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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】OCTによる流量測定
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20231227BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20231227BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20231227BHJP
   A61B 8/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61B1/045 618
A61B1/313 510
A61B1/00 526
A61B1/00 530
A61B8/12
A61B8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537059
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021064011
(87)【国際公開番号】W WO2022133200
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,615
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ブレイバー,ジャスティン,アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナス,アジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チウ,ウェイ
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161CC07
4C161FF46
4C161MM10
4C601DD03
4C601DE06
4C601DE11
4C601EE11
4C601EE16
4C601FE01
4C601FE04
4C601JC06
4C601JC11
(57)【要約】
本開示は、血管内撮像プローブが静止して保持されている間にボーラスを血管に通過させることによって、血管内のボーラスの平均通過時間を決定するシステム及び方法を提供する。プローブは、ボーラスがプローブを通過する際に複数の画像フレームを収集することができる。画像フレーム内のボーラスの断面積は、閾値処理によって各画像フレームをセグメント化し、血管マスクを作成し、要素ごとのAND演算子を閾値処理された画像及び血管マスクに適用してコントラストマスクを作成することによって決定され得る。画像フレームのボーラスの断面積は、面積希釈曲線上にプロットされ得る。種々のフィットが面積希釈曲線に適用されていてもよく、種々の点が面積希釈曲線上で特定されていてもよい。種々のフィット及び点を使用して、平均通過時間を決定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管についての血管内撮像データをメモリデバイスに記憶するステップであって、前記血管内撮像データは、前記血管内のある位置において血管内撮像プローブに結合された1つ以上のプロセッサによって収集された複数の画像フレームを含むものである、ステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記血管内撮像データに基づいて、前記血管内のボーラスの平均通過時間を決定するステップと
を含んでなる、血管内のボーラスの平均通過時間を決定する方法。
【請求項2】
前記決定された平均通過時間に基づいて、前記1つ以上のプロセッサによって、冠血流予備能(CFR)値又は微小循環抵抗指数(IMR)値のうちの少なくとも一方を決定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血管内撮像データは、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、血管内超音波撮像データ、マイクロOCT撮像データ、又は近赤外分光撮像データである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の画像フレームのそれぞれは、前記血管内へと注入されたボーラスの一部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数の画像フレームのそれぞれにおける前記ボーラスの前記一部分の断面積を決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数の画像フレームのそれぞれにおける前記ボーラスの前記一部分の前記決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成するステップと
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記血管内の血液の前記平均通過時間を決定することは、前記分布曲線に更に基づくものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平均通過時間を決定することは、前記1つ以上のプロセッサによって、前記分布曲線を積分することを更に含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記ボーラスの前記一部分の前記断面積を決定するステップは、
前記1つ以上のプロセッサによって、閾値処理によって前記複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の画像フレームのそれぞれについて血管マスクを決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数のセグメント化された画像フレームのそれぞれと、前記複数の画像フレームのそれぞれについての前記血管マスクとに基づいて、コントラストマスクを決定することと
を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の画像フレームのそれぞれについての前記コントラストマスクのピクセル面積が、前記ボーラスの前記一部分の前記断面積に対応している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
閾値処理によって前記複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することは、
前記1つ以上のプロセッサによって、ガウス混合モデルを計算することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記1つ以上の画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、大津の閾値処理を適用することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
血管内撮像プローブと、
前記血管内撮像プローブと通信する1つ以上のプロセッサと
を備えてなるシステムであって、
前記1つ以上のプロセッサは、
血管内のある位置における複数の血管内画像フレームを収集し、
前記複数の血管内画像フレームに基づいて、前記血管内のボーラスの平均通過時間を決定する
ように構成されている、システム。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサは、前記決定された平均通過時間に基づいて、冠血流予備能(CFR)値又は微小循環抵抗指数(IMR)値のうちの少なくとも一方を決定するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記血管内撮像プローブのデータは、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、血管内超音波撮像データ、マイクロOCT撮像データ、又は近赤外分光撮像データである、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれは、前記血管内へと注入されたボーラスの一部分を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれにおける前記ボーラスの前記一部分の断面積を決定し、
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれにおける前記ボーラスの前記一部分の前記決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成する
ように更に構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記血管内の血液の前記平均通過時間を決定することは、前記分布曲線に更に基づくものである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記平均通過時間を決定するとき、前記1つ以上のプロセッサは、前記分布曲線を積分するように更に構成されている、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ボーラスの前記一部分の前記断面積を決定するとき、前記1つ以上のプロセッサは、
閾値処理によって前記複数の血管内画像フレームのそれぞれをセグメント化し、
管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の血管内画像フレームのそれぞれについて血管マスクを決定し、
前記複数のセグメント化された血管内画像フレームのそれぞれと、前記複数の血管内画像フレームのそれぞれについての前記血管マスクとに基づいて、コントラストマスクを決定する
ように構成されている、請求項15~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれについての前記コントラストマスクのピクセル面積が、前記ボーラスの前記一部分の前記断面積に対応している、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
閾値処理によって前記複数の血管内画像フレームのそれぞれをセグメント化するとき、前記1つ以上のプロセッサは、
ガウス混合モデルを計算することと、
前記1つ以上の血管内画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、
大津の閾値処理を適用することと
のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項18又は19に記載のシステム。
【請求項21】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
血管内撮像プローブから、血管内の位置における複数の血管内画像フレームを受信させ、
前記血管内画像フレームに基づいて、前記血管内のボーラスの平均通過時間を決定させる
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記1つ以上のプロセッサは、前記決定された平均通過時間に基づいて、冠血流予備能(CFR)値又は微小循環抵抗指数(IMR)値のうちの少なくとも一方を決定するように更に構成されている、請求項21に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記血管内撮像プローブのデータは、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、血管内超音波撮像データ、マイクロOCT撮像データ、又は近赤外分光撮像データである、請求項21又は22に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれは、前記血管内に注入されたボーラスの一部分を含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記1つ以上のプロセッサは、
