(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】キサンタンを主成分とする濃縮液
(51)【国際特許分類】
A23L 29/25 20160101AFI20231227BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20231227BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20231227BHJP
【FI】
A23L29/25
A23L29/238
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535746
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2021086688
(87)【国際公開番号】W WO2022136208
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ジェドワブ, マイケル, ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン, ナンシー
(72)【発明者】
【氏名】チザム, ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】グネス, ゼイネル, デニス
(72)【発明者】
【氏名】バービッジ, アダム, ステュワート
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE04
4B018LE05
4B018MD01
4B018MD03
4B018MD04
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4B018MD37
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4B018ME02
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4B041LC03
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4B041LK01
4B041LK02
4B041LK07
4B041LK08
4B041LP04
(57)【要約】
脱水、咀嚼及び/又は脱グルテン化疾患、障害又は状態に罹患している対象に有用な液体増粘剤組成物、該液体増粘剤組成物を含む容器、該容器とディスペンサーとを備えるシステム、該液体増粘剤組成物を含む増粘液体組成物、該液体増粘剤組成物を製造する方法、並びに該増粘液体組成物が提供される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1重量%~約20重量%のキサンタンガム及び約10重量%~約50重量%のアカシアガムを含む液体増粘剤組成物。
【請求項2】
約4重量%~約15重量%、約4重量%~約12重量%、約5重量%~約11重量%、約6重量%~約10重量%、約7重量%~約9重量%、約8重量%~約9重量%、又は約8重量%のキサンタンガムを含む、請求項1に記載の液体増粘剤組成物。
【請求項3】
約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約20重量%、約17重量%~約18重量%、又は約18重量%の、好ましくはアカシア・セネガルから選択されるアカシアガム、あるいは約20重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、又は約25重量%~約35重量%、最も好ましくは約27.5重量%~約32.5重量%、又は約30重量%の、好ましくはアカシア・セヤルから選択されるアカシアガムを含む、請求項1又は2に記載の液体増粘剤組成物。
【請求項4】
前記アカシアガムが、アカシア・セネガル又はアカシア・セヤルから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の液体増粘剤組成物。
【請求項5】
ペクチン又は低メトキシペクチンを更に含む、請求項1~4のいずれかに記載の液体増粘剤組成物。
【請求項6】
カルシウム、マグネシウム又は他の好適な二価の塩を更に含む、請求項1~5のいずれかに記載の液体増粘剤組成物。
【請求項7】
少なくとも2種類の異なる防腐剤であって、任意選択で、防腐剤のうちの1つがソルビン酸塩であり、第2の防腐剤が安息香酸塩である、防腐剤、
緩衝塩、
消泡剤、又は/及び
食用酸を更に含む、請求項1~6のいずれかに記載の液体増粘剤組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の液体増粘剤組成物を含む容器。
【請求項9】
請求項8に記載の容器と、ディスペンサーとを備える、保存・送達システム。
【請求項10】
脱水、咀嚼、嚥下及び/又は脱グルテン化疾患、障害又は状態に罹患している対象への投与に使用するための、請求項1~7のいずれかに記載の液体増粘剤組成物、又は請求項1~7のいずれかに記載の液体増粘剤組成物を使用して調製された再構成後液体増粘組成物。
【請求項11】
液体増粘組成物を提供する方法であって、
a.請求項1~7のいずれかに記載の液体増粘剤組成物、及び前記液体増粘剤組成物を溶解するための液体、飲料、若しくは食品を用意する工程;
b.前記液体増粘剤組成物と、前記液体増粘剤組成物を溶解するための前記液体とを混合する工程であって、本明細書に定義される液体、飲料若しくは食品の基準体積に対して、好ましくは1回、2回、3回、4回、5回、6回分の用量の前記液体増粘剤組成物を混合する工程;それにより
c.好ましくはIDDSIレベル1、2、3、若しくは4のいずれかを有し、かつ/又は好ましくは、室温(20℃)及び50s
-1の剪断速度で測定した場合、1~120mPa・sの粘度レベル1、121~300mPa・sの粘度レベル2、301~500mPa・sの粘度レベル3、若しくは501mPa・s超の粘度レベル4を有する、請求項8に記載の再構成後液体増粘組成物を用意する工程、を含む、方法。
【請求項12】
請求項1~12のいずれかに記載の液体増粘剤組成物を製造する方法であって、
a.アカシアガムを含む液体組成物を用意する工程;
b.キサンタンガムを含む組成物を添加する工程;それにより
c.アカシアガムとキサンタンガムとを含む前記液体増粘剤組成物を用意する工程;及び
d.任意選択で、工程cで用意されたアカシアガムとキサンタンガムとを含む前記組成物を脱気する工程、を含む、方法。
【請求項13】
工程a)が、アカシアガムを含む組成物を用意するステップ、及び前記組成物を液体に添加し、それによりアカシアガムを含む液体組成物を用意するステップ、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
工程a)が、緩衝塩、及び/又は消泡剤、及び/又は防腐剤、及び/又は酸を用意して、アカシアガムを含む組成物に添加することを更に含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれかに記載の液体増粘剤組成物を製造する方法であって、
a.アカシアガムを含む液体組成物(アカシアガムプレミックス)を用意する工程であって、
少なくとも
アカシアガム、
本明細書で定義される緩衝塩、
任意選択で、少なくとも1種類の防腐剤、
任意選択で、消泡剤、
任意選択で、食用酸、を乾式混合することによって前記アカシアガムプレミックスを調製するステップ、
水を添加するステップ、
pHを3.0~4.5に調整するステップ、
前記アカシアガムプレミックスを混合するステップ、を含む、工程;
b.前記アカシアガムプレミックスに、キサンタンガムを含む組成物を添加する工程;それにより
c.アカシアガムとキサンタンガムとを含む前記液体増粘剤組成物を用意する工程;及び
d.任意選択で、工程cで用意されたアカシアガムとキサンタンガムとを含む前記液体増粘剤組成物を脱気する工程、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、増粘剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、キサンタンガムとアカシアガムとを含む組成物、及びその使用に関する。
【0002】
ヒトにおける嚥下の問題には、嚥下困難、嚥下不能、及び嚥下不快感が含まれる。これらの問題は、総称して嚥下困難と呼ばれる。嚥下困難は、脳卒中、多発性硬化症、アスペルガー症候群、食道癌、喉頭癌、シャーガス病、嚢胞性線維症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ライリー-デイ症候群、強皮症、アルツハイマー病などの、多くの主要なヒト病状に伴う一般的な副症状である。嚥下困難はまた、出生異常によっても起こり得る。早産児では、嚥下に関わる筋肉及び解剖学的構造がまだ完全に発達していないため、嚥下困難が起こることがある。
【0003】
嚥下困難を患うヒト対象は、一般に、気管を適切に閉鎖するための適切な筋制御及び協調を欠いている、又は食塊及び/若しくは飲料を胃に適切に送り込む能力を欠いている。この状態に気づかない場合、対象において、食品及び飲料が胃腸管に正しく送られずに肺に入りやすくなる。肺に入った場合、対象の肺の中で病原性細菌が増殖するリスクが高まり、誤嚥性肺炎(付随するリスク及び入院を伴う)、並びに/又は致命的な窒息の可能性さえもある。嚥下困難患者にはよくあることだが、患者が栄養失調で、免疫系が低下している場合、このリスクは悪化する。
【0004】
嚥下困難を患う対象の少なくとも半数では、増粘された食事が有効であると考えられる。水のような低粘度の流体は、ヒトの嚥下過程を通して速やかに移動し、まとまり(body)又は食感が最も少ないものである。このような流体で食塊(bolus)を制御することは、非常に困難であり得る。低粘度の液体は、口から喉へと非常に速く移動するため、嚥下過程での運動及び/又は協調の任意の遅延又は遅れが問題になる可能性が高くなる。まとまり又は食感がないことは、低粘度の流体では、嚥下感覚が鈍い人において適切な嚥下に必要な刺激が生成されにくいことを意味する。更に、肺への誤嚥のリスクが高い。嚥下困難を患う人が飲む又は食べることを意図した流体を増粘することによって、流体が喉を通る経過を遅らせ、より制御しやすい食塊を生成し、及び/又は流体のまとまり又は食感を高めて、適切な嚥下のために必要な刺激が生成される可能性を高めることが可能である。特にキサンタン含有溶液などの剪断減粘性化合物及び流体に関連する、このような増粘流体及び増粘組成物の利点は、喉に残される残留物及び流体がより少なく、それによって残留物が気管に流入するリスクが低くなることである。そして、(移動されなければ少なくとも部分的に喉に残されるか、肺に吸い込まれるであろう)流体を胃に移動させるために必要な嚥下がより少なくなる。
【0005】
キサンタンガムの使用は、様々な嚥下障害の治療に有用な増粘液体をもたらすために使用することができる増粘剤の提供に関与してきた。
【0006】
しかしながら、必要とされる高濃度のキサンタン増粘剤を実現することは、一般に非常に困難である。キサンタンは典型的には、最大約2%w/wの濃度で水に溶解される。これは、単に高剪断混合法を使用する(加工条件を改善しない)場合、キサンタンの溶解度が、それ以上のキサンタンを水和させることができないプラトーに達するためである。キサンタンをより高い濃度で、例えば2%より多く溶解させると、高剪断スタンドミキサーを使用しても、このプロセスでは、水和限界により非常に強いゲルが得られ、低温殺菌後はドウのような構造にさえなる。このようなゲルを飲料、又は一般に液体中で再構成することは不可能である、又は非常にゆっくりとしか起こらない(例えば、機械的撹拌で15~20分、手撹拌では更に長い)。このような極端に遅い溶解プロセスは、商業目的には好適ではなく、大部分が凝集、フィッシュアイの形成、及び一般に不均質な液体組成物をもたらすものである。更に、多くの場合、そのような不均質で溶解が不十分な液体組成物の保存可能期間は損なわれ、望ましくない微生物汚染及び相分離効果を引き起こす場合がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、キサンタンガムを含むそのような組成物の濃度を高めることができ、そのような組成物の再構成を速めることもできる成分及び最適化された方法を特定することであった。更なる目的は、これらの組成物の保存可能期間を伸ばすこと(特に、増粘剤の相分離を低減すること)、及びキサンタンを含む増粘剤組成物の他の特性を改善することであった。1つの目的は、特に、想定される保存可能期間、例えば、典型的には少なくとも数ヶ月、好ましくは少なくとも1年の間、増粘することなく、典型的には無菌条件下で充填された、例えば密閉ビン又は容器中で保存することができる、好ましくはゲル状の安定な組成物を提供することであった。更に、保存中に微生物の増殖及び相分離は防止するべきである。最後に、そのようなビン又は容器が開封されると、大気と接触している場合に、組成物の少なくとも数週間の保存可能期間が達成されるべきである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、添付の特許請求の範囲において定義される。更に好ましい実施形態を以下に定義する。
【0009】
特に、本発明は、本明細書に記載される量のキサンタンガムとアカシアガムとを含む液体増粘剤組成物に関する。更に、本発明は、キサンタンガムとアカシアガムとを含むそのような液体増粘剤組成物を調製する方法に関する。
【0010】
驚くべきことに、本明細書で定義されるキサンタンガムとアカシアガムとを含む組成物は、飲料又は食品で容易に再構成することができ、上記で概説した目的を解決することができることが見出された。
【0011】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、アカシアガム及びキサンタンガムは互いに微細構造を容易に形成し、これがキサンタンガムの完全な水和、したがってゲル形成を妨げると考えられる。したがって、この微細構造又は分散構造はまた、対象が最終的に使用して飲料で希釈するまで、水中でのキサンタンの完全な水和を防止する。最終的な使用及び希釈の際、アカシアガムは、飲料に置換され、飲料の更なる水和又は完全な水和をもたらす。この飲料は主に水であり、キサンタンの良好な溶媒である。分散構造は、キサンタンゲル粒子を分離及び離散した状態に維持し、ダマにならないようにすることで、最終的な完全水和を速める。
【0012】
本発明の文脈における「完全水和」は、所与の体積の液体に添加された所与の体積の(例えば、ゲル状の)液体増粘剤組成物について、再構成液体が経時的に安定である最大粘度に到達する場合に起こると言うことができる。本発明の文脈における「更なる水和」は、漸増的に更なる量の(例えば、ゲル状の)液体増粘剤組成物が上述の完全水和した液体に添加され、粘度の更なる上昇が生じる場合に起こると言うことができる。これは順次、経時的に安定である新たな粘度に到達した時点で、完全水和と言われる。
【0013】
この操作を永続的に行うことはできず、最終的に、再構成液体はそれ以上の液体増粘剤組成物を受け入れることができず、したがってそれ以上増粘しないことが理解される。
【0014】
同様に、いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、したがって、本発明によれば、水などの液体、飲料、又は食品によるキサンタンガム粉末の水和プロセスは、4つの異なる段階に区別することができると考えられる。第1の段階において、キサンタンガム粉末を液体アカシアガムプレミックスで湿らせる。第2の段階において、液体アカシアガムプレミックスはキサンタンガムの粉末粒子に浸透し、「膨潤」キサンタンガム粒子をもたらす。第3の段階によれば、「膨潤」キサンタンガム粒子は分解し、第4の段階によれば、キサンタンガム粒子は更に、あるいは完全に水和される。本発明の液体増粘剤組成物、及び本発明の液体増粘剤組成物を調製する方法は、キサンタンガムの水和プロセスにおける第1の段階及び第2の段階を包含するが、水和プロセスにおける第3の段階及び第4の段階は、食品、好ましくは液体、飲料又は食品を本発明の液体増粘剤組成物で増粘する時に起こる。
【0015】
したがって、本発明は、キサンタンガムの水和を実質的に防止する微細構造を形成する、キサンタンガムとアカシアガムとを含む液体増粘剤組成物に関する。
【0016】
