(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】微生物感染症及び関連する炎症性疾患を治療及び予防するための方法及び医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20231226BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20231226BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/06 20060101ALI20231226BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231226BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20231226BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20231226BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20231226BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 19/04 20060101ALI20231226BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231226BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20231226BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20231226BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20231226BHJP
A61P 5/18 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20231226BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/60 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/63 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/336 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/4458 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20231226BHJP
A61K 31/205 20060101ALI20231226BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231226BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231226BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231226BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 27/12 20060101ALI20231226BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20231226BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P31/00
A61P43/00 121
A61P29/00
A61P37/02
A61P31/12
A61P31/18
A61P11/06
A61P1/04
A61P31/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P1/02
A61P11/02
A61P9/00
A61P25/00
A61P27/02
A61P9/10
A61P27/16
A61P9/04
A61P11/00
A61P1/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P17/00
A61P21/00
A61P19/04
A61P13/12
A61P13/10
A61P15/00
A61P15/02
A61P13/08
A61P5/14
A61P5/18
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
A61P31/14
A61P31/20
A61K31/60
A61K31/192
A61K31/196
A61K31/63
A61K31/336
A61K31/4458
A61K31/495
A61K31/205
A61P43/00 105
A61P3/10
A61P25/28
A61P25/16
A61P35/00
A61P27/12
A61P19/10
A61P17/02
A61P17/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559182
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 IB2021061653
(87)【国際公開番号】W WO2022130178
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523220042
【氏名又は名称】エムディー ヴォールト エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フア,ウン メン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084MA13
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZA16
4C084ZA33
4C084ZA34
4C084ZA36
4C084ZA37
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA67
4C084ZA68
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA92
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZA97
4C084ZB07
4C084ZB11
4C084ZB15
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZB32
4C084ZB33
4C084ZB35
4C084ZB37
4C084ZC06
4C084ZC35
4C084ZC52
4C084ZC55
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC21
4C086BC36
4C086BC50
4C086DA17
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA09
4C086MA10
4C086MA13
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZA97
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZB37
4C086ZC06
4C086ZC35
4C086ZC52
4C086ZC55
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA22
4C206DA24
4C206FA31
4C206FA33
4C206FA59
4C206KA01
4C206KA04
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA72
4C206MA76
4C206MA77
4C206MA79
4C206MA80
4C206MA83
4C206MA85
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA02
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA33
4C206ZA34
4C206ZA36
4C206ZA37
4C206ZA59
4C206ZA66
4C206ZA67
4C206ZA68
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZA92
4C206ZA94
4C206ZA96
4C206ZA97
4C206ZB07
4C206ZB11
4C206ZB15
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZB32
4C206ZB33
4C206ZB35
4C206ZB37
4C206ZC06
4C206ZC35
4C206ZC52
4C206ZC55
4C206ZC75
(57)【要約】
様々な感染症、疾患及び病状を治療及び予防するために使用され得る医薬組成物及び方法が提供される。好ましくは、組成物及び方法は、老化及び老化関連疾患の予防及び治療並びにその使用(又は方法)のために使用され得る。好ましくは、組成物及び方法は、微生物感染症及び関連する炎症性疾患の治療及び予防並びにその使用(又は方法)のために使用され得る。本発明による医薬組成物は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を含み、治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、微生物感染の予防又は治療に使用するための組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項2】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、微生物感染と関連する炎症性疾患の予防又は治療に使用するための組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項3】
宿主応答を調節することによる、微生物感染及び関連する炎症性疾患の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
宿主免疫システムを調節することによる、微生物感染及び関連する炎症性疾患の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
宿主炎症を調節することによる、微生物感染及び関連する炎症性疾患の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ウイルス受容体を低減することによる、微生物感染及び関連する炎症性疾患の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
以下の群:CRS、ARDS、ALI、AIDS、喘息、慢性消化性潰瘍、結核、関節リウマチ、歯周炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、副鼻腔炎、脳炎、脊髄炎、髄膜炎、クモ膜炎、神経炎、涙腺炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、網膜炎、脈絡網膜炎、眼瞼炎、結膜炎、ぶどう膜炎、外耳炎、中耳炎、内耳炎、乳突洞炎、心臓炎、心内膜炎、心筋炎、心外膜炎、脈管炎、動脈炎、静脈炎、毛細管炎、副鼻腔炎、鼻炎、咽頭炎、喉頭炎、気管炎、気管支炎、細気管支炎、肺臓炎、胸膜炎、縦隔炎、口内炎、歯肉炎、歯肉口内炎、舌炎、扁桃炎、唾液腺炎、耳下腺炎、口唇炎、歯髄炎、顎骨炎、食道炎、胃炎、胃腸炎、腸炎、大腸炎、全腸炎、十二指腸炎、回腸炎、虫垂炎、虫垂炎、直腸炎、肝炎、遷延性胆管炎、胆嚢炎、膵炎、腹膜炎、皮膚炎、毛嚢炎、蜂巣炎、汗腺炎、関節炎、皮膚筋炎、筋炎、滑膜炎、腱滑膜炎、滑液包炎、腱付着部炎、筋膜炎、被膜炎、外上顆炎、腱炎、皮下脂肪組織炎、骨軟骨炎、骨炎、骨髄炎、脊椎炎、骨膜炎、軟骨炎、腎炎、糸球体腎炎、腎盂腎炎、尿管炎、膀胱炎、尿道炎、卵巣炎、卵管炎、子宮内膜炎、子宮傍結合組織炎、頸管炎、腟炎、外陰炎、乳腺炎、睾丸炎、精巣上体炎、前立腺炎、精嚢炎、亀頭炎、包皮炎、亀頭包皮炎、絨毛羊膜炎、臍帯炎、臍炎、インスリン炎、下垂体炎、甲状腺炎、副甲状腺炎、副腎炎、リンパ管炎又はリンパ節炎から選択される炎症性疾患の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫又は原生動物によって引き起こされる微生物感染の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ウイルスによって引き起こされる微生物感染の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アデノウイルス科(Adenoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)、パルボウイルス科(Parvoviridae)、アネロウイルス科(Anelloviridae)、プレオリポウイルス科(Pleolipoviridae)、ミオウイルス科(Myoviridae)、ポドウイルス科(Podoviridae)、サイフォウイルス科(Siphoviridae)、アロヘルペスウイルス科(Alloherpesviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(ヒトヘルペスウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルスを含む)、マラコヘルペスウイルス科(Malocoherpesviridae)、リポスリックスウイルス科(Lipothrixviridae)、ルディウイルス科(Rudiviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、アンプラウイルス科(Ampullaviridae)、アスコウイルス科(Ascoviridae)、アスファウイルス科(Asfarviridae)(アフリカ豚熱ウイルスを含む)、バキュロウイルス科(Baculoviridae)、シカウダウイルス科(Cicaudaviridae)、クラバウイルス科(Clavaviridae)、コルチコウイルス科(Corticoviridae)、フーゼロウイルス科(Fuselloviridae)、グロブロウイルス科(Globuloviridae)、グッタウイルス科(Guttaviridae)、ヒトロサウイルス科(Hytrosaviridae)、イリドウイルス科(Iridoviridae)、マルセイユウイルス科(Maseilleviridae)、ミミウイルス科(Mimiviridae)、ヌディウイルス科(Nudiviridae)、ニマウイルス科(Nimaviridae)、パンドラウイルス科(Pandoraviridae)、パピローマウイルス科(Papillomaviridae)、フィコドナウイルス科(Phycodnaviridae)、プラズマウイルス科(Plasmaviridae)、ポリドナウイルス、ポリオーマウイルス科(Polyomaviridae)(サル(Simian))ウイルス40、JCウイルス、BKウイルスを含む)、ポックスウイルス科(Poxviridae)(牛痘及び天然痘を含む)、スファエロリポウイルス科(Sphaerolipoviridae)科、テクチウイルス科(Tectiviridae)、ツリウイルス科(Turriviridae)、ディノドナウイルス(Dinodnavirus)、サルテロプロウイルス(Salterprovirus)若しくはリジディオウイルス(Rhizidovirus)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、カリシウイルス