(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ストラップ
(51)【国際特許分類】
A44C 5/18 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A44C5/18 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537320
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 IB2021062059
(87)【国際公開番号】W WO2022137096
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520110814
【氏名又は名称】マニュファクチュール・ドルロジュリ・オーデマ・ピゲ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】マジド・ウートマン
(72)【発明者】
【氏名】ブルイヨ・ジュリアン
(57)【要約】
【課題】取り外し可能な連結部を備えたブレスレットのストラップを提案する。
【解決手段】本発明は、
第1型のストランド又は複数のリンク(31b)と、
第1型のストランド又はリンクに分離不能に連結された少なくとも1つの連結要素(7b)と、
時計ケース(2)又は中留への連結が意図され、連結要素に分離可能に連結できる少なくとも1つの適合リンク(32)であって、連結要素への連結を固定・固定解除するボタン(6B)を備える少なくとも1つの適合リンクと、
を備えるストラップ(1)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップ部分(3a、3b)と、
分離不能に前記ストラップ部分(3a、3b)に連結された少なくとも1つの連結要素(7a、7b)と、
審美的要素(2、5a、5b)に連結と、前記少なくとも1つの連結要素(7a、7b)に取り外し可能に連結とが意図された少なくとも1つの適合リンク(32a’、32b)と、を備え、
作動されると前記適合リンク(32a’、32b)を、
前記少なくとも1つの連結要素(7a、7b)が前記適合リンクに固定される固定位置から、
前記少なくとも1つの連結要素(7a、7b)を前記適合リンクへの連結から外せる固定解除位置に
動かすことが意図された固定・固定解除ボタン(6a、6b)を前記少なくとも1つ適合リンク(32a’、32b)が備え、
前記固定・固定解除ボタン(7a、7b)は、ブレスレットのストラップ(1)が着用されているときに隠されている、
ブレスレットのストラップ(1)。
【請求項2】
前記ストラップ部分が、柔軟な材料で全体的又は部分的に形成されたストラップ部分(3a)であるか、もしくは多関節リンク(3b)に作られたストラップ部分である、請求項1に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項3】
前記連結要素(7a、7b)と、前記又は各適合リンク(32a’、32b)とは、メス開口(10a、10b)に挿入されるオス部(9、11)を手段として、互いに取り外し可能に連結されていて、
前記固定・固定解除ボタン(6a、6b)が、
前記少なくとも1つの適合リンク(32a’、32b)が前記固定位置にあるとき前記オス部が前記メス開口から引き抜かれるのを防げるようにして、そして
前記少なくとも1つの適合リンク(32a’、32b)が前記固定解除位置にあるときこの引き抜きを可能にする、
請求項1又は2に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項4】
前記メス開口(10a)が、中留(5a、5b)の部分をなしていて、そして前記ストラップ部分(3a)の長さに対する横方向において溝をなしていて、
前記オス部(9)が、挿入又は引き抜かれるにつれて前記溝内を摺動するように設計されている、
請求項3に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項5】
固定の適合リンク(32a)及び可動の適合リンク(32a’)を備える少なくとも1行を備え、
前記固定の適合リンク(32a)及び前記可動の適合リンク(32a’)は前記中留(5a、5b)に連結されることが意図されていて、
前記可動の適合リンク(32a’)はこの理由用に、前記固定位置及び前記固定解除位置の間の前記溝に平行な軸線について旋回して、前記オス部(9)の前記溝(10a)に対する前記挿入又は前記引き抜きできるように、もしくは前記挿入と前記引き抜きとを個別に阻止するように設計されていて、
前記オス部が例えば支柱(9)である、
請求項4に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項6】
