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特表2024-500679リサイクルポリエチレンの粘度を改善するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】リサイクルポリエチレンの粘度を改善するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
C08L23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535730
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021063671
(87)【国際公開番号】W WO2022133008
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/199,295
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/199,296
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/199,297
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522256299
【氏名又は名称】シンソマー・アドヒーシブ・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】シンコ デ フォゲル
(72)【発明者】
【氏名】ロッビー レネ モウル
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AF023
4J002BA003
4J002BA013
4J002BB031
4J002BB034
4J002BB044
4J002BB051
4J002BB054
4J002BB121
4J002BB122
4J002BB124
4J002BB141
4J002BB142
4J002BB144
4J002BB151
4J002BK003
4J002CE003
4J002FD203
4J002GC00
4J002GK00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
ポリオレフィン組成物を生成するためのプロセスであって、1)少なくとも1種のラジカル開始剤(E)の存在下で少なくとも1種のリサイクルポリオレフィンを押出して、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンを生成することと、2)(A)約60~約96重量%の押出されたリサイクルポリオレフィン、(B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及び(C)任意選択で、約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、(D)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを溶融ブレンドすることと、を含み、ポリオレフィン組成物が、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物が、リサイクルポリオレフィンと比較して、約5~約1500%のメルトフローレートの増加を有する、プロセスが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン組成物を生成するためのプロセスであって、1)少なくとも1種のラジカル開始剤(E)の存在下で少なくとも1種のリサイクルポリオレフィンを押出して、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンを生成することと、2)(A)約60~約96重量%の前記押出されたリサイクルポリオレフィン、(B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及び(C)任意選択で、約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、(D)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを溶融ブレンドすることと、を含み、前記ポリオレフィン組成物が、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、前記押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物が、前記リサイクルポリオレフィンと比較して、約5~約1500%のメルトフローレートの増加を有する、プロセス。
【請求項2】
前記リサイクルポリオレフィンが、ポストコンシューマーポリエチレンリッチポリオレフィン、ポストインダストリアルポリエチレンリッチポリオレフィン、エチレンプラストマー、及びエチレンエラストマーからなる群から選択される少なくとも1種のリサイクルポリオレフィンであり、前記ポストコンシューマーポリエチレンリッチポリオレフィン及びポストインダストリアルポリエチレンリッチポリオレフィンが、約910~約1050kg/mの密度を有し、前記エチレンプラストマー及び前記エチレンエラストマーが、約855~約960kg/mの密度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ラジカル開始剤(E)が、少なくとも200℃の自己加速分解温度(SADT)を有し、少なくとも1つの単結合を破断することによって炭素系フリーラジカルに分解することができる化合物の群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ラジカル開始剤(E)が、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジプロピル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジブチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジヘキシル-2,3-ジフェニルブタン、2-メチル-3-エチル-2,3-ジフェニルブタン、2-メチル-2,3-ジフェニルブタン、
2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ-(p-メトキシフェニル)-ブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ-(p-メチルフェニル)-ブタン、2,3-ジメチル-2-メチルフェニル-3-(p 2’,3’-ジメチル-3’-メチルフェニル-ブチル)-フェニル-ブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジプロピル-3,4-ジフェニルヘキサン、4,5-ジプロピル-4,5-ジフェニルオクタン、2,3-ジイソブチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジイソブチル-3,4-5 ジフェニルヘキサン、2,3-ジメチル-2,3-ジ p(tブチル)-フェニル-ブタン,5,6-ジメチル-5,6ジフェニルデカン、6,7-ジメチル-6,7-ジフェニルドデカン、7,8-ジメチル-7,8-ジ(メトキシフェニル)-テトラ-デカン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ(p-クロロフェニル)ブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ(p-ヨードフェニル)ブタン、及び2,3-ジメチル-2,3-ジ(p-ニトロフェニル)ブタンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ラジカル開始剤(E)の投入レベルが、約0.1~約2%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ラジカル開始剤(E)が、ペレット、顆粒、粉末、フレーク若しくはそれらの組み合わせの形態であるか、又は前記ラジカル開始剤が、マスターバッチの形態である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ラジカル開始剤(E)が、押出プロセスの開始時に添加されるか、又は前記ラジカル開始剤(E)が、部分的に、前記押出プロセスの前記開始時に全投入レベルの約30%~約70%で添加され、かつ部分的に、前記押出プロセスの後期に前記全投入レベルの約30%~約70%まで添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記押出プロセスの組み合わされた溶融及び混合ゾーンにおける温度が、前記ラジカル開始剤(E)の前記SADTよりも高く、前記リサイクルポリオレフィン(A)の分解温度よりも低く、前記組み合わされた溶融及び混合ゾーンにおける滞留時間が、約25秒~約60秒である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
ラジカル開始剤(E)の存在下での前記押出が、最高ゾーン温度が約250℃~約300℃に設定された約10~約14のゾーンを有する押出機を使用して行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記最高ゾーン温度が、ゾーン3によって適用される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンが、前記ランダムアルファオレフィンコポリマー(B)及び/又は粘着付与剤(C)と溶融ブレンドされて前記ポリオレフィン組成物を生成する前に、ペレット、顆粒、フレーク若しくは粉末又はそれらの組み合わせの形態で貯蔵される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンが、中間貯蔵なしに溶融ブレンドプロセスに直接供給される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ランダムアルファオレフィンコポリマー(B)及び/又は粘着付与剤(C)が、ラジカル開始剤(E)の存在下での前記リサイクルポリオレフィン(A)の前記押出後にインラインの溶融ブレンドプロセスにおいて添加され、前記押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンが、前記ランダムアルファオレフィンコポリマー(B)及び/又は粘着付与剤(C)が投入される瞬間に250℃未満の溶融温度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ランダムアルファオレフィンコポリマー(B)及び/又は粘着付与剤(C)の前記投入レベルが、前記押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンの溶融粘度を、インラインレオメーターを使用して測定することによって計量される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記リサイクルポリオレフィン(A)、前記ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)及び前記粘着付与剤(C)が、ペレット、顆粒、粉末、フレーク又はそれらの組み合わせの形態であり、前記ランダムアルファオレフィンコポリマーの前記ペレット、顆粒、粉末又はフレークが、加工性を改善するために、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、タルク又はシリカで追加的にコーティング又は散粉され得る、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンが、出発リサイクルポリオレフィンよりも少なくとも4倍高い(300%)MFRを有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記追加のポリマー(D)が、分別溶融(ISO1133に従って190℃、2.16kgで測定されたMFR<1)を有する未使用のポリマーであるか、又は前記追加のポリマーが、ビスブレーキング後に前記リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(A)と比較して100~1000%高いノッチ付き衝撃強さを有するリサイクルポリオレフィンである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ポリオレフィン組成物が、低減されたノッチ付き衝撃強さをもたらすビスブレーキングプロセスに供されたリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、任意選択で少なくとも1種の粘着付与剤(C)、及び任意選択で少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含み、B+Dのパーセンテージが、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約30重量%又は約10~約20重量%であり、B対Dの重量比が、約0.3~約3.0であり、前記押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物が、前記ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~約200%のノッチ付き衝撃強さの増加を有し、前記押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物が、許容可能な機械的特性を維持する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ポリオレフィン組成物が、低減されたノッチ付き衝撃強さをもたらすビスブレーキングプロセスに供された押出されたポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、任意選択で少なくとも1種の粘着付与剤(C)、及び任意選択で少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含み、前記追加のポリマーが、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-アクリレートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸のターポリマー、MDPE、HDPE、LLDPE、LDPE、未使用のPPホモポリマー、並びにPPコポリマーを含み、前記B+Dのパーセンテージが、前記全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて約10~約30重量%であり、前記B対Dの重量比が、0.3~3.0であり、前記ポリオレフィン組成物が、前記ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~約200%のノッチ付き衝撃強さの増加を有し、前記押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物が、許容可能な機械的特性を維持し、前記ポリオレフィン組成物が、1種以上の添加剤及び/又は充填剤を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ポリオレフィン組成物が、許容可能な機械的特性を維持しながら、前記ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~100%の増加した降伏点伸びを有する、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン組成物であって、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及びC)約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤を含み、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する、ポリオレフィン組成物に関する。本発明はまた、ポリオレフィン組成物を生成するプロセス及びポリオレフィン組成物を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレンは、食品及び他の商品の包装、繊維、自動車部品、容器、並びに多種多様な製造品を含む広範囲の用途においてますます大量に消費されている。
【0003】
過去10年間に、プラスチック及び現在の量でのそれらの使用の環境的持続可能性についての懸念が生じている。このことは、ポリオレフィン材料の廃棄、収集及びリサイクルに関する新たな法律制定をもたらした。追加的に、いくつかの国では、埋立地に送られる代わりにリサイクルされるプラスチック材料のパーセンテージを増加させる努力がなされている。
【0004】
したがって、多種多様なポストコンシューマー及びポストインダストリアル供給源に由来するリサイクル材料の使用は、ポリオレフィンの分野においてますます必要とされている。しかしながら、一般的に利用可能なリサイクルストリームは、レオロジー特性及び機械的特性が制限されており、商業的に魅力的な最終用途を低減する。リサイクルストリームをアップグレードするために利用可能な現在市販されている流動性及び耐衝撃性改質剤は、高価すぎてリサイクルを非経済的にするか、又はレオロジー特性及び機械的特性の不均衡を引き起こす傾向があり、例えば、降伏強さに対して衝撃強さを犠牲にするか、又は衝撃強さに対してヤング率若しくは粘度を犠牲にする。
【0005】
特に、機械的にリサイクルされたポリマーは、多くの場合、リサイクルプロセス(押出)及びリサイクル前の物品の使用(例えば、UV、熱等への曝露)によって誘導される流動特性(低MFI、高粘度)及び衝撃特性(ノッチ付き及びノッチなしの低減されたアイゾット又はシャルピー衝撃強さ)の不足を示す。現在利用可能な市販の解決策は、多くの場合、単一の特性の改善(例えば、流動性の改善のみ、又は衝撃強さの改善のみ)に焦点を当てており、良好な加工性及び好ましい最終用途特性との好ましい組み合わせを作り出すために、複数の特性を同時に最適化してバランスをとる、統合された、使用が容易な解決策が必要とされている。
【0006】
流動性及び衝撃強さの同時最適化は、ポリプロピレンホモポリマーのようなある特定の未使用のポリオレフィンにも有益であり得、消費者がより低い衝撃ポリプロピレンホモポリマーをより高い衝撃グレードに調整することができる場合、消費者により多くの購買力をもたらす。同様に、未使用のポリプロピレン及びポリエチレン系コポリマーもまた、特性の同時最適化及びバランスから利益を得ることができる。
【0007】
主にポリエチレン及びポリプロピレンを含むブレンドにおいて、従来のエチレン-プロピレンゴム又はEPDMのような相溶化剤として作用するエラストマーの添加によって、より高い衝撃強さを達成することができる。しかしながら、そのような添加は、得られる組成物の剛性を制限する。
【0008】
より最近開発された高結晶性メタロセン系ポリプロピレン-エチレンエラストマー(例えば、ExxonMobil Chemical Company,Houston,TX USA製のVistamaxx(商標)6102)は、リサイクル化合物中のポリエチレン画分とポリプロピレン画分との間の相溶化剤として作用することによって衝撃強さを増加させる。しかしながら、これらの溶液は、依然として剛性及び降伏強さの低下を示し、レオロジーの中程度の改善のみを伴う。
【0009】
文献は、Borealis Plastomers(NL)から商品名Queo(登録商標)で、The Dow Chemical Company(Midland,MI,USA)から商品名Engage(商標)で、又はENI SpA(IT)から市販されている、エチレン-オクテン-コポリマーを含む異相エチレン-プロピレンコポリマー(heterophasic ethylene-propylene copolymer、HECO)の組み込みを示唆している。しかしながら、任意の異相エチレン-プロピレンコポリマー(HECO)の使用は、特に剛性に関して不十分な結果をもたらす。
【0010】
限定された剛性は、Dow Chemical INFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマー(olefin block copolymer、OBC)又はINTUNE(商標)OBCプラストマーによって提供されるようなブロックコポリマー構造を有するプラストマーを使用することによってのみ克服することができると一般に考えられている。例えば、INTUNE(商標)ポリプロピレン系OBC(polypropylene-based OBC、PP-OBC)が、エラストマーではなく相溶化剤として導入された。それらは、ポリプロピレンと相溶性のプロピレンリッチブロック及びポリエチレンと相溶性のエチレンリッチブロックを含有する。ブロックコポリマーが、より高い剛性のある特定の高結晶性ドメインを有し、それによって全体的に剛性が増加するという選択肢を導入することは容易に理解できる。しかしながら、ブロックコポリマー性を有するプラストマーは、比較的高価であるという欠点を有する。
【0011】
文献において提案されるようなポリエチレン系エラストマー(例えば、Vistamaxx(商標)エラストマー)とプロピレン系プラストマー(例えば、Engage(商標)エチレン-オクテンコポリマー)との組み合わせは、提案された解決策の経済的実現可能性によって制限され、弾性率及び著しい粘度最適化を犠牲にしながら、衝撃強さの向上に焦点を当てている。
【0012】
文献はまた、プラストマーと組み合わせたエラストマーの使用よりも経済的な解決策として、1.5g/10分以下のメルトフローレート(melt flow rate、MFR)(ISO1133、190℃、2.16kg)を有するCプラストマーの組み込みを示唆している。この解決策は、ヤング率を適度に低下させながら衝撃強さを高めることができるが、それでもレオロジー特性を犠牲にする。
【0013】
したがって、リサイクルポリオレフィンを含有するポリオレフィン組成物において、粘度、剛性及び衝撃強さの良好なバランスが依然として強く求められている。
【0014】
特に、組成物が、リサイクルポリオレフィン単独と比較して、望ましい機械的特性を維持しながら、MFRの増加を有する、リサイクルポリオレフィンを含有するアップグレードされたポリオレフィン組成物を有することが強く求められている。
【0015】
本発明は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマーを炭化水素粘着付与剤樹脂(「粘着付与剤」)と組み合わせると、降伏強さ(ISO527-2)及び衝撃強さ(ISO179-1)などの機械的特性のバランスをとりながら、MFR(ISO1133)の著しい増加をもたらすという驚くべき発見に基づく。本発明はまた、比較的安価な修飾剤を使用してこれを成し遂げ、リサイクルポリオレフィンの市場に持続可能な経済的解決策をもたらす
【0016】
一実施形態では、本発明は、ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン組成物においてランダムアルファ-オレフィンコポリマーを炭化水素粘着付与剤樹脂(「粘着付与剤」)と組み合わせると、他の機械的特性のバランスをとりながら、MFR(ISO1133)及び破断点伸び又は降伏点伸びの両方の著しい増加をもたらすという驚くべき発見に基づく。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、エチレン-アクリレートコポリマー、及び中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)などの非ゴム追加ポリマーを、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤樹脂と組み合わせて、リサイクルポリオレフィンを含むポリオレフィン組成物の衝撃強さを改善することができるという驚くべき発見に基づく。
【0018】
本発明はまた、リサイクルポリオレフィンをビスブレーキングし、続いて少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマーと溶融ブレンドすることを含む新しいプロセスもまた、降伏強さ及び衝撃強さなどの機械的特性のバランスをとりながら、MFRの著しい増加をもたらすという驚くべき発見に基づく。より具体的には、1)少なくとも1種のラジカル開始剤の存在下で少なくとも1種のリサイクルポリオレフィンを押出して、ビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンを生成することと、2)(A)約60~約96重量%の当該ビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィン、(B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及び(C)任意選択で、約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤を接触させることと、を含み、当該ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対当該任意選択の粘着付与剤の重量比を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び任意選択の粘着付与剤と溶融ブレンドされていない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、当該ビスブレーキング押出並びにランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び任意選択の粘着付与剤との溶融ブレンドがない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約1500%のメルトフローレートの増加を有する、プロセスが発見された。
【発明の概要】
【0019】
本発明の一実施形態では、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及びC)約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する。
【0020】
別の実施形態では、ポリオレフィン組成物を生成するためのプロセスであって、1)少なくとも1種のラジカル開始剤(E)の存在下で少なくとも1種のリサイクルポリオレフィンを押出して、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンを生成することと、2)(A)約60~約96重量%の押出されたリサイクルポリオレフィン、(B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及び(C)任意選択で、約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、(D)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを溶融ブレンドすることと、を含むプロセスが提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物が、リサイクルポリオレフィンと比較して、約5~約1500%のメルトフローレートの増加を有する。
