(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】装着者の生理的データを収集する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A61B5/02 310H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023536826
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 SG2021050806
(87)【国際公開番号】W WO2022132055
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10202012795Q
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スリスク, パンナウィット
(72)【発明者】
【氏名】ジラヴァニチクル, マニーラット
(72)【発明者】
【氏名】ポーンパンヴァッタナ, アンヤマニー
(72)【発明者】
【氏名】タウィープランスリポン, ヴィジット
(72)【発明者】
【氏名】キトウォンガッタナ, アモーンスリ
(72)【発明者】
【氏名】アピジュンタラングーン, ウサニー
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA10
4C017AC27
4C017BD06
4C017DD14
4C017FF05
4C017FF15
(57)【要約】
生理的データを収集するウェアラブルデバイスをチューニングする方法、生理的データを収集するウェアラブルデバイス、生理的データを収集するウェアラブルデバイスを制御する方法、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイス、方法、及びコンピューター可読媒体。装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスをチューニングする方法は、デバイスを使用してPPG信号を収集するステップと、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定するステップと、収集されたPPG信号が、装着者がヒト等であることに起因し得ない場合、チューニングを中止するステップとを含み、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号におけるパルスに基づいて少なくとも1つの心周期に関する情報を判定することを含む。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスをチューニングする方法であって、
前記デバイスを使用してPPG信号を収集するステップと、
前記収集されたPPG信号が、前記装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定するステップと、
前記収集されたPPG信号が、前記装着者がヒト又は動物であることに起因し得ない場合、前記チューニングを中止するステップと、
を含み、
前記収集されたPPG信号が、前記装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、前記収集されたPPG信号における1つ以上のパルスのみに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報が第1の範囲内にある場合に、前記装着者がヒト又は動物であると判定することを含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報は、立ち上がり時間、立ち下がり時間、重複切痕に関する時間情報、拡張期ピークに関する時間情報、及び前記収集されたPPG信号における前記少なくとも1つのパルスの形状又は前記収集されたPPG信号における前記少なくとも1つのパルスの1つ以上の部分の形状(複数の場合もある)に関する情報からなる群のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報が所定の範囲内にないと判定された場合、前記PPG測定の光源の強度を増加させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光源の駆動電流が最大値に達したかどうかを判定することと、達した場合にチューニングの不合格を判定することとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光源の前記駆動電流が前記最大値に達していない場合、前記デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記収集されたPPG信号の振幅が第1の閾値よりも大きいかどうか、及び前記光源の前記駆動電流が最小値を上回るかどうかを判定することと、両方の条件が満たされる場合に前記光源の前記強度を低減することとを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光源の前記駆動電流が前記最小値に達したかどうかを判定することと、達した場合にチューニングの不合格を判定することとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光源の前記駆動電流が前記最小値に達していない場合、前記デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記収集されたPPG信号の振幅が第2の閾値以上であるかどうか、及び光源の駆動電流が最大値未満であるかどうかを判定することと、両方の条件が満たされる場合に前記光源の強度を増加させることとを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光源の前記駆動電流が前記最大値以上であるかどうかを判定し、前記PPG振幅が第3の閾値よりも小さいかどうかを判定することと、前記条件のうちの少なくとも一方が満たされる場合にチューニングの不合格を判定することとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
両方の条件が満たされない場合に前記デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記収集されたPPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうかを判定し、前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報の差が第5の閾値未満であるかどうかを判定することと、前記条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合に前記デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すこととを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記収集されたPPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうか、前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報の差が第5の閾値未満であるかどうか、及び前記収集されたPPG信号に基づく心拍数HRの差が正常安静時心拍数に対して第6の閾値未満であるかどうかを判定することと、前記3つの条件のうちの少なくとも1つが満たされない場合に前記デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すこととを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
HRがヒト及び/又は動物の正常範囲内にあるかどうかを判定することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスであって、
PPGセンサーと、
前記PPGセンサーに結合され、前記デバイスのチューニングのために前記PPGセンサーを使用してPPG信号を収集する信号収集ユニットと、
前記信号収集ユニットに結合され、前記収集されたPPG信号が、前記装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号が前記装着者がヒト又は動物であることに起因し得ない場合、前記チューニングを中止するように構成され、
前記収集されたPPG信号が、前記装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、前記収集されたPPG信号における1つ以上のパルスのみに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報が第1の範囲内にある場合に、前記装着者がヒト又は動物であると判定することを含む、デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報は、立ち上がり時間、立ち下がり時間、重複切痕に関する時間情報、拡張期ピークに関する時間情報、及び前記収集されたPPG信号における前記少なくとも1つのパルスの形状又は前記収集されたPPG信号における前記少なくとも1つのパルスの1つ以上の部分の形状(複数の場合もある)に関する情報からなる群のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報が所定の範囲内にないと判定された場合、前記PPG測定の前記PPGセンサーの光源の強度を増加させるように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記光源の駆動電流が最大値に達したかどうかを判定し、達した場合にチューニングの不合格を判定するように構成される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記信号収集ユニットは、前記光源の前記駆動電流が前記最大値に達していない場合、PPG信号を収集することを繰り返すように構成される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号の振幅が第1の閾値よりも大きいかどうか、及び前記光源の前記駆動電流が最小値を上回るかどうかを判定し、両方の条件が満たされる場合に前記光源の前記強度を低減するように構成される、請求項15~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