(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】超音波走査を実施するためのロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538134
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2021086841
(87)【国際公開番号】W WO2022136294
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523165721
【氏名又は名称】ロプカ、アンパルトゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】ROPCA APS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス、ケムニツ、アルビヌス、ヨーアンセン
(72)【発明者】
【氏名】ティウシウス、ラジース、サバリムトゥ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601EE04
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601GA26
4C601JC06
4C601JC37
(57)【要約】
患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステム。ロボットシステムは、超音波プローブを保持して移動させるように構成された位置決め装置と、位置データを取得するように構成されたセンサと、制御ユニットとを備える。制御ユニットは、受信した位置データに基づいた第1の移動命令と、身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャを使用する第2の移動命令とを生成するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを備える超音波撮像システムを使用して患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムであって、
前記超音波プローブを保持して移動させ、前記身体部分の前記超音波走査を取得するように構成された位置決め装置と、
前記身体部分の位置データを取得するように構成されたセンサと、
前記センサから位置データを受信し、
前記受信した位置データに基づいて、前記超音波プローブを移動させて前記身体部分の第1の超音波画像を取得するための、前記位置決め装置に対する第1の移動命令を生成し、
前記超音波撮像システムから前記身体部分の前記第1の超音波画像を受信し、かつ
前記身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャ(a machine learning data architecture)を使用して、前記受信した第1の超音波画像を評価する
ように構成された制御ユニットと
を備える、ロボットシステム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、
前記評価された前記第1の超音波画像に基づいて、前記超音波プローブを移動させて前記身体部分の第2の超音波画像を取得するための、前記位置決め装置に対する第2の移動命令を生成する
ようにさらに構成される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記位置決め装置に対する前記第1の移動命令は、前記超音波プローブを移動させて、複数の位置において前記身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するためのものである、請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記第2の移動命令は、前記第1の超音波画像が取得された位置に前記超音波プローブを移動させ、その位置で前記身体部分の前記第2の超音波画像を取得するための、前記位置決め装置に対する命令である、請求項2又は3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
前記受信した位置データに基づいて、前記身体部分上の標的領域(a target area)を決定する
ようにさらに構成され、前記第1の移動命令は、前記標的領域内で前記超音波プローブを移動させて、前記身体部分の前記第1の超音波画像を取得するためのものである、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
前記身体部分の超音波画像を評価するように訓練された前記機械学習データアーキテクチャを使用して、前記第1の超音波画像にスコアを割り当てる
ようにさらに構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記制御ユニットは、
前記第1のスコアに基づいて、前記第1の超音波画像を第1のグループ又は第2のグループに分類する
ようにさらに構成される、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記第1の超音波画像が前記第1のグループに分類される場合、前記第2の移動命令は、前記第1の超音波画像の第1の取得位置及び/又は第1の取得向きを含む、請求項2から4のいずれか一項に従属する場合の請求項7に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットは、
前記超音波撮像システムから、前記身体部分の第2の超音波画像を受信する
ようにさらに構成される、請求項1から8及び請求項2のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記第1の超音波画像は第1の詳細レベルを含み、前記第2の超音波画像は第2の詳細レベルを含み、前記第2の詳細レベルは前記第1の詳細レベルよりも高い、請求項9に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、
前記身体部分の超音波画像を評価するように訓練された前記機械学習データアーキテクチャを使用して、前記第2の超音波画像に第2のスコアを割り当てる
ようにさらに構成される、請求項9又は10に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、
前記第2のスコアに基づいて、前記第2の超音波画像を第3のグループ又は第4のグループに分類する
ようにさらに構成される、請求項11に記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、
前記第2の超音波画像が前記第3のグループに分類される場合、前記超音波撮像システムが第3の超音波画像を取得するための超音波制御信号を生成する
ようにさらに構成され、前記第3の超音波画像は第3の詳細レベルを含み、前記第3の詳細レベルは前記第1の詳細レベル及び前記第2の詳細レベルよりも高い、請求項10及び12に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波走査は、例えば、胎児を走査するとき、手若しくは足のけが、又は関節リウマチ若しくは痛風などの疾患を診断するときの診断ツールとして、医療界で広く用いられている。
