(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】安全な識別方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/45 20130101AFI20231227BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20231227BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20231227BHJP
A61B 5/117 20160101ALI20231227BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20231227BHJP
【FI】
G06F21/45
G06F21/31
G06F21/32
A61B5/117 100
A61B5/1171
A61B5/117 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515195
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021049161
(87)【国際公開番号】W WO2022051679
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/053919
(32)【優先日】2021-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/046566
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522437544
【氏名又は名称】レベル・フォーティツー・エーアイ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523058113
【氏名又は名称】ネルソン・エル・ジャンベ
(71)【出願人】
【識別番号】523058124
【氏名又は名称】マイケル・モリモト
(71)【出願人】
【識別番号】523058102
【氏名又は名称】アンドレアス・シュー
(71)【出願人】
【識別番号】523079277
【氏名又は名称】トッド・ルーク
(71)【出願人】
【識別番号】523058191
【氏名又は名称】クシシュトフ・クラウィック
(71)【出願人】
【識別番号】523058180
【氏名又は名称】ケヴィン・ハモンド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン・エル・ジャンベ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・モリモト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・シュー
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ルーク
(72)【発明者】
【氏名】クシシュトフ・クラウィック
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ハモンド
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA07
4C038VB01
(57)【要約】
対象のための一意の識別子を生成するための方法およびシステムが開示される。対象に関連するバイオメトリックデータが受信される。バイオメトリックデータから識別マーカーが抽出される。一意の識別子は、他のドメイン固有の特徴と比較して所定のIDを有する所与のドメイン固有の特徴を識別することによって、抽出された識別マーカーから生成される。バイオメトリックデータに基づいて特徴値が生成され、対象のユーザプロファイル内に記憶される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象のための一意の識別子を生成するための方法であって、前記方法が、コンピュータシステムのプロセッサによって実行可能であり、前記方法が、
前記対象に関するバイオメトリックデータを取得するステップと、
前記バイオメトリックデータから識別マーカーを抽出するステップと、
前記抽出された識別マーカーから前記一意の識別子を生成するステップであって、他のドメイン固有の特徴と比較して、所定のIDを有する所与のドメイン固有の特徴を識別するステップを含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記所定のIDが、他のドメイン固有の特徴よりも高い出現率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定のIDが、他のドメイン固有の特徴よりも高い頻度のイベントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ドメインが、音響信号、振動音響信号、電磁信号、および光信号のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記所与のドメイン固有の特徴が、ピッチ、振幅、ピーク、曲線下面積、周波数、スペクトル分布、総エネルギー、音色、タイミング、周波数帯域、および高調波分布のうちの1つまたは複数に基づいて特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生成された一意の識別子を前記プロセッサのデータベース内に記憶するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記一意の識別子を生成するステップが第1の時点において発生し、前記方法が、第2の時点において所定の共通の特長の存在を決定するために、前記生成された識別子を参照識別子と比較するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の時点が前記第1の時点よりも遅いかまたは同時である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
所定の基準に基づいて前記バイオメトリックデータを受け入れるかどうかを判定するステップと、
前記バイオメトリックデータの信号を強化するために前記バイオメトリックデータを処理するステップと、
前記バイオメトリックデータの信号を正規化するために前記バイオメトリックデータを処理するステップと、
前記バイオメトリックデータの信号の進化型構造的機械学習と、信号集約と、抽象化とを実行するために前記バイオメトリックデータを処理するステップと、
前記バイオメトリックデータを、データベース内に記憶された参照バイオメトリックデータと比較するステップと
のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生成された一意の識別子がQRコードである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記バイオメトリックデータを取得するステップが、ベースライン段階とベースライン更新段階とを含み、前記ベースライン段階におけるデータセグメントが、前記ベースライン更新段階におけるデータセグメントよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記バイオメトリックデータを取得するステップが、約0.01Hzから約20THzのサンプリングレートにおいてデータを取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセッサに、Bluetoothなどの所与のデバイスに前記生成された一意の識別子を送信させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記生成された一意の識別子にタイムスタンプを追加するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
所与のショーに参加すること、所与の銀行と取引すること、所与のウイルスに感染することなどのイベント関連パラメータの入力を取得するステップと、前記一意の識別子および前記イベントに関する情報を組み込んだステータス識別子を生成するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象に関連付けられたデバイスから物理的識別パラメータの入力を取得するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
異なる要件を有する別のデジタル識別ソリューションのビット要件に従って、前記生成された一意の識別子のビット出力を変換するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記対象の感情的/認知的状態の入力を取得するステップと、前記生成された一意の識別子を組み込むステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記生成された一意の識別子を、健康パスポート、セキュリティアクセス、感情的/認知的フィードバックの1つまたは複数として使用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
対象のための一意の識別子を生成するためのシステムであって、前記システムが、コンピュータシステムのプロセッサを備え、前記プロセッサが、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、システム。
【請求項21】
前記バイオメトリックデータを取得するための1つまたは複数のセンサをさらに備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記コンピュータシステムが、少なくとも部分的にモバイルデバイスにおいて実装され、前記モバイルデバイスが、物理的識別部分をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
個人の識別子を受信するステップと、
ユーザプロファイルのデータベースから前記個人に対応するプロファイルを取得するステップと、
センサアレイを使用して前記個人のバイオメトリックデータを記録するステップであって、前記センサアレイが振動音響センサを備える、ステップと、
特徴の順序付きリストを取得するステップと、
前記バイオメトリックデータに基づいて、前記特徴の順序付きリスト内の最も高くランク付けされた特徴に対応する1つまたは複数の特徴値を生成するステップと、
前記1つまたは複数の特徴値に一致する前記ユーザプロファイルのデータベースからのユーザプロファイルを決定するステップと、
前記データベースからの前記ユーザプロファイルが前記個人に対応する前記取得されたプロファイルと一致すると判断した後、前記個人が認証されたという指示を出力するステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記個人の前記識別子を受信するステップが、前記個人に対応するバーコードをスキャンするステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記個人の前記識別子を受信するステップが、前記個人のユーザ名を受信するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記個人の前記識別子を受信するステップが、前記個人に対応する識別番号を受信するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記個人に対応する前記プロファイルが、複数の特徴値を含み、前記特徴値が、前記個人の以前に記録された測定値に基づく、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記特徴の順序付きリストが、個人間を区別する特徴の能力に基づいて特徴をランク付けするようにトレーニングされた機械学習アルゴリズム(MLA)によって生成された、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
個人間を区別する可能性がより高い特徴が、前記特徴の順序付きリストにおいてより高いランキングを割り当てられる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つまたは複数の特徴値に一致する前記ユーザプロファイルを決定するステップが、前記個人の前記バイオメトリックデータと一致する一意のプロファイルが見つかるまで、前記特徴のランク付けリストを繰り返し処理するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記1つまたは複数の特徴値に一致する前記ユーザプロファイルを決定するステップが、前記個人の前記バイオメトリックデータに関する潜在的な一致の量が所定のしきい値未満になるまで、前記特徴のランク付けリストを繰り返し処理するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記センサアレイが、1つまたは複数の環境センサを備え、前記方法が、前記1つまたは複数の環境センサによって、1つまたは複数の環境パラメータを測定するステップをさらに含み、前記1つまたは複数の特徴値を生成するステップが、前記1つまたは複数の環境パラメータに基づいて前記1つまたは複数の特徴値を生成するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
センサアレイを使用して個人のバイオメトリックデータを記録するステップであって、前記センサアレイが、振動音響センサを備える、ステップと、
前記バイオメトリックデータに基づいて、複数の特徴値を生成するステップと、
前記個人のユーザプロファイルを生成するステップであって、前記ユーザプロファイルが、前記複数の特徴値を含む、ステップと、
前記ユーザプロファイルをデータベース内に記憶するステップと、
機械学習アルゴリズム(MLA)によって、前記データベースに基づいて、特徴のランク付けリストを生成するステップであって、前記特徴が、個人間を区別する前記特徴の尤度に基づいてランク付けされる、ステップと、
前記ランク付きリストを記憶するステップと
を含む、方法。
【請求項34】
前記センサアレイによって、1つまたは複数の環境パラメータを記録するステップと、
前記1つまたは複数の環境パラメータを前記ユーザプロファイル内に記憶するステップと
をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記1つまたは複数の環境パラメータが、測定された温度と測定された湿度とを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記データベースがグラフを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、請求項23から36のいずれか一項に記載の方法を前記システムに実行させる複数の実行可能命令を記憶するメモリと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月4日に出願した米国仮特許出願第63/075,059号、2020年9月4日に出願した米国仮特許出願第63/075,056号、2020年11月12日に出願した米国特許出願第17/096,806号、2021年5月8日に出願した国際特許出願第PCT/IB2021/053919号、および2021年8月18日に出願した国際特許出願第PCT/US2021/046566号の利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、「NONCONTACT SENSOR SYSTEMS AND METHOD」と題され、代理人整理番号106964/00057を有する同時に出願されたPCT出願に関連し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
この技術は、偽造不可能な識別クレデンシャルの生成およびこれらの偽造不可能な肯定的な識別の信頼できるクレデンシャルの使用のための信頼できるIoTハードウェアおよびソフトウェアフレームワークに関する。
【背景技術】
【0003】
米国会計検査院(GAO)は、メディケアおよびメディケイドサービスセンター(CMS)を、毎年約500億ドルを超えると推定される不適切な支払いの影響を受けやすいことを原因の1つとして、高リスクプログラムとして指定した。不適切な支払いは、二重請求の提出、または詐欺、浪費、悪用など、多くの原因を有する。重要なことには、COVID-19後の「次の常態(next normal)」は、健康および安全の再考を必要とし、それによって、「安全」は、現在、病気、食品サプライチェーンおよびフードトラベル(輸入/輸出)、人間ドック/健康診断、および接触者追跡など(すべて、安全なID基盤を有する)を含む。
【0004】
本開示は、信頼できる個人識別システムのための新規な解決策に関する。特に、偽造不可能な生体生理学的識別クレデンシャルの生成、およびサービスの安心かつ安全な転送のためのこれらの偽造不可能な識別クレデンシャルの使用のためのシステムに関する。偽造不可能なIDは、一時的または永続的であり得る。偽造不可能なIDは、ローカルまたは分散され得る。偽造不可能なIDは、非公開/プライベートまたは公開/パブリックであり得る。偽造不可能なIDは、オンラインまたはオフラインであり得る。偽造不可能なIDは、個人(最小識別単位)または大衆/集団(エコロジー)レベルであり得る。
【0005】
バイオメトリックシステムは、人を識別するために、行動および生理学的生体データに対して動作する。一般的な行動バイオメトリックパラメータは、署名、歩行、発話、およびキーストロークであり、これらのパラメータは、年齢および環境とともに変化する。顔、指紋、掌紋、および虹彩などの追加の生理学的特性は、人の一生を通じてほとんど変化しない。バイオメトリックシステムは、アプリケーションの要件に応じて、検証モードまたは識別モードとして動作する。検証モードは、取得したバイオメトリックデータを既製のテンプレートと比較することによって人のIDを検証する。識別モードは、複数の指紋バイオメトリックテンプレートに対して照合を実行することによって、人のIDを認識する。指紋は、その実現可能性、識別性、永続性、正確性、信頼性、受容性により、100年以上にわたって日常生活において広く使用されている。
【0006】
これとは別に、過去10年間、分散型台帳技術(DLT)における著しい革新があった。DLTの一形態であるブロックチェーン技術は、独立したピアノードのネットワークが、コンセンサスを通じて共有状態の一貫したビューを維持することを可能にし、したがって分散型の信頼を可能にする。この技術は、ビットコイン[Satoshi Nakamoto. 2009. Bitcoin: A peer-to-peer electronic cash system. http://bitcoin.org/bitcoin.pdf. (2009)]およびイーサリアム[Ethereum Foundation. 2019. Ethereum. (2019). https://www.ethereum.org/]などのよく知られた分散型パーミッションレスネットワークの基礎である。しかしながら、企業のユースケースに対処するアプリケーションは、スケーラビリティ、プライバシー、機密性、相互運用性、および監査可能性などの追加要件を課せられる。これらの要件は、複数の競合する許可されたブロックチェーンネットワークの開発につながった。今日、許可されたネットワークを構築するための幅広いプロトコルおよびプラットフォームの選択肢が存在する。
【0007】
それに加えて、過去数十年にわたり、分散型ID(DID)技術にも、著しい革新および標準化が起こっている。W3C分散型識別子ワーキンググループには、マイクロソフト、インテル、グーグル、レノボ、およびMITREを含む50を超える組織が参加している[W3C(2021) https://www.w3.org/groups/wg/did/ipr]。分散型識別子(DID)は、検証可能な分散型デジタルIDを可能にする新しいタイプの識別子である。マイクロソフトは、分散型IDファウンデーション(Decentralized Identity Foundation)(DIF)の創設メンバーであり、2019年、ION(IDオーバレイネットワーク(Identity Overlay Network))を開発していると発表した。それ以来、DIFは、分散型レイヤー2ネットワークであるSideTreeに基づいてIONを開発し、これは、そのユーザのハッシュ化されたIDをビットコインパブリックブロックチェーン上に固定し、暗号化されたIDデータをIONの分散型ネットワーク内に保持する。2021年、ビットコインブロックチェーン上で動作する最初のオープンな、パブリックのパーミッションレスレイヤー2分散型識別子ネットワークとして、IONのvlが立ち上げられた[https://github.com/decentralized-identity/ion]。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第63/067,179号
