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▶ インサイテック ファーティライザーズ オペレーションズ プロプライエタリ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】さらに改良された肥料
(51)【国際特許分類】
   C05G 5/10 20200101AFI20231226BHJP
   C05G 5/30 20200101ALI20231226BHJP
   C05F 11/02 20060101ALI20231226BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20231226BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20231226BHJP
   B09B 3/21 20220101ALI20231226BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20231226BHJP
   B01J 2/28 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C05G5/10
C05G5/30
C05F11/02
B09B3/40 ZAB
B09B3/35
B09B3/21
B01J2/00 C
B01J2/00 A
B01J2/28
B01J2/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563131
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 AU2021051554
(87)【国際公開番号】W WO2022133548
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2020904839
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523239479
【氏名又は名称】インサイテック ファーティライザーズ オペレーションズ プロプライエタリ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、チャールズ ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ホーガン、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】デュラック、エレン
(72)【発明者】
【氏名】ハリール、ロヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、ティモシー
【テーマコード(参考)】
4D004
4G004
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA01
4D004AA02
4D004BA04
4D004CA04
4D004CA14
4D004CA26
4D004CC15
4G004AA03
4G004BA00
4G004NA03
4H061AA02
4H061AA04
4H061BB10
4H061BB15
4H061BB32
4H061BB52
4H061BB54
4H061CC11
4H061CC19
4H061CC37
4H061CC38
4H061DD11
4H061DD16
4H061DD18
4H061EE17
4H061EE27
4H061EE43
4H061EE61
4H061EE65
4H061FF07
4H061FF08
4H061FF12
4H061FF15
4H061GG12
4H061GG13
4H061GG18
4H061GG19
4H061GG20
4H061GG24
4H061GG25
4H061GG26
4H061GG41
4H061HH02
4H061KK02
4H061KK07
4H061LL15
4H061LL25
4H061LL26
4H061LL30
(57)【要約】
分離した粒子の形態の固体配合肥料であって、その固体肥料は、生物的な利用が可能な放出プロファイルを有し、その固体肥料は、単一の粒子の中に、不安定な炭素を含む焙焼有機廃棄物及び結合剤を含む、固体配合肥料。焙焼有機材料は、結合剤によって結合されて単一の粒子になることにより、土壌又は生育培地への配合肥料組成物の適用後、その有機材料の不安定な炭素が微生物による代謝への利用が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離した粒子の形態の固体配合肥料であって、生物的な利用が可能な放出プロファイル(biological relase profile)を有し、単一の粒子中に以下を含む前記固体肥料;
(i)不安定な(labile)炭素を含む焙焼有機廃棄物;
(ii)結合剤;
ただし、前記焼有機材料は、前記結合剤によって結合されて前記単一の粒子になり、土壌又は生育培地への前記配合肥料組成物の適用後に、前記有機材料の前記不安定な炭素は微生物による代謝への利用が可能になる。
【請求項2】
(iii)無機材料又は合成材料
をさらに含む、請求項1に記載の固体肥料。
【請求項3】
焙焼有機材料と無機材料又は合成材料とが、結合剤によって互いに結合されて単一の粒子になることにより、前記有機材料及び前記無機材料又は合成材料の不安定な炭素のそれぞれが、肥料の適用後に微生物による代謝への利用が可能になる、請求項2に記載の固体肥料。
【請求項4】
無機材料又は合成材料が、結合剤によって結合された焙焼有機材料の外面の少なくとも一部の周りのコーティングである、請求項2に記載の固体肥料。
【請求項5】
結合剤が、レオナルダイトである、請求項1~4のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項6】
少なくとも約5w/w%の結合剤を含む、請求項1~5のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項7】
単一の粒子の水分含有量が、8wt%未満である、請求項1~6のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項8】
粉砕強度が、少なくとも約2.0KgFである、請求項1~7のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項9】
無機材料が、N、P、K又はS栄養素のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項10】
合成材料が、尿素、リン酸一アンモニウム(MAP)、リン酸二アンモニウム(DAP)、硫酸アンモニア(SOA)、塩化カリウム(MOP)、硫酸カリウム(SOP)、炭酸マグネシウム及び植物が利用可能なケイ素のうちの1つ又は2つ以上から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項11】
分離した粒子が、顆粒又はペレットである、請求項1~10のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項12】
分離した粒子が、実質的に球形の形状であり、直径が約2~5mmの平均粒径を有する、請求項11に記載の固体肥料。
【請求項13】
分離した粒子が、疎水性コーティングでコーティングされている、請求項1~12のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項14】
DMP及び亜鉛から選択される硝化阻害剤をさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項15】
植物に利用可能なケイ素が例示される、非生物的ストレス制御剤をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項16】
微生物を土壌に接種するためのプロバイオティクス又はプレバイオティクスコーティングをさらに含む、請求項1~15のいずれかに記載の固体肥料。
【請求項17】
以下の工程を含む、土壌に適用した際に生物的な利用が可能な放出プロファイルを有する配合肥料組成物を調製する方法:
有機廃棄物を焙焼して、不安定な炭素を含む焙焼有機材料を提供すること、
前記焙焼有機廃棄物を粉砕して、粉砕生成物を生成すること、及び
前記粉砕生成物をペレット化又は造粒して、固体粒子を形成すること;
ただし、前記固体粒子は、結合剤によって一緒に保持されている。
【請求項18】
結合剤の添加が、粉砕生成物のペレット化又は造粒の間に行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項19】
以下を含む、温室効果ガス排出量の削減を、作物収量を実質的に維持して行う方法:
散布装置又は掘削装置を用いて、請求項1~16のいずれかに記載の肥料を、1回の通過で圃場に適用すること又は適用したこと、
ただし、前記装置は、粒子状材料の制御された施用のための設計がなされている。
【請求項20】
以下を含む、肥料のライフサイクルアセスメントから計測されるGHG排出の量を削減するための方法:
請求項1~16のいずれかに記載の固体肥料を調製すること又は調製したこと、
ただし、前記固体肥料を調製する工程又は前記固体肥料を調製した工程の間に、エネルギーを回収するための工程が実行される、
前記固体肥料を土壌に適用すること、ただし、該肥料は、粒子状材料の制御された施用及び配置のために設計された装置を用いて1回の通過で適用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、AU2020904839号にかかる優先権を主張し、その内容の全体が参照により本願に援用される。
【0002】
本発明は、改良された肥料に関する。ある態様において、改良された肥料は、従来技術の肥料再利用廃棄物と比較して、その肥料のライフサイクルにわたって計測されるGHG排出量を削減することができる。ゆえに、本発明は、肥料を形成及び適用するための改良されたアプローチを利用することによってGHG排出量を削減するための方法にも関する。
【0003】
背景技術

肥料は、植物系及び/又は動物系材料などの有機材料を含み得る。それらの材料は、例えば、糞(manure)、死体、食品廃棄物、有機産業廃棄物及びグリーンリター(green litter)であり得る。有機肥料及び/又は炭素系肥料は、土壌の組成の改善、微生物活性の刺激及び/又は土壌へのすべての必須栄養素の漸進的な放出をはじめとした、土壌に有益である傾向がある。
【0004】
無機肥料は、天然及び/又は合成の炭化水素ならびに大気窒素から誘導されるものなどのミネラル、及び時には合成化学物質を含む。無機肥料は、窒素N、リンP及びカリウムKなどの、植物が成長し生存するために必要とする主な栄養素を含み得る。合成肥料は、尿素、リン酸一アンモニウム(MAP)、リン酸二アンモニウム(DAP)、硫酸アンモニア(SOA)、塩化カリウム(MOP)及び硫酸カリウム(SOP)を含み得る。無機肥料からの栄養素は、土壌に浸出する可能性があり、適用ゾーンの微生物コロニーに影響を及ぼす可能性がある。この理由及び他の理由のために、無機肥料は、少なくとも土壌の健康状態を維持するために有機肥料とともに使用されるのが最も良い。
【0005】
温室効果ガス(GHG)排出量に対する有機肥料及び無機肥料の寄与は、十分に実証されている。肥料は、そのライフサイクルにわたっていくつかの方法でGHG排出に寄与することができる。その排出としては、以下が挙げられる:
・使用前の植物性(green)廃棄物/有機廃棄物の貯蔵から生じる排出。
・堆肥化方法からの排出。
・肥料を作製するためのエネルギー集約的な生産方法から生じる排出。
・生産工場から農場への肥料の輸送中に発生する排出。
・適用中に発生する、例えば、それを送達するために使用される農業機械が発生する排出。
・適用後の土壌からの排出。
【0006】
通常CO2当量として報告される、肥料によって放出されるGHGの量を決定するために、ライフサイクルアセスメント(LCA)を行うことができる。
【0007】
堅さ、好適な適用装置、安全要件及び土壌活性の固有の違いに起因して、有機肥料及び無機肥料は、典型的には2つの別々の適用方法で土壌に適用される。有機肥料は、マルチのように、嵩高い傾向があり、堅さを有する。無機肥料は、乾燥粉末もしくはペレット(顆粒、小球、パステル(pastelles))又は可溶性溶液を含む液体などの種々の形態で提供される。
【0008】
2つの異なる送達ニーズを有する2つの異なる肥料タイプに対応するための要件は、必然的に全体的なGHG排出量を増加させる。
【0009】