【0003】
ほとんどの超音波走査は、訓練された医療専門家によって行われる。しかしながら、最も訓練された超音波技術者であっても、一貫した効率的な態様で超音波走査を実施することは困難である。さらに、訓練された医療専門家は限られた数しかいないので、訓練された医療専門家に検査してもらうための待ち時間は非常に長い場合がある。長い待ち時間は、検査される前に疾患又はけがが悪化することにつながる可能性がある。
【0004】
上記の問題のいくつかを克服するために、ロボット超音波システムが開発されている。ロボット超音波システムは、患者の待機時間を短縮し、超音波走査を改善することができる、効率的で一貫した態様で超音波走査を取得することができる。
【0005】
そのようなシステムの一例は、米国特許第10,470,740号明細書に見られる。米国特許第10,470,740号明細書は、超音波検査のためにロボットアームを移動させる方法を開示しており、ロボットアームには超音波プローブが取り付けられている。関連する超音波システムも開示されている。一実施形態では、本方法は、医療問題を記録する訓練された人工ニューラルネットワークを提供することと、訓練された人工ニューラルネットワークを医療問題に適用することによって、ロボットアームの動作シーケンスを含む動作データセットを決定することと、動作データセットをロボットアームのコントローラに転送し、動作データセットの動作シーケンスに従ってロボットアームを移動させることとを含む。
【0006】
しかしながら、これらのシステムは依然として欠点を抱えている。ロボットシステムでは、高品質の超音波画像を達成するのに依然として苦労している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第10,470,740号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、改良されたロボットシステムを提供することである。
【0009】
本発明の第1の態様では、この及びさらなる目的は、超音波プローブを備える超音波撮像システムを使用して、患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムであって、超音波プローブを保持して移動させ、身体部分の超音波走査を取得するように構成された位置決め装置と、身体部分の位置データを取得するように構成されたセンサと、センサから位置データを受信し、受信した位置データに基づいて、超音波プローブを移動させて身体部分の第1の超音波画像を取得するための、位置決め装置に対する第1の移動命令を生成し、超音波撮像システムから身体部分の第1の超音波画像を受信し、かつ身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャ(a machine learning data architecture)を使用して、受信した第1の超音波画像を評価するように構成された制御ユニットとを備える、ロボットシステムによって達成される。
【0010】
その結果、高度に訓練された人員を必要とせずに患者の高品質の超音波画像を達成することができる、身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムが提供される。最初に第1の超音波画像を取得し、次いでこれらを評価することによって、高品質の超音波画像を取得することが可能である。さらに、超音波画像の評価が自動化されるため、超音波走査を迅速に行うことができ、最良の超音波画像を迅速に識別することができる。
【0011】
身体部分は、超音波走査を受ける患者の手、足、腕、脚、胴体、又は他の身体部分であってもよい。
【0012】
超音波撮像システムは、超音波プローブが超音波を放射及び検出するように構成されている任意のシステムであってもよい。超音波撮像システムは、超音波プローブに動作可能に接続された超音波処理ユニットをさらに備えることができる。超音波処理ユニットは、本明細書に記載の機能を実施するように適切に適合された任意の回路及び/又は装置を備えるユニットである。超音波処理ユニットは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、又はそれらの組み合わせなどの汎用又は専用のプログラマブルマイクロプロセッサを備えることができる。超音波処理ユニットは、超音波プローブの動作、すなわち超音波プローブからの超音波の放射率を制御することができる。超音波処理ユニットは、超音波プローブに通信可能に接続されてもよい。超音波処理ユニットは、検出された超音波を示すデータを超音波プローブから受信するように構成されてもよい。超音波処理ユニットは、超音波プローブから受信した検出された超音波を示すデータに基づいて超音波画像を生成するように構成されてもよい。超音波処理ユニットは、制御ユニットから信号を受信し、及び/又は制御ユニットに信号を送信するために、制御ユニットに通信可能に接続されてもよい。超音波処理ユニットは、生成された超音波画像を制御ユニットに送信するように構成されてもよい。制御ユニットは、超音波撮像システムの動作を制御するために、超音波撮像システムに制御信号を送信することができる。制御信号は、超音波画像を取得するために使用される超音波モードを制御することができる。制御信号は、超音波撮像システムのパラメータ、例えば、超音波撮像システムによって放射される超音波の強度、周波数、及び/又は変調を制御することができる。
【0013】
制御ユニットは、本明細書に記載の機能を実施するように適切に適合された任意の回路及び/又は装置を備えるユニットである。制御ユニットは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、又はそれらの組み合わせなどの汎用又は専用のプログラマブルマイクロプロセッサを備えることができる。制御ユニットは、信号を送信及び受信するための送信機、受信機、及び/又はトランシーバを備えることができる。制御ユニットは、第1の超音波画像及び/又は第2の超音波画像を記憶するためのデータストレージを備えることができる。ロボットシステムはディスプレイを備えることができ、ディスプレイは制御ユニットに動作可能に接続されてもよい。制御ユニットは、データストレージから超音波画像を検索し、超音波画像をディスプレイに表示することができる。
【0014】
制御ユニットは、センサに通信可能に接続される。センサは、2Dカメラ及び/若しくは3Dカメラ、並びに/又はLIDARセンサであってもよい。
【0015】
位置データは、位置決め装置に対する身体部分の位置に関するデータを含むことができる。位置データは、位置決め装置に対する身体部分の向きに関するデータを含むことができる。位置データは、システム座標における身体部分の位置及び/又は向きを示すことができ、位置決め装置の位置及び/又は向きは、システム座標内で既知である。センサは、走査中に位置データを連続的に取得するように構成されてもよく、したがって、制御ユニットは、走査中の身体部分の動きを考慮に入れることができる。
【0016】
