(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】リン酸塩反応性に優れた鋼板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20231226BHJP
C22C 38/06 20060101ALI20231226BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20231226BHJP
C23C 22/07 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C22C38/00 301T
C22C38/06
C21D9/46 H
C23C22/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538162
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 KR2021019331
(87)【国際公開番号】W WO2022139355
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0179598
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ビョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジナ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、 ヤンクワン
【テーマコード(参考)】
4K026
4K037
【Fターム(参考)】
4K026AA02
4K026AA22
4K026BA04
4K026BB08
4K026CA16
4K026CA23
4K026DA02
4K037EA01
4K037EA05
4K037EA15
4K037EA23
4K037EA27
4K037EB08
4K037FA03
4K037FC03
4K037FC04
4K037FE02
4K037FG00
4K037FJ02
4K037FJ05
4K037FM02
4K037GA02
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含み、表面から鋼板内部方向に10nm以下の厚さを有する酸化層が存在し、下記式1を満足する。
[式1]
([Mn]+[Si]+[Al])/(3×[P])≦0.60
(式1中、[Mn]、[Si]、[Al]および[P]は酸化層を厚さ方向に元素分析する時、各元素の最大含量を意味する。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含み、
表面から鋼板内部方向に10nm以下の厚さを有する酸化層が存在し、
下記式1を満足し、
セメンタイトを面積分率で2%以上含み、残りはフェライトを含む、リン酸塩反応性に優れた鋼板。
[式1]
([Mn]+[Si]+[Al])/(3×[P])≦0.60
(式1中、[Mn]、[Si]、[Al]および[P]は酸化層を厚さ方向に元素分析する時、各元素の最大含量を意味する。)
【請求項2】
鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、Pickle lag時間が20秒以下である、請求項1に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項3】
鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、腐食減量比が0.55mg/cm
2/hr以上である、請求項1に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項4】
降伏強度が220~270MPaである、請求項1に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項5】
リン酸塩処理後に形成されたリン酸塩粒子の平均長軸長さが10μm以下である、請求項1に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項6】
リン酸塩処理後に形成されたリン酸塩粒子が鋼板表面の90面積%以上を占有する、請求項1に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項7】
重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含むスラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階;
前記熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;
前記冷延鋼板を焼鈍する段階;および
前記焼鈍された冷延鋼板を調質圧延する段階を含み、
前記熱延鋼板を製造する段階で巻取り温度が650~650℃であり、
