(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】空冷式ブロードナイフ及び灌流スリーブを伴う超音波手術用アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537313
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 IB2021055077
(87)【国際公開番号】W WO2022130035
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519273267
【氏名又は名称】ストライカー・ユーロピアン・オペレーションズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】グラ,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,コナー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ23
4C160JJ24
4C160JJ43
(57)【要約】
超音波チップの空冷を行うために手術用ハンドピースと共に使用するための超音波手術用アセンブリ。超音波チップはシャフトと切断部とを備える。チップは、実質的に平面である第1の側面及び第2の側面と、切断ヘッドとを備える。チップはホーンに取り外し可能に結合される。アセンブリは、ルーメンを画定する灌流スリーブを備える。スリーブは、シャフトを少なくとも部分的に取り囲み、入口開口を画定し、ルーメンと流体連通する導管を備える。導管は、出口開口を有するとともに、液体源に接続されるように構成される。チップは、その外面に結合されるシール部材を備えるとともに、シール部材の近位側に配置される空気入口を画定する第1の孔と、シャフトの近位端から第1の孔まで延びてその間に流体槽を形成する第2の孔とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト及び切断部を備える超音波チップであって、
近位端から遠位端まで延びる実質的に平面である第1の側面と、
実質的に平面であるとともに、前記第1の側面の反対側に配置され、前記近位端から前記遠位端まで延びる第2の側面と、
を備え、
前記切断部が前記遠位端に配置される切断ヘッドを含み、
前記超音波チップがホーンに取り外し可能に結合され、前記シャフトが縦軸を更に備える、超音波チップと、
遠位領域と近位領域とを有し、前記縦軸に沿って延びるルーメンを画定する灌流スリーブであって、前記シャフトを少なくとも部分的に取り囲んで入口開口を画定し、前記灌流スリーブが、前記ルーメンと流体連通する第1の導管を更に備え、前記第1の導管が出口開口を有し、前記第1の導管が液体源に接続されるように構成される、灌流スリーブと、
を備えた、前記超音波チップの空冷を行うための超音波手術用アセンブリであって、
前記超音波チップは、前記超音波チップの外面に結合されるシール部材、を更に備え、
前記超音波チップは、
前記シール部材の近位側に配置される空気入口を画定する第1の孔と、
第2の孔であって、前記シャフトの近位端から前記第1の孔まで延在して、前記第1の孔と前記第2の孔との間に流体経路を形成する、第2の孔と、
を画定する、
超音波手術用アセンブリ。
【請求項2】
前記超音波チップ及び前記灌流スリーブに結合するように構成される超音波器具を更に備え、前記灌流スリーブは、前記灌流スリーブ及び前記超音波チップが前記超音波器具に結合されるときに前記第1の孔の近位側にある第3の孔を更に備える、請求項1に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項3】
前記超音波チップが溝を更に画定し、前記シール部材が前記溝の周囲に配置される、請求項1又は2に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の孔が前記第2の孔の軸に対して垂直である、請求項1又は2に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項5】
前記超音波チップは、
トランスデューサに結合するためのベースと、前記ベースから延びる本体とを更に備え、前記本体が前記シャフトと前記切断部とを備え、前記本体が前記シャフトで前記ベースに結合され、前記本体が前記縦軸に沿って前記シャフトから前記切断部まで延び、
前記切断ヘッドがベース部とテーパ部とを備える、
請求項1に記載の超音波手術用アセンブリ
【請求項6】
前記ベース部は、前記第1の側面と前記第2の側面との間に横寸法を有し、前記横寸法が前記縦軸に対して垂直に延在し、
前記テーパ部は、面取り部を備えるとともに、前記ベース部から切断エッジまで延在し、前記切断エッジは、ある長さを備えるとともに、第1の脚部、第2の脚部、及び弓形遠位部を有するU字形輪郭を有し、前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、互いに平行であるとともに、それぞれが複数の切断歯を備え、前記切断エッジの長さの半分以下が前記遠位端に前記複数の切断歯を備え、前記弓形遠位部には前記複数の切断歯がない、
請求項5に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項7】
前記超音波チップの前記シャフトが前記遠位端にルーメンを有さない、請求項1,2,5及び6のいずれか1項に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項8】
超音波器具であって、
近位部と遠位部とを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されるホーンと、
を備える、超音波器具と、
シャフトを備え、前記ホーンに取り外し可能に結合される超音波チップと、
ルーメンを画定する灌流スリーブであって、
前記ハウジングの前記遠位部に解放可能に結合され、遠位領域及び近位領域を有する本体であって、前記超音波チップが前記灌流スリーブの前記ルーメン内にあるときに前記超音波チップの前記シャフトを少なくとも部分的に取り囲む螺旋溝を画定する、本体と、
前記螺旋溝の少なくとも全回転を取り囲むように前記本体の一部に結合されて前記本体の一部上にわたって配置され、近位端と反対側の遠位端とを有するシースと、
灌流流体を運ぶために前記螺旋溝内に配置される灌流導管と、
を備え、
前記灌流導管が、前記本体の前記近位領域に配置される入口開口と、前記本体の前記遠位領域に配置される出口開口とを画定し、前記灌流流体が、前記入口開口で全血灌流導管に入り、前記出口開口で前記灌流導管から出る、灌流スリーブと、
を備える超音波手術用アセンブリ。
【請求項9】
前記本体の前記近位領域に配置されるとともに、前記超音波チップの外面に結合された環状シール部材を更に備え、前記環状シール部材は、前記超音波チップの前記外面と前記ルーメンの内面との間に位置されるとともに、前記環状シール部材の近位側への流体の移動を防止するように構成される、請求項8に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項10】
前記本体は、前記灌流導管がないとともに前記シースによって取り囲まれる第2の螺旋溝を画定し、前記シースによって覆われる前記第2の螺旋溝がユーザのための把持面を画定する、請求項8又は9に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項11】
前記灌流導管が可撓性材料を備え、前記灌流導管は、前記入口開口と前記出口開口との間に連続的な長さを画定する単一部材を備える、請求項8又は9に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項12】
超音波チップであって、
縦軸を規定するシャフトと、
実質的に平面である第1の側面と、実質的に平面である第2の側面と、を画定する切断部であって、切断ヘッドを更に含み、前記切断ヘッドが、
前記第1の側面と前記第2の側面との間に横寸法を有し、前記横寸法が前記切断ヘッドの縦軸に対して垂直に延びるベース部と、
