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特表2024-500525油田採油用閉塞剤、その調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】油田採油用閉塞剤、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C09K 8/512 20060101AFI20231226BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C09K8/512
C09K3/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539130
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 CN2021126751
(87)【国際公開番号】W WO2022134839
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202011552715.X
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011552736.1
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011554138.8
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110049341.8
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523187158
【氏名又は名称】中石化(北京)化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】楊金彪
(72)【発明者】
【氏名】伊卓
(72)【発明者】
【氏名】劉希
(72)【発明者】
【氏名】祝綸宇
(72)【発明者】
【氏名】方昭
(72)【発明者】
【氏名】胡暁娜
(72)【発明者】
【氏名】李雅▲ジン▼
(72)【発明者】
【氏名】張瑞▲キ▼
(57)【要約】
本発明は油田用閉塞剤の分野に関し、具体的には、油田採油用閉塞剤、その調製方法及び使用に関する。該閉塞剤はリグニンアミドを含む。該閉塞剤は広い油層温度範囲で制御可能にゲル化することができ、耐熱性が向上し、しかも、強度が高く、系の粘度が高く、プラッギング強度が高く、適用する温度が高いなどの特徴を持ち、遮水・断面調整系のコストを効果的に削減させ、現場施工の特性や経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグニアミドを含むことを特徴とする油田採油用閉塞剤。
【請求項2】
前記リグニアミドは加水分解リグニアミドである請求項1に記載の閉塞剤。
【請求項3】
前記リグニアミドの調製方法は、
第1アルカリ性の条件で、リグニンと有機アミンとをアミン化反応させて、リグニンアミンを得るステップ(1)と、
第2アルカリ性条件で、リグニンアミンと塩化アシルとを溶液中でアシル化反応させて、前記リグニアミドを得るステップ(2)と、
任意に、リグニアミドと加水分解剤とを加水分解反応させて、加水分解リグニアミドを得るステップ(3)と、を含む請求項1又は2に記載の閉塞剤。
【請求項4】
前記リグニン溶液中のリグニンは、アルカリリグニン、酵素分解リグニン、塩化リグニン、水蒸気爆裂リグニン、リグノスルホン酸塩、及びチオリグニンから選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記有機アミンは、ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、及びスペルミンから選択される少なくとも1種であり、
及び/又は、前記第1アルカリ性条件のpH値は10~11.5であり、前記有機アミンと前記リグニンとの質量比は0.05~4.5:1であり、
及び/又は、前記アミン化反応の条件は、温度60~75℃、時間1.5~4hを含み、
好ましくは、前記アミン化反応は、アルデヒドの存在下で行われ、前記アルデヒドは好ましくはC1~C5のアルデヒドであり、
好ましくは、前記塩化アシルは、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、塩化オキサリル、塩化クロロアセチル、塩化トリクロロアセチル、脂肪酸クロライド、塩化ステアリル、塩化リノレイル、オレイン酸クロリド、及び塩化パルミトイルから選択される少なくとも1種であり、
及び/又は、前記第2アルカリ性条件のpH値は8~9.5であり、前記塩化アシルと前記リグニンアミンとの質量比は0.5~2.5:1であり、
及び/又は、前記アシル化反応の条件は、温度55~65℃、時間1~4hを含み、
好ましくは、前記加水分解剤は、アルカリ、好ましくは水酸化ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液、及び水酸化カリウム溶液のうちの少なくとも1種であり、
及び/又は、前記加水分解剤と前記リグニアミドとの質量比は0.0001~0.8:1であり、
及び/又は、前記加水分解反応の条件は温度60~80℃、時間2~12hを含む請求項3に記載の閉塞剤。
【請求項5】
アクリルアミド系重合体、架橋剤及び安定剤をさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の閉塞剤。
【請求項6】
前記アクリルアミド系重合体は、アニオン性アクリルアミド系重合体、カチオン性アクリルアミド系重合体、ノニオン性アクリルアミド系重合体、及び両性アクリルアミド系重合体から選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記アクリルアミド系重合体の重量平均分子量は500~3500万であり、
好ましくは、前記アクリルアミド系重合体は加水分解アクリルアミド系重合体であり、
好ましくは、前記加水分解アクリルアミド系重合体の加水分解度は15~30%である請求項5に記載の閉塞剤。
【請求項7】
前記架橋剤は、アルミニウム架橋剤、ポリエチレンイミン、フェノール樹脂、及びクロム架橋剤から選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記アルミニウム架橋剤はクエン酸アルミニウム及び/又はポリアルミニウムであり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量は3000~100000であり、
好ましくは、前記クロム架橋剤は、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸アンモニウム、及び二クロム酸カリウムから選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記安定剤は、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、m-フェニレンジアミン、イソアスコルビン酸、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種である請求項5又は6に記載の閉塞剤。
【請求項8】
前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.1~5.5wt%、前記アクリルアミド系重合体の含有量は0.01~3.5wt%、前記架橋剤の含有量は0.05~4.5wt%、前記安定剤の含有量は0.01~2.5wt%であり、
好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.4~2wt%、前記アクリルアミド系重合体の含有量は0.01~1.5wt%、前記架橋剤の含有量は0.05~2wt%、前記安定剤の含有量は0.02~1wt%である請求項5~7のいずれか1項に記載の閉塞剤。
【請求項9】
pH調整剤をさらに含み、
好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記pH調整剤の含有量は0.01~0.45wt%、好ましくは0.01~0.2wt%であり、
好ましくは、前記pH調整剤は、希塩酸、希硫酸、水酸化ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム溶液、及びアンモニア水から選択される少なくとも1種である請求項1~8のいずれか1項に記載の閉塞剤。
【請求項10】
溶媒の存在下で、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤及び安定剤を接触反応させて、前記閉塞剤を得るステップを含むことを特徴とする閉塞剤の調製方法。
【請求項11】
前記リグニアミドは加水分解リグニアミドである請求項10に記載の調製方法。
【請求項12】
第1アルカリ性の条件で、リグニン溶液と有機アミンとをアミン化反応させて、リグニンアミンを得るステップ(1)と、
第2アルカリ性条件で、リグニンアミンと塩化アシルとを溶液中でアシル化反応させて、前記リグニアミドを得るステップ(2)と、
任意に、リグニアミドと加水分解剤とを加水分解反応させて、加水分解リグニアミドを得るステップ(3)と、を含む請求項10又は11に記載の調製方法。
【請求項13】
前記リグニン溶液中のリグニンは、アルカリリグニン、酵素分解リグニン、塩化リグニン、水蒸気爆裂リグニン、リグノスルホン酸塩、及びチオリグニンから選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記有機アミンは、ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、及びスペルミンから選択される少なくとも1種であり、
及び/又は、前記第1アルカリ性条件のpH値は10~11.5であり、前記有機アミンと前記リグニンとの質量比は0.05~4.5:1であり、
及び/又は、前記アミン化反応の条件は、温度60~75℃、時間1.5~4hを含み、
好ましくは、前記アミン化反応はアルデヒドの存在下で行われ、前記アルデヒドは、好ましくはC1~C5のアルデヒドであり、
好ましくは、前記塩化アシルは、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、塩化オキサリル、塩化クロロアセチル、塩化トリクロロアセチル、脂肪酸クロライド、塩化ステアリル、塩化リノレイル、オレイン酸クロリド、及び塩化パルミトイルから選択される少なくとも1種であり、
及び/又は、前記第2アルカリ性条件のpH値は8~9.5であり、前記塩化アシルと前記リグニンアミンとの質量比は0.5~2.5:1であり、
及び/又は、前記アシル化反応の条件は温度55~65℃、時間1~4hを含み、
好ましくは、前記加水分解剤は、アルカリ、好ましくは水酸化ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液、及び水酸化カリウム溶液のうちの少なくとも1種であり、
及び/又は、前記加水分解剤と前記リグニアミドとの質量比は0.0001~0.8:1であり、
及び/又は、前記加水分解反応の条件は、温度60~80℃、時間2~12hを含む請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
前記アクリルアミド系重合体は、アニオン性アクリルアミド系化合物、カチオン性アクリルアミド系化合物、ノニオン性アクリルアミド系化合物、及び両性アクリルアミド系化合物から選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記アクリルアミド系重合体の重量平均分子量は500~3500万であり、
好ましくは、前記アクリルアミド系重合体は加水分解アクリルアミド系重合体であり、
好ましくは、前記加水分解アクリルアミド系重合体の加水分解度は15~30%である請求項10~13のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項15】
前記架橋剤は、アルミニウム架橋剤、ポリエチレンイミン、フェノール樹脂、及びクロム架橋剤から選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記アルミニウム架橋剤は、クエン酸アルミニウム及び/又はポリアルミニウムであり、
