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特表2024-500638疼痛の管理及び治療において使用するための医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】疼痛の管理及び治療において使用するための医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20231227BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 23/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K31/445
A61K9/20
A61K9/08
A61P23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531124
(86)(22)【出願日】2021-11-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2021060776
(87)【国際公開番号】W WO2022107084
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202041050763
(32)【優先日】2020-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
2.TWEEN
3.EUDRAGIT
(71)【出願人】
【識別番号】517111044
【氏名又は名称】セリックス バイオ プライヴェート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CELLIX BIO PRIVATE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】カンデュラ,マヘシュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA25
4C076AA36
4C076BB21
4C076BB22
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC46
4C076DD09F
4C076DD29
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD41C
4C076DD41R
4C076DD43Z
4C076DD61T
4C076DD67T
4C076EE16
4C076EE23F
4C076EE32B
4C076EE37
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF16
4C076FF52
4C076FF61
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC21
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA63
4C086NA10
4C086ZA21
(57)【要約】
本発明は、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート、又はブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート、又はブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート、及びブピバカイングリセリルジカプリルフマラートの化合物を含む、局所投与、局所性投与、非経口投与、デポ投与、又は経口投与のために製剤化された医薬組成物、並びに、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、中枢性感覚、全身痛、又は混合型の疼痛の治療及び管理におけるそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所麻酔薬、その塩若しくは誘導体、又はそれらの混合物を含む、疼痛の治療において使用するために局所投与用に製剤化された医薬組成物。
【請求項2】
(a)0.1%~70%(w/w)の局所麻酔薬、
(b)30%~99.9%(w/w)の薬学的に許容される賦形剤、
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記局所麻酔薬は、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート、ブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート、ブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート、又はブピバカイングリセリルジカプリルフマラートから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
経口投与用の経口トローチ、経口咀嚼錠、経口分散錠、粘膜付着錠、又はバッカル錠に製剤化されている、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
局所スプレー、好ましくはポリマーフィルム形成スプレーに製剤化されている、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
徐放性製剤、持続放出性製剤、放出調節製剤、又は即放性製剤に製剤化されている、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記局所麻酔薬は、単位剤形あたり5mgから100mg、又は5mgから75mg、好ましくは5mg、10mg、25mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、又は75mgの量で存在している、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
少なくとも20分、少なくとも40分、少なくとも60分、少なくとも80分、少なくとも100分、又は少なくとも約2時間まで、少なくとも4時間まで、少なくとも8時間まで、又は少なくとも10時間までの局所麻酔効果を提供するように製剤化されている、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容される賦形剤は、結合剤、充填剤、潤滑剤、ポリマー、可溶化剤、サーファクタント、コサーファクタント、溶媒、共溶媒、防腐剤、抗酸化剤、甘味料、香料、崩壊剤、スーパー崩壊剤、味マスキング剤、薬物の浸透、バイオアベイラビリティ、及び保持時間を高めるポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されている、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記トローチの製剤は、5mgから100mgの局所麻酔薬、並びにマンニトール、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、クエン酸一水和物、サッカリンナトリウム二水和物、コロイド状二酸化ケイ素、ペパーミントフレーバー、ステアリン酸マグネシウム、及び無水アルコールから選択される薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記トローチの製剤は、73.08mgのブピバカイングリセリルジラウリルフマラート、並びにマンニトール、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、クエン酸一水和物、サッカリンナトリウム二水和物、コロイド状二酸化ケイ素、ペパーミントフレーバー、ステアリン酸マグネシウム、及び無水アルコールから選択される薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記スプレーの製剤は、5~100mg/mlの局所麻酔薬、並びにフィルム形成ポリマー、防腐剤、甘味料、推進剤、及び分散剤から選択される薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記スプレーの製剤は、73mg/mlのブピバカイングリセリルジラウリルフマラート、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8、ヒアルロン酸ナトリウム、PVP K30、安息香酸ナトリウム、キシリトール、及び精製水を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ブピバカイングリセリルジラウリルフマラートは、徐放性製剤として製剤化されている、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
均一な用量のブピバカイングリセリルジラウリルフマラートを送達するために噴霧可能装置に充填されて製剤化されている、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
疼痛の治療において使用される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記疼痛は、慢性又は急性の疼痛、侵害受容性疼痛、全身痛、神経障害性疼痛、炎症媒介性疼痛、スポーツ疼痛、歯痛、外傷痛、火傷の痛み、骨痛、がん性疼痛、口内炎及び粘膜炎等の化学療法誘発性神経障害、筋骨格痛、潰瘍、がんの手術による痛み、ウイルス性発疹、HIV発疹、帯状疱疹後神経痛、並びに坐骨神経痛を含む群から選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の医薬組成物を、該医薬組成物の局所投与によって投与するステップを含む疼痛を治療する方法。
【請求項19】
前記局所投与は、経口投与、スプレー投与、非経口投与、デポ投与、又は局所性投与である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛一般を治療するための医薬組成物を開示している。より具体的には、本発明は、侵害受容性疼痛とも呼ばれる組織損傷及び神経障害性疼痛とも呼ばれる神経損傷、中枢性感覚、全身痛、又は混合型の疼痛によって広く引き起こされる疼痛の治療及び管理のための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、体内の不快な感覚を示す一般用語であり、神経系の活性化から生じる。疼痛は、鋭くあってもよく若しくは鈍くあってもよく、断続的であってもよく、又は、一定であってもよい。疼痛は、一般に、急性及び慢性の疼痛に分類される。急性疼痛は、激しく短期間のものであり、体性痛、内臓痛、及び関連痛等、異なるタイプのものであり得る。慢性疼痛は急性疼痛よりも苛酷であるけれども、治療法がないことが多く、また持続的又は断続的であり得る。
【0003】
侵害受容性疼痛は、最も一般的なタイプの疼痛であり、急性又は慢性であり得る。侵害受容性疼痛は、全身、特に皮膚及び内蔵に見られる組織損傷に対する痛覚受容器である侵害受容器の刺激によって引き起こされる。損傷を受けると、侵害受容器は、脳に電気信号を送り、疼痛を引き起こす。内臓痛は、内臓に対する損傷又はダメージから生じる。疼痛の正確な場所を特定するのは容易ではないことが多い。体性痛は、皮膚、筋肉、関節、結合組織、及び骨等の組織における痛覚受容器の刺激から生じる。
【0004】
神経障害性疼痛は、神経系に対する損傷又は神経系の機能障害から生じる。神経障害性疼痛は、糖尿病性の状態、感染症、ベル麻痺等の顔面神経の問題、脊髄神経の炎症又は圧迫、帯状疱疹、多発性硬化症又はパーキンソン病等の中枢神経系の障害、及び事故等によるものであり得る。
【0005】
疼痛は、疼痛緩和薬物を使用して、又は根底にある健康問題を治療することによって治療することができる。異なるタイプの鎮痛薬が、疼痛管理のために使用される。アセトアミノフェンが、中程度から重度の疼痛を治療するためのOTC薬及び処方薬として一般的に使用される鎮痛薬である。他の局所麻酔薬には、リドカイン、メピバカイン、ロピバカイン、並びに、局所及び全身の毒性を有する他のものが含まれる。
【0006】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、軽度の急性疼痛の治療において一般的に使用される別のタイプの鎮痛薬である。
【0007】
オピオイドが、火傷、がん、手術、及び骨折による最も極度の急性疼痛に対する処方薬である。オピオイドは、依存性が高く、時間の経過に伴いその有効性は失われる。
【0008】
国際特許出願PCT/IB2017/052247は、慢性疼痛の治療のための組成物及び方法を開示しており、その内容全体を、参照により本明細書に援用する。しかし、国際特許出願PCT/IB2017/052247は、様々な疾患状態における疼痛管理のための医薬組成物、調製方法、様々な剤形、送達方法、製剤、及び組成物を開示していない。
【発明の概要】
【0009】
一実施形態において、本発明は、急性又は慢性の疼痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢性感覚、全身痛、又は混合型の疼痛の治療のために局所麻酔製剤をその部位に投与することによって疼痛緩和を改善するための医薬組成物又は製剤及び方法を提供する。
【0010】
一実施形態において、本発明は、局所麻酔薬、その誘導体又は薬学的に活性な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
別の実施形態において、当該医薬組成物は、局所麻酔薬、その薬学的に活性な塩若しくは誘導体、又はそれらの混合物を含む。局所麻酔薬の例として、有効成分のブピバカインの化合物と総称されるブピバカインのレボ及びデキストロのエナンチオマーの塩、誘導体、又はプロドラッグが挙げられる。レボブピバカインは、ブピバカインの(S)-(-)-エナンチオマーであり、作用持続時間が長く、血管拡張作用が少ない。レボブピバカイン又は、その誘導体及びその任意の薬学的に活性な塩は、本発明の範囲内に含まれる。
【0012】
特定の実施形態では、ブピバカイン塩の形の化合物、又は、ブピバカイン(有効成分)及び本発明によるグリセロールフマラート又はグリセロールスクシナートの脂肪酸誘導体を含有するアニオン及びカチオンの形の混合物は、以下の式I[ブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート(bupivacaine glyceryl dilauryl succinate)]、式II[ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート(bupivacaine glyceryl dilauryl fumarate)]、式III[ブピバカイングリセリルジカプリルフマラート(bupivacaine glyceryl dicapryl fumarate)]、又は式IV[ブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート(bupivacaine glyceryl dicapryl succinate)]から選択される。
【0013】
【化1】
一実施形態において、本発明は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、キャリア、溶剤、又は希釈剤と共にブピバカインの化合物を含む医薬組成物も提供する。
【0014】
一実施形態において、当該医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と共に、式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含んでもよい。さらに、そのような組成物の調製方法、並びに疼痛管理及び治療におけるその使用が開示される。
【0015】
一実施形態において、本発明は、局所投与、局所性投与、非経口投与することができるか、又は、注入による投与及び/又は経口投与することができる疼痛の治療のための、治療有効量の式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含む適した剤形も開示する。
【0016】
さらに別の実施形態において、本発明は、疼痛の治療及び管理のための式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含む医薬組成物の固体及び液体の製剤を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、疼痛の治療のためにより良好なバイオアベイラビリティ及び長期間持続する効果を有する、容易且つ便利で患者に優しい薬物送達システムを提供する。
【0018】
一実施形態では、式I、式II、式III、又は式IVの化合物は、咀嚼錠、バッカル錠、チューインガム、パッチ、錠剤、カプセル、トローチ、粉末ベースのトローチ、シロップベースのトローチ、顆粒化トローチ、芳香錠、及び分散性顆粒等、経口投与のために製剤化される。さらに、経口製剤は、徐放性若しくは遅延放出製剤、持続放出性製剤、即放性若しくは速放性製剤、相放出(phased release)製剤、又は医薬製剤調製の分野においてよく知られている任意の他の放出調節プロファイルを含む放出調節製剤であってもよい。
【0019】
特定の実施形態において、当該医薬組成物は、トローチに製剤化された式IIの化合物を含む。
【0020】
当該組成物は、5mgから2gm、又は0.1から100mg、好ましくは0.1から75mg、例えば、5mg、10mg、25mg、50mg、60mg、65mg、70mg、71mg、72mg、73mg、又は75mgの量の式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含有し、これは、経口トローチ、経口咀嚼錠、経口分散錠、粘膜付着錠、バッカル錠、又はブピバカイン活性型に相当するものを含むその任意の経口局所投与製剤におけるブピバカイン遊離塩基活性型に相当する。
【0021】
本発明は、さらに、1つのステップが造粒ステップを含むトローチの製造方法に関する。造粒ステップは、湿式造粒及び/又は乾式造粒であってもよい。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、トローチ製剤の調製方法に関する。当該方法は:
i. ステップ1:必要な原材料を全て分注するステップと、
ii. ステップ2:造粒流体:有効成分を適した溶媒及び/又は共溶媒において溶解するステップと、
iii. ステップ3:賦形剤:結合剤、崩壊剤、甘味料、滑剤、固化防止剤、味マスキング剤、防腐剤、浸透促進剤、バイオアベイラビリティ促進剤、可溶化剤、サーファクタント、コサーファクタント、香料をふるいにかけるステップと、
iv. ステップ4:乾式混合:ふるいにかけたステップ3の原材料を混合するステップと、
v. ステップ5:造粒:造粒されたステップ4を、ステップ2の造粒流体と混ぜ合わせるステップと、
vi. ステップ6:乾燥:ステップ5の湿った塊を乾燥するステップと、
vii. ステップ7:サイズ分類:ステップ6の乾燥した材料を、ふるいを使用してふるいにかけるステップと、
viii. ステップ8:ふるいかけ:余分な顆粒材料、すなわち香料及び潤滑剤をふるいにかけるステップと、
ix. ステップ9:潤滑:ステップ8のふるいにかけた材料をステップ7に添加し且つ混ぜ合わせるステップと、
x. ステップ10:圧縮:ステップ9の潤滑剤が与えられた混合物を、圧縮機上の適したパンチで圧縮してトローチにするステップと、
を含む。
【0023】
一実施形態では、式I、式II、式III、又は式IVの化合物は、局所投与のために製剤化されてもよい。特定の実施形態において、製剤は、局所性スプレー製剤である。さらに、スプレー製剤は、皮膚又は粘膜層への適用に適した粘膜付着製剤及び/又は生体付着製剤である。
【0024】
特定の態様における本開示は、スプレー装置の利用を介して局所的に適用されるポリマーフィルム形成スプレー製剤の投与を含む疼痛の治療方法を対象にしている。スプレー製剤は、ポンプによるスプレー投与後に粘膜層又は皮膚を通過する式I、式II、式III、又は式IVの透過性を高めるように製剤化される。
【0025】
その式I、式II、式III、又は式IVの化合物は、好ましくは5mgから2gm又は0.1から100mg、好ましくは0.1から75mg、例えば、5mg、10mg、25mg、50mg、60mg、65mg、70mg、71mg、72mg、73mg、又は75mgの量で存在し、これは、スプレーのポンプあたりの活性型のブピバカインに相当する。式I、式II、式III、又は式IVの化合物の活性型の用量は、約0.1から約100mg若しくは5mgから25mgであってもよく、又は、単位用量として皮膚若しくは粘膜層に外用的又は局所的にスプレーして、1スプレーあたり約0.1cmから約60cmのフィルム表面積を提供し、さらに、皮膚若しくは粘膜層に対する局所的な単位用量の適用あたり1から約10スプレーすることによって投与されてもよい。特定の実施形態では、局所的なポリマーフィルム形成組成物のさらなる単位用量が、最初の単位用量の適用から約5時間後に作用部位に局所的にスプレーされてもよい。単位用量は、定量ポンプ送達装置を使用してスプレーすることができる。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、スプレー製剤を調製する方法に関し、当該方法は:
i. ステップ1:調合容器に精製水を添加し、崩壊剤、結合剤、防腐剤、潤滑剤、甘味料、薬物の浸透、バイオアベイラビリティ、及び保持時間を可能にする薬剤を溶解することによって、溶液Aを調製するステップと、
ii. ステップ2:可溶化剤、自己乳化剤を調合容器に添加し、有効成分を溶解することによって溶液Bを調製するステップであって、溶液Aを溶液Bに添加し、薬物が完全に溶解するまで連続的に撹拌し、体積は残りの精製水の量で構成される、ステップと、
iii. ステップ3:得られた溶液を真空下でろ過するステップであって、このろ過した溶液をガラスバイアルに充填し、ポンプを圧着するステップと、
を含む。
【0027】
