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特表2024-500977シロキサン-イミド架橋剤を含む縮合硬化性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】シロキサン-イミド架橋剤を含む縮合硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20231227BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20231227BHJP
   C09D 179/08 20060101ALI20231227BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20231227BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20231227BHJP
   C09D 183/08 20060101ALI20231227BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20231227BHJP
   C09J 183/08 20060101ALI20231227BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20231227BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20231227BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C08L83/04
C09D183/04
C09D179/08 A
C09D7/61
C09D7/63
C09D183/08
C09J183/04
C09J183/08
C09J179/08
C09J11/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538923
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 US2021060421
(87)【国際公開番号】W WO2022140004
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】17/132,271
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マンダル,スブラタ
(72)【発明者】
【氏名】藤本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラ,ヴィノド
(72)【発明者】
【氏名】コンワル,デバンガ,ビー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,クラリッサ
(72)【発明者】
【氏名】デイ,カタ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CP061
4J002CP092
4J002DE116
4J002FD016
4J002GH01
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J038DJ021
4J038DL031
4J038DL081
4J038HA216
4J038HA446
4J038JC39
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA08
4J038NA14
4J038PA19
4J038PB09
4J038PC08
4J040EH031
4J040EK031
4J040EK071
4J040HA136
4J040HA306
4J040HD42
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA42
4J040MA10
(57)【要約】
本願においては、縮合硬化性オルガノポリシロキサン、シロキサン-イミド架橋剤、縮合触媒、および添加剤を含む縮合硬化性シリコーン接着剤組成物が示され、説明される。この組成物は相対的室温で架橋可能であり、良好な熱安定性を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合硬化性組成物であって:(a)縮合硬化性オルガノポリシロキサン;(b)シリコーン-イミド架橋剤;(c)縮合硬化触媒および(d)任意選択的に添加剤を含む、硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
シリコーン-イミド架橋剤(b)は式(II)の化合物から選択され:
【化8】

式中RはC5~C20アリール基、2つまたはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から選択され、ここでRは未置換またはC1~C6アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、および/またはC1~C5アルコキシ基で置換されていることができ;
AおよびBは同一または異なっていてよく、式(III)または式(IV)の化合物から選択可能であり:
【化9】

式中GはC1~C5アルキル基、C5~C20アリール基、C7~C16アリールアルキル基、またはC7~C16アルキルアリール基から選択可能であり;
、RおよびRは同一または異なっていてよくC1~C3アルキル基またはフェニル基から選択可能であり;
は同一または異なっていてよくC1~C30アルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30アセトキシ基、またはC1~C30ケトオキシム基から選択可能であり;そして
nは1と30の間の整数であり;
【化10】

式中DはC1~C5アルキル基、C5~C20アリール基、C7~C16アリールアルキル基、またはC7~C16アルキルアリール基から選択可能であり;そして
はC1~C30アルキル基またはアシルケトオキシム基から選択可能である、請求項1の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
はベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンジフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、およびヘキサフルオロメチルビフェニルから選択される、請求項2の硬化性シリコーン。
【請求項4】
はベンゼンである、請求項2の硬化性組成物。
【請求項5】
AおよびBはそれぞれ式(III)のものである、請求項2の硬化性組成物。
【請求項6】
はC1~C30アルコキシ基から選ばれる、請求項5の硬化性組成物。
【請求項7】
AおよびBはそれぞれ式(IV)のものである、請求項2の硬化性組成物。
【請求項8】
シリコーン-イミド架橋剤(b)は硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約2部から約20重量部の量で存在する、請求項1から7のいずれかの硬化性組成物。
【請求項9】
シリコーン-イミド架橋剤(b)は硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約5部から約9.5部の量で存在する、請求項1から7のいずれかの硬化性組成物。
【請求項10】
縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M Qの化合物から選択され、式中:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、ここでR、R、R、R14、R15、R16およびR17はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
10、R11、R12、R13およびR18はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15、R16およびR17の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基であり;またR12、R13およびR18の少なくとも1つはC6~C30芳香族基であり;そして
下付き文字a、b、c、およびdは正の整数であり、そしてeおよびfは以下の制約:2<a+b+c+d+e+f<2000、およびb+c>0のもとにゼロまたは正の整数である、請求項1から9のいずれかの硬化性シリコーン。
【請求項11】
縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M の化合物から選択され、式中:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
であり、ここでR、R、R、R14、R15およびR16はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
