IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シージェイ チェイルジェダン コーポレーションの特許一覧

特表2024-500712キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチド
<>
  • 特表-キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチド 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/56 20060101AFI20231227BHJP
   C12N 9/42 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231227BHJP
   C13K 13/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C12N15/56 ZNA
C12N9/42
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C13K13/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536399
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 KR2021019112
(87)【国際公開番号】W WO2022131798
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0175800
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, テ ジュ
(72)【発明者】
【氏名】シム, ジヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ビョン-サム
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジェ ヨン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA31
4B065CA41
(57)【要約】
本出願は、キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチド及びその用途に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドであって、
i)前記変異型ポリペプチドは、配列番号1と70%以上かつ100%未満の配列同一性を有し;及び/又は
ii)前記変異型ポリペプチドは、配列番号1の成熟ポリペプチドをコードする配列と70%以上かつ100%未満の配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり;及び/又は
iii)前記変異型ポリペプチドは、(a)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(b)そのcDNA、または(c)前記(a)または(b)の全長相補配列(full-length complement)と低いストリンジェント条件、中間ストリンジェント条件、中上ストリンジェント条件、高いストリンジェント条件、または非常に高いストリンジェント条件でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり;及び/又は
iv)前記変異型ポリペプチドは、キシラナーゼ活性を有するi)、ii)またはiii)ポリペプチドの機能的断片であり;及び
下記から選択されたいずれか一つ以上の変形を含む、変異型ポリペプチド:
3番、5番、20番、34番、36番、及び41番のうちのいずれか一つ以上の位置のアミノ酸における他のアミノ酸での置換(substitution)、ジスルフィド(disulfide)結合形成及びその組み合わせ;
ここで、前記位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置である。
【請求項2】
前記キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドの変形前の3番のアミノ酸はアルギニン(R);
5番のアミノ酸はセリン(S);
20番のアミノ酸はフェニルアラニン(F);
34番のアミノ酸はセリン(S);
36番のアミノ酸はスレオニン(T);
及び/または41番のアミノ酸はアラニン(A)である、請求項1に記載の変異型ポリペプチド。
【請求項3】
前記変異型ポリペプチドが、下記i)~vii)から選択される位置のアミノ酸の変形を含む、請求項1に記載の変異型ポリペプチド:
i)3+36;
ii)5+34;
iii)20+41;
iv)3+36+5+34;
v)3+36+20+41;
vi)5+34+20+41;及び
vii)3+36+5+34+20+41;
ここで、前記位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置である。
【請求項4】
前記変異型ポリペプチドの各位置の変形は、下記i)~vi)のいずれか1つ以上の変形を含む、請求項1に記載の変異型ポリペプチド:
i)3番のアミノ酸のシステインでの置換;
ii)5番のアミノ酸のシステインでの置換;
iii)20番のアミノ酸のシステインでの置換;
iv)34番のアミノ酸のシステインでの置換;
v)36番のアミノ酸のシステインでの置換;及び
vi)41番のアミノ酸のシステインでの置換であり、
ここで、前記位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置である。
【請求項5】
前記変異型ポリペプチドは、下記から選択されたいずれか1つ以上の変形を含む、請求項1に記載の変異型ポリペプチド:
R3C+T36C;
S5C+S34C;
F20C+A41C;
R3C+T36C+S5C+S34C;
R3C+T36C+F20C+A41C;
S5C+S34C+F20C+A41C;及び
R3C+T36C+S5C+S34C+F20C+A41C。
【請求項6】
前記変異型ポリペプチドは、3番、5番、20番、34番、36番及び41番のうちの2以上の位置のアミノ酸のシステインでの置換を含み、前記置換された2つのアミノ酸との間にジスルフィドブリッジを形成する、請求項1に記載の変異型ポリペプチド。
【請求項7】
前記変異型ポリペプチドは、3番及び36番のアミノ酸対;5番及び34番のアミノ酸対;及び/または20番及び41番のアミノ酸対のシステインでの置換、
及び前記アミノ酸対がジスルフィドブリッジを形成する変形を含む、請求項1に記載の変異型ポリペプチド。
【請求項8】
前記変異型ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列で構成されたポリペプチドに比べて耐熱性及び/又は熱安定性が増加したものである、請求項1に記載の変異型ポリペプチド。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の変異型ポリペプチド、前記変異型ポリペプチドを発現する宿主細胞、及び/又は前記変異型ポリペプチドを含む組成物とキシラン含有物質を接触させることを含む、キシロオリゴ糖またはキシロースを製造する方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の変異型ポリペプチド、前記変異型ポリペプチドを発現する宿主細胞、及び/又は前記変異型ポリペプチドを含む組成物をキシラン含有物質に処理させることを含む、キシラン含有物質を分解する方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の変異型ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の変異型ポリペプチド及び/又は請求項11に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項13】
請求項12に記載の宿主細胞を培養する段階を含む、キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、キシラナーゼ(Xylanase)の活性を有する変異型ポリペプチド及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
キシラナーゼ(Xylanase;EC 3.2.1.8)は、植物細胞壁の成分であるキシラン(xylan)のβ-1,4 backboneをランダムに分解する加水分解酵素である。キシラナーゼは、主に、動物飼料、製パン、パルプ漂白(Pulp bleaching)などの分野でバイオマスを分解するのに用いられる(Beg QK, Kapoor M, Mahajan L, Hoondal GS. Microbial xylanases and their industrial applications: a review. Appl Microbiol Biotechnol. 2001 Aug;56(3-4):326-38. doi: 10.1007/s002530100704. PMID: 11548999.)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Beg QK, Kapoor M, Mahajan L, Hoondal GS. Microbial xylanases and their industrial applications: a review. Appl Microbiol Biotechnol. 2001 Aug;56(3-4):326-38. doi: 10.1007/s002530100704. PMID: 11548999
【非特許文献2】Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]:2444
【非特許文献3】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献5】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)
【非特許文献6】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献8】[CARILLO ETA/.](1988)SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献9】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981)2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986)Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献12】J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989
【非特許文献13】F.M. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York
【非特許文献14】Edgar, 2004, Nucleic Acids Research 32: 1792-1797
【非特許文献15】Katoh and Kuma, 2002, Nucleic Acids Research 30: 3059-3066
【非特許文献16】Katoh et al., 2005, Nucleic Acids Research 33: 511-518
【非特許文献17】Katoh and Toh, 2007, Bioinformatics 23: 372-374
【非特許文献18】Katoh et al., 2009, Methods in Molecular Biology 537: 39-64
【非特許文献19】Katoh and Toh, 2010, Bioinformatics 26: 1899-1900
【非特許文献20】Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Research 22 : 4673-4680
【非特許文献21】Lindahl and Elofsson, 2000, J. Mol. Biol. 295: 613-615
【非特許文献22】Atschul et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402
【非特許文献23】Jones, 1999, J. Mol. Biol. 287: 797-815;McGuffin and Jones, 2003, Bioinformatics 19: 874-881
【非特許文献24】Gough et al., 2000, J. Mol. Biol. 313: 903-919
【非特許文献25】Holm and Sander, 1998, Proteins 33: 88-96
【非特許文献26】Shindyalov and Bourne, 1998, Protein Engineering 11: 739-747
【非特許文献27】Holm and Park, 2000, Bioinformatics 16: 566-567
【非特許文献28】Irwin H. Segel, Enzyme kinetics, John Wiley & Sons, 1979
【非特許文献29】A. G. Marangoni, Enzyme kinetics, Wiley-Interscience, 2003
【非特許文献30】A. Fersht, Enzyme structure and mechanisms, John Wiley & Sons, 1981
【非特許文献31】Structure and Mechanism in Protein Science: A guide to enzyme catalysis and protein folding, Alan Fersht, W.H. Freeman, 1999
【非特許文献32】Fundamentals of Enzyme Kinetics, Athel Cornish-Bowden, Wiley-Blackwell 2012
【非特許文献33】Voet ef al., ”Biochemie” [Biochemistry], 1992, VCH-Verlag, Chapter 13, pages 331-332 with respect to enzymatic activity
【非特許文献34】J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989
【非特許文献35】F.M. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York
【非特許文献36】Sambrook et al., supra, 9.50-9.51, 11.7-11.8
【非特許文献37】Skinner, Passmore, and Davenport, editors, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、多様な分野で用いられるキシラナーゼの使用便宜のために、苛酷条件(高温、塩基性条件)における耐性及び活性が要求されているが、大部分のキシラナーゼは、低いpH条件(4.0~6.0)及び低い熱安定性により多様な分野に適用し難い問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一つの目的は、キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドを提供することにある。
【0006】
本出願のもう一つの目的は、前記変異型ポリペプチドを含む組成物を提供することにある。
【0007】
本出願のもう一つの目的は、キシラン含有物質と反応するための、前記変異型ポリペプチドまたは前記組成物の用途を提供することにある。
【0008】
本出願のもう一つの目的は、前記変異型ポリペプチド、前記変異型ポリペプチドを発現する宿主細胞、及び/又は前記変異型ポリペプチドを含む組成物をキシラン含有物質と接触させることを含む、キシラン含有物質分解方法;及び/又はキシロオリゴ糖及び/又はキシロースを製造する方法を提供することにある。
【0009】
本出願のもう一つの目的は、前記変異型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチドを含む核酸構築物;前記ポリヌクレオチドまたは核酸構築物を含むベクター;及び/又は前記ポリヌクレオチド、核酸構築物またはベクターを含む宿主細胞を提供することにある。