【特許文献2】米国特許第8923956B2号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の態様は、別々に実装され、既存の分散型台帳技術と相互運用可能な、エンドツーエンドの偽造不可能な統一バイオメトリック識別子および統一バイオメトリックロケータシステムを企図する。この実装される技術は、1)「検証可能なクレデンシャル」を生成し、2)前記「検証可能なクレデンシャル」に関連する「アクセス制御」属性を証明し、3)「検証可能なクレデンシャル」および「アクセス制御」プリミティブを、そのセンサフュージョン技術によって「状態およびステータスバイオメトリクス」を用いて拡張することによって、「条件付きアクセス」機能を提供することができる。
【0010】
特定の態様において、本明細書ではuDIDtと呼ばれる分散型識別子技術が提供される。
【0011】
特定の態様において、本明細書ではuDIDt-VeCxと呼ばれる、人の一意の検証可能なクレデンシャル識別子を生成するための方法およびシステムが提供される。
【0012】
特定の態様において、安全な取引における「検証可能なクレデンシャル」属性に基づく「アクセス制御」の証明のためにuDIDt-VeCxを使用するための方法およびシステムが提供される。取引は、商取引、セキュリティクリアランス、機械、自律型車両などの任意のタイプの取引を含んでもよい。
【0013】
特定の実施形態において、本技術の方法およびシステムは、パンデミックまたは災害の緊急時に健康/旅行パスポートのための「検証可能なクレデンシャル」を拡張することによって、「アクセス制御」/「条件付きアクセス」のために使用されてもよい。
【0014】
特定の実施形態において、本技術の方法およびシステムは、入国港における現在の健康状態およびステータスの確認のために使用されてもよい。
【0015】
特定の実施形態において、本技術の方法およびシステムは、エントリ用の「検証可能なクレデンシャル」または「キーカード」を生成するために使用されてもよい。
【0016】
特定の実施形態において、新規のバイオシグネチャー偽造不可能グローバル一意識別子(uDIDt-VeCx)は、人が生きている間のみ不変かつ有効である中枢神経系および自律神経系バイオフィールドシグネチャーの統合に基づく(本明細書では「バイオシグネチャー」とも呼ばれる)。バイオシグネチャーは、人の任意の生理学的パラメータに関連するデータを含んでもよい(例えば、Table 1(表1)を参照)。
【0017】
一意の識別子における現在のすべての試みは、個人がどのように識別されるのかについての任意の制御から個人を開放する。現在の一意の識別子は、それらが誰または何を識別するのか、およびそれらをいつ取り消すことができるのかを決定する外部当局によって発行される。それらは、特定の文脈においてのみ有効であり、特定の機関(個人の選択ではない)によってのみ認識される。それらは、組織の失敗により消滅するか、または有効でなくなる場合がある。それらは、個人情報を不必要に公開する場合がある。また、多くの場合、それらは、悪意のある第三者によって不正に複製され、主張される場合がある(「なりすまし」)。
【0018】
本開示において定義される一意の分散型識別子技術(uDIDt)は、個人および組織がそれらが信頼するシステムを使用してそれら自体の識別子(uDIDt-VeCx)を生成し、暗号証明(例えば、デジタル署名、プライバシー保護バイオメトリックプロトコルなど)を使用してそれらの識別子を証明(認証)することを可能にするように設計された新しいタイプのグローバルに一意の識別子である。
【0019】
本技術は、2020年8月18日に出願した米国特許出願第63/067,179号において開示された実施形態を含み、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書の文脈において、明示的に別段の定めがない限り、コンピュータシステムは、限定はしないが、「電子デバイス」、「オペレーティングシステム」、「システム」、「コンピュータベースのシステム」、「コントローラユニット」、「制御デバイス」、および/または目前の関連タスクに適切なそれらの任意の組合せを指す場合がある。
【0021】
本明細書の文脈において、明示的に別段の定めがない限り、「コンピュータ可読媒体」および「メモリ」という表現は、いかなる任意の性質および種類の媒体も含むことを意図しており、その非限定的な例は、RAM、ROM、ディスク(CD-ROM、DVD、フロッピーディスク、ハードディスクドライブなど)、USBキー、フラッシュメモリカード、ソリッドステートドライブ、およびテープデバイスを含む。
【0022】
本明細書の文脈において、「データベース」という用語は、その特定の構造、データベース管理ソフトウェア、またはデータが記憶、実装、もしくは他の方法で利用可能にされるコンピュータハードウェアに関係なく、データの任意の構造化された集合である。データベースは、データベース内に記憶された情報を記憶または利用するプロセスと同じハードウェア上に存在してもよく、または専用サーバまたは複数のサーバなどの別のハードウェア上に存在してもよい。
【0023】
本明細書の文脈において、明示的に別段の定めのない限り、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの単語は、それらが修飾する名詞を互いに区別することを可能にする目的でのみ形容詞として使用されており、それらの名詞間の特定の関係を記述する目的のためには使用されていない。
【0024】
本技術の実施形態は、各々、上述した目的および/または態様のうちの少なくとも1つを有するが、必ずしもそれらのすべてを有するとは限らない。上述した目的を達成しようと試みた結果として生じた本技術のいくつかの態様は、この目的を満たさない場合があり、および/または本明細書に具体的に記載されていない他の目的を満たす場合があることが理解されるべきである。
【0025】
本技術の実施形態の追加的および/または代替的な特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0026】
本技術、ならびに他の態様およびそのさらなる特徴のよりよい理解のために、添付図面とともに使用される以下の説明への参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本技術の様々な実施形態によるシステムのブロック図である。
【
図2】本技術の様々な実施形態によるシステムおよび方法の態様を実装するための例示的なコンピューティング環境のブロック図である。
【
図3】本技術の様々な実施形態による本技術の特定のシステムおよび方法の使用の概略図である。
【
図4】本技術の様々な実施形態による、個人(最小識別単位)または個人のグループについて、バイオシグネチャー入力に基づいて信頼できるデジタルID(出力)を生成するための、本技術の特定のシステムおよび方法の使用の概略図である。生成された個人識別子は、ステータス識別子を生成するためにイベント情報に組み込むこともできる。
【
図5】ステータス識別子を生成する際の生成された一意の識別子の使用を示す図である。この図は、様々なユースケースに関する様々なレベルにおいて抽象化を実行することができることを示す。例えば、深夜のショー(イベント)において、生成された一意の識別子は、含まれるべき情報(例えば、どこに座っていたか、チケットにどれくらい多く支払ったか、どの年齢層か)を決定する深夜のショーのガバナンスに基づいて抽象化することができる。
【
図6】取引が記憶される分散型台帳をより詳細に示す
図5の図である。これは、銀行業務などの特定のユースケースにおいて特別なレベルのセキュリティを追加することができる。検証および識別のために物理キーが提供されてもよい。このようにして、特定の実施形態において、ソフトウェアおよびハードウェア構成要素を組み合わせることができる。
【
図7】生成された一意の識別子の使用を示す、
図6の拡張である図である。
【
図8】
図4に関連し、不確実性をもたらす場合がある生理学的ドリフトの概念を示す図である。ドリフトしきい値を超えると、本技術の方法は、ベースライン更新段階においてバイオメトリックデータを取得するステップを含んでもよい。
【
図9】特定の実施形態における生成された個人識別子と、異なるビットを使用して動作する異なるデジタル暗号化プラットフォームからの他の識別子との相互運用を示す図である。
【
図10】追加のデータがイベントに関連する対象から取得され、生成された個人識別子でラベル付けされる、本技術の方法およびシステムの特定の実施形態を示す図である。これは、匿名化されたフィードバックのために使用することができる。例えば、取得された追加のデータは、対象の感情的または認知的状態を導出することができる生理学的データであってもよい。イベントは、ショー、講演、プレゼンテーション、授業、車両の運転や機械の操作などの活動などとすることができる。
【
図11】生成された一意の識別子をビットコイン取引などの取引のために使用することができ、特定の実施形態では、取引の数および台帳サイズの点でより単純な取引を提供する、本技術の方法およびシステムの特定の実施形態を示す図である。
【
図12】ローカルならびにリモートに記憶することができる生成された一意の識別子を認証のために使用することができる本技術の方法およびシステムの特定の実施形態を示す図である。
【
図13】本技術の特定の実施形態による、バイオメトリックデータからの識別マーカーの抽出を示す図である。識別マーカーは、より有益な特徴に基づいて選択することができる。識別マーカーは、任意の方法で組み合わせることができる。
【
図14】その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8923956B2号に記載の生体電気センサの非限定的な例のブロック図である。
【
図15】本技術の様々な実施形態による、個人を認証するための方法のフロー図である。
【
図16】本技術の様々な実施形態による、個人のプロファイルを生成するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で明示的に別段の定めのない限り、図面は、一定の縮尺ではないことが留意されるべきである。
【0029】
特定の実施形態において、分散型識別子(uDIDt-VeCx)は、より大規模なシステムの検証可能なクレデンシャルエコシステム(Verifiable Credentials ecosystem)[VeCx]の構成要素であってもよい。uDIDt-VeCxの設計目標は、限定はしないが、以下を含んでもよい。
【0030】
一実施形態において、本開示は、グローバルに一意の識別子、公開検証キー、サービスエンドポイント、および他のメタデータの登録を含む識別子管理において、集中型当局の要件を排除し、または単一点障害を防止するために、分散型の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0031】
別の実施形態において、本開示は、個人、グループ、コミュニティなど、すなわち、「エコロジー」、人間のエンティティと非人間のエンティティの両方に、自分のデジタル識別子を直接制御する力を与える、制御の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0032】
さらに別の実施形態において、本開示は、エンティティが、属性または他のデータの最小限の、選択的で、段階的な開示を含む、自分の情報のプライバシーを制御することを可能にする、プライバシーの目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0033】
一実施形態において、本開示は、要求当事者が自分の必要なレベルの保証のためにuDIDt-VeCxドキュメントに依存するのに十分なセキュリティを可能にする、セキュリティの目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0034】
別の実施形態において、本開示は、uDIDt-VeCxコントローラが、他のエンティティと対話するときに暗号証明を提供することを可能にする、証明基準の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0035】
さらに別の実施形態において、本開示は、エンティティが、他のエンティティについてより多くを学ぶか、または他のエンティティと対話するために、それらのエンティティに関するuDIDt-VeCxを発見することを可能にする、発見可能性の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0036】
一実施形態において、本開示は、uDIDt-VeCxインフラストラクチャが相互運用性のために設計された既存のツールおよびソフトウェアライブラリを利用することができるように、相互運用可能な標準を使用する、相互運用性の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0037】
別の実施形態において、本開示は、システムおよびネットワークに依存せず、エンティティがuDIDt-VeCxおよびuDIDt-VeCxメソッドをサポートする任意のシステムで自分のデジタル識別子を使用することを可能にする、移植性の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0038】
さらに別の実施形態において、本開示は、技術を理解、実装、および展開することを容易にするために、単純な特徴の縮小セットを支持する、単純性の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0039】
一実施形態において、本開示は、可能であれば、相互運用性、移植性、または単純性を大きく妨げないという条件で拡張性を可能にする、拡張性の目標を達成する方法およびシステムを提供する。
【0040】
これらの識別子の生成および主張の根底には、偽造不可能な生きている者のバイオメトリック/バイオシグネチャー/バイオフィールドがあるので、各個人は、それ自体が一意の不変のuDIDt-VeCxであり、そこから、あらゆるニーズを満たし、ID、ペルソナ、コンテキストの所望の分離を尊重するために、多くの子uDIDtおよびVeCxが生成されてもよい。それに加えて、後続のuDIDtおよびVeCxの範囲およびこれらの識別子の使用は、様々なコンテキストに対して適切に調整することができる。このようにして、個人は、個人データまたは私的なデータをどれくらい公開するかの制御を維持しながら、識別子の継続的な存在を保証する中央当局に依存することなく、信頼できる識別を必要とする他の人、コミュニティ、機関、またはシステムと対話することができる。さらに、これらの偽造不可能なバイオメトリック/バイオシグネチャー/バイオフィールドは、適切なアクセス制御において使用するために必要な行動およびコンテキスト情報も提供する。
【0041】
したがって、特定の実施形態において、本開示は、分散型で偽造不可能で選択的に脱匿名化不可能な個人的またはエコロジカルな識別子を提供するために、バイオメトリック、バイオシグネチャー、またはバイオフィールドデータの特定の組合せまたはサブセットを暗号によって符号化するための方法およびシステムを提供する。
【0042】
さらに別の実施形態において、脱匿名化のレベルは、個人レベルから任意に大きなエコロジー(定義された部分集団)まで選択することができる。
【0043】
個人を一意に認識するために人間の固有の身体的または行動的特徴を使用することは、バイオメトリクスと呼ばれる。バイオメトリック方法は、一般に、人を識別するために人体の一部を使用し、精度が高い。取得された個人のバイオメトリック特性は、必要なときに個人のIDを検証するために、何らかの方法で転送、記憶、および取得されなければならない。バイオメトリック情報を記憶するために、コンピュータチップおよびRFIDタグが使用されている。例えば、ほとんどの国は、個人のバイオメトリック情報を有する電子チップを含む電子パスポートを有する。RFIDを有するそのようなドキュメント文書を開発することは、非常に複雑で費用のかかるプロセスである。また、そのようなデバイスの寿命は、非常に限られている。したがって、バイオメトリック情報を取り込み、転送し、記憶し、取得するための長い寿命を有する新しい費用効果的な方法の開発は、重要な技術的課題である。コンピュータチップおよびRFIDタグと比較すると、クイックレスポンス(Quick Response)(QR)コード(登録商標)のようなデータ隠蔽技術は、はるかに安価であり、データを取得するための専用ハードウェアを必要としない。QRコードは、安価であり、従来、その内容を変更することができない受動的な読み取り専用要素である。QRコードの復号は、自分自身のスマートフォンを持参することを含む、多くの安価なデバイスによって行うことができる。QRコードは、大きい容量を有するので、uDIDt-VeCxから抽出されたすべての標準化された特徴を符号化することができる。QRコードは、任意の方向から読み取ることができ、さらにより安全にするために、QRコードに標準的な暗号化技法を適用することができる。本発明者らは、個人の顔/虹彩および指紋を含む偽造不可能な生きている者のバイオメトリック/バイオシグネチャー/バイオフィールドの核心部分に基づいて、標準化された特徴を抽出することによって、QR(クイックレスポンス)コードの形態における一意のuDIDt-VeCxの開発のための新規の技法を提案する。複合バイオシグネチャーは、バイオシグネチャーを分類するためにクロス周波数カップリング方法とクロスフェーズ信号カップリング方法とを使用する、バーコードのようなデータ隠蔽技術に変換される。次いで、バイオシグネチャーは、さらに細分類され、英数字コードに変換され、次いで対応するバーコードに変換される。
【0044】
システム
特定の態様において、対象のための一意の識別子を生成するためのシステムが提供される。特定の実施形態において、一意の識別子は、対象のバイオメトリックデータに基づく。
【0045】
システムは、本技術の単なる例示的な実装形態であることが明確に理解されるべきである。したがって、以下のその説明は、本技術の例示的な例の説明に過ぎないことを意図している。この説明は、本技術の範囲を定義する、または本技術の境界を示すことを意図していない。場合によっては、本システムに対する変更の有益な例であると思われるものも以下で示される場合がある。これは、単に理解への手助けとして行われ、再び、本技術の範囲を定義する、または本技術の境界を示すために行われていない。これらの変更は、網羅的なリストではなく、当業者が理解するように、他の変更が同様に可能である。さらに、これが行われていない場合(すなわち、変更の例が示されていない場合)、変更が不可能であるおよび/または記載されているものが本技術のその要素を実装する唯一の方法であると解釈されるべきではない。当業者が理解するように、これは、事実ではない可能性が高い。それに加えて、システム10は、特定のインスタンスにおいて、本技術の単純な実装形態を提供する場合があり、そのような場合、理解への手助けとしてこのように提示されていることが理解されるべきである。当業者が理解するように、本技術の様々な実装形態は、より複雑である場合がある。
【0046】
特定の実施形態(
図1)において、システムは、データの処理の出力を提供するための出力システムに接続された、センサからのデータを処理するためのコンピューティングシステムと通信する、対象からデータを収集するための1つまたは複数のセンサを備える。センサとコンピューティングシステムとの間の通信は、通信ネットワークを介してもよい。通信ネットワークは、インターネットおよび/またはイントラネットであってもよい。通信ネットワークの複数の実施形態が想定されてもよく、本技術の当業者に明らかになるであろう。
【0047】
コンピューティングシステムは、センサから受信したデータを処理するための任意の方法(以下でさらに詳細に説明する)を実装してもよい。コンピューティングシステムは、MLAモジュールとMLAトレーニングモジュールの一方または両方を含んでもよい。
【0048】
コンピューティングシステムは、
図2を参照して以下で説明するコンピューティング環境を備えてもよい。
【0049】
コンピューティング環境
図2は、本明細書で説明するシステムおよび方法のいずれかを実装および/または実行するために使用されてもよいコンピューティング環境100を示す。いくつかの実施形態において、コンピューティング環境100は、従来のパーソナルコンピュータ、ネットワークデバイス、および/もしくは電子デバイス(限定はしないが、モバイルデバイス、タブレットデバイス、サーバ、コントローラユニット、制御デバイスなど)、ならびに/または目前の関連タスクに適したそれらの任意の組合せのいずれかによって実装されてもよい。いくつかの実施形態において、コンピューティング環境100は、プロセッサ110によって集合的に表される1つまたは複数のシングルまたはマルチコアプロセッサと、ソリッドステートドライブ120と、ランダムアクセスメモリ130と、入力/出力インターフェース150とを含む様々なハードウェア構成要素を備える。コンピューティング環境100は、機械学習アルゴリズム(MLA)を動作させるように特別に設計されたコンピュータであってもよい。コンピューティング環境100は、一般的なコンピュータシステムであってもよい。コンピュータ環境は、例えばモバイルデバイスに取り付け可能なスタンドアロンデバイスを備えてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、コンピューティング環境100は、上記で挙げたシステムのうちの1つのサブシステムであってもよい。いくつかの他の実施形態において、コンピューティング環境100は、「既製の」汎用コンピュータシステムであってもよい。いくつかの実施形態において、コンピューティング環境100は、複数のシステム間で分散されてもよい。コンピューティング環境100は、本技術の実装形態専用であってもよい。当業者が理解できるように、コンピューティング環境100がどのように実装されるかについての複数の変形例が、本技術の範囲から逸脱することなく想定される場合がある。
