IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロアー ラムデの特許一覧

<>
  • 特表-洋上発電用システム 図1
  • 特表-洋上発電用システム 図2
  • 特表-洋上発電用システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】洋上発電用システム
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20231227BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20231227BHJP
   F03D 15/00 20160101ALI20231227BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F03D13/25
F03D7/04 J
F03D15/00
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538130
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 NO2021050234
(87)【国際公開番号】W WO2022139585
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20201422
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522005099
【氏名又は名称】ロアー ラムデ
【氏名又は名称原語表記】RAMDE, Roar
(74)【代理人】
【識別番号】100207837
【弁理士】
【氏名又は名称】小松原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】ロアー ラムデ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA24
3H178AA43
3H178BB71
3H178CC12
3H178CC14
3H178CC16
3H178CC25
3H178DD02X
3H178DD08X
3H178DD12X
3H178DD54X
3H178EE01
3H178EE22
(57)【要約】
本出願は、プロペラ翼及び発電機ハウジング内の共通シャフト上の発電機に接続されたT字形ハブを備える洋上発電システムを開示する。ハブは、フラップを有するそれぞれのプロペラ翼の可変トルクを、発電機が継手によって接続される共通シャフトに伝達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上発電システム(100)であって、
回転シャフト(110a)と、プロペラ翼(120)に接続された、前記回転シャフト(110a)から半径方向に延出する2本のアーム(110b)と、を備えるT字形ハブ(110)と、
発電機ハウジング(130)内において共通シャフト(133)上に配置された少なくとも2つの発電機(135)と、を備え、
前記共通シャフト(133)は、継手(134)によって前記ハブ(110)の前記回転シャフト(110a)に接続される洋上発電システムであって、
前記ハブ(110)が、各プロペラ翼(120)から前記共通シャフト(133)に可変トルクを伝達し、
各プロペラ翼(120)が複数のフラップを備え、
各発電機(135)が、継手(136)によって前記共通シャフト(133)に接続されることを特徴とする、洋上発電システム。
【請求項2】
前記共通シャフト(133)は、前記T字形ハブ(110)の前記回転シャフト(110a)に固定されるか、又は解放可能に接続される、請求項1に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項3】
前記発電機(135)は、前記共通シャフト(133)に固定されるか、又は解放可能に接続される、請求項1又は2に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項4】
前記発電機ハウジング(130)は、前記回転シャフト(110a)及び前記共通シャフト(133)を支持するため、及び前記発電機ハウジング(130)を別個の区画に分割するための横隔壁(132)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項5】