【0010】
本出願のもう一つの目的は、前記変異型ポリペプチドの製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0011】
本出願のキシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドは、多様な産業分野に有用に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本出願の変異型ポリペプチドの熱安定性を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願の一つの様態は、キシラナーゼの活性を有する変異型ポリペプチドである。
【0014】
一つの具体例として、i)前記変異型ポリペプチドは、配列番号1と70%以上、かつ100%未満の配列同一性を有するポリペプチドであり;及び/又は
ii)前記変異型ポリペプチドは、配列番号1の成熟ポリペプチドをコードする配列と70%以上かつ100%未満の配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり;及び/又は
iii)前記変異型ポリペプチドは、(a)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、b)このcDNA、または(c)前記(a)または(b)の全長相補配列(full-length complement)と低いストリンジェント条件、中間ストリンジェント条件、中上ストリンジェント条件、高いストリンジェント条件、または非常に高いストリンジェント条件でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり;及び/又は
iv)前記変異型ポリペプチドは、キシラナーゼ活性を有するi)、ii)またはiii)ポリペプチドの機能的断片であり;及び
前記変異型ポリペプチドは、下記から選択されたいずれか一つの変形(modification)を含む:
3番、5番、20番、34番、36番及び41番のうちの一つ以上の位置のアミノ酸における他のアミノ酸での置換(substitution)、ジスルフィド(disulfide)結合形成、及びその組み合わせ;
ここで、前記位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置である。
【0015】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、前記変形前の3番のアミノ酸は、アルギニン(R)、5番のアミノ酸はセリン(S)、20番のアミノ酸はフェニルアラニン(F)、34番のアミノ酸はセリン(S)、36番のアミノ酸はスレオニン(T)、及び/または41番のアミノ酸はアラニン(A)であってもよい。
【0016】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、前記変異型ポリペプチドは、下記から選択された位置のアミノ酸の変形を含むものであってもよい:
【0017】
i)3+36;
ii)5+34;
iii)20+41;
iv)3+36+5+34;
v)3+36+20+41;
vi)5+34+20+41;及び
vii)3+36+5+34+20+41;
ここで、前記位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置である。
【0018】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、前記変異型ポリペプチドの各位置の変形は下記i)~vi)のいずれか一つ以上の変形を含むものであってもよい:
【0019】
i)3番のアミノ酸のシステインでの置換;
ii)5番のアミノ酸のシステインでの置換;
iii)20番のアミノ酸のシステインでの置換;
iv)34番のアミノ酸のシステインでの置換;
v)36番のアミノ酸のシステインでの置換;及び
vi)41番のアミノ酸のシステインでの置換;
ここで、前記位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置である。
【0020】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、前記変異型ポリペプチドは、下記から選択されたいずれか1つ以上の変形を含むことができる:
【0021】
R3C+T36C;
S5C+S34C;
F20C+A41C;
R3C+T36C+S5C+S34C;
R3C+T36C+F20C+A41C;
S5C+S34C+F20C+A41C;及び
R3C+T36C+S5C+S34C+F20C+A41C。
【0022】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、前記変異型ポリペプチドは、3番、5番、20番、34番、36番、及び41番のうちの2つ以上の位置のアミノ酸のシステインでの置換を含み、前記置換された2個のアミノ酸との間にジスルフィド(disulfide)ブリッジを形成するものであってもよい。
【0023】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、変異型ポリペプチドは、3番及び36番のアミノ酸対;5番及び34番のアミノ酸対;及び/または20番及び41番のアミノ酸対のシステインでの置換、及び前記アミノ酸対がジスルフィドブリッジを形成する変形を含むものであってもよい。
【0024】
前記具体例のいずれか一つの具体例として、前記変異型ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列で構成されたポリペプチドに比べて耐熱性及び/又は熱安定性が増加したものであってもよい。
【0025】
本出願のもう一つの様態は、本出願の変異型ポリペプチド及び/または本出願の変異型ポリペプチドを含むキシラン含有物質との反応用組成物である。
【0026】
本出願のもう一つの様態は、キシラン含有物質との反応のための、前記変異型ポリペプチド及び/又は前記変異型ポリペプチドを含む組成物の用途である。
【0027】
本出願のもう一つの様態は、前記変異型ポリペプチド、前記変異型ポリペプチドを発現する宿主細胞、及び/又は前記変異型ポリペプチドを含む組成物とキシラン含有物質を接触させることを含む、キシロース及び/又はキシロオリゴ糖(xylo-oligosaccharide)を製造する方法である。
【0028】
本出願のもう一つの様態は、前記変異型ポリペプチド、前記変異型ポリペプチドを発現する宿主細胞、及び/又は前記変異型ポリペプチドを含む組成物をキシラン含有物質に処理させることを含む、キシラン含有物質を分解する方法である。
【0029】
本出願のもう一つの様態は、前記変異型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0030】
本出願のもう一つの様態は、前記ポリヌクレオチドを含む核酸構築物である。
【0031】
本出願のもう一つの様態は、前記ポリヌクレオチドまたは前記核酸構築物を含むベクターである。
【0032】
本出願のもう一つの様態は、前記変異型ポリペプチド、前記ポリヌクレオチド、前記核酸構築物、及び/又は前記ベクターを含む宿主細胞である。
【0033】
本出願のもう一つの様態は、前記宿主細胞を培養する段階を含む、変異型ポリペプチドを製造する方法である。
【0034】
発明を実施するための具体的な内容を説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの異なる説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本出願で開示された多様な要素の全ての組合わせが本出願の範疇に属する。また、下記具体的な記述により本出願の範疇が制限されるとは見られない。
【0035】
また、当該技術分野の通常の知識を有する者は、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本出願の特定様態に対する多数の等価物を認知したり確認することができる。また、このような等価物は、本出願に含まれることが意図される。
【0036】
本出願の明細書及び添付の請求の範囲で用いられるように、単数形冠詞(「a」、「an」、及び「the」)には文脈上明確に異なって言及されない限り、複数の参照対象が含まれる。文脈上特に言及されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。本出願の明細書及び添付の請求の範囲において、特に言及されない限り、「または」の使用は「及び/又は」を含む意味として用いられ得る。
【0037】
本出願において、用語「約(about)」は、特定数値の前に提示されてもよい。本出願で用いられる用語「約」は、用語の後に記載される正確な数字だけでなく、ほぼその数字であるか、その数字に近い範囲まで含む。その数字が提示された文脈を考慮し、言及された具体的な数字と近接したり、ほぼその数字か否かを決定できる。一例として、用語「約」は、数値の-10%~+10%の範囲を指すことができる。他の例として、用語「約」は、与えられた数値の-5%~+5%の範囲を指すことができる。しかし、これに制限されない。
【0038】
本出願において、用語「第1、第2、第3…」、「i)、ii)、iii)…」または「(a)、(b)、(c)、(d)…」“のような記載は、類似の構成を区別するために用いられ、これら用語は連続的または順に行われることを意味することではない。例えば、前記用語が方法、用途または分析の段階(step)と関連して用いられた場合、これら段階の間には時間的な間隔がなかったり、同時に行われたり、数秒、数分、数時間、数日、または数カ月間の間隔をおいて行われ得る。
【0039】
本出願において、用語「実質的に成る(consisting essentially of)」は、本出願で請求する対象の特徴が不特定成分の存在に実質的に影響を受けない場合、前記不特定成分が存在し得ることを意味する。
【0040】
本出願において、用語「から成る(consisting of)」は、特定成分(ら)の比率が計100%であることを意味する。用語「から成る」に続く成分または特徴は、必須または義務的なことであってもよい。一部の具体例において、「から成る」に続く成分または特徴以外に、他の任意の成分または必須でない成分は排除され得る。
【0041】
本出願において、用語「含む(comprising)」は、前記用語の以下に記載される特徴、段階または構成要素の存在を意味し、一つ以上の特徴、段階または構成要素の存在または追加を排除しない。本出願において「含む」以下に記載される成分または特徴は、必須または義務的なことであってもよいが、一部の具体例では、他の任意のあるいは必須でない成分または特徴をさらに含んでもよい。
【0042】
本出願において、用語「含む」は、一部の具体例において、「実質的に成る」または「から成る」を指すことに修正され得る。
【0043】
本出願においてアミノ酸配列と関連し、特定の配列番号で記載されたアミノ酸配列を「含む」ポリペプチド、特定の配列番号で記載されたアミノ酸配列「から成る」ポリペプチド、または特定の配列番号で記載されたアミノ酸配列を「有する」ポリペプチドまたはタンパク質と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるポリペプチドと同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質も本出願で用いられることは自明である。例えば、前記アミノ酸配列のN末端そして/またはC末端にタンパク質の機能を変更しない配列の追加、自然に発生し得る突然変異、そのサイレント突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合であってもよいが、これに制限されない。
【0044】
本出願において、用語「タンパク質」または「ポリペプチド」は、連続的なアミノ酸残基のポリマーまたはオリゴマーを意味する。本出願において、「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」は「アミノ酸配列」と相互交換的に用いられる。
【0045】
場合に応じて、活性を示すアミノ酸配列は「酵素」と称することができる。本出願において、アミノ酸配列は特に示されない限り、N末端→C末端配向と記載される。
【0046】
細胞、核酸、ポリペプチド、またはベクターと関連し、本出願において用語「組換え」とは、細胞、核酸、ポリペプチドまたはベクターが異種(heterologous)核酸またはポリペプチドの導入または天然核酸またはポリペプチドの変更により変形されたこと、または細胞がそのように変形された細胞から誘導されることを意味する。従って、例えば、組換え細胞は、細胞の天然(非組換え)の形態内で発見されない遺伝子を発現したり、または発現されたり全く発現されない、または非正常に発現される天然遺伝子を発現してもよい。
【0047】
本出願において、用語「分離された(isolated)」とは、自然に発生しない環境に存在したり、あるいは自然に存在しない形態の物質を指す。これは、自然において自然に会合されており、自然で発見されるような物質、例えば、配列、酵素または核酸を有する少なくとも一つの他の成分から前記物質(配列、酵素または核酸)が少なくとも実質的に遊離することを含む。
【0048】
例えば、本出願で提供する分離された配列、酵素または核酸は、一つ以上の汚染物質が実質的にない形態で提供され得る。
【0049】
分離された物質の例示は、i)自然に発生しない(non-naturally occurring)任意の物質、ii)自然の状態で結合して(associated)いる一つ、それ以上、または全ての自然に発生する構成が除去された任意の物質(例えば、酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチドまたは補因子(cofactor))、iii)自然で発見される物質が人為的に変形された任意の物質、またはiv)自然に結合した他の構成成分に比べてその物質の量を変更するように変形された物質(例えば、特定物質をコードする遺伝子コピー数の増加;特定物質をコードする遺伝子と自然に連結されたプロモーターを活性が強いプロモーターに変形など)を含めてもよいが、これに制限されない。
【0050】
本出願において、用語「野生型」とは、人為的な変形を有さない天然型(naturally-occurring)であることを意味する。前記用語「野生型」がポリペプチドと関連して用いられる場合、天然型(naturally occurring)ポリペプチドであり、一つ以上のアミノ酸の位置で人為的な変異(置換、挿入、欠失など)を有さないことを意味する。これと同様に、用語「野生型」がポリヌクレオチドと関連して用いられる場合、一つ以上のヌクレオチドの人為的な変形(置換、挿入、欠失)を有さないことを意味する。しかし、野生型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然型ポリヌクレオチドに制限されず、任意の野生型ポリペプチドをコードする配列も含む。
【0051】
本出願において、親配列(parent sequence)または骨格(backbone)とは、変形(modification)を導入して変異型ポリペプチドとなる基準配列を意味する。即ち、親配列は、起動シーケンス(starting sequence)として置換、挿入及び/又は欠失などの変異を導入する対象であってもよい。前記親配列は、天然型(naturally occurring)あるいは野生型(wild type)であってもよく、または前記天然型または野生型に一つ以上の置換、挿入または欠失が発生した変異体(variant)であるか、または人為的に合成された配列であってもよい。前記親配列が活性を示すアミノ酸配列、即ち、酵素のアミノ酸配列の場合、親酵素(parent enzyme)と称することができる。
【0052】
本出願において、用語「参照配列(reference sequence)」とは、任意のアミノ酸配列内のアミノ酸の位置(position)を決定するのに用いられる配列を意味する。任意のアミノ酸配列と参照配列を整列(align)させ、任意のアミノ酸配列内で参照配列の特定の位置に対応するアミノ酸の位置を決定できる。
【0053】
本出願においてアミノ酸または核酸配列と関連し、用語「断片」は、親配列(parent sequence)の一部を意味する。例えば、親配列において一つ以上のアミノ酸がCまたはN末端から除去された形態のポリペプチドであってもよい。
【0054】
