(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】冷却システム及び熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20231226BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20231226BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F28D15/02 102Z
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
H01L23/46 B
H05K7/20 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537239
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2021084562
(87)【国際公開番号】W WO2022128616
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522448702
【氏名又は名称】アクセルシウス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ACCELSIUS,LLC
【住所又は居所原語表記】7800 Shoal Creek Blvd. Suite 120W Austin,TX78757,US
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラファエレ・ルカ・アマルフィ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・エンライト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシレイオス・カファンタリス
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322DA04
5E322EA11
5E322FA01
5F136CB07
5F136CB08
5F136CC12
5F136CC14
(57)【要約】
本願の実施例は、熱交換器に関する。前記熱交換器は、作動流体の流れのために構成された複数の流路を含んでもよい。前記複数の流路は、非拡張構成と拡張構成との間を移動するように構成されてもよい。前記非拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を可能にするようなサイズに設計され、前記拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を制限するようなサイズに設計され、前記複数の流路は、前記作動流体の内圧の変化によって、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を流すために構成された複数の流路を含み、前記複数の流路は、非拡張構成と拡張構成との間を移動するように構成され、前記非拡張構成では、前記複数の流路は、1つ以上の熱源に対する熱交換器の相対的な移動を可能にするようなサイズに設計され、前記拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を制限するようなサイズに設計され、前記複数の流路は、前記作動流体の内圧の変化によって、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するように構成される、
熱交換器。
【請求項2】
前記複数の流路は、実質的に平坦である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の流路は、実質的に平坦な熱源同士の間に配置されるように構成される、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記複数の流路が前記非拡張構成にあり、1つ以上の前記熱源の間に配置されたときに、隙間が前記熱源と前記複数の流路との間に設けられるように構成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記複数の流路が前記拡張構成にあり、1つ以上の前記熱源の間に配置されたときに、複数の管が前記熱源を把持するように構成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
熱界面材料は、前記複数の流路に結合される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記複数の流路は、複数のサブ流路を設けるように構成された複数の内壁を含み、前記複数の内壁は、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するときに前記内壁の拡張を可能にする手段を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換器は、1つ以上の前記熱源の冷却を可能にするように構成された少なくとも1つのヘッダを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の複数の前記熱交換器を含む、
冷却システム。
【請求項10】
前記冷却システムは、ハードウェア部品を冷却するために用いられる、
請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記冷却システムは、前記作動流体を貯留するためのリザーバを含む1つ以上の中間熱交換器を含む、
請求項9~10のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記リザーバは、前記中間熱交換器の出口に結合される、
請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記熱交換器は、前記冷却システムに取り外し可能に結合される、
請求項9~12のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記冷却システムは、空冷システムに結合される、
請求項9~13のいずれか1項に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記空冷システムは、二相冷却システムに向けて前記空冷システムを通る空気流を駆動するように構成された1つ以上のファンを含む、
請求項14に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、冷却システム及び熱交換器に関する。本願の一部の実施例は、サーバなどの複数の電子機器や他のハードウェア部品を含むデータセンタのための冷却システムの一部としての蒸発器や熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却は、電気通信システムやコンピューティングシステムを正常に動作させるために不可欠である。そのため、消費エネルギーを抑え、能動的な制御を減らし、コストを下げる効率的な冷却システムが有利である。
【発明の概要】
【0003】
