(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】フラックス制限ポリマー膜
(51)【国際特許分類】
G01N 27/30 20060101AFI20231227BHJP
G01N 27/327 20060101ALI20231227BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20231227BHJP
A61B 5/1486 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G01N27/30 Z
G01N27/327 353J
G01N27/30 B
G01N27/416 338
A61B5/1486
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530722
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2021082059
(87)【国際公開番号】W WO2022106502
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテック、アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY08
4C038KY11
4C038KY13
(57)【要約】
本発明は、概して、検体センサ用のフラックス制限ポリマー膜、およびフラックス制限ポリマー膜を含む検体センサに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの作用電極と、前記少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを備える検体センサであって、前記フラックス制限ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有するポリマーを含む、検体センサ。
【請求項2】
前記ポリマーが統計コポリマーである、請求項1に記載の検体センサ。
【請求項3】
前記ポリマーが、約60kDa~約200kDaの範囲の重量平均分子量を有する、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記フラックス制限ポリマー膜中の前記式(I)のポリマーが架橋剤によって架橋され、前記フラックス制限ポリマー膜中のポリマー対架橋剤の重量比が、好ましくは約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、より好ましくは約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の検体センサ。
【請求項5】
前記架橋剤が、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである、請求項4に記載の検体センサ。
【請求項6】
前記検体センサが、
(i)基板であって、
第1の側面および第2の側面と、
前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの導電性材料と、
を備える基板と、
(ii)検知材料を含む前記作用電極であって、前記作用電極が、前記基板の前記第1の側面を少なくとも部分的に覆い、かつ前記少なくとも1つの導電性材料上に少なくとも部分的に配置される、前記作用電極と、
を備え、
前記検知材料が少なくとも1つの酵素を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の検体センサ。
【請求項7】
前記基板の前記第1の側面に配置された前記少なくとも1つの導電性材料が、金、炭素、炭素ペーストおよびそれらの任意の組み合わせから選択され、ならびに/または
前記検知材料が、酵素グルコースオキシダーゼ(GOx)を含む、請求項6に記載の検体センサ。
【請求項8】
特に前記作用電極と、対/参照複合電極とを含む2電極センサである、請求項1~7のいずれか一項に記載の検体センサ。
【請求項9】
前記フラックス制限ポリマー膜上に配置された少なくとも1つの生体適合性膜を更に含むか、または
前記フラックス制限ポリマー膜上に配置された生体適合性膜を含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載の検体センサ。
【請求項10】
試料中の少なくとも1つの検体を検出するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の検体センサの使用。
【請求項11】
試料中の検体を決定するための方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の検体センサを使用することを含む、方法。
【請求項12】
検体センサにおいて使用するためのポリマー膜であって、前記ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有するポリマーを含む、ポリマー膜。
【請求項13】
液体組成物であって、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)を有するポリマー、
架橋剤、および
溶媒、
を含む液体組成物。
【請求項14】
前記溶媒が、エタノールおよび水、特に約70%~約90%(v/v)のエタノールおよび約10%~約30%(v/v)の水、特に約80%(v/v)のエタノールおよび約20%(v/v)の水を含む、請求項13に記載の液体組成物。
【請求項15】
約100mg/ml~約140mg/mlのポリマーおよび約8mg/ml~約12mg/mlの架橋剤、特に約120mg/mlのポリマーおよび約10mg/mlの架橋剤を含む、請求項13または14に記載の液体組成物。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載の検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程と、
b)前記少なくとも1つの作用電極上にフラックス制限ポリマー膜の層を形成する工程であって、前記フラックス制限ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有するポリマーを含む、工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、検体センサ用のフラックス制限ポリマー膜、およびフラックス制限ポリマー膜を含む検体センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の身体機能のモニタリング、より具体的には特定の検体の1つまたは複数の濃度のモニタリングは、様々な疾患の予防および処置において重要な役割を果たす。
【0003】
体液の試料をユーザから具体的に採取し、検体濃度について調査するいわゆる点測定とともに、連続測定がますます利用可能になってきている。したがって、体液または他の試料からの信頼性が高く費用効率の高い検体検出を可能にする正確な検体センサに対する需要が高まっている。in vivo条件下で検体の濃度を決定するための検体センサは、国際公開第2010/028708号A1から知られている。そのようなセンサの別の例は、国際公開第2012/130841号A1に開示されている。更に、国際公開第2007/147475号A1には、生体内に埋め込み、体液中の検体の濃度を測定するアンペロメトリックセンサが開示されている。代替的なセンサ素子は、国際公開第2014/001382号A1に開示されている。
【0004】
国際公開第03/085372号は、複素環式窒素を含有するポリマーから構成されるバイオセンサ膜に関する。これらのポリマーは、検体センサ用のフラックス(または拡散)制限膜として有用であることが分かっているが、望ましくない長いランイン時間を示すことが多く、および/またはそれらの寿命を通して感度の強い変化を示す。これは、特に使用前に長期間センサを保管する場合に困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、作用電極と、作用電極の上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを備える検体センサであって、上述の欠点を回避する検体センサを提供することである。特に、本発明は、その寿命および/または短いランイン時間にわたって安定性が向上したセンサを提供することを目的とする。
【0006】
したがって、上述の技術的課題に対処するセンサを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
上記の課題は、独立請求項の特徴を有する、作用電極と、作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを含む検体センサによって対処される。単独でまたは任意の組合せで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項および本明細書全体にわたって列挙されている。
【0008】
本発明による検体センサは、十分な感度を維持しながら、その寿命および/または短いランイン時間にわたって改善された安定性を有するため有利である。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを含む検体センサが提供され、フラックス制限ポリマー膜は、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有する、ポリ(ビニルピリジン)系ポリマーを含む。
【0010】
本発明の更なる態様は、検体センサにおいて使用するための、特に検体センサにおいてフラックス制限ポリマー膜として使用するためのポリマー膜であって、上記の式(I)を有するポリマーを含むポリマー膜に関する。
【0011】
本発明のなお更なる態様は、上記の式(I)を有するポリマーと、
架橋剤と、
溶媒と、
を含む、液体組成物に関する。
【0012】
本発明の更に別の態様は、検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および基板の第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程、ならびに
b)少なくとも1つの作用電極上にフラックス制限ポリマー膜の層を形成する工程であって、フラックス制限ポリマー膜が、上記式(I)を有するポリマーを含む工程、