面取り部を備えるとともに前記ベース部から切断エッジまで延在するテーパ部であって、前記切断エッジが、ある長さを備えるとともに、第1の脚部、第2の脚部、及び弓形遠位部を有するU字形輪郭を有し、前記第1の脚部と前記第2の脚部とが互いに平行である、テーパ部と、
を備える、切断部と、
を備え、
前記超音波チップの最大断面積が第1のスライスの断面積を画定し、
第2のスライスの断面積は、前記超音波チップの遠位端よりも20mm近位側の位置に画定され、前記第2のスライスと前記第1のスライスとがそれぞれ前記シャフトの前記縦軸に対して垂直であり、
前記第2のスライスの断面積が前記第1のスライスの断面積の15~20%である、
超音波チップ。
【請求項13】
前記第1の脚部及び前記第2の脚部のそれぞれが複数の切断歯を備え、前記切断エッジの長さの半分以下が前記複数の切断歯を含み、前記切断歯のそれぞれが歯切断エッジと切り欠きベースとを含む、請求項12に記載の超音波チップ。
【請求項14】
前記切断部が前記縦軸に沿って中心線を規定し、
前記中心線から前記歯切断エッジまでが第1の距離を規定し、
前記中心線から前記切り欠きベースまでが第2の距離を規定し、
前記中心線から前記テーパ部の開始点までが第3の距離を規定し、
前記第1の距離と前記第2の距離との間の差が0.25mm以下であり、
前記第1の距離は、前記第3の距離の1.5倍よりも大きいが、前記第3の距離の2倍よりも小さい、
請求項12又は13に記載の超音波チップ。
【請求項15】
前記チップが9mm以下の直径を含む、請求項12又は13に記載の超音波チップ。
【請求項16】
前記複数の切断歯が前記切断ヘッドの遠位端に配置され、
前記弓形遠位部には前記複数の切断歯がなく、
前記複数の切断歯は、少なくとも2つの隣接する切断歯と、それらの間の切り欠きと、を備え、前記切り欠きが横寸法を有し、
前記切り欠きの前記横寸法は、前記ベース部の前記横寸法の少なくとも25分の1である、
請求項12又は13に記載の超音波チップ。
【請求項17】
前記弓形遠位部が少なくとも1.35ミリメートルの厚さを有する、請求項12又は13に記載の超音波チップ。
【請求項18】
前記超音波チップの前記シャフトは、前記遠位端にルーメンを有さない、請求項12又は13に記載の超音波チップ。
【請求項19】
前記超音波チップが溝を画定し、前記超音波チップは、
前記溝の周囲に配置されるシール部材と、
前記シール部材の近位側に配置される空気入口を画定する第1の孔と、
第2の孔であって、前記第2の孔と前記第1の孔とが互いに流体連通するように前記超音波チップの前記近位端から前記第1の孔まで延在する、第2の孔と、
を備える、請求項12に記載の超音波チップ。
【請求項20】
近位領域及び遠位領域を有する超音波器具であって、
近位部と遠位部とを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されるホーンと、
を備え、前記トランスデューサが第1のカプラによって吸引源に結合されるように構成される、超音波器具と、
シャフトと切断部とを備え、チップカプラによって前記ホーンに取り外し可能に結合される超音波チップであって、前記シャフトが縦軸を備える、超音波チップと、
遠位領域と近位領域とを有し、ルーメンを画定する灌流スリーブであって、前記灌流スリーブが、前記シャフトを少なくとも部分的に取り囲むとともに、灌流源から灌流液を受けるように構成される入口開口を画定し、前記灌流スリーブが、前記ルーメンと流体連通する第1の導管を更に備え、前記第1の導管が前記入口開口から出口開口まで灌流液を運ぶように構成される、灌流スリーブと、
前記超音波チップの外面と前記ルーメンの内面との間に配置されるシール部材と、
を備えた、前記超音波チップの空冷を行うための超音波手術用アセンブリであって、
前記超音波チップは、
前記灌流スリーブ及び前記超音波チップが前記超音波器具に結合されるときに前記シール部材の近位側に配置される空気入口を画定する第1の孔と、
前記超音波チップの近位端から前記第1の孔まで延在する第2の孔と、
を画定し、
前記第2の孔が前記チップカプラを介して前記吸引源と連通し、
前記灌流スリーブ及び前記超音波チップが前記超音波器具に結合されるときに前記灌流スリーブが前記第1の孔の近位側に第3の孔を画定し、
前記超音波手術用アセンブリは、空気を、周囲環境から前記第3の孔を通じて引き込んだ後に前記第1の孔に通し、前記空気が前記第1のカプラで前記超音波手術用アセンブリから出る前に前記第2の孔に通して戻すための経路を画定する、
超音波手術用アセンブリ。
【請求項21】
前記超音波チップが溝を更に画定し、前記シール部材が前記溝の周囲に配置される、請求項20に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項22】
前記第1の孔が前記第2の孔の軸に対して垂直である、請求項20又は21に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項23】
前記超音波チップは、
前記トランスデューサに結合するためのベースと、前記ベースから延びる本体と、を更に備え、前記本体が前記シャフトと前記切断部とを備え、前記本体が前記シャフトで前記ベースに結合され、前記本体が前記縦軸に沿って前記シャフトから前記切断部まで延び、
前記切断部がベース部とテーパ部とを備える、
請求項20に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項24】
前記超音波チップは、
近位端から遠位端まで延びる実質的に平面である第1の側面と、
実質的に平面であるとともに、前記第1の側面の反対側に配置され、前記近位端から前記遠位端まで延びる第2の側面と、
を更に備える、請求項23に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項25】
前記ベース部は、前記第1の側面と前記第2の側面との間に横寸法を有し、前記横寸法が前記縦軸に対して垂直に延在し、
前記テーパ部は、面取り部を備えるとともに、前記ベース部から切断エッジまで延在し、前記切断エッジは、ある長さを備えるとともに、第1の脚部、第2の脚部、及び弓形遠位部を有するU字形輪郭を有し、前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、互いに平行であるとともに、それぞれが複数の切断歯を備え、前記切断エッジの長さの半分以下が前記遠位端に前記複数の切断歯を備え、前記弓形遠位部には前記複数の切断歯がない、
請求項24に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項26】
前記超音波チップの前記シャフトが前記遠位端にルーメンを有さない、請求項20,21,23,24及び25のいずれか1項に記載の超音波手術用アセンブリ。
【請求項27】
シャフトと切断部とを備える超音波チップを用意するステップであって、前記超音波チップがチップカプラによってホーンに取り外し可能に結合され、前記ホーンがトランスデューサに結合され、前記トランスデューサが第1のカプラによって吸引源に結合され、前記シャフトが縦軸を備え、前記超音波チップが、空気入口を画定する第1の孔と、前記超音波チップの近位端から前記第1の孔まで延びる第2の孔とを画定し、前記第1の孔が前記第2の孔に対して横方向であり、前記第2の孔が前記チップカプラを介して前記吸引源と連通する、ステップと、
遠位領域と近位領域とを有するとともにルーメンを画定する灌流スリーブを用意するステップであって、前記灌流スリーブが、前記シャフトを少なくとも部分的に取り囲むとともに、灌流源から灌流液を受けるように構成される入口開口によって前記灌流源に結合されるように構成され、前記灌流スリーブが、前記ルーメンと流体連通する第1の導管を画定し、前記第1の導管が、灌流液を前記入口開口から出口開口まで運ぶように構成される、ステップと、
前記超音波チップの外面と前記灌流スリーブの前記ルーメンの内面との間にシール部材を設けるステップであって、前記第1の孔が前記シール部材の近位側に配置される、ステップと、
を含む、前記超音波チップを用いて骨を切断する方法であって、
前記方法は、
前記吸引源を介して前記第2の孔と前記第1の孔とを通じて空気を引き込み、前記超音波チップを冷却するステップ、
を更に含む方法。
【請求項28】