堆肥及びコンポストのような典型的な有機肥料の嵩高く、むらのある性質及び低い栄養素濃度は、それらを低い適用量で適用することが困難であることと相まって、農業従事者に不定期にそれらを高い適用量で適用させ、その結果、GHG排出の可能性が高くなり、その場合、単一の作物が必要とするよりも高い適用量で栄養素が適用されることが多く、材料の大部分が、一連の損失機序を受ける土壌表面又はその近くに留まることが多い。
【0010】
時折、有機肥料タイプ及び無機肥料タイプの各々を適用するために異なる機械が必要とされる。適用のタイミングも、肥料のタイプごとに異なる必要があり得る。有機肥料中の栄養素は、時間をかけてゆっくり放出される傾向があり、これは、土壌に適用する必要がある有機肥料の量及び回数が所与の期間にわたって変化し得ることを意味し得る。無機栄養素は、通常、植物にとって直ちに利用可能なものである。無機肥料の過剰施肥又は誤った配置もしくは適用手法は、栄養素の濃度が植物、特に発芽中又は未成熟な植物を損傷するリスクを高め得る。2つの異なる栄養素放出プロファイルを有する2つの異なる肥料タイプに対応するための要件は、必然的に全体的なGHG排出量を増加させる。このGHG排出量の増加は、少なくとも輸送及び適用に関連する。
【0011】
環境に対する肥料の影響を最小限に抑えるために、肥料のライフサイクルの段階のうちのいずれか1つの間のGHG排出量を削減することが望ましい。したがって、従来技術の肥料の欠点のいくつかを克服する又は少なくとも向上させる改良された肥料製剤が必要とされている。
【0012】
本明細書中で従来技術が言及される場合、そのような言及は、その公開がオーストラリア又は他の任意の国における当該分野の共通の一般知識の一部を形成するという自認を構成しないことを理解されたい。
【0013】
発明の概要

第1の態様では、分離した粒子の形態の固体配合肥料が提供され、その固体肥料は、生物的な利用が可能な放出プロファイルを有し、その固体肥料は、単一の粒子の中に、
不安定な炭素を含む焙焼有機廃棄物;
結合剤
を含み;
その焙焼有機材料は、結合剤によって結合されて単一の粒子になることにより、土壌又は生育培地への配合肥料組成物の適用後、その有機材料の不安定な炭素が微生物による代謝への利用が可能になる。
【0014】
配合する(compounded)、とは、複数の成分を合わせて1つの単一の粒子にすることを意味する。配合は、個々の状況のニーズに合わせた生成物を作製するために成分/出発物質を組み合わせるか、混合するか又は変更する方法とみなされることが多い。
【0015】
有機材料又は有機廃棄物は、天然材料であり得る。糞、死体及び/又はコンポストなどの有機廃棄物は、微生物方法によって分解されるので、必然的に、関連する微生物によってGHGガスが放出される。本方法は、有機廃棄物の生成後できるだけ速やかに有機廃棄物を焙焼することによって、このGHGガスの放出を回避し得る。そうでなければガスに変化して大気に放出され得る廃棄物中の化学元素は、代わりに、固体形態で捕捉されるか、又はさらなる使用/リサイクルのために焙焼方法中に捕捉される。これにより、焙焼を利用しない従来技術の肥料と比較して、本肥料について計算されるGHGガス排出量が必然的に減少する。したがって、態様では、本発明の方法及び生成物は、有機廃棄物の微生物分解の量を減少させることによって、GHG排出量を減少させることができる。さらに、有機廃棄物は、積荷をさらに増加させる高い水分含有量を有することが多いが、焙焼は、水分の大部分を除去し、これにより、そのような材料中の過剰な水を輸送する必要性を回避するか又は少なくとも低減する。さらに、GHGの削減は、有機材料マルチ/堆肥/湿コンポスト(乾燥固体粒子ではない)を植物の根から離して土壌表面又はその近くに撒き、気体の損失を受ける状態にするのではなく、栄養素及び炭素が植物に利益をもたらすことができるゾーンに土壌中の肥料の粒子がよりうまく配置されることによって生じ得る。実質的に低い割合の有機材料から同じ/類似の又はより良好な生成結果を得ることができることは、その後のGHG排出量が減少する可能性があることを意味する。さらに、態様では、栄養素適用率は、典型的には植物の要求量を超える過剰な栄養素が存在する以前の肥料における有機材料の不定期に行われる典型的な過剰適用と比較して、よりうまく植物の要求量と一致させることができる。
【0016】
ある態様において、上記固体肥料は、無機材料又は合成材料をさらに含む。その肥料が無機材料と組み合わされる場合、肥料中の栄養素は、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)もしくは硫黄(S)のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせを含み得る。栄養素は、NPKS(すなわち、4つすべて)であり得る。栄養素は、NPKSのうちの1つ以上であり得る。栄養素は、リン灰土、炭酸マグネシウム及び植物が利用可能なケイ素であり得る。栄養素は、合成的に作られた肥料であり得、例えば、合成材料は、尿素、リン酸一アンモニウム(MAP)、リン酸二アンモニウム(DAP)、硫酸アンモニア(SOA)、塩化カリウム(MOP)及び硫酸カリウム(SOP)を含み得る。これらのうちのいくつかは、合成と呼ばれるが、それらを作製するための方法は、塩水の蒸発又は静電分離のいずれかによって天然に存在する塩を回収することであり得ることが理解されるべきである。有機材料はまた、いくつかの栄養素を含むが、有機成分の焙焼後に無機肥料を加えることによって、所望の一貫した安定した正確な栄養素含有量を達成することができることが理解されるべきである。
【0017】
ある態様において、無機材料又は合成材料は、別個の粒子の形態で提供されるが、焙焼有機材料の粒子と混合される。代替の態様では、焙焼有機材料と無機材料又は合成材料は、結合剤によって互いに結合されて単一の粒子になり得る。さらなる代替の態様では、無機材料又は合成材料は、焙焼有機材料の表面にコーティングされ得る。
【0018】
ある態様において、本発明の方法及び生成物は、現場に輸送される必要がある肥料の量を減少させることによって、GHG排出量を削減することができる。有機肥料と無機肥料とが、別々の肥料として送達される場合、2つの別々の流通経路が必要となり得る。各流通経路は、CO2換算の関連するGHG排出量を伴う。有機栄養素と無機栄養素とが組み合わさって1つの固体形態になった肥料は、1つの流通経路を介して1台のトラックによって輸送及び送達され得る。これにより、有機/無機材料を含む粒子を利用しない従来技術の肥料と比較して、本肥料について計算されるGHG排出量が必然的に減少する。
【0019】
ある態様において、本発明の方法及び生成物は、土壌に送達される必要がある肥料の適用量を減少させることによって、GHG排出量を削減することができる。適用率は、重量基準の適用量及び経時的に必要とされる適用回数を含み得る。有機肥料と無機肥料とが2つの別個の肥料として送達される場合、2つの別個の量の各肥料及びタイミングスケジュールが必要となる可能性がある。各送達事象は、CO2換算の関連するGHG排出量を伴う。有機栄養素と無機栄養素とが組み合わさって1つの形態になった肥料は、1つの物品の農場機械を介して1回の通過で圃場に送達され得る。これにより、有機材料と無機材料の両方を含む粒子を利用しない従来技術の肥料と比較して、本肥料について計算されるGHG排出量が必然的に減少する。
【0020】
態様において、本発明の方法及び生成物は、所望の作物収量を達成するために土壌に適用される肥料の量を減少させることによって、GHG排出量を削減することができる。有機肥料と無機肥料とが、別々の肥料として送達される場合、必要とされる本肥料の量と比較して、通常、より多い各肥料タイプが必要とされる。圃場における肥料の量の減少により、有機材料と無機材料の両方を含む粒子を利用しない従来技術の肥料と比較して、肥料について計算されるGHG排出量が必然的に減少する。
【0021】
数字「1」及び「2」などへの言及は、本発明がその数字に限定されることを意味するものではなく、その代わりに、使用される流通経路及び/又はトラック及び/又は農業機械車両の数の相対的な減少への言及が意図されていることが理解されるべきである。
【0022】
温室効果ガス(GHG)は、熱赤外線範囲内の放射エネルギーを吸収して放出するガスである。本発明の方法及び生成物は、原則として、範囲内の任意のGHGを含むことができる。GHGとしては、例えば、水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)及びオゾン(O3)が挙げられ得る。しかしながら、有利な態様は、CO2、CH4及びN2Oガスのうちの1つ以上の減少に焦点を当てている。したがって、態様において、GHGは、水蒸気を含まない。
【0023】
分離した粒子の形態の乾燥固体肥料を調製する方法も記載され、その方法は、有機廃棄物材料を滅菌して、実質的に無菌の炭素不安定性の生成物を提供する工程;NPKSのうちの少なくとも1つを含む無機材料又は合成材料を実質的に無菌の生成物と混合して、混合生成物を生成する工程;その混合生成物を結合して、有機材料と無機材料との均質な混合物を提供する工程;及び有機材料と無機材料との均質な混合物を分離した粒子に形成する工程を含む。いくつかの態様において、結合工程と混合工程は、同時に行われる。
【0024】
いくつかの態様において、肥料中の有機材料と無機材料は、同じ固体粒子中に存在する。同じ固体粒子とは、単一の固体粒子が、分析のために選択された場合、その選択された粒子は、分析の際に、有機成分及び無機成分がその中に均一に分布していると示され得ることを意味する。均一な分布は、その後、共に粉砕され得るそれら2つの成分(焙焼有機材料及び焙焼無機材料)の混合の結果である。本質的には、それら2つの材料は、実質的に均質な混合物を形成するために一緒に軽くまぜられ、1つの複合粒子に形成される。複合粒子を形成する方法は、それら2つ(又はそれ以上)の以前は別個の材料を圧縮して1つの固体複合粒子に結合する。その無機成分及び有機成分は、その他の方法でいかなる支持マトリックスによっても支持されない。いくつかの従来技術の肥料では、有機支持体が、バイオチャーホスト(biochar host)の形態で提供され得る。そのような構成では、ホストは、その後の放出のために無機成分及び有機成分が添加される多孔質構造を提供する。これは、ホストフリーであって、代わりに有機材料と無機材料とが、結合剤で一緒に結合され得る同じ粒子の中及びその全体に存在する、本発明の態様の材料とは異なる。分析すると、顆粒の断面は、複合粒子内の有機材料及び無機材料の均質なマトリックスを示し得る。本発明のある態様の粒子は、図20において、一例として多孔質ホストにおいて支持された材料と対照的に示されている。
【0025】
生物的な利用が可能な放出プロファイルとは、肥料中の任意の炭素が土壌中の微生物による迅速な同化に利用可能であることを意味する。微生物は、肥料が土壌に適用された数日以内に炭素を取り込む。肥料の炭素材料が食物源として使い果たされると、微生物は増殖しなくなる。いくつかの態様における無機栄養素は、緩効性であり、多くとも約15、25、30、45又は50%のN及び/又はPが、最初の約1、2又は3ヶ月で利用可能になり、残りがその後の1~3から12~18ヶ月後まで利用可能になる。ある態様では、1~12ヶ月にわたる。ある態様において、N及び/又はPの50%が、最初の1ヶ月にわたって利用可能であり、残りが、次の1~4ヶ月にわたって利用可能である。理論に拘束されることを望むものではないが、利用可能な無機栄養素の大部分は、最初に土壌中の微生物によって使用され、これらの栄養素は、天然の微生物集団の死滅及び崩壊の際に放出されると考えられる。
【0026】
有機材料と無機材料とが同じ固体粒子中に存在する態様では、その材料は、その材料が農業機械によって送達される他の肥料と同じ又は類似の流動特性を有することを可能にするおおよそのサイズ及び形状であることが好ましい。結果として、ある態様に係る肥料材料は、以前の乾燥肥料の送達に適合した任意の適用装置へ置き換えられ得る。ある態様において、上記肥料は、球形であり、直径約2~約3、4又は5mmの平均粒径を有する。
【0027】
いくつかの態様において、肥料中の有機材料と無機材料は、同じ固体粒子内に存在しない。いくつかの態様において、肥料中の有機材料は、第1の固体粒子に形成される。無機材料は、第2の固体粒子に形成される。第1の固体粒子は、第2の固体粒子とは異なる。第1の固体粒子と第2の固体粒子とは、互いに混合されて、同じ容器、バッグ、タンク、容器に入れられ得る。有機材料と無機材料とが異なる固体粒子中に存在する態様では、それらの材料はそれぞれ、形状がほぼ球形であり、サイズが約2~3、4又は5mmであることが好ましい。このサイズ及び形状により、それらの材料が、農業機械によって送達される他の肥料と類似の流動特性を有することが可能になり得る。結果として、その2成分の肥料材料は、以前の乾燥肥料の送達に適合したトラックの任意のセクションへ置き換えられ得る。
【0028】
