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特表2024-500605新規なグルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】新規なグルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20231227BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20231227BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 39/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20231227BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20231227BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/113 140Z
A61K47/60
A61K39/395 V
A61K38/16
A61P3/00
A61P3/10
A61P3/06
A61P3/04
A61P9/12
A61P9/10 101
A61P39/00
A61K47/64
C07K14/605
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526518
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2021019791
(87)【国際公開番号】W WO2022139538
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183576
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン クク
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン スク
(72)【発明者】
【氏名】オ ウ リム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC21
4C076CC41
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA02
4C084BA19
4C084BA41
4C084CA53
4C084CA59
4C084NA12
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA45
4C084ZA51
4C084ZA70
4C084ZC21
4C084ZC33
4C084ZC35
4C085BB33
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB42
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA19
4H045BA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045FA33
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本発明は、グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体及びその用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有するペプチドであって、配列番号1~12で構成された群から選択されたいずれか一つの配列を含むペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドは、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて10%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドは、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて70%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドは、GLP-1受容体において天然型ヒトGLP-1の活性に比べて70%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
前記ペプチドは、グルカゴン受容体において天然型ヒトグルカゴンの活性に比べて70%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
前記ペプチドは、GIP受容体において天然型ヒトGIPの活性に比べて70%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
前記ペプチドは、GLP-1受容体、及びGIP受容体の全てに対して天然型GLP-1及びGIP活性に比べて10%以上の活性を有しながらグルカゴン受容体に対して天然型グルカゴン活性に比べて100%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
前記ペプチドは、GLP-1受容体、及びグルカゴン受容体の全てに対して天然型GLP-1及びグルカゴン活性に比べて10%以上の活性を有しながらGIP受容体に対して天然型GIP活性に比べて100%以上の活性を有する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項9】
前記ペプチドは、N末端から12番アミノ酸と16番アミノ酸、または16番アミノ酸と20番アミノ酸は互いに環を形成する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
前記ペプチドは、そのC末端がアミド化したものである、請求項1に記載のペプチド
【請求項11】
下記化学式(1)で表される、持続型結合体:
X-L-F・・・(1)
ここで、Xは、請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり;
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【請求項12】
前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組合わせ(combination)またはこれらのハイブリッド(hybrid)である、請求項11に記載の結合体。
【請求項13】
前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域である、請求項11に記載の結合体。
【請求項14】
前記免疫グロブリンFc領域は、非グリコシル化したものである、請求項11に記載の結合体。
【請求項15】
前記L内のエチレングリコール繰り返し単位部位(moiety)の化学式量は1~100kDaの範囲にある、請求項11に記載の結合体。
【請求項16】
前記Lは、ポリエチレングリコールである、請求項11に記載の結合体。
【請求項17】
前記Fは、二量体形態の免疫グロブリンFc領域である、請求項11に記載の結合体。
【請求項18】
前記結合体は、前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域中の一つのFc領域にXの一分子が前記エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーを介して互いに共有結合的に連結された、請求項17に記載の結合体。
【請求項19】
前記エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーの一方の末端が前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域の2つのFc領域鎖中の一つのFc領域鎖にのみ連結されている、請求項17に記載の結合体。
【請求項20】
請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチドを含む、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項21】
前記ペプチドは持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は下記化学式(1)で表される、請求項20に記載の組成物:
X-La-F・・・(1)
ここで、Xは、請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり;
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【請求項22】
前記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、及び冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)からなる群から選択される一つ以上である、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1~10のいずれか1項に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン、GLP-1及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
GLP-1(Glucagon-like peptide-1)及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)は、代表的な胃腸ホルモンで、神経ホルモンであり、食物摂取に伴う血中糖濃度の調節に関与する物質である。グルカゴン(Glucagon)は、膵臓から分泌されるペプチドホルモンであり、前記の二つの物質と共に血中糖濃度調節作用に関与する。
【0003】
GLP-1は、飲食物の摂取に刺激を受け、小腸から分泌されるホルモンであり、血糖濃度依存的に膵臓におけるインスリン分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制して血糖濃度を下げる作用を助ける。また、満腹因子として作用して胃腸の消化作用を遅らせ、飲食消化物の胃腸通過時間を遅らせて飲食物の摂取を減らす役割を有する。さらに、ラットに投与すると、飲食の摂取抑制と体重減少効果があることが報告されており、このような効果は、正常状態と肥満状態の両方で同様に示されることが確認され、肥満治療剤としての可能性を示した。
【0004】
GLP-1とともに飲食の摂取に刺激を受けて分泌される胃腸ホルモンの一つであるGIPは、小腸のK細胞から分泌される42個のアミノ酸で構成されたホルモンであり、血糖濃度に依存的に膵臓におけるインスリン分泌を促進し、血糖濃度を下げるのに役立つ機能を果たし、GLP-1の活性増加効果が報告された。
【0005】
グルカゴンは、薬物治療又は疾病、ホルモンや酵素欠乏などの原因で血糖が低下し始めると膵臓で産生される。グルカゴンは、肝臓にシグナルを伝達してグリコーゲンを分解してグルコースを放出するように誘導し、血糖レベルを正常レベルまで高める役割をする。それだけでなく、グルカゴンは、血糖上昇効果に加え、動物やヒトにおける食欲抑制及び脂肪細胞のホルモン感受性リパーゼ(hormone sensitive lipase)を活性化させ、脂肪分解を促進及びエネルギー代謝(energy expenditudre)を促進して抗肥満効果を奏することが報告された。
【0006】
また、体重減少効果の極大化及び前述したGLP-1基盤の治療物質の対案としてGLP-1受容体とグルカゴン受容体の両方に活性を有する二重活性体(dual agonist)に関する研究が進行されてきており、既存のGLP-1単独の治療時よりグルカゴン受容体の活性により体重減少に、さらに優れていることが報告された(Jonathan Wet al, Nat Chem Bio., 2009 Oct(5);749-757)。
【0007】
これに加えて、最近、GLP-1、GIP、グルカゴンの全体受容体に同時に活性を有する三重活性体(triple agonistまたはtriagonal agonist)に関する研究では、胃腸ホルモンを分解して活性を喪失させるジペプチジルペプチダーゼ-IV(dipeptidyl peptidase-IV、DPP-IV)に対する抵抗性を高めるようにアミノ酸配列を置換するなどの変形を通じて半減期を増加する努力が進行されている。しかし、三つの他の受容体の活性化の効力が高くなく、多様な比率の活性比を有する三重活性体を示さなかった。これについて、GLP-1とGIP、そしてグルカゴン受容体を高く活性化させる新規な物質の必要性が台頭している。
【0008】
また、GLP-1、GIP、グルカゴン受容体に対する活性化の比率が多様な物質の開発の必要性も台頭している。例えば、血糖強化のためにGLP-1及びGIPの活性は高いながら、比較的グルカゴンの活性は低いため、体重減少効力もあるが、血糖調節能力がより高い物質や、GLP-1、GIP、及びグルカゴン全ての活性が高いため、体重減少効果の高い物質が開発されるべき必要性が台頭している。
【0009】
一方、経済成長と生活方式の変化に応じて食習慣にも最近多くの変化があった。特に、西欧化した食習慣により過体重及び肥満が増加している。過体重及び肥満は、血圧とコレステロール数値を増加させて心臓疾患、糖尿、関節炎などの各種疾患の発病または悪化の原因となっている。また、過体重及び肥満は、成人だけでなく、子供や青少年でも動脈硬化、高血圧、高脂血症または心臓疾患などの発病率を増加させる主要な要因となっている。
【0010】
このように、肥満は、全世界的な疾病として各種疾患の原因ともなる深刻な疾病であるが、意外と治療が容易ではなく、その理由は、肥満が食欲調節及びエネルギー代謝の作用機序に関連した複雑な疾患であるためである。従って、肥満を治療するためには、患者自身の努力だけでなく、食欲調節及びエネルギー代謝と関連した非正常な作用機序を治療する方法が同時に行われなければならないため、前記非正常な作用機序を治療できる医薬開発が必要である。
【0011】
一例として、GLP-1、GIP、グルカゴン受容体に対して活性を有する物質を前記肥満及びこれと関連するメタボリックシンドローム治療のための治療剤として開発しようという努力が続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許公開第WO97/34631号
【特許文献2】国際特許公開第96/32478号
【特許文献3】国際公開特許WO2017/116204
【特許文献4】WO2017/116205
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Jonathan Wet al, Nat Chem Bio., 2009 Oct(5);749-757
【非特許文献2】Pearson et al(1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444
【非特許文献3】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献5】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387(1984)