本出願において、酵素の「断片」とは、「機能的断片(functional fragment)」を指すものであってもよい。「機能的断片」は、活性断片(active fragment)ともいわれ、親酵素の一部であるとともに親酵素の酵素活性を有するポリペプチドを意味する。例えば、酵素の機能的断片は、酵素の活性部位(catalytic site)を含むものであってもよい。
【0055】
酵素の断片は、親酵素の全長(full length)の一部を含んでもよい。例えば、親酵素の全長の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%以上、100%未満のアミノ酸を含めてもよいが、これに制限されない。
【0056】
本出願において、「変異/変形させる(modifying)」とは、変化(changing)または変更(altering)させることを意味する。これは、自然に発生することからの変更であってもよい。一例として、酵素が親配列または参照配列から変更させる方式で酵素を変化させることができる。
【0057】
本出願において、変形された酵素はそれ自体で自然に存在しない、即ち、自然に発生しない(non-naturally occurring)酵素であってもよい。
【0058】
本出願において用語、「変形された(modified)」とは、例えば、その自然に発生する形態から変更されたことを意味する。本出願の変形された酵素は、自然に発生しない酵素または自然に発生する変異体を含む。一例として、本出願の変形された酵素は自然で発見されていない変形された酵素である。一例として、本出願の変形された酵素は、自発的に(spontaneously)発生していないものであってもよいが、これに制限されない。
【0059】
本出願において用語「変形(modification)」がアミノ酸/核酸配列と関連して用いられる場合、アミノ酸配列において一つ以上の部位で相違するアミノ酸/核酸残基に対する親配列のアミノ酸/核酸残基の置換(substitution)、一つ以上の部位で親配列のアミノ酸/核酸残基(または一連のアミノ酸/核酸残基)の欠失(deletion)、一つ以上の部位で親配列のアミノ酸/核酸残基(または一連のアミノ酸/核酸残基)の挿入(insertion)、N末端及び/又はC末端のアミノ酸配列または5’及び/又は3’核酸配列の切断(truncation)、及びこれらの任意の組合わせを含んでもよい。
【0060】
本出願において、酵素の「変異体(variant)」または「変異型ポリペプチド(modified polypeptide)」とは、一つ以上のアミノ酸が保存的置換(conservative substitution)及び/又は変形(modification)において親酵素と相違するタンパク質を指す。「変異体」または「変異型ポリペプチド」は相互交換的に用いられ得る。前記変異体または変異型ポリペプチドは自然に発生しない(non-naturally occurring)ものであってもよいが、これに制限されない。
【0061】
前記変異体は、一つ以上の変形、例えば、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入により親酵素の配列と相違する。
【0062】
このような変異体は、一般に、前記親酵素において一つ以上のアミノ酸を変形し、前記変形されたタンパク質の特性を評価して識別されてもよい。即ち、変異体の能力は親酵素に比べて増加したり、変わらなかったり、または減少してもよい。
【0063】
また、一部変異体は、N末端リーダ配列または膜貫通ドメイン(transmembrane domain)のような一つ以上の部分が除去された変異型ポリペプチドを含んでもよい。
【0064】
他の変異体は、成熟タンパク質(mature protein)のN及び/又はC末端から一部分が除去された変異体を含んでもよい。
【0065】
用語「変異体」または「変異型ポリペプチド」は、変異型、変形、変異されたタンパク質、変異などの用語(英文の表現では modification, modified protein, mutant, mutein, divergent, variantなど)が混用され得、変異された意味で用いられる用語であれば、これに制限されない。
【0066】
変異体は、ポリペプチドの特性と2次構造に最小限の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含んでもよい。例えば、ポリペプチドは、翻訳と同時に(co-translationally)または翻訳後に(post-translationally)タンパク質の移転(transfer)に関与するタンパク質N末端のシグナル(またはリーダ)配列とコンジュゲートすることができる。また、前記ポリペプチドは、ポリペプチドを確認、精製、または合成できるように他の配列またはリンカーとコンジュゲートされてもよい。
【0067】
本出願において用語「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸を類似した構造的及び/または化学的性質を有するもう一つのアミノ酸で置換させることを意味する。このようなアミノ酸置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/または両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生する。
【0068】
本出願明細書全体を通して、天然に存在するアミノ酸に対する通常の1文字及び3文字コードが用いられる。また、本出願において略語で言及したアミノ酸は、IUPAC-IUB命名法に従って記載したものである。
【0069】
アラニン Ala, A アルギニン Arg, R
アスパラギン Asn, N アスパラギン酸 Asp, D
システイン Cys, C グルタミン酸 Glu, E
グルタミン Gln, Q グリシン Gly, G
ヒスチジン His, H イソロイシン Ile, I
ロイシン Leu, L リシン Lys, K
メチオニン Met, M フェニルアラニン Phe, F
プロリン Pro, P セリン Ser, S
トレオニン Thr, T トリプトファン Trp, W
チロシン Tyr, Y バリン Val, V
【0070】
一方、任意のアミノ酸は、Xaa、Xで記載することができる。
【0071】
また、天然に存在するアミノ酸だけでなくAib(2-Aminoisobutyric acid)、Sar(N-methylglycine)、アルファーメチルグルタミン酸(α-methyl-glutamic acid)などのような他のアミノ酸について一般に許容される3文字コードが用いられる。
【0072】
アミノ酸は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて分類することができる。これについて、アミノ酸置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生し得る。
【0073】
例えば、電荷を帯びる側鎖(electrically charged amino acid)を有するアミノ酸中、正で荷電された(塩基性)アミノ酸はアルギニン、リシン、及びヒスチジンを、負で荷電された(酸性)アミノ酸はグルタミン酸及びアスパラギン酸を含み;電荷を帯びない側鎖(uncharged amino acid)を有するアミノ酸中、非極性アミノ酸(nonpolar amino acid)はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン及びプロリンを含み、極性(polar)または親水性(hydrophilic)アミノ酸はセリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンを含み、前記非極性アミノ酸中、芳香族アミノ酸はフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンを含む。
【0074】
本出願において用語、「遺伝子(gene)」とは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと前記コード領域の前後の領域を含むポリヌクレオチドを意味する。一部の具体例において、遺伝子は、それぞれのコード領域(エクソン;exon)の間に挿入される配列(イントロン;intron)を有する。
【0075】
本出願において用語、「相同性(homology)」または「同一性(identity)」は、2つの与えられたアミノ酸配列または塩基配列と関連した程度を意味し、百分率で表されてもよい。用語、相同性及び同一性はしばしば相互交換的に用いられる。
【0076】
保存された(conserved)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列相同性または同一性は、標準的な配列アルゴリズムにより決定され、使用されるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に使用されてもよい。実質的に、相同性を有したり(homologous)または同一の(identical)配列は、一般に、配列の全部または全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%または90%により中間または高いストリンジェントな条件(stringent conditions)でハイブリダイズすることができる。ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドにおける一般のコドンまたはコドン縮退性を考慮したコドンを含有するポリヌクレオチドも含まれることが自明である。
【0077】
任意の2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、例えば、Pearson et al (1988)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444でのようなデフォルトパラメータを用いて「FASTA」プログラムなどの既知のコンピュータアルゴリズムを使用して決定されてもよい。または、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277)(バージョン5.0.0または以降のバージョン)で行われるような、ニードルマン-ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を使用して決定されてもよい(GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)), BLASTP, BLASTN, FASTA (Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990);Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994,及び[CARILLO et al.](1988)SIAM J Applied Math 48: 1073を含む)。例えば、国立生物工学情報データベースセンターのBLASTまたはClustalWを用いて相同性、類似性または同一性を決定することができるが、これに制限されない。
【0078】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの相同性、類似性または同一性は、例えば、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981)2:482において公知となっているように、例えば、Needleman et al. (1970), J Mol Biol. 48:443のようなGAPコンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することにより決定されてもよい。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列中、より短いものにおける記号の総数であり、類似の配列された記号(すなわち、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を除した値と定義することができる。GAPプログラムのためのデフォルトパラメータは、(1)二進法比較マトリックス(同一性のために1、そして非同一性のために0の値を含む)、及びSchwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)により開示されているように、Gribskov et al(1986)Nucl. Acids Res. 14: 6745の加重比較マトリックス(またはEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス);(2)各ギャップのための3.0のペナルティ及び各ギャップにおいて各記号のための追加の0.10ペナルティ(またはギャップ開放ペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5);(3)末端ギャップのための無ペナルティを含むことができる。
【0079】
また、任意の2ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が相同性、類似性または同一性を有するかどうかは、定義されたストリンジェントな条件下でサザンハイブリダイゼーション実験により配列を比較することにより確認することができ、定義される適切なハイブリダイゼーション条件は、当該技術範囲内であり、当業者によく知られている方法(例えば、J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989;F.M. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York)で決定されてもよいが、これに制限されない。
【0080】
本出願において、用語「成熟ポリペプチド(mature polypeptide)」とは、信号配列(signal sequence)またはプロペプチド配列(propeptide sequence)がない形態のポリペプチドを意味する。成熟タンパク質/ポリペプチド/ペプチドは、タンパク質/ポリペプチド/ペプチドの機能的形態であってもよい。成熟ポリペプチドは、翻訳以後、または翻訳後の変形を経た最終(final form)の形態であってもよい。翻訳後の変形の例示としては、NまたはC末端の変形、グリコシル化、リン酸化、リーダ配列(leader sequence)の除去などがあるが、これに制限されない。
【0081】
本出願において用語「核酸構築物(nucleic acid construct)」とは、一つ以上の調節配列(regulatory sequence)を含み、人為的に合成されたり、自然界に存在しない方法で特定配列を含むように操作されたり、自然から分離された単一あるいは二本鎖核酸分子を意味する。
【0082】
本出願において用語「発現」とは、ポリペプチドの生成に関与する任意の段階、例えば、転写、転写後の変形、翻訳、翻訳後の変形、及び分泌などを含むが、これに制限されない。
【0083】
本出願において用語「発現ベクター」とは、コード配列及びその発現のために作動可能に連結された調節配列を含む線状あるいは環状の核酸分子を意味する。
【0084】
本出願において用語「作動可能に連結された」とは、調節配列がコード配列の発現を指示するように調節配列が適切な位置に配置される構成を意味する。従って、「作動可能に連結された」は、プロモーター、ターミネーター、信号配列またはエンハンサー領域のように知られている、あるいは所望の活性を有する機能的ドメインの調節領域がターゲット(遺伝子またはポリペプチド)の発現、分泌または機能を前記知られている、あるいは所望の活性により調節できるようにそのターゲットに付着または連結されたことを含む。
【0085】
本出願において用語「cDNA」とは、真核または原核細胞から得ることができる成熟した、スプライシングされたmRNA分子から逆転写を通じて製造され得るDNA配列を意味する。cDNA配列は、対応するゲノムDNAに存在し得るイントロン配列を含まない。初期の1次RNA転写体は、スプライシングを含む一連の段階を通じて処理されて成熟したスプライシングされたmRNAで示される前のmRNAの前駆体である。
【0086】
本出願において用語「調節配列(regulatory sequence)」とは、コード配列の発現に必要なポリヌクレオチド配列を意味する。それぞれの調節配列は、コード配列に対して天然型であるか(起源が同一)または外来(foreign;他の遺伝子に由来する)配列であってもよい。前記調節配列の例示は、リーダ配列(leader sequence)、ポリアデニル化配列(polyadenylation sequence)、プロペプチド配列、プロモーター、信号ペプチド配列、オペレータ配列、リボソーム結合部位をコードする配列、転写及び翻訳終結を調節する配列を含む。前記調節配列の最小単位は、プロモーター、転写及び翻訳終結配列を含んでもよい。
