅を増加させてもよい。穿刺要素620は、圧着/圧縮インプラント601及び/又はカテーテルが開口部を通して収まる適切なサイズを有する組織壁内に開口部を形成するように構成され得る。したがって、穿刺要素620は、穿刺要素620によって形成される開口部のサイズを増大させるために、尖った先端から幅及び/又は直径を少なくとも部分的に増大させるように構成されてもよい。組織壁の開口部を通した送達後、穿刺要素620は、組織壁の表面に接触し、及び/又は少なくとも部分的に貫通して、開口部にインプラント601を固定するように構成され得る。例えば、尖った先端621は、組織壁に単一の接触点を確立するように構成され得る。組織壁に単一の接触点を確立することによって、穿刺要素620は、インプラント601を組織壁に固定することを支援すると同時に、表面接触を最小化して、穿刺要素及び/又は中央フロー部分602の周りの組織の内部成長を最小化するように構成され得る。
【0068】
インプラント601は、概して可撓性の構造を有してもよい。インプラント601は、コイル状構造を有することが示されているが、インプラント601は、追加的又は代替的に、インプラント601に可撓性の尺度を提供するために、編組み要素及び/又は織り合わせ要素を含み得る。さらに、穿刺要素620は、標的位置への送達中に穿刺要素620が少なくとも部分的に曲がることを可能にするために、少なくとも部分的に可撓性材料(例えば、ニチノール及び/又はステンレス鋼の薄い部分)から構成されてもよい。
【0069】
図7(
図7-1及び7-2)は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセス700を例解するフロー図である。
図8(
図8-1及び8-2)は、
図7のプロセス700に関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装によるプロセス700の態様を例解する。
【0070】
ステップ702で、プロセス700は、
図8の画像800aに示すように、体内の1つ以上の流れ経路にインプラント801を送達することを伴う。例えば、インプラント801は、右心房5を介して冠静脈洞19内に送達されてもよい。インプラント801は、カテーテル16の外表面上に少なくとも部分的に圧縮されてもよい。インプラント801は、コイル状構造を有するものとして
図8に示されているが、インプラント801は、1つ以上の少なくとも部分的に編組み部分を含み得る、任意の適切な構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、インプラント801は、送達中にシース及び/又は他のカバーによって少なくとも部分的に囲まれ(
図9A及び
図9Bのシースを参照)、インプラント801が拡張する、及び/又は体内の標的位置への送達を別の方法で障害することを防止するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ及び/又は他の機構が、インプラント801を虚脱及び/又は圧着した形態で保持するために使用され得る。
【0071】
インプラント801は、カテーテル16が必要に応じて曲げられ、インプラント801からの制限が最小限の状態で、冠静脈洞19及び/又は他の経路に入ることができるように、概して可撓性の構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、インプラント801は、穿刺し、及び/又は組織壁に固定するように構成された少なくとも1つの穿刺要素820を備えてもよい。穿刺要素820は、インプラント801の中央部分及び/又はアンカーアームから延在してもよい。いくつかの実施形態では、穿刺要素820は、アンカーアームの代わりに使用することができ、及び/又は他のアンカーアームと組み合わせてもよい。穿刺要素820は、ニチノール及び/又は他の金属を含み得る、任意の適切な材料及び/又は材料の組み合わせからなってもよい。いくつかの実施形態では、穿刺要素820は、穿刺要素820及び/又はインプラント801が標的位置(例えば、冠静脈洞19の壁)により容易に進むことができるように、少なくとも部分的に曲がるように構成され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、穿刺要素820は、概して先細りの構造を有してもよく、及び/又は様々な経路を拡張し、及び/又は別の方法でカテーテル16及び/又はインプラント801を所望の位置に誘導するように構成されてもよい。穿刺要素820は、穿刺要素820が組織壁808内に円形の開口部813を形成するように構成され得るように、概して円錐形状を有してもよい。さらに、
図8の画像800bに示すように、ガイドワイヤ及び/又は類似の装置を送達して、カテーテル及び/又はインプラント801を標的位置に誘導してもよい。