好ましくは、前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量は3000~100000であり、
好ましくは、前記クロム架橋剤は、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸アンモニウム、及び二クロム酸カリウムから選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、前記安定剤は、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、m-フェニレンジアミン、イソアスコルビン酸、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種である請求項10~14のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項16】
前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.1~5.5wt%、前記アクリルアミド系重合体の含有量は0.01~3.5wt%、前記架橋剤の含有量は0.05~4.5wt%、前記安定剤の含有量は0.01~2.5wt%であり、
好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.4~2wt%、前記アクリルアミド系重合体の含有量は0.01~1.5wt%、前記架橋剤の含有量は0.05~2wt%、前記安定剤の含有量は0.02~1wt%である請求項10~15のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項17】
pH調整剤をさらに含み、
好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記pH調整剤の含有量は0.01~0.45wt%、好ましくは0.01~0.2wt%であり、
好ましくは、前記pH調整剤は、希塩酸、希硫酸、水酸化ナトリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、重炭酸ナトリウム溶液、酢酸ナトリウム溶液、及びアンモニア水から選択される少なくとも1種である請求項10~16のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項18】
請求項10~17のいずれか1項に記載の調製方法で調製された閉塞剤。
【請求項19】
請求項1~9及び18のいずれか1項に記載の閉塞剤の油田採油における使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年12月24日に提出された中国特許出願202011552715.X、2020年12月24日に提出された中国特許出願202011552736.1、2020年12月24日に提出された中国特許出願202011554138.8、2021年01月14日に提出された中国特許出願202110049341.8の利益を主張しており、当該出願の内容は引用によりここに組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、油田の遮水、断面調整、蒸気チャネリング閉塞の技術分野に関し、具体的には、閉塞剤、その調製方法及び使用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
開発が進むに伴い、油井からの排水は油田開発過程における普遍的な問題となり、排水量を減らし、採収率を高めるために、化学遮水技術を用いて排水層を閉塞することができる。一般に、注水井に注入される閉塞剤を断面調整剤、採油井に注入される閉塞剤を遮水剤と呼ぶ。遮水・断面調整技術は、低油価を維持しながら、貯蔵層の非均質性を改善し、置換をバランスよく行い、油田の安定生産を実現する有効な手段である。そのほか、蒸気圧入、蒸気攻法などを主な採掘方式とする重質油熱採掘技術は現在、全世界各国が重質油開発中に採用している主な方式である。減圧採掘過程全体において、特に重質油開発後期において、地層の隔層が形成されていない、層間に浸透率の差が存在する、開発条件などの原因の制限により、注入採掘比が低く、地層圧力が低く、蒸気チャネリング、端水の水没が深刻で、安定生産の難度が高いなどの問題が発生し、チャネリングシーリング剤を注入して地下高浸透層を閉塞し、蒸気チャネリングを抑制する必要がある。
【0004】
従来の閉塞剤は、ゼリー類、ゲル類、沈殿類、顆粒類、ミクロスフェア類、泡類や微生物類などに大別でき、その中で、ゼリー系は現在中国国内外の遮水・断面調整技術で最も多く使用され、最も広く応用されている閉塞剤であり、この系はポリマーを主剤とし、Cr3+、Al3+、フェノール樹脂、フェノール及びレゾルシノールなどを架橋剤として形成した3次元網目構造である。
【0005】
しかし、化石原料の価格変動や油田現場での応用中の油田化学品の生分解性、刺激性や生態毒性に対するより高い要求が提出されたことに伴い、将来バルク油田化学品製造産業では、主に資源利用の効率化、原料の多元化、製品の高価値化、プロセスの低炭素化が発展している。伝統的な石油化学精製及び化学合成方法と比べ、バイオ製造は、環境にやさしく、効率的で、温和で、低炭素化が実現され、持続可能であるなどの特徴を持ち、すでに現在の世界的な戦略的新興産業となり、高速成長の傾向を示している。リグニンは複雑な天然高分子であり、自然界では、リグニンの存在量はセルロースに次いで2番目に大きい天然有機物であり、フェニルプロパン基がエーテル(C-O-C)結合又は炭素-炭素結合(C-C)で結合してヘテロ分岐鎖の3次元網目構造が形成されている。工業用リグニンは、入手しやすく、低価格で、由来と分離方法によって構造が異なり、主に芳香族基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボニル基、メトキシ基、カルボキシル基、共役二重結合等の活性基が存在し、酸化、還元、加水分解し、アルコール分解、光分解、アシル化、スルホン化、アルキル化、ハロゲン化、ニトロ化、縮合、グラフト共重合等の様々な化学反応を行うことができる。
【0006】
一方、既存のポリアクリルアミド-クロム架橋剤又はポリアクリルアミド-フェノール架橋剤系は、ポリアクリルアミドと架橋剤とを脱水縮合させて架橋網目構造を有するゲル/ゼリーを形成し、地層の深部で閉塞するものである。この閉塞系は、油層で鉱化度及び温度が高い条件下では、ポリマーの分解により安定性が低下し、耐熱性が悪く、コロイド強度が不足するという問題があり、特性を向上させる余裕がある。
【0007】
既存のリグニン閉塞技術では、リグニンを直接使用することが多く、架橋部位が少なく、架橋活性が低いため、閉塞剤を調製する際に使用濃度が高く、架橋剤の使用量が多く、コストが高く、施工が困難である。また、得られた閉塞剤は強度が不足しており、耐熱性にも劣るため、閉塞効果は限定的であった。したがって、コストが安く、製品の特性が優れ、高温でも製品特性を維持できる閉塞系を開発することは、遮水・断面調整や蒸気チャネリングの技術の持続可能な発展にとって重要な意義がある。
【0008】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、従来技術に存在する上記の問題を解決するために、油田採油用閉塞剤、その調製方法及び使用を提供することである。該閉塞剤はリグニアミドを含み、該リグニアミドは、リグニンを変性したもので、変性によりリグニンの架橋部位を大幅に増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、これによって、主剤及び架橋剤の使用量を減少させることができ、該閉塞剤は、広い油層温度範囲で制御可能にゲル化することができ、耐熱特性が向上し、強度が高く、注入性に優れ、プラッギング強度が高く、耐熱性に優れ、適用範囲が広いなどの特徴を持ち、閉塞系の生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の特性、経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【0009】
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成させるために、本発明の第1態様は、リグニアミドを含むことを特徴とする油田採油用閉塞剤を提供する。
【0010】
本発明の第2態様は、
溶媒の存在下で、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤及び安定剤を接触反応させて、前記閉塞剤を得るステップを含むことを特徴とする閉塞剤の調製方法を提供する。
【0011】
本発明の第3態様は、上記の調製方法で調製された閉塞剤を提供する。
【0012】
本発明の第4態様は、上記閉塞剤の油田採油における使用を提供する。
【0013】
〔発明の効果〕
上記技術案によれば、本発明による閉塞剤、その調製方法及び使用は以下の有益な効果が得られる。
【0014】
本発明による閉塞剤はリグニアミドを含み、該リグニアミドはリグニンを変性したもので、変性によりリグニンの架橋部位を大幅に増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、主剤及び架橋剤の使用量を減少させ、これによって、該閉塞剤は、広い油層温度範囲で制御可能にゲル化することができ、耐熱特性が向上し、強度が高く、注入性に優れ、プラッギング強度が高く、耐熱性に優れ、適用範囲が広いなどの特徴を持ち、閉塞系の生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能、経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【0015】
さらに、本発明による閉塞剤は、加水分解リグニアミド、アクリルアミド系重合体、クロム架橋剤、安定剤、pH調整剤、及び水を含み、該閉塞剤は、広い油層温度(30~120℃)範囲で制御可能にゲル化することができ(6h~15d)、最長132日までゲル化が破れず、脱水率が5%未満であり、使用温度範囲が広がり、強度が高い。該閉塞剤は、長いゲル化時間では、注水井の高浸透帯の閉塞に適用でき、短いゲル化時間では、油井の単一水層の閉塞に適用でき、該閉塞剤は、粘度が高く、プラッギング強度が高く、ゲル化時間が制御可能で、適用範囲が広いなどの特徴を持ち、生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能や経済性への要件を満たし、実用性が高く、油田採油における遮水・断面調整に有用である。
【0016】
さらに、本発明による閉塞剤は、加水分解リグニアミド、加水分解アクリルアミド系重合体、アルミニウム架橋剤、及び安定剤を含み、該閉塞剤は、石化原料の代わりに生物系材料を使用することを実現し、また、該遮水・断面調整系は、広い油層温度(35~115℃)範囲で制御可能にゲル化することができ(16h~30d)、閉塞率が89.2%よりも高く、破過圧力勾配が1.25MPa/mよりも高く、耐熱特性が向上し、強度が高く、系の粘度が高く、プラッギング強度が高く、適用温度が高く、主剤及び架橋剤の使用量が少ないなどの特徴を持ち、遮水・断面調整系の生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能、経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【0017】
さらに、本発明による閉塞剤は、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、ポリエチレンイミン、及び安定剤を含み、該閉塞剤は、石化原料の代わりに生物系材料を使用することを実現し、また、該遮水・断面調整系は油層温度が高い(55~100℃)条件でゲル化を制御可能に遅延させることができ(3.5~9d)、強度が高く、生産コストを効果的に削減させる。
【0018】
