(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】カンナビノイドの抽出および精製
(51)【国際特許分類】
C07C 37/50 20060101AFI20231227BHJP
C07C 39/23 20060101ALI20231227BHJP
C07C 37/84 20060101ALN20231227BHJP
C07C 39/19 20060101ALN20231227BHJP
C07C 37/72 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
C07C37/50
C07C39/23
C07C37/84
C07C39/19
C07C37/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527965
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2021064171
(87)【国際公開番号】W WO2022140197
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523165215
【氏名又は名称】エム-フォー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ザカリー
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB21
4H006AC26
4H006AD15
4H006AD16
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC16
4H006BD32
4H006BD51
4H006BE10
4H006FC52
4H006FC76
4H006FE13
4H006FG22
(57)【要約】
【要約】
植物物質からカンナビノイドを製造するための向上された方法は、以下の段階を利用する。植物物質は、水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を本質的に含有しないアルカリ性水溶液と接触され、それにより、カルボン酸および塩を含むカンナビノイドを抽出し、アルカリ抽出物を生成する。不溶性植物物質はアルカリ抽出物から除去されて、清澄化アルカリ抽出物が生成される。抽出されたカンナビノイド塩は、脱炭酸され、脱炭酸カンナビノイドは、7より高いpHで清澄化アルカリ抽出物から結晶化/析出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイドカルボン酸含有物質からカンナビノイドを製造するための方法であって、
前記カンナビノイドカルボン酸含有物質を、水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を本質的に含有しないアルカリ性水溶液と接触させ、それにより、前記カンナビノイドカルボン酸含有物質からカルボン酸塩を含むカンナビノイドを抽出してアルカリ抽出物を生成する段階;
前記アルカリ抽出物から不溶性物質を除去して清澄化アルカリ抽出物を生成する段階;および
7より高いpHで、抽出されたカンナビノイド塩を脱炭酸し、前記清澄化アルカリ抽出物から脱炭酸カンナビノイドを結晶化/析出させる段階
を備える方法。
【請求項2】
前記カンナビノイドカルボン酸含有物質は植物物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物物質は、前記植物物質を、水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を本質的に含有しないアルカリ性水溶液と接触させる前記段階に先立って乾燥されない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カンナビノイドカルボン酸含有物質は、ヘンプを含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記水酸化物塩基は、NaOH、KOH、NH
4OH、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水酸化物塩基はNaOHを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ抽出物から不溶性物質を除去する前記段階は、遠心分離、ろ過、または遠心分離およびろ過の組み合わせを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶解されたカンナビノイド酸塩を脱炭酸し、前記清澄化アルカリ抽出物から脱炭酸カンナビノイドを結晶化/析出させる前記段階は、9より高いpHで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリ性水溶液および前記アルカリ抽出物は、不活性ガスでパージされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記不活性ガスは窒素を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記清澄化アルカリ抽出物は、加熱されて脱炭酸の速度を増大させる、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記清澄化アルカリ抽出物は、加熱されて脱炭酸の速度を増大させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記清澄化アルカリ抽出物は、約35℃から約75℃までの範囲における温度に加熱されて脱炭酸の速度を増大させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