を含む方法に関する。
【0013】
特定の実施形態では、xは約5モル%であり、yは約85モル%であり、zは約10モル%である。
【0014】
定義
以下で使用されるように、「有する(have)」、「含む(comprise)」、もしくは「含む(include)」という用語、またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティに更なる特徴が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、かつ排他的にBからなる状況)と、B以外に、要素C、要素CおよびD、更には更なる要素等、1つまたは複数の更なる要素がエンティティAに存在する状況との両方を指す場合がある。
【0015】
更に、特徴または要素が1回または2回以上存在し得ることを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入するときに1回のみ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在し得るという事実にもかかわらず、繰り返されない。
【0016】
更に、以下において使用される場合、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語により導入される特徴は、任意の特徴であり、特許請求の範囲を、いかなる方法によっても制約することを意図されていない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の任意の特徴または任意ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない任意の特徴であるように意図される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、少なくとも1つの作用電極と、少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを含む検体センサ、検体センサに使用するためのポリマー膜、ポリマー、架橋剤および溶媒を含む液体組成物、ならびに検体センサを製造するための方法に関する。
【0018】
本明細書で使用される「検体センサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つの検体の濃度を検出または測定するように構成された任意の要素または装置を指し得る。検体センサは、具体的には、ユーザの体組織への少なくとも部分的な埋め込みに適した検体センサ、より具体的には、検体の連続的なモニタリングのための検体センサであってもよい。
【0019】
特定の実施形態では、本発明の検体センサは、作用電極と、少なくとも1つの更なる電極およびそれぞれの回路とを含む電気化学センサである。より詳細には、センサは、少なくとも1つの作用電極を備えるアンペロメトリック電気化学センサである。典型的には、検体センサは、少なくとも1つの更なる電極、特に対極および/または参照電極または対/参照複合電極を含む。
【0020】
特定の実施形態では、検体センサは、特に1つの作用電極および1つの対/参照複合電極を含む2電極センサである。
【0021】
本明細書で使用される場合、「作用電極」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、検体に対して感受性である検体センサの電極を指し得る。作用電極は、少なくとも1つの基板の少なくとも1つの第1の側面上に配置されてもよい。特に、作用電極は、少なくとも1つの導電性材料および少なくとも1つの検知材料を含み、当該少なくとも1つの検知材料は、センサ基板の第1の側面上の導電性材料上の塗布領域に塗布される。作用電極は、作用電極と参照電極との間に印加され得、かつポテンショスタットによって調整され得る分極電圧で測定される検体に対して感受性である。測定シグナルは、対極と作用電極との間の電流として提供され得る。別個の対極が存在しなくてもよく、擬似参照電極が存在してもよく、これは対極としても機能し得る。したがって、検体センサは、典型的には、少なくとも2つの電極のセット、一実施形態では3つの電極のセットを含み得る。特に、検知材料は作用電極のみに存在する。
【0022】
検知材料の層は、作用電極上にのみ存在してもよく、典型的には、任意の更なる電極に存在しなくてもよく、例えば、対極および/または参照電極は、検知材料の層を含まなくてもよい。
【0023】
特に、本発明による検体センサは、完全にまたは部分的に埋め込んでもよくしたがって、皮下組織内の体液中、特に間質液中の検体の検出を実施するように適合させ得る。他の部分または構成要素は、身体組織の外側に残っていてもよい。例えば、本明細書で使用される場合、「埋め込み可能」または「皮下」という用語は、ユーザの体組織内に完全にまたは少なくとも部分的に配置されることを指す。この目的のため、検体センサは、挿入可能部分を備えてもよく、「挿入可能部分」という用語は、一般に、任意の身体組織に挿入可能に構成された要素の一部または構成要素を指す場合がある。挿入可能部分は、作用電極と、典型的には少なくとも1つの更なる電極、例えば、対極、参照電極および/または対/参照複合電極とを含み得る。特定の実施形態では、作用電極は基板の第1の側面に配置され、少なくとも1つの更なる電極は基板の第2の側面に配置され、全ての電極は挿入可能部分に配置される。挿入されていないセンサの部分は、センサの上部であり、センサを電子機器ユニットに接続するための接点を備えてもよい。
【0024】
更に、本明細書で使用される場合、「検体」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は具体的には、限定されないが、体液中に存在してもよく、その濃度がユーザにとって関心の対象であり得る任意の元素、成分または化合物を指し得る。具体的には、検体は、少なくとも1つの代謝産物等の、ユーザの代謝に関与し得る任意の化学物質または化学化合物であってもよく、またはそれを含んでもよい。一例として、少なくとも1つの代謝産物は、グルコース、コレステロール、トリグリセリド、乳酸からなる群から選択され得、より具体的には、検体はグルコースであり得る。しかしながら、追加的または代替的に、他の種類の検体および/または検体の任意の組み合わせが決定されてもよい。
【0025】
検体センサは、ユーザの体組織への少なくとも部分的な埋め込み、具体的には経皮的挿入のために構成されてもよく、より具体的には、検体センサは、検体の連続的なモニタリングのために構成されてもよく、更により具体的には、検体センサは、連続的なグルコースモニタリングのために構成されてもよい。
【0026】
本発明の検体センサは、少なくとも1つのフラックス制限ポリマー膜を含み、少なくとも1つのフラックス制限ポリマー膜は、作用電極上に配置され、これは、少なくとも1つのフラックス制限ポリマー膜が作用電極を少なくとも部分的に覆うことを意味する。本発明の一実施形態では、フラックス制限膜は作用電極を完全に覆う。フラックス制限ポリマー膜は、一般に、1つもしくは複数の分子および/または化合物が選択的に通過することを可能にし得るが、他の分子および/または化合物は膜によって停止される。具体的には、フラックス制限ポリマー膜は、検出されるべき少なくとも1つの検体に対して透過性である。したがって、例として、この膜は、グルコース、乳酸塩、コレステロールまたは他の種類の検体のうちの1つまたは複数に対して透過性となり得る。したがって、少なくとも1つのフラックス制限ポリマー膜は、外部、例えば検体センサを取り囲む体液から検知材料、すなわち検知材料中の酵素分子への検体の拡散を制御する拡散バリアとして機能し得る。
【0027】
特定の実施形態では、フラックス制限ポリマー膜はグルコース透過性である。例えば、フラックス制限ポリマー膜は、少なくとも約1×10-6cm2/s、好ましくは約1×10-6cm2/s~約1×10-10cm2/sであるグルコースの拡散係数を有し得る。グルコースの拡散係数は、ポリプロピレン上のドクターブレード法によって製造される拡散セルおよびフラックス制限膜箔によって決定され得る。
【0028】
本発明のフラックス制限ポリマー膜は、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有する、ポリ(ビニルピリジン)系ポリマーを含む。
【0029】
式(I)のポリマーは、2つまたは3つの異なるモノマー単位、4-スルホナトプロピル-ビニルピリジニウム単位、4-ビニルピリジン単位、および任意にスチレン単位を含む。特定の実施形態では、ポリマーは、上記の2つまたは3つの異なるモノマー単位からなる。式(I)中のパラメータx、yおよびzは、ポリマー内のそれぞれのモノマー単位の相対モル量(すなわちモル%)を示す。
【0030】
本発明において、パラメータxは、4-スルホナトプロピル-ビニルピリジニウム単位の相対モル量に対応し、約2~約8モル%、約3~約7モル%、約4~約6モル%の範囲、特に約5モル%である。
【0031】
パラメータyは、4-ビニルピリジン単位の相対モル量に対応し、約72~約98モル%、82~約88モル%、約83~約87モル%、約84~約86モル%の範囲、特に約85モル%である。
【0032】
パラメータzは、スチレン単位の相対量に対応し、0~約20モル%、約7~約13モル%、約8~約12モル%、約9~約11モル%の範囲、特に約10モル%である。
【0033】
パラメータx、y、およびzのモル%の合計は、通常、100モル%になる。
【0034】
特定の実施形態では、式(I)のポリマーは統計コポリマーであり、すなわち個々のモノマー単位はポリマー鎖にランダムに組み込まれる。
【0035】
特定の実施形態では、ポリマーは、約60kDa~約200kDa、約80kDa~約160kDa、約100kDa~約140kDa、特に約120kDaの重量平均分子量を有する。特定の実施形態では、ポリマーは、約40kDa~約90kDa、約50kDa~約70kDa、特に約60kDaの数平均分子量を有する。特定の実施形態では、ポリマーは、約1.4~約3、特に約2の多分散指数を有する。
【0036】
特定の実施形態では、ポリマーは、上記の重量平均分子量、数平均分子量、および任意に多分散性指数を有する。
【0037】
上記の分子量は、非架橋状態の式(I)のポリマーに関する。重量平均分子量および数平均分子量は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)を標準として使用して、GPCによって測定される。多分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比である。