前記回転シャフト(110a)はベアリング(131)によって前記横隔壁(132)に支持され、前記共通シャフト(133)はベアリング(137)によって前記横隔壁(132)に支持される、請求項4に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項6】
各プロペラ翼(120)は、プロペラ平面内において、ほぼプロペラの直径に相当する半径で後退した前縁(121)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項7】
前記T字形ハブにおける前記プロペラに対するそれぞれの固定点の間の距離は、前記システムの前記プロペラの直径の約10%である、請求項6に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項8】
各プロペラ翼の後縁には複数の別個のフラップ(122)が配置されている、請求項7に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項9】
各フラップ(122)は、その各回転軸(123)を中心にその平常位置から両側に約45度回転可能である、請求項8に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項10】
前記フラップ(122)の長さは、翼形の全長Lの1/3~1/4である、請求項9に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項11】
各フラップ(122)はアクチュエータによって調節される、請求項10に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項12】
前記アクチュエータは、前記システムの負荷及び出力を監視するために、プロペラ翼(120)、フラップ(122)、発電機(135)、継手(134,136)等に設置されたセンサ群(151)からデータを受信する中央ユニットによって制御される、請求項11に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項13】
前記発電機ハウジング(130)は、円筒状又はほぼ円筒状である、請求項1から12のいずれか一項に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項14】
流線形カプセル(138)が、前記発電機ハウジング(130)を包囲する、請求項1から13のいずれか一項に記載の洋上発電システム(100)。
【請求項15】
前記発電機ハウジング(130)は、前記発電システム(100)を支持する流線形マスト(140)に接続される、請求項1から14のいずれか一項に記載の洋上発電システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電するために風を利用する洋上発電用のタービンシステムに関する。システムは、浮いている浮力体上に設置されたマストに組み付けられた風力タービンを備える。
【0002】
洋上発電システムは、プロペラ翼に接続されたT字形ハブと、発電機ハウジング内の共通シャフト上に位置する複数の発電機とを備える。
【背景技術】
【0003】
発電用風力タービンは、昔から一般に知られており、近年、発展を遂げてきた。陸上に単独で固定されることから、発展により、海底や海底に係留された浮体に設置することも可能となっている。
【0004】
風力タービンの寸法、重量及び構築コストは、出力電力が増大すると増加し、この関係は、今日、関連するプロペラ直径がより大きく、水面上のより高い位置にハブを有するより大型のタービンの構築及び建造に対するいくつかの制限要因のうちの1つとなっている。
【0005】
その上、風を捕らえ、エネルギー生産の基礎となるプロペラの受風面積は、規模の拡大とともに、規模の二乗で構造要素のボリュームを増大させ、それにより重量は規模の3に近いべき乗で増大する。
【0006】
重量の増大は、特にマストの最上部おける発電機及びプロペラの重量により、一般に構造に対してより大きな負荷をもたらす。
プロペラ直径が大きいほど、マストからより遠く離れたところに位置するプロペラ翼のたわみが増大し、重量も増大する。大きなプロペラ直径はまた、下方位置から翼がその最上部位置に到達するまでに、流入空気の速度の大きな変動に遭遇するであろう。例えば、海抜50mの下方位置にあるプロペラの先端部と、海抜450mの上方位置にあるプロペラの先端部とでは、25%の風速の増大を経験する場合があり、一方、海抜230mの上方位置にある今日より一般的なプロペラ直径では、16%の増大を経験するであろう。これらは下記の項を用いて見い出される:
V最上部=V最下部 × (Z最上部/Z最下部)0.1、式中、Vは速度を表し、Zは海抜高を表す。
【0007】
プロペラ翼の揚力における差及び発電機のトルクへの寄与をプロペラの半回転を通じて約4~5秒の期間で補償するために、現在の実施形態におけるプロペラ翼は、それらの長手方向軸線を中心に回転可能に作られており、それにより流入空気に関連する角度を調節し、それに対応して揚力が変化する。直径が増大するにつれて、翼の重量及び対応する質量慣性が大きくなり過ぎて、そのような迅速な回転を行うことができなくなるであろう。したがって、大きな直径のプロペラはハブに固定的に接続される必要があり、任意の時点でアクチュエータによって別々に且つ迅速に最適な角度に設定され得る複数のフラップの使用によって、翼長手方向に沿った回転角度の変化を生じさせる必要がある。
【0008】
変化する風況によるプロペラ翼における不均衡により、揺動及び振動が構造に生じる場合があり、これらの揺動及び振動は、負荷の増大と相まって、ユニットの構築及び基体に対してより多くを要求し、全体として構築コストが著しく増大するであろう。
【0009】
したがって、所望の生産量の増大は、今日では主に、陸上及び浅い沿岸水域で知られている、複数の標準化されたユニットを一定パターンで増やすことによって行なわれ、この場合、生産は大きな面積を占有する。
【0010】
そのような配置は、多くの場合、環境への大きな影響を有し、例えば、鳥の個体数に対する脅威や、海洋生物、よって水産業にも影響を及ぼすであろう埋設された係留システム、電力及び信号ケーブルによる海底への干渉となるであろう。必要とされる面積は漁業及び海運業の障害にもなるであろう。
【0011】
したがって、寸法及び重量の大幅な増大を伴うことなく、発電ユニットの能力を増大させ、その結果、ユニットの数を減らし、それにより自然に対する影響を低減するシステムが必要である。
【0012】
タービンの出力は、プロペラ及び発電機の効率によって決まる。したがって、変化する風況すべての下でできるだけ多くの揚力、したがってトルクを供給するためにプロペラの能力を高め、これを発電機の負荷の調整と組み合わせて、タービンの総出力が最適化されるようにすることが望ましい。動作中のプロペラの可変面及び複数の発電機の最適な設定を常に制御するプロセスは、プロペラ翼のセンサ及び発電機からのデータ、並びに風力タービンの外部からのデータを受信する中央ユニットによって制御される。
【0013】
テコ-ウエスティングハウスモーターカンパニー(Teco-Westinghouse Motor Company)(www.tecowestinghouse.com)は、シャフト上に一列に組み付けられた2つの電気ロータを備えた共通シャフトと、共通包囲ハウジングの内側に組み付けられた関連する別個のステータとから構成された直流(DC)モータを製造している。このモータは、ロータ/ステータユニットの離脱により性能を調節するようには設計されていない。上記モータは、多くの場合、潜水艦内などの、空間条件により構築高さが低いことが望ましいとされるところで使用される。
【0014】
特許文献1は、その回転軸のまわりに長手方向に延在し、それにより同一の直径で増大した効果を発するモータ/発電機を記載している。発電機はセクションに分割されておらず、したがって、発電機における負荷をセクションの係合/離脱によって調節することができない。この実施形態は、とりわけ、直径が重要な風力タービンで使用するために提供される。
【0015】
特許文献2は、翼面積、回転角度及びハブからの有効面積の距離を変更することによって、空気力学的特性を調節することができるプロペラを記載している。一実施形態は、2つのセクションに分割されたプロペラ翼を示しており、そのうちの後退位置にある外側セクションは内側セクションの中に隠れており、伸縮アームによって押し出され、よって翼面積を増大させることができる。別の実施形態は、プロペラ翼全体が、伸縮装置によって、ハブから異なる位置をとることにある。この実施形態は、任意の時点においてプロペラ翼の面積、回転角度及び位置をその時に利用可能な気流において可能な限り最良に適応させることによって、変化する風況においてエネルギーをより良好に利用することができる。
【0016】
特許文献3は、長手方向において2つのセクションに分割されたタービン翼を記載しており、外側セクションはアクチュエータによって制御される調整可能な回転角度を有し、線材で強化される内側セクションもまた作動位置又は停止位置のいずれかに回転することができる。この実施形態は、外側セクションの回転角度を流入気流に関して連続的に最良に調節することによって、より高い効率を有する。