生成された第1の移動命令は、超音波プローブを移動させて、第1の位置及び向きにある身体部分の第1の超音波画像を取得するように、位置決め装置に命令することができる。生成された第1の移動命令は、超音波プローブを移動させて、複数の第1の位置及び向きにある身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するように、位置決め装置に命令することができる。第1の移動命令は、超音波画像をいつどのように取得するかについて、超音波撮像システムに対する制御信号と共に生成されてもよく、例えば、制御ユニットは、第1の移動命令に基づいて、所望の位置に到達したという決定に応答して制御信号を生成することができる。
【0017】
受信した第1の超音波画像は、単一の第1の超音波画像であっても、複数の第1の超音波画像であってもよい。複数の第1の超音波画像は、掃引走査(a sweeping scan)によって取得されてもよく、超音波プローブが、複数の第1の超音波画像を取得しながら連続的に移動させられる。代替的に、超音波プローブは、複数の第1の超音波画像を取得している間、異なる位置に固定されたままでもよい。制御ユニットは、超音波撮像システムによって取得された超音波画像を連続的に受信するように構成されてもよい。超音波撮像システムは、超音波画像が取得されると、取得された超音波画像を制御ユニットに連続的に送信することができる。
【0018】
第1の超音波画像を評価することは、第1の超音波画像にスコアを割り当てることを含むことができる。第1の超音波画像を評価することは、第1の超音波画像内の解剖学的特徴を決定することを含むことができ、例えば、第1の超音波画像内の関節の位置を決定することができる。第1の超音波画像を評価することは、第1の超音波画像の画質を決定することを含むことができる。第1の超音波画像を評価することは、より高品質の第2の超音波画像を取得するための、位置決め装置に対する命令を決定することを含むことができる。
【0019】
機械学習データアーキテクチャは、複数の訓練用超音波画像を含む訓練用データセットを評価することによって訓練されてもよい。複数の訓練用超音波画像は、医療従事者によって取得された超音波画像であってもよい。複数の訓練用超音波画像は、ロボットシステムによって以前に取得された超音波画像であってもよい。訓練用超音波画像の各々は、超音波画像の品質を示す訓練用超音波画像の品質を示すために、添付されたスコアを有することができる。スコアは医療専門家によって割り当てられてもよく、すなわち、機械学習データアーキテクチャは教師あり学習モデルであってもよい。品質は、診断目的で使用される超音波画像の能力を示すことができる。医療専門家は、スコアを割り当てるときに自身の経験を使用することができる。スコアは、バイナリスコア、例えば悪い/良い、又は例えば0から100のスケールのスコアであってもよい。機械学習データアーキテクチャは、例えば手及び足の異なる関節を評価するために、異なる解剖学的特徴について訓練されてもよい。したがって、各関節に対して、機械学習データアーキテクチャに特定の訓練用データセットを提供しておくことができる。機械学習データアーキテクチャは、深層構造化学習アーキテクチャなどの人工ニューラルネットワークであってもよい。ロボットシステムが関節を走査するために使用される場合、機械学習データアーキテクチャは、関節包(a joint capsule)及び関節包を取り囲む骨の画質を識別及び評価するように訓練されてもよい。
【0020】
一実施形態では、制御ユニットは、
評価された第1の超音波画像に基づいて、超音波プローブを移動させて身体部分の第2の超音波画像を取得するための、位置決め装置に対する第2の移動命令を生成する
ようにさらに構成される。
【0021】
その結果、ロボットシステムは、超音波画像を取得するために反復手法を用い、したがって、第1の超音波画像の品質の確認が可能になる。生成された第2の移動命令は、超音波プローブを移動させて、第2の位置及び向きにある身体部分の第2の超音波画像を取得するように、位置決め装置に命令することができる。生成された第2の移動命令は、超音波プローブを移動させて、複数の第2の位置及び向きにある身体部分の複数の第2の超音波画像を取得するように、位置決め装置に命令することができる。代替的に、生成された第2の移動命令は、位置決め装置にその現在位置に留まるように命令することができる。第2の移動命令は、第1の超音波画像が十分な品質であると評価したことに応答して生成されてもよい。次いで、第2の移動命令は、第1の超音波画像が獲得された位置に立ち戻るように位置決め装置に促す命令であってもよい。代替的に、第1の超音波画像の品質が不十分であると決定された場合、第2の移動命令は、超音波プローブを移動させて、第1の超音波画像が獲得された位置とは異なる位置で身体部分の第2の超音波画像を取得するように、位置決め装置に促すことができる。第1の超音波画像が1つ以上の欠陥を含むと評価されて品質が不十分である場合、コントローラは、1つ以上の欠陥を克服し、十分な品質の第2の超音波画像を達成するための第2の移動命令を生成することができる。例えば、機械学習データアーキテクチャを使用するコントローラは、第1の超音波画像が左若しくは右に歪んでいるか、又は焦点が合っていないと評価し、次いで、例えば超音波プローブを右若しくは左に移動させることによって、又は焦点を改善するために超音波プローブの向きを変更することによって、評価された欠陥を補償するための第2の移動命令が生成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、位置決め装置に対する第1の移動命令は、複数の位置で身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するために超音波プローブを移動させるためのものである。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の移動命令は、第1の超音波画像が取得された位置に超音波プローブを移動させ、その位置において身体部分の第2の超音波画像を取得するための、位置決め装置に対する命令である。複数の第1の超音波画像が、潜在的に複数の位置において取得される場合、第2の移動命令は、第1の超音波画像の少なくとも1つが取得された位置に超音波プローブを移動させ、その位置において身体部分の第2の超音波画像を取得するための、位置決め装置に対する命令であってもよい。
【0024】
第2の移動命令は、第1の位置又は複数の第1の位置において、それぞれ第1の超音波画像又は複数の第1の超音波画像を取得することに応答して生成することができる。第1の超音波画像又は複数の第1の超音波画像は、第1の詳細レベルを含むことができる。
【0025】
制御ユニットは、受信した第1の超音波画像の画質を決定するようにさらに構成されてもよい。超音波画像の画質は、品質スコアを含んでもよく、及び/又は品質スコアであってもよい。スコアが機械学習データアーキテクチャを使用することによって決定される場合、品質スコアは、スコアであってもよく、及び/又はスコアを含んでもよい。超音波画像の画質は、第1の超音波画像に見られる解剖学的特徴のうちの1つ以上、並びに/又は走査される身体部分に対する超音波プローブの向き及び配置に基づいてもよい。
【0026】
制御ユニットは、決定された第1の超音波画像の画質を比較することができる。制御ユニットは、複数の第1の超音波画像のそれぞれの決定された品質を比較し、及び/又は第1の超音波画像の画質を画質閾値と比較することができる。画質閾値は、制御ユニットによって潜在的に決定される、所定の画質閾値又は適応画質閾値であってもよい。