【0038】
式(I)のポリマーは、公知の方法によって、例えば国際公開第03/085372号に記載されているように、例えば、4-ビニルピリジン単位の相対量x+yモル%およびスチレン単位の相対量zモル%(式中、x、yおよびzは上記のように定義される)を含むポリ(4-ビニルピリジン-コ-スチレン)コポリマー、特に統計的ポリ(4-ビニルピリジン-コ-スチレン)コポリマーを、4-スルホナトプロピル-ビニルピリジニウム単位が相対量xモル%で形成される条件下で1,3-プロパンスルトンと反応させることによって製造され得る。
【0039】
特定の実施形態では、フラックス制限ポリマー膜中の式(I)のポリマーは、架橋剤によって架橋される。架橋剤は、少なくとも2つの分子を一緒に連結することができるか、または同じ分子の少なくとも2つの部分を一緒に連結することができる少なくとも2つの官能基を含む分子である。少なくとも2つの分子の連結は分子間架橋と呼ばれ、同じ分子の少なくとも2つの部分の連結を分子内架橋と呼ぶ。3つ以上の官能基を有する架橋剤は、分子間および分子内の両方の架橋を同時に行ってもよい。
【0040】
架橋剤は、ポリマー上の官能基、特にアルキル-スルホネート基および/またはピリジン基と反応することができる。本発明のフラックス制限ポリマー膜のポリマーは、ポリマーの十分な架橋を提供するためにある量の架橋剤によって架橋される。例えば、フラックス制限ポリマー膜中のポリマー対架橋剤の重量比は、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である。
【0041】
具体的には、フラックス制限ポリマー膜は、UV硬化性架橋剤および化学架橋剤から選択される少なくとも1つの架橋剤を含んでもよい。より具体的には、検知材料は、化学架橋剤を含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「化学架橋剤」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、熱に曝されたときに架橋分子ネットワークおよび/または架橋ポリマーを生成する化学反応を開始することができる架橋剤を指し得る。「熱に曝される」とは、15℃を超える温度、具体的には20℃を超える温度、より具体的には、20℃から50℃の範囲の温度、更により具体的には、20℃から25℃の範囲の温度に曝されることを指し得る。より具体的には、化学架橋剤は、熱に曝されると、検知材料の層の架橋を開始してもよい。
【0043】
本発明にかかる適切な化学架橋剤は、エポキシド系架橋剤、例えばポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(PEG-DGE)およびポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル;3官能性短鎖エポキシド;無水物;レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノール、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(ジメチルシロキサン)、ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,3-グリシドキシプロピル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン等のジグリシジルエーテル;N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のトリグリシジルエーテル;テトラグリシジルエーテル、例えばテトラキスエポキシシクロシロキサン、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジル-4,4’-メチレンビスベンゼンアミンから選択される。
【0044】
特定の実施形態では、化学的架橋剤は、約200Da以上の数平均分子量、例えば約200Daの数平均分子量を有するPEG-DGEである。更なる実施形態では、架橋剤は、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである。例えば、架橋剤は、200Daの数平均分子量を有するPEG-DGEおよびN,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンからなる群から選択され得る。
【0045】
本明細書で使用される「UV硬化性」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、UVスペクトル範囲の光によって照射されたときに架橋分子ネットワークおよび/または架橋ポリマーを生成する光化学反応を開始する化学物質、例えば架橋剤の能力を指し得る。より具体的には、UV硬化性架橋剤は、UV光が照射されると、検知材料の層の架橋を開始し得る。架橋は、特に、本明細書で以下に示すように開始され得る。
【0046】
本発明にかかる適切なUV硬化性架橋剤は、ベンゾフェノン、ジアジリンおよびアジドを含む。特に適切なUV硬化性架橋剤は、例えば、架橋剤を含むベンゾフェノン、ポリ(ジ(2-ヒドロキシ3アミノベンゾフェノンプロピレン)グリコール)、ジベンゾフェノン1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、ビス[2-(4-アジドサリシルアミド)エチル]ジスルフィド、4-アミノベンゾフェノンと上述したジグリシジル架橋剤、トリグリシジル架橋剤およびテトラグリシジル架橋剤についての上記のいずれか1つとの反応の反応生成物からなる群から選択され、そのような反応生成物の例は、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラキス(2-ヒドロキシ3-アミノプロピルベンゾフェノン)-シクロテトラシロキサン、4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジルエステルとジアミンまたはジェファミンとの反応の反応生成物である。
【0047】
特定の実施形態では、架橋剤は、2個、3個またはそれを超える官能基を含む。官能基の特定の例はエポキシド基である。好ましくは、架橋剤は、少なくとも2つの官能性エポキシド基、より好ましくは3つの官能性エポキシド基を含む。より好ましくは、架橋剤はトリグリシジルエーテルである。架橋剤の特に好ましい例は、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである。
【0048】
フラックス制限ポリマー膜は、機械的安定性を提供するのに十分な厚さを有し得る。フラックス制限ポリマー膜は、具体的には、約1μm~約150μmの厚さを有し得る。
【0049】
上記のポリマーおよび架橋剤に加えて、フラックス制限ポリマー膜は、更なる成分、例えばポリマー成分および/または非ポリマー成分を含んでもよく、非ポリマー成分はポリマー中に分散および/または溶解されてもよい。非ポリマー成分としては、可塑剤、特に生体適合性可塑剤、例えばトリ-(2-エチルヘキシル)トリメリレートおよび/またはグリセロールが挙げられる。
【0050】
ポリマー膜中に任意に存在する更なる成分は、医薬品、コルチコイド、ヘパリンおよび塩、例えばNa+、Cl-および/またはBr-等のイオンを含む塩である。
【0051】
特定の実施形態では、膜は、唯一のポリマー成分として式(I)のポリ(ビニルピリジン)系ポリマーを含む。
【0052】
本発明のフラックス制限ポリマー膜を、コーティングプロセスによって、特に湿式コーティングプロセスによって液体組成物として検体センサに塗布してもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「コーティングプロセス」という用語は、任意の物体の少なくとも1つの表面に少なくとも1つの層を塗布するための任意のプロセスを指し得る。塗布された層は、対象物、例えば作用電極を完全に覆っていてもよく、または対象物の一部のみを覆っていてもよい。層は、材料が、例えば液体形態で、例示的には懸濁液または溶液として提供され、表面上に分配され得るコーティングプロセスによって塗布され得る。具体的には、コーティングプロセスは、以下からなる群から選択される湿式コーティングプロセスを含み得る:スピンコーティング;スプレーコーティング;ドクターブレード法;印刷;分配;スロットコーティング;浸漬コーティング。好ましい湿式コーティングプロセスは、浸漬コーティングまたはスプレーコーティングである。
【0054】
塗布後、液体組成物は、少なくとも1つの硬化工程に供されてもよく、硬化工程において、ポリマーの少なくとも一部が架橋される。「架橋」および「硬化」という用語は、本明細書では互換的に使用される。架橋を開始するための適切な方法は、架橋剤の種類に依存し、当業者に公知である。好ましい架橋剤は化学架橋剤であるため、硬化は、好ましくは本質的に周囲温度または約90℃までで、UV光なしで行われる。本明細書で使用される場合、「周囲温度」という用語は、具体的には15℃~30℃、より具体的には20℃~25℃の温度として理解される。UV硬化性架橋剤を用いた硬化は、一般に、UV光を用いた照射によって誘導される。本明細書で使用される場合、「UV光」という用語は、一般に、紫外スペクトル範囲の電磁放射線を指す。用語「紫外スペクトル範囲」は、通常、1nm~380nmの範囲の電磁放射線、好ましくは100nm~380nmの範囲の光を指す。硬化は、通常、室温で行われ得る。
【0055】
更に、塗布後、液体組成物は、少なくとも1つの乾燥工程に供され得る。具体的には、特に化学架橋剤を使用する場合、硬化工程および乾燥を同時に行ってもよい。あるいは、硬化工程の後に乾燥工程を行ってもよい。具体的には、組成物は、周囲温度または約50℃までで約10分以下、または約5分以下、例えば約0.5~約10分間乾燥されてもよい。
【0056】
本発明の検体センサは、少なくとも1つの作用電極を含む。特定の実施形態では、検体センサは、
(i)基板であって、
第1の側面および第2の側面と、
基板の第1の側面に配置された少なくとも1つの導電性材料と、を備える、基板と、
(ii)基板の第1の側面を少なくとも部分的に覆う検知材料を含む作用電極であって、検知材料が少なくとも1つの酵素を含む、作用電極と、
(iii)式(I)のポリビニルピリジン系ポリマーを含むポリマー膜であって、膜が作用電極を少なくとも部分的に覆う、ポリマー膜と
を含む。
【0057】