前記焼鈍する段階で均熱温度が700~780℃である、リン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記熱延鋼板を製造する段階で、
最終熱間圧延温度(FDT)が800~950℃である、請求項7に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;で、
圧下率が70~85%である、請求項7に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記冷延鋼板を焼鈍する段階以後、前記調質圧延する段階以前に
最終冷却温度である80~150℃まで冷却する、請求項7に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記焼鈍する段階で、水素5体積%以上および残り窒素を含む雰囲気および露点-30℃以下で焼鈍する、請求項7に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態はリン酸塩反応性に優れた鋼板およびその製造方法に関するものである。具体的に、本発明の一実施形態はドラム材の原料として使用される鋼板の表面に耐食性を付与するためにリン酸塩処理を実施することにおいて、リン酸塩処理後、表面に生成されるリン酸結晶の大きさが微細であり鋼板の全体表面に均一に分布されることを特徴とする、耐食性に優れたリン酸塩処理表面特性を有する鋼板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼素材の表面には防錆性を確保し、長期的な耐食性の向上と同時に塗装処理時、塗装前密着性を向上するための目的でリン酸塩処理を実施する。
【0003】
このリン酸塩処理は、リン酸塩溶液と鋼板の接触過程で電気化学的な電位差が発生されて鋼板が溶解されFeがイオン化されながら電子を生成し、これによりpHが高まると安定した金属相のリン酸塩結晶が鋼板表面に生成されて成長する方法で表面に形成される処理を意味する。リン酸塩処理は、自動車鋼板やドラム用鋼板、電磁鋼板など原板塗装性と耐食性を付与するために処理する工程である。
【0004】
通常、リン酸塩処理のために使用する溶液は亜鉛系リン酸塩(Zinc phosphate)であり、鋼板表面に形成されるリン酸塩の結晶形状によってリン酸塩処理後、フォスフォフィライト(phosphophyllite)とホパイト(Hopeite)の二つの相それぞれ、あるいは二つの相が混合された結晶構造を有する。フォスフォフィライト(Phosphophyllite)は球状の緻密な結晶であってリン酸塩結晶内にFeイオンが存在して共に反応する場合に生成され、ホパイト(Hopeite)は粒状の狭く広い形態を有する構造を帯び、二つの相が全て緻密に鋼材の上を覆う形状を取る。このとき、フォスフォフィライト(Phosphophyllite、P)はホパイト(Hopeite、H)に対比して酸やアルカリ性に対する耐食性に優れて、相対的にPの分率の高いリン酸塩処理結果が、耐食性がさらに優れるという特性を有している。そのため、鋼板で溶出された鉄が被膜に含有されやすい条件である浸漬処理法による場合、表面にPの比率が高まるが、スプレー処理時には処理液によって異なるが、相対的にHの分率が高い特徴を有する。
【0005】
リン酸塩処理性の良好/不良有無は結局、リン酸塩処理工程以後に鋼板表面をどれくらい緻密にリン酸塩結晶が覆われたか有無によって決定されるが、これを左右するものがリン酸塩結晶の大きさと被覆率(coverage)である。
【0006】
鋼板の酸反応性を阻害する要因としては一般に、鋼板表面を覆っている酸化物の種類と厚さを挙げる。特に、酸化物が厚く形成されている場合、リン酸塩の核になるリン酸核が成長するためのFeの溶出速度が遅くなってリン酸核の密度が低まり、まばらに形成されたリン酸核によってリン酸結晶の粗大化および低い被覆率(coverage)を有するようにするという特徴がある。
【0007】
最近、環境規制によってリン酸処理溶液の濃度が次第に薄くなるようになって、リン酸塩処理が円滑に起こらない問題が発生している。リン酸塩が鋼板表面によく塗布されるためには鋼板がリン酸と反応しながら速い速度でリン酸塩の核が高い密度で形成されなければならないが、廃水処理問題によるリン酸処理溶液の濃度低下は初期酸反応を円滑にすることができなくてリン酸核の形成を阻害し、これによってリン酸塩結晶が粗大化しながらも鋼材全体表面を覆うことができない現象が起こっている問題がある。即ち、低いリン酸濃度でも十分な反応性を確保することができない場合、リン酸塩処理性に良くない影響を与える問題が持続的に発生している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態では、リン酸塩反応性に優れた鋼板およびその製造方法を提供する。具体的に、本発明の一実施形態では、ドラム材の原料として使用される鋼板の表面に耐食性を付与するためにリン酸塩処理を実施することにおいて、リン酸塩処理後、表面に生成されるリン酸結晶の大きさが微細であり鋼板の全体表面に均一に分布されることを特徴とする、耐食性に優れたリン酸塩処理表面特性を有する鋼板およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含む。
