(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】車両のステアリングコラムによって支持された上昇する衝撃を、無力化するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557485
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2021083332
(87)【国際公開番号】W WO2022117495
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523209900
【氏名又は名称】シーケイピー エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フェラッツォ,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB12
3D333CC22
3D333CD13
3D333CD17
3D333CE16
(57)【要約】
本発明は、コラム(1)が受ける衝撃によって発生する瞬間的な力(C1、EA1)を、コラム(1)の2つの同軸セクション(1a、1b)間を自動的に連結解除することによって無力化する、コラム(1)の配置に関する。この連結解除は、セクション(1a、1b)間の連結リンク(5)の角運動によって生じ、コラム(1)の遠位セクション(1a)による近位セクション(1b)までの、力(C1、EA1)の伝達を防止する。連結解除と同時に、圧縮も、プレストレスを施されたセクション(1a、1b)間の弾性取付領域(6a)によって生じ、そのとき衝撃は、もはや運転者によって吸収されずに、弾性領域の圧縮によって吸収される。連結解除の後、弾性領域(6a)の弛緩の影響下で、2つのセクション(1a、1b)間で自動的に再連結する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングコラム(1)における、少なくとも1回の突然の衝撃の上昇によって発生した瞬間的な力を無力化するための方法であって、前記瞬間的な力は、前記ステアリングコラム(1)の遠位端から、前記コラム(1)の近位端に取り付けられた、前記車両が従う軌道を制御するためのステアリングデバイスまで、伝達され、
ここで前記方法によって、以下の動作すなわち、
前記コラム(1)の中心軸(A1)における同軸連結の状態において、基準トルクに従い、移動する連結リンク(5)を介して、遠位セクション(1a)が、前記制御デバイスと回転可能に統合した近位セクション(1b)を伴う、前記コラム(1)の少なくとも2つのセクション(1a、1b)を取り付けること、及び、基準トルクに従って連結状態で取り付けられた、前記セクション(1a、1b)間に、軸方向のプレストレスを施された弾性領域(6a)を提供すること、
前記基準トルクよりも大きい瞬間的トルク(C1)による、前記遠位セクションの回転開始の影響下で、前記瞬間的トルク(C1)を受けた前記連結リンク(5)を回転駆動することによって、かつ前記近位セクション(1b)における前記リンク(5)の螺旋誘導部によって、前記遠位セクション(1a)と前記近位セクション(1b)との間に、自動的に連結解除を生じさせること、ならびに
同時に、前記セクション(1a、1b)間の連結解除の影響下で、前記遠位セクション(1b)における螺旋誘導部と組み合わされた前記セクション(1a)の軸方向誘導部によって、前記連結リンク(5)を、前記軸方向領域(6a)まで並進で駆動することであって、それによって前記軸方向領域(6a)を前記セクション(1a、1b)間で軸方向に圧縮し、前記圧縮は、そのプレストレスに相当する圧縮閾値よりも大きい、駆動すること、次に、
衝撃の停止の結果、及び瞬間的な力の消耗に相関して、圧縮された前記弾性領域(6a)を弛緩させることによって、前記セクション(1a,1b)間で自動的に再連結を生じさせることであって、前記領域は、前記基準トルク下で連結した前記セクション(1a、1b)間のプレストレス閾値まで戻り、前記連結リンク(5)は、前記セクション(1a、1b)の互いの連結状態まで戻る、再連結を生じさせること、
を実行することを特徴とする、無力化するための方法。
【請求項2】
前記瞬間的な力が、軸力の成分を含むので、前記弾性領域(6a)の圧縮が、軸力の成分によって発生する軸方向の推力を吸収することを特徴とする、請求項1に記載の無力化するための方法。
【請求項3】
前記連結リンク(5)は、外周(CR1)に沿って前記セクション(1a、1b)間における移動連結(5a)の複数のインターフェースに、角度的に均等に配分され、前記移動インターフェース(5a)は、前記近位セクション(1b)に対する前記遠位セクション(1a)の回転開始の影響下で、回転可能に循環し、かつ軸方向の並進で誘導され、
各移動インターフェース(5a)は、前記近位セクションに沿って限定された角度範囲の、少なくとも1つの螺旋部分によって、曲線誘導部を移動し、さらに各移動インターフェース(5a)は、前記瞬間的な力における軸方向の吸収を生成する前記弾性領域(6a)に当接するまで、前記遠位セクション(1a)における個々の軸方向誘導部(7a)を通して、前記弾性領域(6a)まで移動し、
衝撃の停止の結果として、前記セクション(1a、1b)間の再連結が、プレストレス閾値まで弛緩する前記弾性領域(6a)を通して、逆運動力学によって生じ、次に前記移動インターフェースは、前記遠位セクションにおける誘導部の逆の軸方向並進、及び前記近位セクションに沿った逆の曲線誘導部によって、前記セクションの互いの連結状態が基準トルク下で再確立されるまで押し戻される、
という逆運動力学を受けることを特徴とする、請求項1または2に記載の無力化するための方法。
【請求項4】
前記セクション(1a、1b)が連結解除状態に保持される場合において、前記セクション(1a、1b)間の優先的連結が、1つ及び/または他の角度制止部(8)に接触して当接するよう、前記連結要素(5a)を設置することでもたらされ、前記制御デバイスを介して、前記近位セクション(1b)のオペレータによって操作される回転作動を伴って開始する、請求項3に記載の無力化する方法。
【請求項5】
車両を誘導するための、コラム(1)の所謂遠位セクション(1a)と所謂近位セクション(1b)との間における、軸方向及び回転可能な連結システムであって、請求項1~4の内いずれか一項に記載の方法を実施するために特化され、
ここで前記連結システムは、
前記セクション(1a、1b)が、同軸で少なくとも部分的に連動(A1)され、一方を他方の内側に組み付けることによって連結され、連動領域(ZE)を画定し、前記弾性領域(6a)は、軸方向に連動し、前記セクション(1a、1b)間にプレストレスを施された弾性デバイス(6)で構成されることと、
前記セクション(1a、1b)が、前記連結リンク(5)を備えた複数の移動連結要素(5a)を介して回転可能に共に連結され、かつ前記セクション(1a、1b)間でそれらの連動領域(ZE)において、径方向で均等に挿置されることと、
前記遠位セクション(1a)に回転可能に連携された前記連結要素(5a)が、同じ遠位セクション(1a)の外周に均等に配分された軸方向誘導部(7a)に沿って、前記遠位セクション(1a)で移動可能に組み立てられ、前記基準トルクで前記セクション(1a、1b)の共に連結する位置(8c)から、少なくとも1つの角度制止部(8)まで個々に延びた螺旋部分(9;9a)に沿った曲線循環における誘導部(7b)の前記近位セクション(1b)に、接合して移動可能に取り付けられることと、
曲線循環において、各移動要素(5a)は、角度的にずれて、及び連結位置(8c)に対して軸方向にずれて、前記セクション(1a、1b)の連結解除位置にあり、前記弾性デバイス(6)は、軸方向に当接した前記移動要素(5a)によって、前記セクション(1a、1b)の連結解除位置において圧縮されることと、
を特徴とする、連結システム。
【請求項6】
前記近位セクション(1b)の前記曲線誘導部(7b)における、各螺旋部分(9;9a)は、前記セクション(1a、1b)の前記共通軸(A1)に向かって傾いた2つの推進ウィングから成る、「V」形状であり、前記ウィングは、前記セクション(1a、1b)間の前記連結位置(8c)の両側で対称的に延び、前記位置は各位置(9;9a)に割り当てられることと、
前記ウィングの各々は、その端部に角度制止部(8)を有し、前記連結位置(8c)は、前記弾性領域(6a)から最も離れた各誘導部(7b)の位置であり、前記制止部(8)の位置は、最も近い位置であり、各移動要素(5a)は、前記連結位置(8c)と、前記セクション(1a)の回転方向で、前記遠位セクション(1a)の前記角度制止部(8)のいずれか1つと、の間で循環するために取り付けられることと、
を特徴とする、請求項5に記載の連結システム。
【請求項7】
前記近位セクション(1b)の前記曲線誘導部(7b)、及び前記遠位セクション(1a)の前記軸方向誘導部(7a)は、表面の中空である細長い空洞で構成され、側壁(11c;11d)が装備され、前記曲線誘導部(7b)は、長手方向の制止部を形成する少なくとも1つの側壁(11c)を有し、それは軸方向の当接接触を、前記弾性領域(6a)の方向で前記移動要素(5a)に及ぼす、請求項5または6に記載の連結システム。
【請求項8】
前記連動領域(ZE)において、前記遠位セクション(1a)には、その近位端において、前記近位セクション(1b)に含まれたカラー(4)の内側に延びた軸方向の連動シャフト(3)が設けられ、前記曲線誘導部(7b)は、前記カラー(4)の内面(4i)に設けられ、前記軸方向誘導部(7b)は、前記内面(4i)に面した前記シャフト(3)の外面(3e)に設けられる、請求項7に記載の連結システム。
【請求項9】
前記セクション(1a、1b)は、所定の恒久的な軸方向取付位置に従って、軸方向に共に移動しない、請求項8に記載の連結システム。
【請求項10】
軸方向に当接するチェーンを含み、前記軸方向に当接するチェーンは、
前記デバイス(6)が、前記遠位セクション(1a)と統合された第1のストッパ(11a)と、前記遠位セクション(1a)周りに取り付けられた第2のストッパ(11b)との間に軸方向に挿置されるよう、
前記第1のストッパ(11a)が、遠位ナット(10a)の近位面(10c)で構成され、前記第2のストッパ(11b)は前記連結要素(5a)に当接し、次にそれらは割り当てられた前記曲線誘導部(7b)の長手方向の制止壁(11c)に当接するよう、
前記遠位セクション(1a)及び前記近位セクション(1b)が、前記ナット(10a、10b)間で互いに対して軸方向に移動せず、前記ナット(10a、10b)は、前記遠位セクション(1a)の周りにネジで取り付けられ、その遠位ナット(10a)及び近位ナット(10b)は、前記近位セクション(1b)の両側に設置されるよう、ならびに
前記弾性デバイス(6)は、前記遠位ナット(10a)と前記近位セクション(1b)との間でプレストレスを施されるよう、
に接続された構成要素から成ることを特徴とする、請求項7~10の内いずれか一項に記載の連結システム。
【請求項11】
前記第2のストッパ(11b)は、前記近位セクション(1b)の前記カラー(4)における遠位面(12c)によって構成されること、及び前記近位セクションにおける前記連結要素(5a)を循環させるための前記螺旋部分(7b)は、2つの平行な側壁(11cm、11d)を有する摺動部によって構成され、前記連結要素(5a)に当接する遠位壁(11d)と、前記カラー(4)の第2の肩部(12b)における遠位面によって提供された、長手方向の制止近位壁(11c)と、を含み、前記連結要素(5a)は、前記弾性デバイス(6)と直接接触すること、を特徴とする、請求項10に記載の連結システム。
【請求項12】
前記第2のストッパ(11b)は、前記遠位セクション(1a)の周りで軸方向に摺動するよう取り付けられたスリーブ(13)を含んだ、第3の肩部(12c)の遠位面によって構成され、各螺旋部分は傾斜部(9)を含み、前記傾斜部(9)は、長手方向の制止近位壁(11c)と、前記連結要素(5a)に当接するよう軸方向に延びた段差を有する、第2にストッパ(11b)として作用する、スリーブ(13)と、を有することを特徴とする、請求項10に記載の連結システム。
【請求項13】
前記遠位セクション(1a)と前記近位セクション(1b)との間に、それらの近位端において径方向に挿置された、ランニングギア(14)を含むこと、及び、前記ランニングギア(14)は、前記近位ナット(10b)及び前記遠位セクション(1a)の第1の肩部(12a)の間で軸方向に遮断された、内部リング(14b)と、前記近位セクション(1b)に形成された第2の内部肩部(12b)、及び前記近位セクション(1b)に近位端で軸方向に締付けられたフランジ(15)の間で軸方向に遮断された、外部リング(14a)と、を含むこと、を特徴とする、請求項5~12の内いずれか一項に記載の連結システム。
【請求項14】
前記弾性デバイス(6)は、エラストマリング、圧縮バネ、少なくとも1つのバネワッシャ及び少なくとも1つのブレード、の中から選ばれる、請求項5~13の内いずれか一項に記載の連結システム。
【請求項15】
前記連結要素(5a)は、ローラ要素の形態で提示され、少なくとも1つの球体と、ニードルローラ及び球体として配置されたローラなど、軸方向に方向付けられたローラと、または、少なくともローラ、クリート、ピン、及びポストの中から選ばれた、摺動に好適な形状の摺動要素と、の中から選ばれる、請求項5~14の内いずれか一項に記載の連結システム。
【請求項16】
前記螺旋部分は、2つの反対側の「V」形状の傾きに従って方向付けられた、2つのウィングから成る誘導部の形状か、または、2つの反対側の角度における傾き、他方のセットの誘導部と交互である、一方のセットの誘導部、及び前記遠位セクションの回転方向に依拠した、前記セットの内いずれか一方で循環する移動要素、に従って方向付けられた、2セットの直線誘導部の形状か、で提示される、請求項5~15の内いずれか一項に記載の連結システム。
【請求項17】
遠位セクション(1a)及び近位セクション(1b)を含み、回転可能かつ軸方向に共に連結された、少なくとも1セットのセクション(1a、1b)を含んだ、車両を誘導するためのコラム(1)であって、前記セクション(1a、1b)は、請求項5~16の内いずれか一項に記載の連結システムを介して、共に連結されることを特徴とする、車両を誘導するためのコラム(1)。