前記ブレスレットのストラップの第2ストラップ部分が、前記ブレスレットのストラップが締め付けられる際に、前記固定・固定解除ボタン(6a)が操作されるのを防ぐように設計されている、請求項5に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項7】
前記ブレスレットのストラップのストラップ部分(3b)が時計ケース(2)に連結されるとき、少なくとも1つの適合リンク(32b)、好ましくは2つの適合リンク(32b)は前記時計ケース(2)に連結される、請求項3に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項8】
前記又は各適合リンク(32b)が筐体(14)を備えて、
前記固定・固定解除ボタンが、前記又は各適合リンク(32b)の前記筐体(14)内に設けられる押しボタン(6b)の形をしていて、前記又は各適合リンク(32b)が前記固定位置から前記固定解除位置にされるときに、前記固定・固定解除ボタンが前記筐体(14)内で動ける、請求項7に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項9】
前記又は各適合リンク(32b)が、1側部に、前記筐体(14)と連通する通路(16)を備え、
前記又は各押しボタン(6b)が、前記筐体(14)内に設けられる、可動体(9)及び弾性部材(13)を備え、
前記可動体が前記メス開口(10b)を備え、
少なくとも1つの連結要素好ましくは2つの連結要素(7b)が、前記ストラップ部分(3b)に分離不能に連結されていて、
前記少なくとも1つの連結要素が、対応する前記又は各適合リンク(32b)の前記通路(16)及び前記メス開口(10b)に導入されると前記押しボタン又は複数の前記押しボタン(6b)を作動することを必要とせず前記ストラップ部分(3b)が前記時計ケース(2)に固定されるように設計されている、
請求項8に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項10】
前記可動体(9)が前記通路(16)に対向する歯(15)を備え、
前記又は各連結要素(7b)が、前記固定位置で前記歯(15)に係合するフック(11)を備え、
前記押しボタン(6b)の作動で前記歯(15)が前記フック(11)との係合から外されて前記ブレスレットのストラップ(1)の前記ストラップ部分(3b)の連結を外せる、請求項9に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項11】
前記多関節リンクのストラップ部分(3b)が、複数の第1型のリンク(30a)と複数の第2型のリンク(30b)を備え、
前記ブレスレットのストラップが着用されているとき、前記又は各適合リンク(32b)と前記第2型のリンク(30b)との違いが実施的にわからない、請求項7から10のいずれか一項に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項12】
複数の前記第1型のリンク(30a)が、互いに実質的に同一の、例えば、形と、寸法と、向きと、色との中の少なくとも1つの外観を持ち、
複数の前記第2型のリンク(30b)が、互いに実質的に均一の、例えば、形と、寸法と、向きと、色との中の少なくとも1つの外観を持ち、
前記ブレスレットのストラップが着用されているとき、前記又は各適合リンク(32)が、前記第2型のリンクと実質的に同一の、例えば、形と、寸法と、向きと、色との中の少なくとも1つの外観を持つ、
請求項11に記載のブレスレットのストラップ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のブレスレットのストラップ(1)を備える腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレスレットのストラップ、例えば腕時計用ブレスレットのストラップに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くのブレスレットのストラップが、時計、特に宝飾品の分野で考案されている。着用者の手首を囲むことを意図した2つのストラップ部分と、ストラップ部分を固定する留め金とを備えるブレスレットのストラップ(腕時計の金属製バンド)が特に知られている。中留(クラスプ)は、多くの場合、ストラップ部分の1つ又は両方のストラップ部分に恒久的又は半永久的に固定されている。翻ってストラップ部分は、時計のケースに固定されているだろう。
【0003】
ストラップ部分は、手首にぴったりと合うように柔軟な材料、例えば革、ゴム、エラストマー、織物などから作られているだろう。互いに関節接合された複数の剛体リンク、例えば金属又はセラミックのリンクから形成されるストラップ部分も知られている。特定のブレスレットのストラップは、剛性のリンクと柔軟な部分を組み合わせている。
【0004】
従来の関節式ブレスレットのストラップ1を装備した腕時計の例を