【0010】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、表面から鋼板内部方向に10nm以下の厚さを有する酸化層が存在し、下記式1を満足する。
[式1]
([Mn]+[Si]+[Al])/(3×[P])≦0.60
(式1中、[Mn]、[Si]、[Al]および[P]は酸化層を厚さ方向に元素分析する時、各元素の最大含量を意味する。)
【0011】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、セメンタイトを面積分率で2%以上含み、残りはフェライトを含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、Pickle lag時間が20秒以下であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、腐食減量比が0.55mg/cm2/hr以上であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、降伏強度が220~270MPaであってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、リン酸塩処理後に形成されたリン酸塩粒子の平均長軸長さが10μm以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、リン酸塩処理後に形成されたリン酸塩粒子が鋼板表面の90面積%以上を占有することができる。
【0017】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法は、重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含むスラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階;熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;冷延鋼板を焼鈍する段階;および焼鈍された冷延鋼板を調質圧延する段階を含む。
【0018】
熱延鋼板を製造する段階で巻取り温度が650~650℃であり、焼鈍する段階で均熱温度が700~780℃であり、調質圧延する段階を経る。
【0019】
熱延鋼板を製造する段階で、最終熱間圧延温度(FDT)が800~950℃であってもよい。
【0020】
冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;で、圧下率が70~85%であってもよい。
【0021】
冷延鋼板を焼鈍する段階以後、調質圧延する段階以前に最終冷却温度である80~150℃まで冷却することができる。
【0022】
焼鈍する段階で、水素5体積%以上および残り窒素を含む雰囲気および露点-30℃以下で焼鈍することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、鋼板の塗装性および防錆性を付与するためにリン酸塩処理を実施する鋼板の原素材として有効に活用できる。
【0024】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、低いリン酸濃度でも容易にリン酸塩処理性が確保でき、容器用でなく自動車用や家電用にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態による鋼板の概略的な断面である。
【
図2】実施例1および比較例4で製造した鋼板をリン酸塩処理した以後の外面をSEM(Scanning Electron Microscope)で分析した写真である。
【
図3】実施例1、実施例5、比較例4および比較例5で製造した鋼板のP含量をGDS(Glow Dispersion Spectroscopy)分析したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1、第2および第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これら用語はある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で叙述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及することができる。
【0027】
ここで使用される専門用語は単に特定実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。明細書で使用される“含む”の意味は特定特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるのではない。
【0028】
また、特に言及しない限り、%は重量%を意味し、1ppmは0.0001重量%である。
【0029】
本発明の一実施形態で追加元素をさらに含むことの意味は、追加元素の追加量だけ残部である鉄(Fe)を代替して含むことを意味する。
