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特表2024-500660グリーンアンモニアの製造において生じた廃熱の回収のための方法
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  • 特表-グリーンアンモニアの製造において生じた廃熱の回収のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】グリーンアンモニアの製造において生じた廃熱の回収のための方法
(51)【国際特許分類】
   C01C 1/04 20060101AFI20231227BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20231227BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20231227BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231227BHJP
【FI】
C01C1/04 D
C01B3/04 B
C25B1/04
C25B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534351
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2021085407
(87)【国際公開番号】W WO2022128872
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】PA202001416
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シェルネホフ・エーミル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハン・パト・ア
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021DC03
(57)【要約】
アンモニアの製造において生じた廃熱を回収するための方法であって、以下のステップ:
(a)水素の製造のために水または蒸気を電気分解するステップと、当該水素中に窒素のストリームを加えるステップとを含む、アンモニア合成ガスを提供するステップ;
(b)アンモニア合成ガスをアンモニアに転化するステップ;
(c)ステップ(a)における電気分解からの廃熱の少なくとも一部を回収するステップ;
(d)ステップ(c)からの廃熱を、1つまたは複数の圧縮機段の吐出から回収された熱、および/またはステップ(b)におけるアンモニア合成ガスの転化において生じた廃熱、および/またはステップ(b)において生成した蒸気を利用するタービン復水器からの廃熱によって、アップグレードするステップ;および
(e)ステップ(d)からのアップグレードされた廃熱を、下流の熱利用ステップに分配するステップ、
を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアの製造において生じた廃熱を回収するための方法であって、以下のステップ:
(a)水素の製造のために水または蒸気を電気分解するステップと、当該水素中に窒素のストリームを加えるステップとを含む、アンモニア合成ガスを提供するステップ;
(b)アンモニア合成ガスをアンモニアに転化するステップ;
(c)ステップ(a)における電気分解からの廃熱の少なくとも一部を回収するステップ;
(d)ステップ(c)からの廃熱を、1つまたは複数の圧縮機段の吐出から回収された熱、および/またはステップ(b)におけるアンモニア合成ガスの転化において生じた廃熱、および/またはステップ(b)において生成した蒸気を利用するタービン復水器からの廃熱によって、アップグレードするステップ;および
(e)ステップ(d)からのアップグレードされた廃熱を、下流の熱利用ステップに分配するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
窒素のストリームが、空気分離、圧力スイング吸着または深冷空気分離によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下流の利用ステップが、ガスタービンにおける電力の生産を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電力の生産が、ガスタービン、ガスエンジンまたは燃料電池におけるタービン燃料としての、ステップ(b)からのアンモニアのうちの一部の利用を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アンモニアが少なくとも部分的に水素および窒素にクラッキングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
下流の熱利用ステップが、地域熱供給を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