さらに、本発明による閉塞剤は、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、フェノール樹脂、及び安定剤を含み、該閉塞剤は、石化原料の代わりに生物系材料を使用することを実現し、該遮水・断面調整系は、高い油層温度(140~250℃)、長い時間(50~120d)の範囲で蒸気チャンネルを長期間にわたって効果的に閉塞することができ、強度が高く、このため、本発明による閉塞剤は、高浸透層を効果的に閉塞し、地層の高浸透層帯と低浸透層帯との蒸気吸収の差を調整し、注入蒸気の移動方向を変えることができ、これにより、蒸気チャネリングを低減させ、井間干渉をなくし、注入蒸気が作用する体積を増大させ、周期的な油回収量を向上させるという目的を達成させ、高温油層の効率的な開発を図ることができる。
【0019】
〔発明を実施するための形態〕
以下、本発明の好適な実施形態についてより詳細に説明する。以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明は、本明細書に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、様々な形態で実施され得ることを理解すべきである。むしろ、これらの実施形態は、本発明をより完全かつ徹底的なものとし、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることを可能にするために提供される。
【0020】
本明細書で開示される範囲の端点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されるものではなく、これらの範囲又は値に近い値を含むと理解されるべきである。数値範囲の場合、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と個々のポイント値の間、及び個々のポイント値の間は、互いに組み合わされて1つ又は複数の新しい数値範囲を得ることができ、これらの数値範囲は、本明細書で具体的に開示されるものとみなされるべきである。
【0021】
本発明の第1態様は、リグニアミドを含むことを特徴とする閉塞剤を提供する。
【0022】
リグニンは、フェニルプロパン基がエーテル(C-O-C)又は炭素-炭素結合(C-C)で結合してヘテロ分岐鎖の3次元網目構造が形成されている複雑な天然高分子である。自然界では、リグニンの存在量はせセルロースに次いで2番目に多い天然有機物である。
【0023】
本発明の発明者らは、研究をした結果、意外なことに、リグニンに対してアミン化変性及びアシル化変性を行い、リグニアミドを得て、このリグニアミドを閉塞剤に用いると、閉塞剤の特性を顕著に向上させることを見出し、リグニンに対するアミン化及びアシル化の変性により、リグニンの架橋部位が増え、リグニンの架橋活性が高まるためと考えられる。
【0024】
特に、変性により得られるリグニアミドと閉塞剤中のアクリルアミド系重合体とを配合すると、リグニアミドの剛直な分子構造と重合体の柔軟な分子構造とが「長短を補い合い」、相互貫通網状ゲル構造体が形成される。閉塞剤の他の成分と組み合わせて使用すると、広い油層温度範囲で制御可能にゲル化することができ、注入性に優れ、プラッギング強度が高く、耐熱性に優れ、適用範囲が広いなどの特徴を持ち、生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能、経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【0025】
本発明によれば、前記リグニアミドは加水分解リグニアミドである。
【0026】
本発明によれば、前記リグニアミドの調製方法は、
第1アルカリ性の条件で、リグニンと有機アミンとをアミン化反応させて、リグニンアミンを得るステップ(1)と、
第2アルカリ性条件で、リグニンアミンと塩化アシルとを溶液中でアシル化反応させて、前記リグニアミドを得るステップ(2)と、
任意に、リグニアミドと加水分解剤とを加水分解反応させて、加水分解リグニアミドを得るステップ(3)と、を含む。
【0027】
本発明では、前記リグニン、有機アミン及び塩化アシルはいずれも市販品として入手することができ、好ましくは、前記リグニンの有効含有量は80~99.9%である。
【0028】
本発明によれば、前記リグニンは一般的に使用される各種のリグニンであってもよく、好ましくは、前記リグニンは、アルカリリグニン、酵素分解リグニン、塩化リグニン、水蒸気爆裂リグニン、リグノスルホン酸塩、及びチオリグニンから選択される少なくとも1種であり、より好ましくは、酵素分解リグニンである。酵素分解リグニンは市販品として入手してもよく、例えば、山東竜力生物科技股フェン有限公司から購入する。
【0029】
本発明によれば、前記有機アミンは一般的に使用される各種の有機アミンであってもよく、好ましくは、前記有機アミンは、ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、及びスペルミンから選択される少なくとも1種である。
【0030】
より好ましくは、前記有機アミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びヘキサエチレンヘプタミンから選択される少なくとも1種である。
【0031】
本発明によれば、前記有機アミンの使用量は、広い範囲で選択してもよく、前記閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、前記有機アミンと前記リグニンとの質量比は0.05~4.5:1、例えば、0.05:1、0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1であってもよい。
【0032】
本発明によれば、好ましくは、前記第1アルカリ性条件のpH値は10~11.5、例えば、10、10.5、11、11.5であってもよい。
【0033】
本発明によれば、前記アミン化反応の条件も広い範囲で変化してもよく、前記リグニンをアミン化変性できればよく、前記閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、温度は60~75℃(例えば、60℃、65℃、70℃、75℃)、時間は1.5~4h(例えば、1.5h、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、4.5h)である。
【0034】
本発明の1つの好適な実施形態では、前記アミン化反応はアルデヒドの存在下で行われ、前記アルデヒドは、好ましくはC1~C5のアルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、より好ましくはホルムアルデヒドである。この好ましくは実施形態では、調製した閉塞剤の特性をさらに向上させることができる。
【0035】
好ましくは、前記アルデヒドと前記リグニンとの質量比は0.02~1.5:1、例えば、0.02:1、0.05:1、0.1:1、0.3:1、0.5:1、0.7:1、0.9:1、1.1:1、1.3:1、1.35:1、1.4:1、1.45:1、1.5:1であってもよい。
【0036】
本発明によれば、ステップ(2)では、前記塩化アシルは一般的に使用される各種の塩化アシルであってもよく、好ましくは、前記塩化アシルは、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、塩化オキサリル、塩化クロロアセチル、塩化トリクロロアセチル、脂肪酸クロライド、塩化ステアリル、塩化リノレイル、オレイン酸クロリド、及び塩化パルミトイルから選択される少なくとも1種である。
【0037】
より好ましくは、前記塩化アシルは、塩化オキサリル、脂肪酸クロライド、塩化ステアリル、塩化リノレイル、オレイン酸クロリド、及び塩化パルミトイルから選択される少なくとも1種である。
【0038】
本発明によれば、ステップ(2)では、前記塩化アシルの使用量は広い範囲で選択してもよく、前記閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、前記塩化アシルと前記リグニンアミンとの質量比は0.5~2.5:1(例えば、0.5:1、0.8:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.8:1、2:1、2.2:1、2.5:1)である。
【0039】
本発明によれば、ステップ(2)では、好ましくは、前記第2アルカリ性条件のpH値は8~9.5、例えば、8、8.5、9、9.5であってもよい。
【0040】
本発明によれば、ステップ(2)では、前記アシル化反応の条件も広い範囲で変化してもよく、前記リグニンを効果的にアシル化変性して、リグニアミドを得ることができればよく、前記閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、温度は55~65℃(例えば、55℃、60℃、65℃)、時間は1~4h(例えば、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、4.5h)である。
【0041】
本発明者らは研究を行った結果、温度60~75℃、時間1.5~4h、pH値10~11.5のアミン化条件、温度55~65℃、時間1~4h、pH値8~9.5のアシル化条件で得られたリグニアミドは、閉塞剤に用いると、より良好な効果が得られる。
【0042】
本発明によれば、前記加水分解剤は、得られたリグニアミドを加水分解し得る任意の物質であってもよく、好ましくは、前記加水分解剤はアルカリであり、より好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1種である。
【0043】
本発明では、前記加水分解剤の使用量は広い範囲で選択してもよく、前記閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、前記加水分解剤と前記リグニアミドとの質量比は0.0001~0.8:1、好ましくは0.01~0.05:1、加水分解剤の濃度は15~50wt%である。
【0044】
本発明では、前記加水分解反応の条件は、広い範囲で変化してもよく、アミン化及びアシル化後のリグニアミドを加水分解できればよく、前記閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、温度は60~80℃(例えば、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃)、時間は2~12h(例えば、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、4.5h、5h、5.5h、6h、6.5h、7h、7.5h、8h、9h、10h、11h、12h)である。
【0045】
本発明の1つの好適な実施形態では、温度60~75℃、時間1.5~4h、pH値10~11.5のアミン化条件、温度55~65℃、時間1~4h、pH値8~9.5のアシル化条件、及び温度60~80℃、時間2~12hの加水分解条件で得られた加水分解リグニアミドは、閉塞剤に用いると、より良好な効果が得られる。
【0046】
本発明では、前記溶液は好ましくは水溶液である。
【0047】
本発明では、pHの調整方法は本分野でよく使用される方法であり、好ましくは、アルカリ性物質を加えることでpHを調整する。前記アルカリ性物質は水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、及び炭酸ナトリウム溶液などであってもよい。
【0048】
本発明の1つの好適な実施形態では、前記リグニアミドの調製方法は、
第1アルカリ性の条件で、リグニンをリグニン水溶液にした後、撹拌しながら有機アミンを加えてアミン化反応を行い、リグニンアミンを得るステップ(1)と、
第2アルカリ性条件で、リグニンアミンをリグニンアミン水溶液にした後、撹拌しながら塩化アシルを加えてアシル化反応を行い、リグニアミドを得るステップ(2)と、
任意に、リグニアミドと加水分解剤とを加水分解反応させて、前記加水分解リグニアミドを得るステップ(3)と、を含む。
【0049】
好ましくは、前記リグニン水溶液中のリグニンの濃度は3~50wt%、例えば、3wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%であってもよい。
【0050】
好ましくは、滴下方式で有機アミンをリグニン水溶液に加える。
【0051】
好ましくは、前記リグニンアミン水溶液中のリグニンアミンの濃度は3~30wt%である。
【0052】
好ましくは、滴下方式で塩化アシルをリグニンアミン水溶液に加える。
【0053】
