(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】シロキサン-イミドコポリマーを含む付加硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/02 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
C08L83/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538922
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 US2021060418
(87)【国際公開番号】W WO2022140003
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マンダル,スブラタ
(72)【発明者】
【氏名】藤本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラ,ヴィノド
(72)【発明者】
【氏名】ザンペラ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン,ラマスブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,クラリッサ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP143
4J002CP151
4J002DE117
4J002EH106
4J002FD017
4J002FD142
4J002FD206
4J002GH01
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本願においては熱安定なシロキサン-イミドコポリマーを含む硬化性シリコーン接着剤組成物が示され、説明される。この組成物は、アルケニルシリコーン、シリコーンヒドリド系の架橋剤、ヒドロシリル化触媒、および添加剤を含み、比較的低温で硬化可能であり良好な熱安定性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加硬化性シリコーン-イミド組成物であって:
(A)アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー;
(B)0から約80質量部のアルケニル官能性オルガノシロキサン;
(C)ケイ素原子に結合した少なくとも2つの水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;
(D)触媒;
(E)添加剤;および
(F)硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて0質量部から約3000質量部のフィラーを含む、付加硬化性シリコーン-イミド組成物。
【請求項2】
アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)が式(I)の化合物から選択され:
【化6】
R
1はC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から独立して選択され、ここでR
1は未置換またはC1~C6アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、および/またはC1~C5アルコキシ基で置換されることができ;
R
2は二価のC1~C20炭化水素基、二価のC4~C20分岐鎖炭化水素基、またはC4~C30含環状炭化水素基から独立して選択され;
R
3、R
4、R
5、およびR
6はそれぞれ独立してC1~C10アルキル基およびC6~C20アリール基から選択され;
mは1から約200の整数であり;そして
nは1から約30の整数である、請求項1の付加硬化性シリコーン-イミド組成物。
【請求項3】
R
1はベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、またはヘキサフルオロメチルビフェニルから独立して選択される、請求項2の付加硬化性組成物。
【請求項4】
R
1はベンゼンである、請求項2の付加硬化性組成物。
【請求項5】
硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて、アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)を約10質量部から約100質量部の量で含む、請求項1から4のいずれかの付加硬化性組成物。
【請求項6】
硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて、アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)を約30質量部から約95質量部の量で含む、請求項1から5のいずれかの付加硬化性組成物。
【請求項7】
アルケニル官能性オルガノシロキサン(B)は式M
1
aM
2
bD
1
cD
2
dT
1
eT
2
fQ
gの化合物から選択され、式中:
M
1=R
7R
8R
9SiO
1/2
M
2=R
10R
11R
12SiO
1/2
D
1=R
13R
14SiO
2/2
D
2=R
15R
16SiO
2/2
T
1=R
17SiO
3/2
T
2=R
18SiO
3/2
Q=SiO
4/2
であり、ここでR
7、R
8、R
9、R
11、R
12、R
13、R
14、R
16、およびR
17はC1~C30炭化水素基、またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
R
10、R
15、およびR
18はC1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、C1~C30アルコキシ基、またはC2~C30アルケニル基から独立して選択され、但しR
10、R
15、および/またはR
18の1つまたはより多くはC2~C30アルケニル基から選ばれ;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは以下の制約:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、およびb+d+f>0のもとにゼロまたは正数である、請求項1から6のいずれかの硬化性組成物。
【請求項8】
R
7、R
8、R
9、R
11、R
12、R
13、R
14、R
16、およびR
17はC1~C30炭化水素基、またはC6~C30芳香族基から独立して選択され、ここでR
7、R
8、R
9、R
11、R
12、R
13、R
14、R
16、およびR
17の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択される、請求項7の硬化性組成物。
【請求項9】
R
13および/またはR
14の少なくとも1つはC6~C30芳香族基である、請求項8の硬化性組成物。
【請求項10】
R
13および/またはR
14はフェニル基である、請求項9の硬化性組成物。
【請求項11】
アルケニル官能性オルガノシロキサン(B)を硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約10質量部から約50質量部の量で含む、請求項1から10のいずれかの硬化性組成物。
【請求項12】
アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)が硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約20から約50質量部の量で存在し、そしてアルケニル官能性オルガノシロキサン(B)が硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約50質量部の量で存在する、請求項9の硬化性組成物。
【請求項13】
アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)が硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約30質量部から約40質量部の量で存在し、そしてアルケニル官能性オルガノシロキサン(B)が硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて30質量部から約40質量部の量で存在する、請求項12の硬化性組成物。
【請求項14】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C)は式M
3
hM
4
iD
3
jD
4
kT
3
mT
4
nQ
oの化合物から選択され、式中:
M
3=R
19R
20R
21SiO
1/2
M
4=R
22R
23R
24SiO
1/2
D
3=R
25R
26SiO
2/2
D
4=R
27R
28SiO
2/2
T
3=R
29SiO
3/2
T
4=R
30SiO
3/2
Q=SiO
4/2
であり、ここでR
19、R
20、R
21、R
25、R
26、およびR
29はC1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
R
22、R
23、R
24、R
27、R
