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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ペットフード組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/142 20160101AFI20231227BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20231227BHJP
   A23K 50/40 20160101ALI20231227BHJP
【FI】
A23K20/142
A23K20/158
A23K50/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538795
(86)(22)【出願日】2021-12-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2021064253
(87)【国際公開番号】W WO2022140210
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/129,146
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA03
2B005MA02
2B150AA06
2B150AB03
2B150AB10
2B150AB20
2B150AE06
2B150AE12
2B150AE25
2B150AE29
2B150AE39
2B150AE44
2B150BD01
2B150BD06
2B150BE01
2B150BE02
2B150BE04
2B150CA08
2B150CA13
2B150CA17
2B150CA18
2B150CE02
2B150CE04
2B150CE05
2B150CE11
2B150CE12
2B150CJ02
2B150CJ05
2B150CJ08
2B150DA35
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2B150DA46
2B150DA48
2B150DA49
2B150DA56
2B150DA62
2B150DC24
2B150DD45
2B150DE01
2B150DE02
2B150DE04
2B150DE05
2B150DE07
2B150DE12
2B150DE13
2B150DE14
2B150DE15
2B150DE16
2B150DE20
2B150DH05
2B150DH07
2B150DH08
2B150DH09
2B150DH14
2B150DH18
2B150DH35
2B150DJ10
(57)【要約】
本明細書では、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約7重量%以上の量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸および/またはそれらの塩を含むアミノ酸成分と、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3.3重量%以上の6~12個の炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸および/またはオメガ3脂肪酸を含む脂肪酸成分と、を含む、ペットフード組成物を記載する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約7重量%以上のリジン、ベタイン、およびグルタミン酸および/またはそれらの塩を含むアミノ酸成分と、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3.3重量%以上の6~12個の炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸および/またはオメガ3脂肪酸を含む脂肪酸成分と、を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記オメガ3脂肪酸が、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
前記オメガ3脂肪酸が、16~22個の炭素の脂肪族末端を有する、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
前記オメガ3脂肪酸が、C18脂肪酸である、請求項1~3のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項5】
6~12個の炭素の脂肪族末端を有する前記脂肪酸が、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~4のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項6】
6~12個の炭素の脂肪族末端を有する前記脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項7】
リジン:ベタイン:グルタミン酸の重量比が約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1である、請求項1~6のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項8】
リジン:ベタイン:グルタミン酸の重量比が約5.4:1:7.6である、請求項1~7のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項9】
約2重量%~約3.3重量%のリジンと、
約0.4重量%~約0.6重量%のベタインと、
約3重量%~約4.6重量%のグルタミン酸と、を含む、請求項1~8のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項10】
約2.7重量%のリジンと、
約0.5重量%のベタインと、
約3.8重量%のグルタミン酸と、を含む、請求項1~9のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項11】
C8脂肪酸:C10脂肪酸:オメガ3 C18脂肪酸の重量比が、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:1である、請求項1~10のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項12】
C8脂肪酸:C10脂肪酸:オメガ3 C18脂肪酸の重量比が、約2.21:1.86:1である、請求項1~11のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項13】
約1.15重量%~約1.73重量%のC8脂肪酸と、
約0.97重量%~約1.45重量%のC10脂肪酸と、
約0.52重量%~約0.78重量%のオメガ3 C18脂肪酸と、を含む、請求項1~12のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項14】
約1.44重量%のC8脂肪酸と、
約1.21重量%のC10脂肪酸と、
約0.65重量%のオメガ3 C18脂肪酸と、を含む、請求項1~13のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項15】
亜麻種、柑橘パルプ、ビートパルプ、クランベリーの搾りかす、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される繊維源を含む繊維成分をさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載のペットフード組成物。
【請求項16】
前記繊維成分が、前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約6重量%以上の量で存在する、請求項15に記載のペットフード組成物。
【請求項17】
亜麻種:柑橘パルプ:ビートパルプ:クランベリーの搾りかすの重量比が、約2:1.5:1.5:1~約2.4:1.8:1.8:1である、請求項15または請求項16に記載のペットフード組成物。
【請求項18】
亜麻種:柑橘パルプ:ビートパルプ:クランベリーの搾りかすの重量比が約2:1.5:1.5:1である、請求項15~17のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項19】
約1.6重量%~約2.4重量%の亜麻種と、
約1.2重量%~約1.8重量%の柑橘パルプと、
約1.2重量%~約1.8重量%のビートパルプと、
約0.8重量%~約1.2重量%のクランベリーの搾りかすと、を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項20】
約2重量%の亜麻種と、
約1.5重量%の柑橘パルプと、
約1.5重量%のビートパルプと、
約1.0重量%のクランベリーの搾りかすと、を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項21】
コンパニオンアニマルにおいて腸マイクロバイオーム腐敗に関する症状を治療、予防、または改善するための方法であって、有効量の請求項1~20のいずれかに記載の組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに給餌することを含む、方法。
【請求項22】