本願の様々な実施例(必ずしも全てではない)によれば、熱交換器を提供することができる。前記熱交換器は、作動流体を流すために構成された複数の流路を含んでもよく、前記複数の流路は、非拡張構成と拡張構成との間を移動するように構成され、前記非拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を可能にするようなサイズに設計され、前記拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を制限するようなサイズに設計され、前記複数の流路は、前記作動流体の内圧の変化によって、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するように構成される。
【0004】
前記複数の流路は、実質的に平坦であってもよい。
【0005】
前記複数の流路は、実質的に平坦な熱源同士の間に配置されるように構成されてもよい。前記熱交換器は、前記複数の流路が非拡張構成にあり、1つ以上の前記熱源の間に配置されたときに、隙間が前記熱源と前記複数の流路との間に設けられるように構成されてもよい。
【0006】
前記熱交換器は、前記複数の流路が拡張構成にあり、1つ以上の前記熱源の間に配置されたときに、複数の管が前記熱源を把持するように構成されてもよい。
【0007】
熱界面材料は、前記複数の流路に結合されてもよい。
【0008】
前記複数の流路は、複数のサブ流路を設けるように構成された複数の内壁を含んでもよく、前記複数の内壁は、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するときに前記内壁の拡張を可能にする手段を含む。
【0009】
前記熱交換器は、1つ以上の熱源の冷却を可能にするように構成された少なくとも1つのヘッダを含んでもよい。
【0010】
本願の様々な実施例(必ずしも全てではない)によれば、本明細書に記載されたような複数の熱交換器を含む冷却システムを提供することができる。
【0011】
前記冷却システムは、ハードウェア部品を冷却するために用いられてもよい。
【0012】
前記冷却システムは、作動流体を貯留するためのリザーバを含む1つ以上の中間熱交換器を含んでもよい。
【0013】
前記リザーバは、中間熱交換器の出口に結合されてもよい。
【0014】
前記熱交換器は、前記冷却システムに取り外し可能に結合されてもよい。
【0015】
前記冷却システムは、空冷システムに結合されてもよい。前記空冷システムは、二相冷却システムに向けて前記空冷システムを通る空気流を駆動するように構成された1つ以上のファンを含んでもよい。
【0016】
前記二相冷却システムは、前記空冷システムから熱を回収できるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、一部の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【
図1】実施例に係る二相冷却システムを示す模式図である。
【
図3A】実施例に係る蒸発器の流路を示す模式図である。
【
図3B】実施例に係る蒸発器の流路を示す模式図である。
【
図3C】実施例に係る蒸発器の流路を示す模式図である。
【
図3D】実施例に係る蒸発器の流路を示す模式図である。
【
図4】実施例に係る冷却システムを示す模式図である。
【
図5A】実施例に係る熱交換器を示す模式図である。
【
図5B】実施例に係る熱交換器を示す模式図である。
【
図5C】実施例に係る熱交換器を示す模式図である。
【
図6A】実施例に係るラックレベル多岐管に結合された蒸発器及び高速結合部を示す模式図である。
【
図6B】実施例に係るラックレベル多岐管に結合された蒸発器及び高速結合部を示す模式図である。
【
図7A】実施例に係るハードウェア部品のための冷却システムを示す模式図である。
【
図7B】実施例に係るハードウェア部品のための冷却システムを示す模式図である。
【
図7C】実施例に係るハードウェア部品のための冷却システムを示す模式図である。
【
図8A】他の実施例に係るハードウェア部品のための冷却システムを示す模式図である。
【
図8B】他の実施例に係るハードウェア部品のための冷却システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本願の一部の実施例に係る蒸発器103を含む受動的な二相冷却システムを示す模式図である。本願に開示された冷却システムは、作動流体を循環させるためにポンプ又は他の機械的な駆動装置が用いられる能動的な単相及び二相の実施例にも適合することを理解されるべきである。
【0019】
図1の実施例では、前記二相冷却システム101は、ポンプではなく重力によって駆動する熱サイフォンループを含む。本願に開示された実施例に係る熱交換器及び蒸発器103は、本願の他の実施例において、他のタイプの二相冷却システム101内に設けられてもよい。
【0020】
図1に示す前記熱サイフォンループは、蒸発器103、凝縮器105、下降管107及び上昇管109を含む。前記熱サイフォンループ内には作動流体113が設けられる。前記熱サイフォンループの使用中には、前記作動流体113が前記熱サイフォンループの部品内を循環する。
【0021】
前記蒸発器103は、前記作動流体が矢印115で示すように重力によって前記下降管107を流れて前記蒸発器103に入るように、前記熱サイフォンループの底部に設けられる。前記下降管107の高さと内径は、流体が前記蒸発器103、前記上昇管109、前記凝縮器105を通って流れるようにする前記熱サイフォンの駆動力を設定するために選択可能である。前記作動流体113は前記蒸発器103の入口において液相117である。
【0022】
前記蒸発器103は、熱源111からの熱を前記作動流体113に伝達するための任意の手段を含む。前記蒸発器103は、前記熱源111に熱的に結合される。前記蒸発器103が前記熱源111に熱的に結合されることを可能にするために、熱界面材料が用いられてもよい。前記熱源111は、使用中に不要な熱を発生する電子機器を含んでもよい。前記電子機器は、サーバ、ルータ、ネットワークスイッチ、記憶機器、または任意の他の適切なタイプの機器であってもよい。一部の実施例において、これらの熱源は、データセンタ、通信機器室、またはネットワーク、通信室、コンピュータ室、ネットワーク室、または他の任意の適切な配置を提供し得る複数の電子機器を含む。
【0023】
矢印119で示すように、熱は前記熱源111から前記蒸発器103内の前記作動流体113に伝達される。この熱伝達により、前記蒸発器103内で前記作動流体113の一部の蒸発が起こり、前記作動流体113が液相117から液相と蒸気相の混合物に変換される。特に、前記蒸発器103は、前記作動流体113の一部を蒸気相121に変換させる一方、一部を液相117に残留させて、前記蒸発器103の出口から排出された流体は二相混合物となる。前記蒸発器103内の熱伝達は顕熱と潜熱の組み合わせである。前記蒸発器103の出口における蒸気121の質量比率は、蒸気乾き度によって特定される。前記二相混合物は、前記熱サイフォンループの設計、熱負荷、充填率、及び他の適切なパラメータに応じて、液体又は他の流動様式内に巻き込まれた蒸気の液滴を含んでもよい。前記蒸発器103は、前記蒸発器103から排出された作動流体が前記蒸発器103から上昇管109に流入するように上昇管109に結合される。この作動流体は、蒸気相121が液相117よりも密度が低い二相混合物を含む。矢印123で示すように、前記熱サイフォンループ内の前記作動流体113は、前記上昇管109を通って上昇する。前記熱サイフォンループ内の受動的な流れは、前記下降管107内の液体相である作動流体113と前記上昇管109内の二相混合物である作動流体113との密度差によって駆動される。