溶解されたカンナビノイド酸塩を脱炭酸し、前記清澄化アルカリ抽出物から脱炭酸カンナビノイドを結晶化/析出させる前記段階は、約12~約13.5のpH範囲で行われる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記清澄化アルカリ抽出物に酸は加えられない、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
結晶化された/析出された前記脱炭酸カンナビノイドをろ過して、85%~100%のカンナビノイドおよび貧水溶液を含有するカンナビノイド生成物を生成する段階をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
アルカリ耐性ナノろ過膜を使用して前記貧水溶液をろ過して、アルカリ性溶液として水酸化物塩基を回収し、回収した前記アルカリ性溶液を、植物物質をアルカリ性水溶液と接触させる前記段階へと再循環させる段階をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
逆浸透によって精製された水で前記カンナビノイド生成物を洗浄する段階をさらに備える、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を本質的に含有しないアルカリ性水溶液は、逆浸透によって精製された水を使用して調製される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照/参照による組み込みの記載]
本出願は、2020年12月23日に出願された米国仮出願第63/130,012号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書によって本明細書に明確に引用される。
【0002】
1.発明概念の分野
本開示は、カンナビノイドの抽出および精製のための方法およびシステムに、より具体的には、カンナビノイドのアルカリ抽出および結晶化のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.先行技術の簡単な説明
ヘンプ植物であるカンナビス・サティヴァからのカンナビノイドの抽出および精製は、米国特許出願US2014/0248379A1およびそれにおける参考文献において記載されている。公報には、カンナビノイド、カンナビノイドカルボン酸、テルペン、クロロフィル、および他の植物由来化合物を抽出するための一次溶媒の使用が記載されている。当該特許において二酸化炭素の使用が一次抽出法である一方で、著者らは炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化溶媒、およびアルコールを含む他の許容される溶媒の使用を略述している。初期抽出物はさらに、減圧蒸留およびクロマトグラフィの使用によって精製される。
【0004】
カンナビジオール(CBD)産業にとってより具体的な重要性があるのは、GW Pharma Limitedへの米国特許出願公報第2016/9474726号である。公報には、二酸化炭素でカンナビス・サティヴァL.を抽出して、カンナビジオール酸(CBDA)に富む抽出物を生成することが記載されている。この抽出物は加熱されて、脱炭酸が誘導され、脱ろうされ、再結晶化されて98%+のCBDを白色固体として与える。
【0005】
両方の場合において、一般に、関与する精製段階の数に起因して労力を要すると見られる、「伝統的な」抽出および事後処理手法が用いられる。米国特許出願US2016/9376367B2は、このプロセスに関して、カンナビス・サティヴァの溶媒抽出物からカンナビノイドカルボン酸塩を生成し、得られる塩を再結晶化させて>90wt.%の塩含有量を実現することによって向上させている。公報には、金属触媒を適用して分離された塩を160℃またはより低い温度に加熱することによって、高純度のカンナビノイドカルボン酸塩から中性カンナビノイドを生成することがさらに記載されている。カルボン酸官能性を使用する方策は、高純度の中性カンナビノイドを生成するのに必要な精製操作の数を大幅に低減する。著者らは、プロセスが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、および他の天然に存在する微量カンナビノイド、およびそれらの同族体に適用されることを特許請求する。精製の簡単さという点で前進を表す一方で、この方法では依然として、初期段階および液液分離プロセスにおいて可燃性または高圧溶媒を使用する必要がある。
【0006】
前述から、カルボン酸官能性の精製の可能性を生かし、危険な溶媒の使用を回避する方法が大変有益であろうということになる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において開示され、特許請求される発明概念は、一般に、カンナビノイドカルボン酸含有物質からカンナビノイドを製造するための方法およびシステムに関する。1つの実施形態において、カンナビノイドカルボン酸含有物質は、水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を本質的に含有しないアルカリ性水溶液と接触される。カンナビノイドは、当該水溶液に抽出されて、アルカリ抽出物、植物物質由来のカルボン酸塩を含むカンナビノイドを生成する。不溶性物質はアルカリ抽出物から除去されて、清澄化アルカリ抽出物が生成される。7より高いpHで、抽出されたカンナビノイド塩は脱炭酸され、脱炭酸カンナビノイドは、清澄化アルカリ抽出物から結晶化されるか、または析出される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本明細書に記載される1または複数の実施態様を図示し、本明細書と共に、これらの実施態様を説明する。図面は、正確な縮尺で描写することを意図しておらず、図の特定の特徴および特定の見方は、明確性および簡潔性のために、縮尺に対して、または概略として、誇張して示され得る。すべての構成要素がすべての図面で表示されているとは限らない。図における同様の参照番号は、同じまたは同様の要素または機能を表し、指し得る。
図面において以下の内容が示されている。
【0009】
【
図1】植物物質からカンナビジオール(CBD)を精製し、濃縮するための伝統的なプロセスのブロック図である。