前記コンパニオンアニマルがイヌである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するためのペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約7重量%以上の量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸を含むアミノ酸成分と、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3.3重量%以上の量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸を含む脂肪酸成分と、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約6重量%以上の量で存在する亜麻種、柑橘パルプ、ビートパルプ、クランベリーの搾りかす、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される繊維源を含む繊維成分と、を含む、ペットフード組成物。
【請求項24】
リジン:ベタイン:グルタミン酸の重量比が、約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1である、請求項23に記載のペットフード組成物。
【請求項25】
リジン:ベタイン:グルタミン酸の重量比が、約5.4:1:7.6である、請求項23または請求項24に記載のペットフード組成物。
【請求項26】
前記アミノ酸成分が、
約2重量%~約3.3重量%のリジンと、
約0.4重量%~約0.6重量%のベタインと、
約3重量%~約4.6重量%のグルタミン酸と、を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項27】
約2.7重量%のリジンと、
約0.5重量%のベタインと、
約3.8重量%のグルタミン酸と、を含む、請求項23~26のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項28】
C8脂肪酸:C10脂肪酸:オメガ3 C18脂肪酸の重量比が、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:1である、請求項23~26のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項29】
C8脂肪酸:C10脂肪酸:オメガ3 C18脂肪酸の重量比が、約2.21:1.86:1である、請求項23~28のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項30】
約1.15重量%~約1.73重量%のC8脂肪酸と、
約0.97重量%~約1.45重量%のC10脂肪酸と、
約0.52重量%~約0.78重量%のオメガ3 C18脂肪酸と、を含む、請求項23~29のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項31】
約1.44重量%のC8脂肪酸と、
約1.21重量%のC10脂肪酸と、
約0.65重量%のオメガ3 C18脂肪酸と、を含む、請求項23~30のいずれか一項に記載のペットフード組成物。
【請求項32】
コンパニオンアニマルにおいて腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するための方法であって、有効量の本明細書に記載のいずれか一つの前記組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに給餌することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/129,146号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
炎症性腸疾患(IBD)は、動物にとって生存上の脅威となりうる(Schmitz et al.,J Vet Intern Med.,2019,Sep;33(5):2005-2013)。IBDに関連するタンパク質喪失性腸症は、腸障壁の分解を介して内因性止血アルブミンおよび免疫グロブリンの喪失をもたらす(Allenspach et al.,J Vet Intern Med.,2018,May;32(3):1026-1032)。かかる喪失に対する治療選択肢は限られている。血中タンパク質状態を増加させる食物療法は、かかる動物に対して潜在的な臨床的価値を有する。
【0003】
IBDに罹患しているイヌは、食欲の低下を呈し、それゆえ、適切なタンパク質およびエネルギー摂取量を達成するのに苦労する場合がある。食物アレルギーまたはIBD由来の慢性胃腸炎を有するイヌの多くの例では、タンパク質が比較的少ない治療用食品が、忍容性良好であり、結腸内腐敗または腸内毒素症などの胃腸障害をもたらさないレベルのタンパク質を含有するため、しばしば推奨され、使用される。しかしながら、より高いレベルのタンパク質を有する食品組成物を提供できることが有益でありうる。より高いレベルのタンパク質を有する製剤は、推奨量よりも少ない食物消費の状況でも、適切なタンパク質摂取量を可能にしうる。
【0004】
したがって、例えば、動物の血中タンパク質を増加させること、健康に関連するバイオマーカーを増加させること、および/または腸マイクロバイオームを改変することによって、IBDを患う動物に有益に影響を与えうるペットフード組成物を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、本開示の一つ以上の実施の一部の態様の簡略化された要約を単に紹介することを意図するものである。本開示が適用可能であるさらなる範囲は、本明細書で以下に提供される「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。本概要は広範な概説ではなく、本教示の鍵となる要素または重要な要素を特定することも意図しておらず、本開示の範囲を説明することも意図していない。むしろ、その目的は、以下の「発明を実施するための形態」の前置きとして、一つ以上の概念を簡略化された形式で提示することにすぎない。
【0006】
出願人は、ペットフード組成物の中で特定の成分を利用することが、効果的な健康上の利益をもたらすことを発見した。一態様では、健康上の利益は、動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、肥満動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、イヌの除脂肪量を増加させることであってもよい。したがって、一態様では、本発明は、可溶性繊維および特定の質量比のリノレン酸対総18炭素ポリ不飽和脂肪酸を含むペットフード組成物である。
【0007】
少なくとも一つの実施形態では、本発明は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約7%以上の総量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸、ならびにペットフード組成物の重量に基づいて、約3.3%以上の総量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸を含む、ペットフード組成物を対象とする。特定の実施形態では、リジン、ベタイン、およびグルタミン酸の重量比は、約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1である。特定の実施形態では、リジン、ベタイン、およびグルタミン酸の重量比は約5.4:1:7.6である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、リジンの重量は約2%~約3.3%、ベタインの重量は約0.4%~約0.6%、およびグルタミン酸の重量は約3%~約4.6%である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、リジンの重量は約2.7%、ベタインの重量は約0.5%、およびグルタミン酸の重量は約3.8%である。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:1である。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2.21:1.86:1である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、C8脂肪酸の重量は約1.15%~約1.73%、C10脂肪酸の重量は約0.97%~約1.45%、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量は約0.52%~約0.78%である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、C8脂肪酸の重量は約1.44%、C10脂肪酸の重量は約1.21%、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量は約0.65%である。特定の実施形態では、組成物は、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすをさらに含む。特定の実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約6%以上の総量で存在する。特定の実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすの重量比は約2:1.5:1.5:1~約2.4:1.8:1.8:1である。特定の実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすの重量比は約2:1.5:1.5:1である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、亜麻の重量は約1.6%~約2.4%、柑橘パルプの重量は約1.2%~約1.8%、ビートパルプの重量は約1.2%~約1.8%、およびクランベリーの搾りかすの重量は約0.8%~約1.2%である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、亜麻の重量は約2%、柑橘パルプの重量は約1.5%、ビートパルプの重量は約1.5%、およびクランベリーの搾りかすの重量は約1.0%である。