【0021】
別の実施形態では、ポリオレフィン組成物を生成するためのプロセスであって、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及びC)約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、及びD)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを溶融ブレンドすることを含むプロセスが提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤、及び任意選択の追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する。
【0022】
別の実施形態では、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)少なくとも1種の粘着付与剤、D)約1~約60重量%の少なくとも1種の追加のポリマーを含む、ポリオレフィン組成物が提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤、及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を説明する。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、ある特定の実施形態を例示し、記載された説明とともに、本明細書に開示される構築物及び方法のある特定の原理を説明する役割を果たす。
図1】非晶質ポリ-(アルファ)オレフィンのパーセンテージの関数における線形性変数を示す。
図2】水素化非晶質ポリ-(アルファ)オレフィンのパーセンテージの関数における線形性変数を示す
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明は、読者に本発明の態様のある特定の実施形態、特徴、及び詳細のより完全な理解を与えるために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0025】
本開示全体を通して使用されるある特定の用語は、本発明がより容易に理解され得るように、以下に定義される。追加の定義は、本開示全体を通して記載される。
【0026】
本出願において明示的に定義されていない各用語は、当業者によって一般的に受け入れられている意味を有すると理解されるべきである。用語の構成が、その文脈においてそれを無意味にするか、又は本質的に無意味にする場合、用語の定義は、標準辞書からとられるべきである。
【0027】
本明細書で特定される様々な範囲内の数値の使用は、明示的に別段の指示がない限り、述べられた範囲内の最小値及び最大値の両方に「約」という語が先行しているかのように近似であるとみなされる。この文脈において、「約」という用語は、述べられた値±述べられた値の1%、2%、3%、4%、又は5%以下の偏差を包含することを意味する。このようにして、述べられた範囲の上下のわずかな変動を使用して、範囲内の値と実質的に同じ結果を達成することができる。加えて、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の全ての値を含む連続的な範囲として意図される。
【0028】
別段の指示がない限り、%固形分又は重量%(wt%)は、特定の配合物、組成物、化合物又はマスターバッチの総重量に関して述べられる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等を指し得る。「ポリマー」は、2つ以上の同じ又は異なるモノマー由来単位を有する。「ホモポリマー」は、同一である誘導モノマー単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2つ以上の誘導モノマー単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3つのモノマー由来の単位を有するポリマーである。モノマー由来の単位を指すために使用される「異なる」という用語は、モノマー由来の単位が少なくとも1個の原子だけ互いに異なるか、又は異性体的に異なることを示す。したがって、コポリマーの定義は、本明細書で使用される場合、ターポリマーなどを含む。同様に、ポリマーの定義は、本明細書で使用される場合、コポリマーなどを含む。
【0030】
本発明では、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及びC)約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する。
【0031】
本明細書及び後続の特許請求の範囲の目的のために、「リサイクルポリオレフィン」という用語は、未使用のポリマーとは対照的に、ポストコンシューマー廃棄物(post-consumer waste、PCR)、産業廃棄物、及び/又はポストインダストリアル廃棄物(post-industrial waste、PIR)から回収された材料を示すために使用される。
【0032】
「ポストコンシューマー廃棄物」は、少なくとも第1の使用サイクル(又はライフサイクル)を完了した、すなわち、それらの第1の目的を既に果たした物体を指し、一方、「ポストインダストリアル廃棄物」及び「産業廃棄物」は、通常消費者に到達しない製造スクラップを指す。「未使用の」という用語は、まだリサイクルされていない、それらの最初の使用前の新たに生成された材料及び/又は物体を意味する。
【0033】
リサイクルポリオレフィンは、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。当該技術分野で既知の任意のタイプのエチレンポリマー又はプロピレンポリマーを、当該技術分野で既知のリサイクルポリオレフィンとして利用することができる。
【0034】
別名「ポリエチレン」としても知られるエチレンポリマーとしては、ポリエチレンホモポリマー、及び少なくとも50mol%のエチレン由来単位を含むエチレン-アルファ-オレフィンコポリマーが挙げられる。エチレン-アルファ-オレフィンコポリマーは、重合性モノマーの総重量に基づいて、5重量%超、7重量%超、又は10重量%超のアルファ-オレフィンコモノマー含有量を有することができる。
【0035】
エチレン-アルファ-オレフィンコポリマーは、1つ以上のC~C40オレフィン誘導単位を含むコモノマーを含む。別の実施形態では、エチレン-アルファ-オレフィンコポリマーは、C~C40オレフィン由来単位を含む。C~C40オレフィンモノマーは、直鎖、分岐鎖、又は環状であってもよい。C~C40環状オレフィンは、歪んでいても歪んでいなくてもよく、単環式又は多環式であってもよく、任意選択で、ヘテロ原子及び/又は1つ以上の官能基を含んでいてもよい。
【0036】
例示的なC~C40オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボマジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7-オキサノルボメン、7-オキサノルボルナジエン、並びにそれらの置換誘導体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。置換誘導体及び異性体の例は、1,5-シクロオクタジエン、1-ヒドロキシ-4-シクロオクテン、1-アセトキシ-4-シクロオクテン、5-メチルシクロペンテン、及びノルボマジエンであるが、これらに限定されない。
【0037】
例示的なコモノマーとしては、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテン、非共役ジエン、ポリエン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン(例えば、1,4-ヘキサジエン)、オクタジエン、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン系化合物、シクロアルケン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、エチレンは、1つのC~C20アルファ-オレフィンと共重合される。
【0038】
例示的なジエン又はトリエンコモノマーとしては、7-メチル-1,6-オクタジエン;3,7-ジメチル-l,6-オクタジエン;5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン;3,7,ll-トリメチル-1,6,10-オクタトリエン;6-メチル-1,5-ヘプタジエン;1,3-ブタジエン;1,3-ペンタジエン、ノルボルナジエン、1,6-ヘプタジエン;l,7-オクタジエン;1,8-ノナジエン;1,9-デカジエン;l,10-ウンデカジエン;ノルボルネン;テトラシクロドデセン;又はその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、ジエン又はトリエンコモノマーは、ブタジエン、ヘキサジエン、及びオクタジエンからなる群から選択される少なくとも1つである。更に別の実施形態では、ジエン又はトリエンコモノマーは、1,4-ヘキサジエン;1,9-デカジエン;4-メチル-1,4-ヘキサジエン;5-メチル-l,4-ヘキサジエン;ジシクロペンタジエン;並びに5-エチリデン-2-ノルボメン(ENB)、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、ノルボルナジエン、及びジシクロペンタジエン;スチレン、o-、m-、及びp-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンを含むC~C40ビニル芳香族化合物;並びにクロロスチレン及びフルオロスチレンなどのハロゲン置換C~C40ビニル芳香族化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0039】
ポリエチレンポリマーとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
低密度ポリエチレンは、一般に、フリーラジカル開始剤を使用して高圧で、又はチーグラー・ナッタ若しくはバナジウム触媒を使用して気相プロセスで調製される。低密度ポリエチレンは、典型的には、約0.916g/cm~約0.950g/cmの範囲の密度を有する。フリーラジカル開始剤を使用して生成される典型的な低密度ポリエチレンは、業界では「LDPE」として知られている。LDPEは、比較的多数の長鎖分岐が主ポリマー骨格から延びているため、「分岐」又は「不均一分岐」ポリエチレンとしても知られている。
【0041】
0.916g/cm~0.950g/cmの同じ密度範囲の、直鎖状で長鎖分岐を含まないポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)として知られており、典型的には、従来のチーグラー・ナッタ触媒によって、又はメタロセン触媒を用いて生成される。「直鎖状」とは、ポリエチレンが、たとえあったとしても、ほとんど長鎖分岐を有しないことを意味する。
【0042】
中密度ポリエチレン(MDPE)は、典型的には、0.926~0.940g/cmの密度を有し、一般に、チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒などの遷移金属触媒を使用する低圧重合技法によって生成される。
【0043】
高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)は、典型的には、約0.950g/cmより大きい密度を有し、一般に、チーグラー・ナッタ触媒又はクロム触媒を用いて調製される。
【0044】
超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular weight polyethylene、UHMWPE)は、はるかに高い分子量、典型的には10倍高い分子量を有するHDPEを指す。UHMWPEは、典型的には、メタロセン触媒によって生成される。
【0045】
超低密度ポリエチレン(ultra-low density polyethylene、ULDPE)は、約0.916g/cm未満の密度を有するポリエチレンを生成するいくつかの異なるプロセスによって生成することができる。他の実施形態では、ULDPEは、約0.890g/cm~約0.915g/cm又は約0.900g/cm~約0.915g/cmの範囲の密度を有する。
【0046】
別名「ポリプロピレン」としても知られるプロピレンポリマーとしては、プロピレンホモポリマー及び少なくとも50mol%のプロピレン誘導単位を含むプロピレンコポリマーが挙げられる。「ポリプロピレン」という用語は、アタクチックポリプロピレン(atactic polypropylene、aPP)、少なくとも10%以上のアイソタクチックペンタッドを有すると定義されるアイソタクチックポリプロピレン(isotactic polypropylene、iPP)、50%以上のアイソタクチックペンタッドを有すると定義される高アイソタクチックポリプロピレン、10%以上のシンジオタクチックペンタッドを有すると定義されるシンジオタクチックポリプロピレン(syndiotactic polypropylene、sPP)、プロピレンホモポリマー又はホモポリプロピレンとも呼ばれるホモポリマーポリプロピレン(homopolymer polypropylene、hPP)、及びプロピレンランダムコポリマーとも呼ばれるいわゆるランダムコポリマーポリプロピレン(random copolymer polypropylene、RCP)を含むが、これらに限定されない。本明細書において、RCPは、プロピレンと、エチレン及びC~Cアルファ-オレフィンから選択される1~10重量%のオレフィン誘導単位とのコポリマーを含むことができる。10%未満のアイソタクチックペンタッド及びシンジオタクチックペンタッドを有する場合、ポリオレフィンは「アタクチック」であり、「非晶質」とも呼ばれる。
【0047】
「プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマー」とも呼ばれるプロピレンコポリマーは、プロピレンがエチレン又は1つのC~C20アルファ-オレフィンと共重合されているポリマーを含有する。
【0048】
プロピレンと共重合するのに好適なコモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ユニデセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、及びスチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
例示的なプロピレンコポリマーは、プロピレン/エチレン、プロピレン/1-ブテン、プロピレン/1-ヘキセン、プロピレン/4-メチル-1-ペンテン、プロピレン/1-オクテン、プロピレン/エチレン/1-ブテン、プロピレン/エチレン/エチリデンノルボルネン(ethylidene norbornene、ENB)、プロピレン/エチレン/1-ヘキセン、プロピレン/エチレン/1-オクテン、プロピレン/スチレン、及びプロピレン/エチレン/スチレンの誘導単位を含む。
【0050】
プロピレンコポリマーは、コポリマーの5重量%~50重量%、6重量%~40重量%、7重量%~35重量%、8重量%~20重量%、及び10重量%~15重量%の範囲内のエチレンの誘導単位又はC~C20アルファ-オレフィン誘導単位(又は「コモノマー誘導単位」)を含む。プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマーはまた、2つの異なるコモノマー誘導単位の誘導単位を含んでもよい。更に、これらのコポリマー及びターポリマーは、ジエン由来単位を含んでもよい。ジエン由来単位の量は、ターポリマーの総重量に基づいて、10重量%以下のジエン由来単位(又は「ジエン」)、8重量%以下、5重量%以下、3重量%以下の範囲であり得る。別の実施形態では、ジエン由来単位の量は、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、及び1重量%~5重量%の範囲であり得る。
【0051】
好適なジエンとしては、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene、DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、ノルボルナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
プロピレンコポリマーは、ランダム若しくはブロックコポリマー、プロピレン系ターポリマー、又は分岐ポリプロピレン、あるいはそれらの任意の変形(各々のいくつかの特性を有する)であり得る。ランダムプロピレンコポリマーは、ポリマー骨格に沿ってランダムに分布したコモノマー由来単位を有する。ブロックコポリマーは、長い配列で生じるコモノマー由来単位を有する。
【0053】
本明細書に記載のプロピレンホモポリマー及びコポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマーを生成するために知られている任意の好適な触媒及び/又はプロセスを使用して生成することができる。ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマーは、組成が従来のものであってもよく、気相、スラリー又は溶液型プロセスによって作製されてもよい。
【0054】
不純物がリサイクルポリオレフィン中に存在し得ることは、廃棄物の定義によって暗示され、当業者に知られている。不純物とは、廃液ストリームに意図的に添加された物質及び意図せずに添加された物質の両方を含む。これらの不純物としては、他のポリマー、添加剤及び充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
リサイクルポリオレフィン中に不純物として存在し得るそのようなポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー、ポリメチルメタクリレート又は高圧フリーラジカルプロセスによって重合可能な任意の他のポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン-1、イソタクチックポリブテン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)樹脂、エチレンプロピレンゴム(ethylene propylene rubber、EPR)、加硫EPR、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(ethylene propylene diene monomer rubber、EPDM)、ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー(ethylene and vinyl alcohol、EVOH)、芳香族モノマーを含むポリマー、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレングリコール、ポリイソブチレン及び/又はそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。芳香族モノマーを含むポリマーの例は、ポリスチレンである。
【0056】
リサイクルポリオレフィン中に不純物として存在し得るそのような添加剤としては、酸化防止剤(antioxidant、A.O.)、制酸剤、粘着防止添加剤、可塑剤、粘着付与剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、架橋剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌剤、殺生物剤、発泡剤、膨張剤、清澄剤、難燃剤、触媒、顔料、着色剤、染料、ワックス又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。酸化防止剤の例としては、BASFによるIRGANOX(商標)1010又はIRGANOX(商標)1076などの立体障害フェノール、BASFによるIRGAFOS(商標)168などのリン系A.O.、BASFによるIrganox PS-802 FL(商標)などの硫黄系A.O.、4,4’-ビス(1,1’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどの窒素系A.O.、及びA.O.ブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。制酸剤の例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛、合成ハイドロタルサイト、ラクテート及びラクチレート、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。粘着付与剤の例としては、ポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、アルカリ金属及びステアリン酸グリセロール、並びに水素化ロジンが挙げられるが、これらに限定されない。UV安定剤の例としては、ビス-(2’2’6’6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケートが挙げられるが、これらに限定されない。成核剤の例としては、安息香酸ナトリウム及び1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロベンジリデノ)ソルビトールが挙げられるが、これらに限定されない。ブロッキング防止剤の例としては、珪藻土、合成シリカ、ケイ酸塩、及び合成ゼオライトが挙げられるが、これらに限定されない。ケイ酸塩としては、カオリン、ケイ酸アルミニウムナトリウム、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウム又はケイ酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。帯電防止剤の例としては、グリセロールエステル、エトキシ化アミン、及びエトキシ化アミドが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、これらの添加剤は、各個々の添加剤について約100~約2000ppmの量で存在することができる。
【0057】
リサイクルポリオレフィン中に不純物として存在し得るそのような充填剤としては、石炭、フライアッシュ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、金属酸化物、無機材料、天然材料、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、ボーキサイト、タルク、マイカ、バライト、カオリン、シリカ、ポストコンシューマーガラス、若しくはポストインダストリアルガラス、合成及び天然繊維、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。充填剤は、有機、無機、又は両方の組み合わせ(例えば、異なる形態を有する)であり得る。
【0058】
一実施形態では、リサイクルポリオレフィン中の不純物のパーセンテージは、リサイクルポリオレフィンの重量に基づいて、少なくとも0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、若しくは35重量%及び/又は90、85、80、75、70、65、若しくは60重量%以下である。他の実施形態では、不純物のパーセンテージは、ポリオレフィン組成物中のリサイクルポリオレフィンの重量に基づいて、約0.1~約86重量%、約0.5~約85重量%、約1~約80重量%、約5~約75重量%、約10~約70重量%、約15~約65重量%、及び約20~約60重量%の範囲であり得る。これらの範囲より下及び上の他の量が存在し得る。
【0059】
いくつかのタイプのリサイクルポリオレフィンの別の実施形態では、リサイクルポリオレフィン中の不純物のパーセンテージは、ポリオレフィン組成物中のリサイクルポリオレフィンの重量に基づいて、約0.1~約10重量%、約0.1~約5重量%、約0.5~約5重量%、及び約0.5~約3重量%である。これらの範囲より下及び上の他の量が存在し得る。
【0060】
少なくとも1つの他の実施形態では、リサイクルポリオレフィン中の充填剤のパーセンテージは、ポリオレフィン組成物中のリサイクルポリオレフィンの重量に基づいて、約5~約85重量%、約10~約85重量%、約20~約85重量%、約30~約85重量%、約40~約85重量%、及び50~約85重量%である。これらの範囲より下及び上の他の量が存在し得る。
【0061】
本発明の目的のために、リサイクルポリオレフィンの重量パーセンテージは、不純物を含む、リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン及び/又はポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンの重量パーセンテージとみなされるものとする。
【0062】
本発明の他の実施形態では、ポリオレフィン組成物中のリサイクルポリオレフィンの量は、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、若しくは89重量%及び/又は90、91、92、93、94、95、若しくは96重量%以下の範囲であり得る。他の範囲は、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約60~約96重量%、約65~約90重量%、約70%~約85重量%、及び約75%~約85重量%であり得る。
【0063】
リサイクルポリオレフィンは、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、又は少なくとも98重量%のエチレンポリマーを含む場合、ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンとみなされる。そのようなポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンにおいて、ポリエチレンは、主成分とも呼ばれる。
【0064】
リサイクルポリオレフィンは、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、又は少なくとも98重量%のプロピレンポリマーを含む場合、ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンとみなされる。そのようなポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンにおいて、ポリプロピレンは、主成分とも呼ばれる。
【0065】
