(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】蒸発湿式表面空気冷却装置
(51)【国際特許分類】
F28D 5/02 20060101AFI20231227BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20231227BHJP
B05B 14/10 20180101ALI20231227BHJP
F28D 7/04 20060101ALI20231227BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
F28D5/02
B05B1/14 Z
B05B14/10
F28D7/04
F28D7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538802
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2021085953
(87)【国際公開番号】W WO2022136061
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・シャーパス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ポーラック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・アンデション
【テーマコード(参考)】
3L103
4D073
4F033
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103CC22
3L103DD05
3L103DD14
4D073AA10
4D073BB03
4D073CA20
4D073DC02
4D073DC22
4F033AA05
4F033BA04
4F033DA01
4F033EA05
4F033HA05
4F033LA12
4F033LA13
(57)【要約】
湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)は、プロセス媒体をそれ自体に通して流すための蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)と、蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)に冷却媒体を直接的に噴霧するための噴霧システム(120)と、蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて空気を流すためのファン(110)とを含み、蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)へと噴霧される冷却媒体と、蒸発スパイラルプレート熱交換器を通じて流れる空気との組み合わせが、冷却媒体を少なくとも一部蒸発させてプロセス媒体の温度を低下させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス媒体を受け入れるように構成される第1の通路(330)を含む蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)と、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)に冷却媒体を噴霧するように構成される噴霧システム(120)と、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて空気を流すように構成されるファン(110)と、
を備える湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)であって、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)へと噴霧される前記冷却媒体と、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて流れる前記空気との組み合わせが、前記冷却媒体を少なくとも一部蒸発させて前記プロセス媒体の温度を低下させる、湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項2】
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の前記第1の通路(330)は、螺旋形を有するとともに、前記プロセス媒体を流すための複数の巻きを含み、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、空気および冷却媒体を受け入れるために前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて軸方向に延びる第2の通路(340)のセットをさらに含み、
各第2の通路(340)は、前記第1の通路(330)の巻き同士の間に設けられる、請求項1に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項3】
前記第1の通路(330)は、入口と出口(310、320)との間で延びる閉じられた経路であるとともに、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上面および下面において閉じられ、
前記第2の通路(340)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の前記上面および前記下面において開いている、請求項2に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項4】
前記入口(310)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の径方向中心に設けられ、前記出口(320)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の最も外側の径方向表面に設けられる、または、
前記入口(320)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の前記最も外側の径方向表面に設けられ、前記出口(310)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の前記径方向中心に設けられる、請求項3に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項5】
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、前記第2の通路(340)を通じて流れる空気および/または前記冷却媒体の方向が、前記第1の通路(330)を通じて流れる前記プロセス媒体の方向に対して垂直である交差流配置を有する、請求項2から4のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項6】
複数の空気流路(220)と溜め部(210)とを含む下方筐体(200)をさらに備え、
