(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】プラズマ対向コンポーネントの冷却
(51)【国際特許分類】
G21B 1/13 20060101AFI20231227BHJP
G21B 1/17 20060101ALI20231227BHJP
H05H 1/04 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
G21B1/13
G21B1/17 Z
H05H1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537352
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2021086903
(87)【国際公開番号】W WO2022136324
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512317995
【氏名又は名称】トカマク エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】バンバー、 ロブ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA21
2G084FF01
2G084FF33
(57)【要約】
プラズマチャンバ用のプラズマ対向コンポーネントは、プラズマ対向標的表面と、冷却流体を受ける流入口及び冷却流体を排出する流出口と、複数の内部冷却チャネルとを備える。各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって流入口に接続され、複数のリターンチャネルによって流出口に接続されており、フィードチャネルは、冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成される。冷却チャネルへのフィードチャネル及びリターンチャネルのそれぞれの開口部は、冷却チャネルの長さに沿って、非重複反復単位で配置される。各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ対向標的表面と、
冷却流体を受ける流入口及び前記冷却流体を排出する流出口と、
複数の内部冷却チャネルと
を備え、
各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む、プラズマチャンバ用のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項2】
前記反復単位は、前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルの開口部のペアである、請求項1に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項3】
連続するフィードチャネルの開口部の間の前記冷却チャネルの長さに沿った間隔は、1.0mmから5.0mmであり、好ましくは、2.0mmから4.0mmである、請求項2に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項4】
隣接するフィードチャネル及びリターンチャネルの開口部の間の前記冷却チャネルの長さに沿った間隔は、0.50mmから2.00mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項5】
前記フィードチャネル及び/又は前記リターンチャネルの各々は、前記冷却チャネルに直角に結合する直線部分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項6】
前記冷却流体は、各冷却チャネルの前記壁の領域へと、前記領域の反対側の前記冷却チャネルの別の領域から導かれる、請求項1~5のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項7】
前記冷却流体が導かれる各冷却チャネルの前記壁の領域は、前記標的表面に隣接する前記冷却チャネルの側に提供される、請求項1~6のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項8】
各冷却チャネルの幅又は直径は、対応するフィードチャネル及び/又はリターンチャネルの幅又は直径より大きい、請求項1~7のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項9】
各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル又はそれぞれのリターンチャネルは、互いに同一平面上にある、請求項1~8のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項10】
複数の積層された層を備えており、各冷却チャネルは前記層を連続的に貫通し、各層は各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル及び/又はリターンチャネルを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項11】
前記プラズマ対向標的表面は、前記積層された層のエッジによって提供される、請求項10に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項12】
前記プラズマ対向標的表面は、前記積層された層のエッジを横切って延びる層として提供される、請求項10に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項13】
各層の前記フィードチャネル及び/又はリターンチャネルは、前記層に延びる溝として提供され、前記層に隣接する別の層は、前記溝全体を密閉するように延びる、請求項10~12のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項14】
各層の前記フィードチャネル及び/又はリターンチャネルは、前記層を貫通する貫通孔として提供され、前記層の両側のそれぞれの他の層は、前記貫通孔全体を密閉するように延びる、請求項10~13のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項15】
