(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】リスクに基づく補正ボーラスを有するボーラスアドバイザ、炭水化物を含まないボーラス推奨器、及び食事承認
(51)【国際特許分類】
G16H 20/17 20180101AFI20231227BHJP
【FI】
G16H20/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522870
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021064864
(87)【国際公開番号】W WO2022140543
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・パテク
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
基礎インスリン推奨及びボーラス推奨は、基礎量又はボーラス量が、1日の総インスリンの一部分としての基礎インスリン対ボーラスインスリンの比を考慮して、増加又は減少されるべきかどうかを決定するために、血糖リスクのプロファイルを分析することによって提供される。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、患者の生理機能及び行動(生活様式及び食事)からもたらされる患者の糖尿病データをモデル化する生理学的クローニングを利用して、速効性ボーラスと1日の基礎との間の系統的不均衡を修正しようとする。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、基礎及び/又はボーラスに起因する1日の総インスリンのパーセンテージに対する制約を使用する。いくつかの実施形態では、最適化は、患者によって提供される炭水化物情報を使用せずに実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価することであって、前記グルコースデータが、ある期間にわたって前記患者について受信された持続グルコースモニタリング(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、前記グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、評価することと、
インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することであって、前記インスリンデータに基づいて前記1日のインスリン関係を定量化することが、前記期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、前記期間にわたる前記計算された態様を比較することと、を含み、前記インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、前記基礎インスリンデータ及び前記ボーラスインスリンデータが、前記期間にわたって前記患者について受信される、定量化することと、
目標範囲並びに前記グリセミックリスク及び前記1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定することであって、前記推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、決定することと、
前記推奨を、糖尿病管理システムに出力することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記グリセミックリスクを評価すること及び前記1日のインスリン関係を定量化することの前に、前記患者についての前記グルコースデータ及び前記インスリンデータを受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリセミックリスクが、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記グリセミックリスクを評価することが、予測及び状態推定のうちの少なくとも1つを使用する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記グリセミックリスクが、サンプル平均、サンプル分散、範囲内時間、高/低BG(血糖)のエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、及び全体リスクのうちの少なくとも1つに関して評価される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
グリセミックリスクの定量化された評価を示すリスクプロファイルを生成することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1日のインスリンの態様が、1日の総インスリン、1日の総基礎、又は1日の総ボーラスのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
一連の日数にわたる各日についての前記1日のインスリンの態様に基づいて関係パターンを特定することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
インスリンデータに基づいて前記1日のインスリン関係を定量化することが、1日のインスリンのある態様の別の態様に対する比及びパーセンテージのうちの少なくとも1つを計算することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記グリセミックリスクを評価すること及び前記1日のインスリン関係を定量化することのうちの少なくとも1つの前に、前記グルコースデータ及び前記インスリンデータのうちの少なくとも1つから外れ値データを除去することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲外であるときに実行され、前記推奨が、前記グリセミックリスクに基づく、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲外であり、かつ前記グリセミックリスクに基づいて確認されるときに実行され、前記推奨は、前記1日のインスリンパターンが前記範囲外である量と、リスクの定量的評価及びリスクの定性的評価のうちの少なくとも1つとに基づく、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲内にあるとき、及びグリセミックリスクが少なくとも1つの基準を満たさないときに実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記変化が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの量の増加又は減少を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記推奨が、インスリン送達システム又は治療最適化アルゴリズムへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にある、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、
患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価することであって、前記グルコースデータが、ある期間にわたって前記患者について受信された持続グルコースモニタリング(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、前記グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、評価することと、
インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することであって、前記インスリンデータに基づいて前記1日のインスリン関係を定量化することが、前記期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、前記期間にわたる前記計算された態様を比較することと、を含み、前記インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、前記基礎インスリンデータ及び前記ボーラスインスリンデータが、前記期間にわたって前記患者について受信される、定量化することと、
目標範囲並びに前記グリセミックリスク及び前記1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定することであって、前記推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、決定することと、
前記推奨を、糖尿病管理システムに出力することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える、システム。
【請求項17】
前記コンピュータ可読媒体が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、前記グリセミックリスクを評価すること及び前記1日のインスリン関係を定量化することの前に、前記患者についての前記グルコースデータ及び前記インスリンデータを受信させる命令を更に含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記グリセミックリスクが、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化である、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記グリセミックリスクを評価することが、予測及び状態推定のうちの少なくとも1つを使用する、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記グリセミックリスクが、サンプル平均、サンプル分散、範囲内時間、高/低BG(血糖)のエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、及び全体リスクのうちの少なくとも1つに関して評価される、請求項16~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記コンピュータ可読媒体が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、グリセミックリスクの定量化された評価を示すリスクプロファイルを生成させる命令を更に含む、請求項16~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記1日のインスリンの態様が、1日の総インスリン、1日の総基礎、又は1日の総ボーラスのうちの少なくとも1つを含む、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記コンピュータ可読媒体が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、一連の日数にわたる各日についての前記1日のインスリンの態様に基づいて関係パターンを特定させる命令を更に含む、請求項16~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
インスリンデータに基づいて前記1日のインスリン関係を定量化することが、1日のインスリンのある態様の別の態様に対する比及びパーセンテージのうちの少なくとも1つを計算することを更に含む、請求項16~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記コンピュータ可読媒体が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、前記グリセミックリスクを評価すること及び前記1日のインスリン関係を定量化することのうちの少なくとも1つの前に、前記グルコースデータ及び前記インスリンデータのうちの少なくとも1つから外れ値データを除去させる命令を更に含む、請求項16~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲外であるときに実行され、前記推奨が、前記グリセミックリスクに基づく、請求項16~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲外であり、かつ前記グリセミックリスクに基づいて確認されるときに実行され、前記推奨は、前記1日のインスリンパターンが前記範囲外である量と、リスクの定量的評価及びリスクの定性的評価のうちの少なくとも1つとに基づく、請求項16~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲内にあるとき、及びグリセミックリスクが少なくとも1つの基準を満たさないときに実行される、請求項16~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記変化が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの量の増加又は減少を含む、請求項16~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記推奨が、インスリン送達システム又は治療最適化アルゴリズムへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にある、請求項16~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
システムであって、
患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価するように構成されたグリセミックリスク評価器であって、前記グルコースデータが、ある期間にわたって前記患者について受信された持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、前記グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、グリセミックリスク評価器と、
インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化するように構成されたインスリン関係定量化器であって、前記インスリンデータに基づいて前記1日のインスリン関係を定量化することが、前記期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、前記期間にわたる前記計算された態様を比較することと、を含み、前記インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、前記基礎インスリンデータ及び前記ボーラスインスリンデータが、前記期間にわたって前記患者について受信される、インスリン関係定量化器と、
目標範囲並びに前記グリセミックリスク及び前記1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定し、かつ前記推奨を糖尿病管理システムに出力するように構成されたインスリン推奨器であって、前記推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、インスリン推奨器と、を備える、システム。
【請求項32】
前記グリセミックリスク評価器が、前記グリセミックリスクを評価し、前記1日のインスリン関係を定量化する前に、前記患者についての前記グルコースデータ及び前記インスリンデータを受信するように更に構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記グリセミックリスクが、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化である、請求項31又は32に記載のシステム。
【請求項34】
前記グリセミックリスクを評価することが、予測及び状態推定のうちの少なくとも1つを使用する、請求項31~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記グリセミックリスクが、サンプル平均、サンプル分散、範囲内時間、高/低BG(血糖)のエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、及び全体リスクのうちの少なくとも1つに関して評価される、請求項31~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記インスリン関係定量化器又は前記インスリン推奨器が、グリセミックリスクの定量化された評価を示すリスクプロファイルを生成するように更に構成されている、請求項31~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記1日のインスリンの態様が、1日の総インスリン、1日の総基礎、又は1日の総ボーラスのうちの少なくとも1つを含む、請求項31~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記インスリン関係定量化器が、一連の日数にわたる各日についての前記1日のインスリンの態様に基づいて関係パターンを特定するように更に構成されている、請求項31~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