別段の定めがない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書において引用されている発行済みの特許、特許出願、及び参考文献は、それぞれが参照により援用されるように具体的且つ個々に示されている場合と同じ程度まで、参照により本明細書に援用する。矛盾する場合は、定義を含む本開示が優先される。加えて、材料、方法、及び例は単に例示的であり、限定的であることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
定義:
本明細書において使用される場合、以下の用語及び語句は、以下において明記される意味を有するものとする。別段の定めがない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。
【0029】
「薬学的に許容される」、「薬学的に許容されるキャリア」、「プロドラッグ」、「予防的」若しくは「治療的」、「治療」、「治療有効量」、「徐放性」、「全身投与」、「全身的に投与」、「末梢投与」及び「末梢的に投与」、「実質的に純粋」、「代謝状態」、「患者」、「対象」、「宿主」、「多形」、「エナンチオマー」、「ラセミ混合物」という語句は、当技術分野において認められている。
【0030】
「医薬品有効成分」という語句は、麻酔性鎮痛薬が局所麻酔薬を指すことを意味し、レボ及びデキストロのエナンチオマー形のブピバカインの塩、誘導体、混合物、複合物、又はプロドラッグを含むブピバカインの化合物を含む。式I、式II、式III、又は式IVは、イオン塩形のブピバカインの化合物、ブピバカイン遊離塩基とグリセロールフマラート脂肪酸誘導体との混合物、又はブピバカイン遊離塩基とグリセロールスクシナート脂肪酸誘導体との混合物の例である。
【0031】
本明細書において使用される場合「疼痛」という用語は、侵害受容性疼痛とも呼ばれる組織損傷による疼痛、神経障害性疼痛とも呼ばれる神経損傷による疼痛、中枢性感覚、全身痛、又は混合型の疼痛を意味する。疼痛は、急性の疼痛又は慢性の疼痛のいずれかであり得る。さらに、神経根痛、炎症性疼痛、内臓痛、がん性疼痛、口内炎及び粘膜炎に関連する疼痛、非がん性疼痛、外傷性疼痛、スポーツ疼痛、外科的疼痛、外傷痛、火傷の痛み、筋骨格痛、術後疼痛、陣痛、神経因性膀胱、潰瘍、がん、及び大腸炎に関連する疼痛、休息痛、周囲媒介性疼痛(surrounding mediated pain)、中枢媒介性疼痛(main center mediated pain)、慢性頭痛、片頭痛、副鼻腔炎性頭痛、緊張型頭痛、幻肢痛、歯痛、末梢神経損傷及び帯状疱疹後神経痛(PHN)等の末梢神経障害性疼痛、有痛性の抹消糖尿病性神経障害(pDPN)等の糖尿病性の状態による疼痛、開放創の感染による疼痛、切断後疼痛、ベル麻痺等の顔面神経の問題、脊髄神経の炎症又は圧迫、帯状疱疹による疼痛、多発性硬化症又はパーキンソン病等の中枢神経系の障害、三叉神経痛、及び事故による疼痛等が含まれる。
【0032】
本発明において、「神経障害性疼痛」という用語は、数ある中でも、PHP、DPN等の中枢神経損傷若しくは末梢神経障害、腰髄神経根障害若しくは頸部神経根症、狭窄症、腫瘍関連神経障害、紅痛症、線維筋痛症、化学療法誘発性神経障害、小径線維ニューロパチー、術後疼痛、幻肢痛、慢性神経根症、多発性硬化症疼痛、三叉神経痛、卒中後の疼痛、脊髄損傷由来の疼痛、軟骨無発生症、軟骨無形成症、軟骨形成不全の低身長症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、HPV関連の発疹及び疼痛、急性ポルフィリン症、急性間欠性ポルフィリン症、急性の肩の神経炎、副腎脊髄ニューロパチー(AMN)、成人型皮膚筋炎、筋萎縮性側索硬化症、肛門直腸形成異常、くも膜炎、クモ膜炎、関節炎、関節尿道炎、星状細胞腫、アテトーゼ型脳性麻痺、バレット食道、バレット潰瘍、中枢神経系の良性腫瘍、骨腫瘍-類表皮腕神経炎、腕神経叢炎、腕神経叢ニューロパチー、脳腫瘍、水疱症、水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、水疱性魚鱗癬、水疱性類天疱瘡、バーキットリンパ腫、踵骨外反、海綿状リンパ管腫、中枢性卒中後痛、中枢神経線維腫症、頸椎脊椎管狭窄症、頸椎椎骨融合、シャルコー病、小児皮膚筋炎、軟骨異栄養性筋強直症、点状軟骨異形成症、先天性軟骨異栄養症石灰化、胎児性軟骨異栄養症、軟骨異栄養症、軟骨異栄養性過形成、軟骨外胚葉異形成、軟骨形成不全症、軟骨ジストロフィー、骨軟骨形成異常、慢性癒着性くも膜炎、慢性特発性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、瘢痕性類天疱瘡、複合性局所疼痛症候群、先天性髄鞘形成不全ニューロパチー、先天性頸椎癒合症、先天性ミエリン形成不全ニューロパチー、先天性魚鱗癬様紅皮症、先天性頸髄係留症候群、頭部動脈炎、クローン病、皮膚ポルフィン症、変性腰部脊柱管狭窄症、糖尿病、インスリン依存性糖尿病、糖尿病アジソン病粘液水腫、脱髄性疾患、円板状ループス、播種性紅斑性狼瘡、播種性神経皮膚炎、播種性硬化症、後側彎型EDS、軽症型EDS、眼-側弯型EDS、栄養障害弾性線維症症候群、脳顔面血管腫症、脳三叉神経領域血管腫症、多発性海綿状血管腫を伴う内軟骨腫症、地方病性多発性神経炎、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、表皮水疱症、後天性表皮水疱症、先天性表皮水疱症、致死型表皮水疱症、晩発性先天表皮水疱症、表皮溶解性角化症、表皮融解性角質増殖(bullous cie)、ベル麻痺等の顔面神経の問題、家族性腰椎狭窄症、家族性早発性リンパ浮腫、線維筋痛症、線維筋痛症-線維筋炎、線維筋炎、結合織炎、多関節の線維性強直、線維性骨異形成症、脆弱X症候群、全身性の線維腫症、ギラン・バレー症候群、血管腫性軟骨異栄養症、全型の遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー疼痛、全型の遺伝性感覚性運動ニューロパチー、遺伝性感覚性神経根ニューロパチー、帯状疱疹、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、過形成性表皮水疱症、肥厚性間質性ニューロパチー、肥厚性間質性神経炎、肥厚性間質性神経根障害、レフサムの肥厚性ニューロパチー(ARD)、突発性腕神経叢ニューロパチー、突発性痙性斜頸、若年性(小児期型)皮膚筋炎、若年性糖尿病、若年性関節リウマチ、扁平足、下腿潰瘍、腰部脊柱管狭窄症、腰部脊椎管狭窄症、腰仙部脊柱管狭窄症、ループス、ループスリンパ管腫、多発性単神経炎、末梢性単神経炎、末梢性単ニューロパチー、単骨性線維性骨異形成症、多発性軟骨性内軟骨腫、多発性軟骨性外骨腫、多発性内軟骨腫症、多発性骨髄腫、肩帯の多発性神経炎、多発性骨軟骨腫症、多発性末梢神経炎、脊髄損傷に関連する神経障害性疼痛、多発性硬化症、筋骨格痛症候群、ニューロパチーアミロイドーシス、ニューロパチー脚気、腕神経叢ニューロパチー症候群、ニーマンピック病(急性ニューロン症)、非瘢痕性表皮水疱症、アルカプトン尿性関節症、眼単純ヘルペス、玉ねぎ様構造ニューロパチー、先天性骨形成不全症、晩発性骨形成不全症、末梢神経炎、末梢性ニューロパチー、ペルテス病、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎及び皮膚筋炎、末梢性多発神経炎、末梢性多発ニューロパチー、多発ニューロパチー及び多発神経根筋障害、多骨性線維性骨異形成症、多骨性硬化性組織球増殖症、後脊髄造影くも膜炎、一次進行型多発性硬化症、乾癬、橈骨神経麻痺、神経根ニューロパチー感覚、神経根ニューロパチー感覚劣性、反射性交感神経性ジストロフィー、再発寛解型多発性硬化症、感覚性神経根ニューロパチー、鎌状赤血球症、二分脊椎、開放性二分脊椎、脊髄くも膜炎、脊髄動静脈奇形、脊髄骨化性くも膜炎、脊柱管狭窄症、腰部脊柱管狭窄症、スチル病、脊髄空洞症、全身性硬化症、踵足、内反尖足、尖足、内反足、外反足、タンデム脊柱管狭窄症、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、側頭動脈炎、脊髄係留症候群、脊髄係留奇形シークエンス、坐骨神経痛、脊髄係留症候群、頸髄係留症候群、視床痛症候群、視床知覚過敏麻酔、三叉神経痛、血管炎、異型ポルフィリン症、強直性椎骨増殖症、蠕虫感染(例えばリーシュマニア症)及び特定のウイルス感染、結核及びらい腫性ハンセン病を含む細菌感染等の感染病原体によって誘発される免疫症状、組織移植拒絶反応、喘息及びアレルギー等のアトピー状態並びに移植片対宿主病、食物アレルギーを含む消化管アレルギー、好酸球増加症、結膜炎、又は糸球体腎炎を主に含む。
【0033】
本発明において「侵害受容性疼痛」という用語は、骨、関節、筋肉、皮膚、又は結合組織に対するダメージ又は損傷による疼痛であり、数ある中でも、変形性関節症、関節リウマチ、腱炎滑液包炎、強直性脊椎炎、痛風、症状を伴う頸部及び背部の疼痛、腫瘍関連侵害受容性疼痛、炎症性腸疾患を主に含む。
【0034】
本発明において「中枢性感作」という用語は、線維筋痛症、過敏性腸症候群、緊張型頭痛、腸膀胱炎、骨盤痛、レストレスレッグス症候群を主に含む。
【0035】
本発明において「全身痛」という用語は、有意なトリガーポイント無しで全身の触診に対するびまん性の圧痛を伴う全身の広範囲の疼痛が、うつ状態若しくは睡眠状態の不良に関連するか、又は中枢性感作による可能性があることを意味する。
【0036】
本発明の組成物は、粘膜炎及び口内炎患者における放射線誘発性の疼痛の治療に有用である。口腔粘膜炎に至る照射誘発性の組織学的変化は、唾液の量的及び質的変化と共に、酵母の増殖を促進することが報告されている。粘膜の炎症は、がん患者における高用量の化学療法及び放射線療法の一般的な用量制限合併症である。患者の全身状態の重度の障害は、その後の細菌重複感染と関連している。そのようながん患者の長期入院は、重度の臨床症状につながる口腔粘膜炎の悪化の中での微生物のコロニー形成等の口腔ミクロフローラにおいて実質的な変化をもたらす。口腔粘膜の潰瘍化は、自然の防御バリア又は粘膜層を妨害し、口腔微生物及び炎症性サイトカインを下層組織及び全身への血液供給に侵入させる。93%の口腔内コロニー形成及び感染が患者においてしばしば認められる。粘膜炎において蔓延している細菌性病原性種は、スカルドビア菌種(Scardovia spp)、ラクトバシラス菌種(Lactobacillus spp)、ストレプトコッカス菌種(Streptococcus spp)、アクチノマイセス菌種(Actinomyces spp)、スタフィロコッカス菌種(Staphylococcus spp)、エンテロコッカス菌種(Enterococcus spp)、ウソバクテリウム菌種(usobacterium spp)、プレボテラ菌種(Prevotella spp)、アクチノバシラス菌種(Actinobacillus spp)、及びカンジダ菌種(Candida spp)であり、他のものが、放射線療法、放射線化学療法により治療された患者の口腔において観察される。
【0037】