好ましくは、前記リグニンアミンは、アミン化反応終了後、pHを調整して生成物を析出させ、次に、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得ることにより得られる。
【0054】
本発明の特に好適な実施形態では、前記リグニアミドは、以下の方法によって調製される。
【0055】
(1)リグニン及びアルカリを水に溶解し、撹拌して、リグニン溶液を調製する。
【0056】
(2)次に、有機アミンを加えてpHを調整し、撹拌しながらホルムアルデヒドを加え、加熱還流して反応させ、反応終了後、pHを略中性にして、生成物を析出させ、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得る。
【0057】
(3)中間生成物であるリグニンアミンを水に溶解し、pHを調整して、撹拌しながら塩化アシルを加え、反応を持続した後、吸引ろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行い、リグニアミドを得る。
【0058】
(4)任意に、リグニアミドと加水分解液を混合して加水分解反応を行った後、乾燥して粉砕し、加水分解リグニアミド生成物を得る。
【0059】
好ましくは、前記リグニアミドは、以下の方法によって調製される。
【0060】
(1)室温で、リグニン及びNaOHを水に溶解し、リグニンの濃度が3~50wt%、NaOHの濃度が0.001~8wt%のリグニン溶液を調製する。
【0061】
(2)次に、有機アミンを滴下し、pHを10~11.5に調整して、撹拌しながらホルムアルデヒドを滴下し、加熱還流して反応させ、反応終了後、pHを略中性に調整して、生成物を析出させ、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得る。前記有機アミンと、ホルムアルデヒドと、リグニンの使用量の質量比が0.05~4.5:0.02~1.5:1であり、前記反応温度が60~75℃であり、反応時間が1.5~4hである。
【0062】
(3)中間生成物であるリグニンアミンを水に溶解し、3~30wt%の濃度に調製し、pHを8~9.5に調整して保持し、撹拌しながら、塩化アシルとリグニンアミンの使用量の質量比が0.5~2.5:1となるように塩化アシルを滴下し、次に、55~65℃に昇温して反応を1~4h持続し、反応終了後、吸引ろ過、洗浄、乾燥、粉砕をして、リグニアミドを得る。
【0063】
(4)任意に、リグニアミドと水酸化ナトリウム溶とを所定の割合でブレンドし、加水分解し、シールして60~80℃で2~12h反応させた後、乾燥して粉砕し、加水分解リグニアミド生成物を得る。前記加水分解剤とリグニアミドの使用量の質量比は0.0001~0.8:1であり、加水分解剤の濃度は15~50wt%である。
【0064】
本発明によれば、前記閉塞剤は、アクリルアミド系重合体、架橋剤、及び安定剤をさらに含む。
【0065】
本発明では、前記アクリルアミド系重合体はアクリルアミド単独重合物及び/又はアクリルアミド共重合体を含む。
【0066】
本発明では、本発明者らは研究をした結果、リグニアミド又は加水分解リグニアミドをアクリルアミド系重合体、架橋剤及び安定剤と組み合わせて、ゼリー系を調製すると、閉塞剤の特性を向上できることを見出した。
【0067】
本発明では、各成分の含有量について特に限定はないが、より良好な効果を得るために、好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.1~5.5wt%(例えば、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%、5wt%、5.5wt%、好ましくは0.4~2wt%)であり、前記アクリルアミド系重合体の含有量は0.01~3.5wt%(例えば、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、好ましくは0.01~1.5wt%)であり、前記架橋剤の含有量は0.05~4.5wt%(例えば、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、1.9wt%、2wt%、2.5wt%、3.0wt%、3.5wt%、4.0wt%、4.5wt%、好ましくは0.05~2wt%)であり、前記安定剤の含有量は0.01~2.5wt%(例えば、0.01wt%、0.03wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.8wt%、1wt%、1.3wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、好ましくは0.02~1wt%)である。
【0068】
本発明によれば、前記アクリルアミド系重合体は、一般的に使用される各種のアクリルアミド系重合体であってもよく、好ましくは、調製した閉塞剤の特性をさらに向上させるために、前記アクリルアミド系重合体は、アニオンアクリルアミド系重合体、カチオンポリアクリルアミド、ノニオンアクリルアミド系重合体、及び両性アクリルアミド系重合体から選択される少なくとも1種である。
【0069】
より好ましくは、前記アクリルアミド系重合体は、アニオンアクリルアミド系重合体、ノニオンアクリルアミド系重合体、及び両性ポリアクリルアミド系重合体から選択される少なくとも1種である。
【0070】
本発明によれば、前記アクリルアミド系重合体の重量平均分子量は、500~3500、好ましくは600~3000万、より好ましくは1500~2500万、さらに好ましくは1800~2200万である。
【0071】
本発明によれば、前記アクリルアミド系重合体の固形分は80重量%以上、好ましくは85重量%以上である。
【0072】
本発明の1つの特定実施形態では、前記アクリルアミド系重合体は加水分解アクリルアミド系重合体であり、特に、前記アクリルアミド系重合体は加水分解アニオンアクリルアミド系重合体である。
【0073】
本発明では、前記加水分解アクリルアミド系重合体は、任意の加水分解したアクリルアミド系重合体であってもよく、好ましくは、調製した閉塞剤の特性をさらに向上させるために、好ましくは、前記加水分解アクリルアミド系重合体の加水分解度は15~30%であり、これは、市販品として入手してもよく、例えば、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入してもよい。
【0074】
本発明では、前記加水分解アクリルアミド系重合体の重量平均分子量は、好ましくは800~3000万である。
【0075】
本発明によれば、前記架橋剤は、アルミニウム架橋剤、ポリエチレンイミン、フェノール樹脂、及びクロム架橋剤から選択される少なくとも1種である。
【0076】
本発明によれば、好ましくは、前記架橋剤はアルミニウム架橋剤であり、クエン酸アルミニウム及びポリアルミニウムから選択される少なくとも1種であり、本発明では、前記クエン酸アルミニウムは、市販品として入手してもよく、例えば、寧波化工原料有限公司から購入してもよい。
【0077】
前記ポリアルミニウムとは、ACHであって、全称がAluminum Chlorohydrateであり、中文名がアルミニウムヒドロキシクロライドで、ポリアルミニウム又はアルミニウムクロロハイドレートとも呼ばれ、分子式がAl(OH)Cl・2HOである。
【0078】
本発明によれば、前記ポリエチレンイミンは、重量平均分子量が3000~100000であり、有効含有量が約15~50wt%であってもよく、本発明では、前記ポリエチレンイミンは、市販品として入手してもよい。例えば、アラジン社(上海)から購入してもよい。
【0079】
本発明によれば、前記フェノール樹脂は、一般的に使用される各種のフェノール樹脂であってもよく、好ましくは、前記フェノール樹脂はpH値が11よりも大きく、固形分が38wt%よりも大きい。
【0080】
本発明によれば、前記クロム架橋剤は、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸アンモニウム、及び二クロム酸カリウムから選択される少なくとも1種である。
【0081】
本発明によれば、前記安定剤は、市販品として入手してもよく、好ましくは、前記安定剤は、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、m-フェニレンジアミン、イソアスコルビン酸、及びチオ尿素から選択される少なくとも1種である。
【0082】
本発明によれば、前記閉塞剤はpH調整剤と水をさらに含む。本発明の1つの好適な実施形態では、前記閉塞剤は、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤、安定剤、pH調整剤、及び水を含む。ただし、使用される原料の純度により、各原料中に一部の不純物が不可避的に存在し、このため、前記遮水・断面調整系は、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤、安定剤、pH調整剤、水、及び各原料がそもそも含有する不純物からなることが明らかになる。
【0083】
本発明では、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記pH調整剤の含有量は0.01~0.45wt%、好ましくは0.01~0.2wt%である。
【0084】
本発明によれば、前記pH調整剤は、従来技術においてよくpH調整に用いられる酸、アルカリ性物質であってもよく、好ましくは、前記pH調整剤は、希塩酸、希硫酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及びアンモニア水から選択される少なくとも1種である。
【0085】
本発明では、閉塞剤に含まれる水については特に限定はなく、河川、湖沼、大気水、海水、地下水、人工水や油田産出水などであってもよいが、好ましくは、鉱化度が100000mg/L未満、好ましくは30000mg/L未満、2価イオンが3000mg/L未満の水である。
【0086】
(特定実施形態I)
本発明では、前記閉塞剤は、加水分解リグニアミド、アクリルアミド系重合体、クロム架橋剤、安定剤、pH調整剤、及び水を含む。
【0087】
本発明の発明者らは、研究をした結果、意外なことに、リグニンに対してアミン化、アシル化及び加水分解変性を行い、加水分解リグニアミドを得る場合は、リグニンのアミン化及びアシル化変性により、リグニンの架橋部位を増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、その結果として閉塞剤の特性を向上させることを見出した。加水分解リグニアミドの剛直な分子構造と重合体の柔軟な分子構造とが「長短を補い合い」、相互貫通網状ゲル構造体が形成される。閉塞剤の他の成分と組み合わせて使用すると、広い油層温度(30~120℃)範囲で制御可能にゲル化することができ(6h~15d)、最長132日までゲル化が破れず、脱水率が5%未満であり、使用温度範囲が広がり、強度が高く、長いゲル化時間では、注水井の高浸透帯の閉塞に適用でき、短いゲル化時間では、油井の単一水層の閉塞に適用でき、該閉塞剤は、粘度が高く、プラッギング強度が高く、ゲル化時間が制御可能で、適用範囲が広いなどの特徴を持ち、生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能や経済性への要件を満たし、実用性が高い。
【0088】
本発明では、前記加水分解リグニアミド、アクリルアミド系重合体、クロム架橋剤、安定剤、及びpH調整剤の調製や種類は上記の第1態様に詳細に説明されていたため、重複をしないように、ここでは詳しく説明しない。
【0089】
本発明では、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記閉塞剤は、加水分解リグニアミド0.1~4.5wt%と、アクリルアミド系重合体0.02~1.2wt%と、クロム架橋剤0.02~1.2wt%と、安定剤0.03~1.8wt%と、pH調整剤0.01~0.45wt%と、水90.85~99.82wt%と、を含む。
【0090】
さらに良好な効果を得るために、具体的には、前記閉塞剤のより高いゲル化温度での制御可能な架橋を可能にし、また、ゼリー強度をさらに高めるために、好ましい形態として、前記閉塞剤の全重量を基準にして、上記閉塞剤は、加水分解リグニアミド0.5~2wt%と、アクリルアミド系重合体0.05~0.5wt%と、クロム架橋剤0.05~0.4wt%と、安定剤0.1~0.6wt%と、pH調整剤0.01~0.2wt%と、水96.3~99.29wt%と、を含む。
