(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】細菌性生物由来の組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/99 20170101AFI20231227BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231227BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K8/99
A61Q17/04
A61Q5/00
A61Q19/00
C12N1/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537594
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 US2021064059
(87)【国際公開番号】W WO2022133229
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523228082
【氏名又は名称】リバティー バイオセキュリティー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ランドリー, カイル
(72)【発明者】
【氏名】マクレガー, ミケル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C083
【Fターム(参考)】
4B065AA15X
4B065BC48
4B065BD04
4B065CA50
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC102
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4C083BB14
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4C083BB47
4C083CC03
4C083CC19
4C083CC31
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE12
4C083EE17
4C083FF01
(57)【要約】
本技術は、一部分では、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilus細菌の株、および化粧用組成物および市販組成物を含む各種の使用のための細菌に由来する組成物に関する。細菌は、各種の方法、例えば、細菌を破壊すること(例えば、細菌の水性バッチを凍結乾燥することによって細菌を物理的に破壊および溶解すること、細菌のバッチの顕微溶液化など)において加工処理され得、そのような加工処理からの細胞残骸および/または細胞の分泌物は、次いで、追加の構成成分とともに配合されて、有用な最終製品、例えば、SPFブースト特性を有する局所的な日焼け止め組成物、日焼け防止組成物、または家庭用塗料が作製される。さまざまな実施形態では、細菌に由来する組成物は、表面に適用されて、紫外光からの防御を提供し得るか、または組成物内に埋め込まれて、UV安定性を提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株の単離された生物学的に精製された培養物。
【請求項2】
ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株を含む組成物。
【請求項3】
ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株由来の細胞残骸を含む組成物であって、Bacillus pumilusの前記株の生存細胞を本質的に含まない、組成物。
【請求項4】
前記細胞残骸が、Bacillus pumilusの前記株から溶解され、凍結乾燥され、顕微溶液化され、またはその他の形でそれから誘導される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株の細胞によって分泌された材料を含む組成物であって、前記分泌された材料が、前記細胞から完全にまたは部分的に分離されている、組成物。
【請求項6】
ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株の細胞残骸および/または前記株の細胞によって分泌された材料を含む組成物であって、Bacillus pumilusの前記株の生存細胞を本質的に含まない、組成物。
【請求項7】
ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株の細胞残骸および/または前記株の細胞によって分泌された材料を含む組成物であって、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの前記株の細胞を、細菌細胞を溶解する物理的破壊に曝露することを含むプロセスによって取得可能である、組成物。
【請求項8】
前記物理的破壊が、顕微溶液化、超音波処理および/または凍結乾燥を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記プロセスが、前記細胞残骸および/または前記細胞によって分泌された材料を、必要に応じて遠心分離を含む1つまたは複数のステップで、水性濃縮物またはペレットまたは上清に濃縮することを含む、請求項7または請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
i)前記細胞残骸および/または前記細胞によって分泌された材料を成長培地から分離すること、ならびにii)前記細胞残骸および/または前記細胞によって分泌された材料を水と組み合わせて、水性懸濁物および/または水溶液を形成することを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
Bacillus pumilusの前記株の生存細胞を本質的に含まない、請求項7~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記細胞残骸および/または前記細胞によって分泌された材料が、0.001%~10%の固体の液体に対する重量パーセントで前記組成物中に一様に分散している、請求項6~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
液体担体をさらに含む、請求項2~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、ならびに局所適用される医薬組成物から選択される消費者製品における使用のための添加剤である、請求項2~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、ならびに局所適用される医薬組成物から選択される消費者製品である、請求項2~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
水性構成成分、脂肪性構成成分、揮発性油、不揮発性油、界面活性剤、ポリマー、乳化剤、紫外線フィルター、サーチュイン活性化因子、抗酸化剤、およびフリーラジカル捕捉剤から選択される1種または複数の構成成分を含む、請求項14または請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ビタミンE、ウロリチンA、およびそれらの組合せから選択される抗酸化剤を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
サーチュイン活性化因子、好ましくは、レスベラトロールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
塗料、染料、ラッカー、ワニス、釉薬、インク、UV安定化剤、織物処理組成物、皮革処理組成物、毛髪処理組成物、および毛皮処理組成物から選択される消費者製品における使用のための添加剤である、請求項2~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
塗料、染料、ラッカー、ワニス、釉薬、インク、UV安定化剤、織物処理組成物、皮革処理組成物、毛髪処理組成物、および毛皮処理組成物から選択される消費者製品である、請求項2~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
(i)細菌の前記株、その細胞残骸、その分泌材料、またはその細胞残骸およびその分泌材料の混合物の表面層、ならびに(ii)細菌の前記株、その細胞残骸、その分泌材料、またはその細胞残骸およびその分泌材料の混合物が表面層としてその上に堆積する基材を含む層状組成物である、請求項2~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
(i)埋め込み量の細菌の前記株、その細胞残骸、その分泌材料、またはその細胞残骸およびその分泌材料の混合物、ならびに(ii)細菌の前記株、その細胞残骸、その分泌材料、またはその細胞残骸およびその分泌材料の混合物がその中に埋め込まれている固体材料を含む固体組成物である、請求項2~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
肉眼的に均一である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
肉眼的に不均一である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
紫外光からの防御を提供する方法であって、請求項2~13に記載の組成物を基材上の表面に投与することを含む、または請求項2~13に記載の組成物を材料に一体化するかまたは埋め込むことを含む、方法。
【請求項26】
前記基材が、生きているか、生物由来であるか、または非生物学的である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項2~13に記載の組成物を作製する方法であって、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株の細菌を得ること、必要に応じて前記細菌を生存不能にすること、必要に応じて前記細菌を成長培地から分離すること、ならびに前記細菌、またはその細胞残骸もしくは分泌物、またはその細胞残骸および分泌物の両方を担体に添加して、前記組成物を得ることを含む、方法。
【請求項28】
紫外光に対する抵抗性を有する細菌を生成するための定向進化の方法であって、Bacillus pumilusの試料を得ること、700ジュール/m
2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい、必要に応じておよそ900ジュール/m
2の曝露(フルエンス)の人工紫外光中で前記試料を成長させること、およびそのような成長条件で生存している生存細菌を単離することを含み、前記単離された生存細菌が、前記単離された生存細菌が由来する元のBacillus pumilusと比較して、より大きなUV吸収を示し、必要に応じて前記より大きなUV吸収が、0.1%w:v~0.5%w:vの範囲の濃度で、diH
2Oに再懸濁される各場合において、前記元のBacillus pumilusおよびその後の前記単離された生存細菌からの凍結乾燥粉末のUV吸収の比較によって測定される、方法。
【請求項29】
細菌、またはそのような細菌の細胞残骸、分泌物、もしくは細胞残骸および分泌物の両方を含む組成物であって、前記細菌が、請求項28に記載の方法に従って生成される、組成物。
【請求項30】
細菌の細胞残骸、または細菌の分泌物、または細菌の細胞残骸および分泌物を含む組成物であって、(i)化粧用組成物、日焼け防止および/もしくは日焼け止め組成物、日光阻止因子(SPF)ブースター、ならびに局所適用される医薬組成物から選択される消費者製品、または(ii)化粧用組成物、日焼け防止および/もしくは日焼け止め組成物、日光阻止因子(SPF)ブースター、ならびに局所適用される医薬組成物から選択される消費者製品における使用のための添加剤であり、前記細菌が、UV抵抗性について人工的に選択されている、組成物。
【請求項31】
人工紫外光中で前記細菌を成長させること、およびその後、前記細菌を機械的破壊に曝露することを含むプロセスによって取得可能である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
物理的破壊が、顕微溶液化、超音波処理および/または凍結乾燥を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記プロセスが、前記細胞残骸および/または分泌物を、水性濃縮物またはペレットまたは上清に濃縮することを含む、請求項31または請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記細胞残骸および/または分泌物を水と組み合わせて、0.001%~10%の固体の液体に対する重量パーセントの水性懸濁物および/または水溶液を形成することを含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記細菌の生存細胞を本質的に含まず、かつ成長培地を本質的に含まない、請求項31~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記人工紫外光が、700ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しく、必要に応じておよそ900ジュール/m2の曝露(フルエンス)である、請求項31~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記プロセスが、前記人工紫外光中で成長後、前記細菌を機械的破壊に曝露する前に、前記細菌を単離することを含む、請求項31~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記細菌が、前記人工紫外光中で前記細菌が成長する前に、地球の成層圏にまたは地球の成層圏外に天然に存在する紫外光に曝露された、請求項31~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記細菌が、約18か月またはそれよりも長く、地球の成層圏にまたは地球の成層圏外に天然に存在する前記紫外光に曝露された、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記細菌が、Bacillus細菌である、請求項30~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記細菌が、Bacillus pumilus細菌である、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記細菌が、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilus細菌である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記細菌が、実質的に均一である、請求項30~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
