(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ピロクトンオラミンを含む抗フケ組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231227BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/88
A61Q5/00
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023536574
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2021084303
(87)【国際公開番号】W WO2022128551
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/137673
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カオ,フェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオチアン
(72)【発明者】
【氏名】ジ,チェンドン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC711
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083CC31
4C083CC38
4C083EE01
4C083EE23
(57)【要約】
(i)アニオン性界面活性剤;(ii)両性若しくは両性イオン性界面活性剤;(iii)ピロクトンオラミン;(iv)式(1)の構造によって表されるポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体[m+nの合計は2~10000であり、R1、R2は独立にH、OH、(O)
mGからなる群から選択され、mは0又は1であり、Gは独立に、H及び置換されているか置換されていないC1-C12有機基からなる群から選択され、M1、M2は独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例にはNa、K、Ca、Mg、Al塩が含まれる。]、及び(v)美容上許容される担体を含むヘアケア組成物であって、当該組成物中の前記ポリアスパラギン酸塩もしくはそれの誘導体の前記ピロクトンオラミンとの重量比が少なくとも2:3であるヘアケア組成物が開示される。それが、ピロクトンオラミンの安定性を高めることが明らかになった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アニオン性界面活性剤;
(ii)両性若しくは両性イオン性界面活性剤;
(iii)ピロクトンオラミン;
(iv)式1の構造によって表されるポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体:
【化1】
[式中、
m+nの合計は2~10000であり、R1、R2は独立にH、OH、(O)
mGからなる群から選択され、mは0又は1であり、Gは独立に、H及び置換されているか置換されていないC1-C12有機基からなる群から選択され、M1、M2は独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例にはNa、K、Ca、Mg、Al塩が含まれる。]
(v)美容上許容される担体
を含むヘアケア組成物であって、
当該組成物中の前記ポリアスパラギン酸塩もしくはそれの誘導体の前記ピロクトンオラミンとの重量比が少なくとも2:3であるヘアケア組成物。
【請求項2】
前記ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体が式1の構造によって表され、m+nの合計が10~50であり、R1、R2がHであり、M1、M2が独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例がNa、K、Ca、Mg、Al塩を含む、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記ポリアスパラギン酸塩誘導体がポリアスパラギン酸ナトリウムである、請求項1又は2に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキル硫酸塩界面活性剤、アルキルエーテル硫酸塩界面活性剤、又はそれらの混合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤がアルキルエーテル硫酸塩界面活性剤であり、それがラウリルエーテル硫酸ナトリウムである、請求項4に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記両性界面活性剤がベタイン界面活性剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記ベタイン界面活性剤が、アルキルアミドプロピルベタイン類のうちの一つである、請求項6に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
前記ベタイン界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、請求項6又は7に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
前記ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体の量が0.1~10重量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記ピロクトンオラミンの量が0.1~10重量%である、請求項1~9のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