【請求項18】
前記連結システムは、前記コラム(1)の遠位端に設定され、前記近位セクション(1b)は、前記車両が従う軌道を制御するための前記デバイスのための取付部(2)として配置されることを特徴とする、請求項17に記載の車両を誘導するためのコラム(1)。
【請求項19】
遠位端で、車両の少なくとも1つのホイールに接続され、近位端には車両が従う軌道を制御するためのデバイスが設けられた、車両を誘導するためのコラム、が装備された移動する車両であって、前記ステアリングコラム(1)は、請求項17または18に従うことを特徴とする、移動する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進力がモータなどでモータ化されているか、またはモータ化されていない移動する車両、及び/または多用途車、トラック、建設機械、ペダル付き四輪車、オートバイ、自転車、スクータ、またはジャイロパッド、のステアリングコラムの配置に関する。
【0002】
本発明は、特に、移動する車両のステアリングコラムに伝達された、瞬間的な衝撃によって生成された力を、無力化するための方法及びシステムに関する。このような力は、車両の少なくとも1つの駆動輪によって一時的に支持されたショックに対して連続的であり、それは少なくとも1回の瞬間的な衝撃の上昇を発生させる。この衝撃はステアリングコラムを介して、上記の車両の1つにおける運転者に伝達しないことが適切である。
【背景技術】
【0003】
移動する車両には、一般的にステアリングコラムが装備され、それを介して運転者は車両を誘導する。このコラムは、連続して共に連結された、いくつかのセクションを含むことができる、回転シャフトとして配置される。このコラムは、車両の運転者によって操作され得るステアリングホイールすなわちハンドルバーのように、車両の軌跡の変化を制御するためのデバイスによって回転可能に作動され得る。
【0004】
この制御デバイスは、コラムの端部分に設けられた、ステアリングホイール支持部と呼ばれる受入れ支持部を介して、軸方向近位端コラムに取り付けられる。コラムにおける他方の軸方向遠位端は、例えば自転車、スクータ、もしくはジャイロパッドなどの車両の駆動ホイールに接続されるか、または例えばモータ車両及びペダル付き四輪車の駆動ホイール軸に接続される。これは、制御デバイスを介してステアリングコラム上の運転者によって加えられる回転運動の大きさに依拠して、駆動ホイールまたは車両のホイールを、地上で方向付けることを可能にする。
【0005】
運転者に怪我を負わせやすい、激しいショックをもたらす事故の事例において、ステアリングコラムを通したショックの任意の伝達に対して、運転者を防護することができる。例えば、米国特許第4805478号明細書で開示されているように、コラムは伸縮自在のデバイスとして配置され、それらのセクションは、軸方向で回転可能に、連続的に連結される。車両によって被る激しい前部の衝撃の事象において、生じた軸方向の推力は、セクションにおける軸方向の連動を次々に生じさせる。
【0006】
モータ車両において、通常ステアリングコラムは、パワーステアリングシステムを介して駆動ホイールの軸に接続される。このようなシステムを使用することで、車両を誘導する運転者の仕事を容易にし、電気モータまたは液圧モータを介して生成されることになる力を減少させることによって、運転の快適性を向上させる。パワーステアリングシステムは、運転者が車両を誘導するために成さなければならない努力を限定し、かつ前方へ動くときにその安定性を向上させるよう、車両の軌道を制御することができる。
【0007】
国際公開第03/022658号、及び仏国特許発明第2550505号明細書で説明されているように、動作するために、パワーステアリングシステムは潜在的に、制御デバイスを備えたステアリングホイールによって、ステアリングコラムに加えられたトルクに関する情報を有する。特に、ステアリングホイールとコラムが、捩じれによって変形するデバイスを介して、共に回転可能に連結されたとき、ステアリングホイールとコラムとの間の潜在的な角度のずれが、考慮される。
【0008】
さらに、車両は前進しているときに、繰り返して振動を受ける可能性もあり、それは、空気力学的状態及び/または装備されたショックアブソーバの品質に依拠して、大なり小なりかなりのものである。これは、特に車両が、例えば舗装道路における、起伏のある車線を前方に動く場合である。このような振動は、車両における運転の快適性に影響を及ぼす場合がある。欧州特許第0427915号明細書、及び国際公開第2019135768号で説明されているように、この欠点を改善するために、コラムによってステアリングホイールに伝達された振動を吸収するのを可能にする、弾性本体を伴うステアリングホイールを装備する提案が成された。
【0009】
しかし、全体的な課題が、車両の1本または複数本の駆動ホイールによって不定期に被る短いショック、及びステアリング制御デバイスで感じられるかなりの激しさ、によって生じる力の吸収において、根強く残る。このような不定期なショックは、例えば突起部、及び/もしくは一般的に「ポットホール」と呼ばれる空洞などの車線の起伏、または例えば縁石の影響、もしくは駆動ホイールが障害物に軽くぶつかるときなど、によって生じる。
【0010】
したがって、このようなショックは、ステアリングコラムに伝達される、無視できないが限定された大きさの、突然の瞬間的な衝撃を発生させる。モータ車両が装備するパワーステアリングシステムは、このような衝撃を吸収できないので、この衝撃はコラムの遠位端に伝達される。その結果、このような衝撃によって発生した瞬間的な力は、コラムの延長を移動して、コラムの近位端のステアリング取付部に取り付けられた制御デバイスを作動させる運転者まで上昇する。
【0011】
このような衝撃を無力化するよう、パワーステアリングシステムを大きくすることは、このような衝撃の短い特性及び限定された大きさのため、さらには不定期であるため、適切ではない。実際、これは不釣り合いの複雑性、ならびにパワーステアリングシステムの重量及び空間要件の大幅な増加、同様にステアリングコラムの回転の妨害、をもたらし得る。パワーステアリングシステムは車両のエンジン区画に設定されるので、衝撃を無力化するよう調整することは禁じられるであろう。
【0012】
そのため、ステアリングコラムによって制御デバイスに伝達された衝撃を、運転者まで伝達することを防止する試みが成される。前方へ動く際に車両の少なくとも1つの駆動ホイールに対して短く加えられる衝撃の結果、同時にモータ車両のためにも、通常はステアリングコラムがその遠位端を介して接触する、パワーステアリングシステムの使用を回避する。
【0013】
覚えておくこととして、用語「遠位」及び「近位」は、ステアリングコラムの主な延長の点で判断される相対的概念であり、制御デバイスは、従来コラムの近位端に設定され、コラムの遠位端は、直接的または間接的に、車両の少なくとも1つの駆動ホイールに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4805478号明細書
【特許文献2】国際公開第03/022658号
【特許文献3】仏国特許発明第2550505号明細書
【特許文献4】欧州特許第0427915号明細書
【特許文献5】国際公開第2019135768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、コラムの遠位端が少なくとも1回の突然の衝撃を受けたとき、コラムの遠位端からの瞬間的な力の上昇が、ステアリングホイール、レバー、またはハンドルバーなど、運転者によって作動可能な制御デバイスに伝達することに関する、先行技術の不適切性を改善することを目的にする。短い期間及び一定間隔である、瞬間的な力のピークは、特に誘導の妨害、制御デバイスの短い角加速度、及び/または車両の運転者によって感じられる突然の振動、を発生させる場合がある。
【0016】
本発明は、これらの欠点の内、1つ及び/または他を改善すること、ならびに以下の解決策を提供することである:
-全体的に機械式である一方で、瞬間的な力が制御デバイスに伝達される前に、自動的に無力化できる解決策;
-例えば重量、コラムを車両の少なくとも1つのホイールに接続する方法、及び/または、車両に依拠して様々なエンジンパワーを伴ってモータ化できるか、もしくは筋力によって運転者が提供できる、車両の推進手段、に関する車両自体の特性の観点で、任意の移動する車両に容易に適合させることができる解決策;
-自主的であり、ステアリングアセンブリの重量を著しく増加させることなく、ステアリングコラムの任意のポイントに取り付けることができる解決策。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これを実現するために、瞬間的な力は、本発明に従って使用され、同時すなわち同じ時間において、かつ連携して、以下を生じさせる:
-衝撃によって運ばれるエネルギーを捕捉することによって、取り外し可能に接続された軸方向コラムセクション間を、回転して連結解除し、それによってそれらの接続から取り外すことで、瞬間的なトルク力の伝達を遮断すること、及び
-このように連結解除されたセクション間で、弾性軸方向圧縮を開始して、この弾性圧縮の直後に逆運動力学によって、セクションの再連結を生じさせる弛緩を行うこと。
【0018】
これに関して、本発明の目標は、車両のステアリングコラムの遠位端と近位端との間における、このコラムに接続された少なくとも1つの駆動ホイールによって受けたショックによる、コラムの遠位端からの、少なくとも1回の突然の衝撃の上昇によって発生した、瞬間的な力を無力化するための方法である。車両が従う軌道を制御するためのステアリングデバイスは、コラムの近位端に取り付けられる。このデバイスは、車両の運転者によって回転可能に操作できる。
【0019】
本発明の方法に従って、以下の操作が実施される:
-コラムの中心軸における同軸連結の状態において、基準トルクに従い、移動する連結リンクを介して、遠位セクションが、制御デバイスと回転可能に統合した近位セクションを伴う、コラムの少なくとも2つのセクションに取り付けること、及び、基準トルクに従って連結状態で取り付けられた、セクション間における軸方向のプレストレスを施された弾性領域を提供すること、
-基準トルクよりも大きい瞬間的トルクによる、遠位セクションの回転開始の影響下で、瞬間的トルクを受けた連結リンクを回転駆動することによって、かつ近位セクションにおけるこのリンクの螺旋誘導部によって、遠位端と近位端との間で、自動的に連結解除を生じさせること、ならびに
-同時に、セクション間の連結解除の影響下で、弾性領域をセクション間で軸方向に圧縮するよう、遠位セクションにおける軸方向移動及び近位セクションにおける螺旋移動による、二重に組み合わせた誘導によって、遠位セクションの連結リンクを、並進で弾性領域まで駆動することであって、この圧縮はプレストレスに相当する圧縮閾値よりも大きい、駆動すること、次に
-衝撃の停止の結果、及び瞬間的な力の消耗に相関して、圧縮された弾性領域を弛緩させることによって、セクション間で自動的に再連結を生じさせることであって、この領域は基準トルク下で連結したセクション間のプレストレス閾値まで戻り、連結リンクはセクションの互いの連結状態まで戻る、再連結を生じさせること。
【0020】
この文脈において、限定詞「近位」は、例えば両端部であるじ構成要素、または別の構成要素における、別の対応した構造的要素の「遠位」として限定された位置よりも、制御デバイスに近い構造要素の位置に関する。
【0021】
本発明の方法を適用することによって、衝撃によって生じたエネルギー及び弾性領域の本質的な弾性のみを使用して、自動的な連結解除及び再連結が、セクション間で実現する。連結リンクが、遠位セクションと回転可能に連携され、かつ、近位セクションにおける螺旋状、及び遠位セクションにおける軸方向並進、の二重で誘導されるため、実際の衝撃は、自動的にセクション間の相対的回転の開始を引き起こし、それによって遠位セクションから近位セクションまでの、瞬間的なトルクのいかなる伝達も遮断する。
【0022】
螺旋誘導部は、特に移動リンクにおいて軸方向の並進で構成要素に沿った推進力を加えることを可能にし、この推進力は、遠位セクションの軸方向誘導におけるリンクを、セクションの連結解除の結果として弾性領域まで駆動し、次に弾性領域が弛緩することで加えられる逆推進力を通して、セクションの再連結位置まで駆動する。
【0023】
本発明の方法から、遠位セクションによって支持された衝撃の事象において、瞬間的な力が、セクション間の連結を自動的に遮断するため、及び逆に弾性領域の弛緩による、セクション間の再連結を生じさせるために、使用されることが明らかになる。このように瞬間的な力は、それらが近位セクションまで伝達される前に無力化される。
【0024】
近位セクションと回転可能に統合した制御デバイスは、それによって衝撃の伝達から防護され、その一方で車両の運転者の任意の感覚を回避する。このような無力化は、瞬間的な力によって発生する任意の外部エネルギーを加えることなく、機械的に得られる。
【0025】
有利には、瞬間的な力が、遠位セクションに加えられた、軸方向の推進力における軸力の成分発生器を含みやすく、弾性領域の圧縮も、このような軸方向の推進力の吸収を可能にする。
【0026】
衝撃が、コラムの全周で角度のずれを発生させるという事実を使用する、本発明の方法における好ましい実施形態によると、連結リンクは、周囲に沿ってセクション間の移動連結における複数のインターフェースで、均等に角度配分される。これらの移動インターフェースは、回転可能に循環するよう、軸方向並進で、近位セクションに対する遠位セクションの回転開始の影響下で、かつその後の逆運動力学下で、誘導される。
【0027】
「進む」運動力学に従って、各移動インターフェースは、近位セクションに沿って限定された角度範囲の少なくとも1つの螺旋部分によって、曲線誘導で移動し、それは各移動インターフェースが、遠位セクションにおける個々の軸方向誘導部を通して、これらのインターフェースが弾性領域に当接するまで、弾性領域まで移動することも可能にする。それは瞬間的な力の、軸方向の吸収を生成する。
