(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶
(51)【国際特許分類】
F17C 5/02 20060101AFI20231227BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20231227BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F17C5/02 Z
B63B25/16 P
B63B25/16 101Z
F17C13/00 302E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536877
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 KR2021019162
(87)【国際公開番号】W WO2022131812
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178480
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 サン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】ノー、 ミュン-ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 キュ-シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ウン-ス
(72)【発明者】
【氏名】イ、 シ-イク
(72)【発明者】
【氏名】チャ、 イン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 ヒ-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、 ミン―クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、 ドゥグ―キ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB03
3E172BB12
3E172BD01
3E172CA08
3E172CA35
3E172DA90
3E172EA03
3E172EB03
3E172KA02
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクは、液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材及び上記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、上記液化ガスの流動をガイドするインナーフレームユニットを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材;及び
前記タンク本体部材の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、前記液化ガスの流動をガイドするインナーフレームユニット;を含む、液化ガス貯蔵タンク。
【請求項2】
前記インナーフレームユニットは、
前記タンク本体部材の内周方向に連続して備えられるリング支持部材;及び
前記リング支持部材に結合され、曲面を含む形態で備えられ、前記液化ガスが前記曲面部分を伝って流動流入方向に戻されるように誘導する分割誘導部材;を含む、請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項3】
前記分割誘導部材は、前記リング支持部材に一端部が結合され、前記タンク本体部材の短辺側壁部の方向に向かってベンディングした形態で他端部が備えられた、請求項2に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項4】
前記分割誘導部材は、前記タンク本体部材の内周方向を伝って複数個備えられ、曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材の曲面形成の方向とは反対に形成された、請求項2に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項5】
前記分割誘導部材は、前記タンク本体部材の内周方向を伝って複数個備えられ、曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材の曲面形成の方向と同じ方向に形成された、請求項2に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項6】
前記リング支持部材は、断面が「T」字状に形成された、請求項2に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項7】
前記タンク本体部材の内部と外部を連結する流入管部が備えられ、前記流入管部を介して前記タンク本体部材の内部に貯蔵された前記液化ガスを吸引して外部に伝達するポンプユニット;をさらに含み、
前記インナーフレームユニットは、
前記タンク本体部材の底部に配置され、前記流入管部の端部が前記液化ガスに浸漬されるように、前記液化ガスが収容される凹部が形成された残水収容部材;及び
前記残水収容部材の上端部に結合される上端誘導部材;を含む、請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項8】