インスリンデータに基づいて前記1日のインスリン関係を定量化することが、1日のインスリンのある態様の別の態様に対する比及びパーセンテージのうちの少なくとも1つを計算することを更に含む、請求項31~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記グリセミックリスク評価器が、前記グリセミックリスクを評価すること及び前記1日のインスリン関係を定量化することのうちの少なくとも1つの前に、前記グルコースデータ及び前記インスリンデータのうちの少なくとも1つから外れ値データを除去するように更に構成されている、請求項31~39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲外であるときに実行され、前記推奨が、前記グリセミックリスクに基づく、請求項31~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲外であり、かつ前記グリセミックリスクに基づいて確認されるときに実行され、前記推奨は、前記1日のインスリンパターンが前記範囲外である量と、リスクの定量的評価及びリスクの定性的評価のうちの少なくとも1つとに基づく、請求項31~41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが前記目標範囲内にあるときに、及びグリセミックリスクが少なくとも1つの基準を満たさないときに実行される、請求項31~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記変化が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの量の増加又は減少を含む、請求項31~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記推奨が、インスリン送達システム又は治療最適化アルゴリズムへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にある、請求項31~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
方法であって、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、
前記1日のインスリン関係パターンデータセットから前記外れ値データを除去することと、
前記外れ値データの前記除去を糖尿病管理システムに通信することと、を含む、方法。
【請求項47】
前記外れ値データが、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記外れ値データを分析することが、前記データセットを分析して、推奨及び調整のうちの少なくとも1つを行うことができるかどうかを決定することを含む、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された前記外れ値データに関連する情報を出力することを更に含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、
前記1日のインスリン関係パターンデータセットから前記外れ値データを除去することと、
前記外れ値データの前記除去を糖尿病管理システムに通信することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える、システム。
【請求項51】
前記外れ値データが、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記外れ値データを分析することが、前記データセットを分析して、推奨及び調整のうちの少なくとも1つを行うことができるかどうかを決定することを含む、請求項50又は51に記載のシステム。
【請求項53】
前記コンピュータ可読媒体が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記システムに、前記1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された前記外れ値データに関連する情報を出力させる命令を更に含む、請求項50~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
システムであって、
インスリン関係定量化器であって、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、
前記1日のインスリン関係パターンデータセットから前記外れ値データを除去することと、を行うように構成された、インスリン関係定量化器と、
前記外れ値データの前記除去を糖尿病管理システムに通信するように構成されたインスリン推奨器と、を備える、システム。
【請求項55】
前記外れ値データが、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記外れ値データを分析することが、前記データセットを分析して、推奨及び調整のうちの少なくとも1つを行うことができるかどうかを決定することを含む、請求項54又は55に記載のシステム。
【請求項57】
前記インスリン推奨器が、前記1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された前記外れ値データに関連する情報を出力するように更に構成されている、請求項54~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
方法であって、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、
前記変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、
前記分析することに基づいて、前記データセットに対して調整を行うことと、を含む、方法。
【請求項59】
前記変動性を特定することが、個々のデータポイントを分析すること、又は1つ以上の基準に対して平均偏差若しくは標準偏差を評価することのうちの少なくとも1つを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記変動性を特定することが、データのスーパーセットを評価して、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定することを含む、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
調整を行うことが、データの定義を調整すること、及びデータを複数の別個のデータセット又はデータパターンに分割することのうちの少なくとも1つを含む、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記システムに、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、
前記変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、
前記分析することに基づいて、前記データセットに対して調整を行うことと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える、システム。
【請求項63】
前記変動性を特定することが、個々のデータポイントを分析すること、又は1つ以上の基準に対して平均偏差若しくは標準偏差を評価することのうちの少なくとも1つを含む、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記変動性を特定することが、データのスーパーセットを評価して、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定することを含む、請求項62又は63に記載のシステム。
【請求項65】
調整を行うことが、データの定義を調整すること、及びデータを複数の別個のデータセット又はデータパターンに分割することのうちの少なくとも1つを含む、請求項62~64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
システムであって、
インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器であって、
1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、
前記変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、
前記分析することに基づいて、前記データセットに対して調整を行うことと、を行うように構成された、インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器のうちの少なくとも1つを備える、システム。
【請求項67】
前記変動性を特定することが、個々のデータポイントを分析すること、又は1つ以上の基準に対して平均偏差若しくは標準偏差を評価することのうちの少なくとも1つを含む、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記変動性を特定することが、データのスーパーセットを評価して、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定することを含む、請求項66又は67に記載のシステム。
【請求項69】
調整を行うことが、データの定義を調整すること、及びデータを複数の別個のデータセット又はデータパターンに分割することのうちの少なくとも1つを含む、請求項66~68のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月23日に出願された「BOLUS ADVISOR WITH CORRECTION BOLUSES BASED ON RISK,CARB-FREE BOLUS RECOMMENDER,AND MEAL ACKNOWLEDGEMENT」と題する米国仮特許出願第63/129,919号に対する優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
持続グルコースモニタリングシステム(continuous glucose monitoring、CGM)及び接続されたデバイスの採用が増すにつれて、グルコース時系列データの利用可能性及び信頼性が、近年、増加している。しかしながら、信頼性の高いグルコースデータが利用可能であるにもかかわらず、インスリン及び食事データの正確な追跡、並びに食事時間のボーラスしたインスリンの効果的なタイミングは、糖尿病を有する多くの人々にとって引き続き問題となっており、不十分なグルコース制御をもたらす。
【0003】
従来の臨床アドバイスは、基礎/ボーラスインスリンの50/50での固定パーセンテージを、すなわち、基礎インスリンは1日の総インスリンの半分であるべきであることを示唆する。いくつかのより最近の推奨は、40/60、30/70、又は他の比を示唆する。しかしながら、固定パーセンテージは、患者全てにとっては最適ではない。基礎及び/又はボーラス推奨を患者に提供する治療最適化を提供する以前の努力は、多くの場合、収集/提供された炭水化物及び/又は運動情報自体がデータ分析に不正確さを導入したため、一貫性のない、不完全な、又は不正確な推奨に悩まされてきた。
【0004】
本開示の様々な態様及び実施形態が提示されることは、これら及び他の考慮事項に関するものである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、基礎量又はボーラス量が1日の総インスリンの一部分としての基礎インスリン対ボーラスインスリンの比を考慮して増加又は減少されるべきかどうかを決定するように、血糖リスクのプロファイルを分析することによって、基礎インスリン推奨(例えば、処方)及びボーラス推奨(例えば、処方)及びボーラス推奨(例えば、処方)を提供する。ボーラスインスリンは、食事時にインスリン要件を満たすために、又は一時的な高血糖を修正するために使用されるような速効性インスリンを指す。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、患者の生理機能及び行動(生活様式及び食事)からもたらされる患者の糖尿病データをモデル化する生理学的クローニングを利用して、速効性ボーラスと1日の基礎との間の系統的不均衡を修正しようとする。いくつかの実施形態では、システム及び方法は、基礎及び/又はボーラスに起因する1日の総インスリンのパーセンテージに対する制約を使用する。いくつかの実施形態では、最適化は、患者によって提供される炭水化物情報を使用せずに実行される。
【0006】
患者の1日のインスリンパターン及びグリセミックリスクの分析は、低グリセミックリスク及び高グリセミックリスクを最小限に抑えながら、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び/又は1日の総インスリンの最適なバランスを確実にする。基礎/ボーラス比の目標範囲内でリスクを低減しながら、基礎パーセンテージ及び/又はボーラスパーセンテージを調整するインスリン推奨システムが提供される。
【0007】
一実施態様では、方法は、患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価することであって、グルコースデータが、ある期間にわたって患者について受信された持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(flash glucose monitoring、FGM)データを含み、グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、評価することと、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することであって、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することが、その期間にわたって各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、その期間にわたって計算された態様を比較することと、を含み、インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータが、その期間にわたって患者について受信される、定量化することと、目標範囲並びにグリセミックリスク及び1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定することであって、推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、決定することと、推奨を糖尿病管理システムに出力することと、を含む。
【0008】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価することであって、グルコースデータが、ある期間にわたって患者について受信された持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、評価することと、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することであって、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することが、その期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、その期間にわたる計算された態様を比較することと、を含み、インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータが、その期間にわたって患者について受信される、定量化することと、目標範囲並びにグリセミックリスク及び1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定することであって、推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、決定することと、推奨を糖尿病管理システムに出力させることと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0009】
一実施態様では、システムは、患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価するように構成されたグリセミックリスク評価器であって、グルコースデータが、ある期間にわたって患者について受信された持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、グリセミックリスク評価器と、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化するように構成されたインスリン関係定量化器であって、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することが、その期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、その期間にわたって計算された態様を比較することと、を含み、インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータが、その期間にわたって患者について受信される、インスリン関係定量化器と、目標範囲並びにグリセミックリスク及び1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定し、かつ推奨を糖尿病管理システムに出力するように構成されたインスリン推奨器であって、推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、インスリン推奨器と、を備える。