【0010】
【
図2】米国特許出願公開第2016/9376367号による、植物物質からCBDを精製し、濃縮するための従来技術プロセスのブロック図である。
【0011】
【
図3】米国特許出願公開第2019/0359550号による、植物物質からCBDを精製し、濃縮するための従来技術プロセスのブロック図である。
【0012】
【
図4】植物物質からCBDを精製し、濃縮するための、本願で開示される発明プロセスの実施形態のブロック図である。
【0013】
【
図5】カンナビノイドを脱炭酸し、結晶化する/析出するための一般反応スキームである。
【0014】
【
図6】本願で開示されるプロセスが適用可能である例示的なカンナビノイドを示す。
【0015】
【
図7】実施例4、5、および6において動作されるパイロットプラントのブロック図である。
【0016】
【
図8】実施例において動作されるパイロットプラントのブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願で開示される発明概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本願で開示される発明概念が、その用途において、以下の説明に記載されるまたは図面に示される構成要素もしくは段階の構造および構成または方法論の詳細に限定されないことを理解されたい。本願で開示される発明概念は、他の実施形態、または様々な方法での実践もしくは実行が可能である。また、本明細書で用いられる表現法および用語法は、説明を目的としており、限定的とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0018】
本明細書に別段の定義がない限り、本願で開示される発明概念との関連で使用される専門用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別の意味に解する必要がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0019】
本明細書で開示される物品および/または方法のすべては、本開示に鑑み、過度の実験をせずに製造および実行することができる。本願で開示される発明概念の物品および方法は好ましい実施形態の観点から記載されているが、当業者には、本願で開示される発明概念の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される物品および/または方法および方法の段階または段階の順序に変更を加えてもよいことが明らかであろう。当業者にとって明らかであるこのような同様の代替および修正はすべて、本願で開示される発明概念の精神、範囲、および概念に入ると考えられる。
【0020】
本開示に従って用いられる場合、以下の用語は、別段の記載がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0021】
特許請求の範囲および/または本明細書において「備える(comprising)」という用語と併せて使用される場合の「a」または「an」という単語の使用は、「1」を意味し得るが、「1または複数」、「少なくとも1つ」、および「1または1を超える」の意味とも矛盾しない。特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替案だけを指すこと、または代替案が相互に排他的であることが明示的に示されていない限り、「および/または」を意味するよう使用されるが、本開示は、代替案だけおよび「および/または」を指す定義を支持する。
【0022】
この出願を通して、「約」という用語は、装置、値を決定するために用いられる方法、または、複数の研究対象物間に存在する変動に対する誤差の固有の変動を、ある値が含むことを示すために使用される。例えば、限定としてではないが、「約」という用語が用いられる場合、指定される値は、±12パーセント、または±11パーセント、または±10パーセント、または±9パーセント、または±8パーセント、または±7パーセント、または±6パーセント、または±5パーセント、または±4パーセント、または±3パーセント、または±2パーセント、または±1パーセント変動してもよい。「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびにX、Y、およびZの任意の組み合わせを含むと理解される。序数の用語法(すなわち、「第1の」「第2の」「第3の」「第4の」など)の使用は、2つまたはそれより多くの項目を区別する目的のためだけのものであり、例えば、いかなる順序または順番、またはある項目の別の項目に対する重要度、またはいかなる追加の順番も含意することを意図するものではない。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲において使用される、「備える(comprising)」(および、「comprise」および「comprises」など、comprisingの任意の形態)、「有する(having)」(および「have」および「has」など、havingの任意の形態)、「含む(including)」(および、「includes」および「include」など、includingの任意の形態)、または「含有する(containing)」(および、「contains」および「contain」など、containingの任意の形態)という単語は、包括的または非限定的であり、追加の記載されていない要素または方法の段階を排除しない。
【0024】