図1a及び1bに示す。簡単にするために、ブレスレットのストラップの2つのストラップ部分のうちの1つだけが示されている。この例のブレスレットのストラップは、第1型31の金属リンクの行を備える関節式リンクのブレスレットのストラップであり、第2型30のリンクの行によって互いに連結されていて、この例ではスタッド(コマをつなぐ部品)で構成されている。2つのストラップ部分のそれぞれは、ブレスレットのストラップを交換できるようにピンドライバーによって取り外せる棒の連結4によって時計ケース2に連結されている。この例では、棒は、これらのスタッド用のリンク及びケース中央に形成された2つの筐体の第1行のスタッド30を通過する。各ブレスレットのストラップ部分の端部を図示されていないブレスレットのストラップ中留に連結するために、同様の棒連結が提供されることがある。
【0005】
ブレスレットのストラップとケース又は中留との間の他の連結手段は、例えばネジの使用が着想されてきた。
【0006】
ユーザは、時計ストラップが摩耗している場合や、ブレスレットのストラップを服装や活動に合わせるためなど、時計ストラップを自分で交換したい場合がある。例えば、特定の活動に最適なブレスレットのストラップを外出ごとに選択できるように、簡単に交換できるブレスレットのストラップを多数用意することが望ましい。
【0007】
しかしながら、ブレスレットのストラップや中留の交換はやや実用的ではなく、一般的にドライバー、ピンドライバー又はピンセットの適切な工具が必要である。
【0008】
高品質の時計に工具を不適切に使用すると、引っかき傷やその他の破損を引き起こすおそれがある。取り外しと再取り付けには、紛失しやすい非常に小さなサイズのネジやピンの取り扱いが含まれることがよくある。これらの理由から、これらの取り外し及び再取り付け操作は通常、専門家の仕事となっている。
【0009】
従来技術には、ブレスレットのストラップを取り付ける工具不要のシステムが既に含まれている。これらのシステムには通常、ブレスレットのストラップを固定又は固定解除用に操作できる押しボタンのような目に見える部品がある。しかしながら、これらの部品の存在は、時計又はブレスレットのストラップの美的外観を損なう。さらに、これらの部品は、不注意又は悪意を持って操作される可能性があり、時計の紛失や盗難の恐れがある。
【0010】
工具不要のブレスレットのストラップ固定システムは、通常、この目的のために特別に設計された時計ケース又は留め金を対象としている。時計やその他の製品が伝統的な連結装置を持つように設計されている場合、工具不要なシステムへの移行は一般的には可能ではない。逆に、工具不要の固定システムを備えた時計ケース又は中留は、通常、従来のブレスレットのストラップに取り付けることが意図されていない。
【0011】
最後に、そのようなシステムは、ブレスレットのストラップの外観とケース又は中留の外観の両方を変更することなく、既存の時計やブレスレットのストラップに合わせて適合させることが困難又は不可能である。時計ケースの範囲、中留の範囲、及び可能な限り、既存のブレスレットのストラップの範囲の外観を変更せずに使用できる、取り外し可能なブレスレットのストラップの提供が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の上述した問題の少なくともいくつかを克服することである。
【0013】
特に、本発明の目的は、従来又は既存の審美的要素、特に時計ケースと中留との中の少なくとも一方に取り付けられる取り外し可能な連結部を備えたブレスレットのストラップを提案することである。
【0014】
1つの目的は、交換可能なブレスレットのストラップに連結するように設計されていなかった、審美的な要素、特に時計ケース又は中留に連結できる交換可能なブレスレットのストラップを設計することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、これらの目的は、
ストラップ部分と、
審美的要素に連結されることを意図した少なくとも1つの適合リンクと、
連結要素が一方ではストラップ部分に分離不能に連結され、他方では、ブレスレットのストラップが工具なしで開けられるように、前記少なくとも1つの適合リンクに着脱可能に連結される、少なくとも1つの連結要素と
を備える、ブレスレットのストラップによって顕著に達成される。
少なくとも1つの前記適合リンクは、前記少なくとも1つの連結要素との連結を固定し固定解除する、固定・固定解除ボタンを備える。この固定・固定解除ボタンは、作動すると、前記少なくとも1つの連結要素が前記適合リンクに固定されている固定位置から前記適合リンクを固定解除位置に持ってくることを意図していて、そこでは、前記少なくとも1つの連結要素を前記適合リンクから切り離せる。固定・固定解除ボタンは、ブレスレットのストラップが着用されているときには隠されている。
【0016】
