(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】強化された再利用可能な可撓性ホース
(51)【国際特許分類】
F16L 11/08 20060101AFI20231226BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20231226BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231226BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20231226BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F16L11/08 B
B32B1/08
B32B27/00 B
C08L101/00
C08L21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539068
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 IB2021062107
(87)【国際公開番号】W WO2022137119
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020000032297
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509008020
【氏名又は名称】フィット エッセピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バッタリア,ルカ
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
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4J002GG00
(57)【要約】
流体を輸送するための強化された可撓性ホースは、第1のポリマー材料で作られた少なくとも1つの第1の耐力層(10)と、第2のポリマー材料で作られ、少なくとも1つの第1の耐力層(10)の外部に配置された少なくとも1つの第2の被覆層(20)と、第3のポリマー材料で作られ、少なくとも1つの第1及び第2の層(10,20)の間に介在する少なくとも1つの強化層(30)と、を含む。第1及び第2のポリマー材料が熱可塑性エラストマーであり、第3のポリマー材料が熱可塑性ポリマー材料である。第1、第2、及び第3のポリマー材料が互いに適合する結果、第1、第2、及び第3のポリマー材料からなる粉砕混合物(60)を得るために、少なくとも1つの第1及び第2の層(10,20)と少なくとも1つの強化層(30)との間で分離することなく可撓性ホースを粉砕することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を輸送するための強化された可撓性ホースであって、
第1のポリマー材料で作られた少なくとも1つの第1の耐力層(10)と、
第2のポリマー材料で作られ、前記少なくとも1つの第1の耐力層(10)の外部に配置された少なくとも1つの第2の被覆層(20)と、
第3のポリマー材料で作られ、前記少なくとも1つの第1及び第2の層(10,20)の間に介在する少なくとも1つの強化層(30)と、を含み、
前記第1及び第2のポリマー材料が熱可塑性エラストマーであり、前記第3のポリマー材料が熱可塑性ポリマー材料であり、
前記第1、第2及び第3のポリマー材料が互いに適合する結果、該第1、第2、及び第3のポリマー材料からなる粉砕混合物(60)を得るために、前記少なくとも1つの第1及び第2の層(10,20)と前記少なくとも1つの強化層(30)との間で分離することなく、粉砕することができる、可撓性ホース。
【請求項2】
前記粉砕混合物(60)が、前記少なくとも1つの第1及び第2のポリマー材料のISO868:2003に従って測定されるショアA硬度の加重平均よりも高い、ISO868:2003に従って測定されたショアA硬度を有する、請求項1に記載のホース。
【請求項3】
ISO868:2003に従って測定される前記粉砕混合物(60)のショアA硬度が、前記少なくとも1つの第1及び第2のポリマー材料のISO868:2003に従って測定されるショアA硬度の加重平均である8ShAから20ShA、好ましくは10ShAから18ShAよりも大きい、請求項2に記載のホース。
【請求項4】
前記第1及び第2のポリマー材料がEPDM系であり、前記少なくとも1つの第1及び第2のポリマー材料のISO868:2003に従って測定されるショアA硬度の加重平均が60ShAから75ShAの間であり、ISO868:2003に従って測定される前記粉砕混合物(60)のショアA硬度が70ShAから90ShAの間である、請求項1、2又は3に記載のホース。
【請求項5】
前記第1及び第2のポリマー材料がSEBS系であり、前記少なくとも1つの第1及び第2のポリマー材料のISO868:2003に従って測定されるショアA硬度の加重平均が35ShAから55ShAの間であり、ISO868:2003に従って測定される前記粉砕混合物(60)のショアA硬度が55ShAから75ShAの間である、請求項1、2又は3に記載のホース。