10、R11、R12およびR13はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15およびR16の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基であり;またR10、R11、R12およびR13の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択され;そして
下付き文字a、b、c、dは以下の制約:2<a+b+c+d<2000、b+c>0のもとに正の整数である、請求項1から10のいずれかの硬化性シリコーン組成物。
【請求項12】
およびR14はそれぞれヒドロキシ基である、請求項10の硬化性組成物。
【請求項13】
縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)を硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約50部から約100部の量で含む、請求項1から12のいずれかの硬化性組成物。
【請求項14】
縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)を硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約60重量%から約95重量%の量で含む、請求項1から13のいずれかの硬化性組成物。
【請求項15】
触媒(c)は、(i)Ca、Ce、Bi、Fe、Mo、Mn、Pb、Ti、V、ZnおよびYから選ばれる金属を含む金属または有機金属触媒、または(ii)カルボン酸成分、アミノ含有シランまたはアミノ含有シランの混合物、および任意選択的にアミノ含有シロキサン成分の組み合わせを含む非スズ触媒から選択される、請求項1から14のいずれかの硬化性組成物。
【請求項16】
有機金属触媒はジブチルスズジラウレートである、請求項15の硬化性シリコーン組成物。
【請求項17】
触媒(c)を硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約0.01部から約5部の量で含む、請求項1から16のいずれかの硬化性組成物。
【請求項18】
添加剤(d)はフィラー、顔料、潤滑剤、粘度調節剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、阻害剤、接着促進剤、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される、請求項1から17のいずれかの硬化性組成物。
【請求項19】
添加剤(d)は、SiO、TiO、MgO、ZnO、CaCO、CeO、Fe、SiC、クレイ材料、酸化グラフェン、酸化ホウ素、窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、酸化ジルコニウム、フライアッシュ、Zr(OEt)、Ti(OEt)、粉末形態の任意のポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリBPAスルホン、シロキサン-ポリイミド、シロキサン-ベンゾイミダゾール、シロキサン-ポリスルホン、これらの2またはより多くの組み合わせから選択されるフィラーである、請求項18の硬化性組成物。
【請求項20】
フィラーがFeである、請求項19の硬化性組成物。
【請求項21】
フィラーを硬化性組成物の合計重量に基づいて約0部から約50重量部の量で含む、請求項19の硬化性組成物。
【請求項22】
フィラーを硬化性組成物の合計重量に基づいて約10部から約40重量部の量で含む、請求項19の硬化性組成物。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかの組成物から形成された硬化シリコーン-イミド材料。
【請求項24】
1000℃まで10℃/分の加熱速度の熱重量分析により測定して400℃から600℃の熱劣化を有する、請求項23の硬化シリコーン-イミド材料。
【請求項25】
硬化シリコーン-イミド材料は、航空宇宙機器、電子機器、電子部品、自動車、絶縁体、コーティング、または耐溶剤性膜における物品上またはその一部に用いられる、請求項23の硬化材料。
【請求項26】
基材を含む物品であって、請求項1から22のいずれかのシリコーン-イミド組成物が基材の表面上にコーティングまたは接着されている、物品。
【請求項27】
基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、コーティングまたは塗装された金属、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる材料を含む、請求項26の物品。
【請求項28】
基材の材料は、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、コポリカーボネート、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される、請求項27の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縮合硬化性組成物に関する。特に本発明は、オルガノポリシロキサンベースポリマー、シロキサン-イミド架橋剤、触媒、および任意選択的に高熱安定材料(高温、例えば350℃またはより高い温度においても安定)を得るために必要な他の添加剤を含む、縮合硬化性組成物に関する。この硬化性組成物は室温において24時間未満で硬化してよい。この組成物は種々の用途において、高温において使用するのに適切な硬化材料を形成するために用いることができる。
【背景技術】
【0002】
高温安定材料、例えば約350℃またはより高い温度において安定な材料は、広い範囲の用途において望ましい。加えて、多くの用途は単に高温における安定性を必要とするだけではなく、極端な低温(例えば0℃未満から-100℃)から高温まで(例えば約350℃またはより高く)への曝露といった広い温度範囲にわたって、材料がその機械的特性および可撓性を維持し、または実質的に維持することを必要としうる。現在の多くの硬化性のシリコーン系材料は一般に、275℃まで安定なだけである。
【0003】
航空宇宙産業において用いられている現今の硬化性シリコーン系材料は、-115℃(華氏-175度)から260℃(華氏500度)まで連続的に弾性特性を維持し、また短時間であれば316℃(華氏600度)に到るまで弾性特性を維持しうる。ポリイミドおよびポリベンゾイミダゾールのような有機ポリマーは400℃を超えて安定であることができるが、しかしこれらの材料は加工性や可撓性に独自の課題を有しており、幾つかの用途についてはこれらの使用は困難である。個別の特徴的な制約(熱安定性および可撓性)を考慮すると、純粋なシリコーンまたはポリイミドのような純粋な有機ポリマーは、単独ではこうした広い温度用途に使用することはできない。
【0004】
シロキサン変性ポリイミド材料は、当技術分野において知られている。これらの材料は自立膜型式の可撓性材料であり、高い熱安定性と高い熱伝導性を備えている。しかしながらこれらの材料は、幾つかの加工性に関する課題を有しており、それによって大規模用途における使用可能性が限定されている。
【0005】
熱安定性を改善するための近年の試みには、シロキサン変性ポリイミドのコポリマーまたはシロキサン-ポリエーテルイミドブロックコポリマーを含む、金型作成用組成物の使用が含まれる(例えば米国特許第8,071,693号、米国特許公開第2003/0004268号、および米国特許第6,451,381号参照)。他の試みは、例えば非硬化性シロキサンイミドコポリマーに関する日本国特許第3279635号および第4803371号、および補強材料を備えたシロキサンイミドコポリマーを含むコンポジットシートに関する韓国特許公開第10-2014-007363号に記載されている。しかしながらこれらが提案する解決策は、350℃を超える高い熱安定性材料を対象とするものではない。
【発明の概要】
【0006】
以下では、幾つかの実施態様の基本的な理解を提供するために、本開示の概要を提示する。この概要は、必須のまたは重要な要素を識別したり、実施形態や特許請求の範囲に対する何らかの制約を規定することを意図するものではない。さらにまたこの概要は、本開示の他の部分においてより詳細に説明されてよい、幾つかの実施態様の単純化された概略を提供するものであってよい。
【0007】
提供されるのは縮合硬化性シリコーン-イミド組成物であり、これは何らの溶媒の存在なしに24時間以内に室温で硬化することが見出されており、また純粋なシロキサンよりも優れた熱安定性を示す、この組成物を含む硬化材料が提供される。
【0008】
1つの実施態様において、提供されるのは縮合硬化性組成物であり:(a)縮合硬化性オルガノポリシロキサン;(b)シリコーン-イミド架橋剤;(c)縮合硬化触媒;および(d)任意選択的に添加剤を含んでいる。
【0009】
1つの実施形態において、シリコーン-イミド架橋剤(b)は式(II)の化合物から選択される:
【化1】