本明細書において使用される「またはこれらの組み合わせ(またはそれらの組み合わせ)」という用語は、当該用語に先行する列挙された項目のあらゆる並べ替えおよび組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはこれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、また、特定の文脈において順番が重要であれば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABのうちの少なくとも1つを含むことが意図される。この例を続けると、例えば、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどといった、1または複数の項目または用語の繰り返しを含む組み合わせが明確に含まれる。当業者であれば、別の意味が文脈から明らかでない限り、典型的には、任意の組み合わせにおける項目または用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0025】
本明細書において使用されるように、「実質的に(substantially)」という用語は、続いて説明される事象または状況が完全に発生すること、または続いて説明される事象または状況が大部分またはかなりの程度において発生することを意味する。例えば、特定の事象または状況と関連付けられる場合、「実質的に」という用語は、続いて説明される事象または状況が、少なくとも80%の確率で、または少なくとも85%の確率で、または少なくとも90%の確率で、または少なくとも95%の確率で発生することを意味する。「実質的に隣接する」という用語は、2つの項目が互いに100%隣接していること、または2つの項目が互いに極めて近いが互いに100%隣接してはいないこと、または2つの項目の一方の一部分が他方の項目に100%隣接してはいないが他方の項目に極めて近いことを意味し得る。
【0026】
本明細書において使用される「関連付け」という用語は、2つまたはそれより多くの項目の直接的または間接的な関連を指すと理解される。
【0027】
本願で開示される発明プロセスは、カルボン酸を抽出し、それらをそれらの中性カンナビノイド誘導体に変換するための低コストの代替手段を提供する。プロセスは、可燃性溶媒と関連付けられる安全性への懸念を回避し、必要な精製段階の数を低減する。さらに、伝統的な溶媒抽出前の、カンナビス・サティヴァ物質の乾燥と関連付けられる前処理段階の削減がある。さらに、プロセスは、「有機」認定の達成に対応可能である。
【0028】
図1に大麻の従来の処理の概要が示されており、ここで、植物は機械的に、または手によって採取され、次いで機械的に、または吊り下げおよび空気乾燥によって乾燥される。
図1が一般に従来の処理を示す一方で、異なる処理段階で、広範囲のプロセス変量およびwt.%がある。例えば、溶媒抽出プロセス中の極低温により、脱ろう(植物ワックス、脂肪、および脂質などの除去)の必要を排除し、したがって、脂質抽出を完全に回避し、粗油のために高wt.%のカンナビノイド含有量をもたらすことができる。さらに、蒸留の質は蒸留方法、投入される粗物質のwt.%、および実行される蒸留通過の数に影響を受ける。さらに、結晶化純度は、再結晶が実行される回数によっておおむね決定される。再結晶を少なくとも2回実行しなければ、99%+のCBD含有量を実現することはほぼ不可能である。
【0029】
本願に記載される発明プロセスは、例えば、
図2に概要を示す米国特許出願公開第2016/9376367号などのほとんどの従来技術プロセスによって必要とされるようには、初期抽出のために有機溶媒を使用しない。
図2に示される従来技術プロセスは、初期抽出のために有機溶媒を使用して、「粗」油を形成する。カルボン酸塩は、粗油または抽出物の液液抽出によって、続いて再結晶によって形成される。この従来技術スキームによりカンナビノイドカルボン酸塩は中性カンナビノイドに変換されるが、これはカルボン酸塩の再結晶後に行われ、本発明の場合にそうであるように抽出液から直接ではない。さらに、これらの従来技術プロセスでは、カンナビノイドカルボン酸塩の脱炭酸を誘導するために、160℃に加熱するか、または触媒を使用しなければならない。それに対して、本願に記載される発明方法において、脱炭酸は、60℃で、3時間未満で急速に抽出液から直接行われ、触媒を使用せずに室温にて約5日で行われさえする。
【0030】
植物物質から酸性カンナビノイドを製造するための、向上された従来技術の方法が、米国特許出願公開第2019/0359550号に記載されており、
図3に概要が示されている。植物物質は、水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を含有しないアルカリ性水溶液と接触され、それにより、カルボン酸塩を含むカンナビノイドを抽出してアルカリ抽出物を生成する。不溶性植物物質はアルカリ抽出物から除去されて、清澄化アルカリ抽出物が生成される。抽出されたカンナビノイド酸は、強酸の添加によって析出され、微結晶性粉末として収集される。このプロセスから中性カンナビノイドを得るには、脱炭酸および再結晶が必要である。
【0031】
ここで
図4を見ると、カンナビノイドカルボン酸含有物質からカンナビノイドを製造するための新規の方法10が示されている。1つの実施形態において、カンナビノイドカルボン酸含有物質は、機械的に、または手によって採取された、ヘンプなどの植物物質である。塩基性水抽出段階12において、カンナビノイドカルボン酸含有物質は、水酸化物塩基を含有し、かつ有機溶媒を本質的に含有しないアルカリ性水溶液と接触される。カンナビノイドは、当該水溶液に抽出されてアルカリ抽出物を生成し、カンナビノイドはカンナビノイドカルボン酸含有物質由来のカルボン酸塩を含む。不溶性物質はアルカリ抽出物から、例えば、段階14におけるようにろ過によって除去されて、清澄化アルカリ抽出物が生成される。段階16において、7より高いpHで、抽出されたカンナビノイド酸塩は脱炭酸され、脱炭酸カンナビノイドは、清澄化アルカリ抽出物から結晶化されるか、または析出される。この結晶化/析出段階16は、本明細書において、場合によっては「反応晶析」と呼ばれ、以下で詳細に説明されるように、反応晶析は、カンナビノイドカルボン酸塩の塩基性抽出物から中性カンナビノイドを直接分離するために使用される。次いで、結晶または析出物は、段階18において収集され、乾燥される。
【0032】
