(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20231227BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20231227BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20231227BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231227BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
A24F40/57
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023536382
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2021085522
(87)【国際公開番号】W WO2022136005
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート
(72)【発明者】
【氏名】サーデ ラトルレ エヴァ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AC10
4B162AC17
4B162AC22
4B162AC34
4B162AC41
4B162AD02
4B162AD03
4B162AD15
4B162AD16
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル発生システム(100)で使用するためのカートリッジ(200)が提供されている。カートリッジ(200)は、液体エアロゾル形成基体のための貯蔵部(303)と、貯蔵部(303)からの液体エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体(304)と、壁(307)とを備える。発熱体(304)に隣接し、かつ壁(307)と発熱体(304)との間にある第一の空間は、高温ゾーン(306)を形成する。発熱体(304)に隣接した第二の空間は、供給ゾーン(308)を形成する。貯蔵部(303)は、供給ゾーン(308)および高温ゾーン(306)と流体連通する。エアロゾル発生システムもまた提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、
液体エアロゾル形成基体のための貯蔵部と、
前記貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
壁と、を備え、
前記発熱体に隣接し、かつ前記壁と前記発熱体との間にある第一の空間が、高温ゾーンを形成し、
前記発熱体に隣接した第二の空間が、供給ゾーンを形成し、
前記貯蔵部が、前記供給ゾーンおよび前記高温ゾーンと流体連通し、
前記壁の少なくとも一部分が、前記高温ゾーンと前記貯蔵部との間に位置付けられ、
前記壁が、前記高温ゾーンおよび前記貯蔵部と接触している、カートリッジ。
【請求項2】
使用時、前記高温ゾーンが第一の温度に加熱され、前記供給ゾーンが第二の温度に加熱され、前記第一の温度が、前記第二の温度より高い、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第一の温度が、前記第二の温度より少なくとも摂氏5度高い、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記壁が、前記高温ゾーンを前記貯蔵部から断熱する、請求項1~3のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記壁が、前記壁が前記高温ゾーンを前記貯蔵部から断熱するより少ない程度で前記供給ゾーンを前記貯蔵部から断熱する、請求項1~4のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項6】
使用時、液体エアロゾル形成基体が、前記供給ゾーンを介してのみ、前記貯蔵部から前記高温ゾーンへと搬送される、請求項1~5のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記カートリッジが、空気吸込み口および空気出口を含み、気流経路が、前記空気吸込み口と前記空気出口との間に画定され、前記発熱体が、前記気流経路の一部分を囲む、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記発熱体が、第一の部分および第二の部分を備え、前記第一の部分が、前記第二の部分より高温に加熱されるように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第一の部分が第一の電気抵抗を有し、前記第二の部分が第二の電気抵抗を有し、前記第二の電気抵抗が前記第一の電気抵抗より小さい、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記第一の部分が、曲線、折り畳み、波形および起伏のうちの一つ以上を含む、請求項8または9のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記第一の部分が、前記第二の部分より前記高温ゾーンの近くに配置される、請求項8~10のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記第二の部分が、前記第一の部分より前記供給ゾーンの近くに配置される、請求項8~11のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項13】
使用時、前記供給ゾーンの液体エアロゾル形成基体が気化され、前記高温ゾーンの液体エアロゾル形成基体が気化される、請求項1~12のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記高温ゾーンを通した前記壁と前記発熱体との間の最短距離が、前記供給ゾーンを通した前記壁と前記発熱体との間の最短距離より小さい、請求項1~13のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記壁が、多孔性材料を含む、請求項1~14のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記壁が非多孔性である、請求項1~15のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項17】
前記壁の少なくとも一部分が、前記供給ゾーンと前記貯蔵部との間に位置付けられる、請求項1~16のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項18】
前記供給ゾーンと接触する前記壁の一部分が、前記高温ゾーンと接触する前記壁の一部分より薄い、請求項1~17のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項19】
前記供給ゾーンが、前記壁の開口部に隣接している、請求項1~18のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項20】
前記カートリッジが、前記貯蔵部を前記供給ゾーンに接続する狭窄通路を備える、請求項1~19のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項21】
前記壁が、前記狭窄通路の周縁を形成する、請求項20に記載のカートリッジ。
【請求項22】
前記発熱体のための支持体を備える、請求項1~21のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項23】
前記壁が前記支持体を形成する、請求項22に記載のカートリッジ。
【請求項24】
前記発熱体の前記第二の部分が、前記壁と接触している、請求項23に記載のカートリッジ。
【請求項25】
前記発熱体は、前記支持体に固定される、または前記支持体によって少なくとも部分的に定位置に固定される、請求項23または24に記載のカートリッジ。
【請求項26】
前記第二の空間が、前記壁と前記発熱体との間にある、請求項1~25のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項27】
前記壁の熱伝導率が、前記液体エアロゾル形成基体の熱伝導率より小さい、請求項1~26のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項28】
請求項1~27のいずれかに記載のカートリッジを備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジに関する。本開示はまた、前述のカートリッジを備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの公知のエアロゾル発生システムでは、液体エアロゾル形成基体が加熱および気化されて蒸気を形成する。蒸気は、冷却されてエアロゾルを形成する。電気加熱式喫煙システムなどの一部のエアロゾル発生システムでは、このエアロゾルはその後、ユーザーによって吸入される。
【0003】
典型的には、液体エアロゾル形成基体は、加熱されたときに気化されるいくつかの化合物を含む。これらの化合物は、異なる沸点を有し得る。例えば、液体エアロゾル形成基体は、ニコチン(大気圧で摂氏約247度の沸点を有する)およびグリセロール(大気圧で摂氏約290度の沸点を有する)を含んでもよい。
【0004】
異なる沸点を有する化合物を含む液体エアロゾル形成基体が加熱される場合、低い沸点を有する化合物は、高い沸点を有する化合物より前に気化され得る。代替的に、または加えて、低い沸点を有する化合物は、高い沸点を有する化合物より高い速度で気化され得る。
【0005】
これは、異なる化合物間の相互作用および組み合わせが制限され得るため、望ましくない場合がある。例えば、液体エアロゾル形成基体は、ニコチン化合物および有機酸化合物を含んでもよく、これらの化合物は異なる沸点を有する。これらの化合物の両方が、気化され得る。液体エアロゾル形成基体中のニコチンは、気化されると遊離塩基ニコチンを形成し得る。しかしながら、遊離塩基ニコチンではなく、ニコチン塩を有するエアロゾルを発生させることが望ましい場合がある。このニコチン塩を形成するために、気化された有機酸によって遊離塩基ニコチンをプロトン化してもよい。しかしながら、有機酸が、ニコチンが気化されるまで気化されない、または適切な割合の遊離塩基ニコチンをプロトン化するのに必要とされるよりもゆっくりと気化される場合、このプロトン化は制限され得る。
【0006】
さらに、エアロゾル形成基体の一部の化合物を他の化合物よりも迅速に気化させることは、望ましくないことに、発生したエアロゾルの特性を、経時的に、例えば、エアロゾル発生システムでの吸煙の過程で変化させ得る。これは、吸煙の開始に向けて発熱体が起動されて温度が上昇するとき、発熱体に近い液体エアロゾル形成基体は、低い沸点を有する第一の化合物が気化されるが、高い沸点を有する第二の化合物は気化されない、第一の温度に達し得るためである。次に、その後の吸煙において、発熱体に近い液体エアロゾル形成基体は、高い沸点を有する第二の化合物が気化される、第二の温度に達し得る。しかしながら、この時、発熱体に近い液体エアロゾル形成基体中の第一の化合物の大部分は、すでに気化している場合がある。したがって、吸煙の開始に向けて発生するエアロゾルは、より大きな割合の第一の化合物を含み得、その後の吸煙において発生するエアロゾルは、より大きな割合の第二の化合物を含み得る。
【0007】