いくつかの態様では、無機材料と有機材料との混合物は、「有機材料と無機材料との均質な混合物」と呼ばれる。これは、その肥料が、混合物全体又は粒子全体にわたって実質的に均一に分布した2つの材料を含み、これらは互いに実質的に結合することができることを意味する。それらの材料は、化学的に結合される必要はないが、少なくとも物理的に結合される。この態様の肥料は、有機肥料が1つの段階で適用され、無機肥料が第2の段階で適用されるものを含むと意図されていない。これは、2つの不均一な混合物であり得、本発明の他のいくつかの態様よりも少ない利点をもたらし得る。それらの材料が個々の粒子全体に均質に分布される乾燥固体肥料の態様の利点は、有機肥料材料及び無機肥料材料を既存の適用装置を使用して1つの工程で一緒に適用できる点である。これは、大幅なコスト及び時間の節約に相当する。
【0029】
これまで、上記肥料は、同じ又は類似のサイズ及び形状の無機肥料の粒子を散りばめることができる、結合剤で結合された焙焼有機肥料の粒子を含むことができると記載されてきた。さらに、肥料粒子は、有機材料及び無機材料の複合粒子を単一の粒子の中に含むことができること(これは、均質な混合物と呼ばれる)が記載されてきた。ある態様において、有機材料と無機材料とが別個の粒子内に存在せず、また、単一の粒子の中に均一に分布されていないものもあることも想定される。この態様では、焙焼廃棄物の有機粒子は、送達直前に工場又は農場において無機多量養素でコーティングされ得る。この外側のコーティングは、有機栄養素に近接しているが造粒方法のペレット化の後に多量養素を送達するという利点を有し得る。ゆえに、ここでは、ホストが粒子中の有機材料であり、動的施肥方法において何の役割も果たさない(又はわずかな役割しか果たさない)他の何らかの不応性多孔質ホストではないことに留意することが重要である。
【0030】
有機廃棄物は、バイオソリッドと呼ぶことができる。有機廃棄物は、好ましくは、動物排泄物である。動物排泄物は、典型的には廃棄されるか、又はさらなる処理にとってほとんど価値がないと考えられる、動物由来のものであり得る。その排泄物としては、動物の糞、死体、又は動物が使用した他の材料(例えば、寝床)、動物から脱落した他の材料(例えば、毛、皮膚、身体部分)が挙げられ得る。その排泄物は、リターを含み得る。リターは、家禽の排泄物、こぼれた飼料、身体部分、例えば羽毛、及び飼育作業において寝床として使用される植物系材料の混合物であり得る。リターは、未使用の寝床材料も含み得る。いくつかの態様において、有機廃棄物は、植物性廃棄物である。植物性廃棄物には、乾草(場合によっては損傷した廃棄乾草)又は他の農業バイオソリッドなどの農業廃棄物が含まれ得る。本方法に供される又は本肥料に存在する有機廃棄物は、種々の種類のバイオソリッドの混合物であり得る。いくつかの態様において、動物排泄物は、肥料組成物の有機成分の少なくとも約25、30、40、50、60、70、80、90又は100wt.%を構成する。
【0031】
ある態様において、動物排泄物は、ニワトリの排泄物である。その廃棄物には、鶏死体及び/又は鶏糞及び/又はニワトリリターが含まれ得る。いくつかの国では、ニワトリの排泄物又は家禽リターは、かなりの排泄物流に相当する。ある態様において、動物排泄物は、ブタの排泄物である。その廃棄物には、豚死体及び/又は豚糞及び/又はブタリターが含まれ得る。ある態様において、動物の排泄物は、ウシの排泄物である。その廃棄物は、牛死体及び/又は牛糞及び/又はウシリターが含まれ得る。動物は、排泄物を生成する他の任意の動物であり得る。態様において、本発明は、その排泄物流を利用して、商業的に価値のあるリサイクル製品にする方法を提供し得る。動物の様々な排泄物のパーセンテージは、本明細書中に記載されるように変化し得る。好ましくは、排泄物は、あまり湿っていないので、供給流中においてより多くのリター及びより少ない糞を使用する利点があり得る。
【0032】
有機廃棄物を土壌に直接適用する場合の制約の1つは、病原性微生物の存在である。例えば、動物排泄物は、フサリウム属(Fusarium)、アスペルギルス属(Aspergillus)及び/又はペニシリウム属(Penicillium)の種などの微細真菌を含み得る。ほとんどのフサリウム真菌は、植物栄養菌である。アスペルギルス属(Aspergillus)及びペニシリウム属(Penicillium)は、土壌中で毒素を形成する。アクチノバチルス属(Actinobacillus)、ボルデタラ属(Bordetalla)、カンピロバクター属(Campylobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、大腸菌(Escherichia coli)、グロビカテラ属(Globicatella)、リステリア属(Listeria)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、サルモネラ属(Salmonella)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)及び連鎖球菌属(Streptococcus)などの種々の病原体が、ニワトリリター又はニワトリリターに基づく有機肥料に見られ得る。リステリア属(Listeria)及びサルモネラ属(Salmonella)は、致死を引き起こすことが知られている。本明細書中に記載される肥料は、有機廃棄物の実質的に無菌の生成物である。実質的に無菌とは、使用の直前に病原体が肥料中に存在しない傾向があることを意味する。ゆえに、肥料は、実質的に無菌であるので、無菌でない肥料よりも取り扱いが安全である。リステリア属(Listeria)の感染は、妊婦の予定外の流産又は新生児の死亡につながる可能性がある。サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター属(Campylobacter)及び腸管出血性大腸菌(Enterohaemorrhagic Escherichia coli)は、年間数百万人に影響を及ぼす最も一般的な食品媒介病原体であり、時折、重症で致命的な結果を伴う。細菌、真菌及び酵母などを含む病原体は、空気中に存在するため、隔離されていないか又はその他の方法で保護されていない材料を必然的に汚染し得ることが理解されるべきである。したがって、本肥料生成物にはいくつかの病原体が存在する可能性があるが、これらは、滅菌方法を行わない場合に存在するのと同じ数では存在しないだろう。
【0033】
材料を滅菌するために、化学的、熱的及び/又は物理的方法を使用することができる。本肥料の有機物は、好ましくは、熱滅菌方法に供される。熱滅菌に加えて他の滅菌方法を適用できることが理解されるべきである。滅菌方法は、好ましくは、有機廃棄物を、廃棄物中の病原体を減少させる又は排除するのに十分な温度に供する。滅菌方法は、病原体を減少させる又は排除することであり、有機廃棄物の水分含有量を、さらなる微生物の増殖が阻害される点まで低下させることでもあり得る。この水分含有量の減少は、土壌に適用される使用時点までの肥料の有機部分の貯蔵及び輸送にとって重要であり得る。いくつかの態様において、滅菌方法は、水分含有量を、多くとも約1、2、5、8、10又は15wt.%という重量基準の総含水量まで減少させることができる。
【0034】
熱滅菌方法の間、水蒸気及び他の揮発性ガスが、ガス洗浄システム内でフラッシングされ、捕捉され、かつ/又は凝縮され得る。バルク固体から凝縮蒸気への栄養素の損失は低いと考えられる。非凝縮性蒸気は、最終濾過方法を通して大気に送られ得る。その縮合物は、現場で貯蔵され得、必要に応じて、(湿潤剤として)その方法を通して再利用され得るか、又は処分され得る。ある態様において、凝縮物は、下記でさらに説明されるように、その方法のペレット化/造粒段階で使用される。凝縮物は、他の栄養素が添加され(例えば、ポリリン酸アンモニウム(APP)及び/又は尿素)、その後、液体肥料として販売される可能性がある。
【0035】
ある態様では、滅菌を行うために、有機材料を熱分解に供する。好ましくは、熱分解は、有機材料の焙焼である。熱分解は、不活性(嫌気性)雰囲気中、高温での材料の熱的分解である。有機材料の熱分解は、部分的又は完全な酸化(燃焼)を回避するために酸素のコントロール/除去を必要とする。有機材料の熱分解は、温度範囲で起こり、通常、種々の最終産物をもたらす。熱分解は、多くの天然有機物の場合、約250℃で始まり、約400℃で炭化する。最も低い端では、堆肥化は、40℃~80℃で行われる。焙焼は、典型的には150℃~350℃で行われる。焙焼は、最大400~450℃の温度で行うことができる。本方法では、態様において、その温度は、100~450℃、250~400℃又は330~380℃の範囲内であり得、焙焼器の滞留時間を最小限に抑えるために、廃棄物をバイオチャーにすることなく許容できる最高温度に傾けられる。バイオチャーは通常、約750℃超で生成される。典型的には、木炭は、600℃を超える温度でより表面活性になる。非常に高い温度、例えば、600~700℃超で調製されたバイオチャーは、少なくとも農業用途には有用ではない可能性がある。450~500℃前後で調製されたいくつかのバイオチャーは、農業用途に比較的良好な結果をもたらすことができる。本方法は、好ましくは、焙焼が起こる温度を適用するので、有機廃棄物は、焙焼生成物になる。焙焼器内の滞留時間は、廃棄物を焙焼するために、約5~約30分、例えば、長くとも5、10、15、20、25又は30分であり得る。特定の態様において、本方法は、バイオチャーの生成なしに焙焼が起こる温度を適用する。さらなる態様において、本方法は、バイオチャーの生成なしに焙焼が起こる温度及び時間を適用する。
【0036】
焙焼は、より難揮発性の材料(例えば、タール)の発生を防ぐのに十分低い温度で有機材料を「活性化」することができるので、本肥料の調製に適した方法技術であると考えられる。活性化は、基礎をなす炭素マトリックスを変化させる方法である。焙焼(約350℃)後、有機廃棄物の炭素は、より脆くなる傾向があり、粉砕及び圧縮が比較的容易である。焙焼生成物は、バイオチャーと類似しているが同じではない多孔性構造を有する。好ましくは、本方法は、バイオチャーをもたらす温度(又は十分な時間にわたる温度)に有機廃棄物をさらさない。焙焼有機廃棄物とバイオチャーとの主な違いは、焙焼有機廃棄物が不安定な炭素を含むのに対して、バイオチャーは不応性炭素を含むことである。本肥料には、少量のバイオチャーが悪影響を及ぼすことなく存在し得るが、本肥料の主成分は、微生物にとって生物学的に利用可能な不安定な炭素を有する焙焼有機廃棄物であることが理解されるべきである。ある態様では、20%、15%、10%、5%、1%又は0.5%未満のバイオチャーが存在する。ある態様では、不安定な炭素と不応性炭素(例えば、バイオチャー炭素)との比は、85:15、90:10、95:5又は99:1である。
【0037】
乾燥固体肥料を土壌に適用すると、土壌中に存在する細菌は、有機材料の炭素の代謝を開始することができる。その有機材料は、炭素に富む。肥料粒子の炭素は、主に不安定である。少なくとも約50(51を含む)、60、70、80、85、90、95又は100%の不安定な炭素が存在し得る。不安定とは、炭素が土壌マトリックス中の微生物に対して生物学的に利用可能であることを意味する。炭素に富む材料の別の例は、バイオチャーである。しかしながら、上で述べたように、バイオチャーの炭素は不安定ではない傾向がある。バイオチャーにおける炭素は、安定炭素又は不応性炭素と呼ぶことができる。本発明は、好ましくは、微生物に対して生物学的に利用可能ではない安定炭素及び/又は不応性炭素を含まない。ゆえに、微生物は、その炭素を使用しづらいので、バイオチャーは、本発明の肥料において有用ではない。したがって、いくつかの態様では、粒子は、バイオチャーを実質的に含まない。バイオチャーは、第1に、炭素が再び大気に入るのを防ぐための隔離媒体、及び第2に、種子を植える際に使用するための緩効性組成物に相当し得る。
【0038】
別の態様によれば、分離した粒子の形態の固体肥料を調製する方法が提供され、その方法は、
有機廃棄物材料を加熱して約150C~約400C未満、必要に応じて約330C~約380C未満、必要に応じて約200C~約350C未満、必要に応じて約250C~約330C未満で焙焼して、実質的に無菌の炭素不安定性有機生成物及び少なくとも1つの副産物を提供する工程、
必要に応じて、N、P、K又はSのうちの少なくとも1つを含む無機材料を上記有機生成物と混合して、混合生成物を生成する工程、
結合剤の存在下においてその有機材料又は混合生成物を粉砕して、結合材料を提供する工程、及び
結合材料の分離した粒子を形成する工程
を含む。
【0039】
態様において、本方法は、以下のエネルギー回収工程:
加熱工程中に発生した廃熱を捕捉し、それを使用して加熱工程に供給された有機廃棄物材料を予熱する工程;
少なくとも1つの副産物を捕捉し、それをこの方法の別の工程にリサイクルする工程;
単一の流通経路を介して農地に肥料を輸送する工程
のうちの少なくとも1つ以上を含む。