前記上端誘導部材は、曲面を含む形態で備えられ、前記液化ガスが前記曲面部分を伝って流動流入方向に戻されるように誘導する、請求項7に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項9】
前記残水収容部材は、上端部に前記液化ガスが移動する残水流動孔が形成された、請求項7に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項10】
前記インナーフレームユニットは、
少なくとも前記タンク本体部材の底部に備えられ、断面が「T」字状に形成された底支持部材;及び
前記底支持部材の上端の水平部分に結合され、一端部は前記底支持部材の水平部分の一側端部に結合され、他端部は前記タンク本体部材の底部に結合され、前記液化ガスが前記底支持部材を伝って移動するように誘導する傾斜誘導部材;を含む、請求項1に記載の液化ガス貯蔵タンク。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の液化ガス貯蔵タンク;及び
前記液化ガス貯蔵タンクが設けられ、駆動力を提供するエンジン部を含む船体;を含む、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に自動車、船舶などの輸送燃料及び国内/外で用いられる各種燃料などとして用いられる石油資源は徐々に枯渇しており、油価上昇及び厳しくなる環境規制などに応じて代替エネルギーとして液化ガスの使用量が増加している。
【0003】
一例として、液化ガスは、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas;LNG)または液化プロパンガス(Liquefied Propane Gas:LPG)などを含む。このような液化ガスは、気体状態よりも体積が大きく減って(例えば、LNGの場合、液化時の体積は1/600に減り、LPGの場合、液化時に1/250にまで大きく減ることがある)液化された状態での貯蔵及び輸送には便利であるが、温度を沸点(LNGの場合は約-162℃、LPGの場合は約-50℃)以下に維持しなければならないという困難がある。
【0004】
このような液化ガスを貯蔵するためには、液化ガスを沸点以下に維持させる極低温液化ガス貯蔵タンクが必要である。
【0005】
ところで、上記液化ガス貯蔵タンクは、船舶などの輸送機関の液化燃料を貯蔵する構造物であり、内部に液体が貯蔵されているため、必然的に船舶のような浮遊式構造物又は陸上輸送機関の移動によって液化ガス貯蔵タンクが常に水面または地面に対して水平を維持することができなくなり、これによって液体燃料の流動が発生する。
【0006】
このような液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生し、このような持続的な衝突には液化ガス貯蔵タンクの損傷を発生させるという問題がある。
【0007】
そのため、従来には液化ガス貯蔵タンクの内部に除水隔壁(swash bulk head wall)を設け、液化ガスの揺動による液化ガス貯蔵タンクの損傷を防止した。
【0008】
しかし、このような除水隔壁は、液化ガス貯蔵タンクの中間の隔壁形態で備えられ、高重量の部材として、液化ガス貯蔵タンクの内部に施工し難く、製作費用が増加するという問題があった。
【0009】
したがって、上述の問題を解決や改善するために、液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶に対する研究が必要となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止する液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶を提供することを目的とする。
【0011】
他の側面で、本発明は、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止し、液化ガス貯蔵タンクを支持することができる液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクは、液化ガスが貯蔵されるタンク本体部材及び上記タンク本体部材の内部に備えられて、除水隔壁を代替し、上記液化ガスの流動をガイドするインナーフレームユニットを含むことができる。
【0013】
具体的には、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記インナーフレームユニットは、上記タンク本体部材の内周方向に連続して備えられるリング支持部材及び上記リング支持部材に結合され、曲面を含む形態で備えられ、上記液状ガスが上記曲面部分を伝って流動流入方向に戻されるように誘導する分割誘導部材を含むことができる。
【0014】
ここで、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記分割誘導部材は、上記リング支持部材に一端部が結合され、上記タンク本体部材の短辺側壁部の方向に向かってベンディングした形態で他端部が備えられることができる。
【0015】
そして、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記分割誘導部材は、上記タンク本体部材の内周方向を伝って複数個備えられ、曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材の曲面形成の方向とは反対に形成されることができる。
