(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム
(51)【国際特許分類】
F16H 49/00 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
F16H49/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538068
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 KR2021019174
(87)【国際公開番号】W WO2022139323
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183629
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522477012
【氏名又は名称】テ ヨン ファン ガード カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ギル ヨン
(57)【要約】
本発明は、磁力および回転磁界によって発生する渦電流により、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようにする可変速動力伝達クラッチシステムに関する。このため、同心円上に配置される複数の負荷軸B;上記負荷軸Bの端部にシリンダ型本体部21aを形成し、上記シリンダ型本体部21aの外径の周りに磁石22を形成する複数の第2の回転ユニット20;上記複数の第2の回転ユニット20の外径面と対向するように設けられ、上記第2の回転ユニット20との対向面に磁石22と磁力反応する磁力強化板12を形成する第1の回転ユニット10;および上記第1の回転ユニット10の回転中心に連結されて回転力を提供する動力軸A;を含むことを特徴とする、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力および回転磁界によって発生する渦電流により、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようにする可変速動力伝達クラッチシステムであって、
前記負荷軸(B)の端部にシリンダ型本体部(21a)を形成し、前記シリンダ型本体部(21a)の外径の周りに磁石(22)を形成する第2の回転ユニット(20);
前記複数の第2の回転ユニット(20)の外径面と対向するように設けられる第1の回転ユニット(10);および
前記第1の回転ユニット(10)の回転中心に結合されて回転力を提供する動力軸(A);を含むものの、
前記負荷軸(B)と動力軸(A)の軸方向が互いに平行な状態となるように配置され、前記動力軸(A)の端部に設けられる第1の回転ユニット(10)は、ドラム型本体部(11b)を形成して単一または複数の第2の回転ユニット(20)の同心円の外側を包むように設けられ、ドラム型本体部(11b)の内面に磁力強化板(12)を形成して第2の回転ユニット(20)の外径面に形成される磁石(22)と対向して磁力反応するように形成することを特徴とする、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項2】
磁力および回転磁界によって発生する渦電流により、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようにする可変速動力伝達クラッチシステムであって、
前記負荷軸(B)の端部にシリンダ型本体部(21a)を形成し、前記シリンダ型本体部(21a)の外径の周りに磁石(22)を形成する第2の回転ユニット(20);
前記複数の第2の回転ユニット(20)の外径面と対向するように設けられる第1の回転ユニット(10);および
前記第1の回転ユニット(10)の回転中心に結合されて回転力を提供する動力軸(A);を含むものの、
前記負荷軸(B)と動力軸(A)の軸方向が直角をなすように配置され、前記動力軸(A)の軸中心に対して複数の負荷軸(B)の放射状に配置され、前記動力軸(A)の端部に設けられる第1の回転ユニット(10)は、円板型本体部(11c)を形成し、前記円板型本体部(11c)に磁力強化板(12)を形成して第2の回転ユニット(20)の外径面に形成される磁石(22)と対向して磁力反応するように形成することを特徴とする、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項3】
前記第1の回転ユニット(10)と第2の回転ユニット(20)との位置を離隔させたり近接させたりしてカップリングにかかる負荷量が制御できるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項4】
前記第1の回転ユニット(10)と第2の回転ユニット(20)との位置を離隔させたり近接させたりしてカップリングにかかる負荷量が制御できるようにすることを特徴とする、請求項2に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項5】