【0008】
さらなる実施形態において、本発明は、コンパニオンアニマルにおいて腸マイクロバイオーム腐敗を治療、予防、または改善するための方法を対象とし、有効量の本明細書に記載のいずれか一つの実施形態による組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに給餌することを含む。特定の実施形態では、コンパニオンアニマルは、イヌである。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約7%の以上の総量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、約3.3%以上の総量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、約6%以上の総量で存在する亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすと、を含む腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するペットフード組成物を対象とする。特定の実施形態では、リジン、ベタイン、およびグルタミン酸の重量比は、約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1である。特定の実施形態では、リジン、ベタイン、およびグルタミン酸の重量比は約5.4:1:7.6である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、リジンの重量は約2%~約3.3%、ベタインの重量は約0.4%~約0.6%、およびグルタミン酸の重量は約3%~約4.6%である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、リジンの重量は約2.7%、ベタインの重量は約0.5%、およびグルタミン酸の重量は約3.8%である。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:1である。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2.21:1.86:1である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、C8脂肪酸の重量は約1.15%~約1.73%、C10脂肪酸の重量は約0.97%~約1.45%、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量は約0.52%~約0.78%である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、C8脂肪酸の重量は約1.44%、C10脂肪酸の重量は約1.21%、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量は約0.65%である。
【0010】
さらなる実施形態において、本発明は、コンパニオンアニマルにおいて腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するための方法を対象とし、有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれか一つによる組成物を、それを必要とするコンパニオンアニマルに給餌することを含む。特定の実施形態では、コンパニオンアニマルは、イヌである。
【0011】
本発明が適用可能であるさらなる範囲は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。発明を実施するための形態および特定の実施例は、本発明の典型的な実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読む時によりよく理解されるであろう。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の厳密な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0013】
図1A図1a~1cは、ペット組成物を与えられたイヌからの便有機乾燥物、灰分、および水分の結果比較を示すグラフを示す。
図1B】同上。
図1C】同上。
【0014】
図2a図2a~2cは、ペットフード組成物を与えられたイヌからの、糞便の短鎖脂肪酸アセテート、プロピオネート、およびブチレートの結果比較を示すグラフを示す。
図2b図2bは、ペットフード組成物を与えられたイヌからの便pHの結果比較を示すグラフを示す。
図2c図2cは、ペット組成物を与えられたイヌからの、便タンパク質分解性/腐敗性の分岐短鎖脂肪酸(bSCFA)であるbscfa Ile、bscfa Leu、およびbscfa Valの結果比較を示すグラフを示す。
【0015】
図3図3は、ペットフード組成物を与えられたイヌからの腸マイクロバイオームに対する効果を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示の目的のために、本発明の原理は、その様々な例示的な実施形態を参照することによって記述されている。本発明の特定の実施形態が本明細書に具体的に記述されているものの、当業者であれば、同じ原理が等しく適用可能であり、他の用途および方法に採用されることができることを容易に認識するであろう。本発明が、その用途において、示された任意の特定の実施形態の詳細に限定されないことが理解される。本明細書で使用される用語は、記述の目的のためのものであり、本発明、その用途、または使用を限定しない。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって別途規定されない限り、複数の参照を含む。成分の任意のクラスの単数形は、そのクラス内の一つの化学種だけでなく、それらの化学種の混合物も指す。「一つの(a)」(または「一つの(an)」)、「一つ以上の」および「少なくとも一つの」という用語は本明細書において、互換的に使用されてもよい。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」および「有する(having)」という用語は、互換的に使用されてもよい。「含む(include)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。「含む(including)」という用語は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0018】
全体を通して使用されている「範囲」は、その範囲内にあるありとあらゆる値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。
【0019】
別段の特定のない限り、本明細書において、および本明細書のどこか他の箇所で表現される割合および量はすべて、全組成物の重量割合を指すものと理解されるべきである。「重量%」で存在する分子、または複数の分子への言及は、組成物の総重量に基づいて、組成物中に存在するその分子、または複数の分子の量を指す。
【0020】
本出願によると、数値に伴う「約」という用語の使用は、その数字の+/-5%であってもよい値を指す。本明細書で使用される場合、用語「実質的に無い(substantially free)」は、組成物の約5.0重量%未満、3.0重量%未満、1.0重量%未満、好ましくは約0.5重量%未満、より好ましくは約0.25重量%未満の量を意味することを意図する。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに有効な量を指し、対象に投与される時、所望の結果に向けた効果を達成するのに十分である組成物の量を含む。有効量は、組成物、疾患、およびその重症度、および治療される対象の年齢、体重などに応じて変化しうる。有効量は、一定範囲の量を含みうる。当技術分野で理解されるように、有効量は、一回以上の用量であってもよく、すなわち、所望の評価項目を達成するために、単回または複数回の用量が必要となる場合がある。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「wt.%」は、概して、ペットフード組成物の総重量に基づく重量パーセントを指す。
【0023】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に引用または参照されるすべての特許、特許出願、刊行物、その他の参考文献は、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0024】
本開示は、ペットフード組成物、およびこうしたペットフード組成物を家庭用ペットの治療のために使用する方法を対象とする。特定の実施形態では、ペットはイヌである。他の実施形態では、イヌは胃腸炎に罹患する。
【0025】
本発明者らは、驚くべきことに、予想外に、動物に、ペットフード組成物の重量に基づいて、約7重量%以上の総量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、約3.3重量%以上の総量で存在する一つ以上の6~12個の炭素の脂肪族鎖を有する脂肪酸(例えば、C8脂肪酸および/またはC10脂肪酸)、およびオメガ3脂肪酸(例えば、オメガ3 C18脂肪酸)と、を含むペットフード食品を提供することが、動物に強化された健康上の利益をもたらすことを発見した。例えば、ペットフード組成物は、IBDおよび/または結腸内腐敗の症状を悪化または増加させることなく、IBDを有するペットの従来のペットフード組成物よりも高い量のタンパク質を有利に含みうる。特定の実施形態では、グルタミンはまた、ペットフード組成物内に含有されてもよい。特定の実施形態では、ペットフード組成物は、グルタミン酸および/またはその塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム)、グルタミン、またはそのニつ以上の組み合わせを含みうる。