【0051】
当業者は、プロセッサ110が一般に処理能力を表すことを理解するであろう。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の従来の中央処理装置(CPU)の代わりに、またはそれに加えて、1つまたは複数の専用処理コアが設けられてもよい。例えば、1つまたは複数のグラフィック処理ユニット111(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)、および/または他のいわゆる加速プロセッサ(または処理アクセラレータ)が、1つまたは複数のCPUに加えて、またはその代わりに設けられてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、従来の中央処理装置(CPU)の代わりに、またはそれに加えて、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が設けられてもよい。
【0052】
システムメモリは、典型的には、ランダムアクセスメモリ130を含むが、より一般的には、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、またはそれらの組合せなどの、任意のタイプの非一時的システムメモリを包含することを意図している。ソリッドステートドライブ120は、大容量記憶デバイスの一例として示されているが、より一般的には、そのような大容量ストレージは、データ、プログラム、および他の情報を記憶し、データ、プログラム、および他の情報を、システムバス160を介してアクセス可能にするように構成された任意のタイプの非一時的記憶デバイスを備えてもよい。例えば、大容量ストレージは、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、および/または光ディスクドライブのうちの1つまたは複数を備えてもよい。
【0053】
コンピューティング環境100の様々な構成要素間の通信は、様々なハードウェア構成要素が電子的に結合される、1つまたは複数の内部および/または外部バス(例えば、PCIバス、ユニバーサルシリアルバス、IEEE1394「ファイヤワイヤ」バス、SCSIバス、シリアルATAバス、ARINCバスなど)を備えるシステムバス160によって可能にされてもよい。
【0054】
入力/出力インターフェース150は、有線またはワイヤレスアクセスなどのネットワーキング機能を可能にしてもよい。一例として、入力/出力インターフェース150は、限定はしないが、ネットワークポート、ネットワークソケット、ネットワークインターフェースコントローラなどのネットワーキングインターフェースを備えてもよい。ネットワーキングインターフェースがどのように実装されるかについての複数の例が、本技術の当業者には明らかになるであろう。例えば、ネットワーキングインターフェースは、イーサネット、ファイバチャネル、Wi-Fi、トークンリング、またはシリアル通信プロトコルなどの、特定の物理層およびデータリンク層標準を実装してもよい。特定の物理層およびデータリンク層は、同じローカルエリアネットワーク(LAN)上のコンピュータの小さいグループ間の通信、およびインターネットプロトコル(IP)などのルーティング可能なプロトコルを介する大規模ネットワーク通信を可能にする、完全なネットワークプロトコルスタックの基盤を提供してもよい。
【0055】
入力/出力インターフェース150は、タッチスクリーン190もしくは任意の他のディスプレイデバイスに、ならびに/または1つまたは複数の内部および/もしくは外部バス160に結合されてもよい。タッチスクリーン190は、同様にスクリーン190と呼ばれる場合がある。タッチスクリーン190は、タッチハードウェア194(例えば、ユーザとディスプレイとの間の物理的対話の検出を可能にするディスプレイの層に埋め込まれた感圧セル)と、ディスプレイインターフェース140ならびに/または1つもしくは複数の内部および/もしくは外部バス160との通信を可能にするタッチ入力/出力コントローラ192とを備えてもよい。いくつかの実施形態において、入力/出力インターフェース150は、タッチスクリーン190に加えて、またはその代わりに、ユーザがコンピューティングデバイス100と対話することを可能にするキーボード(図示せず)、マウス(図示せず)、またはトラックパッド(図示せず)に接続されてもよい。
【0056】
本技術のいくつかの実施形態によれば、ソリッドステートドライブ120は、ランダムアクセスメモリ130にロードされ、本明細書に記載の1つもしくは複数の方法300の動作を実行するためにプロセッサ110によって実行されるのに適したプログラム命令を記憶する。例えば、プログラム命令のうちの少なくともいくつかは、ライブラリまたはアプリケーションの一部であってもよい。
【0057】
一実施形態において、システムは、携帯電話、タブレットコンピュータ、スマートウォッチ、またはラップトップコンピュータなどのモバイルデバイスなどの別のコンピューティングデバイスに接続することができる関連する専用の信号処理およびコンピュータシステムを有するセンサまたは複数のセンサをさらに備えるデバイスを備えてもよい。
【0058】
データ
特定の実施形態において、本技術の方法およびシステムは、高解像度であるか、または広い周波数帯域(0.1Hzから160kHzなど)を有してもよいバイオメトリック/バイオフィールド/バイオシグネチャーデータを収集またはモニタリングすること、および、例えば、バイオシグネチャーデータをQRコードまたは他のタイプのコードの形態におけるグローバルに一意のuDIDt-VeCxに抽象化するために、クロス周波数カップリング方法とクロスフェーズ信号カップリング方法とを使用することに向けられている。バイオシグネチャーが英数字コードまたはバーコードに変換されると、uDIDt-VeCxの永続性、解像度、または解釈を支持するために、いかなる特定の技術または暗号化も必要としない。
【0059】
Table 1(表1)。本技術によって利用されてもよいバイオメトリックデータおよびデータ源の特定の非限定的な例を説明する。
【表1】
【0060】
特定の実施形態において、収集またはモニタリングされたデータは、光学的、電磁的、および振動音響的なモニタリングされたパラメータのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0061】
バイオメトリックデータは、1つまたは複数のセンサなどの任意の適切なデバイスまたはシステムによって収集されてもよい。センサは、本明細書および2021年8月18日に出願した国際特許出願第PCT/US2021/046566号に記載されているもののいずれかであってもよく、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0062】
特定の実施形態において、バイオメトリックデータは、限定はしないが、振動音響センサ、電位センサ、揮発性有機化合物センサおよび広周波数帯域テラヘルツセンサ(テラヘルツ周波数における電磁波を生成および検出するために使用される)、マイクロフォン、化学抵抗、光学、圧電、電気化学、表面弾性波(SAW)、揮発性有機化合物センサ、高度センサ、周囲温度センサ、気圧センサ、ならびに空気質センサなどの、1つまたは複数のセンサによって収集またはモニタリングされる。
【0063】
特定の実施形態において、バイオメトリックデータは、収集および/またはモニタリングされる単一のデータパラメータを含んでもよい。特定の他の実施形態において、バイオメトリックデータは、収集および/またはモニタリングされる2つ以上のデータパラメータを含む。
【0064】
データ収集
バイオセンサは、生物生理学的情報を分析的に有用な信号に変換するデバイスとみなされる。正確でタイムリーなバイオメトリック評価のために、バイオセンサは、(i)正確な測定と、(ii)迅速な評価と、(iii)選択的な検出とを必要とする。特定の実施形態において、バイオメトリックデータは、信号ドリフトを補正するために、生理学的および病態生理学的な健康状態の環境的(文脈的)決定的要因とともに、ベースライン段階とベースライン更新段階の一方または両方において収集および/またはモニタリングされる。
【0065】
ベースライン段階において、バイオメトリックデータは、1~5日、1~4日、1~3日、1~2日、2~5日、3~5日、4~5日、1~3日、2~3日にわたって収集および/またはモニタリングされてもよい。データ収集は、連続的またはデータセグメント単位であってもよい。
【0066】
更新段階において、バイオメトリックデータは、1~25秒、5~25秒、10~25秒、15~25秒、20~25秒、1~20秒、1~15秒、1~10秒、5~10秒、5~15秒の間収集またはモニタリングされてもよい。
【0067】
特定の実施形態において、uDIDt-VeCxを作成する方法およびシステムは、約15秒~約20秒の長さ、または約10~約25秒、またはデータ品質およびデータ量の要件を満たす任意の他のデータセグメント長のデータセグメントを取得することを含む。
【0068】
特定の実施形態において、パンデミックまたは災害の緊急時の健康/旅行パスポートのためのクレデンシャル発行は、継続的な健康の特徴付けおよびベースライン化のために約2日~約4日のデータの収集を必要とする。
【0069】
特定の実施形態において、ベースライン化されたデータを使用する更新は、約5秒~約10秒のより短い確認データ読み取りまたは補充を必要とする。
【0070】
特定の実施形態において、方法は、第1の時点において対象のバイオメトリックデータを取得し、データベース内に記憶すること(「プレスクリーニングステップ」)を含む。記憶されたデータは、第1の時点、または第1の時点よりも後の第2の時点において識別子を生成するために使用されてもよい。方法は、第2の時点において、記憶されたデータまたは識別子を、入力のための「検証可能なクレデンシャル」または「キーカード」として使用することをさらに含む。
【0071】
特定の実施形態において、方法は、ID目的のために対象の顔または他の身体部分のデジタル画像データを取得することをさらに含んでもよい。これは、第1または第2の時点において発生してもよい。
【0072】
プレスクリーニングプロセスは、約1~5日の期間にわたって実行されてもよい。
【0073】
特定の実施形態において、生成された一意の識別子は、健康パスポートとして使用される。特定の実施形態において、ベースラインデータは、一時的である(削除、上書き、または有効性を失うことが可能である)。
【0074】
特定の実施形態において、生成された一意の識別子は、接触者追跡のために使用することができる。これは、プライバシーを維持するために有用である可能性がある。
【0075】
特定の実施形態において、方法は、約0.01Hz~約1GHz、約1GHzよりも上、約10GHz~約100GHz、約0.01Hz~約10THzのサンプリングレートでデータを収集および/またはモニタリングすることを含んでもよい。特定の実施形態において、これは、改善されたデータ品質および品質の意味により、より堅牢なuDIDt-VeCxを結果としてもたらすことができる。これらのサンプリングレートは、従来のデータサンプリングと比較して「高解像度」とみなされてもよい。テラヘルツ範囲において、データは、受動的または能動的に取り込まれてもよい。
【0076】
特定の実施形態において、本システムおよび方法の実施形態で使用されるセンサは、鎖状に連結された生の振幅シーケンスとして、または組み合わされた短時間フーリエ変換スペクトルとして、各々データを取り込んでもよい。
【0077】
特定の実施形態において、センサからのデータは、対象あたり15秒未満で、好ましくは対象あたり10秒未満で対象から取り込まれる。
【0078】
特定の実施形態において、高解像度バイオメトリック/バイオフィールド/バイオシグネチャーデータは、バイオシグネチャーデータをQRコードの形態においてグローバルに一意のuDIDt-VeCxに抽象化するために、クロス周波数カップリング方法とクロスフェーズ信号カップリング方法とを使用して処理される。他の実施形態において、一意の識別子は、限定はしないが、超音波ビーコン、赤外線信号、無線周波数(例えば、Bluetooth)信号、電気信号、英数字、磁気信号など、必ずしも光信号に限定されない任意の他のフォーマットとすることができる。
【0079】
一実施形態において、バイオシグネチャーが英数字コードまたはバーコードに変換されると、uDIDt-VeCxの永続性、解像度、または解釈を支持するために、いかなる特定の技術または暗号化も必要としない。
【0080】
特定の実施形態において、高解像度バイオメトリック/バイオフィールド/バイオシグネチャーデータは、分解可能な高次元マトリックスまたはグローバルに一意のuDIDt-VeCx代数格子を計算するために、インラインクロス周波数カップリング、調和数列、クロスフェーズ信号カップリング、超学習器および/または構造的機械学習方法を使用して処理される。当業者は、代数格子の仕様が、米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)(NIST)ポスト量子暗号(Post Quantum Cryptography)(PQC)標準選択プロセスにおけるいくつかの主要な耐量子公開鍵暗号の基礎であることを理解するであろう。
【0081】
構造的機械学習(Structural Machine Learning)(SML)フレームワーク内でバイオメトリック信号のセンサ融合およびデータ融合を使用することは、デジタル信号処理、音楽の数学、心肺の流体力学、特徴抽出、およびアンサンブルのステップを含む人間が解釈可能なドメイン固有言語(DSL)プログラムとして決定モデルを表現することによって、深層学習手法よりもはるかに高度な透明性および再現性を提供する場合がある。特に、DSLは、バイオメトリクスの専門家によって提案された概念(処理ステップ、信号特性など)を取り込む処理ステップ(機能)を容易に装備することができる(次いで、段階的に拡張することができる)。SMLフレームワークは、深層学習モデルと比較して、比較的少ない対象から効果的なバイオメトリック識別モデルをトレーニングする場合があり、利用可能なトレーニングデータの量にうまく対応し、トレーニングセットへの深刻な過学習を回避しながら、予測力の単調増加を示す。SMLフレームワークは、マルチモーダルな識別と、アクセス制御問題および決定クラスとを扱ってもよく、受信者動作特性(Receiver Operating Characteristic)(ROC)曲線を検査することによって、感度と特異性との間のトレードオフに関して便利に調整されてもよく、「ソフト」モード(スコア/確率)だけでなく、「鮮明な(crisp)」バイナリ識別決定をもたらすためにも使用することができる。SMLフレームワークは、バイオメトリックデータ入力の「情報性」、例えば、個々のバイオメトリック信号データストリームのバイオメトリック識別「値」、またはその組合せを評価するために使用されてもよい。合成された特徴は、「ライブラリ」内に収集され、他の使用シナリオにおいて、例えば、他の分岐する識別、再識別のユースケースに対応するために再利用することができる。アルゴリズムの効率の結果として、SMLフレームワークは、広く展開するためのポータブル/フィールド診断機器におけるエッジコンピュータおよび/またはエッジ推論などの、低電力ハードウェアアーキテクチャにおいて展開可能なモデルを生成してもよい。
【0082】
場合によっては、個人に関する利用可能な取り込まれた個別化バイオメトリック情報は、断面的かつ部分的であってもよい。この意味において、識別格子におけるノードは、ジグソーパズルにおける個々のピースに類似しているとみなすことができ、各バイオメトリックデータストリームは、互換性のあるノードとのみ「インターロックする」いくつかの特定の入力および出力を有する。機械学習アルゴリズムのタスクは、欠落したデータ値を一貫した方法で帰属させることであり、これは、新しい互換性のあるジグソーピースを合成することに似ている。このプロセスの一例(「ジグソーピース」がバイオメトリックデータストリームの最適化アルゴリズムである)は、平均ベクトル長または変調指数、位相同期値、包絡線と信号の相関、振幅スペクトルの分析、振幅と信号との間のコヒーレンスの分析、電力の時間経過と信号の時間経過との間のコヒーレンスの分析、およびマルチバイオメトリックデータの共分散行列の固有値分解を抽出する構造的機械学習アルゴリズム(デジタル信号処理、超学習器アルゴリズム、クロス周波数カップリング(CFC)、適応フィルタリング、調和数列、数学的音響学、および/またはドメインの専門知識を包含する)である。これらの方法はまた、第1の信号の周波数変化が第2の信号の周波数にどのように影響するかを分析してもよい。全体的な学習タスクは、非常に低い衝突確率を有するバイオシグネチャー識別子をもたらすことができるように、全体的なバイオメトリックデータジグソーの十分に大きい断片を完成させることである。
【0083】
全体的な構造的機械学習タスクは、非常に低い衝突確率を有するバイオシグネチャー識別子をもたらすことができるように、全体的なバイオメトリックデータジグソーの十分に大きい断片を完成させることである。
【0084】
別の実施形態において、検証プロセスは、以下のステップの実行を含む。
・候補から生きたサンプルを取得する。これは、センサを使用して実行されてもよい。
・サンプルから顕著な特徴を抽出する。これは、1つまたは複数の処理ユニットを使用して実行されてもよい。
・生きたサンプルをデータベース内に記憶されたサンプルと比較する。これは、アルゴリズムを使用して実行されてもよい。
・決定を提示する。決定は、候補を受け入れるかもしくは拒否するか、および/または候補を認証するかまたは認証しないかであってもよい。
【0085】
さらに別の実施形態において、データ処理サブシステムは、以下のステップの実行を含む。
・センサからのデータストリームをサンプリングする
・サンプル信号の受け入れ/拒否
・サンプル信号の強化
・サンプル信号の正規化
・特徴抽出
・クロス周波数カップリングならびに信号の集約および抽象化
・バイオメトリックサンプルとデータベース内に記憶されたすべてのサンプルとの比較。
【0086】
一実施形態において、分散型データベースストアは、登録されたサンプルと、特徴抽出およびデータ抽出および想起アルゴリズムとを、登録されたサンプルに対する追加のセキュリティのためのインターレースされたデータストアとして組み合わせ、すなわち、データは、アルゴリズムであり、アルゴリズムは、データである。識別は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュEPROM、またはデータサーバからの任意のメモリとすることができる。
【0087】
別の実施形態において、検証は、スマートフォン、または接触型もしくは非接触型のスマートカードのような取り外し可能な記憶要素を介して実行することができる。
【0088】
いくつかの変形例において、検証は、その偽造不可能性を証明する、耐久性のある耐タンパ性の一意に検証可能なハードウェアおよび検証可能なFPGA回路を介して実行することができる。
【0089】
さらに別の実施形態において、出力インターフェースは、ユーザへのアクセスを可能にするためにバイオメトリックシステムの決定を伝達する。これは、単純なシリアル通信プロトコルRS232、またはより高い帯域幅のUSBプロトコルとすることができる。また、TCP/IPプロトコル、無線周波数識別(RFID)、Bluetooth、またはバイオメトリック帯域幅を搬送するのに十分な拡張セルラープロトコルとすることもできる。
【0090】
一実施形態において、開示は、uDIDt-VeCxに関連付けられたメタデータ(uDIDt-VeCxドキュメントと呼ばれる)に対して4つの基本CRUD動作(作成、読み取り、更新、非活性化)を実行するための一般的な要件、すなわち、元のuDIDt-VeCxの基礎となる集約されたバイオシグネチャーの生成、元のuDIDt-VeCxの基礎となる一般的な構文、後続のすべてのuDIDtおよびVeCxm、ならびにuDIDt-VeCx変種の検証および妥当性確認を定義する。
【0091】
提案する一般的な手法は、あらゆる信頼できるインフラストラクチャ(例えば、ブロックチェーン、分散型台帳、分散型ファイルシステム、分散型データベース、ピアツーピアネットワーク)との相互運用性を促進することを目的としている。uDIDt-VeCxメソッドは、連合型または集中型ID管理システムにおいて登録された識別子のために開発することもできる。これは、中央型、連合型、および分散型の識別子の世界間の相互運用性の架け橋を作成する。uDIDt-VeCxおよびuDIDt-VeCxドキュメントに関する実装形態の相互運用性は、仕様に準拠するDIDおよびDIDドキュメントを作成および解析する実装形態の能力を評価することによってテストされる。uDIDt-VeCxおよびuDIDt-VeCxドキュメントの生産者および消費者の相互運用性は、DIDおよびDIDドキュメントの適合を保証することによって提供される。DID方法の仕様の相互運用性は、各DID方法の仕様の詳細によって提供される。ウェブブラウザがすべての既知のURI方式を実装する必要がないのと同様に、uDIDt-VeCxで動作する適合ソフトウェアは、すべての既知のuDIDt-VeCxメソッドを実装する必要はない(しかしながら、所与のuDIDt-VeCxメソッドのすべての実装形態は、その方法と相互運用可能でなければならない)ことが理解される。