式中RはC5~C20アリール基、2つまたはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から選択され、ここでRは未置換またはC1~C6アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、および/またはC1~C5アルコキシ基で置換されていることができ;
AおよびBは同一または異なっていてよく、式(III)または式(IV)の化合物から選択可能であり:
【化2】

式中GはC1~C5アルキル基、C5~C20アリール基、C7~C16アリールアルキル基、またはC7~C16アルキルアリール基から選択可能であり;
、RおよびRは同一または異なっていてよくC1~C3アルキル基またはフェニル基から選択可能であり;
は同一または異なっていてよくC1~C30アルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30アセトキシ基、またはC1~C30ケトオキシム基から選択可能であり;そして
nは1と30の間の整数であり;
【化3】

式中DはC1~C5アルキル基、C5~C20アリール基、C7~C16アリールアルキル基、またはC7~C16アルキルアリール基から選択可能であり;そして
はC1~C30アルキル基またはアシルケトオキシム基から選択可能である。
【0010】
1つの実施形態において、Rはベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンジフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、およびヘキサフルオロメチルビフェニルから選択される。
【0011】
1つの実施形態において、Rはベンゼンである。
【0012】
1つの実施形態において、AおよびBはそれぞれ式(III)のものである。
【0013】
1つの実施形態において、RはC1~C30アルコキシ基から選択される。
【0014】
1つの実施形態において、AおよびBはそれぞれ式(IV)のものである。
【0015】
上記した実施形態のいずれかによる別の実施形態において、縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M Qの化合物から選択され、ここで:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、式中R、R、R、R14、R15、R16およびR17はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
10、R11、R12、R13およびR18はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15、R16およびR17の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基であり;R12、R13および18 の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択され;そして
【0016】
下付き文字a、b、c、およびdは正の整数であり、そしてeおよびfは以下の制約:2<a+b+c+d+e+f<2000、およびb+c>0のもとにゼロまたは正の整数である。
【0017】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M の化合物から選択され、式中:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
であり、ここでR、R、R、R14、R15およびR16はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
10、R11、R12およびR13はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15およびR16の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基から選択され;そしてR10、R11、R12およびR13 の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択され;そして
下付き文字a、b、c、dは以下の制約:2<a+b+c+d<2000、b+c>0のもとに正の整数である。
【0018】
1つの実施形態において、RおよびR14はそれぞれヒドロキシ基である。
【0019】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約50部から約100部、より好ましくは約60重量%から約95重量%、そして最も好ましくは約65重量%から約91重量%の量である。
【0020】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、シリコーン-イミド架橋剤(b)は硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約2部から約20部、より好ましくは約5部から約9.5部、そして最も好ましくは約6.5部から約9.1部の量である。
【0021】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、触媒(c)は、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)またはジオクチルスズ化合物のようなスズ触媒、Ca、Ce、Bi、Fe、Mo、Mn、Pb、Ti、V、ZnおよびYのような金属を含む金属または有機金属触媒、およびカルボン酸成分、アミノ含有シランまたはアミノ含有シランの混合物、および任意選択的にアミノ含有シロキサン成分の組み合わせを含む、非スズ触媒から選択される。
【0022】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、有機金属触媒はジブチルスズジラウレートである。
【0023】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、触媒(c)は硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて約0.01部から約5部、より好ましくは約0.2部から約1部、そして最も好ましくは約0.01部から約0.03部の量である。
【0024】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、添加剤(d)は、フィラー、顔料、潤滑剤、粘度調節剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、阻害剤、接着促進剤、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0025】
1つの実施形態において、添加剤はフィラーである。
【0026】
1つの実施形態において、フィラーは、SiO、TiO、MgO、ZnO、CaCO、CeO、Fe、SiC、クレイ材料、酸化グラフェン、酸化ホウ素、窒化ホウ素BN、カーボンナノチューブ、酸化ジルコニウム、フライアッシュ、Zr(OEt)、Ti(OEt)、粉末形態の任意のポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリBPAスルホン、シロキサン-ポリイミド、シロキサン-ベンゾイミダゾール、シロキサン-ポリスルホン、何らかの他の熱安定性フィラー、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせから選択される。
【0027】
上記した実施形態のいずれかによる別の実施形態において、フィラーは硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0部から約50部、より好ましくは約15部から約40部、そして最も好ましくは約25部から約30重量部の量である。
【0028】
上記した実施形態のいずれかによる1つの実施形態において、フィラーはFeである。
【0029】
1つの実施形態において、上記した実施形態のいずれかによるシリコーン-イミド組成物は基材上にコーティングまたは接着されている。
【0030】
1つの実施形態において、基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選ばれる。
【0031】
1つの実施形態において、硬化シリコーン-イミド材料は上記組成物から形成される。
【0032】
1つの実施形態において、上記した実施形態のいずれかによる組成物から形成された硬化シリコーン-イミド材料が提供される。1つの実施形態において、硬化シリコーン-イミド材料は熱重量分析により測定して400℃から600℃の熱劣化を有する。
【0033】
別の実施形態において、本願の組成物から形成された硬化シリコーン-イミド材料は、航空宇宙、電子、自動車、絶縁、コーティング、耐溶剤性膜などの用途に用いられる。
【0034】
1つの実施態様において提供されるのは、基材を含む物品であり、そこにおいては上記した実施形態のいずれかによるシリコーン-イミド組成物が基材の表面上にコーティングまたは接着されている。