【非特許文献6】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403(1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献8】[CARILLO ETA/.](1988)SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献9】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math(1981)2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358(1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986)Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献12】H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
GLP-1、GIP、及びグルカゴン受容体に対して活性化比率が多様な物質を開発することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一つの目的は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、ペプチドを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、前記ペプチドを含む結合体を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたは組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、前記ペプチドを製造する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、前記ペプチドまたは結合体を含むメタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、薬剤の製造に用いるための前記ペプチドまたは組成物の用途を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、前記ペプチド、結合体、またはこれを含む組成物を個体に投与する段階を含むメタボリックシンドロームの予防または治療方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるペプチドは、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有し、メタボリックシンドロームの治療剤として用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前記課題を解決するための本発明の一つの様態は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有するペプチドである。
【0024】
一つの具体例として、前記ペプチドは、配列番号1~12で構成された群から選択されたいずれか一つの配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0025】
他の具体例として、前記ペプチドは、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて3%以上の活性を有することを特徴とする。
【0026】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて10%以上の活性を有することを特徴とする。
【0027】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて70%以上の活性を有することを特徴とする。
【0028】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、GLP-1受容体において天然型ヒトGLP-1の活性に比べて70%以上の活性を有することを特徴とする。
【0029】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、グルカゴン受容体において天然型ヒトグルカゴンの活性に比べて70%以上の活性を有することを特徴とする。
【0030】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、GIP受容体において天然型ヒトGIPの活性に比べて70%以上の活性を有することを特徴とする。
【0031】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、GLP-1受容体、及びGIP受容体の全てに対して天然型GLP-1及びGIP活性に比べて10%以上の活性を有しながらグルカゴン受容体に対して天然型グルカゴン活性に比べて100%以上の活性を有することを特徴とする。
【0032】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、GLP-1受容体、及びグルカゴン受容体の全てに対して天然型GLP-1及びグルカゴン活性に比べて10%以上の活性を有しながらGIP受容体に対して天然型GIP活性に比べて100%以上の活性を有することを特徴とする。
【0033】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、N末端から12番アミノ酸と16番アミノ酸、または16番アミノ酸と20番アミノ酸が互いに環を形成することを特徴とする。
【0034】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、前記ペプチドは、そのC末端がアミド化したことを特徴とする。
【0035】
前述の具体例のいずれか一つによるペプチドであって、ペプチドの半減期を増加させる物質が結合した、持続型結合体の形態であるペプチドであることを特徴とする。
【0036】
本発明の具現する他の様態は、下記化学式(1)で表される、持続型結合体である:
【0037】
X-L-F・・・(1)
【0038】
ここで、Xは、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、ペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり;
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【0039】
一つの具体例として、前記Xは、配列番号1~12で構成された群から選択されたいずれか一つの配列を含むペプチドであることを特徴とする。
【0040】
他の具体例として、前記ペプチドは、そのC末端がアミド化したことを特徴とする。
【0041】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgEまたはIgMに由来したことを特徴とする。
【0042】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはこれらの組合わせ(combination)またはこれらのハイブリッド(hybrid)であることを特徴とする。
【0043】
前述の具体例のいずれか一つによる薬学的組成物であって、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG Fc領域に由来したことを特徴とする。
【0044】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域であることを特徴とする。
【0045】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、非グリコシル化したことを特徴とする。
【0046】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非グリコシル化したFc領域に由来したことを特徴とする。
【0047】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、(a)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン;(b)CH1ドメイン及びCH2ドメイン;(c)CH1ドメイン及びCH3ドメイン;(d)CH2ドメイン及びCH3ドメイン;及び(e)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメインのうちの一つまたは2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域またはヒンジ領域の一部との組合わせで構成された群から選択されることを特徴とする。
【0048】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、2つのポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記二鎖中の一鎖の窒素原子を通じてのみ連結されたことを特徴とする。
【0049】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、二量体形態(dimeric form)であることを特徴とする。
【0050】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号33のアミノ酸配列を有する単量体を含むことを特徴とする。
【0051】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号33のアミノ酸配列の単量体のホモ二量体であることを特徴とする。
【0052】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域は、そのN末端プロリンの窒素原子を通じて連結されたことを特徴とする。
【0053】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記免疫グロブリンFc領域であるFとXがグリコシル化していないことを特徴とする。
【0054】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであることを特徴とする。
【0055】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記エチレングリコール繰り返し単位は[OCH2CH2]nであり、nは自然数で、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が1~100kDaになるように定められることを特徴とする。
【0056】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記nの値は、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が10kDaになるように定められることを特徴とする。
【0057】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記L内のエチレングリコール繰り返し単位部位(moiety)の化学式量は1~100kDaの範囲にあることを特徴とする。
【0058】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記Lは、ポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0059】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり、Fは、二量体形態の免疫グロブリンFc領域であることを特徴とする。
【0060】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記結合体は、前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域中の一つのFc領域鎖にXの一分子が前記エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーを介して互いに共有結合的に連結されたことを特徴とする。
【0061】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーの一方の末端が前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域の2つのFc領域鎖中の一つのFc領域鎖にのみ連結されていることを特徴とする。
【0062】
前述の具体例のいずれか一つによる結合体であって、前記結合体は、Lの一方の末端がFのアミン基またはチオール基と、Lの他方の末端がXのアミン基またはチオール基にそれぞれ反応して形成された共有結合でF及びXにそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【0063】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたは組換え発現ベクターを含む形質転換体である。
【0064】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチドまたは結合体を製造する方法である。
【0065】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチドまたは結合体を含む組成物である。
【0066】
一つの具体例として、前記組成物は、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物であることを特徴とする。
【0067】
他の具体例として、前記ペプチドは、配列番号1~12で構成された群から選択されたいずれか一つの配列を含むことを特徴とする。
【0068】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記ペプチドは持続型結合体の形態であり、前記持続型結合体は下記化学式(1)で表されることを特徴とする:
【0069】
X-L-F・・・(1)
ここで、Xは、前記ペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり;
-は、XとLとの間、LとFとの間の共有結合連結を示す。
【0070】
前述の具体例のいずれか一つによる組成物であって、前記メタボリックシンドロームは、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症、肥満、糖尿、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症、及び冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)からなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする。
【0071】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチド、またはペプチドの結合体、またはこれを含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、メタボリックシンドロームを予防または治療する方法を提供することである。
【0072】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチド、またはペプチドの結合体、または組成物のメタボリックシンドロームの予防または治療用途を提供することである。
【0073】
本発明の具現する他の様態は、薬剤の製造に用いるための前記ペプチド、またはペプチドの結合体、または組成物のメタボリックシンドロームの予防または治療用途を提供することである。
【0074】
以下では、本発明をより詳細に説明する。
【0075】