28、およびR
30は水素、C1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、C1~C30アルコキシ基、またはC2~C30アルケニル基から独立して選択され、但しR
22、R
23、R
24、R
27、R
28、および/またはR
30の1つまたはより多くは水素であり;
下付き文字h、i、j、k、m、n、oは以下の制約:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0のもとにゼロまたは正数である、請求項1から13のいずれかの硬化性組成物。
【請求項15】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C)を硬化性組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約10質量部の量で含む、請求項1から14のいずれかの硬化性組成物。
【請求項16】
触媒(D)は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金、並びに1つまたはより多くのこれらの金属を含む錯体から選択される貴金属触媒から選ばれる。請求項1から15のいずれかの硬化性組成物。
【請求項17】
触媒(D)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約1質量部から約10質量部の量で存在する、請求項1から16のいずれかの硬化性組成物。
【請求項18】
添加剤(E)は、顔料、潤滑剤、粘度調節剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、阻害剤、接着促進剤、またはこれらの2またはより多くの組み合わせの少なくとも1つから選択される、請求項1から17のいずれかの硬化性組成物。
【請求項19】
添加剤(E)を硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約3000質量部の量で含む、請求項1から18のいずれかの硬化性組成物。
【請求項20】
添加剤は阻害剤である、請求項18または19の硬化性組成物。
【請求項21】
阻害剤は、エチレン性不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または非共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸塩、亜硝酸塩、ジアジリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項20の硬化性組成物。
【請求項22】
阻害剤はアルキニルアルコール、マレイン酸塩、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項20の硬化性組成物。
【請求項23】
阻害剤はマレイン酸ジアリル、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項20の硬化性組成物。
【請求項24】
阻害剤を硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約10質量部の量で含む、請求項20の硬化性組成物。
【請求項25】
阻害剤を硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約2質量部の量で含む、請求項20の硬化性組成物。
【請求項26】
フィラー(F)は、SiO
2、TiO
2、MgO、ZnO、CaCO
3、CeO
2、Fe
2O
3、SiC、クレイ材料、酸化グラフェン、酸化ホウ素、窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、酸化ジルコニウム、フライアッシュ、Zr(OEt)
4、Ti(OEt)
4、粉末形態の任意のポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリBPAスルホン、シロキサン-ポリイミド、シロキサン-ベンゾイミダゾール、シロキサン-ポリスルホン、これらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項1から25のいずれかの硬化性組成物。
【請求項27】
フィラー(F)はFe
2O
3である、請求項25の硬化性組成物。
【請求項28】
フィラー(F)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0質量部から約100質量部の量で存在する、請求項1から27のいずれかの硬化性組成物。
【請求項29】
フィラー(F)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約30質量部の量で存在する、請求項26または27の硬化性組成物。
【請求項30】
請求項1から29のいずれかの組成物を硬化条件と接触させることを含む、硬化シリコーン-イミド材料を調製するためのプロセス。
【請求項31】
硬化条件は硬化触媒である、請求項29のプロセス。
【請求項32】
請求項1から29のいずれかの組成物から形成される硬化シリコーン-イミド材料。
【請求項33】
温度1000℃まで10℃/分の加熱速度における熱重量分析によって測定して300℃から600℃に熱劣化を有する、請求項32の硬化シリコーン-イミド材料。
【請求項34】
硬化シリコーン-イミド材料は、航空宇宙機器、電子機器、電子部品、自動車、絶縁体、塗料、耐溶剤性膜などの物品に、またはその一部として用いられる、請求項32または33の硬化材料。
【請求項35】
基材を含む物品であって、基材がその表面上に配置された請求項1から29のいずれかのシリコーン-イミド組成物を含む、物品。
【請求項36】
基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、コーティングまたは塗装された金属、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる材料を含む、請求項35の物品。
【請求項37】
基材の材料は、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、コポリカーボネート、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項35または36の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は付加硬化性組成物に関する。特に本発明は、オレフィン末端シロキサン-イミドコポリマー、Si-H系架橋剤、触媒および任意選択的に高温(例えば350℃より高い)において安定な熱安定性材料をもたらすための他の添加剤を含む、付加硬化性組成物に関する。この硬化性材料は、高温に対する曝露が考えられ、または温度の極端な変化が考えられる用途を含む、種々の用途において用いることができる。
【背景技術】
【0002】
高温安定材料、例えば約350℃またはより高い温度において安定な材料は、広い範囲の用途において望ましい。加えて、多くの用途は単に高温における安定性を必要とするだけではなく、極端な低温(例えば0℃未満から-100℃)から高温まで(例えば約350℃またはより高く)への曝露といった広い温度範囲にわたって、材料がその機械的特性および可撓性を維持し、または実質的に維持することを必要とする。現在の多くの硬化性のシリコーン系材料は一般に、275℃まで安定なだけである。ポリイミドおよびポリベンゾイミダゾールのような有機ポリマーは400℃を超えて安定であることができるが、しかしこれらの材料は加工性や可撓性に独自の課題を有しており、幾つかの用途についてはこれらの使用は困難である。個別の特徴的な制約(熱安定性および可撓性)を考慮すると、純粋なシリコーンまたはポリイミドのような純粋な有機ポリマーは、単独ではこうした広い温度用途に使用することはできない。
【0003】
シロキサン変性ポリイミド材料は、当技術分野において知られている。これらの材料は自立膜型式の可撓性材料であり、高い熱安定性と高い熱伝導性を備えている。しかしながらこれらの材料は、幾つかの加工性に関する課題を有しており、それによって大規模用途における使用可能性が限定されている。
【0004】
熱安定性を改善するための近年の試みには、シロキサン変性ポリイミドのコポリマーまたはシロキサン-ポリエーテルイミドブロックコポリマーを含む、金型作成用組成物の使用が含まれる(例えば米国特許第8,071,693号、米国特許公開第2003/0004268号、および米国特許第6,451,381号参照)。他の試みは、例えば非硬化性シロキサンイミドコポリマーに関する日本国特許第3279635号および第4803371号、および補強材料を備えたシロキサンイミドコポリマーを含むコンポジットシートに関する韓国特許公開第10-2014-007363号に記載されている。しかしながらこれらが提案する解決策は、350℃を超える高い熱安定性材料を対象とするものではない。
【発明の概要】
【0005】
以下では、幾つかの実施態様の基本的な理解を提供するために、本開示の概要を提示する。この概要は、必須のまたは重要な要素を識別したり、実施形態や特許請求の範囲に対する何らかの制約を規定することを意図するものではない。さらにまたこの概要は、本開示の他の部分においてより詳細に説明されてよい、幾つかの実施態様の単純化された概略を提供するものであってよい。
