(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】呼吸システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
A61M16/00 343
A61M16/00 305A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537364
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 IB2021061898
(87)【国際公開番号】W WO2022130306
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】グレイ ナサナエル チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン マシュー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン ハミッシュ エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ペイトン マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チュン マン キット ジャッキー
(57)【要約】
本開示は、呼吸ガス流を患者に提供するためのシステム及び方法に関する。システムは、コントローラと、流れ調節器と、1つ又は複数のセンサとを含み、コントローラは、圧力閾値を超える又は超えないシステム内の決定された圧力に応答して、呼吸ガス流を調節するために流れ調節器を制御するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムであって、
流れ調節器と、
前記システム内の前記呼吸ガス流の流量及び圧力の入力を受信するように構成され、
前記呼吸ガス流を目標流量で患者に提供するように前記流れ調節器を制御し、
前記システム内の前記呼吸ガス流の前記圧力が、前記目標流量に対応する圧力閾値を満たすか若しくは超える時に、前記呼吸ガス流を目標圧力に調節するように前記流れ調節器を制御するように構成されたコントローラと
を含む、呼吸システム。
【請求項2】
前記目標圧力は、前記目標流量に対応する前記圧力閾値、又は前記目標流量より少ない流量に対応する圧力閾値を含む、請求項1に記載の呼吸システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記呼吸ガス流の前記流量が前記目標流量より少ない時、前記呼吸ガス流を前記目標圧力に調節するように前記流れ調節器を制御するように構成される、請求項1又は2に記載の呼吸システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記呼吸ガス流の前記流量が前記目標流量を超えている時、前記呼吸ガス流を前記目標流量に調節するように前記流れ調節器を制御するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記呼吸ガス流の前記圧力が前記目標流量に対応する前記圧力閾値、又は前記目標流量より少ない流量に対応する圧力閾値を超える時、前記流れ調節器を前記目標圧力に制御するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項6】
前記システムが「オフ」又は休止状態から作動を開始する時、前記コントローラは、前記システム内の前記呼吸ガス流の前記流量を監視するように構成され、前記呼吸ガス流を前記目標流量に調節するために前記流れ調節器を制御するように構成され、任意に、前記目標流量は、現在値から流量設定点に増加させるために経時的に変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項7】
前記目標流量は流量設定点である、請求項1~6のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項8】
前記流量設定点は、前記呼吸システムの使用者によって決定される、請求項6又は7に記載の呼吸システム。
【請求項9】
前記コントローラは、流量制御出力を提供する流量コントローラ、及び圧力制御出力を提供する圧力コントローラを含み、前記流れ調節器への前記制御入力は、前記流量制御出力及び前記圧力制御出力の最小値である、請求項1~8のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項10】
前記流れ調節器は送風機を含み、前記流量制御出力及び前記圧力制御出力は、前記送風機の角速度を含む、請求項9に記載の呼吸システム。
【請求項11】
前記流れ調節器は比例弁を含み、前記流量制御出力及び前記圧力制御出力は、前記比例弁を通る一定サイズの流路制限を含む、請求項9又は10に記載の呼吸システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記患者に提供された呼吸ガスの流量を示す流量値を受信するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記流量を前記目標流量に制御するために、前記流量が前記目標流量を超えた時に、第1の制御モードで作動可能であり、前記コントローラは、前記圧力を前記目標圧力に制御するために、前記呼吸ガス流の前記圧力が前記目標流量に対応する前記圧力閾値を超えた時、又は前記目標流量より少ない流量に対応する一定の若しくは前記圧力閾値を超えた時に、第2の制御モードで作動可能である、請求項12に記載の呼吸システム。
【請求項14】
前記システム内の前記呼吸ガス流の流量を前記患者に感知させるように構成された、1つ又は複数の流量センサを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項15】
前記システム内の前記呼吸ガス流の圧力を前記患者に感知させるように構成された、1つ又は複数の圧力センサを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記1つ又は複数の流量センサから前記システム内の前記呼吸ガス流の前記流量を示す入力、及び前記1つ又は複数の圧力センサから前記システム内の前記呼吸ガス流の前記圧力を示す入力を受信するように更に構成される、請求項14又は15に記載の呼吸システム。
【請求項17】
前記流れ調節器から患者インターフェースにガス流を提供するための送達導管を更に含み、前記患者インターフェースは、前記呼吸ガス流を前記患者に送達するように構成される、請求項1~16のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項18】
前記患者インターフェースは、前記送達導管と流体連通するガス送達サイドアームと、前記ガス送達サイドアームの端部に提供されたマニホールドと、前記マニホールドから延在する1つ又は複数の鼻要素であって、前記呼吸ガス流を前記患者の1つ又は複数の鼻孔に提供するように構成される、1つ又は複数の鼻要素とを含み、前記ガス送達サイド部材は折畳可能部を含む、請求項17に記載の呼吸システム。
【請求項19】
前記折畳可能部は、前記折畳可能部が実質的に開状態にある第1の構成において、及び前記折畳可能部が実質的に閉状態にある第2の構成において作動可能である、請求項18に記載の呼吸システム。
【請求項20】
前記コントローラが前記流れ調節器を前記目標圧力に制御する時、前記患者への流れは、約15L/分以下、又は約10L/分以下、又は約10L/分、又は約5L/分~約10L/分、又は約5L/分未満、又は0L/分の低減流量に低減される、請求項1~19のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記呼吸ガス流を前記目標流量に向かって増加させるために前記流れ調節器を制御するように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項22】
前記患者インターフェースは、鼻カニューレ、任意に非封止鼻カニューレを含む、請求項17又は18に記載の呼吸システム。
【請求項23】
前記送達導管は、送達回路及び前記送達回路と前記患者インターフェースとの間に配列された患者呼吸回路を更に含み、前記患者呼吸回路は、出口コネクタにより前記送達回路に接続される、請求項27、18及び22のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項24】
前記流れ調節器は、
前記呼吸ガス流を患者に調節するために前記コントローラによって制御されるように構成された流れ発生器、及び
前記呼吸ガス流を調節するために前記コントローラによって制御されるように構成された比例弁
のうちの1つ又は複数を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項25】
前記流れ発生器は、前記呼吸ガス流を発生するために前記コントローラによって制御されるように構成された送風機を含む、請求項24に記載の呼吸システム。
【請求項26】
前記呼吸システムの酸素(O
2)送達回路内の圧力を感知するように構成されたO
2圧力センサを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項27】
前記呼吸システムの酸素(O
2)送達回路内のO
2流の流量を感知するように構成されたO
2流量センサを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項28】
前記O
2送達回路内で前記O
2圧力センサと前記O
2流量センサとの間に配列された比例弁を含む、請求項26に従属する場合の請求項27に記載の呼吸システム。
【請求項29】
前記患者呼吸回路は、前記O
2送達回路及び空気送達回路に接続され、前記患者呼吸回路及び/又は前記患者インターフェースは、患者圧力センサ及び患者流量センサを更に含む、請求項23に従属する場合の請求項26~28のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項30】
前記流れ調節器は送風機を含み、前記送風機は、前記患者圧力センサ及び前記患者流量センサの前に前記患者呼吸回路内に配列される、請求項29に記載の呼吸システム。
【請求項31】
前記コントローラは、前記圧力閾値と対応する流量との間の関係を提供する関数、曲線、ルックアップテーブル若しくはアルゴリズムの1つ又は複数を記憶するメモリ構成要素と作動可能に連通し、又は前記メモリ構成要素を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項32】
前記コントローラは、前記呼吸ガス流を可変減少率だけ低減させるように前記流れ調節器を制御するように構成される、請求項31に記載の呼吸システム。
【請求項33】
前記圧力閾値と対応する流量との間の前記関係は、シグモイド形状を有する曲線を画定する圧力限界曲線又は関数によって表され得る、請求項31又は32に記載の呼吸システム。
【請求項34】
前記圧力閾値と対応する流量との間の前記関係は、第1の圧力領域、第2の圧力領域、及び前記第1の圧力領域と前記第2の圧力領域との間に配列された遷移領域を含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項35】
前記第1の圧力領域は、前記折畳可能部が実質的に前記第1の構成にある時に対応し、前記第2の領域は、前記折畳可能部が実質的に前記第2の構成にある時に対応する、請求項19に従属する場合の請求項34に記載の呼吸システム。
【請求項36】
前記第1の圧力領域は、基準圧力値から第1の圧力マージンだけオフセットされた圧力閾値を含み、前記第2の圧力領域は、基準圧力値から第2の圧力マージンだけオフセットされた圧力閾値を含み、それによって前記第1の圧力マージンは、前記第2の圧力マージンより大きい、請求項35に記載の呼吸システム。
【請求項37】
前記第1及び前記第2のマージンは、前記圧力限界曲線の前記第2の圧力領域内の前記圧力閾値のオフセットに実質的に平行な、前記第1の圧力領域内の前記圧力閾値のオフセットを提供し、前記第1の圧力領域及び前記第2の圧力領域は、前記呼吸ガス流の最小変化率に対応する、請求項36に記載の呼吸システム。
【請求項38】
前記圧力限界曲線の前記遷移領域の勾配は、前記呼吸ガス流の最大変化率に対応する、請求項34~37のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項39】
前記圧力限界曲線の前記遷移領域は、遷移流量を中心とする、請求項34~38のいずれか一項に記載の呼吸システム。
【請求項40】
前記コントローラは、前記圧力及び前記対応する流量が、前記圧力限界曲線の前記遷移領域内にある時に、呼吸ガス流が前記最大変化率に達するように前記流れ調節器を制御するように構成される、請求項38に記載の呼吸システム。
【請求項41】
前記第1及び前記第2の圧力マージンは、前記呼吸ガス流を増加させるように前記コントローラが前記流れ調節器を制御することなく、前記呼吸ガス流のシステム圧力を前記圧力閾値未満から一時的に低減するためのマージンを提供する、請求項36に記載の呼吸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者への呼吸ガス流を制御するためのシステム及び方法に関する。
【0002】
詳細には、限定されないが、システム及び方法は、呼吸ガス流を提供する流れ調節器の下流のシステム圧力の変化に応答して、患者への呼吸ガス流を制御する。
【背景技術】
【0003】
患者は、麻酔中若しくは鎮静状態の間、又はより一般的には特定の医療処置の間に、呼吸機能を失うことがある。医療処置の前に、患者は、酸素飽和の貯蔵器を提供するために、医療専門家により前酸素化されることがあり、この前酸素化は、概してバッグ換気及び顔マスクで実行される。一旦全身麻酔を受けると、患者は、患者に酸素投与するために挿管されなければならない。場合によっては、挿管は、30~60秒で完了するが、場合によっては、特に患者の気道を進むのが難しい場合(例えば癌、重症の負傷、肥満又は頸筋の痙攣に起因する)、挿管は非常に長くかかる。前酸素化は酸素飽和の低下に対して緩衝を提供する一方で、長くかかる挿管処置に対しては、患者の酸素飽和を十分なレベルに増加させるために、挿管工程を中断して顔マスクを再度付ける必要がある。挿管工程の中断は、困難な挿管工程に対して何度も起きることがあり、これは時間の消費であり、患者を深刻な健康リスクにさらす。約3回挿管を試みた後は、医療処置が断念される。
【0004】
複数の呼吸支援システムが必要な手順では、支援システムの組合せは、過圧送達(例えばカニューレが患者の上に置かれている時、及び麻酔科医が、カニューレの頂部の上に付けられたマスクを通して呼吸支援の送達を望む時)を起こす恐れがある懸念があることがある。
【0005】
その上、異なる支援システム間の切替えは、時間がかかる、又は困難であり得る。従って、呼吸支援システム、例えば高流を介した支援と、顔マスク及びバッグ又は麻酔機を介した呼吸支援との間の交換を容易にすることができる構成を有することが望ましいことがある。ガス流を迅速に容易に停止又は低減できることが望ましいこともある。
【0006】
特許文献、又は先行技術として同定されたあらゆる他の事項への本明細書における言及は、その文献若しくは他の事項が公知であった、又はそれが含有する情報が、あらゆる特許請求の範囲の優先日において共通の一般的な知識の一部であったことの許容として解釈されるものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムが提供され、システムは、流れ調節器と、システム内の呼吸ガス流の流量及び圧力の入力を受信するように構成され、呼吸ガス流を目標流量で患者に提供するために流れ調節器を制御し、システム内の呼吸ガス流の圧力が、その目標流量に対応する圧力閾値を満たす若しくは超える時に、呼吸ガス流を目標圧力に調節するために流れ調節器を制御するように構成されたコントローラとを含む。
【0008】
一部の実施形態では、目標圧力は、目標流量に対応する圧力閾値又は目標流量より少ない流量に対応する圧力閾値を含む。
【0009】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流の流量が目標流量より少ない時に、呼吸ガス流を目標圧力に調節するために流れ調節器を制御するように構成される。
【0010】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流の流量が目標流量を超えると、呼吸ガス流を目標流量に調節するために流れ調節器を制御するように構成される。
【0011】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流の圧力が目標流量に対応する圧力閾値、又は目標流量より少ない流量に対応する圧力閾値を超えると、流れ調節器を目標圧力に制御するように構成される。
【0012】
一部の実施形態では、システムが「オフ」又は休止状態から作動を開始する時、コントローラは、システム内の呼吸ガス流の流量を監視するように構成され、呼吸ガス流を目標流量に調節するために流れ調節器を制御するように構成される。一部の実施形態では、目標流量は、現在値から流量設定点に増加させるために経時的に変化する。
【0013】
一部の実施形態では、目標流量は、流量設定点である。流量設定点は、呼吸システムの使用者によって決定されてもよい。一部の実施形態では、流量設定点は、コントローラに入力を提供する使用者によって設定されてもよい。
【0014】
一部の実施形態では、コントローラは、流量制御出力を提供する流量コントローラ、及び圧力制御出力を提供する圧力コントローラを含み、流れ調節器への制御入力は、流量制御出力及び圧力制御出力の最小値である。
【0015】
一部の実施形態では、流れ調節器は送風機を含み、流量制御出力及び圧力制御出力は、送風機の角速度を含む。
【0016】
一部の実施形態では、流れ調節器は比例弁を含み、流量制御出力及び圧力制御出力は、比例弁を通る一定サイズの流路制限を含む。
【0017】
一部の実施形態では、コントローラは、患者に提供された呼吸ガスの流量を示す流量値を受信するように構成される。
【0018】
一部の実施形態では、コントローラは、流量を目標流量に制御するために、流量が目標流量を超えた時に、第1の制御モードで作動可能であることがあり、コントローラは、圧力を目標圧力に制御するために、呼吸ガス流の圧力が目標流量に対応する圧力閾値を超えた時、又は目標流量より少ない流量に対応する一定の若しくはその圧力閾値を超えた時に、第2の制御モードで作動可能である。
【0019】
一部の実施形態では、呼吸システムは、システム内の呼吸ガス流の流量を患者に感知させるように構成された、1つ又は複数の流量センサを含む。
【0020】
一部の実施形態では、呼吸システムは、システム内の呼吸ガス流の圧力を患者に感知させるように構成された、1つ又は複数の圧力センサを含む。
【0021】
一部の実施形態では、コントローラは、1つ又は複数の流量センサからシステム内の呼吸ガス流の流量を示す入力、及び1つ又は複数の圧力センサからシステム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力を受信するように更に構成される。
【0022】
一部の実施形態では、呼吸システムは、流れ調節器から患者インターフェースにガス流を提供するための送達導管を含み、患者インターフェースは、呼吸ガス流を患者に送達するように構成される。
【0023】
一部の実施形態では、患者インターフェースは、鼻カニューレ、任意に非封止鼻カニューレを含む。
【0024】
一部の実施形態では、患者インターフェースは、送達導管と流体連通するガス送達サイドアームと、ガス送達サイドアームの端部に提供されたマニホールドと、マニホールドから延在する1つ又は複数の鼻要素であって、患者の1つ又は複数の鼻孔に呼吸ガス流を提供するように構成される、1つ又は複数の鼻要素とを含み、ガス送達サイド部材は折畳可能部を含む。
【0025】