前記アニオン性界面活性剤の量が0.1~20重量%である、請求項1~10のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
前記両性界面活性剤の量が0.1~10重量%である、請求項1~11のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
前記組成物がカチオン性ポリマーを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
前記組成物がシャンプーである、請求項1~13のいずれか1項に記載のヘアケア組成物。
【請求項15】
所望の頭皮表面に、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を局所塗布する段階を含む、フケの治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア組成物に関する。詳細には、本発明は、ピロクトンオラミンを含むヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フケは世界中の多くの人が経験している状態である。フケ状態は、皮膚の剥離などの軽度の症状から、頭皮の重度の炎症及び痒みまで様々である。癜風菌(Malassezia furfur)などのマラセチア酵母がフケの主な原因である可能性があり、これが状況の完全な科学的全体像を表しているわけではないかもしれないが、マラセチア酵母はフケと密接に関連しているように見える。したがって、フケの治療に従来使用されている戦略は、亜鉛ピリチオン(ZnPTO)、ピロクトンオラミン、クリンバゾール及びケトコナゾールなどの抗真菌薬を局所塗布することであり、これらは通常シャンプーを通じて送達される。
【0003】
ピロクトンオラミン(Octopirox(登録商標)としても知られる)は、真菌感染症の治療によく使用される化合物である。ピロクトンオラミンは、ヒドロキサム酸誘導体ピロクトンのエタノールアミン塩である。ピロクトンオラミンには抗真菌特性があり、それにより、ピロクトンオラミンは、フケの根本原因であるマラセチア・グロボーサ(Malassezia globosa)と呼ばれる一般的に発生する真菌を抑制するのに最適となっている。それは一般的に使用される化合物亜鉛ピリチオンの代替品として、フケ防止シャンプーによく使用される。概して、ピロクトンオラミンは、界面活性剤、水、シリコーン、ポリマー及び着色成分及び芳香成分を含むシャンプーのベース組成物に溶解される。ユーザーがその組成物を髪及び頭皮に塗布すると、ピロクトンオラミンの一部の化合物がその上に沈着する。
【0004】
概して、フケ防止シャンプー又はコンディショナーの有効性は、頭皮及び毛髪に付着したフケ防止活性物質の量によって決まり、これは、付着量が多いほど生物学的利用能が高いことを意味するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ピロクトンオラミンは金属塩と反応する傾向があるため、沈着したピロクトンオラミンの生物学的利用能が低下することから、金属塩の存在によりピロクトンオラミンの有効性が低下する。原材料及び製造、製品の塗布時及び塗布後の水道水、日常生活の汗などによって、金属塩が混入する可能性があることが知られている。したがって、この現象を緩和し、より高い有効性をもたらす製品を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ピロクトンオラミンなどのフケ防止剤の生理活性を改善する新しい方法を確認した。本発明者らは、ピロクトンオラミン、ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体、及び特定の界面活性剤系を組成物中に共配合すると、ピロクトンオラミンの安定性を改善できることを確認した。さらに、本発明者らは、ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体は塗布時に頭皮に容易に沈着し得るため、ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体が、ピロクトンオラミンが頭皮に沈着した後にピロクトンオラミンの生理活性を改善できるとも考えている。
【0007】
第1の態様によれば、
(i)アニオン性界面活性剤;
(ii)両性若しくは両性イオン性界面活性剤;
(iii)ピロクトンオラミン;
(iv)式1の構造によって表されるポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体:
【化1】
[式中、
m+nの合計は2~10000であり、R1、R2は独立にH、OH、(O)
mGからなる群から選択され、mは0又は1であり、Gは独立に、H及び置換されているか置換されていないC1-C12有機基からなる群から選択され、M1、M2は独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例にはNa、K、Ca、Mg、Al塩が含まれる。]
(v)美容上許容される担体
を含むヘアケア組成物であって、
当該組成物中の前記ポリアスパラギン酸塩もしくはそれの誘導体の前記ピロクトンオラミンとの重量比が少なくとも2:3であるヘアケア組成物が開示される。
【0008】
第2の態様によれば、第1の態様の組成物を所望の頭皮表面に局所塗布する段階を含む、フケの治療方法が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