前記流入口及び流出口は、各層を貫通するチャネルとして提供される、請求項10~14のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項16】
各層の前記冷却チャネル並びに前記フィードチャネル及びリターンチャネルは、互いに鏡像である2つの配置のうちの1つで提供される、請求項10~15のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項17】
各層は、1つ以上の金属又は合金から作られるプレートである、請求項10~16のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項18】
前記プレートの対向面が直接接合により互いに接合される、請求項17に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項19】
金属又は合金から作られるモノリシック部品として提供される、請求項1~9のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項20】
前記金属若しくは合金又は各金属若しくは合金の融点は、1850°Cを超え、好ましくは、2200°Cを超える、請求項17~19のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項21】
前記コンポーネントは、ダイバータ、リミッタ、及び第一壁タイル若しくはパネル等のプラズマ対向第一壁構造の1つである、請求項1~20のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項22】
プラズマチャンバ用のプラズマ対向コンポーネントを製造する方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のコンポーネントを製造するように製造装置を制御するステップを含む、方法。
【請求項23】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサによって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネントを製造するように製造装置を制御させるコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネントを備える、トカマクプラズマチャンバ。
【請求項25】
請求項24に記載のプラズマチャンバの動作中に熱及び/又は廃棄物を除去する方法であって、
前記トカマクプラズマチャンバ内にプラズマを磁気的に閉じ込めるステップと、
前記プラズマからプラズマ対向コンポーネントの標的表面にイオンを向かわせるステップと、
前記流入口と前記流出口との間で、前記プラズマ対向コンポーネントを通るように冷却流体を流すことによって、前記プラズマ対向コンポーネントを冷却するステップと
を含む、方法。
【請求項26】
光子及び/又は荷電粒子のビームからエネルギーを吸収するためのビームダンプであって、
ビームを受けるためのビーム対向標的表面と、
冷却流体を受ける流入口及び前記冷却流体を排出する流出口と、
複数の内部冷却チャネルと
を備え、
各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む、ビームダンプ。
【請求項27】
推進剤の燃焼のための燃焼室を画定する内壁と、
前記燃焼室から排気ガスを排出するためのノズルと、
冷却流体を受ける流入口及び前記冷却流体を排出する流出口と、
前記燃焼室及び/又は前記ノズルを画定する壁を冷却するための複数の内部冷却チャネルと
を備え、
各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及びリターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む、ロケットエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トカマクプラズマチャンバ等のプラズマチャンバで使用されるプラズマ対向コンポーネントの冷却に関する。特に、限定的ではないが、本発明はダイバータ及び/又はリミッタ等、プラズマから廃棄物及び熱を除去するためにプラズマチャンバで使用されるコンポーネントを冷却することに関する。また、本発明は、光子及び/又は荷電粒子のビームからエネルギーを吸収するためのビームダンプ、又はロケットエンジンに使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
ダイバータは、トカマクプラズマチャンバ等のプラズマチャンバ内に閉じ込められたプラズマから、廃棄物及び熱を除去することを可能にする装置である。トカマクの場合、プラズマは、通常、磁場を用いて非常な高温で閉じ込められる。しかしながら、トカマクの動作中、粒子はプラズマの外にゆっくりとランダムに拡散し、最終的にはプラズマチャンバの壁に衝突し、それによってかなりの量の熱がそれらに伝達され、より重いイオンが壁からプラズマに放出されてしまう。この問題を最小限に抑えるために、そうでなければプラズマから逃げる粒子がダイバータのプラズマ対向面に意図的に向けられることがある。この場合、非常に高い熱流束がダイバータに加えられる。したがって、ダイバータを効率的に冷却することが不可欠である。
【0003】
図1には、典型的なトカマクの一側面を通るポロイダル断面が示されている。トカマク100は、トロイダルプラズマチャンバ101を備える。ポロイダル磁場コイルはプラズマを閉じ込めるためにポロイダル磁場を発生させ、プラズマはトカマクの中心柱の周りを循環する。プラズマ粒子、乱流、波、又は他のそのような現象の間に衝突が存在しなければ、(荷電粒子から作られる)プラズマは効果的に磁力線に「拘束」され、磁力線は一定ポロイダル磁束113の線として