【0028】
次に、衝撃が停止した結果、セクション間の再連結が、弾性領域がそのプレストレス閾値まで弛緩することによって、「進む」運動力学の逆である、「戻る」運動力学に従って生じる。移動インターフェースは次に、逆の軸方向並進で、遠位セクションにおける誘導部によって、及び近位セクションに沿って逆の曲線誘導によって、セクションの互いの連結状態が、基準トルク下で再確立されるまで、押し戻される。
【0029】
移動インターフェースの、このような均等な配分は、弾性圧縮中に、移動インターフェースの軸方向の当接も補助し、次にそれは均等に配分される
【0030】
移動インターフェースの軸方向並進の開始が、セクションの回転中心軸に対して同軸で平行の方向に沿って実現されることが、特定される。連結リンクまたはインターフェースは、「移動する」が「動くことが可能」を意味することから、移動する、と呼ばれる。
【0031】
有利な実施形態によると、セクションが連結解除状態で保持された場合において、セクション間の優先的な連結は、近位セクションの角度範囲の、一方の端部における移動連結インターフェースを保持して、制御デバイスを介して近位セクションの運転者またはオペレータによって操作される回転作動を用いて開始することによって、もたらされる。
【0032】
この実施形態は、運転者が安全の理由で、例えばセクションが連結解除状態で妨害する事象、またはセクションを連結解除状態に保持して、一定間隔でコラムに加えられる衝撃の事象など、いかなる状況においても、近位セクションによって次に駆動される遠位セクションを通してコラムを回転駆動することを可能にさせる。このように運転者は、制御デバイスを通して、車両の軌道を常に制御できる。
【0033】
さらに本発明の目標は、車両のステアリングコラムにおける遠位セクションと近位セクションとの間の軸方向及び回転方向で、説明したような方法を実行するよう設計された、連結システムである。
【0034】
このような連結システムは、上記のセクションが少なくとも部分的に同軸で連動され、かつ一方を他方の内側に組み付けることによって連結され、連動領域を画定する、という点で主に認識できる。上記の弾性領域を備えた弾性デバイスは、セクション間で軸方向にプレストレスを施されて取り付けられる。これらのセクションは、複数の移動連結要素を介して、回転可能に共に連結される。複数の移動連結要素は、連動領域のセクション間に径方向で均等に挿置された、連結リンクを備える。
【0035】
遠位セクションと回転可能に接合された連結要素は、同じ遠位セクションの周囲に均等に配分された軸方向誘導部に沿って、この遠位セクションで移動可能に組み付けられる。これらの連結要素は、螺旋部分に沿って曲線循環の誘導部における近位セクションで、連携して移動可能に取り付けられる。この螺旋部分は、基準トルクでセクションに共に連結する位置から、少なくとも1つの角度制止部まで、個々に延びる。曲線循環において、各移動要素は、その連結位置に対する角度のずれ、及び軸方向のずれで、セクションの連結解除位置にあり、弾性デバイスは、軸方向に当接する移動要素によって、セクションの連結解除位置で圧縮される。
【0036】
連結要素、軸方向誘導部、及び曲線誘導部は、同一であることが、ここで理解される。さらに、本発明の文脈において、遠位セクションは、車両の少なくとも1つのホイールに直接的または間接的に連携されたコラムの遠位端と、回転可能に統合されること、及び近位セクションは、制御デバイスと直接的または間接的に、回転可能に統合されること、が想定される。このようなセクションのセットを、その遠位端と近位端との間に位置した任意の箇所において、コラムに位置付けることができる。
【0037】
有利には、近位セクションの曲線誘導部における各螺旋部分は「V」形状であり、セクションの共通軸に向かって傾斜した2つの推進ウィングで構成される。これらのウィングは、各部分に割り当てられたセクション間における連結位置の両側に、対称的に延びる。上記のウィングの各々は、その端部に角度制止部を有し、連結位置は、弾性領域から最も遠い各誘導部の位置であり、制止部の位置は、最も近い位置である。したがって各移動要素は、連結位置と、このセクションの回転方向における遠位セクションの角度制止部の、いずれか一方と、の間で循環するよう取り付けられる。
【0038】
好ましい実施形態において:
-近位セクションの曲線誘導部、及び遠位セクションの軸方向誘導部は、表面上の中空の細長い空洞に形成され、側壁が設けられる。曲線誘導部は、長手方向の制止部を形成する、好ましくは少なくとも1つの側壁を有し、それは弾性領域の方向において、移動要素に、軸方向の当接接触を及ぼすことを可能にする;
-連動領域において、遠位セクションには、その近端において、近位セクションに含まれたカラーの内側に延びた軸方向の連動シャフトが設けられ、曲線誘導部は、カラーの内面に設けられ、軸方向誘導部は、この内面に面したシャフトの外面に設けられる;
-これらのセクションは軸方向に静止され、恒久的な所定の軸方向取付位置に従って共に連結される。互いに対するセクションの、この軸方向の静止は、機能中の連結システムの堅牢性に役立ち、衝撃事象における疲労を制限する。このような配置は、連結システムの限定された軸方向の空間的要求を可能にし、かつ、それによって任意の移動する車両のコラムにおける設定を補助し、同時に、使用される連結要素が弾性デバイスを、セクションの連結解除状態で圧縮するのを可能にする。
【0039】
近位セクションは、連結システムの構成要素間において連続して軸方向に当接するチェーンに沿って、連結要素を介して弾性デバイスに当接するよう、軸方向に位置される。このチェーンは、連結状態において、セクション間で、プレストレスを施された弾性取付デバイスを、連結状態で設置するために体系化され、セクションの連結解除状態において、連結要素によって圧縮される。
【0040】
有利な実施形態によると、連結システムは、軸方向に当接するチェーンを形成するよう、以下の構成要素を特徴とする:
-弾性デバイスは、遠位セクションと統合された第1のストッパと、遠位セクション周りに取り付けられた第2のストッパと、の間に軸方向に挿置される;
-第1のストッパは、遠位ナットの近位面で構成され、第2のストッパは連結要素に当接し、次にそれらは、割り当てられた曲線誘導部の長手方向の制止壁に当接する;
-遠位セクション及び近位セクションは、ナット間で互いに対して軸方向に静止し、これらナットは、遠位セクションの周りにネジで取り付けられ、その遠位ナット及び近位ナットは、近位セクションのいずれかの側に設置される;ならびに
-弾性デバイスは、遠位ナットと近位セクションとの間でプレストレスを施される。
【0041】
変形として、第2のストッパは、近位セクションのカラーにおける遠位面で構成される場合、または、遠位セクションの周りで軸方向に摺動するよう取り付けられたスリーブを含んだ、第3の肩部の遠位面によって構成される場合、がある。
【0042】
第1の場合において、近位セクションの連結要素を循環させるための螺旋部分は、2つの平行な側壁を有する摺動部から構成される。これら2つの平行な側壁は、連結要素に当接する遠位壁と、カラーの第2の肩部における遠位面によって提供された、長手方向の制止近位壁と、を含む。この場合において、連結要素は、弾性デバイスと直接的に接触する。
【0043】
第2の場合において、各螺旋部分は、第1の場合と同じ方法で設けられた、長手方向の制止近位壁のみを有する傾斜部を含み、第2のストッパとして作用するスリーブは、連結要素に当接するよう軸方向に延びた段差部を有する。
【0044】
ランニングギアは、好ましくはその近位端において、遠位セクションと近位面における近位セクションとの間で、径方向に挿置される。このようなランニングギアは、有利には、近位ナット及び遠位セクションにおける第1の肩部の間で軸方向に遮断される、内部リングと、近位セクションに形成された第2の内部肩部、及び近位端において近位セクションに軸方向に締付けられたフランジの間で軸方向に遮断される、外部リングと、を含む。
【0045】
近位セクションにおける螺旋循環、及び遠位セクションにおける軸方向並進で、進むかまたは摺動することができる、移動要素の動きの開始における品質は、連結要素の全重量及び/または摩耗を制限しながら、最適化される。
【0046】
さらに本発明の目標は、遠位セクション及び近位セクションを含み、回転可能かつ軸方向に互いに連結される、少なくとも1セットのセクションを含んだ、車両のステアリングコラムである。本発明に関する、このようなステアリングコラムは、上記のセクションが、既に説明したような連結システムを介して、共に連結されることが認識できる。
【0047】
この連結システムは、好ましくはコラムの近位端に設定される。この近位端は、有利には、車両が従う軌道を制御するための上記のデバイスを支持するよう配置される。
【0048】
この文脈において、本発明の別の目標は、ステアリングコラムが装備された移動する車両に関し、このステアリングコラムの遠位端には、少なくとも1つの車両ホイールに接続され、近位端には、車両が従う軌道を制御するためのデバイスが装備される。このような移動する車両は、ステアリングコラムが、既に成された説明と一致することが認識できる。
【0049】
本発明の他の特徴及び利点は、それぞれを示す以下の図面を参照して、下記の詳細な実施形態例を読むことによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明による、モータ車両のステアリングコラムの近位端に設定するよう構成され、その一方で車両が従う軌道を誘導するための、ホイールの取付部を設けた、全体の連結システムの分解組立図である。
【
図1a】本発明による、モータ車両のステアリングコラムの近位端に設定するよう構成され、その一方で車両が従う軌道を誘導するための、ホイールの取付部を設けた、部分的な連結システムが一旦組み立てられた、
図1bとは反対ラインに沿って見た図である。
【
図1b】本発明による、モータ車両のステアリングコラムの近位端に設定するよう構成され、その一方で車両が従う軌道を誘導するための、ホイールの取付部を設けた、部分的な連結システムが一旦組み立てられた、
図1aとは反対ラインに沿って見た図である。
【
図2】僅かに軸方向に傾いた、
図1に示された連結システムの軸方向の半断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示された連結システムの、近位セクションの正面図である。この近位セクションは、ステアリングホイール取付部を形成するカラーとして配置される。
【
図4】
図3に示された連結システムの、関係するカラーで構成された、近位セクションを軸方向断面図である。
【
図5】
図1及び
図2に示された連結システムの、遠位セクションを形成するシャフトの軸方向図である。この遠位セクションは、ステアリングコラムの近位端における組立のために配置される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図面及びそれらの詳細は、非限定の説明であり、本発明の範囲を限定することなく、特定の様式に従って本発明を明らかにする。本発明の実施形態例における、図面及びそれらの詳細の説明は、必要に応じて既に成された全体的な説明に関連して、より良好に定義するために役立たせることができる。
【0052】
さらに、図面に負担をかけすぎるのを避けるため、かつその読み取りを容易にするために、本発明を説明するために使用される用語及び/または概念に割り当てられ、図面の任意の1枚で示される参照番号は、それらが全ての図面に存在することを暗示することなく、任意の他の図面における説明で繰り返される可能性がある。
【0053】
図1及び
図2において、モータ車両を誘導するためのコラム1は、車両が従う軌道を制御するためのホイール、この場合はステアリングホイールの取付部2と、回転可能かつ軸方向で連結される。車両の運転者は、コラム1を回転可能に駆動するよう、したがって車両を誘導するよう、このステアリングホイールを回転可能に作動させることができる。従来と一致して、コラム1の遠位端(図示せず)は、車両の少なくとも1つの駆動ホイールに、直接的または間接的に、例えばモータ車両に装備されたパワーステアリングシステムを介して、接続される。
【0054】
この目的のため、コラム1の近位端には、締付けプレート3aが装備されたシャフト3に配置された、遠位セクション1aが設けられる。
図2に示されるように、シャフト3は、取付部2を形成するカラー4を含んだ、近位セクション1bの内側の中心軸A1に沿って、部分的に同軸で連動される。遠位セクション1aと近位セクション1bとの間の同軸連動は、共通軸に沿って実現される。この共通軸は、本発明による連結システムの中心延長軸A1に統合される。
【0055】
遠位の観点及び近位の観点によって方向付けられた、
図1a及び
図1bにおいて、一旦組み立てられると近位セクション1bのみが見える。これら
図1a及び
図1bは、本発明による連結システムのコンパクトさを示す。遠位セクション1aは、近位セクション1bの内側に組み立てられる(近位セクション1bのナット10aから径方向に現われる締付けプレート3aを除く。
図2参照)。
【0056】
遠位セクション1aと近位セクション1bとの間の組立方法は、それらの間でそれらの連結システムの設定を提供し、コラム1の遠位端でコラム1によって支持された瞬間的な衝撃の事象において、セクション1a、1b間の自動的な連結解除、その後の自動的な再連結を実現する。
【0057】
このような衝撃は、特に起伏を示す道路を車両が移動するときに発生する。本発明は、彼/彼女の運転の快適性に影響を及ぼさないよう、ステアリングホイールを通した運転者までの衝撃の伝達を、防止することを目的とする。衝撃は、瞬間的な力を発生させ、それはコラム1によって短時間支持される。本発明は、遠位セクション1aによる近位セクション1bまでの伝達を防止するよう、無力化することを目的とする。このような瞬間的な力は、遠位セクション1aの回転駆動の瞬間的なトルクC1と、遠位セクション1aによって軸方向に支持された、瞬間的な軸力EA1と、を発生させる。
【0058】