疑義を避けるために、本発明の1態様の任意の特徴は、本発明の他の任意の態様において利用することができる。表現「含む(comprising)」は、「含んでいる(including)」を意味するが、必ずしも「からなる」(consisting)又は「構成されている」(composed of)を意味するわけではないということが意図される。言い換えれば、記載されている段階又はオプションは、包括的である必要はない。以下に記載されている実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではないことは留意されたい。同様に、別途示されていない限り、全てのパーセンテージは、重量/重量パーセントである。実施例及び比較実施例における場合を除いて、又は、明示的に示されている場合を除いて、本「詳細な説明」及び「特許請求の範囲」において材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性及び/若しくは使用について示している全ての数字は、「約」という単語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「xからyまで」の形式で表される数値範囲は、xとyを含むものと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「xからyまで」の形式で記述されている場合、異なるエンドポイントを組み合わせたすべての範囲も考慮されることは理解される。本明細書中で使用されている場合、不定冠詞「a」又は「an」及びそれに対応する定冠詞「the」は、別途指定されていない限り、少なくとも1又は1以上を意味する。上記個々のセクションで言及されている本発明の様々な特徴は、適切な場合には、必要な変更を加えて他のセクションに適用される。従って、1つのセクションにおいて特定されている特徴は、適切な場合には、他のセクションにおいて特定されている特徴と組み合わせることができる。セクションの見出しは、便宜上付加されているものであり、決してその開示内容を限定することを意図したものではない。
【0010】
本明細書中で使用されている「ヘアケア組成物」は、哺乳動物(特に、ヒト)の毛髪又は頭皮に局所適用するための組成物を包含することが意図されている。「局所」は、その組成物が身体の外表面に適用されることを意味する。本発明において、これは、組成物を毛髪又は頭皮に塗布することによって達成される。そのような組成物は、一般に、リーブオン(leave-on)又はリンスオフ(rinse off)として分類することができ、そして、頭皮及び毛髪の外観、クレンジング、臭気制御又は全体的な美観を改善するために塗布される任意の製品を包含する。本発明のヘアケア組成物は、液体、ローション、クリーム、泡剤、スクラブ、ジェル、シャンプー、コンディショナー、シャワージェル又はバーの形態であることができると考えられる。本発明のヘアケア組成物は、好ましくは、リーブオン組成物である。あるいは、本発明のヘアケア製品は、ウォッシュオフ(wash-off)組成物である。ヒト身体内への摂取によって所望の利益を達成するための組成物は、本発明の範囲から除外される。
【0011】
ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体
本発明による組成物は、下記式1の構造によって表されるポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体を含む。
【化2】
式中、
m+nの合計は2~10000であり、R1、R2は独立にH、OH、(O)
mGからなる群から選択され、mは0又は1であり、Gは独立に、H及び置換されているか置換されていないC1-C12有機基からなる群から選択され、M1、M2は独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例にはNa、K、Ca、Mg、Al塩が含まれる。
【0012】
mが0である場合、Gは独立に置換されているか置換されていないC1-C9有機基からなる群から選択され、mが1である場合、Gは独立に置換されているか置換されていないC1-C2有機基からなる群から選択されることが好ましい。
【0013】
ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体が式1の構造によって表されることができ、m+nの合計が2~10000であり、R1、R2が独立にH、OHからなる群から選択され、M1、M2が独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例がNa、K、Ca、Mg、Al塩を含むことが好ましい。
【0014】
ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体が式1の構造によって表されることができ、m+nの合計が2~10000であり、R1、R2がHであり、M1、M2が独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例がNa、K、Ca、Mg、Al塩を含むことが好ましい。
【0015】
ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体が式1の構造によって表されることができ、m+nの合計が10~50であり、R1、R2がHであり、M1、M2が独立にH、金属塩又はアンモニウム塩からなる群から選択され、前記金属塩の非限定的な例がNa、K、Ca、Mg、Al塩を含むことがより好ましい。
【0016】
ポリアスパラギン酸塩誘導体がポリアスパラギン酸塩ナトリウムであることが特に好ましい。
【0017】
本発明の組成物中のポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体の量は、使用されるピロクトンオラミンの量によって決まるものと考えられる。当該組成物が、その組成物の0.1~10重量%のポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体を含むことが好ましく、より好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは1~2重量%である。
【0018】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、金属イオンと錯体を形成することができるポリマー又はポリマー誘導体は、組成物塗布時のピロクトンオラミンの安定性を改善できるだけでなく、他の一般的な金属キレート剤(例えば、EDTA、クエン酸など)と比較して、ポリマー又はポリマー誘導体の方が頭皮に沈着させやすいことから、頭皮への沈着後のピロクトンオラミンの生理活性も改善できると考えている。