【0026】
こうした健康上の利益の向上は、多数の態様によって例示されうる。第一の態様では、健康上の利益は、結腸内腐敗の増加なしに、動物の食物タンパク質を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、有益なバイオマーカーを増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、動物のマイクロバイオームを有益に改変することであってもよい。一態様では、健康上の利益は、動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、肥満動物の除脂肪量を増加させることであってもよい。別の態様では、健康上の利益は、イヌの除脂肪量を増加させることであってもよい。除脂肪量は、絶対質量または総質量の除脂肪量パーセントとして定義されうる。
【0027】
一態様では、本開示は従って、ペットフード組成物の重量に基づいて、約7重量%以上の総量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸、ならびにペットフード組成物の重量に基づいて、約3.3重量%以上の総量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸を含む、ペットフード組成物を提供する。特定の実施形態では、組成物は、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすをさらに含む。特定の実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約6%以上の総量で存在する。
【0028】
リジンは、様々な量または濃度で存在しうる。リジンは、限定されるものではないが、塩、単プロトン化両性イオン塩、塩酸塩(HCl)塩、ペプチジル型のリジン、例えば、限定されないが、モノ-、ジ-、トリ-、およびオリゴ-ペプチド形態など、様々な形態に含まれてもよい。一実施形態では、リジンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約6.3%の量で存在しうる。例えば、リジンは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.3重量%、またはこれらの任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、リジンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約6%、約0.8%~約5.5%、約1.0%~約5.0%、または約1.5%~約4%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、リジンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%以上、約1.5%以上、約2.5%以上、または約2.7%以上から最大約6.3%の量で存在する。さらなる実施形態では、リジンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~6%、約1%~約5%、約2%~約4%、または約2%~約3%の量で存在する。
【0029】
ベタインは、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2%~約5%の量で存在しうる。例えば、ベタインは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.2重量%、約0.4重量%、約0.6重量%、約0.8重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、またはこれらの任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2重量%~約4重量%、約0.3重量%~約4.5重量%、約0.4重量%~約3.0重量%、または約0.5重量%~約2重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2重量%以上、約0.4重量%以上、約0.8重量%以上、または約1重量%以上から最大約5重量%以上の量で存在する。さらなる実施形態では、ベタインは、ペットフード組成物の重量に基づいて、0.2重量%~4重量%、約0.2重量%~約3重量%、約0.2重量%~約2重量%、約0.2重量%~約1重量%の量で存在する。
【0030】
グルタミン酸、グルタミン、それらの塩、またはそれらの組み合わせは、様々な量または濃度で存在しうる。特定の実施形態では、グルタミン酸は、グルタミン酸、グルタミン、それらの塩、またはそれらの二つ以上の組み合わせの形態で存在しうる。グルタミン酸および/またはグルタミンは、限定されるものではないが、遊離塩基、塩酸塩(HCl)塩などの塩、例えば、限定されないが、モノ-、ジ-、トリ-、およびオリゴ-ペプチド形態などのペプチジル形態などの様々な形態に含まれてもよい。一実施形態では、グルタミン酸、グルタミン、それらの塩、および/またはそれらの二つ以上の組み合わせは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6.3重量%の量で存在しうる。例えば、ペットフード組成物は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%~6.3重量%、約0.5重量%~6重量%、約0.5重量%~5重量%、約0.5重量%~4重量%、約0.5重量%~3重量%、約0.5重量%~2重量%、約0.5重量%~1重量%、約1重量%~6.3重量%、約1重量%~6重量%、約1重量%~5重量%、約1重量%~4重量%、約1重量%~3重量%、約1重量%~2重量%、約2重量%~6.3重量%、約2重量%~6重量%、約2重量%~5重量%、約2重量%~4重量%、約2重量%~3重量%、約3重量%~6.3重量%、約3重量%~6重量%、約3重量%~5重量%、約3重量%~4重量%、約4重量%~6.3重量%、約4重量%~6重量%、約4重量%~5重量%、約5重量%~6.3重量%、または約5重量%~6重量%の量のグルタミン酸、グルタミン、それらの塩、および/またはそれら二つ以上の組み合わせを含みうる。
【0031】
例えば、グルタミン酸、グルタミン、それらの塩、および/またはそれらの二つ以上の組合せは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.3重量%、またはこれらの任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、グルタミン酸および/またはグルタミンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6重量%、約0.8重量%~約5.5重量%、約1.0重量%~約5.0重量%、または約1.5重量%~約4重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、グルタミン酸および/またはグルタミンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.3重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、グルタミン酸および/またはグルタミンは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~6重量%、約1重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約2重量%~約3重量%の量で存在する。
【0032】
ペットフード組成物は、様々な量または濃度のリジン、ベタイン、およびグルタミン酸を含んでもよい。特定の実施形態では、リジン、ベタイン、およびグルタミン酸の重量比は、約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1である。特定の実施形態では、リジン、ベタイン、およびグルタミン酸の重量比は約5.4:1:7.6である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、リジンは約2重量%~約3.3重量%で存在し、ベタインは約0.4重量%~約0.6重量%で存在し、およびグルタミン酸は約3重量%~約4.6重量%で存在する。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、リジンは約2.7重量%で存在し、ベタインは約0.5重量%で存在し、およびグルタミン酸は約3.8重量%で存在する。
【0033】
脂肪酸は、脂肪族鎖を有するカルボン酸であり、飽和または不飽和のいずれかである。生物体では、脂肪族末端は通常、4から28までの偶数個の炭素原子を含む。例えば、脂肪酸は、4~28個の炭素、4~25個の炭素、4~22個の炭素、4~20個の炭素、4~18個の炭素、4~15個の炭素、4~12個の炭素、4~10個の炭素、6~28個の炭素、6~25個の炭素、6~22個の炭素、6~20個の炭素、6~18個の炭素、6~15個の炭素、6~12個の炭素、6~10個の炭素、8~28個の炭素、8~25個の炭素、8~22個の炭素、8~20個の炭素、8~18個の炭素、8~15個の炭素、8~12個の炭素、または8~10個の炭素の脂肪族末端を含む。少なくとも一つの実施形態では、脂肪酸は、8~10個の炭素の脂肪族末端を有する一つ以上の脂肪酸を有してもよい。ペットフード組成物は、カプロン(ヘキサン酸)、カプリル(オクタン酸)、カプリ(デカン酸)、ラウリン(ドデカン酸)、ミリスチン(テトラデカン酸)、パルミチン(ヘキサデカン酸)、ステアリン(オクタデカン酸)、アラキン(エイコサン酸)、ベヘン(ドコサン酸)、またはそれら二つ以上の組み合わせを含みうる。一部の例では、一つ以上の脂肪酸は、カプロン(ヘキサン酸)、カプリル(オクタン酸)、カプリ(デカン酸)、ラウリン(ドデカン酸)、ミリスチン(テトラデカン酸)およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される。少なくとも一つの実施形態では、脂肪酸は、カプリル(オクタン酸)、カプリ(デカン酸)、ラウリン(ドデカン酸)、ミリスチン(テトラデカン酸)、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0034】