微生物感染は、開放創、切り傷、手術創、火傷、発疹においても非常に一般的であり、一般的に認められる病原体には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシエラ肺炎(Klebsiella pneumonia)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、ミュータンス菌(S.mutans)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス(A. actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(F. nucleatum)、及びストレプトコッカス・ゴルドニ(S. gordonii)が含まれ、真菌病原体は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、及びアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)等である。
【0038】
遊離脂肪酸(FFA)の抗菌作用機序は依然としてほとんど解明されておらず、FFA作用の主要な標的は細胞膜であり、FFAは電子伝達系及び酸化的リン酸化を妨害し;また、細胞のエネルギー産生、過酸化及び自動酸化分解産物の生成、又は細菌細胞の直接溶解に干渉し得る。ねじれた構造を欠く中鎖飽和脂肪酸は、より密に詰め込むことができ、おそらく膜内のキャリアの動きを制限することによって、膜の流動性を低下させ、電子伝達を妨害し得る。長鎖不飽和脂肪酸の抗菌効果は、その脂肪酸生合成の阻害によるものであった。遊離脂肪酸(FFA)の生物活性の1つは、病原性細菌を死滅させるか又はその増殖を抑制する能力である。
【0039】
本発明の組成物は、式I、式II、式III、及び式IVの化合物を含み、疼痛を軽減するだけでなく微生物の増殖を抑制することにおいても効果的である。
【0040】
本発明において、「ブピバカインの化合物」とは、ブピバカインの塩、混合物、プロドラッグ、及び誘導体を意味し、さらに、その内容全体を参照により本明細書に援用する国際特許出願PCT/IB2017/052247において開示された化合物を含む。
【0041】
本発明を理解し、実際にどのように実行することができるかを確認するために、いくつかの特定の実施形態が次に記載される。
【0042】
一実施形態において、本発明は、疼痛を治療するだけでなく、疼痛を感じる身体の部分を麻酔することも熟考している。
【0043】
一実施形態において、本発明は、体内の神経インパルスを遮断する麻酔薬(麻痺薬)としてブピバカインの化合物を開示している。
【0044】
一実施形態において、本発明は、ブピバカインの塩、誘導体、及びプロドラッグが、電位依存性ナトリウムチャネルの細胞内部分に結合し、神経細胞へのナトリウム流入を遮断し、それによって脱分極が防止され、従って、疼痛シグナルの開始又は伝導の停止が発生し得ることによって疼痛を効果的に軽減するために製剤化される方法を開示している。一実施形態において、本発明は、病原性微生物フローラを減少させるだけでなく、疼痛を軽減するための薬物の徐放を可能にするために、天然に存在する脂肪酸に関連する抗菌特性を有する、より脂溶性の局所麻酔薬である化合物を提供する。
【0045】
一実施形態において、本発明は、本明細書において定められている急性又は慢性の疼痛、放射線誘発性の疼痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢感覚、全身痛、又は混合型の疼痛の治療のために、その部位にある用量の局所麻酔製剤を投与することによって疼痛を緩和するための医薬組成物又は製剤及びその方法を提供する。
【0046】
一実施形態において、本発明は、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、中枢感覚、全身痛、又は混合型の疼痛の管理/治療のための医薬組成物を提供する。
【0047】
一実施形態において、本発明は、局所麻酔薬、その薬学的に活性な塩若しくは誘導体、又はそれらの混合物を含む医薬組成物を提供する。
【0048】
別の実施形態では、局所麻酔薬又はその薬学的に活性な塩は、ラセミ体のブピバカインの化合物又はレボブピバカインと総称されるブピバカインのレボ及びデキストロのエナンチオマーの塩、誘導体、及びプロドラッグを含む。レボブピバカインは、ブピバカインの(S)-(-)-エナンチオマーであり、作用持続時間が長く、血管拡張作用が少ない。レボブピバカイン及びその任意の薬学的に活性な塩は、本発明の範囲内に含まれる。
【0049】
特定の実施形態において、本発明は、以下の化学構造から選択されるブピバカインの化合物(有効成分)を含む医薬組成物を提供する。当該組成物は、投与経路に基づき製剤化され、疼痛管理及び治療において使用される。
【0050】
【化2】
開示されている医薬組成物は、式I[ブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート]、式II[ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート/CLX-SYN-G161-C11]、式III[ブピバカイングリセリルジカプリルフマラート]、又は式IV[ブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート/CLX-SYN-G161-C01]の化合物から選択された有効成分を、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、キャリア、溶剤、又は希釈剤と共に含む。
【0051】
一実施形態において、医薬組成物は、式I、式II、式III、又は式IVの化合物を、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含んでもよい。そのような製剤は、疼痛治療及び疼痛管理に使用することができる薬物の調製において使用される。
【0052】
一実施形態において、本発明は、局所投与、デポ投与、注入投与、スプレー投与、局所性投与、及び/又は経口投与することができる、疼痛の治療のための治療有効量の式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含む適した剤形も提供する。
【0053】
一実施形態において、本発明は、0.1%から70%w/wの局所麻酔薬、及び残り30~99.9%w/wの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0054】
一実施形態において、本発明は、疼痛の治療のためにより良好なバイオアベイラビリティ及び長期間持続する効果を有する、容易且つ便利で患者に優しい薬物送達システムを提供する。
【0055】
一実施形態において、ブピバカインの化合物は、咀嚼錠、バッカル錠、チューインガム、経口分散錠、粘膜付着錠、パッチ、錠剤、カプセル、トローチ、粉末ベースのトローチ、シロップベースのトローチ、顆粒化トローチ、芳香錠、及び分散性顆粒、又は、任意の他の経口投与製剤等、経口投与のために製剤化される。さらに、経口製剤は、徐放性若しくは遅延放出製剤、即放性若しくは速放性製剤、相放出製剤、又は医薬製剤の分野において知られている任意の他の放出調節プロファイルであり得る。
【0056】
徐放性組成物は、好ましくは、少なくとも1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80分、90分、又は少なくとも100分の期間にわたって、例えば約2時間、3時間、4時間、5時間、又は10時間までの期間にわたってブピバカインの化合物の徐放性を提供するように製剤化される。これらの値は全て、放出時間の範囲の上限及び下限を表すように並び替えることができ、例えば、その範囲は10から60分であり得る。
【0057】
特定の実施形態において、徐放性組成物は、好ましくは、少なくとも20分間、少なくとも40分間、少なくとも60分間、少なくとも80分間、少なくとも100分間、又は少なくとも約2時間まで、少なくとも4時間まで、少なくとも8時間まで、若しくは少なくとも10時間までのブピバカインの化合物の徐放性を提供するように製剤化される。
【0058】
トローチ製剤は、本発明の一実施形態において、活性型のブピバカインに相当する1から80mgの式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含有し、これは、長期間にわたる使用に適している。
【0059】
特定の実施形態において、当該医薬組成物は、式II[ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート又はCLX-SYN-G161-C11]の化合物を含み、トローチに製剤化される。
【0060】
一実施形態において、その式I、式II、式III、又は式IVは、好ましくは、単位剤形あたり5mgから2gm又は5mgから100mg、好ましくは5から75mg、例えば、5mg、10mg、25mg、50mg、60mg、65mg、70mg、71mg、72mg、73mg、又は75mgの量で存在する。
【0061】
本発明は、さらに、1つのステップが造粒ステップを含むトローチを生成する方法に関する。造粒ステップは、湿式造粒及び/又は乾式造粒であってもよい。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、トローチ製剤の調製方法に関する。当該方法は:
xi. ステップ1:必要な原材料を全て分注するステップと、
xii. ステップ2:造粒流体:有効成分を適した溶媒及び/又は共溶媒又は任意の他の溶剤において溶解するステップと、
xiii. ステップ3:任意の賦形剤:結合剤、崩壊剤、甘味料、滑剤、固化防止剤、味マスキング剤、防腐剤、浸透促進剤、バイオアベイラビリティ促進剤、可溶化剤、サーファクタント、コサーファクタント、香料、又は任意の他の添加剤をふるいにかけるステップと、
xiv. ステップ4:乾式混合:ふるいにかけたステップ3の原材料を混合するステップと、
xv. ステップ5:造粒:造粒されたステップ4を、ステップ2の造粒流体と混ぜ合わせるステップと、
xvi. ステップ6:乾燥:ステップ5の湿った塊を乾燥するステップと、
xvii. ステップ7:サイズ分類:ステップ6の乾燥した材料を、ふるいを使用してふるいにかけるステップと、
xviii. ステップ8:ふるいかけ:余分な顆粒材料、すなわち香料及び潤滑剤、又は任意の他の賦形剤をふるいにかけるステップと、
xix. ステップ9:潤滑:ステップ8のふるいにかけた材料をステップ7に添加し且つ混ぜ合わせるステップと、
xx. ステップ10:圧縮:ステップ9の潤滑剤が与えられた混合物を、圧縮機上の適したパンチで圧縮してトローチにするステップであって、そのように調製した各トローチは、治療有効量の活性剤/ブピバカインの化合物の1つを含有する、ステップと、
を含む。
【0063】
上記の方法を使用して調製したトローチは、口内でさらに長く持続することができ、患者がそれらを吸うときにそれほど乾燥していないように思われる。
【0064】
一実施形態において、ブピバカインの化合物は、局所投与及び局所性投与用に製剤化されてもよい。特定の実施形態において、製剤は、スプレー製剤であってもよい。
