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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】瘢痕治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/047 20060101AFI20231227BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20231227BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K31/047
A61K31/353
A61K38/48
A61K45/06
A61K31/17
A61K9/06
A61K47/10
A61K47/42
A61K47/24
A61K47/32
A61K8/34
A61K8/64
A61K8/49
A61K8/891
A61K8/40
A61Q19/00
A61P17/02
A61K36/82
A61K47/22
A61K8/9789
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531518
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021072592
(87)【国際公開番号】W WO2022115859
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/118,061
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522275245
【氏名又は名称】トピックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス,スティーブン エム.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC19
4C076DD34
4C076DD38
4C076DD39R
4C076DD41S
4C076DD54
4C076DD55S
4C076DD59S
4C076DD60S
4C076DD68
4C076DD69
4C076EE10
4C076EE12
4C076EE23A
4C076EE27
4C076EE41
4C076EE48
4C076FF36
4C076FF39
4C076FF57
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC012
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC231
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC681
4C083AC682
4C083AC761
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC851
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD471
4C083AD472
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD01
4C083DD41
4C083EE13
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA24
4C084BA44
4C084DC02
4C084MA28
4C084MA63
4C084NA14
4C084ZA891
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA03
4C086MA06
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C088AB45
4C088AC05
4C088BA08
4C088MA05
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA05
4C206HA27
4C206MA03
4C206MA06
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
(57)【要約】
親水性閉塞形成剤(例えば約75%超の水溶性を有するもの;例えばグリセリン)と、1種または複数種のタンパク質分解酵素、およびポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系との組合せを通じた、瘢痕の視覚的外観を治療し低減する局所用組成物を本明細書で開示する。瘢痕の視覚的外観を治療するおよび/または低減するための、それら自体による、または、多様な皮膚科学的操作と組み合わせた瘢痕治療レジメンの一部としての、本明細書に記載の局所用組成物を投与する方法もまた、本明細書で開示する。本明細書に開示する局所用組成物を調製する方法もまた、一定の実施形態において記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンおよび結合剤を含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物であって、
局所用組成物の総重量に基づいて、10wt.%未満の添加された水を有する、
局所用組成物。
【請求項2】
グリセリンおよび結合剤を含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物であって、
局所用組成物の総重量に基づいて、8wt.%未満の尿素を有する、
局所用組成物。
【請求項3】
グリセリンおよび結合剤を含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物であって、
局所用組成物の総重量に基づいて、1wt.%未満のシリコーン系成分を有する、
局所用組成物。
【請求項4】
グリセリンおよび結合剤を含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物。
【請求項5】
グリセリンを含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物。
【請求項6】
前記1種または複数種のタンパク質分解酵素が、パパイン、ブロメライン、およびこれらの組合せから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項7】
前記1種または複数種のタンパク質分解酵素が、前記局所用組成物中に、瘢痕形成タンパク質および組織の生成を超える除去作用のために有効な量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項8】
前記1種または複数種のタンパク質分解酵素が、前記局所用組成物中に、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超、最大で約1wt.%の量で存在し、約0.001wt.%~約0.5wt.%、または約0.005wt%~約0.3wt%の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項9】
前記緑茶ポリフェノールが、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、カテキン、エピカテキン、それらのcisおよびtrans異性体、それらの塩、それらの等価な誘導体、ならびにそれらの組合せのうちの1種または複数種を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項10】
前記緑茶ポリフェノールが、前記局所用組成物中に、瘢痕領域中の皮膚を鎮静化するのに有効な量で存在する、請求項9に記載の局所用組成物。
【請求項11】
前記抗酸化剤系が、前記局所用組成物中に、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超、最大で約1wt.%の量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項12】
前記抗酸化剤系が、ケイ皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸、p-クマル酸、シナピン酸、没食子酸、デルフィニジン、ルテオリン、ケルセチン、シアニジン、タキシフォリン、ケンフェロール、マルビジン、ヘスペリジン、ペラルゴニジン、アピゲニン、ナリンゲニン、クリシン、エルゴチオネイン、グルタチオン、エンブリカ、トコフェロール、アラントイン、それらのcisおよびtrans異性体、それらの塩、それらの等価な誘導体、およびこれらの組合せの群から選択されるさらなる抗酸化剤をさらに含む、請求項11に記載の局所用組成物。
【請求項13】
前記抗酸化剤系が、トコフェロール、アラントイン、またはこれらの組合せをさらに含む、請求項12に記載の局所用組成物。
【請求項14】
前記緑茶ポリフェノールの前記さらなる抗酸化剤に対する重量対重量の比が、個々にまたは累積して、約10:1~約1:10、約8:1~約1:8、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2の範囲である、請求項13に記載の局所用組成物。
【請求項15】
前記結合剤が、HEA-アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム-ステアレス-20メタクリレートコポリマー、C13~14イソパラフィン、ポリソルベート80、デシルグルコシドおよびグリセリンのうちの少なくとも1種を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項16】
前記グリセリンが、局所用組成物の総重量に基づいて、約70wt.%~約99wt.%、約80wt.%~約98.5wt.%、約90wt.%~約98wt.%、または約95wt.%~約97wt.%の範囲の量で存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項17】
前記結合剤が、局所用組成物の総重量に基づいて、約0.1wt.%~約10wt.%、約0.5wt.%~約7wt.%、約1wt.%~約5wt.%、または約2wt.%~3wt.%の範囲の量で存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項18】
保存剤をさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項19】
前記保存剤が、フェノキシエタノールを、局所用組成物の総重量に基づいて、最大で約2wt.%、最大で約1.5wt.%、最大で約1wt.%、または最大で約0.5wt.%の量で含む、請求項18に記載の局所用組成物。
【請求項20】
担体をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項21】
前記担体が、ジメチコンを含む、請求項20に記載の局所用組成物。
【請求項22】
前記担体が、最大で約10wt.%、最大で約8wt.%、最大で5wt.%、最大で約3wt.%、最大で約1wt.%、最大で約0.5wt.%、または最大で約0.1wt.%の量で存在する、請求項20または21に記載の局所用組成物。
【請求項23】
クリアである、請求項1から22のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項24】
約3.0~約9.0、約6.0~約9.0、約6.5~約8.5、または約7.0~約8.0のpHを有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項25】
日焼け止め剤、抗生剤、ステロイド、ヒドロキノン、またはこれらの組合せから選択される活性剤をさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項26】
低アレルギー性である、請求項1から25のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項27】
非面皰形成性である、請求項1から26のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項28】
局所用組成物の総重量に基づいて、約8wt.%未満の水、約5wt.%未満の水、約3wt.%未満の水、約1wt.%未満の水を有し、または水を含まない、請求項1から27のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項29】
局所用組成物の総重量に基づいて、約8wt.%未満の尿素、約5wt.%未満の尿素、約3wt.%未満の尿素、約1wt.%未満の尿素を有し、または尿素を含まない、請求項1から28のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項30】
均質なゲルである、請求項1から29のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項31】
25℃で、約550,000cPs~約850,000cPs、約600,000cPs~約800,000cPs、または約620,000cPs~約780,000cPsの範囲の粘度を有する、請求項1から30のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項32】
グリセリンを含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物であって、
25℃で約550,000cPs~約850,000cPsの範囲の粘度を有する、
局所用組成物。
【請求項33】
瘢痕の外観を、治療する、予防するまたは最小化する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1から32のいずれか一項に記載の局所用組成物を投与することを含む、方法。
【請求項34】
瘢痕の視覚的外観が、約1日~約90日、約3日~約60日、または約5日~約30日の期間の投与後に低減する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記瘢痕が、新しくまたは古く、かつ前記瘢痕が、手術または美容操作、外傷、傷または日焼けの結果である、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記瘢痕が、肥大型瘢痕またはケロイドである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
瘢痕領域における皮膚の柔軟性が、約1日~約90日、約3日~約60日、または約5日~約30日の期間の投与後に改善される、請求項33から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
投与が、美容操作後に、手術操作後に、瘢痕修正操作と合わせて、または皮膚科学的操作と合わせて実施される、請求項33から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚科学的操作が、レーザー、マイクロニードリング、微細皮膚剥離、皮膚剥離、皮膚平削り、皮膚研磨またはケミカルピールから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
グリセリンの第1の部分と、緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と、任意選択の保存剤とを含む第1の混合物を形成することと、
前記第1の混合物に結合剤を添加することと、
グリセリンの第2の部分と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、任意選択で担体とを含む第2の混合物を形成することと、
第1の混合物と第2の混合物とを合わせて局所用組成物を形成することと
を含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の局所用組成物を調製する方法。
【請求項41】
結合剤を伴う前記第1の混合物が、通気されない、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の混合物が、約20℃~約65℃、約25℃~約60℃、または約30℃~約55℃の温度にて形成される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の混合物が、約75℃~約125℃、約80℃~約115℃、または約90℃~約110℃の温度にて形成される、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の混合物が、第1の混合物と第2の混合物とを合わせる前に、第1の混合物の温度に冷却される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
約75%超の水溶性を有する親水性閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
緑茶ポリフェノールを含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物。
【請求項46】
グリセリンを含む閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
ポリフェノール抗酸化剤を含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物。
【請求項47】
約75%超の水溶性を有する親水性閉塞形成剤と、
1種または複数種のタンパク質分解酵素と、
ポリフェノール抗酸化剤を含む抗酸化剤系と
を含む、局所用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月25日に出願された米国特許仮出願第63/118061号明細書に基づく優先権を主張するものであり、その全体の内容が、すべて組み込まれる。
【0002】
本発明は、皮膚ケア用途、詳細には瘢痕治療用の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
毎年、1億人を超える患者が、主に手術および外傷の結果として瘢痕を負っている(Bayat, 2003)。ざ瘡などの通常の皮膚状態からの瘢痕でさえ、米国だけで4千万~5千万の人々に影響を及ぼしている(The Burden of Skin Diseases, 2004)。瘢痕は、すべての地域および人口統計からの無数の個体に影響を及ぼし、多くが、外観を損なうこれらの瘢痕に起因して、心理的外傷、うつ病、斑点症および総体的に低下した生活の質に苦しんでいる。
【0004】
ほとんどの瘢痕は、皮膚への傷害に続くヒトの体の傷治癒プロセスの結果として形成された線維性組織からなる。ほとんどすべての傷が、ある程度まで、瘢痕に帰着する。瘢痕の重症度は、傷のタイプ、遺伝的素因、組織の張力、または傷治癒中の長引いた炎症などの要因によって影響されうる。傷へのヒトの体の典型的な応答は、偶然か意図的か、外傷、レーザー治療、疾患または手術により引き起こされた傷害かという傷の原因からは独立しており、生物学的修復の同じ配列に続く治癒に対する素因となる。
【0005】