追加的に、ペットフード組成物は、二つ以上、三つ以上、または四つ以上の脂肪酸を含んでもよい。一実施形態では、ペットフード組成物は、8個の炭素の脂肪族末端を有する少なくとも一つの脂肪酸および10個の炭素の脂肪族末端を有する少なくとも一つの脂肪酸を含む。
【0035】
8個の炭素原子を有する脂肪酸は、本明細書では「C8脂肪酸」または「C8」と称されうる。10個の炭素原子を有する脂肪酸は、本明細書では「C10脂肪酸」または「C10」と称されうる。飽和C8脂肪酸の例は、カプリル酸である。ペットフード組成物は、一つ以上のC8脂肪酸を含んでもよい。C8脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、C8は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約6.3%の量で存在しうる。例えば、C8脂肪酸は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.3重量%、またはそれらの任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、C8脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6重量%、約0.8重量%~約5.5重量%、約1.0重量%~約5.0重量%、または約1.5重量%~約4重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、C8脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%以上、約1.5重量%以上、約2.5重量%以上、または約2.7重量%以上から最大約6.3重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、C8脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~6重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、または約1重量%~約2重量%の量で存在する。
【0036】
飽和C10脂肪酸の例は、カプリン酸である。ペットフード組成物は、一つ以上のC10脂肪酸を含んでもよい。C10脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、C10脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5重量%~約6.3重量%の量で存在しうる。例えば、C10脂肪酸は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.3重量%、またはそれらの任意の範囲の量で存在しうる。別の実施例では、C10脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~約6%、約0.8%~約5.0%、約1.0%~約4.0%、または約1.0%~約3%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、C10脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%以上、約1.5%以上、約2.5%以上、または約2.7%以上から最大約6.3%の量で存在する。さらなる実施形態では、C10脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.5%~6%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、または約1%~約2%の量で存在する。
【0037】
ペットフード組成物は、典型的にペットフード組成物の重量に基づいて、典型的に約0.2~約5%の範囲の量の一つ以上のオメガ3脂肪酸を含む。例えば、オメガ3脂肪酸は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.2重量%~5重量%、約0.2重量%~4重量%、約0.2重量%~3重量%、約0.2重量%~2重量%、約0.5重量%~5重量%、約0.5重量%~4重量%、約0.5重量%~3重量%、約0.5重量%~2重量%、約1重量%~5重量%、約1重量%~4重量%、約0.2重量%~3重量%、約0.2重量%~2重量%、約1重量%~5重量%、約1重量%~4重量%、約1重量%~3重量%、約1重量%~2重量%、約2重量%~5重量%、約2重量%~4重量%、約2重量%~3重量%、約3重量%~5重量%、約3重量%~4重量%、または約4重量%~5重量%の量でペットフード化合物中に存在しうる。一部の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.2重量%、約0.4重量%、約0.6重量%、約0.8重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、またはそれらの範囲の量でペットフード組成物中に存在しうる。
【0038】
オメガ3脂肪酸は、16~24個の炭素、17~24個の炭素、18~24個の炭素、19~24個の炭素、20~24個の炭素、16~23個の炭素、17~23個の炭素、18~23個の炭素、19~23個の炭素、20~23個の炭素、16~22個の炭素、17~22個の炭素、18~22個の炭素、19~22個の炭素、または20~22個の炭素の一つの脂肪族末端を有してもよい。好ましくは、ペットフード組成物は、18~22個の炭素の少なくとも一つの脂肪族末端を有するオメガ3脂肪酸を含む。オメガ3脂肪酸は、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの二つ以上の組み合わせ含んでもよい。
【0039】
オメガ3脂肪酸は、少なくとも一つのオメガ3 C18脂肪酸を含みうる。オメガ3 C18脂肪酸の一例は、アルファリノレン酸(ALA)である。ペットフード組成物は、一つ以上のオメガ3 C18脂肪酸を含んでもよい。オメガ3 C18脂肪酸は、アルファリノレン酸、ステアリドン酸、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。オメガ3 C18脂肪酸は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、オメガ3 C18脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2%~約5%の量で存在しうる。例えば、オメガ3 C18脂肪酸は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.2重量%、約0.4重量%、約0.6重量%、約0.8重量%、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、またはそれらの範囲の量で存在しうる。別の実施例では、オメガ3 C18脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2%~約4%、約0.3%~約4.5%、約0.4%~約3.0%、または約0.5%~約2%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、オメガ3 C18脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2%以上、約0.4%以上、約0.8%以上、または約1%以上から最大約5%の量で存在する。さらなる実施形態では、オメガ3 C18脂肪酸は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約0.2%~4%、約0.2%~約3%、約0.2%~約2%、または約0.2%~約1%の量で存在する。
【0040】
ペットフード組成物は、様々な量または濃度のC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸を含みうる。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:9.1である。さらなる実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2:1.3:1~約4.5:3.5:1または約2:1.3:1~約4:3:1である。さらに別の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約1.75:1.1:1~約2.21:1.86:1である。特定の実施形態では、C8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸の重量比は、約2.21:1.86:1である。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、C8脂肪酸は約1.15重量%~約1.73重量%で存在し、C10脂肪酸は約0.97重量%~約1.45重量%で存在し、およびオメガ3 C18脂肪酸は約0.52重量%~約0.78重量%で存在する。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、C8脂肪酸は約1.44重量%で存在し、C10脂肪酸は約1.21重量%で存在し、およびオメガ3 C18脂肪酸は約0.65重量%で存在する。
【0041】