【0040】
別の態様では、作物収量を実質的に維持しながら温室効果ガス排出量を削減する方法が提供され、その方法は、本明細書中の本発明の態様の説明に従って、肥料を、散布装置を使用して1回の通過で圃場に適用すること又は適用したことを含み、その散布装置は、粒子状材料の制御された施用のために設計されている。
【0041】
別の態様では、肥料のライフサイクルアセスメントから計測されるGHG排出の量を減少させるための方法が提供され、その方法は、
分離した粒子の形態の固体肥料を調製するか又は調製したことであって、その固体肥料の各粒子は、焙焼有機廃棄物;必要に応じて、焙焼有機廃棄物と混合された無機材料を含み;
その固体肥料を調製する工程又は調製した工程の間に、その方法からエネルギーを回収する工程を行う、こと、
土壌にその固体肥料を適用することであって、その肥料の有機成分及び無機成分は、ペレット化された材料の制御された施用及び配置のために設計された装置を使用して1回の通過で適用される、こと
を含む。
【0042】
本方法から生じる焙焼構造体は、有益な微生物の増殖、水及び栄養素の貯蔵のための高表面積多孔質媒体を提供し得るので、好ましくは土壌の健康状態にとって役立つ。本肥料は、栄養素とコンポストとの同時供給を提供することがあり;ある形態の栄養素は、徐放され、発芽/実生の損傷の問題を引き起こす可能性は低いが、態様において、従来の堆肥及びコンポストよりも放出がさらに迅速で予測可能である。
【0043】
いくつかの態様に係る肥料を形成するための方法は、例えばNPKSのうちの少なくとも1つを含む無機材料を焙焼有機生成物と混合して混合生成物を生成する工程を含み得る。これは、典型的には、有機成分が焙焼方法に供された後に行われるが、場合によってはその前に行うことができる。無機肥料成分は、それらの高い塩含有量及び/又はアンモニウム含有量ならびにそれらの製造方法に関連する熱/圧力に起因してすでに無菌である傾向があるので、無機肥料成分を熱処理する必要はない。焙焼後に無機材料を添加することについてのさらなる論拠は、ある特定の温度が無機材料肥料を化学的に変化させる恐れがあること、又は提供された形態においてそれらを溶融する恐れがあることである。
【0044】
混合は、有機材料及び無機材料の各々が粉砕された後に行われ得る。あるいは、混合は、有機材料及び無機材料の各々が粉砕される前に行うことができ、有機材料と無機材料とが一緒に粉砕される。いくつかの態様では、ミル内の詰まりが少なくなり、焙焼されたベース(base)の過粉砕が減少し得るので、材料を一緒に粉砕することには利点がある。
【0045】
有機材料及び無機材料が存在する態様では、それら2つの材料を混合するために、混合は以下の方法によって行われ得る。
・有機成分を熱処理(焙焼)する。
・有機成分を無機肥料(及び他のミネラル、例えば、反応性リン灰土及び結合剤)と混合する。次いで、有機/無機混合物を粉砕する。
・次いで、ブレンドされた有機及び無機組成物を圧縮に供して、分離した粒子を形成することができる。これは、造粒、押出又はペレット化を含む任意の形態であり得る。この方法は、必ずしも外部熱を必要とせず、混合による剪断に起因する熱が存在し得る。いくつかの態様では、水蒸気又は熱水を使用して造粒を補助することができる。この工程では、リサイクルされた凝縮物を使用することができるだろう。
・球形(不規則で鋭利な縁がない)及び一貫したサイズを達成するために、顆粒を研磨に供することができる。研磨は、典型的には、スプレーの形態での液体の適用を必要とする。
・次いで、研磨された顆粒を熱乾燥に供して、追加の水分を確実に乾燥させ、顆粒を貯蔵及び取り扱いの目的のために生物的に不活性にすることができる。乾燥した顆粒は、肥料適用装置における取り扱い耐久性のためにより良好な硬度も有する。
【0046】
有機材料を無機材料と混合しない態様では、混合は、以下の方法によって行われ得る。
・有機成分を熱処理(焙焼)する。
・有機成分を結合剤と混合する。次いで、有機混合物を粉砕する。
・次いで、ブレンドされた有機組成物を圧縮に供して、分離した粒子を形成することができる。これは、造粒、押出又はペレット化を含む任意の形態であり得る。この方法は、必ずしも外部熱を必要とせず、混合による剪断に起因する熱が存在し得る。いくつかの態様では、水蒸気又は熱水を使用して造粒を補助することができる。例えば、この工程では、リサイクルされた凝縮物を使用することができるだろう。
・球形(不規則で鋭利な縁がない)及び一貫したサイズを達成するために、顆粒を研磨に供することができる。研磨は、典型的には、スプレーの形態での液体の適用を必要とする。
・次いで、研磨された顆粒を熱乾燥に供して、追加の水分を確実に乾燥させ、顆粒を貯蔵及び取り扱いの目的のために生物的に不活性にすることができる。乾燥した顆粒は、肥料適用装置における取り扱い耐久性のためにより良好な硬度も有する。
【0047】
別段文脈上明らかでない限り、以下の説明は、有機材料単独又は有機/無機材料を含む肥料に適用することができる。顆粒を形成するためにはいくらかの水分が必要である。水分が少なすぎる場合、生成物が埃っぽくなる。水分含有量が高すぎる場合、病原体が生成物中で増殖する傾向が高まる可能性がある。焙焼のために有機混合物のより乾燥したブレンドを選択することによって、水分含有量を減少させることができる。最終顆粒の水分含有量は、好ましい態様において、8wt.%未満であるが1wt.%超である。この水分レベルに達するために、加熱乾燥工程における乾燥時間及び/又は乾燥温度を調整することができる。あるいは、顆粒を2回以上の乾燥サイクルに供することができる。
【0048】
改良された肥料顆粒の水分含有量は、破砕強度(硬度)に影響を及ぼす。破砕強度は、水分含有量が増加するにつれて低下する。ある態様において、破砕強度は、例えば尿素の顆粒に匹敵する、少なくとも約2、2.5、3又は3.5KgFである。改良された肥料の粒子も同様に、平均直径が約2~約5mmの範囲内の尿素顆粒にサイズ設定される。得られる破砕強度に影響を及ぼし得る水を吸収する傾向を低減するために、粒子をコーティングすることができる。コーティングは、粒子の吸湿性を低下させる公知のコーティングであり得る。
【0049】
本肥料では、土壌中の利用可能な栄養素の量をコントロールするために無機栄養素が添加され得る。添加される栄養素の量は、肥料の意図される最終的な用途に基づいて決定され得る。いくつかの態様において、当業者は、肥料が適用される土壌において実験を行う。実験の結果は、どの栄養素が標的土壌にとって最良であるかを明らかにするだろう。あるいは、栄養素の必要量は、土壌及び/又は植物組織の分析によって決定され得る。
【0050】
無機栄養素とともに有機マトリックスを使用することにより、より多くの窒素を乾燥固体肥料に載せることができる可能性がある。通常、土壌中の発芽中の種子又は未成熟な植物に近接した高濃度の肥料塩及び/又はアンモニウム窒素は、植物に有害である。しかしながら、アンモニウム窒素及び他の塩に結合するのに十分な有機物が周囲の土壌環境に存在する場合、この問題は回避され得るか又は少なくとも低減され得る。次いで、微生物が、エネルギー源として炭素を使用し、タンパク質の基本単位としてアンモニウムを使用するので、窒素は、後に植物に利用可能になる。肥料中のアンモニウム窒素の量は、少なくとも約1、2、5、10、12又は15%w/wであり得る。
【0051】
有機材料に添加される窒素Nは、以下のうちの1つ以上の形態で存在し得る(がこれらに限定されない):
・硫酸アンモニウム
・尿素
・塩化アンモニウム
・硝酸アンモニウム
・無水アンモニア
・硝酸尿素アンモニウム
・硝酸カルシウムアンモニウム
・硝酸カリウム
・硝酸カルシウム
【0052】
肥料中の全窒素のパーセンテージは、少なくとも約0、10、20又は30%w/wであり得る。ある態様において、最低30%の有機材料を想定すると、総Nの最大値は、30%w/w前後に限定され得る。
【0053】
いくつかの態様において、無機材料と有機物との組み合わせは、潜在的に爆発性の組み合わせを提供し得る。肥料が可燃性になる可能性を低減するために、ある工程を行うことができる。その工程は、爆発遅延剤の添加を含み得る。爆発遅延剤は、リン酸二アンモニウム(DAP)及び/又は炭酸カルシウムであり得る。
【0054】
有機材料に添加されるリンPは、以下のうちの1つ以上の形態で存在し得る(がこれらに限定されない):
・過リン酸塩
・骨粉
・リン灰土
・リン酸二アンモニウム
・リン酸一アンモニウム
・重過リン酸石灰
・リン酸
・ストルバイト
・ポリリン酸アンモニウム
・リン酸一カリウム
【0055】
肥料中の総リンのパーセンテージは、少なくとも約0.5~約15%w/wであり得る。
【0056】
有機材料に添加されるカリウムKは、以下のうちの1つ以上の形態で存在し得る(がこれらに限定されない):
・塩化カリウム(Potassium Chloride)(塩化カリウム(Muriate of Potash))
・硫酸カリウム
・カリウムシェーナイト
・硝酸カリウム
・糖蜜由来のカリ
・リン酸一カリウム
【0057】
肥料中の全カリウムのパーセンテージは、少なくとも約0.5~約12%w/wであり得る。
【0058】
有機材料に添加される硫黄Sは、以下のうちの1つ以上の形態で存在し得る(がこれらに限定されない):
・硫黄粉末
・硫黄(顆粒状)
・硫黄ベントナイト
・硫酸アンモニウム
【0059】
肥料中の全硫黄のパーセンテージは、少なくとも約1~約16%w/wであり得る。
【0060】
本製剤は、NPKSのうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせを含むことができ、これは、N及び/又はP及び/又はK及び/又はSを含むことができることを意味する。本製剤は、NPKSの4つすべてを含むことができるか、又はNPKSの4つすべてより少ない栄養素を含むことができる。すべての製剤が、NPKSの各々の無機形態を含むわけではなく、例えば、いくつかは、Nを無機形態で含むだけであり得る。リン酸二アンモニウム、リン酸硫酸アンモニウム、リン酸尿素アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、NPKのうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない組み合わせ添加剤も使用することができる。列挙された無機栄養素に加えて、肥料は、亜鉛、銅、鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、ならびに二次栄養素であるカルシウム、マグネシウム及びケイ素を含む微量養素を含み得る。肥料中のカルシウムなどの二次栄養素のパーセンテージは、少なくとも約0.5~約18%w/wであり得る。肥料中の微量養素のパーセンテージは、少なくとも約0.01~約2%w/wであり得る。微量養素は、粒子の外側の周りのコーティングに組み込まれ得る。コーティングは、粒子の製造中に適用され得る。コーティングは、農場で適用され得る。
【0061】
組成物中には、必ずしも栄養上の利益を提供するのではなく、代わりに他の機能的改善を付与する他の添加剤が存在し得る。態様では、最終生成物の機械的特性を高めるための添加剤が存在する。態様では、製剤は、1つ以上の硝化阻害剤を含む。植物が利用可能な硝酸態窒素は、浸出及び脱窒損失を受けるので、肥料窒素は、多くの農業土壌において非効率的にしか使用されていない。このような損失を低減する方法の1つは、硝化阻害剤で窒素肥料を安定化することである。これは、土壌を(肥料を介して)、硝化細菌の活性を阻害する化合物で処理することによって行われ、その結果、窒素が、より安定なアンモニウムの形態で長期間留まる。硝化阻害剤の一例は、ジメチルピラゾール(DMP)である。これは、損失事象を相殺する硝酸態窒素を徐々に与える。硝化阻害剤の性能は、種々の理由のためにオーストラリアの土壌において変動することに留意されたい。植物は、土壌からアンモニウム窒素を抽出することもできるが、高濃度のアンモニウム及び関連アンモニアは、植物にとって有毒であり得る。この毒性は、動物排泄物中に存在し、最終生成物中に微量で検出されたビタミンB6の存在によって低減され得ることが知られている。酸化亜鉛は、硝化を阻害することができるが、亜鉛は、多くのオーストラリアの土壌では低い又は不十分な必須微量養素でもあるといういくつかの証拠もある。したがって、いくつかの態様では、亜鉛が製剤に添加される。
【0062】
さらに、農作物は、干ばつ及び塩分をはじめとした他の非生物的ストレスに定期的に曝される。植物が利用可能なケイ素は、植物が非生物的ストレスに立ち向かうのを助けることができる元素として認識されており、さらに、ケイ素は、植物細胞壁の構造基本単位でもある。サトウキビ及びイネのようなある特定の作物は、ケイ素の要求量が高く、植物が利用可能なケイ素が枯渇している土壌又は地域において生育されることが多い。植物に窒素を供給する効率的な方法は、窒素の放出を制御する阻害剤及び植物が有害な環境因子又は化学的要因を相殺するのを助ける非生物的ストレス調節因子と組み合わされた無機窒素源と有機窒素源とを組み合わせることであると考えられる。さらに、一部の植物種は、植物の腐敗後に存続するシリカで作られた剛性の微視的構造である植物化石をケイ素の存在下において形成するという証拠がある。これらの植物化石はまた、弾性炭素を含み、最近の研究は、ケイ素を含む施肥が炭素隔離をもたらし得ることを示唆している。
