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特表2024-500863FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
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  • 特表-FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド 図1
  • 特表-FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20231227BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231227BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/12
C12N5/10
C07K14/47
A61K31/7088
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537710
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021064082
(87)【国際公開番号】W WO2022133245
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,907
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523229964
【氏名又は名称】エリギャブ ティーエックス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ライク スコット
(72)【発明者】
【氏名】フォルンロッヒャー ハンス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ガイク アンケ
(72)【発明者】
【氏名】ベッテンコート ブライアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA46
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZC51
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
FOXG1症候群またはそれに関連する症状を処置および/または改善するための組成物および方法を本明細書において提供する。本明細書において開示される組成物および方法は、細胞におけるFOXG1(例えば、FOXG1タンパク質をコードするmRNAまたはFOXG1タンパク質)の量を増加させることなどによってFOXG1を調節し、それによってFOXG1機能を回復させるために、FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的な配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが修飾を含む、請求項1記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記修飾が、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
修飾されたヌクレオシド間連結を含む、請求項3記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
前記修飾されたヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、請求項4記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
ホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む、請求項3~5のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
修飾ヌクレオシドを含む、請求項3~6のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
前記修飾ヌクレオシドが修飾糖を含む、請求項7記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
前記修飾糖が二環式糖である、請求項8記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
前記修飾糖が2'-O-メトキシエチル基を含む、請求項8記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記FOXG1核酸が、5’非翻訳領域(5’UTR)および3’非翻訳領域(3’UTR)を含み、かつ、前記標的配列が、前記FOXG1核酸の5’UTRまたは3’UTRに位置する、請求項1~10のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記標的配列が前記FOXG1核酸の3’UTR領域に位置する、請求項11記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域内に位置する、請求項12記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
SEQ ID NO:100またはSEQ ID NO:103を含む、請求項13記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2900-3000_as領域内に位置する、請求項12記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む、請求項13記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである、請求項1~16のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
前記FOXG1核酸分子がリボ核酸(RNA)である、請求項1~17のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
RNA分子がメッセンジャーRNA(mRNA)分子である、請求項18記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
FOXG1 RNAの翻訳を減少させる調節エレメントを阻害する、請求項18~19のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
FOXG1 RNAの安定性を減少させる調節エレメントを阻害する、請求項18~19のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
前記FOXG1 RNAの3’UTR内に位置する調節エレメントを阻害する、請求項21記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
(1)miRNA結合、およびFOXG1翻訳の抑制、ならびに/または
(2)RNA結合タンパク質が前記FOXG1 RNAの調節配列へ結合しかつ前記FOXG1 RNAを不安定化すること
を立体的に阻害する、請求項21記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
前記FOXG1 RNAのヌクレアーゼ消化を阻害する、請求項21記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項26】
細胞と、FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物とを接触させる工程を含む、前記細胞におけるFOXG1の発現を調節する方法。
【請求項27】
前記細胞が個体の脳内に存在する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記個体がヒトである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記個体が突然変異FOXG1遺伝子を含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記個体がFOXG1疾患または障害を有する、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記FOXG1疾患または障害がFOXG1症候群である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記FOXG1核酸がリボ核酸(RNA)である、請求項26~31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記RNAがメッセンジャーRNA(mRNA)である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
FOXG1 RNAの翻訳または安定性を減少させる調節エレメントを阻害し、それによって、細胞におけるFOXG1タンパク質の量を増加させる、請求項32~33のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項35】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである、請求項26~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結を含む、請求項26~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
前記修飾されたヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む、請求項26~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが修飾ヌクレオシドを含む、請求項26~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
前記修飾ヌクレオシドが修飾糖を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記修飾糖が二環式糖である、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記修飾糖が2'-O-メトキシエチル基を含む、請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む、請求項26~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記標的核酸配列が前記FOXG1核酸の3’UTR領域に位置する、請求項27~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域内に位置する、請求項26~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2900-3000_as領域内に位置する、請求項26~44のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、SEQ ID NO:289、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
発現を調節することが、前記細胞におけるFOXG1タンパク質の発現を増加させることを含む、請求項26~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
発現を調節することが、前記細胞における前記FOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む、請求項26~49のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
発現を調節することが、前記細胞におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む、請求項26~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
くも膜下腔内注射によって、脳室内注射によって、吸入によって、非経口的注射もしくは注入によって、または経口的に、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記個体へ投与する、請求項26~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
FOXG1疾患または障害を有するまたはそれを有するリスクがある個体において、前記FOXG1疾患または障害を処置または改善する方法であって、
FOXG1核酸の標的配列に相補的な配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを、前記個体へ投与し、それによって、前記個体においてFOXG1疾患を処置または改善する工程を含む、前記方法。
【請求項54】
前記個体がヒトである、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記ヒトが胎児である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記個体が突然変異FOXG1遺伝子を含む、請求項53~55のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記FOXG1疾患または障害がFOXG1症候群である、請求項53~56のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