典型的に、カンナビノイドカルボン酸含有物質は、ヘンプ品種、または任意の機械的に処理された形態のヘンプなどの植物物質を含む。1つの実施形態において、植物物質は、ハッシュ、キーフ、および乾燥シフトなどを含む。ハッシュおよびキーフは、ばらばらの大麻トリコームの収集物または濃縮物を指し、例えば、メッシュスクリーンまたはふるいを用いて大麻の花または芽をふるうことによって、集めることができる。いくつかの他の大麻濃縮物のように、それが含有するカンナビノイド酸およびカンナビノイドの濃度は、それが由来する大麻の花のそれよりもずっと高い。
【0033】
カンナビノイド酸は、強無機塩基と反応して、水溶性が増大した塩を形成することができる。好適な水酸化物塩基としては、NaOH、KOH、NH4OH、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、水酸化物塩基はNaOHを含む。
【0034】
水酸化物塩基の濃度は大きく変動し得るが、植物からのカンナビノイドの可溶化を確実にするために、pH7より高いpHを実現するのに十分であるべきである。1つの実施形態において、アルカリ性水溶液は、清澄化アルカリ抽出物において約8より高いpHを提供するのに十分なNaOHを含有する。例えば、清澄化アルカリ抽出物のpHは、9またはそれより高く、または約12~約13.5のpH範囲でさえあり得る。
【0035】
一般に、アルカリ性が高いほど、カンナビノイド酸の可溶性は増大し、植物物質からの抽出効率は増大する。1つの実施形態において、植物抽出およびそれに続く脱炭酸および結晶化は、1N NaOHにおいて行われる。
【0036】
抽出プロセスは、撹拌タンク、抽出遠心分離機、または当業者に公知の他の機器において実行することができる。
【0037】
アルカリ性水溶液は、多くの伝統的なプロセスで行われるようには有機溶媒を含有しない。さらに、プロセスは水系であるため、植物の伝統的な機械的または吊り下げ乾燥は最小限にされるか、または完全に回避され得る。
【0038】
不溶性植物物質は、ろ過を用いて、アルカリ抽出物から除去することができる。1つの実施形態において、未溶解の植物物質の大部分は、遠心分離機を使用して、除去され、洗浄される。次いで、遠心分離液は、例えば、研磨フィルタにおいて、清澄化することができる。遠心分離、ろ過、および研磨段階および機器は、当業者によってよく理解されている。1つの実施形態において、初期抽出および洗浄後、二次的な洗浄が用いられる。
【0039】
カンナビノイド酸塩は、可溶性であるが、アルカリ性溶液において安定でない。溶解されたカンナビノイド酸塩の脱炭酸、およびそれに続く脱炭酸カンナビノイドの結晶化/析出は、
図5に示されるとおり、増大する時間および温度で行われる。そうして、このプロセス段階中の時間、温度、および撹拌は、効率、純度の増大、およびコストの減少に関して最適化することができる。アルカリ性水溶液から脱炭酸および結晶化/析出するこの自然の傾向のために、場合によっては、抽出溶液を周囲温度より低く冷却して、抽出段階中に脱炭酸および結晶化/析出が行われ、カンナビノイドが不溶性植物物質廃棄物とともに失われるということがないように保証することが望ましいことも留意されるべきである。
【0040】
研磨された抽出物を加熱する場合、水中油エマルションが形成され得る。油はカンナビノイド生成物を汚染し、操作を困難にする。油は実際、酸化生成物であり、不活性ガスでアルカリ性溶液および抽出物をスパージして酸素を除去して酸化を回避することによって、回避することができることが見出された。好適な不活性ガスの例としては、N2、He、Ar、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、植物物質との接触の前および後にアルカリ性溶液をスパージするために、窒素が使用される。また、それを使用して溶液を動かし、ポンプによって空気が加えられるのを回避することができる。
【0041】
1つの実施形態において、カンナビノイドカルボン酸含有物質またはヘンプは、淡(水道)水を用いて調製されたアルカリ性溶液で抽出され、脱炭酸カンナビノイド結晶/析出物は淡水で洗浄され、次いで乾燥される。別の実施形態において、淡水はさらに逆浸透(RO)によって精製される。逆浸透操作および機器は、当業者によってよく理解されている。下記の表1に示されるとおり、RO水抽出および洗浄を使用すると、生成物の純度が実質的に増大する。水道水抽出および洗浄後の、生成物である脱炭酸カンナビノイド結晶/析出物の化学分析は、RO水抽出および洗浄後の、実施例5の生成物の分析と比較される。
【表1】
【0042】
上述の、RO抽出され、洗浄された生成物は、微生物、マイコトキシン、および残存溶媒に関し、さらに試験された。各分類において何も検出されなかった。
【0043】
脱炭酸カンナビノイドのろ過および洗浄段階からのろ液は、カンナビノイド含有量が実質的に除去されているため、本明細書において貧水溶液とも呼ばれる。貧水溶液はアルカリ耐性ナノろ過膜によってろ過されて、水酸化物塩基を回収することができる。次いで、回収された水酸化物塩基は、植物抽出段階へと再循環され得る。1つの実施形態において、200mwco(分画分子量)ナノろ過膜を使用して、塩基を回収し、例えば、リグニン、ヘミセルロース、およびペクチンなどの望ましくない植物性抽出物を除く。別の実施形態において、水酸化物塩基は、再循環のために、脱炭酸カンナビノイドの結晶化/析出に先立って、清澄化アルカリ抽出物から回収される。
【0044】
発明プロセスを用いて、カンナビノイドカルボン酸前駆体(カンナビス・サティヴァから抽出されたものであっても、または合成調製物であっても)を有する、結晶性の/析出された、任意の中性カンナビノイドを処理することができる。特に重要であるのは、植物物質の処理が、CBGおよび、2020年のヘンプ収穫量に関してCBD/CBDA種以外で最も豊富なカンナビノイド種であるカンナビゲロール酸(CBGA)を含むことである。
図6は、本願で開示されるプロセスを用いて回収可能なカンナビノイドの非限定的な例を示す。
【0045】