【請求項6】
前記第1及び第2のポリマー材料がEPDM系であり、前記少なくとも1つの第1又は第2のポリマー材料のISO1133-230℃-5Kgに従って測定されるメルト・フロー・インデックスが、1g/10分から5g/10分の間にあり、ISO1133-230℃-5Kgに従って測定される前記粉砕混合物(60)のメルト・フロー・インデックスが、10g/10分から30g/10分の間にある、請求項1から4のいずれか一項に記載のホース。
【請求項7】
前記第1のポリマー材料及び/又は前記第2のポリマー材料が、前記第3のポリマー材料を含む化合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載のホース。
【請求項8】
前記熱可塑性エラストマーが、ポリプロピレンを含むEDPM系のTPV、又はポリプロピレンを含むSEBS系のTPE-Sであり、前記第3のポリマー材料がポリプロピレンである、請求項1から7のいずれか一項に記載のホース。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の可撓性ホースを粉砕することによって得られる粉砕混合物であって、3mmから25mmの間にある、より大きな対角線(dm)を好ましくは有する複数の多角形片を好ましくは有する、粉砕混合物。
【請求項10】
請求項9に記載の前記粉砕混合物(60)から出発して流体を輸送するための強化された可撓性ホースを製造する方法であって、前記粉砕混合物を含む、又は該粉砕混合物からなる第4のポリマー材料を押し出して、少なくとも1つの第1の層(10)を得るステップを含む、方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の層が内側耐力層(10)及び/又は外側被覆層(20)であり、前記耐力層(10)の上方及び/又は前記被覆層(20)の下方に、前記第4のポリマー材料に適合する第5のポリマー材料から作製される少なくとも一つの強化層(30)を形成するステップが更に設けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第4のポリマー材料が、前記粉砕混合物(60)と、該粉砕混合物に適合する少なくとも1つの第6のポリマー材料(61)とを含み、前記第6のポリマー材料が、未処理の熱可塑性エラストマーである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第4のポリマー材料が、前記粉砕混合物(60)と、前記少なくとも1つの第6のポリマー材料(61)との間において、1対99から30対70の間の重量比を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記可撓性ホースが製造ラインによって製造され、前記粉砕混合物(60)が前記製造ラインの生産廃棄物から出発して製造される、請求項10、11、12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第4のポリマー材料が、前記粉砕混合物(60)と前記少なくとも1つの第6のポリマー材料(61)との間において1対99から10対90の間の重量比を有し、前記粉砕混合物(60)が、粉砕されるべき材料の蓄積を回避するために、最大で1営業日の前記製造ラインの前記生産廃棄物から出発して製造される、請求項13及び14に記載の方法。
【請求項16】
請求項10から15のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、再利用され、強化された可撓性ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性ホース、例えば灌水ホースの技術分野に関し、特に、再利用可能な強化された可撓性ホース、並びにそのような可撓性ホースを粉砕することによって得られる粉砕混合物、及びそのような粉砕混合物から出発する強化された可撓性ホースの製造方法に関する。
定義
【0002】
本明細書では、「繊維強化層」又は「強化層」という表現又はその派生語は、下方にある層上に配置された少なくとも1本の繊維糸からなる層を示すために使用される。「強化層」は、概ね正方形、長方形、又は菱形の部分を空けるように耐力層上に配置される。
【0003】
本文書において、「クロスハッチされた繊維層」又は「クロスハッチ層」又は「クロスハッチング」という表現、又はその派生語は、反対に傾斜し、互いに重ね合わされているが接続されておらず、耐力層に螺旋状に巻き付けられた少なくとも2本の糸又は糸の群からなる層を示すために使用される。したがって、クロスハッチングは、2本以上の重ね合わされた螺旋からなる。
【0004】
本明細書では、「適合性材料」という表現又はその派生語は、相互の化学的及び/又は物理的適合性を有する材料、すなわち、結合されると、接触面を通る引張力又はせん断力の伝達に耐えるのに適した接合を生じる材料を示すために使用される。それゆえに、最大の適合性は、同一の材料、又は同じ主成分の母材を有する材料において観察される。