ランダムアルファ-オレフィンポリマーは、ホモポリマー及びコポリマーを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の任意のものであり得る。ランダムアルファ-オレフィンコポリマーは、当該技術分野において既知の任意のものであり得る。本発明の一実施形態では、ランダムアルファ-オレフィンコポリマーは、非晶質ポリオレフィン(amorphous polyolefin、APO)又は非晶質ポリ-アルファ-オレフィン(amorphous poly-alpha-olefin、APAO)とも呼ばれ、様々な量のエチレン又はプロピレンを含むことができる非晶質プロピレン-エチレンコポリマーを含むが、これらに限定されない。例えば、プロピレン-エチレンコポリマーは、少なくとも1、3、5、7、10、12、14、15、17、18、若しくは20及び/又は70、65、60、55、50、45、40、35、30、27、又は25重量%以下のエチレンを含み得る。更に、プロピレン-エチレンコポリマーは、約1~約70、約3~約65、約5~約60、約7~約55、約10~約50、約12~約45、約14~約40、約15~約35、約17~約30、約18~約27、又は約20~約25重量パーセントの範囲のエチレンを含むことができる。例えば、プロピレン-エチレンコポリマーは、少なくとも40、50、60、65、若しくは70重量パーセント及び/又は99、95、90、85、若しくは80重量パーセント以下のプロピレンを含むことができる。更に、プロピレン-エチレンコポリマーは、約40~約99、約50~約95、約60~約90、約65~約85、又は約70~約80重量パーセントの範囲のプロピレンを含むことができる。
【0066】
更に、APOは、1つ以上のC~C10アルファ-オレフィンの誘導単位を含有することができる、プロピレン-エチレンコポリマーを含むことができる。これらのC~C10アルファ-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。1つ以上の実施形態によれば、コポリマーは、少なくとも0.5、1、2、3、4、若しくは5重量パーセント及び/又は40、30、25、20、15、若しくは10重量パーセント以下の少なくとも1種のC~C10アルファ-オレフィンを含むことができる。更に、コポリマーは、約0.5~約40、約1~約30、約2~約25、約3~約20、約4~約15、又は約5~約10重量パーセントの範囲の少なくとも1種のC~C10アルファ-オレフィンを含むことができる。例示的な市販のランダムアルファ-オレフィンコポリマーとしては、Eastman Chemical Companyから得られるAerafin(商標)17及びEastoflex(商標)E1200が挙げられる。
【0067】
更に、APOは、ポリプロピレンホモポリマーを含み得る 例示的な市販のランダムアルファ-オレフィンホモポリマーとしては、Eastman Chemical Companyから得られるEastoflex(商標)P1010及びEastoflex(商標)P1023が挙げられる。
【0068】
本発明の一実施形態では、ランダムアルファ-オレフィンコポリマーは、25000mol/g以下、10000mol/g以下の数平均分子量を有することができる。他の実施形態では、数平均分子量は、2500~25000g/mol及び/又は4500~10000g/molであり得る。ランダムアルファ-オレフィンコポリマーの多分散指数は、約4.0~約10.0又は約5.0~約7.5の範囲であり得る。
【0069】
数平均分子量は、2つのViscotek VE1122ポンプ、Viscotek Model 430ボルテックスヒータースターラーオートサンプラー、VE7510 GPCデガッサー、HTGPC Module 350Aオーブン、試料調製のためのMicrolab 500シリーズオートシリンジ、並びにレーザー光散乱、屈折計、及び示差粘度検出器の組み合わせからなる三重検出システムを備えたMalvern Viscotek HT-350A高温ゲル浸透クロマトグラフ(High Temperature Gel Permeation Chromatograph、HTGPC)を使用して測定される。GPCは、1,2,4-トリクロロベンゼンを135℃で0.7ml/分の流量で溶媒として流す1×PLGel 5ミクロンGuard 50×7.5mmカラム及び2×PLGel 5ミクロン混合-C300×7.5mmカラムを含有する。50~70mgの各試料を試料バイアルに秤量し、10mLの1,2,4-トリクロロベンゼンと混合して5.0~7.0mg/mLのブレンドを作製する。バイアルをViscotek Model 430ボルテックスヒータースターラーオートサンプラーに入れて、マグネチックスターラーバーを使用して撹拌しながら室温で約1時間平衡化し、次いで、試料を135℃で4時間以下加熱する。各標本について、2回の注入を使用し、各注入についてクロマトグラムを収集する。単一の狭いポリスチレン標準較正、光散乱、三重検出及び普遍較正を使用して、従来のGPCによって試料を分析する。同じMalvern OmniSECソフトウェアを使用して、光散乱データの分析、従来のGPC分析、三重検出分析、及び普遍較正分析を行う。
【0070】
Malvern OmniSECソフトウェアを使用して、重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)及び数平均分子量(number average molecular weight、Mn)を各試料について決定する。多分散指数(polydispersity Index、PDI)は、重量平均分子量を数平均分子量で割ることによって計算される(PDI=Mw/Mn)。
【0071】
ランダムアルファ-オレフィンコポリマーは、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)(ASTM D3418-15による示差走査熱量測定、20℃/分)が-10℃以下、-25℃以下、又は-35℃以下であり得る。
【0072】
「粘着付与剤樹脂」とも呼ばれる粘着付与剤としては、脂環式炭化水素樹脂、C5炭化水素樹脂、C5/C9炭化水素樹脂、芳香族変性C5樹脂、C9炭化水素樹脂、純モノマー樹脂、C5樹脂、及びC9樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂、ロジンエステル、変性ロジンエステル、完全又は部分水素化ロジンの液体樹脂、完全又は部分水素化ロジンエステル、完全又は部分水素化変性ロジン樹脂、完全又は部分水素化ロジンアルコール、完全又は部分水素化C5樹脂、完全又は部分水素化C5/C9樹脂、完全又は部分水素化芳香族変性C5樹脂、完全又は部分水素化C9樹脂、完全又は部分水素化純モノマー樹脂、完全又は部分水素化C5/脂環式樹脂、完全又は部分水素化C5/脂環式/スチレン/C9樹脂、完全又は部分水素化脂環式樹脂、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な市販の粘着付与剤としては、Eastman Chemical Companyから得られるRegalite(商標)及びEastotac(商標)H炭化水素樹脂が挙げられる。更に、粘着付与剤は、官能基を含むことができる。
【0073】
本明細書で使用される「PMR」という用語は、純粋なモノマー樹脂を意味する。純粋なモノマー樹脂は、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、及び他のアルキル置換スチレンなどのスチレン系モノマーの重合から生成される。純粋なモノマー樹脂は、当該技術分野で既知の任意の方法によって生成される。純粋なモノマー樹脂の生成のための純粋なモノマー供給原料は、場合によっては、合成的に生成された又は高度に精製されたモノマー種である。例えば、スチレンはエチルベンゼンから、又はアルファメチルスチレンはクメンから生成することができる。一実施形態では、純粋なモノマー炭化水素樹脂は、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素(BF)、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム(AlCl)及び塩化アルキルアルミニウムの錯体)などのフリーデル・クラフツ重合触媒を使用して、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、及び他のアルキル置換スチレンなどのスチレン系モノマーのカチオン重合によって調製される。純粋なモノマー樹脂を生成するために、固体酸触媒を利用することもできる。本明細書に開示される純粋なモノマー樹脂は、非水素化樹脂、部分水素化樹脂、又は完全水素化樹脂である。本明細書で使用される「水素化された」という用語はまた、省略表現「H2」で代替的に示され、H2が樹脂タイプの前又は後に使用される場合、例えば「PMR H2」及び「C5 H2」など、樹脂タイプが水素化又は部分水素化されていることを示すことが意図される。「H2」が本明細書で使用される場合、「H2」は、完全水素化樹脂試料及び部分水素化樹脂試料の両方を包含することを意味する。したがって、「H2」は、樹脂が完全に水素化されているか、又は少なくとも部分水素化されている状態を指す。純粋なモノマー樹脂は、場合によっては、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN,US)からPiccolastic(登録商標)スチレン系炭化水素樹脂、Kristalex(登録商標)スチレン系/アルキルスチレン系炭化水素樹脂、Piccotex(登録商標)アルキルスチレン系炭化水素樹脂、及びRegalrez(登録商標)水素化又は部分水素化された純粋なモノマー樹脂として得られる。
【0074】
本明細書で使用される「C5樹脂」という用語は、大気圧で約20℃~約200℃の範囲で沸騰するC5及び/又はC6オレフィン種を含むモノマーの重合から生成される脂肪族C5炭化水素樹脂を意味する。これらのモノマーは、典型的には石油処理、例えばクラッキングから生成される。本発明の脂肪族C5炭化水素樹脂は、当該技術分野で既知の任意の方法によって生成することができる。一実施形態では、脂肪族C5炭化水素熱可塑性樹脂は、「C5モノマー」とも呼ばれるC5及びC6パラフィン、オレフィン、及びジオレフィンを含有する分解石油供給原料のカチオン重合によって調製される。これらのモノマーストリームは、シクロペンテン、ペンテン、2-メチル-2-ブテン、2-メチル-2-ペンテン、シクロペンタジエン、及びジシクロペンタジエンとともに主要な反応性成分である、1,3-ペンタジエンなどのカチオン重合性モノマーで構成される。重合は、ルイス酸などのフリーデル・クラフツ重合触媒(例えば、三フッ化ホウ素(BF)、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム(AlCl)及び塩化アルキルアルミニウムの錯体)を使用して触媒される。反応性成分に加えて、供給物中の非重合性成分は、場合によってはペンタン、シクロペンタン、又は2-メチルペンタンなどの不飽和成分と共蒸留される飽和炭化水素を含む。固体酸触媒を利用して、脂肪族C5炭化水素樹脂を生成することもできる。脂肪族C5炭化水素樹脂としては、非水素化樹脂、部分水素化樹脂、又は完全水素化樹脂が挙げられる。脂肪族C5樹脂は、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN,US)からPiccotac(登録商標)C5及びEastotac(登録商標)C5 H2樹脂として得ることができる。
【0075】
本明細書で使用される「C5/C9樹脂」という用語は、大気圧で約100℃~約300℃の範囲で沸騰する少なくとも1種の不飽和芳香族C8、C9、及び/又はC10種を含むモノマーと、大気圧で約20℃~約200℃の範囲で沸騰するC5及び/又はC6オレフィン種を含む少なくとも1種のモノマーとの重合から生成される脂肪族/芳香族炭化水素C5/C9樹脂を意味する。一実施形態では、C5及び/又はC6種は、「C5モノマー」とも呼ばれるパラフィン、オレフィン、及びジオレフィンを含む。これらのモノマーストリームは、シクロペンテン、ペンテン、2-メチル-2-ブテン、2-メチル-2-ペンテン、シクロペンタジエン、及びジシクロペンタジエンとともに主要な反応性成分である、1,3-ペンタジエンなどのカチオン重合性モノマーで構成される。一実施形態では、不飽和芳香族C8、C9、及び/又はC10モノマーは、ナフサ分解から生じる石油蒸留物から誘導され、「C9モノマー」と呼ばれる。これらのモノマーストリームは、スチレン、アルファメチルスチレン、ベータ-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、及びこれらの成分の他のアルキル置換誘導体などのカチオン重合性モノマーで構成される。カチオン重合は、場合によっては、ルイス酸などのフリーデル・クラフツ重合触媒(例えば、三フッ化ホウ素(BF)、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム(AlCl)及び塩化アルキルアルミニウムの錯体)を使用して触媒される。固体酸触媒はまた、脂肪族/芳香族C5/C9炭化水素熱可塑性樹脂を生成するために利用される。反応性成分に加えて、非重合性成分としては、キシレン、エチルベンゼン、クメン、エチルトルエン、インダン、メチルインダン、ナフタレン及び他の類似の種などの芳香族炭化水素が挙げられる。供給ストリームの非重合性成分は、いくつかの実施形態では、アルキル化反応を介して樹脂に組み込まれる。脂肪族/芳香族C5/C9炭化水素樹脂としては、非水素化樹脂、部分水素化樹脂、又は水素化樹脂が挙げられる。脂肪族/芳香族C5/C9熱可塑性樹脂は、Eastman Chemical CompanyからPiccotac(登録商標)樹脂として得ることができる。C5~C9の割合は、限定されない。換言すれば、C5/C9樹脂中のC5モノマーの量は、0.1~100%のいずれかであり得、逆もまた同様であり、C5/C9樹脂中のC9モノマーの量は、0.1~100%であり得る。
【0076】
本明細書で使用される「C9樹脂」という用語は、大気圧で約100℃~約300℃の範囲で沸騰する不飽和芳香族C8、C9、及び/又はC10種を含むモノマーの重合から生成される樹脂である芳香族C9炭化水素樹脂を意味する。これらのモノマーは、典型的には石油処理、例えばクラッキングから生成される。本発明の芳香族C9炭化水素熱可塑性樹脂は、当該技術分野で既知の任意の方法によって生成することができる。芳香族C9炭化水素樹脂は、一実施形態では、ナフサ分解から生じる石油蒸留物から誘導される芳香族C8、C9、及び/又はC10不飽和モノマーのカチオン重合によって調製され、「C9モノマー」と呼ばれる。これらのモノマーストリームは、スチレン、アルファメチルスチレン(alpha methyl styrene、AMS)、ベータ-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、及びこれらの成分の他のアルキル置換誘導体などのカチオン重合性モノマーで構成される。C9樹脂のいくつかの実施形態では、4~6個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンモノマーも重合中に存在する。重合は、場合によっては、ルイス酸などのフリーデル・クラフツ重合触媒(例えば、三フッ化ホウ素(BF)、三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム(AlCl)及び塩化アルキルアルミニウムの錯体)を使用して触媒される。反応性成分に加えて、非重合性成分としては、キシレン、エチルベンゼン、クメン、エチルトルエン、インダン、メチルインダン、ナフタレン、及び他の類似の化学種などの芳香族炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。供給ストリームの非重合性成分は、いくつかの実施形態では、アルキル化反応を介して熱可塑性樹脂に組み込まれる。C9炭化水素樹脂としては、非水素化樹脂、部分水素化樹脂、又は完全水素化樹脂が挙げられる。芳香族C9炭化水素樹脂は、Picco(登録商標)C9樹脂として得ることができ、脂肪族水素化及び脂肪族/芳香族部分水素化C9 H2炭化水素樹脂は、Eastman Chemical CompanyからRegalite(登録商標)樹脂として得ることができる。
【0077】
本明細書で使用される「DCPD樹脂」という用語は、ジシクロペンタジエン(DCPD)を意味し、最も一般的には、マレイン酸若しくは硫酸水溶液などの強酸触媒の存在下でのジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合(ring opening metathesis polymerization、ROMP)、又は熱重合によって形成される。ジシクロペンタジエンはまた、いくつかの実施形態では、2つのシクロペンタジエン分子からディールス・アルダー反応によって形成され、2つの立体異性体:エンド-DCPD及びエキソ-DCPDで存在する。典型的には、商用グレードのDCPD中に存在するDCPD分子の90%超がエンド型である。DCPD熱可塑性樹脂としては、芳香族変性DCPD樹脂、並びに水素化樹脂、部分水素化樹脂、及び非水素化樹脂が挙げられるが、本明細書のほとんどの例では、H2 DCPDが最も容易に商業的に入手可能な形態のDCPDであるため、H2 DCPDのみが記載されている。芳香族変性DCPDもまた、DCPD樹脂として企図される。芳香族変性は、例えば、C9樹脂油、スチレン、又はアルファメチルスチレン(AMS)などによる。水素化及び部分水素化DCPD、並びに水素化及び部分水素化芳香族変性DCPD樹脂は、Escorez(登録商標)5000シリーズ樹脂(ExxonMobil Chemical Company,TX,US)として市販されている。
【0078】
本明細書で使用される「テルペン樹脂」又は「ポリテルペン樹脂」という用語は、少なくとも1種のテルペンモノマーから生成される樹脂を意味する。例えば、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン及びジペンテンを塩化アルミニウムの存在下で重合させてポリテルペン熱可塑性樹脂を得ることができる。ポリテルペン熱可塑性樹脂の他の例としては、Sylvares(登録商標)TR 1100及びSylvatraxx(登録商標)4125テルペン熱可塑性樹脂(AZ Chem Holdings,LP,Jacksonville,FL,US)、並びにPiccolyte(登録商標)A125テルペン熱可塑性樹脂(Pinova,Inc.,Brunswick,GA,US)が挙げられる。テルペン樹脂は、芳香族化合物で変性することもできる。Sylvares(登録商標)ZT 105LT及びSylvares(登録商標)ZT 115 LTテルペン樹脂は、芳香族変性されている(Az Chem Holdings,LP,Jacksonville,FL,US)。
【0079】
DCPD、PMR、C5、C9、C5/C9、テルペンなど、これらの樹脂の水素化、部分水素化、及び非水素化バージョンを含むある特定のタイプの熱可塑性樹脂の上記定義には、これらの樹脂が、熱可塑性樹脂を生成するために使用される供給原料の不均一混合物を生成するために異なる供給原料を混合又はブレンドすることによって生成される、同様のタイプの樹脂を含むことが包含されることを理解されたい。更に、少なくとも本明細書で論じられるPMR及びテルペン樹脂に関して、これらの樹脂は、樹脂のフェノール変性及びロジン変性バージョンなどのそのような樹脂の様々な既知の誘導体を包含することが理解されるべきである。
【0080】
粘着付与剤は、ガラス転移温度(Tg)(ASTM D3418-15に従った示差走査熱量測定、20℃/分)が、25℃以上、30℃以上、35℃以上、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、又は70℃以上、又は75℃以上、又は80℃以上、又は85℃以上である。他の実施形態では、粘着付与剤は、ガラス転移温度(ASTM D3418-15に従った示差走査熱量測定、20℃/分)が、約30℃~約90℃、約35℃~約90℃、約40℃~約90℃、約45℃~約90℃、約50℃~約90℃、約55℃~約90℃、約60℃~約90℃、約65℃~約90℃、約70℃~約90℃、約75℃~約90℃、及び約80℃~約90℃の範囲である。
【0081】
本発明は、許容可能な機械的特性を保持しながら、改善された流動特性を有するポリオレフィン組成物に関する。ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン組成物は、特に、許容可能な機械的特性を保持しながら、及び/又は特定の用途のための特性の有利なバランスを提供しながら、改善された流動性及び改善された破断点伸びを有することができる。本発明は、少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)及び少なくとも1種の粘着付与剤(C)を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマーが、Regalite(商標)R1125及びPlastolyn(商標)R1140(Eastman Chemical製)などの少なくとも1種の水素化C9系粘着付与剤とともに、Aerafin(商標)及びEastoflex(商標)(Eastman Chemical製)などの少なくとも1種の非晶質プロピレン-エチレンランダムコポリマーである、エチレンリッチ又はプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンからなる群から選択されるリサイクルポリオレフィン、並びにそのようなポリオレフィン組成物を作製するプロセスに関する。少なくとも1つの実施形態では、Aerafin(商標)などのプロピレン-エチレンランダムコポリマー及びRegalite(商標)などの水素化C9系粘着付与剤を低レベルでリサイクルポリオレフィンに添加することによって、リサイクルポリオレフィンを含む得られたポリオレフィン組成物の許容可能な機械的特性を保持しながら、メルトフローレート(MFR)などの流動特性を向上させることができる。低分子量のAerafin(商標)及びRegalite(商標)は、MFRを低減することができる一方で、機械的特性に対して予想外の相乗的挙動を有する。許容可能な機械的特性は、本開示において後に定義される。
【0082】
驚くほど改善された破断点伸びは、より脆性でなく、破断することなくより容易に離型可能であり、リサイクルポリオレフィン供給ストリーム及び最終組成物中の高充填剤含量に対してより耐性であるポリエチレンリッチポリオレフィン組成物をもたらす。リサイクルポリオレフィン材料の弾性率を増加させるために高い充填剤含有量がしばしば使用され、最終組成物が過度に脆性であるという対応する欠点を伴う。破断点伸びの驚くべき増加を伴う本発明は、これらの高度に充填されたリサイクル供給ストリームを、そのストリームが以前は過度に脆性であった用途において使用することを可能にし得る。増加した破断点伸び及び結果として生じる可撓性から利益を得ることができる可能な用途としては、ストレッチフィルム、ラップフィルム、農業用フィルム、床材、ラッチ及びスナップロック、貯蔵容器、並びに庭園家具が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィンは、ISO1133、2.16kg、190℃で測定して、約0.1g/10分~約10g/10分、約0.1g/10分~約5g/10分、及び約0.1g/10分~約2g/10分のメルトフローレート(MFR)を有することができる。ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンでは、ISO1133に従って、2.16kg、190℃で測定して、MFRは、約10g/10分以下、約5g/10分以下、約1g/10分以下、又は約0.5g/10分以下の範囲であり得る。
【0084】
少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィンは、ISO1133に従って、2.16kg、230℃で測定した、あるいは約0.1g/10分~約10g/10分、約0.1g/10分~約5g/10分、及び約0.1g/10分~約2g/10分のメルトフローレート(MFR)を有することができる。ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンでは、ISO1133に従って、2.16kg、230℃で測定して、MFRは、約10g/10分以下、約5g/10分以下、約1g/10分以下、又は約0.5g/10分以下の範囲であり得る。
【0085】
少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物中のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)及び粘着付与剤(C)のパーセンテージは、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約4~約40重量%、約4~約20重量%、約4~約14重量%、又は約7~約10重量%である。別の実施形態では、ポリオレフィン組成物中のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)及び粘着付与剤(C)の量は、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15重量%及び40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、又は20重量%以下である。
【0086】
ランダムアルファ-オレフィンポリマーのパーセンテージは、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10重量%及び/又は20、19、18、17、16、若しくは15重量%以下であり得る。ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)のパーセンテージは、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約2~約20重量%、約2~約10重量%、約5~約10重量%の範囲であり得る。粘着付与剤(C)のパーセンテージは、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10重量%及び/又は20、19、18、17、16,15、14、13、12、若しくは11重量%以下であり得る。粘着付与剤(C)のパーセンテージは、約2~約20重量%、約2~約10重量%、約2~約7重量%、及び約2~約5重量%である。ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)対粘着付与剤(C)の重量比は、0.2~5.0、0.3~5.0、0.4~5.0、0.5~5.0、0.6~5.0、0.7~5.0、0.8~5.0、0.9~5.0、1.0~5.0、1.1~5.0、1.2~5.0、1.3~5.0、1.4~5.0、1.5~5.0、1.6~5.0、1.7~5.0、1.8~5.0、1.9~5.0、2.0~5.0、2.1~5.0、2.2~5.0、2.3~5.0、2.4~5.0、2.5~5.0、2.6~5.0、2.7~5.0、2.8~5.0、2.9~5.0、3.0~5.0、3.1~5.0、3.2~5.0、3.3~5.0,3.4~5.0、3.5~5.0、3.6~5.0、3.7~5.0、3.8~5.0、3.9~5.0又は4.0~5.0である。
【0087】
本発明の一実施形態では、(A)約60~約96重量%の、MFR<10g/10分(ISO1133)を有する少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の、25,000mPa.s以下のブルックフィールド粘度(ASTM D 3236、190℃)を有する少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及びC)約2~約20重量%の、70℃以上の環球式軟化点(ASTM E 28又はASTM D6090又はASTM D6166)を有する少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、B/Cの重量比は、0.2~5.0であり、組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有する。この実施形態の一態様では、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。許容可能な機械的特性は、本開示において後に定義される。