前記第1の孔及び前記第2の孔を通じて煙及び浮遊微粒子のうちの一方を引き込むステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の孔を通じて前記第2の孔に空気を吸引して前記超音波チップを冷却するステップを更に含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記シール部材が前記超音波チップの外面に結合されることを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記灌流スリーブ内に画定される第3の孔を設けるステップであって、前記第3の孔が、前記灌流スリーブ及び前記超音波チップがハンドピースに結合されるときに前記第1の孔の近位側にある、ステップと、
空気を、周囲環境から前記第3の孔を通じて吸引した後に前記第1の孔に通し、前記第2の孔に通して戻すステップと、
を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
超音波器具であって、
近位部と遠位部とを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されるホーンと、
を備える、超音波器具と、
シャフト及び切断部を備え、前記ホーンに取り外し可能に結合される超音波チップと、
ルーメンを画定する灌流スリーブであって、前記ハウジングの前記遠位部に解放可能に結合されるとともに遠位領域及び近位領域を有する本体を備える灌流スリーブと、
を備え、
前記超音波チップは、
環状シール部材と、
溝を画定する前記超音波チップと、
を更に備え、
前記環状シール部材は、前記溝の周囲に配置され、前記本体の前記近位領域に配置されるとともに、前記スリーブ及び前記超音波チップが前記超音波器具に結合されるときに前記超音波チップの外面と前記ルーメンの内面との間に位置され、前記環状シール部材は、前記環状シール部材の近位側での流体の移動を防止するように構成される、
超音波手術用アセンブリ。
【請求項33】
超音波器具であって、
近位部と遠位部とを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されるホーンと、
を備える、超音波器具と、
ルーメンを画定する灌流スリーブであって、前記灌流スリーブが、第1の超音波チップと第2の超音波チップとに取り外し可能に結合されるように構成され、前記第1の超音波チップ及び前記第2の超音波チップのそれぞれが、チップカプラによって前記ホーンに取り外し可能に結合されるように構成され、前記第1の超音波チップ及び前記第2の超音波チップのそれぞれが、
シャフトと、
切断部であって、前記第1の超音波チップの前記切断部が、前記第2の超音波チップの前記切断部の切断形状とは異なる切断形状を備える、切断部と、
環状シール部材と、
を備え、
前記第1の超音波チップが、前記第1の超音波チップの前記チップカプラから第1の距離を隔てて位置される第1の溝を画定し、前記第2の超音波チップが、前記第2の超音波チップの前記チップカプラから第2の距離を隔てて位置される第2の溝を画定し、前記第1の超音波チップの前記チップカプラからの前記第1の距離が、前記第2の超音波チップの前記チップカプラからの前記第2の距離に等しくなく、前記第1の超音波チップ及び前記第2の超音波チップのそれぞれが、前記第1及び第2の溝のそれぞれの周囲に配置される環状シール部材を含み、
前記灌流スリーブが、
前記ハウジングの前記遠位部に解放可能に結合される本体と、
前記本体に結合されて灌流流体を運ぶように構成される灌流導管と、
を備え、
前記灌流導管が、前記本体の近位領域に配置される入口開口と、前記本体の遠位領域に配置される出口開口とを更に画定し、前記灌流流体が、前記入口開口で前記灌流導管に入り、前記出口開口で前記灌流導管から出る、
灌流スリーブと、
を備える超音波手術用アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2020年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/127,802号及び2021年6月7日に出願された米国仮特許出願第63/197,773号の優先権及び全ての利益を主張し、これらの米国仮特許出願の内容全体は、参照により本願に組み入れられる。
【発明の概要】
【0002】
超音波チップの空冷を行うための超音波手術用アセンブリが開示される。超音波手術用アセンブリは、超音波チップ及び灌流スリーブを含む。超音波チップは、シャフト及び切断部を備えるとともに、第1の側面及び第2の側面を有する。第1の側面は、実質的に平面であり、近位端から遠位端まで延びる。第2の側面は、実質的に平面であり、第1の側面の反対側に配置されるとともに、近位端から遠位端まで延びる。切断部は、遠位端に配置される切断ヘッドを含む。超音波チップはホーンに取り外し可能に結合される。シャフトは縦軸を更に備える。灌流スリーブは、遠位領域及び近位領域を有するとともに、縦軸に沿って延びるルーメンを画定する。灌流スリーブは、シャフトを少なくとも部分的に取り囲み、入口開口を画定する。灌流スリーブは、ルーメンと流体連通する第1の導管を更に備える。第1の導管は、出口開口を有し、液体源に接続されるように構成される。超音波チップは、その外面に結合されるシール部材を更に備え、第1の孔及び第2の孔を更に画定する。第1の孔は、シール部材の近位側に配置される空気入口を画定し、第2の孔は、シャフトの近位端から第1の孔まで延びて、第1の孔と第2の孔との間に流体経路を形成する。
【0003】
第2の超音波手術用アセンブリが開示される。アセンブリは、超音波器具、超音波チップ、及び灌流スリーブを含む。超音波器具は、ハウジング、トランスデューサ、ホーンを備える。ハウジングは、近位部と遠位部とを備える。トランスデューサは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置される。ホーンはトランスデューサに結合される。超音波チップは、シャフトを備え、ホーンに取り外し可能に結合される。灌流スリーブはルーメンを画定し、本体、シース、及び灌流導管を備える。本体は、ハウジングの遠位部に解放可能に結合され、遠位領域と近位領域とを有する。本体は、超音波チップが灌流スリーブのルーメン内にあるときにシャフトを少なくとも部分的に取り囲む螺旋溝を画定する。シースは、螺旋溝の少なくとも全回転を取り囲むように本体の一部に結合されてこの本体の一部上にわたって配置される。シースは、近位端と反対側の遠位端とを有する。灌流導管は、灌流流体を運ぶための螺旋溝内に配置され、入口開口及び出口開口を画定する。入口開口は本体の近位領域に配置され、出口開口は本体の遠位領域に配置される。灌流流体は、入口開口で灌流導管に入り、出口開口で灌流導管から出る。
【0004】
シャフト及び切断部を備える超音波チップが開示される。シャフトは縦軸を規定する。切断部は、実質的に平面である第1の側面と、実質的に平面であって切断ヘッドを含む第2の側面とを画定する。切断部は、切断ヘッドの縦軸に対して垂直に延びる、第1の側面と第2の側面との間に横寸法を有するベース部を含む。切断部は、面取り部を備えるとともにベース部から切断エッジまで延びるテーパ部を更に含む。切断エッジは、ある長さを備えるとともに、第1の脚部、第2の脚部、及び弓形遠位部を有するU字形輪郭を有する。第1の脚部及び第2の脚部は互いに平行である。更に、超音波チップの最大断面積は、第1のスライスの断面積を画定する。第2のスライスの断面積は、超音波チップの遠位端よりも20mm近位側の位置に画定される。第2のスライス及び第1のスライスはそれぞれ、シャフトの縦軸に対して垂直である。第2のスライスの断面積は、第1のスライスの断面積の16.7~20%である。
【0005】
