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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】イオン化可能な脂質
(51)【国際特許分類】
   C07D 295/13 20060101AFI20231227BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231227BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231227BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20231227BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20231227BHJP
   C07C 323/12 20060101ALI20231227BHJP
   C07C 271/20 20060101ALI20231227BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
C07D295/13 CSP
A61K9/16
A61K47/20
A61K47/18
A61K47/28
A61K47/10
A61K47/24
A61K48/00
A61K31/7105
A61P35/00
C12N15/88 Z ZNA
C12N15/11 Z
C07C323/12
C07C271/20
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538676
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2021087492
(87)【国際公開番号】W WO2022136641
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216879.5
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520265930
【氏名又は名称】イーザアールエヌーエー イムノセラピーズ エンヴェー
(71)【出願人】
【識別番号】505308917
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート ゲント
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】デ コーカー,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】デ ゲスト,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,チェン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4B065AB01
4B065BA05
4C076AA31
4C076AA32
4C076AA95
4C076DD53
4C076DD55
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C084AA13
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA13
4C086ZB26
4H006AA03
4H006AB20
4H006RA10
4H006RB04
4H006TA04
4H006TB36
(57)【要約】
本発明は、イオン化可能な(カチオン性とも呼ばれる)脂質の分野に一般的に関連し、特に、式(I)で表される新規なタイプのそのような脂質を提供する。本発明は、このような脂質の製造方法およびその使用、特にナノ粒子組成物、より具体的には核酸を含むナノ粒子組成物の調製における使用をさらに提供する。本発明はさらに、本明細書に開示されるイオン化可能な脂質に基づくナノ粒子組成物を含むワクチン製剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および、
R5およびR6のそれぞれは独立して、-CH2-であり;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである、
式(I)で表されるイオン化可能な脂質。
【請求項2】
【化2】
式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;
R5およびR6はそれぞれ独立して、-CH2-であり;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の合計数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9はそれぞれ、-H、-C1-6アルキルおよび-C3-6シクロアルキルから独立して選択され;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである、
式(II)で表される、請求項1に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項3】
【化3】
式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- であり;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
R8およびR9はそれぞれ、-H、-C1-6アルキルおよび-C3-6シクロアルキルから独立して選択され;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである、
式(IIIa)、(IIIb)または(IIIc)のいずれかで表される、請求項1または2に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項4】
【化4】
式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-および-O-CH2-から独立して選択され;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである、
式(IVa)、(IVb)または (IVc)のいずれかで表される、請求項1に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項5】
【化5】
式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- および -O-CH2- から独立して選択され;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである、
式(V)で表される、請求項1に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項6】
【化6】
上記化学式を含むリストから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項7】
R1およびR2のC原子の合計数は少なくとも14である、請求項1~3、または5のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項8】
mとnは同一であり、1、2、3、4から選択される整数であり、好ましくは2である、請求項1~3、または5のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項9】
Yは-NH-である、請求項1~3、または5のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質を含む、脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物。
【請求項11】
リン脂質、ステロールおよび/またはPEG脂質をさらに含む、請求項10に記載の脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物。
【請求項12】
活性薬剤、特に核酸、好ましくはmRNAをさらに含む、請求項10または11に記載の脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物。
【請求項13】
脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物の製造における請求項1~9のいずれか1項に記載のイオン化可能な脂質の使用。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか1項に記載の脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物と薬学的に許容される薬剤とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
医療に使用するための請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化可能な(カチオン性とも呼ばれる)脂質の分野に一般的に関連し、特に、式(I)で表される新規なタイプのそのような脂質を提供する。本発明は、このような脂質の製造方法およびその使用、特にナノ粒子組成物、より具体的には核酸を含むナノ粒子組成物の調製における使用をさらに提供する。本発明はさらに、本明細書に開示されるイオン化可能な脂質に基づくナノ粒子組成物を含むワクチン製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
核酸ベースの薬剤は、ますます多くの治療分野で研究されている。それにもかかわらず、プラスミドDNA、メッセンジャー RNA、短鎖干渉RNA、シングルガイドRNA、マイクロRNA などの核酸の組織や細胞への標的送達は、負の電荷、サイズ、不安定性のため、大きな課題となっている。核酸をカプセル化して送達するために、多数のナノ粒子担体システム(nanoparticulate carrier system)が研究されてきた。これらのナノ粒子は、保存時および細胞外環境における核酸の効率的かつ安定したカプセル化と、最大の細胞取り込みおよびエンドソームからサイトゾルへのペイロードの効率的な放出とを組み合わせる必要がある。
【0003】
脂質ベースのナノ粒子は、低分子干渉RNA およびmRNAワクチンを送達するために臨床的に使用されており、最も先進的なクラスのRNA送達ビヒクルとなる。脂質ベースのナノ粒子は、通常、酸性pHでプロトン化できるカチオン性またはイオン化可能な脂質、ヘルパーリン脂質、PEG化脂質、およびステロールで構成される。各構成成分は、LNPの安定性と活性に関して特殊な機能を備えている。ステロールとPEG化脂質はLNPの構造と安定性に不可欠であるが、リン脂質は安定性とエンドソーム回避に寄与する。カチオン性のイオン化可能な脂質は、mRNAのカプセル化、細胞への取り込み、エンドソームからの脱出を制御することにより、活性と忍容性の主な推進力となると考えられている。LNPは効果的な核酸送達媒体ではあるものの、補体活性化関連の疑似アレルギー、炎症性サイトカイン放出、および細胞膜への非分解性のイオン化可能な脂質の蓄積による細胞毒性などの用量制限毒性を誘発する可能性がある。したがって、LNP 送達核酸薬物の有効性と安全性を向上させるには、カチオン性またはイオン化可能な脂質の化学的性質をさらに改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、本発明は現在利用可能なクラスのイオン化可能な脂質よりも改善された特性を有する、本特許請求の範囲によって定義される新しいクラスのイオン化可能な脂質に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、本発明は、脂質、特に式(I)で表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化1】

式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および、
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-および-O-CH2-から独立して選択され;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0006】
特定の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書に定義され、式(II)で表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化2】
式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- および -O-CH2- から独立して選択され;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の合計数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9はそれぞれ、-H、-C1-6アルキルおよび-C3-6シクロアルキルから独立して選択され;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0007】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義され、式(IIIa)、(IIIb)または (IIIc)のいずれかで表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化3】

式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または-、任意で、C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- および -O-CH2- から独立して選択され;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
R8およびR9はそれぞれ、-H、-C1-6アルキルおよび-C3-6シクロアルキルから独立して選択され;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0008】
本発明はさらに、脂質、特に本明細書に定義され、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化4】
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義され、式(IVa)、(IVb) および (IVc)のいずれかで表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化5】

式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-および-O-CH2-から独立して選択され;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0010】
さらなる実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書に定義され、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化6】
【0011】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、R1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも14である。
【0012】
本発明はさらに、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、R5およびR6はそれぞれ、-CH2-である。
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、mおよびnは同一であって、1、2、3および4から選択される整数であり、好ましくは2である。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、Yは-NH-である。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物を提供する。前記ナノ粒子組成物は、リン脂質、ステロールおよびPEG脂質をさらに含み得る。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態において、本明細書で定義される脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物は、活性薬剤、特に核酸、好ましくはmRNAをさらに含む。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物の製造における脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質の使用を提供する。
【0018】
最後の態様において、本発明は、本明細書に定義される脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物と薬学的に許容される薬剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明はまた、ヒト医学および/または獣医学で使用するための、本明細書に定義される医薬組成物を提供する。
【0020】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書に定義され、式(V)で表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化7】
式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- および -O-CH2- から独立して選択され;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0021】
本発明はさらに、脂質、特に本明細書に定義され、以下を含むリストから選択されるイオン化可能脂質を提供する:
【化8】
【0022】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義され、式(VIa)または(VIb)のいずれかで表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化9】

式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- および -O-CH2- から独立して選択され;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
oおよびpは、それぞれ独立して、1~10から選択される整数であり;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0023】
さらに別の実施形態において、本発明は、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化10】
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで図面を特に参照すると、示された詳細は例として、本発明の異なる実施形態を説明する目的のみであることが強調される。これらは、本発明の原理および概念的な態様の最も有用かつ容易な説明であると考えられるものを提供する目的で提示されている。この点に関して、本発明の基本的な理解に必要な以上に詳細に本発明の構造の詳細を示す試みは行われていない。図面を伴う説明により、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具体化され得るかが当業者に明らかとなる。
【0025】
図1】50 ngおよび200 ng/ウェルのmRNA濃度で示されたLNPとインキュベートしたときの、HEK293T細胞におけるeGFP発現の相対平均蛍光強度(未処理細胞と比較した eGFP MFI の増加倍数として測定)。
図2-1】示された LNPによるさまざまな細胞タイプ、すなわち、HEK293T細胞 (A)、TS/A 細胞 (B)、CT26 細胞 (C)、および B16F10 細胞 (D)へのトランスフェクション時のeGFP 発現の相対 MFI。
図2-2】同上
図2-3】同上
図2-4】同上
図3-1】示された LNPによるトランスフェクション後のさまざまな細胞タイプ、すなわち HEK293T (A) および CT26 (B)の生存率。
図3-2】同上
図4-1】示された LNP によるさまざまな細胞タイプ、すなわちHEK293T (A) および CT26 (B)へのトランスフェクション時の eGFP 発現の相対MFI。
図4-2】同上
図5-1】インビボ発光(光子/s/cm2/sr) によって測定した、腫瘍への注射後の CT26 腫瘍 (A) または肝臓(B) における Fluc mRNA 発現、およびS-Ac-Dogおよび MC-3 ベースの LNP の腫瘍内投与前後のマウスの体重 (C)。
