(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】スパンボンド不織布およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20231226BHJP
D04H 3/14 20120101ALI20231226BHJP
D04H 3/147 20120101ALI20231226BHJP
D04H 3/011 20120101ALI20231226BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/14
D04H3/147
D04H3/011
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537644
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2021020106
(87)【国際公開番号】W WO2022146005
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0187594
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0189932
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒ-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン-シン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウ-ソク
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドンホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジョン-スン
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA21
4L047AA27
4L047AA28
4L047AB03
4L047AB07
4L047AB08
4L047AB09
4L047BA08
4L047CB01
4L047CC09
(57)【要約】
本発明によれば、有害物質を発生させるラテックスやPVC層が含まれなくても、優れた機械的物性を有し、かつラテックス素材の役割をすることができ、環境にやさしく引抜き強力に優れたカーペットを提供できるスパンボンド不織布、およびその製造方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%、および170℃以下の融点を有するコポリマーフィラメント20~40重量%を含む分割糸の形態を有する複合フィラメントから形成された繊維ウエブを含み、
下記式1による分割率が50%以上であり、
KS K 0521の標準試験法による18kgf/5cm以上の常温強度、4.0kgf/3cm以下の熱間強度、および80%以上の熱間伸び率を有するスパンボンド不織布。
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数、および未分割のフィラメントの数は、不織布の断面を倍率が200倍(×200)の顕微鏡(SEM)で撮影した写真にて観察された、分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【請求項2】
前記不織布は、KS K 0521の標準試験法による19kgf/5cm以上の常温強度、3.0kgf/3cm以下の熱間強度、および81%以上の熱間伸び率を有する、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
前記分割率が54%以上である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項4】
前記複合フィラメントの分割前の横断面は、8分割~64分割がされた円形または球形である、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項5】
前記複合フィラメントは、分割前の平均直径が22~31μmであり、5.0~9.0デニールの繊度を有する、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項6】
前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートおよびこれらの再生原料からなる群より選ばれた1種以上であって、固有粘度(IV)が0.60~0.90dl/gであり、250℃以上の融点を有するポリエステル重合体を含む、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項7】
前記コポリマーフィラメントは、170℃以下の融点およびMI(Melt index)15~25g/10min(ASTM 1238,190℃)を有するポリオレフィンからなる群より選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項8】
250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%と、170℃以下の融点およびMI(Melt index)15~25g/10min(ASTM 1238,190℃)を有するコポリマーフィラメント20~40重量%とを、多分割形態の複合紡糸口金を通じて紡糸し、延伸して分割糸の形態を有する複合フィラメントを製造する段階;
前記複合フィラメントを積層して繊維ウエブを形成する段階;