【0005】
本明細書では、ポリマー材料の「母材」という表現又はその派生語は、最終製品の分子構造を与えることができるポリマーを示すために使用される。
【0006】
本文書において、「ポリマー材料」という表現又はその派生語は、単一のポリマー及び複数のポリマーの混合物(例えば配合物又は化合物)の両方を示すために使用される。
【背景技術】
【0007】
強化された可撓性ホースは、本質的には、ポリマー材料で作られた管状部品と、強化材を形成する糸で作られた部品との2つの部品からなることが知られている。一般に、管状部品は、ポリマー材料で作られた2つ以上の層からなり、その間に強化糸が配置される。
【0008】
通常、強化糸は、ポリマーで作られる部品を形成するポリマー材料に適合(混合)しない材料で作られる。また、ポリマー部品の層を形成する材料は、必ずしも互いに適合するとは限らないが、適合は可撓性ホースの再利用可能性に必要な条件である。
【0009】
しかしながら、ポリマー部品が適合性材料の場合であっても、ポリマー部品と糸材料との間が非適合であると、ホースの再利用を目的として2つの部品を分離するための作業を必要とする。
【0010】
この作業は長く、費用がかかり、実行が困難であるので、生産廃棄物の再利用として工業レベルにあったとしても、可撓性ホースの再利用を経済的に不便にする。
【0011】
さらに、ホースの管状部品から糸を100%分離することは基本的に不可能であり、これは、再生材料の顆粒が常に多かれ少なかれ高い割合の不純物を含有するという事実につながる。明らかなように、これは、この材料で作られたホースの機械的性質に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、非常に効果的で比較的費用対効果の高い強化された可撓性ホースを提供することによって、上記で概説した欠点を克服することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、容易に再利用可能な強化された可撓性ホースを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、適切に再利用されると、元のものに匹敵する機械的性質を有する新規な可撓性チューブをもたらす強化された可撓性ホースを提供することである。
【0015】
本明細書で記載及び/又は特許請求及び/又は例示されるように、以下でより明らかになるこれらの目的及び他の目的は、強化された可撓性ホース、並びに粉砕混合物及びその製造方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は、流体を輸送するための強化された可撓性ホースであって、
第1のポリマー材料で作られた少なくとも1つの第1の耐力層と、
第2のポリマー材料で作られ、少なくとも1つの第1の耐力層の外部に配置された少なくとも1つの第2の被覆層と、
第3のポリマー材料で作られ、少なくとも1つの第1及び第2の層の間に介在する少なくとも1つの強化層と、を含み、
第1及び第2のポリマー材料が熱可塑性エラストマーであり、第3のポリマー材料が熱可塑性型であり、
第1、第2及び第3のポリマー材料が互いに適合する(混合できる、相溶性のある)、可撓性ホースに関する。
【0017】
このようにして、第1、第2、及び第3のポリマー材料からなる粉砕混合物を得るために、耐力層及び被覆層と強化層とを分離することなく可撓性ホースを粉砕することができる。
【0018】
適切には、粉砕混合物は、第1及び第2のポリマー材料のISO868:2003に従って測定されるショアA硬度の加重平均(好ましくは8ShA~20ShA、一層好ましくは10ShA~18ShA)よりも高い、ISO868:2003に従って測定されるショアA硬度を有していてもよい。
【0019】
有利には、第1及び/又は第2のポリマー材料は、その組成が第3のポリマー材料を含む化合物であってもよい。
【0020】
例えば、第1及び第2のポリマー材料を形成する熱可塑性エラストマーは、EDPM及びポリプロピレンを含むTPV(例えばEXXONMOBIL(登録商標)コーポレーションによって市販されているSANTOPRENE(登録商標))、又はSEBS及びポリプロピレンを含むTPE-S(例えばTaro Plast SpAによって市販されているNilflex SH)であってもよく、一方で第3の熱可塑性ポリマー材料はポリプロピレンであってもよい。
【0021】
他方、上述の可撓性ホースを粉砕することによって得られる粉砕混合物を提供してもよく、当該混合物は、好ましくは3mmから25mmの間にある、より大きな対角線を有する複数の多角形片を有する。
【0022】
他方、請求項9に記載の粉砕混合物から出発する流体を輸送するための強化された可撓性ホースを製造するための方法であって、
少なくとも1つの第1の層、好ましくは耐力層を得るために、粉砕混合物を含む、又は粉砕混合物からなる第4のポリマー材料を押し出すステップと、
好ましくは、第4のポリマー材料に適合する第5のポリマー材料から作製される少なくとも1つの強化層を耐力層の上に作製するステップと、を含む方法を提供してもよい。