【0092】
現在、複数のベース符号化フォーマットが、様々なブロックチェーン、分散型台帳、分散型ファイルシステム、分散型データベース、ピアツーピアネットワークによって優先的に使用されている。一般的に使用されるベース符号化フォーマットは、Base58(ビットコイン)[BASE58]、base64url[RFC7515]、basel6(hex)[RFC4648]である。一実施形態において、一般的な暗号取り込み手法が相互運用性をサポートする。したがって、一実施形態において、本技術は、Base58(ビットコイン)[BASE58]、base64url[RFC7515]、およびbasel6(hex)[RFC4648]を含むベース符号化フォーマットのセットをサポートする方法およびシステムを提供する。
【0093】
アーキテクチャの概要
センサ融合
人体の自然なプロセスは、多数の振動音響信号をもたらし、その多くは、皮膚と空気との界面において強く減衰する。微細な振動から全身の運動学までの範囲の振幅および周波数を有する運動は、これまで完全には特徴付けられていない多様で重要な生理学的健康情報を含む。再現性が高く規則的な心臓、肺、および胃腸の収縮および弛緩のサイクルの(個別および複合)機械的振動は、触診検査中に医師によって感じられる健康/疾病の直感的な推定をはるかに超える心肺の空洞および組織の厚さ、弾性/剛性、水和性、損傷/回復、健康/疾病などによってさらに影響を受ける複雑な変動するバイオフィールドを生成する。話すとき、肺から吐き出す空気は、閉じた声帯を通って押し出される。これは、声帯を振動させる。声帯は、高い音では速く振動し、低い音では遅く振動する。吸気により、横隔膜および外肋間筋が収縮し、胸腔内圧を低下させ、これは肺胞内圧を低下させ、したがって、胸郭外気道を介して空気を肺に引き込む。呼気により、空気は、肺から流出する。静かな呼吸中、このプロセスは、肺の反動による主に受動的な肺の収縮であるが、能動的な呼気では、腹筋および内肋間筋を含む呼吸筋も寄与する。気流の速度、圧力、および壁面せん断応力の変化は、吸気(速度分割)と呼気(速度合流)の両方で発生する。気流の流線の分割および合流の変化のレベルは、感染期間、強度、および/または感染による損傷の呼吸機構の影響を反映する。感染症に関連する呼吸器疾患の間、上気道および下気道において劇的な変化が起こる。
【0094】
音響聴診器およびデジタル聴診器は、典型的には50~2000Hzの周波数範囲に限られた信号を、非連続的かつ一時的に取得する。しかしながら、人体の自然なプロセスは、多数の機械音響信号をもたらし、その多くは、皮膚と空気との界面において強く減衰する。微細な振動から全身の運動学までの範囲の振幅および周波数を有する運動は、多様で重要な生理学的健康情報を含む。例は、声帯振動、心臓の活動、呼吸、脈拍、気道流体力学、歩行および移動、呼吸、ならびに体の向きを含む。0.01Hz~160kHzの振動音響バイオシグネチャーシステムなどの振動音響バイオシグネチャーシステムは、診断推論のために、心臓、肺、および胃腸の収縮および弛緩信号形状に対する空洞、軟部組織、骨、および体液の機械的影響に関連する情報を抽出する。現在の生物学的/医学的機器の検出限界を下回るこれらの新規なデータへのアクセスは、不変のバイオメトリックシグネチャーを提供する。
【0095】
本技術は、特定の実施形態において、新規のアクティブ超高インピーダンス容量結合電位センサ(EPS)を利用する。1/fノイズの不在は、EPSを約10Hz以下の信号周波数での使用に理想的なものにする。EPSは、電気的接触なしに筋肉および神経における電圧変化を検出することによって、標準的な心電図(ECG)、皮膚電気反応、眼電図(EOG)、筋電図(EMG)、および脳波図(EEG)を測定するために使用することができるので、電流の変化を検出するために体の上または体内に電極を有する必要はない。
【0096】
センサ
本技術の方法およびシステムは、特定の実施形態において、1つまたは複数のセンサを含む。特定の実施形態において、システムは、センサのアレイを含む。
【0097】
一般に、いくつかの変形例において、本方法およびシステムの実施形態は、振動音響信号を検出するように構成された1つまたは複数のセンサを有する振動音響センサモジュールを含む感知デバイスからのデータを利用してもよい。さらに、いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、約0.01Hz~少なくとも約160kHzの範囲の帯域幅を有する。それに加えて、感知デバイスは、振動音響データを検出するため以外のセンサも含んでもよい。
【0098】
したがって、一態様において、本技術は、生物学的イベントを受信して電気信号に変換し、そこからバイオシグネチャーを決定するためのシステムに関する。様々な実施形態において、センサアレイは、対象の体内音を測定するための振動音響センサと、対象の生体電気信号を測定するための生体電気センサとを備える。
【0099】
開発者は、対象が他の対象のものと区別できるバイオシグネチャーを有することを確認した。バイオシグネチャーは、収集されたデータから直接、または収集されたデータの処理から導出されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態において、センサアレイは、少なくとも1つの環境刺激または状態を測定するための1つまたは複数のセンサをさらに備える。例えば、環境刺激または状態は、周囲温度、気圧、9軸運動、地理的位置、場所依存のリアルタイム気象条件、周囲のUVレベル、花粉レベル、または汚染のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0101】
いくつかの実施形態において、センサアレイは、波長透過率/吸光度、酸素飽和度、呼気中の酸素および/または二酸化炭素レベル、呼気中の揮発性有機化合物(VOC)、皮膚温度、差体温、中核体温、体内排泄物、声の調子の抑揚、側頭動脈運動、眼球運動、眼圧、顎運動、唇運動、肩運動、腸、胃腸管、下部呼吸器系、上部呼吸器系のいずれかからの音響信号、血管新生、皮膚色の変化などのうちの少なくとも1つを測定するための少なくとも1つのセンサを備える。
【0102】
例えば、中核体温を測定するために、センサは、こめかみの動脈の運動および追従眼球を検出するために使用されてもよい。センサは、以下でさらに詳細に説明する、音響カルジオグラフ(Acoustic Cardiograph)(ACG)、心弾動計(BCG)、心電計(ECG)、筋電計(EMG)、眼電計(EOG)、脳波計(EEG)、超広帯域センサ(UWB)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。センサは、パッシブセンサまたはアクティブセンサとすることができる。
【0103】
特定の実施形態において、センサのうちの少なくとも1つは、非接触センサである。非接触とは、センサが対象から物理的に離れており、対象に関連するデータを収集するために対象との接触を必要としないことを意味する。特定の実施形態において、センサのうちの少なくとも1つの他のものは、対象の皮膚との密接な接触を必要としないが、衣服または履物を介した対象との接触を必要とする。特定の実施形態において、センサのうちの少なくとも1つは、対象に関連する電気/電磁信号を感知することができる。特定の実施形態において、センサのうちの少なくとも1つは、受動的または能動的な方法で、対象に関連する振動信号、音響信号、熱信号、電磁信号、磁気信号のうちの1つまたは複数を感知することができる。
【0104】
感知デバイス
いくつかの変形例において、1つまたは複数のセンサは、振動音響センサモジュール、コンテキストセンサモジュール、ならびに/または、例えば、振動音響センサモジュールおよび/もしくはコンテキストセンサモジュールからのセンサデータを処理してもよい電子システムのうちの1つまたは複数を含む感知デバイスにおいて具体化されてもよい。これらの構成要素のうちのいくつかまたはすべては、以下でさらに説明するように様々な用途に適した任意のフォームファクタを有してもよいハウジング内に封入されるか、さもなければハウジング内に少なくとも部分的に配置されてもよい。いくつかの変形例において、ハウジングは、感知デバイスのユーザインターフェースを提供するための(例えば、感知デバイスの制御を可能にするための情報をユーザに表示するためなどの)ディスプレイを含んでもよい。
【0105】
ハウジングは、センサとの通信を容易にするために、1つまたは複数の開口部および/または他の構造を含んでもよい。例えば、ハウジングは、モジュール内の振動音響センサに向けた振動音響波の侵入および伝播を可能にする、振動音響センサモジュールに隣接するセンサ開口部、および/または振動音響センサとインターフェースする膜もしくは他のレシーバを含んでもよい。それに加えて、または代替的に、いくつかの変形例において、感知デバイスは、広範囲の振動音響周波数に対する感度を改善するために、振動音響センサモジュールと直列に配置されたインピーダンス整合ダイアフラムを含んでもよい。例えば、インピーダンス整合とは、負荷インピーダンスと励起源の内部インピーダンスとが互いに(例えば、許容インピーダンス差内で)一致し、それによって最大電力出力につながる動作状態を指す場合がある。インピーダンスの不整合は、振動音響センサモジュールから離れたソース信号の望ましくない高い減衰および/または反射を結果として生じる場合がある。この問題は、例えば、超低周波数領域における最適なダイナミックレンジのために複数のダイアフラム切り抜き設計を活用して機械加工された調整可能な構成要素を使用するインピーダンス整合回路を開発することによって対処されてもよい。複合的なドーム/トランスデューサ解決策は、トランスデューサの内部を水および粒子状物質から保護するために、ダイアフラムおよび固定領域の周囲に適切な保護材料(例えば、ゴム、フェルトライナー、軽量フォームなど)を含んでもよい。ダイアフラムは、物理システムのフォームファクタに対して最適化された寸法を有する構造層として製造された受動材料(限定はしないが、ポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、炭素繊維、繊維ガラスなどを含んでもよい。調整可能なインピーダンス整合システムと構造層とを取得するために、ダイアフラムと埋め込まれた電極との間のギャップは、調整可能であってもよい。構造層は、形状と最適な重量とを確保するためにスピンおよびパターン化され、その後、接着されてもよい。
【0106】
いくつかの変形例において、感知デバイスは、感知デバイスが使用、無菌交換イベント、無菌カバーの交換間の使用の持続時間、バッテリーレベル、使用回数および/または他の使用データなどをインテリジェントにモニタリングすることができるように、交換可能な部品の着脱を検出および認証する1つまたは複数のセンサ(例えば、近接センサ、ホール効果センサ、接触センサなど)を含んでもよい。そのようなデータは、例えば、清潔さを維持するための最善の措置および必要なプロトコルへの準拠に関するレポートをモニタリングするために使用されてもよい。
【0107】
振動計センサモジュール
振動音響センサモジュールは、振動音響周波数の広いスペクトルを検出するための1つまたは複数のセンサを含んでもよく、これは、対象に適した識別子を決定する際に有用性を提供する場合がある。振動周波数が約500Hzを下回ると、人間の可聴しきい値は、急激に低下する。しかしながら、安静時の健常者において、ほとんどの心臓、呼吸、消化、および運動関連の情報は、発話に関連する周波数よりも低い周波数で発生するので、人間には聞こえない。本技術の実施形態において、超低周波音、超音波、および遠距離超音波振動音響周波数の広いスペクトルを使用することによって、対象のための識別子を決定するためのデータのプールが増大する。
【0108】
例示的な感知デバイスおよび振動音響センサモジュールについて以下に説明する。そのようなデバイスおよび方法について、主に、例えば、(例えば、人間のヘルスケアおよび/または獣医医療のために)人間または他の動物であってもよい対象の身体状態を特徴付けることに関して説明する。しかしながら、感知デバイスおよび方法の他の用途は、限定はしないが、暖房、換気、空調(HVAC)システム、自動車エンジン、橋、航空機の翼、環境超低周波音、弾道、ドローンおよび/または船舶の識別などを含む、非生物アイテムの特徴付けに関連してもよいことが理解されるべきである。例えば、感知デバイスおよび方法は、構造的健全性(例えば、橋、建物、航空機、車両などの構造的完全性を特徴付ける)、環境騒音汚染、回転モータエンジン性能の最適化、モニタリングなどを特徴付けるように適用されてもよい。
【0109】
振動音響センサモジュールは、振動音響信号を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ(例えば、MEMSセンサ)と、センサのうちの1つまたは複数とインターフェースする1つまたは複数の偏向構造とを含んでもよい。例えば、1つまたは複数のセンサは、(例えば、振動音響波に応答して)偏向構造の動きの様々な特性を測定するように、1つまたは複数の偏向構造とインターフェースするように選択および/または配置されてもよい。1つまたは複数のセンサによって測定可能なそのような動きは、対象の身体的状態を評価するために分析されてもよい。以下でさらに説明するように、いくつかの変形例において、1つまたは複数のセンサは、センサおよび偏向構造のインターフェースを著しく妨げないように、適切に可撓性のフレキシブル回路ボードまたは他の構造上に配置されてもよく、それによって、振動音響センサモジュールの感度および/または帯域幅の低下を回避する。センサ配置および偏向構造の例示的な変形例について、以下でさらに詳細に説明する。
【0110】
いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、約0.01Hz~少なくとも約20Hzの範囲の帯域幅などの超低音範囲における振動音響信号を検出するのに適した帯域幅を有してもよい。さらに、いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、約0.01Hz~少なくとも160kHzの範囲の帯域幅などの超低音~超高音のより広いスペクトルをカバーするより広い帯域幅を有してもよい。振動音響センサモジュールは、いくつかの変形例において、各々が振動音響センサモジュール帯域幅全体のセグメントを形成するそれぞれの帯域幅を有する複数の振動音響センサ一式を含んでもよい。これらの複数の振動音響センサの少なくともいくつかは、少なくとも部分的に重複するそれぞれの帯域幅を有してもよい。したがって、特定のセンサモジュール帯域幅に集合的に寄与する特定の振動音響センサの選択に基づいて、様々なセンサモジュール帯域幅が達成されてもよい。言い換えれば、帯域幅の拡張および線形化の手法(帯域幅のプリディストーション)は、最適な性能でより広い帯域幅をカバーするために、任意の特定の単一のセンサの帯域幅の制限をセンサの重複した組合せで補償するように、モジュラーセンサ融合と応答フィードバック情報とを利用してもよい。例えば、いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、約0.01Hz~少なくとも約50kHz、約0.01Hz~少なくとも約60kHz、約0.01Hz~少なくとも約70kHz、約0.01Hz~少なくとも約80kHz、約0.01Hz~少なくとも約90kHz、約0.01Hz~少なくとも約100kHz、約0.01Hz~少なくとも約110kHz、約0.01Hz~少なくとも約120kHz、約0.01Hz~少なくとも約130kHz、約0.01Hz~少なくとも約140kHz、約0.01Hz~少なくとも約150kHz、約0.01Hz~少なくとも約160kHz以上の範囲の全体的な帯域幅を有してもよい。
【0111】
例えば、振動音響センサモジュールは、マイクロフォン、加速度計、圧力センサ、圧電変換素子などを含む1つまたは複数のセンサ(例えば、MEMSセンサ)を含んでもよい。例えば、振動音響センサモジュールは、ダイナミックマイクロフォン、大型ダイアフラムコンデンサマイクロフォン、小型ダイアフラムコンデンサマイクロフォン、および/またはリボンマイクロフォンなどの1つまたは複数のマイクロフォンを含んでもよい。それに加えて、または代替的に、振動音響センサモジュールは、線形位置トランスデューサを含んでもよい。そのようなセンサは、振動音響信号に応答して動く適切な偏向構造をインターフェースすることによって、振動音響信号を検出および測定するように構成されてもよい。いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、約20Hz~約20kHzの範囲の振動音響信号を検出することができる複数の微小電気機械システム技術の交差軸慣性センサを組み合わせてもよい。それに加えて、または代替的に、振動音響センサモジュールは、約1Hz(またはそれ未満)~数kHz(例えば、約1Hzと約2kHzとの間)の範囲の振動音響信号を検出することができるMEMS交差軸慣性センサ融合を含んでもよい。さらに、振動音響センサモジュールは、それに加えて、または代替的に、約0.01Hz~数百Hz(例えば、約0.005Hzと約1kHzとの間、または約0.05と約1kHzとの間)の範囲の振動音響信号を検出することができるMEMS交差軸慣性センサを含んでもよい。それに加えて、または代替的に、ボイスコイルトランスデューサ、圧電トランスデューサなどの他の適切な振動音響センサが、振動音響センサモジュール内に含まれてもよい。いくつかの変形例において、振動音響波の伝達は、空気などの中間媒体を介して、および/または偏向構造を横切って起こる場合がある。
【0112】
さらに、振動音響センサモジュール内の複数の種類のセンサ一式は、(単独で、または以下でさらに説明するコンテキストセンサモジュールと組み合わせて)縦振動および横振動、ならびに環境コンテキストおよび環境外乱をより完全に取り込むように構成されてもよい。いくつかの変形例において、環境コンテキスト信号は、収集された関連する生命生理学的データをコンテキスト化するのに有用である場合がある。それに加えて、または代替的に、いくつかの変形例において、関連する生物学的振動音響信号成分からのノイズ除去のために、環境外乱データ(例えば、周囲ノイズ)が使用されてもよい。そのようなノイズ除去は、例えば、デバイス上でのアクティブノイズ除去として、または後処理ステップとして実行されてもよい。
【0113】
偏向構造
いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、偏向構造が平面内に配置された公称構成または静止構成を有する偏向構造を有し、偏向構造は、平面外の力に応答して偏向または屈曲してもよい。これらの変形例において、偏向構造は、平面外の動きに対して低い剛性(例えば抵抗)を有し、皮膚の動きに対して良好な適合性を有するが、平面内の動きに対して高い剛性または抵抗を有し、平面内の軸間の低いクロストークを有するように構成されてもよい。したがって、偏向構造は、偏向構造に向けられた音響波(すなわち、偏向構造に直交するベクトル成分を有する音響波)に対して高い感度を有するが、他の力によって寄与されるノイズに対して堅牢である。
【0114】
さらに、いくつかの変形例において、振動音響センサモジュール内の偏向構造は、慣性を低減するために(および、平面外の力に対する感度をさらに改善するために)、偏向構造の可動部分において比較的低い質量を有してもよい。いくつかの変形例において、偏向構造は、平面外の動きが高度に線形であるように、ヒステリシスが低いかまたはヒステリシスがないように設計されてもよい。それに加えて、または代替的に、偏向構造は、感知デバイスの長期間の使用にわたって予測可能で一貫性があるように、経時的な材料疲労が少ないように設計されてもよい。
【0115】
偏向構造は、いくつかの変形例において、硬質プラスチックなどのより硬質の材料を含んでもよく、3D印刷、フライス加工、射出成形、または任意の適切な方法で形成されてもよい。例えば、偏向構造は、限定はしないが、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、炭素繊維、繊維ガラス、および/または他の適切な材料を含む材料を含んでもよい。
【0116】
膜タイプセンサモジュール
