(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】車載充電装置を保護する方法および回路
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231227BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20231227BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231227BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20231227BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 P
B60L3/00 H
B60L53/14
B60L53/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537520
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2021061823
(87)【国際公開番号】W WO2022137035
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020000031664
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514132486
【氏名又は名称】エルドル コーポレイション エセ.ペー.アー.
【住所又は居所原語表記】Via Don Paolo Berra 18, 22030 Orsenigo (Como),Italy
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(72)【発明者】
【氏名】フォルテ,パスクアレ
(72)【発明者】
【氏名】ポーリ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ベルティノ,フランチェスコ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503FA14
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE51
(57)【要約】
車載充電装置(100)を保護する方法であって、グリッドからの相電圧および中性点電圧を検出するステップと、補償回路(106)によって生成される補償電流を表す電流信号を検出するステップと、同極電圧信号を得るために相電圧を結合させるステップと、第1の矩形電流波および第2の矩形電圧波を得るために電流信号と同極電圧信号を二乗するステップと、第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成するように、第1の矩形波および第2の矩形波を結合させるステップと、第1の値を有する出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する電圧を生成するステップと、電圧の値を限界値と比較するステップと、電圧の値が限界値を超える場合に警報信号を生成するステップと、を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載充電装置(100)を保護する方法であって、
前記充電装置(100)は、グリッド(G)に接続するためのソケットと、前記グリッド(G)によってもたらされる交流をバッテリパック(105)を充電するために使用可能な直流に変換するように構成されたコンバータアセンブリ(104)と、アースに向かって流れる1つまたは複数の漏れ電流と等しく且つ逆方向の補償電流(Icomp)を生成するように構成された補償回路(106)とを備え、前記方法は、
-前記グリッド(G)からの相電圧および中性点電圧を検出するステップと、
-前記補償回路(106)によって生成される前記補償電流(Icomp)を表す電流信号を検出するステップと、
-同極電圧信号を得るために前記相電圧を結合させるステップと、
-第1の矩形電流波および第2の矩形電圧波を得るために前記電流信号と同極電圧信号を二乗するステップと、
-前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成するように、前記第1の矩形波および第2の矩形波を結合させるステップと、
-前記第1の値を有する前記出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する第1の電圧を生成するステップと、
-前記第1の電圧の値を限界値と比較するステップと、
-前記第1の電圧の前記値が前記限界値を超える場合に警報信号を生成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1の矩形波および第2の矩形波を結合させる前記ステップは、前記第1の矩形波および第2の矩形波を共に乗算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電圧を生成する前記ステップは、コンデンサ(9)を充電することによって実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記警報信号の生成に続いて、前記補償回路(106)を無効にするステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