【0006】
1つの実施態様において提供されるのは、付加硬化性シリコーン-イミドコポリマー組成物である。この付加硬化性シリコーン-イミドコポリマー組成物は、何らの溶媒の存在なしに、低い温度において硬化することが見出されている。
【0007】
別の実施態様において提供されるのは、付加硬化性組成物から形成される硬化材料であり、純粋なシロキサンよりも優れた熱安定性を示す。この硬化材料は、例えば接着剤として、シーリング接着剤またはギャップ充填剤として、コーティングとして、または成形材料を形成するために、種々の形態で用いられ提供されることができる。この硬化材料は、極端な低温または極端な高温に曝露された場合に良好な機械的特性および他の特性を維持し、実際上可撓性を保持することが見出されている。
【0008】
1つの実施態様において提供されるのは、付加硬化性シリコーン組成物であって:
(A)アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー;
(B)0から約80質量部のアルケニル官能性オルガノシロキサン;
(C)ケイ素原子に結合した少なくとも2つの水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;
(D)触媒;
(E)添加剤;および
(F)硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて0質量部から約3000質量部のフィラーを含んでいる。
【0009】
1つの実施形態において、シロキサン-イミドコポリマー(A)は式(I)の化合物から選択され:
【化1】
式中R
1はC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から独立して選択され、ここでR
1は未置換またはC1~C6アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、および/またはC1~C5アルコキシ基で置換されており;
R
2は二価のC1~C20炭化水素基、二価のC4~C20分岐鎖炭化水素基、またはC4~C30含環状炭化水素基から独立して選択され;
R
3、R
4、R
5、およびR
6はそれぞれ独立してC1~C10アルキル基およびC6~C20アリール基から選択され;
mは1から約200の整数であり;そして
nは1から約30の整数である。
【0010】
1つの実施形態において、R1はベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、またはヘキサフルオロメチルビフェニルから独立して選択される。1つの実施形態において、それぞれのR1はベンゼンである。
【0011】
1つの実施形態において、シロキサン-イミドコポリマー(A)は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約10質量部から約100質量部、より好ましくは約20質量部から約98質量部、そして最も好ましくは約30質量部から約95質量部の量で存在する。
【0012】
1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)は式M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQgの化合物から選択され、式中:
M1=R7R8R9SiO1/2
M2=R10R11R12SiO1/2
D1=R13R14SiO2/2
D2=R15R16SiO2/2
T1=R17SiO3/2
T2=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、ここでR7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はC1~C30炭化水素基、またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
R10、R15、およびR18はC1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、C1~C30アルコキシ基、またはC2~C30アルケニル基から独立して選択され、但しR10、R15、および/またはR18の1つまたはより多くはC2~C30アルケニル基から選択され;そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは以下の制約:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0のもとにゼロまたは正数である。
【0013】
1つの実施形態において、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はC1~C30炭化水素基、またはC6~C30芳香族基から独立して選択され、ここでR7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択される。
【0014】
1つの実施形態において、R13および/またはR14の少なくとも1つはC6~C30芳香族基である。
【0015】
1つの実施形態において、R13および/またはR14はフェニル基である。
【0016】
1つの実施形態において、成分(B)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0質量部から約80質量部、より好ましくは約0質量部から約60質量部、そして最も好ましくは約0質量部から約50質量部の量で存在する。1つの実施形態において、アルケニル官能性オルガノシロキサン(B)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約10質量部から約50質量部の量である。
【0017】
1つの実施形態において、アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約20から約50質量部の量で存在し、そしてアルケニル官能性オルガノシロキサン(B)は硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約50質量部の量で存在する。
【0018】
1つの実施形態において、アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー(A)は硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約30質量部から約40質量部の量で存在し、そしてアルケニル官能性オルガノシロキサン(B)は硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約30質量部から約40質量部の量で存在する。
【0019】
1つの実施形態において、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン成分(C)は、式:M3
hM4
iD3
jD4
kT3
mT4
nQoの化合物から選択され、式中:
M3=R19R20R21SiO1/2
M4=R22R23R24SiO1/2
D3=R25R26SiO2/2
D4=R27R28SiO2/2
T3=R29SiO3/2
T4=R30SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、ここでR19、R20、R21、R25、R26、およびR29はC1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
R22、R23、R24、R27、R28、およびR30は水素、C1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、C1~C30アルコキシ基、またはC2~C30アルケニル基から独立して選択され、但しR22、R23、R24、R27、R28、および/またはR30の1つまたはより多くは水素であり;そして
下付き文字h、i、j、k、m、n、oは以下の制約:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0のもとにゼロまたは正数である。
【0020】
1つの実施形態において、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン成分(C)は、硬化性組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約10質量部、より好ましくは約0.08質量部から約6質量部、そして最も好ましくは約1質量部から約4質量部の量で存在する。
【0021】
1つの実施形態において、触媒(D)は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金、並びにこれらの金属を含む錯体から選択される貴金属触媒から選ばれる。
【0022】
1つの実施形態において、触媒(D)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約1質量部から約10質量部、より好ましくは約2質量部から約8質量部、そして最も好ましくは約3質量部から約6質量部の量で存在する。
【0023】