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれにおける前記ボーラスの前記一部分の断面積を決定し、
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれにおける前記ボーラスの前記一部分の前記決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成する
ように更に構成されている、請求項24に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記血管内の血液の前記平均通過時間を決定することは、前記分布曲線に更に基づくものである、請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記平均通過時間を決定するとき、前記1つ以上のプロセッサは、前記分布曲線を積分するように更に構成されている、請求項25又は26に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記ボーラスの前記一部分の前記断面積を決定するとき、前記1つ以上のプロセッサは、
閾値処理によって前記複数の血管内画像フレームのそれぞれをセグメント化し、
管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の血管内画像フレームのそれぞれについて血管マスクを決定し、
前記複数のセグメント化された血管内画像フレームのそれぞれと、前記複数の血管内画像フレームのそれぞれについての前記血管マスクとに基づいて、コントラストマスクを決定する
ように構成されている、請求項25~27のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記複数の血管内画像フレームのそれぞれについての前記コントラストマスクのピクセル面積が、前記ボーラスの前記一部分の前記断面積に対応している、請求項28に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
閾値処理によって前記複数の血管内画像フレームのそれぞれをセグメント化するとき、前記1つ以上のプロセッサは、
ガウス混合モデルを計算することと、
前記1つ以上の血管内画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、
大津の閾値処理を適用することと
のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項28又は29に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「Flow Measurement Through OCT」と題する2020年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/127,615号の出願日の利益を主張し、この米国仮特許出願の開示は、本明細書に引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0002】
患者の微小血管抵抗を特定するためには、1つ以上のデータ収集システムが必要となる場合がある。例えば、医師は、プレッシャーワイヤ、血管造影、血管内撮像等を使用して、データを収集し、微小血管の疾患を特定することができる。血管造影により、心臓全体内で何が起こっているかについての洞察を得ることができ、一方、プレッシャーワイヤにより、血管内の特定のデータ測定値を得ることができる。
【0003】
血管内の血液の流量に対応する平均通過時間は、冷却した生理食塩水のボーラス(bolus)を血管に通すことによって計算されている。ボーラスの温度は、ボーラスが、光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)カテーテル等の撮像カテーテルとは別に挿入されるプレッシャーワイヤ上の近位及び遠位の温度センサを通過する際に測定される。次に、ボーラスが温度センサを通過する際のボーラスの温度に基づいて熱希釈曲線(thermodilution curve)がプロットされ、流量、したがって平均通過時間の指標が得られる。しかしながら、この場合、追加のステップ及び器具が必要となり、実際には扱いにくく、危険となる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、一般的に、血管内撮像プローブを使用して平均通過時間を決定するシステム及び方法に関する。例えば、血管内撮像プローブは、OCTプローブ、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)プローブ、マイクロOCTプローブ、近赤外分光法(NIRS:near infrared spectroscopy)センサ、又は血管を撮像するために使用され得る任意の他のデバイスであり得る。平均通過時間は、血管内の流量であり得る。OCTプローブが使用される例では、管腔フラッシュ(lumen flush)のボーラスが血管を通過することができる。管腔フラッシュは、例えば、造影剤であり得る。IVUSプローブが使用される例では、IVUSプローブによって撮像され得る媒体が血管を通過することができる。明確にするために、本明細書に説明される例は、OCTプローブを参照し得る。しかしながら、OCTプローブの使用は、一例にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0005】
引き戻し(pullback)の間、OCTプローブが所与の位置で静止して保持するように、OCTプローブの引き戻しは停止することができる。OCTプローブが静止して保持されたとき、管腔フラッシュのボーラスが通過する間に、複数の画像フレームを収集することができる。1つ以上の画像フレームにおけるボーラスの断面積を決定することができる。断面積を使用して、面積希釈曲線(area dilution curve)を決定及び/又は作成することができる。面積希釈曲線を使用して、血管内の平均通過時間を決定することができる。いくつかの例では、面積希釈曲線は、冠血流予備能(CFR:coronary flow reserve)や微小循環抵抗指数(IMR:index of microcirculatory resistance)等の他の下流流動インジケータ(downstream flow indicators)を可能にし得る。
【0006】
本開示の1つの態様は、血管についての血管内撮像データをメモリデバイスに記憶するステップであって、血管内撮像データは、血管内の位置において血管内撮像プローブに結合された1つ以上のプロセッサによって収集された複数の画像フレームを含むものである、ステップと、1つ以上のプロセッサによって、血管内撮像データに基づいて、血管内のボーラスの平均通過時間を決定するステップとを含んでなる、血管内のボーラスの平均通過時間を決定する方法を含む。本方法は、決定された平均通過時間に基づいて、1つ以上のプロセッサによって、冠血流予備能(CFR)値又は微小循環抵抗指数(IMR)値のうちの少なくとも一方を決定するステップを更に含み得る。血管内撮像データは、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、血管内超音波撮像データ、マイクロOCT撮像データ、又は近赤外分光撮像データとすることができる。
【0007】
複数の画像フレームのそれぞれは、血液中に注入されたボーラスの一部分を含み得る。本方法は、1つ以上のプロセッサによって、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成するステップとを更に含み得る。血管内の血液の平均通過時間を決定することは、分布曲線に更に基づくことができる。平均通過時間を決定することは、1つ以上のプロセッサによって、分布曲線を積分することを更に含み得る。
【0008】
ボーラスの一部分の断面積を決定するステップは、1つ以上のプロセッサによって、閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することと、1つ以上のプロセッサによって、管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づいて、複数の画像フレームのそれぞれについて血管マスク(vessel mask)を決定することと、1つ以上のプロセッサによって、複数のセグメント化された画像フレームのそれぞれと、複数の画像フレームのそれぞれについての血管マスクとに基づいて、コントラストマスク(contrast mask)を決定することとを含み得る。複数の画像フレームのそれぞれについてのコントラストマスクのピクセル面積は、ボーラスの一部分の断面積に対応し得る。閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することは、1つ以上のプロセッサによって、ガウス混合モデル(Gaussian mixture model)を計算することと、1つ以上のプロセッサによって、1つ以上の画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、1つ以上のプロセッサによって、大津の閾値処理を適用することとのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0009】
本開示の別の態様は、血管内撮像プローブと、血管内撮像プローブと通信する1つ以上のプロセッサとを備えてなるシステムを含む。1つ以上のプロセッサは、血管内の位置における複数の血管内画像フレームを収集し、複数の血管内画像フレームに基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定し、決定した平均通過時間に基づいて、冠血流予備能(CFR)値又は微小循環抵抗指数(IMR)値のうちの少なくとも一方を決定するように構成することができる。
【0010】
本開示の更に別の態様は、命令を記憶している非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、血管内撮像プローブから、血管内の位置における複数の血管内画像フレームを受信することと、血管内画像フレームに基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定することと、決定された平均通過時間に基づいて、冠血流予備能(CFR)値又は微小循環抵抗指数(IMR)値のうちの少なくとも一方を決定することとを実行させる。
【0011】
本開示の1つの態様は、血管についての血管内データをメモリデバイスに記憶するステップであって、血管内データは、血管内の位置において光学撮像プローブに結合された1つ以上のプロセッサによって収集された複数の画像フレームを含み、複数の画像フレームのそれぞれは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含むものである、ステップと、1つ以上のプロセッサによって、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成するステップと、1つ以上のプロセッサによって、分布曲線に基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定するステップとを含んでなる方法を含む。
【0012】