ほとんどの人々が、瘢痕をもたらしうる傷害および手術を回避するようベストを尽くすが、時々外傷は逃れられない。それらが形成する瘢痕を最小化する戦略としては、以下が挙げられる:湿った傷の環境を維持すること、治癒性の傷から張力を除去すること、および傷害を増悪しうるラテックスまたはアクリル添加剤のような材料の使用を控えること(それらは、過剰に攻撃性であり、かつデリケートな組織に損傷ならび予感作された患者における反応を引き起こすおそれがあるため)。
【0006】
予防が好ましいものの、そこで瘢痕が既に形成されて治療が明らかに示されている状況が存在する。瘢痕治療の選択肢は多様であり、限定されるものではないが、医療装置、シリコーンゲルシーティング、ステロイド注入、矯正装具の被覆、弾性シリコーンドレッシング(Embrace(登録商標))、局所用瘢痕調製物、加圧療法、レーザー療法、冷凍外科療法、皮膚剥離、フラクショナル無線周波数皮膚若返り術、および瘢痕修正手術が挙げられる。
【0007】
瘢痕治療の選択肢は存在するものの、推奨される治療レジメンの全期間を通じて患者の薬剤使用遵守を促進すると考えられる審美的に快いテクスチャを有しつつ、瘢痕の総体的外観および感覚を効果的に改善する局所用瘢痕治療用組成物が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一定の実施形態の一目的は、瘢痕の外観を治療する、予防するまたは最小化するための、瘢痕の発赤または紫色の提示を低減するための、瘢痕の体積を低減するための、瘢痕の発生を予防するための、瘢痕の柔軟性を改善するための、またはそれらの2つ以上の組合せのための、局所用組成物、ならびに前記局所用組成物を調製する方法および使用する方法を提供することである。
【0009】
本開示の一定の実施形態の一目的は、局所用組成物、調製する方法、ならびに瘢痕治療レジメンの前皮膚科学的操作または後皮膚科学的操作(例えば、瘢痕修復、瘢痕修正、マイクロニードリング、皮膚平削り、皮膚剥離、微細皮膚剥離およびレーザーのために用いられる皮膚科学的操作)の一部として前記局所用組成物を使用する方法を提供することである。
【0010】
本開示の一定の実施形態の一目的は、瘢痕領域中の皮膚の外観を治療するおよび/または改善するための、瘢痕領域中の皮膚弾性を治療するおよび/または改善するための、体の引き締めのための、または瘢痕領域中の光老化皮膚の視覚的なサインを治療するおよび/または低減するための、瘢痕領域中の日焼けを治療するおよび/または予防することを助けるための、視覚的な瘢痕の形成を予防するおよび/または治療するおよび/または最小化するための、ならびに瘢痕領域に一般的である関連する皮膚障害を治療するための、局所用組成物を提供することである。
【0011】
上記目的および他の目的のうちの1つまたは複数は、いくつかの実施形態で、親水性閉塞形成剤(例えば、約75%以上の水溶性を有するもの、例えば、限定されるものではないが、グリセリンおよび結合剤)と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系とを含む、局所用組成物を対象とする本開示において、満たされうる。
【0012】
一実施形態では、局所用組成物は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものであってよく、局所用組成物の総重量に基づいて、10wt.%未満の添加された水をさらに有する。
【0013】
一実施形態では、局所用組成物は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものであってよく、局所用組成物の総重量に基づいて、8wt.%未満の尿素をさらに有する。
【0014】
一実施形態では、局所用組成物は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものであってよく、1wt.%未満のシリコーン系成分をさらに有する。
【0015】
一実施形態では、局所用組成物は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものであってよく、さらに均質なゲルである。
【0016】
一実施形態では、局所用組成物は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものであってよく、25℃で約550,000cPs~約850,000cPsの範囲の粘度をさらに有する。
【0017】
用語「局所用組成物」はまた、本明細書で使用されるとき、一定の実施形態では、その治療効果を、薬理学的手段、免疫学的手段または化学的手段の代わりに(またはそれらに加えて)、物理的手段によって提供する医療用装置も指す。
【0018】
一定の実施形態では、本開示は、瘢痕の外観を、治療する、予防するまたは最小化する方法(例えば瘢痕の視覚的外観、瘢痕の色、瘢痕の体積、瘢痕の弾性を改善する、瘢痕におけるラジカル誘起損傷の作用を低減する、または一定の皮膚科学的操作を伴う瘢痕治療レジメンの一部として)を対象とする。これらの方法は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものを、瘢痕領域中、対象の皮膚に投与することを含む。
【0019】
本明細書で使用される用語「局所用組成物を投与する」は、対象の皮膚上に、瘢痕領域上に、例えば顔、首、手、足、肘、膝などの上に、局所的に塗布することを指す。本明細書で使用されるとき、開示されている局所用製剤、または開示されている局所用製剤を使用する方法の点での用語「塗布」、「塗布する」および「塗布している」は、局所用製剤を、医療的または美容術の実践において、製剤を対象の皮膚表面に送達する、皮膚、例えばヒトの皮膚、例えば患者の皮膚に投与する任意の方法を指す。開示されている局所用製剤を、好適な装置の補助ありでまたはなしで、対象の皮膚上にスミアリングする、こする、広げる、噴霧することは、すべて、本明細書で使用される用語「塗布」の範囲内に含まれる。開示されている皮膚ケア製剤の投与または塗布の点での用語「局所用」または「局所的に」は、皮膚上への経皮投与または塗布を指す。塗布は、手で(例えば手で直接)行うことができ、または塗布具、布、装置、ロールオン、ワイプ、単位投与スポンジ塗布具、スワブもしくはコットンボールで塗布される液体、含浸させたガーゼもしくは他の基質、コーティングされたシリコーンシートもしくは他のシート品、コーティングされた絆創膏もしくは外部固定装置、ペーパータオル、個装の綿撒糸もしくはパッド、経皮送達系などで操作することができる。塗布は、自己投与であってもよく、または医療専門家もしくは介護者による投与であってもよい。
【0020】
一定の実施形態では、本開示は、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)の第1の部分と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系と、任意選択の保存剤とを含む第1の混合物を形成することによって、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものを調製する方法を対象とする。該方法は、第1の混合物に結合剤を添加することをさらに含むことができる。該方法は、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)の第2の部分と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、任意選択で担体とを含む第2の混合物を形成することをさらに含むことができる。該方法は、第1の混合物と第2の混合物とを合わせて局所用組成物を形成することをさらに含むことができる。
【0021】
以下の図面が、本出願において、ここで提示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1Aは、MOHS手術直後の手の写真である。図1Bは、本出願の一実施形態の親水性瘢痕治療用組成物を使用した治療14日後の、図1Aにおける手の写真である。
図2図2Aは、傷が形成された直後の膝の写真である。図2Bは、本出願の一実施形態の親水性瘢痕治療用組成物を使用した治療14日後の、図2Aにおける膝の写真である。
図3図3Aは、COレーザー治療前の頭皮の写真である。図3Bは、COレーザー治療直後の図3Aの頭皮の写真である。図3Cは、本出願の一実施形態の親水性瘢痕治療用組成物を使用した治療14日後の、図3Aの頭皮の写真である。
図4図4Aは、MOHS手術後の側頭部の写真である。図4Bは、本出願の一実施形態の親水性瘢痕治療用組成物を使用した治療14日後の、図4Aにおける側頭部の写真である。
図5図5Aは、MOHS手術直後の前頭部の写真である。図5Bは、本出願の一実施形態の親水性瘢痕治療用組成物を使用した治療14日後の、図5Aにおける前頭部の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
別段の記載がない限り、以下の定義が使用される。
【0024】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、直鎖状および分枝状の炭化水素基を指す。プロピルなどの個々の基への参照は、直鎖基のみを包含し、イソプロピルなどの分枝鎖異性体が具体的に参照される。
【0025】
本明細書で使用される用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0026】
用語「炭素環」または「カルボシクリル」は、3~7個の炭素原子(すなわち(C~C)炭素環)を有する単一の飽和の(すなわちシクロアルキル)環、または単一の部分的に不飽和の(例えば、シクロアルケニル、シクロアルカジエニルなど)環を指す。用語「炭素環」または「カルボシクリル」はまた、複数の縮合環系(例えば2、3または4つのカルボシクリル環を含む環系)も含む。したがって、炭素環は、7~12個の炭素原子を二環として有し、かつ最大で約20個の炭素原子を多環として有する、多環式炭素環を含む。多環式炭素環は、1個の炭素原子を介して互いに結合されてスピロ結合を形成することができ(例えばスピロペンタン、スピロ[4,5]デカン、スピロ[4,5]デカンなど)、2つの隣接した炭素原子を介して縮合結合、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系を形成することができ、または9個もしくは10個の環原子がビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配列され(例えばデカヒドロナフタレン、ノルサビナン、ノルカラン)、または2つの非隣接炭素原子を介して架橋結合を形成する(例えばノボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなど)。「炭素環」または「カルボシクリル」はまた、1つまたは複数の(例えば1、2または3つの)オキソ基で任意選択で置換されてよい。単環式炭素環の非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンテ-l-エニル、l-シクロペンテ-2-エニル、1-シクロペンテ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセ-1-エニル、l-シクロヘキセ-2-エニル、1-シクロヘキセ-3-エニルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される用語「アリール」は、単一の芳香族環または複数の縮合環系を指す。例えば、アリール基は、6~20個の炭素原子、6~14個の炭素原子、または6~12個の炭素原子を有することができる。アリールは、フェニル基を含む。アリールとしてはまた、そこで少なくとも1つの環が芳香族である、約9~20個の炭素原子を有する複数の縮合環系(例えば2、3または4つの環を含む環系)も挙げることができる。このような複数の縮合環系は、複数の縮合環系の任意の炭素環部分上に1つまたは複数の(例えば1、2または3つの)オキソ基で任選択で置換されていてよい。上に定義した複数の縮合環系の結合点が、環のアリールまたは環の炭素環部分を含めた環系の任意の位置にあることができることが理解される。典型的なアリール基としては、フェニル、インデニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラセニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
キラル中心を有する本発明の化合物が、光学的に活性でラセミな形態において存在し、かつ単離されうることが、当業者によって認められる。いくつかの化合物は、多型を呈しうる。本発明が、本発明の化合物の、任意のラセミの、光学的に活性な多型または立体異性体の形態、またはこれらの混合物を包括し、これが、本明細書に記載されている有用な性質を所有し、光学的に活性な形態をどのように調製するか(例えば再結晶化技術によるラセミ形態の解像によって、光学的に活性な出発材料からの合成によって、キラル合成によって、もしくはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー分離によって)が当技術分野で周知であることが理解される。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「含まない、または実質的に含まない」は、主題組成物(例えば局所用組成物)が、前記成分を約1wt.%未満、約0.5wt.%未満、約0.25wt.%未満、約0.1wt.%未満、約0.05wt.%未満、約0.01wt.未満、または0wt.%含むことを指す。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「親水性」は、成分が、約50%超、約60%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、または約99.5%超の水溶性を有することを指す。例えば、50%超の水溶性は、前記成分のうちの50g超が100mlの水に溶解しうることを意味する。
【0031】
局所用組成物
多様な実施形態によれば、本開示は、瘢痕の治療のための局所用組成物に関する。局所用組成物は、閉塞形成剤、例えば、グリセリンおよび結合剤などを含む親水性閉塞形成剤と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系とを含む。
【0032】
本明細書に記載されている局所用組成物中の閉塞形成剤は、瘢痕を機械的に軟化し、瘢痕の体積を減らし、かつ瘢痕上に封止物を形成することを助ける。瘢痕上に形成された(閉塞形成剤の存在に起因した)閉塞は、皮膚が閉塞の下で発汗するのを助け、これは、皮膚の導入チャネルを開いて、より急速な経皮取り込みを可能にする(すなわち閉塞の下のタンパク質分解酵素の経皮流束率を高める)。本明細書に記載されている局所用組成物中の閉塞形成剤の親水性の性質はまた、そこに水を水素結合することができ、これは、瘢痕領域を湿潤に保ち、最適な瘢痕治療環境を提供することができる。このように、本明細書に記載されている局所用組成物中に存在する1種または複数種のタンパク質分解酵素は、瘢痕領域中で皮膚を温浸するために、かつ/または瘢痕領域中の皮膚が溶解するまたはより速く入れ替わることを引き起こすように、皮膚中に強制される。タンパク質分解酵素の皮膚中への取り込みは、瘢痕のさらなる再構築を促進して過剰な組織を除去し、組織をより組織化され高密度になるように配向でき、これが瘢痕の外観(例えば、体積、形状および色の点での)を改善すると考えられる。
【0033】
タンパク質分解酵素は、かなり攻撃性であり得、これは、一方で、非常に濃い瘢痕組織を破壊するのに有益であるが、他方で、刺激を引き起こすおそれがあり、かつ該組成物の連続的投与の患者の薬剤使用遵守を低下させるおそれがある。本明細書に記載されている局所用組成物中に存在する抗酸化剤ポリフェノール(例えば緑茶ポリフェノール)を有する抗酸化剤系は、タンパク質分解酵素に伴いうる刺激、刺痛、灼熱および/またはそう痒の感覚を、予防するおよび/または緩和することによって、閉塞の下の皮膚を鎮静化する。本明細書に記載されている局所用組成物中に組み入れられる抗酸化剤系の鎮静化効果は、患者の薬剤使用遵守を向上させ、瘢痕の視覚的外観の改善を達成するのに必要な期間にわたって局所用組成物の連続的投与をもたらす。
【0034】
本明細書に記載されている局所用組成物の多種の成分について、以下に詳細に検討する。一定の実施形態では、多種の成分が、当業者に認められる通り、他の類似のまたは等価な成分によって置き換えられうることが留意されるべきである。同様に、該成分は、本明細書に記載されている目的のうちの任意のものを達成するために、多様な濃度において、かつ互いの関係における多様な比において存在してよい。
【0035】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物中で利用されうる好適な閉塞形成剤は、親水性化合物を含む。例としては、いくつかの実施形態では、閉塞形成剤は、約50%超、約60%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、または約99.5%超の水溶性を有する。一定の実施形態では、閉塞形成剤は、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、または約99.5%超の水溶性を有する。一実施形態では、閉塞形成剤は、約75%超の水溶性を有する。一実施形態では、閉塞形成剤は、約85%超の水溶性を有する。一実施形態では、閉塞形成剤は、約95%超の水溶性を有する。一実施形態では、閉塞形成剤は、約99%超の水溶性を有する。
【0036】
多様な実施形態では、多種の親水性閉塞形成剤を使用することができ、例えば、限定されるものではないが、グリセリン、多様な分子量のポリエチレングリコール、ブチレングリコールもしくはヘキシレングリコールなどのグリコール、または他のゲルベアルコール(例えば2-メチル-1-ペンタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-プロピル-1-ヘプタノール、2-ブチル-1-オクタノール、2-ペンチル-1-ノナノール、2-ヘキシル-1-デカノール、2-ヘプチル-1-ウンデカノール、2-オクチル-1-ドデカノール、2-ノニル-1-トリデカノール、2-デシル-1-テトラデカノール、2-ウンデシル-1-ペンタデカノール、2-ドデシル-1-ヘキサデカノール、2-トリデシル-1-ヘプタデカノール、2-テトラデシル-1-オクタデカノール、2-ペンタデシル-1-ノナデカノール、2-ヘキサデシル-1-エイコサノール、2-ヘプタデシル-1-ヘンエイコサノール、2-オクタデシル-1-ドコサノール、2-ノナデシル-1-トリコサノール、2-エイコシル-1-テトラコサノール、もしくはこれらの組合せ)、エトキシレート(例えば、ポリエチレングリコールと脂肪または脂肪酸とのエステルであるプロピレングリコール誘導体;ただし、ポリエチレングリコール数は、エトキシレートを親水性にするのに十分に多い)、またはこれらの組合せである。
【0037】
一実施形態では、親水性閉塞形成剤は、グリセリンである。一定の実施形態では、親水性閉塞形成剤は、結合剤との組合せにおけるグリセリンである。一定の実施形態では、結合剤は、エマルション安定化成分または粘度調整成分、増粘剤、界面活性剤のうちの少なくとも1種を含む。
【0038】
例示的なエマルション安定化成分または粘度調整成分は、HEA-アクロイルジメチルタウリン酸ナトリウム-ステアレス-20メタクリレートコポリマーであり、これは、2-プロペン酸、2-ヒドロキシエチルエステル、-(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)-q-(オクタデシルオキシ)ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)およびナトリウム2-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-1-プロパンスルホネートを有する(1:1)ポリマーである。