液体増粘剤組成物は、典型的には、キサンタンガムを約1、2、3、又は4%w/w~約20%w/w、好ましくは約4%w/w~約15%w/w、同様に好ましくは約4%w/w~約12%w/w、より好ましくは約5%w/w~約11%w/w、更により好ましくは約6%w/w~約10%w/w、最も好ましくは約7%w/w~約9%w/wあるいは約7.5%w/w~約8.5%w/w含んでもよい。
【0017】
本出願において他に定義されていない場合、本明細書において、成分の量に関する全ての%値は、(液体)組成物の重量/重量%を示すものとし、%w/wとも略される。
【0018】
したがって、液体増粘剤組成物はまた、典型的には、約10%w/w~約50%w/w、あるいは約10%w/w~40%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガムを含んでもよい:
好ましくは約10%w/w~約40%w/w、同様に好ましくは約10%w/w~約30%w/w、より好ましくは約15%w/w~約20%w/w、更により好ましくは17.5%w/w又は17.6%w/w~約20%w/w、最も好ましくは約17.5%w/w~約18.5%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば、アカシア・セネガル(acacia senegal)、
あるいは、好ましくは約20%w/w~約50%w/w、同様に好ましくは約20%w/w~約40%w/w、又はより好ましくは約25%w/w~約40%w/w、更により好ましくは約25%w/w~約35%w/w、及び最も好ましくは約27.5%w/w~約32.5%w/w、例えば約30%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えばアカシア・セヤル(acacia seyal)、又はアカシア・セネガル以外の任意の他のアカシアガム、あるいは
約10%w/w~約50%w/w、約10%w/w~約40%w/w、同様に好ましくは約10%w/w~約35%w/wの範囲、又は上記第1及び第2の代替形態のうちの1つについて示された範囲のいずれかの、アカシア・セネガルとアカシア・セヤル又は任意の他のアカシアガムとの混合物。
【0019】
これらのキサンタンガム組成物のいずれかの範囲内、及びこれらのアカシアガム組成物のいずれかの範囲内で配合された液体増粘剤組成物は、所望の微細構造を形成し、液体、飲料又は食品で迅速に再構成し、増粘液体とすることができる。キサンタンガム組成物の範囲及びアカシア組成物の範囲の任意の組み合わせが、本明細書に包含される。好ましくは、液体増粘剤組成物は、キサンタンに加えて、1種類又は2種類のみの更なる剪断減粘性増粘剤ガム、より好ましくは1種類のみの更なる剪断減粘性増粘剤を含有する。同様に、より好ましくは、キサンタンを除いて更なる剪断減粘性増粘剤を含有しない、すなわち、キサンタンが、本発明の液体増粘剤組成物における唯一の剪断減粘性増粘剤である。更により好ましくは、液体増粘剤組成物の増粘剤成分/ガムは、本明細書で定義される量及び範囲のアカシアガムと組み合わせたキサンタンガムからなる。しかしながら、塩、緩衝塩、防腐剤、消泡剤、食用酸、ペクチン及び/又は低メトキシペクチン、並びに水は、以下に定義されるように含まれてもよい。本文脈中、キサンタン以外の剪断減粘性増粘剤は当業者に公知であり、例えば、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガムなどである。
【0020】
キサンタンガムは、以下に定義されるようなキサンタンガムであってもよい。
【0021】
アカシアガムは、以下に定義されるようなアカシアガムであってもよい。
【0022】
液体増粘剤組成物は、ペクチン又は低メトキシペクチンを更に含んでもよい。一般に、ペクチン、特に低メトキシペクチンは、得られた増粘剤組成物における相分離現象を更に低減できることが見出された。ペクチン又は低メトキシペクチンは、好ましくは、以下に定義されるように、塩、特に二価アルカリ土類金属塩、特にカルシウム塩、マグネシウム塩、例えばCaCl2又はMgCl2と共に添加される。
【0023】
あるいは、又は更に、液体増粘剤組成物は、塩、特に二価アルカリ土類金属塩、特にカルシウム塩、マグネシウム塩、例えばCaCl2又はMgCl2、及び/又は任意選択で更なる塩を更に含んでもよい。
【0024】
ペクチンと同様に、本明細書で定義される塩、特に二価アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩、例えばCaCl2又はMgCl2により、得られた液体増粘剤組成物中の相分離現象を更に低減できることが見出された。
【0025】
上記のようなペクチン及び/若しくは塩の添加の代わりに、又はそれらの添加に加えて、液体増粘剤組成物は、脱気又は液体増粘剤組成物からの気泡の除去によって安定化することができる。
【0026】
液体増粘剤組成物は、本明細書で定義される防腐剤を更に含んでもよい。好ましくは、液体増粘剤組成物は、少なくとも1種類又は少なくとも2種類の異なる防腐剤を含んでもよく、任意選択で、防腐剤のうちの1つは、ソルビン酸、ソルベート又はソルビン酸塩、例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウムなど、好ましくはソルビン酸カリウムであり、任意選択で、第2の防腐剤は、安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウム又は安息香酸カリウムなど、好ましくは安息香酸ナトリウムである。
【0027】
驚くべきことに、2種類の異なる防腐剤、例えばソルビン酸塩と安息香酸塩との組み合わせが、カビ又は細菌のような微生物の増殖を防ぐのに特に有効である場合があることが見出された。
【0028】
このような防腐剤は、特に組み合わせて使用される場合、a)例えば容器又はビンの中における、典型的には使用前の液体増粘剤組成物の保存中、微生物の増殖又は腐敗を防止すること、及びb)容器又はビンを開封して液体増粘剤組成物を調製する際に、外部微生物源からの微生物の増殖又は腐敗を防止することができる場合がある。
【0029】
液体増粘剤組成物は、
緩衝塩
消泡剤、及び/又は
食用酸を更に含んでもよい。
【0030】
特に、本明細書に記載される液体増粘剤組成物の調製中、キサンタンガムをアカシアガムプレミックスに混合する際に、増粘剤組成物のpHを安定化させるため、クエン酸塩又はクエン酸ナトリウムのような緩衝塩を使用してもよい。
【0031】
消泡剤、例えば(脂肪酸の)モノグリセリドを液体増粘剤組成物に添加してもよい。(脂肪酸の)モノグリセリドは、キサンタンとアカシア溶液とを混合する際に泡の形成を防ぐのに特に有効であり、その結果、空気及び気泡の混入を回避することによって増粘剤組成物の保存可能期間を延ばすことができることが見出されている。同様に、同じ目的で(脂肪酸の)ジグリセリドを添加してもよい。また、本明細書で以下に説明するようにアカシアガムプレミックスを混合する際に、泡の形成を低減又は防止するために、モノ及びジグリセリドの両方を使用することもできる。
【0032】
好ましくは、増粘剤組成物を更に安定化させるために、及び/又はそれに応じて液体増粘剤組成物のpHを調整するために、リン酸及び/又はクエン酸などの食用酸を液体増粘剤組成物に添加してもよい。リン酸により、抗菌性腐敗を効率的に防止することができ、異臭を最小限に抑え、より中性的な味にすることができる。
【0033】
液体増粘剤組成物を、飲料、液体食品又は水で希釈して、液体増粘組成物を得ることができる。
【0034】
したがって、本発明はまた、増粘剤組成物を含む液体増粘組成物に関する。
【0035】
保存及び輸送のために、液体増粘剤組成物は、食品用の液体を保存するのに好適な容器に保存することができる。
【0036】
したがって、本発明はまた、液体増粘剤組成物を含む容器に関する。
【0037】
本発明はまた、容器とディスペンサーとを備える保存・送達システムに関する。このようにして、液体増粘剤組成物を、容器から液体、飲料又は食品に容易に供給することができる。
【0038】
更に、本発明は、脱水、咀嚼、嚥下及び/又は脱グルテン化(deglutination)疾患、障害又は状態、好ましくは嚥下困難に罹患している対象の食事に使用するための液体増粘剤組成物又は(対応する)液体増粘組成物に関する。
【0039】
本発明はまた、液体増粘組成物を提供する方法であって、
a.本明細書に記載される液体増粘剤組成物、及び前記液体増粘剤組成物を溶解するための液体、飲料、若しくは食品を用意する工程;
b.前記液体増粘剤組成物と、前記液体増粘剤組成物を溶解するための前記液体とを混合する工程であって、本明細書に定義される液体、飲料若しくは食品の基準体積に対して、好ましくは1回、2回、3回、4回、5回、6回分以上の用量の前記液体増粘剤組成物を混合する工程;それにより
c.好ましくはIDDSIレベル1、2、3、若しくは4のいずれかのレベルを有する液体増粘組成物を用意する工程;並びに/又は
典型的には、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定されたとき、1~120mPa・s(好ましくはIDDSIレベル1に相当)、121~300mPa・s(好ましくはIDDSIレベル2に相当)、301~500mPa・s(好ましくはIDDSIレベル3に相当)又は501mPa・s超(好ましくはIDDSIレベル4に相当)である本発明の粘度レベルのいずれかを有する液体増粘組成物を用意する工程を含む、方法に関する。
【0040】
本発明はまた、液体増粘剤組成物を製造する方法であって、
a.アカシアガムを含む液体組成物(アカシアガムプレミックス)を用意する工程;
b.アカシアガムプレミックスに、キサンタンガムを含む組成物を添加する工程;それにより
c.アカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を用意する工程、並びに
d.任意選択で、好ましくは工程cで用意された液体増粘剤組成物の保存及び更なる加工の前に、工程cで用意されたアカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を脱気する工程を含む、方法に関する。
【0041】
本方法によって製造される液体増粘剤組成物は、好ましくは、本明細書に記載される液体増粘剤組成物である。
【0042】
驚くべきことに、好ましくは保存又は更なる加工の前に、工程cで用意されたアカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を脱気することは、相分離現象を低減するのに役立つことが見出された。
【0043】
脱気は、概して、工程dにおいて、当業者に公知の技術によって、例えば、組成物を例えば低剪断力で撹拌することによって、又は組成物を保存タンクに保存することにより組成物を「自然に」脱気することによって、又は任意の更なる公知の技術によって実施されてもよい。「脱気」は、好ましくは、閉じ込められた空気又は気泡の除去を意味すると理解される。「自然」脱気とは、好ましくは、撹拌などの更なる機械的補助を伴わずに、経時的な自然なプロセス又は物理的プロセスによってのみ組成物を脱気することを意味する。自然脱気は、概して、1時間、2時間、3時間、4時間、又は5時間~12時間、最大で3日間又は4日間、より好ましくは12時間~3日間又は1日間~3日間、例えば、一晩行われてもよい。
【0044】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、アカシアガムプレミックスとキサンタンガム含有組成物とを最初に混合した結果として形成された、工程cで用意された液体増粘剤組成物は、ガス状化合物で飽和し、相分離を促進する気泡又は微小気泡を形成すると考えられる。ガス状化合物は、一般に、両方の組成物、すなわちアカシアガムプレミックス及びキサンタンガム含有組成物によって導入され得るが、特にキサンタンガム含有組成物が乾燥形態(粉末形態)でアカシアガムプレミックスに添加される場合、そのようなガス状化合物のかなりの部分がキサンタンガム含有組成物からもたらされると考えられる。アカシアガムプレミックスの調製の時点で予め泡形成を低減又は回避することによって、例えばモノグリセリド又はジグリセリド、好ましくはモノグリセリドなどの消泡剤を添加することによって、工程bでの添加前のアカシアガムプレミックスにおけるガス状化合物の形成又はクリーミングが好ましくは低減又は回避される。次いで、工程bで得られた液体増粘剤組成物から脱気によりガス状化合物を効果的に除去し、したがって、相分離現象を低減する。
【0045】
本方法はまた、工程aにおいて、アカシアガムとペクチンとを含む組成物を用意すること、及び前記組成物を液体に添加することを含んでもよい。
【0046】
驚くべきことに、ペクチン、特に低メトキシペクチンにより、相分離現象を更に低減させることができることが見出された。また、驚くべきことに、キサンタンガムを添加する前にペクチンとアカシアガムとを混合した場合にこの効果が生じることが見出された。
【0047】
あるいはアカシアガムを、消泡剤、例えばモノグリセリド又はジグリセリド、好ましくはモノグリセリドと混合してもよく、より好ましくは工程aのアカシアガムプレミックスを工程bでキサンタンガム含有組成物に添加する前に、混合してもよい。
【0048】
したがって、本方法は、工程aにおいて、アカシアガムとモノジグリセリド又はジグリセリドとを含む組成物を用意すること、及び前記組成物を液体に添加することを含んでもよい。
【0049】
好ましい実施形態として、脱気は、工程cで用意された液体増粘剤組成物に対して実施されてもよい。例えば、工程aで、アカシアガムプレミックスに、消泡剤、例えば、モノグリセリド又はジグリセリドを事前に添加、好ましくは本明細書で定義されるモノグリセリドを添加し、次いで、工程bでキサンタンガム含有組成物にアカシアガムプレミックスを添加し、任意選択で、工程cで用意された、最終的に得られた液体増粘剤組成物を脱気することにより、実施することができる。この特定の順序により、有利には、泡の形成が低減され、更なる加工工程におけるクリーミング効果が回避され、また、得られる液体増粘剤組成物の保存可能期間が伸びる。
【0050】
本方法はまた、工程a)において、緩衝塩、消泡剤、防腐剤、及び/又は酸を含む液体を用意すること、アカシアガムを含む組成物を添加することを含んでもよく、これらの全ては、好ましくは本明細書で定義される通りである。
【0051】
最後に、本発明はまた、上記の液体増粘剤組成物を製造する方法によって得ることができる上記の液体増粘剤組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】(グラフ)Hydra 200mL/TUC 200mL 20℃の水
【
図2】(グラフ)Hydra 200mL/TUC 200mL冷たい牛乳(4℃)
【
図3】(グラフ)Hydra 200mL/TUC 200mL熱いコーヒー(45℃)
【
図4】(グラフ)Hydra 200mL/TUC 200mL 20℃のオレンジジュース
【
図5】(グラフ)Hydra150mL 20℃の水
【
図6】(グラフ)Hydra 150mL冷たい牛乳(4℃)。
【
図7】(グラフ)Hydra 150mL熱いコーヒー(45℃)
【
図8】(グラフ)Hydra 150mL 20℃のオレンジジュース
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「キサンタンガム」は、食品増粘剤として、及び安定剤として一般的に使用される、高分子量のヘテロ多糖に関する。キサンタンガムの主鎖はグルコース単位からなり、側鎖はアセチル基含有α-D-マンノース、β-D-グルクロン酸、及びピルビン酸基と結合した末端β-D-マンノース単位からなる三糖である。
【0054】
本明細書で使用される場合、
「アカシアガム(Gum acacia)」又は「アカシアガム(acacia gum)」(しばしば「アラビアガム(gum arabic)」とも呼ばれる)は、マメ科アカシア属に属する植物(本明細書では特にアカシア・セネガル及びアカシア・セヤルが好ましい)の幹及び枝からの天然滲出物である。アカシアガムは水への溶解性が高く、アカシアガム水溶液は低濃度であっても高い乳化性、乳化安定性、カプセル化能、接着性、保護コロイド性、皮膜形成能をもたらす。
【0055】