本明細書で使用される「基板」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。「基板」という用語は、「センサ基板」という用語と同義に使用され、具体的には、限定するものではないが、本明細書に記載の作用電極を覆うポリマー層を形成するのに適した、任意の種類の材料または材料の組み合わせを指し得る。特に、本明細書で理解される場合、「センサ基板」は、電気絶縁材料を含んでもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、限定されないが、検体センサの層構成の要素を指し得る。具体的には、「層」という用語は、任意の基板、具体的には平坦な基板の任意の被覆を指し得る。層は、具体的には、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、更には少なくとも20倍以上の厚さを超える外側延長部を有し得る。具体的には、検体センサは層構成を有し得る。検体センサは、少なくとも1つの導電性材料、少なくとも1つの検知材料の少なくとも1つの層、および任意に少なくとも1つの膜層等の複数の層を含み得る。検体センサの1つまたは複数の層は、副層を含んでもよい。例えば、導電性材料を含む層は、少なくとも1つの更なる層を含んでもよい。
【0059】
本明細書で使用される場合、「電気絶縁材料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。「電気絶縁材料」はまた、誘電材料を指す場合がある。この用語は、具体的には、限定されないが、電荷の移動を防止し、大きな電流を持続しない材料または材料の組み合わせを指し得る。具体的には、他の可能性を限定することなく、少なくとも1つの電気絶縁材料は、電子プリント回路基板の製造に使用される絶縁エポキシ樹脂等の少なくとも1つの絶縁樹脂であってもよく、またはそれを含んでもよい。特に、電気絶縁材料は、熱可塑性材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(PET)のようなポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミドまたはそれらのコポリマー、例えばグリコール変性ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはアルミナ等を含んでもよく、またはそれらであってもよい。
【0060】
本発明による方法および検体センサにおいて、センサ基板は、2つの対向する側面、少なくとも第1の側面および第1の側面に対向する少なくとも第2の側面を含み得る。
【0061】
具体的には、検体センサ、より具体的にはセンサ基板は、少なくとも1つの更なる電極を更に含んでもよく、少なくとも1つの更なる電極は、参照電極および対極の少なくとも一方を含み得る。一実施形態では、少なくとも1つの更なる電極は、対/参照複合電極を含む。特に、参照電極は、少なくとも1つの参照電極導電性材料を含んでもよく、および/または対極は、少なくとも1つの対極導電性材料を含んでもよい。より具体的には、少なくとも1つの更なる電極は、センサ基板の第1の側面および第1の側面に対向する第2の側面の少なくとも一方に配置され得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「導電性材料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、導電性ストリップ、層、ワイヤ、または他の種類の細長い導電体を指し得る。より具体的には、「導電性材料」という用語は、限定するものではないが、導電性であり、したがって電流を持続させることができる材料を指し得、例えば、導電性材料は、炭素;炭素ペースト;金;銅;銀;ニッケル;白金;パラジウムからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。具体的には、導電性材料は、1つまたは複数の金、銅、銀、ニッケル、パラジウムまたは白金等の少なくとも1つの金属であってもよく、またはそれを含んでもよい。追加的または代替的に、少なくとも1つの導電性材料は、少なくとも1つの導電性有機化合物または無機化合物等の少なくとも1つの導電性化合物であってもよく、またはそれを含んでもよい。追加的または代替的に、少なくとも1つの導電性材料は、少なくとも1つの非金属導電性材料、例えば、ポリアニリン、ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、炭素または炭素ペーストであってもよく、またはそれらを含んでもよい。炭素ペーストは、具体的には、炭素と、ジエチレングリコールブチルエーテル等の溶媒と、塩化ビニル共重合体および三元共重合体等の少なくとも結合剤とを含む材料に関し得る。好ましくは、本発明による導電性材料は、金および/または炭素を含んでもよく、より好ましくは、導電性材料は、金および/または炭素および/または炭素ペーストからなってもよい。具体的には、導電性材料は、金および更なる材料、例えば炭素を含んでもよい。
【0063】
更に、導電性材料は、少なくとも1つの更なる材料の少なくとも1つの更なる層を含んでもよく、具体的には、更なる層は更なる導電性材料を含んでもよい。より具体的には、導電性材料の更なる層は、炭素を含んでもよく、または炭素からなってもよい。更なる材料は、第1の側面に配置されてもよい。更なる層、特に炭素を使用することは、導電性材料による効率的な電子移動に寄与し得る。
【0064】
導電性材料は、少なくとも約0.1μm、好ましくは少なくとも約0.5μm、より好ましくは少なくとも約5μm、具体的には少なくとも約7μm、または少なくとも約10μmの厚さを有し得る。導電性材料が炭素を含むかまたは炭素である場合、導電性材料は、具体的には、少なくとも約7μm、より具体的には少なくとも約10μm、例えば約10μm~15μmの厚さを有し得る。具体的には、導電性材料が金である場合、導電性材料は、少なくとも約100nm、より具体的には少なくとも約500nmの厚さを有し得る。
【0065】
上記のような最小厚さは、適切な電子輸送を確実にするため有利であり得る。指定された値を下回る厚さは、通常、確実な電子輸送には十分ではない。より具体的には、炭素であれば30μm程度、金であれば5μm程度を超えてはならない。厚さが大きすぎると、全体の厚さ、したがって検体センサのサイズが増加する可能性がある。より大きな検体センササイズは、埋め込み時に困難を引き起こす可能性があるため、一般に望ましくない。更に、それらは、特に炭素の場合、柔軟性が低い可能性があり、および/または特に金の場合、高価である可能性がある。
【0066】
導電性材料は疎水性であってもよい。例えば、導電性材料と水との接触角は、例えば5μlの水滴体積では、Keyence VHX-100を使用して顕微鏡法によって決定される60°~140°の範囲、特に約100°であり得る。
【0067】
導電性材料は、粗面を更に備えてもよい。粗面は、通常、電子移動の効率を高める。更に、疎水性が高くなる。粗面とは、表面が凹凸を含んでいてもよいことを意味する。この凹凸の深さは、例えば、光走査顕微鏡、特にレーザー走査顕微鏡によって決定される1μm~6μmの範囲、例えば約3μmであってもよい。粗面における2つの隆起部間の距離は、例えば、光走査顕微鏡、特にレーザー走査顕微鏡によって決定される、20μm~80μmの範囲、例えば約40μmであってもよい。
【0068】
本明細書で使用される場合、「参照電極導電性材料」および「対極導電性材料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常および通例の意味が与えられるものであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。これらの用語は、具体的には、限定するものではないが、参照電極または対極上にそれぞれ存在する導電性ストリップ、層、ワイヤまたは他の種類の細長い電気導体を指し得る。より具体的には、これらの用語は、限定するものではないが、導電性であり、したがって電流を持続させることができる材料を指し得、例えば、参照電極導電性材料および/または対極導電性材料は、導電性材料に関して本明細書で上述した少なくとも1つの材料を含み得る。上記の材料に加えて、参照電極導電性材料および/または対極導電性材料は、具体的にはAg/AgClを含んでもよい。
【0069】
本明細書で使用される場合、「検知材料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。
【0070】
検知材料は、少なくとも1つの酵素を含み、具体的には、酵素は、少なくとも検体を消費する化学反応を触媒することができる。具体的には、酵素は、H2O2生成および/または消費酵素;更により具体的には、グルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4)、ヘキソースオキシダーゼ(EC1.1.3.5)、(S)-2-ヒドロキシ酸オキシダーゼ(EC1.1.3.15)、コレステロールオキシダーゼ(EC1.1.3.6)、グルコースデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.47)、ガラクトースオキシダーゼ(EC1.1.3.9)、アルコールオキシダーゼ(EC1.1.3.13)、L-グルタメートオキシダーゼ(EC1.4.3.11)またはL-アスパラギン酸オキシダーゼ(EC1.4.3.16);更により具体的には、その任意の修飾を含むグルコースオキシダーゼ(GOx)であり得る。
【0071】
更に、検知材料は、上述の架橋剤のように、架橋剤、例えば化学架橋剤またはUV架橋剤を含んでもよい。
【0072】