前記FOXG1核酸がリボ核酸(RNA)である、請求項53~57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
RNA分子がメッセンジャーRNA(mRNA)である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記標的配列が前記FOXG1核酸の3’UTR領域に位置する、請求項53~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域内に位置する、請求項53~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがSEQ ID NO:100またはSEQ ID NO:103を含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2900-3000_as領域内に位置する、請求項53~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記個体における前記FOXG1核酸の発現を調節する、請求項63~64のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
発現を調節することが、前記個体における前記FOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
発現を調節することが、前記個体におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む、請求項65~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
発現を調節することが、前記個体におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む、請求項65~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
発現を調節することが、前記個体の細胞におけるFOXG1の量を増加させることを含む、請求項65~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
前記細胞が前記個体の脳内に存在する、請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記細胞が星状細胞または線維芽細胞である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記細胞が星状細胞または線維芽細胞である、請求項27記載の方法。
【請求項73】
FOXG1核酸の位置2000~2100または2900~3000内に位置する標的核酸配列へハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項74】
修飾を含む、請求項73記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項75】
前記修飾が、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項74記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項76】
修飾されたヌクレオシド間連結を含む、請求項75記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項77】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む、請求項73~76のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項78】
SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289によってターゲティングされる前記FOXG1核酸上のある位置内のまたは前記位置に隣接する1つまたは複数のヌクレオチドへハイブリダイズする、請求項73~76のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項79】
SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289によってターゲティングされる前記FOXG1核酸上のある位置内の1つまたは複数のヌクレオチドへハイブリダイズする、請求項73~76のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項80】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289に対する80%の配列同一性または80%超の配列同一性を含む、請求項73~79のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項81】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289に対する90%の配列同一性または90%超の配列同一性を含む、請求項73~79のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項82】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289内の配列より選択される10個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む、請求項73~79のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/127,907号の恩典を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
FOXG1症候群は、フォークヘッドボックスG1(FOXG1)遺伝子におけるヘテロ接合型変異体に関連する希少な神経発達障害であり、神経学的発達の障害および/または脳生理機能の変化を特徴とする。観察されたFOXG1症候群の表現型は、主に、FOXG1遺伝子のデノボ突然変異に起因する脳内の特定のパターンの構造変化を含む。このような構造変化は、脳の右半球と左半球とを接続する薄いもしくは未発達の脳梁、脳の表面での脳溝および脳回形成の減少、ならびに/または白質の量の減少を含む。FOXG1症候群は小児の発達のほとんどの側面に影響を及ぼし、FOXG1変異体に関連して観察される主な臨床的特徴は、出生後の成長の障害、一次性(先天性)または二次性(出生後)小頭症、言語発達の欠如を伴う重度知的障害、てんかん、常同症およびジスキネジア、異常な睡眠パターン、原因不明の泣きのエピソード、胃食道逆流、ならびに反復性誤嚥を含む。
【発明の概要】
【0003】
概要
FOXG1症候群またはそれに関連する症状を処置および/または改善するための組成物および方法を本明細書において提供する。本明細書において開示される組成物および方法は、細胞における機能的FOXG1タンパク質の量を増加させることなどによってFOXG1を調節し、それによってFOXG1機能を回復または増加させるために、FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる。細胞における機能的FOXG1を回復または増加させる能力は、FOXG1症候群の処置またはそれに関連する症状の緩和のための基盤を提供する。
【0004】
したがって、FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的な配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを本明細書において提供する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾を含む。いくつかの態様において、修飾は、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾されたヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシド間連結はホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドは修飾糖を含む。いくつかの態様において、修飾糖は二環式糖である。いくつかの態様において、修飾糖は2'-O-メトキシエチル基を含む。いくつかの態様において、FOXG1核酸は5’非翻訳領域(5’UTR)および3’非翻訳領域(3’UTR)を含み、標的配列は、FOXG1核酸の5’UTRまたは3’UTRに位置する。
【0005】
いくつかの態様において、標的配列はFOXG1核酸の5’UTR領域に位置する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:1~84からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、標的配列はFOXG1核酸の3’UTR領域に位置する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:85~384からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域またはNM_005249.5_2900-3000_as内の配列に相補的な核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:101、103、284、2886、287、288、または289からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2つ以上のASOを含むASO組成物中に含まれる。ある態様において、ASO組成物は、2、3、4、5つ、またはそれ以上のASOを含む。そのようなASO組成物は、本明細書に記載される方法における使用に適している。
【0006】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、FOXG1核酸分子はリボ核酸(RNA)である。いくつかの態様において、RNA分子はメッセンジャーRNA(mRNA)分子である。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1 RNAの翻訳を減少させる調節エレメント(例えば、miRNA抑制、核酸結合タンパク質による抑制など)を阻害する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1 RNAの安定性を減少させる調節エレメントを阻害する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1 RNAの5’UTR内に位置する調節エレメントを阻害する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1 RNAの3’UTR内に位置する調節エレメントを阻害する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、上流のオープンリーディングフレーム(uORF)の翻訳を阻害する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、(1)miRNA結合、およびFOXG1翻訳の抑制、ならびに/または(2)RNA結合タンパク質がFOXG1 RNAの調節配列へ結合しかつFOXG1 RNAを不安定化すること、を立体的に阻害する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1 RNAの5’領域または3’領域のヌクレアーゼ消化を阻害する。薬学的組成物が、アンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む。
【0007】
細胞におけるFOXG1の発現を調節する方法をさらに提供し、方法は、細胞と、FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物とを接触させる工程を含む。
【0008】
いくつかの態様において、細胞は個体の脳内に存在する。いくつかの態様において、個体はヒトである。いくつかの態様において、個体は突然変異FOXG1遺伝子を含む。いくつかの態様において、個体はFOXG1疾患または障害を有する。いくつかの態様において、FOXG1疾患または障害はFOXG1症候群である。いくつかの態様において、FOXG1核酸はリボ核酸(RNA)である。いくつかの態様において、RNAはメッセンジャーRNA(mRNA)である。
【0009】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1 RNAの翻訳または安定性を減少させる調節エレメントを阻害し、それによって、細胞におけるFOXG1タンパク質の量を増加させる。
【0010】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシド間連結はホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドは修飾糖を含む。いくつかの態様において、修飾糖は二環式糖である。いくつかの態様において、修飾糖は2'-O-メトキシエチル(MOE)基を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、標的配列は、FOXG1核酸の5'UTR領域または3'UTR領域に位置する。