なお、本発明で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本発明で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。また、本明細書の全体にわたって多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照として挿入され、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0076】
本明細書の全般を通じて、天然的に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられるだけでなく、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Sar(N-methylglycine)、α-メチルグルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)などの他のアミノ酸に対して一般に許容される3文字コードが用いられる。また、本明細書において略語で言及したアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法に従って記載したものである。
【0077】
【0078】
本明細書において「Aib」は「2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)」又は「アミノイソ酪酸(aminoisobutyric acid)」で混用され得、2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)とアミノイソ酪酸(aminoisobutyric acid)は混用され得る。
【0079】
本発明を具現する一つの様態は、グルカゴン受容体、GLP-1(Glucagon-like peptide-1)受容体、及びGIP(Glucose-dependent insuliontropic polypeptide)受容体に対して活性を有する、ペプチドを提供する。
【0080】
前記グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドは、本発明において「ペプチド」または「三重活性体」と混用され得る。
【0081】
一つの具体的な様態として、前記三重活性体は、配列番号1~12からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むもの、配列番号1~12からなる群から選択されたアミノ酸配列で必須で構成されたもの、または配列番号1~12からなる群から選択されたアミノ酸配列で構成されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0082】
本願において「特定配列番号で構成されるペプチド」と記載されているとしても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、当該配列番号のアミノ酸配列前後の無意味な配列の追加または自然に発生し得る突然変異、あるいはこのサイレント突然変異(silent mutation)を除くものではなく、このような配列の追加あるいは突然変異を有する場合にも、本願の範囲内に属することが自明である。
【0083】
本発明の三重活性体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体中の1以上、2以上、または全てを有意に活性化させることができるが、これに制限されない。
【0084】
本発明の三重活性体は、下記i)~iii)中の一つ以上の活性、具体的には、有意な活性を有することを特徴とする:
【0085】
i)GLP-1受容体の活性化;ii)グルカゴン受容体の活性化;及びiii)GIP受容体の活性化。
【0086】
ここで、受容体を活性化させるとは、天然型比受容体に対するin vitro活性が0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、200%以上、300%以上、400%以上、500%以上、600%以上、700%以上、800%以上を示す場合を例とすることができる。しかし、これに制限されるものではない。
【0087】
特にこれに制限されるものではないが、前記グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体に対して有意な水準の活性を有する三重活性体は、グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体中の一つまたはそれ以上の受容体、具体的には、2つまたはそれ以上の受容体、より具体的には、3つの受容体の全てに対してin vitro活性が該当受容体の天然型リガンド(天然型グルカゴン、天然型GLP-1、及び天然型GIP)比0.1%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、200%以上、300%以上、400%以上、500%以上、600%以上、700%以上、800%以上を示す。
【0088】
このような三重活性体のin vitro活性を測定する方法は、本願明細書の実施例3を参照できるが、特にこれに制限されるものではない。
【0089】
具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて3%以上の活性を有するものであってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0090】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて10%以上の活性を有するものであってもよいが、特にこれに制限されるものではない。前記三重活性体の例としては、配列番号1~6、及び9~11のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0091】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体において天然型ヒトGLP-1、グルカゴン、及びGIPの活性に比べて70%以上の活性を有するものであってもよいが、特にこれに制限されるものではない。前記三重活性体の例としては、配列番号2または6のアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0092】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GLP-1受容体において天然型ヒトGLP-1の活性に比べて70%以上の活性を有してもよく、その例として、配列番号2、6、7、11及び12のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0093】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、グルカゴン受容体において天然型ヒトグルカゴンの活性に比べて70%以上の活性を有してもよく、その例として、配列番号1~3、5及び6のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0094】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GIP受容体において天然型ヒトGIPの活性に比べて70%以上の活性を有してもよく、その例として、配列番号1、2、4及び6のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0095】
本発明の三重活性体は、GLP-1受容体、グルカゴン受容体及びGIP受容体中の2以上の受容体に対して有意な活性、例えば、10%以上、30%以上、50%以上、または70%以上の活性を示しながら、もう一つの受容体に対して特に優れた活性、例えば、100%以上、150%以上、200%以上、300%以上、400%以上、または500%以上の活性を示すものであってもよいが、これに制限されない。
【0096】
具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GLP-1受容体、及びGIP受容体の全てに対して天然型GLP-1及びGIP活性に比べて10%以上の活性を有しながらグルカゴン受容体に対して天然型グルカゴン活性に比べて100%以上の活性を有してもよく、その例として、配列番号1、2、3及び5のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0097】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、GLP-1受容体、及びグルカゴン受容体の全てに対して天然型GLP-1及びグルカゴン活性に比べて10%以上の活性を有しながらGIP受容体に対して天然型GIP活性に比べて100%以上の活性を有してもよく、その例として、配列番号2、4及び6のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0098】
他の具体的な一様態として、本発明の三重活性体は、配列番号35のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、特に、これに制限されるものではない。前記三重活性体は、配列番号35のアミノ酸配列をペプチドのN末端から27番目~30番目の残基として含むものであってもよく、その例として、配列番号1~3、8及び10のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0099】
他の具体的一様態として、本発明の三重活性体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、特に、これに制限されるものではない。前記三重活性体は、配列番号36のアミノ酸配列をペプチドのN末端から27番目~30番目の残基として含むものであってもよく、その例として、配列番号5、6及び11のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドを挙げることができるが、これに制限されない。
【0100】
また、本発明の三重活性体は、前記配列番号1~12で記載されるアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.7%または99.9%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。また、このような相同性または同一性を有し、本発明の三重活性体に対応する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有するペプチドも本出願の範囲内に含まれることは自明である。
【0101】
例えば、上記アミノ酸配列のN末端、C末端そして/または内部に本発明の三重活性体の機能を変更しない配列の追加または欠失、自然に発生し得る突然変異、サイレント突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合である。
【0102】
前記「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸を類似の構造的及び/または化学的性質を有する他のアミノ酸で置換させることを意味する。そのようなアミノ酸置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/または両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて起こり得る。通常、保存的置換はタンパク質またはポリペプチドの活性にほとんど影響を及ぼさないか、または影響を及ぼさない。
【0103】
本発明において、用語「相同性(homology)」または「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列相互間の類似度を意味し、百分率で表すことができる。用語の相同性及び同一性はしばしば互換的に使用することができる。
【0104】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準的な配列アルゴリズムにより決定され、使用されるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に使用されてもよい。実質的に、相同性を有したり(homologous)または同一の(identical)配列は、一般に、配列の全部または一部と中程度または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)でハイブリダイズすることができる。ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドにおける一般のコドンまたはコドン縮退性を考慮したコドンを含有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることが自明である。
【0105】
任意の2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al(1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを使用して決定されてもよい。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して決定されてもよい(GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387(1984)), BLASTP, BLASTN, FASTA(Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403(1990);Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994,及び[CARILLO ET AL.](1988)SIAM J Applied Math 48: 1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLASTまたはClustalWを用いて相同性、類似性または同一性を決定することができる。
【0106】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math(1981)2:482において公知となっているように、例えば、Needleman et al.(1970), J Mol Biol. 48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定されてもよい。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(すなわち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を除した値と定義することができる。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)二進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含む)、及びSchwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358(1979)により開示されているように、Gribskov et al(1986)Nucl. Acids Res. 14: 6745の加重比較マトリックス(またはEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。
【0107】
また、本発明の三重活性体は、天然型GLP-1、天然型グルカゴン及び天然型GIPのいずれか一つに比べて体内半減期が増加したものであってもよいが、特にこれに制限されるものではない。例えば、半減期の増加のための生体適合性物質(例えば、免疫グロブリンFc領域)が三重活性体に直接またはリンカーを介して結合し、半減期が増加した持続型結合体の形態を含んでもよいが、これに制限されない。