図5-2】同上
図5-3】同上
図6-1】インビボ発光 (光子/s/cm2/sr) によって測定した、腫瘍への注射後の B16F10 腫瘍 (A) または肝臓(B) における Fluc mRNA 発現、およびそれぞれのLNPをB16F10腫瘍に腫瘍内注射した後のFluc発現の腫瘍/肝臓比(C)。
図6-2】同上
図6-3】同上
図7】それぞれのイオン化可能な脂質をLNPに封入したE7mRNAで筋肉内免疫後のE7特異的CD8 T細胞の割合をフローサイトメトリーで評価。
図8】示されたイオン化可能な脂質を含むmRNA LNPによるC57BL/6マウスの筋肉内免疫化後にフローサイトメトリーによって測定された血中のE7特異的CD8 T細胞の割合。全てのLNPは、イオン化可能な脂質/DSPC/DMG-PEG2000の脂質モル比が50/10/38.5/1.5で配合された。マウスは、1日目と7日目に5μg mRNAによる2回の免疫化を受けた。
図9】注射部位の筋肉の厚さを、それぞれのLNP(E7用量5μg)の注射前(d0)、注射1日後(d1)、および4日後(d4)に測定した。全てのLNPは、脂質モル比が50/10/38.5/1.5の脂質/DSPC/DMG-PEG2000で配合された。
図10】示されたイオン化可能な脂質を含むLNPによる筋肉内免疫化時の抗HA IgG1およびIgG2a抗体力価。マウスは、1日目と21日目にmRNALNP(2μg HA)による2回の筋肉内免疫化を受けた。抗HA抗体力価を評価するために、21日目と35日目に血液サンプルを採取した。示されたイオン化可能な脂質を含むLNPは、イオン化可能な脂質/DSPC/DMG-PEG2000の脂質モル比50/10/38.5/1.5で配合された。
図11】示されたイオン化可能な脂質を含むLNPによる筋肉内免疫化時の脾臓IFNg陽性CD8 T細胞のパーセンテージ。マウスは、1日目と21日目にmRNA LNP(2μg HA)による2回の筋肉内免疫化を受けた。脾細胞を35日目に取得し、重複するHAペプチドのプールで再刺激するか、または刺激せずに放置した。続いて、IFNg+ CD8 T 細胞の割合をフローサイトメトリーによって測定した。
図12】イオン化可能な脂質としてS-Ac7-Dog、S-Ac7-DHDa、またはMC-3を含むLNPを筋肉内ワクチン接種した際に血液中で測定されたE7特異的CD8 T細胞反応の大きさ。マウスは、1日目と21日目に5μgのE7mRNAで2回免疫化された。7日目と27日目に血液サンプルをフローサイトメトリーで分析した。
図13】E7由来ペプチドRAHYNIVTによるインビトロ刺激時の脾臓におけるIFNg+、IFNg+ TNFa+、IFNg+グランザイムb(Grnz)+、およびIFNg+ CD107+CD8 T細胞のパーセンテージのフローサイトメトリー評価。マウスは、1日目と21日目に5μgのE7mRNAで2回免疫化された。
図14】C57BL/6 マウスに静脈内投与して 24 時間後にフローサイトメトリーで測定した、脾臓内の Cy5 陽性マクロファージ、樹状細胞 (cDC1 および cDC2 サブセット)、B 細胞および T 細胞 (CD4+ および CD8+T 細胞サブセット) の割合。 マウスには、10μgのペプチドおよび10μgのIMDQまたは同等の用量を投与した。n=3。
図15-1】C57BL/6 マウスに静脈内投与して 24 時間後にフローサイトメトリーで測定した、脾臓内の活性化マーカー陽性樹状細胞 (cDC1 および cDC2 サブセット)、B 細胞および T 細胞 (CD4+ および CD8+ T 細胞サブセット) の割合。マウスには、10μgのペプチドおよび10μgのIMDQまたは同等の用量を投与した。n=3。
図15-2】同上
図16】C57BL/6マウスにおける2回の投与(投与間隔は2週間)の静脈内投与の1週間後にフローサイトメトリーによって測定された、血液中の四量体陽性CD8+ T細胞の割合。マウスには、10μgのペプチドおよび10μgのIMDQまたは同等の用量を投与した。n=5。
図17】イオン化可能な脂質としてS-Ac7-DOgを含むLNPを用いた筋肉内免疫化における抗S1スパイクタンパク質IgG抗体力価。C57BL/6マウスには、25μgのTLR3アゴニストpolyI:Cを含有するLNPを単回注射した。25μgのS1スパイクタンパク質を混合するか、His6-Ni2+相互作用を通じてLNP表面に結合させた。免疫化の7日後に血液サンプルを採取し、ELISAによって分析した。
図18】イオン化可能な脂質としてS-Ac7-DOgを含むLNPを用いた筋肉内免疫化に応じた抗オボアルブミン(OVA)IgG抗体力価。C57BL/6マウスに、10μgのTLR9アゴニストCpGを含有するLNPを単回注射した。 50μgのOVAをLNPに混合し、免疫化の7日後に血液サンプルを採取し、ELISAによって分析した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明をさらに説明する。以下の記載において、本発明のさまざまな態様がより詳細に定義される。そのように定義された各態様は、特に反対のことが明確に示されない限り、他の任意の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された別の特徴と組み合わせることができる。
【0027】
文脈により別段の指示がない限り、本明細書ではアスタリスクを使用して、描かれた一価または二価のラジカルが、それが関係し、そのラジカルが一部を形成する構造に結合する点を示す。
【0028】
すでに前述したように、第1の態様において、本発明は脂質、特に式(I)で表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化11】
式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または-、任意で、C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および、
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-および-O-CH2-から独立して選択され;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0029】
すなわち、本発明は、脂質、特に式(I)で表されるイオン化可能な脂質をも提供する:
【化12】

式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および、
R5およびR6のそれぞれは、独立して-CH2-であり;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0030】
本発明の化合物/脂質を説明する場合、文脈により別段の指示がない限り、使用される用語は以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0031】
「アルキル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、式CxH2x+1(式中、xは1以上の数である)の完全飽和炭化水素を指す。一般に、本発明のアルキル基は、1~20個の炭素原子を含む。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、本明細書に示すように置換されていてもよい。以下で炭素原子の後に下付き文字が使用される場合、その下付き文字は、指定された基が含むことができる炭素原子の数を指す。したがって、例えば、C1-4アルキルは、1~4個の炭素原子のアルキルを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、およびその異性体(例えば、n-ブチル、iブチル、t-ブチル);ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体、ヘプチルおよびその異性体、オクチルおよびその異性体、ノニルおよびその異性体;デシルおよびその異性体、ウンデシルおよびその異性体、ドデシルおよびその異性体、トリデシルおよびその異性体、テトラデシルおよびその異性体、ペンタデシルおよびその異性体、ヘキサデシルおよびその異性体、ヘプタデシルおよびその異性体、オクタデシルおよびその異性体、ノナデシルおよびその異性体、エイコサニルおよびその異性体である。
【0032】
「任意で置換されたアルキル」という用語は、任意の利用可能な結合点において1つ以上の置換基(例えば、1~4の置換基、例えば、1、2、3または4つの置換基)で任意に置換されているアルキル基を指す。このような置換基の非限定的な例としては、エステル、カルボン酸、アルキル部分、アルケン部分、アルキン部分などが挙げられる。
【0033】
本発明の文脈において、本明細書で定義されるアルキル、アルケンおよびアルキン部分は、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、例えば、アルキル、アルケンまたはアルキン鎖中のC原子が、N、SまたはOから選択されるようなヘテロ原子によって置換される。
【0034】
本明細書で使用される「アルケニル」または「アルケン」という用語は、特に断りのない限り、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖、環状、または分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する。アルケニル基の例としては、末端位置または内部位置などにあるエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニルを包含する。一般に、本発明のアルケニルまたはアルケン部分は、2~20個のC原子を含む。任意で置換されたアルケニルは、置換アルキルについて上記で定義されたものから選択される1つ以上の置換基(例えば、1、2、3または4)を任意で有するアルケニルを指す。
【0035】
本明細書で使用される「アルキニル」または「アルキン」という用語は、別段の指示がない限り、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。アルキニル基の例は、エチニル、E-およびZ-プロピニル、イソプロピニル、E-およびZ-ブチニル、E-およびZ-イソブチニル、E-およびZ-ペンチニル、E,Z-ヘキシニルなどを含む。一般に、本発明のアルケニルまたはアルケン部分は、2~20個のC原子を含む。任意で置換されたアルキニルは、置換アルキルについて上記で定義したものから選択される1つ以上の置換基(例えば、1、2、3または4)を任意で有するアルキニルを指す。
【0036】
「シクロアルキル」という用語は、単独で、または別の置換基の一部として、環状アルキル基、すなわち、1、2または3個の環状構造を有する一価の飽和または不飽和ヒドロカルビル基である。シクロアルキルには、単環式、二環式、または多環式アルキル基を含む、1~3個の環を含むすべての飽和または部分飽和 (1つまたは2つの二重結合を含む) 炭化水素基が含まれる。シクロアルキル基は、環内に3個以上の炭素原子を含んでもよく、本発明によれば、一般に3~15個の炭素原子を含む。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、アダマンタニルおよびシクロデシルが含まれるが、これらに限定されず、シクロプロピルが特に好ましい。「任意で置換されたシクロアルキル」とは、置換アルキルについて上記で定義されたものから選択される、1つ以上の置換基(例えば1~3個の置換基、例えば1、2、3または4個の置換基)を任意で有するシクロアルキルを指す。
【0037】
定義されたアルキル基が二価である場合、すなわち、他の2つの基に結合するための単結合を2つ有する場合、それらは「アルキレン」基と呼ばれる。アルキレン基の非限定的な例は、メチレン、エチレン、メチルメチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、1,2-ジメチルエチレン、ペンタメチレンおよびヘキサメチレンを含む。同様に、上記で定義したアルケニル基および上記で定義したアルキニル基はそれぞれ、他の2つの基に結合するための単結合を有する二価の基である場合、それらはそれぞれ「アルケニレン」および「アルキニレン」と呼ばれる。
【0038】
本明細書において単独でまたは別の基の一部として使用される「複素環」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子、少なくとも1つの炭素原子含有環を有する非芳香族の完全飽和または部分不飽和環状基(例えば、3~13員の単環系、7~17員の二環系、または10~20員の三環系、または合計3~10個の環原子を含む)を指す。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子および/または硫黄原子から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有してもよく、窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意で、酸化されてもよく、および窒素ヘテロ原子は、任意で、四級化されてもよい。複素環基は、原子価が許す限り、環または環系の任意のヘテロ原子または炭素原子に結合していてもよい。多環複素環の環は、1つ以上のスピロ原子を介して縮合、架橋および/または結合していてもよい。任意で置換された複素環は、置換されたアルキルに関して上記で定義されたものから選択される、任意で1つ以上の置換基(例えば1~4個の置換基、または例えば1、2、3または4)を有する複素環を指す。複素環の非限定的な例には、ピペリジニル、アゼパニル、モルホリニルなどが含まれる。
【0039】
本明細書で使用される用語「アリール」(本明細書では芳香族複素環とも呼ばれる)は、単一の環(すなわちフェニル)または互いに縮合した(例えば、ナフタレンまたはアントラセン)または共有結合した複数の芳香環を有し、典型的には6~10個の原子を含み、少なくとも1つの環が芳香族である、多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指す。芳香環は、任意で、それに縮合した1~3個の追加の環(シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールのいずれか)を含んでもよい。アリールには、本明細書に列挙した炭素環系の部分的に水素化された誘導体も含まれることが意図される。アリールの非限定的な例としては、フェニルなどが含まれる。
【0040】
本明細書で定義されるアリール環または複素環は、任意の利用可能な結合点で1つまたは複数の置換基(例えば1~5個の置換基、例えば1、2、3または4)によって置換されていてもよい。このような置換基の非限定的な例は、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミノ、ヒドラジン、アミノカルボニル、アジド、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、アルキルアミノ、アルコキシ、-SO2-NH2、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ヘテロアリールアルキル、アルキルスルホンアミド、ヘテロシクリル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アシル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、アルキルスルホキシド、-SO2Ra(式中、Raはアルキルまたはシクロアルキルである)、アルキルチオ、カルボキシルなどから選択される。
【0041】
アリール基の炭素原子がヘテロ原子で置換される場合、得られる環は、本明細書ではヘテロアリール環と呼ばれる。
【0042】
本明細書で単独でまたは別の基の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、これに限定されるものではないが、5~12個の炭素原子の芳香環、または縮合または共有結合している1~3個の環を含む環系を指し、典型的には5~8個の原子を含む;そのうちの少なくとも1つは芳香族であり、これらの環の1つ以上の1つ以上の炭素原子は酸素、窒素、または硫黄原子で置換可能であり、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は、任意で、酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意で、四級化されてもよい。このような環は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環に縮合していてもよい。このようなヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジニル、アゼピニルなどが含まれる。
【0043】
「任意で置換されたヘテロアリール」とは、置換アリールに関して上記で定義されたものから選択される1つ以上の置換基(例えば1~4個の置換基、例えば1、2、3または4)を任意に有するヘテロアリールを指す。
【0044】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、=O基を指す。
【0045】
本明細書で使用される「アルコキシ」または「アルキルオキシ」という用語は、式-ORb(式中、Rbはアルキルである)を有するラジカルを指す。好ましくは、アルコキシは、C1-C10アルコキシ、C1-C6アルコキシ、またはC1-C4アルコキシである。適切なアルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシが含まれる。アルコキシ基の酸素原子が硫黄で置換されている場合、結果として生じるラジカルはチオアルコキシと呼ばれる。「ハロアルコキシ」は、アルキル基中の1つ以上の水素原子がハロゲンで置換されたアルコキシ基である。適切なハロアルコキシの非限定的な例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ; トリクロロメトキシ、2ブロモエトキシ、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリクロロプロポキシ、4,4,4-トリクロロブトキシが含まれる。
【0046】
「カルボキシ」または「カルボキシル」または「ヒドロキシカルボニル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、-CO2H基を指す。従って、カルボキシアルキルは、-CO2Hである少なくとも1つの置換基を有する、上記で定義したアルキル基である。
【0047】
「アルコキシカルボニル」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、アルキルラジカルに結合して、すなわち、-C(=O)ORe(式中、Reは、アルキルについて上記で定義した通りである)を形成するカルボキシ基を指す。
【0048】
「アルキルカルボニルオキシ」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、-O-C(=O)Re(式中、Reは、アルキルについて上記で定義した通りである)を指す。
【0049】
「置換された」という用語が本発明で使用される場合は常に、「置換された」を使用する表現で示される原子上の1つまたは複数の水素が、示された原子の正規の価数を超えない限り、示された基からの選択で置き換えられることを示し、置換によって化学的に安定な化合物、すなわち、反応混合物から有用な純度まで単離に、および治療薬への製剤化に、耐えられるほど十分に堅牢な化合物が得られることを示すことを意味する。
【0050】
基が任意で置換された場合、そのような基は1回以上、好ましくは1回、2回または3回置換されていてもよい。置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、ニトロ、アミド、カルボキシ、アミノ、シアノハロアルコキシ、およびハロアルキルを含む群から選択することができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「それぞれが任意で置換されたアルキル、アリール、またはシクロアルキル」または「任意で置換されたアルキル、アリール、またはシクロアルキル」などの用語は、任意で置換されたアルキル、任意で置換されたアリールおよび任意で置換されたシクロアルキルを指す。
【0052】
さらに、基が二価である場合、すなわち、他の2つの基に結合するための2つの単結合を有する場合、構造式またはR基の定義に特に示されていない場合であっても、それらの各出現は分子内の両方向のいずれかに存在し得る。例えば、R5の一部としての-CH2-および-O-CH2-は、R5が例えば-O-CH2-O-CH2-、-CH2-O-CH2O-だけでなく、-O-CH2-CH2-O-などによって表されてもよいことを意味する。特に、化学的に実現可能な-CH2-、-O-CH2-および-CH2-O-部分の任意の組み合わせが、本発明の文脈においてR5およびR6について想定される。