【0017】
特許文献4及び特許文献5は、可変のプロペラ翼長を用いることによって増大したプロペラ効率を得ようとする解決策、及び外側セクションが、回転可能であることに加えて、揚力を調節するために、回転可能であり、且つフラップを備える解決策の双方の例である。
【0018】
特許文献6は、3つのセクションで構成されたプロペラ翼を記載しており、この場合、これらのセクション間の固定的な接続は、曲げモーメント及びせん断力を最良に吸収できると思われるパイプ及び角度の構成から成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第8084909号明細書
【特許文献2】欧州特許第1442216号明細書
【特許文献3】欧州特許第2087205号明細書
【特許文献4】特開2001-132615号公報
【特許文献5】独国特許出願公開第102004022730号明細書
【特許文献6】米国特許第9500179号明細書
【発明の概要】
【0020】
明細書全体にわたる下記において、下記の用語は以下を意味する。
「風力タービン」という用語は、動力を生産するために運動エネルギーを利用するユニットを言い表すために用いられる。風力タービンは、ハブ上に回転可能に配置された少なくとも1つのプロペラ翼、好ましくは2つの翼を備える。風はプロペラ翼に作用し、プロペラ翼を、電力を生産する1つ以上の発電機にさらに接続される水平軸線に対して垂直なプロペラ平面において回転運動させる。風力タービンは、プロペラ平面が風向に対して発電機の後方になるように、水面から一定の高さのマストの最上部に配置される。
【0021】
「発電機ハウジング」という用語は、共通シャフト上で横隔壁において支持される、発電機のための円筒状又はほぼ円筒状の空間を言い表すために用いられる。
「後退/後退した(swept-back)」という用語は、回転方向に関してプロペラ平面におけるプロペラ翼の後退した輪郭を言い表すために用いられる。
【0022】
「ハブ」という用語は、プロペラ翼を発電機に接続し、発電機軸線がプロペラ平面と交差するところでその中心を有するT字形の中央ユニットを言い表すために用いられる。
「継手」という用語は、同一の軸線を中心とした2つの回転体を接続し、その結果、継手が共通回転軸の一体部品を形成する堅牢なユニット又は入力/出力(inn/out)ユニットを言い表すために用いられ、継手は、相互に接続された回転軸の各端部に半分ずつ位置する2つの部分で構成され、入力/出力(in/out)ユニットは、2つの半分ずつの部分を結合/分離するための共通装置を有する。
【0023】
「回転」という用語は、翼に沿った任意の位置における、流れ込む風に対するプロペラ翼平面の有効角度を言い表すために用いられ、これはフラップの使用によって調節される。
【0024】
「フラップ」という用語は、プロペラ翼の後縁における複数の別々に蝶番式に動くセクションを言い表すために用いられ、これらのセクションは、アクチュエータによって、プロペラ翼に対してある角度にされ、それにより、輪郭の最上部の上の流線の流れと干渉することによってプロペラ翼の揚力を増大又は低減することができる。
【0025】
「アクチュエータ」という用語は、中央制御ユニットからのインパルスによってフラップ及び入力/出力継手の回転を調節する電気ユニット又は液圧ユニットを言い表すために用いられる。
【0026】
「カプセル」という用語は、発電機ハウジング、冷却システム及び制御機器を保護するための流線形の構築物を言い表すために用いられる。
本発明の目的は、タービンのプロペラ及び発電機が任意の時点で利用可能な風力エネルギーを最も有効な方法で電気エネルギーに連続的に変換し、したがって回転中のプロペラ翼、発電機及び荷重支持構築物における負荷の変動が低減されるシステムを提供することにある。
【0027】
本発明の別の目的は、タービンのプロペラ及び発電機が、プロペラ翼の個々のセクションにおけるフラップの回転角度の選択によって、及び発電機ユニットの入力/出力継手によって、任意の時点において周囲の卓越風の状況に対して、別々に又は一緒に、調整されるシステムを提供することにある。
【0028】
さらに、タービンの分割されたプロペラ翼の各々が、各セクションについて個々に、任意の時点において、回転をプロペラ平面内におけるセクションの位置に従ってフラップによって調節するシステムを提供することを目的とする。
【0029】
別の目的は、タービン及びマストが海上を移動する船舶上に組み立てられる場合に、特に船舶の長手方向の垂直平面における角運動の間に、推進セクション(propel section)の回転が空気流中におけるプロペラ翼の相対運動に関して調整されるシステムを提供することにある。