遠位セクション1aと近位セクション1bとの間の、組み立てられた状態において、セクション1a、1bは、所定の基準トルク下で回転可能に連結される。瞬間的なトルクC1が基準トルクよりも大きい場合、それはセクション1a、1b間の連結解除を、自動的に引き起こす。瞬間的な力は次に、コラム1に衝撃が加えられる間に無力化され、それは近位セクション1bまでの力の伝達を防止し、セクション1a、1b間の連結解除の後で、衝撃の停止の結果として、セクション1a、1bを互いに対して自動的に再連結する。
【0059】
この目的のため、遠位セクション1a及び近位セクション1bは、
図2に例示されるように、所定の位置に、それらの間に連結状態で組み立てられる。連結された状態において、運転者は、ステアリングホイールを作動させることで、モータ車両を誘導することができ、そのときコラム1を、以下で説明する連結を介して、遠位セクション1aと近位セクション1bとの間で回転可能に駆動できる。
【0060】
組み立てられた位置、したがってセクション1a、1bが互いに連結された状態において、セクション1a、1bは、球体として構成された複数の連結要素5aから成るリンク5を介して、互いに回転可能に連結される。例えばエラストマのリング形態のもののような、弾性デバイス6は、弾性圧縮領域6aを間に設けたセクション1a、1b間に、プレストレスを施されて軸方向に挿置される。
【0061】
連結球体5aは、弾性デバイス6に軸方向に当接し、
図1、
図3、及び
図4で印されるように、そのプレストレスは、連結球体5aを、セクション1a、1bが互いに連結された状態で、連結位置8cに少なくとも保持する。
【0062】
近位セクション1bは、遠位セクション1aにおいて軸方向に静止され、その一方で遠位セクション1aに対して所定の恒久的な軸方向位置に、恒久的に保持される。セクション1a、1b間の相対的の軸方向位置は、セクション1aと1bとの間の、連結状態の設定または連結解除状態の設定、における状況がどうであれ、変わらずにとどまることが、ここで明示される。
【0063】
連結球体5aは、シャフト3とカラー4との間の連動領域ZEにおいて、セクション1a、1b間で径方向に挿置される(
図2参照)。連結球体5aは、セクション1a、1b間の間隙空間において、外周CR1の周りに角度的に配分される。
【0064】
連結球体5aは、誘導部7a、7bの内側に個々に収容され、遠位セクション1aのシャフト3における外面3eと、近位セクション1bのカラー4における内面4iと、にそれぞれ含まれる。誘導部7a、7bのセットの各々は、軸方向誘導部7a及び曲線誘導部7bを備える。
【0065】
軸方向誘導部7aは、
図1、
図2、
図5、及び
図6に示されるように、シャフト3の周囲に設けられた連結球体5aの、並進循環のための誘導部である。曲線誘導部7bは、
図1、
図2、
図3、及び
図4に示されるように、カラー4の内面4i(
図1a及び
図1b参照)に設けられる。曲線誘導部7bは、近位セクション1bに対する連結球体5aの螺旋循環のための誘導部であり、連結球体5aを軸方向に押す荷重によって、セクション1a、1bの連結解除中に、遠位セクション1aにおける軸方向誘導部7aの内側の軸方向循環を、弾性デバイス6まで生じさせる。
【0066】
曲線誘導部7bは、
図1に示されるように、連結球体5aの角度配分における外周CR1の周りに全体的に方向付けられた外周円弧に、ほぼ沿って延びる。一方から他方へ通じた空洞は、誘導部7a、7bの各セット、軸後方誘導部7a、及び曲線誘導部7bについて形成され、軸方向誘導部7aと、曲線誘導部7bに関連した少なくとも1つの螺旋部分に構成された1つの空洞と、に関連した、それぞれ1つの楕円体空洞を含み、それらに割り当てられた連結球体5aを接合して収容する。
【0067】
図1、
図3、及び
図4において、曲線誘導部7bの各々は、角度制止部8を提供する盲端の間における、限定された角度範囲に延びる。角度制止部8は、連結球体5aの連結位置8cの両側に、等距離で配分される。
【0068】
より正確には、曲線誘導部7bの螺旋部分の各々は、2つの傾斜部9から構成される。2つの傾斜部9は、連結球体5aの連結位置8cの両側に対称的に延び、それによって傾斜部9は、「V」形状の、曲線誘導部7bの2つのウィングを形成し、そのポイントは連結位置8cを提供する。この意味で、傾斜部9は、連結球体5aの連結位置8cから回転軸A1まで、セクション1a、1bの回転中心軸A1に対して垂直面から「傾いている」と呼ばれる。
図3及び
図4において、各傾斜部9は、実質的に螺旋セクションとして構成されるが、前部の向き及び図の軸方向断面における向きのため、直線状に見える。
【0069】
連結球体5aの連結位置8cは、この連結位置において並列する傾斜部9間の交差領域に設けられる。この連結位置8cは、角度制止部8よりも、弾性デバイス6から遠い。連結球体5aは、共通の連結位置8cから、各曲線誘導部7bの1つまたは他の傾斜部9に沿って、遠位セクション1aの回転方向に従って循環する。
【0070】
基準トルクの値に依拠して、または換言するとセクション1a、1b間の弾性領域6aにおけるプレストレスの閾値に依拠して、2つの連続した誘導部7bの傾斜部9間の交差領域における形状の配置を、有利には連結球体5aを保持するためのデバイスを形成し、それらを、セクション1a、1bが基準トルクに従って互いに連結した状態であるときに、曲線誘導部7bの内側の連結位置8cに保持する補助となるよう、想定することができる。
【0071】
したがって軸方向誘導部7aは、シャフト3の周辺の、遠位セクション1aの軸方向の並進において、及び、連結球体5aが遠位セクション1aによって駆動されて、近位セクション1bに対して傾いた回転において、連結球体5aの移動性を確立する。同時かつ連携して、曲線誘導部7bは、連結球体5aを、角度制止部8間の限定された角度範囲に従って実質的に螺旋軌道に沿って、傾斜部9を介して、カラー4の内側4i(
図1a及び
図1b参照)に対して移動させる。
【0072】
図2に示されるように、カラー4は、連結システムにおける軸方向端部の各々で、それぞれシャフト3にネジ止めされた2つのナット10a、10b間において、恒久的に組み立てられた軸方向位置でシャフト3に、恒久的に保持される。したがって恒久的な相対的軸方向位置が、遠位セクション1aと近位セクション1bとの間に得られる。プレストレスを施された取付部の弾性デバイス6は、弾性デバイス6の両側に当接した第1のストッパ11aと第2のストッパ11bとの間で、連結球体5aを介して、軸方向に挿置される。
【0073】
第1のストッパ11aは、弾性デバイス6の遠位面に当接した遠位ナット10aの近位面10cによって構成される。第2のストッパ11bは、スリーブ13に含まれた第3の肩部12cの遠位面によって構成される。または代替としてスリーブのない例において、この遠位面はカラー4の遠位面である。
【0074】
スリーブ13は、シャフト3の周りを軸方向に摺動するよう取り付けられ、その一方で軸方向に部分的に軸方向誘導部7aに覆い被さって延びる。スリーブ13は、弾性デバイス6の近位面と連結球体5aとの間で、軸方向に挿置される。次に各連結球体5aは、制止部11cに順番に当接する。制止部11cは、近位セクション1bに含まれたカラー4の内側で形成された第2の内部肩部12bによって提供された、長手方向壁から構成される。
【0075】
図4で詳細に視認できるが、曲線誘導部7bは、変形において、摺動部9aとして配置することができ、近位セクション1bにおける連結球体5aの、移動誘導の助けとなることに、留意されたい。このような摺動部9aは、長手方向制止部11cを形成する第2の肩部12bの壁に対して、平行に方向付けられた、カラー4の第2の遠位壁11dを提供するよう、構成することができる。
【0076】
第2の壁11dは、軸方向誘導部7aの内側における連結球体部5aの循環を阻害しないよう、または弾性デバイス6に対する連結球体5aの当接を阻害しないよう、適合された、径方向の延長部を有する。この変形において、第2のストッパ11bは、カラー4の遠位面によって構成され、それはスリーブ13に取って代わり、第2の遠位壁11dは連結球体5aに当接する。
【0077】
セクション1a、1bが共に連結された状態において、連結球体5aは、弾性デバイス6のプレストレスの影響下でそれらの連結位置8cに保持される。弾性デバイス6に対して連結球体5aは、軸方向に当接する。
【0078】
コラム1によって支持された衝撃の影響下で、セクション1a、1bの連結解除状態において、連結球体5aは、近位セクション1bに対する遠位セクション1aの回転方向に従って、曲線誘導部7bの1つまたは他の傾斜部9の内側で循環し、その一方で、弾性デバイス6を、弾性デバイス6のプレストレスよりも大きい圧縮閾値で圧縮するよう、長手方向制止部11c及び弾性デバイス6に当接して軸方向で保持される。
【0079】
ローラデバイス14は、シャフト3とカラー4との間で、径方向に挿置される。ローラデバイス14の外部リング14aは、第2の肩部12bの近位面と、カラー4に締付けられたフランジ15と、の間で軸方向に挿置される。ローラデバイス14の内部リング14bは、近位ナット10bと、遠位セクション1aのシャフト3に含まれた第1の肩部12aと、の間の介在で軸方向に延びる。
【0080】
換言すると、
図2に例示されるように、連結球体5aは、軸方向誘導部7aの底部及び曲線誘導部7bの底部において、径方向両端の当接部を採用し、その一方で、コラム1によって支持された衝撃なしで、セクション1a、1b間における連結を実現する。連結システムの、径方向の延長に従って、軸方向の当接が、ナット10a、10b間で連続的に行われ、その一方でカラー4は、セクション1a、1bが連結位置にあるか連結解除位置にあるかに関わらず、恒久的な軸方向位置で、シャフト3の周りに恒久的に保持される。
【0081】
このように、連続的な軸方向の当接に従い:
-弾性デバイス6は、遠位ナット10aとスリーブ13との間で軸方向に挿置されて、プレストレスを施され、次にスリーブ13は、連結球体5aに当接する。次に連続球体5aは、カラー4に含まれた第2の肩部12bによって提供された軸方向制止部11cに、軸方向に当接する;
-カラー4は、第2の肩部12bを介して、ローラデバイス14の外部リング14aに軸方向に当接し、次に外部リング14aは、近位端でカラー4の締付けられたフランジ15に当接する。カラー4は、ローラデバイス14の内部リング14bを介して、シャフト3に軸方向に当接する。ローラデバイス14は、近位ナット10bによって、シャフト3の第1の肩部12aに軸方向に留められる。
【0082】
一方では軸方向誘導部7aの底部及び曲線誘導部7bの径方向反対側の、他方では軸方向当接部の列に軸方向に沿った、連結球体5aの当接は、シャフト3とカラー4との間で、連結状態及び連結解除状態の両方で持続される。
【0083】
したがって、直前に提示された実施形態例におけるものなどの、連結システムにおいて、シャフト3とカラー4との間の連結解除が、遠位セクション1aによって及ぼされた衝撃によって生じた瞬間的なトルクC1が、基準トルクを超えたとき、自動的に行われる。この連結解除の後に、コラム1における衝撃の適用の最後で、シャフト3とカラー4との間で自動的に再連結され、各球体5aは、その連結位置8cに戻る。
【0084】
シャフト3とカラー4との間の取付位置に従って、基準トルクで、セクション1a、1bの互いに連結された状態において、連結球体5aは、カラー4のおけるそれらの連結位置8cと、曲線誘導部7bを形成する摺動部9aの壁11c、11d間の軸方向位置と、に保持される。または、
図1及び
図2に詳細に例示された例に戻ると、スリーブ13と、この例ではカラー4に含まれた第2の肩部12bによって提供された、壁11cにおける長手方向制止部と、の間に保持される。その後運転者は、カラー4に取り付けられたステアリングホイールを介して、コラム1を回転可能に駆動し、車両を誘導するために、コラム1の回転方向の1つ及び/または他に従う。
【0085】
コラム1の遠位端によって支持された衝撃によって生じた瞬間的なトルクC1が、基準トルクを超えたとき、シャフト3は、コラム1に対する瞬間的なトルクC1の適用方向に従って、1つまたは他の回転方向に沿って回転駆動される。取付部2に対するコラム1の相対的な回転移動性は、連結球体5aの連結位置8cと、1つまたは他の角度制止部8との間の、曲線誘導部7bの延長部に限定された角度面において、カラー4に含まれた曲線誘導部7bの内側で循環する連結球体5aによって、確立される。
【0086】
遠位セクション1aに加えられた瞬間的なトルクC1の影響下で、自動連結解除が、遠位セクション1aと近位セクション1bとの間で実現され、それは、瞬間的なトルクC1が、シャフト3を通してカラー4まで伝達するのを防止する。さらに、曲線誘導部7bの内側で循環する連結球体5aは、セクション1a、1b間の相対回転方向に沿って、1つまたは他の傾斜部9と径方向に当接し、その一方で、軸方向に保持され、傾斜部9に対抗する連結球体5aが後に続く経路に沿って、力を伴い長手方向制止部11cと当接する。
【0087】
傾斜部9に沿った、連結球体5aの循環は、その後方への押し込みR1(
図2参照)を生じさせ、その後、弾性デバイス6までの、軸方向誘導部7aの内側における循環を生じさせる。次に連結球体5aは、傾斜部9に沿った力を伴い、角度を付けて循環する。さらにこの影響は、連結球体5aを、弾性デバイス6の方向に、軸方向誘導部7aの内側で並進して移動させる。球体または他の連結要素5aの、軸方向誘導部7aの内側における並進移動は、セクション1a、1b間の角度のずれによって即座に判断され、次にセクション1bは、遠位セクション1aに加えられた瞬間のトルクC1の大きさに従って判断される。
【0088】
次に連結球体5aはスリーブ13に当接する。スリーブ13は、連結球体5aによって、弾性デバイス6に対して軸方向に押し戻される。さらにこの影響は、コラム1が受けた瞬間の力によって発生した、軸力EA1を吸収する。基準トルクよりも大きい、所謂瞬間的なトルクC1を、遠位セクション1aに適用することから、以下が同時に実現される。
-曲線誘導部7bの内側における連結球体5aの螺旋循環による、セクション1a、1bの自動的な連結解除による衝撃で発生したトルク力を吸収するだけではなく、
