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特表2024-500894リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/587 20100101AFI20231227BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01M4/587
H01M4/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538077
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2021019434
(87)【国際公開番号】W WO2022139382
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0179597
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(71)【出願人】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】511038879
【氏名又は名称】ポスコ ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ガン ホ
(72)【発明者】
【氏名】アン、 ジョン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 シ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、 ヒュン-チョル
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB08
5H050EA10
5H050EA23
5H050EA28
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA07
(57)【要約】
人造黒鉛を準備する段階、前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階、および前記コーティング層が形成された人造黒鉛を炭化させる段階を含み、前記人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を30重量%以上含むリチウム二次電池用負極活物質の製造方法およびこれから製造された負極活物質、およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人造黒鉛を準備する段階;
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階;および
前記コーティング層が形成された人造黒鉛を炭化させる段階を含み、
前記人造黒鉛は、球形度が0.6乃至1であるリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記人造黒鉛を準備する段階において、
人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を20重量%以上含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記人造黒鉛を準備する段階において、
人造黒鉛全体体積を基準に、粒度が6μm乃至34μmの人造黒鉛の体積が70体積%以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記人造黒鉛を準備する段階において、
人造黒鉛中の粒度が5μm乃至10μmの人造黒鉛の球形度は0.55以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、
コールタールは、人造黒鉛100重量部を基準に1乃至20重量部含まれるものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、
コールタールは、キノリン不溶分(QI)がコールタール全体重量に対して1重量%乃至7重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、
コールタールは、固定炭素量がコールタール全体重量に対して10乃至30重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、
コールタールは、軽質油分含有量がコールタール全体重量に対して30重量%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、
コールタールは、トルエン不溶分(TI)がコールタール全体重量に対して50重量%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、
コールタールのベータレジン含有量は、コールタール全体重量に対して50重量%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項11】
人造黒鉛を準備する段階は、
コークスを粉砕する段階;および
コークスを黒鉛化させる段階を含み、
前記コークスは、石炭系コークスまたは石炭系コークスと石油系コークスとの混合物であり、
前記石炭系コークスと石油系コークスとの混合物は、全体重量に対して石炭系コークスを20重量%以上含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記コークスを粉砕する段階は、
粉砕されたコークスの球形度を調節する段階を含む、請求項11に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法。
【請求項13】
人造黒鉛および
前記人造黒鉛表面に形成されたコールタール由来炭素コーティング層を含み、
前記人造黒鉛は、球形度が0.6乃至1である、リチウム二次電池用負極活物質。
【請求項14】