1つの実施形態において、添加剤(E)は、顔料、潤滑剤、粘度調節剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、阻害剤、接着促進剤、またはこれらの2またはより多くの組み合わせの少なくとも1つから選択される。
【0024】
1つの実施形態において、添加剤(E)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約3000質量部、より好ましくは約15質量部から約1000質量部、そして最も好ましくは約0.05質量部から約1質量部の量で存在する。
【0025】
1つの実施形態において、添加剤(E)は阻害剤である。
【0026】
1つの実施形態において、阻害剤は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約1質量部から約10質量部、より好ましくは約0.1質量部から約2質量部、そして最も好ましくは約0.05質量部から約1質量部の量で存在する。1つの実施形態において、阻害剤は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約10質量部の量で存在する。1つの実施形態において、阻害剤は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約2質量部の量で存在する。
【0027】
1つの実施形態において、阻害剤は、エチレン性不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または非共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸塩、亜硝酸塩、ジアジリジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0028】
1つの実施形態において、阻害剤はアルキニルアルコール、マレイン酸塩、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0029】
1つの実施形態において、阻害剤はマレイン酸ジアリル、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0030】
1つの実施形態において、フィラー(F)は、シリカ、ヒュームドシリカ、TiO2、MgO、ZnO、CaCO3、CeO2、Fe2O3、SiC、クレイ材料、酸化グラフェン、酸化ホウ素、窒化ホウ素BN、カーボンナノチューブ、酸化ジルコニウム、フライアッシュ、Zr(OEt)4、Ti(OEt)4、粉末形態の任意のポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリBPAスルホン、シロキサン-ポリイミド、シロキサン-ベンゾイミダゾール、シロキサン-ポリスルホン、または何らかの他の熱安定性フィラーから選択される。
【0031】
1つの実施形態において、フィラー(F)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0質量部から約3000質量部、より好ましくは約15質量部から約2000質量部、そして最も好ましくは約25質量部から約30質量部の量で存在する。
【0032】
1つの実施形態において、フィラー(F)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約30質量部の量で存在する。
【0033】
1つの実施形態において、フィラーはFe2O3である。
【0034】
1つの実施形態において、シリコーン-イミド組成物は基材上にコーティングまたは接着されている。
【0035】
1つの実施形態において、基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、コーティングまたは塗装された金属、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる材料である基材から選択される。
【0036】
1つの実施形態において、基材の材料は、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、コポリカーボネート、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0037】
さらに別の実施態様において提供されるのは、硬化シリコーン-イミド材料を調製するためのプロセスであり、上述した何れかの実施形態の組成物を硬化条件と接触させることを含んでいる。1つの実施形態において、硬化条件は硬化触媒である。
【0038】
別の実施態様において提供されるのは、上述した実施態様および実施形態の何れかの組成物から形成される硬化シリコーン-イミド材料である。
【0039】
1つの実施形態において、硬化シリコーンイミド材料は、熱重量分析によって測定して300℃から600℃に熱劣化を有する。
【0040】
1つの実施形態において、硬化シリコーン-イミド材料は、航空宇宙機器、電子機器、電子部品、自動車、絶縁体、塗料、耐溶剤性膜などの物品に、またはその一部として用いられる。
【0041】
以下の説明および図面は、種々の例示的な実施態様を開示している。幾つかの改良点および新規な実施態様は明示的に識別されていてよく、その他は説明および図面から明らかであってよい。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では例示的な実施形態を参照するものとし、その例は添付図面に示されている。理解されるように、他の実施形態も用いられてよく、構造的および機能的な変更が行われてよい。さらにまた、種々の実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりしてよい。よって、以下の説明は例示としてのみ提示されるものであり、説明される実施形態に対して行われてよい種々の変更および修正をいかなる意味でも限定するものではない。本開示においては、多くの具体的な詳細事項が本開示の主題の完全な理解をもたらす。理解されねばならないが、本開示の実施態様は、本願に記載したすべての実施態様を必ずしも含むことなしに、他の実施形態について実施されてよい。
【0043】
本願で使用するところでは、「例」または「例示的」という用語は、事例または実例を意味している。「例」または「例示的」という用語は、重要なまたは好ましい実施態様または実施形態であることを示すものではない。「または」という用語は、文脈が特段示唆しない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例えば、「AはBまたはCを用いる」という言い回しは、すべての包括的な置き換えを含んでいる(例えば、AはBを用いる;AはCを用いる;またはAはBおよびCの両方を用いる)。別の事項として、冠詞「ある」および「1つの」は一般に、文脈が特段示唆しない限り「1つまたはより多く」を意味することを意図している。
【0044】
この開示は、組成物中の成分または複数の成分について、幾つかの異なる範囲を特定してよい。理解されるように、それぞれの範囲の数値を組み合わせて、特定されていない新たな範囲を形成することが可能である。
【0045】
用語「アルキル」は、直鎖、分岐鎖、および環状の一価の炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。実施形態において、用語アルキルはC1~C30アルキル基を含んでいてよい。適切なアルキル基の例には、限定するものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、その他が含まれる。
【0046】
用語「アルキレン」は、直鎖、分岐鎖、および環状の二価の炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。実施形態において、用語アルキレンはC1~C30アルキレン基を含んでいてよい。アルキレン基の例には、限定するものではないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ターシャリーブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、その他が含まれる。
【0047】
用語「アリール」は任意の一価の芳香族炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。この用語はまた、芳香族基を含む融合系および結合または連結基によって結合された複数のアリール基を備える基を含んでいる。実施形態において、用語アリールはC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む融合アリール基、および連結基によって結合された2またはより多くのC5~C20アリール基を含む複数アリール基構造を含んでいる。
【0048】
用語「アリーレン」は任意の二価の芳香族炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。この用語はまた、芳香族基を含む融合系を含んでいる。実施形態において、用語アリーレンはC5~C20アリーレン基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む融合アリーレン基、および連結基によって結合された2またはより多くのC5~C20アリール基を含む複数アリーレン基構造を含んでいる。
