(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】重水素化コロニー刺激因子-1受容体(CSF-1R)阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20231227BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20231227BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231227BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C07D471/04 107Z
C07D471/04 CSP
A61K31/444
A61P37/02
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538678
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021064831
(87)【国際公開番号】W WO2022140528
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500034653
【氏名又は名称】ジェンザイム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エル・ケイン・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ネルウィン・エー・ヘイガン
(72)【発明者】
【氏名】マリア・エー・フィッツジェラルド
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP12
4C065PP18
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZB07
4C086ZC41
(57)【要約】
式
【化1】
の重水素化化合物が本明細書において開示され、該化合物は、コロニー刺激因子-1受容体阻害剤(「CSF-1R阻害剤」)として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩であって、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
X
1はC、N、又はCR
7であり;
X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7はそれぞれ独立して、N、NR
7、又はCR
7から選択され:
X
8及びX
9はそれぞれ独立してN又はCから選択され;
ここで各R
7は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、R
8-(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
8-(C
2-C
10)アルキルニル、R
8-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
8-(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、ハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
8C(O)-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、及び(CH
3)
2FCから独立して選択され;
ここでR
8はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、重水素、(C
1-C
10)アルキル、又は(C
1-C
10)アルキルアミンから選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;
T
1、T
2、及びT
3はそれぞれ独立してN又はCR
10から選択され;
ここで各R
10は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル-、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-、R
10A-(C
1-C
10)アルキルアミン、R
10A-((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
10A-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
10A-C(O)-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、R
10A-(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、及びハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
10AR
11N-、R
10AR
11N(O)C-、R
10A(R
11C(O))N-、R
10AR
11NC(O)O-、R
10AC(O)-、R
10AR
11NC(O)R
10AN-、(C
1-C
10)アルキル-OC(O)R
10AN-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、(CH
3)
2FC-から独立して選択され;
ここでR
10A及びR
11はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
ここで各(C
1-C
10)アルキルは、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され、
Y
1は、O、NR
12、又はCR
12R
13であり;
ここでR
12は存在しないか、又はR
12及びR
13はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2Nから選択され;
R
5は存在しないか、又はH、D、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2N-の群から選択され;そして
R
6は、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
14-(C
3-C
10)シクロアルキル、R
14-(C
6-C
14)アリール、R
14-(C
2-C
9)ヘテロアリール、及びR
14-(C
1-C
10)アルキルアミンの群から選択され;
ここでR
14はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、F
2HC-O-、ハロ、(CH
3)
2N-、F
3C-C(O)-、F
3C-、及びF
2HC-から選択され;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;そして
Z
1は、H、ハロ、及び(C
1-C
10)アルキルから選択され;
Y
2は、O、NR
17、又はCR
17R
18であり、
ここでR
17は存在しないか、又はR
17及びR
18はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択され;
ここでR
7、R
1、又はR
2の少なくとも1つはDである、上記化合物。
【請求項2】
X
1はNであり;X
2はNであり;X
3はCR
7であり;X
4はCR
7であり;X
5はCR
7であり;X
6はNであり;X
7はCR
7であり;X
8はCであり;そしてX
9はCである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
T
1、T
2、及びT
3はそれぞれ独立してCR
10である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
各R
10は、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ、及びハロから独立して選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
Y
1及びY
2はそれぞれOである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
Z
1はH及び(C
1-C
10)アルキルから選択される、化合物1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の化合物は、式(I’):
【化2】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩から選択され、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
AはH及びDから選択され;
X
3’はCR
3’であり、ここでR
3’はH及びDから選択され;
X
4’はCR
4’であり、ここでR
4’はH、D、及びR
7から選択され;そして
X
5’はCR
5’であり、ここでR
5’はH及びDから選択され;
ここでA、R
3’、R
4’、及びR
5’の少なくとも1つはDである、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
R
1及びR
2はそれぞれ独立してH及びDから選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項9】
R
6は、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
14-(C
6-C
14)アリール、R
14-(C
2-C
9)ヘテロアリール、及びR
14-(C
1-C
10)アルキルアミンから選択され;ここでR
14はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、F
2HC-O-、F
3C-C(O)-、F
3C-、及びF
2HC-からなる群から選択され;そしてここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換される、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項10】
【表1】
から選択される化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩。
【請求項11】
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩から選択される化合物。
【請求項12】
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
薬学的に許容しうる賦形剤、並びに請求項1に記載の化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む、医薬組成物。
【請求項14】
薬学的に許容しうる賦形剤、並びに請求項7に記載の化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む、医薬組成物。
【請求項15】
薬学的に許容しうる賦形剤、並びに請求項7に記載の化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項13~15のいずれか1項に記載の組成物を、治療有効量で対象に投与することを含む、それを必要とする対象において免疫介在性疾患を処置するための方法。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項13~15のいずれか1項に記載の組成物を、治療有効量で対象に投与することを含む、それを必要とする対象において多発性硬化症を処置するための方法。
【請求項18】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項13~15のいずれか1項に記載の組成物を、治療有効量で対象に投与することを含む、それを必要とする対象においてループス腎炎を処置するための方法。
【請求項19】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物、又は請求項13~15のいずれか1項に記載の組成物を、治療有効量で対象に投与することを含む、それを必要とする対象において神経疾患を処置するための方法。
【請求項20】
神経疾患はALSである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
神経疾患はPSPである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
神経疾患はMSAである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第63/129,939号(2020年12月23日出願)、及び米国仮出願第63/226,549号(2021年7月28日出願)の優先権の利益を主張し、これらは任意の目的のためにそれら全体として参照により本明細書に加入される。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
医薬は、それらのより広い使用を妨げ、又は特定の適応症におけるそれらの使用を制限する場合がしばしばある、不十分な吸収、分布、代謝及び/又は排出(ADME)特性に悩まされる。不十分なADME特性はまた、臨床試験における薬物候補の失敗の主な原因にもなり得る。特定のADME特性を改善するための処方及びプロドラッグ方策を、いくつかの場合において採用することができるが、これらのアプローチは、多くの薬物及び薬物候補に存在する根底にあるADME問題への対処にしばしば失敗する。
【0003】
1つのこのような問題は急速な代謝であり、それがなければ疾患の処置において高度に有効であろう多数の薬物が身体から過度に速く除去されてされてしまう。急速な薬物クリアランスに対する可能な解決策は、薬物の十分に高い血漿レベルを得るための頻繁な投薬又は高い用量である。しかし、このアプローチは、患者の投薬計画の不十分な順守、用量が高くなるにつれてより急性になる副作用、及び処置費用の増加を含む潜在的な欠点を有する。急速に代謝される薬物はまた、望ましくない毒性又は反応性の代謝物に患者を曝露し得る。
【0004】
毒性又は生物学的に反応性の代謝物の分解もまた問題になる可能性があり、薬物を投与された患者の一部が毒性を経験したり、又は患者が最適以下量の活性薬剤を投与されるように安全用量に制限したりすることになる。投薬間隔又は処方アプローチを変更することが、臨床的有害作用を低減するために役立ち得ることもあるが、大抵は、上記の望ましくない代謝物の形成は、化合物の代謝に固有のものである。
【0005】
アルデヒド酸化酵素のような、生存生物における酵素は、望まれない代謝分解をもたらす場合がある。アルデヒド酸化酵素(AO)は、多数の薬物の生体内変換に関与する細胞内モリブデン含有酵素である。AO介在代謝に代表される課題は、酵素の複雑な生物学及びAO基質である構造モチーフの広範な使用(例えば、アザヘテロ環及びアミド類)を含むいくつかの重複した因子により引き起こされる。例えば、非特許文献1を参照のこと。さらに、種間だけでなく個体間のAO介在代謝の差異は、曝露の多様性に寄与し、そしてヒト用量選択を複雑にする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Manevski、N.ら、Metabolism by Aldehyde Oxidase:Drug Design and Complementary Approaches to Challenges in Drug Discovery、J.Med.Chem.2019、62、10955-10994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
AO代謝に影響されやすい基質を単に避ける方策は魅力的に見えるかもしれないが、これは膨大な数の潜在的なファーマコア(pharmacores)を非実用的に排除してしまうだろう。したがって、医薬化合物の潜在的なAO代謝を調節するために様々な方策が提案されてきた。これらとしては、AO反応を止める試み(例えば、AO阻害剤と併せて化合物を投与すること);AO反応の速度を減少させる試み;及び新規な足場又はプロドラッグのインスピレーションとしてのAO代謝物の使用が挙げられる。例えば、Manevskiらを参照のこと。さらに、ファーマコアのAO代謝を止めるか軽減するために、AOとファーマコアとの間の反応部位を決定しなければならない。Manevskiらは、AO反応の部位をブロックすること、炭素をヘテロ原子で置き換えること、窒素を炭素で置き換えること、芳香族性を除去すること、環サイズを減少させること、速度論的重水素同位体効果(「KDIE」)、及びlogDを減少させることのような、AO代謝を軽減するために提案された方策の表を提供するが;各々の例において、AO分解部位の知識が不可欠である。Manevskiらの表4を参照のこと。これらの方策は全て、臨床検査に基づいてヒトでのクリアランスを予測するための補完手段を含む。換言すると、AO分解を低減もしながら、適切な生物学的サンプルを使用して膨大な試験を行うことなく、その意図された目的のための薬物の望ましい効果(例えば、高い有効性、標的結合、又はバイオアベイラビリティ)を維持する、特定の標的のための薬物を開発するために、提案された方策のうちのいずれか1つが役立つかどうかを当業者が知るための予測可能な方法は無い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の要旨
驚くべきことに、重水素で置換されたWO 2017/015267に示されるCSF-1R阻害剤化合物が、改善されたADME特性を有することが可能であるということが見出された。本開示のいくつかの態様において、特定の位置において重水素で置換されたCSF-1R阻害剤化合物は、改善されたADME特性、特に、AO分解に対する有意な抵抗性を有するので、薬物有効性及びインビボでの薬物曝露を改善する可能性がある。インビボで酵素的分解に対して抵抗性である重水素化コロニー刺激因子-1受容体阻害剤(「CSF-1R」阻害剤)が、本明細書において開示される。本開示のCSF-1R阻害剤は、血液脳関門を通って中枢神経系(CNS)に到達することができる小分子化合物である。これらの化合物は血液脳関門を有利に通過することができる(神経性適応症において非常に望ましい特性)ので、これらの化合物は、適切な投薬を確実にするために、十分な吸収、代謝、分布、及び排出(ADME)特性を示す能力を有することが必要である。代謝の問題は、急速な代謝に加えて代謝分解を含み得、これらは両方とも毒性及び/又は活性薬剤の最適以下用量をもたらし得る。
【0009】
本開示は、重水素化CSF-1R阻害剤、及び重水素化CSF-1R阻害剤の使用、並びにAO分解の驚くべき減少及びCSF-1R阻害剤としての疾患を処置するための高い有効性を有するCSF-1R阻害剤を含む、疾患を処置するための医薬組成物に関する。
【0010】
このような化合物としては、式(I):
【化1】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩が挙げられ、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
X
1は、C、N、又はCR
7であり;
X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、及びX
7はそれぞれ独立してN、NR
7、又はCR
7から選択され;
X
8及びX
9はそれぞれ独立してN又はCから選択され;
ここで各R
7は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
2-C
10)アルキルニル(alkylnyl)、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、C(O)-、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル-、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
1-C
10)アルキル-、R
8-(C
3-C
10)シクロアルキル、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、R
8-(C
6-C
14)アリール、R
8-(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
8-(C
2-C
10)アルキルニル、R
8-(C
1-C
10)アルキルアミン、R
8-((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
8-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
8-C(O)-、R
8-(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、R
8-(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、R
8-(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、R
8-(C
6-C
14)アリール-O-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
8R
9N-、R
8R
9N(O)C-、R
8(R
9C(O))N-、R
8R
9NC(O)O-、R
8C(O)-、R
8R
9NC(O)R
8N-、(C
1-C
10)アルキル-OC(O)R
8N-、(C
3-C
10)シクロアルキル-OC(O)R
8N-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-OC(O)R
8N-、(C
6-C
14)アリール-OC(O)R
8N-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-OC(O)R
8N-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、(CH
3)
2FC-;NC-、(C
1-C
10)アルキル(O)P-、(C
1-C
10)アルキル-S-、(C
1-C
10)アルキル-S-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S-、(C
6-C
14)アリール-S-、(C
2-C
9)ヘテロアルキル-S-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S-、(C
1-C
10)アルキル-S(O)-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)-、(C
6-C
14)アリール-S(O)-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S(O)-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)-、(C
3-C
10)アルキル-S(O)
2-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)
2-、(C
6-C
14)アリール-S(O)
2-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)
2-、R
8R
9NS(O)
2-、(C
1-C
10)アルキル-S(O)
2R
8N-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)
2R
8N-、(C
6-C
14)アリール-S(O)
2R
8N-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-SO
2R
8N-、及び(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)
2R
8N-から独立して選択され;
ここでR
8及びR
9はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
又はR
8及びR
9は、3~10員シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を一緒に形成し;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;
T
1、T
2、及びT
3はそれぞれ独立してN又はCR
10から選択され、
ここで各R
10は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
2-C
10)アルキルニル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、C(O)-、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル-、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-、R
10A-(C
3-C
10)シクロアルキル、R
10A-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、R
10A-(C
6-C
14)アリール、R
10A-(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
10A-(C
2-C
10)アルキルニル、R
10A-(C
1-C
10)アルキルアミン、R
10A-((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
10A-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
10A-C(O)-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、R
10A-(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、R
10A-(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、R
10A-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、R
10A-(C
6-C
14)アリール-O-、R
10A-(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
10AR
11N-、R
10AR
11N(O)C-、R
10A(R
11C(O))N-、R
10AR
11NC(O)O-、R
10AC(O)-、R
10AR
11NC(O)R
10AN-、(C
1-C
10)アルキル-OC(O)R
10AN-、(C
3-C
10)シクロアルキル-OC(O)R
10AN-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-OC(O)R
10AN-、(C
6-C
14)アリール-OC(O)R
10AN-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-OC(O)R
10AN-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、(CH
3)
2FC-;NC-、(C
1-C
10)アルキル(O)P-、(C
1-C
10)アルキル-S-、(C
1-C
10)アルキル-S-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S-、(C
6-C
14)アリール-S-、(C
2-C
9)ヘテロアルキル-S-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S-、(C
1-C
10)アルキル-S(O)-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)-、(C
6-C
14)アリール-S(O)-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S(O)-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)-、(C
3-C
10)アルキル-S(O)
2-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)
2-、(C
6-C
14)アリール-S(O)
2-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)
2-、R
10AR
11NS(O)
2-、(C
1-C
10)アルキル-S(O)
2R
10AN-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)
2R
10AN-、(C
6-C
14)アリール-S(O)
2R
10AN-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-SO
2R
10AN-、及び(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)
2R
10AN-から独立して選択され;
ここでR
10A及びR
11はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
又はR
10A及びR
11は、3~10員シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を一緒に形成し;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され、
Y
1は、O、NR
12、又はCR
12R
13であり、
ここでR
12は存在しないか、又はR
12及びR
13はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;
R
1は、それが結合している炭素と一緒にカルボニルを形成し、かつR
2は存在しないか、又はR
1及びR
2はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され、又はR
1及びR
2は、それらが結合している炭素と一緒に3~10員環を形成し;
R
5は存在しないか、又はH、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;
R
6は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
2-C
10)アルキルニル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、C(O)-、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル-、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
14-(C
1-C
10)アルキル-、R
14-(C
3-C
10)シクロアルキル、R
14-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、R
14-(C
6-C
14)アリール、R
14-(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
14-(C
2-C
10)アルキルニル、R
14-(C
1-C
10)アルキルアミン、R
14-((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
14-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
14-C(O)-、R
14-(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、R
14-(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、R
14-(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、R
14-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、R
14-(C
6-C
14)アリール-O-、R
14-(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
14R
15N-、R
14R
15N(O)C-、R
14(R
15C(O))N-、R
14R
15NC(O)O-、R
14C(O)-、R
14R
15NC(O)R
14N-、(C
1-C
10)アルキル-OC(O)R
14N-、(C
3-C
10)シクロアルキル-OC(O)R