前記人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を20重量%以上含む、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項15】
前記コールタール由来炭素コーティング層は、人造黒鉛100重量部を基準に1乃至20重量部含まれるものである、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項16】
前記コールタール由来炭素コーティング層において、前記コールタールは、キノリン不溶分(QI)がコールタール全体重量に対して1重量%乃至7重量%である、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項17】
前記コールタール由来炭素コーティング層において、前記コールタールは、固定炭素量がコールタール全体重量に対して10乃至30重量%である、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項18】
前記コールタール由来炭素コーティング層において、前記コールタールは、軽質油分含有量がコールタール全体重量に対して30重量%以下である、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項19】
前記コールタール由来炭素コーティング層において、前記コールタールは、トルエン不溶分(TI)がコールタール全体重量に対して50重量%以下である、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項20】
前記コールタール由来炭素コーティング層において、前記コールタールは、ベータレジン含有量がコールタール全体重量に対して50重量%以下である、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極活物質。
【請求項21】
第1項乃至第12項のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極活物質の製造方法から製造された負極活物質を含む負極;
正極;および
電解質を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。具体的に、本発明は、電極接着性と電池性能に優れるリチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池の負極として用いられる黒鉛系/炭素系負極活物質は、リチウム金属の電極電位に近接した電位を有しているため、イオン状態リチウムの挿入および脱離過程の間に結晶構造の変化が小さい。したがって、電極の持続、反復的な酸化還元反応を可能にしてリチウム二次電池が高い容量および優れる寿命を示すようにする。
【0003】
炭素系負極活物質としては、結晶質炭素系材料の天然黒鉛および人造黒鉛または非晶質炭素系材料のハードカーボンおよびソフトカーボンなどの多様な形態の材料が用いられる。その中でも可逆性が優れてリチウム二次電池の寿命特性を向上させることができる黒鉛系活物質が最も幅広く用いられる。黒鉛系活物質は、リチウムに比べて放電電圧が-0.2Vで低いため黒鉛系活物質を利用した電池は、3.6Vの高い放電電圧を示すことができるので、リチウム二次電池のエネルギー密度面で多い利点を提供している。
【0004】
結晶質炭素系材料の人造黒鉛は、2,700℃以上の高い熱エネルギーを加えて黒鉛の結晶構造を作るため、天然黒鉛より安定した結晶構造を有するのでリチウムイオンの反復的な充放電にも結晶構造の変化が小さくて相対的に寿命が長い。一般に人造黒鉛系負極活物質は、天然黒鉛より2~3倍程度で寿命が長い。
【0005】
結晶構造が安定化されていない非晶質炭素系材料であるソフトカーボンおよびハードカーボンは、リチウムイオンの進出がさらに円滑な特性を持つようになる。したがって充放電の速度を高めることができ、高速充電が要求される電極に用いることができる。
【0006】
使用しようとするリチウム二次電池の寿命特性および出力特性を考慮して、前記炭素系材料らを互いに一定比率で混合して使用することが一般的である。
【0007】
一方、リチウム二次電池において、高温性能(高温貯蔵特性および高温サイクル特性)を改善することは、重要な解決課題である。負極活物質を集電体に塗布して圧延した以後、内部総気孔体積が高ければ、負極の高温性能が低下する可能性が大きい。したがって電極圧延時に起こる電極の構造変化および内部総気孔体積の変化を最小化させてリチウム二次電池の高温特性を向上させる必要がある。
【0008】
特に、急速充電用二次電池の負極材開発時には、高温特性の向上が最も要求されている。
【0009】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加することによって、エネルギー源としての二次電池に対する需要が急激に増加しており、そのような二次電池中でも高いエネルギー密度と作動電位を示し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて幅広く用いられている。
【0010】
また、環境問題に対する関心が大きくなることによって、大気汚染の主要原因の一つであるガソリン車両、ディーゼル車両などの化石燃料を使用する車両を振替えることができる電気自動車、ハイブリッド電気自動車に対する関心が高まっており、このような電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力源として、リチウム二次電池を用いるための研究が活発に進められている。
【0011】
リチウム二次電池は、一般に正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、分離膜および電解質から構成され、リチウムイオンの挿入-脱離(intercalation-deintercalation)によって充電および放電となる二次電池である。リチウム二次電池は、エネルギー密度(energy density)が高く、起電力が大きくて高容量を発揮することができる長所を持つので、多様な分野に適用されている。