水性構成成分、脂肪性構成成分、揮発性油、不揮発性油、界面活性剤、ポリマー、乳化剤、紫外線フィルター、サーチュイン活性化因子、抗酸化剤、およびフリーラジカル捕捉剤から選択される1種または複数の構成成分を含む、請求項30~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
ビタミンE、ウロリチンA、およびそれらの組合せから選択される抗酸化剤を含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
サーチュイン活性化因子、好ましくは、レスベラトロールを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
細菌の前記細胞残骸および/または分泌物が、前記組成物中で約5重量%またはそれ未満である、請求項30~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
24時間またはそれよりも長く安定である、請求項30~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
ゼロより大きい~約2重量%、好ましくは最大で約0.2重量%またはそれ未満の量のキサンタンガムを含む、請求項30~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記細菌の前記細胞残骸および/または前記細菌の分泌物を含まないその他の点では同一の組成物と比べて、青色スペクトルの紫外光をブロックする、請求項30~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
皮膚ヒアルロン酸の量を増加させるための、請求項30~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
対象の皮膚ヒアルロン酸の量を増加させるための方法であって、請求項30~50のいずれか一項に記載の組成物を、皮膚ヒアルロン酸の前記量を増加させるのに有効な量で、対象の皮膚に局所的に投与することを含む、方法。
【請求項53】
組成物における日光阻止因子(SPF)をブーストするための方法であって、請求項30~50のいずれか一項に記載の組成物を、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、ならびに局所適用される医薬組成物から選択されるベース組成物と組み合わせ、それによって組み合わされた組成物を提供することを含み、
前記ベース組成物が、前記組み合わせる前に第1のSPF値を有し、
前記組み合わされた組成物が、前記第1のSPF値よりも高い第2のSPF値を有する、方法。
【請求項54】
紫外光から皮膚を防御するための方法であって、請求項30~50のいずれか一項に記載の組成物を対象の皮膚に投与することを含む、方法。
【請求項55】
HEV光から皮膚を防御するための、請求項30~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
HEV光から対象の表面および/または皮膚を防御するための方法であって、請求項30~50のいずれか一項に記載の組成物を対象の前記表面および/または皮膚に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、「COMPOSITIONS FROM A BACTERIAL ORGANISM AND USES THEREOF」という表題の、発明者名をKyle Landryらとする、2020年12月18日に出願された米国仮出願第63/127,216号に対する優先権を主張し、これは、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本技術は、一部分では、紫外光に対する防御をもたらす、細菌に由来する化粧用組成物および他の組成物に関する。本技術は、一部分では、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilus細菌の株、および各種の使用のための細菌に由来する組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
いくつかの生理学的および系統発生学的に別個の微生物に、表面の微生物汚染を調べている間に遭遇した。これらの微生物の一部は、円形の外膜を持つ芽胞を形成し、その外膜は、紫外光への曝露による表面の極端な条件への適応、および表面への直接接着の原因になる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
紫外線(UV)抵抗性微生物の単離、同定および理解は、産業および医療において意義深い使用のあるものであり得る。例えば、細胞分泌物、溶解からの細胞残屑、および/または外膜構成成分(例えば、単離および必要に応じて精製される、タンパク質、脂質など)由来の材料を使用して、UV抵抗性の組成物および物品を製造することができる。非限定的な例では、本明細書に記載される微生物および/または細胞の構成成分を含む組成物は、化粧品もしくは日焼け防止剤において、または物品(例えば、コンバーチブルトップ(convertible top)、テント)の製品寿命を延長するために利用することができる。そのような微生物および/またはその細胞の構成成分を含む組成物は、物品に適用することができ(例えば、UV抑制スプレー、またはUVブロック局所組成物、または生体表面用のSPFブースト局所組成物として)、または物品に組み込むことができる(例えば、屋外用塗料(exterior paint)の構成成分として)。
【0005】
ある特定の態様では、新しい改善されたUV抵抗性組成物を製造するために有用な高度にUV抵抗性の細菌分離株が提供される。ある特定の態様では、単離され、必要に応じて生物学的に精製された、「分離株」と本明細書で称されるBacillus種を形成する新規芽胞の培養物が提供される。特定の態様では、ATCC受託番号PTA-126909を有する、高いUV抵抗特性を有するBacillus pumilus分離株が提供される。
【0006】
加えて、そのUV抵抗特性を理由として、必要に応じてUV抵抗性を増加させるために処理された、B.pumilus株由来の構成成分または構成成分の混合物(例えば、単離および必要に応じて精製される、タンパク質、脂質など)を使用して、UV抵抗性製品を製造することができる。非限定的な例では、そのような株由来の1種または複数の構成成分は、日焼け防止剤などの局所組成物に組み込まれ、生体表面に適用されて、UV防御を提供するか、または非生体基材に適用されて、UV光に曝露された基材(例えば、コンバーチブルトップ、テント、塗面;例えば、UV抑制スプレーとして適用)の構造的完全性を延長することができるか、または組成物もしくは基材に一体化されて、基材の構造的完全性を延長するか、もしくはUV透過を低減することができる(例えば、塗料、プラスチックまたはガラスへの組み込み)。加えて、そのような株由来の1種もしくは複数の構成成分または複雑な混合物を使用して、アンチエイジング特性または抗酸化特性などの局所組成物または化粧用組成物に望ましい特性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施例2に記載されるように、比較試料(オキシベンゾン)に対する試験組成物(トレースA)についてのUVスペクトルを提供し、ここで、Y軸は、UV吸光度(0~4のスケール)であり、X軸は、波長(200~400nm)である。トレースAは、1.0mg/mLの試験組成物であり、トレースBは、0.1mg/mLのオキシベンゾンである。
【0008】
【
図2】
図2は、国際標準ISO 9845-1(第一版1992年10月15日)による太陽光分光放射照度(solar spectral irradiance)(上側のトレース) 対 試験製品(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物)を透過した国際標準ISO 9845-1による太陽光分光放射照度(下側のトレース)を示す。
【0009】
【
図3】
図3は、MTTアッセイの結果を示し、値は、生存率の平均パーセント±平均の標準偏差として表される。
【0010】
【
図4】
図4は、コラーゲンについてのELISAアッセイの結果を示す。値は、平均濃度(ng/ml)±平均の標準偏差として表される。
【0011】
【
図5】
図5は、ヒアルロン酸についてのELISAアッセイの結果を示す。値は、平均濃度(ng/ml)±平均の標準偏差として表される。
【0012】
【
図6】
図6は、エラスチンについてのELISAアッセイの結果を示す。値は、平均濃度(ng/ml)±平均の標準偏差として表される。
【0013】
【
図7】
図7は、HORACアッセイの結果を示す(上側のグラフおよび上側の表:陽性対照;下側のグラフおよび下側の表:試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物))。
【0014】
【
図8】
図8は、ORACアッセイの結果を示す(上側のグラフおよび上側の表:陽性対照;下側のグラフおよび下側の表:試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物))。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示の技術分野の当業者に通常理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、他の指定されない限り、下記のそれらに帰する意味を有する。
【0016】
本開示では、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」および「有する(having)」などは、米国特許法におけるそれらに帰する意味を有し得、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially)」などは、米国特許法に帰する意味を有し、この用語は、オープンエンドであり、列挙されるものの基本的なまたは新規な特徴が、列挙されるものよりも多くの存在によって変更されない限り、列挙されるものよりも多くの存在を許容するが、従来技術の実施形態は排除する。
【0017】
本明細書に提供される範囲は、範囲内の値のすべてについての省略であることが理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群からの任意の数、数の組合せ、または下位範囲を含むことが理解される。
【0018】
「1つの(a)」または「1つの(an)」実体という語句は、本明細書で使用される場合、その実体の1つまたは複数を指し、例えば、1つの化合物(a compound)は、1つもしくは複数の化合物または少なくとも1つの化合物を指す。そのため、「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数」、および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で互換的に使用され得る。
【0019】
特に述べられない限りまたは文脈から自明でない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内として理解される。約は、述べられた値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内として理解され得る。文脈から他に明確でない限り、本明細書に提供されるすべての数値は、約という用語によって修飾される。値のリストの開始での「約」という用語の使用は、値のそれぞれを修飾する(例えば、「約1、2および3」は、「約1、約2および約3」を指す)。値のリストが記載される場合、リストは、すべての中間値およびそのすべての小数値を含む(例えば、値のリスト「80%、85%または90%」は、中間値の86%および小数値の86.4%を含む)。値のリストに「またはそれよりも大きい」という用語が続く場合、「またはそれよりも大きい」という用語は、リストされた値のそれぞれに適用される(例えば、「80%、90%、95%、またはそれよりも大きい」または「80%、90%、95%またはそれよりも大きい」または「80%、90%、もしくは95%、またはそれよりも大きい」のリストは、「80%もしくはそれよりも大きい、90%もしくはそれよりも大きい、または95%もしくはそれよりも大きい」を指す)。値のリストが記載される場合、リストは、リストされた値のいずれか2つの間のすべての範囲を含む(例えば、「80%、90%または95%」のリストは、「80%~90%」、「80%~95%」および「90%~95%」の範囲を含む)。
【0020】
「必要に応じた」または「必要に応じて」という用語は、本明細書で使用される場合、その後に記載される事象または状況が、起こる必要がなくてもよいが、記載が、事象または状況が起こる場合およびそれが起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「必要に応じて精製された」構成成分は、構成成分が精製され得ること、または構成成分が精製され得ないことを意味する。
【0021】
「精製された」という用語は、本明細書に記載される場合、所与の化合物の純度を指す。例えば、所与の化合物が組成物の主要な構成成分である、すなわち、少なくとも約50%w/w純粋である場合、化合物は、「精製されている」。そのため、「精製された」は、少なくとも約50%w/wの純度、少なくとも約60%w/wの純度、少なくとも約70%の純度、少なくとも約80%の純度、少なくとも約85%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも約92%の純度、少なくとも約94%の純度、少なくとも約96%の純度、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.5%の純度、および少なくとも約99.9%の純度を包含し、ここで、「実質的に純粋」は、少なくとも約97%の純度、少なくとも約98%の純度、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.5%の純度、および少なくとも約99.9%の純度を包含する。
【0022】
「単離された」という用語は、本明細書に記載される場合、その元の環境から分離されている構成成分または生物を指す。生物は、例えば、天然の地理的環境から分離され得、必要に応じて元の天然の地理的環境とは異なる環境中(例えば、実験用容器(例えば、細胞培養容器)または貯蔵容器などの容器中)に存在し得る。生物の構成要素は、例えば、精製された形態または精製されていない形態で生物から分離され、ex vivo環境中(例えば、細胞が破壊された形態でおよび/または容器中)に存在し得る。
【0023】
「生存細胞を本質的に含まない」という語句は、肉眼で見える細胞の集団を本来なら生成する適切な期間(例えば、24時間)の適切な半固体成長培地上での細胞材料の播種後、目視検査の際にCFUまたはコロニー形成単位が存在しないことを意味する。
【0024】
生物寄託