【0019】
驚くべきことに、本発明者らは、ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体が、他のポリマー又はポリマー誘導体と比較して、ピロクトンオラミンの安定性の改善に関してより優れた性能を有することを見出した。
【0020】
さらに、本発明者らは、ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体は塗布時に頭皮に容易に沈着できることから、ピロクトンオラミンが頭皮に沈着した後、ピロクトンオラミンの生理活性を改善できるとも考えている。
【0021】
ピロクトンオラミン
ピロクトンオラミンは、代表的な抗菌活性物質であるヒドロキサム酸誘導体ピロクトンのオラミン塩である。それは、商品名Octopirox(登録商標)のピロクトン・エタノールアミンとして一般に知られている。
【0022】
本発明によるピロクトンオラミンは、1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)-ピリジノンと2-アミノエタノールとの1:1化合物であり、1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)ピリジノンモノエタノールアミン塩とも呼ばれる。CAS番号は68890-66-4であり、その化合物の一般式は次のとおりである。
【化3】
一部のふけ防止ヘアケア製品がピロクトンオラミンを含んでいる。溶解した無傷のピロクトンオラミン分子は、ピロクトンオラミンの唯一の生理活性形態であることがわかっている。ピロクトンオラミンを配合したヘアケア製品を使用すると、ピロクトンオラミンが解離し、水道水や汗に含まれる金属イオン(例えば鉄イオンなど)と錯体を形成し、それにより生理活性物質の安定性が影響を受け、その製品の抗フケ効力が低下する。
【0023】
本発明の組成物中のピロクトンオラミンの量は、ヘアケア組成物の種類及び使用される他のフケ防止剤の正確な性質によって決まる。組成物が、組成物の0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは0.5~2重量%の前記ピロクトンオラミンを含むことが好ましい。
【0024】
組成物中のポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体のピロクトンオラミンとの重量比は少なくとも2:3、好ましくは少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも2:1である。組成物中のポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体のピロクトンオラミンとの重量比は、2:3~85:1、好ましくは1:1~85:1、より好ましくは2:3~20:1、より好ましくは1:1~10:1、さらに好ましくは2:1~10:1、最も好ましくは2:1~5:1であることが好ましい。
【0025】
界面活性剤
本発明による組成物はアニオン性界面活性剤を含む。
【0026】
好適なアニオン性クレンジング界面活性剤の非限定的な例には、硫酸アルキル、アルキルエーテル硫酸塩、アルカリールスルホン酸塩、イセチオン酸アルカノイル、アルキルコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、N-アルキルサルコシン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、特にそれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム及びモノ、ジ及びトリエタノールアミン塩などがある。アルキル基及びアシル基は一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含み、不飽和であっても良い。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルリン酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸並びにそれらの塩は、1分子当たり1~20個のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位を含むことができる。本発明の組成物で使用される代表的なアニオン性クレンジング界面活性剤には、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、又はこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩である。好ましいアルキル硫酸塩は、C8-18アルキル硫酸塩、より好ましくはC12-18アルキル硫酸塩であり、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムのような可溶化カチオンとの塩の形態である。例には、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)がある。アニオン性クレンジング界面活性剤がアルキルエーテル硫酸塩であることが特に好ましい。好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、式:RO(CH2CH2O)nSO3Mを有するものであり、式中、Rは8~18(好ましくは12~18)個の炭素原子を有するアルキル若しくはアルケニルであり;nは少なくとも0.5より大きい、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均値を有する数であり;Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム又は置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。1例としては、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)がある。好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、0.5~3、好ましくは1~3、より好ましくは2~3の平均エトキシル化度を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムである。