【0065】
特定の態様における本開示は、スプレー装置の利用を介して局所的又は外用的に標的部位に適用されるポリマーフィルム形成スプレー製剤の投与を含む疼痛の治療方法を対象にしている。
【0066】
そのブピバカインの化合物は、好ましくは、1mlのスプレーあたり5mgから2gm又は5mgから100mgの量で存在し、好ましい実施形態では、5から75mg、又は好ましくは5mg、10mg、25mg、50mg、60mg、65mg、70mg、71mg、72mg、73mg、又は75mgの量で存在する。
【0067】
一部の実施形態において、当該組成物は、式I、式II、式III、又は式IVの化合物の特性及び投与経路を考慮して液体剤形として製剤化される。賦形剤は、剤形、有効成分の物理化学的特性、安定性、及び適合性の問題に基づき選択される。用量の不均一性を減らし、投与の容易さを改善するために、製剤は、ボトルから均一な用量を送達するために噴霧可能装置に詰め込まれる。この装置は、製品を患部に送達するのを可能にする長いカニューレを備えたアクチュエータで構成されている。
【0068】
実施形態の1つにおいて、当該組成物は、投与時にフィルムを形成するため、及びブピバカインの化合物を介した有効成分の徐放性のために、製剤中に1つ以上のポリマーを有してもよい。微生物学的安定性及び患者による用量アドヒアランスを高めるために、防腐剤及び甘味料が含まれている。
【0069】
別の実施形態において、本発明は、スプレー製剤を調製する方法に関し、当該方法は:
iv. ステップ1:調合容器に精製水を添加し、崩壊剤、結合剤、防腐剤、潤滑剤、甘味料、薬物の浸透、バイオアベイラビリティ、及び保持時間を可能にする薬剤等の任意の賦形剤を溶解することによって、溶液Aを調製するステップと、
v. ステップ2:可溶化剤、自己乳化剤、又は任意の他の賦形剤を調合容器に添加し、有効成分を溶解することによって溶液Bを調製するステップであって、溶液Aを溶液Bに添加し、薬物が完全に溶解するまで連続的に撹拌し、体積は残りの精製水の量で構成される、ステップと、
vi. ステップ3:得られた溶液を真空下でろ過するステップであって、このろ過した溶液をガラスバイアルに充填し、ポンプを圧着するステップと、
を含む。
【0070】
開示されている医薬組成物は、式I[ブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート]、式II[ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート/CLX-SYN-G161-C11]、式III[ブピバカイングリセリルジカプリルフマラート]、又は式IV[ブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート/CLX-SYN-G161-C01]の化合物を、少なくとも、高い安全性プロファイル、徐放性、良好な透過性、長期間持続する効果、及び低い毒性を有する1つ以上の医薬賦形剤と共に含む。さらに、医薬賦形剤の例には、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、浸透促進剤、可溶化剤、サーファクタント、推進剤、分散剤、着色剤、崩壊剤、香料、滑剤、潤滑剤、防腐剤、収着剤、甘味料、溶剤が含まれる。
【0071】
一実施形態において、本発明は、容易且つ便利な投与のために固体及び液体の製剤に製剤化された医薬組成物を開示している。別の実施形態において、本発明は、疼痛に苦しむ高齢者及び小児等の特別な患者カテゴリーのための医薬組成物を提供する。
【0072】
さらに別の実施形態において、使用される賦形剤は、加圧されたパッケージのためのスプレー製剤に適しており、本発明の化合物を体循環に分注するためのNDDS等の加圧された剤形、並びに局所作用が開示されている。そのような賦形剤の非限定的な例には、抗酸化剤、軟化薬、溶媒及び共溶媒、保水剤、消泡剤、サーファクタント、フィルム形成剤、防腐剤、並びに湿潤剤が含まれる。
【0073】
さらに別の実施形態では、本発明による徐放性薬物送達システムに対して、薬物キャリアは、ペニシリンボトル、アンプル、充填可能なインジェクタ、スプレーボトル、又はエアロゾルボトルであってもよい。さらに、このシステムは、有効成分の徐放性を得るために、ストッパーで塞がれ、カバーで密封され;エアロゾルボトルの場合には、最初に原液が添加され、次に、ボトルは推進剤で充満され、さらに密封される。適切な容器及びスプレー装置は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」を参照することによって、当業者は入手できる。
【0074】
本開示において、特定の態様は、スプレー装置の利用を介して局所的に適用されるポリマーフィルム形成スプレー製剤の投与を含む疼痛の治療方法を対象にしている。
【0075】
特定の実施形態において、本発明は、浸透促進剤としても作用し、薬物のバイオアベイラビリティを改善又は増強し、且つ持続的にブピバカインの化合物を放出するフィルム形成ポリマーと共に溶媒中に分散されたブピバカインの化合物を含む外用のポリマーフィルム形成組成物を対象にしている。加えて、当該組成物は、スプレー製剤に適した潤滑剤、ポリマー溶剤、防腐剤、甘味料、及び他の賦形剤を有することになる。この製剤は、約0.5から約1000ミクロンの直径を有する液滴を提供するポンプスプレーの使用を介して、疼痛部位に単位用量としてスプレーすることができる。特定の好ましい実施形態では、外用のポリマーフィルム形成組成物は、スプレーすると、その適用の最初の1時間から5時間以内に約0.01%から約50%の活性剤を放出する。
【0076】
一実施形態では、スプレー製剤に使用される浸透促進剤は、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、カプリン酸、ラウリン酸、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オレイン酸メチル、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、シクロデキストリン、デキストラン硫酸、ポリソルベート80、エタノール、n-メチル-2-ピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシルセトステアリルエーテル、ポリオキシルオレイルエーテル、ポリオキシルラウリルエーテル、又はそれらの組み合わせ等を含む群から選択される。
【0077】
特定の実施形態において、当該製剤は、式I、式II、式III、又は式IVの化合物を提供し、約5mgから2gm、5mgから約100mg、又は約1mgから約75mgに及ぶ用量のブピバカインの化合物であり、単位用量として皮膚にスプレーされて、1スプレーあたり約1cmから約40cmのフィルム表面積を提供する。単位用量は、単位用量を表面に適用するごとに1から約20スプレーであってもよい。特定の実施形態において、活性剤は、1から75mgの式II、好ましくは70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、又は75mgの式IIを含む。ブピバカインを含有する単位用量は、例えば、73mgであってもよく、その用量は、1スプレーあたり73mg/mlとして投与されてもよい。
【0078】
特定の実施形態において、本発明は、重量で約2%から約80%、又は重量で2%から70%(例えば70重量%)の量のフィルム形成ポリマーと共に、適した溶媒中に分散させた治療有効量の局所麻酔薬(式IIで例証されるブピバカインの活性塩又は混合物の化合物の1つ)を、潤滑剤、ポリマー溶剤、防腐剤、及び甘味料等の他の賦形剤と共に含む単位用量の外用のポリマーフィルム形成組成物をスプレーすることによって、異なるタイプの疼痛を治療する方法を提供する。
【0079】
形成されたフィルムは、最大24時間の薬物放出を提供するのに十分なほど安定している。ポリマー溶液は、液体として作用部位に局所的にスプレーされ、揮発性溶媒の蒸発によってin situでほとんど見えないフィルムを形成する。このフィルムは、実際は剥離可能及び/又は剥離不可能であってもよい。このフィルムは、通気性があり、微孔性であり、生体付着性及び粘膜付着性であってもよい。このフィルムは、べたべたしていなくてもよく、粘着性がなくてもよい。
【0080】
一実施形態において、本発明の医薬組成物は、エタノール、Kolliphor RH40、PVP K30、ヒアルロン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ポビドン、マンニトール、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、サッカリンナトリウム二水和物、クエン酸一水和物、キシリトール、ペパーミントフレーバー、水、及びラブラゾール(labrasol)から選択された薬学的に許容される賦形剤と共に局所麻酔薬を含む。
【0081】
一実施形態において、本発明のトローチ組成物は、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート、ポビドン、マンニトール、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8、サッカリンナトリウム二水和物、クエン酸一水和物、ペパーミントフレーバー、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、及び無水アルコールを含む。
【0082】
特定の実施形態において、トローチ組成物は、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート9.70%(w/w)、ポビドン6.70%(w/w)、マンニトール74.10%(w/w)、コロイド状二酸化ケイ素6.70%(w/w)、クロスカルメロースナトリウム0.10%(w/w)、サッカリンナトリウム二水和物0.30%(w/w)、クエン酸一水和物0.50%(w/w)、ペパーミントフレーバー0.70%(w/w)、ステアリン酸マグネシウム1.20%(w/w)、及び無水アルコールを含む。
【0083】
特定の実施形態において、トローチ組成物は、ブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート9.70%(w/w)、ポビドン6.70%(w/w)、マンニトール74.10%(w/w)、コロイド状二酸化ケイ素6.70%(w/w)、クロスカルメロースナトリウム0.10%(w/w)、サッカリンナトリウム二水和物0.30%(w/w)、クエン酸一水和物0.50%(w/w)、ペパーミントフレーバー0.70%(w/w)、ステアリン酸マグネシウム1.20%(w/w)、及び無水アルコールを含む。
【0084】
特定の実施形態において、トローチ組成物は、ブピバカイングリセリルジカプリルフマラート9.70%(w/w)、ポビドン6.70%(w/w)、マンニトール74.10%(w/w)、コロイド状二酸化ケイ素6.70%(w/w)、クロスカルメロースナトリウム0.10%(w/w)、サッカリンナトリウム二水和物0.30%(w/w)、クエン酸一水和物0.50%(w/w)、ペパーミントフレーバー0.70%(w/w)、ステアリン酸マグネシウム1.20%(w/w)、及び無水アルコールを含む。