ボーラスの一部分の断面積を決定するステップは、1つ以上のプロセッサによって、閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することと、1つ以上のプロセッサによって、管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づいて、複数の画像フレームのそれぞれについて血管マスクを決定することと、1つ以上のプロセッサによって、複数のセグメント化された画像フレームのそれぞれと、複数の画像フレームのそれぞれについての血管マスクとに基づいて、コントラストマスクを決定することとを含み得る。複数の画像フレームのそれぞれに対するコントラストマスクのピクセル面積は、ボーラスの一部分の断面積に対応し得る。閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することは、1つ以上のプロセッサによって、ガウス混合モデルを計算することと、1つ以上のプロセッサによって、1つ以上の画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、1つ以上のプロセッサによって、大津の閾値処理を適用することとのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0013】
本方法は、1つ以上のプロセッサによって、メジアンフィルタ(median filter)を使用して、分布曲線を平滑化するステップと、1つ以上のプロセッサによって、平滑化された分布曲線のピークを決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、平滑化された分布曲線にガウスフィット(Gaussian fit)を適用するステップと、1つ以上のプロセッサによって、ガウスフィットの4標準偏差外側のゼロ値を決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、ゼロ値に基づいて、適用されたガウスフィットに対数正規フィット(log normal fit)を適用するステップとを更に含み得る。
【0014】
本方法は、1つ以上のプロセッサによって、ボーラスの少なくとも一部分を有する複数の画像フレームの第1の画像フレームを特定することによって、ボーラスが光学撮像プローブに到達した初期時間を決定するステップを更に含み得る。初期時間及び適用された対数正規フィットを使用して、平均通過時間を決定することができる。平均通過時間を決定することは、1つ以上のプロセッサによって、分布曲線を積分することを更に含み得る。
【0015】
本開示の別の態様は、光学撮像プローブと、光学撮像プローブと通信する1つ以上のプロセッサとを備えてなるシステムを含む。1つ以上のプロセッサは、血管内の位置における複数の画像フレームを収集し、ここで、複数の画像フレームのそれぞれは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含むものであり、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定し、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成し、分布曲線に基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定するように構成することができる。
【0016】
本開示の更に別の態様は、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、光学撮像プローブから、血管内の位置における複数の画像フレームを受信させ、ここで、複数の画像フレームのそれぞれは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含むものであり、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定させ、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成させ、分布曲線に基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の態様による例示的なシステムを示す図である。
図2A】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図2B】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図2C】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図2D】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図2E】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図2F】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図3】本開示の態様による、ビンごとのピクセルを画像強度と比較した例示的なチャートである。
図4A】本開示の態様による、血管内に静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された例示的な画像フレームを示す図である。
図4B】本開示の態様による、図4Aの画像フレームの例示的な血管マスクを示す図である。
図5図4Aの画像フレーム及び図4Bの血管マスクを使用してコントラストマスクを作成する例を示す図である。
図6】本開示の態様に従って計算された例示的な面積希釈曲線を示す図である。
図7A】本開示の態様による、図6の面積希釈曲線に適用される例示的な方法ステップを示す図である。
図7B】本開示の態様による、図6の面積希釈曲線に適用される例示的な方法ステップを示す図である。
図7C】本開示の態様による、図6の面積希釈曲線に適用される例示的な方法ステップを示す図である。
図7D】本開示の態様による、図6の面積希釈曲線に適用される例示的な方法ステップを示す図である。
図7E】本開示の態様による、図6の面積希釈曲線に適用される例示的な方法ステップを示す図である。
図7F】本開示の態様による、図6の面積希釈曲線に適用される例示的な方法ステップを示す図である。
図8】本開示の態様による平均通過時間の一例を示す図である。
図9】本開示の態様による、血管内の血液の平均通過時間を決定する方法を示すフロー図である。
図10】本開示の態様による平均通過時間の一例を示す図である。
図11】本開示の態様による血管内の微小血管抵抗を決定する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、血管内の微小血管の疾患の1つ以上の態様を特定及び/又は診断するために単一の血管内撮像プローブを使用することを提供する。単一の血管内撮像プローブを使用することによって、切断がより少なくなり、患者に挿入される器具がより少なくなり、処置/手術室における時間をより短くすることができる等のため、処置及び/又は手術中の患者へのリスクを低減することができる。いくつかの例では、単一の血管内撮像プローブを使用することによって、医師がより多くのデータを一度に収集することができるため、患者の微小血管の疾患の診断効率を向上させることができる。
【0019】
いくつかの例によれば、血管内撮像プローブを使用して、血管の血管内画像データを収集することができる。血管内画像データを使用して、血管内の血液の平均通過時間を決定することができる。いくつかの例では、平均通過時間は、安静時及び/又は充血時(at hyperemia)に決定することができる。血管内画像データから決定された平均送信時間を使用して、冠血流予備能(CFR)や微小循環抵抗指数(IMR)等を決定することができる。CFR値及び/又はIMR値を使用して、微小血管の疾患を診断することができる。いくつかの例によれば、血管内画像データ及び/又は血管内画像データを使用して決定される任意の値は、血管内の病変を評価すること、潜在的なステント留置を評価すること、微小血管の疾患を診断すること等のために使用され得る。
【0020】
例示的な使用事例は、医師が血管内撮像プローブを使用して血管内の病変を評価できる場合であり得る。同時に、又は実質的に同時に、医師は、血管内撮像プローブを使用して、血管内のボーラスの平均通過時間を決定することができる。決定された平均送信時間を使用して、冠血流予備能(CFR)や微小循環抵抗指数(IMR)等を決定することができる。したがって、単一の血管内撮像プローブにより、医師は、血管内の微小血管の疾患の1つ以上の態様を特定することができる。
【0021】
いくつかの例によれば、決定されたCFR及び/又はIMRと組み合わされた追加の因子を使用して、血管内の微小血管の疾患の1つ以上の態様を特定することができる。追加の要因として、例えば、患者の年齢、性別、ボディマス指数(BMI:body mass index)、病歴、血管タイプ、血管状態、治療歴等が挙げられる。病歴として、例えば、既知の心不全、糖尿病の以前の診断、高血圧等が挙げられる。血管タイプとして、左前下行枝(LAD:left anterior descending)動脈、左回旋枝(LCX:left circumflex artery)、右冠動脈(RCA:right coronary artery)、左辺縁動脈、対角動脈、右辺縁動脈等が挙げられる。治療歴として、例えば、以前の経皮的冠動脈インターベンション(PCI:prior percutaneous coronary intervention)、冠動脈バイパス移植(CABG:coronary artery bypass graft)等が挙げられる。
【0022】
図11は、血管内のボーラスの平均通過時間を決定する例示的な方法を示している。以下の動作は、以下に説明される正確な順序で実行される必要はない。むしろ、種々の動作を異なる順序で又は同時に処理することができ、動作を追加又は省略することができる。
【0023】
ブロック1110において、システム100等のデータ収集システムは、血管内画像データを収集することができる。収集された血管内画像データは、メモリ114に記憶することができる。いくつかの例によれば、血管内画像フレームは、光干渉断層撮影(OCT)撮像データ、血管内超音波撮像データ、マイクロOCT撮像データ、又は近赤外分光撮像データであり得る。血管内画像データは、1つ以上の血管内画像フレームを含み得る。いくつかの例では、血管内画像データは、血管内撮像プローブが血管内に静止して保持されたときに収集され得る。
【0024】
いくつかの例によれば、血管内画像データは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含む1つ以上の血管内画像フレームを含み得る。例えば、画像フレームのうちの1つ以上は、ボーラスが血管内撮像プローブを通過する際に、注入されたボーラスの一部分を含み得る。
【0025】
ブロック1120において、血管内のボーラスの平均通過時間が、血管内撮像データに基づいて決定され得る。いくつかの例によれば、血管内の血液の平均通過時間は、図9に示され、本明細書で説明される方法によって決定され得る。
【0026】
いくつかの例では、血管内のボーラスの平均通過時間を決定することは、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定することを含み得る。ボーラスの一部分の断面積を決定することは、閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することを含み得る。閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することは、ガウス混合モデルを計算することと、1つ以上の画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、大津の閾値処理(Otsu thresholding)を適用することとのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0027】