前記第2の回転ユニット(20)は、第2の本体部(21)と、前記第2の本体部(21)の第1の回転ユニット(10)との対向面の周りに配置結合される磁石(22)と、前記磁石(22)の一側面に接し、磁石(12)から発生する磁力を外部に排出させる磁力形成板(23)と、および磁石(22)を第2の本体部(21)に締結して結束し、磁力を外部に排出させる磁力形成締結部材(24)からなることを特徴とする、請求項1に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項6】
前記第2の回転ユニット(20)は、第2の本体部(21)と、前記第2の本体部(21)の第1の回転ユニット(10)との対向面の周りに配置結合される磁石(22)と、前記磁石(22)の一側面に接し、磁石(12)から発生する磁力を外部に排出させる磁力形成板(23)、および磁石(22)を第2の本体部(21)に締結して結束し、磁力を外部に排出させる磁力形成締結部材(24)からなることを特徴とする、請求項2に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項7】
前記磁石(22)は、複数がN極とS極が交互に配列されることを特徴とする、請求項1に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項8】
前記磁石(22)は、複数がN極とS極が交互に配列されることを特徴とする、請求項2に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項9】
前記動力軸(A)には、モータ(30)が連結されて動力が入力され、前記負荷軸(B)には、ポンプ(40)などが連結されて動力が出力されることを特徴とする、請求項1に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【請求項10】
前記動力軸(A)には、モータ(30)が連結されて動力が入力され、前記負荷軸(B)には、ポンプ(40)などが連結されて動力が出力されることを特徴とする、請求項2に記載の多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムに関し、より詳細には、磁石対磁力強化板の構造を用いて非接触状態で動力が伝達できる多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述された内容は、単に本発明の一実施形態に対する背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
一般に、動力伝達装置には、様々な形態の装置が存在する。その中で代表的なものが機械的な接触による物理力の伝達手段としてギアを用いた動力伝達、プーリとベルトを用いた伝達などがあり、このようにペアからなる動力伝達装置をカプラまたはカップリングなどと称される。
【0004】
これらのカップリングは、駆動力を伝達するためのものであり、モータやエンジンなどに連結されて駆動力を伝達する動力軸とポンプなどの回転対象体側に連結される負荷側または従動軸のように互いに異なる2つの軸を連結して2つの軸が同時に回転できるようにするためのものである。
【0005】
このようなカップリングは、機械的な連結によって嵌合回転するにつれ、摩擦による騒音、粉塵、振動、エネルギー効率の低下、耐久性の低下、機械的焼損などが発生する可能性がある。
【0006】
また、初期動作時に負荷軸または従動軸に高負荷の回転対象体が位置する場合、動力軸に高負荷が等しく付与されるため、モータまたはエンジンなどが寿命を短縮させたり、異常状況に応じた急停止または急回転方向切替などの作業時、機械的な衝撃が動力軸に緩衝なく伝達されて破損されたりする場合が頻繁に起こる。
【0007】
したがって、機械的な連結によるカップリングが騒音や振動の発生を防止したり、一例として、ポンプに異物が挟まれるなどの原因で負荷軸または従動軸が回転を停止したりするにつれ、動力軸の電動モータなどに過負荷がかかることを防止できるように、磁石の磁力を用いたマグネチックカップリングが使用されている。
【0008】
これにより、様々な形態のカップリングが提案されているが、その中で代表的なものが韓国公開特許第10-2005-0017885号公報(磁力を用いた非接触動力伝達構造、以下「先行技術」という。2015年02月23日公開)として分離された主動軸と従動軸との間を連結しながら動力を伝達するための構造に関するものであり、具体的には、中央に形成され、N極、S極のいずれかの極性からなる第1の磁石、および上記第1の磁石の外方に形成され、複数のN極とS極に分離された第2の磁石からなる一対の磁性体が構成されるにつれ、磁力を用いて非接触状態で主動軸の動力を従動軸に伝達できる磁力を用いた非接触動力伝達構造を提供することになる。
【0009】
しかしながら、上記のような先行技術は、動力軸ディスクに配置された磁石と負荷軸ディスクに配置された磁石の引力と斥力を用いる構造で、周期的スリップ現象が起こって一定の動力伝達に困難があり、周期的スリップ現象を克服するためには、一体型構造を有することになる短所がある。