【0030】
本発明の別の目的は、2つのプロペラ翼のハブが、適当な長さの対称的で半径方向の固定された連続した突出接続部を備えたT字形に形成されており、終点にはそれぞれのプロペラ翼と接続するための装置が設けられているシステムを提供することにある。
【0031】
本発明の別の目的は、マストと一体化されているほぼ円筒状の基体においてプロペラ、ハブ及び発電機を組み立てるシステムを提供することにある。
これらの目的は、独立請求項に記載されるような洋上発電用システムによる本発明に従って達成され、実施形態、変形物、又は代替物は、従属請求項によって部分的に又はさらに得ることができる。
【0032】
第1の態様において、本発明は、回転シャフトと、プロペラ翼に接続するための、回転シャフトから半径方向に延出する2本のアームとを備えるT字形ハブと、発電機ハウジング内において共通シャフト上に配置された少なくとも2つの発電機と、を具備する発電システムに関する。共通シャフトは、継手によってハブの回転シャフトに接続される。このシステムは、ハブが、複数のフラップを備えた各プロペラ翼から可変トルクを伝達し、各発電機が、継手によって共通シャフトに接続されることを特徴とする。
【0033】
任意で、共通シャフトは、ハブの回転シャフトに固定されるか、又は解放可能に接続され、発電機は、共通シャフトに固定されるか、又は解放可能に接続される。
T字形ハブは2本のアームを備え、各アームは1つのプロペラ翼に接続される。
【0034】
発電機ハウジングは、回転シャフト及び共通シャフトを支持するため、及び発電機ハウジングを別個の区画に分割するための横隔壁を備える。
回転シャフトはベアリングによって横隔壁に支持され、共通シャフトはベアリングによって横隔壁に支持される。
【0035】
各プロペラ翼は、プロペラ平面内において、ほぼプロペラの直径に相当する半径で後退した前縁を有する。T字形ハブにおけるプロペラ翼に対するそれぞれの固定点の間の距離は、システムのプロペラの直径の約10%である。各プロペラ翼の後縁には複数の別個のフラップが配置されている。各フラップは、その各回転軸を中心にその平常位置から両側に約45度回転可能である。フラップの長さは、翼形の全長Lの1/3~1/4である。
【0036】
各フラップはアクチュエータによって調節され、アクチュエータは、システムの負荷及び出力を監視するために、プロペラ翼、フラップ、発電機、継手等に設置されたセンサ群からデータを受信する中央ユニットによって制御される。
【0037】
発電機ハウジングは、円筒状又はほぼ円筒状である。
流線形カプセルは、発電機ハウジングを包囲する。
発電機ハウジングは、発電システムを支持する流線形マストに接続される。
【0038】
穏やかな風の状況では、1つの発電機のみが係合され、それにより始動摩擦及び慣性モーメントを低減し、タービンがより早い時点で生産を始めることができるようにし、或いは利用可能な風力エネルギーがより少数の発電機によって吸収され得る場合には、1つ以上の発電機を離脱させることができ、それにより摩損を低減し、まだ生産中である間に整備及び修理を可能にする。
【0039】
したがって、一実施形態において、本発明は、洋上発電システムに関し、洋上発電システムは、
2つのプロペラ翼を備えたプロペラであって、プロペラ平面に垂直なプロペラの水平方向の回転軸線の一方の終点を形成するハブから延びており、プロペラを備えたハブは、風向に対して発電機の後方に配置されている、プロペラと、
T字形ハブであって、プロペラ平面において、1つ以上の固定的に接続され一体化された半径方向の突出アームであって、ハブから適当な距離において、それぞれのプロペラ翼と結合するための装置で終了する半径方向の突出アームと、軸線方向において、プロペラの回転軸線と接続するための固定された突出アームと、を備える、T字形ハブと、
プロペラのための回転シャフトであって、2つ以上の発電機を同一の回転シャフトに接続するように配置されており、固定継手又は係合/離脱する継手がいくつかの又はすべての発電機の間に設置され、係合/離脱によって、プロペラの軸線と発電機シャフトとの間における対応する固定接続又は係合/離脱され得る接続でプロペラシャフトに接続される複数の発電機の所望の可変トルクを調節することができる、回転シャフトと、
発電機及びプロペラの回転シャフトを包囲する円筒形又はほぼ円筒形の空間であって、円筒形状の軸線上に位置し、円筒の軸線に垂直な複数の平面において支持され、発電機のステータ要素が円筒シェルの内側に設置され得る、円筒形又はほぼ円筒形の空間と、