【0088】
本発明の別の実施形態では、(A)約60~約96重量%の、MFR<10g/10分(ISO1133)を有する少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種のランダムアルファオレフィンコポリマー、及びC)約2~約20重量%の、25℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物であって、B/Cの重量比は、0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有する。この実施形態の一態様では、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。許容可能な機械的特性は、本開示において後に定義される。
【0089】
本発明の別の実施形態では、(A)約60~約96重量%の、MFR<10g/10分(ISO1133)を有する少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び25,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有する少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、並びにC)約2~約20重量%の、25℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、B対Cの重量比は、0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有する。この実施形態の少なくとも1つの態様では、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。許容可能な機械的特性は、本開示において後に定義される。
【0090】
本発明の別の実施形態では、(A)約60~約96重量%の、MFR<10g/10分(ISO1133)を有する少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び25,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有する少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、並びにC)約2~約20重量%の、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、B対Cの重量比は、0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。許容可能な機械的特性は、本開示において後に定義される。
【0091】
本発明の別の実施形態では、(A)約60~約96重量%の、MFR<10g/10分(ISO1133)を有する少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び10,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有する少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、並びにC)約2~約20重量%の、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、B対Cの重量比は、0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有する。この実施形態の少なくとも1つの態様では、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。許容可能な機械的特性は、本開示において後に定義される。
【0092】
少なくとも1つの実施形態では、ランダム-アルファオレフィンは、プロピレンホモポリマーである。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマーは、プロピレンホモポリマー及びエチレン-プロピレンコポリマーを含む。
【0093】
本発明の実施形態では、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、ISO1133に従って、2.16kg、190℃で測定して、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、200、225、250、275、300、325、350、375、又は400%のMFRの増加を有し得る。他の実施形態では、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5%~約400%、約20%~約400%、約50%~約400%、約5%~約200%、約15%~約200%、約20%~約200%、約5%~約150%、約10%~約150%、約15%~約150%、又は約30%~約300%の範囲のMFRの増加を有し得る。
【0094】
MFRに加えて、スパイラルフロー及び溶融粘度などの他のレオロジーパラメータにも正の影響を与えることができる。ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物のスパイラルフローを、約5%~約200%、約10%~約175%、約25%~約150%、約50%~約125%、又は約50%~約100%上回るスパイラルフローを有し得る。スパイラルフローは、幅10mm、及び深さ2mmのスパイラルを有する金型を使用することによって測定される。スパイラルの長さは、800mmまでとすることができる。ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物の溶融粘度を、約5%~約200%、約10%~約175%、約25%~約150%、約50%~約125%、又は約50%~約100%上回る溶融粘度を有し得る。溶融粘度は、レオメーターで測定される。
【0095】
更に、ポリオレフィン組成物は、降伏点引張強さ(降伏強さISO527-2又はASTM D882)、破断点伸び、降伏点伸び(降伏点引張ひずみ)、ヤング率(弾性率又はE-モジュラス)、最大荷重での引張強さ、最大荷重での引張ひずみ、破断点引張強さ、破断点引張ひずみ、曲げ強さ、靭性、フィルム靭性、曲げ弾性率(曲げ弾性率又はG-モジュラスISO178)、1%セカント弾性係数、2%セカント弾性係数、ノッチなしシャルピー衝撃強さ、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(ノッチ付き衝撃強さISO179-1)、ノッチなしアイゾット衝撃強さ、ノッチ付きアイゾット衝撃強さ(ISO180)、落槍衝撃強さ(ASTM D1709A)、エルメンドルフ引裂強さ(ASTM D1922)、及び耐破壊性からなる群から選択される少なくとも1つの許容可能な機械的特性を有することができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「許容可能な機械的特性」は、ポリオレフィン組成物又はポリオレフィン組成物を含む任意の物品に関連する少なくとも1つの機械的特性を指し、機械的特性は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較した機械的特性の少なくとも80%、85%、90%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、500%、525%、550%、若しくは575%、又は約600%である。
【0097】
本発明の他の実施形態では、ポリオレフィン組成物又はポリオレフィン組成物を含む任意の物品の少なくとも1つの機械的特性が、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物の同じ機械的特性の約80%~約600%、約80%~約550%、約80%~約500%、約80%~約450%、約80%~約400%、約80%~約350%、約80%~約300%、約80%~約250%、約80%~約200%、約80%~約150%、約80%~約120%、90%~約600%、約90%~約550%、約90%~約500%、約90%~約450%、約90%~約400%、約90%~約350%、約90%~約300%、約90%~約250%、約90%~約200%、約90%~約150%、約90%~約120%、100%~約600%、約100%~約550%、約100%~約500%、約100%~約450%、約100%~約400%、約100%~約350%、約100%~約300%、約100%~約250%、約100%~約200%、約100%~約150%、又は約100%~約120%である場合、機械的特性は、「許容可能」である。
【0098】
ポリオレフィン組成物の様々な最終用途は、機械的特性の異なるバランスを必要とする可能性があり、いくつかの特性の値は、この「許容可能な」範囲外である可能性があり、組成物は、その用途における使用に適している。
【0099】
別の実施形態では、約85~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、約2~約10重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、及び約2~約5重量%の少なくとも1種の粘着付与剤を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、ポリオレフィン組成物のMFRは、ISO1133(ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンについては190℃で2.16kg、ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンについては230℃)に従って測定して、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物のMFRよりも約25~約80%高く、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物の降伏強さよりも約5~約15%低い降伏強さ(ISO527-2)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物の降伏強さよりも約10~約20%低い曲げ弾性率(ISO178又はASTM D882)、並びにランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物のノッチ付き衝撃強さよりも約5~約15%低いノッチ付き衝撃強さ(ISO178又はASTM D256)を有する。
【0100】
本発明の別の実施形態では、ポリオレフィン組成物又はポリオレフィン組成物を含む任意の物品は、機械的特性の変化に直接又は間接的に関連する少なくとも1つの特性の変化を示すことができる。そのような特性としては、熱特性(ビカット軟化点、荷重たわみ温度、シーリング温度、シール強さ(ASTM F2029、ホットタックASTM F1921)、光学特性(ヘイズ、例えばASTM D1003、光沢、例えばASTM D2457、光透過率、透明度)、寸法安定性、耐熱性、バリア特性(MVTR、例えばASTM F1249、OTR、例えばASTM D3985)、低温可撓性、溶融温度、密度、縦方向(machine direction、MD)及び横方向(transverse direction、TD)延伸比、強化された単軸若しくは二軸配向、収縮比、又は溶融強さが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
ポリオレフィン組成物を作製するプロセスであって、A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、及びD)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを溶融ブレンドすることを含む、プロセスが提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する。
【0102】
別の実施形態では、ポリオレフィン組成物を作製するプロセスであって、1)A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、及びD)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーをドライブレンドすることであって、ポリオレフィン組成物が、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有する、ドライブレンドすることと、2)成分を溶融ブレンドすることであって、ポリオレフィン組成物が、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有する、溶融ブレンドすることとを含む、プロセスが提供される。
【0103】
ポリオレフィン組成物は、リサイクルポリオレフィン(A)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)、及び任意選択で追加のポリマー(D)を、当該技術分野において既知の任意の手段によって溶融ブレンドすることによって形成することができる。一実施形態では、ドライブレンド粉末、フレーク、ペレット又は組み合わせが、溶融ブレンドステップに送られる前に利用される。ドライブレンドに使用される装置の例としては、限定されないが、タンブルブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ダブルコーンブレンダー又は他の好適なブレンダーが挙げられ、リサイクルポリオレフィン(A)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)、任意選択で少なくとも1種の添加剤、及び任意選択で少なくとも1種の充填剤、及び任意選択で少なくとも1種の追加のポリマー(D)を、緊密に混合することなく最初に接触させ、その後、成分を、ミキサー若しくは押出機又は当業者に既知の任意の他のタイプの混合装置中で溶融ブレンドする。
【0104】
別の実施形態では、ポリオレフィン組成物は、リサイクルポリオレフィン(A)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、及び粘着付与剤(C)、任意選択で少なくとも1種の添加剤、任意選択で少なくとも1種の充填剤、及び任意選択で少なくとも1種の追加のポリマー(D)を粉末、フレーク、ペレット又はそれらの組み合わせとして一緒に、ミキサー、単軸若しくは二軸スクリュー押出機又は当業者に既知の他の装置中で直接溶融ブレンドすることによって形成することができるか、あるいは、組成物は、リサイクルポリオレフィン(A)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、及び粘着付与剤(C)、任意選択で少なくとも1種の添加剤、任意選択で少なくとも1種の充填剤、及び任意選択で少なくとも1種の追加のポリマー(D_の粉末、フレーク、ペレット又はそれらの組み合わせを、異形押出機若しくはフィルム押出機、又は射出成形機、又は当業者に既知の任意の他のタイプのポリマー加工装置のメインホッパー又はサイドフィーダーにおいて(ドライ)ブレンドし、その後、前述の加工装置において溶融ブレンドすることによって形成されてもよい。加工装置は、シート又はペレットを形成する前に組成物を溶融及び搬送するために使用される押出機などの、物品製造ステップの一部としてのブレンドの最終段階であってもよい。
【0105】
本明細書で使用される場合、「溶融ブレンド」という用語は、剪断力、伸長力、圧縮力、超音波エネルギー、電磁エネルギー、熱エネルギー、又は前述の力若しくはエネルギーの形態のうちの少なくとも1つを含む組み合わせの使用を含み、前述の力が、単軸スクリュー、多軸スクリュー、噛合共回転又は逆回転スクリュー、非噛合共回転又は逆回転スクリュー、往復スクリュー、ピン付きスクリュー、ピン付きバレル、ロール、ラム、ヘリカルローター、又は前述のもののうちの少なくとも1つを含む組み合わせによって加えられる加工装置で行われる。溶融ブレンドは、単軸若しくは多軸スクリュー押出機、Buss混練機、Eirichミキサー、Farrel連続ミキサー、Haakeミキサー、Brabenderインターナルミキサー、ヘリコーン、Rossミキサー、Banburyミキサー、ロールミル、射出成形機、真空成形機、ブロー成形機などの成形機、又は前述の機械のうちの少なくとも1つを含む組み合わせなどの機械で行うことができる。組成物の溶融中に、約0.01~約10キロワット時/キログラム(kW h/kg)の比エネルギーを組成物に付与することが一般に望ましい。別の実施形態では、溶融ブレンドは、Brabender共回転二軸スクリュー押出機などの二軸スクリュー押出機で行われ、スクリュー温度ゾーンは、ポリエチレンリッチリサイクルポリエチレンについては約110℃~約200℃、ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンについては約140~約220℃に設定される。
【0106】
少なくとも1つの実施形態では、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)、又は両方の組み合わせは、「マスターバッチ」アプローチを伴って添加され、最終ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び/又は粘着付与剤濃度は、リサイクルポリオレフィンを、「担体ポリマー」(マスターバッチ)中でより高い添加剤濃度で予め調製された適切な量のランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び/又は粘着付与剤と組み合わせることによって達成される。
【0107】
マスターバッチのためのそのような「担体ポリマー」は、エチレンポリマー及び/又はプロピレンポリマーであり得、LDPE、LLDPE、HDPE、aPP、iPP、sPP、hPP、RCP及び/又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。担体ポリマーは、未使用又はリサイクルポリオレフィンであってもよい。担体ポリマーは、リサイクルポリオレフィン(A)又はリサイクルポリオレフィン(A)中の主成分と同一であっても異なっていてもよい。
【0108】
本明細書で使用される場合、「同一」という用語は、少なくとも起源(コンシューマー廃棄物など)、化学骨格(ポリエチレンなど)、形態論(LLDPEなど)、物理的特性(密度など)及びレオロジー特性(MFRなど)に関する同等性を意味する。例えば、両方がポストコンシューマー廃棄物に由来し、両方がポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンであり、両方が主にHDPEを含有し、両方が0.950g/cmを超える密度及び3g/10分のMFRを有する2種のポリマーは、同一であるとみなされる。
【0109】
本明細書で使用される場合、「異なる」という用語は、起源(コンシューマー廃棄物など)、化学骨格(ポリエチレンなど)、形態論(LLDPEなど)、物理的特性(密度など)、及びレオロジー特性(MFRなど)の違いを含むことができるが、これらに限定されない。例えば、リサイクルポリオレフィン(A)としてポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンを含有する組成物のための担体ポリマーとしてのポリプロピレンの使用、又はリサイクルポリオレフィン(A)として2.0g/10分のMFR(ISO 1133、190℃、2,16kg)を有するポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンを含有する組成物のための担体ポリマーとして7.5g/10分のMFR(ISO 1133、190℃、2,16kg)を有するポリエチレンの使用は、両方ともリサイクルポリオレフィン(A)とは異なるとみなされる。
【0110】
少なくとも1つの実施形態では、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)、又は両方の組み合わせ(B+C)のパーセンテージは、マスターバッチ組成物の重量に基づいて、約5~約70重量%である。他の実施形態では、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)又は両方の組み合わせ(B+C)のパーセンテージは、約20~約60重量%又は約40~約50重量%の範囲である。マスターバッチ組成物は、追加の添加剤、充填剤又はポリマーを含んでもよい。
【0111】
マスターバッチ組成物は、当該技術分野において既知の任意の方法によって形成されてもよい。一実施形態では、マスターバッチ組成物は、担体ポリマーと少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び/又は粘着付与剤(及び任意選択の添加剤、充填剤又は追加のポリマー)とを、担体ポリマーとランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び/又は粘着付与剤とを完全に混合することなく最初に接触させ、続いてミキサー又は当業者に既知の任意の他のタイプの混合装置中で溶融ブレンドする、例えばタンブルブレンダーを使用して、粉末、フレーク、ペレット又はそれらの組み合わせを最初にドライブレンドすることによって形成される。
【0112】
別の実施形態では、マスターバッチ組成物は、担体ポリマーと、粉末、フレーク、ペレット又はそれらの組み合わせとしての少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー並びに/又は粘着付与剤(及び任意選択の添加剤、充填剤若しくは追加のポリマー)とを一緒に、ミキサー、単軸若しくは二軸スクリュー押出機又は当業者に既知の他の装置中で直接溶融ブレンドすることによって、あるいは、担体ポリマーの粉末、フレーク、ペレット又はそれらの組み合わせと、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー並びに/又は粘着付与剤(及び任意選択の添加剤、充填剤若しくは追加のポリマー)とを、異形押出機若しくはフィルム押出機又は当業者に既知の任意の他のタイプのポリマー加工装置のメインホッパー若しくはサイドフィーダーで(ドライ)ブレンドし、その後、前述の加工装置中で溶融ブレンドすることによって形成される。
【0113】
マスターバッチにおいて使用するための担体ポリマーは、約0.5~約25、約4~約25、約5~約25、約6~約25、約7~約25、約8~約25、約9~約25、約10~約25、約11~約25、約12~約25、約13~約25、約14~約25、及び約15~約25g/10分(ISO1133、190℃、2,16kg)の範囲のMFRを有することができる。
【0114】
マスターバッチにおいて使用するための担体ポリマーは、約0.5~約25、約4~約25、約5~約25、約6~約25、約7~約25、約8~約25、約9~約25、約10~約25、約11~約25、約12~約25、約13~約25、約14~約25、及び約15~約25g/10分(ISO1133、230℃、2,16kg)の範囲のMFRを有することができる。
【0115】
別の実施形態では、マスターバッチ組成物は、担体ポリマーと、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)及び/又は粘着付与剤(C)とを、Brabender共回転二軸スクリュー押出機などの二軸スクリュー押出機において溶融ブレンドすることによって形成され、スクリュー温度ゾーンは、約2~約7.5g/10分のMFR(ISO1133、190℃、2.16kg)を有する未使用のLDPEを使用するマスターバッチ組成物については約85℃~約160℃、及び約2~約25g/10分のMFR(ISO1133、230℃、2.16kg)を有する未使用のiPPを使用するマスターバッチ組成物については約120℃~約185℃に設定される。
【0116】
マスターバッチ組成物は、ペレット、顆粒、粉末又はフレークの形態であり得、加工性を改善するために追加的にコーティング又は散粉されてもよい。そのようなコーティング又は散粉剤としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、タルク又はシリカが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
少なくとも1つの実施形態では、生成されるポリオレフィン組成物は、そのような組成物を含有する物品に更に加工するのに適したペレット、顆粒、粉末又はフレークの形態である。
【0118】
追加として、他のポリマー、添加剤又は充填剤が、ポリオレフィン組成物中に、組成物の1つ以上の成分中に、及び/又はフィルムなどの組成物から形成される製品中に、所望に応じて含まれてもよい。
【0119】
組成物中に含まれ得るそのような他のポリマーとしては、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸のターポリマー、アクリル酸、ポリメチルメタクリレート若しくは高圧フリーラジカルプロセスによって重合可能な任意の他のポリマーのコポリマー、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、エチレン1-ヘキセンコポリマー、エチレンとアルファ-オレフィンとのコポリマー及びターポリマー、プロピレンとアルファ-オレフィンとのコポリマー及びターポリマー、プラストマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、マレイン酸変性ポリオレフィン、マレイン酸変性ポリプロピレン及びポリエチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン-1、アイソタクチックポリブテン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、MBS(メタクリレートブタジエンスチレン)樹脂、エチレンプロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム)、ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、マレイン酸変性スチレン系ブロックコポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー(EVOH)、芳香族モノマーのポリマー(例えば、ポリスチレン)、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレングリコール、ポリイソブチレン、並びに/又はそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0120】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1種の当該「他のポリマー」は、担体ポリマーとして使用することができる。