14N-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-OC(O)R
14N-、(C
6-C
14)アリール-OC(O)R
14N-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-OC(O)R
14N-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、(CH
3)
2FC-;NC-、(C
1-C
10)アルキル(O)P-、(C
1-C
10)アルキル-S-、(C
1-C
10)アルキル-S-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S-、(C
6-C
14)アリール-S-、(C
2-C
9)ヘテロアルキル-S-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S-、(C
1-C
10)アルキル-S(O)-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)-、(C
6-C
14)アリール-S(O)-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S(O)-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)-、(C
3-C
10)アルキル-S(O)
2-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)
2-、(C
6-C
14)アリール-S(O)
2-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)
2-、R
14R
15NS(O)
2-、(C
1-C
10)アルキル-S(O)
2R
14N-、(C
3-C
10)シクロアルキル-S(O)
2R
14N-、(C
6-C
14)アリール-S(O)
2R
14N-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-SO
2R
14N-、及び(C
2-C
9)ヘテロアリール-S(O)
2R
14N-から選択され;
ここでR
14及びR
15はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、F
2HC-O-,ハロ、(CH
3)
2N-、H
2N-、F
3C-C(O)-、F
3C-、及びF
2HC-から選択され;
又はR
14及びR
15は、3~10員シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール環を一緒に形成し;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;
Z
1は、H、ハロ、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、又はH
2N-から選択され;
Y
2は、O、S、NR
17、又はCR
17R
18であり、そして
ここでR
17は存在しないか、又はR
17及びR
18はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、(C
3-C
10)シクロアルキル-O-、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、(C
6-C
14)アリール-O-、(C
2-C
9)ヘテロアリール-O-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択され;
ここでR
7、R
1、又はR
2の少なくとも1つはDである。
【0011】
少なくとも1つの態様において、本開示は、式(I):
【化2】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩に関し、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
X
1はC、N、又はCR
7であり;
X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7はそれぞれ独立してN、NR
7、又はCR
7から選択され;
X
8及びX
9はそれぞれ独立してN又はCから選択され;
ここで各R
7は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル,(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、R
8-(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
8-(C
2-C
10)アルキルニル、R
8-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
8-(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、ハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-,R
8C(O)-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、及び(CH
3)
2FCから独立して選択され;
ここでR
8はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、重水素、(C
1-C
10)アルキル、又は(C
1-C
10)アルキルアミンから選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;
T
1、T
2、及びT
3はそれぞれ独立してN又はCR
10から選択され;
ここで各R
10は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル-、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-、R
10A-(C
1-C
10)アルキルアミン、R
10A-((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
10A-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
10A-C(O)-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、R
10A-(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、及びハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
10AR
11N-、R
10AR
11N(O)C-、R
10A(R
11C(O))N-、R
10AR
11NC(O)O-、R
10AC(O)-、R
10AR
11NC(O)R
10AN-、(C
1-C
10)アルキル-OC(O)R
10AN-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、(CH
3)
2FC-から独立して選択され;
ここでR
10A及びR
11はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-,HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
ここで各(C
1-C
10)アルキルは、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され、
Y
1は、O、NR
12、又はCR
12R
13であり;
ここでR
12は存在しないか、又はR
12及びR
13はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2Nから選択され;
R
5は存在しないか、又はH、D、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;そして
R
6は、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
14-(C
3-C
10)シクロアルキル、R
14-(C
6-C
14)アリール、R
14-(C
2-C
9)ヘテロアリール、及びR
14-(C
1-C
10)アルキルアミンから選択され;
ここでR
14はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、F
2HC-O-、ハロ、(CH
3)
2N-、F
3C-C(O)-、F
3C-、及びF
2HC-から選択され;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;そして
Z
1は、H、ハロ、及び(C
1-C
10)アルキルから選択され;
Y
2は、O、NR
17、又はCR
17R
18であり;
ここでR
17は存在しないか、又はR
17及びR
18はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;
ここでR
7、R
1、又はR
2の少なくとも1つはDである。
【0012】
少なくとも1つの態様において、本開示は、式(I’):
【化3】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩に関し、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
AはH及びDから選択され;
X
3’はCR
3’であり、ここでR
3’はH及びDから選択され;
X
4’はCR
4’であり、ここでR
4’はH、D、及びR
7から選択され;そして
X
5’はCR
5’であり、ここでR
5’はH及びDから選択され、
ここでA、R
3’、R
4’、及びR
5’の少なくとも1つはDである。
【0013】
本開示はまた、重水素化CSF-1R阻害剤を含む医薬製剤、並びに重水素化CSF-1R阻害剤及びCSF-1R阻害剤を含む医薬組成物の疾患を処置するための使用に関する。アルデヒドオキシダーゼ分解抵抗性である、重水素化CSF-1R阻害剤、及び重水素化CSF-1R阻害剤を含む医薬組成物の、多発性硬化症、ループス腎炎、及び関節リウマチを含む免疫介在性疾患、並びに筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)及びハンチントン病を含む神経疾患を処置するための使用が、さらに本明細書において開示される。
【0014】
重水素修飾を用いて、薬物のCYP介在性代謝を遅らせるか、又は1つもしくはそれ以上の水素原子を重水素原子で置き換えることにより望ましくない代謝物の形成を減少させる試みを行う。重水素は、安全で安定な水素の非放射性同位体である。水素と比較して、重水素は炭素とより強い結合を形成する。選択された場合において、重水素により付与された増加した結合強度は、薬物のADME特性にポジティブな影響を与えて、改善された薬物有効性、安全性、及び/又は忍容性の可能性を生じ得る。同時に、重水素のサイズ及び形状は水素のサイズ及び形状と本質的に同じであるので、重水素による水素の置換は、水素しか含有しない元の化学実体と比較して薬物の生化学的効力及び選択性に実質的な影響を及ぼさないだろうと期待される。
【0015】
代謝の速度に対する重水素置換の効果は、承認薬のごく一部についてしか報告されていないということに留意すべきである(例えば、Blake、MIら、J Pharm Sci、1975、64:367-91;Foster、AB、Adv Drug Res 1985、14:1-40 (「Foster」);Kushner、DJら、Can J Physiol Pharmacol 1999、79-88;Fisher、MBら、Curr Opin Drug Discov Devel、2006、9:101-09 (「Fisher」)を参照のこと)。しかし、結果は変わりやすく予測できなかった。いくつかの化合物については、重水素化はインビボで減少した代謝クリアランスを生じた。その他については、代謝に変化はなかった。さらに他のものは、増加した代謝クリアランスを示した。重水素効果の変動性により、専門家でも、有害な代謝を阻害するための実行可能な薬物設計方策として重水素修飾に疑問を持ったり退けたりしてしまう(Fosterの35頁及びFisherの101頁を参照のこと)。
【0016】
本開示の化合物は、重水素で置換されており、かつ改善されたADME特性を有し、そして特にAO分解に対して高度に抵抗性であり、それ故、薬物有効性及びインビボでの薬物曝露を改善する可能性のある、WO 2017/015267に示されるCSF-1R阻害剤化合物である。Manevskiらにより記載されたようなAO介在性代謝を克服する、相互に連動し対立する課題、例えば、化合物構造モチーフのような多数の対立する因子を評価しバランスを取る必要性、例えば肝ミクロソーム又は肝細胞においてインビトロ及びインビボの特性を実験的に決定すること;並びに重水素置換を用いて、改善されたADME特性、特にAO分解の減少を得るという上で示された不確実性を考慮すると、この結果は非常に驚くべきものであり、かつ予想外である。
【0017】
一実施形態において、本開示は、有効量の式(I)又は式(I’)に従う化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を対象に投与することを含む、コロニー刺激因子-1受容体(CSF-1R)が介在する疾患もしくは障害又はCSF-1Rが関与する疾患もしくは障害を、このような処置を必要とする対象において処置する方法に関する。別の実施形態において、疾患又は障害は、神経及び免疫介在性疾患であり、これらとしては、多発性硬化症、ALS、MSA、PSP、ハンチントン病、ループス、ループス腎炎、及び関節リウマチが挙げられ、上記処置を必要とする対象において、有効量の式(I)又は式(I’)に従う化合物並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を対象に投与することを含む。
【0018】
本開示はまた、式(I)又は式(I’)に従う化合物を含む医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1A及び1Bは、CSF-1刺激後のMCP-1ケモカイン産生に対する例となるCSF-1R阻害性化合物(化合物24)の影響を示す。平均(
図1A)及び標準偏差(
図1B)を示す。
【
図2】
図2A及び2Bは、CSF-1後のMCP-1ケモカイン産生に対する例となる重水素化CSF-1R阻害性化合物(化合物6)の影響を示す。平均(
図2A)及び標準偏差(
図2B)を示す。
【
図5-1】
図5A~5Cは、CSF-1R阻害剤化合物6(
図5A)及びPLX3397対照(
図5C)が、濃度依存性様式でMCP-1産生を有意に減少させたことを示す。化合物49についての結果を
図5Bに示す。
【
図6-1】
図6A~6Cは、CSF-1刺激がIba1
+面積を有意に増加させ、そしてCSF-1R阻害剤化合物6(
図6A)及び対照PLX3397(
図6C)を用いた処置が濃度依存性様式でこの効果を有意に抑制したことを示す。化合物49についての結果を
図6Bに示す。
【
図7-1】
図7A~7Cは、CSF-1刺激が培養物内の細胞数を増加させること(DAPI
+細胞により裏付けられる)、並びにCSF-1R阻害剤6(
図7A)及び対照PLX3397(
図7C)がこの数を濃度依存性様式で減少させることを示す。化合物49についての結果を
図7Bに示す。
【
図8】
図8A~8Bは、野生型(
図8A)又はSOD1(
図8B)細胞におけるDMSO(対照)又は化合物6及びCSF-1刺激を用いた前処理後の細胞生存度を示す。
【
図9】
図9A~9Bは、野生型(
図9A)又はSOD1(
図9B)細胞におけるDMSO(対照)又は化合物6及びLPS刺激を用いた処理後の細胞生存度を示す。
【
図10】
図10A~10Bは、野生型(
図10A)又はSOD1(
図10B)細胞におけるDMSO(対照)又は化合物6及びCSF-1刺激を用いた処理後のMCP-1産生を示す。
【
図11】
図11A~11Bは、野生型(
図11A)又はSOD1(
図11B)細胞におけるDMSO(対照)又は化合物6及びLPS刺激を用いた処理後のIL-12p40産生を示す。
【
図12】
図12Aは、AO阻害剤ヒドララジンの存在しない場合の凍結保存したヒト肝細胞におけるインキュベーション後の化合物24のインビトロ代謝プロフィールを示す。
図12Bは、AO阻害剤ヒドララジンの存在下での凍結保存したヒト肝細胞におけるインキュベーション後の化合物24のインビトロ代謝プロフィールを示す。
【
図13-1】
図13は、AO阻害剤ヒドララジンの存在しない場合及び存在下での凍結保存したヒト肝細胞における化合物24の提案された代謝経路を示す。
【
図14】
図14Aは、AO阻害剤ヒドララジンの存在しない場合の凍結保存したヒト肝細胞におけるインキュベーション後の化合物6のインビトロ代謝プロフィールを示す。
図14Bは、AO阻害剤ヒドララジンの存在下での凍結保存したヒト肝細胞におけるインキュベーション後の化合物6のインビトロ代謝プロフィールを示す。
【
図15-1】
図15は、AO阻害剤ヒドララジンの存在しない場合及び存在下での凍結保存したヒト肝細胞における化合物6の提案された代謝経路を示す。
【
図16】
図16は、CSF1R阻害剤処理及びCSF1刺激後の細胞生存度を示す。
【
図17】
図17は、この実験におけるCSF1誘導MCP-1産生に対する化合物6のブロッキング効果を示す。
【
図19】
図19A~19Bは、両方のCSF1R阻害剤(化合物6及び化合物24)が疾患スコアを有意に意味することを示す。重水素化CSF1R阻害剤化合物6は、麻痺性症状を非重水素化化合物24よりも驚くほど高い程度まで寛解させた。
【
図20】
図20は化合物6フォームAのXRPDパターンを示す。
【
図22】
図22は化合物6フォームAのTGA(上のパターン)/DSC(下のパターン)重ね合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
開示の詳細な説明
本開示は、脳血液関門を通過して中枢神経系(CNS)に到達する能力を有する小分子であるコロニー刺激因子-1受容体阻害剤(「CSF-1R阻害剤」)に関する。本開示はまた、CSF-1R阻害剤を含む医薬製剤、並びにCSF-1R阻害剤及びCSF-1R阻害剤を含む医薬組成物の、疾患を処置するための使用に関する。上記疾患としては、多発性硬化症、ループス腎炎、関節リウマチを含む免疫介在性疾患、並びに筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハンチントン病を含む神経疾患が挙げられる。
【0021】
多発性硬化症は、間欠的な再発及び進行性の神経変質を引き起こすCNSの慢性の炎症性脱髄性疾患である。活性化されたミクログリア細胞及びマクロファージは、CNS損傷に寄与し、そして多発性硬化症において疾患進行及び神経変性において重要な役割を果たす。これらの活性化された自然免疫細胞は、抗原提示に参加し得、そしてニューロン及び乏突起膠細胞に対して破壊的である炎症性の神経毒性メディエーターを産生し得る。CSF-1Rは、マクロファージ、単球、及びミクログリア細胞で発現される受容体-チロシンキナーゼであり、そしてエフェクター機能の治療的調節のための潜在的な標的を代表する。
【0022】
本明細書において記載されるCSF-1R阻害剤は、多発性硬化症の処置において特に有用であり、そして前臨床インビトロ及びインビボ試験において以下を示した:炎症性サイトカイン/ケモカインの減少、それらの食作用活性に悪影響を及ぼさずにマクロファージ/ミクログリア細胞の増殖及び活性化を阻害すること、複数のインビボ疾患モデルにおけるCNS浸潤の阻害、及びマウス疾患モデルにおける治療的利益。これらのデータは、CSF-1R拮抗作用を介したCNSマクロファージ/ミクログリアエフェクター機能の阻害が、炎症、脱髄、及び軸索損失を減少させることにより多発性硬化症において神経保護を提供するということを示唆する。CSF-1Rシグナル伝達はまた、ALSにおいて上方調節されることが見出されており、これは例えばPSP及びMSAでも同様であるかもしれず、そして文献において、CSF-1R阻害がALS、MSA及びPSPの前臨床モデルにおいて有効であるようであると記されている。例えば、Gowing、G.ら、Macrophage colony stimulating factor (M-CSF) exacerbates ALS disease in a mouse model through altered responses of microglia expressing mutant superoxide dismutase、Exp Neurol.2009 Dec;220(2):267-75;Martinez-Muriana、A.ら、CSF1R blockade slows the progression of amyotrophic lateral sclerosis by reducing microgliosis and invasion of macrophages into peripheral nerves、Sci Rep.2016 May 13;6:25663;Neal、M.L.ら、Pharmacological inhibition of CSF1R by GW2580 reduces microglial proliferation and is protective against neuroinflammation and dopaminergic neurodegeneration.FASEB J.2020 Jan;34(1):1679-1694;Oh、S.J.ら、Evaluation of the Neuroprotective Effect of Microglial Depletion by CSF-1R Inhibition in a Parkinson’s Animal Model.Mol Imaging Biol.2020 Aug;22(4):1031-1042;Mancuso、R.ら、CSF1R inhibitor JNJ-40346527 attenuates microglial proliferation and neurodegeneration in P301S mice.Brain.2019 Oct 1;142(10):3243-3264;Lodder、C.ら、CSF1R inhibition rescues tau pathology and neurodegeneration in an A/T/N model with combined AD pathologies、while preserving plaque associated microglia.Acta Neuropathol Commun.2021 Jun 8;9(1):108を参照のこと。
【0023】
一実施形態において、本開示は、式(I):
【化4】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩に関し、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
X
1はC、N、又はCR
7であり;
X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7はそれぞれ独立して、N、NR
7、又はCR
7から選択され;
X
8及びX
9はそれぞれ独立してN又はCから選択され、
ここで各R
7は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、R
8-(C
2-C
9)ヘテロアリール、R
8-(C
2-C
10)アルキルニル、R
8-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
8-(C
1-C
10)アルコキシ-、R
8-(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル-O-、ハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-,R
8C(O)-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、及び(CH
3)
2FCから独立して選択され;
ここでR
8はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、重水素、(C
1-C
10)アルキル、又は(C
1-C
10)アルキルアミンから選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;
T
1、T
2、及びT
3はそれぞれ独立してN又はCR
10から選択され、
ここで各R
10は、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
2-C
10)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル-、COOH-(C
3-C
10)シクロアルキル-、(C
1-C
10)アルコキシ-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-、R
10A-(C
1-C
10)アルキルアミン、R
10A-((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
10A-(C
2-C
10)アルキニルアミン、R
10A-C(O)-、R
10A-(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、R
10A-(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、及びハロ、シアノ、H
2N-、(CH
3)HN-、(CH
3)
2N-、R
10AR
11N-、R
10AR
11N(O)C-、R
10A(R
11C(O))N-、R
10AR
11NC(O)O-、R
10AC(O)-、R
10AR
11NC(O)R
10AN-、(C
1-C
10)アルキル-OC(O)R
10AN-、F
3C-、F
2HC-、CH
3F
2C-、FH
2C-、CH
3FHC-、(CH
3)
2FC-から独立して選択され;
ここでR
10A及びR
11はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルキル-C(O)O-、COOH-(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、(CH
3)
2N-、及びH
2N-から選択され;
ここで各(C
1-C
10)アルキルは、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され、
Y
1は、O、NR
12、又はCR
12R
13であり;
ここでR
12は存在しないか、又はR
12及びR
13はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
3)アルキニルアミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、(C
1-C
10)アルコキシ-(C
1-C
10)アルキル-、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;
R
1及びR
2はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2Nから選択され;
R
5は存在しないか、又はH、D、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択され;そして
R
6は、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、R
14-(C
3-C
10)シクロアルキル、R
14-(C
6-C
14)アリール、R
14-(C
2-C
9)ヘテロアリール、及びR
14-(C
1-C
10)アルキルアミンから選択され;
ここでR
14はそれぞれ独立して、H、D、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
1-C
10)アルキルアミン、((C
1-C
10)アルキル)
2アミン、(C
1-C
10)アルコキシ-、HO-、F
2HC-O-、ハロ、(CH
3)
2N-、F
3C-C(O)-、F
3C-、及びF
2HC-からなる群から選択され;
ここで(C
1-C
10)アルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、(C
3-C
10)シクロアルキル、又は(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C
1-C
10)アルキル、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
9)ヘテロシクロアルキル、(C
6-C
14)アリール、(C
2-C
9)ヘテロアリール、HO-、ハロ、及びH
2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換され;そして
Z
1は、H、ハロ、及び(C
1-C
10)アルキルから選択され;
Y
2は、O、NR
17、又はCR
17R
18であり;
ここでR
17は存在しないか、又はR
17及びR
18はそれぞれ独立して、H、(C
1-C
10)アルキル、HO-、ハロ、又はH
2N-から選択され;
ここでR
7、R
1、又はR
2の少なくとも1つはDである。
【0024】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物はX1がNであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物はX2がNであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X3がCR7であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X4がCR7であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X5がCR7であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X6がNであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X7がCR7であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X8がCであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X9がCであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、X1がNであり;X2がNであり;X3がCR7であり;X4がCR7であり;X5がCR7であり;X6がNであり;X7がCR7であり;X8がCであり;そしてX9がCであるような化合物である。
【0025】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、T1がCR10であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、T2がCR10であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、T3がCR10であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、T1、T2、及びT3の少なくとも2つがそれぞれ独立してCR10であるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、T1、T2、及びT3がそれぞれ独立してCR10であるような化合物である。
【0026】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、各R10が、H、(C1-C10)アルキル、(C3-C10)シクロアルキル、(C1-C10)アルコキシ、及びハロから独立して選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、各R10が、H、(C1-C10)アルキル、及びハロから独立して選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、各R10が、H、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、及びハロから独立して選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、各R10が、H、(C1-C10)アルキル、(C3-C10)シクロアルキル、及びハロから独立して選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、各R10がH及びハロから独立して選択されるような化合物である。