追加的又は代替的に、ボーラスの一部分の断面積を決定することは、複数の画像フレームのそれぞれについて血管マスクを決定することを含み得る。血管マスクは、管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づくものであってもよい。いくつかの例では、ボーラスの一部分の断面積を決定することは、コントラストマスクを決定することを含み得る。コントラストマスクは、複数のセグメント化された画像フレームのそれぞれ、及び/又は、複数の画像フレームのそれぞれについての血管マスクに基づくことがある。いくつかの例によれば、複数の画像フレームのそれぞれについてのコントラストマスクのピクセル面積は、ボーラスの一部分の断面積に対応し得る。
【0028】
複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を使用して、分布を作成することができる。分布曲線は、例えば、面積希釈曲線であり得る。いくつかの例によれば、分布曲線を積分して、ボーラスの平均通過時間を決定することができる。
【0029】
いくつかの例によれば、CFR値又はIMRのうちの少なくとも一方は、決定された平均通過時間に基づいて決定され得る。例えば、CFR値は、決定された安静時の平均通過時間を充血中の平均通過時間で除算することによって決定され得る。IMR値は、充血時の平均通過時間に充血中の遠位圧(distal pressure)を乗算することによって決定することができる。
【0030】
決定されたCFR値及び/又はIMRは、微小血管の疾患及び潜在的治療を決定する際に、1つ以上の患者因子と併せて使用することができる。例えば、医師は、決定されたCFR及び/又はIMR値と併せて、患者の年齢、性別、BMI、病歴、血管タイプ、血管状態、以前の治療等を考慮して、微小血管の疾患及び/又は潜在的治療が存在するかどうかを判定することができる。
【0031】
1つの実施形態において、微小血管抵抗は、決定された平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値、並びに患者の年齢に基づいて決定され得る。例えば、患者の年齢を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の年齢固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、年齢固有パラメータは、患者を分類するための年齢の範囲であり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の年齢固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0032】
1つの実施形態において、微小血管抵抗は、決定された平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値、並びに患者の性別に基づいて決定され得る。例えば、患者の性別を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例では、平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値は、患者の性別に基づいて異なり得る。患者の性別は、訓練データに基づいて導入され得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。患者の性別並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0033】
1つの実施形態において、微小血管抵抗は、決定された平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値、並びに患者のBMIに基づいて決定され得る。例えば、患者のBMIを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上のBMIパラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、BMIパラメータは、患者を分類するための年齢の範囲であり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上のBMIパラメータ並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0034】
1つの実施形態において、微小血管抵抗は、決定された平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値、並びに患者の病歴に基づいて決定され得る。例として、既知の心不全等の患者の病歴を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の状態固有パラメータ(condition specific parameter)が、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、状態固有パラメータは、患者の病歴に基づき得る。例えば、患者の病歴は、心不全の履歴を示すことができる。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の状態固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0035】
別の例として、既知の以前の糖尿病の診断等の患者の病歴を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の状態固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、状態固有パラメータは、患者の病歴に基づき得る。例えば、患者の病歴は、糖尿病の履歴を示すことができる。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の状態固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0036】
別の例として、既知の以前の高血圧の診断等の患者の病歴を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の状態固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、状態固有パラメータは、患者の病歴に基づき得る。例えば、患者の病歴は、高血圧の履歴を示すことができる。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の状態固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0037】
1つの実施形態において、微小血管抵抗は、決定された平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値、並びに撮像及び/又は診断される血管タイプに基づいて決定され得る。例として、患者の左前下行枝(LAD)動脈等の血管タイプを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の血管固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、血管固有パラメータは、血管タイプに基づき得る。例えば、このタイプはLADであり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0038】
別の例として、患者の左回旋枝(LCX)等の血管タイプを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の血管固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、血管固有パラメータは、血管タイプに基づくことがある。例えば、このタイプはLCXであり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0039】
別の例として、患者の右冠動脈(RCA)等の血管タイプを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の血管固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、血管固有パラメータは、血管タイプに基づくことがある。例えば、このタイプはRCAであり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0040】
別の例として、患者の左辺縁動脈等の血管タイプを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の血管固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、血管固有パラメータは、血管タイプに基づくことがある。例えば、このタイプは左辺縁動脈であり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0041】
別の例として、患者の対角動脈等の血管タイプを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の血管固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、血管固有パラメータは、血管タイプに基づくことがある。例えば、このタイプは対角動脈であり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0042】
別の例として、患者の右辺縁動脈等の血管タイプを入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の血管固有パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、血管固有パラメータは、血管タイプに基づくことがある。例えば、このタイプは右辺縁動脈であり得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0043】
1つの実施形態において、微小血管抵抗は、決定された平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値、並びに患者の治療歴に基づいて決定され得る。例として、以前の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)等の患者の治療歴を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の治療パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、治療パラメータは、患者の治療歴に基づくことがある。例えば、患者は、以前にPCIを受けている可能性がある。以前のPCIは、微小血管の損傷を発生させる可能性があるため、血管の微小血管抵抗を決定するときに考慮され得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0044】
別の例として、冠動脈バイパス移植(CABG)等の患者の治療歴を入力し、CFR値及び/又はIMR値とともに処理して、血管の微小血管抵抗を決定することができる。いくつかの例によれば、1つ以上の治療パラメータが、訓練データに基づいて導入され得る。いくつかの例では、治療パラメータは、患者の治療歴に基づくことがある。例えば、患者は、以前にCABGを受けている可能性がある。CABGは、心臓の生理機能を変化させる可能性があり、及び/又は微小血管の変化をもたらす可能性があるため、血管の微小血管抵抗を決定するときに考慮され得る。訓練データは、収集され、機械学習モデルへの入力として使用され得る。1つ以上の血管固有パラメータ、並びに平均通過時間、CFR値及び/又はIMR値に基づいて、機械学習モデルは、血管の微小血管抵抗を決定することができる。
【0045】