【0121】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1種の「他のポリマー」を「追加のポリマー」として含む、ポリオレフィン組成物が提供される。「他のポリマー」及び「追加のポリマー」という用語は、互換的に使用される。
【0122】
これらの「他の」又は「追加の」ポリマーのうちのいくつかは、驚くべきことに、本発明のポリオレフィン組成物の衝撃性能を改善することが見出された。MFR、伸び、引張強さ、曲げ強さ、曲げ弾性率、及びヤング率(E-モジュラス)などの少なくとも1つのレオロジー的、物理的及び機械的特性が、他のポリマーの添加によって予想外に改善され、かつ/又は物理的及びレオロジー的特性の有利なバランスが提供された。当該「他の」又は「追加の」ポリマーは、マスターバッチ法における担体、マスターバッチ中の添加剤として使用することができ、組成物中にドライブレンドすることができるか、又は当業者に既知の任意のプロセスによってポリオレフィン組成物中に組み込むことができる。ポリオレフィン組成物に含まれる少なくとも1種の「他の」又は「追加の」ポリマーは、ポリオレフィン組成物の約1%~約60%、ポリオレフィン組成物の約2%~約60%、約3%~約60%、約4%~約60%、約5%~約60%、約6%~約60%、約7%~約60%、約8%~約60%、約9%~約60%、約10%~約60%、約11%~約60%、約12%~約60%、約13%~約60%、約14%~約60%、約15%~約60%、約16%~約60%、約17%~約60%、約18%~約60%、約19%~約60%、約20%~約60%、約25%~約60%、約30%~約60%、約35%~約60%、約40%~約60%、及び約45%~約60%であってもよい。
【0123】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物に含まれる少なくとも1種の「他の」又は「追加の」ポリマーは、ポリオレフィン組成物の約1重量%~約45重量%、ポリオレフィン組成物の約2重量%~約45重量%、約3重量%~約45重量%、約4重量%~約45重量%、約5重量%~約45重量%、約6重量%~約45重量%、約7重量%~約45重量%、約8重量%~約45重量%、約9重量%~約45重量%、約10重量%~約45重量%、約11重量%~約45重量%、約12重量%~約45重量%、約13重量%~約45重量%、約14重量%~約45重量%、約15重量%~約45重量%、約16重量%~約45重量%、約17重量%~約45重量%、約18重量%~約45重量%、約19重量%~約45重量%、約20重量%~約45重量%、約25重量%~約45重量%、約30重量%~約45重量%、約35重量%~約45重量%、約40重量%~約45重量%であってもよい。本発明の少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物中に含まれる少なくとも1種の「他の」又は「追加の」ポリマーは、ポリオレフィン組成物の約1重量%~約25重量%、ポリオレフィン組成物の約2重量%~約25重量%、約3重量%~約25重量%、約4重量%~約25重量%、約5重量%~約25重量%、約6重量%~約25重量%、約7重量%~約25重量%、約8重量%~約25重量%、約9重量%~約25重量%、約10重量%~約25重量%、約11重量%~約25重量%、約12重量%~約25重量%、約13重量%~約25重量%、約14重量%~約25重量%、約15重量%~約25重量%、約16重量%~約25重量%、約17重量%~約25重量%、約18重量%~約25重量%、約19重量%~約25重量%、約20重量%~約25重量%であってもよい。
【0124】
一実施形態では、ポリオレフィン組成物の衝撃特性並びに/又は他の物理的及び/若しくはレオロジー特性を改変する少なくとも1種の「他の」又は「追加の」ポリマーは、(A)約40~約60重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、B)約40~約60重量%の少なくとも1種の「他の」又は「追加の」ポリマーを含む、マスターバッチとして調製され得る。好適な「他の」又は「追加の」ポリマーとしては、例えば、エチレン-アクリレートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸のターポリマー(SK Functional Polymers,Paris FranceからLOTADER(商標)4700として入手可能)、MDPE、HDPE、LLDPE、LDPE、未使用のPPホモポリマー、PPコポリマー、エチレン-ヘキセン、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー(Dow Chemical,USAからENGAGE(商標)、AFFINITY(商標)及びAFFINITY(商標)GAとして入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。用途及び所望の最終特性に応じて、マスターバッチの使用レベルは、ポリオレフィン組成物の約5重量%~約50重量%の間で変えることができる。この実施形態の少なくとも1つの態様では、マスターバッチの使用レベルは、ポリオレフィン組成物の約2重量%~約50重量%、約3重量%~約50重量%、約4重量%~約50重量%、約5重量%~約50重量%、約6重量%~約50重量%、約7重量%~約50重量%、約8重量%~約50重量%、約9重量%~約50重量%、約10重量%~約50重量%、約11重量%~約50重量%、約12重量%~約50重量%、約13重量%~約50重量%、約14重量%~約50重量%、約15重量%~約50重量%、約16重量%~約50重量%、約17重量%~約50重量%、約18重量%~約50重量%、約19重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約50重量%、約30重量%~約50重量%、約35重量%~約50重量%、及び約40重量%~約50重量%の範囲であり得る。
【0125】
少なくとも1つの実施形態では、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)少なくとも1種の粘着付与剤、並びに(D)エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンn-ブチルアクリレート、及びエチレン、エチルアクリレート及び無水マレイン酸のターポリマーからなる群から選択される約2~約20重量%の少なくとも1種の追加のポリマーを含む、ポリオレフィン組成物が提供され、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のメルトフローレートの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。少なくとも1つの実施形態では、(A)約60~約96重量%の少なくとも1種のリサイクルポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)少なくとも1種の粘着付与剤、及び(D)約2~約20重量%の少なくとも1種の追加のポリマーを含む、ポリオレフィン組成物が提供され、当該ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、当該ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、当該追加のポリマー、及び当該粘着付与剤を含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約600%のメルトフローレートの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0126】
少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、少なくとも1種の粘着付与剤樹脂(C)及び少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含むポリオレフィン組成物であって、少なくとも1種の追加のポリマーが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、及びエチレン-オクテンコポリマーからなる群から選択され、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて約10~約60重量%である。他の実施形態では、B+C+Dのパーセンテージは、約20~45重量%、及び約10~20重量%の範囲である。本発明の他の実施形態では、B+C対Dの重量比は、約0.2~約20、約0.2~約5.0、約0.5~約2.0である。他の実施形態では、B対Cの重量比は、0.2~5.0である。ポリオレフィン組成物は、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5%~400%のMFRの増加を有することができる。上記実施形態の少なくとも1つの態様では、ポリオレフィン組成物は、当該少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約3%~約400%のMFRの増加を有し、約30%~約150%の破断点伸びの増加を有し、当該ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0127】
少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、少なくとも1種の粘着付与剤樹脂(C)及び少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含むポリオレフィン組成物であって、少なくとも1種の追加のポリマーが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、及びエチレン-オクテンコポリマーからなる群から選択され、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約60重量%、約20~約45%、又は約10~約20重量%の範囲であり、B+C対Dの重量比は、約0.2~約20、約0.2~約5.0、又は約0.5~約2.0であり、B対Cの重量比は、0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5%~400%のMFRの増加を有し、当該ポリオレフィン組成物は、当該少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約30%~約150%の破断点伸びの増加を有し、当該ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。本明細書では、許容可能な機械的特性を定義した。
【0128】
少なくとも1つの実施形態では、ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、少なくとも1種の粘着付与剤樹脂(C)及び少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物。追加のポリマーは、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得るが、これらに限定されない。ポリオレフィン組成物は、B+C+Dのパーセンテージが、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約60重量%又は約20~約45重量%であるように調製することができる。ポリオレフィン組成物中のB対Cの重量比は、0.2~5.0であり得る。また、ある特定の実施形態では、ポリオレフィン組成物は、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約100%~250%のMFRの増加を有し、約100%~約600%の破断点伸びの増加を有し、ポリオレフィンは、許容可能な機械的特性を維持する。
【0129】
少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物は、ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、少なくとも1種の粘着付与剤樹脂(C)及び少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含み、追加のポリマーは、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーから選択され、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約60重量%又は約20~約45重量%であり、ポリオレフィン組成物中のB対Cの重量比は、約0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約100%~250%のMFRの増加を有し、約100%~約600%の破断点伸びの増加を有し、ポリオレフィンは、許容可能な機械的特性を維持する。
【0130】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、少なくとも1種の粘着付与剤樹脂(C)及び少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約60重量%又は約20~約45重量%の範囲であり得る。B対Cの重量比は、0.2~5.0であり得る。ポリオレフィン組成物は、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約3%~約60%のMFRの増加を有することができ、許容可能な機械的特性を維持する。この実施形態のいくつかの態様では、ポリオレフィン組成物はまた、約30%~約150%の破断点伸びの増加を有する。この実施形態の他の態様では、ポリオレフィン組成物はまた、約40%の曲げ強さの増加を有し、許容可能な機械的特性を維持する。
【0131】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、少なくとも1種の粘着付与剤樹脂(C)及び少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約60重量%又は約20~約45重量%であり、B対Cの重量比は、0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約3%~約60%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物はまた、約40%の曲げ強さの増加を有し、許容可能な機械的特性を維持する。この実施形態のいくつかの態様では、ポリオレフィン組成物はまた、約30%~約150%の破断点伸びの増加を有する。
【0132】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、)、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び25,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有するランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する粘着付与剤(C)、(C)及び追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、追加のポリマーは、限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約5~約30重量%又は約10~約20重量%であり、B+C対Dの重量比は、約0.2~20.0、約0.2~約5.0、又は約0.5~2.0であり、B対Cの重量比は、約0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~400%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0133】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、)、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び10,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有するランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する粘着付与剤(C)、(C)及び追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、追加のポリマーは、限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約5~約30重量%又は約10~約20重量%であり、B+C対Dの重量比は、約0.2~20.0、約0.2~約5.0、又は約0.5~2.0であり、B対Cの重量比は、約0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~400%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0134】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)及び追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、追加のポリマーは、限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得、B+C+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約5~約30重量%又は約10~約20重量%であり、B+C対Dの重量比は、約0.2~20.0、約0.2~約5.0、又は約0.5~2.0であり、B対Cの重量比は、約0.2~5.0であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~400%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0135】
この実施形態の特定の態様では、追加のポリマー(D)は、マレイン酸変性ポリエチレン又はポリプロピレンであり、Dのパーセンテージは、約1~5重量%又は約1~3重量%であり、B+C対Dの重量比は、約2~20又は約5~10であり、ポリオレフィン組成物は、約5~100%のMFRの増加を有し、リサイクルポリオレフィン(A)中に存在する不純物に対する改善された相溶化を示しポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0136】
この実施形態の別の特定の態様では、追加のポリマー(D)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であり、リサイクルポリオレフィンは、ポリプロピレンリッチリサイクルポリオレフィンであり、Dのパーセンテージは、約5~約30重量%、約10~約20重量%であり、B+C対Dの重量比は、約0.2~約2又は約0.3~約1であり、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~200%のノッチ付き衝撃強さの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0137】
この実施形態の更に別の特定の態様では、追加のポリマーがマスターバッチ用の担体ポリマーとして使用され、B+Cのパーセンテージが、マスターバッチの重量に基づいて、約5~約70重量%、又は約40~約60重量%である、ポリオレフィン組成物が調製される。マスターバッチのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の約5~約40重量%、又は約10~約20重量%の範囲であり得、ポリオレフィン組成物は、マスターバッチを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0138】
少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)及び追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、アルファ-オレフィンコポリマー(B)及び粘着付与剤(C)は、担体ポリマーを使用してマスターバッチとして最初に調製される。担体ポリマーは、未使用又はリサイクルポリオレフィンであってもよく、リサイクルポリオレフィン(A)又はリサイクルポリオレフィン(A)中の主成分又は追加のポリマー(D)と同一であっても異なっていてもよい。B+Cのパーセンテージは、マスターバッチの重量に基づいて、約5~約70重量%重量又は約40~約60重量%であり、B対Cの重量比は、0.2~5.0である。マスターバッチのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の約5~約40%又は10~20%の範囲であり得る。マスターバッチ対追加のポリマー(D)の比は、約0.2~約20、又は約0.2~約5.0、又は約0.5~約2.0の範囲であり得、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~400%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0139】
少なくとも1つの実施形態では、リサイクルポリオレフィン(A)、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び25,000g/mol以下の公称分子量(ISO16014)を有するランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する粘着付与剤(C)、及び追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、アルファ-オレフィンコポリマー(B)、粘着付与剤(C)は、担体ポリマーを使用してマスターバッチとして最初に調製される。担体ポリマーは、未使用又はリサイクルポリオレフィンであってもよく、リサイクルポリオレフィン(A)又はリサイクルポリオレフィン(A)中の主成分又は追加のポリマー(D)と同一であっても異なっていてもよい。B+Cのパーセンテージは、マスターバッチの重量に基づいて、約5~約70重量又は約40~約60%であり、B対Cの重量比は、0.2~5.0である。マスターバッチのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の約5~約40%又は10~20%の範囲であり得る。マスターバッチ対追加のポリマー(D)の比は、約0.2~約20、又は約0.2~約5.0、又は約0.5~約2.0の範囲であり得、ポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤及び追加のポリマーを含まない同じポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0140】
この実施形態の別の態様では、追加のポリマーは、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレンメチル-アクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得るが、これらに限定されない。
【0141】
驚くべきことに、ポリオレフィン組成物の試験標準偏差は、未変性リサイクルポリオレフィン試料の試験標準偏差よりも有意に低いことが認められた。試験変動の有意な低減は、ポリオレフィン組成物が未変性リサイクルポリオレフィンよりも一貫した組成及び品質を有することを示す。これは、リサイクルポリオレフィンから一貫した製品を生成する際に工業的に有利である。
【0142】
ポリオレフィン組成物中に含まれ得るそのような添加剤としては、酸化防止剤(A.O.)(例えば、BASFによるIRGANOX(商標)1010又はIRGANOX(商標)1076などの立体障害フェノール、BASFによるIRGAFOS(商標)168などのリン系A.O.、BASFによるIrganox PS-802 FL(商標)などの硫黄系A.O.、4,4’-ビス(1,1’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン又はA.O.ブレンドなどの窒素系A.O.)、制酸剤(例えば、カルシウムステアレート、ナトリウムステアレート、亜鉛ステアレート、マグネシウム及び亜鉛オキシド、合成ハイドロタルサイト、ラクテート及びラクチレート)、粘着防止添加剤、可塑剤、粘着付与剤、(例えば、ポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、アルカリ金属及びグリセロールステアレート、並びに水素化ロジン)、UV安定剤(例えば、ビス-(2’2’6’6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケート)、熱安定剤、成核剤(例えば、安息香酸ナトリウム、1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロベンジリデノ)ソルビトール)、ブロッキング防止剤(例えば、珪藻土;合成シリカ;カオリン、ナトリウムアルミニウムシリケート、焼成カオリン、アルミニウムシリケート若しくはカルシウムシリケートなどのシリケート;合成ゼオライト)、架橋剤、離型剤、帯電防止剤(例えば、グリセロールエステル、エトキシ化アミン、エトキシ化アミド)、抗菌剤、殺生物剤、発泡剤、膨張剤、清澄剤、難燃剤、触媒、顔料、着色剤、染料、ワックス又はそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。典型的には、これらの添加剤は、各個々の添加剤について約100~約2000ppmの量で含めることができる。
【0143】
組成物中に含まれ得るそのような充填剤としては、石炭、フライアッシュ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、金属酸化物、無機材料、天然材料、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、ボーキサイト、タルク、マイカ、バライト、カオリン、シリカ、ポストコンシューマーガラス、若しくはポストインダストリアルガラス、おが屑、合成及び天然繊維、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。充填剤は、有機、無機、又は両方の組み合わせ(例えば、異なる形態を有する)であり得る。
【0144】
他のポリマー、添加剤及び充填剤は、当業者に既知の量で添加することができる。例えば、ポリオレフィン組成物中の添加剤の量は、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、10重量%未満、5重量%未満、1重量%未満、及び0.3重量%未満であり得る。本発明の他の実施形態では、ポリオレフィン組成物中の充填剤の量は、ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約5~約85重量%、約5~約75重量%、約5~約65重量%、約5~約55重量%、約5~約45重量%、約5~約35重量%、約5~約25重量%、及び約5~約20重量%であり得る。
【0145】
ポリオレフィン組成物を生成するためのビスブレーキングプロセス