そのように、本発明の一観点では、交換可能なブレスレットのストラップに連結されるように設計されていない時計ケース又は中留などの審美的要素は、少なくとも1つの適合リンクがあることで、そのようなブレスレットのストラップと互換性があるように使用範囲が広がる。
【0017】
ブレスレットのストラップの互換性は、ブレスレットのストラップ部分と審美的要素の間ではなく、ブレスレットのストラップの2つのリンク間、又は1つのリンクとストラップ部分の間の取り外し可能な連結によって達成される。よって、少なくとも1つの適合リンクを除く全ての部品を、時計ケース又は従来の中留から特に分離できる、ブレスレットのストラップの製造が可能である。
【0018】
言い換えると、ブレスレットのストラップは、ケース又は中留と、第1型のリンク又はストラップ部分とに連結されたままの適合リンクを使って、開けられる。
【0019】
第1型のリンクは、好ましくは、外観、例えば、形状と、寸法と、向きと、互いに類似又は均一である色との中の少なくとも1つを持つ。
【0020】
ブレスレットのストラップは、第1型のリンクとは異なる第2型のリンクを備えてよい。第2型のリンクは、好ましくは、外観、例えば、形状と、寸法と、配向と、色との中の少なくとも1つが互いに類似又は均一である。したがって、リンクが第1型のリンクであるか、第2型のリンクであるかを、同じ型のリンク間に違いがある場合でも、即座に判断できる。
【0021】
ブレスレットのストラップは、少なくとも1つの適合リンクと、ブレスレットのストラップが着用されているときに同じ外観を持つ第2型の少なくとも1つのリンクとを備えてよい。
【0022】
連結部は、適合リンクとストラップ部分とを連結する連結要素を採用する。この連結要素により、ストラップ部分を閉じた位置で関連する適合リンクに固定し、開いた位置で切り離せる。
【0023】
適合リンクと連結要素の間の連結は固定可能であり、つまり、固定又は固定解除ボタンに作用することによってのみ開けられる。
【0024】
固定又は固定解除ボタンは適合リンクに組み込まれているため、時計ケースや中留などの美的要素に固定されたままになる。したがって、潜在的に複雑な部材である固定・固定解除ボタンを交換せずに、ブレスレットのストラップの大部分を交換可能である。
【0025】
固定ボタンは、触覚部品、つまり、ユーザが数字を使用して、例えば押したりねじったりして直接操作されることを意図される部品を構成する。
【0026】
適合リンクは、例えば、従来の切り離し可能な連結、例えば工具、例えば棒又はネジを使用して切り離せる連結によって、例えば時計ケース又は中留に連結されてよい。したがって、適合リンクは、時計ケースと、従来のブレスレットのストラップ連結手段を備えた中留との中の少なくとも一方に取り付けられる。
【0027】
よって、適合リンクは、棒などの半永久的な固定によって時計ケース又は中留につなげられるように設計される一方、他方ではストラップ部分又は第1型のリンクに固定された連結部品に連結解除可能に、つなげられように設計されている。
【0028】
連結要素は、分離不能な連結によって、第1型のリンク又はブレスレットのストラップ部分に連結できる。例えば、ストラップ部分に打ち込まれたり、溶接、接着、又はオーバーモールドされている。一実施形態では、連結要素は、第2型又はストラップ部分のリンクの一体部分を構成してもよい。
【0029】
一実施形態では、固定・固定解除ボタンは、ブレスレットのストラップの下側、すなわちブレスレットのストラップが装着されているときに手首の方を向く面の下にある押しボタンからなるものでよい。
【0030】
一実施形態では、固定・固定解除ボタンは、回転リンクを備えてよい。
【0031】
適合リンクは、メス型の開口部を備えてよい。連結要素は、前記メス型の開口部に挿入できるオス部を備えてよい。この配置は逆でもよい。
【0032】
固定・固定解除ボタンは、オス部が固定位置において前記開口部から引き抜かれるのを防げるようにして、かつボタンが固定解除位置に操作されるときこの引き抜きを可能にする。
【0033】
ブレスレットのストラップは、複数の適合リンクを備えた少なくとも1つの行を備えてよい。
【0034】
ブレスレットのストラップは、第2型の少なくとも1つのリンクと、少なくとも1つの適合リンクとを備えた少なくとも1つの行とを備えてよい。
【0035】
第2型のリンクと同じ行の適合リンクの外観は、ブレスレットのストラップを着用しているときに同じであってよい。
【0036】
少なくとも1つの適合リンクは、ブレスレットのストラップ中留にしっかりと連結されることを意図してよい。
【0037】
少なくとも1つの適合リンクは、時計ケースにしっかりと連結されることを意図してよい。
【0038】
連結要素は、適合リンクに固定されているときに隠されていてよい。
【0039】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図によって図示される説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】