図1は、血管内データの収集において使用するためのデータ収集システム100を示している。このシステムは、血管102を撮像するために使用され得るデータ収集プローブ104を含み得る。データ収集プローブ104は、OCTプローブ、IVUSカテーテル、マイクロOCTプローブ、近赤外分光法(NIRS)センサ、又は血管102を撮像するために使用され得る任意の他のデバイスであり得る。本明細書に提供される例は、OCTプローブに言及しているが、OCTプローブの使用は、限定することを意図しない。IVUSカテーテルは、OCTプローブと併せて、又はその代わりに使用することができる。ガイドワイヤ(図示せず)を使用して、プローブ104を血管102内へと導入することができる。プローブ104は、データを収集しながら、血管の長さに沿って導入され、引き戻され得る。いくつかの例によれば、プローブ104は、OCT及び/又はIVUSデータセットの複数のスキャンが収集され得るように、引き戻し中に静止して保持され得る。データセット又は画像データのフレームを使用して、ボーラスの断面積等の特徴を特定することができる。
【0046】
プローブ104は、光ファイバ106を介してサブシステム108に接続され得る。サブシステム108は、光源、例えばレーザと、サンプルアーム及び参照アームを有する干渉計と、様々な光路と、クロック発生器と、フォトダイオードと、他のOCT及び/又はIVUS構成要素とを含み得る。
【0047】
プローブ104は、光受信器110に接続され得る。いくつかの例によれば、光受信器110は、バランスドフォトダイオードベースのシステムであり得る。光受信器110は、プローブ104によって収集された光を受け取るように構成され得る。
【0048】
サブシステムは、コンピューティングデバイス112を含み得る。コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ113と、メモリ114と、命令115と、データ116と、1つ以上のモジュール117とを含み得る。
【0049】
1つ以上のプロセッサ113は、任意の従来のプロセッサ、例えば市販のマイクロプロセッサであり得る。代替で、1つ以上のプロセッサは、専用デバイス、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又は他のハードウェアベースのプロセッサであり得る。図1は、デバイス112のプロセッサ、メモリ、及び他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、プロセッサ、コンピューティングデバイス、又はメモリは、実際には、同じ物理的筐体内に格納され得る又はされ得ない複数のプロセッサ、コンピューティングデバイス、又はメモリを含み得ることは、当業者には理解されるであろう。同様に、メモリは、デバイス112のものとは異なる筐体内に配置されたハードドライブ又は他の記録媒体であり得る。したがって、プロセッサ又はコンピューティングデバイスへの言及は、並列に動作し得る又は動作し得ないプロセッサ又はコンピューティングデバイス又はメモリの集合体への言及を含むと理解されるであろう。
【0050】
メモリ114は、プロセッサ113によって実行され得る命令115とデータ116とを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を保存し得る。メモリ114は、非一時的コンピュータ可読媒体、又は、電子デバイス、例えばハードドライブ、メモリカード、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、光ディスク、並びに他の書き込み可能及び読み取り専用メモリによって読み取り可能な、データを保存する他の媒体を含む、プロセッサ113によってアクセス可能な情報を保存するために動作する一種のメモリであり得る。本明細書に開示される対象は、上記のものの異なる組み合わせを含む場合があり、これによって、命令115及びデータ116の異なる部分は、異なる種類の媒体に保存される。
【0051】
メモリ114は、命令115に従ってプロセッサ113によって読み出され、保存され、又は修正され得る。例えば、本開示は特定のデータ構造によって限定されないが、データ116は、複数の異なるフィールド及び記録を有するテーブル、XML文書、又はフラットファイルとしてのリレーショナルデータベース内のコンピュータレジスタに保存され得る。また、データ116は、コンピュータ可読フォーマット、例えば、これらに限定されないが、バイナリ値、ASCII又はユニコードにフォーマットされ得る。更に例示のみであるが、データ116は、圧縮又は非圧縮で保存された画素から構成されるビットマップ、又は様々な画像フォーマット(例えば、JPEG)、ベクトルベースのフォーマット(例えば、SVG)、又はグラフィックを描画するためのコンピュータ命令として保存され得る。さらに、データ116は、関連情報、例えば数字、記述テキスト、専用コード、ポインタ、他のメモリ(他のネットワーク位置を含む)に保存されたデータへの参照、又は関連データを計算する機能によって使用される情報を特定するために十分な情報を含み得る。
【0052】
命令115は、プロセッサ113によって、直接的に、例えば機械コードで実行される命令の任意のセット、又は間接的に、例えばスクリプトで実行される命令の任意のセットであってもよい。その点で、本明細書において、「命令」、「アプリケーション」、「ステップ」及び「プログラム」の語は、互換的に使用可能である。命令は、プロセッサによる直接処理のためにオブジェクトコードフォーマットで、又は、オンデマンドで翻訳されるか事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプト若しくは集合を含む任意の他のコンピューティングデバイス言語で、保存可能である。命令の機能、方法、及びルーチンは、以下でより詳細に説明される。
【0053】
モジュール117は、カルシウムプラーク等のプラーク検出モジュール、表示モジュール、流量又は平均通過時間モジュール、ステント検出又は他の検出及び表示モジュールを含み得る。例えば、コンピューティングデバイス112は、血管内の血液の平均通過時間を検出するための流量モジュールにアクセスすることができる。いくつかの例によれば、モジュールは、画像データ処理パイプライン又はその構成要素モジュールを含み得る。画像処理パイプラインは、収集されたOCTデータを、血管、ステント、及び/又は検出領域の二次元(2D)及び/又は三次元(3D)ビュー及び/又は表現へと変換するために、使用され得る。
【0054】
サブシステム108は、ユーザに対してコンテンツを出力するためのディスプレイ118を含み得る。図示のように、ディスプレイ118は、コンピューティングデバイス112から独立しているが、いくつかの例によれば、ディスプレイ118は、コンピューティングデバイス112の一部であり得る。ディスプレイ118は、血管内で検出された1つ以上の特徴に関連する画像データを出力し得る。例えば、出力は、限定するものではないが、断面スキャンデータ、長軸スキャン、径グラフ、画像マスク、管腔境界、プラークサイズ、プラーク周、プラーク位置の視覚的な印、ステント拡張にもたらされるリスクの視覚的な印、流量等を含み得る。ディスプレイ118は、テキスト、矢印、色分け、強調表示、輪郭線、又は他の適切な人間又は機械が読み取り可能な印を用いて特徴を特定し得る。
【0055】
いくつかの例によれば、ディスプレイ118は、グラフィックユーザインタフェース(GUI)であり得る。画像をナビゲートする、情報を入力する、入力を選択する及び/又は入力とインタラクトする等のために、1つ以上のステップが自動的に、すなわちユーザ入力なしで実行され得る。ディスプレイ118は、単独で又はコンピューティングデバイス112と組み合わせて、ユーザ入力に応答して1つ以上のビューモード間の切り替えを可能にし得る。例えば、ユーザは、例えば、特定の側枝(side branch)を選択することによって、及び/又は特定の側枝に関連するビューを選択することによって、ディスプレイ118上の異なる側枝間で切り替えを行うことが可能であり得る。
【0056】
いくつかの例では、ディスプレイ118は、単独で又はコンピューティングデバイス112と組み合わせて、メニューを含み得る。メニューによって、ユーザは様々な特徴を示し又は隠し得る。2つ以上のメニューが存在し得る。例えば、表示する血管特徴を選択するためのメニューが存在し得る。追加で又は代替で、表示の仮想カメラアングルを選択するためのメニューが存在し得る。
【0057】
図2A図2Fは、血管内撮像プローブが血管内の位置に静止して保持されたときに取得される画像フレームの例示的なシーケンスを示している。血管内撮像プローブは、OCTプローブ又はIVUSカテーテルであり得る。
【0058】
例えば、OCTプローブの引き戻しを所与の位置で停止させることができる。引き戻しが停止されると、OCTプローブがその位置で複数の画像フレームを収集するように、OCTプローブを静止して保持することができる。管腔フラッシュのボーラスは、ボーラスがOCTプローブに向かって流れるような位置で血管内に注入することができる。管腔フラッシュは、例えば造影剤であり得る。本明細書に提供される例は、コントラストとして管腔フラッシュに言及しているが、コントラストという用語の使用は、限定を意図するものではない。OCTプローブの代わりにIVUSカテーテルが使用される例では、血管内に注入されるボーラスは、IVUSカテーテルによって撮像可能な媒体からなり得る。媒体は、例えば微小気泡造影剤(microbubble contrast agent)であり得る。画像フレームのシーケンスは、ボーラスがOCTプローブに接近する前、その間、及びその後の血管を示すことができる。画像フレームのシーケンスを使用して、血管内のボーラスの流量、したがって血液の流量を決定することができる。例えば、各画像は、画像フレームがOCTプローブによっていつ撮影されたかを示すタイムスタンプを含み得る。画像フレーム内のボーラスの断面積を決定することができる。血管内のボーラスの決定された断面積は、タイムスタンプとともに使用して、流量、したがって、血管内の血液の平均通過時間を決定することができる。
【0059】
図2A図2Fは、連続した順序となっており、図2Aは、ボーラスがOCTプローブに到達する前の時間t1に取得された、画像フレームのシーケンスにおける第1の画像フレーム200Aであり、図2Fは、ボーラスがOCTプローブを通過した後の時間t6に取得された、画像フレームのシーケンスにおける最後の画像フレーム200Fである。図2A図2Fは、静止して保持されている間にOCTプローブによって撮影された画像フレームのシーケンスを示しているが、OCTプローブは、図2A図2Fに示される各画像フレームの間に1つ以上の画像フレームを取り込むことができる。例えば、OCTプローブは、複数の画像を取り込むことができ、図2A図2Fに示される画像フレームのシーケンスは、それらの複数の画像フレームのうちの6つのみであり得る。したがって、6つの画像フレームとして画像フレームのシーケンスを示すことは、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。
【0060】
図2Aは、静止して保持されたときにOCTプローブによって撮影された例示的な第1の画像フレーム200Aを示している。画像フレーム200Aは、ボーラスが血管内に注入される前の時間t1に撮影することができる。画像フレーム200Aは、血管の管腔境界202、カテーテル204、及びガイドワイヤ206を含み得る。画像フレーム200Aは、ボーラスが注入される前の時間に撮影することができ、その場合、画像フレーム200Aはボーラスを含まない。
【0061】
図2Bは、時間t2において静止して保持されたときにOCTプローブによって撮影された例示的な第2の画像フレーム200Bを示している。ボーラスが血管内に注入された後、ボーラスは、血管に沿ってOCTプローブに向かって移動することができる。画像フレーム200Bは、OCTプローブに到達した際のボーラス208を示している。ボーラス208は、管腔202内の画像フレーム200Bの暗い部分として示されている。図2Bに示すように、ボーラス208は、中実ではなく、むしろ、血管の管腔境界202内の複数の部分として示されている。セグメントは、例えば、血管内でより小さい部分に分割された液体状のコントラストであり得る。これは、ボーラス208がガイドワイヤ206及びカテーテル204を通過することに起因し得る。いくつかの例では、ボーラス208は、ボーラス208が移動している速度、血管内のボーラス208から反射する光等に起因して、複数の部分として現れ得る。
