(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】車両の環境照明装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20231226BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20231226BHJP
B60Q 3/267 20170101ALI20231226BHJP
【FI】
B60Q1/24 D
B60Q1/24 E
B60Q1/50 C
B60Q3/267
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537714
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2021081921
(87)【国際公開番号】W WO2022156935
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】102021000247.4
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】プライ,クリメンス
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,ガブリエル
【テーマコード(参考)】
3K040
3K339
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040BA01
3K040BA04
3K040DB01
3K040EA04
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3K339MC77
3K339MC91
3K339MC92
3K339MC96
3K339MC99
(57)【要約】
本発明は、車両(2)の環境照明装置(1)を動作させる方法に関し、環境照明装置(1)が制御命令に応じて、少なくとも1つの発光器(3)によって車両(2)の周辺に少なくとも1つの光パターン(4)を放射する。本発明は、環境照明装置(1)が制御動作の入力によってスタンバイモードにされ、環境照明装置(1)がスタンバイモードで動作する間、環境照明装置は、権限保持者が車両(2)に接近する場合に光を発することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)の環境照明装置(1)を動作させる方法であって、前記環境照明装置(1)が制御命令に応じて、少なくとも1つの発光器(3)によって前記車両(2)の周辺に少なくとも1つの光パターン(4)を放射する方法において、
前記環境照明装置(1)が制御動作の入力によってスタンバイモードにされ、前記環境照明装置(1)が前記スタンバイモードで動作する間、前記環境照明装置は、権限保持者が前記車両(2)に接近する場合に光を発することを特徴とする、方法。
【請求項2】
-識別子発信器(5)として、特に車両キー(5.1)、トランスポンダ(5.2)及び/又は移動端末装置(5.3)が使用され、前記識別子発振器が前記車両(2)の識別システム(7)の検出対応範囲(6)に入ること、
-少なくとも1つの車両カメラ(8)によって生成された少なくとも1つのカメラ画像を、顔認識を用いて評価すること、
ならびに/あるいは
-少なくとも1つの車両マイク(9)によって出力された音声信号が、特に前記権限保持者によって発話される少なくとも1つのキーワード及び/又はキーフレーズを含み、好ましくは前記権限保持者の声の性質が解析され、前記音声信号を評価すること、
のうちの少なくとも1つによって、人が権限保持者として認識されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
車両乗員が前記車両(2)を離れたい場合、前記環境照明装置(1)によって周辺へ光パターン(4)が投射され、前記光パターン(4)は、危険のない降車が可能な場合、又は事故の危険が迫っている可能性がある場合、異なった色、形状、面積、パターン、輝度、ライトレンジ、及び/又はダイナミクスを有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記周辺に投射される光パターン(4)に加えて又は代えて、降車が安全か、又は安全でないかに応じて前記車両(2)の室内照明が作動することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記環境照明装置(1)は、前記車両(2)への侵入の試み及び/又は損傷を検出した場合に光を発し、前記環境照明装置(1)は、関連する環境領域のみを照らすことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの車両ドアが少なくとも開いた場合に、前記環境照明装置(1)によって前記周辺に情報が投影され、前記情報の内容が前記開いたドアに隣接する車両座席の座席占有率に応じて変更され、座席占有率は、特に車両室内のカメラモニタリング及び/又は座席占有センサによって監視されることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