【0091】
(特定実施形態II)
本発明では、前記閉塞剤は、加水分解リグニアミド、加水分解アクリルアミド系重合体、アルミニウム架橋剤、及び安定剤を含む。
【0092】
本発明の発明者らは、研究をした結果、意外なことに、リグニンに対してアミン化、アシル化及び加水分解変性を行い、加水分解リグニアミドを得て、該加水分解リグニアミドを加水分解ポリアクリルアミド、アルミニウム系架橋剤及び添加剤と組み合わせてアルミニウムゼリー系を調製すると、閉塞剤の特性を向上させることを見出した。これによって、調製された閉塞剤は、広い油層温度(35~115℃)範囲で制御可能にゲル化することができ(16h~30d、好ましくは18h~8d)、閉塞率が89.2%よりも大きく、好ましくは98.3%であり、破過圧力勾配が1.25MPa/mよりも大きく、好ましくは4.5MPa/mよりも大きく、耐熱特性が向上し、強度が高く、該閉塞剤は、系の粘度が高く、プラッギング強度が高く、適用温度が高いなどの特徴を持ち、遮水・断面調整系の生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能、経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【0093】
本発明では、前記加水分解リグニアミド、加水分解アクリルアミド系重合体、架橋剤、及び安定剤の調製や種類は上記第1態様において詳細に説明されていたため、重複をしないように、ここでは詳しく説明しない。
【0094】
好ましくは、さらに良好な効果を得るために、例えば、前記閉塞剤のより高いゲル化温度での制御可能な架橋を可能にし、また、ゼリー強度をさらに高めるために、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記加水分解リグニアミドの含有量は0.1~4.5wt%(例えば、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%、好ましくは0.4~2wt%)であり、前記加水分解ポリアクリルアミドの含有量は0.01~1.5wt%(例えば、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、好ましくは0.01~0.5wt%)であり、前記架橋剤の含有量は0.05~2wt%(例えば、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、1.9wt%、2wt%、好ましくは0.2~1.2wt%)であり、前記安定剤の含有量は0.03~0.6wt%(例えば、0.03wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、好ましくは0.05~0.4wt%)である。
【0095】
(特定実施形態III)
本発明では、前記閉塞剤は、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、ポリエチレンイミン、及び安定剤を含む。
【0096】
本発明の発明者らは、研究をした結果、意外なことに、リグニンに対してアミン化変性及びアシル化変性を行い、リグニアミドを得て、該リグニアミドをアクリルアミド系重合体、架橋剤としてポリエチレンイミン及び安定剤と組み合わせてゼリー系の調製に用いると、閉塞剤の特性を向上させ、つまり、ゲル化の遅延制御性及びコロイドの強度を向上させることを見出した。これによって、調製された閉塞剤は、高いゲル化温度(55~100℃)でゲル化(3.5~9d)を制御可能に遅延させることが可能になり、強度が高く、生産コストを効果的に削減させる。
【0097】
本発明では、前記リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤としてポリエチレンイミン、及び安定剤の調製や種類は第1態様において詳細に説明されていたが、重複をしないように、ここでは詳しく説明しない。
【0098】
本発明では、好ましくは、さらに良好な効果を得るために、例えば、前記断面調整剤が架橋を制御可能に遅延させることを可能にし、かつゼリーの強度をより良好なものとするために、好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.1~4.5wt%(例えば、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%、好ましくは0.4~2wt%)であり、前記ポリアクリルアミドの含有量は0.1~3.5wt%(例えば、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、好ましくは0.1~1.5wt%)であり、前記架橋剤の含有量は0.05~1wt%(例えば、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、好ましくは0.2~0.8wt%)であり、前記安定剤の含有量は0.05~2.5wt%(例えば、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.8wt%、1wt%、1.3wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、2.2wt%、2.5wt%、好ましくは0.1~1wt%)である。
【0099】
(特定実施形態IV)
本発明では、前記閉塞剤は、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、フェノール樹脂、及び安定剤を含む。
【0100】
本発明の発明者らは、研究をした結果、意外なことに、リグニンに対してアミン化及びアシル化変性を行い、リグニアミドを得て、該リグニアミドをアクリルアミド系重合体、フェノール樹脂架橋剤、及び安定剤と組み合わせてゼリー系の調製に用いると、高い油層温度(140~250℃)、長い時間(50~120d)範囲で蒸気チャンネルを長期間にわたって効果的に閉塞することができ、強度が高く、このため、閉塞剤は、高浸透層を効果的に閉塞し、地層の高浸透層帯と低浸透層帯との蒸気吸収の差を調整し、注入蒸気の移動方向を変えることができ、これにより、蒸気チャネリングを低減させ、井間干渉をなくし、注入蒸気が作用する体積を増大させ、周期的な油回収量を向上させるという目的を達成させ、高温油層の効率的な開発を図ることができる。
【0101】
本発明では、前記リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤フェノール樹脂、及び安定剤の調製や種類は上記の第1態様において詳細に説明されていたため、重複をしないように、ここでは詳しく説明しない。
【0102】
本発明では、さらに良好な効果を得るために、例えば、前記閉塞剤の効果をより高め、かつゼリーの強度をさらに高くするために、より好ましくは、前記閉塞剤の全重量を基準にして、前記リグニアミドの含有量は0.1~5.5wt%(例えば、0.1wt%、0.5wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%、5wt%、5.5wt%、好ましくは0.4~2wt%)であり、前記ポリアクリルアミドの含有量は0.01~1.5wt%(例えば、0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、好ましくは0.1~0.5wt%)であり、前記架橋剤フェノール樹脂の含有量は0.05~4.5wt%(例えば、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、0.9wt%、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3.0wt%、3.5wt%、4.0wt%、4.5wt%、好ましくは0.2~2.0wt%)であり、前記安定剤の含有量は0.01~2wt%(例えば、0.01wt%、0.03wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.8wt%、1wt%、1.3wt%、1.5wt%、1.8wt%、2wt%、好ましくは0.02~0.5wt%)である。
【0103】
本発明の第2態様は、
溶媒の存在下で、リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤及び安定剤を接触反応させて、前記閉塞剤を得るステップを含むことを特徴とする閉塞剤の調製方法を提供する。
【0104】
本発明では、前記リグニアミド、アクリルアミド系重合体、架橋剤、及び安定剤の調製、種類及び量は上記の第1態様において詳細に説明されていたが、重複をしないように、ここでは詳しく説明しない。
【0105】
本発明による1つの好適な実施形態では、前記閉塞剤の調製方法は、
撹拌しながら水にリグニアミド及びアクリルアミド系重合体を加え、均一に溶解するステップ(1)と、
架橋剤、安定剤及びpH調整剤を加えて接触反応させ、前記閉塞剤を得るステップ(2)と、を含む。
【0106】
本発明では、架橋剤、安定剤及びpH調整剤を加える順番については特に限定はなく、均一に混合した前記閉塞剤を得ることができればよい。
【0107】
本発明では、前記pH値調整剤の使用量は、好ましくは、反応系のpH値を6~8にし、より好ましくは、反応系のpH値でAl3+沈殿が発生しないようにし、例えば、5.5~6.5であってもよい。
【0108】
本発明では、好ましくは、前記接触反応の温度及び時間については特に限定はなく、各材料を均一に混合できればよい。
【0109】
本発明の第3態様は上記調製方法で調製された閉塞剤を提供する。
【0110】
本発明の第4態様は上記閉塞剤の油田採油における使用を提供する。
【0111】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。
【0112】
複素粘度は回転レオメータ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社から購入、RS6000)で試験する。
【0113】
ゲル強度はブレークスルー真空法(海門市其林ベル計器製造有限公司から購入、GL-802Aマイクロ卓上真空ポンプ)で試験する。
【0114】
閉塞率試験:
模擬岩石コア(岩石コア直径25mm、長さ200mm)を作成し、模擬岩石コアに真空吸引と水飽和処理を行う。まず、一定流速で岩石コアに10%NaCl溶液を注入し、岩石コア閉塞前の浸透率(k)を測定し、次に、評価用処方による閉塞剤溶液を順方向又は逆方向に注入し、岩石コアの両端をプラグで閉塞し、岩石コアを所定の温度恒温箱にて所定日数静置した。最後に、10wt%NaCl溶液を注入して岩石コア閉塞後の浸透率(k’)及び破過圧力を測定する。閉塞率は閉塞剤の閉塞効果を表すパラメータとし、閉塞率の計算式は
【0115】
【数1】
【0116】
である。ここで、kは閉塞前浸透率、μm)であり、k’は閉塞後浸透率(μm)である。
【0117】
破過圧力勾配は測定した破過圧力及びコアサイズから計算される。
【0118】
リグニンは酵素分解リグニンで、山東竜力生物科技股フェン有限公司から購入し、固形分が94.8wt%である。
【0119】
架橋剤としてクエン酸アルミニウムは、寧波化工原料有限公司から購入し、アルミニウムの濃度が2000mg/kgである。
【0120】
ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、オレイン酸クロリド、及び塩化パルミトイルは、百霊威科技有限公司から購入する。
【0121】
アクリルアミド系重合体I、アニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、固形分が90wt%である。
【0122】
アクリルアミド系重合体II、アニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、固形分が89wt%である。
【0123】
加水分解アクリルアミド系重合体III、加水分解アニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、重量平均分子量が1500万、加水分解度が25%である。