組成物のタンパク質は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、タンパク質は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約20重量%~約45重量%の量で存在しうる。例えば、タンパク質は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、またはそれらの範囲の量で存在しうる。別の実施例では、タンパク質は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約25重量%~約40重量%、約30重量%~約40重量%、または約30重量%~約35重量%の量で存在しうる。特定の実施形態では、タンパク質は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約20重量%~約35重量%、約25重量%~約35重量%、または約28重量%~約35重量%の量で存在する。
【0042】
本組成物の全食物繊維は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、全食物繊維はペットフード組成物の重量に基づいて、約20%未満の量で存在しうる。特定の実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約10重量%~約20重量%の量で存在する。例えば、全食物繊維は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、約15.5重量%、約16.0重量%、約16.5重量%、約17.0重量%、約17.5重量%、約18.0重量%、約18.5重量%、約19.0重量%、約19.5重量%、約20.0重量%、またはそれらの範囲の量で存在してもよい。別の実施例において、全食物繊維はペットフード組成物の重量に基づいて、約10重量%~約18重量%、約12重量%~約18重量%、または約15重量%~約18重量%の量で存在しうる。さらなる実施形態では、全食物繊維は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約15重量%~約20重量%、約16重量%~約19重量%、または約16重量%~約18重量%の量で存在する。
【0043】
組成物の水分は、様々な量または濃度で存在しうる。水分は、様々な量または濃度で存在しうる。一実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約5重量%~約15重量%の量で存在しうる。例えば、水分は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、約15.0重量%、またはそれらの範囲の量で存在しうる。別の実施例では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約8重量%~約13重量%、約9重量%~約13重量%、約9重量%~約重量11%、または約9重量%~約13重量%の量で存在しうる。特定の実施形態では、水分は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約10重量%~約12重量%、約10.5重量%~約12重量%、または約10.5重量%~約11.5重量%の量で存在する。
【0044】
本発明の組成物は随意に、ペットフード組成物での使用に適した追加的な成分を含んでもよい。こうした成分の例としては、脂質、炭水化物、食物繊維、アミノ酸、ミネラル、微量元素、ビタミン、添加物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】
炭水化物は、オート繊維、セルロース、落花生殻、ビートパルプ、パーボイルド米、コーンスターチ、コーングルテンミール、およびこれら原料源の任意の組み合わせを含む、当業者に知られている任意の様々な原料源から供給されることができる。炭水化物を供給する穀物としては、小麦、トウモロコシ、大麦、および米を挙げることができるが、これらに限定されない。フードの炭水化物含有量は、当業者に知られている任意の数の方法によって決定されることができる。一般的に、炭水化物の割合は、可溶無窒素物(「NFE」)として計算されることができ、これは以下のように計算されることができる。NFE=100%-水分%-タンパク質%-脂質%-灰分%-粗繊維%。
【0046】
食物繊維は、動物の消化酵素による消化に耐性を有する植物の構成成分を指す。食物繊維としては、可溶性繊維および不溶性繊維が挙げられる。可溶性繊維は、小腸での消化および吸収に対して耐性があり、かつ大腸で完全にまたは部分的に発酵されるものであり、例えばビートパルプ、グアーガム、チコリー根、サイリウム、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、オート麦、マメ類、柑橘類、大麦、フラクトオリゴ糖(FOS)またはエンドウである。不溶性繊維は、例えばセルロース、全粒小麦製品、小麦オート麦(wheat oat)、コーンブラン、亜麻種、ブドウ、セロリ、サヤインゲン、カリフラワー、ジャガイモの皮、果物の皮、野菜の皮、落花生殻、ライ麦の実、サツマイモおよび大豆繊維を含む、任意の様々な原料源から供給されることができる。粗繊維としては、例えば米、トウモロコシ、およびマメなどの穀物の殻である、穀物などの植物の細胞壁および細胞含有物に含有される消化されにくい成分が挙げられる。本開示の組成物中の典型的な繊維量は、約0~10%、または約1%~約5%とすることができる。例えば、ペットフード組成物中の繊維の量(例えば、粗繊維または食物繊維)は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.1~約10重量%、約0.1~約9重量%、約0.1~約8重量%、約0.1~約7重量%、約0.1~約6重量%、約0.1~約5重量%、約0.1~約4重量%、約0.1~約3重量%、約0.1~約2重量%、約0.1~約1重量%;約0.5~約10重量%、約0.5~約9重量%、約0.5~約8重量%、約0.5~約7重量%、約0.5~約6重量%、約0.5~約5重量%、約0.5~約4重量%、約0.5~約3重量%、約0.5~約2重量%、約0.5~約1重量%;約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%、約1~約2重量%;約1.5~約10重量%、約1.5~約9重量%、約1.5~約8重量%、約1.5~約7重量%、約1.5~約6重量%、約1.5~約5重量%、約1.5~約4重量%、または約1.5~約3重量%であってもよい。
【0047】
必須アミノ酸を含むアミノ酸は、遊離アミノ酸として本開示の組成物に添加されてもよく、または任意の数の成分源(例えば粗タンパク質)によって本開示の組成物に供給されてもよい。必須アミノ酸は、新規に合成できない、または生命体により不十分な量しか合成できないアミノ酸であり、それ故に食事内に供給されなければならない。必須アミノ酸は、生命体の代謝に依存して、種ごとに異なる。例えば、イヌおよびネコ(ならびにヒト)の必須アミノ酸はフェニルアラニン、ロイシン、メチオニン、リジン、イソロイシン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンであることが一般的に理解されている。加えて、タウリンは、専門的にはアミノ酸ではないがシステインの誘導体であり、ネコにとっての必須栄養素である。
【0048】
本発明の組成物は随意に、脂質を含んでもよい。「脂質」という用語は一般的に、通常の室温(例えば、25℃)および圧力(例えば、1気圧)にて概して固体または液体であってもよい脂質または脂質の混合物を指す。一部の場合において、脂質は、標準室温および標準圧力にて粘性液体または非結晶性固体であってもよい。脂質は、肉、食肉副産物、キャノーラ油、魚油、植物など、当業者に知られている様々な成分源のいずれかによって供給されることができる。植物性脂肪源としては、小麦、亜麻種、ライ麦、大麦、米、ソルガム、トウモロコシ、オート麦、粟、小麦胚芽、トウモロコシ胚芽、大豆、落花生、綿実だけでなく、これらおよび他の植物性脂肪源に由来する油が挙げられる。本開示の組成物はペットフード組成物の総重量に基づいて、少なくとも約9重量%(または約9重量%~約25重量%、または約10重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%)の総脂肪を含有してもよい。一部の場合において、組成物中の脂肪は粗脂肪である。粗脂質は、組成物の総重量に基づいて、約10~約20重量%、約10~約18重量%、約10~約16重量%、約12~約20重量%、約12~約18重量%、または約12~約16重量%の量で組成物の中に含まれてもよい。一部の場合において、総脂質の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が動物源から得られることが好ましい場合がある。代替的に、総脂質の約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上が植物源から得られてもよい。
【0049】
一部の場合において、ペットフード組成物は灰分を含んでもよい。食品組成物中に予め設定された灰分の量は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約1~約15重量%、約1~約13重量%、約1~約11重量%、約1~約10重量%、約1~約9重量%、約1~約8重量%、約1~約7重量%、約1~約6重量%、約1~約5重量%、約1~約4重量%、約1~約3重量%;約3~約15重量%、約3~約13重量%、約3~約11重量%、約3~約10重量%、約3~約9重量%、約3~約8重量%、約3~約7重量%、約3~約6重量%、約3~約5重量%;約4~約15重量%、約4~約13重量%、約4~約11重量%、約4~約10重量%、約4~約9重量%、約4~約8重量%、約4~約7重量%;約5~約15重量%、約5~約13重量%、約5~約11重量%、約5~約10重量%、約5~約9重量%、約5~約8重量%、約5~約7重量%であってもよい。