科(Caliciviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、トガウイルス科(Togaviridae)、ボルナウイルス科(Bornaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)、ブンヤウイルス科(Bunyaviridae)、アストロウイルス科(Astroviridae)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、アルテリウイルス科(Arteriviridae)、ヘペウイルス科(Hepeviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、カリモウイルス科(Caulimoviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)若しくはデルタウイルス(Deltavirus)のメンバー又はその組合せによって引き起こされる微生物感染の予防又は治療に使用するためのものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ウイルス感染は、コロナウイルス、サイトメガロウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎、B型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス、風疹ウイルス、ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス、ボルナ病ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ニパーウイルス、ヘンドラウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒト呼吸器多核体ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、狂犬病ウイルス、ラッサウイルス、ハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、インフルエンザ又はD型肝炎ウイルスによって引き起こされる、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
治療薬X又はその許容可能な塩及び治療薬Y又はその許容可能な塩は、単一の剤形に含まれる、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
治療薬X又はその許容可能な塩及び治療薬Y又はその許容可能な塩は、別々の剤形に含まれる、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記治療薬Xと前記治療薬Yとの質量比は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1を含む1:1~10:1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
対象への投与経路は、経口、舌下、口腔内、経鼻、吸入、気管内、静脈内、動脈内、冠動脈内、髄腔内、筋肉内、腹腔内、心筋内、経心内膜、経心外膜、皮下、経皮、経腟、経直腸又は点耳を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
治療薬Xは、COX阻害剤、サリチル酸塩、イブプロフェン、フェノキシイブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、セレコキシブ、メフェナム酸、エトリコキシブ、インドメタシン、ケトロラク、テトラクロロフェン酸、スリンダク及びトメチンの少なくとも1つから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
治療薬Yは、CPT阻害剤、カルニチン生合成阻害剤、3-ケトアシル-補酵素Aチオラーゼ阻害剤、エトモキシル、オクスフェニシン、ペルヘキシリン、ミルドロネート、トリメタジジン、エトキシルカルニチン、アミノカルニチン又はカルニチンのホスフォニルオキシ誘導体の少なくとも1つから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、老化又は老化関連疾患を予防又は治療するための組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項19】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、再生を促進することによる老化又は老化関連疾患に対する組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項20】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、繊維症を逆転させることによる老化又は老化関連疾患に対する組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項21】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、老化を逆転させることによる老化又は老化関連疾患に対する組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項22】
治療薬X及びその許容可能な塩と、治療薬Y及びその許容可能な塩との組合せを含む、インスリン感受性を向上させることによる老化又は老化関連疾患に対する組成物であって、前記治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び前記治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、組成物。
【請求項23】
炎症を調節することによって老化又は老化関連疾患を予防又は治療する、請求項18~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
以下の群:アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症アテローム性動脈硬化症、循環器疾患、II型糖尿病、癌、関節炎、関節リウマチ、歯周炎、白内障、骨粗鬆症、繊維症、肝硬変、特発性肺線維症、瘢痕化、関節繊維症、慢性腎臓疾患、クローン病、ケロイド、骨髄線維症、後腹膜線維症、強皮症、硬化症、慢性創傷、糖尿病足病変潰瘍、皮膚老化、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、閉経、脱毛及びサルコペニアから選択される老化及び老化関連疾患を予防又は治療する、請求項18~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
治療薬X又はその許容可能な塩及び治療薬Y又はその許容可能な塩は、単一の剤形に含まれる、請求項18~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
治療薬X又はその許容可能な塩及び治療薬Y又はその許容可能な塩は、別々の剤形に含まれる、請求項18~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記治療薬Xと前記治療薬Yとの質量比は、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1を含む1:1~10:1である、請求項18~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
対象への投与経路は、経口、舌下、口腔内、経鼻、吸入、気管内、静脈内、動脈内、冠動脈内、髄腔内、筋肉内、腹腔内、心筋内、経心内膜、経心外膜、皮下、経皮、経腟、経直腸又は点耳を含む、請求項18~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
治療薬Xは、COX阻害剤、サリチル酸塩、イブプロフェン、フェノキシイブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、セレコキシブ、メフェナム酸、エトリコキシブ、インドメタシン、ケトロラク、テトラクロロフェン酸、スリンダク及びトメチンの少なくとも1つから選択される、請求項18~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
治療薬Yは、CPT阻害剤、カルニチン生合成阻害剤、3-ケトアシル-補酵素Aチオラーゼ阻害剤、エトモキシル、オクスフェニシン、ペルヘキシリン、ミルドロネート、トリメタジジン、エトキシルカルニチン、アミノカルニチン又はカルニチンのホスフォニルオキシ誘導体の少なくとも1つから選択される、請求項18~29のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHODS AND COMPOSITIONS FOR THE TREATMENT AND PROPHYLAXIS OF MICROBIAL INFECTIOUS DISEASES AND ASSOCIATED INFLAMMATORY DISORDERS」という名称の2020年12月14日出願の米国仮特許出願第63/124,905号の出願日に対する優先権及びその利益を主張する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHODS AND COMPOSITIONS FOR THE TREATMENT AND PROPHYLAXIS OF AGING AND ASSOCIATED DISEASES」という名称の2021年1月20日出願の米国仮特許出願第63/139,337号の出願日に対する優先権及びその利益も主張する。
【0002】
発明の分野
本特許明細書は、疾患及び感染症の治療及び予防の分野に関する。より具体的には、本特許明細書は、老化及び関連する疾患を予防又は治療するための小分子の使用並びに微生物感染を予防又は治療するための小分子の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ヒト及び他の哺乳動物を冒す多くの疾患及び感染症がある。これは、感染症及び関連する炎症性疾患並びにまた老化及び関連する疾患を含む。
【0004】
微生物感染症は、生物への感染病原体(agent)の侵入、これらの病原体の複製及び炎症、適応免疫応答、ときにサイトカインストームなどのこれらの病原体に対する宿主組織の反応の組合せのプロセスである。微生物の例としては、ウイルス、細菌、真菌、原虫及び寄生虫が挙げられる。微生物は、宿主細胞の内部で複製し、疾患を引き起こす毒素を産生し得る。微生物感染は、異なる感染者において様々な程度の重症度を示すことが多い。軽度の症例では、感染は、発熱、悪寒、疲労、咳、下痢及び他の症状として顕在化し、重症の症例は、呼吸困難、心拍数の上昇、心臓細動、胸痛、急性肺損傷(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、血栓症、組織炎症、組織損傷、急性臓器不全、敗血症及びさらには死として顕在化し得る。微生物感染の重症度は、宿主応答に大いに依存すると考察されている。したがって、宿主の内部環境を調節することにより、宿主に対して内因性のシステムを調節することによって微生物感染を標的化することが非常に重要であろう。
【0005】
上記のように、微生物感染は、ウイルスによって引き起こされ得る。ウイルス感染は、DNAウイルス又はRNAウイルス、例えばミオウイルス科(Myoviridae)、ポドウイルス科(Podoviridae)、サイフォウイルス科(Siphoviridae)、アロヘルペスウイルス科(Alloherpesviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(ヒトヘルペスウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルスを含む)、マラコヘルペスウイルス科(Malocoherpesviridae)、リポスリックスウイルス科(Lipothrixviridae)、ルディウイルス科(Rudiviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、アンプラウイルス科(Ampullaviridae)、アスコウイルス科(Ascoviridae)、アスファウイルス科(Asfarviridae)(アフリカ豚熱ウイルスを含む)、バキュロウイルス科(Baculoviridae)、シカウダウイルス科(Cicaudaviridae)、クラバウイルス科(Clavaviridae)、コルチコウイルス科(Corticoviridae)、フーゼロウイルス科(Fuselloviridae)、グロブロウイルス科(Globuloviridae)、グッタウイルス科(Guttaviridae)、ヒトロサウイルス科(Hytrosaviridae)、イリドウイルス科(Iridoviridae)、マルセイユウイルス科(Maseilleviridae)、ミミウイルス科(Mimiviridae)、ヌディウイルス科(Nudiviridae)、ニマウイルス科(Nimaviridae)、パンドラウイルス科(Pandoraviridae)、パピローマウイルス科(Papillomaviridae)、フィコドナウイルス科(Phycodnaviridae)、プラズマウイルス科(Plasmaviridae)、ポリドナウイルス、ポリオーマウイルス科(Polyomaviridae)(サル(Simian)ウイルス40、JCウイルス、BKウイルスを含む)、ポックスウイルス科(Poxviridae)(牛痘及び天然痘を含む)、スファエロリポウイルス科(Sphaerolipoviridae)、テクチウイルス科(Tectiviridae)、ツリウイルス科(Turriviridae)、ディノドナウイルス(Dinodnavirus)、サルテロプロウイルス(Salterprovirus)、リジディオウイルス(Rhizidovirus)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、カリシウイルス科(Caliciviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、トガウイルス科(Togaviridae)、ボルナウイルス科(Bornaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、アレナウイルス科(Arenaviridae)、ブンヤウイルス科(Bunyaviridae)、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)又はデルタウイルス(Deltavirus)のメンバーによって引き起こされ得る。ウイルス感染は、コロナウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎、B型肝炎ウイルス、ノーウォークウイルス、黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス、風疹ウイルス、ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス、ボルナ病ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ニパーウイルス、ヘンドラウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒト呼吸器多核体ウイルス、狂犬病ウイルス、ラッサウイルス、ハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、インフルエンザ又はD型肝炎ウイルスによってさらに引き起こされ得る。
【0006】
