(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】放射線撮影装置および放射束制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/40 20240101AFI20231226BHJP
A61B 6/00 20240101ALI20231226BHJP
【FI】
A61B6/00 300G
A61B6/00 350A
A61B6/00 360Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539078
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2021019892
(87)【国際公開番号】W WO2022139561
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183468
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186523
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515075038
【氏名又は名称】ディアールテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ウォン テク
(72)【発明者】
【氏名】イ、チャン キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョン キョン
(72)【発明者】
【氏名】カン、チョン ミン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA34
4C093EA12
4C093EC16
4C093FA16
4C093FA54
4C093FF13
4C093FF27
4C093FG04
(57)【要約】
放射線撮影装置は被照射体に放射線を照射できるように構成され、前記放射束を選択的に遮断させることができるコリメータを具備する放射線照射部、前記被照射体を透過した前記放射線の入射を受けて映像信号を獲得する映像獲得部、前記映像信号に基づいて放射線映像を表示する表示部、そして前記放射線映像で選択される選択領域に対応する前記放射線の照射範囲が具現されるように前記放射線照射部を制御できるように構成される判断制御部を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射体に放射線を照射できるように構成され、前記放射束を選択的に遮断させることができるコリメータを具備する放射線照射部、
前記被照射体を透過した前記放射線の入射を受けて映像信号を獲得する映像獲得部、
前記映像信号に基づいて放射線映像を表示する表示部、そして
前記放射線映像で選択される選択領域に対応する前記放射線の照射範囲が具現されるように前記放射線照射部を制御できるように構成される判断制御部を含む、放射線撮影装置。
【請求項2】
使用者から前記放射線映像上で前記選択領域の入力を受ける入力部をさらに含む、請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記表示部は使用者から前記放射線映像上で選択される前記選択領域の入力を受けることができるタッチスクリーンを含む、請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記コリメータは複数個で備えられ、前記複数個のコリメータそれぞれは同時に駆動されるように構成される、請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記複数個のコリメータそれぞれは相互間で非対称的または非連動的に移動して前記放射束の少なくとも一部を遮断できるように構成される、請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記表示部に表示される前記放射線映像で前記選択領域に対応する部分を拡大して表示する、請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
放射線を照射できるように構成され、前記照射される放射線の照射範囲を可変できるように構成される放射線照射部、
前記放射線照射部から照射されて被照射体を透過した放射線を受信して映像信号を獲得する映像獲得部、
前記映像信号に基づいて放射線映像を表示し、前記表示された放射線映像上で望む選択領域を設定できるように構成される表示部、そして
前記表示部によって前記選択領域が設定された場合に前記選択領域の情報に基づいて前記選択領域に対応する前記放射線の照射範囲を具現し、前記具現された照射範囲による放射線の照射および映像信号の獲得がなされるように前記放射線照射部と前記映像獲得部を制御できるように構成される判断制御部を含む、放射線撮影装置。
【請求項8】
