(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/008 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B1/008 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538132
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086862
(87)【国際公開番号】W WO2022136304
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020134603.4
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523079587
【氏名又は名称】カール ストルツ エスエー ウント コ.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】KARL STORZ SE & CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【氏名又は名称】岡田 宏之
(72)【発明者】
【氏名】フックス,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロッテス,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】マハト,ヨーヘン
(72)【発明者】
【氏名】レンガー,ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】ウルムシュナイダー,ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF33
4C161FF43
4C161JJ06
4C161LL02
(57)【要約】
本発明は少なくとも1つの遠位端要素(22)及び少なくとも1つの近位端要素(24)を有する少なくとも1つの偏向可能なシャフトセグメント(18)と、直接隣接し、互いに対して偏向することができる2つの少なくとも1つの第1の中間要素(26)及び少なくとも1つの第2の中間要素(28)とを有する、特に可撓性の内視鏡(10)及び/又は内視鏡器具のための内視鏡装置に関する。
本発明によれば、第1の中間要素(26)及び第2の中間要素(28)は互いに異なり、一体的に相互接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に可撓性内視鏡(10)及び/又は内視鏡器具用の内視鏡装置であって、少なくとも1つの遠位端要素(22)及び少なくとも1つの近位端要素(24)を有する少なくとも1つの偏向可能なシャフトセグメント(18)と、これらの間に、直接隣接し、互いに対して偏向可能である少なくとも1つの第1の中間要素(26)及び少なくとも1つの第2の中間要素(28)とを有し、第1の中間要素(26)及び第2の中間要素(28)はそれぞれ、中間要素(26、28)の円周に沿って閉じられ、少なくとも1つの作業チャネル及び少なくとも1つの導体線が配置され得、キーホール状の形状を有する、受容凹部(32)を有することを特徴とする、内視鏡装置。
【請求項2】
前記偏向可能なシャフトセグメント(18)は、互いに対向する少なくとも2つのウェブ(30)を備え、前記ウェブは前記第1の中間要素(26)と前記第2の中間要素(28)とを一体的に接続し、前記第1の中間要素(26)及び前記第2の中間要素(28)が前記偏向可能なシャフトセグメント(18)の偏向時に偏向可能である回転軸(46)を画定することを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記第1の中間要素(26)及び前記第2の中間要素(28)は、互いに異なるように設計され、互いに一体的に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記偏向可能なシャフトセグメント(18)の非偏向状態において、前記中間要素(26、28)の前記受容凹部(32)が、互いに一致して配置されることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記受容凹部(32)は前記受容凹部(32)がそれに沿って鏡面対称である主軸(34)を有し、前記主軸(34)に対して少なくとも実質的に直角に配向され、前記受容凹部(32)がそれに沿って鏡面対称ではない二次軸(36)を備えることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記受容凹部(32)及び前記ウェブ(30)は、前記偏向可能なシャフトセグメント(18)の非偏向状態において、前記受容凹部(32)の主軸(34)が前記ウェブ(30)の回転軸(46)に対して少なくとも実質的に平行であるように、互いに対して配向されることを特徴とする、請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記第1の中間要素(26)及び前記第2の中間要素(28)がそれぞれ、互いに対向して位置し、前記偏向可能なシャフトセグメント(18)を偏向させるための少なくとも1つの制御列が配置され得る、少なくとも2つのガイドフック(48、50)を有することを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記ガイドフック(48、50)はそれぞれ、挿入開口部を有し、前記第1の中間要素(26)の前記挿入開口部及び前記第2の中間要素(28)の前記挿入開口部は、反対方向に開口していることを特徴とする、請求項7に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記ガイドフック(48、50)が、前記中間要素(26、28)の円周に沿って前記ウェブ(30)に対してオフセットして配置されることを特徴とする、請求項2及び7又は8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記遠位端要素(22)上にカメラヘッドを配置することができることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
前記近位端要素(24)は、少なくとも力嵌合及び/又は形状嵌合方式で、別のシャフトセグメント(20)に接続することができることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の内視鏡装置。
【請求項12】
先行する請求項の1つに記載の少なくとも1つの内視鏡装置を有する、内視鏡(10)、特に可撓性内視鏡(10)、及び/又は、内視鏡器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏向可能なシャフトセグメントを有する可撓性シャフトを備える可撓性内視鏡が知られている。これらのシャフトセグメントは、互いに別個に形成され、制御列に糸を通してつながれるか、又はヒンジを介して互いに接続される複数の要素を備える。
【0003】
本発明の目的は特に、効率に関して、特に、より効率的な組み立てに関して、改善された特性を有する、当該タイプの内視鏡装置を利用可能にすることである。この目的は本発明によれば、請求項1の特徴によって達成されるが、本発明の有利な構成及び発展形態は従属請求項に見出すことができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は少なくとも1つの遠位端要素及び少なくとも1つの近位端要素を有する少なくとも1つの偏向可能なシャフトセグメントと、これらの間に、直接隣接し、互いに対して偏向可能である少なくとも1つの第1の中間要素及び少なくとも1つの第2の中間要素とを有する内視鏡装置から出発する。
【0005】
第1の中間要素及び第2の中間要素は、互いに異なるように設計され、互いに一体的に接続されることが提案される。好適には、シャフトセグメントの要素がもはや、形状嵌合及び/又は力嵌合様式で互いに個別に接続される必要がないので、組立てをより効率的にすることができる。むしろ、そのようなシャフトセグメントは例えば射出成形、3D印刷、レーザ加工などによって、一体的に、好ましくは一工程で製造することができる。
【0006】
「内視鏡装置」は特に、内視鏡器具及び/又は内視鏡、特に可撓性内視鏡の構成部品、好ましくは機能構成部品、特にサブアセンブリ及び/又は構造部品及び/又は機能部品を意味すると理解されるべきである。あるいは、内視鏡装置が少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも大部分、特に好ましくは完全に、内視鏡及び/又は内視鏡器具を具現化することができる。内視鏡は、特に可撓性内視鏡である。内視鏡は特に好ましくは廃棄可能内視鏡又は使い捨て内視鏡として設計され、一度だけ使用するように構成される。特に、そのような内視鏡は、使用後にもはや洗浄することができず、及び/又は使用後に特定の欠陥を有するので、再使用することができない。例えば、そのような内視鏡は、殺菌用圧力(オートクレーブ)処理における処理に必要な温度に耐えることができないプラスチックからなることができる。「内視鏡的に」は特に、低侵襲性も意味すると理解されるべきである。「少なくとも大部分」という表現は、特に対象物の体積及び/又は質量に関して、特に少なくとも55%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも85%、非常に特に好ましくは少なくとも95%、又は好適には完全にそのものであることを意味すると理解されるべきである。