【0035】
1つの実施形態において、基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、コーティングまたは塗装された金属、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選ばれる材料である基材から選択される。
【0036】
1つの実施形態において、基材の材料は、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、コポリカーボネート、またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0037】
以下の説明および図面は、種々の例示的な実施態様を開示している。幾つかの改良点および新規な実施態様は明示的に識別されていてよく、その他は説明および図面から明らかであってよい。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では例示的な実施形態を参照するものとし、その例は添付図面に示されている。理解されるように、他の実施形態も用いられてよく、構造的および機能的な変更が行われてよい。さらにまた、種々の実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりしてよい。よって、以下の説明は例示としてのみ提示されるものであり、説明される実施形態に対して行われてよい種々の変更および修正をいかなる意味でも限定するものではない。本開示においては、多くの具体的な詳細事項が本開示の主題の完全な理解をもたらす。理解されねばならないが、本開示の実施態様は、本願に記載したすべての実施態様を必ずしも含むことなしに、他の実施形態について実施されてよい。
【0039】
本願で使用するところでは、「例」または「例示的」という用語は、事例または実例を意味している。「例」または「例示的」という用語は、重要なまたは好ましい実施態様または実施形態であることを示すものではない。「または」という用語は、文脈が特段示唆しない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。例えば、「AはBまたはCを用いる」という言い回しは、すべての包括的な置き換えを含んでいる(例えば、AはBを用いる;AはCを用いる;またはAはBおよびCの両方を用いる)。別の事項として、冠詞「ある」および「1つの」は一般に、文脈が特段示唆しない限り「1つまたはより多く」を意味することを意図している。
【0040】
この開示は、組成物中の成分または複数の成分について、幾つかの異なる範囲を特定してよい。理解されるように、それぞれの範囲の数値を組み合わせて、特定されていない新たな範囲を形成することが可能である。
【0041】
用語「アルキル」は、直鎖、分岐鎖、および環状の一価の炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。実施形態において、用語アルキルはC1~C30アルキル基を含んでいてよい。適切なアルキル基の例には、限定するものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、その他が含まれる。
【0042】
用語「アルキレン」は、直鎖、分岐鎖、および環状の二価の炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。実施形態において、用語アルキレンはC1~C30アルキレン基を含んでいてよい。アルキレン基の例には、限定するものではないが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ターシャリーブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、その他が含まれる。
【0043】
用語「アリール」は任意の一価の芳香族炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。この用語はまた、芳香族基を含む融合系および結合または連結基によって結合された複数のアリール基を備える基を含んでいる。実施形態において、用語アリールはC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む融合アリール基、および連結基によって結合された2またはより多くのC5~C20アリール基を含む複数アリール基構造を含んでいる。
【0044】
用語「アリーレン」は任意の二価の芳香族炭化水素基を含み、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。この用語はまた、芳香族基を含む融合系を含んでいる。実施形態において、用語アリーレンはC5~C20アリーレン基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む融合アリーレン基、および連結基によって結合された2またはより多くのC5~C20アリール基を含む複数アリーレン基構造を含んでいる。
【0045】
用語「アラルキル」は、アリール置換基で置換された、直鎖、分岐鎖、および環状の一価の炭化水素基を含んでいる。
【0046】
用語「環式」または「環状」アルキルは、一価の環状炭化水素を含んでおり、単独の環状基、二環状基、三環状基、および高次の環状構造、並びに架橋環状基、融合環状基、および少なくとも1つの架橋環状基を含有する融合環状基を含んでいる。実施形態において、環状アルキル基はC3~C20環状アルキル基を含んでいる。適切な環状基の例には、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]ノナン、アダマンチル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリン)が含まれる。
【0047】
用語「環式」または「環状」アルキレンは、二価の環状炭化水素を含んでおり、単独の環状基、二環状基、三環状基、および高次の環状構造、並びに架橋環状基、融合環状基、および少なくとも1つの架橋環状基を含有する融合環状基を含んでいる。実施形態において、環状アルキレン基はC3~C20環状アルキレン基を含んでいる。
【0048】
用語「アルキニル」は、2またはより多くの炭素原子の間に1つまたはより多くの三重結合を有するC2~C10の分岐鎖または直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基として定義される。アルキンの例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、およびノニニルが含まれる。
【0049】
用語「置換」は、分子上、分子の一部上、または原子上にある1つまたはより多くの水素が、通常の価数を超えないという条件で置換基によって置き換えられることを意味している。置換基はヘテロ原子であることができる。用語「ヘテロ」は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などの原子を指すために、またはそうした原子や原子を含む基を含む別の基に関連して用いられる。適切な置換基の例には、限定するものではないが、-OR、-NR'R、~C(O)R、-SR、-ハロゲン、~CN、-NO、-SO、ホスホリル、イミノ、チオエステル、炭素環基、アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、二環式基および三環式基が含まれる。置換基がケト基(すなわち=O)である場合は、原子上の2つの水素が置き換えられている。ケト置換基は芳香族部分には存在しない。用語RおよびR'はアルキル基を指しており、同一でも異なっていてもよい。
【0050】
用語「ヘテロ」は使用されるとき、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素等といった原子を指すために、またはそうした原子や原子を含む基を含む別の基に関連して用いられる。
【0051】
提供されるのは、縮合硬化性シリコーン-イミド組成物であり、これは室温において硬化することが見出されいてる。この組成物は何らの溶媒の存在なしに硬化可能である。また提供されるのは、縮合硬化性シリコーン-イミド組成物を含み、および/またはこの組成物から形成される硬化材料である。この硬化材料は、熱重量分析によって評価されてよい優れた熱安定性を示す。本組成物から形成された硬化材料は、純粋なシロキサンのそれよりも優れた分解のピーク(T)を示してよい。
【0052】
1つの実施態様において提供されるのは、縮合硬化性シリコーン-イミド組成物であり:(a)縮合硬化性オルガノポリシロキサン;(b)シリコーン-イミド架橋剤;(c)縮合硬化触媒;およぴ(d)任意選択的に添加剤を含んでいる。
【0053】
1つの実施形態において、シリコーン-イミド架橋剤(b)は式(II)の化合物から選択される:
【化4】

式中:
はC5~C20アリール基、2つまたはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から選択され、ここでRは未置換またはC1~C6アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシ基、および/またはC1~C5アルコキシ基で置換されていることができ;
AおよびBは同一または異なっていてよく、式(III)または式(IV)の化合物から選択可能であり:
【化5】

式中GはC1~C5アルキル基、C5~C20アリール基、C7~C16アリールアルキル基、またはC7~C16アルキルアリール基から選択可能であり;
、RおよびRは同一または異なっていてよく、またC1~C3アルキル基またはフェニル基から選択可能であり;
は同一または異なっていてよく、またC1~C30アルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30アセトキシ基、またはC1~C30ケトオキシム基から選択可能であり;そして
nは1と30の間の整数であり;
【化6】

式中DはC1~C5アルキル基、C5~C20アリール基、C7~C16アリールアルキル基、またはC7~C16アルキルアリール基から選択可能であり;そして
はC1~C30アルキル基またはアシルケトオキシム基から選択可能である。
【0054】
はC5~C20アリール基、2またはより多くのC5~C20アリール基を含む多環式アリール基から独立して選択される。多環式アリール基は融合環であることができ、または連結基によって結合された未融合の系であることができる。Rに適切なアリール基および/または多環式アリール基の例には、限定するものではないが、ベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン(例えば、限定するものではないが、ビフェニルメタン、ビフェニルエタン、ビフェニルプロパン、ビフェニルイソプロパン、ビフェニルブタン、ビフェニルイソブテン、ビフェニルターシャリーブタン、ビフェニルヘキサン、ビフェニルオクタン等のような、C1~C20アルキルから選ばれるアルキル連結基を備えたビフェニル基)、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンジフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、およびヘキサフルオロメチルビフェニルその他が含まれる。1つの実施形態において、Rはベンゼンである。
【0055】
、RおよびRは同一または異なっていてよく、そしてC1~C3アルキル基またはフェニル基から選択可能である。1つの実施形態において、R、RおよびRはそれぞれメチル基である。1つの実施形態において、RおよびRはそれぞれC1~C3アルキル基であり、そしてRはフェニル基である。
【0056】
は同一または異なっていてよく、そしてC1~C30アルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C30アセトキシ基、またはC1~C30ケトオキシム基から選択可能である。実施形態において、RのそれぞれはC1~C10アルキル基、C2~C8アルキル基、またはC4~C6アルキル基から独立して選択される。1つの実施形態において、Rのそれぞれはメチル基である。
【0057】
はC1~C30アルキル基またはアシルケトオキシム基から選択可能である。実施形態において、RのそれぞれはC1~C10アルキル基、C2~C8アルキル基、またはC4~C6アルキル基から独立して選択される。1つの実施形態において、Rのそれぞれはメチル基である。
【0058】
1つの実施形態において、AおよびBはそれぞれ式(III)による基から選択される。式(III)のA基およびB基のそれぞれは、同一でも異なっていてもよい。1つの実施形態において、AおよびBは式(III)の基から選択され、また同一の式である。
【0059】
1つの実施形態において、AおよびBはそれぞれ式(IV)による基から選択される。式(III)のA基およびB基のそれぞれは、同一でも異なっていてもよい。1つの実施形態において、AおよびBは式(IV)の基から選択され、また同一の式である。
【0060】
シリコーン配合物は、少なくとも1つのヒドロキシ末端またはアルコキシ末端オルガノポリシロキサン(a)を含む。こうしたヒドロキシ末端またはアルコキシ末端オルガノポリシロキサンは縮合架橋可能である。加えて、ヒドロキシ末端またはアルコキシ末端オルガノポリシロキサンは、1つまたはより多くの分岐を有していてよい。しかしながら好ましくは、直鎖のヒドロキシ末端またはアルコキシ末端オルガノポリシロキサンである。
【0061】
1つの実施形態において、縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M Qの化合物から選択され、式中:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
=R17SiO3/2
=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
であり、ここでR、R、R、R14、R15、R16およびR17はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
10、R11、R12、R13およびR18はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15、R16およびR17の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基から選択され;そしてR12、R13およびR18の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択され;
下付き文字a、b、c、およびdは正の整数であり、そしてeおよびfは以下の制約:2<a+b+c+d+e+f<2000、およびb+c>0のもとにゼロまたは正の整数である。
【0062】
1つの実施形態において、eおよびfはゼロであり、そして縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M の化合物から選択され、式中:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
であり、ここでR、R、R、R14、R15およびR16はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;そして
10、R11、R12およびR13はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15およびR16の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基から選択され;そしてR12およびR13の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択され;そして
下付き文字a、b、c、dは以下の制約:2<a+b+c+d<2000、b+c>0のもとに正の数である。
【0063】
、R、R、R14、R15およびR16は、それらの少なくとも1つがヒドロキシ基またはアルコキシ基であるという条件の下に、ヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基からそれぞれ独立して選択され、但しR、R、R、R14、R15およびR16の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基から選択される。1つの実施形態において、R、R、R、R10、R11、R14、R15およびR16はC1~C20炭化水素基、C2~C15炭化水素基、C3~C10炭化水素基またはC4~C6炭化水素基から独立して選択される。1つの実施形態において、R、R、R、R10、R11、R14、R15およびR16はC1炭化水素基から選択される。実施形態において、炭化水素基はアルキル基である。1つの実施形態において、R、R、R、R14、R15およびR16はメチル基である。
【0064】
、R、R、R14、R15およびR16の1つがアルコキシ基から選択される場合、そのアルコキシ基はC1~C30アルコキシ基、C2~C20アルコキシ基、C3~C15アルコキシ基、C4~C10アルコキシ基、またはC6~C8アルコキシ基であることができる。1つの実施形態において、そのアルコキシ基はC1~C6アルコキシ基であり、実施形態においてはC1アルコキシ基である。
【0065】
12およびR13、R18は、C6~C30芳香族基、または2つまたはより多くのC6~C30芳香族基を含む多環式芳香族基から独立して選択される。多環式芳香族基は融合環であることができ、または連結基によって結合された未融合の系であることができる。R11およびR12に適切なアリール基および/または多環式アリール基の例には、限定するものではないが、ベンゼン、ナフタレン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ビフェニルアルカン(例えば、限定するものではないが、ビフェニルメタン、ビフェニルエタン、ビフェニルプロパン、ビフェニルイソプロパン、ビフェニルブタン、ビフェニルイソブテン、ビフェニルターシャリーブタン、ビフェニルヘキサン、ビフェニルオクタン等のような、C1~C20アルキルから選ばれるアルキル連結基を備えたビフェニル基)、ビフェニルエーテル、イソプロピリデンジフェニルフェノキシ、ビフェニルスルホン、ビフェニルスルフィド、ノルボルニル、およびヘキサフルオロメチルビフェニルその他が含まれる。1つの実施形態において、R11およびR12はそれぞれベンゼンである。