そうして、本願で開示される発明プロセスは、好適な溶媒(水道水)において、塩基(有機または無機、好ましくは水酸化ナトリウム)を利用して、かつ得られた水性抽出物において反応晶析/析出プロセスを誘導して、水性抽出物から直接、中性カンナビノイド(>85wt.%)を析出/結晶化させて、カンナビス・サティヴァ植物物質または細胞培養物から、カンナビノイドカルボン酸、および続いて生じるそれらの塩の直接抽出を提供する。プロセスの継続時間および結晶化/析出プロセスから得られた生成物の純度(>85~>98wt.%)は、温度で、および撹拌の速度および仕方によって、制御することができる。さらに、水性媒体で抽出する場合、抽出前に乾燥する伝統的な必要が除去されるため、「湿潤」カンナビス・サティヴァ植物を使用することができる。発明プロセスはまた、苛性適合ナノろ過膜技術を使用して、高pH処理水を回収し、消費されていない水酸化ナトリウム(または他の使用される塩基)をすべて再利用する能力から恩恵を得る。
【0046】
2つの通常抱かれる観念に起因して、本発明の手法が可能であるとカンナビノイド産業では考えられなかった。第1に、塩基性媒体において、カンナビス・サティヴァから、例えば、リグニン、ヘミセルロース、ペクチンなどの植物の細胞壁成分を抽出することは、酸が加えられてカンナビノイドカルボン酸を析出させると、わずらわしい精製の問題を提示すると考えられていた。第2に、カンナビス・サティヴァの塩基性抽出物は酸化されやすく、CBD由来の紫色の酸化生成物、HU-331の仮定された不可逆的形成をもたらすと考えられていた(R.Mechoulam et al.、J.Med.Chem.、2004、47、3800)。驚いたことに、カンナビノイドの結晶化/析出は、塩基性水において他の植物由来成分を依然として可溶状態にしたままにしながら、酸を加えずに、実際に行うことができることが見出された。抽出溶液は、インラインスパージングストーンにより窒素で十分に脱ガスすることによって、結晶化/析出前の明らかな酸化をすべて防止できることがさらに見出された。1つの実施形態において、結晶化/析出前に、抗酸化剤として、最大5%までの亜硫酸ナトリウムを加えることができる。
【0047】
したがって、本発明は、可燃性溶媒と関連付けられる安全性への懸念を回避し、かつ必要な精製段階の数を低減しつつ、カルボン酸を抽出し、それらをそれらの中性カンナビノイド誘導体に変換するための低コストの代替手段を提供する。さらなる利点は、伝統的な溶媒抽出の前のカンナビス・サティヴァ物質の乾燥と関連付けられる前処理段階の必要を低減することからなる。なおもさらなる利点は、コスト、処理段階、および安全性における向上に加えて、「有機」認定の達成に対応可能な手順を確立することからなる。
【0048】
以下の実施例において、具体的な組成物および試験条件が説明される。しかしながら、本発明の概念は、特定の実験、パイロットプラント手順、および結果へのその適用において限定されない。むしろ、実施例は単に様々な実施形態のうちの1つとして提供され、例示的であって、網羅的ではないと意図される。
比較例
【0049】
図7および
図8は、本願で開示されるプロセスを試験するためのパイロット規模のプロセスの概要を示す。
実施例1(不活性ガスパージを用いて)
【0050】
1つの試験において、工業用ヘンプ(CBDawgヘンプ品種のものであるが、任意の品種が可能である)の55.25kgの花頂および葉を6個の100ミクロン(マイクロメートル)遠心分離バッグに充填し、その後、室温にて、50ガロン(189.27リットル)の1N NaOH水溶液で抽出した。各バッグを50ガロン(189.27リットル)遠心分離機(Ace30 Spinner)内で10分間抽出し、次いで、液体を、25ミクロン(マイクロメートル)バッグフィルタに通して、100ガロン(378.54リットル)ステンレス鋼貯蔵タンクにポンプで送った。4インチ(10.16センチメートル)スパージストーンを使用して、ポンプ流出口において、窒素で抽出液を脱ガスした。遠心分離機(1800rpmまで上昇させる)を使用して、抽出したヘンプを脱水し、抽出した物質を除去した。次のバッグを遠心分離機に設置し、6個のバッグすべてに関してプロセスを繰り返した。ヘンプ物質すべてを抽出した後、バルク抽出物を、一連の3カートリッジフィルタ(10ミクロン(マイクロメートル)、5ミクロン(マイクロメートル)、1ミクロン(マイクロメートル))に通して、第2の100ガロン(378.54リットル)ステンレス鋼貯蔵タンクへとろ過した(液体を移すために5psiの窒素を使用して)。
【0051】
この液体(40L、10.57ガロン)の一部を50Lの二重ジャケット付きガラス反応器に移した。反応器のジャケットを43℃に加熱し、溶液を40時間激しく撹拌した。40時間後、カンナビジオール酸(Na+CBDA-)のナトリウム塩すべてを脱炭酸し(抽出物のHPLC-UV-VIS分析に基づいて)、撹拌を停止し、形成された固体を反応器の底部に沈降させた。浸漬管によって30Lの抽出液を除去し、新鮮な逆浸透(RO)水を加えて固体を30分間洗浄した。このプロセスをさらに2回繰り返した。次いで、6インチ(15.24センチメートル)圧力容器において中程度の空孔率の定性ろ紙(Sterlitech)を使用して固体を収集し、RO水でケーキをさらに洗浄した。得られた黄褐色固体を真空オーブンにおいて48時間乾燥し、その後、300gの黄褐色粉末を回収し、黄褐色粉末は、HPLC-UV-VISによって決定して>98wt.%のCBDの純度を有した。出発ヘンプ材料における利用可能なCBDA濃度に基づいて45%の収率を算出した。
実施例2(不活性ガスパージを用いずに)
【0052】