【0085】
特定の実施形態において、トローチ組成物は、ブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート9.70%(w/w)、ポビドン6.70%(w/w)、マンニトール74.10%(w/w)、コロイド状二酸化ケイ素6.70%(w/w)、クロスカルメロースナトリウム0.10%(w/w)、サッカリンナトリウム二水和物0.30%(w/w)、クエン酸一水和物0.50%(w/w)、ペパーミントフレーバー0.70%(w/w)、ステアリン酸マグネシウム1.20%(w/w)、及び無水アルコールを含む。
【0086】
一実施形態において、外用又は局所適用のスプレー製剤には、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8、ヒアルロン酸ナトリウム、PVP K30、安息香酸ナトリウム、キシリトール、及び精製水が含まれる。
【0087】
特定の実施形態において、外用又は局所適用のスプレー製剤には、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート7.3%(w/w)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8 70%(w/w)、ヒアルロン酸ナトリウム0.1%(w/w)、PVP K30 0.1%(w/w)、安息香酸ナトリウム0.1%(w/w)、キシリトール0.1%(w/w)、及び精製水が含まれる。
【0088】
特定の実施形態において、外用又は局所適用のスプレー製剤には、ブピバカイングリセリルジラウリルスクシナート7.3%(w/w)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8 70%(w/w)、ヒアルロン酸ナトリウム0.1%(w/w)、PVP K30 0.1%(w/w)、安息香酸ナトリウム0.1%(w/w)、キシリトール0.1%(w/w)、及び精製水が含まれる。
【0089】
特定の実施形態において、外用又は局所適用のスプレー製剤には、ブピバカイングリセリルジカプリルスクシナート7.3%(w/w)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8 70%(w/w)、ヒアルロン酸ナトリウム0.1%(w/w)、PVP K30 0.1%(w/w)、安息香酸ナトリウム0.1%(w/w)、キシリトール0.1%(w/w)、及び精製水が含まれる。
【0090】
特定の実施形態において、外用又は局所適用のスプレー製剤には、ブピバカイングリセリルジカプリルフマラート7.3%(w/w)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8 70%(w/w)、ヒアルロン酸ナトリウム0.1%(w/w)、PVP K30 0.1%(w/w)、安息香酸ナトリウム0.1%(w/w)、キシリトール0.1%(w/w)、及び精製水が含まれる。
【0091】
一実施形態において、本発明は、疼痛の管理及び治療に適した1つ以上の剤形を開示している。別の実施形態において、医薬組成物は、トローチ/トローチ剤、錠剤、咀嚼錠、バッカル錠/ペースト及び舌下ドロップ/スプレー、カプセル、粘膜付着性パッチ、懸濁剤、分散剤、ゲル、クリーム、軟膏、スプレー剤、皮膚パッチ、経皮パッチ、及びインプラント等の剤形に製剤化される。当技術分野で知られている他のよく知られた医薬製剤は、本発明の化合物の製剤化に適切に採用され得る。
【0092】
別の実施形態において、本発明は、徐放性/持続放出性製剤、即時放出製剤、徐放性製剤、遅延/経過放出製剤、及び/又は、(二相若しくは拍動性)標的放出製剤及び即時放出製剤等の多相放出製剤等の調節放出基準を有する医薬組成物を開示している。別の実施形態において、当該製剤は、即時放出と徐放性放出との組み合わせであってもよく、又は、即時及び遅延放出製剤であってもよい。別の実施形態において、医薬組成物は、経口投与の1、2、5、10、15、20、30、60分以内ですぐに、当該組成物から十分な治療用量の本発明の化合物を放出するように製剤化される。さらに別の態様において、徐放性製剤は、例えば、5分、25分、55分まで、好ましくは60分まで、90分まで、100分まで、5時間まで、10時間まで、24時間まで、又は48時間までの期間にわたって本発明の化合物を放出する。
【0093】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物及び溶剤を含有する外用製剤を提供する。溶剤は、通常、防腐剤、乳化剤、吸収促進剤、及び芳香剤と混合された水、油、アルコール、又はプロピレングリコールを含有する。
【0094】
一実施形態において、本発明は、外用及び経皮的な薬物送達のための本発明の化合物を含むフィルム形成システムを提供する。
【0095】
一実施形態において、本発明は、リポソーム、ミクロスフェア、ミセル埋め込み型薬物デポ、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)ミクロスフェアの等の疎水性ベースのポリマー粒子、及びポリ(セバシン酸-co-リシノール酸)のような固体ポリマー等、標的を定めた長期の医薬製剤を提供する。一実施形態において、このポリマーを、本発明によるブピバカインの化合物を生分解性キャリア剤中にカプセル化するために使用して、長期放出のため、従って長期の作用のためのシステムを提供する。活性剤がナトリウムチャネルのタンパク質に結合する限り、神経伝播は停止され、鎮痛は効果的である。カプセル化無しでは、大量の局所麻酔薬の送達は致死的であり得る。さらに別の実施形態では、1つ又は複数の生分解性ポリマー及び有効成分と共に医薬組成物は、サーファクタント、賦形剤、若しくは他の成分、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。生分解性ポリマーの非限定的な例としては、ポリ(乳酸coグリコリド)(若しくはポリ(乳酸coグリコール酸))又はポリ(オルトエステル)、D-ラクチド、D,L-ラクチド、L-ラクチド、D,L-ラクチド-カプロラクトン、及びD,L-ラクチドcoグリコリドcoカプロラクトン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0096】
他の実施形態において、デポは、有効成分の即時放出又は徐放性放出を提供することができる生分解性バイオポリマーを含んでもよい。徐放性放出に適したバイオポリマーの非限定的な例としては、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチドcoグリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)ポリエチレングリコール(PEG)複合物、ポリオルトエステル(POE)、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、デンプン、ゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸、アルブミン、フィブリン、α-トコフェリルアセタート、アルファ-トコフェリルスクシナート、D,L-ラクチド若しくはL-ラクチド等のd-ビタミンE類似体、-カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA-g-PLGA、PEGT-PBTポリマーポリアクティブ、PEO-PPO-PAAコポリマー、PLGA-PEO-PLGA、PEG-PLG、PLA-PLGA、ポロキサマー407、PEG-PLGA-PEGトリブロックコポリマー、SAIB(イソ酪酸酢酸スクロース)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド(ラブラゾール)、ラウロイルポリオキシルグリセリド(ゲルシレ(gelucire)44/14)、リノレオイルポリオキシルグリセリド(ラブラフィル(labrafil)M2125CS)、オレオイルポリオキシルグリセリド(ラブラフィルM1944CS)、及びステアロイルポリオキシルグリセリド(ゲルシレ50/13)が挙げられる。LD50値のゲルシレ44/14、ラブラゾール、及びラブラフィルM1944CS、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、多糖ポリマー、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0097】
別の実施形態では、ミセルを形成するのに有用なサーファクタントには、ラウリン酸カリウム、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルアンモニウムクロリド、ポリオキシル8ドデシルエーテル、ポリオキシル12ドデシルエーテル、ノノキシノール10、及びノノキシノール30が含まれるが、これらに限定されない。ミセル製剤は、本発明において、外用又は経皮送達システムのリザーバに組み込むか、又は体表面に適用されることになる製剤に組み込むことによって使用することができる。
【0098】
一実施形態において、本発明は、リポソーム薬物送達システムを熟考している。本発明において使用するためのリポソーム製剤には、カチオン性(正電荷)、アニオン性(負電荷)、及び中性の製剤が含まれる。カチオン性のリポソームの例は、N-[1-2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウムリポソームであり、商品名Lipofectin(登録商標)で入手可能である。アニオン性及び中性のリポソームの例は、Avanti Polar Lipidsがあるか、又は、数ある中でも、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンのような材料を使用して調製することができる。これらの材料は、N-[1-23-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリエチルアンモニウム(DOTMA)と適切な比率で混合することもできる。リポソームを作製する方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0099】
別の実施形態において、本発明は、薬物送達システムとしてのミクロスフェアを熟考している。ミクロスフェアは、本質的に、薬物又は薬物含有製剤をカプセル化する。ミクロスフェアは、必ずしもそうではないが、一般的に脂質から形成され、好ましくはリン脂質等の荷電脂質から形成される。脂質ミクロスフェアの調製は当技術分野においてよく知られており、関連するテキスト及び文献において記載されている。
【0100】
医薬製剤の分野で働く者によって正しく理解されることになるように、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、溶液、及びペースト等の他の適した製剤も、既知の賦形剤を選択することによって製剤化することができる。