折畳可能部は、折畳可能部が実質的に開状態にある第1の構成、及び折畳可能部が実質的に閉状態にある第2の構成で作動可能であってもよい。
【0026】
一部の実施形態では、コントローラが流れ調節器を目標圧力に制御すると、患者への流れは、約15L/分以下、又は約10L/分以下、又は約10L/分、又は約5L/分~約10L/分、又は約5L/分未満、又は0L/分の低減流量に低減される。
【0027】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流を目標流量に向かって増加させるために流れ調節器を制御するように構成される。
【0028】
一部の実施形態では、送達導管は、送達回路及び送達回路と患者インターフェースとの間に配列された患者呼吸回路を更に含み、患者呼吸回路は、出口コネクタにより送達回路に接続される。
【0029】
一部の実施形態では、流れ調節器は、呼吸ガス流を患者に調節するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ発生器、及び呼吸ガス流を調節するためにコントローラによって制御されるように構成された比例弁の1つ又は複数を含む。
【0030】
一部の実施形態では、流れ発生器は、呼吸ガス流を発生するためにコントローラによって制御されるように構成された送風機を含む。
【0031】
一部の実施形態では、呼吸システムは、呼吸システムの酸素(O2)送達回路内の圧力を感知するように構成されたO2圧力センサを含む。
【0032】
一部の実施形態では、呼吸システムは、呼吸システムの酸素(O2)送達回路内のO2流の流量を感知するように構成されたO2流量センサを含む。一部の実施形態では、比例弁は、O2送達回路内のO2圧力センサとO2流量センサとの間に配列されてもよい。
【0033】
一部の実施形態では、患者呼吸回路を有し、患者呼吸回路は、O2送達回路及び空気送達回路に接続されてもよく、患者呼吸回路及び/又は患者インターフェースは、患者圧力センサ及び患者流量センサを更に含んでもよい。一部の実施形態では、流れ調節器は送風機を含み、送風機は、患者圧力センサ及び患者流量センサの前に患者呼吸回路内に配列されてもよい。
【0034】
一部の実施形態では、コントローラは、圧力閾値と対応する流量との間の関係を提供する関数、曲線、ルックアップテーブル若しくはアルゴリズムの1つ又は複数を記憶するメモリ構成要素と作動可能に連通し、又はメモリ構成要素を含む。
【0035】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流を可変減少率だけ低減させるように流れ調節器を制御するように構成される。
【0036】
一部の実施形態では、圧力閾値と対応する流量との間の関係は、シグモイド形状を有する曲線を画定する圧力限界曲線又は関数によって表され得る。
【0037】
一部の実施形態では、圧力閾値と対応する流量との間の関係は、第1の圧力領域、第2の圧力領域、及び第1の圧力領域と第2の圧力領域との間に配列された遷移領域を含む。
【0038】
一部の実施形態では、第1の圧力領域は、折畳可能部が実質的に第1の構成にある時に対応してもよく、第2の領域は、折畳可能部が実質的に第2の構成にある時に対応してもよい。
【0039】
一部の実施形態では、第1の圧力領域は、基準圧力値から第1の圧力マージンだけオフセットされた圧力閾値を含み、第2の圧力領域は、基準圧力値から第2の圧力マージンだけオフセットされた圧力閾値を含み、それによって第1の圧力マージンは、第2の圧力マージンより大きい。
【0040】
一部の実施形態では、第1及び第2のマージンは、圧力限界曲線の第2の圧力領域内の圧力閾値のオフセットに実質的に平行な、第1の圧力領域内の圧力閾値限界値のオフセットを提供し、第1の圧力領域及び第2の圧力領域は、呼吸ガス流の最小変化率に対応する。
【0041】
一部の実施形態では、圧力限界曲線の遷移領域の勾配は、呼吸ガス流の最大変化率に対応する。
【0042】
一部の実施形態では、圧力限界曲線の遷移領域は、遷移流量を中心としてもよい。一部の実施形態では、コントローラは、圧力及び対応する流量が、圧力限界曲線の遷移領域内にある時に、呼吸ガス流が最大変化率に達するように流れ調節器を制御するように構成される。
【0043】
一部の実施形態では、第1及び第2の圧力マージンは、呼吸ガス流を増加させるようにコントローラが流れ調節器を制御することなく、呼吸ガス流のシステム圧力を圧力閾値未満から一時的に低減するためのマージンを提供する。
【0044】
別の側面から見ると、本発明は、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムを提供し、システムは、コントローラと、呼吸ガス流を患者に提供するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ調節器とを含み、コントローラは、流量を決定した圧力設定点に流れ調節器を制御するように構成され、コントローラは、呼吸ガス流の流量を流量設定点以下に限定するために流れ調節器を制御するように構成される。
【0045】
一部の実施形態では、流量設定点は、呼吸システムの使用者によって設定される。一部の実施形態では、流量設定点は、コントローラに入力を提供する使用者によって設定されてもよい。
【0046】
一部の実施形態では、システムは、複数の流量を決定した設定点を含み、コントローラは、流れ調節器をそれらの設定点に制御するように構成される。
【0047】
一部の実施形態では、流量を決定した設定点は、呼吸ガス流の流量に基づく。
【0048】
一部の実施形態では、流量を決定した設定点は予め決定される。
【0049】
一部の実施形態では、呼吸ガス流の流量が流量設定点にある又はそれに近い時に流量を決定した圧力設定点は、正常システム圧力値から第1のマージンだけ離れ、呼吸ガス流の流量が0L/分にある又はそれに近い時に流量を決定した圧力設定点は、正常システム圧力値から第2のマージンだけ離れ、第1のマージンは第2のマージンより大きい。
【0050】
一部の実施形態では、呼吸ガス流の流量が0L/分にある又はそれに近い時に、流量を決定した圧力設定点は、0cmH2Oである。
【0051】
一部の実施形態では、流れ調節器は、送風機及び/又は比例弁を含む。
【0052】
一部の実施形態では、呼吸システムは、流量センサ、圧力センサ及びユーザインターフェースの1つ又は複数を更に含む。
【0053】
一部の実施形態では、呼吸システムは、流れ調節器と流体連通する非封止鼻インターフェースを更に含み、呼吸ガス流を患者に提供するように構成される。
【0054】
一部の実施形態では、非封止鼻インターフェースは、ガス送達サイドアームと、ガス送達サイドアームの端部に提供されたマニホールドと、マニホールドから延在する1つ又は複数の鼻要素であって、呼吸ガス流を患者の1つ又は複数の鼻孔に提供するように構成される、1つ又は複数の鼻要素とを含み、ガス送達サイド部材は折畳可能部を含む。
【0055】
一部の実施形態では、折畳可能部は、実質的に開状態にある第1の構成、及び折畳可能部が実質的に閉状態にある第2の構成で作動可能である。
【0056】
一部の実施形態では、流量設定点は0L/分超、任意に0L/分超~約120L/分、任意に約20L/分~約90L/分、及び任意に約40L/分~約70L/分である。
【0057】
本開示の別の態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムが提供され、システムは、コントローラと、呼吸ガス流を患者に提供するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ調節器とを含み、コントローラは、流れ調節器の下流の呼吸ガス流に対応するシステム圧力を示す1つ又は複数の圧力入力を受信する、流量設定点に関する入力を受信し、流れ調節器の下流の呼吸ガス流を示す1つ又は複数の流量入力を受信し、受信した圧力及び/又は流量入力を、流量に対応する所定の圧力閾値及び流量設定点と比較し、2つの制御モード間で流れ調節器を制御するように構成され、第1の制御モードは、システム圧力が対応する流量に対する所定の圧力閾値より低い時に、呼吸ガス流を流量設定点で提供するために流れ調節器を制御することを含み、第2の制御モードは、呼吸ガス流の流量が流量設定点より低い時に、呼吸ガス流を目標圧力に調節するために流れ調節器を制御することを含む。
【0058】
本開示の別の態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムが提供され、システムは、コントローラと、呼吸ガス流を患者に提供するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ調節器とを含み、コントローラは、システム圧力を示す入力を受信し、システム圧力を対応する流量に対する1つ又は複数の圧力閾値と比較し、対応する流量に対する1つ若しくは複数の圧力閾値を満たす又は超えるシステム圧力に応答して、システム圧力を低減するように流れ調節器を制御し、対応する流量に対する圧力閾値を満たさない又は超えないシステム圧力に応答して、目標流量に達するために流れ調節器を制御するように構成される。
【0059】
本開示の別の態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムが提供され、システムは、コントローラと、呼吸ガス流を患者に提供するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ調節器とを含み、コントローラは、流れ調節器を流量設定点に制御するように構成され、コントローラは、流量を決定した圧力限界以下に呼吸ガス流の圧力を限定するために、流れ調節器を制御するように構成される。
【0060】
本開示の別の態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムが提供され、システムは、コントローラと、呼吸ガス流を患者に提供するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ調節器と、患者への呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を決定するように構成された1つ若しくは複数のセンサとを含み、コントローラは、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力を1つ若しくは複数のセンサから受信し、圧力を対応する流量に対する圧力閾値と比較し、対応する流量に対する圧力閾値を超える圧力に応答して、呼吸ガス流を低減するために流れ調節器を制御し、対応する流量に対する圧力閾値を超えない圧力に応答して、呼吸ガス流を調節するために流れ調節器を制御するように構成される。
【0061】
呼吸システムのコントローラは、マイクロコントローラ、PID(proportional-integral-derivative)(比例-微分-積分)コントローラ、又はコントローラの比例、微分及び積分要素が、必要に応じてオン又はオフにすることができるPIDコントローラの変形(P、PI若しくはIコントローラなど)、或いは呼吸システムの制御可能な構成要素の動作を指示するために、コントローラと連通するメモリに記憶されるアルゴリズムによって動作するように構成された他の何らかのアーキテクチャを含んでもよい。こうしてコントローラにより、呼吸システムが、システム内の圧力及び/又は流れの変化に応答して、呼吸システムの1つ又は複数の構成要素を制御することができる。コントローラは、システム内の圧力の変化に応答して、流れ調節器を制御してもよい。システム内の圧力は、流れ調節器の下流の圧力であってもよい。これは、システム圧力が圧力閾値を超えると、典型的にはガスを大気に排気することによりシステム内の圧力を緩和する圧力逃し弁と対照的である。送達ガスのこの排気は、廃棄源とみなされてもよい。
【0062】
呼吸システムのコントローラは、システム内の圧力の入力を受信し、システム内の圧力の値が、対応する流量に対する圧力閾値を満たす又は超えるかどうかを決定し、これは閉塞(それを横切る若干の流れが依然として存在することがある)又は遮断(それを横切る流れはなくなる)を示す。それに応答して、コントローラは、呼吸システムの構成要素を制御し、これは流れを調節することがある。コントローラは、閉塞又は遮断を取り除いた後、所望の流れを呼吸システムに復元もする。患者への呼吸ガス流を制御するコントローラは、こうして酸素などのガスの浪費を低減する。別の呼吸支援システムを介して患者に提供された呼吸ガス流への望ましくない影響を低減する可能性もあり、例えばコントローラは、本開示のシステムと共に使用される麻酔システムを介して、患者に提供された麻酔剤の希薄を最小にするために、呼吸ガス流を制御する。マスクがカニューレの上に使用され得る、以下に記載されるような状況では、これは、使用者が、カニューレの上のマスクに必要以上の力を加える必要がなく、カニューレと関連した折畳可能部を横切るあらゆる残余流を制御する必要がないように、閉塞された/遮断された(すなわち折り畳んだ)部分に作用する圧力により良好な制御を提供することにより、好都合であることも可能である。
【0063】
一部の実施形態では、流れ調節器は、患者に呼吸ガス流を発生するように、コントローラによって制御されるように構成された流れ発生器、例えば送風機を含む。
【0064】
一部の実施形態では、流れ調節器は、呼吸ガス流を調節するためにコントローラによって制御されるように構成された比例弁を含む。
【0065】
一部の実施形態では、流れ調節器は、比例弁及び流れ発生器を更に含む。
【0066】
コントローラによって実施されたアルゴリズムは、呼吸支援の送達中に患者にガスを供給する呼吸システムに圧力/流れ制御を提供するように、送風機及び/又は比例弁などの流れ調節器を制御する。呼吸支援の例は、上に述べられており、鼻高流、持続的気道陽圧、及び人工呼吸を含む。呼吸システムは、2つ以上の送風機及び/又は2つ以上の比例弁を含んでもよい。
【0067】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流の圧力を示す入力から呼吸ガス流の流量を決定するように更に構成される。
【0068】
別の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、患者への送達導管内の呼吸ガス流の流量を感知するように構成された、1つ又は複数の流量センサを含む。コントローラは、これらの1つ又は複数の流量センサから、送達導管内の呼吸ガス流の流量を示す入力を受信するように更に構成される。好ましくは、流量を示す入力は、流量を示すデータである。
【0069】
一部の実施形態では、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力は、呼吸システム内の呼吸ガス流の流量を示すデータから決定される。
【0070】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、流れ調節器の下流で呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を感知するように構成される。好ましくは、1つ又は複数のセンサは、流れ調節器の下流に置かれる。
【0071】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、患者へのシステム内の呼吸ガス流の圧力を感知するように構成された、1つ又は複数の圧力センサを含む。
【0072】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、1つ又は複数の圧力センサ及び1つ又は複数の流量センサを含む。
【0073】
一部の実施形態では、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力は、流れ調節器の下流の呼吸ガス流の圧力である。
【0074】
一部の実施形態では、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力はデータを含む。
【0075】
一部の実施形態では、呼吸システムは、送達導管及び送達導管の一端における患者インターフェースを更に含み、患者インターフェースは、呼吸ガス流を患者に送達するように構成される。
【0076】
一部の実施形態では、呼吸ガス流の圧力は、折畳可能部の上流又は折畳可能部における呼吸ガス流の圧力である。
【0077】
一例では、患者インターフェースは、ガス供給部と流体連通し、ガス流は、呼吸システムの流れ調節器によって制御される。ガス供給部の例は、加圧源(ガスタンク、又は病院の壁供給部など)、送風機、混合装置、又はそれらの組合せを含む。呼吸システムは、患者に送達される前にガスを加湿するための加湿器も含んでもよい。
【0078】
一部の実施形態では、患者インターフェースは、患者の鼻孔又は口によって受領される出口と、出口の側面から延在するガス送達側面部材とを含み、ガス送達側面部材は、患者インターフェースの入口から出口へのガス流のための内腔と、折畳可能部とを含む。例えば患者インターフェースは、鼻カニューレ及び任意に非封止鼻カニューレである。
【0079】
一部の実施形態では、折畳可能部は、第1の構成にあるように構成され、第1の構成から第2の構成の中に折畳可能である。第2の構成において折畳可能部を通る呼吸ガス流は、折畳可能部が第1の構成にある時と比べて低減した流量である。例えば低減した流量は、約15L/分以下、又は約10L/分以下、又は約10L/分、又は約5L/分~約10L/分、又は約5L/分未満、又は0L/分である。
【0080】
一部の実施形態では、コントローラは、対応する流量に対する圧力閾値を超える圧力に応答して、呼吸ガス流を低減した流量に低減するために流れ調節器を制御するように更に構成される。例えば呼吸ガス流は、低減した流量に段階的に低減される。一部の実施形態では、コントローラは、システム内の圧力を低減するために流れ調節器を制御するように構成され、次いで(圧力の変化及びシステム内の流れに対する抵抗によって決定されたように)呼吸ガス流を低減する。例えばシステム内の圧力は、例えば段階的に流れ調節器の作動を低下することによって低減されてもよい。
【0081】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流を低減した流量に向かって連続して低減するために、流れ調節器を制御するように更に構成される。別法として/追加として、コントローラは、システム内の圧力を連続して圧力目標に向かって低減するために、例えばその作動を低下することにより、流れ調節器を制御するように構成されてもよい。
【0082】
一部の実施形態では、コントローラは、対応する流量に対する圧力閾値を超えない圧力に応答して、呼吸ガス流を目標流量に調節するために、流れ調節器を制御するように更に構成される。例えば目標流量は40~70L/分であってもよい。
【0083】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流を連続して目標流量に向かって調節するために、流れ調節器を制御するように更に構成される。
【0084】
一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流を目標流量に向かって増加させるために、流れ調節器を制御するように更に構成される。
【0085】
一例では、呼吸ガス流は、段階的に目標流量に増加される。別法として、コントローラは、呼吸ガス流を目標流量に向かって連続して増加させるために、流れ調節器を制御するように構成される。
【0086】
一部の実施形態では、送達導管は、送達回路、及び送達回路と患者インターフェースとの間に配列された患者呼吸回路を更に含み、患者呼吸回路は、出口コネクタにより送達回路に接続される。
【0087】
一部の実施形態では、送達導管は、送達回路、及び送達回路と患者インターフェースとの間に配列された患者呼吸回路を更に含み、患者呼吸回路は、出口コネクタにより送達回路に接続される。
【0088】
一部の実施形態では、コントローラ、流れ調節器、1つ又は複数のセンサ、及び送達回路は、ハウジング内に収納され、出口コネクタはハウジングに装着される。例えばハウジングは箱である。
