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特表2024-500775巻線ステータの液体冷却を備えた電気モータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】巻線ステータの液体冷却を備えた電気モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537076
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021072992
(87)【国際公開番号】W WO2022133486
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,580
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437526
【氏名又は名称】ジョビー エアロ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】マカフィー、スコット
(72)【発明者】
【氏名】ロイトホルト、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】コルテス、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ヘースト、マーティン
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP06
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ12
5H609QQ13
5H609RR42
5H609RR43
(57)【要約】
電気モータは、ロータと、ステータとを備え、ステータは、ヨーク(112)と、ヨークに取り付けられ、かつモータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯(114)とを含む。各歯(114)は、ヨーク(112)に隣接する第1の径方向端部(412)と、ヨーク(112)から延在する第2の径方向端部(410)とを含んでおり、複数の界磁コイル(116)の各々が、歯(114)の周囲に巻回されており、冷却剤循環経路が、隣接する界磁コイル(116)間に形成された間隙冷却剤チャネル(204)と、隣接する界磁コイル(116)間および隣接する歯の第1の径方向端部(412)間に形成された内側冷却剤チャネル(202)とを含む。第3の冷却剤チャネル(206)が、隣接する界磁コイル(116)間および隣接する歯の第2の径方向端部(410)間に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータとを備える電気モータであって、前記ステータは、
ヨークと、
前記ヨークに取り付けられ、かつ前記モータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯であって、各歯は、前記ヨークに隣接する第1の径方向端部と、前記ヨークから延在する第2の径方向端部とを含む、前記複数の歯と、
複数の界磁コイルであって、各界磁コイルが歯の周囲に巻回されている、前記複数の界磁コイルと、
隣接する界磁コイル間に形成された第1の冷却剤チャネルと、隣接する界磁コイル間および隣接する歯の第1の径方向端部間に形成された第2の冷却剤チャネルとを含む冷却剤循環経路と、を含む、電気モータ。
【請求項2】
前記複数の歯は、第1の軸方向端部および第2の軸方向端部を含み、前記モータは、歯の前記第1の軸方向端部にある径方向バッフルをさらに備える、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項3】
前記径方向バッフルは、使用時に、歯の前記第1の軸方向端部と、対応する界磁コイルとの間に冷却剤の流れを誘導する、請求項2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記複数の歯の前記第1の軸方向端部の周囲または前記第2の軸方向端部の周囲にある環状バッフルをさらに備え、前記環状バッフルは、使用時に、前記複数の界磁コイルの外側端部の周囲に冷却剤の流れを誘導する、請求項3に記載の電気モータ。
【請求項5】
隣接する界磁コイル間および隣接する歯の前記第2の径方向端部間に形成された第3の冷却剤チャネルをさらに備える、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項6】
前記第3の冷却剤チャネルを部分的に形成する軸方向バッフルをさらに備える、請求項5に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記複数の歯は、周方向フランジを含み、前記軸方向バッフルは、隣接する歯の前記周方向フランジによって部分的に保持される、請求項6に記載の電気モータ。
【請求項8】
複数のバスリングを含む電気バスをさらに備え、前記冷却剤循環経路は前記複数のバスリングを通過している、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項9】
ロータとステータとを備える電気モータであって、前記ステータは、
ヨークと、
前記モータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯であって、各歯は、前記ヨークに隣接する第1の径方向端部と、前記ヨークから延在する第2の径方向端部とを含んでいる、前記複数の歯と、
複数の界磁コイルであって、各界磁コイルが歯の周囲に巻回されている、前記複数の界磁コイルと、