いくつかの変形例において、偏向構造は、膜を含んでもよく、振動音響信号に応答して膜の平面内の動きを検出するために、1つまたは複数のセンサが膜とインターフェースするように配置されてもよい。例えば、振動音響センサモジュールは、フレームを横切って延在する膜を有する偏向構造と、フレキシブル回路基板を介して膜の中央領域に結合された加速度計とを含んでもよい。膜は、エラストマー材料(例えば、ラテックス、ニトリルなど)などの、フレーム上にぴんと張られた可撓性材料の薄いシートまたはダイアフラムを含んでもよい。いくつかの変形例において、膜は、膜を半径方向に圧縮してフレームに固定するクランプリング、他の適切な留め具(例えば、エポキシ)などの1つまたは複数の任意の適切な留め具を用いて、または任意の他の適切な方法においてフレームに結合されてもよい。いくつかの変形例において、FEM設計最適化モデルは、10~5000マイクロメートルの最適なドーム厚さ範囲と、約25ミリメートルと約75ミリメートルとの間の直径とを示唆している。ドームの1つの目標は、快適で非刺激性のデータ収集インターフェースを提供しながら、高いデータ忠実度の収集を可能にすることである。ドーム材料は、身体の低振幅の動きで自然に変形するように構成されてもよい。例えば、いくつかの変形例において、ドーム設計は、変形可能な非同一平面上の相互接続、基部における歪み分離層、ソフトカプセル化オーバレイヤ、および/または中空エアポケット構成を組み込んでもよい。一緒に、これらの特徴は、超高感度な信号ピックアップのための低弾性の弾性力学を提供する場合がある。
【0117】
上記で説明した振動音響センサモジュールの屈曲アームベースの変形例と同様に、振動音響センサモジュールは、可撓性で、平面外の力を受容するフレキシブル回路基板を含んでもよい。例えば、ジグザグ形状を有するフレキシブル回路基板であるが、フレキシブル回路は、代替的には、螺旋状、または任意の適切な形状を有してもよいことが理解されるべきである。フレキシブル回路基板は、加速度計を有する内端と、ケーブルコネクタを有する外端とを有してもよく、加速度計との間の信号通信のために、加速度計とケーブルコネクタとの間に導電性トレースが延在する。いくつかの変形例において、フレキシブル回路基板の少なくとも内端は、エポキシもしくは任意の他の適切な留め具を用いて、または任意の適切な方法において膜に結合されてもよい。したがって、膜の動きは、加速度計によって追跡および測定されてもよく、加速度計からの対応する振動音響センサ信号は、対象の1つまたは複数の身体状態を検出するなどのために分析されてもよい。
【0118】
それに加えて、または代替的に、いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、空洞を横切って1つまたは複数のセンサとインターフェースまたは相互作用する膜ベースの偏向構造を含んでもよい。例えば、振動音響センサモジュールは、フレームを横切って延在する膜によって密閉された空洞を有する偏向構造を含んでもよい。いくつかの変形例において、偏向構造は、手持ち式であってもよい(および/または感知デバイスの別の部分に固定するために使用されてもよい)ハンドル部分を含んでもよい。
【0119】
膜は、上記で説明したものと同様の方法で構成され、取り付けられてもよい。さらに、リジッド回路基板は、1つまたは複数のセンサと、ケーブルコネクタとを含むことができる。センサへの信号およびセンサからの信号は、センサとケーブルコネクタとの間に延在する導電性トレースを介して伝達されてもよい。リジッド回路基板は、1つまたは複数のセンサが空洞内または空洞に隣接して配置される(さもなければ開口部を介するなどして空洞と流体連通するように配置される)ように、音響信号センサモジュール内に配置されてもよく、センサは、膜の反対側に配置されてもよい。そのような配置において、振動音響波に応答する膜の偏向は、1つまたは複数の交差軸慣性センサによって検出可能かつ測定可能である空洞内の変化を引き起こす場合がある。例えば、いくつかの変形例において、1つまたは複数のセンサは、膜の偏向によって誘発される空洞内の圧力変動を検出する圧力センサ(例えば、MEMS圧力センサ)を含んでもよい。例えば、圧力センサは、高レート(例えば、約500Hzを超える)で読み取られてもよく、圧力データは、低周波信号波形(例えば、約0.01Hz~1kHz)を構築するために使用されてもよい。別の例として、いくつかの変形例において、1つまたは複数のセンサは、空洞を横断し、膜の偏向によって誘発される振動音響波を検出するマイクロフォン(例えば、MEMSマイクロフォン)を含んでもよい。マイクロフォンは、約5Hzから約4kHzの間などの、異なる帯域幅を感知するように構成されてもよい。さらに、いくつかの変形例において、1つまたは複数のセンサは、圧力センサとマイクロフォンの両方、または他の適切なセンサ(例えば、ボイスコイルトランスデューサ、圧電トランスデューサなど)を含んでもよい。
【0120】
いくつかの変形例において、振動音響センサモジュールは、取得された振動音響信号にノイズおよび/またはエラーを導入する場合がある手の動きから感知構成要素を分離するのに役立つ減衰機能を含んでもよい。例えば、振動音響センサモジュールがフレームを横切って延在する膜によって密閉された空洞を有する偏向構造を有してもよいという点で、上記で説明したものと同様の振動音響センサモジュールの変形例である。偏向構造は、感知構成要素(例えば、センサ、膜など)を手の圧力および他の動きの変動から分離するのに役立つ可撓性層および/または他の適切な可撓性構造を介して中央フレームに間接的に結合された環状ハンドル部分を含んでもよい。可撓性層は、例えば、ハンドルからの動きを減衰させ、および/または偏向構造の残りの部分から切り離すのに役立つ、フォームもしくはエラストマー材料などの減衰材料および/または放射状リブなどの減衰構造を含んでもよい。減衰は、アクチュエータ(例えば、マイクロモータおよび/またはサーボモータ)、圧電ポリマーまたは電気感光ポリマーなどの1つまたは複数の制御された機構または材料を用いて、他の「能動的な」方法で実装することもできる。
【0121】
他の振動音響センサモジュール
本技術のためにデータを使用することができるセンサまたは感知デバイスは、特に限定されない。例えば、対象のデータは、2020年9月4日に出願した米国特許出願第63/075,059号、2020年9月4日に出願した米国特許出願第63/075,056号、2020年11月12日に出願した米国特許出願第17/096,806号、2021年5月8日に出願した国際特許出願第PCT/IB2021/053,919号、2021年8月18日に出願した国際特許出願第PCT/US2021/046566号、および「NON-CONTACT SENSOR SYSTEMS AND METHODS」と題され、代理人整理番号106964/00057を有する、同時に出願されたPCT出願に記載の任意の1つまたは複数のシステムによって取得されるものとすることができ、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0122】
電気的/電磁気的感知(生体電気感知)
双極子は、心臓活動の基本的な単位である。各双極子は、イオンチャネルの作用によって生成される正(+)電荷および負(-)電荷から構成される。活性化が広がるにつれて、ソースは、合計され、ソースの連続層として機能する。簡単に言えば、電気双極子は、短い距離だけ分離された、大きさが等しい電荷を有し、符号が反対の2つの粒子から構成される。心臓において、荷電粒子は、ナトリウム(Na-)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2
+)、リン酸塩(PO4
3-)、およびタンパク質などのイオンである。分離は、心臓の細胞膜を横切る距離である。それらは、小さい細胞膜のチャネルを通過するには大き過ぎるので、負に帯電した粒子は、細胞内に留まるが、陽イオンは、膜を横切って分極と脱分極とを引き起こすように、特定のチャネルと「イオンポンプ」とを通って前後に移動する。
【0123】
十分な双極子が一緒に存在する場合、それらは、測定可能な電圧を引き起こす。心臓内の安静時の心房細胞は、通常-70mVである。これは、安静時に、心臓内に電荷の不均衡が自然に存在することを意味する。細胞の分極と呼ばれるこの不均衡は、陽イオンを心臓の内部に引き寄せる。心臓細胞が外部刺激によって活性化されると、細胞膜内のチャネルが活性化し、細胞外の過剰な陽イオンが細胞内に突入する。脱分極と呼ばれるこのプロセスは、細胞をあまり負に荷電させず、心臓細胞の「活性化」に関連する。数百万のこれらの細胞が一緒に活性化すると、心臓は、収縮し、体の残りの部分に血液を送り出す。これらの細胞の複合的な活性化は、心電図(ECG)によって皮膚の表面上で測定されるのに十分な電圧を発生する。結果として生じる心内電位図(EGM)は、双極子信号の領域を5倍を超えて拡張し、分解能と明瞭度とを低下させる。
【0124】
本技術の実施形態は、患者の生理学的パラメータを計算で推論するために、生理学的センサ、およびいくつかの実施形態では環境センサによって生成された信号を利用する。生理学的センサは、少なくとも0.001Hz~160kHzの周波数帯域にわたって患者と接触する振動音響センサと、電場と電気インパルスとを測定する生体電気センサと、オプションで本明細書で説明する他の様々なセンサとを含んでもよい。
【0125】
生理学的パラメータは、血流などの内部プロセスの大きさまたは存在、バイオマーカーの存在、または疾病の存在もしくは可能性であってもよい。いくつかの実施形態において、計算推論は、患者の位置、向き、環境、および/または患者の過去の健康情報などの追加のデータに基づく。本明細書によるバイオセンサは、診断の特異性および能力を高めるために、双極子密度を電圧から分離する。
【0126】
AGC-音響カルジオグラフィ
ACGは、血液が様々な部屋、弁、大きい血管を通って移動するときの心臓の振動を記録し、したがって音響カルジオグラフという名前である。ACGは、心臓の4つの場所においてこれらの振動を記録し、「グラフシグネチャー」を提供する。心臓弁の開閉は、グラフに寄与するが、心筋の収縮および強度も寄与する。結果として、動いている心臓の動的な画像が提示される。心臓が効率的でストレスがない場合、グラフは、滑らかで明瞭である。心臓が非効率的である場合、各タイプの寄与機能障害に関連する明確なパターンが存在する。ACGは、一般的な診断テストであるEKGと同じではない。心電計(EKGまたはECG)は、電気インパルスが心臓組織の神経を通って移動する電気インパルスを、それらが皮膚上に現れるときに記録する。EKGは、主に、心臓の神経組織系が任意の外傷、損傷(例えば、過去の心臓発作または感染症による)、深刻な栄養不均衡、過度の圧力によるストレスによって影響を受けているかどうかを示す。神経系への影響のみが検出される。筋肉または弁がどれくらい良好に機能しているかなどはわからない。それに加えて、EKGは、主に疾病を診断するために使用される。ACGは、電気的機能だけでなく、神経系全体および筋肉の代謝を知る手段として機能する心筋機能も見る。心臓を使用することは、一緒に働いている神経および筋肉を「リアルタイム」で見ることを可能にする。このインターフェースの結果として、心臓および人全体の健康に対するユニークかつ客観的な洞察をよりよく見ることができる。
【0127】
ACG-パッシブ音響セレブログラフィ
すべての脳組織は、脳の血管系において循環する血液によって影響を受ける。心拍ごとに、生成された振動に応じた繰り返しパターンに従って、頭蓋骨内を血液が循環する。この振動の影響は、今度は脳のサイズ、形状、構造、およびその血管系に依存する。したがって、すべての心拍は、脳組織ならびに脳脊髄液における微小な動きを刺激し、したがって、頭蓋内圧における最小限の変化を引き起こす。これらの変化は、頭蓋骨においてモニタリングおよび測定することができる。これらの信号を正しく識別するために、加速度計などのパッシブセンサを使用することができる。ときには、高感度マイクロフォンを使用することができる。
【0128】
ACG-アクティブ音響セレブログラフィ
アクティブACGアプリケーションにおいて、細胞または分子レベルにおける有害な変化を検出および分類するために、多周波数超音波信号が使用される。パッシブACGのすべての利点に加えて、アクティブACGでは、受信した音響信号のスペクトル分析を行うことが可能である。これらのスペクトル分析は、脳の血管系の変化だけでなく、その細胞および分子構造における変化も表示する。アクティブACGの1つの一般的なアプリケーションは、経頭蓋ドップラーテストである。最近では、そのカラー版(TCCD)が展開されている。これらの超音波処置は、脳の血管内の血流速度を測定する。それらは、例えば、くも膜下出血の後遺症における、塞栓症、狭窄症、および血管収縮を診断することができる。
【0129】
BCG-心弾動図
心弾動図(BCG)は、心臓によって生成される弾道力の尺度である。下行大動脈を通る血液の下方への動きは、上向きの反動を生じさせ、心拍ごとに体を上向きに動かす。大動脈の様々な部分が拡張および収縮するにつれて、体は、繰り返しパターンにおいて下向きおよび上向きに動き続ける。心弾動図は、心拍ごとに大血管への血液の突然の放出から生じる人体の反復運動のグラフィカル表現を提示するための技法である。心弾動図は、心臓の機械的な動きによって引き起こされる1~20Hzの周波数におけるバイタルサインであり、体の表面から非侵襲的方法によって記録することができる。主な心臓の機能不全は、BCG信号を観察および分析することによって特定することができる。BCGは、カメラベースのシステムを使用して非接触でモニタリングすることもできる。BCGの使用の一例は、スケール上にいる人体の反動を測定する心弾動スケールである。BCGスケールは、人の心拍数ならびに体重を示すことができる。
【0130】
EKG(ECG)
心電計(EKGまたはECG)は、電気インパルスが心臓組織の神経を通って移動する電気インパルスを、それらが皮膚上に現れるときに記録する。EKGは、主に、心臓の神経組織系が任意の外傷、損傷(例えば、過去の心臓発作または感染症による)、深刻な栄養不均衡、過度の生理学的または心理学的ストレスによって影響を受けているかどうかを示す。
【0131】
EMG
筋電図検査(EMG)は、骨格筋によって引き起こされる電気的活動を評価および記録するための電気診断医学技法である。EMGは、筋電図と呼ばれる記録を生成するために、筋電計と呼ばれる器具を使用して実行される。筋電計は、筋細胞が電気的または神経学的に活性化されたときにこれらの細胞によって生成される電位を検出する。信号は、医学的異常、活動レベル、もしくは漸増順序を検出するため、または人もしくは動物の動きの生体力学を分析するために分析することができる。EMGは、ジェスチャ認識において使用することもできる。
【0132】
EOG
眼電図(EOG)は、人間の目の前部と後部との間に存在する角膜-網膜常存電位を測定するための技法である。結果として生じる信号は、眼電図と呼ばれる。主な用途は、眼科診断および眼球運動の記録である。網膜電図とは異なり、EOGは、個々の視覚刺激に対する応答を測定しない。
【0133】
眼球運動を測定するために、典型的には、目の上下、または目の左右に電極対が配置される。目が中心位置から2つの電極のうちの一方に向かって移動すると、この電極は、網膜のプラス側を「見て」、反対側の電極は、網膜のマイナス側を「見る」。その結果、電極間に電位差が生じる。静止電位が一定であると仮定すると、記録された電位は、目の位置の尺度になる。
【0134】
EOG
エレクトロオルファクトグラフィ(electro-olfactographyまたはelectroolfactography)(EOG)は、嗅覚(olfaction)(嗅覚(sense of smell))の研究を支援する一種のエレクトログラフィ(electrography)(電気生理学的検査)である。エレクトロオルファクトグラフィは、他の形式のエレクトログラフィ(ECG、EEG、EMGなど)が他の生体電気活動を測定および記録する方法と同様の方法において、嗅上皮の変化する電位を測定および記録する。
【0135】
エレクトロオルファクトグラフィは、昆虫の触角嗅覚のエレクトログラフィであるエレクトロアンテノグラフィ(electroantennography)と密接に関連する。
【0136】
EEG
脳波記録法(EEG)は、脳の電気的活動を記録するための電気生理学的モニタリング方法である。脳波記録法は、典型的には非侵襲的であり、電極は、頭皮に沿って配置されるが、皮質脳波検査におけるように、侵襲的な電極が使用されることもある。EEGは、脳のニューロン内のイオン電流から結果として生じる電圧変動を測定する。臨床的には、EEGは、頭皮上に配置された複数の電極から記録される、一定期間にわたる脳の自発的な電気的活動の記録を指す。診断用途は、一般的に、イベント関連電位、またはEEGのスペクトル内のいずれかに焦点を当てる。前者は、「刺激開始」または「ボタン押下」などの、イベントに時間的にロックされた潜在的な変動を調査する。後者は、周波数領域においてEEG信号において観測することができる神経振動(一般に「脳波」と呼ばれる)のタイプを分析する。
【0137】
EEGは、EEG読み取り値における異常を引き起こすてんかんを診断するために使用することができる。EEGは、睡眠障害、麻酔深度、昏睡、脳症、または脳死を診断するために使用することもできる。EEG、ならびに磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピュータ断層撮影法(CT)は、腫瘍、脳卒中、または他の局所性脳障害を診断するために使用することができる。有利なことに、EEGは、利用可能なモバイル技法であり、CT、PET、またはMRIでは不可能なミリ秒範囲の時間分解能を提供する。
【0138】
EEG技法の派生物は、誘発電位(EP)を含み、これは、何らかの刺激(視覚、体性感覚、または聴覚)の提示に時間的にロックされたEEG活動を平均化することを含む。イベント関連電位(ERP)は、刺激のより複数な処理に時間的にロックされた平均化されたEEG応答を指す。
【0139】
UWB
超広帯域(UWB、超広帯域、ウルトラ帯域としても知られる)は、無線スペクトルの大部分にわたる短距離の高帯域通信のために超低エネルギーレベルを使用することができる無線技術である。UWBは、非協調レーダイメージングにおける従来の用途を有する。大部分の最近の用途は、センサデータの収集、精密な位置特定、および追跡用途を対象とする。
【0140】
従来の無線送信とUWBとの間の大きな違いは、従来のシステムが、正弦波の電力レベル、周波数、および/または位相を変化させることによって情報を送信することである。UWB送信は、特定の時間間隔において無線エネルギーを生成し、大きい帯域幅を占有することによって情報を送信し、したがって、パルス位置変調および時間変調を可能にする。情報は、パルスの極性、その振幅を符号化することによって、および/または直交パルスを使用することによって、UWB信号(パルス)上で変調することもできる。UWBパルスは、時間変調および位置変調をサポートするために、比較的低いパルスレートにおいて散発的に送信することができるが、UWBパルス帯域幅の逆数までのレートにおいて送信することもできる。パルスUWBシステムは、UWBパルスの連続ストリーム(連続パルスUWBまたはC-UWB)を使用して1.3ギガパルス/秒を超えるチャネルパルスレートにおいて実証されており、675メガビット/秒を超える順方向エラー訂正符号化データレートをサポートする。
【0141】
UWB技術の価値ある側面は、UWB無線システムが様々な周波数における送信の「飛行時間」を決定する能力である。これは、周波数の少なくとも一部が見通し内軌道を有するので、マルチパス伝播を克服するのに役立つ。協調的な対称型双方向軽量技法により、ローカルクロックドリフトおよび確率的不正確さを補正することによって、高い分解能および精度で距離を測定することができる。
【0142】
パルスベースUWBの別の特徴は、パルスが非常に短い(500MHz幅のパルスに対して60cm未満、1.3GHz帯域幅のパルスに対して23cm未満)ので、大部分の信号反射が元のパルスと重ならず、狭帯域信号のマルチパスフェージングが存在しないことである。しかしながら、高速パルスシステムへのマルチパス伝播とおよびパルス間干渉が依然として存在し、コーディング技法によって軽減する必要がある。
【0143】
超広帯域は、「シースルーザウォール(see-through-the-wall)」精密レーダイメージング技術、精密位置特定および追跡(無線間の距離測定を使用する)、ならびに精密到着時間ベースの位置特定手法においても使用される。超広帯域は、効率的であり、空間容量が約1013ビット/秒/m2である。地下鉄の線路に落ちた人または物体を検出するために設計されたUWBレーダが、自動標的認識アプリケーションにおけるアクティブセンサ構成要素として提案されている。
【0144】
心拍数および呼吸信号などの人体のバイタルサインのモニタリング、ならびに人間の歩行分析、および転倒検出のために、超広帯域パルスドップラーレーダを使用することもできる。有利なことに、UWBは、連続波レーダシステムと比較して、少ない消費電力と、高解像度のレンジプロファイルとを有する。しかしながら、その低い信号対雑音比により、エラーに対して弱くなっている。
【0145】
米国において、米国連邦通信委員会(FCC)によれば、超広帯域は、500MHzまたは算術中心周波数の20%のいずれか小さい方を超える帯域幅を有する無線技術を指す。2002年2月14日のFCCの報告および命令は、3.1~10.6GHzの範囲の周波数におけるUWBの無免許使用を許可した。UWB送信機のFCCパワースペクトル密度放射制限は、-41.3dBm/MHzである。この制限は、UWB帯域における意図的でないエミッタにも適用される(「パート15」制限)。しかしながら、UWBエミッタの放射制限は、スペクトルの他のセグメントにおいて大幅に低くなる場合がある(-75dBm/MHz程度)。