【0016】
あるいは、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記分割誘導部材は、上記タンク本体部材の内周方向を伝って複数個備えられ、曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材の曲面形成の方向と同じ方向に形成されることができる。
【0017】
ここで、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記リング支持部材は、断面が「T」字状に形成されることができる。
【0018】
また、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記タンク本体部材の内部と外部を連結する流入管部が備えられ、上記流入管部を介して上記タンク本体部材の内部に貯蔵された上記液化ガスを吸引して外部に伝達するポンプユニットをさらに含み、上記インナーフレームユニットは、上記タンク本体部材の底部に配置され、上記流入管部の端部が上記液化ガスに浸漬されるように、上記液化ガスが収容される凹部が形成された残水収容部材及び上記残水収容部材の上端部に結合される上端誘導部材を含むことができる。
【0019】
ここで、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記上端誘導部材は、曲面を含む形態で備えられ、上記液化ガスが上記曲面部分を伝って流動流入方向に戻されるように誘導することができる。
【0020】
そして、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記残水収容部材は、上端部に上記液化ガスが移動する残水流動孔が形成されることができる。
【0021】
また、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンクの上記インナーフレームユニットは、少なくとも上記タンク本体部材の底部に備えられ、断面が「T」字状に形成された底支持部材及び上記底支持部材の上端の水平部分に結合され、一端部は上記底支持部材の水平部分の一側端部に結合され、他端部は上記タンク本体部材の底部に結合され、上記液化ガスが上記底支持部材を伝って移動するように誘導する傾斜誘導部材を含むことができる。
【0022】
本発明の他の実施例に係る船舶は、上記液化ガス貯蔵タンク及び上記液化ガス貯蔵タンクが設けられ、駆動力を提供するエンジン部を含む船体を含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶は、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止することができる利点がある。
【0024】
他の側面で、本発明の液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶は、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンクの内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止し、液化ガス貯蔵タンクを支持することができる利点がある。
【0025】
これにより、液化ガス貯蔵タンクの製作を容易にし、製作費用を節減しながらも液化ガス貯蔵タンクの損傷を防止することができる効果がある。
【0026】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいてリング支持部材及び分割誘導部材を含み、互いに隣接する分割誘導部材の曲面形成の方向が互いに異なって形成された実施例を示した側面図である。
【
図2】
図1のリング支持部材及び分割誘導部材を示し、互いに隣接する分割誘導部材の曲面形成の方向が互いに異なって形成された実施例を示した斜視図である。
【
図3】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいてリング支持部材及び分割誘導部材を含み、互いに隣接する分割誘導部材の曲面形成の方向が同様に形成された実施例を示した側面図である。
【
図4】
図3のリング支持部材及び分割誘導部材を示し、互いに隣接する分割誘導部材の曲面形成の方向が同様に形成された実施例を示した斜視図である。
【
図5】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて残水収容部材及び上端誘導部材を含む実施例を示した正面図である。
【
図6】本発明の液化ガス貯蔵タンクにおいて底支持部材及び傾斜誘導部材を含む実施例を示した正面図である。
【
図7】本発明の液化ガス貯蔵タンク及びこれを含む船舶を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0029】
また、本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含み、明細書全体にわたって同一参照符号または類似する方式で付与された参照符号は、同一構成要素または対応する構成要素を示すものとする。
【0030】