【0089】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、呼吸システムの酸素(O2)送達回路内のO2供給部から患者へのO2流の圧力を感知するように構成されたO2圧力センサを含む。
【0090】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、酸素(O2)供給部から患者へのO2流の流量を感知するように構成されたO2流量センサを含む。
【0091】
一部の実施形態では、比例弁は、O2送達回路内でO2圧力センサとO2流量センサとの間に配列される。
【0092】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、呼吸システムの空気送達回路内で周囲空気から患者への空気の流れの圧力を感知するように構成された空気圧力センサを含む。
【0093】
一部の実施形態では、送風機は、空気送達回路内で空気圧力センサの後に配列される。
【0094】
一部の実施形態では、患者呼吸回路は、O2送達回路及び空気送達回路に接続され、患者呼吸回路及び/又は患者インターフェースは、患者圧力センサ及び患者流量センサを更に含む。
【0095】
一部の実施形態では、患者呼吸回路は、O2送達回路及び空気送達回路に接続され、患者呼吸回路及び/又は患者インターフェースは、患者圧力センサ及び患者流量センサを更に含む。
【0096】
一部の実施形態では、送風機は、患者圧力センサ及び患者流量センサの前に患者呼吸回路内に配列される。
【0097】
一部の実施形態では、対応する流量に対する圧力閾値は、圧力限界曲線を形成する。
【0098】
一部の実施形態では、対応する流量に対する圧力閾値は、圧力限界曲線を形成する。その実施形態では、コントローラは、圧力及び流量を圧力限界曲線と比較するように更に構成される。
【0099】
一部の実施形態では、圧力限界曲線は、呼吸システム及び/又は送達導管内の流れが制限されることに関連する。
【0100】
一部の実施形態では、流れ調節器は、圧力限界曲線に対応する低減の変動率により、呼吸ガス流を低減するように構成される。
【0101】
一部の実施形態では、圧力限界曲線はシグモイド形状である。
【0102】
一部の実施形態では、シグモイド形状の圧力限界曲線は、第1の圧力領域、第2の圧力領域、及び第1の圧力領域と第2の圧力領域との間に配列された遷移領域を含む。
【0103】
一部の実施形態では、第1の圧力領域は第1の構成に対応し、第2の圧力領域は第2の構成に対応する。
【0104】
一部の実施形態では、第1の構成において、送達導管内の呼吸ガス流の正常作動圧力は、圧力限界曲線より第1の圧力マージンだけ低く、第2の構成において、呼吸ガス流の正常作動圧力は、圧力限界曲線より第2の圧力マージンだけ低く、それによって第1の圧力マージンは、第2の圧力マージンより実質的に大きい。第1及び第2の圧力マージンは、こうして呼吸ガス流を低減しないために、呼吸ガス流の圧力を正常圧力から一時的に増加させるためにマージンを提供することができる。
【0105】
別の実施形態では、第1及び第2の圧力マージンは、呼吸ガス流を増加させないために、呼吸ガス流の圧力を正常圧力から一時的に低減するためにマージンを提供する。
【0106】
一部の実施形態では、第1の圧力領域は、圧力限界曲線の第2の圧力領域に実質的に平行であり、第1の圧力領域及び第2の圧力領域は、呼吸ガス流の最小低減率に対応する。
【0107】
一部の実施形態では、圧力限界曲線の遷移領域は、呼吸ガス流の最大低減率に対応する。
【0108】
一部の実施形態では、圧力限界曲線の遷移領域は、遷移流量を中心とする。
【0109】
一部の実施形態では、流れ調節器は、圧力及び対応する流量が、圧力限界曲線の遷移領域にある時に、呼吸ガス流が最大低減率で低減するように構成される。
【0110】
本開示の別の態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムが提供され、システムは、コントローラと、呼吸ガス流を患者に提供するためにコントローラによって制御されるように構成された流れ調節器と、患者への呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を決定するために構成された1つ若しくは複数のセンサと、流れ調節器と流体連通し、呼吸ガス流を患者に送達するように構成された患者インターフェースとを含み、患者インターフェースは、流れ調節器から呼吸ガス流を受領するための入口と、患者の気道に呼吸ガス流を送達するための出口と、第1の構成と第2の構成との間を切り替えるように構成された折畳可能部を含むガス導管とを含み、折畳可能部が第2の構成にある時の呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力は、折畳可能部が第1の構成にある時の呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力より大きく、コントローラは、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力を1つ若しくは複数のセンサから受信し、圧力を圧力閾値と比較し、圧力閾値を満たす又は超える圧力に応答して、呼吸ガス流の第1の調節を提供するために流れ調節器を制御し、圧力閾値を満たさない又は超えない圧力に応答して、呼吸ガス流の第2の調節を提供するために流れ調節器を制御するように構成される。
【0111】
一部の実施形態では、第2の調節は第1の調節と異なる。
【0112】
一部の実施形態では、第1の調節は、呼吸ガス流を低減すること又は維持することを含む。
【0113】
一部の実施形態では、第1の調節は、圧力閾値を超える圧力に応答して、呼吸ガス流を低減することを含む。
【0114】
一部の実施形態では、第1の調節は、圧力閾値を満たす圧力に応答して、呼吸ガス流を低減すること又は維持することを含む。
【0115】
一部の実施形態では、第2の調節は、呼吸ガス流を増加させることを含む。
【0116】
一部の実施形態では、第2の調節は、呼吸ガス流を目標流量に調節することを含む。
【0117】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、流れ調節器の下流に置かれる。
【0118】
一部の実施形態では、呼吸システムは、呼吸ガス流を流れ調節器から患者インターフェースに送達するように構成された送達導管を更に含む。
【0119】
一部の実施形態では、送達導管は、送達回路、及び送達回路と患者インターフェースとの間に配列された患者呼吸回路を更に含み、患者呼吸回路は、出口コネクタにより送達回路に接続される。
【0120】
一部の実施形態では、コントローラ、流れ調節器、1つ又は複数のセンサ、及び送達回路は、ハウジング内に収納され、出口コネクタはハウジングに装着される。
【0121】
一部の実施形態では、流れ調節器は、呼吸ガス流を患者に発生するために、コントローラによって制御されるように構成された流れ発生器を含む。
【0122】
一部の実施形態では、流れ調節器は、呼吸ガス流を調節するために、コントローラによって制御されるように構成された比例弁を含む。
【0123】
一部の実施形態では、流れ調節器は、比例弁及び流れ発生器を更に含む。
【0124】
一部の実施形態では、流れ発生器は、呼吸ガス流を発生するために、コントローラによって制御されるように構成された送風機を含む。
【0125】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、呼吸システムの酸素(O2)送達回路内のO2供給部から患者へのO2流の圧力を感知するように構成されたO2圧力センサを含む。
【0126】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、酸素(O2)供給部から患者へのO2流の流量を感知するように構成されたO2流量センサを含む。
【0127】
一部の実施形態では、比例弁は、O2送達回路内のO2圧力センサとO2流量センサとの間に配列される。
【0128】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、呼吸システムの空気送達回路内の周囲空気から患者への空気流の圧力を感知するように構成された空気圧力センサを含む。
【0129】
一部の実施形態では、送風機は、空気送達回路内の空気圧力センサの後に配列される。
【0130】
一部の実施形態では、患者呼吸回路は、O2送達回路及び空気送達回路に接続され、患者呼吸回路及び/又は患者インターフェースは、患者圧力センサ及び患者流量センサを更に含む。
【0131】
一部の実施形態では、送風機は、患者圧力センサ及び患者流量センサの前に患者呼吸回路内に配列される。
【0132】
一部の実施形態では、1つ又は複数のセンサは、患者へのシステム内の呼吸ガス流の圧力を感知するように構成された1つ又は複数の圧力センサを含む。1つ又は複数の圧力センサは、流れ調節器の下流の呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を感知するように構成される。
【0133】
一部の実施形態では、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力はデータを含む。
【0134】
一部の実施形態では、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力は、流れ調節器の下流の呼吸ガス流の圧力である。
【0135】
一部の実施形態では、呼吸ガス流の圧力は、折畳可能部の上流又は折畳可能部における呼吸ガス流の圧力である。
【0136】
本開示の別の態様では、呼吸ガス流を患者に提供するための呼吸システムを作動する方法が提供され、方法は、呼吸システムで患者に呼吸ガス流を提供することと、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を決定するように構成された1つ又は複数のセンサを使用して、呼吸システム内の患者への呼吸ガス流の圧力を決定することと、1つ又は複数のセンサからシステム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力を受信することと、圧力を対応する流量に対する圧力閾値と比較することと、対応する流量に対する圧力閾値を超える圧力に応答して、呼吸ガス流を低減するように流れ調節器を制御することと、対応する流量に対する圧力閾値を超えない圧力に応答して、呼吸ガス流を調節するように流れ調節器を制御することとを含む。
【0137】
本開示の別の態様では、上に記載されたような呼吸システムを作動する方法が提供され、方法は、呼吸システムで患者に呼吸ガス流を提供することと、呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を決定するように構成された1つ又は複数のセンサを使用して、呼吸システム内の患者への呼吸ガス流の圧力を決定することと、1つ又は複数のセンサからシステム内の呼吸ガス流の圧力を示す入力を受信することと、圧力を対応する流量に対する圧力閾値と比較することと、対応する流量に対する圧力閾値を超える圧力に応答して、呼吸ガス流を低減するように流れ調節器を制御することと、対応する流量に対する圧力閾値を超えない圧力に応答して、呼吸ガス流を調節するように流れ調節器を制御することとを含む。
【0138】
次に本開示の実施形態について、以下の図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【
図1】患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムの例の概略図である。
【
図2a】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムと共に使用するための、第1の患者インターフェースを着用している患者を示す。
【
図2b】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムと共に使用するための、第2の患者インターフェースを備えた第1の患者インターフェースを着用している患者を示す。
【
図3a】患者インターフェースの折畳可能部の第1の構成の概略図を提供する。
【
図3b】患者インターフェースの折畳可能部の第2の構成の概略図を提供する。
【
図4】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムの概略図である。
【
図5】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムの概略図である。
【
図6】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムの概略図である。
【
図7】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムの概略図である。
【
図8】本開示の実施形態による、患者に呼吸ガスを提供するための呼吸システムの概略図である。
【
図9】本開示の実施形態による、呼吸ガス流を制御する際に使用される、流れと圧力との間の関係を表す曲線を示すグラフである。
【
図10】本開示の実施形態による、呼吸ガス流を制御する際に使用される、流れと圧力との間の関係を表す曲線を示すグラフである。
【
図11】本開示の実施形態による、呼吸ガス流を制御する際に使用される、流れと圧力との間の関係を表す別の曲線を示すグラフである。
【
図12】ゼロ流で圧力曲線は、公称圧力限界(曲線R)又はゼロ圧力限界(曲線S)を有することができることを示すグラフである。
【
図13】本開示の実施形態による、呼吸ガス流を制御する際に使用される、流れと圧力オフセットとの間の関係を表す曲線を示すグラフである。
【
図14】システムが経験する流れに対する抵抗が増加するにつれて、変化する圧力と流量との間の関係を示すグラフである。
【
図15】本開示の実施形態による、呼吸システムの作動状態の状態図である。
【
図16】本開示の実施形態による、呼吸システムの作動の流れ図である。
【
図17】本開示の実施形態による、呼吸システムを作動する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0140】
図及び明細書を通して、同様の参照番号は、同じ又は同様の構成要素を示すために使用されることがあり、それらの冗長の記載は割愛されることがある。
【0141】
述べたように、呼吸システムは、患者に送達するためのガスを提供する。呼吸システムは、持続陽圧呼吸システム(CPAP)(continuous positive airway pressure)並びに高流呼吸ガスシステム(例えば高流治療及び麻酔処置のため)などの多数の形を取ってもよい。
【0142】
本明細書では、「高流」とは、限定することなく、健康な患者の正常な吸気流量より高いなどの、通常/正常より高い流量のあらゆるガス流を意味する。別法として又は追加として、「高流」は、状況に関連して何らかの他の閾値の流量より高い可能性があり、例えば、吸気需要を満たす流量で患者にガス流を提供する場合、その流量は、そうでなければ供給されたかもしれない公称流量より高いので、「高流」とみなされることがある。「高流」は、従って状況に依存し、「高流」を構成するものは、患者の健康状態、提供される手順/治療/支援の型、患者の特性(大きい、小さい、成人、小児)及び同種のものなどの多くの要因に依存する。当業者は、「高流」を構成するものを状況から認識するはずである。「高流」は、そうでなければ提供されるかもしれない流量を超える流量の大きさである。
【0143】
しかし限定することなく、高流を示す値の一部は以下の通りであることが可能である。
【0144】
一部の構成では、毎分約5又は10リットル(5若しくは10LPM若しくはL/分)以上の流量での患者へのガスの送達。
【0145】
一部の構成では、約5、又は10LPM~約150LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの送達。例えば本明細書に記載された様々な実施形態及び構成によれば、システムを介して又は流源若しくは流れ調節器からインターフェースに供給又は提供されたガスの流量は、これに限定されないが、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150LPM以上の流れを含んでもよく、有益な範囲は、あらゆるこれらの値(例えば約20LPM~約90LPM、約40LPM~約70LPM、約40LPM~約80LPM、約50LPM~約80LPM、約60LPM~約80LPM、約70LPM~約100LPM、約70LPM~約80LPM)であるように選択されてもよい。
【0146】
「高流」では、送達されたガスは、例えば治療の意図した使用に依存して選択される。送達されたガスは、一定の割合の酸素を含んでもよい。一部の構成では、送達されたガス内の酸素の百分率は、約15%~約100%、20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0147】
一部の実施形態では、送達されたガスは、一定の割合の二酸化炭素を含んでもよい。一部の構成では、送達されたガス内の二酸化炭素の百分率は、0%超、約0.3%~約100%、約1%~約100%、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であってもよい。
【0148】
未熟児/乳児/小児(約1~約30kgの範囲内の体重)用の「高流」のための流量は異なる可能性がある。流量は、0.4~8L/分/kg、最低約0.5L/分及び最高約70L/分に設定することができる。2kg未満の患者に対して、最高流は8L/分に設定されてもよい。
【0149】
患者の酸素投与を増加する及び/又は呼吸の仕事量を低減するために、患者の正常吸気流を満たす又は超す有効な高流が見出された。追加として、高流治療は、上気道の解剖学的死腔が、高入気ガス流によって洗い流されるように、上咽頭にフラッシング効果をもたらすことがある。これは、1呼吸毎に利用可能な新鮮なガスの貯蔵を生成する一方で、二酸化炭素、窒素、その他の再呼吸を最小にする。
【0150】
例により、高流呼吸システム10は、
図1を参照して記載される。高流は、酸素及び/又は他のガスの送達を通して、並びに患者の気道からのCO
2の除去を通して、ガス交換及び/又は呼吸支援を向上させるための手段として使用されてもよい。高流は、医療及び/又は麻酔処置の前、間又は後に特に有効であり得る。
【0151】
医療処置の前に使用される時、高ガス流は、患者が医療処置中に無呼吸段階にある間に酸素バッファを提供するために、患者の血液酸素飽和度及び肺内の酸素の容量がより高いように、患者に酸素を前装填することができる。
【0152】
酸素の連続供給は、呼吸機能に支障をきたすことがある(例えば衰える又は停止する)場合の医療処置中(麻酔中など)に、健康な呼吸機能を持続するために重要である。この供給が損なわれると、低酸素、低酸素血症、及び/又は高炭酸ガス血症が起こる可能性がある。患者が意識不明である、若しくは意識不明になることがある、麻酔及び/又は沈静状態などの医療処置中に、患者は、これが起きる時を検出するように監視される。酸素供給及び/又はCO2の除去に支障をきたす場合、臨床医は医療処置を停止し、酸素供給及び/又はCO2の除去を促進する。これは、例えば患者を手動で人工呼吸することにより、例えばバッグマスク換気により、又は高流呼吸システムを使用して患者の気道に高流のガスを提供することにより達成することができる。更に鎮静/人工呼吸(必ずしもバッグマスクに限定されない)に使用されるマスクは、前酸素化のため、及び呼吸終末二酸化炭素、その他などの患者パラメータを監視するためにも使用されてもよいことが認識されよう。
【0153】
高ガス流の更なる利点は、高ガス流が患者の気道内の圧力を増加させ、それによって気道、気管、肺/肺胞及び細気管支を開く圧力供給を提供することを含むことができる。これらの構造を開くことは、酸素投与を高め、CO2の除去をある程度支援する。
【0154】