【0039】
例示的な増粘剤は、石油由来であり、かつ鎖中に13個または14個の炭素を有する分枝鎖脂肪族炭化水素の混合物を含有するC13~14イソパラフィンである。C13~14イソパラフィンは、そのワックス様テクスチャに起因して、増粘剤として作用する。
【0040】
例示的な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤および乳化剤ポリソルベート80である。別の例示的な穏やかな非イオン性植物由来界面活性剤は、デシルグルコシドである。
【0041】
一定の実施形態では、結合剤は、HEA-アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム-ステアレス-20メタクリレートコポリマー、C13~14イソパラフィン、ポリソルベート80、デシルグルコシドおよびグリセリンのうちの少なくとも1種を含む。
【0042】
任意選択で結合剤との組合せにおける、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)は、低アレルギー性である、非面皰性である、審美的に快いテクスチャ(非粘着性である、またはべとつかない)を有する、クリアである(衣服を汚さない)、および水溶性である、のうちの少なくとも1つである、局所用組成物の形成に寄与し、これらのうちのそれぞれは、個々にまたは累積して、局所用組成物の連続的塗布の点で患者の薬剤使用遵守を奨励する。
【0043】
本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のもの中の親水性閉塞形成剤は、局所用組成物の総重量に基づいて、約50wt.%、約60wt.%、約70wt.%、約75wt.%、80wt.%、約85wt.%、約90wt.%、92wt.%、約95wt.%、または約96wt.%のいずれかから、約97wt.%、約97.5wt.%、約98wt.%、約98.5wt.%、99wt.%、または約99.5wt.%のいずれかまでの(1種以上の閉塞形成剤が含まれている場合は累積での)濃度で存在してよい。
【0044】
一定の実施形態では、親水性閉塞形成剤は、グリセリンを含む。グリセリンは、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のもの中に、局所用組成物の総重量に基づいて、約50wt.%、約60wt.%、約70wt.%、約75wt.%、約80wt.%、約85wt.%、約90%、約92wt.%、約95wt.%、または約96wt.%のいずれかから、約97wt.%、約97.5wt.%、約98wt.%、約98.5wt.%、約99wt.%、または約99.5wt.%のいずれかまでの濃度で存在してよい。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物中のグリセリンは、局所用組成物の総重量に基づいて、約70wt.%~約99wt.%、約80wt.%~約98.5wt.%、約90wt.%~約98wt.%、または約95wt.%~約97wt.%の範囲の量にある。
【0045】
一定の実施形態では、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)の結合剤に対する重量対重量の比は、約100:1、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、または約40:1のいずれかから、約30:1、約25:1、約20:1、約15:1、または約10:1のいずれかまでの範囲であってよい。親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)の結合剤に対する重量対重量の比は、局所用組成物の審美的に快いテクスチャをまた維持しながら、局所用組成物が塗布されて、動かずに瘢痕上に置かれて留まることを可能にするようなものである。
【0046】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物中で利用されうる好適なタンパク質分解酵素としては、限定されるものではないが、ブロメライン、パパイン、またはこれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、局所用組成物中のタンパク質分解酵素は、ブロメラインである。一実施形態では、局所用組成物中のタンパク質分解酵素は、パパインである。一実施形態では、局所用組成物中のタンパク質分解酵素は、ブロメラインとパパインとの組合せである。
【0047】
一定の実施形態では、局所用組成物中の1種または複数種のタンパク質分解酵素は、瘢痕形成タンパク質および組織の生成を超える除去作用のために有効な量で存在してよい。
【0048】
一定の実施形態では、1種または複数種のタンパク質分解酵素は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものの中に、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超~約1wt.%、約0.001wt.%~約0.5wt.%、または約0.005wt.%~約0.3wt.%の範囲の(個々のまたは累積した)量で存在する。
【0049】
パパインとブロメラインとの組合せが、本明細書に記載されている局所用組成物中に存在するとき、パパインのブロメラインに対する重量対重量の比は、約10:1、約8:1、約5:1、約3:1、約2:1、または約1:1のいずれかから、約1:2、約1:3、約1:5、約1:8、または約1:10のいずれかまでの範囲であってよい。
【0050】
上に挙げた通り、皮膚によるタンパク質分解酵素の取り込みは、刺激、刺痛、灼熱および/またはそう痒の感覚を創製し得、これはきわめて攻撃的であり得、かつ対象が該組成物を連続して塗布する意欲を失わせる。緑茶ポリフェノールなどのポリフェノール抗酸化剤を含む抗酸化剤系の組み入れは、皮膚を鎮静化し(例えば発赤、膨張および/または刺激を低減する)、患者の薬剤使用遵守を改善し、かつ瘢痕治療における本明細書に記載されている局所用組成物の総体的有効性を改善することが発見された。一定の実施形態では、緑茶以外の源に由来するポリフェノールもまた、本明細書に記載されている局所用組成物中で(例えば緑茶ポリフェノールに加えてまたは代替物として)好適に利用することができる。
【0051】
一定の植物、例えばバイオフラボノイドであり抗酸化剤の性質を有する高含有量のポリフェノールからなるカメリア・シネンシス(Camellia sinensis(緑茶))が、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものに含まれる。本明細書に記載されている局所用組成物中の抗酸化剤系は、局所用組成物の総重量に基づいて、0%超、約0.01wt.%、約0.05wt.%、約0.1wt.%、約0.15wt.%、約0.2wt.%、約0.25wt.%、約0.3wt.%、約0.35wt.%、または約0.4wt.%のいずれかから、約0.45wt.%、約0.5wt.%、約0.55wt.%、約0.6wt.%、約0.65wt.%、約0.7wt.%、約0.75wt.%、約0.8wt.%、約0.85wt.%、約0.9wt.%、約0.95wt.%、約1wt.%、約1.5wt.%、約2wt.%、約3wt.%、約4wt.%、約5wt.%、約6wt.%、約7wt.%、約8wt.%、約9wt.%、または約10wt.%のいずれかまでの濃度で存在してよい。
【0052】
一定の実施形態では、局所用組成物は、瘢痕領域中の皮膚の鎮静化を助けるために、有効量のポリフェノール抗酸化剤を含む。一定の実施形態では、局所用組成物は、瘢痕領域中の皮膚の鎮静化を助けるために、強力な抗酸化剤の性質を有する緑茶に由来する有効量の緑茶ポリフェノール単離体を含む。好適な緑茶ポリフェノールとしては、カテキン、例えば没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、没食子酸エピカテキン(ECG)およびエピカテキン(EC)、それらのcisおよびtrans異性体、それらの塩、それらの等価な誘導体、およびこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0053】
一定の実施形態では、局所用組成物は、本明細書に記載されている緑茶ポリフェノールのうちの任意のものを、少なくとも1種のさらなる抗酸化剤との組合せで含む、抗酸化剤系を含む。
【0054】
一実施形態では、抗酸化剤系中のさらなる抗酸化剤は、ケイ皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸、p-クマル酸、シナピン酸、それらのcisおよびtrans異性体、それらの塩、それらの等価な誘導体、またはこれらの組合せから選択することができる。別の実施形態では、抗酸化剤系中の(かつ一般に局所用組成物中の)さらなる抗酸化剤は、ケイ皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸、p-クマル酸、シナピン酸、それらのcisおよびtrans異性体、それらの塩、それらの等価な誘導体、またはこれらの組合せを含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。
【0055】
一定の実施形態では、抗酸化剤系中のさらなる抗酸化剤は、レスベラトロール、没食子酸、デルフィニジン、ルテオリン、ケルセチン、シアニジン、タキシフォリン、ケンフェロール、マルビジン、ヘスペリジン、ペラゴニジン、アピゲニン、ナリンゲニン、クリシン、エルゴチオネイン、グルタチオン、エンブリカ、ビタミンE(トコフェロール)、アラントイン、それらのcisおよびtrans異性体、それらの塩、それらの等価な誘導体、またはこれらの組合せから選択することができる。
【0056】
一定の実施形態では、抗酸化剤系中のさらなる抗酸化剤は、ビタミンE(トコフェロール)、アラントイン、またはこれらの組合せから選択することができる。抗酸化剤系は、脂肪組織によって取り上げられることになる抗酸化剤と、皮膚の親水性間質液によって取り上げられることになる抗酸化剤との組合せを含んでよい。
【0057】
上記の抗酸化剤のうちの任意のものはまた、一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のもの中で、緑茶ポリフェノールの代替物として使用することができる。
【0058】
抗酸化剤系中の抗酸化剤のそれぞれは、個々にまたは累積して、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超、約0.01wt.%、約0.05wt.%、約0.1wt.%、約0.15wt.%、約0.2wt.%、約0.25wt.%、約0.3wt.%、約0.35wt.%、または約0.4wt.%のいずれかから、約0.45wt.%、約0.5wt.%、約0.55wt.%、約0.6wt.%、約0.65wt.%、約0.7wt.%、約0.75wt.%、約0.8wt.%、約0.85wt.%、約0.9wt.%、約0.95wt.%、約1wt.%、約1.5wt.%、約2wt.%、約3wt.%、約4wt.%、約5wt.%、約6wt.%、約7wt.%、約8wt.%、約9wt.%、または約10wt.%のいずれかまでの濃度において存在してよい。
【0059】
一定の実施形態では、化粧品に許容される賦形剤としては、ビタミンEの形態などのさらなる抗酸化剤が挙げられる。局所用組成物中に含まれうるビタミンEの好適な形態は、アルファ、ベータ、デルタおよびガンマトコフェロール、ならびにアルファ、ベータ、デルタおよびガンマトコトリエノール、ならびにこれらの組合せから選択することができる。一定の実施形態では、抗酸化剤系は、局所用組成物中に存在するビタミンEを、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超~約0.5wt.%、0wt.%超~約0.1wt.%、または0wt.%超~約0.02wt.%の範囲の量で含む。
【0060】
一定の実施形態では、抗酸化剤系は、局所用組成物中に存在するアラントインを、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超~約0.5wt.%、0wt.%超~約0.1wt.%、または0wt.%超~約0.02wt.%の範囲の量で含む。
【0061】
一定の実施形態では、抗酸化剤系は、緑茶ポリフェノールを、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超~約0.5wt.%、0wt.%超~約0.1wt.%、または0wt.%超~約0.05wt.%の範囲の量で含む。
【0062】
一定の実施形態では、抗酸化剤系は、本明細書に記載されている緑茶ポリフェノールのうちの任意のものと、ビタミンE(トコフェロール)およびアラントインのうちの少なくとも1つとの組合せを、局所用組成物の総重量に基づいて、0wt.%超、約0.01wt.%、約0.05wt.%、約0.1wt.%、約0.15wt.%、約0.2wt.%、約0.25wt.%、約0.3wt.%、約0.35wt.%、または約0.4wt.%のいずれかから、約0.45wt.%、約0.5wt.%、約0.55wt.%、約0.6wt.%、約0.65wt.%、約0.7wt.%、約0.75wt.%、約0.8wt.%、約0.85wt.%、約0.9wt.%、約0.95wt.%、約1wt.%、約1.5wt.%、約2wt.%、約3wt.%、約4wt.%、約5wt.%、約6wt.%、約7wt.%、約8wt.%、約9wt.%、または約10wt.%のいずれかまでの(個々のまたは累積した)濃度で、含む、それからなる、またはそれから本質的になる。
【0063】
一定の実施形態では、緑茶ポリフェノールの、1種または複数種のさらなる抗酸化剤に対する重量対重量の比は、(個々にまたは累積して)約10:1~約1:10、約8:1~約1:8、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2の範囲、または約1:1である。
【0064】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものは、無水であり、水は、例えば局所用組成物を調製するとき、局所用組成物中に意図的に添加されることがない。しかしながら、本明細書に記載されている局所用組成物は親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)を含むので、それはいくらかの水分を水素結合することができる。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、約10wt.%未満の水、約8wt.%未満の水、約5wt.%未満の水、約3wt.%未満の水、約2wt.%未満の水、約1wt.%未満の水を含み、または水を含まない。一定の実施形態では、水の上限は、それを超えると局所用組成物が本明細書に記載されているものとは異なる性質を呈しうる、局所用組成物の最大保持能力を反映している。一定の実施形態では、水の上限は、局所用組成物を形成するのに使用される原材料中に存在しうる水分に起因する、局所用組成物中の水含有量を反映している。
【0065】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものは、局所用組成物の総重量に基づいて、約8wt.%未満の尿素もしくは尿素誘導体、約5wt.%未満の尿素もしくは尿素誘導体、約3wt.%未満の尿素もしくは尿素誘導体、約1wt.%未満の尿素もしくは尿素誘導体を含み、または尿素または尿素誘導体を含まない。本開示によって熟慮される尿素誘導体としては、皮膚ケア治療において使用されるとき、尿素と類似の機能を有するまたは尿素と同じように作用する尿素の誘導体、例えば、とりわけ、ジメチル尿素、ジメチロール尿素、ヒドロキシエチル尿素、ヒドロキシエトキシエチル尿素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものは、局所用組成物の総重量に基づいて、約10wt.%未満のシリコーン系成分、約8wt.%未満のシリコーン系成分、約5wt.%未満のシリコーン系成分、約3wt.%未満のシリコーン系成分、約1wt.%未満のシリコーン系成分、約0.5wt.%未満のシリコーン系成分、約0.3wt.%未満のシリコーン系成分、約0.1wt.%未満のシリコーン系成分を含み、またはシリコーン系成分を含まない。例示的なシリコーン系成分としては、限定されるものではないが、ジメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、およびまたアミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル-変性シリコーン成分が挙げられ、これらは、室温にて、液体形態または樹脂形態のいずれかにあってよい。直鎖状ポリシロキサン、ジメチコノール、環状シリコーン流体、シクロペンタシロキサン揮発物、フェニルトリメチコン、シメチコン(200~300ジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコンの、水素添加シリケートとの混合物)、またはこれらの組合せ。
【0067】
一定の実施形態では、本開示によって熟慮される局所用組成物は、低アレルギー性である。そのようなものとして、これらの局所用組成物は、実質的にアレルギー反応を引き起こしにくいままで、敏感な皮膚において利用することができる。
【0068】
一定の実施形態では、本開示によって熟慮される局所用組成物は、非面皰形成性である。したがって、これらの局所用組成物は、対象の皮膚に塗布したとき、孔のブロックを生じない。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、孔を詰まらせうる成分、例えば、限定されるものではないが、ペトロラタム、ホホバオイル、オリーブオイル、アボカドオイル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、プロピレングリコール-2(PPG-2)ミリスチルプロピオネート、アセチル化ラノリン、タール、人工的な色などを実質的に含まない。
【0069】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、TFヘリオパススピンドルを備えた粘度計model LVTで0.6RPMにて測定し、かつ1分の読み取りをして、25℃で、約500,000cPs~約1,000,000cPs、約550,000cPs~約850,000cPs、または約620,000cPs~約780,000cPsの初期粘度を有する。
【0070】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、25℃で、約3.00~約9.00、約4.00~約9.00、約5.00~約9.00、約6.00~約9.00、約6.50~約8.50、または約7.00~約8.00のpHを有する。