超音波チップの空冷を行う第2の超音波手術用アセンブリが開示される。超音波手術用アセンブリは、超音波器具、超音波チップ、灌流スリーブ、及びシール部材を備える。超音波器具は、近位領域と遠位領域とを有し、ハウジング、トランスデューサ、及びホーンを備える。ハウジングは、近位部と遠位部とを備える。トランスデューサは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置される。ホーンはトランスデューサに結合され、トランスデューサは第1のカプラによって吸引源に結合されるように構成される。超音波チップは、シャフト及び切断部を備え、チップカプラによってホーンに取り外し可能に結合される。シャフトは縦軸を備える。灌流スリーブは、遠位領域及び近位領域を有し、ルーメンを画定する。灌流スリーブは、シャフトを少なくとも部分的に取り囲み、灌流源から灌流液を受けるように構成される入口開口を画定する。灌流スリーブは、ルーメンと流体連通する第1の導管を更に備える。第1の導管は、灌流液を入口開口から出口開口まで運ぶように構成される。シール部材は、超音波チップの外面とルーメンの内面との間に位置される。超音波チップは、第1の孔と第2の孔とを画定する。第1の孔は、灌流スリーブ及び超音波チップが超音波器具に結合されるときにシール部材の近位側に配置される空気入口を画定する。第2の孔は、超音波チップの近位端から第1の孔まで延びる。第2の孔は、チップカプラを介して吸引源と連通している。灌流スリーブ及び超音波チップが超音波器具に結合されるときに灌流スリーブが第1の孔の近位側に第3の孔を画定する。超音波手術用アセンブリは、空気を、周囲環境から第3の孔を通じて引き込んだ後に第1の孔に通し、空気が第1のカプラで超音波手術用アセンブリから出る前に第2の孔に通して戻すための経路を画定する。
【0006】
超音波チップを用いて骨を切断する方法が開示される。方法は、超音波チップを用意するステップを含み、超音波チップは、シャフト及び切断部を備え、チップカプラによってホーンに取り外し可能に結合される。ホーンはトランスデューサに結合され、トランスデューサは第1のカプラによって吸引源に結合される。シャフトは縦軸を備える。超音波チップは、空気入口を画定する第1の孔と、超音波チップの近位端から第1の孔まで延びる第2の孔とを画定する。第1の孔は第2の孔に対して横方向であり、第2の孔はチップカプラを介して吸引源と連通している。方法は、灌流スリーブを用意するステップを更に含み、灌流スリーブは、遠位領域及び近位領域を有するとともに、ルーメンを画定する。灌流スリーブは、シャフトを少なくとも部分的に取り囲むとともに、灌流源から灌流液を受けるように構成される入口開口によって灌流源に結合されるように構成される。灌流スリーブは、ルーメンと流体連通する第1の導管を画定する。第1の導管は、灌流液を入口開口から出口開口まで運ぶように構成される。方法は、超音波チップを冷却するために第2の孔及び第1の孔を通じて吸引源を介して空気を引き込むステップを更に含む。
【0007】
第3の超音波手術用アセンブリが開示される。アセンブリは、超音波器具、超音波チップ、及び灌流スリーブを含む。超音波器具は、ハウジング、トランスデューサ、及びホーンを含む。ハウジングは、近位部と遠位部とを備える。トランスデューサは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置される。ホーンはトランスデューサに結合される。超音波チップは、シャフトと切断部とを備え、ホーンに取り外し可能に結合される。灌流スリーブは、ルーメンを画定し、ハウジングの遠位部に解放可能に結合される本体を備え、遠位領域と近位領域とを有する。超音波チップは、環状シール部材を更に備えて溝を画定し、環状シール部材は、溝の周囲に配置され、本体の近位領域に配置されるとともに、スリーブ及び超音波チップが超音波器具に接続されるときに超音波チップの外面とルーメンの内面との間に位置される。環状シール部材は、環状シール部材の近位側での流体の移動を防止するように構成される。
【0008】
第4の超音波手術用アセンブリが開示される。アセンブリには、超音波器具と灌流スリーブとを含む。超音波器具は、ハウジング、トランスデューサ、及びホーンを含む。ハウジングは、近位部と遠位部とを備える。トランスデューサは、ハウジング内に少なくとも部分的に配置される。ホーンはトランスデューサに結合される。灌流スリーブは、ルーメンを画定し、第1の超音波チップ及び第2の超音波チップに取り外し可能に結合されるように構成される。第1の超音波チップ及び第2の超音波チップのそれぞれは、チップカプラによってホーンに取り外し可能に結合されるように構成される。第1の超音波チップ及び第2の超音波チップのそれぞれは、シャフトと、切断部と、環状シール部材とを備える。第1の超音波チップの切断部は、第2の超音波チップの切断部の切断形状とは異なる切断形状を備える。第1の超音波チップは、第1の超音波チップのチップカプラから第1の距離を隔てて位置される第1の溝を画定する。第2の超音波チップは、第2の超音波チップのチップカプラから第2の距離を隔てて位置される第2の溝を画定する。第1の超音波チップのチップカプラからの第1の距離は、第2の超音波チップのチップカプラからの第2の距離と等しくない。第1の超音波チップ及び第2の超音波チップのそれぞれは、第1及び第2の溝のそれぞれの周囲に配置される環状シール部材を含む。灌流スリーブは本体と灌流導管とを備える。本体は、ハウジングの遠位部に解放可能に結合される。灌流導管は、本体に結合され、灌流流体を運ぶように構成される。灌流導管は、本体の近位領域に配置される入口開口と、本体の遠位領域に配置される出口開口とを更に画定し、灌流流体は、入口開口で灌流導管に入り、出口開口で灌流導管から出る。
【0009】
本開示の利点は、添付図面と関連して考慮されるときに以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるので、容易に分かり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】超音波手術用ハンドピースアセンブリの上面図である。
【
図2】
図1の超音波手術用ハンドピースアセンブリの断面図である。
【
図3】超音波チップが灌流スリーブ内に位置される、超音波チップ及び灌流スリーブの平面図である。
【
図4A】超音波チップ及び灌流スリーブアセンブリの分解図である。
【
図4B】第1の断面積における
図4Aの超音波チップの断面図である。
【
図4C】第2の断面積における
図4Aの超音波チップの断面図である。
【
図5】チップが挿通された組み立て形態にある
図3の灌流スリーブアセンブリの断面図である。
【
図6】
図5の灌流スリーブアセンブリの超音波チップ、灌流スリーブ、シース、及び灌流導管の部分断面図である。
【
図7】組み立て形態にある
図3のチップが挿通された灌流スリーブアセンブリの別の断面図である。
【
図8A】切断ヘッドを含む超音波チップの遠位部の上面図である。
【
図8B】切断ヘッドを含む超音波チップの遠位部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
医療専門家が切開のサイズを縮小し、侵襲的医療処置後に必要な回復時間を短縮しようと努力するにつれて、様々な医療処置で使用される医療器具のサイズは小さくなっている。様々な医療処置を行う際に利用される医療器具の多くには、超音波チップなどの切断付属品の使用が含まれる場合がある。切断、シェービング、又は整形工程を実行する際、切断付属品は様々な量の力に晒され、切断付属品に応力が生じる。
【0012】
これらの切断付属品の多くは、熱を低減し、及び/又は手術部位の破片を除去するために、洗浄又は吸い込み(すなわち、吸引)の使用を必要とすることもある。灌流及び/又は吸引システムを利用できる外科器具の一例は、超音波手術用ハンドピースである。一般に、灌流及び/又は吸引を供給するために、1つ以上のラインが超音波手術用ハンドピースに結合され得る。超音波手術用ハンドピースは、流体を灌流源から手術部位及び/又は切断付属品、すなわち超音波チップに導くために利用され得る1つ以上のルーメンを備えるスリーブを更に備え得る。そのような超音波手術用ハンドピースの1つは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Ultrasonic Surgical Handpiece Assembly」と題するPCT/US19/52609に記載される。
【0013】
しかしながら、特に平坦又は狭い切断付属品は、切断付属品の全長にわたって、すなわち切断エッジ又はブレードに至るまで、ルーメンを含まないことが多い。更に、全体に吸引又は冷却ルーメンがないために切断付属品内の電流が高くなると、ハンドピースが過熱する可能性がある。過剰な熱の蓄積はハンドピースの寿命に悪影響を与える可能性があり、外科医もそれを感じる可能性がある。
【0014】