代替的に、または加えて、発生するエアロゾルの特性は、数回の吸煙の過程で変化し得る。これは、液体エアロゾル形成基体の化合物が適切な速度で気化されない場合に生じ得る。例えば、液体エアロゾル形成基体は、X質量%の第一の化合物、およびY質量%の第二の化合物を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体が、第一の化合物と第二の化合物の質量比X:Yを含む蒸気を生成するように気化されない場合、液体エアロゾル形成基体の組成物は、蒸気が発生するにつれて変化し得る。これは、次いで、液体エアロゾル形成基体によって発生するエアロゾルの特性の変化につながり得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、液体エアロゾル形成基体の様々な化合物の気化を制御することであり、これらの化合物は異なる沸点を有する。
【0009】
本開示の一態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供されている。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体のための貯蔵部を備え得る。カートリッジは、貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を備え得る。カートリッジは、壁を備え得る。第一の空間は、発熱体に隣接し、かつ壁と発熱体との間にあってもよい。第一の空間は、高温ゾーンを形成し得る。第二の空間は、発熱体に隣接してもよい。第二の空間は、供給ゾーンを形成し得る。貯蔵部は、供給ゾーンおよび高温ゾーンと流体連通してもよい。
【0010】
使用時、高温ゾーンは、供給ゾーンより高温に加熱され得る。代替的に、または加えて、使用時、高温ゾーンは、供給ゾーンより速い速度で温度が上昇し得る。高温ゾーンおよび供給ゾーンの両方は、液体エアロゾル形成基体中の少なくとも一つの化合物を気化させるのに十分な温度に加熱されてもよい。したがって、使用時、カートリッジは、液体エアロゾル形成基体が気化される、高温領域および低温領域を提供し得る。
【0011】
有利なことに、カートリッジは、液体エアロゾル形成基体の異なる化合物の気化の制御を改善し得る。カートリッジは、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物を、所望の速度で同時に気化させ得る。カートリッジは、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物をより好ましい割合で気化させ得る。カートリッジは、より望ましい組成物を有するエアロゾルの発生を提供し得る。カートリッジは、望ましい特性を有するエアロゾルのより一貫した発生を提供し得る。
【0012】
使用時、高温ゾーンは第一の温度に加熱され得る。使用時、供給ゾーンは第二の温度に加熱され得る。第一の温度は、第二の温度より高くてもよい。第一の温度は、第二の温度より少なくとも摂氏5、10、20、または30度高くてもよい。
【0013】
有利なことに、高温ゾーンと供給ゾーンとの間の大きな温度差により、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物が、より好ましい速度またはより好ましい割合で、またはより好ましい速度かつより好ましい割合の両方で気化され得る。
【0014】
貯蔵部は、少なくとも0.2、0.5、または1ミリリットルの液体エアロゾル形成基体を貯蔵するように構成されてもよく、または貯蔵してもよい。貯蔵部は、2、1.8、または1.5ミリリットル未満の液体エアロゾル形成基体を貯蔵するように構成されてもよく、または貯蔵してもよい。
【0015】
壁は、貯蔵部内に位置付けられてもよい。壁は、貯蔵部の周縁を形成してもよい。壁は、貯蔵部と接触してもよい。壁は、供給ゾーンと接触してもよい。壁は、高温ゾーンと接触してもよい。壁の少なくとも一部分は、供給ゾーンと貯蔵部との間に位置付けられてもよい。壁の少なくとも一部分は、高温ゾーンと貯蔵部との間に位置付けられてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、壁の二つの対向する側上に配置されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、壁の二つの対向する側と接触してもよい。
【0016】
供給ゾーンは、壁の開口部に隣接してもよい。供給ゾーンは、壁の縁部に隣接してもよい。壁は、発熱体に平行であってもよい。壁は、発熱体と実質的に同じ形状を有してもよい。
【0017】
壁は、発熱体、または発熱体の少なくとも一部を貯蔵部から断熱し得る。壁は、高温ゾーンを貯蔵部から断熱してもよい。壁は、供給ゾーンを貯蔵部から断熱してもよい。壁、または壁を形成する材料は、液体エアロゾル形成基体の熱伝導率より少なくとも10、20、30、40、50、60、または70%小さい熱伝導率を有してもよい。したがって、壁の提供により、高温ゾーンおよび比較的低温の供給ゾーンが少なくとも部分的に生じる。
【0018】
有利なことに、これにより、発熱体から、または高温ゾーンから、または供給ゾーンから貯蔵部内に少ない熱が放散され得るため、カートリッジのエネルギー効率が改善され得る。
【0019】
高温ゾーンは、供給ゾーンより断熱され得る。したがって、供給ゾーンおよび高温ゾーンが同一の温度に上昇し、その後冷却される場合、供給ゾーンの初期冷却速度は、高温ゾーンの初期冷却速度より大きい場合がある。
【0020】
有利なことに、これは、使用時の供給ゾーンと高温ゾーンとの間の温度差を増大または維持するのに役立ち得る。
【0021】
供給ゾーンと接触する壁の一部分は、高温ゾーンと接触する壁の一部分より薄くてもよい。壁は、壁が高温ゾーンを貯蔵部から断熱するより少ない程度で供給ゾーンを貯蔵部から断熱してもよい。
【0022】
有利なことに、これは、使用時の供給ゾーンと高温ゾーンとの間の温度差を増大または維持するのに役立ち得る。
【0023】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部から供給ゾーンまで搬送され得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介して貯蔵部から発熱体に向かって搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンから高温ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介して貯蔵部から高温ゾーンへと搬送されてもよい。
【0024】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介してのみ貯蔵部から高温ゾーンへと搬送されてもよい。すなわち、カートリッジは、貯蔵部内の液体エアロゾル形成基体が、高温ゾーンに到達するために供給ゾーンを通って搬送されなければならないように構成されてもよい。
【0025】
有利なことに、液体エアロゾル形成基体を、供給ゾーンを介して高温ゾーンへと搬送することは、高温ゾーンに到達した液体エアロゾル形成基体が既にある程度加熱されていることを意味し得る。これは、供給ゾーンが発熱体に隣接し得るためである。この意味で、高温ゾーンに到達する液体エアロゾル形成基体は予熱され得る。
【0026】
カートリッジは、通路、例えば、狭窄通路を含み得る。通路は、貯蔵部を供給ゾーンに接続し得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、通路を介して貯蔵部から供給ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、通路を介して貯蔵部から高温ゾーン、次いで供給ゾーンへと搬送されてもよい。
【0027】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、通路を介してのみ貯蔵部から高温ゾーン、次いで供給ゾーンへと搬送されてもよい。すなわち、カートリッジは、貯蔵部内の液体エアロゾル形成基体が、高温ゾーンに到達するために通路、次いで供給ゾーンを通って搬送されなければならないように構成されてもよい。壁は、通路の周縁を形成してもよい。
【0028】
有利なことに、通路、または狭窄通路は、発熱体または高温ゾーンまたは供給ゾーンから貯蔵部内への放熱を低減し得る。
【0029】
カートリッジは、空気吸込み口を備えてもよい。カートリッジは、空気出口を備えてもよい。気流経路は、空気吸込み口と空気出口の間に画定されてもよい。空気吸込み口から空気出口へと引き出された空気は、発熱体を横切って、発熱体にわたって、発熱体を通過して、または発熱体を通して流れ得る。
【0030】
有利なことに、使用時、これにより気流の温度が上昇し得る。一部のユーザーはこれを好む場合がある。これは、従来の紙巻たばこまたは葉巻たばこの喫煙の体験をより正確に模倣し得る。
【0031】
発熱体は、気流経路を少なくとも部分的に囲むか、または取り囲んでもよい。例えば、発熱体は、気流経路の少なくとも180度、225度、270度、または315度を囲んでもよい。一例として、発熱体の断面は、正八角形の七辺を形成してもよい。空気は、空気吸込み口を通り、次いで八角形の中心を通り、次いで空気出口を通って流れてもよい。別の例として、発熱体は、300度の円を形成する基部、および基部から垂直な方向に延びる長さを有する角柱状であってもよい。空気は、空気吸込み口を通り、次いで基部の中心を通り、次いで発熱体の長さに沿って、次いで空気出口を通って流れてもよい。
【0032】
発熱体は、気流経路を囲むか、または取り囲んでもよい。例えば、発熱体の断面は、円または多角形などの閉じた二次元形状を形成し得る。空気は、空気吸込み口を通り、次いで発熱体の断面によって形成されるこの閉じた二次元形状を通り、次いで空気出口を通って流れてもよい。別の例として、発熱体は、中空の円筒の形状であってもよく、空気は、空気吸込み口を通り、次いで中空の円筒を通り、次いで空気出口を通って流れてもよい。
【0033】
有利なことに、発熱体は、気流経路を少なくとも部分的に囲むか、または取り囲むことにより、発熱体と接触する気流の量を増大させ得る。これにより、気流の平均温度が上昇し得る。また、これにより、気流中に同伴される、発熱体によって形成される蒸気が増大し得る。
【0034】
二つ以上の気流経路がカートリッジ内に画定されてもよい。例えば、カートリッジは、複数の空気吸込み口、または複数の空気出口、または複数の空気吸込み口および複数の空気出口の両方を含んでもよい。代替的に、または加えて、空気吸込み口からの気流経路は、二つ以上の気流経路に分割されてもよい。代替的に、または加えて、カートリッジの二つ以上の気流経路は、合流して単一の空気出口を通って出てもよい。
【0035】
有利なことに、これにより、ユーザーに送達されるエアロゾルの平均温度の調整が可能になり得る。これは、一つ以上の気流経路が加熱され、一つ以上の他の気流経路が加熱されない場合があるからである。さらに、これは、カートリッジの引き出し抵抗の調整を可能にし得る。例えば、追加の空気吸込み口を追加することにより、ユーザーが、空気出口における所与の吸入強度のためにカートリッジを通してより大きな空気の流れを引き出すことが可能になり得る。
【0036】
発熱体、またはその一部分は、電気抵抗性のある材料を含んでもよい。カートリッジは、使用時に、電流が発熱体またはその一部分を通過するように構成されてもよい。これは、前述の発熱体またはその一部分を抵抗加熱し得る。したがって、発熱体、またはその一部分は、抵抗加熱されるように構成されてもよい。
【0037】