内視鏡装置は例えば、治療及び/又は検査を行うために、少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも大部分が、オリフィス、特に人工及び/又は自然のオリフィス、特に身体のオリフィスに導入されるように構成される。内視鏡器具は例えば、内視鏡用鉗子、内視鏡用ハサミ、内視鏡用メス、内視鏡用ステープラーなどの形態であり得る。特に、「構成された」は、具体的にプログラムされ、提供され、設計され、及び/又は装備されたことを意味すると理解されるべきである。特定の機能のために構成されている対象物は特に、少なくとも1つのアプリケーション状態及び/又は動作状態において、対象物がこの特定の機能を満たし、及び/又は実行することを意味するものと理解されたい。さらに、内視鏡装置は、手術システムの一部とすることができる。手術システムは特に、少なくとも1つの手術ロボットを含む、手術処置、例えば内視鏡的処置及び/又は低侵襲性処置を実行するように構成されたシステムとして理解されるべきである。手術ロボットは、少なくとも1つの手術ロボットアーム又は複数の手術ロボットアームを備えることができる。内視鏡装置は、手術ロボット、特に手術ロボットアームによって制御可能及び/又は作動可能であり得る。内視鏡デバイスは例えば、内視鏡デバイスの交換及び/又は清掃をするために、手術ロボットに取り外し可能に結合され得る。さらに、手術システムは、手術ロボットの手動及び/又は自動制御のために構成された少なくとも1つのコントローラを備えることができる。
【0007】
内視鏡装置は特に、少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも大部分が、特に人工的及び/又は自然の開口部、特に身体開口部に挿入され得る少なくとも1つのシャフトを有する。シャフトは、好ましくは可撓性である。シャフトは例えば、少なくとも1つの端部及び/又はさらなる端部を備え、端部は例えば、遠位端部であり、及び/又はさらなる端部は近位端部である。「遠位」は特に、患者に面すること、及び/又は動作中にユーザから離れることを意味すると理解されるべきである。「近位」は特に、患者から離れていること、及び/又は動作中にユーザに面していることを意味すると理解されるべきである。シャフトには、主範囲の軸などがある。対象物の主範囲の軸は対象物の幾何学的中点及び/又は重心を通り、対象物の主範囲の方向に少なくとも実質的に平行である軸として理解されるべきである。ここで、対象物の「主範囲の方向」は特に、対象物をまだ完全に取り囲む最小の仮想立方体の最長縁部に平行に延びる方向を意味すると理解されるべきである。例えばシャフトの長手方向の広がりは、シャフトの主要な広がりの方向と同一である。ここで、「少なくとも実質的に平行」とは、特に、基準方向、特に平面に対する方向の配向として理解されるべきであり、特に、8°未満、好適には5°未満、特に好適には2°未満の最大偏差を考慮して、方向及び基準方向が0°の角度を囲む。幅は、長手方向範囲に対して少なくとも実質的に垂直に測定することができる。ここで、「少なくとも実質的に直角」は特に、基準方向、特に平面に対する方向の配向として理解されるべきであり、ここで、方向及び基準方向は特に、8°未満、好適には5°未満、特に好適には2°未満の最大偏差を考慮し、90°の角度を囲む。
【0008】
内視鏡装置は、互いに少なくとも実質的に同一に形成することができる複数の第1の中間要素及び複数の第2の中間要素を有することができる。「少なくとも実質的に同一」は、同一、又は、組立及び/又は製造公差を除いて同一のいずれかを意味すると理解されるべきである。第1の接続要素及び第2の接続要素は、交互に一列に配置することができる。
【0009】
「対象物及びさらなる対象物が少なくとも部分的に一体の実施形態/接続を有する」という事実は特に、対象物の少なくとも1つの要素及び/又は部分、ならびにさらなる対象物の少なくとも1つの要素及び/又は部分が一体の実施形態/接続を有することを意味するものと理解されたい。特に、「一体化」は例えば、溶接プロセス、接着結合プロセス、噴霧プロセス、及び/又は当業者に好都合であると思われる任意の他のプロセスによって、少なくとも密着して結合されることを意味すると理解されるべきである。さらに、「一体」は、一体成形を意味すると理解することもできる。「一体成形」とは、特に、1つの鋳型からの製造及び/又は単一成分もしくは複数成分の射出法での製造によって、好適には1つのブランクから一体で形成されることを意味すると理解されるべきである。内視鏡装置の構成要素は少なくとも部分的に、形状嵌合及び/又は力嵌合によって互いに接続されるべきである。
【0010】
「力嵌合及び/又は形状嵌合」は特に、接続され、好ましくは取り外し可能に接続されることを意味すると理解されるべきであり、保持力は、好ましくは互いに構造構成要素の幾何学的インターロックによって、及び/又は好ましくは物体間で作用する摩擦力によっ