【0050】
本開示のペットフード組成物はまた、例えば塩化物、ヨウ化物、フッ化物、硫化物、もしくは酸化物などの対イオンを有する、一つ以上のミネラルおよび/または微量元素(例えば、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、セレン、もしくは鉄塩類)を、欠乏を回避し、かつ健康を維持するために必要とされる量で含有することもできる。これらの量は、例えばOfficial Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.(“AAFCO”),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2006で提供されている通り、当業者に知られている。典型的なミネラルの量は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約4重量%または約1重量%~約2重量%である。
【0051】
本発明のペットフード組成物はまた、欠乏を回避し、かつ健康を維持するために必要とされる量でビタミンを含むことができる。これらの量および測定方法は当業者に知られている。例えば、Official Publication of the Associate of American Feed Control Officials,Inc.(“AAFCO”),Nutrient Requirements of Dogs and Cats,2006は、イヌおよびネコにとってのこうした成分の推奨される量を提供している。本明細書で企図される通り、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、コリン、イノシトール、ナイアシン、パントテン酸を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の組成物中の典型的なビタミンの量は、約0~約3%、または約1%~約2%である。
【0052】
本開示の組成物は、食味強化剤および安定剤などの他の添加物を、当業者によく知られている量および組み合わせで追加的に含むことができる。安定化物質としては、例えば組成物の貯蔵寿命を増加させる傾向にある物質が挙げられる。本発明の組成物中に含めるために潜在的に適切である他のこうした添加物の他の例としては、例えば防腐剤、着色剤、抗酸化剤、風味剤、協力剤および捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、湿潤剤が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、および加工デンプンが挙げられる。組成物中のこうした添加物の濃度は典型的に、ペットフード組成物の総重量に基づいて、最大約5重量%とすることができる。一部の実施形態では、こうした添加物の濃度(特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤(ビタミンおよびミネラルなど)である場合)は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0~約2.0重量%である。一部の実施形態では、こうした添加物の濃度(この場合も特に、こうした添加物が主に栄養バランス剤である場合)は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約0~約1.0重量%である。
【0053】
特定の好ましい実施形態では、ペットフード組成物は、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすを含む。ペットフード組成物は、様々な量および濃度で、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすを含みうる。特定の実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすは、ペットフード組成物の重量に基づいて、約6重量%以上の総量で存在する。他の実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすの重量比は約2:1.5:1.5:1~約2.4:1.8:1.8:1である。さらなる実施形態では、亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすの重量比は約2:1.5:1.5:1からである。特定の実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、亜麻は約1.6重量%~約2.4重量%、柑橘パルプは約1.2重量%~約1.8重量%、ビートパルプは約1.2重量%~約1.8重量%、およびクランベリーの搾りかすは約0.8重量%~約1.2重量%で存在する。さらなる実施形態では、ペットフード組成物の重量に基づいて、亜麻は約2重量%で存在し、柑橘パルプは約1.5重量%で存在し、ビートパルプは約1.5重量%で存在し、およびクランベリーの搾りかすは約1.0重量%で存在する。
【0054】
任意の堅さまたは含水量の食品が企図されていて、例えば本発明の組成物は、例えばドライ、モイスト、またはセミモイストの動物用食品組成物とすることができる。一部の実施形態では、含水量は、組成物の総重量の約3重量%~約90重量%である。「セミモイスト」は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約25重量%~約35重量%の水分を含有する食品組成物を指す。「モイスト」は、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約60重量%~90重量%以上の含水量を有する食品組成物を指す。「ドライ」フードは、ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3重量%~約12重量%の含水量を有する食品組成物を指し、多くの場合、小片またはキブルの形態で製造される。
【0055】
特定の態様では、本出願は、本開示の組成物のいずれかを作製する方法をさらに開示する。ウェット形態または缶詰形態での本発明の組成物の調製において、任意の成分(例えば、可溶性繊維および望ましいリノレン酸):(全18炭素ポリ不飽和脂肪酸の比)は一般的に例えば、配合物の加工中、例えば組成物の他の構成成分の混合中および/または混合後に、組成物の中に組み込まれることができる。これらの構成成分の組成物への分配は、従来の手段によって達成されることができる。一部の実施形態では、粉砕した動物タンパク性組織および家禽タンパク性組織は、魚油、穀物粒、他の栄養的にバランスが取れている成分、特殊目的の添加物を含む他の成分(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、増量剤、ならびにこれに類するもの)と混合されていて、また加工のために十分な量の水が添加されている。これらの成分は、構成成分をブレンドしながら加熱するために適切な容器内で混合されることができる。例えば、直接蒸気注入によって、または熱交換器を備えた容器を使用することによってなど、任意の適切なやり方を使用して、混合物の加熱を行うことができる。最後の成分の添加に続いて、混合物を約50°F(10℃)~約212°F(100℃)の温度範囲に加熱することができる。一部の場合において、混合物を約70°F(21℃)~約140°F(60℃)の温度範囲に加熱することができる。これらの範囲外の温度も一般的に許容可能であるが、他の加工助剤を使用しなければ、商業的に非実用的である場合がある。適切な温度に加熱されると、材料は典型的に、濃厚液の形態になるであろう。この濃厚液は缶の中に充填されることができる。缶の中に充填されると、蓋が付けられ、容器は気密密封される。次いで、密封した缶は、内容物を滅菌するために設計された従来の機器の中に定置される。これは通常、約230°F(110℃)を超える温度に、適切な時間にわたって加熱することによって達成され、この時間は例えば、使用する温度および組成物に依存する。
【0056】
ペットフード組成物は代替的に、従来のプロセスを使用して、乾燥形態で調製されることができる。典型的に、例えば動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物等をなどの乾燥成分は粉砕され、一緒に混合される。次いで、脂肪、油、動物性タンパク質、水などの湿った成分または液体成分を加え、乾燥混合物と混合する。次いで、混合物をキブルまたは類似の乾燥片へと加工する。キブルは多くの場合、乾燥成分とウェット成分との混合物に高圧および高温にて機械作業を施し、次いで小さい開口部を通して押し出し、回転ナイフによってキブルへと切断される、押出成形プロセスを使用して形成される。次いで、ウェットキブルを乾燥させ、例えば風味剤、脂肪、油、粉末、およびこれに類するものを含んでもよい、一つ以上の局所的なコーティングを用いて任意選択的にコーティングする。キブルはまた、押出成形ではなく焼き上げるプロセスを使用してドウから作製することができ、ここでドウは型の中に定置された後、乾燥加熱処理される。
【0057】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される組成物の有効量を動物に給餌することを含む、コンパニオンアニマルの腸マイクロバイオーム腐敗を治療、予防、または改善する方法を提供する。コンパニオンアニマルは、イヌまたはネコであってもよい。
【0058】
一部の実施形態では、本開示は、ペットフード組成物の重量に基づいて、約7重量%の以上の総量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、総重量の約3.3重量%以上の総量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸と、ペットフード組成物の重量に基づいて、6重量%以上の総量で存在する亜麻、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすと、を含む、腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するペットフード組成物を提供する。