【0027】
複数の第1の画像が取得される場合、制御ユニットは、複数の画像の決定された画質の比較に潜在的に基づいて、複数の第1の超音波画像のうちのどの第1の超音波画像が最高の画質を有するかを決定することができる。追加的又は代替的に、制御ユニットは、決定された最高の画質などの超音波画像の画質が必要な画質閾値を満たすかどうかを決定することができる。潜在的に、第2の移動命令は、決定された最高の画質を有する第1の超音波画像が取得された位置に立ち戻ることであってもよい。制御ユニットは、超音波プローブを移動させて、立ち戻った位置において第2の超音波画像又は複数の第2の超音波画像を取得するための、位置決め装置に対する第2の移動命令を生成することができる。第2の超音波画像は、第2の詳細レベルを有することができる。
【0028】
この及び他の実施形態では、第2の詳細レベルは、第1の詳細レベルよりも高くてもよい。
【0029】
代替的又は追加的に、第2の移動命令は、第2の超音波画像又は複数の第2の超音波画像を取得するための所望の第2の位置に関する、制御ユニットによる予測に応答して生成されてもよい。予測は、第1の位置又は複数の第1の位置で取得された第1の超音波画像の評価に基づくことができる。第1の超音波画像の評価は、第1の超音波画像の画質を決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、評価に基づいて、後続の第1の超音波画像又は複数の後続の第1の超音波画像を取得するために、後続の第1の位置などの後続の位置を予測することができる。予測される後続位置は、制御ユニットが、第1及び/又は第2の超音波画像が第1の画像よりも高い画質を有すると推定する位置であってもよい。制御ユニットは、予測された後続の第1の位置に基づいて、超音波プローブを後続の位置に移動させ、後続の第1の超音波画像又は複数の後続の第1の超音波画像を取得するように位置決め装置に命令することができる。
【0030】
制御ユニットは、後続の第1の超音波画像を受信し、後続の評価を行うことができる。後続の第1の超音波画像の後続の評価に基づいて、制御ユニットは、後続の及び/又はすでに訪れた位置でさらなる後続の第1の超音波画像を取得する必要性があるかどうかを予測することができる。制御ユニットは、決定された画質が決定された又は所定の閾値品質を超える後続の第1の超音波画像が取得される後続の位置に達するまで、後続の第1の超音波画像を受信し、後続の評価及び予測を継続することができる。決定された又は予め設定された閾値を満たす決定された画質を有する後続の第1の超音波画像を受信したことに応答して、制御ユニットは、第2の詳細レベルを有する第2の超音波画像又は複数の第2の超音波画像を取得するように超音波プローブに命令することができる。
【0031】
一実施形態では、位置決め装置はロボットアームを備える。
【0032】
ロボットアームを提供することにより、超音波プローブの移動における高い自由度が達成される。位置決め装置は、超音波プローブを保持し、超音波プローブを移動させるように構成された任意の多関節アームであってもよい。ロボットアームは、互いに連結された複数のジョイントを備えることができる。ロボットアームは、三次元での移動が可能であってもよい。多関節アームは、超音波プローブを保持するためのホルダを備えることができる。ホルダは、ロボットアームのエンドピース(an end piece)に一体化されてもよい。エンドピースは、ロボットアームの最後のジョイントであってもよい。代替的に、ホルダは、ロボットアームのエンドピースに接続可能であってもよい。ロボットアームには、有線又は無線接続のいずれかを介して信号を受信及び送信するための受信機、送信機、及び/又はトランシーバが設けられてもよい。ロボットアームは、ロボットアーム処理装置をさらに備えることができる。ロボットアーム処理装置は、本明細書に記載の機能を実施するように適切に適合された任意の回路及び/又は装置を備える装置である。ロボットアーム処理装置は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、又はそれらの組み合わせなどの汎用又は専用のプログラマブルマイクロプロセッサを備えることができる。ロボットアームには、アームセンサが設けられてもよい。アームセンサは、ロボットアームの移動に関するデータを収集するためのものであってもよく、そのようなアームセンサは、ジャイロスコープ又は加速度計であってもよい。アームセンサは、自動走査を受ける患者にロボットアームが加える力を検出するように構成された力センサであってもよい。アームセンサは、制御ユニットに通信可能に接続され、検出されたデータを制御ユニットに送信することができる。ロボットアーム処理装置は、制御ユニットから信号を受信し、受信したデータに基づいてロボットアームの移動を調整することができる。ロボットアームが設けられたセンサによって収集されたデータは、制御ユニットに送信されてもよい。制御ユニットは、ロボットアームの移動を制御する際に受信したセンサデータを使用することができる。
【0033】
位置決め装置は、代替的に、超音波プローブを保持し、超音波プローブを移動させて、超音波走査を取得するように構成されたレールシステムであってもよい。レールシステムは、レールシステムのレールに接続された超音波プローブホルダを備えることができる。レールシステムは、それぞれに対して傾斜した2つのレールを備えることができ、したがって、2つのレールによって定義された平面内での移動が可能になる。2つのレールは、互いに垂直であってもよい。レールシステムは、それぞれに対して傾斜した3つのレールを備えることができ、したがって、3つのレールによって定義された3D空間内での移動が可能になる。3つのレールは、互いに垂直であってもよい。
【0034】
一実施形態では、センサは、身体部分の画像データを取得するように構成された2D及び/又は3Dカメラを備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、ロボットシステムは、複数の2Dセンサ及び/又は複数の3Dセンサを備えるセンサアセンブリを備える。いくつかの実施形態では、3Dセンサは、少なくとも2つの2Dセンサから構成される。例えば、3Dセンサは、異なる角度で身体部分の画像データを取得するように構成された2つの2Dカメラからなることができる。2つのカメラによって取得された画像データを制御ユニットによって送信及び処理して、支持面によって支持された身体部分に関する3Dデータを取得することができる。
【0036】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、支持面によって支持された身体部分の深度データを取得するように構成されてもよく、深度データは、身体の深度マップを作成するために制御ユニットによって使用されてもよい。制御ユニットは、位置決め装置の移動を制御する際に深度マップを使用することができる。
【0037】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、超音波プローブの位置及び/又は向きに関するデータを取得するように構成されてもよい。2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、身体部分の表面の位置及び/又は向きに関するデータを取得するように構成されてもよい。位置及び/又は向きデータは、制御ユニットに送信されてもよい。制御ユニットは、位置決め装置の移動を制御する際に、受信した位置及び/又は向きデータを使用することができる。