【0012】
特に、最近のEV電気車の急激な浮上により、リチウムイオン二次電池に対する期待も既存の容量はそのまま保存しながら、急速充電特性の改善に対する要求が増加している。このような急速充電の改善は、充電時のリチウムイオンの貯蔵を担当する負極材活物質がその役割を担当しなければならないところ、主に炭素/黒鉛系物質から構成されるところ、充電時の安定的なSEI(solid electrolyte interface)の形成が重要であると言える。
【0013】
ここで快速充電および寿命(安定性)等の観点において、最も円滑に採用されているのが人造黒鉛として、今後もこのような傾向は続くと予想される。
【0014】
人造黒鉛を収得するために、コークス粒子とバインダー物質とを混合して熱処理して2次粒子に収得するのは、設備構築が難しく、実際に実現することにおいて、一定部分の汚染問題などが常在しているので、配置別品質実現側面において均一性を保障することに難しい短所が存在する。したがって、最小限の工程回数に進行する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
一実施形態は、造粒工程を含まなくて製造されたリチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含む二次電池を提供しようとする。
【0016】
一実施形態は、コールタールを用いて造粒工程を経なくて製造されたリチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含む二次電池を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態に応じた、リチウム二次電池用負極活物質の製造方法は、人造黒鉛を準備する段階;前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階;および前記コーティング層が形成された人造黒鉛を炭化させる段階を含み、前記人造黒鉛は、球形度が0.6乃至1である。
【0018】
前記人造黒鉛を準備する段階において、人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を20重量%以上含む。
【0019】
前記人造黒鉛を準備する段階において、人造黒鉛全体体積を基準に、粒度が6μm乃至34μmである人造黒鉛体積が70体積%以上である。
【0020】
前記人造黒鉛を準備する段階において、人造黒鉛中の粒度が5μm乃至10μmである人造黒鉛の球形度は0.55以上である。
【0021】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールは、人造黒鉛100重量部を基準に、1乃至20重量部が含まれるものである。
【0022】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールは、キノリン不溶分(QI)がコールタール全体重量に対して1重量%乃至7重量%である。
【0023】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールは、固定炭素量がコールタール全体重量に対して10乃至30重量%である。
【0024】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールは、軽質油分含有量がコールタール全体重量に対して30重量%以下である。
【0025】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールは、トルエン不溶分(TI)がコールタール全体重量に対して50重量%以下である。
【0026】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールのベータレジン含有量は、コールタール全体重量に対して50重量%以下である。
【0027】
人造黒鉛を準備する段階は、コークスを粉砕する段階;およびコークスを黒鉛化させる段階を含み、前記コークスは、石炭系コークスまたは石炭系コークスと石油系コークスの混合物であり、前記石炭系コークスと石油系コークスの混合物は、全体重量に対して石炭系コークスを20重量%以上含む。
【0028】
前記コークスを粉砕する段階は、粉砕されたコークスの球形度を調節する段階を含む。
【0029】
一実施形態に応じたリチウム二次電池用負極活物質は、人造黒鉛および前記人造黒鉛表面に形成されたコールタール由来炭素コーティング層を含み、前記人造黒鉛は、球形度が0.6乃至1である。
【0030】
前記人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を20重量%以上含む。
【0031】
前記コールタール炭素コーティング層は、人造黒鉛100重量部を基準に、1乃至20重量部が含まれるものである。
【0032】
前記コールタールは、キノリン不溶分(QI)がコールタール全体重量に対して1重量%乃至7重量%である。
【0033】
前記コールタールは、固定炭素量がコールタール全体重量に対して10乃至30重量%である。
【0034】
前記コールタールは、軽質油分含有量がコールタール全体重量に対して30重量%以下である。
【0035】
前記コールタールは、トルエン不溶分(TI)がコールタール全体重量に対して50重量%以下である。
【0036】
前記コールタールは、ベータレジン含有量がコールタール全体重量に対して50重量%以下である。
【0037】
一実施形態に応じたリチウム二次電池は、前記リチウム二次電池用負極活物質製造方法から製造された負極活物質を含む負極、正極および電解質を含む。
【発明の効果】
【0038】
一実施形態に応じたリチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含む二次電池は、液状コーティング物質であるコールタールを使って別途の造粒工程を経ない。