前記放射線照射部は前記照射される放射束を選択的に遮断して前記放射線の照射範囲を調節できるように構成されるコリメータを含み、
前記コリメータは前記判断制御部の制御によって前記選択領域に対応する前記放射線の照射範囲を具現できるように作動する、請求項7に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記表示部は前記放射線映像を表示することができ、使用者からタッチジェスチャの入力を受けることができるように構成されるタッチスクリーンを含み、
前記選択領域は前記タッチスクリーンを通じて入力される前記タッチジェスチャによって設定される、請求項7に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記タッチジェスチャはドラッグタッチ、タップタッチ、ダブルタップタッチ、そしてプレスタッチのうち一つ以上を含む、請求項9に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記選択領域の設定は第1タッチジェスチャによって基本選択領域を設定する過程、第2タッチジェスチャによって前記基本選択領域を変更して変更選択領域を設定する過程、そして第3タッチジェスチャによって前記変更選択領域を前記選択領域として確定する過程を含む設定過程によってなされる、請求項9に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記表示部は前記選択領域に該当する前記放射線照射範囲によって獲得された放射線映像をイメージフィッティングを通じて表示するように構成される、請求項7に記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
被照射体に対する第1放射線映像を表示する第1映像表示過程;
放射線映像で選択される領域の入力を受けて選択領域を設定する選択領域設定過程;
前記選択領域に対応する放射束部分を除いた残りの部分をコリメータで遮断させるコリメータ駆動過程;および
前記選択領域に対応する放射束部分が前記被照射体に照射されて得られる第2放射線映像を表示する第2映像表示過程;を含む、放射束制御方法。
【請求項14】
前記第2映像表示過程で前記第2放射線映像で前記選択領域を拡大して表示する、請求項12に記載の放射束制御方法。
【請求項15】
被照射体に対する第1放射線映像を表示する段階、
前記第1放射線映像上で選択される領域の入力を受けて選択領域を設定する段階、
放射束を少なくとも部分的に遮断して前記選択領域に対応する放射線照射範囲を有する放射線を照射する段階、そして
前記照射された放射線によって得られる前記被照射体に対する第2放射線映像を表示する段階を含む、放射線撮影方法。
【請求項16】
前記放射線を照射する段階で前記選択領域に対応する放射線照射範囲は放射線撮影装置の放射線照射部のコリメータを調節して具現される、請求項15に記載の放射線撮影方法。
【請求項17】
前記選択領域を設定する段階で前記選択領域はタッチスクリーン上に表示された前記第1放射線映像上でタッチジェスチャによって設定される、請求項15に記載の放射線撮影方法。
【請求項18】
前記第2放射線映像を表示する段階で前記第2放射線映像を表示部の画面上にイメージフィッティングを通じて表示する、請求項15に記載の放射線撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線撮影装置およびこれを利用する放射線撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エックス線のような放射線を利用する放射線撮影装置は、人体または動物の胴体の患部に放射線を照射して透過する放射線の入射を受けて患部のイメージを獲得する撮影装置である。このような放射線撮影装置は持続的にまたは連続的に患部に対する放射線映像を提供する装置であって、患部の診断や判読、多様な医療施術のために広く利用されている。
【0003】
放射線撮影装置はエックス線のような放射線を被検者に照射するので被検者に加えられる放射線の線量を調節することが重要である。特にCアーム形態の放射線撮影装置は相対的に長時間の間エックス線撮影を遂行するため、エックス線の線量を最小化することが必要である。また、最近正確な診断と治療のために精密な高解像度のリアルタイム映像の必要性が大きく増加しており、放射線映像の画質を高めるためには放射線の被爆量の増加も伴われる。
【0004】
特に最近の医療映像分野では正確な診断と治療のために精密な高解像度のリアルタイム映像の必要性が大きく増加している。例えばリアルタイム映像を提供するCアーム形態の蛍光透視装置、高画質X線撮影装置、多様な断層映像および3次元再構成映像を提供するCT装置などのような映像装置が開発されており、3次元映像(CT)と透視映像(fluoroscopy)を利用した仲裁的施術が増加している。このような場合、施術の安全性を高めるためにエックス線映像の画質が優秀でなければならず、高画質の映像を得るためには必然的に放射線被爆量が増加する。このような理由で放射線撮影装置、特にCアームX線映像装置では露出するX線線量を調節することが重要である。