【0071】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、少なくとも1種のさらなる化粧品に許容される賦形剤を含む。例示的な化粧品に許容される賦形剤はとしては、限定されるものではないが、表皮貫通促進剤、溶媒、穏やかな界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、デシルグルコシドなど)、油体、乳化剤、真珠光沢ワックス、稠度調節剤、増粘剤(例えば、HEA-アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム-ステアレス-20メタクリレートコポリマー、C13~14イソパラフィンなど)、レオロシー調節剤、懸濁剤、キレート剤、保存剤、過脂肪剤、安定化剤または担体(例えばジメチコン)、ポリマー、さらなるシリコーンまたはシロキサン化合物、脂肪、ワックス、レシチン、リン脂質、UV光防御因子、生体活性成分、さらなる抗酸化剤、デオドラント、制汗剤、抗フケ剤、皮膜形成剤、膨潤剤、昆虫忌避剤、セルフタンニング剤、チロシナーゼ阻害剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、香油、染料、酸化亜鉛、脂肪アルコール、脂肪酸のエステル、アジュバント、天然または合成トリグリセリド含有グリセリルエステルおよび誘導体、炭化水素油、過脂肪剤、ヒドロトロープ剤、細菌抑制剤、着色剤、UV遮蔽剤、UV光を吸収し光防御を皮膚に付与する作用剤、保存剤(例えばフェノキシエタノール)、ならびにこれらの組合せが挙げられる。一定の実施形態では、局所用組成物としては、増粘剤、保存剤、安定化剤もしくは担体、またはこれらの組合せの群から選択される、化粧品に許容される賦形剤が挙げられる。
【0072】
一定の実施形態では、局所用組成物中の、化粧品に許容される賦形剤としては、保存剤が挙げられる。好適な保存剤としては、例えば、フェノキシエタノール、パラベン、ペンタンジオールおよびソルビン酸の溶液、ならびに市販参照名Surfacine(登録商標)で知られている銀錯体、化粧料規則の添付資料6、パートAおよびパートBに提示されている他の部類の物質、すなわち好適な保存剤が挙げられる。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、フェノキシエタノールである保存剤を、局所用組成物の総重量に基づいて、最大で約2wt.%、最大で約1.5wt.%、または最大で0.5wt.%の量で含む。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、保存剤を実質的に含まない、または含まない。
【0073】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、1種または複数種の安定化剤または担体、例えば、ジメチコンを含む。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、ジメチコンを、局所用組成物の総重量に基づいて、最大で約10wt.%、最大で約8wt.%、最大で約5wt.%、最大で約3wt.%、最大で約1wt.%、最大で約0.5wt.%、または最大で約0.1wt.%の量で含む。
【0074】
本明細書に記載されている局所用組成物中に組み入れられる安定化剤または担体は、組成物の審美的テクスチャを向上させ、局所用組成物を、シルキー、軽い、乾いている、心地よい、脂状でなくべとつきがない、および容易に洗浄可能であるようにする。
【0075】
本明細書に記載されている局所用組成物は、軟膏、セラム、エマルション、クリーム、発泡体、スプレー、軟膏、ゲル、ローションなどの任意の皮膚科的に許容されるビヒクル中で製剤化されてもよく、または物理的にまたは化粧料的に組成物を、改善する、改質するまたは安定化する成分を含有しうるパッドもしくはロールオン塗布製剤として製剤化されてもよい。一実施形態では、局所用組成物は、均質なゲルである。
【0076】
本開示による局所用組成物はまた、以下に記載される1種または複数種のさらなる化粧品に許容される賦形剤も含有してよい。
【0077】
溶媒
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物中で使用されうる、化粧品に許容される賦形剤としては、限定されるものではないが、ポリソルベート20、水、アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール)、エトキシル化またはプロポキシル化ジグリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、メトキシイソプロパノール、PPG-2メチルエーテル、PPG-3メチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、PPG-2ブチルエーテル、フェノキシイソプロパノール、ブトキシエタノール、ブトキシジグリコール、メトキシジグリコール、フェノキシエタノール、PPG-3ブチルエーテル、PPG-2プロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、またはジプロピレングリコールジメチルエーテル、またはそれらの混合物および組合せ、または個々のエトキシレート、プロポキシレートおよびグリセリルエステルが挙げられる。
【0078】
ガム
一定の実施形態では、化粧品に許容される賦形剤としては、限定されるものではないが、天然ガム(例えば天然植物ガム)が挙げられる。好適な天然ガムとしては、グアーガム、カロブガム、コンンニャクガム、キサンタンガム、スクレロチウムガム、アカシアガム、セルロースガム(変性もしくは非変性)、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0079】
キレート剤
一定の実施形態では、化粧品に許容される賦形剤としては、キレート剤が挙げられる。好適なキレート剤としては、限定されるものではないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、およびニトリロトリ酢酸(NTA)が挙げられる。
【0080】
香油
一定の実施形態では、化粧品に許容される賦形剤としては、香油が挙げられる。好適な香油としては、天然の芳香物質と合成の芳香物質との混合物が挙げられる。天然の芳香物質は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニシード、コリアンダー、クミン、セイヨウネズ)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ニクズク、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、カルムス)、木(マツ、ビャクダン、ユソウボク、シーダー材、シタン)、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針状葉および枝(トウヒ、モミ、マツ、低マツ)、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバヌム、オポポナクス)からの抽出物である。典型的な合成芳香物質化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの芳香物質化合物は、例えば酢酸ベンジル、イソブチル酸フェノキシエチル、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカービニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチル-メチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルとしては、例えばベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、8~18個の炭素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラル、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアルおよびボージュナールが挙げられ、ケトンとしては、例えばイオノン、α-イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、ユゲノール、イソユゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピンオールが挙げられ、炭化水素としては、主にテルペンおよびバルサムが挙げられる。
【0081】
ほとんどがアロマ成分として使用される比較的低い揮発性の精油がまた、香油としても好適であり、例えば、セージオイル、カモミールオイル、クローブの油、メリッサオイル、ミント油、シナモンリーフオイル、リンデンブロッサムオイル、ネズの実の油、ベチバーオイル、オリバナムオイル、ガルバナムオイル、ラボラナムオイルおよびラバンジンオイルである。他の好適な油としては、単独でまたは混合物において、ベルガモットオイル、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、Boisambrene Forte(登録商標)、Ambroxan(登録商標)、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモンオイル、マンダリンオイル、オレンジオイル、アリルアミルグリコレート、シクロバータル、ラバンジンオイル、クラリセージ油、β-ダマスコン、ゼラニウムオイルブルボン、サリチル酸シクロヘキシル、Vertofix coeur(登録商標)、iso-E-super(登録商標)、Fixolide NP(登録商標)、Evernyl(登録商標)、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、Romilat(登録商標)、Irotyl(登録商標)およびFloramat(登録商標)が挙げられる。
【0082】
一定の実施形態では、化粧品に許容される賦形剤としては、ラベンダーオイル、ベルガモットオイル、ユーカリオイル、カモミールオイル、メラレウカオイル、またはこれらの組合せの群から選択される精油である香油が挙げられる。
【0083】
脂肪アルコール
6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコールセチルアルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、C12~C15アルコールのベンゾエート、アセチル化ラノリンアルコールなどが挙げられる。
【0084】
脂肪酸のエステル
直鎖状C~C24脂肪酸の直鎖状C~C24アルコールとのエステル、分枝状C~C13カルボン酸の直鎖状C~C24脂肪アルコールとのエステル、直鎖状C~C24脂肪酸の分枝状アルコール、特に2-エチルヘキサノールとのエステル、ヒドロキシカルボン酸の直鎖状または分枝状C~C22脂肪アルコール、特にマレイン酸ジオクチルとのエステル、直鎖状および/または分枝状脂肪酸の多価アルコール(例えばプロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、例えばカプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリル酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エラエオステアリン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸、ならびにその技術的グレードの混合物(例えば、天然の脂肪および油の圧力除去において、ローレンのオキソ合成からのアルデヒドの低減において、または不飽和脂肪酸の二量体化において得られたもの)の、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノイルアルコール、リノレニルアルコール、エラエオステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、ならびに技術的グレードのそれらの混合物(例えば、脂肪および油に基づく技術的グレードのメチルエステルの高圧水素添加において得られた、またはローレンのオキソ合成からのアルデヒド、および不飽和脂肪アルコールの二量体化におけるモノマー画分として得られたもの)。
【0085】
このようなエステル油の例は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキシルパルミテート、2-ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルステアレート、2-オクチルドデシルパルミテート、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、オクタン酸セテアリル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、酢酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、ジカプリル酸/カプリン酸プロピレングリコール、ヘプタン酸ステアリル、マレイン酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチルなどである。
【0086】
他のアジュバント
ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート、ジ-n-ブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)-アジペート、ジ(2-エチルヘキシル)スクシネートおよび酢酸ジイソトリデシル、ならびにまたジオールエステル、例えばジオレイン酸エチレングリコール、ジイソトリデカン酸エチレングリコール、ジ(2-エチルヘキサン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ブタンジオールおよびジカプリル酸ネオペンチルグリコール。C~C24脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールの、芳香族カルボン酸、飽和および/または不飽和の、特に安息香酸とのエステル、C~C12ジカルボン酸の、1~22個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルコールまたは2~10個の炭素原子および2~6つのヒドロキシ基を有するポリオールとのエステル。
【0087】
グリセリルエステルおよび誘導体を含む天然または合成トリグリセリド
他のアルコール(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、コムギ胚芽グリセリドなど)との反応によって修飾されたC~C18脂肪酸に基づくジ-またはトリグリセリド。ポリグリセリンの脂肪酸エステル(ポリグリセリル-n、例えばポリグリセリル-4カプレート、ポリグリセリル-2イソステアレートなど)、またはヒマシ油、水素添加野菜油、スイートアーモンド油、コムギ核油、ゴマ油、水素添加綿実油、ココナツオイル、アボカドオイル、コーン油、水素添加ヒマシ油、シア脂、ココア脂、ダイズ油、ミンク油、ヒマワリ油、ベニバナ油、マカダミアナッツ油、オリーブオイル、水素添加獣脂、アプリコット核油、ヘーゼルナッツ油、ルリチシャ油など。
【0088】
長鎖酸とアルコールとのエステルを含むワックス、およびワックス様の性質を有する化合物、例えばカルナウバワックス、ビーズワックス(白色または黄色)、ラノリンワックス、キャンデリラワックス、オゾケライト、木ろう、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、セテアリルエステルワックス、合成ビーズワックスなど。また、セテアリルアルコールまたは部分的グリセリドなどの親水性ワックス。
【0089】
真珠光沢ワックス
アルキレングリコールエステル、特にジステアリン酸エチレングリコール;脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド;部分的グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多価の非置換のまたはヒドロキシ置換のカルボン酸の、6~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖のエステル;脂肪物質、例えば脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート(これらは総計で少なくとも24個の炭素原子を有する)、特にラウリルおよびジステアリルエーテル、脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸、12~22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドの、12~22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとの開環生成物、ならびに/または2~15個の炭素原子および2~10のヒドロキシ基を有するポリオール、ならびにこれらの混合物。
【0090】
炭化水素油
鉱油(軽質または重質)、ワセリン(黄色または白色)、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンおよびイソパラフィン化合物、ポリデセンおよびポリブテンのような水素添加イソパラフィン分子、水素添加ポリイソブテン、スクワラン、イソヘキサデカン、イソドデカン、ならびに植物界および動物界からの他のもの。
【0091】
さらなるシリコーンまたはシロキサン(有機置換ポリシロキサン)
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、およびまたアミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ-、フルオリン-、グリコシド-および/またはアルキル-変性シリコーン化合物、これらは、室温にて液体形態または樹脂形態のいずれかにあってよい。直鎖状ポリシロキサン、ジメチコン(Dow Coming 200 fluid、Rhodia Mirasil DM)、ジメチコノール、環式シリコーン流体、シクロペンタシロキサン揮発物(Dow Corning 345 fluid)、フェニルトリメチコン(Dow Coming 556 fluid)。また好適なものは、200~300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコンの水素添加シリケートとの混合物であるシメチコンである。好適な揮発性シリコーンの詳細なサーベイを、Toddら、Cosm. Toil. 91, 27 (1976)にさらに見出すことができる。
【0092】
乳化剤