【0073】
ブロック704で、プロセス700は、
図8の画像800bに示すように、インプラント801を、穿刺要素820によって形成された組織壁808(例えば、冠静脈洞19)の開口部813を通って、及び/又は開口部813へと、少なくとも部分的に通過させることを伴う。穿刺要素820は、組織壁を通して押し付けられて開口部813を形成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、穿刺要素820は、カテーテル16及び/又はインプラント801本体が開口部813を少なくとも部分的に通して収まることができるように、適切なサイズ及び/又は幅を有する開口部813を形成するように構成され得る。ガイドワイヤは、組織壁808の遠位側(例えば、左心房2内)に少なくとも部分的に位置して、カテーテル16及び/又はインプラント801を組織壁808の遠位側へ誘導してもよい。インプラント801の送達は、カテーテル16がインプラント位置に送達されるときに、カテーテル16からインプラント801を変位させることを伴い得る。例えば、インプラント801が開口部813に、又はその近くに少なくとも部分的に位置付けられる場合、インプラント801を覆うシース及び/又はインプラント801を定位置に保持している1つ以上のワイヤは、インプラント801が拡張及び/又はカテーテル16から変位することを可能にするように、少なくとも部分的に引き込まれ得る。インプラント801は、カテーテル16で開口部813内に少なくとも部分的に曲がって入るように構成され得る。
【0074】
インプラント801がカテーテル16から除去されている場合、インプラント801は、少なくとも部分的に拡張するように構成されてもよく、及び/又はアンカーアーム804は、少なくとも部分的に屈曲し得る。いくつかの実施形態では、インプラント801は、手動で拡張され得、及び/又はカテーテル16から少なくとも部分的に除去されると自然に拡張するように構成され得る。しかしながら、インプラント801の拡張は、少なくとも部分的に支援され得る。例えば、カテーテル16及び/又は別の外科手術器具を使用して、インプラント801を押す、及び/又は引っ張り、インプラント801を拡張形状及び/又は位置に向けて移動させ得る。
【0075】
ブロック706では、プロセス700は、
図8の画像800cに示すように、組織壁808の開口部813内にインプラント801を固定することを伴う。インプラント801は、組織壁808への付着物から挟む、及び/又は別の方法で形成するように構成された1つ以上のアンカーアーム804を備えてもよい。インプラント801は、血液がインプラント801の中央フロー部分802を通って(例えば、左心房2から冠静脈洞19へと)流れ得るように位置するように構成されてもよい。
【0076】
インプラント801は、組織壁の開口部813内に少なくとも部分的に収まるように構成された中央フロー部分802を含み得る。中央フロー部分802は、開口部813の側面に沿って延在し、開口部813を維持し、及び/又は組織の内部成長を防止するように構成され得る。中央フロー部分802は、インプラント801を通る血流を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、アンカーアーム804は、中央フロー部分802から延在し続けるように構成され得、及び/又は開口部813を維持するように構成され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、第一のアンカーアーム804aは、組織壁808の第二の側面808bと接触及び/又は付着するように構成され得、及び/又は穿刺要素820は、組織壁808の第一の側面808aと接触及び/又は付着するように構成され得る。第一のアンカーアーム804a及び穿刺要素820は、組織壁808の第一の側面808a及び組織壁808の第二の側面808bに対してそれぞれ同時に押すことによって、組織壁808上にピンサ把持を確立するように構成され得る。インプラント801は、第一のアンカーアーム804a及び穿刺要素820に対向するアンカーアームのセット(例えば、第二のアンカーアーム804b及び/又は第三のアンカーアーム804c)を備えてもよく、それぞれが組織壁808の異なる部分に固定するよう構成される。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアンカーアーム804は、組織壁808を貫通及び/又はフックするように構成され得る。例えば、1つ以上のアンカーアーム804は、組織壁808を貫通して、組織壁808へのより安全な取り付けを確立するよう構成される、アンカーアーム804から延在する1つ以上のフックを備え得る。
【0079】