【0028】
これらのアニオン性界面活性剤は、好ましくは組成物の2~16重量%、より好ましくは3~16重量%のレベルで存在する。
【0029】
本発明による組成物は、両性若しくは両性イオン性界面活性剤を含む。適切な例としては、アルキルアミンオキサイド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルアンホ酢酸塩、アルキルアンホプロピオン酸塩、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインなどがあり、アルキル基は8~19個の炭素原子を有する。
【0030】
好ましくは、両性界面活性剤はベタイン界面活性剤である。ベタイン界面活性剤は、アルキルアミドプロピルベタインの一つであることが好ましい。コカミドプロピルベタイン(CAPB)が特に好ましい。
【0031】
好ましい実施形態では、前記組成物は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%の両性界面活性剤を含む。
【0032】
ヘアケア組成物
本発明のさらなる態様によれば、第1の態様のヘアケア組成物が開示される。好ましくは、その組成物はシャンプー組成物である。
【0033】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、合計1~50%、好ましくは2~40%、より好ましくは4~25%の界面活性剤を含む。
【0034】
好適には、当該シャンプー組成物は50~98%、好ましくは60~92%の水を含む。
【0035】
好ましくは、当該シャンプー組成物は、毛髪をコンディショニングするための1以上のカチオン性ポリマーを含む。
【0036】
好適なカチオン性ポリマーには、カチオン的に置換されている、又は2以上の種類のモノマーから形成され得るホモポリマーなどがある。そのポリマーの重量平均(Mw)分子量は、一般に、100000~300万ダルトンであろう。そのポリマーは、四級アンモニウム又はプロトン化アミノ基のようなカチオン性窒素含有基、又はそれらの混合物を有するであろう。そのポリマーの分子量が低すぎると、コンディショニング効果が乏しくなる。高すぎる場合は、伸長粘度が高くなり、組成物を注いだときにそれの糸引きが発生するという問題が生じる場合がある。
【0037】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在することになる。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、スペーサーとなる非カチオン性モノマー単位を含むことができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory, 3rd editionに記載されている。カチオン性モノマー単位の非カチオン性モノマー単位に対する比率は、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択され、これは一般に0.2~3.0meq/mgである。そのポリマーのカチオン電荷密度は、好適には、窒素測定のための化学試験の項で米国薬局方に記載されているようにケルダール法によって求められる。
【0038】
好適なカチオンポリマーには、カチオン性アミン又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプラクトン及びビニルピロリジンなどの水溶性スペーサーモノマーとのコポリマーなどがある。そのアルキル置換及びジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基を有する。他の好適なスペーサーには、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールなどがある。
【0039】
カチオン性アミンは、特定の化学種及び組成物のpHに応じて、一級、二級又は三級アミンであることができる。二級及び三級アミン、特に三級アミンが好ましい。
【0040】
アミン置換ビニルモノマー及びアミンは、アミン型で重合し、次いで四級化によりアンモニウムに変換することができる。
【0041】
カチオンポリマーは、アミン及び/又は四級アンモニウム置換モノマーから誘導されるモノマー単位及び/又は相溶性スペーサーモノマーの混合物を含むことができる。
【0042】
好適なカチオン性ポリマー(それの非限定的な例)としては、以下のものなどがある。
【0043】
-カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、及びアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムのコポリマー(業界(CTFA)ではそれぞれPolyquaternium6及びPolyquaternium7と称される);
-3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号に記載のもの);
-カチオン性ポリアクリルアミド(WO95/22311に記載のもの)。
【0044】
使用できる他のカチオン性ポリマーには、カチオン性多糖類ポリマー、例えばカチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体、及びカチオン性グアーガム誘導体などがある。
【0045】