【0010】
また、以外の一般的なマグネチックカップリングは、引力と斥力が発生したときに渦電流による磁気熱と抵抗熱が発生し、このように発生した高熱は、磁力減少の主な原因となり、エネルギー効率を低下させる。従来の一般のカップリングの場合、流量調節のためのバルブの設置および操作で解決したものの、この過程は、過負荷を発生させる主な原因となり、機械的焼損をもたらし、エネルギー効率を減少させる問題点がある。すなわち、従来のマグネチックカップリングは、モータ側の動力を従動軸に効率的に伝達できず、動力伝達効率がやや低く、モータの動力伝達効率が低くて従動軸の精密な回転制御が困難であるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2005-0017885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述の問題点を解決するために、動力軸または負荷軸のうち一側に連結されて動作できるよう磁力部材を含む回転ユニットとこれに対応する負荷軸または動力側に配置された磁力部材の回転ユニットとの間に形成された磁力でスリップまたは渦電流発生による発熱を最小化し、動力が伝達できる多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを提供することに目的がある。
【0013】
また、本発明は、回転対象体が結合される負荷軸の負荷量が制御できるようにし、動力軸のモータまたはエンジンなどの動力発生源の破損が防止できるようにする多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを提供することにまた別の目的がある。
【0014】
ただし、本実施形態が成し遂げようとする技術的課題は、上記のような技術的課題に限定されず、また別の技術的課題が存在することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の一態様によれば、磁力および回転磁界によって発生する渦電流により、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようする可変速動力伝達クラッチシステムであって、同心円上に配置される複数の負荷軸B;上記負荷軸Bの端部にシリンダ型本体部21aを形成し、上記シリンダ型本体部21aの外径の周りに磁石22を形成する複数の第2の回転ユニット20;上記複数の第2の回転ユニット20の外径面と対向するように設けられ、上記第2の回転ユニット20との対抗面に磁石22と磁力反応する磁力強化板12を形成する第1の回転ユニット10;および上記第1の回転ユニット10の回転中心に結合されて回転力を提供する動力軸A;を含むことを特徴とする、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを提供することができる。
【0016】
上記負荷軸Bの軸方向に対して動力軸Aの軸方向が互いに平行な状態となるように配置されることを特徴とする。
【0017】
上記動力軸Aの軸中心が、複数の負荷軸Bの同心円の内側中心を貫通するように配置され、上記動力軸Aの端部に設けられる第1の回転ユニット10は、円筒型本体部11aを形成して複数の第2の回転ユニット20の同心円の中心に位置するように設けられ、円筒型本体部11aの外径面に磁力強化板12を形成して第2の回転ユニット20の外径面に形成される磁石22と対向するように形成することを特徴とする。
【0018】
上記動力軸Aの軸中心が、複数の負荷軸Bの同心円の内側中心を貫通するように配置され、上記動力軸Aの端部に設けられる第1の回転ユニット10は、ドラム型本体部11bを形成して複数の第2の回転ユニット20の同心円の外側を包むように設けられ、ドラム型本体部11bの内面に磁力強化板12を形成して第2の回転ユニット20の外径面に形成される磁石22と対向するように形成することを特徴とする。
【0019】
上記負荷軸Bの軸方向に対して動力軸Aの軸方向が直角をなすように配置されることを特徴とする。
【0020】
上記動力軸Aの軸中心に対して複数の負荷軸Bの放射状に配置され、上記動力軸Aの端部に設けられる第1の回転ユニット10は、円板型本体部11cを形成し、上記円板型本体部11cに磁力強化板12を形成して第2の回転ユニット20の外径面に形成される磁石22と対向するように形成することを特徴とする。
【0021】
上記第1の回転ユニット10と第2の回転ユニット20との位置を離隔させたり近接させたりしてカップリングにかかる負荷量が制御できるようにすることを特徴とする。
【0022】
上記第2の回転ユニット20は、第2の本体部21と、上記第2の本体部21の第1の回転ユニット10との対向面の周りに配置結合される磁石22と、上記磁石22の一側面に接し、磁石22から発生する磁力を外部に排出させる磁力形成板23、および磁石22を第2の本体部21に締結して結束し、磁力を外部に排出させる磁力形成締結部材24からなることを特徴とする。