任意の従来使用可能な乳化剤を、該組成物のためにも使用することができる。乳化剤系は、例えば以下を含んでよい:カルボン酸およびそれらの塩:ナトリウム、カリウムおよびアンモニウムのアルカリ石けん、カルシウムまたはマグネシウムの金属石けん、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸などの有機ベースの石けん。リン酸アルキルまたはリン酸エステル、酸ホスフェート、リン酸ジエタノールアミン、セチルリン酸カリウム。エトキシル化カルボン酸またはポリエチレングリコールエステル、PEG-nアクリレート。8~22個の炭素原子を有する直鎖状脂肪アルコール、2~30molのエチレンオキシドおよび/または0~5molのプロピレンオキシドの、アルキル基中に12~22個の炭素原子を有する脂肪酸との、かつ8~15個の炭素原子を有するアルキルフェノールとの分枝状脂肪アルコール。脂肪アルコールポリグリコールエーテル、例えばラウレス-n、セテアレス-n、ステアレス-n、オレス-n。脂肪酸ポリグリコールエーテル、例えばPEG-nステアレート、PEG-nオレエート、PEG-nココエート。モノグリセリドおよびポリオールエステル。1~30molのエチレンオキシドの、ポリオールとの付加物のC12~C22脂肪酸モノ-およびジ-エステル。脂肪酸およびポリグリセロールエステル、例えばモノステアレートグリセロール、ジイソステアロイルポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ジイソステアリン酸トリグリセリル、ポリグリセリル-2-セスキイソステアレートまたはポリグリセリルジメレート。複数のこれらの物質の部類からの化合物の混合物もまた、好適である。脂肪酸ポリグリコールエステル、例えばモノステアレートジエチレングリコール、脂肪酸およびポリエチレングリコールエステル、脂肪酸およびサッカロースエステル、例えばスクロエステル、グリセロールおよびサッカロースエステル、例えばスクログリセリド。ソルビトールおよびソルビタン、6~22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のソルビタンモノ-およびジ-エステル、ならびにエチレンオキシド付加生成物。ポリソルベート-nシリーズ、ソルビタンエステル、例えばセスキイソステアレート、ソルビタン、PEG-(6)-イソステアレートソルビタン、PEG-(10)-ソルビタンラウレート、PEG-17-ジオレエートソルビタン。グルコース誘導体、C8~C22アルキル-モノおよびオリゴ-グリコシド、ならびに糖成分として好ましいグルコースを有するエトキシル化類似体。O/W乳化剤、例えばメチルグルセス-20セスキステアレート、ステアリン酸ソルビタン/ココ脂肪酸スクロース、メチルグルコースセスキステアレート、セテアリルアルコール/セテアリルグルコシド。W/O乳化剤、例えばジオレイン酸メチルグルコース/イソステアリン酸メチルグルコース。スルフェートおよびスルホン化誘導体、ジアルキルスルホスクシネート、コハク酸ジオクチル、ラウリルスルホン酸アルキル、直鎖状スルホン化パラフィン、スルホン化四プロピレンスルホネート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムおよびエタノールアミン、ラウリルエーテルスルフェート、ラウレス硫酸ナトリウム、スルホスクシネート、イソチオン酸アセチル、硫酸アルカノールアミド、タウリン、メチルタウリン、硫酸イミダゾール。ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマーおよび誘導体、ジメチコン、コポリオール、シリコーンポリエチレンオキシドコポリマー、シリコーングリコールコポリマー。プロポキシル化またはPOE-nエーテル(Meroxapols)、ポリキサマーまたはポリ(オキシエチレン)m-ブロック-ポリ(オキシプロピレン)n-ブロック(オキシエチレン)。分子中に少なくとも1つの第四級アンモニウム基および少なくとも1つのカルボキシレートおよび/またはスルホネート基を保有する双性イオン性界面活性剤。特に好適である双性イオン性界面活性剤は、ベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(これらは、それぞれがアルキル基またはアシル基中に8~18個の炭素原子を有する)、およびまたココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネート、N-アルキルベタイン、N-アルキルアミノベタイン。アルキルイミダゾリン、アルキルペプチド、リポアミノ酸、自己乳化塩基、およびK. F. DePolo, A short textbook of cosmetology, Chapter 8, Table 8-7, p 250-251に記載されている化合物。
【0093】
非イオン性塩基、例えばPEG-6ビーズワックス(および)PEG-6ステアレート(および)ポリグリセリル-2-イソステアレート、ステアリン酸グリセリル(および)PEG-100ステアレート、PEG-5ステアリン酸グリセリル、オレイン酸ソルビタン(および)ポリグリセリル-3リシノレート、ステアリン酸ソルビタンおよびココ脂肪酸スクロース、ステアリン酸グリセリルおよびラウレス-23、セテアリルアルコールおよびセテス-20、セテアリルアルコールおよびポリソルベート60、ならびにPEG-150およびステアレート-20、セテアリルアルコールおよびセテアリルポリグルコシド、セテアリルアルコールおよびセテアレス-20、セテアリルアルコールおよびPEG-40ヒマシ油、セテアリルアルコールおよびPEG-40ヒマシ油およびセテアリル硫酸ナトリウム、ステアリルアルコールおよびステアレス-7およびステアレス-10、セテアリルアルコールおよびステアレス-7およびステアレス-10、ステアリン酸グリセリルおよびPEG-75ステアレート、プロピレングリコールセテス-3アセテート、プロピレングリコールイソセス-3アセテート、セテアリルアルコールおよびセテス-12およびオレス-12、PEG-6ステアレートおよびPEG-32ステアレート、PEG-6ステアレートおよびセテス-20およびステアレス-20、PEG-6ステアレートおよびセテス-20およびステアリン酸グリセリルおよびスレアレス-20、ステアリン酸グリセリルおよびセテアレス-20。
【0094】
アニオン性アルカリ塩基、例えばPEG-2ステアレートSE、ステアリン酸グリセリルSE、ステアリン酸プロピレングリコール。アニオン性酸塩基、例えばセテアリルアルコールおよびセテアリル硫酸ナトリウム、セテアリルアルコールおよびラウリル硫酸ナトリウム、トリラネス-4ホスフェートおよびステアリン酸グリコールおよびPEG-2ステアレート、ステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウム。カチオン性酸塩基、例えばセテアリルアルコールおよび臭化セトリモニウム。
【0095】
好適な乳化剤としてはまた、限定するものではないが、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、PEG-4ジラウレート、PEG-8ジオレエート、PEG-40ソルビタンペルオレエート、PEG-7グリセリルココエート、PEG-20アーモンドグリセリド、PEG-25水素添加ヒマシ油、ステアリン酸グリセリド(および)PEG-100ステアレート、PEG-7オリベート、PEG-8オレエート、PEG-8ラウレート、PEG-60アーモンドグリセリド、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-80ソルビタンラウレート、ステアレス-2、ステアレス-12、オレス-2、セテス-2、ラウレス-4、オレス-10、オレス-10/ポリオキシル10オレイルエーテル、セテス-10、イソステアレス-20、セテアレス-20、オレス-20、ステアレス-20、ステアレス-21、セテス-20、イソセテス-20、ラウレス-23、ステアレス-100、クエン酸ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE(自己乳化)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ポリグリセリル-3-メチルグリコースジステアレート、またはこれらの組合せも含んでよい。
【0096】
さらに好適な乳化剤は、リン酸エステルおよびそれらの塩、例えばリン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(Amphisol(登録商標)DEA)、セチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)K)、セテアリル硫酸ナトリウム、リン酸オレイン酸グリセリルナトリウム、水素添加リン酸野菜グリセリド、およびこれらの混合物である。さらに好適な乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セテアリルグルコシド、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロースおよび水和ポリイソブテンである。さらに、1種または複数種の合成ポリマーが、乳化剤として使用されてよい。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10~30アクリル酸アルキルクロスポリマー、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー、PEG-22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、およびこれらの混合物。
【0097】
アジュバントおよび添加剤
化粧用日焼け止め組成物、例えばクリーム、ゲル、ローション、アルコール性および水性/アルコール性溶液、エマルション、ワックス/脂肪組成物、スティック調製物、粉末または軟膏は、さらなるアジュバンドおよび添加剤として、例えば、穏やかな界面活性剤、過脂肪剤、稠度調節剤、増粘剤、ポリマー、安定化剤、生体活性成分、膨潤剤、さらなるUV光防御因子、抗酸化剤、ヒドロトロピー剤、保存剤、セルフタンニング剤、可溶化剤、香油、着色剤、細菌抑制性剤などをさらに含有することができる。
【0098】
過脂肪剤
過脂肪剤としての使用に好適な物質は、例えばラノリンおよびレシチン、ならびにまたポリエトキシル化またはアセチル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドであり、後者は発泡体安定化剤として同時に作用する。
【0099】
界面活性剤
好適な穏やかな界面活性剤、すなわち皮膚が特に良好に耐えられる界面活性剤の例としては、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルフェート、硫酸モノグリセリド、スルホコハク酸モノ-および/またはジ-アルキル、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、アルファ-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタインおよび/またはタンパク質脂肪酸縮合生成物が挙げられ、後者は、好ましくはコムギタンパク質に基づく。
【0100】
さらなる稠度調節剤/増粘剤およびレオロジー改質剤
二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、多糖類またはそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、グアーグアー、寒天-寒天、アルギネート、カラゲナン、ゲラン、ペクチンまたは変性セルロース、例えばヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース。ポリアクリレート、または網状アクリル酸およびポリアクリルアミドのホモポリマーに加えて、カルボマー(CARBOPOL型980、981、1382、ETD2001、ETD2020、ULTREZ10)またはSALCAREの範囲、例えばSALCARE C80(ステアレス-10アリルエーテル/アクリレートコポリマー)、Salcare SC81(アクリレートコポリマー)、Salcare SC91およびSalcare AST(アクリル酸ナトリウムコポリマー/PPG-1トリデセス-6)、SEPIGEL305(ポリアクリルアミド/ラウレス-7)、SIMULGEL NSおよびSIMULGEL EG(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー)、STABILEN 30(アクリレート/イソデカン酸ビニルクロスポリマー)、PEMULEN TR-1(アクリレート/C10~30アクリル酸アルキルクロスポリマー)、LUVIGEL EM(アクリル酸ナトリウムコポリマー)、ACULYN 28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)など。
【0101】
ポリマー
アニオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーとして、考慮されるのは、例えば酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそれらのエステル、非架橋ポリアクリル酸、およびポリオールと架橋されたポリアクリル酸、アクリルアミドプロピル-トリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート-tert-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタムターポリマー、およびまた任意選択で誘導化されたセルロースエーテルおよびシリコーンである。さらに、欧州特許出願第1093796号明細書(3~8頁、段落17~68)に記載されているポリマーを使用することができる。
【0102】
生体活性成分
生体活性成分は、例えばパルミチン酸トコフェロール、デオキシリボ核酸、レチノール、ビサボロール、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、シュードセラミド、精油、植物抽出物およびビタミン錯体の意味であると理解される。
【0103】
さらなる抗酸化剤
主要な光防御物質に加えて、UV照射が皮膚または毛髪を貫通するときにトリガーされる光化学的反応鎖を妨げる抗酸化剤の種類の第2の光防御物質を使用することもまた可能である。このような抗酸化剤の典型的な例は、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カルチノイド、カロテン、リコペンおよびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグリコース、プロピルチオウラシルならびに他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、リノレイル、コレステリルおよびそれらのグリセリルエステル)およびまたそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびにまたスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-チオニンスルホキシミン)、また(金属)キレート剤(例えばヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、バイル酸、バイル抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EDDS、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えばリノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(例えばビタミンAパルミテート)、およびまたベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチック酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、N-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]スルファニル酸(およびその塩、例えば二ナトリウム塩)、セレンおよびその誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベン酸化物、トランス-スチルベン酸化物)、ならびにこれらの挙げられた活性成分の、本発明により好適な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。HALS(=「ヒンダートアミン光安定化剤」)化合物もまた挙げることができる。
【0104】
ヒドロトロピー剤
流れ挙動を改善するために、ヒドロトロピー剤、例えばエトキシル化または非エトキシル化モノアルコール、少数の炭素原子を有するジオールもしくはポリオールまたはそれらのエーテル(例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2-ジプロパンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよび類似の生成物)を利用することもまた可能である。その目的のために考慮に入れるポリオールは、2~15個の炭素原子および少なくとも2つのヒドロキシ基を好ましくは有する。ポリオールはまた、さらなる官能基、特にアミノ基を含有してよく、かつ/または窒素で修飾されてよい。典型的な例は以下の通りである:グリセロール、アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、およびまた100~1000ダルトンの平均分子量を有するポリエチレングリコール;1.5~10の固有の縮合度を有する技術的なオリゴグリセロール混合物、例えば40~50重量%のジグリセロール含有量を有する技術的なジグリセロール混合物;メチロール化合物、例えば、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール;低級アルキル-グルコシド、特にアルキル基中に1~8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;5~12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;5~12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはサッカロース;アミノ糖、例えばグルカミン;ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3-プロパンジオール。
【0105】
さらなる保存剤および細菌抑制剤
好適な保存剤としては、例えば、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル-パラベン、ベンザルコニウムクロリド、2-ブロモ-2-ニトロ-プロパン-l,3-ジオール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、2-ジクロロ-ベンジルアルコール、DMDMヒダントイン、ホルムアルデヒド溶液、メチルジブロモグルタニトリル、フェノキシエタノール、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素、トリクロサン、および以下の参照文献:K. F. DePolo-A short textbook of cosmetology, Chapter 7, Table 7-2, 7-3, 7-4 and 7-5, p 210-219に列挙されているさらなる物質の部類が挙げられる。
【0106】
細菌抑制剤
細菌抑制剤の典型的な例は、グラム陽性細菌に対する特定の作用を有する保存剤であり、例えば2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、クロロヘキシジン(l,6-ジ(4-クロロフェニル-ビグアニド)ヘキサン)またはTCC(3,4,4’-トリクロロカルバニリド)である。多数の芳香物質およびエーテル油がまた、抗微生物の性質を有している。典型的な例は、クローブオイル中の活性成分ユーゲノール、メントールおよびチモール、ミントオイルおよびタイムオイルである。対象の天然のデオドライジング剤は、ライムブロッサムオイル中に存在するテルペンアルコールファルネソール(3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-l-オール)である。モノラウリン酸グリセロールもまた静菌剤であることが証明された。