図1に表されている。「プラズマコア」の内部では、プラズマは、一定ポロイダル磁束の線上に閉じ込められるといわれる。これは、一定磁束の線が閉じているからであり、これはいわゆる「閉磁束面」と呼ばれる。しかしながら、衝突及び他のそのようなプロセスを通じて、プラズマ中の粒子はプラズマコアからゆっくりと拡散する。一端(通常は下端)にヌル点112を有する「最終閉磁束面」111が、閉じ込められたコアのエッジを画定する。プラズマコアのすぐ外側の磁束線(「スクレイプオフ層」)114は、ヌル点112より下にある機外の(すなわち径方向外側の)ダイバータ表面121(この例においてはプラズマチャンバの下部のチャネルの底に配置される)、及び機内の(すなわち径方向内側の)ダイバータ表面122という2つの表面と交差する。これらの表面上に廃棄粒子及び熱エネルギーが堆積され、その廃棄粒子及び熱エネルギーの大部分は機外のダイバータ表面に与えられる(機内と機外との正確な分離は、スクレイプオフ層内の乱流物理学に依存する)。ダイバータ表面は、(スパッタリング及び他のそのようなエロージョンプロセスを介してプラズマが高い原子番号のイオンによって汚染されるのを回避するべく)比較的低い原子番号の金属である元素から構成される。適切な金属は、タングステン、モリブデン、ベリリウム、鉛リチウム又はリチウムを含む。トカマク内で最も高い熱負荷はダイバータ表面121,122で発生し、典型的には平方メートルあたり10MWを超えることがある。
【0004】
ダイバータを冷却するための以前の着想については、J H Youの“A review on two previous divertor target concepts for DEMO:mutual impact between structure design requirements and materials performance”(https://doi.org/10.1088/0029-5515/55/11/113026)に記載されている。これには、銅、クロム、亜鉛合金から作られた冷却管に水を流し、タングステンのブロックを通過させること、及び加圧されたヘリウムのジェットがタングステンタイルに埋め込まれたシンブル構造の内部表面に向けられるヘリウム冷却された「マルチジェット衝突モジュラーフィンガー」の使用が含まれる。
【0005】
プラズマから荷電粒子を除去するために使用されるもう1つのプラズマ対向コンポーネントは、いわゆるリミッタであり、これは特定の(例えば、径)方向に沿ったプラズマの範囲を制限するプラズマチャンバ内のプラズマ対向標的表面を提供するものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、プラズマチャンバ用のプラズマ対向コンポーネントが提供される。プラズマ対向コンポーネントは、プラズマ対向標的表面と、冷却流体を受ける流入口及び冷却流体を排出する流出口と、複数の内部冷却チャネルとを備える。各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって流入口に接続され、複数のリターンチャネルによって流出口に接続される。各フィードチャネルは、冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成される。冷却チャネルへのフィードチャネル及びリターンチャネルのそれぞれの開口部は、冷却チャネルの長さに沿って、非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む。
【0007】
フィードチャネル及びリターンチャネルの開口部の配置は、熱が効率的に冷却流体に伝達されることを可能にする流体流条件を提供する。反復単位は、フィードチャネル及びリターンチャネルの開口部が連続して交互に開くような、フィードチャネル及びリターンチャネルの開口部のペアであってもよい(すなわち、フィード、リターン、フィード、リターン...等である)。各冷却チャネルの長さに沿って、任意の数の反復単位、例えば、10単位を超える、又は50単位を超える、又は100単位を超える反復単位が提供されてもよい。
【0008】
前記反復単位は、前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルの開口部のペアであってもよい。
【0009】
連続するフィードチャネルの開口部の間の前記冷却チャネルの長さに沿った間隔は、1.0mmから5.0mmであり、好ましくは、2.0mmから4.0mmであってもよい。
【0010】
隣接するフィードチャネル及びリターンチャネルの開口部の間の前記冷却チャネルの長さに沿った間隔は、0.50mmから2.00mmであってもよい。
【0011】
前記フィードチャネル及び/又は前記リターンチャネルの各々は、前記冷却チャネルに直角に結合する直線部分を含んでもよい。
【0012】
前記冷却流体は、各冷却チャネルの壁の領域へと、前記領域の反対側の前記冷却チャネルの別の領域から導かれてもよい。
【0013】
前記冷却流体が導かれる各冷却チャネルの壁の領域は、前記標的表面に隣接する前記冷却チャネルの側に設けられてもよい。
【0014】
各冷却チャネルの幅又は直径は、対応するフィード及び/又はリターンチャネルの幅又は直径より大きくてもよい。
【0015】
各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル又はそれぞれのリターンチャネルは、互いに同一平面上にあってもよい。
【0016】
各冷却チャネルの長さは、標的表面に平行に延びてもよい。冷却チャネルは、互いに平行であってもよい。
【0017】
コンポーネントは、複数の積層された層を備えており、各冷却チャネルは前記層を連続的に貫通し、各層は各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル及び/又はリターンチャネルを備えてもよい。
【0018】
前記プラズマ対向標的表面は、前記積層された層のエッジによって提供されてもよい。代替的に、前記プラズマ対向標的表面は、前記積層された層のエッジを横切って延びる層として提供されてもよい。
【0019】
各層の前記フィードチャネル及び/又はリターンチャネルは、前記層に延びる溝として提供され、前記層に隣接する別の層は、溝全体を密閉するように延びてもよい。
【0020】
各層の前記フィードチャネル及び/又はリターンチャネルは、前記層を貫通する貫通孔として提供され、前記層の両側のそれぞれの他の層は、前記貫通孔全体を密閉するように延びてもよい。
【0021】