前記界磁コイルの下方に、かつ隣接する歯の前記第1の径方向端部間に形成された第1の冷却剤チャネルと、前記界磁コイルの上方に、かつ隣接する歯の前記第2の径方向端部間に形成された第2の冷却剤チャネルとを含む冷却剤循環経路と、を含む、電気モータ。
【請求項10】
隣接する界磁コイル間に形成された第3の冷却剤チャネルをさらに備える、請求項9に記載の電気モータ。
【請求項11】
前記第3の冷却剤チャネルを部分的に形成する軸方向バッフルをさらに備える、請求項10に記載の電気モータ。
【請求項12】
複数のバスリングを含む電気バスをさらに備え、前記冷却剤循環経路は前記複数のバスリングの間を通過している、請求項10に記載の電気モータ。
【請求項13】
前記複数の歯の軸方向端部の周囲にある環状バッフルをさらに備え、前記環状バッフルは、使用時に、前記複数の界磁コイルの外側端部の周囲に冷却剤の流れを誘導する、請求項10に記載の電気モータ。
【請求項14】
前記複数の歯は、第1の軸方向端部および第2の軸方向端部を含み、前記モータは、歯の前記第1の軸方向端部にある径方向バッフルをさらに備える、請求項10に記載の電気モータ。
【請求項15】
前記複数の歯の軸方向端部の周囲にある環状バッフルをさらに備え、前記環状バッフルは、使用時に、前記複数の界磁コイルの外側端部の周囲に冷却剤の流れを誘導する、請求項9に記載の電気モータ。
【請求項16】
前記複数の歯は、第1の軸方向端部および第2の軸方向端部を含み、前記モータは、歯の前記第1の軸方向端部にある径方向バッフルをさらに備え、前記径方向バッフルは、使用時に、歯の前記第1の軸方向端部と、対応する界磁コイルとの間に冷却剤の流れを誘導する、請求項15に記載の電気モータ。
【請求項17】
ロータおよびステータを備える電気モータを冷却する方法であって、前記ステータは、
ヨークと、
前記モータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯であって、各歯は、前記ヨークに隣接する第1の径方向端部と、前記ヨークから延在する第2の径方向端部とを含んでいる、前記複数の歯と、
複数の界磁コイルであって、各界磁コイルが歯の周囲に巻回されている、前記複数の界磁コイルと、を含んでおり、
前記方法は、
隣接する界磁コイルの間に形成された第1の冷却剤チャネルと、隣接する界磁コイルの間および隣接する歯の前記第1の径方向端部の間に形成された第2の冷却剤チャネルとを含む冷却剤循環経路を通過するように冷却剤を循環させるステップを含む、方法。
【請求項18】
隣接する界磁コイル間および隣接する歯の前記第2の径方向端部間に形成された第3の冷却剤チャネルを通過するように冷却剤を循環させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記モータが、複数のバスリングを含む電気バスをさらに備え、前記方法が、前記複数のバスリング間で前記冷却剤を循環させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
歯の軸方向端部と、対応する界磁コイルとの間で冷却剤を循環させるステップと、
前記対応する界磁コイルの外側端部を超えて冷却剤を循環させるステップと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、輸送機関用の電気モータに関し、より詳細には、いくつかの例において、航空分野における新規かつ有用な航空機用電気モータに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
任意の特定の構成要素または動作の説明を容易に識別するために、参照番号における最上位の数字は、その構成要素が最初に導入された図番号を指す。
図1】いくつかの例による、モータの斜視図を横断する部分断面図である。
図2】いくつかの例による、図1のモータのヨークおよびロータ本体の平面図である。
図3】いくつかの例による、モータのヨークのセグメントの斜視図である。
図4】いくつかの例による、モータのヨークのセグメントの斜視断面図である。
図5】いくつかの例による、モータ内に冷却剤をルーティングするための環状バッフルの部分的に半透明の斜視図である。
図6図4の環状バッフルを含むセグメントの斜視図である。
図7】いくつかの例による、流入口および流体チャネルを示すモータのステータの斜視図である。
図8】いくつかの例による、図1のモータの電気バスの切欠き斜視図である。
図9】いくつかの例による、モータのヨークの斜視図である。
図10】いくつかの例による、図7に図示したチャネルから冷却剤が流入するときの、界磁コイルの端部の周囲の冷却剤の流れを示す図である。
図11】いくつかの例による、ステータの歯間の冷却剤の軸方向の流れを示す図である。
図12】いくつかの例による、冷却剤が歯間の軸方向冷却チャネルを流出するときの、界磁コイルの端部の周囲の冷却剤の流れを示す図である。
図13】いくつかの例による、冷却剤が軸方向冷却チャネルを流出して、モータの電気バスを通過するときの冷却剤の流れを示す図である。
図14】いくつかの例による、冷却剤が環状領域706に流入してからモータの電気バスを流出するまでの、ヨークを通過する冷却剤の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
いくつかの例では、電気モータは、ロータおよびステータを含む。ステータは、ヨークと、ヨークに取り付けられ、かつモータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯であって、各歯がヨークに隣接する第1の径方向端部とヨークから延在する第2の径方向端部とを含んでいる、複数の歯と、複数の界磁コイルであって、各界磁コイルが歯の周囲に巻回されている、複数の界磁コイルと、隣接する界磁コイルの間に形成された第1の冷却剤チャネルと、隣接する界磁コイルの間および隣接する歯の第1の径方向端部間に形成された第2の冷却剤チャネルとを含む冷却剤循環経路と、を含む。