【0011】
いくつかの態様において、標的配列はFOXG1核酸の5’UTR領域に位置する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:1~84からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、標的配列はFOXG1核酸の3’UTR領域に位置する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:85~384からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、細胞におけるFOXG1タンパク質の発現を増加させることを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、細胞におけるFOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、細胞におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む。いくつかの態様において、くも膜下腔内注射によって、脳室内注射によって、吸入によって、非経口的注射もしくは注入によって、または経口的に、アンチセンスオリゴヌクレオチドを個体へ投与する。
【0012】
FOXG1疾患または障害を有するまたはそれを有するリスクがある個体において、FOXG1疾患または障害を処置または改善する方法をさらに提供し、方法は、FOXG1核酸の標的配列に相補的な配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを、個体へ投与し、それによって、個体においてFOXG1疾患を処置または改善する工程を含む。いくつかの態様において、個体はヒトである。いくつかの態様において、ヒトは胎児である。いくつかの態様において、個体は突然変異FOXG1遺伝子を含む。いくつかの態様において、FOXG1疾患または障害はFOXG1症候群である。いくつかの態様において、FOXG1核酸はリボ核酸(RNA)である。いくつかの態様において、RNA分子はメッセンジャーRNA(mRNA)である。いくつかの態様において、標的配列は、FOXG1核酸の5'UTR領域または3'UTR領域に位置する。いくつかの態様において、標的配列はFOXG1核酸の5’UTR領域に位置する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:1~84からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、標的配列はFOXG1核酸の3’UTR領域に位置する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:85~384からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、個体におけるFOXG1核酸の発現を調節する。いくつかの態様において、発現を調節することは、個体におけるFOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、個体におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、個体におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、個体の細胞におけるFOXG1の量を増加させることを含む。いくつかの態様において、細胞は個体の脳内に存在する。
【0013】
FOXG1核酸(例えばFOXG1 mRNA)の位置2000~2100または2900~3000内に位置する標的核酸配列へハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドをさらに提供する。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾を含む。いくつかの態様において、修飾は、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾されたヌクレオシド間連結を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289によってターゲティングされるFOXG1核酸上のある位置内のまたは前記位置に隣接する1つまたは複数のヌクレオチドへハイブリダイズする。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289によってターゲティングされるFOXG1核酸上のある位置内の1つまたは複数のヌクレオチドへハイブリダイズする。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289に対する80%の配列同一性または80%超の配列同一性を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289に対する90%の配列同一性または90%超の配列同一性を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289内の配列より選択される10個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む。
【0014】
参照による組み入れ
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み入れられるように具体的にかつ個々に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の新規な特徴は添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な態様を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって、得られるであろう。
図1】FOXG1転写物の図を示す。
図2】モックトランスフェクション対照と比べた、FOXG1を標的とするASOで処理された細胞のFOXG1 mRNA発現を示す。
図3】細胞における2'-O-メトキシエチル(MOE)化学アンチセンスオリゴのFOXG1 mRNA発現調節を示す。
図4図4Aおよび4Bは、細胞における選択された2'-O-メトキシエチル(MOE)化学アンチセンスオリゴのFOXG1 mRNA発現調節を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
フォークヘッドボックスG1(FOXG1)遺伝子の単一の対立遺伝子における欠失または変異は、FOXG1症候群を引き起こす。FOXG1症候群は、発達遅延、重度知的障害、てんかん、言語欠如、およびジスキネシスを特徴とする希少疾患である。FOXG1症候群に関連する脳生理学の変化の特徴には、皮質萎縮および脳梁の無形成が含まれる。FOXG1遺伝子/タンパク質はフォークヘッド転写因子ファミリーのメンバーであり、前脳の神経前駆細胞において特異的に発現される。FOXG1遺伝子は、1つのコーディングエクソンから構成され、特に、FOXG1突然変異の位置またはタイプは、臨床的重症度に関連し、または臨床的重症度を示し得る。
【0017】
FOXG1タンパク質は、脳の発達において、特に、終脳として公知の胚脳の領域において重要な役割を果たす。終脳は、ほとんどの自発的な活動、言語、感覚知覚、学習、および記憶を制御する脳の最大の部分(すなわち大脳)を含む、いくつかの重要な構造体に最終的に発達する。単一のFOXG1対立遺伝子に変異または欠失を有する個体(すなわちヘテロ接合個体)において観察されるような、機能的FOXG1タンパク質の不足は、正常な脳のパターン形成および発達を混乱させる。
【0018】
したがって、機能的FOXG1の不足を有する細胞において機能的FOXG1(例えば、FOXG1タンパク質またはFOXG1メッセンジャーリボ核酸(mRNA))の量を増加させるために有用な組成物および方法を本明細書において開示する。このような組成物および方法は、FOXG1関連疾患または障害を有する個体を処置するためのそれらの適用において有用であり、機能的FOXG1タンパク質の欠如または不足が改善され得る。細胞または個体におけるFOXG1発現の増加を達成するために、FOXG1を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する。
【0019】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、様々な機構によって遺伝子発現を調節するために用いられ得る、小さく(約18~30ヌクレオチド)、合成的な、一本鎖核酸ポリマーである。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、2つの主要なカテゴリー:RNアーゼHコンピテントおよびステリックブロックに細分することができる。RNアーゼHコンピテントアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、内因性RNアーゼH酵素は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがそれらのコグネイトmRNA転写物に結合するときに形成されるRNA-DNAヘテロ二本鎖基質を認識して、RNAの分解を触媒する。ステリックブロックオリゴヌクレオチドは、高い親和性で標的転写物に結合するように設計されているが、標的転写物の分解を誘発しない、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である。
【0020】
ステリックブロックアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、翻訳阻害を阻害し、タンパク質発現を活性化するために翻訳を負に調節する上流のオープンリーディングフレームに干渉し、RNA分解を阻害し、miRNA抑制を阻害し、かつ転写物安定性を増加させるためにポリアデニル化シグナルに影響を与えるように、設計することができる。したがって、細胞における機能的FOXG1(すなわち機能的FOXG1)(例えば、機能的FOXG1タンパク質をコードするmRNA、またはFOXG1タンパク質)の発現および/または量を調節するために有用なステリックブロックアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を本明細書において提供する。具体的には、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、細胞におけるFOXG1(すなわち機能的FOXG1)(例えば、機能的FOXG1タンパク質をコードするmRNA、または機能的FOXG1タンパク質)の発現および/または量を増加させるために有用である。本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、機能的FOXG1タンパク質をコードするFOXG1核酸を標的にし、そして翻訳阻害を阻害し、上流のオープンリーディングフレーム(uORF)に干渉し、RNA分解を阻害し、発現のmiRNA抑制を阻害し、かつ/またはRNA安定性を増加させて、FOXG1をコードするRNA転写物の数および/またはFOXG1(すなわち機能的FOXG1)タンパク質のタンパク質発現を最終的に増加させることによって、この効果を達成する。
【0021】
FOXG1 RNA(例えば、メッセンジャーRNA)の効果的なターゲティングを達成するために、本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、FOXG1 RNAの配列に相補的な配列を含み、ここで、この相補配列は、FOXG1 RNAの配列へ結合および/またはハイブリダイズする。したがって、FOXG1核酸(例えば、FOXG1 mRNA)の標的核酸配列に相補的な配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を本明細書において開示する。一般に、mRNA転写物は、5’非翻訳領域(5’UTR)および3’非翻訳領域(3’UTR)を含む。本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、FOXG1 mRNA転写物の5’UTRまたは3’UTRを標的とする。5’UTRまたは3’UTRのターゲティングを達成するために、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、FOXG1 mRNAの5’UTRまたは3’UTRに位置する標的配列に相補的な配列を含む。いくつかの態様において、標的配列は5’UTRにまたは5’UTR内に位置する。ある態様において、5’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:1~84からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、標的配列は3’UTRにまたは3’UTR内に位置する。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:85~384からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域またはNM_005249.5_2900-3000_as内の配列に相補的な核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:101、103、284、2886、287、288、または289からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2つ以上のASOを含むASO組成物中に含まれる。ある態様において、ASO組成物は、2、3、4、5つ、またはそれ以上のASOを含む。そのようなASO組成物は、本明細書に記載される方法における使用に適している。図1は、5’および3’UTRを含むFOXG1 mRNA転写物の図を示す。表1は、FOXG1 mRNAの5’UTRに相補的な配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)および配列を開示する。表2は、FOXG1 mRNAの3’UTRに相補的な配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)および配列を開示する。いくつかの態様において、5’UTRまたは3’UTRを標的とする、本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、細胞および/または個体におけるFOXG1タンパク質および/またはmRNA転写物の量を増加させる。ある態様において、機能的FOXG1タンパク質をコードするFOXG1核酸を標的にすることは、翻訳阻害を阻害し、上流のオープンリーディングフレーム(uORF)に干渉し、RNA分解を阻害し、かつ/またはRNA安定性を増加させて、最終的に機能的FOXG1タンパク質のタンパク質発現を増加させる。