更に、検知材料は、少なくとも1つのポリマー遷移金属錯体を含んでもよい。「ポリマー遷移金属錯体」という用語は、具体的には、限定されないが、少なくとも1つのポリマー材料であってもよく、または少なくとも1つのポリマー材料を含んでもよい材料を指し得、具体的には、それは、少なくとも1種のポリマー材料および少なくとも1種の金属含有錯体であってもよく、またはこれらを含んでいてもよい。金属含有錯体は、遷移金属元素錯体の群から選択される得、具体的には、金属含有錯体は、オスミウム錯体、ルテニウム錯体、バナジウム錯体、コバルト錯体、および鉄錯体、例えばフェロセン、例えば2-アミノエチルフェロセンから選択され得る。更により具体的には、検知材料は、例えば国際公開第01/36660号A2に記載されているようなポリマー遷移金属錯体を含んでもよく、その含有量は、参照により含まれる。特に、検知材料は、二座結合を介して共有結合したポリ(ビイミジル)Os錯体を担持した修飾ポリ(ビニルピリジン)骨格を含んでもよい。適切な検知材料は、Feldmann et al,Diabetes Technology&Therapeutics,5(5),2003,769-779に更に記載されており、その内容は参照により含まれる。適切な検知材料は、フェロセン含有ポリアクリルアミド系ビオロゲン変性レドックスポリマー、ピロール-2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)-ピレン、ナフトキノン-LPEIを更に含んでもよい。ポリマー遷移金属錯体は、架橋レドックスポリマーネットワークに組み込まれたレドックスメディエータを表し得る。これは、少なくとも1つの酵素または検体と導電性材料との間の電子移動を促進し得ることから有利である。センサドリフトを回避するために、レドックスメディエータおよび酵素は、ポリマー構造に共有結合的に組み込まれてもよい。
【0073】
特定の実施形態では、検知材料は、少なくとも検体を消費する化学反応を触媒することができる酵素、特にH2O2生成および/または消費酵素、架橋剤およびポリマー遷移金属錯体を含む。具体的には、検知材料は、少なくともポリマー遷移金属錯体およびGOx、ならびに化学架橋剤を含んでもよい。より具体的には、検知材料は、二座結合を介して共有結合したポリ(ビイミジジル)Os錯体、GOx、およびポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(PEG-DGE)のような化学架橋剤を担持した修飾ポリ(ビニルピリジン)骨格を含み得る。適切な更なる検知材料は、当業者に知られている。
【0074】
一実施形態では、検知材料は、ポリマー材料およびMnO2粒子を含んでもよい。
【0075】
本発明による検知材料は、例えば、約40~60重量%のポリマー遷移金属錯体、少なくとも検体を消費する化学反応を触媒することができる約30~40重量%の酵素、特にH2O2生成および/または消費酵素、ならびに検知材料の乾燥総重量に基づいて約0.5~25重量%の架橋剤を含み得る。
【0076】
基板への塗布後、検知材料は、少なくとも1つの硬化工程に供されてもよく、硬化工程では、検知材料の少なくとも一部が架橋される。硬化工程は、上述されているとおりに行われ得る。具体的には、硬化工程は、塗布後および乾燥前に行われてもよい。更に、硬化工程は、任意のレーザー照射の前に、または代替的に、レーザー照射を行った後に少なくとも部分的に行われてもよい。
【0077】
特定の態様では、検体センサは、フラックス制限ポリマー膜上に配置された少なくとも1つの生体適合性膜を更に含む。「生体適合性膜」という用語は、上記のポリビニルピリジン系フラックス制限ポリマー膜とは異なるポリマー膜に関する。
【0078】
例えば、生体適合性膜は、ゲル膜であってもよく、ゲル膜は、一方では、体液または少なくともその中に含まれる検体に対して透過性であってもよく、他方では、検体センサ、特に作用電極に含まれる化合物に対して非透過性であってもよく、したがって、体組織内へのその移動を防止する。
【0079】
生体適合性層は、約1μm~約10μm、一実施形態では約3μm~約6μmの厚さを有し得る。より具体的には、生体適合性層は、検体センサを少なくとも部分的にまたは完全に覆う。更により具体的には、生体適合性層は、検体センサの最外層であってもよい。生体適合性膜層は、以下の材料:メタクリレート系ポリマーおよびコポリマー、アクリルアミド-メタクリレート系コポリマー、ヒアルロン酸(HA)、アガロース、デキストラン、キトサンおよびポリ(ビニルピリジン)系ポリマー等の生分解性多糖類であってもよく、またはそれらを含んでもよい。生体適合性膜層がポリ(ビニルピリジン)系ポリマーを含む場合、このポリ(ビニルピリジン)系ポリマーは、フラックス制限膜のポリ(ビニルピリジン)系ポリマーと同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、フラックス制限膜のポリ(ビニルピリジン)系ポリマーとは異なる。
【0080】
生体適合性膜層は、上述のように、少なくとも1つのコーティングプロセス、具体的には湿式コーティングプロセスを使用して、当業者に公知の技術によって塗布され得る。
【0081】
特定の態様では、検体センサは、フラックス制限ポリマー膜上に配置された生体適合性膜を含まない。これらの実施形態において、本発明のポリビニルピリジン系ポリマーは、検体センサの最外層であってもよい。したがって、フラックス制限ポリマー膜は、生体適合性膜としても機能し得る。
【0082】
本発明は更に、検体センサに使用するためのポリマー膜に関し、ポリマー膜は、式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有する、ポリ(ビニルピリジン)系ポリマーを含む。
【0083】
好ましくは、ポリマー膜の特徴は、フラックス制限ポリマー膜について上述したとおりである。
【0084】
本発明は更に、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有するポリビニルピリジン系ポリマーと、
架橋剤と、
溶媒と
を含む、フラックス制限ポリマー膜を検体センサに塗布するのに適した液体組成物に関する。
【0085】
好ましくは、ポリビニルピリジン系重合体および架橋剤の特徴は、上記のとおりである。
【0086】
溶媒は、非水性有機溶媒、特に水混和性溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、もしくはそれらの任意の組み合わせ、または非水性有機溶媒と水との混合物を含み得る。好ましくは、非水性有機溶媒はエタノールである。好ましくは、組成物は、約50%~約90%(v/v)の非水性有機溶媒、例えばエタノールと、約10%~約50%(v/v)の水、好ましくは約70%~約90%(v/v)の非水性有機溶媒と、約10%~約30%(v/v)の水、特に約80%(v/v)の非水性有機溶媒、例えばエタノールと、約20%(v/v)の水とを含む。更なる実施形態では、溶媒は、非水性溶媒、特にエタノールからなる。
【0087】
特定の実施形態では、液体組成物は、約100mg/ml~約140mg/mlのポリマーと、約8mg/ml~約12mg/mlの架橋剤、特に約120mg/mlのポリマーと約10mg/mlの架橋剤とを含み得る。ポリマー対架橋剤の重量比は、好ましくは約12:1である。
【0088】
本発明は更に、検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および基板の第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程、ならびに
b)少なくとも1つの作用電極上にフラックス制限ポリマー膜を形成する工程であって、フラックス制限ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有する、ポリ(ビニルピリジン)系ポリマーを含む、方法に関する。
【0089】
好ましくは、ポリマー膜の特徴は上記のとおりである。
【0090】
特定の実施形態では、工程b)は、ポリマーと、架橋剤と、溶媒とを含む液体組成物を作用電極上に塗布することを含む。特に、工程b)は、少なくとも1つの作用電極を、ポリマーと、架橋剤と、溶媒とを含む液体組成物でコーティングし、ポリマーを硬化させ、乾燥させることを含む。好ましくは、液体組成物、塗布工程、硬化工程および乾燥工程の特徴は、上記のとおりである。
【0091】
本発明による方法の特定の実施形態では、少なくとも1つのフラックス制限ポリマー膜層に加えて、少なくとも第2の膜層を適用してもよい。当該第2の膜層は、生体適合性膜層、好ましくは上述の生体適合性膜層であり得る。
【0092】
本発明による方法は、少なくとも1つの拡散工程を更に含み得、拡散工程では、フラックス制限ポリマー膜に含まれる架橋剤は、検知材料中に少なくとも部分的に拡散され得る。拡散は、膜層を検知材料に塗布する間に起こり得る。検知材料への架橋剤の拡散は、検知材料を基板に塗布するときに、検知材料中の架橋剤の量とは無関係に、検知材料の少なくとも部分的な架橋を可能にし得る。
【0093】
拡散工程は、検知材料の少なくとも一部の膨潤を更に含み得る。本明細書で使用される場合、「膨潤」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定するものではないが、水のおよび/またはエタノール、メタノール、アセトン等の水溶性溶媒の材料への結合、具体的には水のおよび/または水溶性溶媒の検知材料への結合を指し得る。水の取り込みおよび/または検知材料への水溶性溶媒の取り込みにより、検知材料への架橋剤の拡散が有利に可能になり得、これは効率的な架橋に必要とされ得る。膨潤は更に、膜層からの水の取り込みを指す場合がある。
【0094】
本発明による方法において十分な膨潤を可能にするために、検知材料中のポリマー材料は、数分、例えば1~15分の時間枠内で、ポリマー材料の乾燥重量に基づいて、膜層からの少なくとも10重量%、より具体的には少なくとも20重量%、更により具体的には少なくとも30重量%、更により具体的には最大90重量%の水および/または溶媒の取り込みが可能であってもよい。
【0095】
水および/または溶媒のこの膨潤および/または取り込みは、膜層から検知材料への架橋剤の拡散がそれによって可能になり得ることから有利である。
【0096】
更に、本発明は、試料中、具体的には、体液の試料中の少なくとも1つの検体を検出するための上記の検体センサの使用に関する。より詳細には、検体センサは、連続グルコース測定用のセンサである。
【0097】
本明細書で使用される場合、「体液」という用語は、間質液、血液、血漿、涙液、尿、リンパ液、脳脊髄液、胆汁、便、汗および唾液を含む、本発明の検体を含むことが知られているまたは含むことが疑われる対象の全ての体液に関する。一般に、任意の種類の体液を使用してもよい。好ましくは、体液は、間質組織等のユーザの体組織に存在する体液である。したがって、一例として、体液は、血液および間質液からなる群から選択され得る。しかしながら、追加的または代替的に、1つまたは複数の他のタイプの体液が使用されてもよい。体液は、一般に、体組織に含まれ得る。したがって、一般に、体液中の少なくとも1つの検体の検出は、好ましくはin vivoで決定され得る。
【0098】
「試料」という用語は、当業者によって理解され、体液の任意の下位部分に関する。試料は、例えば、静脈または動脈穿刺、表皮穿刺等を含む周知の技術によって得ることができる。