発熱体、またはその一部分は、適切な電気的特性および機械的特性を有する任意の材料、例えば、適切な電気抵抗性のある材料を含んでもよく、またはそれらから形成されてもよい。好適な材料としては、 ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有の合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporation(1999 Broadway Suite 4300, Denver Colorado)の登録商標である。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料内に包埋、断熱材料内に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。発熱体、またはその一部分は、二層の不活性材料の間で絶縁された、金属製でエッチング加工が施された箔を含んでもよい。その場合、不活性材料はKapton(登録商標)、全層ポリイミドまたはマイカ箔を含んでもよい。Kapton(登録商標)は、E.I. du Pont de Nemours and Company(1007 Market Street, Wilmington, Delaware 19898, United States of America)の登録商標である。
【0038】
発熱体は、第一の部分および第二の部分を含み得る。第一の部分は、第二の部分より高温に加熱されるように構成されてもよい。
【0039】
有利なことに、これは、より多くの高温領域、およびより多くの低温領域の生成を可能にし得る。これにより、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体の化合物のより好ましい速度の気化が可能になり得る。代替的に、または加えて、これにより、高温ゾーンと供給ゾーンとの間のより大きな温度差が可能になり得る。これは、第一の部分が供給ゾーンより高温ゾーンの近くに配置される場合、または第二の部分が高温ゾーンより供給ゾーンの近くに配置される場合、または第一の部分が供給ゾーンより高温ゾーンの近くに配置される、および第二の部分が高温ゾーンより供給ゾーンの近くに配置される、の両方である場合であり得る。
【0040】
発熱体、または発熱体の第一の部分、または第二の部分、または第一の部分および第二の部分の両方は、少なくとも摂氏50、100、150、200、250、300、350、または400度まで加熱されるように構成され得る。使用時、発熱体、または発熱体の第一の部分、または第二の部分、または第一の部分および第二の部分の両方は、少なくとも摂氏50、100、150、200、250、300、350、または400度まで加熱され得る。
【0041】
第一の部分は、第一の電気抵抗、第一の電気抵抗率、および第一の平均断面積のうちの一つ以上を有し得る。第二の部分は、第二の電気抵抗、第二の電気抵抗率、および第二の平均断面積のうちの一つ以上を有し得る。第一の電気抵抗は、第二の電気抵抗より大きくてもよい。第一の電気抵抗率は、第二の電気抵抗率より大きくてもよい。第一の平均断面積は、第二の平均断面積より小さくてもよい。
【0042】
有利なことに、これにより、第一の部分を第二の部分より高温に加熱することが可能になり得る。
【0043】
第二の部分は、それ自体に接触するように配設されたセクションを含み得る。例えば、セクションは、セクションがそれ自体に接触するように折り畳まれるか、または湾曲してもよい。
【0044】
有利なことに、第二の部分が抵抗加熱される場合、これにより第二の部分の電気抵抗が低減され得る。これにより、温度が第二の部分が加熱される温度まで低下する。
【0045】
発熱体、またはその一部分は、サセプタ材料を含み得る。カートリッジは、誘導コイルなどのインダクタを備えるエアロゾル発生システムで使用されるように構成され得る。インダクタは、電源を有するエアロゾル発生装置内に配置されてもよい。装置は、カートリッジと係合するように構成されてもよい。別の方法として、インダクタはカートリッジ内に配置されてもよい。カートリッジは、電源を有するエアロゾル発生装置と係合するように構成されてもよい。
【0046】
電源は、インダクタが変動電磁場または振動電磁場を発生するように、電流をカートリッジ内のインダクタ、または装置内のインダクタに通過させるように構成され得る。
【0047】
交流電流は、任意の好適な周波数を有し得る。交流電流は、高周波の交流電流とし得る。交流電流は、100キロヘルツ(kHz)~30メガヘルツ(MHz)の周波数を有してもよい。インダクタが管状インダクタコイルである場合、交流電流は、500キロヘルツ(kHz)~30メガヘルツ(MHz)の周波数を有してもよい。インダクタが平坦なインダクタコイルである場合、交流電流は、100キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数を有してもよい。
【0048】
発熱体は、インダクタによって発生される電磁場内に配置されるか、またはそうでなければこれに供されてもよい。これは、サセプタ材料内に渦電流およびヒステリシス損失を発生し得る。これは、サセプタ材料を加熱し得る。したがって、電源およびインダクタは、発熱体またはその一部分を誘導加熱するように構成され得る。
【0049】
サセプタ材料は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料であってもよく、またはこれを含んでもよい。好ましいサセプタ材料は、摂氏50、100、150、200、250、300、350または400度を超える温度に加熱されてもよい。好ましいサセプタ材料は、金属、または炭素、または金属と炭素の両方を含んでもよい。好ましいサセプタ材料は、強磁性材料、例えばフェライト鉄、または強磁性の鋼もしくはステンレス鋼を含んでもよい。好適なサセプタ素子は、グラファイト、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、およびアルミニウムのうちの一つ以上であってもよいか、またはこれを含んでもよい。好ましいサセプタ材料は、400シリーズのステンレス鋼、例えばグレード410、またはグレード420、またはグレード430のステンレス鋼を含んでもよく、またはこれらから形成されてもよい。異なる材料は、類似の値の周波数および電界強度を有する電磁場内に置かれた時に、異なる量のエネルギーを散逸させる。こうして、材料のタイプ、サイズなどのサセプタ材料のパラメータは、公知の電磁場内で望ましい電力散逸を提供するように改変されてもよい。
【0050】
有利なことに、誘導加熱を使用するエアロゾル発生システムでは、発熱体とエアロゾル発生装置との間に電気接点を形成する必要はない。さらに、発熱体は、他の構成要素に電気的に結合される必要がない場合がある。これにより、はんだまたは他の結合要素の必要性が排除され得る。誘導加熱されるように構成された発熱体を組み込むカートリッジは、単純、安価、かつ堅牢なカートリッジの製造を可能にし得る。カートリッジは、典型的には、共に作動するエアロゾル発生装置よりかなり大量に製造される。従って、カートリッジのコストを低減することが、製造者にとって有意なコスト節約につながり得る。さらに、誘導加熱は、抵抗加熱と比較して、改善されたエネルギー変換を提供し得る。これは、誘導加熱は、抵抗性のある発熱体と電源との間の接続において電気抵抗に関連する電力損失を有しない場合があるためである。
【0051】
第一の部分は、曲線、折り畳み、波形、および起伏のうちの一つ以上を含み得る。これにより、所与の体積中に存在する第一の部分の体積または表面積が増大し得る。有利なことに、これにより、第一の部分が所与の体積に対してより多くの熱を伝達することが可能になり得る。
【0052】
曲線は、方向における漸進的な変化を指し得る。したがって、曲線は、円弧、または「C」字形状を形成し得る。
【0053】
折り畳みは、方向における段差を指し得る。したがって、折り畳みは、多角形の二辺、または「V」字形状を形成し得る。
【0054】
起伏は、複数の曲線を含み得る。例えば、起伏は、第一の方向における方向の漸進的変化、その後の別の方向、例えば、反対の方向における漸進的変化を指し得る。したがって、起伏は、正弦波、または「S」字形状を形成し得る。
【0055】
波形は、複数の折り畳みを含み得る。例えば、波形は、方向における段差、その後の方向における別の段差を指し得る。したがって、波形は、長方形の三辺、または「M」字形状、または「N」字形状を形成し得る。
【0056】
有利なことに、曲線、起伏、折り畳み、および波形のうちの一つ以上により、第一の部分が所与の体積をより高温に加熱することが可能になり得る。例えば、第一の部分は、緊密に湾曲した「S」字形状を含み得る。第一の部分のこの緊密に湾曲した「S」字形状の周りの領域は、緊密に湾曲した「S」字形状が存在しない場合より高温に加熱され得る。
【0057】
発熱体の断面、または断面積は、変化してもよい。例えば、第一の部分の平均断面積は、第二の部分の平均断面積より少なくとも5、10、20、30、または50%少なくてもよい。
【0058】
有利なことに、発熱体が抵抗加熱されるように構成される場合、これにより、第一の部分が高い電気抵抗を有し、第二の部分より高温に加熱され得る。
【0059】
第一の部分は、第二の部分より高温ゾーンの近くに配置されてもよい。第二の部分は、第一の部分より供給ゾーンの近くに配置されてもよい。第一の部分は、高温ゾーンに隣接する、高温ゾーンに接触する、または高温ゾーンに隣接および接触するの両方であってもよい。第一の部分は、供給ゾーンに接触しなくてもよい。第二の部分は、供給ゾーンに隣接、供給ゾーンに接触、または供給ゾーンに隣接および接触するの両方であってもよい。第一の部分は、高温ゾーンに接触しなくてもよい。
【0060】
有利なことに、これにより、第二の部分が高温ゾーンを加熱するより大きく第一の部分が高温ゾーンを加熱することが可能になり得る。代替的に、または加えて、これは、第一の部分からの熱が供給ゾーンより大きく高温ゾーンへと伝達されることを意味し得る。これは、使用時の高温ゾーンと供給ゾーンとの間の温度差を増大または維持するのに役立ち得る。
【0061】
カートリッジは、発熱体のための支持体を備え得る。発熱体は、支持体に接触してもよい。発熱体の第二の部分は、支持体に接触してもよい。発熱体の第一の部分は、支持体に接触しなくてもよい。発熱体は、支持体に固定されてもよく、または支持体によって少なくとも部分的に定位置に固定されてもよい。
【0062】
有利なことに、支持体は、発熱体を定位置に固定し得る。
【0063】
壁は、支持体を形成し得る。
【0064】
有利なことに、支持体を形成する壁により、支持体を形成するための壁とは別個の別の構造の必要性が排除され得る。これにより、より安価なカートリッジの製造が可能になり得る。
【0065】
使用時、供給ゾーン内の液体エアロゾル形成基体が気化され得る。使用時、高温ゾーン内の液体エアロゾル形成基体が気化され得る。使用時、供給ゾーン内の液体エアロゾル形成基体および高温ゾーン内の液体エアロゾル形成基体は、同時に気化されてもよい。
【0066】
有利なことに、これにより、カートリッジの使用中に液体エアロゾル形成基体が気化する速度が増大し得る。さらに、供給ゾーンから気化される液体エアロゾル形成基体の平均組成物は、高温ゾーンから気化される液体エアロゾル形成基体の平均組成物とは異なってもよい。供給ゾーンから気化される液体エアロゾル形成基体は、高温ゾーンから気化される液体エアロゾル形成基体より大きな割合の比較的低い沸点を有する化合物を含み得る。高温ゾーンから気化される液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンから気化される液体エアロゾル形成基体より大きな割合の比較的高い沸点を有する化合物を含み得る。したがって、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物は、望ましい速度、かつより好ましい割合で同時に気化され得る。より望ましい組成物を有するエアロゾルが発生され得る。望ましい特性を有するエアロゾルがより一貫して発生され得る。