ウイルス感染の重症度は、臨床症状に従って軽度、中度、重度及び危篤状態に分けられ得る。現在の抗ウイルス治療は、抗体カクテル又はウイルス侵入、ウイルス脱殻、ウイルス複製、ウイルス合成、ウイルスの会合又はウイルス放出などのウイルスの生活環に重要な薬物標的化プロセスを含む。これらの方策は、特定のウイルス又は特定のクラスのウイルスを標的化する傾向があり、したがって異なるウイルス流行に直面した場合、その適用が制限される。
【0007】
老化は、組織の進行性退化を伴い、生命の維持に必要不可欠な器官の構造及び機能に負の影響を有し、とりわけ大部分の慢性疾患に最も重要な既知の危険因子である。60歳を超える年齢の世界人口の割合は、次の40年間に倍増し、慢性加齢性疾患の発生率の増加は、医療リソースに大きい負担を負わせるであろう。
【0008】
今日、老化は、様々な細胞及び組織における環境的、確率論的、遺伝的及び後成的事象並びに生涯にわたるその相互作用から生じる遍在する複雑な現象であることが理解され始めている。老化組織及び加齢性疾患の一般的な特徴は、慢性炎症である。「インフラメージング」とは、顕性感染の非存在下での老化における低グレードの慢性の全身性炎症(「無菌」炎症)と説明され、高齢者における罹患率及び死亡率の両方に非常に重要な危険因子である。高レベルの炎症性バイオマーカーによって明らかにされる軽度の炎症状態は、多くの老化表現型 - 例えば、体組成、エネルギー産生及び利用、代謝ホメオスタシス、免疫老化及びニューロンの健康の変化 - に関連して予測的であるという圧倒的な疫学的証拠がある。
【0009】
したがって、複数のシステムにわたって加齢性炎症を制御する標的化経路は、高齢者又は老化関連疾患若しくは症候群の治療において有益であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、微生物感染症及び関連する炎症性疾患の治療及び予防のための新規な方法及び組成物が必要とされている。老化及び関連する疾患の治療及び予防のための新規な方法及び組成物も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の簡単な概要
本出願は、様々な老化関連疾患及び症候群を治療及び予防するために使用され得、及び感染症及びそれに関連する炎症性疾患の予防及び治療のために宿主応答を改善するためにも使用され得る、医薬組成物及び薬物の組合せを使用する方法を提供する。
【0012】
本発明の原理と一致する一態様に従い、感染症の予防及び治療に使用され得る医薬組成物が提供される。別の態様に従い、医薬組成物は、老化及び老化関連疾患の予防及び治療に使用され得る。
【0013】
一部の実施形態において、医薬組成物は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を含み得、治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である。本発明による医薬組成物は、1つ又は複数の状態を治療する方法において、その必要がある患者に使用され得、その状態は、感染症の予防及び治療並びに老化関連疾患及び症候群の予防及び治療を含む。必要がある対象においてある状態を治療する方法は、有効量の、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を含む医薬組成物であって、治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、医薬組成物を対象に投与することを含み得る。
【0014】
さらなる実施形態では、医薬組成物中において、治療薬X及び治療薬Yは、単一の剤形に含まれる。
【0015】
さらなる実施形態では、医薬組成物中において、治療薬X及び治療薬Yは、別々の剤形で存在する。
【0016】
さらなる実施形態において、治療薬Xは、COX阻害剤、サリチル酸、イブプロフェン、インドメタシン、フルルビプロフェン、フェノキシイブプロフェン、ナプロキセン、ナブメトン、ピロキシカム、ブタゾン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、テトラクロロフェン酸、スリンダク及びトメチンの少なくとも1つから選択される。一部の実施形態において、治療薬Xは、サリチル酸又はその誘導体である。一部の実施形態において、治療薬Xは、2-アセチルオキシ安息香酸である。
【0017】
さらなる実施形態において、治療薬Yは、CPT阻害剤、カルニチン生合成阻害剤、3-ケトアシル-補酵素Aチオラーゼ阻害剤、エトモキシル、オクスフェニシン、ペルヘキシリン、ミルドロネート、トリメタジジン、エトキシルカルニチン、アミノカルニチン又はカルニチンのホスフォニルオキシ誘導体の少なくとも1つから選択される。一部の実施形態において、治療薬Yは、1-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジンである。
【0018】
一部の実施形態において、医薬組成物の治療薬Xと治療薬Yの重量比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1を含む1:1~10:1であり得る。さらなる実施形態において、治療薬Xと治療薬Yとの質量比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1を含む1:1~10:1であり得る。
【0019】
一部の実施形態において、医薬組成物は、経口剤形で投与され得る。さらなる実施形態において、医薬組成物は、注入剤形で投与され得る。
【0020】
一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、同時に投与される。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、単一の剤形に含まれる。一部の実施形態において、単一薬物剤形は、経口剤形である。さらなる実施形態において、単一薬物剤形は、注入剤形である。
【0021】
一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、それぞれ投与される。一部の実施形態において、治療薬Xは、治療薬Yの前に投与される。一部の実施形態において、治療薬Xは、治療薬Yの後に投与される。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、それぞれ経口投与される。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、それぞれ注入によって投与される。
【0022】
図面の簡単な説明
本発明の一部の実施形態は、例として説明され、添付の図面によって限定されず、同様の参照は、類似の要素を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】微生物疾患モデリング及び薬物投与のスキームを示す。
【
図1B】薬物の組合せX及びがマウスにおける微生物LPS誘発死を防ぐことを示す。
【
図1C】X及びYの薬物の組合せがマウスにおける微生物LPS誘発肺炎症を防ぐことを示す。
【
図2】X及びYの薬物の組合せがC型肝炎ウイルス補助受容体CD36の発現を低減することを示す。
【
図3】X及びYの薬物の組合せがC型肝炎ウイルス補助受容体CD81の発現を低減することを示す。
【
図4】X及びYの薬物の組合せがA型肝炎ウイルス補助受容体HAVCR1の発現を低減することを示す。
【
図5】X及びYの薬物の組合せがA型肝炎ウイルス補助受容体HAVCR2の発現を低減することを示す。
【
図6】X及びYの薬物の組合せがコロナウイルス補助受容体ACE2の発現を低減することを示す。
【
図7】X及びYの薬物の組合せがコロナウイルス補助受容体DPP4の発現を低減することを示す。
【
図8】X及びYの薬物の組合せがウイルス補助受容体インテグリンα(v)の発現を低減することを示す。
【
図9】X及びYの薬物の組合せがウイルス補助受容体インテグリンβ1の発現を低減することを示す。
【
図10】X及びYの薬物の組合せがウイルス補助受容体インテグリンβ3の発現を低減することを示す。
【
図11】X及びYの薬物の組合せがウイルス補助受容体インテグリンβ5の発現を低減することを示す。
【
図12】X及びYの薬物の組合せがウイルス補助受容体インテグリンβ6の発現を低減することを示す。
【
図13A】X及びYの薬物の組合せが老化バイオマーカーを抑制し、老化した肝臓組織において老化細胞を低減することを示す。
【
図13B】X及びYの薬物の組合せが老化バイオマーカーを抑制し、老化した筋組織において老化細胞を低減することを示す。
【
図13C】X及びYの薬物の組合せが老化バイオマーカーを抑制し、老化した皮膚組織において老化細胞を低減することを示す。
【
図14】X及びYの薬物の組合せが、慢性創傷を有する加齢マウスにおいて組織修復を促進することを示す。
【
図15】X及びYの薬物の組合せが、脱毛症を有する加齢マウスにおいて毛の成長を促進することを示す。
【
図16】X及びYの薬物の組合せが加齢マウスにおいて組織繊維を促進することを示す。
【
図17】X及びYの薬物の組合せがマウスにおけるインフラメージング及び炎症誘発死を改善することを示す。
【
図18A】X及びYの薬物の組合せがインフラメージング関連及び免疫老化関連遺伝子シグネチャーを逆転させることを示す。
【
図18B】X及びYの薬物の組合せがインフラメージング関連及び免疫老化関連遺伝子シグネチャーを逆転させることを示す。
【
図18C】X及びYの薬物の組合せがインフラメージング関連及び免疫老化関連遺伝子シグネチャーを逆転させることを示す。
【
図19A】X及びYの薬物の組合せが酸化的筋成長を促進することを示す。
【
図19B】X及びYの薬物の組合せが酸化的筋成長を促進することを示す。
【
図19C】X及びYの薬物の組合せが酸化的筋成長を促進することを示す。
【
図19D】X及びYの薬物の組合せが酸化的筋成長を促進することを示す。
【
図20】X及びYの薬物の組合せが身体運動と同様に多くのマイオカイン/アディポカインを誘発することを示す。
【
図21A】TMTpro 16plexキット及びQ-Exactive HF-X質量分析(Thermo Fisher)を用いた熱的プロテオームプロファイリングに従い、直接的にミトコンドリアタンパク質UQCRHに結合されたX及びYを示す。
【
図21B】TMTpro 16plexキット及びQ-Exactive HF-X質量分析(Thermo Fisher)を用いた熱的プロテオームプロファイリングに従い、直接的にミトコンドリアタンパク質NDUFS6に結合されたX及びYを示す。
【
図21C】TMTpro 16plexキット及びQ-Exactive HF-X質量分析(Thermo Fisher)を用いた熱的プロテオームプロファイリングに従い、直接的にミトコンドリアタンパク質COX7A2に結合されたX及びYを示す。
【
図22】X及びYが数分以内にATPレベルを相乗的に低減したことを示す。
【
図23】X及びYがアセチルCoA及びタンパク質アセチル化を相乗的に低減したことを示す。
【
図24】X及びYがAbcam ab23707抗体での免疫染色に従ってパーキン誘導マイトファジーに対してPink1を相乗的に増加させたことを示す。
【
図25A】X及びYがミトコンドリア標的化筋芽細胞タンパク質レベルを相乗的に増加させたことを示す。
【
図25B】X及びYがミトコンドリア標的化管状筋細胞タンパク質レベルを相乗的に増加させたことを示す。
【
図26】X及びYが、核ゲノムB2Mに対して、ミトコンドリアゲノムNADHデヒドロゲナーゼND1及びND4に関してqRT-PCRに従ってミトコンドリアのDNAレベルを相乗的に増加させたことを示す。
【
図27】X及びYがNAseq(Illumina HiSeq)に従ってIRE1a仲介小胞体ストレス応答(UPR)を相乗的に増加させたことを示す。
【
図28A】X及びYがミトコンドリアの反応性酸素種(ROS)を相乗的に低減したことを示す。
【
図28B】X及びYがミトコンドリアの反応性酸素種(ROS)を相乗的に低減したことを示す。
【
図29A】X及びYがセマフォリンなどの様々なサイトカイン経路の活性を相乗的に増加させたことを示し(
図17)、X及びYの薬物の組合せが神経内分泌系を刺激し、カロリー制限を模倣することによって老化を遅らせることを示す。
【
図29B】X及びYがGDNFなどの様々なサイトカイン経路の活性を相乗的に増加させたことを示し(
図17)、X及びYの薬物の組合せが神経内分泌系を刺激し、カロリー制限を模倣することによって老化を遅らせることを示す。
【
図29C】X及びYがNGFなどの様々なサイトカイン経路の活性を相乗的に増加させたことを示し(
図17)、X及びYの薬物の組合せが神経内分泌系を刺激し、カロリー制限を模倣することによって老化を遅らせることを示す。
【
図30A】X及びYの薬物の組合せが、Hippo、Notch-Hes-Hey、HIF1a及びインテグリン-MAPKなど、RNAseq(Illumina Hiseq)に従って相乗的に幹細胞経路の発現を増加させたことを示し、幹細胞性及び再生能力の増加を意味する。
【
図30B】X及びYの薬物の組合せが、Hippo、Notch-Hes-Hey、HIF1a及びインテグリン-MAPKなど、RNAseq(Illumina Hiseq)に従って相乗的に幹細胞経路の発現を増加させたことを示し、幹細胞性及び再生能力の増加を意味する。
【
図30C】X及びYの薬物の組合せが、Hippo、Notch-Hes-Hey、HIF1a及びインテグリン-MAPKなど、RNAseq(Illumina Hiseq)に従って相乗的に幹細胞経路の発現を増加させたことを示し、幹細胞性及び再生能力の増加を意味する。
【
図30D】X及びYの薬物の組合せが、Hippo、Notch-Hes-Hey、HIF1a及びインテグリン-MAPKなど、RNAseq(Illumina Hiseq)に従って相乗的に幹細胞経路の発現を増加させたことを示し、幹細胞性及び再生能力の増加を意味する。
【
図30E】X及びYの薬物の組合せが、Hippo、Notch-Hes-Hey、HIF1a及びインテグリン-MAPKなど、RNAseq(Illumina Hiseq)に従って相乗的に幹細胞経路の発現を増加させたことを示し、幹細胞性及び再生能力の増加を意味する。
【
図31】X及びYでの経皮処置の2ラウンド後、カニクイザルの合計体重及び腹囲(加齢誘発中心性肥満の指標)がいずれも約10~20%有意に減少し、下腿周囲長(骨格筋成長及び再生の指標)が約8%増加したことを示す。
【
図32A】神経内分泌サイトカインBDNF(R&D Systems ELISA)のカニクイザルの血漿レベルも、X単独若しくはY単独又は賦形剤ではなく、X及びYの薬物の組合せでの処置後に有意に増加したことを示す。
【
図32B】神経内分泌サイトカインLIF(R&D Systems ELISA)のカニクイザルの血漿レベルも、X単独若しくはY単独又は賦形剤ではなく、X及びYの薬物の組合せでの処置後に有意に増加したことを示す。
【
図33A】X及Yの薬物の組合せに伴う毒性が臨床血液学又は臨床血液化学に従って確認されなかったことを示す(
図21)。
【
図33B】X及Yの薬物の組合せに伴う毒性が臨床血液学又は臨床血液化学に従って確認されなかったことを示す(
図21)。
【
図34】Ki67(Abcam ab16667)免疫染色によって示される肝細胞増殖の増加から確認されるように、X及びYが、X単独若しくはY単独又は賦形剤に対して、老化関連脂肪肝炎の肝臓を有する1歳の糖尿病性マウスにおいて肝臓の再生を促進したことを示す。
【
図35】X及びYの薬物の組合せが、マッソントリクローム染色に従い、2型糖尿病が原因の老化関連膵炎を有する膵臓におけるβ膵島細胞繊維化を低減したことを示す。
【
図36A】X及びYの薬物の組合せがKi67(Abcam ab16667)免疫染色に従ってβ膵島細胞成長及び増殖を増加させたことを示す。
【
図36B】X及びYの薬物の組合せがKi67(Abcam ab16667)免疫染色に従ってβ膵島細胞成長及び増殖を増加させたことを示す。
【