【0053】
本発明の文脈において、脂質という用語は、水には不溶であるが、とりわけアルコール、エーテルおよびクロロホルムには可溶である、化学的に定義された物質を意味する。イオン化可能な脂質またはカチオン性脂質は、通常、アミン頭部基、リンカー部分、および疎水性尾部の3つのセクションで構成される脂質である。化合物または脂質の文脈における「イオン化可能な」(またはカチオン性)という用語は、イオン(通常はH+イオン)を生成することによって解離することができ、したがってそれ自体が正に帯電することができる、前記化合物または脂質における非荷電基の存在を意味する。あるいは、前記化合物または脂質内の非荷電基はいずれも電子を生成し、したがって負に荷電する可能性がある。
【0054】
本発明の文脈において、リンカー部分は、様々な異なるリンカーから選択することができるが、ジスルフィド、ケタールおよびエーテルリンカーが特に好ましい。すなわち、脂質の特徴を得るために、本発明の化合物は、R1およびR2で表される脂質テールを含ものであって、両方の基を合わせたC原子の総数は、少なくとも8個、例えば少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個である。すなわち、本発明の文脈において、例えば、R1は3個のC原子を含むことができ、一方、R2は5個のC原子を含むことができ、それにより両方の基を合わせたC原子の総数は少なくとも8である。これはまた、R1とR2が同一である必要はないが、特定の実施形態では、それらは互いに同一であってもよいことを意味する。
【0055】
本発明は、2つの異なるカテゴリーの脂質、すなわち、脂質尾部がアミド部分に直接結合している脂質(式IVa、IVb、およびIVcで表される)および脂質尾部がカルボン酸含有リンカー部分を介してアミド部分に結合しているもの(式II および IIIa、IIIbおよびIIIcで表される)を提供する。
【0056】
すなわち、特定の態様において、本発明は、脂質、特に本明細書に定義され、式(II)で表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化13】

式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2- であり; R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、
前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の合計数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9はそれぞれ、-H、-C1-6アルキルおよび-C3-6シクロアルキルから独立して選択され;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0057】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義され、式(IIIa)、(IIIb)または(IIIc)のいずれかで表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化14】

式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2-であり;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
R8およびR9はそれぞれ、-H、-C1-6アルキルおよび-C3-6シクロアルキルから独立して選択され;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0058】
本発明はさらに、脂質、特に本明細書に定義され、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化15】
【0059】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義され、式(IVa)、(IVb) および (IVc)のいずれかで表されるイオン化可能な脂質を提供する:

【化16】

式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0060】
さらなる実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書に定義され、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化17】
【0061】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義される、式(V)で表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化18】

式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2-であり;
R7はそれぞれ、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0062】
本発明はさらに、脂質、特に本明細書に定義される、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化19】
【0063】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義される、式(VIa)または(VIb)のいずれかで表されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化20】

式中、
R3およびR4はそれぞれ独立して -C1-6 アルキルであり、または、R3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されていてもよく;および
R5およびR6はそれぞれ、-CH2-であり;
R7はそれぞれ、-C1-20アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20アルキニルから独立して選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルで置換されていてもよく;および
両方の R7部分のC原子の総数は少なくとも5であり;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
oおよびpは、それぞれ独立して、1~10から選択される整数であり;
Y は-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0064】
本発明の非常に具体的な実施形態において、以下の1つ以上が適用される:
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、-H、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルから選択されるものであって、前記-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、および -C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、および-C2-20アルキニルで置換されてよく、およびR1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも8であり;
R3およびR4はそれぞれ独立して-C1-6アルキルであり;またはR3およびR4は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5~10員の芳香族複素環または非芳香族複素環を形成し;前記複素環は、任意で、1つまたは複数の追加のN原子をさらに含んでよく、および/または、任意で、-C1-6アルキルから選択される1~3個の置換基で置換されてよく;および、
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-および-O-CH2-から独立して選択され;
R5およびR6のそれぞれは、-CH2-であり;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;前記-C1-20アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含んでもよく、および/または、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
R7のそれぞれは、-C1-20 アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20 アルキニルから独立して選択され;前記-C1-20アルキル、-C2-20 アルケニル、-C2-20アルキニルのそれぞれは、任意で、1~3個の-O-(C=O)-R7、-(C=O)-O-R7、-C1-20アルキル、-C2-20アルケニル、-C2-20アルキニルで置換されてよく;
mおよびnは、それぞれ独立して、1、2、3および4から選択される整数であり;
Xは、-O-、-S-、-S-S-、-O-(C=O)-、-O-(C=O)-O-、-(C=N-NH2)-、-O-CR8R9-O-、および-S-CR8R9-S-から選択され;
R8およびR9のそれぞれは、-H、-C1-6 アルキルおよび-C3-6 シクロアルキルから独立して選択され;
Yは-NH-および-O-から選択され;
Zは-C1-6アルキレンである。
【0065】
別の特定の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書に定義される、以下を含むリストから選択されるイオン化可能な脂質を提供する:
【化21】
【0066】
本明細書で定義される脂質はすべて、異なる異性体/立体異性体として存在する可能性がある。特に、本明細書で定義される脂質は、それらが二重結合を含む場合など、トランス配置またはシス配置で存在し得る。1つの好ましい実施形態において、本明細書で定義される脂質はシス配置で存在する。本発明の文脈において、「シス」という用語は官能基が平面の同じ側にあることを示し、「トランス」という用語は官能基が反対側にあることを意味する。
【0067】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、R1およびR2を合わせたC原子の総数は少なくとも14、例えば少なくとも15、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19または少なくとも20である。
【0068】
本発明はさらに、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、各R5およびR6は独立して-CH2-、つまり両方の基は-CH2-である。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、mおよびnは同一であり、1、2、3、4から選択される整数であり、例えば1、2、3、4などであり、好ましくは2である。
【0070】
さらに別の実施形態において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を提供するものであって、Yは-NH-である。
【0071】
さらなる態様において、本発明は、脂質、特に本明細書で定義されるイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物を提供する。
【0072】
本発明の文脈において、脂質ナノ粒子(LNP)という用語は、固体脂質ナノ粒子とも呼ばれ、脂質を含むナノ粒子を意味する。これらは、医薬品の薬物送達システムまたは医薬品製剤としてよく使用される。薬物送達媒体としての LNPは2018年に初めて承認され、現在いくつかの RNAベースのワクチン候補に使用されています。脂質ナノ粒子は通常、平均直径が10~1000ナノメートルの球形で、親油性分子を可溶化できる脂質コアマトリックスを持っている。脂質という用語は、本明細書において広い意味で使用されており、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、脂肪酸、ステロイド(例えば、コレステロール)およびワックスが含まれる。リン脂質、スフィンゴミエリン、胆汁酸、およびステロールなどの生体膜脂質は、通常、LNPの安定剤として使用される。
【0073】
本明細書において、「ナノ粒子」という用語は、特に核酸の全身投与、特に静脈内投与に適した直径を有する任意の粒子を指し、典型的には1000ナノメートル(nm)未満の直径を有し、該直径は、好ましくは500 nm未満、さらにより好ましくは200 nm未満、例えば50~200nmの間、好ましくは80~160nmの間である。
【0074】
すなわち、本発明の文脈において、本明細書に開示されるナノ粒子は、リン脂質、ステロールおよび/またはPEG脂質などの、安定剤として作用するかまたは作用しない1つまたは複数の追加の脂質をさらに含む。
【0075】
本発明の文脈において、「PEG脂質」または「PEG化脂質」という用語は、PEG(ポリエチレングリコール)基で修飾された任意の適切な脂質を意味する。本発明の文脈において、特に適切なPEG脂質は、C18-PEG脂質、C14-PEG脂質(例えば、DMG-PEGまたはDMG-PEG2000)またはC16-PEG脂質であることを特徴とする。
【0076】
C18-PEG 脂質には、脂質の分子量を決定するポリエチレングリコール部分と、18 個のC原子を含む脂肪酸テールが含まれている。特定の実施形態において、前記C18-PEG2000脂質は、DSG-PEG2000脂質(2-ジステアロイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000)またはDSPE-PEG2000 脂質(1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000])などの(ジステアロイルベースの)-PEG2000脂質;またはDOG-PEG2000 脂質 (1,2ジオレオイル-rac-グリセロール)またはDOPE-PEG2000 脂質(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-2000])などの (ジオレオイルベース)-PEG2000 脂質を含むリストから選択される。
【化22】
【0077】
C14-PEG 脂質には、脂質の分子量を決定するポリエチレングリコール部分と、14 個のC原子を含む脂肪酸テールが含まれている。特定の実施形態において、前記C14-PEG2000脂質は、ジミリストイルに基づくものであり、すなわちDMG-PEG2000脂質(1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000)または2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミングリコール-2000 (DMPE-PEG2000)などの(ジミリストイルベースの)-PEG2000脂質を含むリストから選択されるような、2つのC14尾部を有する。
【化23】
【0078】
本発明の文脈において、「リン脂質」という用語は、2つの疎水性脂肪酸「尾部」およびリン酸基からなる親水性「頭部」からなる脂質分子を意味する。2つの成分は、グリセロール分子によって結合されることが最も多く、したがって、本発明のリン脂質はグリセロール-リン脂質であることが好ましい。さらに、リン酸基は、コリン (すなわち、ホスホコリンを与える) またはエタノールアミン (すなわち、ホスホエタノールアミンを与える) などの単純な有機分子でしばしば修飾される。
【0079】
本発明の範囲内で適切なリン脂質は以下を含むリストから選択することができる: 1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン (DOPE)、 1,2ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン (DOPC)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン (DMPC)、1,2ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3ホスホコリン (DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン (DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0 ジエーテル PC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミサクシネート-sn-グリセロ-3 ホスホコリン (OChem PC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン (C 16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイルsn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール) ナトリウム塩 (DOPG)、スフィンゴミエリンおよびこれらの混合物。
【0080】
より具体的な実施形態において、前記リン脂質は以下を含むリストから選択される:
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン (DOPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ3-ホスホコリン(DOPC)、およびその混合物。
【0081】
本発明の文脈において、ステロイドアルコールとしても知られる「ステロール」という用語は、植物、動物、菌類に自然に存在する、または、ある種の細菌によって生成され得る、ステロイドのサブグループである。本発明の文脈において、コレステロール、エルゴステロール、カンペステロール、オキシステロール、アントロステロール、デスモステロール、ニカステロール、シトステロールおよびスチグマステロールを含むリストから選択されるような、好ましくはコレステロールである、任意の適切なステロールを使用することができる。
【0082】
本発明の特定の実施形態では、以下のうちの1つ以上が適用される:
- 前記LNPは、約35モル%~65モル%の前記イオン化可能な脂質を含み;
- 前記LNPは、約5モル%~25モル%の前記リン脂質を含み;
- 前記LNPは、約0.5モル%~3.0モル%の前記PEG脂質を含み;
前記ステロールの量によってバランスが保たれる。
【0083】
本発明のさらに別の実施形態において、本明細書で定義される脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物は、薬学的活性物質(例えば、小分子)などのカーゴ分子、またはペプチド、タンパク質もしくは核酸などの生体分子をさらに含む。特定の実施形態において、カーゴは、DNAまたはRNA、好ましくはmRNAなどの核酸であってもよい。別の特定の実施形態において、カーゴは、例えば、TLR3アゴニストpolyI:C、またはTLR9アゴニストCpGなどのTLRアゴニストであり得る。
【0084】
脂質ナノ粒子にロードされる前に、カーゴ分子をさらに修飾し、分子全体にポリアニオン性を誘導してもよい。これは、例えば、実施例の部分で例示されているように、それらをGlu10部分に結合させることによって行うことができる。 Glu10 部分は、それが結合する分子のポリアニオン性を高める 10 個のグルタミン酸の部分である。
【0085】
すなわち、本発明の脂質ナノ粒子および脂質ナノ粒子組成物は、カーゴ分子の細胞内送達に特に適している。したがって、本発明は、カーゴ分子の細胞内送達のための、本明細書で定義される脂質ナノ粒子および脂質ナノ粒子組成物の使用を提供する。
【0086】
特定の実施形態において、本明細書で定義される脂質ナノ粒子または脂質ナノ粒子組成物は、核酸、好ましくはmRNAをさらに含む。
【0087】
本発明の文脈における「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)、または好ましくはリボ核酸(RNA)、より好ましくはmRNAである。本発明によれば、核酸には、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、組換え生成された分子および化学合成された分子が含まれる。本発明によれば、核酸は、一本鎖または二本鎖で、直鎖状または共有結合で閉じて環を形成する分子の形態であってもよい。核酸は、例えば、DNA鋳型からのインビトロ転写によって調製できるRNAの形態で、細胞への導入、すなわち細胞のトランスフェクションに使用することができる。さらに、RNAは、配列の安定化、キャッピング、および/またはポリアデニル化によって、適用前に修飾することができる。
【0088】