図1aは、従来技術によるブレスレットのストラップ、特に腕時計用のブレスレットのストラップを開位置で示している。
【
図1b】
図1bは、従来技術によるブレスレットのストラップ、特に腕時計用のブレスレットのストラップを閉位置で示している。
【
図2a】
図2aは、第1実施形態によるブレスレットのストラップ部分の斜視図を示していて、中留に連結され、閉位置にある。
【
図2b】
図2bは、第1実施形態によるブレスレットのストラップ部分の斜視図を示していて、中留に連結され、固定位置にある。
【
図3a】
図3aは、第1実施形態によるブレスレットのストラップ部分の側面図を、中留に連結して、閉じているが非固定位置で示している。
【
図3b】
図3bは、第1実施形態によるブレスレットのストラップ部分の側面図を、中留に連結して、閉じていて非固定位置で示し、ストラップ部分が第2ブレスレットストラップ部分に中留で連結されている。
【
図4】
図4a及び
図4bは、第1実施形態によるストラップ部分の斜視図を、展開中留に連結して、それぞれ閉位置及び固定位置で示している。
【
図5】
図5は、時計ケースへの連結が意図された、本発明の第2実施形態による第2型のブレスレットのストラップリンクの斜視図である。
【
図6】
図6a
図6cは、第2実施形態によるブレスレットのストラップ部分の斜視図であり、開位置(6a)、閉じた固定位置(6b)、及び閉じているが非固定位置(6c)である。
【
図7】
図7aから
図7cは、第2実施形態に係るブレスレットのストラップ部分に連結された時計ケースの側面断面、上方及び側面からの図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1a及び
図1bは、従来技術による時計を描いている。2つのストラップ部分からなるブレスレットのストラップは、そのうちの1つのストラップ部分1、特に第1ストラップ部分1のみが視認され、この例ではスタッドとして構成された第2型のリンク30のリンクを介して時計ケース2に連結される。第2型のリンク30は、時計ケース内の筐体に係合されて、ねじ棒4によって所定の位置に保持される。
【0042】
図2aから
図3bは、ブレスレットのストラップ1が中留5aに取り外し可能に連結されている本発明の第1実施形態を示している。この実施形態を説明するために提案された図は、可撓性材料、例えばゴム、エラストマー、皮革、織物などからなるブレスレットのストラップを示す。しかしながら、実施形態は、関節式リンクブレスレットのストラップと中留との間の取り外し可能な連結に適合するように適合させてもよい。
【0043】
中留5aは、ピン又は図示されていない他の何らかの型の棒によって、好みで、固定適合リンク32a及び移動適合リンク32a’を備える適合リンクの行に連結される。ストラップ部分3aは、この行のリンクに連結及び固定され得る連結要素7aに連結されている。一実施形態では、ストラップ部分3aは、連結要素7aの上にオーバーモールドされる。ストラップ部分3aは、連結要素7aにピンによる連結でもよい。
【0044】
適合リンク32a、32a’の行と中留5aとの間の連結は、半永久的であってもよく、すなわち、ブレスレットのストラップが交換されるたびに開かれることを意図していないが、必要に応じて、例えば工具を用いて行える。なお、連結要素7aとストラップ部分3aとの連結は分離不能であってもよい。
【0045】
図示の実施形態では、連結要素7aは、オス部分、例えば支柱9と、中留に連結された適合リンクの1つに形成された開口部10a、例えば溝に係合できる、この場合、2つの横方向の適合リンク32a、32a’とは異なる中心リンクを備える。溝は、ブレスレットのストラップが延在している長手方向に実質的に垂直な横方向に延在していて、2つの構成要素を可逆的に連結する。溝10aは1横方向に開いて、先述の2部品を接続解除可能に接続するよう支柱0がその溝に出入りできるようになっている。
【0046】
中留5aに連結された第1行の移動適合リンク32a’は、固定及び固定解除ボタン6aを形成する。この目的のために、このリンクは、
図2b及び3bに描かれているような固定位置の間を移動できるように、溝10aの方向に本質的に平行な軸を中心にユーザによって旋回されてもよく、この場合、この適合リンク32a’は溝の開口端を塞ぎ、それによって支柱9が溝から出るのを防止し、
図2a及び
図3aに描かれた固定解除された位置、そこでは、支柱を溝10aに導入するか、又はそこから取り外せる。
【0047】
有利には、モバイル適合リンク32a’は、ブレスレットのストラップが着用者の手首の周りに固定されているときに固定解除位置に反転できないように設計され、ブレスレットのストラップの偶発的な開放に対する安全性を提供する。この目的のために、中留5a及び保持輪19に導入されたブレスレットのストラップの第2ストラップ部分は、