本発明の別の実施形態では、ポリオレフィン組成物を生成するためのプロセスであって、1)少なくとも1種のリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンを少なくとも1種のラジカル開始剤の存在下で押出して、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンを生成することと、2)(A)約60~約96重量%の当該ビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)任意選択で、約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、及びD)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを溶融ブレンドすることと、を含むプロセスが提供され、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、リサイクルポリオレフィンと比較して、約5~約1500%のメルトフローレートの増加を有する。
【0146】
リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、粘着付与剤、及び追加の又は他のポリマーは、本明細書において先に記載されている。
【0147】
本発明は、リサイクルポリオレフィンをビスブレーキングし、ブレンドしてポリオレフィン組成物を形成するための新たなプロセスに関する。ビスブレーキングは、分子量を低下させ、メルトフローレートを上昇させる鎖切断にポリオレフィンを供することとして定義される。一実施形態では、プロセスは、いかなる架橋も伴わずに出発リサイクルポリオレフィンのMFRの顕著な増加をもたらす単一の押出ステップを用いる。
【0148】
ポリオレフィン組成物を生成するためのビスブレーキングプロセスのための出発材料
本発明の一実施形態では、プロセスは、約910~約1050kg/m3の密度を有するポストコンシューマー若しくはポストインダストリアルポリエチレンリッチポリオレフィンストリームである出発ポリエチレン、又は約855~約960kg/m3の密度を有するエチレンプラストマー若しくはエラストマーを使用する。エチレンエラストマーは、約855~約950kg/m3の密度を有することができ、エチレンプラストマーは、約880~約950kg/m3の密度を有することができる。
【0149】
ビスブレーキングプロセスのための押出条件
ビスブレーキングプロセスにおける出発リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのメルトフローレートを増加させるために、リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、特定の条件下で、特定のラジカル開始剤を使用して押出される。本発明の一実施形態では、押出プロセスは、高温、高剪断及び/又は高速のうちの少なくとも1つを使用して実行される。更に、所望のMFRの増加は、単一の押出ステップを使用して達成することができる。多くの先行技術のプロセスは、複雑な複数の押出を必要とする。本発明では、単一の押出を使用してMFRの大幅な増加を達成することができる。
【0150】
したがって、押出機は、単軸スクリュー押出機、共回転二軸スクリュー押出機若しくは逆回転二軸スクリュー押出機などの二軸スクリュー押出機、又はリング押出機などの多軸スクリュー押出機であってもよい。好適な押出機としては、単軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機が挙げられる。本発明の一実施形態では、押出機は、共回転二軸スクリュー押出機である。
【0151】
好適な押出機は、典型的には、125~2540cm、510~1270cm、又は635~1020cmの長さである。押出機中のポリマー供給原料の滞留時間は、典型的には、約30秒~約5分、又は約30秒~約3分である。
【0152】
押出機は、典型的には、複数の加熱ゾーンを有する。押出プロセス中に、かなりの量の熱が剪断加熱から発生することが多いことに留意されたい。したがって、押出機内のポリマー溶融物の温度は、スクリューのバレルにおける加熱ゾーンで設定された温度より実質的に高くてもよく、押出機内の実際のゾーン温度読み取り値より実質的に高くてもよい。更に、押出機の異なる段階における実際のゾーン温度読み取り値もまた、加熱ゾーンで設定された温度より高くてもよい。本明細書において言及される温度は、加熱ゾーンにおいて設定される温度である。
【0153】
そのような押出機は、当該技術分野において周知であり、例えば、Coperion、Japan Steel Works、Krauss Maffei Berstorff又はLeisteritzによって供給されている。
【0154】
本発明の一実施形態では、押出は、高温押出である。高温とは、最高バレル温度が最低250℃、又は最低300℃に設定されることを意味する。他の実施形態では、最高バレル温度は、少なくとも310℃、少なくとも325℃、少なくとも340℃又は少なくとも350℃である。最高バレルゾーン温度押出機の上限は、400℃であってもよい。
【0155】
これは、少なくとも240℃、少なくとも290℃、少なくとも310℃、少なくとも320℃、少なくとも330℃又は少なくとも340℃のダイを出るポリマー溶融物の溶融温度に変換することができる。ダイを出る溶融温度の上限は、390℃であってもよい。
【0156】
本発明の別の実施形態では、押出機は、10~14ゾーン、例えば12ゾーンを有する。別の実施形態では、高い押出温度は、ゾーン3によって適用される。最大押出温度は、ゾーン3によって適用することができ、押出機の残りのゾーンにわたって維持される。
【0157】
ダイプレートの温度は、約120℃~約180℃であってもよい。別の実施形態では、温度プロファイルを以下のように設定することができる:ゾーン1は80℃未満、ゾーン2は80℃~120℃、ゾーン3~12は250℃以上。別の実施形態では、温度プロファイルを以下のように設定することができる:ゾーン1は20℃、ゾーン2は100℃、ゾーン3~12は350℃及びダイプレートは150℃である。
【0158】
理論によって限定されることを望むものではないが、本発明者らは、より高い温度がMFRの増加をもたらし、したがって分子量の減少をもたらすと考える。
【0159】
本発明の別の実施形態では、押出機は、高いスクリュー速度で操作することができる。高いスクリュー速度とは、押出機スクリューが少なくとも300rpm、少なくとも350rpm、又は少なくとも400rpmの速度で回転することを意味する。600rpm以上、800rpm以上、又は1000rpm以上などのはるかに高いスクリュー速度を用いることもできる。スクリュー速度の上限は、使用する押出機によって支配されるが、1300rpmであってもよい。スクリュー速度は、450~1200rpmの範囲であり得る。スクリュー速度がプロセス全体を通して一定のままであることが好ましい。理論によって限定されることを望むものではないが、本発明者らは、より高いスクリュー速度がMFRの増加をもたらし、したがって分子量の減少をもたらすと考える。
【0160】
スループットは、MFRの増加にも関連する。押出機内でポリマーがビスブレーキング条件に供される機会が少ないため、スループットが高いほど、MFRの増加は低い。したがって、高いスクリュー速度がしばしば望まれるが、スループット値が低く保たれることも望ましい。工業用押出機での好適なスループットは、5~40kg/時又は10~20kg/時であり得る。より低いスループットは、より高いMFRをもたらす。
【0161】
スクリュー速度は、押出機内の滞留時間にも関連する。より速いスクリュー速度は、より短い滞留時間を意味する。押出機内での本発明のプロセスの滞留時間は、30秒~1.5分又は35秒~70秒の範囲であり得る。
【0162】
これに関して、プロセスへの比エネルギー入力も考慮すべき事項である。比エネルギー入力(specific energy input、SEI)は、ポリマー材料1kg当たりの押出機モータに供給される電力量である。より高いスクリュー速度は、モータへのより多くの電力を意味する。より高い出力は、モータにより多くの電力を必要とする。高いSEIは、高い最終MFRを達成することができる。SEIとMFRとの間の相関は、本質的に線形である。
【0163】
押出機モータへのエネルギー入力は、押出機自体から測定することができる。それは、押出機からの誘導可能な生産物である。SEI値は、使用される押出機のサイズ及び性質に依存することが理解されるであろう。したがって、SEIは、Coperion ZSK32を使用して測定して、少なくとも0.2kWh/kg、又は少なくとも0.4kWh/kgであり得る。
【0164】
本発明のプロセスは、高い剪断を使用することもできる。高剪断効果は、押出機の混合ゾーンに位置付けることができる1つ以上の混練機90°スクリュー要素に由来し得る。押出機スクリュー要素及びスクリュー構成は、最適化された溶融混合で強い剪断効果を促進するように設計することができる。
【0165】
押出機ダイを出る押出されたビスブレーキング済みポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンは、密閉容器に集められ、次のステップ又は押出機に輸送するために液体状態で保持されて、ペレット化の前により低い温度で添加剤及び/又は充填剤を用いて変性され得る。本発明の一実施形態では、押出機ダイを出る押出されたビスブレーキング済みポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンは、従来のペレット化技法を使用してペレット化することができる。したがって、本発明の更なる態様は、押出機を出る押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンがペレット化されることである。
【0166】
ビスブレーキングプロセスのための押出機
より詳細には、押出機は、典型的には、供給ゾーン、溶融ゾーン、混合ゾーン及びダイゾーンを含む。更に、ダイを通してプレスされた溶融物は、典型的には、固化され、ペレタイザーでペレットに切断される。押出機は、典型的には、約6:1~約65:1、又は約8:1~60:1の長さ対直径比L/Dを有する。当該技術分野において周知であるように、共回転二軸スクリュー押出機は、通常、逆回転二軸スクリュー押出機よりも大きいL/Dを有する。押出機は、押出機から気体成分を除去するための1つ以上の排出ポート又はベントポートを有することができる。
【0167】
そのような排出ポートは、開始剤とリサイクルポリオレフィンとの十分な反応時間を可能にするのに十分な下流位置に配置されるべきである。好適には、排出ポートは、溶融ゾーンの下流端内又は混合ゾーン内に配置することができる。
【0168】
ポリマー溶融物から揮発性成分を除去するのを助けるために、水、蒸気又は窒素などの剥離剤が、押出機に好適に添加される。そのような剥離剤は、使用される場合、排出ポートの上流に、又は複数の排出ポートがある場合、最も下流の排出ポートの上流に添加される。
【0169】
押出機はまた、ポリマー、添加剤などの更なる成分を押出機に供給するための1つ以上の供給ポートを有してもよい。そのような追加の供給ポートの位置は、ポートを通して添加される材料のタイプに依存する。
【0170】
ビスブレーキングプロセスのための供給ゾーン
リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、供給ゾーンを通して押出機に導入される。供給ゾーンは、リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンを溶融ゾーンに導く。典型的には、供給ゾーンは、供給ホッパーと、ホッパーを溶融ゾーンに接続する接続パイプとで形成される。通常、ポリマーは、重力の作用下で、すなわち一般に下向きに、供給ゾーンを通って流れる。
【0171】
供給ゾーンにおけるリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(及び他の成分)の滞留時間は、典型的に短く、通常30秒以下、より多くの場合20秒以下、例えば10秒以下である。典型的には、滞留時間は、少なくとも0.1秒又は少なくとも1秒である。
【0172】
ビスブレーキングプロセスのための溶融ゾーン
リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、供給ゾーンから溶融ゾーンに送られる。溶融ゾーンにおいて、リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンが溶融する。リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、回転スクリューによって引き起こされる抗力によって搬送される。次いで、温度は、摩擦熱の放散によってスクリューの長さに沿って上昇し、ポリマーの溶融温度を超えるレベルまで上昇する。それによって、固体粒子が溶融し始める。
【0173】
溶融ゾーンのスクリューは、溶融ゾーンのスクリューが完全に充填されるように設計されることが好ましい。それによって、固体粒子は、溶融ゾーンにおいてコンパクトな床を形成する。これは、スクリューチャネル内に十分な圧力が発生し、スクリューチャネルが完全に充填されたときに起こる。典型的には、溶融ゾーン内のスクリューは、実質的な逆流のない搬送要素を含む。しかしながら、コンパクトな床を達成するために、いくつかのバリア又は逆混合要素が、好適な場所、例えば、溶融ゾーンの下流端に近接して設置される必要があり得る。コンパクトな粒子床を得るためのスクリュー設計は、押出機業界において周知である。摩擦熱により、スクリューの長さに沿って温度が上昇し、リサイクルポリオレフィンが溶融し始める。
【0174】
ビスブレーキングプロセスのための混合ゾーン
溶融ゾーンの後、リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、混合ゾーンに送られる。混合ゾーンにおけるスクリューは、典型的には、ある程度の逆流を提供するスクリュー要素を含む1つ以上の混合セクションを含む。混合ゾーンにおいて、ポリマー溶融物は、均質な混合物を達成するために混合される。混合ゾーンはまた、スロットルバルブ又はギアポンプなどの追加の要素を含んでもよい。
【0175】
混合ゾーンの温度は、リサイクルポリオレフィンの溶融温度よりも高い。更に、温度は開始剤の分解温度よりも高い必要がある。温度は、リサイクルポリオレフィンの分解温度未満である必要がある。
【0176】
押出機の組み合わされた溶融ゾーン及び混合ゾーンにおける全体的な平均滞留時間は、少なくとも約25秒及び又は少なくとも約30秒であり得る。典型的には、平均滞留時間は、60秒を超えないか、又は55秒を超えない。平均滞留時間が30~45秒の範囲内である場合に良好な結果が得られた。
【0177】
上述したように、1つ以上の排出ポート又はベントポートと呼ばれることもある排出ポートを介して、押出機からガス状材料を除去することが望ましい。2つ以上の排出ポートを使用することが可能である。例えば、粗脱気のための上流ポート及び残留揮発性物質を除去するための下流ポートの2つのポートが存在し得る。そのような構成は、押出機内に大量のガス状材料が存在する場合に有利である。
【0178】
ベントポートは、混合ゾーンに好適に配置される。しかしながら、それらは溶融ゾーンの下流端に配置されてもよい。特に、複数のベントポートが存在する場合、最上流ポートを溶融ゾーン内に有し、後続のポートを混合ゾーン内に有することが有利である場合がある。水、蒸気、CO又はNなどの剥離剤を押出機に添加することも可能である。
【0179】
そのような剥離剤は、使用される場合、ベントポートの上流に導入されるか、又は複数のベントポートが存在する場合、最も下流のベントポートの上流及び上流のベントポートの下流に導入される。典型的には、剥離剤は、混合ゾーン中に又は溶融ゾーンの下流端で導入される。
【0180】
ダイゾーンは、典型的にはダイプレートを含み、ダイプレートは、ブレーカプレートと呼ばれることもあり、複数の穴を有する厚い金属ディスクである。穴は、スクリュー軸に平行である。溶融リサイクルポリオレフィンは、ダイプレートを通してプレスされる。したがって、溶融リサイクルポリオレフィンは、多数のストランドを形成する。次いで、ストランドをペレタイザーに渡す。ダイプレートの機能は、リサイクルポリオレフィン溶融物の螺旋運動を阻止し、それを一方向に強制的に流すことである。ダイゾーンはまた、典型的には、ダイプレートによって支持される1つ以上のスクリーンを含んでもよい。スクリーンは、リサイクルポリオレフィン溶融物から異物を除去するために、またポリマーからゲルを除去するために使用される。ゲルは、典型的には、非分散高分子量ポリマー、例えば架橋ポリマーである。
【0181】
ポリオレフィン組成物を生成するためのビスブレーキングプロセスのためのラジカル開始剤
本発明のプロセスで使用されるラジカル開始剤は、当該技術分野で既知の任意のものである。一実施形態では、ラジカル開始剤は、高温、すなわち少なくとも200℃で分解するものである。これは、本発明の開始剤の自己加速分解温度(Self-Accelerating Decomposition Temperature、SADT)が、好ましくは少なくとも200℃であることを意味する。したがって、開始剤は、この温度まで安定である。したがって、開始剤は、一般に、ポリマー溶融物が押出機を通過して、恐らくゾーン3に達するまで分解を開始しない。
【0182】
より低い温度で分解する開始剤が使用される場合、開始剤は、プロセスにおいて過度に早く又は過度に急速に分解し、必要とされるMFRの増加は達成されない。例えば、過酸化物は、非常に急速に活性を失い、本発明のプロセスで使用するのに好適でなくなる。別の見方をすれば、開始剤は、過酸化物ではない。過酸化物開始剤は、一般に、本発明において有用であるには過度に低い温度で分解する。
【0183】
ラジカル開始剤は、本発明のプロセスにおいて、存在するリサイクルポリオレフィンの量に基づいて、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7.0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、若しくは1.3重量%及び/又は2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、若しくは1.4重量%以下の量で存在することができる。本発明の別の実施形態では、ラジカル開始剤は、本発明のプロセスにおいて、存在するリサイクルポリオレフィンの量に基づいて、約0.01~約2.0重量%、約0.02~約2.0重量%、約0.03~約2.0重量%、約0.04~約2.0重量%、約0.04~約2.0重量%、約0.05~約2.0重量%、約0.06~約2.0重量%、約0.07~約2.0重量%、約0.08~約2.0重量%、約0.09~約2.0重量%、約0.1~約2.0重量%、約0.2~約2.0重量%、約0.3~約2.0重量%、約0.4~約2.0重量%、約0.5~約2.0重量%、約0.6~約2.0重量%、約0.7~約2.0重量%、約0.8~約2.0重量%、約0.9~約2.0重量%、約1.0~約2.0重量%、約1.1~約2.0重量%、約1.2~約2.0重量%、約1.3~約2.0重量%、約1.4~約2.0重量%、又は約1.5~約2.0重量%の量で存在し得る。他の実施形態では、ラジカル開始剤の量は、存在するリサイクルポリオレフィンの量に基づいて、約0.1~約1重量%、約0.2~約1.0重量%、約0.3~約1.0重量%、約0.4~約1.0重量%、約0.5~約1.0重量%、又は約0.6~約1.0重量%の範囲である。したがって、100gのリサイクルポリオレフィンを使用する場合、0.1~2.0gのラジカル開始剤が存在し得る。上記のラジカル開始剤の量は、添加される総量である。ラジカル開始剤は、押出機の異なる部分において、1つのバッチ又は別々のバッチで添加され得ることが理解されるであろう。
【0184】
しかしながら、一実施形態では、全ての開始剤がプロセスの開始時に添加される。プロセスの開始とは、ラジカル開始剤が、リサイクルポリオレフィンとともに押出機の第1のゾーンに添加されることを意味する。
【0185】
本発明の一実施形態では、ラジカル開始剤の一部は、押出プロセスの開始時に添加され、ラジカル開始剤の一部は、プロセスの後期に添加される。この実施形態では、プロセスの開始時に添加される量は、添加される全ラジカル開始剤の30~70重量%、40~60重量%、又は約50重量%に相当する。プロセスの開始後に添加される量は、添加される全ラジカル開始剤の30~70重量%、40~60重量%、又は50重量%に相当し得る。
【0186】
プロセスにおいて後に添加されるラジカル開始剤は、押出プロセスにおける任意の後のゾーン、例えば第4、第5、第6又は第7のゾーン、特に第6のゾーンに添加することができる。本発明の一実施形態では、押出機は、12のゾーンを有する。
【0187】
本発明の別の実施形態では、出発リサイクルポリオレフィンは、押出機のメインホッパーに投入される。ラジカル開始剤は、その量の半分に基づいて、押出機の第1のゾーンに一度に、又は第1及び第6のゾーンの両方に同時に投入することができる。
【0188】
添加される開始剤の量は、最終的な押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMFRを制御するために使用され得る。開始剤の量が多いほど、より高いMFR値をもたらす傾向がある。
【0189】
本発明で使用されるラジカル開始剤は、好ましくは過酸化物ではない。開始剤は、炭素-炭素単結合又は炭素-水素結合のような少なくとも1つの単結合を破断することによって、炭素系フリーラジカルに熱分解することができる少なくとも1種の化合物(E)である。炭素系フリーラジカルは、式(I)又は(II)を有することができる
【0190】
【化1】
【0191】
式(I)において、R1、R2及びR3の各々は、独立して、水素、1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の直鎖、分岐又は環状の飽和又は一価不飽和炭化水素、6~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の芳香族炭化水素又はカルボキシレート基COOX(Xは、C1~C6-アルキル基である)から選択することができ、R1、R2及びR3のうちの少なくとも1つは、6~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の芳香族炭化水素である。
【0192】
式(II)において、R4及びR6は、独立して、水素、1~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の直鎖、分岐鎖、及び環状炭化水素、並びに6~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の芳香族炭化水素からなる群から選択され、R5は、1~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の直鎖、分岐鎖、及び環状炭化水素、並びに6~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の芳香族炭化水素からなる群から選択され、R4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、6~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の芳香族炭化水素である。
【0193】
式(I)又は(II)の好適な炭素系フリーラジカルは、例えば、Chemicals Reviews,2014,114,p5013、図1、ラジカルR1~R61から既知であり、本明細書の記述と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。R1及びR3の各々は、独立して、水素、1~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素、並びに6~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の芳香族炭化水素からなる群から選択することができ、R2は、1~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素、並びに6~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の芳香族炭化水素からなる群から選択することができる。
【0194】
上述したように、基R1、R2及びR3又はR4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、6~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の芳香族炭化水素である。したがって、本発明において好適な式(I)又は式(II)の炭素系フリーラジカルは、好ましくは、式(III)の1つ以上の化合物(E)から生成され、式中、R1、R3、R4及びR6の各々は、独立して、水素、1~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素、並びに6~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の芳香族炭化水素からなる群から選択され、R2及びR5の各々は、独立して、1~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の直鎖、分岐鎖及び環状炭化水素、並びに6~12個の炭素原子を有する置換及び非置換の芳香族炭化水素からなる群から選択され、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちの少なくとも1つは、6~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の芳香族炭化水素である。
【0195】
【化2】
【0196】
式(III)の化合物(E)は、対称構造及び非対称構造を有することができる。R2及びR5の各々は、独立して、6~12個の炭素原子を有する置換若しくは非置換の芳香族炭化水素から、又は6~10個の炭素原子を有する置換及び非置換アリール基からなる群から選択することができ、R1、R3、R4及びR6の各々は、独立して、水素及びC1~C6アルキル基からなる群から選択される。
【0197】
別の実施形態では、開始剤(E)は、式(IV)を有し、
【0198】
【化3】
式中、R7、R8、R9及びR10の各々は、独立して、水素原子、C1~6アルキル基、C1~2アルコキシ基、ニトリル基及びハロゲン原子からなる群から選択され、R1、R3、R4及びR6の各々は、独立して、水素及びC1~6アルキル基からなる群から選択される。
【0199】