照明装置(1)と少なくとも1つの制御装置(10)と識別システム(7)とを有する車両(2)において、
前記制御装置(10)は、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行するように装備されていることを特徴とする、車両(2)。
【請求項8】
前記照明装置(1)の少なくとも1つの発光器(3)、特に情報を表示するように設定されたプロジェクタが、ロッカーパネル、アンダートレイトリムパネル、及び/又はバンパに組み込まれることを特徴とする、請求項7に記載の車両(2)。
【請求項9】
ちょうど5つの発光器(3)であって、2つの発光器(3)が、車両長手方向軸で見て車両の左側と右側とにそれぞれ配置され、かつ1つの発光器(3)が車両後部に配置され、特に前記発光器(3)は、周辺に中断のない光パターン(4)を投影するように設定されている、ちょうど5つの発光器を特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に詳しく定義される種類の車両の環境照明装置を動作させる方法、及びそのような照明装置を備えた車両に関する。
【0002】
車両には、多くの場合、いわゆるカミングホーム、フォローミーホーム、又は更にリービングホーム装備パッケージが提供されている。これは、特殊な照明装置若しくは照明装置を動作させる方法である。車両が停止しているか、又はゆっくりと走行しているときに、照明装置を用いて車両の周りの、典型的には暗い周囲部分を照明することが可能である。車両ヘッドライトは、車両運転者が夜間でも安全に車両を動作させることができるようにするために、暗がりで、車両により走行される車道部分を照らすために用いられ、ウインカなどの指示灯が危険な状況に関するメッセージを発出するため、及び車線変更若しくは方向転換過程を示すために用いられるのに対して、カミングホーム若しくはリービングホーム機能は、車両への車両運転者の安全なアクセス若しくは車両の安全な停車を可能にするために用いられる。例えば、照明装置によって、車両の周りにいわゆる光カーペットを生成することができ、これを用いて、例えば落とした車両キーなどの落下物をより容易に見つけることができる。更に、周辺を照らすことにより、暗がりでの車両の荷積み及び/又は荷下ろしもより容易に行うことができる。例えば、車両へ向かう、若しくは車両から遠ざかる道を照らすために、周囲領域を的確に照らすこともできる。これによって、車両に近づく又は車両から離れる人がつまずく危険性が低減され、それに加えて、屋内駐車場に隠れている攻撃者などの第三者を照らし出し、車両運転者に危険への注意を喚起することができる。これによって、車両運転者の安心感も高められる。その場合、カミングホーム機能は典型的には停車時に作動し、これは車両の原動機を停止させること、イグニッションロックからイグニッションキーを引き抜くこと、車両ドアを開くこと、及び/又は車両をロックすることによって判定することができる。これに対して、リービングホーム機能は乗車時に作動する。乗車は、相応に、車両に例えばロック解除命令が送信され、車両ドアが開かれ、及び/又は車両運転者が停車した車両に近づくことによって認識される。光を発するために、環境照明装置は、前照灯及び/又は後照灯、ナンバープレート灯、ドア又は車両フレームに組み込まれた乗降灯、あるいはグリップ窪み又はサイドミラーに組み込まれた灯火といった、典型的には車両に設けられた灯火などの様々な発光器を備えている。周囲に投射される多様な光パターンには制限がない。多種多様な形状、色、パターン、サイズ、表示継続時間、及び異なる照明ダイナミクスを有する光パターンが従来技術から知られている。
【0003】
例えば特許文献1がこのような照明装置を開示する。照明装置を用いて、車両の周りを囲む、殊に連続した若しくは中断のない光カーペットが生成され、これを用いて、暗がりでの車両の荷積み及び/又は荷下ろしをより容易に行うことができ、車両利用者の安心感が高められる。照明器(Beleuchtungseinrichtung)は、輝度センサを用いて測定された周囲輝度が定められた値を下回り、それと同時に遠隔操作により送信された作動命令が車両によって受信される場合に作動する。その場合、遠隔操作は、車両の集中ロックも含むことができる。このようにして、車両の開放及び閉鎖と同時に照明器を作動させることができる。その場合、照明器によって出力される輝度を周囲輝度に応じて調整することも可能である。このために、個々の発光要素の能力を高めるか、又は下げることができ、かつ灯火の数を変更することができる。照明器は、定められた時間長の後に自動的に停止されるか、あるいは車両の原動機が始動してから、又は車両のすべてのドアが閉じられた後に定められた期間が経過してから自動的に停止される。照明器は、車両のパーキングライト、尾灯、ミラーベースライト、バンパーライト、車両の室内照明、ドアエントリーライト、ナンバープレート照明を発光手段として使用することができる。この場合、前述の発光手段の全部を、又は個別に的確に制御することができる。手動制御動作を入力することによって、作動させる灯火の数と、その輝度を任意に設定できるか、若しくは照明器を作動及び停止させることができる。照明器によって周囲に投射される光カーペットが車両の周りになるべく連続して、すなわち中断なく生成されることにより、特に高い安心感が得られる。