【0027】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、Y1がOであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、Y2がOであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、Y1及びY2がそれぞれOであるような化合物である。
【0028】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、Z1がH、ハロ、及び(C1-C10)アルキルから選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、Z1が(C1-C10)アルキルであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、Z1がハロであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物はZ1がHであるような化合物である。
【0029】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、R1及びR2がそれぞれH及びDから独立して選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、R1及びR2が両方ともHであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、R1及びR2が両方ともDであるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、R1及びR2の一方がHであり、かつ他方がDであるような化合物である。
【0030】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、R6が、(C3-C10)シクロアルキル、(C2-C9)ヘテロアリール、R14-(C6-C14)アリール、R14-(C2-C9)ヘテロアリール、及びR14-(C1-C10)アルキルアミンから選択され;ここでR14はそれぞれ独立して、H、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキルアミン、(C1-C10)アルコキシ-、HO-、F2HC-O-、F3C-C(O)-、F3C-、及びF2HC-から選択され;そしてここで(C3-C10)シクロアルキル、又は(C2-C9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C1-C10)アルキル、HO-、ハロ、又はH2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I)に従う化合物は、R6が(C3-C10)シクロアルキル、及び(C2-C9)ヘテロアリールから選択され;そしてここで(C3-C10)シクロアルキル、又は(C2-C9)ヘテロシクロアルキルはそれぞれ、(C1-C10)アルキル、HO-、ハロ、又はH2N-から選択される1~2個の基で場合によりさらに置換されるような化合物である。
【0031】
別の態様において、本開示は、式(I’):
【化5】
の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩に関し、式中:
破線は任意の二重結合を表し;
Aは、H及びDから選択され;
X
3’はCR
3’であり、ここでR
3’はH及びDから選択され;
X
4’はCR
4’であり、ここでR
4’はH、D、及びR
7から選択され;そして
X
5’はCR
5’であり、ここでR
5’はH及びDから選択され、
ここでA、R
3’、R
4’、及びR
5’の少なくとも1つはDである。
【0032】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I’)に従う化合物は、R1及びR2がそれぞれ独立して、H及びDから選択されるような化合物である。本開示の少なくとも1つの実施形態において、式(I’)に従う化合物は、R6が、(C3-C10)シクロアルキル、(C2-C9)ヘテロアリール、R14-(C6-C14)アリール、R14-(C2-C9)ヘテロアリール、及びR14-(C1-C10)アルキルアミンから選択され;ここでR14がそれぞれ独立して、H、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキルアミン、(C1-C10)アルコキシ-、HO-、F2HC-O-、F3C-C(O)-、F3C-、及びF2HC-から選択され;そしてここで(C1-C10)アルキル、(C6-C14)アリール、(C2-C9)ヘテロアリール、(C3-C10)シクロアルキル、又は(C2-C9)ヘテロシクロアルキルが、(C1-C10)アルキル、HO-、ハロ、又はH2N-から選択される1~4個の基で場合によりさらに置換されるような化合物である。
【0033】
別の態様において、本開示は、表Aの化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩に関する:
【0034】
【0035】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、化合物は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩から選択される。本開示の少なくとも1つの実施形態において、化合物は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dである。
【0036】
本開示の別の態様は、薬学的に許容しうる賦形剤と、式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩とを含む医薬組成物である。少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。
【0037】
本開示の別の態様は、薬学的に許容しうる賦形剤と、少なくとも1つの式(I’)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩とを含む医薬組成物である。少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、式(I’)及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。
【0038】
本開示の別の態様は、薬学的に許容しうる賦形剤と、表Aの化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩とを含む医薬組成物である。少なくとも1つの実施形態において、医薬組成物は、表Aの化合物及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。本開示の態様において、医薬組成物は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を含む。本開示の一態様において、医薬組成物は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームAを含む。
【0039】
本開示の別の態様は、本明細書において記載される、治療有効量の式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を投与することを含む、神経疾患及び免疫介在性疾患のような疾患又は障害を、それを必要とする対象において処置する方法である。少なくとも1つの実施形態において、上記方法は、治療有効量の、本明細書において記載される式(I’)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を投与することを含む。少なくとも1つの実施形態において、上記方法は、治療有効量の、本明細書において記載される表Aの化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を投与することを含む。本開示の一態様において、医薬組成物は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を含む。本開示の一態様において、医薬組成物は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームAを含む。
【0040】
本開示の別の態様は、治療有効量の、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を含む医薬組成物を投与することを含む、神経疾患及び免疫介在性疾患のような疾患又は障害を、それを必要とする対象において処置する方法である。少なくとも1つの実施形態において、上記方法は、治療有効量の、本明細書において記載される式(I’)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を含む医薬組成物を投与することを含む。少なくとも1つの実施形態において、上記方法は、本明細書において記載される表Aの化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む。本開示の一態様において、上記方法は、本明細書に記載される3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d 並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む。本開示の一態様において、上記方法は、本明細書において記載される3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームA及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む治療有効量の医薬組成物を投与することを含む。
【0041】
別の態様において、本開示は、薬剤としての使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を提供する。少なくとも1つの実施形態において、薬剤としての使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩は、本明細書において記載される式(I’)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩である。少なくとも1つの実施形態において、薬剤としての使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩は、本明細書において記載される表Aの化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩である。少なくとも1つの実施形態において、薬剤としての使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d 並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩から選択される化合物である。本開示の態様において、化合物は、本明細書において記載される3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d 並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩、及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。本開示の一態様において、化合物は、本明細書において記載される3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームA及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。
【0042】
別の態様において、本開示は、それを必要とする対象における神経疾患及び免疫介在性疾患のような疾患又は障害の処置における使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩を提供する。少なくとも1つの実施形態において、それを必要とする対象における神経疾患及び免疫介在性疾患のような疾患又は障害の処置における使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩は、本明細書において記載される式(I’)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩である。少なくとも1つの実施形態において、それを必要とする対象における神経疾患及び免疫介在性疾患のような疾患又は障害の処置における使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩は、本明細書において記載される表Aの化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩である。少なくとも1つの実施形態において、それを必要とする対象における神経疾患及び免疫介在性疾患のような疾患又は障害の処置における使用のための、本明細書において記載される式(I)の化合物、並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩は、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d 並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩から選択される化合物である。本開示の一態様において、化合物は、本明細書において記載される3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d 並びに/又はその立体異性体、光学異性体、ラセミ混合物及びジアステレオマー混合物、及び/もしくは薬学的に許容しうる塩、及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。本開示の一態様において、上記化合物は、本明細書において記載される3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームA、及び/又はその薬学的に許容しうる塩を含む。
【0043】
本開示のいくつかの態様において、神経疾患及び免疫介在性疾患としては、多発性硬化症、ALS、MSA、PSP、ハンチントン病、ループス、ループス腎炎、及び関節リウマチが挙げられる。
【0044】
重水素化CSF-1R阻害剤のインビトロ及びインビボでの効果、代謝分解に抵抗するそれらの能力、並びに本開示の選択重水素化CSF-1R阻害剤を製造する方法が実施例において記載される。
【0045】
本開示の特定の実施形態が、製造及びスキームを参照してここで記載されるが、当然のことながら、このような実施形態は、例としてのみのものであり、本開示の原理の適用を表すことができる多くの可能な特定の実施形態のうちの単に例となる少数のものである。様々な変更及び改変は、本開示の利益を考慮すれば当業者に明らかであり、そして添付の特許請求の範囲においてさらに定義されるとおりの本開示の精神及び範囲内とみなされる。
【0046】
別の定義がなければ、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。他の化合物又は方法を実施又は試験において使用することができるが、ここでは特定の好ましい方法が、以下の製造及びスキームの状況で記載される。
【0047】
本明細書において使用されるように、用語「アミノ」は、窒素原子及び1~2個の水素原子を有する官能基を意味する。「アミノ」は、一般的には第一級、第二級、又は第三級アミンを記載するために本明細書において使用され得、そして当業者は、この用語が本開示において使用される文脈を考慮して、その識別を容易に確定することが可能である。用語「アミン」又は「アミン基」又は「アンモニア基」は、アンモニア(NH3)から誘導された窒素原子を含有する官能基を意味する。アミン基は、好ましくは第一級アミンであり、2個の水素原子、及び置換もしくは非置換のアルキル基もしくはアリール基又は脂肪族もしくは芳香族基を含む1個の置換基に窒素が結合されていることを意味する。アミン基は第二級アミンであってもよく、1個の水素原子、及び以下で定義されるような、置換もしくは非置換のアルキル基もしくはアリール基又は脂肪族もしくは芳香族基を含む2個の置換基に窒素が結合されていることを意味する。アミン基は第三級アミンであってもよく、置換もしくは非置換のアルキル基もしくはアリール基又は脂肪族もしくは芳香族基を含む3個の置換基に窒素が結合されていることを意味する。アミン基は第四級アミンであってもよく、指定されたアミン基が第四の基に結合されて正に荷電したアンモニウム基を生じることを意味する。
【0048】
本開示におけるアミンのいずれか又は全ては、遊離アミン形態(すなわち、第一級アミンについては-NH2として)であっても、薬学的に許容しうるアニオンでプロトン化された形態(すなわち、第一級アミンについては-NH3
+ Y-として、ここでY-は薬学的に許容しうるアニオンである)であってもよいということが理解される。
【0049】
本明細書において使用されるように、用語「アミド基」は、窒素に連結されたカルボニル基を含む官能基を意味する。
【0050】
本明細書において使用されるように、「カルボニル基」は、酸素原子に二重結合で結合した炭素原子を含む官能基を意味し、(C=O)で表される。
【0051】
本明細書において使用されるように、用語「アルカン」は、単結合により結合された飽和炭化水素を意味する。アルカン類は直鎖でも分枝鎖でもよい。「シクロアルカン類」は、単結合により結合された飽和炭化水素環である。
【0052】
本明細書において使用されるように、用語「(C1-C10)アルキル」は、1~10個の炭素原子及び対応する数の水素原子から本質的になる直鎖又は分枝鎖又は環状の飽和炭化水素を意味する。典型的には、直鎖又は分枝鎖の基は、1~10個の炭素、又はより典型的には1~5個の炭素を有する。例となる(C1-C10)アルキル基としては、メチル(-CH3により表される)、エチル(-CH2-CH3により表される)、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルなどが挙げられる。他の(C1-C-10)アルキル基は、本開示の利益を考慮すれば当業者にはすぐに分かるだろう。
【0053】
本明細書において使用されるように、用語「(C2-C9)ヘテロアルキル」は、2~10個の原子から本質的になる直鎖又は分枝鎖又は環状の飽和炭化水素を意味し、ここで2~9個の原子は炭素であり、そして残りの原子は窒素、硫黄、及び酸素からなる群から選択される。例となる(C2-C9)ヘテロアルキル基は、本開示の利益を考慮すれば当業者にはすぐに分かるだろう。
【0054】
本明細書において使用されるように、用語「(C3-C10)シクロアルキル」は、3~10個の炭素原子及び対応する数の水素原子から本質的になる少なくとも1つの環を形成する非芳香族飽和炭化水素基を意味する。(C3-C10)シクロアルキル基は、単環式でも多環式でもよい。多環式シクロアルキル基の個々の環は、共有結合置換に加えて、異なる接続性、例えば、縮合、架橋、スピロなどを有し得る。例となる(C3-C10)シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルナニル、ビシクロ-オクタニル、オクタヒドロ-ペンタレニル、スピロ-デカニル、シクロブチルで置換されたシクロプロピル、シクロペンチルで置換されたシクロブチル、シクロプロピルで置換されたシクロヘキシルなどが挙げられる。他の(C3-C10)シクロアルキル基は、本開示の利益を考慮すれば当業者にはすぐに分かるだろう。
【0055】
本明細書において使用されるように、用語「(C2-C9)ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環を形成する3~10個の原子を有する非芳香族基を意味し、ここで環原子のうち2~9個は炭素であり、そして残りの環原子は窒素、硫黄、及び酸素からなる群から選択される。(C2-C9)ヘテロシクロアルキル基は、単環式でも多環式でもよい。このような多環式ヘテロシクロアルキル基の個々の環は、共有結合置換に加えて、異なる接続性、例えば、縮合、架橋、スピロなどを有し得る。例となる(C2-C9)ヘテロシクロアルキル基としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、チオピラニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキシラニル、メチレンジオキシル、クロメニル、バルビツリル、イソオキサゾリジニル、1,3-オキサゾリジン-3-イル、イソチアゾリジニル、1,3-チアゾリジン-3-イル、1,2-ピラゾリジン-2-イル、1,3-ピラゾリジン-1-イル、ピペリジニル、チオモルホリニル、1,2-テトラヒドロチアジン-2-イル、1,3-テトラヒドロチアジン-3-イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2-テトラヒドロジアジン-2-イル、1,3-テトラヒドロジアジン-1-イル、テトラヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジン-2-オニル、ピペリジン-3-オニル、クロマニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、1,4-ジオキサニル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタニル、オクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、2-アザスピロ[4.4]ノナニル、7-オキサ-1-アザ-スピロ[4.4]ノナニル、7-アザビシクロ[2.2.2]ヘプタニル、オクタヒドロ-1H-インドリルなどが挙げられる。(C2-C9)ヘテロシクロアルキル基は、典型的には炭素原子又は窒素原子を介して主構造に結合される。他の(C2-C9)ヘテロシクロアルキル基は、本開示の利益を考慮すれば当業者にはすぐに分かるだろう。
【0056】
用語「脂肪族基」又は「脂肪族」は、炭素及び水素からなる非芳香族基を意味し、そして場合により、1つ又はそれ以上の二重結合及び/又は三重結合を含んでいてもよい。換言すると、脂肪族基は、芳香族官能性を含有しない炭素及び水素からなる任意の基である。脂肪族基は、直鎖でも分枝鎖でも環状でもよく、そして典型的には約1個と約24個との間の炭素原子を含有する。
【0057】
用語「アリール基」は、「アリール」、「アリール環」、「芳香族」、「芳香族基」、及び「芳香族環」と交換可能に使用され得る。アリール基は、典型的に6~14個の環炭素原子を有する炭素環式芳香族基を含む。アリール基には、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む典型的に5~14個の環原子を有するヘテロアリール基も含まれる。
【0058】
本明細書において使用されるように、用語「(C6-C14)アリール」は、少なくとも1つの環を形成する6~14個の炭素原子を有する芳香族官能基を意味する。
【0059】
本明細書において使用されるように、用語「(C2-C9)ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環を形成する5~10個の原子を有する芳香族官能基を意味し、ここで環原子のうち2~9個が炭素であり、そして残りの環原子は窒素、硫黄、及び酸素からなる群から選択される。(C2-C9)ヘテロアリール基は、単環式でも多環式でもよい。このような多環式ヘテロアリール基の個々の環は、共有結合置換に加えて異なる接続性、例えば、縮合などを有し得る。例となる(C2-C9)ヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、1,3,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,3,5-チアジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、1,2,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、ピラゾロ[3,4-b]ピリジニル、シンノリニル、プテリジニル、プリニル、6,7-ジヒドロ-5H-[1]ピリンジニル、ベンゾ[b]チオフェニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-イル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアナフテニル、イソチアナフテニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、インドリル、インドリジニル、インダゾリル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル及びベンゾオキサジニルなどが挙げられる。(C2-C9)ヘテロアリール基は、典型的には主構造に炭素原子を介して結合されるが、当業者は、特定の他の原子、例えばヘテロ環原子が主構造に結合され得る場合を理解するだろう。他の(C2-C9)ヘテロアリール基は、本開示の利益を考慮すれば当業者にはすぐに分かるだろう。
【0060】
用語「アルキニル」は三重結合で結合した炭素を含有する官能基を意味し、(C2-C10)アルキニル-により表される。
【0061】
本明細書において使用されるように、用語「アルキルアミン」は、1個の水素原子の代わりに第一級、第二級、又は第三級アミン基を含有する(C1-C10)アルキルを意味し、(C1-C10)アルキルアミン及び((C1-C10)アルキル)2アミンにより表される。
【0062】
用語「アルキニルアミン」は、三重結合で結合した炭素及びアミン基を含有する(C2-C10)基を意味し、(C2-C10)アルキニルアミンにより表される。
【0063】
用語「アルコキシ」は、酸素に結合した(C1-C10)アルキルを意味し、(C1-C10)アルキル-O-又は(C1-C10)アルコキシ-により表される。用語「アルコキシアルキル」は、別の(C1-C10)アルキルに結合した酸素に結合した(C1-C10)アルキルを意味し、(C1-C10)アルキル-O-(C1-C10)アルキル-又は(C1-C10)アルコキシ-(C1-C10)アルキル-により表される。
【0064】
用語「アルキルエステル」は、1個の水素原子の代わりにエステル基を含有する(C1-C10)アルキルを意味し、-O(O)C-(C1-C10)アルキルにより表される。
【0065】
用語「アルキル酸」は、1個の水素原子の代わりにカルボン酸基を含有する(C1-C10)アルキルを意味し、(C1-C10)アルキル-COOHにより表される。
【0066】
用語「脂肪族酸」は、非芳香族炭化水素の酸を意味し、(C1-C10)アルキル-COOH及び(C3-C10)シクロアルキル-COOHにより表される。
【0067】
本明細書において使用されるように、「D」及び「d」は両方とも重水素を表す。
【0068】
用語「ジカルボニル」は、2つ又はそれ以上の隣接したカルボニル基を含有する有機分子を指す。C=Oにより表されるカルボニル基は、例えば、アルデヒド、ケトン、及び炭素原子に二重結合で結合した酸素原子を有する他の基であり得る。例としては、グリオキサール、メチルグリオキサール、ジメチルグリオキサール、及び3-デオキシグルコソンが挙げられる。
【0069】
用語「ハロ」又は「Hal」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、又はアスタチン(At)イオンを意味する。
【0070】
本明細書において使用されるように、「i-」はイソを指す。
【0071】
用語「メトキシ」は1個の水素原子の代わりに酸素を含有する(C1)アルキルを意味し、-(O)CH3により表される。
【0072】
本明細書において使用されるように、「n-」はノルマルを指す。
【0073】
用語「多価アルコール」は、複数のヒドロキシル(-OH)基を含有するアルコールを意味する。
【0074】
本明細書において使用されるように、「Sec」又は「s-」はそれぞれ第二級を指す。
【0075】
本明細書において使用されるように、用語「立体異性体」は鏡像異性体及びジアステレオマーの両方を指す。
【0076】
「置換された」は、アルキル基、複素環式基又はアリール基中の炭素を1つ又はそれ以上の非炭素置換基で置換することを意味する。非炭素置換基は、窒素、酸素及び硫黄から選択される。
【0077】
本明細書において使用されるように、「Tert」及び「t-」はそれぞれ第三級を表す。
【0078】
「非置換」は、その基が水素及び炭素のみから構成されることを意味する。
【0079】
3~10員環は閉環を意味し;3~10員環は非環式、芳香族又は複素環式であり得る。
【0080】
用語「薬学的に許容しうるアニオン」は、医薬用途に適したアニオンを意味する。薬学的に許容しうるアニオンとしては、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、過硫酸イオン、リン酸イオン、亜硫酸イオン、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、安息香酸イオン、クエン酸イオン、クエン酸二水素イオン、クエン酸水素イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、タウロコール酸イオン、グリココール酸イオン、及びコール酸イオンが挙げられる。
【0081】
「重水素で置換された」は、1つ又はそれ以上の水素原子を、対応する数の重水素原子で置き換えることを指す。
【0082】
本明細書において開示される化合物の全ての薬学的に許容しうる塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物及び溶媒和物もまた本開示の範囲内である。
【0083】
本来塩基性である本明細書において開示される化合物は、一般的に、様々な無機酸及び/又は有機酸とともに多種多様な塩を形成することができる。このような塩は一般的に動物及びヒトへの投与について薬学的に許容しうるが、実際には、最初に化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として単離し、次いで後者を単純にアルカリ試薬で処理することにより遊離塩基化合物に変化して戻し、その後その遊離塩基を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することが望ましいということが頻繁にある。塩基化合物の酸付加塩は、従来の技術を使用して、例えば、塩基化合物を実質的に当量の選択された鉱酸又は有機酸で水性溶媒中にて又は例えばメタノールもしくはエタノールのような適切な有機溶媒中で処理することにより容易に製造され得る。溶媒を注意深く蒸発させると、所望の固体の塩が得られる。
【0084】
塩基化合物の薬学的に許容しうる酸付加塩を製造するために使用することができる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン又は硫酸水素イオン、リン酸イオン又は酸性リン酸イオン(acid phosphate)、酢酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン又は酸性クエン酸イオン(acid citrate)、酒石酸イオン又は酒石酸水素イオン、コハク酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、グルコン酸イオン、サッカラート、安息香酸イオン、メタンスルホナート及びパモ酸イオン [すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトアート)]塩のような薬理学的に許容しうるアニオンを含有する塩を形成することができる酸である。
【0085】
本来酸性である、例えばCOOH又はテトラゾール部分を含有する本明細書において開示される化合物は、一般に、様々な無機塩基及び/又は有機塩基とともに多種多様な塩を形成することができる。このような塩は、一般的に動物及びヒトへの投与について薬学的に許容しうるが、実際には、最初に化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として単離し、次いで後者を単純に酸性試薬で処理することにより遊離酸化合物に変換して戻し、その後その遊離酸を薬学的に許容しうる塩基付加塩に変換することが望ましいということが頻繁にある。これらの塩基付加塩は、従来の技術を使用して、例えば、対応する酸性化合物を所望の薬理学的に許容しうるカチオンを含有する水溶液で処理し、次いで得られた溶液を好ましくは減圧下で蒸発乾固させることにより、容易に製造され得る。あるいは、酸性化合物の低級アルカノール性溶液と所望のアルカリ金属アルコキシドとを一緒に混合し、次いで前と同じやり方で得られた溶液を蒸発乾固させることによっても製造され得る。いずれの場合も、反応の完了を確実にし、そして所望の固体塩の生成物収量を最大にするために、好ましくは化学量論量の試薬が使用される。