【0049】
用語「アラルキル」は、アリール置換基で置換された、直鎖、分岐鎖、および環状の一価の炭化水素基を含んでいる。
【0050】
用語「環式」または「環状」アルキルは、一価の環状炭化水素を含んでおり、単独の環状基、二環状基、三環状基、および高次の環状構造、並びに架橋環状基、融合環状基、および少なくとも1つの架橋環状基を含有する融合環状基を含んでいる。実施形態において、環状アルキル基はC3~C20環状アルキル基を含んでいる。適切な環状基の例には、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]ノナン、アダマンチル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリン)が含まれる。
【0051】
用語「環式」または「環状」アルキレンは、二価の環状炭化水素を含んでおり、単独の環状基、二環状基、三環状基、および高次の環状構造、並びに架橋環状基、融合環状基、および少なくとも1つの架橋環状基を含有する融合環状基を含んでいる。実施形態において、環状アルキレン基はC3~C20環状アルキレン基を含んでいる。
【0052】
用語「アルキニル」は、2またはより多くの炭素原子の間に1つまたはより多くの三重結合を有するC2~C10の分岐鎖または直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基として定義される。アルキンの例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、およびノニニルが含まれる。
【0053】
用語「置換」は、分子上、分子の一部上、または原子上にある1つまたはより多くの水素が、通常の価数を超えないという条件で置換基によって置き換えられることを意味している。置換基はヘテロ原子であることができる。用語「ヘテロ」は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などの原子を指すために、またはそうした原子や原子を含む基を含む別の基に関連して用いられる。適切な置換基の例には、限定するものではないが、-OR、-NR'R、-C(O)R、-SR、-ハロゲン、-CN、-NO2、-SO2、ホスホリル、イミノ、チオエステル、炭素環基、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、二環式基および三環式基が含まれる。置換基がケト基(すなわち=O)である場合は、原子上の2つの水素が置き換えられている。ケト置換基は芳香族部分には存在しない。用語RおよびR'はアルキル基を指しており、同一でも異なっていてもよい。
【0054】
提供されるのは付加硬化性シリコーン-イミドコポリマー組成物である。この組成物は硬化した場合に接着剤を形成するように用いられてよい。この組成物は、低温(例えば、室温例えば約20~25℃から150℃)において、何らの溶媒の存在なしに硬化することが見出されている。また提供されるのは、この組成物を含み、またはこの組成物から形成される硬化材料である。本組成物から形成される硬化材料は、比較的高温(例えば、約350℃またはより高い)において熱安定であること、並びに非常な低温から非常な高温への極端な温度変化に対する曝露に際しての温度安定性などの、優れた特性を示す。実施形態において、本組成物から形成された硬化材料は、純粋なシロキサンのそれよりも優れた分解のピーク(Td)を示す。
【0055】
1つの実施形態において、付加硬化性シリコーン組成物は:
(A)アルケニル官能性シロキサン-イミド;
(B)0から80質量部のアルケニル官能性オルガノシロキサン;
(C)1分子内にケイ素原子に結合した少なくとも2つの水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;このポリオルガノハイドロジェンシロキサンは(A)成分中に含まれるアルケニル基の合計量の1モルに対してケイ素原子に結合した水素原子の量が0.9から10モルとなる量で提供されることができる;
(D)触媒量のヒドロシリル化反応触媒;
(E)添加剤;および
(F)フィラーを含んでいる。
【0056】
1つの実施形態において、シロキサン-イミドコポリマー(A)は式(I)の化合物から選択され:
【化2】
式中:
R
1はC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から選択され、ここでR
1は未置換またはC1~C6アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、および/またはC1~C5アルコキシ基で置換されることができ;
R
2は二価のC1~C20炭化水素基、二価のC4~C20分岐鎖炭化水素基、またはC4~C30含環状炭化水素基から独立して選択され;
R
3、R
4、R
5、およびR
6はそれぞれ独立してC1~C10アルキル基およびC6~C20アリール基から選択され;
mは1から約200の整数であり;そして
nは1から約30の整数である。
【0057】
R1はC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から独立して選択される。多環式アリール基は融合環であることができ、または連結基によって結合された未融合の系であることができる。R1に適切なアリール基および/または多環式アリール基の例には、限定するものではないが、ベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン(例えば、限定するものではないが、ビフェニルメタン、ビフェニルエタン、ビフェニルプロパン、ビフェニルイソプロパン、ビフェニルブタン、ビフェニルイソブテン、ビフェニルターシャリーブタン、ビフェニルヘキサン、ビフェニルオクタン等のような、C1~C20アルキルから選ばれるアルキル連結基を備えたビフェニル基)、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンジフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、およびヘキサフルオロメチルビフェニルその他が含まれる。1つの実施形態において、R1はベンゼンである。
【0058】
R2は、二価のC1~C20炭化水素基、二価のC4~C20分岐鎖炭化水素基、またはC4~C30含環状炭化水素基から選択される。実施形態において、R2は二価のC1~C20炭化水素基、C2~C15炭化水素基、C3~C10二価炭化水素基、またはC4~C6二価炭化水素基から選択される。1つの実施形態において、R2はC1二価炭化水素基(すなわちメチレン基)である。
【0059】
R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ独立してC1~C10アルキル基およびC6~C20アリール基から選択される。実施形態において、R3、R4、R5、およびR6はC1~C10アルキル、C2~C8アルキル、またはC4~C6アルキルから選択される。1つの実施形態において、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれメチル基である。
【0060】
1つの実施形態において、mは1から約200、約5から約175、約10から約150、約25から約135、約50から約110、または約75から約100の整数である。
【0061】
1つの実施形態において、nは約1から約30、約2から約25、約5から約20、または約10から約15の整数である。
【0062】
シロキサン-イミドコポリマーは、技術分野の当業者に知られた方法によって調製可能である。1つの実施形態において、シロキサン-イミドコポリマーは式(i-a)のアリルイミドとオルガノハイドロジェンシロキサン(i-b)との反応によって調製することができる:
【化3】
【化4】
式中R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、およびR
6は上記した通りである。
【0063】
シロキサン-イミドコポリマー(A)は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて、10質量部から約100質量部、約20質量部から約98質量部、または約30質量部から約95質量部の量で存在することができる。1つの実施形態において、シロキサン-イミドコポリマー(A)は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約50質量部、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約25質量部から約45質量部、または硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約30質量部から約40質量部の量で存在することができる。
【0064】
1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)は式M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQgの化合物から選択され、式中:
M1=R7R8R9SiO1/2
M2=R10R11R12SiO1/2
D1=R13R14SiO2/2