本明細書に開示される細菌株は、培養物へのアクセスがこの出願の係属の間利用可能であることを保証する条件下で寄託されている。本明細書に開示される細菌株は、PTA-126909として、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)、10801 University Blvd.、Manassas、Va.20110、USAに寄託されている。寄託は、2020年12月9日にATCCに受理され、PTA-126909の国際寄託機関による受託番号が与えられた。寄託は、ブダペスト条約の規定下で、国際寄託機関に行われ、受理されており、寄託物への公衆からのアクセスの際のすべての制限は、この出願における特許の許可の際に変更不可に除去される。寄託物は、本出願の対応出願またはその後代が出願された国の外国特許法によって要求される場合、利用可能である。しかしながら、寄託物の利用可能性は、本発明を実施するためのライセンスを構成しないことが理解されるべきである。
【0025】
さらに、本培養寄託物は、微生物の寄託に関するブダペスト条約の規定に従って保管および公衆に利用可能にされる、すなわち、それらは、寄託物の試料供給のために最新の要求から少なくとも5年間の期間、および任意の場合に、寄託の日から少なくとも30年間の期間、または培養物を開示する発行され得る任意の特許の有効期間の間、それらを生存可能に、かつ汚染されていないままで保つために必要なすべての注意により保管される。寄託者は、寄託物の状態に起因して、受託機関が要求される場合に試料を供給することができない場合、寄託物を交換する義務に同意している。
【0026】
化合物、および添加剤としての使用のための組成物を含む、組成物
さまざまな実施形態では、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株の単離された生物学的に純粋な培養物が提供される。加えて、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株を含む組成物が本明細書に提供される。培養物の細胞は、任意の形態、例えば、栄養細胞として、芽胞として、および非生存細胞としてであり得る。ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの株由来の細胞残骸および/または分泌物を含む組成物であって、細胞残骸が、生存していない、組成物がさらに提供される。そのような細胞残骸は、Bacillus pumilusの株から溶解され、分泌され、それから凍結乾燥され、超音波処理され、顕微溶液化され、またはその他の形でそれから誘導されもしくは得られ得る。そのような細胞残骸および/または分泌物を含む組成物であって、細胞残骸および/または分泌物が、国際化粧品原料命名法委員会(INC)およびInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookに従って、INCI名「Bacillus溶解物」によって指定されている、組成物がさらに提供される。そのような組成物は、それら自体による商品であってもよく、または他の組成物中の添加剤としてさらに配合されてもよい。
【0027】
理論に縛られないが、生化学反応(損傷を修復するか、またはその他の形でUV照射を中和する酵素応答)ではなく寄託された細菌株の物理的構造が、UV光に対するその増大した抵抗性の原因になると考えられる。さらにまた、理論に縛られないが、おそらく芽胞の外被および他の材料を含む、細菌に由来する複数の構成成分が、UV吸光度に寄与すると考えられる。
【0028】
さまざまな実施形態では、細菌または細菌の細胞残骸を含む組成物は、ヒトの身体および皮膚への適用のための局所組成物、例えば、化粧品、日焼け防止剤、または日焼け止め剤(sunblock)である。さまざまな実施形態では、細菌またはその細胞残骸は、追加の日光阻止因子(SPF)防御を提供するために組み込まれる。さまざまな実施形態では、細菌またはその細胞残骸は、抗UV特性を有する1種または複数の化学剤とともに配合物に含まれる。さまざまな実施形態では、以下の構成成分:オキシベンゾン、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレート、およびアボベンゾンの1種または複数と組み合わせて配合される場合に、日焼け防止または日焼け止め組成物は、相加的または相乗的な抗UV特性を提供するために配合される。さまざまな実施形態では、細菌またはその細胞残骸は、抗UV特性を有する1種または複数の化学剤を置き換えるために配合される。さまざまな実施形態では、日焼け防止または日焼け止め組成物は、以下の構成成分:オキシベンゾン、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレート、およびアボベンゾンの1種または複数を本質的に含まないように配合される。さまざまな実施形態では、細菌またはその細胞残骸および/もしくは分泌物は、配合物に含まれ、国際化粧品原料命名法委員会(International Cosmetic Ingredient Nomenclature Committee)(INC)およびInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbookに従って、INCI名「Bacillus溶解物」によって指定されている。Bacillus溶解物はまた、本明細書で「BL」とも称される。
【0029】
さまざまな実施形態では、本開示による組成物は、塗料である。塗料は、薄層での基材への適用後に、固体フィルムに変換する、任意の着色したまたは無着色の液体、液化可能固体または固体マスチックを意味する。塗料は、油ベースまたは水ベースであり得る。さまざまな実施形態では、塗料は、住宅または他の住居または住居用建築物もしくは商業建築物における外側の使用のためのものである。細菌またはその細胞残骸は、塗料に組み込まれて、追加のUV防御を提供することができる。さまざまな実施形態では、細菌またはその細胞残骸は、抗UV特性を有する1種または複数の化学剤を置き換える。
【0030】
より一般に、さまざまな実施形態では、本開示による組成物は、(i)細菌の株またはその細胞残骸が基材の表面に堆積する基材、および(ii)必要に応じてフィルムに組み込まれた、細菌または細胞残骸の表面層を含む層状組成物を含み得る。
【0031】
さまざまな実施形態では、本開示による組成物は、固体材料であり、限定されるものではないが、布、織物、プラスチック、金属、木材、紙、板紙、およびガラスを含む。そのような材料は、コーティングされた、一体化された、埋め込まれた、含浸された、またはその他の形で組み込まれた細菌またはその細胞残骸を有し得る。そのような適用は、材料を通してUV透過を低減または防止し、耐久性を増加させ、UV源からの材料における摩耗および亀裂(wear-and-tear)を低減し、その他の形でUV防御を提供することができる。例示的な適用としては、限定されるものではないが、窓、眼鏡、防水シート(tarp)、テント、傘、衣類、水着、履物、カーテン、ブラインド、屋外用家具カバー(outdoor furniture covering)、屋外用家具クッション(outdoor furniture cushion)、オーニング(awning)、旗、プールカバー、自走車両カバー(motor vehicle cover)、およびボートカバーが挙げられる。さまざまな実施形態では、組成物は、肉眼的に均一または肉眼的に不均一である。
【0032】
ある特定の例では、組成物は、人工紫外光中で細菌を成長させること、およびその後、細菌を機械的破壊に曝露することを含むプロセスによって取得可能である。例えば、細胞分裂を容易にする当技術分野において公知の細菌細胞成長培地および容器を使用する、任意の好適な成長条件を利用することができる。任意の好適な人工紫外光源および期間を利用することができ、人工紫外光は、700ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい場合があり、必要に応じておよそ900ジュール/m2の曝露(フルエンス)が利用される。任意の好適な物理的破壊プロセスを利用することができ、その非限定的な例としては、顕微溶液化、超音波処理および/または凍結乾燥が挙げられる。本明細書に記載される組成物は、人工紫外光中での成長後、細菌を機械的破壊に曝露する前に、細菌を単離することを含むプロセスによって取得可能である場合がある。
【0033】
ある特定の実装形態では、細菌は、人工紫外光中で細菌が成長する前に、地球の成層圏にまたは地球の成層圏外に天然に存在する紫外光に曝露された。ある特定の例では、細菌は、約18か月またはそれよりも長く、地球の成層圏にまたは地球の成層圏外に天然に存在する紫外光に曝露された。ある特定の実装形態では、細菌は、例えば、Rabbow et al, Astrobiology, Volume 12, Number 5, pages 374-386, 2012に記載されるように宇宙空間に曝露された。ある特定の実装形態では、細菌は、ATCC寄託物PTA-7603に由来し、米国特許第7,262,047号も参照されたく、その内容は、それらの全体が参照により組み込まれる。ある特定の実装形態では、細菌は、さまざまな株、例えば、Chiang AJ, et al, "Alteration of proteomes in first generation cultures of Bacillus pumilus spores exposed to outer space," mSystems 4:e00195-19, volume 4, Issue 4, pp1-15, July/August 2019に記載されている、SAFR-032、UV-Space(56T-2)、UV-Mars(183T-1)、Dark-Space(40T-5)、およびDark-Mars(168T-5)に由来した。ある特定の実装形態では、細菌は、先祖細菌とは目視検査によって表現型的に明確に異なる。ある特定の実装形態では、細菌は、夾雑物としてのBacillus cereusの存在または非存在についてスクリーニングされ、Bacillus cereusを含まないか、または本質的に含まない。ある特定の実装形態では、細菌は、夾雑物としてのBacillus subtilisの存在または非存在についてスクリーニングされ、得られる生成物は、Bacillus subtilisを含まないか、または本質的に含まない。ある特定の実装形態では、細菌は、夾雑物としてのBacillus pumilus CX-UV株の存在または非存在についてスクリーニングされ、得られる生成物は、Bacillus pumilus CX-UV株を含まないか、または本質的に含まない。ある特定の実装形態では、Bacillus subtilisおよび/またはBacillus pumilus CX-UV株を含むBacillus属由来の細菌は、リアクター容器中で成長し、成長段階後、リアクター容器の無傷の細胞構成成分は、細胞培養構成成分を含むリアクター容器の水性成長培地および水溶性内容物から分離され、そのような分離の後で、無傷の細胞構成成分は、溶解されて、生存していない細菌残屑の組成物を形成する。さまざまな実装形態では、無傷細胞から分離される水溶性内容物は、成長段階の間に細菌細胞によって分泌された500ダルトン未満の分子量を有する任意の水溶性化合物のすべてまたは本質的にすべてを含有する。さまざまな実装形態では、実験室条件下で少なくとも1時間の700ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい紫外光、必要に応じて900ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい紫外光で生存することができる細菌は、リアクター容器中で成長し、500ダルトン未満の分子量を有する分泌された水溶性化合物を含むリアクター容器の水溶性内容物が、無傷の細菌細胞から分離される分離ステップに続き、その結果、分離された部分は、成長段階の間に細菌細胞によって分泌された500ダルトン未満の分子量を有する任意の水溶性化合物のすべてまたは本質的にすべてを含有し、それに続いて、残った細菌細胞を溶解して、生存していない細胞残屑を含む組成物が提供される。
【0034】
さまざまな実装形態では、細菌は、発酵を可能にする条件の非存在下で実質的に成長する。さまざまな実装形態では、発酵産物は、完全にまたは実質的に排除される。「実質的に排除される」とは、存在し得る任意の発酵産物が、組成物のバルク特性に寄与しないことを意味する。さまざまな実装形態では、存在し得る発酵産物は、細菌株の細胞残骸および/または残屑を含む組成物の単離の前に成長培地と一緒に除去される。さまざまな実施形態では、水に可溶性であり、成長段階の間に細菌によって分泌される、細菌発酵産物は、本明細書に記載される組成物から実質的に排除される。さまざまな実施形態では、水に可溶性であり、成長段階の間に細菌によって分泌され、UVブロック特性を有する、細菌発酵産物は、本明細書に記載される組成物から実質的に排除される。明確にするために、本明細書に記載されるそのような溶解からの溶解した細菌および細胞残屑は、発酵産物ではない。さまざまな実施形態では、クレイの感触を模倣する細菌発酵産物、例えば、Uniclay(商標)発酵産物は、全体的にまたは実質的に排除される。
【0035】
本明細書に記載される組成物は、細胞残骸および/または分泌物を水性濃縮物に濃縮することを含むプロセスによって取得可能である場合があり、ここで、水性濃縮物は、濃縮に供された液体中の細胞残骸および/または分泌物の濃度よりも大きい細胞残骸および/または分泌物の濃度を含有する液体である。さまざまな実施形態では、濃縮組成物は、成長培地を本質的に含まない。任意の好適な濃縮プロセスを利用することができ、その非限定的な例は、塩、ポリエチレングリコール、溶媒、SDS沈殿、3相分配、透析、遠心分離、限外濾過、凍結乾燥、アフィニティークロマトグラフィー、免疫沈降および/または温度上昇の使用を用いる。さまざまな実施形態では、濃縮材料は、ペレットまたは上清を形成し、濾過または他の物理的分離によって過剰の液体から分離され得る。さまざまな実施形態では、濃縮材料は、別々の層を形成し、分離した層をデカンテーションすることによって、より濃縮されていない材料から分離され得る。さまざまな実施形態では、より濃縮されていない材料からの分離後の濃縮材料は、水または水性担体と組み合わされて、所望の固体の液体に対する重量パーセントを達成する。本明細書に記載される組成物は、細胞残骸および/または分泌物を液体担体などの1種または複数の他の構成成分と組み合わせることを含むプロセスによって取得可能である場合がある。組み合わされ得る構成成分の非限定的な例としては、水性構成成分、脂肪性構成成分、揮発性油、不揮発性油、界面活性剤、ポリマー、乳化剤、紫外線フィルター、サーチュイン活性化因子、抗酸化剤、およびフリーラジカル捕捉剤の1種または複数が挙げられる。さまざまな実施形態では、濃縮材料は、0.001%~10%の固体の液体に対する重量パーセントで水または水性担体に再懸濁される。さまざまな実施形態では、濃縮材料は、0.01%~5%、0.1%~4%、0.5%~3%、1%~2%、またはこれらの範囲間の任意の量の固体の液体に対する重量パーセントで水または水性担体に再懸濁される。さまざまな実装形態では、細菌溶解物の構成成分(例えば、細菌分泌物ありまたはなしの細胞残骸、例えば、Bacillus溶解物を含む)は、組み合わされた組成物の約0.001重量%~約10重量%、もしくは約1重量%~約3重量%、または約0.1重量%、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、もしくは約3重量%を構成し得る。さまざまな実施形態では、細菌成長段階の間の細胞の分泌物は、溶解などのさらなる加工処理の前に、成長培地とともに除去され、その結果、溶解後の産物は、成長段階からの分泌産物(例えば、分泌発酵産物)を含まないか、または本質的に含まない。さまざまな実施形態では、痕跡量の細胞の分泌物および成長培地が、それらの存在が溶解後の組成物の有利な特性に寄与しないという条件で、溶解後に存在していてもよい。さまざまな実装形態では、細菌成長段階の間に細菌によって分泌された500ダルトン未満の分子量を有する水溶性分子は、細菌細胞の溶解の前に、本質的に除去されている。