記光源の前記駆動電流が前記最小値に達したかどうかを判定し、達した場合にチューニングの不合格を判定するように構成される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記信号収集ユニットは、前記光源の前記駆動電流が前記最小値に達していない場合、PPG信号を収集することを繰り返すように構成される、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号の振幅が第2の閾値以上であるかどうか、及び光源の駆動電流が最大値を下回るかどうかを判定し、両方の条件が満たされる場合に前記光源の強度を増加させるように構成される、請求項15~22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記光源の前記駆動電流が前記最大値以上であるかどうかを判定し、前記PPG振幅が第3の閾値よりも小さいかどうかを判定することと、前記条件のうちの少なくとも一方が満たされる場合にチューニングの不合格を判定することとを行うように構成される、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記信号収集ユニットは、両方の条件が満たされない場合にPPG信号を収集することを繰り返すように構成される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうかを判定し、前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報の差が第5の閾値未満であるかどうかを判定するように構成され、前記信号収集ユニットは、前記条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合にPPG信号を収集することを繰り返すように構成される、請求項15~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうか、前記少なくとも1つの心周期に関する前記情報の差が第5の閾値未満であるかどうか、及びHRの差が正常安静時心拍数に対して第6の閾値未満であるかどうかを判定するように構成され、前記信号収集ユニットは、前記3つの条件のうちの少なくとも1つが満たされない場合に前記デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すように構成される、請求項15~25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記プロセッサは、HRがヒト及び/又は動物の正常範囲内にあるかどうかを判定するように構成される、請求項15~27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスを制御する方法であって、
前記デバイスを使用してPPG信号を収集するステップと、
前記PPG信号を処理して解析結果を取得するステップと、
前記収集されたPPG信号のみに関する情報が少なくとも1つの条件を満たさない場合、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないと判定するステップと、
前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得る場合、前記デバイスによる前記解析結果の表示を無効にし、及び/又は前記デバイスの光源をオフにするステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定することは、前記収集されたPPGデータのそれぞれの時間ウィンドウから1つ以上の特徴を抽出することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定することは、前記収集されたPPG信号のDC成分の平均及び分散と、前記収集されたPPG信号のAC成分の分散と、前記AC成分の振幅が飽和した回数と、前記AC成分の前記振幅がゼロである回数とを判定することを含む、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
複数の条件として、前記DC成分の前記平均が第1の範囲内にあるかどうか、前記DC成分の前記分散が第2の範囲内にあるかどうか、前記AC成分の前記分散が第3の範囲内にあるかどうか、及び前記AC成分の前記振幅が飽和した前記回数と前記AC成分の前記振幅がゼロである前記回数との和が第1の閾値よりも小さいかどうかを判定することと、前記複数の条件のうちのいずれか1つが満たされない場合に前記デバイスが前記装着者によって装着されていないと判定することとを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定することは、前記収集されたPPG信号の信号対雑音比を計算することを含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記収集されたPPG信号の前記信号対雑音比は、周波数領域において決定される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記収集されたPPG信号の前記信号対雑音比は、信号範囲及び雑音範囲における前記収集されたPPG信号の二乗平均平方根に基づいてそれぞれ決定される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記信号範囲内の前記二乗平均平方根が第2の閾値よりも大きくなく、及び/又は前記雑音範囲内の前記二乗平均平方根が第3の閾値よりも大きくない場合、前記デバイスが装着されていないと判定される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記計算された信号対雑音比が第4の閾値よりも大きくない場合、前記デバイスが装着されていないと判定される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスであって、
PPG信号を収集する信号収集ユニットと、
前記信号収集ユニットに結合され、前記PPG信号を処理して解析結果を取得するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号のみに関する情報が少なくとも1つの条件を満たさない場合、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないと判定し、前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得る場合、前記解析結果の表示を無効にし、及び/又は前記デバイスの光源をオフにするように構成される、デバイス。
【請求項39】
前記プロセッサは、前記収集されたPPGデータのそれぞれの時間ウィンドウから1つ以上の特徴を抽出することに基づいて、前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するように構成される、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号のDC成分の平均及び分散と、前記収集されたPPG信号のAC成分の分散と、前記AC成分の振幅が飽和した回数と、前記AC成分の前記振幅がゼロである回数とを判定することに基づいて、前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するように構成される、請求項38又は39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記プロセッサは、複数の条件として、前記DC成分の前記平均が第1の範囲内にあるかどうか、前記DC成分の前記分散が第2の範囲内にあるかどうか、前記AC成分の前記分散が第3の範囲内にあるかどうか、及び前記AC成分の前記振幅が飽和した前記回数と前記AC成分の前記振幅がゼロである前記回数との和が第1の閾値よりも小さいかどうかを判定し、前記複数の条件のうちのいずれか1つが満たされない場合に前記デバイスが前記装着者によって装着されていないと判定するように構成される、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記プロセッサは、前記収集されたPPG信号の信号対雑音比を計算することに基づいて、前記収集されたPPG信号が、前記デバイスが前記装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するように構成される、請求項38~41のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項43】
前記収集されたPPG信号の前記信号対雑音比は、周波数領域において決定される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記収集されたPPG信号の前記信号対雑音比は、信号範囲及び雑音範囲における前記収集されたPPG信号の二乗平均平方根に基づいてそれぞれ決定される、請求項42又は43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記プロセッサは、前記信号範囲内の前記二乗平均平方根が第2の閾値よりも大きくなく、及び/又は前記雑音範囲内の前記二乗平均平方根が第3の閾値よりも大きくない場合、前記デバイスが装着されていないと判定するように構成される、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記プロセッサは、前記計算された信号対雑音比が第4の閾値よりも大きくない場合、前記デバイスが装着されていないと判定するように構成される、請求項42~45のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項47】
コンピューティングデバイスによって実行されると、請求項1~14のいずれか一項及び/又は請求項29~37のいずれか一項に記載の方法を実行するように前記デバイスに命令する命令を含むコンピューター可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、装着者の生理的データを収集する方法及びデバイスに関し、特に、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスをチューニングする方法、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスを制御する方法、及び装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書全体を通した従来技術のいかなる言及及び/又は考察も、決して、この従来技術が当該分野において既知であるか又は共通の一般知識の一部を形成することを認めるものと見なされるべきではない。