【0004】
特許文献2から、更なる環境照明装置及び環境照明装置を動作させるための対応する方法が知られている。この文献に開示された照明器では、人は照明器が周囲に光を投射する方法を個人の好みに合わせて設定することができる。その場合、光の伝播方向、光の伝播角度、及び送出される光の輝度を設定することができる。設定の異なる複数のプロファイルを記憶することもできる。カメラ、特にいわゆるサラウンドビューカメラと、カメラ画像を表示するための対応する表示器を用いて、見えにくい車両周辺領域も簡単に見ることができ、所望の照明設定が適切かどうかをチェックすることができる。その場合、設定は、例えば車両のヘッドユニット、車両キー、及び/又は対応するアプリが実行されるスマートフォンなどの移動端末装置を介して行うことができる。照明器によって車両の周りの連続した周辺を照らすことができることが好ましい。照明器を作動させるために、手動で作動命令を与える必要がある。その場合、照明器の意図しない作動を防ぐために、作動命令を2回続けて入力することを要求することもできる。照明器は、発光手段として、例えば白熱灯、ハロゲンランプ、ガス放電灯、蛍光灯及び/又は発光ダイオード(LED)などのあらゆる一般的な発光手段を使用することができる。
【0005】
特許文献3も車両用の照明装置を開示する。この場合、照明装置は、特に車両の乗降灯として使用される。照明装置は少なくとも1つのプロジェクタを備え、これを用いて、車両の乗車及び降車時にテキスト、画像及び/又はロゴなどのデジタル情報が車両ドアに近い周辺に投射する。照明装置を作動させるために、ドアとの接触に応じて制御命令が発せられる。例えば、ドアが開くと照明装置が作動する。追加的にモーションセンサを用いて、車両への人の接近を認識すること、及び車両への人の接近時にすでに照明装置を自動的に作動させることも可能である。その場合、照明装置の停止を段階的に行うことができる。したがって、最初の期間の後に情報の発信が終了し、更なる比較的長い期間の後に、バックグラウンド照明も停止される。車両にデジタル情報を提供するために、USBスティックやメモリカードなどの移動記憶媒体、あるいは更には移動端末装置を使用することができる。その場合、データ伝送は、例えば無線又はケーブルによって可能である。例えば、車両に乗車するか、又は車両から離れる人に、例えばレッドカーペット上を歩く感覚を与えるために、照明装置によって赤色の光カーペットを放射することができる。
【0006】
それに加えて、特許文献4から、自動車の発光アセンブリ、及びそのようなアセンブリを備えた環境照明装置が知られている。その場合、車両の周りの環境条件がセンサによって連続的に検出され、環境照明器の発光セグメントが、測定された環境条件に応じて動的かつ連続的に制御される。したがって、環境照明装置を用いて、例えば動き、脈動、輝度変化、色変化、運動パターン、及び/又はそれ以外の、アニメーションに相当する特性などのダイナミクスも、周囲に投射される光パターンに生成することができる。この場合も車両の周りの連続した周辺が照らされることが好ましい。特に、気象条件、車両の動作状態、走行用バッテリの充電状態、自動運転モード及び/又はエラー状態が環境条件として評価される。例えば、車両タイプを光色で表示させることができる。環境照明装置は、バッテリの電気で駆動される車両では、例えば黄色の光を発し、内燃機関を有する車両では赤色の光を発する。例えばバッテリの電気で駆動される車両の走行用バッテリを充電ステーションで充電する場合、充電状態を表示させることもできる。バッテリが空の場合は赤色の光、バッテリが一部充電されている場合は黄色の光、バッテリが完全に充電されている場合は緑色の光が発せられる。これは、レンタカー及び/又はカーシェアリング車両には特に有利である。検出された環境条件に加えて、特定の人の存在及び車両に対する位置、ならびに人の身元に応じて環境照明装置によって発せられる光の特性を制御することができる。人を検出するために、例えばカメラを用いて生成されたカメラ画像を評価することができる。例えば、人の位置が検出され、その人が落下物をより容易に見つけることができるようにするため、又は他の人に照らされた人への注意を喚起するためにその人の周りの周囲領域が特に明るく照らされる。これによって、例えば攻撃者をより容易に認識することができる。更に、この文献は、車両の地理位置に応じて光の性質を記憶することを開示する。車両が、例えば第1の場所にある場合、第1の光の性質が使用され、車両が第2の場所にある場合には、それとは異なる第2の光の性質が使用される。例えば、車両が個人のガレージに停車する場合に、ガレージを照らすことができ、車両が会社の駐車場に停車する場合には、特に目立たないように周囲を照らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第19936357号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102012024513号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102013016347号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102017119919号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車両の環境明装置を動作させるための従来技術から知られている方法を有利に発展させるという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記課題は、請求項1の特徴を有する車両の環境照明装置を動作させる方法、及び請求項7の特徴を有する車両によって解決される。これに従属する請求項から、有利な実施形態及び発展形態が明らかになる。