【0146】
国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)における審議は、2005年11月においてUWBにおける報告および勧告を結果としてもたらした。英国の規制当局であるOfcomは、2007年8月9日に同様の決定を発表した。4ダースを超えるデバイスが、FCC UWB規則の下で認定され、その大多数は、レーダ、イメージング、または位置特定システムである。
【0147】
同じスペクトルを共有する狭帯域信号とUWB信号との間の干渉が懸念されている。以前は、パルスを使用する無線技術は、スパークギャップ送信機のみであり、これは、中波レシーバと干渉するので、国際条約で禁止されていた。しかしながら、UWBは、より低い電力を使用する。この主題は、米国におけるFCC規則の採用につながる議事録、ならびにUWB技術における報告および勧告につながるITU-RのUWBに関連する会合において大きく取り上げられた。一般的に使用される家電機器は、衝撃的なノイズを放出するが(例えば、ヘアドライヤー)、提議者は、低電力広帯域送信機のより広い展開によってノイズフロアが過度に上昇しないと主張することに成功した。
【0148】
SCG
心動計(Seismocardiography)(SCG)は、心臓の運動中に心臓から胸壁に伝わる心臓の心動の非侵襲的測定である。SCGは、20世紀半ば頃に最初に導入された。いくつかの有望な臨床応用が示唆された。これらは、虚血によるSCG信号における変化の観察と、心臓ストレスモニタリングにおけるSCGの使用とを含む。SCGの起源は、科学者が体重計の上に立って心拍を観察することを報告した19世紀にさかのぼることができる。
【0149】
一般的に、SCGは、臨床環境において展開されていないが、いくつかの有望な用途が示唆されている。例えば、SCGは、心周期における様々なイベントのタイミングを評価する際に価値があると提案されている。これらのイベントを使用して、例えば、心筋収縮力を評価することが可能である場合がある。SCGはまた、心拍変動の推定値を計算するのに十分な情報を提供することができると提案されている。心周期のタイミングおよびSCG波形振幅のより複雑な用途は、SCGからの呼吸情報の計算である。
【0150】
VOC排出物
対象における呼気は、揮発性有機化合物または半揮発性有機化合物を含む場合がある。呼気分析の可能性は、非常に大きく、限定はしないが、疾病の診断およびモニタリングを含む多くの分野における用途を有する。
【0151】
特定のVOCは、人体における生物学的プロセスに関連している。例えば、肝性口臭の結果としてジメチルスルフィドが吐き出され、糖尿病のケトアシドーシス中に肺からアセトンが排泄される。
【0152】
典型的には、VOC排出物または半揮発性有機化合物の排泄物は、プラズモン表面共鳴、質量分析、酵素ベース、半導体ベース、またはインプリントポリマーベースの検出器を使用して測定することができる。
【0153】
VTI
声調の抑揚分析は、言葉を不明瞭にする、音を長くする、またはより鼻声で話す一連の精神的および身体的状態を示すことができる。それらは、人間の耳には聞こえないほど短く、声をきしませるか、または震えさせる場合すらある。さらに、声調の変化は、上気道または下気道の状態、ならびに心血管の状態を示す可能性もある。
【0154】
静電容量センサ
インピーダンス適応物質が存在しないと皮膚と電極との接触が経時的に不安定になる可能性があるので、静電容量性/非接触電極が開発された。この問題は、非導電性材料(すなわち、皮膚とその電極との間の小さい誘電体)を介して頭皮との物理的接触を回避することによって対処され、電極インピーダンスの異常な増加(>200メガオーム)にもかかわらず、このようにして、定量化可能になり、経時的に安定する。
【0155】
乾式電極の特定のタイプは、静電容量性電極または絶縁電極として知られている。これらの電極は、信号が容量結合されるように、皮膚と直列に配置された単純なキャパシタとして機能するので、身体とのオーム接触を必要としない。受信した信号は、オペアンプに接続し、次いで標準的な器具に接続することができる。
【0156】
皮膚に良好に接触する誘電体材料の使用は、300pF~数ナノファラッドの範囲のかなり大きいカップリング容量を結果としてもたらす。結果として、標準的な高インピーダンスFET(電界効果トランジスタ)増幅器を使用して、ノイズを低減し、適切な周波数応答を有するシステムを容易に実現することができる。
【0157】
湿式電極および乾式電極は、機能するために皮膚との物理的接触を必要とするが、容量性電極は、髪、衣服、または空気などの絶縁層を介して接触なしで使用することができる。これらの非接触電極は、一般に単純な容量性電極として説明されているが、実際には、絶縁体も無視できない抵抗を有するので、小さい抵抗要素も存在する。
【0158】
誘電性ゲルおよび接地電極を使用せず、皮膚との直接接触を介して、または1層および2層の衣服を介して人の心拍数を測定し、呼吸数をモニタリングするために、静電容量性センサを使用することができる。呼吸および心臓の信号を測定するために、高インピーダンス電位センサを使用することもできる。
【0159】
振動音響センサ
聴診器は、身体音の検出を支援するために、医療専門家によって広く使用されている。聴診と呼ばれる、身体音を聞いて分析する処置は、典型的には、音響聴診器によって生成される音量が低いため、しばしば習得するのが困難である。身体からのかすかな音を増幅するために、電子聴診器が開発された。しかしながら、そのようなデバイスは、歪みと、周囲ノイズを拾うことに悩まされる場合がある。歪みおよびノイズは、主に、音響聴診器において使用される機械的ダイアフラムとは動作が異なる音響-電気トランスデューサの性能によるものである。
【0160】
従来の音響聴診器は、聴診器ダイアフラムの動きを空気圧に変換し、空気圧は、管を介して聞き手の耳に直接伝達される。したがって、聞き手は、空気管を介してダイアフラムの直接的な振動を聞く。残念なことに、空気管を介する非効率的な音響エネルギーの伝達は、減少した音量および音の明瞭さをもたらす。既存の電子聴診器のトランスデューサは、典型的には、(1)聴診器のダイアフラムの後ろに取り付けられたマイクロフォン、または(2)ダイアフラム上に取り付けられるか、もしくはダイアフラムに物理的に接続された圧電センサの2つのタイプのうちの1つである。
【0161】
聴診器のダイアフラムの後ろに取り付けられたマイクロフォンは、聴診器のダイアフラムによって生成された音圧を拾い、それを電気信号に変換する。マイクロフォン自体は、ダイアフラムを有し、したがって、聴診器のダイアフラムと、聴診器のハウジング内の空気と、最後にマイクロフォンのダイアフラムとを備える、またはこれらから構成される音響伝達経路を有する。2つのダイアフラムの存在、および介在する空気経路は、マイクロフォンによって拾われた過剰な周囲ノイズ、ならびに非効率的な音響エネルギー伝達を結果として生じる可能性がある。この非効率的な音響エネルギー伝達は、以下で説明する電気聴診器においてよく見られる問題である。既存の電子聴診器は、この根本的に劣る感知技法に対向するために、適応型ノイズ除去、およびマイクロフォン用の様々な機械的絶縁取り付けなどの追加技術を使用する。しかしながら、これらは、音響-電気トランスデューサの固有の不備を補うに過ぎない。
【0162】
圧電センサは、単にダイアフラムの音圧を感知するのとは幾分異なる原理で動作する。圧電センサは、結晶物質の変形によって電気エネルギーを生成する。ある場合では、ダイアフラムの動きは、聴診器のダイアフラムに機械的に結合された圧電センサ結晶を変形させ、結果として電気信号を生じる。このセンサの問題は、ダイアフラムの純粋な動きを感知するのと比較して、変換機構が信号の歪みを生成する可能性があることである。したがって、結果として生じる音は、音響聴診器と比較して、音色が幾分異なり、歪んでいる。
【0163】
静電容量式音響センサは、高性能マイクロフォンおよびハイドロフォンにおいて一般的に使用される。静電容量式マイクロフォンは、音響-電気変換を実行するために、振動する静電容量プレートによって生成された可変静電容量を利用する。聴診器のダイアフラムの後ろに配置された静電容量式マイクロフォンは、聴診器のダイアフラムの後ろに取り付けられた任意の他のマイクロフォンと同じ周囲ノイズおよびエネルギー伝達の問題に悩まされる。
【0164】
音響-電気トランスデューサは、ダイアフラムの動きを直接検出する静電容量-電気変換原理で動作し、ダイアフラムの動きを、ダイアフラムの動きの尺度である電気信号に変換する。電気信号のさらなる増幅または処理は、低歪みを維持しながら増幅する、音響聴診器の音に非常によく似た特性を有する増幅音の生成を容易にする。
【0165】
これは、上記で説明したマイクロフォン式または圧電式の手法によって生成される、より間接的なダイアフラム音の感知に対する大幅な改善である。ダイアフラムの動きが直接感知されるので、センサは、外部ノイズの影響を受けにくく、信号は、ダイアフラムの動きのより正確な尺度である。音響聴診器では、ダイアフラムの動きは、聞き手の耳によって感知される音響圧力波を生成する。音響-電気センサでは、同じダイアフラムの動きは、電気信号を直接生成する。信号は、聞き手の耳に衝突する同じ音響圧力波を設定するようにイヤフォンまたはヘッドフォンなどの音響出力トランスデューサを駆動するために使用される。
【0166】
音響-電気トランスデューサは、以前の聴診器の設計が直面している固有の問題の多くを克服するが、信号にかなりのホワイトノイズを追加する。ホワイトノイズは、人間の可聴範囲(一般に20ヘルツ~20kHz)内のすべての周波数を同じ量含む音である。大部分の人は、この音を低い周波数成分よりも高い周波数成分を有するように知覚するが、そうではない。この知覚は、各々の連続するオクターブがその前のオクターブの2倍の周波数を有するために発生する。例えば、100Hzから200Hzまで、100の離散周波数が存在する。次のオクターブ(200Hzから400Hzまで)において、200の周波数が存在する。
【0167】
結果として、聞き手は、ホワイトノイズから人の身体音を識別することが困難になる。より高い強度を有する身体からの音(すなわち、より大きい音)について、聞き手は、身体音をよく聞くことができるが、より低い強度の音は、背景のホワイトノイズ内に消滅する。
【0168】
場合によっては、振動音響データを取得するために、UWBまたは静電容量式センサシステムなどの上記で説明したリモートセンシング技術が使用されてもよい。
【0169】
運動感覚分析
特定の実施形態において、センサまたはシステムは、対象が立っているかまたは移動している(例えば、歩いている、走っている、スポーツをしている、バランスをとっているなど)ときの対象の動きを取り込むための1つまたは複数のカメラを備えるマシンビジョンシステムを含む。このようにして、バランスおよび歩行パターン、震え、身体部分の揺れまたは支持(favoring)などの運動感覚運動に影響を与える生理学的状態を検出し、質量中心などの装置内の他のセンサから取得した他のデータと関連付けることができる。
【0170】
広範囲の動作分析システムが、様々な設定において動きが取り込まれることを可能にし、動作分析システムは、直接的技法(加速度計などの身体に貼り付けられるデバイス)と、間接的技法(視覚ベース、例えば、ビデオまたは光電子)とに広く分類することができる。直接的な方法は、様々な環境において運動学的情報が取り込まれることを可能にする。例えば、慣性センサは、様々な運動(歩行、円盤投げ、馬場馬術、水泳)の実行への洞察を提供するツールとして使用されている。慣性センサデータの精度に影響を与えるセンサドリフトは、処理中に低減することができるが、これは、まだ完全には解決されておらず、取り込み期間が制限されたままである。それに加えて、生体力学用途の動作分析システムは、以下の基準を満たすべきであると認識されており、すなわち、それらは、実行者を妨害することなく、または実行者の自然な動きに影響を与えることなく、理想的にはタイムリーな方法で、正確な運動学的情報を収集することができるべきである。そのように、間接的技法は、参加者の動きへの干渉を最小限に抑えてデータが参加者から遠隔で取り込まれるので、直接的な方法と比較して、多くの設定においてより適切であると特徴付けることができる。間接的な方法は、以前はスポーツ競技中に行われていた生体力学的分析のための唯一の可能な手法でもあった。過去数十年にわたり、生体力学者に利用可能な間接的な視覚ベースの方法は、より正確で自動化されたシステムに向かって劇的に進歩した。しかしながら、動作分析システムの前述の重要な特性を完全に満たすツールは、まだ開発されていない。
【0171】
したがって、これらの分析は、ダンス、ランニング、テニス、ゴルフ、アーチェリー、射撃の生体力学、ならびに他のスポーツおよび身体活動におけるコーチングおよび理学療法に使用される場合がある。
【0172】
他の用途は、人を反復性ストレス障害ならびに動作および姿勢に関連する他の身体的ストレスの危険にさらす職業のための人間工学的トレーニングを含む。データは、家具の設計、自己トレーニング、ツール、および機器の設計において使用することもできる。
【0173】
一実施形態において、本技術は、センサ統合のためのマルチセンサ情報融合プラットフォームを含む。プラットフォームの選択は、最初に、設定された融合ルールに従って、グローバルに一意のuDIDt-VeCxメトリクスを取得するためにどの異なるセンサシステムのどの組合せの出力が必要とされるかの決定を進める。マルチセンサ融合技術は、異なるモダリティのデータから抽出された特徴と、分類アルゴリズムによってこれらの特徴から生成された決定との組合せを指す。一実施形態において、本技術は、情報フローが生のセンサデータ、処理、セグメント化、特徴抽出、トレーニング、および分類にまたがるマルチセンサ融合を含む。別の実施形態において、本技術は、複数のセンサからの生データをサンプリングすることと、データから多変数時系列を生成することとを含む。
【0174】
別の実施形態において、本技術は、マルチモードセンサデータ間の時間同期を達成し、未処理のセンサデータの破損を低減し、特徴の抽出の準備ができたデータを残すために、センサから来る生データに異なるアルゴリズムを適用するデータ融合およびデータ処理ステップを含む。データセグメント化ステップにおいて、データは、所望の長さのセグメントに分割される。第4のステップにおいて、セグメント化されたデータの特性が抽出され、関心のあるデータ特性をまとめて記述するグループベクトルに編成される。
【0175】
特性の自動グループ化は、割り当てられた意味を有するデータ特徴の選択を可能にし、これは、今度は、計算の必要性を低減するために、データをパターンに縮小することを可能にする。ニューラルネットまたは決定木のような従来の既製のMLモデルは、セグメント化および特徴抽出の後にトレーニングステップを続ける。トレーニング段階とテスト段階とが明確に線引きされた典型的なMLシナリオとは対照的に、本技術は、学習および最適化のソフトウェアを「インライン」で実装する。別の実施形態において、本技術は、ソフトウェアシステム内に「インライン学習」アルゴリズムを組み込み、システムが対象内および対象間で新しいデータを処理するときに適応的に学習することを可能にする。そのような適応は、典型的には、(i)データによってサポートされていない人間によって導入された最適でないバイアスを補正し、(ii)(主に、収集される個々のデータ内およびデータ間における変動の増加/減少によって引き起こされる)変化する特性、コンテキスト、および動作条件に迅速に対応することができる、より高性能のソフトウェアシステムにつながる。
【0176】
特定の実施形態において、本技術は、バイオメトリックデータストリームのコレクションから候補のコンテキスト化された語彙を探索および導出するのに役立つ、複数の相互作用するドメイン固有言語を実装する方法およびシステムを提供する。別の実施形態において、これらの語彙およびテーマは、生データが安全に保護されると同時に、メッシュ型データネットワークがグローバルに一意の識別子を学習および最適化することを可能にするために抽出される。さらに別の実施形態において、参加者のデータをプールしないことによって、プライバシーに関する社会的および規則的な懸念への適合が達成される。むしろ、本技術は、暗号に動機づけられた「差分プライバシー」の方法を用い、この方法は、メッシュ型ネットワーク上で共有されるデータにおけるセキュリティおよびプライバシーの正式な保証を与える。
【0177】
本明細書で説明する技法のハードウェア/ソフトウェアプラットフォームの主要な属性は、1)複数の対象からのデータをプールする必要がないこと、2)対象固有の測定値がデバイス上に永続的に記憶されることがないこと、3)ML/AIパイプラインにおけるすべての処理が完全にインラインおよびエッジにあること、4)時間同期されたデータストリームが取り込まれ、オンザフライで処理されること、5)(https://en.wikipedia.org/wiki/Case-based_reasoningの意味において)既存の参加者/患者/対象に関する生データが必要ないこと、ならびに/または6)各個人について収集された5~10秒の短い時系列のバイオシグネチャーフレーズは、その全体が記憶されるわけではなく、データは、uDIDt-VeCxに関連付けられたメタデータに対する4つの基本的なCRUD動作(作成、読み取り、更新、非アクティブ化)中にオンザフライで「解析」され、証拠が徐々に蓄積されることを含む。
【0178】
ドメイン固有の用語は、多くの自然言語処理タスクおよび用途に不可欠な意味情報を提供する。信号処理およびバイオシグネチャーのカテゴリー化/分類のために、自動ドメイン固有用語抽出プラットフォームが使用される。ドメイン固有用語手法において利用される主な特性は、ドメイン特異性である。ドメイン特異性の概念は、特徴の特異性を取り込むために、統計的頻度(TF)と逆ドメイン頻度(IDF)とに基づく。基本的な基礎となる考え方は、言語用途においてTF-IDFによって取り込まれる用語頻度パターンと同様に、ドメイン固有用語が他のドメインにおけるよりも顕著に高い頻度で特定のドメインにおいて有益な情報として抽出されることである。本技術の教師なし方法は、トレーニングインスタンスの面倒な手動分類の必要性を回避し、したがって、生体信号データストリームの任意のセットに容易に適用できるという利点を有する。
【0179】
例えば、振動音響データは、可聴および不可聴のサウンドシグネチャーのピッチ、音色、およびタイミングによって特徴付けることができる。これらの特徴は、個々の対象のデータストリームから抽出することもでき、同じまたは異なる疾病を共有する複数の個人にわたって抽出することもできる。ピッチ、音色、およびアクティブ化の特徴を複数回抽出することは、混合コホート内の個人を高感度および高特異性で正確に再識別するために必要なデータを低減する。感度および特異性は、高調波(特徴的な周波数帯)、拍数などの追加特徴によって高められる場合がある。
【0180】
この選択は、uDIDt-VeCxアーキテクチャの主要な要素の基本的な理解を提供する。
【0181】
uDIDt-VeCxおよびuDIDt-VeCx URL
一実施形態において、uDIDt-VeCx、または分散型識別子は、3つの部分から構成されるURLである。別の実施形態において、「udidtvecx:」という方式、メソッド識別子、一意のメソッド固有の識別子が、uDIDt-VeCxメソッドによって生成される。さらに別の実施形態において、uDIDt-VeCxは、uDIDt-VeCxドキュメントに解決可能である。
【0182】
uDIDt-VeCx URLは、特定のリソース、例えば、uDIDt-VeCxドキュメント内の公開鍵、またはuDIDt-VeCxドキュメントの外部で利用可能なリソースを位置特定するために、他の標準的なURI構成要素(パス、クエリ、フラグメント)を組み込むために、基本的なuDIDt-VeCxの構文を拡張する。
【0183】
uDIDt-VeCxサブジェクト
uDIDt-VeCxサブジェクトは、定義上、uDIDt-VeCxによって識別されるエンティティである。uDIDt-VeCxサブジェクトは、uDIDt-VeCxコントローラであってもよい。
【0184】
一実施形態において、人、コミュニティ、グループ、組織、物理的なもの、または論理的なものを含むセットの任意のメンバーは、uDIDt-VeCxのサブジェクトとすることができる。
【0185】
uDIDt-VeCxコントローラ
別の実施形態において、uDIDt-VeCxのコントローラは、uDIDt-VeCxメソッドによって定義されるように、uDIDt-VeCxドキュメントに変更を加える能力を有するエンティティ(人、組織、または自律ソフトウェア)である。この能力は、典型的には、コントローラに代わって動作するソフトウェアによって使用される暗号鍵のセットの制御によってアサートされるが、他のメカニズムを介してアサートされる場合もある。別の実施形態において、uDIDt-VeCxは、1つのコントローラのみを有してもよいが、派生uDIDtおよびVeCxは、2つ以上のコントローラを有してもよい。さらに別の実施形態において、コントローラは、uDIDt-VeCxサブジェクトを含んでもよい。
【0186】
検証可能なデータレジストリ
uDIDt-VeCxドキュメントに解決することができるようにするために、uDIDt-VeCxは、基礎となる検証可能なバイオシグネチャーデータレジストリ上に取り込まれる。
【0187】
uDIDt-VeCxドキュメント