車載充電装置(100)を保護する回路であって、
前記充電装置(100)は、グリッド(G)に接続するためのソケットと、前記グリッド(G)によってもたらされる交流をバッテリパック(105)を充電するために使用可能な直流に変換するように構成されたコンバータアセンブリ(104)と、アースに向かって流れる1つまたは複数の漏れ電流と等しく且つ逆方向の補償電流(Icomp)を生成するように構成された補償回路(106)とを備え、前記装置は、
-前記グリッド(G)の相電圧(L1、L2、L3)および中性点電圧(N)を表す信号を入力として受信し、同極電圧信号を出力として生成するように構成された加算ネットワーク(2)と、
-前記補償電流を表す電流信号(Icomp)を検出する素子と、
-前記同極電圧信号および前記電流信号を入力として受信し、前記同極電圧信号を表す第1の矩形波および前記電流信号を表す第2の矩形波を生成するように構成された変換ステージ(3)と、
-前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成するように、前記第1の矩形波および第2の矩形波を結合させるように構成された結合ステージ(6)と、
-前記結合ステージ(6)の下流に動作可能に配置され且つ前記第1の値を有する前記出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する第1の電圧を生成するように構成された充電モジュール(7)と、
-前記第1の電圧の値を限界値と比較し、前記第1の電圧の前記値が前記限界値を超える場合に警報信号を生成するように構成された比較器要素(10)と、を備える回路。
【請求項6】
前記変換ステージ(3)は、それぞれ前記第1の矩形波および第2の矩形波を生成するように構成された第1の変換モジュール(4)および第2の変換モジュール(5)を備える、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記第1の変換モジュール(4)および前記第2の変換モジュール(5)は各々、対応する前記同極電圧信号または電流信号を入力として受信し、前記信号の符号を表す矩形波を生成するように構成された比較器によって規定される、請求項6に記載の回路。
【請求項8】
前記結合ステージ(6)は、乗算器によって少なくとも部分的に規定される、請求項5から7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
前記充電モジュール(7)は、互いに直列の抵抗器(8)およびコンデンサ(9)を有する回路によって規定される、請求項5から8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
車載充電装置(100)であって、
-グリッド(G)に接続するためのソケット(101)と、
-前記グリッド(G)によってもたらされる交流をバッテリパック(105)を再充電するために使用可能な直流に変換するように構成されたコンバータアセンブリ(104)と、
-アース(PE)に向かって流れる漏れ電流と等しく且つ逆方向の補償電流を生成するように構成された補償回路(106)と
-前記漏れ電流内で関連する抵抗成分が検出される場合に警報信号を生成するように構成された、保護モジュール(107)を備えたマイクロコントローラと、
-前記保護モジュール(107)と並列に配置された、請求項5から9のいずれか一項に記載の保護回路(1)と、
-前記モジュール(107)および保護回路(1)に接続され且つ前記モジュール(107)および前記保護回路(1)によって生成される警報信号がない場合にのみ、前記補償回路(106)に対するイネーブル信号を生成するように構成された少なくとも1つのイネーブルノード(108)と、を備える車載充電装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載充電装置を保護する方法および回路に関する。
【0002】
したがって、本発明は、自動車分野、特に車載電池用の充電システムの設計および構築に主に適用される。
【背景技術】
【0003】
実際、電気自動車の分野では、バッテリパックの充電モードは、車載充電器と地上充電器という2つの異なるそれぞれのマクロカテゴリに分類される。
【0004】
「車載充電器」は、その名前が示すとおり、車両に組み込まれており、グリッドからの交流をバッテリパックの再充電に必要な直流に変換するために必要なすべての電源および制御電子機器を含む。
【0005】
一方、「地上」充電器は、車両に直流を供給することにより変換を直接もたらす通常の「コラム」またはウォールボックスである。
【0006】
したがって、車載タイプのバッテリ充電器には、ユーザの安全の観点から重大な問題があり、当該バッテリ充電器は、適切な保護システムを装備しなければならないと思われる。当該バッテリ充電器は、グリッドによってもたらされる交流を管理し且つ高電圧バッテリを再充電するために当該交流を直流に変換しなければならないからである。
【0007】