て、2つの物体間で伝達される。代替的に又は追加的に、内視鏡装置の構成要素は、密着結合によって互いに接続することができる。「密着結合」は特に、物体が例えば、はんだ付け、溶接、接着、及び/又は加硫によって、原子又は分子の力によって一緒に保持されることを意味すると理解されるべきである。
【0011】
シャフトは、偏向可能な部分を有することができる。内視鏡装置は、偏向可能部分を偏向させるための少なくとも1つの偏向機構を有することができる。偏向機構は特に、偏向可能なシャフトセグメントの機械的偏向のために設計される。偏向可能なシャフトセグメントは少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも大部分に、特に好ましくは完全に、プラスチック、好ましくは可撓性及び/又は弾性プラスチックから形成される。特に、偏向可能なシャフトセグメントは、少なくとも1つの平面内で偏向され得る。特に、偏向機構は少なくとも1つの制御トレインを備え、制御列は好ましくはたわみ緩みであるように設計される。「たわみ緩み要素」は特に、主延在方向に直角な少なくとも1つの方向にたわみ緩み特性を有する要素、好ましくは細長い要素として理解されるべきである。これは、特に寸法的に不安定な構成要素として理解されることが好ましい。特に好ましくはそれは特に、細長い状態において、主延在の方向に平行に作用する圧力に対向力を加え、その対向力は構成要素の重力よりも小さい構成要素として理解されるべきである。好ましくは、対向力が重力の最大70%、好ましくは最大50%、特に好ましくは最大30%である。ここで、「細長い構成要素」は特に、長手方向の広がりよりも何倍も小さい横方向の広がりを有する構成要素として理解されるべきである。ここで、「何倍も小さい」とは、特に少なくとも3倍小さく、好ましくは少なくとも5倍小さく、特に好ましくは少なくとも10倍小さいと理解されるべきである。
【0012】
偏向可能なシャフトセグメントは第1の中間要素と第2の中間要素とを一体的に接続し、偏向可能なセグメントの偏向時に第1の中間要素及び第2の中間要素をその周りで偏向させることができる回転軸を画定する、少なくとも2つの相互に対向するウェブを備えることがさらに提案される。好適には、安定性を向上させることができ、同時に、偏向可能なシャフトセグメントの十分な偏向性を確保することができる。さらに、偏向可能なシャフトセグメントは、第1の中間要素と第2の中間要素とを互いに接続する少なくとも2つのウェブを有することができる。2つのウェブは、好ましくは互いに対向して配置される。2つのウェブ及びそれらの偏向点は特に、偏向可能なシャフトセグメントを偏向させることができる平面を画定する。ウェブは、中間要素とは異なる材料からなることが考えられる。例えば、ウェブは、中間要素上に射出成形することができる。しかしながら、ウェブは、好ましくは中間要素と同じ材料からなる。
【0013】
本発明のさらなる態様では特に、前述の態様とは別個に、又は前述の態様と組み合わせて考えることができるが、第1の中間要素及び第2の中間要素はそれぞれ、中間要素の円周に沿って閉じられ、少なくとも1つの作業チャネル及び/又は少なくとも1つの導体線が配置され得る、受容凹部を有することがさらに提案される。作業チャネル及び電子導体を1つの作業ステップで挿入することができるので、組み立ては、好適にはさらに単純化することができる。特に、内視鏡装置は、作業チャネル及び/又は電子導体を備える。電子導体は例えば、フレックスプリントケーブルなどであってもよい。作業チャネルは、特にチューブ、特に可撓性チューブによって形成される。中間セグメントは、好ましくはそれぞれ、全ての電子導体又は作業チャネルが配置される単一の受容凹部のみを有する。
【0014】
偏向可能なシャフトセグメントの非偏向状態において、中間要素の受容凹部は、互いに合同に配置されることがさらに提案される。好適には、作業チャネル及び/又は導電体の導入をさらに改善することができる。
【0015】
さらに、受容凹部が主軸を有し、それに沿って受容凹部が鏡面対称であり、主軸に対して少なくとも実質的に直角に配向され、それに沿って受容凹部が鏡面対称ではない二次軸を有することが提案される。好適には、偏向可能なシャフトセグメント内の作業チャネル及び導電体の確実な座部を確保することができる。主軸は特に、受容凹部の主延在方向に沿った軸として理解されるべきである。「主軸」は特に、受容凹部の最大直径に沿って延びる軸を意味すると理解されるべきである。「二次軸」は特に、受容凹部の最小直径に沿って延びる軸を意味すると理解されるべきである。受入凹部の主軸は特に、シャフトの主延在に対して少なくとも実質的に直角である。受容凹部は特に楕円形状を有し、特に好ましくは卵の線又は曲線の形状である。特に、受容凹部はこれらの円を介して互いに接線方向に接触し、これらの円を接続する2つの直線の形状を有し、円の一方は、他方よりも大きい半径を有する。作業チャネル又は作業チャネルを形成するチューブが受容凹部内に挿入される場合、作業チャネルは、180°を超える円周角度だけ作業チャネルを包含する。