加湿された時、高ガス流は、気道の乾燥を防ぎ、粘膜繊毛の損傷を緩和し、喉頭痙攣の危険性、並びに鼻血、誤嚥(鼻血の結果として)、及び気道閉塞、腫れ、及び出血などの気道の乾燥に関連した危険性を低減することもできる。高ガス流の別の利点は、流れが手術中に気道内に生成された煙を一掃することができることである。例えば煙は、レーザ及び/又は焼灼デバイスによって生成される可能性がある。
【0155】
図1を参照すると、システム10は、
図1に点線の箱11内に概ね示された、一体型又は別個の構成要素に基づいた配置を含むことがある。一部の構成では、システム10は、構成要素のモジュール配置を含むことができる。システム10は、壁埋込型酸素源、酸素タンク、送風機、流量治療装置、又は酸素若しくは他のガスのあらゆる他の源、或いはそれらの組合せなどの、流源12を含んでもよい。一部の実施形態では、流源12は流れ調節器を含み、一部の実施形態では、流れ調節器は、送風機、ベロー、及び/又はピストンなどの流れ発生器を含む。一部の実施形態では、流れ調節器は、流れ発生器及び比例弁を含み、比例弁は、空気(好ましくは濾過空気)及び患者に送達される酸素などの混合ガス流内の酸素濃度を制御するために機能することがある。一部の実施形態では、流れ調節器は比例弁を含み、そのような実施形態では、流れ調節器は流れ発生器を含まなくてもよい。この文脈における流れ発生器及び比例弁を含むシステムの例は、
図7及び8に関連して記載されている。他の実施形態では、流源12は流れ発生器を含む必要がなく、そのような実施形態では、流源12は、壁埋込型ガス源及び/又は混合ガス若しくは他のガス供給部を含んでもよい。一部の実施形態では、流源12は圧縮ガス源(例えば壁埋込型ガス源、酸素タンク供給部、その他)及び送風機を含んでもよい。
【0156】
一部の実施形態では、流源12は麻酔器を含み、又は麻酔器の一部である。システム10は、流源12からのガスと組み合わせることができる1つ又は複数の他のガスを含む、添加ガス源12Aも含んでもよい。流源12は、送達導管14及び患者インターフェース15(鼻カニューレなど)を介して患者16に送達することができる、ガス流13を提供することができる。ガス流13は、前に記載された文脈では、患者に高流を送達してもよい。コントローラ19は、流れ及び他の特徴、例えばガス流13の流量、圧力、成分、濃度、容量の任意の1つ又は複数などを制御するために、弁若しくは同種のものを通して流源12及び添加ガス源12Aを制御する。加湿器17も任意に提供され、加湿器17は、ガスを加湿することができ、及び/又はガスの温度を、例えばコントローラ19の制御下で制御することができる。18a、18b、18c、18dの1つ又は複数のセンサ、例えば流れ、酸素、圧力、湿度、温度若しくは他のセンサなどは、システムを通して及び/又は患者16に、患者16の上に、若しくは患者16の付近に置くことができる。センサは、血液中の酸素濃度を決定するために、患者の上にパルスオキシメータ18dを含むことができる。
【0157】
コントローラ19は、有線若しくは無線接続を含む様々な手段により、システム10の1つ又は複数の構成要素と作動可能に連結されてもよい。例えばコントローラ19は、流源12、添加ガス源12A、加湿器17及びセンサ18a~18d、並びに入力/出力(I/O)インターフェース20の1つ又は複数と作動可能に連結されてもよい。例として、コントローラ19は、高流装置、別個の構成要素の上若しくは中に提供されてもよく、及び/又は麻酔器若しくは人工呼吸器などの別のデバイスに組み込まれ若しくは別のデバイスと共に利用されてもよく、或いはシステム10の一部を含み、患者に呼吸支援を提供するためにシステム10と共に使用される別個の構成要素の作動を制御する1つ若しくは複数の別個のコントローラと連通してもよい。コントローラは、マイクロコントローラ、PID(proportional-integral-derivative)(比例-微分-積分)コントローラ、若しくはコントローラの比例、微分及び積分要素が、必要に応じてオン又はオフにすることができるPIDコントローラの変形(P、PI若しくはIコントローラなど)、又は呼吸システムの制御可能な構成要素の作動を指示するために、コントローラと通信するメモリに記憶されるアルゴリズムによって作動するように構成された何らかの他のアーキテクチャを含んでもよい。こうしてコントローラ19は、流源12及びシステム10の他の構成要素、又はシステム10と共に使用する他の構成要素を制御して、所望の流量、圧力、成分(2つ以上のガスが提供される場合)、容量及び/又は1つ若しくは複数のセンサ18a~18dからのフィードバックに基づいた他のパラメータなどの特定の特性を備えた、送達されるガス流を患者に提供してもよい。コントローラ19は、酸素投与、気道圧力及び/若しくは患者の流れ要件、並びに/又はシステム圧力及び/若しくはシステムの流れ要件(例えば所定の若しくはインターフェース20を通して使用者によって設定されたもの)を満たすために、流源のあらゆる他の適切なパラメータも制御することができる。コントローラ19は加湿器17も制御することができ、この制御は、1つ又は複数のセンサ18a~18dからのフィードバックに基づいてもよい。センサからの入力を使用して、コントローラは、酸素投与要件を満たすために必要な作動変更を決定し、必要に応じて流源12及び/又は加湿器17及び/又は他の添加ガス源12A及び/又はシステムの他の構成要素の制御パラメータを変えてもよい。
【0158】
入力/出力(I/O)インターフェース20(ディスプレイ及び/又は入力デバイスなど)が提供されてもよい。インターフェース20は、情報及び入力(必要な患者の呼吸支援パラメータなど)を必要な呼吸支援を提供するために必要な特徴を備えたガス流13を達成するために、流源12、添加ガス源12A及びシステム10の他の構成要素の1つ又は複数の制御に使用した、酸素投与、圧力、流れ要件及び/又は他のシステム設定を決定するために使用することができる、使用者(例えば臨床医若しくは患者)から受信することができる。一部の実施形態では、システムは、コントローラ及び/又はI/Oインターフェースがなくてもよい。看護師又は技術者などの医療専門家は、必要な制御機能を提供してもよい。
【0159】
上述のように、高ガス流(任意に加湿されている)は、送達導管14及び患者インターフェース15又はカニューレ、マスク、鼻インターフェース、口腔デバイス若しくはそれらの組合せなどの「インターフェース」を介して患者16に送達されてもよい。一部の実施形態では、高ガス流(任意に加湿されている)は、外科的使用、例えば外科的吸入のために患者16に送達されてもよい。これらの実施形態では、「インターフェース」は、外科的カニューレ、トロカール、又は他の適切なインターフェースであることが可能である。患者インターフェースは、患者の気道で封止する、実質的に封止する、一部を封止する、封止しない、実質的に封止しない、又は一部を封止しないことがある。本明細書で使用する場合、鼻インターフェースは、カニューレ、鼻マスク、鼻ピロー、若しくは鼻デバイスの他の型、又は患者の鼻孔の片方又は両方にガス流を向けるように構成されたそれらの組合せなどのデバイスである。
【0160】
鼻インターフェースは、
図2bに示されたような顔マスク300若しくは口腔デバイス(口の中に挿入した管など)、並びに/又は鼻インターフェースから取り外し及び/若しくは取り付けることができるマスク若しくは口腔デバイス(口の中に挿入した管など)と組み合わせて使用することもできる。
【0161】
鼻カニューレは、患者の鼻腔の中に挿入するように構成された、1つ又は複数のプロングを含むことがある鼻インターフェースである。マスクは、患者の鼻腔及び/又は口を覆うインターフェースを指し、その中で患者の口を覆うマスクの部分を取り外すことができるデバイスも含むことができる。マスクは、患者の小鼻で実質的に封止を生成する、鼻ピローを含む鼻インターフェースも指す。
【0162】
図2a及び2bは、折畳可能な呼吸導管部を備えた、患者インターフェース200、例えば
図1の呼吸システム10の鼻カニューレ15を着用している患者16の例を示す。描かれた患者は成人である。しかし患者は、乳児、小児又は青年であってもよい。
【0163】
患者インターフェース200は、第1のガス(送達)導管202を含む。第1のガス導管202は、
図1の呼吸システム10から(例えば
図1に示された導管14を介して)ガスを受領し、ガスを患者16に向けるように適合される。第1のガス導管202は、第1のガス導管202に対して力を加えることに起因して生じる第1のガス導管202の変形又は折畳を防ぐために、第1のガス導管を増強し及び/又は剛性を追加するように適合された、補強要素203を含んでもよい。補強要素203は、これに限定されないが、第1の導管内腔202の壁内若しくは上にあるビーズを補強するプラスチック又は金属を含む、多数の構造を含んでもよい。
【0164】
患者インターフェース200は、第1のガス導管202と流体連通するガス送達サイドアームを含んでもよい。第1のガス導管202は、ガス送達サイドアームの端部に提供された流れマニホールド206と空気圧連通する。流れマニホールド206は、第1のガス導管202からガスを受領し、マニホールドから延在する1つ又は複数の鼻送達要素208(例えば鼻プロング)に通過させる。1つ又は複数の鼻送達要素208は、流れマニホールド206から外方に延在する。1つ又は複数の鼻送達要素208は、患者16の1つ又は複数の鼻孔内に封止せずに位置付けられるように適合される。第1の患者インターフェース200は、従って非封止患者インターフェースである。示されたように、患者インターフェース200は、患者の鼻孔のそれぞれに1つずつ位置付けるように適合された2つの鼻プロング208を含む。各鼻プロング208は、鼻プロング208が患者の鼻の中隔に向かって内方に延在するように形状され又は傾斜されてもよい。別法として、第1の患者インターフェース200は、封止鼻インターフェースであってもよい。
【0165】
図2a及び2bに示された実施形態では、流れマニホールド206は、流れマニホールド206の1つの側面から(例えば患者Pの顔を二等分する仮想垂直平面に対して)流れを受領し、マニホールドを通って鼻プロング208のそれぞれに流れのための通路を提供する。一部の実施形態では、導管はマニホールドの単一側面から、例えばマニホールドの左側から、若しくは右側から延在してもよい。一部の状況では、患者インターフェースの左側に導管を提供することが、臨床医が接近するため、例えば挿管するために好ましいことがある。別法として、右側から延在する導管は、例えば患者が典型的に自身の左側を下にして横になっている場合の内視鏡検査などの処置で好ましいことがある。他の構成では、患者インターフェース200は、より多い(例えば3つ若しくは4つの)又はより少ない(例えば1つの)鼻送達要素208を含んでもよい。他の構成では、鼻送達要素208のそれぞれは、異なる特性を有することができる。例えば1対の鼻送達要素208の一方は比較的長いことが可能であり、他方の鼻送達要素208は比較的短いことが可能である。
【0166】
一部の構成では、流れマニホールド206は、流れマニホールド206の2つの側面から(例えば
図2a及び2bに見られるように、流れマニホールド206の患者の右側だけの代わりに、流れマニホールド206の「左」及び「右」から)の流れを受領するように構成されてもよい。一部のそのような構成では、複数のガス導管が、流れマニホールド206と呼吸システム10との間に空気圧連通を提供するように使用されてもよい。例えば患者インターフェースは、二重導管を含んでもよく、第1のガス導管202は、インターフェースの第1の側面(示された例では、患者の右側)から延在し、第2のガス導管(図示せず)は、インターフェースの第2の反対側から延在する。一部の構成では、流れマニホールド206は、流れマニホールド206の非側面から(例えば流れマニホールド206の「底部」若しくは「頂部」又は両方から)、或いは患者16の反対側の流れマニホールド206の正面から流れを受領するように構成されてもよい。
【0167】
患者インターフェース200は、ガス導管202又は複数の導管を患者の顔の上に取り付け及び/又は支持するために、装着部及び/又は支持部、例えば頬支持部210を更に含んでもよい。別法として又は追加として、患者インターフェース200は、1つ又は複数のヘッドストラップ又はヘッドギア(図示せず)を介して適所に保持されてもよい。
【0168】
患者インターフェース200の第1のガス導管202は、第1のレベルのガスが第1の部分204を通過することができる第1の構成から、第2のレベルのガスが第1の部分204を通過することができる第2の構成に遷移するように構成された、第1の部分204を含む。
【0169】
図2bは、顔マスクアセンブリ300(第2の患者インターフェース)の下に同時に2つの鼻プロング208を含む、患者インターフェース200を着用している患者16を示す。この配置では、顔マスクアセンブリ300は、患者16が着用している患者インターフェース200の上に置かれる。
図2bは、顔マスクアセンブリ300の下に患者インターフェース200を示すために、透明構造として顔マスクアセンブリ300を概略的に示す。第1の患者インターフェース200は、第1の呼吸支援システム10と共に使用されてもよく、顔マスクアセンブリ(第2の患者インターフェース)300は、第2の呼吸支援システム(図示せず)と共に使用されてもよい。一部の構成では、第1及び第2の呼吸支援システムは同じシステムであり、及び/又は第1及び第2の呼吸支援システムは、第1及び第2の呼吸支援システムによって提供される呼吸支援のモードが異なるにもかかわらず、共通流源を含む。他の構成では、第1及び第2の呼吸支援システムは、別個のシステムである。
【0170】
図2bに示された構成は、異なる患者インターフェースを使用して患者に別個の治療若しくは支援のモードの選択的送達を提供する際、及び/又はインターフェースから治療の送達を停止若しくは休止する際、及び/又はインターフェースによって提供されたガスを採取することができる際に有利であり得る。例えば構成は、緊急蘇生、高流治療を受けている患者の挿管の周囲、耳鼻咽喉(ENT)手術、麻酔薬投与前の術前状態の患者の調整支援、並びに抜管後及び回復中に特定の用途が見出されることがある。
【0171】
顔マスクアセンブリ300は、第2の呼吸支援システムとして若しくは第2の呼吸支援システムと共に使用されてもよく、及び/又はカニューレ200によって送達された物質以外の1つ若しくは複数の物質を送達するために使用されてもよい。例えば患者に麻酔剤及び/若しくは酸素を送達するため、又は第1の患者インターフェース200と同じ物質だが、異なる流れ及び/若しくは圧力レベルで送達するため。別法として、顔マスクアセンブリ300は、第1の呼吸支援システムから第1の患者インターフェース200を通る治療の送達を低減又は停止するために使用されてもよい。一部の実施形態では、顔マスクアセンブリ300は、呼吸ガス、例えば患者から吐き出された二酸化炭素を測定するように適合されることもあり、その測定値は、そうでなければ第1の呼吸支援システムの患者インターフェース200からの流れによって影響を及ぼされることがある。
【0172】
図2bに示された構成は、2つの異なる呼吸支援システムの間を交換することが可能である。追加として、この構成は、第1の患者インターフェース200が医療処置の間中及び/又は回復途上で(患者が処置の間中患者インターフェース200を通して治療を受け続けるかどうかに関わらず)、他の臨床診療を妨げることなく患者の上に残すことが可能であり得る。
【0173】
示された実施形態では、顔マスクアセンブリ300は、患者の鼻及び口の両方を覆うように構成された全顔マスク302を含む。他の構成では、顔マスクアセンブリ300は、患者の鼻領域のみを覆うために、患者インターフェース200の上に置かれた鼻マスクを含んでもよい。
【0174】
示されたように、顔マスク302は、患者の顔に対して封止するように適合された封止領域304を含む。顔マスクアセンブリ300は、顔マスクを介して患者に1つ又は複数の他のガスを供給する第2のガス源に、例えばフィルタ要素350を介して接続される。一部の構成では、第2のガス源は、患者インターフェース200にガスを供給する源(例えば補助ガス源又は流れ発生器)と異なる。一部の構成では、第2のガス源は、患者インターフェース200にガスを供給する源と同じである。
【0175】
一部の実施形態では、顔マスクアセンブリ300は、あらゆる流源から分離した呼吸供給部、若しくはガス流を第1の患者インターフェース200に送達する呼吸支援システムを提供するように構成された、別個のガス源又は別個の呼吸支援システムである、或いは別個のガス源又は別個の呼吸支援システムを含む、第2の流源に接続される。例えば別個の呼吸支援システムは、人工呼吸器又はCPAP又は高流治療デバイス又は手動蘇生器(例えばバッグを備えた携帯式顔マスク)であることが可能である。別法として又は追加として、顔マスクアセンブリ300は、呼吸ガスの特性を測定するためのデバイスに接続されてもよい。
【0176】
別法として、別個の呼吸支援システムは、麻酔デバイスであってもよく、若しくは麻酔デバイスを含んでもよく、及び/又は第2のガス源は、顔マスク302を介して送達するために、麻酔ガス、若しくは空気、若しくは酸素、若しくはガスの組合せを含んでもよい。
【0177】
図2bに示された構成は、複数源から少なくとも2つの異なる呼吸支援モードを介してガスを送達することができ、更に医師、臨床医又は医療専門家が迅速に容易に呼吸支援モードの型を変えることができる。
【0178】
1つの具体的用途では、麻酔処置を受けている患者は、患者がまだ自発的に呼吸している時、及び麻酔剤の投与前に、例えば鼻カニューレを介して、高流の酸素若しくは加湿ガス又は両方の混合物を送達することにより、前酸素化を受けてもよい。前酸素化は、麻酔処置の前に患者の酸素貯蔵量を増加させる。用語「麻酔処置」は、制限することなく、全身麻酔、処置的鎮静、及び領域/局所麻酔を指してもよい。一部の状況では、患者の麻酔処置を管理する麻酔科医は、1つの患者インターフェース(例えば鼻カニューレ200)からのガス流の送達と、顔マスク300などを介して別の患者インターフェースからのガス流の送達との間を切り替えたいことがある。
【0179】
麻酔科医は、患者に酸素投与するためにバッグを備えたマスクも使用し、場合によっては、例えば患者の気道を支援するためにより多くの圧力を送達するため、又は送達された圧力の変動をより大きく手動で制御するために、患者のバイタルサインが降下し始めた場合に、バッグマスクを使用することがより有益であることがわかる。一部の状況では、医療専門家は、異なる呼吸システム又は支援モード間で切り替えることを望むことがある。第1のモードでは、呼吸支援は、第1の呼吸支援システムによって(例えば患者インターフェース200を介して)提供されてもよく、第2のモードでは、呼吸支援は、第1のシステムからの支援が低減され又は停止されて、第2の呼吸支援システムによって(例えば顔マスクアセンブリ300を介して)提供されてもよい。例えば、インターフェース200からの高流は、顔マスク300(顔マスク300は、典型的には封止された回路である)によって提供された麻酔回路の予期した挙動を修正することがあり、顔マスクアセンブリ300によって送達された麻酔剤を薄めることがあるので、顔マスクアセンブリ300を通って麻酔剤を送達する時に、第1の患者インターフェース200からの高流を停止することが望ましいことがある。こうして第1の呼吸システムからの追加流を停止し、又は実質的に低減できることが好都合であり得る。
【0180】
一部の構成では、2つの呼吸支援モード又はサブシステム間で切り替えることは、第1のレベルのガスが第1の部分204を通過することができる第1の構成と、第2のレベルのガスが第1の部分204を通過することができる第2の構成との間を遷移するように構成された第1の部分204を有する、第1のガス導管202の構造によって促進されることがある。
【0181】
一部の構成では、第1の部分204は、導管202の他の部分より、第1の部分204を通るガス流を変える(導管を通り患者へのガス流を低減する)ためにより多く折畳可能である、又は別法によってより良好に適合されるように構成され、及び/又はマスクの封止が導管の頂部を封止することを可能にする。他の構成では、導管202全体は、折畳可能であるように構成されてもよく、又は別法により導管202を通るガス流を変えるようにより良好に適合されてもよい。一部の構成では、排気孔の配置は、折畳可能部の上流の導管から大気にガスを排気するために、折畳可能部の上流に提供されてもよい。