前記繊維ウエブを熱接着により結合する段階;および
前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階;を含み、
前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階後に下記式1による分割率が50%以上である、スパンボンド不織布の製造方法。
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数および未分割のフィラメントの数は、不織布の断面を倍率が200倍(×200)の顕微鏡(SEM)で撮影した写真にて観察された、分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【請求項9】
前記複合フィラメントを製造する段階は、
前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階の前に、前記複合フィラメントが22~31μmの平均直径および5.0~9.0デニールの繊度を有するように、繊度を調節する段階を含む、請求項8に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
【請求項10】
前記複合フィラメントの分割前の横断面は、8分割~64分割がされた円形または球形である、請求項8に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
【請求項11】
前記延伸は3,000m/min~5,000m/minの条件で行われる、請求項8に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
【請求項12】
前記フィラメントを多分割させる段階は、ウォータジェット(water jet)を用いて行われる、請求項8に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし7のいずれか一項によるスパンボンド不織布を含む、カーペット。
【請求項14】
KS K ISO 4919の標準試験法による引抜き強力が2.0(kgf)以上であり、
自動車の床材として用いられる、請求項13に記載のカーペット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2020年12月30日付の韓国特許出願第10-2020-0187594号、および、2021年12月28日付の韓国特許出願第10-2021-0189932号に基づく優先権の利益を主張するのであり、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、自動車の床材の素材として使用するに適したカーペット用スパンボンド不織布、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カーペットは、家庭、公共機関、ホテル、食堂、自動車などにおける床のインテリア製品であり、装飾、快適性、吸音および歩きやすさ(クッション)を目的として使用されている。
【0004】
既存のカーペット構造は、カーペット原糸(BCF yarn(pile))、基布(不織布)、ラテックスおよびPVC(ゴム(Rubber),EVAなど)で構成されている。
【0005】
この中で、前記ラテックスおよびPVCの素材は、カーペット原糸がタフティングされた基布(不織布)にコーティング加工を行う工程で、有害物質のヒューム(Fume)を発生させるのであって、完成品では自動車の床のインテリア製品群に属し、室内の空気の質を汚染させる揮発性有害物質を発生させる。
【0006】
すなわち、カーペットの構成では、ラテックスコーティング工程およびPVC層が、揮発性有害物質が最も多く放出される層である。また、前記カーペットを製造する後加工の工程の中でも、PVC層をコーティングおよび硬化させる工程で有害物質が多く放出されるという問題がある。
【0007】
そのため、空気の質に対しては世界的に規制が強化され、製品開発はラテックスとPVC素材を使用しない方向に進められている。
【0008】
しかし、空気の質に対する規制を満たしながらも、不織布に対する引抜き強力などの機能性に優れた製品がまだ開発されずにいるというのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書では、ラテックスおよびPVC素材を使用しなくても、カーペット原糸を不織布に安定して固定させることができ、機能性に優れたラテックス層の役割をする不織布を用いる、カーペット用スパンボンド不織布、およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本明細書では、ラテックスおよびPVC素材を排除することにより、揮発性有害物質(Fume)が発生しないことから環境にやさしいカーペット用スパンボンド不織布、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書では、一実施形態により、
250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%、および170℃以下の融点を有するコポリマーフィラメント20~40重量%を含む、分割糸の形態を有する複合フィラメントから形成された繊維ウエブを含み、
下記式1による分割率が50%以上であり、
KS K 0521の標準試験法による18kgf/5cm以上の常温強度、4.0kgf/3cm以下の熱間強度(hot strength; 熱時強度)、および80%以上の熱間伸び率(熱時伸び率)を有するスパンボンド不織布を提供する。
【0012】