【0062】
図2Cは、血管内に静止して保持されたときにOCTプローブによって時間t3に撮影された例示的な第3の画像フレーム200Cを示している。画像フレーム200Cは、ボーラス208が通過する際にボーラス208がOCTプローブを包含している場合に、OCTプローブによって撮影することができる。例えば、ボーラス208がOCTプローブに接近するにつれて、各画像フレーム内のボーラス208は、管腔202によって画定されるような血管内のより多くの空間を占有することができる。
【0063】
画像フレーム200Cは、ボーラス208がOCTプローブに向かって移動し、OCTプローブの先端を包囲する一例を示している。図示のように、ボーラス208の最大断面直径は、ボーラス208が、管腔202によって画定されるような血管内の空間を満たすものとして示されるように、OCTプローブの先端を通過することができる。いくつかの例によれば、ボーラス208は、ボーラス208がOCTプローブ、カテーテル204、及びガイドワイヤ206を通過する際に、血管を成形するか又は血管に適合することができる。したがって、ボーラス208は、円形又は楕円形の形状を有さない場合があり、代わりに、ボーラス208が遭遇する物体及び/又は管腔202の形状に基づく形状を有する場合がある。
【0064】
図2Dは、血管内に静止して保持されたときにOCTプローブによって時間t4で撮影された例示的な第4の画像フレーム200Dを示している。画像フレーム200Dは、ボーラス208の大部分がOCTプローブの先端を通過した後に、OCTプローブによって取り込むことができる。例えば、ボーラス208の大部分は、ボーラス208の一部のみが画像フレーム200D内に取り込まれるように、OCTプローブを通過することができる。
【0065】
図2Eは、時間t5に撮影された例示的な第5の画像フレーム200Eを示している。画像フレーム200Eは、画像フレーム200Dと比較して、より少ないボーラス208を含み得る。これは、ボーラス208がOCTプローブを通過して移動し続けていることを示し得る。
【0066】
図2Fは、時間t6に撮影された例示的な第6の画像フレーム200Fを示している。画像フレーム200Fは、画像フレーム200Eと比較して、より少ないボーラス208を含み得る。任意の後続の画像フレームは、更に少ないボーラス208を含み得るか、又はボーラス208がOCTプローブを完全に通過し得るため、ボーラス208を全く含まない場合がある。
【0067】
画像フレーム200A~200F内のボーラス208の断面積を使用して、面積希釈曲線を作成することによって、血管内の血液の平均通過時間「Tmn」を計算することができる。面積希釈曲線を作成するために、各画像フレームにおけるコントラストの面積が決定される。各画像フレームにおけるコントラストの面積を決定するために、各画像は、閾値処理によってセグメント化され得る。管腔オフセット、カテーテルオフセット、及びガイドワイヤオフセットを使用して、血管マスクが決定され得る。決定された血管マスクと閾値処理された画像との間の要素ごとの演算を使用して、コントラストマスクを決定することができる。ボーラスとして特定されたコントラストマスク内のピクセルの合計は、各画像フレーム内のコントラストの面積として合計することができる。各画像フレーム内のコントラストの面積をグラフ化して、面積希釈曲線を作成することができる。1つ以上の演算を面積希釈曲線に適用して、平均通過時間を決定することができる。例えば、面積希釈曲線は、メジアンフィルタを介して平滑化され得て、静止画像フレームキャプチャの中心に最も近いピークが決定され得て、ガウスフィットが、決定されたピークを使用して、平滑化された曲線に適用されてもよく、ガウスフィット曲線のゼロ値が、ガウスフィットの4標準偏差外側にあってもよく、対数正規フィットが、平滑化された曲線に適用されてもよく、ボーラスが最初にカテーテルに到達する初期時間が、対数正規フィット及び面積希釈曲線を使用して判定されてもよく、初期時間、面積希釈曲線、及び対数正規フィット曲線を使用して、平均通過時間が決定されてもよい。
【0068】
図3は、セグメント化された画像の閾値を特定する例示的なチャートを示している。セグメント化された画像は、例えば、血管の領域を画像の残りの部分から分離又はセグメント化したものであり得る。チャート300は、血管内に静止して保持されたときにOCTプローブによって取り込まれた画像フレームについて、y軸上のビンごとのピクセルをx軸上の画像強度と比較したものである。
【0069】
閾値は、N=2となるような2つのノードを有するガウス混合モデルを使用して決定され得る。2つのノードは、モデルのピークがオフセットされるように、2つの異なるガウスモデルであり得る。いくつかの例では、2つのモデルは、画像フレームのコントラスト及び輝度であり得る。いくつかの例によれば、2つのモード又はモデルは、ノイズを有する値及び血液を有する管腔の領域であり得る。ノイズを有する低い値はバックグラウンドであってもよく、血液を有する管腔の領域は信号が存在する領域であってもよい。2つのノードをオーバーレイして、閾値を決定することができる。閾値は、各ノードの平均値の平均であり得る。図3に示すように、閾値は、線302によってチャート300上に示される。
【0070】
いくつかの例によれば、閾値は固定であるか、又は予め決定され得る。他の例では、閾値は、大津の閾値を使用して決定され得る。更に他の例では、閾値は、深層学習を使用して決定され得る。例えば、画像のグループ又はセットが記憶され得る。記憶された画像は、深層学習モデルへの入力であり得る。各画像について、閾値が決定され得る。決定された閾値は、深層学習モデルの出力であり得る。深層学習モデル又は畳み込みニューラルネットワークは、画像が入力であってもよく、閾値が出力であってもよいように、回帰を実行するように訓練され得る。追加的又は代替的に、閾値は、ガウス混合モデル、固定閾値、大津の閾値、及び/又は深層学習の任意の組み合わせによって決定され得る。
【0071】
図4A及び図4Bは、管腔オフセット、カテーテルオフセット、及びガイドワイヤオフセットを使用して血管マスクを決定する例を示している。血管マスクは、ボーラスがOCTプローブを通過して血管を通って移動するときにボーラスによって占有され得る管腔境界内の空間を画定することができる。例えば、血管マスクは、任意の所与の時間にボーラスによって占有され得る管腔内の最大面積を画定することができる。
【0072】
画像フレーム400Aは、管腔境界402、カテーテル404、ガイドワイヤ406、及びボーラス408を含み得る。管腔オフセット、カテーテルオフセット、及びガイドワイヤオフセットは、図1に示されるシステム100と併せて使用される1つ以上のソフトウェアモジュールによって決定され得る。例えば、ガイドワイヤのオフセットは、影の中の走査線に沿ったピーク、遷移、又は相対的な極値を探索することによって決定され得る。補間を使用して、画像フレーム内のガイドワイヤの接続されたセグメントをモデル化することができる。いくつかの例では、1つ以上のモジュール及び種々の血管内データ処理ステップを使用して補間を実行することができる。いくつかの例によれば、補間により、フレーム内のガイドワイヤ検出のセグメントを構築し、有効なセグメントを接続して、ガイドワイヤの接続モデルを作成することができる。セグメントは、セグメントをスコア付けするために使用され得る種々の基準に基づいて、有効であると判定され得る。セグメントスコア及びセグメント連続性は、画像フレームにおけるガイドワイヤの表現を生成するために使用されてもよく、したがって、ガイドワイヤオフセットを決定するために使用されてもよい。ガイドワイヤは、そのセグメントに基づいてスコアリングされ得る。同様の方法を使用して、管腔オフセット及びカテーテルオフセットを決定することができるため、本明細書で繰り返すことはしない。
【0073】
管腔オフセット、カテーテルオフセット、及びガイドワイヤオフセットが決定された後、血管マスク410が決定され得る。画像フレーム400Bに示すように、血管マスク410は、管腔、ガイドワイヤ、及びカテーテルの境界によって画定され得る。血管マスク410は、ガイドワイヤ及びカテーテルが挿入された血管の断面積を示すことができる。したがって、血管マスク410は、ボーラスが通過するために利用可能であり得る断面積を示すことができる。
【0074】
図5は、コントラストマスクを決定するために血管マスク及び閾値処理された画像が使用され得る例示的な画像フレームを示している。コントラストマスクは、決定された閾値と血管マスクとの間の要素ごとの演算を使用して決定され得る。例えば、コントラストマスクは、血管マスク内のどの程度の面積がボーラス508によって占有されるかを判定することができる。コントラストマスクを使用して、ボーラスの断面積を決定することができる。断面積は、ピクセル単位で測定することができる。画像フレーム500は、血管マスク510が血管マスク410に実質的に対応するように、血管マスク410を決定するために使用された画像フレーム400Aに実質的に対応することが可能である。血管マスク510は、ボーラス508がOCTプローブを通過する際に占有し得る管腔境界502内の総断面積を示すことができる。例えば、血管マスク510は、カテーテル504及びガイドワイヤ506を含むOCTプローブが考慮された後に残る管腔境界502の断面積を示すことができる。
【0075】
コントラストマスクを決定するために、血管マスクと閾値処理された画像との間に要素ごとの演算が適用され得る。例えば、論理アレイ演算子「AND」が、血管マスクと閾値処理された画像との間で使用され得る。要素ごとの演算により、血管マスク内のピクセルがボーラスのピクセルであるかどうかをピクセルごとに判定することができる。ボーラスの一部分であると判定されたピクセルを合計して、ボーラスの断面積を決定することができる。
【0076】
図6は、例示的な面積希釈曲線を示している。面積希釈曲線600は、ボーラスがOCTプローブを通過して血管を通って流れるときの所与の時間におけるボーラスの断面積を示す。例えば、面積希釈曲線600は、そのそれぞれのフレームインデックスによって特定される、各フレームの断面積をmm単位で図表化することができる。フレームインデックスとは、複数の画像フレーム内の特定の画像フレームを特定する数であり得る。例えば、100個の画像フレームが撮影された場合、フレームインデックスは、1~100の数に対応する。各画像フレームは、タイムスタンプを含み得る。フレームインデックスは、いくつかの例では、それぞれの画像フレームのタイムスタンプに対応し得る。いくつかの例では、面積希釈曲線600は、フレームインデックスの代わりに、画像フレームが撮影された時間に基づいて断面積を図表化することができる。
【0077】
図示のように、面積希釈曲線600は、画像フレーム200A~200Fのチャートである。画像フレーム200A~200Fのそれぞれは、各フレーム内のコントラストのエリアを決定するために閾値処理することによってセグメント化され得る。血管マスクは、管腔オフセット、カテーテルオフセット、及びガイドワイヤオフセットに基づいて、各画像フレーム200A~200Fに対して決定され得る。追加的又は代替的に、各画像フレーム200A~200Fについてコントラストマスクが決定され得る。コントラストマスクは、閾値処理された画像と血管マスクとの間の要素ごとの演算を使用して決定され得る。コントラストマスクを使用して、コントラストマスク内のピクセルの合計を決定することによって、ボーラスの断面積を決定することができる。そして、断面積をグラフ化して、面積希釈曲線600を作成することができる。
【0078】