【0038】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサによって取得されたデータは、制御ユニットによって処理されて、走査される身体部分を区別することができ、例えば、左手又は右手が走査されているか、又は走査されることになるかを区別することができる。
【0039】
2Dセンサ及び/又は3Dは、信号を送り、受信するための受信機、送信機、又はトランシーバを備えることができる。2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、制御ユニットに通信可能に接続することができる。
【0040】
一実施形態では、第1の移動命令は、超音波プローブを移動させて身体部分の第1の超音波画像を取得するための、第1の超音波プローブ位置及び第1の関連する超音波プローブ向きを含む。
【0041】
その結果、第1の超音波プローブ位置及び第1の関連する超音波プローブ向きの両方を提供することによって、高い精度が得られ、したがって、高品質の第1の超音波画像を取得することが容易になる。
【0042】
第1の超音波プローブ位置及び第1の関連する超音波プローブ向きは、システム座標における座標として画定することができ、位置決め装置の位置及び/又は向きは、システム座標内で既知である。
【0043】
第1の移動命令は、超音波プローブを移動させて身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するための、複数の第1の超音波プローブ位置及び複数の第1の関連する超音波プローブ向きを含むことができる。
【0044】
第1の移動命令は、超音波プローブを移動させて、走査経路に沿って身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するための走査経路を画定することができる。複数の第1の超音波画像は、超音波プローブを走査経路に沿って連続的に移動させながら取得されても、走査経路に沿った超音波プローブの移動を断続的に停止させることによって取得されてもよい。走査経路は、連続線を形成しても、いくつかの中断された走査セグメントからなってもよい。超音波撮像システムは、走査経路に沿って複数の第1の超音波画像を取得することができる。超音波撮像システムは、走査経路に沿った離散点において第1の超音波画像を取得することができる。制御ユニットは、超音波プローブが走査経路に沿って移動している間に複数の第1の超音波画像を評価するように構成されてもよい。制御ユニットは、超音波プローブが走査経路に沿って移動している間に第2の移動命令を生成するように構成されてもよい。第1の移動命令は、超音波撮像システムからの入力なしで生成されてもよい。
【0045】
一実施形態では、制御ユニットは、
受信した位置データに基づいて、身体部分上の標的領域(a target area)を決定する
ようにさらに構成され、第1の移動命令は、標的領域内で超音波プローブを移動させて、身体部分の第1の超音波画像を取得するためのものである。
【0046】
標的領域を決定することにより、ロボットシステムは身体部分全体を走査する必要がなく、代わりにロボットシステムは標的領域に集中されてもよく、その結果、ロボットシステムの速度及び効率が向上される。
【0047】
標的領域は、超音波走査の関心領域を含む身体部分上の任意の領域であってもよい。例えば、超音波走査が関節を走査するために使用される場合、標的領域は、患者の1つ以上の関節をカバーする領域であってもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、身体部分の複数の標的領域を決定するように構成され、第1の移動命令は、複数の標的領域内で超音波プローブを移動させて、身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するためのものである。複数の標的領域は、例えば手又は足の複数の関心領域をカバーすることができ、複数の標的領域は、手又は足の複数の関節をカバーすることができる。制御ユニットは、受信した位置データに基づいて、身体部分上の関心領域を識別するように構成されてもよい。制御ユニットは、身体部分上の標的領域の1つ以上の表面の位置及び向きを決定するように構成されてもよく、1つ以上の表面の位置及び向きは、第1の移動命令を生成するために使用される。一例として、標的領域が指の特定の関節である場合、制御ユニットは、最初に、システム座標における特定の関節の位置を決定し、次に、特定の関節及び特定の関節の近傍にある皮膚表面の、システム座標における向き及び位置を決定することによって、位置データを処理して第1の移動命令を生成するように構成されてもよい。標的領域は、視覚的アルゴリズム(a vision algorithm)を使用して識別されてもよい。視覚的アルゴリズムは、受信した位置データを入力として受信してもよい。視覚的アルゴリズムは、視覚的アルゴリズムの出力として関心地点(a point of interest)を返すことができ、例えば、視覚的アルゴリズムは、関節の中心点を識別することができる。制御ユニットは、関心地点に基づいて標的領域を決定することができる。制御ユニットは、関心地点上の所定の走査経路、例えば、関心地点から開始して渦巻き状に延びる螺旋を入れ替えることができる。制御ユニットは、所定の走査経路を入れ替えるときに、所定の走査経路を皮膚の曲率に適合させることができる。所定の走査経路は、標的領域を画定することができる。視覚的アルゴリズムは、位置データに基づいて1つ以上の標的領域を識別するように訓練された機械学習データアーキテクチャであってもよい。機械学習データアーキテクチャは、複数の位置データセット、例えば2D又は3D画像を含む訓練用データセットを使用して訓練されてもよい。各位置データセットについて、オペレータは標的領域を識別していてもよい。一例として、標的領域が特定の関節であり、位置データが3D画像である場合、オペレータは訓練データセットの各3D画像内の特定の関節の位置を識別していてもよい。一実施形態では、第1の移動命令は、標的領域内で超音波プローブを移動させて身体部分の複数の第1の超音波画像を取得するための、複数の第1の超音波プローブ位置及び複数の第1の超音波プローブ向きを含む走査経路を画定する。
【0048】
走査経路は、標的領域を完全にカバーすることができる。例えば、標的領域が特定の関節である場合、走査経路は、関節の中心から始まる螺旋として形成されてもよい。走査経路は、標的領域内の皮膚の曲率に適合させることができる。皮膚の曲率は、位置データ、例えば3D画像を使用して見つけられてもよい。制御ユニットが複数の標的領域を決定した場合、走査経路は、複数の標的領域の各々に対して1つ以上のセグメントを有するセグメント化された走査経路であってもよい。
【0049】
一実施形態では、制御ユニットは、
身体部分に接触する超音波プローブの接触圧力が接触圧力閾値を超えるかどうかを決定し、接触圧力閾値を超える場合、走査される超音波を停止するか、又は超音波プローブを身体部分から離すように移動させる