【0086】
基本化合物の薬学的に許容しうる塩基付加塩を製造するために使用され得る塩基は、非毒性塩基付加塩、すなわち、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウム及びナトリウム)、アルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウム及びマグネシウム)、アンモニウム又はN-メチルグルカミン-(メグルミン)のような他の水溶性アミン付加塩、低級アルカノールアンモニウム及び有機アミンの他のこのような塩基のような薬理学的に許容しうるカチオンを含有する塩を形成することができるものである。
【0087】
本明細書において開示される化合物の立体異性体(例えば、cis-及びtrans-異性体)及び全ての光学異性体(例えば、R及びS鏡像異性体)に加えて、このような異性体のラセミ混合物、ジアステレオマー混合物及びその他の混合物も、本開示の範囲内である。
【0088】
本明細書において開示される化合物、塩、プロドラッグ、水和物、及び溶媒和物は、エノール及びイミン形態、及びケト及びエナミン形態、及び幾何異性体、並びにそれらの混合物を含むいくつかの互変異性体形態で存在する場合がある。互変異性体は、溶液中で一組の互変異性体の混合物として存在する。固体形態では、通常は1つの互変異性体が優勢である。たとえ1つの互変異性体が記載されていても、全ての互変異性体が本開示の範囲内である。
【0089】
アトロプ異性体もまた本開示の範囲内である。アトロプ異性体は、回転が制限された異性体に分離され得る化合物を指す。
【0090】
本開示はまた、少なくとも1つの本明細書において開示される化合物及び少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容しうる担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、(A.R.Gennaro編、1985.)に記載されるものを含む当該分野で公知であるような担体のいずれかであり得る。本明細書において開示される化合物の医薬組成物は、例えば、少なくとも1つの本明細書において開示される化合物を、薬学的に許容しうる担体と混合物することを含む、当該分野で公知の従来の手段により製造され得る。
【0091】
本明細書において開示される医薬組成物は、動物又はヒトにおいて使用され得る。したがって、本明細書において開示される化合物は、経口、頬側、非経口(例えば、静脈内、筋肉内又は皮下)、局所、直腸もしくは鼻腔内の投与のための医薬組成物として、又は吸入もしくはガス注入による投与に適した形態で製剤化され得る。
【0092】
本明細書において開示される化合物はまた、当業者に周知の方法に従って持続性送達用に製剤化され得る。このような製剤の例は、米国特許第3,119,742号;同第3,492,397号;同第3,538,214号;同第4,060,598号;及び同第4,173,626号に見られ得る。
【0093】
経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース又はリン酸カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);及び/又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容しうる賦形剤を用いる従来の手段により製造された、錠剤又はカプセル剤の形態をとり得る。錠剤は、当該分野で周知の方法によりコーティングされ得る。経口投与のための液体製剤は、例えば、液剤、シロップ剤又は懸濁剤の形態をとり得、又は水もしくは他の適切なビヒクルを用いて使用前に構成するための乾燥製品として提示され得る。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース又は水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、油性エステル又はエチルアルコール);及び/又は保存料(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル又はソルビン酸)のような薬学的に許容しうる添加剤を用いて従来の手段により製造され得る。
【0094】
CSF-1R関連疾患状態の処置又は予防のための平均的な成人ヒトへの経口、非経口又は頬側投与のための、本明細書に開示される化合物の提案される用量は、約0.1mg~約2000mgである。特定の実施形態において、提案される用量は、単位用量あたり活性成分約0.1mg~約200mgである。提案された用量の量に関係なく、化合物の投与は、例えば1日あたり1~4回起こり得る。
【0095】
医薬組成物、及び少なくとも1つの本明細書において開示される化合物のプロドラッグを投与することを含む処置又は予防の方法もまた、本開示の範囲内である。
【0096】
式(I)及び式(I’)に従う適切なCSF-1R阻害剤の非限定的な例を、以下の実施例において示す。式(I)及び式(I’)に従う阻害剤で示される構造のアミン類のいずれか又は全てが、以下の実施例に示され、遊離アミン形態でも薬学的に許容しうるアニオンとともにプロトン化された形態であってもよいということが理解される。好ましい薬学的に許容しうるアニオンとしては、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、過硫酸イオン、リン酸イオン、亜硫酸イオン、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、安息香酸イオン、クエン酸イオン、クエン酸二水素イオン、クエン酸水素イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、タウロコール酸イオン、グリココール酸イオン、及びコール酸イオンが挙げられる。最も好ましい薬学的に許容しうるアニオンとしては、塩化物イオン、炭酸イオン、及び炭酸水素イオンが挙げられる。式(I)及び式(I’)に従うCSF-1R阻害剤のいずれか又は全てがラセミ化合物であってもラセミ化合物の鏡像異性体であってもよいということも理解される。
【実施例】
【0097】
実施例
実施例1:合成方法
式Iの化合物の合成は、本明細書において参照され開示される製造、スキーム、及び実施例を参照して、当該分野の合成化学者により容易に達成され得る。式Iの化合物及びその中間体の製造のための使用と類似した関連する製造、スキーム及び手順は、WO2017/015267の一般的スキーム及び合成実施例において開示される。この開示の特定の実施形態は、以下に示される合成製造及びスキームを参照して記載される;当然のことながら、このような実施形態は、例としてのみのものであり、そして本開示の原理の適用を表し得る多くの可能な特定の実施形態のうちのごく少数の単なる例にすぎない。製造、スキーム及び実施例に対する様々な変更及び改変は、本開示の利益を考慮すれば当業者に明らかだろう。
【0098】
合成実施例(実施例1~9)
実施例1:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-d (化合物1)の合成
【化6】
【0099】
実施例1-1:(+/-)-(trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-カルボン酸メチルの製造
【化7】
4-ヒドロキシ-3-((1-ヒドロキシ-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-2-イル)オキシ)-5-メトキシ安息香酸メチル(1.41g、3.88mmol、製造についてはWO2017015267を参照のこと)、トリフェニルホスフィン(1.23g、4.66mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.0mL、5.82mmol)のアセトニトリル(30mL)中撹拌溶液に、四塩化炭素(1.9mL、19.40mmol)を加えた。得られた無色溶液を加熱還流させ、そして不活性雰囲気下で撹拌した。45分後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして濃縮して黄褐色固体を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、80g SiO
2 ゴールドカラム、10~30%酢酸エチル/ヘプタン溶出)により、(+/-)-(trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-カルボン酸メチル(0.75g、2.18mmol、収率56%)を白色固体として得た:
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.19(d、J=2.4Hz、1H)、7.59(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.34(d、J=1.9Hz、1H)、7.23(d、J=1.9Hz、1H)、6.80(d、J=8.6Hz、1H)、4.70(d、J=7.8Hz、1H)、4.15(dq、J=7.8、6.4Hz、1H)、3.96(s、3H)、3.90(s、6H)、1.22(d、J=6.4Hz、3H) ppm;(M+1)=346。
【0100】
実施例1-2:(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタノールの製造
【化8】
(+/-)-trans-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-カルボン酸メチル(0.75g、2.18mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)中の0℃撹拌溶液に、水素化リチウムアルミニウム(0.12g、3.27mmol)を一度に加えた(少量のガス発生が見られた)。得られた灰色混合物を0℃にて不活性雰囲気下で撹拌した。10分後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物に水(0.12mL)、1N水酸化ナトリウム溶液(0.12mL)、そして水(0.38mL)を加えることによりクエンチした。得られた混合物を0℃にて10分間撹拌し、次いで硫酸マグネシウム(約5g)を加えた。この混合物をセライトを通してろ過し、そしてフィルターケーキを酢酸エチル(50mL)で洗浄した。ろ液を濃縮して、(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタノール(0.69g、2.18mmol、収率100%)を粘着性白色フォームとして得た:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.26(d、J=2.3Hz、1H)、7.77(dd、J=8.5、2.3Hz、1H)、6.89(d、J=8.5Hz、1H)、6.55(d、J=1.9Hz、1H)、6.49(d、J=1.9Hz、1H)、5.09(br s、1H)、4.74(d、J=7.7Hz、1H)、4.38(s、2H)、4.31(dq、J=7.7、6.3Hz、1H)、3.88(s、3H)、3.72(s、3H)、1.09(d、J=6.3Hz、3H);(M+1)=318。
【0101】
実施例1-3:(+/-)-5-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
【化9】
5-ブロモ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.21g、0.99mmol)及び(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタノール(0.35g、1.10mmol)のトルエン(10ml)中撹拌溶液に、(トリブチルホスホラニリデン)アセトニトリル(0.43g、1.74mmol)を加えた。得られた混合物を密閉容器で75℃に加熱して撹拌した。18時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO
2 ゴールドカラム、20~60% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、(+/-)-5-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.33g、0.67mmol、収率67%)を黄褐色固体として得た:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.61(s、1H)、8.23(d、J=2.3Hz、1H)、8.08(d、J=8.3Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.3Hz、1H)、7.49(d、J=8.3Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.79(d、J=1.9Hz、1H)、6.46(d、J=1.9Hz、1H)、5.36(s、2H)、4.73(d、J=7.8Hz、1H)、4.29(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.87(s、3H)、3.73(s、3H)、1.05(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=497。位置化学の確認:
1H-
13C HSQC NMRデータにより、それぞれ8.61及び145.8ppmのイミダゾールC-2プロトン及び炭素を同定した。次に、
1H-
13C HMBC NMRデータは、8.61ppmのこのプロトンと第四級環炭素134.1及び146.4ppmとの間に多重結合相関を示し、146.4ppmの炭素はピリジン窒素に隣接していた。最後に、HMBC NMRデータにおいて、5.36ppmの隣接メチレンプロトンと145.8ppm及び146.4ppmの第四級炭素との間の接続を
1H-
13C多重結合相関により確認した。
【0102】
【0103】
実施例1-4:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-dの製造
(+/-)-5-ブロモ-trans-3-((-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.53mg、1.06mmol)の2-プロパノール-d8(5mL)中撹拌溶液に(注:オーブン乾燥した20mLマイクロ波反応容器で行った)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(0.19g、0.21mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.27g、0.63mmol)、及び炭酸カリウム(0.29g、2.12mmol)を加えた。容器を密閉し、そして真空/N2を再注入(x3)で内容物を脱気した。この混合物を100℃に加熱し、そして撹拌放置した。2時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO2ゴールドカラム、20~70% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-d(0.30g、0.72mmol、収率68%)を黄褐色固体として得た:1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.60(s、1H)、8.22(d、J=2.3Hz、1H)、8.10(d、J=8.1Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.3Hz、1H)、7.30(d、J=8.1Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.76(d、J=1.9Hz、1H)、6.49(d、J=1.9Hz、1H)、5.39(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.27(dq、J=7.8、6.4Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.70(s、3H)、1.04(d、J=6.4Hz、3H) ppm;(M+1)=420。
【0104】
実施例2:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2,5-d2(化合物2)の合成
【化11】
【0105】
実施例2-1:2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-dの製造
【化12】
2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-d(0.25g、0.59mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)中の撹拌溶液に、四臭化炭素(0.32g、0.96mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.23g、2.35mmol)を加えた。得られた暗褐色混合物を室温で撹拌した。30分後に、新しい生成物が形成しており、そして出発物質が残っていることがLC/MS分析により分かった。四臭化炭素の追加分(0.32g、0.96mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.23g、2.35mmol)をこの混合物に加えた。1時間後に、LC/MS分析により、反応がまだ完了していないことが分かった。この混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)中でクエンチした。この混合物を酢酸エチル(40mL)で抽出した。有機相をブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO
2ゴールドカラム、10~50%3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、(+/-)-2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-d(0.089g、0.18mmol、収率31%)を灰色がかった白色固体として得た:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.22(d、J=2.3Hz、1H)、8.11(d、J=8.0Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.3Hz、1H)、7.35(d、J=8.0Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.69(d、J=1.9Hz、1H)、6.27(d、J=1.9Hz、1H)、5.41(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.28(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.87(s、3H)、3.69(s、3H)、1.02(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=498。
【0106】
実施例2-2:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2,5-d2の製造
(+/-)-2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-d(0.085mg、0.17mmol)の2-プロパノール-d8(3mL)中撹拌溶液に(注:オーブン乾燥した20mLマイクロ波反応容器で反応を行った)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(0.031g、0.034mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.043g、0.10mmol)、及び炭酸カリウム(0.047g、0.34mmol)を加えた。容器を密閉し、そして内容物を真空/N2を再注入(x3)で脱気した。この混合物を100℃に加熱し、そして撹拌した。2時間後に、LC/MS分析により、反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、24g SiO2ゴールドカラム、20~70% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2,5-d2(0.047g、0.11mmol、収率66%)を淡黄色固体として得た:1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.22(d、J=2.3Hz、1H)、8.10(d、J=8.0Hz、1H)、7.73(dd、J=8.7、2.3Hz、1H)、7.30(d、J=8.0Hz、1H)、6.88(d、J=8.7Hz、1H)、6.76(d、J=2.0Hz、1H)、6.49(d、J=2.0Hz、1H)、5.39(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.27(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.70(s、3H)、1.04(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=421。
【0107】
実施例3:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン (化合物3)の合成
【化13】
【0108】
実施例3-1:(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタン-d2-オール
【化14】
(+/-)-(trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-カルボン酸メチル(2.08g、6.02mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)中0℃の撹拌溶液に、重水素化リチウムアルミニウム(0.34g、8.13mmol)を一度に加えた(少量のガス発生が見られた)。得られた灰色混合物を0℃で撹拌した。15分後に、LC/MS分析により、反応が完了したことが分かった。この混合物に水(0.50mL)、1N水酸化ナトリウム溶液(0.50mL)、そして水(1.5mL)を加えてクエンチした。得られた混合物を0℃で15分間撹拌し、次いで硫酸マグネシウム(約10g)を加えた。この混合物をセライトを通してろ過し、そしてフィルターケーキを酢酸エチル(100mL)で洗浄した。ろ液を濃縮して(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタン-d2-オール(1.92g、6.01mmol、収率100%)を粘着性白色フォームとして得た:
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.15(d、J=2.5Hz、1H)、7.59(dd、J=8.6、2.5Hz、1H)、6.79(d、J=8.6Hz、1H)、6.59(d、J=1.9Hz、1H)、6.57(d、J=1.9Hz、1H)、4.63(d、J=7.8Hz、1H)、4.14(dq、J=7.8、6.4Hz、1H)、3.95(s、3H)、3.86(s、3H)、1.19(d、J=6.4Hz、3H);(M+1)=320。
【0109】
実施例3-2:(+/-)-5-((trans)-6-(アジドメチル-d2)-8-メトキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)-2-メトキシピリジンの製造
【化15】
(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタン-d2-オール(1.92g、6.01mmol)及びジフェニルホスホニルアジド(2.07mL、9.62mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)中の撹拌溶液に、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1.4mL、9.62mmol)を加えた。得られた混合物を不活性雰囲気下で加熱還流して撹拌した。1時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。無色溶液を室温まで冷却し、そして濃縮して黄色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO
2ゴールドカラム、10~30%酢酸エチル/ヘプタン溶出)により、(+/-)-5-((trans)-6-(アジドメチル-d2)-8-メトキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)-2-メトキシピリジン(1.78g、5.17mmol、収率86%)を白色固体として得た:
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.19(d、J=2.4Hz、1H)、7.60(dd、J=8.7、2.4Hz、1H)、6.80(d、J=8.7Hz、1H)、6.57(d、J=2.0Hz、1H)、6.47(d、J=2.0Hz、1H)、4.65(d、J=7.9Hz、1H)、4.15(dq、J=7.9、6.4Hz、1H)、3.96(s、3H)、3.86(s、3H)、1.20(d、J=6.4Hz、3H) ppm;(M+1)=345。
【0110】
実施例3-3:(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタン-d2-アミンの製造
【化16】
(+/-)-5-((trans)-6-(アジドメチル-d2)-8-メトキシ-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)-2-メトキシピリジン(1.78g、5.17mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)及び水(5mL)中の撹拌溶液に、ポリマー結合トリフェニルホスフィン(3.50g、約10.50mmol)を加えた。橙色懸濁液を不活性雰囲気下で加熱還流し、撹拌した。2時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして酢酸エチル(50mL)を用いてセライトを通してろ過した。ろ液を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタン-d2-アミン(1.61g、5.06mmol、収率98%)を無色油状物として得た:
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.17(d、J=2.4Hz、1H)、7.59(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、6.78(d、J=8.6Hz、1H)、6.54(d、J=1.9Hz、1H)、6.50(d、J=1.9Hz、1H)、4.63(d、J=7.8Hz、1H)、4.13(dq、J=7.8、6.4Hz、1H)、3.95(s、3H)、3.85(s、3H)、2.04(s、2H)、1.19(d、J=6.4Hz、3H) ppm;(M-16)=302。
【0111】
実施例3-4:(+/-)-N-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3-ニトロピリジン-2-アミンの製造
【化17】
(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタン-d2-アミン(1.61g、5.06mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、7.59mmol)のアセトニトリル(30mL)中の撹拌溶液に、2-クロロ-3-ニトロピリジン(0.84g、5.31mmol)を加えた。得られた混合物を加熱還流して不活性雰囲気下で撹拌した。16時間後に、黄色混合物のLC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして水(50mL)で希釈した。得られた混合物を酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して(+/-)-N-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3-ニトロピリジン-2-アミン(2.05g、4.65mmol、収率92%)を黄色固体として得た:
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.51‐8.40(m、3H)、8.17(d、J=2.4Hz、1H)、7.58(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、6.79(d、J=8.6Hz、1H)、6.70‐6.66(m、1H)、6.61(d、J=1.9Hz、1H)、6.55(d、J=1.9Hz、1H)、4.63(d、J=7.8Hz、1H)、4.18‐4.09(m、1H)、3.95(s、3H)、3.84(s、3H)、1.19(d、J=6.4Hz、3H)ppm;(M+1)=441。
【0112】
実施例3-5:(+/-)-N
2-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)ピリジン-2,3-ジアミンの製造
【化18】
(+/-)-N-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3-ニトロピリジン-2-アミン(2.05g、4.65mmol)及び塩化アンモニウム(1.99g、37.23mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)/メタノール(20mL)/水(10mL)混合物中の撹拌溶液に、亜鉛粉末(2.43g、37.23mmol)を加えた。得られた混合物を室温で撹拌した。45分後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。灰色懸濁液をセライトを通してろ過し、そしてフィルターケーキを酢酸エチル(75mL)で洗浄した。ろ液を5N水酸化アンモニウム溶液(50mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して(+/-)-N
2-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)ピリジン-2,3-ジアミン(1.72g、4.19mmol、収率90%)を暗褐色固体として得た:
1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.17(d、J=2.4Hz、1H)、7.78(dd、J=5.1、1.5Hz、1H)、7.58(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、6.88(dd、J=7.4、1.5Hz、1H)、6.78(d、J=8.6Hz、1H)、6.65(d、J=1.9Hz、1H)、6.59(d、J=1.9Hz、1H)、6.56(dd、J=7.4、5.1Hz、1H)、4.63(d、J=7.7Hz、1H)、4.40(br s、1H)、4.18‐4.09(m、1H)、3.95(s、3H)、3.83(s、3H)、3.22(br s、2H)、1.19(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=411。
【0113】
実施例3-6:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