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
【0013】
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数および未分割のフィラメントの数は、不織布の断面を倍率が200倍(×200)の顕微鏡(SEM)でもって撮影した写真にて観察された分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【0014】
また、本明細書では、もう一つの実施形態により、
250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%、および170℃以下の融点およびMI(Melt index)15~25g/10min(ASTM 1238,190℃)を有するコポリマーフィラメント20~40重量%を、多分割形態の複合紡糸口金を通じて紡糸し、延伸して分割糸の形態を有する複合フィラメントを製造する段階;
前記複合フィラメントを積層して繊維ウエブを形成する段階;
前記繊維ウエブを熱接着により結合する段階;および
前記熱接着されたウエブにてフィラメントが分割される段階;を含み、
前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階の後に、下記式1による分割率が50%以上である前記スパンボンド不織布の製造方法を提供する。
【0015】
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
【0016】
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数および未分割のフィラメントの数は、不織布の断面を倍率が200倍(×200)の顕微鏡(SEM)でもって撮影した写真にて観察された分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【0017】
また、本明細書では、他の実施形態により、前記スパンボンド不織布を含むカーペットを提供する。
【0018】
以下、発明の実施形態によるカーペットおよびその製造方法について詳細に説明する。
【0019】
それに先立ち、本明細書にて明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0020】
本明細書で使用される単数形は、文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
【0021】
本明細書で使用される「含む」ことの意味は、特定の特性、領域、定数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、定数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0022】
そして、本明細書で「第1」および「第2」のように序数を含む用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数により限定されない。例えば、本発明の権利範囲内にて、第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
発明の一実施形態により、250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%と、170℃以下の融点を有するコポリマーフィラメント20~40重量%とを含む、分割糸の形態を有する複合フィラメントから形成された繊維ウエブを含み、KS K 0521の標準試験法による18kgf/5cm以上の常温強度、4.0kgf/3cm以下の熱間強度、および80%以上の熱間伸び率を有するスパンボンド不織布を提供することができる。
【0025】
本発明者らが研究を重ねた結果、特定含有量比及び融点が互いに異なるマトリックスおよびバインダ素材の分割糸からなる複合繊維を用いる場合、ラテックスおよびPVC素材のコーティング工程を行わなくても、ラテックスおよびPVC層の機能を示し得る不織布を用いるカーペットを、連続して製造できることを確認した。
【0026】
したがって、本明細書では既存のカーペットの構成のうち、ラテックス素材の機能を含む不織布を製造して、ラテックス層がないカーペットを提供することを特徴とする。
【0027】
特に、既存のカーペット層の中でラテックス素材はカーペット原糸(BCF yarn)を固定する役割をする。しかし、前記ラテックス素材は環境問題を引き起こすので、本明細書では、別途のラテックス素材を使用せずに、不織布にカーペット原糸との機能(引抜き強力)を高めることにより、ラテックス層の役割を含むカーペット用不織布を製造しようとする。
【0028】
そのため、前記カーペットの製造の際、ラテックスコーティング工程を排除することによって、有害なヒューム(Fume)の未発生および完成品のVOCs(揮発性有害物質)の低減が実現可能であり、自動車の床のインテリア素材として適用した際に、環境にやさしい使用をすることができる。
【0029】
このような本明細書による前記不織布は、250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%と、170℃以下の融点を有するコポリマーフィラメント20~40重量%とを含む、分割糸の形態を有する複合フィラメントから形成された繊維ウエブを含むスパンボンド不織布である特徴がある。
【0030】
具体的には、前記不織布は、マトリックス素材として250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメントを使用し、バインダ素材として170℃以下の融点を有するコポリマーフィラメントを使用することで、分割糸の形態に形成されうる。