【0107】
着色剤
着色剤として使用されうるのは、美容目的のために好適であり許容されている物質であり、例えば刊行物”Kosmetische Farbemittel” of the Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft, Verlag Chemie, Weinheim, 1984, pages 81 to 106に編集されている。
【0108】
UV日焼け止め剤
好適な日焼け止め剤としては、以下からなる群から選択される有機UV日焼け止め剤の範囲が挙げられると考えられる:l(+/-)-l,7,7-トリメチル-3-[(4-メチルフェニル)メチレン]ビシクロ-[2.2.1]ヘプタン-2-オン;p-メチルベンジリデンカンファー、1,7,7-トリメチル-3-(フェニルメチレン)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン;ベンジリデンカンファー、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(4-メチルフェニル)メタノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、アルファ-(2-オキソボルン-3-イリデン)トルエン-4スルホン酸およびその塩、l-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、メチルN,N,N-トリメチル-4-[(4,7,7-トリメチル-3-オキソビシクロ[2,2,l]-ヘプタ-2-イリデン)メチル]アニリニウムスルフェート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル-2-ヒドロキシベンゾエート、イソペンチルp-メトキシシンナメート、メチル-o-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル2-シアノ、3,3-ジフェニルアクリレート、2-エチルヘキシル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-エチルヘキシル4-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシルサリチレート、安息香酸、4,4’,4’’-(l,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-、トリス(2-エチルヘキシル)エステル、4-アミノ安息香酸、安息香酸、4-アミノ-、エチルエステル、オキサリンとのポリマー、2-フェニル-lH-ベンズイミダゾール-5-スルホン酸、2-プロペンアミド、N-[[4-[(4,7,7-トリメチル-3-オキソビシクロ[2.2.l]ヘプタ-2-イリデン)メチル]フェニル]メチル]-、ホモポリマー。サリチル酸トリエタノールアミン、3,3’-(1,4-フェニレンジメチレン)ビス[7,7-ジメチル-2-オキソ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-lメタンスルホン酸]、二酸化チタン、2,2’-メチレン-ビス-[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(l,l,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール]、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、lH-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸、2,2’-(l,4-フェニレン)ビス-、二ナトリウム塩、安息香酸、4,4’-[[6-[[4-[[(l,l-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]-フェニル]アミノ]l,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-、フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-[2-メチル-3-[l,3,3,3-テトラメチル-l-[(トリメチルシリ)オキシ]ジシルオキサニル]プロピル]-、ジメチコジエチルベンザルマロネート、ベンゼンスルホン酸、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-(1-メチルプロピル)-、一ナトリウム塩、安息香酸、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-、ヘキシルエステル、1-ドデカンアミニウム、N-[3-[[4-(ジメチルアミノ)ベンゾイル]アミノ]-プロピル]N,N-ジメチル-、4-メチルベンゼンスルホン酸を有する塩(1:1)、1-プロパンアミニウム、N,N,N-トリメチル-3-[(l-オキソ-3-フェニル-2-プロペニル)アミノ]-、クロリド、lH-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸、2,2’-(l,4-フェニレン)ビス-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(4-メトキシフェニル-l,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-[(2-エチルヘキシル)オキシ]フェニル]-、1-プロパンアミニウム、3-[[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(l,l-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]アミノ]-N,N-ジエチル-N-メチル-、硫酸メチル(塩)、2-プロペン酸、3-(lH-イミダゾール-4-イル)-、安息香酸、2-ヒドロキシ-、[4-(l-メチルエチル)フェニル]メチルエステル、1,2,3-プロパントリオール、l-(4-アミノベンゾエート)、ベンゼン酢酸、3,4-ジメトキシ-a-オキソ-、2-プロペン酸、2-シアノ-3,3-ジフェニル-、エチルエステル、アントラニル酸、p-メンタ-3-イルエステル、2,2’-ビス(l,4-フェニレン)-lH-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸一ナトリウム塩またはフェニルジベンズイミダゾール四スルホン酸二ナトリウム、l,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミンおよびN,N’-ビス[4-[5-(l,l-ジメチルプロピル)-2-ベンゾオキサゾリル]フェニル]-N’’-(2-エチルヘキシル)。
【0109】
UV光を吸収し光防御を皮膚に付与する作用剤
UV光を吸収する好適な作用剤は、光防御を皮膚に付与し、かつ任意選択でサンレスタンニングを付与し、式I:
【0110】
【化1】
[式中、
各Rは、独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環もしくはRC(=0)-であり、2つのR基は一緒になって、-(C~C)アルキル基、-(C~C)アルキル-Y-(C~C)アルキル基もしくは-(C~C)アルキル-Y’-(C~C)アルキル基を形成し、または
各Rは、独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはRC(=0)-であり、2つのR基は一緒になって、-(C~C)アルキル基、-(C~C)アルキル-Y-(C~C)アルキル基もしくは-(C~C)アルキル-Y’-(C~C)アルキル-を形成し、または
2つのR基は一緒になって、-(C~C)アルキル基、-(C~C)アルキル-Y-(C~C)アルキル基もしくは-(C~C)アルキル-Y’-(C~C)アルキル基を形成し、かつ2つのR基は一緒になって、-(C~C)アルキル基、-(C~C)アルキル-Y-(C~C)アルキル基もしくは-(C~C)アルキル-Y’-(C~C)アルキル基を形成し、
「a」と標識されている点線の結合が不在で、「b」と標識されている点線の結合が二重結合であるか、またはすべての点線の結合が単結合であり、
は、H、(C~C)アルキルまたはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数のZ基で任意選択で置換されており、
は、H、(C~C)アルキルまたはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数のZ基で任意選択で置換されており、
Yは、O、S、NH、NR、P、P(=0)またはPOHであり、
Y’は、Si(Rまたは-Si(R-O-Si(R-であり、
各Rは、独立して、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数のZ基で任意選択で置換されており、
各Rは、独立して、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数のZ基で任意選択で置換されており、
各Rは、独立して、RまたはC~C18飽和もしくは不飽和の炭素鎖であり、これは、オキソ(=0)、ヒドロキシ、メルカプト、(C~C)アルコキシ、(C~C)アルコキシカルボニル、(C~C)アルカノイルオキシ、NR、カルボキシおよびアリールから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されており、ここで、Rの任意のアリールは、1つまたは複数のRで任意選択で置換されており、
各RおよびRは、独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)アルカノイル、フェニル、ベンジルおよびRから選択され、
各Rは、独立して、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)アルコキシカルボニル、(C~C)アルカノイルオキシ、-C(=0)-フェニルおよび-C(=0)CHC(=0)-フェニルから選択され、ここで、任意のフェニルは、(C~C)アルキル、-SOHおよび(C~C)アルコキシから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されており、
各Rは、
【0111】
【化2】
{式中、
各Zは、独立して、(C~C)アルキル、ハロゲン、-CN、-ORn1、-NRq1r1、-NRn1CORp1、-NRn1COp1、NO、-C(O)Rn1、-C(O)ORn1および-C(O)NRq1r1から選択され、ここで、Zの任意の(C~C)アルキルは、1種または複数種の(例えば1、2、3、4、5または6種の)ハロゲンで任意選択で置換されており、
各Rn1は、独立して、H、および(C~C)アルキルから選択され、ここで、Rn1の任意の(C~C)アルキルは、1種または複数種の(例えば1、2、3、4、5または6種の)ハロゲンで任意選択で置換されており、
各Rp1は、独立して、(C~C)アルキルであり、
q1およびRr1は、それぞれ独立して、H、および(C~C)アルキルから選択され、またはRq1およびRr1は、そこにそれらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、アゼチジン、チオモルホリン、ピペラジンまたは4-メチルピペラジンを形成する}
である]
の化合物、またはその塩を含むことができる。
【0112】
本明細書に記載されている局所用組成物中に組み入れられうる式Iの化合物の特定の基および特定の化合物、ならびにこのような化合物を調製する方法は、米国特許第9403778号明細書および米国特許第9987211号明細書に記載されており、これらは、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
UV光を吸収する好適な作用剤は、光防御を皮膚に付与し、かつ任意選択でサンレスタンニングを付与し、式II:
【0114】
【化3】
[式中、
は、H、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはRC(=O)-であり、
は、H、(C~C)アルキルまたはアリールであり、ここで、アリールはで1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
は、H、(C~C10)アルキル、(C~C)炭素環またはRC(=O)-であり、
は、または(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
各Zは、独立して、(C~C)アルキル、ハロゲン、-CN、-ORn1、-NRq1r1、-NRn1CORp1、-NRn1COpi、NO、-C(O)Rn1、-C(O)ORn1および-C(O)NRq1r1から選択され、ここで、Zの任意の(C~C)アルキルは、1種または複数種の(例えば1、2、3、4、5または6種の)ハロゲンで任意選択で置換されており、
各Rn1は、独立して、H、(C~C)アルキルから選択され、ここで、Rn1の任意の(C~C)アルキルは、1種または複数種の(例えば1、2、3、4、5または6種の)ハロゲンで任意選択で置換されており、
各Rpiは、独立して、(C~C)アルキルであり、
q1およびRr1は、それぞれ独立して、H、および(C~C)アルキルから選択され、またはRq1およびRr1は、そこにそれらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、アゼチジン、チオモルホリン、ピペラジンまたは4-メチルピペラジンを形成する]
の化合物、またはその塩を含むことができる。
【0115】
本明細書に記載されている局所用組成物中に組み入れられうる式IIの化合物の特定の基および特定の化合物、ならびにこのような化合物を調製する方法は、米国特許第9987211号明細書に記載されており、これは、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
UV光を吸収し光防御を皮膚に付与する好適な作用剤は、式III:
【0117】
【化4】
[式中、
各Rは、独立して、H、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはRC(=O)-であり、または2つのR基は一緒になって、-(C~C)アルキル基、(C~C)アルキル-Y-(C~C)アルキル基もしくは-(C~C)アルキル-Y’-(C~C)アルキル基を形成し、または
「a」と標識された点線の結合は不在であり、「b」と標識された点線は二重結合であり、またはすべての点線の結合は単結合であり、
は、H、(C~C)アルキルまたはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
は、H、(C~C)アルキルまたはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
は、ヒドロキシ、カルボキシ、(C~C)アルコキシカルボニル、-OPO、-OR、または-NReであり、RはHであり、または一緒に取られるRとRとはオキソであり、
Yは、O、S、NH、P、P(=O)またはPOHであり、
Y’は、Si(Rまたは-Si(R-O-Si(R-であり、
各Rは、独立して、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
各Rは、独立して、(C~C)アルキル、(C~C)炭素環またはアリールであり、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
cは、RまたはC~C20飽和またはC~C20不飽和の炭素鎖であり、これは、オキソ(=O)、ヒドロキシ、メルカプト、(C~C)アルコキシ、(C~C)アルコキシカルボニル、(C~C)アルカノイルオキシ、NR、カルボキシおよびアリールから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されており、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
は、H、(C~C)アルキルまたは(C~C)アルカノイルであり、
は、H、またはC~C20飽和またはC~C20不飽和の炭素鎖であり、これは、オキソ(=O)、ヒドロキシ、メルカプト、(C~C)アルコキシ、(C~C)アルコキシカルボニル、(C~C)アルカノイルオキシ、NR、カルボキシおよびアリールから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択で置換されており、ここで、アリールは、1つまたは複数の(例えば1、2、3、4または5つの)Z基で任意選択で置換されており、
各Rは、
【0118】
【化5】
{式中、
各Zは、独立して、(C~C)アルキル、ハロゲン、-CN、ORn1、-NRq1r1、-NRn1CORp1、-NRn1COp1、NO、-C(O)Rn1、-C(O)ORn1および-C(O)NRq1r1から選択され、ここで、Zの任意の(C~C)アルキルは、1種または複数種の(例えば1、2、3、4、5または6種の)ハロゲンで任意選択で置換されており、
各Rn1は、独立して、H、および(C~C)アルキルから選択され、ここで、Rn1の任意の(C~C)アルキルは、1種または複数種の(例えば1、2、3、4、5または6種の)ハロゲンで任意選択で置換されており、
各Rp1は、独立して、(C~C)アルキルであり、
q1およびRr1は、それぞれ独立して、H、および(C~C)アルキルから選択され、またはRq1およびRr1は、そこにそれらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、アゼチジン、チオモルホリン、ピペラジンまたは4-メチルピペラジンを形成する}
である]
の化合物、またはその塩を含むことができる。
【0119】
本明細書に記載されている局所用組成物中に組み入れられうる式IIIの化合物の特定の基および特定の化合物、ならびにこのような化合物を調製する方法は、米国特許第9364406号明細書および米国特許第9987211号明細書に記載されており、これらは、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
日焼け止め剤
本明細書に開示されている局所用組成物は、日焼け止め剤、例えばアボベンゾン、エカムスル、アントラニル酸メチル、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、スリソベンゾン、オクチノキセート、ホモサレート、オクトクリレンおよびオクチサレートを含むことができる。このような組成物は、UVA領域および/またはUVB領域および(/またはIRおよび/またはVIS領域(吸収剤))中で効果的である有機UVフィルター、いわゆる親水性または親油性日焼け防止フィルターを含んでもよい。これらの物質は、具体的には、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、p-アミノ安息香酸誘導体およびポリマーフィルターおよびシリコーンフィルターから選択することができ、これらは、国際公開第93/04665号パンフレットに記載されている。有機フィルターのさらなる例は、欧州特許出願公開第A0487404号明細書に示されている。組合せに特に好適なのは以下である:パラ-アミノ安息香酸およびその誘導体:PABA、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、例えばISPにより名称「Escalol 507」で市販されているもの、Glyceryl PABA、PEG-25 PABA、例えばBASFにより名称「Uvinul P25」で市販されているもの。