【0023】
適切には、第4のポリマー材料は、粉砕混合物と、粉砕混合物に適合する少なくとも1つの第6のポリマー材料とを、1対99から10対90の間の重量比で含んでいてもよい。
【0024】
有利には、粉砕混合物は、それが由来するホースの製造ラインの生産廃棄物から出発して得られてもよい。
従属請求項は、本発明の有利な実施形態を定義する。
【0025】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として示される、本発明のいくつかの好ましいが非排他的な実施形態の詳細な説明に照らしてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】強化された可撓性ホース1の製造ラインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上述の図を参照して、本明細書では、花、植物などを灌水するための可撓性園芸用ホース1について説明する。そのようなホースは、それ自体公知の方法で特殊な継手によって家庭用水道本管に接続されるのに適しており、その結果、ホースは、家庭用水道本管の器具、例えば蛇口から、灌水される地点、例えば庭園、花壇などまで飲料水を輸送する。
【0028】
以下では、園芸用ホースについて常に言及するが、本発明によるホースは、添付の特許請求の範囲の保護の範囲から逸脱することなく、任意の目的に使用することができることは明らかである。
【0029】
ホース1は、本質的に、1つ以上の内側耐力層10と、1つ以上の外側被覆層20と、それらの間に介在する1つ以上の繊維強化層30とを含んでいてもよい。
【0030】
以下では3層ホースについて言及するが、本発明によるホースは、ポリマー材料又は強化繊維から作製されているかどうかにかかわらず、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、任意の数の層を有することができることは明らかである。
【0031】
内層10及び外層20は、それぞれの適合性ポリマー材料で作製されてもよく、好ましくは同じポリマー材料で作製される。
【0032】
これらのポリマー材料は、熱可塑性エラストマー型、例えばTPV、TPE-S、TPE-O又はTPE-Aであってもよい。
【0033】
好ましくは、内層10及び外層20の材料は、例えばEPDM、ポリプロピレン及びパラフィン油の混合物からなるEPDM母材を有するTPV化合物、又は例えばSEBS、ポリプロピレン及びパラフィン油の混合物からなるSEBS系TPE-S化合物であってもよい。
【0034】
適切には、内層10及び外層20の材料のISO868:2003に従って測定される全体のショアA硬度は、上述のEPDM系化合物の場合には60ShAから75ShAの間にあってもよく、上述のSEBS系化合物の場合には35ShAから55ShAの間にあってもよい。
【0035】
内層10及び外層20の材料のショアA硬度に差がある場合、全体の硬度は、そのような層を形成する2つの材料の平均硬度から測定され、層の総重量に対する個々の層の重量に対応して重み付けされてもよい。
【0036】
さらに、有利には、内層10又は外層20の材料のISO1133-230℃-5Kgに従って測定される全体的なメルト・フロー・インデックスは、上述のEPDM系化合物の場合、1g/10分から5g/10分の間にあってもよく、内層10及び外層20の材料のISO1133-190℃-5Kgに従って測定される全体的なメルト・フロー・インデックスは、上述のSEBS系化合物の場合、5g/10分から10g/10分の間にあってもよい。
【0037】
他方、強化層30は、上述の材料に適合する繊維状ポリマー材料で作られてもよい。
例えば、TPV、TPE-S又はTPE-Oで作られた内層10及び外層20の場合、強化層30はポリプロピレンで作られてもよく、TPE-Aで作られた内層10及び外層20の場合、強化層30はポリアミドで作られてもよい。適切には、強化層30は、例えば編まれた又はクロスハッチされた任意の構成を有してもよい。
【0038】
それ自体公知の方法で、特に
図1に示すように、第1の押出機40で第1のポリマー材料を押し出して内層10を得て、続いて編み機、クロスハッチング機又は螺旋形成機41で内層10の上に強化層を得て、次いで押出機42によって産出半製品上に被覆層20を共押出することによってホース1を製造してもよい。
【0039】
前述のポリマー材料間の適合性により、それ自体既知の型の破砕機50、例えばCMG Spaによって市販されているTRM600において、内層10及び外層20並びに強化層30からなるホースのポリマー部分を事前に分離することなく可撓性ホース1を粉砕してもよい。
【0040】
これにより、互いに適合する層10、20及び30の材料からなる粉砕混合物60を得ることができる。適切には、破片は、3mmから25mmの間にある、より大きな対角線dmを有する概して多角形、例えば正方形又は長方形であってもよい。
【0041】