【0030】
異なるように定義してはいないが、ここに使用される技術用語および科学用語を含む全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一な意味を有する。通常使用される辞典に定義された用語は関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り理想的または非常に公式的な意味として解釈されない。
【0031】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0032】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板は、重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含む。
【0033】
このとき、まず、鋼板の成分について具体的に説明する。後述のように、鋼板内のAl、Mn、Si、Pは酸化層に濃化し、表面から内部方向に濃度勾配を有する。本発明の一実施形態で、鋼板内の元素含量は鋼板厚さ方向に平均した含量を意味する。
【0034】
炭素(C):0.02~0.06重量%
【0035】
本発明での鋼板の炭素含量は0.02~0.06重量%であってもよい。鋼中炭素の含量が過度に少ない場合、二次相の生成が起こらなくて、期待する局部的な腐食現象が発生せず、炭素含量が過度に多い場合、過度なカーバイド(Carbide)形成によって目的とする強度を超過する現象が発生することがある。したがって、本発明の一実施形態で炭素含量は0.02~0.06重量%に限定した。より具体的に、0.025~0.055重量%であってもよい。
【0036】
シリコン(Si):0.01重量%以下
【0037】
本発明での鋼板のシリコン含量は0.01重量%以下であってもよい。鋼中シリコン含量が過度に多い場合、表面にSiO2が形成されることがあり、SiO2とFe酸化物の複合相も形成されて多量の赤スケール(Scale)が誘発されることがある。このような赤スケールは冷延酸洗時に脱落されない欠陥を誘発することもあり、Si酸化物自体で冷延焼鈍時に形成されて酸反応性を下落させる可能性がある。したがって、本発明の一実施形態でSiの最大含量を0.01重量%以下に制限する。さらに具体的に、0.001~0.01重量%であってもよい。さらに具体的に、0.003~0.009重量%であってもよい。
【0038】
マンガン(Mn):0.10~0.24重量%
【0039】
Mnは、冷延鋼板の焼鈍熱処理過程で代表的に表面に酸化物を形成する元素である。本発明の一実施形態ではまた焼鈍熱処理過程で表面酸化物を形成して酸反応性を阻害することがあるSiの含量を0.01重量%以下に制限し、Si酸化物自体が多量形成されることがある環境であるためMn含量を0.24重量%以下に制御することによってMn酸化物を積極的に抑制しようとした。しかし、Mnは代表的な固溶強化元素であって、Mnの含量が過度に低い場合、強度下落をもたらすことがある。したがって、Mnは0.10~0.24重量%含むことができる。さらに具体的に、0.11~0.24重量%含むことができる。
【0040】
アルミニウム(Al):0.020重量%以下、
【0041】
Alは、代表的な脱酸剤として使用される元素である。しかし、本発明の一実施形態で、Alはまた鋼材表面にAl酸化物を形成し、Al酸化物が形成される時には酸反応性を阻害することがある。したがって、Alは0.020重量%以下に含むことができる。さらに具体的に、0.001~0.020重量%含むことができる。さらに具体的に、0.010~0.019重量%含むことができる。
【0042】
リン(P):0.015~0.040重量%
【0043】
本発明の一実施形態で、Pは、鋼材が酸環境に置かれた場合、Feの溶出反応を起こす作用を果たす。したがって、Pの含量を0.015重量%以上に制限することができる。しかし、Pは代表的な常温脆性を起こす元素であり、Fe3Pが粒界に析出する場合、成形性をぜい弱にすることがあるので、その上限を0.040重量%に制限することができる。したがって、Pは0.015~0.040重量%で含むことができる。さらに具体的に、0.016~0.038重量%含むことができる。
【0044】
前述の元素成分以外に、本発明はFeおよび不可避不純物を含む。不可避不純物は当該技術分野で広く知られているので、具体的な説明は省略する。本発明の一実施形態で前記成分以外に有効な成分の添加を排除するのではなく、追加成分をさらに含む場合、残部のFeを代替して含まれる。
【0045】
図1では、本発明の一実施形態による鋼板の厚さ方向への断面の模式図を示す。
図1に示されるように、本発明の一実施形態による鋼板10は鋼板表面から鋼板内部方向に酸化層20が存在する。
図1では鋼板の一面にのみ酸化層20が存在するが、両面に酸化層20が存在することも可能である。
【0046】
酸化層20は、鋼板表面からGDS結果として示されたFe-Oのdiagramで酸素peakが‘0’になる深さまでを意味する。
【0047】