これは、非絶縁タイプの車載充電システムの構築において極めて重要であり、当該システムでは、バッテリ充電器が交流配線のコンセントとの直接電気接続を有し、ひいてはアースへの回路を閉じることができる真のメッシュを規定する。
【0008】
これらのタイプのバッテリ充電器では、コンバータブロック内の電子部品の連続的な切り替えであって、バッテリコンデンサの電圧を実際に変化させ、その結果、アースへの電流漏れを発生させる切り替えによって発生する漏れ電流の補償という問題が現れた。
【0009】
三相システムでは、これらの電流は100mA RMSを超え、多くの場合150mARMSに近い振幅レベルに達するので、回路ブレーカまたは差動スイッチの介入を避けるためにそれを補償する必要がある。
【0010】
このため、充電装置内には、バッテリコンデンサを介してアースに流れる電流と等しく且つ逆方向の電流を生成するように構成された補償回路が挿入されている。
【0011】
不利なことに、このことは、バッテリ充電器と車両シャーシとの間の絶縁損失が存在する場合にも補償回路が介入するおそれがあり、そのうえ差動スイッチを「欺いて」当該差動スイッチが作動することを妨げる可能性と関連している重大な安全上の問題を引き起こした。
【0012】
この欠点を克服するために、ソフトウェアシステムであって、マイクロコントローラによって管理され且つ当該システム内を流れる電流が容量型であり、したがって、コンデンサを流れ且つひいては補償されるべきものである場合と、電流が抵抗型であり、したがって、危険である(すなわち、人体または別の抵抗を流れる電流である)場合とを区別できるソフトウェアシステムが開発されてきた。
【0013】
しかしながら、これらは電気自動車において非常に重要な安全システムであるので、出願人は、システムのそのような重要な点に純粋にソフトウェアレベルの安全性が存在するだけでは不十分である可能性があることに気付いた。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上述の欠点を克服することができる、車載充電装置を保護する方法および回路を提供することである。
【0015】
特に、本発明の目的は、信頼性が高く且つ実装または製造が簡単である、車載充電装置を保護する方法および回路を提供することである。
【0016】
前記目的は、後続の特許請求の範囲の請求項の1つまたは複数の特徴を有する、車載充電装置を保護する方法および回路によって達成される。
【0017】
特に、本方法は、グリッドからもたらされる相電圧および中性点電圧を検出することと、補償回路によって生成される前記補償電流を表す電流信号を検出することとを含む。
【0018】
好ましくは、相電圧は、したがって、同極電圧信号を得るために結合される。
【0019】
好ましくは、電流信号および同極電圧信号は、第1の矩形電流波および第2の矩形電圧波を得るために二乗される。
【0020】
好ましくは、第1の矩形波および第2の矩形波は、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成するように結合される。
【0021】
したがって、好ましくは、前記第1の値を有する出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する第1の電圧が生成される。
【0022】
前記第1の電圧の値は限界値と比較され、前記第1の電圧の値が前記限界値を超える場合に警報信号が生成される。
【0023】
本発明のさらなる目的は、充電装置を保護する回路を提供することである。
【0024】
本回路は、グリッドの相電圧および中性点電圧を表す信号を入力として受信し、同極電圧信号を出力として返すように構成された加算ネットワークを備える。
【0025】
好ましくは、補償電流を表す電流信号を検出するための素子が設けられる。
【0026】
さらに、好ましくは、前記同極電圧信号および前記電流信号を入力として受信し、前記同極電圧信号を表す第1の矩形波と前記電流信号を表す第2の矩形波とを生成するように構成された変換ステージが設けられる。
【0027】
結合ステージは、変換ステージの下流に位置し且つ第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成するように、第1の矩形波および第2の矩形波を共に結合するように構成される。
【0028】
充電モジュール(または充電器)もまた、好ましくは、結合ステージの下流に設けられ動作可能に配置され且つ前記第1の値を有する出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する第1の電圧を生成するように構成される。
【0029】
比較器要素は、好ましくは充電モジュールに関連付けられ且つ前記第1の電圧の値を限界値と比較し、前記第1の電圧の値が前記限界値を超える場合に警報信号を生成するように構成される。
【0030】
参照により本明細書に組み込まれる従属請求項は、本発明の種々の実施形態に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に示すように、車載充電装置を保護する方法および回路の好ましいが排他的ではない実施形態の例示的な、したがって非限定的な説明からより明らかになる。
【
図2】本発明による車載充電装置を保護する回路の構造を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面を参照すると、参照番号1は、本発明による車載充電装置100を保護する回路を全体的に示す。