uDIDt-VeCxドキュメントは、uDIDt-VeCxに関連付けられたメタデータを含む。それらは、典型的には、検証方法(妥当性確認/検証キーなど)と、uDIDt-VeCxサブジェクトとの対話に関連するサービスとを表現する。一実施形態において、uDIDt-VeCxドキュメントは、特定の構文に従ってシリアライズされる。別の実施形態において、uDIDt-VeCx自体が、idプロパティの値である。さらに別の実施形態において、uDIDt-VeCxドキュメント内に存在するプロパティは、更新されてもよい。
【0188】
uDIDt-VeCxメソッド
一実施形態において、uDIDt-VeCxメソッドは、特定の検証可能なデータレジストリを使用して、特定のタイプのuDIDt-VeCxおよびその関連uDIDt-VeCxドキュメントが作成、解決、更新、および非アクティブ化されるメカニズムである。
【0189】
uDIDt-VeCxリゾルバおよびuDIDt-VeCx解決
一実施形態において、uDIDt-VeCxリゾルバは、uDIDt-VeCx(および関連する入力メタデータ)を入力として受け取り、適合するuDIDt-VeCxドキュメント(および関連するメタデータ)を出力として生成するソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素である。このプロセスは、uDIDt-VeCx解決と呼ばれる。別の実施形態において、特定のタイプのuDIDt-VeCxを解決するための特定のステップは、関連するuDIDt-VeCxメソッドの仕様によって定義される。
【0190】
uDIDt-VeCx URLデリファレンサおよびDID URLデリファレンシング
一実施形態において、uDIDt-VeCx URLデリファレンサは、uDIDt-VeCx URL(および関連する入力メタデータ)を入力として受け取り、リソース(および関連するメタデータ)を出力として生成するソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素である。このプロセスは、uDIDt-VeCx URLデリファレンシングと呼ばれる。
【0191】
別の実施形態において、適合プロデューサは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアとして実現される任意のアルゴリズムであり、適合uDIDt-VeCxまたは適合uDIDt-VeCxドキュメントを生成する場合、この仕様に適合する。
【0192】
さらに別の実施形態において、適合コンシューマは、ソフトウェアおよび/またはハードウェアとして実現される任意のアルゴリズムであり、適合uDIDt-VeCxまたは適合uDIDt-VeCxドキュメントを消費する場合、この仕様に適合する。
【0193】
別の実施形態において、適合コンシューマは、非適合uDIDt-VeCxまたはuDIDt-VeCxドキュメントを消費する場合、エラーを生成しなければならない。
【0194】
uDIDt-VeCxキー
一実施形態において、uDIDt-VeCxキーが検証方法である。
【0195】
別の実施形態において、uDIDt-VeCxキーは、デジタル署名、暗号化、および他の暗号動作のために使用され、これらは、今度は、認証、またはサービスエンドポイントとの安全な通信を確立することなどの目的のための基礎となる。
【0196】
さらに別の実施形態において、uDIDt-VeCxキーは、uDIDt-VeCxメソッド仕様によって定義されることが可能なuDIDt-VeCxメソッド動作の認証メカニズムにおいて役割を果たすことができる。
【0197】
一実施形態において、uDIDt-VeCxキーは、それらが何のために使用されるかに応じて、uDIDt VeCxキーまたは認証プロパティを使用して、uDIDt-VeCxドキュメント内に含められることが可能である。
【0198】
別の実施形態において、各uDIDt-VeCxキーは、それ自体の識別子(id)、タイプ、およびコントローラに関するプロパティ、ならびにキーのタイプに依存する他のプロパティを有する。
【0199】
サービスエンドポイント
サービスエンドポイントは、uDIDt-VeCxサブジェクトまたは関連するエンティティと通信する方法を表すためにuDIDt-VeCxドキュメントにおいて使用される。
【0200】
一実施形態において、uDIDt-VeCxドキュメントにおいてリストされたサービスは、プライバシー保護メッセージングサービスに関する情報、またはソーシャルメディアアカウント、個人ウェブサイト、および電子メールアドレスなどのより多くの公開情報を含むことができるが、これは推奨されない。
【0201】
別の実施形態において、サービスに関連付けられたメタデータは、しばしばサービス固有である。例えば、暗号化されたメッセージングサービスに関連付けられたメタデータは、メッセージングが開始する前に、暗号化されたリンクを開始する方法を表すことができる。
【0202】
さらに別の実施形態において、サービスへのポインタがサービスプロパティを使用して表される。各サービスは、独自のidおよびタイププロパティ、ならびにURIを有するサービスエンドポイントプロパティまたはサービスを記述する他のプロパティのセットを有する。
【0203】
uDIDt-VeCxドキュメントの主な目的の1つは、サービスエンドポイントの発見を可能にすることである。
【0204】
一実施形態において、サービスエンドポイントは、さらなる発見、認証、許可、または対話のための分散型ID管理サービスを含む、uDIDt-VeCxサブジェクトがアドバタイズしたい任意のタイプのサービスとすることができる。サービスエンドポイントプロトコルは、オープンな標準仕様において公開されている。
【0205】
作成されたuDIDt-VeCx
uDIDt-VeCxドキュメントは、作成されたプロパティを含む。
【0206】
作成
uDIDt-VeCxメソッド仕様は、制御の証明を確立するために必要なすべての暗号動作を含む、クライアントが検証可能なデータレジストリ上にuDIDt-VeCxおよびその関連uDIDt-VeCxドキュメントを作成する方法を指定する。
【0207】
読み取り/検証
uDIDt-VeCxメソッド仕様は、クライアントが応答の信頼性を検証することができる方法を含む、検証可能なデータレジストリからuDIDt-VeCxドキュメントを要求するためにクライアントがuDIDt-VeCxを使用する方法を指定する。
【0208】
更新
uDIDt-VeCxメソッド仕様は、制御の証明を確立するために必要なすべての暗号動作を含む、検証可能なデータレジストリ上でクライアントがuDIDt-VeCxドキュメントを更新することができる方法、または更新が不可能であることを表明することができる方法を指定する。
【0209】
一実施形態において、uDIDt-VeCxへの更新は、uDIDt-VeCxドキュメントを生成するために使用されるデータにおける、作成後の任意の変更である。uDIDt-VeCxメソッドの実装者は、更新を構成するものと、所与のuDIDt-VeCxメソッドによってサポートされるuDIDt-VeCxドキュメントのプロパティとを定義する責任がある。例えば、キーマテリアルを変更せずに置き換える更新動作は、uDIDt-VeCxドキュメントへの変更を結果として生じない有効な更新である可能性がある。
【0210】
非アクティブ化
一実施形態において、uDIDt-VeCxメソッド仕様は、非アクティブ化の証明を確立するために必要なすべての暗号動作を含む、検証可能なデータレジストリ上でクライアントがuDIDt-VeCxを非アクティブ化することができるよ方法、または非アクティブ化が不可能であることを表明することができる方法を指定しなければならない。
【0211】
認証および検証可能なクレーム
一実施形態において、uDIDt-VeCxおよびuDIDt-VeCxドキュメントは、いかなるPII(個人を特定できる情報)も担持しない。uDIDt-VeCxを人または企業などの現実世界の何かに結び付けるプロセス、例えば、そのuDIDt-VeCxと同じサブジェクトを有するバイオシグネチャークレデンシャルは、本技術のバイオメトリックソフトウェアを用いる持ち込みハードウェアハンドシェイクに包含される。
【0212】
別の実施形態において、ハンドシェイクは、サービスエンドポイントにおいてサポートされる認証プロトコルの要件に準拠するサービスエンドポイントプロバイダ、サブジェクト、または要求当事者のマッチングソフトウェアとの取引を可能にする。
【0213】
uDIDt-VeCxドキュメント変更の通知
一実施形態において、uDIDt-VeCxドキュメントへの無許可の変更に対する軽減策として、ドキュメントは、継続的にモニタリングされ、変更がある場合、uDIDt-VeCxサブジェクトに積極的に通知する。これは、記録されている電子メールアドレスにパスワードリセット通知を送信することによって、従来のユーザ名/パスワードアカウントに対するアカウント乗っ取りを防止することに似ている。
【0214】
uDIDt-VeCxの場合、そのような通知を生成する仲介レジストラまたはアカウントプロバイダは、存在しない。しかしながら、uDIDt-VeCxが登録されている検証可能なデータレジストリが変更通知を直接サポートしている場合、サブスクリプションサービスをuDIDt-VeCxコントローラに提供することができる。
【0215】
鍵および署名の失効
提案するuDIDt-VeCx分散型識別子アーキテクチャにおいて、uDIDt-VeCxは、失効せず、鍵または署名の失効ポリシーを施行する中央集権的な機関は、存在しない。一実施形態において、uDIDt-VeCxリゾルバおよび他のクライアントアプリケーションは、有効期限が未決定であるので、鍵が使用された時点で鍵を検証するだけでよい。
【0216】
不変性
多くのサイバーセキュリティの不正使用は、現実と、合理的で誠実な行為者の仮定との間のギャップを不当に利用することに依存する。任意のエコシステムと同様に、uDIDt-VeCxエコシステムは、これが発生するいくらかの可能性を有するが、バイオシグネチャーデータの要件によって、尤度は、大幅に低減する。このバイオシグネチャーの仕様は、uDIDt-VeCx自体の作成と、プロトコルの代わりにデータモデルの両方に焦点を当てているので、そのモデルがどのように使用されるかの多くの側面について意見を提供しない。しかしながら、個々のuDIDt-VeCxメソッドは、必要としない動作またはセマンティクスを排除する制約を考慮したい場合がある。uDIDt-VeCxメソッドが同じ機能セットを提供しながら、よりロックダウンされていればいるほど、悪意のある行為者によって操作される可能性は、低くなる。
【0217】
不変性がいくらかのサイバーセキュリティの利点を提供するという概念は、キャッシングのために特に関連性がある。グローバルな信頼できるソースに結び付けられたuDIDt-VeCxメソッドについて、uDIDt-VeCxドキュメントの最新バージョンの直接的でジャストインタイムなルックアップが常に可能である。しかしながら、クライアントとその信頼できるソースとの間に、キャッシュの層が最終的に位置することがありそうに思われる。もしそうなら、uDIDt-VeCxドキュメント内のオブジェクトの属性が、実際には微妙に異なるにもかかわらず、所与の状態を有すると信じることは、悪用を招く場合がある。これは、いくつかのルックアップが完全なuDIDt-VeCxドキュメントであり、他のルックアップが、より大きいコンテキストが想定される部分的データである場合、特に当てはまる。
【0218】
uDIDt-VeCx相関リスクおよび偽名DID
任意のタイプのグローバルに一意の識別子と同様に、uDIDt-VeCxは、相関のために使用されてもよい。uDIDt-VeCxコントローラは、ペアごとに一意のuDIDt-VeCxを使用することによって、すなわち、すべての関係について異なる派生プライベートuDIDtおよびVeCxを共有することによって、このプライバシーリスクを軽減することができる。要するに、生成されたuDIDtおよびVeCxの各ペアは、偽名として機能する。偽名uDIDt-VeCxは、uDIDt-VeCxサブジェクトが2つ以上の当事者間の相関を明示的に承認した場合にのみ、それらの当事者と共有される必要がある。偽名uDIDt-VeCxがデフォルトである場合、パブリックuDIDt-VeCx(公開された、または多数の当事者と共有されたuDIDt-VeCx)に対する唯一の必要性は、uDIDt-VeCxサブジェクトが公開識別を明示的に望む場合である。
【0219】
uDIDt-VeCxドキュメント相関リスク
偽名uDIDt-VeCxの反相関保護は、対応するuDIDt-VeCxドキュメント内のデータを関連付けることができる場合、簡単に破られる。
【0220】
一実施形態において、偽名uDIDt-VeCxに関するuDIDt-VeCxドキュメントは、ペアごとに一意のuDIDt-VeCx鍵を使用する必要もある。
【0221】
別の実施形態において、多くの異なるサブジェクトによって制御される数百万/数十億のuDIDt-VeCxの間ですべてのuDIDt-VeCxならびに偽名uDIDtおよびVeCxのペアのエンドポイントの要因結果を共有することによって、エンドポイントプライバシーが増加する。
【0222】
群プライバシー
uDIDt-VeCxサブジェクトが群れ内の他のサブジェクトと区別できない場合、プライバシーが利用可能である。別の当事者と個人的に関わる行為自体が認識可能なフラグである場合、プライバシーは、大きく損なわれる。uDIDt-VeCx、ならびにuDIDtおよびVeCxのペアの偽名化方法は、群プライバシーを改善する(スポーツおよびテレビ、トレーニングにおける客観的定量的センチメント計量)
【0223】
一意の識別子を生成するための方法
特定の態様において、対象のための一意の識別子を生成するための方法が提供される。1つまたは複数の態様において、方法またはその1つもしくは複数のステップは、コンピューティングシステム20またはコンピューティング環境100などのコンピューティングシステムによって実行されてもよい。方法またはその1つもしくは複数のステップは、非一時的大容量記憶デバイスなどのコンピュータ可読媒体内に記憶され、メモリにロードされ、CPUによって実行されるコンピュータ実行可能命令において具体化されてもよい。方法は、例示的であり、フロー図内のいくつかのステップおよびステップの一部は、省略されてもよく、および/または順序が変更されてもよいことが理解されるべきである。
【0224】
方法は、対象のための一意の識別子を生成するステップを含んでもよい。方法は、コンピュータシステムのプロセッサによって実行可能であってもよい。方法は、対象に関するバイオメトリックデータを取得するステップを含んでもよい。バイオメトリックデータは、パッシブ振動音響(アナログボイスコイルトランスデューサ)、アクティブ振動測定(パルス/連続ドップラー超音波)、電位センサ(ミリボルトまでの電場における小さい変化を測定するための、高安定、超高感度、非接触デジタル電圧計として機能する、超高、入力インピーダンスセンサ)、他のデジタルバイオメトリックデータからの外部データなどの独自のセンサであってもよいセンサを使用して取得されてもよく、環境決定要因データ(GPS、高度、湿度、気圧、周囲温度、周囲光、周囲ノイズなど)によってすべてコンテキスト化される。現在、過去、および未来のバイオメトリックデータは、生きたバイオメトリックナレッジグラフにおいて消費される。データを行、列、および表において配置する従来のデータベースとは異なり、バイオメトリックナレッジグラフは、個別のバイオメトリックデータだけでなく、バイオメトリックデータ記録間の時間的関係、状態関係、およびステータス関係も記憶する柔軟な進化型グラフ構造を有する。この場合における時間的は、バイオメトリックデータに位置合わせされた長手方向のタイムスタンプを指す。状態は、バイオメトリックデータ格子の全体的な状態、すなわち、特定の時点における、またはすべての時間(通常は現在)にわたる単一のバイオメトリックデータポイントにおけるすべてのその値および関係を指し、状態、すなわち、プロセスまたはワークフロー中の時点におけるバイオメトリックデータは、例えば、保留中の入力、一部(処理中)、または完了などである。
【0225】
バイオメトリックデータナレッジグラフは、バイオメトリックデータ関係について最適化されているので、複雑なデータセットは、最新のNoSQLフレーバーを含む他のデータベースよりも桁違いに速く、深い。さらに、インライン学習は、因果的に解きほぐされたバイオメトリックバイオシグネチャー表現を生成するために、較正された不確実性から学習と予測の両方のための任意の概念のセットに対する豊富な結合および条件付きクエリを有する無制限のマルチバイオメトリックデータ相関格子内の順序付けられたモデルの一貫性と帰納的バイアスとを保持しながら、概念空間全体の部分的順序または格子構造を強制し、クエリの無制限の表現力と、表示的確率を較正する能力を有する予測と学習(例えば、予想からの学習)の両方に対して不確実性を使用する能力とを有する構造的機械学習アルゴリズムを使用して、個人から、および個人全体に基づいて学習する組み込み方法である。
【0226】
バイオメトリックデータから、識別マーカーが抽出されてもよい。バイオメトリクスは、指紋、または筆跡などの行動特性によって個人間を区別するのと原理的に同様に、人を認識する自動化された方法を提供する。しかしながら、バイオシグネチャーバイオメトリック識別は、虹彩、顔、声、咳、心臓、および呼吸のリズムなどの生理学的特性に関連する微細な大規模データ測定に依存する。本発明のバイオメトリック測定は、主に、心肺系のバイタルサイン測定によって行われる。専用の機器は、腸、肺、心臓、および頭部によって生成される電場および振動の全スペクトルを取り込むことができる。次いで、本発明のアルゴリズムは、体内の空気の動きおよび流体の動きに関連する様々な不可視光および可視光ならびに可聴音および不可聴音の信号を選択する。個人間の差別化情報を担持する長さ、電力、体積、加速度、および分散などの流体および気流のパラメータは、トレーニング構造的機械学習アルゴリズムから識別される。
【0227】
概略において、本明細書で説明するプロセスにおいて使用される新規のアルゴリズムは、3段階のパイプラインを含んでもよい。段階1:各バイオメトリックデータ(振動音響、振動測定、電位、コンテキスト(環境決定要因)、他のバイオメトリックデバイスまたはデータから、重要な生の特徴を識別、順位付け、および抽出するためのトレーニング。段階2:生の特徴のアンサンブルをリレーショナル特徴格子に構築する。段階3:所望の1)「検証可能なクレデンシャル」、2)「検証可能なクレデンシャル」に関連する「アクセス制御」属性の証明、または3)「検証可能なクレデンシャル」および「アクセス制御」プリミティブを「時間的、状態および/またはステータスのバイオメトリクス」を用いて拡張することによる「条件付きアクセス」の分類、クラスター化、個別化などの提供に特有の使用に適したサイズ(エッジ推論の計算効率のための最小サイズ)の特徴アンサンブルに変換するために、アトム(個人)およびエコロジー(集団)のインライン学習を活用する。これらの段階は、必要なアルゴリズム性能を提供するために、順次に、または必要に応じて重複して(同時に)実行されてもよい。
【0228】
一意の識別子は、抽出された識別マーカーから生成されてもよい。一意の識別子を生成することは、他のドメイン固有の特徴と比較して所定のIDを有する所与のドメイン固有の特徴を識別することを含んでもよい。現実世界において、個人に関して利用可能な情報は、典型的には、断片的で部分的である(段階1において、孤立した振動音響、振動測定、電位バイオメトリック情報として表される)。この意味において、識別格子におけるノードは、ジグソーパズルにおける個々のピースに類似しているとみなすことができ、各ノードは、互換性のあるノードとのみ「連動」するいくつかの特定の入力および出力を有する。学習アルゴリズムのタスクは、欠損データ値を一貫した方法で代入することであり、これは、新しい互換性のあるジグソーピースを合成することに似ている。段階2の全体的な学習タスクは、非常に低い衝突確率を有する識別子をもたらすことができるようにするために、ジグソー全体の最適に小さい断片を識別することである。
【0229】
ナレッジグラフを維持する方法
新しい縦断データポイントが追加されると、組み込まれた学習アルゴリズムが呼び出される。これは、それらが合成する関連する「ジグソーピース」の互換性を変更する場合があり、それは今度は、十分に一貫性があるジグソー断片が再び得られるまで、再調整および再合成の連鎖につながる場合がある。
【0230】
時間および精度について最適化しながら、一意のバイオシグネチャーを動作時点で検証する方法
バイオシグネチャーは、RSAスタイルの暗号システムにおける「公開鍵」に類似する役割を果たす。操作時点での検証が計算上安価でありかつ正確(低い衝突確率)であることを保証することは、バイオシグネチャーを生成する組み込み型学習アルゴリズムの品質基準の一部である。
【0231】
特定の態様において、対象のための一意の識別子を生成するための方法が提供される。1つまたは複数の態様において、方法またはその1つもしくは複数のステップは、コンピューティングシステム20またはコンピューティング環境100などのコンピューティングシステムによって実行されてもよい。方法またはその1つもしくは複数のステップは、非一時的大容量記憶デバイスなどのコンピュータ可読媒体内に記憶され、メモリにロードされ、CPUによって実行されるコンピュータ実行可能命令において具体化されてもよい。方法は、例示的であり、フロー図内のいくつかのステップおよびステップの一部は、省略されてもよく、および/または順序が変更されてもよいことが理解されるべきである。