工業用ヘンプ(チェリーワイン品種のものであるが、任意の品種が可能である)の33.2kgの花頂および葉を5個の100ミクロン(マイクロメートル)遠心分離バッグに充填し、その後、室温にて、30ガロン(113.56リットル)の1N NaOH水溶液で抽出した。各バッグを50ガロン(189.27リットル)遠心分離機(Ace30 Spinner)内で10分間抽出し、次いで、液体を、25ミクロン(マイクロメートル)バッグフィルタに通して、100ガロン(378.54リットル)ステンレス鋼貯蔵タンクにポンプで送った。抽出液はどの時点においても脱ガスしなかった。遠心分離機(1800rpmまで上昇させる)を使用して、抽出したヘンプを脱水し、抽出した物質を除去した。次のバッグを遠心分離機に設置し、6個のバッグすべてに関してプロセスを繰り返した。ヘンプ物質すべてを抽出した後、バルク抽出物を、一連の3カートリッジフィルタ(10ミクロン(マイクロメートル)、5ミクロン(マイクロメートル)、1ミクロン(マイクロメートル))に通して、第2の100ガロン(378.54リットル)ステンレス鋼貯蔵タンクへとろ過した(液体を移すために5psiの窒素を使用して)。
【0053】
この液体(40L、10.57ガロン)の一部を50Lの二重ジャケット付きガラス反応器に移した。反応器のジャケットを43℃に加熱し、溶液を40時間激しく撹拌した。40時間後、カンナビジオール酸(Na+CBDA-)のナトリウム塩すべてを脱炭酸し(抽出物のHPLC-UV-VIS分析に基づいて)、撹拌を停止し、形成された固体を反応器の底部に沈降させた。浸漬管によって30Lの抽出液を除去し、新鮮なRO水を加えて固体を30分間洗浄した。このプロセスをさらに2回繰り返した。次いで、ブフナー漏斗において中程度の空孔率の定性ろ紙(Sterlitech)を使用して固体を収集し、RO水でケーキをさらに洗浄した。得られた黄褐色固体を真空オーブンにおいて48時間乾燥し、その後、120gの黄褐色粉末を回収し、黄褐色粉末は、HPLC-UV-VISによって決定して>96wt.%のCBDの純度を有した。出発ヘンプ材料における利用可能なCBDA濃度に基づいて21%の収率を算出した。
実施例3
【0054】
工業用ヘンプ(Oregon CBDのWhite CBG品種のものであるが、任意の品種が可能である)の50.1kgの乾燥させた花頂および葉を100ミクロン(マイクロメートル)遠心分離バッグに充填し、その後、抽出した。室温で各遠心分離バッグを以下のとおり抽出した:タンク1からの50ガロン(189.27リットル)のNaOH溶液(100ガロン(378.54リットル)の水中の5kgのNaOH)を、25ミクロン(マイクロメートル)バッグに通して、ヘンプのバッグを含む遠心分離機へとろ過した。液体をタンク1にポンプで送り返す前に、各バッグを10分間抽出した。4インチ(10.16センチメートル)スパージストーンを使用して、ポンプ流出口において、窒素で抽出液を脱ガスした。タンク2からの50ガロン(189.27リットル)を使用して、同じ方式で第2の洗浄を実行した。遠心分離機(1800rpmまで上昇させる)を使用して、抽出したヘンプを脱水し、抽出した物質を除去した。次のバッグを遠心分離機に設置し、ヘンプがすべて処理されるまで、プロセスを繰り返した。
【0055】
ヘンプ物質すべてを抽出した後、バルク抽出物(全体で100ガロン(378.54リットル))を、一連の3カートリッジフィルタ(10ミクロン(マイクロメートル)、5ミクロン(マイクロメートル)、1ミクロン(マイクロメートル))に通して、100ガロン(378.54リットル)撹拌タンクへとろ過した。浸漬ヒータでタンクを45℃に加熱し、溶液を40時間徐々に撹拌した。40時間後、カンナビゲロール酸(Na+CBGA-)のナトリウム塩すべてを脱炭酸し(抽出物のHPLC-UV-VIS分析に基づいて)、24時間にわたって1℃(ジャケット温度)に溶液を冷却して、形成された固体を、5ミクロン(マイクロメートル)の#2バッグフィルタにおいて収集した。ろ液に着色が観察されなくなるまで、6インチ(15.24センチメートル)ブフナー漏斗において、RO水で得られた固体を洗浄した。次いで、真空オーブンにおいて48時間、43℃で固体を乾燥させ、その後、3.4kgのオフホワイト色粉末を回収し、オフホワイト色粉末は、HPLC-UV-VISによって決定して>98wt.%のCBGの純度を有した。出発ヘンプ材料における利用可能なCBGA濃度に基づいて64%の収率を算出した。
実施例4
【0056】
工業用ヘンプ(CBDawgヘンプ品種のものであるが、任意の品種が可能である)の224kgの乾燥させた花頂および葉を100ミクロン(マイクロメートル)遠心分離バッグに充填し、その後、抽出した。室温で各遠心分離バッグを以下のとおり抽出した:タンク1からの50ガロン(189.27リットル)(250ガロン(946.35リットル)のうち)のNaOH溶液(250ガロン(946.35リットル)の水中の12.5kgのNaOH)を、25ミクロン(マイクロメートル)バッグに通して、ヘンプのバッグを含む遠心分離機へとろ過した。液体をタンク1にポンプで送り返す前に、各バッグを10分間抽出した。4インチ(10.16センチメートル)スパージストーンを使用して、ポンプ流出口で、抽出液を窒素で脱ガスした。タンク2からの50ガロン(189.27リットル)(250ガロン(946.35リットル)のうち)を使用して、同じ方式で第2の洗浄を実行した。遠心分離機(1800rpmまで上昇させる)を使用して、抽出したヘンプを脱水し、抽出した物質を除去した。次のバッグを遠心分離機に設置し、ヘンプがすべて処理されるまで、プロセスを繰り返した。
【0057】
ヘンプ物質すべてを抽出した後、バルク抽出物(全体で500ガロン)を、一連の3カートリッジフィルタ(10ミクロン(マイクロメートル)、5ミクロン(マイクロメートル)、1ミクロン(マイクロメートル))に通して、530ガロン(1892.71リットル)撹拌タンクへとろ過した。浸漬ヒータでタンクを50℃に加熱し、溶液を40時間徐々に撹拌した。40時間後、カンナビジオール酸(Na+CBDA-)のナトリウム塩すべてを脱炭酸し(抽出物のHPLC-UV-VIS分析に基づいて)、24時間にわたって12℃(溶液温度)に溶液を冷却して、形成された固体を、5ミクロン(マイクロメートル)の#2バッグフィルタにおいて収集した。収集された固体を50LのNutscheフィルタに移し、ろ液に色が観察されなくなり、ろ液のpHが6を下回るまで、RO(pH~5.5)でさらに洗浄した。得られた黄褐色固体を、Nutscheフィルタ(70℃のジャケット温度)内で、真空下で48時間乾燥し、その後、3.98kgの黄褐色粉末を回収し、黄褐色粉末は、HPLC-UV-VISによって決定して>95wt.%のCBDの純度を有した。出発ヘンプ材料における利用可能なCBDA濃度に基づいて40%の収率を算出した。