【0004】
複数の歯は、第1の軸方向端部および第2の軸方向端部を含み得、モータは、歯の第1の軸方向端部にある径方向バッフル(radial baffle)をさらに含み得る。また、電気モータは、隣接する界磁コイル間および隣接する歯の第2の径方向端部間に形成された第3の冷却剤チャネルをさらに含み得る。軸方向バッフル(axial baffle)は、第3の冷却剤チャネルを部分的に形成し得る。また、電気モータは、複数のバスリングを含む電気バスをさらに含み得、冷却剤循環経路は複数のバスリングを通過している。
【0005】
径方向バッフルは、使用時に、歯の第1の軸方向端部と、対応する界磁コイルとの間に冷却剤の流れを誘導し得る。また、複数の歯の第1の軸方向端部の周囲又は第2の軸方向端部の周囲にある環状バッフルが設けられてもよく、環状バッフルは、使用時に、複数の界磁コイルの外側端部の周囲に冷却剤の流れを誘導する。
【0006】
複数の歯は、周方向フランジを含み得、軸方向バッフルは、隣接する歯の周方向フランジによって部分的に保持される。
いくつかの例では、ステータは、ヨークと、モータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯であって、各歯がヨークに隣接する第1の径方向端部とヨークから延在する第2の径方向端部とを含んでいる、複数の歯と、複数の界磁コイルであって、各界磁コイルが歯の周囲に巻回されている、複数の界磁コイルと、界磁コイルの下方において隣接する歯の第1の径方向端部の間に形成された第1の冷却剤チャネルと、界磁コイルの上方において隣接する歯の第2の径方向端部間に形成された第2の冷却剤チャネルとを含む冷却剤循環経路と、を含む。第3の冷却剤チャネルも、隣接する界磁コイル間に形成され得る。軸方向バッフルは、第3の冷却剤チャネルを部分的に形成し得る。
【0007】
また、電気モータは、複数の歯の軸方向端部の周囲にある環状バッフルをさらに含み得、環状バッフルは、使用時に、複数の界磁コイルの外側端部の周囲に冷却剤の流れを誘導する。複数のバスリングを含む電気バスが設けられ得、冷却剤循環経路は複数のバスリング間を通過している。
【0008】
複数の歯は、第1の軸方向端部および第2の軸方向端部を含み得、径方向バッフルが歯の第1の軸方向端部に設けられ得る。径方向バッフルは、使用時に、歯の第1の軸方向端部と、対応する界磁コイルとの間に冷却剤の流れを誘導し得る。
【0009】
また、ロータおよびステータを含む電気モータを冷却する方法であって、ステータがヨークと、モータの回転軸に実質的に平行に整列された複数の歯であって、各歯がヨークに隣接する第1の径方向端部とヨークから延在する第2の径方向端部とを含んでいる、複数の歯と、複数の界磁コイルであって、各界磁コイルが歯の周囲に巻回されている、複数の界磁コイルと、を含んでおり、方法は、隣接する界磁コイルの間に形成された第1の冷却剤チャネルと、隣接する界磁コイル間および隣接する歯の第1の径方向端部間に形成された第2の冷却剤チャネルと、を含む冷却剤循環経路を通過するように冷却剤を循環させるステップを含む、方法が提供される。方法は、隣接する界磁コイル間および隣接する歯の第2の径方向端部間に形成された第3の冷却剤チャネルを通過するように冷却剤を循環させるステップをさらに含み得る。
【0010】
モータは、複数のバスリングを含む電気バスを含み得、方法は、複数のバスリング間で冷却剤を循環させるステップをさらに含む。方法は、歯の軸方向端部と、対応する界磁コイルとの間で冷却剤を循環させるステップと、対応する界磁コイルの外側端部を超えて冷却剤を循環させるステップとをさらに含み得る。
【0011】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲から当業者には容易に明らかになり得る。
図1は、いくつかの例によるモータ100の斜視図を横断する部分断面図である。モータ100は、ステータ104の周囲にあるロータ102を含む。ロータ102は、ロータ本体106と、複数の磁石108とを含む。ステータ104は、ステータハウジング110と、複数の歯114を支持するヨーク112とを含み、複数の歯114の周囲には界磁コイル116が巻回されている。また、ステータは、界磁コイル116におよび界磁コイル116から電流をルーティングするための電気バス118を含む。以下で説明するように、ステータ104は、使用時に界磁コイル116および電気バス118を冷却するために冷却剤を循環させることができる様々な冷却チャネルをも含む。冷却剤チャネルは、冷却剤チャネルを通して冷却剤を循環させるためのポンプ(図示せず)、ならびにラジエータ(図示せず)または他の熱伝達デバイスに連結され得る。
【0012】
また、ヨーク112上には、前壁120および後壁122が設けられており、これらは、冷却剤が界磁コイル116および電気バス118の周囲の領域から流出したり流入したりする際に冷却剤を保持する役割を果たす。単に便宜上、電気バス118を有するモータ100の側は、本明細書では後側として参照される。
【0013】
ロータ102は、ハブ124に連結されており、ハブ124は、軸受126を介してステータ104に回転可能に連結されている。ハブ124は、シャフトまたはプロペラハブなどの被駆動構部品に連結されており、ステータは、ハウジング(図示せず)を介して、機体、ナセル構造、またはチルト機構などの支持構造に連結されている。
【0014】