ISO868:2003に従って測定される粉砕混合物60のショアA硬度は、8ShAから20ShA、好ましくは10ShAから18ShAである内層10及び外層20の材料の全体のショアA硬度より大きくてもよい。
【0042】
本発明の好ましいが非排他的な実施形態において、ポリプロピレンを含むEPDM系のTPVから作製された内層10及び外層20、並びにポリプロピレンから作製された強化層30の前述の例では、粉砕混合物60はEPDM及びポリプロピレンを含み、ポリプロピレンは未処理のTPVのポリプロピレンの量よりも大量にある。
【0043】
この場合、内層10及び外層20を形成する材料のISO868:2003に従って測定されたショアA硬度の加重平均は、60ShAから75ShAの間であってもよく、ISO868:2003に従って測定された粉砕混合物60のショアA硬度は、70ShAから90ShAの間であってもよい。
【0044】
さらにこの場合、ISO1133-230℃-5kgに従って測定された粉砕混合物60のメルト・フロー・インデックスは、内層10及び外層20の材料のメルト・フロー・インデックスである8g/10分から25g/10分よりも高くてもよい。
【0045】
例えば、内層10及び外層20の材料の各々のISO1133-230℃-5Kgに従って測定されるメルト・フロー・インデックスは、1g/10分から5g/10分の間であってもよく、ISO1133-230℃-5Kgに従って測定される粉砕混合物60のメルト・フロー・インデックスは、10g/10分から30g/10分の間であってもよい。
【0046】
本発明のさらに好ましいが非排他的な実施形態では、ポリプロピレンを含むSEBS系のTPE-Sで内層10及び外層20が作製され、ポリプロピレンで強化層30が作製されている場合、粉砕混合物60はSEBS及びポリプロピレンを含み、ポリプロピレンは未処理のTPE-Sのポリプロピレンの量よりも大量にある。
【0047】
この場合、内層10及び外層20を形成する材料のISO868:2003に従って測定されるショアA硬度の加重平均は、35ShAから55ShAの間であってもよく、ISO868:2003に従って測定される粉砕混合物60のショアA硬度は、55ShAから75ShAの間であってもよい。
【0048】
図1に概略的に示すように、流体を輸送するための新規な強化された可撓性ホースを製造するための原料として粉砕混合物60を使用してもよい。場合によっては、この目的のために、粉砕混合物60は、例えばパラフィン油を添加することによって適切に添加されてもよい。
【0049】
この意味で、本発明は、廃棄された可撓性ホースが再利用され、新規なホースの原料に変換される、可撓性ホース製造ラインの生産廃棄物を再利用する方法を定義してもよい。
【0050】
この製造ラインでは、粉砕混合物60は、そのまま使用されるか、又は
図1に示されるように、適合性未処理材料61に配合されて切断される。
【0051】
粉砕混合物60と適合性未処理材料61との間の重量比は、1対99から30対70の間であってもよい。重量比でこれを超えると、得られるポリマーの機械的性質は、上述の型の可撓性ホースを製造するのに適さなくなる。
【0052】
可撓性ホース製造ラインの工業的に許容される平均的な生産廃棄物が最大5%であるという事実を考慮すると、大量の粉砕混合物60で重量比を得るには、数営業日にわたって大量の生産廃棄物を蓄積する必要がある。
【0053】
これには、明らかに、生産現場における生産廃棄物及び保管スペースの適切な管理が必要である。
【0054】
したがって、好ましくは、粉砕混合物60と適合性未処理材料61との間の重量比は、1対99から10対90の間であってもよい。
【0055】
これにより、生産廃棄物の蓄積及び、関連する管理を必要とせずに、最大で1営業日の生産廃棄物を定期的に、例えば、半営業日ごと又は営業日の終わりに再利用することが可能になる。
【0056】
未処理材料61と粉砕混合物60との組み合わせは、添付の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、
図1に示すような第1のポリマー材料及び/又は第2のポリマー材料を形成してもよい。換言すると、未処理材料61と粉砕混合物60との組み合わせをホースの耐力層又は被覆層を得るために使用してもよい。
【0057】
未処理材料61が未処理のTPVである前述の例では、粉砕混合物60は、上述のようにTPVホースの生産廃棄物の粉砕に由来してもよい。
【0058】
上述のサイクルを循環経済論理で繰り返すために、新規なホースは、適合性材料、例えばポリプロピレンで作られた強化層を含んでいてもよい。
【0059】
前述の特徴は、ホースの残りの部分から強化層を分離する事前の操作なしに、ホースを破砕機60に挿入するだけで、完全かつ容易に再利用可能なホースを得ることを可能にする。
【0060】
得られた粉砕混合物を、新しいホースを作製するために使用してもよい。明らかなように、これにより、ホースの製造に伴うコストと環境への影響の両方が低減される。
本発明は、以下の実施例に照らしてより明確になるであろう。
【0061】
<実施例>
ホースの準備
以下の原材料を使用して、10mのホースを測定する4つのサンプルを調製した。