図3bに見られるように、適合リンク32a’が固定解除位置に向かって回転するのを防止する。よってこの例では、リンクの第1行と連結片7aとの間の連結部の開口部は、ブレスレットのストラップの第2ストラップ部分を取り外せるようにするために、予め中留5aでブレスレットのストラップを開く必要がある。
【0048】
図4a及び
図4bは、
図2aから
図3bと同様の連結を示しているが、中留を介してブレスレットのストラップ部分と展開中留5bの間に介在している。
【0049】
図5から
図7cは、ブレスレットのストラップの1つのストラップ部分と時計ケースに直接連結された適合リンクの行32bとの間の連結があることで、ブレスレットのストラップを工具なしで開けられる別の実施形態を示す。
【0050】
図6aから
図6cは、適合リンクの行32bと可撓性ストラップ部分3aとを備える可撓性ブレスレットのストラップ部分を持つ例を示す。
【0051】
図7aから
図7cは、第1型のリンク30aの行を複数と、第2型のリンク30bの行を複数備える多関節リンクのブレスレットのストラップ部分を持つ例を示し、様々な行のリンクが互いに連結されている。
【0052】
これらの両方の例において、時計ケースは、例えばスタッドの形態の第2型のリンク30b用の筐体を備える。これらの筐体は、従来のブレスレットのストラップの第2型のリンク30b、又は本発明によるブレスレットのストラップの適合リンク32bのいずれかを収容できる。適合リンク32bは、これらの筐体に取り付けられ、例えばこれらのリンクを通る横孔23を通る棒を用いて、半永久的にそこに保持される。この文脈において半永久的とは、適合リンク32bは、ブレスレットのストラップが交換されるたびに時計ケース2から外されることを意図していないが、それにもかかわらず、例えば工具を使用して、又は作業場で、従来のブレスレットのストラップからの第2型のリンクと交換するために、時計ケースから分離可能であることである。
【0053】
各適合リンク32bは、第2型のストラップ部分又はリンクとの連結を固定し固定解除する、固定・固定解除ボタン6bを組み込んでいる。固定・固定解除ボタンは、ブレスレットのストラップを着用しているときは、好ましくは隠されていて、実際には見えない。この目的のために、好ましくは、固定ボタンは、ブレスレットのストラップを着用しているときに隠されている適合リンクの面にのみ表示される。
【0054】
固定・固定解除ボタンを備える適合リンク32bの一例が、
図5に図示される。ブレスレットのストラップが装着されているときに見えるこのリンクの唯一の面は上面であり、これは第2型30bのリンクの対応する面と実質的に同一である。一方、下面、すなわちブレスレットのストラップを着用しているときに手首の方を向いているフェイスは、押しボタン6bの形態の固定・固定解除ボタンを備える。
【0055】
この押しボタンの動作は、
図6aから6cに照らしてよりよく理解されるであろう。図からわかるように、適合リンク32bは、内部に押しボタン6bが配置された筐体14を備える。この押しボタンは、筐体14の底部に位置するバネ、例えば圧縮バネ13と協働するように設計された移動体9を持つ。移動体9は、押しボタン6bが作動されたときに、好ましくはブレスレットのストラップ1の平面に直交又は略直交する方向に移動するように設計される。適合リンク32は、一方の側に、筐体14と連通する通路16を備える。移動体9は、通路16に対向して配置された歯15と同様に開口部10bを備える。ブレスレットのストラップ1は、ブレスレットのストラップ部分3aに連結され、対応する適合リンクの内側にクリップ(挟み留め)されるように設計された2つの連結要素7bを備える。固定機構は各適合リンク32bについて同じであるので、以下の説明は適合リンクのうちの1つだけを参照する。ストラップ部分は、例えば連結要素7bの上にオーバーモールドされてもよいし、又は他の永久的又は半永久的な手段によって固定されてもよい。
【0056】
連結要素7bは、適合リンク32bの開口部10bに挿入されるフック11を備える。フック11及び開口部10bは、
図5に顕著に見えるように、丸みを帯びた角を持つ長方形の断面を持ってよい。
【0057】
フック11は、連結片を適合リンクに固定するため開口部10bにクリップされてもよい。
図6a及び
図6bは、連結要素7bからそれぞれ分離して取り付けられた構成の適合リンク32bを示す。
図6bの連結構成では、ブレスレットのストラップ部分3aと適合リンク32bとが互いに対向して固定されている。
【0058】
ブレスレットのストラップ部分3aと連結要素7bとは、簡単なクリップ留めで固定できる。この目的のために、連結要素7bのフック11が適合リンク32bの通路16に導入され、フック11の傾斜面が歯15の背面に押し付けられ、移動体9を移動させてバネ13を圧縮し、フック11の端部が移動体9の開口部10bに入れる。押ボタン6bの移動体9の歯15は、バネ13の作用によりフック11の傾斜面の後ろに自動的に後退し、