【0010】
冒頭で述べた種類の車両の環境照明装置を動作させる方法において、本発明によれば、環境照明装置は、制御動作の入力によってスタンバイモードにされ、環境照明装置がスタンバイモードで動作する間、環境照明装置は、権限保持者が車両に接近する場合に光を発する。
【0011】
従来技術から、車両に人が接近する場合に、例えばモーションセンサを使用して、車両の環境照明装置を自動的に作動させることが知られている。しかしその場合、例えば、関係のない人が車両の傍らを通り過ぎるなどにより、必要でないにもかかわらず環境照明装置が作動するということが起こり得る。これによって、車両のバッテリに不必要に負荷がかかり、それにより放電が早くなる。これを防ぐために、環境照明装置は権限保持者が車両に近づいた場合にのみ作動する。しかしながら、この場合も、環境照明装置の作動が望ましくない場合があり得る。しかし、権限保持者が環境照明装置をスタンバイモードにすることによって、権限保持者は、それが権限保持者によっても望まれる場合にのみ、環境照明装置が自動的に作動することを確保することができる。例えば、環境照明装置を長期間自動的に作動させることが望ましくない場合、権限保持者は、スタンバイモードを停止させることができ、それに基づいて、環境照明装置は権限保持者が車両に接近しても光を発しない。これによって、環境照明装置を利用する際の利便性が向上し、不要なエネルギー消費が削減される。
【0012】
環境照明装置をスタンバイモードにするための制御動作の入力は、様々な方法で可能である。このために、例えば、車両のヘッドユニットを介して入力を行うことができる。車両のインストルメントパネルに物理的なボタン、スイッチ、回転コントローラなどが設けられることも考えられる。スマートフォン、タブレット、ラップトップなどの移動端末装置を介して、及び車両キーによって制御動作を入力することも考えられる。スタンバイモードは、新たな制御動作の入力によって手動で停止されるまで作動した状態のままである。スタンバイモードが、例えば経過した期間、車両の走行距離、又は車両の現在地に応じて自動的に起動及び/又は再起動されることも考えられる。
【0013】
その場合、環境照明装置は、車両の周辺に任意の光パターンを放射できる。例えば、光パターンを、車両の周り全体に連続して、すなわち中断なく形成することができる。例えば、光パターンは車両の周りの約1m離れたところまで延在することができる。しかしながら、例えば車両の前部領域など、少なくとも車両の周囲の一部分において光パターンが中断されることも可能である。環境照明装置は、例えば車両のヘッドライト、プロジェクタ、補助灯などの様々な発光器を含むことができる。発光手段として、白熱灯、ハロゲンランプ、蛍光管、LED、レーザなどのあらゆる一般的な発光手段を使用することもできる。光パターンは、任意の輝度、広がり、色と、テキスト、イメージ、ロゴ及び/又はダイナミクスの形態の情報コンテンツとを有することができる。輝度センサを用いて周辺輝度が監視され、車両の周辺の暗さが特定の程度になった場合にのみ環境照明装置により光が発せられることも可能である。
【0014】
本方法の有利な発展形態は、以下の手法のうちの少なくとも1つにより人が権限保持者として認識されることを企図する。
・識別子発信器として、特に車両キー、トランスポンダ及び/又は移動端末装置が使用され、識別子発信器が車両の識別システムの検出対応範囲に入ること、
・少なくとも1つの車両カメラによって生成された少なくとも1つのカメラ画像を、特に顔認識を用いて評価すること。及び/あるいは
・少なくとも1つの車両マイクによって出力された音声信号であって、音声信号が、特に権限保持者によって発話される少なくとも1つのキーワード及び/又はキーフレーズを含み、好ましくは権限保持者の声の特徴が解析され、音声信号を評価すること。
【0015】
列挙された手法を用いて、権限保持者の特に信頼性の高い認識が可能である。これは、権限保持者が車両に接近した場合に自動的に行われ、このことが環境照明装置を利用する際の利便性を向上させる。権限保持者物が車両に接近し、このことが、特に識別子発信器が識別システムの検出対応範囲に入ってくることによって認識される場合、環境照明装置が自動的に作動する。権限保持者が、例えば物を運んでいるため手がふさがっている場合に、暗がりで車両に近づくことができ、それに基づいて車両が車両周辺を自動的に照らす。これによって、車両周辺を照らすために制御動作を入力する必要がないため、権限保持者の利便性を向上させることができるが、そうでなければ人は運んだ物を下ろすことを余儀なくされよう。その場合、検出対応範囲は、無線キーの典型的な対応範囲のオーダ、例えば1~40mの範囲であり得る。