【0010】
一実施態様では、方法は、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、1日のインスリン関係パターンデータセットから外れ値データを除去することと、外れ値データの除去を糖尿病管理システムに通信することと、を含む。
【0011】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、1日のインスリン関係パターンデータセットから外れ値データを除去することと、外れ値データの除去を糖尿病管理システムに通信することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0012】
一実施態様では、システムは、インスリン関係定量化器であって、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定し、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析し、かつ1日のインスリン関係パターンデータセットから外れ値データを除去するように構成された、インスリン関係定量化器と、外れ値データの除去を糖尿病管理システムに通信するように構成されたインスリン推奨器と、を備える。
【0013】
一実施態様では、方法は、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、分析することに基づいて、データセットに対して調整を行うことと、を含む。
【0014】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、分析することに基づいて、データセットに対して調整を行うことと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0015】
一実施態様では、システムは、インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器であって、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内にある、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、分析することに基づいて、データセットに対して調整を行うことと、を行うように構成された、インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器のうちの少なくとも1つを備える。
【0016】
本概要は、以下の発明を実施するための形態で更に記載される概念の選択を簡略化された形態で紹介している。したがって、この概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定するように使用されることも意図していない。
【0017】
前述の概要、並びに例示的な実施形態についての以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むとより良く理解される。実施形態を例示する目的で、実施形態の例示的な構成が図面に示されている。しかしながら、実施形態は、開示された特定の方法及び手段に限定されない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の高レベルの機能ブロック図である。
【
図2】ボーラスアドバイザの実施態様のシステム図である。
【
図3】1日のインスリンの推奨を決定する方法についてのフロー図である。
【
図4】ある期間にわたって患者について受信されたCGMデータ、基礎インスリンデータ、及びボーラスインスリンデータを表すマルチグラフの一例である。
【
図5】CGMシステム用の臨床報告ソフトウェアに見られるCGMスパゲッティグラフの一例である。
【
図6】
図4及び
図5のデータから導出されたリスクプロファイルを示すグラフであり、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクの両方のグリセミックリスクの定量化された評価を示す。
【
図7】ボーラスインスリン(y軸)対基礎インスリン(x軸)の表現を含む、1日のインスリン関係パターンを定量化する一例を示すグラフであり、インスリン関係パターンは、一実施形態における
図4~
図6のデータセットについて示されている。
【
図8】ボーラスインスリン対1日の総インスリン(total daily insulin、TDI)を示す、
図4~
図6のデータセットの表現を含む、1日のインスリン関係パターンを定量化する別の例を示すグラフであり、インスリン関係パターンは、別の実施形態における
図4~
図6のデータセットについて示されている。
【
図9】基礎インスリン対示されるTDIである、
図4~
図6のデータセットの表現を含む、1日のインスリン関係パターンを定量化する別の例を示すグラフであり、インスリン関係パターンは、更に別の実施形態における
図4~
図6のデータセットについて示されている。
【
図10】各日についてのTDIのパーセンテージとしての基礎の表現を示すグラフであり、各日は、推奨を決定するのに十分なデータ(外れ値を除く)を有する日を表す。
【
図11】1日のインスリン関係パターンデータセット内の外れ値データに対処する方法についてのフロー図である。
【
図12】分析されるときに、不正確なデータ(例えば、欠落した基礎データ又はボーラスデータ)及び/又は誤ったデータ(一貫性のない基礎データ又はボーラスデータ)を表し得る、基礎となるデータセット内の外れ値データを示す、1日のインスリン関係データセット内の患者における外れ値データの実施例のグラフである。
【
図13】1日のインスリン関係パターンにおける変動性に対処する方法についてのフロー図である。
【
図14】1日のインスリン関係パターンにおける変動性の例のグラフであり、変動性は、曜日などに基づいてもよい。
【
図15】1型糖尿病を有する患者についての典型的な変動性を示すCGMデータの一例のマルチグラフである。
【
図16】例えば、プロファイルがリスクを特定するように使用され得る+/-1閾値を超えるために、及び/又は両方が定量化され、基礎調整及び/又はボーラス調整で対処される必要があり得るリスクのレベルに関連付けられ得るために、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクの両方を示すグラフである。
【
図17】例示的な定量化された1日のインスリン関係のグラフである。
【
図18】データセットにおけるより大きな変動性を示す、広いCIを示す例のグラフである。
【
図19】基礎注射の一貫性のあるパターン及びボーラスにおける典型的な変動性を伴う、糖尿病を有する患者についてのCGMデータ変動性の実施例のマルチグラフである。
【
図20】特に朝の片側低グリセミックリスクの例を示すグリセミックリスクプロファイルのグラフであり、これは本明細書でより詳細に記載されるように定量化され得る。
【
図21】TDIのボーラスのパーセントとしてプロットされた1日のインスリン関係を示すグラフであり、1日のインスリンデータは、目標範囲から十分に外れている。
【
図22】基礎のパーセントについての1日のインスリンパターン信頼区間を示すグラフであり、これは目標範囲を十分に上回る。
【
図23】基礎インスリン処方に対する非常に一貫性のあるアドヒアランスを示すデータの例のマルチグラフである。
【
図24】閾値1を超える高リスクを特定するグリセミックリスクプロファイルのグラフである。
【
図25】ボーラス対TDIグラフ上にプロットされた1日のインスリン関係データの一例のグラフであり、これは、データポイントがTDIの45%~55%のボーラスの目標範囲からどのように外れるかを示している。
【
図26】高グリセミックのためにボーラスの量を増加させることによって基礎のパーセンテージを減少させる推奨を提供する実施例のグラフである。
【
図27】患者が400mg/dL付近又は40mg/dLにおいて多数のグルコーススパイクによって示される高グルコース変動性を有する例のマルチグラフである。
【
図28】所定の閾値1を超える高グリセミックリスクを特定するグリセミックリスクプロファイルのグラフである。
【
図29】定量化された例示的な1日のインスリン関係のグラフであり、このグラフは、ボーラスをTDIのパーセンテージとしてプロットしており、ボーラスのパーセンテージは高く、45~55%の目標範囲から十分に外れている。
【
図30】1つのデータポイント(ある日の1日のインスリンパターンを表す)が目標範囲内にあるが、1日のインスリンの基礎のパーセントの平均の信頼区間が、TDIの基礎のパーセントについての目標範囲の明らかに外側にある(すなわち、下回る)ことを示すグラフである。
【
図31】例示的な実施形態及び態様が実施され得る例示的なコンピューティング環境を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特許請求される主題は、図面を参照して説明され、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指すように使用される。以下の説明では、説明の目的で、特許請求される主題の十分な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、特許請求される主題は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが明らかであり得る。他の例では、特許請求される主題の説明を容易にするために、構造及びデバイスがブロック図の形態で示される。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の高レベル機能ブロック
図100である。プロセッサ130は、インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120と通信する。インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120は、患者140と通信して、それぞれ、患者140にインスリンを送達し、患者140のグルコースレベルを監視する。プロセッサ130は、本明細書で更に説明される計算並びに他の動作及び機能を実行するように構成される。インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120は、別個のデバイスとして、又は単一のデバイスとして、単一のデバイス内で、又は複数のデバイスにわたって実施され得る。プロセッサ130は、インスリンデバイス110、グルコースモニタ120において、若しくはスタンドアロンデバイスとして、(又はインスリンデバイス110、グルコースモニタ120、若しくはスタンドアロンデバイスのうちの2つ以上の任意の組み合わせにおいて)、ローカルに実施され得る。プロセッサ130又はシステムの一部分は、サーバ又はクラウドベースのシステム内など、遠隔に位置することができる。
【0021】
インスリンデバイス110などのインスリンデバイスの例は、インスリンシリンジ、外部ポンプ、及び患者に、典型的には、皮下組織内にインスリンを送達するパッチポンプを含む。インスリンデバイス110はまた、インスリン吸入器、インスリンジェット注射器、静脈内注入ポンプ、及び埋め込み型インスリンポンプなどの異なる手段によってインスリンを送達するデバイスを含む。追加型のインスリンデバイス110は、スマートインスリンペンである。いくつかの実施形態では、患者は、2つ以上のインスリン送達デバイスを組み合わせて使用し、例えば、長時間作用型インスリンをシリンジで注射し、食事前に吸入インスリンを使用する。他の実施形態では、これらのデバイスは、グルカゴン、プラムリンチド、又はグルコース様ペプチド-1(glucose-like peptide-1、GLP1)などのグルコースレベルの制御を助ける他の薬物を送達することができる。
【0022】
グルコースモニタ120などのグルコースモニタの例は、規則的な間隔、例えば、1、5、又は10分などでグルコース値を記録する持続グルコースモニタを含む。これらの持続グルコースモニタは、例えば、経皮的に挿入されるか、完全に埋め込まれるか、又は組織を非侵襲的に測定する電気化学センサ又は光学センサを使用することができる。グルコースモニタ120などのグルコースモニタの例はまた、静脈内血糖モニタ、マイクロ灌流サンプリング、又は周期的フィンガースティックなどの、グルコースを測定するために血液又は他の流体を周期的に抜き取るデバイスを含む。いくつかの実施形態では、グルコース読み取り値は、略リアルタイムで提供される。他の実施形態では、グルコースモニタによって決定されたグルコース読み取り値は、その後の検索のために血糖モニタ自体に記憶され得る。様々な実施形態は、フラッシュグルコースモニタ(FGM)と共に、又はフラッシュグルコースモニタ(FGM)において実施され得ることが企図される。
【0023】
インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、及びプロセッサ130は、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、及びタブレットなどの様々なコンピューティングデバイスを使用して実施され得る。他のタイプのコンピューティングデバイスが、担持されてもよい。好適なコンピューティングデバイスが、コンピューティングデバイス3100及びクラウドベースのアプリケーションとして
図31に示されている。
【0024】
インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、及びプロセッサ130は、ネットワークを通して通信してもよい。ネットワークは、公衆交換電話網(public switched telephone network、PSTN)、携帯電話網、及びパケット交換網(例えば、インターネット)を含む様々なネットワークタイプであってもよい。1つのインスリンデバイス110、1つのグルコースモニタ120、及び1つのプロセッサ130のみが
図1に示されているが、担持され得るインスリンデバイス、グルコースモニタ、及びプロセッサの数に制限はない。活動モニタ150及び/又はスマートフォン160はまた、患者140から、又は患者に関する食事及び/又は活動データを収集し、食事及び/又は活動データをプロセッサ130に提供するように使用されてもよい。
【0025】
プロセッサ130は、オペレーティングシステム及び1つ以上のアプリケーションを実行し得る。オペレーティングシステムは、どのアプリケーションがインスリンデバイス110及び/又はグルコースモニタ120によって実行されるかを制御してもよく、並びにアプリケーションがインスリンデバイス110及び/又はグルコースモニタ120の1つ以上のセンサ、サービス、若しくは他のリソースとどのように相互作用するかを制御してもよい。
【0026】
プロセッサ130は、インスリンデバイス110及びグルコースモニタ120から、並びにいくつかの実施態様では患者140からデータを受信し、本明細書で更に記載される計算、動作、及び/又は機能のうちの1つ以上を実行するように構成及び/又は使用されてもよい。
【0027】
図2は、ボーラスアドバイザ210の実施態様のシステム図である。ボーラスアドバイザ210への入力は、血糖データ205及びインスリンデータ207を含む。血糖データ205は、ヒトなどのホストに関連付けられた任意の糖尿病データであってもよく、実施態様に応じて、CGMのみのデータ、BG(blood glucose:血糖)データ、又は他のグルコース若しくは糖尿病関連データを含んでもよい。インスリンデータ207は、実施態様に応じて、ホスト又はヒトと関連付けられた任意のインスリンデータであってもよい。
【0028】
ボーラスアドバイザ210は、グリセミックリスク評価器220と、インスリン関係定量化器230と、インスリン推奨器240とを含む。ボーラスアドバイザは、推奨250を生成し、推奨250を糖尿病管理システム280に提供する。
【0029】
図3は、1日のインスリンについての推奨を決定する方法300についてのフロー図である。
【0030】
310では、グルコースデータ及びインスリンデータが、患者について受信される。システム及び方法は、ある期間にわたってグルコースデータ及びインスリンデータを取り込んで、典型的な患者の行動の期間にわたって1日のインスリン関係及びグリセミックリスクを分析する。
図4は、ある期間にわたって患者について受信されたCGMデータ、基礎インスリンデータ、及びボーラスインスリンデータを表すマルチグラフ400の一例である。グルコースデータ及び/又はインスリンデータは、いくつかの実施態様では、グルコースモニタ120、患者140、活動モニタ150、及び/又はスマートフォン160から受信されてもよい。これらのデータは、典型的には、例えば、CGM読み取り値、CGM値に割り当てられた信頼読み取り値、自己監視血糖読み取り値(血糖測定器)、遡及的に較正又は補正されたCGM読み取り値を含む、グルコースレベルの測定値を含む。グルコースデータは、一般に、少なくとも1週間の選択された期間を包含する。
【0031】
CGMグラフ410は、約60日の期間に受信されたグルコース時系列データをmg/dLで示し、そのデータは、持続グルコースモニタリング(CGM)システムによって収集され、その期間にわたる患者における血糖レベルを表す。