図37A】X及びYの薬物の組合せが、Ori遺伝子からのプライマーを使用して、Pax6、Mafa及びPdx1に対してqRT-PCRに従ってβ膵島細胞成長及び増殖を増加させ、それにより膵臓β膵島細胞の再生が促進されたことを示す。
【
図37B】X及びYの薬物の組合せが、Ori遺伝子からのプライマーを使用して、Ins1及びIns2に対してqRT-PCRに従ってβ膵島細胞成長及び増殖を増加させ、それにより膵臓β膵島細胞の再生が促進されたことを示す。
【
図38】X及びYの薬物の組合せが、老化した毛の再生及び創傷治癒を64日促進したことを示す。
【
図39】X及びYが1歳の糖尿病性マウスの大腿四頭筋におけるミオシン重鎖のタンパク質レベル(MHC;Sigma-Aldrich-M4276抗体)を増加させ、それにより骨格筋の再生が促進されたことを示す。
【
図40】X及びYの薬物の組合せが、筋肉の萎縮及びサルコペニアを有する老化したコントロール動物と比較して合計体重を有意に増加させ、X及びYがサルコペニアを逆転させたことを示す。
【
図41】慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)をモデルにするために、3週間にわたる、X単独若しくはY単独又は賦形剤に対してX及びYの薬物の組合せの毎日の経口経管栄養法により、気管内ブレオマイシン(50ulリン酸緩衝生理食塩水又はPBS中で3mg/kg)で処置された1歳の加齢マウスにおける老化関連肺繊維症が減少したことを示す。
【
図42】X及びYの薬物の組合せが、膣塗抹分析に基づいて雌のラット(PCOSラットモデル)の大部分において発情周期を回復したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を単に説明する目的で使用されており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される、「及び/又は」という用語は、関連する記載のアイテムの1つ又は複数のいずれか及びすべての組合せを包含する。本明細書で使用される、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」という単数形は、内容が明確に他に示されていない限り、複数形及び単数形を含むことが意図される。本明細書で使用される、「含む」及び/又は「含むこと」という用語は、指定の特徴、工程、操作、要素及び/又は成分の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそのグループの存在又は付加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0025】
特別に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されるような用語は、関連する技術分野及び本開示の内容においてその意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、及び明確に本明細書でそのように定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈すべきではないことをさらに理解されるであろう。
【0026】
「微生物」という用語は、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、藻類、アメーバ及び粘菌及び他の潜在的な病原性生物を含む、極めて小さい生物を意味する。
【0027】
「感染」という用語は、病原体による生物の体組織の侵入、その増殖及び感染性病原体に対する宿主組織の反応及びそれらが産生する毒素を意味する。
【0028】
「老化関連疾患」という用語は、年齢に伴って疾患の発生率が増加する疾患及び変性である疾患を意味する。
【0029】
「インフラメージング」という用語は、病原体による生物の体組織の侵入、その増殖及び感染性病原体に対する宿主組織の反応及びそれらが産生する毒素を意味する。
【0030】
「NSAID」又は「非ステロイド性抗炎症薬」という用語は本明細書において区別なく使用され、シクロオキシゲナーゼ酵素(COX)の活性を阻害して、痛みを低減し、発熱を減らし、薬物のクロットを防ぐ、薬物クラスのメンバーを意味する。すべての炎症性疾患をNSAIDで治療できるわけではないことは、当技術分野で公知である。
【0031】
「脂肪酸酸化」及び「FAO」という用語は本明細書において区別なく使用され、アセチル-CoA単位への脂肪酸を分解する生化学的プロセスを意味する。一部の実施形態において、FAOは、細胞のミトコンドリアにある。一部の実施形態において、FAOは、細胞のペルオキシソームにある。一部の実施形態において、FAO律速段階は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)によって触媒される。
【0032】
本明細書で使用される、「治療」又は「治療すること」は、臨床的結果を含む、有益な又は所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益な又は所望の結果としては、限定されないが、以下の:疾患から生じる1つ又は複数の症状の低減、疾患の程度の減少、疾患又は病状の安定化(例えば、疾患又は病状の悪化を予防するか又は遅らせる)、疾患又は病状の拡散の予防又は遅延、疾患又は病状の出現又は再発の予防又は遅延、疾患又は病状の進行を遅らせるか又は遅くすること、疾患状態の改善、疾患又は病状の寛解(一部又はすべて)の提供、疾患又は病状の治療に必要な1つ若しくは複数の他の薬物の用量の低減、疾患又は病状の進行を遅らせること、生活の質を高めること及び/又は生存期間の延長の1つ又は複数が挙げられる。疾患又は病状の病理学的結果の低減も「治療」によって包含される。本出願の方法では、治療のこれらの態様のいずれか1つ又は複数が用いられる。
【0033】
本明細書で使用される、「予防」及び「予防法」という用語は、疾患のリスクがあるが、まだ診断されていない対象において、疾患、障害又は病状が発生しないように、予防又は保護する手段を意味する。予防(及び有効な予防的投与)又は予防法は、例えば未治療コントロール対象に対して母集団研究において実証することができ、所定の疾患又は病状に対して予防又は保護するために有効な量が、治療された対象における発生率を低減するのに有効な方法である。
【0034】
「個体」、「対象」及び「患者」という用語は、ヒトを含む哺乳動物を説明するために、本明細書において区別なく使用される。個体としては、限定されないが、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、げっ歯類又は霊長類が挙げられる。一部の実施形態において、個体はヒトである。一部の実施形態において、個体は疾患又は病状を有する。一部の実施形態において、その個体は治療の必要がある。
【0035】
当技術分野で理解されるように、「有効量」とは、所望の治療結果を生むのに十分な組成物の量を意味する。治療的使用に関して、有益な又は所望の結果は、例えば、疾患又は病状の発生中に現れるその合併症及び中間の病理学的表現型を含む、疾患又は病状から生じる1つ又は複数の症状の低減(生化学的、組織学的及び/又は行動的)、疾患又は病状を有する患者の生活の質を高めること、疾患又は病状の治療に必要な他の薬物の用量の低減、別の薬物の効果の増強、疾患又は病状の進行を遅らせること及び/又は生存期間の延長を含む。
【0036】
「薬剤として許容可能な塩」という用語は、哺乳動物などの患者への投与に許容可能な塩(所定の投与計画に対して許容可能な哺乳類の安全性を有する対イオンを含む塩)を意味する。かかる塩は、薬剤として許容可能な無機又は有機塩基及び薬剤として許容可能な無機又は有機酸から誘導され得る。「薬剤として許容可能な塩」とは、化合物の薬剤として許容可能な塩を意味し、その塩は、当技術分野でよく知られている様々な有機及び無機対イオンから誘導され、一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム等が挙げられ;分子が塩基性官能基を含有する場合、有機又は無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。
【0037】
「その塩」という用語は、酸のプロトンが、金属カチオン又は有機カチオン等のカチオンによって置換される場合に形成される化合物を意味する。該当する場合、これは、患者への投与が意図されない中間体化合物の塩に必要とされないが、その塩は、薬剤として許容可能な塩である。一例として、本発明の化合物の塩は、無機又は有機酸により、その化合物がプロトン化されて、塩のアニオン成分としての無機酸又は有機酸の共役塩基と共に、カチオンが形成される化合物を含む。
【0038】
「X及びY」又は「X+Y」又は「XY」という用語は、本明細書において区別なく使用され、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩との両方で構成される組合せを意味する。
【0039】
治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Yとのいずれも共に投与され得るか又は逐次投与され得る。
【0040】
本発明の記述において、多くの技術及び工程が開示されることが理解されるであろう。これらのそれぞれは、個々の利点を有し、それぞれが、他の開示される技術の1つ若しくは複数又は場合によりすべてと組み合わせて使用することもできる。したがって、理解しやすいように、本明細書では、不必要な様式で個々の工程のあらゆる可能性のある組合せを繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、かかる組合せが完全に本明細書及び特許請求の範囲の範囲内にあると理解した上で解釈されるべきである。
【0041】
本出願で使用される、「約」又は「およそ」という用語は、指定の数の±20%以内の値の範囲を意味する。さらに、本出願で使用される、「実質的に」という用語は、実測値が、本明細書に記載の可変の要素又は限界の実際の目標値の約10%以内、特に実際の目標値の約5%以内、特に実際の目標値の約1%以内であることを意味する。
【0042】
老化及び関連疾患の治療及び予防並びに微生物感染症及び関連する炎症性疾患の治療及び予防のための新規な方法及び組成物が本明細書において考察される。以下の記述において、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかであるであろう。
【0043】
本開示は、本発明の例証としてみなされ、以下の図面又は明細書によって例証される具体的な実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。
【0044】
本発明は、好ましい及び代替の実施形態に相当する添付の図面を例として及び参照して説明される。本発明の実施形態に従い、種々の疾患、病状及び感染症を治療するために使用され得る、組成物が提供される。組成物は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を有する医薬組成物であって、治療薬Xが非ステロイド性抗炎症薬であり、治療薬Yが脂肪酸酸化阻害剤である、医薬組成物を含み得る。一部の実施形態において、治療薬Xは、サリチル酸又はその誘導体(例えば、サルサレート)である。一部の実施形態において、治療薬Xは、2-アセチルオキシ安息香酸である。一部の実施形態において、治療薬Yは、1-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジンである。本発明の別の実施形態に従い、感染症の予防及び治療並びに老化関連疾患及び症候群の予防及び治療を含む、1つ又は複数の病状を、その必要がある対象において治療する方法が提供される。その必要がある対象において病状を治療する方法は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を含む医薬組成物であって、治療薬Xが非ステロイド性抗炎症薬であり、治療薬Yが脂肪酸酸化阻害剤である医薬組成物を、有効量で対象に投与することを含み得る。
【0045】
本発明による医薬組成物及び本発明による医薬組成物の投与を含む方法は、微生物感染を有効に治療又は予防することができる。
【0046】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、免疫システムを調節することによってウイルス感染を有効に予防及び又は治療し得る。一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、限定されないが:ACVR1、ACVR1B、ACVR2A、ACVR2B、ACVRL1、AMH、AMHR2、BMP2、BMP7、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、CCL11、CCL15、CCL17、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL27、CCL28、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL8、CCR1、CCR10、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CD27、CD40、CD40LG、CD70、CLCF1、CNTF、CNTFR、CRLF2、CSF1、CSF1R、CSF2、CSF2RA、CSF2RB、CSF3、CSF3R、CTF1、CX3CL1、CX3CR1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL16、CXCL6、CXCL9、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、EDA、EDA2R、EDAR、EGF、EGFR、EPO、EPOR、FAS、FASLG、FLT1、FLT3、FLT3LG、FLT4、GDF5、GH1、GHR、HGF、IFNA1、IFNA10、IFNA17、IFNA2、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IFNK、IFNL3、IFNLR1、IL10、IL10RA、IL10RB、IL11、IL11RA、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA1、IL15、IL15RA、IL17A、IL17B、IL17RA、IL17RB、IL18、IL18R1、IL18RAP、IL19、IL1A、IL1B、IL1R1、IL1R2、IL1RAP、IL2、IL20、IL20RA、IL20RB、IL21、IL21R、IL22、IL22RA1、IL22RA2、IL23A、IL23R、IL24、IL25、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST、IL7、IL7R、IL9、IL9R、INHBA、INHBB、INHBC、INHBE、KDR、KIT、KITLG、LEP、LEPR、LIF、LIFR、LTA、LTB、MET、MPL、NGFR、OSM、OSMR、PDGFA、PDGFB、PDGFC、PDGFRA、PDGFRB、PLEKHO2、PPBP、PRL、PRLR、RELT、TGFB1、TGFB2、TGFB3、TGFBR1、TGFBR2、TNFA、TNFRSF10B、TNFRSF10C、TNFRSF10D、TNFRSF11A、TNFRSF11B、TNFRSF12A、TNFRSF13B、TNFRSF13C、TNFRSF14、TNFRSF17、TNFRSF18、TNFRSF19、TNFRSF1A、TNFRSF1B、TNFRSF21、TNFRSF25、TNFRSF4、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF13B、TNFSF14、TNFSF15、TNFSF18、TNFSF4、TNFSF8、TNFSF9、TPO、TSLP、VEGFA、VEGFB、VEGFC、VEGFD、XCL1、XCR1などの免疫調節因子を調節し得る。