前記流入口及び流出口は、各層を貫通するチャネルとして提供されてもよい。
【0022】
各層の前記冷却チャネル並びに前記フィードチャネル及びリターンチャネルは、互いに鏡像である2つの配置のうちの1つで提供されてもよい。
【0023】
各プレートの厚さは、1mmから5mm、好ましくは、1mmから2mmの範囲であってもよい。各冷却チャネルの幅又は直径は、0.50mmから3.00mm、好ましくは、1.00mmから2.00mmの範囲であってもよい。各フィード及び/又はリターンチャネルの幅又は直径は、0.20mmから1.50mm、好ましくは、0.60mmから1.40mmの範囲であってもよい。
【0024】
各層は、1つ以上の金属又は合金から作られるプレートであってもよいが、好ましくは、プレートごとに単一の金属又は単一の合金が使用される。一実施形態では、各プレートは同じ金属又は合金、例えば、タングステン又はモリブデンから作られる。前記プレートの対向面が直接接合により互いに接合されてもよい。代替的に、コンポーネントは金属又は合金から作られるモノリシック部品として提供されてもよい。
【0025】
前記金属若しくは合金又は各金属若しくは合金の融点は、1850°Cを超え、好ましくは、2200°Cを超えてもよい。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、プラズマチャンバ用のコンポーネントを製造する方法であって、第1の態様に従ってコンポーネントを製造するように積層造形装置を制御するステップを含む方法が提供される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサによって、第1の態様に従ってプラズマ対向コンポーネントを製造するように製造装置(例えば、積層造形装置)を制御させるコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様に従ってプラズマ対向コンポーネントを備えるトカマクプラズマチャンバが提供される。
【0029】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様に従ってプラズマチャンバの動作中に熱及び/又は廃棄物を除去する方法が提供される。この方法は、トカマクプラズマチャンバ内にプラズマを磁気的に閉じ込めるステップと、前記プラズマからプラズマ対向コンポーネントの標的表面にイオンを向かわせるステップと、前記流入口と前記流出口との間で、前記プラズマ対向コンポーネントを通るように冷却流体を流すことによって、前記コンポーネントを冷却するステップとを含む。
【0030】
上記のいずれかの態様のプラズマ対向コンポーネントは、例えば、ダイバータ又はリミッタであってもよい。例えば、リミッタは、(径方向等の特定の方向に沿ってプラズマの範囲を制限するように、プラズマチャンバの壁からプラズマチャンバ内に延びてもよい。上記の態様のいずれかのコンポーネントは、プラズマチャンバの内部表面を覆うためのプラズマ対向第一壁構造(又は「ブランケット」)であってもよい(又はその一部を形成してもよい)。例えば、コンポーネントは、プラズマ対向第一壁の一部を形成するタイル又はパネル(好ましくは、プラズマ対向第一壁を形成するために複数の同様のタイル又はパネルの組み合わせ)であってもよい。
【0031】
本発明の第6の態様によれば、光子のビーム(例えば、レーザー光線)及び/又は荷電粒子のビーム(例えば、LINAC又はシンクロトロン等の荷電粒子加速器によって生成されるビーム)からエネルギーを吸収するためのビームダンプが提供される。このビームダンプは、ビームを受けるためのビーム対向標的面と、冷却流体を受ける流入口及び冷却流体を排出する流出口とを備える。また、ビームダンプは、複数の内部冷却チャネルも備え、各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び前記少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む。
【0032】
本発明の第7の態様によれば、ロケットエンジンが提供される。このロケットエンジンは、推進剤の燃焼のための燃焼室を画定する内壁と、前記燃焼室から排気ガスを排出するためのノズルとを備える。このロケットエンジンは、冷却流体を受ける流入口及び冷却流体を排出する流出口と、前記燃焼室及び/又は前記ノズルを画定する壁を冷却するための複数の内部冷却チャネルとを備え、各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び前記少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む。
【0033】
第6及び第7の態様は、プラズマ対向コンポーネントの代わりにビームダンプ又はロケットエンジンを用いて、第1の態様に関して前述した選択的な機能を含んでもよい。例えば、ビームダンプ又はロケットエンジンは、複数の積層された層を備えており、各冷却チャネルは前記層を連続的に貫通し、各層は各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル及び/又はリターンチャネルを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】シングルヌルダイバータを有するトカマクの概略ポロイダル断面図である。
【
図2A】本発明によるダイバータの断面の概略等角図である。
【
図2B】
図2Aの線A-A’に沿って取ったダイバータの断面の概略断面側面図である。
【
図2D】
図2A及び2Bに示されたダイバータの断面を形成するために互いに結合され得る金属プレートの概略斜視図である。
【
図2E】
図2A及び2Bに示されたダイバータの断面を形成するために互いに結合され得る金属プレートの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