【0232】
方法は、特定の実施形態において、以下を含む。対象のための一意の識別子を生成するための方法であって、方法は、コンピュータシステムのプロセッサによって実行可能であり、方法は、対象に関するバイオメトリックデータを取得するステップと、バイオメトリックデータから識別マーカーを抽出するステップと、抽出された識別マーカーから一意の識別子を生成するステップとを含み、一意の識別子を生成するステップは、他のドメイン固有の特徴と比較して、所定のIDを有する所与のドメイン固有の特徴を識別するステップを含む。
【0233】
(実施例)
(実施例1)
分散型識別子(uDIDt-VeCx)の簡単な例
uDIDt-VeCxは、
・URL方式識別子(udidt-vecx)
・uDIDt-VeCxメソッドに関する識別子
・uDIDt-VeCxメソッド固有の識別子
の3つの部分から構成される単純なテキスト文字列である。
udidt vecx:例:abcdefghijklmnopqrstuvwxyzl234567890
【0234】
上記の例示的なuDIDtは、uDIDt-VeCxドキュメントに解決される。uDIDt-VeCxドキュメントは、uDIDt-VeCxコントローラを暗号的に認証する方法、ならびにuDIDt-VeCxサブジェクトと対話するために使用することができるサービスなどの、uDIDt-VeCxに関連付けられた情報を含む。
【0235】
図15は、本技術の様々な実施形態による、個人を認証するための方法1500のフロー図である。1つまたは複数の態様において、方法1500またはその1つもしくは複数のステップは、コンピューティング環境100などのコンピューティングシステムによって実行されてもよい。方法1500またはその1つもしくは複数のステップは、非一時的大容量記憶デバイスなどのコンピュータ可読媒体内に記憶され、メモリにロードされ、CPUによって実行されるコンピュータ実行可能命令において具体化されてもよい。フロー図内のいくつかのステップおよびステップの一部は、省略または順序が変更されてもよい。
【0236】
ステップ1505において、個人のIDコードがスキャンされてもよい。このステップにおいて、QRコード、個人のユーザ名、個人の名前など、個人に対応するバーコードまたは3Dバーコードのスキャンなどの、個人の任意の識別子が受信されてもよい。識別子は、個人のIDカード内に組み込まれたチップなどの、個人に対応するRFIDまたは他のワイヤレスチップをスキャンすることなどによって、非接触インターフェースを介して受信されてもよい。個人を識別する任意の方法が使用されてもよい。個人が所有するデバイスなど、個人に関連付けられたデバイスに対して認証が実行されている場合、個人の識別子は、さらなる入力を受信することなく選択されてもよい。
【0237】
ステップ1510において、個人のプロファイルが取得されてもよい。個人のプロファイルは、上記で説明したuDIDt-VeCxであってもよい。個人のプロファイルは、個人の振動音響測定値、個人の電位測定値、個人の物理的および/もしくは生理学的特性を記述するデータ、ならびに/または個人に関する任意の他のデータなどの、個人を記述する記憶されたデータを含んでもよい。プロファイルは、初期プロファイル作成中に収集されたデータ、および/または個人が自分自身を認証する際に取り込まれたデータなどの、個人から収集されたデータの履歴を含んでもよい。プロファイル内に記憶された個々の測定値は、データ収集に対応する環境条件を記述する関連データなどの関連データを有してもよい。例えば、プロファイルは、個人の複数の記憶された心拍測定値を有してもよく、各々の記憶された心拍測定値について、心拍測定値が取得された時点において記録された対応する気温が記憶され、心拍測定値に関連付けられてもよい。
【0238】
個人のプロファイルは、個人に対応する任意の数の特徴を含んでもよい。各特徴は、様々な入力パラメータに基づいて生成されてもよい。フィルタまたは数学的演算などの、様々な変換が入力パラメータに適用されてもよい。特徴は、数値および/またはベクトルの形式において記憶されてもよい。
【0239】
特徴は、以下の、1)生の特徴を抽出するステップ、2)生の特徴のアンサンブルを構築するステップ、および3)特定のユースケースに固有の特徴アンサンブルを生成するためにインライン学習を活用するステップのセットを使用して生成されてもよい。
【0240】
生の特徴は、振動音響、振動測定、電位、コンテキスト(環境決定要因)、他のバイオメトリックデバイス、またはデータなどの、各バイオメトリックデータ測定から抽出されてもよい。これらの生の特徴は、次いで、リレーショナル特徴格子として記憶されてもよい生の特徴のアンサンブルに構築されてもよい。1)検証可能なクレデンシャル、2)「検証可能なクレデンシャル」に関連する「アクセス制御」属性の証明、または3)「検証可能なクレデンシャル」および「アクセス制御」プリミティブを「時間的、状態および/またはステータスのバイオメトリクス」を用いて拡張することによる「条件付きアクセス」の提供などの、所望の用途に特有の使用に適したサイズ(エッジ推論の計算効率のための最小サイズ)の特徴アンサンブルに変換するために、アトム(個人)およびエコロジー(集団)のインライン学習が使用されてもよい。
【0241】
現在、個人の過去、および未来のバイオメトリックデータは、生きたバイオメトリックナレッジグラフ内に記憶される。このデータは、個人のプロファイルを含んでもよい。データを行、列、および表において配置する従来のデータベースとは異なり、バイオメトリックナレッジグラフは、個別のバイオメトリックデータだけでなく、バイオメトリックデータ記録間の時間的関係、状態関係、およびステータス関係も記憶する柔軟な進化型グラフ構造を有してもよい。この場合における時間的は、バイオメトリックデータに位置合わせされた長手方向のタイムスタンプを指す。状態は、バイオメトリックデータ格子の全体的な状態、すなわち、特定の時点における、またはすべての時間(通常は現在)にわたる単一のバイオメトリックデータポイントにおけるすべてのその値および関係を指し、状態、すなわち、プロセスまたはワークフロー中の時点におけるバイオメトリックデータは、例えば、保留中の入力、一部(処理中)、または完了などである。
【0242】
ステップ1505および/または1510は、オプションである。ステップ1505および1510においてユーザプロファイルが取得されてもよく、次いで、以下で説明する方法1500のステップを使用して行われてもよい、個人がユーザプロファイルに一致するかに関する判定が行われてもよい。しかし、他のインスタンスにおいて、ユーザプロファイルは、取得されなくてもよい。むしろ、方法1500は、ステップ1515において開始してもよく、個人のスキャンおよび個人のIDコード(または他の識別子)に基づくのではなく、個人のスキャンのみに基づいて、個人がユーザプロファイルと照合されてもよい。
【0243】
ステップ1515において、個人は、センサアレイを使用してスキャンされてもよい。センサアレイは、振動音響センサなどの1つまたは複数のセンサを含んでもよい。センサアレイは、個人のユーザプロファイルを生成するときにデータを取得するために使用されるアレイと同じセンサのセットを含んでもよい。センサアレイは、1つまたは複数のカメラ、振動音響センサ、揮発性有機化合物センサ、広周波数帯域テラヘルツセンサ、マイクロフォン、高度センサ、温度センサ、気圧センサ、空気質センサ、パッシブ振動音響センサ(アナログボイスコイルトランスデューサ)、アクティブ振動測定センサ(パルス/連続ドップラー超音波)、電位センサ(ミリボルトまでの電場における小さい変化を測定するための、高安定、超高感度、非接触デジタル電圧計として機能する、超高、入力インピーダンスセンサ)、および/または任意の他のタイプのセンサを含んでもよい。外部データはまた、他のデジタルバイオメトリックデータから収集されてもよい。
【0244】
ステップ1515において収集されたデータは、収集されてもよい環境決定要因データ(GPS、高度、湿度、気圧、周囲温度、周囲光、周囲ノイズなど)によってコンテキスト化されてもよい。
【0245】
センサアレイは、センサアレイと物理的に接触することなく個人をスキャンすることができる非接触センサアレイであってもよい。センサアレイは、個人および個人を取り囲む環境の様々な特性を測定してもよい。データは、任意の時間期間にわたって取り込まれてもよい。時間期間は、事前に決定されてもよく、および/または収集されたデータに基づいて決定されてもよい。例えば、個人の心拍数が決定されてもよく、データは、所定の数の心拍にわたって収集されてもよい。
【0246】
ステップ1520において、特徴のランク付けリストが取得されてもよい。特徴のランク付けリストは、機械学習アルゴリズム(MLA)を使用して生成されていてもよい。特徴のランク付けリストは、利用可能な特徴の各々をランク付けしてもよい。特徴は、個々の特徴がどれだけうまく個人間を区別するかに基づいてランク付けされてもよい。個々の特徴がどれだけうまく区別するかに加えて、および/またはその代わりに、個々の特徴をどれだけ迅速に生成できるか、および/または個々の特徴を生成するためにどれだけ多くのリソースが必要かなどの他の基準が、特徴をランク付けするために使用されてもよい。例えば、たとえ第2の特徴が第1の特徴よりも個人間を区別するのに優れているとしても、最小限のリソースを使用して、および/または非常に迅速に生成することができる第1の特徴は、生成するためにより多くのリソースを使用する、および/または生成するのにより時間がかかる第2の特徴よりも高くランク付けされてもよい。
【0247】
ステップ1525において、ステップ1515において収集されたデータは、特徴値に変換されてもよい。ユーザプロファイルを作成するときに生成される特徴のすべてまたは一部が、ステップ1520において生成されていてもよい。利用可能な特徴のすべてを生成するよりも、特徴のサブセットを生成することがより効率的である場合がある。データは、ステップ1520において取得されたランク付けリストのランキングに基づいて特徴値に変換されてもよい。順序付きリスト内の最も高くランク付けされた特徴に対応する特徴値が最初に決定されてもよく、次に高くランク付けされた特徴に対応する特徴値が2番目に決定されてもよい、などである。順序付きリスト上の5つの最も高くランク付けされた特徴など、所定の数の特徴値が最初に生成されてもよい。
【0248】
ステップ1530において、ステップ1515において収集されたデータに対する潜在的一致の初期セットが決定されてもよい。一致の初期セットは、データベース内のユーザプロファイルのすべてであってもよい。例えば、個人が自分の職場において自分自身を認証している場合、潜在的一致の初期セットは、職場におけるすべての従業員のプロファイルであってもよい。
【0249】
ステップ1535において、特徴のランク付けリスト内の次の特徴が選択されてもよい。最初は、これは、特徴のランク付けリスト内の最も高くランク付けされた特徴となる。
【0250】
ステップ1540において、ステップ1535において選択された特徴に対応する個人の特徴値が取得および/または決定されてもよい。特徴値は、ステップ1525において以前に決定されていてもよい。特徴に対応する誤差の量が取得および/または決定されてもよい。誤差の量は、以前に決定されていてもよい。誤差の量は、ステップ1515において取得された環境測定値に基づいて決定されてもよい。例えば、特徴値の変動性が周囲温度に直接関連する場合、誤差の量は、ステップ1515において測定された周囲温度に基づいて決定されてもよい。
【0251】
特徴値に一致する、および/または誤差の量内に入る個人は、ステップ1530において取得された潜在的一致のセットから決定されてもよい。例えば、特定の特徴に関する個人の特徴値が"0.075"であり、誤差の量が"0.005"である場合、"0.070"から"0.080"の範囲のその特徴に関する測定値を有するすべてのプロファイルのリストが取得されてもよい。
【0252】
ステップ1540において、個人について一意の一致が存在するかどうかについての判定が行われてもよい。潜在的な一致のセット内の単一のプロファイルが特徴に対応する場合、一意の一致が取得され、方法1500は、ステップ1545に続いてもよい。そうではなく、ステップ1540において複数の潜在的な一致が存在する場合、方法1500は、ステップ1560に続いてもよい。
【0253】
ステップ1540は、個人に関する一意の一致を見つけることを説明しているが、ステップ1540において、しきい値数の潜在的な一致が使用されてもよい。しきい値は、所定のしきい値であってもよい。例えば、所定のしきい値が5つの一致である場合、方法1500は、ステップ1540において5つ以下の潜在的な一致が残っている場合、ステップ1545に続いてもよい。そうではなく、5つよりも多くの潜在的な一致が残っている場合、方法1500は、ステップ1560に続いてもよい。
【0254】
ステップ1540において使用される一致のしきい値数を増加させることは、方法1500をより迅速に実行させ、および/または方法1500により少ないリソースを使用させる場合がある。しかし、認証の精度が低下する場合がある。しきい値数は、方法1500の用途に基づいて選択されてもよい。例えば、速度が優先される低セキュリティ環境において、しきい値数は、非常に高く設定されてもよい。逆に、個人の医療記録などの安全な情報を取得することができるように個人を認証するため、または銀行からの資金にアクセスすることができるように個人を認証するためなど、セキュリティが重要な用途について、個人が誤って認証されるリスクを低減するために、(
図15に示すように)しきい値は、1に設定されてもよい。
【0255】
ステップ1560において、一意の一致がまだ見つかっていない、および/または潜在的な一致の数がしきい値を超えている場合、現在の特徴に一致しない個人が、潜在的な一致のセットから削除されてもよい。現在の特徴値の誤差マージンの範囲内にない潜在的な一致のセット内のすべてのプロファイルは、潜在的な一致のセットから除去されてもよい。このようにして、方法1500が1535、1540、および1560のステップを介して進むたびに、単一の一致のみが残るまで(または潜在的な一致の数がしきい値数未満になるまで)、潜在的な一致のセットは、より小さくなってもよく、その時点において、方法1500は、ステップ1545に続く。
【0256】
ステップ1545において、潜在的な一致のセット内に残っている一意の一致がステップ1510において決定されたプロファイルとの一致であるかどうかについての判定が行われてもよい。言い換えれば、個人のIDコードに対応するプロファイルが個人のスキャンと一致するかどうかである。一致する場合、方法1500は、ステップ1550に進み、個人が認証される。そうではなく、一致しない場合、方法1500は、ステップ1555に進み、認証が失敗する。
【0257】
ステップ1545において、単一のプロファイルではなく、プロファイルのセットが残っている場合、ステップ1510において取得されたプロファイルが潜在的な一致のセット内に残っているプロファイルのうちの1つと一致するかどうかについての判定が行われてもよい。取得されたプロファイルが残りのプロファイルのうちの1つと一致する場合、個人は、ステップ1550において認証されてもよい。そうでない場合、認証は、ステップ1555において失敗することがある。
【0258】
上記で説明したように、場合によっては、個人のIDコードまたは他の識別子が使用されなくてもよい。その場合、方法1500は、一意の一致がなされるまで、ステップ1535、1540、および1560を介して進んでもよい。一意の一致がなされた後、方法1500は、ステップ1550に直接進んでもよく、個人は、一意の一致に対応するユーザプロファイルとして認証されてもよい。
【0259】
図16は、本技術の様々な実施形態による、個人のプロファイルを生成するための方法1600のフロー図である。1つまたは複数の態様において、方法1600またはその1つもしくは複数のステップは、コンピューティング環境100などのコンピューティングシステムによって実行されてもよい。方法1600またはその1つもしくは複数のステップは、非一時的大容量記憶デバイスなどのコンピュータ可読媒体内に記憶され、メモリにロードされ、CPUによって実行されるコンピュータ実行可能命令において具体化されてもよい。フロー図内のいくつかのステップおよびステップの一部は、省略または順序が変更されてもよい。
【0260】
ステップ1605において、センサアレイを使用して個人がスキャンされてもよい。ステップ1605において実行されるアクションは、方法1500のステップ1515に関して上記で説明したアクションと同様であってもよい。個人のデータを測定することに加えて、個人の名前、個人のID番号、個人の生年月日などの識別データが、手動で入力、および/または取得されてもよい。
【0261】
ステップ1610において、個人についてユーザプロファイルが生成されてもよい。個人について特徴値が生成されてもよい。様々な特徴が事前に決定されていてもよい。関数が各特徴に関連付けられてもよく、関数は、ステップ1605において測定されたどのパラメータが関数に入力され、それらのパラメータがどのように処理されるかを指定する。関数によって特徴値が出力されてもよい。特徴値は、数値、ベクトル、および/または任意の他のタイプの出力であってもよい。利用可能な特徴のセットが取得されてもよく、利用可能な特徴のセット内のすべての特徴、または利用可能な特徴のセット内の特徴のサブセットについて、個人に関する特徴値が生成されてもよい。
【0262】
ユーザプロファイルは、クラウドシステム内に記憶されたデータベースなどのデータベースに追加されてもよい。ユーザプロファイルをデータベースに追加する前に、ユーザプロファイルは、プロファイルが一意であることを確認するために、データベース内の他のプロファイルのすべてと比較されてもよい。プロファイルが以前のプロファイルと重複すると判断された場合、エラーが出力され、プロファイルは、データベースに追加されなくてもよい。
【0263】
ステップ1615において、データベースのすべてのプロファイルが、機械学習アルゴリズム(MLA)に入力されてもよい。プロファイルおよび/またはプロファイルの特徴値は、MLAに入力されてもよい。プロファイルに関するすべての特徴値がMLAに入力されてもよく、または利用可能な特徴値のサブセットがMLAに入力されてもよい。
【0264】
ステップ1620において、特徴のランク付けリストがMLAによって生成されてもよい。MLAは、特徴および/または各特徴に対応する値のランク付けリストを出力してもよい。MLAが各特徴に対応する値を出力する場合、値は、特徴をランク付けし、ランク付けリストを生成するために使用されてもよい。値は、各特徴がデータベース内の個人間を区別する可能性がどの程度あるかを示してもよい。特徴が個人間を区別する可能性が高い場合、MLAは、特徴を比較的高くランク付けしてもよい。逆に、特徴が個人間を区別する可能性が低い場合(大部分の個人がこの特徴に対して同様の特徴値を有する場合など)、その特徴は、比較的低いランク付けを受けてもよい。次いで、特徴の順序付きリストは、方法1500のステップ1520などにおいて、個人を認証するために使用されてもよい。
【0265】
上記で説明したように、ユーザプロファイルは、ナレッジグラフベースの構造内に記憶されてもよい。バイオメトリックデータナレッジグラフは、バイオメトリックデータの関係に対して最適化されているので、本明細書で説明する動作は、最新のNoSQLデータベースを含む他のデータベースを使用して実行されるよりも、桁違いに速く、深く実行される場合がある。さらに、インライン学習(特徴のランク付けリストを生成する)は、因果的に解きほぐされたバイオメトリックバイオシグネチャー表現を生成するために、較正された不確実性から学習と予測の両方のための任意の概念のセットに対する豊富な結合および条件付きクエリを有する無制限のマルチバイオメトリックデータ相関格子内の順序付けられたモデルの一貫性と帰納的バイアスとを保持しながら、概念空間全体の部分的順序または格子構造を強制し、クエリの無制限の表現力と、表示的確率を較正する能力を有する予測と学習(例えば、予想からの学習)の両方に対して不確実性を使用する能力とを有してもよい構造的機械学習アルゴリズムを使用して、個人から、および個人全体に基づいて学習する組み込み方法である。
【0266】
ステップ1615および1620は、所定の量の新しいユーザプロファイルがデータベースに追加されたとき、所定の時間間隔において、および/または任意の他のトリガに基づいて、新しいユーザプロファイルがデータベースに追加されるたびに、特徴のランク付けリストを生成するために実行されてもよい。
【符号の説明】
【0267】
10 システム
20 コンピューティングシステム
100 コンピューティング環境
110 プロセッサ
111 グラフィック処理ユニット
120 ソリッドステートドライブ
130 ランダムアクセスメモリ
140 ディスプレイインターフェース
150 入力/出力インターフェース
160 システムバス、内部および/または外部バス
190 タッチスクリーン、スクリーン
192 タッチ入力/出力コントローラ
194 タッチハードウェア
300 方法
【国際調査報告】