本発明は、液化ガス貯蔵タンク1及びこれを含む船舶に関するものであり、タンク本体部材10の内部に除水隔壁(swash bulk head wall)を代替するインナーフレームユニット20が備えられ、このようなインナーフレームユニット20が液化ガスの流動をガイドすることで、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンク1の内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止することができる。
【0031】
他の側面で、本発明の液化ガス貯蔵タンク1及びこれを含む船舶は、インナーフレームユニット20を備えることによって従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの流動発生により液化ガス貯蔵タンク1の内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止し、液化ガス貯蔵タンク1を支持することができる。
【0032】
これにより、液化ガス貯蔵タンク1の製作を容易にし、製作費用を節減しながらも液化ガス貯蔵タンク1の損傷を防止することができる。
【0033】
具体的には、本発明の液化ガス貯蔵タンク1は、タンク本体部材10、インナーフレームユニット20を含むことができる。
【0034】
図1及び
図3は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1においてリング支持部材21及び分割誘導部材22を含む実施例を示した側面図であって、
図1は、分割誘導部材22の曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材22の曲面形成の方向とは反対に形成された実施例を示したものであり、
図3は、同じ方向に形成された実施例を示したものである。
【0035】
そして、
図2及び
図4は、それぞれ
図1または
図3のリング支持部材及び分割誘導部材を示した斜視図である。
【0036】
本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1のタンク本体部材10は、液化ガスが貯蔵されることができる。
【0037】
そして、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1のインナーフレームユニット20は、タンク本体部材10の内部に備えられ、除水隔壁を代替し、上記液化ガスの流動をガイドすることができる。
【0038】
すなわち、インナーフレームユニット20が従来の除水隔壁に代替してタンク本体部材10の内部に備えられ、液化ガスの流動をガイドする役割を果たすものである。
【0039】
これにより、液化ガスがタンク本体部材10の内部の一側に衝撃を加える問題を改善することができ、高重量の除水隔壁を備えないため、液化ガス貯蔵タンク1の製作を容易にして製作費用を節減させることができる。
【0040】
具体的には、インナーフレームユニット20は、一実施例として、リング支持部材21、分割誘導部材22を含むことができる。
【0041】
ここで、リング支持部材21は、タンク本体部材10の内周方向に連続して備えられることができる。そして、分割誘導部材22はリング支持部材21に結合され、曲面を含む形態で備えられ、液化ガスが曲面部分を伝って流動流入方向Dに戻されるように誘導することができる。
【0042】
すなわち、リング支持部材21はタンク本体部材10を支持する役割を果たし、これにより従来の除水隔壁を除去し、本発明のインナーフレームユニット20に代替されてもタンク本体部材10を支持することができるようになる。このようなリング支持部材21の支持機能は、リング支持部材21がタンク本体部材10の内周方向に連続したリング形態に備えられることによって、さらに強固に支持することができる。
【0043】
このようなリング支持部材21は、断面の形態を限定して、さらに支持力を高めることができる。すなわち、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1のリング支持部材21は、断面が「T」字状に形成されることができる。
【0044】
本発明の分割誘導部材22は、液化ガスがタンク本体部材10の一側から他側に突然移動してタンク本体部材10に衝撃を加える問題を改善する役割を果たす。このために、分割誘導部材22は曲面を含む形態で形成され、これにより液化ガスが分割誘導部材22の曲面部分を伝って流動されるようにガイドするようになる。また、これにより、液化ガスは分割誘導部材22に伝達された流動流入方向Dに戻されるように誘導される。
【0045】
したがって、液化ガスがタンク本体部材10の一側から他側に突然偏る問題を改善し、液化ガスがタンク本体部材10に衝撃を加える問題を改善することができる。
【0046】
具体的には、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の分割誘導部材22は、リング支持部材21に一端部が結合され、タンク本体部材10の短辺側壁部10bの方向に向かってベンディングした形態で他端部が備えられることができる。ここで、短辺側壁部10bは、タンク本体部材10のトップビューにおいて比較的長さが短い上記タンク本体部材10の側壁部を意味する。また、長辺側壁部10cは、タンク本体部材10のトップビューにおいて比較的長さが長い上記タンク本体部材10の側壁部を意味する。
【0047】