【0067】
供給ゾーンは、壁と発熱体との間に配置されてもよい。
【0068】
高温ゾーンを通した壁と発熱体との間の最小距離は、供給ゾーンを通した壁と発熱体との間の最小距離より小さくてもよい。代替的に、または加えて、高温ゾーンを通した壁と発熱体との間の最大距離は、供給ゾーンを通した壁と発熱体との間の最大距離より小さくてもよい。代替的に、または加えて、高温ゾーンを通した壁と発熱体との間の平均距離は、供給ゾーンを通した壁と発熱体との間の平均距離より小さくてもよい。
【0069】
有利なことに、これにより、使用時の高温ゾーンと供給ゾーンとの間の温度差が増大し得る。具体的には、これは、高温ゾーンのより大きな加熱をもたらし得る。
【0070】
高温ゾーンは、供給ゾーンより小さくてもよい。高温ゾーンは、カートリッジの使用中に供給ゾーンより小さな体積の液体エアロゾル形成基体を含んでもよい。
【0071】
有利なことに、これにより、使用時の高温ゾーンと供給ゾーンとの間の温度差が増大し得る。具体的には、これは、高温ゾーンのより大きな加熱をもたらし得る。
【0072】
発熱体は、穿孔されてもよい。発熱体は、メッシュ発熱体であってもよい。発熱体は、メッシュを含んでもよい。第一の部分、または第二の部分、または第一の部分および第二の部分の両方は、穿孔、またはメッシュを含んでもよい。
【0073】
有利なことに、メッシュ発熱体、またはメッシュを含む発熱体は、液体エアロゾル形成基体と接触する大きな表面積を提供し得る。この大きな表面積は、液体エアロゾル形成基体の効率的な気化を提供し得る。
【0074】
壁は、液体エアロゾル形成基体を保持するように構成されてもよい。壁は、液体エアロゾル形成基体に浸漬された材料、もしくは液体エアロゾル形成基体に浸漬されるように構成された材料を含んでもよく、またはこうした材料であってもよい。壁は、繊維質または海綿状の構造を有してもよい。壁は、多孔性材料を含んでもよい。壁は、毛細管材料を含んでもよい。壁は、毛細管の束を含んでもよい。例えば、壁は、繊維、糸、および細孔管のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0075】
壁は、海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。壁の構造は、複数の小さな穴または管を形成してもよく、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。
【0076】
壁は、適切な任意の材料または材料の組み合わせを含み得る。適切な材料としては、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料(例えば、紡糸繊維または押出成形繊維で作製された(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレン、もしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど))が挙げられるが、これらに限定されない。壁は、セラミック材料を含み得る。壁は、異なる物理特性を有する異なる液体エアロゾル形成基体と共に使用されるように、任意の適切な毛細管および空隙率を有してもよい。
【0077】
有利なことに、これらの材料は、液体エアロゾル形成基体が壁を通過することを可能にし得る。これにより、発熱体、または高温ゾーン、または供給ゾーンの領域が乾燥することが防止され得る。
【0078】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、壁を通して通過することができ得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部から、壁を通して発熱体に向かって通過することができ得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部から、壁を通して高温ゾーンに向かって、または高温ゾーン内に通過することができ得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部から、壁を通して供給ゾーンに向かって、または供給ゾーン内に通過することができ得る。
【0079】
有利なことに、液体エアロゾル形成基体が壁を通過することができることにより、液体エアロゾル形成基体が気化されるにつれて高温ゾーン、供給ゾーン、または発熱体の一部分が乾燥することが防止され得る。これにより、液体エアロゾル形成基体のより一貫した気化が可能になり得る。
【0080】
壁は、貯蔵部と流体連通してもよい。
【0081】
有利なことに、貯蔵部と流体連通している壁は、壁から除去された液体エアロゾル形成基体を、貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体によって迅速かつ自動的に補充することを可能にし得る。
【0082】
壁の熱伝導率は、液体エアロゾル形成基体の熱伝導率より小さくてもよい。
【0083】
有利なことに、これは、壁が発熱体、または供給ゾーン、または高温ゾーンを貯蔵部から効果的に断熱することを可能にし得る。
【0084】
壁は、多孔性でなくてもよい。液体エアロゾル形成基体は、壁を通過できない場合がある。壁は、高分子材料を含んでもよく、または高分子材料から形成されてもよい。有利なことに、非多孔性材料は、液体エアロゾル形成基体が壁を通過することを防止し得る。これは、壁の配設に応じて、液体エアロゾル形成基体が、高温ゾーンに到達するために供給ゾーンを通過しなければならないことを意味し得る。したがって、高温ゾーンに到達する液体エアロゾル形成基体は予熱され得る。
【0085】
高温ゾーンと発熱体との間の最短距離は、供給ゾーンと発熱体との間の最短距離に等しくてもよい。高温ゾーンは、発熱体と接触してもよい。供給ゾーンは、発熱体と接触してもよい。
【0086】
カートリッジは、第二の高温ゾーンを備えてもよい。第二の高温ゾーンは、発熱体に隣接した第三の空間によって形成されてもよい。第三の空間は、壁と発熱体との間にあってもよい。第二の高温ゾーンは、発熱体と接触してもよい。第二の高温ゾーンは、壁と接触してもよい。
【0087】
第一の空間または高温ゾーンに関連して上述した特徴は、第三の空間または第二の高温ゾーンにそれぞれ適用され得る。
【0088】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンから第二の高温ゾーンへと搬送されてもよい。したがって、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンから高温ゾーンおよび第二の高温ゾーンの両方へと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介して貯蔵部から第二の高温ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介してのみ、貯蔵部から第二の高温ゾーンへと搬送されてもよい。すなわち、カートリッジは、貯蔵部内の液体エアロゾル形成基体が、第二の高温ゾーンに到達するために供給ゾーンを通って搬送されなければならないように構成されてもよい。
【0089】
有利なことに、液体エアロゾル形成基体を、供給ゾーンを介して第二の高温ゾーンへと搬送することは、第二の高温ゾーンに到達した液体エアロゾル形成基体が既に加熱されていることを意味し得る。これは、供給ゾーンが発熱体に隣接し得るためである。この意味で、第二の高温ゾーンに到達する液体エアロゾル形成基体は予熱され得る。
【0090】
カートリッジは、第二の供給ゾーンを備え得る。第二の供給ゾーンは、発熱体に隣接した第四の空間によって形成されてもよい。
【0091】
第二の空間または供給ゾーンに関連して上述した特徴は、第四の空間または第二の供給ゾーンにそれぞれ適用され得る。
【0092】
有利なことに、第二の高温ゾーンおよび第二の供給ゾーンは、使用時の高温領域および低温領域の数を増大させ得る。これにより、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物が望ましい速度で同時に気化され得る。これにより、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物がより好ましい割合で気化され得る。これは、より望ましい組成物を有するエアロゾルの発生を提供し得る。これは、望ましい特性を有するエアロゾルのより一貫した発生を提供し得る。
【0093】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、第二の供給ゾーンから第二の高温ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、第二の供給ゾーンを介して貯蔵部から第二の高温ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、第二の供給ゾーンを介してのみ、貯蔵部から第二の高温ゾーンへと搬送されてもよい。すなわち、カートリッジは、貯蔵部内の液体エアロゾル形成基体が、第二の高温ゾーンに到達するために第二の供給ゾーンを通って搬送されなければならないように構成されてもよい。
【0094】
有利なことに、液体エアロゾル形成基体を第二の供給ゾーンを介して第二の高温ゾーンへと搬送することは、第二の高温ゾーンに到達した液体エアロゾル形成基体が既に加熱されていることを意味し得る。これは、第二の供給ゾーンが発熱体に隣接し得るためである。この意味で、第二の高温ゾーンに到達する液体エアロゾル形成基体は予熱され得る。
【0095】
貯蔵部は、第二の供給ゾーンおよび第二の高温ゾーンと流体連通してもよい。
【0096】
通路は、貯蔵部を第二の供給ゾーンに接続し得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、通路を介して貯蔵部から供給ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、通路を介して貯蔵部から第二の高温ゾーン、次いで供給ゾーンへと搬送されてもよい。
【0097】
カートリッジは、第二の通路、例えば、第二の狭窄通路を含み得る。第二の通路は、貯蔵部を第二の供給ゾーンに接続し得る。使用時、液体エアロゾル形成基体は、第二の通路を介して貯蔵部から供給ゾーンへと搬送されてもよい。使用時、液体エアロゾル形成基体は、第二の通路を介して貯蔵部から第二の高温ゾーン、次いで供給ゾーンへと搬送されてもよい。壁または第二の壁は、第二の通路の周縁を形成し得る。
【0098】
有利なことに、第二の通路、または第二の狭窄通路は、発熱体または第二の高温ゾーンまたは第二の供給ゾーンから貯蔵部内への放熱を低減し得る。
【0099】
カートリッジは、発熱体に電気的に接続された第一および第二の電気接点を備えてもよい。電気接点は、スズ、銀、金、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などの鋼、リン青銅、アンチモンで合金化されたスズ、ジルコニウムで合金化されたスズ、ビスマスで合金化されたスズ、または有機酸に対する耐性を向上させる他の構成成分で合金化されたスズのうちの一つ以上を含み得る。
【0100】
電気接点は、カートリッジがエアロゾル発生装置と係合したときに、エアロゾル発生装置上の対応する電気接点と電気的接続を形成するように構成されてもよい。
【0101】
本開示の第二の態様によると、エアロゾル発生システムが提供されている。システムは、カートリッジを備え得る。カートリッジは、本開示によるカートリッジであってもよい。システムは、エアロゾル発生装置を備え得る。エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。