-衝撃から発生した軸力EA1も軸方向に吸収し、遠位セクション1aが軸方向に連結球体5aと当接することによって、衝撃が近位セクション1bまで伝達するのを防止し、連結球体5aは、傾斜部9によって、弾性デバイス6に対して軸方向に押し戻されるR1。
【0089】
コラム1が、もはや衝撃を受けないとき、連結位置8cまで、曲線誘導部7bの内側の傾斜部9に沿った、連結球体5aの逆循環を生じさせる。弾性デバイス6が、セクション1a、1b間のプレストレスの閾値において弛緩した後、弾性デバイス6は、もはや連結球体5aによる圧縮を受けないので、連結球体5aは、軸方向誘導部7aの内側で並進して、弾性デバイス6から軸方向の距離で、逆に押し戻されるR2(
図2参照)。
【0090】
連結球体5aが、それらの連結位置8cに設置されたとき、自動再連結が、コラム1と、車両の運転者によって作動させることができるステアリングホイールの取付部2と、の間で実現される。衝撃は短いので(通常は半秒未満の間)、運転者は、コラム1の遠位端まで伝達された衝撃を感じることなく、車両を誘導できる。
【0091】
車両の駆動ホイールによって支持された衝撃の事象、例えば縁石の影響の事象または車線における起伏によって生じたショックを、コラム1が受けた衝撃は、短い期間のみではなく、減少した大きさの瞬間的なトルクC1も発生させる。曲線誘導部7bの延長部を、連結システムの空間的要求を過度に増加させることなく、連結球体5aの数を最適化するよう限定することができる(例示では6つに限定)。
【0092】
さらに、曲線誘導部の限定された延長部は、別の有用性を有する。実際、コラム1と取付部2との間の連結解除が反復的であり、及び/または車両を誘導するのを可能にする運転者にとって、許容可能な期間を超えて持ちこたえる状況が、考慮される。さらに連結システムは、コラム1が、妨害される状態が持続的に続く状況、及び/または一定間隔で衝撃を被る状況、を改善するよう体系化される。これに関して、セクション1a、1b間の優先的な連結が提供され、それは運転者が車両の永続的な方向制御を保つのを可能にする。
【0093】
連結システムをセクション1a、1b間の優先的な連結に設定するために、連結球体5aが、曲線誘導部7bの端部に設けられた1つまたは他の角度制止部8に接触して当接するよう設置されるまで、運転者は近位セクション1bを、回転可能に作動させることができる。これは、運転者による近位セクション1bの回転開始における方向S1(
図1参照)に沿って、1つまたは他の角度制止部8に当接する連結球体5aを介して、近位セクション1bによる、遠位セクション1aの接続及び螺旋駆動を生じさせる。
【0094】
したがって運転者は、任意の状況において、運転者によってセクション1a、1b間の優先的な連結に設定された連結システムを介して、基準トルクよりも大きい駆動トルクを潜在的に含んで、コラム1を駆動することによって車両の軌道を制御できる。
【0095】
連結システムの構造的簡易性、及び構成要素の数を限定することは、これらの構成要素の内、特に以下の構成要素である、いくつかの部品の機能を蓄積するためであることに、留意されたい。
【0096】
特に曲線誘導部7bに関して:
-衝撃を受けた遠位セクション1aの回転開始によって、連結リンク5は遠位セクション1aと径方向に統合し、近位セクション1bに対する移動リンク5(特に連結球体5a)の角度循環を通して、セクション1a、1b間の連結解除を確立する;
-連結リンク5を、弾性領域6aに対して押し戻し、それによって、傾斜部9に対する連結リンク5の当接により、及び遠位セクション1aに含まれた軸方向誘導部7bの内側を並進する循環により、遠位セクション1aに加えられた衝撃によって発生した軸力EA1を吸収する;
-セクション1a、1bの互いの再連結段階において、連結リンク5をその連結位置まで誘導し、弾性領域6aの弛緩の結果、連結リンク5を、曲線誘導部7に含まれた傾斜部9に当接するよう押し戻す;
-曲線誘導部を制限する角度制止部8を介して、セクション1a、1b間の優先的な連結を実現する。
【0097】
弾性領域6aに関して、これは:
-セクション1a、1b間における、弾性領域6aの軸方向のプレストレスによって、基準トルクで近位セクション1bを介してコラム1を駆動することを、運転者に可能にするため、
-連結リンク5を通して弾性領域6aを圧縮することによって、遠位セクション1aまで伝達された衝撃によって発生した軸力EA1を、吸収するため、
-衝撃の停止がもたらした弛緩によって、連結リンク5を、セクションの連結位置まで互いに押し戻すため、
に使用される。
【0098】
遠位セクション1a及び近位セクション1bを共に組み立てることに関して、それらの互いに対する恒久的な軸方向の静止は、以下を可能にする:
-衝撃事象において、好ましくはカラー4に完璧に取り付けられた近位セクション1bと統合した制御デバイスを介して、セクション1a、1b間の相対的回転の短い開始を感じない運転者の、運転の快適性に影響を及ぼすことなく、連結システムをコラム1の近位端に設定し、その一方でステアリング制御デバイスを支持すること;
-コラム1によって支持された衝撃事象の運動におけるデバイスセットを、回転する遠位セクション1aと、回転かつ並進する連結リンク5と、に限定すること。
【0099】
さらに、コラム1の環境で利用可能な空間に依拠して、ならびに/または、例えば運転者に対するステアリングホイールの位置を調整するため、及び/もしくは事故の際に運転者を保護するためなど、コラム1に特定の潜在的配置に依拠して、コラム1軸方向両端部間における任意の領域に、少なくとも1つの連結システムを設定することができる。
【0100】
さらに連結システムは、特に重量、及び例えばモータ車両、自転車、もしくはスクータなどのモータ化されたもの、または、非モータ化自転車、スクータ、もしくはジャイロパッドなどの、実際の運転者の力強さを供給されたものの駆動力など、車両に依拠して較正することが容易である。
【0101】
重量と、セクション間における特に自動連結解除及び/または再連結に特別に特化した構成要素の数と、は限定される。それは、任意のホイール付き車両に対する連結システムの適合を補助し、生成コスト及び/または実現される有用性及び利点に関するコラムの設定コストに対して、連結システムに著しい競合性を与える。
【0102】
本発明は、説明及び/または例示した例に限定されない。例えば、好ましい特徴に依拠して、以下で説明するように、弾性デバイス、連結要素、及び螺旋部分を選ぶことが可能である:
-弾性手段の中で弾性デバイスは、少なくとも1つのエラストマリング、圧縮バネ、少なくとも1つのバネワッシャ、及び/または少なくとも1つのブレードから成る;
-連結要素は、ローラ要素の形態で提示され得る。少なくとも球体、ニードルローラ及び球体として配置されたローラなど、軸方向に方向付けられたローラの中から選ばれるか、またはさらに、少なくともローラ、クリート、ピン、及びポストの中から選ばれた、摺動に好適な形状の摺動要素として選ばれる;
-螺旋部分は、2つの反対側の「V」形状の傾きに従って方向付けられた、2つのウィングから構成された誘導部の形状か、または、2つの反対側の角度における傾きと、他方のセットの誘導部と交互である、一方のセットの誘導部と、遠位セクションの回転方向に依拠したセットの内いずれか一方で循環する移動要素と、に従って方向付けられた、2セットの直線誘導部の形状か、で提示することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進力がモータなどでモータ化されているか、またはモータ化されていない移動する車両、及び/または多用途車、トラック、建設機械、ペダル付き四輪車、オートバイ、自転車、スクータ、またはジャイロパッド、のステアリングコラムの配置に関する。
【0002】
本発明は、特に、移動する車両のステアリングコラムに伝達された、瞬間的な衝撃によって生成された力を、無力化するための方法及びシステムに関する。このような力は、車両の少なくとも1つの駆動輪によって一時的に支持されたショックに対して連続的であり、それは少なくとも1回の瞬間的な衝撃の上昇を発生させる。この衝撃はステアリングコラムを介して、上記の車両の1つにおける運転者に伝達しないことが適切である。
【背景技術】
【0003】
移動する車両には、一般的にステアリングコラムが装備され、それを介して運転者は車両を誘導する。このコラムは、独国特許出願公開第3309437号明細書に記載されているような、セクション間に挿置された複数の移動連結要素を介して、連続して共に連結された、いくつかのセクションを含むことができる、回転シャフトとして配置される。このコラムは、車両の運転者によって操作され得るステアリングホイールすなわちハンドルバーのように、車両の軌跡の変化を制御するためのデバイスによって回転可能に作動され得る。
【0004】
この制御デバイスは、コラムの端部分に設けられた、ステアリングホイール支持部と呼ばれる受入れ支持部を介して、軸方向近位端コラムに取り付けられる。コラムにおける他方の軸方向遠位端は、例えば自転車、スクータ、もしくはジャイロパッドなどの車両の駆動ホイールに接続されるか、または例えばモータ車両及びペダル付き四輪車の駆動ホイール軸に接続される。これは、制御デバイスを介してステアリングコラム上の運転者によって加えられる回転運動の大きさに依拠して、駆動ホイールまたは車両のホイールを、地上で方向付けることを可能にする。
【0005】
運転者に怪我を負わせやすい、激しいショックをもたらす事故の事例において、ステアリングコラムを通したショックの任意の伝達に対して、運転者を防護することができる。例えば、米国特許第4805478号明細書で開示されているように、コラムは伸縮自在のデバイスとして配置され、それらのセクションは、軸方向で回転可能に、連続的に連結される。車両によって被る激しい前部の衝撃の事象において、生じた軸方向の推力は、セクションにおける軸方向の連動を次々に生じさせる。
【0006】
モータ車両において、通常ステアリングコラムは、パワーステアリングシステムを介して駆動ホイールの軸に接続される。このようなシステムを使用することで、車両を誘導する運転者の仕事を容易にし、電気モータまたは液圧モータを介して生成されることになる力を減少させることによって、運転の快適性を向上させる。パワーステアリングシステムは、運転者が車両を誘導するために成さなければならない努力を限定し、かつ前方へ動くときにその安定性を向上させるよう、車両の軌道を制御することができる。
【0007】
国際公開第03/022658号、及び仏国特許発明第2550505号明細書で説明されているように、動作するために、パワーステアリングシステムは潜在的に、制御デバイスを備えたステアリングホイールによって、ステアリングコラムに加えられたトルクに関する情報を有する。特に、ステアリングホイールとコラムが、捩じれによって変形するデバイスを介して、共に回転可能に連結されたとき、ステアリングホイールとコラムとの間の潜在的な角度のずれが、考慮される。
【0008】
さらに、車両は前進しているときに、繰り返して振動を受ける可能性もあり、それは、空気力学的状態及び/または装備されたショックアブソーバの品質に依拠して、大なり小なりかなりのものである。これは、特に車両が、例えば舗装道路における、起伏のある車線を前方に動く場合である。このような振動は、車両における運転の快適性に影響を及ぼす場合がある。欧州特許第0427915号明細書、及び国際公開第2019135768号で説明されているように、この欠点を改善するために、コラムによってステアリングホイールに伝達された振動を吸収するのを可能にする、弾性本体を伴うステアリングホイールを装備する提案が成された。
【0009】
しかし、全体的な課題が、車両の1本または複数本の駆動ホイールによって不定期に被る短いショック、及びステアリング制御デバイスで感じられるかなりの激しさ、によって生じる力の吸収において、根強く残る。このような不定期なショックは、例えば突起部、及び/もしくは一般的に「ポットホール」と呼ばれる空洞などの車線の起伏、または例えば縁石の影響、もしくは駆動ホイールが障害物に軽くぶつかるときなど、によって生じる。
【0010】
したがって、このようなショックは、ステアリングコラムに伝達される、無視できないが限定された大きさの、突然の瞬間的な衝撃を発生させる。モータ車両が装備するパワーステアリングシステムは、このような衝撃を吸収できないので、この衝撃はコラムの遠位端に伝達される。その結果、このような衝撃によって発生した瞬間的な力は、コラムの延長を移動して、コラムの近位端のステアリング取付部に取り付けられた制御デバイスを作動させる運転者まで上昇する。
【0011】
このような衝撃を無力化するよう、パワーステアリングシステムを大きくすることは、このような衝撃の短い特性及び限定された大きさのため、さらには不定期であるため、適切ではない。実際、これは不釣り合いの複雑性、ならびにパワーステアリングシステムの重量及び空間要件の大幅な増加、同様にステアリングコラムの回転の妨害、をもたらし得る。パワーステアリングシステムは車両のエンジン区画に設定されるので、衝撃を無力化するよう調整することは禁じられるであろう。
【0012】
そのため、ステアリングコラムによって制御デバイスに伝達された衝撃を、運転者まで伝達することを防止する試みが成される。前方へ動く際に車両の少なくとも1つの駆動ホイールに対して短く加えられる衝撃の結果、同時にモータ車両のためにも、通常はステアリングコラムがその遠位端を介して接触する、パワーステアリングシステムの使用を回避する。
【0013】
覚えておくこととして、用語「遠位」及び「近位」は、ステアリングコラムの主な延長の点で判断される相対的概念であり、制御デバイスは、従来コラムの近位端に設定され、コラムの遠位端は、直接的または間接的に、車両の少なくとも1つの駆動ホイールに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第3309437号明細書
【特許文献2】米国特許第4805478号明細書
【特許文献3】国際公開第03/022658号
【特許文献4】仏国特許発明第2550505号明細書
【特許文献5】欧州特許第0427915号明細書