【0024】
前記蒸発器103は、前記蒸発器103から前記作動流体113への効率的な熱伝達を可能にする構造を含んでもよい。例えば、前記蒸発器103は、ウィック構造、微小流路、フィンのアレイ、マクロ/マイクロ流路の蛇行配置、またはこれらの要素の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
【0025】
前記凝縮器105は、前記熱サイフォンループの頂部に設けられる。前記凝縮器105は、前記作動流体113が前記蒸発器103から前記凝縮器105に上向きに流れるように、前記蒸発器103の上に配置される。
【0026】
前記凝縮器105は、前記二相混合物(蒸気相121および液相117)中の前記作動流体113が上昇管109から凝縮器105に流入するように上昇管109に結合される。前記凝縮器105は、前記作動流体113を冷却するための任意の手段を含んでもよい。例えば、前記凝縮器105は、空冷式または液冷式であってもよい。液冷式凝縮器105は、チューブ・イン・チューブ熱交換器、シェル・アンド・チューブ熱交換器、プレート熱交換器、または他の任意の適切な熱交換器の構成または配置を含んでもよい。空冷式凝縮器は105、ルーバーフィン扁平管の熱交換器、チューブ・アンド・フィン熱交換器、または任意の他の適切な熱交換器の構成または配置を含んでもよい。前記凝縮器105は、前記作動流体から効率的に熱を除去できる任意の適切な形状を含んでもよい。
【0027】
前記凝縮器105は、冷却剤125に熱的に結合される。前記凝縮器105が冷却剤125に熱的に結合されることを可能にするために、熱界面材料が用いられてもよい。後述の実施例は、前記凝縮器105の2つの流れを接続する再加工可能な熱界面材料を設置することによって、ハードウェアのホットスワップ(hot-swappability)を可能にするためにも用いられることができる。他の実施例では、前記冷却剤125は、作動流体113の流れを前記冷却剤125の流れから分離する壁界面を有する前記凝縮器105に直接統合されてもよい。前記壁界面は、銅、アルミニウム、真鍮、または任意の他の適切な金属等の高導電性金属または金属合金を含んでもよい。一部の実施例において、前記壁界面は、窒化アルミニウム(AlN)等の高導電性セラミック、または充填ポリマー複合体等のポリマーを含んでもよい。
【0028】
矢印127で示すように、前記凝縮器105は、前記作動流体113から前記冷却剤125への熱伝達を可能にする。この熱伝達により、前記作動流体113は少なくとも部分的に凝縮し、前記液相117に戻る。従って、凝縮器105の出口にある作動流体113は、液相117又は二相混合物(蒸気相121と液相117)であってもよい。
【0029】
前記凝縮器105は、前記作動流体113が重力によって前記下降管107を流れ落ち、前記蒸発器103の前記入口に戻されるように、前記下降管107に結合される。
【0030】
図2A及び
図2Bは、本願の一部の実施例に係る熱交換器200を示す模式図である。この実施例では、前記熱交換器200は蒸発器103である。前記蒸発器103は、
図1に示す前記二相冷却システム101のような冷却システムに用いられることができる。
図2A及び
図2Bに示す前記蒸発器103は、前記作動流体を循環させるためにポンプ又は他の機械的駆動装置が用いられる能動的な単相及び二相冷却システムにも用いられることができることを理解されるべきである。
【0031】
前記蒸発器103は、メモリ・ボード、GPUカード、及び/又はハードウェアの他の平坦な又は実質的に平坦な部品、又は他の熱源を冷却するために用いられてもよい。冷却された前記部品は、電気通信システム、コンピューティングシステム、又は他の任意の適切なシステムに用いられることができる。
図2A及び
図2Bの実施例では、前記蒸発器103はメモリ基板203に隣接して位置することが示される。前記
図2A及び
図2Bの実施例では、前記蒸発器103は、前記メモリ基板203のスタックの冷却を可能にするように構成される。隣接するメモリ基板203同士の間には間隔が設けられ、前記蒸発器103の一部は隣接するメモリ基板203同士の間の間隔に配置されるように構成される。
【0032】
前記蒸発器103は、複数の流路201を含む。前記流路201は、作動流体113の流れを可能にするように構成される。前記流路201は、入口多岐管と出口多岐管との間に作動流体113のための導管又は複数の導管を提供する。この実施例では、前記入口多岐管は二相冷却システム101の前記下降管107であり、前記出口多岐管は二相冷却システム101の前記上昇管109である。
図2A及び
図2Bの実施例では、矢印209で示す方向に作動流体113は流路201を通って流れる。
【0033】
前記複数の流路201は、1つ以上の熱源111からの熱を前記複数の流路201内の作動流体113に伝達可能にするように構成される。
図2A及び
図2Bの実施例では、前記メモリ基板203、及び前記メモリ基板203上の部品が熱源111(
図1に示す)を提供する。前記複数の流路201は、前記メモリ基板203からの熱が前記流路201内の作動流体113に伝達されるように、前記メモリ基板203に十分に近接して配置されるようなサイズと形状になる。
【0034】
前記流路201は、平坦又は実質的に平坦であってもよい。前記流路201は、前記流路201の高さが前記流路201の幅よりもはるかに小さくなるように、成形されてもよい。これにより、前記メモリ基板203から前記流路201内の前記作動流体113への熱伝達を効率的に行うことができる。これにより、前記複数の流路201が隣接するメモリ基板203同士の間の隙間に配置されることを可能にする。
【0035】
前記チャネル201は、前記メモリ基板203の表面を覆い、または実質的に覆うようにサイズを設定されてもよい。一部の実施例では、前記流路201の平坦面の表面積が前記メモリ基板203を覆い、または実質的に覆うように、前記流路201はサイズが設定され、形成されてもよい。これにより、前記メモリ基板203上の複数の異なる部品からの熱を前記作動流体113内に伝達可能にする。
【0036】
本願の一部の実施例では、前記複数の流路201は、非拡張構成と拡張構成との間を移動できるように拡張可能である。
図2Aは、非拡張構成における前記複数の流路201を有する蒸発器201を示す。この実施例では、非膨張構成において作動流体圧力は周囲圧力よりわずかに高い。他の実施例では、非拡張構成において作動流体圧力は周囲圧力と同じであってもよく又は実質的に同じであってもよい。
図2Bは、拡張構成における前記複数の流路201を示す。この実施例では、拡張構成において作動流体圧力は周囲圧力よりもはるかに高い。前記複数の流路201の外壁は、前記複数の流路201が拡張構成と非拡張構成との間を移動できるように、拡張及び収縮するように構成されてもよい。前記複数の流路201の前記外壁は、前記複数の流路201の拡張を可能にする任意の適切な材料から形成されてもよい。
【0037】
図2Aに示すように、前記複数の流路201が非拡張構成にあるとき、前記複数の流路201は、前記メモリ基板203又は他の熱源111に対する前記蒸発器103の相対的な移動を可能にするようなサイズに設定される。この非拡張構成では、前記複数の流路201と前記メモリ基板203との間に隙間207が設けられる。前記隙間207は、前記流路201と前記メモリ基板203との間に空隙を提供するとともに、前記蒸発器103を前記メモリ基板203に隣接する位置に挿入可能にし、及び/又は隣接する位置から取り外し可能にする。