【0036】
本明細書に提供される組成物は、細菌の生存細胞を本質的に含まない場合がある。さまざまな実装形態では、本明細書に提供される組成物は、成長培地を本質的に含まない。ある特定の実装形態では、組成物中の細胞残骸および/または分泌物は、Bacillus細菌のものであり、Bacillus pumilus細菌のものである場合があり、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilus細菌のものである場合がある。ある特定の例では、細胞残骸および/または分泌物は、細菌の実質的に均一な集団由来である。実質的に均一な集団は、一般に、他の細菌に関し、他の細菌の種類を実質的に含まない集団中の細菌を指す(例えば、細菌が、Bacillus細菌である場合、組成物は、非Bacillus細菌を実質的に含まず、細菌が、Bacillus pumilus細菌である場合、組成物は、非Bacillus pumilus細菌を実質的に含まない)。細菌の実質的に均一な集団を有する組成物は、細菌が特定の細菌株から本質的になる組成物である場合がある。細菌が特定の細菌株から本質的になる組成物は、一般に、特定の細菌株が、組成物中の総細菌の約95%もしくはそれよりも多い組成物、組成物中の総細菌の96%もしくはそれよりも多い、97%もしくはそれよりも多い、98%もしくはそれよりも多い、99%もしくはそれよりも多い、99.5%もしくはそれよりも多い、または99.9%もしくはそれよりも多い場合がある組成物である。
【0037】
化粧用組成物および最終使用組成物
さまざまな実施形態では、本開示による組成物は、化粧用組成物において抗酸化構成成分として、あるいは代替的に、抗酸化特性を有する局所投与のための組成物として、ヘアボリューマイザー(hair volumizer)として、UV防御剤組成物および/または毛髪修復剤として、例えばUV防御剤特性または保湿剤特性を有する、動物の皮膚、皮革または毛皮の防御のための組成物として、保湿剤特性を有する局所投与のための組成物として、食事を補うための組成物においておよび/または栄養補助食品の新しい食事成分として、ポストバイオティクス副産物として、製品/配合物の増粘剤特性を有する成分として、アンチエイジング特性を有する局所投与のための組成物の構成成分として、塗料、染料、ラッカー、ワニス、釉薬、インク、プラスチック、および他の材料の構成成分として、HEV(青色光)防御を提供するための構成成分として、ならびに肥料または植物成長組成物における構成成分として、使用される。
【0038】
ある特定の実装形態では、細菌の細胞残骸、または細菌の分泌物、または細菌の細胞残骸および分泌物を含む組成物であって、(i)化粧用組成物、日焼け防止および/もしくは日焼け止め組成物、日光阻止因子(SPF)ブースター、ならびに局所適用される医薬組成物から選択される消費者製品、または(ii)化粧用組成物、日焼け防止および/もしくは日焼け止め組成物、日光阻止因子(SPF)ブースター、ならびに局所適用される医薬組成物から選択される消費者製品における使用のための添加剤である、組成物が提供される。日光阻止因子(SPF)は、一般に、日焼け防止剤がどれだけよくUVB光線に対して防御するかの尺度であり、例えば、より高いSPF値を有する組成物は、日焼けに対してより大きな防御をもたらす。さまざまな実装形態では、細菌の成長段階からの細菌分泌物は、細菌細胞の溶解の前に、無傷の細菌細胞から分離されて、成長段階からの成長培地および分泌物(すなわち、細胞培養物の構成成分)を本質的に含まない細胞残骸を提供する。さまざまな実装形態では、500ダルトン未満の分子量を有する細菌成長の間に分泌された水溶性分子は、溶解の前に、無傷の細菌細胞から除去される。
【0039】
ある特定の実装形態では、本明細書に提供される組成物は、水性構成成分、脂肪性構成成分、揮発性油、不揮発性油、界面活性剤、ポリマー、乳化剤、紫外線フィルター、サーチュイン活性化因子、抗酸化剤、およびフリーラジカル捕捉剤から選択される1種または複数の構成成分を含み、その非限定的な例は、本明細書に記載される。
【0040】
さまざまな実装形態では、本明細書に提供される組成物は、クリーム、ローション、エマルジョン、オイル、バター、ペースト、バーム、スティック、フォーム、ジェル、セラム、軟膏、ムース、粉末、半固形配合物、スプレーまたはエアロゾルの形態である。さまざまな実装形態では、本明細書に提供される組成物は、日焼け防止剤、日焼け止め剤、ボディモイスチャライザー(body moisturizer)、フェイシャルモイスチャライザー(facial moisturizer)、ヘアモイスチャライザー(hair moisturizer)、メイクアップファンデーション、リップスティック、リップバーム、ヘアスプレー、または毛髪染料の形態である。さまざまな実施形態では、組成物は、溶液、分散物、懸濁物、エマルジョン、またはコロイドの形態である。さまざまな実施形態では、組成物は、クリーム、ローション、ペースト、オイル、フォーム、ジェル、セラム、粉末、スプレーまたはエアロゾルの形態である。
【0041】
水性構成成分
本明細書の組成物(例えば、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、局所適用される医薬組成物)は、水性構成成分を含んでいてもよい。一部の実施形態では、水性構成成分は、組成物の総重量の約10重量%~約99重量%の範囲の量で存在する。例えば、水性構成成分は、組成物の総重量の約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、または約95重量%で存在し得る。一部の実施形態では、水性構成成分は、組成物の総重量の約20重量%~約90重量%、約50重量%~約85重量%、または約60重量%~約75重量%の範囲の量で存在する。
【0042】
一部の実施形態では、水性構成成分は、水を含む。一部の実施形態では、水性構成成分は、(室温25℃で)水と混和する少なくとも1種の有機溶媒を含む。有機溶媒としては、例えば、モノアルコール、ポリオール、グリコールエーテル、およびそれらの混合物が挙げられ得る。モノアルコールとしては、2~6個の炭素原子を有するモノアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)が挙げられ得る。ポリオールとしては、2~20個の炭素原子、2~10個の炭素原子、または2~6個の炭素原子を有するポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール)が挙げられ得る。グリコールエーテルとしては、3~16個の炭素原子を有するグリコールエーテル(例えば、モノ、ジまたはトリプロピレングリコール(C1~C4)アルキルエーテル、モノ、ジまたはトリエチレングリコール(C1~C4)アルキルエーテル)が挙げられ得る。
【0043】
脂肪性構成成分
本明細書の組成物(例えば、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、局所適用される医薬組成物)は、1種または複数の脂肪性構成成分を含んでいてもよい。脂肪性構成成分としては、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、およびそれらの混合物が挙げられ得る。一部の実施形態では、本明細書の組成物は、エマルジョン(例えば、水中油型エマルジョン)の形態であり、少なくとも1種の油を含む分散した脂肪性構成成分を含む。油という用語は、一般に、周囲温度(20~25℃)および大気圧で液体形態である任意の脂肪性物質を指す。ある特定の実施形態では、本明細書の組成物は、油を含まない。
【0044】
一部の実施形態では、脂肪性構成成分は、組成物の総重量の約1重量%~約30重量%の範囲の量で存在する。例えば、脂肪性構成成分は、組成物の総重量の約2重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、または約25重量%で存在し得る。一部の実施形態では、脂肪性構成成分は、組成物の総重量の約2重量%~約20重量%、または約3重量%~約15重量%の範囲の量で存在する。
【0045】
本明細書の油は、炭化水素系、シリコーンまたはフッ素型の揮発性油および不揮発性油から選択され得る。油は、動物、植物、鉱物または合成起源のものであり得る。炭化水素系油という用語は、一般に、炭素原子および水素原子から本質的に形成されるか、またはそれからなる油を指し、酸素原子および窒素原子を含んでいてもよく、一般に、ケイ素原子もフッ素原子も含有しない。炭化水素系油は、エステル、エーテル、アミンおよび/またはアミド基を含有していてもよい。シリコーン油という用語は、一般に、少なくとも1個のケイ素原子を含有する油を指し、1個または複数のSi-O基を含有していてもよい。フッ素油(fluoro oil)という用語は、一般に、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を指す。
【0046】
一部の実施形態では、本明細書の組成物は、脂肪アルコールを含む。脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、例えば、4~40個の炭素原子、6~30個の炭素原子、または12~20個の炭素原子を含有する、飽和および不飽和の、直鎖状および分枝状ラジカルから選択される)を有し得る。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基およびC12~C20アルケニル基から選択され得る。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。脂肪アルコールの非限定的な例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
一部の実施形態では、本明細書の組成物は、脂肪酸を含む。脂肪酸としては、例えば、6~30個の炭素原子、または9~30個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、例えばカルボン酸が挙げられ得る。脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびイソステアリン酸から選択され得る。
【0048】
揮発性油
揮発性油という用語は、一般に、周囲温度および大気圧で、1時間未満の皮膚との接触で蒸発することができる油(または非水性媒体)を指す。揮発性油は、特に、非ゼロ蒸気圧を有する周囲温度で、特に、0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)、1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)、または1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する周囲温度および大気圧で、液体である揮発性化粧品用油である。揮発性油は、一般に、約150℃~約260℃の範囲、または約170℃~約250℃の範囲の大気圧で測定される沸点を有する。
【0049】
揮発性油は、炭化水素系油またはシリコーン油であり得る。一部の実施形態では、炭化水素系揮発性油は、約40℃~約102℃、約40℃~約55℃、または約40℃~約50℃の範囲の引火点を有する炭化水素系油から選択され得る。
【0050】
炭化水素系揮発性油は、8~16個の炭素原子を含有していてもよく、これは、直鎖状または分枝状、およびそれらの混合物であってもよい。分枝状炭化水素系揮発性油としては、C8~C16イソアルカン(イソパラフィンとも称される)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、ウンデカン/トリデカン混合物、ドデカン、テトラデカンなどのC8~C16アルカン、およびそれらの混合物;ならびにネオペンタン酸イソヘキシルなどのC8~C16分枝状エステル、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0051】
不揮発性油
不揮発性油は、鉱物、動物、植物または合成起源の炭素系油、炭化水素系油、シリコーン油、およびフッ素油、ならびにこれらの混合物から選択され得る。例えば、不揮発性炭化水素系油としては、流動パラフィンまたは流動ワセリン、イソエイコサン、ダイズ油、ペルヒドロスクワレン、スイートアーモンド油、ビューティーリーフ油(beauty-leaf oil)、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油または穀類胚芽油;ラノリン酸(lanolic acid)、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸のエステル;脂肪酸エステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ラクテート、コハク酸2-ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル;カーボネート、例えば、炭酸ジカプリリル;エーテル、例えば、ジカプリリルエーテル;高級脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸;高級脂肪アルコール、例えば、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールが挙げられ得る。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書の組成物は、透明なエマルジョンであり、これは、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC1~C26脂肪族一塩基酸または多価酸、および飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状のC1~C26脂肪族モノアルコールまたはポリアルコールの液状エステルから選択される少なくとも1種の油を含み、エステルの炭素原子の総数は、10より大きいまたは10に等しい。ある特定の実施形態では、モノアルコールのエステルについて、本発明のエステルが由来するアルコールおよび酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。一塩基酸およびモノアルコールのモノエステルとしては、例えば、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、およびネオペンタン酸イソステアリルが挙げられ得る。
【0053】
界面活性剤および/または乳化剤