前記溜め部(210)は、前記噴霧システム(120)によって噴霧される前記冷却媒体を受け入れるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項7】
前記下方筐体(200)の前記空気流路(220)は、空気を、前記湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)の内側から前記湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)の外側へと、または、前記湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)の外側から前記湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)の内側へと流すように構成される、請求項6に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項8】
前記ファン(110)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上方に設けられ、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、前記下方筐体(200)に設けられる、請求項6または7に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項9】
前記下方筐体(200)は、下方モジュール(200)であり、前記ファン(110)および前記噴霧システム(120)は、上方モジュール(100)の一部であり、
前記上方モジュール(100)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上方面に取り外し可能に留め付けられるように構成され、前記下方モジュール(200)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の下方面に取り外し可能に留め付けられるように構成される、請求項6から8のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項10】
前記ファン(110)、前記噴霧システム(120)、および前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、鉛直方向において重ねられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項11】
前記噴霧システム(120)は、前記冷却媒体を前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)にわたって分配するために互いから離間される複数の分配通路(125)を含む同心噴霧システムである、請求項1から10のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項12】
前記ファン(110)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)から水平方向に離間される、請求項1から5のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項13】
溜め部(210)を含む下方筐体(200)をさらに備え、
前記溜め部(210)は、前記噴霧システム(120)によって噴霧される前記冷却媒体を受け入れるように構成され、
前記ファン(110)および前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、前記下方筐体(200)の上面に設けられ、
前記噴霧システム(120)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上方に設けられる、請求項12に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項14】
前記ファン(110)は、空気を、前記溜め部(210)にわたらせて前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)に通させるように、または、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)に通させて前記溜め部(210)にわたらせるように、構成される、請求項13に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項15】
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、前記第1の通路(330)を形成するために巻かれる少なくとも1つの螺旋シート(360)を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の湿式表面空気冷却装置(WSAC)。
【請求項16】
湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)で冷却する方法であって、前記湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)は、
プロセス媒体を受け入れるように構成される第1の通路(330)を含む蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)と、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)に冷却媒体を噴霧するように構成される噴霧システム(120)と、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて空気を流すように構成されるファン(110)と、
を備え、前記方法は、
前記第1の通路(330)を通じて前記プロセス媒体を流すステップと、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて空気を流し、前記冷却媒体を少なくとも一部蒸発させて前記プロセス媒体の温度を低下させるために、前記噴霧システム(120)によって前記冷却媒体を噴霧するのと同時に前記ファン(110)を動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器の前記第1の通路(330)は、螺旋形を有するとともに、前記プロセス媒体を流すための複数の巻きを含み、
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)を通じて軸方向に延びる第2の通路(340)のセットをさらに含み、
各第2の通路(340)は、前記第1の通路(330)の巻き同士の間に設けられ、
前記方法は、前記冷却媒体を噴霧するのと同時に前記ファン(110)を動作させる前記ステップの間、前記第2の通路(340)を通じて、前記冷却媒体および空気を、同じ方向または反対方向に流すステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の通路(330)は、入口と出口(310、320)との間で延びる閉じられた経路であるとともに、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上面および下面において閉じられ、