【0124】
加水分解アクリルアミド系重合体IV、加水分解アニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、重量平均分子量が1000万、加水分解度が23%である。
【0125】
加水分解アクリルアミド系重合体V、加水分解アニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、重量平均分子量が2000万、加水分解度が20%である。
【0126】
加水分解アクリルアミド系重合体VI、加水分解アニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、重量平均分子量が800万、加水分解度が25%である。
【0127】
アクリルアミド系重合体VII、ノニオン性アクリルアミド系重合体は、山東宝莫生物化工股フェン有限公司から購入し、固形分が90wt%、重量平均分子量が1550万である。
【0128】
アクリルアミド系重合体VIII、ノニオン性アクリルアミド系重合体は、CN108017754Aの実施例1の方法に従って調製され、固形分が89wt%、重量平均分子量が2100万である。
【0129】
アクリルアミド系重合体IX、ノニオン性アクリルアミド系重合体は、CN108017754Aの実施例2の方法に従って調製され、固形分が91wt%、重量平均分子量が1980万である。
【0130】
フェノール樹脂は、東石大油服技服務有限公司から購入し、pH値が11よりも大きく、固形分が38wt%よりも大きい。
【0131】
由来が明記されていない他の成分はすべて一般的な市販品である。
【0132】
(特定実施形態I)
調製例1
加水分解リグニアミドL1の調製
(1)室温で、リグニン10g及びNaOH1.67gを水に溶解し、15wt%のリグニン水溶液を調製した。
【0133】
(2)次に、リグニン水溶液にジエチレントリアミン12gを滴下し、pHを10.5に調整して、撹拌しながらホルムアルデヒド14.4gを滴下し、加熱して還流し、第1接触反応を70℃で2.5h行い、反応終了後、pHを略中性に調整して、生成物を析出させ、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得た。
【0134】
(3)中間生成物であるリグニンアミン6gを水に溶解し、pHを8.5に調整して保持し、撹拌しながらオレイン酸クロリド7.65gを滴下し、次に、60℃に昇温し、第2接触反応を3h行い、反応終了後、吸引ろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行い、リグニアミドを得た。
【0135】
(4)リグニアミド6.5gと30wt%のNaOH溶液1.75gとをブレンドし、シールして80℃で第3接触反応(加水分解)を8h行い、反応終了後、乾燥して粉砕し、加水分解リグニアミド生成物L1を得た。
【0136】
調製例2
加水分解リグニアミドL2の調製
ジエチレントリアミン12gをテトラエチレンペンタミン21.6g、オレイン酸クロリド7.65gを塩化パルミトイル7.05gに変更した以外、調製例1の方法と同様にして、加水分解リグニアミド生成物L2を得た。
【0137】
実施例1
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0138】
加水分解リグニアミドL1 9.2g及びアクリルアミド系重合体I 4.5gを鉱化度6000mg/Lの配制水1Lに溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、チオ尿素2.56g、アンモニア水0.14g、及び二クロム酸ナトリウム1.54gを加え、均一に撹拌して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0139】
実施例2
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0140】
加水分解リグニアミドL2 12.1g及びアクリルアミド系重合体I 3.8gを鉱化度6500mg/Lの配合水1Lに溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、亜二チオン酸ナトリウム2.54g、アンモニア水0.23g、及び二クロム酸ナトリウム1.81gを加え、均一に撹拌して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0141】
実施例3
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0142】
加水分解リグニアミドL1 6.3g及びアクリルアミド系重合体II 1.8gを1L鉱化度1500mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム2.5g、希塩酸0.16g、及び二クロム酸ナトリウム2.02gを加え、均一に撹拌して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0143】
実施例4
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0144】
加水分解リグニアミドL2 8.8g及びアクリルアミド系重合体II 3.2gを1L鉱化度2500mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、チオ硫酸ナトリウム1.89g、アンモニア水0.32g、及び二クロム酸ナトリウム1.74gを加え、均一に撹拌して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0145】
比較例1
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0146】
加水分解リグニアミドL1及びアクリルアミド系重合体Iを両方の全質量に等しいアクリルアミド系重合体Iに変更した以外、実施例1の方法に従って実験を行って、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0147】
比較例2
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0148】
加水分解リグニアミドL2及びアクリルアミド系重合体Iを両方の全質量に等しいアクリルアミド系重合体Iに変更した以外、実施例2の方法に従って実験を行って、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0149】
比較例3
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0150】
加水分解リグニアミドL1及びアクリルアミド系重合体IIを両方の全質量に等しいアクリルアミド系重合体IIに変更した以外、実施例3の方法に従って実験を行って、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0151】
比較例4
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0152】
加水分解リグニアミドL2及びアクリルアミド系重合体IIを両方の全質量に等しいアクリルアミド系重合体IIに変更した以外、実施例4の方法に従って実験を行って、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0153】
比較例5
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0154】
加水分解リグニアミドL1を同質量のリグニンに変更した以外、実施例1の方法に従って実験を行って、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間、架橋反応終了後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び脱水率を表1に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
実施例及び比較例の比較から明らかに、本発明は、リグニンに対してアミン化、アシル化及び加水分解変性を行うことで、リグニンの架橋部位を増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、その結果として遮水・断面調整剤の特性を向上させた。本発明による閉塞剤は、広い油層温度(30-120℃)範囲で制御可能にゲル化することができ(6h~15d)、最長132日までゲル化が破れず、脱水率が5%未満であり、使用温度範囲が広がり、強度が高く、長いゲル化時間では、注水井の高浸透帯の閉塞に適用でき、短いゲル化時間では、油井の単一水層の閉塞に適用でき、該閉塞剤は、粘度が高く、プラッギング強度が高く、ゲル化時間が制御可能で、適用範囲が広いなどの特徴を持ち、生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能や経済性への要件を満たし、実用性が高い。
【0157】
(特定実施形態II)
調製例3
本調製例は加水分解リグニアミドL3の調製を説明する。
【0158】
(1)室温で、リグニン10g及びNaOH 1.62gを水に溶解し、15wt%のリグニン溶液を調製した。
【0159】
(2)次に、ジエチレントリアミン12.5gを滴下し、pHを10.5に調整して、撹拌しながらホルムアルデヒド14.1gを滴下し、加熱して還流し、2.5h反応させ、反応終了後、pHを略中性に調整して、生成物を析出させ、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得た。
【0160】
(3)リグニンアミン6gを水に溶解し、pHを8.5に調整して保持し、撹拌しながらオレイン酸クロリド7.53gを滴下し、次に、60℃に昇温して反応を3h持続し、反応終了後、吸引ろ過して洗浄し、乾燥し粉砕し、到リグニアミドを得た。
【0161】
(4)リグニアミド6.5gを水に加えて膨潤して、30wt% NaOH溶液0.21gとブレンドし、シールして60℃で8h反応させ、反応終了後、乾燥して粉砕し、加水分解リグニアミド生成物L3を得た。
【0162】
調製例4
本調製例は加水分解リグニアミドL4の調製を説明する。
【0163】
ジエチレントリアミン12.5gをテトラエチレンペンタミン19.4g、オレイン酸クロリド7.53gを塩化パルミトイル6.8gに変更した以外、調製例3の方法に従って行って、加水分解リグニアミド生成物L4を得た。
【0164】
調製例5
本調製例は加水分解リグニアミドL5の調製を説明する。
【0165】
ステップ(2)ではホルムアルデヒドを加えなかった以外、調製例3の方法に従って行って、加水分解リグニアミド生成物L5を得た。
【0166】
実施例5
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0167】
加水分解リグニアミドL3 12.1g及び加水分解アクリルアミド系重合体III 1.6gを鉱化度13000mg/Lの配合水(二価イオンは3000mg/L未満)に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム1.11g及びクエン酸アルミニウム2gを加えて、調整系のpH値をAl3+が沈殿しないように調整し、系の全質量を1kgとし、均一に撹拌して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0168】
実施例6
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0169】
加水分解リグニアミドL3 4g及び加水分解アクリルアミド系重合体IV 5gを鉱化度15000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム4g及びクエン酸アルミニウム8gを加え、系のpH値をAl3+が沈殿しないように調整し、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0170】
実施例7
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0171】