すなわち、分割誘導部材22は、タンク本体部材10の両側の短辺側壁部10bのいずれかに向かってベンディングした形態で形成されることができる。これにより、一側の短辺側壁部10bに貯蔵された液化ガスが他側の短辺側壁部10bの方向に突然移動する流動が発生した場合に、液化ガスは分割誘導部材22の曲面を伝って流動して元の位置である一側の短辺側壁部10bの方向に戻される。これにより、液化ガスが他側の短辺側壁部10bに衝撃を加える問題を防止することができる。
【0048】
また、一例として、このような分割誘導部材22は、隣接する他の分割誘導部材22とは反対方向にベンディングした曲面形態で形成されることができる。
【0049】
すなわち、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の分割誘導部材22は、タンク本体部材10の内周方向を伝って複数個備えられ、曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材22の曲面形成の方向とは反対に形成されることができる。
【0050】
これによると、分割誘導部材22によって両側方向のいずれかの方向から突然伝達される液化ガスによる衝撃問題を防止することができる。
【0051】
一例として、一部の分割誘導部材22は一側の短辺側壁部10bに向かって曲面を形成し、これと隣接する残りの一部の分割誘導部材22は他側の短辺側壁部10bに向かって曲面を形成することができる。これによると、一部の分割誘導部材22は、一側の短辺側壁部10bから突然伝達される液化ガスの一部を一側の短辺側壁部10bに再度戻すように誘導し、これと隣接する残りの一部の分割誘導部材22は、他側の短辺側壁部10bから突然伝達される液化ガスの一部を他側の短辺側壁部10bに再度戻すように誘導することができる。
【0052】
または一例として、複数の分割誘導部材22は、全て同じ方向にベンディングした曲面形態で形成されることができる。
【0053】
すなわち、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の分割誘導部材22は、タンク本体部材10の内周方向を伝って複数個備えられ、曲面形成の方向が隣接する他の分割誘導部材22の曲面形成の方向と同じ方向に形成されることができる。
【0054】
これによると、分割誘導部材22によって一側方向から突然伝達される液化ガスによる衝撃問題を防止することができる。
【0055】
一例として、複数の分割誘導部材22が一側の短辺側壁部10bに向かって曲面を形成すると、一側の短辺側壁部10bから突然伝達される液化ガスを一側の短辺側壁部10bに再度戻すように誘導することができる。
【0056】
このような分割誘導部材22の実施例は、上述した隣接する他の分割誘導部材22とは反対方向にベンディングするように形成された分割誘導部材22の実施例に比べて、一側の短辺側壁部10bから伝達されるさらに多くの流量の液化ガスを戻すように誘導することができる。
【0057】
図5は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において残水収容部材23及び上端誘導部材24を含む実施例を示した正面図である。
図5を参照すると、本発明の液化ガス貯蔵タンク1はポンプユニット30をさらに含むことができる。また、本発明のインナーフレームユニット20は、残水収容部材23及び上端誘導部材24を含むことができる。
【0058】
ここで、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1のポンプユニット30には、タンク本体部材10の内部と外部を連結する流入管部31が備えられることができる。そして、ポンプユニット30は、流入管部31を介してタンク本体部材10の内部に貯蔵された液化ガスを吸引して外部に伝達することができる。
【0059】
本発明の残水収容部材23は、タンク本体部材10の底部10aに配置され、流入管部31の端部が液化ガスに浸漬されるように、液化ガスが収容される凹部23aが形成されることができる。
【0060】
そして、本発明の上端誘導部材24は、残水収容部材23の上端部に結合されることができる。さらに、本発明の上端誘導部材24は、曲面を含む形態で備えられ、液化ガスが曲面部分を伝って流動流入方向Dに戻されるように誘導することができる。
【0061】
タンク本体部材10に貯蔵された一部の液化ガスは、ポンプユニット30の流入管部31を介して外部に伝達され、残りの液化ガスはタンク本体部材10の底部10aに残留するようになる。さらに、タンク本体部材10の底部10aよりもさらに位置が低い残水収容部材23の凹部23aに残留液化ガスが収束することにより、残留する液化ガスが少なくても流入管部31の端部が液化ガスに浸漬されるようになる。
【0062】
そして、上記液化ガスが残水収容部材23の凹部23aに収束するために、残水収容部材23には残水流動孔23bが形成されることができる。
【0063】
すなわち、本発明の一実施例に係る液化ガス貯蔵タンク1の残水収容部材23は、上端部に液化ガスが移動する残水流動孔23bが形成されることができる。
【0064】
これにより、タンク本体部材10の底部10aに隣接して位置する液化ガスは、残水流動孔23bを介して残水収容部材23の凹部23aに移動することができる。
【0065】
本発明の上端誘導部材24は、船舶などの輸送機関の傾きによって突然流動する液化ガスを元の位置に戻す役割を果たす。
【0066】