前記第2の通路(340)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の前記上面および前記下面において開いており、前記方法は、
前記プロセス媒体を、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の中心から、前記第1の通路(330)を通じて径方向外向きに、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の外面へと流すステップと、
重力を通じて前記冷却媒体を下向きに流させるステップと、
前記空気を、前記冷却媒体の方向と反対に上へ向かわせるステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の通路(330)は、入口と出口(310、320)との間で延びる閉じられた経路であるとともに、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上面および下面において閉じられ、
前記第2の通路(340)は、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の前記上面および前記下面において開いており、前記方法は、
前記プロセス媒体を、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の外面から、前記第1の通路(330)を通じて径方向内向きに、前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の中心へと流すステップと、
重力を通じて前記冷却媒体を下向きに流させるステップと、
前記空気を、前記冷却媒体の方向と反対に上へ向かわせるステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ファン(110)および前記噴霧システム(120)は、上方モジュール(100)の一部であり、前記湿式表面空気冷却装置(WSAC)(1)は、複数の空気流路(220)と溜め部(210)とを含む下方モジュール(200)をさらに備え、
前記方法は、前記上方モジュール(100)を前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の上方面に取り外し可能に留め付け、前記下方モジュール(200)を前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)の下方面に取り外し可能に留め付けるステップをさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記蒸発スパイラルプレート熱交換器(300)は、前記第1の通路(330)を形成するために巻かれる少なくとも1つの螺旋シート(360)を備える、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コストを低減し、設置面積を縮小し、熱性能を向上させた湿式表面空気冷却装置(WSAC: wet surface air cooler)に向けられている。
【背景技術】
【0002】
産業用途向けの既存の湿式表面空気冷却装置など、既存の蒸発冷却技術は、大きな設置面積と高い動作コストとを有する。
【0003】
従来の湿式表面空気冷却装置(WSAC)(例えば、蒸発冷却装置)は、プロセス流体流れを容易にするための管束と、管束の上部にわたって水を分配する噴霧システムと、管束を通じて空気を引き込むファンまたはファンのセットとから成る。管の外面における空気/噴霧水の混合物は、熱をプロセス流体から除去し、その熱をファン筒の外へ排除し、噴霧水回収溜め部へと戻るのを排除する蒸発冷却効果を提供する。
【0004】
例えば、参照によりその全体が組み込まれている特許文献1(本明細書において、「862特許」)は、間接冷却区域または間接熱伝達区域330から壁369によって分離された直接熱伝達区域324を含む蒸発冷却装置を開示しており、壁369は、液体回収器338(例えば、溜め部)へと延び、液体回収器338は、直接熱伝達区域324のノズル344から排出された水と、間接冷却区域330のノズル382から排出された水とを回収する。ポンプ362および376が、水を液体回収器338からそれぞれのノズル382、344へと再循環させるために設けられる(862特許の
図7および段落13の31~39行目)。さらに、862特許は、直接熱伝達区域324が湿式デッキ満水部326と、漂流排除部352とを備え、「空気が、漂流排除部352を通り、空気移動デバイス328を通り過ぎて開口350を通じて出るために、空気入口348を通じて中へ入り、満水部326を通じて上へ流れる」ことを開示している(862特許の
図7、段落12の59~62行目、および段落14の1~6行目)。862特許は、追加の流れの要求の必要性を低減し、「過剰な空気移動動力」の必要性を低減するために、「熱伝達コイル332が筐体を通る空気の流れの実質的に外側に位置決めされる」ように、空気流の外側にコイル332を有することが望まれ、これが壁369によって達成されることを開示している(862特許の段落2の29~32行目、および段落14の1~3行目)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より効率的でコンパクトな解決策を産業用冷却用途に提供するために、蒸発冷却技術との組み合わせにおいて、湿式表面空気冷却装置のためにスパイラルプレート式熱交換器を利用することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、蒸発スパイラルプレート式熱交換器が蒸発冷却に曝される、管束の代わりに蒸発スパイラル(つまり、螺旋形)プレート熱交換器を利用することで、WSACの蒸発冷却プロセスを高める。スパイラルプレート熱交換器はスパイラル熱交換器と称されてもよい。水などの冷却媒体が、蒸発スパイラルプレート熱交換器の外側熱伝達面に噴霧され、空気が、蒸発冷却効果を作り出すために、ファンを介し、蒸発スパイラルプレート熱交換器の開いた通路を通じて、押されるかまたは引っ張られるかのいずれかである。
【0008】
本発明は、ファンがどのように位置決めされるかに依存して、蒸発スパイラルプレート熱交換器を通る空気流の方向、および、噴霧される冷却媒体の方向に対して、並流の配置と向流の配置との両方において機能できる。本発明は、噴霧水を冷却し、熱伝達効率にさらなる増加を提供する冷却塔から成る直接熱交換区域をさらに備えてもよい。
【0009】
湿式表面空気冷却装置(WSAC)は、プロセス媒体を受け入れるように構成される第1の通路を含む蒸発スパイラルプレート熱交換器と、スパイラルプレート熱交換器に冷却媒体を噴霧するように構成される噴霧システムと、蒸発スパイラルプレート熱交換器を通じて空気を流すように構成されるファンとを含み、蒸発スパイラルプレート熱交換器へと噴霧される冷却媒体と、蒸発スパイラルプレート熱交換器を通じて流れる空気との組み合わせが、冷却媒体を少なくとも一部蒸発させてプロセス媒体の温度を低下させる。
【0010】