酸化層20の厚さは10.0nm以下であってもよい。酸化層20の厚さが過度に厚ければ、酸反応性が遅くなって適切でないこともある。さらに具体的に、酸化層20の厚さは1~10.0nmであってもよい。
【0048】
後述の鋼板の製造工程過程で鋼板内に含まれていたMn、Si、AlおよびPなどの成分が鋼板内部から鋼板表面に拡散して、酸化層20に濃化する。
【0049】
このとき、酸化層20内に存在するMn、Si、Al、Pの含量が下記式1を満足することができる。
[式1]
([Mn]+[Si]+[Al])/(3×[P])≦0.60
(式1中、[Mn]、[Si]、[Al]および[P]は酸化層を厚さ方向に元素分析する時、各元素の最大含量を意味する。)
【0050】
前記式1が0.6を超過する場合、酸化層内のPが少ないかまたはMn、Si、Alの含量が多いのである。酸化層内のPが少ない場合、酸反応性確保元素であるPが少なくなって、適切なリン酸塩反応性を得ることができない。また、Mn、Si、Alの含量が多い場合、Mn、Si、Alの酸化物が多量形成されて、適切なリン酸塩反応性を得ることができない。したがって、前述のように式1の含量が0.60以下であってもよい。さらに具体的に、式1の値が0.20~0.60であってもよい。
【0051】
酸化層20内のPの最大含量は1.0~3.0重量%であり、Mnの最大含量は0.80~1.5重量%であり、Siの最大含量は0.50~1.50重量%であり、Alの最大含量は0.30~1.0重量%であってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板はセメンタイトを面積分率で2%以上含み、残りはフェライトを含むことができる。酸反応で腐食を起こす現象は電解質内小さな回路が形成されると知られているが、このとき、陰極反応を起こす安定したフェライト(Ferrite)系Fe単相のみが存在する場合にはむしろ酸反応が起こらず、セメンタイト(Cementite)などで代表されるCathodic Siteが反応を促進することができる。しかし、このような陰極の場合、酸環境で溶解されるポテンシャルが少ないため、過度に多い量の分率を有するようになる場合、酸反応性がむしろ悪くなることがある。さらに具体的に、セメンタイトを2.0~5.0面積%含むことができる。その他の異なる相を0.5面積%以下にさらに含むことができる。
【0053】
本発明の一実施形態で、鋼板はリン酸塩反応性に優れ、耐食性に優れ、適切な降伏強度を有し、生産性に優れる。
【0054】
本発明の一実施形態で、リン酸塩反応性はPickle lag(P/L)測定法を通じて測定する。これは5wt%硫酸水溶液で75×100mmの試片をアルカリで表面脱脂後、水濡れ性が100%であるのを確認して脱脂性能を確認した後、浸漬して表面にFeのイオン溶出によって形成されるH2気体の形成程度測定を通じて間接的に酸反応性を測定する方法であり、全体面積で水素気体が覆われるのにかかる時間を測定する試験である。結果的に、P/L時間が長いほど表面酸化物の影響度が大きいということを示すので、酸反応性が劣位になり、これによってリン酸塩処理性が劣位になる。本発明の一実施形態で、鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、Pickle lag時間が20秒以下であってもよい。さらに具体的に、Pickle lag時間が5~20秒であってもよい。
【0055】
Pickle lag測定時、カメラで鋼板表面を観察して時間を測定するが、視覚的に見えない微細な水素気体の場合には測定されない様相があって、本発明の一実施形態ではPickle lag時間以外に鋼板を直接5wt%の硫酸水溶液に浸漬し、30℃で反応して5min.経過後に試片の初期重量と試片の最終重量を浸漬時間と浸漬面積で割った腐食減量比という項目で測定してリン酸塩反応性を定量化しようとする。即ち、腐食減量比は、酸反応性を示す指標であって、鋼板が一定の濃度の酸環境に露出された時、どれくらい速くFeイオンが溶出されるかを示す値である。即ち、腐食減量比が高い試片であるほどFeの溶出が容易であってリン酸塩の核生成が容易であり、リン酸塩核の密度も高いためリン酸塩処理性が容易であると言える。
【0056】
本発明の一実施形態で、5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、腐食減量比が0.550mg/cm2/hr以上であってもよい。さらに具体的に、腐食減量比が0.550~0.700mg/cm2/hrであってもよい。
【0057】
本発明の一実施形態で鋼板を用いた製品を製造する場合、製造過程での健全性のための成形性が担保される必要がある。即ち、使用環境での耐圧性、耐デント性などのための強度が確保される必要がある。よって、本発明の一実施形態で、鋼板は降伏強度が220~270MPaであってもよい。降伏強度が過度に高い場合、成形性が問題になることがあり、降伏強度が過度に低ければ、耐圧性、耐デント性面で問題が発生することがある。
【0058】
前述のように、本発明の一実施形態による鋼板はリン酸塩処理性が容易であり、リン酸塩処理後、鋼板表面にリン酸塩粒子の長軸の平均値が10μm以下である微細なリン酸塩が存在することになり、観察面全体面積の90%以上を覆うことができる。