【0039】
一実施形態に応じたリチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含む二次電池は、電極接着性に優れる。
【0040】
一実施形態に応じたリチウム二次電池用負極活物質、その製造方法およびこれを含む二次電池は、別途の造粒工程がないので、単粒子から構成された人造黒鉛負極活物質を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
第1、第2および第3等の用語らは多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションらを説明するために使用されるが、これに限らない。その用語らはある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためだけに使用される。したがって、以下で記述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を外さない内で第2部分、成分、領域、層またはセクションで言及されることができる。
【0042】
ここで使用される専門用語は、単に特定実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定するのを意図しない。ここで使用される単数形態らは文句らがこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態らも含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるものではない。
【0043】
ある部分が他の部分の「うえに」または「上に」あると言及する場合、これは直ちに他の部分のうえにまたは上にあり得たり、その間に他の部分が伴えたりすることができる。対照的に、ある部分が他の部分の「真うえに」あると言及する場合、その間に他の部分が介されない。
【0044】
また、特に言及しない限り、%は重量%を意味し、1ppmは0.0001重量%である。
【0045】
本発明の一実施形態において、追加元素をさらに含むことの意味は、追加元素の追加量だけ残部の鉄(Fe)に振替えて含むことを意味する。
【0046】
異なって定義しなかったが、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語らは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一な意味を有する。普通、使用される辞書で定義される用語らは、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を持つことに追加解釈され、定義されない限り、理想的だとか非常に公式的な意味で解釈されない。
【0047】
以下、本発明の実施形態に対して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながら、本発明は、色々な相異な形態に実現されることができ、ここで説明する実施形態に限らない。
【0048】
以下、各段階に対して具体的に説明する。
【0049】
一実施形態に応じたリチウム二次電池用負極活物質の製造方法は、人造黒鉛を準備する段階;前記人造黒鉛とコールタールを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階;および前記コーティング層が形成された人造黒鉛を炭化させる段階を含む。
【0050】
前記二次電池用負極活物質の製造方法において、人造黒鉛を準備する段階は、コークスを粉砕する段階およびコークスを黒鉛化させる段階を含む。
【0051】
また、人造黒鉛を準備する段階中のコークスを粉砕する段階において、コークスは、石炭系コークスまたは石炭系コークスと石油系コークスとの混合物である。
【0052】
前記石炭系コークスと石油系コークスとの混合物は、混合物全体重量に対して石炭系コークスを30重量%以上含むことができる。具体的に、石炭系コークスは、30重量%乃至100重量%、または40重量%乃至100重量%、または60重量%乃至100重量%、または70重量%乃至100重量%であり得る。
【0053】
したがって、前記人造黒鉛を準備する段階において、人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を30重量%以上含むことができる。具体的に、石炭系コークス由来人造黒鉛を30重量%乃至100重量%、または40重量%乃至100重量%、または60重量%乃至100重量%、または70重量%乃至100重量%に含むことができる。
【0054】
前記人造黒鉛を準備する段階中のコークスを粉砕する段階において、石炭系コークスまたは石油系コークスは、それぞれグリーンコークス、か焼コークスまたはこれらの混合物であり得る。また、それぞれのコークスは、針状コークス、等方性コークスまたはこれらの混合物であり得る。
【0055】
石炭系コークスとして、石炭系グリーンコークスと石炭系か焼コークスとの混合物を使用する場合には、混合物全体重量に対してグリーンコークスの含有量が20重量%以上であり得る。具体的に、20乃至100重量%であり得る。石炭系グリーンコークスのVM(Volatile Matter)含有量が一般に5乃至10重量%であるところ、石炭系グリーンコークスを20重量%未満で含む場合には、コーティング物質のコールタールとのぬれ性が良くないので粘結作用が劣位される問題があり得る。よって、石炭系コークスとして石炭系グリーンコークスと石炭系か焼コークス混合物とを使用する場合には、石炭系グリーンコークスは、前記範囲に含まれる方が良い。
【0056】
また、本発明による人造黒鉛は、造粒品ではない。即ち、人造黒鉛は、1次粒子、単粒子自体であり、造粒されないところ、負極活物質製造方法において、原料として使用される人造黒鉛には、ソフトカーボン接着剤またはハードカーボン接着剤は含まれない。