下流の熱利用ステップが、電力生産と地域熱供給との組み合わせである、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
ステップ(d)における廃熱のアップグレードが、アンモニア合成から回収されたもしくは生じた熱との、および/またはステップ(b)において生成した蒸気を利用するタービン復水器からのタービン廃熱との熱交換により、電気分解からの循環冷却水を加熱することによって行われる、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアの製造において生じる廃熱を回収する方法に関する。
【0002】
特に、本発明はアンモニアのグリーンな製造、すなわち、持続可能もしくは再生可能エネルギーによって駆動される水電解を含むアンモニア合成ガスの調製における廃熱に焦点を当てるものである。
【背景技術】
【0003】
アンモニアは、優れたエネルギーベクトルならびに優れた水素キャリアとして認識されてきた。液体アンモニアは、液体水素よりも多くの水素を含有する。
【0004】
アンモニアは、空気、水および電気から、豊富な再生可能エネルギーへのアクセスがある世界中のほぼあらゆる場所で製造することができる。
【0005】
アンモニアはさらにまた、異なる場所へ大量に容易に輸送される再生可能エネルギーのためのエネルギー貯蔵媒体であり得る。アンモニアは、燃焼エンジン/ガスタービン又は燃料電池に直接利用することができ、あるいはそれは、水素及び窒素にクラッキング/分解することができる。分解されたアンモニアは、ガスタービンに供給することができ、又は燃料電池又は他の使用のために水素を回収することができる。
【0006】
電気分解をベースとする水素製造は、典型的には、従来技術に関して約60%という効率のために、かなりの量の廃熱を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電気分解からの廃熱は、典型的には、低温レベル(約60℃)で利用可能であり、これはさほど大きな価値を有さない。アンモニアまたはメタノール製造のための電気として必要とされるエネルギーの90%超が電気分解による水素製造に使用され、このエネルギーの約40%は廃熱として失われるので、当該量の廃熱は重大である。
【0008】
電気分解の比較的低い効率は、グリーンイーフューエルの製造における主要な課題である。廃熱を価値のある生成物に変換することができれば、経済的実現可能性が改善される。
【0009】
電気分解による水素製造を介したグリーンアンモニアの製造は、多くの冷却を必要とする。この冷却は、典型的には、冷却水を循環させることによって行われ、従って、低温熱が失われる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
電気分解からの廃熱の利用を改善するために、本発明は、電気分解からの廃熱の部分的または最大量を回収し、次いで、回収された熱(高温の水において)を、1つまたは複数の圧縮機段吐出からのプロセス熱、および/またはアンモニア合成、および/または任意選択的に、合成で生成された蒸気を利用するタービン復水器からの廃熱を回収することによるさらなる加熱によって、アップグレードするための方法を提供する。アップグレードされた廃熱は、有利には、約80℃の高温水を必要とする地域熱供給に使用することができる。
【0011】
従って、本発明は、アンモニアの製造において生じた廃熱を回収するための方法であって、以下のステップを含む方法を提供する:
(a)水素の製造のために水または蒸気を電気分解するステップと、当該水素中に窒素のストリームを加えるステップとを含む、アンモニア合成ガスを提供するステップ;
(b)アンモニア合成ガスをアンモニアに転化するステップ;
(c)ステップ(a)における電気分解からの廃熱の少なくとも一部を回収するステップ;
(d)ステップ(c)からの廃熱を、1つまたは複数の圧縮機段の吐出から回収された熱、および/またはステップ(b)におけるアンモニア合成ガスの転化において生じた廃熱、および/またはステップ(b)において生成した蒸気を利用するタービン復水器からの廃熱によって、アップグレードするステップ;および
(e)ステップ(d)からのアップグレードされた廃棄物を、下流の熱利用ステップに分配するステップ。
【0012】
電気分解からの廃熱は、間接熱交換により循環冷却水を加熱することによって回収される。電気分解からの加熱された冷却水の一部は引き続き、アンモニア合成ガスの転化から回収された熱、および/またはタービン復水器からの廃熱によってアップグレードされる。
【0013】
このようにして回収された熱は、上述したようなアンモニア合成から回収されたまたは生じた熱および/またはタービン廃熱からの熱との熱交換によって、下流の熱利用ステップとの熱交換の前に、電気分解ユニットからの循環冷却水を必要な温度へ加熱することによって、アップグレードされる。約60℃の電気分解からの廃棄物は、季節および合成プラントとの熱収支に応じて、部分的にまたは最大限にアップグレードすることができる。
【0014】
合成ガス圧縮機段間廃熱を、高温水を80℃超に加熱するために利用可能である。典型的な圧縮機吐出温度は、約120~130℃である。
【0015】