【0087】
本出願で提供する変異体を記載するために、下記の命名法が用いられる。
【0088】
本出願においてアミノ酸配列の特定の位置を指すことは、その位置に存在したり置換されるアミノ酸を指すことを含んでもよい。特定の位置のアミノ酸を指すことは、多様に記載することができる。例えば、「003番の位置」は「3番の位置」、「3番のアミノ酸」、「3番目のアミノ酸」と記載することができる。また、例えば、3番目の位置にあるアミノ酸がアルギニン(R)の場合、これを「R3」または「Arg3」のように記載することができる。
【0089】
アミノ酸の置換は、置換前のアミノ酸、位置、置換されるアミノ酸の順に記載することにより表現できる。前記アミノ酸は、通常の1文字及び3文字コードを用いて表現できる。一例として、特定配列の5番の位置のアミノ酸であるセリンがシステインで置換される場合、「S5C」または「Ser5Cys」のように記載できる。
【0090】
特定の位置で任意のアミノ酸は「X」と称することができる。例えば、X6は6番の位置の任意のアミノ酸を称する。また、置換されるアミノ酸をXとして表記する場合、置換前に存在するアミノ酸と他のアミノ酸で置換されることを意味する。例えば、「V6X」は6番の位置でVがVではなく任意のアミノ酸で置換されることを示す。
【0091】
「/」または「,」記号を用いて種々のアミノ酸を同時に記載することにより、互いに異なる変形(different alternation)を表現できる。例えば、20番の位置のアミノ酸(F)がSまたはCで置換されたことは、F20S/CまたはF20S,Cと混用されて記載され得る。他の例において、F/S20Cは置換前の20番の位置のアミノ酸FまたはSがCで置換されることを意味する。
【0092】
多重変異は「+」を用いて記載することができる。例えば、「R3C+T36C」のような記載は、それぞれ3番の位置のアミノ酸であるアルギニンがシステインで、8番の位置のアミノ酸であるスレオニンがシステインで置換されることを意味する。
【0093】
本出願において、用語「対応する(corresponding to)」とは、タンパク質またはポリペプチドで列挙される位置のアミノ酸残基であるか、またはタンパク質またはポリペプチドで列挙される残基と類似または同一または相同のアミノ酸残基を指す。対応する位置のアミノ酸を確認することは、特定の配列を参照する配列の特定のアミノ酸を決定することであってもよい。本出願で使用される「対応する領域」は、一般に、関連タンパク質または比較(reference)タンパク質における類似または対応する位置を指す。
【0094】
本出願において任意のアミノ酸配列内のアミノ酸の位置(position)を決定するのに配列番号1が参照配列(reference sequence)として使用されてもよい。
【0095】
即ち、本出願で開示する配列番号1は、任意のキシラナーゼ活性を有するポリペプチドで対応するアミノ酸残基を決定するために用いられ、本出願で特に断らない限り、特定のアミノ酸配列の残基は配列番号1を基準に番号付けされる。
【0096】
例えば、任意のアミノ酸配列を配列番号1と整列(align)し、これに基づいて、前記アミノ酸配列の各アミノ酸残基は、配列番号1のアミノ酸残基と対応するアミノ酸残基の数字の位置を参照して番号付けすることができる。例えば、本出願に記載されているような配列整列アルゴリズムは、クエリシーケンス(「参照配列」ともいう)に比べてアミノ酸の位置、または置換、挿入または欠失などの変形が発生する位置を確認することができる。
【0097】
そのような整列には、例えば、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman及びWunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000)、Trends Genet. 16: 276-277)などを用いることができるが、これに限定されない。
【0098】
また、多重配列整列(Multiple sequence alignment)を通じて他のキシラナーゼで対応するアミノ酸残基を識別できる。当業界に知られている多重配列整列プログラムの例示としてMUSCLE(multiple sequence comparison by log-expectation;3.5バージョン以上;Edgar, 2004, Nucleic Acids Research 32: 1792-1797), MAFFT (6.857バージョン以上;Katoh and Kuma, 2002, Nucleic Acids Research 30: 3059-3066;Katoh et al., 2005, Nucleic Acids Research 33: 511-518;Katoh and Toh, 2007, Bioinformatics 23: 372-374;Katoh et al., 2009, Methods in Molecular Biology 537: 39-64;Katoh and Toh, 2010, Bioinformatics 26: 1899-1900)などのプログラム及びClustalWを用いるEMBOSS EMMA(1.83以上;Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Research 22 : 4673-4680)などがあり、前記プログラムそれぞれの基本パラメータを用いることができ、これに制限されない。
【0099】
それ以外に、配列番号1の成熟ポリペプチドから分枝された酵素が従来の配列基盤比較でそれらの関係を検出できなくなる場合、その他のペアワイズ配列(pairwise sequence)比較アルゴリズムが用いられる(Lindahl and Elofsson, 2000, J. Mol. Biol. 295: 613-615)。データベースを検索するためのポリペプチドファミリー(プロファイル)の確率論的表示を用いる検索プログラムを用い、配列基盤検索からより高い敏感度(sensitivity)が得られる。例えば、PSI-BLASTプログラムは、反復的なデータベース検索過程を通じてプロファイルを算出し、関係度の低い相同体(remote homolog)を検出できる(Atschul et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402)。ポリペプチドに対するファミリーまたはスーパーファミリーがタンパク質構造のデータベースにおいて1個以上の表示を有する場合、遥かに大きい敏感性が達成される。GenTHREADER (Jones, 1999, J. Mol. Biol. 287: 797-815;McGuffin and Jones, 2003, Bioinformatics 19: 874-881)のようなプログラムはクエリシーケンス(query sequence)に関する構造的フォールディングを予測するニューラルネットワークに対する入力としてPSI-BLAST、2次構造予測、構造整列プロファイル及び溶媒化ポテンシャルのような多様なソースからの情報を用いる。類似するものとしては、構造が分からない配列とSCOPデータベースに存在するスーパーファミリーモデルを整列するために、Gough et al., 2000, J. Mol. Biol. 313: 903-919の方法が用いられる。これら整列は、ポリペプチドに対する相同性モデルを作るために順に用いられ、このようなモデルは、その目的のために開発された多様なツールを用いて正確性に対して評価され得る。
【0100】
公知となった構造のタンパク質に対し、構造的整列を検索し、作り出すのにいくつかのツール及びリソースが用いられ得る。例えば、タンパク質のSCOPスーパーファミリーは構造的に整列され、その整列は、アプローチ及びダウンロード可能である。2以上のタンパク質構造は、距離行列整列(distance alignment matrix)(Holm and Sander, 1998, Proteins 33: 88-96)またはCE(Combinatiorial extension)Shindyalov and Bourne, 1998, Protein Engineering 11: 739-747)のような多様なアルゴリズムを用いて整列され得る。これらアルゴリズムの具現は、可能な構造的相同体を発見するために、対象構造を有する構造データベースを質問するために追加で用いられ得る(Holm and Park, 2000, Bioinformatics 16: 566-567)。
【0101】
前記方法は一つの例示であり、これに制限されない。
【0102】
以下、本出願の具体例をより詳細に説明すると、次の通りである。
【0103】
本出願において、キシラナーゼは、キシランにおいて1,4-β-D-キシロシド(1,4-beta-D-xylosidic)結合の内部加水分解(endohydrolysis)を触媒する酵素を意味する。一例として、EC番号が3.2.1.8である酵素であってもよいが、これに制限されない。
【0104】
本出願において、キシラナーゼ活性は、本出願に記載された実施様態を含み、当業界に公知となった方法を用いることにより測定及び評価できる。
【0105】
本出願において「親(Parent)キシラナーゼ」とは、本出願の変異体または変異型ポリペプチドを生産するために変形が加えられるキシラナーゼを意味する。具体的には、親キシラナーゼ、親酵素または親配列は自然に発生するポリペプチドまたは野生型ポリペプチドであってもよく、その成熟ポリペプチドであってもよく、その変異体または機能的断片を含めてもよいが、キシラナーゼ活性を有し、変異体の親体となり得るポリペプチドであれば、これに制限されない。
【0106】
本出願において提供する親キシラナーゼ(Parent Xylanase)は、これに制限されないが、配列番号1のポリペプチドであってもよい。また、キシラナーゼ活性を有する限り、配列番号1のポリペプチドと約60%、70%、75%。80%。85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上の配列同一性を有するポリペプチドであってもよく、配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチドと同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、親キシラナーゼの範囲に制限なく含まれ得る。
【0107】
本出願で提供する変異体の親キシラナーゼは、Orpinomyces sp., Neocallimastix sp., Piromyces sp., Ruminococcus sp.属由来であってもよい。具体的には、Orpinomyces sp.由来であってもよい。
【0108】
一方、前述した微生物は、本出願で提供するキシラナーゼに由来する微生物の一例であり、微生物の名称に関係なく、それと分類学的に相同な微生物に由来するものも含む。
【0109】
前述した微生物は、ATCC、DSMZ、CBS、NRRL、KCTC、KCCMのような公知となった微生物寄託機関から分譲を受けることができる。
【0110】
本出願において、特定微生物に「由来する(derived from)」配列は、その微生物において自然に製造されたり製造可能なことに制限されず、その遺伝子を含む微生物から製造され、分離される遺伝子によりコードされる配列も含む。
【0111】
例えば、Orpinomyces sp.由来のキシラナーゼは、Orpinomyces属微生物において天然に産生されるキシラナーゼ活性を有する酵素だけでなく、Orpinomyces属微生物から産生されるもの、そして当業界において公知となった遺伝的変形(例えば、前記酵素をコードする配列で形質転換)を通じて他の宿主細胞で産生されるものも含む。
【0112】
本出願において「キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチド」は、親キシラナーゼの変異体であってもよい。
【0113】
本出願において用語「親キシラナーゼの変異体」または「キシラナーゼ変異体」は、一つ以上のアミノ酸が親キシラナーゼのアミノ酸配列と相違し、キシラナーゼの活性を有するタンパク質を指す。
【0114】
前記「キシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチド」、「親キシラナーゼの変異体」と「キシラナーゼ変異体」は混用可能である。
【0115】
本出願で提供する変異体は、キシラナーゼ活性を有しながら、親キシラナーゼ配列において一つ以上のアミノ酸の変形(modification)を含むものであってもよい。前記変形は、アミノ酸の置換及び/またはジスルフィド結合形成であってもよい。
【0116】
また、i)前記変異体は、配列番号1と70%以上、かつ100%未満の配列同一性を有するポリペプチドであり;及び/又はii)前記変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドをコードする配列と70%以上かつ100%未満の配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり;及び/又はiii)前記変異体は(a)配列番号1の成熟ポリペプチドコード配列、(b)そのcDNA、または(c)前記(a)または(b)の全長相補配列(full-length complement)と低いストリンジェント条件、中間ストリンジェント条件、中上ストリンジェント条件、高いストリンジェント条件、または非常に高いストリンジェント条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであり;及び/又はiv)前記変異体はキシラナーゼ活性を有するi)、ii)またはii)ポリペプチドの機能的断片であってもよい。
【0117】
具体的には、本出願で提供する変異体は、キシラナーゼ活性を有しながら、親キシラナーゼ配列において一つ以上のアミノ酸の変形(modification)を含めて親キシラナーゼに比べて一つ以上の変更された機能または特性を有するものであってもよい。
【0118】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体はキシラナーゼ活性を有しながら、親キシラナーゼ配列において一つ以上のアミノ酸の変形(modification)を含めて親キシラナーゼに比べて一つ以上の変更された機能または特性を有し、一つ以上の保存的置換を有してもよい。
【0119】
本出願で提供する変異体は、親キシラナーゼの変異体であり、キシラナーゼ活性を有するポリペプチドであってもよい。
【0120】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の3番、5番、20番、34番、36番及び41番の位置に対応する1個以上の位置における変形(modification)を含んでもよい。
【0121】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、下記i)~vii)から選択された位置のアミノ酸の変形を含むものであってもよい:
【0122】
i)3+36;
ii)5+34;
iii)20+41;
iv)3+36+5+34;
v)3+36+20+41;
vi)5+34+20+41;及び
vii)3+36+5+34+20+41。
【0123】
本出願において位置番号は、配列番号1のポリペプチドの位置に対応する位置であり、「対応する」は、前記で説明した通りである。
【0124】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1のR3、S5、F20、S34、T36及びA41中の1個以上に対応するアミノ酸の変形を含んでもよい。
【0125】
一つの具体例として、本出願で提供する変形前の配列番号1の3番の位置に対応するアミノ酸はアルギニン(R);5番の位置に対応するアミノ酸はセリン(S)、20番目の位置に対応するアミノ酸はフェニルアラニン(F)、34番の位置に対応するアミノ酸はセリン(S)、36番の位置に対応するアミノ酸はスレオニン(T)、及び/または41番の位置に対応するアミノ酸はアラニン(A)であってもよい。
【0126】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の3番の位置に対応するアミノ酸のG、A、V、L、I、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、KまたはHでの置換を含んでもよく、具体的には、S、T、C、Y、NまたはQでの置換を含んでもよく、より具体的には、Cでの置換を含んでもよい。