【0057】
前記人造黒鉛を準備する段階に含まれるコークスを粉砕する段階で使用する粉砕方法は、下記記述される粒度に調節できる粉砕方法であれば制限せず、例えば、Jet mill、Pin mill、Air classifier mill、Raymond mill、Jaw crusher、Vertical roller millなどを使用することができる。粉砕されたコークスは、振動Sieveを利用して望む粒度に分級することができる。
【0058】
前記コークスを粉砕する段階は、粉砕されたコークスの球形度を調節する段階を含むことができる。球形度を調節する段階は、球形度を制御できる手段を使うものなら、制限がなく、特に遠心力を利用して摩擦で球形度を制御する手段を使用することができる。
【0059】
前記人造黒鉛を準備する段階において、粉砕されたコークスの球形度を調節して人造黒鉛の球形度を制御することができる。その際、具備された人造黒鉛は、球形度が0.6乃至1であり得る。具体的に、人造黒鉛の球形度は、0.6乃至0.9、または0.6乃至0.8であり得る。球形度が0.6未満である場合には、コールタールが人造黒鉛を良好にコーティングさせることが不可能であるので、部分的にコーティングされない部分が発生する問題があって、副反応サイトが増大する問題がある。反面、球形度が1に近づけば近づくほど、即ち、完璧な球形に近づけば近づくほど電気伝導度が低くなる問題が発生することができる。
【0060】
また、人造黒鉛中の粒度が5μm乃至10μmである人造黒鉛の球形度は、0.55以上であり得る。具体的に、人造黒鉛中の粒度が5μm乃至10μmの人造黒鉛の球形度は、0.55乃至1または0.55乃至0.8であり得る。粒度が5μm乃至10μmである素粒子区間の人造黒鉛の球形度を前記範囲で制御する時、副反応発生を制御することができる。
【0061】
前記人造黒鉛を準備する段階において、人造黒鉛全体体積を基準に、粒度が6μm乃至34μmの人造黒鉛の体積が70体積%以上であり得る。粒度が6μm乃至34μmの人造黒鉛の体積が前記範囲を満たす時、電極接着力が良好である。
【0062】
人造黒鉛を準備する段階中のコークスを黒鉛化させる段階において、黒鉛化温度は、2200乃至3300℃であり、黒鉛化処理時間は、3時間以上である。
【0063】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、人造黒鉛とコールタールとの混合は、2個以上の回転体を垂直または水平方向に進行して混合する手段に遂行することができる。例えば、シグマブレードタイプの水平形混練機を利用して混合させる段階であり得る。また、人造黒鉛とコールタールとの混合は、5分以上に遂行することができる。特に使用されるコールタールの粘度により混合時間と混合速度(rpm)とを制御し、人造黒鉛にコールタールコーティングが均一となるようにすることができる。
【0064】
前記人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、コールタールは、人造黒鉛100重量部を基準に、1乃至20重量部に含まれることができる。具体的に、コールタールは、人造黒鉛100重量部を基準に、5乃至20重量部、または5乃至10重量部に含まれることもできる。コールタール含有量が前記範囲を満たさない場合には、負極活物質の電極接着力が製品に使用することには十分ではない接着力(例えば、300gf/cm以下、)を示す問題がある。
【0065】
前記コールタールは、キノリン不溶分(QI)がコールタール全体重量に対して1重量%乃至7重量%であり得る。具体的に、前記コールタールは、キノリン不溶分(QI)がコールタール全体重量に対して、2重量%乃至7重量%または2重量%乃至5重量%であり得る。キノリン不溶分含有量が多い場合には、負極材に製造された以後電極が劣化する問題があり得る。
【0066】
また、前記コールタールは、トルエン不溶分(TI)がコールタール全体重量に対して50重量%以下であり得る。具体的に、トルエン不溶分(TI)がコールタール全体重量に対して10乃至50重量%または30乃至40重量%であり得る。
【0067】
また、前記コールタールのベータレジン含有量は、コールタール全体重量に対して50重量%以下であり得る。具体的に、ベータレジン含有量は、コールタール全体重量に対して、10乃至50重量%または30乃至40重量%であり得る。ベータレジン含有量は、負極活物質の負極接着性能を決定する核心的な要素として、コールタールにベータレジン含有量がとても大きいと接着性が劣位される問題があり得る。
【0068】
本発明でベータレジン含有量は、ASTM D4312(Standard Test Method for Toluene-Insoluble(TI)Content of Tar and Pitch)によりトルエン不溶分を抽出した後、ASTM D2318(Standard Test Method for Quinoline-Insoluble(QI)Content of Tar and Pitch)によりキノリン不溶分を除去した後の残った部分の含有量を意味する。
【0069】
また、前記コールタールは、25℃で固定炭素量がコールタール全体重量に対して10乃至30重量%であり得る。具体的に、前記コールタールは、固定炭素量が20乃至30重量%であり得る。固定炭素量が前記含有量を満たさない場合には、二次電池性能即ち、放電容量および効率が劣位する問題があり得る。また、固定炭素量が低すぎる場合には、コーティング物質として作用を実現するために、人造黒鉛と混合時ミキサーの回転率を高めなければならなく、回転率が高まることによって、ミキサー内部および混合物の温度が上昇するところ、それによって性能が劣化する問題があり得る。反面、固定炭素量が多すぎる場合には、液状化が難しくて液状コーティングを通じて取ろうとする利点を得ることができなく、より高い工程で処理すべき短所がある。
【0070】