【0032】
基礎注射グラフ420は、同じ期間に受信された基礎インスリン時系列データをインスリンの単位での示し、そのデータは、スマートインスリンペンによって収集され、患者における基礎インスリン注射を経時的に表す。
【0033】
ボーラス注射グラフ430は、同じ期間に受信されたボーラスインスリン時系列データをインスリンの単位で示し、そのデータは、スマートインスリンペンによって収集され、患者におけるボーラスインスリン注射を経時的に表す。
【0034】
他のデバイス/システムからのグルコース及びインスリンデータを含む追加のデータタイプ、並びに運動データ及び炭水化物データなどの追加のデータタイプ、並びに他の感知された入力データ及びユーザ入力データを収集することができることが企図される。ユーザ入力データは、食事及び/又は運動及び/又は他の活動に基づくデータを含んでもよい。食事及び運動及び他の活動は、いくつかの実施形態では、明示的に無視されるか、又は許可されない場合がある。追加の入力は、事前にプログラムされた基礎プロファイル(例えば、インスリンポンプからの)、別のAP(artificial pancreas、人工膵臓)アルゴリズム(例えば、AID(automated insulin delivery、自動インスリン送達)システム)、患者により開始されるインスリン送達(基礎又はボーラス)などを含み得る、外部プロセスからの提案される基礎速度及び/又は提案されるボーラス速度などの外部プロセスデータを含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施態様は、持続グルコースセンサからの持続データ又は半連続データを使用する又は必要とするが、必ずしもリアルタイムではない。しかしながら、グリセミックリスクを時刻の関数として計算するように使用することができる任意のグルコース測定値を使用してもよい。遡及的データ又はリアルタイムデータ、平滑化されたデータ又は平滑化されていないデータは、実施態様に応じて使用され得る。フィンガースティックデータは、いくつかの実施態様では、包括的であり、かつ好ましくは炭水化物データを伴う場合に、使用され得る。
【0036】
自由な生活条件からのCGMデータが、好ましくは、収集された空腹時血糖(fasting blood glucose、FBG)データの代わりに使用される。時間経過に伴う自由な生活条件からのCGMデータは、患者の生活様式における行動及び行為を反映する。従来の技法は、空腹時血糖データを使用するが、これは、1日の活動が変動する1型については良好な尺度ではなく、FBGは、多くの能動的インスリン管理決定について意思決定することでは支援せず、速効型インスリンについての意思決定に対して、又は基礎インスリンとボーラスインスリンとのバランスをとることにおいて多くの洞察を提供しない。
【0037】
実施態様は、タイプ2の基礎滴定とは対照的に、集中管理された患者(ボーラスインスリン及び基礎インスリンを摂取する患者)における基礎/ボーラス/TDI最適化のために使用される。
【0038】
受信/選択されたCGM/インスリンデータは、所定の基準を満たさなければならない。
【0039】
評価するための必要最小限のデータは、少なくとも1日(以上)、少なくとも1週間、又は複数週間のCGM記録及びインスリン記録を含んでもよい。複数週間は、より多くの統計的に有意なデータを提供し、これは、より広範な行動を捕捉する。
【0040】
どれだけ多くのデータが利用可能であるかに基づいて、この方法の更なるステップが、一日24時間全ての肯定的な結果を達成するように適合され得る。
【0041】
実施態様は、患者の典型的な生活様式行動と関連付けられたグルコースデータを捕捉する、すなわち、患者の典型的な生活様式を表す異なる行動及び生理学的経験(例えば、平日とは異なる週末、典型的な運動の日、睡眠パターン、食習慣など)と関連付けられたグルコースデータを捕捉するのに十分な期間にわたってデータを使用する。データセットにおける治療プロファイルに変更があってはならない。
【0042】
図5は、CGMシステム用の臨床報告ソフトウェアにおいて一般的に見られるCGMスパゲッティグラフ500である。この例示的なグラフは、
図4のCGMグラフからの約60日のグルコースについての複数の1日24時間のグルコースデータを重ね合わせており、これは、連続する日々の各24時間の期間にわたるグルコースの変動性を視覚化している。
【0043】
本明細書で記載されるシステム及び方法のデータ分析は、1日のインスリン情報に関心があるため、利用可能なデータの開始は、1日を定義する24時間の期間の開始でなくてもよく、したがって、第1の日の開始の定義、及び分析に有用なデータセットの開始は、分析及び決定されてもよい。
【0044】
炭水化物/食事情報は、いくつかの実施態様では必要とされないことが企図されるが、そのような情報は、いくつかの実施態様に、特に、変動性及び/又は外れ値データが分析されている場合に、利益をもたらし得る。
【0045】
外れ値分析(本明細書で更に記載される)は、310の一部として実行されてもよい。
【0046】
320では、グリセミックリスクは、グルコースデータに基づいて評価され得る。グリセミックリスクは、それぞれ、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化であり得る、高グリセミックリスク及び/又は低グリセミックリスクを含み得る。グリセミックリスクは、血糖データから計算されてもよく、いくつかの実施形態では、予測されたグルコースに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、グリセミックリスク(例えば、低血糖症計算値及び/又は高血糖症計算値)は、予測及び/又は状態推定を使用する。グリセミックリスク評価器は、低血糖指数(low blood glucose index、LBGI)/高血糖指数(high blood glucose index、HBGI)におけるような血糖(blood glucose、BG)リスク空間定量化、及び/又はPatek-Actionable(「METHOD,SYSTEM AND COMPUTER READABLE MEDIUM FOR ASSESSING ACTIONABLE GLYCEMIC RISK」と題された米国特許第10,638,981号、発明者がStephen D.Patekであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載された実施例及び実施態様であり得る。
【0047】
リスクは、サンプル平均、サンプル変動、範囲内時間、高/低BGのエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、全体的リスクなどに関して評価され得る。
【0048】
患者について低血糖症及び/又は高血糖症のレベル又はリスクプロファイルを決定する任意の方法が、当業者によって理解されるように、ここで利用されてもよい。いくつかの既知の方法には、低グリセミックリスク、高グリセミックリスク、又はその両方を経時的プロファイルとして評価する1つの方法を記載しているPatekによる米国特許出願公開第2020/0178905(A1)号が含まれる。Kovatchevによる米国特許出願公開第2018/0366223(A1)号は、低血糖症及び高血糖症のリスクの尺度を計算する方法を記載しており、低血糖指数(LBGI)は、低BG読み取り値の数及び/又は程度が増加すると増加する非負の量であり、高血糖指数(HBGI)は、高BG読み取り値の数及び/又は程度が増加すると増加する非負の量である。Dunnらによる米国特許出願公開第2016/0239622(A1)号は、低血糖症、変動性、及び高血糖症の可視化を含むグルコースデータの分析に基づいてグリセミックリスクを決定することを記載しており、これらの全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。リスクプロファイルを定量化する一例を、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0178905(A1)号に見出すことができる。
【0049】
図6は、
図4及び
図5のデータから導出されたリスクプロファイルを示すグラフ600であり、高グリセミックリスク(0ラインを上回る)及び低グリセミックリスク(0ラインを下回る)の両方のグリセミックリスクの定量化された評価を示す。この実施例では、値が1日24時間にわたって+/-1の閾値を十分に下回るために、患者は高レベルの高グリセミックリスクも低グリセミックリスクも有しない。
【0050】
グリセミックリスクは、例えば、高血糖症対低血糖症(又はその逆)への全体的な重み付けが存在する場合に、高血糖症及び低血糖症の個々のリスク及び/又は高血糖症対低血糖症の相対的リスクを決定するように定量的に評価され得る。低血糖症対高血糖症(又はその逆)についてはるかに高いことを意味する、リスクが一方的である場合、そのリスクの相対的重要性が評価され、注目される。リスクが全体的に低く、かつ一般的に高血糖症と低血糖症との間であっても、推奨が、本明細書で更に考察される、定量化された1日のインスリン関係パターンに基づいて、なおも行われ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、リスク評価は、高血糖症及び/又は低血糖症についてのリスクの定性的評価(はい又はいいえ)、例えば、リスクプロファイルが閾値外にあるかどうか、及び/又はどの程度のリスクが閾値外に留まったままであるかを探している。
【0052】
いくつかの実施形態では、この評価は、高血糖症及び低血糖症の量を全体的に及び/又は他方に対して定量的に評価する。
【0053】
定性的評価及び/又は定量的評価は、推奨、すなわち、基礎及び/又はボーラスが調整されるべきかどうか、並びにどの程度調整されるべきかを決定するために使用されてもよい。
【0054】
330では、1日のインスリン関係は、インスリンデータに基づいて定量化され得る。いくつかの実施態様では、利用可能なデータの期間にわたって各日についての1日のインスリンの2つ以上の態様が計算される。インスリンの態様は、例えば、1日の総インスリン、1日の総基礎、及び1日の総ボーラスを含む。
【0055】
いくつかの実施態様では、インスリンの各態様、すなわち、一連の日々にわたる各日についての、1日の総基礎インスリン(total daily basal insulin、TDBasal)、1日の総ボーラスインスリン(total daily bolus insulin、TDBolus)、及び1日の総インスリン(TDI)のうちの少なくとも2つを計算することによって、関係パターンを特定することができる。
【0056】
インスリンの計算された2つ以上の態様は、1日のインスリン関係を定量化するようにある期間にわたって比較されてもよい。1日のインスリンのある態様の他の態様に対する比又はパーセンテージを、計算することができる。関係は毎日計算されてもよく、それによって、1日の関係データが形成される。各態様は、日ごとに比較され得る。これは、離散データポイントとして保持されてもよく、及び/又はある期間にわたって平均化されてもよい。
【0057】
インスリンの各態様の平均は、ある期間にわたって計算されてもよく、それによって、その後、平均インスリン態様が比較され、関係パターンが形成されてもよく、例えば、各インスリン態様の平均が計算され、次いで、平均化インスリン態様が比較される。
【0058】
平均偏差及び標準偏差は、信頼区間を計算するように使用されてもよく、例えば、ある期間にわたる「ボーラス(又は基礎)パーセンテージ」(すなわち、ボーラス(又は基礎)に起因するTDIのパーセンテージ)の平均偏差及び標準偏差が計算されてもよい。信頼区間は、平均の推定について決定され得る。患者が日ごとに一貫性のあるインスリン送達パターンを有する場合には、信頼区間は狭くなる(例えば、信頼区間の95%)。患者に一貫性がない場合には、信頼区間はより広くなる。本明細書で更に記載されるように、パターン及び/又は外れ値データにおける任意の変動性に対処してもよい。
【0059】
実施態様に応じて、他の種類の統計、例えば、中央値又は様々なパーセンタイルが使用され得る。計算された各インスリン態様は、グラフ上にプロットされてもよく、例えば、TDI対TDBasal、TDI対TDBolus、及び/又はTDBasal対TDBolusは、1日の離散データポイントとして、及び/又は収集/分析されたデータの期間にわたる信頼区間を伴う平均(average)又は平均(mean)としてグラフ化され得る。
【0060】
図7は、ボーラスインスリン(y軸)対基礎インスリン(x軸)の表現を含む、1日のインスリン関係パターンを定量化する一例を示すグラフ700であり、インスリン関係パターンは、一実施形態における
図4~
図6のデータセットについて示されている。影付き円錐形710は、1日のインスリン関係パターンについての45~55%の目標範囲を表す。
【0061】
データのクラスタ720は、一般に、目標範囲の45~55%内又は約45~55%に入る1日のインスリンの傾向を示す。データクラスタ720の各黒丸は、
図4~
図6に表される患者の個々の日々についての1日のインスリン関係データポイントを表す。各ドットはデータポイントであり、x値は、基礎インスリンが1日にどれだけ注射されたかに対応し、y軸値は、ボーラスが特定の日にどれだけ注射されたかである。
【0062】
(全ての日の)平均基礎についての信頼度95%及び平均ボーラスについての信頼度95%は、それぞれ、垂直の影付き領域730及び水平の影付き領域740によって表される。領域730、740が交差して、影付き円錐形710内に入る面積は、50%に近い、患者についての基礎-ボーラスの良好な比を表す。
【0063】
プラスマーク(y軸並びに円錐形の右側に示される)は、本明細書の他の場所で(例えば、
図11及び
図13に関して)より詳細に記載されるように、
図4~
図6に表される患者の不正確な又は誤ったデータからもたらされる外れ値及び/又は変動性データを表す。
【0064】
0基線(すなわち、y軸)上のプラスマークは、1日に基礎が報告されていないことに対応する。円錐形の右側のプラスマークは、1日における2つの基礎に対応する可能性が高い。
【0065】
外れ値は、行動の変動性又は他の理由についての不正確なデータに起因するかどうかにかかわらず、未知であるとして拒絶され得る。
【0066】
図8は、ボーラスインスリン(y軸)対1日の総インスリン(TDI)(x軸)を示す、
図4~
図6のデータセットの表現を含む、1日のインスリン関係パターンを定量化する別の例を示すグラフ800であり、インスリン関係パターンは、別の実施形態における
図4~
図6のデータセットについて示されている。
【0067】
黒丸は、
図4~
図6に表される患者の個々の日についての1日のインスリン関係データを表す。
【0068】
プラスマーク(円錐形810の左側及び右側に示される)は、本明細書の他の場所でより詳細に記載されるように、
図4~
図6に表される患者の不正確な又は誤ったデータからもたらされる外れ値及び/又は変動性データを表す。y=0.5xは、標的範囲の中心線である(基礎のパーセンテージ=50%)。
【0069】
平均ボーラスについての信頼度95%及び平均TDIについての信頼度95%は、それぞれ、垂直の影付き領域830及び水平の影付き領域840によって表される。領域830、840が交差して、影付き円錐形810内に入る面積は、標的範囲内で50/50に近い、患者についてのボーラス対TDIの良好な比を表す。
【0070】
データのクラスタ820は、一般に、目標範囲の45~55%内又は約45~55%に入る1日のインスリンの傾向を示す。
【0071】
いくつかの実施形態では、外れ値データは、本明細書の他の場所で(例えば、
図11及び
図13に関して)より詳細に記載されるように対処されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、特定の信頼区間(例えば、95%)外のデータは、パターンを定量化する、かつ/又はインスリン推奨の変化を決定する目的で、無視/除去されてもよい。
【0073】
この実施例では、2回未満の速効型ボーラスが存在するために、及び/又は基礎インスリンの総量が患者の処方から20%超逸脱したために、外れ値及び/又は変動性分析がトリガされた。ここで、円錐形810の上方の3つの十字マークは、記録された1日の総インスリンが1日の総インスリンに等しい日に対応し、これらの日に基礎インスリンがないことを意味する。これが記録保持における誤りによるものであるか、又は患者がそれらの日に基礎インスリンを摂取しないことを選択したかにかかわらず、それらの日からのデータは、基礎インスリン及びボーラスインスリン全体における誤整列に対処するために除去又は無視される。1日の総インスリンが100Uを超える2つの十字は、患者が処方された基礎インスリンよりも実質的に多く摂取した日に対応し、更には患者の正常な経験を表さず、外れ値及び/又は変動分析によって除去又は無視される。
【0074】
図9は、基礎インスリン(y軸)対示されている1日の総インスリン(TDI)(x軸)である、
図4~
図6のデータセットの表現を含む、1日のインスリン関係パターンを定量化する別の例を示すグラフ900であり、インスリン関係パターンは、更に別の実施形態における
図4~
図6のデータセットについて示されている。
【0075】
黒丸は、
図4~
図6に表される患者の個々の日についての1日のインスリン関係データを表す。
【0076】
プラスマーク(円錐形910の上方及びx軸上に示される)は、本明細書の他の場所でより詳細に記載されるように、
図4~
図6に表される患者の不正確な又は誤ったデータからもたらされる外れ値及び/又は変動性データを表す。