ステータ104は、磁界を発生させる機能を有する。磁界とロータ102の磁石108との相互作用は、ハブ124を介して被駆動構部品に作用するモータトルクを生成する。
ヨーク112は、歯114および界磁コイル116を構造的に支持するとともに、歯114および界磁コイル116をステータハウジング110に取り付けるように機能する。追加的に又は代替的に、ヨーク112は、冷却剤のルーティングの一部を閉鎖するように機能することができる。ヨーク112は、図示の例では円筒状であり、かつステータハウジング110の径方向外側に配置されている。ヨーク112は、接着剤(例えば、エポキシ)によってステータハウジング110の外周面(外径)においてステータハウジング110に取り付けられ、機械的応力(例えば、圧入、スリーブの機械的予荷重など)によって保持され、機械的に締結され、かつ/または他の方法でステータハウジングに取り付けられ得る。ヨーク112は、一体構造とすることができ、かつ/または複数の層状部品から組み立てることができる。特定の例では、ヨーク112は、複数のシート金属部品を積層し、接着剤(例えば、エポキシ)を使用してそれらを一緒に貼り合わせることによって形成される。ヨーク112は、好ましくは、鉄金属(例えば、鋼など)で形成されるが、追加的に又は代替的に、非鉄金属及び/又は他の適切な材料で形成することができる。
【0015】
変形形態では、ヨーク112は複数の溝を含むことができ、各溝は、歯114の基部と噛み合うか、または歯114の基部を取り付けるように構成される。溝は、好ましくは、ヨーク112の径方向外側の外周面に配置され、ヨーク112の円筒形の外面に沿って軸方向に延在する。溝は、好ましくは、(界磁コイルの数および配置に対応して)中心軸の周囲に均一な放射状の間隔を有するが、他の方法で適切に構成することもできる。溝は、V字型にすることができるか、またはそれ以外に歯を溝内に組み付けることができるように構成することができる。第1の例では、溝はオーバーハングを含まず、溝内への歯の放射状の挿入/組み立てを可能にする。第2の例では、溝はオーバーハング(例えば、歯の放射状の挿入を妨げる)を含み、溝内への歯の軸方向の挿入を必要とする。代替的に、歯114は、ヨーク112と一体的に形成することができ、かつ/またはそれ以外にヨーク112に適切に取り付けることができる。
【0016】
界磁コイル116を保持するように機能する歯は、ヨーク112に一体化することができ、かつ/またはヨーク112から分離することができる(例えば、ヨークに機械的に接合される)。歯114は、ヨーク112と同じ材料とすることができ、かつ/またはヨーク112とは異なる材料で形成することができる。各歯114は、一体構造とすることができ、かつ/または複数の層状部品から組み立てることができる。特定の実施形態では、各歯114は、接着剤(例えば、エポキシ)を使用して一緒に貼り合わせることができる複数のシート金属部品を積層することによって形成される。歯114は、好ましくは、鉄金属(例えば、鋼など)で形成されるが、追加的に又は代替的に、非鉄金属及び/又は他の適切な材料で形成することができる。各歯114は、好ましくは、歯114の本体の外側縁部において周方向に反対向きに延在するフランジを有する「T」形状であり、歯の本体は、ヨーク112の放射状の周面上の溝の基部と噛み合う/接合するように構成された根部で終端している。歯114のフランジは、界磁コイル116を径方向に保持することができ、歯114の本体は、界磁コイル116を軸方向および/またはモータの軸を中心とした回転方向に保持する。
【0017】
電気バス118は、界磁コイル116のサブセットを電気的に接続し、かつ/または界磁コイル116間の電力をルーティングするように機能する。電気的なバス接続は、モータの任意の適切な電力構成を実現することができる。モータは、好ましくは、AC電源入力によって電力供給されるが、代替的に、DC電源入力によって電力供給することができる(例えば、一体型のインバータを備えたブラシレスDCモータ)。より好ましくは、AC電源入力は3相であるが、追加的に又は代替的に、単相、2相、6相、9相、多相とすることができ、及び/又は任意の適切な数の電気相を含むことができる。
【0018】
第1の変形形態(「二重巻線変形形態」)では、電気バス118は、好ましくは、界磁コイルを第1および第2の組の巻線(例えば、2組の3相巻線)に細分し、これらの巻線は、別々に電力供給され、かつ/または別々にモータ100の回転を駆動することができる。好ましくは、隣接する界磁コイル116は、対向する組の巻線内にあるが、界磁コイルは、各組の巻線を介して独立および/または別個の作動を可能にするように、別様に好適に分配されることができる。従って、各組の巻線は、別個のインバータによって電力供給されることができ、かつ/または同じインバータによって電力供給されることができる。(モータ内および/またはインバータにおける)単一の電気的故障点は、単一の組の巻線のみを損なう可能性があるため、二重巻線の変形形態は、冗長性の追加の層を提供することができる。変形形態では、各組の巻線および/または各インバータは、別個の組の電源(例えば、別個の組のバッテリパック)によって電力供給されることができ、これは、同様に、モータが、1つ以上の電源の損失があっても動作し続けることを可能にすることができる。特定の例では、バス接続は、モータ100の回路を、2つの独立した位相制御方式によって制御される、ステータおよび巻線を(例えば、「パイスライス」のように)分割した均等の部分モータに分割する。しかしながら、モータは、代替的に、単一の組の巻線(例えば、1組の3相巻線)のみを含むことができ、3以上の組の巻線を含むことができ、及び/又は他の態様で適切に構成することができる。
【0019】