蒸発スパイラルプレート熱交換器の第1の通路は、螺旋形を有し、プロセス媒体を流すための複数の巻きを含んでもよく、蒸発スパイラルプレート熱交換器は、空気および冷却媒体を受け入れるために蒸発スパイラルプレート熱交換器を通じて軸方向に延びる第2の通路のセットをさらに含み得、各第2の通路は、第1の通路の巻き同士の間に設けられてもよい。
【0011】
第1の通路は、入口と出口との間で延びる閉じられた経路であり得、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上面および下面において閉じられ、第2の通路は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上面および下面において開き得る。
【0012】
入口は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の径方向中心に設けられ得、出口は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の最も外側の径方向表面に設けられ得る、または、入口は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の最も外側の径方向表面に設けられ得、出口は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の径方向中心に設けられ得る。
【0013】
蒸発スパイラルプレート熱交換器は、第2の通路を通じて流れる空気および/または冷却媒体の方向が、第1の通路を通じて流れるプロセス媒体の方向に対して垂直である交差流配置を有し得る。
【0014】
WSACは、複数の空気流路と溜め部とを含む下方筐体をさらに備えてもよく、溜め部は、噴霧システムによって噴霧される冷却媒体を受け入れるように構成され得る。
【0015】
下方筐体の空気流路は、空気を、WSACの内側からWSACの外側へと、または、WSACの外側からWSACの内側へと流すように構成され得る。
【0016】
ファンは、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上方に設けられ得、蒸発スパイラルプレート熱交換器は下方筐体に設けられ得る。
【0017】
下方筐体は、下方モジュールであり得、ファンおよび噴霧システムは、上方モジュールの一部であり得、上方モジュールは、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上方面に取り外し可能に留め付けられるように構成され得、下方モジュールは、蒸発スパイラルプレート熱交換器の下方面に取り外し可能に留め付けられるように構成され得る。
【0018】
ファン、噴霧システム、および蒸発スパイラルプレート熱交換器は、鉛直方向において重ねられ得る。
【0019】
噴霧システムは、冷却媒体を蒸発スパイラルプレート熱交換器にわたって分配するために互いから離間される複数の分配通路を含む同心噴霧システムであり得る。
【0020】
ファンは、蒸発スパイラルプレート熱交換器から水平方向に離間され得る。
【0021】
WSACは、溜め部を含む下方筐体をさらに備えてもよく、溜め部は、噴霧システムによって噴霧される冷却媒体を受け入れるように構成され得、ファンおよび蒸発スパイラルプレート熱交換器は、下方筐体の上面に設けられ得、噴霧システムは、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上方に設けられ得る。
【0022】
ファンは、空気を、溜め部にわたらせて蒸発スパイラルプレート熱交換器に通させるように、または、蒸発スパイラルプレート熱交換器に通させて溜め部にわたらせるように、構成され得る。
【0023】
スパイラルプレート熱交換器は、第1の通路を形成するために巻かれる少なくとも1つの螺旋シートを備え得る。巻かれた少なくとも1つの螺旋シートは、第2の通路を形成してもよい。したがって、スパイラルプレート熱交換器は、第1の通路および第2の通路を形成するために巻かれる少なくとも1つの螺旋シートを備え得る。少なくとも1つの螺旋シートは第1の通路と第2の通路とを分離してもよい。
【0024】
スパイラルプレート熱交換器は、巻かれた少なくとも1つの螺旋シートによって形成される螺旋体を含み得る。間隔部材が、前記少なくとも1つの螺旋シートの巻き付きを離すために、前記少なくとも1つの螺旋シートに取り付けられてもよい。螺旋体は、実質的に円筒形の外殻によって包囲され得る。
【0025】
湿式表面空気冷却装置(WSAC)で冷却する方法であって、WSACは、プロセス媒体を受け入れるように構成される第1の通路を含む蒸発スパイラルプレート熱交換器と、スパイラルプレート熱交換器に冷却媒体を噴霧するように構成される噴霧システムと、蒸発スパイラルプレート熱交換器を通じて空気を流すように構成されるファンとを備え、方法は、第1の通路を通じてプロセス媒体を流すステップと、噴霧システムによって冷却媒体を噴霧するのと同時に、蒸発熱交換器を通じて空気を流し、冷却媒体を少なくとも一部蒸発させ、プロセス媒体の温度を低下させるために、ファンを動作させるステップとを含み得る。
【0026】
蒸発スパイラルプレート熱交換器の第1の通路は、螺旋形を有してもよく、プロセス媒体を流すための複数の巻きを含み、蒸発スパイラルプレート熱交換器は、蒸発スパイラルプレート熱交換器を通じて軸方向に延びる第2の通路のセットをさらに含んでもよく、各第2の通路は、第1の通路の巻き同士の間に設けられ、方法は、冷却媒体を噴霧するのと同時にファンを動作させるステップの間、第2の通路を通じて、冷却媒体および空気を、同じ方向または反対方向に流すステップをさらに含む。
【0027】
第1の通路は、入口と出口との間で延びる閉じられた経路であり得、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上面および下面において閉じられ、第2の通路は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上面および下面において開き得、前記方法は、プロセス媒体を、蒸発スパイラルプレート熱交換器の中心から、第1の通路を通じて径方向外向きに、蒸発スパイラルプレート熱交換器の外面へと流すステップと、重力を通じて冷却媒体を下向きに流させるステップと、空気を、冷却媒体の方向と反対に上へ向かわせるステップとをさらに含み得る。
【0028】
第1の通路は、入口と出口との間で延びる閉じられた経路であり得、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上面および下面において閉じられてもよく、第2の通路は、蒸発スパイラルプレート熱交換器の上面および下面において開き得、方法は、プロセス媒体を、蒸発スパイラルプレート熱交換器の外面から、第1の通路を通じて径方向内向きに、蒸発スパイラルプレート熱交換器の中心へと流すステップと、重力を通じて冷却媒体を下向きに流させるステップと、空気を、冷却媒体の方向と反対に上へ向かわせるステップとをさらに含み得る。
【0029】
ファンおよび噴霧システムは、上方モジュールの一部であり得、WSACは、複数の空気流路と溜め部とを含む下方モジュールをさらに備えてもよく、方法は、上方モジュールを蒸発スパイラルプレート熱交換器の上方面に取り外し可能に留め付け、下方モジュールを蒸発スパイラルプレート熱交換器の下方面に取り外し可能に留め付けるステップをさらに含み得る。