更に別の実施形態では、開始剤(E)は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジプロピル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジブチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジヘキシル-2,3-ジフェニルブタン、2-メチル-3-エチル-2,3-ジフェニルブタン、2-メチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ-(p-メトキシフェニル)-ブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ-(p-メチルフェニル)-ブタン、2,3-ジメチル-2-メチルフェニル-3-(p 2’3’-ジメチル-3’-メチルフェニル-ブチル)-フェニル-ブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジプロピル-3,4-ジフェニルヘキサン、4,5-ジプロピル-4,5-ジフェニルオクタン、2,3-ジイソブチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジイソブチル-3,4-5ジフェニルヘキサン、2,3-ジメチル-2,3-ジp(tブチル)-フェニル-ブタン、5,6-ジメチル-5,6ジフェニルデカン、6,7-ジメチル-6,7-ジフェニルドデカン、7,8-ジメチル-7,8-ジ(メトキシフェニル)-テトラ-デカン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ(p-クロロフェニル)ブタン、2,3-ジメチル-2,3-ジ(p-ヨードフェニル)ブタン、及び2,3-ジメチル-2,3-ジ(p-ニトロフェニル)ブタンからなる群から選択される。
【0200】
別の実施形態では、開始剤(E)は、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン及び3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサンからなる群から選択される。
【0201】
ビスブレーキングプロセスによる最終押出後ポリオレフィン組成物
押出機を出る押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、リサイクルポリオレフィンよりもMFRが高く、分子量が低い。押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、少なくとも4g/10分のMFRを有することができる。押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMFRの増加は、リサイクルポリオレフィンよりも少なくとも3倍(すなわち、3倍又は200%)高くなり得る。他の実施形態では、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、出発リサイクルポリオレフィンよりも少なくとも4倍高い(300%)、少なくとも4.5倍高い(350%)、少なくとも5倍高い(400%)MFRを有することができる。
【0202】
リサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンの出発MFRが低い、例えば、10g/10分未満である場合、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMFRの増加は、更にもっと顕著であり得る。したがって、本発明の実施形態では、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMFRの増加は、10倍(900%)以上、12倍(1100%)以上、13倍(1200%)以上、14倍(1300%)以上、15倍(1400%)以上、又は20倍(1900%)以上であり得る。押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMFR値は、出発リサイクルポリオレフィンに関係なく、少なくとも8g/10分、少なくとも10g/10分、少なくとも20g/10分、少なくとも25g/10分、又は少なくとも50g/10分であり得る。押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMFR値は、100g/10分以上であり得る。
【0203】
押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン材料は、著しい量の架橋を示さない。押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンの架橋度は、0.5重量%未満(実施例において説明されるようにXHUとして決定される)、0.4重量%未満、又は0.3重量%未満であり得る。いくつかの実施形態では、架橋は、0.1重量%以下、又は0.05重量%以下であり得る。
【0204】
押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(ビスブレーキング済みポリマーとしても知られる)の密度は、本質的に変化しないままである。押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、910~1000kg/m3、又は915~985kg/m3の密度を有するLDPE、926~940kg/m3の密度を有するMDPE、又は855~980kg/m3の密度を有するHDPEであり得る。
【0205】
押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンのMw/Mn値が変化しないようであることも注目すべきである。したがって、Mw/Mnは、押出後に1.5~4.0の範囲であり得る。上に列挙された押出前の値は、押出後のリサイクルポリオレフィンにも同様に適用される。
【0206】
ビスブレーキング済みリサイクルポリオレフィンの融点(ISO 11357-1に従ってDSCで測定される)は、100℃未満、90℃未満又は85℃未満であり得る。本発明の一実施形態では、LLDPEなどのエチレンコポリマーの融点は、120℃以下である。
【0207】
本発明の押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、重合プロセスから直接ではなくビスブレーキングプロセスに由来するため、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンは、開始剤に由来する残留物を含有する可能性が高い。例えば、開始剤が上記式(III)の1つである場合、ラジカルは、ラジカル基R1R2R3C・及びR4R5R6C・を脱離するC-C結合の分裂を介して生成される。これらのラジカルはプロトンを獲得するため、得られた化合物は、最終ポリマー中の不純物として検出され得る。検出方法には、NMRが含まれる。この化合物の検出は、押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリマーが、直接合成とは対照的にビスブレーキングから誘導されることを確認する。
【0208】
ラジカルR1R2R3C・又はR4R5R6C・は、ポリマー鎖に結合していてもよい。
【0209】
押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリマーは、必要に応じて更なる添加剤を添加することができるが、通常、これは必要とされない。しかしながら、様々な量の添加剤、例えば顔料、成核剤、帯電防止剤、充填剤、酸化防止剤等が存在してもよい。
【0210】
次いで、ビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィンを溶融ブレンドして、(A)約60~約96重量%の当該押出されたビスブレーキング済みリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン、B)約2~約20重量%の少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー、C)任意選択で、約2~約20重量%の少なくとも1種の粘着付与剤、及びD)任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマーを含む、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物を形成し、ポリオレフィン組成物は、約0.2~約5.0のランダムアルファ-オレフィンコポリマー対粘着付与剤の重量比を有し、ポリオレフィン組成物は、非押出非ビスブレーキングリサイクルポリオレフィンと比較して、約5~約1500%のメルトフローレートの増加を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、溶融ブレンドされたランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~約400%のMFRの増加を有する。この溶融ブレンドステップ並びにランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤は、本開示において先に考察されている。本発明の少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物は、低減されたノッチ付き衝撃強さをもたらすビスブレーキングプロセスに供されたリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、任意選択で少なくとも1種の粘着付与剤(C)、及び任意選択で少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含み、B+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約30重量%又は約10~約20重量%であり、B対Dの重量比は、約0.3~約3.0又は約0.2~約2.0であり、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~約200%のノッチ付き衝撃強さの増加を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0211】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物は、低減されたノッチ付き衝撃強さをもたらすビスブレーキングプロセスに供されたリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(A)、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び25,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有する少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、及び任意選択で、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種の粘着付与剤(C)、及び任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含み、B+Dのパーセンテージは、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約30重量%又は約10~約20重量%であり、B対Dの重量比は、約0.3~約3.0又は約0.2~約2.0であり、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~約200%のノッチ付き衝撃強さの増加を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0212】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、低減されたノッチ付き衝撃強さをもたらすビスブレーキングプロセスに供された押出ポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、任意選択で、少なくとも1種の粘着付与剤(C)、及び任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、追加のポリマーは、限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレンメチル-アクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得、当該押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、B+Dのパーセンテージが、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約30重量%、より好ましくは約10~20重量%であり、B対Dの重量比が、0.3~3.0、より好ましくは0.2~2.0であるように調製され、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~約100%のMFRの増加及び約5~約200%のノッチ付き衝撃強さ増加を有し、ポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0213】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、低減されたノッチ付き衝撃強さをもたらすビスブレーキングプロセスに供されたポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィン(A)、-10℃以下のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)及び25,000g/mol以下の公称分子量(ISO 16014)を有する少なくとも1種のランダムアルファ-オレフィンコポリマー(B)、及び任意選択で、45℃以上のガラス転移温度(ASTM D 3418-15)を有する少なくとも1種の粘着付与剤(C)、(C)、及び任意選択で、少なくとも1種の追加のポリマー(D)を含む、ポリオレフィン組成物が提供され、追加のポリマーは、限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレンメチル-アクリレートコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、又はエチレン-オクテンコポリマーであり得、当該押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、B+Dのパーセンテージが、全ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約10~約30重量%、より好ましくは約10~20重量%であり、B対Dの重量比が、0.3~3.0、より好ましくは0.2~2.0であるように調製され、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択で粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~約100%のMFRの増加及び約5~約200%のノッチ付き衝撃強さの増加を有し、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持する。
【0214】
この実施形態の少なくとも1つの態様では、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物は、許容可能な機械的特性を維持しながら、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー、任意選択の粘着付与剤樹脂、及び追加のポリマーを含まない同じ押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物と比較して、約5~100%のMFRの増加及び約5~100%の降伏点伸びの増加も示す。
【0215】
この実施形態の別の態様では、追加のポリマー(D)は、分別溶融MFR(ISO1133に従って190℃、2.16kgで測定して<1)を有する未使用のポリマーであり、この実施形態の更に別の態様では、追加のポリマーは、ビスブレーキング後のリサイクルポリエチレンリッチポリオレフィン(A)と比較して、100~1000%高いノッチ付き衝撃強さを有するリサイクルポリオレフィンである。
【0216】
少なくとも1つの実施形態では、ポリオレフィン組成物は、本開示において前述したように、溶融ブレンドによるビスブレーキング後の第2のプロセスステップにおいて作製される。ビスブレーキングステップの後及び溶融ブレンドステップの前に、ビスブレーキング済みポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンは、当業者に知られている条件に従って、限定されないが、ペレット、フレーク、粉末の形態で貯蔵することができる。少なくとも1つの実施形態では、ビスブレーキング済みポリエチレンリッチポリオレフィンは、当業者に知られている添加剤で安定化され、溶融形態で貯蔵され得る。
【0217】
少なくとも1つの他の実施形態では、ビスブレーキング済みポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンは、中間貯蔵なしに溶融ブレンドプロセスに直接供給される。押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物を達成するための溶融ブレンドプロセス(ビスブレーキングプロセスのインラインで続く)は、ビスブレーキング済みポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンが、適切な供給及び溶融ブレンドを可能にするために、好ましくは250℃未満、より好ましくは220℃未満に十分に冷却されたときにのみ行うことができる。この溶融ブレンドプロセスは、本開示において先に論じられている。
【0218】
この実施形態の別の特定の態様では、押出されたビスブレーキング済みポリオレフィン組成物中のランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び/又は粘着付与剤及び/又は追加のポリマーの投入レベルは、インラインレオメーターを使用してビスブレーキング済みポリエチレンリッチリサイクルポリオレフィンの溶融粘度を測定し、この測定された溶融粘度に基づいて投入レベルを適合させて目標溶融粘度を達成することによって計量することができる。そのようなインラインレオメーターは、Haake、Leistritz及びBrabenderなどの会社から入手可能である。
【0219】
用途
本発明の別の実施形態では、ポリオレフィン組成物を含む物品が提供される。物品としては、フィルム(例えば、包装用の単層又は多層フィルム、単軸又は二軸配向フィルム、キャストフィルム、収縮フィルム、オーバーラップフィルム、ラミネーションフィルム、積層フィルム、プラスチックバッグ用のブローフィルム、農業用フィルム、被覆部品又は携帯電話スクリーン用の保護フィルム、保護包装フィルム、垂直成形充填密封包装用フィルム、水平成形充填密封包装用フィルム、アンダースラブ防湿バリア用建築フィルム、シート、押出部品(例えば、単一、共及び多重押出形材、チューブ、繊維及びパイプ、オーバー被覆ワイヤ)、射出成形部品(例えば、バッテリーケース)、ブロー成形部品(例えば、剛性包装、ボトル及び家庭用自動車、食品又はパーソナルケア用の容器)、熱成形物品(例えば、家庭用ケア、食品又はパーソナルケア用の深絞り容器又はカップ)、回転成形物品(例えば、水タンク)、織布及び不織布並びに発泡物品(例えば、シーリングガスケット)が挙げられるが、これらに限定されない。追加の物品としては、カーペット、床材、屋根材、複合材(例えば、外装デッキ)、合成紙、人工芝、繊維、熱可塑性エラストマー(例えば、TPOシート又は(オーバー)成形品)、自動車部品(例えば、ダッシュボード及びウィンドウシール)、コンピューター部品、ヘルスケア部品、建築材料、家庭電化製品、電子部品、電気部品、玩具及び履物部品が挙げられる。本開示のフィルムは、任意の好適なフィルム構造及びフィルム用途を含む。具体的な最終用途フィルムとしては、例えば、ブローフィルム、キャストフィルム、ストレッチフィルム、ストレッチ/キャストフィルム、ストレッチクリングフィルム、ストレッチハンドラップフィルム、機械ストレッチラップ、収縮フィルム、収縮ラップフィルム、グリーンハウスフィルム、ラミネート、及びラミネートフィルムが挙げられる。例示的なフィルムは、例えば、ブロー、押出、及び/又はキャスト延伸及び/又は収縮フィルムを調製するために利用される技法などの任意の好適な技法によって調製される。多層フィルム(multilayer film又はmultiple-layer film)は、任意の好適な方法によって形成され得る。多層フィルムの全厚さは、所望の用途に基づいて変化し得る。本開示の組成物から作製されたシートは、容器を形成するために使用され得る。そのような容器は、熱成形、固相圧力成形、スタンピング及び他の成形技法によって形成され得る。シートはまた、床又は壁又は他の表面を覆うように扇形に展開されてもよい。
【0220】
本発明の組成物は、当業者に既知のいくつかの従来のプロセス及び装置のうちの1つによって物品に形成されてもよい。例示的なプロセスとしては、鋳造、押出、押出コーティング、共押出、押出発泡、圧縮成形、カレンダリング、射出成形、薄壁射出成形、低圧成形、直接射出膨張発泡成形、圧縮成形、トランスファー成形、ブロー成形、回転成形、又は押出に続く熱形成若しくは二軸配向などのそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。プロセスの組み合わせは、インラインで行われてもよく、又は半完成品の中間保管(例えば、押出フィルムの二次配向)を可能にする別個の生成ステップからなるプロセスとして行われてもよい。物品はまた、熱固定プロセスなどの現場溶融プロセスによって、又は固相形成とも呼ばれる冷間形成プロセスとして調製されてもよい。加えて、物品は、限定されないが、ステレオリソグラフィー(stereolithografie、SLA)、融合堆積溶融(fuse deposit melting、FDM)、選択的レーザー焼結(selective laser sintering、SLS)、マルチジェットフュージョン(multi jet fusion、MJF)ポリジェット、真空鋳造又はそれらの組み合わせを含む、付加製造プロセスによって調製されてもよい。
【0221】
本発明に記載される組成物が未使用のポリオレフィンポリマーも含有し得ることが本発明の実施形態内で暗示され、当業者は、本明細書及びそれに添付される特許請求の範囲を使用して、組成物の重量に基づいて96重量%までの未使用のポリオレフィンポリマーを含有する組成物を変性させることができる。未使用のポリマーは、リサイクルポリオレフィン又はリサイクルポリオレフィンの大部分のポリマーと同一(期限を除く)であっても異なっていてもよい。
【実施例
【0222】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の実施例を参照してより完全に理解され得るが、これらは、本発明の好ましい実施形態の単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0223】
実施例1~19で使用した材料を表1に示す。
【0224】
【表1】
PCR PEは、小パーセンテージのポリプロピレン(<0.5%)及びカーボンブラック(<1.3%)を含有するが、微量の他のポリマー(<0.03%のポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリアミド、ポリウレタン)も含有する
【0225】
これらの実施例において使用される記号の意味、言及された変数を表す単位、及びこれらの変数を測定する方法を以下に説明する。
【0226】
これらの実施例1~23におけるデータの試験方法を以下の表2に提供する。
【0227】
【表2】
万能試験標本は、Engel Victory VC 300/80 Tech pro射出成形機(クランプ力800kN及びスクリュー直径35mm)を使用して、200~230℃のスクリュー温度プロファイル及び25℃の設定金型キャビティ温度で射出成形することによって調製した。
【0228】
実施例1~8 粘着付与剤又はランダムアルファ-オレフィンコポリマーを含むMBで変性されたポリエチレンリッチPCR
ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、0.8のMFR(190℃、2.16kg)を有する89.9~99.9重量%のポストコンシューマーポリエチレン(post-consumer polyethylene、PCR PE)、0~2重量%の完全水素化炭化水素粘着付与剤樹脂(Plastolyn(商標)R1140)、0~5重量%の非晶質ポリ-アルファ-オレフィン(Aerafin(商標)17)及び0.1重量%の抗酸化剤/安定剤(Irganox(商標)1010及びIrgafos(商標)168)を含むポリオレフィン組成物を、PCR PEを、22のMFR(190℃、2.16kg)を有する未使用の低密度ポリエチレン中のPlastolyn(商標)R1140の50%マスターバッチ、22のMFR(190℃、2.16kg)を有する未使用の低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)中のAerafin(商標)17非晶質ポリ-アルファ-オレフィンの50%マスターバッチ、並びに粉末形態のIrganox(商標)1010及びIrgafos(商標)168と手動ドライブレンドした後、145~160℃のスクリュー温度プロファイル及び170rpmのスクリュー速度でLeistritz二軸スクリュー押出機で配合することによって調製した。実施例の組成及び特性を表3及び表4に示す。マスターバッチを、手動ドライブレンド後、85~135℃のスクリュー温度プロファイル及び170rpmのスクリュー速度でLeistritz二軸スクリュー押出機で配合した。
【0229】
【表3】
【0230】
表3の結果は、比較例3~6における水素化炭化水素樹脂のみ又は非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンのみのいずれかによるPCR PEの変性を上回る本発明の改善された特性を実証する。MFRの著しい増加を有するために必要とされるレベルでの非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンの単一投入は、降伏点引張強さの減少をもたらし(比較例4)、一方、より低いレベルでの投入は、MFRの所望の増加を示さない(比較例3)。MFRの著しい増加を有するのに必要とされるレベルでの水素化炭化水素樹脂の単一投入は、シャルピー衝撃強さの低下をもたらし(比較例6)、一方、より低いレベルでの投入は、MFRの所望の増加を示さない(比較例5)。発明例2におけるMFR、降伏点引張強さ及びシャルピー衝撃強さの結果は、比較例と比較して、水素化炭化水素粘着付与剤樹脂及び非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンの両方を投入した場合に、驚くべき予想外の改善を示す。
【0231】
【表4】
計算例8からの結果は、水素化炭化水素樹脂及び非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンの総投入パーセンテージに関する変数に対する影響の線形性を仮定した、実施例4及び5からの結果の加重平均である。この線形性は、MFR、引張弾性率及び降伏点引張強さについて検証され、実施例13~16及び実施例18~20によって示されるように、0~10%の投入レベルについて正確であり、R>0.97の線形フィットをもたらすことが証明される。
【0232】