【0023】
上記磁石22は、複数がN極とS極が交互に配列されることを特徴とする。
【0024】
上記第1の回転ユニット10は、第1の本体部11と、上記第1の本体部11の外周に結合される磁力強化板12とからなることを特徴とする。
【0025】
上記第1の本体部11と磁力強化板12との間には、渦電流によって第1の本体部11と磁力強化板12に腐食が発生することを防止するための腐食防止板13をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
上記動力軸Aには、モータ30が連結されて動力が入力され、上記負荷軸Bには、ポンプ40が連結されて動力が出力されることを特徴とする。
【0027】
上記磁石22と磁力強化板12との間の引力だけが発生して極性変化に関係なく駆動が可能であり、磁石22の回転に伴って変わる極性変化、すなわち回転磁界によって渦電流が発生し、回転磁界によって磁力強化板12が回転することにより、運転中の急停止または正回転中の逆回転時に物理的衝撃および機械的損傷なしに可能とし、非接触式で2つの回転ユニット間の離隔空間によるクッション現象を与え、動力軸および負荷軸に物理的衝撃と機械的破損なしに運転中の滑らかな逆回転が可能になることを特徴とする。
【0028】
上記第2の回転ユニット20の第2の本体部21の外周に設けられる磁石22のほか、回転軸(負荷軸)の周りに深部磁石25が放射状にさらに配置されることを特徴とする。
【0029】
上記第2の回転ユニット20の第2の本体部21の中心の回転軸(負荷軸)の周りに軸方向に貫通して形成される発熱ファン26が放射状にさらに配置されることを特徴とする。
【0030】
上記第1の回転ユニット10の第1の本体部11の外周に設けられる磁力強化板12のほか、回転軸(動力軸)の周りに銅板素材のエアホール15が放射状にさらに配置されることを特徴とする。
【0031】
上記第1の回転ユニット10の第1の本体部11中心の回転軸(動力軸)の周りに軸方向に貫通して形成される発熱ファン16が放射状にさらに配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
以上のような本発明は、負荷軸に配置された磁石を含む回転ユニットと動力軸に配置された磁力強化板の回転ユニットとの間に形成された磁力で非接触無負荷状態の動力を伝達することによって機械的焼損、騒音、振動、粉塵から自由であり、従来のマグネチックカップリングと比較して周期的スリップ現象なしに安定した出力が提供できる効果がある。
【0033】
さらに、本発明は、磁石対磁力強化板構造のマグネチックカップリングによって正方向回転と逆方向回転が可能であり、自由な間隔調節によって回転速度と出力量を制御することができ、エネルギー効率が極大化できる効果がある。
【0034】
さらに、本発明は、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようにする可変速動力伝達クラッチシステムを提供することにより、使用が便利で適用分野が拡張される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による単一出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【
図6】本発明によるシリンダ型本体部を有する第2の回転ユニットを示す斜視図である。
【
図7】本発明による円筒型本体部を有する第1の回転ユニットを示す斜視図である。
【
図8】本発明によるドラム型本体部を有する第1の回転ユニットを示す斜視図である。
【
図9】本発明による円板型本体部を有する第1の回転ユニットを示す斜視図である。
【
図10】本発明による第2の回転ユニットの変形実施形態を示す側断面図である。
【
図11】本発明による第2の回転ユニットの変形実施形態を示す側断面図である。
【
図12】本発明による第1の回転ユニットの変形実施形態を示す側断面図である。
【
図13】本発明による第1の回転ユニットの変形実施形態を示す側断面図である。
【
図14】本発明による磁力強化板の変形実施形態を示す概略図である。
【
図15】本発明による磁力強化板の変形実施形態を示す概略図である。
【
図16】本発明による磁力強化板の変形実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明すると次の通りである。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図であり、
図2は、本発明の第2の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図であり、
図3は、本発明の第3の実施形態による単一出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図であり、
図4は、本発明の第4の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【0038】
図1~