【0121】
本開示の局所用組成物中に組み入れられうる他のUVフィルター成分としては、以下が挙げられる:
【0122】
サリチレート:Merckにより名称「Eusolex HMS」で市販されているホモサレート;例えばSymriseにより名称「Neo Heliopan OS」で市販されているサリチル酸エチルヘキシル、例えばScherにより名称「Dipsal」で市販されているサリチル酸ジプロピルレングリコール、例えばSymriseにより名称「Neo Heliopan TS」で市販されているサリチル酸TEA。
【0123】
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:例えばMerckにより名称「Eusolex(登録商標)OCR」で市販されているオクトクレレン、BASF製の「Uvinul N539」、例えばBASFにより名称「Uvinul N35」で市販されているオクトクリレン。
【0124】
ベンゾフェノン誘導体:例えば名称「Uvinul 400」で市販されているベンゾフェノン-1、例えば名称「Uvinul D50」で市販されているベンゾフェノン-2、例えば名称「Uvinul M40」で市販されているベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン、例えば名称「Uvinul MS40」で市販されているベンゾフェノン-4、例えばBASFにより名称「Uvinul DS-49」で市販されているベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-5、例えばNorquayにより名称「Helisorb 11」で市販されているベンゾフェノン-6、例えばAmerican Cyanamidにより名称「Spectra-Sorb UV-24」で市販されているベンゾフェノン-8、Merck、Darmstadtにより名称Eusolex(登録商標)4360で市販されているベンゾフェノン-12n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートまたは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン。
【0125】
ベンジリデンカンファー誘導体:例えばChimexにより名称「Mexoryl SD」で市販されている3-ベンジリデンカンファー、例えばMerckにより名称「Eusolex 6300」で市販されている4-メチルベンジリデンカンファー、例えばChimexにより名称「Mexoryl SL」で市販されているベンジリデンカンファースルホン酸、例えばChimexにより名称「Mexoryl SO」で市販されているカンファーベンズアルコニウムメトスルフェート、例えばChimexにより名称「Mexoryl SX」で市販されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸、Chimexにより名称「Mexoryl SW」で市販されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
【0126】
フェニルベンズイミダゾール誘導体:例えばMerckにより名称「Eusolex 232」で市販されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、例えばSymriseにより名称「Neo Heliopan AP」で市販されているフェニルジベンズイミダゾール四スルホン酸二ナトリウム。
【0127】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:例えばRhodia Chimieにより名称「Silatrizole」で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン。
【0128】
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノールで、固体形態にあるもの、例えばFairmount Chemicalにより名称「MIXXIM BB/100」で市販されているもの、または水性分散体として微細化形態にあるもの、例えばBASFにより名称「Tinosorb M」で市販されているもの。
【0129】
トリアジン誘導体:例えばBASFにより名称「Uvinul T150」で市販されているエチルヘキシルトリアゾン、例えばSigma 3Vにより名称「Uvasorb HEB」で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、BASFによりTinosorb A2Bとして市販されている2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジンまたは2,4,6-トリス(ビフェニル)-l,3,5-トリアジン、BASFによりTinosorb Sとして市販されている2,2’-[6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ビス[5-(2-エチルヘキシル)オキシ]フェノール、Sigma 3VによりUvasorb K 2Aとして市販されているN2,N4-ビス[4-[5-(l,l-ジメチルプロピル)-2-ベンズオキサゾリル]フェニル]-N-6-(2-エチルヘキシル)-l,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン。
【0130】
アントラニリン誘導体:例えばSymriseにより名称「Neo Heliopan MA」で市販されているアントラニル酸メンチル。
【0131】
イミダゾール誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0132】
ベンザルマロネート誘導体:官能性ベンザルマロネート基を含有するポリオルガノシロキサン、例えばHoffmann LaRocheにより名称「Parsol SLX」で市販されているポリシリコーン-15。
【0133】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:l,l-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0134】
ベンズオキサゾール誘導体:例えばSigma 3Vにより名称Uvasorb K2Aで市販されている2,4-ビス[5-(l-ジメチルプロピル)ベンズオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-l,3,5-トリアジン、およびこれを含む混合物。
【0135】
好適な有機UV防御性物質は、好ましくは以下から選択することができる:サリチル酸エチルヘキシル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾール四スルホン酸二ナトリウム、メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、l,l-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-l(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-l,3,5-トリアジン、およびこれらの混合物。
【0136】
本発明の組成物は、さらなる無機UVフィルター、いわゆる粒子状UVフィルターを含んでもよい。粒子状UVフィルターとのこれらの組合せは、粉末としても、かつまた分散体またはペーストとしても可能である。一実施形態では、無機UVフィルターは、二酸化チタン、例えばコーティングされた二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T-2000、Eusolex(登録商標)T-AQUA、Eusolex(登録商標)T-AVO、Eusolex(登録商標)T-OLEO)、酸化亜鉛(例えばSachtotec)、酸化鉄または酸化セリウムおよび/または酸化ジルコニウムである。さらに、色素性二酸化チタンまたは酸化亜鉛との組合せもまた可能であり、ここで、これらの顔料の粒径は、200nm以上であり、例えばHombitan(登録商標)FGまたはHombitan(登録商標)FFPharmaである。
【0137】
本発明の組成物は、従来の方法によって後処理された無機UVフィルターを含んでもよく、これは、例えばCosmetics & Toiletries, 1990, 105,53-64に記載されている。以下の処理後成分のうちの1種または複数種は、以下とすることができる:アミノ酸、ビーズワックス、脂肪酸、脂肪酸アルコール、アニオン性界面活性剤、脂肪酸の、レシチン、リン脂質、ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄もしくはアルミニウムの各塩、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(具体的にはコラーゲンまたはエラスチン)、アルカノールアミン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、さらなる金属酸化物、ホスフェート、例えばヘキサメタリン酸ナトリウム、またはグリセリン。
【0138】
一実施形態では、本発明の組成物中で使用される粒子状UVフィルターは、以下である:
●未処理の二酸化チタン、例えばTayca製の製品Microtitanium Dioxide MT 500 B、Degussa製のtitanium dioxide P25、
●処理後の微粒子化二酸化チタンで、酸化アルミニウムおよび二酸化シリコーンで後処理したもの、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 SA」、またはUniqema製の製品「Tioveil Fin」、
●処理後の微粒子化二酸化チタンで、酸化アルミニウムおよび/またはステアリン酸アルミニウム/ラウリン酸アルミニウムで後処理したもの、例えばTayca製のMicrotitanium Dioxide MT 100 T、Merck製のEusolex T-2000、
●処理後の微粒子化二酸化チタンで、酸化鉄および/またはステアリン酸鉄で後処理したもの、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」、
●処理後の微粒子化二酸化チタンで、二酸化シリコーン、酸化アルミニウムおよびシリコーンで後処理したもの、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」、
●ヘキサメタリン酸ナトリウムでの処理後の微粒子化二酸化チタン、例えばTayca製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」。
【0139】
組合せのために利用される処理済みの微粒子化二酸化チタンはまた、以下でもありうる:
●オクチルトリメトキシシランで処理後のもの;例えばEvonik Goldschmidt GmbH製の製品Tego Sun T 805、
●二酸化ケイ素;例えばDSM製の製品Parsol T-X、
●酸化アルミニウムおよびステアリン酸で処理後のもの;例えばSachtleben製の製品UV-Titan M160、
●アルミニウムおよびグリセリンで処理後のもの;例えばSachtleben製の製品UV-Titan、
●アルミニウムおよびシリコーン油、例えばSachtleben製の製品UV-Titan M262、
●ヘキサメタリン酸ナトリウムおよびポリビニルピロリドン、
●ポリジメチルシロキサン、例えばCardre製の製品「70250 Cardre UF TiO2SI3」、
●ポリジメチルヒドロゲノシロキサン、例えばColor Techniques製の製品「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」。
【0140】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、未処理の酸化亜鉛、例えばBASF(Sunsmart)製の製品Z-Cote、Elementis製のNanoxを含んでもよい。別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、処理後の酸化亜鉛、例えば以下の製品を含んでもよい:
●株式会社東芝製の「Zinc Oxide CS-5」(ポリメチルヒドロゲノシロキサンで処理後のZnO)、
●Nanophase Technologies製のNanogard Zinc Oxide FN、
●信越化学工業株式会社製の「SPD-Z1」(シクロジメチルシロキサン中に分散された、シリコーングラフトアクリルポリマーで処理後のZnO)
●ISP製の「Escalol Z100」(エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP-ヘキサデセン/メチコンコポリマー混合物中に分散された、酸化アルミニウム処理後のZnO)、および
●富士色素株式会社製の「Fuji ZNO-SMS-10」(二酸化シリコーンおよびポリメチルシレスキオキサンで処理後のZnO)。
一実施形態では、本発明の組成物は、ZinClear IM 50ABを、局所用組成物の総重量に基づいて、約5wt.%~約50wt.%、約15wt.%~約40wt.%、または約25wt.%~約35wt.%の量で、またはこれらの中の任意のサブ範囲もしくは単一濃度値で含む。
【0141】
別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、未処理の酸化セリウムのマイクロ顔料、例えばRhone Poulenc製の「Colloidal Cerium Oxide」の名称を有するものを含んでもよい。別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、Amaud製のNanogarの名称を有する未処理のおよび/または処理後の酸化鉄を含んでもよい。
【0142】
例によって、多種の金属酸化物の混合物、例えば二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物を、後処理ありおよびなしで、利用することも可能であり、例えば池田物産株式会社の製品Sunveil Aである。加えて、酸化アルミニウムと二酸化シリコーンとシリコーン処理後の二酸化チタンとの混合物、酸化亜鉛混合物、例えばSachtleben製の製品UV-Titan M261もまた、本発明によるUV防御剤と合わせて使用することができる。
【0143】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、日焼け止め剤、抗生剤、ステロイド、ヒドロキノン、またはこれらの組合せから選択される活性剤を含んでもよい。任意の好適な日焼け止め剤が利用されてもよく、例えば本明細書に記載されている日焼け止め剤およびUV日焼け止め剤のうちの任意のものである。一実施形態では、日焼け止め剤は、無機鉱質日焼け止め剤、例えば酸化亜鉛であってもよい。
【0144】
一実施形態では、局所用組成物は、ステロイドを含んでもよく、これは、フッ素化ステロイドであってよい。好適なステロイドとしては、限定するものではないが、コルチコステロイド、アルクロメタゾン、デキサメタゾン、フルメタゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-21-モノエステル、ヒドロコルチゾン-21-アセテート、ヒドロコルチゾン-21-ブチレート、ヒドロコルチゾン-21-プロピオネート、ヒドロコルチゾン-21-バレレート、ヒドロコルチゾン-17,21-ジエステル、ヒドロコルチゾン-17,21-ジアセテート、ヒドロコルチゾン-I7-アセテート-i-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17,21-ジブチレート、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、局所用コルチコステロイド、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファ-メチルデキサメタゾン、デキサメタゾン-ホスフェート、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフルラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロロプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロン、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0145】
一実施形態では、局所用組成物は、約75%以上の水溶性を有する親水性閉塞形成剤、例えばグリセリンおよび任意選択で結合剤と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系とを、含み、それらからなり、またはそれらから本質的になり、ここで、該局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、10wt.%未満の水を有する。局所用組成物は、少なくとも1種の化粧品に許容される賦形剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、またはさらにそれから本質的になってもよい。局所用組成物は、少なくとも1種の活性剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、またはさらにそれから本質的になってもよい。
【0146】
一実施形態では、局所用組成物は、約75%以上の水溶性を有する親水性閉塞形成剤、例えばグリセリンおよび任意選択で結合剤と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系とを、含み、それらからなり、またはそれらから本質的になり、ここで、該局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、8wt.%未満の尿素を有する。局所用組成物は、少なくとも1種の化粧品に許容される賦形剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、またはさらにそれから本質的になってもよい。局所用組成物は、少なくとも1種の活性剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、またはさらにそれから本質的になってもよい。
【0147】
一実施形態では、局所用組成物は、約75%以上の水溶性を有する親水性閉塞形成剤、例えばグリセリンおよび任意選択で結合剤と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系とを、含み、それらからなり、またはそれらから本質的になり、ここで、該局所用組成物は、局所用組成物の総重量に基づいて、1wt.%未満のシリコーン系成分を有する。局所用組成物は、少なくとも1種の化粧品に許容される賦形剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、またはさらにそれから本質的になってもよい。局所用組成物は、少なくとも1種の活性剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、またはさらにそれから本質的になってもよい。