モータ100の部品は、モータ100内に1つ以上の冷却剤流路を協働して形成することができ、冷却剤流路は、冷却剤流路を通して冷却剤をルーティングするように機能する。システムは、単一の冷却剤(例えば、水/グリコール混合物、油など)および/または複数の冷却剤を含むことができる。第1の変形形態では、軸受126は、第1の冷却剤流路を通って循環する第1の冷却剤(例えば、油)によって冷却され、ステータ104は、第2の流路を通って循環する第2の冷却剤(例えば、水/グリコール混合物)によって冷却される。第2の変形形態では、軸受及びステータの両方を同じ冷却剤(例えば、油)によって冷却することができる。
【0020】
冷却剤流路は、冷却剤ルーティング部品を含むか、または冷却剤ルーティング部品によって形成され得る。冷却剤ルーティング部品は、冷却剤バッフル(例えば、界磁コイルの両側の端部に配置された、前方冷却剤バッフルおよび後方冷却剤バッフルである)、およびヨーク112などのモータ100内の他の部品内に形成されたチャネルを含むことができる。
【0021】
冷却剤のルーティングは、隣接する界磁コイル116の間、界磁コイル116の下方(例えば、界磁コイルの径方向内側)、界磁コイル116の上方(例えば、界磁コイルの径方向外側)、界磁コイル116の内側(例えば、界磁コイルの前方/後方端部などにおいて界磁コイルと歯との間)、界磁コイルの前方、界磁コイルの後方(電気バス側および/または取り付け側)、および/または界磁コイルの任意の他の適切な部分とすることができる。冷却剤のルーティングは、好ましくは、冷却剤流路の様々な部分にわたって実質的に均一に(例えば、10%未満、20%未満、50%未満だけ変化する、正確に均一、その他)かつ/または一定の断面積で提供される。多数の冷却表面にわたって冷却を提供することは、流路容積に対する冷却表面積を増加させ、それによって全体的な冷却効率を向上させることができる。冷却剤は、好ましくは、冷却剤ルーティング部品を通して高流量で循環される(例えば、冷却剤温度が、モータを通して5℃未満上昇する等、モータを通る冷却剤温度上昇が、いくつかの例において無視され得るように)。
【0022】
前壁120および後壁122は、ロータ102とステータ104との間の前部および後部の空隙を閉鎖するように機能し、かつ/または前または後からの空隙への微粒子の進入を防止するように機能する。前壁及び後壁は、好ましくは、ステータハウジング110に(例えば、機械的締結具及び/又は接着剤によって)機械的に取り付けられ、かつロータ本体106と相互作用する。前壁120及び後壁122は、好ましくは、複合材料(例えば、炭素繊維)で形成されるが、任意の他の適切な材料を含むことができ、かつ/又は他の方法で具体化することができる。ロータ本体と前壁及び後壁との間の境界は、好ましくは、軸受シール及び/又は軸受面(例えば、ロータ本体の回転中に係合される)を含み、軸受シール及び/又は軸受面は、潤滑剤(例えば、グリース)によって潤滑することができ、自己潤滑性(例えば、含浸油、グラファイトなどを用いて)を有し、かつ/又は他の方法で後壁とロータ本体との間の相対運動を適切に可能にすることができる。
【0023】
図2は、いくつかの例によるモータ100のヨーク112およびロータ本体106の平面図である。ヨーク112は、様々な部品に対する冷却チャネルの位置を示すために断面で示されている。図2に示される冷却チャネルは、モータ100の回転軸に平行にヨーク112に沿って軸方向に延びる。図2から分かるように、特に図3及び図4により詳細に示すように、各界磁コイル116は、歯114の周囲に巻回されている。各歯は、歯の根部または基部における径方向の第1の端部412と、ヨーク112から延在する径方向の第2の端部410とを含む。第2の端部410は、各側にあるフランジ408を含む。
【0024】
内側冷却チャネル202は、隣接する歯114の間でヨーク112内に、かつ隣接する歯114の第1の端部412の間かつ隣接する界磁コイル116の径方向内側に形成されている。間隙冷却チャネル204は、隣接する界磁コイル116の間に形成されており、外側冷却チャネル206は、隣接する歯の第2の端部410の間で隣接する界磁コイル116の径方向外側に形成されている。径方向内側及び径方向外側という用語は、本実施形態を説明するために使用されているに過ぎず、これらの向きは、例えば、ステータがロータを取り囲んでいる場合には逆にすることができることに留意されたい。
【0025】
また、図2には、ヨーク112とロータ本体106と磁石108との間の空隙において歯114および界磁コイル116を放射状に包囲するように機能するスリーブ208が示されている。追加的または代替的に、スリーブ208は、冷却剤体積を部分的に取り囲むように機能することができ、かつ/または(例えば、冷却剤バッフルと組み合わせて)冷却剤を流路に沿って界磁コイルに誘導するように機能することができる。空隙は、好ましくは、2つの本体の相対回転を可能にする(例えば、ステータ104とロータ102との間に環状キャビティを画定する)、ロータ102とステータ104との間の物理的分離であり、この場合、スリーブ208がステータ104を空隙により分離する。
【0026】
スリーブ208は、好ましくは、複合材料(例えば、炭素繊維)から形成されるが、追加的または代替的に、任意の他の適切な材料構成を有することができる。スリーブ208は、好ましくは、複合材料の単一層で形成されるが、多層(例えば、単一の繊維配向、複数の繊維配向など)、および/または他の材料構造とすることができる。スリーブ208は、好ましくは、歯114の径方向外側面と磁石108との間の空隙を通って延びる円筒壁を含む。円筒壁は、電気バス118の上方に径方向外側に延在することができ、かつ/または界磁コイル116と後壁122との間で終端することができる。スリーブ208は、ステータハウジング110に取り付けられる内側フランジ(例えば、円筒壁と同心であり、かつ円筒壁と同じ方向に軸方向に延在する)をさらに含むことができる。