【0038】
前記蒸発器103の使用中に、前記メモリ基板203上の熱源111を冷却しているとき、熱は前記複数の流路201内の作動流体113に伝達される。これにより、前記複数の流路201内の作動流体113の圧力が上昇する。前記作動流体113の内圧が周囲温度の流体圧力よりも高くなると、前記流路201の膨張を引き起こす。これにより、前記流路201は、
図2Aに示す非拡張構成から、
図2Bに示す拡張構成へと移動する。
【0039】
図2Bに示すように、前記蒸発器103が前記拡張構成にあるとき、前記複数の流路201は、前記メモリ基板203の熱源111と前記蒸発器103内を流れる作動流体113との間の良好な熱伝達を確保するサイズに設定される。前記拡大された流路201は、1つ以上の熱源111及び前記メモリ基板203に対する前記蒸発器103の相対的な動きを制限することもできる。
【0040】
図2Bに示すように、前記拡張構成では前記流路201と前記メモリ基板203との間に隙間がない。この構成では、前記流路201又は前記流路201の少なくとも一部が前記メモリ基板203に接触するように、前記流路201は前記メモリ基板と直接に接触する。これにより、前記流路201が前記メモリ基板203又は他の熱源111を把持するため、前記メモリ基板203に対する前記蒸発器103の相対的な動きが制限される。前記蒸発器103の前記流路201は、非拡張構成に戻ることができる。例えば、前記メモリ基板203が使用されておらず、熱が前記作動流体113に伝達されていない場合、前記作動流体113の圧力降下を引き起こす。これにより、前記蒸発器103が熱サイフォンループ101から切り離されると、前記流路201は収縮して前記非膨張構成に戻る。これにより、メンテナンス、修理、その他の適切な目的で、前記蒸発器103をメモリスタックから取り外すことが可能になる。
【0041】
図2A及び
図2Bに示す実施例では、熱界面材料205は前記複数の流路201に結合される。前記熱界面材料205は、前記流路201の外壁に結合されるため、前記メモリ基板203と前記流路201の間に設けられる。前記熱界面材料205は、相変化材料、リワーク可能なガッドパッド(reworkable gad pad)、又は他の適切な熱伝導性材料を含んでもよい。
【0042】
前記熱界面材料205は、前記メモリ基板203の表面領域の全体に良好な熱伝導性を提供するために、前記流路201の平坦な又は実質的に平坦な表面上に設けられてもよい。
【0043】
前記蒸発器103は、
図2A及び
図2Bには示されていない部品を含んでもよいことを理解されるべきである。例えば、前記蒸発器103は、入口ヘッダ及び/又は出口ヘッダを含んでもよい。前記入口ヘッダ及び前記出口ヘッダは、前記蒸発器103の入口から出口までの均一な流れ分布及び安定した熱伝達性能を可能にするように構成されてもよい。前記入口ヘッダ及び前記出口ヘッダは、前記蒸発器103が電力要件を満たすように設計され、冷却されたハードウェアの形状及び間隔の制約を考慮してもよい。前記蒸発器103の前記入口ヘッダ及び前記出口ヘッダは、円形、矩形、又は他の任意の断面積及び/又は形状を有してもよい。前記蒸発器103は、1つの熱源を冷却する場合には専用ヘッダを有し、複数の熱源を冷却する場合には共有ヘッダを有してもよい。
【0044】
図3A~
図3Dは、
図2A及び
図2Bに示す前記蒸発器103、又は任意の他の適切な蒸発器103もしくは熱交換器200に用いられる例示的な流路201を示す。
図3Aは、拡張構成と非拡張構成との間を移動するように構成される流路201の一例を示す。前記流路201は平坦又は実質的に平坦である。前記流路201の高さ「h」は、前記流路201の幅「w」よりもはるかに小さい。これにより、前記メモリ基板203又は他の熱源111から流路201内の作動流体113への効率的な熱伝達を可能にする薄型の流路201を提供する。これにより、前記複数の流路201が前記メモリ基板203のスタックの隙間に配置されることも可能になる。
【0045】
前記流路201は外壁303を含む。前記外壁303は、前記作動流体113が流れる閉鎖流路を提供する。前記外壁303は、熱が作動流体113に効果的に伝達されることを可能にするために、熱伝導性材料を含んでもよい。前記外壁303は、前記流路201を前記非拡張構成と前記拡張構成との間で移動させることを可能にするのに十分な可撓性を有する材料をさらに含んでもよい。一部の実施例では、前記外壁303は、銅、アルミニウム、真鍮、又は任意の他の適切な材料又は材料の組み合わせを含んでもよい。
【0046】
前記流路201は、前記複数の内壁301を含んでもよい。前記内壁301は、前記流路201の高さ「h」にわたって垂直に延在する。前記内壁301は、前記流路201を複数のサブ流路305に再分割する。前記サブ流路305は、より低い圧力降下により、前記流路201内の前記作動流体113のより効率的な流れを提供し、よって、効率的な熱伝達が可能になる。
図3Aに示す実施例では、前記内壁301は流路の幅「w」にわたって均等に分布するので、前記サブ流路305はすべて同じか類似のサイズを有する。他の実施例では、前記内壁301及び前記サブ流路305の異なる構成は、流れの分布を最適化するため又は実質的に最適化するために用いられてもよい。
【0047】
図3B~
図3Dは、非拡張構成と拡張構成との間の移動を可能にするように構成される前記流路201がどのように構成されるかを示す。
図3B~
図3Dは、製造の異なる段階における前記流路201の断面を示す。
【0048】
図3Bは、
図3Aに示す前記流路201の断面を示す。この実施例では、前記流路201はマルチポート管を含む。前記流路201は外壁303と複数の内部流路305とを含み、前記内部流路305は内壁301から形成される。
図3Bでは、前記流路201は前記拡張構成にある。この拡張構成では、前記流路201の側縁部309は外側に湾曲するように凸形状を有する。
【0049】
図3Cでは、前記内壁301は、前記複数の流路201が前記非拡張構成と前記拡張構成との間で移動する際に前記内壁301の拡張を可能にする手段を備えて構成される。
図3Aの実施例では、前記内壁301の一部が除去され、前記内壁301の各部分同士の間に隙間307が形成される。前記隙間307は、前記内壁301の上側部分に対する前記内壁301の下側部分の相対的な移動を可能にするので、前記流路201の膨張及び収縮を可能にすることができる。
【0050】
前記隙間307は、前記流路201を通る作動流体113の効率的な流れを続いて提供する一方、前記内壁301の各部分の相対的な移動を可能にするようなサイズに設定されてもよい。前記内壁301の前記隙間307は、任意の適切な方法を用いて形成されてもよい。
【0051】
前記隙間307又は前記内壁301の拡張を可能にする他の手段が前記内壁301内に設けられると、前記流路201に力を加えて流路を前記非拡張構成に収縮され得る。
図3Bの実施例では、水平方向の力が前記流路201の前記側縁部309に加えられ、垂直方向の力が前記流路201の上縁部に加えられる。
【0052】
前記加えられた力により、前記流路201は、