【0127】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の5番の位置に対応するアミノ酸のG、A、V、L、I、M、F、W、P、T、C、Y、N、Q、D、E、K、RまたはHでの置換を含んでもよく、具体的には、T、C、Y、NまたはQでの置換を含んでもよく、より具体的には、Cでの置換を含んでもよい。
【0128】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の20番の位置に対応するアミノ酸のG、A、V、L、I、M、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、RまたはHでの置換を含んでもよく、具体的には、S、T、C、Y、NまたはQでの置換を含んでもよく、より具体的には、Cでの置換を含んでもよい。
【0129】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の34番の位置に対応するアミノ酸のG、A、V、L、I、M、F、W、P、T、C、Y、N、Q、D、E、K、RまたはHでの置換を含んでもよく、具体的には、T、C、Y、NまたはQでの置換を含んでもよく、より具体的には、Cでの置換を含んでもよい。
【0130】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の36番の位置に対応するアミノ酸のG、A、V、L、I、M、F、W、P、S、C、Y、N、Q、D、E、K、RまたはHでの置換を含んでもよく、具体的には、S、C、Y、NまたはQでの置換を含んでもよく、より具体的には、Cでの置換を含んでもよい。
【0131】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の41番の位置に対応するアミノ酸のG、V、L、I、M、F、W、P、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、RまたはHでの具体的には、S、T、C、Y、NまたはQでの置換を含んでもよく、より具体的には、Cでの置換を含んでもよい。
【0132】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の3番の位置に対応するアミノ酸の極性アミノ酸での置換を含んでもよい。
【0133】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の5番の位置に対応するアミノ酸の極性アミノ酸での置換を含んでもよい。
【0134】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の20番の位置に対応するアミノ酸の極性アミノ酸での置換を含んでもよい。
【0135】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の34番の位置に対応するアミノ酸の極性アミノ酸での置換を含んでもよい。
【0136】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の36番の位置に対応するアミノ酸の極性アミノ酸での置換を含んでもよい。
【0137】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の41番の位置に対応するアミノ酸の極性アミノ酸での置換を含んでもよい。
【0138】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1のR3C、S5C、F20C、S34C、T36C及びA41Cのうちの1以上の置換を含んでもよい。
【0139】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1のR3C、S5C、F20C、S34C、T36C及びA41Cのうちの2以上の置換を含んでもよい。
【0140】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、下記から選択されたいずれか1つ以上の置換を含んでもよい:
【0141】
R3C+T36C;
S5C+S34C;
F20C+A41C;
R3C+T36C+S5C+S34C;
R3C+T36C+F20C+A41C;
S5C+S34C+F20C+A41C;
R3C+T36C+S5C+S34C+F20C+A41C。
【0142】
具体的には、配列番号1のR3C+T36C置換を含む変異体は、配列番号3で示すことができ、配列番号1のS5C+S34C置換を含む変異体は、配列番号5で示すことができ、配列番号1のF20C+A41C置換を含む変異体は、配列番号7で示すことができる。
【0143】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、前述した変形のすべての可能な組み合わせを含む。
【0144】
例えば、前記変異体は、前記変形の組み合わせにより、下記から選択された位置のアミノ酸の変形を含むものであってもよい:
【0145】


20
34
36
41
3 + 5
3 + 20
3 + 34
3 + 36
3 + 41
5 + 20
5 + 34
5 + 36
5 + 41
20 + 34
20 + 36
20 + 41
34 + 36
34 + 41
36 + 41
3 + 5 + 20
3 + 5 + 34
3 + 5 + 36
3 + 5 + 41
3 + 20 + 34
3 + 20 + 36
3 + 20 + 41
3 + 34 + 36
3 + 34 + 41
3 + 36 + 41
5 + 20 + 34
5 + 20 + 36
5 + 20 + 41
5 + 34 + 36
5 + 34 + 41
5 + 36 + 41
20 + 34 + 36
20 + 34 + 41
20 + 36 + 41
34 + 36 + 41
3 + 5 + 20 + 34
3 + 5 + 20 + 36
3 + 5 + 20 + 41
3 + 5 + 34 + 36
3 + 5 + 34 + 41
3 + 5 + 36 + 41
3 + 20 + 34 + 36
3 + 20 + 34 + 41
3 + 20 + 36 + 41
3 + 34 + 36 + 41
5 + 20 + 34 + 36
5 + 20 + 34 + 41
5 + 20 + 36 + 41
5 + 34 + 36 + 41
20 + 34 + 36 + 41
3 + 5 + 20 + 34 + 36
3 + 5 + 20 + 34 + 41
3 + 5 + 20 + 36 + 41
3 + 5 + 34 + 36 + 41
3 + 20 + 34 + 36 + 41
5 + 20 + 34 + 36 + 41
3 + 5 + 20 + 34 + 36 + 41
【0146】
もう一つの例として、前記変異体は、下記i)~vi)のいずれか一つ以上の置換を含むものであってもよいが、これに制限されない: i)3番のアミノ酸のシステインでの置換;ii)5番のアミノ酸のシステインでの置換;iii)20番のアミノ酸のシステインでの置換;iv)34番のアミノ酸のシステインでの置換;v)36番のアミノ酸のシステインでの置換;及びvi)41番のアミノ酸のシステインでの置換.
【0147】
もう一つの例として、前記変異体は、下記から選択されたいずれか1つ以上の変形を含めてもよいが、これに限定されない:
【0148】
R3C
S5C
F20C
S34C
T36C
A41C
R3C + S5C
R3C + F20C
R3C + S34C
R3C + T36C
R3C + A41C
S5C + F20C
S5C + S34C
S5C + T36C
S5C + A41C
F20C + S34C
F20C + T36C
F20C + A41C
S34C + T36C
S34C + A41C
T36C + A41C
R3C + S5C + F20C
R3C + S5C + S34C
R3C + S5C + T36C
R3C + S5C + A41C
R3C + F20C + S34C
R3C + F20C + T36C
R3C + F20C + A41C
R3C + S34C + T36C
R3C + S34C + A41C
R3C + T36C + A41C
S5C + F20C + S34C
S5C + F20C + T36C
S5C + F20C + A41C
S5C + S34C + T36C
S5C + S34C + A41C
S5C + T36C + A41C
F20C + S34C + T36C
F20C + S34C + A41C
F20C + T36C + A41C
S34C + T36C + A41C
R3C + S5C + F20C + S34C
R3C + S5C + F20C + T36C
R3C + S5C + F20C + A41C
R3C + S5C + S34C + T36C
R3C + S5C + S34C + A41C
R3C + S5C + T36C + A41C
R3C + F20C + S34C + T36C
R3C + F20C + S34C + A41C
R3C + F20C + T36C + A41C
R3C + S34C + T36C + A41C
S5C + F20C + S34C + T36C
S5C + F20C + S34C + A41C
S5C + F20C + T36C + A41C
S5C + S34C + T36C + A41C
F20C + S34C + T36C + A41C
R3C + S5C + F20C + S34C + T36C
R3C + S5C + F20C + S34C + A41C
R3C + S5C + F20C + T36C + A41C
R3C + S5C + S34C + T36C + A41C
R3C + F20C + S34C + T36C + A41C
S5C + F20C + S34C + T36C + A41C
R3C + S5C + F20C + S34C + T36C + A41C
【0149】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の3番、5番、20番、34番、36番及び41番のうちの2以上の位置に対応するアミノ酸のシステインでの置換を含み、前記置換された2つのアミノ酸の間にジスルフィドブリッジを形成するものであってもよい。
【0150】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、3番及び36番のアミノ酸対;5番及び34番のアミノ酸対;及び/又は20番及び41番のうちのアミノ酸対がシステインで置換され、前記アミノ酸対がジスルフィドブリッジを形成するものであってもよい。
【0151】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、親キシラナーゼ;その成熟ポリペプチドまたはその機能的断片と約60%以上、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上及び100%未満の配列同一性を有するものであってもよい。
【0152】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1と約60%以上、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または、99%以上及び100%未満の配列同一性を有するものであってもよい。
【0153】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドをコードする核酸塩基配列と約60%以上、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または、99%以上及び100%未満の核酸塩基配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであってもよい。
【0154】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、(a)配列番号1の成熟ポリペプチドをコードする配列(b)そのcDNAまたは(c)前記(a)または(b)の全長相補配列(full-length complement)と低いストリンジェント条件、中間ストリンジェント条件、中上ストリンジェント条件、高いストリンジェント条件または非常に高いストリンジェント条件でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであってもよい。
【0155】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号1の機能的断片と約60%以上、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または、99%以上及び100%未満の配列同一性を有するものであってもよい。
【0156】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号2で示される核酸塩基配列と約60%以上、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または、99%以上及び100%未満の核酸塩基配列同一性を有するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであってもよい。
【0157】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号3、配列番号5または配列番号7のアミノ酸配列において、3番、5番、20番、34番、36番及び41番のアミノ酸の1つ以上の位置のアミノ酸は固定され、前記配列番号のアミノ酸配列、その成熟ポリペプチドまたはその機能的断片と約60%以上、例えば、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上または100%の配列同一性を有するポリペプチドであってもよい。
【0158】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、配列番号4、配列番号6または配列番号8のポリヌクレオチドによりコードされてもよい。
【0159】
一つの具体例として、本出願の配列番号1のR3C+T36Cの置換を含む変異体は、配列番号4で表されるポリヌクレオチドによりコードされてもよい。
【0160】
一つの具体例として、本出願の配列番号1のS5C+S34Cの置換を含む変異体は、配列番号6で表されるポリヌクレオチドによりコードされてもよい。
【0161】
一つの具体例として、本出願の配列番号1のF20C+A41Cの置換を含む変異体は、配列番号8で表されるポリヌクレオチドによりコードされてもよい。
【0162】
本出願で提供する変異体は、他のキシラナーゼ、例えば、野生型キシラナーゼ、親キシラナーゼ、他のキシラナーゼ変異体などと比較し、選択されたり検出されてもよいポリペプチドの任意の特性または属性が1以上変更されたものであってもよい。
【0163】
前記の特性または属性には、酸化安定性、基質特異性、触媒活性、熱安定性、アルカリ安定性、pH活性プロファイル、タンパク質分解に対する耐性、Km、kcat、kcat/Kmの比率、タンパク質フォールディング、免疫反応誘導、リガンドに結合する能力、受容体に結合する能力、分泌される能力、細胞の表面に展示される能力、オリゴマーを形成する能力、信号を送る能力、細胞増殖を促進する能力、細胞増殖を抑制する能力、細胞自滅死を誘導する能力、リン酸化またはグリコシル化により改質される能力、及び/又は疾患を治療する能力が含まれるが、これに制限されるものではない。
【0164】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、親配列に比べて耐熱性及び/又は熱安定性が増加したものであってもよい。
【0165】
本出願において、「酵素活性(enzymatic activity)」は、少なくとも一つの触媒活性(catalytic activity)を示す。具体的には、kcat/Kmで主に表現される酵素の転換効率であってもよいが、これに制限されない。
【0166】
catは、酵素が基質で完全に飽和した時、一つの酵素による単位時間に生成物に転換する速度定数(catalytic constant)を意味し、転換数(turnover number)とも称される。Kmは反応速度が最高値(Vmax)の半分の時の基質濃度(substrate concenstration)である。
【0167】