【0016】
スマートフォンやタブレットなどの移動端末装置を識別子発信器として使用することにより、いわゆるキーレスゴーシステムを使用する場合にも環境照明装置の自動的作動を実現することができる。
【0017】
カメラ画像をもとにして権限保持者を認識することも考えられる。このことは、権限保持者が識別子発信器を携帯していなくても権限保持者を認識して環境照明装置を作動させることができるので、環境照明装置を利用する際の利便性を更に向上させる。このために、だれが権限保持者物とみなされるのかに関する情報を車両が有するようにするために、権限保持者の写真又は映像を事前に撮影して車両に保存することができる。その場合、権限保持者のカメラ画像を車両外部で、例えば写真カメラ又はスマートフォンなどの移動端末装置により撮影して、ワイヤレスで車両に伝送することができる。このことは、環境照明装置を利用する際の利便性を更に向上させる。車両が例えば企業で使用される輸送車である場合、輸送車の保有者は、例えば新入社員の写真を車両に送ることができ、それによりこの車両は、新入社員がこれを初めて使用するときにはすでに、この社員を権限保持者として認識する。
【0018】
権限保持者の認識、したがって環境照明装置の作動は音声によっても可能である。このような機能は、例えば、いわゆる音声アシスタントによって知られている。これも同様に、手がふさがった人が環境照明装置を楽に、かつ簡単に作動させることを可能にする。このために、権限保持者はキーワード及び/又はキーフレーズ、例えば「車両よ、環境照明装置を作動させてくれ」と言うことができ、それに基づいて環境照明装置が作動する。このために、例えば声の特徴をもとにして権限保持者を認識することができる。識別子発信器によって、及び/又はカメラ画像の評価によって権限保持者が認識されることも可能であるが、環境照明装置を作動させるには、これに加えて音声命令を与える必要がある。その場合、音声検出は、車両に備えられた少なくとも1つのマイクによって行われる。これは、車外の騒音も検出することができる。それに加えて、又はそれに代えて、車両に接続された移動端末装置のマイクもこのために使用することができる。
【0019】
本方法の更に有利な実施形態によれば、車両乗員が車両を離れたい場合、環境照明装置によって周辺へ光パターンが投射され、光パターンは、危険のない降車が可能な場合、又は事故の危険が迫っている可能性がある場合、異なった色、形状、面積、パターン、輝度、ライトレンジ、及び/又はダイナミクスを有する。これによって、特に安全に車両を離れることが保証される。一方で、車両乗員が車両ドアを開けて他の交通参加者が開いた車両ドアに突っ込むことを防ぐために、乗用車又は貨物車、あるいは自転車の乗り手などの、近づいて来る他の交通参加者への注意を車両乗員に喚起することができる。周辺に投射される光パターンを他の交通参加者が知覚することにより、他の交通参加者は、車両から降りる人に注意を払うこともできる。車両からの危険のない降車が可能であることを認識するために、車両の環境が信頼できる環境モニタリングシステムにより監視される。例えば、車両前部の方向の領域が多目的カメラを用いて監視され、車両の後方領域はパーキングアシストのバックカメラ及び/又はサイドミラーの代用として使用されるバックカメラを用いて監視される。その場合、カメラによって生成されたカメラ画像を評価することによって、例えば、他の交通参加者、特に車両に対する他の交通参加者の相対位置を決定することができる。距離センサを用いて車両環境を監視することも可能である。このために、例えばレーダセンサ、超音波センサ、及び/又はレーザスキャナを使用できる。これによって、特に車両ドアが開いたときに通る領域に他の交通参加者が接近することを確実に認識できる。車両乗員の降車要求を認識するためにも同様に様々な手法を使用することができる。例えば、車両乗員の動きを認識及び評価するために、カメラを用いて車両室内を監視することができる。例えば車両の駆動装置を停止することによって認識される車両の停車も、ドアが間もなく開かれることを示すことができる。ナビゲーションデータを評価することもできる。車両が例えばプログラムされたナビゲーション目的地に到着した場合、これは、例えば車両を運転する人が車両を離れたいことを意味する。車両乗員がドアハンドルに触れる及び/又は操作する場合に信号を出力するタッチセンサを車両のドアハンドルに組み込むこともできる。
【0020】