【0182】
一部の実施形態では、第1の構成は、完全に又は実質的に開放状態であり、第2の構成は、完全に又は実質的に閉鎖状態である。すなわち導管202は、第2の構成にある時に、導管202の他の部分より、多く折畳可能であり、変形可能であるように構成され、又は別法により第1の部分204における流れを完全に又は実質的に閉鎖するように適合される。第1の構成と第2の構成との間に1つ又は複数の中間状態が存在することがあり、この場合、これらの1つ又は複数の中間状態は、完全な又は実質的な開放状態(第1の構成)より開口が少ない(又は閉鎖が多い)ことがあるが、完全な又は実質的な閉鎖条件(第2の構成)より開口が多い(又は閉鎖が少ない)ことがあることが理解されよう。
【0183】
図3a及び3bは、第1及び第2の構成の概略図を提供し、
図3aは、第1の構成(実質的に開いている)を示し、
図3bは、第1の部分204の上に顔マスク302の封止304を加えることにより、第2の構成(実質的に閉鎖している)における第1の部分204を示す。一部の実施形態では、第1のガス導管202の第1の部分204(すなわちより多くの折畳可能又は変形可能部)は、第1のガス導管202の第1の部分204の上に被せる顔マスク302の封止304の部分の幅より大きい長さからなるべきである。これは、顔マスク302の封止が、第1のガス導管202の非折畳可能部の上に被せないことを確実にする。例えば第1の部分204は、使用者の鼻の中心から35mm以下の距離から、使用者の鼻の中心から少なくとも50mmまで延在してもよい。第1の部分204は、少なくとも約5mmの長さ、約1mm~約30mmの長さ、又は約5mm~約15mmの長さ、又は約10mmの長さを有してもよい。一部の実施形態では、第1の部分の長さは、少なくとも1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm又はそれ以上であってもよい。
【0184】
第1の部分204は、第1の部分204の壁に加えた力の相対レベルに基づいて、第1の構成と第2の構成との間で進んでもよい。例えば
図2及び3に示されたように、力は、顔マスク302の封止304によって加えられてもよい。この例では、第1の部分204は、顔マスク302の封止304の下に位置付けられるように構成される。
【0185】
別法として、力は、他の手段、例えばクランプ(図示せず)により第1の部分204に加えられてもよく、又は別法として、医療専門家は、親指若しくは他の指で導管壁を押すことにより、導管を圧縮してもよい。
【0186】
一部の実施形態では、ガス導管202の第1の部分204に作用する顔マスクの封止により、第1の部分204が第1の患者インターフェース200の鼻出口と流源12との間に封止又は少なくとも部分的な封止を形成する。追加として、顔マスクの封止は、ガス導管202の第1の部分204の上に封止又は少なくとも部分的な封止を形成する。
【0187】
呼吸支援治療間の切替えは、従って第1のインターフェース200によって供給された治療を低減又は停止するために、マスクの封止が第1のインターフェース200を供給するガス導管202の第1の部分204を(部分的に又は完全に)折り畳むように、マスクを患者の顔に付けることにより簡単に達成され得る。これは、第1の患者インターフェース200によって提供された呼吸支援又は治療が、低減又は停止することができる場合に、呼吸支援又は治療が顔マスク300によって提供できるように、顔マスク300と導管202の第1の部分204の外面との間にも封止を提供する。折畳可能な導管部204を備えた患者インターフェース200により、使用者、例えば麻酔科医又は看護師又は臨床医は、患者インターフェース200の上に顔マスクアセンブリ300を使用して、異なる治療若しくは支援モードを提供するために、複数の呼吸支援システムからガスの送達を選択して制御することができる。第1の患者インターフェース200は、第1の部分204が第2の構成にある時に、患者インターフェース200を通る高流及び他の呼吸治療又は麻酔剤の送達を防ぐ手法で機能するように構築されてもよい。一部の実施形態では、患者の顔から顔マスクアセンブリ300を取り外すことにより、第1の患者インターフェース200によって供給された呼吸支援又は治療が、構成を変える前の状態における作動を再開する又は戻ることができるように、第1の部分204をその第1の構成に戻すことができる。
【0188】
本開示の実施形態は、患者に提供した呼吸ガス流の制御を向上させる。一部の実施形態では、呼吸支援システムは、圧力逃し弁又はデバイスを含む。システム10は、そのような圧力逃し若しくは調整デバイス、又は圧力制限デバイス100(例えば圧力逃し弁すなわちPRV)を含んでもよい。この圧力制限デバイス100は、その全体が本明細書に参照によって組み込まれた、国際公開第2018/033863号に記載された特徴を有する弁であってもよい。一部の実施形態では、呼吸システムは、圧力逃し弁若しくはデバイスを含まない又は除外する。一部の実施形態では、呼吸システムは、流れ補償型圧力逃し弁若しくはデバイス、例えば国際公開第2018/033863号に記載されたような特徴を有する流れ補償型圧力逃し弁を含まない又は除外する。
【0189】
圧力逃し及び圧力制御は、具体的には流源12から下流に発生されることがあり、次いで患者気道圧力(患者圧力とも呼ばれる)に衝撃を与える可能性がある圧力に上限を提供するために、非封止患者インターフェース(第1の患者インターフェース200内の鼻カニューレなど)を含む、高流システム10などの呼吸支援システムで使用することが望ましい。重要なことに、圧力上限は、安全閾値を提供し、患者圧力の安全を確保し、及び/又は過圧力に起因してシステム10内の管、流体接続、若しくは他の構成要素への損傷を防ぐように構成され得る。同様に、圧力逃し又は制限デバイス100は、患者に提供した圧力を調整するために、CPAP(continuous positive airway pressure)(持続陽圧呼吸)、BiPAP(bilevel positive airway pressure)(二相性気道陽圧)、及び/又はバブルCPAPシステムなどの封止されたシステムに使用され得る。
【0190】
患者に呼吸ガス流を提供するための呼吸システム22は、本開示の異なる実施形態による
図4~8に示されている。
【0191】
図4は、コントローラ24、及び患者16への呼吸ガス流を調節するために、コントローラ24によって制御されるように構成された流れ調節器を含むことがある流源12を含む、呼吸システム22を示す。コントローラは、システム内の流量の入力及び呼吸ガス流の圧力を受信するように構成され、呼吸ガス流を目標流量で患者に提供し、システム内の呼吸ガス流の圧力が、目標流量に対応する圧力閾値を満たす又は超える時に、呼吸ガス流を目標圧力に調節するために流れ調節器を制御するように構成されてもよい。一部の実施形態では、目標圧力は、目標流量に対応する圧力閾値、又は目標流量より少ない流量に対応する圧力閾値を含む。目標流量に対応する圧力閾値は、例えば本明細書のいずれかに記載されたように、コントローラのメモリ構成要素、又はコントローラと作動可能に連結されたメモリ構成要素に記憶された機能を使用して、コントローラによって決定されてもよい。目標圧力又は圧力閾値は、絶対圧力値又はゲージ圧力値として画定されてもよい。
【0192】
述べたように、流源12は、呼吸ガス流を発生するために、コントローラ24によって制御されるように構成された送風機などの流れ発生器を含んでもよい。別法として又は追加として、流源12は、ガス源からの呼吸ガス流を調節するために、コントローラ24によって制御されるように構成された比例弁を含んでもよく、又は流源12は、流れ発生器と比例弁の組合せを含んでもよい。
【0193】
典型的には、システム22は、呼吸システムの特性、例えば呼吸システム内及び/若しくは患者に提供される呼吸ガス流の特性を決定するように構成された、1つ又は複数のセンサ28を更に含む。システム10は、超音波変換器、サーミスタ流れセンサなどの流量センサ、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、又はコントローラ24と連通する他のセンサを使用して、システムの特性を監視し及び/若しくは適切な呼吸支援を提供する手法でシステム22を作動することができる。このような特性は、ガス濃度、流量、圧力、温度、湿度、又は他の特性を含むことができる。圧力、温度、湿度、及び/又は流量センサなどのセンサ28は、例えばシステム22、患者導管12、及び/又は患者インターフェース200の構成要素を含有する主要ハウジングなど、システム22の様々な場所に置くことができる。コントローラ24は、適切な呼吸支援を提供する手法で、呼吸支援システム22の1つ又は複数の構成要素の制御を決定するのに使用するコントローラ入力を提供するセンサ28から信号を受信することができる。例えばコントローラ24は、ガス流の適切な目標温度、湿度、流量、及び/又は酸素濃度、若しくはシステム内の流源12から下流に発生されることがある適切な圧力を決定するために、1つ又は複数のセンサ28からの信号を使用してもよい。適切な呼吸支援を提供することは、患者の吸気受容を満たすことを含むことができる。高流量及び/又は患者の吸気受容を満たす若しくは超える流量などの適切な呼吸支援流量は、本明細書のいずれかに説明される。
【0194】
一部の実施形態では、センサは、患者16に提供されたガス流の流量を感知するように構成された流量センサ(例えば超音波、温度に基づいた、又は他の適切な流量センサなど)を含み、感知された流量は、感知された流量でシステム22の作動に対する安全な上限圧力を決定するために、コントローラ24によって使用される。コントローラ24は、次いでコントローラ、又はコントローラ若しくはシステムのあらゆる他の構成要素と作動可能に連通するメモリに記憶された目標流量を達成するように、例えば送風機速度を修正するために、流源12などのシステム22の1つ又は複数の構成要素(例えばアクチュエータ)の作動を制御する(若しくは制御信号をシステムの1つ若しくは複数の構成要素に移行する)ことができる。目標流量は、I/Oインターフェース20を通してシステムの使用者が入れた流量設定点であってもよく、或いは目標流量は、コントローラ若しくは関連したメモリ/構成要素に決定され又は予めプログラミングされてもよい。流量を修正することにより、流量の増加又は低減のそれぞれを達成するために、送風機速度の増加又は低減(及び/又は比例弁の孔のサイズの増加若しくは低減)に関与してもよい。
【0195】
一部の実施形態では、システムが「オフ」又は休止状態から作動を開始する時に、コントローラは、システム内の呼吸ガス流の流量を監視するように構成され、目標流量を達成するために呼吸ガス流を調節するように流れ調節器を制御するように構成される。理想的には、目標流量は、現在値から流量設定点に増加させるために、経時的に変化する。コントローラは、システムが作動する流量設定点を使用者が変更する時など、他の環境における新しい目標流量への呼吸ガス流の流量も監視するように構成されてもよい。
【0196】
コントローラ24は、1つ又は複数の圧力センサからの入力を受信してもよい。コントローラは、圧力センサ入力から患者に送達された圧力を測定又は推測できる。圧力センサは、流源12の下流に置かれる。例えば圧力センサは、患者インターフェース200に又は患者インターフェース200付近に置くことができる。圧力センサは、流源のすぐ後ろに置くこともできる。患者の気道に送達された圧力(患者圧力)は、周囲圧力と流源の下流の絶対圧力との間の差を計算するコントローラによって決定することができる。患者圧力は、流れ発生器の下流の主要デバイスハウジング内の圧力を測定すること、及び送達導管202に沿った圧力降下を計算することにより、見積もることができる。圧力センサは、流源12のガス流の下流の空気圧回路内で他の場所に置くこともできる。圧力センサは、1つ若しくは複数のゲージ圧力センサ、又は別法として1つ若しくは複数の絶対圧力センサを含むことができる。ゲージ圧力センサは、流れ発生器の下流の絶対圧力と周囲圧力との間の差を直接測定することができる。2つの絶対圧力センサを有するシステムでは、一方のセンサは、流源の下流の絶対圧力を測定するために流源の下流に置くことができ、他方のセンサは、周囲圧力を測定するために異なる場所に置くことができる。コントローラは、2つの絶対圧力センサによって行われた圧力測定間の差を決定することにより、患者に送達した圧力を決定することができる。
【0197】
様々な実施形態におけるコントローラ24は、1つ若しくは複数の圧力センサから直接、又はコントローラと作動可能に連通したユーザインターフェースに提供された手動入力を通して1つ若しくは複数の信号を受領し、又はそれを通って呼吸システム22内の呼吸ガス流が患者16に送達される流源12の下流の空気圧回路内のシステム圧力を示す出力値を受信するように構成される。コントローラ24は、受信した信号を圧力値に変換してもよく、コントローラは、これらの値を、コントローラ又はコントローラと作動可能に連通するメモリデバイス若しくはモジュールによって記憶されているような、対応する流量に対する圧力閾値と比較してもよい。コントローラは、システム圧力が対応する流量に対する圧力閾値を満たす若しくは超えるかどうかを確認するために、空気圧回路内のガスの流量を知る必要があるので、コントローラは、1つ若しくは複数の流量センサから直接1つ若しくは複数の信号も受領してもよく、又はコントローラは、コントローラと作動可能に連通したユーザインターフェースに提供された手動入力を通して流量値を獲得してもよく、又はコントローラは、例えばシステム22の空気圧構成要素内の流れへの抵抗を知ること、及び例えば流源12内の送風機速度から流れを計算することにより、流量値を導き出してもよい。
【0198】
コントローラ24は、システム圧力を連続して又は断続的に決定してもよく、互いに関連した利益が存在することがある。例えばシステム圧力の連続決定は、システム圧力が、対応する流量に対する圧力閾値を満たす又は超える(若しくはそれより下がる)変化を、コントローラがどの位速く検出でき、例えば対応する流量に対する圧力閾値を満たす又は超える圧力に応答して、送風機速度を低減する(次いで呼吸ガス流を低減することがある)ために、且つ対応する流量に対する圧力閾値を満たさない又は超えない圧力に応答して、呼吸ガス流を調節するために流源12を制御するために、流源12を制御することにより、コントローラがどの位速く応答できるかに関する最高応答を提供する。別法として、コントローラ24は、より経済的な作動を提供する圧力入力を断続的に感知又は受信してもよいが、システムは、コントローラが圧力入力を受信する少し前に変化することがあるので、システムは、応答の遅れを生じることがあり、そのため流源12の調節及び/又は制御は応答しなくなる。
【0199】
流量に対応する圧力閾値は、コントローラ24のメモリ構成要素、又はコントローラ24の外部で、コントローラ24と作動可能に連通したメモリデバイス若しくは構成要素によって記憶されてもよい。圧力閾値と対応する流量との間の関係は、対応する流量に対する特定の圧力閾値を決定するために、コントローラによって使用された関数、曲線、ルックアップテーブル、若しくは数学的モデル、又はアルゴリズムの1つ又は複数として記憶されてもよい。一部の実施形態では、コントローラ24によって利用されたような圧力閾値と対応する流量との間の関係は、グラフに表すことができ、例は
図9~14に示されている。
【0200】
図5は、コントローラ24、及び流源12と流体連通し、患者16に呼吸ガス流を送達するように構成された患者インターフェース200を介して、患者16への呼吸ガス流を調節するために、コントローラ24によって制御されるように構成された流源12を含む、呼吸システム22の別の実施形態を示す。呼吸システム22は、流源12の下流のシステム圧力、及び/又は患者にガスを提供する呼吸支援システム内の呼吸ガス流の流量を決定するように構成された1つ又は複数のセンサ28も含む。
【0201】
患者インターフェース200は、流源12から導管202を介して呼吸ガス流を受領する。導管202は、少なくとも第1の構成及び第2の構成で作動するように構成された第1の部分204を含む。
【0202】
図5に示された実施形態におけるコントローラ24は、センサ28から呼吸支援システム22内の呼吸ガス流の圧力及び/又は流量を示す入力を受信し、感知圧力を圧力閾値と比較し、圧力閾値を満たす又は超える圧力に応答して、呼吸ガス流の第1の調節を提供するように流源12を制御し、圧力閾値を満たさない又は超えない圧力に応答して、呼吸ガス流の第2の調節を提供するために流れ調節器26を制御するように構成されてもよい。
【0203】
述べたように、一部の実施形態では、第2の調節は第1の調節と異なり、第1の調節は、目標圧力で、例えば圧力閾値で流源の下流においてシステム圧力を維持すること、及び/又は流源の下流のシステム圧力を圧力閾値より低い目標圧力に低減することを含む。第2の調節は、圧力閾値を満たさない若しくは超えない流源の下流のシステム圧力に応答して、呼吸ガスの流量を目標流量に増加すること、又は低減することを含んでもよい。
【0204】
対応する流量は、患者インターフェース200で及び/又は患者の気道で、患者インターフェース200にガス流れを提供する、呼吸システム22の空気圧回路の一部で又は空気圧回路の一部に沿って、流源によって提供された呼吸ガス流の流量であってもよい。前に記載されたように、対応する流量は、コントローラ24に入力を直接提供する1つ若しくは複数の流量センサによって獲得された流量であってもよく、対応する流量は、コントローラと作動可能に連通するユーザインターフェースを作動させる使用者によって入れられてもよく、又はシステム22の空気圧構成要素の抵抗が公知である場合、対応する流量は、他の要因、例えば流源の送風機速度から推測されてもよい。
【0205】
図6は、本開示の別の実施形態による呼吸システム22を示す。この実施形態では、システム22は、コントローラ24、及び送達導管202を介して患者16に呼吸ガス流を発生するために、コントローラ24によって制御されるように構成された、流れ調節器又は送風機27の形の流源を含む。典型的には、コントローラ24及び送風機27は、共通ハウジング33内に含有されるが、コントローラは、送風機27及び呼吸支援システムの他の構成要素に別個のハウジングから離れて、又は別個のハウジング内に置くことができることが企図される。一部の実施形態では、ハウジング33は、含水率、及び場合によって温度を増加させることにより、患者に提供されたガスを加湿するために、それを通して送風機からのガス流が通過する加湿チャンバを含む、加湿器(
図1の実施形態に示されている)も含有する。加湿されたガスは、次いで送達導管202(送達導管202は、加湿器及び患者呼吸回路40の下流の送達回路38の一部を含むことがある)によって患者インターフェース200に送達される。呼吸支援システム22は、患者16に送達するために送達導管202を通るガス流を受領するように構成された、患者インターフェース200を更に含む。患者インターフェース200は、1つ又は複数の鼻要素、或いはガスを患者の鼻孔若しくは口のそれぞれ又は両方に提供するように構成された顔マスクアセンブリを含んでもよい。患者インターフェース200は、送風機27から導管202を介して呼吸ガス流を受領する。導管202は、本明細書のいずれかに記載されたように、少なくとも第1の構成及び第2の構成で作動するように構成された、折畳可能な第1の部分204を含む。
【0206】