図3Dに示すような前記非拡張構成に収縮される。この非拡張構成では、前記流路201の前記側縁部は折り畳み構成311に設けられる。これにより、前記流路201の高さが低減され、前記流路201がより小さくなる。前記流路201が前記非拡張構成にあるとき、前記流路201の前記上縁部同士が近接するため、前記内壁301の各部分同士の間の隙間307のサイズは減少する。
【0053】
前記流路201は
図3Dに示すような構成であるとき、メモリ基板又は他の同様の熱源111に相対する位置に移動することができる。ハードウェアの使用中に、前記熱源からの熱は、前記流路201内の作動流体113に伝達され、作動流体内の圧力の上昇を引き起こし、その結果、前記流路201を拡張構成に戻す膨張を引き起こす。前記拡張構成では、折り畳み側縁部は、少なくとも一部が展開される。
【0054】
図4は、
図2A~
図3Dに示すような複数の流路201を有する蒸発器103を含む例示的な二相冷却システム101を示す。前記二相冷却システム101は、二次冷却システムに熱的に結合されるように構成されてもよい。例えば、前記二相冷却システム101はサーバレベルの冷却を提供する一方、前記二次冷却システムはラックレベル及び/又はルームレベルの冷却を提供してもよい。前記二相冷却システム101は、それぞれの冷却システム内で2つの異なる作動流体を使用できるように、前記二次冷却システムから流体的に分離されてもよい。前記二相冷却システム101は、通常的に電気通信システム、コンピューティングシステム、又は任意の他の適切なタイプのシステムに、不要な熱を発生する任意のデバイスを冷却するために用いられてもよい。
【0055】
図4に示す前記二相冷却システム101は、低い高さの熱サイフォンループである。前記熱サイフォンループの熱性能は、適切な作動流体113を選択することによって制御されてもよい。前記適切な作動流体の選択は、熱性能と、コストと、堅牢な動作との間の兼ね合いに基づいて行うことができる。
【0056】
前記二相冷却システム101の前記蒸発器103は、熱源111に熱的に結合される。前記熱源111は、1つ以上のメモリ基板203、及び/又はCPUs、GPUs、TPUsなどの任意の他の適切な熱発生の部品を含んでもよい。前記蒸発器103は、複数の拡張可能な流路201又はウィック構造、マイクロ流路、フィンのアレイ、マクロ/マイクロ流路の蛇行配置、又はこれらの要素の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。上記の構成は、明瞭にするために
図4には示されていないが、前記蒸発器103に組み込まれてもよい。
【0057】
前記蒸発器103は、作動流体113が矢印で示すように前記下降管107から前記蒸発器103の前記流路201を通って前記上昇管109に流れるように、前記二相冷却システム101の前記下降管107と前記上昇管109との間に結合される。
【0058】
前記二相冷却システム101は、中間熱交換器401も含む。前記中間熱交換器401は、前記二相冷却システムを前記二次冷却システムに結合されることを可能にする。前記中間熱交換器401は、前記二相冷却システム101からの熱を前記二次冷却システムに伝達できるようにする手段を含んでもよい。前記二次冷却システムは、空冷又は液体冷却システムとしてもよい。
【0059】
図4の実施例では、前記中間熱交換器401は凝縮器105とラックレベル蒸発器403を含む。前記中間熱交換器401では、前記二相冷却システム101からの前記作動流体113は、一次側の前記凝縮器105によって凝縮される。これにより、熱は前記中間熱交換器401の二次側の前記ラックレベル蒸発器403に伝達される。
【0060】
前記ラックレベル蒸発器403は、ラックレベル冷却ループの一部になる。前記ラックレベル冷却ループは、能動的な単相冷却システムや二相冷却システムであってもよく、又は
図1に示すような他の受動的な二相冷却システムであってもよい。上述のように、前記熱サイフォンループ及び前記ラックレベル冷却システムは、同じタイプの作動流体113を有してもよく、異なるタイプの作動流体113を有してもよい。
【0061】
前記中間熱交換器401は、
図4に示すように前記蒸発器103の真上に配置されてもよい。他の実施例では、前記中間熱交換器401は異なる位置に配置されてもよい。前記蒸発器103に対する前記中間熱交換器401の位置は、冷却されたハードウェアによって決定されてもよい。前記蒸発器103に対する前記中間熱交換器401の位置は、前記下降管107及び前記上昇管109の形状(直径及び長さ)によって決定される。
【0062】
前記凝縮器105は、前記上昇管109と前記下降管107との間に結合される。前記凝縮器105は、平坦な又は実質的に平坦な形状を有する薄型凝縮器105である。前記凝縮器105はリザーバ405も含む。前記リザーバ405は、作動流体113を貯留し、熱性能を最適化又は実質的に最適化するように構成されてもよい。前記リザーバ405は、前記凝縮器105の出口ヘッダ内に直接に機械加工され、又は前記下降管107に沿って組み込まれてもよい。前記リザーバは、円形、矩形、又は任意の他の断面積及び/又は形状を有してもよい。
【0063】
前記ラックレベル蒸発器403は、前記凝縮器105から二次冷却システムに熱を伝達することを可能にする任意の手段を含んでもよい。前記凝縮器105は、複数のウィック構造、マイクロ流路、蒸発器のフィンのアレイ、マクロ/マイクロ流路の蛇行配置、又はこれらの要素の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
【0064】
図5Aから
図5Cは、例示的な凝縮器105をより詳細に示す。この例示的な凝縮器105は、
図4に示すような二相冷却システム101内、又は他の任意の適切なタイプの冷却システム内に設けられてもよい。
【0065】
図5Aは前記凝縮器105と前記ラックレベル蒸発器403とを含む前記中間熱交換器401を示す。
図5Bは前記凝縮器105の上面図であり、
図5Cは前記凝縮器105の底面図である。
【0066】
図5Aの実施例では、前記ラックレベル蒸発器403は、入口501と出口503とを含む。前記入口501及び前記出口503は、作動流体113が前記ラックレベル蒸発器403を通って流れることを可能にするように、前記ラックレベル蒸発器403の対向する側に設けられる。
図5Aの実施例では、前記入口501及び前記出口503は、作動流体113を水平方向に流すように、水平方向に延在するように構成される。これにより、前記中間熱交換器401のサイズ係数を低減する薄型ラックレベル蒸発器403を提供する。この形状は、より広い範囲の装置で用いられてもよいより汎用性の高い冷却システムを提供する。冷却されたハードウェアに応じて、前記入口管501及び前記出口管503の他の構成及び配置を使用してもよい。
【0067】
前記凝縮器105は、作動流体113を流すための入口ポート507と出口ポート509とをさらに含む。
【0068】
前記凝縮器105は作動流体113を貯留するためのリザーバ405を含む。
図5A~
図5Cの実施例では、前記リザーバ405は前記凝縮器105の出口ヘッダに結合される。前記リザーバ405を前記下降管107内ではなく前記凝縮器105の出口ヘッダ内に配置することにより、前記冷却システム101の製作を容易にすることができる。また、前記リザーバ405を出口ヘッダ内に配置することにより、前記リザーバ405が前記冷却システム101内で最も高い位置にあることが保証され、最適な熱性能が得られる。
図5A~