危険のない降車が可能な場合、環境照明装置は、例えば車両乗員が降車したい車両ドアのすぐ前の周囲に緑色の長方形の光を投射する。その場合、例えば「オーケー」、「お降りください!」、「安全」といったテキストなどのメッセージを長方形内に投影することもできる。これに対して、車両ドアが開くと事故の恐れがある場合、例えば、環境照明装置は、車両ドアの前の周囲領域に赤色の長方形の光を投射する。同様に、警告テキストや、稲妻や感嘆符といった警告記号などの対応する警告指示を、光の長方形の中に投影することができる。例えば、「注意!」又は「警告」又は「ストップ」などの警告テキストを出力することができる。それに加えて、又はそれに代えて、光パターンにダイナミクスを与えることができる。光パターンは、例えばストロボのように脈動することができる。光パターンの出力を段階的に実現することも可能である。例えば、ドアハンドルとの接触が認識されると、光パターンが連続して赤色に光る。これによって、降車する人が降車するのを妨げ、更にドアが開き始める場合に、ダイナミクスを有する光パターンの出力を行うことができ、例えば光パターンが点滅し始めることができる。これによって、降車する人が危険指示を更に適時に知覚し、ドアの開放を更に適時に止めることの信頼性を高めることができる。車両のドアハンドルに安全機能を設け、危険のない降車が可能である場合にのみドアを開くことができるということも考えられる。誤動作が発生する可能性があるため、ドアロックを回避するバイパスソリューションを設けることもできる。例えば、ドアがロックされた場合でもドアを開けることができるようにするため、ドアハンドルを数回操作するか、又は最初のプルポイントを超えて第2のプルポイントまで引くことができる。
【0021】
環境照明装置によって車両の周囲に光パターンが投影されるので、他の交通参加者も光パターンを知覚することができる。このようにして、他の交通参加者にも車両乗員の降車の可能性への注意が喚起され、場合によっては回避操作を実行することもできる。これによって交通安全性が向上する。
【0022】
本方法の別の有利な実施形態は、更に、周辺に投射される光パターンに加えて、又はこれに代えて、降車が安全であるか、又は安全でないかに応じて車両の室内照明を作動させることが企図される。これによって、道路交通における安全性を更に向上させることができる。例えば、安全な降車が可能である場合は、ドアの内側のハンドル照明を緑色にすることができ、他の交通参加者との衝突の恐れがある場合にはドアの内側のハンドル照明を赤色とすることができる。これによって、車両乗員が降車したい場合に、車両乗員に危険について早期に警告することができ、それに基づいて、車両乗員はまずもってドアを開けようとしなくなる。この場合も室内照明を任意に形成することができる。例えば、安全な降車の代わりに危険な降車が検出される場合、室内照明の輝度、色、表示時間、ダイナミクスなどを変更することができる。
【0023】
本方法の別の有利な実施形態によれば、環境照明装置は、車両への侵入の試み及び/又は損傷を検出した場合に光を発し、環境照明装置は、関連する周辺領域のみを照らす。その場合、車両への侵入の試み及び/又は損傷は、例えば、慣性センサ及び/又は、例えば室内カメラによる車両室内モニタリングを用いて認識することができる。車両への損傷は、例えば駐車時の当て逃げ(Parkrempler)であり得る。このような状況では、例えば、車両のハザードランプを作動させることが知られている。これによって、攻撃者を逃走させる、及び/又は車両への侵入の試み及び/又は損傷が第三者に示される。しかし、ハザードランプを作動させることに加えて、又はこれに代えて環境照明装置を用いて関連する周辺領域が照らされることにより、事故の原因を車両を損傷した箇所に的を絞って特定することができ、及び/又は例えば車両の攻撃者をよりよく見分けることができるようにするため、この攻撃者を照らし出すことができる。これによって、車両の安全性を向上させることができる。
【0024】
少なくとも1つの車両ドアが少なくとも開いているときに、環境照明装置によって周辺に情報が投影されることが好ましく、その情報の内容は、開いたドアに隣接する車両座席の座席占有率に応じて変更され、座席占有率は、特に車両室内のカメラモニタリングによって、及び/又は座席占有センサによって監視される。これによって、人が車両に入りたいのか、車両を離れたいのかを認識することができる。車両ドアが開いていて、ドアに隣接する座席の座席占有が確認された場合、これは車両乗員が車両を離れたいということを意味する。車両ドアが開いていて車両座席が空いていることが確認された場合、これは人が車内に着座したいことを示す。車両を離れる場合、例えば「さようなら」又は「バイバイ」などの見送りのテキスト及び/又はニュースや天気予報などの任意の情報を周辺に投影することができる。これに対して、人が車内に着座したいことが認識された場合、例えば、「ようこそ」や「こんにちは」などのテキストメッセージを周辺に投影することができる。テキストメッセージは、車両を離れる、若しくは車両に入る人に正しく見えるように方向合わせされる。これによって、車両を利用する際に特別な体験が得られる。座席占有センサと、カメラによる車両室内モニタリングを用いて、人が車両に乗り込みたいのか、車両から降りたいのかを確実かつ簡単に認識することができる。
【0025】
照明装置、少なくとも1つの制御装置、及び識別システムを備えた車両において、本発明によれば、制御装置は、上述の方法を実行するように設定されている。車両は、乗用車、貨物車、輸送車、バン、バスなどの任意の車両であり得る。
【0026】