折畳可能部204は、第1の構成(例えば折り畳まれていない又は完全に若しくは実質的な開放状態)で作動し、第1の構成から第2の構成(例えば折り畳まれ、又は完全に若しくは実質的に閉鎖状態)に折畳可能であるように構成される。第1の構成と第2の構成との間に1つ又は複数の中間状態が存在することがあり、この場合、これらの1つ又は複数の中間状態は、完全な又は実質的な開放状態(第1の構成)より開放が少ない(又は閉鎖が多い)ことがあるが、完全な又は実質的な閉鎖状態(第2の構成)より開放が多い(又は閉鎖が少ない)ことがあることが理解されよう。述べたように、コントローラ24は、折畳可能部204が第2の構成にある時に、折畳可能部204が第1の構成にある時と比べて流源の動作を変更する。一部の実施形態では、これは、送風機27の速度を調節すること(例えば低減すること)によって達成され、送風機27は、次いで患者に提供される呼吸ガス流の対応する流量に対する圧力閾値を満たす又は超える感知されたシステム圧力に応答して、呼吸ガス流をシステム内の低減した流量に調節(例えば低減)してもよい。一部の実施形態では、コントローラ24は、1つ又は複数の比例弁の状態(例えば開放の程度)を変更し、これは、次いで患者に提供される呼吸ガス流の対応する流量に対する圧力閾値を満たす又は超える感知されたシステム圧力に応答して、呼吸ガス流をシステム内の低減した流量に調節(例えば低減)してもよい。一部の実施形態では、コントローラ24は、送風機及び比例弁の両方の作動及び/又は状態を変更する。
【0207】
図6に示された呼吸システム22は、2つの型のセンサ、すなわち呼吸システム22内の呼吸ガス流の流量を感知するように構成された流量センサ32、及びハウジング33の出口の下流を含む送風機27の下流の呼吸システム22内の圧力を感知するように構成された圧力センサ29を含む。
【0208】
流量センサ32及び圧力センサ29は、流れ調節器、すなわち送風機27の下流に置かれる。流量センサ32及び圧力センサ29は、流れ調節器の下流及び送達導管202内の流量及び圧力のそれぞれを感知するように構成される。コントローラ24は、この実施形態では、送達導管202内の呼吸ガス流の圧力及び流量を示すデータを圧力センサ29及び流量センサ32から受信し、コントローラ24及びコントローラと作動可能に連結されたメモリ構成要素によって記憶されたような、対応する流量に対する圧力閾値と感知圧力を比較するように構成される。
【0209】
一部の実施形態では、1つ又は複数の圧力センサは、システム出口圧力を決定するために、送達導管202が連結されたシステム出口付近の送風機27の下流に置かれてもよい。出口の圧力は、下に論じるように患者圧力を推測するために使用することができる。一部の実施形態では、第2の圧力センサ29は、一次圧力センサが機能しない場合にバックアップ圧力入力を提供するために、冗長を提供されてもよい。一部の実施形態では、コントローラ24は、例えば高度に起因して変わることがある作動気圧を検出するために、絶対(周囲)圧力センサ29aから入力を受信することがあり、流源及び送風機などのその構成要素の性能に影響を及ぼす可能性がある。しかしゲージセンサは優れた解決を有することがあり、多くの用途に好ましい圧力センサであり得る。
【0210】
一部の実施形態では、送達導管内の圧力を感知するように構成された圧力センサ29に加えて、患者に送達した圧力を感知するように構成された圧力センサがある。コントローラ24は、次いでこれらの2つのセンサ間の感知圧力差から、患者へのガス流の流量を決定することができる。
【0211】
患者インターフェース200は、上記のような特徴を有する。こうして一部の実施形態では、患者インターフェース200は、第1の構成と第2の構成(
図3b)との間を遷移することができる折畳可能部204を有する導管202から呼吸ガス流を受領する鼻カニューレ、例えば非封止鼻カニューレなどである。
【0212】
患者インターフェース200は、本開示の実施形態による呼吸ガスの送達に関与した部品のより具体的な記載を提供するために、以下で鼻カニューレ200と呼ばれる。一部の実施形態では、折畳可能部204は、顔マスクアセンブリ300が鼻カニューレ200の上で患者16に付けられた時に、第2の構成に折り畳まれる。顔マスクアセンブリ300は、マスク300と短縮形で呼ばれることがある。送達導管202は、こうして折畳可能部204が第1の構成にある時と比べて低減した流量で第2の構成にある時に、折畳可能部204を通って患者16に呼吸ガス流を送達するように構成される。例えば低減した流量は、約15L/分未満、約0~15L/分、又は約5~15L/分、又は0L/分であってもよい。折畳可能部204が第1の構成にある時の流量は、約20L/分超、約20~90L/分又は約40~70L/分の範囲内にあることがある高流量である。
【0213】
送達導管202は、送達回路38、及び送達回路38と患者インターフェース200との間に配列された患者呼吸回路40を提供するとみなされてもよい。患者呼吸回路40は、出口コネクタ34を介して送達回路38に接続される。
図6の実施形態では、コントローラ24、送風機27、圧力センサ29、流量センサ32、及び送達回路38は、ハウジング33内に収容される。出口コネクタ34は、ハウジングの内側の送達回路38とハウジングの外側の患者呼吸回路40との間に物理的結合を提供するために、ハウジング33に装着され又はハウジング33を通ってもよい。患者インターフェース200は、この図に示されていないコネクタを介して、患者呼吸回路40に接続されてもよいことが認識されよう。システム22は、上記の型の1つ又は複数の比例弁を更に含んでもよく、これはハウジング33内にも収容されてもよいことも認識されよう。認識されるように、患者インターフェース200の一部、又はそこから患者インターフェースがガス流を受領する折畳可能部204を意図的に折り畳むことにより、呼吸システム内の流れに制限を導入する。これが起きると、使用時の呼吸システム22の例では、コントローラ24は、システム圧力内に増加があることを決定することにより流れの制限を検出し、システム圧力を調節するために、(例えば送風機27の速度、及び/又は比例弁25を通る流路の大きさを変えることにより、
図7参照)流れ調節器26を制御してもよい。折畳可能部204が第1の構成に戻ると、コントローラ24は、システム圧力の低減があることを決定することより変化を検出し、呼吸ガス流を増加させるために送風機27及び/又は比例弁25を制御してもよく、これは、次いでシステム圧力を増加させることがある一方で、ガスが流れる流量に対応する圧力閾値は低いままである。
【0214】
呼吸支援システムは、例えば送達導管202が裂ける、折れ曲がる、又は潰れることによって生じた、流れへの偶発的な制限に影響を受けやすいことがある。このようなシステムで流れが制限される別の方法は、特定の患者の解剖学的及び/又は気道の特徴がより高い抵抗を有する時である。これらの制限は、制限の上流の流路に実質的に逆圧を生成することがある。呼吸システム22の一部の実施形態では、これらの制限が起きると、呼吸システムは、コントローラ24の作動により、送達導管202内の圧力が対応する流量に対する圧力閾値を超えると決定されることがあり、コントローラ24は、呼吸ガス流を低減するように送風機27を制御することができ、ひいてはシステム22内の圧力が低減する。偶発的な制限が取り除かれると、コントローラ24は、呼吸ガス流を増加させるように送風機27を更に制御することがあり、ひいてはシステム22内の圧力が増加する。別法として又は追加として、コントローラ24は、更に開くように比例弁25を制御することがあり、それによって呼吸ガス流が増加し、システム22内の圧力が増加することがある。
【0215】
図7及び8は、本開示の実施形態による、患者に呼吸ガス流を提供する呼吸システム22の構成要素の概略図の例である。より詳細には、
図7及び8は、酸素(O
2)源42(例えば壁源又はO
2タンク)及び周囲空気源44から鼻カニューレ200に、及び患者に呼吸ガスを送達する、呼吸システム22に関する構成要素を示す。
【0216】
図7及び8に示された呼吸システム22は、呼吸システム22のO
2送達回路47内の圧力を感知するように構成された圧力センサ46(例えばO
2圧力センサ)を含む。圧力センサは、O
2送達回路47がO
2源42に接続されていることを決定するために使用されてもよい。O
2流の制御は、コントローラ24(図示せず)によって制御可能な比例弁25によって提供されてもよい。O
2送達回路47は、O
2流が比例弁25によって調節された後に、O
2供給部からのO
2流の流量を感知するように構成された流量センサ48(例えばO
2流量センサ)を更に含む。
【0217】
図7及び8に示された呼吸システム22は、呼吸システム22の空気送達回路49内の周囲空気源44からの空気流量を感知するように構成された、流量センサ50(例えば空気流センサ)を更に含む。一部の実施形態では、患者呼吸回路40は、O2送達回路47及び空気送達回路49に接続され、患者呼吸回路及び/又は患者インターフェースは、患者圧力センサ及び患者流量センサを更に含む。空気流の制御は、コントローラ24によって制御可能な、上記の型の送風機27によって提供される。
図7では、送風機27は、空気送達回路49内に提供されるのに対して、
図8では、送風機27は、患者呼吸回路40内に提供される。両方の実施形態において、呼吸システム22は、患者呼吸回路40に入るO
2を限定し若しくは変えるために、送風機27の作動を制御するコントローラ24により、例えば送風機27の角速度/モータ速度及び/又は送風機27に供給された電流若しくは電圧を変えることにより、並びに/或いは比例弁25の開口度を制御することにより、例えば弁に供給する電流を変えることにより、圧力及び/又は流れの閉ループ制御を提供する。
【0218】
一部の実施形態では、送風機27は、呼吸ガス流を調節し、比例弁25は、呼吸ガス内の酸素濃度を制御する。どちらもコントローラ24に制御される。こうして使用者が、所与の流量設定点からの流れを増加させるためにI/Oインターフェース20を操作すると、送風機27への制御により、その速度が増して、O2濃度が薄くなることがある。コントローラ24は、使用者が必要とするO2濃度設定点を満たすために、より多くのO2を患者に流すことができるように、更に開くために(例えば比例弁への電流を増加することにより)比例弁25を作動することによってこれを補償する。使用者がO2濃度設定点をより高い濃度に変える場合、コントローラ24は、より多くの酸素を患者に送達された呼吸ガスの中に流すことができるように比例弁25を制御する。
【0219】
患者呼吸回路40は、
図7及び8に示された実施形態では、O
2送達回路47及び空気送達回路49と流体連通する。述べたように、
図8では、患者呼吸回路40は、典型的には空気及びO
2を含むガス流を鼻カニューレ200に運ぶために、コントローラ24によって制御される送風機27を含む。両方の実施形態において、患者送達回路40は、鼻カニューレ200を介して本特許に送達されたO
2と空気呼吸ガスの組合せの圧力及び/又は流量を監視するように構成された、患者圧力センサ54及び/又は患者流量センサ52を含んでもよい。
【0220】
関連して、
図7及び8の実施形態では、空気送達回路49内に開放流路(例えば
図7の源44から周囲空気を受領する送風機27の入口と、送風機27の下流の流路内の場所との間)が存在することがあり、これにより双方向の流れが可能になる。開放流路は、一方向弁又はガスの単一方向流れのみが可能な構成要素がない流路を含む。これは、システム内に蓄積した過剰ガスが、送風機27を通って空気送達回路49から安全に「漏れ」ることができ、一部の構成要素を損傷する可能性がある高いシステム圧力を回避するように、例えば患者呼吸回路40と連結するシステムの出口に遮断があるシナリオで有益であり得る。多くの先行技術の呼吸支援システムは、患者に流れを送達するために一方向弁に依拠し、これらは記載された環境で逆流を妨げ、構成要素の損傷及び/又はシステムの不良を起こす可能性がある。
【0221】
図7の実施形態では、O
2は、送風機27の下流で周囲空気と混合される。これは、送風機27の下流で混合されたガスが、送風機(
図8におけるような)の上流で混合されたガスより低温を有することがあり、送風機の作動がそれを通過するガスを加熱するはずであるので、患者に提供したガスを加湿する実施形態にとって有益であり得る。これは、加湿器の制御が加湿チャンバに入るガスの温度に基づく時に、加湿の精度を向上させることがある。一部の実施形態では、1つ又は複数の圧力センサは、高度の変化などの異なる作動状態に適合できるために周囲空気圧力を監視することがある。
【0222】
図9~14は、流れと圧力との間の関係を表す曲線を示すグラフであり、これは、呼吸ガス流を患者に送達するために、呼吸システムの構成要素の制御において本開示の実施形態で使用される。述べたように、コントローラ24は、呼吸ガス流を増加、維持、又は低減するために、流れ調節器26を制御するように構成される。例えば、コントローラ24は、電気制御信号を提供することにより、又は送風機への電圧若しくは電流供給を直接制御することにより、送風機27の角速度(すなわち速度)を増加、維持、又は低減し、これにより次いで呼吸ガス流を増加、維持又は低減するように、送風機27を制御するように構成される。コントローラ24は、
図9~14の曲線(これは、以下で圧力限界曲線Cと呼ばれることがある)に表された流量などの、対応する流量で1つ又は複数の圧力閾値を満たさない若しくは超えない、又は満たす若しくは超える圧力に応答して、流れ調節器26に対する適切な制御を決定する。一部の実施形態では、コントローラ24は、対応する流量で圧力閾値より低い又は満たす又は超えるシステム圧力に応答して、流れ調節器26に対する適切な制御を決定する。1つ又は複数の圧力閾値は、所定の圧力閾値であってもよい。述べたように、圧力閾値及び対応する流量は、コントローラ24のメモリ構成要素又はコントローラ24と作動可能に連結されたメモリ構成要素に記憶されてもよい。
【0223】
一部の実施形態では、コントローラ24は、呼吸ガス流の流量が、目標流量より少ない時に、呼吸ガス流を目標圧力に調節するように、流れ調節器を制御するように構成される。これは、システム圧力により圧力閾値が現在の流量を超えることがある目標流量に近づくために、コントローラが流れを増加させようとする状態を回避する。別法として/追加として、コントローラは、呼吸ガス流の流量が目標流量を超える時に、呼吸ガス流を目標流量に調節する、すなわち呼吸ガス流の流量が超えている時に流れを目標流量に下げるように調節して患者への危害の危険性を避けるために、流れ調節器を制御するように構成されてもよい。一部の実施形態では、コントローラは、呼吸ガス流の圧力が、目標流量に対応する圧力閾値又は目標流量より少ない流量に対応する圧力閾値を超える時に、流れ調節器を目標圧力に制御するように構成される。
【0224】
圧力限界曲線Cは、システム構成要素の流れに対する公知の抵抗、及び患者に送達される公知の流量範囲を考慮することによって決定されてきた。圧力限界曲線Cは、先に検討したようにコントローラ24がアクセス可能なメモリに記憶されてもよく、これは本明細書に記載されたように、コントローラ24が必要な制御を行うためのプログラム命令を含有する、コンピュータ可読媒体(例えばディスク、ハードドライブ、USB、光ドライブ、又は他のデータ記憶デバイス)を含んでもよいことが認識されよう。
【0225】
一部の実施形態では、圧力限界曲線Cは、折畳可能部204が折り畳んだ構成にあり、マスクが付けられている時など、鼻カニューレ200への流れが制限されている時に、患者へのガスの対応する流量に対する安全な患者圧力に対応する安全閾値を提供する。この圧力閾値は、患者の気道の気圧閉塞を起こすことがある、患者への過圧の危険性を低減するために適用される。こうして一部の実施形態では、コントローラ24は、偶発的な遮断などの送達導管202内に遮断がある時、又はマスク300が患者を人工呼吸させるために使用され、折畳可能部204を十分に折り畳むように、例えば第2の構成に圧力で鼻カニューレの上に付けられる時に、鼻カニューレ200を通って患者に送る流れを自動的に低減する。これが起きると、コントローラ24は、圧力限界曲線Cによって誘導された目標圧力に達するために、送風機27及び/又は比例弁25などの他の構成要素の作動を制御することにより、システム22の圧力制御を実施してもよい。更にコントローラ24は、マスクを取り外した時に、呼吸ガス流を自動的に増加してもよく、折畳可能部204を第1の構成に戻すことができる。
【0226】
一部の実施形態では、コントローラ24は、呼吸ガス流の流量及び/又は圧力を制御するために、送風機27のみ(例えば角速度)、送風機27及び1つ若しくは複数の比例弁25、又は1つ若しくは複数の比例弁25のみを制御してもよい。比例弁及び送風機が平行な流路(例えば
図7)内にある実施形態では、逆止弁(図示せず)は、呼吸ガス流の流れ及び/又は圧力が、比例弁によって制御されるように、周囲空気源44を介して空気送達回路49から出る流れの逆行を防ぐために、送風機の前後に空気送達回路49に提供されてもよい。一部の実施形態では、圧力逃し弁(図示せず)は、呼吸ガス流の流れ及び/又は圧力を制御するために、圧力逃し弁(例えば大気に通気する弁)がコントローラ24によって作動可能であるシステムに提供されてもよい。
【0227】
一部の実施形態では、コントローラ24は、任意の流量に達成すると、例えば送風機27をオフにする及び/又は比例弁25を停止することにより、コントローラ24を誘発して流れ調節器26の作動を実質的に低減又は停止する、圧力制限である更なる安全閾値を適用するようにプログラミングされてもよい。この安全閾値は、約20cmH2O超の値、例えば約30cmH2O、約40cmH2O、約50cmH2O、又は約60cmH2O、又は約70cmH2Oなどの値であってもよい。一部の実施形態では、約60cmH2Oの安全閾値が好ましいことがあり、又は対応する流量に対する所定の圧力閾値を超える安全マージンとして計算された安全閾値が、正常予定領域若しくはシステム圧力の範囲を超える安全マージンとして使用され又は計算されてもよい。
【0228】
システム構成要素の流れに対する抵抗が測定され、計算され、及び/又は見積もられてもよく、呼吸支援システム22の全ての構成要素、任意に流れ調節器26の出口の下流の全ての構成要素の抵抗を含んでもよい。これにより、システム22の消耗品は、流れに対する抵抗の公差が厳しくなるように注意深く設計し、又は製造公差があまり厳しくないことを考慮して保守的な仮定を使用する必要がある。システム22の抵抗を知ることにより、呼吸支援システム22を横切る圧力差の見積もりにより、システム圧力から患者圧力を推測可能になる。呼吸システム22は、圧力センサ29及び流量センサ32から送達導管30内の抵抗の特性もリアルタイムで決定し、これを公知の抵抗と比較して、患者圧力の予想変動を低減し得る。圧力を確実にする現在の患者圧力を知ることにより、圧力限界曲線Cに従って制御することができ、その結果、呼吸システム22は、鼻カニューレ31への圧力/流れをより良好に制御することができる。実際に、コントローラ24は、以下に論じるように、領域64に対応する「過圧」領域におけるシステムの作動を避ける又は最小にするために、送風機27及びシステム22の他の構成要素を作動する。
【0229】
呼吸支援システム22の作動中、対応する流量に対する「正常」作動圧力値は、圧力限界曲線Cの下にあるように示されている。より詳細には、
図9及び10は、対応する流量で正常作動システム圧力に対応する領域58を示す。好都合なことに、正常作動帯域は、対応する流量に対する安全システム圧力の範囲を提供し、従って実際には臨床医が、送達導管202、折畳可能部204、マニホールド206、カニューレ200、及び患者にガスを送達するために必要な他の構成要素などのシステムの構成要素を、患者の気道に過圧を送達する危険及び気圧傷害又は他の傷害の危険を冒すことなく、安全に操作するための範囲を提供する「安全」帯域を提供する。
【0230】