実施例5
【0058】
工業用ヘンプ(CBDawgヘンプ品種のものであるが、任意の品種が可能である)の227kgの乾燥させた花頂および葉を100ミクロン(マイクロメートル)遠心分離バッグに充填し、その後、抽出した。この実験において使用する水すべてをROシステムによって使用前に精製した。室温で各遠心分離バッグを以下のとおり抽出した:タンク1からの50ガロン(189.27リットル)(250ガロン(946.35リットル)のうち)のNaOH溶液(250ガロン(946.35リットル)の水中の12.5kgのNaOH)を、25ミクロン(マイクロメートル)バッグに通して、ヘンプのバッグを含む遠心分離機へとろ過した。液体をタンク1にポンプで送り返す前に、各バッグを10分間抽出した。4インチ(10.16センチメートル)スパージストーンを使用して、ポンプ流出口で、抽出液を窒素で脱ガスした。タンク2からの50ガロン(189.27リットル)(250ガロン(946.35リットル)のうち)を使用して、同じ方式で第2の洗浄を実行した。遠心分離機(1800rpmまで上昇させる)を使用して、抽出したヘンプを脱水し、抽出した物質を除去した。次のバッグを遠心分離機に設置し、ヘンプがすべて処理されるまで、プロセスを繰り返した。
【0059】
ヘンプ物質すべてを抽出した後、バルク抽出物(全体で500ガロン)を、一連の3カートリッジフィルタ(10ミクロン(マイクロメートル)、5ミクロン(マイクロメートル)、1ミクロン(マイクロメートル))に通して、530ガロン(1892.71リットル)撹拌タンクへとろ過した。浸漬ヒータでタンクを50℃に加熱し、溶液を40時間徐々に撹拌した。40時間後、カンナビジオール酸(Na+CBDA-)のナトリウム塩すべてを脱炭酸し(抽出物のHPLC-UV-VIS分析に基づいて)、24時間にわたって12℃(溶液温度)に溶液を冷却して、形成された固体を、5ミクロン(マイクロメートル)の#2バッグフィルタにおいて収集した。収集された固体を50LのNutscheフィルタに移し、ろ液に色が観察されなくなり、ろ液のpHが6を下回るまで、RO(pH~5.5)でさらに洗浄した。得られた黄褐色固体を、Nutscheフィルタ(70℃のジャケット温度)内で、真空下で48時間乾燥し、その後、4.93kgの黄褐色粉末を回収し、黄褐色粉末は、HPLC-UV-VISによって決定して>99.5wt%のCBD(>0.1%のCBDV)の純度を有した。出発ヘンプ材料における利用可能なCBDA濃度に基づいて54%の収率を算出した。
実施例6
【0060】
工業用ヘンプ(混合品種のものであるが、任意の品種が可能である)の320kgの「湿潤」花頂および葉を100ミクロン(マイクロメートル)遠心分離バッグに充填し、その後、抽出した。「湿潤」は、70重量%を超える水分と定義され、野外から直接植物を採取し、それに続く乾燥を全くしないことによって得られる。この場合において、物質を凍結し、抽出まで保管した。室温で各遠心分離バッグを以下のとおり抽出した:タンク1からの50ガロン(189.27リットル)(250ガロン(946.35リットル)のうち)のNaOH溶液(250ガロン(946.35リットル)の水中の9.5kgのNaOH)を25ミクロン(マイクロメートル)バッグに通して、ヘンプのバッグを含む遠心分離機へとろ過した。液体をタンク1にポンプで送り返す前に、各バッグを10分間抽出した。4インチ(10.16センチメートル)スパージストーンを使用して、ポンプ流出口で、抽出液を窒素で脱ガスした。タンク2からの50ガロン(189.27リットル)(250ガロン(946.35リットル)のうち)を使用して、同じ方式で第2の洗浄を実行した。遠心分離機(1800rpmまで上昇させる)を使用して、抽出したヘンプを脱水し、抽出した物質を除去した。次のバッグを遠心分離機に設置し、ヘンプがすべて処理されるまで、プロセスを繰り返した。
【0061】
ヘンプ物質すべてを抽出した後、バルク抽出物(全体で500ガロン)を、一連の3カートリッジフィルタ(10ミクロン(マイクロメートル)、5ミクロン(マイクロメートル)、1ミクロン(マイクロメートル))に通して、530ガロン(1892.71リットル)撹拌タンクへとろ過した。浸漬ヒータでタンクを50℃に加熱し、溶液を40時間徐々に撹拌した。40時間後、カンナビジオール酸(Na+CBDA-)のナトリウム塩すべてを脱炭酸し(抽出物のHPLC-UV-VIS分析に基づいて)、24時間にわたって12℃(溶液温度)に溶液を冷却して、形成された固体を、5ミクロン(マイクロメートル)の#2バッグフィルタにおいて収集した。収集された固体を50LのNutscheフィルタに移し、ろ液に色が観察されなくなり、ろ液のpHが6を下回るまで、RO(pH~5.5)でさらに洗浄した。得られた黄褐色固体を、Nutscheフィルタ(70℃のジャケット温度)内で、真空下で48時間乾燥し、その後、1.14kgの黄褐色粉末を回収し、黄褐色粉末は、HPLC-UV-VISによって決定して>95wt.%のCBDの純度を有した。出発ヘンプ材料における利用可能なCBDA濃度に基づいて20%の収率を算出した。
【0062】
本願で開示される発明概念は、本明細書上記の特定の文言と併せて記載されているが、多くの代替案、修正、および変更が当業者に明らかとなることは明白である。したがって、本願で開示される発明概念の精神および広い範囲に含まれるこのような代替案、修正、および変更のすべてを包含することが意図される。本願で開示される発明概念の精神と範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される様々な構成要素、要素、および組立品の構造および操作において、ならびに本明細書で説明される方法の段階または段階の順序において、変更がなされてもよい。
【国際調査報告】