【0102】
カートリッジは、エアロゾル発生装置と係合し、またそれから係脱するように構成されてもよい。電源は、発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。電源は、カートリッジがエアロゾル発生装置と係合したときにのみ、電力を発熱体に供給するように構成されてもよい。
【0103】
エアロゾル発生装置は、コントローラを備えてもよい。コントローラは、電源からの電力供給を制御するように構成され得る。よって、コントローラは、発熱体の加熱を制御し得る。
【0104】
電源は、発熱体を抵抗加熱するために、発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。電源は、発熱体を誘導加熱するために、発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。
【0105】
エアロゾル発生装置は、スナップ嵌め接続、対応するねじ山、または任意の他の適切な手段を介して、カートリッジに係合され、カートリッジから係脱されるように構成されてもよい。エアロゾル発生装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受容するように構成されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受容するように構成されたチャンバーを備えてもよい。
【0106】
エアロゾル発生装置は、空気吸込み口を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、空気出口を備えてもよい。エアロゾル発生装置がカートリッジと係合するとき、エアロゾル発生装置の空気出口は、カートリッジの空気吸込み口と流体連通してもよい。
【0107】
電源は、装置の第一および第二の電気接点に電気的に接続されてもよい。これらの第一および第二の電気接点は、カートリッジが装置と係合されたときに、カートリッジ上の対応する第一および第二の電気接点と電気接続を形成するように構成されてもよい。カートリッジ上のこれらの対応する第一および第二の電気接点は、発熱体に電気的に接続されてもよい。したがって、電源は、発熱体に電流を流すことによって発熱体に電力を供給するように構成されてもよい。
【0108】
カートリッジ、またはエアロゾル発生装置は、インダクタ、例えば、誘導コイルを備え得る。発熱体は、サセプタ材料であってもよく、またはサセプタ材料を含んでもよい。
【0109】
電源は、インダクタが変動電磁場または振動電磁場を発生するように、高周波交流電流などの電流をインダクタに通過させるように構成され得る。これは、次いで、サセプタ材料内に渦電流およびヒステリシス損失を発生し得る。これは、サセプタ材料を加熱し得る。したがって、インダクタを使用する電源は、発熱体を誘導加熱するように構成されてもよい。
【0110】
適切なサセプタ材料としては、本開示によるカートリッジに関連して前述したものが挙げられる。
【0111】
インダクタは誘導コイルであってもよい。インダクタは、カートリッジ内に配置されてもよい。インダクタは、発熱体の周りに、または発熱体の一部の周りに配置されてもよい。例えば、インダクタは誘導コイルであってもよく、発熱体の周り、または発熱体の一部の周りにらせん状であってもよい。
【0112】
インダクタは、カートリッジ上の電気接点に電気的に接続されてもよい。カートリッジがエアロゾル発生装置と係合するとき、これらの電気接点は、装置の電源に電気的に接続されている装置上の対応する電気接点に電気的に接続されてもよい。カートリッジが装置と係合するとき、装置の電源は、電流をインダクタに通過させて変動電磁場を発生し、それによって発熱体のサセプタ材料を加熱するように構成され得る。
【0113】
誘導コイルなどのインダクタは、エアロゾル発生装置内に位置してもよい。インダクタは、エアロゾル発生装置の電源に電気的に接続されてもよい。エアロゾル発生装置は、カートリッジと係合するように構成されてもよい。例えば、装置は、カートリッジの少なくとも一部分を受容するためのチャンバーを備えてもよい。誘導コイルは、このチャンバーの少なくとも一部の周りに配置され得る。例えば、誘導コイルは、チャンバーの少なくとも一部の周りにスパイラル状であってもよい。このように、カートリッジが装置と係合するとき、誘導コイルは、発熱体または発熱体の一部の周りに、またはそれらの周りにスパイラル状に配置されてもよい。カートリッジの少なくとも一部分が装置のチャンバー内に受容されるとき、装置の電源は、電流をインダクタに通過させて変動電磁場または振動電磁場を発生し、それによって発熱体のサセプタ材料を加熱するように構成され得る。
【0114】
上述のように、誘導加熱は有利なことに、単純、安価、かつ堅牢なカートリッジの製造を可能にし得る。さらに、誘導加熱は、抵抗加熱と比較して、改善されたエネルギー変換を提供し得る。
【0115】
エアロゾル発生システムは、喫煙システム、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは、レクリエーション使用のためのものであってもよい。使用時、エアロゾル発生システムは、ニコチンをユーザーに送達するのに適ししてもよく、またはニコチンを送達するように構成されてもよい。
【0116】
エアロゾル発生システムは携帯型であってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。喫煙システムは、30ミリメートル~200ミリメートルの全長を有してもよい。喫煙システムは、5ミリメートル~30ミリメートルの外径を有してもよい。
【0117】
本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、気体中の固体微粒子、または液滴、または固体微粒子と液滴の組み合わせの分散を指す。エアロゾルは、可視であってもよく、または不可視であってもよい。エアロゾルは、室温において通常は液体または固体である物質の蒸気だけでなく、固体粒子もしくは液体の液滴、または固体粒子および液体の液滴の組み合わせも含んでもよい。
【0118】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出されてもよい。
【0119】
エアロゾル形成基体は、複数の化合物を含み得る。化合物は、異なる沸点を有し得る。例えば、エアロゾル形成基体は、大気圧で第一の沸点を有する第一の化合物、および大気圧で第二の沸点を有する第二の化合物を含んでもよく、第一の沸点は第二の沸点より高い。
【0120】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」は、使用時に、例えば、システムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である安定したエアロゾルの形成を容易にする、任意の適切な化合物または化合物の混合物を指す。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
エアロゾル形成基体は、ニコチンを含み得る。エアロゾル形成基体は、水を含み得る。エアロゾル形成基体は、グリセリンとも呼ばれ、ニコチンより高い沸点を有するグリセリンを含んでもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料を含んでもよい。たばこ含有材料は、揮発性たばこ風味化合物を含有してもよい。これらの化合物は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出され得る。エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および、風味剤などの成分を含んでもよい。
【0122】
本明細書で使用される「液体エアロゾル形成基体」という用語は、凝縮形態のエアロゾル形成基体を指すのに使用される。したがって、「液体エアロゾル形成基体」は、液体、ゲル、またはペーストのうちの一つ以上であってもよいか、またはこれを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体がゲルもしくはペーストであるか、またはゲルもしくはペーストを含む場合、ゲルもしくはペーストは加熱に伴い流動化し得る。例えば、ゲルまたはペーストは、摂氏50、75、100、150、または200度未満の温度に加熱するのに伴い流動化し得る。
【0123】
これらの用語、高温ゾーンおよび供給ゾーンは、第一の空間および第二の空間とそれぞれ互換的に使用され得る。
【0124】
本明細書で使用される「貯蔵部」という用語は、明示的に別段の記載のない限り、液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための貯蔵部または液体エアロゾル形成基体の貯蔵部を指すために使用され得る。「貯蔵部」という用語は、明示的に別段の記載のない限り、流動性液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための貯蔵部、または流動性液体エアロゾル形成基体の貯蔵部を指すために使用され得る。
【0125】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0126】
実施例1
エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、
液体エアロゾル形成基体の貯蔵部と、
貯蔵部からの液体エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
壁と、を備え、
発熱体に隣接し、かつ壁と発熱体との間にある第一の空間は、高温ゾーンを形成し、
発熱体に隣接した第二の空間は、供給ゾーンを形成し、
貯蔵部は、供給ゾーンおよび高温ゾーンと流体連通する、カートリッジ。
実施例2
使用時、高温ゾーンは第一の温度に加熱され、供給ゾーンは第二の温度に加熱され、第一の温度は、第二の温度より高い、実施例1によるカートリッジ。
実施例3
第一の温度は、第二の温度より少なくとも摂氏5度高い、実施例2によるカートリッジ。
実施例4
壁は、貯蔵部内に位置付けられる、実施例1~3のいずれかによるカートリッジ。
実施例5
壁は、高温ゾーンを貯蔵部から断熱する、実施例1~4のいずれかによるカートリッジ。
実施例6
壁は、壁が高温ゾーンを貯蔵部から断熱するより少ない程度で供給ゾーンを貯蔵部から断熱する、実施例1~5のいずれかによるカートリッジ。
実施例7
使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介して貯蔵部から発熱体に向かって搬送される、実施例1~6のいずれかによるカートリッジ。
実施例8
使用時、液体エアロゾル形成基体は、供給ゾーンを介して貯蔵部から高温ゾーンへと搬送される、実施例1~7のいずれかによるカートリッジ。
実施例9
カートリッジは、空気吸込み口および空気出口と、空気吸込み口と空気出口との間に画定される気流経路とを備える、実施例1~8のいずれかによるカートリッジ。
実施例10
空気吸込み口から空気出口へと引き出される空気は、発熱体を横切って、発熱体を通過して、または発熱体を通って流れる、実施例9によるカートリッジ。
実施例11
発熱体は、気流経路の一部分を囲む、実施例9または10によるカートリッジ。
実施例12
発熱体は、第一の部分および第二の部分を含む、実施例1~11のいずれかによるカートリッジ。
実施例13
第一の部分は、第二の部分より高温に加熱されるように構成されている、実施例12によるカートリッジ。
実施例14