図10は、圧力限界曲線Cが、患者に呼吸ガスを送達するためのシステムの作動を制御するのに使用するために画定され得る、制限作動領域60を示す。一部の実施形態では、コントローラは、コントローラのメモリ構成要素又はコントローラと作動可能に連結されたメモリ構成要素に記憶された関数を使用して、曲線Cの形状を計算する。こうして使用者がI/Oインターフェース20に入れた「設定点流量」を受信すると、コントローラは、必要な曲線Cの上限流量を画定し、下限圧力(これはシステムの作動制限として製造業者又は使用者によって画定されてもよい)を知ることにより、制限作動領域60内で曲線に適合するために関数を使用する。システム圧力が制限作動領域60内にあり、曲線Cの下にあるとコントローラ24が決定すると、コントローラ24は、システム構成要素の制御を直ちに変更して流れを低減するのではなく、むしろ現在の制御で流れを送達し続けることを許可することがある。制限作動領域60は、意図しないことがある、或いは臨床医が患者と相互作用し、及び/又は患者インターフェースを含む呼吸支援システムの様々な構成要素を患者の上に配置することにより、流れに一時的若しくは瞬間的な遮断若しくは制限をもたらす際に起きることがある、管内に屈曲が存在する度にコントローラ24が直ちに流量を低減するのを妨げることが望ましいことがある。この領域は、圧力限界曲線Cが正常作動領域のすぐ隣に画定されており、コントローラが使用することがある圧力閾値を提供するので、
図9及び11に示された実施形態には存在しない。
図9及び11の実施形態によって伝えられた制御パラメータは、流量が低減する前に送達導管202内に意図しない(又は故意の)一時的な遮断の程度を制限することが望ましいことがあるシナリオで利用されてもよい。
【0231】
圧力限界曲線Cの下、及び正常作動領域の下の領域は、不一致領域62である。この領域の作動は、送達導管が漏れる又はシステムの流れ発生構成要素から断線される場合、例えば送達導管がハウジング33から分離された場合に起きることがある。この不一致領域62内の流量及び圧力は、不一致又は意図しないシステム構成要素が使用された場合も起きることがある。この領域は、望ましくないことがある対応する流量に対する圧力も含むことがあり、そのような圧力は十分な又は意図した呼吸支援を達成しないことがある。一部の実施形態では、不一致/断線帯域62内の圧力をコントローラ24が検出すると、コントローラ24は、システムが不一致状態、例えばシステム22内に漏れ又は断線を意味する可能性がある状態を検出したことをシステムユーザに連通する、可視及び/又は可聴であり得る警報又は警告を鳴らすことがある。
【0232】
圧力限界曲線Cの上、及び
図10に示された制限作動領域60の上の領域は、過圧領域64と呼ばれる。安全閾値(
図11)を適用する実施形態では、この限界は、過圧領域64内に置かれてもよい。システム圧力が圧力限界曲線Cによって画定された閾値を超えるとコントローラ24が決定すると、コントローラ24は、システム圧力を目標圧力、例えば対応する流量で曲線Cによって画定された圧力値以下の圧力に下げるために、送風機速度を低減するように送風機27の制御を変えてもよい。別法として/追加として、コントローラ24は、システム内の圧力を下げるように比例弁25などの弁の作動を制御してもよい。一部の実施形態では、コントローラ24は、制限作動領域60内及び/又は圧力限界曲線Cより上で費やした時間を追跡するように構成されてもよく、呼吸システム22内の圧力が、特定の期間の後にこの領域に留まる場合、コントローラ24は、ガス送達導管内又はシステムの他の構成要素の遮断の可能性を使用者に警告するために、可聴及び/又は可視警報を誘発することがある。
【0233】
図10はまた、シグモイド圧力限界曲線Cにより圧力を一時的に増加することができ、その増加によりコントローラが圧力及び/又は流れを低減することはないことも示す。すなわち使用時に折畳可能部204の第1の構成では、正常作動圧力領域58内の公称(基準)システム圧力は、圧力限界曲線Cより第1の圧力マージンM1以上だけ低い。折畳可能部204の第2の構成では、正常作動圧力領域58内の公称(基準)システム圧力は、圧力限界曲線Cより第2の圧力マージンM2以上だけ低い。公称(基準)システム圧力は、正常作動圧力領域58の上限圧力であってもよい。第1の圧力マージンM1は、第2の圧力マージンM2より大きいことが
図10から見られる。すなわちシステム22は、システム22内の圧力変化の許容可能な変動を提供する。システム22が正常作動領域58にある時、流れが低い時より高い流れで正常システム圧力から許容可能な変動のより大きいマージンが存在する。折り畳んだ状態に対応することがある低い流れにおける緊密な圧力マージン、及び折り畳まない状態に対応することがある高い流れにおけるより大きいマージンは、著しい圧力及び/又は流量の変化がない場合、システム22の制御は、それらの領域で「折り畳んだ」又は「折り畳まない」状態のそれぞれに留まる。それに応じて、コントローラ24は、折畳可能部204が第2の(折り畳んだ)構成から第1の(折り畳まない)構成に遷移する、又は逆の時に必要であるので、制御の変更(例えば圧力制御から流量制御に、又は逆)を開始する前に、システム内の圧力が大きく変わる必要があり、遮断が実質的に解除される(流量制御への移行を誘発する)まで、又は遮断が一過性以上になる(圧力制御への移行を誘発する)まで、制御が変更されないことを保証する。
【0234】
図11のグラフを参照すると、正常作動圧力領域58内の呼吸支援システム22の作動中、コントローラ24は、呼吸ガス流を目標流量で、例えばI/Oインターフェース20を使用して臨床医などの使用者によって処方された設定点流量で提供するように流れ調節器26を制御するように構成される。システム圧力が、正常作動領域58内で圧力限界曲線Cによりその目標流量で画定された圧力値の下に留まる限り、コントローラ24は、ガス流をその目標流量で提供するように流れ調節器を制御する。このような状況で、コントローラは、流量制御モードである第1の制御モードであると考えてもよい。
図11に示された制御によれば、システム圧力が、圧力限界曲線Cによって画定された圧力値をその目標流量で満たす又は超えるとコントローラ24が決定した時に(例えば閉塞が起き始めた時に)、コントローラ24は、呼吸ガス流を圧力限界曲線Cによって画定された圧力値以下である目標圧力に調節するように流れ調節器26を制御するように構成される。このような状況で、コントローラは、圧力制御モードである第2の制御モードにあると考えてもよい。
図11の実施形態では、目標圧力は、圧力限界曲線Cに沿った圧力値を含む。閉塞が増加するにつれて(例えば折畳可能部204がより多く折り畳まれるにつれて)、システム内の呼吸ガス流の流量は低減し、低減した流量に対応する目標圧力も低減する。それに応じてコントローラ24は、閉塞の量が増加すると、圧力限界曲線Cに沿って呼吸ガス流を下方に調節するように流れ調節器26を制御する。
【0235】
感知圧力入力値が対応する流量に対する曲線の値に等しい時に、圧力限界曲線Cを「満たす」ので、コントローラ24がシステム圧力を同定するように構成されてもよい一方で、検知したシステム圧力が圧力限界曲線Cの値に「近似する」又は非常に近い、例えば曲線値の約10%以内、又は曲線値の約5%以内、又は曲線値の約3%以内、又は曲線値の約2%以内、又は曲線値の約1%以内である時に、制御の変更を起動するようにプログラミングもしてもよいことを理解されたい。一部の実施形態では、呼吸ガス流の流量は、徐々に低減されてもよく、最終的に0L/分に近づく(又は場合によっては達する)非常に低い流量に達することが可能である。これは呼吸システム22内の圧力を低減し、システム22内の圧力が圧力限界曲線Cを満たす又は超えるのを妨げることがある。
【0236】
一部の実施形態では、コントローラ24は、システム圧力を圧力限界曲線Cに又は圧力限界曲線Cに沿って維持するために、呼吸ガス流を制御するように流れ調節器26を制御する。システム圧力が対応する流量で圧力限界曲線Cに沿って圧力限界より下がる場合、コントローラ24は、目標圧力に達成するために呼吸ガス流を増加するように流れ調節器26を制御してもよい。この目標圧力は、圧力限界曲線Cに沿った圧力値であってもよい。この目標圧力は、圧力限界曲線Cに沿ったより高い目標圧力であってもよい。換言すると、閉塞が低減するにつれて、又は送風機が所与のシステム圧力に対する速度を増加させるにつれて、呼吸ガスの流量は増加し、圧力限界曲線Cに沿った対応する目標圧力が増加するので、コントローラは、閉塞が低減するにつれて、呼吸ガスの流量を圧力限界曲線Cに沿って上方に流量設定点に向かって調節するように流れ調節器26を制御する。目標圧力への制御は、目標流量が満たされた時、任意に目標流量が満たされ、システム圧力が圧力限界曲線Cに沿ってその目標流量で圧力値より低い場合の流量制御に切り替えられてもよい。呼吸ガス流の増加及び/又は低減は、連続的に増加及び/若しくは低減してもよく、又は段階的に増加及び/若しくは低減してもよい。
【0237】
圧力限界曲線Cは、システム構成要素を損傷する可能性がある安全でない患者圧力若しくはシステム圧力を送達することがある過圧事象又は状態を生じる、システム22内の制限流の見込みを回避又は低減するために、コントローラ24に指示を出すように工夫されている。述べたように、制限は、マスク300を付けた鼻カニューレ200の一部を供給若しくは形成する、折畳可能部204を折り畳むことによって意図的にもたらされることがあり、又は制限は、例えば送達導管の一部が裂ける、捻じれる、若しくは折れ曲がることにより偶発的にもたらされることがある。
図10及び13の圧力限界曲線Cの形状は、シグモイド又は「S字」形状を有する。シグモイド圧力限界曲線を利用する実施形態では、コントローラ24は、可変増加率又は可変減少率だけガスの流量を調節するように流れ調節器26を作動させてもよい。シグモイド圧力限界曲線Cは、低いシステム圧力を低い流れで提供し又は維持するように、コントローラ24が流れ調節器を制御することができる。これは、折畳可能部204を折り畳んだままにすることができるという意味で有益であり得る一方で、第2の構成にある時に折畳可能部を横切る圧力差又は著しい圧力差がある機会も最小にし、これは、そうでなければ残余流が折畳可能部204を通って患者に運ばれ、又は必要な呼吸支援の送達のためにカニューレの上にマスクを付けることは難しくなることがある。一部の実施形態では、圧力限界曲線Cは、第2の構成にある折畳可能部204を横切る残余流の公知の量又は量の範囲が、達成されるように画定されてもよい。例えば特定の量の残余流に達するために、第2の構成で折り畳み可能な部分204を横切る特定の量の圧力差を与えることにより。圧力閾値曲線Cの滑らかさは、滑らかな触覚フィードバックを、折畳可能部204及びマスク300を通して、システム圧力によって加えられる力が存在する場合はマスク300を通して、感じることができる使用者に提供する。
【0238】
しかし圧力閾値曲線Cは、全ての状況で種々の形状を有することがあるので、対応する流量に対して圧力制限以下でガスの送達を達成するように直接制御するために形状され、理想的には滑らかな制御を達成するために比較的滑らかであることを理解されたい(しかし段付曲線Cから生じた段付制御も、一部の実施形態では適合されてもよいが、これらは段の間に不安定性の制御を引き起こすことがある)。曲線Cの下の正常作動領域58は、システム22内の構成要素の流れに対する抵抗によって決定されてもよく、上に論じたように異なる製造公差が可能である。曲線Cのパラメータは、作動の嗜好によって異なってもよい。一部の実施形態では、ゼロ流におけるより高い圧力限界(y切片)は、第2の構成にある時に折畳可能部204を横切る残余流をより大きくさせることがある。他の実施形態では、ゼロ流における目標圧力は、0cmH2Oに近くても又は0cmH2Oであってもよい。別法として/追加として、高流量におけるより高い圧力限界(すなわち圧力限界曲線Cと領域58内の正常作動圧力との間の差がより大きい)は、コントローラ24が圧力を低減するように流れ調節器の制御を調節する前に、システム状態(例えばカニューレの折り畳み又は遮断の状態)におけるより多くの変形を収容してもよい。これは、目標流量における圧力限界曲線Cの圧力限界値が満たされ又は超える前に、システム圧力が上昇する許容範囲が大きくなる。一部の実施形態では、曲線Cは、最小及び最大作動圧力によって画定された制御端点の間が線形部であり又は線形部を含むことが可能である。しかし線形曲線Cを制御することにより、低い流れで第2の構成にある時に、折畳可能部204を横切る残余流が望ましくない量になることがある。別法として/追加として、曲線Cは、二次曲線部分である又は二次曲線部分を含むことが可能であるが、これは場合によっては、不注意な又は一時的な曲がり若しくは捻じれ、又は高いシステム圧力を引き起こす他の状態がある場合に、圧力閾値検出の偶発的な誘発を生じやすくなることがある。こうしてシグモイド又は他のS字形状曲線が、「制限」作動領域60と併せて、一部の実施形態では制御を誘導することが好ましいことがあると判定されてきた。
【0239】
図12は、ゼロ流で圧力曲線が公称圧力限界(曲線R)又はゼロ圧力限界(曲線S)を有することができることを示すグラフである。ゼロ流におけるゼロ圧力限界は、理論上はシステム内に遮断した又は折り畳んだ状態が存在する時にゼロ残余流を提供する。公称ゼロ流圧力限界(曲線R)が高いほど、折り畳んだ時に多くの残余流が生じることがある。一部の実施形態では、(例えば折畳可能部204が第2の状態にある時に)低い又はゼロ流で残余圧力の量が少ない状態でシステム22を作動することが望ましいことがある。そのような実施形態では、コントローラ24は、少量のシステム圧力が、ゼロ(又は低い)流れに維持されるように、例えば送風機27が非常に低い角速度に維持されるように、流れ調節器26の作動を制御して維持する。これは、折畳可能部204が第1の構成に向かって変わると、システム内及び患者への流れを取り戻す助けとなる利点を有する。具体的には、折畳可能部204が第2の構成から第1の構成に(すなわち閉塞が低減される)変わると、呼吸ガス流の流量は増加し、システム圧力は降下する。コントローラ24は、所与の増加した流量に対して、呼吸ガス流を新しい目標圧力に調節するように流れ調節器26を制御する。その新しい目標圧力に達成しようとする際に、呼吸ガス流の流量は、再度増加し、新しい目標圧力を提供する。
【0240】
それに応じて、コントローラ24は、流量設定点が満たされるまで、圧力限界曲線Cに沿って目標圧力に呼吸ガス流を調節するように流れ調節器26を制御し、その時点でコントローラ24は流量制御モードに切り替わる。しかしゼロ(又は低い流れ)における少量のシステム圧力により、折畳可能部204を横切る圧力差を生じることがあり、これは残余流をもたらすことがある。一部の用途では、残余流が望ましい。他の用途では、残余流は望ましくなく、そのような残余流は、圧力流グラフのy軸が原点(0,0)で交差するように圧力限界曲線を構成することにより、停止又は実質的に低減されることがあり、これは流れ調節器26の完全停止に対応するはずである。そのような実施形態では、システム内にいかなる流れもないことにより、コントローラ24を圧力制御(圧力誘導制御)及び/又は流れ制御(流れ誘導制御)モードで十分に作動するために、システム内の圧力及び/又は流れに変更があったかどうかをコントローラ24が判定することが不可能になることがある。それに応じて、コントローラ24は、閉塞又は遮断(例えば折畳可能部204が第2の構成にあることに起因して起きる)が除かれたことを示す、システム圧力に変化があったかどうかを判定するために、「試験パルス」に対応する流れの短いバースト又はパルスを送達するように、流れ調節器26を制御するように構成されてもよい。試験パルスがシステム圧力の上昇のみをもたらす(流量の増加はごくわずか)場合、コントローラは、閉塞又は遮断が残っており、圧力誘導制御(若しくは試験パルスを除いた流れ調節器の作動停止)は続けるべきであると決定する。遮断が除かれていない場合に、より規則的な(若しくはより長い)パルスが残余流を増加させ得ることを認識して、試験パルス間の持続時間は、予めプログラミングされ及び/又は作動要求に応じて変更されてもよい。逆に、パルス間の持続時間が長い場合、残余流は大幅に低減されることがあるが、コントローラは、試験パルスが起きるまでシステム圧力の低減が検出できないので、十分な応答をしないことがある。コントローラが試験パルスに応答して流れの増加を検出する場合、遮断が除かれており、速度を増すために流れ調節器の制御を調節し、それによってシステムの流れ及び/又は圧力を増加することを決定することがある。
【0241】
一例では、コントローラ24は、システム22の呼吸ガス流の圧力及び/又は流量を示すサンプルデータを連続して又は周期的に受信し、受信したデータを圧力限界曲線Cから獲得した値と比較する。理想的には、コントローラ24は、システム内の圧力が曲線Cに沿った値に対応する目標圧力を超えないことを条件として、流量設定点に対応する目標流量を達成するよう模索する。コントローラ24は、受信した圧力値に応じて流れ調節器26を制御してもよい。例えば受信した圧力値が、システム圧力が対応する流量に対する曲線Cの値を満たす又は超えることを示す場合、コントローラ24は、対応する流量(すなわち圧力誘導制御)に対する曲線Cの値以下であるシステム圧力に達成するようにシステムを制御する。別法として、受信した圧力値が、システム圧力が曲線Cの値を満たさない又は超えないことを示すと、コントローラは、目標流量(すなわち流量誘導制御)に達成するようにシステムを制御する。例として、コントローラ24は、患者に提供される呼吸ガス流を低減又は停止するように流れ調節器26を制御することにより、対応する流量に対する圧力限界曲線Cの値を超える受信した圧力に応答して、呼吸ガス流を低減するようにシステム22の作動を調節してもよい。別法として又は追加として、コントローラは、システムの圧力を低減するように比例弁25を作動させてもよい。逆に、コントローラは、対応する流量に対する圧力限界曲線Cを超えない圧力に応答して、呼吸ガス流を増加させるように流れ調節器26(及び任意に比例弁25)を制御することにより、対応する流量に対する圧力限界曲線Cの値を超えない受信した圧力に応答して、呼吸ガス流を増加させるようにシステム22の作動を調節することがある。
【0242】
コントローラ24が、受信した圧力は圧力限界曲線Cを超えないことを決定し、コントローラ24が、目標流量と測定された流量との間の差を決定する場合、コントローラ24は、次いで送風機27のモータ速度を増減し及び/又は比例弁25を開閉するために、デジタル通信インターフェースにより、又は供給電圧若しくは電流を調節することなどにより、命令を出力できる。制御は、二進的(例えば送風機のオン/オフの切り替え)又は連続的に、例えば送風機及び/又は比例弁への供給電圧又は電流を制御することにより、差異に基づいて送風機の角速度及び弁の開口度を修正することができる。感知圧力値が圧力限界曲線Cを満たす又は超える場合、コントローラ24は、低減の設定量、設定速度、低減の可変速度、又は圧力に基づいたPID制御若しくは先に記載されたものなどを使用することにより、送風機への供給電圧又は電流を低減してもよい。送風機の角速度は、感知圧力値が圧力限界曲線C以下になるまで、又は流閾値に達成するまで、フィードバック制御を反復する度に低減されてもよい。これは、遮断状態を示すことがある。送風機の角速度は、一定速度又は可変速度で低減されてもよい。
【0243】
図13は、わかりやすくするためにオフセット圧力の特徴付けにおけるシグモイド圧力限界曲線Cの例を示す。
図13は、正常化されたシステム圧力、及び低い流れ(例えば1cmH2O)の圧力閾値が、高い流れ(例えば20cmH
2O)の圧力閾値とどれほど異なるかを示す。シグモイド形状の圧力限界曲線Cは、正常状態の鼻カニューレ31に対応する第1の圧力領域66、折り畳んだ状態の鼻カニューレ31に対応する第2の圧力領域68、又はシステム22若しくは送達導管30の流れの何らかの他の制限を有する。シグモイド形状の圧力限界曲線Cは、第1の圧力領域66と第2の圧力領域68との間に配列された、破線69によって示された遷移領域を有する。第1の圧力領域66は、圧力限界曲線Cの第2の圧力領域68に実質的に平行である。第1の圧力領域66及び第2の圧力領域68は、それぞれの領域内の対応する流量に対する圧力閾値に対応する。遷移領域は、必要な作動パラメータに従って決定されてもよく、典型的には低流のより広い範囲で低圧閾値の利点、又は高流のより広い範囲で高圧閾値の利点を享受するのが好ましいかの間のトレードオフによって決定される。滑らかな「S」字形遷移によって連結されることにより、より滑らかな制御を提供し、圧力遷移が一瞬のステップであった場合に、システムに生じることがある振動及び/又は不安定性を回避する。2つの圧力領域は、圧力限界曲線Cに関連して記載されたが、追加の圧力領域が提供されてもよいことを理解されたい。