内層。EXXONMOBIL(登録商標)コーポレーションによって市販されているSANTOPRENE(登録商標)201-64
外層。EXXONMOBIL(登録商標)コーポレーションによって市販されているSANTOPRENE(登録商標)201-73
強化層。Industrias Ponsa,S.A.によって市販されているPP糸1200DN「AT」TANG C.WHITE。
【0062】
それ自体既知の型の押出機によって内層及び外層を押し出し、それ自体既知の型の編み機によって、NTS(登録商標)(サンプル3及び4)又はDCT(サンプル1及び2)型のトリコット型のチェーンステッチを有する編み層を内層上に形成することによって、それ自体既知の方法でホースを作製した。
4つのサンプルにおける重量分布の割合は、以下の通りである。
(表1)
【0063】
ショア硬度の測定
上述のサンプル1~4を形成する材料の全体的なショアA硬度をISO868:2003規格に従ってATS FAARショアA型のショア硬度計によって測定した。
いずれも明らかに上述の基準に従って測定された、SANTOPRENE(登録商標)201-64で作製された内層(硬度ShA:64)、及びSANTOPRENE(登録商標)201-73で作製された外層(硬度ShA:73)のショアA硬度の加重平均を計算することによって全体的な硬度を測定した。
結果を以下の表に報告する。
(表2)
【0064】
MFIの測定
上述のサンプル1~4(SANTOPRENE(登録商標)201-64及びSANTOPRENE(登録商標)201-73)の管状層を形成する材料のMFIを、ISO1133-230℃-5Kg規格に従って、INSTRON(登録商標)CEAST Melt Flow Tester MF 30型のメルトフロー試験機を使用して測定した。
結果を以下の表に報告する。
(表3)
【0065】
ホースの粉砕
上述の4つのホースサンプルの各々を、CMG Spaによって市販されているTRM600型破砕機にそのまま挿入し、ポリマー材料で作られたものから強化層を事前に分離することなく粉砕した。このようにして得られた混合物の破片を、15mmメッシュのふるいを使用して選別した。
【0066】
混合物のショア硬度の測定
上述のサンプルの粉砕に由来する混合物のそれぞれについて、上記と同じショア硬度計を使用してISO868:2003規格に従ってショアA硬度を測定した。
結果を以下の表に報告する。
(表4)
【0067】
したがって、ポリマー材料と混合されたとき、様々なホースサンプルのポリプロピレン糸が、混合物のショアA硬度を著しく増加させたことは明らかである。
【0068】
混合物のMFIの測定
上述のサンプルの粉砕に由来する混合物のそれぞれについて、上記と同じメルトフロー試験機を使用してISO1133-230℃-5Kg規格に従ってMFIを測定した。
結果を以下の表に報告する。
(表5)
【0069】
したがって、ポリマー材料と混合されたとき、様々なホースサンプルのポリプロピレン糸が、混合物のMFIを著しく増加させたことは明らかである。
新しいホースの準備
【0070】
前述の4つのサンプルから得られた混合物を、5対95の比で未処理のSANTOPRENE(登録商標)201-64顆粒と混合した。このような未処理材料と粉砕材料との混合物を押出して、10mホースの新しいサンプルの各々の耐力層を得た。これらの耐力層の各々を編み機に挿入して、上述のポリプロピレン強化層を得て、続いて、編み機から出てくる半製品上にSANTOPRENE(登録商標)201-73を押し出して、被覆層を得た。新しいホースサンプルの重量分布は、上述のサンプル1~4と同じである。
基本的に、品質及び機械的観点の両方から出発サンプルと同様の4つのホースサンプルが得られた。
【0071】
機械的性質対重量比
粉砕混合物と未処理材料との間の重量比が変化するにつれてポリマー材料の機械的性質がどのように変化するかを確認するために、以下の表に報告されるように、SANTOPRENE(登録商標)201-73及び上記の「サンプル混合物1」(SAMP MIX 1)からなる様々なサンプルを97対3から50対50の範囲の比で調製した。
【0072】
ATS FAAR Shore A型のショア硬度計を使用し、ISO868:2003規格に従ったショアA硬度と、INSTRON(登録商標)CEAST Melt Flow Tester MF30タイプのメルトフロー試験機を使用し、ISO1133-230℃-5Kg規格に従ったMFIと、Galdabiniブランドの動力計、25kNロードセルを備えたSun2500モデル、及び最大速度600mm/分の歪みゲージを使用し、ISO37/ISO527-2-2012規格に従った引張力とを各サンプルについて測定した。
【0073】
試験は、サンプル混合物1(SAMP MIX 1)の割合が増加するにつれて、目的の機械的性質に実質的な低下があることを示しており、粉砕混合物の35%において最大の差を示している。
【0074】
したがって、強化された可撓性ホースを作製するのに適した押出されたポリマーを得ることを可能にする、未処理ポリマーと粉砕混合物との間の最大重量比は、70対30である。
(表6)
【国際調査報告】