【0063】
態様において、有機材料と無機材料との比は、100:0、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、45:55、40:60、32.5:67.5又は30:70である。ある態様において、ベースレシピは、45%の有機材料及び55%の無機材料を含む(本明細書中、Aベースと呼ばれ、時折、内部参照である数字を付けて呼ばれる。例えばA1)か、又は32.5%の有機材料及び67.5%の無機材料を含む(Bベースと呼ばれることがあり、時折、内部参照である番号を付けて呼ばれる。例えばB1、B2、B3など)か、又は100%有機及び0%有機(Cと呼ぶ)、又は30%の有機材料及び70%の無機材料を含む(Eベースと呼ばれることがあり、時折、内部参照である数字を付けて呼ばれる。例えばE1)。
【0064】
ある態様において、有機材料は、結合剤とともに焙焼される。結合剤前駆体が有機材料とともに添加され、次いで、焙焼器に送達され得る。ある態様では、有機材料が焙焼され、次いで、焙焼後に結合剤が添加される。結合剤は、レオナルダイトであり得る。結合剤は、リグノ硫酸カルシウム(CaLigno)であり得る。レオナルダイトは、それを土地に直接適用することによって、又は適用のためのフミン酸もしくはフミン酸カリウムの供給源を提供することによって、土壌を条件付けるために使用され得る。特に、土壌中に炭素を閉じ込めて保持するように微生物の作用を急速に加速する、レオナルダイトの炭素地中隔離(carbon geosequestration)能力は、褐炭の有機施肥態様に関する広範な研究の根拠を提供する。
【0065】
レオナルダイトは、肥料組成物の少なくとも約1、5又は10%w/wの量で存在し得る。レオナルダイトはまた、土壌中の栄養素保持及びホスファートのようなある特定の栄養素の植物取り込みを改善することを目的とした種々の農業システムで広く使用されている土壌調整剤であるフミン酸の貴重な供給源としても認識されている。他の焙焼有機廃棄物と混合されたレオナルダイトによって供給される機能性炭素基は、植物のリン取り込みを改善することがあり、より効率的なリン肥料を提供する可能性がある。リンは、(有機/無機の均質なブレンドが存在する場合)レオナルダイトとともに肥料中に存在し得る。あるいは、リンは、別個の工程中に別個の材料として送達されてもよい。リンが別々に送達される場合、リンは、依然として土壌中に存在し、肥料中のレオナルダイトは、依然として植物のリン取り込みを改善し得る。これは、無機材料と均質にブレンドされず、代わりに焙焼有機材料のみをレオナルダイト結合剤とともに含む肥料を使用する利点である。リンが土壌中で不動であることを考えると、レオナルダイトは、例えば畝間のブレンド製品としてP肥料の非常に近くに配置される必要があるだろう。
【0066】
ある態様では、土壌中の微生物集団の活性をモニターすることができる。ほとんどの微生物は、土壌微生物活性の指標として使用することができる炭素質生成物又はガスなどの副産物を産生する。微生物が非常に活性である場合、土壌の栄養素含有量は、発芽中の植物に損傷を与え得る高い閾値にまだ達していないと推定することができるので、種子を植えることができる。微生物の活性が低い場合、これは、集団が衰退しており、無機化方法によって無機栄養素が遊離されようとしていることを示し得る。これが当てはまり、微生物集団がなおいっそう衰退することが望ましくない場合(例えば、植物が十分に成熟していない可能性がある、種子を植える必要がある可能性がある、又は他の何らかの理由)、微生物集団を増加させることが得策となり得る。より多くの炭素不安定性肥料を土壌に添加することによって微生物集団を増加させることが可能であり得る。したがって、土壌試験を用いて、時間及び場所に対する最適な施肥量を決定することもできる。
【0067】
いくつかの態様では、土壌及び/又は(当業者が認識するように)いくつかの植物もしくは種子のタイプに有害であることが知られている望ましくない微生物生態系に微生物活性がないことが見出され得る。そのような状況において、肥料の粒子に、細菌、真菌、酵母などのうちの1つ以上を含む微生物が接種され得る。粒子のこの接種は、表面コーティングとして行われ得る。コーティングは、粒子の製造中に適用され得る。コーティングは、農場で適用され得る。コーティングは、土壌生態系のためのプロバイオティクス及び/又はプレバイオティクスと考えることができる。コーティング内の微生物は、それら自体の食物源とともに送達されるという利点を有するので、いったん土壌に蒔かれると、粒子中の栄養素を本質的に代謝し得る。微生物が食物源を使い果たして死ぬにつれて、栄養素が土壌に与えられる。ある態様では、造粒/ペレット化工程の後に、微生物接種材料を添加することができる。ある態様において、微生物接種材料は、造粒/ペレット化工程の前にその方法に添加される。一部の微生物は、非常に高い温度に耐える。
【0068】
論じたように、本方法は、有機材料及び無機材料の均質な混合物を分離した粒子に形成する工程を含む。乾燥固体肥料には、微粒子、顆粒、ペレット又は小球が含まれ得る。任意の形態の分離した粒子は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10mmの平均直径のサイズを有し得る。態様において、分離した粒子の少なくとも約80、90、95又は100%が、平均粒径の1標準偏差(理想的には、>80、85又は90%が、約2~約5mmの範囲である)以内に入る。固体肥料の各粒子は、定義されたような特徴を備えることが理解されるべきである。しかしながら、任意の所与の混合物において、肥料の粒子はまた、本発明に従わない他の粒子とともに存在し得る。例えば、もっぱら無機材料のペレットを含む他の肥料タイプのペレット。
【0069】
顆粒は、ペレットのように、粉末状の材料の小さな凝集物である。顆粒は、その丸みのある形状に起因してペレットよりも崩壊が遅い傾向があり、発塵が少ない傾向があり、態様では、その後、顆粒を通して均一に分布される複数の生成物の結合を可能にする。均一に分布されるとは、肥料の粒子内の任意の1つの位置において、無機材料及び有機材料の相対量が他の任意の位置とほぼ同じであることを意味する。顆粒はまた、散布機械を介して適用されるとき、より空気力学的であり、ゆえに、より広い帯状幅を達成することができる。好ましい態様では、ペレット化を用いて顆粒を調製する。
【0070】
上記肥料は、乾燥固体として記載される。乾燥及び固体とは、材料をペレット(顆粒)の形態で取り扱うことができることを意味する。例えば、その材料は、トラックに積み込まれ、輸送され、次いで、ペレット化された材料の制御された施用のために設計された装置を使用して適用され得る。肥料を形成するために使用される成分の1つ以上が、液体であってもよい。
【0071】
上記方法は、肥料を適用する工程も含み得る。肥料は、少なくとも約0.05~約5トン/ヘクタールの割合で適用され得る。いくつかの態様において、肥料は、作物の収量を2、20、50又は100%増加させることができる。作物の登熟を、肥料なしでかかる時間の少なくとも5、8又は10%早めることができる。いくつかの態様において、肥料は、作物に適していない土壌を含む土地のレメディエーションにおいて使用され得る。肥料の炭素不安定性は、微生物群を刺激して消費及び増殖させることができるが、その後、食物源が枯渇すると、死滅して腐敗する。細菌が死滅すると、不足していた栄養素の放出によって土壌を修復することができる。特にコンポストと組み合わせるとき、汚染された地面の植物による金属の取り込みを低減するために、レオナルダイトを土壌に直接添加することができる。
【0072】
本発明の別の態様では、作物収量を維持しながら温室効果ガス排出量を削減する方法が提供され、その方法は、
肥料を、散布装置を使用して1回の通過で圃場に適用すること又は適用したことを含み、その散布装置は、ペレット化された材料の制御された施用のために設計されており、その肥料は、固体ペレットを含み、各ペレットは、N、P、K又はS栄養素のうちの少なくとも1つを含む無機材料又は合成材料と、不安定な炭素を含む焙焼有機材料との均質な混合物を含む。
【0073】
ある態様では、同じ栽培期内に異なる肥料を圃場に適用しない。栽培期は、地域の条件(降雨、気温、昼光)が正常な植物の成長を可能にする1年のうちの一部分である。各植物又は各作物は、その遺伝的適応に依存する特定の栽培期を有するが、それらの特定の作物及び/又は場所に対する栽培期は、当業者によって広く理解されている。
【0074】
ある態様において、焙焼有機材料は、同等の収量を維持しながら、乾燥質量ベースで、コンポストが圃場に適用され得る場合の割合よりも少なくとも20%低い、少なくとも30%低い、少なくとも40%低い又は少なくとも50%低い割合で圃場に適用される。
【0075】
ある態様において、温室効果ガス排出量は、コンポストが圃場に適用され得る場合の割合と比較して、焙焼有機材料が圃場に適用される場合の割合と少なくとも同等のパーセンテージだけ減少し、例えば、焙焼有機材料が圃場に適用される場合の割合が、コンポストと比較して20%減少するとき、少なくとも20%のGHGが減少する。
【0076】
別の態様では、肥料の寿命にわたってGHG排出の量を削減するための方法が提供され、その方法は、
有機廃棄物などの有機資源を受け取るか又は受け取っていること;
その有機資源のオフガス化可能な成分を捕捉する又は捕捉したのと同時に、その有機資源を分離した粒子の形態の実質的に無菌の炭素不安定性固体肥料に変換すること
を含み、その固体肥料は、ペレット化された材料の制御された施用のために設計された装置による送達に適合している。
【0077】
ある態様において、有機資源は、有機資源の生成の1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月又は6ヶ月以内に受け取られ、それによって有機資源のオフガス化が制限される。
【0078】
ある態様において、捕捉されたオフガス化可能な成分は、固体肥料に組み込まれ、それによって廃棄物流が回避又は実質的に低減される。
【0079】
ある態様において、上記方法は、有機資源を分離した粒子の形態の実質的に無菌の炭素不安定性固体肥料に変換することを含み、有機資源のオフガス化可能な成分を捕捉する又は捕捉したことは、有機資源を焙焼することを含む。
【0080】
ある態様において、有機資源の焙焼からの廃熱は、焙焼の前に有機資源を予熱するために使用される。
【0081】
ある態様において、上記方法は、有機資源のオフガス化可能な成分を捕捉するか又は捕捉していることを含み、有機資源の焙焼中に生成された焙焼器ガスを凝縮することを含む。
【0082】
ある態様において、上記方法は、N、P、K又はS栄養素のうちの少なくとも1つを含む無機材料又は合成材料を固体肥料に組み込むことをさらに含み、その固体肥料は、特定の作物に必要なすべての栄養素を含み、それにより、1回の通過のその固体肥料がその特定の作物に必要な唯一の肥料となることを可能にし、それにより、肥料の送達に関連する温室効果ガス排出量をさらに削減する。
【0083】
以下、添付の図面を参照して本発明の態様を説明していくが、その図面は、縮尺通りに描かれておらず、単なる例示である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】提案された肥料製剤ならびにそれらの有機含有量及び無機含有量をパーセンテージに換算して示している表である。
図2】本明細書中に記載される方法に従って焙焼された有機廃棄物材料中の異なる炭素タイプの絶対シグナル強度の%を示しているグラフである。
図3】本明細書中に記載される方法に従って焙焼された有機廃棄物材料のC13NMRスペクトルである。
図4】比較のための(a)亜炭及び(b)植物性廃棄物コンポストのC13NMRである。
図5】ある態様に係る方法の簡略化されたブロック図である。
図6】ある態様の詳細な方法フローダイアグラムである。
図7】病原体試験結果を含む有機材料の%分解(焙焼後)を示している表1である。
図8】異なる焙焼有機ベースの配合及び栄養素含有量を示している表4である。
図9】リグノスルホン酸カルシウムを結合剤として使用した後の顆粒の破砕強度のグラフである。
図10】サンプルB1の栄養素含有量の予想値及び実測値を示している表5である。
図11】大腸菌数、破砕強度及び水分含有量を示しているグラフである。
図12】焙焼有機ベースのレシピの一例を示している表6である。
図13】本発明の態様に係る肥料の組成を示している表である。