【0108】
特にこれに制限されるものではないか、このような前記三重活性体は、非自然発生の(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0109】
本発明の三重活性体は、分子内架橋(intramolecular bridge)を含んでもよく(例えば、共有結合的架橋または非共有結合的架橋)、具体的には、環を含む形態であってもよく、例えば、三重活性体の12番及び16番、及び/又は16番及び20番アミノ酸の間に環が形成された形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0110】
前記環の非制限的な例としてラクタム架橋(またはラクタム環)を含み得る。
【0111】
また、前記三重活性体は、環を含むように、目的とする位置に環を形成できるアミノ酸を含むように変形されたものをいずれも含む。
【0112】
例えば、三重活性体の12番及び16番、または16番及び20番アミノ酸対がそれぞれ環を形成できるグルタミン酸またはリシンで置換されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0113】
このような環は、前記三重活性体内のアミノ酸側鎖間に形成され、その例として、リシンの側鎖とグルタミン酸の側鎖間にラクタム環が形成される形態であってもよいが、特にこれに制限されるものではない。
【0114】
また、特にこれに制限されないが、本発明の三重活性体は、体内半減期の増加のために活性体分解酵素の認識作用を回避するために、一部のアミノ酸が他のアミノ酸あるいは非天然型化合物で置換された形態であってもよい。
【0115】
具体的には、本発明の三重活性体のアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸配列の置換を通じて分解酵素の認識作用を回避して体内半減期を増加させたペプチドであってもよいが、体内分解酵素の認識作用を回避するためのアミノ酸の置換または変更は、制限なく含まれる。
【0116】
また、本発明の三重活性体の変形は、L-型あるいはD-型アミノ酸、及び/又は非天然型アミノ酸を用いた変形;及び/又は天然型配列を改質、例えば、側鎖作用基の変形、分子内共有結合、例えば、側鎖間の環形成、メチル化、ユビキチン化、リン酸化、アミノヘキサン化、ビオチン化などのように改質することにより変形することを全て含む。
【0117】
また、アミノ及び/又はカルボキシの末端に一つまたはそれ以上のアミノ酸が追加されたことをいずれも含む。
【0118】
前記置換または追加されるアミノ酸は、ヒトタンパク質において通常に観察される20個のアミノ酸だけでなく、非定形または非自然発生のアミノ酸を用いることができる。非定形アミノ酸の商業的出所にはSigma-Aldrich、ChemPepとGenzyme pharmaceuticalsが含まれる。このようなアミノ酸が含まれたペプチドと定形的なペプチド配列は、商業化されたペプチド合成会社、例えば、米国のAmerican peptide companyやBachemまたは韓国のAnygenを通じて合成及び購買可能である。
【0119】
アミノ酸誘導体も同様な方式で入手できるが、その例を一部のみ挙げると、4-イミダゾ酢酸(4-imidazoacetic acid)などを用いることができる。
【0120】
また、本発明による三重活性体は、生体内のタンパク質切断酵素から保護し、安定性を増加させるために、そのN末端及び/又はC末端などが化学的に修飾されたり有機団で保護されたり、またはペプチド末端などにアミノ酸が追加されて変形された形態であってもよい。
【0121】
特に、化学的に合成したペプチドの場合、N-及びC末端が電荷を帯びているため、このような電荷を除去するために、N末端をアセチル化(acetylation)及び/又はC末端をアミド化(amidation)できるが、特にこれに制限されない。
【0122】
本発明による三重活性体のC末端は、アミド化したりまたはフリーカルボキシル基(-COOH)を有したり、またはC末端が変形されていないものであってもよいが、これに制限されない。
【0123】
一つの具体例として、前記三重活性体は、C末端がアミド化しているものであってもよいが、これに制限されない。
【0124】
一つの具体例として、前記三重活性体は、非グリコシル化したものであってもよいが、これに制限されない。
【0125】
また、本発明による三重活性体は、ペプチドそのもの、その塩(例えば、前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩)、又はこの溶媒和物の形態をいずれも含む。また、ペプチドは薬学的に許容される任意の形態であってもよい。
【0126】
前記塩の種類は特に制限されない。ただし、個体、例えば、哺乳類に安全で効果的な形態であることが好ましいが、特にこれに制限されるものではない。
【0127】
前記用語「薬学的に許容される」とは、医薬学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、又はアレルギー反応などを誘発することなく所望の用途に効果的に使用可能な物質を意味する。
【0128】
本発明において用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、又は塩基から誘導された塩を含む。適した酸の例としては、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。適した塩基から誘導された塩は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、及びアンモニウムなどを含み得る。
【0129】
また、本発明で用いられた用語「溶媒和物」は、本発明による三重活性体又はこの塩が溶媒分子と複合体を形成したものをいう。
【0130】
本発明の三重活性体はSolid phase合成法を通じて合成されてもよく、組換え方法でも生産可能であり、商業的に依頼して製造できるが、これに制限されない。
【0131】
また、本発明の三重活性体は、その長さに応じてこの分野でよく知られている方法、例えば、自動ペプチド合成器により合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0132】
具体的には、本発明の三重活性体は、標準合成方法、組換え発現システム、または任意の他の当該分野の方法により製造されてもよい。従って、本発明による三重活性体は、例えば、下記を含む方法を含む多数の方法で合成されてもよい:
【0133】
(a)ペプチドを固相または液相法の手段で段階的にまたは断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;または
(b)ペプチドをコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;または
(c)ペプチドをコードする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;または
(a)、(b)及び(c)の任意の組み合わせによりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0134】
以上の内容は、本発明の他の具体例あるいは他の様態にも適用され得るが、これに制限されるものではない。
【0135】
本発明を具現するためのもう一つの様態は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドの結合体を提供する。
【0136】
本発明において前記グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドの結合体は、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドに、その生体内半減期を増加させるための生体適合性物質が結合した形態であってもよい。本明細書において前記生体適合性物質はキャリアと混用され得る。
【0137】
本発明において、前記ペプチドの結合体は、キャリアが結合していない前記ペプチドに比べて増加した効力の持続性を示すことができ、本発明では、このような結合体を「持続型結合体」と称する。
【0138】
一方、そのような結合体は、非自然発生の(non-naturally occurring)ものであってもよい。
【0139】
本発明の具体的な実施形態において、前記持続型結合体は、三重活性体に生体適合性物質である免疫グロブリンFc領域が互いに連結された形態であってもよい。具体的には、前記結合体は、三重活性体に免疫グロブリンFc領域がリンカーを介して共有結合的に連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。
【0140】
本発明の一つの具体例として、前記結合体は、下記化学式(1)で表される、結合体である:
【0141】
X-L-F・・・(1)
【0142】
ここで、
Xは、配列番号1~12で構成された群から選択されたいずれか一つの配列を含むペプチドであり;
Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり;
Fは、免疫グロブリンFc領域であり;
前記「-」は共有結合である。
【0143】
前記化学式(1)の持続型結合体において、X及びFの連結は、物理または化学結合であるか、非共有または共有結合であってもよく、具体的には共有結合であってもよいが、これに制限されない。
【0144】
より具体的には、XとL及びLとFは、共有結合で互いに連結されるものであってもよく、この時、前記結合体は、化学式(1)の順に、X、L及びFが共有結合を通じてそれぞれ連結された結合体であってもよい。
【0145】
前記化学式(1)の持続型結合体のXは、上述したグルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチド(三重活性体)であってもよく、具体的には、配列番号1~12のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチドであってもよく、または、配列番号1~12のいずれか一つのアミノ酸配列で必須で構成されたり、構成されたペプチドであってもよいが、これに制限されない。
【0146】
本発明において、前記「グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有する、ペプチド」は、前記結合体を構成する一部分の構成に該当し得る。具体的には、前記化学式(1)においてXに該当し、本発明の三重活性体に該当し得る。三重活性体については、前述した通りである。
【0147】
本発明の持続型結合体は、結合体の形態でもGLP-1受容体、グルカゴン受容体、及びGIP受容体に対して有意な活性を示すことができる。
【0148】
具体的には、本発明の結合体は、天然型比GLP-1受容体、グルカゴン受容体、及び/又はGIP受容体に対するin vitro活性が0.01%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、0.7%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0149】
本発明の目的上、前記三重活性体またはその結合体は、天然型に比べてGLP-1受容体、グルカゴン受容体、及び/又はGIP受容体に対する活性が0.1%以上、0.2%以上、0.5%以上、0.7%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0150】
前記化学式(1)の持続型結合体は、配列番号1~12のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド(X)及びその半減期を増加させる物質(F、例えば、免疫グロブリンFc領域)が互いにリンカーで連結された形態であり、前記結合体は、半減期を増加させる物質(F、例えば、免疫グロブリンFc領域)が結合していない配列番号1~12のいずれか一つのアミノ酸配列を含むペプチド(X)に比べて増加した効力の持続性を示す。
【0151】
本発明の持続型結合体は、三重活性体のC末端をアミド化した三重活性体及び免疫グロブリンFc領域がリンカーを介して連結された結合体であってもよいが、これに制限されない。
【0152】
前記配列番号1~12から選択されたいずれか一つの配列と同一の配列であるか、これを含む配列のペプチドのC末端はアミド化されるか、又はフリーカルボキシル基(-COOH)を有するペプチドであるか、又はC末端が変形されていないペプチドを含むものであってもよいが、これに限定されない。
【0153】
前記結合体においてFはX、即ち、グルカゴン受容体、GLP-1受容体、及びGIP受容体に対して活性を有するペプチドまたは三重活性体の半減期を増加させる物質であり、本発明の結合体を構成する部分の一構成に該当する。
【0154】
前記Fは、Xと共有化学結合で互いに結合するものであってもよく、共有化学結合でLを介してFとXが互いに結合するものであってもよい。
【0155】
前記Xの半減期を増加させる物質は、生体適合性物質であってもよく、例えば、FcRn結合物質であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0156】
より具体的な例として、前記FcRn結合物質は免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的にはIgG Fc領域、または非グリコシル化したIgG4 Fc領域であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0157】
本発明のペプチド中の一つ以上のアミノ酸側鎖は、生体内で可溶性及び/又は半減期を増加させ/させたり生体利用率を増加させるために、このような生体適合性物質に接合され得る。そのような変形は、また、治療学的タンパク質及びペプチドのクリアランス(clearance)を減少させることができる。
【0158】
上述した生体適合性物質は、水溶性(両親媒性または親水性)及び/又は無毒性及び/又は薬学的に許容可能なものであってもよい。
【0159】
一つの具体的な実施形態において、本発明の持続型結合体は、三重活性体と免疫グロブリンFc領域が連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0160】
具体的には、前記化学式(1)の持続型結合体において、前記Fは免疫グロブリンFc領域であってもよく、より具体的には、前記免疫グロブリンFc領域はIgG由来であってもよいが、特にこれに制限されない。
【0161】
本発明の具体的な一例として、前記F(免疫グロブリンFc領域)は、2つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一方の末端が前記2つのポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されている構造を有してもよいが、これに制限されない。
【0162】
本発明において、「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いた、重鎖定常領域2(CH2)及び/又は重鎖定常領域3(CH3)部分を含む部位を意味する。上記免疫グロブリンFc領域は、本発明の結合体の部分をなす一構成であってもよい。具体的には、前記化学式(1)においてFに該当する。
【0163】