【0059】
特定の実施形態では、本開示は、上記の組成物の任意の有効量を動物に給餌することを含む、コンパニオンアニマルの腸マイクロバイオーム腐敗を緩和する方法を提供する。
【実施例
【0060】
本明細書に記載の実施例およびその他の実施は例示的であり、本開示の組成物および方法の全範囲の記述に限定することを意図しない。特定の実施、材料、組成物、および方法の同等の変更、修正、および変形は、実質的に類似の結果を伴って、本開示の範囲内で行われてもよい。
【実施例1】
【0061】
本試験では、健康なイヌおよび慢性胃腸炎と診断されたか、または慢性胃腸炎が疑われるイヌの両方を使用した。イヌの飼料を一日二回与えた。イヌには、1週間の間、対照組成物を与えられる給餌前期間が設けられた。次に、イヌを対照群または試験群のいずれかに無作為に分離し、それぞれの食品組成物を4週間与えた。次に、各群に対して食品組成物を切り替えて、対照群に試験組成物を与え、試験群に対照組成物を与える、飼料交換期間を実施した。飼料交換期間は4週間維持された。血液および糞便試料を、給餌期間を通して採取した。
【表1】
【表2】
【実施例2】
【0062】
試験結果。新鮮な糞便を、5段階の指標に従って主観的な品質パラメータについて評価した。ここで、1は固体形態をもたず、5は80%超しっかりしてしている。表3は、イヌに試験または対照組成物のいずれかを与えた後の便質の平均、SEおよびt検定の統計比較を示す。本発明の試験食品便スコアは、対照食品よりも有意に高い。
【表3】
【0063】
表4は、対照および試験組成物からの食物摂取量を示す。試験食品組成物が、最新の食品または対照組成物と同程度に口当たりがよいことは容易に明らかである。食味に有害な影響は観察されなかった。
【表4】
【0064】
表5は、食品組成物を与えられたイヌからのバイオマーカー結果を示す。
【表5】
【0065】
表5に示されるように、試験組成物を与えられたイヌは、バイオマーカー分析によって証明されるように、強化された健康上の利益を示した。糞便IgAは、腸の健康のマーカーであり、腸の健康と直接的な比例関係を有する。このバイオマーカーに関して、試験組成物から生じるIgAの増加は、より健康な腸の状態を表す。アルブミンおよびタンパク質Tは、血中タンパク質状態を表す。これらのバイオマーカーに関して、試験組成物は血中タンパク質を改善することが分かる。
【0066】
図1は、試験組成物を摂取する動物に由来する便が、より高い水分レベルを示したことを示す。さらに、試験食物を与えられたイヌからの便は、対照組成物を与えられた動物からの便と比較して、食餌の識別に対して盲検化されたアナリストによって硬さの増加を示す便スコアを有すると主観的に測定された(表3)。これらの結果は、試験食品組成物から生じた便が、より硬い便となったことを示す。まとめると、試験組成物は、より高い水分およびより硬い便を生じた。
【0067】
図2aは、試験組成物が、短鎖脂肪酸(SCFA’s)アセテート、プロピオネート、およびブチレートの存在の増加によって表されるように、糖分解を増加させることを示す。三つのSCFAすべては、対照組成物と比較して、少なくとも30%増加した。図2bは、試験組成物が結腸pHを低下、または改善することを示す。図2cは、試験組成物が、試験された三つのbSCFAすべてを低下させることを示し、この結果は、腐敗の減少と関連する。減少は、対照組成物と比較して、少なくとも30%であった。
【0068】
図3は、試験組成物が有益な腸内細菌を増加させることを示し、これは繊維を発酵させて短鎖脂肪酸にする一方、同時に、潜在的な病原性共生生物およびタンパク質分解性細菌を減少させる。具体的には、フィーカリバクテリウムプラウスニッツイ、ルミノコッカスグナバス、サテレラ属、アドレルクルチア(adlercreutzia)属、およびラクノスピラ属に分類される細菌は、レベルの増加を示す一方、ポルフィロモナス属、ヘリコバクターsピロリ、ペプトコッカス属、およびサルモネラ菌は、レベルの減少を示した。
【0069】
本発明は、本発明の完全な開示を行う目的でかなり詳細に記載されている幾つかの実施形態を参照しながら記述されているが、こうした実施形態は単に例示的であり、本発明のすべての態様の網羅的な列挙を限定または代表することを意図していない。本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲から決定されるべきである。さらに、本発明の精神および原理から逸脱することなく、こうした詳細において数多くの変更がなされうることが当業者に明白であろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約7重量%以上のリジン、ベタイン、およびグルタミン酸および/またはそれらの塩を含むアミノ酸成分と、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3.3重量%以上の6~12個の炭素の脂肪族末端を有する脂肪酸および/またはオメガ3脂肪酸を含む脂肪酸成分と、を含む、ペットフード組成物。
【請求項2】
前記オメガ3脂肪酸が、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項3】
6~12個の炭素の脂肪族末端を有する前記脂肪酸が、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項4】
リジン:ベタイン:グルタミン酸の重量比が約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1である、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項5】
約2重量%~約3.3重量%のリジンと、
約0.4重量%~約0.6重量%のベタインと、
約3重量%~約4.6重量%のグルタミン酸と、を含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項6】
C8脂肪酸:C10脂肪酸:オメガ3 C18脂肪酸の重量比が、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:1である、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項7】
約1.15重量%~約1.73重量%のC8脂肪酸と、
約0.97重量%~約1.45重量%のC10脂肪酸と、
約0.52重量%~約0.78重量%のオメガ3 C18脂肪酸と、を含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項8】
亜麻種、柑橘パルプ、ビートパルプ、クランベリーの搾りかす、またはそれらの組み合わせから選択される繊維源を含む繊維成分をさらに含む、請求項1に記載のペットフード組成物。
【請求項9】
前記繊維成分が、前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約6重量%以上の量で存在する、請求項に記載のペットフード組成物。
【請求項10】
前記繊維成分が亜麻種、柑橘パルプ、ビートパルプ、およびクランベリーの搾りかすを含み、亜麻種:柑橘パルプ:ビートパルプ:クランベリーの搾りかすの重量比が、約2:1.5:1.5:1~約2.4:1.8:1.8:1または約2:1.5:1.5:1である、請求項またはに記載のペットフード組成物。
【請求項11】
約1.6重量%~約2.4重量%の亜麻種と、
約1.2重量%~約1.8重量%の柑橘パルプと、
約1.2重量%~約1.8重量%のビートパルプと、
約0.8重量%~約1.2重量%のクランベリーの搾りかすと、を含む、請求項に記載のペットフード組成物。
【請求項12】
コンパニオンアニマルにおいて腸マイクロバイオーム腐敗に関する症状を治療、予防、もしくは改善する、または腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するための方法であって、有効量の請求項1に記載の組成物を、それを必要とする前記コンパニオンアニマルに給餌することを含む、方法。
【請求項13】
腸マイクロバイオーム腐敗を緩和するためのペットフード組成物であって、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約7重量%以上の量で存在するリジン、ベタイン、およびグルタミン酸を含むアミノ酸成分と、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約3.3重量%以上の量で存在するC8脂肪酸、C10脂肪酸、およびオメガ3 C18脂肪酸を含む脂肪酸成分と、
前記ペットフード組成物の総重量に基づいて、約6重量%以上の量で存在する亜麻種、柑橘パルプ、ビートパルプ、クランベリーの搾りかす、またはそれらの組み合わせから選択される繊維源を含む繊維成分と、を含む、ペットフード組成物。
【請求項14】
リジン:ベタイン:グルタミン酸の重量比が、約5.4:1:7.6~約6.5:1:9.1または約5.4:1:7.6である、請求項13に記載のペットフード組成物。
【請求項15】
前記アミノ酸成分が、
約2重量%~約3.3重量%のリジンと、
約0.4重量%~約0.6重量%のベタインと、
約3重量%~約4.6重量%のグルタミン酸と、を含む、請求項14に記載のペットフード組成物。
【請求項16】
C8脂肪酸:C10脂肪酸:オメガ3 C18脂肪酸の重量比が、約2.21:1.86:1~約2.65:2.23:1である、請求項13に記載のペットフード組成物。
【請求項17】
約1.15重量%~約1.73重量%のC8脂肪酸と、
約0.97重量%~約1.45重量%のC10脂肪酸と、
約0.52重量%~約0.78重量%のオメガ3 C18脂肪酸と、を含む、請求項13に記載のペットフード組成物。
【国際調査報告】