本発明の文脈において、「RNA」という用語は、リボヌクレオチド残基を含む分子に関し、好ましくは完全にまたは実質的にリボヌクレオチド残基から構成される分子に関する。「リボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドに関する。この用語には、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分的に精製されたRNAなどの単離されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換え生成されたRNA、および、1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または改変によって天然に存在する RNA とは異なる修飾RNAが含まれる。このような改変には、RNAの末端への、または内部、例えばRNAの1つ以上のヌクレオチドへの、非ヌクレオチド物質の付加が含まれ得る。RNA分子中のヌクレオチドはまた、非天然ヌクレオチドまたは化学合成ヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドなどの非標準ヌクレオチドを含むこともできる。これらの改変 RNAは類似体と呼ばれる。核酸はベクターに含まれていてもよい。本明細書で使用される「ベクター」という用語には、プラスミドベクター、コスミドベクター、ラムダファージなどのファージベクター、アデノウイルスまたはバキュロウイルスベクターなどのウイルスベクター、または細菌人工染色体(BAC)などの人工染色体ベクター、酵母人工染色体または天然RNAの類似体を含む、当業者に知られている任意のベクターが含まれる。
【0089】
本発明によれば、「RNA」という用語は、「メッセンジャーRNA」を意味する「mRNA」を含み、好ましくはこれに関連し、鋳型としてDNAを使用して生成され、ペプチドまたはタンパク質をコードする「転写物」に関連する。mRNA は通常、5’非翻訳領域 (5’-UTR)、タンパク質またはペプチドのコード領域、および3’非翻訳領域 (3’-UTR) を含む。mRNA の細胞内およびインビトロでの半減期は限られている。好ましくは、mRNAは、DNA鋳型を使用したインビトロ転写によって生成される。本発明の1つの実施形態において、RNAは、インビトロ転写または化学合成によって得られる。インビトロ転写法は当業者に知られている。例えば、さまざまな インビトロ転写キットが市販されている。
【0090】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で定義される1つまたは複数のLNPおよび担体、賦形剤などの薬学的に許容される薬剤を含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物はワクチンとして特に適している。したがって、本発明はまた、本発明による1つ以上のLNPを含むワクチンを提供する。
【0091】
本発明の文脈において、本明細書で使用される「ワクチン」という用語は、疾患に対する適応免疫(抗体および/またはT細胞応答)を提供することを目的とした任意の製剤を意味する。そのために、本明細書で意味するワクチンは、少なくとも1つの核酸分子、例えば、適応免疫応答が開始される抗原をコードするmRNA分子を含む。この抗原は、微生物、タンパク質またはペプチド、あるいは核酸をコードする抗原の弱体化または死滅した形態で存在する可能性がある。本発明の文脈における抗原は、宿主の免疫系によって外来であると認識され、それによってそのような抗原と戦う目的で、それに対する抗体の産生を刺激するタンパク質またはペプチドを意味する。ワクチンは、予防的(例:自然または「野生」病原体による将来の感染症の影響を予防または改善する)、または治療的(例:進行中の疾患の症状を積極的に治療または軽減する)の場合がある。ワクチンを投与することをワクチン接種という。
【0092】
本発明のワクチンは、免疫応答、特に疾患関連抗原または疾患関連抗原を発現する細胞に対する免疫応答、例えば癌に対する免疫応答を誘導するために使用することができる。すなわち、ワクチンは、疾患関連抗原または疾患関連抗原を発現する細胞が関与する疾患、例えば癌の予防的および/または治療的処置に使用することができる。好ましくは、前記免疫応答はT細胞応答である。1つの実施形態において、疾患関連抗原は腫瘍抗原である。本明細書に記載のナノ粒子に含まれるRNAによってコードされる抗原は、好ましくは疾患関連抗原であるか、または疾患関連抗原もしくは疾患関連抗原を発現する細胞に対する免疫応答を誘発する。
【0093】
本発明はまた、ヒト医学または獣医学に使用するための、本発明によるLNP、医薬組成物およびワクチンを提供する。本発明によるLNP、医薬組成物およびワクチンのヒトまたは獣医学への使用も意図されている。最後に、本発明は、本発明によるLNP、医薬組成物およびワクチンを必要とする対象に投与することによる、ヒトおよび獣医学的疾患の予防および治療のための方法を提供する。
【0094】
本発明はさらに、前記1つ以上の核酸分子の免疫原性送達のための、本発明によるLNP、医薬組成物またはワクチンの使用を提供する。したがって、本発明のLNP、医薬組成物およびワクチンは、いくつかのヒトおよび獣医学的疾患の治療において非常に有用である。したがって、本発明は、癌または感染症の治療に使用するための本発明のLNP、医薬組成物およびワクチンを提供する。
【0095】
本発明の脂質ナノ粒子は、実施例の部分で特定されるプロトコールに従って調製され得る。より一般的には、LNPは以下を含む方法を使用して調製できる:
- 前記イオン化可能な脂質、前記リン脂質、前記ステロール、前記PEG脂質、および適切なアルコール溶媒を含む第1のアルコール組成物を調製する工程、
- 前記1つ以上の核酸および水性溶媒を含む第2の水性組成物を調製する工程、
- 前記第1の組成物と前記第2の組成物をマイクロ流体混合装置内で混合する工程。
【0096】
さらに詳細には、脂質成分は、エタノールなどのアルコール媒体中で適切な濃度で混合される。これに、核酸を含む水性組成物が添加され、その後、マイクロ流体混合装置にロードされる。
【0097】
マイクロ流体混合の目的は、マイクロスケール装置内で複数のサンプル (すなわち、脂質相と核酸相) を完全かつ迅速に混合することである。このようなサンプルの混合は、通常、異なる種の流れ間の拡散効果を高めることによって実現される。これに対して、例えばLee et al., 2011で概説されているような、いくつかのマイクロ流体混合装置を使用することができる。本発明による特に適切なマイクロ流体混合装置は、Precision NanosystemsのNano Assemblrである。
【0098】
本発明のLNPを調製するのに適した他の技術には、適切な分散媒体、例えば水性溶媒およびアルコール性溶媒に成分を分散させること、および以下の方法のうちの1つまたは複数を適用することが含まれる:エタノール希釈法、簡易水和法、超音波処理、加熱、ボルテックス、エーテル注入法、フレンチプレス法、コール酸法、Ca2+融合法、凍結融解法、逆相蒸発法、T字路混合(T-junction mixing)、マイクロ流体流体力学集束、スタッガードヘリンボーン混合(Staggered Herringbone Mixing)など。
【0099】
本発明のイオン化可能な脂質は、以下の実施例で提供される反応スキームに従って調製することができるが、当業者であれば、これらが本発明の単なる例示にすぎず、有機化学の当業者によって一般的に使用されるいくつかの標準的な合成プロセスのいずれかによって調製できることを理解するであろう。
【実施例
【0100】
実施例1:脂質の調製
【0101】
1. 一般情報
【0102】
特に明記しない限り、すべてのガラス製品は使用前にオーブン乾燥され、すべての反応は標準的なシュレンク・テクニックを使用してアルゴン雰囲気下で実行された。乾燥溶媒はAcros OrganicsまたはSigma-Aldrichから購入し、さらに精製することなく使用した。すべての試薬は商業的供給元から購入し、特に明記しない限りさらに精製せずに使用した。反応の進行は、厚さ0.2mmのキーゼルゲル(Kieselgel)F254でコーティングされたアルミニウム板上で実施される薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターした。可視化は、紫外光(254 nm)または過マンガン酸カリウムによる染色によって達成した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル60(230~400メッシュ、Merck and co.)を使用して実施した。質量スペクトルは、FinniganMAT 8200 (70 eV)、Agilent 5973 (70 eV) を使用し、エレクトロスプレーイオン化 (ESI) または電子衝撃イオン化 (EI) を使用して取得した。
すべての 1H NMR、13 C NMR NMR は、クロロホルム-d1 または DMSO-d6 中でBrukerAV-400 で記録された。化学シフトは、内部標準として溶媒ピークを使用するテトラメチルシランを基準として、100万分の1 (ppm) で示される(CDCl3: 1H = 7.26 ppm, 13C =77.16 ppm; CD3SOCD3:1H = 2.50 ppm, 13C = 39.52 ppm)。結合定数は Hz 単位で示される。 1H NMR分割パターンは、シングレット (s)、ブロード (brd)、ダブレット (d)、トリプレット (t)、カルテット (q)、ペンテット(p)、セクステット (se)、セプテット (sep)、オクテット (o) またはそれらの組み合わせとして指定された。解釈できない分割パターンは多重線(m) として指定された。
【0103】
2. 脂質の合成
【0104】
2.1 式Iの構造、より具体的にはIVaの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【0105】
【化24】
【0106】
化合物3の合成
アミン2(1.0当量)およびEt3N(1.5当量)を最初にCHCl3/ヘキサン/THF(1/1/1)に溶解した。次に、調製した溶液を、CH2Cl2中の化合物1 (Amano etal., 2017) (3.0当量)の撹拌溶液に0℃で滴下した。得られた混合物を激しく撹拌し、2時間かけて室温まで温めた。次いで、溶媒を真空下で除去し、残った残渣をCH2Cl2に溶解し、飽和クエン酸(水溶液)、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15:1から10:1)で精製して、化合物3を得た。
【化25】
収率: 62%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ8.29 (d, J = 9.2Hz, 2H, H17 & H19), 7.40 (d, J = 9.3 Hz, 2H, H16 & H20), 4.54 (t, J =6.6 Hz, 2H, OCH2), 4.34 (t, J = 6.4 Hz,2H, OCH2), 3.18(brd, 4H, H22& H34), 3.03 (t, J = 6.6 Hz,2H, SCH2), 2.97 (t, J =6.4 Hz, 2H, SCH2), 1.54-1.48 (m, 4H, H23 & H35), 1.25 (brd,36H), 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H, H33 & H45)ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.0 (C=O), 155.6 (Ar-C, quaternary), 152.5 (C=O),125.5(ArC-H), 121.9 (ArC-H), 67.0 (C2 or C7), 62.8 (C2 or C7), 47.8 (C22 orC34),47.2 (C22 or C34), 38.2 (C3 or C6), 36.9 (C3 or C6), 32.1, 29.81, 29.79,29.76,29.6, 29.5, 28.8 (C23 or C35), 28.3 (C23 or C35), 27.0, 22.8, 14.3 (C33& C45) ppm. LRMS(ESI) (m/z): [M+H]+ (C36H63O7N2S2)の計算上699.4、実測値:699.4。
【化26】
収率:58%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 8.28 (d, J = 9.2Hz,2H, H53 & H55), 7.40 (d, J = 9.2 Hz, 2H, H52 & H56), 4.54 (t, J =6.6 Hz, 2H, OCH2), 4.34 (t, J = 6.5 Hz, 2H, OCH2),3.21-3.15 (m, 4H, H16 & H34), 3.03 (t, J = 6.6 Hz, 2H, SCH2),2.97 (t, J = 6.4 Hz,2H, SCH2), 1.53-1.49 (m, 4H, H17 & H35),1.25 (brd, 60H), 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H, H33 & H51) ppm. 13CNMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ156.0 (C=O), 155.6 (Ar-C,quaternary), 152.4(C=O), 125.5 (ArC-H), 121.9 (ArC-H), 67.0 (C2 or C7), 62.8(C2 or C7), 47.8 (C16 orC34), 47.2 (C16 or C34), 38.2 (SCH2), 36.9(SCH2), 32.1, 29.86, 29.83, 29.81, 29.77, 29.57, 29.51, 28.8 (C17orC35), 28.3 (C17 or C35), 27.0, 22.8, 14.3 (C33 & C51) ppm.LRMS (ESI)(m/z): [M+H]+ (C48H87O7N2S2)の計算上867.6、実測値:867.5。
【0107】
化合物5の合成
CH2Cl2中の化合物3(1.0当量)の撹拌溶液に室温でアミン4(1.2当量)を加え、続いてEt3N(1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で2時間激しく撹拌した。有機相をまず飽和Na2CO3(水溶液)で色がオフホワイトになるまで洗浄し、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3:1から1:1、その後CH2Cl2/CH3OH=15:1に変更)で精製し、化合物5を得た。化合物5の名称は、その構造のすぐ下に示されている。
【化27】
収率:75%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ5.48 (brd, 1H,H12), 4.34-4.29 (m, 4H, OCH2), 3.30(q, J = 5.8 Hz, 2H, H13),3.21-3.14 (m, 4H, H20 & H32), 2.95-2.90 (m, 4H, H5 & H8), 2.48 (t, J =6.2 Hz, 2H, H14), 2.28 (s, 6H, H18 &H19), 1.54-1.47 (m, 4H, H21 &H33),1.26 (s, 36H), 0.88 (t, J = 6.7 Hz,6H, H31 & H43) ppm. 13C NMR(100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.0 (C2 & C11), 63.0 (OCH2),62.6 (OCH2), 58.3 (C14), 47.8 (C20 or C32), 47.2 (C20 orC32), 45.2(C18 & C19), 38.4(C13), 38.2 (C5 or C8), 38.0 (C5 or C8),32.1, 29.82,29.79, 29.76, 29.6, 29.5, 28.8 (C21 or C33), 28.3 (C21 orC33), 27.0, 22.8, 14.3(C31 &C43) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C34H70O4N3S2)の計算上648.5、実測値:648.4。
【0108】
【化28】
収率:55%。無色のオイル。 1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 1H NMR(400 MHz, Chloroform-d) δ 4.33-4.28 (m, 4H, H2 & H7), 3.60 (brd, 2H),3.21-3.14 (brd,4H, H24 & H36), 3.07 (brd, 2H), 2.94-2.88 (m,4H, H3 &H6), 1.62-1.25 (m, 55H), 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H, H35 & H47) ppm.13CNMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.0 (C9 & C10), 63.0 (C2& C7), 47.8 (C24 or C36), 47.2(C24 or C36), 38.1 (C3 & C6), 32.1,29.82, 29.79, 29.76, 29.6, 29.5, 28.8, 28.3, 27.0,22.8, 14.3 (C35 & C47)ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C38H78O4N3S2)の計算上704.5、実測値:704.5。
【0109】
【化29】
収率:51%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ4.34-4.29 (m, 4H,H4 & H9), 3.32(brd, 2H, H13), 3.21-3.14 (m,4H, H20 & H32), 2.95-2.91(m, 4H, H5 & H8), 2.77-2.64 (m, 6H, H14, H44 & H49), 1.71(brd, 4H),1.62 (brd, 4H), 1.51 (t, J =7.3 Hz, 4H, H21 & H33), 1.26 (brd, 36H),0.88(t, J = 6.7 Hz, 6H, H49 & H55) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.0 (C2 & C11), 63.0 (OCH2), 62.7 (OCH2),56.8(C14), 55.4 (C44 & C49), 47.8 (C20 or C32),47.2 (C20 or C32), 38.1 (C5 orC8 & C13), 38.0 (C5 or C8), 32.1, 29.81, 29.79, 29.76,29.57, 29.50, 28.8(C21 or C33), 28.3 (C21 or C33), 27.1 (C47 or C48), 27.0(C47 or C48), 22.8,14.3 (C31 & C43) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C38H76O4N3S2)の計算上702.5、実測値:702.5。
【0110】
【化30】
収率:81%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.48 (s, 1H,H12), 4.34-4.29 (m, 4H, H4 & H9), 3.30-3.28(m, 2H, H13), 3.21 -3.14 (m, 4H,H20 & H32), 2.95-2.90 (m, 4H, H5 & H8), 2.48-2.46 (m,2H, H14), 2.28 (s,6H, H18 & H19), 1.53-1.49 (m, 4H, H21 & H33), 1.25 (brd, 60H), 0.88 (t,J = 6.7 Hz, 6H,H49 & H55) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.0 (C2 & C11), 63.0 (OCH2), 62.6 (OCH2),58.3 (C14), 47.8 (C20 or C32), 47.2 (C20 orC32), 45.2 (C18 & C19), 38.4(C13), 38.2 (C5 or C8), 38.0 (C5 or C8),32.1, 29.86, 29.83, 29.81, 29.77, 29.6,29.5, 28.8 (C21 or C33),28.3 (C21 or C33), 27.0, 22.8, 14.3(C49 & C55) ppm.LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C46H94O4N3S2)の計算上816.7、実測値:816.6。
【0111】
【化31】