ようにさらに構成される。
【0050】
その結果、ロボットシステムが患者及び/又はロボットシステムのユーザに害を及ぼすことを妨げ、防止する協調ロボットシステムが提供される。
【0051】
制御ユニットは、超音波プローブと身体部分との間の接触力を測定するように構成された力センサに通信可能に接続されてもよい。力センサは、超音波プローブ及び/又は位置決め装置に接続されてもよい。
【0052】
一実施形態では、制御ユニットは、
身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャを使用して、第1の超音波画像に第1のスコアを割り当てる
ようにさらに構成される。
【0053】
その結果、第1の超音波画像を定量化することがより容易になり、したがって、制御ユニットによる超音波画像の取り扱いが容易になり、処理能力の要件が低くなる。
【0054】
割り当てられた第1のスコアは、超音波画像の画質を示してもよい。割り当てられた第1のスコアは、超音波画像上の解剖学的特徴の画質を示してもよい。
【0055】
一実施形態では、制御ユニットは、
第1のスコアに基づいて、第1の超音波画像を第1のグループ又は第2のグループに分類する
ようにさらに構成される。
【0056】
その結果、超音波画像は、制御ユニットに必要な超音波画像の検索を容易にするように分類される。超音波画像の分類はまた、医療従事者による超音波画像の検索を容易にすることができる。
【0057】
分類は、品質閾値に基づいて行うことができ、第1のスコアが品質閾値を上回る超音波画像が第1のグループに分類され、第1のスコアが品質閾値を下回る超音波画像が第2のグループに分類される。
【0058】
品質閾値は固定値であってもよい。異なる解剖学的特徴は、異なる品質閾値を有することができ、例えば、親指の関節は、小指の関節とは異なる品質閾値を有することができる。品質閾値は動的値であってもよく、複数の第1の超音波画像が取得される場合、品質閾値は、複数の第1の超音波画像のスコアに基づいて設定されてもよく、例えば、20個の第1の超音波画像が取得される場合、品質閾値は、20個の第1の超音波画像の10番目と11番目に高いスコアの間の値として設定することができる。
【0059】
複数の標的領域が決定される実施形態では、各標的領域は、それら自体の第1及び第2のグループに関連付けられてもよい。関連付けられた第1及び第2のグループの各々は、品質閾値と関連付けられる。異なる品質閾値は、互いに異なっていても、同じ値を有していてもよい。
【0060】
第1のグループは、最大サイズを有する場合がある。第1のグループは、1~20個の第1の超音波画像、好ましくは5~15個の超音波画像の最大サイズを有する場合がある。第1のグループが最大サイズに達した場合、品質閾値を超える第1のスコアが割り当てられた新しい第1の超音波画像を、第1のグループの中の割り当てられた第1のスコアが最も低い第1の超音波画像と比較することができ、新しい第1の超音波画像に割り当てられた第1のスコアが、割り当てられた第1のスコアが最も低い第1の超音波画像の第1のスコアを超える場合、新しい第1の超音波画像が第1のグループに分類され、第1のグループの中の割り当てられた第1のスコアが最も低い第1の超音波画像が第2のグループに分類され、新しい第1の超音波画像に割り当てられた第1のスコアが、割り当てられた第1のスコアが最も低い第1の超音波画像の第1のスコアを超えない場合、新しい第1の超音波画像は第2のグループに分類される。代替的に、割り当てられた第1のスコアが品質閾値を超え、最大サイズに対応する第1の分類された第1の超音波画像の数が、第1のグループに分類され、他の第1の超音波画像が、第2のグループに分類される。
【0061】
一実施形態では、制御ユニットは、
第1の取得位置及び/又は第1の取得向きを決定する
ようにさらに構成され、第1の取得位置及び/又は第1の取得向きは、身体部分の第1の超音波画像が取得されたときの超音波プローブ及び/又は位置決め装置の位置及び/又は向きに対応する。
【0062】
制御ユニットは、第1の移動命令に基づいて、第1の取得位置及び/又は第1の取得向きを決定することができる。
【0063】
一実施形態では、第1の超音波画像が第1のグループに分類される場合、第2の移動命令は、第1の超音波画像の第1の取得位置及び/又は第1の取得向きを含む。
【0064】
その結果、位置決め装置は、超音波画像に割り当てられたスコアに基づいて、超音波プローブの位置及び/又は向きを戻すことができる。これは、第2の超音波画像が高品質であることを保証するために特に重要である。第1の取得位置及び/又は第1の取得向きは、身体部分の第1の超音波画像が取得されたときの超音波プローブ及び/又は位置決め装置の位置及び/又は向きに対応する。
【0065】
一実施形態では、制御ユニットは、
超音波撮像システムから、身体部分の第2の超音波画像を受信する
ようにさらに構成される。
【0066】
受信した第2の超音波画像は、単一の第2の超音波画像であっても、複数の第2の超音波画像であってもよい。第2の超音波画像は、第1の超音波画像と同じ超音波モードで、又は第1の超音波画像とは異なる超音波モードで取得された超音波画像であってもよい。一実施形態では、第1の超音波画像は第1の詳細レベルを含み、第2の超音波画像は第2の詳細レベルを含み、第2の詳細レベルは第1の詳細レベルよりも高い。
【0067】
その結果、第1の超音波画像は、bモード超音波走査などの高速走査方法を介して取得することができ、第2の超音波画像は、ドップラー超音波走査、例えば、パワードップラー、カラードップラー、及び/又はベクトルドップラーなどのより低速でより複雑な走査方法を介して取得されてもよい。制御ユニットは、例えば超音波モードを切り替えることによって、超音波撮像システムが第1の詳細レベルを有する第1の超音波画像及び第2の詳細レベルを有する第2の超音波画像を取得するための制御信号を生成することができる。代替的に、第1の超音波画像は、走査経路に沿った掃引超音波走査を介して取得されてもよく、超音波プローブは連続的に移動し、第2の超音波画像は、走査経路に沿った断続的な超音波走査を介して取得されてもよく、超音波プローブは、第2の超音波画像を取得するために走査経路に沿った離散点で固定される。複数の第1及び第2の超音波画像が取得される場合、第1の超音波画像は、広い領域を迅速に走査し、関心領域がどこにあり得るかを決定するために使用されてもよく、第2の超音波画像は、第1の超音波画像の所見を検証し、関心領域のより高品質の画像を生成することができる。詳細レベルは、超音波画像内のノイズの量として定義することができ、ノイズの程度が低いほど詳細レベルが高くなり、及び/又は詳細レベルは超音波画像の画質として定義することができる。
【0068】
一実施形態では、制御ユニットは、
身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャを使用して、第2の超音波画像に第2のスコアを割り当てる
ようにさらに構成される。
【0069】
その結果、第2の超音波画像を定量化することがより容易になり、したがって、制御ユニットによる超音波画像の取り扱いが容易になり、処理能力の要件が低くなる。
【0070】
割り当てられた第2のスコアは、超音波画像の画質を示してもよい。割り当てられた第2のスコアは、超音波画像上の解剖学的特徴の画質を示してもよい。