1つ以上のアンカーアーム804は、組織壁808における開口部813で送達されると、組織壁808に向かって自然に屈曲するように構成され得る。例えば、インプラント801が送達デバイス(例えば、カテーテル)から除去される時、インプラント801は、画像800cに示される形態を自然に採り得る。いくつかの実施形態では、インプラント801は、形状設定され得、及び/又は少なくとも部分的に形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成され得る。例えば、インプラント801は、組織壁808が第一のアンカーアーム804aと穿刺要素820との間に位置付けられる時に、第一のアンカーアーム804a及び穿刺要素820が共に及び/又は互いの近くで押されるように構成され得るように形状が設定されてもよく、第一のアンカーアーム804a及び穿刺要素820は、組織壁808を安全に挟むように構成されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、穿刺要素820は、組織壁808との単一の接触点を確立するように構成され得る。例えば、穿刺要素820の尖った先端は、組織壁を貫通するように構成され得る。このようにして、穿刺要素820は、穿刺要素820と組織壁808との間の比較的低い量の表面接触に起因して、穿刺要素820及び/又はインプラント801上での組織の成長を有利なことに制限し得る。
【0081】
図9A及び
図9Bは、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラント901を示す。いくつかの実施形態では、インプラント901は、第一の部分931(例えば、第一のシャント)及び第二の部分933(例えば、第二のシャント)を含む2つ以上の部分を含む、双方向構造を含み得る。第一の部分931及び/又は第二の部分933は、血流を受ける、及び/又は血流を可能にするように構成された内側管腔を有する概して管状の装置を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第一の部分931及び/又は第二の部分933は、少なくとも部分的に流体密封であってもよく、及び/又は部分の管状壁を通る血流を可能にするように構成されてもよい。例えば、第一の部分931及び/又は第二の部分933は、血流を可能にする間隙を提供する、コード及び/又はその他の装置の編組み及び/又はコイル状のネットワークから少なくとも部分的に形成され得る。
【0082】
第一の部分931は、第一のチャンバ(例えば、左心房)から第二のチャンバ及び/又は血液経路(例えば、冠静脈洞)への血流のシャントを可能にするように構成され得る。さらに、第一の部分931は、有利なことに、組織壁の開口部を維持するように構成され得る。第二の部分933は、血液経路(例えば、冠静脈洞)を通る正常な血流を可能にするように構成され得る。さらに、第二の部分933は、流れ経路を通る血流が第一のチャンバに入るのを少なくとも部分的に防止するように構成され得る。第一の部分931及び/又は第二の部分933は、第一の部分931及び/又は第二の部分933を曲げ、及び/又は別の方法でインプラント901の体内への送達を単純化するために比較的高いレベルの可撓性を維持することができるように、概して管状形状を有してもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、第一の部分931及び/又は第二の部分933の少なくとも一部分は、少なくとも部分的に流体密封であってもよく、及び/又は1つ以上の領域(例えば、第一の領域932)を、1つ以上の領域を通る血流を防止するように構成された材料から少なくとも部分的に構成された1つ以上の領域を含んでもよい。例えば、第一の領域932及び/又は第一の部分931及び/又は第二の部分933のその他の領域は、間隙を形成して、それによって第一の領域932を通る血流を防止し得る、概して固体材料から少なくとも部分的に構成されてもよい。第一の領域932及び/又は他の領域は、組織壁の開口部の少なくとも部分的に下方に位置するように構成されてもよく、及び/又は開口部を通して血流を方向転換するように構成されてもよい。例えば、血液は、開口部の両側のチャンバの血圧特性のために、開口部を通って、概して垂直に流れてもよい。このような血流は、特に血液が組織壁に直接流れる場合に、比較的高い速度を有してもよく、及び/又は様々な組織壁に損傷を与える可能性がある。第一の部分931及び/又は第二の部分933は、有利なことには、血流の少なくとも一部分が、組織壁に直接的ではなく、流れ経路(例えば、冠静脈洞に沿って)に沿って血液を方向転換することによって、組織壁に直接流れることを防止するように構成され得る。例えば、血流は、第一の部分931の第一の領域932によって偏向及び/又は方向転換され得る。
【0084】