使用できるカチオン性多糖類ポリマーの特に好適な種類は、カチオン性グアーガム誘導体、例えばグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(Rhodiaから、そのJAGUAR商標シリーズで市販されている)である。そのような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14及びJAGUAR C17である。
【0046】
上記のカチオン性ポリマーのいずれかの混合物を用いてもよい。
【0047】
本発明のヘアケア組成物は、0.01~5%、好ましくは0.02~1%、より好ましくは0.05~0.8%のカチオン性ポリマーを含むことが好ましい。
【0048】
本発明のヘアケア組成物は、平均分子量(Mw)が100万~220万g/molであり、カチオン置換度が0.13~0.3であるカチオン性ポリガラクトマンナンであるカチオン性沈着ポリマーをさらに含むことができる。
【0049】
ポリガラクトマンナンは、主にガラクトース単位及びマンノース単位で構成される多糖類であり、通常、グアー、イナゴマメ、アメリカサイカチ、ゴウシュウアオギリ、及びマメ科の他のメンバーなどのマメ科植物からの種子の胚乳材料に含まれている。ポリガラクトマンナンは、ポリマー骨格におけるマンノピラノース残基の6番目の炭素原子からの反復1→6連結α-D-ガラクトシル側基(ガラクトシド単位又は残基とも称される)分岐を有する1→4連結β-D-マンノピラノシル主鎖単位(マンノシド単位又は残基とも称される)の骨格で構成されている。異なるマメ科種のポリガラクトマンナンは、ポリマンノシド骨格から分岐するガラクトシド側鎖単位の発生頻度が互いに異なる。マンノシド単位及びガラクトシド単位は、本明細書では一般にグリコシド単位又は残基と称される。グアーガム(以下「グアー」と称される)に含まれるポリガラクトマンナンにおけるマンノシド単位のガラクトシド単位に対する平均比は約2:1である。
【0050】
好適なカチオン性ポリガラクトマンナンには、1以上の誘導体化剤との化学反応によってカチオン的に修飾されたグアー及びヒドロキシアルキルグアー(例えば、ヒドロキシエチルグアー又はヒドロキシプロピルグアー)などがある。
【0051】
代表的な組成物において、カチオン性ポリガラクトマンナンの量は、一般に、組成物の約0.05~1重量%、好ましくは0.1~0.8重量%、より好ましくは0.2~0.6重量%の範囲である。
【0052】
本発明のヘアケア組成物は、カルボン酸ポリマーなどのアニオン性ポリマーレオロジー調整剤をさらに含み得る。
【0053】
本発明の文脈における「カルボン酸ポリマー」という用語は、一般に、ペンダントカルボン酸基を含むエチレン性不飽和モノマー(以下、「カルボン酸モノマー」と称する)の重合から得られるホモポリマー又はコポリマーを示す。
【0054】
好適なカルボン酸モノマーは、一般に、一つ又は二つのカルボン酸基、一つの炭素-炭素二重結合を有し、合計で3~約10個の炭素原子、より好ましくは3~約5個の炭素原子を含む。
【0055】
適切なカルボン酸モノマーの具体例には、アクリル酸、メタクリル酸及びクロトン酸などのα,β-不飽和モノカルボン酸;及びイタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸などのα,β-不飽和ジカルボン酸などがある。上記のα,β-不飽和モノ-又はジカルボン酸の塩、エステル又は無水物も使用することができる。例としては、α,β-不飽和ジカルボン酸のフマル酸モノメチルなどのC1-4アルカノールとのハーフエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸などのα,β-不飽和ジカルボン酸の環状無水物;及びアクリル酸若しくはメタクリル酸のアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル及びアクリル酸オクタデシルなどのC1-30アルカノールとのエステルなどがある。
【0056】
必要に応じて、他のエチレン性不飽和モノマーをカルボン酸ポリマー骨格に共重合させることができる。そのような他のエチレン性不飽和モノマーの例には、スチレン、酢酸ビニル、エチレン、ブタジエン、アクリロニトリル及びそれらの混合物などがある。カルボン酸ポリマーは、好ましくは、少なくとも100万ダルトンの分子量を有し得る。
【0057】
好適な例には、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物から選択される1以上のコモノマーとC1-4アルキルアクリレート又はメタクリレート(例えば、アクリル酸エチル)から重合された架橋コポリマーなどがある。そのような材料は、一般に、アクリル酸コポリマーのINCI名で呼ばれることがある。市販品の例には、Rohm and HaasからのAculyn(登録商標)33などがある。
【0058】
アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのそれぞれのC1-4アルキルエステルから選択される1以上のコモノマーとアクリル酸又はメタクリル酸のC10-30アルキルエステルから重合された架橋コポリマーも適切である。このような材料は、一般に、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーのINCI名で呼ぶことができる。市販品の例には、Lubrizol Advanced MaterialsからのCarbopol(登録商標)ポリマー1342及び1382などがある。
【0059】
アクリル酸若しくはメタクリル酸とアルキルアクリレート及びエトキシル化疎水性修飾アルキルアクリレートとの架橋されていても良いコポリマーも好適である。そのような材料は、一般に、アクリレート/Steareth-20メタクリレートコポリマー、アクリレート/Beheneth-25メタクリレートコポリマー、アクリレート/Steareth-20メタクリレートクロスポリマー及びアクリレート/Palmeth-25メタクリレートコポリマーのINCI名で呼ばれ得る。市販品の例としては、Rohm & HaasからのAculyn(登録商標)22、28若しくは88、及び3V SigmaからのSynthalen(登録商標)などがある。
【0060】