【0066】
縮合硬化触媒(c)は、縮合硬化性オルガノポリシロキサンとシロキサン-イミド架橋剤との反応を促進するために使用されてよい。縮合硬化触媒は特に限定されるものではなく、縮合硬化反応を促進させる任意の適切な触媒材料から選択可能である。適切な金属触媒または有機金属触媒の例には、限定するものではないが、スズ、チタン、亜鉛およびカルシウムといった金属、並びにこれらの金属の錯体を用いるものが含まれる。本発明において使用するのに適切な縮合触媒の例には、限定するものではないが、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)またはジオクチルスズ化合物のようなスズ触媒、Ca、Ce、Bi、Fe、Mo、Mn、Pb、Ti、V、ZnおよびYのような金属を含む金属または有機金属触媒、およびカルボン酸成分、アミノ含有シランまたはアミノ含有シランの混合物、および任意選択的にアミノ含有シロキサン成分の組み合わせを含む、非スズ触媒が含まれる。
【0067】
触媒のカルボン酸成分は、任意の適切なカルボン酸成分から選択されてよい。1つの実施形態において、カルボン酸成分は脂肪族カルボン酸から選択されてよい。カルボン酸成分に適切なカルボン酸には、限定するものではないが、C5~C30カルボン酸を含み、さらには三級アルファ炭素を備えたC5~C19カルボン酸、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせを含む、分岐鎖アルキルのC4~C30アルキルカルボン酸が含まれる。本願において利用可能な幾つかの有用なカルボン酸には、限定するものではないが、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、2-エチルヘキサン酸、ヘプタン酸(エナント酸)、ヘキサン酸、オクタン酸(カプリル酸)、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘキセンカルボン酸、安息香酸、フェニル酢酸、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、2-ブテン二酸(マレイン酸)、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソノナン酸、VersaticTM酸(モメンティブ社から入手可能)その他、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせが含まれる。
【0068】
1つの実施形態において、有機金属触媒はジブチルスズジラウレートである。
【0069】
添加剤(d)は幾つもの添加剤の中から選択することができ、また特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択される。添加剤は、組成物から形成された硬化材料に対して所定の性質を付与するために、また組成物の加工を支援するためその他について選択されてよい。1つの実施形態において、添加剤(d)は、顔料、潤滑剤、粘度調節剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、阻害剤、接着促進剤またはこれらの2またはより多くの組み合わせから選択される。
【0070】
1つの実施形態において、添加剤(d)は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0.05質量部から約3000質量部、約0.5質量部から約1000質量部、または約0.05質量部から約1質量部の量で存在する。1つの実施形態において、添加剤は硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約0部から約50部、より好ましくは約10部から約40部、そして最も好ましくは約25部から約30重量部の量で存在する。
【0071】
1つの実施形態において、添加剤は阻害剤から選択される。1つの実施形態において、阻害剤は、エチレン性不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または非共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸塩、亜硝酸塩、ジアジリジン、およびその他から選択される。本組成物に特に適切な阻害剤はアルキニルアルコールおよびマレイン酸塩である。適切な重合阻害剤の例には、限定するものではないが、マレイン酸ジアリル、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、およびフェノチアジンが含まれる。
【0072】
1つの実施形態において、阻害剤は硬化性シリコーン-イミド組成物の合計重量に基づいて約1質量部から約10質量部、より好ましくは約0.1質量部から約2質量部、そして最も好ましくは約0.05質量部から約1質量部の量で存在する。
【0073】
1つの実施形態において、添加剤(d)は重合阻害剤から選択される。重合阻害剤は特に限定されるものではなく、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択されてよい。適切な阻害剤の例には、、限定するものではないが、エチレン性不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または非共役エンイン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸塩、亜硝酸塩、ジアジリジン、およびその他が含まれる。本組成物に特に適切な阻害剤はアルキニルアルコールおよびマレイン酸塩である。適切な重合阻害剤の例には、限定するものではないが、マレイン酸ジアリル、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンその他が含まれる。
【0074】
本組成物において使用される阻害剤の量は、室温において上記の反応を遅延させる一方で、適宜昇温された温度においてはその反応を妨げることのない、任意の量であることができる。実施形態において、重合阻害剤は約0.05質量部から約10質量部、約0.1質量部から約5質量部、または約1質量部から約2質量部の量で存在することができる。
【0075】
硬化性組成物はまた、酸化防止剤化合物を含んでいてよい。酸化防止剤化合物の適切な種類の例には、限定するものではないが、ヒンダードアミン化合物および/またはヒンダードフェノール化合物が含まれる。
【0076】
ヒンダードアミン酸化防止剤化合物の例には、限定するものではないが、ヒンダードアミン系の酸化防止剤、(N,N',N'',N'''-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N'-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合生成物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物](70%)-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-([3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、その他が含まれる。
【0077】
1つの実施形態において、酸化防止剤化合物はヒンダードフェノール化合物である。ヒンダードフェノールは、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択されてよい。適切なヒンダードフェノールの例には、限定するものではないが、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、および2,6-t-ブチル-4-エチルフェノールのようなモノフェノール、2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)のようなビスフェノール;並びに多環式フェノール例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'-ビス(4'-ヒドロキシ-3)-t-ブチルフェニル)酪酸グリコールエステル、およびトコフェロール(ビタミンE)、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N'-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3',3'',5,5',5''-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a''-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールその他が含まれる。