別の態様において、本発明は、上記の免疫調節因子の1つ又は複数を調節することにより、必要とする対象において病状を治療する方法であって、有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0047】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、炎症を調節することによってウイルス感染を有効に予防及び又は治療し得る。一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩及び治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩を含む医薬組成物は、限定されないが:AKT1、AKT2、AKT3、BTK、CASP8、CCL3、CCL4、CCL5、CD14、CD180、CD40、CD80、CD86、CHUK、CISH、CTNNAL1、CUEDC2、CXCL10、CXCL11、CXCL8、CXCL9、CYLD、FADD、FBXW5、FOS、GM-CSF、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNG、IKBKB、IKBKE、IKBKG、IL12A、IL12B、IL18、IL1B、IL6、IL8、IRAK1、IRAK2、IRAK3、IRAK4、IRF3、IRF5、IRF7、JUN、LBP、LY96、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K3、MAP2K4、MAP2K6、MAP2K7、MAP3K7、MAP3K8、MAPK1、MAPK10、MAPK11、MAPK12、MAPK13、MAPK14、MAPK3、MAPK8、MAPK9、MBL2、MIR105-1、MIR6502、MIR718、MIR98、MIRLET7E、MIRLET7I、MLST8、MYD88、NFKB1、NFKB2、NFKBIA、OTUD5、PELI1、PELI2、PELI3、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R5、PLK1、プローブ、PTPN6、RAC1、RBCK1、RELA、RIPK1、RNF216、RNF31、RNF41、SARM1、SFTPA2、SFTPD、SIGIRR、SMAD6、SOCS1、SPP1、SQSTM1、STAT1、SYK、TAB1、TAB2、TAB3、TBK1、TICAM1、TICAM2、TIFA、TIRAP、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMED7、TNFA、TNFAIP3、TOLLIP、TRAF3、TRAF6、TRAFD1、TREM1、USP7、ZMYND11などの因子の発現を低減し得る。別の態様において、本発明は、上記の因子の1つ又は複数の発現を低減することにより、必要とする対象において病状を治療する方法であって、有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0048】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、ウイルス受容体を低減することにより、ウイルス感染を有効に予防及び又は治療し得る。一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、限定されないが:ACE2、CD4、CD36、CD81、CLDN1、CXCR4、DPP4、HAVCR1、HAVCR2、ITGAV、ITGB1、ITGB3、ITGB5、ITGB6、MAG、SLC1A4、SLC1A5、SLC7A1、SLC20A1、SLC20A2などの因子の発現を低減し得る。別の態様において、本発明は、上記の因子の1つ又は複数の発現を低減することにより、必要とする対象において病状を治療する方法であって、有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0049】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、ウイルス、細菌、真菌、原生動物又は寄生生物によって引き起こされる微生物感染を有効に予防及び又は治療し得る。さらなる実施形態において、ウイルス、細菌、真菌、原生動物又は寄生生物によって引き起こされる微生物感染を有効に予防及び/又は治療する方法は、有効量の医薬組成物を対象に投与することを含み得る。
【0050】
感染がウイルス性である実施形態において、それは、DNAウイルスによって引き起こされ得る。一部の特定の実施形態において、DNAウイルスとしては、必ずしも限定されないが、アデノウイルス科(Adenoviridae)、パポバウイルス科(Papovaviridae)、パルボウイルス科(Parvoviridae)、アネロウイルス科(Anelloviridae)、プレオリポウイルス科(Pleolipoviridae)、ミオウイルス科(Myoviridae)、ポドウイルス科(Podoviridae)、サイフォウイルス科(Siphoviridae)、アロヘルペスウイルス科(Alloherpesviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(ヒトヘルペスウイルス及び水痘帯状疱疹ウイルスを含む)、マラコヘルペスウイルス科(Malocoherpesviridae)、リポスリックスウイルス科(Lipothrixviridae)、ルディウイルス科(Rudiviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、アンプラウイルス科(Ampullaviridae)、アスコウイルス科(Ascoviridae)、アスファウイルス科(Asfarviridae)(アフリカ豚熱ウイルスを含む)、バキュロウイルス科(Baculoviridae)、シカウダウイルス科(Cicaudaviridae)、クラバウイルス科(Clavaviridae)、コルチコウイルス科(Corticoviridae)、フーゼロウイルス科(Fuselloviridae)、グロブロウイルス科(Globuloviridae)、グッタウイルス科(Guttaviridae)、ヒトロサウイルス科(Hytrosaviridae)、イリドウイルス科(Iridoviridae)、マルセイユウイルス科(Maseilleviridae)、ミミウイルス科(Mimiviridae)、ヌディウイルス科(Nudiviridae)、ニマウイルス科(Nimaviridae)、パンドラウイルス科(Pandoraviridae)、パピローマウイルス科(Papillomaviridae)、フィコドナウイルス科(Phycodnaviridae)、プラズマウイルス科(Plasmaviridae)、ポリドナウイルス、ポリオーマウイルス科(Polyomaviridae)(サル(Simian)ウイルス40、JCウイルス、BKウイルスを含む)、ポックスウイルス科(Poxviridae)(牛痘及び天然痘を含む)、スファエロリポウイルス科(Sphaerolipoviridae)、テクチウイルス科(Tectiviridae)、ツリウイルス科(Turriviridae)、ディノドナウイルス(Dinodnavirus)、サルテロプロウイルス(Salterprovirus)又はリジディオウイルス(Rhizidovirus)のメンバーが挙げられ得る。
【0051】
ウイルス感染は、二本鎖RNAウイルス、ポジティブセンスRNAウイルス、ネガティブセンスRNAウイルス、レトロウイルス又はその組合せによっても引き起こされ得る。ウイルス感染は、コロナウイルス科(Coronaviridae)ウイルス、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)ウイルス、レオウイルス科(Reoviridae)ウイルス、カリシウイルス科(Caliciviridae)ウイルス、フラビウイルス科(Flaviviridae)ウイルス、トガウイルス科(Togaviridae)ウイルス、ボルナウイルス科(Bornaviridae)ウイルス、フィロウイルス科(Filoviridae)ウイルス、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)ウイルス、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)ウイルス、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)ウイルス、アレナウイルス科(Arenaviridae)、ブンヤウイルス科(Bunyaviridae)ウイルス、アストロウイルス科(Astroviridae)ウイルス、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)ウイルス、アルテリウイルス科(Arteriviridae)ウイルス、ヘペウイルス科(Hepeviridae)ウイルス、レトロウイルス科(Retroviridae)ウイルス、カリモウイルス科(Caulimoviridae)ウイルス、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)ウイルス又はデルタウイルス(Deltavirus)によってさらに引き起こされ得る。ウイルス感染は、コロナウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎、ノーウォークウイルス、黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス、風疹ウイルス、ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス、ボルナ病ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ニパーウイルス、ヘンドラウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒト呼吸器多核体ウイルス、狂犬病ウイルス、ラッサウイルス、ハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、インフルエンザ又はD型肝炎ウイルスによってさらに引き起こされ得る。一部の好ましい実施形態において、ウイルス感染はコロナウイルスによって引き起こされる。コロナウイルスの例としては、限定されないが、αコロナウイルス1、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスNL63、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルス1、ユビナガコウモリ(Miniopterus bat)コロナウイルスHKU8、豚流行性下痢ウイルス、キクガシラコウモリ(Rhinolophus bat)コロナウイルスHKU2、イエローハウスコウモリ属(Scotophilus)コウモリコロナウイルス512、βコロナウイルス1(ウシコロナウイルス、ヒトコロナウイルスOC43)、ハリネズミコロナウイルス1、ヒトコロナウイルスHKU1、中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome)関連コロナウイルス、マウスコロナウイルス、アブラコウモリ属(Pipistrellus)コウモリコロナウイルスHKU5、ルーセットオオコウモリ属(Rousettus)コウモリコロナウイルスHKU9、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、SARS-CoV-2)、タケコウモリ属(Tylonycteris)コウモリコロナウイルスHKU4、鶏コロナウイルス、シロイルカコロナウイルスSW1、ヒヨドリコロナウイルス(Bulbul coronavirus)HKU11及びブタコロナウイルスHKU15が挙げられる。一部の好ましい実施形態において、ウイルス感染は、SARS-CoV2によって引き起こされる。
【0052】
他の実施形態において、感染は、本来、細菌性感染であり得る。細菌性感染を引き起こす細菌としては、必ずしも限定されないが、アシネトバクター(Acinetobacter)種、アクチノバチルス属(Actinobacillus)種、放線菌(Actinomycetes)種、アクチノミセス属(Actinomyces)種、アエロコッカス属(Aerococcus)種、アエロモナス属(Aeromonas)種、アナプラズマ属(Anaplasma)種、アルカリゲネス属(Alcaligenes)種、バシラス属(Bacillus)種、バクテロイデス属(Bacteroides)種、バルトネラ属(Bartonella)種、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)種、ボルデテラ属(Bordetella)種、ボレリア属(Borrelia)種、ブルセラ属(Brucella)種、バークホルデリア属(Burkholderia)種、カンピロバクター属(Campylobacter)種、カプノシトファガ属(Capnocytophaga)種、クラミジア属(Chlamydia)種、シトロバクター属(Citrobacter)種、コクシエラ属(Coxiella)種、コリネバクテリウム属(Corynbacterium)種、クロストリジウム属(Clostridium)種、エイケネラ属(Eikenella)種、エンテロバクター属(Enterobacter)種、エシェリキア属(Escherichia)種、エンテロコッカス属(Enterococcus)種、エールリヒア属(Ehlichia)種、エピデルモフィトン属(Epidermophyton)種、エリジペロスリックス属(Erysipelothrix)種、ユーバクテリウム属(Eubacterium)種、フランシセラ属(Francisella)種、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)種、ガルドネレラ属(Gardnerella)種、双子菌属(Gemella)種、ヘモフィルス属(Haemophilus)種、ヘリコバクター属(Helicobacter)種、キンゲラ属(Kingella)種、クレブシエラ属(Klebsiella)種、ラクトバシラス属(Lactobacillus)種、ラクトコッカス属(Lactococcus)種、リステリア属(Listeria)種、レプトスピラ属(Leptospira)種、レジオネラ属(Legionella)種、レプトスピラ属(Leptospira)種、ロイコノストック属(Leuconostoc)種、マンヘイミア(Mannheimia)種、小胞子菌属(Microsporum)種、ミクロコッカス属(Micrococcus)種、モラクセラ属(Moraxella)種、モルガネラ属(Morganell)種、モビルンカス属(Mobiluncus)種、ミクロコッカス属(Micrococcus)種、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)種、マイコプラズマ属(Mycoplasm)種、ノカルジア属(Nocardia)種、ナイセリア属(Neisseria)種、パスツレラ属(Pasteurelaa)種、ペディオコッカス属(Pediococcus)種、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)種、ピチロスポルム属(Pityrosporum)種、プレシオモナス属(Plesiomonas)種、プレボテラ属(Prevotella)種、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)種、プロテウス属(Proteus)種、プロビデンシア属(Providencia)種、シュードモナス属(Pseudomonas)種、プロピオン酸菌属(Propionibacterium)種、ロドコッカス属(Rhodococcus)種、リケッチア属(Rickettsia)種、ロドコッカス属(Rhodococcus)種、セラチア属(Serratia)種、ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)種、サルモネラ属(Salmonella)種、セラチア属(Serratia)種、シゲラ属(Shigella)種、ブドウ球菌属(Staphylococcus)種、連鎖球菌属(Streptococcus)種、スピリルム属(Spirillum)種、ストレプトバシラス属(Streptobacillus)種、トレポネーマ属(Treponema)種、トロフェリマ属(Tropheryma)種、白癬菌属(Trichophyton)種、ウレアプラスマ属(Ureaplasma)種、ベイヨネラ属(Veillonella)種、ビブリオ属(Vibrio)種、エルシニア属(Yersinia)種、キサントモナス属(Xanthomonas)種又はその組合せが挙げられ得る。