図6bの構成では2つの部品7b、32bを固定し、開口部10bからの連結片7bの抜き出しを遮る。フック11に当たる歯15の側面は、ブレスレットのストラップを引っ張ったときに歯がこのフックに対して滑るおそれを防ぐために、好ましくは再入可能である。
【0059】
ブレスレットのストラップ部分3a及び連結要素7bは、
図6cに示すように、押しボタン6bを作動させることにより外せる。押しボタン6bを押すと、歯16がフック11から外れ、連結要素7bの分解が可能になる。
【0060】
図7a、
図7b、及び
図7cは、本発明による工具を使用せずに取り外せるブレスレットのストラップを備えた時計を示している。
図7aは、
図7bの「C-C」上の拡大断面である。
【0061】
時計ケース2は、ブレスレットのストラップ1のストラップ部分3bに連結する2つの適合リンクを、好ましくは備えている。同じ配置は、見えない他のブレスレットのストラップ部分に連結するために反対側に対称的に複製される。有利には、ブレスレットのストラップ1の各ストラップ部分は、2個の別の適合リンク32bによって時計ケース2に連結されている。この設定により、適合リンクの1つの固定機能の1つが誤って開いた場合の安全性が強化される。
【0062】
図7bでは、多関節リンクのストラップ部分3bは、複数の第1型のリンク30aと、複数の第2型のリンク30bとを備える。2個の適合リンク32bは、ブレスレットのストラップが装着されているときに第2型のリンク30bと実質的に違いはわからない。
図7bの例では、多関節のリンクのストラップ部分3bは、1行あたり2個の第2型のリンク30bを備える。図示されていない変形では、ブレスレットのストラップは、1行あたり1個の適合リンクと1個の第2型のリンクでだけ構成している。図示されていない別の変形によれば、ブレスレットのストラップは、3個の適合リンク及び1行あたり3個の第2型のリンクを備える。適合リンクと第2型のリンクの寸法は、行ごとの第2型のリンクの数に応じて適合される。
【0063】
詳細な説明及び図は、中留付き腕時計及びケースからなる例に関するが、これは、宝石類、ネックレス、ベルト、身体の一部に固定される任意のチェーン、又はチェーンを使用して身体の周りに着用されることを意図した物体のアイテムに等しく適用できる本発明の制限ではない。
【0064】
したがって、固定チェーンの要素を変更する繊細な操作は、工具を使用せずに要素を削除するように設計されていないので、非常に簡素化され、特別な目的の工具を必要とせず、不適切な取り扱いによって部品を破損するおそれなしに、全ての人がより速く作業に取り掛かれるようになる。本発明は、有利には、その目的のために設計されていない既存の部品を再利用しながら、新しい開発のための互換性の機能を提供することを可能にする。例えば、ブレスレットのストラップ又は中留を簡単に交換できるようにし、中留又はブレスレットのストラップを変更する必要はない。最後に、本発明は、工具を必要とせずに、製品のスタイルを損なわないように審美的影響をゼロと言わないまでも非常に限定して互換性を達成するというさらなる有利点を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップ部分(3a、3b)と、
分離不能に前記ストラップ部分(3a、3b)に連結された少なくとも1つの連結要素(7a、7b)と、
審美的要素(2、5a、5b)に連結と、前記少なくとも1つの連結要素(7a、7b)に取り外し可能に連結とが意図された少なくとも1つの適合リンク(32a’、32b)と、を備え、
作動されると前記適合リンク(32a’、32b)を、
前記少なくとも1つの連結要素(7a、7b)が前記適合リンクに固定される固定位置から、
前記少なくとも1つの連結要素(7a、7b)を前記適合リンクへの連結から外せる固定解除位置に
動かすことが意図された固定・固定解除ボタン(6a、6b)を前記少なくとも1つ適合リンク(32a’、32b)が備え、
前記固定・固定解除ボタン(7a、7b)は、ブレスレットのストラップ(1)が着用されているときに隠されている、
ブレスレットのストラップ(1)。
【請求項2】
前記ストラップ部分が、柔軟な材料で全体的又は部分的に形成されたストラップ部分(3a)であるか、もしくは多関節リンク(3b)に作られたストラップ部分である、請求項1に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項3】
前記連結要素(7a、7b)と、前記又は各適合リンク(32a’、32b)とは、メス開口(10a、10b)に挿入されるオス部(9、11)を手段として、互いに取り外し可能に連結されていて、
前記固定・固定解除ボタン(6a、6b)が、
前記少なくとも1つの適合リンク(32a’、32b)が前記固定位置にあるとき前記オス部が前記メス開口から引き抜かれるのを防げるようにして、そして