【特許文献6】国際公開第2019135768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、コラムの遠位端が少なくとも1回の突然の衝撃を受けたとき、コラムの遠位端からの瞬間的な力の上昇が、ステアリングホイール、レバー、またはハンドルバーなど、運転者によって作動可能な制御デバイスに伝達することに関する、先行技術の不適切性を改善することを目的にする。短い期間及び一定間隔である、瞬間的な力のピークは、特に誘導の妨害、制御デバイスの短い角加速度、及び/または車両の運転者によって感じられる突然の振動、を発生させる場合がある。
【0016】
本発明は、これらの欠点の内、1つ及び/または他を改善すること、ならびに以下の解決策を提供することである:
-全体的に機械式である一方で、瞬間的な力が制御デバイスに伝達される前に、自動的に無力化できる解決策;
-例えば重量、コラムを車両の少なくとも1つのホイールに接続する方法、及び/または、車両に依拠して様々なエンジンパワーを伴ってモータ化できるか、もしくは筋力によって運転者が提供できる、車両の推進手段、に関する車両自体の特性の観点で、任意の移動する車両に容易に適合させることができる解決策;
-自主的であり、ステアリングアセンブリの重量を著しく増加させることなく、ステアリングコラムの任意のポイントに取り付けることができる解決策。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これを実現するために、瞬間的な力は、本発明に従って使用され、同時すなわち同じ時間において、かつ連携して、以下を生じさせる:
-衝撃によって運ばれるエネルギーを捕捉することによって、取り外し可能に接続された軸方向コラムセクション間を、回転して連結解除し、それによってそれらの接続から取り外すことで、瞬間的なトルク力の伝達を遮断すること、及び
-このように連結解除されたセクション間で、弾性軸方向圧縮を開始して、この弾性圧縮の直後に、逆運動力学によって、セクションの再連結を生じさせる弛緩を行うこと。
【0018】
これに関して、本発明の目標は、車両のステアリングコラムの遠位端と近位端との間における、このコラムに接続された少なくとも1つの駆動ホイールによって受けたショックによる、コラムの遠位端からの、少なくとも1回の突然の衝撃の上昇によって発生した、瞬間的な力を無力化するための方法である。車両が従う軌道を制御するためのステアリングデバイスは、コラムの近位端に取り付けられる。このデバイスは、車両の運転者によって回転可能に操作できる。
【0019】
本発明の方法に従って、以下の操作が実施される:
-コラムの中心軸における同軸連結の状態において、基準トルクに従い、移動する連結リンクを介して、遠位セクションが、制御デバイスと回転可能に統合した近位セクションを伴う、コラムの少なくとも2つのセクションに取り付けること、及び、基準トルクに従って連結状態で取り付けられた、セクション間における軸方向のプレストレスを施された弾性領域を提供すること、
-基準トルクよりも大きい瞬間的トルクによる、遠位セクションの回転開始の影響下で、瞬間的トルクを受けた連結リンクを回転駆動することによって、かつ近位セクションにおけるこのリンクの螺旋誘導部によって、遠位端と近位端との間で、自動的に連結解除を生じさせること、ならびに
-同時に、セクション間の連結解除の影響下で、弾性領域をセクション間で軸方向に圧縮するよう、遠位セクションにおける軸方向移動及び近位セクションにおける螺旋移動による、二重に組み合わせた誘導によって、遠位セクションの連結リンクを、並進で弾性領域まで駆動することであって、この圧縮はプレストレスに相当する圧縮閾値よりも大きい、駆動すること、次に
-衝撃の停止の結果、及び瞬間的な力の消耗に相関して、圧縮された弾性領域を弛緩させることによって、セクション間で自動的に再連結を生じさせることであって、この領域は基準トルク下で連結したセクション間のプレストレス閾値まで戻り、連結リンクはセクションの互いの連結状態まで戻る、再連結を生じさせること。
【0020】
この文脈において、限定詞「近位」は、例えば両端部であるじ構成要素、または別の構成要素における、別の対応した構造的要素の「遠位」として限定された位置よりも、制御デバイスに近い構造要素の位置に関する。
【0021】
本発明の方法を適用することによって、衝撃によって生じたエネルギー及び弾性領域の本質的な弾性のみを使用して、自動的な連結解除及び再連結が、セクション間で実現する。連結リンクが、遠位セクションと回転可能に連携され、かつ、近位セクションにおける螺旋状、及び遠位セクションにおける軸方向並進、の二重で誘導されるため、実際の衝撃は、自動的にセクション間の相対的回転の開始を引き起こし、それによって遠位セクションから近位セクションまでの、瞬間的なトルクのいかなる伝達も遮断する。
【0022】
螺旋誘導部は、特に移動リンクにおいて軸方向の並進で構成要素に沿った推進力を加えることを可能にし、この推進力は、遠位セクションの軸方向誘導におけるリンクを、セクションの連結解除の結果として弾性領域まで駆動し、次に弾性領域が弛緩することで加えられる逆推進力を通して、セクションの再連結位置まで駆動する。
【0023】
本発明の方法から、遠位セクションによって支持された衝撃の事象において、瞬間的な力が、セクション間の連結を自動的に遮断するため、及び逆に弾性領域の弛緩による、セクション間の再連結を生じさせるために、使用されることが明らかになる。このように瞬間的な力は、それらが近位セクションまで伝達される前に無力化される。
【0024】
近位セクションと回転可能に統合した制御デバイスは、それによって衝撃の伝達から防護され、その一方で車両の運転者の任意の感覚を回避する。このような無力化は、瞬間的な力によって発生する任意の外部エネルギーを加えることなく、機械的に得られる。
【0025】
有利には、瞬間的な力が、遠位セクションに加えられた、軸方向の推進力における軸力の成分発生器を含みやすく、弾性領域の圧縮も、このような軸方向の推進力の吸収を可能にする。
【0026】
衝撃が、コラムの全周で角度のずれを発生させるという事実を使用する、本発明の方法における好ましい実施形態によると、連結リンクは、周囲に沿ってセクション間の移動連結における複数のインターフェースで、均等に角度配分される。これらの移動インターフェースは、回転可能に循環するよう、軸方向並進で、近位セクションに対する遠位セクションの回転開始の影響下で、かつその後の逆運動力学下で、誘導される。
【0027】
「進む」運動力学に従って、各移動インターフェースは、近位セクションに沿って限定された角度範囲の少なくとも1つの螺旋部分によって、曲線誘導で移動し、それは各移動インターフェースが、遠位セクションにおける個々の軸方向誘導部を通して、これらのインターフェースが弾性領域に当接するまで、弾性領域まで移動することも可能にする。それは瞬間的な力の、軸方向の吸収を生成する。
【0028】
次に、衝撃が停止した結果、セクション間の再連結が、弾性領域がそのプレストレス閾値まで弛緩することによって、「進む」運動力学の逆である、「戻る」運動力学に従って生じる。移動インターフェースは次に、逆の軸方向並進で、遠位セクションにおける誘導部によって、及び近位セクションに沿って逆の曲線誘導によって、セクションの互いの連結状態が、基準トルク下で再確立されるまで、押し戻される。
【0029】
移動インターフェースの、このような均等な配分は、弾性圧縮中に、移動インターフェースの軸方向の当接も補助し、次にそれは均等に配分される
【0030】
移動インターフェースの軸方向並進の開始が、セクションの回転中心軸に対して同軸で平行の方向に沿って実現されることが、特定される。連結リンクまたはインターフェースは、「移動する」が「動くことが可能」を意味することから、移動する、と呼ばれる。
【0031】
有利な実施形態によると、セクションが連結解除状態で保持された場合において、セクション間の優先的な連結は、近位セクションの角度範囲の、一方の端部における移動連結インターフェースを保持して、制御デバイスを介して近位セクションの運転者またはオペレータによって操作される回転作動を用いて開始することによって、もたらされる。
【0032】
この実施形態は、運転者が安全の理由で、例えばセクションが連結解除状態で妨害する事象、またはセクションを連結解除状態に保持して、一定間隔でコラムに加えられる衝撃の事象など、いかなる状況においても、近位セクションによって次に駆動される遠位セクションを通してコラムを回転駆動することを可能にさせる。このように運転者は、制御デバイスを通して、車両の軌道を常に制御できる。
【0033】
さらに本発明の目標は、車両のステアリングコラムにおける遠位セクションと近位セクションとの間の軸方向及び回転方向で、説明したような方法を実行するよう設計された、連結システムである。
【0034】
このような連結システムは、上記のセクションが少なくとも部分的に同軸で連動され、かつ一方を他方の内側に組み付けることによって連結され、連動領域を画定する、という点で主に認識できる。上記の弾性領域を備えた弾性デバイスは、セクション間で軸方向にプレストレスを施されて取り付けられる。これらのセクションは、複数の移動連結要素を介して、回転可能に共に連結される。複数の移動連結要素は、連動領域のセクション間に径方向で均等に挿置された、連結リンクを備える。
【0035】
遠位セクションと回転可能に接合された連結要素は、同じ遠位セクションの周囲に均等に配分された軸方向誘導部に沿って、この遠位セクションで移動可能に組み付けられる。これらの連結要素は、螺旋部分に沿って曲線循環の誘導部における近位セクションで、連携して移動可能に取り付けられる。この螺旋部分は、基準トルクでセクションに共に連結する位置から、少なくとも1つの角度制止部まで、個々に延びる。曲線循環において、各移動要素は、その連結位置に対する角度のずれ、及び軸方向のずれで、セクションの連結解除位置にあり、弾性デバイスは、軸方向に当接する移動要素によって、セクションの連結解除位置で圧縮される。
【0036】
連結要素、軸方向誘導部、及び曲線誘導部は、同一であることが、ここで理解される。さらに、本発明の文脈において、遠位セクションは、車両の少なくとも1つのホイールに直接的または間接的に連携されたコラムの遠位端と、回転可能に統合されること、及び近位セクションは、制御デバイスと直接的または間接的に、回転可能に統合されること、が想定される。このようなセクションのセットを、その遠位端と近位端との間に位置した任意の箇所において、コラムに位置付けることができる。
【0037】
有利には、近位セクションの曲線誘導部における各螺旋部分は「V」形状であり、セクションの共通軸に向かって傾斜した2つの推進ウィングで構成される。これらのウィングは、各部分に割り当てられたセクション間における連結位置の両側に、対称的に延びる。上記のウィングの各々は、その端部に角度制止部を有し、連結位置は、弾性領域から最も遠い各誘導部の位置であり、制止部の位置は、最も近い位置である。したがって各移動要素は、連結位置と、このセクションの回転方向における遠位セクションの角度制止部の、いずれか一方と、の間で循環するよう取り付けられる。
【0038】
好ましい実施形態において:
-近位セクションの曲線誘導部、及び遠位セクションの軸方向誘導部は、表面上の中空の細長い空洞に形成され、側壁が設けられる。曲線誘導部は、長手方向の制止部を形成する、好ましくは少なくとも1つの側壁を有し、それは弾性領域の方向において、移動要素に、軸方向の当接接触を及ぼすことを可能にする;
-連動領域において、遠位セクションには、その近端において、近位セクションに含まれたカラーの内側に延びた軸方向の連動シャフトが設けられ、曲線誘導部は、カラーの内面に設けられ、軸方向誘導部は、この内面に面したシャフトの外面に設けられる;
-これらのセクションは軸方向に静止され、恒久的な所定の軸方向取付位置に従って共に連結される。互いに対するセクションの、この軸方向の静止は、機能中の連結システムの堅牢性に役立ち、衝撃事象における疲労を制限する。このような配置は、連結システムの限定された軸方向の空間的要求を可能にし、かつ、それによって任意の移動する車両のコラムにおける設定を補助し、同時に、使用される連結要素が弾性デバイスを、セクションの連結解除状態で圧縮するのを可能にする。
【0039】
近位セクションは、連結システムの構成要素間において連続して軸方向に当接するチェーンに沿って、連結要素を介して弾性デバイスに当接するよう、軸方向に位置される。このチェーンは、連結状態において、セクション間で、プレストレスを施された弾性取付デバイスを、連結状態で設置するために体系化され、セクションの連結解除状態において、連結要素によって圧縮される。
【0040】
有利な実施形態によると、連結システムは、軸方向に当接するチェーンを形成するよう、以下の構成要素を特徴とする:
-弾性デバイスは、遠位セクションと統合された第1のストッパと、遠位セクション周りに取り付けられた第2のストッパと、の間に軸方向に挿置される;
-第1のストッパは、遠位ナットの近位面で構成され、第2のストッパは連結要素に当接し、次にそれらは、割り当てられた曲線誘導部の長手方向の制止壁に当接する;
-遠位セクション及び近位セクションは、ナット間で互いに対して軸方向に静止し、これらナットは、遠位セクションの周りにネジで取り付けられ、その遠位ナット及び近位ナットは、近位セクションのいずれかの側に設置される;ならびに
-弾性デバイスは、遠位ナットと近位セクションとの間でプレストレスを施される。
【0041】
変形として、第2のストッパは、近位セクションのカラーにおける遠位面で構成される場合、または、遠位セクションの周りで軸方向に摺動するよう取り付けられたスリーブを含んだ、第3の肩部の遠位面によって構成される場合、がある。
【0042】
第1の場合において、近位セクションの連結要素を循環させるための螺旋部分は、2つの平行な側壁を有する摺動部から構成される。これら2つの平行な側壁は、連結要素に当接する遠位壁と、カラーの第2の肩部における遠位面によって提供された、長手方向の制止近位壁と、を含む。この場合において、連結要素は、弾性デバイスと直接的に接触する。
【0043】