収率:89%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.30(brd, 1H,H12), 4.34-4.28 (m, 4H, H4 & H9), 3.21- 3.11(m, 6H, H13, H20 & H32),3.02-2.96 (m, 2H, H18 & H19), 2.95-2.90 (m, 4H, H5 &H8), 2.56 (t, J =6.2 Hz, 2H, H14),1.54-1.47 (m, 4H, H21 & H33), 1.25 (brd, 60H), 1.00(d, J =6.6 Hz, 12H, H56, H57, H58 &H59), 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H, H49 & H55)ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ156.0 (C2& C11), 63.0 (C4 or C9), 62.6 (C4 orC9), 48.1 (C18 & C19), 47.8 (C20 orC32), 47.2 (C20 or C32), 43.8 (C14), 40.3 (C13), 38.2(C5 or C8), 38.1 (C5 orC8), 32.1, 29.86, 29.83, 29.81, 29.78, 29.58, 29.52,28.8 (C21 or C33), 28.3(C21 or C33), 27.0, 22.8, 20.9 (C56, C57, C58 &C59), 14.3 (C49 & C55)ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C50H102O4N3S2)の計算上872.7、実測値:872.6。
【0112】
【化32】
収率:70%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 4.34-4.29 (m, 4H,H4 & H9), 3.37 (brd, 2H, H13),3.21-3.14 (m, 4H, H20 & H32),2.95-2.91(m, 4H, H5 & H8),2.84-2.67 (m, 6H, H14, H56 & H61),1.75 (brd, 4H), 1.64(brd, 4H), 1.50 (q, J= 10.8, 6.5 Hz, 4H, H21 & H33), 1.25 (brd, 60H), 0.88(t, J =6.7 Hz, 6H, H49 & H55) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.0 (C2 & C11), 63.0 (OCH2),62.8 (OCH2),56.9 (C14), 55.5 (C56 & C61), 47.8 (C20 orC32), 47.2 (C20 or C32), 38.1 (C5or C8 & C13), 38.0 (C5 or C8), 32.1, 29.86, 29.83, 29.81,29.78, 29.6, 29.5,28.8 (C21 or C33),28.3 (C21 or C33), 27.1 (C60 or C59), 27.0 (C60 or C59),22.8, 14.3 (C49& C55) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C50H100O4N3S2)の計算上870.7、実測値:870.7。
【0113】
2.2 式Iの構造またはより具体的には式IVbの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【化33】
【0114】
化合物7の合成
クロロギ酸 4-ニトロフェニル (11.0 g、54.5 mmol、2.5 当量) のCH2Cl2 (80 mL) 撹拌溶液に 0℃ で化合物6 (Shenoi et al., 2012) (3.58 g、 21.8mmol、1.0当量)およびEt3N(9.1 mL、65.4 mmol、3.0当量)をCH2Cl2(20 mL)に溶解した。反応混合物を激しく撹拌し、12時間かけて室温まで温めた。次いで、反応を飽和Na2CO3 (水溶液)によってクエンチした。有機相を分離し、色がオフホワイトになるまで飽和Na2CO3(水溶液)で洗浄し、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、化合物7(6.00 g、収率56%)を黄色がかった固体として得、これをさらに精製することなく使用した。
【0115】
化合物8の合成
(1) 化合物7(3.0当量)およびEt3N(3.0当量)のCH2Cl2溶液の撹拌溶液に0℃でアミン4(1.0当量)を滴下した。反応混合物を0℃で5時間激しく撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣を最小量のEt2Oに溶解し、0℃に冷却した。6時間後、過剰の化合物7が溶液から沈殿し始めた。次いで、溶液をデカントし、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を上記の手順にさらに2回供して、同量の化合物7を混合物から沈殿させた。この方法により、化合物7の>80% をリサイクルして使用することができる。
(2) 3回沈殿させた後、上記混合物をCH2Cl2に溶解した。この溶液に、Et3N(8.0当量)およびCHCl3/ヘキサン/THFに予め溶解させたアミン2(得られた混合物の純度に応じて1.5から3.0当量)を加えた。反応混合物を室温で5時間激しく撹拌した。
(3) 次いで、Ac2O(5.0当量)を混合物に加え、溶液を室温でさらに5時間撹拌した。注: この工程は、過剰量のアミン2をアセチルアミドに変換することであり、そうしない場合、アミン2を最終生成物から除去するのが非常に困難になる。
(4) 次いで、溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルに再溶解した。有機相をまず飽和Na2CO3(水溶液)で色がオフホワイトになるまで洗浄し、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH(+0.1% Et3N)=30:1から15:1)によって精製して、化合物8を得た。化合物8の名称は、その構造のすぐ下に示されている。
【化34】
収率:28%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.60(s, 1H, H12),4.204.15 (m, 4H, H2 & H8), 3.64-3.60 (m, 4H, H3 & H7),3.28-3.23 (m, 2H,H16), 3.19-3.14 (m, 4H, H23 & H24), 2.42-2.39 (m, 2H,H17), 2.22 (s, 6H, H19& H20), 1.53-1.47 (m, 4H, H25 & H36), 1.36 (s, 6H, H14 &H15), 1.26(brd, 36H), 0.89-0.86 (t, 6H, H35 & H46) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ156.5 (C9 & C11), 100.1 (C5), 64.5 (C2 or C8), 64.3 (C2 orC8), 59.6 (C3 orC7), 59.5 (C3 or C7), 58.5 (C17), 47.7 (C23 or C24), 47.1 (C23or C24), 45.5(C19 & C20), 38.7 (C16), 32.1, 29.80, 29.76, 29.61, 29.49,28.8, 28.3,27.0, 25.0 (C14 & C15), 22.8 (C34 & C45), 14.3 (C35 &C46) ppm. LRMS(ESI) (m/z): [M+H]+ (C37H76O6N3)の計算上658.5、実測値:658.5
【化35】
収率:21%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.53 (s, 1H,H12), 4.20-4.15 (m, 4H, OCH2),3.64-3.60 (m, 4H, OCH2),3.21-3.11(m, 6H, H23, H24 & H16),2.99 (p, J = 6.6 Hz, 2H, H20 & H19), 2.55 (t, J= 6.5 Hz, 2H, H17), 1.54-1.47 (m, 4H, H25& H36), 1.36 (s, 6H, H14 &H15), 1.25 (brd, 36H), 0.99 (d, J = 6.6 Hz, 12H, H47, H48, H49 & H50), 0.88(t, J = 6.7 Hz, 6H, H49& H55) ppm. 13C NMR(100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.4 (C9 & C11), 100.1 (C5), 64.5 (OCH2), 64.2(OCH2), 59.5 (OCH2), 48.3 (C19 & C20), 47.7 (C23 orC24), 47.1 (C23 or C24), 44.1 (C17), 40.7 (C16), 32.1, 29.81, 29.78, 29.62,29.50,28.8 (C25 or C36), 28.3 (C25 or C36), 27.0, 25.0 (C14 & C15), 22.8,20.9 (C47, C48, C49 & C50), 14.3 (C35 & C46) ppm. LRMS (ESI) (m/z):[M+H]+ (C41H84O6N3)の計算上714.6、実測値:714.6。
【化36】
収率:25%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.64 (s, 1H,H12), 4.20-4.16 (m, 4H, OCH2),3.65-3.61 (m, 4H, OCH2),3.25-3.14(m, 6H, H23, H24 & H16), 2.64 (brd, 6H, H17, H47 & H52), 1.59 (brd,8H,H48, H49, H50 & H51), 1.54-1.47(m, 4H, H25 & H36), 1.37 (s, 6H,H14& H15), 1.25 (brd, 36H), 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H, H35 & H46) ppm. 13CNMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.8 (C9 or C11), 156.4 (C9or C11),100.2 (C5), 64.5 (OCH2), 64.2 (OCH2), 59.6 (OCH2),56.8 (C17), 55.4 (C47 & C52), 47.8 (C23 orC24), 47.2 (C23 or C24), 38.8(C16, deduced from HSQC), 32.1, 29.82,29.78, 29.6, 29.5, 28.8 (C25 or C36), 28.3(C25 or C36), 27.1 (C51 or C50), 27.0 (C51 or C50), 25.0 (C14 &C15), 22.8,14.3 (C35 & C46) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C41H82O6N3)の計算上712.6、実測値:712.5。
【0116】
【化37】
収率:21%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.60(s, 1H, H12),4.20-4.15 (m, 4H, H2 & H8), 3.64-3.60(m, 4H, H3 & H7), 3.28-3.23 (m,2H, H16), 3.19-3.14 (m, 4H, H23 & H24), 2.42-2.39(m, 2H, H17), 2.22 (s, 6H,H19 & H20), 1.521.48 (m, 4H, H25 & H36),1.36 (s, 6H, H14 & H15),1.27 (brd, 60H), 0.89-0.86 (m, 6H, H52 & H58) ppm. 13C NMR (100MHz、クロロホルム-d) δ 156.5 (C9 & C11),100.1 (C5), 64.5(C2 or C8), 64.3 (C2 or C8), 59.6(C3 or C7), 59.5 (C3 or C7), 58.5 (C17), 47.7(C23 or C24), 47.1 (C23 or C24), 45.5(C19 & C20), 38.7 (C16), 32.1, 29.86,29.83, 29.81, 29.78, 29.6, 29.5, 28.8, 28.3, 27.0, 25.0 (C14 & C15), 22.8(C51 & C57), 14.3 (C52 & C58) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C49H100O6N3)の計算上826.7、実測値:826.7
【0117】
【化38】
収率:38%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.52 (s, 1H,H12), 4.20-4.15 (m, 4H, OCH2),3.64-3.60 (m, 4H, OCH2),3.21-3.11(m, 6H, H23, H24 & H16),3.02-2.95 (m, 2H, H20 & H19), 2.55 (t, J = 6.6Hz, 2H, H17), 1.54-1.47 (m, 4H, H25& H36), 1.36 (s, 6H, H14 &H15), 1.25(brd, 60H), 0.99 (d, J =6.6 Hz, 12H, H47, H48, H49 & H50), 0.88 (t, J = 6.7Hz, 6H, H49 & H55) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.8 (C9 or C11), 156.4 (C9 or C11),100.1 (C5), 64.5 (OCH2),64.2 (OCH2), 59.5 (OCH2), 48.3 (C19 & C20), 47.7 (C23or C24), 47.1 (C23 or C24), 44.1 (C17),40.7 (C16), 32.1, 29.85, 29.82,29.80,29.78, 29.6, 29.5, 28.8 (C25 orC36), 28.3 (C25 or C36), 27.0, 25.0 (C14 &C15), 22.8, 20.9 (C47, C48, C49 & C50), 14.3 (C56 & C62) ppm. LRMS(ESI) (m/z): [M+H]+(C53H108O6N3)の計算上882.8、実測値:882.7。
【化39】
収率:22%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.59 (s, 1H,H12), 4.20-4.16 (m, 4H, OCH2),3.64-3.61 (m, 4H, OCH2),3.24-3.16(m, 6H, H23, H24 & H16), 2.63-2.57 (m, 6H, H17, H47 & H52), 1.61-1.56(m,8H, H48, H49, H50 & H51),1.54-1.47(m, 4H, H25 & H36),1.37 (s, 6H,H14 & H15), 1.25(brd, 60H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H, H58 & H64) ppm. 13CNMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 156.7 (C9 or C11), 156.4 (C9or C11),100.2 (C5), 64.5 (OCH2), 64.2 (OCH2), 59.6 (OCH2),56.7(C17), 55.4 (C47 & C52), 47.7 (C23 orC24), 47.1 (C23 or C24), 38.8(C16), 32.1, 29.85, 29.82, 29.80, 29.78, 29.6, 29.5, 28.8 (C25 or C36), 28.4,28.3 (C25or C36), 27.1 (C51 or C50), 27.0 (C51 or C50), 25.0 (C14 & C15),22.8, 14.3 (C58& C64) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C53H106O6N3)の計算上880.8、実測値:880.7。
【0118】
2.3式Iの構造、より具体的には式IIIaの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【化40】
【0119】
化合物12の合成
3-(Boc-アミノ)-1,2-プロパンジオール (2.43 g、12.7 mmol、1.0当量) および塩化オレオイル (8.6 mL、26.0 mmol、2.05 当量) のCH2Cl2 (50 mL) 溶液を0℃で撹拌した溶液に、Et3N(5.3 mL、38.1 mmol、3.0当量)を滴下した。次いで、反応混合物をアルミホイルで覆い、0℃でさらに4時間激しく撹拌した。次いで、反応を飽和Na2CO3(水溶液)によってクエンチした。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15:1から10:1)で精製し、化合物12を無色固体として得た(4.06 g、44%)。化合物12のスペクトル データは、文献 (Luo et al., 2016) から報告されたデータとよく一致した。
【0120】
化合物13の合成
次いで、化合物12をCH2Cl2/CF3COOH(10 mL/10 mL)の混合溶媒に溶解した。室温で30分間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物13を真空下でさらに乾燥させ、さらに精製することなく使用した。
【0121】
化合物15の合成
化合物13(1.0当量)、化合物1(2.0当量)、DMAP(0.2当量)およびEt3N(5.0当量)を室温でDMに溶解した。次いで、得られた混合物をアルミニウム箔で覆い、さらに室温で24時間撹拌した後、アミン14(2.5当量)を加えた。5時間後、溶媒DMFを減圧下で除去し、粗残渣を酢酸エチルに再溶解した。有機相をまず飽和Na2CO3(水溶液)で色がオフホワイトになるまで洗浄し、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/CH3OH=30:1から15:1)によって精製して、化合物15を得た。化合物15の名称は、その構造のすぐ下に示される。
【化41】
収率:30%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.50(brd, 1H, NH),5.37-5.32 (m, 5H,H19, H20, H35, H36 &NH), 5.13-5.08 (m, 1H, H2), 4.33-4.26(m, 5H, H47, H53 & H1), 4.13 (dd, J = 12.0, 5.7 Hz, 1H, H1), 3.48-3.34 (m,2H, H3), 3.32-3.28 (m, 2H, H57), 2.92 (t, J = 6.4 Hz, 4H, H48 & H52), 2.50(t, J = 5.9 Hz, 2H, H58), 2.33-2.27 (m, 10H, H27, H28, H60 & H62), 2.03-1.98(m, 8H, H18, H21, H34 & H37), 1.631.58 (m, 4H, H12 & H43), 1.30-1.25(m, 40H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz,6H, H11 & H44) ppm. 22.8, 14.3 (C11 &C44) ppm. LRMS (ESI)(m/z): [M+H]+ (C49H92O8N3S2)の計算上914.6、実測値:914.5。
【0122】
【化42】
収率:30%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.79(s, 1H, NH),5.44-5.29 (m, 5H, H19, H20, H35, H36 and NH), 5.13-5.08(m, 1H, H2), 4.33-4.26(m, 5H, H47, H53 and H1), 4.13 (dd, J = 12.0, 5.7 Hz, 1H, H1), 3.48-3.34 (m,4H, H3, H57), 2.94-2.91 (m, 4H, H61, H66), 2.81-2.66 (m,6H, including H48, H52, H58), 2.31 (td, J =