【0030】
本発明のスパイラルプレート熱交換器は、より効率的な伝熱を提供し、したがってより小さい表面積しか必要とせず、結果として、従来のWSACに対して劇的に縮小した設置面積を伴うよりコンパクトなWSACをもたらす。
【0031】
本発明の適用のさらなる範囲は、以下に提供されている詳細な記載から明らかになる。しかしながら、本発明の範囲内の様々な変更および改良がこの詳細な記載から当業者には明らかになるため、詳細な記載および特定の例が、本発明の実施形態を指示する一方で、単なる例示として提供されていることは、理解されるべきである。
【0032】
本発明は、以下に提供されている詳細な記載と、単なる例示として提供されており、したがって本発明を限定しない添付の図面とから、より完全に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態によるWSACの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるWSACの断面斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による蒸発スパイラルプレート熱交換器を示す断面斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるWSACの断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるWSACの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、本発明は、同じ符号がいくつかの図を通じて同じまたは同様の要素を特定するために使用されている添付の図面を参照して説明される。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態によるWSACの断面図である。
図2は、本発明の一実施形態によるWSACの断面斜視図である。
図3は、本発明の一実施形態による蒸発スパイラルプレート熱交換器を示す断面斜視図である。
【0036】
本発明の第1の実施形態によるWSAC1は、上方モジュール100と、下方モジュール200と、蒸発スパイラルプレート熱交換器300とを備える。
【0037】
上方モジュール100は、ファンモータ115を有するファン110(例えば、排気ファン)と、複数の分配通路125を有する噴霧システム120と、第1の通路130とを備える。ファン110およびファンモータ115は、上方モジュール100の筐体の中に設けられ得る。さらに、ファン110の中心は、上方筐体の中で中心に位置付けられ得る。分配通路125は、ノズル、またはスロット付き管における孔などの形態であり得る。噴霧システム120は同心噴霧システム120であり得、複数の分配通路125は、冷却媒体を蒸発スパイラルプレート熱交換器300にわたって(つまり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の上部にわたって)分配するために、上方モジュール100の周辺に沿って互いから等しく離間され得る。代替として、複数の分配通路125は、冷却媒体を蒸発スパイラルプレート熱交換器300にわたって(つまり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の上部にわたって)分配するように、互いからいくらかの間隔を有してもよく、上方モジュール100の表面に設けられてもよい。
【0038】
上方モジュール100、下方モジュール200、および蒸発スパイラルプレート熱交換器300の各々には、上方モジュール100と、下方モジュール200と、蒸発スパイラルプレート熱交換器300との間に連結を可能とするためのフランジが設けられてもよい。下方モジュール200は下方筐体200であり得る。
【0039】
上方モジュール100は、留め具(つまり、ボルト、ネジ、リベットなど)を介して蒸発スパイラルプレート熱交換器300の上面(例えば、上フランジ)に取り外し可能に結合でき、下方モジュール200は、留め具(つまり、ボルト、ネジ、リベットなど)を介して蒸発スパイラルプレート熱交換器300の下面(例えば、下フランジ)に取り外し可能に結合できる。スパイラルプレート熱交換器が外殻370を備える場合、外殻370には、上フランジおよび下フランジなどのフランジが設けられてもよい。さらに、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、下方モジュール200に鉛直方向において重ねられてもよく、上方モジュール100は、
図1および
図2に示されているように、上方モジュール100と、下方モジュール200と、蒸発スパイラルプレート熱交換器300とが鉛直方向において重ねられた構成となるように、蒸発スパイラルプレート熱交換器300に鉛直方向において重ねられ得る。
【0040】
上方モジュール100は、異なる高さ、異なるファンの大きさ、および/または異なる形など、異なる構成を有する他の上方モジュール100との容易な交換を可能とするために、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の上面に取り外し可能に結合され得る。同様に、下方モジュール200は、異なる数もしくは大きさの空気流路220、異なる大きさとされた溜め部、および/または異なる形を有する他の下方モジュール200との容易な交換を可能とするために、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の下面に取り外し可能に結合され得る。
【0041】
上方モジュール100、下方モジュール200、および蒸発スパイラルプレート熱交換器300を含むWSAC1は、円形の断面の形を有し得る。噴霧システム120の複数の分配通路125は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300への冷却媒体の均一な分配をもたらす同心の噴霧パターンを形成するために、噴霧システム120の周辺の周りに位置付けられ得る。さらに、複数の分配通路125は、噴霧システム120の周辺の周りで、均等に離間され得る、または、無作為に離間され得る。噴霧システム120は、溜め部210において集められる水または任意の他の知られている冷却媒体を、蒸発スパイラルプレート熱交換器300に噴霧することができる。
【0042】
代替として、上方モジュール100、下方モジュール200、および蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、任意の多角形(つまり、矩形、五角形、六角形)、楕円形などを含め、任意の断面形状を有することができる。
【0043】
下方モジュール200は、噴霧システム120、1つまたは複数の空気流路220、ポンプ230、第1の流体配管232、および第2の流体配管234から噴霧された水を集める溜め部210を含む。1つまたは複数の空気流路220は下方モジュール200の周辺の周りで均等に離間されてもよく、空気流路220の数および各空気流路220の大きさは、WSAC1を通る空気流を最適化するために変更されてもよい。さらに、