【0016】
受容凹部及びウェブは偏向可能なシャフトセグメントの非偏向状態において、受容凹部の主軸がウェブの回転軸に少なくとも実質的に平行であるように、互いに対して配向されることがさらに提案される。好適には、偏向可能なシャフトセグメントの偏向性を改善することができる。
【0017】
さらに、第1の中間要素及び第2の中間要素はそれぞれ、偏向可能なシャフトセグメントを偏向させるための少なくとも1つの制御列を配置することができる、互いに対向して配置された少なくとも2つのガイドフックを有することが提案される。中間要素は慣例のように制御列に糸を通してつながれる必要がなく、代わりに、制御列をガイドフックに横方向に挿入することができるので、組立をさらに簡略化することができる。2つのガイドフックは、主軸に対して互いに鏡面対称に対向している。
【0018】
ガイドフックはそれぞれ、挿入開口部、第1の中間要素の挿入開口部、及び第2の中間要素の挿入開口部を有し、反対方向に開口することがさらに提案される。制御列をシャフトセグメントに織り込むことができるので、組み立てをさらに簡略化することができる。「横方向に」は、ここでは特に半径方向としても理解されるべきである。
【0019】
ガイドフックは、中間要素の円周に沿ってウェブに対してオフセットして配置されることがさらに提案される。好適には、ウェブによって画定されるピボット点が制御列によって補強又は遮断される状況を回避することができる。特に、ガイドフック及びウェブは、それぞれの中間要素の円周に沿って、少なくとも45°だけ、好ましくは90°だけ互いにずれている。
【0020】
カメラヘッドを遠位端要素内に配置することができることがさらに提案される。好適には、カメラヘッド及び偏向可能なシャフトセグメントからなる構造ユニットをこのように形成することができ、これをさらなるステップで設置することができ、又は修理及び/又は保守中に全体として交換することができるので、アセンブリをさらに簡略化することができる。カメラヘッドは特に、力嵌合及び/又は形状嵌合方式で端部要素に接続される。代替的に又は追加的に、カメラヘッドは、端部要素に一体的に接続することができる。例えば、鉗子、はさみなどのエンドエフェクタが遠位端要素に配置され得ることも考えられる。近位端要素は、少なくとも力嵌合及び/又は形状嵌合の方法で、さらなるシャフトセグメントに接続することができることがさらに提案される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
さらなる利点は、以下の図面の説明から明らかになるのであろう。図面は、本発明の例示的な実施形態を示す。図面、説明及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含
む。当業者は便宜上、特徴を個々に考慮し、それらをさらに意味のある組み合わせに組み合わせる。
【
図1】内視鏡装置を備えた内視鏡の概略斜視図を示す。
【
図2】内視鏡装置の偏向可能なシャフトの概略斜視図を示す。
【
図3】偏向可能シャフトの偏向可能シャフトセグメントの中間要素の概略断面図を示す。
【
図4】代替的な内視鏡装置の偏向可能なシャフトセグメントの中間要素の概略断面図を示す。
【
図5】さらなる代替の内視鏡装置の偏向可能なシャフトセグメントの中間要素の概略断面図を示す
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、内視鏡装置を有する内視鏡10の概略斜視図を示す。この場合、内視鏡10は、可撓性内視鏡として設計される。さらに、内視鏡10は、使い捨て内視鏡又は使い捨て内視鏡として設計される。この場合、内視鏡装置は、内視鏡10を完全に形成する。あるいは、内視鏡装置が内視鏡の一部であってもよい。内視鏡を形成する代わりに、内視鏡装置は、内視鏡鉗子、ハサミなどの内視鏡器具を形成することも考えられる。
【0023】
内視鏡装置は、ハンドル12を備える。内視鏡装置はさらに、シャフト14を備える。シャフト14は可撓性である。ハンドル12は、制御手段16を備える。本例では、制御手段16がレバーの形態である。シャフトの少なくとも一部の撓みは、制御手段によって達成することができる。シャフト14は、偏向可能なシャフトセグメント18を有する。さらに、シャフト14は、さらなるシャフトセグメント20を有する。さらなるシャフトセグメント20は、その曲げを外部条件に適合させる受動的又は可撓性のシャフトセグメント20である。対照的に、偏向可能なシャフトセグメント18は、能動的に制御可能又は偏向可能である。偏向可能なシャフトセグメント18及びさらなるシャフトセグメント20は、互いに接続される。
【0024】