【0031】
本明細書にて前記分割糸は、多分割断面の形状を有するものであって、超極細繊維の製造方法により、前記2種のポリマーおよび多分割形態の複合紡糸口金を用いることで、前記2種のポリマーが極細化されて単糸内部の断面が多分割された形状を含むことを意味するため、断面は円形だけではない。一例を挙げると、前記多分割断面の形状は、単糸の内部に8~64分割糸または16~32分割糸または32分割糸を含むことができる。
【0032】
そこで、前記不織布は、前記マトリックスおよびバインダ素材の混合比を特定すると同時に、8~64分割糸を含む複合フィラメントを用いることにより、ラテックス素材がなくともラテックス層の機能性を付与することができる。
【0033】
特に、前記バインダ素材は、カーペット製造の後加工(Tufting、熱処理、Backingおよび成形)工程で溶融し、接着材および成形性能のための高伸び率を発現する役割をするので、ラテックス層の役割を果たすことができる。
【0034】
すなわち、前記バインダ素材として使用されるポリマーの役割は、タフティング工程の後、タフティングの裏面を熱処理する際に溶融することで、カーペット原糸(BCF yarn)と基布(不織布)との間の接着剤の役割をする。また、自動車用カーペットとして製造されるための最後の成形工程にて180~200℃の高温環境でバインダポリマーが溶融直前の状態になり、高い伸び率を発現する役割をし、成形を可能にする。
【0035】
ここで、前記バインダの含有量が19重量%以下である場合、分割糸の形態が形成されにくく(紡糸圧力の不均一によりバインダポリマー(Binder polymer)が押し出されないか、片方に偏る)、不織布を構成するフィラメント同士の間の結合力が不足して後加工工程で破損しやすい。分割糸の形態が均一でない場合、不織布の位置別の物性偏差が発生し、後加工の成形工程にて、引き裂け、および低い引抜き強力値が発生し得る。
【0036】
また、前記バインダの含有量が41重量%以上の場合、180℃以上のカーペットの製造のための後加工工程にて支持体の役割をするマトリックス成分が不足するようになり、そのため、高温で溶融の状態になるバインダ原料が多くなって、外力による形態変形(収縮、伸び)が発生することから、後加工が不可能である。
【0037】
また、バインダ原料の融点が170℃以上であると、不織布の強度付与、接着材および高い伸び率の役割が発現しなければならない工程温度にて溶融しないため、バインダフィラメントとしての役割をすることができない。
【0038】
また、前記フィラメントは、分割前の平均直径が22~31μmであり、5.0~9.0デニールの繊度を有する分割糸を含み得る。より具体的には、前記分割糸は、分割前の平均直径が22~31μmであり、5.0~9.0デニールの繊度を有することができる。また、前記複合フィラメントの分割前の横断面は、8分割~64分割された円形または球形であり得る。
【0039】
前記複合フィラメントの断面の形状が分割糸の形態でない円形断面である場合、バインダフィラメントを追加で紡糸して、マトリックスフィラメントとバインダフィラメントとを混合してウエブを形成しなければならない。この際、フィラメントを混合すると、均一性に限界があるので、バインダフィラメントがない部分が発生する。前記バインダフィラメントは、不織布の引張強度を発現させる因子であって、バインダフィラメントの有/無及びボンディング状態に応じて引張強度が決定される。しかし、円形の断面形状では、上記のようにバインダフィラメントがない部分が発生し、そのため、強度および伸び率が低くなり、引抜き強力も低下し得る。
【0040】
また、本明細書による不織布は、下記式1による分割率が50%以上あるいは54%以上あるいは56%以上であり得る。
【0041】
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
【0042】
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数および未分割されたフィラメントの数は、不織布の断面を倍率×200の顕微鏡(SEM)で撮影した写真で観察された分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【0043】
前記分割率の測定時に使用される不織布断面の試験片は、多様に調節することが可能であり、例えば3mm×3mmの大きさの不織布試験片を使用することができる。
【0044】
前記分割率が50%未満の場合、バインダポリマーの接着面積が低く、バインダが不足して、不織布の機械的物性および引抜き強力が低下し得る。
【0045】
前記マトリックス素材として使用されるポリエステルフィラメントは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートおよびこれらの再生原料からなる群より選ばれた1種以上のポリエステル重合体を含むことができる。
【0046】
前記ポリエステルフィラメントは、固有粘度(IV)が0.60~0.90dl/gであり、250℃以上の融点を有するポリエステル重合体を含むことができる。
【0047】
前記バインダ素材は、170℃以下の融点およびMI(Melt index)15~25g/10min(ASTM 1238,190℃)を有するコポリマーフィラメントを使用する。
【0048】
具体的には、前記コポリマーフィラメントは、170℃以下の融点およびMI(Melt index)15~25g/10min(ASTM 1238,190℃)を有するポリオレフィンからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、またはポリプロピレンを使用できる。