【0077】
データのクラスタ920は、一般に、目標範囲の45~55%内又は約45~55%に入る1日のインスリンの傾向を示す。平均基礎についての信頼度95%及び平均TDIについての信頼度95%は、それぞれ、垂直の影付き領域930及び水平の影付き領域940によって表される。領域930、940が交差して、影付き円錐形910内に入る面積は、標的範囲内で50%に近い、患者についてのボーラス対TDIの良好な比を表す。
【0078】
データ内の変動性及び/又は外れ値は、本明細書の他の場所で(例えば、
図11及び
図13に関して)より詳細に記載されるように対処されてもよい。
【0079】
この実施例では、所与の日からのデータは、2つ未満の速効型ボーラスが存在する場合に、又は基礎インスリンの総量が患者の処方から20%を超えて逸脱した場合に、外れ値である及び/又は代表的ではないとみなされた。ここで、基礎=0ライン(すなわち、x軸)上の3つの十字マークは、記録された1日の総インスリンが1日の総インスリンに等しい日に対応し、これらの日に基礎インスリンがないことを意味する。これが記録保持における誤りによるものであるか、又は患者がそれらの日に基礎インスリンを摂取しないことを選択したかにかかわらず、それらの日からのデータは、基礎インスリン及びボーラスインスリン全体の誤整列を評価するように使用されるべきではない。1日の総インスリンが100Uを超える2つの十字は、患者が処方された基礎インスリンよりも実質的に多く摂取した日に対応し、更には患者の正常な経験を表していない。
【0080】
円錐形910の上方又は下方のデータの群は、変化するパターンのスーパーセットを表し得る。この場合、円錐形910の上方のデータは、例えば、患者が様々な生活様式(例えば、孤発性運動)を有する場合を表し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所でより詳細に記載されるように、週パターン対週末パターンなどの複数の1日のインスリンパターンが特定されてもよい。
【0082】
このステップ330から出力されるデータは、1日のインスリン関係、1日のインスリン関係の1つ以上のパターン、及び1日のインスリン関係の平均、1日のインスリン関係の1つ以上のパターン、外れ値データ、及び/又は変動性データを含むことができる。
【0083】
340では、グリセミックリスク評価と、基礎又はボーラスを増加させるべきか、減少させるべきか、その両方を行うべきか、又はいずれも行わないべきかを示す1日のインスリン関係パターン定量化とに基づいて、1日のインスリンの1つ以上の態様について推奨が決定される。
【0084】
推奨は、1日のインスリンパターンが目標範囲外であるときに決定されてもよく、結果としてもたらされる推奨(基礎/基礎/TDIをどのように調整するか)は、グリセミックリスクに基づいて決定されてもよい。
【0085】
いくつかの実施態様では、推奨は、1日のインスリンパターンが標的範囲外であり、グリセミックリスクに基づいて(基礎/基礎/TDIを調整するかどうか)確認されるときに考慮されてもよく、推奨は、1日のインスリンパターンが範囲外である量及びリスクの定量的又は定性的評価に基づいて決定される。
【0086】
いくつかの実施態様では、推奨は、1日のインスリンパターンが目標範囲内にあるが、グリセミックリスクが1つ以上の基準を満たさないときに、決定されてもよい。例えば、高グリセミックリスクが高い場合、基礎及びボーラスの両方を増加させることは、1日のインスリン態様を標的範囲内に維持しながら、リスクを低減することとみなされ得る。
【0087】
上で考察された1日のインスリン関係パターンの定量化は、1日のインスリン態様における調整が行われるべきかどうかを知らせる。すなわち、1日のインスリン関係パターンが目標範囲外にある場合、調整が考慮されるべきである。例えば、基礎のパーセンテージが目標範囲を上回る場合、基礎のパーセンテージを低下させるべきであり、基礎のパーセンテージが目標範囲を下回る場合、基礎のパーセンテージを増加させるべきである。
【0088】
320及び/又は330から出力されるデータは、分析され、静的又は動的であってもよく、患者に適応してもよく(例えば、患者設定又は患者パターンに基づいて)、及び/又は日に依存してもよい(例えば、週末対平日)、標的範囲と比較されてもよい。
【0089】
目標範囲は、330からの1日のインスリンパターンデータについての許容値の範囲を規定し、これは、1日のインスリンパターンが許容範囲内にあるかどうか、並びに/又は基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び/若しくは1日の総インスリンの増加若しくは減少が推奨され得るかどうかの決定を支援する。
【0090】
目標範囲は、実施態様に応じて、生活習慣に依存するもの、遺伝的なもの、及び/又は糖尿病のステージに基づくものであってもよい。目標範囲は、任意(例えば、臨床医若しくは患者によって選択されるか、又はデフォルトとして設定される)であってもよく、あるいは患者データの変動性評価若しくは他の分析に基づいてもよい。
【0091】
インスリン最適化のために固定基礎/ボーラス比を利用する先行技術とは対照的に、本明細書に記載されるシステム及び方法は、患者についての固定50/50又は40/60比などの「フリーサイズ」アプローチを標的とすることを試みない。むしろ、決定するステップは、良好なグリセミック転帰を達成するある範囲の比を可能にする。換言すれば、本明細書に記載されるシステム及び方法は、グルコースデータを評価して、患者の1日のインスリン関係が、改善されたグリセミック制御のための患者の実際の必要性に適切である許容可能な基礎/ボーラス比の範囲内にあるかどうかを決定する。更に、本明細書に記載される方法及びシステムは、経時的な標的インスリン比の適応を可能にする。
【0092】
目標範囲内に入る1日のインスリン関係データは、任意の更なる分析を受けなくてもよく、処理は、出力ステップに進んでもよく、患者は、変更がこの時点で推奨されないことを通知されてもよい。しかしながら、処理はまた、患者のグリセミックプロファイルに基づく調整決定に続いてもよい。換言すれば、患者が目標範囲内に入るが、患者のデータが所定の閾値を上回る低血糖症又は高血糖症のリスクを示す場合に、本明細書に記載されるシステム及び方法は、リスクの低減を可能にし、目標範囲内の1日のインスリンパターンを維持する1日のインスリン態様への調整を決定及び推奨し続けてもよい。
【0093】
いくつかの状況では、基礎/ボーラスは標的範囲外であるが、例えば、グリセミックリスクの評価がグリセミックリスクを殆ど又は全く示さない(本明細書に更に記載されるように定量的及び/又は定性的に決定される)場合に、推奨は決定されなくてもよい。本明細書に記載されるシステム及び方法は、実施態様に応じて、ソフトウェア又はソフトウェアを利用する臨床医のいずれかによって、標的範囲が優先される場合に、基礎及び/又はボーラスにおける小さい変化を代替的に推奨してもよい。
【0094】
上で考察されたグリセミックリスクの評価は、どのように調整が行われるべきか(基礎に対して、ボーラスに対して、又は両方に対して)を知らせる。すなわち、どの1日の態様が増加又は減少されるべきかである。
【0095】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、グリセミックリスクによってガイドされて、TDIの変化を伴う又は伴わないにかかわらず、基礎が調整されるべきか、ボーラスが調整されるべきか、又はその両方が調製されるべきかを決定する。
【0096】
目標範囲外の1日のインスリン関係データは、患者のグリセミックリスクプロファイルに基づく調整決定の対象となる。すなわち、任意の1つ以上の1日のインスリン態様を増加及び/又は減少させる推奨の決定は、実施態様に応じて、患者のグルコースデータによって、又は患者のグルコースデータに従って決定される高グリセミックリスク及び/又は低グリセミックリスクの分析に基づく。
【0097】
例えば、グリセミックリスクは全体的に低いが、基礎のパーセンテージを増加させるべきであるが、グリセミックリスクが一般に高血糖症と低血糖症との間にさえある場合に、基礎への増加及びボーラスへの減少の両方が一緒になって、基礎のパーセンテージを増加させる。この場合、リスクは一方側ではないために、推奨は、基礎及びボーラスの両方にヒットするが、基礎のパーセンテージを増加させる正味の効果を有する。
【0098】
グリセミックリスク評価及び/又は1日のインスリン定量化は、調整がどの程度行われるべきか、例えば、基礎に対して5%増加させ、ボーラスに対して5%減少させるなどを、更に決定してもよい。当業者によって理解され得るように、実際のインスリンの量を単位でも、計算してもよい。
【0099】
いくつかの例示的な推奨は、以下を含むが、それらに限定されない。
【0100】
1日のインスリンパターンが目標範囲を上回る場合、決定された調整は、患者のグリセミックリスクプロファイルに応じて、1日の基礎の増加、1日のボーラスの減少、又はそれらの両方を含んでもよい。
【0101】
1日のインスリンパターンが目標範囲を下回る場合に、決定される調整は、患者のグリセミックリスクプロファイルに応じて、1日の基礎の増加、1日のボーラスの減少、又はそれらの両方を含んでもよい。
【0102】
1日のインスリンパターンが明確に範囲内又は範囲外にない場合、例えば、パターンの信頼区間が標的範囲の上限の半分内にある/半分を上回り、これが、多すぎるボーラスを有する傾向を示すが、変更を推奨するにはそれほど有意ではない場合に、いくつかの実施態様は、本明細書の他の場所で(例えば、
図11及び
図13に関して)より詳細に記載されるように、グリセミックリスクを評価し、患者にメッセージを送り、並びに/又はデータにおける外れ値及び/若しくは変動性に対処するようにフィードバックを提供してもよい。
【0103】
場合によっては、1日のインスリンパターンは目標範囲外であるが、グリセミックリスクプロファイルが閾値内にある場合、推奨は決定されなくてもよく、並びに/又はシステムは、患者のための適応目標範囲を決定し、及び/若しくは1日のインスリンパターン及びカスタム目標範囲について患者に問い合わせしてもよい。
【0104】
場合によっては、1日のインスリンパターンは目標範囲内にあるが、グリセミックリスクプロファイルが閾値外である場合、患者の処方に問題がある可能性があるが、その問題は、実際には、基礎/ボーラスが誤整列しているという問題ではない。そのような場合、患者の医師又は他の医療専門家と相談して、基礎インスリンとボーラスインスリンとの比以外の範囲外の血糖データ(例えば、有意な高血糖症/低血糖症)について考察することを推奨する。
【0105】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されるシステム、方法、及び/又は論理は、グリセミックリスクが明らかに一方側である状況下で、基礎を増加させるか、若しくはボーラスを減少させるか、又はその逆のいずれかである(一方側のリスクが、低血糖症又は高血糖のいずれかであるが、両方ではない)。代替として、高血糖症及び低血糖症が一様に一致するときに、システム、方法、及び/又は論理は、両方を調整する(例えば、一方が増加又は減少される必要があるかに応じて、基礎又はボーラスを増加又は減少させる)。
【0106】
1日のインスリン(TDBasal、TDBolus、TDI)の1つ以上の態様に対する任意の調整(増加又は減少)は、グリセミックリスク及び1日のインスリン関係パターンによって(すなわち、標的範囲に対して)決定され得る。換言すれば、グルコースデータが所定の閾値を上回る/下回るグリセミックリスクを示す場合、調整は、当業者によって理解され得るように、調整標的として範囲の、中点、外側境界、又は任意の領域を使用して、1日のインスリンの態様のうちの1つ以上における1つ以上のパーセンテージの増加/減少についてシミュレートされ得る。加えて、選択される調整は、上述のように、目標範囲、設定点、及び/又は患者からの利用可能な任意の他のデータ(例えば、患者の生活様式、外れ値、患者データの変動性、相対リスク許容度など)によって通知されるパーセンテージ増加/減少であってもよい。
【0107】
以下のガイドラインは、1日のインスリンパターンが目標範囲外に入る場合に従い得るが、他のガイドラインも同様に、実施態様及び/又は状況に応じて、有用であり得る。
【0108】
高血糖症リスクが閾値を上回り、1日のインスリンパターンが標的範囲を上回る場合、TDIのパーセンテージを基礎から増加させる。
【0109】
低血糖症リスクが閾値を上回り、1日のインスリンパターンが標的範囲を上回る場合、TDIのパーセンテージをボーラスから減少させる。
【0110】
高血糖症リスクが閾値を上回り、1日のインスリンパターンが標的範囲を下回る場合、TDIのパーセンテージを基礎から減少させる。
【0111】
低血糖症リスクが閾値を上回り、1日のインスリンパターンが標的範囲を下回る場合、TDIのパーセンテージをボーラスから増加させる。
【0112】
高血糖症リスクなしに低血糖リスクが存在する場合、又はその逆の場合、TDIは、それぞれ、減少又は増加され得る。
【0113】
TDIの変化は、単独であってもよく、又は基礎/ボーラスの変化と組み合わせてもよい。
【0114】
増加又は減少が1日のインスリンのある態様のみに適用されるいくつかの場合では、TDIは、それと共に、それぞれ、増加又は減少し得る。場合によっては、TDIは、調整されるように決定される。
【0115】
いくつかの実施形態では、TDIは、基礎/ボーラス比を変化させながら変化され得るが、許容可能なTDI変化の制限が適用されてもよい。
【0116】
TDIが許容可能な変化制限外にある場合、決定された調整は、追加の基準、例えば、グリセミックリスクの基準、1日のインスリンパターンの基準、及び許容可能なTDI、医師により推奨される基礎インスリン範囲、インスリンの利用可能な単位と関連付けられた特定の基準(例えば、整数への丸め)、投与方法と関連付けられた制限などの更なる基準が満たされるまで、1日のインスリンの他の態様の更なる調整に対して再評価され得る。
【0117】
場合によっては、(i)基礎を減少させることと(ii)ボーラスを増加させることとの組み合わせは、例えば、低血糖症のリスクに対する高血糖症のリスクに基づいて決定され得る。
【0118】
TDIは変形であってもよく、システム及び方法は、例えば、25~75パーセンタイル範囲を特定し、患者が1日に異常な量の総インスリンを経験/報告している状況にフラグを立て得る。
【0119】
いくつかの状況では、データセット、及び関連付けられた1日のインスリンパターンは、患者の1日の行動パターンについての追加の洞察なしに、本明細書で記載されるシステム及び方法を使用して調整を正確に決定するのに十分に一貫性がない場合があり、これは、様々な理由のために、例えば、日ごとの必要性/活動/行動/摂食行動の差のために起こり得る。例えば、TDI又は1日の総基礎(total daily basal、TDB)必要量は、日ごとに同じではない場合がある。時には、患者データは、非常に変動し易い、又は誤っていることさえある。これらの場合、外れ値データ及び/又はデータにおける変動性に対処することは、調整決定を伴うフィードバックルックの前に、それと組み合わせて、その後に、又はそれにおいて反復して実行されてもよい。
【0120】
図10は、各日(x軸)についてのTDI(y軸)のパーセンテージとしての基礎の表現を示すグラフ1000であり、各日は、推奨を決定するのに十分なデータ(外れ値を除く)を有する日を表す。影付きバンド1010は、TDIのパーセンテージとして、基礎について目標範囲の45~55%を表す。x軸は、計算で使用される日について十分な品質のデータが存在した日数(必ずしも連続していないが、基礎データ値のパーセンテージ及びボーラスデータ値のパーセンテージが完全であり、かつ範囲外にない全ての日)である。
【0121】
星印1020は、1日のTDIのパーセンテージとして基礎を表すデータポイントである。星印1020は、点付きの矩形バンド1030のちょうど中央にある平均値を有し、95%のCIは、平均値がそのバンド内にあるという信頼度である。
【0122】
目標範囲の中央にある点付きの矩形バンド1030は、データポイントの平均値についての推定値の95%の信頼区間であり、そのバンドは狭く、かつ目標範囲内に十分にある。この実施例では、目標範囲内に入る非常に狭い帯域は、実際の基礎の平均パーセンテージが試料の平均に非常に近い(95%の信頼度を有する)ことを示す。これはまた、基礎のパーセンテージの1日の変動が非常に小さく、ここでは、TDIの基礎の50%に非常に近いことを示しており、これは、時間の95%であって、その日におけるTDIの基礎のパーセンテージについての値のその範囲に非常に近いことを意味する。これは、良好な50/50基礎-ボーラス比を有する良好な制御下にある患者を例示している。
【0123】
これは、1日のインスリンにおいて推奨調整を必要としない可能性がある人の例である。本明細書の他の場所でより詳細に記載される更なる実施例は、基礎値及び/又はボーラス値を毎日調整する、本明細書に記載されるシステム及び方法から利益を得る、糖尿病を有する典型的な患者の他のシナリオを示す。
【0124】