第一の部分931及び/又は第二の部分933は、第一の部分931及び/又は第二の部分933を共に保持するように構成され得るシース939によって少なくとも部分的に囲まれるように構成され得る。シースは、布及び/又は他の材料から少なくとも部分的に構成されてもよい。
図9Bは、シース939内の第一の部分931及び/又は第二の部分933を示す断面図を提供する。いくつかの実施形態では、シース939は、第一の部分931及び/又は第二の部分933の上に完全に延在するように構成され得る。インプラント901が体内の標的位置に送達される時、シース939は、第一の部分931及び/又は第二の部分933の少なくとも一部分を露出するように、少なくとも部分的に引き込まれるように構成されてもよい。第一の部分931がシース939から露出及び/又は除去される時、第一の部分931は、少なくとも部分的に曲がり、第一の部分931と第二の部分933との間に分離角935を形成するように構成され得る。分離角度935は、0°~90°の任意の値とすることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、第一の部分931の少なくとも一部分は、第二の部分933から自然に離れて曲がるように構成され得る。例えば、第一の部分931は、少なくとも部分的に形状記憶合金(例えば、ニチノール)から構成されてもよく、及び/又はシース939から除去される時に、
図9Aに示す曲げた形態を想定するように形状が設定されてもよい。
【0086】
1つ以上の固定要素は、第一の部分931及び/又は第二の部分933に取り付けられ、第一の部分931及び/又は第二の部分933を組織壁に固定してもよい。例えば、1つ以上の固定要素は、第一の部分931の端部分から延在して、第一の部分931が組織壁の開口部を通過した後に組織壁に固定することを可能にし得る。
【0087】
第二の部分933は、組織壁の開口部内の第一の部分931の保持のために構成されてもよい。例えば、第二の部分933は、第一の部分931が第二の部分933から離れて(例えば、概して第二の部分933から垂直に)延在して開口部に入る間、血流経路内に留まるように構成され得る。第二の部分933は、第二の部分933が血流経路の壁に押し付けるように構成されて、第一の部分931が開口部に入った後に、第一の部分931が開口部から落下及び/又は後退するのを防止するように、サイズ設定及び/又は位置付けられてもよい。
【0088】
図10は、本開示の実施形態による別の例示的なシャントインプラント1001を示す。インプラント1001は、組織壁1008の間の血流経路内の
図10に示される。いくつかの実施形態では、インプラント1001は、共通する基部部分1030から延在するように構成された第一の部分1031及び/又は第二の部分1033を備えてもよい。
【0089】
第一の部分1031及び/又は第二の部分1033は、血流を可能にするように構成された内側管腔を有する概して管状の装置を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第一の部分1031及び/又は第二の部分1033は、少なくとも部分的に流体密封であってもよく、及び/又は部分の管状壁を通る血流を可能にするように構成されてもよい。例えば、第一の部分1031及び/又は第二の部分1033は、血流を可能にする間隙を提供する、コード及び/又はその他の装置の編組み及び/又はコイル状のネットワークから少なくとも部分的に形成され得る。いくつかの実施形態では、第一の部分1031及び/又は第二の部分1033の少なくとも一部分は、少なくとも部分的に流体密封であってもよく、及び/又は1つ以上の領域(例えば、
図9A及び
図9Bの第一の領域932を参照)を通る血流を防止するように構成された材料から少なくとも部分的に構成された1つ以上の領域を含んでもよい。
【0090】
第一の部分1031及び/又は第二の部分1033は、第一の部分1031及び/又は第二の部分1033を共に保持するように構成され得るシース1039によって少なくとも部分的に囲まれるように構成され得る。いくつかの実施形態では、シース1039は、第一の部分1031及び/又は第二の部分1033の上に完全に延在するように構成されてもよい。インプラント1001が体内の標的位置に送達される時、シース1039は、第一の部分1031及び/又は第二の部分1033の少なくとも一部分を露出するように、少なくとも部分的に引き込まれるように構成されてもよい。第一の部分1031がシース1039から露出及び/又は除去される時、第一の部分1031は、少なくとも部分的に曲がり、第一の部分1031と第二の部分1033との間に分離角度を形成するように構成され得る。分離角度は、0°~90°の任意の値とすることができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、第一の部分1031は、組織壁1008内に形成された開口部1013を通って延在するように構成されてもよい。開口部1013は、本明細書に記載されるインプラント1001の送達前に形成され得る。いくつかの実施形態では、第二の部分1033及び/又は基部部分1030は、開口部1013内に第一の部分1031を保持するように、及び/又は第二の部分1033が位置し得る血流経路内に第一の部分1031が完全に後退及び/又は落下するのを防止するために、サイズ設定及び/又は位置付けられ得る。