【0005】
既存の放射線撮影装置では放射束を調節するためのコリメータ(collimator)が備えられ、放射束の中心を基準として両側に二つのリーフコリメータ(leaf collimator)を動かして放射束の一部を遮断させることができた。
【0006】
放射線映像の中央からいずれか一方に偏った映像または関心領域が放射線映像の中央ではなく縁側にある場合、関心領域以外の部分に対する不要な被爆が発生する問題点があったし、場合により放射線照射器の位置を再調整し、再び放射線の明るさ調節のための撮影をしなければならないため、放射線被爆量が大きくならざるを得ない問題点もあった。また、コリメータの位置を設定した後、患者の動きなどによりコリメータの位置を再設定しなければならない場合、患者と撮影者がいずれも追加的な放射線に露出される問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1501086号公報(2015.03.04.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、放射線映像で選択領域に対する局所的な放射線撮影を遂行して使用者の放射線被爆量を減らし得る放射線撮影装置およびこれを利用する放射束制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例に係る放射線撮影装置は、被照射体に放射線を照射できるように構成され、前記放射束を選択的に遮断させることができるコリメータを具備する放射線照射部、前記被照射体を透過した前記放射線の入射を受けて映像信号を獲得する映像獲得部、前記映像信号に基づいて放射線映像を表示する表示部、そして前記放射線映像で選択される選択領域に対応する前記放射線の照射範囲が具現されるように、前記放射線照射部を制御できるように構成される判断制御部を含む。
【0010】
本発明の他の実施例に係る放射線撮影装置は、使用者から前記放射線映像上で前記選択領域の入力を受ける入力部をさらに含むことができる。
【0011】
前記表示部は使用者から前記放射線映像上で選択される前記選択領域の入力を受けることができるタッチスクリーンを含むことができる。
【0012】
前記コリメータは複数個で備えられ得、前記複数個のコリメータそれぞれは同時に駆動されるように構成され得る。
【0013】
前記複数個のコリメータそれぞれは相互間で非対称的または非連動的に移動して前記放射束の少なくとも一部を遮断できるように構成され得る。
【0014】
前記表示部に表示される前記放射線映像で前記選択領域に対応する部分を拡大して表示することができる。
【0015】
本発明の実施例に係る放射線撮影装置は、放射線を照射できるように構成され、前記照射される放射線の照射範囲を可変できるように構成される放射線照射部、前記放射線照射部から照射されて被照射体を透過した放射線を受信して映像信号を獲得する映像獲得部、前記映像信号に基づいて放射線映像を表示し、前記表示された放射線映像上で望む選択領域を設定できるように構成される表示部、そして前記表示部によって前記選択領域が設定された場合に前記選択領域の情報に基づいて前記選択領域に対応する前記放射線の照射範囲を具現し、前記具現された照射範囲による放射線の照射および映像信号の獲得がなされるように前記放射線照射部と前記映像獲得部を制御できるように構成される判断制御部を含む。
【0016】
前記放射線照射部は前記照射される放射束を選択的に遮断して前記放射線の照射範囲を調節できるように構成されるコリメータを含むことができ、前記コリメータは前記判断制御部の制御によって前記選択領域に対応する前記放射線の照射範囲を具現できるように作動することができる。
【0017】
前記表示部は前記放射線映像を表示することができ、使用者からタッチジェスチャの入力を受けることができるように構成されるタッチスクリーンを含むことができ、前記選択領域は前記タッチスクリーンを通じて入力される前記タッチジェスチャによって設定され得る。
【0018】
前記タッチジェスチャはドラッグタッチ、タップタッチ、ダブルタップタッチ、そしてプレスタッチのうち一つ以上を含むことができる。
【0019】
前記選択領域の設定は第1タッチジェスチャによって基本選択領域を設定する過程、第2タッチジェスチャによって前記基本選択領域を変更して変更選択領域を設定する過程、そして第3タッチジェスチャによって前記変更選択領域を前記選択領域として確定する過程を含む設定過程によってなされ得る。
【0020】
前記表示部は、前記選択領域に該当する前記放射線照射範囲によって獲得された放射線映像をイメージフィッティングを通じて表示するように構成され得る。
【0021】
本発明の実施例に係る放射束制御方法は、被照射体に対する第1放射線映像を表示する第1映像表示過程;放射線映像で選択される領域の入力を受けて選択領域を設定する選択領域設定過程;前記選択領域に対応する放射束部分を除いた残りの部分をコリメータで遮断させるコリメータ駆動過程;および前記選択領域に対応する放射束部分が前記被照射体に照射されて得られる第2放射線映像を表示する第2映像表示過程;を含む。
【0022】
前記第2映像表示過程で前記第2放射線映像で前記選択領域を拡大して表示することができる。
【0023】
本発明の実施例に係る放射線撮影方法は被照射体に対する第1放射線映像を表示する段階、前記第1放射線映像上で選択される領域の入力を受けて選択領域を設定する段階、放射束を少なくとも部分的に遮断して前記選択領域に対応する放射線照射範囲を有する放射線を照射する段階、そして前記照射された放射線によって得られる前記被照射体に対する第2放射線映像を表示する段階を含む。
【0024】
前記放射線を照射する段階で、前記選択領域に対応する放射線照射範囲は放射線撮影装置の放射線照射部のコリメータを調節して具現され得る。
【0025】
前記選択領域を設定する段階で、前記選択領域はタッチスクリーン上に表示された前記第1放射線映像上でタッチジェスチャによって設定され得る。
【0026】
前記第2放射線映像を表示する段階で、前記第2放射線映像を表示部の画面上にイメージフィッティングを通じて表示することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、使用者の選択による局所的部位である選択領域に限定して放射線を照射して放射線映像を得ることによって放射線の被爆量を減らすことができる。したがって、放射線映像の中央でいずれか一方に偏った映像または使用者の関心領域が放射線映像の中央ではなく縁側にある場合、関心領域以外の部分に対する不要な放射線被爆が抑制される効果がある。
【0028】
また、手術中に放射線生成装置の動きがなくても手術を継続して進行させることができるため、放射線照射部の位置を再調整して再び放射線の明るさ調節のための撮影を遂行しなければならない不便な点も解消され得、コリメータの位置を再調整する場合、コリメータの位置調整に所要する時間が短縮されるため施術時間の短縮が可能であり、使用者の便宜が向上する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例に係る放射線撮影装置を概略的に示したブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に係る放射線撮影装置の放射線照射部で放射束と複数個のコリメータを概略的に示した図面である。
【
図3】本発明の実施例に係る放射線撮影装置の放射線照射部で放射束と複数個のコリメータを概略的に示した図面である。
【
図4】本発明の実施例に係る放射線撮影装置を利用した放射束制御方法を概略的に示したフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例に係る放射線撮影装置で得られた放射線映像のイメージを概略的に示した図面である。
【
図6】本発明の実施例に係る放射線撮影装置で得られた放射線映像上で選択領域を示したイメージを概略的に示した図面である。
【
図7】本発明の実施例に係る放射線撮影装置でコリメータによって選択領域以外の部分が遮られたイメージを概略的にグラフで示した図面である。
【
図8】本発明の実施例に係る放射線撮影装置で得られた放射線映像で選択領域が拡大して表示されたイメージを概略的に示した図面である。
【
図9】(a)は、本発明の実施例に係る放射線撮影装置に表示部の画面上に表示されたイメージ上で選択領域を設定した状態を示した図面であり、(b)は、(a)の選択領域により得られた放射線映像が表示部の画面に表示された状態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付された図面を参照して本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態で具現され得説明された実施例に限定されない。
【0031】
図1を参照すると、本発明の実施例に係る放射線撮影装置は、放射線照射部110、映像獲得部120、判断制御部130、表示部140を含む。放射線照射部110は被照射体に照射される放射束の断面で非対称的に遮断させることができるコリメータ(collimator)を含む。コリメータは放射束を選択的に遮断して望む放射線照射範囲を具現できるように構成され得る。また、放射線照射部110は放射線、例えばX線を生成するための放射線ソース、例えばX線ソースを含むことができる。映像獲得部120は被照射体を透過した放射線の入射を受けて映像信号を獲得する。映像獲得部120は被照射体を透過した放射線、例えばX線を検出する放射線ディテクタ、例えばX線ディテクタを含むことができる。表示部140は映像信号に基づいて放射線映像を表示する。判断制御部130は放射線映像で選択される選択領域に対応する放射束部分を除いた残りの放射束部分を遮断させることができる遮断情報を放射線照射部110に伝達する。