【0003】
フォトプレチスモグラフィー(PPG:photoplethysmography)信号等の生体/生理的信号、及び加速度計(ACC:accelerometer)信号等の動きを表す信号を監視するウェアラブルデバイスが広く使用されるようになっている。かかるデバイスは、フィットネス及び健康関連解析等、睡眠モニタリングを含めて、種々の形態のデータ追跡を支援することができる。
【0004】
かかるデバイスでは、デバイスが装着されていないことを検出することが重要であり得て、これは本明細書では概して「リストオン(wrist-on)」状態と比較して「リストオフ(wrist-off)」状態と称される。デバイスが(適切に)装着されていないという不具合がある場合、生理的データの取得は、その後の計算にとって課題となる。また、かかるデバイスでは、信頼性の高いチューニング/初期化が望まれている。
【0005】
加えて、動物の生理的状態は、農家又は研究者に、動物についての、例えばそれらの健康、機能、及び心理状態についての有用な知識及び洞察を与える可能性がある。ウェアラブルデバイスは、動物の皮膚、例えば、耳、鼻、首、頭、蹄、脚、尾の上部、又は背骨の上部に取り付けることができる。動物における「リストオフ」状態は、動物の皮膚からのデバイスの「ドロップオフ」状態を意味する場合がある。
【0006】
本発明の実施形態は、上記の問題の1つ以上に対処しようとするものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスをチューニングする方法が提供され、該方法は、
デバイスを使用してPPG信号を収集するステップと、
収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定するステップと、
収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得ない場合、チューニングを中止するステップと、
を含み、
収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報を判定することを含む。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスが提供され、該デバイスは、
PPGセンサーと、
PPGセンサーに結合され、デバイスのチューニングのためにPPGセンサーを使用してPPG信号を収集する信号収集ユニットと、
信号収集ユニットに結合され、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定するプロセッサと、
を備え、
プロセッサは、収集されたPPG信号が装着者がヒト又は動物であることに起因し得ない場合、チューニングを中止するように構成され、
収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報を判定することを含む。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスを制御する方法が提供され、該方法は、
デバイスを使用してPPG信号を収集するステップと、
PPG信号を処理して解析結果を取得するステップと、
収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するステップと、
収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得る場合、デバイスによる解析結果の表示を無効にし、及び/又はデバイスの光源をオフにするステップと、
を含む。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスが提供され、該デバイスは、
PPG信号を収集する信号収集ユニットと、
信号収集ユニットに結合され、PPG信号を処理して解析結果を取得するプロセッサと、
を備え、
プロセッサは、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定し、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得る場合、解析結果の表示を無効にし、及び/又はデバイスの光源をオフにするように更に構成される。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、コンピューティングデバイスによって実行されると、第1の態様及び/又は第3の態様による方法を実行するようにコンピューティングデバイスに命令する命令を含むコンピューター可読媒体が提供される。
【0012】
本発明の実施形態は、当業者には、単に例示として、図面と併せて下記の記載からよりよく理解されるとともに容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な実施形態による全体的なアルゴリズムフローを示すフローチャートである。
【
図2】例示的な実施形態による、チューニング段階において実行されるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図3】例示的な実施形態によるリストオフ検出用の特徴抽出を示す図である。
【
図4】例示的な実施形態による、安静時(左側)又は高運動時(右側)にデバイスを装着している間に測定されたDCレベルの比較を示す図である。
【
図5】(a)は例示的な実施形態による、暗い環境に置かれたときに、測定されたDCレベルがゼロに近いことを示す図である。(b)は、例示的な実施形態による、周囲光に直接面して置かれたときに、測定されたDCレベルが飽和している(すなわち、供給電圧に等しい)ことを示す図である。(c)は、例示的な実施形態による、間接的な周囲光にさらして置かれたときに、測定されたDCレベルがゼロを上回り、かつ飽和値を下回り得ることを示す図である。(d)は、例示的な実施形態による、身体の動きによる影がある状態でデバイスが置かれた(すなわち、リストオフ状態)結果、DCレベルが不安定な光で高い分散を有することを示す図である。
【
図6】(a)は、例示的な実施形態による、デバイスが装着された場合のPPG信号のAC周波数成分範囲が通常0.5Hz~8Hzであることを示す図である。(b)は、例示的な実施形態による、雑音が存在する場合、すなわち、出力信号が他の単数又は複数の周波数(0.5Hz~8Hz以外)を有する場合、該雑音は、ネオンランプ又はディスプレイモニター等の周囲光を光源とするリストオフ状態に起因し得ることを示す図である。
【
図7】例示的な実施形態による、典型的なPPGの周波数成分が0.5Hz~8Hzの範囲であり、その範囲をPPG信号であると仮定し、一方、測定された範囲の残りを雑音、具体的には8Hz~50Hzであると仮定したことを示す図である。
【
図8】例示的な実施形態による、リストオン及びリストオフの基準/トレーニングデータ中の1)PPG DCレベル及び2)PPG_ACのSNR(SNRはrmsに基づく)の特徴についての散布図である。
【
図9】例示的な実施形態による、基準/トレーニングデータについての分散(PPG AC)と平均(PPG DC)との散布図(拡大挿入図を有する)である。
【
図10】(a)は、例示的な実施形態による、分散(PPG DC)と平均(PPG DC)との散布図である。(b)は、例示的な実施形態による、sumACSatZeroと平均(PPG DC)との散布図である。
【
図11】例示的な実施形態によるリストオフ状態検出を示すフローチャートである。
【
図12】(a)は、例示的な実施形態による、PPGデータの7つの連続した時間ウィンドウに基づいて、リストオフ状態を判定することを示す図である。(b)は、例示的な実施形態による、PPGデータの7つの連続した4秒の時間ウィンドウに基づいてカウンター閾値が設定され、7つのウィンドウのそれぞれにおいてリストオフ状態出力が計数されることを示す図である。
【
図13】例示的な実施形態による、90%を上回る精度のリストオフ状態分類をもたらす、21人の被験者のデータの評価から取得された結果を示す図である。
【
図14】(a)は、例示的な実施形態による、異なるTAT閾値及びPIM閾値に基づく高運動及び低運動の例示的なゾーンを示す図である。(b)は、例示的な実施形態による、異なるPIM閾値に基づく高運動及び低運動の例示的なゾーンを示す図である。
【
図15】例示的な実施形態によるチューニング及びリストオフ検出方法/アルゴリズムを示す高レベルのフローチャートである。
【
図16】例示的な実施形態によるデバイスの全体的な概略図である。
【
図17】例示的な実施形態による、
図16のデバイスの特定の構成要素の詳細図である。
【
図18】別の例示的な実施形態による、
図16のデバイスの特定の構成要素の詳細図である。
【
図19】例示的な実施形態による、分散(PPG DC)と、PPG AC信号の飽和の数及びゼロの数の和を計数すること(sumACSatZero)とが、リストオフ/オフ状態分類に有用であることを示す図である。
【
図20】例示的な実施形態による、装着者の生理的データを収集するためにウェアラブルデバイスをチューニングする方法を示すフローチャートである。
【
図21】例示的な実施形態による、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスを制御する方法を示すフローチャートである。
【
図22】例示的な実施形態による、PPG信号に含まれる心周期の立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間を判定することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態による全体的なアルゴリズムフロー
図1は、例示的な実施形態による全体的なアルゴリズムフローを示すフローチャートを示している。このアルゴリズムは、概して、フォトプレチスモグラフィー(PPG)信号104(AC成分及びDC成分を含む)、及び加速度計(ACC)信号106(それぞれのACCセンサー構成要素からのx軸、y軸、及びz軸を含む)の形態で、ウェアラブルデバイス102からその測定入力を受信する。信号106は、x-y軸、y-z軸、x-z軸及び/又はx軸、y軸及びz軸の組み合わせであり得る。
【0015】