【0053】
他の実施形態において、感染は、真菌性感染であり得、必ずしも限定されないが、アスペルギルス属(Aspergillus)、ブラストミセス属(Blastomyces)、カンジダ(Candidiasis)、コクシジオイデス属(Coccidiodomycosis)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gatti)種、ヒストプラズマ属(Histoplasma)種(ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)など)、ニューモシスチス(Pneumocystis)種(ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)など)、スタキボトリス属(Stachybotrys)(スタキボトリス・チャータラム(Stachybotrys chartarum)など)、ムコール菌症(Mucroymcosis)、スポロトリクス属(Sporothrix)、真菌性眼感染症白癬、エクセロヒルム属(Exserohilum)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)種、カンジダ属(Candida)種、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)種、デバリオマイセス属(Debaryomyces)種、ピチア属(Pichia)種、ペニシリウム属(Penicillium)種、クラドスポリウム属(Cladosporium)種、ビソクラミス属(Byssochlamys)種又はその組合せなどの真菌によって引き起こされ得る。
【0054】
他の実施形態において、感染は、ユーグレノゾア(Euglenozoa)、ヘテロロボサ(Heterolobosea)、ディプロモナス(Diplomonadida)、アメーボゾア(Amoebozoa)、ブラストシスチス(Blastocystis)、アピコンプレクサ(Apicomplexa)又はその組合せなどの原生動物によって引き起こされ得る。
【0055】
他の実施形態において、感染は、必ずしも限定されないが、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)、ガンビアトリパノソーマ(T. brucei gambiense)、ローデシアトリパノソーマ(T. brucei rhodesiense)、リーシュマニアブラジリエンシス(Leishmania braziliensis)、小児リーシュマニア(L. infantum)、メキシコリーシュマニア(L. mexicana)、森林型熱帯リーシュマニア(L. major)、熱帯リーシュマニア(L. tropica)、ドノバンリーシュマニア(L. donovani)、ネグレリアフォーレリ(Naegleria fowleri)、ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)(G.ランブリア(G. lamblia)、G.デュオデナリス(G. duodenalis))、アカントアメーバ・カステラーニ(acanthamoeba castellanii)、バラムチア・マンドリルリス(Balamuthia madrillaris)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、ブラストシスチス・ホミニス(Blastocystic hominis)、バベシア・マイクロティ(Babesia microti)、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、サイクロスポーラ・カエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、卵形マラリア原虫(P. ovale)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)及びトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)又はその組合せなどの寄生生物によって引き起こされ得る。
【0056】
一部の実施形態において、本発明による医薬組成物及び本発明による医薬組成物の投与を含む方法は、サイトカイン及び免疫不全に関連する、関連炎症性疾患、限定されないが、CRS、ARDS、ALI、AIDS、喘息、慢性消化性潰瘍、結核、関節リウマチ、歯周炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、副鼻腔炎、脳炎、脊髄炎、髄膜炎、クモ膜炎、神経炎、涙腺炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、網膜炎、脈絡網膜炎、眼瞼炎、結膜炎、ぶどう膜炎、外耳炎、中耳炎、内耳炎、乳突洞炎、心臓炎、心内膜炎、心筋炎、心外膜炎、脈管炎、動脈炎、静脈炎、毛細管炎、副鼻腔炎、鼻炎、咽頭炎、喉頭炎、気管炎、気管支炎、細気管支炎、肺臓炎、胸膜炎、縦隔炎、口内炎、歯肉炎、歯肉口内炎、舌炎、扁桃炎、唾液腺炎、耳下腺炎、口唇炎、歯髄炎、顎骨炎、食道炎、胃炎、胃腸炎、腸炎、大腸炎、全腸炎、十二指腸炎、回腸炎、虫垂炎(caecitis)、虫垂炎(appendicitis)、直腸炎、肝炎、遷延性胆管炎、胆嚢炎、膵炎、腹膜炎、皮膚炎、毛嚢炎、蜂巣炎、汗腺炎、関節炎、皮膚筋炎、筋炎、滑膜炎、腱滑膜炎、滑液包炎、腱付着部炎、筋膜炎、被膜炎、外上顆炎、腱炎、皮下脂肪組織炎、骨軟骨炎、骨炎、骨髄炎、脊椎炎、骨膜炎、軟骨炎、腎炎、糸球体腎炎、腎盂腎炎、尿管炎、膀胱炎、尿道炎、卵巣炎、卵管炎、子宮内膜炎、子宮傍結合組織炎、頸管炎、腟炎、外陰炎、乳腺炎、睾丸炎、精巣上体炎、前立腺炎、精嚢炎、亀頭炎、包皮炎、亀頭包皮炎、絨毛羊膜炎、臍帯炎、臍炎、インスリン炎、下垂体炎、甲状腺炎、副甲状腺炎、副腎炎、リンパ管炎又はリンパ節炎などを治療及び/又は予防することができる。
【0057】
一部の実施形態において、本発明による医薬組成物及び本発明による医薬組成物の投与を含む方法は、老化関連疾患を治療及び/又は予防することができ、その医薬組成物は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む。
【0058】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、再生の促進により、老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0059】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、繊維症を逆転することにより、老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0060】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、老化を逆転することにより、老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。治療薬X及び治療薬Yの効果は、その一部が記載の実施例に詳述される関連する細胞及び組織モデルに対して治療薬を試験することによって評価することができる。代替方法として、治療薬X及び治療薬Yの効果は、その一部が実施例に記載される、関連する動物モデルに対して治療薬を試験することによって評価することができる。
【0061】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、インスリン感受性を向上させるか、又はインスリン抵抗性を予防若しくは治療することにより、老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、インスリン感受性を向上させて、それにより耐糖能が向上し得る。
【0062】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、炎症を調節することにより、老化及び老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物は、慢性炎症若しくはインフラメージングを予防又は治療又は低減することにより、老化及び老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、限定されないが:AKT1、AKT2、AKT3、BTK、CASP8、CCL3、CCL4、CCL5、CD14、CD180、CD40、CD80、CD86、CHUK、CISH、CTNNAL1、CUEDC2、CXCL10、CXCL11、CXCL8、CXCL9、CYLD、FADD、FBXW5、FOS、GM-CSF、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNG、IKBKB、IKBKE、IKBKG、IL12A、IL12B、IL18、IL1B、IL6、IL8、IRAK1、IRAK2、IRAK3、IRAK4、IRF3、IRF5、IRF7、JUN、LBP、LY96、MAP2K1、MAP2K2、MAP2K3、MAP2K4、MAP2K6、MAP2K7、MAP3K7、MAP3K8、MAPK1、MAPK10、MAPK11、MAPK12、MAPK13、MAPK14、MAPK3、MAPK8、MAPK9、MBL2、MIR105-1、MIR6502、MIR718、MIR98、MIRLET7E、MIRLET7I、MLST8、MYD88、NFKB1、NFKB2、NFKBIA、OTUD5、PELI1、PELI2、PELI3、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R5、PLK1、プローブ、PTPN6、RAC1、RBCK1、RELA、RIPK1、RNF216、RNF31、RNF41、SARM1、SFTPA2、SFTPD、SIGIRR、SMAD6、SOCS1、SPP1、SQSTM1、STAT1、SYK、TAB1、TAB2、TAB3、TBK1、TICAM1、TICAM2、TIFA、TIRAP、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMED7、TNFA、TNFAIP3、TOLLIP、TRAF3、TRAF6、TRAFD1、TREM1、USP7、ZMYND11などの因子の発現を低減し得る。
【0063】
一部の実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症アテローム性動脈硬化症、循環器疾患、II型糖尿病、癌、関節炎、関節リウマチ、歯周炎、白内障、骨粗鬆症、繊維症、肝硬変、特発性肺線維症、心臓繊維症、子宮繊維症、瘢痕化、関節繊維症、慢性腎臓疾患、クローン病、ケロイド、骨髄線維症、後腹膜線維症、強皮症、硬化症、慢性創傷(糖尿病足病変潰瘍など)、慢性皮膚繊維症、皮膚繊維症、皮膚老化、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、脱毛、組織萎縮、閉経、早発卵巣機能不全、子宮内膜過形成、腺筋症及びサルコペニアなどの老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0064】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、繊維症を有効に予防及び/又は治療し得る。従来技術において、繊維症、炎症誘発繊維症、炎症及びインフラメージングを、例えば動物モデル(例えば、マウス又はラット)にブレオマイシン又はリポ多糖を投与することにより、動物においてモデル化することができることは広く受け入れられている。
【0065】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、肺線維症を有効に予防及び/又は治療し得る。肺線維症の非限定的な例としては、限定されないが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、間質性肺疾患(ILD)が挙げられる。
【0066】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、脱毛又は脱毛症を有効に予防及び/又は治療し得る。脱毛の非限定的な例としては、限定されないが、円形脱毛症、完全脱毛症及び全身性脱毛症及び男性ホルモン性脱毛症が挙げられる。
【0067】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、肝硬変を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0068】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、NASHを有効に予防及び/又は治療し得る。
【0069】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、II型糖尿病を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0070】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、慢性創傷を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0071】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、限定されないが、閉経、早発卵巣機能不全、子宮内膜の過形成、腺筋症、多嚢胞性卵巣症候群など、女性に特異的な老化関連疾患を有効に予防及び/又は治療し得る。
【0072】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、サルコペニアを有効に予防及び/又は治療し得る。
【0073】
一部の好ましい実施形態において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩と、治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩と、を含む医薬組成物及び方法は、サルコペニアを有効に予防及び/又は治療し得る。サルコペニアは、骨格筋の質量及び機能の損失を特徴とする状態であり、高齢者、特に高齢の男性の中で高い有病率で起こる。したがって、筋肉量の増加は、かかる症状を改善又は治療する方法としてみなされ得る。
【0074】
一部の実施形態において、本発明は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を有する医薬組成物であって、治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、医薬組成物を含み得る。さらなる実施形態において、本発明は、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩;治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩;及び少なくとも1種の薬剤として許容可能な賦形剤を有する医薬組成物を有効量で対象に投与することを含む、その必要がある対象において病状を治療する方法であって、治療薬Xは、非ステロイド性抗炎症薬であり、及び治療薬Yは、脂肪酸酸化阻害剤である、方法を含み得る。