350では、推奨(又は複数の推奨)が糖尿病管理システムに出力される。推奨は、インスリン送達システム、治療最適化アルゴリズムなどへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にあってもよい。加えて、又は代替として、推奨は、患者、医師若しくは他の医療専門家、管理者、又は糖尿病を管理する任意のデバイス、システム、及び/若しくはアルゴリズムに提供されてもよい。いくつかの実施態様では、メッセージが、任意の外れ値データ、データにおける変動性、クエリ又は観察を伴う決定された推奨、追加のコンテキストを伴う又は伴わない推奨(例えば、変動性に関する)を行うこと、フィードバックがアルゴリズムを再実行するのを促すことなどに関して、患者、医師、医療専門家、管理者などに送信されてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、決定された調整(例えば、数値的調整又は推奨)は、整数値又は他の適用可能な単位に丸められる。
【0126】
インスリン送達システムに出力されるときに、決定されたボーラス調整は、例えば、炭水化物比及び/又は補正係数に比例して変化させることによって実施されてもよい。
【0127】
決定された調整の別の実施態様は、10%の増加又は減少など、特定の量ではなくある割合だけ基礎及び/又はボーラスを増加又は減少させることであり得る。
【0128】
決定された推奨は、例えば、運動行動又は食事パターンに関する、環境又は行動一貫性に対してインスリン条件を調整するためのメッセージングと共に出力され得る。
【0129】
場合によっては、変更は推奨されないが、基礎インスリンとボーラスインスリンとの間の妥当なバランスを達成しているにもかかわらず、患者に彼らの有意な高血糖症リスク及び/又は低血糖症リスクについてメッセージを送り、範囲外の血糖の他の供給源について考察されるように彼らの医師との相談が推奨される。
【0130】
本明細書に記載されるシステム、方法、及び/又はアルゴリズムは、開ループ治療滴定アルゴリズム又はシステムのモジュールとして実施され得ることが企図される。
【0131】
図11は、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データに対処する方法1100についてのフロー図である。いくつかの状況では、データセット、及び関連付けられた1日のインスリンパターンは、外れ値データ、例えば、欠落しているか又は誤った患者データによって歪められる場合がある。損なわれたデータの完全性の例は、おそらく、「接続された」インスリンペン又はインスリンポンプにおける技術的な故障からもたらされる、基礎事象及び/又はボーラス事象を記録する(又は適時に記録する)ことの失敗を含む。外れ値活動の例としては、患者が1日以上の間、処方された基礎インスリンから著しく意図的に逸脱し得る、マラソンを走ること及び登山することが挙げられる。外れ値の対処は、例えば、データスクラビングステップ及び/若しくは確認ステップとして、並びに/又は方法の1つ以上のステップ内のフィードバックループとして、本明細書に記載される方法のステップのいずれかの前、その間、及び/又はその後に実行されてもよい。
【0132】
1110では、外れ値データは、不正確であり得るか、又は誤ったデータポイントを含み得る、1日のインスリン関係パターンデータセットにおいて特定される。外れ値データは、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含み、これは、不正確なインスリン調整推奨をもたらし得る。多数の外れ値が存在し、かつ非外れ値が、グリセミックリスクがあるにもかかわらず、同等化推奨を行うことができないように、非常に広い範囲の1日のパーセンテージ-基礎を示す、いくつかの場合が存在し得ることが企図される。
【0133】
不正確なデータとしては、欠落データ及び/又は不正確にラベル付けされたデータが含まれる。特定するために使用される基礎となるデータセットにおける任意のデータを含む不正確なデータとしては、欠落データ(ボーラスインスリンが1日に報告されていない)、不適切にタイムスタンプされたデータ、又はそうでなければ破損された若しくは不良のデータ、空フィールド、0値などが含まれる。例としては、1日のインスリン関係評価アルゴリズムを実行するソフトウェアにインスリン送達デバイスから適切に転送されないボーラス情報及び/又はデータを入力することを忘れた患者が含まれる。
【0134】
基礎インスリン送達及びボーラスインスリン送達のために2つの異なるインスリンペンを使用するMDI(1日の複数回の注射)患者の例示的使用の場合では、送達された基礎量及びボーラス量の同期データ入力及び/又は手動データ入力は、ユーザドリブンエラー又は技術関連エラーを被る場合がある。
【0135】
誤ったデータは、正確であり得るが、摂食又は活動パターンにおける外れ値行動からもたらされ得るデータを含む。データは、例外であり得、又は外れ値行動によって駆動され得る。外れ値行動の例としては、絶食及び過食、インスリン切れ、マラソンの実行、他の長引く状況などが含まれ、これは、1日のパターン分析を歪めるデータである。
【0136】
外れ値データを特定することは、上記で記載される、又は当業者によって理解される、任意の不正確な又は誤ったデータを特定することを含む。
【0137】
1120では、外れ値データが分析される。1日のインスリン関係パターンにおける外れ値データを分析することは、推奨を行うかつ/又は調整を決定するのに十分な良好なデータが存在するかどうかを決定する、分析の基礎となるデータセットを分析することを含む。
【0138】
このようにして、基礎対ボーラス比における一貫性のあるパターンが確実なものにされ得る。一貫性のあるパターンがない場合、調整決定は、不正確又は不適切であり得る。
【0139】
一般的に言って、基礎のパーセンテージが所定の閾値を下回るか、又は別の所定の閾値を上回る任意の日は、おそらく、(i)インスリン送達についての情報が欠落しているか、(ii)その日について代表しない何かが存在する(例えば、患者が基礎インスリンを使い果たした、マラソンをしたなど)日である。
【0140】
外れ値データを分析することは、基礎用量又はボーラス用量が存在しないデータセットからのデータを無視する又はそのデータセットからデータを除去するのと同程度に簡単であり得る。本明細書に記載されるシステム及び方法の1日のインスリンパターンの分析は、いくつかの実施態様では、本明細書に更に記載される1日のインスリン態様のうちの少なくとも2つの分析を含む。1日のインスリン態様のうちのそれらの少なくとも2つと関連付けられたデータは、基礎及びボーラス(したがって、1日の総インスリン)の両方についての完全なデータセットを含む。基礎又はボーラスについての1日のデータがない場合、本明細書に記載されるシステム及び方法は、不正確な推奨を出力し得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、データセットは、一貫性のあるパターンが得られ得ることが確実にされるように、統計的一貫性について分析される。
【0142】
いくつかの実施形態では、システム及び方法は、一貫性のある閾値を満たす最小日数の間、データセットを分析する。その日について計算された実際の比が可能な比のある妥当な広い範囲(例えば、10%~90%のどこか)内にあること、及び/又はある日数が基準を満たすことが、確実にされ得る。
【0143】
分析は、例えば、比がTDIについての許容範囲よりも広い95%信頼区間を有する場合に、日々の間の一貫性及び/又は変動性、例えば、閾値によって制限される統計的偏差、を評価することができる。
【0144】
いくつかの実施態様では、1日のTDB値及びTDI値が履歴記録から収集され、非準拠日が省かれる。
【0145】
いくつかの実施態様では、少なくとも1週間のCGMデータが、パターン決定のために使用される。
【0146】
図12は、基礎となるデータセットにおける外れ値データを示す1日のインスリン関係データセットにおける患者における外れ値データの例のグラフ1200であり、分析されるときに、不正確なデータ(例えば、欠落した基礎データ若しくはボーラスデータ)及び/又は誤ったデータ(一貫性のない基礎データ若しくはボーラスデータ)を表し得る。この場合、基礎インスリンが中央値基礎値の2倍である数日が存在し、基礎インスリンが0である対応する数日が存在する。これは、所与の日(0基礎日を作成する)に彼/彼女の基礎インスリンを摂取し、次いで、通常の時間(2×基礎日を作成する)に定期的に処方された基礎用量を追加摂取することにおいて、患者が遅くなる状況を反映する可能性がある。いくつかの実施形態では、この種の日数は、本明細書に記載されるシステム及び方法によって除去又は無視されてもよい。
【0147】
1130では、外れ値データは、1日のインスリン関係パターンデータセットから除去される。いくつかの実施態様では、TDIは、データが所定の範囲内にあるかどうかを決定するように、データの範囲にわたって評価される。データセットからのTDI範囲は、データセットからの外れ値の特定(及び除去)を使用して、調整決定方法のステップについてのTDI範囲を制限するように使用され得る。
【0148】
1140(任意選択の)では、1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された外れ値データに関連する情報が、(例えば、患者、医師、管理者、記憶デバイス、報告などに)出力される。外れ値データの除去は、糖尿病管理システムに通信されてもよく、及び/又は本明細書に記載される方法のうちの1つ以上にフィードバックされてもよい。いくつかの実施態様では、患者及び/又は医師は、根本的原因を決定するようにか、又はデータの正確性若しくは表現を確認するように(例えば、メッセージによって)通知されてもよい。
【0149】
図13は、1日のインスリン関係パターンにおける変動性に対処する方法1300についてのフロー図である。変動性に対処するプロセスは、例えば、定量化されたインスリン関係パターンデータを標的範囲と比較することによって、データが1つ以上の所定の基準から外れたときにトリガされてもよい。基準には、データが目標範囲を上回るか、目標範囲内にあるか、及び/若しくは目標範囲を下回るかどうか、並びに/又はどれだけ多くのデータが目標範囲を上回るか、目標範囲内にあるか、及び/若しくは目標範囲を下回るかが含まれる。
【0150】
一例では、平均値についての95%信頼区間が目標範囲を完全に包含する場合に、範囲を上回る信頼できる日々が存在し、かつ範囲を下回る信頼できる日々が存在する。この場合、「明らかに範囲外にはない」ことをまさに示す代わりに、インジケータは、「あなたの基礎/ボーラス混合に対して明確なパターンが存在しない」ようなものを示し得る。
図17は、これの例(例えば、定量化された例示的な1日のインスリン関係)のグラフ1700である。
【0151】
いくつかの状況では、データセット、及び関連付けられた1日のインスリンパターンは、データ変動性、例えば、経時的に変動する患者データと関連付けられたパターンの2つ以上のサブセットのスーパーセットであってもよい。
【0152】
データ変動性に対処することは、
図3の方法300及び/又は
図11の方法1100のステップのいずれかの前、その間、及び/又はその後に、例えば、フィードバックループ(例えば、方法の1つ以上のステップ内の決定ステップにサブセットを送り返すこと)として実行され得る。
【0153】
1310では、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定する。
【0154】
いくつかの実施形態では、2つ以上のパターンが、データセットによって表され得る。一般に、行うべき単一の一貫性のある又は系統的な調整/決定が存在しない場合がある。加えて、又は代替的に、患者がこれらの行動の差について既に自己調整しているときに行う調整は実際には存在しない。
【0155】
パターンの変動性は、広い信頼区間(閾値外)からもたらされ得、期間、週定義の曜日などの異なる分析は、複数の異なるパターンをもたらす可能性がある。
【0156】
変動性は、例えば、個々のデータポイントを分析すること、並びに/又は1つ以上の基準に対して平均偏差及び/若しくは標準偏差を評価することによって特定され得る。
【0157】
変動性を特定するプロセスは、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定するように、データのスーパーセット、本明細書の他の場所に記載されるデータセットを評価することを含んでもよい。
【0158】
1320では、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を分析する。データを分析するプロセスは、目標範囲を上回る、目標範囲内にある、及び/又は目標範囲を下回るデータを分析することを含み得る。
【0159】
図14は、1日のインスリン関係パターンにおける変動性の例のグラフ1400であり、変動性は、曜日などに基づき得る。例えば、患者は、様々な生活様式(例えば、夜勤、交互の運動パターン、週末の過食など)を有し、様々な解決策を必要とする場合がある。
【0160】
システム及び/又は方法の実施態様は、患者にクエリを行ってもよく、及び/又はパターンのサブセットを引き出す方式を見つけてもよく、及び/又は利用可能な場合には、食事又は活動に関連する追加のデータを分析してもよい。
【0161】
1日のインスリン関係パターンの変動性を分析することは、分析の基礎となるデータセットを分析して、推奨を行うのに十分な良好なデータが存在するかどうかを決定すること、並びに/又はデータセット全体についての調整された基礎推奨及び/若しくはボーラス推奨を決定することを含む。
【0162】
いくつかの状況では、データセット及び関連付けられた1日のインスリンパターンは、患者の1日の行動パターンについての追加の洞察なしに、本明細書に記載されるシステム及び方法を使用して正確に評価するのに十分には一貫性のない場合があり、これは、様々な理由で、例えば、日ごとの必要性/活動/行動/摂食行動の差のために、起こり得る。例えば、TDI又は1日の総基礎(TDB)必要量は、日ごとに同じではない場合がある。時には、患者データは、正常な行動パターン又は異常な行動パターンに起因して非常に変わり易い。
【0163】
1330では、調整が、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける分析された変動性に基づいて行われる。調整することは、データの定義(例えば、24時間の期間の開始/終了)を調整することを含み得、これは、異なるスリープパターン、ワーキングパターン(夜勤)、及び/又はデータを2つ以上の別個のデータセット/パターン(例えば、平日対週末)に分割することを含み得る。
【0164】
したがって、本明細書に記載されるシステム及び方法は、経時的なTDI及び/又は基礎/ボーラス比の適応を可能にする。これらの技術は、いくつかの実施態様では、データの範囲にわたるTDIが妥当な範囲内にあるときに使用される。この適合を行う、例えば、日の定義を変更する、及び/又は移動平均を実行するなどを試みるプロセスを実施することができる。
【0165】
毎日の比を有するTDIを計算することができる。外れ値は、フィードバックループにおいて除去され得る。日の定義は、フィードバックループ内で変更され得、かつCGMトレースに基づき得る。毎日の比を有する複数のTDIを用いて、これらは、連続、平均、移動平均として提供され得る。いくつかの実施態様では、平日は週末(又は、平日対休日)と区別され得る。いくつかの実施態様では、1日の終わりが定義され得る。
【0166】
次に実施例について記載する。
【0167】
実施例1:この実施例は、(i)患者についての履歴データが低血糖症リスク及び高血糖症リスクへのいくらかの曝露を示すが、(ii)基礎インスリン対1日の総インスリンの比が明らかに45%~55%の範囲外ではなく、最終的に「変化なし」の推奨をもたらす状況を示す。
【0168】
図15は、1型糖尿病を有する患者についての典型的な変動性を示すCGMデータの一例のマルチグラフ1500である。CGMデータは、1型糖尿病を有する患者についての典型的な変動性を示す。基礎注射は、データに基づいてグリセミックリスクを評価するステップの前に外れ値分析(除去)を引き起こす15日目を除いて、一般に一貫性がある。また、ボーラスパターンはかなり散発的であるが、様々な生活様式を有する1型糖尿病を有する患者にとって異常ではないことは、注目すべきことである。
【0169】
図16は、例えば、プロファイルがリスクを特定するように使用され得る+/-1閾値を上回るために、並びに/又は両方が定量化され、基礎及び/若しくはボーラス調整で対処される必要があり得るリスクのレベルに関連付けられ得るために、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクの両方を示すグラフ1600である。
【0170】
図17は、例示的な定量化された1日のインスリン関係のグラフ1700である。しかしながら、非常に多くの外れ値及び非常に多くの変動性がデータ内に存在するので、推奨を行う方法が不明瞭であり得る。外れ値の少なくともいくつかは、基礎値が報告されていないか、又はおそらく遅く/早くとられ、かつ異なる日にカウントされたかのいずれかに起因して生じていたようである。
【0171】
図18は、(例えば、
図10と比較して)広いCIを示す例のグラフ1800であり、データセットにおいてより大きな変動性を示す。CIゾーン1810は、少なくとも部分的に目標範囲ゾーン1820内に入り、したがって、1日のインスリンパターンの平均推定値は、目標範囲内に入り得る。加えて、この例示的なデータセットでは、いくつかのグリセミックリスクが存在するにもかかわらず、インスリン推奨がここでは決定されないように、非常に広い範囲の1日の基礎パーセンテージを示す多数の外れ値、並びに非外れ値が存在する。
【0172】