【0022】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の薬力学的、薬物動態学的、および生体分布特性を改善するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の化学修飾(例えば、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせ)を含むように設計および操作され得る。したがって、いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは修飾オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは1つまたは複数の修飾を含む。ある態様において、修飾は、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0023】
修飾されたヌクレオシド間リンカー
ヌクレオシド間リンカー(すなわち骨格)の修飾は、薬力学的、薬物動態学的、および生体分布特性を増大させるために用いることができる。例えば、ヌクレオシド間リンカー修飾は、細胞ヌクレアーゼによる分解を防止または低減し、したがってアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬物動態およびバイオアベイラビリティを増加させる。一般に、修飾されたヌクレオシド間リンカーは、2つのヌクレオシドを一緒に共有結合する、ホスホジエステル(PO)ライナー(liner)以外の任意のリンカーを含む。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシド間リンカーは、ホスホジエステルリンカーと比較してアンチセンスオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させる。天然に存在するアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、ヌクレオシド間リンカーは、隣接するヌクレオシド間にホスホジエステル結合を生成するリン酸基を含む。修飾されたヌクレオシド間リンカーは、インビボ使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの安定化に特に有用であり、ヌクレアーゼ切断から保護するのに役立ち得る。
【0024】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然ホスホジエステルから例えばヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性であるリンカーへ修飾された1つまたは複数のヌクレオシド間リンカーを含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間リンカーの全てが、修飾されている。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間リンカーの全てが、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間リンカーである。いくつかの態様において、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結など、ヌクレオシド間連結は、硫黄(S)を含む。
【0025】
ホスホロチオエートヌクレオシド間リンカーは、ヌクレアーゼ耐性および改善された薬物動態に起因して特に有用である。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間リンカーの1つまたは複数が、ホスホロチオエートヌクレオシド間リンカーを含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間リンカーの全てが、ホスホロチオエートヌクレオシド間リンカーを含む。
【0026】
修飾ヌクレオシド
リボース糖または核酸塩基に対する修飾もまた、薬力学的、薬物動態学的、および生体分布特性を増加させるために用いることができる。ヌクレオシド間リンカーの修飾と同様に、ヌクレオシド修飾は、細胞ヌクレアーゼによる分解を防止または低減し、したがってアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬物動態およびバイオアベイラビリティを増加させる。一般に、修飾ヌクレオシドは、糖部分または核酸塩基部分の1つまたは複数の修飾の導入を含む。
【0027】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、記載されるように、修飾糖部分を含む1つまたは複数のヌクレオシドを含むことができ、ここで、修飾糖部分は、デオキシリボース核酸(DNA)およびRNAにおいて見出されるリボース糖部分と比較した場合の糖部分の修飾である。リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドが、主に親和性および/またはヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドの特定の特性を改善することを目的として用いられ得る。このような修飾としては、リボース環構造が修飾されているものが挙げられる。これらの修飾には、ヘキソース環(HNA)、リボース環上のC2炭素とC4炭素の間にビラジクル(biradicle)架橋を有する二環式環(例えば、ロックド核酸(LNA))、または典型的にはC2炭素とC3炭素の間の結合を欠く非連結リボース環(例えばUNA)による置換が含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドとしては、例えば、ビシクロヘキソース核酸または三環式核酸が挙げられる。修飾ヌクレオシドはまた、例えばペプチド核酸(PNA)またはモルホリノ核酸の場合、糖部分が非糖部分で置換されているヌクレオシドも含む。
【0028】
糖修飾には、リボース環上の置換基を、DNAおよびRNAヌクレオシドにおいて天然に見られる水素、または2’-OH基以外の基へ変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば2'、3'、4'または5'位に導入されていてもよい。修飾糖部分を有するヌクレオシドには、2'置換ヌクレオシドなどの2'修飾ヌクレオシドも含まれる。実際、2'置換ヌクレオシドの開発に多くの焦点が当てられており、多数の2'置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれた場合、ヌクレオシド耐性の増強および親和性の増強などの有益な特性を有することが見出されている。2'糖修飾ヌクレオシドは、2'位にHもしくは-OH以外の置換基を有する(2'置換ヌクレオシド)かまたは2'連結ビラジクルを含むヌクレオシドであり、2'置換ヌクレオシドおよびLNA(2'-4'ビラジクル架橋)ヌクレオシドを含む。2'置換修飾ヌクレオシドの例は、2'-O-アルキル-RNA、2'-O-メチル-RNA、2'-アルコキシ-RNA、2'-O-メトキシエチル-オリゴ(MOE)、2'-アミノ-DNA、2'-フルオロ-RNA、および2'-F-ANAヌクレオシドである。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾糖を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾糖のみを含む。ある態様において、アンチセンスオリゴは、10%、25%、50%、75%、または90%を超える修飾糖を含む。いくつかの態様において、修飾糖は二環式糖である。いくつかの態様において、修飾糖は2'-O-メトキシエチル(MOE)基を含む。
【0029】
いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間リンカー修飾およびヌクレオシド修飾の両方を含む。
【0030】
薬学的組成物
開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれか、ならびに薬学的に許容される希釈剤、担体、塩および/またはアジュバントを含む薬学的組成物を本明細書においてさらに提供する。薬学的に許容される希釈剤としてはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられ、薬学的に許容される塩としては、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、薬学的に許容される希釈剤は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、50~300μM溶液の濃度で薬学的に許容される希釈剤において使用される。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、記載されるように、10~1000μgの用量で投与される。
【0031】
本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、薬学的組成物または製剤の調製のために薬学的に許容される活性または不活性物質と混合してもよい。薬学的組成物の製剤化のための組成物および方法は、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含むが、これらに限定されない多数の基準に依存する。
【0032】
使用方法
本明細書において提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、機能的FOXG1タンパク質をコードするFOXG1核酸を標的にするために有用であり、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、翻訳阻害を阻害し、上流のオープンリーディングフレーム(uORF)に干渉し、RNA分解を阻害し、かつ/またはRNA安定性を増加させて、最終的に機能的FOXG1タンパク質のタンパク質発現を増加させる。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドターゲティングは、細胞における機能的FOXG1の発現および/または量(例えば、機能的FOXG1 mRNAまたはタンパク質の量)を増加させるための方法においてさらに有用である。したがって、細胞におけるFOXG1の発現を調節する方法を本明細書において提供し、方法は、細胞と、FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物とを接触させる工程を含む。
【0033】
FOXG1疾患または障害を有するまたはそれを有するリスクがある個体において、FOXG1疾患または障害を処置または改善する方法をさらに提供し、方法は、FOXG1核酸の標的配列に相補的な配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを、個体へ投与し、それによって、個体においてFOXG1疾患を処置または改善する工程を含む。
【0034】
一般に、関心対象の細胞は、神経細胞および/または脳もしくは脳の発達に関連する細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は個体の脳内に存在する。いくつかの態様において、細胞は神経系細胞である。いくつかの態様において、個体はヒトである。ある態様において、ヒトは胎児である。
【0035】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)および方法は、変異または欠失したFOXG1対立遺伝子を含む細胞および/または個体における機能的FOXG1の発現および/または量(例えば、機能的FOXG1 mRNAまたはタンパク質の量)を増加させるのに特に有用である。いくつかの態様において、細胞および/または個体は突然変異FOXG1遺伝子を含む。いくつかの態様において、個体は、FOCG1疾患または障害と診断されているかまたはそのリスクがある。いくつかの態様において、FOXG1疾患または障害はFOXG1症候群である。
【0036】