【0075】
一部の実施形態では、医薬組成物中において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩及び治療薬Y又はその薬剤として許容可能な塩は、単一の剤形に含まれる。
【0076】
さらなる実施形態では、医薬組成物中において、治療薬X又はその薬剤として許容可能な塩及び治療薬Y又は薬剤として許容可能な塩は、別々の剤形で存在する。
【0077】
一部の実施形態において、治療薬Xは、COX阻害剤、サリチル酸塩、イブプロフェン、フェノキシイブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、セレコキシブ、メフェナム酸、エトリコキシブ、インドメタシン、ケトロラク、テトラクロロフェン酸、スリンダク及びトメチンの少なくとも1つから選択される。一部の実施形態において、治療薬Xは、サリチル酸塩又はその誘導体である。一部の実施形態において、治療薬Xは、2-アセチルオキシ安息香酸である。一部の実施形態において、治療薬Yは、CPT阻害剤、カルニチン生合成阻害剤、3-ケトアシル-補酵素Aチオラーゼ阻害剤、エトモキシル、オクスフェニシン、ペルヘキシリン、ミルドロネート、1-(2,3,4-トリメトキシベンジル)ピペラジンジヒドロクロリド、トリメタジジン、エトキシルカルニチン、アミノカルニチン又はカルニチンのホスフォニルオキシ誘導体の少なくとも1つから選択される。一部の好ましい実施形態において、治療薬Yは、1-(2,3,4-トリメトキシベンジル)ピペラジンジヒドロクロリドである。
【0078】
一部の実施形態において、治療薬Xと治療薬Yとの質量比は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1を含む1:1~10:1である。一部の好ましい実施形態において、治療薬の質量比は、5:1又は6:1又は7:1である。
【0079】
一部の実施形態において、治療薬Xの量は、概して、1mg/kg~100mg/kg以上/日の範囲であり得、治療薬Yの量は、概して0.25mg/kg~100mg/kg以上/日の範囲であり得る。使用される正確な量は、正確な疾患徴候及び個体の生理機能に応じて異なる。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、n日に1回投与され得、nは1~14の範囲である。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、1日に1回又は1日に複数回投与され得る。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、週ごとなどで投与され得る。
【0080】
一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、同時に投与される。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、単一の剤形に含まれる。一部の実施形態において、単一の剤形での治療薬X及び治療薬Yの投与の可能性のある経路としては、限定されないが、経口、舌下、口腔内、経鼻、吸入、気管内、静脈内、動脈内、冠動脈内、髄腔内、筋肉内、腹腔内、心筋内、経心内膜、経心外膜、皮下、経皮、経腟、経直腸又は点耳が挙げられる。一部の好ましい実施形態において、単回投与剤形の治療薬X及び治療薬Yは、経口又は静脈内又は皮下投与される。
【0081】
一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、それぞれ投与される。一部の実施形態において、治療薬Xは、治療薬Yの前に投与される。一部の実施形態において、治療薬Xは、治療薬Yの後に投与される。一部の実施形態において、別々の剤形での治療薬X及び治療薬Yの投与の可能性のある経路としては、限定されないが、経口、舌下、口腔内、経鼻、吸入、気管内、静脈内、動脈内、冠動脈内、髄腔内、筋肉内、腹腔内、心筋内、経心内膜、経心外膜、皮下、経皮、経腟、経直腸又は点耳が挙げられる。一部の実施形態において、別々の剤形の治療薬X及び治療薬Yは、経口又は静脈内投与される。
【0082】
一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、それぞれ経口投与される。一部の実施形態において、治療薬X及び治療薬Yは、それぞれ注入によって投与される。
【0083】
非経口的注入用の医薬組成物としては、薬剤として許容可能な無菌若しくは非無菌の、水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン及び無菌注射可能な溶液又は分散液中に再構成するための粉末が挙げられる。
【0084】
一部の実施形態において及びより有効な分布のために、本発明の化合物は、ポリマーマトリックス、リポソーム及びミクロスフェアなどの持続型徐放性又は直接投与システムに埋め込まれ得る。
【0085】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、経口投与用の固形組成物であり得、その具体的な例としては、錠剤、顆粒、細顆粒、カプセル、粉末及び丸剤が挙げられる。本発明の固形経口組成物は、治療薬X又は治療薬Yの薬剤として許容可能な塩又はその組合せに加えて、それに添加される賦形剤、結合剤、滑沢剤等を有し得、各剤形に製剤化され得る。使用され得る賦形剤の例としては、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶質セルロース、ショ糖、グルコース、マンニトール、ソルビトール及び炭酸カルシウムが挙げられる。結合剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールが挙げられる。滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム及びタルクが挙げられる。かかる配合物は、多くの情報源において詳細に記述されており、それは、当業者によく知られており、容易に入手可能である。例えば、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy, edited by Allen, Loyd V., Jr, 22nd editionには、主題の本発明と関連して使用され得る配合物の製造が記述されている。
【0086】
以下の実施例は、本出願の純粋な具体例であることが意図され、したがって、決して本発明を限定するとみなすべきではない。以下の実施例及び詳細な説明は実例として提供されており、限定する目的で提供されるものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1:LPS誘発炎症
リポ多糖(LPS)は、多くの病原性微生物によって発現される一般的な抗原であり、非ステロイド性抗炎症薬のみで治療することができない宿主応答に対する重篤な作用を有する。特に、LPSでの腹腔内治療は、炎症誘発性因子の産生の増強、高レベルの免疫浸潤及び肺における内皮及び血管完全性の損失など、ヒトARDSの多くの特徴も再現する病原体誘発CRSの信頼できるモデルである。
【0088】
実験を開始する前に、成体の6~8週齢DIOマウスに高脂肪食(Jackson Labs)を12週間与えた。DIOマウスにLPS(Sigma)5mg/kgを腹腔内投与した。通常の固形飼料食を摂るマウスはコントロールとしての役割を果たした。PBS賦形剤を注入されたマウスは、薬物治療に対するコントロールとしての役割を果たした。LPSで刺激して6時間後にマウスを殺した(
図1A)。分子アッセイのために肺を液体窒素で凍結するか、又は組織学的検査のためにホルマリンで固定した。組織検査の結果、すべてのLPS処置マウスからの肺組織において重篤な肺うっ血、肺胞の肥厚、硝子膜形成及び炎症性浸潤が示されたが、これらの変化はDIOマウスにおいてより顕著であった。DIOマウスからの肺は、正常なマウスと比較して、肺タンパク質含有量、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数及びBALF中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の増加によって示される、ALIのより重篤な徴候を示した。これらの結果から、食餌誘発性肥満(DIO)マウスは、LPS誘発肺損傷に罹りやすいことが分かる(
図1B)。
【0089】
死亡率及び生存率に対する影響を試験するために、用量30mg/kgでLPSを腹腔内に注入した。LPSの注入後3日間、マウスの死亡率を12時間ごとに記録した(n=12)。LPS処置DIOマウスは、16時間で死に始め、マウスの約80%が40時間までに死んだ。それと対照的に、LPSで処置された正常なマウスは、より長く生き、約40%のみ40時間までに死んだ。これらの結果から、食餌誘発性肥満(DIO)マウスは、LPS誘発炎症が原因の死に至りやすいことが分かった(
図1B)。
【0090】
肺内への炎症細胞の浸潤をさらに評価することにより、肺ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性及びBALF中の好中球の数が、正常なマウスと比較してDIOマウスにおいて高いことが分かった。BALF及び肺組織中のTNF-aのレベルも、LPSで処置された正常なマウスよりも、DIOマウスにおいてかなり高かった。これらの結果から、肥満症はLPS誘発肺炎症を増悪することが分かる(
図1C)。
【0091】
薬物X及びYでの予防的処置がALI病因をブロックし得るか否かを試験するために、本発明者らは、X及びYの腹腔内注入を用いたレスキュー実験を実施した。この実験において及びこれから示す実施例において、Xは、2-アセトキシ安息香酸(CAS番号:50-78-2)であり、Yは、1-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン(CAS番号:5011-34-7)である。組織学的分析から、LPS注入の2週間前に薬物の組合せXYで予防的に処置されたDIOマウスの肺構造が、LPS注入の2週間前に、Xのみ、Yのみ又はPBS賦形剤で処置されたDIOマウスと比較して、有意に向上したことが示された。これらの結果から、薬物の組合せXYが、DIOマウスにおいてALIを改善することが分かる(
図1B)。
【0092】
生存率分析からさらに、LPS注入の2週間前に薬物の組合せXYで予防的に処置されたDIOマウスの生存率が、LPS注入の2週間前に、Xのみ、Yのみ又はPBS賦形剤で処置されたDIOマウスと比較して、有意に向上したことが示された。これらの結果から、薬物の組合せXYが、DIOマウスにおいてALI誘発死を防ぐことが分かる(
図1B)。
【0093】
さらに、BALF中の水腫形成タンパク質、細胞数、LDH含有量及び好中球数並びにLPS注入の2週間前に薬物の組合せXYで予防的に処置されたDIOマウスのMPO活性が、LPS注入の2週間前に、Xのみ、Yのみ又はPBS賦形剤で処置されたDIOマウスと比較して、すべて有意に減弱された。これらの結果から、薬物の組合せXYが、LPS誘発肺炎症を改善することが分かる(
図1C)。
【0094】
実施例2:ウイルス補助受容体
薬物治療が、ウイルス感染の低減に潜在的な有効性を有する、ウイルス補助受容体発現の低減に有効であり得るかを試験するために、本発明者らは、XY処置の3日後、様々な臓器のRNAseqプロファイリングを実施した。簡潔には、全RNAをエタノール沈殿によって精製し、RNAseqに送った。Nova-PE150 platform(Illumina)を使用して、ペアードエンドライブラリーを作成し、配列決定した。
図2及び3は、薬物の組合せXYがC型肝炎ウイルス補助受容体CD36及びCD81の発現を低減することを示す。
図4及び5は、薬物の組合せXYがA型肝炎ウイルス補助受容体HAVCR1及びHAVCR2の発現を低減することを示す。
図6は、薬物の組合せXYが、SARS-CoV及びSARS-CoV-2に対する補助受容体、ACE2並びにMERSコロナウイルスに対する補助受容体、DPP4の発現を低減することを示す。
図7~12は、薬物の組合せXYが、アデノウイルス、パルボウイルス及びサイトメガロウイルスに対する補助受容体である、インテグリンα(v)、インテグリンβ1、インテグリンβ3、インテグリンβ5、インテグリンβ6の発現を低減することを示す。これらの結果から、薬物の組合せXYが、ウイルス感染症の拡散を軽減し得ることが分かる。
【0095】
実施例3:老化哺乳類組織における老化細胞
老化を示す哺乳動物細胞は、老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)及びp16INK4Aのタンパク質発現及びH3K9me3などの老化関連ヘテロクロマチンマーカーに関して陽性染色によって標識される。薬物X及びYが加齢マウスの組織における老化を低減し得るかを試験するために、本発明者らは、DMSO賦形剤コントロールに対して、20mg/kgのX、又は4mg/kgのY、又は20mg/kgのXと4mg/kgのYの両方を2歳の加齢マウス(n=10/群)に、30日間毎日、腹腔内注入した。製造元のプロトコルに従い、老化β-ガラクトシダーゼ染色キット(Cell Signaling Technology)を使用して、SA-β-gal活性に関して肝臓、筋肉及び皮膚組織切片の染色を実施した。肝臓、筋肉及び皮膚組織試料のウェスタンブロットのデンシトメトリー定量化により、p16INK4A及びH3K9me3のタンパク質発現を評価した。その結果から、DMSO賦形剤コントロールに対して、X単独又はY単独ではなく、X及びYの薬物の組合せのみが、老化した肝臓、筋肉及び皮膚組織において老化の3つすべてのバイオマーカーを有意に低減したことが明らかとなった(P<0.01)(
図13A~13C)。このことから、X及びYの薬物の組合せは、老化細胞を低減し、及び/又は老化を逆転させ得ることが示唆される。
【0096】
実施例4:老化中の皮膚創傷治癒及び組織修復
哺乳動物では、老化に伴って組織修復の速度の低下が顕在化する。この現象の1つの動物モデルは、若いマウスと比べて、老化db/dbマウスにおける遅れた皮膚創傷治癒である。慢性創傷は、生後9か月のマウスの背面皮膚上に直径6mmの全層切除創傷を施すことによってdb/dbマウスにおいて作成した。本発明らは、適切に記述されているマウス全層切除創傷モデル(Loh et al., 2009)を使用した。簡潔には、6mmの使い捨て生検パンチ(Delasco)を用いて、マウスの背面皮膚上に2つの円形全層創傷を形成した。シリコン製創傷副子(Grace BioLabs)を4-0ナイロンで縫合して、皮膚の拘縮を防いだ。滅菌密封包帯で創傷を覆い、毎日モニターした。永久的マーカーを頻繁に適用することにより、境界をモニターした。実験期間全体を通して、様々な時点で写真を撮影した。傷を付けて20日後に創傷を開放した状態にし、慢性創傷で予想されるように、3か月間にわたって時折解放した。薬物X及びYが加齢マウスの慢性創傷を治療できるかを試験するために、本発明者らは、傷を付けて20日後に加齢マウス(n=10/群)に、DMSO賦形剤コントロールに対して、20mg/kgのX、又は4mg/kgのY、又は20mg/kgのXと4mg/kgのYの両方を30日間毎日、腹腔内注入した。
【0097】
背面創傷領域の定量化から、DMSO賦形剤コントロールに対して、X単独又はY単独ではなく、X及びYの薬物の組合せのみが、慢性創傷を有する加齢マウスにおける組織修復を有意に促進したことが明らかとなった(P<0.01)(
図14)。
【0098】
実施例5:老化中の脱毛及び毛の再成長