冷却流体が表面を流れ過ぎるとき、表面に非常に近い場所での流速は非常に小さく、そのため表面に対する流体の流れは一般的に「滑りなし」境界条件(すなわち、表面において実質的に流速0)を有すると表現される。表面に隣接して移動する流体は、ゆっくりと移動する「境界層」を形成する。境界層内の層流は、表面からの熱を冷却流体によって奪い得る効率を減少させる。場合によっては、冷却流体の高圧ジェットが冷却される表面に向けられる「ジェット衝突」によって、表面からのより効果的な熱伝達を達成することができる。本開示は、冷却チャネルに沿った流れと組み合わせてジェット衝突を使用して、ダイバータ内の非常に大きな表面積を冷却する配置を提供する。特に、複数の「マイクロチャネル」がダイバータの本体内に形成され、各マイクロチャネルの長さに沿って、マイクロチャネルに開口するフィードチャネルの配列が提供され、これらはマイクロチャネルの内壁に冷却流体のジェットを向かわせるために使用される。その後、マイクロチャネルの(複数の)内壁との接触によって加熱された冷却流体は、リターンチャネルの配列によってマイクロチャネルから除去される。フィードチャネル及びリターンチャネルは、マイクロチャネルの長さに沿って交互のパターンで又はシーケンスで、例えば、マイクロチャネルの長さに沿って交互のフィードチャネル及びリターンチャネルの開口部からなるシーケンスで配置される。このような配置は、各マイクロチャネル内に高密度のジェットが形成されることを可能にし、これにより熱が効率的に冷却流体に伝達されることを可能にする流体流動条件を提供することができる。流体流動条件には、ジェット衝突によって生成される流体流動と組み合わせて、チャネルに沿ったバルク流体流動が含まれ得る。状況によっては、ジェット衝突によって、マイクロチャネルに沿った冷却流体の流れに関連する境界層が破壊され、冷却効率が向上し得る。
【0036】
図2A及び
図2Bは、プレート202,204の積み重ねから形成されたダイバータ200の断面を示している。図面には第1のプレート200及び第2のプレート204のみが示されているが、ダイバータ200は、次々に向かい合って積み重ねられるこのような複数のプレートを備える。すなわち、第1及び第2のプレート200,204が一緒になって、
図2Aに示されているZ方向に沿って反復される「単位セル」を形成している。第1及び第2のプレート202,204は、明確にするために
図2D及び2Eに個別に示されている。
【0037】
図2Aのダイバータ200の最上面は、ダイバータ200が使用されているときにプラズマから脱出する(Y方向に沿って)イオン及び熱流束208を受ける標的表面206である。標的表面206の下には複数の冷却チャネル210A-H、この場合は8つの冷却チャネル210A-Hがあり、これらはダイバータ200を通って標的表面206に垂直な方向に、すなわち、プレート202,204が積層された方向に平行な方向に、この場合はZ方向に沿って延びている。冷却チャネル210A-Hは標的表面206と平行に一列に配置され、互いに等間隔に設けられ、それぞれが標的表面206に対して同じ深さに設けられている。この配置により、高密度の冷却チャネル210A-Hを標的表面206の近くに提供することが可能になる。冷却チャネル210A-Hの他の配置が使用されてもよく、例えば、表面206の近くに設けられた冷却チャネル210A-Hの密度を高めるために、複数層の冷却チャネル210A-Hを含む最密又はハニカム構成のように、冷却チャネルは標的表面210A-Hに対して異なる深さで配置されてもよい。
【0038】
また、ダイバータ200は、各積層プレート202,204を貫通する流入口チャネル212及び流出口チャネル214を備える。使用時には、冷却流体(例えば、ヘリウムガス)が圧力下で流入口チャネル212に供給され、その後、第1のプレート202内で流入口チャネル212から複数の冷却チャネル210A-Hのいずれかにそれぞれ延びる複数のフィードチャネル216A-Hを介して各冷却チャネル210A-Hに移送される。流入口チャネル212のサイズ(例えば、直径)は各フィードチャネル216A-Hのサイズよりも大きいため、流入口チャネル212は同時に多数のフィードチャネル216A-Hに冷却流体を供給することができる。フィードチャネル216A-Hは、流入口チャネル212からさらに離れた冷却チャネル210A-Hに到達するために、流入口チャネル212の周りに角度的に間隔が空けられている(すなわち、流入口チャネル212から「扇形に広がる」)。この場合、フィードチャネル216A-Hは、それらの間の壁の厚さを最大にするように、一般的に互いに間隔が空けられている。しかしながら、状況に応じて他の配置が使用されてもよい。例えば、1つ以上のフィードチャネル216A-Hが、フィードチャネル216A-Hの別のチャネルから分岐してもよい。この場合、フィードチャネル216A-Hはそれぞれの冷却チャネル210A-Hから直角に延びる直線部分を有し、各チャネル216A-Hの直線部分は互いに平行に整列している。冷却ガスは冷却チャネル210A-Hを通るように向けられ、標的表面206に最も近い冷却チャネル210A-Hの側に衝突する。これは一般的に冷却チャネル210A-Hの最も高温側であるためである。流入口チャネル212に供給される冷却流体の圧力は、一般的に、冷却流体がジェットとして冷却チャネル210A-Hに導かれるように選択される。
図2A及び
図2Bは、各冷却チャネル210A-Hが単一のフィードチャネル216A-H及びリターンチャネル218A-Hを有することを示しているが、実際には2つ以上のプレート202,204が使用され、そのため各冷却チャネル210A-Hは、その長さに沿って複数のペアのフィードチャネル216A-H及びリターンチャネル218A-Hを有することが理解される。
【0039】
図2D及び
図2Eに示すように、第2のプレート204(
図2E)は、YZ平面において第1のプレート(
図2D)の鏡像であり、これによってダイバータ200の製造が簡略化される。第2のプレート204は、流入口チャネル212からフィードチャネル216A-Hを介して冷却チャネル210A-Hへ、及び冷却チャネル210A-Hからリターンチャネル218A-Hを介して流出口チャネル214への冷却流体の純流動があるように、冷却チャネル210A-Hのそれぞれから流入口チャネル212よりも低圧の流出口チャネル214に冷却流体を戻すように構成される複数のリターンチャネル218を備える。
【0040】