加水分解リグニアミドL3 20g及び加水分解アクリルアミド系重合体V 0.1gを鉱化度18000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム0.5g及びクエン酸アルミニウム12gを加え、系のpH値をAl3+が沈殿しないように調整し、系の全質量を1kgとし、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0172】
実施例8
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0173】
加水分解アクリルアミド系重合体IIIを加水分解アクリルアミド系重合体VIに変更した以外、按照実施例5の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0174】
実施例9
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0175】
加水分解リグニアミドL3を加水分解リグニアミドL4に変更した以外、実施例5の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0176】
実施例10
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0177】
加水分解リグニアミドL3を加水分解リグニアミドL5に変更した以外、実施例5の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0178】
実施例11
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0179】
加水分解リグニアミドL4 12.4g及び加水分解アクリルアミド系重合体III 1.9gを鉱化度18000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、チオ尿素1.39g及びクエン酸アルミニウム1.62gを加え、系のpH値をAl3+が沈殿しないように調整し、系の全質量を1kgとし、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0180】
実施例12
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0181】
加水分解リグニアミドL3 10.9g及び加水分解アクリルアミド系重合体III 2.4gを鉱化度10000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、チオ尿素1.45g及びクエン酸アルミニウム1.1gを加え、系のpH値をAl3+が沈殿しないように調整し、系の全質量を1kgとし、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0182】
実施例13
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0183】
加水分解リグニアミドL4 10.5g及び加水分解アクリルアミド系重合体III 3.5gを鉱化度20000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム1.39g及びクエン酸アルミニウム1.51gを加え、系のpH値をAl3+が沈殿しないように調整し、系の全質量を1kgとし、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0184】
実施例14
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0185】
加水分解リグニアミドL3をリグニアミドに変更した以外、実施例5の方法に従って遮水・断面調整系を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0186】
実施例15
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0187】
加水分解リグニアミドL4をリグニアミドに変更した以外、実施例11の方法に従って遮水・断面調整系を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0188】
実施例16
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0189】
加水分解リグニアミドL3をリグニアミドに変更した以外、実施例12の方法に従って遮水・断面調整系を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0190】
実施例17
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0191】
加水分解リグニアミドL4をリグニアミドに変更した以外、実施例13の方法に従って遮水・断面調整系を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0192】
実施例18
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0193】
加水分解アクリルアミド系重合体IIIをアクリルアミド系重合体IIIに変更した以外、実施例5の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0194】
比較例6
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0195】
加水分解リグニアミドL3を同質量の加水分解アクリルアミド系重合体IIIに変更した以外、実施例5の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0196】
比較例7
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0197】
加水分解リグニアミドL4を同質量の加水分解アクリルアミド系重合体IIIに変更した以外、実施例11の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0198】
比較例8
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0199】
加水分解リグニアミドL3を同質量の加水分解アクリルアミド系重合体IIIに変更した以外、実施例12の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0200】
比較例9
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0201】
加水分解リグニアミドL4を同質量の加水分解アクリルアミド系重合体IIIに変更した以外、実施例13の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0202】
比較例10
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0203】
加水分解リグニアミドL3を同質量のリグニンに変更した以外、実施例5の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、閉塞率、及び破過圧力勾配を表2に示す。
【0204】
【表2】
【0205】
実施例及び比較例の比較から明らかに、本発明は、新規なリグニン変性生成物及びその調製方法を提案しており、初めてこれを油田遮水・断面調整のプロセスに適用して、リグニンアミン化、アシル化及び加水分解変性により、リグニンの架橋部位を増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、その結果として遮水・断面調整剤の特性を向上させる。本発明による遮水・断面調整系は、広い油層温度範囲で制御可能にゲル化することができ、閉塞率が89.2%よりも大きく、より好ましくは98.3%よりも大きく、破過圧力勾配が1.25MPa/mよりも大きく、より好ましくは4.5MPa/mよりも大きく、耐熱特性が向上し、強度が高く、本発明による遮水・断面調整系は、系の粘度が高く、プラッギング強度が高く、適用温度が高いなどの特徴を持ち、遮水・断面調整系の生産コストを効果的に削減させ、現場施工の場合の性能、経済性、環境保全性への要件を満たし、実用性が高い。
【0206】
(特定実施形態III)
調製例6
本調製例はリグニアミドL6の調製を説明する。
【0207】
(1)室温で、リグニン10g及びNaOH 1.6gを水に溶解し、15wt%のリグニン溶液を調製した。
【0208】
(2)次に、ジエチレントリアミン12gを滴下し、pHを10.5に調整して、撹拌しながらホルムアルデヒド13.3gを滴下し、加熱して還流し、2.5h反応させ、反応終了後、pHを略中性に調整して、生成物を析出させ、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得た。
【0209】
(3)リグニンアミン6gを水に溶解し、pHを8.5に調整して保持し、撹拌しながらオレイン酸クロリド7.33gを滴下し、次に、60℃に昇温して反応を3h持続し、反応終了後、吸引ろ過して洗浄し、乾燥し粉砕し、リグニアミドL6を得た。
【0210】
調製例7
本調製例はリグニアミドL7の調製を説明する。
【0211】
ジエチレントリアミン12gをテトラエチレンペンタミン23.1g、オレイン酸クロリド7.33gを塩化パルミトイル6.93gに変更した以外、調製例6の方法に従って行って、リグニアミドL7を得た。
【0212】
調製例8
本調製例はリグニアミドL8の調製を説明する。
【0213】
ステップ(2)ではホルムアルデヒドを加えなかった以外、調製例6の方法に従って、リグニアミドL8を得た。
【0214】
実施例19
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0215】
リグニアミドL7 8.9g及びアクリルアミド系重合体VIII 3gを鉱化度7000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム1.82g、ポリエチレンイミン5.5gを加え、系のpH値を6.5に調整し、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0216】
実施例20
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0217】
リグニアミドL7 4g及びアクリルアミド系重合体VIII 15gを鉱化度12000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム5g、ポリエチレンイミン8gを加え、系のpH値を7に調整し、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0218】
実施例21
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0219】
リグニアミドL7 20g及びアクリルアミド系重合体VIII 1gを鉱化度10000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム10g、ポリエチレンイミン2gを加え、系のpH値を7.5に調整し、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0220】
実施例22
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0221】
重亜硫酸ナトリウムを同量のチオ硫酸ナトリウムに変更した以外、実施例19の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0222】
実施例23
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0223】
アクリルアミド系重合体VIIIを同量のアクリルアミド系重合体VIIに変更した以外、実施例19の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0224】
実施例24