図2は、偏向可能なシャフトセグメント18の概略斜視図を示す。偏向可能なシャフトセグメント18は、一体に形成される。例えば、偏向可能なシャフトセグメント18は、射出成形によって製造することができる。偏向可能なシャフトセグメント18は、互いに対して移動可能な複数の相互接続された要素22、24、26、28を有する。これらの要素22、24、26、28の1つは、遠位端要素22である。内視鏡装置は、カメラヘッド(図示せず)を有する。カメラヘッドは、遠位端要素22に接続される。この場合、カメラヘッドは、力嵌合及び/又は形状嵌合方式で遠位端要素22に接続される。代替又は追加として、カメラヘッドはまた、材料的に結合された様式で遠位端要素に接続され得る。代替的に、カメラヘッドの代わりに、例えば内視鏡装置が内視鏡器具の一部であるか又は内視鏡器具を形成する場合、エンドエフェクタを遠位端要素に配置することもできる。
【0025】
さらに、偏向可能なシャフトセグメントは、近位端要素24を有する。近位端要素24は、力嵌合及び/又は形状嵌合方式で他のシャフトセグメント20に接続される。近位端要素24は、接続を生成する働きをする複数の舌部を有する。
【0026】
さらに、偏向可能なシャフトセグメント18は、複数の中間要素26、28を有する。この場合、偏向可能なシャフトセグメント18は、多数の中間要素26、28、例えば10個の中間要素を有する。中間要素26、28の数は、偏向可能なシャフトセグメント18の所望の偏向角又は偏向半径に応じて、当業者によって自由に選択することができる。この場合、偏向可能なシャフトセグメント18は、異なる中間要素26、28、特に第1の中間要素26及び第2の中間要素28を有する。第1の中間要素26及び第2の中間要素28は、互いに隣接して配置される。近位端要素22及び遠位端要素24によって閉鎖される偏向可能なシャフトセグメントの近位端及び遠位端を除いて、第1の中間要素26は、2つの第2の中間要素28によって直接隣接する。さらに、各第2の中間要素28は、2つの第1の中間要素26によって直接隣接される。言い換えれば、第1の中間要素26及び第2の中間要素28は、交互に配置又は並べられる。第1の中間要素26は互いに異ならないので、それらのうちの1つのみが、本明細書においてより詳細に説明され、同じ参照番号が与えられる。第2の中間要素28も互いに異ならないので、1つの第2の中間要素のみが、本明細書においてより詳細に説明され、同じ参照番号が与えられる。
【0027】
第1の中間要素26及び第2の中間要素28は、互いに異なるように設計される。第1の中間要素26及び第2の中間要素28は、直接隣接している。第1の中間要素26及び第2の中間要素28は、互いに対して偏向可能である。第1の中間要素26及び第2の中間要素28は、互いに異なるように設計され、一体に互いに接続される。
【0028】
偏向可能なシャフトセグメント18は、第1の中間要素26と第2の中間要素28とを互いに接続する2つのウェブ30を有する。ウェブ30は、互いに対向して配置される。ウェブ30は、中間要素26、28が互いに対して偏向される回転軸46を画定する。
【0029】
図3は、偏向可能なシャフトセグメント18の概略断面図を示す。第1の中間要素26及び第2の中間要素28はそれぞれ、中間要素26、28の円周に沿って閉じられ、少なくとも1つの作業チャネル(図示せず)及び/又は少なくとも1つの導体線(図示せず)が配置され得る、受容凹部32を有する。偏向可能なシャフトセグメント18の非偏向状態において、中間要素26、28の受容凹部32は、互いに一致して配置される。内視鏡装置はまた、作業チャネル及び/又は導体線を備える。作業チャネルは、チューブによって形成される。導体線はフレックスプリントケーブルである。明確にするために、このチャネル及び作業チャネルは、図には示されていない。
【0030】
受容凹部32は、主軸34を有する。受容凹部32は、主軸34に沿って鏡面対称である。さらに、受容凹部32は、二次軸36を有する。二次軸36は、主軸34に対して少なくとも実質的に直角である。受容凹部32は、二次軸36に沿って鏡面対称ではない。受容凹部32は、楕円形状を有している。より正確には、受容凹部32が卵の線又は曲線の形状を有する。受容凹部32はこれらの円38、40に接線方向に隣接し、これらの円38、40に接線方向に接する2つの直線を介して互いに接続された2つの円38、40の形状を有する。一方の円38は、他方の円40の半径44よりも大きい半径42を有する。
【0031】
作業チャネルは、受入凹部32のより大きな半径42を有する円38の領域に配置することができる。作業チャネルを形成する管が受容凹部32内にある場合、円38は180°を超える円周角度で作業チャネルを取り囲み、その結果、作業チャネルは、滑り落ちないように有利に固定される。導体線は、より小さい半径44の円40の領域に配置される。
【0032】