アンモニア合成反応からの廃熱から生成される蒸気は、例えば蒸気タービンにおいて、使用することができる。蒸気タービンの凝縮は、地域熱供給が全体の効率を改善するために必要な温度で行うことができる。
【0016】
さらに、アンモニア合成反応熱から生成された蒸気は、組み合わされた発電および地域熱供給プラントのように、電力および地域熱供給を同時に生み出すために使用することができる。電力と地域熱供給との比は、復水器の温度/圧力によって変えることができる。
【0017】
アンモニアは、ガスタービン、ガスエンジン又は燃料電池の使用による電力生産のための燃料として使用することもできる。
【0018】
本発明は、有利には、再生可能な電力生産を、イーフューエル産生および例えば地域熱供給と組み合わせて統合することができる。
【0019】
本発明はさらに、他の廃熱源との統合を可能にし、そしてまた、電力および/またはイーフューエルおよび/または地域熱供給を生み出すことを決定できるので、再生可能な電力生産と統合することもできる。
【0020】
本発明は、より多くの熱交換器、典型的には安価な熱交換器を必要とし、従って、プロセス全体を複雑にするが、短期間において利益が還元される。
【0021】
冷却システムの性能を改善でき、その結果、プロセスへの冷却(圧縮機吸込冷却)を改善し、それによって、エネルギー原単位を減少できる、という冷却要件を、廃熱の変換は取り除くであろう。
【0022】
季節に応じて、大なり小なりの廃熱を地域熱供給に変換することができる。いずれにせよ、冷却システム全体は、定格プラント稼働量に合わせて、地域熱供給のための要件を考慮せずに、寸法決めされる。
【0023】
本発明のさらなる利点はとりわけ以下のとおりである:
- 地域熱供給も生み出される場合に、再生可能エネルギーのイーフューエルへの全体効率を改善する;
- 地域熱供給が生み出される場合に、冷却システムを取り除くことにより、エネルギー原単位を低減する;
- 低いアンモニアプラント稼働量では、圧縮機はキックバック/アンチサージシステムを開いた状態で運転しなければならず、それによってエネルギー原単位を増加させる。圧縮機の段間/吐出から廃熱を回収することにより、エネルギー原単位の増加を相殺することができ、高いプラント稼働量の場合と同様になり得る;
- e-フューエル、地域熱供給および電力をもたらすための熱回収を最適化するための多重可変システム。
【0024】
要約すると、本発明の好ましい実施態様は、以下のとおり(単独またはそれらの組み合わせ)である:
窒素のストリームは、空気分離、圧力スイング吸着(pressure swing absorption)または深冷空気分離によって得られる。
【0025】
下流の利用ステップは、ガスタービンにおける電力の生産を含む。
【0026】
電力の生産は、ガスタービンにおけるタービン燃料としての、ステップ(b)からのアンモニアのうちの一部の利用を含む。これは、好ましくは、アンモニアを水素および窒素に部分的または完全にクラッキングすることによって得ることができる。
【0027】
電力生産のためにガスタービンを使用する場合の利点は、季節に応じて電力および地域熱供給を生み出すことができる蒸気タービンの柔軟性である。より低い圧力でタービンを運転することによる、夏季の相対的により大きな電力、およびより少ない熱。従って、下流の熱利用ステップは、地域熱供給を含む。
【0028】
下流の熱利用ステップは、電力生産と地域熱供給との組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1は、地域熱供給の生み出し方に関して原理を示す。
【0030】
閉じた冷却水サーキットが、低温冷却水(25℃)を電気分解ユニットに供給し、それはそこで60℃に加熱される。60℃の温度レベルは地域熱供給に十分でなく、従って、この高温冷却水の一部を、3つソースQ1、Q2およびQ3から、約85℃にアップグレードさせる。Q1は段間圧縮機からのより高いレベルの熱であり、Q2は蒸気生成に使用されなかったプロセス熱の一部であり、Q3は蒸気タービン復水器からの熱である。Q3は、蒸気タービン復水器が十分に高い圧力で運転される(それにより、蒸気タービンからの電力出力はより低くなるが)場合に可能である。夏から冬条件への切り替えは、Q2とQ3の間でデューティを切り替えることによる。
【0031】
アップグレードのための電気分解ユニットからの熱の一部がQEである。より多くの地域熱供給が必要な場合、残りの部分を、ヒートポンプを用いて電気によりアップグレードすることができる。
【0032】
3つのソースからの、85℃のアップグレードされた高温冷却水は、混合された後に、地域熱供給用の熱交換器に入り、そこでそれが低温の地域用の水を約30℃から82℃へ加熱する。高温冷却水は、33℃へ冷却される。
冷却水システムが、地域熱供給システムに伝達されなかったプロセス熱を除去する。冷却水システムはまた、必要に応じて、当該プロセスに低温冷却水を供給するが、これは図1には示されていない。
【0033】
表1は、ヒートポンプのオプションを用いずに、2300MTPDグリーンアンモニアプラントで生み出すことができる地域熱供給の量の例を示す。温度レベルは、図1の説明に記載のとおりである。
【0034】
【表1】
図1
【国際調査報告】