アカシアガムは、アフリカのサハラ地域の様々な国で採取され、それぞれの生息地の土壌や気候の違い、原木の樹齢などにより、構成成分の分子量及び組成に大きなばらつきがある。本明細書では、このようなアカシアガムを単に「アカシアガム」又は「天然アカシアガム」又は「未変性アカシアガム」と呼ぶ。アカシアガムの変性物も公知であり、全てアカシアガムという用語の範囲に従うと考えられる(例えば、国際公開第2004/089991(A1)号)。未変性アカシアガム(アカシア・セネガル)は、一般に、アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)を5~15%w/wの割合で含有する。本発明に従って使用されるアカシアガムは、好ましくは、アカシア・セネガル、アカシア・セヤル、及び国際公開第2004/089991(A1)号で定義されているアカシアガムの変性物を含む上記の任意のアカシアガムから、好ましくはアカシア・セネガル若しくはアカシア・セヤル又は両者の組み合わせから、より好ましくはアカシア・セネガルから選択される。
【0056】
本明細書で使用されるアカシアガムは、アラビノ-ガラクト-グルカン(AGP)レベルの高いアカシアガムであってもよい。このようなアカシアガムは、好ましくはアカシア・セネガルから選択される。本文脈中、好ましいアラビノ-ガラクト-グルカン(AGP)レベルを以下に定義する。
【0057】
したがって、このようなアカシアガムは、好ましくは、それぞれのアカシアガムの総量と比較して、約8%w/w~約30%w/w、9%w/w~約20%w/w、10%w/w~約15%w/w、少なくとも8%w/w、少なくとも9%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも11%w/w、少なくとも12%w/w、少なくとも13%w/w、又は少なくとも15%w/wのアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)を含むアカシアガムから選択される。
【0058】
アラビノ-ガラクト-グルカン(AGP)レベルが高いアカシアガム及び/又は高い乳化特性を有するアカシアガム、例えばアカシア・セネガルは、得られた液体増粘剤組成物における相分離現象を低減するのに特に有用であることが見出された。
【0059】
用語「ペクチン」は、ガラクツロン酸の線状ポリマーからなる骨格、及びいくつかの中性糖の分枝を一般に有する多糖類を指す。市販のペクチンは、様々な果実素材又は植物素材、主にリンゴ果実及び柑橘類果実に由来する。ポリガラクツロ酸のカルボキシル基は、メタノールによって部分的にエステル化されている。全ガラクツロン酸基に対するメチルエステル化ガラクツロン酸基の割合は、「エステル化度」と呼ばれる。
【0060】
用語「低メトキシペクチン」は、部分的に脱エステル化されたペクチンのタイプを指す。典型的には、エステル化度(DE)は50%未満である。
【0061】
用語「低剪断混合」は、スプーンなどを用いた穏やかな混合又は撹拌などの、非乱流混合又は最小限の乱流混合を指す。低剪断混合は、剪断速度の観点から定義されてもよく、典型的には、混合容器の構成及び混合装置の速度などの、いくつかの変数の関数であることが理解されよう。本発明の文脈における「低剪断混合」は、典型的には、約10rpm~約350rpmの速度、好ましくは約50rpm~約325rpmの速度、同様に好ましくは約100rpm~約300rpmの速度、より好ましくは約125rpm~約275rpmの速度、更により好ましくは約150rpm~約250rpmの速度、同様により好ましくは約175rpm~約225rpmの速度、最も好ましくは約190rpm~約210rpmの速度、例えば約200rpm(例えば、約10rpm、15rpm、20rpm、25rpm、30rpm、35rpm、40rpm、45rpm、50rpm、55rpm、60rpm、65rpm、70rpm、75rpm、80rpm、85rpm、90rpm、95rpm、100rpm、110rpm、120rpm、130rpm、140rpm、150rpm、160rpm、170rpm、180rpm、190rpm、200rpm、210rpm、220rpm、230rpm、240rpm、250rpm、260rpm、270rpm、275rpm、280rpm、290rpm、300rpm、310rpm、320rpm、325rpm、330rpm、340rpm、若しくは350rpm又はこれらの任意の範囲内のrpm)での撹拌を含み、rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。
【0062】
本発明の文脈における「高剪断混合」は、典型的には、約351rpm以上の速度、例えば典型的には約351rpm~1100rpmの速度、好ましくは約400rpm~1000rpmの速度、より好ましくは約450rpm~900rpmの速度、更により好ましくは約450~800rpmの速度、最も好ましくは約500~750rpmの速度、例えば約500rpm、約600rpm、約700rpm又は約750rpmの速度(例えば、約40rpm、41rpm、42rpm、43rpm、44rpm、45rpm、46rpm、47rpm、48rpm、49rpm、50rpm、51rpm、52rpm、53rpm、54rpm、55rpm、56rpm、57rpm、58rpm、59rpm、60rpm、61rpm、62rpm、63rpm、64rpm、65rpm、66rpm、67rpm、68rpm、69rpm、70rpm、71rpm、72rpm、73rpm、74rpm、75rpm、76rpm、77rpm、78rpm、79rpm、80rpm、81rpm、82rpm、83rpm、84rpm、85rpm、86rpm、87rpm、88rpm、89rpm、90rpm、91rpm、92rpm、93rpm、94rpm、95rpm、96rpm、97rpm、98rpm、99rpm、100rpm、101rpm、102rpm、103rpm、104rpm、105rpm、106rpm、107rpm、108rpm、109rpm、110rpm、111rpm、112rpm、113rpm、114rpm、115rpm、116rpm、117rpm、118rpm、119rpm、120rpm、121rpm、122rpm、123rpm、124rpm、125rpm、126rpm、127rpm、128rpm、129rpm、130rpm、131rpm、132rpm、133rpm、134rpm、135rpm、136rpm、137rpm、138rpm、139rpm、140rpm、141rpm、142rpm、143rpm、144rpm、145rpm、146rpm、147rpm、148rpm、149rpm、150rpm、200rpm、150rpm、300rpm、350rpm、400rpm、450rpm、500rpm、550rpm、600rpm、650rpm、700rpm、750rpm、800rpm、850rpm、900rpm、950rpm、1000rpm、1050rpm、若しくは1100rpm又はこれらの任意の範囲内のrpm、又はそれ以上のrpm)での撹拌を含み、rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。
【0063】
本発明の文脈における低剪断又は高剪断混合は、好ましくは、約5若しくは10秒~約600秒、約5若しくは10秒~約480秒、約5秒~約240秒、約5秒~約180秒、約5秒~約160秒、又はそのような値のいずれかによって形成される5~480秒の間における任意の範囲の間施される。
【0064】
好ましくは、本発明の文脈における高剪断混合は、約5若しくは10秒~約480秒、又は約5若しくは10秒~約240秒、又は更により好ましくは約10秒~約180秒、又は約20秒~約160秒、同様に好ましくは約5秒~約120秒、又は約5秒~約100秒、又は約5秒~約160秒、又は約5秒~約120秒、又は約5秒~約60秒、又は約5秒~約40秒、又は約5秒~約20秒、又は約5秒~約10秒、又はそのような値のいずれかによって形成される任意の範囲の間実施される。
【0065】
同様に好ましくは、本発明の文脈における低剪断混合は、約5若しくは10秒~約600秒以上、約5若しくは10秒~約480秒、又は約5若しくは10秒~約240秒、又は更により好ましくは約5秒~約180秒、又は約5秒~約60秒、あるいはそれ未満、同様に好ましくは約5秒~約120秒、又は約5秒~約100秒、又は約5秒~約160秒、又は約5秒~約120秒、又は約5秒~約60秒、又はそのような値のいずれかによって形成される任意の範囲の間実施される。
【0066】
特定の実施形態によれば、本発明の文脈における低剪断混合及び/又は高剪断混合は、本明細書で定義される組成物及び/又はプレミックスの脱気状態又は非脱気状態に応じて実施されてもよい。以下に示される相関rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。
【0067】
そのような特定の一実施形態によれば、本発明の文脈において、低剪断混合は、非脱気組成物に対して、例えば、好ましくは約190rpm~約210rpm、好ましくは200rpmの速度で実施されてもよい。
【0068】
同様に、そのような特定の一実施形態によれば、本発明の文脈において、低剪断混合は、脱気された組成物に対して、例えば、好ましくは約190rpm~約210rpm、好ましくは200rpmの速度で実施されてもよい。
【0069】
更に、そのような特定の一実施形態によれば、本発明の文脈において、高剪断混合は、脱気されていない組成物に対して、例えば、好ましくは約500rpm~約750rpm、例えば500rpmの速度で実施されてもよい。
【0070】
同様に、そのような特定の一実施形態によれば、高剪断混合は、本発明の文脈において、脱気された組成物に対して、例えば、好ましくは約500rpm~750rpm、例えば600rpmの速度で実施されてもよい。
【0071】
上述のいずれの場合においても、rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。
【0072】
本発明の文脈における用語「約」は、特定の所与の値又は量の前後の範囲に関連すると理解される。例えば、その範囲は、所定の値又は量の±10%、±5%、±3%、±1%、又は±0.1%であってもよい。
【0073】
本発明の文脈における「室温」は、典型的には約20℃、好ましくは20℃と定義される。
【0074】
本発明の文脈における用語「迅速な再構成」は、短時間、好ましくは、10秒~40分、10秒~30分、10秒~15分、又は、10秒~10分で、より好ましくは10秒~5分、10秒~4分、又は10秒~3分で、更により好ましくは30秒~40分、30秒~30分、30秒~5分で、最も好ましくは30秒~4分、あるいは30秒~3分で、例えば、1分~10分、2分~8分、3分~6分、及び4分~5分で、増粘溶液の所望の粘度が構築されること、言い換えれば、飲料又は液体での希釈時にキサンタンの更なる又は完全な水和が達成されることを好ましくは意味する。特に好ましいのは、一般に30秒~30分、最も好ましくは4分~6分、あるいは4分~5分の範囲であり、好ましくは液体としての水での再構成において計算される。本発明の文脈における「迅速な再構成」により、好ましくは、本明細書に記載される液体増粘剤組成物を用いた液体増粘溶液の効率的な調製が可能になる。
【0075】
量に関する全ての百分率値は、別段の指示がない限り、重量/重量%(%w/w)に関するものと理解される。
【0076】
本明細書に開示される組成物の全ての成分は、食品用の成分である。
【0077】
特に、本発明は、本明細書で定義されるキサンタンガムとアカシアガムとを含む液体増粘剤組成物に関する。
【0078】
したがって、液体増粘剤組成物は、典型的には、キサンタンガムを約4%w/w~約20%w/w、好ましくは約4%w/w~約15%w/w、同様に好ましくは約4%w/w~約12%w/w、より好ましくは約5%w/w~約11%w/w、更により好ましくは約6%w/w~約10%w/w、最も好ましくは約7%w/w~約9%w/w、あるいは7.5%w/w~約8.5%w/w含む。
【0079】
したがって、液体増粘剤組成物はまた、約10%w/w~約50%w/w、好ましくは約10%w/w~約40%w/w、約10%w/w~約30%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば、以下を含んでもよい。
【0080】
約10%w/w~約40%w/w、同様に好ましくは約10%w/w~約30%w/w、又は約10%w/w~約25%w/w、より好ましくは約15%w/w~約20%w/w、約17.5%w/w又は約17.6%w/w~約20%w/w、最も好ましくは約17.5%w/w~約18.5%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば、アカシア・セネガル、あるいは
約20%w/w~約50%w/w、約20%w/w~約40%w/w、又は約25%w/w~約40%w/w、又は約25%w/w~約35%w/w、最も好ましくは約27.5%w/w~約32.5%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば、アカシア・セヤル、又はアカシア・セネガル以外の任意の他のアカシアガム、あるいは同様に
約10%w/w~約50%w/w、約10%w/w~約40%w/w、同様に好ましくは約10%w/w~約35%w/wの範囲、又は上記第1及び第2の代替形態のうちの1つについて示された範囲の、アカシア・セネガルとアカシア・セヤル又は任意の他のアカシアガムとの混合物。
【0081】
最も好ましくは、液体増粘剤組成物に使用されるアカシアガムは、アカシア・セネガルである。
【0082】
キサンタン及びアカシアガムについて上に開示された範囲の任意の組み合わせが本明細書に包含される。例えば、組成物は、約4%w/w~約20%w/wの、本明細書で定義されるキサンタンガム、更に約10%w/w~約50%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、並びに/又は本明細書で定義されるキサンタンガム及びアカシアガムの任意の部分範囲、例えば、約6%w/w~約10%w/wのキサンタンガム及び約17.5%w/w~約20%w/wのアカシアガム、例えばアカシア・セネガルガム、若しくは約6%w/w~約10%w/wのキサンタンガム及び約27.5%w/w~約32.5%w/wのアカシアガム、例えばアカシア・セヤルガムなど、又はアカシア・セネガルガムとアカシア・セヤルガム若しくは上記範囲内にある任意の他のアカシアガムとの任意の混合物を含んでもよい。
【0083】
アカシアガムは、好ましくは、上に開示されたような高い乳化特性を有するアカシアガムであってもよい。同様に好ましくは、アカシアガムは、高いアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)含量を有するアカシアガムであってもよい。そのようなアカシアガムは、好ましくは、約8%w/w~約30%w/w、9%w/w~約20%w/w、10%w/w~約15%w/w、少なくとも8%w/w、少なくとも9%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも11%w/w、少なくとも12%w/w、少なくとも13%w/w、又は少なくとも15%w/wのアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)を含むアカシアガムである。
【0084】
液体増粘剤組成物は、ペクチン、例えば低メトキシペクチンを含んでもよい。組成物は、約0.01%w/w~約2%w/w、約0.1%w/w~約1%w/w、約0.1%w/w~約0.5%w/w、約0.15%w/w~約0.4%w/w、約0.15%w/w~約0.25%w/w、又は約0.2%w/wのペクチンを含んでもよい。組成物は、約0.01%w/w~約2%w/w、約0.1%w/w~約1%w/w、約0.1%w/w~約0.5%w/w、約0.15%w/w~約0.4%w/w、約0.15%w/w~約0.25%w/wの低メトキシペクチンを含んでもよい。
【0085】