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0225】
アクリルアミド系重合体VIIIを同量のアクリルアミド系重合体IXに変更した以外、実施例19の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0226】
実施例25
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0227】
リグニアミドL7をリグニアミドL6に変更した以外、実施例19の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0228】
実施例26
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0229】
リグニアミドL7をリグニアミドL8に変更した以外、実施例19の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0230】
実施例27
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0231】
リグニアミドL6 7g及びアクリルアミド系重合体VIII 4.4gを鉱化度12000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、亜二チオン酸ナトリウム1.46g、ポリエチレンイミン4.2gを加え、系のpH値を7.5に調整し、系の全質量を1kgとし、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0232】
比較例11
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0233】
リグニアミドL7を同質量のアクリルアミド系重合体VIIIに変更した以外、実施例14の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0234】
比較例12
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0235】
リグニアミドL6を同質量のアクリルアミド系重合体VIIIに変更した以外、実施例27の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0236】
比較例13
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0237】
リグニアミドL7を同質量のアクリルアミド系重合体IXに変更した以外、実施例24の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0238】
比較例14
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0239】
リグニアミドL7をステップ(2)で調製したリグニンアミンに変更した以外、実施例19の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0240】
比較例15
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0241】
リグニアミドL7を同質量のリグニンに変更した以外、実施例14の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化開始時間及び架橋反応終了後の複数粘度、ゲル強度を表3に示す。
【0242】
【表3】
【0243】
実施例及び比較例の比較から明らかに、本発明は、新規なリグニン変性生成物及びその調製方法を提案しており、初めてこれを油田遮水・断面調整のプロセスに用い、リグニンのアミン化及びアシル化変性により、リグニンの架橋部位を増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、その結果として遮水・断面調整剤の特性を向上させる。本発明による閉塞剤は、高いゲル化温度(55~100℃)及び長いゲル化時間(3.5~9d)では、架橋を制御可能に遅延させることができ、かつゼリーの強度が高く、また、生産コストを効果的に削減させる。
【0244】
(特定実施形態IV)
調製例9
本調製例はリグニアミドL9の調製を説明する。
【0245】
(1)室温で、リグニン10g及びNaOH 1.53gを水に溶解し、400r/minの撹拌速度で15wt%のリグニン溶液を調製した。
【0246】
(2)次に、ジエチレントリアミン12gを滴下し、pHを10.7に調整して、350r/minの撹拌速度でホルムアルデヒド14.8gを滴下し、加熱して還流し、2.8h反応させ、反応終了後、pHを略中性に調整して、生成物を析出させ、洗浄して乾燥し、中間生成物であるリグニンアミンを得た。
【0247】
(3)リグニンアミン6gを水に溶解し、pHを8.6に調整して保持し、350r/minの撹拌速度でオレイン酸クロリド7.48gを滴下し、次に、55℃に昇温して反応を2.75h持続し、反応終了後、吸引ろ過して洗浄し、乾燥し粉砕し、リグニアミドL9を得た。
【0248】
調製例10
本調製例はリグニアミドL10の調製を説明する。
【0249】
ジエチレントリアミン12gをテトラエチレンペンタミン18.2g、オレイン酸クロリド7.48gを塩化パルミトイル6.85gに変更して、調製例9の方法と同様にして、リグニアミドL10を得た。
【0250】
調製例11
本調製例はリグニアミドL11の調製を説明する。
【0251】
ステップ(2)ではホルムアルデヒドを加えなかった以外、調製例9の方法と同様にして、リグニアミド生成物L11を得た。
【0252】
実施例28
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0253】
リグニアミドL9 7g及びアクリルアミド系重合体VIII 2.6gを鉱化度5000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム0.52g、亜二チオン酸ナトリウム0.81g、フェノール樹脂5.7gを加え、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0254】
実施例29
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0255】
リグニアミドL9 4g及びアクリルアミド系重合体VIII 5gを鉱化度4000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム2.35g、亜二チオン酸ナトリウム2.15g、フェノール樹脂2gを加え、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0256】
実施例30
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0257】
リグニアミドL9 20g及びアクリルアミド系重合体VIII 1gを鉱化度3000mg/Lの配合水に溶解し、500r/minの回転数で均一に溶解するまで撹拌し、次に、重亜硫酸ナトリウム0.08g、亜二チオン酸ナトリウム0.12g、フェノール樹脂20gを加え、系の全質量を1kgとし、均一に混合して、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表3に示す。
【0258】
実施例31
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0259】
安定剤として重亜硫酸ナトリウムのみを用い、使用量を1.33gした以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0260】
実施例32
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0261】
安定剤として亜二チオン酸ナトリウムのみを用い、使用量を1.33gとした以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0262】
実施例33
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0263】
安定剤として重亜硫酸ナトリウムを同量のチオ尿素、亜二チオン酸ナトリウムを同量のイソアスコルビン酸に変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0264】
実施例34
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0265】
アクリルアミド系重合体VIIIを同量のアクリルアミド系重合体VIIに変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0266】
実施例35
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0267】
アクリルアミド系重合体VIIIを同量のアクリルアミド系重合体IXに変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0268】
実施例36
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0269】
リグニアミドL9をリグニアミドL10に変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0270】
実施例37
本実施例は本発明による閉塞剤を説明する。
【0271】
リグニアミドL9をリグニアミドL11に変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製した。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0272】
比較例16
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0273】
リグニアミドを同質量のアクリルアミド系重合体VIIIに変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0274】
比較例17
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0275】
リグニアミドを同質量のアクリルアミド系重合体IXに変更した以外、実施例35の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0276】
比較例18
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0277】
リグニアミドL9をステップ(2)で調製したリグニンアミンに変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0278】
比較例19
本比較例は比較閉塞剤を説明する。
【0279】
リグニアミドL9を同質量のリグニンに変更した以外、実施例28の方法に従って閉塞剤を調製し、閉塞剤を得た。該閉塞剤のゲル化温度、ゲル化後の複数粘度、ゲル化温度でのゲル保持時間及び閉塞率、破過圧力勾配を表4に示す。
【0280】
【表4】
【0281】
実施例及び比較例の比較から明らかに、本発明は、新規なリグニン変性生成物及びその調製方法を提案しており、初めてこれを油田遮水・断面調整のプロセスに用い、リグニンのアミン化、アシル化変性により、リグニンの架橋部位を増加させ、リグニンの架橋活性を向上させ、その結果として遮水・断面調整剤の特性を向上させる。本発明による閉塞剤は、高い油層温度(140~250℃)、長い時間(50~120d)範囲で蒸気チャンネルを長期間にわたって効果的に閉塞することができ、強度が高く、このため、本発明による閉塞剤は、高浸透層を効果的に閉塞し、地層の高浸透層帯と低浸透層帯との蒸気吸収の差を調整し、注入蒸気の移動方向を変えることができ、これにより、蒸気チャネリングを低減させ、井間干渉をなくし、注入蒸気が作用する体積を増大させ、周期的な油回収量を向上させるという目的を達成させ、高温油層の効率的な開発を図ることができる。
【国際調査報告】