図2Bで最も明確に分かるように、フィードチャネル216A-Hは、第2のプレート204の表面に開いたチャネル(すなわち、トレンチ又は溝)として提供され、第2のプレート204の表面に接触する第1のプレート202の表面によって閉じられる(すなわち、覆われる)。この配置により、例えば、エッチング又はフライス加工によって、プレート202,204のそれぞれの一面から材料を除去することによって、フィードチャネル及びリターンチャネル216A-H、218A-Hを提供することができるため、ダイバータ200をより簡単に製造することが可能になる。さらに、リターンチャネル218A-Hは、冷却チャネル218A-Hと平行な方向(この場合はZ方向)にわずかな量だけフィードチャネル216A-Hから間隔を空けて設けられるので、フィードチャネル216A-Hから冷却チャネル210A-Hに入る冷却流体は、リターンチャネル218A-Hを介して冷却チャネル210A-Hから除去され得る前に、冷却チャネル210A-Hに沿ってわずかな距離を移動するだけでよく、これによりジェット衝突後の冷却チャネル210A-H内の冷却流体の迅速なターンオーバーが保証される。この例では、冷却チャネル210A-Hのそれぞれにおけるフィード216A-H及びリターン218A-Hのチャネル間の間隔は、0.50mmから2.00mmであってもよい。
【0041】
冷却チャネル210A-Hのそれぞれにおける連続するフィードチャネル216A-Hの開口間の間隔は、この例では、1.0mmから5.0mm、より好ましくは、2.0mmから4.0mmであってもよい。この間隔は、冷却チャネルの長さに沿って高密度のジェットを形成することを可能にする一方で、フィードチャネル間にリターンチャネルを提供するための十分な空間もさらに提供することができる。
【0042】
プレート202,204はそれぞれ、
図2D及び
図2Eに示すように、フィードチャネル210A-H又はリターンチャネル216A-Hのみを備えてもよい。しかしながら、他の実施形態では、プレート202,204のそれぞれは、1つ以上のフィードチャネル210A-H及び1つ以上のリターンチャネル216A-Hを備えてもよく、これは異なるプレート202,204間の温度差を減らすのに役立ち得る。
【0043】
この例では、冷却チャネル210A-Hの直径は1mmであるのに対し、流入口チャネル及び流出口チャネル212,124の直径は5mmであるが、いずれのチャネルのサイズももちろん必要に応じて変更され得る。フィードチャネル及びリターンチャネル216A-H、218A-Hの直径は、好ましくは、冷却チャネル210A-Hの直径、この場合は0.20mmよりも小さく、これは冷却流体のジェットを作成するのに役立つ。冷却流体がガスである場合、フィードチャネル216A-Hから冷却チャネル210A-Hへのガスの膨張により、追加の冷却効果がもたらされ得る。様々なチャネルは一般的に円形の断面であるが、代替的に、それらのうちの任意の(又は全ての)ものが、長方形又はその他の任意の形状の断面を有してもよい。
【0044】
ダイバータ200を形成するために使用できる第1及び第2のプレート202,204の数は、基本的に、各プレートの厚さ、必要とされる標的表面のサイズ、及び流入口及び流出口チャネル212,214における分配中に発生する圧力損失によってのみ制限される。例えば、各プレート202,204の厚さが1.6mmである場合、長さが約30cmのダイバータには約188枚のプレートが必要になるであろう。一般に、各冷却チャネル210A-Hに高密度のジェットが生成されることを保証するように、プレートの厚さは1mmから5mmであってもよい。
【0045】
プレート202,204は、タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム(又はこれらの金属の1つ以上を含む合金)等の耐火金属から作られてもよい。この場合、プレート202,204のエッジはプラズマ対向標的表面を提供してもよい。代替的に、プレート202,204は銅、又は銅、クロム及びジルコニウム(CuCrZr)を含む銅含有合金等のより熱伝導性の高い材料から作られてもよい。この場合、プラズマ対向標的表面は、冷却チャネル210A-Hの上でプレート202,204に結合されるタングステン等の耐火金属で作られる別個の部品又はタイルとして形成されてもよい。任意選択的に、異なる材料間の接合部全体の膨張係数をよりよく一致させるために、(例えば)銅及びタングステンを含む中間層がプレート202,204と標的表面を含む部品又はタイルの間に提供されてもよい。
【0046】
プレート202,204内の様々なチャネルは、エッチング又は機械加工等の多くのやり方で形成されてもよい。プレートは、拡散接合等の直接接合技術、例えば、熱間等方圧加圧(Hot Isostatic Pressing)を使用して結合される。本明細書で使用される直接接合とは、プレート同士を接合するための中間層(はんだ等)がプレート間に提供されないこと、すなわち、プレートの金属表面が互いに直接接合されることを意味する。ろう付け又は溶接(例えば、爆発溶接)等の他の技術も使用できる。フィードチャネル及びリターンチャネル216A-H、218A-Hは、
図2A-2Eでは、各プレート202,204に入る道の一部のみ(すなわち溝として)を延長しているように示されているが、他の例では、プレート202,204の一部又は全部に対して(すなわち、貫通孔として)完全に延長してもよい(しかしながら、フィードチャネル及びリターンチャネル216A-H、218A-Hは別々のままであることを条件とする)。これは、例えば、フィードチャネル及びリターンチャネル216A-HをY方向に沿って互いにオフセットすることによって達成できる。このやり方でフィードチャネル及びリターンチャネル216A-Hをオフセットすることは(それらが溝であるか又は貫通孔であるかに関わらず)、リターンチャネル218A-Hがフィードチャネル216A-Hを加熱することを回避するのにも役立つことができ、そうでなければ、標的表面206を冷却する冷却流体の能力を低下させる可能性がある。
【0047】