いくつかの態様において、発現を調節することは、細胞におけるFOXG1タンパク質の発現を増加させることを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、細胞におけるFOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む。いくつかの態様において、発現を調節することは、細胞におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む。
【0037】
FOXG1 RNA(例えば、メッセンジャーRNA)の効果的なターゲティングを達成するために、本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、FOXG1 RNAの配列に相補的な配列を含み、ここで、この相補配列は、FOXG1 RNAの配列へ結合および/またはハイブリダイズする。例えば、mRNA転写物は、5’非翻訳領域(5’UTR)および3’非翻訳領域(3’UTR)を含む。本明細書において開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、FOXG1 mRNA転写物の5’UTRまたは3’UTRを標的とする。5’UTRまたは3’UTRのターゲティングを達成するために、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、FOXG1 mRNAの5’UTRまたは3’UTRに位置する標的配列に相補的な配列を含む。いくつかの態様において、標的配列は5’UTRにまたは5’UTR内に位置する。ある態様において、5’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:1~84からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、標的配列は3’UTRにまたは3’UTR内に位置する。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:85~384からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域またはNM_005249.5_2900-3000_as内の配列に相補的な核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2100_as領域内の配列に相補的な核酸塩基配列を含む。ある態様において、3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:100、103、284、2886、287、288、または289からなる群より選択される核酸塩基配列を含む。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2つ以上のASOを含むASO組成物中に含まれる。ある態様において、ASO組成物は、2、3、4、5つ、またはそれ以上のASOを含む。
【0038】
治療薬および診断薬の製剤は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、ローション、または懸濁液の形態で、生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤と混合することによって調製することができる(例えば、Hardman et al., Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw-Hill, New York, N.Y., 2001; Gennaro, Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams, and Wilkins, New York, N.Y., 2000; Avis, et al. (eds.), Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Marcel Dekker, NY, 1993; Lieberman, et al. (eds.), Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Marcel Dekker, NY, 1990; Lieberman, et al. (eds.) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Inc., New York, N.Y., 2000を参照のこと)。
【0039】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を含む組成物は、本明細書において開示されるように、例えば1日、1週間、または1週間当たり1~7回の間隔で用量によって提供することができる。具体的な投与プロトコルは、重大な望ましくない副作用を回避する最大の用量または投与頻度を伴うプロトコルである。
【0040】
開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的組成物は、局所的に(例えば、皮膚に対して、吸入、眼もしくは耳)または経腸的に(例えば、経口的にもしくは胃腸管を介して)または非経口的に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、脳室内もしくはくも膜下腔内)投与することができる。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的組成物は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入、くも膜下腔内または頭蓋内、例えば脳内または脳室内投与を含む非経口的経路で投与される。いくつかの態様において、活性オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、静脈内投与される。
【0041】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、表記法ならびに他の技術的および科学的用語または専門用語は、特許請求される主題が関係する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有するように意図される。場合によっては、一般的に理解されている意味を有する用語は、明確さのためにおよび/またはすぐに参照するために本明細書において定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも当該技術分野において一般的に理解されているものに対する実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
【0042】
用語「FOXG1」は、本明細書で使用される場合、一般に、フォークヘッド転写因子ファミリーのメンバーをコードする遺伝子および遺伝子産物を指す。転写抑制因子として機能するコードされたタンパク質は、脳の発達中に神経組織で高度に発現する。この遺伝子座の突然変異は、レット症候群、およびFOXG1症候群の一部として定義される多様なスペクトルの神経発達障害に関連付けられた。その使用の文脈に応じて、「FOXG1」は、FOXG1遺伝子、FOXG1デオキシリボ核酸分子(DNA)、FOXG1リボ核酸分子(RNA)、またはFOXG1タンパク質を指すことができる。FOXG1のmRNA配列は、「NM_005249.5 → NP_005240.3フォークヘッドボックスタンパク質G1」または「アクセッション番号NM_005249.5」または「NCBI GENE ID: 2290」によってコードされるmRNAに記載される。機能的FOXG1タンパク質は、野生型または未変異FOXG1遺伝子、mRNA、および/またはタンパク質を表す。一般に、「FOXG1」は、細胞内で正常な機能/活性を有する機能的「FOXG1」遺伝子または遺伝子産物を指す。FOXG1の欠失または変異または変異体は、低減、阻害、または切除されたFOXG1機能を有する非機能的FOXG1変異体を示す。本明細書において開示されるように、本明細書において開示される組成物および方法は、主として、細胞および/または個体におけるFOXG1(すなわち機能的FOXG1)の量を調節または増加または回復させることに関する。
【0043】
用語「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、一般に、2つまたはそれ以上の共有結合ヌクレオシドを含む分子を指す。このような共有結合ヌクレオシドはまた、核酸分子またはオリゴマーと呼ばれ得る。オリゴヌクレオチドは、一般的に、実験室において固相化学合成とそれに続く精製によって作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合されたヌクレオチドまたはヌクレオシドの、核酸塩基部分の配列または順序、またはその修飾が言及される。本開示のオリゴヌクレオチドは、人工的であり、化学的に合成され、典型的には精製または単離される。開示されるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含み得る。
【0044】
用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、標的核酸へ、特に標的核酸上の連続配列へハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。
【0045】
用語「修飾オリゴヌクレオチド」は、1つまたは複数の糖修飾ヌクレオシド、修飾核酸塩基、および/または修飾されたヌクレオシド間リンカーを含む、オリゴヌクレオチドを指す。
【0046】
用語「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾」は、本明細書で使用される場合、糖部分または(核酸)塩基部分の1つまたは複数の修飾の導入によって、同等のDNAまたはRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語はまた、本明細書において、用語「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」または修飾「モノマー」と交換可能に使用され得る。
【0047】
用語「修飾されたヌクレオシド間連結」は、2つのヌクレオシドを一緒に共有結合する、ホスホジエステル(PO)リンカー以外のリンカーを指す。修飾されたヌクレオシド間連結を有するヌクレオチドは、「修飾ヌクレオチド」とも呼ばれる。いくつかの態様において、修飾されたヌクレオシド間連結は、ホスホジエステル連結と比較してオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させる。天然に存在するオリゴヌクレオチドについて、ヌクレオシド間連結は、隣接するヌクレオシド間にホスホジエステル結合を生成するリン酸基を含む。修飾されたヌクレオシド間リンカーは、インビボ使用のためのオリゴヌクレオチドの安定化に特に有用であり、DNAまたはRNAヌクレオシドの領域でのヌクレアーゼ切断から保護するのに役立ち得る。
【0048】
用語「核酸塩基」は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシドおよびヌクレオチド中に存在するプリン(例えば、アデニンおよびグアニン)およびピリミジン(例えば、ウラシル、チミンおよびシトシン)部分を含む。核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能的である、修飾核酸塩基を包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチンおよびヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基、ならびに天然に存在しない変異体の両方を指す。
【0049】
核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを修飾プリンまたはピリミジン、例えば、置換プリンまたは置換ピリミジン、例えば、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル 5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2'チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンより選択される核酸塩基(nucleobased)に変えることによって修飾することができる。
【0050】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、CまたはUによって示されてもよく、ここで、各文字は、任意で、同等の機能の修飾核酸塩基を含み得る。例えば、例示したオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、および5-メチルシトシンより選択される。いくつかの態様において、5'cg3'モチーフ中のシトシン核酸塩基は、5-メチルシトシンである。
【0051】
用語「ハイブリダイズすること」または「ハイブリダイズする」または「標的とする」または「結合する」は、対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成し、それによって二重鎖を形成する、2本の核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸)を説明する。2本の核酸鎖間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強さである。それは、多くの場合、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖化される温度として定義される融解温度(Tm)に関して説明される。