【0099】
「ユーザ」および「対象」という用語は、本明細書では互換的に使用され、広義の用語であり、当業者にとっての通常および通例の意味が与えられるものとし、特別な意味またはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、ヒトまたは動物が、それぞれ、健康な状態であり得るか、或いは1つまたは複数の疾患に罹患している可能性があるという事実とは無関係に、ヒトまたは動物を指し得るが、これらに限定されない。一例として、対象は、ヒトまたは糖尿病に罹患している動物であり得る。しかしながら、追加的または代替的に、本発明は、他の種類の対象に適用されてもよい。
【0100】
更に、本発明は、本明細書で上述した検体センサを含む試料中の検体を測定するための方法に関する。
【0101】
本発明の検体の測定方法は、特に、in vivo法であり得る。あるいは、本発明の方法はまた、in vitro条件下で、例えば対象、特にヒト対象から得られた体液の試料中の検体の測定を包含し得る。具体的には、当該方法は、当該測定に基づく疾患の診断を含まなくてもよい。
【0102】
本発明のなお更なる態様は、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zが約0~約20モル%である)
を有するポリマーに関し、
該ポリマーは、
(i)統計ポリマー;
(ii)約60kDa~約200kDaの重量平均分子量を有するポリマー、および/または
(iii)ポリマーであって、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである架橋剤によって架橋され、特に、ポリマー対架橋剤の重量比は、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)であるポリマー、である。
【0103】
更なる態様は、式(Ia)のポリマーを含む本明細書に記載の検体センサ、および式(Ia)のポリマーを含む本明細書に記載のポリマー膜、式(Ia)のポリマーを含む本明細書に記載の液体組成物、ならびに式(Ia)のポリマーを使用することを含む本明細書に記載の検体センサを製造する方法である。
【0104】
検体センサ、ポリマー膜、液体組成物および製造方法の好ましい特徴は、式(I)のポリマーについて本明細書で上述したとおりである。
【0105】
更なる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方式で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されない。
【0106】
要約すると、更に可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0107】
1.少なくとも1つの作用電極と、前記少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを備える検体センサであって、前記フラックス制限ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xは約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有するポリマーを含む、検体センサ。
【0108】
2.xが約2~約8モル%であり、
yが約82~約88モル%であり、
zが約7~約13モル%である、項1に記載の検体センサ。
【0109】
3.xが約3~約7モル%であり、
yが約83~約87モル%であり、
zが約8~約12モル%である、項1または2に記載の検体センサ。
【0110】
4.xが約4~約6モル%であり、
yが約84~約86モル%であり、
zが約9~約11モル%である、項1~3のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0111】
5.xが約5モル%であり、
yが約85モル%であり、
zが約10モル%である、項1~4のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0112】
6.前記ポリマーが統計コポリマーである、項1~5のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0113】
7.前記ポリマーが、約60kDa~約200kDa、約80kDa~約160kDa、約100kDa~約140kDa、特に約120kDaの重量平均分子量を有する、項1~6のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0114】
8.前記ポリマーが、約4kDa~約90kDa、約40kDa~約70kDa、特に約60kDaの数平均分子量を有する、項1~7のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0115】
9.前記ポリマーが、約1.4~約3、特に約2の多分散指数を有する、項1~8のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0116】
10.前記フラックス制限ポリマー膜中の式(I)のポリマーが、架橋剤によって架橋される、項1~9のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0117】
11.前記フラックス制限ポリマー膜中のポリマー対架橋剤の重量比が、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である、項10に記載の検体センサ。
【0118】
12.前記架橋剤が少なくとも1つの官能性エポキシド基を含む、項10または11に記載の検体センサ。
【0119】
13.前記架橋剤が、少なくとも2個、特に3個の官能性エポキシド基を含む、項10~12のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0120】
14.前記架橋剤が、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである、項10~13のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0121】
15.(i)基板であって、
第1の側面および第2の側面と、
前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの導電性材料と
を備える、基板と、
(ii)基板の第1の側面を少なくとも部分的に覆う検知材料を含む作用電極であって、検知材料が少なくとも1つの酵素を含む、作用電極と、
(iii)前記少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜であって、前記フラックス制限ポリマー膜が式(I)のポリマーを含む、フラックス制限ポリマー膜と、
を含む、項1~14のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0122】
16.前記検体センサが、
(i)基板であって、
第1の側面および第2の側面と、
前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの導電性材料と
を備える、基板と、
(ii)検知材料を含む前記作用電極であって、前記作用電極が、前記基板の前記第1の側面を少なくとも部分的に覆い、かつ前記少なくとも1つの導電性材料上に少なくとも部分的に配置される、前記作用電極と、
を備え、
前記検知材料が少なくとも1つの酵素を含む、項1~14のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0123】
17.前記基板の前記第1の側面に配置された前記少なくとも1つの導電性材料が、金、炭素、炭素ペーストおよびそれらの任意の組み合わせから選択される、項15または16に記載の検体センサ。
【0124】
18.前記検知材料が、酵素グルコースオキシダーゼ(GOx)を含む、項15~17のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0125】
19.前記検知材料が、少なくとも1つの架橋剤を更に含む項15~18のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0126】
20.前記検知材料が、少なくとも1つのポリマー金属含有錯体を更に含む、項15~19のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0127】
21.前記少なくとも1つのポリマー金属含有錯体が、ポリマー遷移金属含有錯体の群から選択される、項20に記載の検体センサ。
【0128】
22.前記少なくとも1つのポリマー遷移金属含有錯体が、オスミウム錯体、ルテニウム錯体、バナジウム錯体、コバルト錯体および鉄錯体から選択される、項21に記載の検体センサ。
【0129】
23.少なくとも1つの更なる電極を含む、項1~22のいずれかに記載の検体センサ。
【0130】
24.前記少なくとも1つの更なる電極が、対極、参照電極、および対/参照複合電極から選択される、項23に記載の検体センサ。
【0131】
25.前記少なくとも1つの更なる電極が、対/参照複合電極である、項23または24に記載の検体センサ。
【0132】
26.特に1つの作用電極と、1つの対/参照複合電極、とを含む2電極センサである、項1~25のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0133】
27.前記フラックス制限ポリマー膜上に配置された少なくとも1つの生体適合性膜を更に含む、項1~26のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0134】
28.前記フラックス制限ポリマー膜上に配置された生体適合性膜を含まない、項1~27のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0135】
29.前記フラックス制限ポリマー膜がグルコース透過性である、項1~28のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0136】
30.前記フラックス制限ポリマー膜が、少なくとも約1×10-6cm2/s、好ましくは約1×10-6cm2/s~約1×10-10cm2/sであるグルコースの拡散係数を有する、項1~29のいずれか一項に記載の検体センサ。