図5を参照すると、磁力および回転磁界によって発生する渦電流により、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようにする可変速動力伝達クラッチシステムが開示される。
【0039】
同図に示すような本発明は、大きく負荷軸B、第2の回転ユニット20、第1の回転ユニット10および動力軸Aを含む構成からなる。
【0040】
より詳細には、同心円上に配置される複数の負荷軸Bと;上記負荷軸Bの端部にシリンダ型本体部21aを形成し、上記シリンダ型本体部21aの外径の周りに磁石22を形成する複数の第2の回転ユニット20と;上記複数の第2の回転ユニット20の外径面と対向するように設けられ、上記第2の回転ユニット20との対向面に磁石22と磁力反応する磁力強化板12とを形成する第1の回転ユニット10;および上記第1の回転ユニット10の回転中心に結合されて回転力を提供する動力軸A;を含む
【0041】
ここで、上記磁石22は、電磁石を含む意味であり、上記磁力強化板12は、磁石によって磁力が作用する性質を有する物質を全体的に指す意味である。
【0042】
図1~
図3では、上記負荷軸Bの軸方向に対して動力軸Aの軸方向が互いに平行な状態となるように配置される例を示している。
【0043】
図1を参照すると、上記動力軸Aの軸中心が、複数の負荷軸Bの同心円の内側中心を貫通するように配置され、上記動力軸Aの端部に設けられる第1の回転ユニット10は、円筒型本体部11aを形成する。
【0044】
上記円筒型本体部11aは、複数の第2の回転ユニット20の同心円の中心に位置するように設けられる。たとえば、第1の回転ユニット10を中心に、その円周の周りに複数の第2の回転ユニット20が遊星ギアの形態で配置される。
【0045】
このとき、上記円筒型本体部11aの外径面に磁力強化板12を形成して第2の回転ユニット20の外径面に形成される磁石22と対向するように形成する。
【0046】
図6は、本発明によるシリンダ型本体部を有する第2の回転ユニットを示す斜視図である。
【0047】
図6を参照すると、上記第2の回転ユニット20は、第2の本体部21、すなわちシリンダ型本体部21aを形成し、上記シリンダ型本体部21aの外周に第1の回転ユニット10と対向する複数の磁石22が配置結合される。
【0048】
ここで、上記磁石22は、複数がN極とS極が交互に配列されることが好ましい。
【0049】
上記シリンダ型本体部21aの外周には、磁石22を設けるための挿入溝が形成されることがあり、上記挿入溝には、磁石22の一側面に接し、磁石22から発生する磁力を外部に排出させる磁力形成板23および磁石22を第2の本体部21に締結して結束し、磁力を外部に排出させる磁力形成締結部材24が磁石22とともに挿入設置される。
【0050】
このとき、上記第2の本体部21は、シリンダ型本体部21aを形成する。
【0051】
以下、第1の回転ユニット10について説明する。
【0052】
図7は、本発明による円筒型本体部を有する第1の回転ユニットを示す斜視図である。
【0053】
図7は、本発明による円筒型本体部を有する第2の回転ユニットを示す斜視図である。
図7を参照すると、上記第1の回転ユニット10は、第1の本体部11と、上記第1の本体部11の外周に結合される磁力強化板、すなわち磁力強化板12からなるものの、上記第1の本体部11と磁力強化板12との間には、渦電流によって第1の本体部11と磁力強化板12に腐食が発生することを防止するための腐食防止板13をさらに備えることができる。
【0054】
図2を参照すると、上記動力軸Aの軸中心が、複数の負荷軸Bの同心円の内側中心を貫通するように配置され、上記動力軸Aの端部に設けられる第1の回転ユニット10は、ドラム型本体部11bを形成して複数の第2の回転ユニット20の同心円の外側を包むように設けられる。
【0055】
上記ドラム型本体部11bの内面に
図8に示すように、磁力強化板12を形成して第2の回転ユニット20の外径面に形成される磁石22と対向するようにする。
【0056】
図8は、本発明によるドラム型本体部を有する第1の回転ユニットを示す斜視図である。
図8を参照すると、上記第1の回転ユニット10は、第1の本体部11、すなわちドラム型本体部11bを形成し、上記ドラム型本体部11bの内周に第2の回転ユニット20の磁石22と対向する磁力強化板12が配置結合される。
【0057】
ここで、上記第1の本体部11は、ドラム型本体部11bを形成し、上記ドラム型本体部11bと磁力強化板12との間には、渦電流によって第1の本体部11と磁力強化板12に腐食が発生することを防止するための腐食防止板13をさらに備えることができる。
【0058】
図4を参照すると、上記負荷軸Bの軸方向に対して動力軸Aの軸方向が直角をなすように配置されることを特徴とする、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを提供することができる。
【0059】