【0078】
IRGANOX1330は、BASF社から商業的に入手可能な立体障害性フェノール酸化防止剤(「3,3',3',5,5',5'-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a''-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール」)である。Irganox1010は、BASF社から商業的に入手可能な立体障害性フェノール酸化防止剤(「ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)」であり、または1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンがETHANOXTM330として商業的に入手可能であり(アルベマール社)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox1010)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Irganox3114)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートがIrganox3114として商業的に入手可能である。
【0079】
酸化防止剤は組成物中に、約0質量部から約10質量部、約0質量部から約5質量部、または約0質量部から約3質量部の量で含まれることができる。
【0080】
硬化性組成物は任意選択的に、光安定剤を含んでいてよい。光安定剤は特に限定されるものではなく、特定の目的または意図する用途について所望に応じて選択されてよい。光安定剤について適切な材料の例には、限定するものではないが、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(21-1-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および分岐ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、オクタベンゾン、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、Tinuvin622LD、Tinuvin144、CHIMASSORB119FL、MARK LA-57、LA-62、LA-67、LA-63、SANDOL LS-765、LS-292、LS-2626、LS-1114、LS-744その他が含まれる。
【0081】
光安定剤は組成物中に、約0質量部から約10質量部、約0質量部から約5質量部、または約0質量部から約3質量部の量で含まれることができる。
【0082】
組成物は任意選択的にフィラー(F)を含んでいる。1つの実施形態において、添加剤(F)はフィラーから選択される。適切なフィラーの例には、限定するものではないが、シリカ、ヒュームドシリカ、SiO、TiO、MgO、ZnO、CaCO、CeO、Fe、SiC、クレイ材料、酸化グラフェン、酸化ホウ素、窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、酸化ジルコニウム、フライアッシュ、Zr(OEt)、Ti(OEt)、粉末形態の任意のポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリBPAスルホン、シロキサン-ポリイミド、シロキサン-ベンゾイミダゾール、シロキサン-ポリスルホン、または何らかの他の熱安定性フィラーが含まれる。
【0083】
1つの実施形態において、フィラーは硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて、約0質量部から約3000質量部、より好ましくは約15質量部から約2000質量部、そして最も好ましくは約25質量部から約30質量部の量で存在する。
【0084】
1つの実施形態において、フィラーは硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて約20質量部から約30質量部の量で存在する。
【0085】
1つの実施形態において、硬化性組成物は接着促進剤を含んでいない。別の実施形態において、硬化性組成物は接着促進剤を含んでいる。
【0086】
1つの実施形態によれば、接着促進剤はアミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシランのようなアルコキシシラン、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレンジアミンとシリルアクリレートとの反応生成物から選択される。1,3,5-トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートのようなイソシアヌレート含有ケイ素基を追加的に使用してよい。さらなる適切な接着促進剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなエポキシアルキルアルコキシシランと3-アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ置換アルコキシシランとの反応生成物、および任意選択的にメチルトリメトキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、これらの誘導体、またはこれらの2つまたはより多くの組み合わせといったアルキルアルコキシシランとの反応生成物である。
【0087】
縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて、約50部から約100部、約60重量%から約95重量%、または約65重量%から約91重量%の量で存在することができる。
【0088】
シリコーン-イミド架橋剤(b)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて、約2部から約20部、約5部から約9.5部、または約6.5部から約9.1部の量で存在することができる。
【0089】
触媒(c)は、硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて、約0.01部から約5部、約0.2部から約1部、または約0.3部から約0.5部の量で存在することができる。1つの実施形態において、触媒(c)は硬化性シリコーン組成物の合計重量部に基づいて、約0.01部から約0.03部の量で存在することができる。
【0090】
別の実施態様において提供されるのは、上記の実施態様および実施形態のいずれかの組成物から形成される硬化シリコーン材料である。
【0091】
さらに別の実施態様において提供されるのは、基材上に接着剤コーティングを形成するための方法であって、上記の実施態様および実施形態のいずれかの硬化性組成物を基材の表面に適用し、そして組成物を室温において24時間にわたって硬化することを含んでいる。
【0092】
上記の実施形態のいずれかの方法の1つの実施形態において、基材はプラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選ばれる。
【0093】
フィラーは硬化性シリコーン組成物の合計重量に基づいて、約0部から約50部、より好ましくは約10部から約40部、そして最も好ましくは約25部から約30重量部の量で存在することができる。
【0094】
縮合硬化性組成物は、任意の適切な形態で提供することができる。縮合硬化性組成物は一成分系または二成分系の処方で提供されてよい。二成分系の組成物の場合のそれぞれへの成分の振り分けは、特定の目的または意図する用途に応じて所望のような選択可能である。二成分系組成物の1つの実施形態において、シロキサン-イミド架橋剤(b)はポリオルガノシロキサン(a)は別々の部分に用いられる。
【0095】
縮合硬化性配合物は、例えば大気中の水分の形態である、水の存在下に硬化する。水で硬化されると、加水分解およびオルガノポリシロキサンと架橋剤の間での上述した縮合反応が、任意選択的には触媒によって支援されて生じ、架橋によってシロキサン結合が形成される。したがって硬化はまた、網状化とも称される。本願の縮合硬化性配合物は、組成物を対象とする基材に適用し(一成分系組成物として、または二成分系組成物の成分を混合することにより)、硬化を促進するのに十分な水分に対して組成物を曝露することによって硬化することができる。硬化は室温において(例えば約20℃から約25℃の温度において)、または昇温(例えば25℃を超える)において達成することができる。
【0096】
1つの実施形態において、シリコーン-イミド組成物は基材上にコーティングまたは接着させることができる。組成物は、限定するものではないが、刷毛塗り、噴霧、カーテンコーティング、浸漬、スピンコーティングその他を含む、任意の適切な仕方で適用することができる。
【0097】