表4の結果は、水素化炭化水素樹脂及び非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンによるPCR PEの変性の計算された特性(計算例8)を上回る本発明(実施例7)の改善された特性を実証する。MFRの増加は、水素化炭化水素樹脂又は非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンのみを投入することによる重量平均MFRの増加に基づいて計算されたMFR(計算例8)よりも高い。予想外に、降伏強さもまた、計算例8の予想降伏強さを上回っている。
【0233】
実施例9~11 粘着付与剤樹脂又はランダムアルファ-オレフィンコポリマーを含むMBを用いたポリプロピレンリッチPCRの変性
ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、80~100重量%のポストコンシューマーポリプロピレン(PCR PP)、0~10重量%の非晶質ポリ-アルファ-オレフィン(Aerafin(商標)17)、及び0~2重量%の完全水素化炭化水素粘着付与剤樹脂(Plastolyn(商標)R1140)を含むポリオレフィン組成物を、PCR PPを、25のMFR(230℃、2,16kg)を有する未使用のポリプロピレン中のAerafin(商標)17の50重量%マスターバッチ、及び25g/10分のMFR(230℃、2,16kg)を有する未使用のポリプロピレン中のPlastolyn(商標)R1140の50重量%マスターバッチと手動ドライブレンドした後、150~210℃のスクリュー温度プロファイル及び250rpmのスクリュー速度でCollin ZK25P二軸スクリュー押出機で配合することによって調製した。実施例の組成及び特性を表5に示す。マスターバッチを、手動ドライブレンド後、120~180℃のスクリュー温度プロファイル及び130rpmのスクリュー速度でLeistritz二軸スクリュー押出機で配合した。
【0234】
【表5】
【0235】
表5の結果は、実施例11における非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンのみによるPCR PPの変性を上回る本発明の改善された特性を実証する。MFRの増加は、非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンのみを投入した場合(実施例10)のMFRよりも高い。
【0236】
比較例12~16 PCR PE中のランダムアルファ-オレフィンコポリマー
ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、80~95重量%のポストコンシューマーポリエチレン(PCR PE)及び2.5~10重量%の非晶質ポリ-アルファ-オレフィン(Aerafin(商標)17)を含む比較ポリオレフィン組成物を、150~210℃のスクリュー温度プロファイル及び200rpmのスクリュー速度でCollin ZK25P二軸スクリュー押出機で配合することによって調製した。7.5g/10分のMFR(190℃、2,16kg)を有する未使用の低密度ポリエチレン中の50重量%マスターバッチのAerafin(商標)17とPCR PEを手動ドライブレンドした後、マスターバッチ及びポストコンシューマーポリエチレンを、手動ドライブレンド後、85~135℃のスクリュー温度プロファイル及び170rpmのスクリュー速度でLeistritz二軸スクリュー押出機で配合した。参考例12は、Aerafin(商標)17のマスターバッチを添加せずに同様に調製した。
【0237】
【表6】
【0238】
表6aの結果は、非晶質ポリ-(アルファ-)オレフィンの総投入パーセンテージに関する変数に対する効果の線形性の仮定(実施例8で行った)を支持する。
【0239】
比較例17~20 PCR PP中の粘着付与剤樹脂
ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、80~95重量%のポリプロピレンホモポリマー(Moplen HP400H)及び5~20重量%の完全水素化炭化水素粘着付与剤樹脂(Plastolyn(商標)R1140)を含む比較ポリオレフィン組成物は、80~190℃のスクリュー温度プロファイル及び300rpmのスクリュー速度でCoperion ZSK 18共回転18mm二軸スクリュー押出機で配合することによって調製されたMoplen HP400H中のPlastolyn(商標)R1140の20%マスターバッチを使用してドライブレンドした。Engel Victory VC 300/80 Tech pro射出成形機(800kNクランプ力及び35mmスクリュー直径)を使用して、200~220℃のスクリュー温度プロファイル及び15℃の設定金型キャビティ温度で射出成形することによって、ドライブレンドから万能試験標本を調製した。参考例17は、Plastolyn(商標)R1140のマスターバッチを添加せずに同様に調製した。
【0240】
【表7】
【0241】
表6bの結果は、水素化炭化水素樹脂の総投入パーセンテージに関する変数に対する効果の線形性の仮定(実施例8で行った)を支持する。
【0242】
実施例21~23で使用した材料を表7に示す。
【0243】
【表8】
PCR PEは、小パーセンテージのポリプロピレン(<0.5%)及びカーボンブラック(<1.3%)を含有するが、微量の他のポリマー(<0.03%のポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリアミド、ポリウレタン)も含有する
【0244】
比較例21 PCR PEの押出
100%のポストコンシューマーポリエチレン(PCR PE、0.8 MFR)を含む化合物を、250~350℃のスクリュー温度プロファイル及び150rpmのスクリュー速度でCollin ZK 25E LD 42二軸スクリュー押出機で配合することによって調製した。
【0245】
比較例22 PCR PEのビスブレーキング
99.9%のポストコンシューマーポリエチレン(PCR PE、0.8 MFR)及び0.1%の2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン(ラジカル開始剤)を含む化合物を、PCR PEをラジカル開始剤と手動ドライブレンドした後、250~350℃のスクリュー温度プロファイル及び150rpmのスクリュー速度でCollin ZK 25E LD 42二軸スクリュー押出機で配合することによって調製した。
【0246】
発明例23 ランダムアルファオレフィンコポリマーによるビスブレーキング済みrPEの変性
79.7%の比較例22、10%の非晶質ポリ-アルファ-オレフィン(Aerafin(商標)17)及び0.3%の酸化防止剤/安定剤(Irganox(商標)1010及びIrgafos(商標)168)を含む化合物は、7.5のMFR(190℃、2,16kg)を有する未使用の低密度ポリエチレン中のAerafin(商標)17の50%マスターバッチ、並びにステアリン酸カルシウム中のIrganox(商標)1010及びIrgafos(商標)168の75%マスターバッチ(1:2の比のIrganox(商標)1010対Irgafos(商標)168)を有する比較例22を手動ドライブレンドした後、145~170℃のスクリュー温度プロファイル及び20rpmのスクリュー速度でCollin ZK 25E LD 42二軸スクリュー押出機で配合することによって調製した。Aerafin(商標)17マスターバッチを、手動ドライブレンド後、120~180℃のスクリュー温度プロファイル及び130rpmのスクリュー速度でLeistritz二軸スクリュー押出機で配合した。
【0247】
【表9】
【0248】
表8の結果は、高温押出(比較例21)による、又はラジカル開始剤の存在下での高温押出(ビスブレーキング)(比較例22)によるPCR PEの変性よりも、本発明(発明例23)の改善された特性を実証する。ラジカル開始剤の存在下での高温押出(ビスブレーキング)後の非晶質ポリ-アルファ-オレフィンによる変性は、ラジカル開始剤の存在下で高温押出を行うことのみよりも62.9%高いMFRをもたらし、ラジカル開始剤の非存在下での高温押出と比較して430%高いMFRをもたらす。元の未変性PCR PEと比較して、発明例23は、1160%高いMFRを示す。
【0249】
以下の実施例24~51で使用した材料を表9に示す。
【0250】
【表10】
PCR PE2は、小パーセンテージのポリプロピレン(<0.5%)、CaCO3(<1.5%)、及び無機顔料(<0.5%)を含有するが、微量の他のポリマー(<0.03%のポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリアミド、ポリウレタン)も含有する
【0251】
実施例24~51におけるデータの試験方法を以下の表10に提供する。
【0252】
【表11】
万能試験標本は、Toyo射出成形機(90トンのクランプ力及び32mmのスクリュー直径)を使用して、170~195℃のスクリュー温度プロファイル及び20℃の設定金型キャビティ温度で射出成形することによって調製した。
【0253】
実施例24 マスターバッチを使用して調製したPCR PE組成物
3種のマスターバッチ(masterbatche、MB)を、表11に列挙した組成、並びにスクリュー温度プロファイル及びスクリュー速度で、直径40mm、40/1 L/DのWerner&Pfleiderer二軸スクリュー押出機で配合した。ランダムアルファ-オレフィンコポリマー又は粘着付与剤樹脂及び担体ポリマーのための2つの原料フィーダーを、マスターバッチプロセス中にメインホッパーで利用した。
【0254】
【表12】
【0255】
ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、90重量%のポストコンシューマーポリエチレン(post-consumer polyethylene、PCR PE2)、5重量%の完全水素化炭化水素粘着付与剤樹脂(Eastotac(商標)H-142W)、及び5重量%のDowlex(商標)2045G LLDPE担体を含むポリオレフィン組成物を、未使用のDowlex(商標)2045G直鎖状低密度ポリエチレン担体(1.0のMFR、190℃、2.16kg)中のEastotac(商標)H-142W粘着付与剤樹脂の前述の50%マスターバッチと手動ドライブレンドすることによって得た。90トンのToyo射出成形機を使用して、170~195℃のバレル温度プロファイル及び20℃の金型キャビティ温度で、ブレンドを射出成形した。
【0256】
実施例25~34 マスターバッチを使用して調製したPCR PE組成物
実施例25~34のポリオレフィン組成物は、実施例24と同様に調製し、組成及び特性は、表12及び13に示されるとおりである。参考例30もまた、実施例24と同様に調製したが、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー又は粘着付与剤樹脂を添加しなかった。
【0257】
全ての実施例は、190℃、2.16kgで測定されたMFRの増加を示す。データ及び組成の分析は、LLDPE担体、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び粘着付与剤樹脂の全てが、MFRの増加に寄与することを示したが、しかしながら、驚くべきことに、増加は、各成分の重量パーセントにおいて線形ではなかった。
【0258】
Aerafin 17及びEastotac H-142Wを各々5重量%含む発明例31は、参考例30の元のPCRと比較して、驚くべき289%の伸びの増加を示すが、比較例28では5%のAerafin 17で104%の伸びの増加が得られ、比較例24では5%の樹脂Eastotac H-142Wでわずか49%の伸びの増加が得られた。
【0259】
5%のPlastolyn R1140樹脂を比較例29の組成物に添加した発明例34は、参考例30の元の未変性PCRと比較して、驚くべき526%の伸びの増加を示すが、実施例29では10%のAerafin 17で299%の伸びの増加が得られ、比較例27では10%の樹脂Plastolyn R1140でわずか93%の伸びの増加が得られた。
【0260】
10%のEastotac H-142W樹脂を実施例28の組成物に添加した発明例33は、参考例30における元のPCRと比較して、驚くべき589%の伸びの増加を示すが、実施例28では5%のAerafin 17で104%の伸びの増加が得られ、実施例25では10%の樹脂Eastotac H-142Wでわずか130%の伸びの増加が得られた。MFR及び伸びのこの増加は、粘着付与剤樹脂単独又はランダムアルファ-オレフィンコポリマー単独のいずれかを使用して得られるよりも有利なMFR及び物理的特性のバランスをもたらした。
【0261】
比較例24~27は、LLDPE担体樹脂中に水素化炭化水素樹脂のみを添加すると、ノッチ付きアイゾット衝撃強さが84%も低下することを示す。これらの組成物は、20%ものLLDPEを含有していた。
【0262】
室温でのノッチ付きアイゾット衝撃値は、その非常に高い可撓性のために担体LLDPEのドッグボーン上で測定することができなかったが、驚くべきことに、ポリオレフィン組成物の45%という高いLLDPEレベルを含む実施例28~29及び発明例31~34は、参考例30における元のPCR PEと比較して改善されたノッチ付きアイゾットを示すことが見出された。ランダムアルファ-オレフィンポリマーのみを含有する実施例(比較例28及び29)のノッチ付きアイゾットは、元のPCR(参考例30)よりも45%及び142%高かったが、発明例31~34は、元のPCRよりも38%~159%高い範囲のノッチ付きアイゾット値を有していた。
【0263】
他のポリマーも同様にマスターバッチ組成物に組み込んで、最終組成物の衝撃性能又は他の物理的特性を改善することができる。
【0264】
【表13】
【0265】
【表14】
【0266】
実施例35 マスターバッチを介したポリプロピレンリッチポストコンシューマーポリオレフィンの変性
実施例35~44で使用したPPマスターバッチの調製
マスターバッチ(MB)を、表14に列挙したスクリュー温度プロファイル及びスクリュー速度で、直径40mm、40/1 L/DのWerner&Pfleiderer二軸スクリュー押出機で配合した。ランダムアルファ-オレフィンコポリマー又は粘着付与剤樹脂及び担体ポリマーのための2つの原料フィーダーを、マスターバッチプロセス中にメインホッパーで利用した。
【0267】
【表15】
【0268】
ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、80重量%のポリプロピレンリッチポストコンシューマーポリオレフィン(PCR PP)、10重量%の完全水素化炭化水素樹脂(Eastotac(商標)H-142W)、及び10重量%のPinnacle(商標)1112担体(MFR 12g/10分、230℃、2.16kg)を含むポリオレフィン組成物を、12.0のMFR(230℃、2.16kg)を有する未使用のPinnacle(商標)1112ポリプロピレン担体中のEastotac(商標)H-142W完全水素化炭化水素樹脂の前述の50%マスターバッチと手動ドライブレンドすることによって得た。90トンのToyo射出成形機で、170~195℃のバレル温度プロファイル及び20℃の金型キャビティ温度で、ブレンドを射出成形した。
【0269】
実施例36~44 マスターバッチを介したポリプロピレンリッチポストコンシューマーポリオレフィンの変性
実施例36~44のポリプロピレンリッチポリオレフィン組成物は、実施例35と同様に調製し、組成及び特性は、表15及び16に示されるとおりである。参考例39 PCR PPは、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー又は粘着付与剤樹脂を添加せずに調製した。
【0270】
【表16】
【0271】
【表17】
【0272】
発明例43は、比較例38の組成物への5% Plastolyn R1140樹脂の添加が、未変性PP PCR(参考例39)よりも31%高いMFRをもたらすことを示し、これは、比較例36における5% Plastolyn R1140単独の添加から得られたパーセント改善の2倍である。この発明例はまた、未変性PP PCRの値を超える曲げ強さ(39%)及び曲げ弾性率(84%)の予想外の増加を示し、これらの値はまた、5% Aerafin 17 APOのみを含有する比較例38の値よりも大きかった。
【0273】
発明例44は、10%のPlastolyn R1140樹脂を5%のAerafin 17 APOと組み合わせることにより、MFR(58%)、曲げ強さ(45%)、及び曲げ弾性率(104%)において、未変性PP PCRの値よりも更に大きな増加をもたらす。驚くべきことに、ヤング率もまた、未変性PP PCR(参考例39)及び比較例38の値を超えて増加した(15%)。発明例43及び44の驚くほど改善された特性は、粘着付与剤樹脂単独又はランダムアルファ-オレフィンコポリマー単独のいずれかを使用して得られたよりも有利なMFR及び物理的特性のバランスをもたらした。
【0274】
5%のEastotac H-142W樹脂及び10%のAerafin 17 APOを含有する発明例42は、10%のAerafin 17 APOのみを含有する比較例41よりも大きいMFRを示した。加えて、この発明例は、驚くべきことに、他の物理的特性を維持しながら、未変性PCR PPよりも152%大きい破断点伸びを有した。この発明例の伸びはまた、それぞれ等量のランダムアルファ-オレフィンコポリマーのみ又は粘着付与剤樹脂のみを有する比較例41及び35よりも大きかった。
【0275】
実施例45~51 直接添加によって調製されたPCR PE組成物
マスターバッチを含まないドライブレンド試料を、表17に列挙したスクリュー温度プロファイル及びスクリュー速度で、直径18mm、40/1 L/DのLeistritz二軸スクリュー押出機で完全に配合した。ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及び/又は粘着付与剤樹脂とPCR PE2とのドライブレンド混合物のための1つの原料フィーダーを、全化合物プロセス中にメインホッパーで利用した。
【0276】
試験標本は、170~195℃のバレル温度プロファイル、32mmのスクリュー直径、及び20℃の金型キャビティ温度で、90トンのToyo射出成形機で射出成形することによって調製した。
【0277】
【表18】
【0278】
実施例45~51は、化合物のMFRを実施例45のそれよりも49%~114%増加させ、化合物の破断点伸びを未変性の参考例45の伸びよりも4%~70%増加させる。驚くべきことに、粘着付与剤樹脂及び非晶質ポリ-アルファ-オレフィンの両方を含む発明例47、49及び51は、非晶質ポリ-アルファ-オレフィンのみを未変性PCR PE2に添加した場合に得られる伸びを超えて破断点伸びを著しく増加させ、例えば、実施例47は、比較例46で得られた伸びの19%増加と比較して、未変性PCR PEよりも70%大きい伸びを示し、発明例49は、比較例48の4%大きい伸びと比較して、未変性PCR PEよりも41%大きい伸びを有した。粘着付与剤樹脂、ランダムアルファ-オレフィンコポリマー及びPCRの間の予想外の相互作用は、PCRのレオロジー特性(流動性)を改善し、ポリオレフィン組成物の物理的特性を標的用途の必要性に対してバランスをとる能力を提供する。
【0279】
驚くべきことに、変性PCR試料についての試験標準偏差は、未変性PCR試料の試験標準偏差よりも著しく低いことが認められた。試験変動の著しい低減は、変性PCRポリオレフィン組成物が、未変性PCRよりも一貫した組成及び品質を有することを示す。
【0280】
【表19】
【0281】
以下の実施例で使用される追加の材料は、以下の表19に列挙されるとおりである。使用した試験方法を表2に示す。
【0282】
【表20】
【0283】
実施例52~56 ランダムアルファ-オレフィン及びエチレン-1-オクテン又はエチレン-1-ヘキセンMDPEポリオレフィンポリマーのいずれかを含有するMBによるビスブレーキング済みrHDPEの変性
2つのマスターバッチを、成分の手動ドライブレンド後、135~165℃のスクリュー温度プロファイル及び150rpmのスクリュー速度でLeistritz二軸スクリュー押出機で生成した。
【0284】
マスターバッチMB1は、50重量%のDOWからのElite(商標)5940ST、中密度の分別溶融C8強化ポリエチレン樹脂(MDPE)、及び50重量%のAerafin(商標)180、プロピレン-エチレン非晶質ランダムコポリマーを用いて作製した。
【0285】
マスターバッチMB2は、50重量%のExxon MobileからのEnable(商標)4009MCブロー、中密度の分別溶融エチレン1-ヘキセンコポリマー、及び50重量%のAerafin(商標)180、プロピレン-エチレン非晶質ランダムコポリマーを用いて作製した。
【0286】
【表21】
【0287】
MB1及びMB2の両方を使用して、ラジカル開始剤の存在下で鎖切断を誘導する粘度破断(ビスブレーク)プロセスへの曝露及び高温、例えば320℃超への曝露に起因して、衝撃強さが低減したリサイクルポリエチレンリッチHDPEストリーム(PCR PE)を変性させた。このプロセスは、ビスブレーキング済みリサイクルHDPE(参考例52)のシャルピーノッチ付き衝撃強さを35.8kJ/mから4.1kJ/m(ISO179-1)に低減した。
【0288】
145~170℃のスクリュー温度プロファイル及び200rpmのスクリュー速度のCollin ZK25P二軸スクリュー押出機を使用して、10重量%又は20重量%のMB1又はMB2を、記載されたビスブレーキング済みリサイクルHDPE中に配合した。得られたポリオレフィン組成物を使用して、射出成形試験棒を作製し、MFR、引張特性及びノッチ付き衝撃強さを評価した。以下の表21及び22は、組成及び測定された特性を列挙する。
【0289】
【表22】
【0290】
【表23】
【0291】
発明例53~56は、未変性の参照と比較して、ノッチ付きシャルピー衝撃強さの30%~90%の増加を示し、同時に、発明例53~56は、MFRの25%~50%の増加を示し、両方とも、分別溶融MDPEと低粘度非晶質ポリオレフィンとの組み合わせによって引き起こされた。
【0292】
実施例57~63 直接投入によるランダムアルファ-オレフィン及びMDPEによるビスブレーキング済みr-HDPEの変性
Ineos Olefins&Polymers(Rolle,Switzerland)からの直鎖状中密度ポリエチレングレードであるEltex(商標)HD3930UAを、Eastman Chemical(Kingsport,TN,USA)からのプロピレン-エチレン非晶質ランダムコポリマーであるAerafin(商標)180と組み合わせて使用して、ラジカル開始剤の存在下で鎖切断を誘導する粘度破断(ビスブレーク)プロセスへの曝露及び高温、例えば320℃超への曝露に起因して衝撃強さが低減したリサイクルHDPEストリームを変性させた。このプロセスは、ビスブレーキング済みリサイクルHDPEのシャルピーノッチ付き衝撃強さを35.8kJ/mから4.1kJ/m(ISO 179-1)に低減した。
【0293】
145~170℃のスクリュー温度プロファイル及び200rpmのスクリュー速度でCollin ZK25P二軸スクリュー押出機を使用して、20重量%、40重量%又は60重量%のEltex HD3930UAを単独で、又は5重量%のAerafin 180と組み合わせて、記載されたビスブレーキング済みリサイクルHDPEに配合した。Aerafin 180をビスブレーキング済みリサイクルHDPEとドライブレンドし、メインホッパーに添加し、Eltex HD3930UAを第2の供給ホッパーを使用して添加し、両方とも配合機の入口部分で投入した。得られたポリオレフィン組成物を使用して、射出成形試験棒を作製し、MFR、引張特性及びノッチ付き衝撃強さを評価した。以下の表23及び24は、ブレンド組成物及び測定された特性を列挙する。
【0294】
【表24】
【0295】
【表25】
【0296】
表24は、追加のポリマーの包含が、ノッチ付き衝撃強さを改善し、伸びを維持しながら、リサイクルポリオレフィン組成物のMFRを比較例57~59の12%~24%減少させたことを示す。発明例61~63は、追加のMDPEポリマー及びランダムアルファ-オレフィンコポリマーの特性に基づく衝撃性能の予想外のより大きな改善、並びにより低いMFR MDPEの添加によるMFR低下の低減を示す(例えば、比較例57と比較した発明例61)。発明例62のノッチ付きシャルピー衝撃強さは、比較例58と比較して15%高い。特に、本発明者らは、驚くべきことに、追加のポリマー及びランダムアルファ-オレフィンコポリマーの両方を含む発明例61が、未変性の参考例52のビスブレーキング済みr-HDPE PCR PE(追加のポリマーのみを有する比較例57よりも14%高い)と等しいMFR、比較例57よりも17%高い降伏点伸び、及び比較例57よりも28%高いノッチ付きシャルピー衝撃強さを有することに気付いた。
【0297】
実施例64~67 マスターバッチを介したランダムアルファ-オレフィン及びエチレン-アクリレートコポリマーによるビスブレーキング済みPCR PEの変性
第1のマスターバッチ(MB3)は、Westlake Chemicals(Houston,Texas,USA)からの50重量%のEMAC(商標)SP2202、中粘度のエチレンアクリレートコポリマー、及び50重量%のAerafin(商標)180、プロピレン-エチレン非晶性ランダムコポリマー(Eastman)を用いて作製した。このMBは、80~190℃の加工温度及び150スクリューrpmで、Coperionによって製造された26mm二軸スクリュー押出機で生成された。2つの別個のフィーダーを使用して、EMAC(商標)SP2202及びAerafin(商標)180の供給速度を正確に制御し、これらの材料を、メインホッパーを通して供給した。得られた総生産量は、9kg/時であった。
【0298】
50重量%のWestlake ChemicalsからのEMAC(商標)SP2205、中粘度のエチレンアクリレートコポリマー、及び50重量%のAerafin(商標)180を用いて、同じプロセスによって第2のマスターバッチ(MB4)を作製した。
【0299】
【表26】
【0300】
MB3及びMB4を使用して、ラジカル開始剤の存在下で鎖切断を誘導する粘度破断(ビスブレーク)プロセスへの曝露及び高温、例えば320℃超への曝露に起因して、衝撃強さが低減したリサイクルポストコンシューマーHDPEストリーム(PCR PE)を変性させた。このプロセスは、ノッチ付き衝撃強さを35.8kJ/mから4.1kJ/m(ISO 179-1)に低減した。
【0301】
145~170℃のスクリュー温度プロファイル及び200rpmのスクリュー速度でCollin ZK25P二軸スクリュー押出機を使用して、10重量%又は20重量%のMB3又はMB4を、ビスブレーキング済みリサイクルHDPE中に配合した。この化合物を使用して、射出成形試験棒を作製し、MFR、引張特性及びノッチ付き衝撃強さを評価した。表26は、ブレンド組成物を列挙する。表27は、調製されたポリオレフィン組成物の測定された特性を列挙する。
【0302】
【表27】
【0303】
【表28】
【0304】
表27に見られるように、エチレン-アクリレートコポリマー及びランダムアルファ-オレフィンコポリマーの両方を含有する本発明の組成物(発明例64~67)は、驚くべきことに、全てがMFR及びノッチ付き衝撃強さの同時増加を示す。発明例56は、参考例52の未変性ビスブレーキング済みr-HDPE(PCR PE)と比較して、MFRが51%増加し、ノッチ付き衝撃強さが驚くべきことに216%増加することを示す。加えて、発明例はまた、参考例52と比較して、降伏点伸びの予想外の20%~34%の増加を示す。
図1
図2
【国際調査報告】