(+/-)-N2-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)ピリジン-2,3-ジアミン(1.72g、4.19mmol)及びオルトギ酸トリエチル(2.0mL、11.78mmol)のエタノール(75mL)中の撹拌懸濁液に、p-トルエンスルホン酸一水和物(約0.050g)を加えた。得られた混合物を不活性雰囲気下で加熱還流して撹拌した。16時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、120g SiO2ゴールドカラム、20~50%3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により淡褐色固体を得た。この固体をメチルtert-ブチルエーテル(12mL)/酢酸エチル(0.50mL)の混合物中に懸濁させた。この混合物を55℃に加熱した。3時間後に、この温かい混合物をろ過し、そしてフィルターケーキを、メチルtert-ブチルエーテル(10mL)で洗浄し、そして乾燥して(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.99g、2.37mmol、収率57%)を黄褐色固体として得た:1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.45(dd、J=4.8、1.4Hz、1H)、8.16(d、J=2.4Hz、1H)、8.10(dd、J=8.0、1.4Hz、1H)、8.06(s、1H)、7.56(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.27(dd、J=8.0、4.8Hz、1H)、6.78(d、J=8.6、1H)、6.54(s、2H)、4.62(d、J=7.8Hz、1H)、4.12(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.94(s、3H)、3.79(s、3H)、1.17(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=421。
【0114】
実施例4:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(化合物4)の合成
【化19】
【0115】
実施例4-1:(+/-)-2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
(+/-)3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.45g、1.08mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)中の撹拌溶液に、四臭化炭素(0.54g、1.62mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.41g、4.31mmol)を加え、暗褐色混合物の形成を生じた。この混合物を室温で撹拌した。20分後に、LC/MS分析により、新しい生成物が形成し、そして出発物質が残っている(およそ1:1)ことが分かった。四臭化炭素(0.54g、1.62mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.41g、4.31mmol)の追加分を混合物に加えた(t=40分、t=60分、そしてt=80分に繰り返した)。合計100分後に、LC/MS分析により反応がほとんど完了したことが分かった。この混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)中でクエンチした。この混合物を酢酸エチル(40mL)で抽出した。有機相をブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO2ゴールドカラム、10~50% 3:1 酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、(+/-)-2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.39g、0.79mmol、収率73%)を灰色がかった白色固体として得た:1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.42(dd、J=4.9、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.3Hz、1H)、8.10(dd、J=8.1、1.5Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.3Hz、1H)、7.35(dd、J=8.1、4.9Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.70(d、J=1.9Hz、1H)、6.28(d、J=1.9Hz、1H)、4.72(d、J=7.9Hz、1H)、4.28(dq、J=7.9、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.69(s、3H)、1.03(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=499。
【0116】
実施例4-2:(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dの製造
(+/-)-2-ブロモ-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.32g、0.65mmol)のプロパノール-d8(3mL)中撹拌溶液に(注:オーブン乾燥した20mLマイクロ波反応容器において反応を行った)、トリス(ジベンジリデン)二パラジウム(0)(0.12g、0.13mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.16g、039mmol)、及び炭酸カリウム(0.18g、1.29mmol)を加えた。容器を密閉し、そして内容物を真空/N2再注入(x3)で脱気した。混合物を加熱ブロックで100℃に加熱した。2時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温に冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、80g SiO2ゴールドカラム、20~70% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により不純な褐色油状物を得た。分取用HPLC精製(Interchim Column:F0040 - 51g~51.0g(20bar))カラム、20%アセトニトリル/水/0.1%ギ酸~100%アセトニトリル/0.1%ギ酸溶出)により、2つの純粋なフラクションを得た。これらのフラクションを合わせて飽和炭酸水素ナトリウム容器(30mL)で希釈した。この混合物を酢酸エチル(30mL)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して、(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル-d2)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(0.16g、0.37mmol、収率57%)を白色固体として得た:1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.40(dd、J=4.8、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.5Hz、1H)、8.10(dd、J=8.0、1.5Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.5Hz、1H)、7.30(dd、J=8.0、4.8Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.76(d、J=2.0Hz、1H)、6.50(d、J=2.0Hz、1H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.27(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.70(s、3H)、1.04(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=421。
【0117】
実施例5:3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d (化合物5)の合成
【化20】
【0118】
実施例5-1:3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン及び3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造及び分離
【化21】
(+/-)-3-(((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造を、実施例3-2~実施例3-6に記載される手順に従って、(+/-)-((trans)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メタノール(実施例1-2)から5工程で達成した。ラセミ生成物(およそ95:5 trans:cis)を、キラルSFC分離(Whelk-01 21x250mmカラム、流量70mL/分、CO
2/0.1%ジエチルアミン中50%エタノール溶出、化合物(2.24g)を60mLメタノール/15mLジクロロメタンに溶解、注入あたり溶液1.8mL)にかけて3つのフラクションを得た。第一のフラクションは少量のcis-鏡像体のうちの1つを含有していた。第2のフラクションは、3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(少量のcis-鏡像異性体のうちの1つが混入)を含有しており、そして第三のフラクションは、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンを含有していた:
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.45(dd、J=4.8、1.5Hz、1H)、8.16(d、J=2.5Hz、1H)、8.09(dd、J=8.0、1.5Hz、1H)、8.04(s、1H)、7.56(dd、J=8.6、2.5Hz、1H)、7.29‐7.26(m、1H)、6.78(d、J=8.6Hz、1H)、6.54‐6.52(m、2H)、5.38(s、2H)、4.62(d、J=7.8Hz、1H)、4.11(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.94(s、3H)、3.79(s、3H)、1.17(d、J=6.3Hz、3H) ppm。
【0119】
実施例5-2:2-ブロモ-3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
【化22】
3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.44g、1.05mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)中の撹拌溶液に、四臭化炭素(0.38g、1.16mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.40g、4.21mmol)を加えた。得られた暗褐色混合物を室温で撹拌した。30分後に、LC/MS分析により新しい生成物が形成しており、そして出発物質が残っている(およそ1:1)ことが分かった。この混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)に入れてクエンチした。この混合物を酢酸エチル(40mL)で抽出した。有機相をブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、24g SiO2ゴールドカラム、10~50% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、2-ブロモ-3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.18g、0.37mmol、収率35%)を黄褐色固体として得た:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.42(dd、J=4.9、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.4Hz、1H)、8.11(dd、J=8.1、1.5Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.36(dd、J=8.1、4.9Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.69(d、J=1.9Hz、1H)、6.27(d、J=1.9Hz、1H)、5.41(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.28(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.69(s、3H)、1.02(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=497。
【0120】
実施例5-3:3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dの製造
2-ブロモ-3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.16g、0.32mmol)の2-プロパノール-d8(5mL)中の撹拌溶液に(注:オーブン乾燥した20mLマイクロ波反応容器において反応を行った)、トリス(ジベンジリデン)二パラジウム(0)(0.059g、0.064mol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.080g、0.19mmol)、及び炭酸カリウム(0.089g、0.64mmol)を加えた。容器を密閉し、そして内容物を真空/N2再注入(x3)で脱気した。この混合物を加熱ブロックで100℃に加熱した。2時間後に、LC/MS分析により、反応が完了したことが分かった。この混合物を室温に冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO2ゴールドカラム、20~70% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、3-(((2R,3R)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(0.075g、0.18mmol、収率56%)を黄色固体として得た:1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.40(dd、J=4.7、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.4Hz、1H)、8.10(dd、J=8.0、1.5Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.30(dd、J=8.0、4.7Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.76(d、J=1.9Hz、1H)、6.49(d、J=1.9Hz、1H)、5.39(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.28(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.70(s、3H)、1.04(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=420。
【0121】
実施例6:3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d (化合物6)の合成
方法A:
【化23】
【0122】
実施例6-1:2-ブロモ-3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
【化24】
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.51g、1.22mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)中の撹拌溶液に、四臭化炭素(0.53g、1.58mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(0.50g、5.22mmol)を加えた。得られた暗褐色混合物を室温で撹拌した。1時間後に、LC/MS分析により新しい生成物が形成しており、そして出発物質が残っている(およそ1:1)ことが分かった。この混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)に入れてクエンチした。この混合物を酢酸エチル(40mL)で抽出した。有機相をブライン(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO
2ゴールドカラム、10~60% 3:1酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、2-ブロモ-3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.20mg、0.39mmol、収率32%)を灰色がかった白色固体として得た:
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.42(dd、J=4.8、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.4Hz、1H)、8.11(dd、J=8.1、1.5Hz、1H)、7.73(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.36(dd、J=8.1、4.8Hz、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.69(d、J=2.0Hz、1H)、6.27(d、J=2.0Hz、1H)、5.41(s、2H)、4.72(d、J=7.9Hz、1H)、4.28(dq、J=7.9、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.69(s、3H)、1.02(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=497。
【0123】
実施例6-2:3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dの製造
2-ブロモ-3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(0.15mg、0.30mmol)の2-プロパノール-d8(5mL)中の撹拌溶液(注:オーブン乾燥した20mLマイクロ波反応容器において反応を行った)に、トリス(ジベンジリデン)二パラジウム(0)(0.054g、0.059mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.074g、0.18mmol)、及び炭酸カリウム(82.52mg、591.13μmol)を加えた。容器を密閉し、そして真空/N2を再注入(x3)で内容物を脱気した。この混合物を加熱ブロックにおいて100℃に加熱した。1時間後に、LC/MS分析により反応が完了したことが分かった。この混合物を室温まで冷却し、そして濃縮して褐色油状物を得た。クロマトグラフィー精製(CombiFlash、40g SiO2ゴールドカラム、20~70% 3:1 酢酸エチル:エタノール/ヘプタン溶出)により、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(0.088g、0.21mmol、収率71%)を黄色固体として得た:1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.40(dd、J=4.8、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.4Hz、1H)、8.10(dd、J=8.0、1.5Hz、1H)、7.73(dd、J=8.7、2.4Hz、1H)、7.30(dd、J=8.0、4.8Hz、1H)、6.88(d、J=8.7Hz、1H)、6.76(d、J=1.9Hz、1H)、6.49(d、J=1.9Hz、1H)、5.39(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.28(dq、J=7.8、6.3Hz、1H)、3.86(s、3H)、3.70(s、3H)、1.04(d、J=6.3Hz、3H) ppm;(M+1)=420。
【0124】
実施例7:3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(化合物6)の合成
方法B:
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(8.00g、19.12mmol)を、加熱しながら2-メチルテトラヒドロフラン(220mL)に溶解させた。この溶液を蒸留して溶媒20mLを除去して混合物を乾燥した。室温まで冷却した後、この混合物をカリウムtert-ブトキシド(3.2g、28.7mmol)及びメタノール-d1(24.00ml、646mmol)で処理した。溶液を58~61℃に加熱した。4時間後に、この溶液を室温まで冷却し、そして10%質量/質量 塩化アンモニウム水溶液(150mL)で洗浄した。有機層をブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して固体7.60gを得た。この物質を2-メチルテトラヒドロフラン(76mL)に60℃まで加熱することにより溶解させた。この溶液に結晶種を入れて45℃で1時間撹拌した。この混合物を室温で1時間撹拌し、次いで0~5℃で1時間撹拌した。生じた固体をろ過し、少量の2-メチルテトラヒドロフランで洗浄し、そして真空下で乾燥して3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dを灰色がかった白色結晶性固体として得た(6.3g、収率79%、LCMS:94.5% D、1H NMR:94% D)。
【0125】
実施例8:3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(化合物6)の大規模合成
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン 50gをトルエン500mLに入れた。得られたスラリーを120~130℃に加熱し、ディーン・スターク水除去をしながら2~3時間還流させた。溶媒の大部分を除去した後、この混合物にヘプタン(2×250mL)を60℃未満で追加して(chased)3.0~4.0体積にした。得られたスラリーを2-メチルTHF(2×250mL)と60℃未満で溶媒交換して3.0~4.0体積とした。2-メチルTHF800mL(16体積)を入れた後、この混合物を60~65℃に加温して、MeOD 50mL及び20%カリウム第三級ブトキシドのTHF溶液67mL(1.0当量)を60-65℃で入れた。この反応混合物を3時間60~65℃に維持した。反応混合物を20~30℃に冷却し、そして10%塩化アンモニウム水溶液1000mL(20体積)でクエンチした。有機層を酢酸エチルで希釈し、そして水(3×250mL)、そして25%ブライン溶液(250mL)で洗浄した。有機層を3.0~4.0体積まで60℃で真空下にて蒸留した。この混合物にトルエン(2×250mL)を60℃未満で追加して3.0~4.0体積にし、ヘプタン(2×250mL)を60℃未満で追加して3.0~4.0体積にした。得られたスラリーを2-メチルTHF(2×250mL)と60℃未満で溶媒交換して3.0~4.0体積にした。この混合物に2-メチルTHF1050mL(21体積)を入れて、反応混合物を60~65℃に加温して透明溶液を得た。得られた淡黄色透明溶液は、1H NMRによると80~85% D 化合物6を含有していた。この溶液にMeOD 100mL及びカリウム第三級ブトキシド20%THF溶液13.4mL(0.2当量)を60~65℃で加えた。反応を3時間60~65℃で維持した。反応混合物を20~30℃に冷却し、そして10%塩化アンモニウム溶液500mL(10体積)でクエンチした。有機層を水(3×250mL)でさらに洗浄した。有機層を60℃で真空下にて蒸留して7.5~8.0体積にした。得られたスラリーを65~70℃で還流させて透明溶液を得た。この混合物を20分かけて60~65℃まで冷却し、そして3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d(0.025g)の結晶種を入れた。この混合物を2~3時間かけてゆっくりと25~30℃まで冷却し、そしてさらに2~3時間かけて0~5℃まで冷却し、そして1~2時間撹拌した。固体をろ過し、そして過冷却した(per-chilled)2-メチルTHF 50mL(1.0体積)で洗浄した。湿った材料(39.5g)を高真空下に16時間45~50℃に放置して3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d (39.2g;収率78%;LCMSにより95%D)を得た。
【0126】
実施例9:化合物6について有利に立体選択的なさらなる大規模合成
実施例9-1:2-(5-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェノキシ)-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-1-オンの製造
【化25】
2-ブロモ-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-1-オン(21.2g、87mmol、1当量、CAS 1391089-35-2)、5-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェノール(32.9g.91.3mmol、1.05当量)(WO2017015267 実施例1-193)及び炭酸カリウム(30g、218mmol、2.5当量)のアセトニトリル(330mL)中の混合物を、室温で4時間撹拌した。HPLC分析は、2-ブロモ-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-1-オンの完全な消費を示した。メチルt-ブチルエーテル(330mL)をスラリーに加え、そしてこの混合物をろ過し、固体をメチルt-ブチルエーテルで洗浄した。ろ液を水酸化ナトリウム希薄溶液(350mL)、そして飽和塩化ナトリウム(300mL)で洗浄した。溶媒をメタノールと交換した。メタノール溶液を室温で結晶種(20mg)を加えながら撹拌した。室温で16時間撹拌した後、結晶化した生成物をろ過により単離し、メタノールで洗浄し、そして乾燥して2-(5-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェノキシ)-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-1-オン (35.9g、収率85%)を灰色がかった結晶性固体、m.p.72℃として得た;
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.83(dd、J=2.4、0.7Hz、1H)、8.39(dd、J=4.8、1.4Hz、1H)、8.13‐8.03(m、2H)、7.96(s、1H)、7.48‐7.41(m、2H)、7.36‐7.21(m、4H)、6.69(dd、J=8.8、0.8Hz、1H)、6.55(d、J=1.9Hz、1H)、6.44(d、J=2.0Hz、1H)、5.32(s、2H)、5.29(q、J=6.8、1H)、4.99(s、2H)、3.98(s、3H)、3.74(s、3H)、1.60(d、J=6.8Hz、3H)ppm;(M+1)=525。
【0127】
実施例9-2:4-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(((1S,2S)-1-ヒドロキシ-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-2-イル)オキシ)-6-メトキシフェノールの製造
【化26】
2-(5-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェノキシ)-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-1-オン(14g、25.2mmol)、カリウムt-ブトキシド(1.35g、12.01mmol、0.48当量)及びRuCl
2[(S)-(DM-BINAP)][(S)-DAIPEN](CAS 220114-01-2、0.33g、0.27mmol、0.01当量)をイソプロピルアルコール(230mL)に溶解し、そして水素化反応器に入れた。反応器を窒素でパージし、そして水素を70psiまで入れた。70psi水素圧で22℃にて5時間撹拌した後、HPLC分析は、出発物質の完全な消費を示した。Pd/C(4.8g、34質量%、活性炭担持5%Pd、湿潤50%)を反応器に入れることにより水素化分解を行った。Parr反応器を窒素でパージして水素を70psiまで入れた。70psi水素圧で22℃にて48時間撹拌した後、HPLC分析は反応が本質的に完了したことを示した。反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、イソプロパノール及びメタノールで洗浄した。ろ液を濃縮して透明黄色油状物を得た。この油状物を酢酸エチル(250mL)に溶解し、そして塩化アンモニウム(130mL)水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチル(30mL)で逆抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して4-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(((1S,2S)-1-ヒドロキシ-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-2-イル)オキシ)-6-メトキシフェノールを淡黄色の硬いフォームとして得た(10.1g、23.1mmol、収率92%)。この生成物は比率およそ84:16の1S,2S:1R,2Sジアステレオマー(
1H NMRによる)である;>98% ee(キラルHPLCによる)
1H NMR(400MHz、CDCl
3) δ 8.43(d、J=4.6Hz、1H)、8.13-8.05(m、2H)、8.02(d、J=1.7Hz、1H)、7.68及び7.61(2 br d、J=8.7Hz、1H)、7.31-7.23(m、2H)、6.77-6.67(m、2H)、6.66(d、J=2.7Hz、1H)、5.36(s、2H)、4.82及び4.71(br s及びd、J=8.3Hz、1H)、4.13(m、1H)、3.94(br s、3H)、3.83(br s、3H)、1.18-1.07(d、J=6.4Hz、3H)ppm;(M+1)=437。
【0128】
実施例9-3:3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
【化27】
ジイソプロピルエチルアミン(16.02ml;92.56mmol;4.00当量)及びCCl
4(5.58ml;57.85mmol;2.50当量)を含む4-((3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル)-2-(((1S,2S)-1-ヒドロキシ-1-(6-メトキシピリジン-3-イル)プロパン-2-イル)オキシ)-6-メトキシフェノール(10.10g;23.14mmol;ジアステレオマーの84:16混合物;1.00当量)の酢酸エチル(90mL)中の溶液を45~50℃で撹拌した。トリn-ブチルホスフィン(11.99ml;48.60mmol;2.10当量)を10分間かけて滴下し、わずかに発熱した。得られた褐色溶液を45~50℃で1.5時間撹拌した。水酸化ナトリウム溶液(15質量%、40mL、6.5当量)を反応混合物に加え、そしてこの混合物を45℃で0.5~1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した。層を分離した。水層を酢酸エチル(40mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、そして濃縮して湿った固形物を得た。この固形物をメチルt-ブチルエーテル(60mL)中で2時間撹拌し、ろ過し、そして真空下で乾燥した。灰色がかった白色固体をエタノール(55mL)に高温で溶解した。この溶液を室温で結晶種を入れて撹拌し、そして0~5℃に冷却した。得られた固体をろ過し、そして乾燥して、3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンを灰色がかった白色粉末(6.16g、63.6%) 99 A%(HPLCによる)、98% eeとして得た。Pd:1ppm;Ru:225ppm;フォームA.m.p.164.9℃.