第一の部分は第一の電気抵抗を有し、第二の部分は第二の電気抵抗を有し、第一の電気抵抗は第二の電気抵抗より大きい、実施例12または13によるカートリッジ。
実施例15
第二の部分は、それ自体と接触する折り畳まれた部分を含む、実施例12~14のいずれかによるカートリッジ。
実施例16
第一の部分は、湾曲、折り畳み、波形および起伏のうちの一つ以上を含む、実施例12~15のいずれかによるカートリッジ。
実施例17
第一の部分は、第二の部分より高温ゾーンの近くに配置される、実施例12~16のいずれかによるカートリッジ。
実施例18
第二の部分は、第一の部分より供給ゾーンの近くに配置される、実施例12~17のいずれかによるカートリッジ。
実施例19
発熱体のための支持体を備える、実施例1~18のいずれかによるカートリッジ。
実施例20
壁は支持体を形成する、実施例19によるカートリッジ。
実施例21
壁は、発熱体のための支持体を形成し、発熱体の第二の部分は、壁と接触している、実施例12~18のいずれかによるカートリッジ。
実施例22
使用時、供給ゾーンの液体エアロゾル形成基体は気化され、高温ゾーン内の液体エアロゾル形成基体は気化される、実施例1~21のいずれかによるカートリッジ。
実施例23
第二の空間は、壁と発熱体との間にある、実施例1~22のいずれかによるカートリッジ。
実施例24
高温ゾーンを通した壁とヒーターとの間の最短距離は、供給ゾーンを通した壁とヒーターとの間の最短距離より小さい、実施例1~23のいずれかによるカートリッジ。
実施例25
発熱体はメッシュ発熱体である、実施例1~24のいずれかによるカートリッジ。
実施例26
壁は、液体エアロゾル形成基体を保持するように構成されている、実施例1~25のいずれかによるカートリッジ。
実施例27
使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部から、壁を通して発熱体に向かって通過することができる、実施例1~26のいずれかによるカートリッジ。
実施例28
使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部から、壁を通して高温ゾーンに向かって通過することができる、実施例1~27のいずれかによるカートリッジ。
実施例29
壁は、多孔性材料を含む、実施例1~28のいずれかによるカートリッジ。
実施例30
壁は、毛細管保持材料を含む、実施例1~29のいずれかによるカートリッジ。
実施例31
壁の熱伝導率は、液体エアロゾル形成基体の熱伝導率より小さい、実施例1~30のいずれかによるカートリッジ。
実施例32
高温ゾーンと発熱体との間の最短距離は、供給ゾーンと発熱体との間の最短距離に等しい、実施例1~31のいずれかによるカートリッジ。
実施例33
実施例1~32のいずれかによるカートリッジを備えるエアロゾル発生システム。
実施例34
システムはエアロゾル発生装置を備える、実施例33によるエアロゾル発生システム。
実施例35
カートリッジは、エアロゾル発生装置に係合する、およびエアロゾル発生装置から係脱されるように構成されている、実施例34によるエアロゾル発生システム。
実施例36
エアロゾル発生システムは、発熱体に電力を供給して発熱体を加熱するように構成された電源を備える、実施例33、34、または45によるエアロゾル発生システム。
実施例37
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給して発熱体を加熱するように構成されている、実施例34または35によるエアロゾル発生システム。
実施例38
電源は、発熱体に電力を供給して発熱体を抵抗加熱するように構成されている、実施例36または37によるエアロゾル発生システム。
実施例39
電源は、発熱体に電力を供給して発熱体を誘導加熱するように構成されている、実施例36または37によるエアロゾル発生システム。
実施例40
エアロゾル発生システムは、30ミリメートル~200ミリメートルの全長を有する、実施例33~39のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例41
エアロゾル発生システムは、5ミリメートル~30ミリメートルの外径を有する、実施例33~40のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例42
エアロゾル発生システムは携帯可能である、実施例33~41のいずれかによるエアロゾル発生システム。
実施例43
エアロゾル発生システムは喫煙システムである、実施例33~42のいずれかによるエアロゾル発生システム。
ここで、図を参照しながら実施例を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1】
図1は、第一のエアロゾル発生システムの概略断面図を示す。
【
図2】
図2は、第一のエアロゾル発生システムのカートリッジの一部分の概略斜視図を示す。
【
図3】
図3は、第二のエアロゾル発生システムの概略断面図を示す。
【
図4】
図4は、第三のエアロゾル発生システムの概略断面図を示す。
【
図5】
図5は、第三のエアロゾル発生システムのカートリッジの一部分の概略断面図を示す。
【
図6】
図6は、第三のエアロゾル発生システムのカートリッジの一部分の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0128】
図1は、第一のエアロゾル発生システム100の概略断面図を示す。エアロゾル発生システム100は、エアロゾル発生装置150およびカートリッジ200を備える。この実施例では、エアロゾル発生システム100は電気的に作動する喫煙システムである。
【0129】
エアロゾル発生装置150は携帯可能であり、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。装置150は、リン酸リチウム鉄電池などの電池152、および電池152に電気的に接続されたコントローラ154を備える。装置150はまた、電池152に電気的に接続された二つの電気接点156、158を備える。この電気接続は有線接続であり、
図1には示されていない。
【0130】
カートリッジ200は、第一の電気接点214および第二の電気接点216と、空気吸込み口202と、空気出口204と、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部303と、発熱体304と、壁307とを備える。空気吸込み口202は、空気出口204と流体連通する。ヒーター組立品300は、空気吸込み口202の下流かつ空気出口204の上流に位置付けられる。第一の電気接点214および第二の電気接点216は、発熱体304に電気的に接続される。
【0131】
このシステム100では、液体エアロゾル形成基体は、約74重量%のグリセリン、24重量%のプロピレングリコール、および2重量%のニコチンを含むが、任意の適切な基体が使用され得る。大気圧において、ニコチンは摂氏約247度の沸点を有し、グリセリンは摂氏約290度の沸点を有し、プロピレングリコールは摂氏約188度の沸点を有する。したがって、エアロゾルを形成するためにこの液体エアロゾル形成基体を最初に加熱するとき、一部のシステムは、望ましくないことに、過度に大量のプロピレングリコール(基体を形成する化合物の最も低い沸点を有する)を気化させる可能性がある。これは、所望よりも少ない割合のニコチンを含むエアロゾルなど、望ましくないエアロゾルがユーザーに送達されることにつながり得る。これはまた、より長い期間にわたって、基体中の化合物の相対的割合を望ましくなく変化させ得る。本発明は、これらの望ましくない効果を排除するか、または少なくとも低減し得る。
【0132】
発熱体304は、電気抵抗性のあるメッシュ発熱体である。この実施例では、メッシュはステンレス鋼から形成されるが、任意の適切な材料が使用されてもよい。発熱体304は、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部303の開放端を覆う。メッシュ発熱体は、液体エアロゾル形成基体が漏出するのを防止するのに十分に小さいが、使用時に適切な流量の気化された液体エアロゾル形成基体が通過することを可能にするのに十分に大きな開口を含む。この実施例では、開口は実質的に正方形であり、約25ミクロンの辺長を有する。
【0133】
カートリッジ200は、高温ゾーン306および供給ゾーン308を備える。発熱体304に隣接し、かつ壁307と発熱体304との間にある第一の空間は、高温ゾーン306を形成する。発熱体304に隣接した第二の空間は、供給ゾーン306を形成する。貯蔵部303は、供給ゾーン308および高温ゾーン306と流体連通する。
【0134】
壁307は、非多孔性の非透過性材料から形成される。
図1に示す実施例では、壁307はポリエチレンテレフタレートから形成されるが、任意の適切な材料が使用され得る。
【0135】
壁307は、貯蔵部303を供給ゾーン308に接続する狭窄通路310の周縁を形成する。
図1に示す実施例では、貯蔵部303からの液体エアロゾル形成基体は、高温ゾーン306に到達するために、狭窄通路310、次いで供給ゾーン308を通過しなければならない。
【0136】
発熱体304に対向する壁307の表面は、発熱体304の加熱表面と平行ではない。発熱体304に対向する壁307の表面は、供給ゾーン308から高温ゾーン306の方向に発熱体304に向かってテーパー状である。したがって、高温ゾーン306を通した発熱体304から壁307までの最小距離および平均距離は、供給ゾーン308を通した発熱体304から壁307までの最小距離および平均距離より小さい。
【0137】
高温ゾーン306は、供給ゾーン308より断熱されている。例えば、高温ゾーン306は、供給ゾーン308より貯蔵部303から断熱されている。したがって、供給ゾーン308から貯蔵部303内より少ない熱が高温ゾーン306から貯蔵部303内に放散される。
【0138】
壁307は、液体エアロゾル形成基体より有意に低い熱伝導率を有する。したがって、壁307は、高温ゾーン306および供給ゾーン308を液体エアロゾル形成基体の貯蔵部303から効果的に断熱する。壁307のテーパーに起因して、供給ゾーン308と接触する壁307の一部分は、高温ゾーン306と接触する壁307の一部分より薄い。したがって、壁307は、壁が高温ゾーン306を貯蔵部303から断熱するより少ない程度で供給ゾーン308を貯蔵部303から断熱する。
【0139】
図1では、エアロゾル発生装置150は、カートリッジ200と係合している。この実施例では、カートリッジ200は、エアロゾル発生装置150の対応するねじ山162と嵌合したカートリッジ200のねじ山206を介して、エアロゾル発生装置150と係合している。
【0140】
使用時、ユーザーは、カートリッジ200の空気出口204を吸煙する。同時に、ユーザーは、エアロゾル発生装置150上のボタン(図示せず)を押す。このボタンを押すことにより、コントローラ154に信号が送信され、その結果、電池152から、装置の電気接点156、158およびカートリッジの電気接点214、216を介して発熱体304に電力が供給される。これにより、発熱体304を通して電流が流れ、それによって発熱体304が抵抗加熱される。他の実施例では、空気流センサー、または圧力センサーは、カートリッジ200内に位置し、コントローラ154に電気的に接続される。気流センサーまたは圧力センサーは、ユーザーがカートリッジ200の空気出口204を吸煙していることを検出し、コントローラ154に信号を送信して、発熱体304に電力を提供する。したがって、これらの実施例では、発熱体304を加熱するためにユーザーがボタンを押す必要はない。
【0141】