7.6, 2.7 Hz, 4H, H27, H28), 2.05-1.96 (m, 8H,H18, H21, H34, H37), 1.73 (brd,4H, H26,
H29), 1.64-1.56 (m, 8H, H62-65), 1.34-1.25(m, 40H), 0.87 (t, J = 7.0 Hz, 6H,H11 &
H44) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 173.6(エステルC=O), 173.2 (エステルC=O),156.4 (カルバメートC=O), 156.3(カルバメートC=O),130.2 (アルケン炭素), 129.84 (アルケン炭素),129.83 (アルケン炭素),70.4 (C2), 63.0 (C1), 62.7, 56.8, 55.4, 41.4 (C3), 38.0 (C57), 37.6 , 34.4, 34.2, 32.0,29.90, 29.86, 29.66, 29.47,29.45, 29.35, 29.27, 29.25, 29.23, 27.36, 27.32, 27.1, 25.02,24.99, 22.82, 14.3(C11 & C44) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C53H98O8N3S2)の計算上968.7、実測値:968.6。
【化43】
収率:24%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 6.02(s, 1H, NH),5.43-5.29 (m, 5H, H19, H20, H35, H36 and NH),5.13-5.08 (m, 1H, H2), 4.40-4.26(m, 5H, H47, H53 and H1), 4.13 (dd, J = 12.0, 5.7 Hz, 1H, H1), 3.48-3.35 (m,2H, H3), 3.333.28 (m, 2H),3.11 (brd, 2H), 2.96-2.88 (m, 6H), 2.33-2.29 (m, 4H,H27, H28), 2.05-1.96 (m, 8H, H18, H21, H34, H37), 1.85-1.51 (m,14H), 1.32-1.25(m, 40H), 0.98 (t, J =7.4 Hz, 3H, H68), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 6H, H11 & H44)ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 173.6,173.3, 156.7, 156.4, 130.2, 129.85, 129.83, 70.4 (C2),62.9 (C1), 62.78, 62.74,41.4 (C3), 37.9, 37.8,34.4, 34.2, 32.0, 29.91, 29.87, 29.86, 29.7, 29.47,29.46, 29.37, 29.35, 29.29, 29.28,29.25, 29.23, 27.37, 27.32, 25.03, 25.00,22.8, 14.3 (C11, C44), 10.4 (C68).(信号キャンセルのため、13C APT では C62 が観測されなかった). LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C55H102O8N3S2)の計算上996.7、実測値:996.6。
【0123】
2.4 式Iの構造、より具体的には式IIIbの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【化44】
【0124】
化合物13(1.0当量)、化合物7(2.0当量)、DMAP(0.2当量)およびEt3N(10.0当量)を室温でDMFに溶解した。次いで、得られた混合物をアルミニウム箔で覆い、さらに室温で24時間撹拌した後、アミン14(2.5当量)を加えた。5時間後、Ac2O(3.0当量)を加え、混合物を室温でさらに12時間撹拌した。注:最終製品から未確認の不純物を除去しやすくするために、Ac2Oを添加した。次いで、溶媒DMFを減圧下で除去し、粗残渣を酢酸エチルに再溶解した。有機相をまず飽和Na2CO3(水溶液)で色がオフホワイトになるまで洗浄し、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 /CH3OH(+0.1% Et3N)=30:1から15:1)によって精製して、化合物16を得た。化合物 16の名称は、その構造のすぐ下に示される。
【0125】
【化45】
収率:20%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.72(t, J = 5.4Hz, 1H, NH), 5.47 (s, 1H, NH), 5.40-5.30 (m, 4H,H19, H20, H35, H36), 5.11-5.07(m, 1H, H2), 4.32-4.08 (m, 6H, Including H1, H47, H53),4.37-3.61 (m, 4H, H48, H52), 3.48-3.22 (m, 4H, H3& H61), 2.41 (t, J = 5.9 Hz, 2H, H62), 2.33-2.23 (m, 10H, H27, H28, H64,H65), 2.04-1.96 (m, 8H, H18, H21, H34, H37), 1.62-1.58 (m, 4H, H26 & H29),1.36 (s, 6H, H57 & H58) 1.34-1.25 (m, 40H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 6H, H11& H44) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ173.5 (エステル C=O), 173.2 (エステルC=O), 156.89 (カルバメートC=O),156.86(カルバメートC=O), 130.2 (アルケン炭素), 129.86 (アルケン炭素), 129.84(アルケン炭素), 100.0 (C50), 70.6 (C2),67.4, 67.3, 64.5 (C47 or C53),64.2(C47 or C53), 62.8 (C1), 59.5 (C48 or C52),59.3 (C48 or C52), 58.3 (C62),45.2 (C64, C65), 41.3 (C3), 38.4 (C61), 34.4(C27or C28), 34.2 (C27 or C28), 32.0, 29.92, 29.88, 29.87, 29.81, 29.7,29.47,29.46, 29.37, 29.35, 29.29, 29.26, 29.25, 27.37 (アリル炭素), 27.33(アリル炭素), 25.00, 24.94 (C58, C59),22.8, 14.3 (C11, C44) ppm. LRMS(ESI) (m/z): [M+H]+ (C52H98O10N3)の計算上924.7、実測値:924.6。
【0126】
【化46】
収率:18%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ5.79-5.77 (m, 1H,NH), 5.38-5.31 (m, 4H, H19, H20, H35, H36),5.13-5.09 (m, 1H, H2), 4.32-4.10 (m,6H, Including H1, H47, H53), 3.69-3.60(m, 4H,H48 & H52), 3.52-3.43 (m, 1H, H3), 3.39-3.27 (m, 3H, H3 & H61),2.77-2.70 (m,6H, H62, H64, H69), 2.33-2.28 (m, 4H, H27 & H28), 2.04-1.96(m, 8H, H18, H21, H34, H37), 1.70-1.58 (m, 12H, H65-68 & H26, H29), 1.36(s, 6H, H58 & H59), 1.34-1.24(m, 40H), 0.89-0.86 (m, 6H, H11 & H44)ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 173.5 (エステルC=O),173.2(エステルC=O), 156.9 (カルバメートC=O), 130.2 (アルケン炭素), 129.85 (アルケン炭素), 129.84アルケン炭素), 100.0 (C50), 70.6 (C2),67.6, 67.5, 67.4,64.5, 64.2, 62.9 (C1), 59.5, 59.3, 56.5 (C62), 55.38, 55.35,41.3 (C3), 39.6,36.6, 34.4 (C27 or C28), 34.2 (C27 or C28), 32.0, 29.91, 29.88,29.87, 29.85, 29.7, 29.47,29.46, 29.37, 29.35, 29.33, 29.30, 29.28, 29.25,27.37 (アリル炭素), 27.33 (アリル炭素),27.1, 25.00, 24.94 (C58 & C59), 22.8, 14.3 (C11 & C44) ppm. LRMS (ESI)(m/z): [M+H]+ (C56H104O10N3)の計算上978.8、実測値:978.7。
【0127】
【化47】
収率:15%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 6.05(s, 1H, NH),5.73 (s, 1H, NH), 5.38-5.31 (m, 4H, H19, H20,H35, H36), 5.11-5.08 (m, 1H, H2),4.31-4.22 (m, 4H), 4.19-4.10 (m, 4H), 3.69-3.60 (m,5H), 3.48-3.33 (m, 2H),3.30-3.25 (m, 2H), 2.88-2.71 (m, 2H), 2.33-2.28 (m, 4H), 2.20-1.97 (m, 8H, H18,H21, H34, H37), 1.831.56 (m, 14H, H26, H29, H62, H66,H67, H68, H70), 1.35 (s,6H, H58, H59), 1.29-1.26 (m, 40H), 0.96 (t, J = 7.4 Hz, 3H, H71), 0.87 (t, J =7.0 Hz, 6H, H11 & H44). 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 173.6, 173.3, 157.2, 156.9, 130.2, 129.84, 129.83, 100.3(C50), 100.0 (C50), 70.5 (C2), 67.4, 64.6,64.5, 64.2, 62.9, 62.8, 59.4, 59.2,58.97, 58.92, 58.85, 58.80, 41.32 (C3),41.27 (C3), 34.4 (C27 or C28), 34.2 (C27or C28), 32.0, 29.90, 29.86, 29.7, 29.46, 29.45, 29.37,29.35, 29.28, 29.24,27.36 (アリル炭素), 27.32 (アリル炭素),25.01, 24.99, 24.92 (C58,C59), 24.89 (C58, C59), 22.8, 14.3 (C11 & C44),10.4 (C71). LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C58H108O10N3)の計算上1006.8、実測値:1006.7。
【0128】
2.5 式Iの構造、より具体的にはIIIcの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【化48】
化合物13(1.0当量)、化合物17(Yaeger et al., 2004)(2.0当量)、DMAP(0.2当量)およびEt3N(5.0当量)を室温でDMFに溶解した。次いで、得られた混合物をアルミニウム箔で覆い、さらに室温で24時間撹拌した後、アミン14(2.5当量)を加えた。次いで、溶媒DMFを減圧下で除去し、粗残渣を酢酸エチルに再溶解した。有機相をまず飽和Na2CO3(水溶液)で色がオフホワイトになるまで洗浄し、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2 /CH3OH=30:1から15:1)によって精製して、化合物18を得た。化合物18 の名称は、その構造のすぐ下に示される。
【化49】
収率:24%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ5.41-5.32 (m, 5H,H19, H20, H35, H36 & NH),5.17 (t, J = 6.2 Hz, 1H, NH), 5.12-5.07 (m, 1H,H2), 4.27 (dd, J = 12.0, 4.4 Hz, 1H, H1), 4.22 (t, J = 4.7 Hz, 4H, H47&H52), 4.12 (dd, J = 12.0, 5.7 Hz,1H, H1), 3.67 (t, J = 4.7 Hz,4H, H48& H51), 3.48-3.34 (m,2H, H3), 3.30-3.25 (m, 2H, H56), 2.44 (t, J = 6.1 Hz,2H, H57),2.31 (td, J = 7.6, 2.3 Hz, 4H, H27 & H28), 2.25 (s, 6H, H59 &H61), 2.00 (q, J= 6.5 Hz, 8H, H18, H21, H34 & H37),1.63-1.58 (m, 4H, H12& H43), 1.32-1.25(m, 40H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 6H, H11 & H44) ppm. 13CNMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 173.6, 173.2, 156.6, 156.5,130.2, 129.85, 129.84, 70.4, 69.7, 69.6, 64.3, 63.9, 62.7, 58.3,45.2, 41.4,38.4, 34.4, 34.2, 32.0, 29.91, 29.86, 29.7, 29.5, 29.35, 29.33, 29.27,29.25,29.23, 27.36, 27.32, 25.01, 24.99, 22.8, 14.3. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+(C49H92O9N3)の計算上866.7、実測値:866.6。
【0129】
【化50】
収率:22%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.66(s, 1H, NH),5.38-5.29 (m, 4H, H19, H20, H35, H36), 5.19 (s,1H, NH), 5.12-5.07 (m, 1H, H2),4.29-4.21 (m, 5H, including H1, H47, H52), 4.12 (dd, J = 12.0, 5.7 Hz, 1H, H1),3.69-3.67 (m, 4H, H48, H51), 3.48-3.34 (m,2H, H3), 3.33-3.29 (m, 2H, H56),2.78-2.69 (m, 6H, H57, H60, H65), 2.31 (td, J = 7.6, 2.5 Hz, 4H, H27, H28),2.03-1.98 (m, 8H, H18, H21, H34,H37), 1.69 (brd, 4H, H26, H29) 1.61 (brd,8H,H62-65), 1.34-1.25 (m, 40H), 0.87 (t, J =7.0 Hz, 6H, H11 & H44) ppm. 13CNMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ173.6 (エステルC=O), 173.2 (エステルC=O), 156.6 (カルバメートC=O), 156.5 (カルバメートC=O), 130.2 (アルケン炭素), 129.85 (アルケン炭素), 129.83 (アルケン炭素),70.4 (C2), 69.7 (C48 or C51), 69.6 (C48 or C51), 64.3 (C47 orC52), 64.0 (C47or C52), 62.7 (C1), 56.7 (C57), 55.4 (C60, C65), 41.4 (C3), 38.2(C56), 34.4(C27 or C28), 34.2 (C27 or C28), 32.0, 29.90, 29.86, 29.7, 29.46,29.45, 29.35,29.33, 29.27, 29.24, 29.22, 27.36 (アリル炭素),27.32 (アリル炭素), 27.1, 25.00, 24.98,22.8, 14.3 (C11 &C44) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C53H98O9N3)の計算上920.7、実測値:920.6。
【0130】
【化51】
収率:16%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d) δ 5.94(s, 1H, NH),5.395.29 (m, 4H, H19, H20, H35, H36), 5.23 (s, 1H, NH), 5.10 (p, J = 5.2 Hz,1H, H2), 4.294.19 (m, 5H, including H1, H47, H52), 4.12(dd, J = 12.0, 5.7 Hz,1H, H1), 3.68-3.65(m, 4H, H48, H51), 3.48-3.34 (m, 2H, H3),3.30-3.23 (m, 2H,H56), 2.95 (brd, 2H, H58 or H65 or H61), 2.58-2.47 (m, 3H, H58 or H65 orH61),2.31 (td, J = 7.6, 2.7 Hz, 4H, H27, H28), 2.03-1.98 (m, 8H, H18, H21, H34,H37),1.81-1.54 (m, 14H, H26, H29, H57, H62, H63, H64, H66), 1.29-1.25 (m,40H),0.93-0.86 (m, 9H, H11, H44, H67) ppm. 13C NMR (100 MHz、クロロホルム-d) δ 173.6 (エステルC=O), 173.3 (エステルC=O), 156.8 (カルバメートC=O), 156.2 (カルバメートC=O), 70.5 (C2),69.66 (C48 or C51), 69.60 (C48 or C51), 64.3 (C47 orC52), 63.9 (C47 or C52),62.7 (C1), 51.0 (C58, C61, C65. 信号が打ち消されてピークが弱い), 41.4 (C3), 34.4 (C27 or C28), 34.2 (C27 or C28), 32.0, 29.90,29.86,29.7, 29.46, 29.45, 29.35, 29.33, 29.27, 29.24, 29.22, 27.36 (アリル炭素),27.31 (アリル炭素), 25.01, 24.98, 22.8, 14.3(C11 & C44), 10.3 (C67)ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C55H102O9N3)の計算上948.8、実測値:948.7。
【0131】
2.5 式Iの構造、より具体的には式Vの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【化52】
【0132】
化合物19の合成
N-BOC-ジエタノールアミン(5.43 g、0.03 mol)および2-ヘキシルデカン酸のCH2Cl2(30 mL)撹拌溶液に0℃で、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(13.1 g、0.06 mol)、TEA(6.42 g、0.06 mol)およびDMAP (0.66 mg、0.005 mol)を加えた。次いで、反応混合物をアルミホイルで覆い、0℃で1時間激しく撹拌した。反応物を室温で48時間撹拌した。次いで、反応混合物をろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15:1)で精製し、化合物19を褐色油状物として得た(2.84 g、17.00 %)。
【0133】
化合物20の合成