PPG信号104及びACC信号106の両方は、アルゴリズムのチューニング段階108への入力である。この例示的な実施形態において、チューニングは、決定段階110において8つの条件に合格することを必要とする。具体的には、この例示的な実施形態において、不合格ケース1~3は、「リストオフ」、すなわち、装着されていないか、又は適切に装着されていないデバイス102の形態のチューニング不合格を判定するために使用され、不合格ケース4~8は、仮定された「リストオン」シナリオ、すなわち、装着されたデバイス102における一般的なチューニング不合格を判定するために使用される。この例示的な実施形態における不合格ケース1~3は、信号がヒト/動物からのものではないことを、リストオフ判定のサブカテゴリとして判定するのに適していることに留意されたい。また、「適切に装着されていない」とは、ここでは、ユーザーがデバイス102を装着しているが、PPG及び/又はACCセンサーが皮膚の表面に接触しない又は誤って配置される等のように、緩く装着されていることを意味する。
【0016】
この例示的な実施形態における不合格ケース1~3として、以下が挙げられる。
【0017】
不合格ケース1:心拍数(HR)が範囲外(例えば、ヒトの場合、約30bpm~240bpmの範囲外)。
【0018】
不合格ケース2.PPGセンサーの発光デバイス(LED)駆動電流は最大値であるが(例えば、≧20mA)、特定の範囲内の心周期に関する情報を有するパルス(例えば、立ち上がり時間10%≦RT≦50%の少なくとも3つのパルス。RTは、1つの心周期における立ち上がり時間の割合を意味する)がPPG信号から識別されない。
【0019】
不合格ケース3.PPG信号振幅<例えば、許容可能振幅の28%(許容可能振幅は、約20mV~70mVの範囲内に設定され得る)。
【0020】
上記の3つの不合格ケースのうちのいずれか1つが検出された場合、この例示的な実施形態において、リストオフステータスであると見なされる。リストオフステータスの判定に応答して、デバイス102のLEDセンサーは、デバイス102が、ACC信号106を閾値を上回る時間(TAT)閾値及び/又は比例積分モード(PIM)閾値に対してチェックすることで動きを検出するまで、オフにされる。
図14(a)は、例示的な実施形態による、異なるTAT閾値及びPIM閾値に基づく高運動及び低運動の例示的なゾーンを示している。高運動の閾値は、TATに対して100、PIMに対して12であり得て、低運動の閾値は、TATに対して5、PIMに対して12であり得る。TAT閾値/PIM閾値に基づいて高運動の動きを判定すると、LEDは次の5分間オンに戻され、チューニング段階108におけるチューニングが再開される。
図14(b)は、異なるPIM閾値(のみ)に基づく高運動及び低運動のゾーンを有する別の例を示しており、いくつかの例示的な実施形態において、PIM閾値は約12~85であり得る。
【0021】
この例示的な実施形態における不合格ケース4~8として、以下が挙げられる。
【0022】
不合格ケース4:DCレベルの平均>例えば供給電圧の83%。
【0023】
不合格ケース5:LED駆動電流は最大値であるが、PPG振幅は、許容可能振幅から判別して許容可能でない。
【0024】
不合格ケース6:LED駆動電流が最小値であり(例えば、閾値は1mAである)、PPG振幅>供給電圧の50%。
【0025】
不合格ケース7:同じLED駆動電流で、処理時間>24秒、又はより一般的には、例示的な実施形態において約8秒~4分の閾値。駆動電流レベルがチューニングプロセス中に変更された場合、タイマーは0にリセットされる。
【0026】
不合格ケース8:ACCから検出された運動が、特定の期間、例えば10秒間連続して高運動である。任意の他の所定の期間が設定され、考慮され得ることに留意されたい。
【0027】
上記の不合格ケースのいずれか1つが検出された場合、チューニングは終了し、チューニングは、1つの例示的な実施形態において、次の5分で再アクティブ化されることになる。
【0028】
チューニング決定段階108が合格である場合、運動アーティファクト除去(MAR:motion artifact removal)段階112のアルゴリズムが処理される。MAR段階112の出力は、フラグ運動、フィルタリングされたPPG、及び運動強度(MS)値である。
【0029】
また、チューニング決定段階108が合格である場合、リストオフ段階114のアルゴリズムが処理される。リストオフ段階114アルゴリズムの例示的な実施形態は、以下で詳細に説明される。チューニングに合格しても、リストオフからの結果(リスト検出flag_4s)を使用して、HR等の段階115として示される更なるアルゴリズムの更なる処理結果が示され/表示されるかどうか、及びセンサーLEDがオフにされるかどうかが判定される。この実施形態において、リストオフ段階114からの出力を使用して、スイッチ116が制御され、MAR段階112からの出力が更なるアルゴリズム段階115に供給されるか、又はゼロ信号発生器段階118からのゼロ信号が供給される。更なるアルゴリズムの目的又は光の波長に応じて、信号は、異なる例示的な実施形態において、チューニング段階を通過した後にMAR段階に入る必要がない場合があることに留意されたい。
【0030】
アルゴリズムの実行を通して、歩数段階120は、1分ごとに活動結果及び測定されたTAT/PIMを出力する。簡潔に言えば、歩数段階120では、歩数を計数してユーザーの活動を監視する。例示的な歩数カウントアルゴリズムは、国際公開第2015/183193号に記載されているようなものであり得る。
【0031】
例示的な実施形態によるチューニング段階アルゴリズムの詳細
図2は、例示的な実施形態による、チューニング段階において実行されるアルゴリズムを示すフローチャートを示している。デバイスがオンにされた後、システムはチューニングを開始する。1つの例示的な実施形態において、最大5分であり得るタスクスケジュールが存在し得る。例えば、デバイスが午前10:02にオンにされた場合、X:05、X:10、X:15等にチューニングアルゴリズムを開始するように構成されたデバイスでは、チューニングは10:05に開始する。概して、チューニングプロセスは、センサーLEDレベルを調整することと、検出された信号を検証することとを含む。
【0032】
具体的には、この例示的な実施形態において、収集段階202は、PPG信号及びACC信号を2秒間収集し、低運動段階204は、不合格ケース8の基準、例えば、運動を表すACC信号の強度及び/又は周波数の強度が、例えば、4km/時の歩行又は例えば、6.5km/時の走行以下であるかどうかをチェックし、そうでない場合、高運動に対する不合格ケース8の基準がトリガーされたと見なされ、すなわち、低運動段階204から「ノー」が出力される。
【0033】
次に、非脈動成分(DC)レベル段階206は、不合格ケース4基準をチェックし、例えば、PPG信号のDCレベルがセンサーLED供給電圧の閾値部分未満である場合、チューニングが進行する。閾値部分は、この例示的な実施形態において、センサーLED供給電圧の約83%であり得る。一方、DCレベルが閾値部分以上である場合、高DCレベルの不合格ケース4基準がトリガーされたと見なされ、すなわち、DCレベル段階206から「ノー」が出力される。
【0034】
次に、時間使用量段階208は、不合格ケース7の基準をチェックする。この例示的な実施形態において、チューニングの時間使用量が閾値、例えば、24秒よりも大きい、又は概して約8秒~4分以内である場合、チューニングはPPGパルス段階210に進行する。一方、時間使用量がその範囲外である場合、不合格ケース7の時間使用量基準がトリガーされたと見なされ、すなわち、時間使用量段階208から「イエス」が出力される。
【0035】
次に、この例示的な実施形態におけるPPGパルス段階210は、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報の非限定的な例として、10%≦RT≦50%以内の基準立ち上がり時間を有するPPG信号の脈動成分(AC成分)における少なくとも3つのPPGパルスが見つかったかどうかをチェックする。「イエス」の場合、チューニングはPPG振幅段階212に進行する。「ノー」の場合、段階214として示すように、センサーLED駆動電流が増加し、段階216に示すように、センサーLED駆動電流が適用可能な最大値、例えば、20mAであるかどうかの判定が行われる。センサーLEDが最大駆動電流(又はLED強度)にあり、少なくとも3つのPPGパルスが見つからなかった場合、不合格ケース2がトリガーされたと見なされる。そうでない場合、チューニングは、
図2の「A」に示すようにループバックする。
【0036】
第1のPPG振幅段階212は、PPG AC振幅がセンサーLED供給電圧の閾値部分を上回るかどうか、及びセンサーLED駆動電流が最小値、例えば、1mAを上回るかどうかをチェックする。閾値部分は、この例示的な実施形態において50%であり得る。第1のPPG振幅段階212からの出力が「ノー」である場合、チューニングは、第2のPPG振幅段階218に進行する。第1のPPG振幅段階212からの出力が「イエス」である場合、段階220として示すように、センサーLED駆動電流が減少し、段階222に示すように、センサーLED駆動電流が適用可能な最小値に等しい(又はそれを下回る)かどうかの判定が行われる。段階222において、センサーLEDが最小駆動電流(又はLED強度)である場合、不合格ケース6がトリガーされたと見なされる。そうでない場合、チューニングは、
図2の「A」に示すようにループバックする。
【0037】
第2のPPG振幅段階218は、PPG AC振幅が許容可能な閾値以上であるかどうか、及びLED駆動電流が適用可能な最大値未満であるかどうかをチェックする。許容可能な閾値は、この例示的な実施形態において約20mV~70mVであり得る。第2のPPG振幅段階218からの出力が「イエス」である場合、チューニングは、PPGパルス対段階224に進行する。第2のPPG振幅段階218からの出力が「ノー」である場合、段階226として示すように、センサーLED駆動電流が増加し、段階227に示すように、センサーLED駆動電流が適用可能な最大値に等しい(又はそれを上回る)かどうかの判定が行われる。
【0038】
段階227において、センサーLEDが最大駆動電流(又はLED強度)である場合、不合格ケース5がトリガーされたと見なされる。そうでない場合、段階228に示すように、PPG振幅が許容可能振幅の閾値部分よりも小さいかどうかの判定が行われる。閾値部分は、この例示的な実施形態において28%であり得る。「イエス」の場合、不合格ケース3がトリガーされたと見なされる。「ノー」の場合、チューニングは、
図2の「A」に示すようにループバックする。
【0039】