受容凹部32及びウェブ30は、偏向可能なシャフトセグメント18の非偏向状態において、ウェブ30の旋回点によって画定される回転軸46が受容凹部32の主軸に少なくとも実質的に平行であるように、互いに対して配向される。
【0033】
内視鏡装置は、動力伝達のための偏向機構を有する。偏向機構は、少なくとも1つの制御列を備える。明確にするために、偏向機構及び制御列は、図には示されていない。この場合、偏向機構は、2つの制御列を備える。これらの制御列は、制御手段16に結合される。制御列は、制御手段16によってトリガされる。制御列は、偏向可能なシャフトセ
グメント18上に配置される。さらに、制御列は、偏向可能なシャフトセグメント18の遠位端要素22に接続される。
【0034】
制御列の1つの構成では、第1の中間要素26及び第2の中間要素28はそれぞれ、少なくとも1つのガイドフック48、50を有する。偏向可能なシャフトセグメント18を偏向させるための制御列は、ガイドフック48、50内に配置することができる。この場合、中間要素26、28のそれぞれは、2つのガイドフック48、50をそれぞれ有する。ガイドフック48、50は、中間要素26、28の円周に沿ってウェブ30に対してオフセットして配置される。ガイドフック48、50は、互いに対向して配置される。
【0035】
ガイドフック48、50はそれぞれ、挿入開口部52、54を有する。第1の中間要素26の挿入開口部52と第2の中間要素28の挿入開口部54とは、対向して配置される。中間要素26、28が交互に並んで配置されているので、ガイドフック48、50の挿入開口52、54のそれぞれの開口方向も交互になる。
【0036】
上述の中間要素26、28と同様に、遠位端要素22及び近位端要素24もそれぞれ、受容凹部32を有する。さらに、遠位端要素及び近位端要素は、同じ方法でガイドフックを有することができる。遠位端要素22は同様に、ウェブ30を介して第1の中間要素26のうちの1つに一体的に接続される。さらに、近位端要素24は、同じ方法で第2の中間要素28のうちの1つに一体的に接続される。
【0037】
図4及び
図5は、本発明の2つのさらなる例示的な実施形態を示す。以下の説明及び図面は、例示的な実施形態間の相違に本質的に限定され、同じラベルを有する構成要素に関して、特に同じ参照符号を有する構成要素に関して、原則として、図面及び/又は他の例示的な実施形態の説明も参照される。例示的な実施形態を区別するために、文字a及びbは、以下の例示的な実施形態の参照符号に付加されている。
【0038】
図4は、代替的な内視鏡装置の偏向可能なシャフトセグメント18aの中間要素26aの断面図を示す。中間要素26aは、受容凹部32aを有する。受容凹部32aは、主軸34aを有する。受容凹部32aは、主軸34aに沿って鏡面対称である。また、受容凹部32aは、二次軸36aを有している。二次軸36aは、主軸34aに対して少なくとも実質的に直角である。受容凹部32aは、二次軸36aに沿って鏡面対称ではない。受容凹部32aは、鍵穴状の形状を有している。受容凹部32aは、アーチ41aによって広げられた円38aの形状を有する。円38aは、アーチ41aによって画定される領域よりも大きい領域を画定する。
【0039】
作業チャネルは、円38aの領域に配置することができる。作業チャネルを形成する管が受容凹部32a内にある場合、円38aは270°を超える円周角度だけ作業チャネルを取り囲み、その結果、作業チャネルは、滑り落ちないように有利に固定される。アーチ41aの領域には、導体線が配置されている。
【0040】
図5は、さらなる代替の内視鏡装置の偏向可能なシャフトセグメント18bの中間要素26bの断面図を示す。中間要素26aは、受容凹部32bを有する。受容凹部32bは、アーチ41bによって広げられた円38bの形状を有する。円38bは、アーチ41bによって画定される領域よりも実質的に大きい領域を画定する。この場合、円38bによって画定される領域は、アーチによって画定される領域よりも、少なくとも5倍、好ましくは10倍大きい。アーチ41bは、この場合、スリットに狭められる。
【0041】
作業チャネルは、円38bの領域に配置することができる。作業チャネルを形成する管が受容凹部32b内にある場合、円38bは340°を超える円周角度だけ作業チャネル
を取り囲み、その結果、作業チャネルは、滑り落ちないように有利に固定される。アーチ41bの領域には、導体線が配置されている。
【符号の説明】
【0042】
10 内視鏡
12 ハンドル
14 シャフト
16 制御手段
18 偏向可能なシャフトセグメント
20 更なるシャフトセグメント
22 遠位端要素
24 近位端要素
26 第1の中間要素
28 第2の中間要素
30 ウェブ
32 受入凹部
34 主軸
36 二次軸
38 円
40 円
41 アーチ
42 半径
44 半径
46 回転軸
48 ガイドフック
50 ガイドフック
52 挿入口
54 挿入口
【国際調査報告】