ダイバータは、例えば、積層造形技術を用いて、耐火金属又は合金から作られたモノリシック部品として製造されてもよい。例えば、ダイバータは、高出力レーザーを使用してタングステン粉末を選択的に溶融し、必要な幾何学的構造を層ごとに構築することによって製造されてもよい。このような技術は、Muller等の2019年、“Additive manufacturing of pure tungsten by means of selective laser beam melting with substrate preheating temperatures up to 1000 °C”(https://doi.org/10.1016/j.nme.2019.02.034)によって説明されている。ダイバータを耐火金属(タングステン等)の単体として製造することは、ダイバータのプラズマ対向部分とダイバータの残りの部分(すなわち、様々なチャネルを含むダイバータの部分)との間に接合を形成する必要がなくなる(したがって、接合に起因する応力に関連する問題を減らす)ため、特に有利である。また、チャネルのサイズが比較的小さいことは、ダイバータの内圧から生じる機械的応力が低く保たれることを意味し、これはダイバータを使用する際の損傷又は劣化の可能性を減らすのに役立ち、ダイバータの保守又は修復が大幅なダウンタイムにつながり、作業者に危険を及ぼす可能性がある適用にとって特に重要である。リミッタ等のダイバータ以外のプラズマ対向コンポーネントも、同様のやり方で耐火金属又は合金から作られたモノリシック部品として製造され得ることが理解されるであろう。
【0048】
ダイバータの構造(又はリミッタ等の他のプラズマ対向コンポーネント)は、設計ファイルの形式でデジタル的に表現されてもよい。設計ファイル又はコンピュータ支援設計(CAD)ファイルは、製品の形状の表面又は体積構成の1つ以上を符号化する構成ファイルである。この場合、設計ファイルはダイバータ(又はその他のプラズマ対向コンポーネント)の幾何学的配置又は形状を表す。取得されると、設計ファイルは、プロセッサによって実行されると、プロセッサによって製造装置(例えば、積層造形装置)を制御して、設計ファイルに指定された幾何学的配置に従ってダイバータを生成するコンピュータ実行可能命令のセットに変換されてもよい。したがって、コンピュータ実行可能命令に従って製造装置を制御することによって、製造装置にダイバータ(又は他のプラズマ対向コンポーネント)を「プリントアウト」するように命令することができる。
【0049】
再び
図1を参照すると、トカマク100は、ダイバータ200等の上記のダイバータの1つ以上を備えてもよく、その標的表面206は図面に示されたダイバータ表面121,122の一方又は両方を提供する。使用時には、冷却流体の供給はダイバータ200の流入口212に接続され、流出口214は、好ましくは、別個の冷却ユニットに接続され、これは、ダイバータ200によって加熱された後に冷却流体を冷却し、冷却された冷却流体を流入口212に戻す。すなわち、閉ループ冷却回路が作られる。冷却流体は、液体又はガス、好ましくは、ヘリウム等の不活性ガスであってもよい。多くの場合、液体(例えば、水)の漏れから生じる可能性のある安全上の問題を回避するためにガスが望ましい。一例では、ヘリウムが圧力10MPa、及び温度100°Cから600°Cでダイバータの流入口に供給される。
【0050】
本開示はダイバータの冷却に焦点を当てているが、記載された冷却方法及びコンポーネント内の様々なチャネルの配置は、リミッタ又は第一壁タイル(又はパネル)等のトカマク(又は他のタイプのプラズマチャンバ)内の他のプラズマ対向コンポーネントを冷却するためにも適用することができる。また、ロケットエンジン又はビームダンプ等のプラズマチャンバ又はトカマクの一部ではないコンポーネント、例えば、高出力レーザー又は荷電粒子ビームのビームダンプにも適用することができる。ここで、ビームダンプのビーム対向面はダイバータのプラズマ対向面に相当する。したがって、本明細書に記載されたダイバータは、加速器ビームダンプ又はレーザービームダンプとしても使用することができる。
【0051】
上記の検討によって例示された本開示は、トカマクでのダイバータの使用に焦点を当てているが、ステラレータ等の他のタイプのプラズマチャンバでも使用することができる。
【0052】
本発明の様々な実施形態が上述されてきたが、それらは限定ではなく例として提示されたものであることを理解すべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に様々な変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ対向標的表面と、
冷却流体を受ける流入口及び前記冷却流体を排出する流出口と、
複数の内部冷却チャネルと
を備え、
各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む、プラズマチャンバ用のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項2】
前記反復単位は、前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルの開口部のペアである、請求項1に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項3】
連続するフィードチャネルの開口部の間の前記冷却チャネルの長さに沿った間隔は、1.0mmから5.0mmであり、好ましくは、2.0mmから4.0mmである、請求項2に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項4】
隣接するフィードチャネル及びリターンチャネルの開口部の間の前記冷却チャネルの長さに沿った間隔は、0.50mmから2.00mmである、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項5】
前記フィードチャネル及び/又は前記リターンチャネルの各々は、前記冷却チャネルに直角に結合する直線部分を含む、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項6】
前記冷却流体は、各冷却チャネルの前記壁の領域へと、前記領域の反対側の前記冷却チャネルの別の領域から導かれる、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項7】
前記冷却流体が導かれる各冷却チャネルの前記壁の領域は、前記標的表面に隣接する前記冷却チャネルの側に提供される、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項8】