D2=R15R16SiO2/2
T1=R17SiO3/2
T2=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、ここでR7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はC1~C30炭化水素基、またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
R10、R15、およびR18はC1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、C1~C30アルコキシ基、またはC2~C30アルケニル基から独立して選択され、但しR10、R15、および/またはR18の1つまたはより多くはC2~C30アルケニル基から選択され;そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、gは以下の制約:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、およびb+d+f>0のもとにゼロまたは正数である。
【0065】
1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)は2またはより多くのアルケニル基を含んでいる。1つの実施形態において、アルケニル基はビニル基である。ポリオルガノシロキサンは、アルケニル末端シロキサンであることができる。
【0066】
ポリオルガノシロキサン(B)のR7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17は、C1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択される。1つの実施形態において、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はC1~C30アルキル、C2~C20アルキル、C3~C15アルキル、C4~C10アルキル、またはC6~C8アルキルから独立して選択される。1つの実施形態において、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はC1~C6アルキルから独立して選択される。1つの実施形態において、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はそれぞれメチル基から選ばれる。
【0067】
ポリオルガノシロキサン(B)の1つの実施形態において、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17はC1~C30炭化水素基、またはC6~C30芳香族基から独立して選択され、ここでR7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R16、およびR17の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選ばれる。1つの実施形態において、R13および/またはR14の少なくとも1つはC6~C30芳香族基である。例示的な芳香族基はフェニル基である。
【0068】
1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)は末端アルケニル基を備えたMDM型のポリマーである。1つの実施形態において、MDM型のポリマーは2またはより多くの末端アルケニル基を備えたポリジメチルシロキサンである。1つの実施形態において、MDM型のポリマーはMDHDPhMの種類であり、2またはより多くの末端アルケニル基を備えている。
【0069】
実施形態において、2<a+b+c+d+e+f+g<2000;5<a+b+c+d+e+f+g<1750;10<a+b+c+d+e+f+g<1500;20<a+b+c+d+e+f+g<1250;25<a+b+c+d+e+f+g<1000;50<a+b+c+d+e+f+g<750;75<a+b+c+d+e+f+g<500;100<a+b+c+d+e+f+g<400;または200<a+b+c+d+e+f+g<300である。
【0070】
ポリオルガノシロキサン(B)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて、約0質量部から約80質量部、約0質量部から約60質量部、または約0質量部から約50質量部の量で存在することができる。1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて、約10質量部から約50質量部、約20質量部から約45質量部、または約30質量部から約40質量部の量で存在する。1つの実施形態において、ポリオルガノシロキサン(B)は、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約50質量部、硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約25質量部から約45質量部、または硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約30質量部から約40質量部の量で存在する。
【0071】
1つの実施形態において、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン成分(C)は式M3
hM4
iD3
jD4
kT3
mT4
nQoの化合物から選択され、式中:
M3=R19R20R21SiO1/2
M4=R22R23R24SiO1/2
D3=R25R26SiO2/2
D4=R27R28SiO2/2
T3=R29SiO3/2
T4=R30SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、ここでR19、R20、R21、R25、R26、およびR29はC1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
R22、R23、R24、R27、R28、およびR30は水素、C1~C30炭化水素基、C6~C30芳香族基、C1~C30アルコキシ基、またはC2~C30アルケニル基から独立して選択され、但しR22、R23、R24、R27、R28、および/またはR30の1つまたはより多くは水素であり;そして
下付き文字h、i、j、k、m、n、oは以下の制約:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0のもとにゼロまたは正数である。
【0072】
1つの実施形態において、R19、R20、R21、R25、R26、およびR29、並びに水素ではない場合のR22、R23、R24、R27、R28、およびR30のいずれかは、C1~C30アルキル、C2~C20アルキル、C3~C15アルキル、C4~C10アルキル、またはC6~C8アルキルから独立して選択される。1つの実施形態において、R19、R20、R21、R25、R26、およびR29、並びに水素ではない場合のR22、R23、R24、R27、R28、およびR30のいずれかは、それぞれメチル基である。
【0073】
1つの実施形態において、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C)はMHQ4またはMDHDMの型式である。
【0074】
1つの実施形態において、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C)は、硬化性組成物の合計重量に基づいて、約0.05質量部から約10質量部、約0.08質量部から約6質量部、または約1質量部から約4質量部の量で存在する。実施形態において、1分子内にケイ素原子に結合した少なくとも2つの水素原子を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、(A)成分中に含有されているアルケニル基の合計量の1モルに対してケイ素原子に結合した水素原子が0.9から10モル、1.5から8モル、2.5から6モル、または3から5モルとなる量において用いられる。
【0075】
1つの実施形態において、ヒドロシリル化触媒(D)は、アルケニル含有化合物のポリオルガノハイドロジェンシロキサンとの反応を促進させるために使用されてよい。ヒドロシリル化触媒は、限定するものではないが、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金その他、並びにこれらの金属を含む錯体を用いる貴金属触媒のような貴金属触媒を含むことができる。本発明において使用するのに適切なヒドロシリル化触媒の例には、限定するものではないが、Ashby触媒;Lamoreax触媒;Karstedt触媒;Modic触媒;Jeram触媒、またはこれらの2またはより多くの組み合わせが含まれる。
【0076】
触媒(D)は、アルケニル含有化合物(例えば、(A)成分および/または(B)成分)のポリオルガノハイドロジェンシロキサン(C)との反応を促進するのに適切な任意の量で用いることができる。実施形態において、触媒(D)は硬化性組成物の合計重量に基づいて、約1質量部から約10質量部、約2質量部から約8質量部、または約3質量部から約6質量部の量で存在することができる。
【0077】