また、前記コールタールは、軽質油分含有量がコールタール全体重量に対して30重量%以下であり得る。具体的に、前記コールタールは、軽質油分含有量がコールタール全体重量に対して、5重量%乃至30重量%、または10重量%乃至30重量%、または10重量%乃至20重量%であり得る。本発明において、軽質油分は、粗軽油、吸収油、ナフタレンから構成される。
【0071】
コールタールの粘度は、50℃で5000乃至30000mPa・sであり得る。粘度が範囲より低い場合、ぬれ性が良くないので、人造黒鉛母材とコールタールが別途に分離されて母材コーティング品質が劣化する問題があり得る。反面、粘度が範囲より高い場合、粘性が高すぎて、含浸性は良くなるが、接着性能が低くなって人造黒鉛母材と相分離が発生してコーティング品質が劣化する問題があり得る。
【0072】
また、本発明によるリチウム二次電池用負極活物質製造方法において、コールタールの粘度を前記範囲で制御することによって、単粒子、即ち、1次粒子だけで構成された人造黒鉛を直ちにコーティングさせることができる。また、別途の造粒工程を経なくても電極接着力に優れる負極活物質を提供することができ、工程数行中のエネルギーおよび費用節減効果を得ることができる。
【0073】
人造黒鉛とコールタールとを混合して人造黒鉛にコーティング層を形成する段階において、混合反応器にコールタールは、人造黒鉛より上部で装入されることができる。これは人造黒鉛にコールタールが最大限均一に拡散して塗布されるようにするためである。
【0074】
具体的に、コールタールは、母材人造黒鉛が装入された反応器に上部から下部へスプレー方式で添加されることができる。
【0075】
前記二次電池用負極活物質の製造方法において、前記コーティング層が形成された人造黒鉛を炭化させる段階は、炭化温度が1500℃以下である。具体的に、炭化温度は、800乃至1500℃、または1000乃至1200℃である。具体的に、炭化温度まで昇温速度は、5℃/分乃至15℃/分であり、炭化温度で1乃至5時間維持して炭化させることができる。炭化温度が低すぎれば、揮発分除去率が低くて最終製品の品質が低くなり、炭化温度が高すぎれば黒鉛化に近い温度により不必要なエネルギー消耗が発生する問題がある。
【0076】
一実施形態に応じたリチウム二次電池用負極活物質は、人造黒鉛および前記人造黒鉛表面に形成されたコールタール炭素コーティング層を含み、前記人造黒鉛は、石炭系コークス由来人造黒鉛を30重量%以上含む。人造黒鉛の構成は、前記説明したものと同じである。
【0077】
また、前記人造黒鉛は、球形度が0.6乃至1であり得る。
【0078】
一実施形態に応じたリチウム二次電池は、上述した製造方法から製造された負極活物質を含む負極;正極;および電解質を含む。具体的に、リチウム二次電池は、正極と負極との間に配置されたセパレータをさらに含むことができる。
【0079】
前記負極は、一実施形態により製造された負極活物質、バインダーおよび選択的に導電材を混合して負極活物質層形成用組成物を製造した後、これを負極集電体に塗布して製造されることができる。
【0080】
前記負極集電体は、銅箔を使用することができる。
【0081】
前記バインダーとしては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース/スチレン-ブタジエンラバー、ヒドロキシプロピレンセルロース、ジアセチレンセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどが用いられるが、これに限定されるものではない。前記バインダーは、前記負極活物質層形成用組成物の総量に対して、1重量%乃至30重量%に混合されることができる。
【0082】
前記導電材としては、電池に化学的変化を誘発しないながら導電性を持つことなら、特に制限されるものではなく、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック炭素;繊維、金属繊維などの導電性繊維;弗化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスキ-酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用されることができる。前記導電材は、前記負極活物質層形成用組成物の総量に対して、0.1重量%乃至30重量%に混合されることができる。
【0083】
次に、前記正極は、正極活物質、バインダーおよび選択的に導電材を混合して正極活物質層形成用組成物を製造した後、該組成物を正極集電体に塗布して製造することができる。その際、バインダーおよび導電材は、前記した負極の場合と同一に使用される。
【0084】
前記正極集電体は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀等で表面処理したものを使用することができる。
【0085】
前記正極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエートインターカレーション化合物)を使用することができる。
【0086】
前記正極活物質は、具体的にコバルト、マンガン、ニッケルまたはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物中の1種以上のものを用いることができ、その具体的な例としては、下記の化学式中のいずれか一つに示す化合物を使用することができる。
【0087】