実施例2:この実施例は、(i)患者についての履歴データが、低血糖症リスクへの有意な曝露を示し、(ii)基礎インスリン対1日の総インスリンの比が、45%~55%の範囲を有意に上回る(同等に、ボーラスインスリン対1日の総インスリンの比が、45%~55%の範囲を有意に下回る)状況を示す。インスリン比は、基礎インスリンを減少させるか又はボーラスインスリンを増加させるかのいずれか(又は両方)によって正規化され得るが、低血糖症リスクのために、本明細書のシステム/方法/装置は、基礎インスリンを減少させ、それによって1日の総インスリンを減少させることを選択する。
【0173】
図19は、基礎注射の一貫性のあるパターン及びボーラスにおける典型的変動性を有する、糖尿病を有する患者についてのCGMデータ変動性の実施例のマルチグラフ1900である。実施例1と比較して、
図19は、1日の基礎インスリン用量におけるいくらかの変動性を示す。1日の基礎用量におけるより極端な変動性の下では、糖尿病管理システムへの例示的な出力は、推奨器を利用するために、基礎/ボーラス行動戦略において、及び/又は報告一貫性において、患者がより一貫性があることを推奨し得る。
【0174】
図20は、特に朝の一方側の低グリセミックリスクの例を示すグリセミックリスクプロファイルのグラフ2000であり、これは、本明細書の他の場所でより詳細に記載するように定量化され得る。
【0175】
図21は、TDIのボーラスの割合としてプロットされた1日のインスリン関係を示すグラフ2100であり、1日のインスリンデータは、目標範囲のかなり外側にある。具体的には、ボーラスの割合は、(目標範囲に対して)予想よりも一貫して低い。
【0176】
図22は、基礎の割合についての1日のインスリンパターン信頼区間を示すグラフ2200であり、これは、目標範囲2210を十分に上回る。この例示的なデータセットにおいて、システム及び方法は、リスクプロファイリング(
図20)及び定量化された1日のインスリンパターン(
図21)によって評価された一方側の低血糖症リスクに基づいて基礎の量を減少させることによって、基礎のパーセンテージを減少させる推奨を決定する。
【0177】
糖尿病管理システムへの例示的な出力は、「基礎を10%減少させる」などの特定の量を含むことができる。
【0178】
実施例3:この実施例は、(i)患者についての履歴データが、高血糖症リスクへの有意な曝露を示し、かつ(ii)基礎インスリンの1日の総インスリンに対する比が、45%~55%の範囲を有意に上回る(同等に、ボーラスインスリンの1日の総インスリンに対する比が、45%~55%の範囲を有意に下回る)状況を示す。インスリン比は、基礎インスリンを減少させるか又はボーラスインスリンを増加させるかのいずれか(又は両方)によって正規化され得るが、高血糖症のリスクのために、本明細書のシステム/方法/装置は、ボーラスインスリンを増加させ、それによって1日の総インスリンを増加させることが選択される。
【0179】
図23は、患者が基礎インスリンを減弱させて、反復発生を回避することを決定した可能性がある、重度の低血糖症を経験した後の7日目の後の週を除いて、基礎インスリン処方への非常に一貫性のあるアドヒアランスを示すデータの実施例のマルチグラフ2300である。
【0180】
図24は、閾値1を上回る高グリセミックリスクを特定するグリセミックリスクプロファイルのグラフ2400である。データは、「低い恐怖心の」個体と称されることもある、患者が低血糖症を回避するインスリンを一貫して管理していることを示している。
【0181】
図25は、データポイントがTDIのボーラスの目標範囲の45%~55%からどのように外れるかを示す、ボーラス対TDIのグラフ上にプロットされた1日のインスリン関係データの実施例のグラフ2500である。
【0182】
図26は、高血糖症のために、ボーラスの量を増加させることによって基礎の割合を減少させる推奨を提供する実施例のグラフ2600である。高血糖症が評価されるリスク(一方側)である場合、より多くのインスリンが患者のシステムにおいて必要とされ、1日のインスリンパターンが過剰に多い基礎を示したために、システム/方法の論理は、例えば、ボーラスを増加させることによって、インスリンを増加させ、かつ基礎のパーセンテージを減少させるように設計される。
【0183】
糖尿病管理システムへの例示的な出力は、全てのボーラス(基礎ボーラスを除く)を10%増加させてもよく、又は食事時及び/若しくは補正のために使用されるボーラス計算器から増加したボーラスを出力する炭水化物比及び/若しくは補正係数へのパラメータ変更をプログラムしてもよい。
【0184】
実施例4:この実施例は、(i)患者についての履歴データが、高血糖症リスクへの有意な曝露を示し、(ii)基礎インスリンの1日の総インスリンに対する比が、45%~55%の範囲を有意に下回る(同等に、ボーラスインスリン対1日の総インスリンの比が、45%~55%の範囲を有意に上回る)状況を示す。インスリン比は、基礎インスリンを増加させるか、ボーラスインスリンを減少させるかのいずれか(又は両方)によって正規化され得るが、高血糖症のリスクのために、本明細書のシステム/方法/装置は、基礎インスリンを増加させ、それによって1日の総インスリンを増加させることを選択する。
【0185】
図27は、患者が、400mg/dL近傍の又は400mg/dLにおける多数のグルコーススパイクによって示される高いグルコース変動性を有する実施例のマルチグラフ2700である。患者は、約23単位の基礎インスリンを1日に1回、非常に一貫して摂取するようであり、1日を通してのインスリンの変動は、ボーラスインスリン送達に起因し得る。
【0186】
図28は、所定の閾値1を上回る(ここでは、更に2を上回る)高グリセミックリスクを特定するグリセミックリスクプロファイルのグラフ2800である。高血糖症リスクが定量化される場合、例えば、閾値を上回るグルコースと相関する0を上回る全ての値の曲線下の面積(陰影付け2810)は、リスク評価が高血糖症リスクと高度に相関していることが分かる。高血糖症グルコース閾値を上回る量は、低血糖症閾値を下回る量よりも明らかに大きく、高血糖症リスクに対して重い重み付けを示す。低血糖症リスクプロファイルのいずれも、閾値1外にはない。この患者が経験している問題は、低血糖症ではなく高血糖症に関連している。
【0187】
図29は、定量化された例示的な1日のインスリン関係のグラフ2900であり、このグラフは、ボーラスをTDIのパーセンテージとしてプロットしており、ボーラスのパーセンテージは高く、45~55%の目標範囲からかなり外れている。次いで、推論により、TDIインスリンのパーセンテージとしての基礎が低すぎて、45~55%の目標範囲外にあると表現されている。
【0188】
図30は、1つのデータポイント(ある日における1日のインスリンパターンを表す)は目標範囲内にあるが、1日の基礎インスリンの割合の平均値の信頼区間が、TDIの基礎の割合についての陰影付け領域3010によって表される目標範囲の明らかに外側(すなわち、下)にあることを示すグラフ3000である。この例示的なデータセットでは、本明細書で記載されるシステム及び方法は、
図28で特定された高グリセミックリスク及び
図29で特定された1日のインスリン関係パターンに基づいて基礎量を増加させることによって基礎のパーセンテージを増加させる推奨を決定する。
【0189】
糖尿病管理システムへの例示的な出力は、「1日の基礎を10%増加させる」などの数値的推奨、又は「基礎を増加させる、詳細なガイドラインについて医師の診察を受けてください」などの定性的推奨を含むことができる。
【0190】
図31は、例示的な実施形態及び態様が実施され得る例示的なコンピューティング環境を示す。コンピューティングデバイス環境は、好適なコンピューティング環境の単なる一例であり、使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆するように意図されていない。
【0191】
多数の他の汎用若しくは専用コンピューティングデバイス環境又は構成が使用されてもよい。使用に好適であり得る周知のコンピューティングデバイス、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルド若しくはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、ネットワークパーソナルコンピュータ(personal computer、PC)、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、組み込みシステム、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などを含むが、これらに限定されない。
【0192】
コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令が使用されてもよい。一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などが含まれる。通信ネットワーク又は他のデータ伝送媒体を介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境を使用することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュール及び他のデータは、メモリ記憶デバイスを含むローカルコンピュータ記憶媒体及びリモートコンピュータ記憶媒体の両方に位置され得る。
【0193】
図31を参照すると、本明細書で記載される態様を実施するための例示的なシステムは、コンピューティングデバイス3100などのコンピューティングデバイスを含む。その最も基本的な構成では、コンピューティングデバイス3100は、通常、少なくとも1つの処理ユニット3102及びメモリ3104を含む。コンピューティングデバイスの正確な構成及びタイプに応じて、メモリ3104は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)など)、不揮発性(読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、フラッシュメモリなど)、又はそれらの2つの何らかの組み合わせであってよい。この最も基本的な構成は、
図31に破線3106で示されている。
【0194】
コンピューティングデバイス3100は、追加の特徴/機能を有してもよい。例えば、コンピューティングデバイス3100は、磁気若しくは光ディスク又はテープを含む(取り外し可能な及び/若しくは取り外し不可能な)追加の記憶装置を含むが、これらに限定されない。そのような追加の記憶装置は、取り外し可能な記憶装置3108及び取り外し不可能な記憶装置3110によって
図31に示されている。
【0195】
コンピューティングデバイス3100は、通常、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、デバイス3100によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得、揮発性及び不揮発性媒体、取り外し可能及び取り外し不可能媒体の両方を含む。
【0196】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術において実施される揮発性及び非揮発性の、取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含む。メモリ3104、取り外し可能な記憶装置3108、及び取り外し不可能な記憶装置3110は全て、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、電気的消去可能プログラム読み出し専用メモリ(electrically erasable program read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタルバーサタイルディスク(digital versatile disk、DVD)若しくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するように使用することができ、かつコンピューティングデバイス3100によってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、コンピューティングデバイス3100の一部であってもよい。
【0197】
コンピューティングデバイス3100は、このデバイスが他のデバイスと通信することを可能にする通信接続3112を含有し得る。コンピューティングデバイス3100はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイスなどの入力デバイス3114を有し得る。ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力デバイス3116がまた、含まれ得る。これらのデバイスは全て、当該技術分野において周知であり、ここで詳細に考察する必要はない。
【0198】
一実施態様では、方法は、患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価することであって、グルコースデータが、ある期間にわたって患者について受信された持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、評価することと、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することであって、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することが、その期間にわたって各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、その期間にわたって計算された態様を比較することと、を含み、インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータが、その期間にわたって患者について受信される、定量化することと、目標範囲並びにグリセミックリスク及び1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定することであって、推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、決定することと、推奨を糖尿病管理システムに出力することと、を含む。
【0199】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。方法は、グリセミックリスクを評価し、1日のインスリン関係を定量化する前に、患者についてのグルコースデータ及びインスリンデータを受信することを更に含む。グリセミックリスクは、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化である。グリセミックリスクを評価することは、予測及び状態推定のうちの少なくとも1つを使用する。グリセミックリスクは、サンプル平均、サンプル分散、範囲内時間、高/低BGのエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、及び全体のリスクのうちの少なくとも1つに関して評価される。方法は、グリセミックリスクの定量化された評価を示すリスクプロファイルを生成することを更に含む。1日のインスリンの態様は、1日の総インスリン、1日の総基礎、又は1日の総ボーラスのうちの少なくとも1つを含む。方法は、一連の日数にわたる各日についての1日のインスリンの態様に基づいて関係パターンを特定することを更に含む。インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することは、1日のインスリンのある態様の別の態様に対する比及びパーセンテージのうちの少なくとも1つを計算することを更に含む。方法は、グリセミックリスクを評価すること及び1日のインスリン関係を定量化することのうちの少なくとも1つの前に、グルコースデータ及びインスリンデータのうちの少なくとも1つから外れ値データを除去することを更に含む。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲外であるときに実行され、推奨は、グリセミックリスクに基づく。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲外であり、かつグリセミックリスクに基づいて確認されるときに実行され、推奨は、1日のインスリンパターンが範囲外である量、並びにリスクの定量的評価及びリスクの定性的評価のうちの少なくとも1つに基づく。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲内にあるとき、及びグリセミックリスクが少なくとも1つの基準を満たさないときに実行される。変化は、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの量における増加又は減少を含む。推奨は、インスリン送達システム又は治療最適化アルゴリズムへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にある。