【0032】
放射線撮影装置は使用者から放射線映像上で選択される選択領域の入力を受ける入力部をさらに含むことができる。
【0033】
表示部140は使用者から放射線映像で選択される選択領域の入力を受け別途に備えられなくてもよいが、タッチスクリーンのような表示部140を通じて入力が可能な場合にもマウス、キーボード、制御パネルなどのような入力部が共に備えられてもよい。
【0034】
放射線照射部110に備えられるコリメータ210、220、230、240は複数個であり、複数個のコリメータ210、220、230、240それぞれは同時に駆動され得ることが好ましい。放射線照射部110に備えられるコリメータは
図2および
図3に図示されたように4個のコリメータからなるものに限定されず、放射束を少なくとも部分的に遮断して放射線照射範囲を変更または調節できる多様な構造で具現され得る。
【0035】
複数個のコリメータ210、220、230、240それぞれは相互間で非対称的にまたは非連動的に移動して放射束200の一部を遮断できるように構成されることが好ましい。また、表示部140に表示される放射線映像で選択領域に対応する部分を拡大して表示できることも好ましい。
【0036】
放射線を被照射体に照射する放射線照射部110の例としてX線生成装置が挙げられる。X線生成装置は真空管内に備えられるフィラメント状のカソードから加速した電子ビームが高エネルギー状態でアノード上のターゲット物質に入射されて円錘状のビーム形態のX線を生成する。放射線照射部110は放射線出力条件により放射線を出力して被照射体に照射する。ここで放射線出力条件は放射線であるX線の出力電圧と出力電流を含むことができる。このような放射線出力条件は判断制御部130から伝達され得る。
【0037】
放射線出力条件が判断制御部130から放射線照射部110に伝達され得るように判断制御部130と放射線照射部110は電気的に連結される。したがって、放射線照射部110は判断制御部130から伝達された放射線出力条件によりX線を出力して被照射体に照射する。そしてコリメータ210、220、230、240の駆動を制御するための制御信号も判断制御部130から放射線照射部110に伝達され得る。コリメータ210、220、230、240の駆動を制御するための制御信号である遮断情報によりコリメータ210、220、230、240の駆動が制御され得る。
【0038】
放射線照射部110の前方側にはX線形態および照射領域を決定するためのコリメータ210、220、230、240が備えられる。すなわち放射線照射部110は被照射体に照射される放射束の断面で非対称的に遮断させることができるコリメータ210、220、230、240を具備する。放射線照射部110は判断制御部130から伝達された制御信号、すなわち放射束の遮断情報によりコリメータ210、220、230、240の駆動を制御する。
【0039】
図2および
図3は本発明の実施例に係る放射線撮影装置の放射線照射部で放射束と複数個のコリメータを概略的に示した図面であり、
図2は複数個のコリメータが放射束を遮断しない状態を概略的に示し、
図3は複数個のコリメータそれぞれが放射束の一部を遮断する状態にあることを概略的に示す。
【0040】
図2および
図3を参照すると、放射線照射部110で放射線であるX線が進行する方向が前方側に4個のコリメータ210、220、230、240が備えられる。第1コリメータ210、第2コリメータ220、第3コリメータ230、第4コリメータ240それぞれは制御信号、すなわち遮断情報により
図2に矢印で図示されたように放射束200の中心に向かって独立的に移動して、
図3に図示されたように放射束200の一部分をそれぞれ遮断することができる。すなわち第1コリメータ210、第2コリメータ220、第3コリメータ230、第4コリメータ240それぞれの移動は遮断情報により独立的になされる。また、第1コリメータ210、第2コリメータ220、第3コリメータ230、第4コリメータ240それぞれの移動は同時的になされることが好ましい。このように第1コリメータ210、第2コリメータ220、第3コリメータ230、第4コリメータ240が放射束200の一部分を遮断したり開放できるように移動させるための駆動手段として、モータ(図示されず)が放射線照射部110に備えられてもよい。
【0041】
第1コリメータ210、第2コリメータ220、第3コリメータ230、第4コリメータ240により遮断されていない放射束部分200は後述する選択領域に対応する部分であって、被照射体に照射される。
【0042】
映像獲得部120は被照射体を透過した放射線の入射を受けて映像信号を獲得する。すなわち、映像獲得部120は被照射体を透過して入射したX線を映像信号に変換して映像信号を得る。映像獲得部120はX線生成装置に対向するように位置し、被照射体を透過したX線を可視光線の映像信号に変換する。そして映像獲得部120は電気的に連結された判断制御部130に映像信号を伝達する。