【0137】
31.試料中の少なくとも1つの検体を検出するための、項1~30のいずれか一項に記載の検体センサの使用。
【0138】
32.試料中の検体を決定するための方法であって、項1~30のいずれか一項に記載の検体センサを使用することを含む、方法。
【0139】
33.検体センサにおいて使用するためのポリマー膜であって、前記ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xが約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有する、ポリマーを含む、ポリマー膜。
【0140】
34.項2~15のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項33に記載のポリマー膜。
【0141】
35.液体組成物であって、以下の式(I):
(式中、xが約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)を有するポリマーと、
架橋剤と、
溶媒と
を含む、液体組成物。
【0142】
36.項2~15のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項35に記載の液体組成物。
【0143】
37.前記溶媒が、エタノールおよび水、特に約70%~約90%(v/v)のエタノールおよび約10%~約30%(v/v)の水、特に約80%(v/v)のエタノールおよび約20%(v/v)の水とを含む、項35または36に記載の液体組成物。
【0144】
38.約100mg/ml~約140mg/mlのポリマーおよび約8mg/ml~約12mg/mlの架橋剤、特に約120mg/mlのポリマーおよび約10mg/mlの架橋剤とを含む、項35~37のいずれか一項に記載の液体組成物。
【0145】
39.検体センサ、特に項1~30のいずれか一項に記載の検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程、ならびに
b)前記少なくとも1つの作用電極上にポリマー膜の層を形成する工程であって、前記ポリマー膜が、以下の式(I):
(式中、xが約2~約8モル%であり、
yは約72~約98モル%であり、
zは0~約20モル%である)
を有する、ポリマーを含む、方法。
【0146】
40.項2~15のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項39に記載の方法。
【0147】
41.工程b)が、少なくとも1つの作用電極を、ポリマーと、架橋剤と、溶媒とを含む液体組成物でコーティングし、ポリマーを硬化させ、乾燥させることを含む、項39または40に記載の方法。
【0148】
42.前記溶媒が、エタノールおよび水、特に約70%~約90%(v/v)のエタノールと約10%~約30%(v/v)の水、特に約80%(v/v)のエタノールと約20%(v/v)の水とを含む、項41に記載の方法。
【0149】
43.前記液体組成物が、約100mg/ml~約140mg/mlのポリマーと、約8mg/ml~約12mg/mlの架橋剤、特に約120mg/mlのポリマーと約10mg/mlの架橋剤とを含む、項41または42に記載の方法。
【0150】
44.少なくとも1つの作用電極と、前記少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを備える検体センサであって、前記フラックス制限ポリマー膜が、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有する統計ポリマーを含む、検体センサ。
【0151】
45.項1~30のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項44に記載の検体センサ。
【0152】
46.検体センサにおいて使用するためのポリマー膜であって、前記ポリマー膜が、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有する統計ポリマーを含む、ポリマー膜。
【0153】
47.項33~34のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項46に記載のポリマー膜。
【0154】
48.液体組成物であって、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有する統計ポリマーと、
架橋剤と、
溶媒と
を含む、液体組成物。
【0155】
49.項35~38のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項48に記載の液体組成物。
【0156】
50.検体センサ、特に項44~45のいずれか一項に記載の検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程、ならびに
b)前記少なくとも1つの作用電極上にポリマー膜の層を形成する工程であって、前記ポリマー膜が、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有する統計ポリマーを含む、方法。
【0157】
51.項35~38のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項50に記載の方法。
【0158】
52.少なくとも1つの作用電極と、前記少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを含む検体センサであって、前記フラックス制限ポリマー膜が、約60kDa~約200kDaの重量平均分子量を有するポリマーを含み、前記ポリマーが、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有する、検体センサ。
【0159】
53.項1~30のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項52に記載の検体センサ。
【0160】
54.前記ポリマー膜が、約60kDa~約200kDaの重量平均分子量を有し、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有するポリマーを含む、検体センサに使用するためのポリマー膜。
【0161】
55.項33~34のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項54に記載のポリマー膜。
【0162】
56.重量平均分子量が約60kDa~約200kDaを有し、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)を有するポリマーと、
架橋剤と、
溶媒と
を含む、液体組成物。
【0163】
57.項35~38のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項56に記載の液体組成物。
【0164】
58.検体センサ、特に項52~53のいずれか一項に記載の検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程、ならびに
b)前記少なくとも1つの作用電極上にポリマー膜の層を形成する工程であって、前記ポリマー膜が、約60kDa~約200kDaの重量平均分子量を有し、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)
を有するポリマーを含む、工程、を含む、方法。
【0165】
59.項35~38のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項58に記載の方法。
【0166】
60.少なくとも1つの作用電極と、前記少なくとも1つの作用電極上に配置されたフラックス制限ポリマー膜とを備える検体センサであって、前記フラックス制限ポリマー膜が、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)を有するポリマーを含み、
前記ポリマーが、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである架橋剤によって架橋され、特に、ポリマー対架橋剤の前記重量比が、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である、検体センサ。
【0167】
61.項1~30のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項60に記載の検体センサ。
【0168】
62.検体センサにおいて使用するためのポリマー膜であって、前記ポリマー膜が、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)を有するポリマーを含み、
前記ポリマーが、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである架橋剤によって架橋され、特に、ポリマー対架橋剤の前記重量比が、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である、ポリマー膜。
【0169】
63.項33~34のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項62に記載の方法。
【0170】
64.液体組成物であって、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zは約0~約20モル%である)を有するポリマーを含み、
架橋剤と、
溶媒とを含み、
前記架橋剤が、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンであり、特に、ポリマー対架橋剤の前記重量比が、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である、方法。
【0171】
65.項35~38のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項64に記載の液体組成物。
【0172】
66.検体センサ、特に項60~61のいずれか一項に記載の検体センサを製造するための方法であって、
a)第1の側面および第2の側面を備える基板、および前記基板の前記第1の側面に配置された少なくとも1つの作用電極を提供する工程と、
b)前記少なくとも1つの作用電極上にポリマー膜の層を形成する工程であって、前記ポリマー膜が、以下の式(Ia):