【0071】
一実施形態では、制御ユニットは、
第2のスコアに基づいて、超音波画像を第3のグループ又は第4のグループに分類する
ようにさらに構成される。
【0072】
分類は、品質閾値に基づいて行われてもよく、第2のスコアが品質閾値を上回る超音波画像が第3のグループに分類され、第2のスコアが品質閾値を下回る超音波画像が第4のグループに分類される。
【0073】
その結果、超音波画像は、制御ユニットに必要な超音波画像の検索を容易にするように分類される。超音波画像の分類はまた、医療従事者による超音波画像の検索を容易にすることができる。
【0074】
一実施形態では、制御ユニットは、
第2の超音波画像を分類した後に第3のグループが空である場合、身体部分に対して超音波走査を繰り返す
ようにさらに構成される。
【0075】
その結果、走査は、十分な品質の第2の超音波画像、すなわち第3のグループに分類される第2の超音波画像を達成するために走査自体を繰り返すことができる。
【0076】
一実施形態では、制御ユニットは、
第2の超音波画像が第3のグループに分類される場合、超音波撮像システムが第3の超音波画像を取得するための超音波制御信号を生成する
ようにさらに構成され、第3の超音波画像は第3の詳細レベルを含み、第3の詳細レベルは第1の詳細レベル及び第2の詳細レベルよりも高い。
【0077】
超音波制御信号は、第1の詳細レベル及び第2の詳細レベルよりも高い第3の詳細レベルを取得するために、超音波撮像システムに超音波モードの切り替えを促すことができる。
【0078】
制御ユニットは、第2の取得位置及び第2の取得向きで身体部分の第3の超音波画像を取得するための超音波制御信号を生成するように構成されてもよい。第2の取得位置及び/又は第2の取得向きは、身体部分の第2の超音波画像が取得された場合の超音波プローブ及び/又は位置決め装置の位置及び/又は向きに対応する。
【0079】
制御ユニットは、単一の第2の超音波画像が第3のグループに分類され次第、超音波制御信号を生成するように構成されてもよい。その結果、第3の超音波画像を第2の超音波画像と同じ位置及び/又は向きで撮影することが可能になる。第2の移動命令は、第2の超音波画像が取得される位置及び/又は向きで一定期間静止するように位置決め装置に命令することができ、その期間は、第2の超音波画像及び第3の超音波画像を取得するのに十分な長さである。
【0080】
その結果、高品質の超音波画像を取得するための反復手法がさらに容易になる。例えば、第1の超音波画像は、bモードなどの高速走査方法を介して取得されてもよく、超音波プローブは連続的に移動し、第2の超音波画像は、bモード走査を介して取得されてもよく、超音波プローブは走査中に固定され、第3の超音波画像は、ドップラー超音波走査、例えば、パワードップラー、カラードップラー、及び/又はベクトルドップラーを介して取得されてもよく、超音波プローブは固定されている。その結果、複数の第1及び第2の超音波画像が取得された場合、第1の超音波画像は、広い領域を迅速に走査し、関心領域がどこにあるかを決定するために使用されてもよく、第2の超音波画像により、第1の超音波画像の所見を迅速に検証することができ、最後に、第3の超音波画像が、検証された関心領域の高品質の超音波画像を達成するために取得される。
【0081】
いくつかの実施形態では、超音波走査は、第3の超音波画像が取得されたときに停止される。
【0082】
本発明は、特許請求の範囲に記載された特徴のすべての可能な組み合わせに関することに留意されたい。本発明の概念の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な開示、添付の特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。態様の1つに関連して説明された特徴は、他の態様に組み込まれてもよく、特徴の利点は、それが組み込まれるすべての態様に適用可能である。
【0083】
以下の説明では、本発明の実施形態を概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】本発明の一実施形態によるロボットシステム1のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による超音波走査を実施するためのフロー図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による超音波走査を実施するためのフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるロボットシステムの一実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
次に、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供される。
【0086】
最初に
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるロボットシステム1のブロック図が描写されている。ロボットシステム1は、患者の身体部分に対して超音波走査を実施するように構成されている。超音波走査を行うために、ロボットシステム1には位置決め装置4が設けられている。位置決め装置4は、超音波プローブ31を保持し、超音波プローブ31を移動させて、身体部分の超音波走査を取得するように構成されている。
【0087】
超音波プローブ31は、ロボットシステム1に通信可能かつ動作可能に接続可能な超音波撮像システムの一部である。超音波プローブ31は、超音波処理ユニット32に動作可能に接続されている。超音波処理ユニット32は、超音波撮像システムの一部である。超音波処理ユニット32は、検出された超音波を示すデータを超音波プローブ31から受信し、超音波プローブ31から受信した、検出された超音波を示すデータに基づいて超音波画像を生成するように構成されている。超音波処理ユニット32は、超音波プローブの動作、例えば、超音波を放射するタイミングを制御する。超音波処理ユニット32は、ロボットシステム1の制御ユニット6と通信可能に接続されている。超音波処理ユニット32は、生成された超音波画像を制御ユニット6に送信するように構成されている。超音波処理ユニット32は、制御ユニット6と通信可能に接続され、制御ユニット6から制御信号を受信して超音波プローブ31の動作を制御する。代替的に、制御ユニット6は、超音波プローブ31に直接接続されて、制御信号を超音波プローブ31に直接送信してもよい。
【0088】
制御ユニット6は、位置決め装置4に通信可能に接続され、したがって、制御ユニット6は、位置決め装置4の移動を制御するために位置決め装置4に移動命令を送信することができる。制御ユニット6はさらに、センサ5に通信可能に接続され、センサ5から位置データを受信する。センサは、身体部分の画像データを取得するように構成された2D及び/又は3Dカメラであってもよい。