【0052】
オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子のサブ配列または領域に相補的であるかまたはハイブリダイズする連続ヌクレオチド領域を含む。用語「標的配列」は、本明細書で使用される場合、本開示のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域または配列に相補的である核酸塩基配列を含む標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。いくつかの態様において、標的配列は、本開示のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域または配列に相補的である標的核酸上の領域からなる。いくつかの態様において、標的配列は、単一のオリゴヌクレオチドの相補配列よりも長く、また、例えば、本開示のいくつかのオリゴヌクレオチドによってターゲティングされ得る標的核酸の好ましい領域を表し得る。
【0053】
本開示のオリゴヌクレオチドは、FOXG1の標的配列などのFOXG1標的核酸に相補的である連続ヌクレオチド領域を含む。
【0054】
オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子中に存在する標的配列に相補的であるかまたはハイブリダイズする少なくとも10ヌクレオチドの連続ヌクレオチド領域を含む。連続ヌクレオチド領域(したがって標的配列)は、少なくとも10個の連続ヌクレオチド、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30個の連続ヌクレオチド、例えば15~30個、例えば18~23個の連続ヌクレオチドを含む。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「処置」または「処置する」は、レシピエントにおいて有益なまたは所望の結果を得るための薬学的または他の介入レジメンに関連して使用される。有益なまたは所望の結果には、治療的利益および/または予防的利益が含まれるが、これらに限定されない。治療的利益は、処置される基礎疾患または症状の根絶または改善を指し得る。また、治療的利益は、対象が依然として基礎疾患に罹患している可能性があるにもかかわらず、対象において改善が観察されるように、基礎疾患に関連する生理的症状のうちの1つまたは複数の根絶または改善によって達成され得る。予防効果には、疾患または状態の出現を遅らせる、予防する、または排除すること、疾患または状態の症状の発症を遅らせるまたは排除すること、疾患または状態の進行を遅らせる、停止する、または逆転させること、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。予防的利益のために、特定の疾患を発症するリスクがある対象、または疾患の生理的症状の1つまたは複数を報告する対象は、この疾患の診断がなされていなくても処置を受け得る。
【0056】
本出願の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的もしくは医学的応答、例えば、腫瘍細胞増殖の低減もしくは阻害を誘発する、または症状を改善する、状態を緩和する、疾患進行を減速もしくは遅延させる、または疾患を予防するなどの、本出願の化合物の量を指す。一つの非限定的な態様において、「治療有効量」という用語は、対象に投与された場合、状態、もしくは障害もしくは疾患を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防および/もしくは改善するか、または標的酵素もしくは受容体の活性を少なくとも部分的に阻害するのに有効である本出願の化合物の量を指す。
【0057】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。例えば、用語「試料」は、それらの混合物を含む、複数の試料を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「処置」または「処置する」は、レシピエントにおいて有益なまたは所望の結果を得るための薬学的または他の介入レジメンに関連して使用される。有益なまたは所望の結果には、治療的利益および/または予防的利益が含まれるが、これらに限定されない。治療的利益は、処置される基礎疾患または症状の根絶または改善を指し得る。また、治療的利益は、対象が依然として基礎疾患に罹患している可能性があるにもかかわらず、対象において改善が観察されるように、基礎疾患に関連する生理的症状のうちの1つまたは複数の根絶または改善によって達成され得る。予防効果には、疾患または状態の出現を遅らせる、予防する、または排除すること、疾患または状態の症状の発症を遅らせるまたは排除すること、疾患または状態の進行を遅らせる、停止する、または逆転させること、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。予防的利益のために、特定の疾患を発症するリスクがある対象、または疾患の生理的症状の1つまたは複数を報告する対象は、この疾患の診断がなされていなくても処置を受け得る。
【0059】
本出願の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的もしくは医学的応答、例えば、腫瘍細胞増殖の低減もしくは阻害を誘発する、または症状を改善する、状態を緩和する、疾患進行を減速もしくは遅延させる、または疾患を予防するなどの、本出願の化合物の量を指す。一つの非限定的な態様において、「治療有効量」という用語は、対象に投与された場合、状態、もしくは障害もしくは疾患を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防および/もしくは改善するか、または標的酵素もしくは受容体の活性を少なくとも部分的に阻害するのに有効である本出願の化合物の量を指す。
【0060】
用語「決定する」、「測定する」、「評価する」、「査定する」、「アッセイする」、および「分析する」は、測定の形態を指すために本明細書においてしばしば交換可能に使用される。用語は、要素が存在するかどうかを判定することを含む(例えば、検出)。これらの用語は、定量的、定性的、または定量的かつ定性的な決定を含み得る。評価は相対的または絶対的であり得る。「存在を検出すること」は、文脈に応じて、それが存在するか存在しないかを判定することに加えて、存在するものの量を決定することを含み得る。
【0061】
用語「対象」、「個体」、または「患者」は、本明細書においてしばしば交換可能に使用される。「対象」は、発現された遺伝物質を含有する生物学的実体であり得る。生物学的実体は、植物、動物、または、例えば、細菌、ウイルス、真菌、および原生動物を含む、微生物であり得る。対象は、インビボで得られたまたはインビトロで培養された生物学的実体の組織、細胞およびそれらの子孫であり得る。対象は哺乳動物であり得る。哺乳動物はヒトであり得る。対象は、疾患のリスクが高いと診断されるかまたは疑われる場合がある。場合によっては、対象は、必ずしも、疾患のリスクが高いと診断されるかまたは疑われるとは限らない。
【0062】
用語「インビボ」は、対象の身体内で起こる事象を記載するために使用される。
【0063】
用語「エクスビボ」は、対象の身体外で起こる事象を記載するために使用される。エクスビボアッセイは対象に対しては実行されない。むしろ、それは、対象から分離している試料に対して実行される。試料に対して実行されるエクスビボアッセイの一例は、「インビトロ」アッセイである。
【0064】
用語「インビトロ」は、材料が得られる生物学的供給源からそれが分離されるように、実験室用試薬を保持するための容器中で含有されて起こる事象を記載するために使用される。インビトロアッセイは、生細胞または死細胞が用いられる細胞ベースのアッセイを包含することができる。インビトロアッセイはまた、インタクトな細胞が用いられない無細胞アッセイを包含することができる。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「約」ある数は、その数±その数の10%を指す。用語「約」ある範囲は、その範囲-その最小値の10%およびその範囲+その最大値の10%を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「処置」または「処置する」は、レシピエントにおいて有益なまたは所望の結果を得るための薬学的または他の介入レジメンに関連して使用される。有益なまたは所望の結果には、治療的利益および/または予防的利益が含まれるが、これらに限定されない。治療的利益は、処置される基礎疾患または症状の根絶または改善を指し得る。また、治療的利益は、対象が依然として基礎疾患に罹患している可能性があるにもかかわらず、対象において改善が観察されるように、基礎疾患に関連する生理的症状のうちの1つまたは複数の根絶または改善によって達成され得る。予防効果には、疾患または状態の出現を遅らせる、予防する、または排除すること、疾患または状態の症状の発症を遅らせるまたは排除すること、疾患または状態の進行を遅らせる、停止する、または逆転させること、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。予防的利益のために、特定の疾患を発症するリスクがある対象、または疾患の生理的症状の1つまたは複数を報告する対象は、この疾患の診断がなされていなくても処置を受け得る。
【0067】
本明細書で使用されるセクション見出しは、組織化のみを目的としており、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0068】
例示的な態様
例示的な態様の中には以下のものがある。
態様1: FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的な配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様2: アンチセンスオリゴヌクレオチドが修飾を含む、態様1のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様3: 前記修飾が、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む、態様2のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様4: 修飾されたヌクレオシド間連結を含む、態様3のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様5: 前記修飾されたヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、態様4のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様6: ホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む、態様3~5のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様7: 修飾ヌクレオシドを含む、態様3~6のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様8: 前記修飾ヌクレオシドが修飾糖を含む、態様7のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様9: 前記修飾糖が二環式糖である、態様8のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様10: 前記修飾糖が2'-O-メトキシエチル(MOE)基を含む、態様8のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様11: 前記FOXG1核酸が、5’非翻訳領域(5’UTR)および3’非翻訳領域(3’UTR)を含み、かつ、前記標的配列が、前記FOXG1核酸の5’UTRまたは3’UTRに位置する、態様1~10のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様12: 前記標的配列が前記FOXG1核酸の3’UTR領域に位置する、態様11のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様13: 前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域内に位置する、態様12のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様14: SEQ ID NO:100またはSEQ ID NO:103を含む、態様13のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様15: 前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2900-3000_as領域内に位置する、態様12のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様16: SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む、態様13のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様17: 一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである、態様1~16のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様18: 前記FOXG1核酸分子がリボ核酸(RNA)である、態様1~17のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様19: RNA分子がメッセンジャーRNA(mRNA)分子である、態様18のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様20: FOXG1 RNAの翻訳を減少させる調節エレメント(例えば、miRNA抑制、核酸結合タンパク質による抑制など)を阻害する、態様18~19のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様21: FOXG1 RNAの安定性を減少させる調節エレメントを阻害する、態様18~19のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様22: 前記FOXG1 RNAの3’UTR内に位置する調節エレメント(例えば、miRNA抑制、核酸結合タンパク質による抑制など)を阻害する、態様21のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様23: (1)miRNA結合、およびFOXG1翻訳の抑制、ならびに/または