具体的には、本発明の上端誘導部材24は、ベンディングした形態の曲面部分を含むことができる。そして、上端誘導部材24の曲面部分に液化ガスが突然流動して伝達されると、液化ガスは上端誘導部材24の曲面部分を伝って移動するようになる。
【0067】
したがって、液化ガスは、上端誘導部材24の曲面部分が向かう方向に流動が誘導される。一例として、上端誘導部材24の曲面部分は、両側の短辺側壁部10bのいずれかに向かってベンディングした形態で形成されることができ、これにより一側の短辺側壁部10bに貯蔵された液化ガスが他側の短辺側壁部10bの方向に突然移動する流動が発生する場合に、液化ガスは上端誘導部材24の曲面を伝って流動して元の位置である一側の短辺側壁部10bの方向に戻される。これにより、液化ガスが他側の短辺側壁部10bに衝撃を加える問題を防止することができる。
【0068】
図6は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1において底支持部材26及び傾斜誘導部材25を含む実施例を示した正面図である。
図6を参照すると、本発明の液化ガス貯蔵タンク1のインナーフレームユニット20は、底支持部材26、傾斜誘導部材25を含むことができる。
【0069】
ここで、底支持部材26は、少なくともタンク本体部材10の底部10aに備えられ、断面が「T」字状に形成されることができる。傾斜誘導部材25は底支持部材26の上端の水平部分に結合され、一端部は底支持部材26の水平部分の一側端部に結合され、他端部はタンク本体部材10の底部10aに結合されて、液化ガスが底支持部材26を伝って移動するように誘導することができる。
【0070】
すなわち、底支持部材26はタンク本体部材10を支持する役割を果たし、これにより従来の除水隔壁を除去し、本発明のインナーフレームユニット20に代替されてもタンク本体部材10を支持することができる。このような底支持部材26は、タンク本体部材10の底部10aにのみ備えられることもでき、またはタンク本体部材10の内周方向に連続したリング形態で備えられることもできる。
【0071】
このような底支持部材26は、断面の形態を「T」字状に限定して、さらに支持力を高めることができる。
【0072】
そして、傾斜誘導部材25は、タンク本体部材10の一側の液化ガスが突然タンク本体部材10の他側方向に流動される場合に、液化ガスが底支持部材26によって流動経路が遮断されて底支持部材26の周辺で凝集された後に、凝集されて増加された流量で底支持部材26を克服し、タンク本体部材10の他側に突然移動して、さらに大きい衝撃をタンク本体部材10の他側に加える問題を改善することができる。
【0073】
すなわち、タンク本体部材10の内部に少量の液化ガスが残留しても、液化ガスは少なくともタンク本体部材10の底部10aに位置するが、このとき底部10aに位置した液化ガスは、突然の流動時に底支持部材26によって凝集されることができ、このような液化ガスの凝集によってタンク本体部材10に増幅された衝撃を加える問題を傾斜誘導部材25によって改善することができる。
【0074】
換言すると、傾斜誘導部材25は、流動する液化ガスが底支持部材26の「T」字部分に凝集しないように、底支持部材26の上端の水平部分とタンク本体部材10の底部10aを傾斜した形態で連結するものである。これにより、液化ガスは傾斜誘導部材25を伝ってタンク本体部材10の一側から他側に移動することができるため、底支持部材26の周辺で凝集される問題を防止することができる。
【0075】
一方、このような傾斜誘導部材25は、タンク本体部材10の底部10aの周辺にのみ位置するだけであって、タンク本体部材10の長辺側壁部10cなどの側壁部の周辺には位置しない。これは、長辺側壁部10cの周辺まで液化ガスが貯蔵された場合であれば、液化ガスの凝集を考慮する必要もなく、液化ガスの流量が比較的多いためである。すなわち、タンク本体部材10の長辺側壁部10cの周辺まで液化ガスが貯蔵された場合であれば、液化ガスの突然の流動による衝撃を防止するように液化ガスの流動を阻止する必要があるだけで、凝集を考慮する事項ではない。
【0076】
図7は、本発明の液化ガス貯蔵タンク1及びこれを含む船舶を示した側面図である。
図7を参照すると、本発明の船舶は液化ガス貯蔵タンク1、船体2を含むことができる。
【0077】
ここで、液化ガス貯蔵タンク1は、上述した液化ガス貯蔵タンク1の説明に代える。
【0078】
そして、船体2は、液化ガス貯蔵タンク1が設けられ、駆動力を提供するエンジン部2aを含むことができる。
【0079】
すなわち、本発明の船舶が上述した液化ガス貯蔵タンク1を含むことにより、従来の除水隔壁を使用せずにも、液化ガスの突然の流動発生によって液化ガス貯蔵タンク1の内部壁部と流動する液化ガスの衝突が発生する問題を防止することができる。
【0080】
このように本発明の船舶は、従来の除水隔壁を使用しなくても、液化ガス貯蔵タンク1の製作を容易にし、製作費用を節減しながらも液化ガス貯蔵タンク1の損傷を防止することができる。
【0081】
また、液化ガス貯蔵タンク1を軽量化することができるため、船舶の運用効率を高めることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0083】
1 液化ガス貯蔵タンク
2 船体
10 タンク本体部材
20 インナーフレームユニット
21 リング支持部材
22 分割誘導部材
23 残水収容部材
24 上端誘導部材
25 傾斜誘導部材
26 底支持部材
30 ポンプユニット
31 流入管部
【国際調査報告】