次いで、化合物19をCH2Cl2/CF3COOH(10 mL/10 mL)の混合溶媒に溶解した。室温で30分間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物20を真空下でさらに乾燥させ、さらに精製することなく使用した。
【0134】
化合物21の合成
化合物20(1.0当量)、化合物1(2.0当量)、DMAP(0.2当量)およびEt3N(5.0当量)を室温でDMFに溶解した。次いで、得られた混合物をアルミニウム箔で覆い、さらに室温で24時間撹拌した後、アミン14(2.5当量)を加えた。5時間後、溶媒DMFを減圧下で除去し、粗残渣を酢酸エチルに再溶解した。有機相をまず飽和Na2CO3(水溶液)で色がオフホワイトになるまで洗浄し、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー((CH2Cl2 /CH3OH=30:1から10:1)によって精製して、化合物21を得た。化合物21の名称は、その構造のすぐ下に示される。
【化53】
収率:16%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d)4.39-4.28 (m, 4H, H56& H58), 4.23-4.16 (m, 4H, H23 & H28), 3.58-3.51(m, 4H, H57 & H59),3.38-3.29 (m, 2H, H33), 2.99-2.88 (m, 4H, H24 &H27),2.61-2.51 (m, 2H, H34), 2.41-2.27 (m, 8H, H4, H36, H37 & H39),1.64-1.38 (m, 8H,H6, H7, H40 & H41), 1.32-1.20 (brd, 40H), 0.87 (t, J = 6.8Hz, 12H, H17, H19, H51 & H53) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C48H89O8N3S2)の計算上876.6、実測値:876.5。
【0135】
【化54】
収率:28%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d)4.39-4.28 (m, 4H, H56& H58), 4.23-4.15 (m, 4H, H23 & H28), 3.55 (m,4H, H57 & H59),3.33-3.24 (m, 2H, H33), 2.98-2.89 (m, 4H, H24 &H27),3.63- 2.54 (brd, 8H, H36, H37, H60, H62) 2.51 (t, 2H, J =6.0 Hz, H34),2.36 (s, 3H, H63) 2.34-2.28 (m, 2H, H4 & H39), 1.65-1.37 (m,8H, H6, H7, H40& H41), 1.33-1.20 (brd,40H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 12H, H17,H19,H51&H53) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C49H94O8N4S2)の計算上931.7、実測値:931.5。
【0136】
【化55】
収率:20%。無色のオイル。1HNMR (400 MHz、クロロホルム-d)4.40-4.27 (m, 4H, H54& H56), 4.24-4.16 (m, 4H, H23 & H28), 3.55 (m,4H, H55 & H57),3.38-3.28 (m, 2H, H33), 3.03-2.89 (m, 6H, H24, H27 &H63),3.03-2.28 (m, 2H, H4 & H37), 2.18-1.68 (m, 10H, H34, H60, H61, H62& H64) 1.65-1.38(m, 8H, H6, H7, H40 & H41), 1.25 (brd, 40H), 1.01 (t, J= 7.4 Hz, 3H, H65) 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 12H, H17, H19, H51 & H53) ppm. LRMS(ESI) (m/z): [M+H]+ (C52H99O8N3S2)の計算上958,7、実測値:958.7。
【0137】
【化56】
収率:68%。無色のオイル。1H NMR (400 MHz、クロロホルム-d) 4.39-4.25 (m, 4H,H54,H56), 4.25-4.15 (m, 4H, H23,H28),3.58-3.51 (m, 6H, H33,H55 & H57),2.99-2.88 (m, 8H, H24, H27, H58 & H63), 2.40-2.26(m, 2H, H4 & H37),2.00-1.64 (m, 10H, H34, H59, H60, H61 & H62), 1.63-1.38 (m, 8H,H6, H7, H38& H39), 1.32-1.20 (brd, 40H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 12H, H17,H19, H49 &H51) ppm. LRMS (ESI) (m/z): [M+H]+ (C50H95O8N3S2)の計算上930.7、実測値:930.6
【0138】
2.6式Iの構造またはより具体的には式VIaの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【0139】
【化57】
【0140】
2.7 式Iの構造、より具体的には式VIbの構造によって表される脂質の一般的な合成経路を以下に示す。
【化58】
【0141】
実施例2:インビトロ実験
【0142】
材料と方法:
【0143】
mRNA合成:
【0144】
eGFP および ホタルルシフェラーゼをコードする mRNAは、5’および3’UTR とポリAテールを組み込んだ線状 DNA テンプレート (peTheRNAvs3 ベクター) からの T7 媒介転写によってインビトロで調製された。最終的な mRNA は Cap1 を利用し、ウリジンを N1-メチル-シュード-ウリジンで 100% 置換する。
【0145】
LNP合成:
【0146】
脂質ベースのナノ粒子は、NanoAssemblr Benchtop (PrecisionNanosystems)を使用して、酢酸ナトリウムバッファー (100 mM、pH4) 中の mRNA 溶液と脂質溶液を 2:1 の体積比で9mL/minの速度でマイクロ流体混合することによって生成される。脂質溶液には、対象のイオン化可能な脂質であるDSPC、DOPCまたはDOPE(Avanti)、コレステロール(Sigma)およびDMG-PEG2000(Sunbright GM-020、NOF Corporation)の混合物が含まれていた。4 つの脂質を 6 つの異なるモル比で混合した。LNP は、Slide-a-lyzer 透析カセット (20K MWCO、3 mL、ThermoFisher) を使用して、TBS (LNP 容量の 10000 倍の TBS 容量) に対して透析された。サイズ、多分散性、およびゼータ電位は、Zetasizer Nano (Malvern) を使用して測定された。mRNAのカプセル化は、標準的なRibogreen RNAアッセイ(Invitrogen)によって測定した。
【0147】
細胞株:HEK-TS/A-CT26-B16
【0148】
増殖培地、継代培養比率、培地更新の推奨事項など、細胞の種類ごとの最適な培養条件を以下にまとめる。接着細胞を回収するために、使い切った増殖培地を廃棄し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Sigma)で2回洗浄した後、トリプシン-EDTA(0.05%)(Gibco、Thermo FisherScientific)を添加して細胞をほぐした。培地は、細胞が約70% のコンフルエントに達するたびに、2 ~3 日ごとに更新する必要がある。細胞生存率は、Vi-Cell XR CellViability Analyzer (Beckman Coulter) を使用して測定した。
【0149】
表1:細胞の種類に応じた培養条件
【表1】
【0150】
トランスフェクション
【0151】
細胞を、20~30×10e4細胞/100μl完全増殖培地(細胞型ごとに特異的)の密度で96ウェルプレートにプレーティングした。細胞が70~90%コンフルエントに達したときにトランスフェクションを実行した。ポジティブコントロールのリポフェクタミン(MessengerMAX、Invitrogen)をOptiMEM(血清減少、Gibco)で希釈し、10分間インキュベートした。その間に、eGFP mRNAおよびeGFP mRNAをカプセル化するLNPをOptiMEMで希釈して、mRNA含有量が200および50ng/ウェルの濃度になるようにした。mRNA:脂質複合体を1:1の比率で5分間インキュベートし、各条件に4つずつ加えた。細胞を37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。その後、1×TrypLE選択酵素(Gibco)を使用して細胞を回収し、FACSバッファー(1%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.09%アジ化物(すべてSigma製)を添加したPBS)中で生/死マーカーSYTOXブルー(Life Technologies)で染色した。生死マーカーの添加後、Attune Nxt フローサイトメーター (Thermo FisherScientific) を使用して細胞を直ちに取得した。リポフェクタミンのみ (mRNA を添加しないリポフェクタミン処理) およびブランコ細胞または未処理 (UT) 細胞をネガティブコントロールとして含めた。
【0152】
フローサイトメトリー:
【0153】
E7 特異的 CD8 T 細胞応答:
腫瘍接種後 14 日目と 25 日目に血液をヘパリンでコーティングしたチューブに採取した。赤血球を溶解し、残った白血球を生存色素で染色した。インキュベーションおよび洗浄後、APC標識E7(RAHYNIVTF)-デキストラマー(Immudex)を添加し、室温で30分間インキュベートした。過剰なデキストラマーを洗い流し、表面分子CD3およびCD8に対する抗体混合物を細胞に添加し、4℃で30 分間インキュベートした。
【表A】
【0154】
eGFP発現
eGFP 発現を評価するために、細胞を SYTOX ブルーで染色した。SYTOX ブルー 陰性細胞のゲート内で、eGFPの発現レベルが決定された。相対平均蛍光強度 (rel MFI) は、発現マーカーのMFI値をトランスフェクトされていない細胞のMFI値で割ったものとして計算した。
【0155】
データは Attune Nxt サイトメーターで取得し、Flow Jo ソフトウェアで分析した。フローサイトメトリーデータは、Flowjoバージョン10ソフトウェアを使用して分析した。
【0156】
腫瘍接種と腫瘍内注射:
CT26腫瘍接種には、Balb/cマウスを使用した。B16F10腫瘍接種には、C57/BL6マウスを使用した。皮下腫瘍接種の準備として、2.5% イソフルランを使用してマウスを麻酔し、注射部位を剃った。注射部位は通常、左脇腹下部の後部/側面である。接種を目的とする場合、細胞は約1週間培養し、解凍後は継代が3から5の間である必要がある。冷却した腫瘍細胞溶液を、0.5×10e6細胞/50μl PBSの用量で皮下注射した。腫瘍の増殖は、Caliper デバイスを使用して 2から3 日ごとに測定した。次の式を使用して腫瘍サイズを計算した:(腫瘍の幅 * 腫瘍の幅 * 腫瘍の長さ)/2。腫瘍が平均体積50~100 mm3 に達したら、ホタルルシフェラーゼ mRNA を含む LNP (20μl TBS バッファー中10μg mRNA) またはコントロールバッファー (TBS) を腫瘍に注射した。注射後、痛みや合併症の兆候が見られずに完全に覚醒するまで、マウスを常に5~10分間モニターした。
【0157】
インビボ生物発光:
腫瘍および肝臓における Fluc mRNA 発現を、注射後6 時間および 24 時間で評価した。マウスに D-ルシフェリン (Promega) を腹腔注射することにより、生体内イメージング (IVISSpectrum System) を通じて生物発光を測定することができる。生物発光は、LNPに封入されたホタルmRNA由来の酵素ルシフェラーゼとその基質であるD-ルシフェリンとの間で起こる酸化反応によって発生する。Living Image Software (PerkinElmer) を使用して腫瘍と肝臓の関心領域 (ROI) を指定し、その後、これらの ROI 内で平均放射輝度 (p/s/cm2/sr) を計算した。使用したさまざまな LNPタイプの忍容性をモニターするために、注射後 6 時間および24 時間の体重を無作為化日のベースライン体重と比較した。
【0158】
データ分析:
すべての生データは、Graph Pad Prismバージョン7ソフトウェアを使用して分析した。
【0159】
実施例2.1:示されたLNP組成物によるHEK293T細胞のインビトロトランスフェクション時のレポーターeGFP mRNAの発現レベル。
【0160】
LNPは、イオン化可能な脂質/DOPE/コレステロール/DMG-PEG2000の標準モル比約50/10/38.5/1.5で生成された。MC-3はOnpattroで使用されるイオン化可能な脂質であり、最先端技術と考えられる。eGFP mRNA は、mRNA/イオン化可能な脂質のモル比 1/10でレポーター mRNA としてすべての LNP にカプセル化された。
【0161】
表2:
【表2】
【0162】
表2に詳述されているように、RiboGreen アッセイで測定したところ、すべての LNP は高いカプセル化効率を示した。サイズおよび多分散指数は、MalvernZetasizer の動的光散乱 (DLS) によって評価された。MC-3はOnpattroで使用されるイオン化可能な脂質であり、最先端技術と考えられる。
【0163】
図1は、mRNA濃度が50ngおよび200ng/ウェルの示されたLNP、またはポジティブコントロールとしてのMC3とインキュベートしたときの、HEK293T細胞におけるeGFP発現の相対平均蛍光強度(未処理細胞と比較したeGFPMFIの増加倍数として測定)を示す。この図から明らかなように、全体として、本発明のLNPは、ポジティブコントロールサンプルと比較して同等以上の性能を発揮する。
【0164】
実施例2.2:示された LNP 組成物による HEK293T および癌細胞株 (CT26-B16F10-TS/A) のインビトロトランスフェクション時のレポーターeGFPmRNAの発現レベル
【0165】
LNPは、イオン化可能な脂質/リン脂質/コレステロール/DMG-PEG2000の標準モル比約50/10/38.5/1.5で生成された。MC-3はOnpattroで使用されるイオン化可能な脂質であり、最先端技術と考えられる。リン脂質としてDSPCを使用して製剤化されたMC-3ベースのLNPを除き、すべてのLNPはDOPEを使用して製剤化された。eGFPmRNAは、mRNA/イオン化可能な脂質のモル比1/10でレポーターmRNAとしてすべてのLNPにカプセル化された。
表3:
【表3】
【0166】
図2は、複数の細胞株において、LNPがポジティブコントロールMC3と比較して同等以上の性能を発揮することを再度示している。具体的には、S-S リンカーモチーフと DOg アシル鎖を組み合わせたイオン化可能な脂質を含むLNPが、細胞のトランスフェクションにおいて最も効率的だった。アミン基に関しては、Ac7 が Ac6e および Adm よりも優れていた。
【0167】
実施例2.3: mol% PEG脂質と窒素/リン酸(N:P) 比の関連性の評価
LNPの物理化学的特性および細胞トランスフェクト能力に対する %DMG-PEG2000 およびイオン化可能な脂質:mRNAのモル比の影響を評価するために、3 mol% DMG-PEG2000 を用いて、3種類のN:P比で9個のmRNALNPを生成した。すべてのLNPはイオン化可能な脂質として S-Ac7-Dog に基づいていた。eGFP mRNAは、インビトロでのトランスフェクション効率の評価を可能にするためにカプセル化された。
【0168】
表4:DLSによって測定された、示されたLNP組成物のサイズおよびPDI。
【表4】
【0169】
図3Aおよび 図3Bは、どのLNPも、それぞれトランスフェクトされたHEK293T細胞およびCT26細胞の生存率に重大な影響を及ぼさないことを示す。
【0170】
% DMG-PEG2000 の減少により、LNPサイズが増加した。1.5% DMG-PEG2000を含むLNPは、テストしたN:P比全体でトランスフェクション効率の向上を示した。HEK293T 細胞をトランスフェクトするには、N:P 10 が最も効率的だった(図4A)。CT26 腫瘍細胞をトランスフェクトするには、N:P 20 がN:P 10およびN:P5比よりも優れている(図4B)。
【0171】
実施例2.4:皮下増殖する CT26 腫瘍の腫瘍内 mRNALNP 注射時のインビボmRNA 発現。
【0172】
Balb/c マウスに CT26 腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均体積50~100 mm3 に達したら、腫瘍にそれぞれの mRNA LNP (10 μg mRNA;20 μl 体積;TBS バッファー) またはコントロールバッファーを注入した。腫瘍(図5A)および肝臓(図5B)におけるFlucmRNA発現を、注射後6時間および24時間のインビボ生物発光測定によって評価した。S-Ac7-Dog ベースの LNP による mRNA 送達は、MC-3ベースのベンチマーク LNP と比較して腫瘍内で同様のFluc 発現レベルをもたらしたが、肝臓ではオフターゲット発現が大幅に減少した。S-Ac-DogによるmRNA送達では体重減少は観察されなかったが(図5C)、MC-3による送達では有意な体重減少が生じた。
【0173】
実施例2.5:皮下増殖する B16F10 腫瘍の腫瘍内 mRNA LNP注射時のインビボmRNA 発現。
【0174】
Balb/c マウスに CT26 腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均体積100 mm3 に達したら、腫瘍にそれぞれの mRNA LNP(10 μg mRNA; 20 μl 体積; TBS バッファー) またはコントロールバッファーを注入した。腫瘍(図6A)および肝臓(図6B)におけるFluc mRNA発現を、注射後6時間および24時間のインビボ生物発光測定によって評価した。S-Ac7-DogベースのLNPによるmRNA送達は、MC-3ベースのベンチマークLNPと比較して腫瘍におけるFluc発現レベルの増加をもたらしたが、肝臓におけるオフターゲット発現の大幅な減少を示した(図6C)。S-Ac-DogによるmRNA送達では体重減少は観察されなかったが、MC-3による送達では顕著な体重減少が生じた。
【0175】
実施例2.6:筋肉内ワクチン接種時のT細胞応答の誘導
【0176】
C57BL/6 マウスに、1日目と8日目にイオン化可能な脂質として S-Ac7-Dog または MC-3 を含む LNP にカプセル化された E7 mRNA 10 μg を筋肉内ワクチン接種した。LNPは、S-Ac7-Dog/mRNAのモル比10:1で配合された。E7特異的CD8T細胞応答を、各ワクチン接種の6日後にフローサイトメトリーによって測定した(図7)。
【0177】
実施例3:mRNA LNP 筋肉内ワクチン接種時の抗原特異的CD8T 細胞の誘導
【0178】
材料と方法:
筋肉内注射と筋肉厚さの評価:
すべてのマウスは病原体のない特定の条件下で飼育され、動物実験はゲント大学の動物管理使用委員会(ECD20/100) によって承認されたプロトコールとガイドラインに基づいて実施された。マウスの大腿二頭筋に、TBS中のmRNA LNP(50μl容量、5μgのmRNA)を注射した。注射部位の筋肉の厚さは、注射後 1日目と4日目に電子外部測定ゲージ (K220T、Kroeplin) を使用して測定した。
【0179】
フローサイトメトリー (E7 特異的 CD8 T 細胞応答の評価): Anna
フローサイトメトリー染色用の全血100μlを初回免疫後の7日目および追加免疫後の14日目に採取した。赤血球溶解 (RBC 溶解バッファー、420302 Biolegend) 後、全血球を 0.5 μg/テストのマウス BD Fc ブロック商標 (BD、553142) およびZombie Aqua viability 色素 (Biolegend、423102) とともにインキュベートした。インキュベーションおよび洗浄後、5μl/テストのAPC標識E7(RAHYNIVTF)-デキストラマー(Immudex、JA2195)を添加し、室温(RT)で30分間インキュベートした。洗浄工程後、テストごとに以下の量のFACSバッファー (PBS、2mMEDTA、1%BSA) 中の抗体混合物との30分間のインキュベーション中に、細胞の表面染色を行った:
CD3 PerCP-eFluor710 (Invitrogen、46-0032-82)、CD8-V450 (BD Biosciences、560469)、KLRG1 (Biolegend、138408)、および CD127-BV605 (Biolegend、135041)。次の洗浄後、ステムサンプル(stem sample)を 3 レーザー AtuneNxt フローサイトメーター (ThermoFisher、A29003) で取得し、データを FLowJo v10.7.1 ソフトウェア (BD Biosciences、FlowJo ポータルアカウント) で分析した。
【0180】
LNP 産生
LNP 製剤は、siRNA LNP 合成について従前に記載された方法の修正手順を使用して調製した。すべての製剤は、N/P 比 10 で無菌的に調製した。全ての脂質成分を50:10:38.5:1.5モル%(イオン化可能な脂質/DSPC/コレステロール/DMG-PEG2000)のモル比でエタノールに溶解した。DSPC、コレステロール、DMG-PEG2000は Avanti Polar Lipids (Alabaster、Alabama、USA) から購入し、イオン化可能な脂質は社内で合成した。エタノール中の最終脂質濃度は10 mg/mL に固定した。E7 mRNAを100 mM酢酸バッファー(Sigma Aldrich、Saint-Louis、 Missouri、USA)pH 4に溶解した。エタノール相と水相を、マイクロ流体ミキサー(NanoAssemblr(登録商標) BenchTop(Precision Nanosystems、Vancouver、BC))を2:1(水:エタノール)の比で使用して混合した。その後、MWCO 20,000Da の Slide-A-Lyzer(登録商標) 透析カセット(Thermo Scientific、Massachusetts、USA) を使用して、製剤を 1X 滅菌TBS pH 7.4 (Sigma Aldrich、Saint-Louis、Missouri、USA) に対して18時間透析した。その後、精製した製剤を、Amicon 超遠心フィルター (EMD Millipore、Massachusetts、USA) を使用して濃縮した。最後に、TBS で最終希釈する前に、正確な濃度と E.E. % をリボグリーンアッセイによって決定した(製剤あたり 100 μg/mL E7 mRNA)。動的光散乱ゼータサイザーナノZS(Malvern Pananlytical Ltd.、Malvern、UK) を使用して、すべての製剤のサイズとPDIを特性評価し、その後 4℃で保存した。各製剤の物理化学的特性を表5に示す。
【0181】
表5:さまざまな LNP 製剤の関連する物理化学的特性のリスト。これらには、イオン化可能な脂質の種類、組成、各成分のモル分率、動的光散乱によって決定されるサイズおよび PDI 、およびカプセル化効率が含まれる。カプセル化効率はリボグリーンアッセイによって測定した。
【表5】
【0182】
結果:
それぞれの mRNA LNP ワクチンは、筋肉内免疫化時に強力な E7 特異的 CD8 T 細胞応答を誘導したが、これは明らかにイオン化可能な脂質の化学的影響を受けた(図8)。Onpattroの送達に使用されるイオン化可能な脂質である MC-3 を配合した LNP とは対照的に、目的のイオン化可能な脂質を配合した LNP は、注射部位に重大な浮腫(筋肉厚の相対的な増加によって測定)を引き起こさなかった(図9)。
【0183】
実施例4:筋肉内mRNAワクチン接種時の抗 HA (血球凝集素) 免疫応答の誘導
【0184】
材料と方法:
【0185】
フローサイトメトリー (ICS):
収集した2x10e6脾細胞を、HA/プエルトリコ/8/1934 H1N1(PepMix(商標)インフルエンザA、JPT、PM-INFA-HAPR)由来の139ペプチドを1μg/ペプチド/mlの濃度で含むペプチドライブラリーで刺激した。20ng/ml PMA(79346-1MG、Sigma) および 1μg/ml イオノマイシン (I0634-1MG、Sigma) で処理した脾細胞をポジティブコントロールとして使用した。0.065 μg/サンプルの CD107a-BV711 (564348、BD) 抗体を活性化刺激とともに添加した。細胞を5時間刺激した。刺激の開始から 1 時間後、1X GolgiPlug (555028、BD) を添加してサイトカイン分泌を停止した。続いて、細胞を表面染色用の抗体のカクテルとともにインキュベートした:0.125 ug/テスト CD4-FITC (Biolegend、100509)、0.02 ug/テストThy1.2-Alexa700 (Biolegend、140323)、0.05 ug/テスト CD8-eFluor450 ( eBioscience、48-0081-82)。製造元のガイドラインに従って、BDCytofix/Cytoperm Plus Fixation/ Permeabilization Solution Kit (555028、BD) を使用して細胞を固定し、透過処理をした。細胞は以下の濃度のmAbを含む透過化バッファーで染色した:0.03 ug/テスト IFNg -PE (BD、554412)、0.065 ug/テストCD154-PerCP-eFluor710 (ebioscience、46-1541-80)、0.62 ul/テスト Granz -AF647 (Biolegend、515406)、0.125ug/テストIL2-BV605 (BD、563911)、0.065ug/mlTNFα-BV785 (Biolegend、506341)。細胞は、Attune Nxt フローサイトメーター (Thermo Fisher、A29003) で分析した。前方光散乱および側方光散乱を使用して単核細胞をゲートし、次にFCS-A および FCS-H 散乱を使用してデュプレット(duplet)を識別し、次に固定可能な死細胞染色蛍光に基づいて死細胞をゲートアウトした。追加のゲートはすべて示されており、該当する場合は蛍光から1つのコントロールを引いた値に基づく。データの取得と分析は、FlowJo v10.7.1 ソフトウェア (BDBiosciences) を使用して行われた。
【0186】
マウスエンドポイント免疫グロブリン力価の評価
マウス全血100ulを21日目と35日目に血清ゲルチューブ(SarsTedt)に採取した。 4℃、10000gで10分間遠心分離することにより血餅から血清を分離した。黒色平底マキシソープ96ウェルプレート(437111、Life Technologies)を、炭酸塩/重炭酸バッファー(0.1 M、pH 9.6)中の1μg/mlの組換えH1N1(A/プエルトリコ/8/1934)HAタンパク質(Sino Biological、11684-V08H)100μlで4℃で一晩コーティングした。続いて、プレートを、PBS (w/v)中の3% BSA (05479-250g、Sigma) 100μlで2時間ブロックした。続いて、プレートをPBS/0.1%Tween(10113103、Fisher Scientific)で3回洗浄した。血清サンプルの段階希釈物をプレートに添加した(21日目については血清の最初の100倍希釈、および35日目については最初の1000倍の血清希釈; 5倍希釈工程)。室温で2時間インキュベートした後、プレートを5回洗浄し、HRPと結合したウサギ抗マウスIgG1(1:15,000、Biorad、OBT1508P)またはHRPと結合したヤギ抗マウスIgG2a(1:8000、STAR133P Biorad)の溶液をさらに1時間添加した。最終洗浄後、蛍光 Amplex UltraRed 試薬 (A36006、Invitrogen) を使用して、製造元の指示に従ってプレートを処理した。プレートは Tecan Infinite 200 Pro でλex=540nm、λem=590nm で読み取った。TBS 処理マウスの血清の希釈は、TBS サンプルで測定された蛍光の平均値に標準偏差3を加えた値であり、カットオフの決定に役立った。カットオフを超えたすべての点は定量限界を下回っているとみなされた。5PL曲線を希釈データに適合させ、次いでエンドポイント力価をモデル化された曲線のカットオフとの交点で計算した。
【0187】
LNP 産生:
LNP製剤を上記のように調製した。すべての製剤は、N/P比10で無菌的に調製した。動的光散乱ゼータサイザーナノ ZS (Malvern Pananlytical Ltd.、Malvern、UK) を使用して、すべての製剤のサイズと PDI を特性評価し、その後 4℃ で保存した。各製剤の物理化学的特性を表6に示す。
【0188】
表6:さまざまな LNP製剤の関連する物理化学的特性のリスト。
これらには、イオン化可能な脂質の種類、組成、各成分のモル分率、(動的光散乱によって決定される)サイズおよびPDIならびにカプセル化効率が含まれる。カプセル化効率はリボグリーンアッセイによって測定した。
【表6】
【0189】
結果:
それぞれの mRNA LNP ワクチンは抗 HA抗体力価を誘導した。追加免疫後に力価の明らかな増加が観察された(図10)。さらに、mRNA LNP ワクチンは、HA に対する IFNg+ CD8 T 細胞応答も誘発したが、これは使用したイオン化可能な脂質の化学的影響を受けた(図11)。
【0190】
実施例5:筋肉内ワクチン接種時のE7特異的CD8 T細胞応答の誘導
【0191】
材料と方法:
フローサイトメトリー (E7特異的CD8 T細胞応答の評価):
フローサイトメトリー染色用の全血 100 μl を初回免疫後7 日目および追加免疫後 14 日目に収集した。赤血球溶解(RBC 溶解バッファー、420302 Biolegend) 後、全血細胞を0.5 μg/サンプルのマウス BD Fc Block(商標) (BD、553142) およびZombie Aqua viability 色素(Biolegend、423102)とともにインキュベートした。インキュベーションおよび洗浄後、5μl/サンプルのAPC標識E7(RAHYNIVTF)-デキストラマー(Immudex、JA2195)を添加し、室温(RT)で30分間インキュベートした。洗浄工程後、テストごとに以下の量のFACS バッファー (PBS、2mMEDTA、1%BSA) 中の抗体混合物との30分間のインキュベーション中に、細胞の表面染色を行った:
CD3 PerCP-eFluor710 (Invitrogen、46-0032-82)、CD8-V450 (BD Biosciences、560469)、KLRG1 (Biolegend、138408)、および CD127-BV605 (Biolegend、135041)。サンプルは3レーザー AtuneNxt フローサイトメーター (ThermoFisher、A29003) で取得し、データは FLowJo ソフトウェア (FlowJo_v10.7.1、FlowJo ポータル アカウント) で分析した。
【0192】
LNP 産生:
LNP製剤を上記のように調製した。 すべての製剤は、N/P比10で無菌的に調製した。動的光散乱ゼータサイザーナノ ZS (Malvern Pananlytical Ltd.、Malvern、UK) を使用して、すべての製剤のサイズと PDI を特性評価し、その後 4℃ で保存した。各製剤の物理化学的特性を表7に示す。
【0193】
表7:さまざまなLNP製剤の関連する物理化学的特性のリスト。
これらには、イオン化可能な脂質の種類、組成、各成分のモル分率、(動的光散乱によって決定される)サイズおよびPDIならびにカプセル化効率が含まれる。カプセル化効率はリボグリーンアッセイによって測定した。
【表7】
【0194】
結果:
それぞれの mRNA LNPワクチンは、筋肉内免疫化時に強力な E7特異的CD8 T細胞応答を誘導したが、これは明らかにイオン化可能な脂質の化学的影響を受けた(図12)。S-Ac7-DHDaに基づくLNPは、MC-3と比較して優れたT細胞応答を誘導した(図13)。
【0195】
実施例6:ペプチド抗原およびイミダゾキノリン TLR7/8 アゴニストを共カプセル化したLNPによる静脈内免疫
【0196】
材料と方法
脂質ナノ粒子(LNP)製剤
E7 の最小エピトープ アミノ酸配列 (RAHYNIVTF) は、天然 E7 タンパク質のアミノ酸配列由来の10個のグルタミン酸残基および隣接アミノ酸配列(QAEPD) および2個のセリン残基 (SS) で拡張された。得られたペプチド (EEEEEEEEEEESSQAEPDRAHYNIVTF) は、さらにGLU10-E7 と呼ばれる。未製剤化(unformulated)コントロールとして SSQAEPDRAHYNIVTF が使用され、さらに E7 とも呼ばれる。TLR7/8 アゴニスト 1-(4-(アミノメチル)ベンジル)-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン(IMDQ) は、10個のグルタミン酸残基を含むペプチドと結合した。この結合体はさらに GLU10-IMDQ と呼ばれます。蛍光ベースの追跡では、10個のグルタミン酸残基を含む Cy5 標識ペプチド (GLU10-Cy5 とも呼ばれる) を使用した。
LNP 製剤の場合、GLU10-E7 (または蛍光ベースの追跡実験の場合は GLU10-Cy5) および GLU10-IMDQ を含む水相を 25 mM 酢酸バッファー (pH 5.2) GLU10-E7 または GLU10-IMDQ で調製した。S-Ac7-DOG、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEGを50:10:38.5:1.5のモル比で溶解することによって有機相を調製した。ペプチドとイオン化可能な脂質の比率は、N:C 比 5:1 に固定した (N:イオン化可能な脂質由来のイオン化アミン、C:グルタミン酸残基由来のカルボン酸)。有機相を激しく撹拌している水溶液に滴下することにより、有機溶液と水溶液を1:3の比で混合した。続いて、形成されたLNPを、3.5 kDaカットオフ透析膜を使用してPBSに対して12時間透析し、エタノールを除去する。
【0197】
結果と方法
未製剤化の可溶性ペプチド (GLU10-Cy5) と比較して、LNP製剤化ペプチド (LNP (GLU10)) は、静脈内投与後の脾臓におけるマクロファージおよび樹状細胞 (cDC1 および cDC2 サブセット) によるペプチドの取り込みが大幅に増加する(図14)。また、B細胞およびわずかにT細胞がペプチドと結合するようになる。LNP での GLU10-IMDQ の共製剤化(Co-formulation)により、マクロファージ、cDC1 樹状細胞、B 細胞および T 細胞 (CD4+ および CD8+ T 細胞サブセット) による脾臓でのペプチドの取り込みがさらに増加する。
【0198】
TLR7/8 アゴニスト GLU10-IMDQ を含むLNPは、静脈内投与後に脾臓内の樹状細胞 (cDC1およびcDC2サブセット)、B 細胞および T 細胞 (CD4+およびCD8+ T細胞サブセット) を活性化できる(図15)。
【0199】
未製剤化(unformulated)の可溶性ペプチド E7 抗原、および TLR7/8 アゴニスト IMDQ でアジュバント添加された可溶性ペプチド E7 抗原と比較して、GLU10-E7 ペプチド抗原および GLU10-IMDQ を含む LNP は、2週間の間隔を空けて2回接種後に免疫マウスの血液中の四量体陽性 CD8 T 細胞の強力な増加を誘導する。抗原と TLR7/8 アゴニストを同じ LNP 内で投与すると、抗原または TLR7/8 アゴニストをそれぞれ含む別々のLNPの集団よりも高い応答が誘導される(図16)。
【0200】
実施例7:ポリI:C LNPおよびタンパク質抗原による筋肉内免疫化
【0201】
材料と方法
脂質ナノ粒子(LNP)製剤
LNP 製剤は N/Pratio 10 で調製された。全ての脂質成分を50:10:38.5:1.5モル%(S-Ac7-DOg/DOPE/コレステロール/DSG-PEG2000)のモル比でエタノールに溶解した。低分子量ポリ I:C を 100 mM 酢酸バッファー (pH 4) に溶解した。激しく撹拌している水溶液に有機相を滴下することにより、エタノール相と水相を1:3の比で混合した。続いて、形成された LNP を 3.5 kDa カットオフ透析膜を使用して PBS に対して 12 時間透析してエタノールを除去する。
【0202】
結果と方法
ナイーブポリ I:C と比較して、LNP 中のポリ I:C の製剤は、抗 S1 スパイクタンパク質 IgG 抗体力価を増加させる。これらの力価は、S1 Spike タンパク質がLNP表面に結合するとさらに増加する(図17)。
【0203】
実施例8:CpG LNP およびタンパク質抗原による筋肉内免疫化
【0204】
材料と方法
脂質ナノ粒子(LNP)製剤
LNP 製剤は N/P 比 10 で調製した。全ての脂質成分を50:10:38.5:1.5モル%(S-Ac7-DOg/DOPE/コレステロール/DSG-PEG2000)のモル比でエタノールに溶解した。CpG を 100 mM 酢酸バッファー(pH 4) に溶解した。激しく撹拌している水溶液に有機相を滴下することにより、エタノール相と水相を1:3の比で混合した。続いて、形成された LNP を 3.5 kDa カットオフ透析膜を使用して PBS に対して 12 時間透析してエタノールを除去する。
【0205】
結果と方法
天然の CpG と比較して、LNP に CpG を製剤化すると、抗オボアルブミン (OVA) IgG 抗体力価が増加する(図18)。
【0206】
参考文献
1. Amano, Y.;Umezawa, N.; Sato, S.; Watanabe, H.;Umehara, T.; Higuchi, T. Activation oflysine-specific demethylase 1 inhibitorpeptide by redox-controlled cleavage ofa traceless linker. Bioorg. Med.Chem.2017, 25, 1227-1234.
2. Shenoi, R. A.;Lai, B. F. L.; Kizhakkedathu, J. N.Synthesis, characterization, andbiocompatibility of biodegradable hyperbranchedpolyglycerols fromacid-cleavable ketal group functionalized initiators.Biomacromolecules 2012, 13, 3018-3030.
3. Luo, C.; Miao,L.; Zhao, Y.; Musetti, S.; Wang, Y.;Shi, K.; Huang, L. A novel cationic lipidwith intrinsic antitumor activity tofacilitate gene therapy of TRAIL DNA. Biomaterials 2016, 102, 239-248.
4. Yeager, A. R.;Finney, N. S. The first directevaluation of the two-active site mechanism forchitin synthase. J. Org. Chem.2004, 69, 613-618.
【0207】
図面の用語
well ウェル
viability 生存率
within gate debris out ゲート内でデブリが出る
blanc ブランク
Lipo only Lipoのみ
Relative MFI eGFP相対MFIeGFP
within gate alive ゲート内で生存
positive 陽性
Average radiance 平均輝度
Tumor 腫瘍
6hrs after IT-injection IT注射後6時間
24hrs after IT-injection IT注射後24時間
Liver 肝臓
Body weight 体重
Tumor expression 腫瘍発現
Liver expression 肝臓発現
Tumor/liver ratio 腫瘍/肝臓割合
E7-specific CD8 Tcells E7特異的CD8T細胞
Immunization ワクチン接種
muscle thichness 筋肉厚さ
injected 注射
noninjected 非注射
endpoint titersエンドポイント力価
titer 力価
stimulated 刺激
unstimulated 非刺激
Cytokine production サイトカイン産生
spleen 脾臓
macrophages マクロファージ
cells 細胞
% tetramer+cells of CD8+ cells CD8+細胞の四量体+細胞の割合
anti-S1 IgG titer 抗S1IgG力価
dilution factor希釈倍率
end-point titer エンドポイント力価
Spike protein スパイクタンパク質
conjugated 結合
anti-OVA IgG 抗OVAIgG
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15-1】
図15-2】
図16
図17
図18
【配列表】
2024500918000001.app
【国際調査報告】