図1は、下方モジュール200の上部分に位置決めされた1つまたは複数の空気流路220を示しているが、1つまたは複数の空気流路220は、下方モジュール200に沿って任意の高さに位置決めされてもよい。
【0044】
WSAC1の向流の配置では、ファン110は、1つまたは複数の空気流路220を通じて、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて上向きに、第1の通路130を通じて外へ空気を吸い込む。つまり、WSAC1を通じた空気流の上向きの方向は、分配通路125によって噴霧される冷却媒体の下向きの方向(つまり、重力のため)と対向する。
【0045】
代替として、WSAC1の並流の配置では、ファン110は、空気を第1の通路から下へ、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて下へ、最終的には1つまたは複数の空気流路220を通じて外へ押す。つまり、WSAC1を通じた空気流の下向きの方向は、分配通路125によって噴霧される冷却媒体の下向きの方向と並流である。
【0046】
溜め部210において集められる冷却媒体は、ポンプ230、第1の流体配管232、および第2の流体配管234によって再利用される。明確には、集められた冷却媒体は、ポンプ230によって、第1の流体配管232を通じて、次に第2の流体配管234を通じて、噴霧システム120へと汲み上げられる。噴霧システム120は、分配通路125を介して、冷却媒体を蒸発スパイラルプレート熱交換器300に連続的な手法で噴霧する。つまり、ポンプ230は、冷却媒体の連続的な流れを噴霧システム120に提供することができ、噴霧システム120は、冷却媒体を蒸発スパイラルプレート熱交換器300に連続的に噴霧することができる。
【0047】
図2および
図3に示されているように、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、入口310と、出口320と、第1の通路330(つまり、第1の流体通路)と、第2の通路340とを備える。第1の通路330は、入口310と出口320とに連結され、螺旋構成(つまり、螺旋形の断面輪郭)を有する。つまり、第1の通路330は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の断面中心において始まり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の出口320へと径方向外向きに螺旋状になる。第1の通路330と第2の通路340とは互いと実質的に平行に延びる。
【0048】
さらに、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の中心軸がWSAC1の鉛直軸に沿うように、および、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の径方向軸がWSAC1の水平軸に沿うように、向き付けられ得る。
【0049】
スパイラルプレート熱交換器は、中心軸の周りのそれぞれの螺旋形の経路に沿って延び、実質的に互いと平行である第1の通路と第2の通路とを形成する2つの螺旋シートを通常は含む。流れ通路の幅に対応する高さを有する間隔部材が、シート同士を分離し、シート同士の間に所望の距離を獲得し、剛性をスパイラルプレート熱交換器に与え、具体的にはスパイラルプレート熱交換器の螺旋体に与えるために、シートのうちの少なくとも1つに取り付けられ得、典型的にシートのうちの少なくとも1つに溶接され得る。
【0050】
スパイラルプレート熱交換器300は、第1の通路330を形成するために巻かれる少なくとも1つの螺旋シート360を備える。巻かれた少なくとも1つの螺旋シート360は、第2の通路340も形成する。
【0051】
巻かれた少なくとも1つの螺旋シート360は第1の通路330と第2の通路340とを分離する。
【0052】
スパイラルプレート熱交換器300は、巻かれた少なくとも1つの螺旋シート360によって形成される螺旋体350を含む。典型的には円筒スタッドであるスタッドなどの間隔部材(図示されていない)が、前記少なくとも1つのシート360の巻き付きを離すために、前記少なくとも1つのシート360に取り付けられ得る。
【0053】
スパイラルプレート熱交換器300は螺旋体350を備える。螺旋体350は、螺旋体350を形成するために巻かれる少なくとも1つの螺旋シート360によって形成される。螺旋体350は螺旋形の第1の通路330と螺旋形の第2の通路340とを形成する。
【0054】
螺旋体350は、典型的には、螺旋形の第1の通路330と螺旋形の第2の通路340とを形成するために巻かれる金属の2つの螺旋シート360によって形成される。代替として、螺旋体350は、螺旋体350の中心から延び、螺旋体350を形成するために巻かれる2つのシート部分を提供する金属の単一のシート360から形成され得る。螺旋体350は、引き込み可能マンドレルの周りに金属の2つのシート360を巻くことで、従来の方法で形成できるが、他の方法で形成されてもよい。図では、螺旋体350は、いくつかの巻きを伴って概略的に示されているだけであるが、螺旋体350がさらなる巻きを含んでもよいこと、および、巻きが螺旋体350の中心から螺旋体350の周囲へと外へと形成されることは、明らかである。少なくとも1つの螺旋シート360が巻かれるとき、巻きが形成され、より正確には、複数の巻きが形成される。
【0055】
螺旋体350は、実質的に円筒形の外殻370によって包囲される。螺旋体350は、(
図2に示されているように)別の外殻370によって包囲されてもよく、または代替として、螺旋体を形成するシート360が、(
図3に示されているように)シート360の外側の巻きによって外殻370を構成してもよい。螺旋体350は、典型的には円筒形である中心体380を備える。中心体380は、シートの中心部分によって、または、円筒形の中心部品によって、形成され得る。スパイラルプレート熱交換器の中心体380は中心カバー390によって覆われ、中心カバー390は、螺旋体350に溶接され、より正確には、中心体380の各端において、つまり、上端および下端において、溶接される。
【0056】
螺旋体350の中心体380は、各螺旋シート360の端が溶接される円筒形の部品によって形成されてもよい。代替として、螺旋体350の中心体380は、本明細書において参照により組み込まれている国際公開第2010/130580号に記載されているように、引き込み可能マンドレルの相対するスリットへと金属の2つのシート360の各端を挿入することで形成されてもよい。さらなる代替として、螺旋体350のための開始材料が単一のシート360であってもよく、その場合、単一のシート360の中心部分がマンドレルへと挿入され、中心部分から延びる2つのシート部分が、螺旋体350と中心体380とを形成するために巻かれる。巻く機械は、螺旋体350を形成するためにシート360を巻く。巻く機械が金属のシート360の巻きを完了した後、螺旋体350は巻く機械から取り外され、引き込み可能マンドレルが取り外される。次に、螺旋体350は、上部および下部において、第1の通路330が閉じられ、第2の通路340が開かれるように、シート360の巻きの縁、つまり上縁と下縁とを互いに対して一体に溶接することで、第1の通路330と第2の通路340とを手作業または溶接機械によって互いから封止または閉止するために、溶接ステーションに移動させられる。これは、すべての第2の巻きの開放を溶接によって閉じることで行われる。中心カバー390は、耐久性のある封止された中心体380を得るために、中心体380の各端の開放部に溶接される。