【0049】
本明細書で、MI(Melt index)は、ASTM 1238,190℃の測定値を意味する。
【0050】
このような方法により提供される不織布は、フィラメント間の接着性に優れ、カーペット原糸の固定性に優れ、伸び率についても、従来よりも向上させることができる。また、前記不織布をカーペットの基布として使用することにより、最終製品の引抜き強力を向上させることができ、人体に有害なラテックスおよびPVC素材を使用しないので、環境にやさしい素材を提供することができる。
【0051】
発明の一例により、前記不織布はKS K 0521の標準試験法により測定された18kgf/5cm以上の常温強度、4.0kgf/3cm以下の熱間強度、および80%以上の熱間伸び率を有する物性を同時に満たすことができる。より具体的には、上述した分割率が54%以上となるように 不織布を構成することにより、強度および伸び率をより最適化することができる。したがって、前記不織布は、KS K 0521の標準試験法による19kgf/5cm以上の常温強度、3.0kgf/3cm以下の熱間強度、および81%以上の熱間伸び率を有することができる。
【0052】
前記不織布は、単位面積当たりの重量が90g/m2であるとき、見掛け密度が225~310g/cm3のスパンボンド不織布であり得る。
【0053】
また、本明細書によるスパンボンドはカーペットの引抜き強力を向上させることができる。したがって、本明細書によるカーペットは、KS K ISO 4919の標準試験法による引抜き強力が2.0(kgf)以上であり、自動車の床材として使用できる。
【0054】
一方、発明の他の実施形態により、250℃以上の融点を有するポリエステルフィラメント60~80重量%と、170℃以下の融点およびMI(Melt index)15~25g/10min(ASTM 1238,190℃)を有するコポリマーフィラメント20~40重量%とを、多分割形態の複合紡糸口金を通じて紡糸し、延伸して分割糸の形態を有する複合フィラメントを製造する段階;前記複合フィラメントを積層して繊維ウエブを形成する段階;前記繊維ウエブを熱接着により結合する段階;および、前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階;を含むスパンボンド不織布の製造方法法を提供することができる。
【0055】
本明細書によるカーペット用スパンボンド不織布は、マトリックスであるポリエステルフィラメントと、バインダである特定の融点およびMIを有するコポリマーフィラメントとが一定の条件で複合紡糸され、分割糸の形態からなる繊維ウエブを含むものであって、スパンボンド法により製造される。
【0056】
前記スパンボンド法において、前記ポリエステルおよびコポリマーは、それぞれ独立して溶融して異種樹脂の吐出孔数の調節が可能であり、多分割断面の形状で紡糸される一つの複合用紡糸口金を介して紡糸および延伸されて複合フィラメントが得られる。
【0057】
また、前記スパンボンド不織布の製造方法は、連続押出機を用いて行うことができるので、機械的物性および分割率に優れるため、カーペットの引抜き強力を向上させる不織布を効率よく連続的に製造することができる。
【0058】
具体的には、前記ポリエステル(マトリックス)およびコポリマー(バインダ)を準備した後、これを連続押出機に投入して加熱溶融させた後、多分割形態の紡糸口金を通じて紡糸させる。このような工程により、フィラメントは、単糸の内部が分割された多分割断面の形状の分割糸を含むことができる。前記多分割形態の紡糸口金は、8~64分割糸または16~32分割糸を有するように毛細孔数を調節して使用することができる。
【0059】
また、前記複合溶融紡糸の際、前記紡糸口金を介して、マトリックス(ポリエステル)およびバインダ(コポリマー)の比率が60~80重量%:20~40重量%になるように、紡糸口金の毛細孔数を調節することができる。
【0060】
ここで、前記マトリックス素材であるポリエステルフィラメントおよびバインダ素材であるコポリマーフィラメントの構成に係る具体的な内容は、上述したスパンボンド不織布に係る内容に代わる。
【0061】
また、前記スパンボンドは、連続押出機を用いて提供することができる。
【0062】
また、前記複合フィラメントを製造する段階は、前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階の前に、前記複合フィラメントが22~31μmの平均直径および5.0~9.0デニールの繊度を有するように、繊度を調節する段階を含むことができる。
【0063】
前記複合紡糸形態で紡糸された複合フィラメントは、高圧の空気延伸装置を用いて紡糸速度を調節し、十分に延伸させて、5.0~9.0デニールの水準になるように、吐出量と口金の毛細孔数を調節することができる。
【0064】
例えば、前記延伸は、3,000m/min~5,000m/minの紡糸速度条件で行われる。より具体的には、より十分な延伸のために、前記紡糸速度は、4,500m/min~5,000m/minであり得る。前記紡糸速度が3,000m/min以下の場合、フィラメントの延伸不足により、熱接着の段階にて不織布の収縮が発生する問題、及び、冷却効率にも影響を及ぼして冷却不足が発生することから延伸段階にてフィラメント同士の間の接着が発生して、延伸および開繊が不良となる問題がある。また、前記紡糸速度が5,000m/min以上の場合、フィラメントが延伸過程で切断されて、不織布の面形状を形成できないという問題がある。
【0065】
前記ウエブを形成する段階および熱接着段階は、この分野に良く知られている方法の開繊法により行うことができる。