【0059】
本発明で形成されるリン酸塩粒子は主に葉状のホパイト(Hopeite)粒子である。ホパイト(Hopeite)粒子の長軸の長さは、観察面で単一リン酸塩粒子を観察時、最も長い軸の長さと定義する。平均値を算出するために任意に算定された単一リン酸塩粒子を30個以上測定した後に測定値の平均を算出することができる。観察面とは、圧延面(ND面)と平行な面であってもよい。
【0060】
このとき、リン酸塩処理とは、鋼板に亜鉛系リン酸塩(Zinc phosphate)溶液を塗布した後、30~40℃温度で60~120秒間処理することを意味する。さらに具体的に、リン酸塩処理とは、鋼板を用途に合うように成形加工した後、脱脂工程を経て表面に塗布された油分を除去し表面調整を経た後に亜鉛系リン酸塩(Zinc phosphate)溶液を浸漬あるいはスプレータイプで塗布した後、30~40℃温度で60~120秒間処理することを意味する。
【0061】
本発明の一実施形態によるリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法は、スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階;熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;冷延鋼板を焼鈍する段階;および焼鈍された冷延鋼板を調質圧延する段階を含む。
【0062】
以下では各段階別に具体的に説明する。
【0063】
まず、スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する。
【0064】
スラブの合金組成については前述の鋼板で説明したので、重複する説明は省略する。鋼板の製造過程で合金成分が実質的に変動しないので、鋼板の合金組成とスラブの合金組成は実質的に同一である。
【0065】
熱間圧延する前にスラブを加熱することができる。スラブの加熱温度は1200℃以上であってもよい。鋼中に存在する析出物を大部分再固溶させなければならないため1200℃以上の温度が必要になる。さらに具体的に、スラブ加熱温度は1250℃以上であってもよい。
【0066】
熱延鋼板を製造する段階で、最終熱間圧延温度(FDT)が800~950℃であってもよい。さらに具体的に、850~930℃であってもよい。
【0067】
熱延鋼板を製造する段階で、巻取り温度が650~650℃であってもよい。巻取り温度はフェライト単相以外にセメンタイトのような二相の分率に影響を与え、巻取り温度が高いほどセメンタイト分率が高まるようになる。適切に調節されたセメンタイト分率はリン酸塩反応性向上に有利に作用できる。
【0068】
熱延鋼板を製造する段階以後、熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を製造する。このとき、圧下率が70~85%であってもよい。前述の範囲で表面γ-fiber textureが最大化されてリン酸塩反応性に有利である。
【0069】
その次に、冷延鋼板を焼鈍する。
【0070】
このとき、均熱温度は700~780℃であってもよい。焼鈍温度が低いほど鋼材表面に形成される酸化物の分率が減る効果があるため酸反応性に有利である。但し、Pの表面への拡散が低い焼鈍温度では少なくなり、これはまた酸反応性の阻害を起こすため、適切な下限温度が必要である。
【0071】
焼鈍する段階で、水素5体積%以上および残りの窒素を含む雰囲気および露点-30℃以下で焼鈍することができる。焼鈍雰囲気を還元性および低い露点温度で管理することによって、表面に形成される酸化物を最大限抑制することができる。
【0072】
その次に、焼鈍された冷延鋼板を調質圧延する。調質圧延は1.0~3.0%の圧下率で調質圧延することができる。より適切な圧下率は試片の厚さに比例して変わるが、1.0~2.0%であってもよい。
【0073】
冷延鋼板を焼鈍する段階以後、調質圧延する段階以前に最終冷却温度である80~150℃まで冷却することができる。最終冷却温度は低いほど有利であるが、操業条件上90℃~120℃まで冷却することができる。
【0074】
以下では実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、このような実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明がここに限定されるのではない。
【実施例】
【0075】
実験例1
【0076】
下記表1の組成を有するスラブを熱間圧延、冷間圧延、焼鈍および調質圧延して冷延鋼板を製造した。熱間圧延後に巻取り温度は700℃で固定し、冷間圧下率は80%、焼鈍温度は760℃、焼鈍後に最終冷却温度は100℃とした。調質圧延圧下率は1.5%で調節して最終1.0mmの厚さに製造した。焼鈍熱処理時、水素濃度は4.5%、露点は-40℃に制御した。
【0077】
最終製造された冷延板を、GDS分析法を通じて分析し、その結果を表1に示した。また、式1で示した表面元素の指標を共に示した。
【0078】