(2)RNA結合タンパク質が前記FOXG1 RNAの調節配列へ結合しかつ前記FOXG1 RNAを不安定化すること
を立体的に阻害する、態様21のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様24: 前記FOXG1 RNAのヌクレアーゼ消化を阻害する、態様21のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様25: 態様1~24のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物。
態様26: 細胞と、FOXG1核酸の標的核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物とを接触させる工程を含む、前記細胞におけるFOXG1の発現を調節する方法。
態様27: 前記細胞が個体の脳内に存在する、態様26の方法。
態様28: 前記個体がヒトである、態様27の方法。
態様29: 前記個体が突然変異FOXG1遺伝子を含む、態様27の方法。
態様30: 前記個体がFOXG1疾患または障害を有する、態様27の方法。
態様31: 前記FOXG1疾患または障害がFOXG1症候群である、態様30の方法。
態様32: 前記FOXG1核酸がリボ核酸(RNA)である、態様26~31のいずれかの方法。
態様33: 前記RNAがメッセンジャーRNA(mRNA)である、態様32の方法。
態様34: FOXG1 RNAの翻訳または安定性を減少させる調節エレメント(例えば、miRNA抑制、核酸結合タンパク質による抑制、ヌクレアーゼ消化など)を阻害し、それによって、細胞におけるFOXG1タンパク質の量を増加させる、態様32~33のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様35: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである、態様26~34のいずれかの方法。
態様36: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間連結を含む、態様26~35のいずれかの方法。
態様37: 前記修飾されたヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、態様36の方法。
態様38: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む、態様26~37のいずれかの方法。
態様39: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが修飾ヌクレオシドを含む、態様26~38のいずれかの方法。
態様40: 前記修飾ヌクレオシドが修飾糖を含む、態様39の方法。
態様41: 前記修飾糖が二環式糖である、態様39の方法。
態様42: 前記修飾糖が2'-O-メトキシエチル基を含む、態様39の方法。
態様43: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間連結を含む、態様26~42のいずれかの方法。
態様44: 前記標的核酸配列が前記FOXG1核酸の3’UTR領域に位置する、態様27~43のいずれかの方法。
態様45: 前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域内に位置する、態様26~44のいずれかの方法。
態様46: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:100またはSEQ ID NO:103を含む、態様45の方法。
態様47: 前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2900-3000_as領域内に位置する、態様26~44のいずれかの方法。
態様48: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む、態様47の方法。
態様49: 発現を調節することが、前記細胞におけるFOXG1タンパク質の発現を増加させることを含む、態様26~48のいずれかの方法。
態様50: 発現を調節することが、前記細胞における前記FOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む、態様26~49のいずれかの方法。
態様51: 発現を調節することが、前記細胞におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む、態様26~50のいずれかの方法。
態様52: くも膜下腔内注射によって、脳室内注射によって、吸入によって、非経口的注射もしくは注入によって、または経口的に、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドを前記個体へ投与する、態様26~51のいずれかの方法。
態様53: FOXG1疾患または障害を有するまたはそれを有するリスクがある個体において、前記FOXG1疾患または障害を処置または改善する方法であって、
FOXG1核酸の標的配列に相補的な配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを、前記個体へ投与し、それによって、前記個体においてFOXG1疾患を処置または改善する工程を含む、前記方法。
態様54: 前記個体がヒトである、態様53の方法。
態様55: 前記ヒトが胎児である、態様54の方法。
態様56: 前記個体が突然変異FOXG1遺伝子を含む、態様53~55のいずれかの方法。
態様57: 前記FOXG1疾患または障害がFOXG1症候群である、態様53~56のいずれかの方法。
態様58: 前記FOXG1核酸がリボ核酸(RNA)である、態様53~57のいずれかの方法。
態様59: RNA分子がメッセンジャーRNA(mRNA)である、態様58の方法。
態様60: 前記標的配列が前記FOXG1核酸の3’UTR領域に位置する、態様53~59のいずれかの方法。
態様61: 前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2000-2200_as領域内に位置する、態様53~60のいずれかの方法。
態様62: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがSEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、またはそれらの任意の組み合わせを含む、態様61の方法。
態様63: 前記標的配列が、前記FOXG1核酸のNM_005249.5_2900-3000_as領域内に位置する、態様53~60のいずれかの方法。
態様64: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、SEQ ID NO:289、またはそれらの任意の組み合わせを含む、態様63の方法。
態様65: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、前記個体における前記FOXG1核酸の発現を調節する、態様63~64のいずれかの方法。
態様66: 発現を調節することが、前記個体における前記FOXG1核酸の安定性を増加させるかまたは前記FOXG1核酸の半減期を延長することを含む、態様65の方法。
態様67: 発現を調節することが、前記個体におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む、態様65~66のいずれかの方法。
態様68: 発現を調節することが、前記個体におけるFOXG1タンパク質に関する翻訳を増加させることを含む、態様65~66のいずれかの方法。
態様69: 発現を調節することが、前記個体の細胞におけるFOXG1の量を増加させることを含む、態様65~68のいずれかの方法。
態様70: 前記細胞が前記個体の脳内に存在する、態様69の方法。
態様71: 前記細胞が星状細胞または線維芽細胞である、態様70の方法。
態様72: 前記細胞が星状細胞または線維芽細胞である、態様27の方法。
態様73: FOXG1核酸(例えば、FOXG1 mRNA)の位置2000~2100または2900~3000内に位置する標的核酸配列へハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様74: 修飾を含む、態様73のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様75: 前記修飾が、修飾されたヌクレオシド間リンカー、修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含む、態様74のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様76: 修飾されたヌクレオシド間連結を含む、態様75のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様77: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289を含む、態様73~76のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様78: SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289によってターゲティングされる前記FOXG1核酸上のある位置内のまたは前記位置に隣接する1つまたは複数のヌクレオチドへハイブリダイズする、態様73~76のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様79: SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289によってターゲティングされる前記FOXG1核酸上のある位置内の1つまたは複数のヌクレオチドへハイブリダイズする、態様73~76のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様80: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289に対する80%の配列同一性または80%超の配列同一性を含む、態様73~79のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様81: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289に対する90%の配列同一性または90%超の配列同一性を含む、態様73~79のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
態様82: 前記アンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:103、SEQ ID NO:284、SEQ ID NO:286、SEQ ID NO:287、SEQ ID NO:288、またはSEQ ID NO:289内の配列より選択される10個またはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む、態様73~79のいずれかのアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【実施例
【0069】
以下の実施例は、例示のみを目的として含まれており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0070】
実施例1:ASOの設計および選択
ヒトFOXG1 mRNAに対する非切断性アンチセンスオリゴヌクレオチド(「オリゴ」)を以下のように選択した。完全長ヒトFOXG1 mRNA(アクセッション番号NM_005249.5)をNCBI RefSeqデータベースからダウンロードし、すべての設計のテンプレートとして用いた。FOXG1 5’-UTRおよび3’-UTR (それぞれNM_005249.5座標1-493および1964-3491)に逆相補的であるすべての可能な二十 mer(「20 mer」)ヌクレオチドサブ配列を組み立てた。次いで、熱特性および配列特性を使用して、最初にオリゴを次のようにサブセット化した:
5’-UTR:GC含有量 15~70%;Tm 25~70℃;Tヘアピン<40℃;Tホモダイマー<30℃;≧4塩基長のGホモポリマー無し;≧6塩基長のA、T、またはCホモポリマー無し、
3’-UTR:GC含有量 20~60%;Tm 30~65℃;Tヘアピン<35℃;Tホモダイマー<25℃;≧4塩基長のGホモポリマー無し;≧6塩基長のA、T、またはCホモポリマー無し。
【0071】
3’-UTRの候補の数が多いために、5’-UTRおよび3’-UTRオリゴについての最初の選択段階(上記)において異なる特性を使用した。上記においてTm = ハイブリダイゼーションの融解温度;Tヘアピン = ヘアピン形成の温度;Tホモダイマー = Biopythonソフトウェアパッケージ(http://biopython.org)によって予測されるような、ホモダイマー形成の温度。
【0072】
これらの選択された20 merを、次いで、完全なヒトRefSeq非スプライシングトランスクリプトーム(2020年3月26日ダウンロード)への配列アライメントを介して特異性についてさらに選択した。アライメントはFASTAソフトウェアスイートを使用して実施した(https://fasta.bioch.virginia.edu/fasta/fasta_list.html)。アライメントはカスタムソフトウェアを使用して解析し、各オリゴについての「オフターゲット」スコアは、FOXG1以外の転写物とのミスマッチの最小数として計算した。
【0073】
次に、NM_005249.5の二次構造を、RNA構造アルゴリズムを用いて予測した(https://rna.urmc.rochester.edu/RNAstructure.html)。オリゴウォーク特徴は、各オリゴについて局所構造侵入を伴う標的mRNA:オリゴ二重鎖形成のΔGを予測するために使用した。これらの予測ΔG値をオフターゲットスコア(上記)と組み合わせて使用して、次のようにオリゴの最終選択を行った:
5’-UTR (84オリゴ):全てのヒトオフターゲット転写物に対して≧1のミスマッチ;ΔGカットオフ無し、
3’-UTR (300オリゴ):全てのヒトオフターゲット転写物に対して≧2のミスマッチ;ΔG<-5.8℃。
【0074】
384個のオリゴ、オフターゲットスコア、およびΔG値の結果セットを、表1および表2に列挙する。表1および表2において、例示的な化学修飾が示されており、ここで、「m」は2'-O-Me塩基を表し、「d」はデオキシリボ(DNA)塩基を表し、「s」はホスホロチオエート骨格を表す。
【0075】
(表1)5’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
【0076】
(表2)3’UTRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
【0077】
実施例2:ASOによるFOXG1発現の細胞調節
FOXG1 mRNAの5’および3’UTR領域を標的とする設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を、細胞におけるFOXG1発現を調節する(例えば増加させる)能力について試験した。簡単に説明すると、細胞に表1および表2のASOをトランスフェクトし、FOXG1 mRNAの変化を測定した。
【0078】
細胞:
HEK293細胞を、ATCC(LGC Standards, Wesel, Germanyと提携したATCC, cat.# ATCC-CRL-1573)から得、加湿インキュベーターにおいて5%CO2を含む雰囲気下で37℃にて、10%ウシ胎仔血清(1248D, Biochrom GmbH, Berlin, Germany)、および100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(A2213, Biochrom GmbH, Berlin, Germany)を含有するように補われた、EMEM(#30-2003, LGC Standards, Wesel, Germanyと提携したATCC)中で培養した。ASOによるHEK293のトランスフェクションのために、細胞15,000個/ウェルの密度で96ウェル組織培養プレート(#655180, GBO, Germany)に細胞を播種した。
【0079】
ASOのトランスフェクション:
HEK293細胞において、1ウェル当たり0.5μLのLipofectamine2000によるリバーストランスフェクションのために製造業者の説明書に従ってLipofectamine2000 (Invitrogen/Life Technologies, Karlsruhe, Germany)を用いて、ASOのトランスフェクションを実施した。
【0080】
単回用量スクリーニングを、50nMにて4つ組でASOを用いて実施し、AHSA1を標的とする2つのASO(1つの2’-O-メトキシエチル(MOE)および1つの2’-O-メチル(oMe)ASO)と、非特異的対照およびモックトランスフェクションとしてRLucを標的とするsiRNAとを用いた。ASOとの24時間のインキュベーション後、培地を除去し、細胞を150μl培地-溶解混合物(1体積の溶解混合物、2体積の細胞培養培地)中で溶解し、次いで53℃で30分間インキュベートした。
【0081】
2つのAhsa1-ASO(1つの2’-oMe修飾および1つの2’-O-メトキシエチル(MOE MOE)修飾)は、それぞれの標的mRNA発現についての非特異的対照として、およびAhsa1 mRNAレベルに関するトランスフェクション効率を分析するための陽性対照として、同時に役目を果たした。Ahsa1プローブセットとのハイブリダイゼーションによって、モックトランスフェクトウェルはAhsa1 mRNAレベルについての対照として役目を果たした。デュアル用量スクリーニングにおける両方の用量および各96ウェルプレートについてのトランスフェクション効率を、Ahsa1-ASOによるAhsa1レベル(GapDHに対して正規化)をモック対照で得られたAhsa1レベルに関連付けることによって計算した。
【0082】
FOXG1 mRNAの検出:
QuantiGene検出を、細胞溶解物中のFOXG1 mRNA発現を決定するために使用した。要するに、QuantiGeneアッセイは、プローブハイブリダイゼーションによって捕捉され、シグナルを増幅する分岐DNA技術によって定量化される、標的RNAを直接測定する。シグナルは、単一の標的についてLuminexまたはルミノメーターを使用して読み取られる。アッセイはサンプルソースでRNAを測定し、アッセイは、抽出技術および酵素操作に固有のバイアスおよび変動性を回避する。さらに、この直接測定は、FFPEなどのサンプル中に典型的に見られる転写物分解に関する問題を克服するのに役立つ。
【0083】
FOXG1 mRNAの検出のために、Quantigene-Singleplexアッセイ(GapDHについては1.0、FoxG1については2.0)を、製造業者の説明書(ThermoFisher, Germany)に従って実施した。発光を、暗所にてRTで30分間インキュベートした後、1420 Luminescence Counter (WALLAC VICTOR Light, Perkin Elmer, Rodgau-Jugesheim, Germany)を使用して読み取った。FOXG1 mRNA検出に使用したプローブセットを表3に記載する(ヒトFoxG1 QG2.0プローブセット(アクセッション番号NM_005249):オリゴ配列「CE」および「LE」は、それらの配列の専有部分なしで描かれている。cyno配列との交差反応性は、追加のプローブを添加することによって得られた)。対照GapDHプローブセットを表5に記載する(ヒトGapDH QG1.0プローブセット(アクセッション番号NM_002046):オリゴ配列「CE」および「LE」は、それらの配列の専有部分なしで描かれている)。
【0084】
(表3)ヒトFoxG1 QG2.0プローブセット(アクセッション番号NM_005249)
【0085】
(表4)ヒトGapDH QG1.0プローブセット(アクセッション番号NM_002046)
【0086】
ASOによるFOXG1発現の調節:
図2は、モックトランスフェクション対照と比べたFOXG1 mRNA発現データを示す。各記号(ドット)は、平均値および標準誤差(バー)を示す。FoxG1レベルは線形モデル分析によって決定された。オリゴはFoxG1 mRNA(RefSeq NM_005249.5)中の開始位置の順に配置されている。縦の破線は、5'-UTRを標的とするオリゴと3'-UTRを標的とするオリゴとの間の境界を示す(それぞれ左と右)。緑色の線は125%発現を示す。クラスター1および2は、紫色のボックスで示されている。クラスターは、座標空間を共有しかつFoxG1を>125%アップレギュレートする、2つまたはそれ以上のオリゴによって定義される。各ウェルについて、標的mRNAレベルをそれぞれのGAPDH mRNAレベルに対して正規化した。表5は、同定されたクラスターに関連する選択配列を示す。所与のASOの活性を、対照ウェルにわたって平均化された標的mRNA濃度(GAPDH mRNAに対して正規化)(100%標的発現として設定)に対する、処理細胞におけるそれぞれの標的のパーセントmRNA濃度(GAPDH mRNAに対して正規化)として表した。
【0087】
(表5)細胞におけるFOXG1発現のASO媒介調節
【0088】
実施例3:HEK293細胞における選択されたASOによるFOXG1発現の細胞調節
FOXG1 mRNAを標的とする設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を、細胞におけるFOXG1発現を調節する(例えば増加させる)能力についてさらに試験した。簡単に説明すると、細胞に表6のASOをトランスフェクトし、FOXG1 mRNAの変化を測定した。
【0089】
ASOのトランスフェクションおよびFOXG1定量化:
HEK293細胞において、トランスフェクションを、反復して50nMおよび10nMの濃度にてASOを用いて行った。ASOとの24時間のインキュベーション後、培地を除去し、細胞を溶解し、QuantiGene検出を使用して、細胞溶解物中のFOXG1 mRNA発現を測定した。
【0090】
ASOによるFOXG1発現の調節:
図3は、モックトランスフェクション対照の平均値と比べた、HEK293中の選択された2'-O-メトキシエチル(MOE)化学オリゴのFOXG1 mRNA発現調節を示す。各バーは、平均値および標準誤差FOXG1レベルを示す。ASOは、FOXG1 mRNA(RefSeq NM_005249.5)中の開始位置の順に配置および列挙されている。緑色の横線は125%発現を示す。クラスター1および2も記されている。表6は、FOXG1 mRNAのASOカバレッジおよびFOXG1発現の調節に関連するデータを示す。
【0091】
(表6)細胞におけるFOXG1 mRNAのASO媒介アップレギュレーション
【0092】
実施例4:CFF-STTG1およびSW1783細胞における選択されたASOによるFOXG1発現の細胞調節
FOXG1 mRNAを標的とする設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を、脳組織由来細胞におけるFOXG1発現を調節する(例えば増加させる)能力について試験した。簡単に説明すると、細胞に表7のASOをトランスフェクトし、FOXG1 mRNAの変化を測定した。
【0093】
ASOのトランスフェクションおよびFOXG1定量化:
CFF-STTG1およびSW1783細胞において、トランスフェクションを、反復して50nMおよび10nMの濃度にてASOを用いて行った。ASOとの24時間のインキュベーション後、培地を除去し、細胞を溶解し、QuantiGene検出を使用して、細胞溶解物中のFOXG1 mRNA発現を測定した。
【0094】
ASOによるFOXG1発現の調節:
図4Aは、モックトランスフェクションおよび非特異的オリゴ対照の平均値と比べた、CFF-STTG1細胞中の選択された2'-O-メトキシエチル(MOE)化学オリゴのFOXG1 mRNA発現調節を示す。図4Bは、モックトランスフェクションおよび非特異的オリゴ対照の平均値と比べた、SW1783細胞中の選択されたオリゴのFOXG1 mRNA発現調節を示す。図4Aおよび図4Bの両方について、各バーは、平均値および標準誤差FOXG1レベルを示し、ASOは、FOXG1 mRNA(RefSeq NM_005249.5)中の開始位置の順に配置および列挙されている。緑色の横線は125%発現を示し、クラスター1~2が記されている。表7は、FOXG1 mRNAのASOカバレッジ、ならびにCFF-STTG1およびSW1783細胞株中のFOXG1発現の調節に関連するデータを示す。
【0095】
(表7)CFF-STTG1およびSW1783細胞におけるFOXG1 mRNAのASO媒介アップレギュレーション
【0096】
本開示の好ましい態様が本明細書において示され、説明されているが、そのような態様は単なる例として提供されることは当業者には明らかであろう。多数の変形、変更、および置換が、ここで、本開示から逸脱することなく当業者には想到されるであろう。本明細書に記載される本開示の態様に対する様々な代替物が、本開示を実施する際に用いられ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義し、この特許請求の範囲の範囲内の方法および構造体ならびにそれらの均等物がそれによってカバーされることが意図される。
【0097】
配列
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024500863000001.app
【国際調査報告】