カルボン酸が、ペンタエリスリトールのアリルエーテル又はスクロースのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーなどのカルボマーであることが好ましい。
【0061】
前述の材料のいずれかの混合物を使用することもできる。
【0062】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、組成物の0.1~3.0重量%、より好ましくは0.4~1.5重量%のカルボン酸ポリマーを含む。
【0063】
上記のカルボン酸ポリマーなどのアニオン性ポリマーレオロジー調整剤を含む製剤では、無機又は有機塩基を加えることで遊離カルボキシル基の少なくとも一部を中和することが必要な場合が多い。適切な無機又は有機塩基の例には、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又はカリウム)、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの混合物などがある。
【0064】
本発明のヘアケア組成物はまた、1以上のノニオン性セルロースエーテルから選択されるノニオン性ポリマーレオロジー調整剤を含むことができる。
【0065】
好適なノニオン性セルロースエーテル、又は本発明におけるノニオン性ポリマーレオロジー調整剤としての使用には、(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばメチルセルロース及びエチルセルロース;ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;混合ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース;及び(C1-3アルキル)ヒドロキシ(C1-3アルキル)セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどがある。
【0066】
本発明におけるノニオン性ポリマーレオロジー調整剤として使用するための好ましいノニオン性セルロースエーテルは、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ノニオン性セルロースエーテルである。この文脈における「水溶性」という用語は、25℃及び1気圧の蒸留水100グラム中少なくとも1グラム、より好ましくは少なくとも3グラム、最も好ましくは少なくとも5グラムの水への溶解度を示す。このレベルは、巨視的に等方性又は透明、着色若しくは無色の溶液の生成を示している。
【0067】
メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースは、METHOCEL(登録商標)商標シリーズとしてDow Chemicalから多くの粘度グレードで市販されている。
【0068】
ノニオン性セルロースエーテルの混合物も好適であり得る。本発明による代表的な組成物において、ノニオン性セルロースエーテルのレベルは、一般に、組成物の総重量基準で、約0.01~約2.0重量%の範囲、好ましくは0.1~0.5重量%、より好ましくは0.1~0.3重量%の範囲である。
【0069】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、0.1~0.3重量%のノニオン性セルロースエーテルを含む。
【0070】
本発明のヘアケア組成物が化粧品成分を含むことがさらに好ましい。好ましくは、化粧品成分は、シリコーン、フケ防止剤以外の抗菌剤、起泡力増進剤、香料、カプセル化物(例えば、カプセル化芳香剤)、色素、着色剤、顔料、防腐剤、増粘剤、タンパク質、リン酸エステル、緩衝剤、pH調節剤、真珠光沢剤(例えば、マイカ、二酸化チタン、二酸化チタンでコーティングされたマイカ、エチレングリコールジステアレート(INCIグリコールジステアレート)及び/又は乳白剤、粘度調整剤、皮膚軟化剤、日焼け止め、乳化剤、感覚惹起活性物質(例えば、メントール及びメントール誘導体)、ビタミン類、鉱油、エッセンシャルオイル、脂質、天然活性物質、グリセリン、天然毛髪栄養素、例えば植物抽出物、果実抽出物、砂糖誘導体及びアミノ酸、微結晶性セルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0071】
好ましくは、本発明のヘアケア組成物は、全組成物の重量基準で0.01~20重量%の少なくとも一つの化粧品成分、より好ましくは0.05~10重量%、さらにより好ましくは0.075~7.5重量%、最も好ましくは0.1~5重量%の少なくとも一つの化粧品成分を含む。
【0072】
本発明のヘアケア組成物はまた、それの特性を強化し、癜風菌(Malassezia furfur)の増殖をさらに阻害するために、ピロクトンオラミンと組み合わせて使用される場合に相乗的抗菌効果を与える相乗的抗菌化合物を含むことができる。これらの化合物の非限定的な例には、アルコール基を有する化合物(例えば、ホノキオール、マグノロール又はペオノール)、ピペラジン類、及び天然植物抽出物に見られるフェノール系化合物、例えばチモールとテルペニオールなどがある。
【0073】
当該組成物は、ビタミンB3化合物をさらに含み得る。好ましいビタミンB3化合物はナイアシンアミドである。
【0074】
ナイアシンアミドは、ケラチノサイトからのAMP(抗菌タンパク質)の分泌で知られている。そうして分泌されたAMPは、例えば、頭皮の免疫力を高める。したがって、ナイアシンアミドを使用すると、抗真菌活性によるだけでなく、ナイアシンアミドの使用による頭皮自体の細菌に対する保護遮蔽を強化することにより、フケ防止効果を高めることができる。この組み合わせは、さらに長期保護、例えば細菌に対する最長24時間の保護を提供することができると考えられる。
【0075】
存在する場合、本発明のヘアケア組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.5~5重量%、さらに好ましくは0.5~3重量%、最適には1.0~3.0重量%のナイアシンアミドを含むことが好ましい。