更に、切断付属品の形状及び幾何学形状は、超音波器具に関連する増幅率又はゲインに影響を与える可能性がある。特定の実装においてより低いゲインで超音波チップを構成することによって、発明者らは、失速の減少、チップを駆動するためのより少ない電力の消費、及び超音波へのより高い電流でチップを駆動する能力を含む、様々な利点が達成され得ることを認識した。ハンドピースを使用すると、失速を増加させることなく切断速度を向上させることができる。
【0015】
図1及び
図2は、患者から生体物質を除去するために医療専門家によって利用され得る超音波手術用ハンドピースアセンブリ10の典型的な構成を示す。超音波手術用ハンドピースアセンブリ10は、遠位ハウジング部14及び近位ハウジング部16を含む超音波ハンドピース12を備え得る。灌流スリーブ18が、超音波手術用ハンドピース12の遠位ハウジング部14に取り外し可能に結合され得る。灌流スリーブ18及び超音波チップ20は、灌流スリーブ18及び超音波チップ20の両方が超音波ハンドピース12に結合されるときに灌流スリーブ18が超音波チップ20の長さに沿って超音波チップ20の少なくとも一部を取り囲むように構成され得る。灌流スリーブ18及び超音波チップ20は、少なくとも部分的に超音波スリーブアセンブリ14を構成することができる。
【0016】
図2は、
図1の超音波手術用ハンドピースアセンブリ10の断面図を示す。
図2に示されるように、超音波ハンドピース12は、超音波ハンドピース12の遠位ハウジング部14と近位ハウジング部16とによって画定される間隙内に配置されるトランスデューサ22を備えることができる。トランスデューサ22は、機械エネルギーを生成するように構成される複数の圧電素子又は磁歪素子を備えることができる。
【0017】
超音波ハンドピース12は、超音波ハンドピース12の遠位ハウジング部14と近位ハウジング部16とによって画定される間隙内に少なくとも部分的に配置され得るホーン24も備え得る。ホーン24は、遠位端及び近位端を備え得る。ホーン24の近位端は、トランスデューサ22の遠位端に結合され得る。トランスデューサ22は、圧電素子又は磁歪素子によって生成された機械エネルギーをホーン24に与えるように構成され得る。また、ホーン24は、ホーン24の近位端から遠位端まで延びるホーンルーメン26を画定するように構成され得る。ホーンルーメン26は、吸引を行うために超音波ハンドピース12を通じて延びる通路の一部を画定することができる。ホーンルーメン26は遠位端と近位端とを有し、近位端は吸引源27と連通していてもよい。トランスデューサ22は、カプラ28を介して吸引源27に結合され得る。
【0018】
超音波ハンドピース12は、超音波ハンドピース12の遠位ハウジング部14と近位ハウジング部16とによって画定される間隙内に配置される灌流ライン38を更に備えることができる。灌流ライン38は、超音波ハンドピース12の近位端から遠位端まで延びるように構成され得る。灌流ライン38は、超音波ハンドピース12に結合される灌流システムから灌流スリーブ18を介して水又は生理食塩水などの液体を導く役割を果たすことができる。灌流ライン38が灌流源(図示せず)から灌流スリーブ18まで直接に経路付くことができる(すなわち、灌流ライン38は常にハンドピース12を通じて経路付く必要はない)。
【0019】
超音波チップ20は、遠位領域44、中間領域46、及び近位領域48を含むシャフト42を備えることができ、これらの領域の全てが縦軸L1に沿って配置される。また、超音波チップ20は、シャフト42の近位領域48に位置される結合機構50を備えることができ、超音波チップ20の近位領域48をホーン24の遠位端に結合して、ホーン24を超音波チップ20と機械的に通じさせることができるようにするべく構成される。結合機構50は、ホーン24の遠位端上の対応するねじ付きカプラと係合するように構成されるねじ付きカプラ52であってもよい。超音波チップ20は、ホーン24にねじ込まれてもよく、超音波チップ20を超音波ハンドピース12に取り外し可能に固定するべく所定のトルク仕様まで締め付けられてもよい。図には示されないが、結合機構50が、急速接続、四分の一回転嵌合、又は同様の結合機構として構成され得ることが考えられる。更に、結合機構50が、超音波チップ20をハンドピース12に恒久的に取り付けるように構成され得ることが考えられる。例えば、超音波チップ20は、溶接、エポキシ、又は同様の結合方法によって超音波ハンドピース12に結合されてもよい。
【0020】
或いは、超音波チップ20及びホーン24が一体の構成要素として形成され得ることも考えられる。このような構成では、超音波チップ20は、トランスデューサ22に結合するためのベース(ホーン)24と、シャフト42及び切断部40から構成される本体とを含むことができる。本体40、42は、シャフト42でベース24から延びるとともにベース24に結合される。本体40、42は、縦軸L1に沿ってシャフト42から切断部40まで延びる。
【0021】
図示の態様などの幾つかの態様において、シャフト42は、遠位領域44にルーメンがない。換言すれば、超音波チップは、長方形断面積を特徴とする切断チップの部分にルーメンがなくてもよい。シャフト42は、用途に応じて、チタン合金、ステンレス鋼等の金属材料や複合材等の非金属材料で形成されてもよい。一態様において、シャフト42及び切断部40は、一体型であり、一体であり、及び一部品であってもよい。他の態様において、超音波チップ20の切断部40は、ねじ(図示せず)などの適切な機構によってシャフト42に取り付けられてもよい。
【0022】
図3は、遠位領域58及び近位領域60を有する灌流スリーブ18の典型的な構成の上面図を示す。灌流スリーブ18は、灌流スリーブ18の近位領域60上に灌流スリーブ結合機構62を備え得る。灌流スリーブ結合機構62は、灌流スリーブ18の近位領域60から近位側に延びる1つ以上のフィンガ64を備えることができる。1つ以上のフィンガ64のそれぞれは、灌流スリーブ18の縦軸L1に対して径方向外側の方向に延びるタブ66を備えることができる。フィンガ64は、超音波ハンドピース12上の雌取付具(図示せず)と結合してスナップ嵌合又は締まり嵌めを形成するように構成される雄取付具として機能する。他のタイプの灌流スリーブ結合機構62を使用して灌流スリーブ18を超音波ハンドピース12に結合できると考えられる。限定ではなく例として、灌流スリーブ結合機構62は、ねじ接続として構成され得る。本明細書に記載される灌流スリーブ18をここに示される以外の他のチップ形態と組み合わせて使用できることを理解すべきである。
【0023】
ここで
図4Aを参照すると、超音波チップ及び灌流スリーブアセンブリ68の分解図が示される。灌流スリーブアセンブリ68は、縦軸L1に沿って延びるルーメン70を画定する灌流スリーブ18を含む。灌流スリーブ18は、螺旋溝74を画定するスリーブ本体72を有することができる。組み立てられた形態において、超音波チップ20が灌流スリーブ18に挿通されると、灌流スリーブ18は、超音波チップ20が灌流スリーブ18のルーメン70内に配置されて灌流スリーブ18がハンドピースに結合されるときに超音波チップ20のシャフト42を少なくとも部分的に取り囲むことができる。
【0024】
灌流スリーブアセンブリ68は、灌流スリーブ18の近位領域60及び遠位領域58にそれぞれ対応するべく近位端及び遠位端を有するシース76を更に備えることができる。シース76は、螺旋溝74の少なくとも全回転を取り囲むようにスリーブ本体72の少なくとも一部に結合されてスリーブ本体72の少なくとも一部上にわたって配置されてもよいが、十分な保持を行うために任意選択的に螺旋溝の2回転又は3回転を超えて取り囲むこともできる。
【0025】
螺旋溝74の位置は、チップが異なれば異なっていてもよい。限定ではなく例として、幾つかの構成では、1つの超音波チップは、前記チップのチップカプラ(例えば、結合機構50)から第1の距離を隔てて位置される溝を画定することができ、一方、異なる超音波チップは、前記チップのチップカプラ(例えば、結合機構50)から第2の距離を隔てて位置される溝を画定することができる。幾つかの構成において、第1の距離は第2の距離とは異なる。これは、チップが異なれば節点と腹の位置も異なる可能性があるため有益である。シール部材を特定のチップの節又は腹と整列して位置させることが有用であり得る。
【0026】