【0066】
また、前記熱接着されたウエブにてフィラメントが分割される段階は、ウォータジェット(water jet)を用いて行われる。すなわち、多分割断面を有する分割糸で複合繊維紡糸した後、ウエブの形態にした後、ウォータジェット(spun lace)処理をすると、前記分割糸断面がそのまま分割される。
【0067】
具体的には、前記製造されたフィラメント繊維は、コンベアの上にウエブ形態で位置させた後、ウエブに対して見掛け密度を225~310g/cm3に調節することができる。
【0068】
前記見掛け密度が調節された繊維ウエブは、カレンダロールまたは熱風を用いて熱接着する段階を行った後、ウォータジェット(Water jet)を通過させて、フィラメントを多分割断面の形状に分割させる。この際、ウォータジェット(Water jet)の段階別の水圧の調節により、0.31mm~0.40mmの厚さのスパンボンド不織布を製造することができる。
【0069】
例えば、熱接着工程を経た不織布に対して、高圧のウォータジェット(water jet)により物理的な外力を加えると、分割糸の形態のそのままにフィラメントが分割される。すなわち、この過程で分割糸をなしている2種のポリマーは、互いの不足した相容性(親和性)により、結局、ポリマー間の物理的結合が壊れ、極細糸の形態に分割される。前記高圧のウォータジェット(water jet)の圧力は、大きく制限されないが、50~280barの水準の多段階に分割して圧力を加えることが、分割糸が極細糸に分割されて、ウエブの構造をより複雑にさせて不織布の強度をさらに向上させることができる。
【0070】
また、前記高圧のウォータジェットは、前記圧力範囲内にて、2段階以上の多段階で圧力範囲を異なるように付与することができる。発明の一実施形態によれば、前記高圧のウォータジェットは、50~80barの第1段階の圧力強度、150~280barの第2段階の圧力強度、および、50~80barの第3段階の圧力強度の順に付与することができる。前記のような圧力により、段階別の水圧が調節され、不織布の厚さを調節できるだけでなく、所望の水準に分割された分割糸断面をそのまま維持することができる。
【0071】
この際、前記高圧のウォータジェットで圧力を付与すると、多段階の圧力が付与されず、一度の圧力のみ付与される場合、高圧ウォータジェットの単一段階を適用すると、縦方向(Mechenical Direction)のストライプ形状の跡が残って、重量、厚度および分割率の不均一が発生するという問題がある。また、ウォータジェット処理段階が少ないほど、ウォータジェットノズルおよび水質汚染度に、より多くの影響を受ける。
【0072】
そこで、本発明では、不織布に対して多段階でウォータジェットを処理することによって、段階を経て複数回分割させて分割率を高め、上述したようにフィラメントを均一に再整理する機能を付与することができる。
【0073】
前記熱接着されたウエブにてフィラメントを多分割させる段階の後には、下記式1による分割率が50%以上になる。
【0074】
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
【0075】
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数および未分割されたフィラメントの数は、不織布の断面を倍率×200の顕微鏡(SEM)で撮影した写真にて観察された分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【0076】
前記方法によって、マトリックスとバインダとの比率が特定された、分割糸の形態を有するフィラメントから形成されたスパンボンド不織布はカーペットの製造において基布として使用できる。
【0077】
したがって、発明のもう一つの実施形態により、前記スパンボンド不織布を含むカーペットおよびその製造方法を提供することができる。
【0078】
前記カーペットはカーペット原糸とスパンボンド不織布を用いたタフティング工程およびカット工程を含んで提供することができる。
【0079】
特に、前記カーペットの製造方法は、従来のようにラテックスおよびPVC層のコーティング工程を行わないので、工程を短縮できるだけでなく、有害物質も発生しないので、環境にやさしい製品を提供することができる。
【0080】
したがって、前記カーペットは、不織布の一面にカーペット原糸が固定されており、ラテックス層が含まれない。
【0081】
また、前記カーペットは前記スパンボンド不織布の一面に、タフティングおよび熱処理工程によりカーペット原糸を不織布に固定させる段階;および、前記カーペット原糸に固定された不織布をカットする段階を含んで得られることを特徴とする。
【0082】
また、前記カーペット原糸を固定させる段階と、カット工程との間には、カーペット原糸に固定された不織布上にバッキング層をラミネーションする段階を、さらに含むことができる。
【0083】
具体的には、前記方法で提供されたスパンボンド不織布の一面に、タフティング工程でカーペット原糸を不織布に植え込んで、熱処理により不織布をカーペット原糸に固定させる段階が行われる。
【0084】
この際、前記カーペット原糸を不織布に固定させる段階は、前記タフティング工程後に、タフティングされた不織布の裏面を熱処理する段階を含むことができる。
【0085】
前記タフティング(Tufting)工程、熱処理工程およびカット工程は、公知の方法と装備を用い、ニードルを用いて不織布の一面にカーペット原糸が固定されるようにする。この際、前記タフティングは、ループ(loop)状に所定のゲージ(例えば、64/5ゲージ)条件で行われる。
【0086】