【0101】
別の実施形態において、当該組成物は、かみごたえがあるか、硬いか、又はキャラメルベースのトローチ、芳香錠、トローチ剤、ソフトトローチ、中心充填又は液体充填のトローチ、パワーベースのトローチ、圧縮トローチ、シロップベースのトローチ、顆粒化トローチ、バッカル錠、及び舌下錠に製剤化される。本発明のトローチ製剤は、バイオアベイラビリティを増加させ、胃刺激を減少させ、さらに、作用発現を増加させることになる。トローチの剤形は、錠剤製剤を飲み込むことができない高齢患者及び小児患者に投与するのが容易である。この製剤は、より長い期間、薬物を口腔に接触させ続けるのに寄与することになる。
【0102】
経口投与製剤は、製剤からの有効成分の放出が特に制御されていない速崩壊製剤と、用量設計及び生成方法を調整することによって目的に応じて放出が制御される放出制御製剤とに分類することができる。
【0103】
当該組成物は徐放性製剤であってもよく、製剤からの有効成分の放出速度、放出時間、及び放出部位が、投与頻度の減少又は副作用の軽減を目的として制御される。徐放性製剤は、一般的に、徐放性のための適切な薬剤を使用することによって生成することができる。
【0104】
典型的に、トローチ調製のためのキャリア材料には、スクロース、デキストロース等の糖が含まれる。最近では、消費者は、食事に含まれる過度のレベルの糖を気にするようになった。この懸念から、無糖薬物を含む無糖製品の需要が高まっている。医薬品製造業者は、無糖のトローチを提供するために、代替のキャリアベースを見つけようと試みてきた。1つのそのような代替のキャリアは、キシリトール等の多価アルコールである。多価アルコールは、甘味を提供し、多くの薬剤の苦味を隠すことになるため、実行可能な代替手段として考えられている。多価アルコールから作られたトローチには、深刻な欠点が1つあり、それらは、口腔内に置かれると非常に急速に溶けるということである。例えば、キシリトールベースのキャリアから作られたトローチは、投与後約3分以内に完全に溶ける。ソルビトール又はマンニトール等の他の多価アルコールも、投与後3分以内に溶ける。このように、薬剤は非常に急速に放出されるため、治療中の口腔組織に接触する機会を有するのではなく、投与量の大部分が患者の消化管に押し流される。従って、口腔内での溶解速度が遅い多価アルコールベースのトローチを生成することは、当技術分野への貴重な貢献となる。
【0105】
一実施形態において、圧縮粉末トローチ又は圧縮顆粒化トローチを調製するための賦形剤の非限定的な例として、キャストトローチ(cast lozenge)には、少なくとも1つの希釈剤、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの滑剤、少なくとも1つの潤滑剤、少なくとも1つの結合剤、少なくとも1つの防腐剤、少なくとも1つの人工甘味料若しくは天然甘味料、及び/又は少なくとも1つの芳香/香料化合物が含まれる。
【0106】
一実施形態では、希釈剤、充填剤又は結合剤、崩壊剤、甘味料、スーパー崩壊剤、固化防止剤吸収剤、味マスキング剤、抗酸化剤、溶媒、共溶媒、及び他の賦形剤の非限定的な例は、マンニトール、セルロース、ラクトース、デンプン、カルシウム塩、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、糖及び糖アルコール、微結晶セルロース、ポリビニルピロリジンを含む群から選択され、極性溶媒は、工業用メチル化スピリット又はイソプロパノール等のアルコール溶媒であってもよく;滑剤又は潤滑剤の例には、滑石、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、及び二酸化ケイ素が含まれる。無糖溶剤の例としては、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)6000及び8000が挙げられ、さらに、糖ベースの溶剤は、-スクロース、マルトース、ラクトース、デキストロースを含む。芳香/香料化合物の例は、果実の芳香、バニリン及びメントールを含むがこれらの限定されない粉末、ペパーミント、又は薬学的に許容される精油を含むがこれらに限定されない天然又は合成の芳香化合物であり得る。甘味料の非限定的な例としては、アスパルテーム、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、スクラロース、アセスルファム-K、ステビオール、ステビオシン、マンニトール、エリトリトール、ラクチトール等のノンシュガーの甘味料、及び、スクロース、フルクトース、又はデキストロースを含む群から選択される砂糖甘味料が挙げられる。
【0107】
一実施形態において、当該組成物は、少なくとも1つの塩基を選択したフラクトオリゴ糖、結晶糖、キャンディベース、イソマルト又はステビア;少なくとも1つの芳香を選択した天然芳香、柑橘類、ミントオイル、テルペン及びセスキテルペン等の精油、有機酸、アルコール、アルデヒド、リコリス粉末、メントール、ペパーミントオイル、又は任意の果物フレーバー;サッカロース、グルタミン酸、E621グルタミン酸ナトリウム、MSG、E622グルタミン酸カリウム、E623ジグルタミン酸カルシウム、E625ジグルタミン酸マグネシウム等の少なくとも1つの味覚増強成分;グアニル酸(リボヌクレオチド)及びその塩類(E626グアニル酸、E627グアニル酸二ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、E628グアニル酸二カリウム、E629グアニル酸カルシウム);E630イノシン酸、E631イノシン酸二ナトリウム、E632イノシン酸二カリウム、E633イノシン酸カルシウム、E634カルシウム5’-リボヌクレオチド、E635 5’-リボヌクレオチド二ナトリウム;E636マルトール、E637エチルマルトール、E640グリシン、及びE641L-ロイシン;で構成されるキャストトローチとして製剤化される。
【0108】
一実施形態において、トローチ製剤は、トローチ、錠剤、及びカプセル等の1つの経口剤形あたり5mgから2gmの量の化合物ブピバカインを含有する。
【0109】
別の実施形態において、トローチ製剤は、1つの経口剤形あたり5mgから2gmの量の式I、式II、式III、又は式IVの化合物を含有する。
【0110】
本発明は:(a)ブピバカインの薬学的に許容される塩、誘導体、又はエナンチオマー、(b)さらなる賦形剤を本質的に含む局所スプレーの形の医薬組成物を提供する。
【0111】
一実施形態では、有効成分及び賦形剤を混合して、噴霧可能な局所製剤を形成する。
【0112】
別の実施形態では、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と共に1つ以上の本発明の化合物を選択することによって、本発明の化合物を一般的に(経口、外用、薄膜、剥離形成、カプセル化、ポリマーベースの)スプレーに製剤化することができる。賦形剤の非限定的な例としては以下が挙げられる:a)溶媒/溶剤の例には、有機溶媒(アセトン、酢酸、アセトニトリル、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン等)、並びに無機溶媒(液体アンモニア、液体二酸化硫黄、塩化スルフリル及び塩化フッ化スルフリル、塩化ホスホリル、四酸化二窒素、三塩化アンチモン、五フッ化臭素、フッ化水素、純硫酸、当該技術分野においてよく知られている他のもの)が含まれ;b)共溶媒の例には、プロピレングリコール、グリセロール、エタノール、低分子量PEG;湿潤剤/サーファクタントポリソルベート、ソルビタンエステルアニオン(例えばドデシル硫酸ナトリウム等)、カチオン(例えばトリアルキルアンモニウム等)、双性イオン(例えばグリシン及びタンパク質等)、並びに非イオン(例えばポリエチレングリコール等)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(Tween60)、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアレート、オレイン酸カリウムが含まれ;c)軟化薬:非限定的な例として、ラノリン、乳化軟膏、及び流動パラフィン等の閉塞性軟化薬が含まれる;d)防腐剤の例には、酸性タイプのものはフェノール、安息香酸、ホウ酸、クロロクレゾール、9-フェニルフェノール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ソルビン酸、及びそれぞれの塩が含まれ、中性の防腐剤はクロロブタノール、ベンジルアルコール、ベータ-フェニルエチルアルコール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、又はこれらのパラベンとフェニルエチルアルコールとの混合物、及び、塩化ベンザルコニウム、EDTAパラベン、塩化ベンザルコニウム等の他の防腐剤が含まれ;e)抗酸化剤の例には、チオ尿素、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トコフェロール、アスコルビン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエンが含まれ;f)消泡剤の例には、シメチコン(ポリメチルシロキサン)、パラフィン油、有機リン酸塩、アルコールが含まれ;g)フィルム形成剤の例には、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP30、PVP90、Kolliphor(登録商標)RH40アクリレート、アクリルアミド及びコポリマー、カルボマー又はカーボポール、ポロキサマー(又はプルロニック(登録商標))、ポリメタクリレート(オイドラギット(Eudragits))が含まれ;h)保水剤の例には、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールが含まれ;i)浸透促進剤の例には、テルペン、テルペノイド又は精油、ピロリドン及びアゾン、脂肪酸及びエステル、オレイン酸等の脂肪酸(細胞内脂質の摂動)、ゾーン(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)(細胞内脂質の流動性の増加)、並びに、ラウリル硫酸ナトリウム(細胞内空間の拡大)、アルコール、グリコール、グリセリド、サーファクタント及びリン脂質等のサーファクタントが含まれ;j)可溶化剤の例には、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールのような多価アルコール、Kolliphor(登録商標)RH40 ビタミンE TGPS(トコフェリルポリエチレングリコール100スクシナート)、グリコール等の従来の溶媒又は共溶媒、少量のアルコール、トランスキトール(Transcutol)(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、中鎖グリセリド、及びラブラゾール(Labrasol)(飽和ポリグリコール化C8-C10グリセリド)が含まれ;k)可塑剤の例には、クエン酸トリエチル、ジメチルイソソルビド、ひまし油、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等の多価アルコールが含まれ;l)緩衝剤の例には、リン酸ナトリウム緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、クエン酸緩衝液が含まれ;生体付着性ポリマーの例には、CMCナトリウム、カーボポール(Carbopol)、ポリカルボフィル、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、HPMC、HPMC K100M、HPMC E5、カラヤゴム、ゼラチン、グアーガム、ペクチン、アカシア、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリレート、及びデンプンが含まれる。