発電機及びプロペラの回転シャフトを包囲し、マストと固定的に接続されて一体化される、円筒状に形成された空間又はほぼ円筒状に形成された空間と、
ユニットの負荷及び出力を監視するセンサからデータを受信し、任意の時点においてシステムのアクチュエータを制御する中央ユニットと、を具備する。
【0040】
したがって、別の実施形態において、本発明は、洋上発電システムに関し、この洋上発電システムは、
2つの後退翼を備えるプロペラと、
プロペラ翼と結合するための2本の突出アームと発電機シャフトに接続するためのアームとを備えたT字形ハブと、
1つ以上の発電機を、中間継手及びプロペラに対する継手とともに、一列に備えた共通発電機シャフトと、
発電機を設置するための円筒状空間であって、プロペラを備えたT字形ハブ及び支持マストのための基体と一体化された円筒状空間と、
すべての可動部品及び継手の適切な調節にとって重要なデータを任意の時点において報告するいくつかのセンサ群からの信号を受信する制御ユニットと、を具備する。
【0041】
システムは、プロペラ翼が、プロペラ翼の後縁に沿ったいくつかのフラップによって、風の強さに関して個々に且つ最適に調整され、したがって風力エネルギーのより良好な利用に役立ち、また負荷、揺動及び振動が軽減されるようにプロペラの総合負荷の分散に役立つことを特徴とする。
【0042】
プロペラ翼は、ハブに向かう翼の輪郭の自然な延長の代わりとして、ほぼ管状のデザインでハブから突出する固定アームに固定的に接続される。
プロペラ平面におけるプロペラ翼は、回転方向に偏向する曲線で、突出アームから接線方向に湾曲した形状を与えられ、これにより各プロペラ翼の前縁は、回転中に、マストの乱流の影の後方でも速度及び乱流が変化する風況に同時にではなく徐々に進入し、そのため、結果として生じる翼における負荷の変動及び関連する揺動が低減される。
【0043】
プロペラ平面に流れ込む周囲の風は、水面上の高さが増大するにつれて速度が増大し、且つ乱流が減少すると思われる。さらに、空気中の水分含量は、通常、高さが増大するにつれて減少し、より乾燥した空気の密度の相応した増大を伴い、電力生産量は密度に比例して直接増大される。
【0044】
関連する水面上方の高さの増大を伴うより大きなプロペラ直径を選択する場合、最上部位置におけるプロペラ翼は、水面に近い最下部位置で作動するプロペラ翼よりも、大きな速度及び密度を有する空気流中において動作することになる。これらの補正を行わないと、回転のたびに力が変化し、構造要素における張力及び揺動の発生を伴う回転システムにおける不均衡が生じる可能性がある。直径がより小さいプロペラ翼は、通常、そのような大きな変化する力に晒されることはなく、したがって、そのようなプロペラ翼は、1つの風況に適用可能な、固定した、計算された最適な翼の回転で構成され、そのようなプロペラは、多くの場合、長手方向に関して回転可能なプロペラ翼を有する。
【0045】
直径がさらに増大される場合、プロペラ翼の重量及びその重量がもたらす回転に対する慣性により、変化する風速を利用するのに必要とされる迅速な補正を行なうことが困難となる。
【0046】
大きな直径のプロペラについて、フラップを用いることによる回転の補正は、本発明で述べるように、状況を改善するであろう。
プロペラは、材料の降伏強度内で、且つT字形ハブに対して接線方向における、気流の影響によるプロペラ平面からの許容されるたわみに応じた寸法に形成される。
【0047】
ハブは、回転軸線に位置するベアリングにおいてプロペラを支え、継手で発電機シャフトに接続される。ハブの中央部分は、各プロペラ翼に対して1本ずつの、2本の半径方向の突出アームを有したT字形の円筒形状を備え、このT字形の円筒形状は、アームが受け得ると予想される曲げモーメント及びせん断力に応じた寸法に形成される。これらのアームは、プロペラが設計されたそれらの動作条件に適合した長さで、一方のプロペラ翼の結合されたユニットから隣のものまでハブを通るほぼ管状の構成で作られる。アームは、ハブに連続し、継手によって発電機シャフトの自由端に直接接続されるハブの円筒状の軸線方向構造支持体と接続される。発電機シャフトは、発電機を包囲する円筒状空間内の横隔壁に取り付けられた/組み付けられたベアリングによって支持される。
【0048】
発電機シャフトは、発電機の数に対応する複数のセクションに分割されており、その関連するロータを備えた各発電機には継手が設けられている。これらのセクションは、継手と接続して、発電機のための円筒状空間内の横隔壁に支持される。
【0049】