PPGパルス対段階224において、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報の非限定的な例として、(少なくとも)3つのパルスにおける対ごとに、PSD(パワースペクトル密度)の相関が相関閾値よりも大きいかどうか、及びRTの差が所与のRT差閾値よりも小さいかどうかがチェックされる。この例示的な実施形態において、相関閾値は90%であり得て、RT差閾値は10%であり得る。PSDの相関は、この例示的な実施形態において、パルス形状の相関であり得る。PPGパルス段階224からの出力が「イエス」である場合、チューニングはHR段階230に進行する。PPGパルス段階224からの出力が「ノー」である場合、チューニングは、
図2の「A」に示すようにループバックする。
【0040】
別の条件がPPGパルス段階224に追加され、3つのPPGパルスにおける全ての対の間のHRの差がチェックされ、該差のいずれかが正常な安静時HRの約20%~35%未満であるかどうかが判定され得ることに留意されたい。1つの例示的な実施形態において、20bpm未満である2つのパルス間のHRの絶対差が使用されるが、より一般的には、例示的な実施形態において、約12bpm~35bpmに等しい約20%~35%未満を使用することができる。
【0041】
HR段階230は、心拍数HRが30<HR<240の範囲内にあるかどうかをチェックする。HR段階230からの出力が「ノー」である場合、不合格ケース1がトリガーされたと見なされる。そうでない場合、チューニングは合格であると見なされ、PPGテンプレートが、アルゴリズム全体の他の部分で使用するために構築される。
【0042】
この例示的な実施形態において、アルゴリズムは、ヒト及び動物(ウシ、ヒツジ等)の両方に適用可能であり得ることに留意されたい。ヒト(のみ)に特有の例示的な実施形態において、心拍数(HR)範囲は、例えば、30<HR<120であり得る。
【0043】
同様に、ヒト(のみ)に特有の例示的な実施形態において、立ち上がり時間範囲(PPGパルス段階210と比較されたい)は、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づく少なくとも1つの心周期に関する情報の非限定的な例として、例えば、10%≦RT≦40%であり得る。
【0044】
不合格ケース1~3のそれぞれについて、デバイスは、
図1を参照して上述したように、TAT閾値及び/又はPIM閾値をチェックすることによって運動が検出されるまで、センサーLEDをオフにする。
【0045】
異なる例示的な実施形態において、それぞれの不合格ケースを判定する意思決定ステップ及び関連する処理の数、タイプ、及び/又は順序/シーケンスは、
図2に示すフローチャートと比較して変更され得ることに留意されたい。
【0046】
例示的な実施形態によるリストオフ段階アルゴリズムの詳細
例示的な実施形態によるリストオフ段階(
図1の番号114と照合されたい)で実行されるアルゴリズムは、ユーザーがデバイスを装着していない(又はデバイスを適切に装着していない)場合にはリストオフステータスを識別し、ユーザーがデバイスを装着している場合にはリストオンステータスを識別する。
【0047】
ユーザーがデバイスを装着している間(リストオン状態)、装着状態は、安静時又は移動時であり得て、該安静時には睡眠が含まれ得ることに留意されたい。移動には、コーディング(すなわち、コンピューター/キーボード上でのタイピング)、講義、討論等であるがこれらに限定されない不規則な動き、及びランニング、歩行、サイクリング等であるがこれらに限定されない規則的な動きが含まれる。
【0048】
リストオフ状態の間、ユーザーはデバイスを装着しておらず、限定ではなく例として、以下のような安定状態又は移動状態があり得る。
【0049】
安定状態として、1)明るい環境(ネオンライト、ディスプレイモニター、太陽光等)を伴ってテーブル上に置かれること、2)身体の動きの影を伴ってテーブル上に置かれること、3)暗い環境(例えば、暗い部屋又はバッグの中等)に置かれることが挙げられる。
【0050】
移動状態として、1)動きを伴って暗い環境に置かれること(デバイスをバッグに入れたままバッグと共に歩いている等)、2)動きを伴って明るい環境に置かれること(例えば、手に持って歩いている等)が挙げられる。
【0051】
図3は、非限定的な例示的な実施形態によるリストオフ検出用の特徴抽出を示す図を示している。
【0052】
PPG信号300は、ステップとして示すように、それぞれ332個のデータ点を有する4秒のウィンドウ、例えば、302に分離され、データは、ステップとして示すように、新しい次元、すなわち、抽出された特徴(更なる計算の1つの例示的な実施形態において、5つの特徴)にマッピングされる。各ウィンドウ、例えば、302の期間は、任意の所定の持続時間であり得て、好ましくは、2個の拍動/パルス、例えば、が、各ウィンドウ内に含まれることに留意されたい。一般的に、ウィンドウサイズに起因し得て精度が変化することがあり、通常、ウィンドウサイズが大きいほど精度が高くなり、通常、ウィンドウサイズが小さいほど処理量が少なくなる。
【0053】
概して、ステップに示すように、特徴データ=(feat1,feat2,feat3,...)が抽出され、リストオン又はリストオフへの分類が行われ、ステップに示すように、対応する出力信号が生成される。
【0054】
以下に、非限定的な例示的な実施形態による、各ウィンドウ、例えば、302について計算された特徴を列挙する。
1)PPG信号の平均DCレベル
2)周波数領域におけるPPG信号のAC成分の信号対雑音比
3)時間領域におけるPPG信号のDCレベルの分散
4)時間領域におけるPPG信号のAC成分の分散
5)時間領域におけるPPG信号のAC成分の飽和点及びゼロ点の数の和
【0055】
1つの例示的な実施形態において、主要な特徴は、1)平均DCレベル、及び2)周波数領域におけるAC成分の信号対雑音比であり、3)DCレベルの分散、4)AC成分の分散、及び5)AC成分の飽和点及びゼロ点の数の和は、特定の場合に使用されるオプションの特徴である。以下、その詳細について説明する。
【0056】
1)PPG DCレベル
図4は、安静時(左側)又は高運動時(右側)にデバイスを装着している間に測定されたDCレベルの比較を示している。
図4の結果から分かるように、身体の動きは、DCレベルに識別可能な影響を及ぼさない。
【0057】
図5(a)は、暗い環境に置かれたとき、測定されたDCレベルがゼロに近いことを示している。
図5(b)は、周囲光に直接面して置かれたときに、測定されたDCレベルが飽和している(すなわち、供給電圧に等しい)ことを示している。これを用いて、それらのシナリオをリストオン状態と区別することができる。
【0058】
したがって、PPG信号のDCレベルは、例示的な実施形態によれば、デバイスが暗い環境に置かれたとき、又は周囲光に直接面して置かれたときに、リストオフ状態を識別する有用なパラメーターであることが見出された。
【0059】
しかしながら、
図5(c)は、測定されたDCレベルが、間接的な周囲光にさらして置かれたときに、ゼロを上回り、飽和値を下回り得ることを示している。これは、リストオン状態と区別するのに有用ではない場合がある。
【0060】
図5(d)は、DCレベルが、身体の動きによる影がある状態でデバイスが置かれた(すなわち、リストオフ状態)結果、DCレベルが不安定な光で高い分散を有することを示している。しかしながら、
図5(d)におけるリストオフ状態のDCレベルの分散は、リストオン状態と同様であり得て、反射光は、ユーザーの解剖学的構造(皮膚、組織、又は骨)の状態に応じて変動し得て、DCレベルは、0.1Vdc~2.2Vdcであり得ることが見出された。
【0061】
2.PPG_AC
【0062】
周波数領域におけるPPG信号のAC成分の信号対雑音比(SNR)は、リストオフ段階における周囲光による雑音を識別するのに有効であることが見出された。
【0063】
装着時、PPG信号のAC周波数成分範囲は、
図6(a)に示すように、通常0.5Hz~8Hzである。
図6(b)に示すように、雑音がある場合、すなわち、出力信号が他の1つ以上の周波数(0.5Hz~8Hz以外)を有する場合、該雑音は、ネオンランプ又はディスプレイモニター等の周囲光を光源とするリストオフ状態に起因し得ることが見出された。
【0064】
例示的な実施形態において、SNRを使用して、所望の信号のレベル(又は電力)を雑音のレベル(又は電力)と比較することによって、信号送信機及び信号受信機の特性、すなわち、それぞれセンサーLED及び光検出器の特性がチェックされる。なお、周波数領域における信号が優位な周波数を示す、すなわち、信号がそれらの周波数に従って分類され得るので、周波数領域(振幅対周波数)において信号を解析することは、信号対雑音比を計算するために時間領域(振幅対時間)において信号を解析することと比較して好ましいことが見出された。
【0065】
例示的な実施形態において、PPG信号範囲内のAC周波数領域振幅の二乗平均平方根(rms)と雑音範囲内の振幅のrmsとが比較される。上述のように、0.5Hz~8Hzの典型的なPPG範囲の周波数成分によれば、該範囲は、これがPPG信号であると仮定し、一方、測定された範囲の残りは、雑音であると仮定し、具体的には、例示的な実施形態において、
図7に示すように、8Hz~50Hzであると仮定した。
【0066】
例示的な実施形態に従ってリストオン/リストオフ状態を識別するために、各特徴に対して閾値を予め決定することができる。
図8は、リストオン及びリストオフの基準/トレーニングデータ中の1)PPG DCレベル及び2)PPG_ACのSNR(SNRは、1つの例示的な実施形態において、前述のように、rmsに基づく)の特徴に関する散布図を示している。矩形は、例示的な実施形態による、リストオン状態の条件に対するクラスターを表す。
図8のプロットは、リストオン及びリストオフのデータが十分に分離されていることを示している。したがって、例示的な実施形態による分類モデルの閾値を設定することができる。
【0067】
1つの例示的な実施形態において、リストオン条件は、平均(PPG DCレベル)=0.001V~2.5V、及びSNR PPG_AC>5dB~10dBに設定することができる。
【0068】
平均(PPG DCレベル)及びSNR PPG_ACの2つの主要な特徴は、例示的な実施形態によると、高精度でデータを分類することが可能であるが、これらの2つの主要な特徴が、リストオン/リストオフ状態を識別するために十分ではない/十分に正確ではない場合がある。
【0069】