添加剤(E)は幾つもの添加剤の中から選択することができ、また特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択される。添加剤は、組成物から形成された硬化材料に対して所定の性質を付与するために、また組成物の加工を支援するためその他について選択されてよい。1つの実施形態において、添加剤(E)は、顔料、潤滑剤、粘度調節剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、阻害剤、接着促進剤またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0078】
1つの実施形態において、添加剤(E)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約3000質量部、約0.5質量部から約1000質量部、または約0.05質量部から約1質量部の量で存在する。
【0079】
1つの実施形態において、添加剤は阻害剤から選択される。1つの実施形態において、阻害剤は、エチレン性不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または非共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸塩、亜硝酸塩、ジアジリジン、およびその他から選択される。本組成物に特に適切な阻害剤はアルキニルアルコールおよびマレイン酸塩である。適切な重合阻害剤の例には、限定するものではないが、マレイン酸ジアリル、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、およびフェノチアジンが含まれる。
【0080】
1つの実施形態において、阻害剤は硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約1質量部から約10質量部、より好ましくは約0.1質量部から約2質量部、そして最も好ましくは約0.05質量部から約1質量部の量で存在する。
【0081】
1つの実施形態において、添加剤(E)は重合阻害剤から選択される。重合阻害剤は特に限定されるものではなく、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択されてよい。適切な阻害剤の例には、、限定するものではないが、エチレン性不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または非共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸塩、亜硝酸塩、ジアジリジン、およびその他が含まれる。本組成物に特に適切な阻害剤はアルキニルアルコールおよびマレイン酸塩である。適切な重合阻害剤の例には、限定するものではないが、マレイン酸ジアリル、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンその他が含まれる。
【0082】
本組成物において使用される阻害剤の量は、室温において上記の反応を遅延させる一方で、適宜昇温された温度においてはその反応を妨げることのない、任意の量であることができる。実施形態において、重合阻害剤は約0.05質量部から約10質量部、約0.1質量部から約5質量部、または約1質量部から約2質量部の量で存在することができる。
【0083】
硬化性組成物はまた、酸化防止剤化合物を含んでいてよい。酸化防止剤化合物の適切な種類の例には、限定するものではないが、ヒンダードアミン化合物および/またはヒンダードフェノール化合物が含まれる。
【0084】
ヒンダードアミン酸化防止剤化合物の例には、限定するものではないが、ヒンダードアミン系の酸化防止剤、(N,N',N'',N'''-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N'-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合生成物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物](70%)-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-([3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、その他が含まれる。
【0085】
1つの実施形態において、酸化防止剤化合物はヒンダードフェノール化合物である。ヒンダードフェノールは、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択されてよい。適切なヒンダードフェノールの例には、限定するものではないが、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、および2,6-t-ブチル-4-エチルフェノールのようなモノフェノール、2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)のようなビスフェノール;並びに多環式フェノール例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'-ビス(4'-ヒドロキシ-3)-t-ブチルフェニル)酪酸グリコールエステル、およびトコフェロール(ビタミンE)、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N'-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3',3'',5,5',5''-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a''-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールその他が含まれる。
【0086】
IRGANOX1330は、BASF社から商業的に入手可能な立体障害性フェノール酸化防止剤(「3,3',3',5,5',5'-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a''-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール」)である。Irganox1010は、BASF社から商業的に入手可能な立体障害性フェノール酸化防止剤(「ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)」であり、または1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンがETHANOXTM330として商業的に入手可能であり(アルベマール社)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox1010)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Irganox3114)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートがIrganox3114として商業的に入手可能である。
【0087】
酸化防止剤は組成物中に、約0質量部から約10質量部、約0質量部から約5質量部、または約0質量部から約3質量部の量で含まれることができる。
【0088】
硬化性組成物は任意選択的に、光安定剤を含んでいてよい。光安定剤は特に限定されるものではなく、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択されてよい。光安定剤について適切な材料の例には、限定するものではないが、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(21-1-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および分岐ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、オクタベンゾン、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、Tinuvin622LD、Tinuvin144、CHIMASSORB119FL、MARK LA-57、LA-62、LA-67、LA-63、SANDOL LS-765、LS-292、LS-2626、LS-1114、LS-744その他が含まれる。
【0089】
光安定剤は組成物中に、約0質量部から約10質量部、約0質量部から約5質量部、または約0質量部から約3質量部の量で含まれることができる。
【0090】
組成物は任意選択的にフィラー(F)を含んでいる。1つの実施形態において、添加剤(F)はフィラーから選択される。適切なフィラーの例には、限定するものではないが、シリカ、ヒュームドシリカ、SiO2、TiO2、MgO、ZnO、CaCO3、CeO2、Fe2O3、SiC、クレイ材料、酸化グラフェン、酸化ホウ素、窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、酸化ジルコニウム、フライアッシュ、Zr(OEt)4、Ti(OEt)4、粉末形態の任意のポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリBPAスルホン、シロキサン-ポリイミド、シロキサン-ベンゾイミダゾール、シロキサン-ポリスルホン、または何らかの他の熱安定性フィラーが含まれる。