液体増粘剤組成物は、カルシウム塩、例えば、無水塩化カルシウム、CaCl2、又は塩化カルシウム二水和物を含んでもよい。組成物は、約20ppm~約150ppm、30ppm~約100ppm、又は約50ppm~約800ppmの可溶性カルシウムイオンを含んでもよい。カルシウム塩は、添加されたガムのいずれかに含有されてもよく、又は、例えば、無水塩化カルシウム、CaCl2、若しくは塩化カルシウム二水和物として添加されてもよい。組成物は、約0.01%w/w~約0.7%w/w、約0.05%w/w~約0.6%w/w、約0.1%w/w~約0.5%w/w、約0.1~約0.4%w/w、約0.1%w/w~約0.25%w/wのカルシウム塩、好ましくは無水塩化カルシウム、CaCl2、又は塩化カルシウム二水和物、より好ましくは塩化カルシウム二水和物を含んでもよい。
【0086】
液体増粘剤組成物はまた、マグネシウム塩、例えば、無水塩化マグネシウム、MgCl2又は塩化マグネシウム二水和物を含んでもよい。組成物は、約20ppm~約150ppm、30ppm~約100ppm、又は約50ppm~約800ppmの可溶性マグネシウムイオンを含んでもよい。マグネシウム塩は、添加されたガムのいずれかに含有されてもよく、又は、例えば、無水塩化マグネシウム、MgCl2、若しくは塩化マグネシウム二水和物として添加されてもよい。組成物は、約0.01%w/w~約0.7%w/w、約0.05%w/w~約0.6%w/w、約0.1%w/w~約0.5%w/w、約0.1%w/w~約0.4%w/w、約0.1%w/w~約0.25%w/wのマグネシウム塩、好ましくは無水塩化マグネシウム、MgCl2、又は塩化マグネシウム二水和物、より好ましくは塩化マグネシウム二水和物を含んでもよい。
【0087】
液体増粘剤組成物は、少なくとも1種類の(食品用の)防腐剤を含んでもよい。
【0088】
好適な(食品用の)防腐剤としては、ビタミンE、ソルビン酸、ソルベート若しくはソルビン酸塩、例えばソルビン酸カリウム、ソルビン酸カルシウムなど、好ましくはソルビン酸カリウム、安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウム若しくは安息香酸カリウムなど、好ましくは安息香酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、EDTA、二酸化硫黄、ナイシン及び/又はプロピオン酸が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、約0.01%w/w~約0.1%w/w、約0.05%w/w~約0.09%w/w、約0.06%w/w又は0.07%w/w~約0.09%w/wの各防腐剤を含んでもよく、各範囲は組成物の重量に基づく。
【0089】
好ましくは、液体増粘剤組成物は、少なくとも2種類の異なる防腐剤を含んでもよい。防腐剤は、ソルビン酸塩及び安息香酸塩であってもよい。組成物は、ほぼ等量の2種類の防腐剤を含んでもよい。組成物は、ほぼ等量のソルビン酸塩及び安息香酸塩を含んでもよい。組成物は、約0.01%w/w~約0.1%w/w、約0.05%w/w~約0.09%w/w、約0.06%w/w又は0.07%w/w~約0.09%w/wの各防腐剤を含んでもよい。組成物は、ソルビン酸塩及び安息香酸塩をそれぞれ約0.01%w/w~約0.1%w/w、約0.05%w/w~約0.09%w/w、約0.06%w/w~約0.09%w/w、又は約0.08%w/w含んでもよい。ソルビン酸塩は安息香酸ナトリウムであってもよく、ソルビン酸塩はソルビン酸カリウムであってもよい。より好ましくは、液体増粘剤組成物は、少なくとも2種類の異なる防腐剤を含んでもよく、任意選択で、防腐剤のうちの1つはソルビン酸カリウムなどのソルビン酸塩であり、任意選択で、第2の防腐剤は安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩であり、好ましくはそれぞれ組成物の重量に対して約0.05%w/w~約0.09%w/w、又は約0.06%w/w~約0.09%w/wの範囲である。
【0090】
液体増粘剤組成物は、消泡剤を含んでもよい。消泡剤は、モノグリセリド又はジグリセリド、特にモノグリセリドであってもよい。組成物は、そのような消泡剤を約0.001%w/w~約0.01%w/w、約0.005%w/w~約0.008%w/w、約0.005%w/w~約0.007%w/w、又は約0.006%w/w含んでもよい。組成物は、好ましくは、約0.001%w/w~約0.01%w/w、約0.005%w/w~約0.008%w/w、約0.005%w/w~約0.007%w/wのモノグリセリドを含んでもよい。
【0091】
液体増粘剤組成物は、緩衝塩、例えばクエン酸塩、特にクエン酸ナトリウムを含んでもよい。緩衝塩が食品用である場合、かつ他の成分と組み合わせて組成物の所望のpHをもたらす場合、任意の量である任意の緩衝塩が好適であり得る。組成物は、約0.5%w/w~約1.5%w/w、約0.7%w/w~約1.30%w/w、約0.85%w/w~約1.15%w/w、又は約0.99%w/wの緩衝塩を含んでもよい。好ましくは、組成物は、約0.5%w/w~約1.5%w/w、約0.7%w/w~約1.30%w/w、より好ましくは約0.85%w/w~約1.15%w/wのクエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)を含んでもよい。
【0092】
液体増粘剤組成物は更に、好ましくはリン酸及び/又はクエン酸から選択される食用酸を、より好ましくは組成物の約0.2%w/w~約2%w/w、約0.3%w/w~約1.7%w/w、約0.4%w/w~約1.5%w/w、より好ましくは約0.5%w/w~約1.5%w/w、あるいは約0.5%w/w~約1.2%w/w、最も好ましくは約0.5%w/w~約1.0%w/wの量で含んでもよい。本明細書において添加される場合、食用酸は典型的には、純粋な酸として計算される。例えば、リン酸が75%の濃度で添加される場合、例えば10mLにおける純粋なリン酸は、7.5mLである。
【0093】
液体増粘剤組成物は、好ましくは組成物の50%w/w~82%w/w、より好ましくは55%w/w~77%w/wの量で水を更に含む。
【0094】
特に好ましい実施形態によれば、本発明の液体増粘剤組成物は、以下を含んでもよい。
【0095】
a)約4%w/w~約20%w/w、又は上に開示された任意の範囲、最も好ましくは約7%w/w~約9%w/w、あるいは約7.5%w/w~約8.5%w/wの、本明細書で定義されるキサンタンガム、
b)約10%w/w~約50%w/w、又は更に約10%w/w~40%w/w、同様に好ましくは約10%w/w~約35%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば
約10%w/w~約40%w/w、又は上に開示された任意の範囲、最も好ましくは約17.5%w/w~約18.5%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば、アカシア・セネガル、あるいは
約20%w/w~約50%w/w、又は上に開示された任意の範囲、最も好ましくは約27.5%w/w~約32.5%w/wの、本明細書で定義されるアカシアガム、例えば、アカシア・セヤル、又はアカシア・セネガル以外の任意の他のアカシアガム、あるいは同様に、
約10%w/w~約50%w/w、約10%w/w~約40%w/w、同様に好ましくは約10%w/w~約35%w/wの範囲、又は上に開示された任意の範囲の、アカシア・セネガルとアカシア・セヤル又は任意の他のアカシアガムとの混合物;
好ましくはアカシア・セネガル;
c)任意選択で塩、好ましくは二価アルカリ土類金属塩、特にカルシウム塩、マグネシウム塩、例えばCaCl2又はMgCl2、塩化カルシウム二水和物、塩化マグネシウム二水和物、例えば、
約0.01%w/w~約0.7%w/w、若しくは上に開示された任意の範囲、最も好ましくは約0.1%w/w~約0.25%w/wのカルシウム塩、好ましくは無水塩化カルシウム、CaCl2、若しくは塩化カルシウム二水和物、より好ましくは塩化カルシウム二水和物、及び/又は
約0.01%w/w~約0.7%w/w、若しくは上に開示された任意の範囲、最も好ましくは約0.1%w/w~約0.25%w/wのマグネシウム塩、好ましくは無水塩化マグネシウム、MgCl2、若しくは塩化マグネシウム二水和物、より好ましくは塩化マグネシウム二水和物;
d)少なくとも1種類の防腐剤、より好ましくは少なくとも2種類の異なる防腐剤であって、任意選択で、防腐剤のうちの1つがソルビン酸カリウムなどのソルビン酸塩であり、任意選択で、第2の防腐剤が安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩であり、好ましくは各防腐剤が組成物の約0.05%w/w~約0.09%w/wの範囲である、防腐剤;
e)好ましくはクエン酸塩又はクエン酸ナトリウムから選択され、より好ましくは約0.5%w/w~約1.5%w/w、又は上に開示された任意の範囲、最も好ましくは約0.85%w/w~約1.15%w/wの量の緩衝塩;
f)約0.001%w/w~約0.01%w/w、又は上に開示した任意の範囲、最も好ましくは約0.005%w/w~約0.007%w/wの量の、(脂肪酸の)モノグリセリド及び/又は(脂肪酸の)ジグリセリドから選択される消泡剤、好ましくはモノグリセリド;
g)好ましくはリン酸及び/又はクエン酸から選択され、より好ましくは約0.2%w/w~約2%w/w、又は上に開示された任意の範囲の量、最も好ましくは約0.5%w/w~約1%w/wの量の食用酸;
h)任意選択で、ペクチン及び/若しくは低メトキシペクチン、又はペクチン及び/若しくは低メトキシペクチンの組み合わせ;
i)典型的には組成物の50%w/w~82%w/w、より好ましくは55%w/w~77%w/wの量の水。
【0096】
液体増粘剤組成物は、約3.0~約4.5のpH(例えば、約3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、及びこれらの任意の範囲内のpH)を示してもよい。好ましくは、液体増粘剤組成物のpHは、約3.5~4.1、約3.6~約4.0、約3.7~約4.0、又は約3.7、3.8若しくは3.9である。液体増粘剤組成物のpHは、当該技術分野において公知の任意の手段によって、例えば、食用酸、例えば、リン酸、例えば、リン酸の約75%溶液の添加によって酸性にされてもよい。
【0097】
本明細書に記載される液体増粘剤組成物は、所定の量で液体、飲料又は食品に添加された場合、食品の元の風味及び/又は色などの望ましい特性を実質的に変化させてはならない。この点に関して、液体組成物は、所望の量で食品に添加された場合、風味及び/又は色にほとんど又は全く寄与しないことができる。更に、所望の粘度を達成するために食品に添加される液体組成物の量は、食品の風味及び/又は色特性を薄めないように、できるだけ少ないことが好ましい。
【0098】
本明細書に記載される液体増粘剤組成物は流動性である。液体増粘剤組成物は、2500mPa・s未満、2000mPa・s未満、又は好ましくは1500mPa・s未満の粘度を有してもよい。液体増粘剤組成物のこのような粘度は、液体又は飲料で希釈される前、及び該組成物をビン又は容器中に保存する際、すなわち再構成前の液体増粘剤組成物の粘度である。液体増粘剤組成物は、水性液体又は水性液体固体混合食品に所定の量で添加される場合に、ポンプディスペンサー又はサッシェなどから容易に供給することができる粘度、かつ、ほとんど又は全く撹拌せずに(すなわち、機械的撹拌器又は手撹拌によって加えられる低剪断混合力で)分散され得る粘度の組成物であってもよい。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0099】
したがって、再構成前の液体増粘剤組成物は、一般に、約100mPa・s、150mPa・s、200mPa・s、250mPa・s、300mPa・s、350mPa・s、400mPa・s、450mPa・s、500mPa・s、550mPa・s、600mPa・s、650mPa・s、700mPa・s、750mPa・s、800mPa・s、850mPa・s、900mPa・s、950mPa・s、1000mPa・s、1050mPa・s、1100mPa・s、1150mPa・s、1200mPa・s、1250mPa・s、1300mPa・s、1350mPa・s、1400mPa・s、1450mPa・s、1500mPa・s、1550mPa・s、1600mPa・s、1650mPa・s、1700mPa・s、1750mPa・s、1800mPa・s、1850mPa・s、1900mPa・s、1950mPa・s、2000mPa・s、2050mPa・s、2100mPa・s、2150mPa・s、2200mPa・s、2250mPa・s、2300mPa・s、2350mPa・s、2400mPa・s、2450mPa・s、又は2500mPa・sの粘度、あるいは、そのような値から形成される任意の範囲、例えば、100mPa・s~2500mPa・sの粘度を有してもよい。より好ましくは、再構成前の液体増粘剤組成物は、約100mPa・s、150mPa・s、200mPa・s、250mPa・s、300mPa・s、350mPa・s、又は400mPa・s~約1100mPa・s、更により好ましくは約500mPa・s~約1000mPa・sの粘度を有してもよい。最も好ましくは、液体増粘剤組成物は、約550mPa・s~約950mPa・sの粘度を有してもよい。好ましくは、液体増粘剤組成物は、ポンプ供給可能な粘度のものである。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0100】
本明細書で定義される液体増粘剤組成物(及び一般に液体若しくは飲料又は食品組成物などの組成物)の粘度は、当該技術分野において公知の任意の手段によって測定されてもよい。例えば、粘度は、Anton Paar Physica MCR501レオメーター、又は類似の装置を使用して測定することができる。好ましくは、本明細書において、粘度は、Anton Paar Physica MCR501レオメーター又は類似の装置を用いて、50s-1の剪断速度及び室温(20℃)において、mPa・s単位で測定される。
【0101】
本発明はまた、増粘組成物、特に液体増粘剤組成物を含む液体増粘組成物に関する。このような組成物は、「再構成」増粘剤組成物と定義することもできる。増粘組成物の粘度は、一般に、所定の粘度レベルに基づいて決定することができる。
【0102】
嚥下困難では、粘度レベルは、歴史的に、デンプンを主成分とする製品について米国のNational Dysphagia Diet (NDD)に見られるレベルに従って定義されており、その粘度レベルは、20℃及び50s-1の剪断速度で測定した「ネクター(Nectar)」50~350mPa・s、「ハチミツ(Honey)」351~1750mPa・s、及び「プディング(Pudding)」(1750mPa・s超)、として定義されている。
【0103】
しかしながら、NDDレベルは元々デンプンを主成分とする製品に対して定義されており(キサンタンは剪断減粘性ポリマーであるが、デンプンはそうではないため)、キサンタン系ポリマーには容易に適用できない。したがって、キサンタンの剪断減粘性挙動によって、キサンタンを主成分とする製品には、より低い粘度が当てはまり得るため、NDDレベルは、キサンタン製品を基準にした必要とされる粘度と正確には一致しない。キサンタン系増粘剤を同様に記載する新しい基準は現れていない。
【0104】
注目すべきことに、キサンタン系増粘剤は、現在10年超にわたって市販されており(例えば、Societe des Produits Nestle製のThickenUp Clear(TUC))、長期間安全に使用されてきた記録を有する。多くの刊行物、臨床試験が存在し、そのような製品を用いて10億を超える安全な嚥下が行われている。TUCの粘度レベルは、50/s及び20℃においてレオメーターで注意深く測定され、記載されたものである。更に、0~100/sの剪断掃引を実施して、TUCの剪断減粘特性を測定し、口(低い値)及び嚥下中の喉(より高い値、すなわち約800/s)における機械的誤用(mechanical abuse)を記載した。
【0105】
また、嚥下困難の分野では、粘度が、安全性についての信頼できる代替マーカーであり、一般に粘度が高いほど介入の効果が高くなることも十分に受け入れられている。
【0106】
本明細書に記載される本発明の液体増粘剤組成物は、レオメーターの一般に許容される測定限界/許容範囲内で、増粘に関してTUCと同様の挙動を示すように設計されている。
【0107】
したがって、上記を考慮して、キサンタン系増粘剤の臨床試験では、典型的には、ネクター、ハチミツ及びプディングの粘度について適切な対応範囲が得られている。
【0108】