【0092】
図11は、本開示の1つ以上の実施形態による、治療部位にインプラントを送達及び/又は固定するためのプロセス1100を例解するフロー図である。
図12は、
図11のプロセス1100に関連するいくつかの画像を提供し、その1つ以上の実装態様によるプロセス1100の態様を示す。
【0093】
ステップ1102で、プロセス1100は、
図12の画像1200aに示すように、体内の1つ以上の経路にインプラントを送達することを伴う。例えば、インプラントは、右心房5を介して冠静脈洞19内に送達されてもよい。インプラントは、カテーテル16を介して送達されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、インプラントは、送達中にシース1239及び/又は他のカバーによって少なくとも部分的に囲まれるように構成されてもよく(
図12の画像1200bを参照)、インプラントが拡張する、及び/又は体内の標的位置への送達を別の方法で障害することを防止してもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ及び/又は他の機構が、インプラントを折り畳む及び/又は圧着した形態で保持するために使用され得る。インプラントは、血流を受ける及び/又は経路を通る、及び/又は経路内への血流を促進するように構成されたルーメンを有する1つ以上の管状部分(例えば、シャント)を含み得る。インプラントは、組織壁1208の開口部1213の近く(例えば、下方)に送達されてもよい。開口部1213は、送達プロセスのより早い段階の間に形成されてもよく、及び/又はガイドワイヤ1211は、カテーテル16をガイドするために開口部1213を通して送達されてもよい。
【0094】
ステップ1104で、プロセス1100は、
図12の画像1200bに示すように、シース1239及び/又はカテーテル16を引き込んで、第一の(例えば、上部)シャント1231及び/又は第二の(例えば、下部)シャント1233の少なくとも一部分を露出させ、及び/又は第一のシャント1231を第二のシャント1233から少なくとも部分的に分離させることを含む。シース1239及び/又はカテーテル16は、第一のシャント1231及び/又は第二のシャント1233の拡張及び/又は分離を防止するように構成され得る。第一のシャント1231及び/又は第二のシャント1233が露出し、及び/又はシース1239及び/又はカテーテル16から少なくとも部分的に除去される時、第一のシャント1231及び/又は第二のシャント1233は、天然の所定の形態を取るように構成され得る。例えば、第一のシャント1231及び/又は第二のシャント1233は、1つ以上の形状記憶材料(例えば、ニチノール)から少なくとも部分的に構成され、第一のシャント1231及び/又は第二のシャント1233を予め決定された形状に向かって自然に引き寄せることができる。いくつかの実施形態では、第一のシャント1231の少なくとも一部分は、第一のシャント1231が露出された時に、第二のシャント1233から自然に離れて曲がるように構成され得る。
【0095】
ステップ1106で、プロセス1100は、組織壁1208の開口部1213を通って第一のシャント1231を延在させることを含む。例えば、第一のシャント1231は、第二のシャント1233から離れて曲がり、第一のシャント1231と第二のシャント1233との間にいくらかの分離を作り出すように構成され得る。第一のシャント1231は、組織壁1208内に形成された開口部1213を通って延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第一のシャント1231及び/又はカテーテル16は、以前に体内に送達されたガイドワイヤ1211に沿って追跡するように構成され得る。
【0096】
第二のシャント1233は、第一のシャント1231が血流経路から、及び/又は組織壁1208の遠位側にあるチャンバ(例えば、左心房2)内に延在する間、血流経路(例えば、冠静脈洞19)内に留まるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第二のシャント1233は、第一のシャント1231を少なくとも部分的に安定化し、及び/又は第一のシャント1231が組織壁1208の開口部1213から後退するのを防止するように構成され得る。例えば、第二のシャント1233は、血流経路の1つ以上の壁に対して押し付けられて、第一のシャント1231が開口部1213から脱落するのを防止するように構成され得る。