【0033】
本明細書での車載充電装置100という用語は、ACグリッドに接続でき、バッテリに電力を供給する前に直流に変換できる走行用バッテリパック6用の任意の充電システムを一般に規定することを意図している。
【0034】
好ましくは、グリッドは三相タイプのものである。
【0035】
このため、充電装置100は、グリッドGに接続するための接続ソケット101と関連付けられた(アースに接続された)少なくとも1つのケーシングCであって、グリッドGによってもたらされる交流を、バッテリパック105を再充電するために使用可能な直流に変換するように構成されたコンバータアセンブリ104を収容するケーシングCを備える。
【0036】
したがって、接続ソケット101は、三相L1、L2、L3および中性線Nの両方を受け入れるように構成される。
【0037】
好ましくは、充電装置100は、電流入力ラインに沿って、すなわち、接続ソケット101とコンバータアセンブリ104との間に配置された少なくとも1つの電磁外乱フィルタ要素をさらに備える。
【0038】
より好ましくは、電磁外乱フィルタ要素は2つあり、第1のフィルタ要素102は(交流)電流入力ラインに沿って、第2のフィルタ要素103は(直流)電流出力ラインに沿って、すなわち、コンバータアセンブリ104とバッテリパック105との間にある。
【0039】
好ましい実施形態では、充電装置100は非絶縁型である、すなわち、バッテリと配電システムとの間に物理的(すなわち、非誘導)接続を提供する。
【0040】
好ましくは、このタイプの装置100では、コンバータアセンブリ104は、少なくとも1つの昇圧モジュールおよび少なくとも1つの降圧モジュールを備える。
【0041】
好ましい実施形態では、コンバータアセンブリ104は以下を備える、すなわち、
-グリッドGによってもたらされる交流を直流に変換するように構成された第1の変換ステージ(またはAC‐DCコンバータ)、
-充電ステージであって、好ましくはキャパシタバンクによって規定され、第1の変換ステージの下流に動作可能に配置され且つその出力を受信することによって充電されるように構成された充電ステージ、
-バッテリパック105に送られる直流のレベルを変調するように構成された第2の変換ステージ(またはDC‐DCコンバータ)、を備える。
【0042】
好ましい実施形態では、前述したように、充電装置100は非絶縁型であるので、第2の変換ステージはバッテリパックに直接接続される(すなわち、変換/誘導ステージなし)。
【0043】
さらに、充電装置100は、好ましくは、アースPEに向かって流れる漏れ電流と等しく且つこれと逆方向の補償電流を生成するように構成された補償回路106を備える。
【0044】
冒頭で説明した安全性の問題を回避するために、充電装置100は、前記漏れ電流内で関連する抵抗成分が検出される場合に警報信号を生成するように構成された保護モジュール107を備えたマイクロコントローラを備え得る。
【0045】
代替的に、または一緒に、充電装置は、本発明による保護回路1と関連付けられる。
【0046】
したがって、保護回路1は、好ましくは、グリッドGの相電圧および中性点電圧を表す信号と補償電流を表す電流信号とを入力として受信するように配置され且つ漏れ電流内で関連する抵抗成分が検出される場合に警報信号を出力として生成するように構成される。
【0047】
より詳細には、保護回路1は、グリッドGの相電圧および中性点電圧を表す信号を入力として受信し、同極電圧信号を出力として返すように構成された加算ネットワーク2を備える。
【0048】
本明細書での「同極電圧」という用語は、理想的なスターポイントの電圧に対する三相システムの実際のスターポイントの電圧が線間電圧の三角形の重心に一致することを意味することを意図している。
【0049】
また、補償電流を表す電流信号Icompを検出する素子も設けられる。
【0050】
これらの信号、すなわち、電流信号および同極電圧信号は、その後、変換ステージXに注入される。
【0051】
変換ステージ3は、好ましくは、前記同極電圧信号および前記電流信号を入力として受信し、前記同極電圧信号を表す第1の矩形波および前記電流信号を表す第2の矩形波を生成するように構成される。
【0052】
好ましくは、変換ステージ3は、それぞれ第1の矩形波および第2の矩形波を生成するように構成された第1の変換モジュール4(または変圧器)および第2の変換モジュール5(または変圧器)を備える。
【0053】
好ましい実施形態では、第1の変換モジュール4および第2の変換モジュール5は各々、比較器によって規定される。
【0054】
前記比較器は、同極電圧信号または電流信号を入力として受信し、前記信号の符号を表す矩形波を生成するように構成される。
【0055】
言い換えれば、比較器は入力信号をヌル基準と比較し、入力信号が正の符号の場合に値1の信号を出力し、入力信号が負の符号の場合に値0の信号を出力する(または入力信号が正の符号の場合に値0の信号を出力し、入力信号が負の符号の場合に値1の信号を出力する)ように構成される。
【0056】
電子保護回路1はさらに、第1の矩形波および第2の矩形波を共に結合するように構成された結合ステージ6であって、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成する結合ステージ6を備える。