第2の場合において、各螺旋部分は、第1の場合と同じ方法で設けられた、長手方向の制止近位壁のみを有する傾斜部を含み、第2のストッパとして作用するスリーブは、連結要素に当接するよう軸方向に延びた段差部を有する。
【0044】
ランニングギアは、好ましくはその近位端において、遠位セクションと近位面における近位セクションとの間で、径方向に挿置される。このようなランニングギアは、有利には、近位ナット及び遠位セクションにおける第1の肩部の間で軸方向に遮断される、内部リングと、近位セクションに形成された第2の内部肩部、及び近位端において近位セクションに軸方向に締付けられたフランジの間で軸方向に遮断される、外部リングと、を含む。
【0045】
近位セクションにおける螺旋循環、及び遠位セクションにおける軸方向並進で、進むかまたは摺動することができる、移動要素の動きの開始における品質は、連結要素の全重量及び/または摩耗を制限しながら、最適化される。
【0046】
さらに本発明の目標は、遠位セクション及び近位セクションを含み、回転可能かつ軸方向に互いに連結される、少なくとも1セットのセクションを含んだ、車両のステアリングコラムである。本発明に関する、このようなステアリングコラムは、上記のセクションが、既に説明したような連結システムを介して、共に連結されることが認識できる。
【0047】
この連結システムは、好ましくはコラムの近位端に設定される。この近位端は、有利には、車両が従う軌道を制御するための上記のデバイスを支持するよう配置される。
【0048】
この文脈において、本発明の別の目標は、ステアリングコラムが装備された移動する車両に関し、このステアリングコラムの遠位端には、少なくとも1つの車両ホイールに接続され、近位端には、車両が従う軌道を制御するためのデバイスが装備される。このような移動する車両は、ステアリングコラムが、既に成された説明と一致することが認識できる。
【0049】
本発明の他の特徴及び利点は、それぞれを示す以下の図面を参照して、下記の詳細な実施形態例を読むことによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明による、モータ車両のステアリングコラムの近位端に設定するよう構成され、その一方で車両が従う軌道を誘導するための、ホイールの取付部を設けた、全体の連結システムの分解組立図である。
【
図1a】本発明による、モータ車両のステアリングコラムの近位端に設定するよう構成され、その一方で車両が従う軌道を誘導するための、ホイールの取付部を設けた、部分的な連結システムが一旦組み立てられた、
図1bとは反対ラインに沿って見た図である。
【
図1b】本発明による、モータ車両のステアリングコラムの近位端に設定するよう構成され、その一方で車両が従う軌道を誘導するための、ホイールの取付部を設けた、部分的な連結システムが一旦組み立てられた、
図1aとは反対ラインに沿って見た図である。
【
図2】僅かに軸方向に傾いた、
図1に示された連結システムの軸方向の半断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示された連結システムの、近位セクションの正面図である。この近位セクションは、ステアリングホイール取付部を形成するカラーとして配置される。
【
図4】
図3に示された連結システムの、関係するカラーで構成された、近位セクションを軸方向断面図である。
【
図5】
図1及び
図2に示された連結システムの、遠位セクションを形成するシャフトの軸方向図である。この遠位セクションは、ステアリングコラムの近位端における組立のために配置される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図面及びそれらの詳細は、非限定の説明であり、本発明の範囲を限定することなく、特定の様式に従って本発明を明らかにする。本発明の実施形態例における、図面及びそれらの詳細の説明は、必要に応じて既に成された全体的な説明に関連して、より良好に定義するために役立たせることができる。
【0052】
さらに、図面に負担をかけすぎるのを避けるため、かつその読み取りを容易にするために、本発明を説明するために使用される用語及び/または概念に割り当てられ、図面の任意の1枚で示される参照番号は、それらが全ての図面に存在することを暗示することなく、任意の他の図面における説明で繰り返される可能性がある。
【0053】
図1及び
図2において、モータ車両を誘導するためのコラム1は、車両が従う軌道を制御するためのホイール、この場合はステアリングホイールの取付部2と、回転可能かつ軸方向で連結される。車両の運転者は、コラム1を回転可能に駆動するよう、したがって車両を誘導するよう、このステアリングホイールを回転可能に作動させることができる。従来と一致して、コラム1の遠位端(図示せず)は、車両の少なくとも1つの駆動ホイールに、直接的または間接的に、例えばモータ車両に装備されたパワーステアリングシステムを介して、接続される。
【0054】
この目的のため、コラム1の近位端には、締付けプレート3aが装備されたシャフト3に配置された、遠位セクション1aが設けられる。
図2に示されるように、シャフト3は、取付部2を形成するカラー4を含んだ、近位セクション1bの内側の中心軸A1に沿って、部分的に同軸で連動される。遠位セクション1aと近位セクション1bとの間の同軸連動は、共通軸に沿って実現される。この共通軸は、本発明による連結システムの中心延長軸A1に統合される。
【0055】
遠位の観点及び近位の観点によって方向付けられた、
図1a及び
図1bにおいて、一旦組み立てられると近位セクション1bのみが見える。これら
図1a及び
図1bは、本発明による連結システムのコンパクトさを示す。遠位セクション1aは、近位セクション1bの内側に組み立てられる(近位セクション1bのナット10aから径方向に現われる締付けプレート3aを除く。
図2参照)。
【0056】
遠位セクション1aと近位セクション1bとの間の組立方法は、それらの間でそれらの連結システムの設定を提供し、コラム1の遠位端でコラム1によって支持された瞬間的な衝撃の事象において、セクション1a、1b間の自動的な連結解除、その後の自動的な再連結を実現する。
【0057】
このような衝撃は、特に起伏を示す道路を車両が移動するときに発生する。本発明は、彼/彼女の運転の快適性に影響を及ぼさないよう、ステアリングホイールを通した運転者までの衝撃の伝達を、防止することを目的とする。衝撃は、瞬間的な力を発生させ、それはコラム1によって短時間支持される。本発明は、遠位セクション1aによる近位セクション1bまでの伝達を防止するよう、無力化することを目的とする。このような瞬間的な力は、遠位セクション1aの回転駆動の瞬間的なトルクC1と、遠位セクション1aによって軸方向に支持された、瞬間的な軸力EA1と、を発生させる。
【0058】
遠位セクション1aと近位セクション1bとの間の、組み立てられた状態において、セクション1a、1bは、所定の基準トルク下で回転可能に連結される。瞬間的なトルクC1が基準トルクよりも大きい場合、それはセクション1a、1b間の連結解除を、自動的に引き起こす。瞬間的な力は次に、コラム1に衝撃が加えられる間に無力化され、それは近位セクション1bまでの力の伝達を防止し、セクション1a、1b間の連結解除の後で、衝撃の停止の結果として、セクション1a、1bを互いに対して自動的に再連結する。
【0059】
この目的のため、遠位セクション1a及び近位セクション1bは、
図2に例示されるように、所定の位置に、それらの間に連結状態で組み立てられる。連結された状態において、運転者は、ステアリングホイールを作動させることで、モータ車両を誘導することができ、そのときコラム1を、以下で説明する連結を介して、遠位セクション1aと近位セクション1bとの間で回転可能に駆動できる。
【0060】
組み立てられた位置、したがってセクション1a、1bが互いに連結された状態において、セクション1a、1bは、球体として構成された複数の連結要素5aから成るリンク5を介して、互いに回転可能に連結される。例えばエラストマのリング形態のもののような、弾性デバイス6は、弾性圧縮領域6aを間に設けたセクション1a、1b間に、プレストレスを施されて軸方向に挿置される。
【0061】
連結球体5aは、弾性デバイス6に軸方向に当接し、
図1、
図3、及び
図4で印されるように、そのプレストレスは、連結球体5aを、セクション1a、1bが互いに連結された状態で、連結位置8cに少なくとも保持する。
【0062】
近位セクション1bは、遠位セクション1aにおいて軸方向に静止され、その一方で遠位セクション1aに対して所定の恒久的な軸方向位置に、恒久的に保持される。セクション1a、1b間の相対的の軸方向位置は、セクション1aと1bとの間の、連結状態の設定または連結解除状態の設定、における状況がどうであれ、変わらずにとどまることが、ここで明示される。
【0063】
連結球体5aは、シャフト3とカラー4との間の連動領域ZEにおいて、セクション1a、1b間で径方向に挿置される(
図2参照)。連結球体5aは、セクション1a、1b間の間隙空間において、外周CR1の周りに角度的に配分される。
【0064】
連結球体5aは、誘導部7a、7bの内側に個々に収容され、遠位セクション1aのシャフト3における外面3eと、近位セクション1bのカラー4における内面4iと、にそれぞれ含まれる。誘導部7a、7bのセットの各々は、軸方向誘導部7a及び曲線誘導部7bを備える。
【0065】
軸方向誘導部7aは、
図1、
図2、
図5、及び
図6に示されるように、シャフト3の周囲に設けられた連結球体5aの、並進循環のための誘導部である。曲線誘導部7bは、
図1、
図2、
図3、及び
図4に示されるように、カラー4の内面4i(
図1a及び
図1b参照)に設けられる。曲線誘導部7bは、近位セクション1bに対する連結球体5aの螺旋循環のための誘導部であり、連結球体5aを軸方向に押す荷重によって、セクション1a、1bの連結解除中に、遠位セクション1aにおける軸方向誘導部7aの内側の軸方向循環を、弾性デバイス6まで生じさせる。
【0066】
曲線誘導部7bは、
図1に示されるように、連結球体5aの角度配分における外周CR1の周りに全体的に方向付けられた外周円弧に、ほぼ沿って延びる。一方から他方へ通じた空洞は、誘導部7a、7bの各セット、軸後方誘導部7a、及び曲線誘導部7bについて形成され、軸方向誘導部7aと、曲線誘導部7bに関連した少なくとも1つの螺旋部分に構成された1つの空洞と、に関連した、それぞれ1つの楕円体空洞を含み、それらに割り当てられた連結球体5aを接合して収容する。
【0067】
図1、
図3、及び
図4において、曲線誘導部7bの各々は、角度制止部8を提供する盲端の間における、限定された角度範囲に延びる。角度制止部8は、連結球体5aの連結位置8cの両側に、等距離で配分される。
【0068】
より正確には、曲線誘導部7bの螺旋部分の各々は、2つの傾斜部9から構成される。2つの傾斜部9は、連結球体5aの連結位置8cの両側に対称的に延び、それによって傾斜部9は、「V」形状の、曲線誘導部7bの2つのウィングを形成し、そのポイントは連結位置8cを提供する。この意味で、傾斜部9は、連結球体5aの連結位置8cから回転軸A1まで、セクション1a、1bの回転中心軸A1に対して垂直面から「傾いている」と呼ばれる。
図3及び
図4において、各傾斜部9は、実質的に螺旋セクションとして構成されるが、前部の向き及び図の軸方向断面における向きのため、直線状に見える。
【0069】
連結球体5aの連結位置8cは、この連結位置において並列する傾斜部9間の交差領域に設けられる。この連結位置8cは、角度制止部8よりも、弾性デバイス6から遠い。連結球体5aは、共通の連結位置8cから、各曲線誘導部7bの1つまたは他の傾斜部9に沿って、遠位セクション1aの回転方向に従って循環する。
【0070】
基準トルクの値に依拠して、または換言するとセクション1a、1b間の弾性領域6aにおけるプレストレスの閾値に依拠して、2つの連続した誘導部7bの傾斜部9間の交差領域における形状の配置を、有利には連結球体5aを保持するためのデバイスを形成し、それらを、セクション1a、1bが基準トルクに従って互いに連結した状態であるときに、曲線誘導部7bの内側の連結位置8cに保持する補助となるよう、想定することができる。
【0071】
したがって軸方向誘導部7aは、シャフト3の周辺の、遠位セクション1aの軸方向の並進において、及び、連結球体5aが遠位セクション1aによって駆動されて、近位セクション1bに対して傾いた回転において、連結球体5aの移動性を確立する。同時かつ連携して、曲線誘導部7bは、連結球体5aを、角度制止部8間の限定された角度範囲に従って実質的に螺旋軌道に沿って、傾斜部9を介して、カラー4の内側4i(
図1a及び
図1b参照)に対して移動させる。
【0072】
図2に示されるように、カラー4は、連結システムにおける軸方向端部の各々で、それぞれシャフト3にネジ止めされた2つのナット10a、10b間において、恒久的に組み立てられた軸方向位置でシャフト3に、恒久的に保持される。したがって恒久的な相対的軸方向位置が、遠位セクション1aと近位セクション1bとの間に得られる。プレストレスを施された取付部の弾性デバイス6は、弾性デバイス6の両側に当接した第1のストッパ11aと第2のストッパ11bとの間で、連結球体5aを介して、軸方向に挿置される。
【0073】
第1のストッパ11aは、弾性デバイス6の遠位面に当接した遠位ナット10aの近位面10cによって構成される。第2のストッパ11bは、スリーブ13に含まれた第3の肩部12cの遠位面によって構成される。または代替としてスリーブのない例において、この遠位面はカラー4の遠位面である。
【0074】
スリーブ13は、シャフト3の周りを軸方向に摺動するよう取り付けられ、その一方で軸方向に部分的に軸方向誘導部7aに覆い被さって延びる。スリーブ13は、弾性デバイス6の近位面と連結球体5aとの間で、軸方向に挿置される。次に各連結球体5aは、制止部11cに順番に当接する。制止部11cは、近位セクション1bに含まれたカラー4の内側で形成された第2の内部肩部12bによって提供された、長手方向壁から構成される。
【0075】