本明細書の組成物(例えば、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、局所適用される医薬組成物)は、1種または複数の界面活性剤および/または乳化剤を含んでいてもよい。例えば、本明細書の組成物は、透明なエマルジョン(例えば、透明な水中油型エマルジョン)を得るために、1種または複数の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~約10重量%、約0.5重量%~約7重量%、または約1重量%~約5重量%の範囲の量で本明細書の組成物中に存在し得る。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0054】
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤としてのポリエチレングリコールの脂肪酸エステルおよび/またはグリセリルエステルが挙げられ得る。ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの例としては、ステアリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-6、イソステアリン酸PEG-6、イソステアリン酸PEG-12、ジイソステアリン酸PEG-12、イソステアリン酸PEG-8、ジイソステアリン酸PEG-8、イソステアリン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-100などが挙げられ得る。グリセリルエステルの例としては、オレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル(またはステアリン酸グリセリル)、モノイソステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0055】
一部の実施形態では、本明細書の組成物は、1種または複数の非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、グリセロールのアルキルおよびポリアルキルエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、グリセロールのアルキルおよびポリアルキルエステルとポリグリセリルとの混合物、例えば、オキシアルキレン化(例えば、ポリオキシエチレン化)ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、グリセロールの脂肪酸エステル;ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル;オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールおよび脂肪酸のエステル);オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)脂肪アルコールエーテル;糖エステル、例えば、ステアリン酸スクロース;糖の脂肪アルコールエーテル、特に、アルキルポリグルコシド(APG)、例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セトステアリルグルコシド(例えば、セトステアリルアルコールとの混合物として)、およびアラキジルグルコシド(例えば、アラキジルアルコールの混合物の形態)、ベヘニルアルコール、アラキジルグルコシド、レシチンおよび誘導体(例えば、バイオフィリック)、糖エステル、ならびにステアロイル乳酸ナトリウムが挙げられる。
【0056】
一部の実施形態では、本明細書の組成物は、1種または複数のアニオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、ポロキサマー338、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、モノグリセリドサルフェート、スルホネート(sultanates)、例えば、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、スルホスクシネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルサルコシネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシナメート(alkylsulfosuccinamates)、N-アシルN-メチルタウレート、N-アシルイセチオネート、N-アシルタウレート、アルキルモノエステルおよびポリグリコシド-ポリカルボン酸の塩、アシルラクチレート、有機酸とグリセロールの混合エステル、例えば、クエン酸ステアリン酸グリセリル、および乳酸ステアリン酸グリセリル、D-ガラクトシドウロン酸の塩、アルキルエーテルカルボン酸の塩、アルキルアリールエーテルカルボン酸の塩、およびアルキルアミドエーテルカルボン酸の塩;または上記の化合物の非塩化形態が挙げられ、上記の化合物のアルキルおよびアシル基は、6~24個の炭素原子を含有し、アリール基はフェニル基を表す。上記化合物の一部は、オキシエチレン化されていてもよく、1~50個のエチレンオキシド単位を含んでいてもよい。
【0057】
アニオン性界面活性剤としてはまた、植物起源のタンパク質またはシルクタンパク質のアニオン性誘導体、ホスフェートおよびアルキルホスフェート、カルボキシレート、スルホスクシネート、アミノ酸誘導体、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、スルホネート、イセチオネート、タウレート、アルキルスルホアセテート、ポリペプチド、アルキルポリグルコシドのアニオン性誘導体、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0058】
使用され得る乳化剤としては、非イオン性またはイオン性乳化剤(アニオン性、カチオン性または両性)が挙げられ得る。さまざまな実施形態では、非イオン性乳化剤としては、8~30個の炭素原子、好ましくは、10~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールのポリアルキレングリコールエーテル;ポリオキシアルキレン化ソルビタンのアルキルエステル、特に、ポリオキシエチレン、ここで、アルキルラジカルは、8~30個の炭素原子、好ましくは、10~22個の炭素原子を含む;ポリオキシアルキレンアルキルエステル、特に、ポリオキシエチレン、ここで、アルキルラジカルは、8~30個の炭素原子、好ましくは、10~22個の炭素原子を含む;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;ジエチレングリコール;およびそれらの混合物が挙げられる。さまざまな実施形態では、乳化剤は、ポリソルベート20、セテアレス20、ジウタンガム、カラギーナン、ジェランガム、ウェランガム、ペクチン、スクレロチウムガム、デンプン、またはガラクトアラビナンである。さまざまな実施形態では、乳化剤は、キサンタンガムである。乳化剤(単数または複数)の量は、一般に、組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~30重量%である。さまざまな実施形態では、乳化剤は、ゼロ重量パーセント超および約2重量%未満で存在する。さまざまな実施形態では、1種または複数の乳化剤は、ゼロパーセント超および1%未満、好ましくは、約0.2%で存在する。さまざまな実施形態では、本明細書に記載される化粧用組成物は、アンチエイジングセラム(Anti-Aging Serum)Bと少なくとも同じぐらい安定な、24時間でのエマルジョン安定性を有する(実施例5を参照されたい)。
【0059】
ポリマー
本明細書の組成物(例えば、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、局所適用される医薬組成物)は、1種または複数のポリマーを含んでいてもよい。好適なポリマーとしては、限定されるものではないが、ポリ乳酸(PLA)、ポリC10~C30アルキルアクリレート、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/vpコポリマー、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、アンモニウムポリアクリロイルジメチルタウレート、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
添加剤
本明細書の組成物(例えば、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、局所適用される医薬組成物、アンチエイジングセラム)は、1種または複数の添加剤を含んでいてもよい。例えば、組成物は、1種または複数の香料、ビタミン(例えば、トコフェロール、ナイアシンアミド、ビタミンB3、ビタミンB6)、NADブースト化合物(例えば、ニコチンアミドリボシド(NR)、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、C6~C18脂肪酸ニコチネートエステル、例えば、ニコチン酸ミリスチルまたはニコチン酸テトラデシル)、NAMPT阻害剤、保存剤(例えば、フェノキシエタノールおよびサリチル酸)、シリコーン(例えば、ジメチコン、カプリリルメチコン、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー)、脂肪化合物、フィラー(例えば、シリカ(例えば、シリル化シリカ)、マイカ、酸化マグネシウム、ナイロン-12、ナイロン-66、セルロース、タルク、タルクおよびメチコン、タルクおよびジメチコン、パーライト、ケイ酸ナトリウム、軽石、PTFE、ポリメチルメタクリレート、アルミナ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム、炭酸マグネシウム)、溶剤(例えば、短鎖アルコール(例えば、エタノール)、グリコール、ポリオール、グリセリン、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール)、増粘剤、有機または無機添加剤、物理的および/または化学的日焼け防止剤、封鎖剤、抗酸化剤、不溶性活性薬剤、脂溶性活性薬剤、水溶性活性薬剤、保湿剤、例えば、ポリオール(例えば、グリセロール)、pH調整剤(酸または塩基)、追加の活性薬剤(例えば、植物から抽出された薬剤、バイオテクノロジーから得られる薬剤、EDTA二ナトリウム、トリエタノールアミン、カプリロイルサリチル酸、ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸)、無機活性薬剤、ならびに/あるいは張力剤(tensioning agent)を含み得る。
【0061】
添加剤は、本明細書の組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約90重量%、約0.1重量%~10重量%、約1重量%~約90重量%、約5重量%~約80重量%、約10重量%~約70重量%、約15重量%~約60重量%、または約20重量%~約50重量%の範囲の濃度で存在し得る。
【0062】
ある特定の実装形態では、本明細書に提供される組成物は、1種または複数のサーチュイン活性化因子を含む。サーチュイン活性化因子は、フェノールまたはスチルベノイドである場合がある。サーチュイン活性化因子の非限定的な例は、レスベラトロール(3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベン)である。
【0063】
ある特定の実装形態では、本明細書に提供される組成物は、1種または複数の抗酸化剤を含む。抗酸化剤は、フリーラジカル捕捉剤である場合があり、フェノールまたはスチルベノイドである場合がある。抗酸化剤の非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンE、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ウロリチンA、およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。さまざまな実施形態では、抗酸化剤は、組成物の安定性または有効期間を改善する。さまざまな実施形態では、抗酸化剤は、組成物が適用される細胞または表面への損傷に対する防御を提供する。
【0064】
UVフィルター
本明細書の組成物(例えば、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、局所適用される医薬組成物)は、1種または複数のUVフィルター構成成分を含んでいてもよい。UVフィルターは、UV-Aおよび/UV-B領域で活性であり得る。UVフィルターは、親水性および/または親油性であり得る。UVフィルターは、固体または液体であり得る。
【0065】
任意の好適なUVフィルターは、本明細書の組成物に含まれ得る。好適なUVフィルターとしては、例えば、アントラニル化合物;ジベンゾイルメタン化合物;桂皮化合物;サリチル化合物;カンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物;ベンズイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;ビス-ベンゾアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;ベンゾオキサゾール化合物;スクリーニングポリマーおよびスクリーニングシリコーン;a-アルキルスチレンから誘導された二量体;4,4-ジアリールブタジエン化合物;グアイアズレンおよびその誘導体;ルチンおよびその誘導体;フラボノイド;バイオフラボノイド;オリザノールおよびその誘導体;キナ酸およびその誘導体;フェノール;レチナール;システイン;芳香族アミノ酸;芳香族アミノ酸残基を有するペプチド;ならびにそれらの混合物が挙げられ得る。
【0066】
一部の実施形態では、UVフィルターは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ホモサレート、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、1,r-(l,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス-(n-ブチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]-ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジフェニル)-トリアジン、2,4,6-トリス-(ter-フェニル)-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、4’-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、l,l-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンジルコニウムメトサルフェート、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、ベンゾフェノンまたはその誘導体、シンナメート化合物またはその誘導体、サリチレート化合物またはその誘導体、鉱物系化合物またはその誘導体、オキシベンゾン、アボベンゾン、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレート、二酸化チタン、および酸化亜鉛から選択される1種または複数の化合物をさらに含む。さまざまな実装形態では、以下の化合物の1種もしくは複数または全部が排除される:ベンゾフェノンまたはその誘導体、シンナメート化合物またはその誘導体、サリチレート化合物またはその誘導体、鉱物系化合物またはその誘導体、オキシベンゾン、アボベンゾン、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレート、二酸化チタン、および酸化亜鉛。さまざまな実装形態では、以下の化合物の1種もしくは複数または全部が、存在しないか、またはUV防御を提供しない量で存在する:ベンゾフェノンまたはその誘導体、シンナメート化合物またはその誘導体、サリチレート化合物またはその誘導体、鉱物系化合物またはその誘導体、オキシベンゾン、アボベンゾン、オクチノキサート、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレート、二酸化チタン、および酸化亜鉛。