【0057】
シート360は、螺旋形への板の巻きを可能にするだけの柔軟性のある板である。しかしながら、巻く機械は、螺旋形へのシート/板の巻きを達成するために必要とされ得る。
【0058】
図3に示され、矢印によって示されているように、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、第2の通路340を通じて流れる空気および/または冷却媒体の方向が、第1の通路330を通じて流れるプロセス媒体の方向に対して交差する、または垂直である交差流配置を有する。
【0059】
蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、
図3に示されているように、出口320に連結されたヘッダを備え得る、または、
図1、
図2、
図4、および
図5に示されているように、ヘッダなしで提供され得る。
【0060】
蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、第1の通路330を含め、またはより正確には、第1の通路330を形成する少なくとも1つのシート360を含め、ステンレス鋼、銅、亜鉛メッキ鋼、任意の他の知られている材料など、良好な熱伝導率を伴う金属材料から成り得る。さらに、第1の通路330は、熱をプロセス媒体から取り去って第2の通路340に向けて放射することができる(つまり、熱を伝導することができる)。さらに、蒸発スパイラルプレート熱交換器300へと噴霧される冷却媒体は、プロセス媒体からさらに熱を取り去って伝導するために、第2の通路340の全長(つまり、軸方向の長さ)に沿って覆われる。鉛直の通路(第2の通路340)を伴う蒸発スパイラルプレート熱交換器300の構造のため、利用可能な圧力損失の最適な使用を行う一方で、空気流および冷却媒体を熱伝達表面に最大限に曝すことができることで蒸発スパイラルプレート熱交換器300の熱消散効果を向上させる熱交換器設計を可能とする。
【0061】
プロセス媒体(例えば、高温のプロセス媒体)が、当技術分野で知られている手段によって、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて流れる。本発明では、プロセス媒体は、入口310を通り、第1の通路330を通り、出口320から外へ流れる。プロセス媒体は、水、グリコール、オイル、燃料、ガスなどの当技術分野で知られているような任意の種類の高温のプロセス媒体であり得る、または、蒸気、アンモニア、プロピレン、ブタンなどを凝縮させるためであり得る。
【0062】
さらに、
図2に示されているように、入口連結は、WSAC1の外側から蒸発スパイラルプレート熱交換器300の断面中心へと延びることができ、出口連結はWSAC1の外側の範囲(つまり、径方向で最も外側の範囲)から延びることができる。
【0063】
図3は、ファン110によって引き起こされて、空気が蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて軸方向に流れるように、
図1および
図2に示されているのと同じ手法で、鉛直方向(つまり、高さ方向)で向き付けられている蒸発スパイラルプレート熱交換器300を示している。
【0064】
つまり、プロセス媒体は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の断面中心に位置付けられる入口310から、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の周辺または最も外側の径方向表面に設けられ得る出口320へと、径方向外向きに螺旋の様態で流れる。第2の通路340は、第1の通路330の各巻きの周りに空気流を許容するために、第1の通路330の各巻き(例えば、回転)同士の間に位置付けられる。つまり、第2の通路340は、WSAC1の軸方向に(つまり、鉛直方向)(および、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の軸方向/鉛直方向と同様に)延びる軸方向の通路である。第2の通路340(または第2の通路340のセット)は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて軸方向に延びる単一の連続螺旋通路340によって形成でき、第2の通路340の各々は互いに連結され得る。つまり、第1の通路のそれぞれの巻きの中にある第2の通路の各部分は、複数の第2の通路のうちの1つとして解釈できる。
【0065】
代替として、出口連結は、WSAC1の外側から蒸発スパイラルプレート熱交換器300の断面中心へと延びることができ、入口連結はWSAC1の外側の範囲から延びることができる。つまり、プロセス媒体は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の最も外側の径方向の範囲に位置付けられる入口320から、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の径方向中心に位置決めされる出口310へと、径方向内向きに螺旋の様態で流れることができる。第2の通路340は、第1の通路330の各巻きの周りに空気流を許容するために、第1の通路330の各巻き(例えば、回転)同士の間に位置付けられる。
【0066】
ファンによって発生させられる空気流は、WSAC1の外側から、1つまたは複数の空気流路220を通り、第2の通路340を通り、第1の通路130を通じて外へ流れることができる。つまり、ファン110は、WSAC1を通じて空気を引っ張ることができる。代替として、ファン110は、第1の通路130から、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通り、下方モジュールの1つまたは複数の空気流路220を通じて外へ空気を押し込むことで、WSAC1を通じて空気を押すことができる。
【0067】
蒸発スパイラルプレート熱交換器300への噴霧された冷却媒体(つまり、第2の通路340)と、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の第2の通路340を通じた空気流との組み合わせは、第2の通路340の冷却媒体を蒸発させ、これは蒸発スパイラルプレート熱交換器300の熱伝導率をさらに増加させる。つまり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、噴霧システム120によって噴霧される冷却媒体と、蒸発した冷却媒体の形態での蒸気と、空気流路220を通るファン110を介しての空気流とに曝される。
【0068】
本発明の噴霧システム120は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の湿らせと、延いては噴霧システム120からの冷却効果とを向上させるために、第2の通路340の表面(つまり、鉛直方向の表面)を冷却媒体で覆われたままにする(つまり、湿らせたままにする)。