【0043】
判断制御部130に伝達された映像信号は表示部140に伝達され、表示部140で放射線映像を表示する土台となる。前述した通り、表示部140は映像獲得部120で獲得された映像信号に基づいて放射線映像を表示する。表示部140は映像信号に基づいて放射線映像を表示する表示部140の例として各種情報を視覚的に表示するディスプレイ装置が挙げられる。
【0044】
また、使用者から入力を受けることができるタッチスクリーンのように、画面を通じて使用者から入力を受けることができる形態も表示部140として好ましい。表示部140は必要に応じて別途にマウスのような入力部を具備してもよい。表示部140がタッチスクリーンのように入力を受けることができる形態である場合には、使用者の手やタッチペンによるタッチまたはドラッグを通じて入力された情報が判断制御部130に伝達され、判断制御部130は入力された情報を反映して各種設定を変更してもよい。
【0045】
判断制御部130は使用者が放射線の照射条件または出力条件を設定したり、放射線照射部110の第1コリメータ210、第2コリメータ220、第3コリメータ230、第4コリメータ240それぞれに対する制御を通じてX線照射領域を制御することができる。また、判断制御部130は映像獲得部120、放射線照射部110そして表示部140等を制御することができる。
【0046】
判断制御部130は放射線映像で選択される選択領域に対応する放射束部分205を除いた残りの放射束部分を遮断させることができる遮断情報を放射線照射部110に伝達する。換言すると、判断制御部130は放射線映像で選択される選択領域に対応する放射束部分205のみ通過させる遮断情報を放射線照射部110に伝達すると言える。
【0047】
図9には本発明の実施例に係る放射線撮影装置による選択領域の設定およびそれにより獲得された放射線映像を表示した例が図示されている。まず、
図9の(a)を参照すると、表示部140の画面上に表示された放射線映像で選択領域405を選択し、選択領域405は境界ラインによって識別可能であるように表示され得る。選択領域405が選択された状態で該当選択領域で撮影を遂行し、これを拡大しようとする場合、表示部140上に備えられた拡大命令領域407をタッチして該当選択領域に該当する映像撮影がなされるようにする。すなわち該当選択領域に対応する放射線照射範囲が具現されるようにコリメータの位置を調整した後、放射線照射がなされるように放射線照射部110を制御する。これによって獲得された新しい放射線映像が、
図9の(b)に表示された通り、選択領域に該当する拡大した放射線映像が表示部140に表示される。
【0048】
表示部140は選択領域を選択するための命令入力がなされる第1放射線映像と選択領域に該当する第2放射線映像を表示し、このために表示部140は選択領域の入力のために第1放射線映像を表示する入力ディスプレイと選択領域に該当する条件で撮影して得られた第2放射線映像を表示するメインディスプレイを別途に具備してもよい。例えば入力ディスプレイはモバイルCアームX線装備のモバイルカートに備えられ得、メインディスプレイは別途のオペレーティングコンソール(operating console)に備えられ得る。
【0049】
引き続き、
図4~
図8をさらに参照して本発明の実施例に係る放射線撮影装置を利用した放射束制御方法について説明する。放射束制御方法についての説明を通じて本発明の実施例に係る放射線撮影装置またはさらに理解され得る。
【0050】
図4は本発明の実施例に係る放射線撮影装置を利用した放射束制御方法を概略的に示したフローチャートである。
図4を参照すると、本発明の実施例に係る放射束制御方法は被照射体に対する第1放射線映像を表示する第1映像表示過程(S110)、放射線映像で選択される領域の入力を受けて選択領域を設定する選択領域設定過程(S120)、選択領域に対応する放射束部分を除いた残りの部分をコリメータで遮断させるコリメータ駆動過程(S130)、そして選択領域に対応する放射束部分が被照射体に照射されて得られる第2放射線映像を表示する第2映像表示過程(S140)を含むことができる。
【0051】
ここで第2映像表示過程(S140)で第2放射線映像で選択領域に対応する部分を拡大して表示してもよい。
【0052】
第1映像表示過程(S110)は被照射体に対する第1放射線映像を表示する過程である。すなわち第1映像表示過程(S110)では被照射体に放射線であるX線を照射し、被照射体を透過したX線の入射を受けて映像信号を獲得し、獲得された映像信号を使用者などが確認できるように映像信号に基づいて放射線映像、すなわちX線映像を画面に表示する。
【0053】
放射線照射部110は被照射体に放射線、例えばX線を照射する。X線が放射線照射部110から被照射体に照射されるとX線が被照射体を透過して映像獲得部120に入射する。
【0054】