前記少なくとも1つの適合リンク(32a’、32b)が前記固定解除位置にあるときこの引き抜きを可能にする、
請求項
1に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項4】
前記メス開口(10a)が、中留(5a、5b)の部分をなしていて、そして前記ストラップ部分(3a)の長さに対する横方向において溝をなしていて、
前記オス部(9)が、挿入又は引き抜かれるにつれて前記溝内を摺動するように設計されている、
請求項3に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項5】
固定の適合リンク(32a)及び可動の適合リンク(32a’)を備える少なくとも1行を備え、
前記固定の適合リンク(32a)及び前記可動の適合リンク(32a’)は前記中留(5a、5b)に連結されることが意図されていて、
前記可動の適合リンク(32a’)はこの理由用に、前記固定位置及び前記固定解除位置の間の前記溝に平行な軸線について旋回して、前記オス部(9)の前記溝(10a)に対する前記挿入又は前記引き抜きできるように、もしくは前記挿入と前記引き抜きとを個別に阻止するように設計されていて、
前記オス部が例えば支柱(9)である、
請求項4に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項6】
前記ブレスレットのストラップの第2ストラップ部分が、前記ブレスレットのストラップが締め付けられる際に、前記固定・固定解除ボタン(6a)が操作されるのを防ぐように設計されている、請求項5に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項7】
前記ブレスレットのストラップのストラップ部分(3b)が時計ケース(2)に連結されるとき、少なくとも1つ
又は2つの適合リンク(32b)
は前記時計ケース(2)に連結される、請求項3に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項8】
前記又は各適合リンク(32b)が筐体(14)を備えて、
前記固定・固定解除ボタンが、前記又は各適合リンク(32b)の前記筐体(14)内に設けられる押しボタン(6b)の形をしていて、前記又は各適合リンク(32b)が前記固定位置から前記固定解除位置にされるときに、前記固定・固定解除ボタンが前記筐体(14)内で動ける、請求項7に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項9】
前記又は各適合リンク(32b)が、1側部に、前記筐体(14)と連通する通路(16)を備え、
前記又は各押しボタン(6b)が、前記筐体(14)内に設けられる、可動体(9)及び弾性部材(13)を備え、
前記可動体が前記メス開口(10b)を備え、
少なくとも1つの連結要素が、前記ストラップ部分(3b)に分離不能に連結されていて、
前記少なくとも1つ
又は2つの連結要素が、対応する前記又は各適合リンク(32b)の前記通路(16)及び前記メス開口(10b)に導入されると前記押しボタン又は複数の前記押しボタン(6b)を作動する必要なく前記ストラップ部分(3b)が前記時計ケース(2)に固定されるように設計されている、
請求項8に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項10】
前記可動体(9)が前記通路(16)に対向する歯(15)を備え、
前記又は各連結要素(7b)が、前記固定位置で前記歯(15)に係合するフック(11)を備え、
前記押しボタン(6b)の作動で前記歯(15)が前記フック(11)との係合から外されて前記ブレスレットのストラップ(1)の前記ストラップ部分(3b)の連結を外せる、請求項9に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項11】
前記多関節リンクのストラップ部分(3b)が、複数の第1型のリンク(30a)と複数の第2型のリンク(30b)を備え、
前記ブレスレットのストラップが着用されているとき、前記又は各適合リンク(32b)と前記第2型のリンク(30b)との違いが実施的にわからない、請求項7から10のいずれか一項に記載のブレスレットのストラップ(1)。
【請求項12】
複数の前記第1型のリンク(30a)が、互いに実質的に同一の、例えば、形と、寸法と、向きと、色との中の少なくとも1つの外観を持ち、
複数の前記第2型のリンク(30b)が、互いに実質的に均一の、例えば、形と、寸法と、向きと、色との中の少なくとも1つの外観を持ち、
前記ブレスレットのストラップが着用されているとき、前記又は各適合リンク(32)が、前記第2型のリンクと実質的に同一の、例えば、形と、寸法と、向きと、色との中の少なくとも1つの外観を持つ、
請求項11に記載のブレスレットのストラップ。
【請求項13】
請求項
1に記載のブレスレットのストラップ(1)を備える腕時計。
【国際調査報告】