基材は、プラスチック材料、セラミック、ガラス、ゴム材料、充填金属、金属合金、メタライズされたプラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選択することができる。適切なプラスチックの例には、限定するものではないが、合成有機ポリマー材料、例えばポリ(メチルメタクリレート)およびその他のようなアクリルポリマー;例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびその他のようなポリエステル;ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエンターポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびその他、ポリカーボネート、およびEXLやハイヒートポリカーボネートのようなコポリカーボネートが含まれる。1つの実施形態において、基材はポリカーボネートまたはアクリル樹脂から形成される。ポリカーボネートはその優れた物理的、機械的、および化学的性質のゆえに、透明基材について特に適切な材料である。一般に基材の選択は、最終的には検討されている末端用途によって決定される。
【0098】
組成物は、種々の用途において使用されてよい。実施形態において、組成物は硬化されて、優れた熱安定性、熱伝導性、寸法安定性、接着性、機械特性、電気特性、低温可撓性、低誘電率、熱酸化安定性、疎水性、耐薬品性、生体適合性、難燃性、およびガス透過性といった性能に関して使用され、また主として航空宇宙、電子、自動車、絶縁、コーティング、耐溶剤性膜などの用途その他において用いられる。
【0099】
組成物から形成された硬化シリコーン-イミド材料は、300℃から600℃、約350℃から約550℃、または約400℃から約500℃の熱劣化を有することができる。熱劣化は熱分解と称されてもよく、熱重量分析(TGA)によって測定することができる。1つの実施形態において、熱劣化はTAインスツルメント社のTGA Q5000を使用して測定可能である。熱劣化は窒素または空気雰囲気において、1000℃まで10℃/分の加熱速度を用いて評価することができる。組成物は、種々の用途において使用されてよい。実施形態において、組成物は硬化されて、優れた熱安定性、熱伝導性、寸法安定性、接着性、機械特性、電気特性、低温可撓性、低誘電率、熱酸化安定性、疎水性、耐薬品性、生体適合性、難燃性、ガス透過性といった性能に関して使用され、また主として航空宇宙、電子、自動車、絶縁、コーティング、耐溶剤性膜などの用途その他において用いられる。
【0100】
以下の実施例は、本件技術の実施態様および実施形態を例示することを意図している。特段明記しない限り、すべての部およびパーセントは重量基準であり、またすべての温度は摂氏である。本出願において参照したすべての特許、他の文献、および米国特許出願は参照によって全体が本願に取り入れられる。
【0101】
実施例
【0102】
表1および表2に列挙した実施例にしたがって組成物を調製した。これらの組成物は、シラノール系のベースオルガノポリシロキサンをシロキサン-イミド架橋剤および縮合触媒と、容器内で混合することによって調製した。混合物は手動でスピードミキサーを使用することによって十分に混合した。
【0103】
シロキサン-イミド架橋剤は式(I-a)に含まれるSi-アルコキシ末端ABAシロキサン-ポリイミド材料であり、ピロメリット酸無水物およびアリルアミンから合成され、続いてSi-H部分の導入およびビニルトリメトキシシランとの反応を行った。
【化7】
【0104】
シロキサン-イミド架橋剤は以下のようにして調製した:
【0105】
ピロメリット酸二無水物のN-アリルアミドの合成:ピロメリット酸二無水物(50g、0.2292モル)および酢酸(250ml)を3口丸底フラスコ(凝縮器/オーバーヘッド撹拌機/滴下漏斗)内に取り、続いて氷冷条件下にアリルアミド(28g、0.504モル)を滴下して添加した。添加が完了したところで、反応混合物が透明溶液となる130℃まで、40℃から加熱を開始した。時間と共に色の変化があった。溶液が透明になったところで、130℃で4時間にわたって加熱を行い環形成した。別の丸底フラスコに水を250ml入れ、約~100℃に加熱した。次いで反応混合物をこの水の中にゆっくりと注いだところ、固形物質が形成された。この固形物質を濾紙を用いて漏斗で濾別した。この固形物質を水およびメタノールで洗い、高真空ポンプを用いて乾燥した。収率=65g(95%)であった。この物質を1H-NMRで解析した。
【0106】
ABAシロキサン-イミドABA架橋剤の合成:N-アリル末端ピロメリット酸ジイミド(3g、0.01モル)およびトルエン(75ml)を不活性雰囲気下で3口丸底フラスコ(凝縮器/温度計/滴下漏斗)内に取り、混合物が透明な溶液となるまで75℃で加熱した。白金触媒(15ppm)を添加し、続いてM11(19.2g、0.02モル)を滴下により添加した。反応を1H-NMRによりモニターし、反応が完了(アリルのピークの消失)した後に、5mLのトルエン中のビニルトリメトキシシラン(3.5g、0.02モル)を滴下漏斗から滴下して添加した。反応が完了したところで(1H-NMRにおけるヒドリドのピークの消失)、活性炭によって反応を急冷した。濾液からロータリーエバポレーターによってトルエンを除去することにより、生成物を得た。生成物は液体として得られ、収率は70%(17.7g)程度であった。この物質を1H-NMRで解析した。
【0107】
縮合硬化性オルガノポリシロキサン(a)は式M の化合物から選択され、式中:
=RSiO1/2
=R1011SiO2/2
=R1213SiO2/2
=R141516SiO1/2
であり、ここでR、R、R、R14、R15およびR16はそれぞれヒドロキシ基、C1~C30炭化水素基またはC1~C30アルコキシ基から独立して選択され;
10、R11、R12およびR13はC1~C30炭化水素基またはC6~C30芳香族基から独立して選択され;
但しR、R、R、R14、R15およびR16の少なくとも1つはヒドロキシ基またはC1~C30アルコキシ基から選択され;そしてR10、R11、R12およびR13の少なくとも1つはC6~C30芳香族基から選択され;そして
下付き文字a、b、c、dは以下の制約:2<a+b+c+d<2000、およびb+c>0のもとに正の整数である。
【0108】
実施例において、オルガノポリシロキサン(a)はフェニル置換Dユニットを含むヒドロキシ末端ポリマーから選ばれる。オルガノポリシロキサンA-1はDが炭化水素基を含み、またDはフェニル基を含み、bは285、cは15、そして粘度は(ブルックフィールド(DV1)粘度計で25℃において測定して)3Pasを有するようにされる。オルガノポリシロキサンA-2はDが炭化水素基を含み、またDはフェニル基を含み、bは570、cは30、そして粘度は(ブルックフィールド(DV1)粘度計で25℃において測定して)10Pasを有するようにされる。
【0109】
実施例において使用される縮合硬化性オルガノポリシロキサンベースポリマーは、低揮発性物質または低分子環状物質の濃度において相違していてよい。
【0110】
シラノール系ベースポリマーを容器内に取り、続いてSi-アルコキシ末端架橋剤およびSn触媒またはTi触媒を添加した。この混合物を次いで手動で、またハイスピードミキサーを使用して十分に混合した。組成物は145mm×0.15mmの寸法を有するテフロン製モールドに注型し、室温において24時間保持して完全に硬化させた。
【0111】
熱安定性:熱劣化はTAインスツルメント社のTGA Q5000を使用して、窒素または空気雰囲気において、1000℃に到るまで10℃/分の加熱速度を用いて評価した。
【表1】

【表2】
【0112】
表1および表2に例示されているように、シロキサン-イミドを架橋剤として含む縮合硬化性接着剤組成物は、既知の架橋剤を使用する場合と比較して、良好な熱安定性をもたらす。
【0113】
上記に説明したところは本明細書による例を含んでいる。当然のこととして、本明細書を記述する目的について成分または方法のすべての認識可能な組み合わせを説明することは不可能であるが、技術分野の当業者は、本明細書における他の多くの組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識してよい。したがって本明細書は、特許請求の範囲の思想および範囲内に包含されるすべての変更、修正および変動を包囲することを意図している。さらにまた、発明の詳細な説明または特許請求の範囲において「含む」という用語が使用される場合、この用語は、「含む」という用語が特許請求の範囲において「含む」が転換語として用いられる場合に解釈されるのと類似の仕方において、包括的であることを意図したものである。
【0114】
以上の説明は、芳香族性含有シリコーン組成物およびこうした組成物を含む硬化性組成物の種々の、非限定的な実施形態を識別している。技術分野の当業者および本発明を作成および使用しうる者には、変更が想起されてよい。開示された実施形態は単に例示目的のためのものであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図したものではない。

【国際調査報告】