車両の有利な発展形態は、照明装置の少なくとも1つの発光器、特に情報を表示するように装備されたプロジェクタが、車両のロッカーパネル、アンダートレイトリムパネル、及び/又はバンパに組み込まれることを企図する。発光器をロッカーパネル、アンダートレイトリムパネル、及び/又はバンパに設けることによって、発光器を特に目立たないように車両に組み込むことが可能であり、そのことが車両の美観を向上させる。それに加えて、発光器は、周辺に対して比較的小さい距離のところに配置されているため、発光器によって、車両の周りの関連する周辺領域を特に確実に照らすことができる。これによって、発光器によって生成される光パターンに影を生じさせる可能性のある邪魔になる物品や物体が、発光器によって発せられる光の光路に位置する危険が低減される。これによって、少なくとも車両の周りの周囲部分に沿って欠落のない光カーペットを生成することができる。一方の側方車両前部から、車両後部を経て、最初の車両前部の向かい側に位置する側方車両前部まで連続した光カーペットが延びる場合が特に有利である。人が、例えば物を失くした場合に、発光器が車両の周りの関連する領域全体を照らすので、暗がりでこれをより容易に見つけ出すことができる。この場合、例えば車両の下に転がり込んだ物体も簡単に見つけ出すことができるようにするため、発光器によって発せられる光は、少なくとも部分的に車両の下に達することもできる。
【0027】
好ましくは、車両が正確に5つの発光器を有し、それぞれ2つの発光器が、車両長手方向軸で見て車両の左側と右側とに配置され、かつ1つの発光器が車両後部に配置され、特にこれらの発光器は、周辺に中断のない光パターンを投影するように設けられている。ちょうど5つの照明装置を設けることによって、5ドア車両の場合、各車両ドアの下に1つの発光器を設けることができる。これによって、該当する車両環境領域を特に確実に照らすことができる。これに加えて、発光器が車両の周りに配置されるので、車両の周りに中断のない光パターンを特に簡単に生成することができる。あらゆる一般的な発光器を発光器として使用することができる。このために、例えばヘッドライト、マーカライト、プロジェクタなどを使用することができる。これらは、ランプ、LED、レーザなどの様々な発光手段を有することができる。照明装置、及び/又は発光器から発せられる光が周囲に投射される制御角度を制御するために、発光器は、例えばレンズ、反射板、プリズム、ミラー、フィルタなどの様々なコンポーネント、ならびにこれらの要素を動かすための対応するアクチュエータを有することができる。
【0028】
本発明による方法及び車両の他の有利な実施形態は、以下に図を参照しながら詳しく説明される実施例からも明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による方法を実行するために車両内に配置された車両コンポーネントの模式図である。
【
図2】車両の周りの車両環境に連続した光カーペットを投射する、本発明による車両の模式的平面図である。
【
図3】車両から降りる人に他の交通参加者への注意が喚起される交通状況の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、
図2に示される車両2が備える、本発明による方法を実行できるようにするためのコンポーネントを示す。車両2は、中央制御装置10、例えば中央ボードコンピュータ及び/又は車両2のヘッドユニットの計算ユニットを含む。制御装置10には、データバスなどのデータ線を介して様々なサブシステムが接続されている。この場合、制御装置10は、制御命令を環境照明装置1に転送し、それを用いて車両2の周りの環境に光パターンを投射することができる。環境照明装置1は複数の発光器3を備え、そのうちの3つが
図1に示されている。発光器3は、例えばマトリクスヘッドライト、プロジェクタ、又はマーカライトであり得る。照明装置3はまた、複数の発光手段11を備え、それらのうち、
図1には発光器3ごとにそれぞれ2つが示されている。例えばLED、ランプ、レーザなどを発光手段11として用いることができる。少なくとも1つの発光器3を作動させるための環境照明装置1への制御命令を生成するため、制御装置10は、様々なシステムからセンサデータを受信する。その場合、環境照明装置1は、権限保持者が車両2の近くにいる場合に作動する。これは、例えば、ここでは例えば車両キー5.1、トランスポンダ5.2、及び移動端末装置5.3の形態の識別子発信器5が、識別システム7の検出対応範囲6に入ることによって判定することができる。識別子発信器5を認識するため、若しくはこの識別子発信器と通信するために、識別システム7は通信モジュール7.1を有する。この通信モジュールは、例えば超広帯域通信により、識別子発信器5との間で無線信号がやり取りする。しかしながら、モバイル無線、WiFi、Bluetoothなどのあらゆる任意の無線技術を使用することもできる。
【0031】
更に、環境モニタリングシステム12が制御装置10に接続されている。この制御装置は、少なくとも1つの車両カメラ8、少なくとも1つの車両マイク9、例えば距離レーダ及び/又は超音波センサの形態の距離センサ13、ならびに、LiDARなどの少なくとも1つのレーザスキャナ14からセンサ信号を受信する。更に、少なくとも1つの輝度センサ15が環境モニタリングシステム12に接続され、これを用いて、車両2の周辺の環境における現環境輝度を決定することができる。環境モニタリングシステム12を用いて権限保持者の車両2への接近を追加的に検証することができる。輝度センサ15が車両2の周囲に十分な暗さを判定した場合にのみ、環境照明装置1を動作させることもできる。それに加えて、モータ制御装置16を用いて、特に車両2の原動機の形態のモータの作動又は停止を認識することができる。原動機が停止している場合、これは車両2が停車若しくは駐車していることを示し、車両2が移動している場合、車両2が定められた車速を超える場合には環境照明装置1の動作が不可能にされる。車速は、例えば、車輪回転数センサなどの様々な車両センサを用いて、及び/又は全地球航法衛星システムを用いて車両の現在地理位置の評価を用いて決定することができる。