図5Cは、使用前に前記冷却システム101を充填するために、前記リザーバ405は充填ポート505を有するように設計されてもよいことをさらに示す。前記凝縮器105の前記リザーバ405は、作動流体113の過冷却を低減することができる。これにより、前記冷却システムの熱効率を低下させる前記凝縮器105が溢れることを防止することができる。
【0069】
図6Aは、ラック多岐管609に結合された蒸発器103を示す。前記ラック多岐管609は、前記蒸発器103が凝縮器105及び冷却システムの他の部品に流体的に結合されることを可能にする。前記蒸発器103は、
図2A~
図3Dに示すような複数の流路201を含んでもよく、熱伝達を高めるために他の任意の適切なタイプの構造で製造されてもよい。前記蒸発器103は、熱界面材料(
図6Aには図示せず)によって熱源111に熱的に結合されてもよい。前記熱源は、メモリ基板203、CPUs、GPUs、TPUsなどの熱発生の部品、又は任意の他の適切な熱源であってもよい。
【0070】
前記蒸発器103は、前記下降管107と前記上昇管109とを含む前記ラック多岐管609に結合される。前記下降管107及び前記上昇管109は、作動流体113が前記凝縮器105(
図6Aには図示せず)と前記蒸発器103との間で流れるように構成される。
【0071】
図6Aに示す実施例では、前記蒸発器103を前記ラック多岐管609に取り外し可能に結合する手段が、前記下降管107と前記上昇管109の両方に設けられる。この実施例では、この手段は、前記下降管107と前記上昇管109の両方に設けられた高速結合部によって現れる。本願の他の実施例では、他の結合手段及び/又は結合タイプが用いられてもよい。この手段は、ハードウェアの使用中に前記蒸発器103を前記冷却システム101の残りの部分から取り外すことを可能してもよい。これにより、ホットスワップ可能な蒸発器103又は他の熱交換器200を提供することができる。
【0072】
図6Bは使用可能な前記高速結合部601を詳細に示す模式図である。前記高速結合部601は、アダプタープラグ603、弁605及び筐体607を含む。操作条件とシステム形状に応じて、前記高速結合部はブラインドメイトまたはハンドメイトのいずれかであてもよい。
【0073】
図7A及び
図7Bは、対象となるハードウェア701内の冷却される複数の部品のための冷却システムのレイアウトを示す模式図である。前記冷却システムは、
図1に示すような受動的な二相流を用いてもよい。前記冷却システムは、
図2A~
図3Dに示すような複数の流路201を有する複数の蒸発器103を含む。一部の実施例では、前記蒸発器103は、ウィック構造、マイクロ流路、蒸発器のフィンのアレイ、マクロ/マイクロ流路の蛇行配置、又はこれらの要素の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
【0074】
図7A及び
図7Bの実施例では、前記ハードウェア701は、メモリユニット703と処理ユニット705とを含む。前記実施例では、前記ハードウェア701は、4つのメモリユニット703と2つの処理ユニット705とを含む。前記ハードウェア701内の部品の他の配置及び構成が、本願の他の実施例に用いられてもよい。
【0075】
前記メモリユニット703は、メモリ基板203のスタックを含んでもよい。前記蒸発器103の前記拡張可能な流路201は、隣接するメモリ基板203同士の間の隙間に配置されてもよい。これにより、前記メモリ基板203を効率的に冷却してもよい。追加の蒸発器103は前記処理ユニット705に設けられてもよい。
【0076】
図7Aの実施例では、前記二相冷却システム101は、前記蒸発器103が直列に接続されるように構成される。前記蒸発器103は、作動流体113が第1蒸発器103の出口から直列内の次の蒸発器103の入口に流れるように、直列に接続される。この直列配置では、作動流体113は各蒸発器103を順次通過する。
【0077】
図7Aに示す実施例では、前記二相冷却システム101は2つの直列ループを含む。第1直列ループは、メモリユニット703を冷却するための蒸発器103を含み、第2直列ループは、処理ユニット705を冷却するための蒸発器103を含む。異なる部品のハードウェア構成及び熱設計電力に応じて、他の配置は本願の他の実施例に用いられてもよい。
【0078】
図7Bの実施例では、前記二相冷却システム101は、前記蒸発器103が並列に接続されるように構成される。前記蒸発器103は、各蒸発器103の入口と出口が共通のサーバレベル多岐管を共有するように並列に接続される。この実施例では、前記サーバレベルの入口多岐管における前記作動流体113は、前記下降管107から流れて来るようになっている一方、前記サーバレベルの出口多岐管における前記作動流体113は、前記上昇管109に流れて行くようになっている。異なる部品のハードウェア構成及び熱設計電力に応じて、他の配置は本願の他の実施例に用いられてもよい。
図7Cでは蒸発器103の一例を示し、この蒸発器103は、単相流及び二相流、ならびに能動的なモード及び受動的なモードで動作する冷却システムに用いられてもよく、例えば、
図7A及び
図7Bの二相冷却システム101に用いられてもよい。
【0079】
この例示的な蒸発器103は、基板707と複数の蒸発器フィン709とを含む。前記蒸発器103は、基板707及び蒸発器フィン709を覆うように配置された蓋板(
図7Cには図示せず)をさらに含む。
【0080】
前記基板707は、平坦又は実質的に平坦な表面を含む。前記基板707は、熱伝導性材料を含んでもよい。前記基板707は、前記蒸発器103の使用中に熱が熱源から前記蒸発器103内の作動流体113に伝達されることが可能になるように熱源に熱的に結合されてもよい。
【0081】
前記複数の蒸発器フィン709は、前記基板707の表面から延在する。前記蒸発器フィン709の少なくとも一部は、前記蒸発器103を通る作動流体113の流路を画定する。
【0082】
図7Cの実施例では、前記蒸発器フィン709は、前記基板707から垂直に又は実質的に垂直に延在する細長い構造を含む。
図7Cの実施例では、前記蒸発器フィン709は、前記基板707の表面にわたって平行に又は実質的に平行に延在する細長い板を含む。
【0083】
前記蒸発器フィン709は、任意の適切な熱伝導性材料を含んでもよい。前記蒸発器フィン709は、前記基板707及び前記蓋板と同じ材料を含んでもよい。
【0084】
図8A及び
図8Bは、対象となるハードウェア701の冷却に使用可能な他の冷却システムの配置を示す。この実施例では、前記ハードウェア701は、4つのメモリユニット703と2つの処理ユニット705とを含む。他のハードウェア構成701は、本願の他の実施例に用いられてもよい。
【0085】
図8Aに示すハードウェア701の一例では、蒸発器103は処理ユニット705上に設けられる一方、サーバボード上のメモリユニット703及び他の低電力部品は、空冷ヒートシンク819によって冷却される。前記蒸発器103は、複数のウィック構造、マイクロ流路、蒸発器のフィンのアレイ、マクロ/マイクロ流路の蛇行配置、又はこれらの要素の任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
図7Cは、使用可能なマイクロ流路の実施例を示す。
【0086】
図8Aに示す前記ハードウェア701は複合冷却システムを含み、2つの前記処理ユニット705は二相冷却される一方で、メモリユニット703、基板、及び二次チップなどの他の部品は空冷システムによって冷却される。
【0087】