【0244】
圧力限界曲線の遷移領域69は、呼吸ガス流の制御の最高増加/低減率を表し、正常作動中に流量設定点(すなわち目標流量)より少ない遷移流量を中心にする。すなわちコントローラ24は、感知圧力及び流量が、圧力限界曲線の遷移領域69内にあり、感知圧力が、対応する流量に対する圧力限界曲線Cを超える時に、呼吸ガス流を最大減少率で減少するように流れ調節器26を制御するように構成される。一例では、システム22は、この遷移領域69にある時に、患者気道圧力が安全限界を超えるのを防ぎ、例えば鼻カニューレ200がバッグマスク換気のために折り畳まれている時に流れを低減する(理想的にゼロ付近に下がる)。
【0245】
述べたように、遷移領域の流量と目標流量との間の差は、システム圧力の一時的な増加を可能にし、圧力増加の原因が一時的制限であり、一時的圧力増加が直ちに取り除かれる場合に備えて、コントローラ24は、遷移流量に近づくまで呼吸ガス流を初期最小低減率で低減することができる。
【0246】
図14は、システムで経験する流れに対する抵抗が増加するにつれて、例えば臨床医がカニューレの上に付けたマスクに加える圧力が増加するにつれて(又はシステム内に別の型の遮断の増加がある時に)、圧力と流量との間の変化する関係を示すために提供されたグラフである。臨床医がマスクを押し下げると、カニューレは折り畳みを開始し、システム内の流れに対する抵抗は増加し、システム圧力の増加として検出される。流れに対する抵抗の増加は、R1~R4の増加する傾斜を有する破線として、
図14に表されており、R1はグラフの最低抵抗を表し、R4は最高抵抗を表す。これらは、所与の流量に対して、カニューレを折り畳むことにより流れに対する抵抗が増加することによって、システム圧力が増加し、流れに対する抵抗が十分に高い状態で(例えばカニューレが完全に折り畳まれ)、システム圧力は圧力限界曲線Cと交差することを実証する。より高い抵抗は、交点P1、P2及びP3によって示されたように、圧力限界曲線Cのより下方で曲線を横切る。P3は、低い圧力及び流れで圧力限界曲線Cを容易に交差する流れ(R4曲線)に対する高い抵抗を有する、完全に或いはほぼ完全に折り畳まれたカニューレ(又は別の種類の完全な若しくはほぼ完全な遮断)に対応する。
【0247】
一部の実施形態では、システム22が遮断に遭遇している、又は折畳可能部が第2の状態にあるとコントローラ24が決定すると、折畳状態68(
図13)に達しており、コントローラ24は、流れを低減するように流れ調節器26を制御する。コントローラ24は、折畳可能部が折畳状態にあり、及び/又は麻酔剤の送達が始まることがあることを示すために、I/Oデバイス20又はあらゆる他のシステム構成要素により、可視又は可聴警報などの出力を提供するように更に構成されてもよい。この出力は、一部の実施形態では、麻酔器に提供された制御信号を含んでもよい。患者に提供される流れが実質的に低減されない場合に、これらの流れは麻酔剤を薄めることができるので、麻酔剤が鼻カニューレ200の上のマスク300を通した吸入を介して送達される場合に、これは有利であり得る。
【0248】
述べたように、
図10は、シグモイド圧力限界曲線Cが画定されることがあり、コントローラ24が流れ調節器26の制御を変える前に、圧力の一時的増加が起き得る制限領域60を示す。圧力のこの一時的増加は、例えば呼吸システム22の管を意図せず折り曲げることに起因して起きることがある。一部の実施形態では、圧力限界曲線Cは、より低圧で流れを最小にし、流れを流量設定点に急速に増加させることなく、鼻カニューレ200の上のマスク300を動かすことができるために、予期された正常圧力にできる限り近づけるように設定してもよい。
【0249】
圧力限界曲線Cは、シグモイド形状に限定されないことが認識されよう。しかしシグモイド形状は、2つの領域の間を瞬時にジャンプすることなく2つの圧力領域の間の圧力を素早く遷移できる。瞬時にジャンプすることは、この切れ目が呼吸システム22の制御に不安定性をもたらす可能性があるので理想的ではないことがある。例えばコントローラ24からの出力(例えば送風機速度制御パラメータ)は、遷移領域内の圧力及び流れの変化の瞬間速度と対応して大きく変化するはずであり、コントローラ出力のこの瞬時の変化率は不安定性をもたらす。
【0250】
図13を再度参照すると、呼吸システム22が正常作動領域66内で作動可能である一方で、シグモイド圧力限界曲線Cの遷移領域69のより近くで作動する時に、呼吸システム22は、圧力状態(すなわち正常作動圧力に対してより高い圧力オフセットに対するより低い圧力オフセット)の間でより迅速に遷移することがある。先に言及したように、依然として圧力の素早い遷移が可能である、「Z」字形曲線などの異なる全体形状の曲線が想像される。「Z」字形曲線により、圧力限界曲線を折り畳まない状態及び折り畳んだ状態で「平坦」(圧力限界で安定する)にすることができる。
【0251】
図15は、
図9~14の圧力限界曲線を参照した呼吸システム22の作動状態の状態図である。呼吸システム22の作動の正常状態から、正常状態は、不一致/断線状態に遷移することがある。不一致/断線状態では、コントローラは、目標流量/設定点に近づくために呼吸ガス流を増加させることがあるが、感知圧力は予期した値を満たすことはないので、コントローラ24は、呼吸システム22の使用者に警報を誘発してもよく、及び/又はコントローラは、流れを低減若しくは停止するために流れ調節器26若しくは比例弁25を作動してもよい。
【0252】
正常状態は、システム圧力が例えば対応する流量に対する圧力限界曲線Cを満たす(が超えない)制限状態に遷移することもある。すなわち一部の実施形態では、感知圧力が所与の流量に対する圧力限界曲線Cにある時に、コントローラは、圧力限界に留める又はそれより低く戻すように圧力誘導制御を始める。他の実施形態では、コントローラは、感知圧力が圧力限界曲線Cを満たす又は超えると、送風機の速度を低減し又は流れ調節器の比例弁の開口度を下げてもよい。別法として、コントローラ24は、圧力誘導制御に留まるが、目標流量をより低い設定点に変えてもよい。例えば圧力が圧力限界曲線を満たす又は超えると、コントローラは、操作者によって定められた例えば70L/分の目標流量に優先し、例えば20L/分のより低い設定点で新しい目標流量を設定してもよい。コントローラ24が、システム圧力が圧力限界より低く降下したと決定すると、コントローラは、次いで流れ誘導制御に切り替え、流量設定点を(徐々に)満たすために、送風機の速度を増加させ、又は流れ調節器の比例弁の開口度を増加させてもよい。コントローラ24は、周期的又は連続してシステム圧力を確認し、システム圧力が圧力限界より低く低減されていない場合、上に論じた流れ調節器パラメータを維持し又は更に低減させてもよい。低減した送風機の速度は、例えば送風機の角速度を低減させるために、流れ調節器への制御信号又は供給電流(若しくは電圧)を低減することによって達成されてもよい。別法として/追加として、コントローラは、流れを低減するように比例弁の作動を制御してもよい。他の実施形態では、コントローラ24は、システム圧力を周期的又は連続的に決定するより、むしろ流量入力により、システムがより低い流量設定点で動作していることが一旦確立された時だけ、現在のシステム圧力を決定するように構成されてもよい。
【0253】
正常状態では、コントローラは、鼻カニューレ200を通って患者に目標流量(設定点流量とも呼ばれる)を送達するように流れ調節器26を制御してもよい。コントローラ24は、偶発的又は不必要な圧力、及び/又はシステム圧力の瞬間的若しくは一時的な変化に応答して起きる流れを制限する事象を最小にするために、流れ誘導制御と圧力誘導制御との間を切り替えることなく、制限状態での作動を可能にするように呼吸システム22を制御してもよい。これにより呼吸システム22の使用者が、回路を動かすこと/折り曲げること、患者が呼吸しているかどうかを確認すること、頭部を動かすこと、できる限り患者を覚醒させること、鼻光ファイバ挿管を行うこと、その他をできることにより、いずれかに記載された過圧状態に遷移させることなく、呼吸システム22を扱う通常の作業をより自由に行うことができる。圧力限界曲線Cは、一部の実施形態では、患者の安全を確保しながら、できる限り高くなるように設定される。
【0254】
感知圧力が対応する流量で圧力限界曲線Cとの交差を増加すると、制限状態は過圧状態に遷移する。過圧状態では、コントローラ24は、上記のように呼吸ガス流を低減若しくは停止し、並びに/又はこの状態が延長した期間起きる場合に可聴及び/若しくは可視の警報を誘発するように、流れ調節器26若しくは比例弁25を制御するように構成される。理想的には過圧状態への遷移により、コントローラを圧力誘導制御に遷移させ、一部の実施形態では、コントローラは、コントローラが圧力誘導制御モードにある間、又は圧力誘導制御が、予めプログラミングされた持続時間、又は呼吸支援が患者に提供された期間の予めプログラミングされた割合より長く持続する場合、警報を鳴らすように構成されてもよい。過圧状態にある間に1つ又は複数の警告又は警報の誘発が、患者に送達された流れがあるかどうか、及び/又は目標流量のどの位の率(例えば90%)が達成されるかなどの他のパラメータにも起きることがある。
【0255】
一部の実施形態では、コントローラは、優先した情報又は注意を使用者に伝える警報システムを提供するように構成される。例えば第1の可視及び/又は可聴警告は、赤色でより高い音量及び/又は最高優先を示す連続音であってもよく、第2の可視及び/又は可聴警告は、オレンジ色でより低い音量及び/又は第2の優先を示すパルス音であってもよく、第3の可視及び/又は可聴警告は、緑色(若しくは黄色若しくは白色その他)及び/又は第3の優先を示すより低いパルス周波数のパルス音、以下同様であってもよい。可視警告は、I/Oインターフェース20により、若しくはLEDにより、又はハウジング33上若しくは例えば使用者の便宜のためにIVポール、ベッドレール、若しくは使用者に取り付け可能な、ハウジングから離れて置かれてもよい構成要素上に提供された同種のものによって提供されてもよい。様々な優先は、(患者の看護の要件に基づいて)警告の異なる優先度を有する様々なシステム状態に対応してもよい。警告は、コントローラ24によって、又はデバイスが電力を受領すると、常に点灯する少なくとも1つのLEDがあることを確実にするために、複数レベルの輝度のLED(例えば薄暗い及び最も明るい)を提供し若しくは可能にするように構成されることがある、安全なマイクロコントローラなどの、システムコントローラ/マイクロコントローラのあらゆる組合せによって発生されてもよい。これにより、システムのいかなる不良(例えばLEDを駆動するマイクロコントローラのクラッシュ)も、システム全体がオフであることを誤って示さないことを確実にする。この配置では、警告LEDは、デバイスへの電力が完全に断線した時のみ完全に消される。
【0256】
尚更なる実施形態では、コントローラは、システムが圧力限界曲線C上で作動している場所に従って、異なる警告を提供するように構成されてもよい。例として、コントローラ24は、遮断がシステムに導かれることにより、システム圧力が目標流量で又は目標流量付近で圧力限界曲線を満たし又は超え、コントローラ24を圧力誘導制御(
図9のX参照)に切り替えるように誘発すると、I/Oインターフェース20から例えば1秒当たり5ビープ音からなる第1の可聴警告を発するように構成されてもよい。別法として/追加として、コントローラ24は、システム圧力が圧力限界曲線Cを進む(
図9のYに向かい、Yを通過する)時に、I/Oインターフェース20から例えば1秒当たり3ビープ音からなる第2の可聴警告を発するように構成されてもよく、例えば1秒当たり1ビープ音からなる第3の可聴警告は、システム圧力及び/又は流れが尚更に低減された時に(
図9のZ参照)発せられてもよい。この例に提供されたビープ速度は、臨床医に有益なフィードバック、例えば折畳可能部204が完全に折り畳まれているかどうかを提供する、システムの異なる作動状態を代表する異なる警告音(又は可視合図)の有効性を示すためのみに提案される。これら及び他の警告は、I/Oインターフェース20及び/又は上記のようなシステムハウジング33から離れて置かれることがある他の構成要素を作動する、コントローラによって可聴に又は可視に提供されてもよいことを理解されたい。
【0257】
正常又は制限状態から遷移されることがある呼吸システム22の更なる状態が遮断される。遮断状態は、感知流量が例えば2L/分の閾値に達し、又は0L/分に達した時、及びシステム圧力が、対応する流量に対して圧力限界曲線C以上である時に、制限又は正常状態から遷移される。一部の実施形態では、遮断状態にある時に、コントローラ24は、0cmH2O(これは圧力限界曲線Cがy切片と交差する場所である)を超える目標圧力に呼吸ガス流(これは0L/分であってもよい)を調節するように、流れ調節器26を制御する。それ故にこのような実施形態では、ゼロ又は実質的に低い流量でシステム圧力が存在する。システム内の閉塞又は遮断が取り除かれると、システム圧力は低減し、呼吸ガス流の流量は増加する。コントローラ24は、従ってより高い流量に対応する新しいより高い目標圧力に呼吸ガス流を調節するように流れ調節器26を制御する。流れ調節器26が呼吸ガス流の圧力を増加するにつれて、流量は、それに応じて増加し、新しいより高い流量に対応する新しい目標圧力を確立する新しいより高い流量をもたらす。それに応じて、流れ調節器26は、流量設定点が満たされるまで、呼吸ガス流を増加する目標圧力に調節するように構成され、その後、コントローラ24は、流れ誘導制御に切り替わる。加えて又は別法で、感知圧力及び流量が、鼻カニューレ31が折り畳まれてバッグマスク換気が起きたことを示す時に一致する、圧力波形に対応するかどうかを、コントローラ24が決定する。このことが決定されない場合、コントローラ24は、流れを増加し続け、第1の構成に戻ってもよい。
【0258】
図16は、本開示の例による、呼吸システム22の作動制御の高レベルの概略図である。示された例では、コントローラ24は、流量制御出力を提供する流量コントローラ、及びコントローラ24の別個のモジュールとして作動する、圧力制御出力を提供する圧力コントローラを提供すると考えられてもよい。流量コントローラは、入力として流れ設定点(これは目標流量であってもよい)及び感知流量(流れ測定値)を使用し、圧力コントローラは、入力として対応する測定された流量に対する圧力限界曲線Cから計算された圧力設定点及び感知圧力(圧力測定値)を使用する。これらの圧力及び流量コントローラを同時に実施するコントローラ24は、こうして圧力誘導制御及び流れ誘導制御を呼吸システム22に提供することができる。圧力誘導又は流れ誘導制御モードのいずれかの制御の変化は、例えば送風機の角速度の変更を達成するために流れ調節器の制御を変えること、及び/又は流量の必要な増減を達成するために供給電流又は電圧を変更することにより、比例弁の制御を変えることによって達成されてもよい。述べたように、所定の圧力閾値及び曲線Cによって表された対応する流量は、コントローラ24のメモリ構成要素又はコントローラ24と作動可能に連結されたメモリ構成要素に記憶され、関数、曲線、ルックアップテーブル若しくはアルゴリズム又は同種のものなどの1つ又は複数のあらゆる適切な形で表され得る。制御を実施するために、コントローラ24は、流れ調節器/送風機又は比例弁を制御するために、流れ制御システム及び圧力制御システムによって決定された最小制御値を選択する。
【0259】
次に
図17を参照すると、呼吸ガス流を患者に提供するために、本開示の実施形態による呼吸支援システム22を作動する方法70における概略的ステップを示す。ステップ71では、呼吸ガス流は、呼吸支援システム22で患者に提供され、これは目標流量であってもよい。これは、典型的には患者インターフェースを患者に加えることに関与し、患者は、呼吸支援システムのコントローラの制御を受けて、呼吸支援システムの流源から呼吸ガス流を受領する。ステップ72では、コントローラは、流れ調節器の下流のガス圧力に対応するシステム圧力を決定する。システム圧力は、典型的には呼吸システム内の呼吸ガス流の圧力を決定するように構成された1つ又は複数の圧力センサなどの、1つ又は複数のセンサを使用して決定されるが、他の実施形態では、システム圧力が測定され、コントローラと作動可能に連通する入力/出力インターフェースを使用して、値を入れる操作者などにより手動手段によりコントローラに提供されてもよい。ステップ73では、コントローラは、システム内の呼吸ガス流の流量を示す入力を受信する。典型的には、流量は、1つ又は複数の流量センサなどの1つ又は複数のセンサによって測定される。ステップ74では、コントローラは、ステップ72で決定されたシステム圧力を、呼吸支援システムが作動されることがある対応する流量に対して予め決定された圧力閾値と比較する。具体的には、コントローラは、ステップ72で決定されたシステム圧力を、対応する目標流量に対する圧力閾値と比較する。圧力閾値は、コントローラのメモリ構成要素又はコントローラと作動可能に連結されたメモリ構成要素に記憶され、関数、曲線、ルックアップテーブル若しくはアルゴリズム又は同種のものなどの1つ又は複数のあらゆる適切な形で表され得る。一部の実施形態では、メモリ構成要素は、本明細書に記載されたようにコントローラが必要な制御を行わせるためのプログラム命令を含有する、コンピュータ可読媒体(例えばディスク、ハードドライブ、USB、光ドライブ、又は他のデータ記憶装置)を含んでもよい。ステップ75では、コントローラは、ステップ74でコントローラによって決定されたように、目標流量で圧力閾値を満たす若しくは超える、又は満たさない若しくは超えないシステム圧力に応答して、呼吸ガス流を維持し、増加し、又は低減するように、流れ調節器などの呼吸支援システムの構成要素を制御する。ステップ74における比較により、圧力閾値が目標流量を満たす又は超えると決定する実施形態では、コントローラは、コントローラがシステムの流れ及び/又は圧力を低減するようにシステム構成要素の作動を制御する、圧力誘導制御モード(
図15)に切り替えてもよい。別法として、コントローラは、流れ誘導制御モードに留まるが、目標流量をより低い設定点に変えてもよい。ステップ74における比較により、圧力が圧力閾値より低下しており、目標流量に達成していると決定する実施形態では、コントローラは、流れ誘導制御モード(
図15)に切り替える。ステップ74における比較により、圧力が圧力閾値より低下しているが、目標流量に達成していないと決定する実施形態では、コントローラは、コントローラが流れ調節器を目標圧力に制御する圧力誘導モードに留まってもよい。
【0260】
様々な修正、追加及び/又は代替が、本明細書に添付された特許請求の範囲に定義されたように、本発明の範囲から逸脱することなく、先に記載された部分に行われてもよいことを理解されたい。
【0261】
本発明は、前記部分、要素若しくは特徴の複数の任意の又は全ての組合せにおいて、個々に又は集合的に、本出願の詳細に言及され又は示された部分、要素、及び特徴から広く構成されると言ってもよい。前述の説明において、それらの公知の等価物を有する整数又は構成要素を参照した場合、それらの整数は個々に説明されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0262】
任意の又は全ての用語「comprise(含む)」、「comprises(含む)」、「comprised(含む)」、又は「comprising(含む)」が、本明細書(特許請求の範囲を含む)に使用される場合、それらの用語は、明記された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を規定すると解釈されるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、若しくは構成要素又はそれらの群の存在を排除しない。
【0263】
以下の特許請求の範囲は、例のみとして提供され、将来主張され得るものの範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。特徴は、1つ又は複数の本発明を更に画定し又は再画定するように、後日特許請求の範囲に追加され又は割愛されてもよい。
【国際調査報告】