1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.45(dd、J=4.8、1.5Hz、1H)、8.16(d、J=2.4Hz、1H)、8.13-8.03(m、2H)、7.56(dd、J=8.6、2.5Hz、1H)、7.27(dd、J=8.0、4.8Hz、1H)、6.78(d、J=8.6Hz、1H)、6.53(br s、2H)、5.38(s、2H)、4.62(d、J=7.8Hz、1H)、4.13(m、1H) 3.94(s、3H)、3.79(s、3H)、1.17(d、J=6.4Hz、3H)ppm.(M+1)=419。
【0129】
実施例9-4:3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-dの製造
【化28】
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(20g;47.80mmol)を、2-メチルテトラヒドロフラン(400mL)に60℃で溶解した。メタノール-d(20mL;1 V、99%D)を加え、続いて固体カリウムt-ブトキシド(5.36g;47.80mmol;1当量)を加えた。この溶液を2時間加熱した。LCMSは87%Dを示した。反応溶液を22℃に冷却した。この懸濁液を10%質量/質量 塩化アンモニウム水溶液(400mL)で洗浄した。有機層を分離し、酢酸エチル(200mL)で希釈し、そして水(3x100mL)、続いて1/2飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、ろ過し、そして濃縮して固体にした。固体をトルエン(2x100mL)と共沸させて乾燥した。得られた黄褐色固体を2-メチルテトラヒドロフラン(500mL)に60℃で溶解し、そしてメタノール-d(40mL;2V)を加え、続いて固体カリウムt-ブトキシド(1.1g;9.80mmol;0.2当量)を加えた。溶液を3時間60℃に加熱した。LCMSは3時間後に96~97%Dを示した。反応溶液を室温まで冷却し、10%質量/質量 塩化アンモニウム水溶液(200mL;10V)で洗浄した。有機層を分離し、そして水(それぞれ200mL)で3回洗浄した。有機溶液をろ過し、濃縮し、そしてトルエンと共沸させて乾燥した。固体を2-メチルテトラヒドロフラン(560mL)に80℃で溶解した。反応溶液を75℃に冷却し、フォームAの結晶種(200mg)を入れた。温度を22℃まで冷却しながらこの混合物を撹拌し、そして1時間維持した。この混合物を0~5℃で1時間撹拌した。得られた固体をろ過し、冷2-メチルテトラヒドロフランで洗浄し、そして真空オーブンで乾燥して3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームAを灰色がかった白色粉末として得た(100 A%(HPLCによる)、キラル純度:99.5%;96.1% D(LCMSによる);Pd 1ppm;Ru 20ppm、収率84%)
1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 8.57(s、残留非重水素化、0.02H)、8.40(dd、J=4.8、1.5Hz、1H)、8.22(d、J=2.3Hz、1H)、8.10(dd、J=8.0,1.5、 1H)、7.72(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.36(dd、J=8.0、4.8、1H)、6.88(d、J=8.6Hz、1H)、6.76(d、J=1.9、1H)、6.50(d、J=1.9、1H)、5.40(s、2H)、4.72(d、J=7.8Hz、1H)、4.26-4.29(m、1H)、3.87(s、3H)、3.70(s、3H)、1.03(d、J=6.3Hz、3H)ppm.(M+1)=420。
【0130】
3-(((2S,3S)-8-メトキシ-2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-d フォームAを、XRPD、PLM、DSC、TGA、及びHPLCによりさらに特徴づけした。結果を表2-1にまとめ、出発物質が結晶性無水物であることを示す。
【0131】
【0132】
分析方法:
X線粉末回折(XRPD)
機器:Panalytical Empyrean粉末回折計
パラメーター:X線管Cu(Kα);管電圧45kV;管電流40mA
スキャン2~40度(2シータ);0.013度/ステップ;走査速度6度/分。
【0133】
熱重量分析(TGA)
機器:TA Instruments Discovery TGA Q5500
パラメーター:ランプ1分あたり10℃、周囲温度から250/300□Cまで、50mL/分N2で一掃した。
【0134】
示差走査熱量測定(DSC)
機器:TA Instruments Discovery DSC
パラメーター:ランプ 1分あたり10℃ 周囲温度から250/300℃まで50mL/分N2で一掃した。
【0135】
偏光顕微鏡法(PLM)
機器:Nikon Eclipse Ci Pol
カメラ:Nikon
ソフトウェア:NIS-Elements画像ソフトウェア
サンプルをスラリーとして顕微鏡スライド上に散布するか、又は乾燥している場合、サンプルをシリコーンオイルを用いて散布し、そして透過型偏光下で調べた。
【0136】
ホスホcFMS活性
試薬及び消耗品を、Sigma Aldrich、Gibco LifeTechnologies、BD Biosciences、Perkin Elmer、R&D Systems、Cell Signaling、Thermo Scientific(Pierce)及びSanta Cruz Biotechnologyから購入した。ヒトcFMSを過剰発現するHEK293細胞(HEK293/hFMS)を、T225フラスコにおいてRPMI培地中で培養し、そして週に2回分割した。実験のために、細胞をトリプシン処理し、計数し、そして無血清Megacell培地(Sigma カタログ番号M3817)を用いて600,000細胞/ml(30,000細胞/ウェル)まで希釈した。試験化合物の段階希釈を、Echo LDVプレート、カタログ番号LP-0200を使用してEcho 555(LABCYTE)で準備し;そして各化合物濃縮物500nlを96ウェルBD Biocoatポリ-d-リジンプレート(BD カタログ番号356640)にDMSO中に加えた(最終0.5%)。次いで、50μL/ウェルMegaCell無血清培地を加えて化合物を覆った後、細胞を50μL/ウェル細胞(30,000/ウェル)で加えた。プレートを1分間1000rpmで沈降させ、次いで、ベンチトップで15~30分間インキュベートした;37℃で終夜のインキュベーションのためにプレートをCO2インキュベーターに移動した。白色96ウェルPerkin Elmer OptiPlates(カタログ番号6005509)を、PBS中50ng/ウェル(100μL/ウェル 抗cFMS/CSF-1R(C-20)(Santa Cruzカタログ番号 sc-692)を用いてプレコーティングし、ホイルシールで密封し、1000rpmで1分間沈降させ、そして終夜4℃でインキュベートした。
【0137】
次の日に、プレーコーティングしたOptiPlatesプレートを1xPBST(0.1% Triton-Xを含むPBS)中200ul/ウェル1% BSAで室温にて2~3時間ブロックした。並行して、100μL/ウェル 2xhCSF1(最終150ng/ml)(R&D Systems、カタログ番号216-MC-025/CF)(又はネガティブコントロールとしての培地)を、HEK293/hFMS細胞(BD培養プレート)に加え、化合物とともに終夜インキュベートした。全てのプレートにおいて、100%応答(CSF1処理)及び0%応答(CSF1無し)対照カラムを、試験した化合物の阻害パーセント及びZ’プライム値を計算するために使用した。プレートを37℃で10分間インキュベートした。培地/hCSF1を吸引して除き、そして溶解緩衝液(Cell Signaling カタログ番号 9803)、プロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤(Pierce カタログ番号78444)、及びPMSF(Sigmaカタログ番号93482)から構成される予め冷却した溶解緩衝液100ul/ウェルを用いて細胞を溶解した。プレートを60秒間振盪し;次いで、3200rpmで5分間4℃で遠心分離して氷上で維持した。溶解物90ulを、プレコーティングしてブロックしたOptiPlatesに移した。次いでこれらのプレートを1000rpmで60秒間回転し、そして終夜4℃で密封してインキュベートした。
【0138】
次の日に、溶解物をプレートから取り出し;そしてプレートを1xPBS 300μL/ウェルを用いて6回Biotek洗浄機を使用して洗浄した。プレート上に残ったPBSを出した。PBST中1% BSA中の1:10,000 抗-ホスホ-Eu(Tyr 100)(Perkin Elmer カタログ番号 AD0159) 90μL/ウェルをプレートに加え;そしてプレートを1時間室温で密封してインキュベートした。1時間後に、抗体を除去し、そしてプレートをBiotek洗浄機を使用してPBST 300μL/ウェルで6回洗浄した。90μL/ウェル増強液(enhancement solution)(Perkin Elmer カタログ番号 4001-0010)を次に加え、そしてプレートを密封して5分間振盪した。320nmでの励起及び615nmでの発光を用いた時間分解蛍光のためにPerkin Elmer Envisionでシグナルをすぐに読み取った。
【0139】
データをPipeline Pilotにより解析してIC50値を計算した;蛍光体c-FMSについてのIC50値を、選択されたCSF-1R阻害剤について以下の表Bに示す。
【0140】
【0141】
生物学的実施例(実施例10~17xx):インビトロ試験
実施例10
CSF-1R阻害性化合物及び本開示の重水素化CSF-1R阻害剤性化合物の、CSF-1刺激後のサイトカイン/ケモカイン産生に対する影響を比較するために、以下の実験をBV2マウスミクログリア細胞において行った。
【0142】
BV2マウスミクログリア細胞の2つの異なる継代を、異なる96ウェルプレートに蒔き、生物学的四つ組を得た。
【0143】
【0144】
試験品:
・DMSO
・化合物24:
【化29】
・化合物6
【化30】
・組み換えマウスM-CSF(R&D Systems、カタログ番号416-ML/CF、ロット番号ME4518091)‐50μgを500μl PBSに溶解して100μg/mLストック溶液を調製し、そして100ng/mLで処理した。
【0145】
化合物24を、WO2017/015267の実施例1~92に概説される手順に従って製造した。
【0146】
両方の試験化合物を、培地を用いた希釈ストック溶液(10mM)で調製して100μM作業液を得、そして3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、200nM又は400nMで処理した。
【0147】
方法
BV2ミクログリア細胞の処理及び刺激
BV2マウスミクログリアを5x105細胞/mLの濃度で懸濁し、そしてこの細胞懸濁液100μLを96ウェルプレートの各ウェルに加えた。ミクログリア細胞を終夜37℃、5% CO2で静置した。次の日に、培地を除去し、そして細胞をジメチルスルホキシド(DMSO)、化合物24、又は化合物6のいずれかで30分間37℃、5%CO2で処理した。次いで、100ng/mL組み換えマウスM-CSFで24時間細胞を刺激した。刺激後に、培養上清を各ウェルから除去し、そしてその後のELISAアッセイのために2つの異なる96ウェルプレートに等分した。
【0148】
マウスMCP-1 ELISA
培養上清をR&D SystemsからのQuantikineマウスMCP-1 ELISAキットを用いてアッセイした。キャリブレーター希釈剤を用いてサンプルを1:10希釈した。アッセイ希釈剤50マイクロリットルを最初に各ウェルに加えた。次いで、標準物質、アッセイ対照及び希釈したサンプル50μLをウェルに加えた。フレームを穏やかにタップすることによりプレートを混合し、そして粘着テープで密封した。プレートを2時間室温でインキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液約400μLで噴出瓶を使用して5回洗浄した。最後の洗浄後に、プレートをペーパータオル上で穏やかにタップして過剰な水分を除去した。マウスMCP-1抱合体100μLを各ウェルに加え、新しい接着テープで覆い、そして室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを上記のように洗浄した。次いで基質溶液を各ウェルに加え、そして30分間室温で暗所にてインキュベートした。インキュベーション後に、酸停止溶液を各ウェルに加え、そしてプレートをELISAプレートリーダーで450nmで読み取った。
【0149】
結果
BV2マウスミクログリアを、1ウェルあたり50,000細胞でプレートに蒔き、終夜静置した。細胞をDMSO、化合物24、又は化合物6で30分間前処理し、次いでCSF-1刺激を行った。この実験からの細胞培養上清をMCP1 ELISAで処理して、刺激/処理がケモカイン産生に影響を及ぼしたか否かを決定した。
図1A~1B及び
図2A~2Bにおいて示されるように、CSF-1刺激はMCP-1(CCL2‐ケモカイン)の放出において有意な増加を誘導し、そして両方の小分子CSF-1R阻害剤が、濃度依存性様式でMCP-1産生を有意に減少させた。阻害パーセントを、未刺激及び刺激した対照に基づいて計算し、そしてIC
50曲線を作成した。
図3A~3B及び4A~4Bに示されるように、両方の化合物がこのアッセイについて28.8nM~36.5nMの間の同様のIC
50値を示す。
【0150】
図の棒は平均及び標準偏差を表す。統計的有意性を一元配置分散分析(one-way ANOVA)で多重比較法を用いて決定し、そしてp値は* p<0.05、** p<0.01、*** p<0.001、及び**** p<0.0001により表される。
【0151】
実施例11
2つのCSF-1R阻害性化合物及び本開示の1つの重水素化CSF-1R阻害性化合物の、CSF-1刺激後のミクログリアサイトカイン/ケモカイン産生に対する効果を比較するために、以下の実験を初代マウスミクログリア細胞において行った。
【0152】
【0153】
試験品:
・DMSO
・化合物49
【化31】
・PLX3397(ペキシダルチニブ)
【化32】
・化合物6
・組み換えマウスCSF-1(R&D Systems、カタログ番号416-ML/CF、ロット番号ME4518091)‐50μgを500μL PBSに溶解することにより100μg/mLストック溶液を調製し、そしてミクログリアを100ng/mLで処理した。
【0154】
化合物49をWO2017/015267の実施例1-5に概説される手順に従って製造した。
【0155】
全ての試験化合物を、培地を用いて希釈ストック溶液(10mM)で調製して100μM作業液を得、そして3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、200nM又は400nMで処理した。
【0156】
方法
初代ミクログリア細胞の処理及び刺激
初代マウスミクログリアを5x105細胞/mLの濃度で懸濁し、そしてこの細胞懸濁液100μLを、3つの96ウェルプレートの内側60ウェルに加えた。ミクログリア細胞を終夜37℃、5%CO2で静置した。次の日に、培地を除去し、そして細胞をジメチルスルホキシド(DMSO)、化合物49、PLX3397、又は化合物6のいずれかで30分間37℃、5%CO2にて処理した。次いで細胞を、100ng/mL組み換えマウスCSF-1を用いて24時間刺激した。刺激後に、培養上清を各ウェルから除去し、そしてその後のELISAアッセイのために2つの異なる96ウェルプレートに等分した。プレートをその後の免疫細胞化学分析のために4%PFAで固定した。
【0157】
マウスMCP-1 ELISA
培養上清をQuantikineマウスMCP-1 ELISAキット(R&D Systems、カタログ番号SMJE00B)を用いてアッセイした。サンプルをキャリブレーター希釈剤を用いて1:10希釈した。アッセイ希釈剤50マイクロリットルを最初に各ウェルに加えた。次いで、標準物質、アッセイ対照及び希釈したサンプル50マイクロリットルをウェルに加えた。フレームを穏やかにタップすることによりプレートを混合し、そして粘着テープで密封した。プレートを2時間室温でインキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液約400μLで噴出瓶を使用して5回洗浄した。最後の洗浄後に、プレートをペーパータオル上で穏やかにタップして過剰な水分を除去した。マウスMCP-1抱合体100μLを各ウェルに加え、新しい接着テープで覆い、そして室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを上記のように洗浄した。次いで基質溶液を各ウェルに加え、そして30分間室温で暗所にてインキュベートした。インキュベーション後に、酸停止溶液を各ウェルに加え、そしてプレートをFlexStation3マルチモードマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、カタログ番号Flex3)でSoftMax Proソフトウェアを使用して450nmで読み取った。
【0158】
初代ミクログリアの免疫染色
刺激後に、4%PFAを用いて20分間室温で細胞固定した。次いで、細胞をPBSですすぎ、3x5分0.2%PBT(PBS中0.2% Triton X-100)で洗浄し、そして10%ロバ血清/0.2%PBTを用いて1時間室温でブロックした。次いで、10%ロバ血清/0.2%PBTで希釈された一次抗体(ウサギ抗Iba1、1:500;Wako、カタログ番号019-19741又はウサギ抗Ki67、1:500;Abcam、カタログ番号 ab15580)中4℃で終夜細胞をインキュベートした。次の日に、3x5分0.2%PBT中で洗浄し、そして1%ロバ血清/0.2%PBTで希釈された二次抗体(ロバ抗ウサギAlexa Fluoro 488、1:500;Life Technologies、カタログ番号A21206)中で細胞を1時間室温にてインキュベートした。次いで、細胞を3x5分0.2%PBT中で洗浄し、DAPI(PBS中1:10,000)中で5分間室温にてインキュベートし、そしてPBS中ですすいだ。
【0159】
顕微鏡法
染色後に、IN Cell Analyzer 2200でウェルごとに得られた9視野を用いてプレートを画像化した。IN Cell Developer Analysisソフトウェアで定量を行い、9視野についてのIBA1染色の面積の合計(μm2)又はKi67+細胞の数を計算した。各ウェルにおける視野あたりの平均値(染色の人為的現象に起因して特定の視野を除いたので典型的には6~9視野)をそれぞれの技術的三連について計算し、そしてDMSO対照ウェルの平均に対して正規化した。一元配置分散分析を使用して、サンプル間の差の統計的有意性を決定した。統計分析はPrism 6(GraphPad Software)を用いて行われ、そしてp値は*≦0.05、**≦0.01、***≦0.001、及び****≦0.0001により示される。
【0160】
結果
初代マウスミクログリアを1ウェルあたり50,000細胞で蒔いて、終夜静置した。DMSO、化合物49、PLX3397又は化合物6で30分間、細胞を前処理し、次いでCSF-1刺激を行った。この実験からの細胞培養上清を、MCP1 ELISAにおいて処理して、刺激/処理がケモカイン産生に影響を及ぼすか否かを決定した。
図5A~5Cに見られるように、CSF-1刺激は、MCP-1(CCL2‐ケモカイン)の放出の有意な増加を誘導した。CSF-1R阻害剤、PLX3397及び化合物6は、濃度依存性様式でMCP-1産生を有意に減少させた(通常の(Ordinary)一元配置分散分析、p<0.0001)。IC
50値をPLX3397(IC
50=17.4nM)及び化合物6(IC
50=23.2nM)の両方について計算した。CSF-1誘導MCP-1産生は、化合物49で処理されたものについてプレートにおいて安定していなかったので(
図5B)、この化合物についてのIC
50値を生成することができなかった。MCP-1分泌を、R&D MCP-1 Elisaキットを利用して24時間後に評価した。各データ点は単一ウェルを表すが、図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。
【0161】
ミクログリア刺激後に、免疫細胞化学をIba1、Ki67、及びDAPIを用いて完了し、ミクログリアの形態、増殖状態、及び数を決定した。InCell画像化顕微鏡及び解析ソフトウェアを使用して、Iba1
+面積、及び培養物内のDAPI
+核の数を定量した。免疫細胞化学(ICC)の間の凝縮がIba1抗体をKi67ウェルに相互移動させた(cross-transferred)ため、Ki67を定量することはできなかった。定量結果(
図6A~6C及び7A~7C)は、それぞれIba1
+面積及びDAPI
+細胞数に対するCSF-1刺激の有意な効果を示した。CSF-1R阻害は、これらのCSF-1誘導細胞変化を濃度依存性様式でブロックすることが分かった。IC
50値を、PLX3397(Iba1についてIC
50=50.43nM及びDAPIについて68.2nM)及び化合物6(Iba1についてIC
50=84.6nM及びDAPIについて248nM)の両方について計算した。
【0162】
図6A~6Cにおいて、Iba1
+面積を、ミクログリア刺激アッセイ後に定量した。CSF-1刺激はIba1