画像フレーム200A~200Fのみが、それぞれ、点600A~600Fによって面積希釈曲線600上に示されているが、OCTプローブが血管内で静止して保持されたときに取り込まれる追加の画像フレームが、面積希釈曲線600を作成するために使用され得る。面積希釈曲線600を使用して、平均通過時間「Tmn」を決定することができる。平均通過時間は、血管内の血液の流量であり得る。
【0079】
面積希釈曲線600は、ボーラスが血管を通って速く移動するか、又はゆっくり移動するかを示すことができる。例えば、面積希釈曲線600は幅「w」を有することができる。幅「w」は、ボーラスの少なくとも一部分を含む、複数の画像フレーム内の第1の画像フレーム及び最後の画像フレームによって規定され得る。ボーラスが血管を通って迅速に移動している場合、幅「w」は、ボーラスが血管を通ってゆっくりと移動している場合よりも小さくなり得る。例えば、ボーラスが迅速に移動している場合、ボーラスの一部分を取り込む画像フレームは、ボーラスが特定の距離を移動するのにより少ない時間を要するため、より短い期間中に発生する可能性がある。代替的に、ボーラスがゆっくり移動している場合、ボーラスの一部分を取り込む画像フレームは、ボーラスが特定の距離を移動するのにより多くの時間を要する可能性があるため、より長い期間にわたって発生する可能性がある。時間又は画像フレームは、面積希釈曲線のx軸上にあるため、短い期間は小さい幅「w」を有し、一方、長い期間はより大きい幅「w」を有する。
【0080】
図7A図7Fは、平均通過時間を決定するために面積希釈曲線600を使用する1つの例示的な方法を示している。以下の動作は、以下に説明される正確な順序で実行される必要はない。むしろ、種々の動作を異なる順序で又は同時に処理することができ、動作を追加又は省略することができる。
【0081】
図7Aは、平滑化された面積希釈曲線を示している。例えば、面積希釈曲線600は、メジアンフィルタを用いて平滑化することができる。面積希釈曲線を平滑化することで、曲線のギザギザ状の領域を除去又は平滑化することができる。曲線のギザギザ状の領域は、不適切な管腔オフセット決定に起因し得る。図7Aに示すように、面積希釈曲線600は、曲線702へと平滑化されている。
【0082】
図7Bは、曲線702のピークを示している。ピーク704は、静止画像フレームキャプチャの中心に最も近いピークであり得る。OCTプローブが静止して保持されたとき、1つ以上のボーラスが血管内へと注入され得る。図7Bに示すように、単一のボーラスのみが血管内へと注入されているため、1つのピーク704のみが存在する。いくつかの例によれば、2つ以上のボーラスが血管内へと注入された場合、チャート700Bは、各ボーラスのピークを含み得る。
【0083】
図7Cは、決定されたピークを使用して平滑化された曲線に適用されたガウスフィットを示している。決定されたピーク704は、例えば、ガウスフィットを適用するために使用される平均値となり得る。図7Cは、平滑化された曲線702とガウスフィット曲線706との間の差分を示している。
【0084】
図7Dは、曲線702のガウスフィットの4標準偏差外側のゼロ値を示している。ゼロ値は、点708、710によって示される。点708の左側及び710の右側の任意の値を除去することができる。点708、710の外側の値を除去することにより、ボーラスの前及び/又は後の血管内のアーチファクトが平均通過時間の決定に影響しないようにすることができる。いくつかの例によれば、アーチファクトは、血管内に注入された前のボーラス又は次のボーラスであり得る。
【0085】
図7Eは、平滑化された曲線702に対数正規フィットを適用することによって作成された、結果として得られる曲線712を示している。いくつかの例によれば、平滑化された曲線702に対数正規フィットを適用し、曲線712をもたらすことで、測定された信号に対するより近いフィットを得ることができる。追加的又は代替的に、対数正規フィット(曲線712)は、ガウスフィット(曲線706)と比較してより正確なフィットであり得る。
【0086】
図7Fは、面積希釈曲線600上にオーバーレイされた対数正規フィット曲線712を示している。対数正規フィット曲線712及び/又は面積希釈曲線600を使用して、初期時間「T」を決定することができる。初期時間「T」は、対数正規フィット曲線712及び/又は面積希釈曲線600における断面積の最初の増加を見出すことによって決定され得る。初期時間「T」は、ボーラスの任意の部分が最初にOCTプローブに到達する初期時間であり得る。
【0087】
図示のように、初期時間「T」は、フレームインデックス25において生じ得る。フレームインデックス25は、ボーラスの断面積が最初に0mmから正の値に変化する場所であり得る。いくつかの例によれば、フレームインデックスは、特定の時間に対応し得る。時間は、画像フレーム上のタイムスタンプされた時間であり得る。
【0088】
図7Fに示すように、対数正規フィット曲線712の重心は、面積希釈曲線600におけるピークの右側にあり得る。いくつかの例では、ピークのシフトは、面積希釈曲線600に適用された対数正規フィットに起因する。例えば、対数正規曲線(log normal curve)は対称ではないが、ガウス曲線(Gaussian curve)は対称である。したがって、ピークは、対数正規曲線の非対称性に起因してシフトされ得る。
【0089】
図8は、面積希釈曲線600及び対数正規フィット曲線712を使用して、どのように血管内を流れるボーラスの平均通過時間「Tmn」を決定することができるかを示している。平均通過時間「Tmn」は、面積希釈曲線600及び対数正規フィット曲線712を使用して決定された初期時間「T」を使用して決定することができる。いくつかの例によれば、平均通過時間「Tmn」は、以下の式を使用して決定することができる。
【数1】
【0090】
式中、「t」は時間に対応し得る。時間は、所与のフレームインデックスの画像フレームに対応するタイムスタンプされた時間であり得る。式中の「y」は、その時間「t」におけるボーラスの断面積に対応し得る。
【0091】
図10は、熱希釈測定値(thermodilution measurement)をどのように使用して、血管内を流れるボーラスの平均通過時間「Tmn」を決定することができるかを示している。例えば、プレッシャーワイヤを使用して、熱希釈測定値を決定することができる。平均通過時間「Tmn」は、初期センサ温度読み取り値の時間及びピークセンサ温度読み取り値の時間を使用して決定することができる。いくつかの例によれば、初期センサ温度読み取り値は、ボーラスの注入の中間点と同時であり得る。いくつかの例では、平均通過時間「Tmn」は、初期センサ温度読み取り値の時間とピークセンサ温度読み取り値の時間との間に経過した時間であり得る。
【0092】
グラフ1000は、ボーラスが血管内に注入されるときの経時的な摂氏温度でのケーブル「CT」及びセンサ「ST」の温度読み取り値の例示的な曲線を示す。例えば、ボーラスが時間「T」で最初に「I」だけ注入されるとき、ケーブル温度「CT」及びセンサ温度「ST」は、0℃であり得る。時間「T」において、注入「Ih」の約半分が完了し得る。時間「T」において、初期センサ温度の読み取りを行うことができる。ケーブル温度「CT」及びセンサ温度「ST」は、ボーラスが注入されるにつれて、低下するか、又はより冷たくなり得る。例えば、時間「T」において、ケーブル温度「CT」及びセンサ温度「ST」は、-2℃であり得る。
【0093】
ボーラスは、ピーク注入「Ip」に達するまで注入され続けることができる。いくつかの例によれば、ピークケーブル温度「CT」は、ピーク注入「Ip」と同時か、又は実質的にほぼ同時に生じ得る。いくつかの例によれば、ピークケーブル温度は、グラフ1000に示すように、約-3℃などの負の最大温度であり得る。
【0094】
いくつかの例によれば、センサ温度「ST」は、ピーク注入「Ip」後の或る時間「T」にピークセンサ温度「STp」に達することができる。ピークセンサ温度「STp」の時間「T」と注入「Ih」の半分の時間「T」との間の差分が、平均通過時間「Tmn」であり得る。いくつかの例によれば、平均通過時間「Tmn」は、以下の式を使用して決定され得る。
【数2】
【0095】
式中、「T」は、ピークセンサ温度「STp」の時間に対応していてもよく、「T」は、注入「Ih」の半分の時間に対応していてもよい。
【0096】
平均通過時間は、安静時及び充血時に決定することができる。安静時の平均通過時間を決定することは、OCTプローブが自然な状態で血管内に静止して保持されているときに1つ以上の画像を収集することを含み得る。例えば、自然な状態とは、いかなる治療又は投薬も受けていない血管の状態であり得る。充血時の平均通過時間を決定することは、血管の完全な拡張を生じさせるために薬理学的に充血が誘発された血管内にOCTプローブが静止して保持されているときに、1つ以上の画像を収集することを含み得る。
【0097】
血管内撮像プローブを使用して決定されたTmnは、プレッシャーワイヤを使用して決定されたTmnと同じか、又は実質的に同じであり得る。追加的又は代替的に、血管内撮像プローブを用いて決定されたTmnは、流量計によって決定された流量と同じか、又は実質的に同じであり得る。したがって、単一の血管内撮像デバイスを使用して、Tmnを決定するとともに、微小血管の疾患の他の態様を特定することができる。
【0098】
いくつかの例によれば、血管内撮像プローブを使用して決定されたTmnを用いて、CFRを決定することができる。Tmnは、安静時及び充血時の両方において決定され得る。CFRは、以下の式に示すように、決定された安静時の平均通過時間「Tmn at rest」及び充血中の平均通過時間「Tmn at hyperemia」を使用して決定され得る。
【数3】
【0099】
いくつかの例によれば、血管内撮像プローブを用いて決定されたTmnを用いて決定されたCFRは、プレッシャーワイヤを用いて決定されたCFRと同じか、又は実質的に同じであり得る。
【0100】
いくつかの例によれば、血管内撮像プローブを使用して決定されたTmnを用いて、IMRを決定することができる。Tmnは、安静時及び/又は充血時において決定され得る。例えば、IMRは、以下の式を使用して決定することができる。
【数4】
【0101】
式中、「P at hyperemia」は、薬理学的に誘発された充血中の遠位圧に対応し得る。遠位圧は、体積流量(VFR:volume flow rate)を使用して決定され得る。VFRは、血管が薬理学的に誘発された充血状態にあるときにOCT引き戻し中に収集された1つ以上の画像を使用して決定され得る。血管の管腔形状は、引き戻し中に収集された1つ以上の画像に基づいて決定され得る。管腔形状を使用して、充血遠位圧(hyperemic distal pressure)及び充血大動脈圧(hyperemic aortic pressure)を決定することができる。遠位圧は、容積管腔形状に基づいて決定され得る。例えば、抵抗器モデルが、標的血管を表すために使用され得る。オームの法則に基づいて、圧力勾配(ΔP)は、以下の式に示すように、流量(Q)に血管の抵抗(R)を乗算したものに等しくなり得る。
【数5】
【0102】
流量は、抵抗器モデルを通る理論上の大動脈圧及び静脈圧によって計算することができる。
【0103】
いくつかの例では、血管内撮像プローブによって収集された画像及び画像に基づいて決定されたデータを使用して、潜在的なステント留置を評価することができる。例えば、画像に基づいて、CFR、IMR、VFR等が決定され得る。いくつかの例によれば、決定されたCFR、IMR、VFR等の値は、ステント計画並びに他の診断及び分析方法を実行するために、仮想ステント、ランディングゾーン、クラスタリングベースの方法等とともに使用され得る。
【0104】
図9は、血管内のボーラスの平均通過時間を決定する例示的な方法を示している。以下の動作は、以下に説明される正確な順序で実行される必要はない。むしろ、種々の動作を異なる順序で又は同時に処理することができ、動作を追加又は省略することができる。
【0105】