このとき、上記動力軸Aの軸中心に対して複数の負荷軸Bの放射状に配置され、上記動力軸Aの端部に設けられる第1の回転ユニット10は、円板型本体部11cを形成し、上記円板型本体部11cに磁力強化板12を形成して第2の回転ユニット20の外径面に形成される磁石22と対向するように形成する。
【0060】
以下、
図9を参照して円板型本体部11cを構成する第1の回転ユニットについて説明する。
【0061】
図9は、本発明による円板型本体部を有する第1の回転ユニットを示す斜視図であり、上記第1の回転ユニット10は、第1の本体部11、すなわち円板型本体部11cを形成し、上記円板型本体部11c内周に第2の回転ユニット20の磁石22と対向する複数の磁力強化板12が結合される。
【0062】
このとき、上記円板型本体部11c前面には、磁力強化板12が設けられるための挿入溝を形成することができる。
【0063】
そして、上記円板型本体部11cと磁力強化板12との間には、渦電流によって第1の本体部11と磁力強化板12に腐食が発生することを防止するための腐食防止板13をさらに備えることができる。
【0064】
上記のような本発明は、第1の回転ユニット10と第2の回転ユニット20との位置を離隔させたり近接させたりしてカップリングにかかる負荷量が制御できるようにすることに特徴がある。
【0065】
図5は、本発明の第5の実施形態による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムを示す概念図である。
【0066】
図5を参照すると、上記動力軸Aには、モータ30が連結されて動力が入力され、上記負荷軸Bには、ポンプ40などが連結されて動力を出力することを特徴とする、多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムが開示される。
【0067】
本発明による多重出力構造を有する可変速動力伝達クラッチシステムは、1つの動力軸に複数の負荷軸が対応して駆動されるようにする可変速動力伝達クラッチシステムを提供することにより、使用が便利で適用分野が拡張される利点を有する。
【0068】
また、本発明は、上記磁石22と磁力強化板12との間の引力だけが発生して極性変化に関係なく駆動が可能であり、磁石22の回転に伴って変わる極性変化、すなわち回転磁界によって渦電流が発生し、回転磁界によって磁力強化板12が回転することにより、運転中の急停止または正回転中の逆回転時に物理的衝撃および機械的破損なしに可能とし、非接触式で2つの回転ユニット間の離隔空間によるクッション現象を与え、動力軸および負荷軸に物理的衝撃と機械的損傷なしに運転中の滑らかな逆回転を可能にすることができる。
【0069】
図10および
図11は、本発明による第2の回転ユニットの変形実施形態を示す側断面図であり、
図10は、第2の回転ユニット20の第2の本体部21の外周に設けられる磁石22のほか、回転軸(負荷軸)周りに深部磁石25が放射状にさらに配置される例を示しており、
図11は、回転軸(負荷軸)周りに軸方向に貫通して形成される発熱ファン26が放射状にさらに配置される例を示している。
【0070】
図12および
図13は、本発明による第1の回転ユニットの変形実施形態を示す側断面図であり、
図12は、第1の回転ユニット10の第1の本体部11の外周に設けられる磁力強化板12のほか、回転軸(動力軸)周りに銅板素材のエアホール15が放射状にさらに配置される例を示しており、
図13は、回転軸(動力軸)周りに軸方向に貫通して形成される発熱ファン16が放射状にさらに配置される例を示している。
【0071】
図14~
図16は、本発明による磁力強化板の変形実施形態を示す概略図であり、本発明の第1の回転ユニット10に形成される磁力強化板12は、
図14~
図16と同様に、様々な形態の放熱パターン12aを形成することができる。
【0072】
図14および
図16は、軸方向と平行な横方向パターンの放熱パターン12aを示しており、
図15は、軸方向と直交する縦方向パターンの放熱パターン12aを形成する例を示している。
【0073】
以上のような本発明は、負荷軸に配置された磁力強化板12を含む回転ユニットと動力軸に配置された磁力強化板の回転ユニットとの間に形成された磁力で非接触無負荷状態の動力を伝達することによって機械的焼損、騒音、振動、粉塵から自由であり、従来のマグネチックカップリングと比較して周期的スリップ現象なしに安定した出力を提供することができる。
【0074】
また、本発明は、磁石対非磁石構造のマグネチックカップリングによって正方向回転と逆方向回転が可能であり、自由な間隔調節によって回転速度と出力量を制御することができ、エネルギー効率を極大化することができる。
【0075】
上記のような本発明のモータポンプは、エンジンなどの動力装置に置き換えることができる。また、第1の回転ユニットと第2の回転ユニットの形態と数は、制限されず、様々に変形可能である。
【0076】
以上のように、本発明は、上述した特定の好ましい実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも様々な変形実施が可能であることは無論であり、そのような変更は特許請求の範囲記載の範囲内にある。
【国際調査報告】