【0113】
一部の実施形態において、開示されるスプレー製剤は、(1スプレーあたり)約0.05mgから約500mg又は0.1から約100mgの量のブピバカインの化合物を送達することができる。
【0114】
一実施形態において、本発明は経皮パッチを開示しており、この経皮パッチでは、薬物リザーバが、薬剤送達中にシステムを皮膚に固定するのに役立つ、薬学的に許容される付着性材料のポリマーマトリックスを含む。適した付着性材料の例として以下の:ポリエチレン;ポリシロキサン;ポリイソブチレン;ポリアクリレート;ポリアクリルアミド;ポリウレタン;可塑化エチレン酢酸ビニルコポリマー;並びに、ポリイソブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン-イソプレンコポリマー、ポリスチレン-ブタジエンコポリマー、及びネオプレン(ポリクロロプレン)等の粘着性ゴム;が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい接着剤はポリイソブチレンである。或いは、リザーバはヒドロゲルのリザーバであってもよい。ヒドロゲルは、水を吸収して膨張するが、水には溶けない高分子ネットワークである。ヒドロゲルは、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(ポリ(HEMA))若しくはそのコポリマー又はそれらの混合物等の架橋された親水性ポリマーで構成される。特に好ましい親水性ポリマーは、HEMA及びポリビニルピロリドンのコポリマーである。
【0115】
一実施形態では、バッキング層に使用される材料は、一般的に、合成ポリマー(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、及びポリエーテルアミド等)、天然ポリマー(例えばセルロース系の材料等)、又はマクロポーラスの織布及び不織布材料から得られる。
【0116】
本発明のある特定の態様及び実施形態が、以下の例を参照してより詳細に説明されるが、これらは、単なる例示を目的として提供されるものであり、いかなる様式においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0117】
非限定的な例:
式IIの化合物のトローチ組成物:
特定の実施形態において、有効成分は、ブピバカインの化合物、より具体的には式II(ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート)の化合物であり、口腔内でゆっくりと溶解することになるトローチとして製剤化される。各トローチは、73.08mgのブピバカイングリセリルジラウリルフマラートを含有する。薬学的に許容される賦形剤又は不活性成分は、マンニトール、ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、クエン酸一水和物、サッカリンナトリウム二水和物、二酸化ケイ素、ペパーミントフレーバー501500TP0504、ステアリン酸マグネシウム、及び無水アルコールである。製剤に対する定性的組成を、表1及び表2に示した。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
製剤開発は、文献及び類似の剤形での以前の使用に基づき選択した不活性成分を用いて開始した。様々なポリマー及び異なる濃度の崩壊剤について、医薬品の溶解プロファイル及び不純物プロファイルを評価した。
【0120】
ポビドン(ポリマー)及びクロスカルメロースナトリウム(崩壊剤)を用いて製造したトローチ組成物の物理的及び化学的パラメータは満足できるものであるとわかった。
【0121】
混合物の所望の流動特性を達成するために、原薬の物理的性質を考慮した製造プロセスとして湿式造粒を選択した。無水アルコールを、原薬の溶解性を考慮して保つ造粒溶媒として選択した。
【0122】
混合物の流れ及びトローチへの圧縮性は、湿式造粒法を使用して、満足できるものであるとわかった。
【0123】
製造プロセス及びプロセス制御
ステップ1:分注:較正された重量バランスを使用して、必要な原材料を全て分注した。
【0124】
ステップ2:造粒流体:ブピバカイングリセリルジラウリルフマラートを、撹拌下で24g(バッチ製造に必要な全アルコールの75%)の無水アルコールにおいて溶解した。
【0125】
ステップ3:ふるいかけ:#30ASTMふるいに通して、ポビドン、マンニトール、コロイド状二酸化ケイ素、サッカリンナトリウム二水和物、クエン酸一水和物、クロスカルメロースナトリウムをふるいにかけた。
【0126】
ステップ4:乾式混合:ふるいにかけたステップ3の原材料を15分間混合した。
【0127】
ステップ5:造粒:造粒されたステップ4を、ステップ2の造粒流体と混ぜ合わせた。残った6gの無水アルコールで容器をすすぎ、造粒溶液として使用した。
【0128】
ステップ6:乾燥:ステップ5の湿った塊を45°Cで60分間乾燥させた。
【0129】
ステップ7:サイズ分類:ステップ6の乾燥した材料を、#30ASTMふるいを使用してふるいにかけた。
【0130】
ステップ8:ふるいかけ:余分な顆粒材料、すなわちペパーミントフレーバー及びステアリン酸マグネシウムを#60ASTMふるいに通した。
【0131】
ステップ9:潤滑:ステップ8のふるいにかけた材料をステップ7に添加し、5分間混ぜ合わせた。
【0132】
ステップ10:圧縮:ステップ9の潤滑剤が与えられた混合物を、圧縮機上の適したパンチで圧縮してトローチにした。
【0133】
ステップ11:パッケージング:圧縮したトローチを、シリカゲルバッグと共に、40cc HDPEボトルに/33mmCRCで、1つのボトルあたり15のトローチの量で、詰め込んだ。
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
当該組成物は、ブピバカインの化合物の特性及び投与経路を考慮して液体剤形として製剤化される。賦形剤は、剤形、有効成分の物理化学的特性、安定性、及び適合性の問題に基づき選択される。用量の不均一性を減らし、投与の容易さを改善するために、製剤は、ボトルから均一な用量を送達するために噴霧可能装置に詰め込まれる。この装置は、製品を患部に送達するのを可能にする長いカニューレを備えたアクチュエータで構成されている。実施形態の1つにおいて、当該組成物は、投与時にフィルムを形成するため、及びブピバカインの化合物を介した有効成分の徐放性のために、製剤中に1つ以上のポリマーを有してもよい。微生物学的安定性及び患者による用量アドヒアランスを高めるために、防腐剤及び甘味料が含まれている。
【0136】
【表5】
【0137】
【表6】
スプレー製剤の製造手順
ステップ1:調合容器に25%のバッチ量の精製水を添加し、PVP K30、安息香酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、及びキシリトールを溶解することによって、溶液Aが調製される。
【0138】
ステップ2:バッチ量のカプリロカプロイルポリオキシルグリセリド8を調合容器に添加し、ブピバカイングリセリルジラウリルフマラート(CLX-SYN-G161-C11)を1時間溶解することによって溶液Bが調製される。溶液Aが溶液Bに添加され、薬物が完全に溶解するまで撹拌が続けられる。体積が、残りの精製水の量でバッチサイズまで構成される。
【0139】
ステップ3:得られた溶液が、0.45μPTFEフィルターを使用して真空下でろ過される。このろ過した溶液は、50mlの充填体積で、50cc USP type-1ガラスバイアルに充填され、ポンプが圧着される。
【0140】
スプレー製剤に対する容器クロージャシステム:
製品がその貯蔵寿命を通して仕様の範囲内にあることを確実にするために、容器/クロージャは一体であることが必要とされる。特に、製品の無菌性が保証される必要がある。無菌性の保証は、ポンプ/バイアル構成の容器クロージャの完全性を介して維持される。
【0141】
【表7】
【0142】
【表8】
【0143】
【表9】
治療方法
一実施形態では、本発明の医薬組成物の効果的な投与量及び投与部位は、切望されている緩和を提供するために、疼痛部位又は疼痛部位に隣接したところであり得る。この組成物は、疼痛からの迅速且つ一時的な緩和のために1日1回投与することができるか、又は1日により頻繁に投与して、より長い期間にわたって疼痛緩和を維持することができる。
【0144】
一実施形態において、この組成物は、疼痛部位又はその領域に隣接する部位に1回以上局所的に適用される。投与は、全身送達に伴う副作用を回避しながら、疼痛緩和をもたらすために、疼痛の領域又はエリアに適用される。疼痛及びそのような疼痛に伴う他の不快な感覚を除去するために、疼痛領域において効果的な用量を提供するのに十分な用量となるように、化合物は適用される。
【0145】
一実施形態では、スプレーによって投与される場合の本開示による組成物は、疼痛を治療するために市販のスプレー装置及び特に定量スプレー装置を使用して投与される。
【0146】
一実施形態において、当該組成物は、例えば、インスリン注射器を使用して、皮内投与することができる。可能な限り最小の用量を投与するように注意が払われ、全ての場合において、局所又は皮内で、全身レベル又は局所毒性を避けるように注意が払われるべきである。
【0147】
一実施形態において、この組成物は、全身送達に伴う副作用を回避しながら、疼痛緩和をもたらすために経皮パッチを使用して、疼痛部位又はその領域に隣接する部位に局所的に適用することができる。当該化合物は、その用量が疼痛領域において効果的な用量を提供して、疼痛及びそのような疼痛に伴う他の不快な感覚を除去するのに十分であるように適用される。
【0148】
一実施形態において、当該製剤は、本明細書において開示されているように、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、中枢性感覚、全身痛、又は混合型の疼痛等の治療に使用することができる。
【0149】
参照による援用
上記のアイテムを含む、本明細書において言及されている全ての出版物及び特許は、個々の出版物又は特許が参照により援用されることが具体的且つ個々に示されているかのように、その全体を参照により本明細書に援用する。矛盾する場合は、本明細書における任意の定義を含め、本願が優先されることになる。
【国際調査報告】