1つのケースは、デバイスが電子的な光のない直射日光の下に置かれた場合のリストオフ状態であり得る。一方、直射日光条件下では、PPG_AC信号は非常に低い振幅を有することが見出された。したがって、このケースは、分散(PPG_AC)の閾値に基づいて分類することができ、例えば、1つの例示的な実施形態において、0.15mV~0.25mVよりも小さい。
図9は、基準/トレーニングデータについての分散(PPG AC)と平均(PPG DC)との散布図(拡大挿入図を有する)を示しており、暗色の線の円は、デバイスが直射日光に置かれたときのリストオフ状態を示し、そこから、例示的な実施形態に従って閾値を設定することができる。
【0070】
別のケースは、デバイスを手に持っているリストオフ状態であり得て、この場合、供給電圧の限界までDC及びAC PPG信号成分の両方において高い分散が存在し、ゼロ供給電圧に等しい低い(ゼロ)境界を含むことが見出された。供給電圧の限界に達する(又は超える)と、供給電圧の高い(飽和した)境界で信号が飽和し、供給電圧の低い(ゼロ)境界でゼロになり、AC信号は飽和値とゼロの両方を示すことが見出された。したがって、分散(PPG DC)と、PPG AC信号の飽和の数及びゼロの数の和(sumACSatZero)の計数とは、例示的な実施形態において有用である。特に、PPG AC信号の飽和の数及びゼロの数(sumACSatZero)は、
図19に示すように、リストオフ状態とリストオン状態との間で非常に特徴的であることが本発明者によって見出された。
【0071】
図10(a)及び
図10(b)は、それぞれ、分散(PPG DC)と平均(PPG DC)との散布図及びsumACSatZeroと平均(PPG DC)との散布図を示す。基準/トレーニングデータにおける手のリストオフ保持は、明色の線の円として示されており、これにより、例示的な実施形態に従って、閾値、例えば、分散(DC)≧0.1~1.0及び/又はsumACSatZero≧100~200を設定することができる。
【0072】
図11は、例示的な実施形態によるリストオフ状態検出を示すフローチャートを示している。
【0073】
ステップ1102において、PPG DC及びACの生データが、4秒のウィンドウで、すなわち、有限インパルスフィルタリング等のフィルタリングなしで収集される。
【0074】
ステップ1104において、平均PPG DC、分散PPG DC、分散PPG AC、PPC ACの飽和点及びゼロ点の合計数が計算される。
【0075】
ステップ1106において、計算された平均PPG DC、分散PPG DC、分散PPG AC、PPC ACの飽和点及びゼロ点の合計数が、リストオン状態のそれぞれの閾値と比較され、全ての条件が満たされない場合、すなわち、ステップ1106からの出力が「ノー」である場合、状態はリストオフと判別される。閾値の値は、例示的な実施形態に従って示される。
【0076】
ステップ1108では、ステップ1106からの出力が「イエス」であった場合、PPG AC信号は、周波数領域に変換される。
【0077】
ステップ1110において、信号範囲及び雑音範囲におけるrms値は、それぞれ、SNRの後の計算の一部として、周波数領域において最初に計算される(以下のステップ1116を参照)。該範囲の値は、例示的な実施形態に従って示される。
【0078】
ステップ1112a及び1112bにおいて、雑音信号のrmsは、最小値に制限され、後続の計算における計算エラーが回避される。最小値の値は、例示的な実施形態に従って示される。
【0079】
ステップ1114において、PPG AC信号のrms及びPPG AC雑音のrmsは、リストオン状態のそれぞれの閾値と比較され、両方の条件のいずれかが満たされない場合、状態はリストオフとして判別される。閾値の値は、例示的な実施形態に従って示される。
【0080】
ステップ1116において、SNRは、PPG AC信号のrmsとPPG AC雑音のrmsとの比に基づいて計算される。
【0081】
ステップ1118a及び1118bにおいて、計算されたSNRは、最小値に制限され、後続の計算における計算エラーが回避される。最小値の値は、例示的な実施形態に従って示される。
【0082】
ステップ1120において、dB単位のSNRが計算される。
【0083】
ステップ1122において、dB単位のSNRが閾値と比較される。結果が「ノー」の場合は、状態はリストオフと判別される。結果が「イエス」の場合は、状態はリストオンと判別される。閾値の値は、例示的な実施形態に従って示される。
【0084】
例示的な実施形態において、リストオフ状態決定のカウンターが実装される。これは、「真の」リストオフ状態の間のみ、HR結果等のPPG/ACCデータ解析アルゴリズム結果の表示を確実に無効にするものであり、不適切な結果を示すのではなく、センサーLEDをオフにすることに役立ち得る。換言すれば、例示的な実施形態において、各個別の出力結果に基づくのではなく、PPG/ACCデータ解析アルゴリズム結果の表示を無効にする前に到達すべき所定の数のリストオフ状態の出力結果を使用することによって、精度を向上させることができる。
【0085】
異なる例示的な実施形態において、リストオン/リストオフ状態を分類する意思決定ステップ及び関連する処理の数、タイプ、及び/又は順序/シーケンスは、
図11に示すフローチャートと比較して変更され得ることに留意されたい。
【0086】
例示的な実施形態において、カウンター閾値は、
図12(a)及び
図12(b)に図示されるように、7つの連続した4秒の時間ウィンドウに基づいて設定され、7つのウィンドウのそれぞれにおけるリストオフ状態出力が計数される。リストオフ状態が、連続した4秒の時間ウィンドウの半分を超えて示される場合、全体的なリストステータスは、リストオフとして判定され、PPG/ACCデータ解析アルゴリズム結果の表示は、無効にされるか、又は「NA」として表示される。本実施形態において、リストオフ状態が4回以上検出された場合に、全体的なリスト状態はリストオフ状態と判別される。リストオフ状態が4回未満示された場合、全体的なリスト状態はリストオン状態と判別される。このプロセスは、全体的なリスト状態がリストオン状態と判別された場合、次の7つのウィンドウに対して継続される。
【0087】
例示的な実施形態によるリストオン/リストオフ分類の結果
図13は、90%を上回る精度のリストオフ状態分類をもたらす、21人の被験者のデータの評価から取得された結果を示している。
【0088】
評価に使用したリストオン条件は以下の通りである。
平均(PPG DC) 0.001~0.080<平均(PPG DC)<2.2V~2.5V、
SNR(PPG AC) >5dB~10dB、
分散(PPG AC) >0.15mV~0.30mV、
分散(PPG DC) <0.1mV~1.0mV、
PPG AC飽和の数+PPG ACゼロの数 <100点~200点。
【0089】
図15は、例示的な実施形態によるチューニング及びリストオフ検出方法/アルゴリズムを示す高レベルのフローチャートを示している。チューニング段階1502は、この例示的な実施形態において1時間ごとに動作され、チューニング段階1502を通過すると、段階1504に示すように他のアルゴリズムが実行され、リストオフ検出段階1506は、この例示的な実施形態において5分ごとに動作される。ループ矢印1508、1510は、それぞれ、チューニング段階1502及びリストオフ検出段階1506の周期的動作を示している。タイミングは、様々な例示的な実施形態において異なり得て、
図15に示される例示的なタイミングに限定されないことに留意されたい。
【0090】
以下では、例示的な実施形態によるウェアラブルデバイス102(
図1)の一般的な説明が提供される。
図16は、デバイス102の全体的な概略図を示している。PPGセンサー(複数の場合もある)1630は、信号調整回路1640及びドライバー回路1620に接続され、これらは、例示的な実施形態によるチューニング及びリストオフ検出アルゴリズムを含む制御及び処理ユニット(CPU)1610に接続され、CPU1610は、運動センサー(複数の場合もある)1650、ディスプレイ1690、電力管理ユニット1660、メモリ1670、及び通信モジュール1680にも接続される。
【0091】
図17は、構成要素1610、1620、1630、1640の詳細図であり、(LEDの強度を調整する)駆動電流制御構成要素1621と、電流制御回路1621のアナログ値となるようにMCUによって命令されたデジタル値を変換するデジタル/アナログコンバーター(DAC)回路1622とを示している。PPGセンサー(複数の場合もある)1630は、光源(複数の場合もある)1631及び光検出器(複数の場合もある)1632を含む。光源(複数の場合もある)1631は、電流制御回路1621及びDAC回路1622に接続されて、強度を制御する。光検出器(複数の場合もある)1632は、光を検出し、検出された信号は、非脈動性信号(DC成分)を取得するためにトランスインピーダンス増幅器及び雑音フィルタリング構成要素1641によって処理され、脈動性信号(AC成分)を取得するためにアナログフィルター(BPF)及び増幅器1642によって更に処理される。信号のAC成分及びDC成分は、更なる処理及び計算のために制御及び処理ユニット1610に送信される。
【0092】
図18に示される代替的な実施形態において、信号調整回路1640は、代わりに、雑音フィルタリング(アナログ)構成要素1641a、ADC回路1642a、及び雑音フィルタリング(デジタル)構成要素1643aを備えることができ、これらは、検出された信号を処理して、デジタル形態の非脈動性(DC)信号及び脈動性(AC)信号を取得し、更なる処理及び計算のために制御及び処理ユニット1610に送信する。
【0093】
図22は、例示的な実施形態による、PPG信号2202に含まれる心周期2200の立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間を判定することを示す図を示している。CPU1610(
図16)は、心周期2200(したがって、PPGパルス2208)の第1の谷位置2204と、収縮期ピーク位置2206と、第2の谷位置2210とを検出するように構成される。フィルタリングされたPPG信号2202はまた、重複切痕2212及び拡張期ピーク2214を含み、例示的な実施形態において、これを使用して、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かが判定され得ることを理解されたい。
【0094】
CPU1610(
図16)は、心周期2200の第1の谷位置2204及び収縮期ピーク2206に基づいて立ち上がり時間を計算するように構成される。数学的には、