前記空冷システムは、矢印801で示すように、前記ハードウェア701の前面で冷気を吸引するように構成される。その後、空気はハードウェア部品に配置された異なる空冷ヒートシンク819を通って流れ、前記メモリユニット703及び他の熱源111からの放熱により温度が上昇する。加熱された空気は、矢印803で示すように、前記ハードウェア701の背面から排出される。
【0088】
図8Aに示す実施例では、前記ハードウェア701はバッフル805を含む。前記バッフル805は、調整可能なバッフルとすることができ、前記メモリユニット703及び他の熱源111の周囲に設けられてもよい。前記バッフル805は、圧力降下を低減し、空冷によって提供された熱伝達を最大にする又は実質的に最大にするために、前記メモリユニット703及び他の空冷部品の上に空気流を導くための手段を提供する。
図8Aに示す矢印とバッフルは、ハードウェア部品上の均一な空気流を示す。他の実施例では、二相冷却されてもよく、又は特定の冷却を必要としない他の部品と比較して、空冷部品上の空気流の増加を提供するように、追加のバッフル、又は空気流を誘導するための他の手段が前記ハードウェア701に配置されてもよい。前記空気流の制御は、エネルギー効率を改善し、騒音レベルを低減するのに有利である。
【0089】
前記ハードウェア701の後部には、複数のファン809も設けられる。前記複数のファン809は、前記ハードウェア701を通じて空気を吸引するように構成される。
図8Aの実施例では、3つのファン809が設けられる。他の数のファン、他のファンの位置、及び他の空気の流れ方向は、本願の他の実施例に用いられてもよい。
【0090】
図8Aに示す実施例では、前記ハードウェア701は、追加の冷却システム807をさらに含む。この実施例では、前記追加の冷却システム807は、
図1に示すような受動的な二相冷却システム101を含んでもよい。前記追加の冷却システム807は、メモリユニット703及び他の任意の空冷部品上に吸引された加熱空気の冷却を可能にするように構成される。従って、前記二相冷却システムは、空冷システムから熱を回収できるように構成される。前記追加の冷却システム807は、空冷システムからの空気を、前記ハードウェア701から出て周囲の環境に入る前に冷却できるように、前記ハードウェア701の後部に設けられる。
【0091】
前記追加の冷却システム807は、下降管107と上昇管109との間に配置された蒸発器103を含んでもよい。
図8Bは、追加の冷却システム807及び蒸発器103の一部をより詳細に示す。前記蒸発器103は、上述したようにラック多岐管に接続されてもよく、又は他の任意の適切な接続を用いて接続されてもよい。
【0092】
前記追加の冷却システム807の前記蒸発器103は、前記ハードウェア701の後部に設けられ、前記下降管107に結合された入口813を含む。前記入口813は、単相作動流体113を前記蒸発器103に提供することができる。
【0093】
前記作動流体113は、矢印817で示すように前記蒸発器103内を流れる。これにより、前記作動流体113は、前記蒸発器103を通して吸引された空気によって加熱される。前記空気は、ファントレイ811内の複数のファンによって前記蒸発器103を通して吸引されてもよい。この実施例では、3つのファン809はファントレイ811内に設けられる。他の数のファン809、他のファンの位置、及び他の空気の流れ方向は、本願の他の実施例に用いられてもよい。
【0094】
前記加熱された空気と前記作動流体113との間の熱伝達により、前記作動流体113は部分的に沸騰し、二相作動流体113は、その後、前記出口815を通って前記蒸発器807から排出され、前記上昇管109に供給される。
【0095】
前記追加の冷却システム807により、データセンタ701から追加の熱を除去してもよい。この熱を回収して他の場所で暖房用に伝達されてもよく、廃熱回収用途に再利用されてもよい。これにより、よりエネルギー効率の高いハードウェア701を提供することができる。
図8A及び
図8Bに示す実施例は、直接膨張、冷水、蒸発器による自由冷却、又はその他の従来の冷却方法などの従来の冷却方法で動作するデータセンタ、及びその他のハードウェア環境での使用に適する。
【0096】
前記追加の冷却システム807は、ホットスポットを軽減することにも有利である。このホットスポットは、既存のデータセンタにおいて、部屋レベルの冷却インフラが所定の冷却能力に合わせるサイズに設定されるため、IT、電気通信、及びコンピューティング機能を追加したハードウェアをアップグレードする際に発生する可能性がある。
【0097】
図8A及び
図8Bに示す実施例では、前記冷却システム807は、前記処理ユニット705に用いられた前記蒸発器103に追加して設けられる。他の実施例では、前記追加の冷却システム807は、これらの主要な蒸発器103がないハードウェア701に設けられてもよく、又は任意の他の適切な構成、に設けられてもよい。
【0098】
図8A及び
図8Bに示す実施例では、前記追加の冷却システム807は、空気が前記ハードウェア701から周囲環境に排出される前に前記空気を冷却するように構成される。他の実施例では、前記追加の冷却システム807は、冷却された空気が前記ハードウェア701から排出されるのではなく、前記ハードウェア701内で再循環されるように構成されてもよい。この実施例では、空気の流れを誘導するためのバッフル又は他の適切な手段を前記ハードウェア701内に設けてもよい。前記ハードウェア701内で空気を再循環させることにより、前記ハードウェア701を取り囲む環境に排出された熱を低減することができ、より効率的な冷却と全体的な消費エネルギーの低減することができる。
【0099】
本願に言及された「含む」とは、排他的な意味ではなく包括的な意味を持つことである。つまり、XにYを含む全ての参照は、Xが1つのYのみを含んでもよいし、2つ以上のYを含んでもよいことを示す。
【0100】
本明細書では、様々な実施例を参照してもよい。実施例に関する特徴または機能の説明は、その実施例にそれらの特徴または機能があることを示す。本願に言及された「実施例」、「例えば」、「…てもよい」、または「…可能」とは、明示的に記載されているか否かにかかわらず、そのような特徴や機能は、例として記載されているか否かにかかわらず、少なくとも記載されている例に存在し、他の例の一部又は全ての例に存在し得るが、必ずしも存在する必要はないことを示す。従って、本願に言及された「実施例」、「例えば」、「…てもよい」、または「…可能」は、例のクラスにおける特定の例を示す。例のプロパティは、該例にのみ属するプロパティ、該クラスのプロパティ、または該クラスのサブクラス(該クラスの一部を含むが、全ての例ではない)のプロパティであってもよい。従って、ある実施例を参照して説明され、他の実施例を参照して説明されない特徴は、可能な限り、作業上の組み合わせの一部としてその他の実施例で使用されてもよいが、必ずしもその他の実施例で使用される必要はないことを暗黙的に示される。
【0101】
上記の段落のように、本願の実施形態について詳細に説明したが、本願は上記の実施形態に限られない。本願の思想と原則下でなされた修正、均等な代替、改良等はいずれも本願の保護範囲に含まれることを理解すべきである。
【0102】
上記の説明で説明された特徴は、上記で明示的に説明された組み合わせ以外の組み合わせで使用されてもよい。
【0103】
特定の機能を参照して機能を説明したが、それらの機能は、説明されているか否かにかかわらず、他の機能によって実行可能であってもよい。
【0104】