【0027】
第1の変形形態では、スリーブは、機械的予荷重によってヨーク112、歯114、および界磁コイル116をステータハウジング110に取り付ける。特定の例では、スリーブ208の円筒壁の公称内径は、好ましくは、歯/界磁コイルアセンブリの公称外径よりも小さい。従って、スリーブ208は、組み立て中に予め張力が加えられ、界磁コイル116および歯114をステータハウジング110に対して保持するように連続的に応力が加えられる。第2の変形形態では、スリーブ208は、接着剤(例えば、エポキシ)によってステータハウジング110及び/又はステータ104に結合することができる。しかしながら、システムは、任意の他の適切なスリーブを含むことができる。
【0028】
従って、スリーブ208、ステータハウジング110、およびヨークは、流体境界の一部を形成し、かつ/またはモータ100内に冷却剤を封入することができる。加えて、冷却剤バッフルは、同様に、電気的バス接続のための取り付け構造(例えば、後部バッフルに一体化された梯子形状のバスリングマウント)を提供するなど、システムの様々な部品を構造的に支持することができる。しかしながら、冷却剤ルーティング部品は、(例えば、モータインバータ、ポンプ、および/またはラジエータに誘導される)外部管類および/または冷却剤接続部等の任意の他の好適な部品を含むことができる。
【0029】
図3は、いくつかの例によるモータ100のヨーク112のセグメントの斜視図である。図3は、界磁コイル116が歯114の周囲にどのように巻回されているかをより明確に示しており、間隙冷却チャネル204が隣接する界磁コイル116の間に形成されている。図3には、ヨーク112の前側及び後側の両方において各歯114の端部に取り付けられた径方向バッフル302も示されている。径方向バッフル302は、軽量であり、さもなければ歯114の端部と界磁コイル116との間に蓄積される冷却剤の体積を減少させること、および以下でより詳細に説明するように冷却剤の流れを誘導することとの両方の役割を果たす。
【0030】
界磁コイル116は、好ましくは銅であるが、任意の適切な材料(単数または複数)および/またはコーティングを含むことができる。第1の変形形態では、界磁コイル116は、歯114の周囲に巻回された銅線により形成される。第2の変形形態では、各界磁コイル116は、図3に示すように、歯114の長さに沿ってストリップ巻線のループを積層することによって形成される。積層/層状ストリップ巻線には、巻線を歯から分離する絶縁層(例えば、ノーメックス(Nomex(登録商標)))および/または他の方法で適切に電気的に絶縁された絶縁層が介在され得る。さらなる例では、積層ストリップ巻線は、歯114がヨーク112に機械的に接合/接着される前に、各歯114の本体上に組み付けられ得る。
【0031】
図4は、いくつかの例によるモータ100のヨーク112のセグメントの斜視断面図である。図4は、隣接する歯の第1の端部412間で隣接する界磁コイル116の径方向内側に配置された内側冷却チャネル202の位置をより明確に示す。また、隣接する界磁コイル116間に形成された間隙冷却チャネル204と、隣接する界磁コイル116の径方向外側に配置された外側冷却チャネル206とが示されている。
【0032】
また、図4には、間隙冷却チャネル204内に冷却流体を保持するために各歯の長さに沿って延び、かつ外側冷却チャネル206を部分的に形成する働きもする軸方向バッフル402が示されている。図から分かるように、各軸方向バッフル402は、隣接する界磁コイル116間のギャップの外側部分内に延在して、冷却剤を間隙冷却チャネル204内および各界磁コイル116の上方のチャネル内に保持する中央ディバイダ406を含む。各軸方向バッフル402はまた、隣接する歯114の軸方向フランジ408の下に延在する翼404を含む。フランジ408は、外側冷却チャネル206を部分的に形成し、かつ軸方向バッフル402を定位置に保持する役割を果たす。
【0033】
図5は、いくつかの例による、モータ100内に冷却剤をルーティングするための環状バッフル502の部分的に半透明の斜視図である。環状バッフル502は、歯114および界磁コイル116の前端部および後端部を覆う。環状バッフル502は、ヨーク112の前側および後側の全周にわたって界磁コイルの前端部および後端部において冷却剤の閉じ込めおよびルーティングを共に提供する多数のセグメントで提供され得る。環状バッフル502は、各歯114用のガイド504およびガイド506を含み、これらは、流入流体を内側冷却チャネル202、間隙冷却チャネル204、および外側冷却チャネル206に向けてルーティングする役割を果たし、他方の端部では、内側冷却チャネル202、間隙冷却チャネル204、および外側冷却チャネル206から出る流出流体を電気バス118にルーティングする役割を果たす。
【0034】
図5は、冷却剤の流入の流れを示しており、ヨークの他方の側での流出の流れは逆に生じる。図5に示す環状バッフル502の向きを参照すると、流体は、環状バッフル502の下側のポートを通って流入し、最初に径方向バッフル302と界磁コイル116との間を流れる。径方向バッフル302と閉じられた界磁コイル116の端部との間の空間を出ると、冷却剤の流れ508は、界磁コイルの上縁部を越えて、環状バッフル502の上縁部、環状バッフル502の壁608(図6参照)、ガイド504、およびガイド506によって界磁コイル116の外側端部を降下するように誘導される。次いで、冷却剤は、界磁コイル116の端部の周囲を図の左方向に流れ、内側冷却チャネル202、間隙冷却チャネル204、および外側冷却チャネル206に入る。