発熱体304が加熱されると、供給ゾーン308および高温ゾーン306の温度が上昇する。高温ゾーン306は、供給ゾーン308より速い速度で温度が上昇する。供給ゾーン308および高温ゾーン306の両方が、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一つの化合物が気化する温度に達する。発熱体304が加熱されると、高温領域-高温ゾーン- 、および低温領域-供給ゾーン-が生成される。具体的には、高温ゾーン306は、供給ゾーン308よりおよそ摂氏30度高い温度に加熱される。この温度差には、いくつかの要因が寄与している。
【0142】
図1に示す実施例では、貯蔵部303の液体エアロゾル形成基体は、高温ゾーン306に到達するために、狭窄通路310、次いで供給ゾーン308を通って流れなかればならない。したがって、高温ゾーン306内の液体エアロゾル形成基体が気化するにつれて、供給ゾーン308からの液体エアロゾル形成基体がこの液体エアロゾル形成基体に置き換わる。したがって、予熱された液体エアロゾル形成基体が高温ゾーン306からの気化された液体エアロゾル形成基体に置き換わる。対照的に、供給ゾーン308内の液体エアロゾル形成基体が気化すると、貯蔵部303からの液体エアロゾル形成基体がこの液体エアロゾル形成基体に置き換わる。したがって、供給ゾーン308からの気化された液体エアロゾル形成基体に置き換わる液体エアロゾル形成基体は、予熱されないか、または少なくとも、高温ゾーン306からの気化された液体エアロゾル形成基体に置き換わる液体エアロゾル形成基体より少ない程度に予熱される。これにより、高温ゾーン306と供給ゾーン308との間の温度差が増大する。
【0143】
高温領域および低温領域の生成により、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体の化合物を、より好ましい割合、かつより好ましい速度で同時に気化させ得る。
【0144】
ユーザーがカートリッジ200の空気出口204を吸煙するにつれて、空気は空気吸込み口202の中に引き出される。次いで、この空気は、発熱体304を横切って、空気出口204に向かって移動する。この空気の流れは、発熱体304が高温ゾーン306および供給ゾーン308の液体エアロゾル形成基体を加熱することによって形成される蒸気を同伴する。この同伴された蒸気はその後冷却され、凝縮してエアロゾルを形成する。次いで、このエアロゾルは、空気出口204を介してユーザーに送達される。
図1では、矢印を使用して、ユーザーが空気出口204で吸煙した際の空気の流れの方向を示す。
【0145】
図2は、カートリッジの一部分の概略斜視図を示す。具体的には、
図2は、貯蔵部303、発熱体304、および壁307を示す。
図2では、発熱体304の一部分の拡大図が示されている。これは、メッシュ発熱体の構造を示す。
【0146】
図3は、第二のエアロゾル発生システム400の概略断面図を示す。エアロゾル発生システム400は、エアロゾル発生装置450およびカートリッジ500を備える。この実施例では、エアロゾル発生システム400は電気的に作動する喫煙システムである。
【0147】
エアロゾル発生装置450は携帯可能であり、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。装置450は、リン酸リチウム鉄電池などの電池452、および電池452に電気的に接続されたコントローラ454を備える。装置450はまた、電池452に電気的に接続された誘導コイル456を備える。装置450はまた、空気吸込み口458および空気吸込み口458と流体連通する空気出口460を備える。
【0148】
カートリッジ500は、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部303、発熱体304、壁307、高温ゾーン306、供給ゾーン308、および狭窄通路310を備える。液体エアロゾル形成基体の貯蔵部303、発熱体304、壁307、高温ゾーン306、供給ゾーン308、および狭窄通路310はすべて、
図1に示す第一の実施例に関連して示され、説明されるものと同一である。しかしながら、
図3に示す実施例の発熱体304は、誘導加熱されるように構成されている。
【0149】
カートリッジ500は、空気吸込み口502および空気出口504を備える。空気吸込み口502は、空気出口504と流体連通する。発熱体304は、空気吸込み口502の下流かつ空気出口504の上流に位置付けられる。
図3に示すように、カートリッジ500がエアロゾル発生装置450と係合するとき、装置450の空気出口460は、カートリッジ500の空気吸込み口502に隣接している。したがって、使用時、ユーザーがカートリッジ500の空気出口504を吸煙すると、空気は装置450の空気吸込み口458を通り、次いで装置450の空気出口460を通り、次いでカートリッジ500の空気吸込み口502を通り、次いで発熱体304を通過し、次いでカートリッジ500の空気出口504を通って流れる。
【0150】
図3では、カートリッジ500は、エアロゾル発生装置450と係合している。この実施例では、カートリッジ500は、エアロゾル発生装置450上の対応する突出部462、464とスナップ嵌め接続を形成する開口506、508を介してエアロゾル発生装置450と係合する。
【0151】
図3に示す実施例では、発熱体304は、抵抗加熱ではなく、誘導加熱されるように構成されている。したがって、発熱体304のステンレス鋼材料は、サセプタ材料として作用する。しかしながら、特に、任意の適切なサセプタ材料が使用されてもよい。
【0152】
使用時、ユーザーは、カートリッジ500の空気出口504を吸煙する。同時に、ユーザーは、エアロゾル発生装置450上のボタン(図示せず)を押す。このボタンを押すことによりコントローラ454に信号が送られ、その結果、電池452が高周波電流を誘導コイル456に供給する。これにより、誘導コイル456が変動電磁場または振動電磁場を生成する。発熱体304は、この磁場内に位置付けられる。したがって、この変動電磁場は、発熱体304内に渦電流およびヒステリシス損失を発生させる。したがって、発熱体304は誘導加熱される。他の実施例では、気流センサーまたは圧力センサーは、装置450内に配置され、コントローラ454に電気的に接続される。気流センサーまたは圧力センサーは、ユーザーがカートリッジ500の空気出口504を吸煙していることを検出し、コントローラ454に信号を送信して、高周波電流を誘導コイル456に供給し、それによって発熱体304を加熱する。したがって、これらの実施例では、第一の発熱体604および第二の発熱体605を加熱するためにユーザーがボタンを押す必要はない。
【0153】
発熱体304が加熱されると、供給ゾーン308および高温ゾーン306の温度が上昇する。高温ゾーン306は、供給ゾーン308より速い速度で温度が上昇する。供給ゾーン308および高温ゾーン306の両方が、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一つの化合物が気化する温度に達する。発熱体304が加熱されると、高温領域-高温ゾーン- 、および低温領域-供給ゾーン-が生成される。具体的には、高温ゾーン306は、供給ゾーン308よりおよそ摂氏30度高い温度に加熱される。この温度差には、いくつかの要因が寄与している。
【0154】
壁307のテーパーに起因して、高温ゾーン306は、平均して、供給ゾーン308より発熱体304に近い。
【0155】
高温ゾーン306は、供給ゾーン308より断熱されている。例えば、高温ゾーン306は、供給ゾーン308より貯蔵部303から断熱されている。したがって、供給ゾーン308から貯蔵部303内より少ない熱が高温ゾーン306から貯蔵部303内に放散される。
【0156】
図3に示す実施例では、
図1に示す実施例のように、貯蔵部303の液体エアロゾル形成基体は、高温ゾーン306に到達するために、狭窄通路310を通り、次いで供給ゾーン308を通って流れなければならない。したがって、高温ゾーン306内の液体エアロゾル形成基体が気化するにつれて、供給ゾーン308からの液体エアロゾル形成基体がこの液体エアロゾル形成基体に置き換わる。したがって、予熱された液体エアロゾル形成基体が高温ゾーン306からの気化された液体エアロゾル形成基体に置き換わる。対照的に、供給ゾーン308内の液体エアロゾル形成基体が気化すると、貯蔵部303からの液体エアロゾル形成基体がこの液体エアロゾル形成基体に置き換わる。したがって、供給ゾーン308からの気化された液体エアロゾル形成基体に置き換わる液体エアロゾル形成基体は、予熱されないか、または少なくとも、高温ゾーン306からの気化された液体エアロゾル形成基体に置き換わる液体エアロゾル形成基体より少ない程度に予熱される。これにより、高温ゾーン306と供給ゾーン308との間の温度差が増大する。
【0157】
高温領域および低温領域の生成により、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体の化合物を、より好ましい割合、かつより好ましい速度で同時に気化させ得る。
【0158】
ユーザーがカートリッジ500の空気出口504を吸煙するにつれて、空気は装置450の空気吸込み口458の中に引き出され、次いで装置450の空気出口460を通り、次いでカートリッジ500の空気吸込み口502を通って引き出される。次いで、この空気は、発熱体304を通過して、空気出口504に向かって移動する。この空気の流れは、発熱体304によって液体エアロゾル形成基体を加熱することによって形成される蒸気を同伴する。この同伴された蒸気はその後冷却され、凝縮してエアロゾルを形成する。次いで、このエアロゾルは、空気出口504を介してユーザーに送達される。
【0159】
図4は、第三のエアロゾル発生システム600の概略断面図を示す。エアロゾル発生システム600は、エアロゾル発生装置650およびカートリッジ700を備える。この実施例では、エアロゾル発生システム600は電気的に作動する喫煙システムである。
【0160】
エアロゾル発生装置650は携帯可能であり、従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有する。装置650は、リン酸リチウム鉄電池などの電池652、および電池652に電気的に接続されたコントローラ654を備える。装置650はまた、電池652に電気的に接続された二つの電気接点656、658を備える。この電気接続は有線接続であり、
図4には示されていない。
【0161】
カートリッジ700は、第一の電気接点714および第二の電気接点716、空気吸込み口702、空気出口704、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部803、発熱体804、および壁807を備える。空気吸込み口702は、空気出口704と流体連通する。発熱体804は、空気吸込み口702の下流かつ空気出口704の上流に位置付けられる。第一の電気接点714および第二の電気接点716は、発熱体804に電気的に接続される。
【0162】
このシステム600では、液体エアロゾル形成基体は、約98重量%のグリセリン、および2重量%のニコチンを含むが、任意の適切な基体が使用され得る。大気圧において、ニコチンは摂氏約247度の沸点を有し、グリセリンは摂氏約290度の沸点を有する。したがって、エアロゾルを形成するためにこの液体エアロゾル形成基体を最初に加熱するとき、一部のシステムは、望ましくないことに、過度に大量のニコチン(基体を形成する化合物の最も低い沸点を有する)を気化させる可能性がある。これは、望ましくないエアロゾルがユーザーに送達されることにつながり得る。これはまた、より長い期間にわたって、基体中の化合物の相対的割合を望ましくなく変化させ得る。本発明は、これらの望ましくない効果を排除するか、または少なくとも低減し得る。
【0163】