酵素活性を表現する方法の例示として、特異的活性(specific activity;umol of converted substrate x mg-1 x min-1)またはvolumetric activity(umol of converted substrate x mL-1 x min-1)などがある。
【0168】
ただし、酵素活性を定義することは、前述した内容に制限されず、Irwin H. Segel, Enzyme kinetics, John Wiley & Sons, 1979;A. G. Marangoni, Enzyme kinetics, Wiley-Interscience, 2003;A. Fersht, Enzyme structure and mechanisms, John Wiley & Sons, 1981;Structure and Mechanism in Protein Science: A guide to enzyme catalysis and protein folding, Alan Fersht, W.H. Freeman, 1999;Fundamentals of Enzyme Kinetics, Athel Cornish-Bowden, Wiley-Blackwell 2012 and Voet ef al., “Biochemie”[Biochemistry], 1992, VCH-Verlag, Chapter 13, pages 331-332 with respect to enzymatic activityなどに知られた内容に基づいて定義して評価できる。
【0169】
一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、親酵素に比べて約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%または約200%以上の増加した酵素活性を有してもよい。
【0170】
他の一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、親酵素に比べて約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%または約20%以下の減少した酵素活性を有してもよい。
【0171】
本出願において用語「特異的活性(specific activity)」は、タンパク質単位重量当り示される酵素の活性であり、unit/mgで表すことができる。タンパク質の定量は、例えば、SDS-PAGEあるいはBradford assayなどを用いて行うことができる。
【0172】
酵素安定性(enzyme stability)とは、酵素活性が貯蔵または反応時間の間に保存されることを意味する。このような安定性の変化を測定するために、最初の酵素活性を定められた条件下に0時間(time zero)(100%)及び一定時間経過後に(x%)測定して比較することにより、酵素活性が喪失する水準乃至は酵素安定性を表現できる。
【0173】
酵素活性に影響を及ぼす要素は、例えば、pH、熱、他の物質(例えば、酸化剤、キレート剤)の存在などがある。
【0174】
本出願において用語、「pH安定性」とは、特定のpH範囲においてタンパク質が機能できる能力(ability)を意味する。一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、約pH4.0~約pH12.0で活性を有することができるが、これに制限されない。
【0175】
特定のpH範囲でタンパク質が機能を維持する場合「pH安定性」を有することと定義することができ、pHの範囲によって「耐酸性」、「アルカリ耐性」などを有するものと定義することができる。
【0176】
本出願において用語、「熱安定性(thermal stability)」とは、特定の温度範囲でタンパク質が機能できる能力を意味する。一つの具体例として、本出願で提供する変異体は、約20℃~約120℃の範囲で活性を有してもよく、具体的には、約60℃~約100℃の範囲で活性を有するものであってもよいが、これに制限されない。
【0177】
本出願において用語、「耐熱性(thermal tolerance)」とは、タンパク質が特定の温度、例えば、高熱または極低温に露出された後、機能できる能力を意味する。例えば、耐熱性を有するタンパク質は、露出された温度では機能しないこともあってもよいが、最適な温度環境に戻ると、再び機能を有することができる。
【0178】
安定性の増加は、他の酵素、例えば、野生型酵素、親酵素及び/又は他の変異体と比較し、高い酵素活性維持;タンパク質が機能を維持するpH、温度及び/又は時間などの範囲の増加を含む。
【0179】
安定性の減少は、他の酵素、例えば、野生型酵素、親酵素及び/又は他の変異体と比較し、低い酵素活性維持;タンパク質が機能を維持するpH、温度及び/又は時間などの範囲減少を含む。
【0180】
本出願において用語、「基質特異性(substrate speicifity)」とは、基質及び基質と競争する分子を識別できる酵素の能力を意味する。基質特異性は、相違する基質に対する酵素の活性を測定して決定できる。一つの具体例として、前記基質特異性の変化は、目的とする産物を生成できる基質に対する特異性が増加する方向に変化するものであってもよい。もう一つの具体例として、前記基質特異性の変化は、目的とする産物を生成できる基質に対する特異性が減少する方向に変化するものであってもよい。
【0181】
本出願で提供する変異体の変更された特性は、飼料、製パン、パルプ漂白(Pulp bleaching)などを含む多様な産業分野に適用するに適した活性、改善された活性であってもよい。
【0182】
本出願の変異体をコードするポリヌクレオチドは、前述した変異体のコード配列を含んでもよい。前記ポリヌクレオチドは、コドンの縮退性(degeneracy)により、または前記ポリペプチドを発現させようとする生物で好まれるコドンを考慮し、ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させない範囲内でコード領域に多様な変形がなされてもよい。
【0183】
また、本出願のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から製造され得るプローブ、例えば、前記塩基配列の全体または一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下にハイブリダイゼーションし、本出願の変異体をコードする配列であれば、制限なく含まれ得る。
【0184】
前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は文献(例えば、J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989;F.M. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York)に具体的に記載されている。
【0185】
例えば、相同性または同一性の高いポリヌクレオチド同士、40%以上、具体的には90%以上、より具体的には95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、さらに具体的には99%以上の相同性または同一性を有するポリヌクレオチド同士をハイブリダイゼーションし、それより相同性または同一性の低いポリヌクレオチド同士をハイブリダイゼーションしない条件、または通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、 1XSSC、0.1% SDS、具体的には、60℃、0.1XSSC、0.1% SDS、より具体的には68℃、1XSSC、0.1% SDSに相当する塩濃度及び温度で、1回、具体的に2回~3回洗浄する条件を列挙することができる。
【0186】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、2つの核酸が相補的配列を有することを要求する。用語「相補的」は、互いにハイブリダイゼーション可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述するのに使用される。例えば、DNAに関し、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって、本出願のポリヌクレオチドは、また、実質的に類似の核酸配列だけでなく、配列全体に相補的な単離された核酸断片を含んでもよい。
【0187】
具体的には、相同性または同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーション段階を含むハイブリダイゼーション条件を用い、上述の条件を用いて探知することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃または65℃であってもよいが、これに限定されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節することができる。
【0188】
ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切なストリンジェンシーは、ポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は当技術分野においてよく知られている(Sambrook et al., supra, 9.50-9.51, 11.7-11.8参照)。
【0189】
例えば、「高いストリンジェント」は、プローブのTmの約5~10℃の下で発生し;「中間ストリンジェント」はプローブのTmの約10~20℃の下で発生し;「低いストリンジェント」はTmの約20~25℃の下で発生し得るが、これに制限されない。
【0190】
一例として、「低いストリンジェント条件(low stringency condition)」は、サザンブロッティング標準手続に従って12-24時間、少なくとも100個のヌクレオチド長のプローブに対し、5X SSPE、0.3% SDS、剪断及び変性されたサケ精子DNA 200 micrograms/ml及び25%のホルムアミドで、42℃におけるプレハイブリダイゼーション(prehybridization)及びハイブリダイゼーションであってもよい。前記運搬体物質は、最終的に、50℃で2 X SSC、0.1~0.2% SDSを用いて15分間それぞれ2回~3回洗浄されてもよい。
【0191】
一例として、「中間ストリンジェント条件(medium stringency condition)」は、サザンブロッティング標準手続に従って12-24時間、少なくとも100個のヌクレオチド長のプローブに対し、5X SSPE、0.3% SDS、剪断及び変性されたサケ精子DNA 200 micrograms/ml及び35%のホルムアミドで、42℃におけるプレハイブリダイゼーション(prehybridization)及びハイブリダイゼーションであってもよい。前記運搬体物質は、最終的に55℃で2 X SSC、0.1~0.2% SDSを用いて15分間それぞれ2回~3回洗浄されてもよい。一例として、「中上ストリンジェント条件(medium-high stringency condition)」は、サザンブロッティング標準手続に従って12-24時間、少なくとも100個のヌクレオチド長のプローブに対し、5X SSPE、0.3% SDS、剪断及び変性されたサケ精子DNA 200 micrograms/ml及び35%のホルムアミドで、42℃におけるプレハイブリダイゼーション(prehybridization)及びハイブリダイゼーションであってもよい。前記運搬体物質は、最終的に60℃で1~2 X SSC、0.1~0.2% SDSを用いて15分間それぞれ2回~3回洗浄されてもよい。
【0192】
一例として、「高いストリンジェント条件(high stringency condition)」は、サザンブロッティング標準手続に従って12-24時間、少なくとも100個のヌクレオチド長のプローブに対し、5 X SSPE、0.3% SDS、剪断及び変性されたサケ精子DNA 200 micrograms/ml及び35%のホルムアミドで、42℃におけるプレハイブリダイゼーション(prehybridization)及びハイブリダイゼーションであってもよい。前記運搬体物質は、最終的に65℃で2 X SSC、0.1~0.2% SDSを用いて15分間それぞれ2回~3回洗浄されてもよい。
【0193】
本出願で提供される核酸構築物は、調節配列に適した条件の下で適切な宿主細胞におけるコード配列の発現を指示する1個以上の調節配列に作動可能に連結された、本出願で提供される変異体をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0194】
ポリヌクレオチドは、変異体の発現を可能にする様々な方法で操作することができる。発現ベクターに応じて、ベクターにポリヌクレオチドを挿入する前にポリヌクレオチドを操作することが望ましい、または必要である。そのような操作は、当業界に公知となった方法を使用することができる。
【0195】
本出願で提供する「ベクター」は、適切な宿主内で本出願の変異体を発現させることができるように、適切な発現調節領域(または発現調節配列)に作動可能に連結された前記変異体をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を含有するDNA製造物を意味する。前記発現調節領域は、転写を開始し得るプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を制御する配列を含んでもよい。ベクターは、適切な宿主細胞に形質転換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能することができ、ゲノム自体に統合されてもよい。
【0196】
本出願で使用され得るベクターは、特に限定されず、当業界に知られている任意のベクターを利用することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換え状態のプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを挙げることができる。例えば、ファージベクターまたはコスミドベクターとしてpWE15、M13、MBL3、MBL4、IXII、ASHII、APII、t10、t11、Charon4A、及びCharon21Aなどを用いることができ、プラスミドベクターとしてpBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pCL系及びpET系などを用いることができる。具体的には、pDZ、pACYC177、pACYC184、pCL、pECCG117、pUC19、pBR322、pMW118、pCC1BACベクターなどを用いることができる。
【0197】
一例として、細胞内における染色体挿入用ベクターを通じて染色体内に本出願で提供する変異体をコードするポリヌクレオチドを染色体内に挿入することができる。前記ポリヌクレオチドの染色体内への挿入は、当業界に知られている任意の方法、例えば相同組換え(homologous recombination)により行われ得るが、これらに限定されない。前記染色体の挿入有無を確認するための選別マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。選別マーカーは、ベクターで形質転換された細胞を選別、すなわち、目的核酸分子の挿入有無を確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性または表面ポリペプチドの発現のような選別可能表現型を付与するマーカーが使用されてもよい。選択剤(selective agent)が処理された環境では、選別マーカーを発現する細胞のみが生存するか、または他の発現形質を示すため、形質転換された細胞を選別することができる。
【0198】
本出願の宿主細胞は、本出願の変異体を発現できるものであれば、制限なく含まれ得る。
【0199】
本出願の宿主細胞は、前述した変異体、前記変異体をコードするポリヌクレオチド、これを含む核酸構築物及び/又はベクターを含んでもよい。
【0200】
前記核酸構築物またはベクターは、先に説明された通り、染色体に統合されたり、または自己複製される染色体外ベクターとして維持されてもよい。
【0201】
本出願の宿主細胞は、複製中に生じる突然変異に起因して親細胞と同一ではない親細胞の任意の子孫を含む。
【0202】
宿主細胞は、変異体の組換えの生成に有用な任意の細胞、例えば、原核細胞または真核細胞であってもよい。
【0203】