更に最近、IDDSIシステムが(キャリブレーション済みシリンジが空になる体積に基づく)測定ツールとして登場した。新しいレベルは、レベル1~4と定義され、レベル1=「非常に薄いとろみ(slightly thick)」、レベル2=「薄いとろみ(mildly thick)」、レベル3=「中間のとろみ(moderately thick)」、レベル4=「濃いとろみ(extremely thick)」などとも呼ばれる。このようなレベルの測定は、好ましくは、例えばhttps://link.springer.com/article/10.1007/s00455-016-9758-yで利用可能な国際嚥下食基準化構想(International Dysphagia Diet Standardization Initiative、IDDSI)によって定義されるように実施される。あるいは、Cichero,J.A.Y.,Lam,P.,Steele,C.M.らのDevelopment of International Terminology and Definitions for Texture-Modified Foods and Thickened Fluids Used in Dysphagia Management:The IDDSI Framework.Dysphagia 32,293-314(2017)、https://doi.org/10.1007/s00455-016-9758-yに公表されているように実施される。
【0109】
概して、好ましくはIDDSI測定プロトコルに従ってシリンジで測定されたとき、ネクター、ハチミツ、及びプディング(レオメーターで20℃、剪断速度50s-1で測定)は、それぞれIDDSIレベル2、3、及び4に対応する。
【0110】
したがって、上記を考慮して、本出願は、段階1=「非常に薄いとろみ」、段階2=「薄いとろみ」、段階3=「中間のとろみ」、及び段階4=「濃いとろみ」に対応する、IDDSIレベル1、2、3、及び4に類似した(ただし必ずしも同一ではない)レベルを定義する。このようなレベルは、常に、(最終)増粘組成物、すなわち、本発明による液体増粘剤組成物が添加された液体、飲料、又は食品などの組成物を指す。このような所望の粘度レベルを達成するための対応する用量は、以下に更に定義される通りである。
【0111】
したがって、液体増粘剤組成物は、好ましくは、所定体積の組成物の1、2、3、4、5、あるいは6回分以上の用量で、液体、飲料又は食品の粘度がそれぞれ本発明の第1、第2、第3及び第4の粘度レベルまで好適に上昇するように、所定体積の1回分以上の用量で、基準体積の食品、好ましくは液体又は飲料に送達され、結果として増粘組成物が得られるように構成されている。
【0112】
本発明の文脈において、液体、飲料、又は食品の基準体積に添加される所定体積又は用量は、典型的には1mL~10mL、好ましくは4mL~7mL、同様に好ましくは4.5mL~6.5mL、より好ましくは約4.3mL~4.8mL、例えば2.3mL、4.1mL、4.3mL、4.6mL、4.8mL、5mL、5.2mL、5.5mL、6mL又は6.5mL、最も好ましくは4.3mL、4.6mL、4.8mL、例えば4.6mLである。
【0113】
増粘組成物を形成するために所定体積又は用量の液体増粘剤組成物が添加される、好ましくは半液体又は液体組成物、例えば、液体、飲料又は食品である食品の基準体積は、典型的には約100mL~250mL、好ましくは100mL、150mL、200mL又は250mL、より好ましくは150mL又は200mL、更により好ましくは150mLである。
【0114】
液体、飲料又は食品の基準体積は、典型的には、液体増粘剤組成物が添加される食品の温度に依存する。しかしながら、本発明者らは今、驚くべきことに、本明細書に記載される増粘剤組成物中のキサンタンとアカシアとの本発明による組み合わせが、「ワン・フィッツ・オール(one fits all)」アプローチを可能にすること、すなわち、本明細書で定義される使用量(dosage)が、必ずしも基準体積を調整せずとも、ほとんどの冷たい飲料又は食品及び熱い飲料又は食品に適合することを発見した。それにもかかわらず所望の粘度が達成され得なければ、粘度が低すぎる場合、例えば、1回分以上の用量を添加することによって液体増粘剤組成物の量を増加させてもよく、又は粘度が高すぎる場合、用量数を減少させてもよい。したがって、本発明の利点は、適用の必要がある液体、飲料又は食品の基準体積が1つのみであることである。
【0115】
それにもかかわらず、任意選択の実施形態として、冷たい液体、飲料、又は食品と熱い液体、飲料、又は食品とを区別してもよく、冷たい液体、飲料又は食品は、好ましくは約4℃であり、基準の冷たい液体、飲料又は食品は、好ましくは牛乳から選択され、熱い液体、飲料又は食品は、好ましくは約45℃であり、基準の熱い食品は好ましくはコーヒー(例えば、100%コーヒー・アラビカ(Coffea Arabica))から選択される。
【0116】
本発明の好ましい態様によれば、液体(例えば、4℃の牛乳、20℃の水、45℃のコーヒーなど)において本明細書で定義される本発明の粘度レベル1~4を達成するための用量数は、以下の通りである。
【0117】
【0118】
当業者が理解し得るように、本発明の粘度レベル又はIDDSIレベルについて必要とされる用量数は、必要かつ適切であれば、調整されてもよい。
【0119】
特定の実施形態によれば、液体増粘剤組成物を液体、飲料又は食品に添加することによって調製することができる、再構成後の増粘組成物は、好ましくは1mPa・s~1500mPa・sの粘度を有してもよい。
【0120】
より好ましくは、再構成後の増粘組成物は、本明細書で定義される本発明の粘度レベル1、2、3又は4のうちの1つによる粘度レベルを示してもよい。
【0121】
上記を考慮して、本発明の粘度レベル1「非常に薄いとろみ」は、好ましくは約1mPa・s~120mPa・s、好ましくは約5mPa・s~120mPa・s、又は約10mPa・s~120mPa・s、同様に好ましくは約20mPa・s~約120mPa・s、より好ましくは約40mPa・s~約110mPa・s、更により好ましくは約60mPa・s~約110mPa・s、最も好ましくは約80mPa・s~約100mPa・s、例えば、約1mPa・s、2mPa・s、3mPa・s、4mPa・s、5mPa・s、6mPa・s、7mPa・s、8mPa・s、9mPa・s、10mPa・s、15mPa・s、20mPa・s、25mPa・s、30mPa・s、3mPa・s5、40mPa・s、45mPa・s、50mPa・s、55mPa・s、60mPa・s、65mPa・s、70mPa・s、75mPa・s、80mPa・s、85mPa・s、90mPa・s、95mPa・s、100mPa・s、105mPa・s、110mPa・s、115mPa・s及び120mPa・s、並びにこれらの任意の範囲内のmPa・sである。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0122】
上記を考慮して、本発明の粘度レベル2「薄いとろみ」は、好ましくは約121mPa・s~300mPa・s、又は約125mPa・s~250mPa・s、同様に好ましくは約130~240mPa・s、より好ましくは約140mPa・s~220mPa・s、更により好ましくは約145mPa・s~210mPa・s、最も好ましくは約150mPa・s~200mPa・s、例えば、約121mPa・s、125mPa・s、130mPa・s、135mPa・s、140mPa・s、145mPa・s、150mPa・s、155mPa・s、160mPa・s、165mPa・s、170mPa・s、175mPa・s、180mPa・s、185mPa・s、190mPa・s、195mPa・s、200mPa・s、205mPa・s、210mPa・s、215mPa・s、220mPa・s、225mPa・s、230mPa・s、235mPa・s、240mPa・s、245mPa・s、250mPa・s、255mPa・s、260mPa・s、265mPa・s、270mPa・s、275mPa・s、280mPa・s、285mPa・s、290mPa・s及び300mPa・s、並びにこれらの任意の範囲内のmPa・sである。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0123】
上記を考慮して、本発明の粘度レベル3「中間のとろみ」は、好ましくは約301mPa・s~500mPa・s、又は約315mPa・s~485mPa・s、同様に好ましくは約330mPa・s~470mPa・s、より好ましくは約345mPa・s~455mPa・s、更により好ましくは約360mPa・s~440mPa・s、最も好ましくは約375mPa・s~425mPa・s、例えば、約301mPa・s、305mPa・s、310mPa・s、315mPa・s、320mPa・s、325mPa・s、330mPa・s、335mPa・s、340mPa・s、345mPa・s、350mPa・s、355mPa・s、360mPa・s、365mPa・s、370mPa・s、375mPa・s、380mPa・s、385mPa・s、390mPa・s、395mPa・s、400mPa・s、405mPa・s、410mPa・s、415mPa・s、420mPa・s、425mPa・s、430mPa・s、435mPa・s、440mPa・s、445mPa・s、450mPa・s、455mPa・s、460mPa・s、465mPa・s、470mPa・s、475mPa・s、480mPa・s、485mPa・s、490mPa・s、495mPa・s及び500mPa・s、並びにこれらの任意の範囲内のmPa・sである。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0124】
上記を考慮して、本発明の粘度レベル4「濃いとろみ」は、好ましくは501mPa・s超、例えば、約501mPa・s~900mPa・s、又は約520mPa・s~850mPa・s、同様に好ましくは約540mPa・s~800mPa・s、より好ましくは約560mPa・s~750mPa・s、更により好ましくは約580mPa・s~700mPa・s、最も好ましくは約600mPa・s~650mPa・s、例えば、約501mPa・s、505mPa・s、510mPa・s、515mPa・s、520mPa・s、525mPa・s、530mPa・s、535mPa・s、540mPa・s、545mPa・s、550mPa・s、555mPa・s、560mPa・s、565mPa・s、570mPa・s、575mPa・s、580mPa・s、585mPa・s、590mPa・s、600mPa・s、605mPa・s、610mPa・s、615mPa・s、620mPa・s、625mPa・s、630mPa・s、635mPa・s、640mPa・s、645mPa・s、660mPa・s、665mPa・s、660mPa・s、665mPa・s、670mPa・s、675mPa・s、680mPa・s、685mPa・s、690mPa・s、700mPa・s、705mPa・s、710mPa・s、715mPa・s、720mPa・s、725mPa・s、730mPa・s、735mPa・s、740mPa・s、745mPa・s、770mPa・s、775mPa・s、770mPa・s、775mPa・s、770mPa・s、775mPa・s、780mPa・s、785mPa・s、790mPa・s、800mPa・s、805mPa・s、810mPa・s、815mPa・s、820mPa・s、825mPa・s、830mPa・s、835mPa・s、840mPa・s、845mPa・s、880mPa・s、885mPa・s、880mPa・s、885mPa・s、870mPa・s、875mPa・s、880mPa・s、885mPa・s、890mPa・s及び900mPa・s、並びこれらの任意の範囲内のmPa・sである。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0125】
別の好ましい実施形態によれば、再構成後の増粘組成物は、IDDSIレベル1~4のいずれかを示してもよい。
【0126】
更に、驚くべきことに、粉末増粘剤とは異なり、本発明の液体増粘剤組成物は、液体増粘剤組成物の追加供給により、あるレベルからより高いレベルへと変化させることができることが見出されている。例えば、本発明の液体増粘剤組成物1回分の用量を150mLの液体に添加することによって、安定な本発明の粘度レベル1「非常に薄いとろみ」が達成されたと仮定すると、更なる用量を追加で添加することにより、典型的には、再構成液体が更に増粘されて、本発明の粘度レベル2「薄いとろみ」となる。本発明の液体増粘剤組成物を更なる2回分の用量添加することにより、再構成液体が更に増粘されて、本発明の粘度レベル3「中間のとろみ」となり、液体増粘剤組成物を更なる2回分の用量添加することにより、再構成液体が更に増粘されて、本発明の粘度レベル4「濃いとろみ」となる。同様に、IDDSIレベル1~4は、1回、2回、4回又は6回分の用量を本明細書で定義される基準体積に添加することなどによって得ることができる。
【0127】
本発明の液体増粘剤組成物は、驚くべきことに、好ましくは、例えば、典型的には無菌条件下で充填された密閉ビン又は密閉容器中で保存された場合、室温で少なくとも数ヶ月(1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月)、好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは少なくとも1年間安定である。安定とは、想定される保存可能期間中に粘度がほぼ一定であること、液体150mLでの再構成粘度が保存可能期間中に(実質的に)同じであること、及び/又は相分離が生じない、若しくは実質的に生じないことを意味すると解釈される。したがって、配合物は、以下に記載するように、定量ポンプディスペンサー又はサッシェなどのあらかじめパッケージ化された製品としてエンドユーザーに提供することができる。エンドユーザーは、所望の最終粘度を達成するために食品又は飲料に添加する本発明の液体増粘剤組成物の量を、確実に計算することができる。次いで、本発明の液体増粘剤組成物は、容易に供給され、液体(例えば、水)、飲料又は食品に容易に混合されて、増粘組成物に所望の粘度を与える。保存は、典型的には、日光にさらされることなく、周囲条件で行われる。
【0128】
このように液体増粘剤組成物をパッケージ化及び使用できることは、本明細書で定義されるキサンタンガム及びアカシアガムが定義される比率で組み合わされて存在する結果であり、パッケージ化により、典型的には低剪断混合の存在下において液体(例えば、水)、飲料又は食品への適用により放出されるまで、キサンタンガムの粘度の発現(完全水和)が抑止される。また、パッケージ化により、特に増粘用粉末、例えばThicken-up Clear、又は市販の液体増粘剤溶液に関して、より容易な取り扱いが可能になる。更に、市販されている多くのデンプン系増粘剤組成物は、希釈用の液体として水に対してのみ適切に機能することが証明されているが、例えば、牛乳、又は水ではない他の液体での希釈では、適切に増粘できない、又は少なくとも必要とされるものと全く異なる増粘挙動を示し、部分的には、回避すべきフィッシュアイやダマの原因にもなる。
【0129】
液体増粘剤組成物の経時的安定性は、液体組成物の色(もしあれば)、風味(もしあれば)、分離(もしあれば)、微生物による腐敗(もしあれば)、粘度及び/又は透明度の保持によって示されることもある。加えて、又は代わりに、液体増粘剤組成物の安定性は、本明細書で定義される液体、飲料又は食品に添加した際に、均一で再現可能な所定のレベルの粘度を付与する組成物の能力によって決定されてもよい。液体増粘剤組成物の安定性はまた、微生物による腐敗の程度及び速度を測定するための微生物学的試験;分離及び/又は沈降などの物理的変化の目視検査;色、風味及び/又は透明度の変化を決定するための官能評価;並びにレオメーター又は類似の装置を使用した粘度測定を含む、食品科学における当業者が利用可能な技術のいずれかを使用することによって決定することができる。粘度は、Anton Paar Physica MCR501レオメーター又は類似の装置を用いて、50s-1の剪断速度及び室温(20℃)において、mPa・s単位で測定してもよい。
【0130】
本発明はまた、液体増粘剤組成物を含む容器に関する。容器は、剛性又は可撓性の壁部を有する容器、例えばパウチであってもよい。容器は、液体増粘剤組成物を保存し、微生物汚染、酸化、湿度、光及び/又は放射線のような外部の影響から保護することを可能にする。容器は、気密封止されてもよい。