本明細書においてFc領域といえば、免疫グロブリンのパパインの消化から得る天然型配列だけでなく、その誘導体、例えば、天然配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的又は保全的置換又はこれらの組み合わせにより変換され、天然型と相異なった配列など、変形体まで網羅して含まれる。前記誘導体、置換体、変形体はFcRnに結合する能力を有することを前提とする。本発明において、Fはヒト免疫グロブリン領域であってもよいが、これに制限されない。前記F(例えば、免疫グロブリンFc領域)は、2個のポリペプチド鎖がジスルフィド結合で連結されている構造であり、前記二鎖中の一鎖の窒素原子を通じてのみ連結されている構造であってもよいが、これに制限されない。前記窒素原子を通じての連結はリシンのイプシロンアミノ原子やN末端アミノ基に還元的アミノ化を通じて連結されてもよい。
【0164】
還元的アミノ化反応とは、反応物のアミノ基又はアミノ基が他の反応物のアルデヒド(即ち、還元的アミノ化が可能な作用基)と反応してアミンを生成した後、還元反応によりアミン結合の形成させる反応を意味し、当該技術分野に広く知られている有機合成反応である。
【0165】
本発明の三重活性体の持続型結合体の一つの具体例として、前記持続型結合体は、前記免疫グロブリンFc領域がそのN末端窒素原子を通じてリンカーに連結されたものであってもよい。
【0166】
このような免疫グロブリンFc領域は重鎖定常領域にヒンジ(hinge)部分を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0167】
本発明において、免疫グロブリンFc領域はN末端に特定ヒンジ配列を含んでもよい。
【0168】
本発明の用語、「ヒンジ配列」とは、重鎖に位置してジスルフィド結合(inter disulfide bond)を通じて免疫グロブリンFc領域の二量体を形成する部位を意味する。
【0169】
本発明において、前記ヒンジ配列は、下記アミノ酸配列を有するヒンジ配列中の一部が欠失して一つのシステイン残基のみを有するように変異されたものであってもよいが、これに制限されない:
【0170】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号13)。
【0171】
前記ヒンジ配列は、配列番号13のヒンジ配列中の8番目又は11番目のシステイン残基が欠失して一つのシステイン残基のみを含むものであってもよい。本発明のヒンジ配列は一つのシステイン残基のみを含む、3~12個のアミノ酸で構成されたものであってもよいが、これに限定されない。より具体的には、本発明のヒンジ配列は、次のような配列を有することができる:
【0172】
Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号14)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser-Pro(配列番号15)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号16)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Pro(配列番号17)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro-Ser(配列番号18)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号19)、Glu-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号20)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号21)、Glu-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号22)、Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号23)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号24)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号25)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号26)、Glu-Ser-Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys(配列番号27)、Lys-Tyr-Gly-Pro-Pro-Cys-Pro(配列番号28)、Glu-Ser-Lys-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号29)、Glu-Ser-Pro-Ser-Cys-Pro(配列番号30)、Glu-Pro-Ser-Cys(配列番号31)、Ser-Cys-Pro(配列番号32)。
【0173】
より具体的には、前記ヒンジ配列は、配列番号23(Pro-Ser-Cys-Pro)または配列番号32(Ser-Cys-Pro)のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0174】
本発明の三重活性体持続型結合体の一つのより具体的な形態において、前記結合体内の前記免疫グロブリンFc領域のN末端はプロリンであり、その結合体は、前記プロリンの窒素原子を通じてFc領域がリンカーに連結されたものである。
【0175】
本発明の三重活性体持続型結合体の一実施形態において、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒンジ配列が存在することにより免疫グロブリンFc領域の2鎖がホモ二量体(homodimer)やヘテロ二量体(heterodimer)を形成した二量体形態であってもよい。本発明の化学式(1)の結合体は、リンカーの一方の末端が二量体の免疫グロブリンFc領域の一鎖に連結された形態であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0176】
本発明の用語、「N末端」とは、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端を意味することであり、アミノ末端の最末端、又は最末端から1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個以上のアミノ酸まで含むものであってもよい。本発明の免疫グロブリンFc領域はヒンジ配列をN末端に含めてもよいが、これに限定されない。
【0177】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等又は向上した効果を奏する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域のみを除いて、一部又は全体の重鎖定常領域1(CH1)及び/又は軽鎖定常領域1(CL1)を含む拡張したFc領域であってもよい。また、CH2及び/又はCH3に該当する相当長い一部のアミノ酸配列が除去された領域であってもよい。
【0178】
例えば、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン中の一個又は2個以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、又は6)重鎖定常領域の各ドメインと軽鎖定常領域の二量体であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0179】
本発明において、前記免疫グロブリンFc領域は、同一の起源のドメインからなる短鎖免疫グロブリンで構成された、二量体または多量体形態であってもよいが、これに制限されない。
【0180】
また、一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域Fは、2つのポリペプチド鎖からなる二量体(dimer)であり、この時、前記Fc領域の二量体FとXは、エチレングリコール繰り返し単位を含有する一つの同一のリンカーLを介して共有結合的に連結されている。この実施形態の一具体例において、XはこのようなFc領域の二量体Fの2ポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみリンカーLを介して共有結合で連結されている。この実施形態のより具体的な例示において、このようなFc領域の二量体Fの2ポリペプチド鎖中、Xが連結された一つのポリペプチド鎖には一分子のXのみがLを介して共有結合的に連結されている。この実施形態の最も具体的な例示において前記Fは、ホモ二量体(homodimer)である。
【0181】
他の具体例において、前記免疫グロブリンFc領域Fは2つのポリペプチド鎖からなる二量体であり、Lの一方の末端が前記2ポリペプチド鎖中の一つのポリペプチド鎖にのみ連結されているものであってもよいが、これに制限されない。
【0182】
本発明の持続型結合体の他の実施形態では、二量体形態の一つのFc領域にXの二分子が対称的に結合することも可能である。この時、前記免疫グロブリンFc領域とXは、リンカー(L)により互いに連結され得る。しかし、前記例に制限されるものではない。
【0183】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列中の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的又は保存的置換又はこれらの組み合わせにより相違する配列を有することを意味する。
【0184】
例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であることが知られている214~238、297~299、318~322又は327~331番アミノ酸残基が変形のために適当な部位として用いられ得る。
【0185】
また、ジスルフィド結合を形成する部位が除去されたり、天然型FcからN末端のいくつかのアミノ酸が除去されたり、又は天然型FcのN末端にメチオニン残基が付加されるなど、多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクタ機能をなくすために補体結合部位、例えば、C1q結合部位が除去されてもよく、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されてもよい。このような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、国際特許公開第WO97/34631号、国際特許公開第96/32478号などに開示されている。
【0186】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は当該分野において公知となっている(H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も通常生じる交換はアミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly 間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫酸化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、グリコシル化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミド化(amidation)などで修飾(modification)されることもできる。
【0187】
前記Fc誘導体は本発明のFc領域と同等の生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどに対する構造的安定性を増大させたものであってもよい。
【0188】
また、このようなFc領域は、ヒト、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット又はモルモットなどの動物の生体内から分離した天然型から得られてもよく、形質転換された動物細胞又は微生物から得られた組換え型又はその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は全体免疫グロブリンをヒト又は動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、Fab及びFcに切断され、ペプシンを処理する場合には、pF’c及びF(ab)2に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィ(size-exclusion chromatography)などを用いてFc又はpF’cを分離できる。さらに具体的な実施形態においてはヒト由来のFc領域を微生物から得た組換え型免疫グロブリンFc領域である。
【0189】
また、免疫グロブリンFc領域は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖又は糖鎖が除去された形態であってもよい。このような免疫グロブリンFc糖鎖の増減又は除去には化学的方法、酵素学的方法及び微生物を用いた遺伝工学的方法のような常法が用いられ得る。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は補体(c1q)との結合力が顕著に低下し、抗体依存性細胞傷害又は補体依存性細胞傷害が減少又は除去されるため、生体内において不要な免疫反応を誘発しない。このような点で薬物のキャリアとしての本来の目的に、より符合する形態は糖鎖が除去されたり非糖鎖化した免疫グロブリンFc領域であるといえる。
【0190】
本発明において「糖鎖の除去(Deglycosylation)」は酵素で糖を除去したFc領域をいい、非糖鎖化(Aglycosylation)は原核動物、さらに具体的な実施形態では大腸菌で生産して糖鎖化していないFc領域を意味する。
【0191】
一方、免疫グロブリンFc領域は、ヒト又はウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ラビット、ハムスター、ラット、モルモットなどの動物起源であってもよく、さらに具体的な実施形態においてはヒト起源である。
【0192】
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来又はそれらの組み合わせ(combination)又はこれらのハイブリッド(hybrid)によるFc領域であってもよい。さらに具体的な実施形態ではヒトの血液に最も豊富なIgG又はIgM由来であり、より具体的な実施形態ではリガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となったIgG由来である。より一層具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はIgG4 Fc領域であり、最も具体的な実施形態において前記免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4由来の非-糖鎖化されたFc領域であるが、これに限定されるものではない。
【0193】
また、一つの具体例として、免疫グロブリンFc領域はヒトIgG4 Fcの断片であり、各単量体の3番アミノ酸であるシステイン間のジスルフィド結合(inter-chain形態)を通じて2つの単量体が連結されたホモ二量体であってもよく、この時、ホモ二量体は、各単量体において35番及び95番のシステイン間及び141番及び199番のシステイン間にジスルフィド結合、即ち、2つのジスルフィド結合(intra-chain形態)を有したり/有することができる。
【0194】