図14】標準的な農業行為からのGHG排出量を示している表である。
図15】標準的な農業行為を示している概略図である。
図16】ある態様に係る肥料からのGHG排出量を示している表である。
図17】改善された実際の操作(practice)概略図である。
図18】GHG排出量を示しているグラフである。
図19】適用率及び収量の表である。
図20】本発明の粒子のある態様の概略図である。
図21】土壌に適用された後の肥料の生物的な利用が可能な放出プロファイルを示しているグラフである。
図22】30日間のインキュベーション中の、砂質土壌及び粘土質土壌中の500(A)及び1000(B)kg ha-1の異なるタイプの肥料の添加に対する累積CO2放出の応答(予備実験)。
図23】30日間のインキュベーション中の、砂質土壌及び粘土質土壌中の500(A)及び1000(B)kg ha-1の異なるタイプの肥料の添加に対する土壌CO2放出率の応答(予備実験)。
図24】28日間のインキュベーション中の、砂質土壌(A)及び粘土質土壌(B)中の異なるタイプの肥料の添加に対する累積CO2の応答。縦棒は、±標準誤差(主実験)を示している。注:主実験では、すべての土壌を2週間プレインキュベートした。
図25】28日間のインキュベーション中の、砂質土壌(A)及び粘土質土壌(B)中の異なるタイプの肥料の添加に対する土壌CO2放出率の応答。縦棒は、±標準誤差(主実験)を示している。注:主実験では、すべての土壌を2週間プレインキュベートした。
図26】圃場試験からの累積CO2排出量を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下の説明は、有機廃棄物がニワトリの排泄物であり、滅菌方法が焙焼である、態様に焦点を合わせている。これらは例として使用されており、他の有機廃棄物が本方法の対象となり得ることが理解されるべきである。さらに、焙焼が最も好ましいが、当業者は、他の滅菌手法が実施され得ることを認識するはずである。それにもかかわらず、焙焼は、低温を使用するがゆえに有機廃棄物の炭素不安定性の多くを保持することによって、本方法において大きな利点を提供する。炭素不安定性生成物は、土壌の健康状態を最適化し、添加された栄養素と相乗的に働いて、特に有利な肥料を提供する。ベース材料(焙焼されたニワトリの排泄物)を粉末にする際の本明細書中に記載されるコアの方法は、その後、他の成分と混合されて「計画された」栄養結果をもたらすことができる。焙焼生成物は、「土壌調整」のために最適化される。無機添加剤は、栄養強度を付加し、植物生産性の改善を目標とする。
【0086】
近くの養鶏場からの未処理の有機廃棄物(ブロイラーリター、産卵鶏糞、ブロイラー死骸)が、大量に現場に送達され得る。これらの廃棄物は、供給源の農場、利用可能な寝床材料及び季節的変化に基づいて、栄養素及び炭素含有量が変動する。栄養素含有量及び所望の生成物に基づく飼料の比率は、わずかに変動し得る。いつかは、他の有機原材料を供給原料として使用し、現場で貯蔵し、取り扱ってもよい。
【0087】
焙焼方法の前に、動物排泄物を鋼製又はコンクリート製のバンカーに貯蔵することができる。好ましくは、その排泄物は、起こり得るバイオハザードを低減するような方法で貯蔵される。動物排泄物は、特に対象動物がヒトでもある場合、ヒトにとって特に危険であり得るので、滅菌前に健康上及び安全性の厳格な措置を講じるべきである。バッチ式リボンミキサーを使用して、糞、寝床及び死体(使用済みニワトリ)などの家禽廃棄物を混合することができる。必要であれば、未処理の有機材料は、処理のために焙焼器に運ばれる前に、シュレッダー及び/又はハンマーミルにおいて調整され得る。
【0088】
フロントエンドローダー(FEL)は、投入物を所望の比率でホッパーにロードすることができ、その投入物は、ウェイトフィーダーを通過してリボンミキサーで混合され得る。混合された材料をシュレッダーに運んで、材料を分解した後、焙焼器に供給することができる。焙焼は、酸素の非存在下において250~350℃、時折、最大450℃に材料を加熱する。焙焼器は、下方のバーナシステムからの放射及び伝導を介して、スクリューコンベヤーを通過する材料を加熱することによってこれを行う。これにより、以下の結果が達成される:
-材料からの水分の大部分の除去。
-動物排泄物供給原料中に存在し得る病原体の変性。
-動物排泄物供給原料中に存在し得る残留農薬/抗生物質分子の変性。
【0089】
上記方法は、これらの結果を達成し得るが、温度が熱分解点に達しないので、炭素を不安定な(使用可能な)形態で保持する。
【0090】
水蒸気及び他の揮発性ガスを、ガス洗浄システムにおいてフラッシング、捕捉、凝縮することができ、バルク固体から凝縮蒸気への栄養素の損失は低い。
【0091】
焙焼器は、目的に合った任意の装置であり得る。焙焼器は、空気密封され得る。焙焼器は、ガス火の外部加熱を有し得る。焙焼器は、スクリューコンベヤーを備え得る。操作中、焙焼温度を決定することができる。選択された温度は、焙焼される材料に関する以前の経験に基づく。温度は、約100℃~約450℃、例えば、約250~約400℃又は約330~約380℃の範囲であり得る。コントローラは、温度を維持するために発熱体に印加する電力量を設定する。サーモスタットを使用して、温度が設定範囲内に留まることを確保してもよい。温度が所望のレベルに達した後、湿潤バイオソリッド(有機廃棄物)を焙焼器の入口ポートを通して連続的に導入することができる。有機廃棄物は、スクリューコンベヤーによって拾い上げられ、焙焼チャンバーに輸送され得る。材料が焙焼器を通過する速度は、コンベヤーの回転速度に依存する。熱は、外壁を通る伝導によって、及び輸送中に固体にかけられる放射加熱によって適用される。
【0092】
ある態様において、焙焼器は、2つ以上の直列のスクリューコンベヤーを備え得る。焙焼器の供給速度は、主スクリュー出口の温度を制御するフィードバックループを介してコントロールされ得、それにより、供給材料に基づいて、推定される生成物の水分含有量(約7~10%)が提供される。出口温度の設定を、水分分析に基づいて調整することができ、許容され得る割合まで供給材料の熱分解を最小限に抑えるように制限することができる。
【0093】
すべての焙焼器への投入物及び焙焼器のユニット自体を、専用の建物内に配置することができる。これは、現場に送達される未処理の有機材料中に存在し得る病原体による最終生成物の汚染のリスクを管理するのを助け得る。3つの並列の焙焼器ユニット(単一の供給システム、単一の凝縮システム)が存在することができる。
【0094】
固体が焙焼されたら、処理された有機材料を焙焼器から輸送することができる。材料は、焙焼チャンバーから好適な容器に重力下で落下することができる。焙焼された材料は、さらなる取り扱いを助けるために室温又はそれをちょうど超える温度に冷却され得る。必要に応じて、冷却は、ウォータージャケット付きスクリューコンベヤーによる焙焼後冷却である。焙焼された材料で満たされた容器は、バッグアンローダーによって支えられたバッグであり得る。所定の間隔で、焙焼された材料を試験して、それが無菌要件及び水分含有量を満たすことを確保することができる。試験に問題がある場合、その方法を停止することができ、焙焼器のパラメータを調整することができる。
【0095】
焙焼生成物は、中間サイロに貯蔵するために、隣接する造粒用建物に搬送され得る。これらのサイロは、農場の焙焼ユニットからの焙焼材料の将来の「ハブ・アンド・スポーク方式」の供給を支持するために送り込みシステムの後付けが可能になるように設計され得る。
【0096】
無機肥料(例えば、RPR/SOPブレンド、尿素、DAP/MOPブレンド)は、バルクで現場に送達され、スクリューコンベヤーを介して貯蔵サイロに搬出され得る。1トン(T)バッグで送達され、将来、必要に応じて使用するために貯蔵される他の微量栄養素(例えば、Zn/Cu/Mo材料)のための設備があり得る。
【0097】
レオナルダイトは、全生成物の少なくとも約2、5、10又は15%の量で添加され得る。レオナルダイトは、バルクで、又は例えば1トン(T)バッグで現場に送達され得、必要に応じて使用のために貯蔵され得る。レオナルダイトは、病原体を含まない材料であるので、焙焼後に添加することができる。レオナルダイトは、炭素含有量が高く、フミン酸が存在することに起因して添加され、これは、造粒を助け、土壌の状態に寄与すると考えられる。
【0098】
焙焼有機物、レオナルダイト及び無機肥料の均質な混合物を含む最終生成物の顆粒を得るために、それらの材料を混合し、ハンマーミルで粉砕して所望のサイズ削減を達成し、次いでミキサー内で湿らせて、淡水又は回収された凝縮物又は他の栄養豊富な水のいずれかを使用して水分含有量を増加させ、次いでペレット化又は造粒方法に送る。
【0099】
ペレット化は、混合物をペレット押出成形機及び打抜き機に続いて、必要に応じて直列に3つ配置されたボールミルに輸送することを含む。すべての適切な段階において、液体を噴霧することにより、ダストを低減し、ペレットを球状に丸めるのを助けることができる。
【0100】
造粒は、混合物を回転ドラムに輸送することを含み、リサイクルされた材料及び水分も添加される。ドラムの回転作用により、リサイクルされた篩下材料のサイズを大きくするための新鮮な材料のコーティング及び形成がもたらされ、リサイクル供給物と比較して造粒機生成物の全体的なサイズ分布が大きくなる。
【0101】
供給、混合及び粉砕方法は、粉砕された供給物の連続流を湿潤ミキサーに送達するように連続的であり得る。いくつかの混合物は、他の混合物よりもペレット化により適している。当業者は、ペレット化及び造粒を試みることにより、使用される混合物に適するものがどれか理解することができる。
【0102】
ペレット化の原理は、ダイを通過するのに十分な潤滑を伴う圧力下で材料を十分に組み合わせるために、ペレタイザーへのすべての供給物を設定レベルまで濡らすことである。水が十分でないか又は多すぎると、ロールヘッド及びダイの詰まり(plugging)/詰まり(bogging)、ならびにもろい生成物及び過剰な微粒子が生じ得る。
【0103】
ペレット化を用いて作製された生成物の場合、粉砕された未処理の供給物は、リサイクルされる篩下生成物及び水(又は焙焼器凝縮物)が添加された湿潤ミキサーに入り、ペレット化の前に混合物を濡らすことができる。ペレット化/ボール化の方法は、およそ70%のオンサイズ生成物をもたらすと予想されるので、ペレタイザーに供給されたすべての材料の約30%がリサイクルとして戻される(0.43:1のリサイクル比)。
【0104】
濡れた材料は、並列のペレタイザーに供給されて(2×50%デューティ)、小さな円筒の生成物を生成し、次いで一連のボールミルに供給されて、ペレットの鋭利な縁を丸め、その形状を球に変えることができる。ボールミルは、回転円盤の周りの垂直壁に生成物を振り落とす回転円盤を備え、これは、ミルの周りを回転するときにバルク材料に回転作用を付与する。水(又は焙焼器凝縮物)を加えることにより、縁の軟化を助け、ペレットを可塑化して形状を変化させることができる。ポーリングはまた、いくつかの微粒子の組み合わせももたらして、より大きなオンサイズ粒子にする。次いで、丸みのある材料を下流の乾燥及び選別方法に供給することができる。
【0105】
造粒は、大きく開いた回転ドラムに混合物を輸送することを含み、リサイクルされた篩下顆粒も供給される。ドラムに供給する前に、新鮮な混合物及びリサイクルされた顆粒を、必要に応じて混合してもよく、合わさった大量の水分がミキサー内で増加する。ドラムの回転作用により、リサイクルされた/新鮮な粒子と新鮮/新鮮な粒子との間の密接な接触がもたらされ、その結果、リサイクルされた材料が新鮮な材料でコーティングされ、その粒径が大きくなる。さらに、異なるより小さな粒子の凝集が生じ、新しいより大きな顆粒が生成される。顆粒の成長/形成を助けるために、ドラム内の材料の床に水又は他の液体を噴霧するために、湿潤スプレーを使用してもよいし、使用しなくてもよい。出口でのサイズ分布は、典型的には、(作製される生成物に応じて)顆粒のサイズに対して20%~80%を生じ得る。次いで、造粒された材料は、下流の乾燥方法及び選別方法に供給され得る。
【0106】
ガスバーナーを使用して、乾燥機ドラムに供給される空気を加熱して、顆粒を乾燥させることができる。乾燥機の排気ガスは、バグハウスを介して捕捉され得、浄化されたガスが抽出ファンによって大気に排出される。乾燥固体肥料生成物をふるいにかけることができる(2デッキ振動ふるい)。篩上選別の後、生成物は、微粉スクリーンを通過することにより、篩下を除去することができる。次いで、規格適合物が、回転クーラードラムを通過し、次いで研磨スクリーンを通過することにより、ダストが除去される。微粉及び研磨スクリーンの篩下は、ペレタイザー又は造粒機に戻され、再利用され得る。必要に応じて顆粒の形態の乾燥固体肥料生成物は、貯蔵安定性のために、及び顆粒中の病原体の再増殖を防止する(又は少なくとも減少させる)ために、約10、8又は5%未満(好ましくは5%未満)の水分含有量を有し得る。