【0035】
界磁コイル116の端部を上昇する、越える、回り込む、及び降下する冷却剤の流れは、冷却剤流体がモータ100に流入するときに、界磁コイルから冷却剤流体への初期熱伝達を提供する。
【0036】
図6は、図4の環状バッフル502を含むセグメントの斜視図である。図から分かるように、環状バッフル502は、壁608と、径方向内側縁部602と、径方向外側縁部604とを含む。図5および図6において、内側縁部602は「下側」縁部であり、外側縁部604は「上側」縁部である。
【0037】
また、図6には、環状バッフル502が取り付けられるヨーク112の端部に応じて、冷却剤の流れを隣接する一組の界磁コイル116から分離した状態に保つガイド504と、冷却剤が出入りするポート606とが示されている。
【0038】
図7は、いくつかの例による流入口702および流体チャネル704を示す、モータ100のステータ104の斜視図である。図から分かるように、ステータハウジング110は、使用時に冷却剤が流入する流入口が形成されている。次いで、冷却剤は、複数のチャネル704に沿って外側に移動し、前壁120によって部分的に画定され、かつ環状バッフル502の径方向内側に位置する環状領域706に流入する。環状領域706から、冷却剤は、上述したように、ポート606を通って外側に向かって環状バッフル502に流入することができる。そのような流入口702およびチャネル704のうちの1つまたは複数をステータハウジング110の周囲に設けて、ステータハウジング110内およびその周囲に冷却剤の流れを分配することができる。同様の構成が、冷却剤がステータ104から出るモータ100の背面側に設けられ得る。
【0039】
図8は、いくつかの例による、図1のモータ100の電気バス118の切欠き斜視図である。モータ100の背面側に配置された歯114、界磁コイル116および環状バッフル802の軸方向断面図が図示されている。電気バス118は、環状バッフル802の裏側から軸方向に突出する複数の離間した取り付けビーム804を備える取り付け構造を含む。いくつかのスペーサ806が、上部および下部取り付けビーム804の間の間隙を跨いでいる。個別のバスリング808は、隣接するスペーサ806の間に保持されている。また、図8には、1つまたは1組の界磁コイル116に電気的接続性を提供する界磁コイル端子810が示されている。
【0040】
電気バス118は、好ましくは、モータ100の後部及び/又はモータ100のインボード部分に配置されるが、追加的又は代替的に、ステータハウジング110の径方向内側の前側に形成されてもよく、かつ/又は他の方法で適切に構成されてもよい。
【0041】
電気バス118は、1組のモータ端子(例えば、各組の巻線に対するモータの各相に関連付けられた1つの端子)と、界磁コイル端子810などの界磁コイル端子を接続する1組の電気接続部とを含むことができる。第1の変形形態では、電気接続部は、(界磁コイル116と実質的に同じ径方向位置であって、界磁コイル116から軸方向にオフセットされた位置(例えば、モータ100のインボード側)でモータ軸の周囲に円周方向に延在する1組のバスリング808(例えば、シート金属接続部)によって形成することができる。バスリング808の広域面は、好ましくは、モータ100の広域面に平行であり、かつ/またはモータ軸に垂直であるが、他の方法で適切に構成することができる。
【0042】
バスリング808は、平坦であり、かつ/またはシート金属(例えば、レーザカットシート金属、パンチ/スタンピングシート金属など)によって形成することができるが、他の方法で形成することができる。バスリング808は、モータ100の単一のモータ巻線及び相に関連する界磁コイル端子810を電気的に相互接続する。特定の例では、3相を有する二重巻線モータの場合、バスリング808は、6個おきの界磁コイル116を電気的に相互接続する。電気接続部は、(例えば、モータ軸に向かって径方向に指向された)複数の穴/スロットを含む複数の組の「梯子」形状の取り付けビーム804によって構造的に支持され得る。取り付けビーム804は、モータの周囲に放射状に間隔をおいて軸方向に延在することができ、第1の取り付けビーム804はバスリング808の径方向外側にあり、第2の取り付けビーム804はバスリング808の径方向内側にある。取り付けビーム804は、好ましくは、非導電性であり、かつ/又は電気絶縁性(例えば、バスリングの電気抵抗の100倍より大きい)であるが、導電性であってもよく、かつ/又は任意の適切な材料で形成されてもよい。特定の例では、取り付けビーム804は、(例えば、図8に示すように、環状バッフル802の後方部分から軸方向に突出する)冷却剤ルーティング部品に一体化され得る。
【0043】
バスリング808は、1組の上部および下部取り付けビーム804の対応するスロットを通って延在するスペーサ806と、絶縁材料とによって取り付けビーム804に取り付けられている。次に、バスリング808は、(界磁コイルに最も近いものから順に)「積層され」、スペーサ806は、バスリング808を定位置に保持するために(積層の方向に直交して)取り付けビーム804を通過するように挿入される。さらに、絶縁層(例えば、プラスチック)をバスリングとスペーサ806との間に介在させることができ、かつ/またはバスリング808をスペーサ806に取り付けることができる(例えば、熱かしめによって、接着剤を使用して、など)。
【0044】
電気バス118、界磁コイル116、ヨーク112、および/または歯114は、アセンブリの任意の適切な部分にわたって均一にエポキシまたは他のコーティングを塗布することによって、構造的に補強し、かつ/または電気的に絶縁することができる。エポキシは、(例えば、真空チャンバ内等で、アセンブリを浸漬し、次いで、アセンブリを回転させることによって)全体にわたって浸漬し、かつ/または均一にコーティングすることができる。