図5を参照すると、チップが挿通された組み立て形態にある
図3の灌流スリーブアセンブリ68の断面図が示される。超音波チップ20が挿通された組み立てられた灌流スリーブアセンブリ68は、灌流スリーブ18がシャフト42を部分的に取り囲むようにルーメン70内に配置される超音波チップ20を示す。
【0027】
ここで
図6を参照すると、
図5の灌流スリーブアセンブリの超音波チップ20、灌流スリーブ18、シース76、及び灌流導管78の部分断面図が示される。シース76は、螺旋溝74の少なくとも全回転を取り囲んで灌流導管78を覆うように少なくとも部分的に灌流スリーブ18上にわたって配置される。
【0028】
幾つかの構成において、スリーブ本体72は、第2の螺旋溝96を画定することができる。第2の螺旋溝96は、灌流導管78がなくてもよく、また、シース76によって部分的に取り囲まれてもよく、すなわち、第2の螺旋溝96の1つ以上の回転がシース76によって取り囲まれてもよい。
【0029】
シース76は、熱収縮材、又は灌流導管78の形状、並びに第2の螺旋溝96を含み得るスリーブ本体72の下方の輪郭に合わせて変形できるようにする他の適切な材料で構成することができる。シース76が第2の螺旋溝96に合わせて輪郭付けされると、シースは、ユーザが掴むのに有用な起伏98を画定することができる。
【0030】
再び
図4Aを参照すると、灌流スリーブアセンブリ68は、灌流流体を運ぶために螺旋溝74内に配置される灌流導管78を更に備えることができる。灌流導管78は、ルーメン70と流体連通する又はルーメン70に隣接することができ、液体源(図示せず)に接続することができる。灌流導管78は、入口開口80(灌流スリーブアセンブリ68が組み立て形態にあるときにスリーブ本体72の近位領域60に配置される)及び出口開口82(灌流スリーブアセンブリ68が組み立て形態にあるときにスリーブ本体72の遠位領域58に配置される)を画定し得る。灌流流体は、入口開口80で灌流導管78に入り、出口開口82で灌流導管78から出ることができる。幾つかの構成において、灌流導管78は、入口開口80と出口開口82との間に連続長さを規定する単一部材を備え得る。手術用ハンドピース12の対応するポートに直接結合するべく灌流導管78を構成できるように、灌流導管78が可撓性材料を備えてもよい。言い換えれば、灌流導管78は、入口開口80が超音波ハンドピース12の対応するポートを部分的に包み込んで灌流源への接続部を形成できるように変形され得る材料から形成されてもよい。溝74の螺旋形状は、灌流導管78も同様に螺旋形状を有するようにする。螺旋形状の灌流導管78(チューブ)及び溝74は、真っ直ぐな戻り経路よりも長い流体戻り経路をもたらす。この長い経路は、流体が最初に灌流導管78を通じて運ばれた後に流体が近位方向で後方に移動することをより困難にする。
【0031】
流体がスリーブ本体72に沿って遠位側に灌流導管78を通じて運ばれた後、流体は出口開口82で灌流導管78から出ることができる。そこから、流体はスリーブ本体72及び/又はシャフト42の表面に広がることができる。状況によっては、流体は、開口83に戻り、灌流導管78を通じて逆流する場合がある。そうでない場合、流体は、シース76内の灌流導管78の外径とスリーブ本体72の内面との間で流れる経路でスリーブ本体72に沿って近位側に戻る場合がある。
【0032】
灌流スリーブ18及び超音波チップ20のうちの一方がシール部材86を含むことができる。シール部材86は、限定ではなく例として、Oリングを含む環状シール部材であってもよい。幾つかの構成では、シール部材86がチップ20に結合されてもよい。そのような実施において、シール部材86は、チップ20の外面に画定された溝88の周囲に位置される。これにより、シール部材86は、超音波チップ20の外面とルーメン70の内面との間に位置され、出口開口82からシール部材86の近位側への流体の移動を防止することができる。或いは、シール部材86は、スリーブ18に結合されてもよく、また、この場合も先と同様に出口開口82からシール部材86の近位側への流体の移動を防ぐために、チップ20の外面と係合するように位置されてもよい。
【0033】
シール部材86は、超音波チップ20の振動の振幅を減衰させるためにも使用され得る。超音波チップ20に沿った任意の点における振動の振幅は、振動が測定される超音波チップ20に沿った位置に依存し得る。波の振幅が最小になる定在波に沿う点は、一般に節と呼ばれる。節では、通常、振動運動が最小になる。シール部材86は、チップ20に直接に結合され得るため、チップ20の横方向の動きを減少させるために超音波チップ20のどこにでも配置することができる。幾つかの構成では、シール部材86をチップ20の節に又はその近くに配置することが適切である場合がある。節の位置は、異なる超音波チップでは異なる場合がある。
【0034】
更に、シール部材86はチップ20に直接に結合され得るため、超音波チップ20上にわたってスリーブアセンブリを配置する間、超音波チップ20の鋭利な表面がシール部材86に接触することは決してない。したがって、シール部材86は、超音波チップ20がスリーブ18上にわたって配置されるときに摩耗及び他の損傷から保護される。シール部材86を灌流スリーブ18ではなく超音波チップ20に配置することにより、シール部材86が自然に滑り落ちたり灌流スリーブアセンブリ68から外れたりすることも防止される。
【0035】
ここで
図7を参照すると、組み立て形態における
図3のチップが挿通された灌流スリーブアセンブリの別の断面図が示される。超音波チップ20は、空気入口として機能する第1の孔90を画定することができる。この第1の孔90は、超音波チップ20を含む灌流スリーブアセンブリ68がハンドピース12に結合されるときにシール部材86の近位側に配置され得る。幾つかの構成では、第1の孔90がシール部材86の遠位側に位置される。第2の孔92は、シャフト42の近位領域48から、ねじ付きカプラ52から第1の孔90まで延在し得る。換言すれば、第1の孔90及び第2の孔92は、第1の孔90が超音波チップ20の縦軸L1を横断する状態で互いに流体連通するように位置され、第2の孔92はチップ20の縦軸L1と同心である。一例において、第1の孔90の軸N1は、第2の孔92の軸N2に対して垂直であってもよい。幾つかの構成では、第1の孔90が単一の孔を備え得る。
図7に示される構成などの他の構成において、第1の孔90は、超音波チップ20の一方側から他方側まで側方に延在して、超音波チップ20の両側に第1の孔90を形成することができる。しかしながら、他の構成において、複数の第1の孔90が超音波チップ20に含まれてもよく、複数の第1の孔90のそれぞれは、
図7に示されるように各端部で第2の孔92と共に単一のチャネルを形成するのではなく、互いに別個である(しかし、それぞれは依然として第2の孔92と連通していてもよい)。更に、第1の孔90が最外周から第2の孔92まで延びている限り、第1の孔90はチップ20を最後まで貫通して延びる必要はない。超音波チップ20の外周から第2の孔92まで複数の経路が画定される場合、これらの孔は、チップ20の表面の周囲に周方向に配置されるなど、様々な方法で配置され得る。
【0036】
幾つかの構成では、超音波チップ20を含む灌流スリーブアセンブリ68がハンドピースに結合されるとき、灌流スリーブアセンブリ68が第1の孔90の近位側に第3の孔94を更に備える。より詳細には、スリーブ本体72は、周囲環境から第1の孔90への空気の進入を更に促進するために、第3の孔94を画定することができる。勿論、吸引源27がチップ20に結合されるときに周囲空気が灌流スリーブアセンブリ68の外側から第1の孔90に移動できるようにする開口を画定する複数の第3の孔94を灌流スリーブアセンブリ68が含むことができると考えられる。
【0037】
図示の構成では、入口開口80、出口開口82、第1の孔90、第2の孔92、及び第3の孔94が全て円形の断面形状を有する。しかしながら、幾つかの構成において、入口開口80、出口開口82、第1の孔90、第2の孔92、及び/又は第3の孔94の全て又は任意の組み合わせは、様々な多角形や楕円形など、円形以外の形状を有してもよい。
【0038】
灌流スリーブ18は、任意のポリマー、例えば熱可塑性プラスチックから形成されてもよい。灌流スリーブ18の遠位領域58は、灌流スリーブ18の長さを変更するために切断又は切り取られ得る脆弱な部分の一部を有し得る。