【0107】
冷却及び研磨スクリーンの後、生成物は、バルクトラックへの発送のために現場の貯蔵サイロ又はバルク貯蔵庫に運ばれ得るか、又は例えば1Tバッグ内で貯蔵されるように、現場の袋詰めラインに供給され得る。生成物がすべての必要な基準を満たすと仮定すると、それはバルクで販売され得るか、又は袋詰めされ得、販売及び使用に向けてマークされ得る。
【0108】

以下の非限定的な例を参照して、本発明の態様を例示する。
【0109】
例1-肥料の予想栄養素含有量を決定する方法
肥料製剤の有効性を判定するために、本開示に従って様々な製剤を作製することができる。次いで、当業者は、どの製剤がどのタイプの土壌での使用に最も好ましいか、及びその土壌で栽培されることを意図されたどのタイプの植物に対する使用に最も好ましいかを判定することができる。例として、種々の製剤が提案されており、これらは、内部参照のためにA~Mとラベル付けされ得る。
【0110】
一例として、肥料製剤Aは、鶏糞リター、産卵鶏糞及び使用済みニワトリを含む有機材料の焙焼によって調製され得る。有機材料を貯蔵し、次いで、焙焼器に運ぶことができる。150℃~約350℃の温度を約5~約30分間使用して、廃棄物を焙焼することができる。固体が焙焼されたら、処理された有機材料を焙焼器から運び出し、冷却した後、容器に収集することができる。バッチを容器から取り出し、リボンミキサーに送ってもよく、そのリボンミキサーにおいて、焙焼された材料を混合した後、ミル(例えば、ハンマーミル)で例えば最大20分間粉砕するが、それより短い時間を使用することができる。硫酸アンモニウム及びAPPなどの液体及び固体の無機肥料を粉砕生成物に添加し、混合してもよい。有機成分は、粉砕材料の総重量の約20~80%であり得;結合剤は、約5~10%であり得;無機成分は、約20~70%であり得る。混合された有機材料及び無機材料は、ペレット化に向けて送られ得る。
【0111】
肥料中の炭素(C)、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、硫黄(S)及びカルシウム(Ca)の予想される分解を図1の表1に示す。
【0112】
図1の表1は、提案された製剤(formulation)として、組成物B~Mのを示している。これらの組成物は、上記と同様の方法で調製することができる。
【0113】
製剤の相違に加えて、焙焼器で費やされる時間は、30分から15分、1時間、2時間、3時間に変化し得る。さらに、温度の影響は、150℃から350℃まで調査される。また、粉砕に費やされる時間は、20分より長くても短くてもよい。
【0114】
次いで、肥料の各々を土壌において試験することにより、植物の成長及び全体的な健康状態を促進する有効性を判定することができる。
【0115】
例2-焙焼生成物の分析
製剤の焙焼有機成分の無菌性を図7に示す。
【0116】
焙焼された材料の炭素不安定性の分析を行った。結果を図2に示す。焙焼された材料は、一連の炭素形態を含む。目的の重要形態は、以下である。
【0117】
カルボキシルC-これには、短鎖有機酸を含むカルボン酸が含まれる。これらは、栄養素の利用可能性に影響を及ぼす土壌方法に寄与する。これらは、土壌微生物によって容易に分解可能である。
【0118】
アリールC-これらには、より「成熟した」有機材料の機能であるベンゼン環構造を組み込んだ芳香族C化合物が含まれる。これらの化合物は、栄養素の利用可能性にも寄与するが、それらの環構造が微生物分解に対してより耐性であるため、土壌中の滞留時間がより長い。それらは、C隔離に寄与し得る。
【0119】
O-アルキルC-このクラスには、すべての多糖(糖型)化合物及び炭水化物化合物が含まれる。これらは、容易に利用可能な微生物基質であるので、局所的な微生物活性を刺激する。この材料はまた、「プライミング」効果を有することもあり、それほど利用可能ではない他の土壌C源の無機化を刺激する。
【0120】
アルキルC-このクラスには、脂肪酸、脂質及び他の長鎖脂肪族化合物が含まれる。これらは、エネルギー源として微生物によって消費される可能性があるが、栄養素放出又はC隔離に寄与しない。
【0121】
13C NMRスペクトルが図3に示されており、様々なCクラスが、異なる「化学シフト」においてピークの群として計測される。約70ppmにおける大きなピークは、多糖/炭水化物ピークである。このスペクトルの形状は、他のコンポスト型有機補正物に見られるものと似ている。そのため、焙焼は、炭素を濃縮し、病原体を除去しながら、堆肥化などの他の有機処理の利点の多くを保持する。亜炭及びコンポストと比較した、別のNMRの例を図4に示す。
【0122】
例3-ある態様に係る肥料の調製の具体例
図5及び図6のフローダイアグラムは、原材料から最終顆粒の充填までの方法の概略図を表している。それらの工程は、下記で概説され、図5でラベル付けされている。
1.有機原材料(ニワトリリター、鶏糞及び鶏死体を別々の区画に入れた)。
2.すべての有機原材料を指定の比率(例えば、図13の表)でリボンミキサーに供給し、十分に混合した後、シュレッダーに入れた。
3.混合物を一貫した小さい粒径に細断した後、焙焼方法に入った。この工程により、サイズが一貫するため、均一な焙焼(熱分布)が可能になった。
4.細断された混合物を焙焼器ユニットに導入し、混合物を酸素の非存在下において330℃の高温に曝露した。この焙焼方法は、混合物の水分を大幅に(40%の水分含有量から10%未満の水分含有量に)減少させた。
5.次いで、焙焼有機材料を、指定の比率、例えば、図13の表の無機肥料顆粒及び結合剤とともにミキサーに導入した(生成物の製剤レシピに従って)。
6.次いで、有機材料と無機材料との混合物をハンマーミルに導入して粒子を粉砕し、均一性のために材料をさらに混合した。最終混合ペレットの組成の均一性の一例を図10に示す。
7.次いで、粉砕され均質化された混合物を湿潤ステーションに導入し、そこで液体(水又は液体肥料又は当該方法からの凝縮物)を混合物に添加してペレット化の準備をした。
8.次いで、湿混合物を造粒のためにペレタイザーに導入する。
9.ペレタイザーからの顆粒を液体(水又は当該方法からの凝縮物)とともにつや出し器に導入して、顆粒表面をさらに研磨し、均一な球状顆粒を生成した。
10.研磨された顆粒を乾燥機に導入して、過剰な水分含有量を除去した。水分を少なくとも約1%~多くとも約9%の範囲内になるまで減少させた。
11.次いで、乾燥した顆粒を、おそらくは周囲冷却又はファンによって貯蔵温度まで冷却した。
12.冷却した顆粒を、さらに塊及び大きな粒径を求めて篩にかけた後、貯蔵又は包装に送った。
【0123】
例4-焙焼ベースの選択
生成物に使用された動物排泄物を様々な比率で焙焼して「ベース」を生成した。これらのベースのうちの4つに対する栄養素分析結果を図8の表4に示す。ベースの水分含有量は、変動し、糞/死体(湿)の存在に応じて増加し、リター(乾燥材料)の存在に応じて減少する。しかしながら、水分含有量の変動以外に、有機供給原料の全体的な栄養素含有量は、最終生成物中の不安定な炭素の量に有意に影響しないことが分かった。これは、得られる炭素含有量が合計の約30~約40%の範囲内であれば、改良された肥料が、焙焼されたベース中の、様々なパーセンテージのリター/堆肥/死体を許容できることを意味する。
【0124】
有機廃棄物材料の3つのバッチを、焙焼後に栄養素、炭素及び病原体について、独立した研究所(SWEP)が分析した。結果を図7の表1に示す。表1に見られるように、焙焼された生成物は、大腸菌(E.Coli)、サルモネラ(Salmonella)及びリステリア(Listeria)が存在しないことに起因して(全大腸菌(<3))、実質的に無菌である。大腸菌が存在しないことは、図11のグラフでも見ることができる。B1及びB4とラベルされた肥料は、大腸菌を有さず、所望の硬度及び所望の水分含有量を有する。
【0125】
例5-硬度/破砕強度
顆粒硬度の尺度である破砕強度を、顆粒性能の指標として使用する。粉砕強度(顆粒硬度)をさらに改善するために、造粒結合剤としてリグノスルホナートを使用して実験を行った。図9は、1つのそのような実験の結果を示している。図9のデータから、10%未満の水分含有量では、リグノスルホン酸カルシウムを含む顆粒の硬度は、結合剤を含まない場合よりも有意に高いことが分かる。
【0126】
例6-改良された肥料製剤
有機材料及び無機材料を含む肥料ペレットを製造するために焙焼及び造粒方法を用いて、いくつかの製剤を生成した。
次いで、焙焼有機材料を様々な混合物及び比率で無機肥料と混合し、その混合物を造粒した。組成を図13の表に示す。最終顆粒を栄養素、水分及び組成分析のために研究室に送った。
【0127】
異なる土壌組成及び栄養組成における肥料生成物の効果を理解するために、砂質土壌及び粘土質土壌において土壌インキュベーション及び温室実験を行った。
【0128】
土壌インキュベーション
・両方の土壌タイプで有機材料の分解が観察されたが、これは粘土と比較して、より低い栄養素負荷、有機物及び微生物活性に起因して砂質土壌においてより明確に見られた。
・カチオンの放出が実験期間にわたって観察され、これは、CECとC:N比と不安定な炭素との間の関係に反映された。
・カリウム及びリンの無機化が見られ、それらのコントロールと比較して、焙焼有機生成物で生じる無機化が増加した。
・焙焼有機生成物は、それらのコントロールと比較して実験期間にわたって同様のアンモニウム及びニトラートを有することが観察され、両方の土壌で主要な窒素固定化が生じていないことを示した。
・高い有機含有量及び微生物活性に起因して、アンモニウムNは、急速にニトラートNに変換することが観察された。
・いくつかの焙焼有機生成物は、それらのコントロールと比較して、Nについてより遅く、より制御された放出を有することが観察された。
【0129】
温室
・生成物の性能は、トウモロコシ(粘土)とレタス(砂質)の両方について土壌のみ(すなわち、無肥料コントロール)よりも優れており、収量の増加及び栄養素の取り込みの増加をもたらす。
・粘土質土壌のより高い肥沃度に起因して、農学的効果は、粘土質土壌よりも砂質土壌でより明白である。
・生成物(B4)に対して異なる適用量を試行し、最適範囲を特定した。
・他のすべての処理について、2つの適用量を試行した。生成物ごとに様々な応答が観察された。
【0130】
圃場試験は、追加のコンポスト化された鶏糞で処理し、ポット試験は、追加の未処理の鶏糞で処理した。その糞/コンポストを、ABF生成物(例えば、B1、B4、B5、B6、B7、D5など)との比較のために添加し、糞又はコンポストを別々に適用した後、従来のNPK肥料を適用した。未処理の糞又はコンポスト化された糞からの栄養素の利用可能性が同様であり得ると予想され、コンポスト化された材料は、単に病原体が少なく、場合によっては窒素が少し少ない(堆肥化中に失われた)。
【0131】
%乾物収量は、乾物(グラム/ポット)をコントロール(施肥なし)で除算したものである。
【0132】
仮説1:焙焼有機材料は、糞/コンポストと同等又はそれより良好に機能する
検証結果:正
【表1】

C1焙焼有機物には、無機材料が添加されていない。この実験は、焙焼有機材料中の不安定な炭素が、単独で使用されたとき、糞又はコンポストよりも優れていることを実証することを目的としている。結果から分かるように、圃場試験における%乾物は、焙焼材料の使用によって概して増加しており、改良された肥料組成物における使用の裏付けとなっている。
【0133】
仮説2:共造粒された焙焼有機物/無機化学肥料化合物は、堆肥/コンポスト+NPK化学肥料ブレンドと同程度に良好に機能する
検証結果:正
【表2】

本発明の態様に係るB4、B5及びB6組成物はそれぞれ、32.5%の焙焼有機ベース及び67.5%の無機材料を有する。接尾辞4、5及び6は、B製剤の各々がわずかに異なる無機製剤を有することを表すために使用されている。製剤の正確な栄養素%を図13の表に示す。
【0134】
性能を全体的に考慮するとき、NPKブレンド+コンポスト/糞では、製剤を2つの別々の工程で送達しなければならず、これは上記の背景技術の項で説明したように欠点であることに留意すべきである。ゆえに、本発明の態様に係る肥料B4、B5及びB6を1工程で添加したので、圃場試験レタス及び圃場試験ブロッコリーで見られる改善は、かなりの改善である。
【0135】
仮説3:共造粒された焙焼有機物/化学肥料化合物は、糞/コンポスト+NPK化学肥料化合物と同等又はそれより良好に機能する
検証結果:正
【表3】

NOPKは、登録商標ニトロホスカと呼ばれることがある。B7による改善された結果は、単独で又はコンポスト/糞と組み合わせて使用されたニトロホスカと比較したとき、表に示される結果から明らかであるはずである。本発明のある態様に係る改良された肥料B7を使用したとき、レタスの%乾物収量は、26%から31%に増加した。本発明のある態様に係る改良された肥料B7を使用したとき、トウモロコシの%乾物収量は、107%から136%に増加した。