図22を参照すると、心周期2200の立ち上がり時間RTは、RT=100×RT(立ち上がり時間)/PPGパルス2208の総時間である。ヒトにおけるRTの典型的な範囲は約10%~40%であり、動物では約10%~50%である。代替的に又は追加的に、CPUは、心周期2200の立下り時間を判定する。数学的には、立ち下がり時間FTは、FT=PPGパルス2208の総時間-RTである。ヒトにおけるFTの典型的な範囲は約60%~90%であり、動物では約50%~90%である。
【0095】
すなわち、例示的な実施形態によるチューニングアルゴリズムでは、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、PPGパルス2208に基づいて少なくとも1つの心周期2200に関する情報を判定することを含み得て、より具体的には、立ち上がり時間、立ち下がり時間、重複切痕2212に関する時間情報、拡張期ピーク2214に関する時間情報、及びPPGパルス2208の形状又はPPGパルス2208の1つ以上の部分の形状(複数の場合もある)に関する情報からなる群のうちの1つ以上を判定することを含み得る。同様に、少なくとも1つの心周期に関する情報の差が閾値未満であるかどうかを判定することは、立ち上がり時間、立ち下がり時間、重複切痕2212に関する時間情報、拡張期ピーク2214に関する時間情報、及びPPGパルス2208の形状又はPPGパルス2208の1つ以上の部分の形状(複数の場合もある)についての情報からなる群のうちの1つ以上における差を判定することを含み得る。
【0096】
図20は、例示的な実施形態による、装着者の生理的データを収集するためにウェアラブルデバイスをチューニングする方法を示すフローチャート2000を示している。ステップ2002では、デバイスを使用してPPG信号が収集される。ステップ2004では、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かが判定され、ステップ2006では、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得ない場合、チューニングが中止され、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づいて、少なくとも1つの心周期に関する情報を判定することを含む。
【0097】
少なくとも1つの心周期に関する情報は、立ち上がり時間、立ち下がり時間、重複切痕に関する時間情報、拡張期ピークに関する時間情報、及びPPG信号における少なくとも1つのパルスの形状又はPPG信号における少なくとも1つのパルスの1つ以上の部分の形状(複数の場合もある)に関する情報からなる群のうちの1つ以上を含むことができる。
【0098】
本方法は、少なくとも1つの心周期に関する情報が所定の範囲内にないと判定された場合、PPG測定の光源の強度を増加させることを含み得る。本方法は、光源の駆動電流が最大値に達したかどうかを判定することと、達した場合にチューニングの不合格を判定することとを含み得る。本方法は、光源の駆動電流が最大値に達していない場合、デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すことを含み得る。
【0099】
本方法は、PPG信号の振幅が第1の閾値よりも大きいかどうか、及び光源の駆動電流が最小値を上回るかどうかを判定することと、両方の条件が満たされる場合に光源の強度を低減することとを含み得る。本方法は、光源の駆動電流が最小値に達したかどうかを判定することと、達した場合にチューニングの不合格を判定することとを含み得る。本方法は、光源の駆動電流が最小値に達していない場合、デバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すことを含み得る。
【0100】
本方法は、PPG信号の振幅が第2の閾値以上であるかどうか、及び光源の駆動電流が最大値未満であるかどうかを判定することと、両方の条件が満たされる場合に光源の強度を増加させることとを含み得る。本方法は、光源の駆動電流が最大値以上であるかどうかを判定し、PPG振幅が第3の閾値よりも小さいかどうかを判定することと、該条件のうちの少なくとも一方が満たされる場合にチューニングの不合格を判定することとを含み得る。本方法は、両方の条件が満たされない場合にデバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すことを含み得る。
【0101】
本方法は、PPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうかを判定し、少なくとも1つの心周期に関する情報の差が第5の閾値未満であるかどうかを判定することと、該条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合にデバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すこととを含み得る。
【0102】
本方法は、PPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうか、少なくとも1つの心周期に関する情報の差が第5の閾値未満であるかどうか、及びHRの差が正常安静時心拍数に対して第6の閾値未満であるかどうかを判定することと、3つの条件のうちの少なくとも1つが満たされない場合にデバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すこととを含み得る。
【0103】
本方法は、HRがヒト及び/又は動物の正常範囲内にあるかどうかを判定することを含み得る。
【0104】
1つの実施形態において、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスが提供され、該デバイスは、PPGセンサーと、PPGセンサーに結合され、デバイスのチューニングのためにPPGセンサーを使用してPPG信号を収集する信号収集ユニットと、信号収集ユニットに結合され、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定するプロセッサとを備え、プロセッサは、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得ない場合、チューニングを中止するように構成され、収集されたPPG信号が、装着者がヒト又は動物であることに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号における少なくとも1つのパルスに基づいて少なくとも1つの心周期に関する情報を判定することを含む。
【0105】
少なくとも1つの心周期に関する情報は、立ち上がり時間、立ち下がり時間、重複切痕に関する時間情報、拡張期ピークに関する時間情報、及びPPG信号における少なくとも1つのパルスの形状又はPPG信号における少なくとも1つのパルスの1つ以上の部分の形状(複数の場合もある)に関する情報からなる群のうちの1つ以上を含むことができる。
【0106】
プロセッサは、PPG信号におけるパルスの少なくとも1つの心周期に関する情報が所定の範囲内にないと判定された場合、PPG測定のためにPPGセンサーの光源の強度を増加させるように構成され得る。プロセッサは、光源の駆動電流が最大値に達したかどうかを判定し、達した場合にチューニングの不合格を判定するように構成され得る。信号収集ユニットは、光源の駆動電流が最大値に達していない場合、PPG信号を収集することを繰り返すように構成され得る。
【0107】
プロセッサは、PPG信号の振幅が第1の閾値よりも大きいかどうか、及び光源の駆動電流が最小値を上回るかどうかを判定し、両方の条件が満たされる場合に光源の強度を低減するように構成され得る。プロセッサは、光源の駆動電流が最小値に達したかどうかを判定し、達した場合にチューニングの不合格を判定するように構成され得る。信号収集ユニットは、光源の駆動電流が最小値に達していない場合、PPG信号を収集することを繰り返すように構成され得る。
【0108】
プロセッサは、PPG信号の振幅が第2の閾値以上であるかどうか、及び光源の駆動電流が最大値を下回るかどうかを判定し、両方の条件が満たされる場合に光源の強度を増加させるように構成され得る。プロセッサは、光源の駆動電流が最大値以上であるかどうかを判定し、PPG振幅が第3の閾値よりも小さいかどうかを判定し、該条件のうち少なくとも1つが満たされる場合にチューニングの不合格を判定するように構成され得る。信号収集ユニットは、両方の条件が満たされない場合にPPG信号を収集することを繰り返すように構成され得る。
【0109】
プロセッサは、PPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうかを判定し、少なくとも1つの心周期に関する情報の差が第5の閾値未満であるかどうかを判定するように構成され得て、信号収集ユニットは、該条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合にPPG信号を収集することを繰り返すように構成される。
【0110】
プロセッサは、PPG信号におけるパルスの複数の対において、パワースペクトル密度の相関が第4の閾値を上回るかどうか、少なくとも1つの心周期に関する情報の差が第5の閾値未満であるかどうか、及びHRの差が正常安静時心拍数に対して第6の閾値未満であるかどうかを判定するように構成され得て、信号収集ユニットは、3つの条件のうちの少なくとも1つが満たされない場合にデバイスを使用してPPG信号を収集することを繰り返すように構成される。
【0111】
プロセッサは、HRがヒト及び/又は動物の正常範囲内にあるかどうかを判定するように構成され得る。
【0112】
図21は、例示的な実施形態による、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスを制御する方法を示すフローチャート2100を示している。ステップ2102では、デバイスを使用してPPG信号が収集される。ステップ2104では、PPG信号を処理して、解析結果が取得される。ステップ2106では、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かが判定される。ステップ2108では、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得る場合、デバイスによる解析結果の表示が無効にされ、及び/又はデバイスの光源をオフにする。
【0113】