原核宿主細胞は、任意のグラム陽性またはグラム陰性バクテリアであってもよい。
【0204】
グラム陽性バクテリアには、バチルス、クロストリジウム、エンテロコッカス、ゲオバチルス、ラクトバチルス、ラクトコッカス、オセアノバチルス、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス及びストレプトマイセスが含まれるが、これらに制限されない。
【0205】
グラム陰性バクテリアには、カンピロバクター、エシェリキア・コリ、フラボバクテリウム、フソバクテリウム、ヘリコバクター、イリオバクター、ナイセリア、シュードモナス、サルモネラ、ビブリオ(例えば、ビブリオ・ナトリエゲンス(Vibrio natriegens))及びウレアプラズマが含まれるが、これらに制限されない。
【0206】
一つの具体例として、前記バクテリア宿主細胞は、バチルス属宿主細胞であってもよく、具体的には、バチルス・アルカロフィルス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・サーキュランス、バチルス・クラウシ、バチルス・コアグランス、バチルス・フィルムス、バチルス・ロータス、バチルス・レンタス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・プミルス、バチルス・ステアロサーモフィルス、バチルス・サブチルス及びバチルス・チューリンゲンシス細胞を含むが、これらに制限されない。
【0207】
一つの具体例として、前記バクテリア宿主細胞は、ストレプトコッカス属宿主細胞であってもよく、具体的には、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)及びストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)下位種のズーエピデミクス(Zooepidemicus)細胞を含むが、これらに制限されない。
【0208】
一つの具体例として、前記バクテリア宿主細胞は、ストレプトマイセス属宿主細胞であってもよく、具体的には、ストレプトマイセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・コエリカラー、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)及びストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞を含むが、これらに制限されない。
【0209】
一つの具体例として、前記バクテリア宿主細胞は、コリネバクテリウム属宿主細胞であってもよく、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・クルジラクチス(Corynebacterium crudilactis)、コリネバクテリウム・デセルティ(Corynebacterium deserti)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・スタチオニス(Corynebacterium stationis)、コリネバクテリウム・シングラレ(Corynebacterium singulare)、コリネバクテリウム・ハロトレランス(Corynebacterium halotolerans)、コリネバクテリウム・ストリアツム(Corynebacterium striatum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・ポルティソリ(Corynebacterium pollutisoli)、コリネバクテリウム・イミタンス(Corynebacterium imitans)、コリネバクテリウム・テスツディノリス(Corynebacterium testudinoris)またはコリネバクテリウム・フラベッセンス(Corynebacterium flavescens)であってもよいが、これに限定されない。
【0210】
一つの具体例として、前記宿主細胞は、エシェリキア属微生物であってもよく、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、(Escherichia coli)、エシェリキア・アルベルティ(Escherichia albertii)、エシェリキア・フェルグソニー(Escherichia fergusonii)、エシェリキア・ヘルマンニ(Escherichia hermannii)、エシェリキア・ブルネリス(Escherichia vulneris)、または、エシェリキア・ブラッテ(Escherichia blattae)であってもよいが、これに限定されない。
【0211】
宿主細胞は、哺乳動物、昆虫、植物または真菌細胞のような真核生物であってもよい。
【0212】
宿主細胞は、真菌細胞であってもよい。本出願において「真菌」は、子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門及び接合菌門だけでなく、卵菌門及び全ての不完全真菌類を含む。
【0213】
真菌宿主細胞は、酵母細胞であってもよい。本出願の「酵母」は、子嚢胞子形成(ascosporogenous)酵母(エンドミセタレス(Endomycetales))、担子胞子(basidiosporogenous)酵母及び不完全真菌類(Fungi imperfecti)(ブラストミセテス(Blastomycetes))に属する酵母を含む。ただし、このような分類は変化することがあり、Biology and Activities of Yeast (Skinner, Passmore, and Davenport, editors, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980)に説明された通り、分類を定義することができる。
【0214】
酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、コマガタエラ(Komagataella)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミケス(Schizosaccharomyces)またはヤロウイア(Yarrowia)細胞、例えば、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、サッカロマイセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロマイセス・ダグラシー(Saccharomyces douglasii)、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロマイセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、サッカロマイセス・オビフォルミス(Saccharomyces oviformis)、コマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)またはヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞であってもよい。
【0215】
真菌宿主細胞は糸状真菌細胞であってもよい。「糸状真菌」は、真菌門及び卵菌門亜門の全ての糸状形態を含む(前記文献(Hawksworth et al., 1995)に定義された通り)。糸状真菌は、一般に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及びその他の複合多糖類からなる菌糸壁を特徴とする。栄養成長は菌糸の伸びによるものであり、炭素異化は絶対的に好気性である。対照的に、酵母、例えば、サッカロマイセス・セレビシエによる栄養成長は、単細胞葉状体(thallus)の発芽によるものであり、炭素異化は発酵性であってもよい。
【0216】
糸状真菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス、オーレオバシヂウム(Aureobasidium)、ベルカンデラ(Bjerkandera)、セリポリオプシス(Ceriporiopsis)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、コプリナス(Coprinus)、コリオラス(Coriolus)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリバシジウム(Filibasidium)、フザリウム、フミコーラ、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムーコル(Mucor)、マイセリオフィソラ、ネオカリマスティクス(Neocallimastix)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペシロマイセス(Paecilomyces)、ペニシリウム、ファネロカエテ(Phanerochaete)、フェレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、プロウロタス(Pleurotus)、スキゾフィルム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、サーモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラディウム(Tolypocladium)、トラメテス(Trametes)またはトリコデルマ細胞であってもよい。
【0217】
例えば、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・フェティデュス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニデュランス、アスペルギルス・ニゲル、アスペルギルス・オリゼ、ベルカンデラアダスタ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・サブヴェルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・ケラチノフィラム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・パンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンズランジカム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・ゾナタム(Chrysosporium zonatum)、コプリナス・シネレウス(Coprinus cinereus)、コリオラス・ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、フザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルックウェルエンセ(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レティキュラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サンバシナム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・サルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ、マイセリオフィソラ・サーモフィル、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジアータ(Phlebia radiata)、プレユーロタス・エリンギ(Pleurotus eryngii)、チェラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシカラー(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞であってもよい。しかし、これに制限されない。
【0218】
本出願の変異体を製造する方法は、宿主細胞を培養する段階を含むものであってもよい。
【0219】
本出願において、用語「培養」とは、前記宿主細胞を適切に調節された環境条件で生育させることを意味する。本出願の培養過程は、当業界に知られている適当な培地と培養条件に応じて行うことができる。このような培養過程は、選択される菌株に応じて当業者が容易に調整して使用することができる。具体的には、前記培養は、回分式、連続式及び流加式であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0220】
本出願において、用語「培地」とは、前記宿主細胞を培養するために必要とする栄養物質を主成分として混合した物質を意味し、生存及び発育に不可欠な水をはじめとする栄養物質及び発育因子などを供給する。具体的には、本出願の宿主細胞の培養に用いられる培地及びその他の培養条件は、通常の宿主細胞の培養に使用される培地であれば、特に制限なくいずれも使用できるが、本出願の宿主細胞を適当な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有する通常の培地内で好気性条件下で温度、pH等を調節しながら培養することができる。
【0221】
本出願において、前記炭素源としては、グルコース、サッカロース、ラクトース、フルクトース、スクロース、マルトースなどのような炭水化物;マンニトール、ソルビトールなどのような糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などのような有機酸;グルタミン酸、メチオニン、リシンなどのようなアミノ酸などを含むことができる。また、デンプン加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米ぬか、キャッサバ、バガス及びトウモロコシ浸漬液のような天然の有機栄養源を用いることができ、具体的には、グルコース及び殺菌された前処理糖蜜(すなわち、還元糖に転換された糖蜜)などのような炭水化物を使用することができ、その他の適量の炭素源を制限なく多様に利用することができる。これらの炭素源は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0222】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのような無機窒素源;グルタミン酸、メチオニン、グルタミンなどのようなアミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類またはその分解生成物、脱脂大豆ケーキまたはその分解生成物などのような有機窒素源が使用され得る。これらの窒素源は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよく、これに限定されるものではない。
【0223】
前記リン源としては、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、またはそれに対応するナトリウム含有塩などが含まれ得る。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどが使用されてもよく、それ以外にアミノ酸、ビタミン及び/または適切な前駆体などが含まれ得る。これらの構成成分または前駆体は、培地に回分式または連続式で添加され得る。しかし、これに限定されるものではない。
【0224】
また、前記宿主細胞の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などのような化合物を培地に適切な方法で添加し、培地のpHを調整することができる。また、培養中は脂肪酸ポリグリコールエステルなどのような消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。また、培地の好気状態を維持するために、培地内に酸素または酸素含有気体を注入したり、嫌気及び微好気状態を維持するために、気体の注入なしに、あるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入することができ、これに限定されるものではない。
【0225】
培地の温度は20℃~55℃、具体的には25℃~40℃であってもよいが、これに制限されない。培養期間は、有用物質の所望の生成量が得られるまで続けてもよく、具体的には24時間~196時間であってもよいが、これに制限されない。
【0226】