また、タフティング工程で使用されるカーペット原糸は、この分野に良く知られているBCF糸を含むことができる。前記カーペット原糸は、審美的機能とクッション機能をすることができ、所定の繊度(例えば、500~3000デニール)および高さ(例えば、3.0~7mm)を有することができる。タフティング工程により、前記カーペット原糸は、不織布の一面で視認されるように植え込まれる。
【0087】
前記バッキング層のラミネーション工程も、この分野に良く知られている方法で行われる。具体的には、前記バッキング層には、高重量のウエブがラミネーションされうるのであり、前記高重量のウエブは、短繊維または長繊維不織布状のウエブを使用することができる。
【0088】
前記バッキング層のラミネーション工程を含む方法により、前記カーペットは、前記スパンボンド不織布の一面に、タフティング工程によりカーペット原糸を不織布に植え込む段階;タフティングされた不織布の熱処理によりカーペット原糸を固定させる段階;バッキング(Backing)層をラミネーションする段階;およびラミネーションされたカーペットをカットする段階を含んで提供することができる。
【0089】
したがって、本明細書によるカーペットは、ラテックス層を有さずに、スパンボンド不織布、カーペット原糸およびバッキング層を含んで構成することができる。
【0090】
好ましい一例により、前記不織布は、表面に約3000デニール(De’)/150フィラメント(Fila.)のループタイプ(Loop type)のポリプロピレンBCF(Bulky Continuous Filament)ヤーン(Yarn)を、ゲージ(Gauge)(タフティング装置で針の密度を示す単位で針の間隔をINCHで表示し、GAUGEによりTUFTED CARPETの幅方向の密度が決定)が約64/5ゲージ、ステッチ(Stitch)(タフトカーペットの長手方向の密度)が約13/1でのタフティング(不織布に糸を植え込む過程)工程を経る。その次に、タフティングされた製品の裏面に対して、約180℃の熱チャンバを用いて熱処理して、カット工程(規格:50cm×50cm)を最後の工程として行うことによって、カーペットを提供することができる。前記方法で熱処理されたカーペットに対して、カット工程の前に、高重量の長繊維または短繊維を、バッキング層としてラミネーションさせる工程をさらに含むことができる。
【0091】
このような方法で提供されたカーペットは、KS K ISO 4919の標準試験法による引抜き強力(Loop Typeのタフティング後、loopを引っ張る強度)が約2.0kgfの水準を有する高性能を有するので、多様な分野に適用することができ、具体的には自動車の床材のインテリア素材として用いることができる。
【発明の効果】
【0092】
本発明によれば、優れた機械的物性を有し、かつラテックス素材の役割をすることができるスパンボンド不織布を基布として含むことで、ラテックスおよびPVCコーティング工程を省略することができ、これにより、有害物質であるヒューム(Fume)が発生せず、完成品のVOCs(揮発性有害物質)を低減することができ、自動車の床のインテリア製品として使用できるカーペット、およびその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0093】
以下、発明の具体的な実施例により、発明の作用および効果をより詳細に説明する。ただし、このような実施例は、発明の例示として提示されたものに過ぎなく、発明の権利範囲は、これによって定まるものではない。
【0094】
[実施例1]
融点が255℃であるポリエチレンテレフタレート(PET)素材からなるマトリックスと、融点が137℃であるポリエチレン素材(MI:20)からなるバインダとを準備した後、連続押出機に投入し加熱溶融させて溶かした後、32分割されたオレンジ断面の形態のフィラメントになるように一つの紡糸口金を通じて複合紡糸した。この際、前記複合用紡糸口金によりマトリックス(ポリエステル)およびバインダ(コポリマー)の比率が70wt%:30wt%になるように紡糸口金の毛細孔数を調節した。
【0095】
次に、紡糸口金を通じて紡出された32分割紡糸された複合フィラメントを15℃の冷却風で固化させた後、高圧の空気延伸装置を用いて紡糸速度が5,000m/minになるように十分に延伸させて5.0~9.0デニールの繊度およびオレンジ断面の形状を有する複合フィラメント繊維を製造した。
【0096】
次に、前記製造された複合フィラメント繊維を通常の開繊法により連続移動する金属製のコンベアネット上にウエブ状で積層させた後、扁平な表面を有するフラットロールを用いたカレンダ工程を経て見掛け密度270g/cm3を付与した。
【0097】
その後、カレンダ工程を完了した不織布について、ウォータジェット(Water jet)を通過させて、下(低:70bar)-上(高:250bar)-下(低:50bar)の圧力の強度順に、不織布に圧力を付与することによって、段階別の水圧調節により不織布の厚さを調節して最終スパンボンド不織布を製造した(単位面積当たりの重量90g/m2、厚さ:0.33mm)。
【0098】
製造された不織布にタフティング(Tufting)(Cut type、64/5gage in inch、13/1 Stitch in inch、ポリプロピレンカーペット原糸(BCF; Bulky Continuous Filament)1200 デニール(De’),パイル(Pile)原糸の高さ4mm)した後、タフティングの裏面を235℃で熱処理してカーペット原糸(BCF yarn)を固定させてカーペットを製造し、タフティングされたサンプルは引抜き強力測定時に使用した。
【0099】
[実施例2]