【0068】
追加の実装形態
ある特定の実装形態では、本明細書に提供される組成物中の細菌の細胞残骸および/または分泌物は、組成物の約5重量%またはそれ未満である。細菌の細胞残骸および/または分泌物は、組成物中で、約4重量%もしくはそれ未満、約3重量%もしくはそれ未満、約2重量%もしくはそれ未満、約1重量%もしくはそれ未満、約0.5重量%もしくはそれ未満、約0.25重量%もしくはそれ未満、約0.1重量%もしくはそれ未満、約0.05重量%もしくはそれ未満、約0.025重量%もしくはそれ未満、約0.01重量%もしくはそれ未満、または約0.005重量%もしくはそれ未満である場合がある。
【0069】
本明細書に提供される組成物は、24時間またはそれよりも長く安定である場合が多く、24時間またはそれよりも長い有効期間を有する場合が多い。本明細書に提供される組成物は、組成物中に、ゼロより大きい量、および約0.2重量%もしくはそれ未満の量のキサンタンガムを含む場合があり、約0.1重量%もしくはそれ未満、約0.05重量%もしくはそれ未満、約0.025重量%もしくはそれ未満、約0.01重量%もしくはそれ未満、約0.005重量%もしくはそれ未満、約0.0025重量%もしくはそれ未満、または約0.001重量%もしくはそれ未満の量のキサンタンガムを含む場合がある。
【0070】
ある特定の実装形態では、本明細書に提供される組成物は、細菌の細胞残骸および/または細菌の分泌物を含まない組成物と比べて、青色スペクトルの紫外光をブロックする。青色スペクトルの紫外光は、一般に、高エネルギーの光であり、約380ナノメートル~約530ナノメートルの範囲の波長であり得る。本明細書に提供される組成物は、青色スペクトルの紫外光を、ブロックし、その透過を防止し、および/または吸収する場合がある。本明細書に提供される組成物は、約0.1%~約10%の青色スペクトルの紫外光をブロックする場合があり、約0.5%~約5%の青色スペクトルの紫外光をブロックする場合があり、約1%~約3%の青色スペクトルの紫外光をブロックする場合があり、約2%の青色スペクトルの紫外光をブロックする場合がある。ブロックされる光の量は、本明細書に提供される組成物によってブロックされる太陽光分光放射照度の量である場合がある。
【0071】
製造の方法
さまざまな実施形態では、細菌、例えば、ATCC受託番号PTA-126909で寄託されたBacillus pumilusの同じ株の細菌を得ること、必要に応じて細菌を生存不能にすること(例えば、凍結乾燥、溶解、超音波処理、顕微溶液化などによる)、および細菌またはその非生存構成成分を担体に添加して、組成物を得ることによる、組成物を製造する方法が提供される。担体は、組成物の意図される使用に応じて、最終組成物の配合において一般に使用される任意の構成成分を含み得る。成長培地からの細菌の加工処理は、加工処理ステップ、例えば、凍結乾燥、溶解、遠心分離(すなわち、スピンダウン)、デカンテーション、物理的せん断などを含み得る。さまざまな実施形態では、顕微溶液化は、UV吸光度、均一性、および/または再現性を改善するために含まれる。
【0072】
さまざまな実施形態では、紫外光に対する抵抗性を有する細菌を生成するための定向進化の方法であって、Bacillus pumilusの試料を得ること、700ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい紫外光、必要に応じて900ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい紫外光中で試料を成長させること、およびそのような成長条件で生存している生存細菌を単離することを含み、単離された生存細菌が、未処理のBacillus pumilusと比較して、より大きなUV吸収を示す、方法が本明細書に提供される。さまざまな実施形態では、方法は、以下を提供する:(1)生存している微生物を単離すること、およびUVC放射遮蔽下で微生物を培養すること、および700ジュール/m2(フルエンス)~約900ジュール/m2(フルエンス)の紫外光の人工源への曝露;(2)(1)の生存している微生物を単離すること、およびUVC放射遮蔽下で微生物を培養すること、および700ジュール/m2(フルエンス)~約900ジュール/m2(フルエンス)の紫外光の人工源への曝露、ここで、UVC放射遮蔽の量は、(1)におけるUVC放射遮蔽の量未満である;ならびに必要に応じて、次の繰り返しにおける培養のために、各繰り返し後に生存している微生物を使用して、(2)を1回または複数回繰り返すこと、ここで、各培養で、UVC放射遮蔽の量は、以前の繰り返しの量未満である。さまざまな実施形態では、繰り返しの数は、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも15である。そのように進化した細菌は、供給源生物から1つもしくは複数の表現型の相違、または供給源生物から1つもしくは複数の遺伝子型の相違、またはその両方を有し得る。ある特定の実装形態では、細菌は、先祖細菌とは目視検査によって表現型的に明確に異なる。ある特定の実装形態では、細菌のストック試料は、貯蔵のために凍結され、貯蔵から解凍され、紫外光の存在下での成長を検証するための十分な時間の間、700ジュール/m2(フルエンス)~約900ジュール/m2(フルエンス)の紫外光の人工源への曝露を含んで生存度についてスクリーニングされ、成長培地の量に基づいて完了される成長サイクルに十分な時間の間、リアクター容器中で成長培地に接種され、例えば1または複数ラウンドの遠心分離によって濃縮されて、成長培地が除去され、水で洗浄され、例えば顕微溶液化により溶解されて生存能力が除去され、水で再構成されて、固体の液体に対する均質な重量パーセンテージ、例えば0.01重量%~約10重量%の液体に対する固体、好ましくは約0.5重量%、または約1重量%、または約2重量%、または約3重量%、または約4重量%、または約5重量%を達成する。さまざまな実施形態では、試料は、任意の夾雑している細菌または病原体についてスクリーニングされ、夾雑試料は、廃棄される。さまざまな実装形態では、消泡剤が、本明細書に記載される加工処理ステップにおいて支援するために添加される。さまざまな実装形態では、溶解後の試料は、溶解後の非生存能力についてスクリーニングされる。
【0073】
使用の方法
本明細書に記載される組成物は、物品に組み込まれ得るか、または物品に適用され得、例えば、物品は、基材である場合がある。さまざまな実施形態では、紫外光からの防御を提供する方法であって、本明細書に記載される組成物を基材の表面に投与すること(例えば、適用すること)を含む、方法が本明細書に提供される。さまざまな実施形態では、紫外光の効果および/または透過を変更する方法であって、本明細書に記載される組成物を基材に埋め込むことまたは一体化することを含む、方法が本明細書に提供される。基材は、非限定的な例では、(i)生体基材、例えば、ヒトの皮膚、または(ii)生きていない基材、例えば、堅い物品(例えば、組成物が塗料として適用される、建物の壁または窓)もしくは柔らかい物品(例えば、織物、布、毛皮、毛髪、衣服、シェード)であり得る。組成物は、物品の表面上のコーティング層として適用される、および/または物品に一体化される場合がある。ある特定の実装形態では、組成物は、塗料、染料、ラッカー、ワニス、釉薬、インク、UV安定化剤、織物処理組成物、皮革処理組成物、毛髪処理組成物、および/または毛皮処理組成物として適用される。ある特定の実装形態では、組成物は、栄養補助食品、ポストバイオティクス副産物、および/または肥料もしくは植物成長組成物に添加される。
【0074】
ある特定の実装形態では、本明細書に記載される組成物は、皮膚ヒアルロン酸の量を増加させるために利用される。ある特定の態様では、皮膚ヒアルロン酸の量を増加させるための方法であって、本明細書に記載される組成物を、皮膚ヒアルロン酸の量を増加させるのに有効な量で、対象の皮膚に局所的に投与することを含む、方法が提供される。本明細書に記載される組成物は、それを必要とする対象の皮膚に局所的に投与され得、ヒアルロン酸の量は、対象の皮膚の上および/またはその中で増加し得る。
【0075】
ある特定の実装形態では、本明細書に記載される組成物は、エラスチンの量を減少させるために利用される。ある特定の態様では、皮膚エラスチンの量を減少させるための方法であって、本明細書に記載される組成物を、皮膚エラスチンの量を減少させるのに有効な量で、対象の皮膚に局所的に投与することを含む、方法が提供される。本明細書に記載される組成物は、それを必要とする対象の皮膚に局所的に投与され得、エラスチンの量は、対象の皮膚の上および/またはその中で減少し得る。
【0076】
ある特定の実装形態では、組成物における日光阻止因子(SPF)をブーストするための方法であって、本明細書に記載される組成物を、化粧用組成物、日焼け防止および/または日焼け止め組成物、ならびに局所適用される医薬組成物から選択されるベース組成物と組み合わせ、それによって組み合わされた組成物を提供することを含み、ベース組成物が、組み合わせる前に第1のSPF値を有し、組み合わされた組成物が、第1のSPF値よりも高い第2のSPF値を有する、方法が提供される。SPFブースターとして、本明細書に提供される組成物は、ベース組成物に応じて、SPF効率を約50%~約200%増加させ得る。この増加は、必要なベース組成物中のSPF活性成分の量を、約15%~20%から、普段着製品について約8%~12%に、ビーチ製品について約6~10%に低減し得る。SPFブースターとして、細菌溶解物の構成成分(例えば、細菌の細胞残骸および分泌物、例えば、Bacillus溶解物を含む)は、組み合わされた組成物の約0.01重量%~約5重量%、または約1重量%~約3重量%、または約0.1重量%、約0.5重量%、約0.8重量%、約1重量%、約2重量%、または約3重量%を構成し得る。SPFブースターとして、本明細書に記載される組成物は、ベース組成物と比べて、UV吸収を増加させ得、皮膚上のフィルムの厚さを増加させ得、UV散乱を増加させ得、臨界波長を拡大することによってUVカバレッジを増加させ得、UV安定性を改善し得、および/またはUV誘発性皮膚紅斑を低減し得る。さまざまな実施形態では、例えばBacillus溶解物を含む、本明細書に記載される組成物は、既存のSPF組成物のSPF値を、SPF15~20から最大でSPF21~40、または例えばSPF22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、もしくは39の間の任意の値にブーストする。さまざまな実施形態では、ここで記載される組成物は、ベースラインSPF15~20の組成物への添加剤として使用される場合、ベースラインSPF組成物への添加前の固体の液体に対する重量で、1%~10%、必要に応じて、約2%、または約5%、または約7%を含有する。
【0077】
ある特定の実装形態では、紫外光からの防御のための方法であって、本明細書に記載される組成物を対象の皮膚に投与することを含む、方法が提供される。組成物は、1日に任意の好適な回数(例えば、1日に1回、1日に2回、1日に3回またはそれよりも多く、1日に複数回)投与され得る。対象は、ヒトまたは非ヒト対象であり得る。非ヒト対象は、哺乳動物、爬虫類、鳥類、両生類、魚類、有蹄動物、反芻動物、ウシ(bovine)(例えば、ウシ(cattle))、ウマ(equine)(例えば、ウマ(horse))、ヤギ(caprine)およびヒツジ(ovine)(例えば、ヒツジ(sheep)、ヤギ(goat))、ブタ(swine)(例えば、ブタ(pig))、ラクダ科(例えば、ラクダ、ラマ、アルパカ)、サル、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー)、クマ科(ursid)(例えば、クマ)、家禽、イヌ、ネコ、マウス、ラット、魚類、イルカ、クジラおよびサメである場合がある。対象は、雄または雌(例えば、女性、妊婦)であり得る。対象は、任意の年齢(例えば、乳児、若年(juvenile)、小児、成人)であり得る。組成物は、任意の好適な方法によって投与され得、その非限定的な例としては、手、スプレー、アプリケーター(例えば、ローラー、ブラシ、パッド)などによる投与が挙げられる。
【0078】
ある特定の実装形態では、HEV光から皮膚を防御するための方法であって、本明細書に記載される組成物を対象の表面および/または皮膚に投与することを含む、方法が提供される。
【0079】
ある特定の実装形態では、皮膚におけるサーチュイン酵素の活性を増加させるための方法であって、本明細書に記載される組成物を対象の表面および/または皮膚に投与することを含む、方法が提供される。ある特定の実装形態では、皮膚におけるサーチュイン酵素の活性を増加させるための方法であって、本明細書に記載される組成物を対象の表面および/または皮膚に投与することを含み、組成物が、本明細書に記載される細胞残骸および残屑、例えばBacillus溶解物以外のサーチュイン活性化因子を本質的に含まない、方法が提供される。ある特定の実装形態では、皮膚におけるサーチュイン酵素の活性を増加させるための方法であって、i)本明細書に記載される細胞残骸および残屑、例えばBacillus溶解物、ならびにii)1種または複数のサーチュイン酵素を活性化する構成成分、例えばレスベラトロールの両方を含む組成物を投与することを含む、方法が提供される。
【0080】
ある特定の実装形態では、皮膚における最終糖化産物(AGE)を低減するための方法であって、本明細書に記載される組成物を対象の表面および/または皮膚に投与することを含む、方法が提供される。
【0081】
ある特定の実装形態では、ヒトの皮膚にアンチエイジング効果を提供するための方法であって、本明細書に記載される組成物をヒト対象の皮膚に投与することを含む、方法が提供される。ある特定の実装形態では、サーチュイン酵素の活性を増加させ、かつヒトの皮膚におけるアンチエイジング効果を提供する方法であって、本明細書に記載される組成物をヒト対象の皮膚に投与することを含む、方法が提供される。
【0082】