発熱体804は、電気抵抗性のあるメッシュ発熱体である。この実施例では、メッシュはステンレス鋼から形成されるが、任意の適切な材料が使用されてもよい。発熱体804は、実質的に完全に、空気吸込み口702から空気出口704への気流経路を囲む。具体的には、発熱体804は、気流経路を約355度囲む。メッシュ発熱体は、液体エアロゾル形成基体が漏出するのを防止するのに十分に小さいが、使用時に適切な流量の気化された液体エアロゾル形成基体が通過することを可能にするのに十分に大きな開口を含む。この実施例では、開口は実質的に正方形であり、約25ミクロンの辺長を有する。
【0164】
カートリッジ700は、複数の高温ゾーンおよび複数の供給ゾーンを備える。次に、
図5を参照しながらこれらのゾーンについてより詳細に説明する。
【0165】
図5は、第三のエアロゾル発生システムのカートリッジの一部分の概略断面図である。
図5に示す断面図は、
図4に示す断面図に垂直である。具体的には、
図5に示す図は、
図4の線A-Aによって示される断面図である。
【0166】
図5は、容器805によって境界付けられた液体エアロゾル形成基体の貯蔵部803を示す。
図5はまた、発熱体804、第一の高温ゾーン806、第二の高温ゾーン816、第三の高温ゾーン826、第一の供給ゾーン808、第二の供給ゾーン818、第三の供給ゾーン828、第四の供給ゾーン838、および第一の狭窄通路810、第二の狭窄通路820、第三の狭窄通路830、および第四の狭窄通路840の周縁を形成する壁807を示す。液体エアロゾル形成基体の貯蔵部803は、すべての供給ゾーンおよび高温ゾーンと流体連通している。
【0167】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部803から第一の狭窄通路810を通り、次いで第一の供給ゾーン808を通り、次いで第一の高温ゾーン806へと流れてもよい。第一の供給ゾーン808は、発熱体804に隣接し、かつ発熱体804と壁807との間に配置される。第一の高温ゾーン806は、発熱体804に隣接し、かつ発熱体804と壁804との間に配置される。第一の供給ゾーン808は、第一の高温ゾーン806に隣接している。第一の供給ゾーン808および第一の高温ゾーン806に隣接した発熱体804の一部分8041は、第一の高温ゾーン806を通した発熱体804から壁807への最小距離が、第一の供給ゾーン808を通した発熱体804から壁807への最小距離より小さいように湾曲している。これにより、第一の高温ゾーン806が第一の供給ゾーン808より高温に加熱され得る。
【0168】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部803から、第二の狭窄通路820を通り、次いで第二の供給ゾーン818を通り、次いで第二の高温ゾーン816へと流れてもよい。第二の供給ゾーン818は、発熱体804に隣接し、かつ発熱体804と壁807との間に配置される。第二の高温ゾーン816は、発熱体804に隣接し、かつ発熱体804と壁804との間に配置される。第二の供給ゾーン818は、第二の高温ゾーン816に隣接している。第二の高温ゾーン816に隣接した発熱体804の一部分8042は、いくつかの起伏を含む。これらの起伏は、第二の高温ゾーン816に近接した発熱体804の体積および表面積を増大させる。これにより、第二の高温ゾーン816が第二の供給ゾーン818より高温に加熱され得る。
【0169】
使用時、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部803から、第三の狭窄通路830を通り、次いで第三の供給ゾーン828を通り、次いで第三の高温ゾーン826へと流れてもよい。第三の供給ゾーン828は、発熱体804に隣接し、かつ発熱体804と壁807との間に配置される。第三の高温ゾーン826は、発熱体804に隣接し、かつ発熱体804と壁804との間に配置される。第三の供給ゾーン828は、第三の高温ゾーン826に隣接している。第三の供給ゾーン828および第三の高温ゾーン826に隣接した発熱体804の一部分8043は、厚さが変化する。具体的には、厚さは、第三の高温ゾーン826に隣接した発熱体804の最小厚さが、第三の供給ゾーン828に隣接した発熱体804の最小厚さより約50%小さいように変化する。発熱体804の薄い部分は、増大した電気抵抗を有してもよく、したがって、使用時に高温まで抵抗加熱され得る。これにより、第三の高温ゾーン826が第三の供給ゾーン828より高温に加熱され得る。
【0170】
カートリッジの壁807は、発熱体804の四つの支持体を形成する。発熱体804のセクション851、852、853、854は各々支持体と接触する。
【0171】
支持体に接触する発熱体804の各セクション851、852、853、854は、それ自体に接触するように折り畳まれる。したがって、折り畳まれたセクション851、852、853、854それぞれは、低い電気抵抗を有し、各セクション851、852、853、854がそれ自体に接触するように折り畳まれない場合より低温に加熱される。したがって、発熱体804の各セクション851、852、853、854は、より少ない熱を液体エアロゾル形成基体の貯蔵部803内に放散する。
【0172】
壁807は、多孔性材料から形成される。
図5に示す実施例では、壁807は多孔性セラミック材料、特にアルミナから形成されるが、任意の適切な材料が使用され得る。したがって、液体エアロゾル形成基体は、貯蔵部803から壁807を通り、供給ゾーン808、818、828、または高温ゾーン806、816、826のうちの一つ内に通過することができる。これは、液体エアロゾル形成基体が気化されるのにつれて、供給ゾーン808、818、828、または高温ゾーン806、816、826のいずれかが乾燥することを防止するのに役立ち得る。壁807の空隙率および細孔サイズ分布は、使用時に貯蔵部803から適切な流量の液体が壁807を通って流れることを可能にするように選択される。
図5に示す実施例では、壁807の空隙率はおよそ50%である。本明細書で使用される「空隙率」という用語は、壁のアクセス可能な細孔、または空のスペースの体積を壁の総体積で割った、パーセンテージで表される尺度を指す。本明細書の空隙率は、水銀ポロシメトリーによって測定された。異なる形状およびサイズの細孔が、壁807内に存在してもよい。
図5に示す実施例では、壁807の細孔は、約30ミクロンの平均細孔サイズを有する。細孔サイズ分布は、所与の点において細孔の内部に嵌合することができる最大球の直径の統計的分布として定義される。本明細書で使用される「平均細孔サイズ」という用語は、この細孔サイズ分布の平均を指す。本明細書で言及される細孔サイズは、水銀ポロシメトリーを使用して得られた。
【0173】
壁807が多孔性であるにもかかわらず、貯蔵部803から高温ゾーン806、816、826に到達した液体エアロゾル形成基体の実質的な割合が供給ゾーン808、818、828を通って移動する。したがって、高温ゾーン806、816、826に到達する液体エアロゾル形成基体の大部分は予熱される。これは、供給ゾーン808、818、828と比較して、高温ゾーン806、816、826における液体エアロゾル形成基体の温度差を増大させる、または維持するのに役立ち得る。
【0174】
壁807は、液体エアロゾル形成基体より有意に低い熱伝導率を有する。したがって、壁807は、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部803から、高温ゾーン806、816、826および供給ゾーン808、818、828を効果的に断熱する。
【0175】
図6は、
図5に示すカートリッジの一部分の概略斜視図を示す。
図6は、液体エアロゾル形成基体の貯蔵部803、容器805、発熱体804、壁807、および前述の支持体809のうちの一つを示す。
【0176】
図4を再び参照すると、エアロゾル発生装置650はカートリッジ700と係合している。この実施例では、カートリッジ700は、エアロゾル発生装置650の対応するねじ山662と嵌合したカートリッジ700のねじ山706を介して、エアロゾル発生装置650と係合している。
【0177】
使用時、ユーザーは、カートリッジ700の空気出口704を吸煙する。同時に、ユーザーは、エアロゾル発生装置650上のボタン(図示せず)を押す。このボタンを押すことにより、コントローラ654に信号が送信され、その結果、電池652から、装置の電気接点656、658およびカートリッジの電気接点714、716を介して発熱体804に電力が供給される。これにより、発熱体804を通して電流が流れ、それによって発熱体804が抵抗加熱される。他の実施例では、気流センサーまたは圧力センサーは、カートリッジ700内に配置され、コントローラ654に電気的に接続される。気流センサーまたは圧力センサーは、ユーザーがカートリッジ700の空気出口704を吸煙していることを検出し、コントローラ654に信号を送信して、発熱体804に電力を提供する。したがって、これらの実施例では、発熱体804を加熱するためにユーザーがボタンを押す必要はない。
【0178】
発熱体804が加熱されると、供給ゾーン808、818、828、および高温ゾーン806、816、826の温度が上昇する。供給ゾーン808、818、828および高温ゾーン806、816、826のすべてが、液体エアロゾル形成基体の少なくとも一つの化合物が気化する温度に達する。発熱体804が加熱されると、高温領域-高温ゾーン- 、および低温領域-供給ゾーン-が生成される。
【0179】
高温領域および低温領域の生成は、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体の化合物を、より好ましい割合、かつより好ましい速度で同時に気化させ得る。
【0180】
ユーザーがカートリッジ700の空気出口704を吸煙するにつれて、空気は空気吸込み口702の中に引き出される。次いで、この空気は、発熱体804を横切って空気出口704に向かって移動する。この空気の流れは、発熱体804によって液体エアロゾル形成基体を加熱することによって形成される蒸気を同伴する。この同伴された蒸気はその後冷却され、凝縮してエアロゾルを形成する。次いで、このエアロゾルは、空気出口704を介してユーザーに送達される。
図1では、矢印は、ユーザーが空気出口704を吸煙した際の気流の方向を示す。
【0181】
本明細書に記載のカートリッジは、液体エアロゾル形成基体内の高温領域および低温領域の生成を達成する。有利なことに、これにより、液体エアロゾル形成基体の異なる化合物の気化の制御が改善され得る。これは、高い沸点および低い沸点を有する液体エアロゾル形成基体化合物が、より好ましい割合、かつより好ましい速度で同時に気化されることを促進し得る。これにより、より望ましい組成物を有するエアロゾルの発生、および望ましい組成物を有するエアロゾルのより一貫した発生が可能になり得る。
【0182】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、全ての範囲は、開示された最大点及び最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されてもよく、列挙されていなくてもよい。したがって、この文脈では、数AはA±10%として理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用するいくつかの事例において、Aが逸脱する量が、特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱し得る。また、全ての範囲は、開示された最大点及び最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されてもよく、列挙されていなくてもよい。
【国際調査報告】