実施例1で、マトリックス:バインダの複合比率が80wt%:20wt%になるように変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0100】
[比較例1]
実施例1において、フィラメント断面の形態を、オレンジの形態および分割糸でない円形に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0101】
[比較例2]
実施例1で、バインダ素材をナイロン6に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0102】
[比較例3]
実施例1で、マトリックス:バインダの複合比率が50wt%:50wt%になるように変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0103】
[比較例4]
実施例1で、マトリックス:バインダの複合比率が90wt%:10wt%になるように変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0104】
[比較例5]
紡糸速度が6,000m/minになるようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0105】
[比較例6]
紡糸速度が2,500m/minになるようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0106】
[比較例7]
製造された不織布に対して、3段階の圧力を付与せず、294barの水圧でウォーターパンチングのみを行ったことを除いては、実施例1と同様の方法でスパンボンド不織布およびカーペットを製造した。
【0107】
[試験例]
各実施例、参考例および比較例について、下記の評価項目別の測定方法により物性を測定し、その結果を表1に示した。
【0108】
1.分割率(%)
不織布の断面を、200倍の倍率(×200)の顕微鏡で撮影した、それぞれ10個の写真(10ea)により、分割率を下記式1によって計算した。
【0109】
[式1]
分割率(%)=(分割されたフィラメントの数)/(分割されたフィラメントの数+未分割のフィラメントの数)×100
【0110】
(式1において、
前記分割されたフィラメントの数および未分割のフィラメントの数は、3mm×3mmの大きさの不織布の断面を、倍率×200の顕微鏡で撮影した写真にて観察された、分割および未分割のフィラメントの数であり、前記分割率は10個の写真の平均値を示す。)
【0111】
2.常温強度(kgf/5cm)
KS K 0521による標準試験法を用いて常温強度を測定した。
【0112】
具体的には、横×縦=5cm×20cmの大きさの試験片を、INSTRON社の測定装備を用いて、上/下5cm×5cmの大きさのジグに挟んだ後、引張速度200mm/minの条件で測定した。
【0113】
3.熱間強度(kgf/3cm)、熱間伸び率(%)
KS K 0521による標準試験法を用いて、熱間強度と熱間伸び率を測定した。
【0114】
具体的には、横×縦=3cm×10cmの大きさの試験片を、INSTRON社の測定装備を用いて、上/下5cm×5cmの大きさのジグに挟んだ後、ホットチャンバ(Hot Chamber)を用いて180℃で3分間の予熱の後、引張速度200mm/minの条件で測定した。
【0115】
4.引抜き強力(%)
上述したとおり、不織布にタフティング(Tufting)(Cut type、64/5 gage in inch(インチ当たり64/5ゲージ)、13/1 Stitch in inch(インチ当たり13/1ステッチ),パイル(Pile)高さ4mm)した後、Tuftingの裏面を熱処理することでカーペット原糸(BCF yarn)を固定させて、タフティングされたサンプルを製造した。
【0116】
このように作られたサンプルをKS K ISO 4919(カーペット-タフト引抜力測定)規格に従って、タフティングされたサンプルで測定しようとする一つのパイル(Pile)を測定装置に固定した。測定するループと隣り合う両側のループは切断した。その後、インストロン(Instron)測定装置を用いて、測定するパイル(Pile)をサンプルと垂直の方向に引っ張った時に現れる強度(Peak)値を取った。このような方法を5回繰り返して平均値を取った。試験に使用するサンプルは3個として準備して、繰り返し評価した。
【0117】
【0118】
前記表1の結果を見ると、実施例1および2は比較例1ないし7に比べて、ラテックスの役割をするスパンボンド不織布を含むことで、分割率が高く、常温強度、熱間強度および熱間伸び率に優れることが確認された。また、実施例は、引抜き強力が2.0(kgf)以上と優れるものであった。
【0119】
反面、比較例1は、円形断面の形状を示し分割されていない不織布を使用することから、機械的物性が低く、特に、引抜き強力が1.2kfgで不良であった。
【0120】
また、比較例2は、バインダとしてナイロンが使用されたことにより、ラテックスの機能をすることができず、機械的物性と引抜き強力の両方において不良であった。
【0121】
前記比較例3および4は、マトリックスおよびバインダ素材の含有量が、本明細書の範囲を外れることにより、分割率が不良であるか未分割となり、不織布がよく形成されず、カーペットの製造が困難であった。
【0122】
また、表1に示すとおり、比較例5および6は、紡糸速度が本願発明の範囲を外れることから、延伸段階にてフィラメントの切断や熱接着時の収縮により、不織布を製造することができなかった。比較例7は、高圧ウォータジェットが単一の段階にのみ適用され、実施例1~2に比べて分割率が低くなることにより、強度、伸び率および引抜き強力が、いずれも低下した。
【国際調査報告】