【0136】
仮説4:共造粒された焙焼有機物/SOA化合物は、SOAと同等又はそれより良好に機能する
検証結果:正
【表4】

単独で使用されたSOAと比較したときのB2による改善された結果は、上記の表に示された結果から明らかであるはずである。本発明のある態様に係る改良された肥料B2を使用したとき、レタスの%乾物収量は、66%から138%に増加した。本発明のある態様に係る改良された肥料B2を使用したとき、トウモロコシの%乾物収量は、36%から66%に増加した。
【0137】
仮説5:共造粒された焙焼有機物/MAP-S-Zn化合物は、Granulock Zと同等又はそれより良好に機能する
検証結果:正
【表5】

MAP-S-Znは、Incitec Pivotという登録商標である商標Granulock Zで呼ばれる。単独で使用されたMAP-S-Znと比較したときのB3による改善された結果は、上記の表に示された結果から明らかであるはずである。本発明のある態様に係る改良された肥料B3を使用したとき、レタスの%乾物収量は100%から138%に増加した。本発明のある態様に係る改良された肥料B2を使用したとき、トウモロコシの%乾物収量は、32%から56%に増加した。
【0138】
仮説:共造粒された焙焼有機物/尿素化合物は、有意な収量増加をもたらし、Si&DMP阻害剤を添加するとさらに増加する
検証結果:正
【表6】

製剤D1と比較したとき、ケイ素、亜鉛及びDMPを添加したD5による改善された結果が見られる。本発明のある態様に係るD5を使用したとき、レタスの%乾物収量が、38%から77%に増加した。本発明のある態様に係る改良肥料D5を使用したとき、トウモロコシの%乾物収量が、77%から86%に増加した。
【0139】
例7-GHG排出量
以下のように温室効果ガスを計算した:
-1リットルディーゼル油=3.28kg CO2e
-1kg N2O=265kg CO2e
-1kg CH4=24kg CO2e
【0140】
標準的な農業従事者の慣行に従って理論的に適用される肥料について:
コントロール:コンポストを2t/ha相当の乾物で1年に1回表面適用し、NPK肥料を500kg/haで1年に4回、畝に条播きされる別個の適用で適用する。
【0141】
図14の表から分かるように、肥料のLCAのためにGHG排出量を評価する目的で、堆肥化中のニワトリリターのオフガス化は、乾物(DM)1トンあたり約365kgのGHG CO2eで推定される。
【0142】
ニワトリリターの輸送負荷は、有機リターの堆肥化場所への輸送のために50km及び農場までの約50kmの貨物運送(合計100km)で推定される。ディーゼル油の量は、約5.5kg GHG CO2e/tDMで推定される。これも図15に模式的に示されている。図15は、下記でさらに論じる無機物の輸送も示している。
【0143】
圃場における肥料の散布負荷は、約3.3kg GHG CO2e/tDMを生成すると推定される。
【0144】
この圃場では、排出されるGHGは、232kg GHG CO2e/tDMであると推定される。
【0145】
そのGHG CO2e/haは、合計で、コンポストのDM1トンあたり606.56である。乾物ベースで1年あたり2トンのコンポストが適用されるので、総GHG CO2 e/haは、1213.12kgとなる。
【0146】
園芸栽培者は、1年あたり4種の作物を植えており、コンポストの適用は、1年に1回であると仮定する。
【0147】
本開示のある態様に従って理論的に適用される固体肥料
固体肥料は、約1/3の有機材料を含み、750kg/haで1年に4回、畝に条播きされて、毎回250kgの有機材料が提供される。供給される総有機材料は、1年にわたって1000kg/haである。
【0148】
図16の表から分かるように、肥料のLCAのためにGHG排出量を評価する目的で、ニワトリリターは焙焼されているので、ニワトリリターのオフガス化がある。堆肥化中に時間をかけてゆっくり分解するニワトリリターではなく、図5で概説されたものと同様の方法を用いてニワトリリターを焙焼する。焙焼中に生成されたガスは、大部分が凝縮される。したがって、焙焼器及び他の処理装置のGHG排出量だけを計算する。これらは、333kg GHG CO2eと推定される。
【0149】
焙焼器へのニワトリリターコンポストの輸送負荷は、50km、及び農場までの焙焼材料の約50kmの貨物運送(合計100km)で推定される。ディーゼル油の量は、約3.8kg GHG CO2eで推定される。これは、図16に模式的に示されている。
【0150】
圃場における肥料の条播きは、約1.64kg GHG CO2eを生成すると推定される。
【0151】
圃場において、排出されるGHGは、273kg GHG CO2 eであると推定される。
【0152】
合計で、GHG CO2e/haは611.65kgである。1トン相当の有機系肥料が1年間に適用される。
【0153】
園芸栽培者は、1年あたり4種の作物を植えており、コンポストは適用されないという仮定。
【0154】
上記の例は、本肥料に対するGHG排出量の削減を実証する。標準的な慣行では、1年あたり2t/haの乾物をコンポストとする。本発明に係る肥料(生成物が約33%の有機材料であると仮定)の場合、有機物として250kg又は合計わずか1t/haの乾物を1年に4回適用する。したがって、標準的な慣行の肥料と比較したとき、本発明に係る肥料に適用される有機材料の量は半分である。
【0155】
例8-圃場試験
例7の耕地(in-field)での排出量計算を、圃場試験において検証した。セロリ農場において、4つの処理を適用した:
コントロール(肥料なし);
様々な段階での無機NPK肥料+側方施肥Nの適用;
熟成された鶏糞+無機肥料;及び
焙焼有機物(C1、図13を参照のこと)+無機発酵物。
【0156】
焙焼有機物が、湿潤ベースで64%という糞の割合で適用されるように、同等のNという割合/haで、2つの有機処理を適用した(堆肥の水分損失の考慮-ほぼ同等の乾燥質量、各有機タイプを適用した)。熟成された糞は、乾燥基準で3.24%Nであったのに対して、C1は、3.6%N前後であるので、乾燥基準では、少し少ないC1が適用された。
【0157】
結果を図18及び図26に示す。焙焼有機物及び無機肥料で処理された圃場部分は、熟成された鶏糞+無機肥料よりも全GHG排出量が少なかった。このデータは、ほぼ同等のトン数において、本開示の態様のGHG排出量が、典型的な従来の有機肥料の排出量よりも少ないことを示している。主な要点は、同種(Nの割合)ベースで、同様か又はわずかに低い全CO2-e排出量が生じたが、生産データは、熟成された糞又はコンポストと比較して実質的により低い割合のC1で同等の生産結果を達成できることを示していることである。
【0158】
糞と比較して焙焼材料からのわずかに高いN2O排出量は、初期段階での植物に対するより良好な栄養素利用可能性を示唆することに留意されたい。熟成されていなかった新鮮な糞からの排出量は、より多くなると予想される。
【0159】
例9-さらなる圃場試験
例7のライフサイクル分析は、従来の有機肥料と比較して本発明の生成物のトン数を半減する能力に基づいた。より低い割合の焙焼材料(又は無機物とともに配合された焙焼ベース)を使用できることを実証するために、ブロッコリー圃場試験の収量のデータを収集した。結果を図19の表に示す。
【0160】
図19の表から、0.5の割合の焙焼有機物(C1)を2倍の割合(1×)のコンポストと比較したとき、収量に有意差がないことが明らかになる。
【0161】
同様に、1×の割合の焙焼有機物を2×の割合のコンポストと比較する場合、B7(図13を参照のこと)とより高い割合のNPK化合物+別個のコンポスト適用とを比較するとき、同じ傾向がある。同じ文字が処理と並んでいる場合、この処理は、95%信頼水準で有意に異ならなかった。
【0162】
結論-本発明のある態様に係る肥料の実質的により低い割合を使用して、実質的により低いGHG排出量を生成しながら同じ生産結果に到達することができる。
【0163】
この割合の低下が実際的であることを実証する試験とは別に、顆粒材料は、根のゾーンに配置されるのに対して、コンポストは、一般に根のゾーンに部分的にしか分布されず、結果として、損失の影響をより受けやすいという点で当然である。
【0164】
例10-生物的な利用が可能な放出プロファイル
ある態様に係る肥料の生物的な利用が可能な放出プロファイルは、図21のグラフに見ることができる。このグラフは、焙焼有機物(C1)を土壌に適用したとき、28日後に約300mg/kgの不安定な炭素の増加が観察されることを示している。これは、未処理の鶏糞中の炭素の不安定性とほぼ同等である。不安定な炭素の増加の後、42日目まで急激な減少が起こり、これは、焙焼された材料/糞の適用が不安定な炭素をもたらし、次いでその不安定な炭素は、微生物が増殖するにつれてその微生物によってエネルギー源として急速に使用され、42日後にコントロールレベルに戻る減少をもたらすことを示唆している。
【0165】
図22は、30日間のインキュベーション中の砂質土壌及び粘土質土壌中の500(A)及び1000(B)kg ha-1の異なるタイプの肥料の添加に対する累積CO放出の応答を示しており、すべての土壌が14日間プレインキュベートされたことに留意されたい。注目すべきは、焙焼有機物(C1)からのCO放出の実質的な増加であり、これは、炭素の不安定な性質を示している。含まれる生成物の分析は、以下のとおりである:
【表7】

C3は、完全に無機成分から構成されていることに留意されたい。これは、CO放出に関してコントロールと比較して、差があったとしてもほとんどない理由を説明する。
【0166】
図23は、30日間のインキュベーション中の砂質土壌及び粘土質土壌中の500(A)及び1000(B)kg ha-1の異なるタイプの肥料の添加に対する毎日の土壌のCO放出率の応答を示しており、すべての土壌が14日間プレインキュベートされたことに留意されたい。注目すべきは、焙焼有機物(C1)からの高い初期CO放出量であり、これは、炭素の不安定な性質を示している。
【0167】
図24は、28日間のインキュベーション中の砂質土壌及び粘土質土壌中の500(A)及び1000(B)kg ha-1の異なるタイプの肥料の添加に対する土壌の累積CO放出率の応答を示しており、すべての土壌が14日間プレインキュベートされたことに留意されたい。これらの実験では、比較のために糞及びコンポストの起源(M及びM1)を含めたと考えられる(これらの生成物の起源/分析を研究者に確認しただけである)。注目すべきは、焙焼有機物(C1)からの実質的なCO放出であり、これは、炭素の不安定な性質を示している。糞の起源と比較したときの焙焼有機物(C1)からの余分なCO放出は、糞と比べて、この製剤を構成する粒子の表面積が大きいことに起因し得る。
【表8】
【0168】
図25は、28日間のインキュベーション中の砂質土壌及び粘土質土壌中の500(A)及び1000(B)kg ha-1の異なるタイプの肥料の添加に対する毎日の土壌のCO放出率の応答を示しており、すべての土壌が14日間プレインキュベートされたことに留意されたい。これらの実験では、2つの糞起源(M及びM1)(M=肥料;M1=肥料+NPK肥料)を比較のために含めた。注目すべきは、焙焼有機物(C1)からの実質的なCO放出であり、これは、炭素の不安定な性質を示している。糞の起源と比較したときの焙焼有機物(C1)からの余分なCO放出は、糞と比べて、この製剤を構成する粒子の表面積が大きいことに起因し得る。
【0169】
本明細書でなされたいずれの取り決めも、本発明の一部の態様に関連すると理解されるべきであって、本発明に関してなされた取り決めであることを意図するものではない。本発明のすべての態様に適用されるとみなされる取り決めがある場合、文脈上そうでないことが明確でない限り、特許の受理又はその後の譲渡についてそれらの取り決めに依拠する意図はないので、後でそれらの取り決めを本明細書から削除する権利は留保されている。
【0170】
以下の特許請求の範囲及び本発明の前述の説明では、文脈上、明確な言語又は必要な含意に起因して他の意味を必要とする場合を除いて、単語「~を含む(comprise)」又は「~を含む(comprises)」もしくは「~を含む(comprising)」などの変形は、包括的な意味で使用され、すなわち、述べられた特徴が存在することを明示するが、本発明の様々な態様にさらなる特徴が存在すること又は追加されることを排除するものではない。
【0171】
当然のことながら、前述のことは、本発明の例証的な例として与えられているが、当業者に明らかであるようなそのような及び他の修正及び変形はすべて、本明細書中に示されているような本発明の広い範囲及び範囲内に含まれるとみなされることが理解されるだろう。
図1
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【国際調査報告】