特定の実施例を参照して特徴を説明したが、それらの特徴は、説明されているか否かにかかわらず、他の実施例にもあってもよい。
【0105】
本願に言及された「a」または「the」とは、排他的な意味ではなく包含的な意味を持つことである。つまり、本願に言及された「XがY/前記Yを含む」は、文脈が明確に反対のことを示さない限り、Xが1つのYのみを備えてもよいし、2つ以上のYを備えてもよいことを示す。排他的な意味を持つ「a」または「the」を使用しようとする場合、文脈上明示する必要がある。場合によっては、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を使用して包含的な意味を強調してもよいが、これらの用語の欠落を排他的な意味を推定するものと見なすべきではない。
【0106】
請求項における特徴(または特徴の組み合わせ)は、その特徴または(特徴の組み合わせ)自体、および実質的に同じ技術効果を実現できる特徴(等価特徴)である。等価特徴は、例えば、実質的に同じ結果を実質的に同じ方法で実現する変形特徴を含む。等価特徴は、例えば、実質的に同じ結果を実現するために実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実行する特徴を含む。
【0107】
本願の明細書では、実施例の特徴を説明するために形容詞または形容詞的なフレーズを使用して、様々な実施例が参照されてもよい。実施例に関するその特性の記載は、その特性が、ある実施例では明確に記載されるとおりにあるし、他の実施例では記載されるとおりに実質的にあることを示す。
【0108】
上記の明細書では、重要な特徴と考えられるものに注意を払うよう努力しているが、出願人は、強調されているかどうかにかかわらず、上記の図面および/または図面に示される任意の特許可能な特徴または特徴の組み合わせを保護するために、特許請求の範囲を通じて保護を求めてもよいことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0109】
101 二相冷却システム、熱サイフォンループ、冷却システム
103 蒸発器
105 凝縮器、液冷式凝縮器、薄型凝縮器
107 下降管
109 上昇管
111 熱源
113 作動流体、単相作動流体、二相作動流体
117 液相
121 蒸気相
125 冷却剤
200 熱交換器
201 流路、チャネル、蒸発器
203 メモリ基板
205 熱界面材料
207 隙間
301 内壁
303 外壁
305 サブ流路、内部流路
307 隙間
309 側縁部
311 構成
401 中間熱交換器
403 ラックレベル蒸発器、薄型ラックレベル蒸発器
405 リザーバ
501 入口、入口管
503 出口、出口管
505 充填ポート
507 入口ポート
509 出口ポート
601 高速結合部
603 アダプタープラグ
605 弁
607 筐体
609 ラック多岐管
701 ハードウェア、データセンタ
703 メモリユニット
705 処理ユニット
707 基板
709 蒸発器フィン
805 バッフル
807 冷却システム
809 ファン
811 ファントレイ
819 空冷ヒートシンク
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を流すために構成された複数の流路を含み、前記複数の流路は、非拡張構成と拡張構成との間を移動するように構成され、前記非拡張構成では、前記複数の流路は、1つ以上の熱源に対する熱交換器の相対的な移動を可能にするようなサイズに設計され、前記拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を制限するようなサイズに設計され、前記複数の流路は、前記作動流体の内圧の変化によって、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するように構成される、
熱交換器。
【請求項2】
前記複数の流路は、実質的に平坦である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の流路は、実質的に平坦な熱源同士の間に配置されるように構成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記複数の流路が前記非拡張構成にあり、1つ以上の前記熱源の間に配置されたときに、隙間が前記熱源と前記複数の流路との間に設けられるように構成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記複数の流路が前記拡張構成にあり、1つ以上の前記熱源の間に配置されたときに、複数の管が前記熱源を把持するように構成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
熱界面材料は、前記複数の流路に結合される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記複数の流路は、複数のサブ流路を設けるように構成された複数の内壁を含み、前記複数の内壁は、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するときに前記内壁の拡張を可能にする手段を含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換器は、1つ以上の前記熱源の冷却を可能にするように構成された少なくとも1つのヘッダを含む、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
作動流体を流すために構成された複数の流路を含む複数の熱交換器を含み、
前記複数の流路は、非拡張構成と拡張構成との間を移動するように構成され、前記非拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を可能にするようなサイズに設計され、
前記拡張構成では、前記複数の流路は、前記1つ以上の熱源に対する前記熱交換器の相対的な移動を制限するようなサイズに設計され、
前記複数の流路は、前記作動流体の内圧の変化によって、前記複数の流路が前記非拡張構成と前記拡張構成との間を移動するように構成される、
冷却システム。
【請求項10】
前記冷却システムは、
冷却するために用いられる1つ以上のハードウェア部品を含むように構成される、
請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記冷却システムは、前記作動流体を貯留するためのリザーバを含む1つ以上の中間熱交換器を含む、
請求項9に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記リザーバは、前記中間熱交換器の出口に結合される、
請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記熱交換器は、前記冷却システムに取り外し可能に結合される、
請求項9に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記冷却システムは、空冷システムに結合される、
請求項9に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記空冷システムは、二相冷却システムに向けて前記空冷システムを通る空気流を駆動するように構成された1つ以上のファンを含む、
請求項14に記載の冷却システム。
【国際調査報告】