GDS分析はZn Galv RF測定法によって、700Vの電圧、30mAの電流で21Wの電位を印加する方式で秒当たり1000pointのscan rateで測定して比較した。表面から厚さ方向に0.01μmの深さまで測定した後、それぞれ元素の含量を0.7のcalibration factorを用いて計算した。
【0079】
また、製造した鋼板のGDSを通じて分析した酸化層の厚さおよび5%硫酸30℃浸漬後、水素気泡が鋼板全体面積を覆うのにかかる時間であるPickle lag時間、同一溶液に5min.浸漬時、単位表面積、単位時間当り腐食減量を示す腐食減量比、および鋼材の降伏強度、180度Foldingする場合、Folding部のcrack形成傾向を測定して表2に整理した。
【0080】
Pickle lag(P/L)は、5wt%硫酸水溶液で75×100mmの試片をアルカリで表面脱脂後、水濡れ性が100%であることを確認して脱脂性能を確認した後、浸漬して表面にFeのイオン溶出によって形成されるH2気体の形成程度を測定し、全体面積で水素気体が覆うのにかかる時間を測定した。
【0081】
腐食減量比は、試片を5wt%の硫酸水溶液に浸漬し、30℃で反応して5min.経過後、試片の初期重量と試片の最終重量を浸漬時間と浸漬面積で割って計算した。
【0082】
また、製造された試片を180℃Folding後、試片の折り曲げられた部分でCrackが発生したかどうか判断した。
【0083】
セメンタイト分率は、リン酸塩が塗布される面である鋼板の表面を研磨した後に測定した。
【0084】
リン酸塩粒子の長軸は亜鉛系リン酸塩(Zinc phosphate)溶液を塗布した後、30~40℃温度で60~120秒間維持する処理を行い、鋼板表面に形成された単一リン酸塩粒子を観察して最も長い軸の長さを測定した。任意に算定された単一リン酸塩粒子を30個以上測定した後、測定値の平均を算出した。
【0085】
【0086】
【表2】
比較例2、3、6は、鋼板内のMn、Al、Siが過量添加されて、式1を満足せず、酸化層が厚く存在するようになる。これによって、Pickle lag時間が長くなり、腐食減量比も小さくなる。即ち、リン酸塩反応性が劣位になる。
【0087】
比較例4は、Pの含量が過少添加されて、式1を満足しない。酸反応性を促進するPが適切に含まれなくて、Pickle lag時間が長くなり、腐食減量比も小さくなる。即ち、リン酸塩反応性が劣位になる。
【0088】
比較例7および8は、C含量が過量または過少含まれる場合であり、セメンタイトが適切に形成されなくてPickle lag時間が長くなり、腐食減量比も小さくなる。即ち、リン酸塩反応性が劣位になる。また、降伏強度が未達になるか、降伏強度が過度に高くてクラックが発生するのを確認することができる。
【0089】
比較例1の場合、固溶強化効果を有するMnの含量を低く管理することによって強度が未達になる問題があった。
【0090】
比較例5は、P含量が過度に高くて降伏強度が高まり、クラックが発生するのを確認することができる。
【0091】
図2は、実施例1および比較例4で製造した鋼板をリン酸塩処理した以後の外面をSEM(Scanning Electron Microscope)で分析した写真である。
【0092】
Pickle lag時間が短く、腐食減量比が大きい実施例1が比較例4に比べてリン酸塩粒子の大きさが微細であり、鋼板の全体表面(100%近く)に均一に分布されるのを確認することができる。
【0093】
図3では、実施例1、実施例5、比較例4および比較例5で製造した鋼板のP含量をGDS(Glow Dispersion Spectroscopy)分析した結果である。
【0094】
図3に示されるように、Pの含量が増加するほど酸化層内のP含量も増加するのを確認することができる。
【0095】
実験例2
【0096】
下記実施例1の組成を有するスラブを熱間圧延、冷間圧延、焼鈍および1.5%圧下率で調質圧延して冷延鋼板を製造した。但し、各工程での条件を下記表3のように調節した。
【0097】
【表3】
表3に示されるように、リン酸塩反応性に鋼板の製造条件が影響を与えることが明らかになった。
【0098】
比較例9および比較例10に示されるように、巻取り温度が高いほど二相セメンタイトの分率が高まる。比較例9のようにその分率が低い場合には酸反応性が阻害され、比較例10のようにその分率が過度に高い場合にも酸反応性が低いcementite相の反応面積が広くなる問題で反応性が減る現象を確認することができる。
【0099】
比較例11および12は焼鈍温度の影響度を示すものである。焼鈍温度が低いほど鋼材表面に形成される酸化物の分率が減る効果があるため酸反応性に有利であるが、本発明で効果を示すPの含量は低い焼鈍温度で表面に含量が少なくて酸反応性の阻害を共にもたらす逆効果がある。即ち、焼鈍温度が過度に高いか低い場合、式1の値を満足せず、酸反応性が低下するのを確認することができる。
【0100】
本発明は実施例に限定されるわけではなく、互いに異なる多様な形態に製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施できるというのを理解することができるはずである。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0101】