老化に伴って、ヒトにおいて、最も明らかには、男性型脱毛症又は老人性脱毛症を示す男性において脱毛又は脱毛症が顕在化する。炎症及び老化又はインフラメージングは、脱毛症の危険因子である。この現象の動物モデルは、脱毛後の、インフラメージングを有するob/obマウスにおける遅れた毛の再生である。脱毛剤クリームを用いて8週齢マウスから背面の毛を除去した(0日目)後、野生型マウス3匹及びインフラメージングマウス3匹を、脱毛領域の大部分が毛で覆われるまで定期的にモニターした。再生された毛は、桃色がかった剪毛された皮膚上で黒っぽい毛として見られた。NIH ImageJソフトウェアプログラム(NTIS, Springfield, VA)を使用して、毛の再生領域を定量化した。毛周期が野生型マウスにおいて8週齢で第2休止期に達した場合、脱毛は、脱毛後の第1週までに成長期への急速な移行を含み、野生型マウスにおいて脱毛後の第4週までに毛の再生を完了する。対照的に、成長期の第1徴候は、インフラメージングマウスにおける脱毛後の6週目にのみ確認された。薬物X及びYが、インフラメージングマウスにおける毛の再生欠陥を改善し得るかを試験するために、本発明者らは、脱毛後のインフラメージングマウス(n=10/群)に、DMSO賦形剤コントロールに対して、20mg/kgのX、又は4mg/kgのY、又は20mg/kgのXと4mg/kgのYの両方を30日間毎日、腹腔内注入した。毛の再生を有する背面皮膚領域の定量化から、DMSO賦形剤コントロールに対して、X単独又はY単独ではなく、X及びYの薬物の組合せのみが、脱毛後のインフラメージングマウスにおいて毛の再成長を有意に促進することが明らかとなった(P<0.01)(
図15)。
【0099】
実施例6:老化中の組織線維形成及び組織変性
老化哺乳動物は、繊維症を回復する能力の低減も示し、例えば、特発性肺線維症(IPF)、肝臓繊維症及び心臓繊維症において組織瘢痕化及び回復不能な臓器損傷が引き起こされる。IPFの動物モデルは、マウスにおけるブレオマイシン誘発肺損傷である。若年及び加齢マウスに、ケタミン(100mg/kg)及びキシラジン(10mg/kg)を腹腔内注入して麻酔をかけ、次いでブレオマイシン(1.25U/kg)を気管内投与して肺損傷を誘発するか、又は生理食塩水(合計体積50μL)を投与した。マッソン三色染色で肺組織切片における線維性領域を測定することにより、繊維症を定量化した。肝臓繊維症と心臓繊維症の両方の動物モデルは、インフラメージングマウスモデル、すなわち高脂肪、高糖質、高コレステロール食が90日間与えられたob/obマウス(Research Labs)である。薬物X及びYがブレオマイシン損傷マウスにおける肺繊維症及びインフラメージングマウスにおける心臓繊維症を改善し得るかを試験するために、本発明者らは、ブレオマイシン処置マウス(n=10/群)及びインフラメージングマウス(n=10/群)に、DMSO賦形剤コントロールに対して、20mg/kgのX、又は4mg/kgのY、又は20mg/kgのXと4mg/kgのYの両方を30日間毎日、腹腔内注入した。マッソン三色染色による繊維症の定量化から、DMSO賦形剤コントロールに対して、X単独又はY単独ではなく、X及びYの薬物の組合せのみが、インフラメージングマウスにおける繊維症を有意に逆転させることが明らかとなった(P<0.01)(
図16)。
【0100】
実施例7:炎症及び死亡
老化及び特にインフラメージングは、敗血症性ショック又は炎症誘発性サイトカイン放出症候群が原因の死亡リスクの上昇とも関連する。これは、一部には、インフラメージング誘発免疫老化が原因であり、それにより多臓器不全及び死の原因となる、機能不全性免疫応答が引き起こされる。この現象の動物モデルは、加齢マウスにおけるLPSエンドトキシン誘発敗血症性ショックである。死亡率の研究のために、LPS(Sigma Aldrich)を用量30mg/kgにて腹腔内に注入した。各群におけるLPS曝露後3日間、12時間ごとにマウスの死亡率を記録した。薬物X及びYがLPS誘発敗血症の致死作用を予防的に改善し得るかを試験するために、本発明者らは、LPS誘発にかける前に、DMSO賦形剤コントロールに対して、20mg/kgのX、又は4mg/kgのY、又は20mg/kgのXと4mg/kgのYの両方を30日間毎日、2歳の加齢マウス(n=10/群)に腹腔内注入した。時間の経過による生存率の定量化から、DMSO賦形剤コントロールに対して、X単独又はY単独ではなく、X及びYの薬物の組合せのみが、LPS曝露後に生存率を有意に向上させることが明らかとなった(P<0.01)(
図17)。
【0101】
実施例8:免疫老化関連遺伝子シグネチャー
老化及び特に慢性インフラメージングは、免疫老化、すなわちナイーブT細胞の減少及び老化に伴う免疫細胞サブセットの機能障害の歪みを引き起こす。これは、Treg及びTh2駆動抗炎症反応の犠牲により、免疫学的に曝露されたとき、Th17及びTh1駆動炎症誘発性反応における異常なスパイクの原因となり、それにより致死的なサイトカイン放出症候群及び/又は敗血症が引き起こされ得る。X及びYの薬物の組合せが免疫応答に影響するか否かを試験するために、本発明者らは、DMSO賦形剤コントロールに対して、20mg/kgのX及び4mg/kgのYで30日間毎日、処置されたマウスから末梢血単核細胞(PBMC)を単離し、RNAseq(Illumina)のためにトリゾール(Trizol)(Invitrogen)でそのRNAを抽出した。遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA;Broad Institute)後、本発明者らの結果から、X及びYの薬物の組合せが、Th1炎症誘発性シグネチャー、Th1関連/pro-Th17サイトカインIL2シグネチャー、Th1/Th17-関連サイトカインIFNGシグネチャー及びpan活性化Th関連サイトカインIL3/IL5/GM-CSFシグネチャーを抑制することが示された(
図18A及び18B)。対照的に、X及びYは、IL4、IL10及びIL13のTh2/Treg-関連抗炎症性サイトカインシグネチャーを促進した(
図18C)。
【0102】
実施例9:インフラメージングを抑制する、運動の模倣
身体の筋肉の運動は、慢性インフラメージング及び免疫老化などの老化作用を改善することが知られている。X及びYの薬物の組合せが、身体の運動の効果に影響するか否かを試験するために、インフラメージングマウスにおける大腿四頭筋の凍結切片をI型遅筋線維に対して免疫染色し(
図19A)、蛍光顕微鏡検査法(Carl Zeiss)で調べた。この結果から、X及びYの薬物の組合せがI型筋繊維の領域を2倍超にすることが分かり(P<0.01)、X及びYの薬物の組合せが、持久力運動の効果を模倣及び増強することが示された(
図19B)。さらに、筋繊維の断面積の定量化により、X及びYの薬物の組合せが、100ピクセルの閾値を超える領域を有する筋繊維の割合を増加することが示され(P<0.01)、X及びYの薬物の組合せが、身体の運動のような筋肉の肥大を誘発したことが示唆される(
図19C)。最後に、握力メーター(Bioseb)で生じた最大ピーク強度の6つの測定値の平均として握力を測定し、その体重に対して規準化した。その結果から、X及びYの薬物の組合せがインフラメージングマウスの握力を有意に増加することが分かり(P<0.01)、X及びYの薬物の組合せが、身体運動のような体肢筋の強度を増加することを示す(
図19D)。
【0103】
実施例10:運動の模倣が、分泌因子を誘発して、インフラメージングを抑制する
身体の筋肉の運動は、代謝促進性及び免疫修飾物質サイトカインの分泌を促進することにより、慢性インフラメージング及び免疫老化などの老化作用を改善することが知られている。X及びYの薬物の組合せが、かかる分泌因子を介して身体の運動の作用に影響を及ぼすか否かを試験するために、インフラメージングマウスの筋肉をRNAseqでプロファイリングし、インフラメージングマウスの血清をELISA(R&D)でプロファイリングした。この結果から、Angptl8、Angptl3、Angptl4、アディポネクチン、BDNF、IGF1、IL6、イリジン及びLIFを含む、マイオカインなどの様々な分泌因子がX及びYの薬物の組合せによって有意に増加することが分かり(P<0.01)(
図20)、X及びYの薬物の組合せが、身体運動の作用を模倣し、マイオカインなどの多くの分泌因子を誘発することにより、老化及びインフラメージングに少なくとも一部影響を及ぼすことを示す。
【0104】
実施例11:カロリー制限の模倣は、抗老化遺伝子経路を誘発する
カロリー制限は、細胞生体エネルギーストレスを変化させ、ミトコンドリア活性、小胞体ストレス応答(UPR)、有益なサイトカインの分泌及び幹細胞の再生の増加を促進することにより、老化作用を改善することが知られている。X及びYの薬物の組合せがカロリー制限(CR)の作用を模倣するか否かを試験するために、本発明者らは、Xのみ(100mg/L)又はYのみ(2mg/L)と比較して、X(100mg/L)及びY(2mg/L)で処置された、15継代のヒト骨格筋初代細胞の代謝をプロファイルした。その結果から、TMTpro 16plexキット及びQ-Exactive HF-X質量分析(Thermo Fisher;
図21A~21C)を用いて、熱的プロテオームプロファイリングに従い、ミトコンドリアのタンパク質UQCRH、NDUFS6及びCOX7A2に直接結合されたX及びYが、数分以内にATPレベルを相乗的に低減し(
図22)、アセチル-CoA及びタンパク質アセチル化を相乗的に低減し(
図23)、Abcam ab23707抗体での免疫染色に従ってパーキン誘導マイトファジー対してPink1を相乗的に増加させ(
図24)、ミトコンドリア標的化タンパク質レベルを相乗的に増加させ(
図25A及び25B)、核ゲノムB2Mに対して、ミトコンドリアゲノムND1及びND4に関して、qRT-PCRに従ってミトコンドリアDNAレベルを相乗的に増加させ(
図26)、RNAseq(Illumina HiSeq)及び遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)に従い、IRE1a仲介小胞体ストレス応答(UPR)を相乗的に増加させ(
図27)、ミトコンドリア反応性酸素種を相乗的に減少させる(ROS;
図28A及び28B)ことが分かった。X及びYは、遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)(
図29A~29C)に従い、NGF、GDNF及びセマフォリンなど、様々なサイトカイン経路の活性を相乗的に増加させ、X及びYの薬物の組合せは、神経内分泌系を刺激し、カロリー制限を模倣することにより、老化を遅らせることが示される。最後に、X及びYの薬物の組合せは、RNAseq(Illumina Hiseq)及び遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)に従い、Hippo、Notch-Hes-Hey、HIF1a及びインテグリン-MAPKなど、幹細胞経路の発現を増加させ(
図30A~30E)、幹細胞性及び再生能力を増加することを示す。これらの有益な抗老化作用のいずれもX単独若しくはY単独又は賦形剤で確認されなかった。
【0105】
実施例12:生体内での抗老化、再生促進性応答の誘導
カニクイザルにおけるX及びYの薬物の組合せの適用により、カロリー制限のように、神経内分泌サイトカインが増加し、それにより抗老化関連筋の再生が増加し、老化関連中心性肥満が減少した。DURO-TAK 87-2677 PSA(圧感接着剤)溶液にX及びYを溶解し、剥離フィルム(Scotchpak(商標)1022)上にそれをコーティングし、続いて焼付け乾燥させ、基材フィルム(Scotchpak(商標)1109)とラミネートすることにより、本発明者らは、7日ごとに薬物X及びYの経皮徐放のための薬物接着パッチを作成した。経皮薬物処置の2ラウンド後、本発明者らは、カニクイザルの合計体重及び腹囲の両方(加齢誘発中心性肥満の指標)が約10~20%有意に減少し、下腿周囲長(骨格筋成長及び再生の指標)が約8%増加したことを見出した(
図31)。重要なことには、神経内分泌サイトカインBDNF及びLIF(R&D Systems ELISA)のその血漿レベルも、X単独若しくはY単独又は賦形剤ではなく、X及びYの薬物の組合せでの処置後に有意に増加した(
図32A及び32B)。臨床血液学又は臨床血液化学に従って毒性は確認されなかった(
図33A及び33B)。
【0106】
X単独(20mg/kg)又はY単独(4mg/kg)又は賦形剤(リン酸緩衝生理食塩水又はPBS中のDMSO)に対して、薬物の組合せX(20mg/kg)及びY(4mg/kg)の6週間にわたる毎日の経口経管栄養法により、1歳の老化糖尿病性マウスにおける抗老化関連組織の再生の増加が生じた。老化関連脂肪肝炎を有するその肝臓において、X及びYは、Ki67(Abcam ab16667)免疫染色によって示される肝細胞増殖の増加から確認されるように、肝臓の再生を促進した(
図34)。2型糖尿病による老化関連膵炎を有するその膵臓において、X及びYは、マッソントリクローム染色に従ってβ膵島細胞繊維を低減し(
図35)、Ki67(Abcam ab16667)免疫染色(
図36A及び36B)及びOri遺伝子からのプライマーを使用して、Pax6、Mafa、Pdx1及びInsに対するqRT-PCR(
図37A及び37B)に従ってβ膵島細胞成長及び増殖を増加させ、それにより膵臓β膵島細胞の再生が促進された。その皮膚において、剃毛し、背面皮膚パンチ(直径10mm)で傷を付けた後、X及びYは、64日まで老化した毛の再生及び創傷治癒の両方を促進した(
図38)。その大腿四頭筋において、X及びYは、ミオシン重鎖のタンパク質レベル(MHC;Sigma-Aldrich-M4276抗体)(
図39)を増加させ、それにより骨格筋の再生が促進された。さらに、合計体重が、筋肉萎縮及びサルコペニアを有する老化したコントロール動物と比較して有意に増加し、X及びYがサルコペニアを逆転させたことを示す(
図40)。これらの有益な抗老化作用のいずれもX単独若しくはY単独又は賦形剤コントロールで確認されなかった。
【0107】
X単独若しくはY単独又は賦形剤に対して、薬物の組合せX及びYの3週間にわたる毎日の経口経管栄養法により、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)をモデルにするために、気管内ブレオマイシン(50ulリン酸緩衝生理食塩水又はPBS中に3mg/kg)で処置された1歳の加齢マウスにおける老化関連肺繊維症の減少が生じた。線維性領域%のマッソン三色染色及びImageJ(NIH)定量化により、X及びYで処置されたマウスの肺で、繊維症のレベルが有意に低いことが明らかとなった(
図41)。これらの有益な抗老化作用のいずれもX単独若しくはY単独又は賦形剤コントロールで確認されなかった。X単独若しくはY単独又は賦形剤に対して、X及びYの薬物の組合せの6週間にわたる毎日の経口経管栄養法により、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)における早発性卵巣老化をモデルにするために、皮下デヒドロイソアンドロステロン(DHEA;60mg/kg体重)で処置し、及び高脂肪-高糖質、高コレステロール食餌を無制限に与えた雌の成体ラットにおいて発情周期が回復された。膣塗抹分析から、X及びYで処置された雌のラットの大部分が、発情周期を回復したことが明らかとなった(
図42)。これらの有益な抗老化作用のいずれもX単独若しくはY単独又は賦形剤コントロールで確認されず、ラットすべてが、発情期又は発情前期の段階のいずれかで凍結された。
【0108】
本発明は、その好ましい実施形態及びその具体的な実施例を参照して本明細書で例証及び説明されているが、他の実施形態及び実施例は、同様の機能を果たし、及び/又は同様の結果を達成し得ることが当業者に容易に理解されるであろう。このような均等な実施形態及び実施例は、本発明の趣旨及び範囲内にあり、それにより企図され、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【国際調査報告】