収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定することは、PPGデータのそれぞれの時間ウィンドウから1つ以上の特徴を抽出することを含み得る。
【0114】
収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号のDC成分の平均及び分散と、PPG信号のAC成分の分散と、AC成分の振幅が飽和した回数と、AC成分の振幅がゼロである回数とを判定することを含み得る。本方法は、DC成分の平均が第1の範囲内にあるかどうかを判定することと、DC成分の分散が第2の範囲内にあるかどうかを判定することと、AC成分の分散が第3の範囲内にあるかどうかを判定することと、AC成分の振幅が飽和した回数とAC成分の振幅がゼロである回数との和が第1の閾値よりも小さいかどうかを判定することと、該条件のうちのいずれか1つが満たされない場合、リストオフを判定することとを含み得る。
【0115】
収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定することは、PPG信号の信号対雑音比を計算することを含み得る。
【0116】
PPG信号の信号対雑音比は、周波数領域において決定され得る。
【0117】
PPG信号の信号対雑音比は、信号範囲及び雑音範囲におけるPPG信号の二乗平均平方根に基づいてそれぞれ決定され得る。本方法は、信号範囲内の二乗平均平方根が第2の閾値以下であり、及び/又は雑音範囲内の二乗平均平方根が第3の閾値以上である場合に、デバイスが装着されていないと判定することを含み得る。
【0118】
本方法は、計算された信号対雑音比が第4の閾値以下である場合、デバイスが装着されていないと判定することを含み得る。
【0119】
1つの実施形態において、装着者の生理的データを収集するウェアラブルデバイスが提供され、該デバイスは、PPG信号を収集する信号収集ユニットと、信号収集ユニットに結合され、PPG信号を処理して解析結果を取得するプロセッサとを備え、プロセッサは、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定し、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得る場合、解析結果の表示を無効にし、及び/又はデバイスの光源をオフにするように構成される。
【0120】
プロセッサは、PPGデータのそれぞれの時間ウィンドウから1つ以上の特徴を抽出することに基づいて、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するように構成され得る。
【0121】
プロセッサは、PPG信号のDC成分の平均及び分散と、PPG信号のAC成分の分散と、AC成分の振幅が飽和した回数と、AC成分の振幅がゼロである回数とを判定することに基づいて、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するように構成され得る。プロセッサは、DC成分の平均が第1の範囲内にあるかどうかを判定し、DC成分の分散が第2の範囲内にあるかどうかを判定し、AC成分の分散が第3の範囲内にあるかどうかを判定し、AC成分の振幅が飽和した回数とAC成分の振幅がゼロである回数との和が第1の閾値よりも小さいかどうかを判定し、該条件のうちのいずれか1つが満たされない場合、リストオフを判定するように構成され得る。
【0122】
プロセッサは、PPG信号の信号対雑音比を計算することに基づいて、収集されたPPG信号が、デバイスが装着者によって装着されていないことに起因し得るか否かを判定するように構成され得る。
【0123】
PPG信号の信号対雑音比は、周波数領域において決定され得る。
【0124】
PPG信号の信号対雑音比は、信号範囲及び雑音範囲におけるPPG信号の二乗平均平方根に基づいてそれぞれ決定され得る。プロセッサは、信号範囲内の二乗平均平方根が第2の閾値以下であり、及び/又は雑音範囲内の二乗平均平方根が第3の閾値以上である場合に、デバイスが装着されていないと判定するように構成され得る。
【0125】
プロセッサは、計算された信号対雑音比が第4の閾値以下である場合、デバイスが装着されていないと判定するように構成され得る。
【0126】
1つの実施形態において、コンピューティングデバイスによって実行されると、例示的な実施形態のうちの1つによる方法を実行するようにデバイスに命令する命令を含むコンピューター可読媒体が提供される。
【0127】
本明細書で開示される様々な機能又はプロセスは、それらの挙動、レジスタ転送、論理構成要素、トランジスタ、レイアウトジオメトリー、及び/又は他の特性に関して、様々なコンピューター可読媒体において具現化されるデータ及び/又は命令として説明され得る。かかるフォーマットされたデータ及び/又は命令が具現化され得るコンピューター可読媒体は、限定はしないが、様々な形態の不揮発性記憶媒体(例えば、光記憶媒体、磁気記憶媒体、又は半導体記憶媒体)と、ワイヤレス、光、若しくはワイヤードシグナリング媒体又はそれらの任意の組み合わせを通してかかるフォーマットされたデータ及び/又は命令を転送するために使用され得る搬送波とを含む。かかる搬送波によりフォーマットされたデータ及び/又は命令の転送の例として、限定はしないが、1つ以上のデータ転送プロトコル(例えば、HTTP、FTP、SMTP等)を介したインターネット及び/又は他のコンピューターネットワーク上での転送(アップロード、ダウンロード、電子メール等)が挙げられる。1つ以上のコンピューター可読媒体を介してコンピューターシステム内で受信されたとき、説明されたシステム下の構成要素及び/又はプロセスのかかるデータ及び/又は命令ベースの表現は、1つ以上の他のコンピュータープログラムの実行とともにコンピューターシステム内の処理エンティティ(例えば、1つ以上のプロセッサ)によって処理され得る。
【0128】
本明細書で説明されるシステム及び方法の態様は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルアレイロジック(PAL)デバイス、電気的プログラマブルロジック及びメモリデバイス、並びに標準的なセルベースのデバイス等のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、並びに特定用途向け集積回路(ASIC)を含む、様々な回路のいずれかにプログラムされた機能として実装され得る。システムの態様を実装するいくつかの他の可能性としては、メモリ(電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)等)を有するマイクロコントローラー、組み込みマイクロプロセッサ、ファームウェア、ソフトウェア等が挙げられる。さらに、システムの態様は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、離散論理(順次及び組み合わせ)、カスタムデバイス、ファジー(ニューラル)論理、量子デバイス、及び上記のデバイスタイプのいずれかのハイブリッドを有するマイクロプロセッサにおいて具現化され得る。当然ながら、基礎となるデバイス技術は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のような金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッター結合ロジック(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマー及び金属共役ポリマー-金属構造)、アナログとデジタルの混合等、様々な構成要素タイプで提供され得る。
【0129】
システム及び方法の例示された実施形態の上記の説明は、網羅的であること、又はシステム及び方法を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。システム構成要素及び方法の特定の実施形態及び例が、例示の目的で本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、システム、構成要素、及び方法の範囲内で様々な同等の修正が可能である。本明細書で提供されるシステム及び方法の教示は、上述のシステム及び方法だけでなく、他の処理システム及び方法にも適用することができる。
【0130】
当業者には、包括的に記載されている本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示されている本発明に対して数多くの変形及び/又は変更を行うことができることが理解される。したがって、本実施形態は、全ての観点において例示的であり限定的ではないと見なされる。また、本発明は、特徴又は特徴の組合せが特許請求の範囲又は本実施形態に明示的に記載されていなくても、任意の特徴の組合せ、特に、特許請求の範囲における任意の特徴の組合せを含む。
【0131】
上記の詳細な説明に照らして、システム及び方法に変更を加えることができる。
【0132】
一般的に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、システム及び方法を本明細書及び概要に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、概要の下で動作する全ての処理システムを含むと解釈されるべきである。したがって、システム及び方法は、本明細書で説明される例示的な実施形態における開示によって限定されない。
【0133】
文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise、comprising)」等の語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち、「含むが、これに限定されない(including, but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。単数又は複数を使用する単語は、それぞれ複数又は単数も含む。加えて、「本明細書では(herein)」、「以下では(hereunder)」、「上記では(above)」、「以下では(below)」という単語、及び同様の意味の単語は、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指さない。「又は」という単語が2つ以上の項目のリストを参照して使用されるとき、その単語は、その単語の解釈の全て、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目の全て、及びリスト内の項目の任意の組み合わせを包含する。
【国際調査報告】