【0091】
1つの実施形態において、フィラーは硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて、約0質量部から約3000質量部、より好ましくは約15質量部から約2000質量部、そして最も好ましくは約25質量部から約30質量部の量で存在する。
【0092】
1つの実施形態において、フィラーは硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約30質量部の量で存在する。
【0093】
本組成物から形成された硬化シリコーンイミド材料は、300℃から600℃、約350℃から約550℃、または約400℃から約500℃に熱劣化を有することができる。熱劣化は熱分解と称されてもよく、熱重量分析(TGA)によって測定することができる。1つの実施形態において、熱劣化はTAインスツルメント社のTGA Q5000を使用して測定可能である。熱劣化は窒素または空気雰囲気において、1000℃まで10℃/分の加熱速度を用いて評価することができる。
【0094】
硬化性組成物は、それぞれの成分の混合物を調製し、この混合物を混合物を硬化するのに十分な時間にわたって十分な温度に曝露することにより硬化されてよい。それぞれの成分は別々に、またはパッケージが最終的な組成物に必要とされる成分を2またはより多く含んでいる場合には、2またはより多くの材料パッケージとして加えてよい。硬化は昇温への曝露下に、約15分間から約120分間の時間にわたって達成されてよい。実施形態において、硬化は100℃において60分間で達成することができる。
【0095】
1つの実施形態において、シリコーン-イミド組成物は基材上にコーティングまたは接着させることができる。組成物は、限定するものではないが、刷毛塗り、噴霧、カーテンコーティング、浸漬、スピンコーティングその他を含む、任意の適切な仕方で適用することができる。
【0096】
基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選択することができる。適切なプラスチックの例には、限定するものではないが、合成有機ポリマー材料、例えばポリ(メチルメタクリレート)およびその他のようなアクリルポリマー;例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびその他のようなポリエステル;ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびその他、ポリカーボネート、およびEXLやハイヒートポリカーボネートのようなコポリカーボネートが含まれる。1つの実施形態において、基材はポリカーボネートまたはアクリル樹脂から形成される。ポリカーボネートはその優れた物理的、機械的、および化学的性質のゆえに、透明基材について特に適切な材料である。一般に基材の選択は、最終的には検討されている末端用途によって決定される。
【0097】
1つの実施形態において、硬化シリコーンイミド材料は、硬化性組成物から形成される。
【0098】
硬化性組成物は、種々の用途において使用されてよい。実施形態において、硬化性組成物は硬化されて、優れた熱安定性、熱伝導性、寸法安定性、接着性、機械特性、電気特性、低温可撓性、低誘電率、熱酸化安定性、疎水性、耐薬品性、生体適合性、難燃性、およびガス透過性といった性能に関して使用され、また主として航空宇宙、電子、自動車、絶縁、コーティング、耐溶剤性膜などの用途その他において用いられる。
【0099】
以下の実施例は、本件技術の実施態様および実施形態を例示することを意図している。特段明記しない限り、すべての部およびパーセントは重量基準であり、またすべての温度は摂氏である。本出願において参照したすべての特許、他の文献、および米国特許出願は参照によって全体が本願に取り入れられる。
【0100】
実施例
【0101】
ピロメリット酸二無水物のN-アリルアミド(1)の合成:ピロメリット酸二無水物(50g、0.2292モル)および酢酸(250ml)を3口丸底フラスコ(凝縮器/オーバーヘッド撹拌機/滴下漏斗)内に取り、続いて氷冷条件下にアリルアミド(28g、0.504モル)を滴下して添加した。添加が完了したところで、反応混合物が透明溶液となる130℃まで、40℃から加熱を開始した。時間と共に色の変化があった。溶液が透明になったところで、130℃で4時間にわたって加熱を行い環形成した。別の丸底フラスコに水を250ml入れ、~100℃に加熱した。次いで反応混合物をこの水の中にゆっくりと注いだところ、固形物質が形成された。この固形物質を濾紙を用いて漏斗で濾別した。この固形物質を水およびメタノールで洗い、高真空ポンプを用いて乾燥した。収率=65g(95%)であった。この物質を1H-NMRで解析したところ、所望の構造と完全に合致した。
【0102】
ABnシロキサン-ポリイミドコポリマーの合成:固形N-アリルピロメリット酸ジイミド材料(1)(15g、0.050モル)を350mlのトルエン中に溶解し、そして75℃まで加熱した。温度が75℃に到達したところで、白金触媒(10ppm)を添加し、続いてシリコーンヒドリド(76.53g)を滴下により添加した。僅かな発熱(~3℃)が観察された。添加が終了したところで、反応をさらに4時間にわたって行い、生成物形成の完了を1H-NMRによってモニターした。反応が完了したところで、活性炭およびシリカゲルの混合物を添加して反応を急冷した。溶質を濾過によって収集し、溶媒を蒸留によって飛ばして粘稠な材料を得た(粘度=79Pas)。1H-NMRおよびGPCによって解析を行った。
【0103】
硬化試料の調製およびTGAによる熱安定性の測定:アルケン末端のベースポリマー材料を容器内に取り、続いて阻害剤および白金触媒と混合した。次いでSi-H系の架橋剤を混合物に添加し、手作業およびスピードミキサーを使用して十分に混合した。次いで混合物の全体を、所定の寸法および厚さのテフロン製モールド内に注型した。脱ガスを行った後、モールドをオーブン(100℃)に1時間入れて完全に硬化させた。
【0104】
熱劣化はTAインスツルメント社のTGA Q5000を使用することにより、窒素または空気雰囲気において、温度が1000℃に達するまで10℃/分の加熱速度を用いて調査した。
【0105】
組成物は、表1および表2に列挙した実施例にしたがって調製した。これらの組成物は容器内で、アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマー材料を阻害剤および触媒と混合することによって調製した。次いで混合物に架橋剤を添加し、手作業およびスピードミキサーを使用して十分に混合した。
【0106】
アルケニル官能性シロキサン-イミドコポリマーは、N-アリルピロメリット酸イミドおよびM
HD
mM
H鎖延長剤から合成される、式(I)に含まれるアリル末端ABnシロキサン-ポリイミドコポリマーである。
【化5】
実施例において用いられるシロキサン-イミドコポリマーにおいて、mは1~200であり、またnは1~30である。
【0107】
組成物は、145mm2×0.15mmの寸法を有するテフロン製モールド内に注型した。脱ガスの後、モールドはオーブンに入れ、1時間にわたって100℃に加熱して完全に硬化させた。
【0108】
熱安定性:TAインスツルメント社のTGA Q5000を窒素または空気雰囲気において、温度が1000℃に達するまで10℃/分の加熱速度を用いて使用することにより、熱劣化を調査した。T
0は劣化の始まりを表し、そしてT
dは分解のピークを表している。
【表1】
【表2】
【0109】
表1および表2に例示されているように、シロキサン-イミドコポリマーを含む本組成物は、ビニルPDMS含有組成物またはフェニルPDMS含有組成物のいずれかを単独で使用する場合と比較して、良好な熱安定性をもたらす。
【0110】
上記に説明したところは本明細書による例を含んでいる。当然のこととして、本明細書を記述する目的について成分または方法のすべての認識可能な組み合わせを説明することは不可能であるが、技術分野の当業者は、本明細書における他の多くの組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識してよい。したがって本明細書は、特許請求の範囲の思想および範囲内に包含されるすべての変更、修正および変動を包囲することを意図している。さらにまた、発明の詳細な説明または特許請求の範囲において「含む」という用語が使用される場合、この用語は、「含む」という用語が特許請求の範囲において「含む」が転換語として用いられる場合に解釈されるのと類似の仕方において、包括的であることを意図したものである。
【0111】
以上の説明は、芳香族性含有シリコーン組成物およびこうした組成物を含む硬化性組成物の種々の、非限定的な実施形態を識別している。技術分野の当業者および本発明を作成および使用しうる者には、変更が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示目的のためのものであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図したものではない。
【国際調査報告】