【0039】
再び
図5を参照すると、灌流スリーブアセンブリ68が灌流ライン38などのカプラによって灌流源に結合されると、灌流スリーブアセンブリは、入口開口80を介して灌流源を通じて灌流液を引き込むことができる。次いで、灌流導管78は、灌流液を入口開口80を通じて出口開口82に搬送することができる。灌流スリーブアセンブリ68を通じた灌流液の搬送は、超音波チップ20のシャフト42を冷却するのに役立つ。更に、灌流スリーブアセンブリ68を通じた灌流液の搬送は、超音波切断の動きによって発生する過剰な熱によって灌流スリーブ18が変形したり溶けたりするのを防止するのに役立ち得る。
【0040】
更に、超音波チップ20を含む灌流スリーブアセンブリ68がハンドピース12に結合されると、超音波チップ20は、空気を、第3の孔94を通じて引き込んだ後、第1の孔90を通じて、第2の孔92に通して戻し、最終的に、カプラ28を通じて引き出す。この空気の動きは、シール部材86と灌流スリーブアセンブリ68との間の相対的な動きによって生成される摩擦熱に起因して過熱しやすいシール部材86付近の領域でチップを冷却するのに役立つ。
【0041】
更に、チップ及び/又はスリーブを介した空気の吸引は、用途によっては排煙装置として動作することもできる。図示の構成において、超音波チップ20は、他の処置と比較して多量の煙、塵粒子、及び浮遊破片を生成する腰椎処置及び他の比較的「重労働」の骨切断処置に使用することができる。空気吸引機能は、超音波ハンドピース12の周囲の周囲空気からこの一部を吸引し、ハンドピース12を通して排出することができる。機器は、チップ20を通じて吸引された後に周囲空気からこれらの微粒子を除去するために煙フィルタと併せて使用することができる。
【0042】
ここで
図8A~8Bを参照すると、切断ヘッドを含む超音波チップの遠位部の上面図及び側面図が示される。超音波チップ20は、実質的に平面である第1の側面100を備えることができる。超音波チップ20は、第1の側面100の反対側に配置される実質的に平面である第2の側面102を更に備えることができる。超音波チップ20は、シャフト42の遠位側に配置される切断ヘッド(本明細書では「切断部」とも呼ばれる)104を更に備えることができる。切断ヘッド104は、第1の側面100と第2の側面102との間に横寸法T1を有するベース部106を備えることができる。横寸法T1は、切断ヘッド104の縦軸L1に対して垂直に延在することができる。切断ヘッド104は、ベース部106から切断エッジ110まで延びる面取り部を備えるテーパ部108を更に備えることができる。限定ではなく例として、好ましい構成では、ベース部106は少なくとも7.975ミリメートルの横寸法を有する。その全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,723,110号、第6497715号、第D551764号、及び第6955680号に示されているものなど、この出願に記載されている切断ヘッド特徴を伴わないものなどの、他の超音波チップを上記の灌流スリーブアセンブリと共に使用できることを理解すべきである。同様に、超音波チップは、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPCT/US2019/052609に示されるもののような他の灌流スリーブアセンブリと共に使用できることを理解すべきである。
【0043】
切断エッジ110は、ある長さを備えるとともに、第1の脚部112、第2の脚部114、及び弓形遠位部116を有するU字形輪郭を有し得る。限定ではなく例として、好ましい構成において、弓形遠位部116は少なくとも1.35ミリメートルの厚さを有する。第1の脚部112及び第2の脚部114は、互いに平行であってもよく、それぞれが複数の切断歯を備えてもよく、そのうちの1つに118の符号が付けられている。幾つかの構成では、切断エッジ110の長さの半分以下が切断歯118を有してもよい。他の構成では、切断エッジ110の長さの半分よりも大きい長さが切断歯118を有してもよい。幾つかの構成では、
図8A-
図8Bに示される構成の示されるように、弓形遠位部116には切断歯118が存在しない。
【0044】
切断部40は、縦軸L1に沿って中心線120を規定する。更に、複数の切断歯118は、少なくとも2つの隣り合う切断歯118と、隣り合う切断歯118のそれぞれの間の切り欠き122とを備える。切り欠き122は、切り欠きベース124に沿って横寸法T2を有する。各切断歯118は歯切断エッジ126を有する。幾つかの構成では、切り欠き122の横寸法T2は、ベース部106の横寸法T1の少なくとも25分の1である。
【0045】
中心線120から歯切断エッジ126までが第1の距離A1を規定する。中心線120から切り欠きベース124までが第2の距離A2を規定する。中心線120からテーパ部108の開始点までが第3の距離A3を規定する。幾つかの構成では、第1の距離A1と第2の距離A2との間の差が0.25mm以下である。幾つかの構成では、第1の距離A1は、第3の距離A3の1.5倍よりも大きいが、第3の距離A3の2倍よりも小さい。図示の例では、限定するものではないが、第1の距離A1が3.4mm、第2の距離A2が3.15mm、第3の距離A3が1.85mmである。この例では、第1の距離A1と第2の距離A2との間の差がちょうど0.25mmである。また、この例では、第1の距離A1は、第3の距離A3の約1.837倍大きい。
【0046】
超音波チップ20は、硬組織及び軟組織の両方を切断するのに有用であり得る。歯切断エッジ126は、皮質骨などの硬組織を切断することを可能にする。鋸歯状の歯切断エッジ126は、鋸のような動作を実行して、より密な組織を切断することができる。対照的に、切断エッジ110は滑らかな連続した刃である。しかしながら、それは硬組織を切断するのに十分な鋭さであるかもしれないが、接触した軟組織と比較して非外傷性であるほど十分に鈍い場合がある。限定ではなく一例として、切断エッジ110の厚さは0.2mm+/-0.05mmであってもよい。したがって、切断エッジ110は、脊髄などの重要な構造に孔を開けるリスクを最小限に抑えながら、軟組織に接触することができる。外科医は、異なる組織構造間の密度の自然な差により、切断エッジ110が硬組織と軟組織との間を移動するときに触覚的な変化を感じ、切断エッジ110が軟組織に到達したときに切断を終了する必要があることを示す。したがって、超音波チップ20は、下にある軟組織への外傷を回避しながら、その歯エッジ126と切断エッジ110の両方で硬い骨構造を切断できるため、従来の鋭利な骨切断ブレードに勝る利点を与える。
【0047】
再び
図4A~
図4Cを参照すると、シャフト42に沿った異なる点は、異なる断面積を有する。トランスデューサ及び超音波チップは一般に縦共振デバイスでは同じ共振周波数を持つように設計されているが、超音波チップの長さに沿った断面積の減少により、トランスデューサの出力面の振動速度が増幅される可能性がある。ゲインとも呼ばれる増幅率は、断面積の減少と超音波チップの形状とによって決まる。ゲインは、チップ変位をハンドピース変位で割ることによって測定できる。
【0048】
図示の構成では、第1のスライスSL1の断面積は、超音波チップ20の最大の円形断面積として規定され、縦軸L1に垂直な平面を画定する。
図4Bは、第1の断面積における
図4Aの超音波チップの断面図を示す。第2のスライスSL2の断面積は、チップの遠位端よりも20mm近位側の位置で画定される。第2のスライスSL2は、縦軸L1に垂直な平面を画定し、第2のスライスSL2は、第1のスライスSL1の遠位側にある。
図4Cは、
図4Aの超音波チップの第2のスライスにおける断面図を示す。
【0049】
第2のスライスSL2の断面積は、第1のスライスSL1の断面積の5~6分の1である。言い換えると、第2のスライスSL2の断面積は、第1のスライスSL1の断面積の13~25、15~21、16~20、又は16.7~20%である。これにより、超音波チップのゲインが低くなる。超音波チップ20の変位を超音波ハンドピース12の変位で割ることによって計算される超音波チップ20のゲインが低いことにより、切断部40(例えば、切断ヘッド104)の失速が減少し、超音波チップ20全体の性能が向上する。また、超音波チップ20を駆動するために消費する電力が少なくなり、より高い電流で超音波チップ20を駆動することが可能となり、これにより、切断部40(例えば切断ヘッド104)の失速を増加させることなく切断速度を向上させることができる。