【0076】
方法及び使用
本発明はまた、フケを治療する方法であって、第1の態様の組成物を所望の頭皮表面に局種塗布する段階を含む方法を提供する。その方法は性質上非治療的である。好ましくは、それは美容目的のためである。
【0077】
本発明はまた、所望の豆腐表面上のフケを治療するための第1の態様の組成物の使用を提供する。1態様では、使用は性質上非治療的であり、好ましくは性質上美容的である。
【0078】
使用のモード
本発明のヘアケア組成物は、主に、毛髪及び頭皮への局所適用を意図するものである。
【0079】
組成物がシャンプーである場合、それは髪に局所的に塗布され、次に髪及び頭皮にマッサージされる。次に、髪を水ですすいでから、乾燥させる。
【0080】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明するが、引用されるすべてのパーセンテージは、別断の断りがない限り、総重量に基づく重量基準である。
【0081】
これらの実施例は本発明を説明することを意図したものであり、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0082】
実施例1:金属塩存在下でのシャンプー組成物のOctopirox(登録商標)の安定性、及びポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体のOctopirox(登録商標)との重量比の影響
ヘアケア組成物の調製
表1に示した下記のシャンプー組成物を調製した。
【0083】
表1
【表1】
Octopirox(登録商標)試験法の安定性
0.1%のFeCl
3・6H
2O溶液を上記組成物に添加して、製品及び汗の塗布時及び塗布後の水道水からの鉄塩の存在を模倣した。次に、水溶液を、2mL測定用超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)褐色バイアル中、メントールで20倍希釈した。
【0084】
Waters(登録商標)ACQUITY超高速液体クロマトグラフィー(UPLC, Waters, Manchester, UK)を同じ分析に用いた。分離は、MassLynxソフトウェア(バージョン4.1)を装置制御及びデータ取得に用いた。Waters Acquity UPLC BEH C18カラム(2.1×100mm、粒径1.7μm)で行った。移動相Aは、DI水中の0.1%ギ酸+5μMメドロン酸で構成され、移動相Bは、アセトニトリル中の0.1%ギ酸+5μMメドロン酸で構成され、勾配モードでプログラムした。302nmの吸収波長でフォトダイオードアレイ(PDA)検出器によって、サンプルの測定を行った。
【0085】
下記の表2中の値は、組成物中の遊離Octopirox(登録商標)濃度である。
【0086】
表2
【表2】
結果から、本発明の組成物1及び2が、金属塩存在下で、組成物A(ポリアスパラギン酸塩又はそれの誘導体を含まない)及びB(ポリアスパラギン酸塩若しくはそれの誘導体のピロクトンオラミンとの重量比が2:3未満)よりも著しく良好なピロクトンオラミンの安定性を提供することが明らかになった。
【0087】
実施例2:金属塩存在下でのOctopirox(登録商標)の安定性に対する界面活性剤系の影響
表3に示された以下の組成物を調製した。
【0088】
表3
【表3】
金属塩存在下でのOctopirox(登録商標)の安定性
10%FeCl
3・6H
2O水溶液を調製し、上記シャンプーサンプルに加えた。最終的なFeCl
3・6H
2O濃度は0.1%であり、他の活性物質のパーセントに影響はなかった。上記シャンプー組成物は無色であったが、鉄塩を添加すると直ちに赤色に変化した。Octopirox(登録商標)を含まないシャンプー組成物にFeCl
3・6H
2O水溶液を添加すると、淡黄色に変色することが発明者によって認められた。したがって、赤色はOctopirox(登録商標)と鉄イオンによって形成される錯体によるものであったと推測された。
【0089】
FeCl3・6H2Oを添加した後の上記組成物の色を、Hunterlab UltraScan Pro(Hunter Associates Laboratory, Inc)を用いて測定した。EasyMatchQCバージョン4.12ソフトウェアを機器制御及びデータ取得に使用した。測定モードはTTRAN-Total Transmissionであり、DI水の色を背景として設定した。
【0090】
以下の表4の値は、赤みの強さを示す。赤みの強度が高いほど、より多くのOctopirox(登録商標)が金属塩と反応し、組成物中に残っている遊離Octopirox(登録商標)がより少ないことを示している。
【0091】
表4
【表4】
表4のデータは、本発明による組成物(組成物3)を実験中に使用すると、本発明外の対応する実施例(組成物C-ポリアスパラギン酸塩もそれの誘導体も含まない、組成物D?本発明の界面活性剤の組み合わせを使用しない)と比較して、金属塩存在下でのOctopirox(登録商標)の安定性が改善されることを明瞭に示している。
【0092】
実施例3:ポリマー又はそれの誘導体である他のキレート剤と比較した、ポリアスパラギン酸又はそれの誘導体からの金属イオン存在存在下でのOctopirox(登録商標)の安定性への影響
表5に示す以下の組成物を調製した。
【0093】
表5
【表5】
Octopirox(登録商標)試験法の安定性
0.01%のFeCl
3・6H
2O溶液を上記組成物に添加して、汗からの鉄塩の存在を模倣した。次に、その水溶液を2mL測定用超高性能液体クロマトグラフィー(UPLC)褐色バイアル中、メントールで20倍希釈した。
【0094】
以下の表6の値は、遊離Octopirox(登録商標)のパーセントである(元の遊離Octopirox(登録商標)を100%とみなす)。
【0095】
表6
【表6】
結果は、本発明の組成物4が、金属塩存在下で組成物E~I(ポリアスパラギン酸塩もそれの誘導体も含まない)よりも著しく良好なピロクトンオラミンの安定性を提供することを示した。
【国際調査報告】