+面積を有意に増加させ、そしてCSF-1R阻害剤を用いた処理は、この効果を濃度依存性様式で有意に抑止した。ミクログリア面積を、各条件について3つの異なるウェルから撮られた9つの画像から定量した。データ点はウェルあたりの平均Iba1
+面積を表し、そして誤差バーは標準偏差(n=3)を表す。統計的有意性を、一元配置分散分析により決定し、そしてp値は、* p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001により示される。
【0163】
図7A~7Cにおいて、DAPI
+標識核を、ミクログリア刺激アッセイ後に定量した。CSF-1刺激は培養物内の細胞数を増加させ、そしてCSF-1R阻害剤は、この数を濃度依存性様式で減少させた。DAPI
+核を、各条件について3つの異なるウェルから撮られた9つの画像から定量した。データ点はウェルあたりの平均Iba1
+面積(9つの画像から)を表し、そして誤差バーは標準偏差を表す(n=3)。統計的有意性を、一元配置分散分析により決定し、そしてp値は*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、及び****p<0.0001により示される。
【0164】
実施例12
野生型対SOD1変異体初代ミクログリア細胞におけるCSF-1又はLPS刺激後のサイトカイン/ケモカイン産生に対する本開示の重水素化CSF-1R阻害剤の影響を、以下の実験において調べた。
【0165】
【0166】
試験品:
・DMSO
・化合物6‐ストック溶液(10mM)を培地で希釈して100μM作業溶液を得、そしてミクログリアを50nM、100nM、又は200nMで処理。
・組み換えマウスM-CSF(R&D Systems、カタログ番号416-ML/CF、ロット番号ME4518091)‐50μgを500μl PBSに溶解することにより100μg/mLストック溶液を調製し、そしてミクログリアを100ng/mLで処理。
・リポ多糖、大腸菌O55:B5(Sigma、カタログ番号L6529-1mg、ロット番号059M4103V)由来‐0.2mg LPS/mL PBSストックを製造し、そしてミクログリアを10ng/mLで処理。
【0167】
方法
初代ミクログリア細胞の処理及び刺激
初代マウスミクログリアを5x105細胞/mLの濃度で懸濁し、そしてこの細胞懸濁液100μLを96ウェルプレートの各ウェルに加えた。ミクログリア細胞を終夜37℃、5%CO2で静置した。次の日に、培地を除去し、そしてジメチルスルホキシド(DMSO)又は化合物6のいずれかで細胞を30分間又は24時間37℃、5%CO2で処理した。次いで、100ng/mL組み換えマウスM-CSFで30分間又は10ng/mLリポ多糖で24時間細胞を刺激した。刺激後に、培養上清を各ウェルから取り出し、その後のELISAアッセイのために2つの異なる96ウェルプレートに等分した。
【0168】
CellTiter Glo 2.0細胞生存度アッセイ
細胞生存度を、PromegaのCell Titer Glo発光細胞生存度アッセイを使用して決定した。アッセイ試薬を最初に30分間室温に平衡化させた。培養上清を除去した後、新鮮な室温の培地100μLを各ウェルに加えた。続いて、アッセイ試薬100μLを各ウェルに加えた。次いでアッセイプレートを2分間振盪し、そして10分間静置した。100μLを各ウェルから白色プレートに移し、そしてすぐに発光をFlexStation3プレートリーダーで読み取った。
【0169】
マウスMCP-1 ELISA
培養上清を、R&D Systems(カタログ番号SMJE00B)からのQuantikineマウスMCP-1 ELISAキットを用いてアッセイした。サンプルをキャリブレーター希釈剤で1:10希釈した。アッセイ希釈剤50マイクロリットルを最初に各ウェルに加えた。次いで、標準物質、アッセイ対照及び希釈したサンプル50μLをウェルに加えた。フレームを穏やかにタップすることによりプレートを混合し、そして粘着テープで密封した。プレートを2時間室温でインキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液約400μLで噴出瓶を使用して5回洗浄した。最後の洗浄後に、プレートをペーパータオル上で穏やかにタップして過剰な水分を除去した。マウスMCP-1抱合体100マイクロリットルを各ウェルに加え、新しい接着テープで覆い、そして室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを上記のように洗浄した。次いで基質溶液を各ウェルに加え、そして30分間室温で暗所にてインキュベートした。インキュベーション後に、酸停止溶液を各ウェルに加え、そしてプレートをELISAプレートリーダーで450nmで読み取った。
【0170】
マウスIL-12p40 ELISA
細胞培養上清を、R&D Systems(カタログ番号MP400)からのQuantikineマウスIL-12p40 ELISAキットを用いてアッセイした。サンプルをキャリブレーター希釈剤を用いて1:10希釈した。アッセイ希釈剤50マイクロリットルを最初に各ウェルに加えた。次いで、標準物質、アッセイ対照及び希釈したサンプル50μLをウェルに一度に(in singlicate)加えた。フレームを穏やかにタップすることによりプレートを混合し、次いで粘着テープで密封した。プレートを2時間室温でインキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液約400μLで噴出瓶を使用して5回洗浄した。最後の洗浄後に、プレートをペーパータオル上で穏やかにタップして過剰な水分を除去した。マウスIL-12p40抱合体100マイクロリットルを各ウェルに加え、新しい接着テープで覆い、そして室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを上記のように洗浄した。次いで基質溶液を各ウェルに加え、そして30分間室温で暗所にてインキュベートした。インキュベーション後に、酸停止溶液を各ウェルに加え、そしてプレートをELISAプレートリーダーで450nmで読み取った。
【0171】
結果
初代マウスミクログリアを1ウェルあたり50,000細胞で蒔き、そして終夜静置した。細胞をDMSO又は化合物6で30分間又は24時間前処理し、次いでそれぞれCSF-1刺激又はLPS刺激を行った。細胞生存度を24時間後にPromegaのCell Titer Gloアッセイキットを利用して評価した。CSF-1刺激及びLPS刺激の両方が、未刺激細胞と比較して細胞生存度読み出しのわずかな増加を誘導した(
図8A~8B及び
図9A~9B)。
【0172】
図8A及び8Bに見られるように、CSF-1R阻害剤処理は、評価した濃度でミクログリアに対して毒性効果を有していなかった。重水素化CSF-1R阻害剤、化合物6は、細胞生存度のCSF-1誘導増加をわずかに減少させた。図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。
図9A~9Bに見られるように、CSF-1R阻害は細胞生存度に対して有害な効果を有していなかった。図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。CSF-1刺激又はLPS刺激に応じた野生型対SOD1のミクログリア細胞生存度において有意な差は観察されなかった。
【0173】
この実験からの細胞培養上清を、2つの別々のELISA(MCP-1及びIL12p40)で処理して、刺激/処理がケモカイン/サイトカイン産生に影響を及ぼしたか否かを決定した。
【0174】
図10A~10Bに見られるように、CSF-1刺激はMCP-1(CCL2‐ケモカイン)の放出において有意な増加を誘導し、そして化合物6は濃度依存性様式でMCP-1産生を有意に減少させた。図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。通常の一元配置分散分析を行って、群間の統計的差異を決定し、そしてp値は*** p<0.001及び**** p<0.0001により表される。
【0175】
図11A~11Bにおいて見られるように、LPS刺激は、マウスミクログリア培養においてIL12-p40産生の有意な増加を誘導した。化合物6を用いたCSF-1R阻害は、濃度依存性様式でIL12-p40産生を有意に減少させた。図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。通常の一元配置分散分析を行って、群間の統計的差異を決定し、そしてp値は** p<0.01、*** p<0.001、及び**** p<0.0001により表される。
【0176】
実施例13 化合物6を化合物24と比較するためのCaco-2透過性及び排出アッセイ
Caco-2透過性及び排出アッセイを、Caco-2/TC7細胞を使用した細胞ベースの透過性モデルにおいて行った。透過性アッセイのために、Caco-2/TC7細胞をMillipore Millicell 96に播種し、そして排出アッセイのために、24ウェルプレートを使用した。細胞を含んだプレートは、培養の21~25日の間にすぐに使用できる状態であった。透過性及び排出の両方のアッセイを、TECAN自動化液体操作プラットフォームを使用して行った。透過性アッセイのために、0.5%BSAを含有する透過性アッセイ緩衝液(HBSS緩衝液中10mM HEPES、pH6.5)中20μM試験濃度で試験化合物を調製した。側庭膜透過性緩衝液(pH7.4)は5%BSAを含有する。排出アッセイのために、試験化合物を、0.5%BSAを含有する透過性アッセイ緩衝液(HBSS緩衝液中10mM HEPES、pH7.4)中1μMの試験濃度で調製した。排出アッセイのために、側庭膜透過性緩衝液(pH7.4)は0.5%BSAを含有していた。透過性アッセイを、Caco-2/TC7細胞を含有するプレートの頂端側に20μM試験溶液を加えることにより開始した。排出アッセイにおいて、1μM試験化合物を頂端から側庭への(A-B)透過性測定のために頂端区画に加えた。側庭から頂端への(B-A)透過測定のために、試験化合物を側庭側に加えた。プレートを90分間一定の振盪下で37℃にてインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、採取したサンプルを、タンデム質量分析とともに高圧液体クロマトグラフィーを使用して分析した。各アッセイについて、見かけの透過性(Papp)及び回収を、質量分析データから計算した。透過性アッセイについては、Papp値を数x10-07cm/sとして報告する。排出アッセイについては、回収値に加えてPapp(側庭から頂端)対Papp(頂端から側庭)を使用して排出比を計算した。
【0177】
【0178】
【0179】
CYP阻害
このアッセイ方法の目的は、試験品のインビトロでの特定のチトクロムP450(CYP)酵素に対する阻害性効力を、ヒト肝ミクロソーム(HLM)を使用して決定することである。試験化合物を純粋なDMSOストックから0.5%DMSO溶液中10μM~0.07μMの最終試験濃度範囲まで希釈した。37℃で0.22mg/mLヒト肝ミクロソーム(HLM)、50mMリン酸緩衝液、1.33mM NADPH、3.33mMグルコース-6-リン酸、3.33mMマグネシウム六水和物、0.4単位/mLグルコース-6-リン酸脱水素酵素、及び適切な濃度の個々の化学プローブとともに10~30分間化合物をコインキュベートした。インキュベーション後に、サンプルを抽出し、そして0.1%ギ酸を含有するアセトニトリル中でタンパク質を沈殿させた。サンプルを遠心分離して過剰なタンパク質を除き、そしてLDTD/MS/MSにより分析してIC50値を決定した。基質の鍵となる濃度は以下のとおりである: CYP2D6基質 - デキストロメトルファン10μM。CYP3A4基質 - テストステロン60μM、及びミダゾラム2μM。デキストロメトルファン及びテストステロンを、試験化合物とそれぞれ30分間インキュベートした。ミダゾラムを試験化合物と10分間インキュベートした。以下のデータ表に示されるように、化合物6及び24の両方が10μMまでCYP阻害を示さなかった。
【0180】
【0181】
ヒト、ラット、イヌ、マウス及びサル肝細胞
50万肝細胞 細胞/mLにおいて試験化合物1μM濃度で二連でラット、ヒト、イヌ、サル、又はマウス肝細胞とともにインキュベーションを行い、そして、試験化合物枯渇の濃度-時間経過を、アッセイ時点でのインキュベーションからのサンプル抜き取り後にタンデム質量分析を備えた液体クロマトグラフィーの後で決定した。有機溶媒を使用してインキュベーションを終了させた。
【0182】
【0183】
ヒトサイトゾル及びS-9フラクション
高いアルデヒドオキシダーゼ(AO)/キサンチンオキシダーゼ(XO)活性を有する1mg/mLヒト肝サイトゾル又は高いAO/XO活性を有する2.5mg/mLヒト肝S-9フラクションにおいて1μM濃度の試験化合物で二連でインキュベーションを行い、そして試験化合物枯渇の濃度-時間経過を、アッセイ時点でのインキュベーションからのサンプル抜き取り後にタンデム質量分析を備えた液体クロマトグラフィーの後で決定した。有機溶媒を使用してインキュベーションを終了させた。
【0184】
アルデヒドオキシダーゼ基質についての較正アプローチ
Zientek M、Jiang Y、Youdim K、Obach RS.In vitro-in vivo correlation for intrinsic clearance for drugs metabolized by human aldehyde oxidase.Drug Metab Dispos.2010;38(8):1322-1327.doi:10.1124/dmd.110.033555は、AO基質についての基本的な較正アプローチを記載する。
【0185】
この方法は、AOにより代謝されることが知られている市販の薬物を使用して固有クリアランスのインビトロ-インビボ相関のためのベンチマークツールを提供する。
【0186】
前臨床種(マウス、ラット及びイヌ)は、酵素のヒトAOX1アイソフォームのそれらの異なる発現に起因してAO代謝を正確に予測することができないということが知られている。マウス及びラットは、活性な4つのアイソフォーム、AOX1、AOX2、AOX3及びAOX4を含有し、イヌは活性なAOX1酵素を欠いており、そしてサルのみが活性AOX1アイソフォームを含有する。ヒト薬物動態を予測するための伝統的なアロメトリックスケーリングアプローチは、AO基質を正確に予測するために利用可能な前臨床種を欠いているために困難である。したがって、インビトロ-インビボ較正アプローチは、臨床でのヒト薬物動態を有する既知のAO基質を使用して行われた。これらの薬物のいくつかは、それらの不十分なPK特性のために臨床において成功しなかった。許容しうるヒト薬物動態特性を有するザレプロン(より低いクリアランスのAO基質)をベンチマーク化合物として使用することにより、等級付け較正アプローチを開発することが可能となった。
【0187】
これらの利用可能な既知のAO基質を、試験化合物とともに3つのインビトロシステム(プールされたヒト肝臓サイトゾル、肝臓S-9フラクション及びHTK培地を灌流した肝臓から単離されたヒト肝細胞)を使用して分析した。スケーリングされた未結合固有クリアランスを、試験化合物/新しい化学実体について計算し、そして既知のAO基質のインビボ未結合固有クリアランスと比較した。ザレプロンより低いAO介在性インビトロスケーリング未結合固有クリアランスを有する化合物は、許容しうるAOインビボクリアランスを有すると予測される。
【0188】
【0189】
【0190】
実施例14:アルデヒドオキシダーゼ阻害剤ヒドララジンの存在しない場合及び存在下での凍結保存したヒト肝細胞における化合物24の代謝物プロフィール
化合物24の代謝物プロフィールを、アルデヒドオキシダーゼ(AO)阻害剤ヒドララジンの存在しない場合及び存在下での凍結保存したヒト肝細胞においてインビトロで調べた。合計9つの代謝物を同定し、そして凍結保存したヒト肝細胞において化合物24を2時間インキュベートした後にLC-MSにより定量した。
【0191】
凍結保存したヒト肝細胞において2時間のインキュベーション後に、未変化の親化合物が72.2%残っており、これは化合物24及びその同定された代謝物の統合した合計MSピーク面積に基づいて計算された。H10は検出された最も豊富にある代謝物であり、そして化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の20.3%を占めた。代謝物H4aは化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の4.5%を占めた。同定されたその他の代謝物の各々は、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<2%であった。
【0192】
凍結保存したヒト肝細胞におけるヒドララジンの存在下での2時間のインキュベーション後に、未変化の化合物24は、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の90.9%を占めた。ヒドロキシル化代謝物H10の形成は有意に阻害され、そして化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の1.6%を占めた。H4aは主要な代謝物であり、そして化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の5.4%を占めた。その他の同定された代謝物の各々は、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<1%であった。
【0193】
H10は、化合物24の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置でのヒドロキシル化から誘導されたと提案された。H4aは、化合物24の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分における水和及び3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置におけるグルクロニドから誘導されたと提案された。H11aは、H10の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分のグルクロン酸抱合から誘導されたと提案された。H7は、化合物24の2-メトキシル-ピリンジン部分におけるO-脱メチルから誘導されたと提案された。H6は、化合物24のグルクロニド抱合体であると提案された。
【0194】
提案された主要な代謝経路は、AO介在性ヒドロキシル化、それに続くグルクロン酸抱合、及び水和とグルクロン酸抱合との組み合わせを含んでいた。他の観察された代謝経路は、非AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、直接グルクロン酸抱合、脱メチル化とそれに続くグルクロン酸抱合、及び酸化的脱アミノとそれに続く酸化との組み合わせを含んでいた。
【0195】
化合物24は、WO2017/015267の実施例1-92に概説される手順に従って製造された。
【0196】
インキュベーション条件
ヒドララジンを含有する一般的実験設計を以下に示す:
【0197】
【0198】
試験サンプリング後に、三連インキュベーションからの残りのサンプルを合わせて代謝物同定試験のために処理した。
【0199】
サンプル調製
各サンプルに、等量の氷冷アセトニトリル(体積/体積)を加え、次いでサンプルをボルテックス混合した。約13,000rpmで10分間の遠心分離後に、上清を窒素気流下で35℃にて抽出物約0.1~0.2mLが残るまで濃縮した。分析の前に、残りの抽出物を約13,000rpmで15分間遠心分離した。上清を分析のためにLC/UV/MSに注入した。
【0200】
機器条件
代謝物同定をUV(Thermo Vanquish)及び質量分析計(MS)検出(Thermo Orbitrap ID-X)と連結されたUPLC(Thermo Vanquish)で行った。
【表14】
【0201】
データ評価
低いサンプル濃度のため、質量ピーク面積を代謝物プロファイリングのために使用した。代謝物又は未変化親化合物のパーセンテージを、代謝物又は親化合物の等モル濃度について等しい質量スペクトル応答を仮定して、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積に基づいて計算した。積分された合計MSピーク面積の0.1%に等しいか又は0.1%よりも多くを占めるピーク面積を有する代謝物を以下の表1に報告する。
【0202】
代謝物を、それらの正確な質量(許容誤差≦5ppm)、質量フラグメンテーションパターン、及び他のインビトロ試験との比較に基づいて特徴づけした。
【0203】
【0204】
化合物24の代謝物プロフィールを、インビトロで凍結保存されたヒト肝細胞においてAO阻害剤ヒドララジンの不在下及び存在下で調べた。凍結保存されたヒト肝細胞において2時間化合物24をインキュベートした後に、合計9つの代謝物を同定し、そしてLC-MSにより定量した(
図12A~12Bを参照のこと)。
【0205】
凍結保存されたヒト肝細胞における2時間のインキュベーション後に、未変化の親化合物の72.2%が残っており、これは化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積に基づいて計算された。H10は検出された最も豊富な代謝物であり、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の20.3%を占めた。代謝物H4aは、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の4.5%を占めた。同定された他の代謝物の各々は、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<2%であった。