(式中、xは約2~約20モル%であり、
yは約60~約98モル%であり、
zが約0~約20モル%である)を有するポリマーを含む、工程、を含み、
工程(b)は、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンである架橋剤によってポリマーを架橋することを含み、特に、ポリマー対架橋剤の重量比は、約8:1(w/w)~約16:1(w/w)、約10:1(w/w)~約14:1(w/w)、特に約12:1(w/w)である、方法。
【0173】
67.項35~38のいずれか一項に定義される少なくとも1つの特徴を含む、項66に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【
図1】
図1は、6つの異なる検体センサのランイン電流を示す。
【
図2】
図2は、約10日間にわたる6つの異なる検体センサの電流を示す。
【
図3】
図3は、180mg/dLのグルコース濃度での、異なるフラックス制限ポリマー膜を含む検体センサの感度の長期変化を示す。
【0175】
本発明は、上述の実施形態の1つに限定されず、多種多様な方法で変更可能である。当業者は、本発明による実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく容易に適合され得ることを認識する。したがって、検体センサの調製には簡単な適応が想到される。本発明は、生産コストを低減して再現可能なセンサ感度を有する検体の調製を可能にする。本発明の更なる特徴、詳細および利点は、特許請求の範囲の文言および図面に基づく以下の実施例の説明から得られる。
【0176】
本特許出願で引用された全ての参考文献の内容は、それぞれの具体的な開示内容およびその全体を参照することによって本明細書に含まれる。
【実施例】
【0177】
以下の実施例は、本発明を説明する役割を果たす。それらは、保護の範囲に関して限定するものとして解釈されてはならない。
【0178】
実施例1:異なるフラックス制限ポリマー膜層を含む検体センサの調製および試験
ポリエチレンテレフタラートおよび金の薄層に基づくセンサ基板を、ドクターブレード法によって炭素ペーストでコーティングした。適切なカーボン導電性インクは、Ercon,Inc.(マサチューセッツ州ウェアハム)、E.I.du Pont de Nemours and Co.(デラウェア州ウィルミントン)、Emca-Remex Products(ペンシルバニア州モントゴメリービル)、またはTEKRA,A Division of EIS,Inc(ウィスコンシン州ニューベルリン)から入手可能である。その後、炭素ペーストを50℃で12時間乾燥させた。
【0179】
検知材料の層をセンサ基板上にカニューレコーティングによって塗布し、続いて周囲温度、例えば約25℃で10分間乾燥させた。
【0180】
検知材料は、それぞれの場合において、ポリマー遷移金属錯体、グルコースオキシダーゼおよびPEG-DGEの重量パーセントの合計に基づいて、57重量%のポリマー遷移金属錯体(二座結合を介して共有結合したポリ(ビイミジル)Os錯体を担持した修飾ポリ(ビニルピリジン)骨格)、33重量%のグルコースオキシダーゼおよび10重量%のPEG-DGE(ポリ(エチレングリコール)-ジグリシジルエーテル)を含んでいた。水を溶媒として使用した。水中のポリマー遷移金属錯体、グルコースオキシダーゼおよびPEG-DGEの総濃度は50mg/mlであった。
【0181】
レーザーアブレーションにより、寸法0.5mm×0.6mm、層厚3μmの作用電極をセンサ基板上に調製した。
【0182】
表1に示すように、各センサの作用電極を、ポリ(ビニルピリジン)系ポリマーおよび架橋剤を含む異なる液体組成物でコーティングした。全ての場合において、溶媒として、80%(v/v)エタノールおよび20%(v/v)水の混合物を使用した。表中、Oxi-Aniは、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンを意味し、PEG-DGE 200は、200Daの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)-ジグリシジルエーテルを意味する。
【0183】
【0184】
コーティング後、センサを乾燥させ、ポリマーを室温で架橋させて、作用電極上にフラックス制限膜を得た。銀/塩化銀を、対/参照複合電極として使用した。
【0185】
異なるフラックス制限膜のそれぞれに対して4つのセンサを準備した。以下に記載する測定を4つのセンサのそれぞれについて行い、得られた測定値の中央値を求めた。全ての測定をin vitroで行った。以下の説明は全て、測定値の中央値を参照する。
【0186】
全てのセンサについて、様々な量のグルコースを用いて約10日間にわたって電流を測定した。測定をリン酸緩衝液中で行った。約6時間のランイン時間後、グルコースを添加した。グルコースを、LC系(Jasco LC-4000シリーズ)によって各工程について一定の比率でリン酸緩衝液およびリン酸グルコース緩衝液でフラッシュすることによって定期的に交換した。各工程は、ピラミッド相で90分間の持続時間を有した。以下のグルコース濃度を使用した:0mg/dl、36mg/dl、72mg/dl、108mg/dl、144mg/dl、216mg/dl、306mg/dl、414mg/dl。468mg/dl、360mg/dl、270mg/dl、180mg/dl、126mg/dl、90mg/dl、54mg/dl、14.4mg/dl。感度をグルコース濃度180mg/dlで表示した。
【0187】
図1は、異なるセンサについての分単位のランイン時間の中央値tを示す。架橋剤としてポリ(エチレングリコール)-ジグリシジルエーテルを含むセンサは、架橋剤としてN,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンを含むセンサと比較してランイン時間が短縮されていることが分かる。しかしながら、それらのランイン時間は、連続グルコースセンサとしての使用を可能にするには依然として十分に短い。
【0188】
図2は、異なるセンサについての時間tにわたる電流Iを分単位で示す。ポリ(ビニルピリジン)系ポリマー中に10モル%のスルホナト-ビニルピリジニウムを含むセンサの電流は経時的に急速に減少するが、5モル%のスルホナト-ビニルピリジニウムを含むセンサは測定期間にわたってほぼ一定の電流を有することが分かる。
【0189】
したがって、センサB3、B5およびB6は、センサV1、V2およびV4よりも著しく増加した長期安定性を示す。
【0190】
図3は、異なるセンサについての、日単位での時間tにわたる感度をnA/mg/dlで示す。センサB3、B5、B6の感度低下は、センサV1、V2、V4よりも低いことが分かる。これは、より長い時間にわたるセンサのより高い安定性を示すため有利である。
【0191】
実施例2:異なるフラックス制限ポリマー膜層を含む検体センサ
ポリエチレンテレフタラートに基づくセンサ基板を、ドクターブレード法によって炭素ペーストでコーティングした。適切なカーボン導電性インクは、Ercon,Inc.(マサチューセッツ州ウェアハム)、E.I.du Pont de Nemours and Co.(デラウェア州ウィルミントン)、Emca-Remex Products(ペンシルバニア州モントゴメリービル)、またはTEKRA,A Division of EIS,Inc(ウィスコンシン州ニューベルリン)から入手可能である。その後、炭素ペーストを50℃で12時間乾燥させた。
【0192】
検知材料の層をセンサ基板上にカニューレコーティングによって塗布し、続いて周囲温度、例えば約25℃で10分間乾燥させた。
【0193】
検知材料は、それぞれの場合において、ポリマー遷移金属錯体、グルコースオキシダーゼおよびPEG-DGEの重量パーセントの合計に基づいて、57重量%のポリマー遷移金属錯体(二座結合を介して共有結合したポリ(ビイミジル)Os錯体を担持した修飾ポリ(ビニルピリジン)骨格)、33重量%のグルコースオキシダーゼおよび10重量%のPEG-DGE(ポリ(エチレングリコール)-ジグリシジルエーテル)を含んでいた。水を溶媒として使用した。水中のポリマー遷移金属錯体、グルコースオキシダーゼおよびPEG-DGEの総濃度は50mg/mlであった。
【0194】
レーザーアブレーションにより、寸法0.5mm×0.6mm、層厚4μmの作用電極をセンサ基板上に調製した。
【0195】
表2に示すように、各センサの作用電極を、ポリ(ビニルピリジン)系ポリマーおよび架橋剤を含む異なる液体組成物でコーティング((浸漬コーティング、3回)した。全ての場合において、溶媒として、80%(v/v)エタノールおよび20%(v/v)水の混合物を使用した。表中、Oxi-Aniは、N,N-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリンを意味し、PEG-DGE 200は、200Daの数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)-ジグリシジルエーテルを意味する。
【0196】
表2のセンサV1、V2およびB3を実施例1と同様に調製し、表2のV1、V2およびB3は、表1のV1、V2およびB3に対応する。
【0197】
表2中、Mnはポリビニルピリジン系ポリマーの数平均分子量である。PDIは、ポリビニルピリジン系ポリマーの多分散性指数である。
【0198】
【0199】
コーティング後、センサを乾燥させて、作用電極上にフラックス制限膜を得た。架橋剤が含まれる場合、ポリマーを室温で架橋した。
【0200】
銀/塩化銀を、対/参照複合電極として使用した。
【0201】
異なるフラックス制限膜のそれぞれに対して4つのセンサを準備した。以下に記載する測定を4つのセンサのそれぞれについて行い、得られた測定値の中央値を求めた。全ての測定をin vitroで行った。以下の説明は全て、測定値の中央値を参照する。
【0202】
全てのセンサについて、様々な量のグルコースを用いて約7日間にわたって電流を測定した。測定をリン酸緩衝液中で行った。
【0203】
感度は、グルコース濃度180mg/dlで初日に測定した。180mg/dlおよび468mg/dlのグルコース濃度で平均ドリフトを計算した。
【0204】
表2から分かるように、本発明のフラックス制限膜を含むセンサは、比較センサと比較して低減されたドリフトを示すが、依然として十分に短いランイン時間を有する。同時に、それらは依然として良好な感度を有する。
【国際調査報告】