【0089】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による超音波走査を実施するためのフロー図が示されている。最初に、制御ユニット6は、61において、センサ5から位置データを受信する。位置データは、有線及び/又は無線接続を介して受信することができる。位置データは、患者の身体部分の位置及び/又は向きに関する情報を含む。受信した位置データに基づいて、制御ユニット6は、62において、超音波プローブ31を移動させて身体部分の第1の超音波画像を取得するための、位置決め装置4に対する第1の移動命令を生成する。第1の移動命令は、位置決め装置4を移動させるための第1の位置及び/又は第1の向きを含み、超音波プローブ31が第1の位置及び/又は第1の向きで身体部分を走査することを可能にする。第1の移動命令は、有線又は無線接続を介して位置決め装置4に送信されてもよい。制御ユニット6は、63において、超音波撮像システムから身体部分の第1の超音波画像を受信する。第1の超音波画像は、有線及び/又は無線接続を介して受信されてもよい。制御ユニット6は、64において、身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャを使用して、受信した第1の超音波画像を評価する。
【0090】
図3を参照すると、本発明の別の実施形態による超音波走査を実施するためのフロー図が示されている。最初に、制御ユニット6は、611において、センサ5から位置データを受信する。センサ5は、2D及び/又は3Dカメラである。位置データは、患者の身体部分の位置及び向きに関する情報を含む。受信した位置データに基づいて、制御ユニット6は、612において、身体部分上の標的領域を決定する。標的領域は、関心地点、例えば手又は足の1つ以上の関節を含む領域であってもよい。標的領域は、受信した位置データに対して視覚的アルゴリズムを実行することによって決定されてもよい。制御ユニット6は、613において、超音波プローブ31を移動させるための位置決め装置4に対する第1の移動命令を決定し、第1の移動命令は、超音波プローブを標的領域内で移動させて、身体部分の第1の超音波画像を取得するためのものである。第1の移動命令は、位置決め装置4を移動させるための走査経路を画定する複数の第1の位置及び複数の第1の向きを含む。第1の移動命令は、超音波プローブ31が第1の詳細レベルを有する複数の第1の超音波画像を獲得するための制御信号をさらに含む。第1の移動命令は、超音波プローブを走査経路に沿って連続的に移動させ、掃引方式で第1の超音波画像を達成するように位置決め装置に命令することができる。次いで、第1の超音波画像は、走査経路に沿って取得された第1の超音波画像のシーケンスであってもよい。複数の第1の位置及び複数の第1の向きは、標的領域内の走査経路を画定し、したがって、超音波プローブが標的領域内の複数の第1の位置及び複数の第1の向きで身体部分を走査することを可能にする。制御ユニット6は、614において、超音波撮像システムから身体部分の複数の第1の超音波画像を受信する。複数の第1の超音波画像は、有線及び/又は無線接続を介して受信されてもよい。制御ユニット6は、615において、身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャを使用して、複数の受信した第1の超音波画像の各第1の超音波画像にスコアを割り当てる。割り当てられたスコアは、画質及び/又は解剖学的特徴が正しく捕捉されているかどうかを示すことができる。制御ユニット6は、616において、複数の第1の超音波画像を第1のグループ又は第2のグループに分類する。分類は、複数の第1の超音波画像のうちの第1の超音波画像に割り当てられたスコアが品質閾値未満であるかどうかに基づいて、第1の超音波画像を第2のグループに分類され、第1の超音波画像に割り当てられたスコアが品質閾値を超える場合、第1の超音波画像は第1のグループに分類されてもよい。第2のグループに分類された1つ以上の第1の超音波画像は、さらなる目的には有用でないとして単純に破棄することができる。制御ユニット6は、617において、第1のグループに分類された1つ以上の第1の超音波画像が取得されたときの超音波プローブ31及び/又は位置決め装置4の位置及び/又は向きに対応する1つ以上の取得位置及び1つ以上の取得向きを決定する。制御ユニット6は、618において、超音波プローブ41を移動させて身体部分の1つ以上の第2の超音波画像を取得するための、位置決め装置4に対する1つ以上の取得位置及び1つ以上の取得向きを含む第2の移動命令を生成する。第2の移動命令は、超音波プローブが第2の詳細レベルを有する1つ以上の超音波画像を獲得するための制御信号をさらに含み、第2の詳細レベルは第1の詳細レベルよりも高い。制御ユニット6は、619において、超音波撮像システムから身体部分の1つ以上の第2の超音波画像を受信する。制御ユニット6は、620において身体部分の超音波画像を評価するように訓練された機械学習データアーキテクチャを使用して、1つ以上の第2の超音波画像のそれぞれにスコアを割り当てる。制御ユニット6は、621において、割り当てられた第2のスコアに基づいて、1つ以上の第2の超音波画像を第3のグループ又は第4のグループに分類する。例えば、第2の超音波画像に割り当てられたスコアが品質閾値未満である場合、第2の超音波画像は第4のグループに分類され、第2の超音波画像に割り当てられたスコアが品質閾値を超える場合、第2の超音波画像は第3のグループに分類される。1つ以上の第2の超音波画像を分類した後、第3のグループが空である場合、制御ユニット6は、622において、身体部分に対して超音波走査を繰り返す。第2の超音波画像が第3のグループに分類される場合、制御ユニット6は、623において、超音波撮像システムが第3の超音波画像を取得するための超音波制御信号を生成し、第3の超音波画像は第3の詳細レベルを含み、第3の詳細レベルは第1の詳細レベル及び第2の詳細レベルよりも高い。
【0091】
制御ユニット6が行う異なるステップは、同時に又は順番に行うことができる。例えば、制御ユニット6は、超音波画像にスコアを割り当てると同時に、グループに分類することができる。制御ユニット6は、超音波画像を受信すると同時に、受信した超音波画像を評価することができる。
【0092】
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるロボットシステム1の一実施形態の概略斜視図が描写されている。ロボットシステム1は、患者の身体部分に対して超音波走査を実施するように構成されている。超音波走査を行うために、ロボットシステム1には多関節アーム4が設けられている。多関節アーム4は、超音波プローブを保持し、超音波プローブを移動させて、身体部分の超音波走査を取得するように構成されている。
【0093】
図示されていない制御ユニットは、システムハウジング10内に収容されている。制御ユニットは、多関節アーム4に通信可能に接続され、したがって、制御ユニットが多関節アーム4に移動命令を送信することを可能にする。制御ユニットはさらに、センサ5に通信可能に接続され、センサ5から位置データを受信する。センサは、身体部分の画像データを取得するように構成された3Dカメラである。
【0094】
ロボットシステム1は、超音波走査を受ける患者の身体部分が載置され得る支持面11をさらに備える。
【0095】
さらに、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される本発明を実施する際に当業者によって理解及び実現され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【国際調査報告】