【0131】
本発明はまた、液体増粘剤組成物を入れた容器とディスペンサーとを備える保存・送達システムに関する。このシステムは、液体増粘剤組成物を大気(酸化、湿度など)、ひいては光から保護するために密閉されてもよい。
【0132】
ディスペンサーは、容器とは別に設けられ、例えば、最初の使用前に、必要なときに例えばディスペンサーのパイプを容器に挿入することによって、容器と組み合わされるだけでもよい。本発明の保存・送達システムにおける容器とディスペンサーとの組み合わせは、システム又はキットオブパーツ(kit-of-parts)と考えることができる。ディスペンサーは、容器を一度開けた後、再び密閉されてもよい。更に、ディスペンサーは、容器から取り外し可能であってもよい。あるいは、ディスペンサー及び容器は、あらかじめ組み合わされた(任意選択で取り外し不可能な)送達システムとして提供されてもよい。
【0133】
ディスペンサー又はポンプディスペンサーは、使用時に、本明細書に記載される液体増粘剤組成物の均一な所定の用量又は体積を、保存・送達システムの全内容物又は容量を通して送達することができ、好ましくは、液体増粘剤組成物を環境による任意の影響、例えば、大気の乾燥効果から保護することができる。本発明の文脈における「均一な」とは、好ましくは、ディスペンサーが、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、3%未満、あるいは2%未満の標準偏差で、所定体積又は用量を同じ量で放出するのに好適であることを意味する。
【0134】
液体、飲料又は食品の基準体積にディスペンサーによって添加される、本発明の文脈における所定体積又は用量は、典型的には、本明細書で定義されるように、約1mL~10mL、好ましくは約4mL~7mL、同様に好ましくは約4.5mL~6.5mL、より好ましくは約4.3mL~4.8mL、例えば約2.3mL、約4.1mL、約4.3mL、約4.6mL、約4.8mL、約5mL、約5.2mL、約5.5mL、約6mL又は約6.5mL、最も好ましくは約4.3mL、約4.6mL、又は約4.8mL、例えば約4.6mLである。したがって、ディスペンサーは、典型的には、用量当たり約4mL~7mLの量を供給するのに好適である。
【0135】
容器は、典型的には約100mL~3リットルの容量を有する。例えば、容器が450mLの容量を有する場合、典型的には用量が約4mL~7mLであれば、112回~64回分の用量/ビンが可能である。これは、他の容器容量及び注入量についても好適に計算することができる。
【0136】
したがって、保存・送達システムにより、厳密かつ/又は正確な用量又は体積の液体組成物を、所望の液体、飲料又は食品に供給することができる。
【0137】
ディスペンサーは、中に入った液体増粘剤組成物の安定性が細菌混入によって損なわれることを防止するために、使い捨て、又は単回使用のためのものであってもよい。あるいは、適切な洗浄及び除染後に再使用可能なディスペンサーが使用されてもよい。ディスペンサーは、ポンプディスペンサーであってもよく、又は増粘液体を供給するのに好適な、当該技術分野で公知である任意の他のディスペンサーであってもよい。好ましくは、ディスペンサーは自己密封式であり、すなわち、所定の用量を供給後、保存された組成物の例えば微生物による汚染が起こり得ないように、ディスペンサーが容器を閉じる。また、酸化、湿度、光及び/又は放射線のような他の外部の影響を外部に保つことができる。より好ましくは、このような自己密封式ディスペンサーは、組成物を気密封止する。
【0138】
液体増粘剤組成物及び/又は保存・送達システムは、必要とされる、本明細書で定義される本発明の粘度レベル1~4、又はIDDSIフレームワーク(国際嚥下食基準化構想)に従うレベルである、上記で定義されたIDDSI 1、2、3、4、又はユーザーが必要とする、他の所定のレベルを、整数の又は特定の数の注入(pump)(例えば1回、2回、3回、4回、5回、6回など)により達成できるように構成される。
【0139】
例えば、特定の基準体積の液体、飲料又は食品(例えば、150mL)に注入される場合、保存・送達システムからの液体増粘剤組成物の単回注入により、本明細書で定義されるIDDSIレベル1を生成することができる。それぞれ、本明細書で定義される基準体積に関してそれぞれ別々に考慮される、同じ特定体積の液体、飲料又は食品に添加されるとき、液体増粘剤組成物を2回注入することにより本明細書で定義されるIDDSIレベル2を生成することができ、液体増粘剤組成物を4回注入することにより本明細書で定義されるIDDSIレベル3を生成することができ、液体増粘剤組成物を6回注入することにより本明細書で定義されるIDDSIレベル4を生成することができる。IDDSIレベルは、本明細書で定義されるように決定されてもよい。
【0140】
同様に、保存・送達システムからの液体増粘剤組成物の単回注入は、特定体積の液体、飲料又は食品(例えば、150mL)に注入された場合、本明細書で定義される1mPa・s~120mPa・sの本発明の粘度レベル1を生成することができることが好ましい場合がある。それぞれ、本明細書で定義される基準体積、好ましくは約150mLに関してそれぞれ別々に考慮される、同じ特定体積の液体、飲料又は食品に添加されるとき、液体増粘剤組成物を2回注入することにより、本明細書で定義される121mPa・s~300mPa・sの本発明の粘度レベル2を生成することができ、液体増粘剤組成物を4回注入することにより、本明細書で定義される301mPa・s~500mPa・sの本発明の粘度レベル3を生成することができ、液体増粘剤組成物を6回注入することにより、本明細書で定義される501mPa・s超、例えば501mPa・s~900mPa・sの本発明の粘度レベル4を生成することができる。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0141】
本発明はまた、脱水、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害又は状態、好ましくは嚥下困難に罹患している対象の食事又は投与に使用するための液体増粘剤組成物、又は液体増粘組成物に関する。
【0142】
更に、本発明はまた、脱水、咀嚼及び/又は嚥下疾患、障害又は状態、好ましくは嚥下困難に罹患している対象に液体増粘剤組成物又は液体増粘組成物を投与する、又は食事として与える方法に関する。
【0143】
この使用又は方法のために、液体増粘剤組成物が、サッシェ又はポンプ供給可能部分などの適切な個々の部分に分離されることが好ましい。
【0144】
本発明はまた、液体増粘組成物を提供する方法であって、
a.上記の液体増粘剤組成物、及び前記液体増粘剤組成物を溶解するための液体、飲料、若しくは食品を用意する工程;
b.前記液体増粘剤組成物と、前記液体増粘剤組成物を溶解するための液体、飲料若しくは食品とを混合する工程であって、本明細書に定義される液体、飲料若しくは食品の基準体積に対して、好ましくは1回、2回、3回、4回、5回、6回分の用量の前記液体増粘剤組成物を混合する工程;それにより
c.好ましくはIDDSIレベル1、2、3、若しくは4のいずれかを有する液体増粘組成物を用意する工程;並びに/又は
典型的には、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定されたとき、1mPa・s~120mPa・s(本発明の粘度レベル1)、121mPa・s~300mPa・s(本発明の粘度レベル2)、301mPa・s~500mPa・s(本発明の粘度レベル3)又は501mPa・s超(本発明の粘度レベル4)の、本発明の粘度レベルのいずれかである粘度レベルを有する液体増粘組成物を用意する工程を含む、方法に関する。
【0145】
液体増粘組成物は、好ましくは、上記の液体増粘組成物である。前記液体増粘剤組成物を溶解するための液体、飲料又は食品は、水、ジュース、ソフトドリンク又は任意の好適な飲料若しくは液体食品、例えば水性液体固体混合食品であってもよい。
【0146】
再構成時間、すなわち、上記の液体増粘剤組成物を液体、飲料又は食品へ添加後に液体増粘組成物における所望の最終粘度が好ましくは達成される時間は、好ましくは10秒~40分、又は本明細書で定義される任意の範囲、例えば10秒~30分など、特に好ましくは30秒~30分、最も好ましくは4分~6分、あるいは4分~5分であり、好ましくは液体としての水での再構成において計算される。
【0147】
混合は、手撹拌(例えば、スプーン、フォーク、スティック又はスパチュラに類似したデバイスを用いる)又は任意の形態の(例えば、電動)機械的撹拌器によって達成することができる。混合は、典型的には、本明細書で定義される低剪断条件下で実施され、例えば、スプーン又はフォーク又はスティック又はスパチュラを用いた混合が挙げられる。
【0148】
液体増粘組成物を調製する方法における低剪断混合は、組成物の粘度の、最大又は最大に近い上昇を達成するように実施されてもよい。好ましくは、低剪断混合は、約5秒又は10秒~約40秒(例えば、約10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、21秒、22秒、23秒、24秒、25秒、26秒、27秒、28秒、29秒、30秒、31秒、32秒、33秒、34秒、35秒、36秒、37秒、38秒、39秒、40秒又はこれらの任意の範囲内の秒数)以上の間施される。
【0149】
同様に好ましくは、低剪断混合は、上記で一般に定義された混合速度及びrpm数で施され、より好ましくは、液体増粘組成物を調製する方法では、より低い剪断力による低剪断混合、例えば、フォークを使用することによる、例えば手混合を施してもよい。
【0150】
本明細書に記載される液体増粘剤組成物は、本明細書で定義される液体、飲料又は食品の粘度を、達成されるべき粘度レベルに応じて、典型的には1.5mPa・s超、好ましくは10mPa・s、20mPa・s、30mPa・s超、好ましくは30~250mPa・s、あるいは250mPa・s、300mPa・s、400mPa・s、500mPa・s、600mPa・s、700mPa・s、800mPa・s、若しくは900mPa・s超、あるいはそれ以上、例えば250~900mPa・s上昇させることができる。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0151】
前記液体増粘組成物の粘度は、液体増粘剤組成物の添加時(すなわち、再構成時)に、好ましくは少なくとも1.5mPa・s、2mPa・s、2.5mPa・s、3mPa・s、3.5mPa・s、4mPa・s、4.5mPa・s、5mPa・s、5.5mPa・s、6mPa・s、6.5mPa・s、7mPa・s、7.5mPa・s、8mPa・s、8.5mPa・s、9mPa・s、9.5mPa・s、10mPa・s、15mPa・s、20mPa・s、25mPa・s、30mPa・s、35mPa・s、40mPa・s、45mPa・s、50mPa・s、55mPa・s、60mPa・s、65mPa・s、70mPa・s、75mPa・s、80mPa・s、85mPa・s、90mPa・s、95mPa・s、100mPa・s、110mPa・s、120mPa・s、130mPa・s、140mPa・s、150mPa・s、175mPa・s、200mPa・s、250mPa・s、300mPa・s、350mPa・s、400mPa・s、450mPa・s、500mPa・s、550mPa・s、600mPa・s、650mPa・s、700mPa・s、750mPa・s、800mPa・s、850mPa・s、900mPa・s、950mPa・s、1000mPa・s、1050mPa・s、1100mPa・s、1150mPa・s、1200mPa・s、1250mPa・s、1300mPa・s、1350mPa・s、1400mPa・s、1450mPa・s、1500mPa・s、又はこれらの任意の範囲内のmPa・sに上昇する。粘度は、好ましくは室温(20℃)で、好ましくは50s-1の剪断速度で測定される。
【0152】
本発明はまた、液体増粘剤組成物を製造する方法であって、
a.アカシアガムを含む液体組成物(アカシアガムプレミックス)を用意する工程;
b.キサンタンガムを含む組成物を添加する工程;それにより
c.アカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を用意する工程、及び
d.任意選択で、アカシアガムとキサンタンガムとを含む組成物を脱気する工程であって、好ましくは工程bにおいてアカシアガムを含む組成物を、キサンタンガムを含む組成物に添加後、好ましくは工程cで用意された液体増粘剤組成物の保存又は更なる加工の前に行われる、工程を含む、方法に関する。
【0153】
液体増粘剤組成物を製造するための本発明の方法における工程aにおいて、アカシアガムを含む液体組成物が提供される。
【0154】
アカシアガムを含む前記液体組成物(アカシアガムプレミックス)は、キサンタン以外の、液体増粘剤組成物について定義される成分の少なくとも一部と水とを最初に乾式混合することによって調製されてもよい。成分は、本明細書で定義されるアカシアガム、本明細書で定義される(二価アルカリ土類金属)塩、本明細書で定義される緩衝塩、任意選択で、本明細書で定義される少なくとも1種類の防腐剤、任意選択で、本明細書で定義される消泡剤、任意選択で、本明細書で定義される食用酸、任意選択でペクチン及び/又は低メトキシペクチン、並びに任意選択で、本明細書で定義される少なくとも1種類の防腐剤を含んでもよい。プレミックスは、最初のドライミックスに、本明細書で定義される消泡剤を任意選択で含有する水を更に添加し、任意選択で残りの成分を添加し、組成物を加熱及び混合してアカシアガムプレミックスを調製し、任意選択でpHを3.0~4.5、好ましくは約3.7~約4.0に調整することによって調製されてもよい。アカシアガム及び全ての更なる成分は、本明細書で定義される液体増粘剤組成物中の全量に対する量でそれぞれ添加されてもよい。
【0155】
本方法はまた、(工程aにおいて)カルシウム塩又はマグネシウム塩、消泡剤、緩衝塩、防腐剤、又は/及び食用酸を含む液体を用意すること、並びにアカシアガムを含む組成物を添加することを含んでもよい。アカシアガムを含む組成物は、アカシアガム及び(低メトキシ)ペクチンを含む組成物であってもよい。
【0156】
アカシアガムプレミックスにおいてアカシアガムを本明細書で定義されるペクチンと任意選択で混合すること、特にキサンタンを添加する前に低メトキシペクチンと混合することにより、保存時の組成物の相分離を更に防止又は低減することができることも見出された。同様に、代わりに又は加えて、本明細書で定義される組成物中にカルシウム塩又はマグネシウム塩が存在することによっても、保存時の組成物の相分離を防止又は低減することができることが見出された。この効果は、組成物が(低メトキシ)ペクチン及びカルシウム塩を含む場合にも増強され得る。
【0157】
したがって、本方法はまた、工程aにおいて、アカシアガムとペクチンとを含む組成物を用意すること、及び前記組成物を液体に添加することを含んでもよい。好ましくは、アカシアガム及び(低メトキシ)ペクチンは、湿式混合よりも良好な保存可能期間安定性をもたらす乾式混合によって混合される。この工程は室温付近で行ってもよい。
【0158】
工程aにおける混合は、高剪断混合及び/又は低剪断混合として実施されてもよい。したがって、工程aにおける、すなわち、キサンタンを添加する前のアカシアプレミックスに対する高剪断混合及び/又は低剪断混合は、好ましくは、高剪断混合及び低剪断混合について本発明の文脈において上述したように実施され、より好ましくは、高剪断混合及び/又は低剪断混合について上記で定義された時間及び速度/rpm数で実施される。
【0159】
より好ましくは、工程aにおける低剪断混合は、好ましくは約10rpm~約350rpmの速度で、好ましくは約50rpm~約320rpmの速度で、同様に好ましくは約100rpm~約300rpmの速度で、より好ましくは約150rpm~約250rpmの速度で、更により好ましくは約175rpm~約225rpmの速度で、最も好ましくは約190rpm~約210rpmの速度で実施される。同様に好ましくは、工程aにおける「高剪断混合」は、好ましくは約351rpm以上、例えば約351rpm~1100rpmの速度で、好ましくは約400rpm~1000rpmの速度で、より好ましくは約450rpm~900rpmの速度で、更により好ましくは約450rpm~800rpmの速度で、同様により好ましくは約475rpm~775rpmの速度で、最も好ましくは約500rpm~750rpmの速度で、例えば約500rpm、約600rpm、約700rpm又は約750rpmの速度で実施される。rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。