ある特定の実装形態では、皮膚におけるアンチエイジング効果を提供するための方法であって、i)本明細書に記載される細胞残骸および残屑、例えばBacillus溶解物、ならびにii)ニコチンアミドリボシド(NR)またはニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)またはニコチン酸ミリスチルなどの1種または複数のNADブースト構成成分の両方を含む組成物を投与することを含む、方法が提供される。
【0083】
参照による組込み
本明細書で挙げられた、すべての米国特許と米国公開特許出願およびPCT公開特許出願、ならびに非特許文献は、各独立した特許および刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0084】
(実施例1:細菌株の定向進化)
最初の繰り返し:B.pumilusの株を、Tryptic Soy Agarペトリプレートに広げ、種々の時間の間、最大で推定900J/m2のフルエンスで、バイオセーフティキャビネットUVCランプ(254nm)下に直ぐに置く。生存している細胞から得られるコロニーを使用して、5mLのトリプティックソイブロス(TSB)の試験管に接種し、これを、振とうしながら37℃で終夜成長させる。貯蔵のために、1mLの密な培養物を、1mLの50%のグリセロール/50%の水(v:v)に添加し、-80℃で凍結する。初期株は、環境供給源から得られるB.pumilus、またはATCCコレクションから得られるB.pumilus、例えば、ATCC寄託物PTA-7603、またはプライベートもしくは商用コレクションに由来する株、または文献に記載されている株、例えば、SAFR-032、UV-Space(56T-2)、UV-Mars(183T-1)、Dark-Space(40T-5)、およびDark-Mars(168T-5)を含み得る。
【0085】
その後の繰り返し:凍結されたストックを使用して、TSBに終夜接種し、次いでこれを、10倍希釈されたTSB(10%のTSB)に1:1000で希釈する。希釈培地を使用して、トリプトファンなどの多量の芳香族アミノ酸からの高いUVC吸光度による完全強度の培地からの干渉を低減する。2.5mLの接種された10%のTSBを、UVC発生率のわずかな相違について制御するパターンで、24ウェルプレートに分配する。漂白剤で滅菌された小さなマグネチックスターラーバーを含有する事前に滅菌されたプレートを、さまざまな量のUVC半透明遮蔽で覆う(例えば、使い捨てペトリ皿が「スリーブ」される12層の透明なプラスチックバッグ)。コロニー形成単位を、滴定(連続希釈およびプレーティング)を介して、開始(時間0時間)、およびその後の時点(通常、時間6時間、および時間23時間)で決定する。繰り返しの終局の際に、TSAプレートにおいて目に見えて成長した生存しているB.pumilusは、植菌ループで加熱滅菌され得、スワスは、得られる遺伝子学的に多様な菌叢から収集され、100%のTSB中で終夜接種され得る。プレーティング、次いでリッチ培地における成長は、2つの生理学的「初期化」を可能にし、その結果、その後のUVC照射のラウンドで生存している細胞は、生理学的な適合ではなく遺伝的な適合に起因してそのようにし得る。このプロセスは、その後の時点で使用されて、新しい無菌24ウェルプレートに接種され得、その半分は、同じ量の遮蔽(例えば、12層のペトリプレートバッグプラスチック)または低減された量の遮蔽(例えば、11層のペトリプレートプラスチック)を有する。可能な限り、成長を示す光の最も直下のウェルは、次の繰り返しで接種するために使用される。
【0086】
1層未満のペトリプレートバッグの遮蔽が十分な成長を依然として達成する間に必要とされた後、より薄い遮蔽(例えば、食品用ラップ)を、交差汚染を防止するためのエタノール滅菌とともに使用する。UVCは、支持体上にマグネチックスターラーに置くことによって、増加する。UVCの量をチェックしたときに、ルミノメーターは、等量の遮蔽で覆われ、バイオセーフティキャビネットUVCバルブから等距離に置かれる。
【0087】
繰り返しの間に、B.pumilusは、迅速に成長し、その結果、力価は、滴定の数時間以内に目に見える「菌叢」を示す。これらの「菌叢」を使用して、5mLの100%のTSBの試験管に接種し、これを、さらに2~3時間、振とうしながら37℃で成長させる。このようにして、初期接種材料は、1日の終わりの時間0時間、および翌朝の時間約18時間で滴定される。
【0088】
繰り返し8または繰り返し30などの特定数の繰り返しの後、細胞は、特に(唯一ではないが)、UVC下で成長した場合に、視覚的に明らかな塊を形成する。それぞれの逐次的な繰り返しにより、密なB.pumilusの進化株の力価は、漸進的に低下するcfu/mLを示し、各コロニーが、1つの細菌細胞の代わりに10~100個の細菌細胞などのさまざまな数から形成される可能性を示す。さまざまな繰り返しで、コロニーは、夾雑物としてB.cereusの存在についてスクリーニングされ得、そのようなコロニーは、除去されるか、またはその後の繰り返しのために選択され得ない。
【0089】
所望のレベルのUV吸光度または抵抗性に達したら、細菌細胞は、貯蔵のために凍結され得る。そのような貯蔵された試料は、解凍され、本明細書に記載されるようにして得られた、Bacillus溶解物などの組成物の形成のための有用な量の細胞材料を達成するために繁殖され得る。繁殖の前に、貯蔵された試料は、成長培地中の試料をUV光に曝露することによって生存能力についてスクリーニングされて、UV吸光度または抵抗性が貯蔵からの取り出しの際に維持されているか検証され得、700ジュール/m2の曝露(フルエンス)よりも大きいまたはそれに等しい、必要に応じておよそ900ジュール/m2の曝露(フルエンス)のUVスクリーニングで生存するコロニーは、さまざまなサイズ、例えば、50L、500Lおよび5000Lの成長リアクター中で、繁殖または増幅のための供給源材料としての役割を果たす。
【0090】
(実施例2:UV吸光度試験)
UV吸光度試験のための試料を調製するための一般的手順:細胞を、1、2、および3日間、試験管において、10%のトリプティックソイブロス(TSB)中で成長させる。試料を、各株についてそれぞれの日に取り出し、そのまま放置するか、100℃で10分間煮沸することによって加熱殺菌し、1の振幅で30秒のオン/オフサイクルで合計5分間超音波処理するか、加熱殺菌し、超音波処理の後、急速凍結および凍結乾燥するか、または顕微溶液化し、固体(アモルファス粉末)として貯蔵する。
【0091】
細胞の吸光度の測定
アモルファス粉末(10.0mg)を、2mLのエッペンドルフ管に秤量し、1mLの脱イオン水(diH2O)に再懸濁させ、10.0mg/mLの溶液を得、完全な分散/可溶化のためにボルテックスした。試料を、第2の2mLのエッペンドルフ管において、100マイクロリットルを900マイクロリットルのdiH2Oにピペッティングすることによって、1.0mg/mLに連続希釈した。追加の連続希釈物(0.5mg/mL;0.1mg/mL)を、それぞれ、第3の2mLのエッペンドルフ管において、250マイクロリットルの1.0mg/mL溶液を250マイクロリットルのdiH2Oにピペッティングすることによって、および別のエッペンドルフ管において、100マイクロリットルの1.0mg/mL溶液を900マイクロリットルのdiH2Oにピペッティングすることによって、調製した。
【0092】
オキシベンゾンの比較試料を、2mLのエッペンドルフ管に10.0mgのオキシベンゾンを秤量すること、および1mLの200プルーフのエタノールに再懸濁させて、10.0mg/mLの溶液を得ることによって、調製した。試料を、第2の2mLのエッペンドルフ管において、100マイクロリットルの10.0mg/mL溶液を900マイクロリットルの200プルーフのエタノールにピペッティングすることによって、1.0mg/mLに連続希釈した。追加の連続希釈物(0.1mg/mL;0.01mg/mL)を、それぞれ、第3の2mLのエッペンドルフ管において、100マイクロリットルの1.0mg/mL溶液を900マイクロリットルの200プルーフのエタノールにピペッティングすることによって、およびその後のエッペンドルフ管において、100マイクロリットルの0.1mg/mL溶液を900マイクロリットルの200プルーフのエタノールにピペッティングすることによって、調製した。
【0093】
UV透過性平底96ウェルプレートを使用して、100マイクロリットルの試料を、それぞれ3つのウェル(例えば、試験試料、比較のオキシベンゾン試料、diH
2Oブランク、および200プルーフのエタノールブランク)にピペッティングした。各ウェルの吸収スペクトルを、Molecular Devices SpectraMax Plusプレートリーダーを使用して測定した。各試料の吸収を、5nmの増分で200nmから400nmまで測定した。各試料の生スペクトルデータを、Excelスプレッドシードにインポートし、diH
2Oのみおよび200プルーフのエタノールのみを含有するウェルの吸光度(それぞれのブランク)を、バックグラウンドとして、試験材料の希釈物を含有するウェルの吸光度から減算した。次いで、ウェルの吸光度を、それらの濃度で割り(例えば、0.25%の試料は0.25で割った)、平均および標準偏差を、試料に関係するすべてのウェルについて算出した。各測定波長での平均吸収を、各試料についてプロットした。比較試料(オキシベンゾン)に対する試験組成物(トレースA)についてのUVスペクトルを示す
図1を参照されたく、ここで、Y軸は、UV吸光度(0~4のスケール)であり、X軸は、波長(200~400nm)である。トレースAは、1.0mg/mLの試験組成物であり、トレースBは、0.1mg/mLのオキシベンゾンである。
【0094】
(実施例2A:代替溶解手順)
試料を、以下の手順に従って、細菌細胞の顕微溶液化によって調製する:20gのペレット(約5.5E+10個細胞)を、250mLの総体積まで、diH2Oに希釈し、およそ2.2E+08個細胞/mLの細胞懸濁物を作出する。この希釈物の100mLを、実験室スケールのマイクロフルイダイザーで使用し、150mLを、パイロットスケールのマイクロフルイダイザーで使用する。試料を、各マイクロフルイダイザーから、10ラウンドの顕微溶液化後に得、試料を、拡大下での目視検査によって均一性について調べる。
【0095】
(実施例3:スケールアップ最適化)
実施例1に記載されるようにして得られた株を、スケールアップおよび生産最適化のために選択する。フラスコタイプ、培地体積および強度、インキュベーション時間、ならびにインキュベーション温度(例えば、37℃)を、最適な成長について比較する。
【0096】
実験フラスコタイプについての最適化:250mL、500mLまたは1,000mLの10%のTSBを含有する2,800mLのFernbachフラスコを、500mL、1,000mLまたは1,500mLの10%のTSBを含有する2,500mLのLow Formフラスコと比較する。5つの50mLの試料を、37℃で振とうしながら1、2および3日間の成長後に、各フラスコから取り出し、細菌密度について比較する。
【0097】
成長後処理のための最適化:5つの成長後の処理タイプを試験する:(i)5,000×gで10分間の遠心分離、(ii)遠心分離、無菌diH2Oによる洗浄、次いで再度の遠心分離、(iii)遠心分離、洗浄、遠心分離、次いで約10mLのdiH2Oへのペレットの再懸濁、それに続いて1の振幅で30秒のオン/オフサイクルで5分間の超音波処理、(iv)遠心分離、洗浄、遠心分離、超音波処理、次いでオートクレーブ処理、および(v)遠心分離、次いで約10mLのdiH2Oへのペレットの再懸濁、それに続いてオートクレーブ処理。すべての試料を、それらのそれぞれの成長後処理を受けた後に液体窒素中で急速凍結させ、凍結乾燥、顕微溶液化など、および実施例2に記載される同じ方法によって測定されるUV吸光度スペクトル測定を待つ間、-80℃で貯蔵する。この実施例3に記載されるプロセスを利用して、Bacillus溶解物を製造することができる。
【0098】
バッチについてのQA/QC
バッチを、以下の手順に従って、成長させ、処理する:細胞を、2,500mLのPyrex(登録商標) Low Form培養フラスコにおいて、1,500mLの10%のTSB中で、1日間成長させる。バッチを、オートクレーブ処理し、遠心分離し、凍結乾燥し、diH2Oに15%重量対体積(w:v)で再懸濁させ、超音波処理し、再度凍結乾燥した後、-80℃で貯蔵する。超音波処理された材料の試料を、0.25%w:vでdiH2Oに再懸濁させて、以前のバッチの性能と比較してもよい。仕様書に従って機能するバッチは、低温貯蔵(-80℃)で保持することができる。
【0099】
バッチの目視検査またはバッチ内の結果の変動が見られる場合、バッチを、バッチの物理的均一性が達成されるまで、グラインダーで物理的に粉砕してもよい。あるいは、バッチは、顕微溶液化に供してもよい。
【0100】
(実施例4:配合)
SPF試験のためのファンデーションまたはローションにおける細胞の懸濁
性能についてのQA/QCカットオフに合格した粉末状の細菌構成成分を、15%w:vまたは25%w:vの濃度でファンデーションまたはローションに再懸濁させ、超音波処理またはそのまま放置する。市販のローションは、AVEENO(登録商標)Baby Daily Moisture Lotionを含む。市販のファンデーションは、広域スペクトルSPF18のFLOWER Beauty(登録商標)Light Illusionを含む。試料、例えば、超音波処理されたファンデーション中の15%の再懸濁物を、SPF決定のために試験する。
【0101】
(実施例5:アンチエイジングセラム)
アンチエイジングセラムAを調製するために組み合わされる、相中に存在する構成成分の説明を、本明細書の以下に提供する。
【表1】
【表2】
【0102】
アンチエイジングセラムBを形成するために組み合わされる、相中に存在する構成成分の説明を、本明細書の以下に提供する。
【表3-1】
【表3-2】
【表4】
【0103】
アンチエイジングセラムCを形成するために組み合わされる、相中に存在する構成成分の説明を、本明細書の以下に提供する。
【表5-1】
【表5-2】
アンチエイジングセラムCについての配合手順は、アンチエイジングセラムAおよびアンチエイジングセラムBについて上に記載した配合手順と類似する。
【0104】
アンチエイジングセラムDを形成するために組み合わされる、相中に存在する構成成分の説明を、本明細書の以下に提供する。
【表6-1】
【表6-2】
アンチエイジングセラムDについての配合手順は、アンチエイジングセラムAおよびアンチエイジングセラムBについて上に記載した配合手順と類似する。
エマルジョンの比較安定性(24時間):
キサンタンガムの非存在下のアンチエイジングセラムA: +
キサンタンガムの存在を伴うアンチエイジングセラムB: ++
アンチエイジングセラムC : ++
アンチエイジングセラムD : ++
【0105】
(実施例6:in-vitro高エネルギー可視光(HEV380~530nmの青色光)スクリーニング)
この実施例では、本明細書に記載されるBacillus溶解物を、下に記載されるin vitroスクリーニング手順に従って評価した。
スクリーニング方法
【0106】
Bacillus溶解物試料を、高エネルギー可視光(380~530nm)照射に対して防御する試料の能力を評価するために、改変された(3つの基材、15スキャンの代わりに単一基材、1スキャン)高エネルギー可視光防御指数(HEVPF)法(Advanced Science Laboratories,Inc.)を使用して評価した。