Li1-b(前記式において、0.90≦a≦1.8および0≦b≦0.5である);Li1-b2-c(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、および0≦c≦0.05である);LiE2-b4-c(前記式において、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoα(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である);LiNi1-b-cCo2-αα(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi1-b-cCo2-α(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi1-b-cMnα(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である);LiNi1-b-cMn2-αα(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi1-b-cMn2-α(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である);LiNi(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5および0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMnGeO(前記式において、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d0.5および0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式において、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式において、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式において、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式において、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiTO;LiNiVO;Li(3-f)(PO(0≦f≦2);Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2);およびLiFePO
【0088】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mnまたはこれらの組み合わせであり;Rは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはこれらの組み合わせであり;Dは、O、F、S、Pまたはこれらの組み合わせであり;Eは、Co、Mnまたはこれらの組み合わせであり;Zは、F、S、Pまたはこれらの組み合わせであり;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、Vまたはこれらの組み合わせであり;Qは、Ti、Mo、Mnまたはこれらの組み合わせであり;Tは、Cr、V、Fe、Sc、Yまたはこれらの組み合わせであり;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cuまたはこれらの組み合わせである。
【0089】
前記リチウム二次電池に充填される電解質としては、非水性電解質または公知された固体電解質などを用いることができ、リチウム塩が溶解したものを用いることができる。
【0090】
前記リチウム塩は、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、LiCSO、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCl、およびLiIからなる群より選択された1種以上を用いることができる。
【0091】
前記非水性電解質の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2-ジオキサは、2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類などを用いることができるが、これに限定されるものではない。これらを単独または複数個を組み合わせて用いることができる。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒を望ましく用いることができる。
【0092】
また、電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどの重合体電解質に電解液を含浸したゲル状重合体電解質や、LiI、LiNなどの無機固体電解質が可能である。
【0093】
前記セパレーターは、耐薬品性および疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーガラス繊維、ポリエチレン等から作られたシートや不織布などを用いることができる。
【0094】
電解液として、ポリマーなどの固体電解液が使用される場合、固体電解液が分離膜を兼ねることもできる。
【実施例
【0095】
以下、本発明の実施例に対して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながら、本発明は、色々な相異な形態で実施されることができ、ここで説明する実施例に限らない。
【0096】
実験例1-母材構成に応じた電極接着力実験
下記表1の組成を有する人造黒鉛で負極活物質を製造した。人造黒鉛を収得する黒鉛化段階温度は2700℃とし、人造黒鉛の球形度は0.7乃至0.8とした。
【0097】
人造黒鉛母材対比コールタールを15重量%に混合し、シグマブレードタイプの水平形混練機を使って混合を45分間進行した。混練機内部の全体面積対比60乃至80%となるように原料を裝入した。その際、使用されたコールタールは、遠心分離により1次的な固形分および水分除去(Decanted)されたものとして、キノリン不溶分(Quinoline Insoluble、QI)含有量が2%であり、トルエン不溶分(Toluene Insoluble、TI)含有量は35%であって、ベータレジン含有量は33%であるものを用いた。また、コールタールの固定炭素量は22%であって、軽質油分含有量は10%であるものを用いた。
【0098】