発電機のそれぞれのステータは、それぞれのロータの平面において円筒シェルの内側に分割して設置され得る。円筒シェルには、空気から水冷システムへの水用冷却チャネルが設けられている。プロペラを備えるハブに対する耐荷重接続を有した発電機のための円筒状空間は、支持マストに固定接続で一体化される。
【0050】
これより本発明の好ましい実施形態について、以下の図を参照しながら、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】最適な発電のためのシステムの1つの可能な実施形態の概略斜視図であって、システムは、プロペラ翼に接続されたT字形ハブを、いくつかの/複数の発電機を備える発電機ユニットとともに示す、概略斜視図。
図2】フラップの実施形態を示すプロペラ翼の概略横断面図であって、それぞれのフラップは、プロペラ/翼の後端と平行な軸線を中心に個々に回転可能である、概略横断面図。
図3】1つの可能な実施形態の、発電機ユニットを通る概略縦断面図であって、T字形ハブによるプロペラ翼と発電機ユニットとの間の接続、並びに共通シャフト上における発電機の相互接続を示す、概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
例示的な実施形態の以下の説明は、添付図面を参照する。異なる図面での同一の参照番号は、同一又は類似の要素を識別する。以下の詳細な説明は、本発明又は保護の範囲を限定するものではなく、保護の範囲は添付の特許請求の範囲についての当業者の解釈によって定められる。
【0053】
明細書の全体にわたって「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書の全体にわたる様々な箇所における「一実施形態において」又は「実施形態において」の語句の出現は、必ずしも同一の実施形態を指していない。
【0054】
図1は、洋上発電用のシステム100の1つの可能な実施形態を斜視図で概略的に示している。システム100は、2つのプロペラ翼120と発電機ハウジング130内の発電機とに固定的に接続されたT字形ハブ110を示しており、発電機ハウジング130は次にマスト140に接続されている。プロペラ翼120は、システムのプロペラ直径の約10%となるプロペラ翼間の距離でハブ110に固定的に接続され、本明細書では4つのセクションを示す複数のセクションから構成される。各セクションの後縁には、いくつかのフラップ122が配置され、本明細書では各セクションに3つのフラップが示されている。プロペラ翼120の前縁121は、プロペラ平面において、システムのプロペラ直径(図示せず)にほぼ相当するメートル単位の半径で偏向した形状を有する。
【0055】
図2は、フラップ122を備えたプロペラ翼120の1つの可能な実施形態の横断面を概略的に示しており、横断面の後縁からフラップの回転軸線123まで距離は、その断面の全長Lの約1/4~1/3であり、平常位置から両方向へのフラップの偏向は約45度である。
【0056】
図3は、1つの可能な実施形態を発電機ハウジング130の縦断面で概略的に示しており、この実施形態は、ベアリング131に支持されたT字形ハブ110を示しており、ベアリング131に支持されたT字形ハブ110は、次に発電機ハウジング130内の横隔壁132に固定され、継手134によって発電機シャフト133と接続される。
【0057】
本明細書では3つの発電機が示されている複数の発電機135は、それらのユニット間の継手136によって共通シャフト133に設置され、発電機のベアリング137は発電機ハウジング130内の横隔壁132に固定される。発電機ハウジング130は、次に発電システムを支持する流線形マスト140と接続される。
【0058】
中央制御装置150は、風力タービンに分散されたセンサ151、並びにフラップ122及び発電機135に接続されたアクチュエータ(図示せず)とともに、発電機ハウジング130内に設置される。流線形カプセル138は発電機ハウジングを包囲する。
【符号の説明】
【0059】
100 洋上発電システム
110 T字形ハブ
110a 回転シャフト
110b アーム
120 プロペラ翼
121 プロペラ翼の前縁
122 フラップ
123 フラップの回転軸線
130 発電機ハウジング
131 ベアリング
132 横隔壁
133 発電機シャフト
134 ハブ110と発電機シャフト133との間の継手
135 発電機
136 発電機135間の継手
137 発電機用ベアリング
138 流線形カプセル
140 マスト
150 中央制御ユニット
151 センサ
152 アクチュエータ
図1
図2
図3
【国際調査報告】