【0206】
AO阻害剤ヒドララジンの存在下での凍結保存されたヒト肝細胞における2時間のインキュベーション後に、未変化の化合物24は、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の90.9%を占めた。ヒドロキシル化代謝物H10の形成は有意に阻害され、そして化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の1.6%を占めた。H4aは主要な代謝物であり、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の5.4%を占めた。同定された他の代謝物の各々は、化合物24及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<1%であった。
【0207】
H10は、化合物24の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置におけるヒドロキシル化から誘導されたと提案された。H4aは、化合物24の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分での水和及び3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジンの2C位置でのグルクロニドから誘導されたと提案された。11aは、H10の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分のグルクロン酸抱合から誘導されたと提案された。H7は、化合物24の2-メトキシル-ピリンジン部分でのO-脱メチルから誘導されたと提案された。H6は、化合物24のグルクロニド抱合体であると提案された。
【0208】
提案された主要な代謝経路(
図13)は、AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、及び水和とグルクロン酸抱合との組み合わせを含む。他の観察された代謝経路は、非AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、直接グルクロン酸抱合、脱メチルとそれに続くグルクロン酸抱合、及び酸化的脱アミノとそれに続く酸化との組み合わせを含んでいた。
【0209】
実施例15:凍結保存されたヒト肝細胞におけるアルデヒドオキシダーゼ阻害剤ヒドララジンの不在下及び存在下での化合物6の代謝物プロフィール
化合物6の代謝物プロフィールを、インビトロで凍結保存されたヒト肝細胞においてアルデヒドオキシダーゼ(AO)阻害剤ヒドララジンの不在下及び存在下で調べた。凍結保存されたヒト肝細胞において2時間化合物6をインキュベートした後に、LC-MSにより合計9つの代謝物を同定し、そして定量した。
【0210】
凍結保存されたヒト肝細胞において2時間のインキュベーション後に、未変化親化合物の87.1%が残っており、これは化合物6及びその積分された合計MSピーク面積に基づいて計算された。H10及びH4aは検出された主要な代謝物であり、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積のそれぞれ6.6%及び4.6%を占めた。同定された他の代謝物の各々は、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<1%であった。
【0211】
凍結保存されたヒト肝細胞においてAO阻害剤ヒドララジンの存在下で2時間のインキュベーション後に、未変化の化合物6は化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の92.0%を占めた。ヒドロキシル化代謝物H10の形成は有意に阻害され、そして化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の0.9%を占めた。H4aは主要な代謝物であり、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の5.7%を占めた。同定された他の代謝物の各々は、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<1%であった。
【0212】
H10は、化合物6の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置におけるヒドロキシル化から誘導されたと提案された。H4aは、化合物6の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分における水和及び3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置におけるグルクロン酸抱合から誘導されたと提案された。H11aは、H10の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分のグルクロン酸抱合から誘導されたと提案された。H7は、化合物6の2-メトキシル-ピリンジン部分におけるO-脱メチルから誘導されたと提案された。H6は、化合物6のグルクロニド抱合体であると提案された。
【0213】
提案された主要な代謝経路は、AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、及び水和とグルクロン酸抱合との組み合わせを含んでいた。他の観察された代謝経路は、非AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、直接グルクロン酸抱合、脱メチルとそれに続くグルクロン酸抱合、及び酸化的脱アミノとそれに続く酸化との組み合わせを含んでいた。
【0214】
インキュベーション条件
ヒドララジンを含む全体的な実験設計を以下に示す:
【0215】
【0216】
試験サンプリング後に、三連インキュベーションからの残りのサンプルを合わせて、代謝物同定試験のために処理した。
【0217】
サンプル調製
各サンプルに、等量の氷冷アセトニトリル(体積/体積)を加え、そしてサンプルをボルテックス混合した。約13,000rpmで10分間の遠心分離後に、上清を35℃にて抽出物約0.1~0.2mLが残るまで窒素気流下で濃縮した。分析前に、残りの抽出物を約13,000rpmで15分間遠心分離した。上清を分析のためにLC/UV/MSに注入した。
【0218】
機器条件
代謝物同定を、UV(Thermo Vanquish)及び質量分析計(MS)検出(Thermo Orbitrap ID-X)と連結されたUPLC(Thermo Vanquish)で行った。
【0219】
【0220】
データ評価
低いサンプル濃度のために、質量ピーク面積を代謝物プロファイリングに使用した。代謝物又は未変化の親化合物のパーセンテージを、等モル濃度の代謝物又は親化合物について等しい質量スペクトル応答を仮定して、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積に基づいて計算した。積分された合計MSピーク面積の0.1%に等しいか0.1%より多くを占めるピーク面積を有する代謝物を以下の表2に報告する。
【0221】
代謝物を、それらの正確な質量(許容誤差≦5ppm)、質量フラグメンテーションパターン、及び他のインビトロ試験との比較に基づいて特徴づけした。
【0222】
【0223】
化合物6の代謝物プロフィールを、インビトロで凍結保存されたヒト肝細胞においてAO阻害剤ヒドララジンの不在下及び存在下で調べた。凍結保存されたヒト肝細胞において2時間化合物6をインキュベートした後に、合計9つの代謝物がLC-MSにより同定され、そして定量された(
図14A~14Bを参照のこと)。
【0224】
凍結保存されたヒト肝細胞において2時間のインキュベーション後に、未変化の親化合物の87.1%が残っており、これは化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積に基づいて計算された。H10及びH4aは、検出された主要な代謝物であり、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積のそれぞれ6.6%及び4.6%を占めた。同定された他の代謝物の各々は、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<1%であった。
【0225】
凍結保存されたヒト肝細胞においてAO阻害剤ヒドララジンの存在下で2時間のインキュベーション後に、未変化の化合物6は、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の92.0%を占めた。ヒドロキシル化代謝物H10の形成は有意に阻害され、そして化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の0.9%を占めた。H4aは主要な代謝物であり、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の5.7%を占めた。同定された他の代謝物の各々は、化合物6及びその同定された代謝物の積分された合計MSピーク面積の<1%であった。
【0226】
H10は、化合物6の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置におけるヒドロキシル化から誘導されたと提案された。H4aは、化合物6の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分における水和及び3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分の2C位置におけるグルクロン酸抱合から誘導されたと提案された。H11aは、H10の3H-イミダゾール[4,5-b]ピリジン部分のグルクロン酸抱合から誘導されたと提案された。H7は、化合物6の2-メトキシル-ピリンジン部分におけるO-脱メチルから誘導されたと提案された。H6は、化合物6のグルクロン酸抱合体であると提案された。提案された主要な代謝経路(
図15)は、AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、及び水和とグルクロン酸抱合との組み合わせを含む。他の観察された代謝経路は、非AO介在性ヒドロキシル化とそれに続くグルクロン酸抱合、直接グルクロン酸抱合、脱メチルとそれに続くグルクロン酸抱合、及び酸化的脱アミノとそれに続く酸化との組み合わせを含んでいた。
【0227】
実施例16:インビトロミクログリア刺激試験
CSF1刺激後のヒトミクログリアサイトカイン/ケモカイン産生の影響を決定するために、以下の実験を行った。
【0228】
試験品:
・DMSO
・化合物6‐ストック溶液(10mM)を培地で希釈して100μM作業溶液を得、そしてミクログリアを1.5625nM、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、又は200nMで処理した。
・化合物24‐ストック溶液(10mM)を培地で希釈して100μM作業溶液を得、そしてミクログリアを1.5625nM、3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、100nM、又は200nMで処理した。
・組み換えヒトCSF1(R&D Systems、カタログ番号216-ML/CF、ロット番号MVN1218101)‐50μgを500μl PBSに溶解することにより100μg/mLストック溶液を調製し、そしてミクログリアを100ng/mLで処理した。
【0229】
方法
iCellミクログリアの処理及び刺激
iCellミクログリア(ヒトiPSC誘導ミクログリア)をFujiFilm(カタログ番号C1110、ロット番号105458)から入手した。これらの細胞を解凍し、そして製造者の指示に従ってiCellミクログリア完全培地中で維持した。このアッセイのために、iCellミクログリアを5x105細胞/mLの濃度で再懸濁し、そしてこの細胞懸濁液100μLを96ウェルプレートの内側60ウェルに加えた。iCellミクログリアを終夜37℃、5%CO2で静置した。次の日の夜に、培地を除去し、そしてB27サプリメント(Gibco、カタログ番号17504044)を含有するNeurobasal培地(Gibco、カタログ番号21103049)と置き換えた。再び、細胞を37℃、5%CO2で終夜静置した。次の日の朝に、ジメチルスルホキシド(DMSO)又は化合物6又は化合物24のいずれかで細胞を30分間37℃、5%CO2にて処理した。次いで細胞を100ng/mL組み換えヒトCSF1を用いて24時間刺激した。刺激後に、培養上清を各ウェルから除去し、そしてその後のELISAアッセイのために2つの異なる96ウェルプレートに等分した。
【0230】
CellTiter Glo 2.0生存アッセイ
細胞生存度を、CellTiter Glo 2.0発光細胞生存度アッセイ(Promega、カタログ番号G9242)を使用して決定した。アッセイ試薬を最初に室温に30分間平衡化させた。培養上清を除去した後、新鮮な室温の培地100μLを各ウェルに加えた。その後、アッセイ試薬100μLを各ウェルに加えた。次いでアッセイプレートを2分間振盪し、そして10分間静置した。100μLを各ウェルから白色プレートに移し、そして直ぐに発光をFlexStation3マルチモードマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、カタログ番号Flex3)でSoftMax Proソフトウェアを用いて読み取った。
【0231】
マウスMCP-1 ELISA
培養上清をQuantikineヒトMCP-1 ELISAキット(R&D Systems、カタログ番号SCP00)を用いてアッセイした。サンプルをキャリブレーター希釈剤を用いて1:10希釈した。次いで標準物質及び希釈されたサンプル200マイクロリットルをウェルに加えた。フレームを穏やかにタップすることによりプレートを混合し、そして接着テープで密封した。プレートを2時間室温でインキュベートした。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液約400μLで噴出瓶を用いて5回洗浄した。最後の洗浄後に、プレートをペーパータオル上で穏やかにタップして過剰な水分を除去した。ヒトMCP-1抱合体200マイクロリットルを各ウェルに加え、新しい接着テープで覆い、そして室温で2時間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを上記のように洗浄した。次いで基質溶液200マイクロリットルを各ウェルに加え、そして30分間室温で暗所にてインキュベートした。インキュベーション後に、酸停止溶液50マイクロリットルを各ウェルに加え、そしてプレートをFlexStation3マルチモードマイクロプレートリーダー(Molecular Devices、カタログ番号Flex3)でSoftMax Proソフトウェアを使用して450nmで読み取った。
【0232】
結果
iCellミクログリア(ヒトiPSC由来ミクログリア)を、1ウェルあたり50,000細胞で蒔いて終夜静置した。増殖因子を含有する培地を除去し、次いで細胞を再び終夜静置した。次に、細胞をDMSO又は化合物6又は化合物24で30分間前処理し、次いでCSF1刺激を行った。PromegaのCell Titer Gloアッセイキットを利用して細胞生存度を評価した。この実験からの細胞培養上清をMCP1 ELISAで処理して、刺激/処理がケモカイン産生に影響を及ぼしたか否かを決定した。
【0233】
化合物6は、この実験において評価された濃度ではヒトミクログリア生存に影響を及ぼさなかった(
図16)。
図16は、上記のようなCSF1R阻害剤処理及びCSF1刺激後の細胞生存度を示す。iCellヒトミクログリアを50,000細胞/ウェルで蒔いて、増殖因子飢餓状態にした後に終夜静置した。細胞をDMSO又はRA16100017で30分間前処理し、次いでCSF1刺激を行った。24時間後にPromegaのCell Titer Glo 2.0アッセイキットを利用して細胞生存度を評価した。CSF1刺激は細胞生存度の増加を誘導し、そしてCSF1R阻害剤はこの効果に対して影響を及ぼさなかった。各データ点は単一のウェルを表し、図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。
【0234】
図17に見られるように、CSF1刺激は、MCP-1(CCL2‐ケモカイン)の放出の有意な増加を誘導した。
図17は、この実験におけるCSF1誘導MCP-1産生に対する化合物6のブロッキング効果を示す。iCellヒトミクログリアを50,000細胞/ウェルで蒔いて、増殖因子飢餓状態後に終夜静置した。細胞をDMSO又はRA16100017で30分間前処理し、次いでCSF1刺激を行った。MCP-1分泌を24時間後にR&D MCP1 Elisaキットを利用して評価した。CSF1R阻害剤処理は、濃度依存性様式でMCP1産生を有意に減少させた(通常の一元配置分散分析)。各データ点は単一のウェルを表し、図の棒は6つのウェルの平均及び標準偏差を表す。
【0235】
化合物6は、濃度依存性様式でMCP1産生を有意に減少させた(通常の一元配置分散分析、p<0.0001)。CSF1刺激は、MCP1産生の有意な増加を誘導し、そして化合物6を用いたCSF1R阻害は、この効果を濃度依存性様式で抑止した。
図18は、化合物6のMCP1産生を化合物24と比較し、MCP1に対する同様の効果を示す。
【0236】
実施例17:MOG-EAE
実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)は、CNSの自己免疫炎症性疾患の非臨床モデルとして主に使用され、そしてヒト多発性硬化症の多くの状況と共通点がある。ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)誘導EAEモデルは、神経炎症及び脱髄のこの免疫介在性機序の研究のために理想的である。以下の実験において、化合物24及び化合物6を試験して、マウスc57BL/6 EAEモデルにおける疾患スコアの減少における可能な有効性を評価した。
【0237】
【0238】
試験品:
MOG35-55ペプチド(New England Peptides、ロット番号BU01787)‐4mg/mL完全フロイントアジュバント(CFA;Chondrex Inc、カタログ番号 7009、ロット番号190446)中250μg/マウス
百日咳菌(Bordetella pertussis)毒素(PTX、Sigma、カタログ番号P7208-50UG、ロット番号MKCL 1350)‐200μL PBS中280ng/マウス
CSF-1R阻害剤‐15mg/kg
ビヒクル - 0.5%メチルセルロース/0.2% Tween-80。
【0239】
送達:
MOGペプチド及びCFA:後方側腹部における2部位への皮下注射(100μL/部位)。
百日咳菌毒素:0日目及び2日目に200μL PBS中280ng/マウスの静脈内(i.v.)注射。
CSF1R阻害剤:12時間ごとに経口経管栄養
ビヒクル:12時間ごとに経口経管栄養。
【0240】
時点:
0日‐CFA及びPTX中のMOGペプチドを群1~3に投与
2日‐PTXを群1~3に静脈内投与
9日‐マウスの毎日のスコア付を開始
11~14日‐スコア1に達した場合にマウスを群に無作為化し、そして処置を開始
約18~21日‐7日間の処置の後に、マウスを灌流し、そして安楽死させる。
【0241】
マウスを毎日麻痺性疾患の徴候について臨床評価し、そして断続的に体重測定して体重減少を記録する。試験終了時に、1/2脳を組織学のために固定し、そして脳/肝臓/血漿を曝露のために集めた。脊髄及び全血をフローサイトメトリーのために集めた。さらなる血漿アリコートを経過観察分析のために保存した。
【0242】
方法:
EAE誘導及びスコア付け
雌性C57BL/6Jマウスを、完全フロイントアジュバント(CFA)中のMOG35-55ペプチドのエマルション(250μg/マウス)を用いて免疫した。このエマルションは、2回の皮下注射により後方側腹部に注射部位あたり体積100μLで送達された。百日咳菌毒素(PTX)を尾静脈注射を介して0日目及び2日目にPBS 200μL中280ng/動物の用量で投与した。EAE誘導後に、マウスを毎日麻痺症状についてモニタリングし、そしてそれらの臨床症状について累進スコア付けシステム(スコア0:疾患なし;スコア1:尾の弛緩;スコア2:後肢脱力;スコア3:後肢麻痺;スコア4:前肢脱力又は部分的麻痺;スコア5:死亡)を使用してスコア付けした。
【0243】
疾患スコア1に達したらすぐに動物を試験に登録した。毎日、初めてスコア1に達した動物を、処置群に等しく分配し、そして処置をその夜に開始した。試験をスコア付する職員に処置群が見えないようにビヒクル及び化合物をカラーコードで分けた。動物を7日間処置した。最後の投薬(合計14用量、7日間の処置)の1時間後に、動物を麻酔し、そして後眼窩出血によりEDTAチューブに血液を集めた。次いで動物に氷冷PBSで灌流し、そして試験評価項目について適切な組織を集めた。
【0244】
結果
プロトコルは、MOG
35-55及びCFAのより高い濃度のエマルションを用いてEAEモデルを誘導することを目標とした。1又はそれ以上のスコアで、EAEマウスを3つの異なる処置群:ビヒクル、化合物24(15mg/kg)、又は化合物6(15mg/kg)に無作為に選んだ。この試験における平均疾患スコア(
図19)は、多発性硬化症のMOG35-55誘導C57BL/6 EAEモデルの標準的な疾患経過を示した。データ点及び誤差バーは、それぞれ群平均及び平均の標準誤差を表す。
図19に示されるように、両方のCSF1R阻害剤が、疾患スコアに重大な意味を有する。しかし、重水素化CSF1R阻害剤の化合物6は、非重水素化化合物24よりも驚くほど高い程度まで麻痺症状を寛解した。
【国際調査報告】