図4で詳細に視認できるが、曲線誘導部7bは、変形において、摺動部9aとして配置することができ、近位セクション1bにおける連結球体5aの、移動誘導の助けとなることに、留意されたい。このような摺動部9aは、長手方向制止部11cを形成する第2の肩部12bの壁に対して、平行に方向付けられた、カラー4の第2の遠位壁11dを提供するよう、構成することができる。
【0076】
第2の壁11dは、軸方向誘導部7aの内側における連結球体部5aの循環を阻害しないよう、または弾性デバイス6に対する連結球体5aの当接を阻害しないよう、適合された、径方向の延長部を有する。この変形において、第2のストッパ11bは、カラー4の遠位面によって構成され、それはスリーブ13に取って代わり、第2の遠位壁11dは連結球体5aに当接する。
【0077】
セクション1a、1bが共に連結された状態において、連結球体5aは、弾性デバイス6のプレストレスの影響下でそれらの連結位置8cに保持される。弾性デバイス6に対して連結球体5aは、軸方向に当接する。
【0078】
コラム1によって支持された衝撃の影響下で、セクション1a、1bの連結解除状態において、連結球体5aは、近位セクション1bに対する遠位セクション1aの回転方向に従って、曲線誘導部7bの1つまたは他の傾斜部9の内側で循環し、その一方で、弾性デバイス6を、弾性デバイス6のプレストレスよりも大きい圧縮閾値で圧縮するよう、長手方向制止部11c及び弾性デバイス6に当接して軸方向で保持される。
【0079】
ローラデバイス14は、シャフト3とカラー4との間で、径方向に挿置される。ローラデバイス14の外部リング14aは、第2の肩部12bの近位面と、カラー4に締付けられたフランジ15と、の間で軸方向に挿置される。ローラデバイス14の内部リング14bは、近位ナット10bと、遠位セクション1aのシャフト3に含まれた第1の肩部12aと、の間の介在で軸方向に延びる。
【0080】
換言すると、
図2に例示されるように、連結球体5aは、軸方向誘導部7aの底部及び曲線誘導部7bの底部において、径方向両端の当接部を採用し、その一方で、コラム1によって支持された衝撃なしで、セクション1a、1b間における連結を実現する。連結システムの、径方向の延長に従って、軸方向の当接が、ナット10a、10b間で連続的に行われ、その一方でカラー4は、セクション1a、1bが連結位置にあるか連結解除位置にあるかに関わらず、恒久的な軸方向位置で、シャフト3の周りに恒久的に保持される。
【0081】
このように、連続的な軸方向の当接に従い:
-弾性デバイス6は、遠位ナット10aとスリーブ13との間で軸方向に挿置されて、プレストレスを施され、次にスリーブ13は、連結球体5aに当接する。次に連続球体5aは、カラー4に含まれた第2の肩部12bによって提供された軸方向制止部11cに、軸方向に当接する;
-カラー4は、第2の肩部12bを介して、ローラデバイス14の外部リング14aに軸方向に当接し、次に外部リング14aは、近位端でカラー4の締付けられたフランジ15に当接する。カラー4は、ローラデバイス14の内部リング14bを介して、シャフト3に軸方向に当接する。ローラデバイス14は、近位ナット10bによって、シャフト3の第1の肩部12aに軸方向に留められる。
【0082】
一方では軸方向誘導部7aの底部及び曲線誘導部7bの径方向反対側の、他方では軸方向当接部の列に軸方向に沿った、連結球体5aの当接は、シャフト3とカラー4との間で、連結状態及び連結解除状態の両方で持続される。
【0083】
したがって、直前に提示された実施形態例におけるものなどの、連結システムにおいて、シャフト3とカラー4との間の連結解除が、遠位セクション1aによって及ぼされた衝撃によって生じた瞬間的なトルクC1が、基準トルクを超えたとき、自動的に行われる。この連結解除の後に、コラム1における衝撃の適用の最後で、シャフト3とカラー4との間で自動的に再連結され、各球体5aは、その連結位置8cに戻る。
【0084】
シャフト3とカラー4との間の取付位置に従って、基準トルクで、セクション1a、1bの互いに連結された状態において、連結球体5aは、カラー4のおけるそれらの連結位置8cと、曲線誘導部7bを形成する摺動部9aの壁11c、11d間の軸方向位置と、に保持される。または、
図1及び
図2に詳細に例示された例に戻ると、スリーブ13と、この例ではカラー4に含まれた第2の肩部12bによって提供された、壁11cにおける長手方向制止部と、の間に保持される。その後運転者は、カラー4に取り付けられたステアリングホイールを介して、コラム1を回転可能に駆動し、車両を誘導するために、コラム1の回転方向の1つ及び/または他に従う。
【0085】
コラム1の遠位端によって支持された衝撃によって生じた瞬間的なトルクC1が、基準トルクを超えたとき、シャフト3は、コラム1に対する瞬間的なトルクC1の適用方向に従って、1つまたは他の回転方向に沿って回転駆動される。取付部2に対するコラム1の相対的な回転移動性は、連結球体5aの連結位置8cと、1つまたは他の角度制止部8との間の、曲線誘導部7bの延長部に限定された角度面において、カラー4に含まれた曲線誘導部7bの内側で循環する連結球体5aによって、確立される。
【0086】
遠位セクション1aに加えられた瞬間的なトルクC1の影響下で、自動連結解除が、遠位セクション1aと近位セクション1bとの間で実現され、それは、瞬間的なトルクC1が、シャフト3を通してカラー4まで伝達するのを防止する。さらに、曲線誘導部7bの内側で循環する連結球体5aは、セクション1a、1b間の相対回転方向に沿って、1つまたは他の傾斜部9と径方向に当接し、その一方で、軸方向に保持され、傾斜部9に対抗する連結球体5aが後に続く経路に沿って、力を伴い長手方向制止部11cと当接する。
【0087】
傾斜部9に沿った、連結球体5aの循環は、その後方への押し込みR1(
図2参照)を生じさせ、その後、弾性デバイス6までの、軸方向誘導部7aの内側における循環を生じさせる。次に連結球体5aは、傾斜部9に沿った力を伴い、角度を付けて循環する。さらにこの影響は、連結球体5aを、弾性デバイス6の方向に、軸方向誘導部7aの内側で並進して移動させる。球体または他の連結要素5aの、軸方向誘導部7aの内側における並進移動は、セクション1a、1b間の角度のずれによって即座に判断され、次にセクション1bは、遠位セクション1aに加えられた瞬間のトルクC1の大きさに従って判断される。
【0088】
次に連結球体5aはスリーブ13に当接する。スリーブ13は、連結球体5aによって、弾性デバイス6に対して軸方向に押し戻される。さらにこの影響は、コラム1が受けた瞬間の力によって発生した、軸力EA1を吸収する。基準トルクよりも大きい、所謂瞬間的なトルクC1を、遠位セクション1aに適用することから、以下が同時に実現される。
-曲線誘導部7bの内側における連結球体5aの螺旋循環による、セクション1a、1bの自動的な連結解除による衝撃で発生したトルク力を吸収するだけではなく、
-衝撃から発生した軸力EA1も軸方向に吸収し、遠位セクション1aが軸方向に連結球体5aと当接することによって、衝撃が近位セクション1bまで伝達するのを防止し、連結球体5aは、傾斜部9によって、弾性デバイス6に対して軸方向に押し戻されるR1。
【0089】
コラム1が、もはや衝撃を受けないとき、連結位置8cまで、曲線誘導部7bの内側の傾斜部9に沿った、連結球体5aの逆循環を生じさせる。弾性デバイス6が、セクション1a、1b間のプレストレスの閾値において弛緩した後、弾性デバイス6は、もはや連結球体5aによる圧縮を受けないので、連結球体5aは、軸方向誘導部7aの内側で並進して、弾性デバイス6から軸方向の距離で、逆に押し戻されるR2(
図2参照)。
【0090】
連結球体5aが、それらの連結位置8cに設置されたとき、自動再連結が、コラム1と、車両の運転者によって作動させることができるステアリングホイールの取付部2と、の間で実現される。衝撃は短いので(通常は半秒未満の間)、運転者は、コラム1の遠位端まで伝達された衝撃を感じることなく、車両を誘導できる。
【0091】
車両の駆動ホイールによって支持された衝撃の事象、例えば縁石の影響の事象または車線における起伏によって生じたショックを、コラム1が受けた衝撃は、短い期間のみではなく、減少した大きさの瞬間的なトルクC1も発生させる。曲線誘導部7bの延長部を、連結システムの空間的要求を過度に増加させることなく、連結球体5aの数を最適化するよう限定することができる(例示では6つに限定)。
【0092】
さらに、曲線誘導部の限定された延長部は、別の有用性を有する。実際、コラム1と取付部2との間の連結解除が反復的であり、及び/または車両を誘導するのを可能にする運転者にとって、許容可能な期間を超えて持ちこたえる状況が、考慮される。さらに連結システムは、コラム1が、妨害される状態が持続的に続く状況、及び/または一定間隔で衝撃を被る状況、を改善するよう体系化される。これに関して、セクション1a、1b間の優先的な連結が提供され、それは運転者が車両の永続的な方向制御を保つのを可能にする。
【0093】
連結システムをセクション1a、1b間の優先的な連結に設定するために、連結球体5aが、曲線誘導部7bの端部に設けられた1つまたは他の角度制止部8に接触して当接するよう設置されるまで、運転者は近位セクション1bを、回転可能に作動させることができる。これは、運転者による近位セクション1bの回転開始における方向S1(
図1参照)に沿って、1つまたは他の角度制止部8に当接する連結球体5aを介して、近位セクション1bによる、遠位セクション1aの接続及び螺旋駆動を生じさせる。
【0094】
したがって運転者は、任意の状況において、運転者によってセクション1a、1b間の優先的な連結に設定された連結システムを介して、基準トルクよりも大きい駆動トルクを潜在的に含んで、コラム1を駆動することによって車両の軌道を制御できる。
【0095】
連結システムの構造的簡易性、及び構成要素の数を限定することは、これらの構成要素の内、特に以下の構成要素である、いくつかの部品の機能を蓄積するためであることに、留意されたい。
【0096】
特に曲線誘導部7bに関して:
-衝撃を受けた遠位セクション1aの回転開始によって、連結リンク5は遠位セクション1aと径方向に統合し、近位セクション1bに対する移動リンク5(特に連結球体5a)の角度循環を通して、セクション1a、1b間の連結解除を確立する;
-連結リンク5を、弾性領域6aに対して押し戻し、それによって、傾斜部9に対する連結リンク5の当接により、及び遠位セクション1aに含まれた軸方向誘導部7bの内側を並進する循環により、遠位セクション1aに加えられた衝撃によって発生した軸力EA1を吸収する;
-セクション1a、1bの互いの再連結段階において、連結リンク5をその連結位置まで誘導し、弾性領域6aの弛緩の結果、連結リンク5を、曲線誘導部7に含まれた傾斜部9に当接するよう押し戻す;
-曲線誘導部を制限する角度制止部8を介して、セクション1a、1b間の優先的な連結を実現する。
【0097】
弾性領域6aに関して、これは:
-セクション1a、1b間における、弾性領域6aの軸方向のプレストレスによって、基準トルクで近位セクション1bを介してコラム1を駆動することを、運転者に可能にするため、
-連結リンク5を通して弾性領域6aを圧縮することによって、遠位セクション1aまで伝達された衝撃によって発生した軸力EA1を、吸収するため、
-衝撃の停止がもたらした弛緩によって、連結リンク5を、セクションの連結位置まで互いに押し戻すため、
に使用される。
【0098】
遠位セクション1a及び近位セクション1bを共に組み立てることに関して、それらの互いに対する恒久的な軸方向の静止は、以下を可能にする:
-衝撃事象において、好ましくはカラー4に完璧に取り付けられた近位セクション1bと統合した制御デバイスを介して、セクション1a、1b間の相対的回転の短い開始を感じない運転者の、運転の快適性に影響を及ぼすことなく、連結システムをコラム1の近位端に設定し、その一方でステアリング制御デバイスを支持すること;
-コラム1によって支持された衝撃事象の運動におけるデバイスセットを、回転する遠位セクション1aと、回転かつ並進する連結リンク5と、に限定すること。
【0099】
さらに、コラム1の環境で利用可能な空間に依拠して、ならびに/または、例えば運転者に対するステアリングホイールの位置を調整するため、及び/もしくは事故の際に運転者を保護するためなど、コラム1に特定の潜在的配置に依拠して、コラム1軸方向両端部間における任意の領域に、少なくとも1つの連結システムを設定することができる。
【0100】
さらに連結システムは、特に重量、及び例えばモータ車両、自転車、もしくはスクータなどのモータ化されたもの、または、非モータ化自転車、スクータ、もしくはジャイロパッドなどの、実際の運転者の力強さを供給されたものの駆動力など、車両に依拠して較正することが容易である。
【0101】
重量と、セクション間における特に自動連結解除及び/または再連結に特別に特化した構成要素の数と、は限定される。それは、任意のホイール付き車両に対する連結システムの適合を補助し、生成コスト及び/または実現される有用性及び利点に関するコラムの設定コストに対して、連結システムに著しい競合性を与える。
【0102】
本発明は、説明及び/または例示した例に限定されない。例えば、好ましい特徴に依拠して、以下で説明するように、弾性デバイス、連結要素、及び螺旋部分を選ぶことが可能である:
-弾性手段の中で弾性デバイスは、少なくとも1つのエラストマリング、圧縮バネ、少なくとも1つのバネワッシャ、及び/または少なくとも1つのブレードから成る;
-連結要素は、ローラ要素の形態で提示され得る。少なくとも球体、ニードルローラ及び球体として配置されたローラなど、軸方向に方向付けられたローラの中から選ばれるか、またはさらに、少なくともローラ、クリート、ピン、及びポストの中から選ばれた、摺動に好適な形状の摺動要素として選ばれる;
-螺旋部分は、2つの反対側の「V」形状の傾きに従って方向付けられた、2つのウィングから構成された誘導部の形状か、または、2つの反対側の角度における傾きと、他方のセットの誘導部と交互である、一方のセットの誘導部と、遠位セクションの回転方向に依拠したセットの内いずれか一方で循環する移動要素と、に従って方向付けられた、2セットの直線誘導部の形状か、で提示することができる。
【国際調査報告】