各単量体のアミノ酸の数は221個のアミノ酸で構成されてもよく、ホモ二量体を形成するアミノ酸は計442個のアミノ酸からなってもよいが、これに限定されない。具体的には、免疫グロブリンFc領域は配列番号33のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有する単量体2個が各単量体の3番目のアミノ酸であるシステイン間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立に35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合を形成するものであってもよいが、これに限定されない。
【0195】
前記化学式(1)のFは配列番号33のアミノ酸配列である単量体を含むものであってもよく、前記Fは配列番号33のアミノ酸配列の単量体のホモ二量体であってもよいが、これに制限されない。
【0196】
一つの例として、免疫グロブリンFc領域は、配列番号34のアミノ酸配列(442個のアミノ酸で構成される)を含むホモ二量体であってもよいが、これに限定されない。
【0197】
一つの具体例として、前記免疫グロブリンFc領域とXは、グリコシル化していなくてもよいが、これに制限されない。
【0198】
一方、本発明において「組み合わせ(combination)」とは、二量体又は多量体を形成する時、同一起源の単鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドが相違する起源の単鎖ポリペプチドと結合を形成するものを意味する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc断片からなるグループから選択された2個以上の断片から二量体又は多量体の製造が可能である。
【0199】
本発明において「ハイブリッド(hybrid)」とは、単鎖の免疫グロブリン定常領域内に2個以上の相違する起源の免疫グロブリンFc断片に該当する配列が存在することを意味する用語である。本発明の場合、種々の形態のハイブリッドが可能である。即ち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3及びCH4からなるグループから1個~4個のドメインからなるドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジを含めてもよい。
【0200】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明ではそれらの組み合わせ又はこれらのハイブリダイゼーションも可能である。具体的には、IgG2及びIgG4サブクラスであり、最も具体的には補体依存的傷害(CDC、Complement dependent cytotoxicity)のようなエフェクタ機能(effector function)がほとんどないIgG4のFc領域である。
【0201】
また、上述した結合体は、効力の持続性が天然型ペプチドに比べ、またはFが修飾されていないXに比べて増加したものであってもよく、そのような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などをいずれも含むが、これに制限されない。
【0202】
前記化学式(1)において前記Lは非ペプチド性リンカーであってもよい。
【0203】
本発明において「非ペプチド性リンカー」は、繰り返し単位が二個以上結合した生体適合性ポリマーを含む。前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記非ペプチド性リンカーは、本発明の結合体の部分をなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLに対応する。
【0204】
本発明で使用し得る非ペプチド性リンカーは、生体内タンパク質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば、制限なく使用することができる。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、非ペプチド性ポリマーと混用することができる。
【0205】
また、前記Fに該当するポリペプチドと結合する本発明の非ペプチド性リンカーは一種の重合体だけでなく、相違する種類の重合体の組合わせが用いられてもよい。
【0206】
一つの具体的な実施形態において前記結合体は、両末端にF、具体的には免疫グロブリンFc領域及びX、具体的には三重活性体と結合され得る反応基を含む非ペプチド性リンカーを介してFとXが互いに共有結合的に連結されたものであってもよい。
【0207】
具体的には、本発明において非ペプチド性リンカーは、末端に反応基を含み、結合体を構成する他の構成要素と反応を通じて結合体を形成できる。両末端に反応性作用基を有する非ペプチド性リンカーが各反応基を通じて前記化学式(1)のX及びFと結合して結合体を形成する場合、前記非ペプチド性リンカーまたは非ペプチド性重合体は、非ペプチド性重合体連結部(linker moiety)または非ペプチド性リンカー連結部と命名できる。
【0208】
また、一つの具体的な実施形態において前記結合体は、両末端にF、具体的には免疫グロブリンFc領域及びX、具体的にはペプチド薬物と結合され得る反応基を含む非ペプチド性リンカー(L)を介してFとXが互いに共有結合的に連結されたものであってもよい。
【0209】
特にこれに限定されないが、前記非ペプチド性リンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよく、また、当該分野において既知のそれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造することができる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0210】
本発明において「ポリエチレングリコールリンカー」は、エチレングリコール繰り返し単位が2個以上結合した生体適合性重合体を含む。前記繰り返し単位はペプチド結合ではなく、任意の共有結合を通じて互いに連結される。前記ポリエチレングリコールリンカーは、本発明の結合体の部分をなす一構成であってもよく、前記化学式(1)においてLに該当する。
【0211】
具体的には、前記L(ポリエチレングリコールリンカー)は、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカー、例えば、ポリエチレングリコールであってもよいが、これに制限されない。本明細書において前記ポリエチレングリコールは、エチレングリコールホモ重合体、PEG共重合体、またはモノメチル-置換されたPEG重合体(mPEG)の形態をいずれも包括する用語であるが、特にこれに制限されるものではない。また、当該分野において既に知られているその誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造できる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0212】
前記ポリエチレングリコールリンカーは、エチレングリコール繰り返し単位を含みながら、結合体で構成される以前は結合体の製造に用いられる作用基を末端に含むものであってもよい。本発明による持続型結合体は、上記作用基を介してXとFが連結された形態であってもよいが、これらに限定されない。本発明において、前記非ペプチド性リンカーは、2個、または3個以上の作用基を含んでいてもよく、各作用基は同一または互いに異なっていてもよいが、これらに限定されない。
【0213】
具体的には、前記リンカーは、下記化学式(2)で表されるポリエチレングリコール(PEG)であってもよいが、これに限定されるものではない:
【0214】
【0215】
ここで、n=10~2400、n=10~480、又はn=50~250であるが、これに限定されない。
【0216】
前記持続型結合体においてPEG部分は、-(CH2CH2O)n-構造だけでなく、連結要素とこの-(CH2CH2O)n-との間に介在する酸素原子も含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0217】
一つの具体例として、前記エチレングリコール繰り返し単位は、その例として、[OCH2CH2]nで表されることができ、n値は自然数で前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が0超~約100kDaになるように定められるが、これに制限されない。もう一つの例として、前記n値は自然数で、前記ペプチド結合体内の[OCH2CH2]n部位の平均分子量、例えば、数平均分子量が約1~約100kDa、約1~約80kDa、約1~約50kDa、約1~約30kDa、約1~約25kDa、約1~約20kDa、約1~約15kDa、約1~約13kDa、約1~約11kDa、約1~約10kDa、約1~約8kDa、約1~約5kDa、約1~約3.4kDa、約3~約30kDa、約3~約27kDa、約3~約25kDa、約3~約22kDa、約3~約20kDa、約3~約18kDa、約3~約16kDa、約3~約15kDa、約3~約13kDa、約3~約11kDa、約3~約10kDa、約3~約8kDa、約3~約5kDa、約3~約3.4kDa、約8~約30kDa、約8~約27kDa、約8~約25kDa、約8~約22kDa、約8~約20kDa、約8~約18kDa、約8~約16kDa、約8~約15kDa、約8~約13kDa、約8~約11kDa、約8~約10kDa、約9~約15kDa、約9~約14kDa、約9~約13kDa、約9~約12kDa、約9~約11kDa、約9.5~約10.5kDa、または約10kDaであってもよいが、これに制限されない。
【0218】
また、一つの具体的な実施形態において前記結合体は、三重活性体(X)と免疫グロブリンFc領域(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカー(L)を介して共有結合で連結された構造であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0219】
また、一つの具体的な実施形態において前記持続型結合体は、本発明のペプチド(X)と免疫グロブリンFc領域(F)がエチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカー(L)を介して共有結合で連結された構造であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0220】
他の一つの具体的な実施形態において、前記持続型結合体において、前記Lは、エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーであり、Fは二量体形態の免疫グロブリンFc領域であってもよい。より具体的には、前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域中の一つのFc領域にXの一分子が前記エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーを介して互いに共有結合的に連結されたものであってもよいが、これに制限されない。また、他の具体的な実施形態では、前記エチレングリコール繰り返し単位を含有するリンカーの一方の末端が前記二量体形態の免疫グロブリンFc領域の2つのFc領域鎖中の一つのFc領域鎖にのみ連結されていてもよいが、これに制限されない。
【0221】
本発明で用いられる非ペプチド性リンカーは、生体内のタンパク質分解酵素に抵抗性のある重合体であれば、制限なく用いられるが、具体的には非ペプチド性重合体の分子量は0超200kDaの範囲、具体的には約1~100kDaの範囲、より具体的には約1~50kDaの範囲、より具体的には約1~20kDaの範囲、より具体的に約3.4kDa~10kDaの範囲、より具体的に約3.4kDaであってもよいが、これに制限されない。
【0222】
本発明において用語、「約」は、±0.5 ±0.4、±0.3 ±0.2、±0.1などをいずれも含む範囲であり、約という用語の後に出る数値と同等または類似の範囲の数値をいずれも含むが、これに制限されない。
【0223】
具体的には、前記非ペプチド性リンカーは、F及びXと結合していない状態で両末端に反応基を有し、前記反応基を通じてF及びXと結合するものであってもよい。
【0224】
一つの具体例として、前記リンカーの両末端は、免疫グロブリンFc領域のチオール基、アミノ基、ヒドロキシル基及びペプチド(X)のチオール基、アミノ基、アジド基、ヒドロキシル基に結合できるが、これに制限されない。
【0225】
具体的には、前記リンカーは、両末端にそれぞれ免疫グロブリンFc領域及びペプチド(X)と結合され得る反応基、具体的には免疫グロブリンFc領域のシステインのチオール基;N末端、リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンに位置するアミノ基;及び/又はC末端に位置するヒドロキシル基と結合し、ペプチド(X)のシステインのチオール基;リシン、アルギニン、グルタミン及び/又はヒスチジンのアミノ基;アジドリシンのアジド基;及び/又はヒドロキシル基と結合され得る反応基を含んでもよいが、これに制限されない。
【0226】
より具体的には、前記リンカーの反応基は、アルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0227】
上記において、アルデヒド基としてプロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基を例として挙げることができるが、これに限定されない。
【0228】
上記において、スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジル吉草酸、スクシンイミジルメチルブタノエート、スクシンイミジルメチルプロピオン酸、スクシンイミジルブタノエート、スクシンイミジルプロピオネート、N-ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチルまたはスクシンイミジルカーボネートが利用されてもよいが、これらに限定されない。
【0229】
前記リンカーは、前記のような反応基を通じて免疫グロブリンFc領域であるF及びペプチド(三重活性体)であるXに連結され、リンカー連結部に転換されてもよい。
【0230】
また、アルデヒド結合による還元性アルキル化により生成された最終生成物は、アミド結合により連結されたものより遥かに安定している。アルデヒド反応基は、低pHでN末端に選択的に反応し、高pH、例えば、pH9.0の条件下ではリシン残基と共有結合を形成することができる。
【0231】
また、前記非ペプチド性リンカーの両末端の反応基は、互いに同一または異なっていてもよく、例えば、両末端にアルデヒド基を有したり、または、一方の末端にはマレイミド基を、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、またはブチルアルデヒド基を有してもよい。しかしながら、非ペプチド性リンカーの各末端に、F、具体的には免疫グロブリンFc領域とXを結合されるのであれば、特にこれに限定されない。
【0232】
例えば、前記非ペプチド性リンカーの一方の末端には、反応基としてマレイミド基を含み、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基などを含むことができる。
【0233】
両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性ポリマーとして用いる場合には、公知の化学反応により前記ヒドロキシ基を前記多様な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な変形した反応基を有するポリエチレングリコールを用いて本発明の持続型タンパク質結合体を製造することができる。
【0234】
一つの具体的な実施形態において、前記非ペプチドポリマーは、Xのシステイン残基、より具体的には、システインの-SH基に連結されていてもよいが、これらに限定されない。