例えば、ブロック910において、システム100等のデータ収集システムは、複数の画像フレームを収集することができる。収集された画像フレームは、メモリ114に記憶され得る。複数の画像フレームは、OCTプローブが血管内で静止して保持されているときに収集され得る。複数の画像フレームのうちの1つ以上の画像フレームは、血管内へと注入されたボーラスの一部分を含み得る。例えば、画像フレームのうちの1つ以上は、ボーラスがOCTプローブを通過する際に、注入されたボーラスの一部分を含み得る。
【0106】
ブロック920において、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定することができる。ボーラスの断面積を決定することは、例えば、2つの成分を有するガウス混合モデルを使用して閾値を計算することを含み得る。閾値は、各成分の平均値の平均であり得る。血管マスクは、管腔オフセット、カテーテルオフセット、及びガイドワイヤオフセットを使用して決定され得る。血管マスクは、ボーラスが占有し得る管腔境界内の断面積を示すことができる。血管マスクとセグメント化された画像フレームとの間で要素ごとのAND演算を適用することができる。要素ごとのANDの結果は、コントラストマスクであり得る。コントラストマスクは、画像内のコントラストのピクセル面積が決定されることを可能にし得る。これは、OCTプローブが血管内で静止して保持されている間に取り込まれた1つ以上の画像に対して繰り返され得る。
【0107】
ブロック930において、1つ以上の画像フレームにおけるボーラスの一部分の断面積に基づいて、分布曲線が作成される。分布曲線は、面積希釈曲線であり得る。
【0108】
ブロック940において、平均通過時間は、分布曲線に基づいて決定され得る。例えば、分布曲線は、メジアンフィルタを用いて平滑化することができる。静止画像フレームキャプチャの中心に最も近いピークが決定され得る。決定されたピークを初期平均値として使用して、平滑化された分布曲線にガウスフィットを適用することができる。曲線から4標準偏差離れた領域を除去することができる。これにより、平均通過時間を決定する際に、前の又は後のボーラス等の任意のアーチファクトが考慮されることを防ぐことができる。対数正規フィットを分布曲線に適用することができる。初期時間「T」は、分布曲線における断面積の最初の増加に基づいて決定することができる。平均通過時間は、初期時間及び対数正規フィット曲線に基づいて決定することができる。
【0109】
平均通過時間を決定するためにOCTプローブを使用することは、追加のハードウェア又はセンサが使用される必要がないという利点を提供することができる。例えば、画像フレームを収集するためにOCTプローブを使用すること、及び平均通過時間を決定するために画像フレームを使用することは、プレッシャーワイヤを挿入する必要性を排除することができる。これにより、処置中の合併症のリスクを低減することができる。追加的又は代替的に、平均通過時間を決定するためにOCTプローブを使用することは、平均通過時間のリアルタイムの読み取りを可能にし得る。いくつかの例では、OCTシステムを使用して決定された平均通過時間を使用して、冠血流予備能(CFR)データを決定する、及び/又はIMRデータを決定することができる。したがって、OCTプローブを使用して、生理学的情報及び解剖学的情報を決定することができる。
【0110】
本明細書に記載の技術によれば、平均通過時間を決定する方法は、血管についての血管内データをメモリデバイスに記憶するステップであって、血管内データは、血管内の位置において血管内撮像プローブに結合された1つ以上のプロセッサによって収集された複数の画像フレームを含み、複数の画像フレームのそれぞれは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含むものである、ステップと、1つ以上のプロセッサによって、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成するステップと、1つ以上のプロセッサによって、分布曲線に基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定するステップとを含み得る。平均通過時間を決定するステップは、1つ以上のプロセッサによって、分布曲線を積分することを更に含み得る。
【0111】
ボーラスの一部分の断面積を決定するステップは、1つ以上のプロセッサによって、閾値処理によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することと、1つ以上のプロセッサによって、管腔オフセットとカテーテルオフセットとガイドワイヤオフセットとのうちの少なくとも1つに基づいて、複数の画像フレームのそれぞれについて血管マスクを決定することと、1つ以上のプロセッサによって、複数のセグメント化された画像フレームのそれぞれと、複数の画像フレームのそれぞれについての血管マスクとに基づいて、コントラストマスクを決定することとを含み得る。複数のフレームのそれぞれに対するコントラストマスクのピクセル面積は、ボーラスの一部分の断面積に対応し得る。閾値によって複数の画像フレームのそれぞれをセグメント化することは、1つ以上のプロセッサによって、ガウス混合モデルを計算することと、1つ以上のプロセッサによって、1つ以上の画像フレームのそれぞれを所定の閾値と比較することと、1つ以上のプロセッサによって、大津の閾値処理を適用することとのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0112】
本方法は、1つ以上のプロセッサによって、メジアンフィルタを使用して、分布曲線を平滑化するステップと、1つ以上のプロセッサによって、平滑化された分布曲線のピークを決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、平滑化された分布曲線にガウスフィットを適用するステップと、1つ以上のプロセッサによって、ガウスフィットの4標準偏差外側のゼロ値を決定するステップと、1つ以上のプロセッサによって、ゼロ値に基づいて、適用されたガウスフィットに対数正規フィットを適用するステップとを更に含み得る。ボーラスが血管内撮像プローブに到達した初期時間は、ボーラスの少なくとも一部分を有する複数の画像フレームのうちの第1の画像フレームを特定することによって決定され得る。初期時間及び適用された対数正規フィットを使用して、平均通過時間を決定することができる。
【0113】
本明細書に開示される技術の別の態様は、血管内撮像プローブと、血管内撮像プローブと通信する1つ以上のプロセッサとを備えてなるシステムを含み得る。1つ以上のプロセッサは、血管内の位置における複数の画像フレームを収集し、ここで、複数の画像フレームのそれぞれは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含んでおり、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定し、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成し、分布曲線に基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定するように構成することができる。
【0114】
本明細書に開示される技術の更に別の態様は、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含んでいてもよく、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、血管内撮像プローブから、血管内の位置における複数の画像フレームを受信させ、ここで、複数の画像フレームのそれぞれは、血管内に注入されたボーラスの一部分を含むものであり、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の断面積を決定させ、複数の画像フレームのそれぞれにおけるボーラスの一部分の決定された断面積に基づいて、分布曲線を作成させ、分布曲線に基づいて、血管内の血液の平均通過時間を決定させる。
【0115】
血管内の血液の平均通過時間は、血管内撮像データに基づいて決定することができる。CFR値及び/又はIMR値は、決定された平均通過時間に基づいて決定され得る。いくつかの例によれば、CFR値及び/又はIMR値を使用して、1つ以上の追加の要因と組み合わせて、血管内の微小血管の疾患の1つ以上の態様を特定することができる。
【0116】
本開示の態様、実施形態、特徴、及び例は、全ての点において例示的であるとみなされるべきであり、本開示を限定することを意図するものではなく、その範囲は特許請求の範囲によってのみ定められる。他の実施形態、変形形態、及び使用法は、特許請求される発明の骨子及び範囲から逸脱することなしに、当業者には明らかであろう。
【0117】
本願全体において、組成物が、特定の構成要素を有する(having)、含む(including, or comprising)と記載されている場合、又はプロセスが特定のプロセスステップを有する、含むと記載されている場合、本教示の組成物はまた、記載された構成要素から本質的になる(consist essentially of)、又はこれからなる(consist of)ことが意図され、本教示のプロセスはまた、記載されたプロセスステップから本質的になる、又はこれからなることが意図される。
【0118】
本願において、要素又は構成要素が、記載された要素又は構成要素のリストに含まれる及び/又はそこから選択されると言及されている場合、その要素又は構成要素は、記載された要素又は構成要素のうちの任意の1つであることが可能であり、記載された要素又は構成要素のうちの2つ以上からなる群から選択可能であると理解されるべきである。さらに、本明細書に記載される組成物、装置、又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書に明示されているか又は暗示されているかにかかわらず、本教示の骨子及び範囲から逸脱することなしに様々な方法で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0119】
「含む(include, includes)」「含んでいる(including)」、「有する(have, has)」又は「有している(having)」の語の使用は、特に記載されない限り、オープンエンドでありかつ非限定的であると一般に理解されるべきである。
【0120】
本明細書における単数形の使用は、特に他に記載されない限り、複数形を含む(及びその逆も)。さらに、単数形「1つ(a, an)」及び「その(the)」は、文脈上明確に言及されない限り、複数形を含む。さらに、「約」の語の使用が定量的な値の前にある場合、本教示は、特に他に記載されない限り、その特定の定量的な値自体も含む。本明細書で使用される場合、「約」の語は、公称値から±10%の変動を意味する。本明細書に開示される全ての数値及び数値範囲は、各値の前に「約」を含むとみなされる。
【0121】
本教示が実施可能である限り、或る特定の動作を実行するためのステップの順序又は順序は重要でないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップ又は動作が同時に行われてもよい。
【0122】
値の範囲又はリストが提供される場合、値の範囲又はリストの上限と下限との間に介在する各値は、個別に考えられ、各値が本明細書中に具体的に列挙されているかのように本発明に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限との間(上限及び下限を含む)のより小さな範囲も、本発明に考慮され、包含される。例示的な値又は範囲をリストとして挙げることは、所与の範囲の上限と下限との間(上限及び下限を含む)の他の値又は範囲を権利放棄するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】