【0050】
例えば、限定するものではないが、図示の構成では、第1のスライスSL1の直径は8mmであり、ガンドリル孔の直径は約2mmである。この構成では、第1のスライスSL1の断面積は約47.1mm2である。幾つかの構成では、第2のスライスSL2の断面積は約8.725mm2であり得る。したがって、この構成では、第2のスライスSL2の断面積の値は、第1のスライスSL1の断面積の値の約5.4分の1である。
【0051】
図示の構成では、超音波チップ20のゲインは約3である。超音波チップ20は、2~5、2~4、2.5~3.5、及び2.75~3.25の範囲のゲインを示し得ることを理解すべきである。或いは、超音波チップ20によって示されるゲインは、5未満であってもよい。比較すると、同様の用途に使用される当技術分野で知られている同様の超音波チップは、約7.0~7.4のゲインを有する。超音波チップ20の変位を超音波ハンドピース12の変位で割ることによって計算される超音波チップ20のゲインが低いことにより、切断部40(例えば、切断ヘッド104)の失速が減少し、超音波チップ20全体の性能が向上する。また、超音波チップ20を駆動するために消費する電力が少なくなり、より高い電流で超音波チップ20を駆動することが可能となり、これにより、切断部40(例えば切断ヘッド104)の失速を増加させることなく切断速度を向上させることができる。
【0052】
ゲインは、均一な外面によっても達成することができ、この内容全体が参照により本明細書に組み込まれる「Ultrasonic Torsional Tissue Dissection Utilizing Subaltern Modes of Longitudinal-Torsional Resonators」と題する米国特許第9,962,183号に記載されているように、互いに縦に整列した2つの異なる材料で構成される。
【0053】
超音波チップ20は、縦からねじり運動への変換機構がなくてもよく、したがって、縦方向のみに振動するように構成されてもよい。超音波チップ20はチタンから構成されてもよい。
【0054】
本明細書に記載の灌流スリーブ18は、任意のタイプの超音波チップと共に使用することができる。換言すれば、本明細書に記載の灌流スリーブ18は、記載の第1及び第2の孔90、92を含まない超音波チップと共に使用することができる。更に、本明細書に記載の灌流スリーブ18は、2つの実質的に平坦な側面を有する切断ヘッドを有さない超音波チップと共に使用することができる。例えば、本明細書に記載の灌流スリーブ18は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0177184号、米国特許第8,512,340号、米国特許出願公開第2008/0208231号に記載されているような、円筒形状を有し、縦、ねじり運動、又は縦とねじり運動に依存する超音波チップと共に使用することができる。
【0055】
本明細書に記載の器具は、本明細書に記載の任意のチップ構成及び/又は任意の灌流スリーブ構成と共に使用することができる。
【0056】
更なる保護に関する項:
I.シャフトと切断部とを備える超音波チップであって、
近位端から遠位端まで延びる実質的に平面である第1の側面と、
実質的に平面であり、第1の側面の反対側に配置され、近位端から遠位端まで延びる第2の側面と、
遠位端に配置される切断ヘッドと、
切断ヘッドの近位側に配置される空気入口を画定する第1の孔と、
シャフトの近位端から第1の孔まで延びる第2の孔と、
を備える超音波チップ。
II.切断ヘッドは、第1の側面と第2の側面との間に横寸法を有するベース部を有し、横寸法は、切断ヘッドの縦軸に対して垂直に延在し、テーパ部が、面取り部を備えるとともに、ベース部から切断エッジまで延在し、前記切断エッジは、ある長さを有するとともに、第1の脚部、第2の脚部、及び弓形遠位部を有するU字形輪郭を有し、第1の脚部と第2の脚部とが互いに平行である、項Iの超音波チップ。
III.シャフトの最大の円形断面積の第1のスライスの断面積は、縦軸に垂直な平面を画定し、
シャフトの近位領域におけるより小さい断面積の第2のスライスの断面積は、縦軸に垂直な平面を画定し、
第2のスライスの断面積の値は、第1のスライスの断面積の値の5.4分の1である、
項I又はIIの超音波チップ。
IV.近位領域及び遠位領域を有する超音波器具を更に備え、前記超音波器具は、
近位部と遠位部とを備えるハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されるトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合されるホーンと、
を備え、
前記トランスデューサが第1のカプラによって吸引源に結合され、超音波チップがホーンに結合される、
項I、II、又はIIIの超音波チップ。
V.灌流スリーブであって、灌流スリーブが遠位領域及び近位領域を有する本体を備え、チップがスリーブのルーメン内にあるときに前記本体が前記チップの前記シャフトを少なくとも部分的に取り囲む螺旋溝を画定する、灌流スリーブと、
螺旋溝の少なくとも全回転を取り囲むように前記本体の一部に結合されて前記本体の一部上にわたって配置され、近位端と反対側の遠位端とを有するシースと、
灌流流体を運ぶために前記螺旋溝内に配置される灌流導管と、
を更に備え、
灌流導管は、前記本体の近位領域に配置される入口開口と、前記本体の遠位領域に配置される出口開口とを更に画定し、灌流流体は、入口開口で灌流導管に入り、出口開口で灌流導管から出る、
項I、II、III、又はIVの超音波チップ。
VI.縦軸を規定するシャフトと、切断部とを備える超音波チップであって、前記超音波チップは、実質的に平面である第1の側面と、実質的に平面である第2の側面とを画定し、切断部は更に切断ヘッドを更に含み、切断ヘッドは切断エッジを含み、チップの最大断面積が第1のスライスの断面積を画定し、第2のスライスの断面積は、チップの遠位端よちも20mm近位側の位置で画定され、第2のスライス及び第1のスライスはそれぞれシャフトの縦軸に対して垂直であり、第2のスライスの断面積は、第1のスライスの断面積の15~20%である、超音波チップ。更に、特定の構成では、チップ特徴の最大断面は少なくとも20mmの長さにわたる。換言すれば、一定の断面積を有し且つチップの最大断面積に等しいチップ部分が存在する。更に、場合によっては、繊細な骨を最適に切断するために、チップの直径が9mm以下であってもよいことを理解すべきである。
VII.縦軸を規定するシャフトと、切断部とを備える超音波チップであって、前記超音波チップは、実質的に平面である第1の側面と、実質的に平面である第2の側面とを画定し、切断部は更に切断ヘッドを含み、切断ヘッドは切断エッジを含み、チップの最大断面積が第1のスライスの断面積を画定し、第2のスライスの断面積は、チップの遠位端よりも20mm近位側の位置で画定され、第2のスライス及び第1のスライスはそれぞれシャフトの縦軸に対して垂直であり、第2のスライスの断面積は、第1のスライスの断面積の5~6分の1である、超音波チップ。更に、特定の構成では、チップ特徴の最大断面は少なくとも20mmの長さにわたる。
【0057】
上記の説明では、幾つかの構成について説明した。しかしながら、本明細書で論じた構成は網羅的であること、又は本発明を特定の形態に限定することを意図したものではない。例えば、構成例では外科用器具を超音波ハンドピースとして説明しているが、超音波ハンドピースに関して説明した特徴及び概念は他の医療器具又は外科用器具に適用できることも更に企図される。これは同様に、ブレード、ドリルビット、回転バー、オープンウィンドウシェーバーなどを更に含む超音波チップにも当てはまる。使用されている用語は、限定を目的とするものではなく、説明を目的としたものである。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能であり、本発明は、具体的に説明した以外の方法で実施することもできる。
【国際調査報告】