【0160】
工程aにおける低剪断及び/又は高剪断混合は、上記で一般に定義された時間、好ましくは約5又は10秒~約480秒、約5秒~約240秒、約5秒~約180秒、約5秒~約160秒、又はそのような値のいずれかによって形成される5~480秒における任意の範囲の間施されてもよい。
【0161】
工程a(好ましくはアカシアガムと(低メトキシ)ペクチンとの混合以外の)における加熱は、典型的には、約50℃~約80℃、約50℃~約70℃、約55℃~約65℃、又は約60℃で行われてもよい。
【0162】
より好ましくは、アカシアガムプレミックスは以下の順序で調製される:本明細書で定義されるアカシアガム、本明細書で定義される(二価アルカリ土類金属)塩、本明細書で定義される緩衝塩、任意選択で、本明細書で定義される少なくとも1種類の防腐剤、任意選択で、本明細書で定義される消泡剤、任意選択で、本明細書で定義される食用酸、任意選択でペクチン及び/又は低メトキシペクチンを乾式混合し、本明細書で定義される消泡剤を任意選択で含有する水を添加する工程;任意選択で、好ましくは本明細書で定義される食用酸を用いて、pHを3.0~4.5、好ましくは約3.7~約4.0に調整する工程;任意選択で、本明細書で定義される少なくとも1種類の防腐剤を添加する工程;アカシアガムプレミックスを、好ましくは本明細書で定義される時間及び剪断速度で、好ましくは上記で定義された高剪断速度及び/又は低剪断速度で混合する工程;並びに、任意選択で、アカシアガムプレミックスを、好ましくは50~80℃、50℃~70℃、55℃~65℃、又は約60℃の温度に加熱する工程。
【0163】
アカシアガムプレミックス、すなわち、工程a)の終わりに得られ、アカシアガム及び任意選択で(低メトキシ)ペクチン、任意選択で緩衝塩、任意選択でカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、任意選択で消泡剤、任意選択で防腐剤、及び/又は任意選択で食用酸を含むが、キサンタンを含まない液体組成物は、微生物学的安定性を向上させるために低温殺菌してもよい。
【0164】
液体増粘剤組成物を製造するための本発明の方法における工程bにおいて、キサンタンガムを含む組成物が、工程aにおいて調製されたアカシアガムプレミックスに添加される。前記キサンタンは、乾燥粉末としてアカシアガムプレミックスに添加されてもよい。
【0165】
驚くべきことに、工程aにおいて得られた組成物に、工程bにおいてキサンタンを添加する前に、組成物を室温(約20℃~約30℃、又は約25℃)まで冷却することにより、液体増粘剤組成物の保存時の相分離が低減されることが見出された。したがって、工程bは、好ましくは室温で行われる。
【0166】
均一な混合物が得られるまで(約20秒、15秒、又は10秒未満)、低剪断(あるいは剪断なし)及び穏やかな条件下で工程bを行うことで、保存時の相分離が低減されることが更に見出された。
【0167】
それにもかかわらず、工程bにおいて最初に(短い)高剪断混合の工程が含まれてもよく、好ましくはその後に低剪断混合が続く。工程bにおけるこのような高剪断混合は、完全に任意であり、好ましくは約400rpm~約700rpm、好ましくは500rpm又は600rpm、より好ましくは500rpmの速度で実施されてもよい。rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。本文脈における最初の高剪断混合は、好ましくは、約1秒~約15秒、好ましくは約1秒~約10秒、更により好ましくは約1秒~約5秒実施されてもよい。工程bにおける最初の高剪断混合があまりに長く、又はあまりに高速で実施される場合、粘度が上昇してドウのような状態になるが、これは回避されるべきである。
【0168】
更に、工程bにおける低剪断混合は、例えば、約190rpm~約210rpm、好ましくは200rpmの速度で実施されてもよい。rpm数は、典型的には、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。工程bにおける低剪断混合は、好ましくは上記で定義された時間、より好ましくは約5若しくは10秒~約480秒、又は約5若しくは10秒~約240秒、又は更により好ましくは約5秒~約180秒、又は約5秒~約60秒、あるいはそれ未満、同様に好ましくは約5秒~約120秒、又は約5秒~約100秒、又は約5秒~約160秒、又は約5秒~約120秒、又は約5秒~約60秒、又はそのような値のいずれかによって形成される中間の任意の範囲で実施される。
【0169】
液体増粘剤組成物を製造するための本発明の方法における工程cにおいて、アカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物は、工程a及びbの後に提供される。
【0170】
任意選択で、液体増粘剤組成物を製造するための本発明の方法における工程dにおいて、工程cで用意された液体増粘剤組成物の脱気工程が実施される。驚くべきことに、保存又は更なる加工の前に、工程cで用意されたアカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を脱気することは、相分離現象を低減するのに役立つことが見出された。
【0171】
工程dにおける組成物の脱気により、保存時の液体増粘剤組成物の相分離を好適に防止することができることが見出された。脱気は、当該技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、組成物を例えば低剪断力で撹拌することによって、例えば、YTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm、上記参照)を使用して穏やかに混合することによって、又は組成物からガス状化合物を除去する任意の他の機械装置若しくは任意の更なる公知の技術によって、又は好ましくは保存タンクに保存することにより組成物を「自然に」脱気することによって、又は任意の更なる公知の技術によって達成することができる。「脱気」は、好ましくは、閉じ込められた空気又は気泡の除去を意味すると理解される。「自然」脱気とは、好ましくは、撹拌などの更なる機械的補助を伴わずに、経時的な自然なプロセス又は物理的プロセスによってのみ組成物を脱気することを意味する。自然脱気は、概して、5時間~12時間、最大で3日間又は4日間、より好ましくは12時間~3日間又は1日間~3日間、例えば、一晩行われてもよい。自然脱気はまた、増粘液体組成物を一晩(約10時間~約15時間)静置することによって行われてもよい。脱気はまた、例えば、低剪断撹拌と自然脱気との組み合わせとして行われてもよい。脱気は、好ましくは、例えば、保存及び商業的販売目的のために容器又はビンに充填するため、組成物をより少ない体積に分注する前に行われる。選択肢として、工程aで調製され、用意されたアカシアガムプレミックスに対して脱気を実施してもよい。
【0172】
更なる特定の実施形態によれば、低剪断混合及び/又は高剪断混合は、任意選択の脱気工程(工程d)の後に得られた液体増粘剤組成物に対して実施されてもよい。任意選択の工程dの後に得られる液体増粘剤組成物に対するこのような低剪断混合及び/又は高剪断混合は、例えば、完全に任意である。好ましくは、低剪断混合は、低剪断混合について上記で定義された任意の速度、例えば、約190rpm~約210rpm、好ましくは200rpmの速度で実施されてもよい。同様に、そのような特定の一実施形態によれば、高剪断混合は、次いで、高剪断混合について上記で定義された任意の速度で、例えば、約475rpm~約775rpm、好ましくは500rpm、600rpm、700rpm又は750rpm、より好ましくは600rpmの速度で実施されてもよい。これらの場合のいずれにおいても、rpm数は、典型的にはYTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)で計算される。任意選択の脱気工程(工程d)の後に得られた液体増粘剤組成物に対する低剪断及び/又は高剪断混合は、好ましくは、約5秒若しくは10秒~約480秒、約5秒~約240秒、約5秒~約180秒、約5秒~約160秒、又は5~480秒における任意の範囲の間(このような値のいずれか、又は本明細書で一般に定義される値によって形成される)で施される。
【0173】
特に好ましい実施形態によれば、液体増粘剤組成物を製造する方法は、
a.アカシアガムを含む液体組成物(アカシアガムプレミックス)を用意する工程であって、好ましくは
-アカシアガムプレミックスを、好ましくは
本明細書中で定義されるアカシアガム、
任意選択で、本明細書で定義される(二価アルカリ土類金属)塩、
本明細書で定義される緩衝塩、
任意選択で、本明細書で定義される少なくとも1種類の防腐剤、
任意選択で、本明細書で定義される消泡剤、
任意選択で、本明細書で定義される食用酸、
任意選択で、ペクチン及び/又は低メトキシペクチンを、乾式混合することによって調製すること、
本明細書で定義される消泡剤を任意選択で含有する水を添加すること;
任意選択で、好ましくは本明細書で定義される食用酸を用いて、pHを3.0~4.5、好ましくは約3.7~約4.0に調整すること;
任意選択で、本明細書で定義される少なくとも1種類の防腐剤を添加すること;
アカシアガムプレミックスを、好ましくは本明細書で定義される時間及び剪断速度で、好ましくは高剪断速度で混合すること;
任意選択で、アカシアガムプレミックスを、好ましくは50~80℃の温度に加熱すること;任意選択で、アカシアガムプレミックスを冷却することを含む、工程;
b.アカシアガムプレミックスに、キサンタンガム、好ましくは乾燥粉末形態のキサンタンガムを含む組成物を添加し、好ましくはアカシアガムプレミックスとキサンタンを含む組成物とを、最初に高剪断速度で、続いて低剪断速度で、あるいは低剪断速度のみで、好ましくは本明細書で定義される時間混合する工程;それにより
c.アカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を用意する工程であって、アカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物が、好ましくは本明細書で定義される通りである、工程、及び
d.任意選択で、好ましくは工程cで用意された液体増粘剤組成物の保存又は更なる加工の前に、工程cで用意されたアカシアガムとキサンタンガムとを含む液体増粘剤組成物を脱気する工程を含む。
【0174】
本発明はまた、脱水、咀嚼、嚥下及び/又は脱グルテン化疾患、障害又は状態、好ましくは嚥下困難に罹患している対象への投与に使用するため、好ましくは脱水、咀嚼、嚥下及び/又は脱グルテン化疾患、障害又は状態、好ましくは嚥下困難に罹患している対象を治療するための、本明細書で定義される液体増粘剤組成物、又は(本明細書で定義される液体、飲料又は食品を希釈するための)本明細書で定義される液体増粘剤組成物を使用して調製される、本明細書で定義される(再構成)液体増粘組成物に関する。
【0175】
本発明の文脈における対象は、好ましくは、脱水、咀嚼、嚥下及び/又は脱グルテン化疾患、障害又は状態、好ましくは嚥下困難に罹患している、又はそれぞれの治療を必要としている。そのような対象は、本明細書で定義される通りの治療を受けている、又は受けることが意図されている動物、特に哺乳類、とりわけヒトを含むものと理解されてもよい。患者は、一般に、任意の年齢、例えば、若年患者(例えば、約0~30歳)、中年患者(例えば、約30~50歳)又は高齢患者であってもよい。より好ましくは、患者は、好ましくは本明細書で定義される疾患に対する治療を受けている、又は受けることが意図されている高齢患者、好ましくは高齢哺乳類又はヒト患者、より好ましくは50歳を超えるヒト、更により好ましくは60歳を超えるヒト、最も好ましくは70歳を超えるヒトである。
【0176】
本明細書で使用される場合、用語「治療」、「治療する」及び「緩和すること」には、抑止的又は予防的治療(対象とする病的状態又は障害を予防する及び/又は発症を遅らせる治療)と、治癒的、治療的、又は疾患修飾治療との両方が含まれ、例えば、診断された病的状態又は障害の治癒、遅延、症状の軽減、及び/又は進行の停止のための治療的手段;並びに、疾患にかかるリスクがある患者、又は疾患にかかる疑いのある患者、及び体調不良の患者、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の治療が含まれる。この用語は、必ずしも完治するまで対象が治療されることを意味するものではない。用語「治療」及び「治療する」はまた、疾患を患ってはいないが、窒素バランスが崩れたり又は筋肉量が低下したりするなどの不健康な状態を起こしやすい個体の健康維持及び/又は促進も意味する。用語「治療」、「治療する」及び「緩和すること」はまた、1つ以上の主たる予防的又は治療的手段の相乗作用、又は別の増強作用を含むことも意図している。用語「治療」、「治療する」及び「緩和すること」は更に、疾患若しくは状態の、食事による管理(dietary management)、又は疾患若しくは状態の予防(prophylaxis)若しくは予防(prevention)のための、食事による管理を含むことも意図している。より好ましくは、本発明の文脈における用語「治療」は、本明細書に記載される嚥下障害の予防及び/又は治療、好ましくは嚥下困難の予防及び/又は治療だけでなく、好ましくは上述の嚥下困難に関連する栄養失調又は栄養不良、例えばサイレントアスピレーション、肺炎、誤嚥性肺炎、脱水症、褥瘡などの予防及び/又は治療も指す。治療はまた、嚥下困難患者、又は嚥下困難に非常にかかりやすい若しくは嚥下困難を発症するリスクのある患者、例えば脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳損傷及び多発性硬化症などに罹患している患者に関して行われてもよい。
【0177】
本文脈中、本発明の増粘組成物を上記のような患者、特に嚥下困難患者に与えることにより、食塊粘度を上昇させ、したがって、異なる製品を摂取することができることにおいて患者に自信を与えることが可能になる。食物及び水の摂取の改善によって達成される栄養改善は、患者の全体的により健康な状態につながり、更なる衰弱を予防することができる。
【0178】
いくつかの好ましい実施形態について説明したが、上記の教示に照らして、実施形態に多くの修正及び変形が行われてもよい。したがって、本発明は、図面及び実施例に具体的に記載されている以外にも、本明細書及び特許請求の範囲に記載されている好ましい実施形態の組み合わせによって実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0179】
例として、本発明の液体増粘剤組成物の増粘特性を示すために、一連の粘度上昇曲線を示す。それにより、いくつかの実施形態が示される。これらの実施例は、それに応じて本発明を限定することを意図するものではないことが提示される。本発明の液体増粘剤組成物は、以下において「Hydra」と称される。
【0180】
図:
例として、本発明の液体増粘剤組成物の増粘特性を示すために、一連の粘度上昇曲線を示す。それにより、いくつかの実施形態が示される。これらの実施例は、それに応じて本発明を限定することを意図するものではないことが提示される。
【0181】
図1:Hydra 200mL/TUC 200mL 20℃の水
図1は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)による常温水(20℃)の増粘を示す。対照として、TUC(Thicken-up Clear)の対応する値を使用した。
【0182】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし(thin))、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用による常温水(20℃)の増粘は、TUCと類似しており、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで上昇する。
【0183】