【0057】
言い換えれば、結合ステージ6は、第1の矩形波と第2の矩形波との間の位相シフトを表す信号を生成し、2つの波が同位相である(すなわち、電流信号と同極電圧信号とが同じ符号を有する場合)時間間隔において第1の論理レベルを返し、2つの波が同位相でない(すなわち、電流信号と同極電圧信号とが異なる符号を有する場合)時間間隔において第2の論理レベルを返すように構成される。
【0058】
好ましい実施形態では、結合ステージ6は、2つの矩形波が重なる場合にのみ値1を返す乗算器によって少なくとも部分的に規定される。
【0059】
結合ステージ6の下流に動作可能に配置された充電モジュール7も設けられる。
【0060】
この充電モジュール7は、前記第1の値を有する出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する第1の電圧を生成するように構成される。
【0061】
言い換えれば、充電モジュール7によって生成される第1の電圧は、第1の矩形波と第2の矩形波との間の重なりの持続時間に比例し、したがって、同極電圧信号と電流信号との間の位相シフトの正確な指標を規定する。
【0062】
好ましくは、充電モジュールは、互いに直列の抵抗器8およびコンデンサ9を有するRC回路によって規定される。
【0063】
次に、保護回路1は、前記第1の電圧の値を限界値と比較し、前記コンデンサの電圧レベルが前記限界値を超える場合に警報信号を生成するように構成された比較器要素10を備える。
【0064】
第1の電圧の値は、RC回路の時定数および2つの入力信号間の許容可能な位相レベルに比例する。
【0065】
好ましい実施形態では、時定数は2.2msに等しく、第1の電圧の限界値に約9msで到達する。
【0066】
好ましい実施形態では、保護回路1は、マイクロコントローラの保護モジュール107と並列(すなわち、冗長)に配置される。
【0067】
有利なことに、このようにして、互いに独立した2つの安全レベルを持つことが可能であり、したがってシステムの信頼性を高めることが可能である。
【0068】
好ましくは、この点に関して、充電装置100は、モジュール107および保護回路1に接続され且つモジュール107および保護回路1によって生成される警報信号がない場合にのみ、補償回路106に対するイネーブル信号を生成するように構成された少なくとも1つのイネーブルノード(108)を備える。
【0069】
本発明のさらなる目的は、車載充電装置100を保護する方法であって、好ましくは、ただし、必ずしも必要ではないが、これまで説明した本発明による保護回路1によって実施される方法である。
【0070】
したがって、本方法は以下でより詳細に説明されるが、回路1に関連して言及および説明されたすべての特徴は、明示的に示されていない場合、または互換性がない場合には、本発明の方法の以下の説明に変更すべきところは変更して適応可能であるとみなされるべきであることを強調する。
【0071】
本方法は、グリッドGからもたらされる相電圧および中性点電圧を検出することと、補償回路によって生成される前記補償電流を表す電流信号を検出することとを含む。
【0072】
したがって、相電圧は、同極電圧信号を得るために共に結合される。
【0073】
したがって、電流信号および同極電圧信号は、第1の矩形電流波および第2の矩形電圧波を得るために二乗される。
【0074】
より詳細には、矩形波は実際に入力信号の符号を規定する。
【0075】
したがって、第1の矩形波および第2の矩形波は、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相である場合に第1の論理レベルを有し、前記第1の矩形波および第2の矩形波が同位相でない場合に第2の論理レベルを有する出力信号を生成するように結合される。
【0076】
好ましくは、第1の矩形波および第2の矩形波は互いに乗算される。2つの矩形波が重なる場合、乗算により値1が得られるので、第1の論理レベルは1に等しく、第2の論理レベルは0に等しい。
【0077】
有利なことに、このようにして、電流信号と同極電圧信号との間の位相シフトに関する正確な情報を提供する、容易に解釈可能な信号を得ることが可能である。
【0078】
実際、位相シフトの度合いは、重なり間隔の持続時間に比例し、したがって、第1の論理値を有する出力信号セクションの持続時間に比例する。
【0079】
この時点で、前記第1の値を有する出力信号の各セクションの持続時間に比例して増加する第1の電圧が生成される。
【0080】
第1の電圧を生成する前記ステップは、好ましくは上述したものと同様のRC回路内に配置されたコンデンサを充電することによって実行される。
【0081】
したがって、前記第1の電圧の値は限界値と比較され、前記コンデンサの前記第1の電圧のレベルが前記限界値を超える場合に警報信号が生成される。
【0082】
したがって、前記警報信号の生成に続いて、補償回路106を無効にするステップが設けられる。
【0083】
本発明は、意図された目的を達成し、重要な利点を提供する。
【0084】
実際、完全に物理的/ハードウェア的な保護方法および回路を使用することにより、保護システムの信頼性を高めることが可能である。
【国際調査報告】