【0045】
図9は、いくつかの例によるモータ100のヨーク112の斜視図である。歯114、界磁コイル116の上方の歯の間の軸方向バッフル402、環状バッフル502、環状バッフル802、および電気バス118が示されている。図8を参照して説明したように、電気バス118は、取り付けビーム804と、スペーサ806と、バスリング808と、界磁コイル端子810とを含む。図9に示すように、バスリング808は、界磁コイル端子810またはモータ端子(図示せず)に接続するためのタブ902を含む。また、明確にするために、図2を参照して上述したスリーブ208は図示されていない。
【0046】
次に、モータを通過する冷却剤の流れについて、特に図7および図10図14を参照して説明する。
図10は、図7に図示したチャネル704から流入する界磁コイル116の端部の周囲の冷却剤の流れを示す。冷却剤は、1組の隣接する界磁コイル116および歯114を参照して説明されるが、当然ながら、これは、ヨーク112内の全ての同様に構成された歯および界磁コイルに生じることが理解されるであろう。冷却剤は、ステータハウジング110に流入し、チャネル704から環状領域706に径方向外側に流れ、そこからポート606を通って界磁コイル116に流れる。冷却剤は、径方向バッフル302と界磁コイル116の端部との間の界磁コイル116に流入する。次に、冷却剤は、界磁コイル116の端部を越えて通過し、次に、図5を参照して説明したように、界磁コイルの端部と環状バッフル502との間で界磁コイル116の端部の周囲を流れる。次いで、冷却剤の流れは、内側冷却チャネル202内の内側流1102と、間隙冷却チャネル204内の間隙流1002と、外側冷却チャネル206内の外側流1004とに分離する。
【0047】
図11は、ステータ104の歯114間の冷却剤の軸方向の流れを示す。図から分かるように、内側流1102は、内側冷却チャネル202内の隣接する界磁コイル116の下(図11における)を流れる。間隙流1002は、間隙冷却チャネル204内の隣接する界磁コイル116の間を流れ、外側流1004は、外側冷却チャネル206内の隣接する界磁コイル116の上方(図11における)を流れる。図示の例では、外側冷却チャネル206は、軸方向バッフル402によって2つのチャネルに分割されており、この軸方向バッフルに沿って2つの外側流1004が流れる。軸方向の流れは、ヨーク112の他方の側に到達するまで続く。
【0048】
図12は、冷却剤が歯114間の軸方向冷却チャネルを流出するときの、界磁コイル116の端部の周囲の冷却剤の流れを示す。内側流1102、間隙流1002、および外側流1004は、それぞれ内側冷却チャネル202、間隙冷却チャネル204、および外側冷却チャネル206から流出する。次いで、冷却剤は、界磁コイルの端部と環状バッフル502との間で界磁コイル116の端部の周囲を、図5で説明した環状バッフル802とは逆に流れる。次に、冷却剤は、界磁コイル116の端部を超えて、径方向バッフル302と界磁コイル116との間を通過する。次いで、冷却剤は、環状バッフル802内のポート1304を介して界磁コイル116から流出する(図13参照)。
【0049】
図13は、冷却剤が軸方向冷却チャネルを流出して電気バス118を通過するときの冷却剤の流れを示す。軸方向の冷却剤の流れは、上述したように軸方向冷却チャネルから流出する。次に、冷却剤の流れ1302は、界磁コイル116と環状バッフル802との間を通過し、界磁コイル116の端部を越えて、次に径方向バッフル302と界磁コイル116との間を通過する。次に、冷却剤は、環状バッフル802のポート1304を介して界磁コイル116から流出する。図から分かるように、流れは、次いで、バスリング808間の電気バス118を通過し、その後、ポート1306を介して出て、冷却剤循環を提供するポンプ(図示せず)に進むとともに、ラジエータ(図示せず)または他の熱伝達デバイスを通過する。ポンプ及び熱伝達デバイスを通過した後、冷却剤の流れは流入口702に戻り、冷却剤流体回路が完成する。
【0050】
図14は、冷却剤が環状領域706に流入してから電気バス118を出るまでの、ヨークを通過する冷却剤の全体的な流れを示す。冷却剤は、ステータハウジング110(図7参照)のチャネル704に沿って外側に流れ、環状領域706に流入する。環状領域706から、冷却剤は、ポート606を通過して外側に流れて環状バッフル502に流入することができる。
【0051】
次いで、冷却剤は、径方向バッフル302と界磁コイル116の端部との間の界磁コイル116に流入する。次に、冷却剤は、図5を参照して説明したように、界磁コイル116の端部を超えて、界磁コイル116の端部と環状バッフル502との間で界磁コイル116の端部の周囲を通過する。次いで、冷却剤の流れは、内側冷却チャネル202内の内側流1102と、間隙冷却チャネル204内の間隙流1002と、外側冷却チャネル206内の外側流1004とに分離する。
【0052】
ヨーク112の後端部に到達すると、冷却剤の流れは、界磁コイル116と環状バッフル802との間を通過し、界磁コイル116の端部を越えて、径方向バッフル302と界磁コイル116との間を通過する。次いで、流れは、バスリング808間の電気バス118を通過してから、冷却および再循環を提供するためにポンプおよびラジエータまたは他の熱伝達デバイスに進む。
【0053】
別の例では、冷却剤の流れの方向は、図示された例に対して逆にされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】