10:鋼板
20:酸化層
【手続補正書】
【提出日】2023-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%、および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含み、
表面から鋼板内部方向に10nm以下の厚さを有する酸化層が存在し、
下記式1を満足し、
セメンタイトを面積分率で2%以上含み、残りはフェライトを含む、リン酸塩反応性に優れた鋼板。
[式1]
([Mn]+[Si]+[Al])/(3×[P])≦0.60
(式1中、[Mn]、[Si]、[Al]および[P]は酸化層を厚さ方向に元素分析する時、各元素の最大含量を意味する。)
【請求項2】
鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、Pickle lag時間が20秒以下である、請求項1に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項3】
鋼板を5%硫酸水溶液、30℃に浸漬時、腐食減量比が0.55mg/cm2/hr以上である、請求項1
または請求項2に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項4】
降伏強度が220~270MPaである、請求項1
~請求項3のいずれか一項に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項5】
リン酸塩処理後に形成されたリン酸塩粒子の平均長軸長さが10μm以下である、請求項1
~請求項4のいずれか一項に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項6】
リン酸塩処理後に形成されたリン酸塩粒子が鋼板表面の90面積%以上を占有する、請求項1
~請求項5のいずれか一項に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板。
【請求項7】
重量%で、炭素(C):0.02~0.06%、シリコン(Si):0.01%以下(0%は除外する)、マンガン(Mn):0.1~0.24%、アルミニウム(Al):0.02%以下(0%は除外する)、リン(P):0.015~0.04%および残部鉄(Fe)および不可避不純物を含むスラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する段階;
前記熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;
前記冷延鋼板を焼鈍する段階;および
前記焼鈍された冷延鋼板を調質圧延する段階を含み、
前記熱延鋼板を製造する段階で巻取り温度が650
~750℃であり、
前記焼鈍する段階で均熱温度が700~780℃である、リン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項8】
前記熱延鋼板を製造する段階で、
最終熱間圧延温度(FDT)が800~950℃である、請求項7に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項9】
前記冷間圧延して冷延鋼板を製造する段階;で、
圧下率が70~85%である、請求項7
または請求項8に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項10】
前記冷延鋼板を焼鈍する段階以後、前記調質圧延する段階以前に
最終冷却温度である80~150℃まで冷却する、請求項7
~請求項9のいずれか一項に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【請求項11】
前記焼鈍する段階で、水素5体積%以上および残り窒素を含む雰囲気および露点-30℃以下で焼鈍する、請求項7
~請求項10のいずれか一項に記載のリン酸塩反応性に優れた鋼板の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
熱延鋼板を製造する段階で巻取り温度が650~750℃であり、焼鈍する段階で均熱温度が700~780℃であり、調質圧延する段階を経る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
熱延鋼板を製造する段階で、巻取り温度が650~750℃であってもよい。巻取り温度はフェライト単相以外にセメンタイトのような二相の分率に影響を与え、巻取り温度が高いほどセメンタイト分率が高まるようになる。適切に調節されたセメンタイト分率はリン酸塩反応性向上に有利に作用できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
また、製造された試片を180度Folding後、試片の折り曲げられた部分でCrackが発生したかどうか判断した。
【国際調査報告】