結果
試験条件:
基材:1つのHD 6u PMMAプレート
適用速度:1.3mg/cm
2
乾燥時間:15~30分
事前照射量:4MED=800J/cm
2-eff
試験結果:
所内のin-vitro防御指数(HEV-PF):1.02
ブロックされた太陽光分光放射照度パーセント(%SSI-HEV):2.00%(
図2を参照されたい)
技術概要
スペクトル測定の証明書
【表7】
【表8-1】
【表8-2】
【表9-1】
【表9-2】
【0107】
(実施例7:線維芽細胞培養:コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン)
この実施例では、線維芽細胞培養モデルを使用して、I型コラーゲン、ヒアルロン酸、およびエラスチンの合成に対する効果を発揮する試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物)の能力を評価した。この研究は、試験材料への曝露後の細胞の生存能力も評価した。
【0108】
試験方法の概要
線維芽細胞は、構造タンパク質であるコラーゲンおよびエラスチンを含む細胞外マトリックスペプチドの主な供給源である。プロコラーゲンは、皮膚の真皮層において線維芽細胞によって合成される大型ペプチドであり、コラーゲンについての前駆体である。ペプチドがプロセシングされて、成熟コラーゲンタンパク質が形成されるにつれて、プロペプチド部分は、切断される(I型Cペプチド)。次いで、成熟コラーゲンタンパク質およびI型Cペプチド断片は両方とも、細胞外環境に放出される。コラーゲンが合成されるにつれて、I型Cペプチド断片は、組織培養培地に蓄積する。プロコラーゲンペプチドの2つの部分の間に1:1の化学量論比が存在するので、I型Cペプチドについてのアッセイは、合成されたコラーゲンの量を反映する。1型Cペプチドは、ELISAに基づく方法を介してアッセイされる。
【0109】
エラスチンは、組織に、一過性の伸展後に反跳するそれらの能力を与える弾性線維のネットワークの主な構成成分である。このタンパク質は、線維芽細胞によって細胞外空間に放出され(可溶性エラスチン)、次いで、他のエラスチンタンパク質と架橋して、線維およびシートの広範囲に及ぶネットワークが形成される(不溶性エラスチン)。可溶性エラスチンは、ELISAに基づく方法を介して、細胞培養培地から測定される。
【0110】
細胞数の変化は、MTTアッセイを介して評価する。MTTアッセイは、細胞の代謝活性の比色分析であり、これは、生存細胞の数の反映である。ミトコンドリアによるMTTの低減は、イソプロパノールを用いて細胞から抽出され、分光光度的に定量化される不溶性の紫色のホルマジン結晶の形成をもたらす。紫色の強度は、細胞の代謝活性に正比例し、試験材料の毒性に反比例する。
【0111】
方法
線維芽細胞の調製
線維芽細胞を、0.5mlの線維芽細胞成長培地(FGM)中、24ウェルプレートの個々のウェルに播種し、37±2℃および5±1%のCO2で終夜インキュベートした。翌日、培地を、吸引を介して除去して、任意の非接着細胞を排除し、0.5mlの新鮮なFGMで置き換えた。細胞を、48~72時間ごとの培地交換を伴って、コンフルエントまで成長させた。コンフルエンシーに達したら、細胞を、1.5%のFBSが補充されたDMEMで24時間処理して、通常の培養培地に含まれる成長因子からのあらゆる効果を洗い流した。この24時間の洗い流し期間の後、細胞を、1.5%のFBSを有するFGMに溶解された指定濃度の試験材料で処理した。TGF-B(50ng/ml)を、コラーゲンおよびエラスチンについての陽性対照として使用した一方、100μMのDbcAMPを、ヒアルロン酸についての陽性対照として使用した。未処理細胞(陰性対照)は、1.5%のFBSを有するDMEMのみを受けた。細胞を48時間インキュベートし、インキュベーション期間の最後に、細胞培養培地を収集し、凍結して(-75℃)貯蔵したか、またはすぐにアッセイした。材料は、三連で試験した。
【0112】
MTTアッセイ
2日のインキュベーション後、細胞培養培地を除去し(上記を参照されたい)、線維芽細胞を、PBSで2回洗浄して、あらゆる残った試験材料を除去した。最後の洗浄後、0.5mg/mlのMTTが補充された500μlのDMEMを各ウェルに添加し、細胞を37±2℃および5±1%のCO2で1時間インキュベートした。インキュベーション後、DMEM/MTT溶液を除去し、細胞を、PBSで再度1回洗浄し、次いで、0.5mlのイソプロピルアルコールをウェルに添加して、紫色のホルマジン結晶を抽出した。200マイクロリットルのイソプロピル抽出物を96ウェルプレートに移し、プレートを、ブランクとしてイソプロピルアルコールを使用して、540nmで読み取った。
【0113】
I型コラーゲンアッセイ
一連のI型Cペプチド標準物質を、0ng/ml~640ng/mlの範囲で調製した。次に、ELISAマイクロプレートを、あらゆる不要なストリップをプレートのフレームから除去することによって調製し、それに続いて100μlのペルオキシダーゼ標識抗プロコラーゲンI型Cペプチド抗体を、アッセイに使用される各ウェルに添加した。次いで、20μlのいずれかの試料(収集された組織培養培地)または標準物質を、適切なウェルに添加し、マイクロプレートを覆い、37℃で3±0.25時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルを、吸引し、400μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。最後の洗浄物を除去した後、100μlのペルオキシダーゼ基質溶液(過酸化水素+色素原としてテトラメチルベンジジン)を各ウェルに添加し、プレートを室温で15±5分間インキュベートした。インキュベーション後、100μlの停止溶液(1Nの硫酸)を各ウェルに添加し、プレートを、450nmで、マイクロプレートリーダーを使用して読み取った。
【0114】
ヒアルロン酸アッセイ
一連のヒアルロン酸標準物質を、50ng/ml~3,200ng/mlの範囲で調製した。次に、100μlのそれぞれの標準物質および試料を、インキュベーションプレート中のウェルに移した。50μlの検出溶液を各ウェルに添加した後(試薬ブランクウェルを除く)、プレートを37±2℃で1±0.25時間インキュベートした。インキュベーション後、インキュベーションプレートからの100μlのそれぞれの試料/標準物質を、ELISAプレートの対応するウェルに移した。ELISAプレートを、覆い、4℃で30±5分間インキュベートし、次いで、300μlの洗浄緩衝液で3回洗浄した。最後の洗浄後、100μlの酵素溶液を各ウェルに添加し、プレートを37±2℃で30±5分間インキュベートした。このインキュベーション後、ウェルを、上に記載されるようにして再度洗浄し、次いで、100μlの酵素基質溶液を各ウェルに添加し、プレートを室温で30~45分間インキュベートした。この最後のインキュベーション後、50μlの停止溶液を各ウェルに添加し、プレートの吸光度を、450nmで、プレートリーダーを使用して測定した。
【0115】
エラスチンアッセイ
一連のエラスチン標準物質を、0ng/ml~300ng/mlの範囲で調製した。次に、ELISAマイクロプレートを、あらゆる不要なストリップをプレートのフレームから除去することによって、調製し、それに続いて100μlのそれぞれの標準物質(二連で調製)または試料を添加した。次いで、マイクロプレートを、覆い、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、ウェルをデカンテーションし、100μlの検出試薬Aを添加し、プレートを37℃で1時間、再度インキュベートした。このインキュベーション後、ウェルプレートを洗浄溶液で3回洗浄した(プレートを、各洗浄溶液とともに、室温で1~2分間放置した)。最後の洗浄物をデカンテーションした後、100μlの検出試薬Bを各ウェルに添加し、プレートを、37℃で30分間インキュベートし、次いで上に記載されたようにして洗浄した。最後の洗浄物を除去した後、90μlの基質溶液を各ウェルに添加し、プレートを室温で15±5分間インキュベートした。インキュベーション後、50μlの停止溶液(1Nの硫酸)を各ウェルに添加し、プレートを、450nmで、マイクロプレートリーダーを使用して読み取った。
【0116】
算出
MTTアッセイ
陰性対照細胞についての平均MTT吸光度値を算出し、100%の細胞生存率を表すために使用した。次いで、さまざまな処理を受けた細胞からの個々のMTT値を、陰性対照細胞についての平均値で割り、パーセントとして表して、各処理によって引き起こされた細胞生存率の変化を決定した。
【0117】
ELISAアッセイ
存在する各基質の量を定量化するために、標準曲線を、各基質の公知濃度を使用して作成した。回帰分析を行って、これらのデータポイントに最もよくフィットする線を確立した。試験材料および未処理試料についての吸光度値を使用して、各試料中に存在する各基質の量を推定した。
【0118】
統計分析
処理の平均を、処理あたりn=3で、ANOVAを使用して比較した。統計学的有意性をp<0.05に設定した。
【0119】
結果
MTTアッセイについての結果を、
図3に表し、値を、生存率の平均パーセント±平均の標準偏差として表す。ELISAアッセイについての結果は、
図4(コラーゲン)、
図5(ヒアルロン酸)、および
図6(エラスチン)に表す。これらの値は、平均濃度(ng/ml)±平均の標準偏差として表される。
【0120】
線維芽細胞培養モデルを使用して、I型コラーゲン、ヒアルロン酸、およびエラスチンの合成に対する効果を発揮する試験材料の能力を評価した。材料は、ヒアルロン酸産生を有意に増加させ、エラスチン産生を減少させることが観察された。
【0121】
(実施例8:HORACおよびORAC分析)
この実施例では、本明細書に記載されるBacillus溶解物を、細胞に基づかない方法を使用して、抗酸化特性についてスクリーニングした。
【0122】
試験方法の概要
フルオレセイン(FITC)は、通常は、強い蛍光を発する分子であるが、フルオレセインが、ペルオキシルラジカルまたはヒドロキルラジカルのいずれかによって酸化されると、これはその蛍光を減少させる。そのため、FITCが、2,2’-アゾビス(2-アミジノ-プロパン)二塩酸塩(AAPH、ペルオキシルラジカルを生じる化合物)、または過酸化水素およびコバルトの組合せ(フェントン型反応に基づいてヒドロキシルラジカルを生じる系)の存在下でインキュベートされると、時間依存性のFITC蛍光の減少が存在する。しかしながら、抗酸化特性を有する材料がインキュベーションの間に存在すると、蛍光の減少は、ペルオキシルラジカルまたはヒドロキシルラジカルの一部がFITCの代わりに抗酸化材料と反応するため、遅延する。これらの条件下で、蛍光減衰の遅延または防止は、試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物)の抗酸化能に比例する。
【0123】
HORACアッセイ(OxiSelect HORACアッセイ、Cell Biolabs)
HORACアッセイを、キットの製造業者に指定されたようにして行った。アッセイのために、試験材料を、10倍のそれらの最終の所望の濃度で、アッセイ緩衝液中で調製した。コーヒー酸を、このアッセイについての陽性対照として使用した。アッセイを開始するために、20μlの試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物)または陽性対照を、96ウェルプレートのウェルに添加した。すべての試料を、三連で調製した。次に、140μlのFITC溶液を各ウェルに添加し、プレートを暗所で30分間インキュベートした。このインキュベーション後、20μlの過酸化水素溶液(ヒドロキシルラジカル開始剤)を各ウェルに添加し、それに続いて20μlのコバルト溶液(フェントン試薬)を添加した。プレートを、混合し、次いで、480nmの励起波長および518nmの発光波長で、3分のインターバルで60分間、Fluoroskan Ascent蛍光光度計を使用して読み取った。
【0124】
ORACアッセイ
ORACアッセイのために、試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物)を、10倍のそれらの最終の所望の濃度で、アッセイ緩衝液中で調製した。トロロクスを、このアッセイについての陽性対照として使用した。アッセイを開始するために、20μlの試験材料または陽性対照を、96ウェルプレートのウェルに添加した。すべての試料を、三連で調製した。次に、160μlの360nMのFITC溶液を各ウェルに添加し、プレートを暗所で30分間インキュベートした。このインキュベーション後、20μlの153mMのAAPH(ペルオキシルラジカル発生剤)を各ウェルに添加した。プレートを、混合し、次いで、480nmの励起波長および518nmの発光波長で、2.5分のインターバルで60分間、Fluoroskan Ascent蛍光光度計を使用して読み取った。
【0125】
算出
FITC蛍光の減少を、蛍光減衰曲線を作成するために、試料のそれぞれについて、時間に対して蛍光強度をプロットすることによってグラフ化することができる。次いで、この曲線下面積(AUC)は、アッセイの過程にわたるFITC蛍光減少の程度を表し、次いで、この測定を、抗酸化剤試料の有効性についての指標として使用する。試料についてのAUCは、以下の式を使用して算出することができる。
AUC=1+(RFU1/RFU0)+(RFU2/RFU0)+…+(RFU最終/RFU0)
【0126】
RFU0が時間0での試料の初期蛍光測定値である場合、それぞれのその後のRFU測定値は、それぞれの増加した数によって示された。この研究のために、次いで、AUC測定値を使用して、スクリーニングされた試験材料の各濃度についての阻害パーセントを決定し、それに続いて、ラジカル相互作用に起因するFITCシグナル減少の50%が防止される材料の濃度であるIC50を決定した。
【0127】
結果
HORACアッセイの結果を
図7に示す(上側のグラフおよび上側の表:陽性対照;下側のグラフおよび下側の表:試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物))。ORACアッセイの結果を
図8に示す(上側のグラフおよび上側の表:陽性対照;下側のグラフおよび下側の表:試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物))。
【0128】
この研究では、試験材料(すなわち、本明細書に記載されるBacillus溶解物)は、ヒドロキシルラジカル(HORAC)およびペルオキシルラジカル(ORAC)の両方を捕捉することが観察された。これらのそれぞれについてのIC50は以下の通りであった。
HORAC:336.38μg/ml
ORAC:321.28μg/ml
* * *
【0129】
本技術を、具体的な実装形態に関連して記載した。本技術を記載するために本明細書で利用された用語および表現は、説明的であって、必ずしも限定的なものではない。開示された実装形態に対して行われたある特定の改変は、本技術の範囲内とみなされ得る。好適に開示される実装形態のある特定の態様は、本明細書に具体的に開示されていないある特定の要素の存在または非存在下で実施され得る。
【0130】
本技術のある特定の実装形態は、続く特許請求の範囲に示される。
【国際調査報告】