映像獲得部120は入射したX線から映像信号を獲得し、獲得された映像信号を判断制御部130に伝達する。判断制御部130は映像信号を表示部140に伝達し、表示部140は映像信号を土台にして放射線映像を視覚的に表示する。
【0055】
図5は本発明の実施例に係る放射線撮影装置で得られた放射線映像のイメージを例示的に示した図面である。
図5に図示された通り、表示部140の画面上に放射線映像であるX線映像が表示される。因みに、
図5で横軸と縦軸は表示部140の画面上のピクセル座標または映像座標を示すための座標軸である。したがって画面の中央、すなわちX線映像の中央の中心座標は(512、512)と表示され得る。
【0056】
選択領域設定過程(S120)は放射線映像で選択される領域の入力を受けて選択領域を設定する過程である。ここで選択領域は
図5に図示されたようなX線映像で使用者の選択により選択される領域である。表示部140がタッチスクリーンである場合、使用者の手やタッチペンを利用して選択領域をドラッグ方式で設定することができる。またはマウスのような入力部が備えられた場合、マウスのカーソルをいずれか一つの地点からドラッグし始めて他の一地点でドラッグを終了する方式で選択領域を設定することができる。
【0057】
図6は本発明に係る放射線撮影装置で得られた放射線映像上で選択領域を示したイメージを概略的に示した図面である。例えば
図6に示した通り、使用者が座標地点(20、110)で使用者の手、タッチペンまたはマウスのカーソルを位置させた後、ドラッグを始めて座標地点(630、710)でドラッグを終了したとすれば、4個の座標地点(20、110)、(20、710)、(630、110)、(630、710)をつなぐ四角形の領域が選択領域405に選択される。ここで使用者は選択領域405を変更して再指定することもでき、選択領域405を確定してもよい。選択領域405の変更のための再指定は前述した通り、いずれか一つの地点でドラッグを始めて他の一地点でドラッグを終了する方式からなり得る。選択領域405の確定の場合、選択領域の確定のための別途の入力をしなくても可能であるが、前記のようにドラッグを通じて選択領域405を選択した後、保存ボタン(図示されず)をタッチすることによって選択領域405を確定する形態で可能である。このような方式で選択領域設定過程(S120)で選択領域405が設定され得る。
【0058】
使用者が目標領域、すなわち拡大を望む領域をドラッグのようなタッチジェスチャ入力を通じて望む範囲、大きさおよび形態で入力できるように構成され、この時、使用者によって選択された選択領域が表示部140上に表示(
図6で点線で区画された領域)されるようにすることができる。使用者はこのような使用者インターフェースによって表示される選択領域表示を通じて自身が選択した選択領域を表示された映像上で容易に確認することができ、自身の操作によって表示された選択領域を確定するかそれとも選択領域を再設定するかを容易に決定することができる。これによって不要な撮影過程を避けることができ、それにより放射線被爆を減らすことができる。
【0059】
選択領域の設定は、前述したタッチスクリーン上でのドラッグ動作やマウスを利用したドラッグ動作だけでなく多様な方式でなされ得る。例えば、選択領域の設定はタップ、ダブルタップ、プレスタッチジェスチャなどのような多様なタッチジェスチャ入力方式によってなされてもよい。
【0060】
また、選択領域の設定、確認、変更、再設定および確定は多様な方式でなされ得る。例えば、使用者が表示部140に表示された映像上の特定地点をタップ(tap)タッチすれば、該当部分を中心に画面上の定められた大きさと定められた形状、例えば四角形、円形などの形状を有する基本選択領域が表示されるようにすることができる。その後、表示された基本選択領域をタッチドラッグして大きさおよび形態を調節して調節選択領域を設定し、その後調節選択領域を選択領域として確定するためのタッチジェスチャ、例えばダブルタップタッチを入力すれば調節選択領域が最終的な選択領域として設定され維持されるようにすることができる。それから使用者が該当選択領域に対する映像撮影がなされるようにするためのタッチジェスチャ、例えば所定時間範囲内のプレスタッチを入力すれば該当選択領域の映像撮影がなされるように構成することができる。このようにタッチスクリーンを含む表示部140を通じて多様なタッチジェスチャ入力を通じて多様な方式で選択領域設定、およびそれによるコリメータの移動による放射線照射範囲の制御、そして映像撮影がなされるように構成することができる。
【0061】
使用者によって選択された選択領域のピクセル座標または映像座標(20、110)、(20、710)、(630、110)、(630、710)は判断制御部130に伝達され、判断制御部130で選択領域405に対応するコリメータの座標に変更され得る。そして選択領域405に対応するコリメータ座標は前述した遮断情報に含まれて放射線照射部110に伝達される。
【0062】