図2:Hydra 200mL/TUC 200mL冷たい牛乳(4℃)
図2は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)による冷たい牛乳(4℃)の増粘を示す。対照として、TUC(Thickening-up clear)の対応する値を使用した。
【0184】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた(下から)。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用による冷たい牛乳(4℃)の増粘は、TUCと比較してより速く起こり、また、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで著しく速く到達する。
【0185】
図3:Hydra 200mL/TUC 200mL熱いコーヒー(45℃)
図3は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)による熱いコーヒー(コーヒー・アラビカ、45℃)の増粘を示す。対照として、TUC(Thickening-up clear)の対応する値を使用した。
【0186】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた(下から)。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用による熱いコーヒー(45℃)の増粘は、TUCと比較してより速く起こり、また、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで著しく速く到達する。
【0187】
図4 Hydra 200mL/TUC 200mL 20℃のオレンジジュース
図4は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)によるオレンジジュース(20℃)の増粘を示す。対照として、TUC(Thickening-up clear)の対応する値を使用した。
【0188】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた(下から)。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用によるオレンジジュース(45℃)の増粘は、TUCと比較してより速く起こり、また、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで著しく速く到達する。
【0189】
図5 Hydra150mL 20℃の水
図5は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)による常温水(20℃)の増粘を示す。
【0190】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用による常温水(20℃)の増粘では、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで上昇する。
【0191】
図6 Hydra 150mL冷たい牛乳(4℃)。
図6は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)による冷たい牛乳(4℃)の増粘を示す。
【0192】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた(下から)。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用による冷たい牛乳(4℃)の増粘では、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで上昇する。
【0193】
図7 Hydra 150mL熱いコーヒー(45℃)
図7は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)による熱いコーヒー(コーヒー・アラビカ、45℃)の増粘を示す。
【0194】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた(下から)。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用による熱いコーヒー(45℃)の増粘では、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで上昇する。
【0195】
図8 Hydra 150mL 20℃のオレンジジュース
図8は、約7%w/w~約9%w/wの範囲のキサンタンガム、約15%w/w~約20%w/wの範囲のアカシア・セネガルガム、本明細書で定義される塩、本明細書で定義される2種類の防腐剤、本明細書で定義される緩衝塩、本明細書で定義される消泡剤、及び本明細書で定義される食用酸を含む本発明の液体増粘剤組成物(Hydra)によるオレンジジュース(20℃)の増粘を示す。
【0196】
下から、本明細書で定義される粘度レベル1(とろみなし)、2(非常に薄いとろみ)、3(中間のとろみ)及び4(濃いとろみ)が得られた(下から)。見てわかるように、本発明の増粘剤組成物の使用によるオレンジジュース(45℃)の増粘では、本発明の各粘度の段階1、2、3及び4の一定の粘度値まで上昇する。
【実施例】
【0197】
実施例1:キサンタンガムとローカストビーンガムとを含む混合物の調査例
キサンタンガムとローカストビーンガムとを含む増粘剤溶液が、再構成されて、本発明の粘度レベル1、2、3及び4、又はIDDSIレベル1~4と同様のレオロジー特性を示す増粘溶液となり得る時間が試験された。増粘溶液の所望の粘度は、短時間(最大で数分)以内に構築されるべきである。これにより、増粘剤で効率的に増粘溶液を調製することが可能になる。
【0198】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【表2】
【0199】
調製工程:
・アカシアガム(アカシア・セネガル)を50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・ローカストビーンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・混合物をガラス管に移す
・混合物を90℃の水浴中で10分間低温殺菌する
粘度測定に関して:
・必要に応じて水で以下を再構成する。
【0200】
レベル2「薄いとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤1.25g;
レベル3「中間のとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤2.5g;
レベル4「濃いとろみ」増粘溶液25gに対して増粘剤3.75g。
【0201】
再構成は、一般に上記の通りである。
【0202】
対照としてThicken-up clear(TUC)を、50 s-1で0.131Pa.sの人工的な「薄いとろみ」レベルで使用した。
【0203】
粘度データは、Anton Paar Physica MCR501レオメーターを用いて、室温(20℃)及び50s-1で、調製後の時間経過と共に測定した。
【0204】
3時間以内に、所望の「薄いとろみ」の粘度(約0.131Pa・s)は得られなかった。他の調製物についての結果はより悪かった。
【0205】
したがって、キサンタンガムとローカストビーンガムとを含む増粘剤溶液は、効率的に取り扱うことができない。
【0206】
実施例2:キサンタンガムとグアーガムとを含む混合物の調査例
キサンタンガムとグアーガムとを含む増粘剤溶液が、再構成されて、ネクター、ハチミツ及びプディングのレオロジー特性を示す増粘溶液となり得る時間が試験された。増粘溶液の所望の粘度は、短時間(最大で数分)以内に構築されるべきである。これにより、増粘剤で効率的に増粘溶液を調製することが可能になる。
【0207】
【表3】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【0208】
調製工程:
・アカシアガムを50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・グアーガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・混合物をガラス管に移す
・混合物を90℃の水浴中で10分間低温殺菌する
粘度測定に関して:
・必要に応じて水で以下を再構成する。
【0209】
レベル2「薄いとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤1.25g、
レベル3「中間のとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤2.5g;
レベル4「濃いとろみ」増粘溶液25gに対して増粘剤3.75g。
【0210】
再構成は、一般に上記の通りである。
【0211】
対照としてThicken-up clear(TUC)を、50 s-1で0.130Pa.sの人工的な「薄いとろみ」レベルで使用した。
【0212】
粘度データは、Anton Paar Physica MCR501レオメーターを用いて、室温(20℃)及び50s-1で、調製後の時間経過と共に測定した。
【0213】
2時間以内に、所望の「薄いとろみ」の粘度(約0.130Pa・s)は得られなかった。他の調製物についての結果はより悪かった。
【0214】
したがって、キサンタンガムとグアーガムとを含む増粘剤溶液は、効率的に取り扱うことができない。
【0215】
実施例3:キサンタンガムとホエイタンパク質とを含む混合物の調査例
キサンタンガムとホエイタンパク質とを含む増粘剤溶液が、再構成されて、粘度レベル2、3及び4、「薄いとろみ」、「中間のとろみ」及び「濃いとろみ」のレオロジー特性を示す増粘溶液となり得る時間が試験された。増粘溶液の所望の粘度は、短時間(最大で数分)以内に構築されるべきである。これにより、増粘剤で効率的に増粘溶液を調製することが可能になる。
【0216】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【表4】
【0217】
調製工程:
・アカシアガムを50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・金属スパチュラを使用してホエイタンパク質を添加する
・混合物をガラス管に移す
・混合物を90℃の水浴中で10分間低温殺菌する
粘度測定に関して:
・必要に応じてspring waterで以下を再構成する。
【0218】
レベル2「薄いとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤1.25g;
レベル3「中間のとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤2.5g;
レベル4「濃いとろみ」増粘溶液25gに対して増粘剤3.75g。
【0219】
対照としてThicken-up clear(TUC)を、50 s-1で0.130Pa.sの人工的な「薄いとろみ」レベルで使用した。
【0220】
粘度データは、Anton Paar Physica MCR501レオメーターを用いて、室温(20℃)及び50s-1で、調製後の時間経過と共に測定した。
【0221】
ホエイ1%では、所望の「薄いとろみ」の粘度(約0.099 Pa・s)の約90%が、2分以内に得られた。
【0222】
しかしながら、各増粘剤溶液は、室温で2日間の保存後にわずかな相分離を示した。
【0223】
実施例4:相分離挙動分析のための、キサンタンガムと2種類のアカシアガムとを含む混合物の調査例
【表5】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【0224】
調製工程:
・アカシアガムを50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・混合物をガラス管に移す
・混合物を90℃の水浴中で10分間低温殺菌する
2日後、低タンパク質アカシアガム(アカシア・セヤル)ではわずかな相分離が観察されたが、アカシア・セネガルガムでは観察されなかった。アカシア・セヤルを、本明細書で定義される、より高い濃度で適用した場合、アカシア・セヤルについての更なる実験において相分離は観察されなかった。
【0225】
実施例5:相分離挙動分析のためのカラマツアルビノガラクタンを含む混合物の調査例
【表6】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【0226】
調製工程:
・アカシアガムを50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・必要に応じてローカストビーンガム及びジェランを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・混合物をガラス管に移す
・混合物を90℃の水浴中で10分間低温殺菌する
ジェランガムを含まない各ローカストビーンガム組成物は、非流動性ゲルであった。
【0227】
アラビアガムと、キサンタンと、ジェラン若しくはグアーのいずれか又はこれらの混合物とを含む組成物を用いて実験を繰り返した。いずれの場合も、2日後に相分離が観察された。
【0228】
実施例6:相分離に関してアカシアガム濃度を最適化する
【表7】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【0229】
調製工程:
・アカシアガムを50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・混合物を90℃の水浴中で30分間低温殺菌する
2日後、いずれの試料においても相分離は観察されなかった。
【0230】
実施例7:再構成速度に関してアラビアガム濃度を最適化する
【表8】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【0231】
調製工程:
・アカシアガムを50mLプラスチックチューブ中の緩衝液に溶解する
・キサンタンガムを添加し、金属スパチュラを使用してよく混合する
・混合物を90℃の水浴中で30分間低温殺菌する
2日後、いずれの試料においても相分離は観察されなかった。
【0232】
・必要に応じて水で以下を再構成する。
【0233】
レベル2「薄いとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤1.25g;
レベル3「中間のとろみ」:増粘溶液25gに対して増粘剤2.5g;
レベル4「濃いとろみ」増粘溶液25gに対して増粘剤3.75g。
【0234】
粘度データは、Anton Paar Physica MCR501レオメーターを用いて、室温(20℃)及び50s-1で、調製後の時間経過と共に測定した。
【0235】
「薄いとろみ」、「中間のとろみ」及び「濃いとろみ」のそれぞれについて所望の粘度の約90%が、アカシアガム15%、17.5%及び20%で2分以内に得られた(13.5%ではそれより長い再構成時間が必要であった)。したがって、再構成速度に関するアカシア・セネガルガムの最適なアラビアガム濃度は15~20%である。
【0236】
得られた必要とされる粘度は、7%の代わりに8%のキサンタンガムにおいてより良好であることも観察された。
【0237】
実施例8:相分離を低減するためのペクチンの添加
低メトキシペクチンを組成物に添加することによって長期安定性を改善することができるかどうかを試験した。全ての量は%w/wで示される。
【0238】
【表9】
別段の指示がない限り、%は%(重量/重量)である。
【0239】
本明細書において使用されるミキサーは、好ましくはYTRON-ZC 0 ContiCone(モータ2,2kW、50Hz、400V、ティース5mm)である。
【0240】
組成物を含むビンを6Gで4時間遠心分離し、35℃で3週間保存した。
【0241】
対照と比較して、得られる混合物を組成物に添加する前にペクチンをアカシアガムに分散させた製法2では、相分離は観察されなかった。製法2は、対照よりもわずかに高い安定性を示した。しかし、得られる混合物を組成物に添加する前にペクチンをキサンタンに分散させた試料では、わずかな相分離が観察された。
【国際調査報告】