【0097】
追加の実施形態
実施形態に応じて、本明細書に記載されるプロセス又はアルゴリズムのいずれかの特定の作用、事象、又は機能が、異なる順序で実施され得、追加され得、併合され得、又は完全に除外され得る。したがって、特定の実施形態では、全ての記載された作用又は事象が、プロセスの実践に必要であるわけではない。
【0098】
とりわけ、「できる(can)」、「できた(could)」、「得る(might)」、「得る(may)」、「例えば(e.g.,)」などの本明細書で使用される条件付きの文言は、特に別段の記載がない限り、又は使用される文脈内で別様に理解されない限り、その通常の意味で意図され、かつ特定の特徴、要素、及び/又はステップを特定の実施形態が含むが、他の実施形態が含まないことを伝えることが概して意図される。したがって、そのような条件付きの文言は、特徴、要素、及び/又はステップが、1つ以上の実施形態に任意の方法で必要とされること、あるいは1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/若しくはステップが含まれるか、又は任意の特定の実施形態で実行されるかを判断するための論理を、著者の入力若しくは促しの有無にかかわらず、必然的に含むことを暗示することが概して意図されるものではない。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、同義であり、それらの通常の意味で使用され、包括的に、非限定的な様式で使用され、追加の要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、「又は」という用語は、その包括的な意味で使用され(かつその排他的な意味ではない)、そのため、例えば、要素のリストを接続するように使用されるとき、「又は」という用語は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又は全てを意味する。特に別段の記載がない限り、「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」などの接続的な文言は、項目、用語、要素などが、X、Y、又はZのいずれかであり得ることを一般的に伝えるために使用されるように文脈を用いて理解される。したがって、そのような接続的な文言は、特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つが各々存在することを必要とすることを暗示することが概して意図されるものではない。
【0099】
上記の実施形態の記載では、開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つ以上の理解を支援する目的で、様々な特徴が、単一の実施形態、図、又はその記載において一緒にグループ化されることがあることが理解されるべきである。しかしながら、この開示の方法は、任意の特許請求の範囲がその特許請求の範囲に明示的に列挙されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。さらに、本明細書の特定の実施形態に例解及び/若しくは記載される任意の構成要素、特徴、若しくはステップは、任意の他の実施形態に適用されるか、又はそれらとともに使用され得る。さらに、構成要素、特徴、ステップ、又は構成要素、特徴、若しくはステップのグループは、各実施形態に必要又は不可欠であるわけではない。したがって、以下に開示及び請求される本明細書の発明の範囲は、上記に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図される。
【0100】
特定の順序的な用語(例えば、「第1」又は「第2」)は、参照の容易さのために提供され得、必ずしも物理的特徴又は順序を暗示するものではないことを理解されたい。したがって、本明細書で使用される場合、構造、構成要素、動作などの要素を修正するために使用される順序的な用語(例えば、「第1」、「第2」、「第3」など)は、いかなる他の要素に対する要素の優先順位又は順序を必ずしも示すものではなく、むしろ、要素を、同様又は同一の名称(順序的な用語の使用以外)を有する別の要素から概略的に区別し得る。加えて、本明細書で使用される場合、不定冠詞(「a」及び「an」)は、「1つ」ではなく「1つ以上」を示し得る。さらに、条件又は事象に「基づいて」実施される動作はまた、明示的に列挙されていない1つ以上の他の条件又は事象に基づいて実施され得る。