【0200】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価することであって、グルコースデータが、ある期間にわたって患者について受信された持続グルコースモニタリング(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、評価することと、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することであって、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することが、その期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、その期間にわたる計算された態様を比較することと、を含み、インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータが、その期間にわたって患者について受信される、定量化することと、目標範囲並びにグリセミックリスク及び1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定すること命令であって、推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、決定することと、推奨を、糖尿病管理システムに出力することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0201】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、グリセミックリスクを評価すること、及び1日のインスリン関係を定量化することの前に、患者についてのグルコースデータ及びインスリンデータを受信させる命令を更に含む。グリセミックリスクは、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化である。グリセミックリスクを評価することは、予測及び状態推定のうちの少なくとも1つを使用する。グリセミックリスクは、サンプル平均、サンプル分散、範囲内時間、高/低BGのエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、及び全体のリスクのうちの少なくとも1つに関して評価される。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、グリセミックリスクの定量化された評価を示すリスクプロファイルを生成させる命令を更に含む。1日のインスリンの態様は、1日の総インスリン、1日の総基礎、又は1日の総ボーラスのうちの少なくとも1つを含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、一連の日数にわたる各日についての1日のインスリンの態様に基づいて関係パターンを特定させる命令を更に含む。インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することは、1日のインスリンのある態様の別の態様に対する比及びパーセンテージのうちの少なくとも1つを計算することを更に含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、グリセミックリスクを評価すること及び1日のインスリン関係を定量化することのうちの少なくとも1つの前に、グルコースデータ及びインスリンデータのうちの少なくとも1つから外れ値データを除去させる命令を更に含む。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲外であるときに実行され、推奨は、グリセミックリスクに基づく。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲外であり、かつグリセミックリスクに基づいて確認されるときに実行され、推奨は、1日のインスリンパターンが範囲外である量、並びにリスクの定量的評価及びリスクの定性的評価のうちの少なくとも1つに基づく。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲内にあるとき、及びグリセミックリスクが少なくとも1つの基準を満たさないときに実行される。変化は、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの量における増加又は減少を含む。推奨は、インスリン送達システム又は治療最適化アルゴリズムへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にある。
【0202】
一実施態様では、システムは、患者のグルコースデータに基づいてグリセミックリスクを評価するように構成されたグリセミックリスク評価器であって、グルコースデータが、ある期間にわたって患者について受信された持続グルコースモニタリングシステム(CGM)データ又はフラッシュグルコースモニタリング(FGM)データを含み、グリセミックリスクが、高グリセミックリスク及び低グリセミックリスクのうちの少なくとも1つを含む、グリセミックリスク評価器と、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化するように構成されたインスリン関係定量化器であって、インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することが、その期間にわたる各日についての1日のインスリンの複数の態様を計算することと、その期間にわたって計算された態様を比較することと、を含み、インスリンデータが、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータを含み、基礎インスリンデータ及びボーラスインスリンデータが、その期間にわたって患者について受信される、インスリン関係定量化器と、目標範囲並びにグリセミックリスク及び1日のインスリン関係の定量化に基づいて、患者の1日のインスリンの1つ以上の態様についての推奨を決定し、かつ推奨を糖尿病管理システムに出力するように構成されたインスリン推奨器であって、推奨が、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの変化を含む、インスリン推奨器と、を備える。
【0203】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。グリセミックリスク評価器は、グリセミックリスクを評価すること、及び1日のインスリン関係を定量化することの前に、患者についてのグルコースデータ及びインスリンデータを受信するように更に構成される。グリセミックリスクは、現在及び将来の高血糖症及び/又は低血糖症のリスクの定量化である。グリセミックリスクを評価することは、予測及び状態推定のうちの少なくとも1つを使用する。グリセミックリスクは、サンプル平均、サンプル分散、範囲内時間、高/低BGのエピソード、低血糖リスク、高血糖リスク、及び全体リスクのうちの少なくとも1つに関して評価される。インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器は、グリセミックリスクの定量化された評価を示すリスクプロファイルを生成するように更に構成される。1日のインスリンの態様は、1日の総インスリン、1日の総基礎、又は1日の総ボーラスのうちの少なくとも1つを含む。インスリン関係定量化器は、一連の日数にわたる各日についての1日のインスリンの態様に基づいて関係パターンを特定するように更に構成される。インスリンデータに基づいて1日のインスリン関係を定量化することは、1日のインスリンのある態様の別の態様に対する比及びパーセンテージのうちの少なくとも1つを計算することを更に含む。グリセミックリスク評価器は、グリセミックリスクを評価すること及び1日のインスリン関係を定量化することのうちの少なくとも1つの前に、グルコースデータ及びインスリンデータのうちの少なくとも1つから外れ値データを除去するように更に構成される。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲外にあるときに実行され、推奨は、グリセミックリスクに基づく。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲外であり、かつグリセミックリスクに基づいて確認されるときに実行され、推奨は、1日のインスリンパターンが範囲外である量、並びにリスクの定量的評価及びリスクの定性的評価のうちの少なくとも1つに基づく。推奨を決定することは、1日のインスリンパターンが目標範囲内にあるとき、及びグリセミックリスクが少なくとも1つの基準を満たさないときに実行される。変化は、基礎インスリン、ボーラスインスリン、及び1日の総インスリンのうちの少なくとも1つの量における増加又は減少を含む。推奨は、インスリン送達システム又は治療最適化アルゴリズムへの報告、コマンド、又は信号若しくは命令の形態にある。
【0204】
一実施態様では、方法は、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、1日のインスリン関係パターンデータセットから外れ値データを除去することと、外れ値データの除去を糖尿病管理システムに通信することと、を含む。
【0205】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。外れ値データは、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含む。外れ値データを分析することは、推奨及び調整のうちの少なくとも1つを行うことができるかどうかを決定するデータセットを分析することを含む。方法は、1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された外れ値データに関連する情報を出力することを更に含む。
【0206】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定することと、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析することと、1日のインスリン関係パターンデータセットから外れ値データを除去することと、外れ値データの除去を糖尿病管理システムに通信することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0207】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。外れ値データは、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含む。外れ値データを分析することは、推奨及び調整のうちの少なくとも1つを行うことができるかどうかを決定するデータセットを分析することを含む。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された外れ値データに関連する情報を出力させる命令を更に含む。
【0208】
一実施態様では、システムは、インスリン関係定量化器であって、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを特定し、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける外れ値データを分析し、かつ1日のインスリン関係パターンデータセットから外れ値データを除去するように構成された、インスリン関係定量化器と、外れ値データの除去を糖尿病管理システムに通信するように構成されたインスリン推奨器と、を備える。
【0209】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。外れ値データは、パターン分析を歪める不正確な又は誤ったデータを含む。外れ値データを分析することは、推奨及び調整のうちの少なくとも1つを行うことができるかどうかを決定するデータセットを分析することを含む。インスリン推奨器は、1日のインスリン関係パターンデータセットから除去された外れ値データに関連する情報を出力するように更に構成される。
【0210】
一実施態様では、方法は、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、分析することに基づいて、データセットに対して調整を行うことと、を含む。
【0211】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。変動性を特定することは、個々のデータポイントを分析すること、又は1つ以上の基準に対して平均偏差若しくは標準偏差を評価することのうちの少なくとも1つを含む。変動性を特定することは、データのスーパーセットを評価して、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定することを含む。調整を行うことは、データの定義を調整すること、及びデータを複数の別個のデータセット又はパターンに分割することのうちの少なくとも1つを含む。
【0212】
一実施態様では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、システムに、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、分析することに基づいて、データセットに対して調整を行うことと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える。
【0213】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。変動性を特定することは、個々のデータポイントを分析すること、又は1つ以上の基準に対して平均偏差若しくは標準偏差を評価することのうちの少なくとも1つを含む。変動性を特定することは、データのスーパーセットを評価して、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定することを含む。調整を行うことは、データの定義を調整すること、及びデータを複数の別個のデータセット又はパターンに分割することのうちの少なくとも1つを含む。
【0214】
一実施態様では、システムは、インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器であって、1日のインスリン関係パターンデータセットにおける変動性を特定することと、変動性を分析することであって、目標範囲を上回る、目標範囲内の、又は目標範囲を下回る、のうちの少なくとも1つに入るデータを分析することを含む、分析することと、分析することに基づいて、データセットに対して調整を行うことと、を行わせるように構成された、インスリン関係定量化器又はインスリン推奨器のうちの少なくとも1つを備える。
【0215】
実施態様は、以下の特徴の一部又は全部を含み得る。変動性を特定することは、個々のデータポイントを分析すること、又は1つ以上の基準に対して平均偏差若しくは標準偏差を評価することのうちの少なくとも1つを含む。変動性を特定することは、データのスーパーセットを評価して、異なる1日のインスリンパターンと関連付けられたデータの1つ以上のサブセットを特定することを含む。調整を行うことは、データの定義を調整すること、及びデータを複数の別個のデータセット又はパターンに分割することのうちの少なくとも1つを含む。
【0216】
本明細書に記載される様々な技法は、ハードウェア構成要素若しくはソフトウェア構成要素に関連して、又は適切な場合には、両方の組み合わせに関連して実施され得ることを理解されたい。使用することができる例示的なタイプのハードウェア構成要素としては、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-programmable Gate Array、FPGA)、特定用途向け集積回路(Application-specific Integrated Circuit、ASIC)、特定用途向け標準製品(Application-specific Standard Product、ASSP)、システムオンチップシステム(System-on-a-chip system、SOC)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device、CPLD)などが含まれる。本開示の主題の方法及び装置、又はその特定の態様若しくは部分は、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、又は任意の他の機械可読記憶媒体などの有形媒体に具現化されたプログラムコード(すなわち、命令)の形態をとることができ、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされて実行されると、機械は本開示の主題を実施するための装置となる。
【0217】
例示的な実施態様は、1つ以上のスタンドアロンコンピュータシステムのコンテキストにおいて本開示の主題の態様を利用することに言及し得るが、この主題は、そのようには限定されず、むしろ、ネットワーク又は分散コンピューティング環境などの任意のコンピューティング環境に関連して実施され得る。更に、本明細書で開示される主題の態様は、複数の処理チップ若しくはデバイスにおいて、又は複数の処理チップ若しくはデバイスにわたって実施されてもよく、同様に、複数のデバイスにわたって記憶が行われてもよい。そのようなデバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ、ネットワークサーバ、及びハンドヘルドデバイスを含み得る。
【0218】
システム及び技法は、構造的特徴及び/又は方法論的行為特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義されるシステム及び技法は、必ずしも記載される特定の特徴又は行為に限定されないと理解されるべきである。むしろ、上記の特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【国際調査報告】