一つの具体例として、本出願のキシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドを製造する方法は、前記培養段階で発現される本出願のキシラナーゼ活性を有する変異型ポリペプチドを回収する段階をさらに含んでもよい。
【0227】
他の一つの具体例として、前記培養段階で発現された変異体は、本発明の属する分野に知られている方法を用いて回収され得る。例えば、変異体は、収集、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発または沈殿を含むが、これらに限定されない通常の手続により栄養培地から回収され得る。
【0228】
前記回収方法は、本出願の宿主細胞の培養方法、例えば、回分式、連続式または流加式培養方法などにより当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて変異体を収集(collect)することであってもよい。例えば、遠心分離、濾過、結晶化タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、抽出、超音波破砕、限外濾過、透析法、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー、HPLC及びそれらの方法を組み合わせて使用することができ、当該技術分野において公知となった適切な方法を用いて培地または宿主細胞から変異体を回収することができる。
【0229】
他の一つの具体例として、培養段階で宿主細胞により発現される変異体は回収されれないこともある。前記具体例において、変異体を発現する宿主細胞自体を変異体の供給源として用いることができる。
【0230】
本出願の組成物は、キシラン(xylan)含有物質を分解するのに用いられる。
【0231】
本出願の組成物は、キシラン含有物質をキシロース及び/又はキシロオリゴ糖(xylo-oligosaccharide)に転換することに用いられる。
【0232】
本出願の組成物は、本出願で提供する変異体以外に他の構成要素を追加でさらに含んでもよい。当業者は、本出願の組成物に追加される構成要素を適宜選択できる。
【0233】
一つの具体例として、本出願の組成物は、キシラン含有物質をキシロース及び/又はキシロオリゴ糖(xylooligosaccharide)に転換することに適用するのに適した任意の構成要素をさらに含んでもよい。
【0234】
一つの具体例として、本出願の組成物は、動物飼料、製パン、バイオマス糖化、パルプ漂白など多様な産業分野に適用するのに適した任意の構成要素をさらに含んでもよい。
【0235】
追加され得る物質の例示は、安定化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒剤、活性化剤、担体、合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、懸濁化剤、色素、香料、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤、安定化剤、希釈剤、潤滑剤、保存剤などを含むが、これに制限されない。
【0236】
一つの具体例として、本出願で提供する組成物は、本出願で提供する変異体以外に、自然に発生した物質または自然に非発生した(Non-naturally occurring)物質をさらに含んでもよい。
【0237】
一つの具体例として、本出願で提供する組成物は、本出願で提供する変異体以外に、動物飼料、製パン、バイオマス糖化、パルプ漂白(Pulp bleaching)などを含む多様な産業分野に通常使用される追加の酵素をさらに含んでもよい。
【0238】
例えば、前記追加の酵素は、β-アミラーゼ、セルラーゼ(β-グルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ及びエンドグルカナーゼ)、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ(エンド-キシラナーゼ、β-キシロシダーゼ、α-L-アラビノフラノシダーゼ、α-D-グルクロニダーゼ、フェルロイルエステラーゼ、クマロイルエステラーゼ(coumaroyl esterase)、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-マンナナーゼ(mannanase)またはβ-マンノシダーゼ)、イソアミラーゼ、イソメラーゼ、リパーゼ、フィターゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ及び/又はα-アミラーゼとともに商業的過程で有用なその他の酵素で構成された群から選択されるいずれか一つ以上の酵素をさらに含んでもよい。
【0239】
本出願のキシラナーゼ変異体または本出願のキシラナーゼ変異体を含む組成物は、任意のキシラン含有物質を分解させるのに用いられる。
【0240】
本出願において、キシラン含有物質は、キシラナーゼにより分解され得る任意の物質である。一例として前記キシラン含有物質は、ヘミセルロース(hemicellulose)であってもよい。具体的には、前記キシラン含有物質は、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、グルコマンナン及びキシログルカンのうちから選択される物質であってもよい。一例として前記キシラン含有物質はキシランであってもよいが、これに制限されない。
【0241】
一つの具体例として、本出願は、キシラン含有物質を分解(または崩壊)させる方法を提供する。これは、また、キシランの可溶化及び/又はペントサンの可溶化に言及されてもよい。
【0242】
本出願の追加の実施形態において、方法は、キシランの分解に由来するポリマーの分解(例えば、分解)に関する。
【0243】
分解生成物(例えば、グルコース)は、任意の発酵工程に対する供給原料であり、例えば、バイオ燃料(例えば、バイオエタノール)の生産においてまたはその他製品、例えば、生化学物質(例えば、生物基盤のイソプレン)の生産で用いられ得る。
【0244】
本出願の変異体、これを発現する宿主細胞、前記変異体及び/又は宿主細胞を含む組成物を用いてキシランを分解できる。キシランの加水分解の段階において本出願の変異体以外に補因子(cofactor)、助酵素(coenzyme)などがともに添加されてもよい。基質の加水分解段階は、最適のpH、温度条件などで行われ、当業者が適切な条件を選択できる。
【0245】
本出願のキシラナーゼ変異体は、下記応用のいずれか一つとして用いられる:
【0246】
a)動物飼料原料における添加剤;及び/又は
b)動物用飼料補充剤;及び/又は
c)穀物基盤物質(例えば、これは全粒穀物または穀物の一部であってもよい)の分解。
【0247】
一つの具体例として、本出願のキシラナーゼ変異体は、飼料原料に用いられる。
【0248】
一つの具体例として、キシラン含有物質は、飼料原料または飼料成分であってもよい。
【0249】
本出願の飼料組成物は、動物が食べ、摂取し、消化させるための、またはこれに適当な任意の天然または人工規定食、一食などまたは前記一食の成分を意味するが、当業界の公知となった多様な形態で製造可能である。
【0250】
一つの具体例として、本出願のキシラナーゼ変異体は、食品組成物またはその製造に使用され得る。
【0251】
一つの具体例として、キシラン含有物質は、穀物基盤物質(全粒穀物または部分的な穀物または麦芽穀物、例えば、麦芽麦を含む)であってもよい。
【0252】
一つの具体例として、キシラン含有物質は、穀粉(例えば、小麦、オート麦、ライ麦または大麦粉)であってもよい。
【0253】
一つの具体例として、キシラン含有物質は、麦芽または糖化液、または麦芽麦またはこれらの組合わせであってもよい。
【0254】
一例として、前記食品組成物は、ビール及びワインを含む発酵飲料であってもよい。他の例として前記食品組成物は、ローブ、ロール、バン、ピザ、プレッツェル、トルティーヤ、ケーキ、クッキー、ビスケット、クラッカーを含むベーカリー製品であってもよい。しかし、これに制限されない。
【0255】
本出願のキシラナーゼ変異体は、小麦グルテンデンプンの分離に用いられる。
【0256】
胚乳からのふすま及び小麦胚の初期分離の後に、小麦胚乳粉末のデンプン及びグルテン画分への分画化は、高品質のα-デンプン及び副産物のβ-デンプン及び活性グルテンを得るために用いることができる。
【0257】
穀粉(例えば、小麦粉)をデンプン及びグルテン分画に分離するための方法において、その方法は、穀粉(例えば、小麦粉)、水及びキシラナーゼ変異体を混合する段階を含む。穀粉、水及びキシラナーゼ変異体は、同時にまたは順次混合されてもよい。一部の実施形態において、キシラナーゼ変異体と混合する前に穀粉(例えば、小麦粉)と水を混合できる。
【0258】
本出願のキシラナーゼ変異体を小麦グルテンデンプン分離に適用することにより、さらに高いα-デンプン収率及び/又はさらに優れた品質のグルテン(例えば、さらに優れた品質の活性グルテン)を生成できる。
【0259】
また、他の実施形態において、本出願のキシラナーゼ変異体は、穀物基盤物質の分解に用いられ、バイオ燃料(例えば、バイオエタノール)の生産工程の一部に用いられ得る。
【0260】
一例として、本出願のキシラナーゼ変異体は、バイオ燃料(例えば、バイオエタノール)の生産及びバイオ燃料産業における穀物基盤物質の利用を向上させることができる。
【0261】
一例として、バイオ燃料とキシラナーゼ変異体を液化、糖化、発酵、同時糖化及び発酵前にまたはその間に、そして発酵後に、またはこれらの組合わせで混合する段階を含めて用いることができる。
【0262】
本出願のキシラナーゼ変異体をバイオ燃料生産工程に適用する場合、さらに多くの乾燥物質糖化液が工程に用いられたり;最終シロップでさらに高い固形物含量を得たり;熱伝達がより優れたり;エネルギー要求量がより低くなったり;蒸発器付着汚染が減少したり;洗浄費用が減少したり;最終燃料収率が増加したり;副産物の品質が改善されたり;蒸留後にカスの固体及び液体部分の分離がより容易であったり;または前述した利点の組合わせを得ることができる。
【0263】
本出願のキシラナーゼ変異体は、パルプ漂白に使用されてもよい。
【0264】
例えば、パルプで着色されたリグニンがキシランを通じて結晶セルロースに連結されている状態でキシラナーゼ変異体を処理することによりキシランを分解し、着色されたリグニンを放出することによりパルプ漂白を促進できる。
【実施例
【0265】
実施例
以下、本出願を実施例及び実験例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例及び実験例は、本出願を例示的に説明するためのものであり、本出願の範囲がこれら実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0266】
実施例1:キシラナーゼ単一変異体の製造
1-1.鋳型(Template)の製作
オルピノミセス(Orpinomyces)sp. PC-2菌株のゲノムDNA(Genomic DNA)からキシラナーゼ(xylanase)変異体(以下、Op Xynと記載、配列番号1)遺伝子(配列番号2)を増幅してpHCEベクター(Takara)にクローニングしたものを鋳型(Template)として使用した。
【0267】
1-2.キシラナーゼ変異体の製作
Op Xynにジスルフィド結合を生成するためのアミノ酸対の部位を選定し、当該アミノ酸配列をシステインに変異させるためのプライマーをデザインし、下記表1のような7種の変異体を製造した(表1)。下記表1の変異内容には、変異前のアミノ酸、配列番号1のアミノ酸配列を基準とした変異位置及び変異後のアミノ酸を順に記載した。
【0268】
【表1】
【0269】
具体的には、前記キシラナーゼ単一変異体は、鋳型(Template)とプライマー(Primer)、PCR premix(iNtRON, cat no. 25185)を用いてPCRを通じて製作した。PCRは、Eppendorf Mastercycler Nexus GX2を用い、反応条件は、次の通りである。
【0270】
最初の変性(Initial denaturation)- 94℃ 2min
変性(Denaturation)- 94℃ 20sec
アニーリング(Annealing)- 55℃、10sec
伸長(Extension)- 72℃ 10min(変性から伸長まで30cycle)
最終伸長(Final Extension)- 72℃、5min
【0271】
作られた7種の変異体は、In-Fusion HD cloning kit(Takara, Cat. No. 639650)を用いてライゲーション(ligation)した後、E. coli DH5α菌株に形質転換した後、シーケンスを通じて配列変異如何を確認した。
【0272】
実施例2:耐熱性改善変異体の選定及び耐熱性効果の確認
実施例1で製造した変異体及びOp Xyn遺伝子でそれぞれ形質転換したE.coli Dh5α菌株を滅菌したLB培地(BD Difco)に接種し、37℃ 180rpmで24時間培養した後、遠心分離を通じて菌体を回収した。回収された菌体に20mlの溶解緩衝液(lysis buffer: 50mM Tris-HCl pH 8.0, 100mM NaCl, 10mM imidazole)を加えて再分散させた後、超音波処理(sonication)と遠心分離を通じて助酵素液を確保した。助酵素液をNi-NTAレジン(Qiagen, Cat no. 30230)に流して吸着させた後、洗浄緩衝液(washing buffer,溶解緩衝液組成中、imidazole濃度のみ20mM)、溶出緩衝液(Elution buffer, lysis buffer組成でimidazoleのみ250mM)を順に流して酵素を精製し、精製された酵素を用いて力価及び耐熱性評価を進行した。
【0273】
酵素の濃度は、希釈された酵素溶液4μl+ブラッドフォード溶液(Bradford solution, Quick StartTM Bradford 1x Dye Reagent,#5000205)196μlを混合した後、595nmの吸光度を測定して求めた。
【0274】
酵素力価は、1%のビーチウッドキシラン(xylan from beachwood, Megazyme, P-XYLNBE-10G)96μlに1M pH 6.5のリン酸緩衝液(phosphate buffer)4μlを混合した後、希釈された酵素液100μlを混ぜて、37℃で15分間反応を進行して測定した。反応液に300μlのDNS溶液を混合して反応を停止させ、これを7分間沸かして発色した後、氷水で冷却した。これに500μlの蒸留水を混合した液の550nmの吸光度を測定し、キシロース(xylose、Sigma-Aldrich、X1500)で作った標準曲線(stand curve)を用いて力価を測定した。
【0275】
前記DNS溶液の製造法は以下の通りである。蒸留水500mlが含まれたビーカーに6.3gの3,5-ジニトロサリチル酸(3,5-dinitrosalicylic acid, samchun, D1267)を加え、温度を50℃に調整した後、21gの水酸化ナトリウム(Daejung, 7571-4400)を加えた。300mlの水及び酒石酸ナトリウムカリウム(Potassium sodium tartrate tetrahydrate, Daejung, 6618-4400)182gを加えた後、フェノール(Sigma-Aldrich, P1037)5gを加え、亜硫酸ナトリウム(Sodium sulfite anhydrous, Daejung, 7634-4405)5gを加えて溶解するまで攪拌した後、冷却した。これに蒸留水を加えて1000mlに合わせた後、ろ過し、茶色の瓶に7日以上保管した後に使用した。
【0276】
耐熱性の評価は、精製した酵素を0.5mg/mlの濃度に合わせて希釈した後、70℃のウォーターバスで10分間インキュベートした後、残留力価を測定した。
【0277】
【表2】
【0278】
その結果、酵素力価を比率で測定した時、Op Xyn比酵素力価が50~300%の範囲を有しながら耐熱性(残留力価)が5倍以上改善された変異体3種(DS1、DS2及びDS5)を選別した。
【0279】
DS1、DS2及びDS5の70℃でインキュベーション処理時間による選別された変異株の残留力価の変化をさらに確認し、図1に示した。その結果、処理時間が長くなってもDS1、DS2及びDS5の残留力価の変化はほとんどないことを確認した。
【0280】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本出願の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
【配列表】
2024500712000001.app
【国際調査報告】