以降、コーティングされた負極活物質を1300℃で炭化した。その際、炭化温度まで昇温速度は10℃/分とし、炭化温度で3時間維持させて炭化させた後、自然冷却して150℃で製造された負極活物質を収得した。
【0099】
前記製造された負極活物質97重量%、カルボキシメチルセルロースとスチレンブタジエンラバーとを含むバインダー2重量%、Super P導電材1重量%を蒸溜水溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。
【0100】
負極活物質スラリーを銅(Cu)集電体に塗布した後、100℃で10分間の乾燥させた後、ロールプレスでプレスした。以降、100℃の真空オーブンで12時間乾燥時に脱離が発生する時点を測定した。該条件で12時間脱離が発生されなければ、電極で使用可能であるところ、12時間までのみ測定した。その際、脱離ということは、負極集電体であるCu板で負極活物質が分離することを意味する。
【0101】
真空乾燥された負極の電極密度は、1.5乃至1.7g/ccであった。
【0102】
【表1】
【0103】
前記表1の結果を説明すると、区分1の場合のように石油系コークスが70%以上で混合する場合、即ち、石炭系コークスが30%以下に混合される場合、真空オーブンで8時間ぶりに活物質が脱離されることろ、接着力が劣位することが分かる。反面、石油系混合なしに石炭系コークス100%である場合、電極接着力に優れたことが分かった。
【0104】
これは、コールタールが石炭由来であることろ、石炭系コークスとの接着力がより良いのでそうだと考えられる。
【0105】
実験例2-人造黒鉛球形度および粒度分布に応じた電極接着力実験
下記表2のように球形度および粒度分布が制御された石炭系コークス100%由来人造黒鉛を母材として用いた。また、使用されたコールタールは、遠心分離によって1次的な固形分および水分除去(Decanted)されたものとして、キノリン不溶分(Quinoline Insoluble、QI)含有量が2%であり、トルエン不溶分(Toluene Insoluble、TI)含有量は35%であって、ベータレジン含有量は33%であるものを用いた。また、コールタールの固定炭素量は22%であり、軽質油分含有量は10%であるものを用いた。
【0106】
負極を実施例1と同様な方法で製造して電極脱離時間を測定した。
【0107】
本発明の接着力試験は、最終製造された電極を25cm大きさでカッティングしてASTM D4541試験法でテストした。
【0108】
【表2】
【0109】
負極、電極として用いることに適する接着力は、300gf/cm以上でなければならない。本発明において、球形度は、FlowCAM PV設備を用い、Ethanolなどの溶剤中で試料粉末を分散させた後、flow cell+対物レンズを通じた光学的イメージ収得および専用アルゴリズムによる形状分析で測定した。
【0110】
区分6は、球形度が0.6以下であり、その結果、電極脱離時間が10時間として12時間前に脱離となって、電極接着力も300gf/cm以下である180gf/cmで測定された。これは球形度が0.6未満である場合には、コールタールによる母材コーティングが良好に行われることが難しいためである。
【0111】
区分9は、粒度が6μm乃至34μmの人造黒鉛体積分率が70%以下であり、その結果、電極脱離時間が9時間として12時間前に脱離となって、電極接着力も300gf/cm以下である270gf/cmとして劣位に示した。
【0112】
実験例3-コールタール含有量に応じた電極接着力実験
石炭系コークス100%由来であって、球形度が0.78である人造黒鉛を母材に用い、下記表3のようにコールタール含有量を制御したことを除いては、実施例1と同一にして負極活物質および負極を製造して同様な方法で電極脱離時間を測定した。コールタールまた使用されたキノリン不溶分(Quinoline Insoluble、QI)含有量、トルエン不溶分(Toluene Insoluble、TI)含有量、ベータレジン含有量、固定炭素量、および軽質油分含有量は、実施例1と同一にした。
【0113】
本発明の接着力試験は、最終製造された電極を25cm大きさでカッティングしてASTM D4541試験法でテストした。
【0114】
【表3】
【0115】
区分13は、コールタール含有量を25重量%用い、電極脱離時間が8時間、電極接着力が160gf/cmで劣化した特性を示した。
【0116】
実験例4-コールタール特性に応じた電池性能評価
母材として石炭系グリーンコークス:石油系か焼コークス=2:8で用いて人造黒鉛を製造し、下記表4の特性を有するコールタール15重量%を用いて負極活物質および負極を製造した。
【0117】
相対電極である正極にはリチウム金属(Li-metal)を用い、電解液にはエチレンカーボネート(EC、Ethylene Carbonate):ジメチルカーボネート(DMC、Dimethyl Carbonate)の体積比率が1:1である混合溶媒に1モルのLiPF溶液を溶解したことを用いた。
【0118】
前記各構成要素を用い、通常の製造方法により2032コインセルタイプの半電池(half coin cell)を製作した。
【0119】
【表4】
【0120】
現在要求される商業用二次電池特性は、放電容量は350mAh/g以上、効率92%以上である。
【0121】
これと比較して区分15、17は、 軽質油含有量と固定炭素量が範囲を満たさなかったし、区分18、19は、キノリン不溶分含有量が高かったし、測定された放電容量および効率が350mAh/g以上、効率92%以上を満たさなかった。
【0122】
本発明は、実施例に限らず、互いに異なる多様な形態で製造されることができ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更しなくても、他の具体的な形態に実施されることができるというのを理解するはずである。したがって、以上で記述した実施例らはすべての面で例示的なものであって、限定的ではないものとして理解しなければならない。
【国際調査報告】