【0235】
例えば、前記Xに該当するペプチドにおいて10番のシステイン残基、24番のシステイン残基、または40番のシステイン残基に前記非ペプチド性重合体が連結されたものであってもよいが、特にこれに制限されない。具体的には、前記システイン残基の-SH基に非ペプチド性重合体の反応基が連結されてもよく、反応基については前述した内容がいずれも適用される。
【0236】
具体的には、上記システイン残基の-SH基に非ペプチド性ポリマーの反応基が連結されてもよく、反応基に対しては前述の内容が全て適用される。もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを使用する場合、マレイミド基は、Xの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基はF、具体的には免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アミノ化反応を通じて連結することができるが、これに限定されず、これは一例に該当する。
【0237】
他の具体的な実施形態において前記非ペプチド性重合体は、Xのリシン残基、より具体的には、リシンのアミノ基に連結されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0238】
また、前記結合体において、非ペプチド性ポリマーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置した-NH2に連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0239】
もし、マレイミド-PEG-アルデヒドを用いる場合、マレイミド基はペプチドの-SH基とチオエーテル(thioether)結合で連結し、アルデヒド基は免疫グロブリンFcの-NH2基と還元的アルキル化反応を通じて連結できるが、これに制限されず、これは一例に該当する。
【0240】
このような還元的アルキル化を通じてPEGの一方の末端に位置する酸素原子に免疫グロブリンFc領域のN末端アミノ基が-CH2CH2CH2-の構造を有するリンカー作用基を通じて互いに連結され、-PEG-O-CH2CH2CH2NH-免疫グロブリンFcのような構造を形成でき、チオエーテル結合を通じてPEGの一方の末端がペプチドのシステインに位置する硫黄原子に連結された構造を形成できる。上述したチオエーテル結合は
の構造を含んでもよい。
【0241】
しかし、上述した例に特に制限されるものではなく、これは一例に該当する。
【0242】
また、前記結合体において、リンカーの反応基が免疫グロブリンFc領域のN末端に位置する-NH2と連結されたものであってもよいが、これは一例に該当する。
【0243】
また、前記結合体において、本発明によるペプチドは、反応基を有するリンカーとC末端を通じて連結されてもよいが、これは一例に該当する。
【0244】
本発明において「C末端」は、ペプチドのカルボキシ末端を意味することであり、本発明の目的上、リンカーと結合できる位置をいう。その例として、これに制限されないが、C末端の最末端アミノ酸残基だけでなく、C末端周囲のアミノ酸残基をいずれも含み、具体的には、最末端から1~20番目のアミノ酸残基を含んでもよいが、これに制限されない。
【0245】
また、上述した結合体は、効果の持続性がFが修飾されていないXに比べて増加したものであってもよく、このような結合体は上述した形態だけでなく、生分解性ナノパーティクルに封入された形態などをすべて含む。
【0246】
一方、上述した三重活性体及びその持続型結合体と関連し、国際公開特許WO2017/116204及びWO2017/116205の全文が本明細書の参考資料として含まれる。
【0247】
本発明を具現するためのもう一つの様態は、前記ペプチド(三重活性体)または結合体をコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び前記ポリヌクレオチドまたは組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供する。
【0248】
前記ペプチド及び結合体については、前述した通りである。
【0249】
また、前記ペプチドまたは結合体をコードする分離されたポリヌクレオチドは、当該配列と75%以上、具体的には85%以上、より具体的には90%以上、より具体的には95%以上の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を本発明の範疇に含む。
【0250】
本発明において用語「組換えベクター」とは、適した宿主内で目的ペプチド、例えば、ペプチドを発現させるように目的ペプチド、例えば、ペプチドが適した調節配列に作動可能に連結されたDNA製造物を意味する。
【0251】
前記調節配列は、転写を開示できるプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレータ配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列を含む。組換えベクターは適当な宿主細胞内に形質転換された後、宿主ゲノムと関係なく複製または機能でき、ゲノムそのものに統合されてもよい。
【0252】
本発明で用いられる組換えベクターは、宿主細胞内で複製可能であれば、特に限定されず、当業界に知られた任意のベクターを用いて製作されてもよい。通常用いられるベクターの例としては、天然状態であるか、組み換えられた状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。本発明で使用可能なベクターは、特に制限されるものではなく、公知となった発現ベクターを用いることができる。
【0253】
前記組換えベクターは、本発明のペプチドまたは結合体を生産するために宿主細胞を形質転換させるのに用いられる。また、本発明の一部である、このような形質転換細胞は、本発明の核酸断片及びベクターの増殖に用いられたり、本発明のペプチドまたは結合体の組換え生産に用いられた培養された細胞または細胞株であってもよい。
【0254】
本発明において用語「形質転換」とは、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターを宿主細胞内に導入し、宿主細胞内において前記ポリヌクレオチドがコードするタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドが宿主細胞内で発現され得るならば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置したり染色体外に位置したりに関係なくこれらをいずれも含む。
【0255】
また、前記ポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするDNA及びRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現され得るならば、如何なる形態で導入されても関係ない。例えば、前記ポリヌクレオチドは、独自に発現されるのに必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入されてもよい。前記発現カセットは、通常、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結信号、リボソーム結合部位及び翻訳終結信号を含み得る。前記発現カセットは、自体複製が可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞で発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであってもよく、これに限定されない。
【0256】
また、前記において用語「作動可能に連結」されたとは、本発明で目的とするペプチドまたは結合体をコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介させるプロモーター配列と前記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0257】
本発明に適した宿主は、本発明のポリヌクレオチドを発現させる限り特に制限されない。本発明に用いられる宿主の特定の例としては、大腸菌(E. coli)のようなエシェリキア(Escherichia)属細菌;バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)のようなバチルス(Bacillus)属細菌;シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)のようなシュードモナス(Pseudomonas)属細菌;ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)のような酵母;スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9)のような昆虫細胞;及びCHO、COS、BSCなどのような動物細胞がある。
【0258】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチドまたは結合体を製造する方法を提供する。
【0259】
前記ペプチド及び結合体については、前述した通りである。
【0260】
本発明のペプチドは、その長さに応じて、この分野において周知の方法、例えば、自動ペプチド合成機により合成することができ、遺伝子操作技術により生産することもできる。
【0261】
具体的には、本発明のペプチドは、標準合成方法、組換え発現システム、または任意の異なる当該分野の方法により製造されてもよい。したがって、本発明によるペプチドは、例えば、以下を含む方法を含む多数の方法で合成することができる:
【0262】
(a)ペプチドを固相または液相法の手段で段階的または断片組立により合成し、最終ペプチド生成物を分離及び精製する方法;または
(b)ペプチドをコードする核酸作製物を宿主細胞内で発現させ、発現生成物を宿主細胞培養物から回収する方法;または
(c)ペプチドをコードする核酸作製物の無細胞試験管内の発現を行い、発現生成物を回収する方法;または
(a)、(b)及び(c)の任意の組合せによりペプチドの断片を得、続いて、断片を連結させてペプチドを得、当該ペプチドを回収する方法。
【0263】
より具体的な例として、遺伝子操作を通じて、融合パートナー及びペプチドを含む融合タンパク質をコードする融合遺伝子を製造し、これを宿主細胞に形質転換させた後、融合タンパク質形態で発現し、タンパク質分解酵素または化合物を用いて融合タンパク質からペプチドを切断、分離して所望のペプチドを生産できる。そのために、例えば、Factor Xaやエンテロキナーゼのようなタンパク質分解酵素CNBrまたはヒドロキシルアミンのような化合物により切断され得るアミノ酸残基をコードするDNA配列を融合パートナーとペプチドをコードするポリヌクレオチドとの間に挿入できる。
【0264】
本発明の結合体は、前記ペプチドをリンカー及び生体適合性物質と同時または順に反応させて連結させることにより製造できる。前記ペプチド及び生体適合性物質がリンカーを介して連結された結合体の形態を最終産物とする限り、連結の順序や方法、反応条件などは特に制限されない。
【0265】
本発明の具現する他の様態は、前記ペプチドまたは結合体を含む組成物を提供する。
【0266】
前記ペプチド及び結合体については、前述した通りである。
【0267】
前記ペプチドまたは持続型結合体を含む本発明の組成物は、メタボリックシンドロームの予防または治療用組成物、具体的には、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物であってもよい。一例として、薬学的に許容される賦形剤;及び前記ペプチドまたは持続型結合体を薬理学的有効量で含むメタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物であってもよいが、これに制限されない。
【0268】
本発明において、「薬理学的有効量」とは、前記ペプチドまたはその結合体がメタボリックシンドロームの予防または治療効果を奏しながらも患者に毒性や副作用を示さない安全な投与用量を意味し、具体的には、GLP-1受容体、グルカゴン受容体、及びGIP受容体に有意な活性を示す投与用量を意味するが、これに制限されない。
【0269】
本発明を具現する具体的な様態は、配列番号1~12からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むペプチドまたはその持続型結合体を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療用薬学的組成物であってもよいが、これに制限されない。
【0270】
前記「ペプチド」、及び「結合体」は、前述した通りである。
【0271】
本発明において用語「予防」とは、前記ペプチド、結合体またはこれを含む組成物の投与でメタボリックシンドロームの発病を抑制または遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、前記ペプチド、結合体またはこれを含む組成物の投与でメタボリックシンドロームの症状が好転したり有益になる全ての行為を意味する。
【0272】
本発明において用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、前記組成物の投与経路は、特にこれに制限されないが、前記組成物が生体内の標的に到達できる任意の一般的な経路を通じて投与され、例えば、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、血内投与、経口投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、又は直腸内投与などが挙げられる。
【0273】
本発明において用語「メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)」とは、慢性的な代謝障害により生じる多様な疾患が単独または複合的に生じる症状をいい、特に、メタボリックシンドロームに該当する疾患としては、耐糖能障害、高コレステロール血症、脂質異常症(dyslipidemia)、肥満、糖尿、高血圧、脂質異常症による動脈硬化、粥状動脈硬化症、動脈硬化症及び冠状動脈心疾患(冠動脈性心臓病)などがあるが、これに制限されない。
【0274】
本発明において用語「肥満」とは、体内に脂肪組織が過多な状態であり、身体肥満指数(体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値)が25以上であれば、肥満と定義される。肥満は、長い期間にわたりエネルギー消費量に比べて栄養素を過多に摂取する場合、エネルギー不均衡により誘発されることが普通である。肥満は、身体全体に影響を及ぼす代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症にかかる可能性が高くなり、性機能障害、関節炎、心血管系疾患の発病リスクが高くなり、一部の場合、癌の発生とも関連がある。
【0275】
本発明において用語「糖尿病」は、インスリンの分泌量が不十分であるか、正常な機能がなされないなどの代謝疾患の一種であり、血中ブドウ糖の濃度が高くなる高血糖を特徴とし、高血糖により種々の症状及び兆候を引き起こし、小便でブドウ糖を排出するようになる疾病の意味する。本発明の糖尿病は第1型糖尿、第2型糖尿だけでなく、肥満性糖尿病、糖尿合併症などをいずれも含み得る。
【0276】