【0101】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、例示的な実施形態が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義される用語などの用語は、関連技術の文脈においてその意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されない限り、理想化又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解される。
【0102】
特定の好ましい実施形態及び実施例が以下に開示されているが、発明の主題は、具体的に開示された実施形態を越えて、他の代替的な実施形態及び/又は用途、並びにその修正例及び均等物に及ぶ。したがって、本明細書から生じ得る特許請求の範囲は、以下に説明される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書に開示される任意の方法又はプロセスでは、方法又はプロセスの作用又は動作は、任意の好適な順序で実施され得、必ずしも任意の特定の開示される順序に限定されない。様々な動作は、特定の実施形態を理解するのに有用であり得る様式で、複数の別個の動作として順次説明され得るが、記載の順序は、これらの動作が順序依存性であることを暗示するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書に記載される構造、システム、及び/又はデバイスは、一体化された構成要素として、又は別個の構成要素として具現化され得る。様々な実施形態を比較する目的で、これらの実施形態の特定の態様及び利点が記載されている。全てのそのような態様又は利点が、必ずしも任意の特定の実施形態によって達成されるとは限らない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書に同様に教示又は示唆され得る他の態様又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されるような1つの利点又は利点の群を達成又は最適化する様式で実施され得る。
【0103】
「外側」、「内側」、「上部」、「下部」、「下」、「上」、「垂直」、「水平」という空間的に相対的な用語、及び類似の用語は、図面に例解されるように、1つの要素又は構成要素と別の要素又は構成要素との間の関係を説明するために、説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に描写される配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することを意図していることを理解されたい。例えば、図面に示されるデバイスが裏返される場合、別のデバイスの「下」又は「真下」に位置付けられるデバイスは、別のデバイスの「上」に配置され得る。したがって、「以下」という例解的な用語は、下位置及び上位置の両方を含み得る。デバイスはまた、他の方向に配向され得、したがって、空間的に相対的な用語は、配向に応じて異なる解釈をすることができる。
【0104】
別途明示的な記載がない限り、「より少ない」、「より多い」、「より大きい」などの比較及び/又は量的用語は、平等の概念を包含することを意図している。例えば、「より少ない」は、厳密な数学的な意味での「より少ない」だけでなく、「以下」も意味し得る。
【0105】
本明細書に記載の送達システムは、ヒト心臓の様々な領域にカテーテル先端及び/又はカテーテルを位置付けるために使用され得る。例えば、カテーテル先端及び/又はカテーテルは、右心房から冠静脈洞へと通過するように構成され得る。しかしながら、説明は、第一の体室又は管腔から第二の体室又は管腔へのカテーテル先端及び/又はカテーテルの位置決めを指すか、又は概して適用することができ、ここで、カテーテル先端及び/又はカテーテルは、第一の体室又は管腔から第二の体室又は管腔内に位置付けられたときに屈曲され得る。体室又は管腔は、多数の流体チャネル、血管、及び/又は器官チャンバ(例えば、心腔)のうちのいずれか1つを指すことができる。さらに、本明細書の「カテーテル」、「管」、「シース」、「搬送可能なシース」、及び/又は「搬送可能なカテーテル」への参照は、例えば、送達カテーテル及び/又はカニューレを含む、心房又は冠状静脈洞内の位置決めなど、器具を滑動可能に受容するように構成された内側管腔を含む、任意のタイプの細長い管状送達デバイスに概して参照又は適用することができる。他のタイプの医療用インプラントデバイス及び/又は処置を、例えば、アブレーション処置、薬物送達及び/又は冠状静脈洞リードの配置を含む、本明細書に記載の送達システムを使用して、冠状静脈洞に送達することができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0106】
16 カテーテル
300、501、601、801、901 インプラント
【国際調査報告】