【0148】
一実施形態では、局所用組成物は、約75%以上の水溶性を有する親水性閉塞形成剤、例えばグリセリンおよび任意選択で結合剤と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系とを、含む、それらからなる、またはそれらから本質的になる。局所用組成物は、少なくとも1種の化粧品に許容される賦形剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、さらにそれから本質的になってもよい。局所用組成物は、少なくとも1種の活性剤を、さらに含んでもよく、さらにそれからなってもよく、さらにそれから本質的になってもよい。
【0149】
本明細書に記載されている局所用組成物は、該組成物が、洗浄可能である、乾いている、非粘着性である、べとつかない、孔をブロックしない、および低アレルギー性であることによって証明される、それらの審美的に快いテクスチャに起因して、患者の薬剤使用遵守を向上させる。
【0150】
使用の方法
本明細書に記載されている局所用組成物は、未成熟の瘢痕および成熟した瘢痕、(直線状のまたは広範の)肥大型瘢痕、およびケロイド(例えば軽微なケロイドおよび重症のケロイド)を含めた多様な瘢痕を治療するのに使用することができる。
【0151】
用語「未成熟の瘢痕」は、瘢痕組織の形成の多様な早期段階にある瘢痕を指す。瘢痕組織の形成(増殖)の早期段階は、血管形成型、および線維芽細胞と呼ばれる特別の細胞型として起こり、新しい繊維性組織を産生する。コラーゲンが該領域中に堆積され、肉芽組織を確立し、その上で真皮組織が該領域の被覆を形成する。このプロセス(上皮形成)における遅れは、より顕著な瘢痕をもたらすおそれがあるが、ところが傷治癒カスケードを通じた良好な進展が、瘢痕形成の発生率を最小化するのを助ける。この段階から得られた新しい組織は、急速に堆積し、配向を欠き;該組織が、この組織化されずより高濃密ではない詰まった状態のままである場合、盛り上がったまたは「肥大型の」瘢痕がもたらされうる。未成熟の瘢痕は、赤色であり、そう痒性および/または有痛性である。
【0152】
用語「成熟した瘢痕」は、瘢痕が再形成フェーズを受けた後などの、瘢痕形成および進行プロセス中の、より後の時点を指す。時々成熟と呼ばれる再形成フェーズでは、フィブロクラストの作用を含めた細胞生理プロセスによって過剰な組織が除去される。組織を産生する線維芽細胞とは違って、フィブロクラストは、破壊するのを助け、かつ不必要な組織を除去する。一緒に作用して、フィブロクラストと線維芽細胞とは、組織が再形成することを可能にする。盛り上がった瘢痕は低くなり、その理由は、コラーゲンおよび結合組織線維が適当な形態に配向し、より組織化されて高密度になるためである。このフェーズは、応力および動きに影響され得、かつこれは、傷収縮の成分である。一定の成熟した瘢痕は、時間と共に平坦化しうるが、他は問題のまま残ることがある。
【0153】
傷害の境界にとどめられた紅斑性の(赤色で炎症のある)、盛り上がった外観により特徴づけられる肥大型瘢痕は、直線状のもの(例えば手術の切開部に沿って)、または広範なもの(例えば、皮膚区域に影響を及ぼす日焼けまたは他の傷害)として分類することができる。いくつかの瘢痕は、ケロイドとして分類され、これらは、傷害の隣接領域を超えて広がりうる限局的に盛り上がった瘢痕により特徴づけられ、かつ疼痛およびそう痒を患者にもたらすことが多い。これらは、傷害直後に起こることがありまたは遅れて起こることがあり、かつ典型的にはそれら自体では寛解しない。医師らは、ケロイドを、突出寸法および他の特徴に基づいて、軽微であるか重症であるかをさらに分類してもよい。軽微なケロイドは、わずかに盛り上がっているだけであり、かつ一般に1年を超えた延展は限定的である。重症のケロイドは、一般に5ミリメートル超に突出し、かつ数年にわたり拡大し続けるおそれがある。
【0154】
一定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものの有効量を対象の皮膚に投与することによって、対象の瘢痕領域における皮膚を明色化するおよび/または脱色を低減する方法(例えば赤色または紫色の脱色)を対象とし、ここで、該瘢痕は、局所用組成物の投与後に、明色化され、または脱色が低減される。
【0155】
一定の実施形態では、本開示は、皮膚科学的操作に供された対象の皮膚に、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの有効量の任意のものを投与することを含む、瘢痕治療レジメンの(瘢痕が既に形成された後の)遡及的方法を対象とする。
【0156】
一定の実施形態では、本開示は、皮膚科学的操作に供されることになる対象の皮膚に、有効量の、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものを投与することを含む、瘢痕治療レジメンの(瘢痕の形成を予防するための)予防的方法を対象とする。
【0157】
本明細書に記載されている局所用組成物の先の投与(すなわち予操作)または続く投与(すなわち後操作)から利益を得られうる皮膚科学的操作としては、限定されるものではないが、瘢痕修復のために使用される皮膚科学的操作、マイクロニードリング、皮膚平削り、皮膚剥離、微細皮膚剥離、レーザー治療(例えばステロイド注入)が挙げられる。
【0158】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、治療レジメンに応じて、局所用組成物の投与後におよび/または局所用組成物の投与前に、皮膚科学的操作を実施することをさらに含む。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、例えば、治癒を高速化する、不快感をクエリングする、反応性酸素種(ROS)を焼き入れする、コラーゲン形成を誘起する、またはこれらの任意の組合せによって、皮膚科学的操作の結果の改善において有用である。
【0159】
本明細書で使用されるとき、皮膚状態の点での用語「治療」または「治療する」は、一般に、「皮膚状態に対して正の効果を有する」ことを意味し、かつ皮膚状態(例えば瘢痕)の少なくとも1つの症候の、軽減、改善および/もしくは緩和;皮膚状態(例えば瘢痕)の重症度における、軽減、改善および/もしくは緩和;または皮膚状態(例えば瘢痕)の進行の、遅延、予防もしくは抑制;またはそれを知覚することを包含する。したがって、治療は、本明細書で使用されるとき、状態(例えば瘢痕)の総合的な治癒を必要としない。皮膚状態(例えば瘢痕)の治療のために有用である本開示の製剤、または皮膚状態(例えば瘢痕)を治療する方法は、皮膚状態(例えば瘢痕)の重症度を軽減すること;それに伴う症候の重症度を軽減すること;患者の生活の質の改善をもたらすこと;または皮膚状態(例えば瘢痕)の1つまたは複数の症候の開始を遅らせる、予防するまたは抑制することのみを必要とする。本明細書で使用されるとき、これらの用語はまた、例えばグリセリンを含む閉塞形成剤と、タンパク質分解酵素と、緑茶ポリフェノールとの組合せを有する開示されている製剤の塗布時の、瘢痕への審美的改善も包括する。
【0160】
本明細書で使用されるとき、句「有効量の」は、局所塗布の領域における検出可能な局在的改善から、1つまたは複数の審美的基準における改善への徴候の実質的解放までの、効果の範囲を含めた、上に記した皮膚状態(例えば瘢痕)を治療するのに効果的な、本開示の局所用組成物またはその成分の量を指し、審美的基準としては、瘢痕の外観における知覚される改善、瘢痕粗さ、瘢痕弾性、瘢痕硬さ、瘢痕体積、瘢痕サイズ、瘢痕の色、瘢痕の再生および更新プロセス、発赤、乾燥などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
有効量は、治療される特定の瘢痕、瘢痕の重症度、治療の期間、使用される組成物の特定の成分、および他の要因で多様となる。一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、頻繁な定期的塗布、例えば1日1回、2回、3回または4回の塗布以上、例えば少なくとも1日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日、約1日~約90日、約3日~約60日、または約5日~約30日の期間、その中の任意のサブ範囲などの期間の間の投与に好適である。したがって、一定の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、局所用組成物の投与を定期的に繰り返すことをさらに含む。
【0162】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物の連続投与後、約1日~約90日、約3日~約60日または約5日~約30日、またはその中の任意のサブ範囲の期間の間、瘢痕領域、および瘢痕領域の周囲における皮膚の柔軟性は改善される。
【0163】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている局所用組成物は、予操作投与または後操作投与に好適であり、例えば皮膚科学的操作(例えばレーザー、マイクロニードリング、微細皮膚剥離、皮膚剥離、皮膚平削り、皮膚研磨またはケミカルピール)の前もしくは後に、美容操作の前もしくは後に、手術操作の前もしくは後に、または瘢痕修正操作との組合せにおいて好適である。
【0164】
一定の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、肥大型瘢痕およびケロイドを含めた多様な重症度の新しいおよび古い瘢痕の外観を治療する、予防するまたは最小化するのに使用することができる。同様に、一定の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、手術操作または美容操作、外傷、傷または日焼けからもたらされた瘢痕の外観を、治療する、予防するまたは最小化するのに使用することができる。
【0165】
調製の方法
本開示はまた、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものを調製する方法も対象とする。該方法は、本明細書に記載されている局所用組成物のうちの任意のものを、例えば約75%以上の水溶性を有する、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)と、タンパク質分解酵素と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)とを、任意選択で少なくとも1種の化粧品に許容される賦形剤と共に合わせることによって製造することを含む。局所用組成物は、軟膏セラム、ゲル、ローション、クリーム、パッド塗布製剤などへと製剤化されうる。
【0166】
一定の実施形態では、該方法は、例えば約75%以上の水溶性を有する、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)の第1の部分と、ポリフェノール抗酸化剤(例えば緑茶ポリフェノール)を含む抗酸化剤系と、任意選択で保存剤とを含む第1の混合物を形成することを含む。第1の混合物は、約20℃~約65℃、約25℃~約60℃、または約30℃~約55℃の温度にて形成されてよい。該方法は、第1の混合物に結合剤を添加することをさらに含んでもよい。一定の実施形態では、結合剤は通気されない。第1の混合物は混合されて、均一な混合物を達成するのに十分な期間、均質化されてよい。
【0167】
該方法は、本明細書で上に記載されている、例えば約75%以上の水溶性を有する、親水性閉塞形成剤(例えばグリセリン)の第2の部分と、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、任意選択で担体とを含む第2の混合物を形成することをさらに含んでもよい。第2の混合物は、約75℃~約125℃、約80℃~約115℃、または約90℃~約110℃の温度にて形成することができる。第2の混合物は、続いて、(例えば第2の混合物を第1の混合物に添加することによって)2種の混合物を合わせることができるように、第1の混合物の温度に冷却されて、局所用組成物を形成してもよい。
【0168】
最終の局所用組成物は、塊のない、均一で分散された均質なゲルが形成されたことを確認するために評価することができる。
【実施例
【0169】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために呈示され、当然ながら、記載され特許請求されている本発明を具体的に限定すると解釈されるべきではない。現在公知であるまたは今後開発されるすべての均等物の置き換えを含む本発明のこのようなバリエーションは、当業者の視野範囲内にあると考えられ、かつ配合の変更または実験設計における軽微な変更は、本明細書に組み込まれた本発明の範囲内に入るとみなされるべきである。
【0170】
[実施例1]
局所用瘢痕治療用組成物および調製の方法
本明細書に記載されている実施形態による局所用組成物を、以下の表1に記載されている親水性瘢痕治療用組成物へと製剤化した。該局所用組成物は、粘性ゲルの形態にある軟膏とした。
【0171】
【表1】
【0172】
表1からの瘢痕治療用軟膏組成物を、グリセリンの主要部分と、カメリア・シンセシス(Camellia Sinensis)(緑茶)ポリフェノールと、酢酸トコフェロール(ビタミンE)と、アラントインとの、第1の混合物を形成して調製した。結合剤を、通気せずに(結合剤の添加の間、撹拌を止めた)第1の混合物に添加した。
【0173】
それとは別に、第2の混合物を、グリセリンの残りと、1種または複数種のタンパク質分解酵素と、シリコーン成分とを混合して形成した。第2の混合物を、約90℃~約110℃にて、均一になるまで混合した。その後、第2の混合物を、第1の混合物の温度まで冷却し、続いて第2の混合物を第1の混合物に添加して局所用組成物を形成した。
【0174】
[実施例2]
傷の治癒を向上して瘢痕を最小化する研究
研究を、表1に記載した親水性瘢痕治療用組成物を使用して行った。該研究は、傷の治癒が向上して、瘢痕を負う潜在的機会の最小化をもたらしかつ萎縮性瘢痕の外観を低減するように設計した。
【0175】
親水性瘢痕治療用組成物を、発生、剥離または切開の直後に塗布し、次いで1日3回、14日にわたり塗布した。親水性瘢痕治療用組成物を、3人の対象において傷または切開部に直接塗布し、Steri-strip(商標)テープの下もしくは微多孔テープ上に塗布した。
【0176】
第1の対象では、手のMOHS手術の後、親水性瘢痕治療用組成物を1日3回、14日にわたり塗布した。図1Aおよび1Bに見られる通り、傷は14日にわたり少なくとも約80%治癒した。また、治癒した領域中に形成された瘢痕はなかった。
【0177】
第2の対象では、親水性瘢痕治療用組成物を、新しく獲得した傷に1日3回、14日にわたり塗布した。図2Aおよび2Bに見られる通り、傷は、該組成物を14日間使用したときに少なくとも約70%治癒した。
【0178】
第3の対象では、COレーザー治療後、親水性瘢痕治療用組成物を頭皮に1日3回、14日にわたり塗布した。図3A~3Cに見られる通り、頭皮は、14日中に、少なくとも約90%治癒した。
【0179】
第4の対象では、MOHS手術後に、親水性瘢痕治療用組成物を側頭部に1日3回、14日にわたり塗布した。図4Aおよび4Bに見られる通り、側頭部は、14日にわたり、少なくとも70%治癒した。
【0180】
第5の対象では、MOHS手術後に、親水性瘢痕治療用組成物を前頭部に1日3回、14日にわたり塗布した。図5Aおよび5Bに見られる通り、前頭部は、14日にわたり、少なくとも70%治癒した。
【0181】
説明を単純にするために、本開示の該方法の実施形態を、一連の作業として描写し説明した。しかしながら、本開示による作業は、多様な順序でおよび/または同時に起こり得、かつ他の作業が本明細書に提示されておらず記載されていないことがある。さらに、すべての例示的作業が、開示されている主題に従って該方法を実行するために必要とされるわけではない。加えて、当業者であれば、該方法が、代替的に、状態図または事象を介して、一連の相互関連する状態として表されうることを理解し認める。
【0182】
前述の記載では、数値の特定の詳細が、本発明の完全な理解を付与するために明らかにされ、例えば特定の材料、寸法、方法パラメータなどである。特定の特徴、構造、材料または特性が、1つまたは複数の実施形態中、任意の好適な方法において組み合わされうる。言葉「例」または「例示の」は、本明細書では、例(example)、例(instance)または例示(illustration)として働くと意味するように使用される。「例」または「例示の」として本明細書に記載されている任意の態様または設計は、他の態様または設計を超えて好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されない。むしろ、言葉「例」または「例示の」の使用は、具体的にコンセプトを提示することが意図される。本出願において使用されるとき、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味すると意図される。すなわち、別段の指定がない限り、または文脈から明らかでない限り、「Xは、AまたはBを含む」は、自然な包括的並べ替えのうちの任意のものを意味すると意図される。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBとの両方を含む場合、そうであれば、「Xは、AまたはBを含む」は、前述した例のうちの任意のものの下で満たされる。加えて、本出願および添付の請求項の範囲において使用される冠詞「a」および「an」は、別段の指定がない限り、または単数形を対象とすることが文脈から明らかでない限り、「1または複数の」を意味すると一般に解釈されるべきである。「実施形態」、「一定の実施形態」または「一実施形態」への本明細書の全体にわたる参照は、該実施形態との関連において記載されている特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態中に含まれていることを意味する。そのため、本明細書の全体にわたる多様な場所において句「実施形態」、「一定の実施形態」または「一実施形態」が出現しても、必ずしもすべてが同一の実施形態を指すわけではない。
【0183】
本明細書の全体にわたる数値範囲への参照は、限定するものと解釈されるべきでなく、かつ該範囲外の限界、ならびに各数字および/または数え上げられた数の範囲内のより狭い範囲を包含すると理解されるべきである。
【0184】
用語「約」は、物理的な量を指すとき、10%内、および10%を包括する測定誤差を含むと理解される。例えば「約100℃」は、「100±10℃」を意味すると理解されるべきである。
【0185】
本発明について、その特定の例示的実施形態を参照して説明してきた。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味にあるとみなされる。本明細書に示され記載されているものに加えた本発明の多様な変更は、当業者には明らかとなり、かつ添付の特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】