【0069】
本発明のこの蒸発効果は、プロセス媒体からの熱の消散を向上させ、それによってWSAC1の効率を向上させる。向上した熱効率のため、本発明によるWSAC1は、縮小した設置面積(つまり、縮小した直径)を有することができる。さらに、本発明による上方モジュール100、下方モジュール200、および蒸発スパイラルプレート熱交換器300のための円形の断面を含め、WSAC1の鉛直方向において重ねられた構成は、WSAC1のファン側において(つまり、WSAC1の効率を高めるために、第1の通路130において)圧力損失の低減をもたらす。
【0070】
つまり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の螺旋状の形は、空気流を軸方向に通過させ(つまり、第2の通路340を通過させ)、冷却媒体をそれに噴霧させて各第2の通路340の軸方向全長に接触させることができる。第2の通路340の軸方向全長との水の接触は、プロセス媒体の冷却効率を向上させる。
【0071】
図4および
図5は、ファン110が水平方向において噴霧システム120から離間され、ファン110および噴霧システム120の各々が、溜め部210を備える下方筐体200に搭載されている本発明の代替の実施形態に向けられている。
【0072】
図4および
図5の実施形態もまた、
図1~
図3に示されているのと同じ構造および向きを伴う蒸発スパイラルプレート熱交換器300を含む。さらに、
図4および
図5の実施形態は、
図1~
図3の実施形態と同様の手法で動作し、違いは主に蒸発スパイラルプレート熱交換器300に対するファン110の場所である。
【0073】
さらに、空気路を有する代わりに、
図4および
図5の実施形態は、空気をWSAC1へと導入するために、または、空気をWSAC1から放出するために、噴霧システム120の上面に位置決めされる第2の通路150を備える。
【0074】
図1および
図2の実施形態におけるように、下方モジュール200の溜め部210において集められた冷却媒体は、第1の流体配管232および第2の流体配管234を介して噴霧システム120へと戻すように、ポンプ230によって汲み上げられる。
【0075】
図4および
図5のWSAC1は向流の配置で動作でき、ファン110は、空気を、第1の通路130を通じて、溜め部210を下へとわたって、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて上向きに、第2の通路150を通じて外へと吸い込む。つまり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じた空気流の上向きの方向は、分配通路125によって噴霧される冷却媒体の下向きの方向と対向する。
【0076】
代替として、本発明の並流の配置では、ファン110は、空気を、第2の通路150を通じて、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じて下へ、溜め部210にわたって、第1の通路130を通じて外へ引っ張る。つまり、蒸発スパイラルプレート熱交換器300を通じた空気流の下向きの方向は、分配通路125によって噴霧される冷却媒体の方向と並流である。
【0077】
図4および
図5の実施形態は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300への噴霧された冷却媒体(つまり、第2の通路340)と、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の第2の通路340を通じた空気流との組み合わせは、第2の通路340の冷却媒体を蒸発させ、これは蒸発スパイラルプレート熱交換器300の熱伝導率をさらに増加させる点において、上記の
図1~
図3の実施形態と同様の手法で機能する。この蒸発効果は、プロセス媒体からの熱の消散を向上させ、それによってWSAC1の効率を向上させる。向上した熱効率のため、本発明によるWSAC1は、縮小した設置面積を有することができる。
【0078】
噴霧システム120は、
図4および
図5に示されているように、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の上面に取り外し可能に結合され得る。さらに、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、溜め部210を備える下方筐体200の上面に取り外し可能に結合され得る。同様に、ファン110は、下方筐体200の上面に取り外し可能に結合され得、蒸発スパイラルプレート熱交換器300から水平方向に離間され得る。
【0079】
上記の
図1~
図3の実施形態と同様に、
図4および
図5の実施形態はモジュール式であってもよい。ファン110は第1のモジュールとでき、蒸発スパイラルプレート熱交換器300、または、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の噴霧システム120との組み合わせが第2のモジュールとされてもよく、溜め部は第3のモジュールとできる。第1のモジュール、第2のモジュール、および第3のモジュールは、当技術分野で知られているような、異なる高さ、異なるファンの大きさ、および/または異なる形など、異なる構成を有するモジュールを含め、異なる流れ特性を有する他のモジュールと置き換えることができる。
【0080】
上方モジュール100、下方モジュール200、および蒸発スパイラルプレート熱交換器300に関して前述されているように、第1のモジュール、第2のモジュール、および第3のモジュールには、第1のモジュールと、第2のモジュールと、第3のモジュールとの間に連結を可能とするためのフランジが設けられてもよい。スパイラルプレート熱交換器が外殻370を備える場合、スパイラルプレート熱交換器300の外殻370にはフランジが設けられてもよい。
【0081】
さらに、蒸発スパイラルプレート熱交換器300は、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の中心軸がWSAC1の鉛直軸に沿うように、および、蒸発スパイラルプレート熱交換器300の径方向軸がWSAC1の水平軸に沿うように、向き付けられ得る。
【0082】
本発明は、
図1~
図5に示されている例に限定されず、異なる形および構成を有することができる。
【0083】
先に記載されている開示は、本明細書に記載されている材料および特徴に限定されず、当業者の知識の範囲内で変更されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 湿式表面空気冷却装置(WSAC)
100 上方モジュール
110 ファン
115 ファンモータ
120 噴霧システム、同心噴霧システム
125 分配通路
130 第1の通路
150 第2の通路
200 下方モジュール、下方筐体
210 溜め部
220 空気流路
230 ポンプ
232 第1の流体配管
234 第2の流体配管
300 蒸発スパイラルプレート熱交換器
310 入口、出口
320 出口、入口
330 第1の通路
340 第2の通路
350 螺旋体
360 螺旋シート
370 外殻
380 中心体
390 中心カバー
【国際調査報告】