本発明において用語「肥満性糖尿病」とは、糖尿の原因となる肥満症状を伴う糖尿病、特に、II型糖尿や、一般に、II型糖尿患者に伴う肥満症状を意味する。II型糖尿患者の約80~90%は肥満症状を伴い、このような患者らは、インスリン抵抗性を特徴とする。適切な運動と食事療法、そして薬物療法で肥満性糖尿の予防及び症状を軽減できる。本発明において前記肥満性糖尿病は肥満から発生するものであってもよい。
【0277】
本発明において用語「糖尿合併症」とは、長い期間高血糖の状態が維持されながら身体で伴う種々の病的症状を意味することであり、例えば、網膜病症、腎機能障害、神経病症、血管障害による脳卒中、腎臓、心臓疾患や糖尿性足部潰瘍、そして心血管系疾患であるが、これに限定されるものではない。高血糖の状態が長い期間維持されれば、前記網膜病症、腎機能障害、神経病症、血管障害による脳卒中、腎臓、心臓疾患や糖尿性足部潰瘍、そして心血管系疾患の危険が高くなるため、このような合併症を予防するためには、効果的な血糖管理が必須である。
【0278】
本発明において用語「脂質異常血症(dyslipidemia)」とは、コレステロールと中性脂肪の数値が正常範囲から外れている状態を意味し、具体的には、血中に総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪が増加した状態であるか、HDLコレステロールが減少した状態を意味し得る。
【0279】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含み得る。このような薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤は、非自然発生のものであってもよい。
【0280】
本発明において用語「薬学的に許容可能な」とは、治療効果を示すことができる程度の十分な量と副作用を引き起こさないことを意味し、疾患の種類、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与経路、投与方法、投与回数、治療期間、配合または同時用いられる薬物など、医学分野によく知られている要素に応じて当業者により容易に決定され得る。
【0281】
本発明の三重活性体を含む薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含んでもよい。上記担体は、特にこれに制限されないが、経口投与時には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。
【0282】
本発明の組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容可能な担体と混合して多様に製造され得る。例えば、経口投与時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリクサー、サスペンション、シロップ、ウエハなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプルまたは多数回投薬形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などに剤形化することができる。
【0283】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシア、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレートまたは鉱物油などが用いられる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0284】
また、本発明の薬学的組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤、滅菌された水溶液、非水性溶剤、凍結乾燥製剤及び坐剤からなる群から選択されるいずれか一つの剤形を有することができる。
【0285】
また、上記組成物は、薬学的分野において通常の方法により患者の身体内投与に適した単位投与型の製剤、具体的には、タンパク質医薬品の投与に有用な製剤形態に剤形化させて当業界において通常に用いる投与方法を用いて経口、または皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、髄膜腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹内、鼻腔内、消化管内、局所、舌下、膣内または直腸経路を含む非経口投与経路により投与されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0286】
また、上記前記三重活性体またはその結合体は、生理食塩水または有機溶媒のように薬剤として許容された種々の担体(carrier)と混合して用いられ、安定性や吸収性を増加させるために、グルコース、スクロースまたはデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸(ascorbic acid)またはグルタチオンのような抗酸化剤(antioxidants)、キレート剤、低分子タンパク質または他の安定化剤(stabilizers)などが薬剤として用いられる。
【0287】
本発明の薬学的組成物の投与量と回数は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重及び疾患の重症度等の種々の関連因子と共に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。
【0288】
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与され、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含量を異にすることができる。具体的には、本発明の結合体の好ましい全体用量は、1日に患者体重11kg当たり約0.0001mg~500mgであってもよい。しかし、上記の結合体の用量は、薬学的組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食物及び排泄率等、多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるため、このような点を考慮すると、当分野の通常の知識を有する者であれば、上記本発明の組成物の特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定し得るものである。本発明による薬学的組成物は、本発明の効果を奏する限り、その剤形、投与経路及び投与方法に特に制限されない。
【0289】
本発明の薬学的組成物は、生体内持続性及び力価に優れ、本発明の薬学的製剤の投与回数及び頻度を顕著に減少させることができる。
【0290】
具体的には、本発明の三重活性体、その持続型結合体、またはこれを含む組成物は、1週に1回、2週に1回、4週に1回、または1カ月に1回投与されてもよいが、これに制限されない。
【0291】
本発明を具現するもう一つの様態は、前記ペプチド、またはペプチドの結合体、またはこれを含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む、メタボリックシンドロームの予防または治療方法を提供する。
【0292】
前記ペプチドまたはこれを含む組成物、メタボリックシンドローム、予防及び投与については、前述した通りである。
【0293】
本発明において前記個体は、メタボリックシンドロームが疑われる個体であり、前記メタボリックシンドローム疑いのある個体は、メタボリックシンドロームが発生しているか、発生し得るヒトを含むラット、家畜などを含む哺乳動物を意味するが、本発明のペプチド、結合体あるいはこれを含む前記組成物で治療可能な個体は制限なく含まれる。
【0294】
本発明の方法は、前記ペプチドを含む薬学的組成物を薬学的有効量で投与することを含んでもよい。適した総1日使用量は、正しい医学的判断の範囲内で処置医により決定され、1回又は数回に分けて投与できる。しかし、本発明の目的上、特定患者に関する具体的な治療的有効量は達成しようとする反応の種類と程度、場合によって異なる製剤が用いられるかどうかをはじめとする具体的組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共に用いられたり同時に用いられる薬物をはじめとする多様な因子と医薬分野によく知られている類似因子により異なって適用することが好ましい。
【0295】
具体的には、本発明の三重活性体、その持続型結合体、またはこれを含む組成物は1週に1回、2週に1回、4週に1回、または1カ月に1回投与され得るが、これに制限されない。
【0296】
本発明を具現するもう一つの様態は、メタボリックシンドロームの予防または治療のための前記ペプチド、またはペプチドの結合体、またはこれを含む組成物の用途である。
【0297】
本発明を具現するもう一つの様態は、メタボリックシンドロームの予防または治療のための薬剤の製造において、前記ペプチド、またはペプチドの結合体、またはこれを含む組成物の用途である。
【0298】
前記ペプチド、またはペプチドの結合体、またはこれを含む組成物、メタボリックシンドロームの予防及び治療については、前述した通りである。
【0299】
以下、下記実施例で本発明をより詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【0300】
実施例1:三重活性体の製造
GLP-1、GIP及びグルカゴン受容体に対して全て活性を示す三重活性体を製造し、下記表1にその配列を示した。
【0301】
【表1】
【0302】
前記表1に記載された配列においてXで表記されたアミノ酸は、非天然型アミノ酸であるAib(aminoisobutyric acid)であり、下線及びボールドで表されたアミノ酸は、下線及びボールドで表されたアミノ酸が互いに環を形成することを意味する。一方、前記ペプチドは、合成器を用いた固体相ペプチド合成法で製造し、C末端のアミド化した三重活性体の場合には、合成器を用いた固体相ペプチド合成法で製造時に、C末端のアミド化のためにアミドレジンを用いた。
【0303】
実施例2:三重活性体の持続型結合体の製造
(1)三重活性体の持続型結合体の製造例1
両末端にそれぞれマレイミド基及びアルデヒド基を有する10kDaのPEG、即ち、マレイミド-PEG-アルデヒド(10kDa、NOF、日本)を実施例1の三重活性体のシステイン残基にペギル化させるために、三重活性体とマレイミド-PEG-アルデヒドのモル比を1:1~3、タンパク質の濃度を1~5mg/mlとして低温で0.5~3時間反応させた。この時、反応は50mM Tris緩衝液(pH7.5)に20~60%イソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をSPセファロースHP(GE healthcare、米国)に適用してシステインにモノペギル化された三重活性体を精製した。
【0304】
次に、前記精製されたモノペギル化された三重活性体と免疫グロブリンFc領域をモル比を1:1~5、タンパク質の濃度を10~50mg/mlとして4~8℃で12~18時間反応させた。反応は100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)に還元剤である10~50mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウムと10~30%のイソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をブチルセファロースFF精製カラム(GE healthcare、米国)とSource ISO精製カラム(GE healthcare、米国)に適用し、三重活性体と免疫グロブリンFc領域を含む結合体を精製した。
【0305】
前記免疫グロブリン領域は、配列番号33のアミノ酸配列(221個のアミノ酸で構成される)を有する単量体2個が各単量体の3番アミノ酸であるシステイン間にジスルフィド結合を通じてホモ二量体を形成し、前記ホモ二量体の単量体は、それぞれ独立に35番及び95番のシステイン間の内部のジスルフィド結合及び141番及び199番のシステイン間の内部のジスルフィド結合が形成されたものである。
【0306】
製造後の逆相クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ及びイオン交換クロマトグラフィで分析した純度は95%以上であった。
【0307】
(2)三重活性体の持続型結合体の製造例2
3.4kDaまたは10kDa ALD(2)PEG(両末端の水素がプロピルアルデヒド基で改質されたポリエチレングリコール、日本NOF社)を前記実施例1で製造した三重活性体のリシン残基またはN末端にペギル化させるために三重活性体とPEGのモル比を1:5~1:20、ペプチド濃度を5~10mg/mlとして2~8℃で4~16時間反応させた。この時、反応は20mMヘペス(HEPES)pH7.5とエタノールで行われ、還元剤である20mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加して反応させた。反応液は、クエン酸ナトリウムpH2.0、エタノールが含まれた緩衝溶液と塩化カリウム濃度勾配を用いたSource 15S(GE、米国)カラムを用いてモノペギル化された三重活性体を精製した。
【0308】
前記精製されたモノペギル化された三重活性体と免疫グロブリンFc領域の結合体を前記製造例1と同様な反応及び精製条件に応じて製造及び精製した。
【0309】
実施例3:三重活性体のin vitro活性の測定
前記実施例1で製造された三重活性体の活性を測定するために、GLP-1受容体、グルカゴン(GCG)受容体、及びGIP受容体がそれぞれ形質転換された細胞株を用いてin vitroで細胞活性を測定する方法を用いた。
【0310】
前記各細胞株は、CHO(chinese hamster ovary)にヒトGLP-1受容体、ヒトグルカゴン受容体及びヒトGIP受容体遺伝子をそれぞれ発現するように形質転換されたものであり、GLP-1、グルカゴン及びGIPの活性を測定するのに適している。従って、それぞれの受容体に対する活性を各受容体を有するように形質転換された細胞株を用いて測定した。
【0311】
前記実施例1で製造された三重活性体のGLP-1、グルカゴン及びGIP活性測定のために、ヒトGLP-1、グルカゴンGIP及び前記実施例1で製造された三重活性体を50nMから4倍ずつ0.000048nMまで連続的に希釈した。前記ヒトGLP-1、グルカゴン及びGIP受容体が発現されたCHO細胞をそれぞれ24時間384ウェルプレートに培養後に培養液を除去し、連続的に希釈された各物質を5μlずつ前記プレートに添加した後、cAMP抗体が含まれた緩衝液を5μlずつ追加した後、15分間常温で培養した。その後、細胞溶解緩衝液(cell lysis buffer)が含まれたdetection mixを10μlずつ加えて細胞を溶解させ、90分間常温で反応させた。前記反応が完了した細胞溶解物をLANCE cAMP kit(PerkinElmer,USA)に適用して蓄積されたcAMPを通じてEC50値を算出した後、相互比較した。その結果、ヒトGLP-1、グルカゴン及びGIP比相対活性は、下記表2に示した。下記表2で活性を確認した配列番号1~12の三重活性体ペプチドは、C末端がアミド化した三重活性体である。
【0312】
【表2】
【0313】
前記で製造したペプチドは、GLP-1受容体、GIP受容体及びグルカゴン受容体の全てを活性化させる三重活性体としての機能を有する。前記のような実験結果は、本発明の三重活性体は、グルカゴン、GLP-1、及びGIP受容体の全てに対して活性を有する三重活性体として作用し、メタボリックシンドロームの治療剤の可能性を有することを示唆する。
【0314】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【配列表】
2024500605000001.app
【国際調査報告】