【0032】
更に、制御装置10に室内モニタリングシステム17が接続されている。例えば車両乗員の降車要求を検出できるように、座席占有率及び/又は車両乗員の挙動を監視するため、室内モニタリングシステム17を用いて車両室内を監視することができる。このために、室内モニタリングシステム17は、複数のセンサからセンサ信号を受信する。これには、車両室内カメラ18、少なくとも1つの車両室内マイク19、少なくとも1つの座席占有センサ20、車両ドアの少なくとも1つのドアハンドルに組み込まれ、ドアハンドルとの接触を検出する少なくとも1つのタッチセンサ21、ならびに車両2の任意の方向の加速度を判定できるようにするための少なくとも1つの慣性センサ22が含まれる。慣性センサ22を用いて、例えば、車両2への衝突を認識でき、その場合、車両2が衝突された方向を計算することもできる。
【0033】
更に、制御装置10に操作装置23が接続され、一般に制御装置10を操作装置23に組み込むことも可能である。操作装置23は、表示部24と操作要素25とを含む。操作装置23は、例えば車両2のヘッドユニットであり得る。表示部24は、例えば計器群、中央オンボードコンピュータのディスプレイなどの任意のディスプレイであり得る。操作要素23は、例えばタッチスクリーン、又は物理スイッチ、ボタン、回転コントローラなどであり得る。これを、例えば車両2のインストルメントパネルに設けることができる。権限保持者が車両2に接近したときに環境照明装置1が光を発することができるようにするために、権限保持者若しくは車両の運転者は、操作要素25を介して環境照明装置1をスタンバイモードにする。これに対して、環境照明装置1がスタンバイモードで動作していない場合、環境照明装置1は、車両2の周囲の検出領域6に権限保持者がいる場合でも光を発しない。これによって、意図しない光の放射が防止される。更に、制御装置10は、特に制御ソフトウェアの形態のコンピュータプログラム製品26を含む。これは、車両タイプ固有のコンピュータプログラム製品26であり得る。
【0034】
図2は、本発明による方法を用いて車両2の周辺に光パターン4を投射する車両2の平面図を示す。車両2は、特に輸送車又はバンである。その場合、車両2は、中断のない光カーペットを車両2の側方及び後方領域に生成できるようにするためのちょうど5つの照明装置3を備えている。その場合、少なくとも車両2のドアに隣接する車両2の周囲の環境領域が照らされる。これは、車両2の楽な乗り降りや荷積み及び/又は荷下ろし、ならびに暗がりで落下物を見つけ出すことを可能にする。更に、特に、車両2の周りを中断なく連続して完全に囲む光カーペットを生成するために、車両2が光パターン4によって占められる環境領域を車両ヘッドライト27及び/又は他の補助ライト28を用いて拡大することも考えられる。その場合、光カーペット若しくは光パターン4は、部分的に車両2の下に延びることもできる。
【0035】
図3は、車両乗員が駐車中の車両2から降りたいが、近づいて来る車両29及び自転車の乗り手30の形態の他の交通参加者が車両2に接近する交通状況を示している。他の車両29及び自転車の乗り手30は、車両2の環境センサ、特に車両カメラ8、距離センサ13及び/又は
図3に図示されないレーザスキャナ14を用いて検出される。車両2と他の車両29及び自転車の乗り手30との間の相対位置、ならびに他の交通参加者の移動方向及び移動速度を評価することにより、車両2若しくは車両2に含まれる制御装置10は、他の交通参加者が車両2の乗車領域及び/又は降車領域に間もなく入るのかどうか、すなわち、車両2のドアの1つが開いた場合に車両2と衝突するおそれがあるかどうかを計算することができる。これ当てはまる場合、かつそれに加えて、車両乗員が車両を離れようとし、これを例えば室内モニタリングによって判定できる場合、環境照明装置1若しくは発光器3によって、他の交通参加者及び車両2から降りる車両乗員に警告するために、対応する光パターン4が周囲に投影される。光パターン4は、他の交通参加者と車両乗員の両方によって知覚され、それによって両者に衝突の可能性を警告することができる。その場合、光パターン4を、特に明赤色などの警告色で周囲に投影することができ、例えば警告テキスト及び/又は警告シンボルなどの警告通知を有することができる。更に、光パターン4はダイナミクスを備え、そのことにより光パターン4の知覚が向上する。光パターン4は、例えば脈動、移動、及び/又はストロボスコープのように閃光することができる。これに対して、車両2の近くの環境に他の交通参加者がいない場合には、異なった特性の光パターン4を周囲に投射することができる。例えば、光パターン4は、緑色を有し、ダイナミクスを有さないことができる。これによって、道路交通の安全性を向上させることができる。
【国際調査報告】