コリメータ駆動過程(S130)は選択領域405に対応する放射束部分を除いた残りの部分をコリメータで遮断する過程である。前述した通り、使用者によって選択された選択領域のピクセル座標または映像座標(20、110)、(20、710)、(630、110)、(630、710)は判断制御部130に伝達され、判断制御部130で選択領域405に対応するコリメータ座標に変更される。
【0063】
選択領域405に対応するコリメータ座標は前述した遮断情報に含まれて放射線照射部110に伝達される。このような遮断情報の伝達を受けた放射線照射部110で4個のコリメータ210、220、230、240それぞれは、遮断情報に含まれたコリメータ座標情報により
図3に示したように移動され、放射束200の一部の部分がコリメータによって遮断される。遮断されていない放射束部分205は選択領域405に対応する。
【0064】
4個のコリメータ210、220、230、240はそれぞれ独立的に位置移動され、同時的に位置移動が進行され得る。したがって4個のコリメータ210、220、230、240が放射束200の一部分を遮断するために位置移動に所要する時間を短縮させることができる。
【0065】
4個のコリメータ210、220、230、240がコリメータ座標情報により位置移動されると、放射線であるX線照射時に放射束200、すなわち放射束200の一部分が遮断されるので患者または使用者の被爆量が減少する。
【0066】
第2映像表示過程(S140)は選択領域405に対応する放射束部分205が被照射体に照射されて得られる第2放射線映像を表示する過程である。
【0067】
前記のように4個のコリメータの位置移動が完了した後、第2映像表示過程(S140)では被照射体にX線を照射し、被照射体を透過したX線の入射を受けて映像信号を獲得し、獲得された映像信号を使用者などが確認できるように映像信号に基づいて第2放射線映像、すなわち第2X線映像を画面に表示する。
【0068】
すなわち、放射線照射部110が被照射体に放射線であるX線を照射する。選択領域405に対応する放射束部分205が放射線照射部110から被照射体に照射されると、放射線であるX線は選択領域405に対応する被照射体部分を透過して映像獲得部120に入射する。映像獲得部120は入射したX線から映像信号を獲得し、獲得された映像信号を判断制御部130に伝達する。判断制御部130は映像信号を表示部140に伝達し、表示部140は映像信号を土台にして第2放射線映像である第2X線映像を視覚的に表示する。
【0069】
図6は、本発明の実施例に係る放射線撮影装置で4個のコリメータによって選択領域以外の部分が遮られたイメージを概略的にグラフで示した図面である。
図6に示されたように、選択領域405以外の部分は4個のコリメータ210、220、230、240により放射束が遮断されたので該当領域のイメージは表示されない。
【0070】
ここで選択領域405に該当する部分が表示部140の画面で偏っているので、表示部140の画面中心に選択領域405の中心が位置するように位置調節がなされ得る。すなわち、選択領域405の中央の映像座標(305、300)が画面の中心座標(512、512)に位置するように選択領域405のX線映像の位置が調整され得る。選択領域405のX線映像の位置調整は座標変換を通じてなされ得る。
【0071】
また、第2X線映像の選択領域405が表示部140の画面を満たす形態に拡大表示されてもよい。選択領域に該当する第2X線映像が表示部140の画面にイメージフィッティングされて表示部140の画面に表示され得る。例えば、第2X線映像が拡大フィッティングされて表示部140の画面に表示され得る。
【0072】
図8は、本発明の実施例に係る放射線撮影装置で得られた第2放射線映像で選択領域が拡大して表示されたイメージを概略的に示した図面である。第2放射線映像で選択領域405を
図8に図示されたように拡大して表示してもよい。選択領域405の拡大表示の具現は多様な形態でなされ得る。例えば選択領域405で最も長さが長い辺の長さと表示部140の画面上でX線映像が表示される画面での長さの比率を拡大率で換算して拡大することができる。このように第2放射線映像で選択領域405を
図8に図示されたように拡大して表示してもよい。
【0073】
必要に応じて選択領域405が拡大表示されることによって放射線映像の明るさが減少したり放射線映像の鮮明度が低下する場合には、放射束の強度を変更することによって放射線映像の明るさを補完したり放射線映像の鮮明度を補完してもよい。
【0074】
以上で説明した各過程(S110、S120、S130、S140)の遂行順序は前述した順序に限定されるものではなく、必要に応じて変更され得る。また、各過程別に反復的な遂行も可能である。
【0075】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0076】
110:放射線照射部
120:映像獲得部
130:判断制御部
140:表示部
200:放射束
210、220、230、240:コリメータ
405:選択領域
【国際調査報告】