各冷却チャネルの幅又は直径は、対応するフィードチャネル及び/又はリターンチャネルの幅又は直径より大きい、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項9】
各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル又はそれぞれのリターンチャネルは、互いに同一平面上にある、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項10】
複数の積層された層を備えており、各冷却チャネルは前記層を連続的に貫通し、各層は各冷却チャネルのそれぞれのフィードチャネル及び/又はリターンチャネルを備える、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項11】
前記プラズマ対向標的表面は、前記積層された層のエッジによって提供される、請求項10に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項12】
前記プラズマ対向標的表面は、前記積層された層のエッジを横切って延びる層として提供される、請求項10に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項13】
各層の前記フィードチャネル及び/又はリターンチャネルは、前記層に延びる溝として提供され、前記層に隣接する別の層は、前記溝全体を密閉するように延びる、請求項10
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項14】
各層の前記フィードチャネル及び/又はリターンチャネルは、前記層を貫通する貫通孔として提供され、前記層の両側のそれぞれの他の層は、前記貫通孔全体を密閉するように延びる、請求項10
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項15】
前記流入口及び流出口は、各層を貫通するチャネルとして提供される、請求項10
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項16】
各層の前記冷却チャネル並びに前記フィードチャネル及びリターンチャネルは、互いに鏡像である2つの配置のうちの1つで提供される、請求項10
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項17】
各層は、1つ以上の金属又は合金から作られるプレートである、請求項10
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項18】
前記プレートの対向面が直接接合により互いに接合される、請求項17に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項19】
金属又は合金から作られるモノリシック部品として提供される、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項20】
前記金属若しくは合金又は各金属若しくは合金の融点は、1850°Cを超え、好ましくは、2200°Cを超える、請求項17
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項21】
前記コンポーネントは、ダイバータ、リミッタ、及び第一壁タイル若しくはパネル等のプラズマ対向第一壁構造の1つである、請求項1
に記載のプラズマ対向コンポーネント。
【請求項22】
プラズマチャンバ用のプラズマ対向コンポーネントを製造する方法であって、請求項1~21のいずれか1項に記載のコンポーネントを製造するように製造装置を制御するステップを含む、方法。
【請求項23】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサによって、請求項1~21のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネントを製造するように製造装置を制御させるコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか1項に記載のプラズマ対向コンポーネントを備える、トカマクプラズマチャンバ。
【請求項25】
請求項24に記載のプラズマチャンバの動作中に熱及び/又は廃棄物を除去する方法であって、
前記トカマクプラズマチャンバ内にプラズマを磁気的に閉じ込めるステップと、
前記プラズマからプラズマ対向コンポーネントの標的表面にイオンを向かわせるステップと、
前記流入口と前記流出口との間で、前記プラズマ対向コンポーネントを通るように冷却流体を流すことによって、前記プラズマ対向コンポーネントを冷却するステップと
を含む、方法。
【請求項26】
光子及び/又は荷電粒子のビームからエネルギーを吸収するためのビームダンプであって、
ビームを受けるためのビーム対向標的表面と、
冷却流体を受ける流入口及び前記冷却流体を排出する流出口と、
複数の内部冷却チャネルと
を備え、
各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及び前記リターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む、ビームダンプ。
【請求項27】
推進剤の燃焼のための燃焼室を画定する内壁と、
前記燃焼室から排気ガスを排出するためのノズルと、
冷却流体を受ける流入口及び前記冷却流体を排出する流出口と、
前記燃焼室及び/又は前記ノズルを画定する壁を冷却するための複数の内部冷却チャネルと
を備え、
各冷却チャネルは、複数のフィードチャネルによって前記流入口に接続され、かつ複数のリターンチャネルによって前記流出口に接続され、前記フィードチャネルは、前記冷却チャネルの壁の領域に冷却流体を導くように構成され、前記冷却チャネルへの前記フィードチャネル及びリターンチャネルのそれぞれの開口部は、前記冷却チャネルの長さに沿って非重複反復単位で配置され、各単位は、少なくとも1つのフィードチャネル及び少なくとも1つのリターンチャネルの開口部を含む、ロケットエンジン。
【国際調査報告】